昭和62年(1987年) 第 7回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 10月 5日
第 2号 10月 5日
 

議 事 の 概 要
昭和62年10月5日(月曜日)
午前10時1分開議

日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第6号議案まで、乙第1号議案から乙第9号議案まで及び認定第1号から認定第3号まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 石川  修君(社大党)
    2 嘉陽 宗儀君(共産党)
    3 宮城 清順君(公明党)
    4 下地 常政君(新生クラブ)
    5 岸本 安神君(社大党)
    6 白保 台一君(公明党)
    7 友寄 信助君(社会党)
    8 伊波 広定君(共産党)
午後4時23分散会

○議長(志村 恵君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 9月25日から10月1日までに受理いたしました陳情は6件で、そのうち特別委員会に付託すべき陳情2件を除く4件は、お手元に配付の陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
 なお、説明員として出席を求めた副知事宮城宏光君は、別用務のため本日と明日の会議に出席できない旨の届け出がありました。
 また公安委員会委員長瀬長浩君は、別用務のため本日と明日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日の会議に公安委員会委員赤嶺義信君、明日の会議に公安委員会委員照屋盛通君の出席を求めました。
○議長(志村 恵君) この際、念のため申し上げます。
 本日と明日の2日間にわたって行われます一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(志村 恵君) 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第6号議案まで、乙第1号議案から乙第9号議案まで及び認定第1号から認定第3号までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 石川 修君。
   〔石川 修君登壇〕
○石川 修君 一般質問を行います。
 最初に、米軍航空機の騒音軽減措置について質問をいたします。
 本県の米軍基地は、全国の75%が存在しております。県土の11.25%を占拠しております。全国平均の占拠率0.22の実に51倍になります。北部地区で21.4%、占拠率、中部地区の26.9%、南部は1.1%、沖縄本島全体で見ますと20%の占拠率となっております。
 本県は、このような超過密な米軍基地の存在によって産業の振興はもとより、都市形成、道路の整備、その他もろもろの事業推進に多大な障害を余儀なくされているのであります。さらに近年、基地の機能の質的強化が急速に進められ、それに伴う米軍演習も県民感情を無視した形でますます激化を増すばかりであります。加えて演習や米軍基地等による事件、事故も戦争さながらと言わざるを得ない様相であります。
 県民は、今、このような過密な基地存在あるいは安全の保障のない演習の実態に不安と恐怖を抱いているのであります。とりわけ嘉手納基地から発生する殺人的爆音と呼ばれているあの騒音は、周辺住民に人間としての生活を営む上での最低限の環境さえ許されていないのが現状であります。同基地周辺市町村の方々で組織する米軍基地爆音防止住民会議は、我慢の限度を超えたとして、昭和57年2月、国に対し、夜間飛行の差しどめ、住民地域上空での飛行訓練の禁止、心身被害に対する損害賠償の請求等を求めて裁判を提起し係争中であります。
 私は、これまで政府の基地行政が本県に対して不平等であることを指摘してその改善を求めてまいりました。
 ところで去る9月19日、マスコミ報道によってその事実が県民に明らかにされたのであります。神奈川県の厚木基地、東京の横田基地が日米両政府の合意によって米軍航空機騒音軽減措置が協定締結されております。にもかかわらず、1日に1000回以上の離発着をする本県の嘉手納基地にその締結がなされておらず適用されてないことが明白となりました。戦後42年の間、米軍の意のままに使用され、爆音苦に打ちひしがれた周辺の住民は、再びこのことによって新たな怒りが沸き起こっているのであります。
 そこで知事にお尋ねをいたします。
 1つ、人間は貧することは我慢できるが、不平等差別は決して許すことのできないものであります。騒音軽減措置は、安保条約に基づいて協定されている日米両政府が締結したものである。何ゆえに最も激しい騒音を発する嘉手納基地は締結せずに適用されないのか。安保条約下の不平等、差別と思うが、知事はどのような御理解をなされておられるかお尋ねいたします。
 次に、政府は本県の本土復帰に際し、安保条約、関連取り決めは本土並みに適用されると言明いたしました。当時既にこの軽減措置は締結されているのであるが、何ゆえに嘉手納基地は今日まで締結されなかったのか。5・15メモの秘密協定の中で約束があったのか。そうでなければ、何ゆえにいかなる理由で締結がされなかったのかをお伺いしたいと思います。
 次に、知事は、これまで基地行政を三者協に大きくゆだねた感がしております。この三者協における話し合いは強制力の伴わないものであり、根本解決には至っていないものと理解をいたしております。今回の騒音軽減措置について本県は当然適用されるべきものと考えますが、協定締結し強制力のあるものにすべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 既に来日していると思われる米空軍アクロパット飛行隊サンダーバーズの曲技飛行の計画は、航空機騒音措置によって本土計画をすべて取りやめになっております。本県だけが予定どおり7日に行うことになっている。このことは県民無視も甚だしく差別行為であり、絶対に容認できるものではないのであります。
 知事、本土並みの基地行政を確保することと県民の命と暮らしを守る立場から、今回の曲技飛行を取りやめさせるよう知事の御尽力を願うものでありますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、第1一徳丸の被弾事故についてでございます。
 第1一徳丸は、去る7月2日、平穏な操業をしているところ午後1時ごろ、突如戦争さながらの被弾事故に巻き込まれました。幸いにして人身及び船に損傷はなかったものの、乗組員を初め県民に大きな衝撃を与え、また本県の軍事基地の実態を浮き彫りにしたものでありました。無謀な演習によって県民がこのような犠牲を強いられることは決して容認できるものではありません。徹底した再発防止に努めるべきであります。事件から70日余を経過しておりますが、その真相がいまだに究明されてないことはまことに遺憾であります。
 関係者の証言は、自衛隊機が加害者であることが一致した証言であります。事件当時、その時間帯に自衛隊機以外の飛行機がなかったこと。自衛隊機が弾を発した時間と第1一徳丸が被弾した時間証言がほぼ一致している。また近くで操業をしていた第8幸雄丸の乗組員の証言も詳しく証言が寄せられ、残されたのは落下破片、付着物の科学解明のみである。漁民にとって早急な真相解明を願っており、納得のいく再発防止確立がない限り気がおさまらず、安心して操業することはできないものであります。
 ところで、事件真相の解明が行われないままに自衛隊機の演習再開はすべきではないと思うが、どのようになっているのか。
 また、南西航空混成団は、事件当日の訓練では射撃海面に船舶は存在してないということを確認したという、事件と自衛隊の関連を否定する見解を繰り返しております。漁民の怒りを誘い、県民のひんしゅくを買っております。これらのことについて知事の御所見をお伺いします。
 次に、事件から70余日も経過しているにもかかわらず真相解明がなされないままになっている。漁業関係者はもとより、県民は解明のおくれに不安といら立ちを見せております。何ゆえに解明がおくれているのか、再発防止の意味からも早期解明は県民の一致した心境であります。このことについて知事の御所見をお願いしたいと思っております。
 最後に、城辺町浦底地先の養殖モズクの被害についてでございます。
 浦底地先のモズク養殖は、平良市漁協組合員15名が養殖を営んでおります。モズク養殖は、試験養殖をあわせて9力年継続して行っております。技術の向上、規模の拡大など年々増産に励み経営面も将来に明るい夢を抱いていたところである。モズク収穫は、2月中旬から6月上旬までとなっておるが、ことしの4月12日以降のモズクについて被害があらわれ、商品価値がないと指摘され搬入停止を食らいました。汚染状況を調査した結果、クチャの泥土による汚染が原因であることが明らかになりました。生産者は、被害が明らかになる以前から、県の施行している比嘉地区排水路工事の施行に対し、海域の汚染のおそれがあることと沈砂池の管理等を指摘したのであります。
 さらに、モズク養殖を9力年継続しているが、過去に今回のような被害の経験がないこと。また地理的環境の変化がないこと等を理由に去る6月17日、県と議会に漁場の原状回復と被害の補償を要請しております。被害額は5468万4000円。
 これに基づいて県も早速調査をしておりますが、汚染の原因について県の結論だけを申し上げますと、1、モズクに被害を与えた一要因であるクチャの泥土は、分析の結果、陸域のクチャであることが判明している。2、クチャの流出の箇所と思われるのは次の7カ所である。1、ダムの排水路、2、比嘉排水路工事現場及びクチャ採取場、3つ目に浦底漁港工事現場、畑等自然排水口、それから野城川、野城川東側地点の浸食による流出、最後に7番目にサトウキビ畑等の浸食による流出。しかしこの7カ所の土質は、海中から採取したものと分析の結果、同一な土質であり、場所別、流出の量、時期、すべて究明することは困難であるとしている。
 総合的に判断すると、モズクに付着しているクチャは陸域から流出したものであるが、海底に堆積し、その堆積土砂が風や潮流等気象、海象条件の変化によって攪拌され、モズク養殖場に移動し、付着して被害を与えたものと考えられるとしてある。被害額、県の算定では3076万7000円であります。
 なお、参考のため8月30日の台風12号の影響に伴う雨が比嘉排水口から流出している写真を差し上げてございます。
 そこでお伺いしますが、生産者は毎日自分の漁場と接し、その場における自然環境あるいは地理的な条件を熟知しております。それゆえに県の調査結果についてもほとんどの項目に反論をしております。我々の調査でも指摘すべきところが多々ございます。また9年間の養殖をしたが、8力年は何なく収穫をしていること。県の工事が施行されてからことし初めて被害があったとして、加害者は県の工事であると断定しております。
 一方、県は、その筋に明るい職員が調査して科学的な分析を加えたと思いますが、その結論を出しております。その結論のみを申し上げますと、1つ、汚染土は陸の土に間違いはない。クチャの流出箇所は7カ所と思われるが、流出源の特定は困難とされる。生産者側は極めて理論的に汚染土の流出源を特定しております。このような中で生産者の15名は、今生活の不安にさらされているわけであります。一体、この人たちの救済はどのようになさるのかをお伺いしたいと思います。
 2番目に、県の調査、考察並びに養殖場における試験養殖等の結果を見ますと、天候、いわゆる風速、風向による被害が懸念されているので今後も同様な被害が起こる可能性があると思うが、どのような判断をしているのか。また可能性があるとすれば、その対策はどうなっているか。
 3番目に、陸も海もともどもに開発を推進し繁栄を求めなきゃならないが、今回のようなトラブルは今後あってはならない。宮古の開発はさらに推進するものと考えるが、今後の汚染防止対策はどのように講ずるかをお伺いいたします。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 石川議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 米軍航空機騒音軽減措置についての御質問に対しましてお答えいたします。
 嘉手納飛行場周辺における航空機騒音軽減措置については、なぜ横田及び厚木飛行場並みの措置が講じられなかったのか不明であります。よって、そのいきさつについては外務省に対しまして文書で照会をいたしているところであります。
 次に、5・15メモの中で秘密協定があったのではないかという御指摘がございましたが、この5・15メモの全文公表につきましては、これまで県議会でたびたびお答えいたしましたとおり、国にその公表を要請してきたところでありますが、全文の公表は外交機密に属するとのことで困難な状況にございます。
 次に、三者協で措置されたものあるいは合意を見なかったもの等について、日米合同委員会に諮っていく考えはないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
 三者協において意見の一致が見られなかった項目については、日米合同委員会で解決を図るよう国に対し要請をしてきたところでございますが、意見の一致があった項目についても委員会の承認を求める必要があるのかどうか検討してまいりたいと思います。
 御参考までに申し上げますというと、意見の一致を見たものについては約14項目ございまして、意見の一致を見るに至らなかった項目については夜間飛行の休止時間、エンジン調整の休止時間等については、考えに米軍と県との間に隔たりがございます。そのため、三者協においてこの問題の解決方を日米合同委員会へ提案するよう文書で56年1月に要請をし、さらに56年5月にはその促進方を要請してきたところでございます。
 次に、サンダーバーズの曲技飛行を中止させる考えはないかという御質問がございましたが、今回のサンダーバーズの航空ショーは一時的なものであることに加えまして、時間的にも20分程度の短時間のものでございますので中止を求めていく考えはございません。
 次に、第1一徳丸事件について御質問がございましたが、お答えいたします。
 現在、第1一徳丸に落下した金属片とすす状の付着物を、海上保安庁が防衛庁に対して鑑定依頼をいたしておりますが、まだその結果は出ていないとのことであります。
 なお、同空域で計画されていたミサイルの射撃訓練は終了いたしましたが、その他の訓練については現在も実施いたしております。
 次、城辺地先のモズクの被害につきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) モズク被害につきまして3点ほど御質問がございましたので、お答えいたします。
 まず、救済方法でございますが、今回のような被害につきましては、現在のところ制度的な救済措置がないのが実情でございます。しかしながら水産業振興の観点から、町当局の意見または考え方等も聞いた上で被害を受けた漁業者からの要望等がありましたならば、養殖業を継続するのに必要な資金等について融資のあっせん等積極的に対応してまいりたいと考えております。
 それから今後も被害が出ると思うが、その対策はどうかということでございますが、モズクの被害状況及び原因の調査につきましては、農林水産部内におきまして調査委員会を設置いたしまして調査をいたしました。その結果は7月に公表したところでございますが、被害原因の特定までには至っておりません。したがいまして引き続き海域の現状を、より詳細に把握するため専門的立場から調査を民間のコンサルタントに委託しておりまして、10月中にはその結論が得られるものと考えております。
 また、当該養殖場の今後の活用につきましては、その委託している調査の結果を踏まえまして総合的な判断をした上で対応策を検討したいと考えております。
 なお、被害を受けた漁業者から漁場の移動について要望があれば、試験養殖の実施及び養殖技術の指導等を行ってまいりたいと考えております。
 それから土地改良との関係でございますが、汚染防止対策はどうかとこういうことでございますが、圃場整備の施行に当たりましては土砂流出防止の沈砂池等を設置計画しておりまして、当該工事につきましてはなるべく土砂流出しないよう、今後とも圃場整備の振興につきましては積極的に対応していきたいと考えております。また工事完了後の農地につきましては、早期に植えつけがなされるよう関係農家の指導を図ってまいりたいと考えております。土砂流出を完全に防止することは現段階におきますところの技術では困難でありますので、最小限に食いとめるような努力をしていぎたいと考えております。
 なお、専門家の指導も仰ぎながら土砂流出防止対策の技術開発が可能かどうかについても今後検討してまいりたいとこのように考えております。
○議長(志村 恵君) 嘉陽宗儀君。
   〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 第1の質問は、国体主会場に新たに設置されたエレベーターに関する問題であります。
 このエレベーターは、関係者の説明によると身体障害者用に設置されたことになっています。
 それで私は、現場を調査してきました。その結果、明らかになったことは、身体障害者用の役員席や観客席は第1ゲートとその周辺に設置され、その出入り口にはスロープがつけられていました。エレベーターは頑丈な戸の中につけられていて、しかも外部からはわからないようになり、その出入り口は2階の貴賓席と3階のロイヤルボックスに通じているだけでした。身障者用に設置されているという説明が、いかにごまかしであるかは状況を見ればすぐにわかります。これはだれが見ても天皇のためにつくられたものにしか見えません。
 そこで知事にお伺いしますが、スポーツ競技になくてはならない基本的な施設も予算がないということで不十分なものでしかないのに、どうして2000万円以上の予算をつぎ込んで天皇用のエレベーターを設置する必要があったのですか明らかにしてください。
 今後の問題として、このエレベーターを関係者や一般の人たちも利用しやすいように改造すべきだと思いますが、そうする考えがあるか明確にしてください。
 第2の質問は、基地問題についてであります。
 我が党の国会調査団が、去る8月3日から7日までの5日間にわたって県下の米軍基地の調査を行い、中間報告を発表しました。
 それによると、沖縄の軍事基地が、縮小どころかますます再編強化されて、核戦争だけでなく、ゲリラ戦から謀略、情報活動などあらゆる戦争に備えて即応体制をとっている最前線の基地になっていて、米軍の訓練、演習の激化、基地の増強の中で住民の深刻な被害、事故も相次いでいる実態が改めて明らかにされました。その中で、沖縄の空は、嘉手納を中心とした半径50海里のだるま状の空域が、全面占領時代から復帰15年の今日に至るまで依然として米軍の支配下に置かれている。日本政府がレーダー進入管制業務を行うことができるまでの暫定期間、米軍が空域支配を行うとした1972年5月の復帰に当たっての日米合意も完全に踏みにじられており、民間航空機の飛行にとって引き続き危険な状況をつくり出している。これに加えて空でも日米共同作戦体制の強化が進められている。今回の我々の調査から、航空自衛隊の那覇基地の神経中枢に相当する防空指揮所内に「嘉手納空軍基地」の関連施設の名目で米軍専用施設が存在していることが判明した。この事実は、沖縄駐留の航空自衛隊が、米空軍指揮下で共同作戦の体制をとっている従属的実態を裏づけていると指摘しています。
 ことし初め、海上自衛隊の海洋観測所に関する調査をアメリカで行った日本共産党の調査団は、勝連町にある海洋観測所が、世界約50カ所で直接または間接に同盟国軍の手でアメリカ海軍の指揮下に行われているソ連潜水艦探知のための音響監視システムの重要一環だという事実である。沖縄海洋観測所は、直接には日本の海上自衛隊の責任で運営されているものの、現実にはアメリカ海軍の直接の指揮、監督のもとに作業を行っていることを明らかにし、このような危険を沖縄県民に強いる今日の沖縄県下の日米共同作戦体制、アメリカの行う戦争への日本の自動参戦体制の強化は、絶対に許されないというのが調査団の結論であると述べています。
 そこで知事にお伺いしますが、この防空作戦チームと沖縄海洋観測所の実態とその任務について認められますか。
 また、自衛隊を対米従属の指揮下に置き、県民を危険にさらしているこれらの施設の撤去を強く要求すべきでありますが、その意思はありますか明確にお答えください。
 次の質問は、核問題についてであります。
 我が党の訪米調査団は、米軍の日本への核持ち込みに関し、日米両政府間に秘密取り決めが交わされていることを示す米政府の公式文書を入手しこれを明らかにしました。
 その後の経過は、この文書の内容が事実であることが次々に明るみに出されています。このほど公表された米太平洋軍司令部の「核兵器の安全確保に関する文書」によると、米軍は、太平洋地域での核兵器事故の発生に備えて関係諸国政府との間で事故対応策を協議、調整することになっており、日本もその対象地域に含まれていることが明示されています。その核事故を取り扱うことを任務とする爆発物処理隊が嘉手納基地にも存在することを、藤井外務省北米局長は、9月16日の参議院沖縄及び北方特別委員会で我が党の市川議員の質問に答えて明らかにしています。さらに同局長は、普天間米海兵航空隊基地の核、生物、化学兵器倉庫の存在を認め、辺野古米海兵隊弾薬庫には核兵器専用の核弾薬小隊があることも従来から政府も認めています。
 知事、あなたは、この明らかになった核基地の撤去を日米両政府に迫るべきだと思いますが、どうですか。
 現在、世界的に核兵器を緊急に廃絶せよとの世論はかつてなく広まり高まっています。そういう中で米ソ間では中距離核戦力全廃で基本的に合意に達し、核兵器廃絶に向けて大きく前進をしました。
 知事、あなたは、これまで一貫して核廃絶の世論に敵対し非核沖縄県宣言を拒否し続けてきています。沖縄が核戦場に巻き込まれる危険性がかつてなく大きくなっている現在でも、なお好核的態度で非核宣言を拒否され続けるのですか明確にしてください。
 次は、知事の訪米問題であります。
 新聞の報道によりますと、来春以降に、基地や演習被害防止などの直訴のために再訪米する予定だと言われています。そういう計画があるのか、まず明確にしていただきたい。
 知事は1985年6月に、莫大な費用を使って直訴を行いました。ところが軍事演習は、その質、量とも一層ひどくなり、それに伴う被害も後を絶ちません。
 知事、あなたは、さきの訪米の結果、どのような成果があったと思いますか、県民の納得できる説明をしてください。
 私は、1985年の9月議会の代素質問で、知事訪米が、沖縄の軍事基地が対ソ戦略上重要という立場で確認し合い、基地維持で不利になる県民とのトラブルを少なくしてほしいという要請でしかなかったと批判をしましたが、その後の事態はいかにその指摘が正しかったかを示しています。
 そもそも基地問題は、国と国との条約にかかわるものであり、外交権のない地方自治体の権限に属するものでないことは明らかであります。自民党政府が基地を提供し軍事演習を認めているのであり、この自民党政府の態度を変えるためにこそ最大の努力をすべきであります。そのために知事は、これまでどういう取り組みをされてきたのか明らかにしてください。
 今、大切なことは、合法的に提供されている基地内での演習の中止を申し入れるつもりはないという米軍優先の態度こそ変えるべきではありませんか、知事の見解を伺います。
 今、沖縄が核戦争に巻き込まれる危険性は、とりわけペルシャ湾をめぐる緊張にあると言われています。ところで知事はそういう中で、去る7月24日の「ペルシャ湾緊張とカチャーシー」という見出しの新聞報道によると、海軍の総帥であるウェップ長官と知事は手をとって一緒にカチャーシーを踊り、しまいに知事は「日本帝国万歳」を叫んだとあります。国語辞典には、帝国は、天皇の統治する国家とあります。天皇の来沖で戦後は終わるという知事発言の真意が明らかにされました。この日本帝国万歳は、たまたま口を滑らせたものでないことは、同じような発言をコンベンションホールのこけら落としの酒の座でもあったようですから、非常にはっきりしています。米軍の幹部と酒を飲んでカチャーシーを踊り、一方で主権在民の憲法に違反する日本帝国万歳を叫び、県民生活がただでさえ大変な事態の中で莫大な予算を使ってアメリカ行きとはとんでもない話です。
 知事、あなたは、訪米での直訴を考えるより、もっとこの沖縄で県民の先頭に立って基地の強化に反対し軍事演習をやめさせるためにこそ奮闘すべきだと思いますが、明確な答弁を求めます。
 第3の質問は、北谷町桑江地先における公有水面の埋め立てに関してであります。
 私は、去る3月の予算特別委員会でこの問題を取り上げました。北谷町の埋立事業の基本方針によると、1、公共用地の確保、2、産業の振興を図るとして海浜を利用した観光レジャー産業を誘致するとあり、町が埋立認可を得て、事業の実施は沖縄県土地開発公社に委託して行うとあります。ところが「事業実施に伴う関係機関との確認事項」では、1、当該事業の用途がレジャー用地となっているが、開発公社としては公有地拡大法との兼ね合いで公共用地以外の用途を設定した埋立事業は違法となるので委託を受けて実施できない。2、したがって用途設定を町の計画している公共用地と県営住宅、町営住宅及び公共代替用地の公共用地とする。3、竣工前に用途変更申請をやる。町の埋立計画があくまでも埋立面積の2分の1相当部分が産業振興用地として計画されているため、所期の目的達成のため産業振興用地として用途の変更が必要である。そのために埋立事業が90%完成時に、町は、計画に基づいて用途変更申請をする。しかし用途変更については、当該埋立地の一部地域が漁港区域であるため関係省庁とのかかわりがあるので、県としては用途変更を埋立竣工後にしたらどうかという意見
があり、提出時期については県と調整中であると明確に述べられています。そして用途変更をしなければならない理由について、現在、用途設定している公営
住宅の建設は客観的行政事情からなじまないものがあり、町営住宅の建設を推進することは現下の厳しい町財政事情から対応が大変困難で、産業用地を位置づけるためであると町議会で説明しています。
 我が党の中村北谷町議会議員がこの件で質問したところ、埋立事業は県営住宅用地としてではなく、産業用地として売却する予定であると答弁しています。しかもそれは一つの企業で海浜レジャー産業、観光産業を誘致する予定を明らかにしています。そして去る2月16日から2週間にわたってアメリカ、ハワイヘ町長以下9名と業者数名が一緒に旅行をしてきています。
 この埋立問題では、町議会でも多くの議員が取り上げています。議事録では、公有水面の埋立法によって企業や業者にその埋立地を売却するための理由をもっての認可は知事はやりません、法違反でありますという指摘や、町長が、以前に申請したが、県から業者に売却することは公共性を帯びないので認可できなかったが、今度は公共性を帯びているような名目で申請する。しかしその件は今のところ秘密であると発言もしています。
 そこで知事にお伺いいたします。
 1、企業に売却するのは公共性がなくて認可できないので、県営住宅用地としてまず申請し、許可が出てから用途変更をすればよいと指導しているようです。これはどこの責任で指導したのか明らかにしてください。
 2、この埋め立ては、公有水面埋立法に明らかに違反しています。県の責任を明確にすると同時に、今後どう対処されるのか明らかにしてください。
 北谷町は、特定の企業に売却する意図があって埋め立てたことはこれまでの経過で明らかにされています。そこで用途変更の申請を行うことが考えられます。県は、これに対してどのような対処をされるか。あくまで埋立申請どおりの事業をさせるのか、それとも用途変更を認めることもあるのか明確にしてください。
 第4の質問は、学区制問題とその関連についてであります。
 私は、去る6月議会でも、教育委員会が来年から実施しようとしている通学区の変更、改悪について質問いたしました。本土各県において教育荒廃をつくり出す最大の原因にもなっている小学区制の廃止を関係者の十分な意見も聞かずに強行しようとするもので、今や多くの父母、県民から批判とその計画を凍結せよとの声がどんどん寄せられています。特に、那覇地区以外の地域では、これまで全く何も知らされていなかったために寝耳に水だと怒りの声さえ出されています。
 そこでお聞きしますが、これまで各市町村教育委員会や学校、父母、生徒、教職員団体に対してどのような内容の説明会をどの程度行ってきたのか明らかにしてください。
 現在のように学区の変更についてほとんど関係者の間におけるコンセンサスが得られていない中で、あえて強行すれば大混乱することは明らかであります。したがって通学区の問題は、その計画を撤回して検討し直すべきだと思いますが、見解を伺います。
 また、この通学区との関連で質問いたしますが、沖縄市の山里などいわゆる南部地域の生徒は、その地域に高校がないために北谷高校や普天間高校へ遠距離通学を余儀なくされています。私は、かかる事態を解決し、コザ高校のマンモス問題を解消するためにも、旧中央高校の跡地に高校の建設を検討すべきだということを昭和58年度の決算特別委員会で質問しました。そのときの米村教育長は、中央高校の跡地につきましては新しく高校をつくる予定でありますが、中央高校が破産宣告を受けていて、その清算事務がまだ整っていません。その解決が得られない限り手をつけられないという答弁をしています。
 それで私は、早目に高校の建設を具体化してほしいと要望しましたが、清算事務は現在どうなっているのか。
 また、高校の新設計画はどこまで進んでいるのか明らかにしてください。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 嘉陽議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 総合運動公園のエレベーター設置についてお答えいたします。
 総合運動公園のエレベーターについては、3階にあるロイヤルボックスまで御高齢の天皇陛下が階段を徒歩でお昇りになることはお疲れのことであろうと懸念されたこと。また先催県においてエレベーター設置の事例があること。さらに国体終了後においても高齢者、身障者の利便、来賓の案内並びに軽荷物の運搬等多目的な利用が十分見込まれること等からいたしまして設置したものであります。
 なお、このエレベーターは高齢者及び身障者の利用に特定する考えであり、したがって広く一般への利用のための改造は考えておりません。また高齢者及び身障者は、エレベーターによって2階フロア及び観覧席への利用が可能であります。       次に、海洋観測所と防空指揮所の実態と任務について御質問がございましたが、お答えいたします。
 海洋観測所は、海上自衛隊が必要とする沖縄沿岸海域の水温、塩分、水圧、波の伝播状況、その他海流等の基礎データを収集するとのことであります。また防空指揮所は、領空侵犯航空機の発見が主な任務で、現在の航空自衛隊基地が自衛隊に引き継がれた際にも米軍にとって必要な施設として存置されたもので、地位協定第2条第1項の規定に基づく米軍専用施設であるとのことであります。これらの施設は、現在提供されている施設区域内の建物であり、整理縮小に逆行するものではないので撤去を要請する考えはありません。
 次に、非核宣言についての御提言がございましたが、ここでたびたびお話申し上げたとおり、我が国は非核三原則を前提としておりまして、国において厳正に堅持されているものと理解いたしております。したがって県は、非核宣言についてはこれまでたびたび答弁いたしておりますとおりこれを行う考えはございません。
 次に、知事の訪米についての質問に対しましてお答えいたします。
 基地内大学への県民の就学の実現と旧護国寺梵鐘の返還のお礼のために訪米する予定でありますが、そのときに基地問題について訴えることについては検討中であります。訪米して要請いたしました問題は、基地内大学への県民の就学の実現、パイプラインの返還に明るい見通しが立つ等徐々に成果があらわれております。
 なお、関係省庁に対しましても、米政府に対して要請したと同様の要請をいたしているところであります。今後とも、県民の理解と協力を得ながら全県民的な課題として粘り強く要請してまいりたいと思います。
 次に、政府自民党は、米軍に基地を提供し軍事演習を認めているが、政府の態度を改めさせるため知事はどんな取り組みをしたか。また米軍優先の態度を変えるべきではないかとの御質問がございましたが、お答えいたします。
 沖縄の米軍基地は、復帰後本土の米軍基地と同様安保条約、地位協定に基づいて提供されたものであり、我が国の平和と安全に寄与していると理解いたしております。しかしながら県益を擁護、発展させる観点から、県は基地の整理縮小及び基地被害の防止を県政の重要な課題として位置づけましてその解決に向けて努力いたしておるところであります。
 次、60年9月議会における軍事演習中止についての質問に関連しての御提言がございましたが、お答えいたします。
 日米合同演習については、国家レベルで判断し決定されるもので、地方自治体の長はこのことに言及すべきではないということは、日米合同演習の計画や実施そのものにコメントする立場にないということを言っておるのでございます。県民に被害を及ぼすおそれのある演習については、安全対策に万全を期すよう申し入れているところであります。したがって県民の利益を守るために基地問題の解決を米国政府に訴えることは当然のことであると考えております。
 「日本帝国万歳」と叫んだ真意は何かという御質問でございますが、護国寺の鐘の返還式において海軍長官とのカチャーシーの踊り、また日本帝国万歳云々についてでございますが、今回、米国の好意によりまして護国寺の鐘の返還が実現したことを喜び、また相互の友好関係を深めたお祝いの宴席でのことでございまして別に他意はございません。日本国憲法を遵守し、日本の平和と安全、そして国の繁栄を希求する考えは嘉陽議員と同様でございまして、変わりはございません。
 公有水面埋立問題につきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 北谷町の公有水面埋立問題についてお答えいたします。
 まず、県営住宅用地として申請し、許可が出てから変更すればよいと指導しているが、どこの責任で指導したか明らかにすることということでございますが、このことにつきましては、当該公有水面埋め立てにつきましては関係法令に基づき審査し免許を与えたものであります。埋立行政を担当する者から、許可後に変更すればよいといったような指導を行った事実はございません。
 次に、この埋め立ては公有水面埋立法違反ではないかということでございますが、当該公有水面埋め立ては公有水面埋立法に基づく所定の手続を行っており、形式内容においても適性であり、公有水面埋立法には違反しておりません。
 次に、北谷町から用途の変更申請があれば県はどのように対応するかということでございますが、埋立地の用途変更につきましては当該用途の免許基準への適合性、公益性の有無等総合的に審査した上で判断すべきことでありまして、北谷町から具体的な協議がない現時点での意見は差し控えたいと思います。
 なお、北谷町から埋立用途変更申請があった場合は、公有水面埋立法第29条に基づき許可条件に適合するかどうかについて慎重に審査を行いたいと思います。
○議長(志村 恵君) 教育長。
   〔教育長 池田光男君登壇〕
○教育長(池田光男君) 嘉陽議員の学区制問題関連についての御質問にお答えいたします。
 今回の通学区域の改正につきましては、各界で構成されました県立学校入試方法等検討委員会の答申を受けましてその趣旨を尊重し、慎重に検討を重ねた結果、生徒一人一人が目的意識を持ち、それぞれの能力、適性、進路等に応じた学校選択がでぎるように設定されたものでございます。この改正の趣旨が十分に理解されるように関係する中学校、高等学校、PTA関係者、市町村教育委員会、教育事務所等々に対しまして説明を行っているところでございます。
 また、この通学区域につきましては、去る6月3日の県教育委員会において決定されたものでございまして、昭和63年度の入学者選抜から施行することにしているところでございます。
 次に、中央高校跡地に関連する御質問にお答えいたします。
 中央高校跡地の建物につきましては、地主代表の提訴によりまして裁判所で建物収去の判決がございました。この建物につきましては既に収去されておりますので、建物そのものについては特に問題はございません。しかし跡地の一部の土地につきまして法人所有の土地がございますが、これにつきましてはまだ清算事務が解決されていないところでございます。これらの土地に対する清算事務が完了した段階におきまして、中央高校跡地における県立高校の新設について検討することにしております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 嘉陽宗儀君。
   〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 基地問題について西銘知事は、嘉陽議員と同じでありますということをおっしゃっていますけれども、それであれば、ぜひとも米軍基地を撤去させるという基本的な立場で一致できるように今後も奮闘してほしいと。
 それでまず、「日本帝国万歳」、2回にわたって発言されたかどうかだけ再度質問します。
 次に、公有水面の埋立問題について再質問します。
 先ほどの答弁では用途変更について県として指導してこなかったと言っていますが、そうしますとこれは北谷町が勝手に判断してやろうとしていることになります。しかしそのようなことは考えられません。なぜならこれは昭和55年から計画され、県の関係者と話し合いを続けてきたことは今やはっきりさせられています。
 再度お聞きしますが、企業に売却するというのでは認可できないので、県や町の公営住宅用地として申請した後で用途変更すればよいなどと、どこが指導したのか明確にしてください。これは北谷町議会における議事録で明確に書かれている事実であります。
 それから法に違反していないと答弁していましたが、これもとんでもない話です。公有水面埋立法の第4条免許基準の4項では、「埋立地ノ用途ニ照シ公共施設ノ配置及規模ガ適正ナルコト」とあり、半分の面積の7万5000坪が、ある企業に売却する予定だと言われているこの埋め立てがどうして違反でないと言えるんですか。
 同6項には、「出願人ガ其ノ埋立ヲ遂行スルニ足ル資力及信用ヲ有スルコト」とあります。埋立事業の予算は、62年度中に県営住宅用地として23億円以上で県に売却してそれを充てる計画になっています。これは実態の伴わない虚偽の申請ではありませんか。それであれば法違反は明確であります。この件について再度答弁してください。
 資金計画の明確な裏づけもないのに埋立免許を与えた県の失態は、まさに重大であります。ところが先ほどの答弁では、県の責任は明らかにされていません。それでは納得できません。再度明確な答弁を求めます。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 再質問に対しましてお答えいたします。
 「帝国万歳」と言ったかどうかわかりませんけれども、私は少し酒が入りますというと、帝国海軍軍人として祖国防衛のために第一線で働いてまいりました。「四面海なる帝国を守る海軍軍人は」という歌をよく歌うんですが、そういう癖がございまして、つい帝国万歳と叫んだかもしれませんが、それは他意はございません。
 ただ、国を思う気持ちにおいて、平和憲法を守る気持ちにおいては嘉陽議員と全く同じでございますが、基地問題に関する限りはこれは全く立場を異にいたしておりまして、その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) お答えいたします。
 北谷町から申請があったことにつきまして、その後において変更すればよいという指導をした事実はございません。
 それから埋立法違反ではないかということでございますが、埋め立てはそれは北谷町の計画でございまして、埋立利用計画では運動公園用地、町役場用地、中学校用地、保育園用地、その他の公共施設用地として道路用地に児童公園、護岸敷、沈砂池と排水路がございます。さらに6番目に住宅用地がございまして、7番目に県営住宅用地、8番目に町営住宅用地となっているものでございまして、7万平米余りを企業に売却する云々の計画は申請書にはございません。
 それから違反ではないかということでございますが、当該公有水面埋立地の県営住宅用地9万6000平方メートルが予定されておりますが、その処分時期は確かに資金計画では62年度となっております。県は、当初、当該用地は62年度に取得する予定でございましたが、道路、上下水道の整備との関連等で昭和63年度以降に変更せざるを得なかったものでございます。
 なお、埋め立てに係る資金計画については要請年度を変更する必要があるかどうかの問題がございますが、そのことをもって地方公共団体である北谷町が出願した当該埋め立てが公有水面埋立法第4条第1項6号に抵触し公有水面埋立法違反であるとは考えておりません。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 嘉陽宗儀君。
   〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 部長、あなたは先ほどの答弁で、3月の予算特別委員会における答弁とちょっと食い違う答弁をしています。そのときには、県営住宅用地として計画していませんということを明確に議事録に載っています。それであれば62年度中に県営住宅用地として売却をして、その金で埋め立てをするというのがその免許申請ですから、県が62年度中に金を出さないということは、公有水面埋立法から照らしてみて第4条の6項、これに照らしてみて明確に違反、これは明らかです。
 再度答弁してください。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 去る予算連合審査でお答え申し上げましたのは、公営住宅計画がないということは申し上げてありません。62年度の公営住宅の計画としてはないということでございます。
 それから資金計画が、先ほど申し上げましたように埋め立てに係る資金計画については処分年度を変更する必要があるかどうかといった問題がございますけれども、まだ年度中でございますが、この公共団体である北谷町が出願した埋め立てが、公有水面埋立法第4条第1項第6号にそのことをもって抵触し、あるいは公有水面埋立法違反であるとは言えないと思います。
○議長(志村 恵君) 宮城清順君。
   〔宮城清順君登壇〕
○宮城清順君 一般質問を行います。
 初めに、洋上学校構想についてでありますが、さきに9月17日に、公明党が知事あてに提案要請いたしましたこの洋上学校構想につきまして改めて御提案を申し上げ、知事の所見を承りたいと思います。
 この洋上学校構想は、教育の荒廃が社会問題となっておりまして新たな学校教育のあり方が問い直されていますが、教師と生徒との信頼関係、生徒間の連帯意識の向上が極めて重要となっているところであります。従来より行われてきました臨海学校あるいは林間学校もその意味で大きな役割を果たしてきたのであります。そこでこれらをさらに進めるため小学校、中学校、高校教育の中に子供たちに洋上での学習、訓練あるいはスポーツ、レクリエーション、宿泊のできる施設を持つ学校船を提供し海上での共同生活を体験させることを目的とした洋上学校構想でございます。これは教師と生徒に新たな信頼と連帯の意識を醸成させるとともに、海上より我が国土を見詰め、自然とのかかわりを肌身で感じさせる貴重な機会をもたらすものと期待をされておるところであります。
 教育的効果といたしましては、自然との触れ合いによる体験的学習ができる。共同生活や集団生活を通して基本的生活習慣、望ましい役割行動、豊かな人間関係を育成できる。他校とも交流を取り入れることができる。次に対象、期間といたしましては、対象は全国の小学生、中学生、高校生として、期間や区間は学校からの申し込みを原則としておおむね1週間程度としますが、なお行程等については多様な対応が可能であります。次に洋上教育の内容でございますが、洋上としての特色、すなわち海上、船、航海、集団生活などを生かし、陸上ではできない体験学習、訓練を行う。例えば気象、海流、地形、天体、海洋生物等に関する体験的学習、航海、船体、港湾、救難等に関する学習、さらに同船者や停舶地の人々との交流などが考えられるのであります。次に学校船といたしましては既存の遊休船舶の改造もしくは新造船によるものとして、学校船には学習室のほか、各種の視聴覚設備、スポーツ、レクリエーション設備を置き各種の学習が行えるものにする。運航は年間を通し、主として日本沿岸、近海とすると、また修学旅行にも利用できるものとし、当初は400人から500人乗りクラスの船を1隻就航させ、推移を見てさらに整備するものとする。学校船の建造費は5000トン、500人乗りクラスで約30億円から50億円程度と見込まれております。年間運航経費は5億円から6億円を要すると考えられております。その財源としては国、自治体の予算措置、洋上学校振興宝くじ――仮称であります――の発行あるいは各種団体からの寄附等が考えられるのであります。運営主体、財源といたしましては、洋上学校船の所有形態は船舶整備公団と自治体、船会社、旅行エ一ジェント等による共有船とし、運営主体は1つには国、2つには自治体、3つ目には民間船舶会社、4番目には国、自治体、船会社等の出資による第3セクター方式が考えられますが、いずれの場合も国は学校船の建造、運営に対して財政支出を行うものとする。今後、洋上学校構想の推進を図るため国の文部省、運輸省、自治省、それと関係自治体で洋上学校推進検討委員会を設置をし、費用負担、学習内容、教育課程の位置づけ等のほか、立法措置等を検討する。また構想実現に先立ち、運営のあり方を調査するため既存旅客船のチャーターによる洋上パイロットスクールを実施する、以上が洋上学校構想でございます。
 これにつきましては、昭和62年7月21日の参議院予算委員会での質疑におきまして中曽根総理が大賛成だと述べ、また文部大臣は、洋上研修はすばらしい企画である。安全確保や費用負担の問題など現在検討している状況である。都道府県の教育委員会が学校と協議をして実施を検討するのが基本的な行き方だろうと思っている。それに対して、文部省が何らかの助成をしていくべきではないかとの答弁がなされて、政府としても積極的な姿勢が示されているのであります。
 なお、この構想に類似するものとしては滋賀県が琵琶湖で行っているフローティングスクールや青山学院初等部の実施している洋上学校などがあり、いずれも大きな成果をおさめております。また文部省では、昭和62年度からスタートした教師の初任者研修を洋上で実施をしております。
 本県は、申すまでもなく海洋県でありまして、東西1000キロメートル、南北400キロメートルの広大な海洋の開発が活用が求められている今日であります。したがいまして教育の場として洋上を活用する意義はまことに大きいものがあろうかと思うのであります。この構想の実施には、今後解決しなければならない課題が多いことも事実であります。本県から全国に先駆けて真っ先にこの洋上学校構想の実現に向けて積極的な取り組みを重ねて要望をしたいと思うのでありますが、知事から所見と今後の取り組みについて承りたいと思います。
 2番目には緑化対策でありますが、私は、これまで何回も県の緑のマスタープラン策定を積極的に進めるよう提案をしてまいりました。この県の緑のマスタープランの策定状況、それに基づいた緑化推進の事業はどのように進んでいるか御答弁をお願いをしたいと思います。
 具体的な事例でございますが、国道329号線、特に旭橋から与那原間は街路樹が1本もない状況であります。都市景観上も緑の町づくりの観点からもまことに寂しい限りでありますが、早急にこの329号線の街路樹の植栽を施すべきであると思います。県として国と連携をし、どのような施策をお考えかお答えいただきたい。
 次に、全国植樹祭についてでございますが、知事は、さきに復帰20周年記念事業として全国植樹祭を誘致する意向を明らかにしておりますけれども、67年度のいわゆる復帰20周年、第43回全国植樹祭にのせるというような取り組みをなさっているのかどうか。具体的に要請をしておるならば62年度で決定をしなければならぬというようなことだろうと思いますが、この進捗状況についてどのように取り組んでいるか進行状況を承りたい。
 さらに、都市緑化フェアの開催も県としてはお考えになっているようでございますが、この取り組みについてもお答えをいただきたいと思います。
 次に、マリンタウン構想についてでございますが、全国初の運輸省の計画として中城湾南部にいわゆるマリンタウン構想が六十一、二年度のそれぞれ予算を計上して調査を進めてまいっております。
 このマリンタウン構想につきましては、沿岸の西原、与那原、佐敷、知念、それぞれの市町村からもかなり大きな期待を持って、これからポスト国体後の21世紀に向けての大きなプロジェクトとして期待をされているのであります。もちろん沿岸でございますので、環境アセスメント等の実施も厳しくやっていかなければならぬということでございますが、とりあえずこの構想のこれまでの調査の概要、結果の概要をまず具体的に御説明を承りたいと思います。
 さらに、これからの計画でございます62年度以降の計画についてお示しをお願いを申し上げたいと思います。
 それから空港問題についてであります。特に久米島空港のジェット化問題についてでございますが、運輸省が63年度予算概算要求で2000メートル滑走路の建設の実施設計調査費を盛り込んでジェット化に向けての整備を行う計画でありますが、その背景に、新聞報道によりますと米軍のいわゆる訓練空域問題で現行のYS11型機の増便に待ったがかかったためとの報道がなされているのであります。
 地元におきましては、もちろん観光客の増大とともに久米島全体の発展のために現在の運航回数を増便をしてもらいたい。あるいはまたジェット化に向けての整備をしてもらいたいという要望がなされているのは御案内のとおりでありますが、このような米軍のいわゆる訓練空域問題で増便に待ったがかかり、ジェット化になったということになれば甚だ問題であるかと思うのであります。この事実関係につきましての御答弁をまず承りたいと思うのであります。
 次に、ジェット化になった場合の航空機の安全運航上危険性が増すとの指摘があるのでありますが、この危険性を含めた問題点はないのかどうか、これについての御答弁をいただきたい。
 さらにジェット化の理由に、先ほど申し上げました米軍のいわゆる訓練空域、管制空域等の問題があってしますと、沖縄の空が日米安保優先の管制権の中にあることが問題であります。県は住民の足の確保、特に観光産業を育成するという県の施策の上からもこの問題は今後解決をしなければならない重要な課題だろうと思いますけれども、どのように取り組んでいくか方針を承りたいと思います。
 次に、去る6月の議会でも質問いたしましたけれども、いわゆる慶良間空港の問題であります。
 現在、慶良間空港は、琉球エアーコミューターが独自に滑走路をつくりまして運航しているのでありますけれども、地元座間味村当局からも県に要請がなされておるのであります。いわゆる第3種空港として県が買い上げをしていただきたいと、こういう要請が知事にたびたびなされているところであります。現在の利用客数も年々増加をしてまいりまして、特に観光客の座間味に入るお客さんがふえてきている現状であります。ところが地元におきましては地元住民の利用といいますのは、やはり航空賃が高いということで甚だ利用が薄い関係であります。
 第3種空港として整備されますと、いわゆる運賃の軽減というのが可能であります。そうすることによりまして地元住民のこの航空利用もかなり安くなるというようなことであろうかと思いますが、再度知事の方針を承りたいんですが、航空運営行政の整備という面からも、この慶良間空港の第3種空港に買い上げすることについて積極的な前向きの御答弁をいただきたい。
 以上、質問を終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 宮城清順議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 洋上学校構想についてお答えいたします。
 洋上学校構想につきましては、その目的、内容から貴重な御提言と受けとめております。洋上体験をさせることによりまして子供たちは自然との触れ合い、自然に対する驚異、先生や友人との触れ合い、人格を育てる共同生活等々多くのことを学ぶことができ、その教育効果は大なるものがあると思われます。しかし具体化するに当たっては、教育課程におけるその位置づけを初め生徒の安全確保、運営主体、船の建造費、維持運営費等々、これからクリアしなければならない多くの課題を抱えております。したがいましてこれらの問題に対する国の動向を見ながら検討してまいりたいと思います。
 次に、緑化対策の中で都市緑化フェアの構想実現に向けての御提言がございましたが、お答えいたします。
 全国都市緑化フェアは、建設省の提唱によりまして都市緑化意識の高揚、都市緑化に関する知識の普及等を図ることにより国、地方公共団体及び民間の協力による都市緑化を全国的にこれを推進し、もって緑豊かな潤いのある都市づくりに寄与することを目的といたしまして昭和58年、第1回開催地大阪で始められたものであります。今年は10月3日から11月15日までの間、埼玉県において「グリーンハーモニーさいたま87」として開催されることになっております。
 本県において開催するかどうかにつきましては、今後、先催県資料の収集等をいたしまして関係機関との調整を図りながら検討してまいりたいと思います。
 空港問題との関連で慶良間空港についての御質問に対しましてお答えいたします。
 慶良間空港の第3種空港への格上げにつきましては、離島地域の振興及び地域住民の生活の利便性の確保等の面からいたしましてコミューター航空事業の導入を含めまして総合的に検討してまいりたいと思います。
 残された御質問に対しましてはそれぞれ農林水産部長、土木建築部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) 全国植樹祭の開催についての準備状況についてお答えいたします。
 全国植樹祭の開催につきましては、復帰20周年記念事業として昭和67年度の開催を構想し、事務調整を進めてぎたところであります。しかし開催するには開催場所の決定及びその環境整備並びに体制づくり等が必要でありまして、そのためには長期の準備期間が必要であります。したがいまして農林水産部といたしましてはまず準備体制づくりが先決であり、その後に場所の選定等を実施していく予定でありますが、まだ準備体制づくりもできていない現状では昭和67年度開催は厳しい状況であると考えております。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 緑のマスタープランにつきましてお答えいたします。
 緑のマスタープランは、都市の骨格の形成や秩序ある市街地の発展を図るため緑とオープンスペースを適正に配置し、公園、緑地のネットワークについて整備する目的で策定しているところでございます。
 本県の緑のマスタープランは、那覇広域、石川、名護の各都市計画区域については既に策定済みでございます。残りのコザ広域、平良、石垣の各都市計画区域については現在関係市町村に照会中でございまして、早い時期に策定していく予定でございます。また整備については緑のマスタープランに沿って都市公園事業として総合運動公園、浦添大公園、識名公園等の整備を図ってきているところでございますが、引き続き策定された残りの公園及び緑地についても漸次整備と保全を進めてまいりたいと考えております。
 その緑の一環といたしましての国道329号の植樹計画についてお答えいたします。
 国道329号は国管理の道路でございますが、旭橋を拠点として南風原町、与那原町を経由し東海岸線を縦走する幹線道路として位置づけられ、現在も鋭意整備が進められているところでございます。当該国道のうち、中部、南部地区は総幅員が18メートルでございまして幅員としては広くないんでございますが、交通需要が非常に高いために4車線道路として供用しているところでございます。歩道の植栽につきましては、歩行者の円滑な通行を図る上から、通常、歩道幅員が2メートル50以上の場合に計画するものでございますが、現況は平均2メートル程度であるため植樹桝等を設けるのは極めて困難な状況でございます。
 なお、植栽計画につきましては、現在整備中の那覇東バイパス、その他の計画中の南風原バイパス等の供用による車両交通の状況等を勘案して検討していきたいとのことでございます。
 次に、マリンタウン構想についてお答えいたします。
 61年度の調査概要は、関係4町村の社会的条件、自然的条件、環境条件等の現況を把握するとともに、地域の特性及び課題を整理することにより地域の発展の可能性について検討を行ったところでございます。その結果、21世紀を目指した町づくりを図るべく、1つには活力と潤いのある港町の形成、2つ目に観光拠点の整備、3番目に地域産業の振興、4番目に海洋空間の高度利用、5番目に自然環境の保全と創造といったその5項目から成る開発の基本方針をまとめたところでございます。62年度は、この調査の成果を踏まえて施設規模、施設配置計画、事業化等の検討を行い、開発の基本構想を策定する予定にしております。63年度以降は、これらの基本構想を踏まえて引き続き同構想の実現に向けて段階的に取り組んでいくというスケジュールで対処しているところでございます。
 次に、久米島空港のジェット化問題でお答えいたします。
 久米島東側空域は、米軍演習空域が設定されているため、那覇―久米島間の航空路は沖縄ラブコン――これは嘉手納管制ということだそうでございますが――の管制下で運航されているとのことでございます。同航空路における航空機材の安全運航を図るため、米軍と運輸省が協定した飛行ルートによって運航が行われているという状況でございます。
 なお、久米島空港の増便につきましては、新聞に報道されているように米軍から待ったがかかったかどうか関係者に問い合わせたところでございますが、その事実はないとのことでございます。
 そのことと関連してジェット化をするのかという御質問にお答えいたします。
 久米島におきましては、近年、自然景観を生かしたリゾート開発により観光客等の需要の増大及び農水産物の貨物量の増大等によりまして、将来においては現在就航しているYS11型機での対応が極めて難しい状況にあると判断しているところでございます。このため久米島の両村を初め、農協、漁協及び観光協会等の諸団体から国、県に対して久米島空港の早期ジェット化の整備要請がなされた経緯がございまして、本県における離島振興開発の観点から重要な施策として第2次振興開発計画でも位置づけて整備を行うものでありまして、米軍の管制区域、訓練区域を理由にジェット化を行うものではございません。
 次に、久米島空港のジェット化に関連いたしまして距離が近いということでのジェット化した場合の航空機の安全運航上危険性が増すとの、危険性はないかということでございますが、お答えいたします。
 那覇―久米島間、飛行距離、約150キロでございますが、ジェット化された場合の運航につきましては運輸省の諸基準に基づいて運航されるものでございまして危険性はございません。
 なお、現在、宮古―石垣――これは133キロでそれ以下でございますが――においても小型ジェット機のボーイング737が就航している実績もございまして何ら問題はございません。
 我が国のそういった短いジェット区間といたしましては対馬―福岡が199キロ、函館―千歳が189キロでございますけれども、ハワイ等におきましてはオアフ島からモロカイまでの距離が87キロでございますし、オアフ島―マウイ島158キロ、さらにカウアイ島までは166キロとなっておりましていずれも同じ機材の737型のジェット機が就航している実績がございますので、何ら問題はないと考えているところでございます。
○議長(志村 恵君) 宮城清順君。
   〔宮城清順君登壇〕
○宮城清順君 知事、洋上学校構想、御答弁をいただきましたんですが、政府としても、さき申し上げたように予算委員会等で積極的な構想実現に向けての姿勢を示しております。特に本県の場合はこういう海洋県という立場でありますので、全国に先駆けて名のりを上げるなり、国に積極的な要請を今後やるべきであると我々はこのように思っているわけですけれども、今後の決意を最後にお聞かせをいただきたい。
 それから全国植樹祭でございますが、復帰20周年記念事業としての位置づけで誘致の方向というこれまでの県の方針にあったようでありますが、先ほどの農林水産部長の御答弁で、いわゆる体制づくりが不備で67年開催はかなり厳しくなってきているというような御答弁であったようですが、そうしますとせっかくのこの20周年記念事業、そして県全体としての緑化思想の高揚の意味からも、これは非常にゆゆしき問題であると思うわけです。そういう準備体制をこれからもつくりまして早期に、厳しいと言わずに国体後、早期に準備体制をつくって全国植樹祭を本県で行う考えがないかどうか再度お尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 洋上学校につきましては、問題点をクリアしながら前向きに検討したいと思っております。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) 先ほども御説明いたしましたとおり、全国植樹祭を開催いたしますにはやはり場所の特定が一番重要でございまして、それと同時にまた植樹祭をするまでの環境の整備、いわゆる森林らしい準備が必要でございまして非常に期間を要すると。こういうようなことを考えますならば、大体5月に開催されておりますから、今から考えますとあと四、五年しかないと。こういうことで私ども農林水産部といたしましては、確かに全国植樹祭を沖縄で開催するには復帰20周年という区切りの年に開催するのが望ましいとは思いますけれども、全国的な行事を開催するわけでございますので、余り取り急ぎやるというのも現状からいたしまして非常に難しいと、このように考えております。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前11時35分休憩
   午後1時1分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 下地常政君。
   〔下地常政君登壇〕
○下地常政君 通告に従いまして一般質問をしてまいります。
 夏季国体を成功裏に終えてホッとする間もなく本番の秋季国体、そしてかりゆし大会と相次いで迫ってくる大行事の準備で心身ともに緊張の緩む間もない西銘知事ほか県の役職員の皆様には本当に御苦労さまに存じます。そのような皆様方をしばらく議会でお引きとめすることになるわけですが、しかし議会制民主主義が具体的に発現されるこの尊厳な議会もまたおろそかにすることはできません。
 以下、通告に従い質問してまいりますが、その前に若干所見を申し上げます。
 御承知のように、先月17日、米ソ間におけるINF(中距離核兵器)の全面削減が大筋において合意されたという明るいニュースが全世界を駆けめぐりました。
 ここで、私事にわたって恐縮ですが、私は、全国都道府県議長会主催の欧州視察に参加し東西の一部ではありましたがその実情を見聞し、国際情勢及びその裏面事情等について多くの有益な示唆を受けてまいりました。年間500万人もの人々が海外へ旅行する時代に地方議会といえども外国の文化、社会、経済、政治等に対する理解なくしては国民の将来志向あるいはニーズ等を把握し、それにこたえる活動を行うことはできないと思います。
 さて、今回の交渉の成功も米ソ両国の平和への希求という善意もあったからであることは当然ですが、しかしそれだけではあの成果をもたらすことはできなかったと思います。国際政治の動向を決定するのは、そのとき作用する政治力学でありムーブメントであります。この場合、アメリカ側にはレーガン大統領が、その残り少ない任期中にアメリカ政治史上に記録される業績を残したいという強い願望があったことが挙げられます。ソ連の方の要因はもっと多様でしかも緊急なものがあります。ヨーロッパの陸続きの国境を越え、東と西を往来しますとその経済的な格差の大きいのに驚かされます。
 ソ連について見ますと、店先に並ばなければ欲しいものも手に入らないという消費水準の低さは慢性的となっていますが、政治、社会、産業各分野においても例えば先端技術の立ちおくれ、農業の不振、シベリア開発の遅延、官僚の非能率と腐敗、言論統制、政治的自由の抑圧等が恒常化しています。そのため国民の不満は一層募り、ゴルバチョフ書記長ならずともこのような状況を放置するわけにはいかず、そこで勇気と決断を持って政治、経済の改革、いわゆるペレストロイカ、それと情報公開、言うところのグラスノスチを断行したというわけです。革命後70年にわたって築かれた官僚組織の権益を死守しようとする保守派と改革派の間に深刻なヘゲモニー争いがあると聞いていますが、ともかくこのような国内改革を推進するためには中国、アメリカとの関係を改善し軍縮を実現して膨大な軍事費を抑え、あわせてアメリカ、ヨーロッパ間の軍事的結束にくさびを入れ、一方、日本を初めとする西側先進諸国の技術と資本を利用してシベリアを開発しなければならないという事情があります。
 このような背景があって今回の米ソの合意がなされたと言えます。
 私が申し上げたいのは、沖縄の諸問題の解決についてもこの相手の弱点を見抜き、手持ちの切り札を有効に利用するというしたたかな政治交渉の手法を活用されてはいかがかということであります。
 アメリカは、沖縄の基地を必要としており、日本政府は、極東の安全という大義名分のもと、必要な基地の大部分を沖縄に置き、県民はこれに伴うもろもろの事故、事件等受忍を余儀なくされています。これは明らかに不本意な現実でありますが、しかし見方を変えますとこの事実は我々県民の切り札でもあります。先ほど石川議員も触れられましたように基地騒音防止協定の蚊帳の外に置かれ、アクロバット飛行が自由に行われるという明らかな差別を初め金武ミサイル部隊の居座り、基地従業員の大量解雇、原子力潜水艦の寄港、船舶の被弾、県道越え軍事演習、那覇空港の危険な軍民共用、その他基地から派生する諸問題とあわせて不合理な交通税とこれに伴う割高な航空運賃、公共工事費の県外流出、企業誘致の行き詰まり、不当な船舶の貨物運賃等問題が山積していますが、県は、権謀術数をとは申しませんが、硬軟両様の交渉術を活用して日米両政府に当たり、その解決を図るべぎではないか、こう考えるのであります。
 さて、先ほど触れましたように夏季国体も成功裏に終えましたが、秋の国体に向け県民多数が待ち望んでおりました天皇陛下の行幸が取りやめとなったことは大変残念でなりません。
 先日、タクシーに乗り合わせた際、運転手さんがおっしゃるには、自分も戦争でおやじを亡くしたが、天皇陛下がおいでになって慰めのお言葉の一つもいただければ父のみたまも浮かばれたと思うということでした。私は、これが県民多数の偽らざるお気持ちであると思います。
 私たち日本国民は、多数の合意でもって天皇を国民統合の象徴となし、その旨憲法にも明記しました。とするならば、どのような立場であれ日本国民の象徴という重要な地位にある方にはそれなりの敬意を払い、お立場を尊重するのは憲法の趣旨に沿うものではないでしょうか。その点で私は、社大、公明、民社の各党の天皇陛下に対する態度を高く評価し、真の大衆政党として明確に正しく対応されたことを心強く思うところであります。今となっては私たちは、皇太子殿下の行啓を心から温かくお迎えするよう決意し、あわせて天皇陛下の御病気の速やかな御回復を切にお祈りしたいと思います。
 ところで、政府関係省庁及び県議会の皆様の御理解と西銘知事及び県農水部の特段の御配慮によって事業化された宮古の地下ダムも、いよいよこのたび着工の運びとなりました。今月8日にはぜひ知事にも御来島いただいて、郡民とともに喜びを分かち合っていただきたいと思います。
 また、ミカンコミバエに次ぎウリミバエも近く根絶の見通しとなり、宮古農業の将来発展のための大きな条件整備が着々と進んでいます。これらにつきましては、先輩砂川武雄元副議長も議会の立場から長年実現に努力されましたことは皆様が御承知のとおりであり、ここでその御労苦に敬意を表したいと思います。
 このほか地価の高騰、久米島航空路線の増便、キビ価格要求、総合保養地域整備法の見直し、新石垣空港建設、単位制高校設置、高校中退者の増大、さらにまたけさの新聞にもありましたが、宮古地区におけるパヤオの設置問題等々言及すべき県政の問題は数多くありますが、これらについてはまたの機会にして、今回、次の6つの点について質問してまいりますので、よろしく御答弁のほどをお願いします。
 1つ、夏季国体の総括と国体警備についてであります。
 冒頭にも触れましたように夏季国体は99.99%成功裏に終わり、県民の一人として喜びにたえません。西銘知事初め関係者の方々に深く敬意を表し、あわせて秋季国体の成功と無事を祈らずにはいられません。
 そこでお伺いします。
 1つは、あえて100%と言わなかったのは、秋季国体に向けて反省点とすべきのがあったのではないかと思いますが、それにはどのようなものがあるか。また成功の要因は何であったと考えるか。
 2つ、秋季大会は何といっても規模が違います。既定の方針と計画に従って準備を進めるほか、夏季国体の反省に立って特に強化あるいは修正または重点的配慮をすべき点はないか、御回答お願いします。
 次に、国体の警備についてであります。
 坂田派出所の放火事件を除き警備はほぽ万全で大事に至らず、大方の県民の期待にこたえて夏季国体を成功裏に終了させた警備当局並びに第一線の警察官の皆様に心から敬意を表します。
 そこでお伺いします。
 1つは、夏季国体警備につき当事者としてどう評価するか。また反省点はないか。
 2つは、労働組合を中心とする革新団体の警備過剰批判に関し、1つ、過剰警備110番についてはどのように把握されているか。2つ、これまで過剰とされたのはどういうものがあったか。110番あるいはその他の組織等から指摘のあったものについてお伺いします。
 3つ目、それらについて警備当局としてどのような見解を持たれるか明確にお答えを願います。
 それから夏季国体の警備の経験を踏まえ、メーンである秋季国体の警備体制をどのように考えているか。天皇行幸取りやめとの関連ではどうか、お伺いいたします。
 大きい2番目に、景気の動向についてであります。
 62年度も既に折り返し点を過ぎました。県は、予算編成に際し県経済予測をされたわけでありますが、現時点で予測と実勢はどのように推移しているかについてお伺いします。
 1つは、県民総生産及び経済成長率はどうなっているか。それから県内需要、県内純生産、消費者物価等についても実績をお伺いいたします。
 2つ目は、雇用、失業の実勢はどうなっているか。
 3つ目、国が推進している内需拡大策の県内における影響はどうか。
 4つ、今回補正予算による経済効果はどのように予測されるか。
 5つ、現在までの諸要因の実績によって今後の動向はどう予測されるか。修正の必要はあるのかないのかどうか、以上お伺いします。
 大きい3つ目に、城辺町浦底の養殖モズク汚染についてはさきに石川議員の質問とも重複しますが、1年間の労苦の結晶を収穫を目前にして壊滅した漁民の心情に深く思いをいたし、あえて重ねてお伺いいたします。
 1つ、排水路工事を行う上で土砂流出防止にどのような対策をなしたか。また今後どのような対策を考えているか。
 2つ、民間に調杏を季託したと聞いているが、その目的、内容、報告期日等はどうなっているか。
 3つ、この問題については排水路工事着工に至るまでの手続等を含め地元城辺町が関与する部分はないのか。また町はどのように対応すべきであるか。
 4つ、被害発生の前後において当該地域の自然環境はどのような状況にあったか。排水路工事現場に隣接して大規模なクチャ採取が行われている事実等も含めて説明していただきたい。
 5つ、被害業者が今後ともモズク養殖を継続していくため、県は基本的にどう対処するつもりか。
 6つ、被害業者の救済についてどのように考えているか。
 7つ、上流から大量の土砂が流れたと言われているが、対策をどう考えているか。
 8つ、農業と水産業は並行して振興を図っていくべきであるが、総合的な観点から県の対処方針をお伺いしたい。
 次に、大きい4つ目にまいります。県内市町村の国民健康保険事業についてお伺いいたします。
 宮古平良市の例に見るように、今、県内各市町村の国保事業は財政的に窮地に追い込まれていると聞きます。
 そこでお伺いします。
 1つ、各市町村の国保事業の実態はどうなっているか。細かいものであれば資料で結構ですから明らかにしていただきたい。
 2つ、各市町村の国保税額の県民所得に占める割合はどうなっているか。
 3つ、赤字団体については県としてどのように指導したか、あるいは指導しようとするのかお伺いします。
 大きい5つ目でございます。東京―宮古直行便についてお伺いします。
 1つは、羽田空港の拡張整備工事が進められておりますが、その進捗状況はどうなっているか。
 2つ、新規に増加する離発着枠に対する全国各県の需要状況はどのようになっていると聞いていらっしゃるか。またその割り当ての見通しについてはどうか。
 3つ、その中で宮古直行便についての見通しはどうか。
 4つ、関連して、前回要望いたしました直行便運航に必要な宮古空港の拡張整備計画についてはどこまで進展しているか、以上お伺いします。
 最後になります。県交通体系の見直しについてでございます。
 報道によりますと、県は、総合交通体系の見直し作業に入ったとされています。
 そこでお伺いしますが、1つは、見直しの理由は何か。その必要性。
 2つ、見直しの骨格は何か。
 3つ、見直しの線上にある県交通体系の全体ビジョンとしてどのようなものを想定しているか。
 4つ、その中でモノレール計画についてはどのように扱うつもりか。
 私見では、この際勇気を持って代替手段を考えるべきであると思いますが、どうですか。
 以上、御答弁をいただき、必要であれば再質問いたします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 下地常政議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 夏季国体の総括とその反省点についてお答えいたします。
 夏季大会は、4900人余の選手、監督の参加を得まして無事終了することができました。これは関係機関団体等を初め県民各位が一体となって、「一人一役 万人が主役」を合い言葉に来県される大会参加者の皆様を温かく迎える体制づくりを進め、南国沖縄にふさわしい飾花や環境美化、心のこもった湯茶の接待等が大会参加者に深い感銘を与えたものと考えております。また先催県においては例を見ない航空機による全国輸送及びバスによる到着時輸送等の実施や、宿泊等における関係各位の全面的な協力と尽力により施設サービスの面において万全な体制が図られたこともその一因と思われます。開閉会式、式典、集団演技においては、本県の伝統文化を活用した郷土色豊かな演出により沖縄県らしさを十分に表現することができたと考えます。これも指導者及び出演者各位の昼夜を分かたぬ御尽力のたまものであります。競技運営については各市町村、各競技団体が連携を密にして競技役員等の適切な対応によりスムーズな競技運営がなされました。また県選手団においては、選手及び指導者の努力が実り、県民の期待にこたえて各競技に優勝や上位入賞を果たし大会を大いに盛り上げるとともに、
県選手にとっては秋季国体に向けて天皇杯、皇后杯獲得に大きな自信と励ましになったものと考えます。
 以上が夏季大会成功の大きな要因であったと考えます。
 一方、秋季大会については34市町村、74の競技会場にも及び、競技種目も32競技と大会も一層大規模となるため、夏季大会の経験を踏まえまして各会場地市町村を初め関係機関団体とも一層の連携を図り大会運営に万全を期してまいる所存であり、県民各位のなお一層の御尽力と御協力を賜りたいと思います。
 次、東京―宮古直行便についてお答えいたします。
 運輸省によりますと、全体計画として3本の滑走路を新設し、そのうち1本は昭和63年7月に供用開始の予定となっておりますが、残る2本については諸般の情勢から当初予定の昭和68年7月供用開始がおくれるようであります。
 新規離発着枠に対する各県の乗り入れ希望は現在のところ5県からなされておりまして、新規及び増便路線として22路線の開設要求があり、運輸省において今後の航空需要動向等を含め総合的に検討がなされているようであります。
 宮古―東京直行便につきましても総合的に検討がなされている段階であり、県としてはなお引き続ぎその実現に向けて鋭意努力する所存であります。
 その他の質問につきましてはそれぞれ企画開発部長、農林水産部長、土木建築部長等から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 警察本部長。
   〔警察本部長 菅沼清高君登壇〕
○警察本部長(菅沼清高君) お答えいたします。
 初めに、海邦国体夏季大会に伴う警備につきまして評価をしていただきましたことにつきお礼を申し上げます。
 御質問第1点の海邦国体夏季大会警備についての総括についてでございますが、県警では、今回の海邦国体、かりゆし大会の警備を行うに当たりまして、国体粉砕を叫ぶ極左暴力集団の妨害行為を封圧いたしまして、来沖される要人の方々や選手、役員など関係者の安全を確保することを重点とする一方、警備諸活動に伴う県民生活への影響は極力少なくしつつ、国体諸行事を平穏かつスムーズに終わらせるという方針のもとに進めてきたところであります。
 先般の夏季大会警備につきましては、国体要人に対する極左暴力集団の直接的妨害行為を封圧することができ、その他の事件、事故もなく、また交通規制の面におきましてもこれといった混乱も見られず、平穏のうちに終了することができたと考えております。皇族の警備につきましても、皇室と県民との親和を妨げないという点に配慮したつもりでありまして、このことにつきましては担当の侍従から、非常にスマートな警察活動をやってもらって感謝していますとの言葉があったところであります。次の秋季大会、かりゆし大会につきましてもそのような方針、姿勢のもとに県民の皆さんの協力を得ながら進めてまいりたいと考えております。
 御質問の第2点の過剰警備110番なる組織及び過剰警備とされているものについてでありますが、県内にそのような名称の組織が存在し、記者会見などを行っていますことはマスコミ報道により知っておりますが、組織の内容等につきましては報道されている以上のことは承知いたしておりません。
 また、その団体から、いわゆる過剰警備なるものについての申し入れや連絡を受けたということもございませんが、この団体が発表しているいわゆる過剰警備の事例として伝えられているものにつきましては明らかに事実に反するもの、一方的な見方で事実の歪曲があると見られるもの、またいつ、どこでといった具体性がないために事実の確認のしようのないものなどでありまして、例えば警察による浮浪者狩りなるものについてでありますが、その事実関係は7月23日、北中城村字島袋在の県道22号線沿いに木片で板囲いをつくって住んでいた者に対しまして、道路管理上の必要から道路管理者たる土木事務所員が本人の同意のもとに撤去したものでありまして、同人の病院入院につきましても土木事務所員から引き継いだ村役場の職員が福祉事務所の職員と相談の上病院で診断を受けさせ、本人同意のもとに入院収容したものと聞いておりまして、警察官は土木事務所員が工作物の撤去を申し入れるに際し、トラブルがあってはいけないからとの申し出で現場に立ち会ったものでありまして、浮浪者狩りなどと言われるようなものではございませんし、また国体警備に何の関係もないものでございます。
 また、名護警察署長が方言使用禁止発言なるものをしたということにつきましても、そのような事実がなかったということは10月1日、大宜味村の区長会が明言をしているとおりであります。
 また、労働組合幹部宅への捜索は組合弾圧だという声明が9月21日、県高教組から出されたごとも承知しておりますが、これは去る8月27日、東京都内で発生いたしました極左暴力集団中核派によるいわゆる迫撃弾事件に関連して警視庁が裁判官の捜索、差し押さえ許可状を得、これに基づく嘱託捜査として9月13日、沖縄県警が行ったものでありまして、その中に労働組合幹部宅があったといたしましても、それは組合弾圧などというものでないことは、今お話いたしましたことから御理解をいただけると考えております。
 いわゆる過剰警備問題につきましては以上のとおりでございますが、今回の警備に関しましては警備活動や交通規制に伴って一般県民の方々に極力御不便のかかることのないよう配慮してきたところでありまして、万一そのようなことがありました場合には正すべきものは正し、さらに御理解、御協力を得るためお願いすべきものはお願いをするため、その種の申し入れ、通報についてはすぐに対応できるようにしておりましたが、この警備期間中、交通規制の解除時間等について数件の問い合わせがありましたほかは、幸い苦情というようなものもなく県民の皆様の御理解、御協力が得られたものと喜んでいるところでございます。
 御質問の第3点の夏季国体の経験を踏まえた秋季国体の警備体制いかんとの点についてでありますが、行幸中止発表直後の9月28日に極左暴力集団の中核派は緊急声明なるものを出しまして、海邦国体粉砕の既定方針をさらに徹底的にエスカレートさせるという旨の言明をいたしておりますし、9月23日未明の極左暴力集団革労協による浦添警察署坂田派出所放火事件に見られますように彼らは常に警戒のすきをついて人命損傷を伴う凶悪な行為を敢行するわけでありまして、国体を取り巻く情勢にはいささかの変化もないものと判断をいたしております。このためどなたが来沖されるにせよ、その安全の確保を含めて国体が平穏のうちに成功するよう万全の警備体制で臨むことといたしたく考えております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 金城祐俊君登壇〕
○企画開発部長(金城祐俊君) 下地常政議員の62年度の経済見通しと現時点までの実績との関係、それから国の内需拡大策の影響、補正予算の経済効果はどのぐらいと見ているか。また62年度の県の経済見通しを修正する必要はないかとの御質問に対してお答えいたします。
 昭和62年度の経済成長率は実質で4.7%と予測いたしておりますが、これは年度統計に基づいてマクロ的に推計したものであります。したがいまして経済成長率が予測どおりに推移しているかどうかを年度途中で見きわめることは困難であります。しかしながら個別指標から最近の景気動向を見ますと消費関連は伸び悩みの状況にありますものの、消費者物価は予想以上に安定し、雇用失業情勢は就業者が前年同期、これは今年4月から8月、前年の4月から8月の期間でありますけれども、前年同期より1万1000人の増加がありましたし、完全失業率も高率ながら前年同期より0.3ポイント改善されております。また住宅建設は6月まで不振の状態が続いておりましたけれども、内需拡大策等の効果もありまして7月から回復基調を示し、観光関連は引き続き順調に推移していると見ております。また今回の補正予算は公共事業を中心とした大型なものでありますので、内需拡大に大きく寄与するものと考えております。
 以上のような状況から、今後の県経済は拡大基調で推移することが見込まれますので、62年度見通しの経済成長率は確保できるものと考えております。
 次に、県交通体系の見直しについての御質問にお答えいたします。御質問は4点ありますが、関連いたしますので一括してお答えいたします。
 沖縄県総合交通体系基本計画は、人や物の円滑な移動を確保することを目的に昭和56年度に作成され、その整備目標をプロジェクトの成熟度、緊急性等から前期、後期、長期に区分して策定されております。しかしながら策定後における全国総合開発計画等の上位計画の改定、諸プロジェクトの進捗の状況及びその他社会経済情勢の変化等に伴いまして見直しを行う必要が生じたものであります。見直しに当たりましては現計画の基本方針を踏まえ、国際、県際交通の拡充、都市機能の再配置と交通施設の整備拡充、公共交通機関の機能強化等の理念を堅持しながら望ましい交通体系の整備目標を設定したいと考えております。またモノレール導入計画につきましては、既定方針どおり条件整備に努めているところであります。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) モズク汚染につきまして数点の御質問がございましたので、順次お答え申し上げます。
 まず、土砂流出防止にどのような対策をしてきたかということでございますが、県営かんがい排水事業比嘉地区は、城辺町の北西の約500ヘクタールの農地を湛水被害から解消するため、昭和59年度から67年度までに排水路延長5900メートル、総事業費約17億円の予定で改修整備しているものであります。この排水路工事の施行に当たりましては、下流側の工事が地形的に厳しく地すべりの危険性も高いことから沈砂池を設置したほか、浸食防止のためにのり面保護を行うなど土砂流出防止に努めて施行してまいりました。今後とも工事の施行に当たりましては引き続き土砂流出防止に最大の努力をしていく考えであります。
 民間に調査委託した件でございますが、農林水産部の調査結果では被害原因の特定ができませんでしたので、引き続き海域の現状をより詳細に把握するため底質、水質、流況及び水深の状況につきまして専門的立場からの調査を民間のコンサルタントに委託しておりまして、10月中にはその結果が得られることになっております。
 今回の問題につきまして城辺町当局はどのように関与してきたかということでございますが、比嘉排水路工事は、土地改良法に基づく受益者からの申請事業として実施されております。申請の準備段階では城辺町が中心になりまして一定の地域を定め、計画概要書の作成や地元意向等の把握を行ってまいりました。申請に当たりましては城辺町において事業計画概要書の公告縦覧を行い、受益者の同意や城辺町の意見を聴取した後、県へ進達され事業採択されたものであります。また事業完了後の排水施設の管理者及び国、県を除いた費用の負担につきましても城辺町となっております。また今回のような漁業に被害が発生した場合は、その対策等につきましては第一義的には地域行政をあずかる町当局が積極的に対応すべきであるとの認識をしております。県といたしましては去る8月27日、町長に対しまして町当局の対処方針を提示するよう求めたところでありますが、現在のところまだ回答がないわけでございますので、早い時期に意見を聞きたいと考えております。
 被害発生後の前後におきまして当該地域の自然環境はどのような状況にあったかとこういう御質問でございますが、浦底の養殖モズクの被害につきましては昭和61年、いわゆる昨年5月にも同様な被害が発生しております。この前後におきまして当該地域の自然環境に人為的に影響を与えた事項といたしましては、昭和59年度からの比嘉排水路工事、これは約310メートル、それから昭和58年度からの町当局による漁港の防波堤工事約290メートル、それから昭和61年度からの同じく町当局による漁港関連道路の工事約185メートル、それから昭和60年度の漁業者による養殖漁場の造成工事、これは約7ヘクタール及び昭和61年からの民間業者によるクチャ採取、これは約0.8ヘクタール――等の関連工事が現状でなされているわけでございます。
 モズク養殖を継続していくために県の基本的な考え方はどうかということでございますが、被害を受けた漁業者の養殖継続につきましては、漁業者の意向を踏まえて城辺町当局の考え方も聞いた上で基本的な対応策を検討する必要があると考えております。なお、被害を受けた養殖漁場の利用継続につきましては、現在委託している調査の結果を踏まえまして総合的に検討していきたいと考えております。また漁業者から漁場移動についての要望があれば、町当局とも連携をいたしまして試験養殖の実施及び養殖技術の指導等対応していきたいと考えております。
 被害漁業者の救済につきましては、現在のところ制度的な救済措置はございません。しかしながら水産業振興の観点から、町当局の意見、考え方等も聞いた上で被害を受けた漁業者からの要望があれば、養殖業を継続するのに必要な資金等につきまして融資のあっせん等積極的に対処していきたいと考えております。
 それから土砂流出対策と農業と水産業との総合的な対策はどうかという御質問でございますが、県営かんがい排水事業比嘉地区の受益地区の圃場整備の施行に当たりましては、土砂流出防止の沈砂池約30カ所を計画し、現在のところ7カ所が設置済みでありますが、今後とも圃場整備の進行にあわせまして沈砂池を機能的に配置していく考えであります。農業と水産業を同時に振興していくためには、基本的には農業基盤整備事業の実施に当たりまして土砂の流出を最小限に食いとめるよう努力する考えであります。しかしながら土砂流出を完全に防止することは現段階における技術では困難でありますので、専門家の指導も仰ぎながら土砂流出防止対策の技術開発が可能かどうかについても今後積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(志村 恵君〉 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 平敷昌一君登壇〕
○生活福祉部長(平敷昌一君) 国民健康保険事業について3点ばかり御質問がありましたので、お答えいたします。
 まず1点目、県内の保険事業の実態はどうなっているのかという御質問でございますが、昭和61年度の決算見込みで申し上げます。
 収入が552億600万、それに対しまして支出は509億6500万でございまして、12億4100万の黒字になっております。しかしこれは前年度60年度に比べまして平均で15%ほどの保険税の引き上げを行っております。15%の保険税の引き上げを行った上にさらに19億800万程度の一般会計からの繰り入れを行っておりまして、したがいまして一般会計からの繰り入れがもしないとしますと逆に6億6600万の赤字ということになりまして国保財政は大変厳しいということが言えると思います。
 53市町村のうちで6市町村が赤字でございます。赤字の総額も4億3900万というふうに前年度よりもふえております。その大きな原因として考えられますことは医療費の伸びが大変著しいということでございます。これは全国一の伸び率でございます。もう一つ保険税の収納率が全国一低いということでございまして、保険財政を圧迫しているということが原因だろうというふうに考えております。
 次に、2点目の国保税の県民所得に占める割合は幾らかという御質問ですけれども、昭和60年度における1人当たり県民所得が154万2000円でございますので、国民健康保険の被保険者1人当たりの保険税、これは2万3783円ですから県民所得に占める割合は1.5%ということになります。
 次に、赤字団体について、県はどのような指導をしているかということですけれども、国民健康保険法で県は保険者であります市町村に対して指導する機能を持っております。そこで国保事業の健全運営に関しまして常に指導を行っておりますけれども、特に赤字団体に対しましては、1つ目には保険税の適正賦課を図ること。と同時に保険税の収納率を高めることを指導しております。2つ目には、医療費の適正化対策としましてレセプトの点検を強化すること。3つ目には、医療費抑制をするための健康づくりでありますとか、疾病予防などの保健事業を重点的に指導を行っております。特に厚生省から指定を受けました赤字解消団体、これは沖縄県に2つありますけれども、県と当該団体の間で調整を行いまして赤字解消計画を策定いたしまして、この計画の達成に向けて指導を行っております。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 東京直行便と関連いたしまして宮古空港の拡張整備計画はどうなっているかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 宮古―東京間に直行便が実現した場合、就航機材はまだ定かでございませんが、考えられますのは当面は中型ジェット機のB-767型クラス、将来に向けましては747型等の機種も考えられるわけでございます。その場合、当然その機種に対応した滑走路、エプロン等の施設拡張整備を図っていくことになりますが、今後の拡張整備計画につきましては東京直行便の実現時期及び航空需要の動向を勘案し対応していきたいと考えております。
 なお、中型ジェット機767型クラスが就航を予定した場合には滑走路のかさ上げ、エプロンの拡張等でおおむね十二、三億かかるんじゃないかと考えておるところでございます。将来的に大型747型クラスの場合、当然に滑走路の2500メートル延長でありますとか、かさ上げその他エプロン拡張等の問題が出てこようかと考えているところでございます。
○議長(志村 恵君) 岸本安神君。
   〔岸本安神君登壇〕
○岸本安神君 まず初めに、沖縄自動車道の料金の問題について質問を行います。
 道路行政の意義と道路交通の重要性を言いますと、道路行政は、交通輸送の基本的な施設としての道路の整備とその機能の円滑な発揮を図ることを目的とする行政であり、そのために県土開発への寄与、県民経済の発展と県民生活の利便への貢献という観点から見て県政の中でも最も重要な政治課題の分野であると考えます。また近年における本県の自動車交通の著しい発達は、交通運輸体系の中における道路交通の比重を急激に増大させるに至っていることは御承知のとおりであります。特に自動車交通の飛躍的な増加は、必然的に本県における道路網の基本的な整備とその近代化の必要性を急速に高めるに至っており、本県の自動車道等の県土の幹線的道路網として今後は人口、産業の都市集中による交通過密化の著しい都市圏域、道路の近代化、地域連絡道路の開発整備、自動車交通が県民の日常生活に密着したことに伴う生活圏道路の整備に至るまで道路に関する公共投資への要請は極めて強いものがあると思います。
 このような意義と目的に基づいて、今回の沖縄自動車道那覇―名護間の開通は喜ばしいことであるし、那覇―名護まで約1時間圏内に行けるということも、本県の県民活動と経済の発展にとって飛躍的に期待されるものであります。しかし沖縄自動車道の料金設定は、沖縄交通網全体の緩和や経済活動に利用するにはいささか危惧をするものであります。なぜならば料金設定は那覇―名護間の片道料金で1300円、名護―石川間は、これまでの450円から一挙に33.3%も値上がりして600円となっており、県民はこれを不満とするところであります。
 そこで、沖縄県は鉄道の恩恵を受けていませんので、JR(国鉄)九州料金表(距離別料金表)で比較してみますと、21キロメートルから25キロメートルまでは380円、26キロメートルから30キロメートルまで460円、31キロメートルから35キロメートルまでは540円、36キロメートルから40キロメートルまでは620円、41キロメートルから45キロまでは700円、46キロから50キロメートルまでは780円、51キロから60キロメートルまでは900円、61キロメートルから70キロメートルまでは1060円というふうな形になっております。名護―石川間の距離は25.9キロメートルでありますので、JR九州料金表からすると460円になると思います。また名護―那覇間の距離は57.3キロメートルでありますので、JR九州料金表からして900円になります。
 一方、今回の自動車道の料金設定からして、1キロメートル当たり21円70銭プラスターミナルチャージ料100円となり、那覇―名護間の料金が57.3キロメートルで1300円と高い料金設定をされました。
 また、御当局の説明によると、250回券を発行して2割安で1040円になる割引券を発行すると言っておりますが、現実の問題としてこれはどうでしょうか。JR九州料金表からすると、名護―那覇間の900円と比較しても140円高いことになります。
 なお、この料金設定について知事初め関係当局はいろいろと御苦労なさったかと存じますが、この折衝の経過等について具体的に説明をお願いいたします。
 次に、本県の陸上交通においては、他の都道府県と異なり鉄道等の大量輸送機関がなく、おのずからバス、タクシーなど自動車交通手段に依存しております。特に道路の絶対量の不足、整備等の立ちおくれにより交通渋滞が慢性化をし、県民生活を初め産業活動及び都市機能にも障害を来しております。したがって今回の料金設定には反対をして、もっと強い姿勢で要請すべきと思います。
 同時に、この料金設定でいきますと国道、県道及び幹線道路などの整合性を失い、依然として交通渋滞の緩和ができないことはもとより、自動車道の運営や合理的な道路体系もできないと考えますが、御当局の説明を求める次第であります。
 2番目に、県立名護青年の家の施設拡充について質問を行います。
 県立名護青年の家は、昭和41年に開設以来、二十数年を迎えることになりました。利用者も年々ふえることと並行して研修棟、体育館、厨房などの増改築、遊歩道、キャンプ場、運動場等の設置、環境整備の充実強化に力を入れていただきまして、関係当局に心から感謝するところであります。
 ところが、名護青年の家の現状を見た場合に、現在の96人の宿泊施設及び研修施設ではどうにもならない状態にあります。なぜならば教育の活性化が国民の重要な課題となっている今日、親と子、教師と児童生徒、仲間同士の触れ合いを求めて利用希望者が激増している今日であります。現在の96人収容能力では集団宿泊学習の実施が不可能となっております。また青年の家の教育目標である健全な青少年の育成を図るため主として共同宿泊生活を通して教養の向上、身体の増強、情操の純化を図るとともに、家庭や学校、職場で得がたい人間と人間の触れ合いを正しく理解させ、和をとうとぶ態度を養いながら、自主性と創造力を確立できる視野を広める教育目標施設としては今の段階では大変狭い状況になっております。そこで今後は、学校生徒の場合においても学年単位による集団宿泊学習が実施できるような計画をしなければならないと思っております。そこで現名護青年の家の施設拡充について、今後どのような方法で進めていくのか当局の御説明をいただきたいと思います。
 3番目に、土地改良事業について。
 本県の農業基盤整備はまだまだ立ちおくれており、全国の整備基準との間に著しい格差があります。県農林水産部の61年度の資料からすると、圃場整備の計画面積が4万4000ヘクタールで、昭和61年度整備済み面積は1万730ヘクタール、整備率で24.4%。かんがい排水整備計画面積で4万7000ヘクタールで、昭和61年度整備済み面積は6410ヘクタール、整備率で13.6%となっております。また農道整備計画では1900キロメートルで、昭和61年度整備済みは744キロメートル、整備率で39.2%になります。農地開発整備計画面積で4330ヘクタールで、昭和61年度整備済み面積で1136ヘクタール、整備率で26.2%になっておりますが、そこで圃場整備事業、かんがい排水整備事業、農道整備事業及び農地開発整備事業などの各圏域別、北部、中部、南部、八重山及び宮古、各地区ごとの整備計画面積に対する62年度終了時では、どのような形になるのか説明をいただきたいと思います。
 また、全体的にはかんがい排水整備事業が悪い状況にありますが、今後の整備計画達成はどうなっていくのか具体的に説明をいただきます。
 さらに、海岸保全事業の整備計画は205キロメートルで、昭和61年度整備済み16キロメートル、整備率で7.8%となり特に海岸保全事業がおくれている状況にありますが、これはなぜか、当局の説明をいただきます。
 次に、県立名護病院の新築問題について質問を行います。
 本県における医療を提供する対象である地域単位としての医療圏は、沖縄県保健医療基本構想の中で保健医療行政を効率的に展開するための地域として地理的、文化的、社会的条件などから6つの医療圏を設定しております。すなわち北部、中部、南部、那覇、宮古及び八重山の各医療圏に分けられております。この医療圏は、住民の生活活動、交通網などの諸条件を考慮して対処されたものと思います。
 県立名護病院は、この中の北部保健医療圏に属し、圏域内の地方公共団体は1市1町7村で、この圏域を管轄する保健所は名護保健所であります。この北部保健医療圏の主要死因別の状況について、特に3大成人病について当局の説明をいただきたいと思います。
 次に、人口10万対で比較してみると、悪性新生物、北部保健医療圏において死亡率で148、沖縄県105.5、全国141.9という形になっておりますが、その人口10万対での当局の資料がありましたら、資料で具体的に3大成人病について説明をいただきたいと思います。
 次に、医療施設の利用状況として質問いたしますけれども、第3次医療などの名護病院の医療圏において対応できない患者については北部保健医療圏外の医療機関を利用することは当然であるが、北部保健医療圏外の医療率が高いと私は考えております。それは医療圏設定の趣旨を十分に生かしてないことになると思います。このために北部中核病院である名護病院の物的、人的な装備を、需要に対応して十分充実させなければならないと思いますが、今後名護病院の整備拡充などについての県御当局の施策と御所見を求める次第であります。
 5番目に、クリーニングの福祉工場問題について質問を行いたいと思います。
 昭和62年度、生活福祉の目玉事業である身体障害者雇用促進のための福祉工場建設の問題は、現在、各業者間でいろいろと問題になっております。この問題点について県御当局のこれまでの姿勢、行政行為についてどのように進めてきたのか、その結果等について具体的に説明をお願いしたいと思います。
 さらに、1981年(昭和56年)に国連が定めた国際障害者年で障害者の完全参加と平等という目標のもとに今日までその行政行為が行われてきております。特に沖縄県においても57年に長期行動計画を策定して今日までそれを運用しておりますけれども、これまでの成果について具体的に説明をお願いいたしまして、答弁を聞いて再質問を行っていきたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 岸本安神議員の御質問に対しましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 岸本議員の沖縄自動車道の料金問題についてお答え申し上げます。
 県は、これまで料金問題に対してどう取り組んできたかというようなことについてお答えいたします。
 高速自動車国道の料金は、建設費、維持管理費等の費用を料金徴収期間内に償還できるよう設定する償還主義の原則を基本として、その他、他の交通機関の運賃との均衡、利用者の負担能力等総合的に勘案して算定を行い、運輸大臣の認可を受けて設定をされるものでございます。
 沖縄自動車道の料金につきましても、昭和62年10月8日から全線が全国の高速自動車国道の統一料金に組み入れられ、いわゆるプール制となるものでございます。しかしながら県といたしましては、所得水準が低いこととその利用が県内交通に限られているためその料金設定に当たりましてはできるだけ低水準になるよう日本道路公団及び関係省庁、これは建設省、沖縄開発庁、県選出、その他の国会議員の先生方に対しまして再三要請してきたところでございます。
 その結果、昭和62年9月8日に日本道路公団より公表された料金の中で幾つか減額措置がとられているところでございます。
 まず、北部区間につきましては、交通量僅少区間料金として高速自動車国道の料金水準キロメートル当たり21円70銭より20%割引の措置がとられたこと。また回数券割引制度として普通車について従来の31回券の3.2%引き及び110回券の9.1%引き回数券に加えて、今回新たに全国でも初めての措置として250回券の20%引きを南北全区間に導入することになったものでございます。ちなみに20%引き回数券を利用した場合の普通車の通行料金は、許田から石川間が480円となり、現行450円に近い料金となります。また許田から那覇間が1040円となります。
 なお、普通貨物車などの大型車及びトレーラー等の特大車につきましては全国同様、利用状況に応じて割り引きされることになっております。今後は、日本道路公団とも協議して250回券が広く手軽に一般利用者に利用されるよう取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 次に、料金問題と道路行政のことにつきましてお答えいたします。
 沖縄自動車道は、北部圏域と中南部圏域を結ぶ高速自動車専用道路として各圏域の均衡ある開発と経済発展に寄与するものであり、沖縄振興開発計画の中でも位置づけられているところでございます。また高速自動車国道は、時間の短縮、費用の節減、輸送コストの低下等十分地域に寄与するものと考えているところでございます。
 次に、料金の設定についてでございますが、既に供用されている石川以北の沖縄自動車道は一般有料道路で建設されておりますが、県民の所得状況及び県民が料金制になじんでないといった特殊事情等踏まえて料金も設定されたものでございます。しかしながらその採算性について申し上げますと、料金収入6億円に対しまして建設費の償還及び管理費等に約5倍の29億相当を要し採算ベースにのってないのが現状でございます。そのため石川以南の南部区間の建設に当たりましては一般有料道路での建設は困難となったため、高速自動車国道による全国プール制に組み入れ建設されることになった経緯がございます。全国プール制になった場合に特定の地域に特定の料金の軽減措置を講ずることはこれまで事例もございませんが、また特定の地域に特定な料金を設定することは他地域への波及、影響の問題、ひいてはそのことがエスカレートした場合に高速自動車道の制度そのものを根本から危険に陥れることが懸念される等のこともございまして、極めて困難であるということで実現を見なかったものでございます。今回の250回券の割引制度につきましても全国でも異例の措置でございまして、国の
特段の配慮により適用されるところでございます。
 今後は、その制度が広く手軽に利用されるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
○議長(志村 恵君) 教育長。
   〔教育長 池田光男君登壇〕
○教育長(池田光男君) 岸本議員の名護青年の家に関する御質問にお答えいたします。
 名護青年の家につきましては、本県における社会教育の研修の場といたしまして年間約2万人近くの青少年が利用しているところでございまして、広く青少年に活用されております。この名護青年の家の施設の整備拡充につきましては、現在、需要の多い体育館、競技場あるいは博物館、図書館等の他の社会教育施設の整備状況をにらみながら今後検討してまいりたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) 土地改良事業につきましてお答えいたします。
 各地区ごとの昭和62年度末での達成率の予想はどうかと。それとまたなぜ、かんがい排水事業がおくれているかとこういう御質問でございます。
 本県の農業基盤整備事業の中では、私ども、圃場整備事業、それから農道事業、それからかんがい排水事業等を積極的に推進してきているところでございますが、昭和62年度末の達成率といたしまして北部地区が32.6、中部地区が31.2、南部28.8、宮古19.5、八重山38.7というような圃場整備の達成予想でございます。
 かんがい排水事業につきましては、北部10.6、中部17.6、南部24.3、宮古5.7、八重山27.3。それから農道でございますが、北部35.3、中部39.9、南部49.2、宮古51.9、八重山34.9とこのようになっておりまして、これも地域の特性等いろいろなことによりまして達成率も変わっているわけでございます。特にかんがい排水事業の整備率が低いことにつきましては、本県農地の土地条件からいたしまして、まず農業生産の場としての圃場整備及び農道に対する農家の要望が強かったこと。また、かんがい排水事業につきましては水源開発を伴うため、基礎調査から着工、及び効果発現まで長期を要するということが挙げられるわけでございます。したがいましてまだ効果は上がっておりませんけれども、設備投資というものは大きくなされておりまして、特に水源開発といたしましての国営かんがい排水事業につきましてもこれまで約270億円を投入いたしまして積極的に推進しておりまして、かんがい排水事業の計画的な推進に努めているところでございます。
 今後とも圃場整備の推進とあわせまして国営及び県営、団体営事業により地域に合った水源開発とかんがい施設の整備を積極的に進めていく考えでございます。
 それから海岸保全事業の整備が遅いんじゃないかという御指摘でございますが、海岸保全整備の昭和61年までの整備状況は7.8%となっております。
 本県の海岸線の総延長は約1770キロメートルで、そのうち農地海岸として保全を要する海岸延長が205キロメートルと長い現況にあります。しかし全国の海岸保全施設整備事業の予算枠が少ないために全国的に海岸保全事業の整備は低い状況にあります。したがいまして、県といたしましては、台風、高潮等の自然災害が予想される箇所を重点的に整備を進めているところでありまして、今後とも予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 病院管理局長。
   〔病院管理局長 前村善徳君登壇〕
○病院管理局長(前村善徳君) 岸本議員の御質問3点ほどございましたんですが、まず第1点の北部圏域の3大成人病の状況についてでございます。
 昭和61年における名護保健所管轄の3大成人病による死亡者数は、厚生省人口動態統計によりますと349人で、その内訳は、悪性新生物、いわゆるがんが155人、心疾患が105人、脳血管疾患が89人となっております。これを人口10万に対する死亡率で見ますと、悪性新生物、いわゆるがんが163.4人、全県で111.5人、心疾患は110.7人、全県が77.3人、脳血管疾患が93.8人、全県53.5人となっておりまして、いずれも全県平均を上回っております。これは65歳以上のいわゆる老齢人口が全県平均8.6%に対しまして、北部圏域は14%と高くなっていることもその一要因ではないかと考えられております。
 2点目の名護病院内での人的、物的理由により対応ができない患者の状況についてでございますが、これまでは医師の補充や医療機器等の整備が十分でなかったことなどもございまして、特殊な分野については県立中部病院等に紹介または転送した事例がございます。しかしながら現在は脳外科等の医師が補充されたこと及びCT、いわゆる全身用コンピューター診断装置等の医療機器が整備され機能強化が図られたことによりまして、がんなどの特殊な分野の治療を除き十分対応が可能な状況になっております。今後とも地域の医療需要に対応すべく内容の充実に努めていく考えでございます。
 3点目の名護病院の新築計画でございますが、名護病院の整備につきましては県立病院としては最も優先すべき課題だと考えておりまして、昭和63年度の重点施策にも位置づけしたところでございます。したがいまして可能な限り、第2次振計の期間中に完了したいと考えております。
 具体的な整備計画につきましては、用地の選定、施設の規模など今後検討を進めることとしておりますが、今年度策定予定の地域医療計画との関連などもあらゆる角度から問題点を調整しまして、北部地域における中核病院としてその役割が十分に果たせるような施設を整備していきたいとこのように考えております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 平敷昌一君登壇〕
○生活福祉部長(平敷昌一君) 福祉工場の設置について2点ほどの御質問がございました。
 まず1点目に、福祉工場の設置について業界の賛否両論がございまして、その調整結果はどうなっているかという御質問でございますが、御承知のように福祉工場というのは、これは身体障害を持っておられる方々が、作業能力はあるけれども職場の施設設備あるいは通勤の事情等のためになかなか一般企業に雇用されにくいというようなことで、障害者に職場を与えまして生活指導をしながら、そして健康管理をしながら社会生活を営ませるというのが福祉工場の設立目的でございまして、全国で22の工場が現に設置して稼働いたしております。本県にできますと全国で23番目ということになります。
 御承知のように、大変県内の労働情勢というのは厳しいものがありまして有効求職倍率も3倍から4倍ということでございますが、身体障害者だけに限って見ますと、身体障害者の有効求職者数、これは730名というふうにとらえております。それに対しまして現に就労しておられる方が420名でございますので、あと300名余りの方が職を求めて待機しておられるというような実態でございます。そこで私ども障害福祉を担当する者としましては、一人でも多く身体障害者を雇用でぎる場を確保しようということで昨年から計画をいたしまして予算も議会で承認をいただいているわけでございます。そういった中で、この福祉工場ができることによってシェア争いが激化するんではないかというようなことで賛否両論がございまして、現在、双方から意見を聞きながら調整をしておりまして、17回にわたって意見調整をしております。近々、いい方向に決着をするだろうというふうに考えておりまして、これからも努力してまいりたいというふうに考えております。
 それから2番目の障害者年行動計画について、その成果はどうなっているかという御質問でございますが、御指摘のように国連で決議されまして国が行動計画をつくり、そして県の行動計画ができたわけですが、施設設備、つまりハードな面とソフトな面に分けて行動計画に沿って努力をいたしておりまして、施設面についてはほぼ全国並みに収容施設が整備されてきております。ソフト面においても17の事業を実施いたしておりまして、特に今回のかりゆし大会を契機にしまして障害福祉のなお一層の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 岸本安神君。
   〔岸本安神君登壇〕
○岸本安神君 1分しかございませんので簡単にあれします。
 山城部長、私の2点目の質問の中で県道と国道との関係、自動車道ができたことによって渋滞はなくなるのかと。依然として同じような形になるのではないかと。それは料金がそういった高いからということです。
 農林水産部長、各圃場、かんがい排水、農道整備事業、農地開発、海岸保全ですね。今の皆さんの計画設定をあと何年ぐらいかかるのか。2次振計あるいは3次振計を設定しなきゃいけないかどうか、その辺お願いします。
 さらに福祉工場の関係ですけれども、いわゆる若干、県の姿勢がこれはまずいのではないかなと。業界との詰めが十分いっていないような状況にあるわけです、両方、私聞きましたけれどもね。その辺、問題があるわけです。だからその辺白紙の立場でもう一度、皆さんが基本的な問題点、今、先ほど部長が申し上げようとしたそれは大事なことですから、それはやるべきことですから、身体障害者の雇用の体制については。しかしながらお互いの既存の企業もまた大事であるわけです。その辺を理解を得ながらしなければ、福祉工場というその工場というのは十分に今後生かすことはできないのではないかなとその辺を心配しておりますので、ひとつその辺を含めてもう一度の御答弁をお願いいたします。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 道路行政との問題で交通渋滞がなくなるかどうかという御質問でございますが、これはせっかくこういった高速自動車道をつくってあるわけでございまして、できるだけの利用が図られるよう希望しておるところでございますが、今度の動向を見ませんとどの程度交通渋滞という問題が即解消されるか、現時点ではっきりした予測は申し上げにくい状況でございますが、できるだけ回数券等の利用あるいはそのインターからの交通出入りが利用しやすい状況、そういう点では先般の県道153号オープンも西原インター等西原バイパス等通りまして、西原インターに接続することができましょうし、また将来的には現在県道屋嘉恩納線等整備に入っておりますが、できるだけ早くそのインターチェンジから一部恩納村一帯の車が転換できるような方向で現在取り組んでおるところでございまして、可能な方法を講じまして有料高速自動車道が利用できる方向で対処してまいりたいと考えておるところでございます。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 平敷昌一君登壇〕
○生活福祉部長(平敷昌一君) 身体障害者福祉基本法によりますと、国及び地方公共団体は、障害者の雇用を促進するため、障害者の雇用優先する施策を講じ必要な助成を行いなさいという行政側に対する注文をしております。
 さらに、国民は、社会連帯の理念に基づいて身体障害者の福祉の増進に協力するように努めなければならないというふうに規定されておりまして、ですから身体障害者の雇用情勢は大変厳しいですから、この福祉工場によって50名の新しい雇用効果というのが出てまいりますので、国民全体といいますか、県民、業界の皆さんの社会連帯の理念という福祉増進に対する協力をぜひお願いを申し上げたいと思いますし、せっかくつくりましても業界内部でシェア争いといいますか、足の引っ張り合いをしてもしょうがありませんので、着工までには十分双方の意見をまとめてトラブルのないようにしてスタートをしていぎたいというふうに考えております。
○議長(志村 恵君) 白保台一君。
   〔白保台一君登壇〕
○白保台一君 通告の順に従って質問を行います。
 まず、一番最初に「建設資材の高騰について」について伺いたいと思います。
 日銀那覇支店が先月発表いたしました8月の県内金融経済概況について申し上げますと、8月中の地元建設業者の新規受注は、公共土木工事の発注増に加え、社屋、病院等の民間案件もあって前年並みの受注量を確保しました。また長期低迷を続けてきた新設住宅着工は前年比33%増を示し、持ち直し傾向が一段と濃厚になっておると。
 一方、建設資材出荷は、ホテル、病院、米軍基地関係や県庁舎工事の進捗などが反映して鉄筋合板、生コン、コンクリートパイルなどが好調で低迷を続けていたコンクリートブロック、アルミサッシ型材にも動意が見られる。出荷増に伴い建設資材の値上りが目立つというふうに報道されております。
 ちなみに、建設省のデータは、6月と9月を比較いたしますと、H型鋼、トン当り5万2000円であったものが6万3000円となり、21%の上昇を示しております。小型棒鋼、トン当たり3万2000円だったものが4万9000円と53%上昇しております。木材米ツガ立方メートル当たり3万6000円が4万6000円と44%の上昇、その他ヒノキ73%の上昇、型枠の合板31%上昇とそれぞれ急激な上昇を示しているというふうに発表されております。
 県内においても、最近頻繁に苦情やら悲鳴やらが聞こえてまいりまして多くの訴えが建設業関係者から出されております。例えば鉄筋が3カ月ほど前にはほぽ底値と思えるような状況でトン当たり4万円前後であったと言われたものが、最近では7万円以上に急騰したのに加えて、品不足の状況となっているため、もともとこの資材の高騰は、ことし6月の閣議で資材の値上りのおそれが問題視されたにもかかわらず政府が効果的な対応策を怠ったところに重大な結果をもたらしたと言われているのであります。9月24日に政府は、物価担当官会議を開いて価格の上昇を未然に防ぐため建設資材関係連絡会議の設置を決め、各省庁で密接に連絡をとり合う方針というふうに発表されておりますが、時は既に急激な上昇の後でありまして遅ぎに失した感があります。その証拠に天野建設大臣自身が去る25日に記者会見し、30%にも達するような急激な値上げは中小企業にしわ寄せされ内需拡大に悪影響を与えると、このように発表していることからも明らかであります。
 また、全建設総連、同じ25日に建設資材の高騰反対、供給の安定要求、中央の総決起集会で、せっかく仕事がとれても仕事ができないような状態と、あるいは見積もりがたたないとこういうふうに訴えております。しかもそういう声が全国に渦巻いていると、こういう報告がなされるなど深刻な問題となっております。
 県内経済が新設住宅着工も復調傾向となり、雇用情勢も改善され、全体的に底がたさを加えている状況の中で、この建設資材の急騰は公共事業への影響あるいは景気抑制化圧力となるのではないか、このような懸念も多く出されております。大体県内資材は、本土と県内の資材が半々とこのように言われておりますが、現場の声を聞いてまいりますと地元の値上りの方が激しいんじゃないかと、こういうような声が聞こえてまいります。大型補正が成立して実行段階に入りますところの今後の問題にこれは非常に大きな問題として残るのではないか。需要が強含みで推移するのは明らかでありますし、現在ですら高値に加えて品不足と言われるようなこういった中で一層値上りが考えられる、このような心配の声が出されております。
 一方、政府は、まず1番目に夏季減産体制が終了する。2番目にメーカーが年末にかけて増産体制に入ると。そして3番目に輸出が停滞状況にあるから今後このような心配はないとこのように言っておりますが、極めて楽観的な見方を示しているのではないかと思います。一般的には、そして現場の声は、量産態勢に入るのはいいが、高値で安定していった場合にはどうなるのか。このような心配がちまたに出されております。
 そこでお聞きしたいのは、県はこの建設資材の急騰状況をどのように把握をなされているのか、これがまず第1点であります。
 2点目には、この状況に対し、県はどのように対応されてこられたのか、これが第2点です。
 次に今後どう対応される考えなのか、これが第3点。
 第4点目には、このまま急騰が推移すれば県の事業にも影響が出ると思われるが、この辺、どのように予測をなされておるのか知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 2番目の問題でございますが、旧読谷飛行場問題の現状についてお伺いいたします。
 旧読谷飛行場にかかる旧地主の所有権回復問題については本会議で幾度となく申し述べてきたところでございますが、現状と展望及び真の解決のために、この問題について確認する意味から幾つかの所見を述べながら質問を行いたいとこのように思います。
 旧読谷飛行場の根本の問題は、当該地主の売買の事実と所有権が移転したという一片の証拠もなしに国有地となったところにあります。ところが宮古郡の上野村や下地町、ことしに入ってから石垣市平得の国有地が農地法に基づいて現耕作者、大体において宮古、八重山の場合には旧地主でございますが、そこに払い下げになったことから、旧読谷飛行場も農地法に基づいて払い下げがなされるというこのような考え方を持った人々が多くおられるやに聞き及んでおります。これは真の解決に大きな障害にこそなれ、事の円満な解決にプラスになるとは私自身考えられない。したがって事の経緯をまず申し上げておきたいと思います。
 まず戦時中の日本軍が接収した軍用地に大別して2通りあります。1つは、私法上の売買が完全になされているもの。同時に所有権が国に移転しているもの。2つ目には、全く所有権が移転されておらず、国が国有財産とするには根拠を示すのに無理のあるもの、この2つであります。したがって国と地主の所有権の論争が長年続けられ、結局、国は大蔵省の見解として国有財産であるということの理屈を宮古や八重山における接収のあり方、すなわち先島においては正当に売買がなされ所有権の移転が行われている。したがって沖縄本島においても先島と同じように手続がなされたものと推量するという何の証拠もなしに推量で国有地としたところに問題があります。
 これは多くの疑問が投げかけられている。論争はとどまるところを知らないような状況にあるものの、かつての三原沖縄開発庁長官によって、公共の用に供することとする沖振法の精神に基づいて払い下げ方式を基本に地元読谷村においては旧地主等の立場からもある程度納得のいく解決の方法を追求し、相当の前進が見られているのが現状であります。
 このような現状について、読谷村におけるところの計画等、この状況をどのように県は把握をされておられるのか。
 次に、いわゆる黙認耕作者の会によるところの農地法上の耕作者への払い下げについて所見を申し述べ、あわせて質問を行いたいと考えます。
 ここで紹介しておきたいことは、昭和59年6月28日に衆議院議長に提出されました我が党衆議院議員の「米軍への提供普通財産の管理に関する質問主意書」であります。
 主意書の前文には、旧軍用地の普通財産が合衆国軍隊に提供されるケースは多い。国有財産法第6条によれば、普通財産は大蔵大臣が管理することになっている。したがってこれらの米軍提供普通財産が大蔵大臣の管理権のもとにあることは自明のことと言わなければならない。しかるに、昭和43年3月2日の「提供国有財産の事務処理に関する覚書」を見ると、この自明の理が揺らいでいるように思われる。また昭和27年法律第110号、日本国とアメリカ合衆国の地位協定に基づくところの国管法の4条1項及び2項とこれに関連して明確にしておくべぎ事項があると考えるということで、3番目の質問として国管法第4条1項の一時使用の許可を受くべき使用収益の態様は、次のうち何かを明示せよ。ア、個人の住宅等の建設物の建設、イ、地方公共団体の公共施設の建設、ウ、個人の耕作及び農作物の取得、エ、個人の採草、その他あればその態様を示せ。また許可の要否はいかなる基準によるものか。その基準を示せとの質問に対し、答弁書は、合衆国以外の者はいずれの場合においても使用また収益をするに当たっては許可等を受ける必要があるとなっております。したがって提供施設以外に何の使用も収益もそこには存在していないというのが現在の読谷村におけるところの黙認耕作の現状であります。
 また点目の質問に、耕作による使用、収益の権利は、農地法等で保護されることがあり得るのか見解を示されたいとの質問に対し、農地法上所有権以外の権原に基づき耕作に対する者についての農地にかかる使用、収益の権利の保護に関連する主な規定としては同法18条から20条までの規定が考えられるが、一時使用等の許可を受けて行われる耕作についてはこれらの規定の適用はないものと解するとなっております。
 これらの主意書、政府答弁書から見ても黙認耕作というのがあると考えられるのかどうか。
 第2に、いわゆる現在の耕作者に農地法による払い下げがあり得ると考えられるかどうか。
 第3に、読谷旧飛行場問題はいよいよ進展する中で、これらの払い下げ運動がプラスになるのかどうか知事の御所見を承りたい。
 3番目の問題でございますが、民間航空の安全確保についての問題でございます。
 離島県における空の安全性が十分に確保されなければならないことについてはあえて申し上げることもありません。
 本県議会が那覇空港の民間専用化の決議を総意として行ってきていることあるいはまた観光立県としても空の安全確保は基本的な最低の条件であり、それによって安心して来県されるのは当然のことであります。
 さて、久米島への民間航空機の増便に関して、米軍機がレーダーの能力の限界を理由に待ったをかけてきたという事実が判明したということでけさほども論議がございましたが、このことやあるいは嘉手納空軍による周辺地域上空における曲技飛行や、また伊江島空港の問題、伊平屋空港が実現しないという問題、こういった問題から見て、米軍との関係で那覇空港から北に向かう航空機は嘉手納、普天間基地の進入コースを妨げないため低空で不安な飛行をしなければならない等々、米軍優先の航空行政が復帰後15年を経た今日まで続いているということに疑問を抱かざるを得ないのは、私ひとりではございません。
 そこで基本的な問題を述べてみたいと思います。
 まず、沖縄の空は、県民生活上欠かせない生活圏であると同時に、本土復帰によって日本の領空となっております。日本の領空は、完全かつ排他的な主権を持ち、それを行使しているというのが政府の見解であります。すなわち運輸省航空交通管制部において飛行計画の承認、計器飛行方式による飛行計画の承認を行い、一元的管制を行っているということであります。ただし、主権の制限がされているところがございます。それは嘉手納であり、岩国であり、横田など米軍が専ら使用している空港並びにその周辺について進入管制業務のみ行わしめているということであります。これがまず第1点。
 次に、空の使い方に関する日本の取り決めについて地位協定6条1項は、すべての非軍用及び軍用の航空交通管理及び通信の体系は緊密に協調して発達を図るものとし、かつ集団安全保障の利益を達成するため必要な程度に整合するものとする。この協調及び整合を図るため必要な手続及びそれに対するその後の変更は、両政府の当局間の取り決めによって定めるとなっているのが2つ目の基本的な見解であります。
 3番目の見解は、米軍は、米軍に提供された飛行場周辺において進入管制業務を行っているが、この空域は日本政府が提供した施設及び区域ではなく、地位協定第6条10項に基づく航空交通管制に関する合意によって米軍が進入管制業務を事実行為として行うことを日米間で認めている区域にすぎない。したがってこのような空域についても、必要があるとぎにはいつでも我が国は進入管制業務を行い得るものであるという政府の見解が3つ目であります。
 この今申し上げました3つのことをベースにして、まず第1点目の問題として、日本領空は、完全かつ排他的に日本政府が一元的に管制を行うなど主権を行使している。ただし、嘉手納等は米軍によって一部制限される形で進入管制業務のみ行わしめているという政府見解に対し、県民は久米島増便等が実現しない、こういったことから沖縄の空のほとんどが米軍によって制限されていると受けとめている。このことに対する知事の御意見を伺いたい。
 2番目の問題として、航空交通管理及び通信の体系は、綿密に協調して発達を図る、協調及び整合を図るという地位協定の規定から見て、協調という面から見てあるいは整合性という面から見て、県民生活の健全な発展という面がむしろないがしろにされている面があるのではないか。知事の御所見を伺いたい。
 第3点目の問題として、米軍は、米軍に提供された飛行場の周辺において進入管制業務を行っているが云々。したがってこのような空域においても、必要があるときはいつでも我が国は進入管制業務を行い得るものであるという点について、これらの3点をあわせて知事の御所見を伺い、またこれらの基本的な国の見解を踏まえて国に働きかけるお考えであるかどうかお伺いしたいと思います。
 以上です。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 白保台一議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 建設資材の高騰、読谷飛行場問題につきましてはそれぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
 民間航空の安全確保についてただいま3点にわたって御質問がございましたが、お答えいたします。
 航空交通管制には、航空路管制、進入管制及び飛行場管制がございますが、そのうち進入管制については、復帰時の日米間の取り決めによりまして米軍が行っておりますことは御指摘のとおりであります。
 運輸省によりますと、沖縄の進入管制業務は、那覇空港、普天間飛行場及び嘉手納飛行場が近接しているため、航空機の運航の安全を図る見地から一元的に実施する必要があるためにとられた暫定的な措置であり、同管制業務は、また国際民間航空条約の基準に準拠して実施されていると聞いております。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 仲里全輝君登壇〕
○商工労働部長(仲里全輝君) 白保議員の建設資材の高騰についての2、3が商工労働部に関係しますのでお答えいたします。1と4につきましては土木建築部で答えていただきます。
 公共事業関連物資の需給対策につきましては、国において、公共事業関連物資需給等対策委員会を設置いたしまして価格の動向等の調査を行うとともに、調査結果を踏まえまして鋼材、塩化ビニール管業界に対しまして、需要に対応した円滑な供給確保に努め、品不足や不当な価格形成が起きることのないよう要請を行っているところでございます。また、去る9月30日には、沖縄総合事務局に公共事業関連物資需給等相談窓口が設置されまして相談、指導体制が整備されたところでございます。
 県といたしましては、引き続きこれら建設資材の需給動向等を注視していくとともに、総合事務局と連帯を図りつつ県内生産者団体等を指導するなど対処していきたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 建設資材のことにつきまして御質問の中で1番と4番についてお答えいたします。
 県はこの建設資材急騰状況をどのように把握しているかということでございますが、県内の建設資材は一部資材について値上がりの傾向にございます。
 H鋼単価について申し上げますと、1月、2月、3月はトン当たり7万2000円、4月、5月、6月がトン当たり7万3000円、8月に7万1000円と下がっておりますが、9月が7万2000円、10月からは7万6000円というふうに値上げが予想されるところでございます。また、鉄筋等の単価につきましても8、9月ごろ4万7000円台といったものが、10月には5万2000円というふうに値上がりが予想されるわけでございますが、そういった主要資材である鋼材は本土市況に追随する形で年内は値上がりが予想されるところでございますが、セメントにつきましては現在のところ値動きは見られないという状況でございます。木材につきましては、外材が原木価格の上昇により値上がりが続いていますが、9月初旬まで急騰した杉材は落ちつき始めていると考えているところでございます。また、一時上昇した合板も東南アジア方面からの安い輸入品が出回り始めたことによりまして先行き大きな動きはないものと思われます。
 次に、このまま急騰が推移すれば県の事業にも影響が出ると思われるが、どう予測するかということでございますが、今後、公共事業工事につきましては、国の大型補正に伴い全国的に工事の集中発注が予想されるところでございます。本県におきましても、事業執行が円滑にできるよう資材の需要と安定供給について国の対応及び各県の対応状況を踏まえつつ、現在、沖縄総合事務局において設置されておりますいわゆる関係公共事業の執行に関し、相互に情報を交換するとともに、必要な調整等に努めて事業の円滑な推進を図るという目的で国、県、公団、大学等で構成されております公共事業施行対策沖縄地方協議会等に諮って、県全体の問題として対応してまいりたいと考えているところでございます。
○議長(志村 恵君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 金城祐俊君登壇〕
○企画開発部長(金城祐俊君) 白保台一議員の旧読谷飛行場用地問題について、まず現状をどう把握しているかとの御質問がありましたのでお答えいたします。
 旧読谷飛行場用地問題につきましては、現在、読谷村において、沖縄振興開発計画にのっとった利用計画を作成すれば、現行法に沿って払い下げ等の措置をとりたいとする三原元沖縄開発庁長官の発言を踏まえ具体的な土地利用計画の策定が進められておりますが、その策定をめぐって旧地主、現耕作者の間に意見の対立があり、村はその調整に苦慮しているようであります。
 なお、県といたしましては、読谷村の土地利用計画が関係者の合意を得て早期に作成されるよう期待をしております。
 次に、読谷飛行場問題が進展する中で、現耕作者の払い下げ運動について県はどのように考えるかとの御質問がありましたのでお答えいたします。
 旧読谷飛行場問題の解決に当たっては、転用計画に対する村民のコンセンサスの形成が最も重要であると考えております。お尋ねの現耕作者の払い下げ運動の是非につきましては現段階において言及できませんけれども、この問題は、読谷村が主体となって旧地主、現耕作者がよく話し合っていただいて円滑な解決をしていただきたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 白保台一君。
   〔白保台一君登壇〕
○白保台一君 知事、ICAOに準拠しているから、現状はこれでよろしいという考え方でしょうか。この1点だけお伺いします。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後2時55分休憩
   午後2時56分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) いわゆる領空権と申しますか、これはもう復帰したんですから、当然日本が完全独立した形でこれを日本側に有利になるように県民生活あるいは国民生活を主として、この航空権に支障のあるような体制というのは早くこれは取り除かなければならないわけです。ところが復帰時点において日米間でいろんな取り決めがございまして、ある意味においては安全性を確保するという意味から、那覇飛行場が近いし、嘉手納飛行場が近いし、また普天間飛行場が近い。こういう近い所に3つもあるということになるというと、少なくとも進入管制については米軍が一元的にこれは把握しておった方が飛行機の安全性の確保という点からはいいのではないかと。こういうことで暫定措置としてとられた措置ではないかと考えております。運輸大臣も言明しているとおり、できれば早くそういう管制権、飛行場だけでなく進入管制についても全部これを返還してもらって、日本が自主的に運営した方がいいのではないかと考えているわけでございます。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後2時57分休憩
   午後3時20分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 友寄信助君。
   〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助暑 私は、さきに通告いたしました順位に従って質問を行います。
 まず最初に、海兵隊クラブ従業員の解雇問題についてであります。
 海兵隊クラブ従業員の大量解雇問題は、去る9月14日、実質的な解決策を先送りしたまま暫定措置の形で日米政府間で一応の合意を見ました。すなわち解雇通告を受けた298人のうち16人については、予定通り9月30日付で解雇を実施する。2点目には、282人の解雇通告は1988年3月31日までに一時撤回、継続雇用する。3点目には、今後とも継続的に日米政府間で協議をし解決策を得るよう努力するというものであります。
 このように今回の解雇問題は、暫定的な措置で来年の3月31日まで一応解雇を延期してその間に日米政府で引き続き協議をしていこうとするものであります。しかし過去の例からして米軍が一たん通告した解雇措置を一時的にしろ撤回した例は少なく、本県における深刻な失業問題を抱える状況からして、今回の一応の日米間合意は一定の成果として評価できます。知事を初め関係者の御努力に敬意を表するものであります。
 このように一応の前進を見るに至った背景の1つには、本議会における全会一致の撤回決議を初め、多くの市町村議会における決議等県民世論が大きく高まったことであります。
 2つ目には、今回の米軍の解雇通告が極めて理不尽で、かつ身勝手な解雇の仕方であったことであります。いわゆることしの1月30日に日米政府間で合意締結された特別協定とそれに基づく日本側の新たな労務費負担165億円について、6月1日から実施されたわずか1カ月後に解雇通告を行ったということであります。
 米軍のかかる行為は、特別協定の基本理念を逸脱しているぽかりでなく日米両政府間合意の信義にもとるものであります。
 また、特別協定締結の一方の当事者である政府、県も同協定を米側に尊重させる責務があり、しかも同協定の基本理念が駐留軍従業員の雇用安定を図ることを目的としており、それだけに日本側の責任も重大であったと思料されるものであります。円高ドル安、米国の緊縮財政等の状況からして今回の大量解雇問題が一応の合意を見たものの、先述したようにあくまでも暫定的な措置であり、今後の米軍の出方によっては厳しい状況に直面することも予想されます。それだけに今後とも県の一層の努力が求められていると思うのであります。
 そこで知事にお尋ねをいたします。
 今回の大量解雇については、日米両政府間合意に基づいて完全に撤回し、来年の3月31日以降も継続雇用が図られるように引き続き県の積極的な対応を求めるものであります。
 また、今回の措置は、ことしの最大のイベントである海邦国体があるのでその間の政治的配慮であるとも言われておりますが、その場限りの一時的な措置であってはならない。知事の決意のほどをお伺いしたいと思います。
 さらに、今回解雇を余儀なくされたクラーク職等16人については、他の職場に配置転換できるように何らかの救済措置を講ずるべきであります。県の今後の対応をお聞きしたいと思います。
 次に、普天間第二小学校の移転問題についてであります。
 普天間基地周辺の小中学校は、同基地から離発着する航空機による騒音で授業がしばしば中断されるなど児童生徒の授業に大きな支障を来しているのであります。しかも同校は滑走路のほぼ真下に位置しており、極めて危険な状況に置かれております。
 同小学校は、普天間小学校の過密解消のため分離新設校として昭和44年4月に開校し現在に至っておりますが、学校の敷地面積は約3500坪と文部省基準の約3分の1という劣悪な条件下に置かれているのであります。とりわけ運動場が余りにも狭隘なため運動会にも事欠く状況から、昭和54年10月に、日米政府の調整により学校敷地より約300メートル離れた米軍施設内の運動場約7385平方メートルを共同使用として使用してきているという義務教育では全国に類のない変則的な教育を余儀なくされているのであります。特に最近に至ってはヘリやジェット戦闘機の離着訓練が激化し、相次ぐ墜落、不時着事故等の発生で児童生徒の生命、財産の保護、安全の面で一層不安が強まっております。
 かかる観点から、同校の移転問題についてはPTAを初め市当局挙げて取り組んでおり、当面する急務の課題となっているのであります。現在、その移転先としてキャンプ瑞慶覧の米軍住宅用地の一部を返還してもらい、そこに同校を設置すべく市当局は防衛施設局を初め関係当局にその早期実現を求めておりますが、施設庁側が、移転の際は現在の普天間第二小学校の敷地及びすべての学校建物を合衆国政府に提供することに応じることという困難な条件を付しているためその調整が進められているのが現状であります。このようなむちゃな条件は基地の整備縮小、市民の同基地撤去を求める声に反するものであり、到底容認できる筋合いのものではありません。
 以上述べましたように同校の移転問題は、1つには児童生徒の安全を図る立場からである。同校が直接基地と隣接しており、しかも滑走路の真下に位置しているということ。2点目には爆音によって授業が阻害されており、子供の学力低下、児童の情緒面への悪影響が懸念されていること。3点目には学校の敷地面積が基準の3分の1しかなく、学校教育に支障を来していることから早急に解決しなければならない課題であります。
 したがって県教育長としても子供たちが安全で安心して勉強ができる本来の教育環境を確保するため無条件で国の責任と負担で移転ができるよう積極的な対処方を求めるものであります。教育長の御所見を賜りたいと思います。
 また、基地周辺の学校の爆音による児童生徒に対する影響についての実態は把握されているのか。今後、どう対処されるお考えかお聞きしたいと思います。
 3点目には、基地問題についてであります。
 最近の米軍演習の激化とそれに伴う被害の増大は、さきの漁船第1一徳丸やポメックス・サガ号の被弾事故に見られるようにまさに沖縄の陸、空、海域は戦場さながらの様相を呈しております。とりわけ米軍機による嘉手納基地周辺の騒音はすさまじいものがあり、住民の忍耐は限度を越えているのであります。現在、その周辺関係市町村住民が嘉手納基地爆音訴訟を起こして係争中であります。
 新聞報道によると、横田、厚木基地では安保条約に基づいて日米協定で曲技飛行の禁止など騒音軽減措置が規定されているが、極東最大の空軍基地嘉手納には同協定が締結されていないことが明らかになりました。まさに本土並み返還のまやかしが露呈されたものであります。厚木は昭和38年9月に、横田は曜和39年4月にそれぞれ日米両政府間で協定が締結され、両飛行場周辺地域上空における曲技飛行が禁止されておりますが、嘉手納基地にはかかる協定が締結されていないのであります。それはなぜなのか。復帰して15年、今なおこのような差別を放置してよいのでしょうか。
 現在、昭和54年10月の三者協議会で同趣旨の嘉手納飛行場周辺上空での空中戦闘訓練及び曲技飛行を禁止する合意事項がありますが、これが遵守されておりません。まさに県のこうした弱腰の基地行政が今問われていると思うのであります。
 県は、住民の安全と健康を守るため三者協議会の合意に基づいて曲技飛行を直ちに中止させるべきであります。知事は、午前中の石川議員の質問に答えて中止する考えはないと述べておりますが、地域住民の声を無視するものであります。米軍や政府に気兼ねする必要はないと思います。住民の安全と健康を守るために直ちに中止を申し入れるべきだと思います。知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 復帰後、沖縄の基地はとみに核基地化しており、核を取り扱う部隊の存在が明らかになるなど、またホワイト・ビーチには米原潜が頻繁に入港しております。中でも嘉手納基地は核戦略の拠点となっており早くから核の疑惑が深まっており、最近は核兵器事故に備え不発弾などの爆発物を取り扱うEOD、いわゆる爆発物処理隊が存在することが明らかになり、さらにNBCの防御訓練の担当将校が存在し、第36海兵航空群普天間基地にはNBC倉庫の存在を示す資料が明るみに出るなど核基地化の実態が一つ一つ暴露されております。
 こうした危険な核部隊の存在は、非核三原則に反するものであり、容認できるものではありません。これに対する知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 また、EOD並びにNBC倉庫の存在が明らかにされておりますが、県はその存在を確認したのか。確認していなければ調査の上対処すべきでありますが、どうなのか知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 4点目に、新石垣空港建設問題についてであります。
 県は、新石垣空港建設に伴う白保一帯のアオサンゴの保護や水資源の環境保全のための環境アセスメントを行ってきましたが、専門家からその調査のずさんさが指摘され、ことし1月から捕捉調査を余儀なくされてきました。しかしその結果については公表されないまま現在に至っているのであります。
 このように環境アセスメントの準備書の作成が大幅におくれたことは環境庁との調整が難航していることを示すもので、そのことが去る8月19日の衆議院沖縄及び北方問題特別委員会で明らかとなったのであります。環境庁企画調整局の桜井環境審査課長は、白保の新石垣空港予定地南側にあるアオサンゴの保護に関して極めて工事予定地域と隣近接しており、現在の計画のままでは保全できるとはなかなか言いがたいと述べ、埋立計画の変更を含めた県の何らかの対応が必要であることを示唆しました。このことは既に専門家からも鋭く指摘されてきたことで、県の環境アセスに対する対応のまずさと強引な姿勢が改めて問われていると思うのであります。
 こうした環境庁の計画見直しの表明で県は新たな対応が迫られているわけですが、知事は、8月28日の記者会見で、これまでの計画を一部修正し、南側滑走路部分を縮小して当面は2000メートルで着工し、建設を進めながら北側に500メートルの延長を検討していきたいと述べ、計画の一部変更を明らかにしました。
 そこで知事にお尋ねをいたしますが、今回の計画変更をせざるを得なかった理由とその経過を明らかにしてもらいたい。
 また、計画変更で新たな環境アセス調査が必要だと思うがどうか。
 この計画変更で環境アセスのクリアは可能と考えているのか。計画変更によって年度内の埋立認可申請は困難だと考えるがどうか、知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 最後に、建設資材の供給、価格の安定確保についてであります。
 政府は、景気浮揚と地域経済活性化のため6兆円に上る緊急経済対策を打ち出しました。これに伴い本県においても288億円という例年を大幅に上回る補正予算が本議会に計上され、秋から年末にかけて公共工事が集中して発注される状況にあります。
 こうした公共工事の集中発注に伴い建設資材の高騰が予想され、これが民間の住宅建設等にはね返ることが懸念されております。既に今春ごろから見られたヒノキ材の異常な値上がりに続いて米材、合板等が急騰し首都圏から次第に地方に拡大してきており、木材だけでなくセメント、鉄筋等にも影響を与える勢いだと言われております。県内においても建設業に需要量の多いベニヤ板や杉材がことし4月時点よりも35%以上も値上がりして、その他の建材も軒並みに値上がり傾向にあると言われ、通常でも沖縄の建設資材は本土より割高の上にさらに値上がりすることは建設単価の引き上げにつながり、特に民間の住宅建設に悪影響を及ぽすことになります。こうした値上がりの動向は、建設資材等の需要拡大を見越した大手企業の買い占め、物隠し、価格操作等が影響していると言われております。これを放置しておくことは近い将来、極めて憂慮すべき事態を招くおそれがあります。特に本県は離島県であり、かつ公共事業や建設業で県経済を大きく支えている現状を考えてみた場合、その対策は急務であります。この施策は、国によるものが大きいと思いますが、県としても積極的に対応すべきであります。
 そこで知事にお尋ねをいたします。
 県内の建設資材等の需給動向、値動きの状況はどうなっているのか。これらの実情を把握し、関係業者の先行き不安の鎮静化を図るべきであります。
 また、建設工事、住宅着工の活況に便乗した木材合板等の値上げを規制し、外材輸入業者の物隠し、価格操作のないよう監視と指導を強めるべきであります。建設資材の需給の均衡を確保し、価格の安定を図るため県の今後の対処方をお聞きしたいと思います。
 以上、答弁によって再質問を行っていきたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 友寄議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 海兵隊クラブ従業員の解雇問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 在沖米海兵隊クラブ関係従業員の人員整理問題については、これまで県は、同海兵隊を初め日米両政府関係機関に対し、これら従業員の継続雇用を要請してきたところであります。この問題については、防衛施設庁等政府関係機関においても在日米軍との調整を重ねるなど努力をしていただき、その結果、去る9月14日、一部の従業員を除き、63年3月31日までの間、一時的に解雇が撤回されております。しかしながらこの措置は来年3月31日までの暫定的な処理であるところからいたしまして、日米両政府においては引き続き在沖米海兵隊クラブの経営上の問題について検討することとし、昭和62年12月末日までに問題解決のために努力することが確認されております。したがって県としては、在沖米軍従業員の雇用の安定確保という観点からいたしまして、従業員の雇用が継続されるよう引き続き日米両政府に対し強力に要請していく所存であります。また今回、人員整理になった16名についても、在沖米海兵隊に対し再雇用が図られるよう要請いたしております。
 次に、普天間第二小学校の移転問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 児童生徒に限らず、県民の生命の安全を確保し、航空機騒音による被害を防止することにより生活環境の改善向上を図るため、県としても基地の整理縮小並びに基地被害の防止を重点施策に挙げ、目下その推進に努めているところであります。普天間第二小学校の件は、基地にかかわる事項でありますので、いかなる方策があるかについて市当局を初め関係機関の意見を聞いて今後検討してまいりたいと思います。
 次に、騒音対策についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 午前中の石川議員に答弁いたしましたとおり、復帰の時点で嘉手納飛行場周辺における航空機騒音軽減措置が横田及び厚木飛行場並みの措置が講じられなかったのか、これは不明でございまして、そのいきさつについて外務省に対して文書で照会をいたしているところであります。また県は、三者連絡協議会の場において騒音問題解決のために努めてきたところでありますが、三者協において意見の一致が見られなかった項目については日米合同委員会で解決を図るよう国に要請しているところであります。
 これは、石川議員に答えたサンダーバーズを中止させる件はないかという御質問に対しましてお答えしたんですが、今回のサンダーバーズの航空ショーは1回限りのもの、これは一時的なものでございまして、曲芸飛行みたいに週1回、20分行うものとは違うわけです。今回限りというものでございまして、そういう1回限りで一時的なものであるから、しかも時間も20分程度のもので、これを中止せよということを求める考えはございません。本土のある市においては、このサンダーバーズの航空ショーを招待しているところもあるぐらいでございます。これは観光の観点からそうさせたと聞いております。それでいわゆる週1回行う曲技飛行ではない、今回限りの1回限りのものであるから中止は要請しないということで御理解いただきたいと思います。
 次、基地問題についてお答えいたします。核の問題についてお答えいたします。
 我が国においては非核三原則を堅持いたしておりまして、本県にも核はないものと理解いたしております。
 EOD、NBC倉庫の存在については承知いたしております。
 なお、EOD、これは爆発物処理隊と言っておりますが、EODとは通常、不発弾及び廃弾を処理する部隊であり、各部隊に存在するということを聞いております。またNBCこれは核生物化学兵器でございますが、NBC倉庫はNBC防御訓練に使われる装備品、マスク、防護服等を保管するための部屋であり、普天間基地及びその他の基地にも存在していると聞いております。
 石垣空港につきましては土建部長から、また建設資材の値上がりについても土建部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 御質問の新石垣空港問題についてお答えいたします。
 1番目に、同空港の計画変更の背景は何かということでございますが、お答えします。
 さきに公表いたしました新石垣空港建設に係る環境影響評価準備書におきましても、新空港建設に係る埋立工事計画は、事業者として環境への影響が極力小さくなるような工法、工程を採用するなど最大の努力をしているところでございます。しかしながら新石垣空港建設予定地より南側海域に群生しているアオサンゴの生態が定かでなく、また現在の科学的見地からはこれらサンゴの保全のための条件を特定することは困難であるとの事情もございまして、環境庁等関係機関の理解を得ることができなかったところでございます。したがって新石垣空港建設予定地より南側海域にあるアオサンゴ群生の保全を図るとの観点に立ちまして、とりあえずアオサンゴ群生との距離を置いて新空港建設を行うこととし、当面、予算執行との関連も踏まえてとりあえず既定計画を南側から500メートル縮小して2000メートルの滑走路を有する空港として整備を図る考えに至ったものでございます。
 次に、計画変更で新たな環境アセス調査が必要だと思うが、県はどう考えるかということでございますが、お答えします。
 今回の計画変更は、既定計画の滑走路2500メートルの南側500メートルを縮小して、当面2000メートルの滑走路を有する空港を整備しようとするものでございます。したがいまして、環境アセスの手続につきましても2000メートルの滑走路をもとに行うものでございますが、基本的には関係部局あるいは関係機関の指導を受けながら今後対応する考えでございますが、これまでの調査結果でもって十分対応できると考えており、新たな環境調査を行うことは考えておりません。
 次に、環境アセスをクリアすることは可能と考えるかということについてお答えします。
 計画変更につきましては、環境庁初め関係機関も一応評価をしておるところでありまして、県は今後、計画変更に伴う環境アセスメント図書を作成し関係機関との調整を図っていきたいと考えておるところでございます。
 次に、計画変更によって年度内の埋立申請は困難だと考えるがどうかということでございますが、埋立免許出願につきましては、計画変更に伴う環境アセスメントの手続が完了し次第行うことになっており、これまでの計画よりおくれることとなっておるところでございますが、早い時期に出願できるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、建設資材の供給、価格の動向等につきまして値動きの状況等についてお答えします。
 県内の建設資材は一部資材について値上がりの傾向にございます。
 鋼材H鋼等につきましては、1月から3月までのトン当たり7万2000円が、4月、5月、6月等におきまして7万3000円、8月に7万1000円となっていましたのが、10月には7万6000円というふうに値上げが予想されるところでありますし、また鉄筋単価等につきましても1月のトン当たり5万円台から3月の4万8000円、また8月、9月と落ち込んで4万7000円となっておりますが、10月からまた5万2000円台というふうに値上げが予想されるところでございます。
 セメントにつきましては、トン当たり1万6000円から、3月からずうっと横ばいで1万5800円というふうになっておるところでございます。
 型枠用合板単価等につきましてはいろいろ変動しておりますが、1月の1200円、1枚でございますが、3月の1400あるいは6月の1100から10月には1550円といろいろと変動しておりますが、全般的に申し上げまして主要資材である鋼材は本土市況に追随し年内は値上がりが予想されるところでございますが、セメントについては値動きは見られないという状況でございます。
 木材につきましては、外材(米材)が原木価格の上昇によりまして値上がりが続いているものの、9月の初旬まで急騰した杉材は落ちつき始めていると見ているところでございます。また一時上昇した合板も東南アジア方面からの安い輸入品が出回り始めたことにより、先行き大きな動きはないものと考えているところでございます。
 今後、公共事業については国の大型補正に伴い全国的に工事の集中発注が予想されるところでございますが、本県におきましても事業執行が円滑にできるよう資材の需要と供給につきましては国の対応あるいは各県の対応状況を踏まえつつ、県内におきましては総合事務局に設置されておる国、県、公団、大学等で構成されている公共事業施行対策沖縄地方協議会等に諮って、県内全体の問題として対応していきたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 仲里全輝君登壇〕
○商工労働部長(仲里全輝君) 友寄議員の建築資材の供給、価格の安定確保についての2番目の問いにお答えいたします。
 白保議員の質問にお答えしたのと大体同趣旨の答弁でございますが、お答えいたします。公共事業関連物資の需給対策につきましては、通産省が設置いたしました公共事業関連物資需給等対策委員会におきまして価格の動向等の調査を行っております。その結果、価格上昇が急激であるものあるいは先行き品薄感があるものにつきまして鋼材、塩化ビニール管でございますが、その業界に対し、需要に対応した円滑な供給確保に努め、品薄、品不足や不当な価格形成が起きることのないよう強く要請がなされております。また去る9月30日、沖縄総合事務局通産部に公共事業関連物資需給等相談窓口が設置されまして相談、指導体制が整備されております。県といたしましては、引き続きこれら建設資材の需要動向等を注視していくとともに、総合事務局と連携を図りつつ、特に県内の生産者団体等を指導するなど対応していく考えでございます。
○議長(志村 恵君) 友寄信助君。
   〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 時間がありませんので1点だけお聞きしますが、いわゆる騒音協定、知事は先ほど、今回のこのいわゆる曲技飛行、アクロバット飛行は今回限りなんだと。だから仕方がないからそれを容認するというようなあれなんですが、しかし現状でも大変な騒音ですよね、80から90、ひどいときには100ホン。これは限界を超えていますよ。しかもこのアクロバットというのは非常に危険な飛行でしょう。もしそういうことで、一体住民地域に墜落するなり、事故を起こしたら一体どうなるかという問題ですね。そういうことを考えてみた場合ですね、やはり地域住民こぞってこれは反対しているわけなんですから、当然知事としてもそのアクロバットをやめてくれというぐらいの姿勢があってしかるべきじゃないかと思うんです。
 それと今回限りと言っているんですが、果たして今回限りということが保障されておるのか。今後、もうこういうアクロバットの飛行はやらないということ、これは本当に確認されているのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) さき申し上げましたとおり週1回やる曲技飛行とは違いまして、今回限りだと聞いております。飛行機はこれは曲芸飛行機だろうが、飛行機飛ぶ自体がこれは大変危険なことでございまして、そういうことを言いますというとこれは切りがないわけでございまして、そういう観点で1回限りで時間も短いから、またみんなに見せたいということもあるでしょうし、1回限りでございますから中止を要請する考えはないと申し上げただけであります。
○議長(志村 恵君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 通告の2番の高校生交通遺児の就学援助については最後に回します。
 最初に、学級定員増について教育長の見解を求めます。
 8月1日から沖縄代表14名も参加して東京で開かれた第33回母親大会は、ことしも、すべての子供に行き届いた教育が行われるよう教職員の定数をふやし、40人学級の早期完全実施。35人学級の実現などすべての子供に基礎学力が身につけられるように公立普通高校の増設と規模の適性化と過密校の解消を求める決議を行いました。40人学級の早期実施やマンモス校の解消は、どの子にも行き届いた、落ちこぽれのない教育をというのはすべての父母の願いです。既に欧米諸国では、学級規模は30人台から20人台に改善されつつあります。資本主義世界第2の生産量と世界一のお金持ちを誇る日本は、学校教育の面、特に学級規模においては最も立ちおくれている国となっています。
 来年から中学卒業生が急増し、受験生も1300人以上ふえることが確実になっています。しかしながら県教育庁には高校増設の計画はありません。
 教育長は6月19日、高等学校長会で、県立学校整備計画案を発表して、来年からの受験生急増については学級増や学級定員増によって対処することを明らかにしました。これは世界の趨勢に逆行し、せめて40人学級をという父母の願いを踏みにじるものと言わなければなりません。教育長は3年間の臨時措置と言われるかもしれませんが、今でさえ沖縄の大規模校は全国をはるかに上回っています。
 普通高校の場合、35校のうち18校が大規模校であり、那覇市は8校中7校が大規模校、那覇高校は生徒数1977人で45学級の超マンモス校です。それに1学級ふやしてさらに定員も各学級1人増しとなるわけですから、学校の規模も学級定員も文部省の示した基準さえ大幅にはみ出ることになり、最悪の事態となります。
 大規模校は、人間的触れ合いが少なく生活指導が困難であること。また運動場や体育館、プール、視聴覚設備等施設の利用が窮屈になり、教育の場としての学校の機能を果たすことは不可能です。今でさえ普通高校の大規模校は、全国平均の32%をはるかに上回って半数以上が大規模校です。教育長は、大規模校にさらに学級数をふやし、学級定数も法定以上にふやして受験生の急増を切り抜けようとしておられるが、これでは今高校の抱えている低学力、非行、中途退学等の問題を解決することはできません。学校規模の適正化、それは教育条件改善の基本です。適正学級規模を実現し子供の学ぶ権利を守り、一人一人の子供の能力と個性を豊かに伸ばし、子供の学ぶ自由と教師の教える自由を生き生きと統一していくことは現代教育の基本です。
 教育長は、父母の願いにこたえ、今高校の抱えている困難な問題解決の道を開くためにも普通高校を早急に増設することだと思いますが、教育長の見解を求めます。
 次に、岸元首相の葬儀と弔意の強制について教育長の御見解を伺います。
 政府・文部省は、岸元首相の内閣・自民党合同葬が行われる9月17日に、弔旗を上げて黙祷するよう文部省事務次官名で、各都道府県教育委員会や国立学校長あてに「故岸信介」内閣・自由民主党合同葬儀の当日における弔意表明についてというタイトルの通知を出しました。通知は、9月4日の閣議了解によるものとして、大正元年閣令第1号に準拠した弔旗掲揚の仕方から、黙祷時刻まで指定して管下教育委員会への周知を求めております。
 私たち日本共産党は、この通知は教育基本法第8条に違反するものであり、これを県立高校や市町村教育委員会に通達しないよう教育長に強く申し入れました。教育基本法第8条は、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」とはっきり規定しています。岸氏は、1957年から1970年まで首相の座にあったとはいえ、自民党の派閥の領袖であり、そしてれっきとした自民党の最高顧問です。その死去に当たって内閣と自民党の合同葬というのも考えられないことですが、児童生徒に弔意を押しつけることは、第8条に明確に禁止されている特定政党のために公教育を公然と利用することになるのです。しかも岸氏は、1941年成立した東条内閣の商工大臣として日本の産業と経済を侵略戦争に動員するとともに、近隣諸国の収奪まで進めた張本人です。そのため戦後はA級戦犯容疑者としてその責任を問われ、約3年間も巣鴨刑務所に投獄されていました。岸氏はアメリカの日本占領政策の転換で出所しましたが、戦争責任の反省どころか、憲法改悪に執念を燃やし、その改悪の会の会長になった人です。
 この岸氏の葬儀で、児童生徒に弔意の表明を強制することは、故人の果たした歴史的な役割、特に侵略戦争に果たした犯罪的役割を美化するものであり、教育基本法の精神からも許されるものではありません。
 第2次大戦が終わると、戦禍の中から人々は、戦勝国も敗戦国も侵略戦争の否定と戦争犯罪人の徹底追及が世論となり、戦後政治の理念となりました。ですからこの7月、フランスではナチスドイツの戦犯、クラウス・バルビーに対して、フランスでは最高の人道に対する罪として無期懲役が言い渡されました。またドイツでは、ナチス元副総統ルドルフ・ヘスが戦犯刑務所で93歳で死亡、その墓さえ明らかにされておりません。これが普通の国の戦犯に対するあり方です。
 今回の通知も、東京都を初め14の都道府県が公立学校への通知を見送りました。教育長は、沖縄の子供の教育をどうするかでなく、文部省が言えば何でもそのとおりでは自主性の喪失です。教育長の見解を求めます。
 次に、新石垣空港について知事にお伺いします。
 県は、新石垣空港建設のために昭和54年以来、1億3200万余の大金を注ぎ込んで13回にわたる6年がかりの白保の環境調査をやっています。
 県のこの環境調査は、議会の土木委員会にその調査資料さえ提示しない、調査を担当した専門家の氏名も公表しないという異常さは、そのまま県に対する不信につながったのは当然です。公表された一部資料や縦覧された環境評価調書も県内外の専門家からそのずさんさを指摘され、白保のサンゴの保全については国際的問題に発展して世界的に注目されるようになりました。また知事が、新空港建設促進のためにつくった新石垣空港懇話会の提言内容に環境庁が疑念を示すということも起こり、また県は、一連の手続を進めていくうちに漁業権確認訴訟、埋立計画の誤差、未買収用地等の問題が出てきた上、環境庁からも環境アセスメント準備書の不備が指摘されるという西銘県政にとって不名誉きわまる問題も出てきたのであります。環境庁の態度では着工が不可能ではないかと思われていたのが、半年後の8月27日、県は、環境庁など関係5者のトップ交渉で、知事は、南側500メートルの滑走路の部分を縮小し、当面、2000メートル、最終的には2500メートルで着工との計画変更を関係省庁に提示したのに対し、岡崎事務次官が、アオサンゴの群生の保全に十分配慮されたものと評価でき
ると述べ、計画変更を了解、建設に事実上同意する意向を示したと新聞は報道しています。
 そこで知事にお伺いします。
 1、知事は、滑走路を500メートル短くする案を出されたが、それで白保のサンゴは保全できると思いますか。また500メートル短縮案はどこで検討されましたか。
 2、これまでの計画に不備があったことを認めますか。またどこに不備があったか明らかにしてください。
 3番、空港建設に関するすべての資料を公開することが第一です。また県が管理する下地、宮古、波照間空港は米軍機が頻繁に飛来を繰り返し、今ではフィリピンと嘉手納基地を結ぶ米軍機の事実上の中継基地となっています。また自衛隊と軍民共同の那覇空港は、戦闘機用のシェルターや新バッジシステムを備えた指令部弾薬庫が新たに建設されるなど軍事的機能を一層増強しています。同時に対ソ戦略上の302飛行隊F4戦闘機部隊が新たに配備され、対潜哨戒機P3Cの配備も明らかになっています。
 沖縄を訪れる歴代防衛庁長官は、沖縄の空は我が国を防衛する上で重要、さらに海上はいざというとき国民の生命線であるシーレーンを防衛する上からも重要と重要性を強調することを忘れておりません。アメリカの海洋戦略、自衛隊のシーレーン防衛計画からすれば新石垣空港も例外ではありません。
 知事は、自信を持って軍事的利用はさせないということができますか、明確にお答えください。
 次に、高校生交通遺児の問題です。
 去る5月15日、衆議院災害対策特別委員会において、交通遺児への授業料減免事業で我が党の藤田スミ議員の質問で、自動車事故対策費補助金交付要綱による国の補助金を、京都府、三重県、高知県、沖縄県が受けていないことが運輸省の答弁で明らかになりました。私が聞いたところ、3府県ともその制度のあることを知らなかったようであります。総務庁から出されている昭和61年度交通安全白書によると、交通遺児就学援助として、前の方は略しますが、60年度は3280人を対象に総額1億3800万円、62年度は1億3100万円で2900人の高校生交通遺児がその対象になっております。
 なぜ県は、この補助金を受けていないのか。いつから受けるか御答弁をお願いします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊波議員の御質問に対しましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
 1つだけお答えしておかなければならないのは石垣空港の軍事利用でございますが、これは何遍も申し上げているとおりアメリカの飛行機、それから艦船は、日本の飛行場、また港湾を使用することができることは安保条約、地位協定等に明確にされているところでございまして、ただ、必要に応じて緊急やむを得ない場合に石垣に寄り、あるいは下地に寄り、宮古空港に寄っているわけでございます。その点、御理解いただきたいと思います。
○議長(志村 恵君) 教育長。
   〔教育長 池田光男君登壇〕
○教育長(池田光男君) 伊波議員の高校増設あるいは来年の学級定員増等に関連する御質問にお答えいたします。
 高等学校の増設につきましては、復帰後、第1次、第2次沖縄振興開発計画をベースに作成されました県の第1次、第2次県立学校編成整備計画に基づきまして、特に都市地区を中心にその増設を進めてきたところでございます。その結果、昭和47年の復帰以降、今日まで19校の県立高校を新設し、進学率の方も47年の70%から、62年度の90%台までに改善を図ってきたところでございます。
 ところで、昭和63年から始まり、65年をピークにいたします生徒の急増期に対応するために都市地区における高校の新設に努力してきたところでございますが、残念ながら用地の確保ができませず、その実現を見るに至ってない現状でございます。
 なお、昭和63年度につきましては中学校の卒業生が今年度に比べまして約1200人増加することになっておりまして、これら増加する生徒の学習の機会をいかに確保するかということが最も重要な課題となっているわけでございます。このような急増期の場合におきましては、他府県におきましても学級増、学級定員増等で対応してきているところでございますが、本県におきましても、先ほど申しましたようにこれら増加する生徒の学習機会を保障するためにやむを得ず来年度におきまして学級増や学級定員増等で対応せざるを得ない状況にありますので、御理解いただきたいと存じます。
 次に、岸元首相の葬儀と弔意の問題でございますが、岸元首相の葬儀当日における弔意表明につきましては閣議了解されたことにつきまして関係省から通知がございまして、これを市町村教育委員会等に送付したところのものでございます。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建設部長(山城廣茂君) 新石垣空港問題についてお答えします。
 まず、滑走路500メートル短縮することで白保のサンゴが保全できると考えるか。また500メートル短縮案は、どの機関で検討したかについてお答えいたします。
 新石垣空港建設に伴う埋立工事実施に当たりましては、周辺の海域に及ぽす汚染源としては浮遊物質が考えられますが、事業者として環境への影響が極力小さくなるような工法、工程を採用するなど最大の努力をしているところでございます。さきに公表いたしました同空港建設に係る環境影響評価準備書におきましても調査、予測及び評価したところ、周辺の環境に与える影響については軽微であるとなっております。したがって現計画を南側から500メートルを縮小して整備することは環境条件がさらによくなり、アオサンゴ群生の保全をこれまでより図れるものと考えているところでございます。
 500メートル短縮する案の検討についてでございますが、新空港建設予定地より南側海域にあるアオサンゴの保全方については前述のように県としては十分対応できると考えているところでございますが、これまで環境庁等関係機関の理解を得るに至らなかった状況にございます。そのため、アオサンゴ群生の保全についてより配慮するため、県といたしましては、空港建設予定地を南側海域のアオサンゴ群生域から極力計画位置を離す考えで南側から500メートル縮小して当面、滑走路2000メートルを有する空港に計画変更して早期着工を行おうとするものでございます。
 次に、これまでの計画に不備があったことを認めるか。どこに不備があったか明らかにせよということでございますが、新石垣空港建設につきましては将来の需要予測、全国各空港における整備状況及び地元の要請等に基づいて慎重に検討した結果、同空港は将来にわたり航空輸送の確保を図るとともに、八重山圏域の産業の振興と住民生活の向上を図るためには必要であるとの観点に立ち整備を行うものでございます。また新石垣空港建設問題につきましてはアオサンゴの保全方に工法等について問題になっているところでございまして、これまでの諸手続におきましても所定の手続を経て行っているところでありまして、環境影響準備書等に特に不備があって変更するものではございません。
 次に、資料の公開についてでございますが、新石垣空港建設予定地より南側海域にあるアオサンゴ群生の保全を図る観点に立って、先ほど申し上げましたように当面2000メートルを有する空港として、現在、その線で整備すべく環境影響評価準備書の作成作業を進めているところでございます。これまでも既計画内容について公表してきているところでございますが、今回の計画変更に伴いまして現在、一連の作業を進めているところでございますので、そういった県の資料を県の考え方がまとまり次第公表していきたいと考えます。
○議長(志村 恵君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 今、部長は、県の手続に不備はなかった、ミスはなかったとおっしゃっておりますけれども、なぜ関係省庁から不備が指摘されたのか。あるいはまた不備がなければ、ミスがなければ、関係省庁の方にミスがあるのか、そこをはっきりさせていただぎたいと思います。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) お答えいたします。
 現在、問題になっておりますのは、南側のアオサンゴの保全方についての話が問題になっているわけでございまして、ただ、どういった条件で特定すればアオサンゴが保全できるかについては学説的には定かでないというところが問題がございます。したがいまして県は、現在の工法等をもって汚濁等対応、工法あるいは工程等によって対処できると考えているところでございますが、数値的にそういうことをサンゴの生態、保全方について特定するにはかなり困難でございます。これは学説的にまだそのアオサンゴの生態、その環境につぎまして特定する学説が定かでないということがございまして、これはどちらが間違っているとか、正しいとかいう問題とは別の話じゃないかと考えているところでございまして、安全を考えてより保全が図られる方向で500メートルをバックするということでございます。
○議長(志村 恵君) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明6日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後4時23分散会

 
19870702000010