昭和54年(1979年) 第 7回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 9月11日
第 3号  9月11日
 

議 事 の 概 要
昭和54年9月11日(火曜日) 
午前10時開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第6号議案まで、乙第1号議案から乙第14号議案まで及び認定第1号から認定第3号まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 与那覇寛長君(社大党)
    2 上原亀一郎君(共産党)
    3 岸本忠三郎君(社会党)
    4 宮良 長義君(社大党)
    5 田場 盛徳君(社会党)
    6 友寄 信助君(社会党)
    7 上江洲トシ君(革新クラブ)
午後3時49分散会

○議長(大田昌知君) これより、本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた公安委員会委員長天願俊貞君は、別用務のため本日の午前中及び明日の会議に出席できない旨の届け出がありました。よって、その代理として公安委員会委員比嘉利盛君の出席を求めました。
○議長(大田昌知君) 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第6号議案まで、乙第1号議案から乙第14号議案まで及び認定第1号から認定第3号までを議題とし質疑に、入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 与那覇寛長君。
   〔与那覇寛長君登壇〕
○与那覇寛長君 早速質問に入りたいと思います。
 6月23日の慰霊の日を中心に、21日には県原水協主催の6・23沖縄大会が「地底からの訴え」と銘打って開かれ、語り部によって凄惨きわまりない沖縄戦が告発され反戦平和の叫びが摩文仁の丘に大きくこだましました。23日から3日間は、那萌市で全国の学者、文化人が多数集まり「80年代の沖縄」をテーマに平和学会が開かれ、平和と自立を基調とした80年代の沖縄の展望が論議されました。33回忌を過ぎてもなおこのような集会が盛大に行われたことは、悲惨な戦争を再び繰り返すまい、53%の基地の重圧と差別から県民を解放しなければならないという県民、全国民の悲痛な叫びがあったればこそであります。
 知事も平和祈念式典において全世界に向かって平和宣言をなされました。知事は基地容認の立場からでしょうか基地には一言も触れられなかったが、宣言の中で、いまこそわれわれは全人類の平和を結集し、戦争の放棄と世界の恒久平和の確立のため総力を挙げて邁進しなければならないと切々と述べられました。その限りでは宣言は評価されてよいと思いますが、問題は平和確立に立ち向かう日常の姿勢であります。県民にとって平和確立に必要なことは、平和を脅かす基地を撤去させ、国際的、国内的の支配、抑圧、格差、差別をなくするための闘う姿勢ではないかと私は考えます。知事が宣言された、平和確立のため総力を挙げて逸准しなければならないということは、具体的にはどういうことなのか知事の御見解を承りたいと思います。
 知事の南米旅行中、沖縄は8月18日から31日まで「要塞の嵐」に吹きまくられました。地元の新聞、ラジオ、テレビは毎日のように「要塞の嵐」と称するこの演習を大々的に報道し、本土のマスコミも重大なニュースとして取り扱っていました。それは今度の演習が、沖縄が占領されたことを想定し兵員4万人、艦艇26隻、航空機28G機が投入され、自衛隊も参加し沖縄一戦さながらの大規模の演習であったからであります。
 28日には、与儀公園で4000人が結集して抗議県民大会が開かれ、合同演習に対する県民の怒りを表明し反戦平和の一大県民闘争への総決起を訴えました。また沖縄県婦人連合会の代表は、やっと平和が来たと思ったら演習の強化で毎日不安だと訴え、人殺しの演習であるフォートレス・ゲイルの即時中止、戦争につながる沖縄基地の即時撤去を防衛施設局や県に要請しております。地元両新聞は数回にわたり社説を掲げ、このような陸海空での大規模な演習はあの忌まわしい沖縄戦の悪夢を再現するものでありとうてい容認することはで きない、軍隊が演習をするのは当然だという意見 もあるが、巨大な軍事基地を抱え生活面への重圧に苦しんでいる県民の歴史的、心理的な感情は容易にこれを許せるものではないと県民の不安と怒 りを率直に述べています。
 本土の演習に対する反響はどうであろうか。東京朝日は「沖縄演習と日米防衛首脳会談」という見出しの8月18日の社説で、「沖縄は復帰後も、いぜん米軍基地の島であり、その基地面積はわが国の米軍基地全面積の53%を占めている。本土での米軍基地の縮小、返還もさることながら沖縄での基地縮小をとりわけ急がねばならないが、現実は咋年末の革新県政から保守県政への移行によって、さらに現状固定化の方向が固まりつつある印象が強い。このような現状の中での米軍の大規模演習は、沖縄県民に新たな負担を強いることになろう。県民の反発が強いのも当然である。」と述
べています。毎日新聞は、「米軍の沖縄上陸演習に考える」という見出しの8月16日の社説で、沖縄は「わが国の米軍基地全面積の53%を集約的に受け持ち、日米安保条約に支えられるわが国の安全保障の軍事的側面を、凝結した形で背負っている。最近でも、実弾射撃訓練が日常的に行われ、その誤射による銃弾が、民家の屋根や畜舎に飛び込むなどの被害が相次いでいる。こうした米軍基地の活発な動きは、昨年末、長い革新首長から保守県政への移行によって、一そう激しくなったともいわれている。戦争体験を忘れない県民の不安がつのるのも当然であろう。」と述べ、両社説とも知事の姿勢に疑問を持ちつつ、県民の不安と反発は当然であると指摘しています。この指摘は、国民の多数の意見と見て差しつかえないと思います。
 全国的に注目され、来る総選挙の争点にもなりかねない今回の演習は県民の感情を踏みにじり、しかも国道58号線を戦車や大砲が通行する県民をけ散らして行われました。このようなことが本土の国道で許されるでしょうか。県民を差別することもはなはだしいと言わなければなりません。県民の感情を大切にし不安や差別をなくし県民が毎日の生活を働きながら楽しく生きるようにすることが、安保容認や基地容認とは次元を異にした知事の最高の責務であり使命ではないかと考えますが、知事はどう考えておられるか。今回の演習を、知事はどう受けとめておられるか。きのうのわが党代表質問の再質問の答弁の中で、今回の演習は日本の国を守るためだと言われましたが本当にそう思っておられるのか、あわせて県民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 今回の演習の特徴の一つは、自衛隊が参加したということであります。昨年の栗栖統幕議長の、有事の際に自衛隊は超法規的措置をとるべきだとの発言以来、軍人勅諭復活論が飛び出したり、革新政権ができたらすぐやりますよという物騒な発言が出たりして制服組の独走が目立っています。最近も、永野幕僚長はアメリカ訪問から帰国した直後の記者会見で、沖縄の米海兵隊との合同訓練を行うための準備を始めていると言明しています。この言明は文民統制を乱す越権行為であり、危険な冗舌であると新聞記事はこの制服組の独走を警告しております。今回の自衛隊参加は永野幕僚長の発言と無関係ではなく、米軍の招待というのは形式的なもので実際には制服組がひそかに計画した行為だと見るのが自然であります。
 知事は記者会見で、将来の防衛は自衛隊がやるので戦術を研究するのにはよいことと思う、非難すべきものではないと考えると発言しておられます。しかし戦術を研究するためとは自衛隊側の言い逃れであって、実際には将来の米軍との合同演習の布石だと多くの県民は見ているのではないでしょうか。米軍は、今度のフォートレス・ゲイルのような大規模な演習を2年に1回はやりたいと言っております。次の演習からはガイドラインに基づいて大量の自衛隊が投入され、本格的な合同演習が行われるであろうことは想像にかたくないのであります。その場合でも、知事の自衛隊参加に対するお考えは変わらないのかどうかお伺いしたいと思います。
 また、これから行われる演習についても、知事はこれまでのように安全対第と5・15メモの見直しだけを要請されるお考えでしょうか。演習に絶対安全がないことは過去の事実が証明しています。1週間前、キリーン少将から知事あてに送られた書簡にも、現行の演習場安全運営手続を厳守しているにもかかわらずこのように起こりそうもない事故が起きたことは残念でありますと述べられています。起こりそうもない事故が起こるのが演習であります。取り返しのつかない事故が起こってからではもう遅い、事故を未然に防ぐのが行政最高責任者の務めであります。去る8月18日の臨時議会で全会一致で決議した趣旨に沿うて、演習の中止、基地の撤去を3者協でも主張すべきではないか。きょうは、やぶさかではないとか、相手のあることだからとか言われずに、県民の側に立って前向きの御答弁を期待いたしたいと思います。次は農業問題、部長に御答弁をお願いしたいと思います。
 宮古の皆福地下ダムは、6年の歳月と8億の経費をかけてこのほど落成しました。宮古は干ばつの島と言われていますが、総合事務局の農水部は宮古島の毎年の平均雨量は3億6000トン、そのうち約50%の1億7000トンが地下水となる、全国平均の地下水は降雨量のわずか3%にすぎないと調査結果を発表しています。50%と3%は宮古の地下水の割合がいかに高いかを知ることができます。しかしこの豊富な地下水は飲料水に利用されただけで、大部分は海に流れていました。宮古の地質の研究に端を発し、この地下水に目をつけ地下ダム開発に着想し緻密な計画を立ててみごとに成功した日本人の科学技術の水準の高さは、たとえウサギ小屋に住んでいても世界に誇ってよいと思います。将来の計画はあと11カ所のダムを建設し、全島に用水路を配置し宮古全島5400ヘクタールの耕地が灌概の利益を受けるようになっています。この事業が完成するまで少なくとも10年はかかると言われていますが、完成すれば干ばつの島は潤いの鳥に生まれ変わるわけであります。
 以上はPRのつもりで申し上げましたが、次の2点について質問いたします。
 地下ダム、用水路建設までは国の直轄事業になっていますが、県のやるべき事業は何か、もし御計画があればお知らせいただきたいと思います。
 この地下ダム計画を踏まえて、それとの関連において宮古の区画整理、圃場整備等はなされなければならないと思いますが、部長の御見解を承りたいと思います。
 教育問題、教育長の御答弁お願いしたいと思います。
 新指導要領に基づいた教科書の見本もでき上がり展示会も開かれました。私も教育出版、学校図書両社の6年社会科を取り寄せ一通り目を通しましたが、公害問題に多くの紙面を割き、太平洋戦争についても従来の分量を2倍にふやし、「対馬丸の悲劇」、「おばあさんの話」など戦争の悲惨さを子供たちに伝える努力の跡が見られ、この部分は一応の前進ではないかと思います。しかし他の二、三の会社の教科書には太平洋戦争より1人の聖徳太子に比重を置き、しかも実像より虚像の側面を強調し戦前の皇国史観の復活を思わせるような記述があると聞いていますが、私はまだそれらの教科書は見ていないので今後検討することにして、きょうは次の2点について質問いたします。
 新指導要領は、教育内容の精選とゆとりある学校を目指しておりますが、全新教科書の内容は精選されているのか、またゆとりある学校づくりのための条件幣備は配慮されているのかお伺いいたします。
 去る国会で元号法が成立いたしました。この元弓法が教科書にどう反映しているのか、前の2つの教科書について調べてみました。明治以後は従前どおり西暦と年号が併記されていますが、「学図」の教科書は従前と違って明治以前も併記されています。いずれそのうちに文部省の締めつけもあってどの教科書も明治の前後を問わず両者が併記されると思いますが、たとえそうなっても実際の授業においては西暦一本で指導した方が子供の負担を醍くし年代感覚、国際感覚を養う面からもよいのではないかと思いますが、教育長の御見解を承りたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの与那覇寛長議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 平和宣言との関連においての御質問でございましたが、これはたびたび申し上げていることでございまして、わが国の産業経済を考えてみました場合にどうしても平和に徹することが日本の産業経済の進展を図る意味からも大変大事なことでございまして、これは防衛問題について見解を異にする、立場ではございますが、平和に徹することは一番政策の基本であると私は考えているわけでございます。
 今回のフォートレス・ゲイルをどう受けとめるかということにつきましても、きのうの各党代表質問にお答えしたとおりでございまして何も変わりはございませんが、今回のフォートレス・ゲイルのような合同演習が再び本県で実施されることについて反対であるということについても申し上げたとおりでございまして、この演習はあくまでも安保を基調とするわが国の防衛体制の中で認められた演習であるわけでございます。ただこの演習の実施に当たっての経過についてはどう計画され、どう実施されるかについてのその経緯についてはつまびらかにいたしていないわけでございますが、この演習に当たって安全管理の問題については十分配慮をすること、さらに沖縄上陸後においては地位協定あるいは5・15メモの演習条件等を遵守すること、また夜間演習は特にこれを避けることを強く防衛施設当局に申し入れておったところでございます。
 それから自衛隊の参加の問題についても、きのうの各党代表質問についてお答えしたとおりでございまして、地位協定の規定からいたしまして別にこの自衛隊参加の問題は協定違反ではないわけでございまして、その点安保体制を基調とするわが国の防衛体制の中で自衛隊の力だけでは防衛の責任を全うすることができないわけでございまして、今日の集団防衛体制の中では何としても米軍の力をかりていかなければなりませんし、その演習を見学して将来の防衛体制に資することも必要なことであるということを申し上げたわけでございます。
 次に農業問題にっいて、さらに教育問題については担当部長から詳しく答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 農業問題との関連で、特に宮古地下ダムと土地改良事業との関係についてお答えいたします。
 与那覇議員からも説明あるいは御指摘がありましたように宮古島は島尻マージから成っておりまして、表層土が非常に浅いというようなことで干ばつに対して非常に弱い状況にあるわけでございます。その対策として皆福ダム外11の地下ダムが国営調査地区として計画されているわけでございます。そのうち皆福ダムについては昭和53年度に試験施工を完了し、昭和54年度において地下ダムからの取水か法、管理方法を検討することになっております。その結果を踏まえまして昭和55年度から56年度に地下ダムの全体計画を作成する予足のようであります。
 地下ダムの総貯水量は約1560万トンで、その受益面積が約3500ヘクタールであります。地下ダム、幹線管水路、ファームポンド等については国営事業として実施し、末端の畑地灌概施設については県営事業並びに団体営事業として実施する予定であります。
 なおさらに、地区のブロック分け等具体的な詰めについては昭和55年度から56年度の調査計画の時点でやる予定でございます。この畑地灌概事業予定地区の一部については、すでに県、市町村並びに土地改良区により圃場整備事業を実施しております。具体的には53年度から58年度にかけまして友利地区、これは県営畑総でございますが、さらに54年度から59年度にかけまして砂川の県営圃場整備、それから団体営としましては保良の圃場整備、これは54年度から58年度まで、さらに55年度の予定としまして福東地域の県営圃場整備があります。こういったように一部地域については土地改良をすでに実施しておりますが、引き続き55年度からも実施していくということになっております。
 さらに、国営灌概排水事業の実施に向けて県としては宮占地域国営事業推進協議会、これは去る4月に結成されておりますが、この協議会及び関係市町村とタイアップして地元体制を整え国営事業化に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 教育長。
    〔教育長 前田 功君登壇〕
○教育長(前田 功君) 今回の学習指導要領の改定に当たりましては、国民として必要な基礎的基本的な内容を重視するとともに、児童生徒の学習負担を適正なものとするために学習内容を基本的事項にしぼりまして全体として30%の内容の削減をしております。
 なお、御指摘の教科書の内容についても、今回の改定の趣旨が十分達成されるための重要な関連事項としてその編集や検定の上で一層の適正化が図られており、実際に検討してみてもかなり精選集約されていると理解しております。
 次に、ゆとりある学校づくりのための条件整備につきましては、学校で来年から新しい小学校の場合に教育課程を編制する段階でゆとりの時間を地域や学校の実態に応じて勤労体験学習とか、地域の自然や社会の研究、学業相談等として明確に位置づけるよう指導をしております。と同時に、そのための施設整備等の条件整備につきましては国が教材整備第2次10カ年、計画で補助をしておりますし、県としても次年度から校外学習への補助等を検討しております。
 次に、教科書の中での年号の取り扱いについて御答弁申し上げます。
 広い視野に立ってわが国の国土と歴史に対する理解を深めるという社会科の目標からしまして、現行の教科書でも西暦を使用しているので基本的にはそのように指導していきたいと考えます。ただ自国史の中で、たとえば保元の乱とか、天保の改革、大正デモクラシーと板垣退助といったように時代相や人物像を扱う場合には西暦、括弧書きで日本年号を併記して指導した方が理解しやすい場合もありますので、一概に一本化することは困難ではないかと考えております。
 いずれにいたしましても、どのような方法が児童生徒の歴史の学習により効果があるかということが重要な問題でございますので、これらの問題については直接学校現場で指導を行っている先生方の意見も聞きまして、より効果のある学習ができるよう現場を指導していきたいと考えております。
○議長(大田昌知君) 与那覇寛長君。
   〔与那覇寛長君登壇〕
○与那覇寛長君 幾ら基地問題を論じてもこれはもう平行線でありますので申し上げる必要もありませんけれども、知事は口を開けば安保を基調とすると言われますけれども、この安保のいきさつを見ますと、これは日本のためにつくられたのではなくしてアメリカのアジア政策のために最初は中国を封じ込めるために、現在は中国と仲よくなっているからソ連を封じ込めるためと。これは日本がアメリカの政策に繰り込まれているんでですね、日本のためになっているというこの知事の考えは誤りではないかと思っております。
 以上、申し上げます。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 安保に対する評価についてはいろいろ意見の分かれるところでございましてそれぞれ各党見解を異にするわけでございますが、私といたしましては、安保体制は日米協力体制の基本であって日本のためにもありアメリカのためにもなることであり、さらに一歩飛躍いたしましてアジア安保の体制につながるものだと高く評価をいたしているところであります。
○議長(大田昌知君) 上原亀一郎君。
   〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 基地問題に関するきのうの知事の御答弁は、全く逆立ちしたものでした。私はやむなく通告した順序を逆さまにして、わが党代表質問に関連する事項から質問を行います。
 キャンプ・シュワブの返還についてのわが党の親川議員の代表質問に対し、3者協議会で詰めて結論を出したいとお答えになりました。これを逆立ちしているというのです。知事が返還の方針を決断しないで3者協議会にどう臨むというのですか。米軍にノーと言われたらそれでチョンなんですか。
 知事、米軍の重機関銃弾が名護市数久田の知念正之さんの豚小屋の水タンクをぶち抜き、このように半年ごとに市民の生命を脅かしていることに対し、自民党保守派が多数を占める名護市議会が全会一致でキャンプ・シュワブの即時撤去の決議を採択してからすでに1カ月が過ぎました。これを受けて県議会が同基地の即時撤去の決議を行ってからもあと1週間で1ヵ月になります。知事、あなたはよく熟慮断行という言葉をお使いになるが、これほど県民の命を危険にさらしている米軍基地、百万県民の確固たる意思となったキャンプ・シュワブの即時撤去について、この1カ月前後県知事としてどれほどの熟慮をなされてこられたか明確な御答弁を求めます。
 知事はまた、国の撤去の方針が決まればそれを推進するのにやぶさかでないとか、防衛施設局長の撤去要求の報道が事実であれば撤去についてあえて反対するものではないなどとも御答弁なさっています。何としらじらしく、何とよそよそしい御答弁でしょう。まるで復帰前の任命主席でもなく、琉球列島アメリカ民政府の悪代官の話かとわれとわが耳を疑わずにはいられません。これまた逆立ちもいいところであります。国に撤去の方針を決めさせていくために県民意思を推進していく、百遍でも二百遍でも迫っていくのが県議会の任務でもあり、基地の整理縮小を公約に掲げた知事、あなたの役目ではありませんか。すでに県議会は、全会一致の決議をひっ提げて自民党議員を団長とし、自民党議員3名を含む5名の代表団で政府に迫ってまいりました。知事、今度はあなたの番です。アメリカのことはあなたの仕事ではありません、外務大臣の仕事です。県議会の全会一致の決議は天にもとどろく百万県民の声であり意思なのです。まさかあなたは、これを野にすだく虫の声として熟慮に値せず断じて行わないというわけではないでしょう。
 あなたはよく議会の決議は尊重する立場にあるがとおっしゃいます。尊重するならこれを推進するのが言行一致であって、尊重するが推進はしないというのであれば念仏を唱えているのと同じでしかありません。知事あなたは、安保条約容認の、立場を基地の撤去、整理縮小と二律背反として抜き差しならない対立物とする硬直した考え方をなさっています。そうではありません、対等の主権国家としてわが国民の安全を損ね国民の意思に合致しない基地は、1つ1つ撤去、整理縮小させていくことを安保協議委員会の議題にのせていくことはできるではありませんか。第一この平和時に金国の米軍基地の53%がわが県に集申し、県土面積の12%、沖縄本島の19%が基地にいまなお占められているという事態はまことに異常ではありませんか。だからこそあなたも選挙公約として基地の整理縮小を大いに県民に訴えたではありませんか。
 知事、いつまでもみずからの公約と県民の切実な要求実現にためらうべきではありません。遅疑逡巡と熟慮断行とは同義語ではありません。それこそ二律背反なんです。百万県民の意思を体し、県議会と一体となってキャンプ・シュワブの即時撤去を国に要求するのかしないのか真っ当な御答弁を求めます。
 次に、県議会議員の選挙区配当制度の改正について質問いたします。
 知事は昨日、社大党の仲本議員の代表質問に対し、現行の選挙区制度は違法だときめつける重大な答弁を行いました。県議会が慎重な審議を経て議決し公布された条例に対し、違法だとは何事ですか。知事は公職選挙法第15条を云々されたが、公職選挙法第15条を直っ当にお読みになったことがありますか。公職選挙法第15条における県議会議員の選挙区は第1項郡市の区域、第2項強制合区、第3項任意合区、第4項飛び地または実質的飛び地の強制または任意合区で構成され、各条項はそれぞれ独立した条項としてそれぞれの都道府県の実情に反映できるように規定されており、本県の場合第4項によって伊平屋、伊是名村が島尻郡区から分離されて国頭郡区に合区され、同じく第4項によって伊良部、多良間村が宮古郡から分離されて平良市区に合区され、残る城辺、下地町、上野村が第3項によって9良市区に合区されたもので、いささかも違法性なんかあるものではありません。
 そもそも現行選挙区配当制度は、復帰前の昭和46年12月15日真喜屋実男弁護士を会長とする沖縄県議会議員選挙区制度審議会の答申を受けて、当時の屋良主席がこれを二尊重しそのまま復帰直後の県議会に提案したが、多数を擁した自民党が対案を出せずに審議未了廃案にしたため、やむなく屋良知事が専決処分に付して制度化されたものであります。現行選挙区配当制度は、日本全国でも誇ることのできる最もすぐれた内容を持っ制度となっております。なぜなれば憲法第14条法の下の平等、第15条参政権、普通選挙、平等選挙に基づく公職選挙法第15条7項入口比例を基本としてつくられており、すべての県民が均等平等に選挙権が行使できるように1人1区の小選挙区を完全に排除して、民主的、合理的にっくられた公正妥当なものであります。
 かつて、米軍が占領支配の道具として大いに役立てた1人1区の小選挙区が仮にでも導入されるということになると、1議席をめぐって2名ないし数名が争い、禅純多数を取った候補が当選するので総投票数の20%ぐらいしか得票しなくても当選でき、圧倒的多数の有権者の意思が議席に反映されず死票となります。すなわち49%から80%近くの有権者の投票が議席に反映する道を封殺されます。いかに議会制民主主義の否定につながる不合理で非民主的なものとなるかは明白であります。したがって民輩主義の立場に立つならば、支持政党のいかんを問わずすべての有権者の容認できないものであります。
 現行選挙区配当制度は、昭和50年の国勢調査による人口の変動で51年2月定例会に条例改正案が提案されました。その際特に問題であったのは、コザ市と美里村の合併による沖縄市の誕生で石川市が陸地のトでは中頭郡区と隣接しなくなったことであります。この点について51年2月25日の企画総務委員会でノく田呂知委員が、石川市が中頭郡と隣接するというのは違法だと思うがどうかとの質間に対し、当時の石川地方課長は、隣接とは物理的に直接接しているのはもちろん、物理的に直接接していなくても与那城村、勝連村と海で隣接していると答弁しております。わが党の伊波広定委員が、石川市についての自治省の見解はどうなっているかとの質閥に対し、石川地方課長は違法性はないという回答があったと答弁しております。また採決の際の本会議における討論でも自民党の盛島明秀議員は反対討論に立ったが、石川市の中頭郡区への合区はもちろん、宮古郡の平良市区への合区についても一言も違法性についての討論はなく、ただ平良市区の議員の数が3名から2名に減員されたことについて恨みつらみを並べただけにとどまっています。
 このような現行選挙区配当制度の立法過程から見ても、知事であるあなたが立法遇程にあずかった議会に対し違法だとは、議会に対し挑戦するおつもりなのか明確なる答弁を求めます。
 あなたが正式に提案する前に、各議員に配られた改正理由資料では違法だとはきめつけておりません。平良市区だけについて、任意合区、強制合区の対象になり得ず法令に抵触するおそれがあるとしているだけであります。あなたは、民主主義をじゅうりんする最悪の選挙区制度1人1区を導入する大義名分として、事もあろうに議会に挑戦して議会の議決を違法だという。違法でないのは先ほどるる述べたとおりであります。あくまでも違法であるというのであれば、納得できる根拠を示してもらいたい。
 以上で一応終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの上原亀一郎議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 キャンプ・シュワブの撤去の問題については昨日の各党代表質問にお答えしたとおりでございまして、せっかく3者協議会ができておりますので3者協議会の議題としてこれを取り上げて早急に結論を出したいということを申し上げたとおりでございまして、決して皆さん方の議会における議決を尊重しないということではございません。その線に沿ってはっきり議題として甲急に継論を出していきたいと考えております。
 もちろん53%の葦地がございますが、これはもう何遍も串し上げているとおり占領から、さらにアメリカ統治の時代を迎え基地が強化され、さらに返還を迎えてどうすれば返還を一日も早く実現することができるかということで現在の53%の基地に安保、行政協定の枠をしっかりはめることによって一応目的が達成できるのではないかとこういう観点から施政権の返還が進められたことは御案内のとおりでございまして、もちろん当時は沖縄県は行政区域には入っておりませんでしたけれども、いわゆる安全保障条約、地位協定等によってわが国は条約上の義務として施設区域を提供しなければならないわけでございまして、基地も施設区域の提供のその義務の中に入るわけでございます。しかしながらこういう基地の縮小整理計画はこれは大変むずかしい問題でございまして、縮小整理に伴う返還された土地の利用転用の問題等も含めて具体的に解決していこうということは、たびたび申し上げておるとおりでございます。
 公約したことはできるだけ早くこれは実現しなければならないわけでございまして、熟慮断行ということをたびたび使うわけでございますが、そういう意味において現実的に対処していかなければならない問題が多いわけでございまして、単に県民の主張を主張するだけで事が解決されるものではないとかように考えているところであります。
 次に、公職選挙法の問題でございますが、これは上原亀一郎さんちょっと誤解されておるんではないかと思うんですが、これは何も自由民主党のために出すものではございません。少数与党で否決の可能性が非常に強く、皆さん方の御賛同がいただけるかどうか大変心配をいたしておる中で提案するわけでございまして、しかも与党に有利な1人1区を導入するようなことでこれを審議をお願いしているわけでは決してございません。その点は決して議会に対する挑戦ではなくて、公職選挙法で規定された条項に違反する、抵触する、こういうことで御審議をいただいてあるべき姿に沖縄の選挙区を持っていきたいということでございますので、特段のひとつ御配慮をいただきたいと思うのでございます。あなたの表現によりまするというと、これは皆さん方が決めたものではなくて屋良知事が専決でもって処分した条例でございまして、議会の意思はこの条例の中には反映されておりません。その点を特段の御理解の上に御審議をお願いしたいと思うのであります。
 そこで申し上げたいことは、この公職選挙法第12条第1項に「都道府県の議会の議員は、それぞれ各選挙区において、選挙する。」、こういう規定があるわけであります。すなわち都道府県議会の議員は必ず選挙区において選挙されることになっているのであるが、それではその選挙区はどのようにして定まるのかという点について、それは法律上当然に郡市の区域であるという規定である。あくまでも郡市の規定によってこれを選挙区はつくっていかなければならない。議員は選挙区によって選挙されるものである。ところがその選挙区はあくまでも郡市を基準としてこれはつくらなければならない、こういう規定になっておりまして、さらに第15条第3項におきまして「第一項の区域の人口が議員一人当りの人口の半数以上であっても議員一人当りの人口に達しないときは、条例で隣接する他の郡市の区域と合せて一選挙区を設けることができる。」、こうなっておるのでございまして、石川市の場合もそれから平良市の場合におきましても、いわゆる議員1人当たりの人口数の半数以上に達しておりますので、特に石川市の場合でも半数以上に達しておりますのでこれは独立して選挙区をつくらなければならない
わけでございまして、何も中頭郡区にこれを編入する法的な根拠はないわけであります。そういうことを条理を尽くしてひとつ公職選挙法の15条で規定されたいわゆる議員の選挙区はあくまでも郡市を基準として、没けなければならない。これはあくまでも基本でございまして、これから外れるということは大きな違法であり抵触であるとこういうふうに考えて提案をした次第でございまして、決してこれによって1人1区の制度をつくろうとしているのではございません。
 いま御参考に申し上げますというと、議員定数の内容について福岡県の場合1人区が23人おります。佐賀県が2人、長崎県が8人、熊本県が11人、大分県が12人、宮崎県が3人、鹿児島県16人ということでこの公職選挙法で規定された15条の郡市を中心として選挙区を設けた場合にたまたま1人区が出てくるというだけのことでございまして、決して1人1区のいわゆる小選挙区制度をつくろうという意味ではございません。この点特段のひとつ御理解をいただきたいと思うのであります。
○議長(大田昌知君) 上原亀一郎君。
   〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 知事は私の質問をお聞きになりましたか、ちっとも答えておりませんよ。公職選挙法第15条は、確かに第1項は郡市による選挙区となっています。第2項、第3項で強制合区、任意合区、それから第4項で飛び地、または実質的飛び地による強制合区または任意合区とこうなってそれぞれの条項が独立した意味を持ち、それがかみ合わされてできたのが現行選挙区制度であって、知事が言うように何も違法なものではありません。どこから違法ということが出てきていますか。私の質問にちっとも答えておりませんよ、聞いてもいない、そんな知事の答弁がありますか。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 上原さんに御理解いただきたいんですが、これはなるほど3項それぞれ特例規定、人口の半数に達しない場合、飛び地の場合、あるいは指定都市、東京都、北海道といったような特殊な場合における特例が3、4、5、6というふうにうたわれているわけでございますが、何といっても選挙区を決める基本は、その15条の本項1項、2項で規定されているわけでございまして、あくまでも郡市を基礎として、郡市を合区として決めなきゃならぬと。これはあくまでも募本的な基準であって、いまの沖縄の情勢を考えてみました場合に3項、4項の適用はございません。あくまでも1項、2項、3項の規定によって考えるのが理の当然であって、情勢もそういうような情勢になっているわけでございまして、3項、4項に規定するような特例ではないと私は思っているわけであります。
○議長(大田昌知君) 上原亀一郎君。
   〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 この公職選挙法第15条は1項だけではありません、2項、3項、4項それぞれ独立し生きております。ですから1人1区の小選挙区制というものが49%から80%の死票を出すと。そういうことではたくさんの有権者の意思が議会に反映できなくなると、そういう立場で1項から4項までの規定を活用してできたのが現行制度であって、これが最も平等均等な選挙権の行使ができるということで本土にはない最もすぐれた内容を持つものとなっているとこういうことなんです。
○議長(大田昌知君) 岸本忠三郎君。
   〔岸本忠三郎君登壇〕
○岸本忠三郎君 まず、わが党の代表質問に関連することからお尋ねしたいわけでありますが、知事はきのうあるいはきょうもそうですけれどもフォートレス・ゲイルに関する質閤に答えて、今後はこの種の演習にっいては反対するということを表明いたしましたが、知事のこの意思が沖縄県民の意思として具体的にいわば担保をされなければならないと考えます。いわば知事はこの意思を単に議会での表明だけに終わらせずに、公式機関にのせて日米双方が知事のこの意思を受けて論議されたときに初めて、いわば知事のその意思が今後は反対であるという意思が実効を伴うものだというふうに考えるわけであります。
 そうしたときに、たとえば昭和51年7月に第16回安全保障協議委員会は三木総理とフォード大統領の会談、それから坂田防衛庁長官とシ子レジンジャー国防長官との会談を受けて防衛協力小委員会が設置されております。この小委員会の研究、協議の対象事項として演習、訓練がいわば議論できるということになっております。知事が本気でこのフォートレス・ゲイルのような演習に今後は反対をするこういうことであるならば、この小委員会で取り上げられて協議されていいんではなかろうか、知事にその意思があるかどうかこういうことをまずお尋ねをしておきたいわけであります。
 次に、演習による事故についてでありますが、知事も御承知のように一連の事故はいまだにその原因は解明をされておりません。
 そこでこのことについて一遍提案をしておきたいんですが、たとえば昭和52年9月厚木基地を離陸したアメリカ海兵隊所属のRF4Bファントムが、横浜市緑区に墜落し2名が死亡し重軽症者7名を出しております。政府は、事故後直ちに日米合同委員会のもとに下部組織である事故分科委員会を設置し検討調査を開始をいたしております。事故分科委員会では、アメリカ側から出された調査結果に基づいて政府部内の専門家のほかに、民間側から学識経験者も交えて日米間で共同検討を行ってこの事故原因の分析に当たったわけであります。そしてその結果を日米合同委員会に報告をし、事故の原因が何であったのかということが解明をされております。
 ところが先ほども申し上げましたように、沖縄県における一連の事故が全くその原因が解明されてない。飛んできた弾はアメリカのものであろうということは警察本部も認めるけれども、しかし被疑者をアメリカだということで確定はできないんです、こういう答弁を警察本部長もきのういたしております。そういうふうに事故が起こるたんびに原因はアメリカであろうということは推測はできるけれども断定できない、確定ができない、こういう事態がいつまでも放置されていてよろしいということにならないと思います。とするならば、先ほど申し上げましたように横浜での例にならって日米合同委員会のもとに下部組織を設けていわば事故分科委員会のようなのを設置をいたしてそこで解明をしていく、そういう努力があってしかるべきではないんだろうか。それが知事の沖縄県民に対する政治責任である、こういうふうに考えるわけであります。
 それからキャンプ・シュワブの返還問題は3者協議会にかけると、そこで検討したいとこう言っているわけでありますけれども、先ほど申し上げました防衛協力小委員会というのは安全保障協議委員会の下部機構であります。この防衛協力小委員会といわば3者協議会との関係、位置づけ、これを知事はどのように考えておられるのか。日米安保協議委員会のもとに防衛協力小委員会を設置をしてそこで演習、訓練、その他の事項について協議をするということになっているわけでありますけれども、そのほかにさらに沖縄県にアメリカも含めて3者協議会を設置をしてそこでこの基地の返還問題等についても議論をするということになると、一体この3者協議会と防衛協力小委員会で議論をされるものとどんなふうにかみ合って、どこが先になってどこが後になるんだろうかと。いわば3者協議会で決定をして、3者協議会で確定したやつが防衛協力小委員会に上げられていくのか、もしくは安保協議会に上げられていくのか、その上下関係はどうなるのか。また知事は、安保協議会の枠の中で、その枠の中にあるやつだけをこの3者協議会では議論をするんだとこういうことになりますというと、キャンプ・シュワブの
ような基地の返還閥題というきわめて安保協議会の議題であり安保協議会の議題にならなければならないはずの基地の返還問題、これが3者協議会の議題になじむのかどうか、なじまないんではなかろうかというふうに考えるわけであります。その点ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
 次に、林政の問題についてお尋ねをいたしますが、沖縄県に所在する国有林野の総面積は3万2000ヘクタール、そのうち7800ヘクタールが国頭村と東村にあるのでありますが、これらの国有林は、森林法や林業基本法並びに国有林野経営規程等に基づき15年を1期とする地域施業計画が立てられております。その目的は国土の保全であり、森林の持つ公益的機能の確保であり、材木の育成や造林、伐採や木材の供給を容易ならしめ、もって地域住民と国民に森林のもたらす利益を還元せしめていこうというものであります。
 この趣旨に基づき、沖縄県に所在する国有林を管轄する熊本営林局は沖縄県にかかわる地域施業計画を策定しているのでありますが、ところがこれを見ると、北部にある国有林7825ヘクタールの95%に当たる7610ヘクタールは施業を見合わせると、こういうことになっているのであります。これは実に驚きでありますけれども、御承知のようにこの地域内には沖縄河川総合開発計画に基づき北部河川総合開発事業が実施されすでに福地ダムと新川ダムは完成し、安波川、辺野喜川、普久川を利用したダム建設の計画が進められている地域であります。たとえば安波ダムに集まる水の区域を見ると、国有林は約1100ヘクタールの集水区域を持っており、これらの地域は当然のことながら水源涵養保安林としての指定をして水源地としての森林機能が法律によって確保されてなければならないにかかわらずこれがなされず、法的には全く放置されたままになっているのであります。
 沖縄北部の森林には中南部の約20倍の降雨量があると言われ、そのことを指して県民の水がめというふうな言い方がされているのであります。この森林が法的には何らの施業計画も当局によって立てられず、荒れるがままに放置されていることは許されるべきではないと考えます。森林を水源涵養保安林として保護をし、県民の生活に不安なからしむるための森林施業はどこの県でもとられている措置であります。たとえば隣の鹿児島県は国有林を2万6000ヘクタール、宮崎県は5万4000ヘクタールが指定されているのに比べ、沖縄県がたった17ヘクタールとは全くもってお寒い森林行政と言わなければなりません。北部国有林の97%が北部訓練場として米軍に提供されているのがその原因と言われておりますけれども、しかし米軍に演習場を提供するために県民生活に欠かせない水が犠牲にされていいという理由はないはずであります。安保条約に基づく施設提供義務によって森林法の適用が排除されているという事実に知事は目をつぶるべきではなく、北部国有林は直ちに沖縄県民のための水源涵養保安林としての指定を国に申し出るべきだと考えるのでありますけれども、そのことについての知事の所
見をお伺いをいたしたいと思います。
 次に、沖縄営林署は昭和50年以降米軍の北部訓練場使用料として7億近い収入を得ております。ところが造林に沖縄営林署が使った費用はわずかに300万円足らずであり、他府県の造林費用に比べて格段の差があります。沖縄県が復帰前に琉球政府として現在の国有林地内にリュウキュウマツなどを造林いたしましたが、復帰後はこれらの造林地も全く放置されたままで何らの施業も沖縄僧林署は行ってないのであります。毎年5ヘクタールぐらいの除伐を細々と行っているようでありますが、この程度の施業だと、琉球政府が造林した林地の除伐だけでも400年近くかかるということになります。全く私はこのことを怠惰な林政であると言うべきだと考えるのであります。知事は、熊本営林局の施業計画について当然のことながら沖縄県として物を言うべきだとこう考えるのでありますけれども、そのことについての知事の所見も伺っておきたいと思います。
 次に、森林に関して第3点目でありますけれども自然休養保安林についてであります。
 沖縄北部の山並みは実に雄大であります。沖縄県は、現在観光客の誘致と観光事業の振興に懸命の努力を続けております。この場合の観光は、主として他府県から来るいわゆる観光客を目当てにした観光行政を主としているので必然的に彼らのいわば趣向に沿った海が中心になりがちになることはやむを得ないといたしましても、県民の観光レクリエーション施設は山に求めたときに北部の山並みと樹海は改めて県民にふるさとと心のやすらぎを呼び起こすことになります。森林関係法はこのことを予想し自然休養保安林の設眠を義務づけたのでありますが、沖縄本島内の国有林には残念ながら全く自然休養保安林は1カ所も指定されていないのであります。
 北部の国有林地帯は、まさにこのような機能と条件を備えた森林でありながら何らの施業もなされないままこれもまた放置されているのであります。ふるさとの山であり、ふるさとの川が米軍の演習場であるゆえをもって県民の利用には全く供されてないことについて知事の所見をお聞かせいただき、あわせて今後の計画などについてもお伺いをしておきたいのであります。
 以上で終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの岸本忠三郎議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 フォートレス・ゲイルのような演習について知事は反対であると表明をしたのであるが、それを担保する意味においてもっと上位の機関である安全保障協議会の中で防衛協力小委員会があるからこれに訴えてその実現を図るべきではないか。そういう意味との関連においての御質問であったのでございますが、3者協議会は私が申し上げるまでもなくこれは法定されたいわゆる法制上の機関ではなくて、日本政府、米軍、沖縄県3者で話し合われたいわゆる任意的な団体でございまして、法律上の組織もまた法律上の権限等もないわけでございましてきわめて弱い組織になっているわけでございます。
 したがいまして、今後基地の縮小整理の問題、リロケーションの問題、基地の撤去の問題、当面する軍事基地の諸問題――演習の安全管理の問題等含めていろいろ3者協議会で小委員会あるいは本会議でこれを取り上げて協議していくわけでございますが、ここで現地の防衛施設局当局、米軍関係、沖縄県の関係で話がまとまれば、そういうことで取り上げるということになればこれは上位の機関にかけてある程度要望等も実現されると思うわけでございますが、法律上は協議会のそういう提案が国の意思、また日米間でできた安全保障協議会あるいは防衛協力小委員会等を縛るというわけにはまいりませんけれども、もしそれが実現を見ないような場合にはこれは私自身できるだけそういう小委員会あるいは安全保障協議会、こういったものに出席いたしましてその問題の解決について極カ上位機関の協力を得られるような体制を固めていきたい、そうしたいと思っているわけでございます。
 したがいまして、横浜市において飛行機の落下事件がございましたことは御指摘のとおりでございまして、その真相究明に当たって日米間で合同委員会、合同研究会が持たれて調査結果が公表されましたことは御指摘のとおりでございまして、いま御指摘くださった防衛施設庁、警察庁の調査結果を見ましても原因究明に当たってまだ一歩踏み込みが足りない。アメリカの弾であるとは言っておきながら、それが演習と関係したものであるかどうかについてはきわめて根拠が薄弱であると。防衛庁の側からいたしましても、警察庁の側からいたしましても明快な結論が出てないわけでございます。その点政治的な配慮がなされずに、科学的な立場から純科学的な立場からなされたものであるならばこれは虚心に受けとめていかなければならないのでございますが、そのまま原因不明のまま残すということはまことにこれは残念なことでございまして、いま提案のあったことにつきましては担当部において十分検討いたしまして、これがいわゆる防衛協力小委員会等で取り上げて日米間の合同調査、合同研究というようなことでその結果が、一連の演習に伴う事件の真相究明ができれば大変結構なことでございまして最も当を
得た提案でございまして、労働渉外部において検討させましてこの問題の解決に当たっていきたいと考えております。
 さらに、きわめて重要な発言でございましたが、防衛協力小委員会と3者協議会の上下の関係、さらには協議の対象等についてどういう議題を選択していくかこれは大変重要な問題でございまして、3者間で決められた任意の協議会ではございますが協議の対象等について、また議題の選択等についていろいろ話し合っていきたいと考えておるところでございます。その関係はまだ非常に不朋確でございまして、その点これから諮めて積極的に対処していきたいと考えております。
 それから林業についてでございますが、これは本当に御指摘になったとおりでございまして沖縄県に林業はございません。わずかにいまある自然林が山林がそのまま水源涵養林として、あるいは防潮、防風林としての国土保全、保安林としての機能をようやく果たしている程度でございまして、積極的な造林計画、施業計画というものがないわけでございましてその点林業の分野におきましてはまだまだ勉強が足りない、まだまだ積極的な対策は立てられていないということは御指摘になったとおりでぐざいまして、これから熊本営林局の施業計画の中にどういう注文をつけていくのか、また林野庁に対しまして、西表開発の場合におきましても林野庁長官がこの間県庁に見えましていまのような虫食い状態の開発では困ると。もっと合理的な総合的な開発計画を出してくれれば西表開発に対して林野庁としても全面的な協力をしようとこういう提案がございまして、この長官はこの間宮崎県知事に当選されたわけでございますが、そういう提案もございまして、特に農林水産の分野におきましては林業関係、確かに北部の山林の山並みは心のふるさととして本当に大事に守り育てていかなければなりませんけれども、これ
が安保、地位協定等の適用を受けて演習地に指定されて森林関係諸法令が適用されて当然施業案が実施されなければならない林野であるにもかかわらずいまだにそれが実現を見てないということはまことに不勉強でございまして、その点は改めて森林行政の問題について心を砕いてこれから対策をしていかなければならないと思っておりますが、今日までの経過については農林水産部長から詳しく答弁をさせることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 岸本議員の御質問林業に関連するのが3点ありましたが、知事の答弁を補足させていただきます。
 まず第1点は、ダム地域の保安林指定でございますが、いま数字的なもの等含めましてかなり詳しい御指摘、御説明があったわけでございますけれども、確かに北部地域国有林がほとんどでございますけれどもその中に福地ダムでありますとか、新川ダム、これはもうすでに完成しておりますが、現在建設中のダムとして安波ダムでありますとか普久川ダム等があるわけでございます。こういった流域は国有林になっているわけでございます。しかしこの国有林は地位協定に基づく米軍に提供している施設区域であります。一部は除かれておりますが、ほとんどが米軍に提供されている施設区域であるということでございます。したがって国においては、この区域内の森林について保安林制度の目的達成と提供目的の達成との間の調整につき苫慮しているようでございまして困難な問題があると。したがって保安林としての指定はできていない現状にあるのは御指摘のとおりでございます。
 そこで県としましては、岸本議員からも御指摘、御意見がありましたように北部地域は特に沖縄本島における水がめだと、その水がめの周辺が国有林であると。しかもこの国有林は米軍に提供しているというようなことで保安林の指定が困難な状況にありますので、県としてはやはりいかに困難があろうともこの地域を水源涵養林として指定できるように要請する必要があると思っておりますので、このことについてはかつて困難であるという文書もありますけれども、県側としてはこの水源涵養林として指定できるように要請をしていきたいと思っております。
 それから2点目は、国有林野内造林地の保育管理等の問題でございますが、確かに御指摘のありましたように現在間伐あるいは除伐期に達している地域を試験的に5ヘクタールぐらいの除伐をしているわけでございますが、これについては現在第3次の地域施業計画が走っているところでございます。これは52年4月1日から62年3月31日まででございますが、この第3次施業計画の見直しが56年度にあります。56年度には第4次地域施業計画の編成に人るわけでありますが、その段階で県としては国有林の積極的な森林施業が実施されるよう意見書を提出したいと思っております。
 それから第3点の特に北部国有林内における自然休養林の設置についてでございますが、林野庁は53年度にわが国最後の自然休養林――これは全国で92番目になるようでありますが――として西表自然休養林を指定し去る7月30日に開山式を行っております。
 聞くところによりますと、これが最後のものであるというような説明でありますが、いま御指摘あるいは御意見のありましたように北部の国有林野内における自然休養林の指定はできないかということでございますので、これについてはいまのところ最後だと言っておりまして困難な感じはいたしますが、いまさき申し上げました第4次の南西地域施業計画の編成の段階で改めて対処していいのではないかと思っておりますので、それに向けて改めて林野庁あるいは熊本営林局等と話し合いを進めていきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午前11時25分休憩
   午後1時1分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 宮良長義君。
   〔宮良長義君登壇〕
○宮良長義君 私は、与那国のCTS問題について質問をいたします。
 いままで貧しいながらも平和であった国境の島与那国、昨今はCTS問題で島を二分した形で賛否両派に分かれて鋭く対立をしております。ついにCTSに反対する住民の会の会長松本氏に対して、CTS反対は重罪、無期懲役または死刑に処すべしとの悪質、脅迫ビラが大量に反復的にばらまかれて告訴事件に発展して険悪の様相を呈しております。かかる厳しいCTS問題について県はどう対応するのか、平和的民主的な解決の方法はないのか質問を通じて探っていきたいと思います。
 この告訴事件の発端はこのビラであります、皆さんおわかりかと思います。これが那覇で刷られて現地に行って大量にばらまかれておるわけであります。
 去る6月の13日に与那国CTS誘致推進期成会が結成され、期成会の誘致説得資料によって初めて500万キロリットル規模の石油基地であり、しかも立地予定地が祖先伝来100年余にわたって守り続けてきた80町歩の南牧場を初め、その周辺樽舞地域の現に耕作している畑地、水田、個人牧場等をしきならしてCTSを立地しようとする計画であります。それを受けて6月の17日には、CTS誘致に反対する住民の会が結成されいち早くCTSに反対する署名運動を展開し、977人の署名を得て町長に提示し町長の態度表明を迫り、6月の19日には、役場の会議室におきまして与野党の議員との話し合いの席上で町長は十分に意思を尊重してCTSの誘致には反対するとの態度を表明しております。しかるに6月25日には、日新総合開発株式会社が町議会に石油備蓄基地設置に関する受け入れ同意の決議を求める要請をしております。初めてCTS問題の陰の立て役者が浮かび上がり、いままで隠されていた具体的内容も明るみに出るようになりました。またそれと同時に、企業側の事業計画が余りにも民意を無視した一方的なものであり、島の農業、漁業、自然の破壊にもつながるものであることを明ら
かにしました。
 要請書に示された建設計画書によると、建設施主は日新総合開発株式会社、協力会社は清水建設株式会社、建設予定地は南牧場一帯約75万坪、250町歩の陸地、主要施設は10万キロリットルの原油タンク50基、8万キロリットルバラストタンク3基、6万キロリットル洗浄タンク1基、 2万5000キロリットル廃油タンク1基、その他水タンク2基となっております。なお、25万トンタンカー2隻が同時に接岸可能な受け入れシーバース東側1基、8万トンタンカー2隻同時に接岸可能な出荷バース西側に1基、着工は許可申請の決裁直後とし、着工から4年で完了、設計者は石川島播磨重工業株式会社、日本揮発株式会社、清水建設株式会社、建設予算額は実に1870億円となっております。
 以上述べたように、このCTS設置計画はその性格及び膨大な規模から見て与那国の陸地の約10分の1、海岸線延長の約9分の1を占拠しての大規模基地であり、設置予定地域の土地所有者、耕作農民、牧場経営者、南に連なる海域を漁場とする漁民等の生存そのものに直接かかわるものであり、また全島民の現在及び将来の命運を決するもので、長い歴史と伝統ある文化と自然を誇る与那国島の存亡にもかかわる重大問題であることは申すまでもありません。西銘県政発足以来沖縄の離島の島々はCTS立地にねらわれた島となっております。多良間島、与那国島への進出の動きでも明らかであります。今度与那国島にCTSの立地を許すことは、やがて数多い離島へのCTS進出に道をあけることにもなりかねないと思いましてCTS問題にしぼったわけであります。
 まず、CTSへの対応姿勢についてお聞きします。
 CTSの事業計画は、島の農業、漁業、観光、島の伝統ある文化と自然を守る立場から特に知事の指定した農振地域の指定解除の問題にもかかわる問題となっております。6月25日、企業側は要請書に添付して会社概況書、事業計画書、建設工事計画書及び関連図面が与那国町議会に提出されその後2カ月を経過しております。県は、緊迫したこの与那国のCTS問題にどう対応すべきか真剣に検討すべき時期に来ております。以上の関連資料を取り寄せて関係部局間で真剣に検討されたことがあるのかないのか。もしあったとするならば結論はどう出したのか、なかったとすればその理由を明らかにしてください。
 2番目に、農業開発公社への疑惑にかかわる問題であります。
 日新総合開発株式会社を中心とする誘致派から出された住民への誘致説得の印刷資料で、設置に伴う町財政への効果、基地建設期間中の経済効果、CTS基地操業開始からの経済効果等について具体的数字を挙げて説明を加えております。その印刷用紙が、沖縄農業開発公社と明記された用紙であることに問題があるわけであります。素朴な現地住民は、農業開発公社は日新総合開発株式会社やCTS誘致期成会と何らかのかかわり合い、または協力関係があって手助けをしたのではないのかとの疑惑を抱いていることは否定できない事実であります。この際事実関係を明らかにし、事の出所を明らかにする必要があるかと思います。この点について明らかにしていただくようお願いいたします。
 次に、CTS建設予定地は南牧場一帯約75万坪の陸地になっております。ここで最も重視すべきことは、この75万坪のうちには、昭和48年知事が与那国町と協議して指定した農振地域が相当面積組み込まれていることであります。また49年度には同農振地域の整備計画が策定されて、今日まで整備巣業が実施されて地域農業の振興に寄与してまいっております。そこでCTS予定地内に組み込まれている農振地域の面積、組み込まれている農振地域における整備計画の概要及び今日までの箏業実績についても御説明を願います。
 4番目に、知事の指定した農振地域の指定解除の間題ともかかわる問題で質問をしたいと思います。
 まず、農振地域の指定は知事が地元市町村と協議して指定するもので、地域の自然的、経済的、社会的諸条件を考慮して該地域の農業振興を図ることが相当であると認められて指定されるものであります。しかも次に述べる3つの要件のすべてを満たしたものに限って指定することになっております。要件の1は、その地域内にある土地の自然的条件及びその利用の動向から農用地として利用すべき相当規模の土地であること。要件の2は、その地域内における農業の生産性の向上、農業経営の近代化が図られる見込みが確実であること。要件3は、国土資源の合理的な利用の見地から見てその地域内にある土地の農業上の利用の高度化を図ることが相当であると認められることとなっております。南牧場及びその周辺の農振地域は、以上の3要件を満たし得る地域として知事が指定した地域であるだけに、農振地域を解除してCTSに該地域を明け渡すことは絶対に許してはならないと思います。
 農振地域に指定した知事の行政上の責任において農振地域を死守し、すでに策定された農振地域整備計画を強化して島の農業と経営を守るべきだと私は考えます。この確固たる知事の姿勢があるならば、企業側に対して農振地域の重要性にっいて説得し、農業地域をっぶし農業を破壊するがごとき無謀な計画は即時取りやめよと行政指導すべきではないでしょうか、それこそ知事の言う熟慮断行であります。それがもしできないとするならば農政を口にする資格は全くありません。
 次に、CTS予定地に組み込まれている南牧場は、53年の8月現在の県の資料によりますと面積80町歩、放牧数102頭、組合員数21名、50年度から52年度までの3力年間で団体営草地開発整傭事業が実施されて、そして総事業費2815万6000円、国庫、県費、町費、受益者の負担となって改良されております。特に南に面した牧場は潮害や暴風の被害も少なく家畜の飲料水も豊富であります、与那国では唯一の牧場であります。しかもこの3力年じゃなく、昭和47年ごろから毎年毎年補助事業として改良されてまいっております。去る7月1日牧野組含の総会で、1坪でもCTSに土地を渡してはならないとCTS反対を決議しております。この南牧場は海岸線に沿うて東西に広がっており、この牧場をっぶさない限りCTSの立地は不可能であります。また同牧場は農振地域にも指定されており、牧野組合員の反対を押し切ってCTSを立地することはとうてい行政上ではできるものではありません。長年にわたって国も県も町も一体となって保護育成に努めてきたこの南牧場をCTSに明け渡してよいのか、守るべきか、県の基本姿勢をこの際明らかにしてください。もし明け渡すべきでないとお
考えであるならば、そのために今後どう対応されるのか具体的な対策を示してください。
 次に、町議会への誘致受け入れ決議要請書の事業計画書で石油公団が事業主になっております。これは全くの虚偽であります。これはそうすることによって公団がバックアップしているように見せかけて地元説得を有利に展開するための策謀であり、議会を軽視し住民をごまかす悪質な手口であります。賛成派は、公団が事業者であることに意を強くして国策協力を全面に出し、反対派は公団は陰の立て役者であり、地域の住民意思を無視したものとして政府も一緒にして公団に不信を抱いておるのであります。地域往民のコンセンサス、町当局及び県のオーケーも出ない今日公団が動き出す理由はありません。このことについて、県はわれ関せずではおれません。真実を明らかにして、要請書の事業主は石油公団であるとの字句を削除するよう行政指導すべきだと思うが、知事の見解をお聞きします。
 CTS予定地面積は75万坪となっておりますが、図面上で――この図面は6000分の1でありますが、現地で図面に照らして測定した面積は60万坪しかありません。あと15万坪はどこに広げるのか、ここがまた問題であります。地元では海岸線には延びる余地はないから、北側に15万坪延ばすならばあの県道の北側の満田原という与那国の美田をつぶす以外にないじゃないか、こういう疑念を持っております。この点もこの際明らかに15万坪の行方を示してください。
 最後に、与那国におけるCTS問題を取り巻く情勢を事実に沿うて述べ、知事の該問題に対する基本姿勢を明らかにしてもらいたいと思います。
 1つ、町長はCTSに対し反対する意思を明らかにしておること。2番目、CTS賛否両派の署名者数においてCTS反対が有権者の大半を占めていること。3つ、立地予定地となっている南牧場の組合総会でCTS反対を決議していること。4番目、CTS予定地に農振地域が包含されており、この農振地域の指定を解除しない限りCTSの立地は不可能であるという事実。5番目に、農振地域の指定を解除する法的な、社会的な何らの根拠もあり得ないということ、以上の事実と状況下にあって、CTSの立地を許し得る要因や条件は全くありません。したがって県は、事態が悪化しないうちに与那国への進出を断念させるよう積極的な行政指導をすべきではないかと思うが、知事の見解をお聞きします。
 最後に、与那国のCTS問題で告訴事件となっておりますが、捜査の経過と事実関係を発表できる範囲内で御答弁をお願いして終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇)
○知事(西銘順治君) ただいまの宮良長義議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 この与那国島におけるCTS問題を中心として意見を交えながら現地の事情も詳細に報告されての質問でございましたが、CTSに対する基本的な県の考え方といたしましては、たびたび申し上げましているとおり環境の保全との関係において、いわゆる自然保護との関係においてこの問題は十二分に検討していかなければなりませんし、いま県においてこの審議会の構成、その発足に当たっていろいろ検討している段階でございます。
 まず最初に申し上げたいことは、この審議会ができて、審議会でどういう基準でこのCTSの認可の基準をつくっていくか。また観光の見地から、自然環境の見地からどういう地域に限定すべきか大綱的な基本的な問題が決まるまではCTS問題に対して結論を出そうとは思っておりません。したがって与那国のCTSの問題も、その県のいま考えている審議会における墓本的な基準の問題、これが決まるまではやるもやらないも結論は出さないことにいたしているわけでございます。
 ただ御指摘になりましたとおり農振地域にこれは一応指定されておりますので、農振地域の指定は知事の認可にはなっておりまするけれども、これはあくまでも市町村が地域の農業振興を考慮することによって市町村が主体的に決めて知事の認可を受けるわけでございまして、その指定解除等についても地元からの要請があればその要請を尊重して指定を解除していかなければならないことは理の当然でございまして、県がそれに対しまして押しつけがましいことはできないと考えているわけでございます。
 私も与那国に生まれて与那国に育っておりまするのでいまの満田原の美田のこともよく存じ上げておりまするし、いま予定されている75万坪の比川一帯を中心とする地形等についても子供のころよく遊んだところでございましてよく知悉しているところでございますが、いま許すも許さぬもないわけでございまして、町長が反対の立場をとっていると言われておりまするけれども、町長の態度がもう少し毅然たる態度であくまでも反対だということであればいまのような問題にまで発展しないと思うのでございますが、町長の態度も私の見る限りではきわめてあいまいである。そこに問題があったような気がいたしますが、いずれにいたしましても誘致した方がいい、誘致しない方がいいといろいろ意見があるにいたしましても、これは与那国発展のために両方が2つに分かれて考えているところでございまして、誘致することにおいてどういうメリットがあるのか、地方財政に果たして貢献するのかしないのか、与那国の貧乏財政を一気にこれを回復する一つの手段になるのかどうか。その場合農業との関係、それと特に牧野との関係においてどうなるのか、地域全体の産業経済の総合的な開発の点からどうすべきであ
るか、これはもともと与那国町自体で決めるべき問題でございまして、県がとやかく言うべき問題ではないと思っております。
 いずれにいたしましても、この問題は県のCTSに対する審議会における審議を通じて基本的な基準の問題が確定されるまでは結論を出そうとは思っておりません。したがいましていま現地側で騒いでいることがどういう結果になるかについて大変心配をいたしているわけでございますが、ただこの申請の主体となっている会社がいろいろ誘致の条件等について、また誘致した場合の町政に貢献する点等についていろいろビラを出したり宣伝をしたりしているようでございますが、その点についてはまだ県の方といたしましても真偽を十分確めておらないわけでございまして、ただ農振地域の経過等については担当部長から答弁させることにいたします。
 農業開発公社の用紙が使われているということでございますが、その点については担当部長から答弁させることにいたします。
 それから石油公団の備蓄計画云々につきましては、これはいま現地側でCTSを誘致しようとする会社が宣伝していることでございまして、果たして石油公団のいわゆる政府備蓄、公団備蓄基地としてやるのかどうかはまだ公団側とも十分話し合いが取りつけられたとは思っておりません。したがいましてその真偽のほどもきわめて疑わしいものがございまして、それについてまだ県の基本的な態度が決まっておりませんので、その計画が本当に石油公団の指導を得て計画されてあるものかどうか大変疑わしい点があるわけでございまして、その点も調べてみたいと思っております。
 それからもしつくるとすれば農業振興地域の指定解除が先決ではないかということでございますが、これは当然でございまして、これは地元が町を挙げてCTS誘致だということに踏み切れば町側の一つの計画として指定解除の申請があればこれを検討するのにやぶさかではございません。
 結論として申し上げたいことは、いま許すも許さぬもないわけでございまして、別に基本的な県の態度は決まったわけではないわけであります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 宮良長義議員の御質問にお答えいたしますが、まず第1点は、CTS立地が計画されている土地は農振地域に指定され畜産振興の上から国、県等の補助で草地造成されたところであると、農政とのかかわりについてどう対処するのかという点が1点だと思います。
 そこで宮良議員も御指摘しておりましたが、与那国地域は昭和49年1月町の全域を農業振興地域として指定しております。与那国町においては農用地の利用、基盤整備、農業近代化、農地流動化等を内容とする地域農業のマスタープランとも言うべき農業振興地域整備計画を知嘱の認可を得て昭和50年12月に策定されております。CTS立地の話のある地域は、与那園農業振興地域整備計画において農用地区域に設定され、畜産振興の観点から採草放牧地に区分し肉用牛を中心とした施策を行うべき地域として位置づけられております。そのためこの土地については昭和50年度から52年度にかけまして町営の草地造成事業、これはいまさき説明のあったとおりでありますが、この草地造成事業が実施きれました。こういったことから農業振興地域整備計画の農用地区域内にCTSが立地することについては、農振法の趣旨、目的、さらには地域農業の方向性、これまで草地造成等農業施策を進めてきた経過等を踏まえて対処する必要があると考えております。
 次は、農業開発公社との関係を聞いておられますが、これは2点ありまして農業開発公社が関与したのかということと、農業開発公社の用紙が使用されているということでありますのでこの2点についてお答えいたしますが、特に農業開発公社が関与しているのではないかということに対してお答えします。
 農業開発公社は、その目的からして農業経営の適正な規模の確立、農地の集団化、その他農地の保有合理化など農業構造の改善に関する事業を推進することとしており、そのため公社のすべての嘔業は業務方法書に規定きれた範囲内で計画し執行することとなっております。したがってCTSに関するこのような事業は、同公社の性格上なし得ないものであります。また公社の事業実施に当たっては理事会の議決を得ることになっており、理事会で決定された以外のこのようなすなわちCTSのような事業は一切行っておりません。公社職員が関与していたか否かについても、確認したところこのような事実は全くありません。
 次、なぜじゃしからば農業開発公社の用紙が使われていたのかということでございますが、与那国島におけるCTS設置要請関係書類に農業開発公社の用紙が使用された経緯についてわが方で調べた結果は次のとおりでございます。
 まず、浦添市にある日新総合開発株式会社は、去る6月5日か6日ごろ与那国CTS基地誘致期成会の要請を受けて資料作成に当たっております。しかし6月8日の誘致期成会の発会式に間に合わすべく資料作成を急がねばならなかったので、同会社の玉城某は通常行っているタイプによる書類作成をあきらめ、けい紙に書いて送ることにしたようであります。このけい紙が御指摘の公社用紙であるが、玉城某はたまたま隣席の女ゴ職員の机上にあった公社用紙に目をとめ、これをコピーしてこのコピー用紙に作文したようであります。ちなみにこの女子職員は、咋年11月に農業開発公社の非常勤職員を退職した女子であります。以上のように農業開発公社の用紙を無断で使用したことについて、日新総合開発株式会社の玉城某及び女子職員はその不明さをわび弁明書を提出しております。
 以上のように、農業開発公社の用紙がコピーされて使われておりますが、この農業開発公社の用紙はかつて勤めていた女子職員がたまたま使い古しのものを持っておりまして、この用紙を活用するためにコピーをしてそれに与那国石油備蓄基地設置に伴う経済効果考察という文書をしたためて送ったという経緯でございます。
○議長(大田昌知君) 警察本部警務部長。
   〔警察本部警務部長 田邊八州雄君登壇〕
○警察本部警務部長(田邊八州雄君) 御質問の事件につきましては、昭和54年7月12日管轄の八重山警察署において告訴を受理し関係者の取り調べなど所要の捜査を進めているところであり、事件の内容につきましては差し控えたいと思います。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後1時33分休憩
   午後1時34分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 田場盛徳君。
   〔田場盛徳君登壇〕
○田場盛徳君 通告した順序に従いまして質問を行います。
 知事は、あすの豊かな活力ある住みよい県づくりを選挙のキャッチフレーズにし、議会でもその目標で県政運営に当たるとたびたび言っておられます。しかし知事就任後満9カ月足かけ10カ月になるが、現実は豊かな活力ある住みよい県とは縁遠く、知事の掲げる目標や御努力とはうらはらに不況、インフレ、高物価は続き、深刻な雇用失業問題であぶれた県民が期待した企業を誘致して失業者をなくしていくという公約も空念仏で実現されていません。去る8月に佐敷村が技術職員7名を募集したところ100名余りも殺到したと、マスコミが報じていることでも雇用問題が深刻であるかが如実に物語っております。
 西銘知事が実現すれば、あなたが公約された煙突のある工場がたくさんできて、そこで働くことができるだろうという若い人たちの夢と希望は踏みにじられております。そういう状況の中で活力を取り戻したのは、いまさき話のありましたCTSの立地企業者と米軍や自衛隊だけだとちまたの声は大きな不満を漏らしております。あなたが知事になって、皮肉にも売れる分みつ糖は減収となるし、販路に困っている含みつ糖は大鶏作になり、37%もの増収となって咋年9700トンからことしは1万3700トンもできました。しかし価格差補給金の赤字補てんめどもまだつかない状況であります。
 去る8月に、サトウキビ価格引き上げ折衝に県議会代表として参りました際、座喜昧副知事は東京事務所で余り離島のサトウキビの増産増産は言わないでくださいよと言われ、私ども要請団を唖然とさせました。私ども経労委が離島を訪れますと、島の人たちは、私たちは養蚕もやってみた、しかし台風があるとたちまちだめになるのでこれに切りかえるわけにはまいりません。野菜も同様で失敗してきた、離島ではサトウキビに頼る以外ありませんとこう訴えています。離島における作目転換はこれなら絶対大丈夫だと、必ずキビ以上にもうかると、台風があっても確信をもって進められるもの、絶対保証できるものというものが研究されてから作目転換を図らないと、いたずらに離,臨の農民を混乱させ不安に陥れる結果にしかならないと考えます。
 さて、6月25日付で沖縄県クリーニング環境衛生同業組合理事長から要請を受けました。また沖縄県環境衛生同業組合協議会の会長宮里定三氏から、知事並びに議会あてにも陳情書が出されております。この内容は、「本県のクリーニング業界は、他府県に比べ特に経営基盤が弱く、中小零細業者が多い現状であり、本土の大企業が進出してきた場合、業界に壊滅的打撃を与えるのは必至である。ついては、地元の既存零細業者の保護育成を図る見地から、本土大手企業の進出について行政的規制措置がなされるよう配慮してもらいたい。」という内容の要請であります。
 300軒ほどの沖縄のクリーニング業者が細々と事業を行っておりますが、ことしの3月から北九州市に本社のある九州化学のみつばチェーンとして那覇市に18店、浦添市に2店の取次店を開設して事業を始めているようです。このチェーン店はダンピングとも思われるオール180円均一でやっており、さらに直営のクリーニング工場及び軽飲食業も開設すべくすでに具志川市の赤道の中部病院前に80坪の建物を取得しておるということであります。那覇、浦添に取次店が20軒できただけで県内の既設業者はわずか5カ月の間に大打撃を受け、800円の背広の洗たく料を500円にしたり、あるいは所によってはオール90円にしたりして競合しておるけれども、どうにもならない状況に追い込まれつつあるということでこの陳情書が出されているわけです。過当競争には零細な県内企業では勝てっこないし300の業者がつぶれそうな憂き目に遭っておりますが、地場産業をまず強くしていくと言われた知事、どのような指導と対策をとられるおつもりですか明らかにしていただきたいと思います。この九州化学というクリー二ング店は知事が誘致した企業ですか。
 このように県内の零細な業者がアップアップし不安におびえているのに、一方米軍や自衛隊は水を得た魚のように勢いを得てフォートレス・ゲイルのような全く34年前の沖縄戦を想起させる危険な激しい演習を繰り返しています。演習の激化と比例して事故も多発し許田・数久田、伊芸・松田と一歩誤れば県民の生命、財産を損なうような重大な事故を起こし平和な沖縄を戦場のようにし、県民を身の毛のよだつような恐怖と不安に陥れております。航空騒音はひどかったし、上陸演習中はその周辺での農耕作業もできず、上陸演習をした野蛮な米兵どもはキビ畑を踏み倒し、東村ではパイン畑を踏み荒らし、提供施設外の村道の使用、国道での一般車両の通行遮断、提供施設外での渡河訓練、送水管の破損と沖縄の空、海、陸のあらゆる場が米軍の意のままに自由に使用され戦場のような恐怖を県民に与えています。あの演習の状況から、沖縄では全地域が何らの槻制もなく自由使用が許されているとしか考えられません。知事は、この演習の実態から沖縄の米軍の使用状況についてどうお考えになりますか。
 知事は、地位協定遵守やあるいは5・15メモを守ること、安全確保を申し入れていると繰り返し述べておられますけれども、被害は大きいじゃありませんか。米軍演習は知事の言われる県民福祉と矛盾するものではありませんか。山は焼かれる、畑は荒らされる、交通はストップさせられる、航空騒音で寝ていた幼児も泣き叫ぶ、一歩誤れば大惨事になる、こんな演習も軍隊にとって必要だから国益を守るためには県民の犠牲はやむを得ないということでしょうか。知事は基地問題では、日本の平和は安保体制で守られている、だから基地容認をするんだと強調されます。県民福祉を優先するんだと言われる知事が、県民の生命、財産に脅威を与え、経済、産業、文化、教育等沖縄開発の障害となっている基地を容認し安保を容認するということは全く矛盾すると思うのですが、知事はその矛盾をお感じになりませんか。日米安全保障条約は、沖縄県民にとっては生命、財産の脅威につながる条約にほかなりません。県民にとって日米安保条約は安全保障をするものではなく危険を保障するものではありませんか、お答え願いたいと思います。
 去る8月20日、具志川市の昆布の米軍パイプラインからジェット燃料が流出をしました。午後3時半ごろで、幸い前県議の中山兼順氏の家の近くであり中山さんがちょうど2階で菊の苗の手入れをしている最中でありました。激しい臭気に気づいてにおいの方向を見ると、道路にピカピカ光って流れるジェット燃料を見て緊急に市や消防署あるいは具志川署等に連絡したために、ドラムかん60本分ぐらいで食いとめ大事に至りませんでしたが、これがもし夜間だと大変なことになっておったと思います。
 具志川市長も、今同の事故は起こるべくして起こったものである、施設局、米軍は既設の燃料タンクやパイプラインの定期検査をやっているのかと言いたいと強い怒りと抗議の談話をしております。現地昆布区民は、総会でガソリンタンクやパイプラインの全面撤去を決議しています。具志川市議会あるいは本県議会の軍特委もその抗議決議をいたしております。パイプラインは那覇市内でもたびたび流出事故を起こし危険であることは明白であります。このような危険な施設に対しても安全を確保せよというだけで安全確保ができるとお考えですか、撤去を強く申し人れる御意思がおありかどうかお伺いをいたします。
 昆布区は、北側にあの毒ガス輸送をした米軍桟橋があり、北東部一帯はガソリンタンク、そして南東の方に米陸軍貯油施設場があり、部落の回りをU字型にパイプラインが取り巻いております。現在でも危険がいっぱいであるのに、米軍はさらに新たにガソリンタンクを増設しようということで部落の北側の森をブルで敷きならしをしております。知事が昆布の区民だったらこれを許すでしょうか。知事からも、昆布へのガソリンタンク新設を絶対にさせないように米軍や防衛施設局に強く申し入れてもらいたいと思いますが、おやりになりますか。
 次に、私は五、六年前にしか見ておりませんけれども昆布の南東の陸軍貯油施設場、そこに入ったことがありますが、そこにテトラエチル鉛が野積みされ土のうで周辺を囲んでテントをかぶせただけでありました。いまもそのままだと言われておりますが、テトラエチル鉛は雨水に溶けて2価クロムという猛毒を発生すると言われております。労働渉外部長は、私撤去要請に対して直接現地調査をして対処すると約束されたが調査をされたか、その結果とその後対処されたことがあればお伺いしたいと思います。
 西銘知事の誕生の後、ハリア機の降下訓練場が2カ所恩納村の万座毛近くの第3海兵隊特殊部隊の兵舎近くの黙認耕作地にヘリポートが新設され、そして近くE3Aの嘉手納基地配備計画と基地機能がますます強化されておりますが、知事の基地縮小の公約からどのように対処されたか、また対処されるお考えか明らかにしていただきたいと思います。
 次に、屋良知事時代から平良知事時代にかけて老齢化社会に対応して長春の村構想を打ち立てその実現に向かって準備を進めてきておりましたが、全国で1000万の高齢者がことしもふえたという今日西銘知事になってからこの長寿の村構想の肖=さたがなくなったように思いますが、どうなっているのかお伺いしたいと思います。
 2月議会から6月議会にかけて芸術大学あるいは工業高等専門学校、コンベンションホール等に対する質疑に対しても検討中だと言われたがどこまで進んでいるのか、いつ建設するのかそのめどを明らかにしていただきたいと思います。
 次に河川の改修について、これは前にも質問をしたわけですけれども、沖縄の海川は米軍の長期にわたる支配の期間中全く放置をされ、これまで改修完了したものは137キロのうちわずか9.6キロ、8.2%で大変におくれております。そして道路がアスファルトに変わり、家もコンクリート建てに変わって、大雨が降ると鉄砲水になって河川がはんらんをし浸水騒ぎを起こして家畜や農作物が流される等河川周辺に大変な被害を与えております。河川改修ができないと土地改良もできないという6月議会での御答弁であり、河川改修なくしては周辺の基盤整備も生活環境改善もできてまいりません。54年度予算では27億6000万、そして55年度は35億になるということが新聞でも報じられております。河川改修というのは、これから残された公共工事の中で重点的に取り上げて計画的にやらなければ、あと91.8%も残っているだけに予算の取れる範囲内でやるということではあと五、六十年もかかるということになるが、一体知事の御計画は何力年計画でどのように進めるおつもりであるのか明らかにしていただきたいと思います。
 6月議会で質問しましたいわゆる天願川の支流、支流とは申しましても本流よりも川の量も大きく水量も非常に豊富である川崎川、兼箇段川の2級河川への昇格、これも検討すると言われたけれどもどのようになったかお伺いいたします。
 次に、農業問題では時間がありませんので圃場整備にしぼってお伺いをいたします。
 本県の整備すべき圃場総面積は4万7000ヘクタールで、53年度までに3637ヘクタールが完了し7.6%の達成率にすぎません。昭和47年から53年までに2万2320ヘクタールの幣備計画を立てておりますけれども、実績は2422ヘクタールで10.9%しか達成しておりません。農業振興基本計画で昭和52年から60年までの9力年間で1万6100ヘクタールの整備計画をしておりますけれども、52年、53年の2力年で実現したのは1357ヘクタールしかなく計画と実績が余りにもかけ離れております。1万6100ヘクタールを9力年で整備するためには年平均1789ヘクタールやらないといけないわけですが、実績は3分の1にしかなっておりません。これからは1年間平均2106ヘクタール以上整備していかなければ目標達成は不可能であります。一体どうしておくれているのか。そして国は沖縄の基盤整備が大変おくれているということでこれには力を入れるということであるけれども、今後どのように達成していかれるかお伺いをいたします。
 以上で終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 田場盛徳議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 クリーニング業界に対するみつばチェーンの進出の問題について御質問がございましたが、この件につきましては担当部長から詳しく説明させることにいたします。
 基地問題について大分おしかりをちょうだいしたわけでございますが、この問題につきましてはきのうから各党に対する代表質問、本日の一般質問に対しましてお答えしたとおりでございまして、今日の基地の53%の過密な状態に至る経過についてもお話を申し上げたとおりでございまして、基地演習を容認する立場にあるとはいえ決して県民の生命、財産が侵されることを歓迎するものではございません。その点については先ほどもお答えいたしましたとおり県民優先の立場からこの問題に対処していきたいと決意を新たにしているところであります。
 次に、昆布のパイプラインの破損の問題と関連してその撤去についての要請質問でございましたが、この那覇市と宜野湾市間の大部分及び北谷村―具志川市間の送油管区域の大部分のいわゆるパイプラインが都市市衡を通っておりまして大変な不安を県民に与えているわけでございますが、このパイプラインの撤去の問題は、昭和51年7月8日の日米安全保障協議委員会第16回会合において移設リロケーションの後、移設措置後に返還されることが合意されているわけでございまして、具志川市の協力がなければこの移設措置も完全にこれを施行することができないわけでございまして大変県当局としても悩んでおるところでございまして、ぜひとも具志川市御当局の協力を得ましてこの那覇から具志川に至るバイプラインの撤去が一日も早く実現できるように格段のひとつ協力要請を市当局に対しましてやっていかなければならないと考えておりまするし、そのために貝志川市がどういう、点について要請されるのか、その点もいろいろお聞きいたしましてこのパイプラインは一日も早く解決していかなければならないと考えておるところであります。
 次に、E3A早期警戒機の問題について御質問がございましたが、これは昭和55年夏から昭和58年にかけて嘉手納基地に配備されるとの発表が米国空軍省からあったわけでございまして、同機の配備計画について県の方に通知されておらずその詳細については不明でございます。
 次は、テトラエチル鉛の撤去についての御質問でございましたが、この点につきましては担当部長から詳しく説明させることにいたします。
 長寿の村の構想につきましては振興開発計画の中ではっきり明文としてうたわれているわけでございますが、今日に至るまでの政府との折衝経過におきまして大変むずかしい問題になっておりましてこれをどういう形でこれから構築していくかいま担当部で検討しているところでございまして、この件については担当部長から答弁させることにいたします。
 それから河川改修計画についてでございますが、この河川改修計画が大変おくれておりまして沖縄振興開発計画の農業関係、土木関係、その他の計画目標と比較いたしまして河川改修が一番立ちおくれているわけでございまして、今年度の予算措置におきましても十分な予算を獲得することができず大変いま困っているところでございまして、この河川改修の計画についても担当部長から答弁させることにいたします。
 それから農業問題は特に基盤整備の問題と関連いたしまして御質問があったわけでございますが、この件も本土とは比較にならない高額補助によりまして施行しているわけでございますが、これは関係地域の3分の2以上の方々の同意が必要でございまして、その、県みずから申請する事業になっておりまして県も各府町村の協力を得てできるだけ早くこの基盤整備をしていかなければならない。特に高率補助がいま振興開発特別措置法で施行されている間に何としても早急に整備していかなければならないと考えておりまするし、この件につきましては沖縄振興開発特別措置法、それから復帰特別措置法等の延長の問題等と関連いたしましても最重点事項としてこの高い補助率は引き続いて政府に要請をしていかなければならないと考えているところでございます。詳しいことにつきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
○議長(大田昌知君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 伊波茂雄君登壇〕
○環境保健部長(伊波茂雄君) クリーニング業界への大企業の進出の規制に対する陳情に対してお答え申し上げます。
 クリーニング所を開設しようとする者は、クリーニング業法の規定であらかじめその位置あるいは構造設備及び従業者数等を都道府県知事に届け出ることになっております。届け出に基づいて保健所が検査をして施設基準に適合した場合は、検査確認済み証が交付され初めて営業所の使用ができるようになっております。したがいましてクリーニング業法による届け出制度によっては規制できないわけでございます。さらに環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律というのがございまして、この法律ではクリーニング業の組合の事業として運営上問題があるような場合、それが衛生の確保あるいは運営が健全になされないようなおそれのある場合には料金あるいは営業の規模等について適正化規定というようなものを設けて厚生大臣の認可を受ける制度がございまして、この認可を受ければこの適正化規定に基づいてある程度調整ができるというようなことになっております。しかしながら料金あるいは規摸等の適正なものとはどういうものかというようなむずかしい問題がございまして、まだこういった例は、九州各県を見ましてもございません。
 さらに、大企業が進出する場合にはあらかじめこういった進出によって先ほど申し上げました既存の業者にいろいろ衛生の確保の立場からあるいは運営の立場から問題があるような場合には、期間を定めて大企業とその開設の時期あるいは規模等について契約を結ぶことができるようになっております。しかしながらこれも、これを特殊契約と申しておりますが、この特殊契約を結ぶ際にはやはり厚生大臣の認可を得る必要がございます。そういった制度がございますが、このような制度で果たして規制ができるかどうか、そういった点も含めて厚生省あるいは関係機関と調整をしそのような方向で指導できるか検討したいと思っております。
○議長(大田昌知君) 商工観光部長。
   〔商工観光部長 米村幸政君登壇〕
○商工観光部長(米村幸政君) ただいまのクリーニング業界に関するものを関連しまして私商工観光部関係の面から御説明を申し上げたいと思います。
 本土の大手クリーニング業の進出につきましては、御指摘ございましたようにすでに法律上の諸手続等も完了して営業を開始しているようでございます。このクリーニング業につきましては先ほど環境保健部長からの御説明がありましたように、事業を営もうとする者が法令上の諸要件を満たして届け出をするならば特にこれを規制することは非常にむずかしいようでございます。したがいまして私どもといたしましては、すでに営業を開始している以上当該企業の県内クリーニング業界に及ぼす影響、こういったものを早急に実態調査をし関係団体、特に事業協同組合、それから商工会、商工会議所等、こういった諸団体とも話し合いをいたしまして対処をしてまいりたいと考えております。
 この場合に、たとえば大企業進出に伴う、この当該企業はいわゆる分野調整法などでいう大企業に属しますのでそういった面からの何らかの形の調整ができないかどうか含めて検討をしてまいりたいとこういうふうに考えております。しかしながら何といいましてもただいまのような問題は結局この県内のクリーニング業界の零細性、これに起因しているわけでございますので、現在これまでこの業界が非常によく活用している制度資金等がございます。たとえば設備貸与資金、それから設備近代化資金、高度化資金、こういったものがかなり活発に利用されておりますので、こういったものもあわせましてなお利用の促進方を推進し、そしてその体質の強化を図ってまいりだいとこのように考えております。
 ちなみにこれまで51年から53年までの設備貸与資金と近代化資金の貸付状況でございますけれども、3年間で34件の1億7000万余りの貸し付けをしております。それから高度化資金につきましては、那覇のクリーニング事業協同組合の方に昭和48年に5300万余りの貸し付けを行っております。このように当面する金融対策でもって、当面のいろいろな措置を講じてみたいとこのように考えております。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 労働渉外部長。
   〔労働渉外部長 大浜賢永君登壇〕
○労働渉外部長(大浜賢永君) 田場議員の御質問でテトラエチルの埋没現場を調査したことがあるかというような御質問でございますが、田場議員からお話のありました後に現場調査をいたしております。私が見た時点ではまだ埋設がされておるという状況でございます。
 これについて米軍の方に撤去をしないかというようなことを話したわけでありますが、これについては米軍としては的確な返答をいたしておりません。
 このテトラエチルは、そもそも47年の5月ごろ与儀のガソリンタンクが返還されましたときにそれに伴う残留物として出てきたわけでございまして、それがいま御指摘のある具志川市の陸軍貯油施設内に埋設処分をされているわけでございます。県では、同年の7月に立入調査を行いまして鉛のサンプルや周辺の井戸水の採取検査を実施いたしたわけでございますが、特に鉛の反応はなかったとされております。その後も継続して河川水等の採水検査を公害衛研の方でいたしておりますけれども、いままでのところ何ら異状は認められておらぬようであります。現在地域の閥辺の住民の皆さんからも、鉛の被害とかということについての別に苦情や御指摘はございません。しかしながら御指摘もあることでございますので、これからも米軍に対してできるだけ撤去するように働きかけをしていきたいと思っております。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 新垣雄久君登壇〕
○生活福祉部長(新垣雄久君) 国立長寿の村についての御質問にお答えいたします。
 昭和47年に策定されております沖縄振興開発計画の中の振興開発の基本方針の中に国民的保養基地の建設を推進するとうたわれておりまして、さらに部門別計画におきましては老人の保健福祉、勤労、休養等を目的とする総合的な施設の設置について検討するとうたわれております。それらを踏まえまして国に対し同施設の誘致につきましては要請し続けているわけでございますが、いまだに実現を見ておりません。
 本件につきましての実現の見通しにつきましては、先ほど知事からお答えがありましたように必ずしも明るくはないわけでございます。その理由としまして国の制度の問題、それから礼会情勢の変化によるところの国の老人保養施設に対する方針の変更等いろいろあるわけでございます。しかし県としましては、その後の社会情勢の変化やそれから関係者からの要請等も踏まえまして、それにあわせたまた基本構想を策定した上で引き続き国に要請していきたいということで検討をしているところでございます。
○議長(大田昌知君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 城間勇吉君登壇〕
○土木建築部長(城間勇吉君) 河川の整備計画についてお答えを申し上げます。
 ただいま田場議員から御指摘がありましたように、確かに本県の河川の整備は非常におくれておりましてまだ1けた台でございます。その要因は多々ありますけれどもちょっと申し上げてみますというと、まず整備に着手をしましたのが復帰時点の昭和47年からようやく緒についたということ、それと道路及び地盤等の舗装化が進んできた、あるいは各家庭の生活排水が増加をしてきた等々生活環境の高度化によります排水量の増大が主な原因でございます。そこでただいま知事からも御答弁申し上げましたように、私どもとしましては河川の整備については第2次振興開発計画の事業の大きな事業の1つとしまして現在その実績及び今後の、計画について作業に取りかかっているところでございます。
 次に、川崎川の昇格についてでございますけれども、この点につきましても先ほど申し上げました河川全体の計画、ほかの準用河川等もにらみながら全体として川崎川の県管理の2級河川に昇格等の検討、それから準用河川の補助率が現在御承知のとおり3分の1でございますので、その3分の1の補助率のアップ等々第2次振興開発計画に向かって検討させていただきたいとこういうふうに思います。
 ただ、いつも田場議員から御心配をいただいております天願川の改修事業につきましては、先ほどの議会でお答え申し上げました3.7キロの計画につきましては現在私どもではそれの2倍の約6.7キロ、すなわち河口から栄野比橋までの6.7キロを整捕計画に入れておりまして、従来18億程度の工事費を踏んでいましたのを約40億ぐらいに増額を見込んで第2次振興開発計画に取り組んでいきたいとこういうふうに思っております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 田場議員の基盤整備関係についてお答えいたします。
 特に農業基盤整備は復帰後制度面が整備される一方
財政投資も大幅にふえまして本格的な基盤整備が行われているわけでございますが、農家の基盤整備に対する意欲も最近高まりつつあります。しかしながら本県の農業基盤の整備率は、田場議員御指摘のとおり他府県に比較してかなり低い状況にあります。
 そこで私ども県としましては、この全国との格差を是正するために今後まず国営宮良川土地改良事業のような国営土地改良事業を今後とも促進していきたいと思っております。今後の計画としましては羽地大川地区でありますとか、名蔵川地区、それから宮古の宮古西部地区等がありますので、こういった大型の国営の土地改良事業を促進していきたいと思っております。
 それから2点目には、10ヘクタール以下の団地については各種の県営または団体営の土地改良事業を推進してまいりたいと考えております。
 それから3点目は、10ヘクタール以下の団地については構造改善事業及び地域農政特別対策事業を推進してまいりたいと考えております。
 それから4点目に、都市に比べて立ちおくれております農村の生活環境の整備を図るため今後とも農村総合整備モデル事業及び農村基盤総合整備事業を推進してまいりたいと考えております。
 以上の国営、県営、団体営土地改良事業及び構造改善事業等を総合的に今後推進してまいりたいと思っております。
 ただ、いまさき知事からもお答えがありましたようにこの土地改良事業は申請事業でありまして、土地改良法上受益農家の3分の2以上の同意がなければ採択できないわけでございます。そこで地元の事業に対する理解と積極的な取り組みが必要となるわけでありますが、県としましても市町村、農協あるいは農業委員会等の協力を得まして土地改良事業を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 なお、予算関係でありますが、54年度現年度の農業基盤整備関係予算は約189億円でありまして、これは復帰の47年の予算に比べると5.69倍になっております。そして来年度も全国的には10%ぐらいの伸び率でありますが、現在開発庁一括計上分で要求しているのは農業基盤整備で17%増ということになっております。今後も予算の確保について努力しなければならないと思っております。
 なおまた、基盤整備を促進するためには農家の要望を十分踏まえなきゃならないわけでありますが、農家の中では休耕補償をしたらどうかというようなこともありますが、これについてはこれまでかなり国に対して要請したわけでありますが、これは申請事業であるといったようなことから今後これを制度化することは非常に困難な状況でございます。今後そういった農家の要望を踏まえまして対処するために、早くキビを植えつけるこどができるようにするとかといったような方法を講じてまいりたいと思っております。
○議長(大田昌知君) 友寄信助君。
   〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 私は、さきに通告しました質問順位に従って質問を行います。
 まず最初に、基地問題等についてお聞きをしたいと思います。
 基地問題については昨日来各面にわたって質問がなされておりますが、何といってもいま基地が強化され演習が激化をたどっている現状から見まして当面の重要な課題でありますので、重複する面もあるかと思いますがこの問題について質問をしておきたいと思います。
 沖縄における戦後最大の軍事演習フオートレス・ゲイルは、8月18日から2週間にわたって県民の強い反対を押し切って強行されました。この大演習は、沖縄が占領されたことを想定した上陸作戦を中心とする兵員4万人を初め大量の艦船、航空機を投入した復帰後最大の規模のものであります。その間中北部一帯は空にはヘリ戦闘機による爆音、陸にはトラック、武装兵、海には第7艦隊でまさに沖縄本島全体が戦場下の様相を呈し県民に大きな不安と衝撃を与えました。
 復帰8年を迎えた今日、沖縄の米軍基地は縮小されるどころか逆に機能面では強化され、依然として全国53%の基地が沖縄に占められており、米軍演習は激化の一途をたどり、それによる事故も続発し、その責任の解明もされないまま今回の大軍事演習が強行されるなど沖縄は安保条約による犠牲を押しつけられているのが現状であります。なぜがゆえに沖縄県民だけがこのような国策の犠牲にならねばならないのか。知事は日米安保条約によって基地を認めている以上、米軍演習はやむを得ないとしてこれを積極的に容認し国策に追従する姿勢は県民の生命と財産を危険にさらし平和を脅かすもので断じて許せるものではありません。
 わが党は、一貫して再び戦争を起こしてはならないという太平洋戦争の深い反省の上にに立って制定された平和憲法を擁護し、一切の戦争を否定する立場から非武装中立を基本理念に反戦平和の闘いを展開してきました。この平和憲法を守り戦争につながるすべてのものを拒否するという心は、戦争の恐ろしさを身をもって体験してきた沖縄県民の心に通ずるものがあると考えます。これまでの一連の米軍演習は、まさにこの平和を愛する県民の心を踏みにじる何物でもありません。
 そこで知事にお尋ねをいたします。
 まず第1点は、今回の大規模な上陸演習は精神的にも物質的にも大きな被害を与えておりますが、県はこの演習の結果を調査したか、調査したならその結果を明らかにしてもらいたい。また知事はこの演習が県民生活に与えた影響をどうとらえているのか、この点についてお聞きをしたいと思います。
 知事は、相次ぐ一連の米軍演習に対して実害なき演習はやむを得ないとして軍事演習を容認しておりますが、これまで幾多の被害が続出しておりますように沖縄はいつまで国策の犠牲にならなきゃならないのか、県民は大きな怒りをもって抗議をしております。米軍演習によって県民にこれ以上の犠牲を押しつけることは許されないものであります。知事は人身事故が起こらない限り軍事演習の中止を申し入れないのか、この点について明快な御答弁をお願いをしたいと思います。
 次に、軍用地の跡地利用計画と軍用地に関する特別指置法要綱についてお聞きをしたいと思います。
 最近、北谷村のハンビー飛行場、屋嘉ビーチなど幾つかの軍川地が返還されております。知事は、軍用地の返還については跡利用計画を立て計画的な返還を推進すると述べておりますが、知事の具体的な跡利用計画についてお聞きをしたいと思います。また、平良県政の時代に策定されました軍川地転用のための特別措置法要綱について県としてはこれについてどう対応しようとしているのか、知事はこの要綱を実現させる考えを持っているのかどうかお聞きをしたいと思います。
 3番目に、米軍演習の激化が進む中でこれをさらに補強するように基地の強化が進められております。
 新聞によりますと、米海兵隊の演習地キャンプ・ハンセンと上陸演習が行われているブルー・ビーチを結んだ国道329号線越えに米軍車両と戦嘩専川の横断橋が建設されることになり、ことしじゅうに着工、来年度じゅうには完成すると報道されております。これによって沖縄の基地機能は一段と強化され、米軍演習もますます激化していることになります。北部一帯は住民地域を含めて演習地といっても過言ではありません。これは金武村が施設庁からの委託を受けて実施すると言われておりますが、この件については事前に施設庁から県に対して協議または連絡があったのかどうか。国道は国が管理しているといえども、地域住民の生活道路であり中北部を結ぶ経済産業道路であります。これに米軍演習のための横断橋を建設することは米軍演習の強化に手をかすものであり、また一般交通にとってもきわめて危険であります。知事はこの計画を撤回する考えがあるかどうかお聞きをしておきたいと思います。
 次に、自衛隊による道路占有についてお聞きしたいと思います。
 県道137号線から自衛隊の知念分とん地を通って知念刑務所に通ずる道路が自衛隊の専用道路になっております。この道路は、近くのつきしろの街の分譲地、知念刑務所への道として欠くことのできない道路であります。自衛隊の専用道路としていることは問題ではないかと思います。これについて県の考え方をお聞きしたいと思います。これを県道かまたは村道に変える考えはないのかどうかお聞きをしておきたいと思います。
 次に、中南部の造林、緑化事業、計画についてお聞きをしたいと思います。さきにわが党の岸本忠三郎議員が北部の林業問題について質問しておりましたが、私は中南部の造林、緑化事業について県の御所見をお伺いしたいと思います。
 沖縄は、復帰を起点に沖認振興開発特別措置法による10年計画に基づいて社会福祉、教育施設や道路、港湾などの整備が進められ施設面ではほぼ本土並み水準に達したと言われております。また農業においても土地改良事業など基盤整備が着々と進められ、あすの農業の発展に大きな期待が寄せられております。しかし中でも一番おくれているのが造林、緑化事業ではないかと思います。中南部の緑豊かな山々があの太平洋戦争によって見る影もなく破壊され焼き尽くされ、赤ちゃけしたはげ山と化し戦後10数年を経て緑がようやく回復してきたが、しかしこれは何ら手を加えられることなく雑木やギンネムが繁殖したまま放置されているのであります。ススキが生え、ギンネムが盤えほうだいの荒廃化した山々に、木を植え緑の山々につくり上げることは国土の保全、水資源の保安林や涵養林としての必要性だけではなく、潤いある生活環境をつくり上げていく面からも緑は欠かせないものであります。
 いま沖縄で欠けているのは緑ではないかと思います。このように戦火によって荒廃した山々の再生を図り、生活環境の緑化を推進することは当面の緊急、深題ではないかと考えます。県は、こうした中南部の山野の現状を踏まえ、緑化事業を推進していくために本島中南部の造林事業計画を朋らかにしました。
 そこでまず知事にお伺いをいたします。
 復帰、8年を迎えた今日各面での施策が進められてきたが、一番おくれているのが造林、緑化事業だと思います。米軍演習によって美しい山野を破壊させるだけでなく、荒廃した山野を緑化することは当面の急務の課題だと思います。知事はこの造林、緑化事業についてどうお考えなのか御見解をお聞きしたいと思います。
 次に、農林水産部長にお聞きをいたします。
 中南部の造林、緑化事業を推進していく場合その実態の把握が必要であると思いますが、県の、調査結果はどうなっているのかお聞きをしたいと思います。
 3番目に、この計画は面積にして約3000ヘクタールで事業費は約30億円だと言われておりますが、計画どおり進められているのかどうかその状況がどうなっているのか、またこれを実施していく場合の隘路は何なのかお聞きをしたいと思います。
 4番目に、民有林等で企業に買い占められ利用されないまま放置されているものがありますがどの程度あるのか、そしてそれに対する県の対応がどうなっているのかお聞きをしたいと思います。
 5番目に、知事にお伺いをしたいと思います。
 この計画を実施していく場合に、現在の失業雇用計画との一環として進めていくべきではないかと思います。いま沖縄の失業者は再就職が非常に厳しい状況に置かれております。とりわけ中高年齢の失業者は就職がきわめて困難に直面をしております。知事は昨日わが党の代表質問で、沖特法第38条による雇用対策は非常に困難であると答弁しておりますが、まず1つ1つ手がけていくことが必要ではないかと思います。計画的な造林、緑化事業をこの第38条を活用して特別就労事業として推進していく考えはないかどうか、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 次に、総合交通体系の整備についてお聞きをいたします。
 昨年7月、平良県政のもとで総合交通体系の望ましいあり方として総合交通体系の基本構想が明らかにされました。この交通体系の整備は、県民の安全で良好な生活環境の確保や近年の経済社会の発展による輸送需要等の増大等に対応し、交通渋滞や交通事故防止の面からも当面の重要な課題であるということは指摘するまでもありません。県は今後この総合交通体系の基本計画についてどの程度検討が進められているのか、その計画ができるめどはいつごろなのかお聞きをしたいと思います。
 また県は、那覇市が進めているモノレールを積極的に推進していくことを明らかにし政府折衝を進めておりますが、この総合交通整備体系の全体的な計画の中での位置づけはどうなるのかお聞きをしておきたいと思います。
 以上、答弁によって質疑質問したいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 友寄信助議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 このたびのフォートレス・ゲイル演習と関連しての御質問でございましたが、演習の結果についてこれを調査したかということでございますが、指摘されていることは演習によってどの程度の被害を受けたか、被害の調査結果について明確にしてもらいたいという趣旨の質問だと受けとめてお答えしたいんですが、先ほどの御質問にもお答えいたしましたとおりこのフオートレス・ゲイルの演習につきましては特に演習の安全管理の問題、それから協定メモの条件遵守の問題、夜間演習の問題等について特に格段の配慮を国に対しまして要請いたしたところでございますが、概して政府当局もまた米軍当局も被害を最小限度に食いとめることについて努力した跡が見られるわけでございましてそれほど心紀するような大きな被害はなかったと聞いておりますが、まだまだ詳細についてどういう被害があったのか詳しく調査をいたしておりませんが、その点については担当部長から答弁させることにいたします。
 県民に与えた物的、精神的な影響については私が申し上げるまでもなく有形無形の影響を与えたわけでございますが、それについては先ほどもお答えいたしましたとおり璽三命、財産に大変な被害を加えるものであってはなりませんし、今後演習等の問題についても特にその生命、財産の保護の観点から、県民優先の立場から安全管理については特段の配慮をしていきたいとも考えておりまするし、さらに今後このような大規模なフオートレス・ゲイルのような大演習については反対であるということについて申し上げたとおりでございます。
 それから軍用地の利用転用の計画の問題については、前知事平良幸市さんがりっぱな利用転用の計画を、とてておられましてそれについての立法要請もあったわけでございますが、たとえ立法が実現しなかったにいたしましても、その趣旨は十分にこれを生かしまして今後の利用転用に資していきたいと考えておるところでございます。
 それから329号線の架橋についてこの計画を撤回させたらどうかという提言でございましたが、これはある意味におきましては演習等によってこの産業道路の持っている機能というものが阻害されないように、逆の立場で演習等によって余り住民生活に被害がないようなという配慮でなされ計画されているのではないかとかように考えておるところでございまして、那覇防衛施設局、それから県警と緊密な連携をとりながら担当職員を現地に派遣いたしまして今度のフォートレス・ゲィルの被害防止に努めたわけでございますが、これと関連するということではございませんが、この横断橋の架設について県は聞いておったかと情報を入手しておったかということでございますが、この金武ブルー・ビーチヘの進入道路とキャンプ・ハンセンを連結する横断橋、この架設については新聞には報道されておりまするけれども県の方にはまだ通知が来ておりません。
 御参考までに申し上げたいのでございますが、おそらくこれを整備するといたしましても基地周辺整備資金の中で道路改修等工事費が計上されておりまするので、この予算から那覇防衛施設局が直轄工事として建設するのではないかと予想されます。調査費が約600万円、建設費が4699万円になっております。御参考までに申し上げておきたいと思います。
 それから前後するかもしれませんが、知念分とん地における道路占有について御質問がありましたが、昭和54年6月19日の琉球新報の夕刊でしたか、「いつの間に「自衛隊専用道路」」になったかという見出しで玉城村、佐敷村、知念村にまたがる自衛隊専用道路についての記事が掲載されておりましたので、詳しい事情を確認するため翌6月の20日直後の管理者である航空自衛隊南西航空混成団司令部に照会いたしましたところ、次のような則答を得ております。それは、立て看板は以前から立ててあったが、占くなり見えにくくなっていたので新しく立てかえた、これは5月の26日に立てかえております。最近該道路における車両の暴走行為等が見受けられるようになったので、明確な表示もしないで事故等が起こった場合管理者としての責任の一端を負うことになるので、管理者と道路使用に当たっての注意を明示しただけである。付近住民による利用については従来どおりと考えていただきたい。通行制限等を行う考えはない。また隊員には、ランニングなどをやる場合には付近住民の通行の妨げにならないように気をつけるよう注意しておいたと、以上のような回答がございました。
 なお、御参考までに申し上げますが、この道路は夢,ミ道137号線の玉城村字垣花に起点がございます全長約4キロメートルの道路で、途中に航空自衛隊知念分とんノ、彗地統制地区、陸上自衛隊知念分とん地がございまして、終点が航空自衛隊知念分とん基地発射地区があります。以上御参考までに申し上げておきます。
 次に、中南部一帯における地域の造林、緑化計画についての御質問がございましたが、これはもう御提言になったとおりでございまして緑豊かな中南部に早くつくり上げていかなければならないわけでございまして全く御指摘になったとおりで、この中南部における造林、緑化事業は急いでやらなければならないと考えております。この中南部の実態把握と申しますか、特に緑化事業を行うに当たっての隘路になっている事柄等につきましては農林水産部長から詳しく説明させることにいたします。民有林の問題についても同様担当部長から答弁させることにいたします。
 それからこのクリーン・グリーン計画、造林、緑化事業等を施行するに当たってこれと雇用の拡大に結びつけてやる必要はないかという御指摘を受けたわけでございますが、全くそのとおりでございまして失業対策基金を造成する際にもクリーン・グリーン事業の中でこれを雇用と結びつけましてやっていきたいと、クリーン・グリーン事業に雇用の場を広げていきたいとこういうことでいま基金の性格、またそれによる事業等を検討しておるところであります。
 それから最後に、総合交通体系についての御質問がございましたけれども、これにつきましては担当部長から詳しく説明させることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 労働渉外部長。
   〔労働渉外部長 大浜賢永君登壇〕
○労働渉外部長(大浜賢永君) 友寄議員から今回の演習の被害状況調査をやったかというような御質問でございますが、特別に被害状況調査というような組織的な調査はいたしてございません。しかしながら演習期間中職員を各演習の行われている地域に派遣をいたしまして情報の収集あるいは民間に対する被害などがありや否やというような点での調査はいたしたところでございます。
 先ほど、知事からもお話がありましたように人身事故、その他大きな住民とのトラブル等はなかったことになっております。若干8月26日の北部地区における演習でこれは施設内黙認耕作地でございますけれども、十四、五本ぐらいのパインの被害があったと。これは米軍がタコつぼを掘ったためにできたものでありますが、これは早速米軍に申し入れましたところ、もとのとおりに復元をしパインを植え直したということになっております。那覇防衛施設局としては、これについて見舞い金をパインの主に支給をしたということになっております。
 それからそのほかには、キャンプ・ハンセン内で各ガンポジションを使っての演習等がありましたので、その場合にブート岳ふもとで山火事があったというようなことが発生しておりますし、翌30日にもキャンプ・ハンセン内杣山中腹で山火事が起こっております。それから同8月の30日に、宜野座村伊芸の簡易水道の水源池から送水管の空気栓が壊されておるというようなことがございました。これは空気栓が抜かれたために水圧が低下したということでありますけれども、周辺地域への送水には異常はなかったということになってございます。
 それから軍用地の転用計画ををどうしておるかということでございますが、軍用地の転用計画につきましては基本的には返還された軍用地の返還されてから跡利用を考えるのではなくて、跡利用を考えた形での返還を進めていくというのが基本的な考え方でございます。そのためには、さきに県が作成をいたしました軍用地転用基本計画に基づきまして跡地利用計画をおのおのの市町村にさせまして、これに基づいて具体的な返還スケジュールを立てその返還に向けて要請をしていくというような方向で進めたいと思いますし、そのような線に沿って市町村との連絡指導をしていきたいと思っております。
 なお、県が昨年12月5日に国に対して要請をいたしましたいわゆる軍転特措法要綱案につきましては、これから国の関係機関とも協議を進めてみたいと思っておりますが、もし県の要綱に沿った立法ができない場合におきましても、現行制度の活用等によりまして可能な限りその趣旨を生かす努力をしていきたいとこのように思っております。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 中南部地域の造林、緑化計画に関する御質問にお答えいたします。
 特に本県の民有林面積、これは53年3月末でありますが7万9793ヘクタールあります。北部地域が多くて4万6696ヘククール、中南部地域が1万4930ヘクタール、宮古、八重山地域が1万8167ヘクタールとなっております。
 昭和53年度現在における人工造林実績は1万49ヘクタール、これは民有林面積の12.6%でありますが、計画目標人工林面積は民有林面積の21%に相当する1万7000ヘクタールを実施する予定にしております。
 特に沖縄本島の中南部地域の林野は、北部地域と比較して緑が少なく、海岸線の保安林と御獄などのわずかな自然林を除けばほとんどススキ原野となっていることは友寄議員の御指摘のとおりであると思います。
 同地域の緑化が進まない理由は、1つには森林所有形態が零細であるということでございます。この地域は1ヘクタール未満の森林所育者が約94%であります。それから地価が相対的に高いことから、財産保有意識が強いことにあると思います。これが最も大きな理由だと思われます。
 そのほかに、企業等に買い占められた土地があります。これは幾らかということでございましたが、私どもが49年12月で調べたものでありますのでかなり流動化はしていると思いますが、その当時489ヘクタールということでありました。そこでこの離島を除きました巾南部地域の森林面積は7600ヘクタールでございますので、大体そのうちの6%ぐらいが企業に買い占められているということになろうかと思います。
 それから3点目には、森林所有者及び市町村の財政的な問題もあって緑化が進まない要因になっていると思われます。これは現在では国、県で70%の補助をしまして残り30%が地元負担となっておりますが、こういったところにも問題があるんじゃないかと思われます。
 それからかつて問題になりましたが、戦禍による不発弾等が散在しているということ。せっかく木を植えたけれども、不発弾があって爆発して山が焼けてしまったといったようなこともあったようでありますので、こういった不発弾等が散在しているといったこともその進まない要因ではないかと思われます。
 そこで中南部地域の林野面積は、これは離島を含めますと1万5000ヘクタールですけれども、離島を除きますと7600ヘクタールになります。そのうち離島も含めた中南部の1800ヘクタールがススキの原野のまま放置されているという状況でございますが、離島を除きますと約800ヘクタールこれは10.53%、中南部の林野面積7600ヘクタールのうち800ヘクタールでございますので10.53%ぐらいがススキ原野のまま放置されているという状況でございます。そこでこれを緑化する必要があるわけでありますが、同地域の林野は防潮、防風林としての保安林的機能が高く、また観光資源としての景観の修景緑化の面からもその価値が高く、さらに都市化の進展等が著しく同地域に約80万の県民が生活しておりますので、その生活環境を確保する上からも緑を造成することは必要だと考えます。そのため、私どもとしましてはこの喪失した同地域の緑を造成するために55年度から緑化推進特別対策事業を推進していきたいという考えでございます。これまで特に53年度において中南部の緑化について啓発した結果、緑化推進への機運が醸成されつつあり佐敷村、与那原町、西原町等10市
町村において造林が開始されデイゴのさし木造林を初め、イヌマキ、リュウキュウコクタン、ホルトノキなどの造成を12ヘクタール実施してまいりました。
 また、同地域の54年度における造林希望調査によりますと、24ヘクタールの造林計画があります。しかしながら造林事業を実施した結果、他の地域に比較して造林経費が高くつくなど事業計画実行の面から諸種の問題がありその問題点を解明する必要があります。そのため私どもとしましては同地域の森林所有の実態、所有者の意識調査並びに有用樹種の選定、緑化技術の問題等より具体的に解明するために、特に55年度予算で措置してもらいたいということで国に対してこの調査費の要求をしているところでございます。農林水産省からは大蔵省に出されているわけでございますが、この調査費を要求しているところでございます。したがってこの調査結果を踏まえて同地域の造林並びに緑化計画を樹立する計画でございます。なお、この事業の実施段階において同地域の特殊性等勘案して土木建築部の所管に係る都市公園整備計画とも十分調整を図りつつこの地域の緑化を推進する方針でございます。
 なお、いまさき友寄議員から新聞紙上に出た計画についてのお話がありましたが、この新聞に出ましたのはオーソライズされた計画ではございません。現在部内で検討中ということでありますので、あの計画がオーソライズされた計画のような形で走り出しますと困りますので申し添えておきますけれども、現在各面から検討するわけですけれども、検討のための調査として55年度に国に直接調査費を計上していただきたいということで要請しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 比屋根俊男君登壇〕
○企画調整部長(比屋根俊男君) 総合交通体系の整備計画についてお答えしたいと思います。
 御承知のように、近年における急速な経済の発展は産業や人口が集積の利益を求めて都市部へ集中し、また経済活動の広域化や県民生活の向上による人的、物的輸送が増加いたしまして交通の休系的整備が不十分なため交通問題は大きな課題として残されているわけでございます。そのため本県の総合交通体系の整備を図る必要がありまして、昨年9月総合交通体系の望ましいあり方を策定したことは御案内のとおりでございますが、この基本方針に沿って都市の機能的整備と交通システムのあり方について再度調査を進めているところであります。その結果を踏まえまして、今後の総合交通体系の具体的な整備方針を検討することとしているわけでございます。
 また、さきの総合交通体系の望ましいあり方の中で、定時性の確保と公共サービスの向上を図る上から都市内交通として軌道システムの導入を位置づけ、さらにバス路線網の再編整備、道路整備等との関連についても関係機関との連携を図り具休的な方策を講じていきたいというふうに考えております。こういった基本的な考えに基づきまして都市内交通の1つの手段といたしましてモノレールの導入を考えているわけでありまして、昭和55年度の国庫を要請してきた点についてはすでに御報告申し上げたところでございます。
 なお、都市と都市を結ぶ都市間交通につきましては、増大する交通需要に対処するため沖縄自動車道の南進、湾岸道路を初め将来の道路ネットワークの整備、それから各種ブロジェクト等の立地などを含めて都宙の機能的整備の方向を踏まえながら、今後の導入すべき軌道システムについては検討を進めていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 友寄信助君。
   〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 1点つけ加えてちょっとお聞きしたいんですが、いわゆる第38条の推進の問題ですが、知事はこの問題については非常にむずかしいとさきの答弁で述べておられるわけです。この緑化事業を実施していく場合に、これを適用したらどうかということに対して雇用基金の中でクリーン・グリーン作戦として位置づけてやっていきたいということですがそれはそれで結構だと思うんですが、沖縄のいまの失業の状態から見ると若い人というのはわりあい再就職というのはできるわけですが、特に中高年齢者対策、そういう面から考えるとやはりこの特別措置法によって第38条というものが設定されているわけですから、これをいかに具体的に生かすかという努力というものはやはりこれからやってもらわなければいかぬじゃないかと思うんですね。そういう面からこの第38条の適用について非常にむずかしいということじゃなくて、やはりこれからの沖縄のいろんな面の事業を進めていく場合において洗い直していけばいろいろなものができるんじゃないかと思うんです。ですからそういった面で、この沖特法38条の推進についてもこれを具体化するための一段と努力というものをやはり知事というものは傾
注すべきじゃないかと思います。
 それとこの雇用基金ですが、いま雇用基金の一環としてこの撮化事業もひとつ考えてできればこれを実施していきたいということですが、この雇用基金という性格ですが、この性格は一体どういう形のものになっていくのか。それとこの雇用基金の事業の内容ですが、この事業の内容の一環としていま1つは緑化事業も考えているというわけですが、全体的なこの雇用基金のいわゆる事業内容はどう考えておられるのか。知事はさきに宮城健一議員の質問に対してもですね、これは現在財政面から検討をして来年度じゅうには実施していきたいとかなり積極的な姿勢を発せているわけですが、そういう面から見ましてもこの事業の内容についてもかなり作業が進められているんじゃないかと思うんですが、その中身について明らかにできるんであれば明らかにしてもらいたいと思います。
 以上です。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの友寄さんの再質問に対してお答えいたします。
 第38条の問題についてはですねこれはきのうもお答えしたんですが、古堅議員から前でしたか、前の前でしたか前の定例議会で指摘がございましてこの問題はやらぬというわけではございません。これはもうどうしてもこれも同時に進めていかなければなりませんし、ただその場合市町村の負担等もあってそれほど60%近い失業率を解消する抜本的な解決にはならないんですよ。そこで当面する問題として何としてもこれは公共事業、これを盛んにいたしまして特に建築、土木、その他学校建築、住宅建設、そういった公共事業を盛んにしてその面で雇用の場を広げていくということと、いまの県内企業を育成して体質の強いものにして合理化して安定して人が雇えるような体制づくりをすること。また優良企業の導入等も考えられるわけでございますが、いま御指摘になったクリーン・グリーンの問題も、いま県が計画している失業対策基金でやる事業の中に加えておりまして、これもひとつじみちではございまするけれども雇用の場の拡大と関連してやっていきたいと考えておりまするし、特にこれは若い人たちだけではなくて中高年層、これを対象とした事業も考えておるところでございます。
 雇用基金の内容についてはまだ固まっておりませんので、きのう宮城さんでしたか質問に対しましてお答えしたとおりでございますが、その基金の設置構想についてこれは試案でございますのでまだ十分練っておりませんので、その点御了解の上でひとつお聞き取りいただきたいと思うのであります。
 設置の構想でございますが、設置までの日程について申し上げますというと、県庁内部でいろいろ検討されておりますが、来年の1月以降4月まで調査会をつくってそこで検討いたしたいと思っておりまするし、55年4月から7月にかけて協議会あるいは審議会ということになりますかそこでの検討をやっていきたいと思っておりまするし、55年の7月1日に基金制度を発足させたいと考えております。
 それから実施体制でございますが、まず県庁職員によるプロジェクト・チームを設置いたしましてこれは54年の10月1日に設置いたしまして労働渉外部に置きたいと思っております。構成員といたしましては労働渉外部3人から4人、それから総務部、企画調整部、生活福祉部、環境保健部、農林水産部、商工観光部、土木建築部、各部とも1人から2人程度ということにしていきたいと思っております。総括者といたしまして参事監、参事を置くとともに、事務担当者を4人から5人程度配置したいと思っております。それからプロジェクト・チームの構成員に対しまして知事の辞令を交付してりっぱな格づけをしたいと思っておりまするし、さらに沖縄県雇用対策特別基金制度調査会の設躍でございますが、これは先ほど申し上げましたとおり55年の1月1日に設置いたしまして構成員といたしましては学識経験者10人程度を予定しております。必要に応じて、調査会に分科会または専門調査委員会を置くことにいたしております。
 それと次は基金制度の内容でございますが、専門教育を実施する学校の設置、それから資格免許、国家試験取得のための助成、それから本土企業への体験入社、それから中高年齢者職業大学の開校、それから高年齢者事業団、生きがいの場でございますがそういったものを設置したい。簡単な作業の請負とか、趣昧の教室もつくりたいと。それから心身障害者職業訓練校の設置、それから国の各種の雇用奨励等の援護措置の上積みをやってまいりたいと思っておりまするし、さらに観光促進のための大型保養基地の建設、滞在型の観光をねらうことと、さらに老年者の長期保養基地にしたいという構想を持っております。それから公園、デイゴの森とかハイビスカスの園とか海水浴場とか釣り場等を予定しております。植物園、動物の森というように観光促進のための大型保養基地の建設はそういう内容になっております。それから研修村の建設、災害復旧のための補助対象外事業に対する助成制度、それから地場産業の設備投資、規模拡大に伴う借入金に対する利子補給等々いろいろ構想されておりまして、強いてここでどこが問題点になるかということを申し上げますというと、基金の性格が非常に多岐にわたって夢が
非常に多いのでございますがあらゆる面をその中に取り入れておりますが、一体その基金の性格は何だというそれをもっと掘り下げて検討しなければなりませんし、その実施事業の内容を体系的にどう整理していくか。もう余りにも観光から中高年齢者、観光村と幅広くやっておりますが、そういった実施事業の内容の体系的な整理、それから各事業の実施体制の確立と申しますか体制の整理確立が問題になりまするし、関係各部課との業務が競合するのではないかと。最後に一番大きい問題は、大きいことを計画いたしましても最後は財源でございますので財源をどう捻出して大きな基金にするかという5つの問題点があるわけでございます。
 以上、いまこれはあくまでも試案構想の段階でございますのでまだ決まってはおりませんが、そういうことを前提としてお聞き取りいただきたいと思うのであります。
○議長(大田昌知君) 上江洲トシ君。
   〔上江洲トシ君登壇〕
○上江洲トシ君 売春問題につきましては、議会で初めての質問だと思いますので真剣になってお聞きくださいまして答弁をお願いします。
 沖縄で売春防止法が全面適用されてから7年になります。しかし沖縄の売春の実態は減少するどころか、観光売春も加わってむしろ増加していると言われています。売春が公然と行われていた復帰前と違い巧妙かつ潜在化しているのが特徴であり、また主婦売春、少女売春など悪質化、若年化の傾向にあるとも言われています。ことしに入ってから売春関係で幾つか挙げられ、きのうもトルコ売春が挙げられていますがこれは氷山の一角で、現在なお多くの婦人や少女が悪らつな業者の犠牲にされていることは否定できません。県は、売春防止対策本部を設置し知事が本部長になられ、副部長に比嘉副知事、部員に総務、生活福祉、労働渉外、環境保健部、教育長、警本部長ほか6名が当たり、その下部の課長は幹事になっております。各部の実施要項がこれに示されておりまして、今度の環境浄化の日には、宣言文を見ますというと7つの事項が挙げられ決意表明しておられます。他に売対協があり売春問題が取り組まれております。売春問題はますます悪質になり一向に改善されないのはどういうわけでしょうか、本部長であります知事の具体的な見解をお伺いいたします。
 去る6月27日から3日間、売春問題ととりくむ会の代表が田中寿美子さんを団長に沖縄の売春問題の調査に来られました。私も同行いたしました。調査団は関係機関との懇談、事情聴取のほか、那覇市内や遠くは金武まで売春地域の調査に行きました。その中で強く印象に残っている3カ所について実情を申し述べ、その対策について関係部局にお伺いいたします。
 まず、県下でも指折りの売春地域と言われる十貫瀬。
 七、八十軒もあろうかと思われるバーやサロン、おでん屋。9時現在婦人の姿は余り見られませんでしたが、暗い路地に入りますと屋根は吹き飛ばされそうなトタンぶき、腐りかけた板壁、男の人ならかがんで入るような入り口のついた家が並び見るからに売春の巣窟だという印象を与えます。その後私は昼もう一度調査に行きましてびっくりいたしました。十貫瀬のバー街は民家と隣り合わせになっており、路地では子供たちが遊んでいました。近くには夜間保育所もあり小さい子供を持つ婦人がそこで働いていることがうかがわれます。付近の住民の話では、12時ごろになると100人内外の婦人たちがたむろして酔客の袖を引いて半ば公然と売春が行われているということでございます。こちらでは児童生徒の夜間外出禁止など本当に馬の耳に念仏で、大人が青少年に深夜外出の手本を示しているようなものであります。
 次に宜野湾市真栄原。
 以前は通りから中の様子がよく見え客待ち顔の女たちが座っており、本土から来たある婦人が沖縄版飾り窓の女と言ったほどでしたが、調査団が行くことを知っていたのか私たちが行きましたときはペンキのにおいも新しいベニヤ板で目隠しされていて、表に未成年者の出入禁ずとのステッカーが張られておりましたが、明らかに売春宿と思われます。
 3番目、那覇市の栄町であります。
 栄町の交番の隣で売春が行われているということです。昨年社会新報に探訪記事が掲載されていますので間違いない事実でございます。この記事によりますと、15分で5000円、前金で払うとなっている。そこにいたA子さんの話では、5000円の料金のうちA子の取り分は3500円、1500円は店が取る。泊りの場合は3万円を超えるという。多いときには1日10人もの客をとるという。この記者は、沖縄を訪れる観光客は増加の一途をたどっているが、それというのも男性天国沖縄などという週刊誌の無責任な報道が沖縄観光の増加の一因になっているのではないかと警告しております。タクシー運転手がトルコぶろやホテル、特飲街の売春ルートを知っていて、客が求めれば直行しリベートをもらうというシステムになっているということでございます。韓国、台湾と並んで売春観光沖縄の烙印が押されかねない状況にあります。売春で検挙するには慎重な調査が必要で時間もかかるとは聞いておりますが、交番の目と鼻の先で売春が行われていることは大きな責任問題だと思います。
 54年度の社会の風紀環境を浄化する運動の実施要綱で、県警本部は風俗関係業者に対する指導取り締まりについて掲げています。どのような指導取り締まりをなされたのか。またさきに挙げました3カ所の問題は、売防法5条、6条、11条、12条に違反すると思いますが当局の見解をお伺いします。
 前借金の問題。
 前借金は売防法によって無効になっていますが、沖縄ではまだ復帰前の前借金を引きずって苦しめられている人が多くいるようであります。前借金のケースでは、ある売春業者が復帰後の前借金が無効になることに備え、雇っている3人の婦人を銀行に連れていき自分の定期預金を担保に1人1500ドルずつ借入させ以後A子は銀行への返済を月々業者に渡したが、1年余で銀行への借金は倍額にもなっていた、悪らつな前借金の取り立てケースであります。
 53年の売春事犯の検挙数は、勧誘ゼロ、困惑3、対象収受と契約ゼロ、場所提供6、管理売春5、資金提供ゼロ、前借金ゼロとなっていますが、このうち管理売春5件はいずれも前借金がらみだということです。中には17歳の定時制高校生2人は、暴力団が絡んで80万円の前借で売春を強要されたのもあります。模合の失敗で、債務は売春を強要され相殺したケースもあります。現在業者が直接金を貸して売春させる前借.金は依然として後を絶ちませんが、新たな形態としてチケット制ができているようです。業者がホステスに対し、ビール1本売り上げるごとに200円のチケット1枚というようにして1000枚たまらないと現金化できない、その間食費や生活費など業者から借りると前借金という形になるわけです。客とホテルに行く場合も、客は店からチケットを買い女に渡すということになります。まことに巧妙な形で前借金になるわけです。当局としましては、このような実態を把握しておられるでしょうか。これに対しどのような対策がなされておられるでしょうかお伺いいたします。
 さらに、前借金問題については参議院の予算委員会で田中寿美子氏が質問していますが、47年から婦人相談所にあった前借金の相談は10件、いずれも解決済みという報告であったようですが、どのような形で解決なされたのかその具体的な内容をお伺いいたします。
 49年に沖社協が調査しました売春問題に関する意識調査の結果を見ますと、売春の社会的要因と思われるものに、1、基地が多いから42.2%、2、特飲街が多過ぎる31.3%となっており、売春の主な理由と思われるものについては、経済的理由によるもの49.6%、売春を強要されている8.2%となっています。また更生についてどう思うかの問いに対して、1、救済すれば更生できる32.3%、仕事を与えれば更生できる29.3%となっています。最近では復帰前と異なり売春の理由も生活苦だけではなく、家を建てるとか店を持ちたいなどと変わってきているとも言われていますが、それはほんの一部であって、十貫瀬や吉原などを見てもわかるように好きこのんでこんな惨めなところで働いている女性はいないと思います。特に子を持つ母親にとっては、身を切られるような思いでそういうところで働いていることと思います。働きたくても働く場所がない、子供を抱え年齢もそう若くない母子家庭の婦人にとって、親子が生きていくためにはそういうところに転落していくよりほかに道がないというのが今日の沖縄の実情ではないでしょうか。
 売春問題の解決には、業者に対する厳しい取り締まりとともに、働く場所を保障することが必要だと思います。同時に更生のための強力な指導が必要であります。職場開拓について、県はどのような対策を考えているのでしょうかお伺いします。
 売春問題は何も沖縄だけの問題ではない、本土各県にも存在する問題だと言われる方もおられますが、他府県にもあるからといって沖縄で許されていいものではありません。売春は性病や犯罪等の社会悪の要因ともなっていますが、その他にも健全な家庭や社会環境を乱すものであります。一番問題なことは、女性の人間としての尊厳を侵すことであります。業者は家族と同数の婦人を雇えば生活ができる、家族数以上に雇えば人数が増すほど楽な生活ができるそうであります。他人の体を売らせ搾取して生活することを許してはなりません。ある入は他人の血をすすり骨までしゃぶるようなものだと厳しい批判をしています。関係当局はもっと毅然とした態度で臨んでいただきたいと思います。
 物価問題について。
 OPECの第3次値上げが実施された7月以降県内でもガソリン、重油、プロパンガスなど石油関係物資が値上がりしたほか、米価が大幅に値上げ、離島航路では船舶運賃も値上げしているところもあります。さらに航空運賃も値上げが予定されており、この秋から来年にかけて再び狂乱物価が予想されています。消費者物価は一時鎮静したかに言われていましたが、日銀の発表によると、ことし6月の卸売物衝指数は昨年同月に比べ5.5%の上昇を見せていますし、昨年11月から連続9カ月の高騰を続けています。卸売物価が消費者物価に影響するのは3カ月ないし半年後になるようであります。昭和48年のオイルショックのときがそうでありましたように、これから物価高騰は必至であり便乗値上げも心配されます。
 9月4日の琉球新報に世論調査の結果が発表されていますが、あなたが政治に期待するものは何ですかの問いに対し、54%が物価安定と答えています。消費看は行政に大きな期待をかけているのです。県は物価高騰に備えどんな対策を立てておられますか。
 米の値上げに対しましては、県民生活課はよい資料をつくって業者を指導なさいました。県民生活課が、このように消費者問題に前向きな姿勢で取り組んでおられることに敬意を表するものでありますが、本県にはまだ消費者保護条例がつくられていないことはきわめて残念でなりません。本土各県ではすでに39県が制定しています。本土から遠く海を隔てており、さらに離島も多く抱えている沖縄は、輸送問題などでも大きなハンディーがあります。それだけに消費者保護条例の早期制定が望まれます。県はどのように考えておられるでしょうか、保護条例制定についての方針がありましたら具体的にお示しいただきたいと思います。
 基地問題は省きますけれども、知事へ意見を申し上げます。
 自衛隊が沖縄に配備されましたときに婦女暴行事件がありました。そのとき私たち小禄航空隊に抗議に行きました。時の司令は山田とおっしゃいましたが、もしあなたの郷里に沖縄のような基地があったら認めますかと苔ったら、司令は直立不動、もう全然答弁ができないで困っておられました。おそらく日本の総理大臣初め各大臣方偉い方々、自分の県にこのような基地があったら絶対認めないと思いますが、西銘知事はどうしてこんなに基地容認、演習に知らぬふり、どんな事故があっても抗議に行かれないでしょうか。もっと強い姿勢で基地問題、沖縄県民の命を優先にしていただきたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 上江洲トシ議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 売春問題についての知事のこれに対する具体的な見解をただされたのでございますが、御指摘になりましたとおり売春問題は婦人の人権と人間としての尊厳をも損なうものでありまして、またときとして大変恐ろしい性病の伝染源となり心身を荒廃させる社会悪であると思っております。御指摘のとおり、本県の最近における売春の形態は巧妙化、潜在化、若年化等の傾向が見られまして、実際に売春防止法により検挙された件数を見てもさほど減少していないことはまことに遺憾であり残念であります。
 このようなことから、県といたしましては行政各般の施策を通じまして啓蒙、取り締まり対策を初め、要保護女子の保護更生、青少年の健全育成等予防対策を強力に推進しているところであります。しかしながら今後なお引き続き売春防止対策協議会等民間活動を強化しなければなりませんし、売春対策推進委員、婦人相談員、婦人相談所の活動についてさらにこれを強化していかなければならないと考えております。さらに提案いたしております沖縄県青少年保護育成条例を改正いたしまして、青少年の転落防止対策等を強力に推進してまいりたいと思っております。
 前借金の問題についてその実態はどうなっておるのかそれについて県はどう対策を立てておるのか質問がございましたけれども、これについては担当部長からお答えすることにいたします。
 次に、売春防止対策として一番大事なことは、業者を徹底的に取り締まることであり同時に婦人に職業を与えることが最大の条件であるということを指摘されているのでありますが、この職業開拓についての当局のこれまでとってまいりました対策については担当部長から答弁させることにいたします。
 それから物価問題について御質問がございましたが、御案内のとおりわが国の経済は安定成長への移行過程にございまして消費者物価も一応安定した傾向にあります。しかしながら54年に入りまして卸売物価が急速に上昇いたしまして、これが消費者物価に影響するのではないかと懸念されているところであります。
 物価対策は、総体的には閏の経済運営等に関連するのでありますが、直接県民生活にかかわることからいたしまして、県といたしましても生活関連物資等の価格需給の調査、監視等を実施いたしまして、その結果は消費者へ情報を提供するなど地域の実情に応じた対策を講じて物価行政の一層の推進を図っているところでございます。
 御承知のとおり、消費者米価については本土より安い価格で特別措置がとられております。昭和59年度までに年次的に本土並みに引き上げることになっておりまして、今回の値上げはそのための価格調整によるものであります。
 また、ガソリン、プロパン等の石油製品につきましては、原油の大幅値上げに伴いましてこれらも大幅な値上げが行われておるのでありますが、県民生活の安定確保を図る観点からいたしまして関係業者に対しまして値上げの自粛並びに実施時期の延伸等要請いたしておるわけでございます。
 さらに、最後に御指摘になりました消費者保護条例についてお答えいたします。
 消費者の利益の擁護と増進を図り、県民の消費生活の安定と向上を促進するため、県は消費者保護基本法の趣旨に沿った消費者保護行政を推進いたしております。御質問の消費者保護条例につきましては消費者団体からも制定の要請があり、県といたしましても目下制定に向けたもろもろの準備を行っておりまして、成案ができ次第消費者団体、事業者団体及び関係機関とも十分な調整を図った上で制定していきたいと考えております。
 最後に、基地問題についてのおしかりを受けたわけでございますが、もう何遍もお答えいたしておりまするとおり決してそれによって基地から生ずる県民に対する、財産、生命に対する危害をそのまま是認するものではありません。いままで申し上げましたとおり、基地の縮小整理の問題につきましても積極的に取り組んでいきたいと思っておりまするし、またその縮小整理も利用転用の計画が市町村において十分確立された上で県民に損失のないような線で現実的に具体的に一つ一つ処理していきたいと考えているところであります。
○議長(大田昌知君) 警察本部警務部長。
   〔警察本部警務部長 田邊八州雄君登壇〕
○警察本部警務部長(田邊八州雄君) 売春問題についてお答えをいたします。
 まず初めに、売春事犯についての検挙状況から申し上げますと、昨年じゅうが14件で11人、本年度は9月7日現在ですでに14件17人を検挙しております。これらの検挙した事例から見ますと、地域的には那覇市、宜野湾市、沖縄市と各地域にまたがっております。場所的にはホテル、旅館、トルコぶろや風俗営業所などが利用されております。事案の態様といたしましてはタクシー運転手と結託をした観光売春や、家出少女を食い物にする事件などがありその手段が巧妙に潜在化しているのが現状であります。
 御指摘の十貫瀬、栄町、真栄原方面における検挙事案は昨年から本年にかけて4件を検挙しておりますが、ほかにも売春行為が行われているであろうことは推察されますので今後とも取り締まり活動を継続していきたいと思います。
 そこで今後の取り締まりの対策についてでありますけれども、売春事犯は一般的に被害者意識が薄いため捜査に当たっても相当の困難を伴うものでありますが、県警といたしましては、悪質巧妙化している売春事犯に対処するために今年4月1日から特別防犯捜査班を設置し専従体制を強化したほか、風俗環境モニター制度を発足させまして情報収集の積極化を図っておりますが、売春事犯の取り締まり重点としては特に少女を食い物にする事犯や暴力団の絡む事犯、前貸し等による管理売春といったものに重点を指向して今後とも積極的な取り締まりを強化していきたいというふうに思っております。
○議長(大田昌知君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 新垣雄久君登壇〕
○生活福祉部長(新垣雄久君) 売春問題の中のチケット制という形の前借金について実態把握をしたことがあるか、そしてまたどのような対策をしているかという御質問でございますが、先ほど警察本部の方から御説明もありましたように売春問題というのは大変むずかしい問題でございまして、それに非常に潜在化しているということからなかなか表にあらわれない、そういうことでなかなかわかりにくい、それに人権がまつわる問題でございまして非常に調査がしにくいという難点がございます。その意味でチケット制という問題についてでございますが、これは各風俗営業者において何かとられているという制度のように聞いておりますが、その実態についてどういうふうにしているかということはほぼ調べの結果わかるんでございますが、どの程度やっているかということにつきましては非常につかまえにくいことでございます。
 私どもがわかったチケット制の例でございますが、1枚500円で、500円のうち200円がホステス、300円が業者の分というようになっておって、これが1000枚にならないと金にかえてもらえないというようなこともあるという話は聞いております。また事実そういう話をじかに聞いているわけでございますが、これが違法であるかどうかについての問題はなかなかむずかしい問題がございます。と言いますのは、一種の歩合制であるという考え方から出ている面もありますし、またなかなかそれを1000枚にならないと金にかえないんだという実態がはっきりとつかめないということでございます。
 ただ、そういうことがなかなか悪いのかいいのかという問題になりますと、あるホステスに言わせますと働きぐあいによってもらえるならばそういったチケット制をした方がいいんだという話も聞こえることでございましてなかなかそのいい悪いの判断が、この実態がわからないものですからなかなかいい悪いの判断がしにくいということでございます。これがしかし売春問題につながっておるとすればこれは問違いなく悪いことになるわけでございますが、それがつながっているかつながっていないかがわからないというところが非常に問題でございます。こういうことでそれをどう対策をするかというところが非常にまた問題でございまして、じかにそういったことのよさ悪さがはっきり出ないと対策も打ちにくいということでございます。
 それでそういった関係する風俗営業組合の方々たちの所管の資金等、そういったこと等も通じましてその実態をもう少し研究し、またそういうことのよしあしについても、そういった業者の方々ともよく相談いたしまして今後対策を立てていきたいとこういうふうに思います。
 それから前借金の問題でございますが、さきに54年の3月9日の新聞に出ておりました前借金ケースが10件もあるんだということで、しかもこれが未解決であるという記事が出ておりました。この問題につきましては国会においても取り上げられておりますことは承知しております。で私どもの部ではそれぞれの状況を、調査しましてそれが事実かどうかということをその所管であります婦人相談所等の記録等も調べてみましたんですが、これまでのケースではこの1年間3件しかございません。それをはっきりしたケースとしては3件しか出ておりません。それの3件につきましてどのように解決したか、具体的内容は何かという御質問でございますのでお答えしたいと思います。
 53年の6月に金武村のあるバーで働いていた2人の要保護女子、これはバーで一緒に働いていたんでございますが、業者の暴力に耐えきれず那覇市の福祉事務所へ保護を願い出てきておりまして、そこで早速婦人相談所に連絡をし婦人相談所は即日2人の女子を―時保護いたしました。そしてそれと同時に、県警に対しまして通告を行いまして捜査を依頼しております。2人のこの女子は、その後一時保護所からうるま婦人寮――これは婦人保護更生施設でございますが――へ移しまして同寮におきまして生活指導及び職業指導を実施することにしたわけでございます。県警の捜査が進んで同年7月には業者が管理売春で逮捕されておりまして、そういった危険がなくなったということでかねてからつき合っていた外人との結婚の話が持ち上がりまして本人のその結婚の意思を確かめ、またそういう強い意思がございましたので退寮させ結婚をしております。もう1人は知能の面で少し劣っていたせいもありましてよく無断外出をしておりまして、とうとう無断外泊をしてそのまま帰寮しておりません。捜査もいたしましたけれどもなかなかその行方がわからない状況でございます。
 それからもう1件は、サラ金の返済に困りましてある料亭の雇い主から前借したために住み込みで働かされた上、売春を強要され子供たちにも会わせてくれないということで思い切って普天間署へ保護を願い出たケースでございます。同署よりの通報を婦人相談所で受けまして一時保護をしておりました。同年の10月、そのお姉さんが身元引受人になってどうしても退所したいとの意思が強く、そのお姉さんからも実情を聞きまして退所させたものであります。その後の調べによりますと別の店でちゃんと働いているという報告を受けております。
 なお、10件というその数字でございますが、婦人相談所において私どもの記録を調べた結果でございまして、10人というその根拠がどこから出たかまだ私どももはっきりつかんでおりません。
 以上が売春問題でございますが、その対応につきましては先ほど知事から説明がございましたので省かせていただきたいと思います。
 それから物価対策の問題でございますが、物価対策にどう備えてどう対策をしているかということでございます。
 先ほど知事からの説明がございましたように、現在国の経済は安定成長への移行過程にあるんだと言われておりますし、また消費者物価につきましても統計上から見て安定した傾向にあると言えようかと思います。ここ数カ月におきます消費者物価指数の対前年同月比でいきますと約2%から3%のプラスということになっておりまして、全国平均から見ましても1%から1.5%を下回っておることから見てもそういうことが言えようかと思います。そのかわり、卸売物価がこの数カ月急激に上昇しておりますことからこれに対しましてきのうもお答え申し上げたわけでございますが、これは総体的には物価対策は国の経済運営等に関連するわけでございますけれども、私ども県といたしましても、生活物資等の価格需給の調査等によりまして消費者に対しましてよく広報を差し上げ、そして県民の自覚をまちその御協力をいただいてそういった物価の抑制に努めていきたいとこういうふうに考えております。
 それから消費者保護条例につきましても知事から御説明があったわけですが、これの具体的内容はどういうことなのかということにつきまして補足させていただきたいと思います。
 保護条例は、これは5つの柱から成っておりまして、まず1つには消費生活の安定等に関することでございます。これは危害の防止、規格表示等の適正化、不当な取引方法禁止等を明確にするということでございます。
 それから2番目に生活関連物資に関することでございまして、これは生活関連物資の供給等の要請、情報の収集、それから提供、物資の指定及び特別調査等を規定しておりまして、国の物価対策と呼応いたしまして監視、指導啓発を行って適正な価格による消費生活ができるということを目指すものでございます。
 それから3番目に、消費者苦情の処理及び訴訟援助。これは消費者保護の立場から苦情処理体制の整備、それから苦情の処理、苦情処理委員会の調停、それから消費者訴訟の援助等を規定したものであります。
 それから次に、啓発活動の推進をするということでございます。消費者に対しまして啓発活動の推進、組織活動の促進、試験検査等の施設の充実等を図っていくことによりまして、消費者が消費生活の安定及び向上を図るということを目指していこうということでございます。
 それから5番目に消費生活委員会、そういった審議会等をつくりまして広く県民の意向を反映させるための項目を掲げ、この5つの柱を立てて現在この条例の成案に取り組んでいるところでございまして各業者等、そういったところの意見もよく聞きまして成案でき次第調整を進めながらできるだけ早いうちに条例の提案を申し一Lげたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 労働渉外部長。
   〔労働渉外部長 大浜賢永君登壇〕
○労働渉外部長(大浜賢永君) 婦人の職場開拓や就業促進につきましては婦人相談所、地域の民生委員等関係機関との連携を密にしながらきめ細かな職業相談、職業指導を行いまして婦人の能力、体力に見合った求人開拓を実施しているほか、本年度から内職相談センターを婦人就業援助センターというぐあいに発展的に改組いたしまして、新たに就業相談を行い得るよう機能強化をいたしているところでございます。また、婦人の常用雇用を促進するための措置といたしまして6カ月から1年の期間の公共職業訓練、職場適応訓練、各種の就職援護制度等もありますし、これらの制度を積極的に活用し再就職促進に努めてまいりたいと思っております。
 さらに、本年度から新たに那覇公共職業安定所に寡婦担当の職業相談員を配置いたしておりますのでこれよりも一層の効果的な職業紹介ができるものだと思っておりますし、そのように努力をいたしていきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 以上で、本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明12日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後3時49分散会

 
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