平成15年(2003年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 12月 5日
具志 孝助
 

 去る12月1日、志半ばで急逝した渡久地健君に対し、深甚なる哀悼の誠をささげます。
 一般質問を行います。
 私は、今回は那覇市農連市場地区市街地再開発事業についてと那覇空港の整備について、2点に絞って質問を行いたいと思っております。
 農連市場地区の市街地再開発事業の質問に入る前に、皆さんおわかりのことだと思っておりますが、ここに「農連市場地区の概要と沿革」という資料がありますので、ちょっと読み上げて当地区の理解を賜りたいと思っております。
 「農連市場地区」は、ガーブ川周辺地区の南端部、那覇市都心部の樋川2丁目地内に位置する。周辺は平和通りや水上店舗などの沖縄を代表する商業地に連担している一方、東側は神原小・中学校に接しており、周辺には市民会館、県立図書館、市立中央図書館、那覇病院、那覇警察署、与儀公園等の公共施設も立地し、生活利便性の高い地区である。 「農連市場地区」は大戦後、避難先からの市民によって最初に市街地の形成が芽生えた場所である。昭和28年末に琉球農連(現JA沖縄経済連)が湿地帯を埋め、周辺に点在していた農家の野菜売り場を集約し、市場として開設された場所であり、市民の台所として現在も親しまれているところである。
 この農連市場は開設から50年余になるが、昭和47年本土復帰を境に農連市場の移転計画が持ち上がり、県経済連が那覇市古波蔵に中央卸売市場を開設するわけですが、うまくいかず現在の場所にまた戻ってきたと、こういうような経緯を持っております。
 昭和59年――1984年ですが――浦添市勢理客に沖縄県中央卸売市場が開設されると青果物等を中心に主要な業者が移転することになり、農連市場の衰退が始まってまいりました。
 そこで、農連市場地区の再開発計画の経過を若干説明いたしたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、この市場は昭和28年に現在のJA沖縄経済連が米国民政府の管理土地を借り受けて市場を開設することになるわけですが、昭和47年の復帰に際し伝統的な競り売り、あるいは相対売り市場ということで活況を呈していたわけでありますが、本土法適用によりまして卸売市場法の競り売り、あるいは入札の扱い等について法律に抵触するんじゃないかというような議論なんかが持ち上がり、このままの状態ではうまくいかないということで市場の移転計画等があったりいたしました。
 昭和53年に沖縄総合事務局と沖縄県の合同で当該地区、樋川地区整備計画調査を始めております。そして1984年(昭和59年)に、先ほども申し上げました浦添市勢理客の方に中央卸売市場が開設され、これに伴って住宅都市整備公団――今は都市基盤整備公団というんですか――と那覇市が共同で農連市場地区整備計画調査を実施しております。
 昭和61年に農連市場地区再開発促進協議会が発足し、平成5年には沖縄県と経済連、那覇市三者による農連市場地区再開発連絡協議会が発足する。そして平成10年、那覇市がガーブ川周辺地区リジューム事業を実施し、国において重点プロジェクト地区として当該地区が位置づけられております。これによって農連市場地区再開発促進準備会が発足をしております。
 さらに平成11年、沖縄県、それから県の住宅供給公社、JA沖縄経済連、那覇市、この四者によって那覇市農連市場地区再開発連絡協議会が設置されます。
 平成9年にリジューム事業で再開発計画地区内に位置づけられたこの農連市場地区が平成12年3月31日に地区再生計画、あるいは街区整備計画としての建設大臣協議が完了するというようなことで国の支援、このリジューム地区における都市活力再生拠点整備事業というようなことで位置づけられるわけですが、リジューム事業というのはどういうことかといいますと、「地域の拠点となる中心市街地の商業地等において、民間活力を積極的に活用しつつ建築物、建築敷地及び公共施設の整備を一体的かつ計画的に行う事業について、地方公共団体に対して、国が必要な助成を行う制度を確立することにより、都市機能の更新、居住環境の改善等を図り、もって都市活力の再生に寄与することを目的」とした事業であるということです。
 この指定を受けたのが今、私が申し上げている農連市場地区であるわけなんです。
 そこで、この農連市場地区の再開発計画については、以上申し上げましたように那覇市における30年来の重要課題として位置づけられながら、いまだにそのめどが立ってないというのが現状であります。
 平成10年、ガーブ川周辺地区リジューム事業の中で同地区が重点プロジェクト地区として位置づけられたことから、新たに再開発事業に対する機運が高まってまいりました。今日では、あそこの地権者を中心にした関係地権者約9割による市街地再開発の組合が設立をされております。
 そこで質問をいたしますが、その当該地区には県有地が相当にあります。全体の地区の約6割が県有地だと言われている。この県有地の現状と当該地区の利用計画、県有地を持っている県としてどういう利用計画を持っているのか、そういう計画があれば示してもらいたいということです。
 それから、当該地区の現状ということについては、農連市場地区の中で県有地の占める割合、道路の未整備、建物の老朽化、不法建築等の実態、あるいは防災上の問題点、そこにはもう30年来、40年、戦後間もなくからですから借地権者、借家権者等権利が大変ふくそうしていると思っております。この権利関係の実態等について説明を願いたいと思っております。
 それから、跡地利用について、私は市街地再開発事業をする以外にないと考えておりますが、それ以外の計画があるんでありましょうか、説明を求めます。
 質問の(2)点目は、同組合に対する県の対応についてであります。
 この県の対応については、平成14年12月5日付で先ほど申し上げました地権者による組合から陳情が出ております。陳情の中から1点目、2点目、3点目、すなわち県道真地久茂地線の早期整備についてと、当該地区の再開発事業に対する県の窓口をつくってもらいたいと。
 2点目には、権利床、保留床に対して県の公共施設の導入を考えてもらいたい。特には県営住宅の導入をしない限り当該地区の再開発事業というのはおぼつかないと私は考えますけれども、この3点についての考えを説明してもらいたいと思っております。
 それから、同事業に対する基本的な見解、すなわち当該地区の再開発事業をするためにあそこの関係地主が9割方同意をしている。この中に当然那覇市も入って、同事業に対する基本的同意の意思表示をやっております。ところが、大規模地権者である県の方がこれに対し意思表示をしてないんです。同意するのか、あるいは同意できないのか、意思表示が全くされてない。このことについて基本的に再開発事業以外には考えられないと私は思っているわけですが、その再開発事業に対する県の基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 質問の(3)点目は、これだけの再開発事業をやっていくためには、どうしても県と市において当該事業に対する連絡調整会議を設置して、お互いのこの事業にかかわる立場、考え方を虚心坦懐に話し合うところからしか始まらないと思っているんです。これまでも先ほど申し上げました促進協議会だとか三者連絡協議会、あるいは四者連絡協議会だといって県が絡んだ協議会を何度もつくっては壊し、つくっては壊しして今日に至っているわけなんです。
 那覇市では、たたき台としての絵も描いているわけですが、これに対しても県の方がこういうような形ではどうにもならないというようなことで全く取り合わないというような状況の中に今あると思っております。同事業に係る都市計画決定、公共事業導入等基本計画は県、市の協議なくして進めることはできない。同事業の規模、施設内容は県、市の政策判断に基づくことが前提であり、そのための事前協議をする場として双方が入る協議会の設置について当局の見解を伺いたい。この協議会を設置する必要があるかどうかも含めて、県と市が農連市場再開発についての考え方をまず話し合いをする必要があるんじゃないか、そこから始まると思っているんです。私は、そのための協議を早急にやってもらいたいと。

 先般、那覇市長を訪ねてこの件について申し上げました。どうしても県における政策調整監レベル、あるいは那覇市においては助役、そういうような立場の方が政策的判断を前提にした話し合いをまず持つことが必要ではないかと、こういうような御意見でありました。どうぞ誠意ある答弁をお聞かせ願いたいと思っております。
 那覇空港の整備についてでありますが、これはこれまで何度もただされてまいりました。滑走路の沖合展開についてと国際ターミナルの整備についてであります。
 滑走路の沖合展開については、国の交通政策審議会航空分科会の答申が平成14年12月6日に出されております。そこで、那覇空港は「主要地域拠点空港」として指定をされました。しかし、これまでの一般空港の整備手法と違って、これからは住民合意形成による整備方式をとっていくと、こういうようなことが答申に盛られております。そのことについての説明を賜りたいと思っております。
 (2)点目は、国際線ターミナルの整備についてであります。
 同ターミナルは、国内線ターミナルと比べ古く劣悪である。那覇空港ビルディング株式会社による同空港ターミナルの一元化管理に伴い、必要最小限度の暫定整備が必要と思慮しますが、いかがでありましょうか。本格整備についてはかなりの費用とかなりの時間がかかると思っております。その間の必要最小限度の暫定整備をやる必要があるんじゃないか。
 例えば、特にかねてから言われているのは、国際空港線でボーディングブリッジがないと。せめてこれだけでも何とかやらないことには余りにも今どき施設が劣悪過ぎると、こういうような指摘があるんですが、そういうような暫定的な整備についてどのように考えておられるか説明を賜りたいと思います。

 
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