昭和60年(1985年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 3月 4日
第 4号  3月 4日
 

議 事 の 概 要
昭和60年3月4日(月曜日)
午前10時2分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第22号議案まで及び乙第1号議案から乙第18号議案まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 田場 盛徳君(社会党)
    2 嘉陽 宗儀君(共産党)
    3 島袋 宗康君(社大党)
午後7時7分延会

○議長(志村 恵君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた出納長新垣雄久君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。
○議長(志村 恵君) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第22号議案まで及び乙第1号議案から乙第18号議案までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 田場盛徳君。
   〔田場盛徳君登壇〕
○田場盛徳君 一般質問のトップを切って、さきに通告しました沖縄県住宅供給公社が分譲した欠陥住宅の補修について質問をいたします。
 この欠陥住宅問題が発生したのは昭和52年、東風平町友寄団地のPC住宅で、同年、金城宏議員がいち早くこれを取り上げて本議会で質問が行われました。翌53年には、具志川市新赤道団地でもPC工法の住宅の欠陥が発生をし、引き続き豊見城西、西原町小波津と次々と発生をし、私も被害者からの連絡を受け実情を調査をして本議会で取り上げ、それ以来今日までずっとこの問題に取り組んでまいりました。このほかにも新垣幸蒲前議員や現参議院議員の大城真順議員などと多くの方々が取り上げております。
 昨年の9月定例議会、12月の定例議会では、私は住宅課や県の住宅供給公社の職員に補修についてどうするのかと伺ったところ、昨年1月から居住者の方々と話し合いを始め、それが煮詰まって確認書を取り交わしてあり、満足のいくような補修をやっていくとのことでしたので、私は質問予定を変更してまいりました。
 今回、補修を行っておりますけれども、これが最後であり、これから後は補修した箇所については欠陥が出れば2力年間は保障するが、他については一切責任を持たないという確認書の内容になっております。しかし補修は、双方で話し合われた確認書に記載された内容になっておりません。これでは居住者は踏んだりけったりのひどい目に遭わされることになると思いますので、この問題に絞って今回は質問するわけです。知事及び関係部長におかれては、県住宅供給公社から欠陥のままの住宅を譲渡され、毎日毎日不安といら立ち、不満の中で不自由で不愉快な生活を強いられている居住者の身になってこの問題をお考えいただきたい。そして居住者が納得できるような御答弁をお願いをいたします。
 勤労県民にとってマイホームを持ちたいということは最高の夢であります。その夢を実現するために多額の借金をして県の住宅供給公社から住宅を購入したら、わずか3カ年ほどで雨漏りはする、床や畳は腐れる、壁板もぼろぼろになってはげ落ちてくる、タイルは剥離する。ひどいのは玄関のドアが開閉できない、トイレの水が逆流するものまであらわれました。
 県の住宅政策を推進する立場にある住宅供給公社の分譲住宅が住宅として価値のない欠陥のまま譲渡されたわけです。被害者の皆さんは、住宅公社に代表を送って実情を訴え、設計がまずいのではないかあるいは工事施工に手抜かりがあったのではないか、監理監督のミスがあったのではないかと原因を調査をしてぜひ補修をしてもらいたいと要請をしました。しかし当時の住宅公社側は大変高圧的で、設計は日本の一流の設計者によるもので設計のまずさはない。またこのPC住宅は清水組という日本でも一流の会社が工事をしているので工事の施工にも手抜かりはない。また公社から現場監督を派遣して常駐させて監理監督に当たってきたので、その面でも完壁にやっていると言って、結局、欠陥が発生したのは居住者の使い方がまずいからだということになったわけです。被害者の皆さんは、この理不尽な態度に対して、このままでは泣き寝入りさせられる、組織化をして対処していかなければならないとこういうことで被害者の会をつくって交渉をしてきたわけです。
 私への連絡があったのもそのころでした。調査をしてみたら、床下に排気通風孔が全然ない。そのために地中の湿気が床や畳、壁などに浸透してぼろぼろに腐らせていることがわかりました。公社もこれに気づいて排気通風孔をあけたり、壁や床などの取りかえもしました。それ以来、PC工法による住宅では床や壁が腐食するという被害は起こっておりません。やはり欠陥は使い方がまずくて発生したのではなくて、設計や工事のミスにあったわけです。
 今、問題になっている欠陥住宅は、2戸連の2階建てのRC住宅なんです。実態はPC住宅の欠陥よりも大変ひどく、これも購入して3カ年ほどで雨漏りはする、配電管や鉄筋が腐食しコンクリートのひび割れ、被覆したものが剥離してむき出しになったり、ひどいのは天井からコンクリート破片が落ちてくる、こういう状況です。ある家庭では就寝中、夜中に枕元の近くにコンクリート破片が落下しました。剥離して落下するコンクリート破片というのは、ここに持ってきてありますけれども、(資料を掲示) 石おののように大変とがっておりまして、これが万一顔や頭の上にでも落ちていたらと本当にひやっとさせられます。この住宅ではその翌日から蚊帳を買ってつって寝ておるとこういう状況です。特にことしは雨が多くて例年の6倍も雨が降っており、欠陥住宅に住む方々の中には雨漏り対策ばかりで正月もできなかったと深刻な顔で話しております。
 鉄筋コンクリート・ブロックづくりの建物といえば、頑丈で恒久性があるというのが特徴であるはずなのに、住宅公社が分譲した赤道団地の住宅はそうはなっていません。雨漏りがする上に、いつこのようなコンクリート破片が落下するかもしれないという危険で不安な建物なんです。ある家庭では、雨漏りがひどくて大学受験の高校生を車庫の中に移して勉強させている、こういう状況です。全く一般人では考えられないような、ぼろぼろとしか言いようがない住宅なんです。この実態、この苦痛というのは、そこに住んでいる人あるいは現場を直接見た人でなければ恐らく理解できないでしょう。
 欠陥住宅を買わされ、泣くにも泣けないみじめな思いで生活をしている人たち、金さえあれば新しく家を建ててこんな家など捨ててしまうんだがと言って腕組みをして吐き捨てるように言われるその声に、はらわたをえぐるような怒りを表明しております。期待をし、信頼をしていた住宅公社によって、マイホームの夢が無残に打ち砕かれた入居者の心情がわかっていただけますでしょうか。
 私は、前にもこの問題を取り上げた際に、知事にぜひ現場をごらんになってくださいとお願いしましたが、知事、ごらんになったでしょうか。もしまだでしたらぜひ現場に行かれてごらんいただき、居住者の声も聞いていただきたいと重ねてお願いをします。
 また土木委員会も議会にも要請が出されておりますので、ぜひ現場を見ていただきたい。
 私は、細かくたくさんの事項を通告しましたけれども、細かいことには触れません。とにかく入居者が安心して生活できるように抜本的な補修をしていただきたいということに絞って質問をします。
 昭和55年12月から58年6月までの間に住宅供給公社は、建設省の建築研究所や建築振興会、そして沖縄電気保安協会に対して調査研究を委託をし、その報告書が58年8月に提出をされております。
 その報告内容を見ますと、この工事には重大な瑕疵がある。この建築は、設計図、特記仕様書、現場説明書及び日本住宅公団工事共通仕様書に基づいて施行するという約定が守られてなく工事の不備があり、そのために鉄筋の腐食、むき出し、雨漏り、コンクリートのひび割れ、コンクリート被覆の剥離、天井からコンクリート破片が落下するなどの重大な瑕疵がある。特に洗浄していない海砂を使用しており、大変な高濃度の塩分を含有したコンクリートを使用してこの建物を建築したという重大な過失が主な原因となってこのような欠陥が発生しておるというふうになっております。

 公社は、この報告書に基づいて工事施工者に対して会社の責任において瑕疵補修工事をするよう要求したが、A会社は、補修義務がないと主張し裁判訴訟に持ち込んだようです。B社は、補修はするが工事経費については裁判結果を待って対応するということです。清水組の場合は、責任を持って補修に当たり、入居者の要望を素直に受け入れて念入りな補修がなされ、入居者もほぼ満足しているのに、沖縄の企業を代表するような大企業が何と横着なことかと私、怒りを覚えます。みずから犯した重大な過失を指摘されてもやらない。こんな企業は、裁判結果が出るまでは、県の公共工事入札からも除外するなど厳しい制裁措置が必要ではないでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 入居者の生活を破壊し、県の信用を著しく傷つけていながら、みずからの責任を果たそうとしない。私は、悪徳業者の最たるものだと思います。知事はどうお考えでしょうか。
 現在、公社によって補修工事が行われ、既に3分の2強が補修完了しておりますけれども、私が見る限り、この補修は安心して生活できる住宅にするための補修だろうか、こういう疑問を感じます。
 具志川市では、被害者の会の要請によって市の助役や議会議員全員で現場調査をしておりますが、予想以上の被害状況であるのにびっくりして、これはひどい、これでは生活できない、補修だけではだめだ、建てかえるべきだとこう言っております。これについての御所見をいただきたいと思います。
 入居者の要請が知事や県議会、住宅公社にも申されておりますが、その中身は、1つ、電気配管が予想以上に腐食しているので完全に摘出して補修してほしい。ここにその一部を持っておりますけれどもこのような状況なんです。(資料を掲示) さび落としが不十分である。Uカットも手作業のために不十分であり、はつり工事をしての補修を徹底してもらいたい。3番目に、張り部分は天井とのバランスからもベニア張りを実施してもらいたい。4番目に、ブロック壁面部分の塗装をしてもらいたい。その他として屋上の亀裂措置を十分にやってほしいなどとなっております。
 入居者の要請は、現在の補修工事のやり方は建築研究所の報告書に示されたやり方ではなく、また確認書どおりの工事でもなく、欠陥隠しのためにしかやっていないのではないかとこういうことなんです。これらの要請は、公社は素直に受け入れて補修に当たるべきでありますのにやらないわけです。これらの問題についてどうお考えになっておられるか明確にお答えいただきたい。
 次に、公社は今回の補修で公社の責任はすべておしまいですよということのようですが、一体、このような補修の仕方でこの建物の構造耐力上の耐用年数は何年確保できるのか、納得できるような科学的な根拠をもって説明をしていただきたい。
 1つの部屋の天井でも腐食したパイプが三、四十センチ残されておるんです、現場監督の説明を聞きますと。その部分はコンクリートがしっかりしているから撤去する必要がないとこう言うんです。1つの建物のコンクリートスラブというのは、同じ日に時間もほとんど同じで続けざまに同質のコンクリートを使ってつくられたものであるので、コンクリートに含まれた塩分には差がないはずです。それをこの40センチぐらいは質がよいとこう言えるのかと。また残された腐食パイプの部分が腐食の進行で二、三年後でひび割れがないという根拠があるのか。この腐食したパイプが除去されないで今の暇疵の延長として瑕疵が発生する、こういうことが考えられないのか。現在やっている補修方法に対する疑問の非常に大きな問題なんです。
 私は、28日にも、その前日の27日にいわゆるUカットしたというS型の配電管の状況、鉄筋の腐食状況を連絡を受けて見にまいりました。洋間になっており、化粧石こうボードの張りつけがなされておるので、表面的に見ますというと亀裂も見えない、雨漏りもない。だから中の鉄筋やあるいは配電管などは腐食はないのではないかと家主もそう思っておったんですが、しかしハンマーでたたくとポコンポコンとコンクリートが浮いている。Uカットをしてみるというとこれもひどい状況なんです。
 このように表面的に見ても大変ひどいような状況でありますけれども、こういうものをこの部屋からこの部屋、この部屋からこの部屋と同じ住宅、同じ家主の住宅の配電管というのは皆つながっているのに、部屋と部屋との間はまたやらないと、こういうふうな手抜きが行われておるわけです。こんなやり方で公社は責任逃れをするのか、これについて明確なお答えをいただきたい。
 そして補修した箇所については2カ年は保障するとこうなっておりますけれども、これは道義上、補修後2カ年間もてば、その後のことについては一切責任を持ちませんとこういうことでよいのか、この件について明確にお答えを願いたいと思います。
 そして入居者が要求しておりますように、建築確認書どおりの補修あるいは建設省の建築研究所の指定したようなこの補修のやり方、これを完全にやらない理由は何なのか、お答え願いたいと思います。
 私は、補修工事期間中は公社の費用で代替住宅を確保してあげるのが当然だと思いますが、これもやってない。だから家族にとっても大変なんです。住居にゆとりがあるわけではないから、荷物を片一方に片づけて、部屋中コンクリート破片や粉じんが飛び散る。夜はそれを掃除をしてその部屋に寝る。翌日はまた片づける。しかもプライベートな部屋の中に他人が踏み込んでくる。まさに精神的な拷問だとこのように考えますよ。
 次に、補修工事期間中の慰謝料についてですが、これは当然出すべきだと考えます。これについてお答え願いたいと思います。
 このような欠陥住宅がもうけ主義の民間会社ではなく、県の住宅供給公社が分譲した。そして毎日いやな思いをさせているばかりでなく、生活が破壊されていると。こういうことから補修工事を完全にやることばかりではなく、これは損害賠償もすべきだと思います。これについてこれは法的にも当然だと思いますし、道義的な面からも被害を与え、大変な迷惑をかけているからどうしてもやらなければいけないとこう思うのですが、これに対するお考えをいただきたいと思います。
 私は、最後に、住宅公社の姿勢、これが変わらない限りこの問題は解決できないと思います。いわゆる家主の、入居者の言い分を全然聞かない。現理事長は、こんな重大な問題があるのに一度も現場に行って入居者との話し合いもしない、こういう状況です。ですから最後にお願いをし、またお答えをいだだきたいとこう思いますが、ぜひ調査を新たにしてもらいたいということ。2番目には、居住者との話し合いをぜひ持っていただきたい。
 以上申し上げて質問を終わりますが、なお、お答えによってはまた予算特別委員会もありますので、そこでも取り上げていきたいとこう思っております。
 終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 田場議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 公社分譲住宅の瑕疵問題につきましては、関係者の皆さんにいろいろ御迷惑をおかけいたしましてまことに遺憾であります。
 瑕疵問題が発生した当時、私も現地を視察いたしましてつぶさに住宅の内部、外部を見て回り、瑕疵問題の早期解決を指示いたしております。
 補修工事については技術的な問題でございますので直接は見ておりませんが、その状況については土木建築部長より報告を受けております。また住宅公社理事長から、公社住宅の瑕疵問題に対する基本方針及び確認書に基づいて補修をしているとの報告を受けております。
 残された質問につきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 久高将栄君登壇〕
○土木建築部長(久高将栄君) 住宅の瑕疵問題につきましては、関係者に大変御迷惑をおかけして申しわけなく思っております。
 幾つかの質問がございましたが、順不同になるかもしれませんが、お許しを願いましてお答えいたします。

 私も住宅課の職員からその報告を受けまして、去る2月27日に現場を見てまいったわけでございますが、その中で殊に工事中の現場、さらにいわゆる補修を拒否している方々ともお会いした結果でございますが、実際に現場を見まして技術的に感じましたことは、建築研究所の報告にもありますように鉄筋のさび、特に電気パイプの腐食についてはひどいと感じたわけでございます。率直に申し上げまして、早目に補修しないといけないなというのが実感でございました。
 さらに、その方々の生の声も聞いてまいったわけでございますが、まずその内容をかいつまんで申し上げますと、これは嘉陽田さんというお宅で中まで見せてもらったわけでございますが、まず1点目に、電気パイプの腐食が大変進んでおって危険であると。しかもこのままでは非常に不安であるというふうな切実な訴えがありました。2つ目に、そういった結果で公社の方に御夫婦で、これは腐食した鉄筋を全部除去しないといかぬじゃないかというふうにかけ合ったようでございますが、公社の方としましては確認書のとおり施工しているというふうなことの返事があったと聞いております。さらに御指摘のありました居間の天井、電気配等の付近の所も見せてもらったわけでございますが、そこらあたりの修理についても早目にやってもらうような要望がなされております。
 次に、工事現場中の現場で二、三の声を聞いてまいったわけでございますが、2点ほど苦情がございまして、まず1点目に補修工事に騒音が非常にひどいということがございました。それから2点目に、工事中で粉じんが出て洗濯物の干し場がないというふうな御苦情もございました。
 以上、踏まえまして御質問にお答えをいたしたいと思います。
 まず、居住者は現在の補修方法に不安と不満を持っている。建築研究所の報告書や確認書どおりやっていない。欠陥隠しというふうな家主の方も話しているが、確認書どおりやらない理由はどういうものかということについてまずお答えをいたしたいと思います。
 瑕疵補修につきましては、住宅供給公社からは、双方の合意に基づいて作成されました確認書及び瑕疵問題に対する基本方針に基づいて実施されていると報告を受けているところでございます。しかし一方の方が確認書どおりやられてないとして陳情が出されておりますが、双方の意見に食い違いがあり、本件につきましては現在提訴されており、これ以上の御答弁は差し控えさせてもらいたいと思います。
 次に、陳情書の件でございますが、補修方法について陳情がなされているが、これについてどうかということの御質問にお答えいたします。
 住宅供給公社の報告によりますと、公社は陳情を無視したわけではなくして、確認書どおり補修を実施している旨の説明をいたしております。これは12月21日に、公社の方で長時間にわたって関係者に説明をし理解を求めたという報告を受けております。
 次に、腐食パイプの件の御質問でございますが、これも先ほどお答え申し上げましたように供給公社の報告によりますと、確認書に基づいて各住宅の損傷ランクづけをいたしました部位別表という、これは確認書の方に添付されておりますが、その表のとおり腐食パイプについては現に損傷が発生している箇所について除去しているというふうなことで、住宅供給公社の方では確認書どおり施工をされているというふうなことを報告いたしております。
 それから補修したものの耐用年数についてお答えいたします。
 建物の耐用年数につきましては、いろいろな条件によって一概に決めることはできないわけでございます。しかし現在補修をしている方法は、コンクリートの中性化を劣化させる最善の方法として、建築研究所の報告書に基づいて住宅供給公社の方は実施しているというふうな報告をなさっておりまして、これが何年もつというふうなことは報告、聞き取り調査では得ておりません。いずれにいたしましても現在の補修方法は、調査報告書に基づいて最善の方法でやっておるというふうな報告でございます。
 次に、いわゆるこれを工事した業者の企業責任をどうするか、県でも裁判が決着つくまで指名ストップをすべきじゃないかという御質問にお答えいたします。
 御案内のように、企業責任につきましてはこれまで住宅供給公社と当該A及びBの施工業者と話し合いをしたわけでございますが、その結果、先ほどお話がありましたように、また御案内のように現在それぞれ双方とも不服として裁判で係争をしているところでございます。当該事業が公社の事業でございまして、私ども県といたしましてはその結果を踏まえて今後企業責任、いわゆる指名等については行政的にはその結果を踏まえて考えていきたいとこのように考えているところでございます。
 以上でございます。
○田場盛徳君 議長、ちょっと答弁漏れ。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前10時33分休憩
   午前10時34分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 久高将栄君登壇〕
○土木建築部長(久高将栄君) お答えいたします。
 まず瑕疵の延長でございますが、いわゆる今度の補修につきましては先生御案内のように、双方の確認書に基づいて補修を行っているところでございます。したがいましてこの瑕疵のその中身につきましては当事者間で十分話し合いの上、その確認書がつくられ、そしてそれにのっとって施工をしているというのが住宅供給公社の話でございますので御理解を願いたいと思います。
 それから何年もつかといういわゆる耐用年数の問題でございますが、この補修方法自体がいわゆる先ほども申し上げましたように住宅供給公社の方で現場も管理いたしておりますので、県、私どもがこの方法で何カ年もつということがはっきり申し上げられないということでございますので、ひとつ御理解願いたいと思います。
○田場盛徳君 休憩してください。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前10時35分休憩
   午前10時36分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 久高将栄君登壇〕
○土木建築部長(久高将栄君) 合同調査の件でございますが、この件につきましては私も決算特委員会でも御答弁を申し上げたわけでございますが、住宅供給公社の方にもぜひ十分話し合いをし、納得のいくような解決をして早目に補修をするようにというふうなことで住宅供給公社にも話したわけでございますが、殊に先生、御案内のように、確認書の8項にも、疑義またはこの確認書に定めのない事項については双方誠意を持って話し合い、解決するという事項もございますので、私ども行政の立場から供給公社にも話したわけでございますが、本件につきましては現在その補修の方法をめぐって提訴されているところでございますので、その結果を見守りながら合同調査をやってまいりたいとこのように考えております。
 なお、県としましては担当の参事並びに担当職員、先ほども申し上げましたように私も現場は行って二、三の箇所について調査をしてまいっているところでございます。
○議長(志村 恵君) 嘉陽宗儀君。
   〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 私は、日本共産党の県議団の一員として通告に基づき知事に質問いたします。
 まず第1番目は、漁業組合の指導の問題についてであります。
 伊良部漁協は、御存じのように現在自分たちの預金した金の引き出しが凍結されていて生活にも困っているとか、預金をあてに家を建てたら肝心な金は使えず、よそから借金してそれを支払うなど大変な事態が続いています。私も去る2月13日に伊良部漁協の預金者の会の皆さんに呼ばれて同漁協との交渉に同席しましたが、改めて事態の深刻さを痛感してきました。これは前の一部組合役員による組合私物化によって引き起こされ、組合員以外に金を貸し出し、その他不法、不当な貸し出しによって組合と組合員に莫大な損害を与えたもので、現在警察に背任罪で告発され捜査も行われています。県漁政課は、昭和57年2月28日に組合の業務運営及び会計に関する事項についての監査を行い、多くの問題点を指摘しております。
 そこも質問いたしますが、1つ、なぜこのような自分の預金さえおろせないような事態にまでなったのか。2、そうなるまで県の漁政課は何を指導してきたのか、その責任はどう感じているのか。3、とりわけ3年前に検査を行っているが、それ以後検査で指摘した問題点の改善のためにどういう具体的な指導を行い、それがどのような効果があったか。4、直面している緊急にお金を必要としておられる組合員への具体的な援助と解決策が求められていますが、どうされるのか。5、今後どのようにして組合を再建していくのか、またそのためにどのような指導をしていくのか具体的な考えがありましたら説明してください。
 第2点目は、土地区画整理問題についてであります。
 そもそも土地区画整理事業は、地域住民の住環境をよくするために行われなければなりません。ところが全国的に見ると高度経済成長政策、以後は田中角栄の日本列島改造論に引き継がれ、産業公害や排気ガス公害、地価の高騰などありとあらゆる過密の弊害をつくり出すために区画整理が活用されてきました。特に最近では都市近郊の開発の名のもとに産業道路や幹線道路の建設をねらいとして進められているということが特徴になっています。これは住民の立場から見ると、公共の美名のもとに個々の地権者や住民の声に背いて行われ、しかもその事業による受益者とみなされ、減歩として土地がただ取りされるということになっています。このことは憲法29条の財産権をも侵害するものであり、同3項では、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」と明確にうたわれています。したがって土地区画整理事業を進めるに当たっては地権者の声を十分に聞き納得できるように、しかも地権者の負担が可能な限り小さくなるように努力すべきであります。
 そこでお聞きいたしますが、1つ、現在までの土地区画整理事業は地権者の声を最大限に尊重して進められてきたか。2つ、その事業期間が長過ぎて重大な財産権の侵害にもなっているが、実態はどうなっているか、今後どう改善するのか。3つ、現在、その事業によって不利益になるとの意見書を提出してもほとんど無視されているとの声が大きいが実態はどうなっているか、改善を図る必要はないのか。
 4つ目に、浦添市西原の区画整理事業についてお尋ねいたします。
 西原地域は、62年国体に向けて国道バイパスや県道の建設が急がれている所であります。区画整理事業もその道路建設を早急に行う必要があり、比嘉昇市長も認めているとおり地権者に十分准説明も行われないままに組合設立の同意書集めが行われるなどして地権者から大きな疑問が出されています。重大な組合の設立総会も地権者の369名のうち28名だけが参加し、しかも反対者はシャッターを閉めて会場に入れない中で強行されるなど、現在も非民主的な運営がなされているという訴えがあります。
 それで現在進められている土地区画整理事業の内容を明らかにし、理解を深めるために具体的にお聞きします。
 1、事業内容の説明が不十分なまま組合設立を急ぐ余り、同意書を集めるのに一部混乱があるが、事実を知っているか。
 2、なぜそんなにこの区画整理事業を急いでいるのか。
 3、提出された同意書の中に39名の反対の意見書を出した者も含まれており、その分同意書から差し引くと組合設立に必要な3分の2にはならなくなる。そうすると違法な手続による組合設立ということになるがどうか、今後これについてどう対処されるのか。
 4、地権者の負担が大き過ぎるとの声があるが、減歩率は平均で幾らで、なぜ全県で一番高いものになったのか。私が考えるにその理由の1つに、あの地域は余りにも凹凸が大きく宅地造成をするのも大変で、土地区画整理法の23条3項の市街地をするのに適当でない地域になっていることや都計道路の占める割合が大き過ぎること、そういったこともあると思うがどうか。
 5、国の補助事業として進めれば幾らの補助金となるか。なぜ補助を受けなかったのか。
 6、全体面積に占める道路面積と、また都計道路の占める割合は幾らで、全県で何番目になっているか。
 7、区画整理がなければ、本来地主につぶれ地買い上げ補償として支払いされる金額は幾らで、その地権者は何名か。
 8、事業地域に大きなゴルフ場があり区画整理から除外されているが、住宅地域の真ん中にゴルフ場は不適ではないかとか、区画整理をして道路ができて一番助かり得をするのはゴルフ場だが、みんなは40%近くも減歩で土地がただ取りされるというのに1坪も減歩がない。全く住民を食い物にするやり方だ。これは比嘉昇市長がゴルフ場の役員をしているからこんな勝手なことができるのだという声が多いが、(傍聴席にて拍手する者多し) 事実、市長はゴルフ場の役員をしているのか。
○議長(志村 恵君) 静粛に願います。
○嘉陽宗儀君 都計道路はつくってもよいが、残りの土地はこれまでどおり引き続き農業を続けていきたいと希望する地権者が多いが、ここに213名分もの区画整理反対者の署名が集められています。(資料を掲示) これは実に全体の58%にもなっています。県はこの事実を踏まえて、この区画整理事業を地権者の声を最大限に尊重するという立場を貫いて直ちに中止すべきでありますが、どうですか。
 第3番目は、公共用地の取得問題についてであります。
 私は、これまで北谷浄水場用地や三重城県営住宅用地の不当な高値買いを明らかにし、血税の浪費を指摘してきましたが、県はこれまで不動産鑑定士の権威ある評価に基づく購入であり、何らそこに不正はなかったと強弁してきました。それに対して私は、不動産鑑定書の内容を分析し具体的にその問題点を解明し、鑑定評価書そのものの価格つり上げの手法まで指摘してきたにもかかわらず、それにはまともに答えず、ただ国家試験を合格した不動産鑑定士の鑑定結果だからと、それを金科玉条にして用地の不当な高値買いを合理化してきました。しかしこれでは県民は納得するものではありません。不動産鑑定士といえどもやはり人間ですから、いつでも正しいというわけにはいきません。だからこそ不動産鑑定の基準でもわざわざ鑑定士の倫理綱領までうたわれ、より正常価格を出すための努力が強調されているのであります。そのような認識に立ってこそ、今後の用地取得に当たって高値買いをしないチェック機能も強化されるものでありますが、県がこれまでの態度を改めない限り、不正につながる高値買いという事態は改善される保証は全くありません。
 そこで、きょうは用地取得についての質問は、豊見城村真玉橋西原の県営住宅用地取得に絡む土地転がしと高値買いについてであります。
 この用地は私が調査しましたところ、ある業者が宅地開発をして分譲する計画で昭和59年2月1日に購入した土地であります。そのときの売買に関する土地の不動産鑑定評価額が7億5160万円で、実際の取引価格は約7億5000万円で、1平米当たり3万9325円であります。
 ところで、その業者は、その購入した土地を削土まではしたが、資金に困り、9億円も59年の6月には抵当権を設定し、開発をして売り出すまでにあと15億円も必要であったが、銀行もその土地を担保にしては金を貸してもらえず大変困り、それで開発も断念したようであります。ところが開発をやめても金利はかさむことになるし、こんなに大きな面積ではなかなか買い手も見つからなかったようであります。それである人物の紹介で土地開発公社を通じて県に売ったという経過があります。
 県は、この用地を6月27日に、4カ月前の2倍以上の価格、すなわち平米当たり8万1000円、総額で15億4540万円以上で買い上げたのであります。差し引きいたしますと実に7億9500万円余の高値買いをしています。その土地はちょっとした森になっていて正味3カ月余で削土していますが、その作業を請け負った業者に聞いてみますと約2億円もの工事だったようであります。その分を差し引いても、県に土地を売った業者は土地転がしをして実に5億9000万円ももうかった計算になるのであります。

 それで早速私は、不動産鑑定評価書を調査、分析してみました。その結果、明らかになったことは、1万9000平米以上の整地も十分にはなされていない素地であるにもかかわらず、150平米から170平米の宅地として開発し分譲する際の値段になっていることがわかりました。その件について、その鑑定をした鑑定士に、4カ月前の売買に際しての鑑定結果は7億5000万円余りなのに、今回はその2倍以上の15億4000万円余になったのはなぜかと質問しましたら、素地としての価格ではなしに宅地として分譲するときの価格であることを認めています。これで素地でしかない用地を宅地として、しかも開発した後の分譲の高い価格で購入したことは明らかであります。事実、整地も十分に行われていない素地でしかないことは、既に県が土工費で1300万円、擁壁工事で2140万円の計3400万円の工事を進め、今後も給水、排水で3260万円、合計で実に6700万円もの予算を必要としていることから見てもこれは明らかであります。
 知事、あなたはそれでも不動産鑑定の結果なので高値買いの事実はないと言い張るのですか、明確にお答えください。
 そこでその用地取得の経過について具体的にお尋ねします。
 1、真玉橋の県営住宅建設の計画はいつ立てたか。
 2、県が購入する4カ月前の土地売買の価格は知っていたか。
 3、国土利用計画法に基づく事前調整はやったか。
 4、県は、土地取得に当たって鑑定評価だけでなく独自の試算はやったのか。
 5、なぜ素地を素地としてではなく開発を終えた宅地の値段で、しかも4カ月前より2倍以上も高い値段で購入したのか。
 6、以上から見ても短期間の土地転がし、不当な高値買いになっているのが明らかであります。その事実は認めるのか明確な答弁を求めます。
 最後に、知事の政治姿勢についてお尋ねします。
 ことしは戦後40年ですが、二度と沖縄戦の悲劇、ひめゆり部隊の悲劇を繰り返すまいと誓って出発したはずなのに、今なお我が美しい郷土は、乱暴にも海も空も陸もすべて米軍の軍靴で踏みにじられ、激化する軍事演習によって核戦場にされる危険性がますます高まっています。
 知事、あなたはこのような事態をどう思われますか。沖縄県民としての良識がおありなら、日本民族の誇りにかけてもこれ以上米軍に勝手なことをさせないために毅然たる態度をとって一切の軍事基地をなくし、本当に平和で安心して暮らせるように最大の努力をすべきだと思いますが、いかがですか御所見を伺います。
 この40年間に米軍によって殺され、傷つけられ、略奪されるなどもろもろの事件の発生件数はどうなっているか。この事態に知事はどう思われ、今後どう対応されるか御所見を伺います。(傍聴席にて発言する者あり、拍手する者多し)
○議長(志村 恵君) 傍聴人に申し上げます。
 傍聴人は議事について可否を表明し、または騒ぎ立てることは禁止されておりますので、静粛に願います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 嘉陽議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 伊良部の漁協の問題につきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
 それから土地区画整理問題について御質問がございましたが、これにつきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。次に豊見城の西原の県営住宅建設に係る御質問がございましたが、これについては土木建築部長から答弁させることにいたします。
 最後に、基地問題でございますが、本県の米軍基地は、戦直後米国が構築した土地で、復帰後安保条約に基づき国が提供いたしておるのでありますが、軍人軍属の犯罪は減少しているものの、事件、事故の発生はまことに遺憾であり、残念に思っておるところであります。今後とも事故、事件については引き続き強い姿勢で対処してまいりたいと思います。
 次に、米軍による事件、事故の件数については警察本部長から答弁があると思います。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 喜久山盛忠君登壇〕
○農林水産部長(喜久山盛忠君) 伊良部町漁協におきましては、固定化債権の増大に伴いまして資金繰りの逼迫並びに事業量等の落ち込みによりまして財務状況が悪化している現状にありますために、早急な再建を図るために漁協組合員5名、伊良部町2名、県漁連1名、信漁連1名、学識経験者1名の締めて10名で構成いたします委員会を設置いたしまして具体的な再建計画の策定作業を進めているところであります。引き続き漁連等関係機関に対しまして早急に再建が図られるよう、ともどもに頑張っていきたいと思います。
 貯金の払い戻し等が悪化いたしておりますけれども、小口貯金者に対しましてはその支払いをされております。ただ大口の支払いにつきましては、現在、組合の資金繰りとの関係からいたしましてしばらく待ってほしいということを組合員に十分理解をさせるべく段取りをしているところで、協力を願っているところであります。このことは貯金者保護の上からも好ましくないとかように思っておりまして、今後の貯金者への貯金の払い戻しにつきましては貸付金及び未収金等を早急に回収すること、現在進めている再建整備計画策定を急がせましてこの計画に沿って資金調達が図られるようにしたいと思います。
 この漁協におきましてはもう少し具体的に申し上げますと、財務状況が悪化いたしまして組合の健全な運営を期するために伊良部町漁業協同組合再建整備委員会、これを設置いたしまして先ほどの10名でもって構成しているわけでありますが、これをもとにこれまで3回委員会を開催しております。今後ともその指導を濃密的にやってまいりたいと。
 検査後の指導の要旨でありますけれども、何と申し上げましても自己資本と固定資産とのバランス、それから組合員からの増資への増強取り組み、事業管理費の縮小、さらに組合員、特に貯金者との話し合いを持ち、十分理解してもらうように指導をしているところでございます。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 久高将栄君登壇〕
○土木建築部長(久高将栄君) 嘉陽議員の土地区画整理問題と真玉橋の用地問題の御質問にお答えいたします。
 まず1点目の御質問でございますが、土地区画整理は、憲法でも保障されている財産権に重大なかかわりを持つだけに、地権者の声を最大限に尊重して行われるべきであるがどうかという御質問にお答えいたします。
 都市計画法で言う「都市計画」は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画でございます。
 都市計画を定めるには、「都市計画区域の指定」が必要でございますが、健全な市街地の造成を図ることを目的とする土地区画整理事業は、市街地開発事業として都市計画区域の指定をしなければならないことになっております。土地区画整理事業の区域指定に際しましては、区域指定の法的効果として御指摘のとおり地権者の財産権に対する規制が伴うわけでございます。その手続に当たりましては、地権者に対する事業説明を行うなどして地権者のコンセンサスを得ることが最も重要であり、県としても地元市町村と連携を強化して事業が円滑に施行されるよう鋭意努力しているところでございます。
 次に2点目、現在進められている事業は、その期間が長過ぎて財産権の侵害になっている、実態はどうかという御質問にお答えいたします。
 御指摘のとおり、土地区画整理事業を行う場合は、都市計画法第12条1項により施行区域の決定を行い、同法第53条によって建築の許可等権利の制限が行われるわけでございます。さらに土地区画整理法第21条及び第55条に基づきまして土地区画整理事業の事業計画決定の公告がなされた場合は、同法の76条の建築行為等の制限がかかるようになっております。これは事業を円滑に進めるための措置ではありますが、個人の財産を制限するため、できるだけこの期間を短縮するよう努力しているところでございます。しかし現実には、事業認可から仮換地指定までの権利者間の合意形成に相当の期間を要すること。さらに事業の完成までには予算枠の制限等もあって、計画どおり進捗しない現状でありますのはまた御指摘のとおりでございます。県としましては、今後ともなお一層市町村等の指導を行い、国の予算枠の拡大を図り、整備促進に努めてまいりたいと思っております。

 本県で現在施行中の27地区を対象にその平均的数字をちょっと申し上げますと、都市計画決定から事業着手まで平均4年かかっております。それから事業着手から完了まで約9年の見通しでございまして、全体的にはおよそ13年を要する見通しになっております。
 次に、区画整理事業に不満があって、意見書を出してもほとんど無視されているとの声が多いが、実態はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 従来、県といたしましては、意見書が提出された場合、単に法的な対策や手続をとるだけでなく、権利者、施行者双方の意見を十分に聞き合意形成に努めているところでございます。また事業認可以前の説明会を徹底させる等、権利者の事業への理解と合意を十分に取りつけるよう関係機関を指導しているところであり、今後も努力してまいりたいと思っています。
 なお、最近4カ年、これは56年から59年までの例で申し上げますと、事業認可した14地区のうちに意見書提出箇所が4地区7件に上っております。施行者、そして意見書提出者の合意形成を図った結果、取り下げたのが2件ございます。そのほかに61名連署による意見書が1件あったわけでございますが、61名のうちに53名の人が調整により事実上取り下げた例がございますので、参考までに申し上げます。
 次に、浦添市西原の区画整理事業に関する御質問の1点目の事業の内容の説明が不十分なまま組合設立のための同意書の署名が進められ、一部混乱している事実があるが知っているかという御質問でございますが、お答えいたします。
 土地区画整理法18条に基づく組合設立認可申請の際の同意書につきましては、昭和59年6月21日付の申請段階で全の同意者数を把握した状態でございます。また同意書を取りつける過程の中で権利者への事業の内容を十分知ってもらうため、県としても市と協力して可能な限り説明会等を行ってきたつもりでございます。しかし去る60年2月9日に、「西原区画整理事業に反対する会」の権利者約40名の皆さんが県に対し陳情されたわけでございますが、その話し合いの中で区画整理事業の内容について十分理解しない面、いわゆる十分説明がなされなかった面がうかがえましたので、今後市当局と一緒になって話し合いを進めることで合意に達したわけでございます。今後とも引き続き合意形成に努力をしてまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
 次に、浦添市西原の区画整理事業はなぜ事業を急ぐかという御質問でございますが、当該地区は、地元からの要請を受けまして昭和58年4月14日の線引き見直しの際の国の通達がありまして、これにより、「おおむね3年以内に着手が確実な地域」ということにして市街化区域へ編入した地域でございます。したがいまして浦添市及び地元もその趣旨を踏まえ早期に事業に着手し、早期完成を図る必要があったと理解をしております。
 次に、提出された同意書の中には39名の意見書と重複する人たちがあり、これは明らかに反対である。とすると同意総数から39名を差し引いたら必要な3分の2にならない、組合設立は無効ではないかという御質問でございますが、お答えいたします。
 昭和59年6月14日の設立申請の際の同意者数は265人でございますが、これは全権利者369人のうち71.8%に当たり、土地区画整理法第18条による法定数247名を満たしておりますので、昭和59年9月28日に組合設立認可を与えたものでございまして、組合設立には問題はないと考えておるところでございます。
 次に、減歩率がなぜ全県で最も高いものになったか、その原因はどうかという御質問にお答えいたします。
 土地区画整理事業は、都市の健全な発展を図るため土地の有効利用と都市施設の整備が主な趣旨でございますが、道路、公園等の用地として土地の減歩を行っていることは御案内のとおりでございます。当該地区の減歩率は35%でございまして、県では高い減歩率になっているのも御指摘のとおりでございます。その原因としましては、まず1点目に、国道330号西原バイパス(幅員25メートル)と県道5号線(幅員25メートル)等広幅員の道路が地域内に組み入れられたことがまず1点目に挙げられます。2点目に、地形が複雑のために造成経費が重なったという2点が挙げられるものと考えております。
 次に、国の補助事業にすれば幾らの補助が出る計算になるか、なぜ補助を受けなかったかという御質問にお答えいたします。
 国庫補助事業を前提といたしました場合、国庫補助基本額が約10億、これは国庫で9億が見込まれるわけでございます。また国庫補助事業を要求しなかったのは、現計画よりも減歩率が高くなることと工期的にも早期完成が望まれるため、現計画のいわゆる公管金方式を採択した状況でございます。
 次に、全体面積に占める道路全体面積と都計道路の占める割合は幾らか、全県で何番目かという御質問にお答えいたします。
 全体面積に対する道路全体の占める創合は約35%になっております。また同じく全体面積に対する都市計画道路の占める割合は約21%になってございます。なお、全県的にはいずれも高い方に入ってございます。
 次に、区画整理がなければ、本来地主につぶれ地補償として支払いされる金額は幾らで、その地権者は何名かという御質問にお答えいたします。
 国道330号西原バイパスの権利者が122名で、その用地費は約30億円でございます。また県道5号線に係る権利者は41名で、その用地費は約6億円となっております。
 次に、ゴルフ場の役員に宮平二郎氏と比嘉昇氏が入っているが、県は知っているかという御質問にお答えいたします。
 そういう話は聞いておりますが、市を通して調査をいたしましたところ、代表者が宮平二郎氏であることはわかっておりますが、ほかの役員についてはまだわかっておりません。今後調査をしてみたいと思っております。
 次に、都計道路はつくってもよいが、残地は現在のまま農業を続けたいと希望する地権者が多い。全地権者の過半数以上もいたら事業は中止すべきではないかという御質問でございますが、お答えいたします。
 御質問の西原地区区画整理事業は、地元からの要請に基づきまして土地区画整理事業による整備を前提に昭和58年4月14日に市街化調整区域から市街化区域へ編入し、昭和58年12月28日、土地区画整理の施行区域の決定がなされた背景がございます。事業化に向けては、昭和59年6月21日付の組合設立認可申請を受けまして59年9月28日付で組合設立認可をいたしておりまして、現在、組合施行として事業に着手しているところでございます。反対されている権利者に対しましては、これまで浦添市及び組合とともに県としても可能な限り協力を求めてきたところでございますが、現在なお反対者がおる状況でありますのは先ほども御答弁申し上げたとおりでございます。この方々に対しましては、今後とも話し合いを進め理解と協力を求めて事業を進めていく所存でございます。
 次に、真玉橋の県営住宅用地に関する御質問にお答えいたします。
 まず1点目、真玉橋の県営住宅建設の計画はいつ立てたかという御質問にお答えいたします。
 豊見城村真玉橋における建設計画は、当初昭和58年度分――これは120戸でございますが――を浦添市屋富祖に建設する計画でございましたが、予定地は墓地が多くて交渉が難航し取得を断念をいたしたわけでございます。そのため58年度建設分は59年度への繰り越しを余儀なくされたのですが、さらに昭和59年度建設分169戸の用地についても決定していなかったため、当該用地を高層住宅用地として自然的条件、社会的条件及び都市施設等の調査検討を行ってまいったわけでございます。その結果、当該用地を昭和58年度分、申し上げました120戸及び昭和59年度分も含めて建設することを昭和59年5月26日に決定をしたわけでございます。
 次に、県の購入した土地は、昭和59年2月1日売買契約をし4月23日に登記をされているが、その取引価格は知っていたかという御質問にお答えいたします。
 当該用地は、盛産業が建て売り住宅を建設して一般に分譲する目的で昭和58年2月17日に当該用地の所有者であった金城商事との間で特約条件付の仮契約がなされ、売買金額といたしまして7億8700万円でございます。株式会社の盛産業は、59年の2月1日に金城商事と本契約を締結し、同年4月23日に正式に登記をいたしております。盛産業と金城商事との取引価格は、7億8700万につきましては価格算定調書作成の時点で資料を収集し承知をいたしておるところでございます。

 次に、県は、土地取得に当たって鑑定評価だけでなく、試算は独自でやったかという御質問、さらに国土利用計画法に基づく協議はなされたかという御質問にお答えいたします。
 当該用地取得につきましては、専門的な知識を有する不動産鑑定士に評価を依頼し、さらに県独自に近傍類地の取引事例等を調査をいたしまして、原価法に基づく積算価格を総合的に調査検討した結果、近傍類地の取引事例地評価額が適切と判断をいたしまして取得価格を決定をいたしております。さらに土地利用計画法に基づく協議につきましては、残念ながら県といたしましては協議を行っておりません。やはり適正な法の趣旨に沿って今後県内部でも十分協議をしてまいりたいと思いますので、御理解を願いたいと思います。
 次に、鑑定評価は、なぜ素地から整地だけしかやっていない土地を分譲価格で買い上げたかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県は、本件用地の評価に当たっては分譲宅地価格の評価を行ったのではございませんで、盛産業が粗造成の時点で資格ある鑑定士に本件用地の全面積1万8999平米の正常価格の鑑定を依頼し、その結果は8万1700円、平米当たりになっておりますが、これを参考に取引事例地からの比準価格、さらに原価方式による積算価格等を比較検討し取引価格を平米当たり8万1000円と決定をしたのでございまして、適正な価格であると理解しております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 警察本部長。
   〔警察本部長 山田晋作君登壇〕
○警察本部長(山田晋作君) お答えいたします。
 御質問のございました合衆国軍隊の構成員または軍属等による犯罪でございますが、これらの統計は昭和39年から統計をとってございます。ただその制度の違いから統計のとり方そのものが復帰前と復帰後が異なりますので、そのことを最初にお断りした上で御説明申し上げたいと思います。
 復帰前は殺人が9件、傷害が438件、それからその他窃盗とか詐欺とかいったようなもので3850件、合計4297件になります。ただこれは最初にお断りしましたように合衆国軍隊の構成員、軍属等が専らこの合衆国軍隊、その他の構成員、軍属等に対して行った犯罪といういわゆる「専ら事件」、これは入ってございませんで、日本国民が被害となった事件ということでございます。
 それから復帰後でございますが、これは殺人が18件、傷害が495件、その他が2851件、合計3364件とこうなります。これは制度が異なっておりますので、日本人被害のもの、それから「専ら事件」、この双方を含んだものでございます。ちなみに殺人事件18件のうち、日本国民が被害者となったものは7件でございます。したがいまして復帰前、復帰後、これを通算することは、制度が異なりまして統計のとり方が異なりますので合計することは差し控えたいとかように思います。
 次に、交通事故件数でございますが、これも最初にお断りしましたように統計のとり方が異なります。
 復帰前につきましては、合衆国軍隊の構成員、軍属等の交通事故、これは要するに彼らが第1当事者となった事故だけではなくて、第2当事者となった事故をも事故として計上してございます。こういった方法で統計をとりましたものが便宜上38年から46年までの9年間の事故が3178件でございます。次に復帰後の昭和47年以降でございますが、これは合衆国軍隊の構成員とか軍属とかいうことではなくて、外国人の事故ということでとってございまして、その中に含め、しかも第1当事者となった事故だけを計上してございます。この方法で計算いたしますと、47年から59年までの13年間の事故は1280件とこのようになってございます。
 なお、昭和56年以降につきましては、特に合衆国軍隊の構成員等が軍属等の事故だけにつきまして別途統計をとってございますけれども、56年から59年までの4年間では184件というふうになってございます。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 嘉陽宗儀君。
   〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 再質問します。
 まず、西原地域の土地区画整理の問題についてでありますけれども、特に減歩が大きくなっている問題については、向こうは、指摘がありましたように非常に複雑な地形になっていて、しかも道路が35%もとられる。しかも整地にかなり金がかかるということで残りの住宅にできる、いわゆる有効宅地化率というのも非常に小さいわけです。そういう意味では、向こうの地権者の犠牲の上に区画整理が進められるという、そういう特徴になるだろうと思うんです。そういった面では、さっき組合設立の場合のいきさつで同意書の問題説明がありましたけれども、あの数字から39名を引くと3分の2には足りないんです。同時に、同意書と意見書が出されていますから、本来ならば県は両方ともちゃんと整理をして、本当に同意者が何名なのかというのをしっかり確認すべきだったと思いますけれども、そういったのを後で整理をしてみて39名が実は重複をしていて、しかもその重複している人間は反対の方だということが明らかになったわけですから……。そうすると3分の2という法律に照らしてみて足りない、そういったことも明らかでありますし、さっき私見せましたけれども、既に58%の地主の方々がこのような形での区画整理事業には賛成できないという問題が出ていますから、ぜひ地権者の声を最大限尊重するという意味でもう一度再度検討し直してほしいと思います。
 それから用地取得の問題についてでありますけれども、問題はなかったと言っていますけれども、私、全部分析してきました。その結果は、あくまで素地で買うべきものを分譲地としてちゃんと売り出す値段、これによって県が購入していることは事実、間違いない。そのために不当に県民の税金、これをむだ遣いしたということがはっきりしていますから、そういう態度は直ちに改めてもらいたい。反省がない限り今後も続くんですよ、これは。だからそういう意味では、自民党の皆さん方もぜひ不動産鑑定の問題については、しっかり監視してほしい。与党だからこそ責任なんですよ、皆さん方。
 それから警察の数字ですけれども、これについて復帰前はわずか9名という、アメリカ軍によって殺された数字というのはちょっと納得できないような状況がありますから、ぜひ今後、そういう統計、犯罪の数字については統一して県民にぜひ具体的な資料として提供していただきたいということを要望して終わります。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 久高将栄君登壇〕
○土木建築部長(久高将栄君) 再質問に対しお答えいたします。
 確かに今御指摘のように、当初の申請時の賛成の方々とその後39名の反対者が重複しているということは御指摘のとおりでございます。さらにこの件につきましては一応判例としまして行政的あるいは法的には申請時の数字をもってその判断をするようになってございますが、やはり何回も御指摘をいただき、さらにまたお答え申し上げましたように個人の権利との関係がございますし、さらに先般、先月、土木建築部に約40名の反対をなさったその地権者の皆さんがおいでになりまして話し合いをした結果、先ほどもお答え申し上げたように十分にこの事業内容あるいはそういった内容を理解させていなかったというふうなことがはっきりいたしまして、今後は十分に市当局、さらに組合とも協議を図りながら反対なさっている皆さん方と十分話し合いをし、合意形成に最善の努力をしてまいりたいとこのように考えております。
○議長(志村 恵君) 島袋宗康君。
   〔島袋宗康君登壇〕
○島袋宗康君 本員は、さきに通告いたしました通告書に基づいて一般質問を行います。御答弁に当たりましては簡潔かつ明快な御答弁を冒頭申し上げまして質問に入りたいと思います。
 まず、奥武山公園内の県有地の管理についてお伺いいたします。
 御承知のように、奥武山運動公園内に国場幸太郎氏の所有と思われる住宅が1軒あります。その宅地及び隣接地一部の土地の所有権をめぐって国場氏が控訴人となって、国、県、那覇市を相手取って裁判に提起されたものであります。(資料を掲示) このグリーンに囲まれた部分が裁判に提起された所有権確認の請求事件のこの土地であります。それから青い部分が市有地であります。黄色い部分が国有地であります。ピンクの部分が県有地であります。この部分は、道路が建設されまして県有地はこの部分でございます。この全体の面積はいわゆる係争地の面積は2434.6885平米であります。そこでこの裁判によってもたらされていることについては一般市民はもちろん、多くの県民から裁判の成り行きについて関心が寄せられているいわくつきの土地であります。
 米軍は、戦後間もない昭和23年のころ、那覇港における米軍の諸物資の港湾荷役業務を円滑に運営するために、港湾荷役業務に従事し、そして奥武山付近に居住していた人たちを中心にペリー区、現在の山下町、壺川、楚辺一帯を行政区域として港村という新しい村政をしいたのであります。その当時、那覇港湾の荷役業務関係を一切仕切っておりました国場幸太郎氏が村長に就任をしております。那覇港に近い現在の場所に住居を構えるようになったということは、村長に就任し、また荷役関係の責任者であったためだと思います。その後市町村制が沖縄に施行され、港村は那覇市の管轄下に入ることになり、港村は自動的に解消されております。その後、県や那覇市は新しい都市計画事業を進める中で奥武山陸上競技場や野球場建設、さらに道路の建設工事等によって奥武山に住んでいた多くの人たちは、この事業に協力して次々にそこを立ち退いております。現在のような運動公園が整備されておることは、その多くの人たちの協力によってなされたと言っても過言ではないわけであります。ところが港村時代の村長であった国場幸太郎氏のみが依然として立ち退きをせずに奥武山に住みついていることに対して、戦後の混乱期の特異な事情があったとはいえ、政治行政の公平さを欠くのではないかということで多くの市民からひんしゅくを買っているのは事実であります。
 以上のような観点から、この問題をあえて取り上げた次第であります。
 さて、そこで国場氏から訴えられた裁判の内容を概略申し上げますと、国場幸太郎氏は、昭和22年4月から昭和23年12月にかけて那覇市奥武山の公有水面2400平米を埋め立て造成した。埋め立ての工事に当たっては、公有水面埋立法に基づく埋め立て免許、竣工認可を受けていなかった。これは戦後の混乱期で免許事務を取り扱う部署がなかったからで、かわりに同土地を含む那覇軍港一帯を管理していた米軍部隊長の許可を得た。埋め立てによって特に国の方に不都合が生じたわけではなく、また占有に対して国は何も言わず放置してきた。工事完了後の昭和24年1月から20年間土地の所有を継続した結果、所有権を時効取得したとして同埋立地が自分に所有権がある旨の主張を行ったのであります。
 これに対し、昭和55年1月22日、那覇地裁及び同年9月9日の福岡高裁の1審、2審の判決は、公有水面埋め立て造成した埋立地は、埋め立て免許を受け、竣工認可を受けなければ所有権を取得できない。また犯罪として処罰の対象になるほか、原状回復の義務がある。それができないときは公有水面にある土砂、その他の物件を無償で国の所有にすることができるとし、その上で違法な埋め立て工事で埋立地を造成して占有を継続しても所有権を時効取得することはできないとして国場氏の請求を棄却しているのであります。しかし国場氏は、それを不服として最高裁に上告したのでありますが、今から2カ年前の昭和58年1月21日、最高裁はこのように判決を下しております。たとえ継続して占有しても埋め立てが違法であれば所有権を時効取得することはできないとした1審、2審判決を支持し、国場氏の上告を棄却する判決を言い渡しているのであります。
 ところで、国や県は、同土地が違法で埋め立てられたものとして国場氏にこの土地の返還を促していたのを、国場氏はそれに納得せずに裁判ざたまで発展させたわけであります。
 そこで知事にお伺いいたします。
 まず第1点に、違法な公有水面の埋め立てであるとして国場氏の所有権が確認できない旨の最高裁の判決が確定し、県はこの裁判で勝訴している以上、現在住宅として使用している建物を含め当然不法占拠であると私は考えますが、その点について知事の御所見を承っておきたいと思います。
 2点目に、不法占拠であれば土地の明け渡し請求をすべきだと思いますが、土地の明け渡し請求をされたことがあるのかどうかお伺いいたします。
 3点目に、不法占拠であれば、土地の賃料相当の損害金を請求すべきであると考えますが、損害金を請求したことがあるかどうかお伺いいたします。
 4点目に、国場氏が現在住宅として使用している土地は、国、県、那覇市の所有の部分はそれぞれ何平米の面積になっているかお伺いいたします。
 5点目に、この建物の一部は護国神社の所有だとも聞いております。建物の実際の所有名義人はだれなのか、また現在だれが住んでいて、だれが管理しているのかお伺いいたします。
 6点目に、この敷地一帯は奥武山運動公園として指定されている地域であり、運動公園として整備拡充を図ることは急を要すると考えます。知事として早期返還を求め、公園整備を図る意思がおありかどうか御所見を求めます。
 また、その部分の返還後の計画があればお聞かせ願いたいと思います。
 これは代表監査委員に質問します。
 最高裁の判決が2カ年前に下されております。監査委員としては、この土地の管理について何か監査委員として指摘されたことがあるかどうか、その管理についての問題であります、お伺いいたします。
 次に、航空自衛隊の那覇基地内における弾薬庫の建設計画問題についてであります。
 沖縄の空の安全性、付近住民及び県民の生命、財産の安全性、那覇空港の民間専用化を願う県民世論、さらに沖縄の観光産業の振興といった視点から知事の御見解を承っておきたいと思います。
 第1点は、知事、沖縄の空の安全についてどういう認識を持っておられるのか、まずそのことをお伺いしておきたいと思います。
 沖縄の空は、沖縄の本土復帰からおくれること2年、すなわち1974年5月15日に一応は運輸省の管轄となっております。しかしながら嘉手納及び那覇空港におけるレーダーによる進入管制業務は依然として米軍が握っており、嘉手納ラプコンが行っているのであります。この空域は、嘉手納飛行場を中心に半径50マイル(90キロメートル)、高度2000フィート(6000メートル)以下の空域と久米島飛行場を中心にした半径30マイル(54キロメートル)、高度5000フィート(1500メートル)以下の空域であります。沖縄をすっぽり包んだこれだけの空域を今なお嘉手納ラプコンの管制管域に入っているのであります。
 このようなことでは、せっかく返還された沖縄の空も、那覇空港における飛行機の離発着以外の管制業務は依然米軍優先であり、決して安心して使える沖縄の空ではないということがはっきり言えるわけであります。しかも民間機の飛行コースに隣接して幾つもの安保訓練空域が設けられ、民間機の飛行に重大な支障を与えていると専門家の方々も厳しく指摘しております。このような危険な沖縄の空の実態に対して、知事は安全性を高めるための具体的な措置なり、アクションを起こすお考えはないのか、このことをお聞きしておきたいと思います。
 次に、航空自衛隊那覇基地における弾薬庫の建設計画との関連で、知事は、付近住民並びに空港を利用する多くの方々の安全を守るため同計画の撤回を求めるべきだと思いますけれども、これについてお考えをお聞かせ願いたい。
 と申しますのは、同弾薬庫の建設される所は、滑走路や誘導路からわずか400メートルしか離れてなく、住民居住地域からもわずか数百メートルしか離れていないのであります。確かに火薬類取締法や建築基準法の示す基準はパスし法令上は問題ないかもしれません。しかし空港の安全性を考え、付近住民の安全を考えるならば、知事としては弾薬庫の建設を黙認すべき問題ではないと考えるからであります。
 また那覇空港は、自衛隊との共同使用をやめさせ、民間専用空港として整備してもらいたいとする幅広い県民世論があります。今回の弾薬庫建設計画はこのような県民世論に逆行するものと考えますが、この点についての知事の御所見もあわせてお伺いしておきたいと思います。

 弾薬庫の建設計画と関連いたしまして最後に私は、このような危険な施設があり設備が次々と建設されますと、那覇空港は危険空港であるとの印象を内外に与え、沖縄の観光振興にも大きなマイナス要因になるのではないかと危惧の念を強くするものでありますが、知事の御所見を伺っておきたいと思います。
 那覇空港は、軍民共用により大変危険な空港の1つであることは周知の事実であります。民間機の目前で武器の装てん、取り外しをすることも他の空港では考えられないことであり、事故の可能性も一段と高まっております。住民の生命と財産を守り、沖縄の空の安全を守り、観光立県を推進していくためにも、知事みずから県民の側に立って対処していくことが県民代表たる知事のとるべき道だと信じておりますので、知事の再考を促すものであります。
 質問の3点目は、宮古、八重山の厚生園の民間への運営委託問題についてでありますが、これについては委員会での議案審議の中で論議を深めていきたいと思いますので、一般質問を取り下げいたします。
 あとは答弁によって質問いたします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 島袋議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 奥武山公園内の公有地管理についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 まず質問の第1点は、現在住宅として国場氏が使用している土地は不法占拠であるが、知事はどう考えるかということでございますが、お答えいたします。
 奥武山公園内にある国、県及び那覇市の所有地について、国場氏より所有権確認申請のあった事件につきましては58年1月21日付で最高裁判所において判決が下されております。被告である国、県及び那覇市が勝訴し、それぞれ所有権が確認されております。現在、同所にはだれも住んでおりませんが、占拠の状態にあります。跡地利用については国や那覇市は、県に利用計画があれば県に使用させるとの意向であります。
 2番目に、知事は明け渡し請求をしたことがあるかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 これまで土木建築部と教育委員会で調整を行った結果、土木建築部都市計画課において公園用地として整備するとの考えがまとまりましたので、今後、国や那覇市と連携いたしまして国場氏に対し土地の明け渡しを求めたいと思います。
 3番目は、賃料相当額の損害金を請求すべきであるが請求したことがあるかと御質問がございましたが、お答えいたします。
 なお、明け渡し請求に際しましては、土地上の工作物の収去及び賃料相当額の損害金についても相当額を算定の上請求いたしたいと思います。
 4番目、国場氏が住宅として使用している土地の国、県、那覇市の所有はどれだけであるのかと御質問がございましたが、お答えいたします。
 国が637平方メートル、県が224平方メートルで一番少のうございます。うち占拠分が53.54平方メートル、那覇市が1325平方メートルとなっております。
 次に、この建物の一部は護国神社の所有と聞くが、現在の建物所有名義人はだれのものか、だれが管理しているかという御質問でございますが、占拠地の建物は約220平方メートルで、建物の所有権は国場氏の名義となっておりまして、昭和37年8月6日に保存登記されております。
 次、この公園内の跡利用計画についてでございますが、昭和31年3月23日に都市公園として都市計画が決定されております。47年度より都市公園事業といたしまして目下整備中であります。現在、全体の84%に当たる21ヘクタールについて供用開始をいたしております。御質問の国場氏の占有地の跡利用についてでありますが、今後、国有地及び那覇市有地については国、市と協議の上、使用貸借契約を締結し、芝生広場等公園施設としてこれを整備し公園利用に供していく所存であります。
 次に、那覇空港の安全管理について、知事は具体的なアクションを起こすべきではないかということでございますが、御案内のとおりこれは国管理の飛行場でございまして、安全性の確保については第一義的には国が責任を持って対処することはもちろんでございますが、沖縄の空の安全性及び空港の安全性につきましては、これまで民間航空機の安全運航に支障があってはならない、そういう基本的な認識に立ちまして関係機関に安全確保の徹底を申し入れてきたところであります。現在、国は航空交通の安全を増進する目的で沖縄の航空路を再編中でありますが、今後とも沖縄の空の安全性及び那覇空港の安全性について万全を期すよう関係機関に対しまして働きかけてまいりたいと思います。
 弾薬庫の設置でございますが、これは代表質問でお答えしたとおりでございまして、弾薬庫はあれは新設するものではございません。逆に今ある弾薬庫を構造上、技術上も心配のない弾薬庫をつくってそれに移すことによって安全性を逆に確保しようということでございまするから、この点ひとつ誤解のないように。新しくつくるのではない。あるやつを安全性の高い構造のものにしてそこに移そうということでございまするから、むしろ安全性確保のために弾薬庫をつくるんだということで御理解をいただきたいと思います。
 これは御承知のとおり、通産大臣が火薬類取締法によって弾薬庫の構造、位置、設備が同法の技術上の基準に適合しているということで許可されているものであります。また那覇市におきましてもこれは建築基準法に基づいて適合であると、適合通知書を施設局あてに2月15日付で送付していることからいたしまして、県としては弾薬庫の安全性については確保されているものと理解をいたしております。その設置が本県の観光産業に一概に影響するとは考えておりません。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 代表監査委員。
   〔代表監査委員 里 春夫君登壇〕
○代表監査委員(里 春夫君) 県有地管理についての8番目の御質問にお答えいたします。
 御指摘の用地につきまして監査委員としてこれまで監査は実施しておりませんが、今後、実態を調査検討いたしまして適切な対応を考えていきたいというふうに考えております。
○議長(志村 恵君) 島袋宗康君。
   〔島袋宗康君登壇〕
○島袋宗康君 私の手元の資料によりますと、都市公園法に基づく標準面積1人当たり6平米と言われております。那覇市の59年3月末までの整備状況は2.02平米で、達成率はわずかに標準面積の3分の1しかないわけであります。全国平均の58年3月1日現在で4.1平米であると聞いておりますが、その2分の1程度でございます。
 そこで、県全体の整備率が2.98平米でありますから沖縄県全体としてもまだまだこの6平米にははるかに及ばないわけでありますから、やはりこういった奥武山運動公園についても都市計画の公園法に基づいてちゃんとした管理をし、そして多くの市民に運動公園として提供していかなければならない立場にあるわけですから、早目にこの問題についてはひとつ撤去なりあるいはまたその法律を適用して不法占拠であると思いますので、ぜひ撤去させていただぎたいと思います。
 それから知事は今、古い弾薬庫を移転して安全性を高めるということでありますけれども、私たちはこの古いものである弾薬庫を新しいものにかえること自体が危険性をより高めるわけでありますから、やはりこういう危険なものは将来の民間専用化にするという立場からすれば、当然知事としてはこれはつくってほしくないというふうなことが県民の代表としてやるべきだと思いますが、どうも今の知事の御答弁については納得がいきません。もう1つ前向きな姿勢で対処願いたいと思います。
 それから監査委員でこの問題について指摘されてないということでありますけれども、やはりいろいろと決算特別委員会でも指摘されましたように県の土地の管理あるいは行政財産が非常にずさんな管理が行われているということが監査委員の方でも指摘されているわけでありますけれども、このように2力年前に裁判がとうに済んでいるわけですから、こういう問題についてはやはり監査委員として適切な管理をするようにもっと監査を強めていってほしいとこのように考えますが、ひとつその点についても御所見をお伺いしたいと思います。

○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) お答えいたします。
 弾薬庫の件でございますが、これはもう新聞がまるで新しくつくるようにこれまで報道してきたところに私たちの認識の誤りがあったんじゃないかと思いますが、これは返還前から、米軍管理の時代から弾薬庫はあったようでございます。――――――――――――――
 申し上げたいことは、これは国の管理の飛行場で、これは国にとっても空の安全、航空機の安全はこれは第一義的に考えなければならぬ問題でございます。そういうことで通産大臣が心配ございませんということで許可をいたしておりますし、これができないということはこれは行政処分に関する大変な問題でございまするし、また那覇市も建築基準法という法律に照らしてこれは差し支えございませんということでちゃんと回答いたしておりますから、そういう点である意味においては現在よりもよりよい方向で安全性が確保されると、そういうことでひとつ御理解いただきたいと思います。
○議長(志村 恵君) 代表監査委員。
   〔代表監査委員 里 春夫君登壇〕
○代表監査委員(里 春夫君) お答えいたします。
 監査委員の監査対象につきましては、今まで代表質問でもお答えいたしましたように広範多岐にわたっておりますので、監査の能率化を図るためいろいろ計画的、重点的に実施するよう年度当初で実施計画を立てて監査委員監査基準によりまして現在実施しているところでございますが、特に議会で問題になりました事項につきましては、さらに精査することで関係部局の説明、また資料等取り寄せて今後対処していきたいというふうに考えております。
○議長(志村 恵君) 島袋宗康君。
   〔島袋宗康君登壇〕
○島袋宗康君 知事、これは将来の問題として言っておきたいんですけれども、やはり弾薬庫というものは危険であるということは紛れもなくこれは認識できると思います。
 ただ、那覇市が建築確認を行ったということは、これは建築基準法上、出されたものについては認めざるを得ない。そういう立場にあるから認めたものであって、この弾薬庫を容認して認めたわけじゃないんですよ。そこで那覇市長は、やはり建築基準法とは承認は別にして、やはり新聞紙上にあるように、この問題は危険であるから建築を中止するようにというように指摘しているわけですから、そういう姿勢を知事がとってほしいというわけですよ。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後0時3分休憩
   午後7時5分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 この際、申し上げます。
 午前中の島袋宗康君の那覇空港の弾薬庫建設に関する質問に対する答弁について知事から発言を求められておりますので、この際これを許可します。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 午前中の島袋宗康議員の、那覇空港の弾薬庫設置の件に関する質問に対する答弁中、説明が十分でない点がございましたので、この際補足説明いたしたいと存じます。
 私の答弁中、「弾薬庫はあれは新設するものではございません」という趣旨の答弁をいたしましたが、本問題は、建築工事届の工事種別の欄では「増築」となっており、そのような答弁となりましたが、計画通知書では工事種別の欄で「増築」、建築物別概要の欄では「新築」となっており、事実は同弾薬庫は現在地から離れた所に新築されるようであります。
 以上のことから、私の午前中の答弁は委細を尽くしてない点がございますので、本問題についてはただいま申し上げましたように特段の御理解を願いたいと存じます。
 さらに、再質問における報道問題に係る答弁につきましても、ただいま申し上げたような事実関係から、その部分についても私の答弁に十分でない点がございましたので、あわせて御了解を願いたいと思います。
○議長(志村 恵君) この際、お諮りいたします。
 本日の会議は延会いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
 よって、本日は、これをもって延会することに決定いたしました。
 次会は、明5日午前10時から会議を開きます。
 本日は、これをもって延会いたします。
   午後7時7分延会

 
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