昭和50年(1975年) 第 7回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月12日
第 2号 12月12日
 

議 事 の 概 要
昭和50年12月12日(金曜日)
午前10時2分開議
日程第1 代表質問
    1 中山 兼順君(自民党)
    2 志村  恵君(自民党)
    3 与那覇寛長君(社大党)
    4 上原亀一郎君(共産党)
    5 中根  章君(社会党)
    6 友利 栄吉君(革新クラブ)
午後6時19分散会

○議長(平良幸市君) ただいまより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 農林水産部長は、別用務のため本日及び明日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として、同部次長島崎盛武君の出席を求めました。
 この際、念のため申し上げます。
 本日から12月16日まで4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑については、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(平良幸市君) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 中山兼順君。
   〔中山兼順君登壇〕
○中山兼順君 私は、自由民主党県議団の代表の1人といたしまして、意見を述べながら質問いたします。
 私の質問は、県民の皆様が直接知事にお尋ねしたいと思われているものばかりでございますので、そのつもりで御答弁願いたいと思います。
 さらに、本日の会議の実況をNHKのテレビで県民の茶の間に送られていると聞いておりますので、私の質問にお答えするというよりは、むしろ直接県民の皆様にお答えになっているようにお気持ちで、わかりやすく、しかも素直にお答え願いたいと思います。
 まず、海洋博の跡地利用についてお尋ねしたいと思います。
 復帰記念3大事業として植樹祭、若夏国体、そして最後の海洋博がいま行われておりますが、これもあと38日間、1月18日に閉会することになっております。
 このことにつきましては、当初からメリット、デメリットに関しましていろいろと討議されてまいりました。これにつきましても知事の支持母体である団体は、反対を唱えてまいりました。これも、屋良知事がこういう団体を統一することができなかったものに起因するんじゃないかと考えられる点がございます。
 この海洋博の開催によりまして、もし海洋博が沖縄で開かれなかったらどういう結果になっていたでしょうかということを考えてみなければなりません。この海洋博の開催によりまして、沖縄の空港、港湾、道路等の社会資本が充実されつつあります。これは県民にとっても喜ばしいことじゃないかと考える次第であります。
 私は、一昨年ヨーロッパ各地を行政視察してまいりました。そのときに、ベルギーのブリュッセルに参りましたときに、万博の跡地を見てまいりました。大阪の万博の跡と同じように、跡は何も残っておりません。ただ、記念公園として残っておるだけです。わずかに残っておるのは日本館と中国館、この2つだけです。これもベルギー国王の私財をなげうって買い取って国民に寄付しておられる、こういうのがブリュッセルの万博の跡地の利用状況でございます。
 私は、沖縄に帰ってまいりましても、海洋博覧会の跡はこうなるんじゃないかと、こうなったら大変だと考えていた1人でございます。ですから、われわれ県民はこれを真剣に考えなくちゃいけないと、こう考えている次第でございます。
 そこで、当局にお尋ねしたい。
 会場内外において存置する施設は何々か、これを明示していただきたい。まだ検討中なら検討中、決定したなら決定した、何が決定したか、何を残すのか。
 2番目に、企業が出展しているパビリオン、このうち存置するのはどこのものか。存置した場合この運営は企業がやるのか、だれがやるのか、これも明確にしていただきたい。
 3番目、海洋博の目玉商品と言われているアクアポリス、これは存置するのか、撤去するのか。存置するとすればその運営はどこがやるのか、どういう形態でやるのか、こういうことでございます。記念公園として使うことは閣議で決定されておりますが、こういうふうに記念公園として使用する場合に、現在と同じように入場料を支払うのか、取るのか取らぬのか、これを明確にしていただきたい。
 国は、海洋博の跡地を記念公園にするのは先ほども閣議決定していると申し上げましたが、その具体的な運営計画はどうなっているのか。国と折衝を続けておるのか、これからやるのか、その点を明らかにしていただきたい。
 4番目、9月の定例議会におきまして、知事はわが党の大田議員の代表質問に答えて次のように言われました。「記念公園は、1つ、国民の健康増進に役立つものであること、2番目、自然環境の保全に役立つものであること、3番目、伝統文化の保護育成に役立つものであること、4番目、教育・研究、技術訓練、海洋の基礎的応用的研究、当面は跡施設の利用として文化的、教養的施設として活用すること、5番目、海洋博関連産業の振興開発に寄与するものであること、6番目、国際的リゾートゾーンの中核にすること、7番目、国際交流、国際協力の場にすること、8番目、世界の青少年の交流の場にすること、以上の諸条件を掲げてこれをぜひ実現してもらうように国に要求してまいっております。」と御答弁になっておる。「国としても県と提携して計画を立てるということになっておりますので、議員の皆さんも御理解の上、御協力を賜りたいと思います。」こうお答えになっている。その後、これらのことについて国と具体的に話し合いをしたことがあるのかないのか、もしありましたらその概要について御説明願いたい。
 私がお聞きするのも、ベルギーのような二の舞を踏みたくない、海洋博の精神を生かすことにならないと思うからでございます。その点をお答え願いたいと思います。
 それから5番目、撤去すべき施設は撤去完了するまでにどのぐらいの期間を要するのか。撤去工事は県内業者にさせるのかどうか、あわせて御答弁願いたい。
 6番目、最終的なことはいまから言えませんけれども、入場者の数は予定された445万人よりも100万人以上下回ると推定されていることでございますが、この点について県はどう反省しておられるか、お答え願いたいと思います。
 次は、海洋博後の県経済の落ち込み防止についてでございます。
 知事は、第5回定例県議会におきまして、わが党の大田議員の質問に答えてこう述べておられます。すなわち、「海洋博後の県経済の落ち込み防止の手だてとして、第1次産業の抜本的な振興策を講ずること。第2次産業の積極的な開発推進策とあわせて、沖縄振興開発計画に基づく本土との格差を是正する措置として、公共投資の積極的拡大による需要の誘発を図る。われわれの生活周辺に関連する大事な基礎的な諸問題、この公共投資というようなものに非常にわれわれは注目いたしまして、そのための予算獲得であります。」こういうふうに御答弁なさっております。
 そこで、質問いたします。
 質問の1、第1次産業の抜本的な振興策とは何か、具体的に御説明願いたい。
 と申しますのは、議会のたんびに抜本的な対策を打ち出しておりながら、一つも実行されてないからでございます。
 第2、第2次産業の積極的な推進策とは何か、この具体的な構想をお聞かせ願いたいと思います。
 と申しますのも、これは知事に就任されて以来ずっと同じことを言っておられる。が、いまもって実現したためしがないからでございます。ただ、御題目ばかり並べて中身は何もないというような印象を与えております。その点についての具体的な御答弁をお願い申し上げます。
 それから3番目、公共投資に関する予算獲得でありますと行っておられますが、この予算獲得のめどがついているのかどうか、国との折衝の結果がありましたら県民に公表していただきたい。
 次、農業問題についてお尋ねいたします。
 豪州からの牛肉の輸入割り当ての制限についてでございますが、豪州から安い牛肉がどんどん本土に輸入されております。沖縄の畜産農家は苦しい立場に追い込まれております。
 また、ハム、ベーコンの輸入税が特別措置法によって本土に比べ非常に安いため、養豚農家は厳しい試練に立たされております。
 それで、質問いたします。
 このことについて、国と折衝した結果について御説明願いたい。
 2番目、沖縄においてハム、ベーコンを生産し、養豚農家と消費者の保護策を推進する計画であると前の議会で農林水産部長は御答弁になっておりますが、その後どうなっているか、どこまで進んでいるか、どういう計画になっているか、それをお聞かせ願いたい。
 次は、キビ価格の一本化についてでございます。
 今期キビの最低生産者価格は、トン当たり2万1000円以上を要求しまして、県議会を含め県民運動を展開しましたが、農林省告示は生産奨励金を含めて1万6100円と決定されております。何のために100円つけたかわれわれわかりません。基準価格を1万2340円、これはブリックス19度以上に基準単価を適用する。16度から18度までは1万1040円、その差額は1300円となっております。
 さとうきび価格対策中央本部委員会は、1つ、価格体系が明確でない現状では一本化が妥当である。
 2つ、工場側の経営の厳しさは理解できるが、それ以上に生産農家も苦しい。
 3つ、増産を奨励するには1本価格がよく、工場主張の2本立ては時期が早いということで委員会でもブリックスに関係なく一本化を要求することで意見を確認しておりますということを新聞は報道しております。
 私も、キビを20トンぐらいつくっております。キビは一つももうけありません。私はほかの農家と違ってアルバイト農業ですから仕方がないかもしれませんが、それでも反当たり7トンは生産しております。人夫賃を払ったり肥料代を払ったりして残るのはありません。荒廃地にするわけにいかないので、私も休み休み農業をしている1人でございます。農家の苦しみをつくづく味わっている次第でございます。生産費所得補償方式につきましては、再三議会でも決議をし要求しておりますが、まだ実現をしておりません。この一本化につきまして県の方針がありましたら、またはその御見解を承りたいと思います。
 次は、病院特別会計についてお尋ねいたします。
 49年度の病院特別会計決算書によりますと、累積赤字は21億円を超しております。50年度におきましてはこれが30億円を突破するんじゃないかと思われます。病院経営は史上最大の危機に直面し、再建団体に転落しようとしております。
 そこで、質問いたします。
 膨大な累積赤字を解消するため県はどのような対策をとるのか、具体的に説明してもらいたいと思います。
 病院は、営利を目的としてはならないように医療法で規定されております。かといって欠損がひどくなりますと倒産する以外はないのでございます。病院の目的は、病人、負傷者の治療が第一義的なものでありまして、利益を上げることは二義的意義しかございません。その点を念頭において御答弁願いたいと思います。
 中部病院の5階、6階には109床がございますが、これは昭和49年の3月31日に完成しております。建築費が2億3000万円、これは借り入れでございます。2億3000万円という莫大な金をかけながら、完成後1年8カ月を経過した今日に至るまでまだ遊ばしてあります。これはまさしく県税をむだ遣いしていると言われても仕方がないと思います。さらに、県民はこの利子を払わなくちゃいかない。一体、これでいいのか。納税者に対して知事はどのように弁解されようとしているか、知事の御見解を承りたいと思います。
 さらにつけ加えて申し上げますが、日本医師会長の武見太郎先生は、「日本の危機・医療危機」というパンフレットを発行しております。その中に、日本にはりっぱな教育病院は全くありません。わずかに沖縄県に中部病院というアメリカ占領軍が残してくれた唯一の模範的な教育病院がありますと、こういうふうに訴えておられます。この点も加味されて赤字の解消にはどういう対策をとられようとしているか、お答え願いたいと思います。
 次は、失業・雇用対策についてお伺いいたします。
 相次ぐ企業の倒産及び軍雇用員の解雇によりまして失業者が急増し、大きな社会問題となっております。総理府統計局の発表によりますと、県内の失業者はついに2万4000名となり、失業者は6%を記録したと新聞は報道しております。さらに次年度は、公務員――これは教員を含めまして――新規採用はほとんど期待できない。また、民間企業も不況のため新規採用は困難であると言われております。来年3月に卒業する新卒者は、就職の道を閉ざされたまま前途は暗たんたるものがあります。現在、6%の失業率でございますが、来年までに失業率は10%になるのではないかといまから心配されております。本土でも就職戦線異状ありの赤信号が出ておるのは御承知のとおりでございます。
 そこで、質問いたします。
 このことについて、県の具体的な対策を伺いたい。
 さらに関連いたしまして、県庁職員は類似県と比較して1000名以上も多いと言われておる。沖縄には、他県にはない特殊事情があるということも私は知っております。県予算の半分は人件費であるとも言われております。
 私は、この際知事は、県職員の定数を洗い直すべき時期に来ているのではないかと思いますが、どうお考えですか。
 いま若い卒業生が仕事がなくて困っております。その一環といたしまして、現在までは勧奨退職は61歳となっておりましたが、これを改正する必要があるのではないか。たとえば、女子職員の場合――学校の先生方を含めて――勧奨退職の年齢を55歳にすべきではないかという意見を再三私は聞いております。このことも慎重に検討すべきであると思いますが、知事はどうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
 次は、建築行政について質問いたします。
 県の公共建築物でありますところの中部病院外8件が建築基準法18条の2項の規定による計画通知書を提出しないまま工事に着手し、すでに工事は完成しております。中部病院の5階、6階も同じでございます。1年8カ月を過ぎている。完成されている。これは明らかに建築基準法18条の2項に違反していると思うが、知事はどういうふうに法を解釈しておられるか、お聞かせ願いたい。
 次は、消防法の適用については、復帰特別措置法によりまして、昭和50年3月31日までは沖縄法令の例によるとなっております。それで、昭和50年4月1日、いわゆる現年度からは本土法が適用されることになっております。
 県有施設については、50年度に改善に要する予算を計上すべきであります。県はこれを忘れておられる。たとえば、中部病院は消防用設備を完備するには約2億円を要すると言われております。しかし、現年度には一銭の予算もありません。これを次年度に組む御計画はあるかどうか。
 病人は健康体ではございません。火事が発生したら、避難に大変でございます。本土では病院に火災を起こしてたくさんの患者が亡くなった例がございます。また、本土でデパートなんかが火災を起こして大変な目に遭ったのは御承知のとおりでございます。人命を尊重する革新県政として、真っ先にこの消防設備を整えるべきであると思いますが、知事の御見解を承りたいと思います。
 病院以外の県有施設においても同じことが言えると思いますが、県はこれらの県有施設の消防用設備について調査されたことがありますか、ありましたら、それを実施するにはどのくらいに予算が必要であるのか、お答え願いたいと思います。
 次は、学校関係でございます。
 前原高校のプールは昭和49年9月6日に着工されまして、昭和50年2月5日に完成しております。その敷地面積は325坪でございます。坪当たり単価は5万円でございます。そうしますと、1625万円かかっております。県立高校である以上は、この土地の買収費までPTAに負担させることは絶対許されない問題でございます。しかし、県はPTAに負担させております。前原高校のPTAは金融機関から1000万円を借り入れて、地主に土地代を支払っております。まだ652万円支払いが残っておりますが、これはいつ払うのかめどは立っておりません。県立高校の敷地代まで県民に負担させるということは重大な問題であります。
 この点につきまして、県はどういう措置をされるか、お聞かせ願いたいと思います。
 プールに関連いたしまして、南部商業高等学校のプールは昭和49年9月に完成しております。しかしながら、1遍も使われておりません。なぜ使わぬのか、その理由をお聞かせ願いたい。
 最後にお伺いしたい。
 企業局の前身であります琉球水道公社が、具志川市内の打ち込み井戸19カ所から取水したためにたんぼや井戸水が枯渇しております。そして、あっちこっち陥没して、部落内でも陥没を起こしております。この被害は、膨大なものでございます。議会があるたびに、私は知事にお願いしております。
 このことについて、具志川市議会も決議をいたしまして、3年前に1億円の損害賠償を訴えました。一体、この結果はどうなっているのか、どこまで進んでいるのか。こういう問題は、知事みずからが政府に強く要求すべきものであると思いますが、知事の御見解を承りたいと思います。
 以上、御答弁をいただいてから、再質問いたしたいと思います。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 初めに、海洋博の跡利用についていろいろの御質問があったわけでございますが、それからお答えいたします。
 残す施設はどういうものであるか、跡地利用のことにつきましては、これは初めからみんなの関心の深いものでありましたし、またこれを残して跡利用としていくということがこの博覧会の特徴であるということも皆言われてきたところでありまして、現在確定しておりますところの公園区域としましては、これは記念公園として残しておくということにしておりますけれども、これはロイヤル・ビューホテル用地、迎賓館区及びエキスポポート地域、そして第2本部電話局用地、さらに変電所用地を除く会場全域をいま考えております。
 そして、公園内における残置施設といたしましては、海浜公園、エキスポビーチ、海洋生物園、つまり水族館等を含むものであります。それから国際3号館、本部ビル本館、沖縄館、エキスポランド等が予定されております。
 公園外の残置施設といたしましては、迎賓館区にありますところの迎賓館、従業員宿舎、研修棟、プール、そしてエキスポポート、さらにアクアポリス、海洋牧場等でございます。大体、残す施設というようなものは、そういうものを残すということになっておるわけでございます。
 そしてなお、企業がいまなにしております施設はどうなっているかということでありましたけれども、この施設については、多くのものはこれは撤去されると思いますけれども、一部については、たとえば国際3号館近辺のものなどにつきましては、これから検討されていくと思いますけれども、大体においては、これは撤去されるのではないかと、こういうふうに考えております。
 それから運営はやはり県が直接やれるものでもないし、国が直接やれるものでもありませんので、これを運営する一つの財団法人をつくっていくというような考えを持っておりまして、強力なる財団法人をつくって、それによる運営ということになろうかと思うのであります。
 それからアクアポリスの運営ということも御質問がありましたけれども、これは最後のきめ細かい確定はまだいたしておりませんですけれども、とにかく存置する方向――沖縄県民の強い要望がありましたので、私たちとしましてはそれを受け入れて、そして通産省あるいは関係省庁に強く折衝いたしておりまして、この前、通産省の次官、さらに通産大臣からも簡単な記者会見がございましたけれども、残す方向にこれは検討されているということは先ほど申し上げましたとおりであります。
 これもやっぱりその運営も、ある一つの法人をつくって、これに運営させるということになろうかと、こういうふうに考えております。
 それから存置活用の基本構想骨子というのは、これを現在の場所を利用いたしまして、いまの海洋牧場がありますところに少し東側に寄せると、そういう地域にこれを設置することになろいうかというような話し合いが進められております。
 そして、活用方針は、海洋博出展物の展示館とか、あるいは観光客誘致のセールスポイントとなるような魅力的な遊覧施設を新設する、あるいは現有のアクアホール等の活用による催し物等の導入、あるいは展望スナック等の休憩・飲食施設、あるいは現有の宿泊施設の活用等を含め、今後、国及び関係業界の意見を参考に具体的に検討するということでございます。
 なお、設置場所は、先ほど言ったとおりでありまして、詳しいことはいま私ははっきり決定しているわけじゃありませんから、進められつつあるところの構想ということしかお答えできませんので、御了承をお願いしたいと思います。
 それから跡利用対策費につきましては、これは大体総額で13億5000万円程度の概算がされておりますけれども、これを沖縄の財政にしわ寄せが来ないような方法を講じて、国並びに他の諸団体等に呼びかけましてこの金をつくっていこうということになります。
 先ほどもちょっと簡単に申し上げましたけれども、管理主体は、関係業界の積極的な参加支援を得て、県及び民間共同出資による財団法人アクアポリス管理財団――仮称でございます――こういったものを設立していこうと話し合いされております。
 現在のアクアポリスは浮遊ができるようになっておりますが、そういう状態で置いておくのではなくして、これを着底せしめると、着底して動かないようにしなければならぬ。
 同財団は、その改造工事を国及び関係団体の補助を得て実施するとともに、県にかわってアクアポリスを運営管理するというようなことになっております。
 なお、運営費につきまして、これも全県民の協力または国の協力いろいろ理解を得なければなりませんけれども、その入館料及び付帯事業収入をもって充てることにしておりますけれども、しかし、こういう細かなる一つの検討というのはこれからやられていくのでありまして、いま最後的なものとして申し上げることはできません。
 それから、これにつきましては絶えず国との具体的話し合いはしておるかという話でありましたけれども、ここはここといたしまして、去年来、跡地利用審議会というのをつくっておりまして、県でもずっとやりますし、そして県民の意思というものをくんで、この委員会の意思もわれわれはくみまして絶えず久野とは折衝いたしております。
 ことに、このアクアポリスなどの取り扱いなどにつきましては、知事あるいは副知事がすぐ上京して話を詰めるようになっておりまして、この議会の終わるのを待てずに副知事もここ二、三日のうちには上京して話し合いしなければならぬということになっております。
 それから、話し合いは進めておりますが、その撤去の時期でございますけれども、現在の施設をいつごろ撤去するかというようなことでありますけれども、これはいまのところはっきり申し上げることはできませんです。撤去すべきものはおそらくすぐ撤去にかかるでしょうし、残すべきものは残して、いつからオープンになるかというようなことにつきましては、これからきめ細かな検討が必要だと思いますので、いまいつまでにこれが終わるとかどうというようなことは申し上げ得ないのであります。
 それから入場者の数の反省でありますが、これは445万人ぐらいが予想せられておりますけれども、先ほど中山議員がおっしゃったように、おそらくそれより100万人以上落ちるのではないかということでございましたけれども、いまの傾向からするとそうなるかもしれないと思います。
 これは、大体四百四、五十万人を100%として、これの80%以内を限界として考えられていたようでありますが、そうしますというと三百五、六十万人入ればそれは80%ぐらいにはなろうかと、こう思うのでありますけれども、これもはっきりと断言はできません。
 やっぱり、これは宣伝不足もあったかもしれませんですけれども、これにつきましては、われわれはわれわれの立場で、たとえば九州知事会、全国知事会あるいはブロック知事会においてもいたしましたし、また協会といたしましてもそれぞれのお立場でこれは十分宣伝啓蒙はしたはずでありますけれども、これは、しかしながら距離が非常に遠い、飛行賃が高いというようなことが、大阪博覧会とも違ってこういう遠い僻地であったというようなこと。仮に、飛行機に乗れば簡単に来れるんじゃないかといいましても、やはり1人当たりの所要の経費が相当高くつきますので、それと同時に今日の物価高あるいは不景気というようなものも重なりまして少なくなったのではないかと。
 それから初めの想定でも大体来訪される観客は1人で1.8回ぐらいは入場されるだろうというふうに考えられていたようでありますけれども、実際は、来訪した観客はそう予定に狂いはなく来ているだろうと関係者は言っておられますけれども、1人について何回入場するかということについては、専門窓口の話によりますというと1.8回予定していたのが1.3回ぐらいに終わっていると、こういうことを言われております。そういうところにも原因があったんじゃないかと思います。
 それから全体的な評価ということについては、これはこの前も通産大臣も言っておられましたけれども、こんな大きな行事のことであるから、いまはプラス、マイナスいろいろあるけれども、総体としての評価はやはり時日をかさなければこれははっきりしたことは言えないだろうと、こういうふうに考えております。
 それからポスト海洋博の情勢ということについて御質問があったわけでありますけれども、確かに海洋博は経済落ち込みが予想されるわけであります。どういう方法を講じてこれに対応していくかということは、先ほど中山議員がおっしゃいましたように、やっぱり振興開発計画に照らして、そして沖縄の一番おくれておりますのは社会資本の不十分なこと、あるいは経済基盤がまだ拡充していないようなこと、しかもこれは公共投資を拡大強化することによって解決せられていくのである。社会的、経済的な一つの格差というのを是正する、あるいは生活環境周辺を整備していくというような諸問題ということにつきましては、やはりこれは公共投資の拡大であります。
 この事柄は、先ほどおっしゃったとおり、またいままでもたびたびお答えしておりますとおりでありまして、51年度予算においてはこれがぜひそういうふうな考えが具体化していくように強い折衝を続け、それから開発庁当局もそのことは全く沖縄の立場で考えて、この問題を少しでも多く拡充強化、確保していこうと、こういうふうな姿勢で取っ組んでおられます。予算編成も時期が近うございますけれども、やっぱりそういう意味で今度は取っ組んでおります。
 それから次に、農業の抜本的対策というのはどうするかというようなことでありましたけれども、常に抜本的対策を言いながら一向実が上がらないではないかというような御批評でありましたけれども、しかし上がる上がらないにかかわらず、これは絶えず主張し、そしてその線を固執してわれわれは進めていかなければならないと思うのであります。
 今後の政策につきましては、来年以降の県経済は低成長時代に入るということが予想せられるということが前提です。よって、農業面からの他産業への流出はとまり、むしろ労働力の農業への復帰が期待されると、こういうことを考えております。事実、軍関係離職者の幹部の農業に関する指導養成が高まっております。
 以上のことから、来年以降は新たな意味での農業構造の変化が予想されると、こう見ております。よって、現在、進行開発計画の農業部門の総点検を行っているところであります。これは年内に完了いたします。
 今後の農業行政の方向といたしましては、県内で消費される農畜産物はできるだけ県内で生産供給することを農政のかなめとしたいということ。
 それから2番目には、糖業、パインアップル産業等基幹作目の生産性を増して、より一層のコスト低減に努める。
 それから3番目に、恵まれた太陽エネルギーを最大限に活用して、基幹作目の糖業、パインばかりじゃなくして、野菜類、果樹、これはもう言い古したことでありますけれども、茶、花卉等の生産振興を図り、本土の端境期に向けこれを供給するということ。
 なお、優良牧草の増殖を図り、黒毛和牛――黒い毛の和牛であります――の生産を拡大するということが計画されております。これを推進するため、特に農業生産額の90%を占めておるところの畜産、サトウキビ、野菜等の価格安定制度を確立するように努めたいと、すなわち農業の基盤整備といったようなことです。しかし、これはいろいろ御批判はありますけれども、こういうむずかしい問題が抜本的に短時日に解決できるものとは私は考えておりません。そういうことを念頭に置きながら、私はじみちに着々とこの問題に取っ組んでいかなければならない性質のものであると、こういうふうに考えております。
 それから予算獲得の具体的な事例があるならばということでありましたけれども、これをちょっと申し上げますというと、めどについてでありますが、沖縄開発庁におかれましても公共投資の拡大に努力しておると、これは先ほども申し上げたとおり、50年度におきましても、予算の補正ですでに景気対策として90億円以上の追加がなされておるということは具体的な事例でございます。
 また、近く国で作業が始まるところの51年度の予算の要求にしましても、振興開発事業費で前年度770億円を21.4%上回る935億円がなされておりますが、これは大蔵省の要求枠15%を上回っており、今後この額の確保に努力していきたいと。ただし、いま上げた全部が獲得できれば幸いでありますけれども、確定的なものではありません。そういうふうな皆さんの御質問なさるこの意向については、私は開発庁の方向にもこれは大きく反映していっておると、こういうことを考えておるわけでございます。
 それから第2次産業でございますけれども、これもなかなか困難な問題でありまして、いろいろ構想は考えておるけれども、こういうふうに大きな効果があらわれましたといま申し上げるというふうなことはできませんですけれども、しかし復帰が実現して、あるいはポスト海洋博と、こういうようなことになりますというと、私はやっぱり依存的な基地産業とか、あるいは海洋博に依存といったようなものから一歩前進いたしまして、地道な生産産業、第1次、第2次というようなことに対しては、いま成績が上がっていようといまいが、好むと好まざるとにかかわらず、私はどうしてもこれを増産していかねばならない宿命的課題であると、こう思っております。
 農業もそういう意味で見直しますし、また工業も地場産業というものをやはり充実強化していく、あるいは伝統工芸、伝統産業というようなものを十分じみちにこれを発展せしめていくと。
 そのほかに、やはり産業基盤の整備がされれば第2次産業というのも、現在既存の産業というようなものを育成強化するほか、公害のない新しい企業ということはこれは誘致されていかなければならぬだろうと。現在、たとえば糸満地区とか読谷とか、南風原といったようなところに、やはりそういう産業基盤基地といってこれも設定して、ここに誘致する準備を着々進めつつあるわけでありますが、それが私はそういう長い目で見ながら、こういうようなものをじみちにやっていかなければならないだろうと思います。
 なお、それと例の基地労働者の問題というようなものも先ほど御指摘がありましたとおり、もう失業率が6%も上回っておるということは非常に厳しいものでございますけれども、しかし、これも現在これに対応するいろいろな諸機関がありますから、この前も申し上げましたとおり、その機関の能力を十分いろいろな意味で発揮せしめる。また、彼らの生活の安定を少しでも手伝っていこうところの制度がありますから、その制度を十分生かす。それと同時に、地場産業の育成強化、それから伝統工芸産業の育成強化、そこにもはけ口を求めていくと。それから公共投資を拡大強化していって、これは大体公共投資というのは100億円について2000人ぐらいは雇用効果もあると言われておりますから、これを増大することによってこれもふやしていこと。そして、沖縄地域だけでの職域というものではこれは間に合わないならば、広域的な職場の開拓ということも平凡なことではありますけれども、これは全国的に目を向けて広げていかなければならぬ。そういうふうにして着実に進めていくということしか私は申し上げられないと、こう思うのであります。
 さらに、そのほかに、牛肉問題、キビ価格の問題、それから病院特別会計等の問題につきましては関係部局長に補足させたいと、こう思います。
 なお、建築行政その他いろいろ消防法の問題、あるいは学校関係の御質問がありましたけれども、こういうのはひとつ関係部局長に答えさせたいと思います。
○議長(平良幸市君) 農林水産部長次長。
   〔農林水産部次長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部次長(島崎盛武君) お答えいたします。
 第1点につきましては、ただいま知事から御答弁がございましたので、2点目の畜産物関係の特別措置について国との折衝のことでございますが、これにつきましては現在企画調査部で整理中でございます。
 それから牛肉の特別割り当ての件でございますが、これにつきましては総合事務局と生産者並びに消費者ができるだけ調和のとれるような形で詰めているところでございます。
 それから畜産公社の現在の状態でございますが、これにつきましては県内各部との調整及び生産団体との調整も終わっておりますので、早急に庁議にかけまして、その機能あるいは事業設立準備のための諸手続等の最終決定をしたいと、かように考えております。12月の補正予算にも約2億円程度の補正増を予定しておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それから糖業の問題でございますが、サトウキビ価格の一本化についてでございますが、昭和50年産のサトウキビの最低生産者価格につきましては、すでに御高承のとおり告示がなされておりまして、ブリックス19度以上が1トン当たり1万2340円、それから16度以上19未満がトン当たり1万1040円となっておりまして、そのほか生産奨励金がトン当たり3760円というふうになっております。
 手取りにいたしまして19度以上は1万6100円となりますけれども、19度以下につきましてはかなり差が出ますので、現在この価格につきましては、いわゆる一本化につきましては生産者団体と製糖企業間で話し合いを進めているところでございますが、われわれといたしましては糖業振興の立場から、生産振興に支障のないような形で指導していきたいと、かように考えております。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) 建築基準法第18条第2項の件にお答えいたします。
 これは工事の着手前につきましては、いま御指摘のように建築基準法第18条第2項によって計画通知書を建築主事に出すことになっています。
 この件につきましては、昭和48年でございまして、通知を受けましたのはことしでございますので、これは違反いたしております。
 本県具志川市在の中部病院等の8件の通知につきましては、その当時、異常な物価等もございまして、そして建築設計の委託と建築工事の入札につきましては非常に困難な状況にありました。
 そういうようなことから、この通知の事務手続がおくれて、そして事後通知で確認されたということははなはだ残念でございます。
 この件の措置でございますけれども、建築設計を委託する段階でその設計者に、その主事に対して建築確認の通知書をともに義務づけをして、そこで落ち度のないような形と一貫した形の処理をしていきたいと思いますので、今後はそのようなことがないように最大の努力を払っていきたいと思います。
○議長(平良幸市君) 教育長。
   〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 前原高校のプール敷地の件と南部商業高校の水泳プール未使用の件についてお答え申し上げます。
 県立学校用地は全部で192万9000平米でございますが、そのうち借用地が全体の38%、73万3000平米でございまして、全部買い上げるとしますと約95億円の金がかかります。
 これらの借用地のうち現年度の購入計画としましては8万900平米、予定価格は10億4800円で、沖縄県土地開発公社を通して取得できるように折衝中でございます。
 なお、残りの借用地につきましては、年次計画で買い上げていくつもりをしております。
 前原高校の水泳プール用地に使用している後援会有地1071平米の買い上げも現年度の購入計画の中に入れてございます。
 次に、南部商業高校の水泳プールは、昭和48年度の国庫補助事業として49年9月10日に完成したものでございますが、それはプール本体と浄化装置でございます。更衣室などを含む管理棟が予算不足のために未設置になってございます。
 このプールの利用について学校当局の説明によりますと、女子学生の多い南部商業高校では更衣室がないと利用しにくいと、こう申しておりますので、できれば2月の補正でお願いしまして早目に利用させたいと、このように考えております。
○議長(平良幸市君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) 中山議員から御質問の病院の問題についてお答え申し上げます。
 まず1つは、膨大な累積赤字を抱えていると、50年度会計を入れてもおそらく40億円になるのではないかという御指摘でございました。
 病院事業の赤字というものにつきましては、もちろんこれは全国の自治体病院の共通の現象ではございますが、特に本県のような財政力の弱いところ、なおかつ復帰前における現金給付から復帰後における現物給付に移ったという過程の中での受け入れ基盤が弱かったというふうなこと等がその赤字の要因を他府県に比較して大きくさせていることは事実でございます。
 もちろん、その中でいろいろ原因はございますが、まず現在の診療報酬体系から見た場合におきましては、現在の診療報酬体系はある意味では診療所向きにつくられて、病院向きにつくられてないというふうなきらいがありまして、それがかなり影響されているのと、さらに診療報酬体系はいわゆる物価の上昇とスライドさせてないと、いつでも後手に回っているということもまたその原因になっているわけです。
 さらに、本県におきますところのいわゆる不採算性の部分が公的病院、すなわち県立病院に負わされているということが大きなもので、その不採算性の中で僻地医療、あるいは救急医療、あるいは研修事業等の分もかなり負わされておるので、その面での赤字がますます増加させる要因になっているということでございます。
 さらに、これは私たちの反省すべき事項ともなっておりますが、病院自体におけるところの経営努力、この面についても大いに反省いたし、そのために病院の経営診断等も受けまして、その経営診断の中で指摘されたことについて反省し、どう対処するかということについても、ごく最近、会議が催されております。
 それのみならず、病院の職員、特に経理事務関係の職員を本土に派遣し、いろいろと本土の事情を研修させたり、あるいは本土からその道の権威も来ていただいて、そして批判も受けて御指摘もいただいてそれに対処していくと、こういうふうな面での経営努力もいたしております。
 そのほかさらに、私たちはいわゆる一般会計の繰り出し部分についてもまた極力財政当局にも働きかけておりますが、先ほど申し上げましたように、かなり財政基盤が弱い本県におきまして、一例を申し上げるならば、全国平均で見た場合に、すなわち病院の事業運営並びに資本的事業に対する――病院の整備事業でございますが――支出と、それといわゆるそれぞれの自己財源の占める比率は、全国の場合には0.73%というふうな自己財源からの支出があると、全国平均に対して本県は0.9%とやや全国平均よりちょっと上回っている程度でございますが、県の独自の税収入から考えた場合には、全国平均は1.10%に対しまして本県では全国で最高で5.40%というふうな事情になっております。
 それに次ぐものは岩手県の4.91%、高知県の4.28%、鳥取県の3.37%でありますが、何といっても本県の5.40%の県税収に対する持ち出し率がかなり大きいということが中にあって、さらに私たちはまた一般財政の繰り出しについて要望し、かつその一般財源の繰り出しについて強力に要望をいたしております。
 その次の問題は、中部病院が109床、すなわち5階、6階の整備をしたにもかかわらず1年8カ月にわたって遊休化しているとの御指摘でございますが、その理由といたしましては、48、49年における物価騰貴等でその計算に狂いがきまして、予算の不足を生じ、その予算の補正をせねばならなかったということが1つと、それから先ほど御指摘もありました消防防災施設整備については、すなわち設計の段階において一応基準に合っていたものが、こういうふうな長い期間にわたってもたもたしているうちに、その防災設備の基準が改正されたと。したがって、改正された時点で合わないということで、その病棟の使用に待ったがかかっているというふうなことで問題が遷延させた事情でございます。
 さらに、定員問題についても私たちはすぐ間に合うだけの定員はつけられなくて、すなわち看護学校の新卒等の卒業生を見込んでそれに合わせてやるということもありましたんですが、いろいろそういうふうなことがありまして延びております。
 さらに、消防防災整備につきましては、自動火災報知器、あるいは非常用の放送設備、あるいは誘導灯の問題がありまして、指摘事項になっておりますが、これに対しては3750万円を予算措置してありまして、これは来年の3月をめどに全部完成して、そしてできるだけ早くその遊休化している病床を開床いたしたいと、こういうふうに努力しているところでございます。
 その次は、教育病院についての御指摘で、それは御指摘のように全国でユニークなものであり、これについては積極的に県もその線で今後もこの運営を図りたいと思いますが、この分については49年度は大体1億7637万円の予算があって、その中で国庫が1498万円となっております。
 今年度におきましては、予算は県の方が2億5324万円の持ち出しに対して、国から1991万円の補助がなされる予定になっております。その県の持ちだし分が少ないというふうな批判も受けると思いますが、この中にあって、実は派遣医師の枠の中で中部病院の研修生に対する指導もその中から一つとしての応援も得ておりますので、それは数字にあらわれてないということでございます。
 この研修制度は、卒業生が県内で残って活動している歩どまりもかなり大きく七十七、八%になるので、その面でも私たちはこの事業を継続したいと思いますが、その中で御指摘のように、これと赤字との関係はどうなっているかということでございますが、現在、中部病院が24時間の診療体制をしくことができるということは、大きくこの研修制度に寄りかかっている部分もございます。すなわち、研修生の夜間における実習等を入れてありますので、24時間これに対応する形になっております。もちろん、この研修生を置くことによってその一般持ち出しに影響される部分もございますが、いま申し上げましたように、研修生の深夜の実習によって24時間の診療体制も維持できるというふうな相関連した向きもあります。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 企業局長。
   〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) 具志川市における地下水取水による補償要求の問題についてお答えいたします。
 復帰後の損害補償要求につきましては、国の責任で処理すべきであるとの県の見解に具志川市も同意をいたしまして、昭和49年4月18日付文書で関係省庁あて地下水取水による被害補償についての要請書を送付して以来、国との折衝に努めてまいりましたけれども、最近におきましては、8月12、13の両日、事務次長をして国と折衝をさせております。
 国との折衝の経過につきましては、具志川市にも事情を説明を行っておりまして、具志川市と力を合わせまして、早期解決を図っていく方向で努力をしておるところでございます。
○議長(平良幸市君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 中部病院の消防施設についてはさきにお答えしてありますので、その他の県公共施設についても消防法の基準に合致するように整備を図っていきます。
 それから雇用・失業のところで出ておりました県庁の女子職員の勧奨退職年齢を引き下げることについて慎重に検討してみたらどうかということがございましたが、58歳までの年齢引き下げについて現在事務段階で検討しております。この場合、男女を問わず現在該当職員の意向調査を実施しているところでございます。
○議長(平良幸市君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 沖縄県の定数が1000人ほど多いのではないかという御指摘でございますけれども、さらに定数につきましては、ことし4月から8月にかけまして、できるだけ限定員で新規の需要に充てていくと、こういう方針で鋭意努力しているところであります。
 ちなみに、知事部局の定数を見ますと、6112人、そのうち病院関係が1287人でありまして、それを除きますと、一般に知事部局と言われる定数は4825人でございます。
 それを1000人多いという言い方がございますので、私どももそのようなことで一体どうなんだということで今日までいろいろ検討しておりますが、ちなみに、人口で宮崎県が約107万人、本県が104万2000人を比較いたしますと、本県が4825人、宮崎県が4876人で宮崎県が50人多いと、こういう状況です。
 また、全国の人口比と本県の人口比で見ますと、1人の職員に全国平均は281人ということになりますので、こういう見方からしますと、約1000人ほど本県が多いと、数字的にはこういうことになります。
 しかし、復帰後、本県は他の都道府県に類例のない特殊な事務がございます。地籍調査事務、基地渉外事務、不発弾処理、あるいはつぶれ地補償、あるいはまた駐留軍労務管理関係、さらに先ほど環境保健部長からも指摘がありましたように、医療施設につきましては、県立病院の比重が高く、医療福祉面に対する県の比重が他の都道府県よりも高いと、こういうこと等もありまして、また各県それぞれ置かれた地理的条件、特に本県は39の離島を擁しております。離島が多く、非常に行政需要も多い中で定数等についてもそういう形で見ますと、必ずしも多いとかということは言えないかとおもいますけれども、先ほど指摘がありましたように財政上の問題とうから見まして、できるだけ不要不急の部門といいますか、管理部門等は削減し、事業実施部門、現場あたりを強化して新規の行政需要に対しては定数内でできるだけやりくりしていきたいと、こういうふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 中山兼順君。
   〔中山兼順君登壇〕
○中山兼順君 第1次産業の抜本的振興策ということにつきましてお聞きしたんですが、農林水産部次長でしたが、労働力の復帰が期待される、こういうことを言うております。
 沖縄の労働者と本土の労働者が違うということを私はよく聞かされます。沖縄の労働者2人頼むより本土の労働者1人頼んだ方が経済的であると、こういうふうに企業は言っているんですよ。ですから、仕事はあってもやらないんです。それが実情じゃないでしょうか。ですから、そういうものは私は、教育が必要じゃないかと。(「労働者侮辱はやめろ」と呼ぶ者あり)そういうふうに言われている。だから、その点もやっぱり農業がいかに大事なものであるかを青年に教育する必要があるんじゃないかということを私は訴えている次第でございます。だから、抜本的とか、そういうようなものをなぜ強いて毎年抜本的といって出さなくちゃいかぬかと。
 ただ、帰ってきて、だれでも農業できるものじゃないんですよ。そこが問題ですよ。そこだから私は言う。やっぱり農業は、農業の教育が必要であるということを訴えているんですよ。幾ら人口がふえて労働力が余っておっても、やろうとしない、やれないんですよ。そこが問題だと申し上げている。その点を今後とも考えていただきたいということです。
 それから第2次産業の積極的推進策とは何かと、これは前から言い古されている。既存産業の育成とか地場産業とか伝統工芸とか、もう聞き飽きているんですよ。それも必要でございます。必要でございますが、なぜ積極的に工業を誘致しないかというんです。四、五年続けて、電子工業の誘致を図りますと、またこの前まで、造船所を誘致しますと、こういうふうに言うておられた。だから、そういうふうな積極姿勢があるんでしたら、やっぱり本土政府とも十分話し合う、そして企業側とも話し合う。たとえば造船所の問題だったら、日本造船工業会というのがございます。そういうところに行って、大いに打ち合わさなくちゃいかない。あるいは経団連、日経連、そういう方々ともひざを突き合わして沖縄の事情を訴えて、ぜひ沖縄に来てもらうようにやらなくちゃ、ただ題目だけ並べたってだれも来はしません。
 そういうような状況でありますので、今後とも工業誘致については積極的にやっていただかなくちゃ困るわけでございます。ただ、4カ所の工業地域を指定したからと言うたところで、喜んでくる人はおりませんよ。そういうふうに、今後ともこの企業誘致は積極的に推進すると言われている以上は、直接企業とも折衝するだけの力がなくちゃ何にもなりません。ただ、並べたってそれでごまかそうたって、住民はそう簡単に承知しません。どういうふうに努力したかを聞きたいわけでございます。
 知事は、たとえば造船企業については、日本造船工業会の幹部の方々とひざを突き合わして話し合われたことがあるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
 それから病院の特別会計のことでございますが、私の申し上げていることは、企業努力が足らぬということはさきも部長は認めておられますが、病院は営利を目的とすべきじゃないんです。人道的立場から患者の早期治療、早期社会復帰でございます。日本の特別会計の仕組み、独立採算制のやり方が間違っていると私は個人的に思います。人間の生命の尊厳というものを忘れた金もうけ主義的なやり方では困る、これが世界の趨勢でございます。そういうふうに、今後ともこの点については検討しなくちゃならぬと思うわけでございます。
 ですから、中部病院の場合、急患1人当たり保険では100円しか入ってきません。実際にかかる経費は1人419円かかっています。319円は赤字なんです。それが何万人と年に入ってきます。それ自体がもう欠損なんです。そういうやり方を改正しなくちゃいかない。法の改正は国がやるわけですからできませんけれども、じゃ県としてはどういう立場をとらなくちゃならぬか、それは一般会計からの繰り入れしかないんです。
 ちなみに、佐賀県は49年度は一般会計から45億円を繰り入れております。ほかの県は黒字のところもあります。皆一般会計から不足分は足しているわけです。
 そういうような実情でありますが、沖縄県は一般会計から13億円しか支出しておりません。ですから、病院というのは、金をもうけようと思ったらもうかるような仕組みにもなります。薬だけどんどんやったらいいです。そういうのは医師の良心に反するというわけで、やっぱりこういう医師は、技術料に支払われなくちゃいかない。薬に支払ってはいかない。幾らでも高く上あげようと思ったら、上げられる。看護婦を減らせばいい。いまの150名働いているのを80名に減らせばいいです。人件費が浮きます。もうかりますよ。それでは医者は承知しないんです。とうとい人命を預かっているからでございます。また、医者の研修も行っています。そういう医師の研修には莫大な経費がかかるわけですから、その分も一般会計から繰り入れてしかるべきじゃないかと、こういうことを私は申し上げているわけでございます。ですから、会計検査からも48年度以来、負担区分を明確にしてもらいたいと意見書を出されております。
 だから、環境保健部は、一般会計の繰り出しと負担区分を知事、上司に進達してあるのかどうか。あるとすれば、いつそういうことはやられたか、これをお聞きしたいと思います。
 私は、いまの環境保健部長が悪いとは申し上げません。この人が来る前にやったことなんです、赤字というのは。ですから、いま担当の副知事がお休みでございます。しかし、何カ月も空席にするわけにはいかないだろうと思う。早く補充していただいて、何とかしてこの主管担当副知事と環境保健部長が話し合って、早くこの問題を解決しないと、次年度は三、四十億円の赤字になってしまう。そういうふうに行政の空白にならないように、環境保健部長が副知事とともに、この問題の解決を図ってもらいたいからでございます。そういうことを私は申し上げたいからでございます。
 だから、この負担区分について、環境保健部長から財政担当部局に進達してあると思いますが、それについてどういう対策をとられようとしているか、その点をお伺いしたいと思います。
 それから建築基準法違反でございますが、なぜこうなったかということをお聞きしているんです。なぜ違反をしなくちゃならなかったのか、こういうことですよ。それがたくさんあるわけですから、1カ所なら私も黙っておきますけど、たくさんあるから申し上げるんですよ。
 申し上げましょうか。県立中部病院109ベッド、これの竣工が49年の3月20日にやっています。それが、ずっとおくれて先月でしたか――に書類を送ってきている。完成してから送ってくるんですよ。
 それから中部病院ガンセンター診療棟、救急センター工事、農村青少年活動促進施設新築工事、具志川警察署2階庁舎及び車庫増設工事、赤道派出所新築工事、コザ看護学校宿舎増築工事(A棟)、コザ看護学校宿舎増築工事(B棟)、コザ看護学校講堂新築工事、具志川駐在所新築工事、こういうふうに9件が、工事も終わって落成式もやって、さらに1カ年半おくれてから、いまごろ持ってくる。そんなやり方がどこにあるんですか、なぜおくれたんですか。
 皆さん方は、建築基準法に違反するということをわかっておられるでしょうが。なぜおくれたかを聞いておるんですよ。だから、そういうところを、その理由を説明願いたいわけです。どうなっているか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
 そして、県民にわびるべきはわびていただきたい。法を犯して、法を犯しましたでは通らない。法を犯して申しわけない、県民に深くおわびしますと、なぜ県民におわびしないんですか。当然なことみたいに言うたら困りますよ。執行部が法律を守ってこそ、県民に強いことが言えるんでしょうが。みずから法を犯して、県民を縛って何の値打ちがありますか。おのれを省みてください。
 そういうふうに悪いのは悪いとわびる、これから改善するならいいんですよ。そういうふうに、はっきりなぜおくれたかを知らせていただきたいと思います。
 それから前原高校のプールの件ですが、これは本年度に土地開発公社を通じて支払うということを言われておられますが、これに対する利子を月8万円払っております。この利子も払ってくれるでしょうね。当然、これは県が負担すべきです。1000万円もPTAは借りているんです。県は当然早期に支払うべきでありますが、いまだに払ってないんですよ。だから、PTAは困っているんです。これを早く土地開発公社と相談されて、早急に利子を含めて支払っていただきたい。当然であります。
 先ほどの南部商業高校のプールも使われておりません。そこにはたくさんミスがあるわけですよ。もう前原高校のプールなんかこういう実情なんです。トイレもないんです、プールに。更衣室ももちろんありません。こんな調子なんですよ。それからシャワー室、壁体はブロックになっていますが、屋根がないんです、青天井。女の生徒もシャワー浴びるんです。上からまる見えです。そんな設計がどこにあるんですか。屋根のないシャワー室というのは、聞いたことありませんね。教育長は、職員を派遣して見させたことがありますか。だれがこんなものを設計するんですか。新しい建築様式ですか、屋根のないシャワー室なんて。予算がなければ、せめてトタンぶきでもやるべきじゃないでしょうか。使えないようになっているんですよ。そしてこのシャワー室を私見ました。ドアもないですよ。外から、部落からまる見えです。本当に近代的に設計されています。スウェーデンならそれで通るでしょう、ポルノが盛んだから。
 そういうようなやり方では困るんですよ。なぜドア1枚つける予算がないんですか。これをPTAが負担していますよ。周囲のへいは、いままでワイヤーみたいなもので、ネットみたいなものでやって、これを夏になりますと、子供が入ってしようがない。付近の子供が浴びに来る。大変危険であるというわけで、PTAは自分たちが負担して100万をかけて周囲をブロックべいにしたんです。もし、そこをそのままにしておきますと、子供たちが入って水難事故があったら責任を負わなくちゃいかない。そういうわけでPTAも100万円の金を出し合ってこれの改善をやっているわけでございます。
 ですから、設計するに当たっては、学校当局の意見を十分聞いてからやってもらわぬと、大変なことになりますよ。使えないんですよ。これを学校の先生方が奉仕作業でまたドアつけたり屋根をつけたりしているんですよ。一体、これでいいのですか。とんでもない設計をしております。
 そういうことが今後ないように十分気をつけていただきたいと思います。ただ、プールをつくってあげればいいんじゃない、使えるようにつくってくださいよ。だから、南部商業高校の先生方は使いません。生徒も、要りませんとほったらかしですよ。何千万円という莫大な金をかけてほったらかし、これこそ県民の血税のむだ使いです。
 そういうふうなやり方では大変なことになりますので、今後二度とこういうことがないように反省していただきたい。
 先ほどの質問について御答弁願ってから、必要があれば再質問いたします。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君登壇) まず、この状況を御説明申し上げます。
 まず、県の特別会計を除いて一般会計の建築の確認までの経路としては、建築の申請者は土木部長になってございます。それで、これを設計いたしましてそれを土木部長名で、この主管の土木事務所の主事で部長名で建築の計画通知の文書を出します。
 ちょっと失礼しました。その前にその所在地の市町村を経由します。それからその所在地の土木事務所に出てまいります。それから小さいのは、土木事務所の主事が確認いたします。大きいのは、本庁の主事が確認をいたします。
 こういう経路をたどって建築確認の業務を行うわけでございますが、その8件のうち4件は、これは所管の市町村からそれが上がってまいりましたので、それでこれは確認いたしております。残り4件は、実はその途中でどこで紛失したかということについては、実は理由ははっきりしませんでしたが、つくりまして、そしてその経路を経て確認をいたしております。
 これは御指摘のとおり48年の業務でございますので、その当時の担当の職員が現在はやめておりまして、その辺の経路をどこでどうなったか、その経路の中でそういう手違いを起こしております。これにつきましてはまことに申しわけないと思いますので、今後は先ほども御説明申し上げましたので、二度とこういうような過ちを犯さないようにその業務の処理をいたしていきたいと思います。
 どうも申しわけございません。
○議長(平良幸市君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) 先ほど特別会計での赤字対策の問題の中で、御指摘のように一般繰り出しの負担区分の明確化ということでございます。これにつきましては技術的にいろいろと相絡む分が出てくるので、かなりむずかしいということは事実でございまして、と申しますのは、他府県に参って負担区分の明確化について各県でもいろいろと様子をお伺いしても、各県でもかなり悩んでいる事柄のようです。
 また、県によってはそのふところのうちを知らさないというような向きもあります。したがって、私たちは私たちなりの理論でもってそれを構成して、そして財政当局に当たらにゃならぬかと思います。
 先ほど御指摘の中で、いつこういうふうなことを述べたかということもありまして、特に副知事2人制の場合の担当副知事がいないから非常に困っているとの印象の発言のようでございましたが、実は2カ月前にいまの宮里副知事が全部担当するようになっておりますので、何とかして忙しい副知事をとらえてじっくりとひとつ講義しようということで――講義というのは教えることの講義でございまして――中部病院の救急病棟の開所式の場合に、那覇から中部に至る50分の間、資料をたっぷり用意して自動車の中で宮里副知事に懇々と説いて、そして宮里副知事が協力してくださるということで言質もいただきましたですが、あとは技術的にどういう部分をどういうふうにしてということについて、またさらに理論構成して財政当局に当たりたいと、こういうふうに思っております。
○議長(平良幸市君) 教育長。
   〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 御指摘の前原高校の土地購入につきましては、利子の分も含めて購入したいと考えております。
 さらに、プールの設計等につきましてもいろいろ御指摘がございましたが、この御指摘の点を十分反省しまして、今後慎重に対処していきたいと、こういうふうに考えます。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) こういう建築物に対する確認その他の事項につきましては、これは土木部長まででこれを処理しておる問題でございますが、したがいまして、まず先ほど土木部長からこれは申しわけない由を皆さんにも申し上げておりましたので、そういう点で御理解をしていただいて、なお復帰後、大変革期、大転換期、大混乱期であったと思いますが、こういう時期にいろいろコスト高とか、あるいは建材不足だとか、それからその上に県民のいろいろ大型の事業が非常にふえております。そこで、大型事業というようなものにも精いっぱい職員は一生懸命に働いてもらったと、私はこう思っております。
 そういうことで、それがいいというわけじゃありませんですけれども、あるいは手続上ここに手抜かりがあったところもあったということを私も認めまして、これは申しわけないと思っておりますし、また今後、こういうような轍を踏まないように、部長からも話がありましたとおり、私からも強く指示いたしまして、再びこういうことのないように注意をさせていきたいと、こういうふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 中山兼順君。
   〔中山兼順君登壇〕
○中山兼順君 主管部も知事も悪いのは悪いと釈明しておられますので、今後こういうことのないように部下を十分監督してやっていただきたい。そうしないことには、困るのは県民なんです。民間企業の場合は、非常にうるさいんです、建築確認するのに。二、三カ月かかります。民間がつくったのはまだほったらかしてあります。与那城村役場の後の闘争小屋、あれも違法建築。そういう違法建築とわかりながら、何もやろうとしない。やってもどうなったかわけがわからぬ。県自体がしっかりしないから、ああいうことにも文句言えなくなるんですよ。県がみずからえりを正してもらいたい。革新県政になりましてからもいろいろと問題が出ております。
 連合軍の最高司令官マッカーサー元帥は、解任されたときにこう言っております。「アンノールドソールジャー、ジャストフェイドアウェイ――老兵は消えて去るのみである」こう言われております。
 沖縄県の行政の最高責任者であるところの屋良知事は、CTS問題についても支持母体から突き上げられたし、また海洋博の問題につきましても、開催についてもあちこちから反対されたりして、こういうようなやり方では行政のスムーズな運営はできないのは当然でございます。
 執行部内では、御承知のように砂利汚職事件が起こった、土木部で。最近は土地開発公社の専務理事の汚職が県民の前に暴露されております。こういうようなことを部下職員がやるものだから、県民はもう県を信用しない。県政不信の原因はそこにあるわけなんです。
 屋良知事も一生懸命やられたのは私はある点では認めます。その信条はまさにマッカーサー元帥と同一なものがあると拝察いたします。
 知事の座を去るときもあるでしょうが、知事の座を去って後の屋良さんの御健康を祈念いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
   午前11時49分休憩
   午後1時0分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
 午前に引き続き代表質問を行います。
 志村恵君。
   〔志村恵君登壇〕
○志村恵君 私は、自由民主党沖縄県連所属県議会議員を代表する1人といたしまして、さきに通告いたしました事項に関し、順次質問を行いたいと存じます。的確な御答弁を要請いたします。
 わが党は、この不況下における失業者が続出している今日、公共料金である水道料金等についても努めてこれを抑制すべく努力を傾注いたしてまいりましたし、このことが自主県政における県民福祉へのよりよい道であると考えるのであります。
 したがって、行政に携わる者は、地方自治法第2条の趣旨に従い、住民の福祉向上に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を上げるようにその処理すべき事務処理の基本原則を守らなければならないことは、いまさら申し上げるまでもございません。
 地方公営企業にあっては株主総会ともいうべき地位にある県議会は、企業経営の基本に関する事項の決定、企業業務の予定、運営、その結果について、予算決算を通じて県民の意思を反映することになっているのであります。
 したがって、地方公営企業を能率的に、経済的に運営する管理者の自主性を強化し、日常業務運営はでき得る限り管理者に委任されているのが実情でございます。
 このことは、地方公営企業法第3条が示すとおり、地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するよう運営することをわれわれ県民は信頼し、期待しているからであります。
 ところで、その信頼と期待にこたえたかどうかという点から、昭和49年度公営企業会計決算において、財政運営上から見た場合、県民の信頼と期待を完全に裏切っていると言わざるを得ません。
 ちなみに、決算委員会における審議の過程をいま1度簡単に御説明を申し上げることによって、事の真相を明らかにし、知事の的確な御答弁を求めたいのであります。
 すなわち、決算特別委員会において昭和49年決算審議をを行うに当たり、企業当局は、年度末の昭和50年3月31日末の帳じりを合わせるため、市中銀行より3億円の一時借入金をもってこれに充て、翌月の4月17日にこの借入金の返済をなし、その間の利息がわずか18日間で129万4520円を支払っております。
 企業当局は、昭和50年3月31日現在における保有金額が何と31億6000万円余もあるにかかわらず、この保有金を活用せず、わざわざ高利の利息で市中銀行から一時借入金をなし、129万4520円の利息を支払っているのであります。
 これは地方公営企業法に言う公共の福祉を増進するように運営しなければならない基本原則どころか、かえって企業の財政状態をますます悪化させる根本要因にもなっているのであります。
 このような措置は決して適切でなく、企業当局の資金計画のまずさに起因するものである旨、強く指摘をいたしたのでありますが、企業局長は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第17条に抵触するとして、一時借入金をしたことはやむを得ない措置であったと答弁がなされました。がしかし、その後、私との間でいろいろ論議が交わされ、後日開かれました委員会において監査委員の同席を求めて、意見を徴した結果、おおむね次のような見解を得たのであります。
 すなわち、代表監査委員は、国庫制度の沿革の中で明治初年に始まる国有金庫制度から、明治23年4月採用の委託金制度を経て、大正11年4月に現在の預金制度になった旨の説明がなされ、現行の預金制度のもとにおいては、財政と金融の関係を円滑にし、資金の効率的使用ができ、小切手の使用によって信用取引の発達を促し、国庫資金、県の資金と民間資金が断絶せず、一体となる結果、通貨膨張の抑制を図り得るなどの説明がなされ、志村議員指摘のとおり、企業内における資金繰りを適切な計画によって運営すべきだとの見解が述べられたのであります。代表監査委員の見解説明の後に、企業局長は改めて次のような見解の御答弁をいただきました。
 すなわち、市中銀行より一時借り入れ当時は、適正化法第17条に抵触するものとして判断し、保有現金を活用することなく一時借り入れを行ったのであるが、ただいまの代表監査委員の見解を聞き、みずからの措置は誤っていたことを認め、申しわけなかった旨の答弁を行い、さらにまた責任問題についても言及され、このことについては今後十分検討して、適正な措置をしたいと考えていると言明されたのであります。
 以上のような経緯から、決算委員会では次のような指摘をし、「これが改善のため最善の努力を払うよう強く要望する。」ことにし、「一時借入金について、財政運営上妥当性を欠き、多額の支払利息を企業の負担としていることもあって財政状況を悪化させる要因となっている。よって今後、一時借入金については、慎重な配慮をするとともに周到な資金計画によって企業運営の健全化を図るよう格段の努力をすべきである。」との意見書を付し、与野党全会一致をもって認定がなされたのであります。
 ところが、その明くる日、企業局長は記者会見において委員会における答弁とは全くうらはらな発言を行ったのであります。
 すなわち、国庫補助金からの転用は法的に疑問がある。したがって、銀行から借り入れざるを得ず、行政上のミスはなかったと反論をいたしております。
 さらにまた、電力料金値上げ等諸事情があって、企業局の財政は急激に苦しくなった。49年度決算で3億円の実績赤字が予想されたので、自治省の助言を得て銀行から借り入れることになったと、この間の財政事情やあるいは借り入れ経過を説明、国庫補助金、支出金から一時借り入れした場合、補助金などの適正化法に抵触すると解釈、市中銀行から借り入れになったと述べております。
 さらに、重視いたしたいことは、国庫補助からの一時借用は法的に不可能との立場をとっていることを述べ、借入期間や今後の資金計画などをできるだけの努力を払い、むだのないよう努力するとの態度を示したと報じております。
 このことは、委員会における指摘されたことに対し、いささかも反省するどころか、開き直った発言であり、議会無視と同時に議会への挑戦であり、委員会での審議の過程における発言を隠す行為は断じて許されるものではございません。
 そこで、いま申し上げた背景に立って知事の率直な御所見を承りたいと存じます。
 次に、企業局長、記者会見を行い、新聞発表をされましたが、その真意を明らかにし、同時に、指摘してまいりました一時借入金について、企業局としての統一した見解をいま1度明確にお聞かせを願いたい。
 さらに、代表監査委員にお尋ねをいたしたいのでございますが、私が申し上げるまでもなく、監査委員は、任命権者である知事をはじめ革新与党の皆様に癒着をしたり、あるいはまたいささかたりとも遠慮することがあってはなりませんし、あくまでの厳正中立の立場で監査に臨んでこられたと思うが、監査に当たっての監査委員の基本的な姿勢について、まずこれを明らかにしていただきたい、これが1点であります。
 2点目に、本問題に対する監査委員の明確な見解を承りたいと存じます。
 次に、今帰仁村仲宗根と今泊地内にある公用地として購入され、現在、土地開発公社が管理をしている土地についてお伺いいたします。
 およそ、土地の取得については、取得前にその目的、土地の利用計画、その効果や開発後の採算性の問題、資金計画など十分調査検討をなし、初めて公用地の取得がなされなければならないことは申し上げるまでもございません。
 仲宗根地内における土地につきましては、沖縄県リゾート開発公社が目下海洋博関連宿泊施設としてリゾートステーションの設置を行い、土地の有機的な利用がなされており、ただいま御指摘いたしました今泊の土地5万1373坪につきましては、2カ年半も経過した今日、いまなお土地の開発がなされないばかりか、その利用がなされてないままに放置されておりますことは、まことに遺憾なことでございます。
 莫大な資金を投じ用地を取得し、多額の利息を支払わなければならないばかりか、効率的な土地利用がなされないことに対し、県民の立場からはいささか疑問を抱かざるを得ないのであります。
 そこで、公社の理事長でいらっしゃる知事に質問をいたします。
 初めに、本件土地の購入時における機関名、購入月日、総面積、取得金額、現在の所有者はどの機関なのか、お伺いをしたい。
 2点目に、本件土地購入に当たって、具体的な購入目的、利用計画についての説明を求めます。
 3点目に、同村内今泊の用地――ただいま申し上げました用地――5万1373坪については、いまだに開発されずに利用されないのはどういう理由によるものか、いかなる理由があっていまだに開発もされない、また利用もされないかということでございます。
 次に、仲宗根の土地――いまさっき申し上げましたリゾート公社が開発いたしました仲宗根の土地――が2万3370坪、今泊の土地が5万1373坪、計7万4743坪に対しまして、売買代金として1億4836万4855円、このうち前金として1億4302万1187円を昭和48年5月11日に支払い、後金の534万3668円については、所有権移転登記完了後に支払う旨、財団法人の沖縄県観光開発公社理事長屋良朝苗と同じく財団法人沖縄県開発公社理事長屋良朝苗との間に土地売買に関する契約が昭和48年4月27日に締結をされております。
 土地代金として、開発公社は1億4300万円余の支払いがなされているにかかわらず、以来2年有半いまだに所有権の移転登記がなされていない。この理由について、知事から明確な御答弁をいただきます。
 次に、財団法人沖縄県開発公社は、昭和48年8月31日、公拡法に基づく沖縄県土地開発公社へ組織の変更がなされておりますが、両公社とも理事長が屋良朝苗であることから、早急にその必要性については余りお感じにならないかもしれませんけれども、少なくとも別個の法人組織である以上、移転登記を早目になさらなければならないことは至極当然なことであります。
 今日までこのことがなさてないために、両公社とも公社運営に大きな障害となっていることは事実でございます。
 なぜ、これらの土地が代金を支払っているにかかわらず、いまだに移転登記がなされないのはいかなる理由によるものか、知事の的確な御答弁をお願いをいたします。
 4点目に、知事は、今泊の土地――ただいま御指摘の土地――の今後の利用計画についてどのようにお考えになっておられるか。すなわち、具体的な利用計画についてお知らせを願いたいと思います。
 それから5番目に、今帰仁村の公用地資金の収支状況を説明していただくと同時に、いまだに今帰仁地内における購入土地の未払い金が相当あろうかと思いますが、この未払い金に対する支払い計画についても同時に御説明を願いたいと思います。
 最後に、今後の公用地取得の基本姿勢について、知事の御見解を承りたいと存じます。
 これで一応の質問を終わり、御答弁を得て再質問をいたしたいと存じます。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 初めに御質問のありました企業局についての決算時における手持ち現金があるにもかかわらず、一時借り入れを行ったことについて申し上げたいと思います。
 企業局からそのことにつきましては私も説明を聴取したのでありますが、昭和49年度末、すなわち昭和50年3月31日現在の現金預金額が31億6771万156円となっておるようでありますが、この資金は国庫補助金並びに企業債等の特定の事業に充てるためのものであり、当然これを保留しておかなければならないという見地から他に財源を求めることについて検討したようでありますが、やむを得ず市中銀行から借り入れを行ったと言っております。
 いずれにいたしましても、基本的には資金勘定の収支を一時借入金によって償ったことにつきましては、企業会計の立場とはいえ好ましいことではないと考えております。
 なお、この件につきましては、企業管理者たる企業局長も御指摘の趣旨を謙虚に受けとめ、今後かかることのないよう資金計画等の策定及びこの運用等に当たって慎重に対処していきたい旨の進言もございますので、私といたしましても、さらに企業の健全な運営のために努力するよう指示いたしましたので、この点を申し添えておきたいと、こう思います。
 次は、今帰仁の公用地の取得とその計画についていろいろの御質問がありましたけれども、一括してお答えしたいと思いますけれども、今帰仁の土地取得につきましては、本土復帰がいよいよ実現されようとしている昭和47年5月ごろ、本部町並びに名護市等においては海洋博関連公共工事の計画が次々と発表され、これら地域に開発が集中し、経済開発が大きく期待される状況下にありましたが、今帰仁村地域においては海洋博関連の公共工事も少なく、地域的に地元村民の期待できるものが乏しい状況にありました。
 そこで、沖縄県観光開発公社といたしましては、海洋博会場隣接村としての今帰仁村の地域経済開発を図る立場から、海洋博に協力するという認識もありまして、国民休暇村、青少年旅行村、ユースホテル、あるいは宿泊施設等を建設することを決定し、その用地として、今帰仁村仲宗根に2万3370坪、同村今泊に、先ほど御指摘がありました5万1373坪、合計7万4743坪を約1億2566万円、坪当たり1681円で契約しました。
 その後、観光開発公社の契約変更によりまして該用地は沖縄県土地開発公社へ譲渡されておりますが、その後、本部半島のリゾート開発を推進をする目的で、沖縄県リゾート開発公社が設立されたので宿泊施設建設事業の一部が同公社で実施されることになり、仲宗根の2万3370坪については、現在、沖縄県リゾート開発公社が譲渡を受けて、海洋博関連宿泊施設としての仲宗根リゾートステーション用地として利用されておる次第でございます。
 一方、今泊の5万1373坪につきましては、その周辺隣接地におきましてすでに民間による計画が進行していたので、無用な刺激と競合を避けるため、今日までその利用を見合わせていたわけでございます。
 今後の同用地の利用につきましては、土地開発公社において、関係部局の公共的利用との関係で有効活用を検討していきたいと考えておりますが、確かにこれを購入してすぐさま利用できなかったことは、まことにこれは見通しを立て得なかったうらみがありまして申しわけありませんが、現在、農林水産部あたりと、たとえば県民の森、保養地、植物園といったようなものの目的をもってどう活用するかを検討しておるわけでありまして、いまどう使うというふうな確定はしておりません。鋭意こうして検討しておるところでございます。
 それから、いろいろございましたけれども、その価格などにつきましては、昭和47年5月ごろ、本部町、名護市においては先ほど申し上げましたように海洋博関連工事が発表されたと、そして今帰仁ではそういう期待に沿えなかったということで、こういうようなことを計画したといったことでありますから、そこで沖縄県観光開発公社が同村の地域経済開発を図ることと、海洋博に協力する立場から、青少年旅行村、ユースホテル、宿泊施設等を建設する目的で、いま申し上げましたような合計7万4743坪の土地を購入しましたが、その後、観光開発公社の計画が変更されたため、この土地を当時の沖縄県開発公社が、当時設立構想のありました北部開発公社に将来譲渡する目的で、該土地7万4743坪を1億4836万4855円で取得したものであります。
 そのうち、7万999坪の土地代金金額の1億4093万3015円と観光開発公社が契約の約束をした3744坪の土地代、これは743万1840円の30%相当額208万8172円、合計1億4302万1187円は昭和48年5月11日に支払い、残額の534万3668円は観光開発公社へ所有権移転登記後に支払うとの契約が行われているということは先ほど御指摘になったとおりでございます。
 なお、この計画についてもう少しつけ加えますというと、今後の利用計画はどうかということは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、土地開発公社は、道路、公園、緑地、その他の公共施設の用に供する土地を取得することができるようになっておりますが、その場合でも土地の利用計画等について関係機関と連絡をとって公共用地を取得するわけでございます。
 当時の公社が、この土地を取得するに当たっては、設立予定であった北部開発公社へ譲渡する計画というだけで各関係機関との十分な連絡調整が行われずに現在未利用になっていることはまことに遺憾であると、こういうことを私は表明いたしたいと、こう思います。
 この土地の利用計画については、先ほど申し上げましたように、いま農林水産部を中心として関係部局間で検討をいたしておりますので、これが活用できるように十分道を開いていきたいと、このように考えております。
 それから土地開発公社へ名義移転がされないがどういうことかということでありますが、土地開発公社が取得しました今泊の土地は、畑、原野、山林となっております。農地転用につきましては、農地法第5条によりまして農地転用のための権利移動について、転用の事由の詳細、転用の時期及び転用の目的に係る事業、または施設の概要等を記載した申請書を農林大臣に提出して許可を受けなければならないことになっております。
 しかしながら、当該土地につきましては、先ほど申し上げましたように、現在、具体的な利用計画が十分策定されておらない。そういう転用の時期等が明確でないために許可を受けることができずに、現在、権利移転がなされておらない次第でございます。
 そこで、土地開発公社に所有権が移転できるためには、当該土地の県における利用計画の策定が早急に必要でありますので、繰り返して申し上げますが、その策定を検討中でございます。
 いろいろの御質問がありましたが、こういうようなところでお答えを終わりたいと思います。
○議長(平良幸市君) 企業局長。
   〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) 企業局の昭和49年度決算の問題に端を発しまして、議会にも御迷惑をおかけしましたことを深くおわびを申し上げます。 
 いろいろ問題もございましたが、私の真意といたしましては、去る決算委員会におきまして当企業局の資金計画等に妥当性を欠くという御指摘がございましたが、この御指摘を謙虚に受けとめ反省し、責任も感じております。今後におきましては、このようなことがないように資金計画等につきましても十分配慮してまいりたいと思っております。
 一時借入金のことでございますが、基本的には資本勘定の収支を一時借入金によって償ったことにつきましては、企業会計の立場とはいえ好ましいことではないと考えております。
○議長(平良幸市君) 代表監査委員。
   〔代表監査委員 玉盛隆起君登壇〕
○代表監査委員(玉盛隆起君) 第1の御質問の御趣旨は、会計監査委員は知事から任命されているので、知事との癒着、与党との癒着があってはならない。したがって、監査委員の基本的姿勢はどうかという御質問の御趣旨だと理解し、お答えいたします。
 監査制度が地方自治本来的に内在し、必然的にまたこれに由来する制度であることに思いをいたし、また監査委員は県民代表の議会の皆様の御同意を得て選任されておりますことを深く認識し、マネージメントサイクルの予算の循環過程の中で、県民の立場から、県民の信託にこたえるように第三の統制機関として十分その機能を発揮し、近代的な意味の会計監査、つまり県民一人一人につながる住民参加の監査であることをよく理解し、監査制度の歴史的背景の原点に立って良心と法令に従い、監査活動を通じ、県の行財政を公正にして秩序ある活動のもとに、さらに発展させることが基本的な姿勢と考えております。
 第2の御質問の趣旨は、本件は適正化法第17条の規定に違反しているのか、したがって違反しているとするならば、当然、交付決定の一部取り消しまたは全部取り消し、第18条の返還へと波及いたします。したがいまして、その点についてお答えいたします。
 国の補助金を使う場合、利益を受ける者が協力を行わず国の貴重な財源を浪費することがあれば、それが直ちに反公益的であることを宣言し、何らかの所定の処置をし、反射的に財政の管理作用が能率化することを期待するという考え方として補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律が制定されていると思います。
 そこで、補助制度の本質は、当該補助事業の一面に公益性を認め、あるいは国の行政目的に対して直接または間接に協力を行い得る性格を持つものであることを認め、補助事業者の経済的負担能力を勘案して一定の財政援助が必要であると結論するからであります。
 このような補助制度の本質を前提にして考えてみた場合に、国が一度決定した補助金の交付の意思表示を消滅させ撤回するということは、国に意思表示をする権限があるとしても、自由に行うわけにはいかないと思います。
 それは、国の交付決定を前提として補助事業を開始し、事業を中心として積み重ねられていく法律関係がゆえなく基礎を奪われるからで、国といえどもおのずから一定の限度があると解すべきであります。このような限度を一般的に表現するならば、公益上の必要がある場合にということになろうかと思います。
 補助行政において公益上の理由から交付決定処分を消滅せしめ、あるいは撤回する必要があると考えられるのは3つを挙げることが考えられます。
 1番目には、事情変更による決定の取り消し、2番目には、補助事業者の義務違反に基づく取り消し、3番目には、交付決定に瑕疵ある場合の取り消しの類型は、行政行為に当初から内在する瑕疵のあるのを理由とるすものであるから、本件には該当いたしません。
 したがって、またあと1つの類型は、交付決定行為自体は、当初、何らの瑕疵もなく成立したものであるが、その後の客観的条件の変化によるものについては、適正化法第10条関連でありますので、ここで問題といたしません。
 したがって、補助事業者の義務違反に基づく取り消し、すなわち補助金適正化法第17条に規定するのでございますので、国の取り消し権の立法理由に当てはまるのか、問題になっている他の用途に流用したことは取り消し権の行使の要件に該当するのであるのか、それを考えてみたいと思います。
 さて、流用の概念は2つございます。
 その1つは、他の用途に使用する、つまり永久的に消費されることを意味する場合には歳出予算執行の原則からいって勝手に許されません。
 しかし、本件は、一時流用したが、後日、埋め合わせる意思を放棄したものとは考えられませんので、それには該当するとは考えられません。
 だとしますと、あと1つの流用の概念の持つ一時的に他の資金繰りに利用する、一時他の財源に用立てる点について考えてみますと、国が補助金の使途について追及するのはその究極的な消費の効果を問題にするのであって、補助事業者の財源の中で、単に混合される事実のみで補助金の使用に義務違反ありと即断することは妥当でないと思います。
 それは、補助金は、補助事業者に交付された後において、補助金の大口受領者である地方公共団体においては、受領する補助金は県企業局の固有の収入と一緒になり、単に財源の一部として補助事業の経費に充てられるにすぎないからであります。
 金銭に特定性がないことはきわめて明白で、特にわが国の国有金庫制度から委託金庫制度の時代を経て近代的な国庫制度として、今日、預金制度をとっている事実からしても、補助金の金銭の使用において一度補助事業者の固有の財源と一緒に収入せられると、金額としては確かに補助金が収入の一部となっていることは明白なるにかかわらず、もはや当該補助金がいかなる使途に支出せられたかを確認することは、金銭に特定性がない関係上、確認することはきわめて困難であります。
 もちろん、当該補助事業に使用せられていないということは、確実に認識をし得るわけであるが、それ以外のいかなる用途に使用せられたかを知ることは困難であります。
 手元に現金がなくなったときがあれば、そのときにおいて他の用途に使った、すなわち流用をしているということができそうでありますが、現実の経済体である県企業局の経済活動の中では、こうした基準は必ずしも実情にそぐいません。
 なぜならば、毎日毎日不断に新しい収入が行われ、常時新しい支出が行われているからであります。
 したがって、こういう一般の経済体、もしくは地方公共団体、本件企業局にあっては、近い将来には必ず収納せられる確実な水道料金という固有の財源があり、近い将来、水道料金改正に伴う増収も見込まれている実情であった点から見れば、確実に収納せられる固有財源のかわりに、昭和49年4月1日から昭和50年3月31日の間において、一時補助金を立てかえ財源として利用したとしても、国が期待する補助事業の完成期間内に補助事業が遂行されさえすれば、補助金を交付する国の立場から見ても、公益的な意義を認めて交付した金銭に対する国の信頼に対する違背行為にはならないと思います。
 そこで、もう1つ進んで、国と沖縄県との補助金の関連から見た場合、国といえども国の公益性を除いては補助事業者である沖縄県に対して何らの優越的な地位に立つものではないと考えます。
 それは補助事業の遂行可能と能率の最もよいものであれば、国と県がそれぞれ公正の確保、能率の発揮の両面から、国の全国を通じて適正なバランスをとるための一般基準からの規制、すなわち決定内容、条件があるし、また県の立場からすれば、沖縄県の県内における事務事業の活動分野を非常識に制約することなく、流動的な運用による沖縄県の自主的な総意を集中して、完全な補助効果を実現するための確保が期待されていると見てよいからでございます。
 したがって、国全体を通じてみた場合、補助秩序を適正なものとするための一般的な制約は当然にあるべきでございますが、それは国の沖縄県に対する不当干渉排除の基盤の上に、実感に即して円滑に運用されていくのが補助行政の理想的な形ではないでしょうか。
 そこで、あと1歩進んで、補助金交付決定内容が規定する補助金の使用目的という観念は、補助事業の経費という意味に解されそうであるが、これは正しくない。適正化法第2条が規定するごとく、交付対象となる事務事業を意味します。
 これらの事務事業は、国の財政援助、自己負担との合作的な構造を持ちます。きわめてまれな全額補助というものは、本来、自己矛盾であり、ここで問題にする必要はありません。
 補助事業が合作的構造を持つ限り、補助金の用途は補助事業の外縁より狭く、その中で財政援助の対象となっている部分ということになります。
 もし、万一において、すでに生じた補助事業の成果が不適当なものであったとしても、できるだけ是正し得るものは、補助金適正化法第16条の規定によって是正命令を行って、適当な補助効果の発揮を求めることを第一義とし、直ちに交付決定の取り消しをすることは適当でないと考えます。
 なお、反復して是正する余地がない場合、是正の余地が性格的に存しない場合は、問題になっている適正化法第17条の規定による取り消しまたは同法第18条の規定による返還命令によって補助金を回収し、消極的に国の損害を防止するという方法をとることになりますが、本件についてはそのような順序を前提とした方法を国がとる事態に至っているとは考えられません。
 なお、適正化法第30条の罰則規定の関連において考えてみても、一時的に補助金を他に使ったが、後日埋め合わせるつもりであったときなどにおいては、当該補助事業を国の意図するとおり遂行する意思を放棄したものではないから、罰則規定の適用がないし、一時流用して後日補てんするつもりではあったが、流用金額の補てんが将来不可能となり得る事態も予見して、その場合には、意図された事業ができないことになっても仕方がないと考えていたのであれば、罰則規定の適用がありますが、そのようなこととは考えられません。国の信頼を裏切っていると考えられないからであります。
 適正化法のこの罰則規定の他の用途への使用の解釈についての運営について考えてみた場合、本来の用途に使用しないことを含むものとして解釈運営することが補助金等適正化法の精神に合致しているものと言えます。
 この認定は、偽りの実績報告書を提出して、これにより補助金等に付随する義務から解放されようとした時期を基礎とするのが適正化法第30条での他の用途への使用についての考え方は最も妥当であるとしています。
 したがって、本件は、以上申し上げましたことから、補助金等適正化法第17条の規定に違反していないと思います。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) 土地取得の資金計画と、それから今後の支払いの問題についてお答えいたします。
 今泊の7万4743坪の土地は、琉球銀行から1億5000万円の金を借りて、観光公社の方に支払いをなされております。その中から、2万3182坪がリゾート公社へ売買されておりますので、その分については、事務費を差し引いてすでに銀行の方には返済をいたしております。
 そして、残分につきましては、この利用計画につきまして、先ほど知事から御説明がありましたように、早急に努めるといたしまして、それが利用計画されまして措置するまでは一応は利息をもって支払いをして、その売買した後にその返還に充てたいと思います。
○議長(平良幸市君) 志村恵君。
   〔志村恵君登壇〕
○志村恵君 ただいまの質問に対しまして、知事並びに関係部局長の答弁を得たのでございますが、その内容からいたしまして、私の指摘のとおり、3月31日末現在における31億円の預託金があるにかかわらず、一般市中銀行から3億円を借り入れ、よけいな利子を支払っているということは、行政のミスであるということを私は強く指摘したいのであります。
 ただいまは知事もそのことについて率直に認めていただきまして、今後、善処していきたいと、かように御答弁いただいたものと思っております。
 したがいまして、これ以上この問題について追及することは差し控えますが、ただここで少しく問題にし、また同時に御見解を承りたいことは、ただいまの企業局長の答弁からいたしまして、まだ私としては納得をしかねるものであります。
 申し上げますことは、去る委員会における発言、さらにまた記者会見における発言等を含めて、確かに資金計画のまずさについては認めるけれども、ただ、この一時借入金については好ましいことではないという発言でございます。
 私は、むしろ、ただいま代表監査委員の御説明がありましたように、一時借入金は、企業局のとった措置そのものはむしろ妥当ではなく不法な行為であると申し上げたいのであります。
 17条のことにつきまして、従来の見解と、またただいま考えておられる好ましいことではないということではなく、とった措置については、はっきり県民の前に明らかにしていただきたいことを重ねて要望をいたします。
 同時に、議会に対する今日までの、あなたが新聞記者に会見をした内容からいたしましては、先ほど申し上げましたように、議会への挑戦であり、議会軽視もはなはだしいと言わざるを得ないのであります。
 改めて、このことについての記者会見をした真意について、先ほども御質問いたしましたけれども、御回答がございませんので、会見をした真意、なぜ、議会において前回一致で意見書を付して、この決算を認定しようという段階にまでこぎつけてきたその明くる日、事もあろうに全くみずからの発言を取り消し、その行為は、私は議会に対する挑戦だと受けとめているわけでございまして、いかなる理由によって記者会見をし、その内容をあのような形で発表されたのか、明確にその真意のほどをお聞かせ願いたい。また、先ほど申し上げましたように、一時借入金についても妥当性を欠く違法な行為であるということをあえて申し上げたいのであります。
 次に、ただいまは適正化法から見たところの、いわゆる17条から見たところの違法性を申し上げるのではございますが、次に、地方公営企業法第29条の一時借入金の条文の趣旨からいたしましても、市中銀行よりの一時借入金3億円は資本的収支予算、すなわち4条予算の財源となり得ないはずであります。
 県企業局のとった措置は、地方公営企業法の第29条の趣旨からするならば、妥当かどうかということではなく、むしろ違法な措置だったと申し上げたいのであります。
 ただいま申し上げました地方公営企業法第29条の一時借入金は、4条予算の財源となり得ないことを考えた場合、私としては4条予算の財源となり得ないと考え、そこで企業局長は、これは財源となると考えるのか、あるいはまたならないと考えるのか、法的に明らかに違法な行為と私は申し上げたいのでありますが、企業局長並びに代表監査委員の見解をお伺いいたしたいと思うのであります。
 それから今泊の土地につきましては、多額の資金をかけ膨大な土地を取得いたしたのでありますが、具体的な購入計画あるいは購入目的、そういうものを持たないままに県が膨大な土地を買い込んだところに問題があるのであります。
 知事、現地をごらんになったことがございますか。ちょっとこの図面をごらんいただきたいと思います。こっちで5万1000坪というのは、これだけでございます。この中に赤く塗られた分は、いわゆる、虫食い状態に買い取られている。これは私有地でございます。
 そうなってくると、開発というものが、いわゆる総合的な、しかも有機的な開発というものがおそらくできないことは当然であります。
 そうなってくると、開発というものが、いわゆる総合的な、しかも有機的な開発というものがおそらくできないことは当然であります。
 土地を買収するに当たっては、先ほど申し上げましたように、いわゆるその土地の使用目的、利用計画等について十分配慮の上、購入することは当然であります。
 ところが、当初、何らの具体的な計画もないままにこの土地が取得をされ、しかも1億4000万円余りの資金、いわゆる土地代の支払いをしながらいまだに移転登記ができない。
 このことは、いわゆる利用計画がないから農地転用ができないわけなんです。農地転用ができないということになれば、移転登記はできないわけですね。移転登記ができないということになれば、残りの残金、いわゆる五百何十万かの資金も相手方に払うことができないわけです。
 こういう無計画な土地の取得のあり方に私は問題があるような気がいたすのであります。たとえば、土地住宅供給公社にいたしましても、22万坪余りの用地を取得していながら、いまだにこの用地の造成あるいは利用がなされていないという事実もあるわけであります。
 したがって、知事は、そのような用地取得、いわゆる公共用地の取得について、今後どのような姿勢で購入するお考えなのか、この点についてもあわせてお願いをいたします。
 以上、質問を終わって、再質問をいたします。
○議長(平良幸市君) 企業局長。
   〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) 先ほどお答えいたしました決算時点における借入金の問題でございますけれども、このことにつきましては、やはりいろいろ夏場の渇水対策、施設の整備などをさきにやっておりまして、その後、経済事情、それから電力料金などが上昇し、赤字決算を組まなければならぬという事態になったわけでございますが、そういうふうなことになりまして赤字決算をしたというふうなこと自体われわれといたしましてはいろいろ努力はしましたけれども、そういうふうな結果になってしまってまことに残念だと考えておりますけれども、やはりそのこと自体妥当なことだとは考えていないわけでございます。
 したがいまして、一時借入金をもって措置をしたということにつきましても、お説のとおり妥当性を欠いたことだと考えております。その点につきましては、今後、資金計画などに慎重に対処いたしまして措置をしなければならぬと考えております。
 それから記者会見をした真意につきましては先ほどもお答えしたつもりではございましたけれども、なぜ記者会見をしたかということについてまだ御説明申し上げてなかったんでございますけれども、わざわざその反論をするというふうなつもりで記者会見したわけではございませんで、記者団の方から話がございまして一応会見に応じたということでございまして、私としましては先ほど申し上げましたとおりのいろいろの事情について説明申し上げましたけれども、記事となった結果といたしましては、結局、先ほど申し上げましたように議会にも御迷惑をかけたということになったわけでございまして、これについてはおわびをしたわけでございます。
 その後の問題につきましても、先ほど御答弁申し上げましたとおり反省をし、今後、資金計画などにつきましても慎重に対処していきたいというふうなことでございます。
 それから4条予算の財源になるかならぬかということでございますけれども、やはり一時借入金につきましては、補てん財源にはならないというのが原則でございます。
○志村恵君 議長、休憩願います。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
   午後2時6分休憩
   午後2時7分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
 企業局長。
   〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) 決算の時点におきましては、議会の予算議決も経て行ったことでございますし、その原因が夏季渇水対策などなすべきいろいろのことをやったというふうなことを考えておりまして、やむを得ざるもんだというふうな気持ちであったわけでございますが、やはり決算特別委員会における指摘、それから記者会見の時点におきましても、ただいまの気持ちと同じ気持ちで記者会見には応じたつもりでございますけれども、あのような結果になってしまったわけでございます。
○議長(平良幸市君) 代表監査委員。
   〔代表監査委員 玉盛隆起君登壇〕
○代表監査委員(玉盛隆起君) 地方公営企業法第29条に規定する一時借入金は、4条予算の財源になり得るのかどうかとの御質問と理解いたしましてお答えいたします。
 一時借入金の性質は、収入支出の時期的ずれによる年度途中の一時的な資金不足を解消して予算内の支出をするための短期の借入金でございます。したがって、年度内の単なる資金繰りのための資金でございますので、予算上、予定収入に計上することもできませんし、本来の財源ともなり得ないのでございます。したがって、4条予算の建設改良事業費、そういった財源の資金予算にはなり得ないと、こういうふうに思います。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 今帰仁の土地を購入しましたときには、海洋博会場の背景をなすところのリゾート開発というようなことも、現在よりは非常に大きく考えられていたのであります。たとえば、北部開発公社ももっと強力な公社を設立することによってやっていこうという計画があったりもしまして、したがってそれに沿うて、あそこには先ほど申し上げましたように国民休暇村とか、あるいは青少年旅行村とか、あるいはユースホステルとか、あるいは宿泊施設というようなものも大仕掛けにつくらなければならぬだろうといったようなことを考えておりましたけれども、しかし北部開発公社も、いざこれを設立するということになりますというといろいろの事情がありましてそう強力なものにはなし得なかったと。そして、結局、第1次的には、海洋博を一応は成功させるための条件の整備と、海洋博会場周辺の条件整備ということになりまして非常に縮小されたと。将来、海洋博会場を拠点として本部半島一帯にもさらに広げていくのは、第2次、第3次の1つの計画に持っていったらいいだろうというようなことになりまして、購入した当初考えていたときよりも非常に縮小されて、結局ここまでには手を出し得な
かった状態もあります。
 またそのときには、土地代もどんどんどんどん高騰の一方でありましたので、それを獲得していなければ、あるいはそういうふうな施設をつくるといってもできないのではないかと。これは見通しの甘さもあって申し訳ないと思うのでありますけれども、そういうことでこれがこのような状態になったというようなことを、ちょっと補説しておきます。
 なお、土地開発公社の土地取得についての姿勢につきましてどうかというようなことでありましたけれども、沖縄県土地開発公社は、公有地の拡大の推進に関する法律に基づいて、地域の秩序ある整備を図るために必要な公有地となるべき土地の取得等を行わせるために設立された特別法人であり、その目的に沿って道路、公園、緑地、その他の公共施設または公用施設の用に供する土地を公社が独自で取得することができることとなっております。
 このようにして取得する土地も土地開発公社自体で開発利用されるものではなく、県の利用計画に沿ったもので、将来、県が公共、公用地として取得できるものでなければなりませんので、公社が独自の先行取得でありましても、県の依頼に基づくものか、委託に基づくものについて取得していくよう十分なる指導をしていきたいと、このように考えております。
 したがって、今日のこういうふうな過度期において起きたようなこういう事態には陥るまいというようなことを強く念頭に置いて進んでいきたいと、こう考えます。
○議長(平良幸市君) 志村恵君。
   〔志村恵君登壇〕
○志村恵君 ただいま企業局長の御答弁から、また新しい問題を提起したいのであります。
 先ほどあなたは私の質問に答えて、一時借入金3億円は、すなわち4条予算への財源とはならないと。なるのかならないのかという私の質問に対して、4条予算の財源とはならないということを御答弁をいただきました。また、同時に代表監査委員も、この一時借入金は、4条予算の財源にはならないということをおっしゃいました。
 ところが、先ほど局長は、この一時借入金については、まるで議会で議決をしたと先ほどの答弁はこう言っている。議会で議決をしていただきまして云々と、こう言っておられる。
 こんなのを議決した覚えはないです。おっしゃったとおり、いわゆる一時借入金は、4条予算の財源にはならないわけですから、したがってこれを予算として措置することはないはずです。議決もしないはずです。
 ただ、皆さんとして、あるいは資金計画の内容の説明とか、あるいは参考資料として提示したものの中にただし書きとしてあるということであれば理解をいたします。こういうものを議決した覚えはないです、議会では。それを取っ違えないように十分なる注意を促したいと思います。
 企業局長が、率直にまじめに、しかも真剣に県民の前にむだな資金を使ったということのおわびをいたしましたので、あえてこれ以上追及することを差し控えます。
 ただいま知事から用地取得に関するいろいろ将来に向けて利用計画のあらましについて御答弁をいただいたわけでございますが、昭和47年第5回定例会においてわが党所属の小渡議員は、次のように質問しております。
 「財団法人沖縄県観光開発公社理事長屋良朝苗であります。この沖縄県観光開発公社が今帰仁村一帯の土地を取得しておられます。復帰前に取得したものと復帰後取得したものを明らかにしていただきたい。坪数であります。」
 こういう質問に対しまして知事は、答えていわく「沖縄観光開発公社による今帰仁村における土地取得について御質問がありまして、申し上げます。海洋博会場との関係で、本部半島を今後の沖縄観光の拠点として開発する計画がありますが、民間業者の無計画な進出や土地取得を未然に防止するための先行投資的考え方で、地元今帰仁村当局の協力を得まして、観光開発公社が該用地を確保したものでございます。」と、こういうような説明でございますが、ここで御指摘申し上げたいことは、「民間業者の無計画な進出」と、こうありますけれども、むしろ私は、無計画な進出は、県にあったのではないかと、こう申し上げたいのであります。
 申し上げるのは、皆さんがお買いになった5万1000坪の土地周辺に、約18坪という膨大な土地を買った人がおるわけであります。これは、当然皆さんのこの進出によって、この地域が将来とも開発されれば有利にこの土地の利用計画が立てられるんだということで買った土地約18万坪抱えていま非常にこの利用について困っている方もいらっしゃるのであります。こういうところを強く反省をしていただきたいことをお願いしたいのであります。
 また、「国民休暇村構想を中心に振興開発計画の中で検討を進めていきたいと」、その後どのように検討されて、どう変わってきたのかもあわせてお伺いをいたします。
 さらに、ことしのたしか1月17日だったと思うんですが、土地開発公社の理事長屋良朝苗から、沖縄県知事屋良朝苗に対して、該土地の利用計画を早急に立ててほしい。でなければ、移転登記はもちろん、いわゆる利用計画も立てられない、残金の支払いもできない、非常に困っているんだと、早急にその土地の利用計画をつくってほしいという要請が出されております。この取り扱いについてどのようにいまなさっているのか、またどう対処しておられるか、これについて説明を求めます。
 ただいまの答弁を求めた後でまた質問をいたします。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) 御答弁いたします。
 1月に文書がまいりましたので、早目にこの土地を利用すべきだという考えは前から持っておりましたので、これに対しては……。
○志村恵君 休憩願います。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
   午後2時22分休憩
   午後2時23分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
○土木部長(安里長徳君) ということで早目に利用したいと、こういう考えを持っていましたが、そのときまで先ほどから問題になっておりますように具体的な計画はございませんでした。
 それで、市町村の方に対しまして、利用があるならば一応連絡してくれと、こういうような文書で出し、さらに私たちもそのときは関係部局に対してもその利用、それから最近、農林水産部の方で約45万平米に対する利用計画が具体的になってございました。これは畜産試験場のことでありましたんで、もしここにできるのであれば農林水産部はこれをひとつ買い取ってくれと、こういうような具体的な話でございましたけれども、残念ながらいまだにその利用計画は――先ほど説明がありましたように――立てておりませんが、そのような形で市町村関係、部局関係にそういう文書を受けまして早速措置をしてまいりましたが、先ほどから説明がありましたようにいまだその利用の具体的なものについては立ててございません。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 休暇村の構想について、この土地について検討したことがあるかと、お答えいたします。
 休暇村の構想につきましては、土地を購入する当初からあったわけでございますし、したがいまして私どもの部といたしましても専門機関に委託しまして、この地域地帯が休暇村として適当なのかどうか、あるいは沖縄県全体の中でどういったところが休暇村として適当なのかといったようなことについて専門機関の意見を聞きながら検討いたしました。その結果、渡喜仁地区について申し上げますと、この地区は本部半島にありまして地形が平たんであると、施設は容易である、海浜の砂浜は競合する施設がないので独占的に利用できるといったような利点がある。また、運天港から海洋博会場へ通ずる途上にあり、交通条件も良好である。しかしながら、海洋博を契機にいたして、近傍に類似の宿泊施設が多数設けられると運営上若干の問題が出てくる。2万坪余ですので、休暇村としての面積自体も狭いといったような点が指摘されております。
 それから今泊地区におきましては、地形が起状が多く複雑で、平地に乏しい。整地に相当の経費がかかる。また、海浜とは直接結びつかず、夏季利用が不適当であるといったような点が指摘されております。
 それから両方一緒に利用した場合の問題といたしましては、距離的に問題があり、一体的利用には適しない等の点などが指摘されまして、経費上の問題からも休暇村として設置するのには適当でないというふうな結論にわれわれとしては達しております。休暇村としての立場からそのような調査をいたしまして、休暇村の設置としては適していないんだというふうな結論に達して、その結果、休暇村を断念いたしたわけでございます。
○議長(平良幸市君) 志村恵君。
   〔志村恵君登壇〕
○志村恵君 ただいまの土木部長あるいは労働商工部長の御答弁の中から、休暇村にも適しない、あるいはまたその他のものにも適しないということであれば、やはり先ほど御指摘いたしましたように、土地を購入するについてはそのプロジェクトあるいは計画というものを持たないためにこういうことになっているわけです。
 一体、この土地を購入するに当たっては、目的や計画を持って購入しておればこのようなミスは出てこなかったことを強く指摘をして、質問を進めたいと思います。(「志村議員、そういう答弁で合点するなよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○議長(平良幸市君) お静かに願います。
○志村恵君 次に、いま問題になっております北中城村に建設中の養豚場設置についてお伺いをいたします。
 2月定例議会において知事並びに関係部長の御見解を承ったのでありますが、その後、幾たびか地元住民の妨害に遭い、工事再開のめどさえ立てられない現状から、この問題に対する県当局の取っ組みついて重ねて質問をいたしたいと存じます。
 御承知のように、同地域は農業振興地域であり、建築の確認も受け、公害に対する防止協定も締結されており、近代化資金の貸し付けについても利子補給の決定もなされ、とるべき手続は一切済んでおり、養豚農家の方々には何の瑕疵もございません。
 この問題に対する県当局の取っ組みの弱さや指導性の欠如によって混乱を引き起こし、養豚農家の方々に莫大な損害を与えていることはまことに遺憾なことであります。
 また、この地域は、土地改良法により土地改良事業によって生じた土地改良財産でございます。したがって、管理及び処分に関しては、沖縄県土地改良財産の管理及び処分に関する条例の適用を受けることは当然でございます。
 同条例の9条は、改築などの制限をうたい、「管理受託者は、受託土地改良財産の原型に変更を及ぼす改築、追加工事等をしようとするときは、あらかじめ知事の承認を受けなければならない。」云々と規定されているにかかわらず、改良工事が今年1月29日から5月の末日までの期間、知事の承認を受けることなく着工されていますことは、条例に抵触することは明らかであります。しかも、道交法の規定に基づく警察との協議についても、事後承認の形で進められておりまして、いまなお交通遮断をしたまま放置されている現状でございます。県当局は、今日までこの違法な行為を放任してまいったのであります。このことについて農林水産部長の見解を承りたい。
 また、最近になって、先ほど申し上げました1年近くも交通閉鎖をしたまま放置されていた道路の改築申請が新たに6月10日提出され、7月25日に知事の承認を得ております。前回の工事に見られるような状況からして、県は当然交通上の何らかの条件を付して承認すべきだったと思うが、無条件承認の理由もあわせて御説明を願いたい。
 道路工事の改築に当たっては、不特定多数の方々の利便の用に供しながら、地域の発展と公共の福祉を増進せしめるために万やむを得ないもののほか努めて通行せしめながら工事を行うことが常識であります。
 今回、改築しようとする農道工事の延長は190メートルと165メートルの2本で、工事内容からしましても施行期間中交通どめをしなければ施行ができない現場とは考えられませんし、これからの年末にかけて製糖期とかち合い、多忙な時期にもかかわらず工期も来年3月までとなっており、行政的にもまた技術的にもどう判断いたしましても納得のできるものではございません。一つの農道改築工事に当たって条例違反を黙認したり、またこれを助長せしめるような行政行為がとられたりしては本問題解決はおろか、ますます混乱を招く結果にしかなりませんし、真の畜産振興は望めるはずもありません。養豚農家の方々は今日まで多額の資金を投じ、3年余も工事が中断されて苦しい立場に立たされております。
 最後に、知事のこの問題に対する具体的な解決策について御見解を承りたいと思います。
 なお、現在は、具体的に農林水産部におきまして何らの対策も打たれていないように本員は見受けるわけでございますが、この問題に対する解決策のためにいかような努力をしてこられたか、明快にお答えを願いたいと思います。
○議長(平良幸市君) 農林水産部次長。
   〔農林水産部次長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部次長(島崎盛武君) お答えいたします。
 ただいま志村議員の御指摘のとおり、この農道はいわゆる土地改良区がつくりました道路でございますけれども、土地改良財産になっておりまして県の財産となっております。
 これの管理あるいは処分につきましては、御指摘のとおり県知事の承認が要るわけでございますが、この農道につきましては、ことしの6月16日付で1号農道、3号農道について改築申請が出されまして、7月25日付で改築承認を与えております。
 ただ、これまでのところ、工事の施工の進度が非常に悪く、そのために交通に支障があることは事実でございまして、これまでも数回にわたりまして村長あるいは村役場等にも工事の促進方について要請をしておりますが、文書によりましては11月11日、12月8日に文書で督促をしております。その中では、工事の早期完了と車両の通行に支障がないようにやるようにという要請をしてございます。
 工期の設定が無条件ではないかということでございますが、この改築工事につきましては県からの補助金が全くない。それから村役場が直接やるということでございますので、いわゆる直営工事でございますので、建設業者がやるようになかなか進めないというようなこと。それからこの農道は、いわゆる地元住民の利用に供するものでございますので当然早期に完了し、早期に利用するのが目的でございますので、あえて工期を設定する必要がないんではないかというようなことから、3月31日、いわゆる申請のとおり承認をしたわけでございますが、このようなことになりましたので、今後はこのようなことにつきましても十分行政指導していきたいと、かように考えております。
 12月15日までにはこの道路の中の盛り土あるいは開削した分については早急に取り払い、交通に支障のないようにやるよう強く指示してございます。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 北中城村荻堂の畜舎問題につきましては、建築確認の問題、それから公害・環境等の問題、それから農業近代化資金にかかわる利子補給の問題等二、三の部にまたがるということで、私の方が窓口になって調整して県の態度を統一しなさいということで知事から命を受けまして、昨年からことしにかけて北中城村長あるいは村議会、村民代表からはその畜舎をさせないようにしてくれと、こう強い陳情が来ておりますし、また一方、宜野湾市在住の5名の畜産農家の人々からは適法になされた手続によって許可ないし確認を受けているので、早目に畜舎建設ないし利子補給の承認をしてもらいたいと、こういうことでいろいろ検討してまいりました。知事、副知事、関係部長を交え、さらに北中城村の村長、議長、議会代表、また宜野湾市長、宜野湾市議長一緒に会ってみたり、個別にやったりしていろいろ調整してきましたけれども、県といたしましては、結論的に申しますと、行政的な立場からはあの地域が、先ほど指摘がありましたように、農振法に基づく農振地域であるし、都市計画上は都市計画区域内で都市計画法上の市街化調整区域で用途指定はされてない。
 また、県土土地利用基本計画からしますと農業域であると、こういうことから土地利用の面からは問題ない、建築確認においてもこれは承認されておる。
 農業近代化資金の利子補給についても適法になされているとするなら、これは県の行政の立場からは、一方では畜産振興、第1次産業の振興という立場からこれは推進せざるを得ないと。同時に、地元の人たちが大変公害を心配しておりますので、この公害につきましては十分業者と話し合って、できることなら北中城村も一緒になって3者で協定を結ぶ努力もしたわけでございますが、北中城村では畜産団地そのものに反対ということで、結果的には県と業者のみでなしたわけですが、こういうことにつきましても北中城村からは地方自治法を侵害した一方的なものだというふうな指摘も受けておりますけれども、県としては、とるべき措置なり指導助言はいろいろしてきました。
 また、その過程におきましては、実際問題として、あれだけ村当局、村議会、村民各階層が反対しているので、ひとつ養豚業者としてはいましばらく冷却期間をもって他の業種変更等もできないかということを公害防止協定締結以前にもいろいろ説得なり話し合いもしてきました。しかし、畜産農家は、それぞれまた畜産業に対する熱意と過去の実績等も踏まえましてぜひともやりたいと。
 こういうことで、県としては先ほど申しました結論に達して、その旨を北中城村当局、村議会、村民代表にも話しておりますし、また宜野湾市当局につきましては、宜野湾市の養豚業者であるので、引き続き北中城村長と十分話し合って協力関係を維持しつつ企業の成立といいますか、育成してもらいたいということで両方にひとつ近隣市町村でありますし、またいずれにしても双方が十分話し合って解決するようにということの助言を総括的に私はしておりますけれども、なお平行線でございます。私もほとほと困って、この間も村長さんには、ひとつ冷却期間をおいてもらいたいと、こういうことでございます。
○議長(平良幸市君) 志村恵君。
   〔志村恵君登壇〕
○志村恵君 養豚農家の方々が現在建設途上にあるわけでございますが、反対同盟なるものがいまなお(「県が反対しているんじゃないよ。」と呼ぶ者あり)わかっているよ。黙っていなさい。反対同盟という組織をもって闘争小屋を設置いたしまして、現在、工事中の道路のど真ん中に闘争小屋を設置いたしている現状であります。そして、いわゆる施行業者あるいは養豚農家の方々に妨害を加えている事実があるわけでございます。
 この建物そのものも、先ほど御指摘のあったように不法な建物ではないだろうかと思うし、また道路のど真ん中に小屋を建てて、いわゆる闘争小屋なるものを建てているということ自体道交法に違反するのではないか、この点について県警本部長の御所見を承りたいと思います。
 それから先ほどいろいろ御説明がございましたが、養豚農家の方々はもう4年にもなんなんとする間、資金を投じて自分の養豚ができない、これほど惨めなものはないわけでありまして、これは明らかに先ほど指摘いたしましたように、県の行政指導あるいはその他のいわゆる取っ組みの弱さ、こういうものから出ていることは疑う余地はございません。
 もちろん、そう申し上げましても、おのずから行政指導には限界があるわけでございまして、残された道は、技術的にこれを解決する以外にはございません。
 同時に、いわゆる沖縄県の土地改良財産でございますので、その管理及び処分に関する条例に基づいて、この問題を法的に処理していく姿勢、いわゆる前向きな姿勢が私は強く要請されてしかるべきだと思うのであります。
 すなわち、現在の掘削、通行妨害をしている掘削された地域は5カ所、大きく穴を掘られて、両サイドに盛られております。
 そして、そこは暗渠の埋設あるいは構造物の埋設かと思うと、何らそのような計画はない。暗渠設置は1カ所、しかもボックスカルバート既製品を持ってきてはめ込むだけですから、一昼夜でもできるような条件下の設計になっております。にもかかわらず、5カ所も大幅に掘削をして放任している。このことは、いわゆる技術的に指導助言が県としてはできるはずであります。
 しかも、工期についても、わずか190メートルと165メートルの区間であるならば、何も半年かけて工事をしなければならぬ理由もない。標準工期からするならば、1月や1月半では工事完了するぐらいのものの工事内容でございます。
 そういった技術的な立場からの指導を全然なしておりませんし、現場における県の指導体制も全くなっておりません。現地に行っておりません。現地に行きますと、いわゆる反対同盟の方々が多数押しかけているので、これらに対する危険を感じているのかどうかしりませんが、現場近くで現地の状況を遠くながめて引っ返していくと、こういう実情でございまして、これでは真に畜産振興をしなければならぬという立場からのいわゆる努力の跡は見られないわけでございます。
 それから現在の土地改良財産は、当然知事に責任があるわけでございますけれども、これは管理受託をいたしております。
 したがって、管理受託者というものは、絶えずこの財産を良好な状態に維持管理する責任があるわけでございますけれども、これが先ほど申し上げたような状態になって、維持管理の適切を欠いております。
 そういうときは、「知事は、委託に係る土地改良財産を公共の用に供する必要が生じたとき又は管理受託者が管理の義務を怠ったときは、当該土地改良財産の委託を解除することができる。」という条例があるわけでございまして、速やかにこういう条件下の場合は、解除して、県みずからこの財産を管理し、畜産振興に沿った畜舎建設ができるような措置を講ずるべきだと考えるのであります。
 以上、申し上げました点についての見解を求めます。
 最後に、先ほど言い忘れましたけれども、前田労商部長が、使いものにならない土地を購入したと、こういうことをおっしゃいました。
 しからば、使いものにならない土地をなぜ購入したのか、いま少し明確に、この点についてはお答えをいただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 休暇村の件についてお答えいたします。
 使いものにならない土地を購入したとは言っておりません。これははっきりいたしておきたいと思います。
 いわゆる、国民休暇村として使用する場合、渡喜仁につきましては、面積が狭いという問題がある。国民休暇村ですと、15万坪以上の土地が必要になるわけです。
 ですから、そういったので、面積が狭い。
 それから今泊の地域につきましては、起伏が多くて、やはり国民休暇村として使用するのは、面積の面から、それから起伏が多いといったような点から適当でないだろうということで断念したということであって、それが使いものにならないということではございません。
○志村恵君 休憩願います。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
   午後2時45分休憩
   午後2時47分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
 農林水産部次長。
   〔農林水産部次長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部次長(島崎盛武君) 土地改良財産の委託の取り消し等につきましては、現在、12月15日までに道路の交通に支障のないように回答を求めておりますので、その後に措置したいと思っております。
○議長(平良幸市君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤晶君登壇〕
○警察本部長(加藤晶君) ただいま御指摘のありましたような実情であるかどうか、私きょうまでその実態を知りませんで、それで早速調査いたしまして、法令に触れる行為があれば、これは適切な措置をとりたいと思います。
○議長(平良幸市君) 与那覇寛長君。
   〔与那覇寛長君登壇〕
○与那覇寛長君 私は、社大党議員団を代表いたしまして、所見を述べながら質問をいたしたいと思います。
 最初に、B52核戦略爆撃機飛来についてでございます。
 1975年も暮れようとしていますが、1975年の出来事で世界史に残るのは、100年間、外国の植民地支配のもとで、搾取と独裁に苦しめられ、何百万というとうとい血を流してついに戦い取ったベトナムの独立と解放であります。
 世界一の軍備を誇るアメリカは、50万の地上軍を投入し、毒ガスを含む核兵器以外のあらゆる兵器を使用し、B52による枯れ葉作戦、生物全滅作戦を展開したが、自分の国で鉄砲一つつくることのできない南ベトナムに敗北してしまいました。
 この敗北は何を物語るかと申しますと、いかに巨大な戦力でも、民族自決の戦い、ナショナリズムの戦いには勝てないということであります。
 アメリカは、このベトナム戦争から得た教訓を学ぼうとせず、いままた、朝鮮で同じ誤りを繰り返そうとしています。われわれ日本人が忘れてならないことは、日本はベトナム戦争の加害者であったということです。いままた、日本はアメリカの片棒を担いで、朝鮮半島の加害者になろうとしています。
 三木内閣は、朝鮮半島が安定しているのは、日米安保条約に基づく基地に米軍が駐留し、抑止力となって機能しているからだという立場に立っています。
 したがって、日本の安全と平和も安保なくしては考えられないので、米国の戦略に協力することが日本のとるべき道だと考えています。
 核の抑止力、力の均衡が平和を維持しているという考え方は非常に危険だと私は考えます。
 なぜなら、互いに武力を持って対峙すれば、相手に脅威を与え、双方の情況不足から、相手より少しでも優位に立とうとして軍備を拡張し、核を拡散し、両国の緊張はますます激化をさせ収拾がつかなくなるからであります。
 たとえ、一時的に平和が成立しても、コンピューター化された巨大な核抑止力体制は一握りの政策者に握られています。
 この一握りの者が、核の引き金をいつ引くかわからない非人間的な機構の中に、われわれは人質として戦々恐々生存しなければなりません。このような状況が果たして平和と言えるでしょうか。
 韓国の基地はもちろん、沖縄の基地にも核が貯蔵されていることは、ラロック証言や、四、五日前のアメリカ下院議員の発言によっても明らかであります。朝鮮に紛争が起これば、核戦争になることは、国防長官みずからが言明しております。
 三木総理は、「対馬と釜山は30海里しか離れてない。見えるのだ。そんなところに戦争が起これば、日本に影響を与えないとは言えない。」とのんきなことを言っていますが、その戦争が核戦争であることをわれわれ国民は知らなければなりません。
 どうして、日本は、朝鮮半島だけでなく、日本列島も吹っ飛ぶような危険な道を歩まなければならないのでしょうか。
 長い期間、朝鮮を苦しめてきた日本のとるべき道は、アメリカの核戦略に協力することではなく、南北朝鮮が互いに取り交わした「南北の統一は、外国の干渉を受けることなく、自主的に平和的解決をすべきである。」という共同声明を支持することであります。
 安保を守り、アメリカの核戦略に協力することが日本の安全と平和を維持しているという三木内閣の姿勢が、B52の沖縄への飛来を許しているのです。
 三木内閣の姿勢からすれば、核戦略の中核であるB52は平和の使者と言えましょう。B52を平和の使者として歓迎する者は、沖縄には1人もおりません。
 B52は、核爆弾を積載して、1万メートルの高度から無差別に大量殺人をする黒い殺し屋であり、空の悪魔であります。
 知事は、11月8日及び18日の2度にわたる飛来に際しては、間髪を入れずに抗議しておられますが、9日の衆院内閣委員会において防衛庁長官は、有事の際、B52の嘉手納基地の自由使用を認めている危険な発言をしております。
 いかなる理由があったにせよ、B52が再度飛来しないような固い決意を、この議場から、知事は県民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 次は、不況対策についてであります。
 インフレは、高度経済成長とともに始まり、徐々に忍び寄ってきましたが、復帰の前年、1971年のドルショックによって急速に進行しました。
 それで、ドルショックの被害をまともに受けたのは、復帰という大きな世変わりに遭遇した沖縄であります。
 インフレは、物価の高騰を意味するだけでなく、富が貧しい者から富める者へ、弱い者から強い者へと逆流する現象を起こします。
 インフレは、富める者、強い者にとってはもうかる絶好のチャンスでありますが、貧しい者、弱い者にとっては耐えがたい苦痛であります。
 ドルショックのため、ドルと円の交換で打撃を受けたひ弱い沖縄の富は、相次ぐインフレのため強い本土に逆流し、ますます沖縄の経済基盤を弱くしました。
 一昨年秋以来のインフレと不況の同時進行、その後の総需要抑制によって生じた深刻な不況は、経済基盤の弱い沖縄にさまざまな波紋を投げました。
 さらに、復帰によって本土の経済圏に繰り入れられた沖縄の資本は、高度経済成長をくぐり抜けてきた本土資本と同じ土俵に立たされることになりました。
 以上、述べた諸要因が互いに絡み合い、相次ぐ倒産、人口比率にして本土の3倍の失業者を出したのではないかと思います。
 戦後の資本主義を支えてきたGNPの増大が、雇用の増大となったケインズ経済はすでに崩れ、復元の力を失った資本主義体制下では、金融緩和と財政主導によって景気の回復を図る以外には道はないのであります。
 それで、国は今度の臨時議会で公債を発行して、不況対策費を補正し、沖縄関係で90億7000万円の予算が計上されました。
 それを受けて11月の臨時議会で約30億円補正増されましたが、これでは幾らも景気回復は望めないとしても、予測はむずかしいとは思いますが、どの程度の失業者が吸収されるか、お伺いいたします。
 開発庁から出された来年度の沖縄関係概算要求額は、県の努力もあって、ポスト海洋博の経済落ち込みを考慮して、1007億7000万円となっていますが、それがそのまま通るとは思いませんが、沖縄の景気に与える予想はどんなものでしょうか、お伺いいたします。
 また、ポスト海洋博の経済落ち込みが心配されていますが、どう対処されるお考えですか、あわせてお答えをお願いいたします。
 そのほかに対策として考えられることは、第1次産業を刺激するような、公害のない労働集約型の工場誘致、第1次産業を振興して失業者のUターン等でありますが、これらの見通しはいかがなものでしょうか、お伺いいたします。
 次は、財政問題でございます。
 去る4月に行われた全国の統一地方選挙の争点は、地方財政の赤字問題でありました。
 保守党は、革新首長は行政能力がなく、組合運動にこたえて人件費をふやし過ぎ、住民運動にこたえて福祉をふやし過ぎたため赤字になったと攻撃いたしました。
 選挙後明らかになったことは、国にも赤字があり、保守の自治体にも赤字があることがわかりました。
 地方自治体の当面の財政危機の直接の原因は、革新にあるのではなく、インフレと不況、それに伴う総需要抑制にあることはいまや明白であります。すなわち、地方財政の危機の責任は国にあるということであります。
 地方財政危機の当面の直接の原因は、インフレと不況にあると申しましたが、仮に不況が回復し、インフレが静まっても、地方財政の危機は以前として残るでありましょう。
 なぜなら、現在の財政の危機は、高度経済成長政策から生まれた税制と財政制度等にその原因があるからであります。
 日本の国ほど財政制度が中央集権化され、財政を手段にして末端まで国の管理が行き届いている国はないと言われております。補助金制度一つをとってみても、その実態がよくわかるのであります。
 財源配分にも問題があります。行政経費は国が3、地方が7であるにかかわらず、財源配分は国7、地方3と逆になっております。
 国は、赤字が出れば公債を発行して補てんすればいいわけですが、地方の起債は一定の枠がはめられ、自治省の許可を受けなければなりません。税制にしても、高度経済政策のための種々の特別措置が講じられ、法人が優遇されています。
 補助金制度にもっと弾力性を持たせ、補助単価も実情に合うように改め、財源配分も国と地方と公正に配分し、郵便貯金等も企業家の奉仕に使わずに、地方起債に回して、ある程度地方自治体に権限を与え、税制も企業を保護する特別措置を廃止する等の改革を行い、地方交付税も配分率を40%に引き上げれば地方の財政は容易に危機を脱することができるのではないか。
 高度成長下の財政制度の改革が行われない限り、抜本的な地方財政の立て直しはできないと思うが、どうでしょうか。
 この制度改革に対して、国の壁は厚いので、全地方自治体が総力を結集して当たらなければならないと思うが、その点いかがでしょうか、あわせてお答えをお願いいたします。
 さきに、財政危機は保守革新を問わず、いずれも深刻であると申しましたが、仮に革新がより深刻であるとすれば、それは革新自治体が成長行政から福祉行政へ一歩足を踏み入れたということです。
 住民の要求にこたえ、福祉行政を進めようとすれば、人と金が必要であることは当然であります。病院1つつくるにしても、学校1つつくるにしても莫大な建築費と人件費、維持費が必要になります。また、建築費に限って超過負担も多いのであります。
 そのはなはだしい例は、国を相手に訴訟を起こしている摂津市です。1億円の保育所建設費に対して、国は半分の4500万円支給しなければならないのに、わずか250万円しか補助していません。4750万円の超過負担が摂津市の負担になるわけです。
 地方自治体の福祉行政、特に革新自治体の福祉行政が、政府の考えより進み過ぎているという批判は当たらないのであります。
 政府の考えている福祉行政は、単に貧乏人を救うという19世紀時代の救貧福祉の考え方であり、地方自治体が進めている福祉行政は、地域全住民にサービスするという全面的福祉の考え方であります。
 摂津市になぜ国は250万円しか補助しなかったかと言いますと、摂津市は貧乏人が少ないから保育所は1つあればよいという考えがあるからです。19世紀の物差しではかるのだから、進み過ぎているのは当然であります。
 現在の財政制度や国の誤った考え方が地方財政を圧迫しているということ、これを直さない限り地方財政の慢性的危機は免れないと思いますが、地方自治体としても財政立て直しての努力は当然なすべきであります。
 問題になるのは人件費ですが、人件費が高いといって住民へのサービスとの関連を考えずに、ただ、多いから整理するということではできないはずです。
 それで、機構、事務配分を洗い直してみる必要があるのではないか。そして、合理化されなければならない部門があれば、思い切って改めなければならないと思います。
 よく問題になる事務配分についても、一体、県がどの程度まで事務を受け持つべきか、国に要求すべきは要求し、民間企業に移譲すべきは移譲しなければなりません。
 一例を挙げれば、渉外部の基地渉外職員の給与及び運営費は、全額国に要求すべきではないでしょうか。
 以上の諸点について御見解を求めたいと思います。
 県の当初予算の自主財源は2割にも達せず、きわめて貧弱であります。来年度はもっと厳しい状況に置かれると思いますが、自主財源の確保にいかなる計画を立てておられるか、お伺いいたします。
 次は、農業問題であります。
 農業を見直そうという機運が高まっている反面、最近発表された県の農業センサスによれば、農家総数は4万8000戸で、3年前より20.4%も大幅減となっています。5月の労働商工部の調査によりますと、農業人口は5万7000人で、5年前より4万4000人減っており、振興計画の目標年次の13%を下回っています。
 このような離農の原因は、申すまでもなく農家の所得が低いからであります。企画調整部の調査によりますと、49年度の県民所得は4449億円、そのうち第1次産業の所得は215億円、4.8%にすぎません。計画の目標年次5%も問題ですが、それを下回っております。
 沖縄の産業構造は、第3次産業のみが肥大した異常構造であり、その結果は生産のない消費経済となっています。
 このような異常構造、異常経済から脱却するためには、基盤整備、機械導入も必要でありますが、それにもまして必要なのは物価政策であります。物価政策が徹底すれば農業人口もふえ、農業も振興し、生産が高くなるのは火を見るより明らかであります。この簡単な農業振興の論理をほおかぶりして、いろいろな投資をしてみても、それだけの効果を上げることはむずかしいのです。
 沖縄をこのような生産のない消費経済に追いやったのは、28年間もアメリカの支配下に放置してあった国の責任であります。
 28年間の空白がなかったならば、沖縄の経済は違っていたはずです。県はもっと国の責任を追及し、物価政策を強力に実施し、第1次産業の振興を図るべきだと思うが、知事の御見解をお伺いいたします。
 私は、さきに農家の減少を取り上げましたが、最近、青年の中から農業に復帰する傾向が目立ってきました。彼らは畜産を取り入れた複合経営を柱にし、創意と工夫によって何百万円、何千万円の収益を目標にがんばっています。
 そのほか、たとえば勝連村の菌体飼料のような自給飼料の開発、あるいは有機肥料の開発、つくる漁業の開発等明るい面が出てきています。農民、漁民は、苦しい中から、みずから生きようとする生命力を持っております。
 荒廃した農業あるいは漁業の中から、こうした新しい生命力が芽を出しつつありますが、たとえその芽が小さくても大事に育ててやることが、政治に携わる者の任務ではないかと思うが、いかがでしょうか。
 次は、キビ価格についてお尋ねいたします。
 今期のキビ価格は、北海道のビートに振り回されたかっこうになって、生産者に大きなショックを与えています。農協中央会の大仲氏の試算によりますと、8時間当たりの家族労働費はビートが6700円に対し、キビは3500円前後、その差は3200円となっています。
 これが間違いないとすれば大きな問題だと思うが、農林水産部の調べではどうなっているか、お伺いいたします。
 生産費及び所得補償方式を農林省に要請する際、はね返ってくる答えは、他の農産物に影響するからだということですが、他の農産物とは大豆や麦のことでしょう。
 本土では、大豆や麦は裏作であり、しかも在圃期間は長くて半カ年、キビは沖縄の基幹作目であり、在圃期間も1年半、キビを大豆と麦と同一視することは認識不足もはなはだしいと言わなければなりません。
 来年の折衝には、この点を十分踏まえて農林省に当たるべきだと思うが、いかがでしょうか。
 農林省は、復帰前から続けられてきた含蜜糖工場への価格差補給金を52年度から打ち切る方針を明らかにしています。復帰要綱に基づく「当分の間」の解釈については、農林省と大蔵省との間で5年間という念書が取り交わされていたことになっていますが、そのことについては県は知らされていたかどうか、お尋ねいたします。
 この補給金が打ち切られると、工場も農家も壊滅的打撃を受けることは必至であります。しかも、含蜜糖は大部分離島で生産されておりますので、農林省が言うように簡単に他の作目への転換ができません。この含蜜糖を離島振興と位置づけ、補助金の制度化を強力に折衝すべきであると思います。御見解を承ります。
 去る6日、県畜産振興対策推進協議会は、4000人の生産農家の結集を得て、畜産物輸入特別措置撤廃生産者大会を開き気勢を上げています。
 牛肉及び加工品が多量に輸入され、県畜産の振興を著しく阻害し、畜産農家の生活を圧迫している現状に対し、生産農家が生活防衛のため憤然として立ち上がるのは当然であります。
 本土の生産農家は、畜産価格安定法によって保護されているのに対し、沖縄の生産農家は特別措置によって虐待されているこの差別を許すことはできません。
 消費者を守るか生産者を守るかの選択を迫られた場合、沖縄のような生産のない消費経済を立て直すためには、私は生産者を守るべきだと考えています。
 県はさきに、ハム、ベーコンの割り当ての中止を政府に要請していますが、県はさらに、生産農家の訴えを真剣に受けとめ、特別措置撤廃を強力に要請すべきであります。誠意ある御答弁をお願いいたします。
 次は、海洋博の跡利用について。
 海洋博は、沖縄経済にとってプラスかマイナスか、いま議論が沸騰しています。沖縄は2万4000人の失業者を抱え、海洋博後はさらにふえるのではないか、倒産も続出するのではないかと心配されているので、海洋博が沖縄経済の起爆剤になるかどうか、大いに論議されなければならないと思います。
 その反面、海洋博のテーマ「海――その望ましい未来」が影が薄くなって、これに対する論議が少し盛り上がりを欠いているのではないかという感じがするのです。
 確かに、会場内では、海にかかわる施設もあるし、行事も行われています。また、世界の学者が集まって、「海と人」をテーマに国際シンポジウムも開かれました。しかし、それは会場内に限られ、沖縄全体に広がってはいないのではないか。「海――その望ましい未来」とは一体何であるか。人類は、青い海を未来永劫に守り続けねばならないということではないかと私は解釈しています。
 私は、国際シンポジウムに参加はできませんでしたが、討論の記録を新聞で読みました。よく理解できませんでしたが、私なりに結論を申し上げますと、海が死んでしまえば、地球は生態学的に完全に破滅状態になるということであります。
 海が生きているということは、プランクトンが生きているということであります。プランクトンが汚染で死んだら、海の全生命は死滅するばかりでなく、地上に酸素の供給もできなくなり、地上の全生命も死滅することになります。
 人類は、毎日何百万トンという廃棄物を海に流しています。この廃棄物に弱いのはプランクトンであります。
 ピカール博士は、討論で、「もし経済や産業のこれまでの哲学が「海から何をとり、それをどのように使うか」であったとしたら、これからの人類の哲学は「海の生命やわれわれの生命をも脅かさずして、海に何を落とすべきか」でなければならない」と述べています。
 われわれが海の青さを求めるのは、その美しさをながめるためではなく、人類が死滅を免れるためであります。これがテーマの趣旨であり、海洋博後に残された大きい教訓ではないかと思います。これに対する御見解を求めます。
 海洋博の跡地は、記念公園として観光の拠点にする構想はほぼ決まったようですが――これは知事から答弁がありましたけれども――管理運営の主体はどうなりますか。
 観光による収入は年に七、八百億円もあり、これからも観光振興に力を入れなければなりませんが、収入の大半は大企業、大資本に流れるようなシステムになっているのではないか。もっと県民全体に流れるような観光のあり方を検討する必要があるのではないかと思うが、いかがでしょうか。あわせて御答弁をお願いいたします。
 次は、離島振興について。
 ポスト海洋博は離島振興であります。
 知事並びに関係市町村長の努力もあって、去る8日から平良、石垣港へ本土直行線が就航でき、地元民は物価も安くなるのではないかと喜んでおります。住民の期待を裏切らないためにも、今後、行政サイドからの物価の監視が必要だと思いますが、これをチェックする方法はないものかどうか、お伺いいたします。
 国鉄船就航については、すでに調査費も計上されていますので、将来にその実現を期待したいと思いますが、さしあたり必要なのは国鉄駅です。この国鉄駅が取り上げられてからすでに2カ年を経過していますが、いまだに実現を見ていません。聞くところによりますと、いま会社側が赤字を理由に渋っているようですが、国鉄や運輸省にもっと強力な折衝が必要ではないか、御見解を承ります。
 南西航空運賃値上げ措置について、知事も議会も要請していますが、運輸省は多少の値上げはやむを得ないことを示唆しています。免税あるいは運営補助等の特別措置により、離島の人々にこれ以上の負担がかからないよう強力な要請を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 御質問がありました第1点、B52飛来についてでありますけれども、これはもう私はここでどうこうという必要はないだろうと思います。
 これは復帰前から沖縄県民はみんなB52の駐留は反対しております。そして、その撤去を要請しております。
 それから復帰後といえども六、七回ぐらい来ておる。その都度、これはわれわれのみでなくして全県民が反対し、またその証拠には、かつての立法院におきましても、また復帰後の県議会におきましても、その都度、議会においても、総意としてこれは撤去すべきであると、沖縄に駐留すべきでないと、理由のいかんにかかわらずこれは反対であるという意思は強く表明しておられますので、それを大きな背景として行政当局といたしましても、やはりB52の飛来については、理由のいかんにかかわらず、これは反対であるというようなことに違いはありません。
 したがって、そういう基本線に沿うて、この問題については、今後も対処していくということになるわけであります。
 しかしながら、来ては帰り、来ては帰りいたしまして、どうもこのわれわれの行動そのものがこの実態に触れますというとむなしい感じがして残念に思うのでありますが、しかし、皆さんとともに、この問題については、そういうふうな気持ちで取っ組んでまいりたいと、こう思っております。
 それから失業者の問題、これはいろいろ先ほども申し上げまして、繰り返しませんですけれども、一朝一夕に特効薬的に解決する道はないと思いますけれども、さしあたりは、公共事業あたりを活発にすることによってということも、ポスト海洋博対策としてこれも申し上げましたんですけれども、先ほどお答えしましたように、公共事業というものをより活発にしていけば、従来の実績では、その公共事業総工事費大体100億円で、年間約2000人を雇用することが可能であるというようなことを専門家は言っております。
 したがいまして、私どもは、普通のあらゆる産業というようなものを振興する以外に、またこういう公共投資というようなものを充実、拡大、強化していくというようなことも失業者吸収の大きな力になるのではないかと、このように考えております。
 それから農業の問題、それから財源の問題等につきましては、関係部長に答えさせたいと思います。
 それからキビ価格の問題、含蜜糖の問題もそのとおり農林水産部関係者に答えさせたいと思います。
 それから海洋博の跡利用問題について、管理運営の主体も先ほども申し上げましたけれども、これはやはり公益性のある財団法人というものを結成いたしまして、直接私どもがやるのではなく、また国がやるのではなくして、そういう法人によってこれを運営をさせていくと、ただし、それを金もうけのために使用するようなことがあってはいかぬと、こういうことでありましたけれども、やはり沖縄県民の福祉を保障するというような意味において、これから利潤をだれかれが上げるということではなくして、県民全体が観光にしましても、あるいは海洋性リゾートにいたしましても、これから福祉を確立してできるといったようなそういう方向でこれは運営されていくと、こう思います。
 それから離島振興につきましてもたびたび出ておりまして、また与那覇議員からも、ポスト海洋博の10大施策というようなことだとおっしゃいましたけれども、われわれもそう理解しております。
 いままでに力を入れたつもりではあるけれども、まだ本島との格差があることは否めませんし、今後じみちにきめ細かにこの問題についてはわれわれは取っ組んでまいりたい。
 そして、おっしゃるような国鉄駅の問題あたりでも、これは絶えず話を続けておりますけれども、実現するに至らない。
 そして、強力に折衝する意思ありやということでありますけれども、これはやはり離島の住民の福祉を保障するというようなことでありまするというと、われわれは引き続き強力にこれは折衝を続けてまいりたいと、そして実現をさせたいものであると、このように考えております。
 関係各部長に補説させます。
○議長(平良幸市君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 財政危機についてお答えいたします。
 御質問の中にも御指摘がありましたとおり、経済危機の原因については、2つの見方があります。
 1つは、現象的にとらえた見方で、すぐ人件費に原因を求めるという見方もありますが、しかし、これは根本的な原因は何と言っても国の経済政策に基づくところが大きいわけです。すなわち、ドルショックに続いて石油ショックが起こり、そこでその後、経済基調が変化してきております。48年の暮れから50年3月までに総需要抑制策がとられております。この総需要抑制策が余りにも長く、かつまたシビアに実施されております。
 そして、わが国の経済が高度成長から低成長に移行しております。経済成長が大きく落ち込んで、それから実質的にはマイナスの成長が行われております。その中で企業活動が萎縮し、それから深刻な不況のために税収も激減しております。
 こういった経済基調の変化によって、いまの財政危機――特に地方財政、国もしかりですが、地方財政の危機をもたらしているというふうに見ております。
 そこで、この経済危機をどう乗り越えるかというようなことでございますが、通常ならば、経済成長が高度にある段階においては、税の収入も自然増収がふえてきて、行政需要に対応していくことが容易であったわけでございますが、低成長時代に入ると税収が伸び悩んで、行政需要、住民のニードにこたえることがほとんどできないような状態になっております。
 私どもの県もいまのところ、私どもが試算したところによると、20億円の減収を来しております。その減収については、国の方で減収補てん債を実行することになっております。
 ただ、私どもは、それだけで十分に今後の財政危機を乗り越えることは不可能でございますので、節約もさせております。およそ8億円ほどの節約をしていく考えでございます。
 こういった当面いろんな物件費等の節約を行いますが、今後は恒久対策として、やはり国に対して求めるものと、県に対して求めるものを2つに分けて、県みずからやるべきことは県みずから積極的にやって、国に対して要求することはまた国に対して強く要請していく、そのような基本的な考えでいるわけでございます。
 そこで、国に対しては、やはり交付税の繰入率を現在の32%を40%以上に伸ばしていくような考え方でいるわけでございます。
 そのほか、超過負担を完全に解消していくように求めていきたいというふうに考えております。
 こういった国に対して基本的な要求としては、交付税の増強、それから超過負担の解消というのがありますが、そのほかにも、公共事業の完全消化のための起債等の特別措置、直轄事業負担金の廃止、それからさっき申し上げました減収補てん債にかかる金融機関への基金措置、その他財政措置に関する大規模林道事業の国庫補助率の引き上げ、こういったもろもろの要求を国に対して要請し、地方財源の対策を確立していきたいというふうに考えております。
 この点については全国知事会を通して、みんなで一緒になって国に対して要求することになるわけでございます。
 なおまた、私ども沖縄県としても、自主財源が現在わずかに2割弱でございますので、それを伸ばすような最大の努力をしていかなければならないだろうというふうに思っております。
 常に財政を洗い直して、問題点があればそれを指摘して改善していく努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
 それで、先ほど指摘された渉外部の運営費等についても、現在、渉外部のその職員については、人件費についてはほとんど交付税でその支出を求めておりますが、その他の経費についても、国が負担していくように求めているところでございます。
 そういったことで、何とかこの危機を乗り越えていく努力と、それから将来にわたって地方財政が健全な運営ができるような措置を講じていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 農林水産部次長。
   〔農林水産部次長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部次長(島崎盛武君) お答えいたします。
 まず、不況対策について、第1次産業にUターン現象があるので、これについてどう考えているかということでございます。
 確かに、最近、Uターン現象がございまして、特に老齢化、婦女子化しておる農村の現状におきましては非常に明るい見通しでございます。
 ただ、やはりわれわれの今後の農業の方向といたしましては、振興開発計画に即したものでありまして、さらには他産業との所得あるいは生活が均等するようなものでなければならないと考えているわけでございます。
 そういった意味から、他産業の帰農者に対しましても、必要な農用地の確保あるいは農業の近代化が確保できるような生産基盤などの整備を積極的に推進して、魅力ある農業としての条件整備を図っていきたいと、かように考えております。
 次は、農作物の価格政策の強化でございますが、沖縄県の昭和49年の農業粗生産額に占めるサトウキビの生産額の比率が32%、野菜が19%、畜産が39%、合わせまして約90%もこの3つで占めているわけでございます。
 そういったことから、価格対策といたしましては、これらの作目を重点に推進していく必要がございますが、サトウキビにつきましては、引き続き生産費所得補償方式、この価格支持を今後とも国に要求していきたいと、かように考えております。
 また、適正な農産物価格が形成されるように今回補正にもお願いしてあります畜産物価格安定公社、あるいは野菜価格安定基金協会、そういうものなどを設立いたしまして、流通対策を積極的に推進していきたいと、かように考えております。
 次に、畜産大会におけるいろんな要請がございまして、確かに沖縄の場合、消費者の皆さんはわりあい有利な条件でこういった畜産物が確保できるわけでございますが、生産者に対しては余り保護されていないという点がございまして、この要求に対しましては、確かに理解できるわけでございます。
 そういった意味から、われわれといたしましては、特別措置法第84条関連の消費生活物資のうち、ハム及びベーコンにつきましては、特別措置をできるだけ早い時期に打ち切りたいというふうに考えております。
 もちろん、畜産公社等の設立によりまして、県産品を製造し、県内供給を図るということも前提となります。
 それから特別措置法第83条関連の加工用原料の減税につきましては、生産者と加工業者が協調して畜産物の増産及び加工業の振興ができるよう割り当てを慎重に配慮していきたいと、かように考えております。
 次に、輸入牛肉の特別割り当てでございますが、これにつきましては必要最小限度の割り当てを行いまして、生産者、消費者どちらにも迷惑をかけないと、非常にむずかしい問題でございますけれども、そのような方向で努力していきたいと、そういった意味で、畜産公社の畜産物総合需給調整事業で調整をしていきたいと、かように考えております。
 次に、含蜜糖の保護措置打ち切りについてでございますが、含蜜糖の保護措置打ち切りにつきましては、きわめて重要な問題でございます。
 特に含蜜糖は、主に分蜜糖の生産ができない、いわゆる困難な離島地域に行われておりますので、もし、この含蜜糖が生産できなくなりますと、離島の経済は全く麻痺してしまうというような非常に離島につきましては重要な経済的な地位を占めておるわけでございますので、含蜜糖の保護対策につきましては、沖縄振興開発特別措置法第5条第2項及び同法施行令第2条第2項によって含蜜糖の価格安定措置がとられているところでございますが、これらの保護策が打ち切られますと、離島の糖業は全く麻痺してしまいますので、今後とも同措置の継続措置を要請するとともに、制度化をしていきたいと、かように考えております。
 次に、農協中央会の大仲氏の労働報酬の価格の問題でございますが、昭和49年産の生産費調査による比較については、次のとおり考えております。
 まず、サトウキビでございますが、生産費10アール当たり8万6061円、労働時間153.5時間、1日当たり家族労働報酬――奨励金を含めまして――3741円。てん菜につきましては、生産費4万8671円、労働時間39.1時間、1日当たり家族労働報酬3298円と、われわれとしては試算をいたしております。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 離島振興の質問の中で具体的に出ました国鉄小荷物取り扱い、いわゆる一般的に国鉄駅を平良、石垣まで延長して設置せよという要請についてでございますけれども、県としても離島住民の生活安定の立場から今日まで関係者である琉球海運、さらには運輸省あたりに接触してきたわけでございますが、現在のところ、国鉄小荷物取り扱いにつきましては、沖縄に国鉄がないわけでございますが、琉球海運株式会社と国鉄が契約をいたしまして、30キロ以内の小荷物を取り扱って非常に低廉な価格で輸送したわけでございますが、実際には、琉球海運株式会社が相当の赤字を抱えて実施している現状でございます。
 その小荷物取り扱いの収益の比率が、従来7対3、3が琉海、7が国鉄と、こういうことでありましたけれども、いろいろ琉海の方でも折衝いたしまして、ことしに入りまして4対6という比率になっておりますけれども、それでも相当の赤字を抱えていると、これは実際には9対1、琉海が9、国鉄が1という比率にならないと相当な赤字ということなんで、これは非常にむずかしい状況でありますが、御指摘のように、離島・先島の住民の生活の安定と物資流通のことからして、引き続き県としても関係者に強力に折衝していきたいと考えております。
 2番目に、離島航空路の問題でございますけれども、現在、沖縄離島におきましては南西航空が路線を維持して経営しておりますけれども、赤字ということで値上げが申請されておりますけれども、県といたしましては、今日までも離島航空路の安定的な経営を確保するために、さらにはまた離島住民の航空運賃負担の軽減を図るために今日まで通行税、航空機燃料税の免税、航行援助施設利用料の免除等につきまして関係省庁に強力に折衝してきたところでありますけれども、今日までなかなか実現を見ておりません。
 したがいまして、引き続きこれらの免税措置の要請をすると同時に、特に離島航空路の中でも採算性の悪いSTOL機の機材購入につきましては、今日まで国が9割、県が1割負担で購入補助をしておりますけれども、御指摘のありました航空路の経営費補助につきましては、離島船舶航路の補助制度と同様に、運輸省では昭和51年度から概算要求をいたしまして、国が75%、県が25%ということで制度化しようという動きがありますので、県といたしましても、それに対応して特にSTOLの路線につきまして、この種の航空路補助ができますことをさらに要請し、県としても対処したいと、こう考えております。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
   午後3時42分休憩
   午後3時59分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 上原亀一郎君。
   〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 日本共産党県議団を代表し、知事に質問いたします。
 第1の質問は、深まる地方財政の危機についてです。
 県財政の赤字は、当初33億円とも言われたが、12月補正段階試算で9億100万円と大幅に減少していることについては、執行当局の御努力を多とするものですが、市町村財政も9月時点で総額36億9000万円の赤字が予想され、赤字団体に転落する市町村が出るのではないかと地方課の財政調査結果で懸念しています。
 本県だけでなく、いま全国の自治体を襲う財政危機の厳しさと深刻さは日を追って増すばかりです。自治省が10月20日明らかにした地方交付税減額分補てん、地方税減収補てん債発行など補正後の見通しによっても全国47都道府県のうち、財政再建団体転落の危険のある3分の1の都府県を含めて、実に3分の2の都道府県が実質赤字を避けられないと言われています。
 こうした深刻さを増す地方財政危機に対して、10月には全国市長会、全国町村議長会、全国町村会が地方財政危機突破大会を開き、地方交付税率の引き上げ、全額政府資金による減収補てん債の発行、超過負担の完全解消などの緊急決議を採択し、政府、各政党に要請行動を行っています。今定例会の最中、12月16日には6団体地方財政危機突破大会を開催、危機突破を旗印に政府への圧力を強める構えを見せています。
 また、地方6団体でつくっている地方自治権確立対策協議会では、各団体が分担して実施した超過負担の実態調査を武器にして超過負担の完全解消を政府に迫っています。
 全国知事会をはじめ、これらの地方団体が従来の陳情や要望の行きを越えて自民党政府の地方財政政策に公然と批判を表明し、要求実現を政府を迫る行動に立ち上がらざるを得ないところに今日の地方財政の深刻な実態と自民党政府の住民生活破壊の悪政ぶりが示されています。
 三木首相は、10月15日、首相官邸で開かれた政府招集による全国知事会議で、人件費抑制を繰り返すばかりで、何ら財政危機対策を示し得ず、自民党推薦の板垣山形県知事自身が、「わが県は全国で給与水準は低い方だが、それでも国の措置では、今年度40億円の赤字が間違いなく出る」と厳しく反発、また福田自治相の「これ以上本年度の財政対策は無理」との発言に、「このままでは私どもは帰るわけにはいかない」と詰め寄るなど、保守系を含めた各知事が三木内閣に対する不満を公然と表明する場となったと報道されています。
 自民党三木内閣は、成立当初から、高過ぎる人件費と福祉ばらまき政策が地方財政危機の最大原因などと称して自治体を攻撃し、公共料金値上げを強要していますが、今日の地方財政危機の原因は決してこんなところにあるわけではなく、その根本原因は、3割自治と言われる行財政面での強い中央統制のもとで、歴代自民党政府が地方自治体を大企業本位の高度成長政策に奉仕させ続けてきたことにあります。
 これに加えて、三木内閣が大企業本位の財政、金融、税制の従来の仕組みを変えないままインフレと不況のしわ寄せを国民と地方財政に押しつける総需要抑制政策をとってきたことが、この事態に一層拍車をかけたことは明らかです。
 わが党は、福祉の第一線、国民本位の公共事業の第一線を担っている地方自治体の財政危機を特に重視し、その打開策を示しています。
 現在の深刻な地方財政危機を根本的に打開するためには、わが党が一貫して要求し、いまでは地方自治体関係者の間でも一致した要求となっている地方交付税率の40%への引き上げ、超過負担の完全解消、国の機関委任事務の大幅整理をはじめ、国と地方との事務事業の民主的再配分などのより抜本的な対策を進めなければならないが、当面の困難を切り抜けるために次の緊急措置を国にとらせることが必要です。
 まず、国税3税の落ち込みによる地方交付税の減額分は、融資ではなく臨時特例交付金の交付で補てんする。
 2番目に、地方税減収対策として、全額政府資金による減収補てん債を認め、利子補給を行う。
 3番目に、累積赤字を抱え苦しんでいる地方公営企業の財政危機を打開するため、当面、金利負担の軽減、不良債務のたな上げ、償還期限の延長など国の財政措置を強める。
 こうした緊急措置の実現が、当面する地方財政危機を有効に緩和することは明らかです。知事の御見解をお伺いいたします。
 また、国税3税落ち込みによる交付税減額相当分の借り入れは幾らになる見通しか。
 2番目に、減収補てん債の政府引き受けは幾らになる見通しであるか。
 3番目に、県債のうち政府資金と民間資金の割合はどうなっているか。
 4番目に、全国の過去5カ年の超過負担は1兆円にも上ると見られているが、本県の県政復活後3カ年の超過負担は幾らか。単価差だけでなく数量差、対象差及び認可差を含めて示してもらいたいが、資料でいただくことにして、49年分についてお答え願いたい。
 質問の第2は、米軍基地問題についてです。
 先臨時議会における全会一致の決議を携え、B52米戦略爆撃機の再飛来に抗議するため上京した県議会代表団に対し、坂田防衛庁長官、山崎外務省アメリカ局長は、B52は安保と切り離せない。B52は、沖縄はもちろんのこと、日本の平和と安全に寄与するものであると100万県民の抗議をにべもなく一蹴しました。この2人の自民党政府の要人のさかさまな暴言に県民1人として憤りを覚えないものはいないでしょうが、反面、県民の生命と安全を脅かし、百害をもたらしているB52の再飛来を阻止するためには、いかなる理由があろうとも安保条約は認められない、廃棄すべきだということを如実に示したものにほかなりません。安保条約は認めるが、B52は来てはならないなどということがいかに県民を欺く詭弁にすぎないものであるかを坂田長官、山崎局長の国民を愚弄する暴言は示しています。
 B52核戦略爆撃機の2度にわたる嘉手納基地への大挙飛来と相前後して、伊江島で核模擬爆弾BDU8Bを使った原爆投下演習がしきりに行われたことは、ベトナム以後のフォード政権の核先制使用戦略との関連で、日本とりわけ沖縄の核攻撃基地化が公然と進行していることを裏書きしています。
 核兵器の先制使用という選択をこれまで以上に強く押し出したフォード政権の冒険的な核戦略のもとで伊江島での原爆投下演習が再開され、しかもかつてなく激しく行われたことは、アメリカ帝国主義がわが国の核攻撃基地化をいまや既成事実として押しつけ、日本を、特に沖縄をアジアでの核戦争の策源地にしようとしていることのあらわれです。
 B52画戦略爆撃機の大挙飛来にしても、米日韓軍事一体化の危険な策謀の一環として、朝鮮半島での有事に備えた嘉手納基地のB52出撃基地化、沖縄の米軍基地の前線基地化などのたくらみに基づくものです。
 沖縄の米軍基地の強化を中心に推し進められている日米軍事同盟の新たな侵略的強化、米日韓国軍事一体化の危険な策謀が進む中で、革新県政は一段と安保条約廃棄の姿勢を鮮明にしなければならないと思いますが、知事の所見をお聞かせ願いたい。
 また、アメリカの危険な策謀に積極的に協力加担している自民党三木内閣の重大な責任を厳しく糾弾し、引き続き原爆投下演習の一切取りやめのために努力しなければならないと思うが、どうか。
 第3の質問は、不況対策についてです。
 不況が長期化するのに伴って中小零細企業の経営危機は、ますます深刻化を加えています。この経営危機を打開するための諸要求の中でも、特に緊急切実なものは仕事と市場を確保する問題です。いま中小零細企業者は、この要求の一環として、官公需の中小企業向け発注を拡大せよと強く運動を進めています。しかし、この要求は、自民党三木内閣の大企業奉仕の政治姿勢のためにその実現を阻まれているのが実情です。年間6兆円を超える官公需は、こうしてほとんど大企業の方に向けられています。
 また、今度の国の補正予算でも三木内閣は、財界献金と引きかえに大企業本位の不況対策をとり、本四架橋や新幹線建設などの大型公共事業によって大資本の利益を守ろうとしております。
 このような自民党政府の大企業本位の官公需発注は、必然的に地方自治体の国庫補助事業をも縛りつけています。
 私がまとめた議会の承認を受ける1億円以上の県土木工事会社別契約高によると、昭和47年から50年6月段階までの総工事量は契約件数63件、契約高157億円で、本土大資本は契約件数21件で33%、契約高63億円で40%、三菱商事、三菱電機、三菱化工機等三菱系列で21億円、竹中土木、東洋建設それぞれ10億円を超えています。県内大手4社が件数25件で40%、契約高68億円で43%、国場組28億円、南洋土建22億円、小波津組9億円、大城組8億円で、ほかは14社で合計して件数17件で27%、契約高25億円で17%にすぎません。
 企業局の水道、工業用水道建設工事においては、縛りつけは一層ひどいものです。新日本製鉄をはじめ、間組、鹿島建設、浅野工事、大城建設、久保田鉄工所、三井建設、日本鋼管、日立製作所、住友金属工業等々、田中金脈首相が列島改造論で示したごとく、石油化学コンビナートを中心にした金武湾臨海工業基地への工業用水収奪を目指して水道、工業用水道建設工事を独占しました。これら大企業が共同企業体の名のもとに国場組、大城組、南海建設3社を引き入れた工事量は、47年、48年、49年の3カ年の決算を通して見ますと、総工事量120件、276億円のうち79件で65.8%、契約高で338億円、86.2%となっており、全水道建設工事の90%近くを独占し、県内企業は23社で41件、34.2%、契約高で38億円、13.8%でおこぼれちょうだいというところです。
 このような地方自治体をも食い物にする公共事業の大資本による独占をやめさせ、中小企業の仕事口を広げるためには、根本的にはどうしても国の官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律を改正し、国等が官公需総額の50%以上を中小企業に発注しなければならないこと、中小企業の受注の機会を増大させるために分割発注、共同受注の促進、資金、技術、機械設備などの援助、発注計画の公示、契約額の5割前払いなどの措置を講じなければならないこと、中小企業に優先発注すべき品目を指定し、公示することなどの条項を盛り込んでいかなければならないと考えますが、知事の御見解を承りたい。
 第4の質問は、野菜価格安定基金と家畜畜産物価格安定公社の設立についてです。
 全国的にかつてない地方財政の危機というきわめて困難な状況のもとで、今回知事が提出した補正予算は、これらの制度創設のため7500万円、2億円の予算を計上しており、その御努力を評価するものであります。
 わが党は、第1次産業の振興についての諸施策の中でも、とりわけ価格対策を重視し、これまで主要な農畜産物については、生産農家の生産費が完全に償えるよう補償すべきであることを繰り返し、機会あるごとに主張してまいりました。
 とりわけ、昭和49年12月の第5回定例県議会においては、当時知事が構想していました肉豚価格安定公社の構想について、せっかく公社を設立する以上、単に肉豚にとどめず、肉牛、ブロイラーを含め総合的な畜産公社として設立すべきであることを提言しました。今回設立する家畜畜産物価格安定公社が、この提言を取り入れたことについても評価するものであります。
 工業優先、農業破壊の政府の悪政が重大な結果を招き、農業の見直しが云々されている状況のもとで、今回の補正予算は知事の革新県政の立場を政策的に明確に表明したものと言えます。
 特に本県においては、復帰特別措置に基づく低関税の食肉加工品が大量に輸入されるという事態もあり、畜産農家からその価格対策について強い要求があり、今回の知事の施策は、この要求にこたえるものでもあります。
 しかしながら、今日の農業、畜産の危機はきわめて深刻なものがあり、その抜本的打開は政府の農政や貿易、経済政策など抜本的改善を必要とします。とても地方自治体の手に負えるものではありません。今回、知事が創設する制度についても、限られた地方財政の枠の中で、これで十分だとは決して言えるものではありません。この制度を今後さらに拡充強化させるべく資金枠を増大することはもちろん、その民主的な運営など一層努力すべき多くの問題も残されています。
 野菜価格安定基金に例をとるならば、その対象となる野菜の種類を現在考えている8種類からさらに拡大し、価格差補てんも市場価格を基準とするのではなく、あくまで農家の生産費及び所得補償方式にするなど、そのため基金を3億円の目標にとどめるのではなく、さらに必要な増額を図るなど、今後努力しなければならない点がたくさんあります。
 そこで、今回実施を計画しているこの2つの制度についてその内容を説明していただくとともに、今後の拡充強化についての決意もあわせて伺いたいと思います。
 質問の第5は、糸満市土地開発公社の出願にかかる糸満市字潮平西原地先公有水面の大型埋め立てについてです。
 この埋め立て免許出願については、知事はすでに地元糸満市に諮問を発し、現在、糸満市議会において審議が行われ、新聞でもいろいろ取りざたされておりますが、糸満市の市街地をなす旧糸満町の3倍にも匹敵する300万平方メートルを超える広大な面積にわたるものとなっています。
 漁民の町として発展してきた旧糸満町は、もともと旧兼城村の一村落であったのが、急速に人口が膨張し、戦前戦後を通じてかなりの面積に及ぶ埋め立てが行われたが、今日なお土地は狭隘で、人口密度は大都市並みに高く、宅地事情はきわめて逼迫しています。
 このような歴史的経過を持って発展してきた糸満市の地先の公有水面埋立地については、まず何よりも永久に漁業権を消滅させられ、埋め立て工事中は沿岸漁場を汚染される漁民の損害を十分補償するものでなければならないのはもとより、埋立地については、漁港後背地の漁業関連施設と、勤労市民の住宅をはじめとする生活基盤、生活環境改善要求に十分こたえられるものでなければならないし、土地取得に絡むいささかの利権あさりがあってはならないものです。
 また、旧糸満町の3倍に及ぶ埋立地造成は、狭隘な現市街地の生活環境整備を主体とする都市計画とも有機的につながらなければならないまさに新しい町づくりであり、したがって市民参加が貫かれ、市民の意見が広く反映するものでなければならないものです。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 まず、知事の諮問に対する回答期限が旬日に迫っているが、漁業権の補償額について、いまなお埋め立て免許出願者との間に合意がなされていません。
 沖縄の基幹産業である水産業を担う漁民の漁業権補償、漁場汚染損害補償について、どのような指導方針を持っておられるか。
 2番目に、糸満工業団地組合は、先願権をたてに出願全面積の55%を超える169万平方メートルの埋め立てもしくは土地取得を要求しているが、公有水面埋め立て免許申請取り下げの際、協定書も締結されていないし、文書による合意もなされていません。
 宅地を公有水面埋め立てに求めて市街地を形成してきた糸満市の発展の歴史的経過と今日の実情からして、一私人による51万坪余に上る広大な糸満地先水面の埋め立てもしくは土地取得は、糸満市民の要求に合致するものではありません。
 また、このような広大な公有水面の埋め立て権利関係に何ら文書も取り交わされていないことは、糸満市民の利益に帰すべき公有水面埋め立ての効果が損われ、利権あさりの根源を醸し出すおそれなしとしません。
 また、通商産業大臣が火薬類製造営業許可を付与した琉球鉄工株式会社の所在する伊保島の真半分、6842坪の土地の所有者は、同島が出願に係る公有水面埋め立て区域内にあることから、伊保島の所有権、海中道路占有権、営業権、その他地上権をたてに、同島周辺の埋め立てを要求し、同氏が現に所有する面積の7.6倍に匹敵する約5万2000坪の土地所有権取得を要求しているにとどまらず、岡波島の使用権獲得を要求しており、出願者並びに糸満市との合意文書まで用意しております。
 このように不当に過大な利権の要求がなされているが、出願者は、県に指導助言もしくは協議を求めてきたか。
 3番目に、知事の諮問回答期限が今月20日となっておりますが、このような市民の利益を損ねかねない重大な問題が未解決のままであります。
 現市街地の3倍に及ぶ新しい町づくりには、その端緒において、それにふさわしい市民を背景にした審議の機関が必要であり、市民的合意が必要であります。
 糸満市から要請があれば、知事、諮問に対する回答期限は延長しなければならないと思うが、どうか。
 4番目に、住宅問題は糸満市に限らず沖縄県全体が深刻であり、住宅難率は大都府県並みに高い。民間自力建設はともかくとして、真に住宅難を解決する公営住宅の建設は遅々として進んでいません。
 その根本的原因は、大資本本位の産業基盤づくりに狂奔し、生活基盤づくりを犠牲にしている自民党政府の悪性に起因するものであるが、直接的な理由の1つは、用地の取得難であります。
 したがって、公共団体が新しく造成する土地には、公営住宅用地の確保は当然期待されなければならないでしょう。
 住宅供給公社は、先願権との関係で8万平方メートルの用地を確保する協定書を締結していますが、それはいいとして、庶民の最も必要としているのは家賃の低廉な公営住宅であります。
 工業団地の造成に劣らず、生活環境条件の整備された人間団地の造成、生活基盤づくりこそ何にも増して優先すべき革新県政の政策的課題であります。
 新しく造成される糸満市の埋立地には、庶民の願いにこたえて県営住宅用地を確保し、糸満市に対しても、市営住宅用地を確保するよう助言すべきだと思うが、どうか。
 以上で、質問を終わります。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 第1の御質問の財政硬直化に対する対策といたしまして、全国的にいま言われているところの地方交付税率の引き上げとか、あるいは委託事務の軽減、したがってわれわれの所要経費を軽減してもらうということとか、あるいは財政の貧困というようなものを交付税で補てんしていくとか、あるいは県債に対しては利子補給によって国が補ってやるとか、あるいは公営企業、病院会計等のごときでありましょう。
 こういうようなものの助成、育成といったような事柄を国にこれを強く要求していく意思があるかということでありますが、これは本県だけの問題ではなくして、全国各都道府県の課題でありまして、九州知事会でも、全国知事会でも集まるごとに財政硬直化が問題になってからは取り上げられているところの問題でありますからして、これはそういうふうな協力体制をもって今後も強く要請していくべき姿勢であり、また立場であらねばならぬと、このように考えております。
 それから米軍基地の問題でありますけれども、安保に対する知事の見解をということでありましたけれども、要するに、いま沖縄に起こるいろいろの問題というものは、全部基地ばかりかということではありませんですけれども、基地あるがゆえにそれに関連して起きる問題は非常に多い。社会的にもあるいは経済的にもいろいろこういうような問題が起こって、われわれはこの基地に対しては非常に困っているということは、率直に、常識的なわれわれの考え方であります。基地があってよいなんて考えている人はいないと、だけれども結局、これもいろいろわれわれは軍とも折衝いたしますというと、安保があり、あるいは地位協定がある、ある以上、どうにもならぬではないかというようなことになるわけでございます。
 したがいまして、その安保が仮にアジアの安全と平和、わが国の安全と平和と、こういいましても、いつまでも沖縄にある基地を必要な拠点として、扇のかなめとして安保を維持していくということでありますというと、いつまでも沖縄だけにしわ寄せが来ていくということになれば、沖縄県民としては、これを安易に、それではいいではないかというふうに言い得るものではないと、こういうふうに考えます。
 したがって、われわれは、核模擬爆弾とか、あるいは実弾射撃とか、あるいはB52の駐留であるとかということに対して、その都度騒ぎ、その都度非常に抗議をしているわけでありますが、こういうところから解除されたいためにも、やはりその根源でありますところの安保とか、あるいは地位協定というものは、これはなくなった方がいいというような考えは私どもの考えでございます。
 次には、不況対策についてでありますが、これは不況問題につきまして、御指摘のとおり中小企業者の受注機会の増大を図るということはきわめて重要なことであり、県としましては、これまで官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律の目的に沿って、市町村及び関係各団体等に対し、県内中小企業向けの官公需確保対策につき積極的な協力を要請するとともに、官公需における県産品の優先使用の方針を庁議で決定するなど、これは推進してまいっております。
 これまでの官公需の中小企業向け契約の実績といたしましては、昭和48年度、国の目標が26.9%に対して本県では45.3%、昭和49年度、28.1%、国の目標に対して県は57.0%となっております。
 なお、昨今の厳しい経済情勢の中で、現在、県内中小企業は、生産、受注の減少や売り上げの不振等の経営難に陥っており、今後とも深刻な事態が予想され、中小企業車の市場の確保が主要な課題になっているところから、県といたしまして県産品愛用奨励運動を強力に推進するとともに、中小企業の受注機会を一層増大せしむるための効果的方策を見出すため、現在、中小企業振興対策審議会において、ポスト海洋博に向けての中小企業対策の1つとして審議をしているところであります。
 県としては、同審議会の答申の方向に沿って、今後とも中小企業需要確保を積極的に推進していく所存であります。
 それから公共事業などにつきましても、たびたび申し上げましたとおり、これは海洋博後は、でき得る限り県業者の方々にやってもらうようにし、それからそれが使用する資材等につきましても、でき得る限り県産品を使ってもらうといったような、これは行政的にわれわれが指導するというような立場でこれは強力に推し進めてまいりたいものだと考えております。
 なお、野菜の価格の安定資金あるいは畜産価格の安定資金につきましての説明ということにつきましては、農林水産部に説明させたいと思います。
 最後に、埋め立ての件でございますけれども、御質問にお答えしたいと思いますが、ことに漁業の補償に関する問題でありますが、埋め立てに伴って漁民が不利益をこうむるようなことがあってはならないと、これはお説のとおりであります。
 このような立場から、出願者に対しまして、不利益をこうむった漁民に適正な補償をするように協議し、合意に達するよう助言をしていきたいと、これはもうそうしなければなりません。
 糸満工業団地組合の件についてでありますが、伊保島の土地所有者の件については、いずれも出願者の方からは協議を受けたことはありませんが、占用者の同意を得るため、経過については文書でもって提出されております。
 該埋め立ての土地利用は、水産関係用地、公共用地、公園用地、住宅用地、中小工業団地からなっており、現在、適正かつ合理的に利用すべく慎重審理しており、出願者と話し合ってその土地利用に最善を尽くしていきたいと思っております。
 なお、この住宅問題についても、住宅難の解消に大きく寄与する方向で検討していきたいと思っております。
 また、昭和50年12月20日を答申期限として、糸満市に対して意見聴取をしておりますが、該埋め立ての地域住民に与える影響の度合いを考慮するならば、糸満市議会において十分審議し、県民の意見を可能な限り反映してもらいたいため、該答申期限の延長申請が提出されれば、期限及び理由等を十分に留意してこれは検討していきたいと、このように考えております。
○議長(平良幸市君) 農林水産部次長。
   〔農林水産部次長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部次長(島崎盛武君) お答えいたします。
 野菜価格安定基金協会の内容についてでございますが、沖縄県の場合、自然、社会、経済的な諸条件から野菜の価格がいつも不安定な状態にありますので、勢い野菜農家が不安定な状況にあります。
 こういったことから、野菜農家の経営を安定させるために、今回、沖縄県野菜価格安定基金協会を設置いたしまして、御審議を願っているわけでございますが、概要を申し上げますと、まず加入者としては、県、農業協同組合、市町村、農業団体となっております。
 このうちの資金区分でございますが、県が50%、農協が15%、市町村が15%、農業団体が20%となっております。
 対象野菜の品目と数量でございますが、大根が150トン、キュウリが150トン、白菜が150トン、トマトが100トン、タマネギが100トン、ニンジンが500トン、キャベツが600トン、トウガンが250トン、合わせて2000トンでございますが、数量とか品種につきましては、過去の経済連の中央市場の市場価格等、あるいは価格が低落した場合の数量、品種等を勘案いたして算出してございます。
 それから出資額の負担年度でございますが、県が50年、51年、52年で1億5000万円、農協が50年、51年で4500万円、経済連、信農連、共済連――農業団体でございますが――合わせまして50、51、52で6000万円、市町村が4500万円、これも50、51、52、合わせまして3億円となっておりますが、先ほど上原議員のおっしゃいましたように、将来、必要に応じまして品種の拡大あるいは資金の拡大等を検討していきたいと、かように考えております。
 それから畜産公社でございますが、畜産公社は主要な家畜、畜産物の価格の安定を図るとともに、生産者の経営安定に必要な県内畜産物需給の調整を円滑にし、及び畜産の振興に資するため、生産振興、流通合理化事業に助成等の措置を講ずることにより、畜産及びその関連産業の健全発達を促進し、あわせて県民の食生活の安定的向上に寄与することを目的としております。
 公社の業務につきましては、まず県内畜産物の総合需給調整事業、肉豚価格安定事業、加工品の価格差補てん事業、肥育牛価格安定事業、ブロイラー価格安定事業等を実施する考えでございますが、将来とも畜産振興が図られるように資金内容面につきましても充実させていきたいと、かように考えております。
 出捐計画でございますが、昭和50年県は2億円、51年度2億円、計県は4億円、市町村、その他の諸団体で51年1億円、合計50年で2億円、51年3億円、合わせまして5億円の計画でございますが、これにつきましても将来必要に応じて資金の拡大を図っていきたいと、かように考えております。
○上原亀一郎君 総務部長、財政問題の方はまだ答えてございませんが。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
   午後4時43分休憩
   午後4時44分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) お答えいたします。
 国税3税の落ち込みによる交付税の減収補てん債についてでございますが、これは交付税及び譲与税貸付金特別会計が資金運用部から借り入れることになっておりますが、その総額は1兆1005億円と見込まれております。借入条件は2年据え置きの10年償還となっておりますが、この利子については国の一般会計で充当していくということになっております。
 なおまた、この減収補てん債の元利償還についてでありますが、この元利償還額の75%を地方交税付の基準財政需要額に算入されることとなっております。今後は償還期間の延長についても要請していきたいというふうに考えております。
 それから50年度の地方税は全国で1兆1000億円の減収が見込まれているわけですが、このうち2000億円は政府出資金から充当補てんすることになります。それから9000億円が民間資金から出ることになっております。このように国は全額地方債の増発によって補てんすることになっております。
 それから超過負担でございますが、これは49年度は9億9474万2000円となっております。こうして、多額の金額で県財政の大きな負担となっておりますが、こういった超過負担についても全国共通の問題でございますので、知事会等を通して国に要請していく考えでありますが、実勢単価に見合うような補助基準の引き上げ、補助対象範囲の拡大等についても引き続き国に要請していく考えであります。
 以上です。
○議長(平良幸市君) 中根章君。
   〔中根章君登壇〕
○中根章君 日本社会党所属議員団を代表いたしまして、御質問を申し上げます。
 1975年もあと2週間で暮れようとしております。1975年は70年代前半の終わりを告げます。70年代前半は沖縄県にとっては何十年にも匹敵するものであったと考えられます。
 まず、1969年の日米共同声明に始まる沖縄処分の実態は日を追うごとに明らかとなってまいりました。核抜き本土並み、さらには経済振興を振りかざし、バラ色を描いてみせながら、72年5月の沖縄処分と相なったのであります。
 革新屋良県政は、その間、革新の立場を堅持をし、多くの成果を残してまいりましたことを評価をするものであります。このどさくさ時代は、革新県政でなければ解決できなかった数多くの問題があったのであります。その間、自民党政府の高度経済成長の破綻によるインフレと不況の波は、経済基盤の弱い沖縄にもろに襲いかかってまいりました。県、市町村の財政の破壊をはじめ、企業倒産は相次ぎ、失業者はふえ、今では完全失業者が2万4000人となり、失業率もついに6%を記録し、全国平均の1.9%に比べて、局地インフレ、不況の様相を呈しているのであります。
 鳴り物入りで宣伝をされた海洋博も沖縄経済の起爆剤になり得ず、かえって本土大資本の市場占拠を許す結果となり、かくて30年近くもほったらかされた沖縄県は、またもや政府の独占本位、軍事優先の被害をもろにかぶっている現状であります。
 県の財政政策と企業倒産、失業対策について、今後の方針とその対策をお聞きしたいと思います。
 自民党政府の核抜き本土並み基地をはじめ、県民生活向上の約束は打ち砕かれ、県民が戦後から今日まで長年に及ぶ軍事優先支配という屈辱のもとで、要求し続けてきた反戦平和、生活向上は全く裏切られているのであります。
 軍用地返還の要求に対しては、軍事機能の新型化と、それに伴う合理化によって不要となった土地や、それらの動きによって閉鎖された基地の跡地、海洋博に伴う道路や関連施設用地として必要最小限の土地などであり、米軍や自衛隊の軍事的機能には全く支障を来さない、いわゆる機能統合強化と基地の安上がり維持と恒久化を図ることを目的にした軍用地の返還でしかありませんでした。
 沖縄県は、全国の米軍基地の53%を抱えさせられ、さらに自衛隊基地が加わるという実情からしても、広範な軍用地が都市開発や産業振興等に及ぼす影響がいかに大きいかを示しており、県民生活に与える諸悪の根源が軍事基地であるということは言を待たないのであります。
 このように沖縄における軍用地は、軍事的に必要なときは武力と権力をもって強奪し、不要となれば時、所を構わず放置され、復元補償、地籍の整理等、軍用地として接収されたために生じた諸問題に対する責任も果たさないまま投げ捨て同然に返還をされてきているのであります。
 このように米軍基地の整理縮小を看板にした日米政府による軍事優先の実態が、復帰3年余にして明確に示し出されていると言えるのであります。
 米軍のアジア戦略の最重要拠点である嘉手納基地は依然として機能強化と恒久化への動きを見せております。
 これまで、太平洋空軍司令部の傘下にあった第345戦術空輸中隊が米軍事輸送空軍傘下に組み入れられ、第22空軍前線司令部として新設し、嘉手納基地を拠点にした空輸機能は一段と強化されておると言われております。
 この動きによって、C5Aギャラクシーの飛来も頻繁になり、C141スターリフター輸送機も増機され、米軍による有事における空輸能力の飛躍的向上というのがここで明らかにされております。
 また、府中に司令部を置いている米軍第5空軍傘下で嘉手納基地の第313航空師団と同翼の第314航空師団傘下で南朝鮮の鳥山に新しく配置されたF4ファントム機が常時飛来し、嘉手納基地所属機第18戦術戦闘航空師団とともに、伊江島、出砂島、鳥島等の射爆訓練基地で射爆の共同訓練を行っております。この演習が核模擬爆弾の投下訓練でもあるのであります。
 沖縄にある米軍基地は、沖縄に駐留している米軍や自衛隊だけでなく、韓国、フィリピン、横田基地等、米軍傘下の航空機が従来見られなかった動きを示し、基地の自由使用と共同訓練が目立っております。アメリカの戦略がF4ファントムに中心が置かれ、朝鮮半島への戦争挑発行為が日増しに高まっております。
 一方、嘉手納基地を拠点に空からの電子スパイ活動を行い、アジア諸国から批判と抗議を浴びているSR71偵察機も相変わらずスパイ活動を続け、沖縄を足場にした戦争挑発行為とその準備体制を固めております。
 また、嘉手納基地は、従来、空軍専用の基地としてみなされてきたが、米国の戦術合理化に伴う空、海主力型戦略編成が打ち出され、第7艦隊の艦載機や普天間基地所属の海兵隊対ゲリラ戦支援と攻撃を任務としているOV110ブロコンも嘉手納基地のF4ファントム機との共同作戦訓練を行うとともに、伊江島、出砂島等では、昼夜の射撃訓練を行うなど、かつて見られなかった行動が表面化をしてきております。
 去る5月、那覇基地から嘉手納基地へ移駐してきた対潜哨戒機P3オライオンの格納庫3基をはじめ、那覇基地に移駐して訓練を行っていた艦載機や海兵隊のヘリコプター等の駐機場、通信施設等関連施設、P3オライオンが搭載する対艦爆雷の貯蔵庫も完成し、日本政府の約190億円という巨額の出資によって、P3の移駐施設は那覇基地に米軍が建設してきた施設と比較にならないほど強化されており、日本政府による米軍事機能の強化が明らかに示され、国民を無視した自民党政府の軍事優先と、那覇基地の自衛隊専用化への動きがうかがえるのであります。
 その他基地内では、滑走路補強工事や通信施設、事務所、兵舎等の新築がかつてない規模で行われ、兵員家族部隊の基地内集中化などとあわせて、クラブ、教会までわれわれ国民の血税で建てられているのであります。
 米軍の空、海共同作戦体制の強化と並行して、地上基地の合理化と恒久化は嘉手納基地の機能を大きく変え、いまや戦略上の万能型基地に変貌しているのであります。
 また、沖縄に駐留している米海兵隊は、復帰前後を問わず、洋上、陸上部隊とも実戦部隊で編成をされ、アジアの諸情勢に応じて常に動いていることと、北部、中部というアジア唯一の訓練基地を利用した訓練兵の出入りが激しいのであります。
 これらの部隊は、北部という広範な訓練基地をわがもの顔で利用し、北部の森林を焼き尽くし、水源地をはじめ北部住民に多大な被害を与えているのであります。
 12月1日から4日に、第7艦隊旗艦オクラホマシティー号のホワイトビーチへの寄港は、さきのB52と同様、米国の新しい戦略体制下で集中合理化されてきた沖縄基地の機能を実戦に備えて点検及びテストするための作戦計画に基づくものと思われるのであります。
 それは、B52飛来にあわせた輸送軍、攻撃軍の動き、オクラホマシティー号の寄港にあわせた海兵隊の動きやミサイル駆逐艦の頻繁な寄港、嘉手納基地の海軍機の飛来激化、泡瀬海軍通信基地のあわただしい動きなど、戦争さながらだったことでも明らかであり、沖縄基地の機能がいかに強化され、それが実験されているかを物語るものであります。
 また、通信施設においても、読谷村波平にある海軍情報収集基地「象のおり」では、これまで20本だったアンテナ塔が30本に増強され、中国大陸の中央地域までに及ぶ広範な地域の情報収集ができるように強化され、嘉手納基地のSR71偵察機の任務を陸上基地で収集するようになっているのであります。
 読谷村楚辺のトリーステーションは、これまで陸軍が管理していたログビクアンテナ地域を返還し、その代替機能として広い土地を必要としない新型で指向性の強い特殊アンテナ4本が新設されている。それは天願通信基地の返還とも関連し、これまでに広範な土地にあった通信施設を新型化するとともに、トリーに集中化させ、トリーと瑞慶覧、嘉手納を結ぶマイクロウエーブも並行して強化されていると言われております。
 東村慶佐次にあるローランアンテナ塔は、復帰後その高さを約倍に伸ばし、ローランCだけでなく、ローランAの機能も有しておると言われております。
 復帰後特に目立つのは、これまで広範な土地を使用していた機能が、新型化とともに広範な土地を必要としないで、しかも従来の数倍の機能力と集中化が図られているということでありましょう。
 このような中で、基地被害も主なもので72年6月以降30件以上に上り、また軍用機事故も後を絶たないのであります。その件数も同じく大きなものだけで22件に及んでおります。また、米軍人犯罪も同じく40件以上が発生をしておるのであります。また、尖閣列島の久場島、大正島における演習も復帰前よりも激しくなり、月平均74年には10回以上、75年も5回以上となっております。
 これら演習をはじめ、基地廃棄物による公害ははかり知れないものがありますが、基地公害は国の環境基準をはるかにオーバーしており、基地への立入調査と対策はどうなっているか、お聞きしておきたいと思います。
 基地と同居しているわが県では、地位協定云々では済まされません。人権と生命にかかわる大問題であります。
 B52の再飛来を完全に阻止する体制がつくり上げられているか、B52は1.5メガトンの水爆15個も積載できると言われています。広島に投下された原爆は0.02メガトンで10万人の人間を一瞬にして殺戮をしております。その50倍以上に匹敵するし、また原爆より水爆の威力は大きいのであります。15個ではまさに1億人でも殺戮できるのではないかと思われるのであります。
 また、弾薬の輸送も民間トラックの請負によってなされているが、復帰前は前後から誘導監視車がついていたが、今日では爆発物表示だけで民間地域を通っており危険であるが、その対策はどうなっておるか、お尋ねいたします。
 また、金武湾にある天願桟橋沖の軍用シーバースにはオイルフェンスが張られてないと言われておりますが、調査したことがあるか。もし、オイルフェンスがなければ、その撤去を求めていく考えがあるか、あわせてお尋ねいたします。
 このように沖縄は、本土とは比較にならないほど米軍基地の密度が高く、そのための財政需要が大きいが、その財政支出の見直しが当然必要であると思いますが、どのように対処していかれるつもりか、お尋ねをいたします。
 あと1点は、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和49年6月改正)の第9条特定防衛施設周辺整備調整交付金による50年度の交付額が、11月分決定で24億円のうち沖縄県関係市町村への交付分が4億7230万円で、その19.6%であります。
 基地は53%、密度は本土と比較にならないし、また米軍基地へは地位協定により国内法の適用から除外されております。自衛隊基地とも比較にならないのであります。このような交付のあり方は、沖縄べっ視の取り扱いと思います。
 県として、国へどのように要求をし、増額させていくか、お尋ねをいたします。
 去る8月から問題になりました基地労働者の6価クロム被害につきましても、県も議会もこの問題を重視し、この問題を取り上げてまいりましたが、その経過と見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。
 わが党が調査をした結果によりますと、これまでに米軍基地で働き、業務上で傷病死した人が22人で、その人々の死因の主なものは脳出血等、7つの疾病であります。また、9月6日現在、長期療養生活をしている人が87人で、主な症状は結核等4つの疾病で、不眠症、鼻炎等となっております。軍事基地がもたらした劇毒物による職業災害を濃くしております。また、これらの症状も職場や作業内容によってほぼ類似の症状が見られております。
 一方、那覇基地で働いた元軍労働者150人のうち50人を調べたところ、その約半数の人々が胃病や手足のしびれ、間接の激痛を訴え、結核で現在療養している人もかなりいることが明らかにされております。
 このように8月12日の6価クロム流出被害からわずかの間に、前述のように多くのことが明るみに出されております。
 このことは、米軍が基地維持や戦争のために、県民の生命を軽視してきたことを実証していると言えるのであります。このような被害者は、今後もふえることが予想され、ますます深刻化していくものと思われます。
 県の取り組みの経過と問題解決の見通し、今後の対策をお聞きいたしたいと思います。
 沖縄県関係の健康保険会計は、政府管掌健康保険の49年度収支が収入済み額75億1409万円に対し、給付額54億2073万円で、差し引き20億9075万円の黒字となっております。また、各種共済の市町村職員共済も2億4038万円の黒字であり、また沖縄市の国民健康保険会計も収入8億3836万円に対し、支出額7億9960万円で、差し引き3876万円の黒字となっております。
 これらの数字で見ると、沖縄県は、健康で医者にかかる人が少ないかと思うのでありますが、そうでもなさそうであります。これは医者の絶対数の不足、医療機関が少ないことが一因ではないかと思われますが、それは厚生省発表の昨年12月末現在で、人口10万当たり全国平均116.7人であるのに比べ、わが県は10万人当たり41人と極度に少ない面からもわかるのであります。日本一医療過疎県であります。そのために給付率も少なく、大幅黒字となっていると思われるのでありますが、この黒字分を県民への還元のため、国の責任で総合医療施設を設置させるべきと思うが、どうお考えか、お聞きしたいと思います。
 また、この黒字は、沖縄の場合、鍼きゅう院を利用する人たちも少なくないのであります。はり、きゅうの療養費が健康保険に適用されてなく、これらの人々がいま困っているのであります。
 医療制度や医療についての知識もありませんので、その問題についてとやかく言えませんが、現実に中国はりセンターが何カ所か沖縄にあるはずでありますが、私が調べたもの1カ所について申し上げますと、月に約延べ人員にして900人から1000人が治療を行っております。ここの治療費は1200円でございます。
 またそのほかに、従来から沖縄の鍼きゅうもあり、現在、沖縄の鍼灸師会の会員数が54人でありますが、その1カ所、沖縄市在を調べましたら、ここも延べで月約200人から300人であります。治療費も1500円でございます。
 このような数の皆さんへの健康保険の適用がいま望まれております。厚生省保健局の通達もあり、適用されておるが、微々たるものであります。
 また、事実として、よくなった、治ったという者もよく耳にするのであります。これらのはり、きゅう関係者も保険適用を望んでおります。共済保険関係者も全国的に適用の要求の要望を打ち出しているのであります。
 県として、健康保険をはり、きゅうの治療にも適用させることも政府に要望したことがあるか、もしなければ要望する考えがあるか、また国民健康保険の関係市町村への指導をどのようにやっていかれるか、お尋ねいたします。
 他県においては、熊本県・松橋町のように国民健康保険はり、きゅう施設規則をつくって付加給付的にやっているところも見受けられますが、県の御見解を承りたいと思います。
 次に、教育問題についてお尋ねをいたします。
 いまや高校全入やそのための高校増設は、父母、県民の教育要求として大きな関心の的となっております。ここで、幾つかの当面の問題を提起し、当局の御見解をお尋ねしたいと思います。
 第1に、高校増設と希望者全員入学の問題でございます。県民の教育要求の高まりの中で、普通高校を増設してほしいという声は日増しに強くなっております。これに対する教育長の具体的な高校増設計画をお聞きしたいと思います。
 第2に、問題点として、通学区、学区制の改革の問題がございます。那覇市内に高校用地が確保できないために、那覇地区では生徒の行き違い入学が起こり、学力の学校間格差が拡大してきて、特に新設校に至っては深刻な問題となっております。
 たとえば昨年新設されました西原高校の場合、450名の新入生のうち107名が地元の西原出身で、残りは那覇地区や浦添地区から通学している実態が指摘されております。
 そのことは、すでに豊見城高校や真和志高校でも問題になっており、次年度新設予定の南風原高校では、地元の強い不満が起こっておるのであります。地元に高校を新設させたものの、那覇、浦添市内の落ち穂拾い的なものになり、そのまま放置できない事態に陥っております。
 それがさらに学力の学校間差を大きくし、一流高校から、三流高校というレッテルがいつの間にか張られ、希望に燃え入学した子供らが入学後成績の悪い者はだめだというひがみを持ち、絶望状況に陥れられている実態があります。
 この結果、無気力と非行の青少年を生み出すという教育の荒廃が起こっております。この問題を親も子も深刻に悩んでいます。そして、このことは、教育行政のひずみとして早急に解決されなければなりません。
 そこで、現在の通学区を改善し、小学区制を早急に実施することが適切かと思います。この問題に対する教育長の方針や御見解を承りたいと思います。
 第3に、教職員の定数の問題でございますが、本年度南風原高校と北谷高校が新設されるということでございますが、その定員については増員しないという県当局の方針があると聞いておりますが、この真意をお尋ねしたいと思います。私は、増設分だけ増員すべきだと思いますが、どうでしょうか。
 新設予定の北谷高校については、通学区域はほぼ確定され、中学校単位に父母との話し合いも行われ、いまのところスムーズに運んでおります。
 そこで、父母大衆から出された問題は、沖縄市の諸見里、山内、山里の親たちは、終戦直後から10年おきに学校新設の経済負担を強いられてまいってきております。
 1970年の初めに、諸見小学校から中の町小学校の新設、1960年代に入って山内中学校、山内小学校の新設のため寄付集めをやらされました。そしてまた、70年代に入って北谷高校の新設であります。そのため、高校施設充実への父母負担を一切廃止するということ。また、各種施設も初年度入学生徒に不自由を与えないこと。あと1点は、中の町、諸見里一帯からバス運行であります。バスについては、入学試験前に決定を見ないと受験者がいないであろうことを容易に考えられます。このバス対策はどうなっているか、あわせてお尋ねいたします。
 次に、昨今問題になり、さらに教育現場を混乱をさせていることに主任制導入の点についてお尋ねをいたします。
 自民党政府は、文部省の反動化教育、いわゆる中教審路線が目指した教育現場の管理体制の総仕上げとして、主任制が行われようとしております。校長、教頭が経営層、主任が管理層、他は作業層という学校重層構造化に徹するのであります。
 すでに、教頭法制化で、教頭は原則として授業を持たないことになってしまいました。そのしわ寄せは教壇教員に来ているし、また主任がつくられれば、その数だけ作業層はしわ寄せを受けることになり、それによる管理強化は多忙化、労働強化を招き、教員の研究時間はもちろん、現在でも深刻になっている健康破壊がさらに進められるでありましょう。
 こうした職場体制づくりが行われるならば、自由で自主的、創造的な教育活動は一切抑圧され、子供の個性は多面的能力を大切にする伸び伸びとした教育は不可能となり、父母大衆や地域に結びついた教育活動も息をひそめることになります。
 教育長は、この主任制導入についてどう理解をしておられるか、またどのように取り扱っていかれるか、お尋ねをしておきたいと思います。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) ただいまの御質問につきまして、これは第1点は、基地公害問題に対する対策、いろいろ基地に対する御所見がございましたけれども、結局、基地公害対策の問題、なお交付税上の対策なんかもいろいろ含まれておりましたけれども、なお健康保健の黒字の利用活用とか、あるいははり、きゅうの治療を保健治療とするかどうかといったようないろいろの専門的な立場の御質問がありましたのですが、なお教育問題についてもそうでありますが、それぞれ関係部長にこれはお答えをさせたいと、こういうふうに考えますのでよろしくお願い申し上げます。
○議長(平良幸市君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋助君) お答えを申し上げます。
 ただいま御質問の中での基地公害に対する立入状態はどうなっているかと、それからこれに対する県としての基本的姿勢あるいはどういうふうにいままで国に要請してきたかという点について申し上げます。
 基地公害に関する監視取り締まり及び立入調査等につきましては、御指摘のように日米地位協定第3条の基地管理権によって、公権力の行使に当たる公務員といえども立ち入りあるいは取り締まりが事実上困難となっております。
 ところで、県は米軍基地に起因する公害から県民の生命と健康を守る観点に立ち、公害諸法令や県条例がストレートに適用遵守されるべきだとして、機会あるごとに政府及び米軍当局に対し、要請してまいっております。
 今後とも県は米軍に対し、米軍施設の十分な点検と管理、基地内の汚染源の除去及び汚染物質の適正な処理等を強く要求するとともに、特に公害の多発地域については頻繁に調査監視を実施したいと考えています。
 また、国に対しては、次のようなことを要請していきたいと思っています。
 第1点としましては、立入調査が迅速かつ適切に行えるよう立入調査証明書の早期発給方を要請して、実現に努めております。
 次に、県が行う基地公害についての諸経費については、国が全額負担すべきだと考えています。
 それから米軍基地は地位協定によって国が米軍に提供しているのでありますから、法令の基地への完全適用と基地公害は、第一義的には国が対処すべきものだとの見解から、国の機関による総点検、調査、取り締まり等の調査実施方を強力に要請していく所存であります。
 なお、県が国に対して具体的にいろいろ要請している中で、一応こういうふうな形で整理して、文書でもって国に照会しております。
 日本国の法令の基地への完全適用及び遵守、2番目は、基地公害実態調査の実施方法等を要請する。全国公害調整協議会においても、本県の要望事項として、米軍基地に起因する公害問題調査経費の全額国庫負担、基地立入調査のためのパス発行に係る対米交渉等を要請しております。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 渉外部長。
   〔渉外部長 大島修君登壇〕
○渉外部長(大島修君) 天願桟橋沖にあります米軍のオイルタンクのフェンスの問題ですが、これにつきましてはよく調査をいたしまして、その実情調査の上に立って早速対処したいと思いますが、まだその調査はやったことはありません。
 なお、これは消防防災その他の関係いろいろございますので、そういうセクションともよく連絡を取り合いまして早速調査をして対処いたしたいと、こう考えております。
 それから基地周辺整備法の第9条の基地調整交付金の問題でございますが、御指摘のとおり49年度は全国で24億円と、そのうち沖縄はわずか19.6%と、それの増額を要求するかと、こういうことでございますが、基地周辺整備法によりますところのその交付金、補助金につきましては、県としてこれまでまだ1件もその申請をしたことはないし、また増額の要請をしたこともございません。これらにつきましてはいろいろ論議がございまして、基地周辺整備資金は、これまで米軍が長い期間において沖縄に基地を置き、そのために基地から派生するいろいろな問題で被害を受けていると。これは物質的に、精神的にあるいはその他あらゆる被害を受けているので、当然これは補償すべきであるという立場からのもらうべきであるという考え方と、もう1つは、これをもらうことは基地の固定化につながる、また一つの宣撫になってしまうと、こういうような批判等がございまして、それを増額を要請するかどうか、それをそのまま受け入れるかどうかについて県としてまだきちっとした考えをまとめてございませんので、それについての増額は要求しておりませんが、ただ全国の渉外知事会におきましては、基地を
持っている14県で渉外知事会を結成いたしております。本県もその構成メンバーでございまして、全国の渉外知事会といたしましては、その基地周辺整備法による増額の要請をいたしております。その中に、沖縄県も含まれていると、こういうことになります。
 それから6価クロムによる問題と関連しての基地従業員の健康管理、健診の問題でございますが、御指摘のとおり牧港基地内の№610号ビルから排出されましたところの薬物から6価クロム並びにカドミウム等の有害物質が検出されました。
 そこで、そこに働いておりますところの従業員の健康管理の問題が大きく取り上げられまして問題になりまして、米軍に対し、これを早急に取り除くということと、また従業員の健康診断を早急にやれということを県として要求いたしました。国の方にも要求いたしました。これはMLC契約によりまして軍との合意によってやることになっておりますので、幸いそれが合意が得られまして231名の従業員、関連したその業務に携わった関連従業員231名が健康診断を終えております。
 ただそれは、いわゆる6価との因果関係を判断するための検査というよりも、一応一般的な異状があるかどうかの検査でございます。これを終えておりますが、まだそれの最終的な結果についての報告は来ておりません。中間報告は若干いただいておりますけれども、これは健診した側から全部済ましてから総合的に所見を付してそれの診断の結果を出すので、そのときじゃないとそれを公表しないようにということでございますので、そういうことで中間報告は大体はいただいておりますけども、それがまとまっての最終的な報告はまだできておりません。
 そこで、一応231人の特別健康診断を終了いたしましたので、県といたしましては、その報告が出てきましたら早速その第1次健診の上に基づいて各専門のチームをつくりまして、これを第2次検査に回すべきかどうかといったようなことをいろいろと検討いたしまして、第2次検査の方に回すように考えております。
 その件については、防衛施設庁や軍の方ともいろいろと話を進めてございます。
 それから元従業員の健康診断については、労働省の方でやるということになっておりますが、まだ実施はされておりませんけれども、近々実施する予定のようでございます。
 その他、牧港の補給基地以外にも有害物質を取り扱ったところがございますので、その面のリストをいま軍の方に求めておりまして、それに携わった従業員の健康診断についても検討をしていきたいと、こういうふうに考えております。
 以上です。
○議長(平良幸市君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤晶君登壇〕
○警察本部長(加藤晶君) 米軍による弾薬などの火薬類運搬時における安全対策についてお答えいたします。
 米軍が弾薬運搬するには、民間業者に委託して運搬いたします方法と、米軍自体が直接運搬する方法の2通りがあるわけであります。
 民間業者に委託して運搬する場合には、火薬類取締法等が適用されますので、一般の民間業者が取り扱う運搬と何ら変わりありません。
 そこで、一般の民間業者による火薬類運搬の場合には、出発地の管轄警察署を通じて県公安委員会あてに運搬届けを出しますが、その運搬届けには、運搬の日時、火薬の種類、数量、運搬コース、積載方法などの運搬計画が記載されますので、警察といたしましては、その内容が法令に適合するかどうか、これを検討し、また運搬コース等に通行上の障害等があるかどうかを調査するなどいたしまして安全性を確認して、必要によっては運搬計画の変更等を指示するなどいたしまして運搬証明書を交付しております。大量運搬や交通混雑の場所等を通貨する場合などは、パトカーの先導をつけたり、あるいは警察官を要点配置いたしまして事故の防止に努めておるところであります。
 米軍自体が直接運搬する場合は、火薬類取締法の適用を受けませんが、日米合同委員会の取り決めに基づいて事前に警察に通報することになっております。
 その通報内容は、一般の民間業者が行う運搬届けとほぼ同様の内容になっておりますので、これに対する指導措置も一般の民間業者の場合に準じて行っており、運搬コースの変更やパトカー先導等の安全措置についても同様の措置をとっておるところでございます。
 この日米合同委員会の取り決めによりますると、米軍自体が運搬する場合は、一定の標識を掲げること、鋭敏な爆発性を有する特定の火薬類については、積載重量は運搬車両積載量の80%以下に制限すること、2000ポンド以上の鋭敏な爆発性を有する火薬類については先導車をつけることなどが義務づけられておりまして、米軍自体においてもこれを遵守した運搬が行われておりますが、警察といたしましても先ほど申し上げましたような安全措置をとり、事故災害の防止に配意しているところであります。
 単に標識だけを掲げて、先導車等もつけない状態での運搬があるという御指摘でございますが、運搬の届け出あるいはその通報の内容によって運搬コース、運搬の時間、種類、数量等から判断いたしまして先導車や警戒要員をつける必要がある場合には、それらの措置をとっておるところでございます。
 標識だけを掲げて運搬している場合もあると思いますが、このような場合は、火薬類の種類、数量などからいたしまして危険性が低いと認められる場合であります。
○議長(平良幸市君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 基地対策の中で基地関係経費が地方交付税上どのように取り扱われるか、その点についてお答えいたします。
 基地関係の行政は、地方交付税上標準行政の範疇になじまないわけです。したがって、普通交付税上算入されないわけですが、県としましては、地方交付税法第11条に規定する基準財政需要額の算定方法によっては捕捉されなかった特別財政需要としてとらえております。
 それで、昭和47年以来、特別交付税要望事項として、その財源措置方につきまして自治省に対して要求を続けております。
 ここで明確に数字は示すことはできませんが、毎年度相当経費が算入されていると見ております。
 なおまた、市町村においても、軍用地等によって地域を分断されている事実から土地利用や産業開発に支障を来しております。そのために行政執行、教育振興等にも弊害が及ぼされておるわけですが、そのために基地所在の市町村においては、土木、教育、渉外関係の経費において毎年多額の財政負担を余儀なくされております。
 そこで、その対策として、一部国庫支出金や地方債で補てんするとともに、また市町村の持ち出し分については、基地所在に伴う特殊財政需要という名目で国に対して毎年特別交付税で措置することを要請しております。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 吉元嘉正君登壇〕
○生活福祉部長(吉元嘉正君) 健康保険財政の黒字と関連いたしまして、福祉施設、いわゆる保養施設等の関係につきましてお答えいたしたいと思っております。
 本県の社会保険に関する福祉施設は、昭和48年に保養施設としまして船員保険寮が玉城村の百名に設置されたのみでございまして、特に医療施設に関しての施設としては全く皆無の状況でございます。
 御指摘のように政府管掌健康保険収支が黒字であるということは事実でございまして、全国でも東京、神奈川、静岡、沖縄と4都県のみが昭和49年度の決算から見ますと黒字団体となっております。
 したがいまして、このような状況を踏まえまして、県としましては、社会保険病院の設置が必要であるということに着目しまして、去る7月には社会保険庁及び厚生省に対しまして社会保険病院の早期設置を要請しましたし、また8月30日には、幸いに田中厚生大臣が来島されましたので、知事から直接社会保険病院の早期設置を強く要請しておるわけでございます。
 また一方、本県の場合は、職員保険の対象者が限られていることから、職域の総合病院、すなわち協同職域病院の構想が打ち出されておりまして、沖縄開発庁としましても、来年度には、調査費としまして500万円の調査費を要求していると聞いております。したがって、今後さらにこの種の施設を設置すべく強力に要請していきたいと、このように考えております。
 また、はり、きゅう治療と健康保険の適用についてでございますが、療養の給付が需給できるのは、法令では知事の指定を受けた保険医療機関または薬局でございまして、それ以外についてはできないことになっております。したがって、はり、きゅうの施術については、国が全国一元的な取り扱いとして保険医療機関における療養の給付を受けても所期の効果の得られなかったもの、またはいままで受けた治療の経過から見て治療効果があらわれていないと判断されるもので、はり、きゅうの施術を行うことが適当と認められるものに限り医師の同意を得て、療養費払いの方法で給付できることになっております。
 現在、環境保健部医事課の資料によりますと、はり師が120名、きゅう師が121名おりまして、50年度8月までにはり、きゅうの支給申請が7件ほど参っておるわけでございます。
 そこで、他の県では、たとえば国民健康保険ではり、きゅうの施術を保健施設として実施している市町村が一部あるやに聞いておりますが、これは医療の給付ではなくて、高齢の被保険者の健康保持を図るためのサービスとして行われているものと思います。
 本県の国民健康保険の場合は、このような事業はまだ行われていないが、他県の実情等も十分に調査いたしまして、市町村ともよく協議の上、検討してみたいと思っております。
 以上です。
○議長(平良幸市君) 教育長。
   〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 中根議員から教育対策について6つの事項について御質問がありましたので、順を追うてお答えいたします。
 高校増設と希望者全員入学の計画はどうなっているかという御質問でございます。
 昭和50年3月卒業者の進学率は、全国平均が91.9%に対しまして、本県は75.1%と大きな開きが見られます。この格差を早期に是正するため県教育庁としましては、昭和54年までに全国平均予想進学率94%に達成するよう、さらに昭和56年度においては、高校進学を希望する者が可能な限り入学できるよう、進学率にして96%水準を確保するための高校増設を計画いたしております。
 次に、過大規模校の解消でございますが、現在、那覇市、沖縄市を中心としまして、高等学校で在籍1500名以上のいわゆる過大規模校が10校もあります。その最高は48学級、2105名と、こうなっておりまして、この過大校も可能な限り適正規模に近づけるよう、たかだか33学級にとどめる計画をいたしております。
 以上の方針を推進するために、昭和51年4月開校予定の北谷、南風原両校を含めて昭和56年までに8校の高校を増設したいと、こういうふうに計画しております。
 2番目の通学区域の改正についてお答えいたします。
 那覇地域の通学区域は、高校の増設に伴いまして大学区になってしまっております。そのために先ほど御指摘のありましたような教育上のいろいろの問題が派生してまいっております。
 この問題を是正するために、県立高校通学区域研究委員会を設置しまして、昨年から研究討議を重ねてまいっております。
 その結果、5種類の具体案が出ておりますが、それに対してさらに検討を加えて、目下、この案を2種の案にしぼる作業を進めております。
 この2種の案の骨子を簡単に申し上げますと、1つは、那覇地域学区一円の総合選抜制という制度でございます。要するに、那覇地域の定員全部を一応採用しまして、それを各学校に振り分けると。この方法については、まだ具体的に出ておりませんが、大体そういう制度でございます。
 次に、那覇地域にある中学校から、那覇地域にある高校の2ないし3を選ばすといういわゆる高校選択制の制度と、この2つの案がございまして、今後、その2つの案を1本にまとめて、今年中で成案を得たいと、こういうふうに考えております。
 実施の時期としましては、50年度で委員会の案をまとめまして、その後、その案についての広報及び調整期間を設けまして、早ければ52年の4月から実施したいと、こう考えております。
 次に、新設校の定数について増員しないという考え方のようだが、どうかということでございますが、県教育庁としましては、新設校に伴うところの定員増については、国の標準法によるところの増加分をふやしてもらうよう、そして学校運営に支障を来さないようにしてもらいたいということを財政当局にお願いしております。
 4番目に、バスの運行の問題でございます。
 北谷高校の通学に必要な路線バスの運行については、沖縄総合事務局をはじめ、路線バス関係機関に対しまして通学に必要な路線を設定して、路線バスを運行してもらうよう要請しております。その実現については、見通しは明るいと見ております。
 次に、新設校の設備の充実でございますが、新設高校の備品拡充計画は、初年度の予算措置で必要不可欠なものについては整備して、次年度以降は既設校並みの予算措置で対応していきたいと、こういうふうに配慮しております。
 なお、本年度新設しました西原高校についても同様の方針で対処いたしましたが、別に問題は起こっておりません。
 父兄負担につきましては、新設高校なるがゆえに、特に父兄負担を強いることがないように今後十分配慮し、指導していきたいと、こういうふうに考えております。
 最後に、主任制の導入についてでございます。
 導入についてどう理解しているか、どう対処するかという御質問でございますが、それについてお答えいたします。
 小中高校主任制を導入することについては、現在のところ文部省から何ら通知はまいっておりません。したがいまして、その内容については、新聞等で報道される程度しか承知しておりません。
 報道によりますと、先ほどお話もありましたが、文部省における主任制度の性格づけやその取り扱いはまだ流動的なように私は理解しております。
 ただ、教育長として言えますことは、この性格づけや取り扱いが現場に混乱を来さないように十分配慮してもらいたいと、こういうことを考えておる次第でございます。
 以上で答弁を終わります。
○議長(平良幸市君) 中根章君。
   〔中根章君登壇〕
○中根章君 ちょっと誤解があるようですので、再度質問をしておきます。
 私が言っておりますのは、いままでの基地周辺整備、いわゆる自衛隊の宣撫工作である第8条を言っているんじゃないんです。49年度で改正された第9条のことを言っております。それはいわゆるあなたも9条とわかっておるはずですが、あなたの言い方がどうも誤解を受けるような答弁に私は聞こえております。
 それで、申し上げますけれども、いわゆる30億円に対して、そのうちの24億円が11月に交付決定されている。それを沖縄の関係市町村に配分されてきたのが4億7230万円で、その19.68%である。これは沖縄の米軍基地は本土の53%を擁しているわけです。
 これは皆さんのおっしゃるには、確かに自衛隊基地も関係するとおっしゃいます。しかし、自衛隊基地と米軍の基地と全然違う。なぜならば、いまさきの照屋環境保健部長もおっしゃっているように、国内法でもってどうにもならぬところがたくさんある。そういうふうな面も考え合わす場合に、沖縄に24億円のうちたった19.68%しか交付をしてこないというあり方、この交付の決定の仕方について問題点を指摘すべきじゃないか。
 私が言っているのはそういう意味で、今日まである第8条の言う自衛隊の宣撫工作的なもの、ああいうふうなものを言っているんじゃなくて、この第9条は当然そういうことで基地あるがために私たちの財政負担を大きくしていっている、そのための交付金であるというふうに私は理解しているわけなんです。
 そういうふうなことに対してでありますので、これらに対し、この24億円に対する配分の中の沖縄19.68%ということに対しては、もっと怒りがあってもいいじゃないか。そして、沖縄に対するべっ視じゃないかということも考えられます。沖縄の基地はいわゆる安保体制下の基地であり、出撃基地であり、危険きわまりない基地である、そういうことを認識の上に立って再度これらについてのあなたのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○議長(平良幸市君) 渉外部長。
   〔渉外部長 大島修君登壇〕
○渉外部長(大島修君) ただいまの御指摘の御見解よくわかりました。
 ただ、これまで県としては、第8条、第9条を整理して検討したことはないんでございまして、第8条も第9条も一緒にして検討してきた立場がありまして、これまではそういうことでおりましたんで、いまこういう御指摘がありましたので、きちっと整理をして検討していきたいと思います。
○議長(平良幸市君) 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 本県議会の代表質問で各党が与野党の立場を鮮明にしていくのもそれなりの意義がございます。しかし、私今回は、県民的な立場から、県民にとって1日もゆるがせにできない水の問題について新たな立場からその見直しと、また1つの問題点を提起してみたいと思います。
 給水量的には1日に約30万トン内外の需給関係がありまして、これはわりとバランスがとれていっているようで、企業局の努力に敬意を表します。
 私は、特に水質についてきょうは意見を述べてみたいと思いますけれども、それこそ文字どおり100万県民の健康と生命を守るために、各浄水場において、日夜、微量な化学物質と取り組んでおられる検査員の方々には深い感謝と敬意を表するものであります。皆さんの御苦労に対してけちをつけるつもりは毛頭ないのであります。
 さて、沖縄の水はまずいということは外来者非常に一般的な評価であります。沖縄の水といいましても、私なりに分けますと、北部水系、中南部水系に2大別できると思います。なぜまずいかと言いますと、中南部水系、宮古の水は特に硬度が異常に高いわけであります。
 ちなみに、全国の資料を見渡してみますと、九州各県をはじめ、総硬度が100を超す県はどこにも見当たらないのであります。九州各県ですと10ないし七、八十というふうになっておりますが、ひとり沖縄の水だけは北部水系が69から105、平均90、中部水系が191から242、平均209、泊が237から263、平均251、宮古が240というふうに中南部、宮古に限っては200以上の硬度を持っておる。そして、これがまずさの原因であるというように常識的には理解をしておりますが、さて、一部の県民はまずい水をうまく飲むために軟水装置をつけて利用しておる方もおりますが、庶民は政治を信じ、屋良知事を信じて、まずいけれども黙々と飲んでおるというわけであります。
 水道当局は、飲料水は厚生省の水質基準に合致すると、このようにお答えになると思いますけれども、他県に比べて特に高すぎるこの硬度について、従来、問題意識は全然なかったのか、また現在もないのであるのかということをお伺いしたい。
 次に、厚生省の水質基準に示される硬度300PPMという基準値は、水道法上あるいは保健上どのような根拠を持つものであるか、まずこの2点を伺ってから次の質問に入りたいと思います。答弁は企業局長、環境保健部長にお願いします。
○議長(平良幸市君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) お答えいたします。
 ただいまの水の硬度についてのお話でございまして、まずその問題を意識しておったかどうかということと、それから300PPMという厚生省の基準はどういう根拠によるものかということでございますが、まず第1点の水のまずさについては、おそらく御指摘のとおり水の硬度に関係あるものと私たちも思っております。
 しかし、問題意識については、これは特に問題意識としては、部としては持ち合わせておりませんですが、医師の立場からして、過去から今日に至るまで問題意識としてはあったということは申し上げたいと申しますのは、本県におけるいろいろの疾病等が関係しやせぬかというふうな過去のいろいろの学者の研究もございまして、その中で、本県出身学者の中で、たとえば沖縄の場合には、腎臓結石が非常に多いと、あるいは胆嚢結石の場合、石灰沈着等によるものが多いというふうな考え方でいろいろ調べておったという実績は過去には何度かありますが、いずれにしてもそれが水の硬度に関係するというふうな決定的な結論は出ないままに今日に至っております。
 しかし、水の硬度の問題につきましてはいろいろと論じられておりまして、少なくとも水の硬度につきましては、いわゆる家庭用水としての意味で石けんが溶けにくい、あるいはかま石をつくる――スケールと俗に言いますが――という点では一応300PPM以下であるのが好ましいというふうなことでありますが、特に本県におきましては、特例として350PPM以下と、こういうふうな数値が出ております。
 なお、ちょっと説明しましたんですが、いわゆる300PPMの根拠ということになりますが、これについても、昭和44年に厚生省環境衛生局水道課から発行された水道水質関係資料の水質基準の考え方によりますと、水の硬度はその大部分が地層によるものであり、飲料水中の硬度の制限値は硬度が高いことにより石けんを多量に費やし、湯沸かし器や管にかま石を生成させることにより、需要者にとって好ましくないということで設定されているようであって、すなわち300PPM以上の硬度の水は、生活用水として好ましくないという理由からのようでございます。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 企業局長。
   〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) ただいまの御質問でございますが、御質問にありましたように企業局としましては、水道法に定める水質基準に適合するものを供給をしていると。水質につきましても中部の天願浄水場、それからコザ浄水場の浄水につきましても約200PPM程度の硬度を持っておるということで、仰せのとおりでございます。
 ただ、問題意識というふうなことでございますけれども、この問題につきましては土木委員会などでも問題が提起されておりまして、北部水源の硬度の低い水を飲料水に使用して、中南部水源は工業用水に使用するというふうな問題がよく話題に出るわけでございますけれども、現在の北部導水施設が完備し、使用開始したことしの7月から10月までの企業局の取水量に占める中部系の水量の割合が全取水量の約41%でございます。かなり大きい水量でございますので、北部系の原水をコザ及び天願浄水場に送水をする導水パイプ及び比謝川とか天願川の水を工業用水として送水する管路の問題など、施設面で困難な問題がございます。
 また、水量の面でも福地ダムを含めた開発完了後の北部3ダムの水量を加えましてもなお将来の計画需要に対応できないということから、今後の北部水源開発に待たなければならない問題もございますので、こういうふうな問題につきましても今後は検討をしなければならないということを考えておりますが、現時点ではやはり水量を確保し、水道法の基準に合った浄水を供給すると。そういうふうな問題で精いっぱいやっているという状態もございまして、なかなかこの問題について十分な検討はできないという状態もあるわけでございます。
○議長(平良幸市君) 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 予定どおりの答弁に終始したわけでありますが、私の調査資料によりますと、北部水系に頼っている給水人口は約44万人、中南部約41万人でありまして、これに硬度の高い宮古の数を加えますと約半々、つまり半分の県民は非常にまずい水を飲まされているということになります。
 ここで私は一つの問題提起をしたいと思います。
 去年の9月15日から16日に沖縄で日本熱帯医学会総会が持たれました。会長は琉大病院の院長桝屋教授であります。そのときに桝屋教授の講演が発表されまして、その中に非常に重大な警告を発しておられます。そのあらましを申し上げます。
 鉄欠乏症は熱帯地方に広く見られる疾患であるが、琉大病院における臨床経験から、沖縄においては鉄欠乏症が他県より高率であることを認めた。鹿児島大学、九州大学において多数の同僚の研究者と協同研究をともに20年間行ってきて、その結果、鉄欠乏症の症状を本学会で紹介する。
 第3番目に、沖縄及び熱帯における本症多発の原因を解析して、その対策を述べたいというのが講演のあらましでございます。
 ここで注目すべきことは、この病気の鉄欠乏症の内容については非常に専門的にわたりますので、本員もよく理解をするところではありませんが、私が同教授から聴取した結果によれば、鉄欠乏症という病気は貧血であります。日本においては貧血の50%以上が鉄欠乏症である。沖縄における鉄欠乏症は、貧血のほとんどであるというような内容に理解をいたしました。
 そして、この病気はどうなるかといいますと、未開発国、後進国に非常に多くて、その多発は、後進性の指標である。非常に恥ずかしい病気と言われているそうであります。
 どういう症状になるかといいますと、教授は非常に表現に留意をされたようでありまして、ファイトがなくなる、研究心が欠ける、そして忍耐心も弱い、注意集中力も弱い、肉体、精神的に疲れやすいということでありましたが、私の注訳を加えるならば、無気力、怠惰、忍耐力に欠ける。そして、意志注意力が弱すぎる、非常に疲れやすいという病気ならば、これまさしく亡国的な要素をはらんだ病気ではないだろうかというように理解をいたしました。
 私も県民の1人として、みずから顧みて反省する点もございましたけれども、これから提起する問題は、この鉄欠乏症なるものが飲料水に関係があるという因果関係がはっきりしております。発表されております。すなわち、硬度の高い沖縄の飲料水、この中にあるカルシウムの過剰分が腸壁にくっつきまして、腸壁から鉄を吸収する力を非常に妨げるということであります。
 まさか、われわれの腸の中が玉泉洞みたいになるわけではないと思いますけれども、要するに、鉄分を幾ら吸収しても、その吸収が妨げられる。これがこの硬度の高い飲料水と因果関係をはっきりしてくると、これはまさしく重大問題と言わなければならない、このように感じた次第でございます。
 鉄欠乏症は、食べ物、さらにそれを排出する力、これにも左右されるわけであります。
 ちなみに、私は、産婦人科、小児科の医者を訪ねてみまして、その所見を求めた結果によりますと、明らかに産婦人科の医者も小児科の医者も口をそろえて、沖縄は他県よりもはるかに貧血が多いということを証言しております。そのデータを実はきのう求めたわけであります。これは明後日の14日に沖縄医学会で発表される予定の琉大の産婦人科の資料であります。比較がしやすいように、先年の――二、三年前かと思いますけれども、東京近郊の妊産婦の貧血状況と比較をしたいと思います。
 妊娠前期における貧血の頻度の割りでありますけれども、東京近郊の妊産婦が8.1%、沖縄が――これは昭和49年10月から50年の3月末でありますけれども――何と23.6%、3倍を明らかにしております。中期における貧血率が東京近郊が20.1%、沖縄が41.7%、後期におけるものが25.1%に対して沖縄が49.2%。この数字が示すものは、妊娠前期における貧血、いわば鉄欠乏症の症状は、妊娠とは実質的には関係ありません。すなわち、本来、貧血である、鉄欠乏症であるという意味だそうでありまして、これが東京近郊の3倍の高率であるということに着目すべきだと申しておりました。中期、後期は、胎児は鉄分を吸収しますので、それでもやはり2倍という率を示していることは、この資料が示すように、沖縄における貧血、鉄欠乏症が異常に高いことが立証されるわけであります。母体がそうでありますので、当然、小児にもその影響は出てまいりまして、ある小児科の医者はこれをはっきり証言をしております。
 そこで、屋良知事、いま私が申し上げましたこの沖縄特有の鉄欠乏症という病気が、いま熱帯医学総会の席上で飲料水と関係があるということが正式に発表されたわけでありますけれども、いまその私が申し上げました症状からして、非常にいやな予感がするわけであります。仮に、そういう症状が蔓延したとき、100年後の県民はどうなるであろうか。
 私は、知事として重大な責任を感ずべき問題ではないかと思うのでありますが、このことについて知事の所見並びに環境保健部長の所見を求めたいと思います。
○議長(平良幸市君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) お答え申し上げます。
 ただいま桝屋教授の熱帯医学学会において述べましたいわゆる教授の御見解についてでございますが、すなわち硬度が高いと、それによる硬度の中を構成するカルシウム分が、その飲料した水からのカルシウムが腸壁について、それが食品の中の鉄分を阻害し、そのために貧血がくるというような御説明のようでございますが、これにつきましては、私たちの方でいろいろ調べた範囲でございますが、少なくとも文献の上におきまして、定説として、公に認められた説としましては、すなわち水の硬度は、保健において健康を阻害するというものは立証されてないというふうなことが本に書いてございます。
 ただし、いろいろ学説があるということを述べておりまして、その学説の中で、たとえばリューマチ、あるいは中風、それから胃腸障害、こういうものについてはいろいろ言われていると、しかし、それについてもまだ確定したものではないというふうなことを言っております。
 逆に、硬度が低い場合に、すなわち軟水の場合には、それが心臓欠陥疾病等を多発し、そのためにそれによるところの死亡率が高いというふうなことが言われているが、その原因についてはいまだに不明であると、こういうふうなことも言ってございます。
 したがって、いまのところ、私たちは、本県におけるところの貧血というものは、定説に従って述べさせていただきますと、本県における栄養状態によるところの貧血ではないかというふうに憶測するわけですが、これにつきましては、昭和47年度の国民栄養調査等によりまして、血色素量が血液1デシリットル当たり11.9グラム以下、正常値は女性の場合には12から16グラムデシリットル、それから男の場合には14から18デシリットルが正常値で、すなわち11.9グラム以下というのは異常値でございますが、これらのものが約47%で全国平均の26%の2倍にあると、したがって、9.9グラム以下、もっと症状のひどいものですが、貧血度のひどいものですが、これでも全国平均の場合は5%で、本県は9%であると、したがって、全国の約2倍であるというふうなことで、この貧血と栄養摂取量との関係を見た場合は、特に問題になりますのは、総たん白質の摂取量あるいは食事の中におけるところの鉄分の摂取量によるわけですが、栄養の実態調査によりますと、全国平均の総たん白におきましては85%しか取っていない。それから鉄分に至っては全国平均の75%しか取っていない。これ
が貧血に関係するのではないかということであります。
 私たちは、すなわち栄養の面からでの総たん白の摂取量と、それから食事の中での鉄分の摂取量が、かようにして全国平均よりも下回っているというふうなことに基づいて貧血が起こっていると思われるのであります。
 なお、僻地あるいは離島におきましては、それらのたん白質並びに鉄分の摂取が低いので、さらに本県平均あるいは全国平均よりも貧血が多いというふうな事実もいろいろと発表されております。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) これは私ども素人が科学的なことをどうこうということは言えないと、こう思います。
 そこで、したがいまして、この水をそのまま飲んでいくというと将来どうなるか、こうなるかということにつきましては、今後、その正式な発表もありまして、全県民の問題としてこれは取り上げていかなければならない。いま直ちにどうこうということは言えないのではないか。
 戦前、沖縄の使用水は、大体、井戸の水あるいは泉の水などでありましたので、非常に硬度が高かったと、それを飲んで、いままで皆生きてきておるのでありますから……。
 現在使っている水は、北部水系の水が非常に多くなっております。多くなっておって、私どもが戦前ここに生活しておりまして使った水といまの水とでは、私は硬度は大分低くなっていると、こういうふうに考えております。
 さらに、北部水系の地表水をさらにわれわれは飲料水に使用すべく、現在、水質源の開発をどんどんやっておりますからして、その水がだんだん多くなればなるほど硬度はまた低くなっていくのではないかと、こう思いますが、しかし、この問題につきましては、今後、私どもも十分感心を持って見守っていきたいと、こういうふうに考えております。
 いま直ちに、この水をどうします、こうしますというようなことは、私は言える立場ではないと、こういうふうに考えます。
○議長(平良幸市君) 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 ただいま知事の所見を求めましたところが、いまどうこうと言える立場ではないとおっしゃいましたんですけれども、私は、少なくともまじめな政治家として、非常に衝撃的な情報と受け取るべきだと思います。
 桝屋教授は、沖縄の水を取り寄せて、そしてそれがどのように腸に吸収されていくかという実験をした結果、このような発表をしております。そして、ドイツの世界的な血液学者であるハイルマイヤーという方も全く同じ意見を言っていると言っております。
 そういうことで、環境保健部長もあいまいなことを言っておられますけれども、水道行政に関して、これが適当であるかないかは厳重に、しかも真剣に検討すべき問題ではないかと、私の提案に対して決して笑い事ではないと思います。しかも、将来の県民性にもかかわる重大問題をはらんでおります。学者の意見は、やはり謙虚に聞くべきではないかと思います。
 ちなみに、その総会において、その予防対策として、桝屋教授は、このように結んでおります。
 この鉄欠乏の原因は、1つの鉄摂取の不足にも起因しますので、沖縄では鉄含量の少ない豚肉の嗜食をやめるべきである。しかも、豚肉の嗜食はやめることは困難であるので、鉄強化豚を試作すべきであると言っております。
 次に、沖縄での飲料水中のカルシウム過剰、これは硬度200ないし300と注訳してありますけれども、その過多を取り除くべきだと、過剰カルシウム分の除去に努めるべきだと言っております。
 3番目に、体内に取り入れられた鉄分が逃げるのを防ぐために、寄生虫の駆除をすべきだと、まずこのように言っておりますが、沖縄のこの余りおいしくない水が医学的に大きな問題をはらんでいるということを私は熱帯医学総会の中の教授の論文をお伝えして、県民の皆様とともに大きな問題として考えていきたいと思う次第でございます。
 以上で終わります。
○議長(平良幸市君) 以上をもって代表質問は終わりました。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明13日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、決定次第通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後6時20分散会

 
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