平成 5年(1993年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 7月 1日
第 2号  7月 1日
 

議 事 の 概 要
平成5年7月1日(木曜日)
午前10時開議
日程第1 代表質問
    1 仲松 昌彦君(自民党)
    2 高江洲義政君(自民党)
    3 宮城 健一君(社会党・護憲共同)
    4 糸数 慶子君(社大党)
    5 幸喜  勝君(県政クラブ)
    6 宮里 政秋君(共産党)
    7 髙良 政彦君(公明党)
午後8時34分散会 
 
○議長(儀間光男君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた技監辻靖三君は、別用務のため本日の会議に出席できたい旨の届け出がありました。
○議長(儀間光男君) この際、念のため申し上げます。
 本日、明日、5日及び6日の4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(儀間光男君) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 仲松昌彦君。
   〔仲松昌彦君登壇〕
○仲松昌彦君 おはようございます。
 自民党県議団を代表いたしまして、通告に従い質問をいたします。知事の明確な御答弁をお願いいたします。
 まず、人事行政についてお伺いいたします。
 組織が効率的に運用され、機能が十分発揮されて目的が実現されるかなめは、人事のあり方、人材の配置であります。特に行政組織は、民間企業組織と違って放置すれば膨れ上がり、やたらとポストを意図的につくったり、あるいは昇級させたりして財政が硬直化する性格を持っていることは御案内のとおりであります。
 知事は去る4月、人事異動を行いましたが、特に昇級に関しては、何ら原則らしきものが見られず、むやみに昇級する者が目立ち、選挙を意識した布石の人事ではないかと疑いを強くするものであります。
 真の政治家は次の世代を考え、政治屋は次の選挙を考える。しょせん、大田知事に真の政治家像を求めるのは無理なのであろうか。
 県予算に占める人件費の割合は、たしか3割を超え、全国的に見ても高水準にあるはずであります。このことへの配慮が果たしてなされたのかどうか、昇級が悪いとは言いませんよ、適切に行われたかどうかが問題であります。
 民間企業は、リストラを今断行中であります。県行政だけがコスト意識を持たずして幹部を乱造していいのかどうか、民間経済界も大いに疑問としているところであり、最小の費用で最大の効果を確保するという行政改革の理念にも反するものであります。
 そこで知事にお伺いをいたします。
 第1点、今度の人事で、総計で何人昇級したことになるのですか。
 第2点、課長級は何人昇級して、現在何人になったか。次長級は何人ふえて、現在何人か。部長級は何人ふえて、現在何人か。
 第3点、課長クラス以上がふえたことによってどれだけの人件費がアップとなったか、金額と率で示していただきたい。
 第4点、次長グラス、部長クラスの数は、各県に比べて適切な数と言えるかどうか、お答え願いたい。
 第5点、幹部クラスがふえたことは、それだけの業務量があるということでありましょうが、ふえる業務の内容を例をもって御説明を願いたい。
 第6点、外郭団体の副理事長職に、部長クラスが副知事にかわって常勤副理事長となっていますが、その理由は何か、また、そのことによって人件費はどれだけアップしたのか、お答えを願います。
 第7点、県職員の平均年齢は全国的に高いと言われております。どのような計画でこれを是正していくのか、お答えを願います。
 第8点、県職員の退職引当金はどうなっているのか。
 第9点、行政改革のための会議はこれまで何度開き、何をテーマに論議してきたか、詳細に御説明をいただきたい。
 次は、全国植樹祭についてお伺いをいたします。
 全国植樹祭が無事終わったことは、県民とともに大田知事もよかったなと思っていると思います。過剰警備と非難されながら何事も起こらず両陛下が県内を巡視され、県民に親しく接してお帰りになられたことは、一つの区切りがついたのではないか、あるいはわだかまりが多少なりとも消えたのではないか、こういうふうに考えるのであります。特に遺族の皆さん方に対する天皇陛下のねぎらいのお言葉は、まことに有意義であったと思うのであります。
 また、不法極左暴力的集団の不穏な動きも伝えられる中、警備態勢の構築のため日夜奮闘し汗を流し、植樹祭のつつがなき遂行を根底から支えていただいた県警本部長以下すべての警察官に対しまして改めて心から敬意を表し、その労苦をねぎらうものであります。まことに御苦労さんでありました。
 そこで知事にお伺いをいたします。
 第1点、両陛下をお迎えし植樹祭を無事終えた現在、どのように感じておられるのか、知事の率直な御感想を伺いたいと思います。
 第2点、天皇陛下が遺族の皆さんに対し直接ねぎらいの言葉をかけられることに対して、県の幹部が反対したと伝えられております。それはなぜか、その理由を明確に御説明を願いたい。
 第3点、植樹祭会場で日の丸の小旗が振られましたが、結果として知事はあれでよかったんじゃないか、そういう気持ちでおられるのか、率直な御感想を、所見を賜りたいと思います。
 第4点、知事は、植樹祭を通じて天皇陛下と数多く接し、また皇太子御成婚の饗宴の儀にも出席をされたのであります。これまでの皇室観あるいは天皇制についての認識に変化があったのかどうか、この辺のことについて知事の御所見を賜っておきたいと思います。
 第5点、植樹祭が終わると記念碑をつくって開催県について詠まれた天皇陛下の歌が碑に刻まれるようでありますが、先催県に倣って県も碑をつくるのか、どのように準備されているのか、その辺の事情を説明してください。
 第6点、植樹祭を一過性のものに終わらせず、この経験を今後に生かしていく施策展開が必要と思いますが、会場跡利用について御説明をお願いいたします。
 次に、厚生年金問題についてお伺いをいたします。
 厚生年金の格差が一日も早く是正されることは、県内受給者の切なる願いであります。また、格差是正を心から望んでおられる受給対象者の高齢化を考えますときに、沖縄の戦後復興に尽力された労苦にこたえるためにも早期解決が待たれるところであります。
 しかし、これまでの取り組みの推移を見ておりますと、前進をしているのか、あるいは遅々として進んでいないのか判断がつかないのであります。
 我が自民党県連は、幾度となく党本部に要請し、その結果、政府内に検討会が設置されたことは一つの前進として評価されるわけでありますが、その後の具体的作業は県行政の仕事であり、その積極的な取り組みと政府折衝に期待をしなければなりません。自民党といたしましても、議会に特別委員会の設置を提案しており、引き続き実現に向けて努力する決意であります。そのためにも行政の積極的取り組みがなければならないと思うのであります。
 保険料を納めることが前提である年金制度の枠組みの中で、給付と負担のバランス、あるいは本土加入者とのバランスをどうするかなど、一筋縄ではいかない困難な問題をはらんでおりますが、現時点で次の4点が緊急の解決課題であると指摘されております。すなわち、対象者の範囲、保険料の算定方法、雇用の証明、事業主の負担分であります。
 そこで、作業の進みぐあいと解決課題について、県の考えをこの際お伺いをいたしておきます。
 まず第1点、受給対象者はおよそどれぐらいの数となるのか、年齢は何歳以上と考えているのか、この点に関する厚生省との意見の違いはあるのかないのか。
 第2点、雇用期間の証明をどのように行うのか、御説明を願いたい。
 第3点、軍雇用者に係る事業主負担をどのように扱うのか、これは米国の負担になるのですか。
 第4点、追納額はおよそどれぐらいになると考えられるのか、この点に関する厚生省との見解の相違があるのかないのか。

 第5点、厚生年金の保険料は労使折半が原則でありますが、追納額の負担はどうなるのか。
 第6点、国庫負担は可能か、県も一部負担する考えがあるのか。
 第7点、民間事業主も応分の負担をせざるを得ないということのようでありますが、応分の負担額の設定は可能か、どういう方法と基準が考えられるのか、現存する民問の事業主やあるいは経営者団体等とは、今話し合っているのか、経過を御説明を願いたいと思います。
 第8点、大田知事はこれまでどのような要請をされてきたのか、その経過と今後どうなさるのか、対応策について御所見を賜りたいと思います。
 次に、老人福祉、特に老人保健福祉計画の策定状況についてお伺いをいたします。
 90年の老人福祉法等の一部を改正する法律によって、県、市町村は老人保健福祉計画を93年度、つまり今年度中に策定するよう義務づけられております。高齢者が、いつでも、どこでも、だれでも必要とする保健福祉サービスを利用できるようにするためであります。そのため、住民に最も身近な市町村が、地域の高齢者のニーズと将来必要な保健福祉サービスの量を明らかにして、将来必要とされるサービス提供体制を計画的に整備することになっているわけであります。
 県人ロは、着実に高齢化が進み、92年の老年人ロ比率は10%台に達しております。特に離島の高齢化率は30%を超えるところもあり、1年間に8ポイント上昇する島もあり、急速に高齢化が進んでおります。
 長寿県でもある我が県は、義務づけられた計画を策定し、それに基づいて施策め強化を図ることは当然であります。しかし、計画策定主体の市町村は計画づくりのノーハウがない、行政がかつて経験したことのない計画をつくるのに人材もいない、予算もなく、計画策定作業は思うように進んでいないのが現状のようであります。県が指導、助成をしていないとすれば、老人福祉を大切にすると言ってきた大田県政の福祉行政の力量は、中身と実力の伴わない空手形であったということになるわけであります。
 そこでお伺いをいたします。
 第1点、県下53市町村の計画策定の進捗状況はどうなっているのですか、すべてことし中に終わるのか、おくれるのか、御説明を詳細にお願いいたします。
 第2点、おくれるとすれば、その主たる原因は何か。
 第3点、県は、市町村に対し、どのような措置、助言、支援を行っているのか、現状を御説明願いたい。
 第4点、計画をつくる前提としてそれぞれの市町村で人ロの推計をしなければならないと考えますが、県はどういう指導を行っているか、また、行っていくつもりか、伺います。
 次に、離島振興についてお伺いをいたします。
 離島の振興は、10万人余の人々が住んでいるばかりでなく、島々にはぐくまれてきた伝統文化を守り継承すること、県土を保全し環境を守るという視点で大きな振興課題の一つであります。沖縄振興開発計画にも柱の一つに位置づけられ、また個別の離島振興計画も策定してまいりました。その結果、生活環境、生産基盤の整備も進み、振興発展の基礎条件は整いつつあると言って差し支えないと思います。
 しかし、社会が存続し、成長、発展する大前提となる人口が、規模的にも構造的にも縮小と高齢化が進んでいるのが現状であり、どういう施策をもってすれば適正な人口規模と再生産力のある健全な人口構造に回復するのか、行政が真剣に知恵を絞るべき重要課題であります。
 政府も、沖縄県を除く新たな離島振興計画を策定をいたしております。その課題は、環海性、隔絶性、狭小性などの特殊事情による制約をいかに克服するかであります。そして引き続き総合交通体系の整備、生産、生活の場の充実によって安定した生活圏を確立するとともに、若者を中心として住民の定住を促進し、島の活性化を図ることが基本課題となっております。そして、島ごとの状況に大きな差が出ているとして、島ごとあるいは類型別の戦略が一層重要になってきているとして、1、内海・本土近接型離島、2、外海・本土近接型離島、3、群島型離島、4、孤立大型離島、5、孤立小型離島に分類し、振興開発の基本方向を定めているのであります。つまり、島の類似性を視点に入れて共通した開発整備プロジェクトを展開しようということであります。
 そこで知事にお伺いをいたします。
 第1点、県内の離島を類型すると、どのようなタイプが考えられるのか、共通する開発整備課題は何か、お伺いいたします。
 第2点、離島人口の高齢化は、産業や伝統文化の継承に多くの影響を与えております。人口対策をどうするか、打つ手があるのか、ないのか、知事の知恵のあるところを示してもらいたい。
 第3点、環海性、隔絶性、狭小性を緩和するのは、架橋建設による本島との連結しかないと考えます。予定されている離島架橋の建設は、どのようなスケジュールで進めていくのか、お示しをしていただきたいと思います。
 第4点、離島の産業は、住民の確たる稼働の場となるほどに安定、成長してはおりません。産業振興についての大田知事の秘策をお聞かせ願いたいと思います。
 第5点であります。大田知事の非科学的な判断で暗礁に乗り上げている新石垣空港問題は、現地とどのような話し合いがなされているのか、知事が現地に行っていないのはどういう判断からなのですか、一体、解決する意思はあるのかないのか、お伺いをいたします。
 次は、南西航空のストの問題についてお伺いいたしますが、南西航空は、きょうから社名が日本トランスオーシャン(JTA)に変わっておりまが、便宜上南西航空と呼ばせていただきます。
 ストライキは、本来労使間の問題であり、よほどのことがない限り政治や行政が関与すべきことではございません。しかし、今般の5日間という長期にわたる南西航空のストライキは、このよほどに相当する極めて残念な出来事であったと言わざるを得ません。離島住民の足は完全に奪われ、農産物、鮮魚は市場に送れず、観光客やビジネスマンは足どめを食らい、どれだけの迷惑と損失を与えたか、県民、とりわけ離島住民がこうむった打撃はまことにはかり知れないものがあるわけであります。
 労使双方は、その社会的責任と公共輸送機関としての使命に対する基本的な認識が欠如していると言っても過言ではございません。現代生活に不可欠な航空運輸を業とする者として、より高い見識とみずからの職業の持つ社会的使命について自覚を高めていってもらいたい、このように強く要請するものであります。ましてや、赤字路線を抱え苦しい経営を強いられる中、労使双方の協調体制が築かれず、一社独占があしき労使関係を生んだとして他社参入もやむなしと甘受するようでは、体質改善のおくれを強く指摘せざるを得ないのであります。
 ともかく、南西航空は、県民の足として今後とも一生懸命頑張ってもらわなければならないと思います。
 そこで知事の御所見を伺いたい。
 第1点、こういう事態になった以上、資本参加をしている県も何らかの支援をすべきと考えますが、知事はどのようにお考えか、所見を賜りたい。
 第2点、他社の参入によってストライキによる影響は緩和されるとしても、赤字の累積が懸念されます。経営規模の改善に向けて県がとり得る方策があるのかないのか、あるとすればそれは何か、お伺いをいたします。
 次に、国土庁が検討を進めている第5次全国総合開発計画の方向と沖縄の位置づけについてお伺いをいたします。
 国土庁は、4全総の総点検を終えて、第5次全国総合開発計画の基本政策を固めつつあるようであります。
 4全総といえば、大田知事が本の座談会で批判し、問題となったあの4全総であります。
 この4全総点検の中で注目したいのは、地理的なつながりを生かした国際交流を推進するために、地方都市を「小さな世界都市」にしようという構想であります。地方の空港や国際港湾などを活用して経済、文化交流など幅広い分野で結びつきを強め、世界との窓口となる地方都市をつくるということであります。
 国土庁によると、半径1500キロの円内が日常的な国際交流の可能範囲だとすると、札幌、新潟が、中国・ハルビンなど12の100万都市と、そして福岡が、韓国・釜山など30の100万都市、那覇が、中国・広州など26の100万都市と交流する潜在的な可能性が高いとしております。

 交流の内容は、留学生の受け入れに加え、農業技術、工業技術の移転、さらに食品加工工場の建設など各地方都市の特色を生かした経済、人的交流を強めたいとしております。
 3次振計の柱の一つは国際交流であり、中でも東南アジアとの交流強化をうたっているわけであります。第5次全国総合開発計画の策定内容に注目し、沖縄の位置づけと交流展開の方向について積極的に意見を述べていくべきではないか、こう考えるところであります。
 そこでお伺いいたします。
 第1点、国土庁が構想していることが基本政策となれば、那覇空港の規模と機能の拡大は、その大きな前提条件となることが想定をされます。このことについて知事はどうお考えですか、お伺いいたします。
 第2点、共存共栄は、交流強化の原則だと考えます。そのためにも県経済の生産力、技術力を高めねばなりません。経済的魅力がなければ、交流の相手にされないということであります。その経済力をいかに培養するか、知事のお考えをお伺いいたします。
 第3点、国際交流は、相互理解から始まると考えます。そのためには語学力は不可欠であります。この語学力をつけるために、今後どのような仕組みを考えていくのか、お伺いをいたします。
 次に、中央政界の変化をどのように大田知事は受けとめておられるのか、御所見を伺いたいと思います。
 1955年以来、38年間安定してきた中央政界と政権が、混迷に陥っております。政局が不安定になるとすれば、国の内外への影響、そして我が県の課題解決が大幅におくれるのではないか、このように懸念しているところであります。
 東西冷戦の終わり、ソ連の解体を当然の帰結として一つの体制の変わりようを見てまいりましたが、この急激な変化を見るにつけ、変化の時代に突入したことを強く痛感しているところであります。
 しかし、予想される変化は時代の要請であり、むしろ積極的に行動し、政治の生まれ変わり、因習からの脱皮を政党、政治家みずからが図らねばならないときであると強く認識をいたしております。
 県民もそうであると思いますが、私どもが心配することは、政局が混迷し、不安定な政権になった場合、振興開発事業の推進、基地問題、厚生年金問題の解決に悪影響を及ぼすのではないかということであります。
 これまで沖縄の課題解決に当たっては、政権政党である自民党が後ろ盾になってきたことは事実であり、その自民党に異変が起こったことによる我が県への影響ははかり知れないものがあるのではないか、このように懸念しているわけであります。
 そこで知事の所見を伺っておきます。
 第1点、中央政界の激変を知事御自身どのように受けとめておられるのか、御所見をお聞かせ願いたい。
 第2点、仮に革新政党を含む連合政権ができた場合、沖縄へどのような影響があるとお考えか、率直な御意見をお聞かせ願いたい。
 最後になりますが、質問通告は第1項に入っているのでありますが、知事の姿勢についてであります。政治姿勢も含めて、すべての姿勢であります。
 このところの大田知事の言動には、甚だ遺憾に思うことが目立ち過ぎます。県民を代表する者として、行政の長としての態度、とるべき行動、知事のプライバシーは認めるとしても、その職責上、一般県民からは公人という目が常に注がれていること、さらに組織の長としての指導性の発揮など、知事の職にある者にはこれらもろもろの要件を満たすことが要求され、また、これらの資質がなければ職務を全うすることはできない、こう思うのであります。
 しかし、大田知事には、私の理想の知事像に照らし、甚だ不可解な面が多い。私どもが聞き及ぶところによりますと、アシアナ航空の沖縄進出の件などで韓国を訪問された際、日程にあったアシアナ航空の社長以下の要人との面談を、知事自身は行かずに代理の者を遣わして相手の怒りを買った、こういう事実があります。
 さらに、東南アジアを視察した際、その帰路、台湾に立ち寄りたいとして、正月休暇中の政府関係者の日程をとっておきながら、電話一本で立ち寄ることを一方的にやめ、失礼きわまることになった、こういうことであります。
 台湾において正月休暇というのはどんなものであるか、もう知事がよく知っているはずであります。公務員を初めすべての人々が休みをとって正月を楽しむ、そういう習慣になっているわけであります。正月休みがいかに台湾の人々にとっては大事であるかということは、これはもう指摘するまでもございません。
 国際交流と言いながら、自分では国際的に極めて非礼な行為を働いているとしか思えないんです。これでは、今後の我が県の国際交流の行く末が案じられます。
 外国を訪ねるときは、沖縄を代表する知事であり、県民の良識として映るのは当然ですよ。その県民代表たる知事が、そのときどきの気分で、自分で頼んで日程をとっておきながら、一方的にキャンセルすることは、何と非常識きわまることか、全く非礼な行為と言わねばなりません。礼儀を重んずる守礼の民にあるまじきことであり、失礼ながら知事としての資質を疑わざるを得ません。
 怒りを買った相手国に対する謝罪を含めて、その後どのような関係修復に努めたのか、県民として大いに気になるところであります。
 また、大田知事自身のことでありますが、最近、那覇市内に住む女性から、建物収去土地明け渡しの被告として那覇地裁に訴えられるという、まことに常識では考えられない出来事が起こっているということであります。
 「プリス1」紙の報道によりますと、土地賃貸借問題がこじれた結果訴訟になったようでありますが、県政の最高責任者としての配慮、公人としてのモラルがあれば、日ごろ身辺に気を配り、一般県民の一女性とこのたぐいのトラブルは起きないのではないですか、知事の処世意識、問題意識を疑うものであります。
 もとより、知事といえども一市民としての生活領域があることは当然であります。公人であることのゆえをもって他から不当不法な要求があっても、これを甘んじて受けなければならないという理屈は通りません。私は、そのことを言っているのではございません。
 ただ、土地の賃貸借関係は、当事者間の信頼関係がその基礎になっております。具体的関係においてはその信頼関係の維持に努め、また、広く言えば、市民一人一人ができるだけ争いをなくしていこうとする相互の努力こそが、社会全体を安定に導く基盤となるのであります。
 そのことを考えますと、みずから当事者となっている権利関係の利害調整もできずして、果たしておびただしい利害や意見が錯綜する県政の最高位にある者として、適切な調整機能が発揮できるのか、正直言って疑間を呈さざるを得ないのであります。
 とりわけ、公平公正を政治の基本理念として掲げ、女性やお年寄りを大事にすると口ぐせのように言っている大田知事が、事もあろうに69歳という高齢の女性から被告として訴訟を提起されるということには、知事の個人としての側面に最大限の考慮を払うとしても、やはり釈然としないものがあり、違和感を禁じ得ません。
 県政の最高責任者たるもの、やはり一般市民よりはすぐれて高い水準において、倫理や人間関係処理能力が求められると言っても言い過ぎではないと私は思います。思い切って言わせてもらえば、革新知事の基本的姿勢やモラルが、今厳しく問われていると言っても言い過ぎではないと私は考えております。
 まだあります。去る予算議会でも指摘いたしましたが、県職員から政治資金を募ることも法的にも問題があることであります。
 知事と職員は、申すまでもなく主従関係にあり、寄附を依頼されればこれを拒むには勇気が要りますよ。つまり、内容的には強要することになり、踏み絵を突きつけたのも同然であります。
 県職員が幾ら出したかわかりませんが、政治資金が今厳しく問われている時期です。そういうことが問題にされているときだけに、革新知事としての感覚を疑うものであります。
 まだあります。次に、知事の指導性にかかわることで問題になっているのは、慰霊の日に、事もあろうに県と関係機関の職員がゴルフコンペをしていたということであります。

 慰霊の日は、慰霊に関すること以外は一切してはならないということは厳しいという考え方もありますが、公務員だけが休日となる慰霊の日にゴルフを楽しむとは全く配慮を欠き、休日とした趣旨を認識していない行動であります。これも知事の指導性の欠如の結果と言わざるを得ません。
 大田知事、以上5点を知事の姿勢の問題点として指摘いたしましたが、いずれの点を見ても知事として、公人としてふさわしくない姿勢、行動と言わざるを得ません。一県民の大田さんであれば、ひとりの人間の個性というか、あるいは考え方というか、特徴というか、くせというか、そういうふうに片づけられるわけでありますが、知事であられるだけにあえて指摘せざるを得ないのであります。
 以上、後でまた再質問をさせていただきます。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
  〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 仲松昌彦議員の御質問にお答えいたします。
 人事行政との関連で、平成5年度定期人事異動における昇任者の総数は何人かと、課長級、次長級、部長級は何人増加し、おのおの何人になったかという趣旨の御質問でございます。あわせてお答えいたします。
 平成5年度の定期人事異動における係長級以上の昇任者は、総数で352人であります。
 次に、課長級以上の幹部クラスの人数は、課長クラスで19人ふえて292人、次長クラスで5人ふえて92人、部長クラスで6人ふえて36人となっており、これを平成4年度と比較しますと、課長級以上は30人ふえて総数で420人となっております。
 次に、課長クラス以上がふえたことによってどれだけの人件費アップとなったか、金額と率で示してもらいたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 課長級以上の30人増に伴う人件費は、給料年額で見ますと713万9000円の増加で、0.04%の増加率となっております。
 次長クラス、部長クラスの数は各県に比べて適切な数と言えるかという質間にお答えいたします。
 本県の部長、次長級の数は、従前から他県より多い傾向にあります。これは、基地関連業務など他県にはない特殊な事情、職員の平均年齢の上昇及び勤務意欲の高揚などからやむを得ないものがありますが、今後とも職員の適正な人事管理に努力してまいりたいと考えております。
 次に、幹部クラスがふえたことはそれだけの業務量があるということだと思うが、ふえる業務の内容を例をもって御説明願いたいと。
 今回の人事では、特に赤土対策を中心とする環境問題、医療行政の根幹を支えている看護婦対策、第1次産業の振興施策を推進するために部長級を配置し、当面の重要課題に対処するための体制強化に努めているところであります。
 次に、外郭団体の副理事長職に副知事にかわって部長クラスが常勤副理事長になっているが、その理由は何か、また、そのことによって人件費はどれだけアップしたかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県では、今回の人事異動で、従来非常勤職でありました公社等の副理事長職に県職員を常勤職員として出向派遣し、その体制強化を図ったところであります。
 これらの公社等は、行政の複雑多様化に対応し、県行政と一体となり、その補完的な役割を果たすことを使命として設立されております。今後、第3次沖縄振興開発計画を円滑に実施するために県と一体となった公社等の執行体制の充実強化を図る観点から、今回の派遣となったのであります。
 なお、人件費のアップにつきましては、確かに公社べースのみで見た場合、おおむね5%の増加となりますが、県と公社の総体で見れば、必ずしも副理事長の常勤化が直ちに人件費の増にはつながらないものと考えられます。
 次に、県職員の平均年齢は全国的に高いと言われるが、どのような計画で是正するのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 本県の一般行政職は、琉球政府から県へ身分が引き継がれた際の年齢構成、復帰後の新制度への移行など、新たな行政需要に対応するための職員増により、現時点では平均年齢が全国平均の39.3歳に比較して4歳程度高い状況にあります。
 この件につきましては、行政運営の適正化、効率化の観点から人事管理上の大きな課題となっておりますので、今後、勧奨退職制度の適正な運用を図りつつ年齢構成の是正に努めてまいります。
 次に、県職員の退職引当金はどうなっているかと。
 御質問の職員の退職金については毎年度予算計上しておりますが、今後、退職者が年々増加して平成20年ごろにピークに達し、財政負担の増加が懸念されます。
 このため、急激な人件費の増減を平準化し、適正な財政運営を図る観点から、地方自治法の規定に基づき退職手当基金を設置し、昭和63年度から積み立てを行っております。基金の平成4年度末の積立額は約44億円となっており、今後、基金の運用を強化し、懸念される財政負担の増加に対応してまいりたいと思います。
 同じく人事行政との関連で、行政改革のための会議はこれまで何度開き、何をテーマに議論してきたかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 行政改革関連の会議の開催につきましては、これまで課長クラスで構成する幹事会、部長クラスで構成する会議を合計12回開催し、行政改革の実施状況や推進方策について検討するとともに、新しい行政需要に的確に対応するための行政組織の活性化について取り組んできたところであります。
 次に、全国植樹祭との関連で、両陛下をお迎えし、植樹祭を無事終えた現在、どのように感じておられるか感想を伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 去る4月25日、糸満市字米須・山城で行われました第44回全国植樹祭は、県内外から約1万人の参加のもと、沖縄らしい植樹祭として滞りなく終了することができました。
 また、県内外からも植樹祭の原点に戻った植樹祭であったとの高い評価もいただいております。これは、県民多数の御協力、御支援によるものであり、心から喜ぶとともに感謝申し上げているところであります。今後は、植樹祭の趣旨を生かし、中南部地域の緑化等緑化施策の一層の推進に努めてまいる考えであります。
 次に、植樹祭との関連で、天皇陛下が遺族の皆さんに直接ねぎらいの言葉をかけられることに対し県の幹部が反対したとのことですが、それはなぜか、その理由を伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 平和祈念堂における特別奉迎の遣族の方々に対する天皇陛下のお声かけにつきましては、宮内庁と県が打ち合わせをし、決定したものであると聞いております。
 それから、同じく植樹祭との関連で、植樹祭会場で日の丸の小旗が振られましたが、知事はあれでよかったと考えるか伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 第44回全国植樹祭において日の丸の小旗が振られましたが、両陛下の歓迎の方法につきましては、参加者の各人の意思に基づいて行われたものと考えております。
 次に、植樹祭を通じて天皇陛下に数多く接し、皇太子御成婚の饗宴の儀にも出席して、これまでの皇室観や天皇制についての認識に変化があったか伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 第44回全国植樹祭行幸啓期間中、私は、天皇・皇后両陛下の県内事情御視察に随行いたしました。その際、陛下が、沖縄の歴史や文化に造詣が深いという印象を受けました。特に、生物関係なんかにつきましては、私などが知らない点もよく御存じでおられるということについて強く印象づけられました。
 植樹祭が終わると記念碑をつくり、開催県について詠まれた天皇陛下の歌が碑に刻まれるようですが、先催県に倣って県も碑をつくるのか、どのように準備されているのか伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 第44回全国植樹祭の記念碑の建立につきましては、国土緑化推進機構の特別委員会で承認された第44回全国植樹祭実施計画において、会場跡地に記念碑を建立することになっております。本県における記念碑の建立に当たっては、先催県の事例、会場跡地の整備等を参考にしながら現在検討を進めているところであります。
 同じく全国植樹祭との関連で、全国植樹祭会場跡地の利用計画はどうなっているかという御質問にお答えいたします。

 全国植樹祭会場跡地は、現在、記念植樹木の保育管理を実施するとともに、台風等による潮風害を防止するため防風ネット設置等の準備を進めております。
 また、会場地の跡利用計画につきましては、多くの県民が自然と触れ合う森林公園として整備するとともに、平和祈念公園との一体的かつ総合的な整備を図る所存であります。
 それから、厚生年金問題との関連で、受給対象者はどれくらいか、年齢は何歳以上か、厚生省との意見の違いはないのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 対象者につきましては、県の試案では、昭和45年1月1日現在で20歳以上の者としておりますが、20歳から25歳までの年齢層は、60歳定年と仮定すると40年ないし35年間加入できるということで、25歳以上にすべきではないかとの議論がなされており、現在調整中であります。
 20歳以上とした場合は、対象人数は約12万人となりますが、25歳以上とした場合は対象人数は約9万人となります。
 同じく厚生年金問題との関連で、雇用の期間や賃金の証明方法についてという趣旨の御質問にお答えいたします。
 雇用の証明は、原則として事業主の証明で行うが、5年以内の期間については、在住の証明で事業主の証明にかえることができるような方向で調整しているところであります。
 また、事業主がいない場合には、県が作成する証明に関する要領で証明できる方法で目下調整しているところであります。
 それから、軍雇用者の事業主負担について、米国の負担になるのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 軍雇用者の事業主負担の件につきましては、米軍にかわり、国、この場合は防衛施設庁となるわけですが、国に対し、負担の要請を準備しております。
 なお、このことに関連して県に対して全駐留軍労働組合沖縄地区本部から、駐留軍関係従業員等の事業主負担分保険料の対応に関する申し入れがなされておりまして、県といたしましては、極力それらの意見を参考にして折衝に当たりたいと努めているところであります。
 次に、同じく厚生年金問題との関連で、追納額はどれくらいになるか、厚生省と見解の相違があるのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 追納額につきましては、平成5年3月29日の県の試案では、昭和45年当時の標準報酬額や保険料率を基礎に試算すると、約1200億円となります。
 しかしながら、国は、遡及適用ではなくて、現時点に立って厚生年金の格差是正を図るという制度の趣旨から、退職時の標準報酬及び納付時の保険料率を条件としており、それに基づいて試算すると約1800億円となり、大きな相違があります。
 次に、保険料は労使折半が原則だが、追納額の負担はどうなるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 厚生年金の保険料は、労使折半が原則でありますが、既に消滅した企業も多く、その負担のあり方が極めて難しい課題となっております。
 今回の措置は、対象者が退職後に納付する仕組みで考えられておりますが、負担額が多額になることから、その軽減を図るため事業主の負担を確保する必要があります。
 同じく厚生年金問題との関連で、国庫負担は可能か、県も一部負担する考えがあるのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 国庫負担の件につきましては、厚生年金の制度の建前から難しい問題があります。しかし、厚生年金の格差の要因が加入期間の差によるものであり、それは本土との行政分離により生じたものであることを考えると、何らかの方策についてさらに検討を重ねる必要があると考えます。
 また、追納額が膨大になることから、この制度をスムーズに動かすためには、県がその一部を負担する必要があると考えております。
 同じく厚生年金問題との関連で、民間事業主も応分の負担をせざるを得ないということのようだが、応分の負担額の設定は可能かと、どういう方法と基準が考えられるのか、民間とは話し合っているのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 民間の事業主の応分の負担の件につきましては、経営者団体においても応分の負担はやむを得ないとの認識を持っており、その具体的方法について、現在、話し合いを行っているところであります。県としましては、事業主負担として、具体的には法人県民税の見直し等で対処する方向で調整を進めているところであります。
 同じく厚生年金問題との関連で、これまでどのような要請をしたかと、今後どうするのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県は、平成3年の9月に、正式に厚生大臣、沖縄開発庁長官等に要請したのを初め、機会あるごとに関係機関に要請をしているところであります。
 先々月ですか、私も厚生年金局長にも改めてお会いいたしまして、また厚生省のスタッフの皆さんにも、ぜひとも県との緊密な連携を保って、この問題の解決に御尽力いただきたいということを改めてお願いいたしました。
 この問題は、事業主負担分が大きく、県内企業等の負担力にも限界があり、極めて難しい状況にあります。県としましては、今後、国の関係機関との折衝を続けるとともに、関係団体との緊密な連携を図りつつ、県議会、県出身国会議員等の御協力、御支援を得て、何とか解決の方策を見出していきたいと努力しているところでございます。
 次に、福祉問題との関連で、老人保健福祉計画り策定状況について、県下53市町村の計画策定の進捗状況はどうなっているのか、すべて今年中に終わるのかと、おくれるとすればその主たる原因は何かという2つの質問に一括してお答えいたします。
 老人保健福祉計画は、平成2年6月の老人保健法及び老人福祉法の一部改正で都道府県、市町村に作成が義務づけられ、平成5年度中には策定するようになっております。この計画は、人口の高齢化や家庭介護力の低下などにより、要介護老人の介護ニーズが急速に高まるものと見込まれ、高齢者や家庭が必要とする保健福祉サービスを計画的に利用できるように整備するのがねらいであります。
 各市町村の進捗状況は、平成5年6月末現在、基礎調査等を終了し原案作成中が10カ所、基礎調査結果の集計を分析しているところが32カ所、基礎調査実施中が9カ所、まだ着手していないところが2カ所となっております。
 なお、まだ着手していない2カ所につきましては、7月に基礎調査を実施するとの報告を受けており、今年度中にはすべての市町村において計画が策定できるよう引き続き指導していきたいと考えております。
 同じく老人保健福祉計画の策定状況との関連で、県は、市町村に対し、どのような措置、助言、支援を行っているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 市町村に対する指導につきましては、平成2年6月の法律改正以降、担当課長等に対する説明を行い、また平成4年6月30日付厚生省大臣官房老人保健福祉部長名で、市町村老人保健福祉計画作成指針が示されたのを受けて、担当職員等に対する説明会や研修会等を実施してきており、さらに平成5年2月には、厚生省の専門官を招いて研修会を実施するなど、計画策定に向けて万全を期すよう指導してきているところであります。
 なお、基礎調査の実施がおくれている2つの村につきましては、直接出向いて指導しているところでございます。
 同じく老人保健福祉計画の間題と関連して、市町村における将来人口の推計について、県はどのような指導を行っているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 老人保健福祉計画は、平成11年度における要介護老人等に対するサービスの目標量を設定することが計画の主要部分となっており、その意味において人口の推計は極めて重要であります。
 市町村における将来人口の推計については、厚生省老人保健福祉計画研究班・人口等調査手法部会からその把握方法が示されているので、それを受けて市町村に対する指導を行っているところであります。
 次に、離島振興との関連で、県内の離島を類型するとどのようなタイプが考えられるか、共通する開発整備課題は何かという趣旨の御質問にお答えいたします。
 本県の離島は、東西1000キロメートル、南北400キロメートルの広大な海域に多数の島々が点在しており、国の策定した第5次離島振興計画で島の面積、本土からの航路距離、島の群がり等を考慮して分類している5つのタイプに当てはめることは必ずしも適当ではないと考えております。

 離島を含めた本県の振興開発につきましては、第3次沖縄振興開発計画において、北部圏、中南部圏、宮古圏及び八重山圏の4圏域に区分して、各圏域の固有な自然、歴史、地域資源等の特性を生かし、快適な居住環境の形成と特色ある産業の振興を図ることによって人口の定住を促進し、個性豊かな活力ある地域社会の形成に努めることとしております。
 また、第3次沖縄県離島振興計画においても、圏域別の振興方策を定め、各種基盤整備事業等を推進し、離島の不利性の克服に努めるとともに、離島における人材の育成、文化活動の推進、各種の交流活動の推進等のソフト面の対策を含めた総合的な施策を展開することといたしております。
 次に、同じく離島振興との関連で、離島人口の高齢化は産業や伝統文化の継承に多くの影響を与えているが、人口対策をどうするかと、打つ手があるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県内の多くの離島は、その地理的不利性等の大きさから、若者の島外への流出、高齢化の進行という大きな課題を抱えていることは御承知のとおりであります。このため、県としましては、第3次沖縄振興開発計画及び第3次沖縄県離島振興計画に基づき若者が定着する魅力に満ち、活力に富んだ個性豊かな地域社会の形成を目指して諸施策を計画的かつ総合的に進めていくこととしております。
 具体的には、各島々の特性を生かした産業の振興を図り、多様な就業の場を確保するとともに、情報格差の是正や生活環境の整備に努め、若者の定住条件の整備を促進してまいります。
 加えて、都市地域との交流人口の増大を図るため、コミュニティーアイランド事業やリフレッシュふるさと推進モデル事業などにより交流施設の整備を推進するほか、各島々のすぐれた自然環境や、伝統文化を生かしたイベントの開催などソフト面の施策の充実を図り、離島地域社会の活性化を推進していきたいと考えております。
 同じく離島振興との関連で、予定される離島架橋の建設はどのようたスケジュールで進むのか示してもらいたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 離島架橋につきましては、離島苦の解消や地域の振興を図る上から、これまで瀬底大橋や池間大橋等の整備をしてきたところであります。現在、浜比嘉大橋や阿嘉橋等の整備を進めており、また平成5年度に新規事業として古宇利大橋に着手したところであります。第3次沖縄振興開発計画の中でも、離島架橋の整備を推進することとしており、要請のある箇所につきましては逐次調査を実施し、事業化が図られるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、離島の産業は住民の確たる稼得の場となるほどに安定成長していないと、産業振興についての知事の秘策を聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 離島では、その厳しい地理的、自然的条件から、所得面や生活条件等において依然として本島との格差が解消されておりません。離島における経済の自立的発展を促し、地域住民の所得水準を向上させるためには、離島の持つ地域特性を生かした産業を振興し、多様な就業の場を確保する必要があると考えております。
 このため、第3次沖縄県離島振興計画に基づきそれぞれの島の持つ特性と住民の創意を積極的に生かしつつ、各種生産基盤の整備及び流通体制の整備を推進するとともに、生産体制の強化と経営の安定化を図ってまいります。
 また、各種産業の後継者の育成確保に努めるとともに、産業間の有機的な連携の強化を図って地域経済の活性化を促進してまいりたいと努めております。
 具体的には、離島フェア、沖縄コミュニティーアイランド事業及びリフレッシュふるさと推進モデル事業等を通じて離島と都市及び離島相互間の交流を促進するほか、過疎地域活性化推進モデル事業等により離島の特産品開発に関する調査研究、人材育成等を支援し、活力ある地域社会の形成を目指してまいります。
 次に、新石垣空港問題は現地とどのような話し合いがなされているかと、知事が現地に行っていないのはどういう判断からか、解決する意思はあるのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 新石垣空港につきましては、地元への説明等に副知事が5月11日に石垣市長、市議会議長、竹富町長等にお会いして、説明すると同時に協力依頼を行ったほか、関係職員によって宮良案への理解と、現地調査についての理解と協力を求めるため、石垣市長を初め関係団体等へ説明を行っているところであります。
 なお、私が現地へ出向くことにつきましては、先日、石垣市長、竹富町長、与那国町長及び3市町議会議長との話し合いの場を持つことで合意しており、早い時期に開催できるよう現在日程を調整しているところであります。
 南西航空のストとの関連で、資本参加をしている県も何らかの支援をすべきと考えるがどうかと、赤字の累積に対する経営環境の改善に向けて、県がとり得る方策について知事の考えを伺いたいという趣旨の御質問に一括してお答えいたします。
 今回の南西航空のストは、離島住民や観光客等の足の確保に大きな支障を来し、住民生活や産業経済に大きな影響を及ぼしており、まことに遣憾に思います。
 御質問のあります第1点目の県の支援策及び第2点目の経営改善方策について申しますと、南西航空としましては、累積赤字を抱え、経営の改善を図るために業務の効率化、委託業務の推進等種々の経費節減及び経営の効率化に取り組んでいると聞いております。
 県としましても、これまで航空会社の経営の安定確保のため、着陸料の減免措置、機材購入費の補助、機材の大型化等に対応した空港の整備及び経営の安定化を図るための本土への路線の拡大等を支援してまいりました。
 また、採算性が厳しい離島航空路の安定確保を図るため、運航経費等の一部を助成する内容の離島航空路整備法――これは仮称でございますけれども――の制度の創設に向けて全国知事会等を通して機会あるごとに関係機関等に要請を行っているところでありますが、今後とも努力を重ねてまいりたいと考えております。
 次に、国土庁が構想していることが基本政策となれば、那覇空港の規模と機能の拡大は大きな前提条件となることが想定されるが知事の考えはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 平成5年6月に公表された4全総総合的点検中間報告のうち、「グローバリゼーションヘの対応」の4の地方圏における利便性の高い国際交通対策の形成の中で、地方圏における需要の創出と相まって国際定期空港網の充実が求められていることは承知しております。
 御質問の那覇空港につきましては、第3次沖縄振興開発計画及び第4次全国総合開発計画において、我が国の南における国際交流拠点空港として利便施設等の整備を図ることが位置づけられております。
 県としては、那覇空港の規模と機能の拡大については、国際化の一層の進展に対応した空港の整備拡充に努めてまいりたいと考えております。
 次に、全総点検と沖縄との関連について、共存共栄は交流強化の原則であり、そのためには県経済の生産力、技術力を高めることが重要であると、経済力をいかに培養するか伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 本県の経済力の向上対策につきましては、基本的には第3次沖縄振興開発計画に基づき自立化を目指した特色ある産業の振興を図るとともに、地域特性を生かした南の交流拠点の形成を図るための諸施策を積極的に展開することだと考えます。
 具体的な今後の産業振興策としましては、成長ポテンシャルや産業連関性の高い中核的業種並びに先導的な役割を担う競争力のある中核企業を選定し、施策の重点的、集中的導入を図ってまいりたいと考えております。
 また、沖縄地域集積促進計画に沿ってトロピカルテクノパークの整備を推進し、トロピカルテクノセンター、工業技術センターの設置を進めるとともに、ソフトウエア業務等特定事業の集積を図るための中核的な業務団地を整備してまいりたいと考えております。
 さらに、TQC活動の推進を図るため、沖縄県TQCセンターを設置するほか、県産品の販路拡大を総合的に行う沖縄県物産公社の充実強化に努めているところであります。

 また、産業振興基金を活用し、戦略的な産業育成事業及び人材の育成活用事業等を実施いたします。
 次に、国際交流は、相互理解から始まると考える、そのためには語学力は不可欠であると、この語学力をつけるためには今後どのような仕組みを考えねばならないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 南の国際交流拠点の形成を進めている本県にとって、多様な人材を育成することは極めて重要なことであります。特に国際化が進展する中で、語学に湛能な人材を育成する必要があり、そのため国際交流財団を充実強化するほか、語学センターの機能を強化し、外国語講座及び同時通訳基礎講座の充実、在沖米軍施設・区域内大学への入学の促進等を図っております。
 また、人材育成財団を通じて多くの青年や高校生を国外に留学させるとともに、語学指導を行う外国青年招致事業、沖縄県・ハワイ州高校生交流事業等の推進を通じて国際化に対応し、さらに県立高等学校においては語学教育、特にコミュニケーション能力の育成に力を入れているところであります。
 今後とも、さらに国際交流財団や人材育成財団の機能の充実及び学校教育における語学教育の充実と多様化を促進していきたいと考えております。
 次に、政治環境の変化との関連で、中央政界の激変を、知事自身、どのように受けとめているかと、所見を伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 今回の衆議院解散とその後の中央政界の大きな動きは、時代の変化と国民世論の動向を反映したものであると理解しております。今後とも国民の意に沿った政治改革が積極的に推進されることを期待しているところであります。
 同じく政治環境の変化との関連で、仮に革新政党を含む連合政権ができた場合、沖縄へどのような影響があると考えるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 国政選挙は、これから実施されるものであり、その結果の動向についてはお答えするのを差し控えたいと思います。
 総選挙の結果のいかんにかかわらず、本県の振興開発に係る諸施策並びに厚生年金等の問題等につきましては、引き続き積極的に推進されることを期待すると同時に、それらの問題の解決について引き続きこれまで以上に努力してまいりたいと考えております。
 なお、最後に、仲松議員から、知事の個人的な問題についてふさわしくないとかいろいろございましたけれども、御批判については謙虚に承っておきます。
 この韓国の問題とか、台湾の問題とか、若干の誤解があるようでございますが、私としましては、県の代表として恥ずかしくないような努力をしてまいっておりますし、またこれからもそのつもりでやっていきたいと考えております。
 アシアナ航空の皆さんや、あるいは台湾の皆さんとの関係も非常にいいものと理解しております。
○仲松昌彦君 議長。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午前11時22分休憩
   午前11時27分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 大田知事。
  〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 先ほどの御質問につけ加えてお答えさせていただきます。
 まず、植樹祭の際に、遣族の皆さんに対して天皇からのねぎらいの言葉をかけたいというのに対して、県の幹部が反対したというがどうかという趣旨の御質問だったと思いますが、前に申しましたように植樹祭の持ち方につきましては、国土緑化推進機構と打ち合わせをしまして、そこで決められたことをやるわけです。
 その中には、そうした特別なものは話は出ておりませんでしたけれども、宮内庁からそういう話がありましたということで、我が県のスタッフの方が宮内庁と緊密な連絡をとって、つつがなく終えたということを聞いております。
 それから同じく、皇太子の結婚式とか饗宴の場に出たり、また植樹祭のときに両陛下に随行して、皇室の方に対する認識に変わりはあったかということにつきましては、先ほど申し上げましたように沖縄の問題について私などが知らないことについてよく御存じでいらっしゃるとかという、そういう認識を改めた部分もあれば、皇室の行事の仕方というものが伝統的な古式にのっとっていて、ほとんど変わらないのもあるなと。
 ですから、部分的に認識が変わった面もあれば、変わらない部分もありますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(儀間光男君) 仲松昌彦君。
  〔仲松昌彦君登壇〕
○仲松昌彦君 これから再質問をいたします。
 それでは知事、さっきの問題ですが、要するに県の幹部がそのような反対をしたことはないと、事実を否定するわけですね。それはそれでいいでしょう。これは我々は、100%の事実を確認していますので、ここで事実を確認するための議論をしても始まりません。したがいまして、これは知事がそうではないと否定するなら否定するで結構です。否定されるわけですか、それを確認してください。
 それから、もう1点は、ちょっとわけのわからない答弁でございましたが、要するに、知事の感想として皇室観に、あるいは天皇制に対する考え方に、部分的に変化があったというふうに認識してよろしいですか。いいかどうかの確認だけで結構です。
 それから、再質問でありますが、人事行政との関連で、外郭団体の副理事長職に部長クラスが常勤副理事長になっておるが、この点、5%の人件費の増になっているけれども、全体として増加にはつながらないという答弁がありましたが、その根拠を示してください。
 それから、人事行政との関連でありますが、今回の議会に知事は、副知事の人事も議案として提案されていますよね。具体的な人物名が挙がっておりますが、そういう中にあって我々議員としても、とりわけ野党としても、これからこの問題についてはあらゆる角度から十分な議論をして一定の結論を出さなきゃなりませんけれども、そういう中できのうの新聞でしたか、吉元調整監の後任に特定の人物をもう知事の頭の中に考えていると。それは、副知事人事のことを与党に相談した際に、具体的な名前を挙げて調整監のポストの存続と、それから具体的な調整監になる人を挙げて知事が言ったと、こういう報道があります。
 知事がおっしゃるように調整監のポストというのは、これはもう副知事に匹敵するぐらいの重要なポストであると。その特命事項を任せて、本当に知事の片腕としてずっとやってきました。そういう意味で、知事にとっては調整監のポストというのは極めて重大なポストです。
 そういうところに、まだ議会がどういうふうに結論を出すのか、まだ具体的な議論も入っていない段階で、調整監のポストの後任を画策する、あるいは具体的に与党に説明する、これは知事、裏を返せば、あるいは知事は何も考えぬでやったかもわかりませんけれども、我々議会側からすれば、もう副知事の承認案件は、議会は当然同意してくれるという前提がある。こんな生易しいものじゃないですよ、知事ね。
 知事は一体、この執行部と議会の関係をどう考えているのか、僕はいつもそれを言うんです、知事ね。あらゆる問題について、そういう問題が起こっている。
 知事の基本的認識を伺っておきますが、その副知事の人事がなぜ議会の同意に諮らしめているか、これは地方自治法に明記されております。なぜそうなっているか、知事はどう考えていますか。僕はこれを聞きたいんですよ。
 言いたいのは、まだまだ我々も具体的な議論もしていない段階でです、いかにも吉元調整監は同意されるという確信を持ったかどうかわかりませんけれども、その前提で後がまを探すと、発言をすると。
 これは知事、議会軽視ですよ。おれが提案したら、議会なんか当然賛成するんだよと。また賛成しろと、賛成すべきだと。
 それは、人事権は知事が持っていますから、その辺よくわかりますよ。十分に吟味して出したであろうし、知事の立場もよくわかりますが、しかし議会の同意がなければ成り立たないということだけは認識していただきたい。
 そういう意味で、さっき言ったように、なぜ議会の同意が必要であるか、地方自治法ではなぜそういう規定を置いているか、それについて知事はどう考えているか、お答えください。

 そしてついでに、知事が考えている副知事になるための要件といいますか、どういう要件を備えておれば副知事としてふさわしいか、知事の率直な所見を聞かせてください。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午前11時35分休憩
   午前11時35分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 大田知事。
  〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 2つの御質問だったと思います。
 1つは、外郭団体へ副理事長クラスを派遣しても、総体としてこれが費用がそうかさまないという理由は何かということでございますが、お許しを得てこの件については担当の総務部長からお答えさせてよろしゅうございますか、それじゃその点については総務部長の方に答弁させます。
 それと、いま1つの副知事の問題につきまして、決して議会無視とかそういうことではなくて、副知事を選任する場合にいろんたケースを考えて、与党の何人かの方々には、もしこういう場合にはどういうことをした方がいいかとかということで意見を徴するわけでございまして、私がそれを決めたとか、決定的にそうするとかということについて新聞記者に一度も話したことはありませんので、その件については御理解をいただきたいと。
 それで、議会の了解を得るのは何のためかという趣旨の御質問にお答えいたしますと、副知事という職は、知事を補佐し、知事に事故等があるときは、その職務を代理し、県を代表する職務でありますので、議会の御同意を得る必要があると考えております。
 そして、副知事のいわば理想像とでも申しますか、あるべき姿についてはどう考えているかということでございますが、副知事は、知事の最高の補助機関として、県政の直面している問題の解決に向けて国の各省庁への折衝を初め、県議会、市町村、関係団体などとの調整や、各部局を指揮監督する極めて重要な職責を有していることから、的確な調整力と指導力が必要であると考えております。
 あえてつけ加えますと、さらにそれに加えまして知事と一体となって公約をきちっと果たす、その認識と実行力を持った者を私は副知事としてふさわしい人物として考えております。
○議長(儀間光男君) 総務部長。
   〔総務部長 山城正栄君登壇〕
○総務部長(山城正栄君) お答えいたします。
 先ほども知事から御答弁申し上げましたとおり、今回の人事異動で公社等の副理事長ポストを常勤化した場合の人件費のアップ率の問題でございますが、県と公社を総体と見た場合には、やはり私どもとしては人件費の増につながらないということを知事から申し上げたわけでございますが、それはどういう意味かという、あるいは根拠は何かという趣旨の御質問ですが、私どもとしては、現職、いわゆる県から派遣して、あるいは出向させている職員は、現在の身分を持ったままで公社に派遣をしていると。そういうことから申し上げますと、仮に派遣をしなかった場合でも県職員として在職し、仕事をやって人件費を支払うという結果になるわけでございますんで、県全体、公社とのつながり等総体と見れば、現職を派遣して現給保障してやっているわけでございますんで、そういう観点から県と公社を総体と見た場合には、人件費のアップにはつながらないと、こういうことで理解をいたしております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午前11時39分休憩
   午前11時39分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 確認事項、2つあったと思います。
 1つは、先ほどの宮内庁との調整、県の幹部が反対したというがという趣旨の確認だと思いますが、これは担当の知事公室長から答えてもらいたいと思います。
○仲松昌彦君 知事がやってください。
○知事(大田昌秀君) 私としては、先ほど申しましたように、国土緑化推進機構というもので決めたものに従ってやっていきますということで、それが決まって後にそういう要請がありましたので、これについては県内にもいろいろた意見を持っている人たちがいるからということで三役会議でどうした方がいいかということで、これは緑化推進機構と県が衆議院議長の公邸で、次の第44回植樹祭をどういうふうに行うという実施要綱というのを承認したわけですから、その中に入っていないものについては、これはいろいろと打ち合せをする必要があるという話はしましたけれども、私の理解するところでも反対した人はおりません。
 それから、天皇の、皇室についての考え方について若干の知事の認識の変化はあったかという質問については、先ほども申しましたように変化があった部分と、変化がない部分もありますと申し上げているわけです。
○議長(儀間光男君) 仲松昌彦君。
   〔仲松昌彦君登壇〕
○仲松昌彦君 さっき指摘いたしましたが、今の政治改革の大きな柱の1つは、政治家と金の関係を絶つと、こういうことであります。
 昨年6月に知事の後援会が県の幹部職員に寄附を強要した件について、現時点の政治状況にかんがみて、照らして、今知事はどう考えているか、率直な御感想を聞かせてください。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 政治家と金の問題については、御指摘のように非常に今我々が改革していかなくちゃならない大事なことだと私も十分に認識しているところでございます。
 私が知らなかったとはいえ、私の後援会がやっていけないようなことをやったということについては、前のときにおわびいたしました、県民に対しても。今もその申しわけないという気持ちに変わりはありませんで、その気持ちをあらわすために役員にもやめてもらいました。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午前11時43分休憩
   午後1時  再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 午前に引き続き代表質問を行います。
 高江洲義政君。
   〔高江洲義政君登壇〕
○高江洲義政君 ことしは、皇太子殿下の御成婚も相整い、輝かしいこの年に、私たち自民党の先輩議員が代表質問の機会を与えていただきまして、本当に感謝を申し上げます。
 これより党を代表いたしまして、通告に従いまして知事に対して質問をいたしますが、明快な御答弁をお願いいたします。
 その前に、先ほどの我々の代表である仲松先輩への知事の御答弁、あの態度は何ですか、まず指摘しておきたい。テーブルに両ひじを置いて、こういう感じで答弁をされておった。これは議会を軽視し、言論の府である神聖なこの議場に対して、県民の代表がどういう気持ちで議会や議員に接しているか、遺憾であるし、恥ずかしい思いがいたしました。まず指摘しておきます。釈明をお願いしたいと思います。
 最初に、提案されております補正予算案についてお伺いいたしますが、6月補正ということは大変異例のことだということでございました。それだけ景気が低迷し、なかなか浮上しないという判断から緊急対策として講じられた政府の措置だと理解しております。
 県も、政府のこのような政策に呼応して、一般会計で124億余円、特別会計、企業会計を含めて154億円余の補正額を提案しておりますが、総額はともかく、その内容において緊急対策の効果が期待できるのか、甚だ疑問とするところでございます。
 編成の方針として、県内景気動向に配慮し、積極的に対応するとしておりますが、事業内容は国庫補助事業がほとんどで、単独事業は9月補正で考えると、このように消極的だからでございます。
 このことは、県経済の体質あるいは構造、さらには景気特性の認識が不足しているか、あるいは事業を掘り起こす努力が不足しているのか、いずれにしても総合経済対策という割にはその趣旨が反映されているのか、大変疑問でございます。
 この編成の裏に見えるのは、開発庁に依存する姿勢であり、県内景気の浮揚のための補正であるだけに、大田県政はもっと積極的に臨むべきではないかと思うのでございます。9月補正ではそのような積極的姿勢が見られるか、注目していきたいと思っております。
 そこでお伺いいたします。

 1つ、県内景気の現状をどう判断されているか。観光客はふえておりますが、その他の景気指標はよくないと考えております。知事の御見解を賜りたい。
 2つ、補正の内容は、土木事業を中心とした従来の事業の域を出ておりませんが、これで異例と言われる6月補正の意図が反映されているとお考えか、お伺いいたします。
 3つ、新社会資本の整備ということが言われておりますが、この補正でどのように反映されているか、お伺いいたします。 
 4つ、今度の補正では、中小企業の借り入れに対し、金利の安い借り入れに切りかえる支援策もあると聞いております。県の場合はどうなっておりますか、お伺いいたします。
 5つ、有効求人倍率は0.3を割っている状態であります。新卒の若者の就職がどうなるとお考えか、雇用の手立てをどう考えておられるのか、知事の知恵のあるところをお聞かせいただきたいと思います。
 6つ、この就職難を逆手にとって農業や水産業への若者の回帰を進めることはできないか、離島への居住促進はできないものか、知事の秘策をお伺いいたします。
 7つ、時期的に来年度国庫要請のヒアリングが始まります。どのような要請内容になりそうであるか、大筋の御説明をお願いいたします。
 8つ、毎年問題になるのは執行率であります。多くの公共事業費をつぎ込んで執行はできるのか、対応と見通しをお伺いいたします。
 次に、基地問題についてお伺いいたします。
 まず、大田知事の基地問題に対する姿勢についてお伺いしますが、最初に指摘したいのは、知事は、基地問題についてパフォーマンスが多いということであります。できないことを、あたかも実現するかのようにおっしゃり、追及されると、現実の壁は厚いとか、あるいは長期的課題であるとか言って言を左右にしております。そして地主の合意も得ずして勝手な言動をする。一生懸命やっているというポーズにしか見えません。
 大田知事は、御自分の意向一つで一気に解決するとでもお考えでありましょうか。政治的姿勢を貫くだけで現実的解決策を生み出せるとお考えになっているのか、私には全く不可解であります。
 県は地主に対してアンケート調査をいたしましたが、その結果は大田知事の意に反する内容でございます。つまり、返還を求める地主は少ないのでありまして、また跡利用計画もつくりましたが地主の猛反対に遭って苦慮している状態ではないでしょうか。
 軍転法なるものの県案もつくりましたが、窓口となる省庁は定まっておりません。国会へ提出されていた社会党案の法案も、去る国会で廃案になっている状況でございます。
 このような一連の状況と結果を見てみますと、大田知事が基地問題を解決すると意気込んでも、よりどころとする足場を失ったのではないかと考えざるを得ないのであります。
 大田知事、地主と政府と協調関係を築いて仕切り直しをしたらいかがでしょうか。ポーズばかりに気をとられないで、実効ある施策は何か、冷静に考えられてはいかがでございましょう。
 そこで質問いたします。 
 1つ、アンケート調査の結果、返還を望まない地主が多いことについて率直な知事の感想をお聞きしたい。また、その理由についてどのような見解をお持ちでございますか。
 2つ、アンケート結果は、基地の返還は知事の一人芝居だったということになるのか、地主の意向を無視してはすべては無意味だと考えますが、この調査内容をどのように生かすお考えか、知事の姿勢も変わるのかどうか、お伺いしたい。
 3つ、県がつくった跡地利用計画については、地主は強く反対しております。それは地主の合意も取りつけず、机上のプランだからでございます。私有財産を勝手に用途区分されてはたまったものではございません。
 また、内容も計画の体をなしておりません。この計画を知事はどうなさるのか、廃棄し、つくり直すお気持ちがあるのか、知事の考え方をお伺いしたい。
 4つ、県案の軍転法案は宙に浮いた状態でございます。省庁の窓口さえ定まっておりません。その理由を何とお考えか、今後どういう努力をなさるおつもりであるか、お伺いいたします。
 5つ、市町村の計画能力、事業の推進力を考えると、県案は実効性に欠けるとの指摘もございます。知事はそのことについてどのようにお考えか、お伺いいたします。
 6つ、野党4党が共同提出しておりましたいわゆる軍転措置法は廃案になっておりますが、知事は通過すると考えておられたのか、それとも無理と見ておられたのか、お伺いいたします。
 また、その内容についてどのような見解を持っておりますか。
 7つ、軍用地は私有財産でございます。国との契約によって土地財産を運用し、収入を得ていることでございますが、その運用している私有財産を、知事が勝手に借り手に返せということが個人の立場から考えて許されることか否か。もし、地主が知事を訴えるようなことがあれば、知事はどうなされますか、お伺いいたします。
 さて、訪米要請についてお尋ねをいたします。
 大田知事は、前回の訪米要請で、基地問題は日本政府が交渉相手であり、米国政府が関与すべきことではないと言われながら再び訪米されました。しかし、今回の訪米は前回と違って小人数で寂しい訪米であったことは、県民の知るところでございます。
 まず、要請パフォーマンスを報じてもらう県内マスコミは同行を拒否し、1社たりとも同行しておりません。軍用地を抱える市町村長は、地主の反発に配慮してそれを断り、同行したのは読谷村長と金武町長の2人だけでございます。軍用地主会にも反対され、事前の調整もなく同行を要請した県議会議長あるいは議会軍特委員長にも断られ、県民のだれを代表して訪米するのか、賛同を得ずしての行動は理解できないわけであります。関係者がなぜ同行を拒んだのかおわかりでしょうか。恐らくその理由の第1は、地主の意向に反すること、第2は、成果が期待できず、単なる旅行に終わり、費用のむだ遣いだと判断したからでございましょう。
 知事は、訪米前に大きなことを言っておられました。米国政府高官に会えると言えば同行者がふえると思ったのか、クリントン大統領、ゴア副大統領、クリストファー国務長官、アスピン国防長官、その他政府要人に面談し、要請すると大きなアドバルーンを打ち上げていたのであります。しかし、県知事レベルで米政府の高官に会えるはずがないことを県民は知っており、にもかかわらず大田知事は、平気で県民をだましていたのであります。ましてやクリントン大統領に会えるかのような宣伝は、同行しないと損をするよと言わんばかりの関係者をばかにした話でございます。このようなことでは大田知事は、外交のイロハどころか、常識さえないと言わざるを得ません。
 この件については、けさの琉球新報の「論壇」にございました。はっきりとあのプロトコル・オーダー、知事は、このプロトコル・オーダーの内容を御存じですか、お伺いいたします。
 そこで具体的にお伺いいたしますが、1つ、ワシントンに行かれてどの分野の、どういう肩書を持った、どの程度の責任のある方に会ったのか、具体的に教えてください。機会があれば、領事館を通じてまた確かめたいと思います。
 2つ、大田知事が要請すると言われた項目について、どういう返事があったのか、返還できると言ったのか、あるいは困難だと言ったのか、次の5つの要請事項についてお伺いします。1、那覇港湾施設、2、普天間飛行場について、3、読谷補助飛行場について、4、奥間レストセンターについて、5、キャンプ・ハンセンについて。
 さらに、次の大きな3つでございます。ワシントンポスト紙に意見広告を出したようですが、出すならむしろ日本の全国紙に出すべきのではなかったかなと考えておりますが、そのお考えをお聞きしたい。
 4つ、なぜ県内のマスコミ、関係市町村長、軍用地主会等が知事と同行しなかったのか、その理由をどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
 また、こうした知事の呼びかけに対する反応の悪さを訪米前にどう感じておられたか、お伺いいたします。

 5つ、米国での要請についてでございますが、帰国後政府に報告されたのか、されてないか。されているとすれば、どの省庁に、どういう内容の報告をしたか。報告されてないとすればなぜか、お伺いいたします。
 次は、産業振興についてお伺いいたします。
 産業の振興は、我が県の最大の課題だと認識しております。産業の振興、発展がなければ働く場はふえず、所得水準は高まらず、若者は県外へ流出して、多くの分野で政府、他府県に依存し、環海性、隔絶性、狭小性、そして市場の狭隘性に制約されて停滞を余儀なくされているからでございます。
 都道府県の1人当たりの県民所得を90年度で見てみますと、我が県はおよそ200万円、東京都はその2.2倍の450万円であります。
 県民の1人当たりの都道府県税収で見ますと、全国平均を100とした場合、同じ90年度で沖縄県は全国最低の44、東京都は204でございます。我が県の産業が、物づくりに弱いことはよく指摘されていることでございますが、目に見えて強化されたと感じられないのは残念でございました。課題は、大変山積していると言わねばなりません。
 全国知事会の調べによりますと、各都道府県自慢の日本一という一覧によりますと、各県が日本一と自慢しているものの中には、何々生産、何々出荷という表示が見られます。唯一我が県だけが産物の表現がなく、長寿県、那覇大綱引き、宮古トライアスロン大会となっているのは、いかに生産力が弱いか、他県とのおくれを感じるものであります。
 また、読売新聞社が行った県民意識調査によりますと、住みやすさ1位、愛着度2位、定住志向3位、親しみやすさ5位、そして働きやすさが何と38位となっていることも、産業振興の重要性を県民意識が語る数字でございます。
 しかし、大田県政がこの重要性にこたえる政策をとっているかといえば、その努力、姿勢がみじんも感じられないのであります。大田知事御自身が産業振興が優先順位第1位の政策課題であるという認識を持っておられないと言いたくなる思いでごさいます。
 主幹作物だったサトウキビは主役の座をおりようとしております。しかしかわり得る新たな主役の顔は見えません。パインもそこそこの規模になっております。製造加工業も新たな芽が出ているとは言えません。観光は今のところ勢いがあるように見えますが、九州の動向を見ますと、安定した成長に不安はないのか、非常に気になるところでございます。
 悲観論ばかり申しておりますが、産業の振興は行政の指導力、積極性、特に知事の発想と具体的行動力が大きな刺激になると言いたいのでございます。
 大田知事、平和、女性、福祉だけを殊さら言わないで、大分県知事の平松さんのような、まずは産物づくりに施策を凝らし、行動する気はございませんか。これは我が県にとって歴史的命題であり、暮らしの根底だからでございます。他府県民の汗で福祉づくりをしても、それは単なる運び屋であり、県民みずから努力して得た財貨でつくる福祉がよりぬくもりがあるというものではないでしょうか。
 そこでお伺いいたします。
 1つ、知事は、沖縄の産業経済の体質、構造についてどのように認識されているのか、どこに弱点があるとお考えか、その是正策をどうお考えか、お伺いいたします。
 2つ、物づくりに進展が見られたいというのは、大田県政がこの分野に消極的で、かつ具体策がないからだと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
 もし、そうでないとすれば、具体的にどういう施策の展開があるのか、不足があるとすればそれは何か、伺いたいと思います。
 知事は、これまで県内の産業視察をされたことがございますか。されたのであれば、どの産業分野あるいはどの工場をごらんになったのか、ないとすればなぜか、お伺いいたします。
 4つ、県には工業、農業、水産、林業、畜産の各試験場がございます。知事は、これら試験研究機関を訪ねられたことがありますか。ないとすればどうしてでしょうか。
 また、試験場の重要性をどのようにお考えであるか、お伺いいたします。
 5つ、農家人口の高齢化などによってサトウキビ生産が低下し、製糖工場の合併統合が課題となっております。沖縄本島での合併統合はどのように進むのか、どういう問題が生じるのか、宮古島ではどうなっているか、お伺いいたします。
 6つ、農協の合併統合も進められているようでございます。地域の農家や営農にどのような影響が出てくるか、お伺いいたします。
 7つ、県のリゾート計画はどの程度進展しておりますか、お伺いいたします。
 また九州は、北九州のスペースワールド、福岡のドーム、長崎のハウステンボス、オランダ村、さらに宮崎のシーガイアと大きな展開を見せております。将来、これらの影響はないのかどうか、お伺いいたします。
 次に、人材育成についてお伺いいたします。
 県づくりは人材育成が基本であることは御承知のとおりでございます。そのことが意図する方向に進んでいるのか、検討すべき課題であると思います。県も財団をつくり、多くの支援策を推進しておりますが、その成果はどうなっているのか、定かに把握できません。
 育成の対象となる分野も多岐にわたることから、一定の基準あるいは沖縄が所要する人材の分野は何か、望まれる社会像をもっと対処しなければ、育成そのものが散漫に陥りかねないと、このように思うのであります。
 さきに述べた産業の振興も、担い手となる人材の育成が伴わなければおぼつきません。水産業、畜産業、園芸、果樹にしても、特に新しい試みをするに当たっては、人材がいるかいないかが事の成否を左右するわけでございます。
 ともかく、人材育成の面でも都道府県間競争の時代でございます。県によっては人材、技術者の招致を積極的に行っていることも見習うべきであります。
 人材は一朝一夕にして育つものではございません。我が県の振興課題を考えるとき、「平和の礎」の建設費は思い切った人材育成費に投入すべきではないかと思います。不要とは申しませんが、人材育成に比べて不急だと思うからでございます。
 そこでお伺いいたしますが、1つ、人材の育成施策において西銘前県政と大田県政のどこが違うのか、その相違点を示してください。
 また、大田知事が特に力点を置いている育成分野があればそれは何か、お伺いいたします。
 2つ、これまでどの専門分野留学生を海外に送り出したのか、あるいは帰国後はどの分野で活躍しているのか、お伺いいたします。
 また、外国から受け入れた留学生の沖縄留学の効果をどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと存じます。
 3つ、大田知事は巨額の奨学金をつくり、語学にしろ技術分野にしろ、人材育成に集中して徹底的に資金を投入するお考えはございませんか、お伺いいたします。
 次に、教育問題でございますが、またまた痛ましい事件が起こりました。中学生集団暴行致死事件でございます。石垣島でも同様の事件が起きているだけに、県民にとってまたもって大きなショックでございまして、なぜこのようた事件が再発するのか、各学校ともこのような事件が起こる可能性を持っているという現場教師の話を聞くことがよくございます。
 学校の乱れ、子供たちの社会に何が起きているのか、その実態を明らかにして防止策を確立し、着実に実施することが急務と考えるのであります。事態は本当に深刻であります。社会と家庭と学校が協力してという言葉だけで申し合わせの段階ではなく、学校の健全化を図るため、実効ある施策は何か、関係者は今、知恵を絞るべきであります。
 教育庁では、既に、学校長や教師全員による生活指導の強化、あるいはまたPTAや関係団体との連携、小学校時代からの問題行動のチェック、全小中校のカルテを作成し問題行動の指導、特性、個性が発揮できる学校づくり、こういうことを対策として提示しておりますが、冷静に考えてみますと、これらの項目はむしろ日常的に現場で実践されるべきことではないかと思うわけでございます。
 非行の背景にあるのは、学習意欲を失い、勉強に興味を持たなくなること、昔と違い教師が子供たちの相談相手になっていないことだと考えるのであります。前者によって希望と夢を持つことができず、後者によって疎外感を増幅させ、両者が相まって非行を助長しているのではないか、こういうふうに思うわけでございます。特に教師が子供に対し、親身になっているかどうか疑問に思うわけであります。

 そこで知事にお伺いいたします。
 1つ、大田知事は、この事件についてどのような感想をお持ちか、まずお聞きいたします。
 2つ、このたぐいの事件が起きるとき、社会が悪い、家庭環境に問題があるなど、背景の一部を指摘しますが、学校自体、特に教師の姿勢に問題はないのか、知事の見解をお伺いいたします。
 3つ、教師は、学内問題、子供たち個々の悩みについて、政治問題を討議するほどに論議し、対応していないのではないか、知事の考えをお伺いいたします。
 4つ、非行問題に対応するためには、全県民的な組織活動が必要だと考えております。知事はどのようにお考えであるか、お聞かせください。
 次に、交通問題についてお尋ねいたします。
 交通事故、そして死亡事故がふえていることは、全くゆゆしい問題でございます。特に前途ある若者の死亡が多いことは、県民にとっても大きな損失であり、何としても防止策を講じなければならないと思うのであります。
 事故の多くが深夜に起きていることを考えますと、夜型社会のあり方、遊技場やカラオケボックスの営業時間のあり方など社会的に一定の規範が必要なのではないか、生活の型もしくはモラルの形成が求められているように考えるのであります。
 そこでお伺いいたします。
 1つ、交通事故の総合的防止策は確立されているのかどうか。
 2つ、飲酒など事故と関係の深い風俗営業の営業時間の制限はどうなっているのか、制限があるとすればそれを厳守させる方法をお考えでありますか。
 3つ、暴走族の組織的取り締まりによって大きな効果が上がっているようでございますが、今後、根絶を目指してどう対処なされるのか、お伺いいたします。
 4つ、事故者を救うために救急救命士はどのような活躍をしておりますか、実情を説明してください。
 次に、環境問題についてお伺いいたします。
 環境問題は、地球規模で大きくクローズアップされてまいりました。我が県は島嶼県であるだけに、開発との適切なバランスに配慮することが重視されなければなりません。
 そこでお伺いいたします。
 県内において、産業廃棄物と生活廃棄物の年間発生割合はどのようになっておりますか、またその処理方法はどうか、御説明をお願いいたします。
 米軍地域から発生する生活廃棄物は、軍用地内に埋めて処分していると聞いておりますが、事実かどうか、お伺いいたします。
 また、軍用地内で処分するところがなくなって、最近では民間地域での処分場所を求めていると聞いております。それも事実であるかどうか、お伺いいたします。
 4つ目、民間業者が沖縄市の委託を受けまして、一般廃棄物の最終処理場を石川市に建設中でございます。適切な指導のもとに進められているのかどうか、お伺いいたします。
 5つ、この建設に対し、核物質も処分されるとして地域住民からの反対の署名運動があると聞いておりますが、それも事実かどうか、お伺いいたします。
 6つ、建設される処分場は、もともと採石場であります。当初、採石を開始した時期が昭和43年ごろでございます。その当時、採石場として許可をした当時の石川市長はどなたでありますか。また、何年にその採石場を、石を取っていいという許可がなされたのか、お伺いいたします。
 7つ目でございますが、沖縄から奄美諸島にかけましてキノボリトカゲこれはサキシマキノボリトカゲとも言っているようです、先島においてはが分布しております。本島中北部のこのキノボリトカゲが乱獲されて激減しているようであります。
 聞くところによりますと、業者がそれを捕獲いたしまして、本土のデパートでペットとして売られているようでございます。この調子だとこのトカゲが絶滅するのではないかと心配をするものでありますが、その対策を講ずべきではないか、見解をお伺いいたします。
 次に、3次振計の実施計画についてお伺いします。
 知事は、3次振計の決定後に具体的な事業を含む実施計画をつくるとの答弁をされております。3次振計は政府が策定するという性格上、具体的な事業展開についてはまだ明示されておりません。しかし、県内の各圏域、市町村、離島は、それぞれの関係する地域にどのような事業が展開される予定なのか、それぞれ高い関心を持っているのは当然でございます。
 また、一定スパンを展望した所要プロジェクトの洗い出し、3次振計との整合性を見つつ事業計画を常に保持していることは、行政としては当然の業務でございます。年度ごとの国庫要請に対応するためにも重要な作業でございます。
 そこでお伺いいたしますが、3次振計の実施計画づくりはどのように進んでおりますか、お伺いいたします。
 最後に、知事の平和観でございますが、私は、平和という言葉を重く、そして深く受けとめております。つまり責任を覚えるのであります。単なる願いではなく、平和づくりにどのようにかかわれるかという自分自身に問う姿勢を持っているつもりでありますが、それだけにあたかも一部の人々の信念であるかのように平和という言葉を安易に乱発する知事の言動がよく理解できません。
 平和は願うのみでなく、戦争になる原因を生まないような努力、つまり地域や国家間において、相反する利害がそれぞれの存亡にかかわることのないよう日ごろの交流による理解を深め、協調と共栄の関係を持続される努力が平和づくりの基本だと考えております。
 しかし、知事の姿勢は、こうした平和づくりの視点に欠け、知事の言われる平和は単なる言葉の遊びに聞こえるのであります。戦争は相手があって起こるものでございます。その相手をつくらないためにも一地域平和主義ではなく、より広がりのある理念を持って対応すべきではないかと考えるのであります。
 そこでお伺いいたします。
 1つ、沖縄が平和でなくなる状況が来るとすれば、近隣諸国とどういう状態になったときだとお考えか、お伺いいたします。
 通告にはございませんが、平和についてあと一つ。この東南アジアにおきまして、特に5月29日、北朝鮮が射程距離1000キロの、日本本土をすっぽりと射程内におさめる「ノドン1号」の発射実験に成功いたしました。その成功をもとに、このノドン1号は、射程1300キロまで開発可能であると言われております。これを中東・イランの方に今売る動きがございます。それこそイスラエルがすっぽりと射程内に入る距離でございます、イランから。
 近年、この数年、世界の武器取引といいますか、これは15%から20%減っているようでございますが、ただ、ソ連におけるあの空母ミンスクのインドや中国に対する売却、あるいは北朝鮮のこのスカッド・ミサイルノドン1号、この輸出計画、これについて南沙諸島を中心とした東南アジア、まさに波高しでございます。この件について知事はどう考えているか、お聞かせいただきます。
 次に、平和推進室は具体的にどういう業務があるのか、その業務は県の課題の中でどういう優先順位にあるのか、お答えいただきたいと思います。
 「平和の礎」をつくると言っておりますが、その費用は関係諸外国からも募るべきではないか、こういうふうに考えますが、いかがでございましょう。
 以上でございます。
 余った時間は、また再質問にしたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
  〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 高江洲義政議員の御質問にお答えいたします。
 まず、補正予算案との関連で、県内景気の現状をどう判断するかと、観光客はふえているが、その他の景気指標はよくないと考えるが知事の見解はどうかという趣旨の御質問でございます。
 最近の本県の景気指標を見ますと、観光関連では入域客が4月、5月と堅調に推移しており、また消費者物価が比較的安定している中で、消費部門では百貨店の売上高は減少しているものの、家計消費支出やスーパー売上高は堅調に推移していると聞いております。
 投資部門では、新設住宅着工が低迷しておりますけれども、公共工事は大幅に伸びており、さらに生産面でも鑛工業生産が石油製品、鉄鋼等の伸びに支えられて回復の傾向にあります。

 雇用失業情勢は依然厳しい状況にありますが、完全失業率は3月の4.8%から5月には3.9%に落ちております。
 このように、県内の景況は総体として回復の方向にあるものと考えております。
 補正予算案との関連で、補正の内容は土木事業を中心とした従来の域を出ていないが、6月補正の意図が反映されているかという御質問と、新社会資本の整備の関係はどのように反映されているかという御質問に一括してお答えいたします。
 今回の6月補正予算の編成に当たっては、平成5年4月に経済対策閣僚会議において決定された総合的な経済対策の推進についての趣旨、また平成5年5月発表の沖縄県の景気対策及び県経済の動向等を踏まえ、6月補正予算においては国庫補助事業を中心に編成することとし、単独事業等については9月補正予算で措置することとしております。
 また、新社会資本の整備の関係では、高校産業教育設備で教育用コンピューター等の情報機器の整備費として1億3000万円を計上しております。
 次に、今度の補正では中小企業の借り入れに対し、金利の安い借り入れに切りかえる支援策もあると聞いているが県の場合はどうなっているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御質問で、金利の安い借り入れに切りかえる支援策とありますが、この制度は、沖縄振興開発金融公庫に既往の残高を有し、その元利返済に困難を来している赤字中小企業者に対して、中小企業及び生業資金をもって金利5.1%で元利返済金を緊急に融資するもので、沖縄振興開発金融公庫が取り扱うこととなっております。平成5年度の予算額は629億円となっており、当面、中小企業の資金需要に対応できるものと考えております。
 県としましては、この制度が円滑に活用され、中小企業者の債務返済の負担が軽減されるよう啓蒙普及を図っていきたいと考えております。
 同じく補正予算案との関連で、新卒の若者の就職について今後どうなると考えるかと、また、雇用対策について伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 全国的に景気が低迷する中で、有効求人倍率が前年を下回るなど塵用面では依然として厳しい状況が続いております。したがいまして、県としましては引き続き景気の推移を注意深く見守りながら、新規学卒者の就職に対する適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
 このようなことから、雇用対策については求人を確保するために県首脳による県内求人開拓、県幹部による県外求人の確保及び就職者の職場定着指導を強化してまいります。
 さらに、新規学卒者に対する進路指導を充実するとともに、学卒就職情報システムによる雇用情報の充実、県内産業事情の説明会、県内合同選考会の積極的な実施などによって若者の就職促進に努めてまいりたいと考えております。
 同じく補正予算案との関連で、農業や水産業への若者の回帰を進めることはできないのかと、離島への居住促進はできないものか、知事の秘策を伺いたいという御質問にお答えいたします。
 本県の農業、水産業の振興を図る上ですぐれた後継者の育成確保は重要な課題と考えております。そのためには魅力ある農業、水産業を振興する必要があり、農業においては高品質化及び省力化を目指した施設化、機械化等を推進するとともに、水産業にあっては生産性の高いつくり育てる漁業を推進しているところであります。
 農業の後継者対策としては、農業大学校や農業改良普及所における各種の研修を実施するとともに、平成5年度には沖縄県青年農業者育成基本方針を策定し、円滑な就農条件の整備に努めてまいります。
 漁業の後継者対策としては、技術交流会、青壮年のリーダー研修会、漁業士制度の活用等を通じて漁業指導者の育成と後継者の確保に努めているところであります。
 また、離島地域における定住対策を促進するために、生産基盤及び生活環境等の整備に努めてまいりたいと考えております。
 同じく補正予算案との関連で、来年度の国庫要請はどのような内容になりそうかと、大筋を説明願いたいという御質問にお答えいたします。
 平成6年度の国庫支出金の要請については、第3次沖縄振興開発計画を基本に国庫要請を行う考えであります。このため、現在策定中の平成6年度重点施策及び県の推進計画に基づいて、平和で活力に満ち潤いのある沖縄県の実現を目指し、引き続き各面にわたる格差の是正と自立的発展の基礎条件を整備するとともに、広く我が国の経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域としての整備を積極的に進める必要があります。
 このことから、1つには沖縄振興開発事業費の額の確保、2つ目には継続プロジェクト事業の着実な推進、3つ目には新たなプロジェクト事業の芽出し、4つ目には国直轄事業の推進、5つ目には生活関連重点化枠の確保等を中心にして、本県の振興開発のための所要の措置が講じられるよう国に要請すべく、目下、関係各省庁と調整を進めているところであります。
 次に、同じく補正予算案との関連で、執行率の問題について、多くの公共事業費をつぎ込んで執行できるのかと、対応と見通しを聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 公共事業の執行率につきましては、年々改善されてきておりますが、用地取得の困難等の原因で多額の繰越額が毎年生じている状況であり、執行率の改善は重要な課題となっております。
 このことから、平成5年度は執行体制の強化を図るために、1、組織改正によって土木建築部に事業管理監、農林水産部に検査指導監等の新設、組織の再編強化を図ったこと、2つには、全庁的な施行管理を総務部で実施する体制を整えたことなどの新たな措置を講じてきたところであります。
 また、従来、予算執行上のネックとなっております用地の確保につきましては、1、土地開発公社の組織体制の強化、2、公共用地の先行取得の推進、3、設計・施工監理業務及び用地取得業務の外部への委託等の対策を当初予算で措置しております。したがって、今回の補正につきましても、執行については万全を期して対処してまいりたいと考えております。
 次に、基地問題との関連で、アンケート調査の結果、返還を望まない地主が多いことについて素直な感想をお聞きしたい、またその理由についてどのような見解を持っているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 アンケート調査の結果、地域によって差異はありますが、返還を望まない地主は45%となっております。その地主の方々の59%が60歳以上の高齢者で占められ、しかも62%が無職となっており、さらに生活費の中で軍用地料に依存する割合が高く、生活上の不安があるためと思われます。
 したがって、今後、基地を整理縮小し、跡地の有効利用を図るためには軍転特措法など制度的な措置を確立し、地主の不安を解消することが重要であると考えております。
 それから、同じく基地問題との関連で、アンケート調査の結果をどのように生かす考えかと、知事の姿勢も変わるのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 ただいま申し上げましたように、多くの地主は高齢化し、しかも無職の状態で生活の大半を軍用地料に依存しているというアンケート調査結果が出ております。
 したがって、基地の返還と跡地利用を推進するためには、これらの地主の不安を解消することが不可欠でありますので、軍転特措法の制度化を促進していきたいと思っております。
 また、多くの地主が返還前に跡地利用計画をつくることが必要だと考えており、今後、県の跡地利用基本計画を指針とする市町村等跡地利用計画の策定を促進してまいりたいと考えております。
 次に、県がつくった跡地利用計画について、地主は強く反対している、この計画を知事はどうするのかと、廃棄し、つくり直すのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県は、ことしの3月30日、地主会、県議会、市町村の代表等各分野の委員で構成する沖縄県軍用地転用対策審議会の答申に基づいて、市町村等の跡地利用計画の策定に資するため沖縄県駐留軍用地跡地利用基本計画を策定したところであります。
 同基本計画は、市町村で策定される跡地利用計画の指針であり、今後、地元において具体的な跡地利用計画を策定するに当たっては、市町村と地権者等の方々が御相談の上、土地利用区分の変更も可能であります。

 現在、県では、各市町村ごとの地主の皆さん方に説明会を実施しておりますので、その成果を期待しているところであります。
 次に、軍転特措法県案要綱は、窓口省庁が決まらないのはなぜかと、また今後どういう努力をするのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 軍転特措法県案要綱の内容は、駐留軍用地の返還の問題、また跡地の利用促進の問題、地主の損失補償の問題等多岐にわたっているために、取り扱い窓口が特定されていない状況下にあります。しかし、今後とも県民世論を背景に県出身の国会議員の先生方とも連携を図りながら、粘り強く関係省庁に対し、制度化に向けて要請を積極的に続けてまいりたいと考えております。
 次に、市町村の計画能力、事業の推進力を考えると県案は実効力に欠けるとの指摘があるが、知事はどのように考えるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 市町村は、これまでもハンビー飛行場跡地、天願通信所跡地、小禄金城地区の跡地利用に見られるように、軍用地跡地利用の実績を積んでおります。
 また、天久地区の大規模な都市開発事業に見られるように、市町村、県、整備公団が共同で推進する方法もあり、県案は実効性があるものと考えております。
 それから、野党4党が共同提案していた軍転特措法についてどのような見解を持っていたのか伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 廃案となった軍転特措法の野党共同案は、政党の立場から国会に提案されたものでありまして、その中身につきましては見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、県案は、必ずしも野党提案の中身と同一ではございませんでしたので、そのことについては機会あるごとに政党レベルの方々にも御説明をさせていただいたところであります。
 それから、同じく基地問題で、私有財産を知事が勝手に借り手に返せということが個人の立場から考えて許されることか否か、もし地主が知事を訴えるようなことが起これば知事はどうするかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 基地の返還と跡地利用につきましては、関係市町村及び地主等の意向、意見等を尊重することが大切であることは申し上げるまでもございません。
 県としましては、軍用地等の所在する31市町村とで沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会、すなわち軍転協を組織し、緊密な連携を図りながら、本県の振興開発上どうしても必要な公共性の高い場所に位置する施設・区域の早期返還に向けて鋭意取り組んでいるところであります。
 また、県が去る3月に実施した軍用地の転用に係る地主の意向調査の結果では、軍用地からの収入に依存している方々もおり、返還に対して不安を感じている側面もあることは、ただいま申し上げたように十分に承知しているところであります。
 そのため、県は現在国に対し、返還のあり方、地主の損失補償、跡地の有効利用のための行財政上の支援措置を盛り込んだ軍転特措法の制定を要請しているほか、関係市町村の跡地利用計画の策定作業を支援しており、地主の方々に不利益がないよう施策を進めているところであります。
 次に、基地問題との関連で、ワシントンに行って、どの分野の、どういう肩書を持った、どの程度の責任ある人に会ったかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 要請のためにお会いできた方々は、政府関係者ではペンドレー国防総省次官補代理、ハバード国務省次官補代理及びクリストフ国家安全保障会議アジア・太平洋担当部長並びに大統領の諮問機関である基地閉鎖・再編委員会のクーター委員長に会い、基地問題の現状を訴え、その解決を要請しました。
 そのほか、連邦議員関係では、連邦議会の委員会が開催されている中、極めて多忙な時期にもかかわらず、上院のロブ東アジア太平洋小委員長、イノウエ国防費小委員長、アカカ議員、下院においては、アッカーマン東アジア太平洋小委員長、ミンク議員、アバークロンビー軍事委員、アンダーウッド・グアム代議員の方々にお会いしました。
 また、軍事関係者では、エラート海兵隊司令部参謀次長、スタックポール太平洋艦隊付海兵隊司令官、ボート海軍少将この方は太平洋軍戦略企画部長でありますが―等々にお会いしました。
 そのほか、マンスフィールド前駐日大使、それからグアムのアダ知事ら、さらには在米日本大使館の大使を初め、各地域の総領事の方々にもお会いいたしました。
 次に、知事の次の要請事項について、どういう返事があったのかと、返還できると言ったか困難と言ったのか伺いたいと、那覇港湾施設について、普天間飛行場について、読谷補助飛行場について、奥間レストセンターについて、キャンプ・ハンセンについて。
 今回の訪米による基地問題の要請に当たっては、政府関係要路、連邦議員、軍関係者等に対し、これまでの要請の経緯を踏まえ、御質問の5つの施設・区域を重点的に取り上げ、返還を強く要請いたしました。
 これに対し、国務省、国防総省の高官は、沖縄における米軍駐留の重要性を説きつつも、県の訴えに真剣に耳を傾け、日本政府との協議機関を通して可能な限り基地問題の解決に協力していく旨の発言をされました。
 また、スタックポール中将は、基地の返還について、那覇港湾施設、読谷補助飛行場の返還を優先して考えていきたいと発言していました。
 改めて申し上げるまでもありませんが、基地問題の解決は、一朝一夕にしてできるものではありません。今後とも粘り強く日米両国政府に対し、訴え続けていくことが重要だと考えております。
 それから、基地問題との関連で、ワシントンポストに意見広告を出したようだが、出すなら、むしろ日本の全国紙に出すべきではないのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 新聞広告につきましては、訪米し、要請する傍ら、アメリカ国民に対して、沖縄の基地問題を理解してもらうために要請活動との相乗効果を期待し、ワシントンポスト紙に広告を掲載しました。5月25日に同紙に掲載された広告内容は、要請先の多くの政府高官、連邦議員等から、新聞を読んだとの話が持ち出されたほか、5月26日には、日本国内5大紙すべてに紹介されるなど相当な反響が感じられました。
 また、この新聞広告を見たドイツのテレビ会社からの取材も受けましたし、帰国後も、この広告に対し、米国市民や政府官僚、あるいは軍事サイドから手紙が来ております。
 御承知のように、この広告を契機にいたしまして、アメリカの有力なCNNが沖縄の基地問題を取り上げたことは、相当な反響を呼んでいると率直に考えております。
 次に、県内のマスコミ、関係市町村長、軍用地主会等が同行しなかった理由をどのように考えているかと、こうした知事の呼びかけに対する反応の悪さを訪米前にどう感じたか伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 私は、基地問題の解決につきましては、沖縄県民が一丸となって取り組むべき問題だと考えております。
 したがいまして、訪米に当たっては、可能な限り多くの団体で要請団を構成して基地問題の解決を要請すべく、基地の所在する市町村長や関係団体等にも働きかけました。
 しかしながら、いろいろな事情から必ずしも私たちの期待どおりの同行がかないませんでした。いろいろな事情と申しますのは、財政的な事情もありますし、また行政的な面で時間がつくれないというのもありますし、また先ほどお話がありましたように地主の反対する意向を考えて踏み切れないといった市町村長の方もおりましたし、そういった理由は必ずしも同一ではありませんけれども、しかし世論調査の結果を見ますと沖縄県民の約8割の方々が基地の整理縮小を望んでいるわけでございますので、行政の責任者としてはこうした県民世論を背景にして、できるだけ小異を捨ててこの基地問題の解決については一体となってやっていけないものかと常々考えているところでございます。
 それから、米国での要請について、帰国後、政府に報告したのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 今回の訪米の要請に当たりましては、積極的な御支援をいただきました日本政府の内閣官房長官、外務大臣、防衛庁長官等関係者の皆様に対しましては、訪米から帰った翌週の6月10日に知事公室長を派遣し、直接私の礼状を持参してもらってお礼を申し上げますとともに、訪米要請の概要について報告してもらいました。

 次に、産業振興との関連で、沖縄の産業経済の体質構造についてどのように認識しているのか、どこに弱点があるとお考えなのかと、その是正策をどう考えているのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 本県の産業構造は、他府県に比べて第3次産業の占める割合が高い反面、第2次産業、特に製造業の比率が全国平均の約4分の1程度と極端に低くなっております。
 一方、建設業は、全国平均に比べかなり高いという特色があります。
 また、製造業を初め本県の産業は、従業者の規模別構成比で見ますと、従業者の4人未満の企業が7割を占めているなど、総じて経営基盤が脆弱で、市場競争力が極めて弱い状況にあります。このため、各種の中小企業施策等を積極的に活用して組織化、設備の近代化、技術の高度化などを促進し、企業の体質を何とか強化していかなければならないと考えております。
 次に、産業振興との関連で、物づくりに進展が見られないのは、消極的で、かつ具体策がないからだと思うがどうかと、具体的にどういう施策の展開があるのかと、不足があるとすればそれは何かという趣旨の御質問にお答えいたします。
 本県経済の自立的発展を図るためには、産業の振興、とりわけ産業連関性が高く、高付加価値産業の製造業の活性化が緊要な課題となっております。
 県としましては、これまで製造業の育成強化を図るために近代化、高度化対策、金融対策、技術支援、人材育成等のほか、県産品の販路拡大を図るため県外物産展、産業まつりを開催するなど積極的に施策を展開してまいりました。その結果、石油製品を除く工業出荷額は、昭和63年の4077億円から平成3年の4701億円へと増加傾向にあります。
 今後の産業振興策として、成長ポテンシャルや産業連関が高い中核的な業種並びに先導的な役割を担う競争力のある中核企業を選定し、施策の重点的、集中的導入を図ることとしております。
 具体的には、平成5年度においてこれらの施策を展開するため、製造業データベースの構築を初めとして、トロピカルテクノパークの整備を推進するとともに、トロピカルテクノセンター、工業技術センターの設置を進める等中核的業務団地を整備していくこととしております。
 さらに、TQC活動の推進を図るため沖縄県TQCセンターを設置するほか、特に私が力を入れましたのは、県産品の販路拡大を総合的に行う株式会社沖縄県物産公社を設立したことでありまして、今後、この内容の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、同じく産業振興との関連で、知事はこれまで県内の産業視察をしたことがあるかと、したのであればどの産業分野、あるいは工場を見たのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 商工分野の産業視察につきましては、浦添市の西洲にある沖縄県卸商業団地及び自由貿易地域等の状況を視察いたしました。
 また、工芸産業分野におきましては、紅型工房、大宜味の芭蕉布、久米島の久米島紬、豊見城のウージ染め工房等、工芸産地等を視察いたしました。
 それから、知事は試験研究機関を訪ねたことがあるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 公設の試験研究機関は、生産振興のための技術開発、製品開発や技術援助を行うことによって1次、2次産業の発展に寄与するものと考えていますが、県内の試験研究機関の現状は、その陣容、施設とも十分とは言いがたい状況にあります。したがって今後は、これらの試験研究機関の体制を整備し、その効率化と高度化に努めていきたいと思いますが、これまでどこを訪問したかという御質問にお答えいたしますと、農業試験場とか、家畜衛生試験場、工業試験場、工芸指導所等の研究状況を見てまいりまして研究体制が非常に弱いとの実感を持っております。したがいまして、これからその研究体制の強化に、これまで以上に力を入れてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、産業振興との関係で、製糖工場の合併統合について、沖縄本島地域での合併統合はどのように進んでいるのか、どういう問題が生じるのかと、また宮古島ではどうなるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 沖縄本島地域においては、サトウキビの生産量が大きく減少しており、現在、生産振興に向けて鋭意取り組んでいるところであります。
 しかし、残念ながら大幅な増加は見込めない状況にあります。そのため、平成4年7月に製糖業者、農業団体、学識経験者等で構成する沖縄県糖業問題懇話会を設置し、製糖企業の合併合理化について協議、検討を重ねているところであります。
 合併合理化に関しましては、原料サトウキビの生産見通しや経営規模等を十分に考慮した上で総合的な検討が必要であり、基本的には1島1社が望ましいが、沖縄本島地域にあっては、原料規模がおおむね50万トンであり、工場能力や操業日数等から判断して2つの工場の配置が適正であると考えております。
 なお、合併の推進に当たりましては、資本系列の問題や資産評価、従業員処遇等の課題がありますので、糖業振興という大局的た観点から、関係者の合意形成が得られるように努めているところであります。
 また、宮古地域につきましては、沖縄本島地域の合併合理化の成果を踏まえた上、今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、同じく産業振興との関連で、農協の合併統合も進んでいるようだが、地域の農家や営農にどのような影響があるか伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県では、農協の体質を強化し、魅力ある農業、農村の育成を図る観点から、農業団体と連携を図りながら、現在51ある農協を8つの農協とする沖縄県広域農協合併構想を促進しているところであります。
 農協合併による地域農家や営農に対する影響といたしましては、購買、販売、人材確保、専門的な技術、営農指導体制等が強化されることによって中核農家、地域営農集団の育成、さらには生産性の高い農業の振興が大きく推進できるものと考えております。
 次に、県のリゾート計画はどの程度進展しているのかと、また九州は、北九州のスペースワールド、福岡のドーム、長崎のハウステンボス、オラソダ村、宮崎のシーガイアと大きな展開を見せているが、将来、これらの影響はないのかどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 沖縄トロピカルリゾート構想におきましては、宿泊施設やゴルフ場建設等を中心に46件の民間プロジェクトが計画されていますが、その進捗状況は、平成5年4月現在で、全部または一部が供用されているところが10件、工事中なのが7件、計画及び構想中なのが29件となっておりまして、おおむね順調に推移しているものと考えております。
 また、御指摘のように九州には、長崎のハウステンボス、宮崎のシーガイア等の大型施設が建設され、旅行業者がこれらの施設を組み合わせた商品を積極的に宣伝しており、一時的には本県への影響はあるものと考えております。
 しかし、本県は、亜熱帯海洋性の独特の自然景観や、近隣諸国との長い交流の歴史の中ではぐくまれた独自の伝統文化等すぐれた観光リゾート資源を有しております。したがいまして、これらの資源を活用したトロピカルリゾート構想を推進することによって、独自性と品質の高さを有する国際的規模のリゾート地の形成が図られることから、将来的には大きな影響はないものと考えております。
 次に、人材育成との関連で、人材の育成施策において西銘前県政と大田県政とどこが違うのかと、その相違点を示してほしいと、また大田知事が特に力点を置いている育成分野があればそれは何かという趣旨の御質問にお答えいたします。
 本県が自立的発展を目指し、活力ある県づくりを推進していくためには、人材の育成は極めて重要な課題であると認識しており、基本的には前県政のときと相違はないものと考えております。
 ただ、あえて申し上げますならば、この人材の育成は時代的な要請にもこたえるものでございますので、どちらかと申しますと、これまでのところ、例えば外国に行って経済を勉強するとか、政治を勉強するとか、あるいは言語学を勉強するとかという一般的な社会科学、自然科学の勉強が中心でしたけれども、私が今特に力を入れたいと思っておりますのは、来るべき21世紀に向けまして県が計画しているいろいろな施設、具体的に申しますと公文書館、博物館、美術館、あるいは平和祈念資料館等々の専門的な学芸員の養成といったものに力を入れていきたいと。

 それと、医療の高度化に伴いまして、従来の看護学校だけでは間に合いませんので、将来の看護短期大学の建設に向けまして看護婦の指導者の養成等明確な目的意識を持った人材の育成を図っていきたいと。
 もう少しつけ加えて申しますならば、例えば沖縄は3次振計におきまして国際交流の拠点づくりをうたっておりますので、同時通訳の養成とかといったものが非常に重要になってくると考えておりまして、現在、力を入れてそれらの人材の教育に当たっているところでございます。
 それから、これまでどの専門分野の留学生を海外に送り出したのか、帰国後はどの分野で活躍しているのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 海外への留学生の派遣は人材育成財団が行っていますが、昭和57年度の制度の創設以来平成4年度までに221名派遣しております。
 留学生の専門分野は、人文科学、社会科学、自然科学等多岐にわたっており、帰国後は県や市町村の行政分野、大学、高校、中学校の教育部門を初め、金融機関、報道機関、その他の民間企業において、それぞれの留学の成果を生かして活躍しているところでございます。
 それから、同じく人材育成との関連で、外国から受け入れた留学生の沖縄留学効果をどのように考えているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 本県では、昭和44年度に開始した海外移住者子弟留学生受け入れ事業を初め、昭和57年度に開始した海外留学生受け入れ事業、また昭和60年度に開始したボリビア移住者子弟農業留学生受け入れ事業を推進してきているところであります。
 これらの県費留学生は、琉球大学、県立農業大学校、県立芸術大学等において修学し、これまで合計221名が修了しております。
 留学生は、大学で修学する傍ら、地域社会との交流を通して沖縄の歴史や文化を学び、帰国後はそれぞれの国の振興発展に貢献するなど、それぞれの国の県人会等から高い評価を受けております。
 また、本県の民間大使に認証されるなど、それぞれの国と沖縄との交流のかけ橋となって活躍しており、受け入れの成果は十分に上がりつつあると認識いたしております。
 それから、同じく人材育成との関連で、知事は巨額の奨学金をつくり、語学にしろ、技術分野にしろ、人材育成に集中して徹底的に資金を投入する考えはないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 本県の振興開発を担う多様な人材を育成する観点から、人材育成財団では、奨学金の給貸付事業や研究員の国外派遣、語学センターにおける語学教育等の諸事業を推進しているところであります。今後とも、本県の振興開発に必要な各分野の人材を育成することは極めて重要なことでありますので、さらに人材育成財団の財政基盤を強化し、人材育成に努めたいと考えております。
 現在、人材育成交流財団でも、それから外国の留学生を受け入れる側の国際交流財団におきましても、積極的に募金活動を進めておりまして、御提言のようにできますと思い切った額の金をこの人材育成に注ぎたいわけでございますが、まだ原資が十分ではございませんので、これからも引き続き募金活動に力を入れまして、思い切った施策が講じられるように最大限に努めてまいりたいと考えております。
 それから次に、教育問題との関連で、中学生の集団暴行事件についてどのような感想を持っているかという御質問にお答えいたします。
 まず、今回の事件で亡くなられた慶田城君の御冥福を祈るとともに、御家族の皆様に対して心から哀悼の意を表するわけでございますが、大変残念な事件だと、行政の責任者としてもっと何とかできなかったかと反省するとともに、県民の皆様に対しておわびを申し上げたいような気持ちでございます。
 この種の事件の発生というものは単一の理由だけで起こるのでなくて、私が考えますところ、さまざまな理由が重なって起こるものと考えておりますが、しかし我々の努力が足りないという点については反省を込めて申し上げたいと。これから気を引き締めて、二度とこのようなことが起こらないように最大限に努めていかなくちゃならないとみずからに言い聞かすと同時に、部下職員に対してもお願いをしているところでございます。
 それから、この種の事件が起こると、社会が悪い、家庭環境に問題があるなど背景の一部を指摘するが、学校自体、特に教師の姿勢に問題はないのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 それぞれの学校におきましては、生徒指導体制のもとに全教職員が学校教育全体を通して積極的に生徒指導を行っていると伺っておりますけれども、先ほども申しましたようにいろいろな要因が重なり合ってこの種の事件が起こっているものと考えます。
 教師の自覚、努力というのは当然のことでございますが、それぞれの分野でいろいろと努力しているというふうに報告を受けておりますが、これまで以上に努力を重ねてまいりたいと考えております。
 それから、同じく暴行事件との関係で、教師は、学内問題、子供の個々の悩みについて政治問題を討議するほどに論議し、対応していないのではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 各学校においては、日常の学習指導と同時に、子供の悩みについても時間の許す限り相談活動または学年指導を行っていると理解しておりますが、ただいま申し上げましたように、今後はこれまで以上に努力を重ねていきたいと考えております。
 それから、同じく非行問題に対応するためには、全県民的な組織活動が必要だと考えるが知事はどう考えるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 青少年の健全育成につきましては、行政、関係機関及び地域住民が連携を密にして、全県民的な課題として取り組む必要があるのは御指摘のとおりでございます。
 県では、県、県教育委員会、県警察本部及び沖縄県青少年育成県民会議の共催によって、春、夏及び年末年始の青少年育成県民運動を展開するとともに、青少年を非行から守る県民大会を実施するなど、全県民的な活動を行っているところであります。
 また、青少年問題について、広く県民運動を展開し、次代を担う青少年の健全育成を図ることを目的に沖縄県青少年育成県民会議が設置されており、県は、同県民会議の事業に対して積極的に支援をしているところであります。今後とも、同県民会議の充実強化を図っていくとともに、市町村において同じ趣旨によって設立されている青少年育成市町村民会議の活性化を図って、これらの団体と連携を密にし、非行問題に積極的に対応していく考えであります。
 それから次に、交通問題との関連で、事故者を救うために、救急救命士はどのような活躍をしているのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 救急救命士制度の導入に当たっては、救急隊員の養成を初め、高規格救急車の整備及び医療機関との連携体制の整備など、解決すべき多くの課題があることから、現在、県下消防本部においては7名の有資格者は確保されておりますが、まだ運用開始には至っておりません。
 しかしながら、県としましては、救急救命士制度の重要性にかんがみて、同制度の早急な運用開始に向け市町村を指導しているところであります。
 次に、3次振計の実施計画との関連で、3次振計の実施計画づくりはどのように進んでいるかという御質問にお答えいたします。
 県においては、これまでの沖縄振興開発の成果と3次振計の基本方向を踏まえつつ、平和で活力に満ち潤いのある沖縄県づくりを進めるために県独自の推進計画の策定に取り組んでいるところであります。この計画は、平成4年度から平成8年度までの5カ年間に重点的に推進すべき主要施策事業を明らかにするとともに、県政の総合的、効率的な運営を図るための中期的な指針として、さらには主要施策事業の進行管理に資することを目的としております。
 その内容につきましては、各部門の主要施策事業の概要を中心に、現況、整備目標等を可能な限り表示するとともに、各圏域ごとの開発の基本方向に基づいた主要な施策事業を示すほか、主要なプロジェクトの紹介をしていきたいと考えております。なお、策定の時期につきましては、7月末をめどに鋭意作業を進めているところであります。

 次に、知事の平和観について、沖縄が平和でなくなる状況が来るとすれば、近隣諸国とどういう状態になっていると考えるか伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 沖縄が平和でなくなる状況が来るとすればというのは、どういうことを意味しておられるかよく存じません。恐らく戦争のような状態になった場合ということかと思いますが、私たちとしましては、万が一にもそういうことが起こらないように日ごろから近隣諸国との友好関係を深めていかなければならないと考えております。
 改めて申し上げるまでもなくて、本県は悲惨な戦争体験を持っておりますので、日ごろから沖縄をして平和の発信地として広くアピールしていくために、積極的に平和行政を展開しているところでございます。
 それから、スカッド・ミサイルのような、世界での武器の取引が15%から20%程度ふえていると、北朝鮮ですか、そこの方でもスカッド・ミサイルができたと聞くがどういうふうに考えるかという御趣旨ですが、この平和を守りたいという立場から、今世界が新たな平和状態を構築しようとして努力している状況下で、人を殺りくする武器を売り買いするということがふえているというのは、この上なく残念なことだと考えております。そういった意味で、どの国であれ、その殺人兵器を売り渡すということについては、私は全く納得できない、許しがたいことだと考えております。
 それから、平和推進課は具体的にどのような業務があるか、その業務は、県の課題の中でどういう優先順位にあると考えるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 ことし4月に発足した平和推進課では、1つには平和行政に関する施策の総合的企画、調整及び推進に関すること、2つには平和祈念資料館に関すること、3つには日本国憲法の普及に関することなど平和に関する各種の事業を行っております。
 具体的には、国際平和創造の杜構想の策定、「平和の礎」の建設及び沖縄平和祭の開催などに取り組んでおります。
 平和行政は、他の施策同様県政の重要な柱であり、今後とも県民の皆様の御協力をいただきながら積極的に推進していく考えでございます。
 次に、平和の礎をつくると言っているが、その費用は関係国からも募るべきではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 平和の礎は、国籍及び軍人、非軍人の区別なく、去る沖縄戦で亡くなったすべての方々の氏名を刻むこととしております。
 建設に当たりましては、県独自の事業として推進するものであり、ふるさとづくり事業に対する自治省の地域総合整備事業債を活用していく考えでありますが、これまでの経験から申しまして恐らく寄附する方も出てくると思いますが、そういう問題についてもどう対応すべきか綿密に検討して、もし受け入れが可能だとすれば、その善意については受け入れる方向でもって進めさせていきたいと考えております。
 お許しを得まして、そのほかの質問は関係部長から答弁させますので、御理解をいただくようお願いいたします。
○議長(儀間光男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 佐野智則君登壇〕
○警察本部長(佐野智則君) 高江洲議員の御質問にお答えいたします。
 議員御指摘のように、いわゆる夜型社会のあり方につきましては問題となるところもございまして、警察といたしましても今後対応すべき課題が多いものと考えております。
 まず、その交通事故の総合的防止対策ということでございますが、県内の交通事故の発生状況について申し上げますと、平成5年の上半期の発生件数1575件、うち死者が66件、67名、負傷者が1821名となっております。
 対前年比で申しますと、発生件数においては48件の減、負傷者は42件の減少となっておりますが、死者は逆に10人の増加となっているところであります。
 交通死亡事故の特徴といたしまして、御指摘のように、深夜の事故の多発のほかに、速度超過とか飲酒運転等のいわゆる交通三悪による事故、あるいは若年者の事故、国道での事故発生といったようなところが特徴的なものでございます。
 このようなことから、交通事故防止対策といたしまして、現在、事故多発路線及び時間帯を把握した交通三悪等の悪質、危険性の高い違反の取り締まり、信号無視、過積載、シートベルト非着用といったいわゆる新交通三悪の取り締まり、朝夕における街頭監視活動等を強力に推進しているところであります。
 また、御質問の中にもございました暴走族取締隊を中心とした暴走族対策も、週末の若年者による事故に対して効果を発揮しているところであります。
 現在、交通環境の整備といたしまして、交通信号機の新設改良、道路標識の大型化、高速走行抑止システム等の交通安全施設の整備充実を図るとともに、道路管理者と連携を密にした道路の改良等の申し入れを行い、整備の促進を図っているところであります。今後とも、これらの対策を強力に推進するとともに、関係機関、団体と連絡を密にした交通安全思想の普及高揚に努めてまいりたいと考えております。
 次に、風俗営業の営業時間の制限に関する御質問にお答えいたします。
 御承知のように、風俗営業の営業時間については、風営適化法、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律によりまして、午前0時から日の出時までの時間は営業できないこととなっております。
 しかしながら、深夜における酒類提供飲食店につきましては、営業時間の特段の制限は法律上ございません。
 警察といたしましては、深夜における風俗環境の保持を図るために、風俗営業の時間外営業についての指導取り締まりを強化しているところであります。
 深夜における酒類提供飲食店につきましては、届け出をさせて実態を把握し、無許可風俗営業にならないように指導するとともに、違反者に対する取り締まりを強化してまいりたいと考えております。
 風俗営業適正化法の目的が業者の自主的な健全化となっているところもございまして、主として指導警告等を行っているところでありますが、悪質違反につきましては検挙で臨み、昨年中の違反の検挙は94件となっております。また、行政処分は、昨年中47件行っております。
 ちなみに、平成4年中の飲酒による補導2072名、深夜徘回6168名の補導を行っております。
 なお、風俗営業の経営者等に対する遵法営業を図るための法令講習を昨年23回実施しております。
 警察といたしましては、今後とも深夜における風俗営業等の保持を図るための経営者に対する法令講習の積極的な推進、風俗営業等の多い場所における警らの強化、風俗営業等への立ち入りの強化などによりまして営業者が守るべき事項を徹底させ、善良の風俗と正常な風俗環境の保持及び少年の健全な育成に障害を及ぽす行為の防止を図るとともに、風俗営業等の健全化と業務の適正化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、暴走族に関する御質問についてお答えいたします。
 県内の暴走族は、主として週末の夜間に幹線道路や住宅街において3名ないし4名、あるいは7名ないし8名といった小グループで爆音的暴走行為を行っており、県民からの取り締まりの要望も強かったものでございます。
 御承知のように、このたびの組織の改編によりまして暴走族の取り締まりを集中的かつ継続的に実施できる機動力を備えた暴走族取締隊を新設いたしまして、取り締まりの徹底を図っているところであります。
 現在、暴走族取締隊を中心にいたしまして関係警察署とも連動させ、暴走行為の多発する週末や休日の夜間には、大量の警察官を動員して集中した取り締まりを実施し、暴走行為の封圧を図っているところであります。
 暴走族の取り締まりの効果につきましては、暴走行為の多発する週末等に集中して取り締まりを行った結果、大幅に減少の傾向にあり、地域住民等からも暴走行為が減ったという高い評価をいただいているところでございます。
 また、暴走行為を見に来ている少年等のいわゆる期待族につきましては、深夜徘回での補導等の措置を講じているところであります。
 しかしながら、暴走族は、毎年新陳代謝を繰り返しておりまして、暴走行為の形態や質も変化する傾向にあるところから、今後とも強力な取り締まりを継続するとともに、関係機関、団体、あるいは地域の方々の御協力を得まして、暴走族に対する個別指導、補導の強化、いわゆる期待族に対する街頭補導の強化、暴走族を許さない社会環境づくり等の諸対策も推進し、暴走族の根絶を図ってまいりたいと考えております。

○議長(儀間光男君) 環境保健部長。
  〔環境保健部長 砂川恵徹君登壇〕
○環境保健部長(砂川恵徹君) 高江洲議員の環境問題のうち、環境保健部所管の問題についてお答えをいたします。
 県内における産業廃棄物と生活廃棄物の年間発生割はどうなっているか、その処理方法はどうなっているかということでございますが、県内において昨年1年間に発生した産業廃棄物は約510万トンと推計され、また一般家庭から排出される一般廃棄物は約45万トンとなっており、その割合はほぼ10対1となっております。
 産業廃棄物であるコンクリート片等の建設廃材については、県が許可した最終処分場で処理され、家畜ふん尿、汚泥については有機肥料として有効利用されております。
 一方、一般廃棄物については、各市町村が計画的に収集、運搬し、焼却施設で焼却した後、処分しております。
 なお、本県で発生する産業廃棄物及び一般廃棄物は今後とも増加するものと予想され、その資源化、再利用を図り、減量化をさらに促進してまいります。
 次に、米軍から発生する生活廃棄物は、軍用地内に埋めて処分していると聞いていますが事実はどうか、軍用地内で処理するところがなくなり民間地域での処分場所を求めていると聞きますが事実はどうかという御質問ですが、一括してお答えいたします。
 米軍基地内から発生するごみについては、基地内に処理施設がないため民間処理業者への委託処理が行われております。
 県は、可燃物は可能な限り焼却し、減量化した後埋め立て処分することを基本方針としており、基地内にごみ処理施設を整備して処理するよう関係機関と調整してきたところであります。
 また、平成4年度の渉外関係知事連絡協議会の事務担当者会議においても、国に対して同趣旨の要望をいたしているところであります。今後とも、基地内のごみ処理施設の整備について国に働きかけていく所存であります。
 続きまして、民間業者が沖縄市の委託を受けて一般廃棄物の最終処分場を石川市に建設中であるが、適切な指導のもとに進められているかどうかという御質問です。
 県としては、廃棄物処理施設の設置に当たっては、関係法令の遵守はもとより、市町村及び地域住民等のコンセンサスを得るよう指導しているところであります。
 御質問の石川市東恩納の最終処分場の設置についても同様に指導し、地権者及び隣接住民のコンセンサスが得られたものとして許可したところであります。
 しかしながら、その後、説明を受けなかったとする住民からの反対意見の表明がなされております。県は、直ちに現場調査を実施し、業者に対して地域住民への説明会等を開催し、十分な理解を得てから工事を再開するよう指導したところであります。
 続きまして、石川市東恩納の最終処分場建設に対し核物質も処分されているとして反対の署名が集められていると聞きますが事実はどうかという御質問です。
 御質問の件については、去る6月24日に廃棄物処理施設建設に反対する住民から陳情を受けた際に提出された署名の文面には、その旨の記載はありません。
 なお、当該最終処分場は、各家庭から排出される一般廃棄物の焼却残渣のみ処分する施設であります。
 次に、キノボリトカゲが乱獲されて激減しているようです、本土のデパートでペットとして売られているようですが対策を講ずべきではないかという御質問です。
 奄美、沖縄諸島に分布するトカゲの一種である小動物ですが、キノボリトカゲは主として樹林地帯等に生息していますが、近年、都市地域における各種開発等による樹林地の減少によってキノボリトカゲの生息環境が狭くなっている現況にあります。
 質問のような乱獲、乱売が行われていることであれば、自然をとうとび、自然を愛し、自然に親しむことを理念とする自然保護思想の精神を損なうものであり、遣憾なことと考えます。今後、事実関係の確認等に努めていきたいと考えております。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 宮城常吉君登壇〕
○商工労働部長(宮城常吉君) 環境保護にかかわる問題で、建設される処分場はもともと採石場で、当初、採石場として許可された石川市長はどなたか、何年に許可されたのかという質問にお答えいたします。
 当該採石場は復帰前からのことで、当時は琉球政府の鉱業法が適用されておりましたが、その鉱業法の中で石灰岩は鉱物から除外されておりまして、したがって採掘の許可はなかったのでございますが、その採掘の実態は明らかでございませんが、土地所有者が採掘できたものと考えられます。
 復帰後は、現在の鉱業法が適用されまして石灰岩も鉱物の対象となったことから、当該地域は、昭和55年に総合事務局長名において鉱業権の許可が行われております。
 55年当時の石川市長は、平川崇氏でございます。
 なお、当該採石場は、現在は鉱業権は消滅していると、こういう報告を受けております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 高江洲義政君。
   〔高江洲義政君登壇〕
○高江洲義政君 再度お聞かせいただきます。
 県がつくった跡地利用計画についてでございますが、これを策定してから地主の猛反対に遭いまして、そしてその転用対策審議会で、地域ごとにその地主に説明会を開いているということでございますが、猛反対に遭ったためにこういう説明会を開いているのか。あるいは本来ならばこの説明会を開いて、地主、地権者との意思疎通も図りながら、同意を得てからこの転用計画をつくるべきではなかったかと、このように考えるわけですが、県のその進めた計画、策定した手順としては、間違いというより手順の方法にちょっと落ち度があったのではないかと、このように考えますが、いかがでございますか。
 それから、野党4党が共同提案したこの軍転特措法については、県案とは全く違うと政党関係者にも説明して歩いたという御説明を今いただきましたが、それはどういうわけで違うという、なぜそういう説明が必要でありますか。
 それから、知事が訪米されたときにいろんな方、ベンドレイ次官補代理とか、あるいはクーター委員長とか、あるいはアッカーマン、エラート、スタックポール、マンスフィールド、こういう方々の名前挙げておられましたが、私が聞いたのは、そういう方々は、その政府のいわゆるこの日米問題、あるいは沖縄の軍用地問題を解決する上にどの程度の地位にある方であるか、そして冒頭に聞きました、けさの新報にもございましたプロトコル・オーダー、この内容を知事は御承知でございますか。
 このオーダーの中には、外国の方々がお見えになるときはどの問題で、どういうことでいらっしゃるということのときは、そのオーダーに基づいて、この程度の人しか会えないという規定、内規みたいなものがあるわけです。それを訪米する前に知事は知らなかったのかどうか、これも含めてお伺いいたします。
 さらに、イノウエ上院議員ですか、沖縄に見えました。日米保安条約も容認すると、こういう発言をしております。それにつきまして当然イノウエさんは、日米安保を認めた上の沖縄の基地でございますから、ある意味では矩事と意見がすれ違いの面もあったと、こう思います。この点について知事の御所見を賜りたいと思います。
 それから、浦添で起きました痛ましい事件でございますが、知事のお言葉の中には、この慶田城君の冥福を祈る、残念なことである、さらに我々の教育面に対する努力が足りなかった、あるいは二度と起こらないようにさらなる努力が必要と思いますとこういう御答弁でございましたが、具体的にどういうことをしますという御答弁はとうとう聞かれなかったんですが、もう少し詳しく御答弁いただけませんか。
 それから、知事は、原稿に書いてない、大変失礼ですが私が言ったことは、この数年間、世界の軍事貿易は15%から20%減になったと言ったんですよ。こんな平和な世の中でふえる原因ありますか。
 知事は、ちょっと聞き違いだったと思うんですが、いわゆるただこの減になっている中で、旧ソ連や今の北朝鮮、経済的に大変混乱しております。特に、ソ連もこの経済破綻を、今のロシア、武器輸出によって経済のつなぎといいますか、やろうとしております。

 また、北朝鮮等においては、ちょうど第2次大戦の日本の国民の食事の摂取量が350グラムから600グラムだと言われている、1日。現在の北朝鮮で1日450グラムだそうです。経済破綻を来している。ところが、軍事費にどんどんつぎ込みまして、あのすごい、ノドン1号の発射実験に成功している、許しがたいことであるわけであります。
 この東南アジア、極東地域における大変厳しい軍事的状況、平和でない状況、沖縄を平和の発信地と知事はおっしゃるわけですが、去年ですか、ソ連にも行かれました。こういうことを諸外国にどういうふうに訴えてこられたか、これからまたどういうふうに訴えていきますか。世界に向けた平和の発信地、沖縄の県知事としてのお考えをまず聞いておきたいと思います。
 北朝鮮があの日本全域を射程におさめるノドン1号の発射実験をしたのは、どこに魂胆があるとお思いですか、御所見を賜ります。
○知事(大田昌秀君) 休憩お願いします。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後2時59分休憩
   午後3時  再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 大田知事。
  〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 軍用地の跡利用の計画を樹立する上での手順についての問題につきましては、お許しを得て担当の知事公室長から答弁させていただきたいと思います。
 なお、4政党が出した軍用地転用特措法と県案とはどこが違うかという問題につきましても、担当の公室長から答えさせていただきます。
 それから、アメリカヘ行く前に、だれに県知事が会えるかということは知らなかったのかという趣旨の御質問にお答えいたしますと、そういうことは存じております。
 しかしながら、といって、我々がそのプロトコルだけにこだわってやるということではなくて、機会があればいろんな方がお会いしていただけるものと考えておりますし、またあらゆるつてを通してそれが実現できるようにお願いもしてきたわけです。現実に、例えばイノウエ議員とかミンク議員とかハワイのワイヘエ知事とか、そういう方々が、大統領あてにぜひ会ってくれと、時間が許す限り会ってくれということで手紙も出しておりまして、また例えば参謀総長のパウエルさんなんか普通は会えない方ですけれども、その方から手紙が参りまして、議会の関係でお会いできませんけれども、決して会うのを拒否するというわけじゃございませんから御理解くださいという手紙もいただいておりますし、アスピン国防長官の方からも、議会やその他の日程、公務が詰まっていてお会いできませんので残念ですということで来ておりますので、そういった問題については、我々はできるだけ問題を解決するためには最高の責任者にお会いできたらいいと。しかし現実の行政のレベルにおきましては、最高の方が余り知らなくて担当官がよく存じているわけですから、先ほど御指摘の、例えぱスタックポールさんとかがどういう地位を持つかとか、エラートさんがどういう地位を持つかというのは、直接に沖縄の基地の問題について携わっている方々なんです。ベンドレイさんなんかにしましても。ですからそういう、じかに行政のレベルで問題を扱う方々の要人たちにお会いしたというわけでございます。
 それから、イノウエ議員は、日米安保条約について容認する発言をしたじゃないかと、したがって知事の考え方とは違うんじゃないかという趣旨の御発言がございましたけれども、確かにそのとおりでございます。アメリカ政府サイドや議会サイドとしては、公式には日米安保条約があるから厳しいですねということを言いますが、しかし、じかに会って話をするときには、その枠内ででも皆さんの希望がかなえられるように最大限に努力しますから、そこは御理解くださいと。きょうも実はイノウエ議員からお手紙をいただいたばかりですけれども、その中でも、この種の問題というのは繰り返し繰り返し双方が話し合いを重ねてい
って、そして最終的には双方の思惑が一致するところに持っていって解決したいという内容の手紙をいただいております。ですから、そういった意味ではいろんな障害がありましても、我々としては解決しなければならない問題である以上、全力を尽くして、あらゆる手を尽くしていろんな方にお会いして解決を図っていきたいという考えでございます。
○議長(儀間光男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 高山朝光君登壇〕
○知事公室長(高山朝光君) 高江洲議員の御質問の中で、跡利用計画の手順に間違いがあったのではないかという御質問でございますので、お答えを申し上げたいと思います。
 沖縄県の軍用地転用対策審議会の答申を得まして、沖縄県駐留軍用地跡地利用基本計画を策定したわけでございますけれども、これにつきましては約1年をかけまして市町村の担当の方々、それからこの審議会の方には地主の代表の方も入っておりますけれども、十分私どもとしては御意見を伺ったつもりでございます。
 ただ、計画を答申いただいて、最終的に決定いたしましてから、土地連合会の会長さんから、これは地主としてこういうことについては修正できませんかという要請を受けました。
 そういうことでいろいろ御事情を伺ってみますと、地域の地主の方々がよく理解してないというようなお話もございましたので、私の方で計画をいたしまして各地域、市町村ごとに地主さんへの説明会を設けようということで実施をしてまいりました。ですから私どもとしては、最大限努力してつくったつもりでございます。御理解をいただきたいと思います。
 それからもう1点は、知事が答弁いたしましたんですが、沖縄問題の、知事が訪米の際会った方々、そういう地位の方々でございますけれども、知事訪米につきましては、準備の段階から最大限これは基地問題に対応できる方々へお会いするということでいろんなチャンネルを通しました。そして特に今回、外務省に大変にお世話になりました。それからワシントンヘ行きましては、ワシントンの日本大使館に大変お世話になりまして、行政の方々の予約につきましては、ワシントンの日本大使館の方で取っていただくというような手配もしていただきました。
 そういうことで私どもとしては、最大限、いろんな角度、いろんなチャンネルを通してお願いをし、特に日本政府・ワシントン大使館にお世話になりましたことを御報告申し上げます。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 大変失礼いたしました。何点か抜けておりますので、改めてお答えさせていただきます。
 まず、知事はロシアなんかも行ったけれども、沖縄を平和の発信地とするという問題について一体どういうことを説明したかという趣旨の御質問だったかと思います。
 全国知事会議のメンバーとしてロシアヘ参ったわけでございますが、その全国知事会議のメンバーとロシア側のメンバーとが円卓会議みたいにしまして、そのときに私は発言をいたしまして、アメリカと旧ソ連との間、あるいはまたロシアとの間に核兵器の廃棄についての取り決めがなされたことは世界が歓迎しているところであると、しかし基地を抱えている沖縄の立場からいいますと通常の兵器というものもぜひ廃棄していただきたいと、そうすることを戦争体験した沖縄の私からはぜひお願いしたいということで発言してございます。
 それから、先ほどは失礼いたしました。その減少したというのをふえたというふうに考えたわけですが、一部の報道ではふえつつあるというのも読んだことがあるものですから、そういうことをしたわけですが、北朝鮮のスカッド・ミサイルについてどう考えるかということにつきましては、私は残念ながら北朝鮮の考え方がどういうものかというのは理解できませんので、お答えすることはできません。
 それから、浦添の事件につきまして具体的にどういう方策をとるかという、具体性がないじゃないかという趣旨の御質問だったと思いますが、先ほど申し上げましたようにこの種の事件というのはいろいろな要因が重なり合って出てくるように思うわけです。単一の要因だけではないと思うわけです。そして今伺いますところ、いろんな角度からその間題の根っこがどこにあるのかということを担当部局を初め、いろいろと調査しているところでございまして、その調査の内容というものがまだ私の方へ十分な報告がございませんので、それに対応するためにはそうした調査を踏まえて、行政として具体的に何がやれるかということを慎重に議論しながら対策を考えていくのが筋だというふうに私は理解しております。その意味で具体性のない答弁になったと思いますが、そこは御理解していただきたいと思います。

○議長(儀間光男君) 高江洲義政君。
   〔高江洲義政君登壇〕
○高江洲義政君 今、知事公室長に御答弁いただきましたが、跡地利用計画を県が策定いたしまして、困ったのは地主ですよ。いわゆるこの返還後は、この地域は農用地にするとか、地主に全く相談もなくてこういうことをやって、今度は地主連合会としては年々地料交渉をするわけです、国と。そのときに、何であんた方は、こっちは県は農用地にすると言っているのに宅地としての交渉を持ってくるかと、こういうふうなことで施設局も中に入って困る、地主会も交渉相手にこう言われて困る、これは県がつまらぬことをしたからですよ。これを指摘しておきたい。そういう話を、地主会から本当に憤慨しているということで聞いております。
 さらに、冒頭指摘しておきました知事の釈明がなかった、答弁態度に対する、これをひとつ釈明していただきたいと思います。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 答えるときの知事の答弁の仕方がまずいというおしかりを受けたわけでございますが、気づかずについ失礼しました。ここは神聖な議場でございますので、これは当然きちっとした対応をするのが私の考えでありますから、そこはつい無意識にどういう形になったかわかりませんけれども……。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後3時12分休憩
   午後3時35分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 宮城健一君。
   〔宮城健一君登壇〕
○宮城健一君 日本社会党・護憲共同県議団を代表いたしまして代表質問を行います。
 元気よくさわやかに、明るく、県勢発展のために応答を望むものでありますけれども、とは申し上げましても、これは、きのうの新聞記事でありますが、(資料を掲示) トップ記事に、石井仙台市長とゼネコン4社の1億円に上る贈収賄汚職で計9名が逮捕されたと報じています。
 ロッキード、リクルート、共和、佐川急便、皇民党褒め殺し、金丸巨額脱税、相次ぐ政治スキャンダルに国民が怒りを通り越してあきれ返っており、政治浄化ということが目下国政の最大課題になっているときに、またまたうみが噴き出してきたわけであります。このことは、中央政界にも波及する可能性があると報道されています。
 政治家と企業、特に建設業を中心としたこの種の癒着は、構造的汚職になっており、なかなか後を絶たないのでありますが、この事件が政界にも及ぼすというならば、検察当局も頑張っていただいて、出るべきうみは選挙前に早く出していただいて、それから投票をということになれば有権者も多少留飲を下げることができると思います。事件の徹底究明を求めるものであります。
 解散国会との関連でありますけれども、「国民の政治に対する不信感の高まりは、かつて例を見ない状況で誠に憂慮にたえない。英国ではかつて腐敗行為防止法の制定を転機に政界の浄化が進んだといわれ、わが国も抜本的な改革を断行する時期だ。先の国会で成立した緊急改革に引き続き抜本的な改革を推進することこそが国民の期待にこたえるゆえんである。」、「私は今日の後に今日なしとの覚悟で政治改革に取り組んでいく。」。
 以上は、1月22日に行われた126通常国会冒頭の宮沢総理による所信表明で政治改革にかかわる部分であります。
 先ほども述べましたように、リクルート、佐川急便事件、金丸前自民党副総裁の巨額脱税事件など相次ぐ政治腐敗に対して国民が政治不信の頂点に達しているとき、今日の後に今日なしという厳しい表現を用いて、政治腐敗防止と選挙制度改革の断行を国会の場で公言したのであります。
 ところで、結果はどうなったかということでありますが、御案内のとおり何もなすことができず、国民に対して明確なうそをつく結果となったのです。自民党所属の代議士でさえ、新聞報道にあるように、党執行部の姿勢は主権者たる国民に対する重大な背信行為であると痛烈な批判をして党を離れたのであります。まことにもってお粗末の限りであります。
 また、107時間に及ぶ審議を重ねながら、政治改革の意図を放棄した自民党、せっぱ詰まった場面での指導権も発揮できなかった優柔不断な宮沢総理の指導性のなさを見るとき、宮沢総理とその率いる自民党では、もはや国民の望む政治改革は不可能であることを見事に証明する政治ドラマでもありました。
 このような結果になれば、当然の償いとして、うそをついて申しわけありませんと国民に陳謝し、内閣総辞職をするのが妥当な道筋と思いますが、当の宮沢総理はうそではないと開き直っているのであります。やむを得ず我が党を中心とした野党は、協力して不信任案を提出し、それを成立させて解散をかち取ったのであります。
 今後は、7月18日の投票日に国民の審判を受けることになりますが、国民は必ずこの状況を見抜き、自民党に対して大きな批判票を投じてくれるものと期待しているところであります。
 次に、知事の訪米と基地問題についてであります。
 去る6月23日、平成5年沖縄全戦没者追悼式が内外からたくさんの来賓や関係者を集めて糸満市摩文仁において盛大に行われました。「平和は、人類普遍の願いであり、崇高な理想である。」から始まる格調高い平和宣言は、参会者の胸を打つものでありました。この宣言の文言は、最後に、「私たちは、この機会に自らの責務について思いを馳せ、日本国憲法の平和理念を順守し、強い決意をもってその困難た仕事を成し遂げ、沖縄をして文字どおり平和の発信地とすることを、こごに宣言する。」と結んでいます。
 ここに言う困難な仕事とは、文面の途中何項目かの指摘がありますが、私が察するに、その中で最も強く推進しなければならないのは、広大な軍事基地とその演習であると思います。どう見ても、軍事基地の75%が集中し、日常茶飯事のように行われる軍事演習と平和の発信地は、だれが見ても矛盾するものであります。
 さて、本県における軍事基地の存在は、何回も確認しているように、本県政にとって最大の障害物であり諸悪の根源であります。この諸悪の根源が本県に居座り続けて間もなく半世紀になろうとしています。
 歴代の知事を初め関係者は、常にこの基地問題には意を用い、縮小ないしは撤去する方向で努力し、大きなエネルギーをこの問題に注ぎ込んできたのであります。しかし解決されるどころか、本県における基地の機能はますます強化される傾向にあります。この問題に対しては、復帰時の約束事項や日米合意によって既に返還が約束されたものでも実現していないものが多く、日本政府の態度に対米交渉の弱さと不誠実さが多分に感じられるのであります。
 さて、反戦平和を基調とし、軍事基地の全面撤去を県政の最優先課題としてその解決に全力を挙げている大田知事は、県政を担当して以来2度目の訪米直訴を行いました。17日間にわたる精力的な対米折衝を終えて、多くの成果を上げて先日帰任いたしました。
 日米安保と不離一体のこの基地問題、その解決にはかなり困難さが伴い、即刻目に見える効果があらわれるものではありません。しかし、知事を初め訪米団の努力は、真の意味で基地のない平和な島を取り戻すという県民世論に大きく支えられており、その熱意は必ず近い将来実を結ぶものと確信し、期待をしているものであります。
 今回の訪米直訴の目的は、1つには、日米安保協議委員会及び1991年の日米合同委員会で返還が合意されながらまだ返還の進んでいない施設・区域の早期返還、2つ目には、自然破壊のすさまじい県道104号線を封鎖して行われる実弾射撃演習の廃止及び嘉手納飛行場周辺における飛行機爆音の軽減、3つ目には、米軍人の綱紀粛正の徹底の3項目を直接米国政府、連邦議会、議員等に訴えるためでありました。
 この成果についての新聞報道によると、米テレビCNNが世界に向かって報道したことを伝えています。また、連邦議会は支持しており、複数の有力議員が沖縄の基地を直接見たいという希望もあります。
 そこで質間は、1つ、折衝結果について大まかな報告を願いたい。

 2つ、折衝の効果についてその感触を聞かせてぐださい。
 3つ目、ハワイのスタックポール中将が言明したという104号線越えの実弾射撃演習を東富士に移せないか検討中という報道の詳細をお聞きしたい。
 4つ、基地問題に対する今後の決意を伺いたい。
 我が県土に広大な他国の軍事基地が存在することは当たり前ではありません。当たり前でないことが半世紀も続いているのであります。一刻も早く当たり前の姿に戻さなくてはならないし、仮に安保条約に基地提供が必要であるとすれば、平等に全国に分配すべきであります。
 なんじ、殺すことなかれ、なんじ、破壊することなかれ、なんじ、人権を踏みにじることなかれ、なんじ、民主主義に挑戦することなかれ、なんじ、平和を脅かすことなかれ。モーゼの十戒からでありますが、本県の軍事基地に当てはまるいい戒めではないかと思います。
 那覇空港についてであります。
 米軍の訓練空域との関係で、沖縄の空は危険度が高いと言われ、また自衛隊との共同使用のためかなり過密でニアミス等の発生も多いと言われています。したがって、従来から民間専用化の声が強いのであります。
 その上に、憲法上の問題だとされ、国会内外の大きな反対を押し切って強行されたPKOの中継基地として当空港が使用され、今後継続される可能性が強いのであります。
 この件については、タイムスの世論調査からも県民の6割が反対を表明しています。過密化による危険性の面からも、さらに軍事基地強化という立場からも、PKO基地は絶対に許されるべきものではないと思います。我が国の南の玄関という言葉の内容が軍事的な玄関になっては非常に困るわけであります。
 そこで質問は、民間専用化に対する県当局の考え方と、PKO基地化に対する考え方をお尋ねします。また、今後の対応策を聞かせてください。
 次に、総合経済対策についてであります。
 開会冒頭の知事提出議案説明の中にもありましたように、本定例議会における審議の中に大きなウエートを占めるのが国の総合経済対策として行う一般公共事業等の予算の追加補正であります。
 総額134億の追加を行うわけでありますが、国の財政支出に対して県当局も積極的に地方債の補正を行い、景気浮揚に対する強い意欲がうかがわれるのであります。
 バブル崩壊以後の我が国の経済は、不況のどん底に落ち込んだのでありますが、全国的には下降傾向に歯どめがかかり、上昇傾向に転じていると言われています。しかし、本県においては、景況の全国並みの落ち込みがなかったようでありますが、琉銀調査による5月の県内景況はまだ弱含みとの発表があります。
 そこで質問ですが、1、本県の景気状況はどうなっているか。
 2、今回の経済対策はどのような効果をもたらすと思うか。
 また、今後の景気対策をどうするのか、お伺いをいたします。
 次に、雇用問題についてであります。
 本県の振興開発計画の中で著しくおくれているものに失業率の問題があります。現在でも失業率4%台という高水準にあり、本土平均の2倍に当たります。特に若年労働者の失業率が極めて高い数字を示していることは憂慮すべき問題であります。
 その対策は、言い古されているように労働集約型の企業誘致が最も特効薬になります。しかし、諸般の条件から、企業誘致はかなり厳しい状況にあります。したがって、本土企業への就職が強力に推し進められなければなりません。
 県においては、県雇用基本計画と今年の年次雇用計画を発表してきめ細かい対応をしています。また、県の担当者と高校進路指導の教師がペアで就職先の企業を訪問して、激励しながら雇用依頼を行っております。
 Uターン現象が非常に多くて定着しないことも関係者の悩みの一つと聞いています。雇用問題の進展のため、当局の格段の努力をお願いするものであります。
 質間は、雇用問題に対する県の対応策を聞かせてください。
 教育問題についてであります。
 前教育長の津留氏は、教育現場の経験も豊かな人格者でありました。嘉陽現教育長も、この点では同じだと思います。私は、教育行政の衝にある人、現場の経験が豊富か否かによって見識にかなりの差が出てくると思います。
 そのような見地から、嘉陽教育長におかれては、今後、本県教育行政の最高責任者として豊富な経験を遣憾なく発揮していただいて、教育の健全な発展のために御尽力を願いたいと思います。
 そこで1点目にお聞きしたいことは、教職員組合、すなわち沖教組、高教組に対する評価についてであります。
 津留前教育長は、この件については口ぐせのようによい組合員はよい教師であれとおっしゃっていました。
 嘉陽教育長は、就任のときの新聞のインタビューに答えて、何でも対立するというわけではなく、一緒にやっていけるものは協力して進めたいと語っておられます。私は、その発言を評価しております。
 何といっても、学校教育の効果を上げるには、直接生徒に接している現場の教師の動向にかかっていることは申すまでもないし、その現場の教師を集めて組織したのが教職員組合であります。一部非組合員もおるけれども、大部分は組合員であります。その教師集団を大切にして、聞けるところは十分聞いてやるというその態度が教育行政と現場教師との信頼関係を確立し、子供の教育にも好影響を与えるものと思います。
 質問は、教職員組合への評価を伺いたい。
 2点目に、中学生の集団による暴行致死事件についてお伺いをいたします。
 当浦添市においては、高校生による傷害致死事件が発生したのもまだ記憶に新しいところであります。また石垣中においても同様の事件がありました。
 このように、青少年による暴力行為がとうとい生命を奪っていくという現実は、まことに憂慮にたえないのであります。しかし私は、それらの現象面のみをとらえてこの問題を追及しようとは思いません。また、当該校や教育関係者だけの責任とも思いません。
 先ほど、知事の答弁にもこの種の質問に対してありましたけれども、まさに社会全体が責任を持たなければならない問題と思います。
 質問は、事件の概要を説明し、その措置並びに今後の対策について見解を伺います。
 同じような質問を警察本部長にもお願いしたいと思います。
 3点目に、近年になって学校教育の中にいろいろな制度が持ち込まれ、大きた変化がありました。中には県独自のものと、文部省から押しつけられたものがあると思います。そのうち幾つかについては、教職員組合を中心とした教育関係者と県教育長との激しい論争を巻き起こしながら決着を見たのもあります。
 幾つか例示してみると、開邦高校の設置、いわゆる通学区制の変更問題、主任制導入、初任者研修、管理職登用試験、広域人事異動など、そのほとんどが保守県政12年の間に導入されたものであります。賛否両論が渦巻く中で取り入れられたものについては、数年間実践をした今はその長短について点検してみるべきだと思います。
 私が見聞する範囲においては、制度の変更によって現場の教師から時間や心のゆとりを奪い、生徒と接する時間が非常に少なくなったという話が聞こえてきます。もちろん、制度を変えてよかったという点もあります。総点検をして改善ないしは改廃について検討すべきと思うがどうか、教育長の見解を伺います。
 各論については、次回に譲りたいと思います。
 福祉の問題についてでありますが、この点は厚生年金の一本だけにいたします。
 県民運動にまで盛り上がった厚生年金格差是正の問題でありますが、当議会においても何回となく議論し、意見書提出、陳情等強力な取り組みをしてまいりました。
 さらに、今議会において特別委員会を設置し、さらに取り組みを強化することになっています。また、県当局も尚副知事をキャップにした厚生年金問題対策特別会議を設置して、熱心な取り組みを続けてまいりました。報告によると、政府も前向きに検討を始め、明るい展望が開けてきたと聞いています。
 また、最初から論議したようにこの問題はすぐれて政治的解決を要する問題であり、企業者負担等も含めて国の責任で果たすべき役割は多いと思います。

 そこで質問は、現在の状況を説明し、今後の対処策についてお伺いいたします。
 病院事業についてであります。
 多額の累積赤字を抱える本県の病院事業でありますが、その赤字解消への努力も大切なことと思います。ただし、病院事業が県民の生命と健康を守るという公共性を考えた場合、多少の赤字は許容できるものであり、そのことよりも県民の医療ニーズにいかにこたえるかということが優先されるべき課題であると思います。環境保健部長の御健闘を期待します。
 1点だけお伺いしたいことは、よく耳にすることが看護婦不足の問題であります。このことは何回となく議論もされていますが、この場で改めて伺いたいことは、現状はどうか、需給バランスが安定するのはいつか、その対策をお伺いします。
 八重山地域のマラリア補償についてであります。
 沖縄の戦後処理の未解決の問題として、八重山地域のマラリア補償があります。この問題は、これまで確認してきたように日本軍の命令でマラリア感染地域に移されたことは明確になっています。当然、政府によって補償されるべきであり、我が党は、党中央として対策をとる手はずを整えています。八重山においても6月6日に遺族大会を開き、6月11日に県に要請し、8月中旬に直訴団が上京する準備を進めています。県としての今後の対策をお聞きします。
 暴走族についてであります。
 先ほどの議員からも質問があり、県警本部長お答えになったわけでありますが、再度お願いをいたします。
 深夜まで繰り返される暴走行為は、県民のひんしゅくを買っていますが、この問題は騒音公害と同時に、二輪車による交通事故の誘発も考えられ、強力な対処策が必要と思います。
 それと先日、私ども海外視察でオーストラリアの政情視察に参ったわけでございますけれども、オーストラリアの農場を見学に行った場合にそこでも暴走族と遭ったわけなんです。こっちにも暴走族がやっぱりいるなというふうに感じておったら、ガイドが、こっちの暴走族は年とっていますよという話をしていました。国によると暴走族もかわるんかなあと思ったんですけれども、本県の場合は大体若年者というふうに考えているわけですけれども、その実態、そしてその対処策をお聞かせいただきたいと思います。
 海賊船です。
 本県近海に出没する不審船についてでありますが、この件については当議会においても意見書を政府に手交してその対策方を陳情したところであるが、まだ出没を繰り返し海賊行為を働いているとの報道があります。その付近を通過する漁船等に脅威を与え、安全性、生産性の立場からも早期の解決が望まれます。県の対応を聞かせてください。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 宮城健一議員の御質問にお答えいたします。
 まず、知事訪米と基地問題との関係で、折衝経過について大まかな報告を頼みたいという趣旨の御質問でございます。
 今回の訪米は、私にとりまして知事に就任して以来2度目でございまして、仲間金武町長、山内読谷村長及び儀保同村議会議長らとともに要請活動を行いました。
 訪米の目的は、沖縄に所在する米軍基地の整理縮小及び演習に伴う事故防止等を米国政府の要路並びに基地関係の上下両院議員に直接に訴えるとともに、米国のマスコミを通じて広く米国民に対し沖縄の基地問題への理解を深めることでありました。
 ワシントンでは、国務、国防総省の海外基地政策を直接に担当する高官や上下両院の軍事関係議員及び本県における米軍の主要部隊を統括する海兵隊司令部の高官とお会いして、104号線の実弾射撃演習、その他爆音の問題等の基地問題の解決について強く要請いたしました。
 またハワイでは、太平洋における海軍及び海兵隊の司令部を訪間し、それぞれの司令官らと同じような基地問題の解決について会談をいたし、強く要請をいたしました。
 このほかに、今回は、我が県と同じような基地問題を抱えているグアム島を訪問してアダ知事とお会いしたほか、グアム選出のアメリカ下院の軍事委員会の委員をしている方とも意見を交換いたしました。
 これらの政府高官並びに連邦議会議員、軍関係者等が私たちの要請に対し前回よりもずっと深い関心と理解を示し、今後の沖縄の基地問題の解決を促進する上で何らかの援助をしたいということを言っていただきました。
 次に、折衝の効果についてその感触を聞かせてほしいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 米国政府の高官や連邦議員等との会見を通して得ました感触といたしましては、今も申し上げましたように、まず、理解が大分進んでいるということ、特に、例えばペンドレー国防総省次官補代理、それからハバード国務省次官補代理、このお二人の方は沖縄が抱えている基地問題については詳細な報告を受けているということを言いまして、そして具体的にはどうするということについてこれから日本政府側と詰めていきたいというお話がございましたが、今回、特に私が印象に残りましたことは、ホワイトハウスと直接につながっているクリストフ国家安全保障会議アジア・太平洋担当部長とお会いできたこと、それから大統領の諮問機関である基地閉鎖・再編委員会のクーター委員長にお会いして、約40分ほど話し合いができたこと、そしてそのほかに、マッカーディ下院軍事委員会の委員長とお会いして、基地問題についての要請をしましたところ、大変な関心を示されて、この問題をテーブルにのっけてぜひ議論してみたいと。そしてマッカーディ委員長とクーター委員長の方は、一度ぜひ沖縄を訪問して皆さんの問題について自分の目で確かめてみたいということで、7月の半ば以降に時問が若干とれそうなのでそのときにはどこへ連絡した方がいいかということについて聞かれましたので、知事公室の方へ連絡してくださいということで、ぜひ見てくださいと申し上げたところでございます。
 それから、今申しましたホワイトハウスのクリストフ国家安全保障会議アジア・太平洋担当部長も、皆さんの問題点については我々がお渡しした資料をもとにして議論をしてみたいというふうに話がございまして、その点も、従来ホワイトハウスのスタッフとは直接に話したことがありませんでしたので、今回、その点ではよかったというふうに考えております。
 効果について申しますと、アメリカの新聞に広告を出したということが相当の人々の目にとまりまして、今も手紙がほぼ毎日のように届いているわけですが、その中には賛否両論がございます。その基地の整理縮小、ひいては撤去については、沖縄県民の苦労がよくわかるのでぜひ力をかしたいというような非常に温かい手紙もありますけれども、沖縄を愛するがゆえに反対したいということで、それは先ほども話が出ましたように、地主たちの経済的な不安をどうするかという問題があるのではないかと、その問題を解決しないで土地を返してもらうということになると、フィリピンのように経済的に苦労するのではないかというふうに、率直に意見を言って反対だと、基地を返してもらうことには沖縄を愛するがゆえに反対だというような言い方をして書いてきたのもございますが、これは前回行きましたときには、この種の手紙というのは二、三通にとどまっておりましたけれども、今回は、今申し上げましたようにいろんな方々から手紙をもらっております。
 それから、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、かつて沖縄の4軍調整官をしておりまして、現在、ハワイの海兵隊の司令官をしておりますスタックポール中将は、具体的に、第一義的に読谷の演習場の問題を解決したいと、そしてその次に那覇軍港の返還にまず手をつけたいというようなことを自分から言っておりました。
 それから、104号線につきましては、今回、東京のアメリカ大使館の方でも話が出ましたけれども、従来、104号線演習を県外でやるとした場合に、兵員は飛行機で運ぶことができるけれども大砲なんかというものは運ぶことができないから、その問題があるんだということをここの現地の司令官が話しておりましたけれども、それらのことを持ち出しましたら、これまで日本側とその問題について話したことはなかったけれども、これからその問題について具体的に話していきたいということをアメリカ大使館の方の担当官も申しておりましたし、またスタックポールさんの方でもその点について触れていたというぐあいに、話の内容がかつてなく具体化しつつあるという感じを受けております。

 申し上げるまでもなくて、基地問題の解決は一朝一夕には片づきませんが、しかしそういった具体的に一つ一つ解決していくこと……。
 それから、日米合同委員会で返還が合意されながら返していたいことについて、私などが合意されたものについて早く返してほしいということを申しますと、具体的に那覇軍港の例を挙げて、かわる場所があったらすぐに返していいというようなことを言っている人もおりましたけれども、かわる場所はないじゃないかという話をこちらがしたわけでございます。
 次に、基地問題に対する今後の決意ということでございますが、今申し上げましたように一朝一夕に片づく問題ではございませんけれども、我々はこの問題なについてあきらめるわけにいきませんので、従来どおり、あるいは従来以上に熱心に解決に向けて日米両国政府に訴え続けていきたいというふうに考えております。
 次に、雇用問題との関連で、雇用問題に対する県の対応策について伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 雇用対策につきましては、平成5年度を初年度とする第7次沖縄県屋用基本計画等に基づいて、雇用機会の確保、拡大を図るための雇用開発の促進や高年齢者、障害者等の雇用対策など、きめ細かな対策の推進に努めております。
 特に、新規学卒者を中心とした若年者対策につきましては、重要な課題であると位置づけておりまして、県首脳による県内の求人開拓や県幹部、あるいは沖縄県広域職業紹介推進員による県外就職者の職場の定着指導を実施しているところであります。
 また、学卒就職情報システムによる雇用情報の充実、県内産業事情の説明会を積極的に実施するなどして、若年者の就職の促進に努めているところであります。
 県としましては、今後とも県内産業の振興等を図り、雇用機会の増大に努めるとともに、雇用対策を充実強化し、雇用問題の改善を図ってまいりたいと考えております。
 次に、マラリア補償との関連で、県としての今後の対策はどういうものかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 八重山地域におけるマラリア犠牲者の補償問題につきましては、平成4年3月31日に、国に対して戦傷病者戦没者遣族等援護法またはそれに準ずる措置を講じてくれるように正式に要請したところであります。
 国においては、平成4年2月25日、内閣総理大臣官房総務課参事官、沖縄開発庁総務局参事官、厚生省社会・援護局援護課長の3者から成る沖縄県八重山地域におけるマラリア問題連絡会議が設置され、これまで4回開催されていると聞いております。国は、現在、同連絡会議において県の調査結果に対する意見交換を行い、問題点、疑問点を整理しているとのことでございます。
 県といたしましては、今後とも同連絡会議と調整を図りながら、問題の早期解決に最大限に努めてまいる決意でございます。
 次に、海賊船との関係で、本県漁船等の安全性、生産性の立場からの県の対応はどういうものかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 東シナ海における漁船の安全操業の確保につきましては、平成4年12月に、東シナ海における沿岸漁業情報連絡体制を確立し、通信体制の整備、集団操業の実施等県内漁業関係者に注意を喚起するとともに、国に対しては、当該海域における漁船の安全操業の確保について再三要望してきたところであります。
 また、平成5年5月26日に、本県を含め九州6県と山口県並びに漁業関係団体が合同で国会議員、外務省、農水省、海上保安庁に対しまして、当該海域における漁船の安全操業の確保について要請を行ってきたところであります。
 なお、外務省等関係省庁は、事件の再発防止と東シナ海の安全対策について、第1回日中当局間協議を平成5年6月30日から7月3日まで北京で開催しております。
 県としましては、今後とも安全操業の確保を図るため、関係機関に対し要請し続けていく考えでございます。
 別の御質問につきましては、関係部局長から答弁させますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(儀間光男君) 知事公室長。
   〔知事 公室長高山朝光君登壇〕
○知事公室長(高山朝光君) 宮城健一議員の御質問にお答えをいたします。
 知事訪米と基地問題に関連いたしまして、那覇空港の民間専用化及びPKO基地化に対する県の考え方と今後の対応策について聞きたいとの趣旨の御質問にお答えをいたします。
 現在の那覇空港は、自衛隊機と民間機が共用しておりますが、自衛隊の活動により民間機の安全性が損なわれることがあってはならないと考えております。県といたしましては、那覇空港の民間専用化に向けて今後とも国に要請してまいりたいと考えております。
 ことし6月15日にマスコミが実施した世論調査によりますと、約50%の県民が那覇空港のPKO中継基地化に反対の意向がうかがわれます。県民感情、那覇空港の民間専用化に向けまして、今後とも努力をしてまいりたいというふうに存じます。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 高嶺朝幸君登壇〕
○企画開発部長(高嶺朝幸君) 総合経済対策に関する御質問にお答えいたします。
 まず、本県の景気状況についてでございますが、最近の本県の景況は、消費者物価が安定的に推移する中で、消費部門では家計消費支出やスーパー売上高等が回復の方向にあり、また投資部門では新設住宅着工が低迷しているものの公共工事は大幅に伸び、さらに生産面では石油製品、鉄鋼等の生産指数が回復の傾向にあります。
 また、観光関連も一時の停滞から持ち直し、観光入域客数は4月、5月とも若干前年を上回り、県内景況は総体として回復基調にあるものと見ております。
 なお、雇用失業情勢は、平成5年1月―3月期の完全失業率が4.5%と依然厳しい状況が続いておりますが、5月に至って3.9%と低下しております。
 次に、今回の経済対策の効果等についての御質問にお答えいたします。
 政府の総合的な経済対策に沿った今回の景気対策においては、国庫補助事業を中心に一般会計歳出ベースで134億円の公共事業の追加補正を計上したところでございます。
 この数字をもとにその効果をマクロ的に試算してみますと、県民総支出を約165億円程度増加させる効果が期待され、その分経済成長率を押し上げる効果をもたらすものと考えております。
 さらに、公共事業の前倒し執行、開発金融公庫資金の活用促進、中小企業者に対する金融の円滑化、観光緊急誘客対策及び雇用失業対策などを推進することとしておりますので、これらの総合的な経済対策を着実に実施することにより、本県の景気回復の足取りは一段と確実なものになるものと考えております。
 また、今後の景気対策につきましては、県内景気動向に配意しながら引き続き適切に対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 教育長。
   〔教育長 嘉陽正幸君登壇〕
○教育長(嘉陽正幸君) 宮城健一議員の教育の問題についての御質問にお答えいたします。
 まず1番、教職員組合、すなわち沖教組、高教組に対する評価について伺いたいということについてお答えいたします。
 行政と教職員組合とでは立場の違いはありますが、児童生徒の教育という点で、児童生徒のためにできる限り協力して教育に取り組んでいきたいと考えております。
 同じく教育問題についての2番目の、中学生の集団暴行致死事件についての概要、措置並びに今後の対策について見解を伺いたいという御質問にお答えいたします。
 まず最初に、今回の事件で亡くなられた慶田城君の御冥福を祈るとともに、御家族の皆様に衷心より哀悼の意を表します。
 事件の概要についてでありますが、加害者少年たちは、被害者が加害者少年たちの悪口を言いふらしているとのことを聞き、6月25日午後7時30分ごろ神森中学校裏門に被害者を連れていき、暴行を加え、急性硬膜下出血などの傷害を負わせ、6月26日午前0時55分死亡に至らせたものであります。
 この痛ましい事件について、県教育委員会としては、早速浦添市教育委員会、当該学校を訪問し、命の大切さについての指導や生徒指導のさらなる強化をお願いするとともに、臨時県教育委員会、緊急教育事務所長会等を持ち、今後の生徒指導のあり方について協議をしたところであります。

 次に、今後の対策につきましては、石垣中学校事件を教訓として生徒指導の充実を図ってきたところでありますが、今回の事件を踏まえて、人間として最も大切な命のとうとさや思いやり等の心の育成、また人間関係を深め、安易に暴力により問題を解決することがないように、さらに強く指導していきたいと考えております。
 さらに、教育庁内に青少年健全育成連絡会を設置して、本県における青少年健全育成施策を、総合的、効果的に推進してまいりたいと思います。
 なお、地域、PTA、関係機関等を包含した生徒指導の充実を図るとともに、県民への啓発活動を展開し、県民ぐるみの青少年健全育成活動を盛り上げていきたいと思っております。
 同じく教育の問題についての3番目でございます。通学区制の変更問題、主任制導入、初任者研修、管理職登用試験、広域人事異動等の現行制度を数年間実施した今、その長短について総点検をし、改善ないし改廃について検討すべきであると思うがどうかということにお答え申し上げます。
 通学区制、主任制、初任者研修、管理職登用試験、広域人事異動等については、いずれも教育行政上必要な制度または施策であります。
 御質問の件につきましては、これまでも改善すべき点は改善して実施してきましたが、今後とも引き続きそれぞれについて検討を加えながら実施していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 砂川恵徹君登壇〕
○環境保健部長(砂川恵徹君) 宮城健一議員の病院事業についての御質問にお答えいたします。
 看護婦不足の問題について現状はどうか、需給バランスが安定するのはいつか、その対策について伺いたいという2つの御質問に一括してお答えいたします。
 平成4年1月に県が策定した看護職員需給見通しによると、本県の看護職員は、労働時間の短縮、複数夜勤体制の普及等による労働条件の改善、高度医療の普及、老人保健施設の増加等により需要が増大したため不足を来しております。そのため、県としては、看護婦等養成施設を増設し、従来の入学定員を510名から平成5年度には850名に増員するなど、看護婦不足の解消に努めているところであります。
 また、看護婦確保対策としては、養成施設の整備促進、看護学生に対する修学資金貸与事業の拡大を図るとともに、看護婦等の人材確保の促進に関する法律の施行に伴い、ナースセンター事業による未就業看護職員の就労促進、院内保育所に対する助成、離職防止対策等の諸施策を推進しております。
 なお、看護職員の需要はことしが不足のピークでありますが、平成13年には充足される見通しとなっております。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 花城可長君登壇〕
○生活福祉部長(花城可長君) 宮城議員の厚生年金の格差是正について、現在の状況と今後の対処策についてお伺いしたいという御質問にお答えいたします。
 厚生年金の格差是正につきましては、県が当初要望しておりました遡及適用に対し、国から制度上の側面、実務上の観点、費用負担の側面から問題があり、新たな角度からの検討の必要性が指摘されておりました。
 その後、県は、厚生省を初め関係団体と調整を重ね、遡及適用にかわる試案を平成5年3月29日の第4回検討会に提出し、調整を図ってきたところであります。
 これまでの調整の中で、対象者の範囲につきましては、県としましては20歳以上としておりましたが、25歳以上に絞り込めないかということで調整中でございます。
 対象期間につきましては、昭和29年から昭和44年までの雇用期間を対象とすることで特に議論はない状況でございます。
 雇用の証明につきましては、原則として事業主が証明を行うこととするが、証明方法については、県の定める要領等で実施する方向で調整中でございます。
 追納につきましては、国としては、遡及適用ではなく、現時点に立って厚生年金の格差是正を図るという制度の趣旨から、退職時の標準報酬及び納付時の保険料率を用いることを条件としております。この条件を前提として試算いたしますと、約1800億円の膨大な額になります。
 県が提示いたしました試案の、昭和45年標準報酬及び保険料率を基礎に試算いたしますと、約1200億円となり、大きな差がございます。
 事業主負担につきましては、個人負担の軽減を図るため、企業、県が相応の負担をする方向で検討を進めているところであり、また防衛施設庁に対しましてもその負担をお願いすることとしておりますが、県内企業等の負担能力には限界があり、事業主負担分の解決が最も大きな課題となっております。
 この課題解決なくしては、格差是正は進展しない状況にございます。したがいまして、県としましては、国の関係機関と粘り強く折衝を続けるとともに、関係団体との緊密た連携を図りつつ、県議会及び県出身国会議員の御協力、御支援を得て、この問題の早期解決に最大限の努力をする所存でございます。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 佐野智則君登壇〕
○警察本部長(佐野智則君) 浦添における中学生の集団による暴行致死事件の概要についての御質問にお答えいたします。
 事件の槻要については、先ほど教育長の方からお答えしたとおりでございますけれども、加害少年8人について即日身柄を逮捕いたしまして、6月27日に那覇地方検察庁へ事件送致をしたところであります。
 少年非行の背景には、先ほどの御質問にもありましたようないわゆる夜型社会に起因する深夜徘回の問題、あるいは学校における指導の問題等があろうかと思われますが、概して言えるのは、家庭環境、特に親の監護能力に問題があるケースが多いと言えます。例を挙げますと、両親健在の家庭にあっても、深夜外出する少年に気がついても注意することもないとか、母親が、少年がどこで寝ているかもわからない、探し回ることもしないといったような事例が目につくところであります。
 いずれにいたしましても、この種の問題に根本的な対策を立てることは大変困難な面がありますが、警察といたしましては、当面、事件の発生いたしました浦添警察署に少年非行防止特別対策班を編成いたしまして、学校・警察緊急連絡協議会を中心とした学校との連携の強化を図ることとしております。
 また、その学校を初めとする関係機関、団体との連携、非行少年のたまり場に対する重点警らや補導活動、各地域における非行防止懇談会を開催するなどの諸対策を推進するとともに、総合的な非行防止活動を推進するための少年を非行から守るパイロット地区の指定、少年を守る環境浄化重点地区の指定等の施策の充実強化を図りまして、地域の実態に対応した少年非行防止活動を推進してまいりたいと考えております。
 また、暴走族に関する質問につきまして、これも概要を高江洲議員に先ほどお答えしたとおりでございますけれども、本土に見られるような大規模な暴走族というのは、本県、把握されておりません。三、四人ないしは七、八人という小グループで、主として国道を中心として爆音暴走を繰り返している状況にあります。
 昨年中、暴走族に関しましては625人を検挙するとともに、17グループ、186人の解体補導をしております。現在、御承知のとおり暴走族問題に対処するための暴走族対策班の設置、あるいは暴走族取締隊の設置ということで強力に取り締まりを推進しているところでありまして、今後、暴走族を生み出さない社会環境づくり等の対策と同時に、取り締まりの徹底を期してまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 糸数慶子君。
   〔糸数慶子君登壇〕
○糸数慶子君 皆さん、こんにちは。
 私は、沖縄社会大衆党の県議団を代表し、さきに通告してあります事項について所感を述べつつ順次質問を行います。
 大田知事初め関係部長の皆さん、よろしくお願いいたします。
 最初に、知事の政治姿勢についてであります。
 私は、常々国際情勢や国内情勢の影響をストレートに受ける沖縄は、我が国の数ある地方自治体の中でも最も厳しい県政運営を強いられていると考えております。そうした困難な県政のかじ取り役として大田知事が日夜御奮闘をしておられることに対し、深く敬意を表するものであります。特に先般は、沖縄県政における最大の懸案事項であります基地問題の解決のために知事が2度目の訪米をなされ、その成果が各方面から高く評価されておりますことは、マスコミに報道されているとおりであります。

 私もちょうど知事訪米の直前にアメリカ各地を訪ねて、沖縄の基地聞題について調査、研究、交流、アピールの行動を行ってまいりましたが、沖縄の実情がアメリカでほとんど知られていないことに大きなショックを受けました。
 それだけに、その後の知事訪米で米国の政府、議会関係者の関心を高め、直ちにダニエル・イノウエ上院議員の来沖が実現し、また下院議員団の年内来沖も予定させるなど即効性のある効果を上げております。
 さらに、マスコミ報道を通じて一般市民にまで沖縄の基地問題が広く伝えられたことに、大衆民主主義の先進国のアメリカだけに先行き大きな成果が期待できます。今後ども、粘り強い行動が必要であると思います。
 私のささやかな体験ではありますが、今度の訪米で実感いたしましたのは、沖縄の米軍基地を取り巻く環境が大きく変わろうとしているということです。
 一口に冷戦の終結とか、冷戦構造の崩壊とか言われますが、そのことが在沖米軍基地に具体的にどのような影響を与えるのか、今まで何も見えておりませんでした。いわゆる平和の配当は、沖縄には及んでいないのであります。しかし、今度の訪米では、沖縄の米軍基地といえども冷戦の終結の影響を免れるものではないということを実感いたしました。
 政府や議会関係者及び一般市民との交流の中で感じたことは、冷戦のツケである膨大な財政赤字が大幅な軍備縮小、ひいては軍事予算の削減を招き、国内基地の閉鎖や軍人削減を余儀なくされ、その分だけ海外駐留軍への風当たりを強くしております。
 今でこそ日本政府の多額の駐留経費負担や当面の基地撤去費用及び兵士削減の雇用失業問題で在日米軍の撤退という問題は現実化しておりませんが、膨大な財政赤字による大幅な軍備削減や冷戦終結によるソ連の脅威の消滅は、アメリカ政府及び国民から世界の警察官としての役割を果たす意欲と能力を失わせつつあります。今日では、冷戦の終結と財政の赤字が基地問題をイデオロギーの問題から経済の問題に変えつつあります。これがアメリカ各地を歩いての私の実感でございました。
 さて、大田知事は、かねがね平和とは単に戦争のない状態を言うのではなく、人間がひとしく貧乏と欠乏から免れ、差別と抑圧から解放され、人間と自然が共生する状態を意味すると、平和の概念を拡大しておられます。
 この平和に対する姿勢こそ大田知事の政治姿勢の基本であり、大田革新県政が追求してやまない政策課題、平和創造のための基地からの解放、占領体験の風化防止、人権と環境の保障された共生社会の建設が最大の政策目標であると理解しているのであります。
 こうした視点から、次の質問を行います。
 1点目、訪米の成果を踏まえた今後の対応策についてですが、前述したポスト冷戦時代のアメリカの変化は、基地の大幅返還が現実性を帯びることであります。
 それはまた、軍転特措法の制定が急を要するということであります。ところがこの軍転特措法、今度の解散騒ぎで廃案になってしまいました。今度の解散がポスト冷戦時代に対応する国内政治の再編過程と位置づけられていることを思えば皮肉な感じもいたしますが、野党提案であったこれまでの法案がどちらかといえば政争の具にされてきた嫌いもあるだけに、これを機に脱イデオロギーの立場で県案を提案しては、と考えます。反響の大きいせっかくの知事訪米でありますので、その成果を踏まえ、基地問題、特に軍転特措法の今後の取り扱いについて知事の御所見をお願いいたします。
 次に、「平和の礎」について。
 知事は、沖縄戦の史実を後世に正しく継承していくための一つの方法として、全戦没者の名前を刻む平和の礎建設を進めておられます。戦争を知らない世代への沖縄戦継承のみならず、平和の発信地として沖縄を位置づけていくためにも大変意義深いものだと思います。
 さて、私は、この意義深い平和の礎に全戦没者の名前を刻むに当たり、徹底した全戦没者実態調査が行われるべきであると考えております。
 これまで沖縄戦の実態調査は、北中城村など一部市町村で悉皆調査が終了しております。ほかにも北谷町、南風原町などで現在調査を進めているようであります。字レベルでも調査に着手する地域もあらわれ、北谷町上勢頭、糸満市摩文仁、東風平町志多伯、知念村久手堅で調査が終了しております。また、読谷村字楚辺などでは、字誌を作成するに当たり住民が主体的に調査を行い、沖縄戦研究の到達点を示すほどのすばらしい成果を上げています。
 これらの実態調査の結果を見ますと、県で公表されている数字を上回る犠牲者数となっております。
 また、戦没者名簿を見てみますと、軍人軍属の戦死者名簿はより正確な資料となっているようですが、住民の戦没者名簿は確実なものとはなっておりません。
 人間の命の重さを考えますと、戦没者を「およそ何人」というふうに表現することは絶対にあってはならないと思うのです。そこで、改めて沖縄戦の全戦没者実態調査の必要性を感じるのであります。
 また、これまで行われてきた全戦没者実態調査は、いずれも自治体が地域史編さんの中で任意に取り組んだり、沖縄戦の実態を記録する意義を感じた市民グループや学生が自主的に取り組んでいったという状況にあります。
 戦後48年目、まことに遅まきながらではありますが、平和の礎を計画するに当たり、これまで行われてきた全戦没者実態調査の手法等を踏まえた全県レベルの一斉調査を行う時期にようやく到達したと思われます。全県レベルでの一斉調査の計画について、知事の御所見を賜りたいと思います。
 次に、6・23平和祭について。
 ことしの平和祭のイベントの一つに平和シンポジウムがありましたが、多くの皆さんの意見を聞き、平和とは何かを改めて考えさせられました。広島、長崎の被爆母子の手記でつづった朗読劇、子供たちの図画、作文、詩などを展示した特別企画展なども、平和を考えるにふさわしい企画でございました慰霊祭で朗読された平和の詩にあるように、「澄んだ地球に清らかな平和の光りが平等に射しこめるように」、平和を創造していきたいとの思いを強くいたしました。
 それで、これから平和の発信地として平和祭を継続発展させるようお願いし、このことについて知事の御所見をお伺いいたします。
 本県は、去る4月に、戦災地糸満市摩文仁の米須・山城地区において全国植樹祭を開催し、戦争で失った緑の回復と戦没者の鎮魂を願いました。この植樹祭は、開催場所の変更をめぐり県民世論を二分する大論争もあり、大田知事の大英断によって一たん決定された行政手続を変更して戦災地摩文仁に決定したという経緯がありました。
 場所変更の正しさは、開会式における各界代表の賛辞によって証明されました。まさに大田知事の平和行政が見事に開花した一例でありますが、中には会場での日の丸小旗問題及びその後の記念碑建立問題、さらには6・23慰霊の日のゴルフ問題など必ずしも大田知事の平和行政の趣旨が徹底していない面もあり、一層の周知徹底を願うものであります。
 次に、厚生年金について。
 戦後及び復帰処理の視点から、3つの課題について私見を述べながら質問いたします。
 最初に、厚生年金の問題についてその格差是正の早期実現に関して質問いたします。
 これまで尚副知事が何度も上京し、精力的に国との折衝を重ね、厚生年金格差是正の問題の解決の糸口が見えつつありますが、尚副知事初め関係職員の御努力に敬意を表します。
 6月23日・慰霊の日の沖縄全戦没者追悼式出席のため来県された北修二沖縄開発庁長官も24日の帰任の際の記者会見で、年金の格差是正問題や八重山地域の戦争マラリア補償問題に関して意欲的に取り組む姿勢を示し、発言されましたが、そのことを評価しながら国の積極的な努力を期待するものであります。
 ところで、厚生年金の格差の原因は、今までも我が党が何度も取り上げてきましたように、1945年の終戦以来1972年の復帰までの27年間米軍支配を無理やり強制され、日本から切り離されてきた国策に起因するものであります。
 ですから、本県が要求する形での抜本的な厚生年金の格差是正がその制度や趣旨に合わないとすれば、ではその格差をどのような方法で埋めていくのか、解答を見出す大半以上の責任とかぎは国の側にあると私は考えます。

 私は、格差是正に向けての知事以下関係部局、職員の皆さんの適用対象者の年齢ごとの分類作業の細かい作業を初め、これまで積み重ねてきた涙ぐましい努力が抜本的な格差是正の実現によって笑顔で報われるよう切望してやみません。
 そこで以下の質問をいたします。
 1点目、この問題については、時期的に見ても詰めの段階に来ていると考えますが、国との話し合い、交渉の中で問題として残っているのは何でしょうか、また今後の話し合いの手順及び見通しについてはどうなっていますでしょうか。
 2点目、年金期間の証明の方法は、実務上の観点から県及び国でも苦労し、またその事業主負担については27年間本土以上に厳しい経済状況を強いられ、不況倒産の憂き目にさらされてきた本県企業活動の歴史的経過からすれば、現存する企業が14%程度という実情から考えましても、当然国の側で負担していく何らかの道をつくっていくべきと考えますが、県の御見解と知事の決意をお聞かせ願います。
 次に、本県における戦前の労働者年金の受給、適用状況について私見を述べて質問いたします。
 厚生年金のスタートは、本土においては昭和17年6月と言われます。これは、現行厚生年金法の施行の昭和29年5月まで労働者年金としてあったものです。
 私が指摘し、問題にしたいのは、この労働者年金の対象者が本県にも多数いて、しかも申請をしないのではないかということについてであります。
 私が得た清報では、この制度がスタートしたころに、その方は本土のある軍需工場で働いていたのですが、今まで適用されることも知らず、つい最近、社会保険事務所に行って申請をいたしましたら、手続も簡単で、しかも短時間で認定され、思った以上の年金額をもらい、びっくりしたという話です。こんな事例を二、三聞かされています。
 ただ、認定されても、5年以内のものは一時金でもらえても、5年以上のものは時効でもらえなくなっていました。もっと早目に知って手続をすればよかったと一方では悔やんでおります。
 本県においては、戦前の生命保険等で戦後二束三文しかもらえなかったという事例などもあって、この労働者年金についても大した額になるものでもないと勘違いをしたり、また今さらもらえないだろうと思い込んで、受給対象者が相当数申請をしていない状況が予想されます。
 私の知っているその人の話では、申請は簡単で、しかも思った以上に短期間に証明され、受給が認められたということです。また、受給資格があれば、現在、南米あたりに住んでいても受給されるとのことです。そういう有資格者が申請する方法や意義を知らずにどんどん年を重ねていくことは、時効との絡みもあってゆゆしき問題だと思います。
 そこで以下の質問をいたします。
 1点目、この労働者年金の申請、受給に関して考えられる問題を県はどのように把握し、考えておりますか。
 2点目、本県の労働者年金の受給者は何名ですか、また年金の基本額は幾らで、全体の総受給額は幾らでしょうか。
 3点目、受給資格者は何人いて、また何人ほどが未申請の状況にありますか。
 4点目、この制度の受給有資格者への呼びかけ等は、今までどのように行ってきましたか。
 また今後、各市町村の窓口の協力を得ながら、本県のみならず、南米移住者等の有資格者にもPRを強化すべきと考えますが、県の明確な考えをお聞かせ願います。
 次に、マラリア問題について。
 八重山地区における戦争マラリアについてでありますが、戦後半世紀にもなっていまだに解決を見ないマラリア犠牲者の遺族補償の問題は、戦後処理問題の中でも特に解決を急がなければならない問題であると思います。
 と申しますのは、遺族の方々は平均年齢が80歳になっているとのことで、また既に死亡している人がふえてきている現状に目を向けるにつけ、戦争で軍の命令によって有病地へ強制的に疎開させられ、一家全員が死亡するといった悲惨なもう一つの戦争犠牲者である戦争マラリアについて、大田知事は就任当時からその解決に情熱を持って取り組んでこられていることに対し高く評価するものですが、その問題解決に向けてどのような進展があったのかが具体的に見えてこないため遺族の方々にいら立ちが感じられており、不安が増してきております。
 そこで、次のことに関して県の考えをお尋ねいたします。
 1点目、昨年3月31日に県として正式に国に要請がなされましたが、その後、県はどのように国に働きかけをなさいましたか。
 2点目、国においては、県の要請を受けて総理府、厚生省、開発庁による3者連絡会議が設置されましたが、どのような内容のものなのか、これまでに何回くらいの会議が持たれましたか、またその会議において独自の調査も検討されているのでしょうか。
 3点目、8月17日、18日の両日にわたり、遺族の方々が国に対し再度要請行動をとるとのことですが、県はどのような指導助言並びに支援をなさるつもりでしょうか。
 4点目、この問題は、沖縄戦においての事実関係も明らかになっており、また世論形成もなされていると思いますが、大田知事みずから国に対して直接要請をして問題解決を図っていただきたいと思いますが、大田知事の決意のほどをお聞かせ願います。
 次に、船舶遭難補償問題について所感を述べつつ幾つかの質問をいたします。
 私は、平成5年度の県の重点施策の中で、戦後処理問題の解決促進の1項としてこの船舶遭難補償問題が入っていたいということを残念に思います。この経過の中に、この問題での国との折衝の困難性が浮き彫りにされているような気がいたします。
 今議会にも、陳情第59号及び第59号の2の戦時遭難船舶犠牲者の補償に関する陳情が戦時遭難船舶遺族会から出されています。
 昨年10月24日、戦時遭難船舶遺族会が公表した資料によりますと、第2次世界大戦中に失われた民間船舶は2568隻にも上ることがわかっています。そのうち本県関係の遭難船舶は、767人の学童疎開者が犠牲になった対馬丸を初め、32隻となっています。こうした国策の戦争に巻き込まれて海に散った県民は、5000人にも上ると見られています。
 戦時遭難船舶問題は、沖縄特有の問題としてとらえることは難しいとの考え方もあるようですが、本県の地理的条件の中で実行された島嶼作戦の実態からは、軍の命令で島を退去させられたという点ではマラリアも遭難船舶も共通しているという専門家の指摘もあり、むしろ沖縄戦の実相から見てもその論に妥当性と共感を感じています。国策の戦争遂行のもと、戦時遭難船舶で犠牲になった民間人には十分なる国の補償が等しく何らかの形でなされるべきことは当然と考え、以下の質問をいたします。
 1点目、国との話し合いを含めて戦時遭難船舶問題の経過はどうなっていますか。
 2点目、この問題に関して米公文書館から入手した戦時遭難船舶関係資料の一部翻訳などは高く評価しますが、県の調査なり、対応はどうなっていますか。
 3点目、この問題に対する県の今後の対応をお聞かせ願います。
 環境問題について。
 雨の日、北部の海岸線に車を走らせますと、海は赤茶色に染まり、川はさらに真っ赤た濁流が激しい勢いで注ぎ込んでいる光景が見られます。
 現在、沖縄の大きな社会問題となっている赤土流出は本島北部が一番ひどく、その大きな原因に過去20年の間にリゾートホテル、ゴルフ場の建設、ダムや林道工事の現場、軍事演習場、農地開発などの土地改良であると言われています。
 これらの原因は、従来の経済優先の発想によるもので、地形や地質、生態系が多様であるように開発はその地域に合った方法が必要だと、知事も太平洋学術中間会議シンポジウムで報告していらっしゃいます。
 そこで御質問いたします。
 1点目、民間レベルでの赤土対策の技術開発は進んでいるようですが、農林水産部、土木建築部においてどの程度活用していますか。県は昨年、赤土流出防止に関する学術交流会を開き、前向きに取り組む姿勢が見られましたが、民間の参加についてどうお考えですか。
 2点目、平成5年度に赤土対策監などを設置されたことは高く評価いたしますが、三重県、石川県、福岡県などのように環境部の機能を強くし、組織を構築する考えはありますか。

 3点目、赤土などの土砂対策と赤水などの濁水対策を区分した赤土対策はどうなっていますか。
 4点目、米軍基地からの赤土汚染が確認されましたが、徹底した調査の実施計画はありますか。
 次に、女性政策について。
 山の動く日来ると、与謝野晶子の熱いメッセージは、今世界中で地殻変動を感じさせ、女性たちの動きへと脈々と受け継がれてきました。
 国際婦人年とそれに続く「国連婦人の10年」は、あらゆる分野における男女平等の実現を目指した国内行動計画の策定や女性団体の多様な取り組みがありました。その取り組みを通して、戦後民主主義の高揚の中で当たり前のこととして考えられていた男女平等という問題があらゆる角度から問い直されてきました。
 しかし、まだまだ女性の社会参加を阻む多くの壁があります。男女の固定的役割分担の意識が社会通念として根強い、あるいは男性主導型社会を好む風潮が男性のみならず女性自身の中にもある、などです。
 これらの壁を破るには、まず自分自身の壁を破ることが先決であります。そのためには、自分を客観的に見る訓練をすることが大切であり、その第一歩として地域社会にかかわりを持ち、地域の中で女性のネットワークを広げ、人間関係を豊かにすると同時に、空洞化しつつある地域社会に潤いと活性化をもたらし、ひいては自己実現の場として能力を発揮できれば相乗効果があり、女性の社会参加を阻む壁を少しずつ壊していくことができるのではないでしょうか。
 幸いにして、本県は、大田県政のもとで全国で2番目の女性副知事の登用や県の女子職員の管理職登用、あるいは各種審議会等における女性の登用率が高くなっていると聞いております。まさに男女共同参画型社会の実現を目指す積極的な取り組みがなされようとしているのではないかと期待するものであります。
 そこでお伺いいたします。
 1点目、現在は各種審議会等における女性委員の登用率はどうなっていますか。
 2点目、登用状況は他府県と比較してどうでしょうか、全国レベルにおいて、あるいは九州レベルはどうなっているのか、お伺いいたします。
 3点目、県の女性職員の役職登用状況について、全国レベル、あるいは九州レベルでどうなっているのか、お伺いいたします。
 さて、本県におきましても1984年には婦人問題解決のため沖縄県行動計画を策定し、女性行政を推進してきました。さらにこの成果を踏まえて、1993年3月、「DEIGOプラン21」が策定され、7月をDEIGOプラン21推進月間として各種の広報、啓発活動が展開されているようですが、DEIGOプラン21推進事業についてお伺いいたします。
 1点目、知事のDEIGOプラン21推進メッセージを県内10市に伝えるメッセージ・リレーについてであります。
 今回は10市を回るとありますが、せっかく知事のメッセージを届けるのですから、県下53市町村を回った方がよいのではないでしょうか。
 2点目、男女共同参画型社会の実現を目指すDEIGOプラン21の策定を記念し、女性による模擬県議会を行うと聞いております。女性が政策決定の場により関心を高める意味でも模擬県議会は必要だと思いますが、具体的にどのように展開されるのか、お伺いいたします。
 最後に、教育問題について。
 6月25日に浦添市で起こった中学生による集団暴行致死事件は、昨年2月の石垣市の事件とあわせ、私は母親としての立場からも苦痛に耐えない深刻な事態と受けとめています。何が原因なのか、現場教師、教育庁、家庭、地域のあらゆる角度から分析や対応が話し合われております。
 私は、こうした事件、あるいは事件として表にあらわれていないいじめが都市部、地方にかかわらず起こっていることは、社会のひずみのあらわれだと思います。
 豊かさを追求する余り、薄れゆく共同体意識、戦前戦後を通して守礼の邦を誇ってきた古きよき時代の沖縄は、今、音を立てて崩れ去っていく危機感さえ抱かせるものです。
 そこで知事にお尋ねしたいことは、守礼の邦あるいは共同体意識の回復に向け、行政としてどのような対策をとっていくつもりでしょうか。
 また、一連の子供たちの問題行動が授業についていけないことが一因となっており、テストにおける成績重視から、それぞれの個性を伸ばす教育のあり方が問われていると思います。
 今回の事件から、何を教訓にし、どのような教育を施していくのか、教育長にお伺いいたしたいと思います。
 以上、質問を終わりますが、大田知事、関係部長の御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 糸数慶子議員の御質問にお答えいたします。
 まず、知事訪米の成果との関連で、軍転特措法の今後の取り扱いについてという御質問にお答えいたします。
 今回の訪米では、日米で合意された基地の返還を中心に要請してまいりました。本県の基地を整理縮小し、跡地の有効利用を図るためには、先ほども申し上げましたけれども、地主の協力が不可欠であります。そのため、軍転特措法県案要綱の制度化が重要であると考え、その実現に向けて努力してきたところでございます。今後とも、県民世論を喚起し、県出身の国会議員の先生方とも緊密に連携を保ちながら、粘り強く制度化に努めてまいりたいと思います。
 御承知のように、この問題はいろいろな利害関係が複雑に錯綜しておりまして、なかなかその解決は一筋縄ではいかない。しかしながら、地主が安心してそれぞれの土地の跡地利用について協力いただくためには、何としてもその地主の安心を制度的に保障していくことが必要でございますので、いかほど問題が難しくてもその解決をあきらめるわけにはいきませんので、これからもこれまで以上の努力を傾けて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 それから、6・23の平和祭について、これからも平和の発信地として平和祭を継続発展させるようにと思うが知事の考えはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県主催の沖縄平和祭は、全戦没者のみたまを追悼し、沖縄戦の歴史的な教訓を正しく次の世代に伝えるとともに、世界の恒久平和の確立に寄与することを目的として開催してきております。
 ことしの第3回沖縄平和祭は、去る6月8日から27日までの20日間にわたって沖縄全戦没者追悼式のほか、特別企画展、シンポジウム、朗読劇及び移動平和資料館の諸事業を実施いたしました。今後とも、沖縄を平和の発信地として内外に広くアピールするために、特色のある平和祭を企画し、実施していく考えであります。
 次に、戦後処理の問題について、八重山のマラリア問題との関連で、正式に要請した後、県はどのように国に働きかけたかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 国においては、昨年2月に内閣総理大臣官房総務課参事官、沖縄開発庁総務局参事官、厚生省社会・援護局援護課長の3者から成る沖縄県八重山地域におけるマラリア問題連絡会議を設置しております。
 県としましては、昨年3月の要請後、同連絡会議に対し間題の経緯と県で実施した各種の調査の概要について説明をするなど、同連絡会議と調整を密に行っているところであります。
 御承知かと思いますが、この問題につきましては、例えば軍命による犠牲なのかという、そういう一つの側面についても国サイドと県サイドの意見は必ずしも一致してない、そういう問題などもございまして、国との調整というものには時間がかかります。しかし粘り強く、辛抱強く解決に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 それから、同じく八重山のマラリア問題との関連で、3者連絡会議の会議の内容、開催回数及び独自の調査が検討されているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 3者連絡会議は、マラリア問題について情報の連絡、意見の交換等を行うことを目的としており、これまで4回開催されております。現在のところ、県の調査結果に対する意見交換を行い、問題点、疑問点を整理していると伺っておりますが、独自の調査については承っておりません。

 今も申し上げましたように、この種の戦後処理の問題につきましては、国サイドとしてはいろいろな形の戦後処理がいっばい残っておりますので、一つの問題を解決した場合にそれがすぐに全国的に波及するという側面を持っておりますので、非常にその解決には慎重を期しておりまして、そのあたりが当事者である八重山のマラリアの犠牲者の御遣族の方々からすると大変御不満かと思いますが、行政のレベルでこの種の問題を解決するのには本当に時間がかかるし、何と申しますか、今申し上げました全国的に波及するという国サイドの懸念というのもございましてなかなか簡単に前進しないわけでございますが、今申しましたように、といってあきらめることはできませんので、最大限の努力を傾けて取り組んでいるところでございます。
 それから、マラリア問題について、犠牲者援護会の要請行動に県はどのように指導、助言、支援を行うつもりかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 マラリア犠牲者援護会からは去る6月11日に要請を受けたところであり、県としては、国への要請先並びに日程等について3者連絡会議の窓口である沖縄開発庁と調整を図っているところであります。
 改めて申し上げるまでもなくて、この種の問題というのは、行政だけが動いたってなかなか解決できません。正直に申し上げまして、その当事者である一般の市民団体、それから御遣族の方々というものが率直にお気持ちを、当事者である国サイドに訴えるということは非常に重要でございますので、県といたしましては、行政のできる限りの努力をいたしまして、それらの方々が国サイドにお気持ちをじかにお伝えすることができるような便宜を図ってまいりたいというふうに考えております。
 それから、同じくマラリア問題について、大田知事みずから直接要請を行うなど問題解決に向けての決意を伺いたいということでございまして、八重山のマラリア問題につきましては、糸数議員も御指摘のように御遺族の高齢化等が進んでおりまして、私も非常に胸を痛めているところでございます。何とかしてできるだけ早く解決したいということでやっております。
 知事として要請してないわけじゃなくて、これまでも何度も要請しておりますし、また御承知のように行政レベルでの具体的な詰めの作業というのは、それぞれの担当者が積み上げていって、それが最終的に決まっていくということで、知事が最初から発言したからすぐに解決するというような種類の問題ではございませんので、そのあたりは御理解いただきたいと。といって、知事が決して黙っているというわけじゃございませんで、これまでも厚生大臣あてにも折衝してございます。
 それから、環境問題について、県は昨年赤土流出防止に関する学術交流会を開き前向きに取り組む姿勢が見られたが、民間の参加についてはどう考えるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 赤土流出防止技術の向上を図るため、平成4年度において赤土流出防止の調査研究を行っている県の試験研究機関が一堂に集まりまして、赤土等試験研究交流集会を開催し、それぞれの立場から防止技術等についての発表及び情報交換を行いました。
 なお、平成5年度におきましては、さらに大学及び民間の研究機関にも参加を求め、同研究交流集会を拡充してまいりたいと考えております。
 それから、同じく環境問題との関連で、三重県、石川県、福岡県などのように環境部の機能を強化し、組織を構築する考えはないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 より積極的な環境行政を推進するために、県では去る4月1日付で環境衛生課を生活衛生課に、公害対策課を環境保全課に組織変更したところであります。
 また、赤土等流出防止対策など環境問題に対処するため、環境保健部に特命参事監を新設するとともに、生活衛生課に廃棄物対策監、環境保全課に赤土対策監並びに環境管理監を新しく設け、組織強化を図ったところであります。
 なお、今後とも泌要な組織強化について検討を進めてまいりたいと思います。
 それから、教育問題との関連で、守礼の邦あるいは共同体意識の回復に向け行政としてどのような施策が求められているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 近年、地域においては、人口の流動化や就労家族の増大などによりかつての地縁、血縁の固いきずなで結ばれていた連帯性、協同性、帰属意識等の特性は薄れ、地域の人間関係及び諸活動は低下しつつあります。
 地域の共同体意識を高めるために、県は、地域の伝統行事や伝統芸能を保護育成し、地域住民の連帯感を高める地域行事等の開催を奨励する一方、文化施設、教育施設、集会施設等さまざまな施設設備の整備を図る町づくり事業等を推進しています。
 なお、つけ加えて申しますと、我が沖縄県では共同体意識というのは、他府県に比べまして特に強い点がございます。これは海外で活躍している県出身の皆さんの共同体社会だけではなくて、ここの本島におきましても、例えば郷友会なんかの集いというのが盛んでございますので、そうした面のいい点はこれからもぜひとも伸ばしていくように、行政サイドとしてもお手伝いできることはいろいろな形でお手伝いさせていただきたいと考えております。
 なお、ほかの御質問につきましては、関係部局長から答弁させますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(儀間光男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 高山朝光君登壇〕
○知事公室長(高山朝光君) 糸数慶子議員の御質問にお答えいたします。
 まず、「平和の礎」について、沖縄戦全戦没者の一斉調査を行う計画について所見を伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 沖縄戦全戦没者の名簿につきましては、県内及び県外から得た資料をもとに、現在、電算入力中でございます。
 県内の名簿につきましては、今後、市町村で確認していただくとともに、あわせて不明戦没者の調査も行い、今年度中に名簿整理を完了する予定でございます。
 御提言につきましては、検討していきたいと考えております。
 次に、女性政策について、女性の登用状況について、各種審議会等における女性委員の登用率について、1点、2点目、登用状況の他府県との比較状況、全国レベル、九州レベル、3点目、県の女性職員の役職登用状況及び他府県との比較状況、この3点の御質問につきまして一括してお答えを申し上げます。
 本県の各種委員会及び審議会等の女性の登用状況は、平成5年4月1日現在、121委員会等、委員総数1927人のうち、87委員会等において281人の女性委員が登用され、登用率は14.6%となっております。平成4年の11.5%に比べ、3.1%高くなっております。
 他府県と比較してみますと、平成4年6月現在、九州では福岡県に次いで2位、全国では14位となっております。
 また、県の女性職員の登用状況につきましては、平成5年4月1日現在、部長級1名、次長級5名、課長級22名、課長補佐級55名、係長級504名の計587名で、登用率16.6%となっております。
 平成4年6月1日現在で、知事部局の本庁における課長相当職以上を比較してみますと、九州では第1位、全国では第7位の登用率となっております。
 次に、女性政策につきまして、「DEIGOプラン21」推進月間事業について、メッセージ・リレーについて、女性模擬県議会についての御質問にお答えをいたします。
 本県では、男女の共同参画によって支えられる21世紀の社会を築くことを目指して、平成5年3月、男女共同参画型社会の実現を目指す沖縄県行動計画DEIGOプラン21を策定いたしました。このDEIGOプラン21の策定を記念して県民に対する啓発活動を展開していくため、7月をDEIGOプラン21推進月間と定め、諸事業を推進しております。
 メッセージ・リレーにつきましては、本年度、10市でメッセージ交換のセレモニーを行うほか、先島の4市町村におきまして直接メッセージをお届けいたします。残る町村につきましては、次年度以降順次計画的に回る予定でございます。
 女性模擬県議会は、女性の社会参加意識を促進させるとともに、模擬県議会を通して広く意見等を徴し、今後のプラン推進に反映していくことを目的として開催するものでございます。

 模擬議員は47人とし、一般から公募いたしました。執行部は、沖縄県女性行政推進本部が当たることにし、議案は、男女共同参画型社会の実現を目指す沖縄県行動計画DEIGOプラン21としております。
 以上でございます。 
○議長(儀間光男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 花城可長君登壇〕
○生活福祉部長(花城可長君) 糸数議員の厚生年金問題について、国との話し合い、交渉の中で問題として残っているのは何か、また今後の話し合いの手順及び見通しはどうかという御質問にお答えをいたします。
 現在、国との調整で問題として残っている事項といたしましては、対象者の範囲につきまして、県案としては20歳以上としておりましたが、25歳以上に絞り込めないかということで調整中でございます。
 雇用の証明につきましては、原則として事業主が証明を行うこととするが、証明方法につきましては、県の定める要領により実施する方向で調整中でございます。
 追納につきましては、国としては遡及適用ということではなく、現時点に立って厚生年金の格差是正を図る制度の趣旨から、退職時の標準報酬及び納付時の保険料率を用いることを条件といたしております。
 この条件を前提として試算いたしますと、約1800億円の膨大な額となります。県が提示いたしました試案の、昭和45年標準報酬及び保険料率を基礎にいたしますと約1200億円となり、大きな差がございます。
 事業主負担につきましては、個人負担の軽減を図るため、企業、県が相応の負担をする方向で検討を進めているところでございますが、また防衛施設庁に対しましても、その負担をお願いをすることといたしております。
 特に、事業主負担の問題解決が最大の課題となっておりまして、この問題解決なくしては格差是正は進展しない状況にございます。
 また、今後の話し合いの手順と見通しにつきましては、国の関係機関と粘り強く折衝を続けると同時に、県内の関係者とも必要な調整を行い、早急な解決に向けてさらに努力が必要と考えております。
 次に、同じく厚生年金問題で、事業主負担は、本土以上に厳しい経済状況を強いられてきた本県企業活動の歴史的経過からすれば、国の側で負担していく道をつくるべきと考えるが県の見解と決意はどうかという御質問にお答えをいたします。
 厚生年金の保険料の納付は、原則として労使折半であり、事業主負担分について国庫負担を求めることは、厚生年金制度の建前から非常に難しい問題がございます。しかし沖縄の厚生年金の格差の要因が、その加入期間の差によるものであり、それは沖縄と本土との行政分離により生じたものであることを考えると、何らかの方策についてさらに検討を重ねる必要があると考えております。
 県といたしましては、国の関係機関と粘り強く折衝を続けるとともに、関係団体との緊密な連携を図り、県議会、国会議員の御協力、御支援を得て同問題の早期解決に最大限の努力をする所存でございます。
 次に、同じく厚生年金問題題でございますが、戦前の労働者年金に関連をいたしまして、この労働者年金の申請、受給に関して考えられる問題を県はどう把握し、考えているかという御質問にお答えをいたします。
 労働者年金保険法は、昭和17年6月1日から実施され、当時の被保険者等の扱いは、常時10人以上の労働者を使用する事業所の男子労働者と限定をされておりました。同法は、昭和19年6月1日に厚生年金保険法として名称変更し、5人以上の従業員の事業所に適用拡大され、女子職員も含めて適用されました。したがいまして、当時軍需工場等で働いていた方々の期間につきましては、十分認識をしておりまして、現行の厚生年金法による年金給付を受給する時点では、当然、労働者年金保険法による加入期間も含めた計算の対象となり、受給年金額に反映をされております。
 同じく戦前の労働者年金との関連につきまして、本県の労働者年金の受給者は何人ですか、また年金の基本額、全体の総支給額は幾らかという御質問にお答えをいたします。
 労働者年金保険の加入期間は厚生年金保険の被保険者期間として引き継がれており、労働者年金保険単独での受給者の数、年金の基本額、総支給額は把握できません。
 同じく戦前の労働者年金に関連しまして、受給資格者は何人いて、また何人ほどが未請求の状況にあるかという御質問にお答えをいたします。
 厚生年金保険法による被保険者台帳には住所等の管理はされてなく、沖縄県人か他県の人かの区別はございません。社会保険庁で一括管理されており、不明でございます。
 同じく戦前の労働者年金に関連しまして、受給有資格者への呼びかけ等の現況、また南米移住者等も含めた有資格者へのアピールの強化について県の考えをお聞きしたいという御質問にお答えをいたします。
 本県におきましては、各社会保険事務所等で実施する年金説明会や各種の年金関係研修等で戦前の労働者年金保険法の加入期間は厚生年金保険法として引き継がれていることを説明をしております。
 また、年金を請求するときにも窓口等でも十分に説明を行い、戦前の期間がないかどうか、職歴の確認をするなど指導を行っております。したがいまして、該当すると思われる方や外国に移住されている方々につきましては、引き続き申し出ていただきますよう広報していきたいと考えております。
 次に、船舶遭難補償問題についてでございますが、国との話し合いを含め戦時遭難船舶の経過はどうなっているかという御質問題問にお答えいたします。
 今次大戦中に魚雷等による攻撃で遭難した外地からの引揚船「赤城丸」や、本土航路線「湖南丸」等の犠牲者の遣族会から、昭和57年以来、国家補償を求める要請が継続して行われております。
 県といたしましては、これまで幾度となく同遺族会と話し合いを持ち、また米国での資料収集やその他必要な調査を実施してまいりました。
 なお、同問題が提起されて以来、数回にわたり遣族会からの要請内容等につきまして関係省庁に事務段階での説明を行ってきたところでございます。
 同じく船舶遭難補償問題につきまして、この問題に関して県の調査なり対応はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 県におきましては、昭和35年7月、各市町村長の協力を得て、疎開または引き揚げ途上死亡した学童及び一般邦人の調査を行い、大まかな遭難船舶数、船舶名、市町村ごとの死没者数を把握いたしました。
 その後、昭和57年から58年にかけまして、船舶会社、南洋群島協会等から事故報告書や死没者名簿を入手いたしました。さらに平成3年9月には、米国で事故報告書等を収集し、平成5年3月には防衛庁及び国会図書館等で資料収集を行ってまいりました。
 同じく船舶遭難補償問題に関連しまして、この問題に対する県の対応についてお聞きしたいという御質問にお答えをいたします。
 戦時遭難船舶犠牲者補償につきましては、次のような問題点がございます。
 1つには、戦時遭難船舶問題は全国的な問題であり、沖縄特有の問題としてとらえることは難しい面があること、2つには、外地引揚者、公務関係者、学童疎開、本土、台湾疎開者の遭難犠牲者につきましては、既に見舞い金等の措置が図られていること、3つ目には、沖縄戦で戦闘に巻き込まれた一般被災者については、昭和48年以来、国に対し補償要請を継続的に行ってきたところでございますが、補償実現の見通しが立たない状況にあること、4つ目には、国においては、戦後強制抑留者等の関係者の労苦に対し、慰謝の念を示す事業を行うため、昭和63年に平和祈念事業特別基金等に関する法律が施行されましたが、一般戦争犠牲者につきましては、個別的な措置の対象となっていないことなどの問題点がございまして、今後慎重に対応してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 農林水産部長。
  〔農林水産部長 赤嶺 勇君登壇〕
○農林水産部長(赤嶺 勇君) 糸数議員の質問にお答えいたします。
 環境問題との関連でございますが、農林水産部において赤土対策でどの程度民間と技術提携しているかとの趣旨の御質問にお答えいたします。

 民間における赤土流出防止の技術開発につきましては、薬剤散布による土壌の団粒化促進法、濁水のろ過促進法及びマルチ材等による被覆法等がございます。
 民間開発の技術につきましては、可能な限り取り入れる考えでありますが、現在は防止効果、経済性及び安全性等の課題があり、各工法とも試験施工の段階にあることから、当面、その成果について注目しているところでございます。
○議長(儀間光男君) 土木建築部長。
  〔土木建築部長 大城義勝君登壇〕
○土木建築部長(大城義勝君) 環境問題についての御質問のうち、民間レベルの赤土対策の技術開発は進んでいるようであるが、どう活用しているかということについてお答えいたします。
 土木建築部においては、赤土流出防止対策を体系化してより効果的な赤土流出防止工法を確立するため、平成3年度から民間コンサルタントに委託し、学識経験者の指導助言を得ながら調査を進めているところであります。
 御質問の件については、平成4年度の調査の中で民間企業の開発した各種の赤土流出防止工法、例えばポリソイルエ法、アスファルト乳剤吹きつけ工法、種子吹きつけ工法、マルチング工法等を取り入れた工事現場において試験施工を実施しており、その結果を踏まえて平成6年度をめどに赤土流出防止対策技術指針を策定したいと考えております。
○議長(儀間光男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 砂川恵徹君登壇〕
○環境保健部長(砂川恵徹君) 糸数議員の環境問題のうち、赤土等の土砂対策と赤水等の濁水対策を区分した赤土対策はどうなっていますかという御質問にお答えいたします。
 御質問の赤土等の土砂対策と赤水等の濁水対策については、県では赤水対策は赤土対策の一環であり、これを区分して対策を講じることは極めて困難であると考えております。
 そのため、各種開発事業においては、発生源対策と流出防止対策を組み合わせ、総合的に対処するように指導してきましたが、依然として河川、海域の汚濁はまだ十分に抑制されていない現状にあります。
 このようなことから、赤土対策については今後とも監視指導に努めるとともに、さらに対策の強化を図るため条例の制定作業を進めているところであります。
 次に、環境問題のうち、米軍基地からの赤土汚染が指摘されていますが、徹底した調査の実施計画はありますかという御質問でございますが、これまでにキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ基地から赤土発生の事例がありました。これらについては、その都度立入調査を行い、対処してまいりました。
 なお、米軍基地からの赤土流出問題は、県政における重要な課題であることから、今後とも適宜立入調査を実施していきたいと考えております。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 教育長。
   〔教育長 嘉陽正幸君登壇〕
○教育長(嘉陽正幸君) 糸数議員の教育問題についての御質問の2番にお答えいたします。
 一連の子供たちの問題行動が授業についていけないことが一因となっており、テストにおける成績重視からそれぞれの個性を伸ばす教育のあり方が問われています、今回の事件から何を教訓にし、どのような教育を施していくのかということについてお答えいたします。
 今回の事件の教訓として、児童生徒に対し自他の生命を尊重し、安全を確保することは人間として生きる上で何よりも大切であることを理解させること、節度ある自律的な生活を送る態度を身につけさせることの教育が重要であると受けとめております。
 そのためには、他人の痛みがわかる思いやりの心を育てる道徳教育や、自主的、実践的な態度を身につけさせる特別活動の充実を図り、人間性豊かな教育を進めてまいりたいと思います。
 また、家庭教育の充実や基本的な生活習慣の確立を目指し、社会性豊かな児童生徒の育成に努めてまいります。
 以上であります。
○議長(儀間光男君) 幸喜 勝君。
   〔幸喜 勝君登壇〕
○幸喜 勝君 最近の政治情勢の一端を申し上げてから、質問に入らせていただきます。
 政治は人によって動かされている、その人々から負託を受けて政治家がおり、政治が行われている、国家の存亡は政治家によってゆだねられていると言っても過言ではないと思います。
 さて、今日ほど国民の政治家への不信感が高まってきたのも過去に例がないと言わねばなりません。去る6月18日の衆議院解散・総選挙は、国民の政治家への不信感が最絶頂に達し、国民の声がマスメディアを通じ、如実にそれを物語っております。地方にも波及しかねない中央界のこのごたごたを、せめて本県には絶対持ち込まないという強い姿勢が望まれます。
 今、我々は、国民から政治への信頼回復をいかに取り返すか、今こそ真剣に考えるべき時期に直面したと言えよう。
 こうした意味合いも含めて、来るべき21世紀に向けた沖縄の世界戦略構想について、沖縄の長期展望に立った目標、理念を掲げて県政クラブの代表質問を行います。
 1つ、本県は、一昔前、中国を中心として東南アジアとの交易を盛んに行い、輝かしい大交易時代を築いた過去があります。「万国津梁の鐘」は、まさにそのシンボルと言えましょう。
 我が先達は、さらに明治32年を起点に7つの海を越え、今日まで実に30万人のウチナーンチュが続々と海外に雄飛し、活躍しております。これが移民県と言われるゆえんであります。
 1990年に開催された世界のウチナーンチュ大会には、世界各地で活躍する3000人が参加し、大盛会裏に終了しました。そのときに民間大使、いわゆる世界で活躍するウチナーンチュを介して各国の経済、文化、学術等の交流拡大を目的に発足、100人が選任され、その後もまた新たに25人が追加され、着実にその目的達成に向かって邁進されていることに喜びを感じるのであります。こうして、我が県の過去を振り返ってみると、先達のパイオニア精神、たくましさ、さらには知恵がひしひしと感じられます。
 歴史は繰り返されると言われます。今、国際化時代、情報化時代でマスメディアの発達により、1日にして世界の情報を知ることができます。空も海も超高速化され、国際的に人的、物的交流が容易に行われる時期に到達してまいりました。
 こうした時勢の中で、先達の先見性、洞察力のすばらしさに改めて敬意を表さざるを得ません。今まさに国際化の波は押し寄せてきております。私たちは、与えられたこの条件を最大限に活用しなければいけません。相互発展のためにそれが先達に報いることであります。
 さて、民間大使との交流拡大は、今後世界の情報ネットワークづくりに大いに意義あることであります。また、目的意識をしっかり持つことにより、その成果が明確になり、双方の相互利益、相乗効果につながることです。
 知事にお尋ねいたします。
 ただいま申し上げた点について、長い目で見た交流を通じ、21世紀に向けた沖縄の展望を切り開いてはいかがでしょうか。そのためには具体的な計画を立て、着実な成果を双方のために上げていくべきと思料するが、御所見を賜りたい。
 2つ、長い歴史の変遷の中で沖縄県民はいろいろな体験を積み重ねてきております。今、NHKの大河ドラマ「琉球の風」で全国放映されているのも、沖縄にとっては悲しい歴史の一こまであります。
 さらに、今次大戦の敗戦により本土から切り離され、27年間、米国の異民族支配下に置かれ、苦しい思いを虐げられてきました。
 私は、復帰前に4年間本土で生活をしてまいりました。同じ日本人でありながら、パスポートを持たされた悲しさは忘れることはできません。また、生活体験の中で本土の人たちの沖縄に対する認識の甘さ、あるいはあらゆる面で本土との格差を感じ、辟易したものです。私は、二度と沖縄の青少年、若者たちに同じ体験をさせたくないというのが真情です。
 さて、復帰後、本土との格差是正のもとに特別措置法が制定され、政府は膨大な財政投資をして社会資本の整備等がなされてきております。おかげで、沖縄も見違えるほど変わってきました。経済活動も活発になり、確かに県民生活も豊かになってまいりました。

 ところが、この時限立法である特別措置はいつまでも続くわけでなく、そのために今、県は第3次振計により自立を求め、立ち上がっているところであります。その自立のバロメーターとも思われる県民所得が第1次、第2次振計を通じなかなか本土との格差が縮まらず、苦慮しているのが実情ではないでしょうか。
 私は、県の産業振興を通じ、経済が豊かになることにより学術、文化を初め、県民の精神的高揚も図れると信じております。
 沖縄県が自立するということは、人間が一人前に成長したというのと同じことではないでしょうか。そのことを考えたとき、一日も早い自立をなし遂げねばなりません。
 今、地方の時代と言われております。資源のない我が沖縄県において、21世紀の長期展望に立って大胆な発想を取り入れてはいかがでしょうか。
 では、知事にお尋ねいたします。
 本県は、バイオ産業の気侯風土に世界的に最も適したところだと専門家は言っております。日本の国策として沖縄にバイオ研究開発所の建設を提案し、誘致したらいかがでしょうか。
 世界のバイオテクノロジー専門の頭脳集団を結集して沖縄を世界のバイオ発信基地にすれば、産業振興はもとより、人材育成にも大いに役立つと思われますが、御所見を賜りたい。
 3つ目、沖縄の果たすべき役割とその可能性について。
 沖縄は、我が国の最南端にあって、本土と東南アジア諸国とのほぼ中央に位置し、国際交流において有利な地理的条件を有しております。
 今、国際社会の中で日本の国際貢献がさらに強く求められております。これまでもあらゆる形で国際貢献で寄与してきました。無論、現在も継続しています。その中で本県も、地理的条件からさまざまな形で可能な限りその優位性を生かし、国際的貢献を果たさなければならない時代と思料いたします。
 1985年、浦添市に立地した国際センターは、はや8年を経過しております。これまで108カ国より2205名の人たちが研修を修了し、自国で活躍をしております。
 当初立地の際、関係省庁は、沖縄での受け入れ体制と外国からの送り出しに大きな懸念を表明されておりましたが、いざ開所して研修生が沖縄の歴史、文化に触れ、県民との交流を通じ大変喜ばれ、感動して帰国し、同じ人が2度も研修生として来るほどになり、外務省あたりでも、ほかの国際センターと比べ大変高い評価をしているとのことであります。これも沖縄の県民性のあらわれであり、まことにうれしい限りであります。
 また、本県では、国内や外国の研修、会議等も盛んに開催され、人的交流にも大いに利用されております。
 このほど沖縄総合事務局は、沖縄を我が国の南の国際交流、物流の拠点としての振興策などを示した国際的交流、物流拠点調査報告書をまとめ、それによると、沖縄を成長著しい環太平洋東アジア地域経済圏に組み入れ、貿易産業の中心に製造業、流通業、サービス業などの振興、活性化を図り、産業全体の高度化で経済自立を達成するとしております。過去のアジア諸国との交易の実績、国際化を図るためのポテンシャルの高さを強調し、大きな期待をしているところであります。気候的には、我が国では唯一の亜熱帯の地で自然に恵まれ、保養地としての最高の条件を兼ね備えております。今、県が計画している国際的リゾート地としてのトロピカルリゾート構想は、まさにそのことをあらわしていると言えよう。
 さて、知事、ここでお尋ねいたします。
 本県は、経済的自立を求めていく中で国際化時代において、我が国の地理的優位な位置と恵まれた自然条件を生かし、国際社会で何を果たしていくべきかを確認すると同時に、さらに沖縄の可能性についてもこれまで申し上げてきたとおりです。要は、21世紀に向けた沖縄は、県民のやる意欲と英知が求められているのではないかと思われます。
 まず、そのためにここで最も必要視されてくるのは器をつくることです。那覇空港の沖合展開をし、国際空港への格上げが絶対条件だと思います。知事を先頭に県民総ぐるみの運動の展開を強力に推進すべきと考えますが、知事の決意のほどをお聞かせいただきたい。
 4つ目、今、世界は米ソ二大国の冷戦構造が崩壊し、一転して協調、対話の時代に移行しつつあります。大国ソ連、中国の社会主義の経済的衰退により、同盟諸国への指導力の低下と経済的援助の弱体化がほかの国々へ波及し、社会主義の終えんにまで陥ったことが大きな原因でありましょう。
 民主主義と社会主義のバランスが崩れ、世界の潮流は、今、自由主義へ大きく移行しつつあります。あの冷戦状態が激しかったころは多くの国々が軍事費最優先で、軍事費に占める国の予算が膨大であり、国の経済圧迫に大きな拍車をかけ、国民の怒りは限界に達し、国策の転換を図らざるを得なくなったのが実情であります。そのことは、特に社会主義国家に当てはまることです。
 さて、世界の多くの国々は、デタントにより軍事優先から徐々に民事優先に変わり、軍縮に積極的になってきております。
 この国際情勢の変化は、我が国や本県の軍事基地にも大きな影響が期待されます。
 去るアメリカの大統領選挙では、変革を求めたアメリカ国民は47歳の若いクリントン大統領を指名し、就任いたしております。クリントン大統領は、選挙時から大幅な軍縮を唱え、国民の賛同を得てきた経緯があり、実行に移すことは時間の問題だと思います。
 ところで、本県の米軍基地に軍縮が及ぶかどうかはまだ明らかにされておりません。知事はこのたび訪米し、沖縄の米軍基地返還の直訴をしてきておりますが、政府、関係者の方々とお会いし、それなりの情報が得られたと思います。その成果なり、率直な状況のお話を賜りたい。
 知事は、以前から基地の早期返還を訴えております。ところが、軍用地主の大半と軍用地主連合会の役員の皆さんは、現時点では早期返還には賛同しておりません。そのことは跡利用計画、特別法の制定等返還後の問題が余りにも山積していることからであります。
 知事にお尋ねいたします。
 知事の現時点での基地の早期返還論については納得できません。地主や連合会等と十分話し合い、調整の上、基地返還については歩調を合わせた行動をとるべきと思料するがいかがなものでしょうか、御所見を賜りたいと思います。
 次に、知事は、米軍基地については過去の経緯からして即時全面返還だと思います。これは本音を言っております。それはそれなりにいいとしまして、そこで返還後の膨大な土地の跡利用について、もし即返還されたとしたら、知事の個人的な考えで結構でございます、何にどのように跡利用をなさりたいと思いますか、現時点での率直な考え方を御披瀝願いたい。
 御参考までに申し上げておきますと、現在、沖縄駐留の米軍基地は県土の11.1%で、面積にして250平方キロメートルであります。21世紀の沖縄の展望に向け、知事の行政マンとしてのロマンを満たすべく思い切った発想を御披瀝願いたいと思います。
 5つ目、1997年に香港はイギリスから中国に返還されることが決定されております。そのアジア周辺では、ポスト香港をにらんでいろいろな計画が模索されております。それほど国際貿易国としての価値が高かった証拠だと思います。
 本県においても、政治家や経済界の間からそのことがささやかれ、現実的に可能かどうか、経済界あたりでは現地視察調査を実施し、沖縄の地理的優位性に可能性ありと力説している方々も多く、これまで講演やマスコミを通じてよく県民は承知しているところです。
 さて、その地理的優位性のもとに生かすとなると、ポスト香港の受け皿づくりが最も重要なことです。
 まず、国際空港、港湾の拡充による外国航路の開設、従来のフリーゾーンの拡大、華僑ネットとの結びつき等解決すべき諸問題が数多くあります。しかし、実現すれば県益だけじゃなく国益にもつながっていくことだけに、国としても最優先にポスト香港に向け努力すべきと思います。
 そこで知事にお尋ねいたします。
 ボーダーレス時代におけるポスト香港に向け、申し上げたとおり本県には優位な可能性がありますが、本格的に調査を実施したことがこれまでありますか。もしなければ今からでも積極的に取り組む姿勢がおありでしょうか、御所見を賜りたいと思います。

 6つ目、知事、いよいよ最後の質問に入らせていただきます。
 私は、これまで21世紀に向けた沖縄の世界戦略構想について、いろいろな角度から知事に対し御質問あるいは姿勢等をお尋ねいたしてまいりました。
 そのことは、私にとって2つの大きな目的がありました。
 その1つは、沖縄が琉球王国時代は、中国を中心としてアジアとの大交易時代を築き、栄華を誇った時期があります。ところが、その後の歴史は、今、「琉球の風」にもありますように薩摩に支配され、その後幾多の戦争を体験し、県民は厳しい、苦しい生活体験を余儀なくされてきたと思います。中でも今次大戦においては多くの犠牲者を出し、それこそ言語に絶する悲惨な戦争体験でありました。戦後も27年間米国の施政権下に置かれ、辛苦の思いをしてきております。
 復帰後、特別措置法によって本土との格差是正がなされ、県民の生活もようやく安定してまいりました。国際化の波の中で、沖縄のもろもろの可能性があると内外から言われており、これを生かすことにより沖縄の自立が確立できると信ずるのであります。沖縄の人が本土の人たちと同じ条件のもとで競争できるような社会風土になれることを期待したいのであります。
 2つ目は、21世紀へ向けて沖縄を背負って立つ青少年や若者にも沖縄の国際的可能性を知り、グローバルな視点に立ってあらゆることに果敢に挑戦し、活躍することを期待したいからであります。
 最後にお尋ねいたします。
 沖縄は、第3次振計の最終年次の平成13年以後は、どんなことがあっても経済的自立をし、自力で本土各県と肩を並べて競争できるようにし、活力に満ちた沖縄県にし、アジアを中心とした世界戦略に挑戦すべきと思料いたします。いかがお考えでしょうか。
 次に、沖縄の地理的優位性、歴史、文化、気候風土の特性を生かし、経済、学術、文化、スポーツ等の国内、国外に幅広く働きかけ、もろもろのイベントの一大メッカにし、世界の中の沖縄をアピールしてはいかがですか、御所見を賜りたいと思います。
 また、沖縄のポテンシャルを可能ならしめるためには、あらゆるノウハウに挑戦できるための人材育成が今最も必要だと考えます。21世紀の国際化時代にふさわしい人材育成について、県の施策と今後の大胆な取り組みについて御見解を賜りたいと思います。
あとは再質問をいたします。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 幸喜勝議員の御質問にお答えいたします。
 21世紀に向けた沖縄の世界戦略構想との関連で、民間大使との交流拡大を通じて21世紀に向けた展望を開く必要があると考える、民間大使の具体的な交流計画についての所見を伺いたいという御質問にお答えします。
 本県の国際交流の推進を図るたあ、経済、文化、学術等多くの分野で活躍するウチナーンチュの中から、21カ国、4地域にわたり、計125名の民間大使を認証し、各地域におけるブロック会議の開催、各民間大使からの情報提供を中心とした交流事業の拡大を図っているところであります。
 今後、21世紀に向けて本県の国際交流をさらに発展させるため、民間大使を中心とした人的ネットワークづくりを強力に進め、我が国の南の国際交流拠点形成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、本県の気候風土はバイオ産業に適していて、沖縄に国策のバイオ研究開発所の建設を提案し、誘致したらどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 本県は、地理的、自然的特性からバイオテクノロジーの研究開発を推進する上で有利な条件を有していることは、御指摘のとおりでございます。本県のバイオ研究開発は、昭和62年3月に策定した「沖縄県バイオテクノロジー推進の基本方針」に基づきおのおのの試験研究機関を中心に推進されてきました。
 また、平成2年には、頭脳立地法によるトロピカルテクノセンターが設立され、同センターでは、実用化に重点を置いたバイオの研究開発に取り組んできております。
 バイオ関連産業は、3次振計においても観光・リゾート産業や情報産業とともに、今後の戦略的な産業として育成振興する方向性が位置づけられており、本県の地域特性を生かした産業振興上重要な役割を担うことが期待されています。
 したがって、バイオ関連産業を積極的に育成振興する観点から、総合的なバイオ研究機関の設置を図る必要があると考えており、その一環として微生物の研究機関の立地と産業化の可能性の調査を進めているところであります。
 今後とも、琉球大学やその他の研究機関とも緊密に連絡をとりながら、御提言の趣旨を生かせるような検討を重ねてまいりたいと考えております。
次に、沖縄の果たすべき役割とその可能性について、経済自立のためには那覇空港の沖合展開をし、国際空港への格上げが絶対条件であり、県民運動の展開が必要と思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
那覇空港については、我が国の南における国際交流の拠点及び産業振興を図るための基盤として整備拡充が必要であると認識いたしております。当面、分散狭隘化している那覇空港国内線旅客ターミナルビルの統合整備を図ることとし、平成10年の完成を目途に去る5月に工事を着手したところであります。
 御指摘の那覇空港の沖合展開につきましては、第3次沖縄振興開発計画の中でも位置づけており、航空需要の拡大を図る等諸条件の整備を図りつつ、中長期的な観点に立って対処してまいりたいと考えております。
 それから、知事訪米の成果なり、折衝の状況について聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 今回、ワシントンを訪問いたしましたが、ワシントンでは、国務、国防総省の海外基地政策を直接に担当する高官や上下両院の軍事関係議員及び本県における米軍の主要部隊を統括する海兵隊司令部の高官と会って要請を行いました。
 また、ハワイでは、太平洋における海軍や海兵隊の司令部を訪問し、各司令官らと会談を行い、強力に要請を行いました。
 このほか、今回は、本県と同様に米軍基地問題を抱えるグアムにも立ち寄ってアダ知事やグアム選出の代議員らと会い、意見を交換しました。特にグアムにおきましては、基地の統合の問題について、軍と民の共用の港や飛行場というものが民間専用になるということを聞かされまして、我々も何とかそのようなことができたらということで、いろいろと知恵をかしてもらうことにしております。
 それから、先ほども申しましたが、今回の訪米で特によかったと思っているのは、議会関係筋の上下両院の議員の、特に軍事問題を担当する方々に関心を喚起したことが非常によかった点だと私は考えております。
 それから、先ほどもお話がありましたけれども、沖縄の基地の実情につきましては、意外と知られていない点がございまして、その面で、今回のワシントンポスト紙の広告というものが大きな影響を与えたことをじかに感得することができました。
 前にも申し上げましたけれども、ドイツの方のテレビ局がそれを読んだということで関心をもちまして、沖縄の実情について、ドイツあたりでも放映したいというふうにやっておりましたし、実は昨日も東京の方から、アメリカのフリージャーナリストの方から電話がありまして、ワシントンポスト紙の影響というものが非常に大きくなりつつあると、だから自分もその沖縄の基地についてぜひ見て、もっと内容について聞きたいのでインタビューを受けてほしいという要請を受けております。明日か、明後日に沖縄に来るというお話でしたけれども、そういう形で具体的に沖縄の基地問題がマスコミの関心の的になっている点はよかったというふうに考えております。
 それから、基地返還について、地主や連合会等と十分に話し合い、調整の上、歩調を合わせた行動をとるべきだと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 基地の返還と跡地利用につきましては、関係市町村及び地主等の意向、意見等を尊重することが大切なことは御指摘のとおりでございまして、県としましては、軍用地等の所在する31の市町村とで沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会を組織し、緊密な連携を図りながら、本県の振興開発上必要な施設・区域の早期返還に向けて、鋭意取り組んできたところであります。

 また、県が去る3月に実施した軍用地の転用に係る地主の意向調査の結果では、先ほども申しましたけれども、軍用地からの収入に依存している老齢の方々も少なからずおりますので、返還に対して不安を感じさせないように積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 そこで、沖縄県としましては、現在、国に対し返還のあり方、地主の損失補償、跡地の有効利用のための行財政上の支援措置を盛り込んだ沖縄県における駐留軍用地の返還及び駐留軍用地跡地の利用の促進に関する特別措置法の制定を要請しているほか、関係市町村の跡地利用計画の策定作業を支援しているところであります。
 次に、もし返還されたとしたら、知事の個人的な考えで結構だが、何に、どのように跡利用したいと考えるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 もし、即時返還されたらという仮定の質問に対しましては、お答えできませんけれども、返還に対する県の基本的な対応について御説明申しますと、県としましては、基地が返還されることによる地主の方々の不安をなくし、跡地の有効利用が進められるように軍転特措法県案要綱め制度化に努めるとともに、市町村等の跡地利用計画の策定に資するため沖縄県駐留軍用地跡地利用基本計画を作成してきたところであります。
 今後とも、市町村、地主の方々の御理解と御協力を得て、基地の跡地利用を進めてまいりたいと思っております。
 次に。ボーダーレス時代におけるポスト香港に向け本県には優位な可能性があるが、本格的に調査を実施したことがあるのかと、もしなければ今後積極的に取り組む姿勢があるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 ポスト香港につきましては、これまで各方面からいろいろな意見が出ていることは、私も十分に理解しているところでございます。第3次振計では、本県の地理的優位性を生かした貿易の振興を図る必要から、南における国際的な物流中継加工拠点の形成を図ることとしております。
 先般、香港やシンガポールを視察した際に、関係者からポスト香港についての意見をいろいろと伺うことができました。香港大学の有名な経済学者の御意見によりますと、返還後50年間は現在の制度を変えず、一国二制度の形態が維持されていくということでございました。
 このようなことから、21世紀に向けた本県の貿易振興につきましては、中国や台湾、近隣アジア諸国等を視野に入れながら、積極的にどのような対応策、また沖縄の振興開発に資する近隣諸国との交流計画が可能かというものについて取り組んでまいりたいと考えております。
 1つの、今、庁内で議論をしてほしいと要望している点は、例えばシンガポールとか香港のジェトロに県の職員を1人か2人ぐらいでも配置できないかどうか。そしてそこから、今御指摘のありました、いわゆる華南経済圏の情報について、県が変動の激しい時代にふさわしい情報を収集できるようた措置が講じられないものかどうかということを、先般、私たちが行いました視察を踏まえて検討しているところでございます。
 それから、沖縄は、3次振計が終了した後は経済的に自立し、本土各県と競争できるようにするとともに、アジアを中心とした世界戦略に挑戦すべきと考えるがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御承知のように、3次振計におきましては、1次、2次振計の成果を踏まえて、我が国の経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域としての整備を新たな基本目標に加えて諸施策を展開することとしております。
 このため、経済の自立化を目指して、沖縄の地理的、自然的特性等の優位性を生かした農林水産業、観光・リゾート関連産業、情報産業等の振興を図るとともに、諸外国との経済、技術、学術、文化等の交流を推進してまいりたいと考えております。
 特に、ウリミバエの防除技術を初め、地下ダム建設の技術のほか、熱帯海域の栽培漁業技術、熱帯医学等の技術交流を図るなど、沖縄が世界に開かれた南の国際交流及び技術協力の拠点として我が国と近隣アジア太平洋諸国等とのかけ橋となるよう、諸施策を積極的に推進してまいりたいと思います。
 ただ、この種の問題というのは、言うのは簡単でございますが、実際の手続となりますといろいろな手続が必要でございます。例えば、ウリミバエを近隣のアジア諸国に、我が方、ウリミバエ防除の技術を伝えたいとしましても、当該地域が北マリアナ連邦みたいにアメリカの支配下に置かれているようなところとなりますとアメリカの許可が必要だとかといったぐあいに、いろいろと手続面でなすべきことがございますので、そういう問題等も踏まえながら、沖縄の世界に誇るような技術伝播の問題、移転の問題につきましてはぜひとも活用していきたいと。そして、その見返りとして東南アジア近隣諸国のすぐれた点については、我が方も積極的に取り入れていきたいと考えております。
 それから、沖縄の地理的優位性、歴史、文化等の特性を生かした経済、学術、文化、スポーツ等もろもろのイベントを通して、世界の中の沖縄をアピールしてはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御指摘のとおり、本県は、琉球王国時代から近隣諸国との交易を通じて国際交流を培ってきた歴史を持っております。このような本県の地理的、自然的特性と独特の伝統文化及び国際性豊かな県民性を生かして、3次振計においても引き続き我が国の南における交流拠点の形成を目指していきたいと考えております。
 国際交流の場の形成を図るため、これまでも沖縄国際センターの誘致やコンベンションセンターの建設等を推進するとともに、世界のウチナーンチュ大会を初め、アジアミュージックぺージェント・イン・沖縄、国際児童・青少年演劇フェスティバルの開催や、太平洋学術中間会議、国際マングローブ生態系協会総会の開催支援を行うなど、国内国外との学術、文化、スポーツ等の幅広い交流を推進しているところであります。
 今後とも、本県の地域特性を積極的に生かして、空手道世界大会の開催など国内はもとより、国際的規模のイベントなどの開催誘致に努め、国内外に沖縄を広くアピールしていく考えでございます。
 それから、21世紀の国際化時代にふさわしい人材育成についての県の施策と今後の取り組みについての御質問にお答えいたします。
 21世紀に向け、国際化、技術革新等の時代の進展に対応した人材の育成は、極めて重要であると認識いたしております。このような観点から3次振計においても、人材育成については、「21世紀に向けて、沖縄が活力ある地域社会を形成していくためには、産業経済、福祉・医療、学術・文化等の各面にわたり多くの有為な人材を育成する必要がある。」と位置づけて、諸施策を積極的に推進することにしております。
 現在、人材育成事業を総合的、体系的に推進するための基本指針となる人材育成基本計画を策定すべく、最終的な詰めを行っているところであります。
 今後の具体的な施策の方向としては、沖縄県人材育成財団を初め、各公的試験研究機関や教育職業訓練機関等の機能の拡充とその積極的な活用を図るとともに、産・学・官の連携を一層密にし、後継者の育成確保はもとより、地域の特性を生かした観光・リゾート産業、情報産業、バイオ関連産業等、戦略的な産業の振興を担い得る人材の育成を積極的に進めていく考えでありますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(儀間光男君) 幸喜 勝君。
   〔幸喜 勝君登壇〕
○幸喜 勝君 再質問をいたします。
 私は、沖縄の数々のその国際的なポテンシャルがあるということを、これまで具体的に説明してまいりました。
 というのは、沖縄がこれから自立するためにはどうしてもこの可能性、特性、地理的優位性というものを生かすごとができなければ、私は沖縄の自立はないものと思います。
 そういう意味で、21世紀に向けては沖縄のこの可能性というものをいかに生かすかと、それを生かすにはやはり人材であるということで、21世紀に向けての人材育成、しかも総合的な分野でやらなければいかないのじゃないかということを申し上げたかったわけでございます。

 そのためには、民間大使というものを通じて、30万人のウチナーンチュが海外に雄飛しているという、非常にほかの県にないような、またこれも1つの大きな特性かと思います。
 私は、これは世界に持つ沖縄の人的資源、資源という言葉は人に例えて適切かどうかはわかりませんが、その人的な資源、あるいは情報資源といいますか、それを今後最大限にやはり生かしていく必要があるんじゃないかと。そして21世紀に向けて、沖縄は世界に羽ばたくんだと、世界戦略に入れるんだという一つの理念を県民に、行政の長である知事が先頭に立って理念をひとつ掲げてこれから進むべきではないかと。そうすることによって、経済界あるいは学者、それぞれの分野の方々がみずからのやはり使命と責任において頑張っていくのではないかというふうな形から、その件について強く質問をしたわけです。
 それと、バイオ開発研究所の件については、バイオというのは非常に広い分野にわたっておりますので、私が申し上げているのは、総合的な分野のバイオです。
 そういう意味で、やはり国策として展開していくことができなければ、沖縄県独自の財政事情では、とてもじゃないんだがその件は達成できないと。それもひとつの地理的な優位性をぜひとも生かしていくべきだと。
 このことは、産業振興はもとより人材育成にも大きくつながっていくものと信じているわけでございます。
 その件について、再度知事の決意のほどをお願いしたいと思います。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
  〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 幸喜議員の御提言の趣旨はよく理解できます。私も全面的に賛成でございます。
 それで、機会あるごとに国の研究機関みたいなものを何とか沖縄に誘致できないか、ひいては国連大学の機関みたいなものを誘致できないかということでいろいろな方と相談しているところでございます。
 ただ、幸喜議員も御理解しておられると思いますが、我々が何か事を進めていこうとする場合にぶつかるのは国のいわば基本的な政策との絡みでございまして、それぞれの地方自治体が主体的に動けるような状態には必ずしもないところが非常に残念でございますが、それらのことを踏まえながら、今御提言の趣旨を生かす形で最大限の努力を傾けていきたいと。
 特に、バイオの研究の問題なんかにつきましては、私もかつては研究者のはしくれでございましたので、その必要性等につきましてはよく認識しているつもりでございまして、今後最大限の努力を傾けて何とか沖縄経済の自立に向けてそれらの施設、機関を存在せしめ得るように努力したいと考えております。
○幸喜 勝君 終わります。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後6時28分休憩
   午後6時55分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 宮里政秋君。
   〔宮里政秋君登壇〕
○宮里政秋君 日本共産党県議団を代表して質問を行います。
 さて、総選挙を目前にしての6月定例議会となりました。
 この解散・総選挙は、宮沢内閣と自民党が小選挙区制導入策動に失敗し、追い詰められた結果にほかなりません。
 自民党が政治改革と称して小選挙区制導入を企て、日本共産党以外のすべての野党が自民党とともに選挙制度改悪に走った中で、この策動を食いとめました。これは、民主主義を踏みにじる小選挙区制を許すな、金権腐敗政治の追及を選挙制度にすりかえるなという国民世論と運動の歴史的な勝利であります。
 日本共産党は、国民の世論、運動と結び、ただ一党、小選挙区制反対を貫きました。そして県内では、沖縄社会大衆党とともにその廃案のために奮闘いたしました。
 佐川・金丸事件の徹底追及、金権腐敗政治一掃のための企業、団体献金の禁止、国民の声を政治に生かす定数の抜本是正こそ政治改革のかなめであると主張してきました。
 庶民の血税が公共工事に群がる大手ゼネコンに吸い上げられ、そこから政治献金の名で政治家の懐に入るという驚くべき腐敗の構造が金丸事件で明らかになりました。金丸自民党元副総理は、公共工事を受注した業者から受注額の1%から3%の献金をさせて70億余も蓄財していることが明らかになりました。公共事業は国民の税金です。国民の血税をもうけの道具にすることは、言語道断と言わなければなりません。
 この事件が起きた根っこに企業献金、団体献金があります。ところが、自民党は、企業も社会的存在といって引き続き企業献金を受け入れる姿勢を示しています。金丸流の政治をこれからも引き続きやるのかとの批判が寄せられています。
 最近、朝日新聞の大手ゼネコンの副社長の談話が載りました。すなわち、自分たちは要するに、金丸がいなくなったら次の金丸を探す、私たちは何も心配していない、北町奉行がいなくなったら、南町奉行がいると言っているのです。第2の金丸が座って、企業献金中心の利権の構造が続くことを認めています。
 先月の29日にも、仙台の市長が収賄の容疑で逮捕されました。大手ゼネコンの社長、副社長らが贈賄の容疑でそれぞれ逮捕されました。
 公共工事に群がる大手ゼネコンと政治家の癒着は後を絶ちません。政治改革を言うなら、この企業、団体からの献金を禁止することです。企業、団体献金の禁止は、今や国民の圧倒的な声となっています。
 ところで、今すべての党派が政治改革を主張しています。自民党を離党して新生党を結成した羽田、小沢氏らが政治改革の立て役者のようにもてはやされています。
 この党の結成を主導した両氏は、竹下派の元会長金丸被告の側近中の側近であり、わけても小沢氏は金丸・佐川事件、暴力団事件に深く関与したとの疑惑が持たれており、金丸流金権政治の中枢に加わった人物であります。
 また、新生党に所属する国会議員全員が竹下派出身であり、その多くが金丸被告の5億円のヤミ献金の分配を受けていた疑惑の対象となっている政治家であります。そうした過去について一切の解明も反省も抜きに政治改革を口にしても、国民の信用と支持は決して得られないでしょう。
 今、日本共産党を除くあれこれの野党の中から、この羽田・小沢新党との連合、連立が競い合うように唱えられています。古い政治の枠内で看板だけは新しく政界再編が行われたとしても、日本の未来を切り開く新しい政治は期待できません。
 今求められているのは、金丸事件に見られるような自民党の金権腐敗政治と政策的にも人的にも決別した本当の改革、革新勢力を結集することにあります。
 日本共産党は、小選挙区制導入企てに厳しく反対し、企業、団体献金禁止、定数の抜本是正という真の政治改革の大道を実現するために全力を尽くす決意を表明して、質問に入ります。
 最初に、憲法の問題についてお伺いいたします。
 自民党を中心に憲法改悪が急激な動きとなっています。改憲策動の中心は、憲法9条の改悪にあることは言うまでもありません。憲法9条をそのままにして憲法違反を実行するという解釈改憲のやり方には、もう限界に来ているという問題があります。つまり戦力を保持しないという憲法のもとで、憲法違反の軍隊である自衛隊をつくった上、国連の看板を掲げれば自衛隊を海外にも出せる、そこまで解釈改憲を強引に進めてきました。これ以上の解釈改憲はもう限界です。そこで、憲法9条を正面から改悪する、すなわち明文改憲の主張が打ち出されているのであります。
 こうした中で、憲法は時代おくれ、護憲か改憲かの対立は古臭くなったとか、憲法9条を変えることもタブー視しないとか、自民党の改憲論に対して多かれ少なかれ、これに同調する動きが野党の大きな流れとなっています。
 日本の憲法は、古くなったどころか、時代に先駆けた多くのすぐれた特徴を持っています。
 1つは、憲法9条です。
 世界各国の憲法の中で、世界平和を目指すその国の根本的な態度を明確にしているのが日本憲法の特徴です。ほかの国の憲法は、祖国防衛をうたう程度で、世界平和の理想をどう具体化するかについてその国の立脚点を明示したものはありません。

 日本の憲法は、国際紛争を解決する手段としての戦争否認を宣言したにとどまらず、国権の発動たる戦争と武力による威嚇、または武力の行使を永久にこれを放棄するとし、その措置として戦力の不保持と国の交戦権の否認まで規定しているのであります。
 今、世界には、ソ連の解体後多くの危険な状況がある一方、軍事ブロックや核戦力の対抗という状況を乗り越えるための新しい条件があります。日本の憲法の規定が本当に生きた力を発揮し得る状況が世界的にも生まれているとも言えます。古くなったどころか、まさに憲法の花開くときだと言わなければなりません。
 憲法25条は、国民の生存権がうたわれ、社会保障、社会福祉など規定されています。しかし、日本の杜会と政治の現実が憲法の規範に達していない、つまり現実の方が憲法よりおくれているという問題がたくさんあるわけです。
 日本の憲法は、9条だけでなく、民主的条項の点でも世界的に誇り得る内容を持った憲法であり、しかもそれを完全実施するということが日本の社会の緊急かつ大事な課題なのであります。
 憲法改悪の策動の根底には、日本の軍事力を世界的な規模で動員しようとするアメリカの要求と、日本の軍事大国化を目指す日本の支配層の要求があります。
 クリントン政権のもとで、日本はアメリカの世界の憲兵戦略の最前線基地としての役割に振り当てられています。日本の支配層は、アメリカの要求を受動的に受け入れるだけでなく、対米従属のもとで軍事大国化を積極的に推し進めようとする立場から、改憲をもくろんでいるのであります。憲法問題が今日の日本の最大の争点となっています。
 そこで知事にお伺いいたします。
 憲法改悪を許さず、平和的、民主的条項の完全実施を目指す広大な国民運動を強力に推し進めることが大事であります。憲法の原点は、侵略戦争による惨禍の教訓を酌み取ることにあります。悲惨な沖縄戦を体験し、20万余のとうとい命を失い、再び戦争の惨禍を起こしてはならない、ヌチドゥ宝、これが県民の決意でありました。軍国主義復活の道を許してはなりません。全国に先駆けて、沖縄から平和憲法を守れの運動を大きく盛り上げなければならないと思うものであります。知事の御所見を承りたいと思います。
 次は、非核沖縄宣言でございます。
 米ソの対立という冷戦の構造が崩壊しました。それは、米ソの覇権主義的な対抗、そのための軍事同盟の強化、核軍拡という軍事中心の世界政治が崩れたことにあります。
 世界の流れは、軍事対決、軍事紛争から、紛争の平和的解決の方向に基本があります。それを確実なものにしていくことこそ、東西の軍事的対立の終えんから引き出さなければならない教訓であります。核兵器の廃絶と軍事同盟の解消は、まさに日本国憲法が目指す道であり、また国連が目指している道でもあります。核疑惑が持たれている沖縄で非核沖縄宣言を実施することは、核兵器の廃絶という人類的課題に貢献するものと信じます。
 知事は、これまでも非核沖縄宣言が実施できるよう努めてまいりたいと前向きな答弁をしてまいりました。いつ実施されるのかお伺いいたします。
 次に、モノレール問題についてお伺いします。
 慢性化している交通渋滞に悩む県民は、モノレールの早期開通を心から待ち望んでいます。モノレール事業の進捗状況はどうなっているのか、現時点での問題点は何か明らかにしていただきたいと思います。
 次に、特別養護老人ホームの建設について伺います。
 福祉行政での充実強化は、大田県政の大きな特徴になっています。
 離島僻地の特養の建設、障害者に対する減免措置、寝たきり老人に対する老人福祉医療助成金の支給など大きな実績をおさめています。
 ところで、特別養護老人ホームの建設は、特に都心部でその充実強化が求められています。介護を必要とするひとり暮らしのお年寄りが都心部に集中している現状です。住みなれた地域で老後を送りたいというのがお年寄りの願いでもあります。
 ところで、都心部に特別養護老人ホームを建設する際の問題点は、地価の高騰で用地取得が困難ということがあります。そこで那覇市では、市営住宅の改築の際に特別養護老人ホームを併設する方針を打ち出しました。
 そこでお伺いいたします。
 市営住宅と特養の併設という那覇市の計画に県としても積極的に対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、県営住宅においても今後改築が行われていくと思いますが、那覇市同様他地域においても特養の併設を社会福祉法人が行う場合も含めて、県としても計画すべきと思うがどうか、お伺いいたします。
 次に、公共工事の県内業者優先発注についてお伺いいたします。
 御存じのように、県経済の活性化で公共工事の占める役割は極めて大きなものがあります。
 大田革新県政になって公共工事の県内業者優先発注が貫かれ、県経済への活性化に大きく貢献しています。
 問題は国の公共工事についてです。60%以上が本土業者への発注だと言われています。これでは地元の経済が潤うはずがありません。地元企業への優先発注は県民の強い要求であり、経営協も、公共工事の執行に当たっては、県内企業への受注機会の拡大と県内資材の活用の促進を要求しています。
 沖縄振興開発計画の中で、県経済発展のために投資された資金の多くが本土に逆戻りしている実情にあります。それでは沖振法の目的、すなわち県民の労苦に償いの心を持って当たるとした立法の精神にもとるものと言わなければなりません。開発庁や防衛施設局の公共工事についても、県内業者優先発注が貫かれるよう国に働きかけるべきだと思うが、いかがでしょうか。
 用地取得の問題についてお伺いします。
 県は、昨年9月と11月に公共工事を中心に総額352億円余の補正予算を組み、景気浮揚対策を講じました。今回も、国庫補助事業を中心に215億3000万余の大型補正が予定されています。公共事業の執行を強化しなければなりません。
 ところが、土木建築部だけでも繰越額が160億円余となっています。開発公社を活用して用地関係予算の執行の強化を図ってきましたが、現に多額の繰り越しが生じています。用地取得がネックになっていることは明らかであります。
 現年度の執行に追われて用地の先行取得が実現していない、そのため工事と用地取得が同時になっているところに問題があります。本来ならば、事業計画で用地を先に取得し、その後に次年度の工事に着工する、これが本来のあるべき執行体制だと思います。しかしそうはなっていない。これは土木だけの問題でなく、県全体として思い切った方針の転換が必要です。慢性化している繰り越しの主な要因が用地取得が困難だということにあるのですから、そのための特別な対策が求められる。国の特別措置に基づく高率補助を受け入れるためには、県としても特別対策が必要です。
 特別措置が10年延長されました。今後も高率補助に基づく公共工事はメジロ押しにやってきます。その意味で、公共事業の執行率を高めることは県政の重要な課題となっています。陣容の強化も含め、用地取得に対する県全体としての抜本的対策が必要です。どのように対応されるのか、お伺いいたします。
 次に、組踊劇場の建設についてお伺いします。
 組踊は、沖縄の誇る芸能で、昭和47年に国の重要無形文化財に指定されています。我が党は、復帰前から組踊関係者や伝統芸能関係者とともに、劇場の建設を一貫して取り上げてまいりました。国指定の芸能で専用の劇場がないのは組踊だけとなっています。
 我が党は、平成5年の定例県議会での代表質問でもこの問題を取り上げ、教育長に質問いたしました。教育長の答弁は、「学識経験者等から成る検討委員会を設置し、現在組踊劇場の性格、規模、場所等について検討しております。」と前向きに御答弁をいただきました。その後どのように対処されたか、完成の時期はいつか、お伺いしたいと思います。
 基地撤去、軍事演習についてお伺いいたします。
 米海兵隊は、6月初旬の3日連続の実弾砲撃演習に続き、15日から4日連続して野蛮な実弾砲撃演習を強行いたしました。今年に入って既に6回目であります。読谷飛行場でのパラシュート降下訓練の強行とホワイト・ビーチヘの原子力潜水艦の相次ぐ寄港など、最近の米軍の軍事演習は、一段とエスカレートしている現状にあります。大田知事と仲間金武町長らが基地返還と演習の中止を訴えて訪米から帰任した直後の今回の演習とその拡大は、沖縄県民に対するあからさまな挑戦であります。

 県民の生活道路を封鎖し、県民の心のふるさととも言うべき恩納連山に実弾をぶち込み、自然環境を破壊することは断じて容認できるものではありません。
 米軍の演習が沖縄県民の利益に優先する理由はどこにもないのであります。核・非核両用の実弾砲撃演習を強行する米軍とこれを容認する日本政府に対し、厳重に抗議するものであります。この屈辱的な事態を許している日米安保条約と日米地位協定は、即時廃棄されなければなりません。知事訪米の経過も踏まえ、演習中止の強力な現地での折衝が求められています。知事の対応をお伺いいたします。
 最後に、神森中学校における集団暴行致死事件についてお伺いいたします。
 6月25日、神森中学校において、同校3年生8人から集団暴行を受け、慶田城一美君が死亡するという痛ましい事件が発生しました。亡くなられた慶田城一美君に対し、心から哀悼の意を表するものであります。
 最近の中高校生による事件、事故の頻発は、まさに異常としか言いようのないものであります。昨年の末には、飲酒の高校生による傷害致死事件が発生し、ことしの2月には、飲酒の高校生が父親を殺害するという事件も発生しました。昨年の2月に石垣中学校で集団暴行致死事件が発生した際、田本任君の死をむだにすることなく、この事件から多くの教訓を引き出そうと誓い合ったのであります。
 これらの事件の共通点として、夜間外出、飲酒、暴力を挙げ、地域や家庭における教育力の回復を指摘し、生徒指導の強化を図ってきました。しかし、同じことが指摘され、実践されたにもかかわらず事件、事故は後を絶ちません。
 去る2月定例議会の一般質問で、私は、教育問題に絞って問題点を指摘しつつ質問いたしました。今日の深刻な教育の荒廃を打開するために、教育行政の反省点として次の3つの点から問題点を提起し、その改善を求めました。1点目は、教師の自主性の尊重を教育行政の根本に据えること、2点目は、学力向上対策の抜本的見直しを行うこと、3点目は、学区制の見直しを行うこと、以上3点について提起いたしました。
 指摘するまでもなく、問題行動の芽は小学校低学年から既に発生していると言われています。学校長を中心に、教師全員が生徒指導に当たる体制が確立されなければなりません。
 ところが、今日の教育現場は、校長のリーダーシップのもとに全教師が結束して生徒指導に当たる体制にはないとの現場からの報告を受けています。管理、命令のもとでは、教師の力量も使命感も発揮できないとの指摘であります。教師の自主性の尊重は、今日の教育荒廃を克服する上で極めて大事なことであります。
 現場の反対を押し切って実施された給食後45分間の教師の休憩時間が、今ではいじめ、喫煙、金銭せびりの温床となっていると言われています。喫煙タイムは昼休み時間に集中しているというのは驚くばかりだ、新聞に報道されています。学力向上の問題で言うと、子供の学力向上を願わない親はいません。問題は、学力向上対策の教育上の位置づけ、その目的でございます。
 父母が学校教育に求めるものは、すべての子供に基礎学力を保障し、落ちこぼれを出さない教育の実現です。学力向上対策が偏差値の引き上げに主眼が置かれ、小学校三、四年の段階から既に学力の落ちこぼれが始まると言われております。
 落ちこぼれは、子供に責めはなく、落ちこぼした公教育の責任が重大なのであります。落ちこぼしたまま進学していくところにいじめ、非行、集団暴行致死事件等々の発生原因があると見なければなりません。したがって小学校の低学年の段階で学力形成上かぎとなる国語、算数など基礎学力をしっかりと身につけさせる教育が必要でございます。詰め込みの画一テストでは落ちこぼしをなくすことはできません。
 そこで嘉陽教育長にお伺いいたします。
 すべての子供に行き届いた教育の実現という立場から、学力向上対策について再検討すべきではないか。
 2点目に、底辺校、困難校を出さないために、学区制の見直しと生徒指導の観点から、給食後45分休憩問題の再検討が必要ではないか、あわせてお伺いいたします。
 痛ましい事件が相次いで発生している状況のもとで、何よりも教育の改善と教育行政の真剣な反省がなければなりません。
 この問題が起こる要因、原因はいろんな要素が絡み合っています。しかし、これまで同じことが指摘されて一つもこれが解決されない。一層同時多発してこういう事件が起こっても不思議ではない、こういう状況にあります。
 そういう意味で、教育行政の反省が何よりも私は求められる、このように思いますので、嘉陽教育長の御答弁を求めるものであります。
 あわせて、警察本部長にお伺いいたします。
 本県における中高校生による事件、事故は、他県にその例を見ないほど凶悪化しているのではないかと思われます。本県における青少年の犯罪の実態はどうなっているのか、また他県との比較はどうなっているのかお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
  〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 宮里政秋議員の御質問にお答えいたします。
 憲法問題について、全国に先駆けて沖縄から平和憲法を守れの運動を大きく盛り上げなければならないと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 5月3日の憲法記念日に知事メッセージで申し述べましたとおり、日本国憲法は、戦争放棄を明確に宣言した世界に誇れる平和憲法だと思っております。したがいまして、これからもこの平和憲法を遵守していくよう努力を重ねてまいりたいと考えております。
 それから、モノレール事業の進捗状況はどうなっているか、現時点での問題点は何かと、明らかにしてほしいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 都市モノレール事業の進捗状況について申し上げますと、関連道路の整備状況は平成5年5月末現在、用地取得は99.4%、道路改良は90.9%と順調に進んでおります。
 一方、現時点での課題といたしましては、バス会社との調整、資金調達の見込みを得ることであります。バス会社との調整につきましては、平成4年11月にバス協会より県に対し要望書が提出され、去る1月5日に回答を行い、中断していた調整作業に進展が見られましたが、協定書締結までには至っておらず、現在、鋭意調整中であります。
 資金調達については、沖縄振興開発金融公庫からの出資、融資への了解取りつけが課題であり、パーソントリップ調査に基づくモノレール利用客推計結果による見直し後の事業収支計画により調整を進めているところであります。今後とも、バス会社並びに関係機関との調整に鋭意努力してまいりたいと考えております。
 それから、開発庁や防衛施設局の公共工事についても県内業者優先発注が貫かれるよう国に働きかけるべきだと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県では、「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づいて県が発注する公共工事の県内企業への優先発注及び県産品の優先使用に努めているところであります。
 また、沖縄総合事務局や防衛施設局等国の出先機関に対して、県内企業への優先発注と県産品の優先使用について毎年要請を行ってきたところであり、大ロの発注者である沖縄総合事務局及び防衛施設局からは、当該趣旨を踏まえて配慮していきたいとの回答を得ております。
 県としましては、今後とも県内企業への受注機会の確保に努めるとともに、引き続き関係機関に対して要請を行ってまいる所存でございます。
 次に、用地取得に対する抜本的対策はどのように考えているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県の公共事業の施行に伴う用地取得については、これまで那覇新都心開発整備事業を初め、住宅、ダム、河川事業等においては先行取得制度を活用して用地取得を行っております。
 御指摘の点については、現在、継続事業についても可能な限り用地の先行取得に努めているところであります。今後、県としては、用地取得業務を円滑に執行するため、用地部門の執行体制の強化を図りつつ、土地開発公社、補償コンサルタント及び宅地建物取引業協会などの積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。

 それから、知事訪米の経過も踏まえ演習中止の強力な現地での折衝が求められているが、知事の対応を伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県道104号線越え実弾射撃演習につきましては、県民の生命、生活及び財産を守る立場から、米軍及び関係機関に対し繰り返し繰り返しその中止及び廃止を要請してまいりましたが、今回の訪米においても特に重点要請項目に挙げ、米国政府要路、連邦議員等関係者に強く訴えたところであります。
 県は、演習の中止、廃止を求め、今後とも関係市町村とも連携を密にしながら米軍を初め日米両政府等関係機関に強く働きかけていく考えでございます。
 先ほども申し上げましたように、日米の協議機関では正式に輸送の費用の問題なんかについて話してはきておりませんが、これからそういう問題についても議論をしたいということを伺っております。
 お許しを得て、ほかの質問につきましては、他の部局長から答弁させますのでよろしくお願いします。
○議長(儀間光男君) 知事公室長。
  〔知事公室長 高山朝光君登壇〕
○知事公室長(高山朝光君) 宮里政秋議員の非核沖縄県宣言についていつ実施されるのか伺いたいとの御質問にお答えをいたします。
 本県は、さきの大戦で多くの県民のとうとい生命を犠牲にした体験を持っており、この悲惨な沖縄戦の教訓を踏まえ、非核平和沖縄県宣言を行うことは必要だと思っております。
 非核平和沖縄県宣言につきましては、早い時期に実施できるよう引き続き努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 花城可長君登壇〕
○生活福祉部長(花城可長君) 特別養護老人ホームの建設につきましてお答えをいたします。
 現在、那覇市内には、特別養護老人ホームが3カ所整備され、280人が入所しておりますが、同地域における特別養護老人ホーム入所希望者は、平成5年3月現在で356人となっております。
 老人ホームの整備に対する国の方針では、都市部の用地取得が困難な地域につきましては公営住宅との複合化等工夫を凝らしての整備を図るよう指導しており、那覇市が計画している市営住宅との併設による整備につきましては、那覇市から協議があれば県としても対応していきたいと考えております。
 また、都市地区における公営住宅建てかえの際の特別養護老人ホームとの併設につきましては、今後の課題として承っておきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 教育長。
   〔教育長 嘉陽正幸君登壇〕
○教育長(嘉陽正幸零) 宮里議員の組踊劇場の早期建設についてという御質問にお答えします。
 質問の内容は、平成5年の定例県議会で教育長は、学識経験者から成る検討委員会を設置し、組踊劇場の性格、規模、場所について検討していると答弁しているが、その後どのように対処したか、完成の時期はいつかという御質問にお答えします。
 国立組踊劇場――これは仮称でございますが――の誘致については、平成4年8月に学識経験者等から成る国立組踊劇場検討委員会を設置し、同委員会において現在、組踊劇場設置の趣旨、必要性、機能等について検討していただいているところでございます。平成5年8月をめどに中間報告をいただくことになっております。
 また、設置形態、規模、場所等残された課題につきましては、最終報告において取りまとめていただく予定になっております。
 なお、完成の時期につきましては、同委員会の最終報告を踏まえて県案を策定し、早期に実現できるよう関係機関に要請したいと考えております。
 同じく神森中における集団暴行致死事件についての御質問にお答えします。
 1つは、すべての子供に行き届いた教育の実現という立場から学力向上対策について再検討すべきではないかという御質問にお答えします。
 県教育委員会は、第1次、第2次学力向上対策におきましては、基礎的、基本的事項の定着と基本的生活習慣の確立を図ることを柱として、市町村教育委員会、学校、家庭、地域と一体となって具体的で実効性のある施策を推進してきております。来年の平成6年度からは第3次学力向上対策としまして、豊かな心を持ち、たくましく生きる知・徳・体の調和のとれた人間を育成する総合的な施策を策定し、一人一人の児童生徒を大切にしたきめ細かな施策を展開していきたいと考えております。
 それから、同じく神森中における集団暴行致死事件の2つ目の問題でございます。底辺校、困難校を出さないために学区制の見直しについて伺いたいということについてお答えいたします。
 現在の県立高等学校の通学区域は、各界の代表で構成された昭和61年の県立高等学校選抜方法等検討委員会の通学区域に関する答申を受けて、1つ、生徒個々が目的意識を持ち、それぞれの適性、進路等に応じた学校選択ができるようにする、2つ目、広い交友関係を通してお互いに切瑳琢磨して視野の広い人間関係ができるようにする、3つ目、特定校への入学志願者の過度の集中を避け、高等学校教育の機会均等を図るという3つの基本的考え方に基づきまして昭和63年に設定されたものであります。
 通学区域につきましては、これまでも県立高等学校編成整備計画に基づく新設校の設置、学科の新設及び改編に伴ってその都度見直しをしてきたところであります。
 また、本年度は、県立高等学校入学者選抜制度検討委員会を設置して、国の高等学校教育の改革の推進に関する会議の報告に基づきまして、高等学校入学者選抜等の改善について検討をしていただいているところでございます。
 それから、同じく神森中における集団暴行致死事件についての関連質問、生徒指導の観点から給食後45分休憩時間の再検討が必要ではないかということについてお答えいたします。
 45分の休憩時間の割り振りにつきましでは、教職員の福利厚生と勤務能率の増進を図るために関係法令等にのっとって実施しております。
 また、この時間は、児童生徒にゆとりと潤いを与え、自由な遊びを通して学年間の交流を促し、主体性や創造性を涵養するよい機会になっているものと考えております。
 なお、生徒指導上の問題に関しましては、日常の学級指導や生徒指導及び健康安全指導等を充実させることにより、その対応を図るように努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 佐野智則君登壇〕
○警察本部長(佐野智則君) 本県における少年の犯罪実態に関する御質問にお答えいたします。
 平成4年中の非行少年等は、本県におきまして、刑法犯少年が1308人、うち犯罪少年が1150人、触法少年が158人で、前年に比べまして314人、19.4%の減少を見ております。
 また、不良行為少年は1万3614人で、前年に比べ3091人、18.5%減少しております。
 刑法犯少年は、総数では減少しておりますが、内容的には殺人、強盗、強姦、放火等の凶悪犯が前年に比べて約30%増加するなど悪質化の傾向が見られ、また全刑法犯の検挙人員に占める少年の割合が55.7%と前年の61.0%に引き続き高率を占め、少年非行は依然として楽観を許さない状況にあります。
 また、刑法犯を犯した少年のうち中学生の占める割合が全国平均の37.1%を上回る49.4%と高いところにも一つの特徴がございます。
 各県との比較におきましては、本県は、平成4年におきましては検挙、補導された少年の数は決して多いわけではなく、九州でも5番目に位置しております。しかし内容的には、先ほど申しましたような凶悪犯、粗暴犯、窃盗犯の占める割合が非常に高いところに特徴があると考えております。
○議長(儀間光男君) 高良政彦君。
   〔高良政彦君登壇〕
○高良政彦君 それでは本日の最後の締めになりますけれども、公明党県議団を代表して代表質問を行います。最初に、我が県を取り巻く政治情勢の変化を述べ、それによって県政とのかかわりでどのような影響や変化があると思われるのか、質問をいたしたいと思います。

 さて、6月18日に衆議院は突如として解散となり、超短期決戦型の衆院選が実施されようとしております。38年間の長期にわたった自民党一党政権の構図がまさに崩壊しつつあります。
 今回の衆院解散・総選挙の最大の特徴は、自民党一党による政権が余りに長期化し、政治腐敗を招いた結果であります。ロッキード疑惑に始まり、リクルート事件、共和リゾート事件、そして東京佐川急便事件、きわめつけは前自民党副総裁の金丸巨額脱税事件であります。さらに、仙台市長の贈収賄事件逮捕と、余震はまだまだ続いているわけであります。
 このようにして、これでもかこれでもかと次々に起こった政界汚職に、ついに国民の怒りは頂点に達したということが言えるのではないかと思います。
 なぜこのような政界スキャンダルが次々と起こるのか、結局は一党支配の政権では自浄能力を必然的に失ってしまうからであります。政治腐敗防止策は極めて重要であります。しかし何回選挙をやっても、得票率よりはるかに高い当選者を出してしまい、自民党一党支配を許してきた選挙制度そのものの仕組みを見直さないことには根本的な解決はないのであります。
 我が党は、一貫して政治腐敗防止策と選挙制度改革等を提言し、二大政権システムによる政治の自浄作用を目指してまいりました。このことにかんがみてみますならば、このたびの衆院選は、まさに二大政権制の確立と根本的な政治改革及び腐敗防止がなし得るのかどうか、まさにそういう意味では千載一遇の機会が訪れたといっても過言ではありません。
 さて、このような中央政界の大きな変化は、3次振計を県民挙げて取り組みつつあるさなかで、また高率補助の問題あるいは多くの戦後処理問題を抱えている我が沖縄県にとってはどのような影響、変化があるのか無関心ではおれません。
 そこで知事にお尋ねいたします。
 今回の衆院解散・総選挙は、そのような観点から見ました場合にはどのように知事は受けとめておられるのか、御所見を賜りたいと思います。
 次に、具体的にお尋ねいたしますが、衆議院の解散によって軍転特措法案が廃案となってしまいました。今後、軍転特措法問題に対してはどのように具体的に取り組まれようとしているのか、お尋ねいたしたいと思います。
 2番目は、これを機会に県案一本のみの形で整理をし、今後はいくべきではないかと、どう考えておられるのか、その辺の御見解を賜りたいと思います。
 次に、年金の格差問題でございます。
 それらの年金問題の現状の問題点をここで明らかにしてもらいたいと思います。
 国の考えと県の考え方に大きな隔たりがあります。県も負担する考えでありますが、法人県民税を5%から5.8%上げたとしても4億そこそこであり、どんなに県が努力をしてもせいぜい10億そこそこにしかならないわけでありまして、格差是正のために必要とする、昭和45年を基準とすれば1200億円という金額がはじき出されておりますけれども、どう生み出すのか、企業負担分についても、企業側は理解を示しておりますが、しかし十分なる負担には厳しいものがございます。結局国は、企業から金が集まらなければ縮小すべきだとの考えをも示しているようでありますけれども、これでは県民は納得するはずがございません。
 これらの現在抱えている問題、厚生省と県の間でどのような話し合いが進められているのか、また何が現在問題となっているのか、この際、県民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 さて、マラリア補償問題のことでございますけれども、この件についても現状はどうなのか。これも当然ながら我が沖縄県におきましては、軍命による明らかにマラリアが蔓延しているところへの強制疎開であると、戦争責任であるという観点に立っているわけでありますけれども、現在の折衝の経過はどうなっているのか、御説明をお願いいたします。
 さて、これらの戦後処理問題は、法的な面、行政上の手続の面でなかなか進展が見られませんが、県民が一貫して訴えていることは、すべて戦争と戦後27年間米軍統治に起因しており、県民の責任ではないということであります。
 今回の衆院選による非自民の新政権の誕生によって、戦後処理問題として政治的な決着が図られる可能性もあり、そういう意味では大きな展望が開いてくるものと県民は期待をしておりますが、このような観点からも非自民政権の誕生は、我が沖縄県の戦後処理問題に大きな変化をもたらす可能性があると思いますが、政権交代によって我が県のこういうような難しい戦後処理問題も政治的な決着の方向へ展望が開いていくのではないかと、このように考えるわけでありますけれども、知事の御所見を賜りたいと思います。
 次に、環境問題について質問をいたしたいと思います。
 清潔で快適な住環境をつくり、またこれを維持していくのは、そこに住んでいる人たちの責務であります。環境問題は、そこに住んでいる人たちが主体にならなければなりません。しかし近年、大量生産、大量消費、使い捨てにならされてしまった私たちは、不法投棄やポイ捨ての現象を生み出し、今や大きな社会問題になっております。これらの問題は、住民個々人のモラルの問題に負うところが大でありますが、しかし今やモラルに期待するだけではどうしようもない状態に来ております。町に散乱するごみを目にするとき、物が豊かになっても大切な心が失われつつあるのではないかと心配いたします。収集時間を守らずにこっそり出されるごみ、所構わず捨てられる空き缶やたばこの吸い殻等町は汚れる一方でございます。
 一方、離島の方に目を転じてみますと、家庭ごみやあるいは産業廃棄物、果ては車やバスまでも山や海浜に捨てられている状況でございます。楽園と言われるハワイ、その風光明媚な自然が保たれているのは、そこに住む人々のマナーのよさもさることながら、その原点には法律が控えております。ハワイでは、ポイ捨てや花泥棒に対しても罰金、週1回の家周辺の清掃が義務づけられております。美しい自然、清潔感あふれる町並みは、このような法律のもとで守られ維持されているのであります。人間の幸せは、多くの富を得ることではなく、清らかで美しい自然と共生し、生命力豊かな日々を過ごすことにあります。
 そこで次の質問をいたしたいと思います。
 第1番目は、こういうポイ捨て禁止と、もはやモラルに期待する状況ではない現実でございます。そういうのにかんがみたときには、景観条例等の制定等も検討する必要があるのではないかと。
 2つ目は、廃棄物処理法の遵守による不法投棄の防止を徹底していく必要があろうかと思います。
 3つ目は、リサイクル業者の組織化、育成、補助等を強化すべきでございます。
 4つ目は、リサイクル物資の集積場所が現在ございません。その場の提供、場の確保というのが急がれます。
 5つ目は、リサイクル船を就航させて、離島のリサイクル可能な廃棄物の回収をシステム化する、あるいは定期的に回収する必要があると思いますが、そういうのも近々検討せざるを得ないのではないかと、離島を見ましてそういう気がいたします。
 6つ目は、よく言われておりますデポジット方式の導入の検討も必要かと思われます。
 7つ目は、最近新聞に報道されました泡瀬漁港沖のいわゆる産業廃棄物、オイル缶だとか一斗缶の投棄がございましたけれども、これは近海漁業にも害を与えるおそれがございます。こういうのは法的にはどうなっているのか、またその後の措置はどうなったのか、御答弁をお願いいたします。
 山や海浜だけではなしに、またこのように海にも不法投棄が始まっているようでございます。
 次に、補正予算と景気問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 我が党が中小企業アンケート調査をいたしました。そこで出てきた結果は、総じて売り上げがダウンでございます。それに伴う利益減、そして資金繰りの苦しさが浮き彫りにされました。今回の補正は、政府の景気てこ入れのための補正を受けての予算でございますが、特に次の点についてはどのように配慮されたのか、お尋ねしたいと思います。
 まず、中小企業関係の資金融資面では配慮があったのかどうか、お尋ねいたします。

 平成5年度は、去る平成4年度に比べ中小企業への県の融資額は大きな伸びを示し、増額をされております。しかし、景気は若干上向いてきたとはいえ、バブル崩壊の不況の影響は相当長期化することが予想されます。そういうことでは、さらに県単事業として融資額と中小企業向けの額を大幅に引き上げ、あるいは融資条件を何らかの形で緩和するとか、そういうのが引き続いて必要かと思われますが、その辺の御検討する考えはあるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
 2つ目は、景気対策は執行率とも関係してまいります。執行体制と執行率はどのように改善されたのか、お答え願いたいと思います。
 また、特に公営住宅の県と市町村の現時点における執行状況を御説明願いたいと思います。また、それは順調にいっているのか、執行されつつあるのかどうか、御説明を願いたいと思います。
 次に、大変ショッキングなことがまた起こりました。中学生による集団暴行死亡事件でございます。大変残念なことであります。亡くなった方に心から哀悼の意を表したいと思います。
 浦添で起きた集団暴行死亡事件は、このように県民に大きなショックを与えております。過去2度にわたる集団暴行死亡事件でそれなりの対策はとられていたはずでございますけれども、三たびこうして起こってしまった。しかも教育事務所長会議で、いつ集団暴行事件が起こってもおかしくない状態と報告されております。ということは、今後もこういうことは起こり得るということであります。
 一体、このような事件が起こる背景は何なのか、また今後も起こることが予想されますけれども、その辺の分析、対策等をここで説明をお願いいたしたいと思います。
 さて、夏本番に入りますけれども、そういうことで青少年の非行と申しますか、夜の徘回と申しますか、そういう面に対する警察の補導取り締まり等の体制はどうなっているのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
 結局は、突き詰めれば家庭であり、大人社会に原因があると思います。家庭の父母あるいは地域社会とのそういう協力体制は、この事件をきっかけにさらにどのように見直されたのか、あるいは新しい対策が立てられたのかどうか、御説明を願いたいと思います。
 次に、基地問題についてお尋ねいたします。
 今回、大田知事一行の基地問題についての対米直訴は、即効的な成果はなかったにしても大きな意義があったと高く評価するものであります。直訴の内容と、どのような成果あるいは感触があったのか、具体的に御説明を願いたいと思います。
 基地問題は、国の外交問題であるという言い分もございますが、しかし基地問題は、演習の激化に伴って県民の生命、財産に直接被害を及ぼしており、県民の行政の最高責任者として対米直訴は必要であります。今後も粘り強く平和行政の一環として継続すべきと考えますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、演習の激化でございますけれども、県道104号線越えの実弾砲撃演習は、ことし既に6回、3日連続の実弾演習等、また読谷補助飛行場のパラシュート降下訓練等は柏変わらず頻繁に行われており、一向に減少の気配がございません。とりあえず最も危険な県道104号越えの演習廃止を対米直訴でも知事は取り上げられましたが、米側の態度はこの点についてはどうだったのか、御説明を願いたいと思います。
 軍事演習は環境破壊の最たるものであります。今、環境問題は地球規模の深刻な事態になっております。世界や日本の自然保護団体あるいはグリーンピース等にも現状を見てもらう企画をしてみたらどうでしょうか。環境、自然保護問題は何よりも最優先すべき課題であり、この美しい沖縄の自然が軍事演習や基地の存在によっていかに破壊されつつあるのか、世界の自然保護団体に見てもらい、自然保護、環境問題から基地問題に迫ってみるという手法をとるのは大事ではなかろうかなと思います。知事の御所見を賜りたいと思います。
 最後に、中学生の集団暴行事件等大変暗い話題で、青少年の非行化、あるいは相次ぐそういう暴力致死事件等、県民は大変今教育問題、青少年問題で暗い思いをしているわけでございますけれども、しかし一方、最近の傾向として野球、相撲に次いで一躍国民的人気スポーツになったのがサッカーでございます。
 今や、ジーコだとかラモスを知らずして子供たちとの対話はできないぐらいであります。沖縄の小学、中学、高校は全国レベルであります。しかし、残念ながら大学、一般となりますとどうも存在感が弱くなってまいります。それは、全体を引き上げる中心的な人気チームがないからであります。
 青少年に夢を与え、健全な育成の観点からも、また地域活性化の観点からも早急にJリーグ沖縄プロサッカーチームを設立すべきであると考えます。
 プロの専門家の言葉でございますけれども、何度か沖縄に見えられて感じたことは、沖縄の選手には非常にいい素質を持った人がたくさんいると、このように指摘をしております。
 また、メンタルな部分についても、大変情熱的でサッカーに合った気質を沖縄県民は持っていると、このように指摘をしております。
 また、サッカーといえば本場南米でございます。ブラジルにも多くの移民が行っており、優秀な2世、3世、あるいは4世がおり、コーチも導入できますし、そういう交流も可能でございます。スポーツを通じての国際交流も活発になるだろうと、この専門家はこのように指摘をしております。
 ことし発足したプロサッカー・Jリーグは、当初の予測を上回る幅広いファンを獲得し、野球と相撲に次ぐ国民的人気を博しております。そういうことで、沖縄におきましても青年層を中心に、ぜひともJリーグに参加できる地元チームを設立してもらいたいとの声がほうはいとして上がっております。
 プロサッカー沖縄チームの設立は、スポーツ愛好者のみならず、多くの青少年に夢と希望を与え、その健全育成に貢献するものと信じます。しかも、地元自治体と市民が一体となって進めているJリーグのスタイルは、地域の活性化にも大きく寄与しております。そういう実証が示されております。
 よって、プロサッカーチームの設立を目指す観点から、県当局と那覇市、その他関係市町村、関係機関の積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 沖縄県、那覇市、あるいは競技場のある沖縄市当局を初め、企業や商工連合会、サッカー協会などで構成するプロサッカーチーム設立検討委員会等を設立して検討してみたらいかがなものでございましょうか。
 同委員会において、プロサッカーの先進自治体を調査して、Jリーグ当局とも協議の上、財源確保を含めたチーム設立までの基本構想とスケジュール等の策定をやる必要があろうかと思います。基本構想がまとまり次第、県知事を先頭に那覇市長などがJリーグ当局に対してチーム設立の手続等とられるという手法になろうかと思います。
 さて、現在Jリーグ加盟クラブは10チームございまして、これを16チームまでふやす計画があります。こういうことで、全国的なサッカー人気でチーム設立を検討し、名乗りを上げている自治体が増加をしております。我が沖縄としても速やかな準備を進めていただきたいと思います。
 設立条件の第1のハードルは、ホームスタジアムの件でございます。さしあたって、沖縄市にある県運動公園内の競技場を改築して、Jリーグの規定である1万5000人収容のサッカースタジアムに整備し、同市をホームタウンとするチームを発足させることが望ましいと考えます。
 長期的展望からしますと、那覇市天久の新都心構想の中に3万人収容のサッカー競技場等を検討することも可能かと思います。
 ただ、最初からこのような大規模なことを考えますと加盟時期を失してしまいますので、沖縄市スタジアム案でいった方がスムーズにいくのではないかと、このように提言をしておきたいと思います。
 それから、サッカーチームの性格でございますけれども、これまでは大企業の中のクラブチームとしての性格が強かったわけでございます。がしかしJリーグの発足とともに地域に根差したチーム、ホームタウンとしてのチーム意識が強くなってきております。

 清水エスパルスのように、株主は、市民が株主となり、JALなどがスポンサーとしてつくっております。県民や市民が母体となり、企業がスポンサーとして支援するといった形態がとられております。県民、市民、株主だけでは運営できず、そこにスポンサーがついているようでございます。
 サッカー専用競技場が必要となります。現在、専用競技場は、茨城県鹿島町の鹿島競技場、静岡県清水市の日本平、兵庫県神戸市のみさき競技場の3競技場で、収容人数は約1万5000人でございます。
 その他、愛知県名古屋市の瑞穂、それから神奈川県横浜市の三ツ沢、東京都練馬区の西が丘の3競技場もございますけれども、これは約1万人収容で、サッカー専用としてはちょっと不十分のようでございます。専用競技場としての最低収容人数は1万5000人でございますが、今後は、3万人収容規模の競技場が必要になってくるとのことでございます。
 全国各地でJリーグの誘致、発足を考えておりますけれども、やや帯に短したすきに長しのどちらも一長一短を備えて、そういう地域が多いようでございます。
 まず、北海道が名乗りを上げております。また、関西では神戸、四国、それから九州では熊本と名乗りを上げておりますけれども、十分な競技場と条件がまだ整っていない状況のようでございます。スタートからのノーハウが大切であり、ノーハウを持っているのは限られているようであります。
 そういうことで、我が沖縄も、早急に何とかプロジェクトチームをつくって、しっかり取り組んでいけば十分可能でございます。
 Jリーグのチームが沖縄に結成されても一時的なものであってはなりません。底辺づくりが最も大事でございます。社会人チーム、大学チーム、ユース、少年団といったコニーデ型の裾野の広がりのあるサッカー人口の地域をつくっていくことが大事であろうかと思います。
 そういうことで、ぜひ早急に検討して、暗い話が続いておりますけれども、青少年が本当に太陽のさんさんと降り注ぐ中でボールをけりながら全身に汗を流して真っ黒になって、心身ともに健やかな、そういう人に育ってもらいたい。そのためにもぜひサッカーチームをつくって、青少年に夢を与えてもらいたいし、また何よりも地域の活性化にも大きな活力を与えているという実証を出しております。那覇市よりもはるかに小さい市で大成功をおさめている例が幾つかありますので、ぜひ御検討をお願いいたしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 高良政彦議員の御質問にお答えいたします。
 まず、政治改革と衆議院選挙について、知事は今回の衆議院解散・総選挙をどのように受けとめているかという御質問にお答えいたします。
 今回の衆議院解散とその後の中央政界の大きな動きは、時代の変化や政治改革を望む国民世論を反映したものであると理解しております。総選挙の結果のいかんにかかわらず、本県の振興開発に係る諸施策が引き続き積極的に推進されることを期待いたしております。
 次に、戦後処理問題と関連して、今後軍転特措法に対しどのような取り組みをするのか伺いたいと、野党共同提案と県案を一本化して再提案する必要があるのではないかという趣旨の御質問に一括してお答えいたします。
 軍転特措法県案要綱の制度化につきましては、これまで関係省庁等に対し要請活動を続けてまいりましたが、今後とも県民世論を喚起し、県出身国会議員の先生方とも連携を密に図りつつ、粘り強く制度化に努めてまいりたいと思います。
 なお、御提言につきましては承っておきたいと思います。
 次に、マラリア補償問題の現状はどうなっているのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 八重山地域におけるマラリア犠牲者の補償問題につきましては、平成4年3月31日に国に対して戦傷病者戦没者遺族等援護法、またはそれに準ずる措置を講ずるよう正式に要請をしたところであります。
 国においては、平成4年2月25日、内閣総理大臣官房総務課参事官、沖縄開発庁総務局参事官、厚生省社会・援護局援護課長の3者から成る沖縄県八重山地域におけるマラリア問題連絡会議が設置され、これまで4回開催されていると聞いております。
 県からは、平成4年度の第3回連絡会議において同問題の経緯と県で実施した各種の調査の概要について説明をしたところであります。
 これを踏まえて国は、現在同連絡会議において県の調査結果に対する意見交換を行い、問題点、疑問点を整理していると承っております。総選挙の結果がどうなるかわかりませんが、戦後処理問題につきましては、今後とも可能な限り早期に解決できるよう努力してまいる考えでございます。
 環境問題との関連で、景観条例の制定についての御質問にお答えいたします。
 海浜及び道路等への空き缶及び吸い殻の投げ捨てに対しては、特に本県が観光立県ということもあり、何らかの対策が必要であると考えております。
 このため、県では、空き缶散乱防止対策キャンペーン及び環境衛生週間の中で空き缶等散乱防止のための普及啓発に努めているところでありますが、必ずしも十分な効果を上げていない状況にあります。
 御提言の景観条例は、市町村が主体となって制定するのが好ましいと考えており、市町村に対しては情報の提供等を行い、制定への支援をしていきたいと考えております。
 次に、中小企業者に対する県単独融資枠を大幅に引き上げるべきと考えるがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県の単独融資には10種類の貸付金がありますが、平成5年度の新規貸付金予算額は19億8500万円となっております。これを平成4年度当初の16億9000万円と比較しますと、2億9500万円、率にいたしまして17.5%の大幅増となっております。
 金融機関との協調融資の総枠は、平成5年度当初が85億2900万円となっており、平成4年度の76億4400万円に対し8億850Q万円、率にして11.6%の増となっております。
 県としましては、不況対策の一環として今年度当初において中小企業者の資金需要に配意した貸付金予算を組み、また制度的にも緊急経営支援資金の創設、融資利率の引き下げ等を行ったところであります。引き続き中小企業者の資金需要の動向等を見ながら、融資枠の拡大等適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、景気対策と補正予算との関連で、執行体制及び執行率はどうなっているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 公共事業の執行促進につきましては、これまで公共事業等施行推進本部及び各部局の執行管理協議会等の設置によって進行管理を行い、執行促進に努めてきたところでありますが、平成5年度は、1、組織改正により土木建築部に事業管理監、農林本産部に検査指導監等の新設、組織の再編強化を図ったこと、2、全庁的な施行管理を総務部で実施する体制を整えたことなどの新たな措置を講じてきたところであります。
 また、従来、予算執行上のネックとなっております用地の確保につきましては、1、土地開発公社の組織体制の強化、2、公共用地の先行取得の推進、3、設計・施工管理業務及び用地取得業務の外部への委託等の対策を当初予算で措置するなど執行体制に万全を期しているところであり、今後とも執行率の改善に努めてまいりたいと考えております。
 次に、基地問題との関連で、県民の行政の最高責任者として対米直訴は必要であり、今後も粘り強く平和行政の一環として継続すべきと考えるがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 米軍演習につきましては、県民の生命及び財産を守る立場から、米軍及び関係機関に対し繰り返し繰り返しその中止及び廃止を要請してまいりました。県としては、基地被害の防止を図るため、今後とも粘り強く日米両国政府に働きかけていく考えであります。
 最後に、Jリーグ・沖縄プロサッカーチームを設立してはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 プロサッカーのJリーグ戦がことし5月の開始以来、プロ野球と並ぶ国民的な人気を博しているのは御指摘のとおりであります。

 Jリーグ・プロサッカーチームを沖縄に設立すべきであるという御意見につきましては、私自身も夢のある楽しい企画だと考えますけれども、費用の問題とか、いろいろ検討すべき問題が多々ございますので、貴重な御提言として承っておきたいと思います。
 なお、ほかの質問につきましては、関係部局長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
○議長(儀間光男君) 生活福祉部長。
  〔生活福祉部長 花城可長君登壇〕
○生活福祉部長(花城可長君) 厚生年金の格差問題についての御質問にお答えいたします。
 厚生年金の格差是正につきましては、県が当初要望しておりました遡及適用に対しまして、国から制度上の側面、実務上の観点、費用負担の側面から問題があり、新たな角度からの検討の必要性が指摘されておりました。
 その後、県におきましては、厚生省を初め関係団体と調整を重ね、遡及適用にかわる試案を平成5年3月29日の第4回検討会に提出し、調整を図ってきたところでございます。
 これまでの調整の中で、対象者の範囲につきましては、県としましては20歳以上としておりましたが、25歳以上に絞り込めないかということで調整中でございます。
 対象期間につきましては、昭和29年から昭和44年までの雇用期間を対象とすることで、特に議論はない状況でございます。
 雇用の証明につきましては、原則として事業主が証明を行うこととするが、証明方法については県の定める要領等で実施する方向で調整中でございます。
 追納につきましては、国としては遡及適用ではなく、現時点に立って厚生年金の格差是正を図るという制度の趣旨から、退職時の標準報酬及び納付時の保険料率を用いることを条件としております。この条件を前提として試算いたしますと、約1800億円の膨大な額になります。
 県が提示いたしました試案の昭和45年標準報酬及び保険料率を基礎に試算いたしますと、約1200億円となり、大きな差がございます。
 事業主負担につきましては、個人負担の軽減を図るため、企業、県が相応の負担をする方向で検討を進めているところであり、また防衛施設庁に対しましても、その負担をお願いすることとしております。
 県内企業等の負担能力には限界があり、事業主負担分の解決が最も大きな課題となっております。この課題解決なくしては格差是正は進展しない状況にございます。
 したがいまして、県といたしましては、国の関係機関と粘り強く折衝を続けるとともに、関係団体との緊密な連携を図りつつ、県議会及び県出身国会議員の御協力、御支援を得てこの問題の早期解決に最大限の努力をする所存でございます。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 砂川恵徹君登壇〕
○環境保健部長(砂川恵徹君) 環境問題についてお答えをいたします。
 廃棄物処理法遵守による不法投棄の防止についてという御質問であります。
 県では、今年度に不法投棄対策事業として廃棄物の不法投棄についての実態調査を行い、不法投棄情報を的確に把握し、早期発見、早期対応のシステムを確立することにより、不法投棄を未然に防止していく考えであります。今後とも、廃棄物処理及び清掃に関する法律の遵守の徹底を図り、不法投棄のないよう監視体制を強化していきたいと考えております。
 次に、リサイクル業者の組織化、育成、補助についてという御質問でありますが、県は、沖縄リサイクル事業組合と連携を密にし、情報交換等により実情の把握に努め、支援していきたいと考えております。
 また、今年度に学識経験者、住民代表、リサイクル事業組合代表、行政関係者等で構成する廃棄物減量化・再生利用推進協議会を設置し、育成、補助の方策を検討していきたいと考えております。
 続きまして、リサイクル物資の集積場所の確保についてという御質問です。
 本県には、資源ごみを再生する事業所が少なく、古紙、アルミ缶、カレット等のほとんどの資源ごみを本土に輸送している状況にあります。
 資源回収の問題点として、メーカー側の生産調整等による再生原料のストックが見られるほか、コストの軽減、輸送の円滑化を図る上からも集積場所の確保が必要であり、県としても、その確保について資源回収業者を支援してい<考えであります。
 次に、リサイクル船を就航させて離島のリサイクル廃棄物回収についてという御質問でありますが、県では、今年度に沖縄県廃棄物減量化・再生利用推進計画を策定し、宮古、八重山及び本島周辺の離島の廃棄物の処理の現状と課題、方策を検討することにしております。それを踏まえまして、離島からの輸送手段及び資源ごみの輸送コストの助成等について検討していく考えであります。
 続きまして、デポジット方式の導入についてでございますが、デポジット制度は、特定品目の回収及び再生利用を効果的に進めることができるという長所を持っております。
 一方、回収に伴うコストが高くつくこと等の問題もあります。
 県としては、市町村に対し資源ごみの分別収集を指導しており、その回収効果を見ながらデポジット制度について研究していきたいと考えております。
 最後になりますが、オイル缶や一斗缶の海上投棄は法的にどうか、またその後の措置はどうなったか、今後の海中への廃棄物対策はどうなっているかという御質問です。
 オイル缶やその他の廃棄物の海中への投棄は不法投棄であります。現在、これについては第11管区海上保安本部で調査中であります。今後とも、このような海中への不法投棄については、第11管区海上保安本部と連携を密にし、その未然防止に努めてまいるつもりでおります。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 大城義勝君登壇〕
○土木建築部長(大城義勝君) 景気対策と補正予算についての御質問に関連して、県と市町村の公営住宅建設事業は順調に執行されつつあるかという御質問にお答えいたします。
 平成5年度の県営住宅建設事業の執行について申し上げますと、平成5年度は、平成4年度繰越分を含めて104億6009万円であり、6月末現在の執行額は42億6666万円で、執行率は40.7%となっております。
 ちなみに、平成4年度同時期の執行率は38.3%であり、昨年度に比べ順調に進捗しております。
 次に、市町村の公営住宅建設事業の執行についてでありますが、平成4年度の繰越分を含め国費35億414万円に対し、6月末現在で4億499万円の執行で11.5%となっております。
 なお、平成4年度の同時期の執行率は6.3%であります。公営住宅建設事業の執行については、今後とも鋭意努力してまいります。
○議長(儀間光男君) 教育長。
   〔教育長 嘉陽正幸君登壇〕
○教育長(嘉陽正幸君) 高良政彦議員の教育とスポーツ関連の集団暴行致死事件の御質問にお答えします。
 まず1つは、過去2度にわたる集団暴行死亡事件でそれたりの対策はとられていたはず、三たび起こってしまった、しかも教育事務所長会議で、いつ集団暴行事件が起こってもおかしくない状況と報告されている、このような事件が起こる背景は何か、今後も起こることが予想されるがその対策は、にお答えいたします。
 今回の事件の背景には、当該生徒が学校、家庭、地域から孤立し、社会生活に必要な基礎的、基本的事項や思いやりの心、及び基本的生活習慣を身につけていないなど、家庭、地域の教育力の低さや学校の生徒指導の弱さ等が複雑に絡み合って起こったものと理解しております。
 今後の対策についてでございますが、これまで石垣中学校事件を教訓として生徒指導の充実を図ってきたところでありますが、今回の事件を踏まえて、人間として最も大切な命のとうとさや思いやり等の心の育成、また、人間関係を深め、安易に暴力により問題を解決することがないよう強く指導していきたいと考えております。
 さらに、先ほども申し上げましたが、教育庁内に青少年健全育成連絡会を設置して、本県における青少年健全育成施策を総合的、効果的に推進してまいります。
 なお、地域、PTA、関係団体等を包含した生徒指導組織の充実を図るとともに、県民への啓発活動を展開し、県民ぐるみの青少年健全育成運動に盛り上げていきたいと考えております。

 夏休み期間につきましても、地域、PTA、行政が一体となって指導していく所存でございます。
 同じく集団暴行致死事件の2番目でございます。究極は家庭であり、大人社会に原因があるが、家庭の父母あるいは地域社会と協力体制をどうするか、お答えいたします。
 学校教育の充実を図ることは、家庭における養育や地域環境とも深くかかわっていることから、家庭、地域との連携を具体的で実効性のあるものにする必要があります。
 そのために、具体的な連携活動として、学校ではPTA交流の場としての居室の設置、地域では隣同士が支え合う体制をつくるなど、きめ細かな実践活動を展開するとともに、あわせて地域の青少年健全育成にかかわる諸課題の解決に向けた幅の広い運動を起こさなければならないものと考えております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 高山朝光君登壇〕
○知事公室長(高山朝光君) 高良政彦議員の御質問にお答えいたします。
 基地問題の対米直訴について、直訴の内容と成果について伺いたいとの御質問にお答えをいたします。
 今回の訪米は、知事にとって就任以来2度目で、仲間金武町長、山内読谷村長及び儀保読谷村議会議長らがともに要請活動を行いました。
 訪米の目的は、沖縄に所在する米軍基地の整理縮小及び演習に伴う事故防止等を米国政府要路並びに連邦議会議員等関係者に直接訴えるとともに、米国のマスコミを通じ、広く米国民に対し沖縄の基地問題への理解を求めることでありました。
 ワシントンでは、国務、国防総省の海外基地政策を直接担当する高官や上下両院の軍事関係議員及び本県における米軍の主要部隊を統括する海兵隊司令部の高官と会談し、要請を行いました。
 ハワイでは、太平洋における海軍や海兵隊の司令部を訪問し、司令官らと会談を行い、強力に要請を行いました。
 このほか、今回は、本県と同様米軍基地問題を抱えるグアム島にも立ち寄り、アダ知事やグアム選出代議員らと会い、意見を交換しました。
 これら政府要路、連邦議会議員、軍関係者らが要請に対し深い関心と理解を示されたことは、今後の沖縄の基地問題の解決を促進する上において心強く感じました。
 今回の訪米要請でさらに強調すべき点は、関係要路への要請のほか、5月25日のワシントンポスト紙への一面広告の掲載、知事の2度にわたる記者会見等により、広く米国民に対し沖縄の基地問題を訴えたことであります。
 新聞広告については、多くの政府高官、連邦議会議員等との会見の際、新聞を読んだとの話が持ち出されるなど大きな反響がありました。そして、6月1日に初めて米国CNN放送が知事の訪米要請をヘッドライン・ニュースに取り上げ、衛星中継を通じ沖縄の訴えを全世界に放送したことも成果の一つであります。
 また、日本国内の5大紙すべてがワシントンポスト紙の広告内容を報道するなど、国内においても相当な反響がありました。米国市民に直接訴えるという広報活動は、大きな効果があったものと確信をいたしております。
 今回の訪米要請は、日本政府、特に内閣官房長官、外務大臣、防衛庁長官らから積極的な支援があったことを初め、米国政府内における基地見直しの機運が高まる中で行われたこと等から、時宜を得た活動であったと思っております。
 次に、基地問題の演習の激化について、最も危険な県道104号線越えの演習廃止を対米直訴でも取り上げたと思うが、米側の態度はどうだったかとの御質問にお答えいたします。
 県道104号線越え実弾射撃演習については、米軍及び関係機関に対し、繰り返しその中止及び廃止を要請いたしてまいりました。今回の訪米においても特に重点要請項目に上げ、米国政府要路、連邦議会議員等関係者に強く訴えたところでございます。知事を団長といたします訪米団の要請に対し、特に議員の方々からは沖縄の基地問題の解決に可能な限りの協力をしていきたいと語るなど積極的な姿勢がうかがわれました。
 また、ハワイで会見いたしましたスタックポール中将は、沖縄での演習が減少されるよう前向きに取り組んでいきたいと発言をされておりました。
 次に、演習激化との関連で、世界の自然保護団体に見てもらい、自然保護、環境問題から基地の問題に迫ってみてはどうかとの御質問にお答えいたします。
 今回の訪米においては、特に米軍演習が自然環境破壊につながっていることを強調して、その中止及び廃止を要請してまいりました。
 県といたしましては、今後、訪米要請を初め、機会あるごとに演習の中止及び廃止を日米両政府に強く訴えていくこととあわせて、自然保護、環境問題などあらゆる角度から基地被害の防止に取り組んでいく考えでございます。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 佐野智則君登壇〕
○警察本部長(佐野智則君) 夏休みの補導ということでございますので、簡単に申し上げます。
 例年、生徒たちが休みに入る前の7月を青少年を非行から守る強調月間ということで設定しておりまして、関係機関団体や少年補導員などボランティアとの連携を密にした街頭補導活動を行っております。
 少年を被害者とする福祉犯罪の取り締まりや、暴力団から少年を守る運動など非行防止対策をも推進しているところでございます。
 具体的に申しますと、1つは、夏休みに入ります前に各警察署単位で学校、警察の連絡協議会を開催いたしまして、相互の連携を密にして補導活動体制の確立を図ると。
 2つは、定例の子供を守る日とか、全国一斉たまり場補導の日の合同補導のほかに、防犯協会、学校、少年補導員協議会等の関係機関団体と連携した少年たまり場、ゲームセンター等県下約400余の地域がございます。これに対する地域を重点に街頭補導活動を実施しているところでございます。
○議長(儀間光男君) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明2日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
   午後8時34分散会

 
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