平成17年(2005年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 7月 4日
外間 久子
 

 一般質問をいたします。
 7月3日午前8時過ぎ、中部においてまたもや米兵による10歳の少女に対するわいせつ行為に子供を持つ親として、祖母として、そして女性として激しい怒りを覚えます。被害に遭った少女の心の傷を考えたとき、胸が煮えたぎる思いです。この米軍基地から派生するわいせつ行為や暴行事件の犠牲となった女性の尊厳を守る知事の決意のほどを伺いたいと思います。
 同時に、教育長として、この子供たちのケアは一般的な取り扱いにはせず、個別な扱いをしてもらいたいということで御見解をお伺いします。
 それでは質問に入ります。
 沖縄戦と靖國参拝と教科書問題について質問します。
 沖縄戦は住民を巻き込んだ唯一の地上戦となり、多数の犠牲者を出した沖縄戦から60年を迎えました。沖縄戦は県民だけの体験にとどめてはならないと思います。
 私は、当時6歳で、北中城村の瑞慶覧、現在の「家族部隊」になっているガマで4月2日に捕虜になり、その場から徒歩で北谷の海岸に連れて行かれ、砂浜の上で2週間のテント生活をしました。北谷の海岸から読谷までの海岸線はアメリカ海軍艦船が埋め尽くし波一つ見えませんでした。そこに日本の特攻隊の飛行機が3機編隊で海軍艦船を目指して体当たり攻撃を行っているのです。追い詰められた日本軍は、敵艦に死を覚悟して攻撃を繰り返し砲撃を受けて炎を出して墜落する様子を見て、子供ながらに、数の上からも勝てる状況ではないのに突っ込んでくる様子を見て疑問に思ったものです。これが軍国主義教育がもたらした結果だということが歴史を学ぶ中で戦前の教育の恐ろしさを理解することができました。2週間後、現在の宜野湾市の野嵩に連れていかれました。捕虜生活の中で8月15日の終戦日を迎えました。その当時の収容所での名簿が――宜野湾の博物館の皆さんに調べていただいて――この家族の収容所の名簿が60年目に手に入っています。
 この節目の年に、戦争とは何か、軍隊とは何か、国土が戦場となったときどうだったのか、軍隊と民衆との関係、そのほかさまざまな問題、おびただしい犠牲と引きかえに教訓として残っています。この教訓は沖縄県民だけではなく、すべての日本人がこの教訓を学び、県民はこの教訓を継承する責任があります。
 今、新しい歴史教科書をつくる会の別働隊「自由主義史観研究会」は、これまで皇軍による戦争犯罪の数々は虚構だとして教科書から侵略戦争の史実を削除させ、自由主義史観に基づく教科書の採択を拡大する運動を進めてきました。今度は沖縄戦に焦点を当てて史実の歪曲に乗り出してきました。
 今、首相の靖國参拝が問題になっているのは、言葉では反省するが行動ではそれを裏切る典型です。
 そもそも靖國神社とは、戦争中は国民を戦場に動員する役割を担った神社でした。戦争で死んだら靖國神社で神様に祭られる、それが最大の光栄だというわけです。この神社の成り立ちを考えただけでも、この神社への参拝を戦争への反省の場とすること自体がまことに道理に合わない話ではありませんか。
 この靖國神社には、戦争を起こし、罪に問われたA級戦犯が戦争の犠牲者として合祀されています。このA級戦犯についてはこのリーフ――私たちも行ってきたんですが――このリーフではこう書いています。(資料を掲示) 戦後日本と戦った連合軍(アメリカ、イギリス、オランダ、中国など)の形ばかりの裁判によって一方的に戦争犯罪人というぬれぎぬを着せられ、無残にも命を絶たれた方々、これらの方々を「昭和殉難者」としてお呼びして、すべて神様としてお祭りしているという説明です。
 要するに、日本には戦争犯罪などなかった。敵である連合軍が一方的な裁判で押しつけられたぬれぎぬだということで、その立場でA級戦犯を神様として合祀したというのが靖國神社の公式の立場です。
 しかも靖國神社の宮司は、靖國神社には2つの使命があると言っています。1つは、英霊の顕彰で、戦没者の追悼ではないということです。英霊の顕彰というのは、神社の言葉をかりれば、武勲、戦争の手柄、戦争行為そのものを褒めたたえることです。
 日本は、正義の戦争を戦ったという立場で、その戦争で天皇のために死んだ軍人を英霊として祭り、戦争行為そのものを褒めたたえる、これが靖國神社の使命であり、戦争賛美の戦争観を国民に広げることを使命としています。靖國神社はこの立場でA級戦犯を美化し、神様として祭っているのです。空襲や広島、長崎の原爆、沖縄戦で犠牲になった国民は祭られておりません。戦争で亡くなった方々を追悼する施設ではないのです。
 二度と戦争を繰り返さない、戦争犠牲者を出さないというのが戦争で親、兄弟を失った御遺族の皆さんを初め、国民みんなの気持ちではないでしょうか。侵略戦争を正当化する靖国神社の主張は、国民とりわけ沖縄県民の気持ちとは相入れません。
 以上、所見を述べて質問をいたします。
 日本軍による沖縄戦集団自決強要を教材から削除する動きがありますが、知事の見解をお伺いします。
 2つ目に、農業基本計画のもとで沖縄県の農業はどうなるのですか。
 所見として、小泉内閣は3月25日、今後10年間の農政の方向を示した「新たな食料・農業・農村基本計画」を閣議決定しました。新しい基本計画はさらに輸入自由化を進め、国際競争に勝てない農家を切り捨てるという小泉流の構造改革の戦後農政の最終決算の工程表とも言うべきものではないでしょうか。
 そこで質問をいたします。
 (1)つ、新基本計画は何を見直したんでしょうか。
 (2)つ、新基本計画のもとで、沖縄県の基幹作物・さとうきびはどうなりますか。
 (3)つ、政府が進める東南アジアとの地域貿易協定(FTA)交渉で、沖縄県の熱帯果実(マンゴーやパパイア、ドラゴンフルーツ、パッションフルーツ)などが危機に直面するのではないですか。
 (4)つ目に、農業の規制緩和で県内に入っている野菜や果樹類の実態はどうなっておりますか。
 3番目の質問として、沿岸漁業問題です。
 漁業補償金詐欺事件で現職の組合長及び参事、総務課長が逮捕されました。新たな問題点について県の見解を伺います。
 (1)つ、平成13年2月21日付で、県警捜査二課から意見書の提出、損失補償申請書の提出、損失補償申請内訳書の提出、補償金決定通知書の提出、個人補償金決定通知書等の書類の提出が求められておりますが、県はどんな対応をなさいましたか。
 (2)つ、平成13年2月27日、県農水部長あて、中村某から、那覇沿岸漁協組合における組合員の資格審査の問題点と水揚げのない漁業者が漁業補償金を受領していることについて県の見解を求めておりますが、どう対応なさいましたか。
 (3)つ目に、組合長の弁護士費用が昨年9月の理事会で組合が負担することで承認をされ、既に支払いされているということですが、県は承知の上で認めたのですか。
 (4)つ、チービシ周辺からの砂採取にかかわるお金が入っているが、組合が自由に組合運営に使っていることについて水産課に指導を求めておりますが、なぜ指導しなかったんですか。そのお金はどういう性格のお金ですか。
 4つ目の大きな質問として、本県の委員会・審議会等の委員や県の女性登用について質問いたします。
前県政時代は順調に推移しておりました女性登用は、稲嶺県政が誕生してから陰りを示し、平成11年度は前年度減となり、以後低迷しています。
 以下、質問をいたします。
 本県における女性委員の数は、委員総数1698人中434人で、割合は25.6%は目標値の30%にも及ばない原因は何ですか。
 (2)つ目に、これまでの女性職員登用の推移について述べてください。
 (3)つ目に、補佐クラスの男女比及び女性の補佐や課長への昇任は何を基準に行っているんですか。
 (4)つ目に、能力のある女性たちが10年以上も主査で働いており、そして現場を支えておりますが、なぜ昇任させないんですか。昇任は本庁で働かないとできないのですか。
 大きな柱の病院関係について、看護師・医師問題について質問します。
 今、看護の問題ではかつてない超過密労働にあります。人手をふやさなければ看護職の生活を初め患者も十分な看護を受けられず我慢を強いられ、患者の命と安全も守られない深刻な事態が進行していると言われています。

 以下、質問をいたします。
 (1)つ、看護師の就業者数を看護師、准看護師、助産師、保健師それぞれ答えてください。
 (2)つ、平成15年度及び16年度の需給見通しの達成状況について。
 (3)つ、看護師や助産師の養成計画について。
 (4)つ、県立浦添看護学校を存続させること。助産師、看護師の養成と准看護師の看護師受験資格を得るための2年課程通信制を早期に実現することについて。
 (5)つ、医師養成のための中長期の抜本対策として、県独自の奨学金制度の確立について。
 (6)つ、琉大医学部の入学定員に地元枠の設定を働きかける必要がありませんか。
 (7)つ、自治医科大学の入学定員の拡大を関係省庁に要望することについて意見を伺います。
 (8)つ、公立病院としての役割、診療体制、組織、財政の抜本的な見直し、改革が検討課題ではないですか。
 (9)つ、組織の確立では、病院内では院長を支える企画立案力のある事務体制の確立が必要と思いますが、どうでしょうか。
 (10)番目に、職員の能力とやる気を最大限に引き出す理念中心の組織運営が大切だと思いますが、見解を伺います。
 大きな柱として、地域自治公民館の県有地の無償貸し付けについて伺います。
 今日、地域社会においては個人や家族だけの生活を楽しみ、隣人関係を避ける傾向が多く見受けられますが、地域が抱える問題、ごみ等の環境問題、高齢者の生きがい対策、交通安全、青少年非行防止、あるいは防犯等は個人や家族だけでは解決できないものが数多くあります。
 生活していく中で良好な近所づき合いを保ち、近所づき合いの輪を広げていけたらと考えている人たちがいて、地域はよくなるもので、虐待も未然に食いとめることができます。この拠点になるのが自治公民館です。この公民館及び子供の遊び場、敷地の無償貸し付けについて知事の見解を伺います。
 答弁によって再質問を行います。

 
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