平成12年(2000年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月 7日
 


○議長(伊良皆髙吉) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた地方労働委員会会長屋宜正一君は、所用のため本日、明日、11日及び12日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長名幸宏明君の出席を求めました。
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○議長(伊良皆髙吉) この際、念のため申し上げます。
 本日、明日、11日及び12日の4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(伊良皆髙吉) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 渡久地 健君。
   〔渡久地 健君登壇〕
○渡久地 健 おはようございます。
 自民党を代表して一部所見を述べながら代表質問を行います。
 現在、国内、国外の政治は不安定、不透明、混迷の時期を迎えております。
 アメリカの大統領選挙は、ブッシュ候補とゴア候補がフロリダ州の投票結果をめぐり泥仕合をしており、また我が国の政治も森政権の支持率の低下で今後どう展開していくか、まさに政治の世界は一寸先はやみであるとの言葉どおり我が国の政治の不安定は景気回復に影響し、政治の安定なくして経済の安定はないとのとおり県政の重要課題である基地問題やポスト3次振計の新たな沖縄振興開発計画を策定する重要な時期に、アメリカと我が国の政治の安定は不可欠であり、一日も早く国民の信頼を得られるよう政治の安定を期待しております。
 現在の森内閣の中で沖縄問題の解決が懸念されているやさきに、第2次森内閣が発足し行政改革担当兼沖縄・北方対策担当大臣、沖縄開発庁長官に橋本龍太郎元首相が就任したことは、首相時に普天間飛行場の移設をクリントン大統領と会談して決定し、復帰25周年記念式典で沖縄経済振興21世紀プランを提唱した橋本新大臣の就任を心から歓迎しているところであります。
 九州・沖縄サミット終了後、政府の沖縄問題に対する関心が冷たいという見方もありました。これは沖縄サミットを決定し、常に沖縄問題に全力を尽くしてきた小渕前首相、基地所在地市町村の振興策・島田懇を提唱した梶山元官房長官が他界し、沖縄戦の悲劇と沖縄の苦悩の歴史を理解し、沖縄の心を肌で感じ政策を展開した野中元官房長官が自民党の幹事長を辞任し、これからの沖縄の問題に不安を感じておりました。今こそ沖縄問題を力強いリーダーシップで解決する政治家が待望されている時期だけに、橋本大臣の返り咲きは関係各省庁に強い影響力を持ち、基地問題の対米交渉等の難題は政治の指導力で突破するという局面が予想される中で大いに期待されるものであります。
 そこで、知事に橋本大臣就任に対する見解をお尋ねいたします。
 それでは質問通告に従って質問を行います。
 稲嶺知事就任2周年、「問題解決のできる実行型県政の実現」をスローガンに県民の支持を得て稲嶺知事が就任して2周年に当たり、私は問題解決の場としてまず第1に、沖縄政策協議会の再開と、第2に三者協議会の再開が実行型県政の実現に貢献できたものと思います。
 まず、沖縄政策協議会は、沖縄に関連する基本施策に関し協議する目的で平成8年8月に閣議決定して設置されたが、平成9年11月以降休眠状況にあったものを平成10年12月に再開し、また三者連絡協議会が4年ぶりに開催されて米軍人の公務外の事件・事故の防止に関するワーキングチームの設置や緊急車両の基地内交通使用問題等の基地問題について、県政でできる課題を一歩一歩前進させていることに高い評価をしております。これまでの公約実行の成果と今後2年間の県政運営の決意についてお伺いいたします。
 次に、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が去る11月30日に世界遺産へ登録されたことは、20世紀最後の年のビッグニュースとして全県民挙げての喜びであり、世界のすべての人々にとってかけがえのない宝物との認定を受けた意味は大きく、先人たちが築いてきたこれらの遺産はまさに沖縄の誇りであります。
 昨年までに世界遺産に登録されたのは全世界で630件で、うち日本国内では10件で、今回の登録が国内11番目であり、今後沖縄観光の目玉になる期待とともに、それを県内外へ、世界へ訴えていく努力も必要であり、世界遺産を保全し、世界遺産の地域にふさわしい地域づくり、地域おこしの課題も必要となります。
 そこで質問いたします。
 登録決定記念式典や祝賀行事について各地域で計画されていると聞きますが、その計画と県全体としての取り組みについてお伺いいたします。
 (2)番目に、景観保全のため文化庁や県は、遺産のある自治体に対し緩衝地域(バッファーゾーン)に建物の高さや色を制限する等の一定の開発制限を設ける条例を設置するよう求めているが、地域住民の理解が重要であるとのことであります。どう指導していくのか、またその活用方法についてどう考えているのか、周辺の整備事業、特に見学者に対する駐車場の整備などについて当局の見解をお伺いいたします。
 3番目に、那覇市長選挙の結果と今後の県政運営と那覇市との関係についてでございます。
 去る11月12日の那覇市長選挙は32年間の革新市政に終止符が打たれ、新しい流れを訴えた翁長新市長が誕生し、全国紙でも「基地の島 革新の砦失う」、「稲嶺県政、基地問題に追い風」、「基地「現実路線」が浸透」との見出しで取り上げられております。
 今回の選挙の意義は、単に県都那覇市の市長を決めるだけではなく、稲嶺県政の中間評価を問うものとして位置づけられており、選挙の結果は県政が評価されたものと私は確信しております。県政運営上、県都那覇市との関連は密接なものがあり、那覇市が抱えている課題も山積しております。
 そこで、知事は今後那覇市との関係をどのように考え、県政に反映させていくのかの御見解を伺います。
 4番目に、基地問題についてでございます。
 最初の問題とダブる面もありますけれども、知事の選挙公約では、基地問題は国際社会や県民の安全保障、県土の有効利用、自治体の都市計画、環境保全、総合交通体系、跡地利用や経済振興等を検討した上で有機的かつ整合性あるトータルプランで対応するということになっておりました。この2年間、基地問題の解決に向けた知事の所見と決意をお伺いいたします。
 (2)番目に、SACO合意であります。
 1996年12月の沖縄に関する特別行動委員会(SACO)合意の着実な実施が基地問題解決の道と思われるし、防衛庁が12月2日にまとめたSACO最終報告の進捗状況の報告があったと報道されております
 第1に、SACO最終報告における返還合意事項の進捗状況はどのようになっているのか。
 2つ目に、SACO合意事項の実施を促進するため県は今後どう対処していくのか、お伺いいたします。
 (3)番目に、基地及び訓練の移転・分散についてでございます。
最近、ジョーンズ海兵隊総司令官が、これからもグアムを海兵隊の訓練場として数多く利用する予定であるとの発言があり、またアーミテージ元国防次官補が、元政府高官や専門家を集め超党派で対日政策の報告書をまとめております。
 その中で普天間飛行場返還を柱とする現行の沖縄の負担軽減策、SACO最終合意に上乗せする形で負担をアジア・太平洋地域全体に分散するという新たな方針を打ち出しております。分散は米軍の施設と訓練を念頭に置くもので、最終的には駐留規模そのものの削減につながるということであります。移転先としてはグアム、オーストラリア、フィリピンなどが念頭に置かれていると報告されております。
 このようにアメリカサイドから新しい動きが出ている中で、県はそのような動きをどのように認識しているのか。また、これらを県民の願いである基地の整理縮小にどう反映されていくのか、知事の御見解をお伺いいたします。
 (4)番目に、昨年の11月22日に知事が普天間飛行場の移設先として名護市辺野古沿岸域を選定し、27日には岸本名護市長が受け入れ表明、28日には「普天間飛行場の移設に係る政府方針」の閣議決定がなされてから1年が経過いたしました。
 以下、質問いたします。
 15年使用期限問題で知事はマスコミとのインタビューで、代替施設の建設をさせる時点で15年問題が棚上げされてスタートすることはあり得ないと答え、また知事は戦後55年、日本が繁栄する中で沖縄が過重な負担を負ってきた事実を日本全体がとらえ、政府がしっかりとした認識を持つことが必要だ、今後とも15年の期限はあらゆる機会に強く主張する、15年は政府がきちっと腹を持って決めることが重要だと発言しております。
 幸い、橋本大臣の就任により日本政府の対米交渉及び日本政府の態度が明確になることを私は期待しております。この問題に関する知事の決意と、その解決に向けて県は今後日本政府に対しどう対処していくのか、お聞きいたします。
 2つ目に、去る8月に代替施設協議会が設置され数回にわたり協議会が開催されているが、これまでどのようなことが協議されたのか。
 3番目に、軍民共用空港の民間空港の機能及び民間航空機の需要について県はどのように考えているのか。
 4番目に、ことし10月11日に国際自然保護連合(IUCN)の総会でジュゴン保護勧告案が決議されているが、県はこの勧告案をどのように受けとめ、今後どう対処していくのか。
 5番目に、11月21日に国、名護市、県の3者による代替施設の使用に関する協定などを話し合う実務者連絡調整会議が設置されたけれども、会議の設置の目的、協議内容、また県はその協議会に対しどのような立場で対処していくのか、お聞きいたします。
 次に、那覇港湾施設の移設についてでございます。
 去る10月20日に宮城浦添市長は、那覇軍港の一部機能の移設を容認するとのこれまでの方針を撤回したが、県に対して直接説明はあったのか。那覇港湾の整備は急務であり、3者で行う一部事務組合の設立に向けて県、那覇市、浦添市の作業にも大きな影響があると懸念されます。
 このような方針変更について知事の見解をお伺いいたします。
 県は、これまで浦添市とどのような調整を行ってきたのか。
 3つ目に、那覇港国際流通港計画調査報告書がまとまり、東アジアの国際貨物中継地としてコンテナバース、クルーズバース物流機能を整備し、加工型貿易産業の振興を図り、自立的経済拠点と位置づけております。2015年を計画目標として全体事業費は約5500億円となり、那覇軍港移設を視野に入れた計画と思われます。
 一方、浦添市長は西海岸開発は市の最重要課題として取り組むと主張しているけれども、那覇軍港の移設と浦添市の西海岸開発は切り離して考えることができるかどうか、お伺いいたします。
 那覇市長選挙で那覇軍港の浦添地先への移設促進と実効性のある跡地利用を促進するとの公約を掲げた翁長氏が当選しましたが、今後県は那覇港湾施設の移設に那覇市との連携をどのように取り組むのか、お聞きいたします。
 (6)番目に、日米地位協定の見直しでございます。
 マスコミの報道によると、県の地位協定の見直し要請に対し河野外務大臣が、運用改善による対処が適切であるとの発言をしております。その真意と県の要請内容の実現は厳しい状況にあるのか。そして県は今後どのように取り組み対処していくのか、お聞きいたします。
 (7)番目に、基地内道路の緊急車両通行でございます。
 基地内道路の使用は、深刻になる一般道路の渋滞で人命にかかわる消防車や救急車の緊急車両の通行について、現地レベルで合意に達しながら持ち越されてきております。外務省の野村沖縄担当大使は、年内に日米合同委員会の場で決着する見通しを示しております。
 この問題は、5月の三者協議会で合意されて県民の生命と財産を守る上からも一日でも早い決着を望んでいますけれども、三者協議会での合意内容と今後の決着の見通しについてお伺いいたします。
 (8)番目に、知事の訪米についてでございます。
 アメリカ大統領選挙の決着が不透明の中でありますけれども、基地問題の解決に向けた知事の訪米について現時点における訪米日程と要請内容についてお伺いいたします。
 次に、新たな沖縄振興計画について質問いたします。
 沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会は、10月31日に3次にわたる沖縄振興の現状と課題について中間報告をまとめ、ポスト3次振計の振興開発の方向性で、自立的発展を図る民間経済の構築のための国が沖縄の自立を支える分野に重点的に投資する「選択と集中」を新たな方向性として提唱し、自立化をリードする分野を観光・リゾート産業と情報産業に絞っております。その中間報告についての知事の御見解を賜りたいと思います。
 (2)番目に、新計画の根拠となる新法のあり方、計画の施策や事業について来年5月までに基本方針を策定することとなっているけれども、5月までの具体的な作業の取り組みについて、スケジュールについてお伺いいたします。
 (3)番目に、これまでの3次にわたる振計に掲げた格差是正に対する考え方と新たな目標設定について知事の見解をお伺いいたします。
 (4)番目に、沖縄開発庁及び内閣官房内政審議室の体制と取り組み及び県との連携について。
 (5)番目に、沖縄経済振興21世紀プランの位置づけについて。
 (6)番目に、沖縄総合事務局が実施した振計に対する市町村の評価についての分析で、市町村の現状と課題に係る調査についての県の見解と今後どのような形で振計に反映していくか、お聞きいたします。
 (7)番目に、沖縄県長期総合計画の策定でございます。
 総務企画委員会の北海道の行政視察の中で、北海道では国の策定計画とは別に北海道独自で平成10年度から10年間の第3次総合計画を策定しております。本県でも本県独自の長期計画を策定する必要があると思いますけれども、それに対する知事の御見解を賜りたいと思います。
 6番目に、北部振興策についてお伺いいたします。
 北部振興策については、その目指すべき将来方向として15万人の人口増加を目指し、雇用機会の創出に向け産業の振興を図るため「定住条件としての魅力のある生活環境の整備」を掲げており、それを協議するため北部振興協議会及び移設先及び周辺地域振興協議会がことし2月に初会合を開催してからこれまで数回にわたり開催されました。地元の要望と国の方針に温度差があるということが指摘されておりますけれども、その協議内容についてお伺いいたします。
 平成12年度に採択された事業内容及び平成13年度以降の事業の採択は、本年度同様に熟度の高い事業から順次採択していくのか、あるいは一括して採択する方法をとるのか、それについてお聞きいたします。
 協議会は東京で開催しておりますけれども、多忙な市町村長がその都度上京することは非合理的であるとの声があります。国側の調整機能を県内にある国の機関にゆだねて政策展開の迅速化を図るべきだという声がありますけれども、それに対する見解をお尋ねいたします。
 7番目に、沖縄特別振興対策調整費に関する事業でございます。
 平成11年4月開催の沖縄政策協議会で100億円の沖縄特別振興対策調整費の最終方針が決定し、非公共分として知事要望の6項目の事業が実施されており、次の4事業について質問いたします。
 (1)つは、特別自由貿易地域への立地促進のための受け皿施設である賃貸工場の入居状況と今後の見通し。
 (2)つ目に、沖縄自動車道の通行料金割引とそれに対する経済効果。
 (3)つ目に、ソフトな機能を持つ産業振興のための拠点である沖縄産業振興・創業支援センター──仮称ですけれども──の建設状況と今後の活用計画について。
 (4)番目に、国立高等専門学校の誘致の具体化、創設準備委員会による建設場所決定、その規模及びスケジュールについてお伺いいたします。
 8番目に、農業振興でございます。
 さとうきびについて。
 本県農業の基幹作目であるさとうきび産業は、その生産量がピーク時の178万トンから96万トンに落ち込み、現在は横ばいの状況が続いております。
 しかし、離島や過疎地においては生活の糧であり、特に離島では総農家数の8割、全耕地面積の6割、農業粗生産額の3.7割がさとうきびであります。生産の減少傾向に歯どめをかけるため、98年度から3年間実施されましたルネッサンス計画は、収穫面積の減少がとどまり、その成果が出てきて継続が決定されております。特に注目されているのがさとうきび生産法人の誕生であると思います。この1年間で14社が設立され、耕作放棄された農地を法人が借り受け、遊休化した農地が減少する効果も出て将来性が期待されております。
 県としては、この法人をどの程度育成する予定なのか、また法人として軌道に乗るまでの運営資金の課題もあると思いますけれども、どのような課題があり、県としてはどう指導あるいは支援していくのか、お伺いいたします。
 (2)番目に、農業研究センター建設の進捗状況と今後の見通しでございます。
 糸満市に建設予定の農業研究センターの用地取得が難航しており、当初計画では94年に基本計画を策定し、96年用地取得を完了し、2001年には移転完了の予定でありました。それが大幅な変更となり、来年度に基本設計作成、2002年に実施設計をまとめ造成工事に着手し、2005年度に移転を完了する計画となっております。
 しかし、移設と農場整備に必要な土地は71ヘクタールであり、国有地を除く68ヘクタールのうち現在まで取得した土地面積、契約に同意した地権者はどの程度であるのか、なぜ用地取得が難航しているのか、取得するために市や関係団体の協力はどのようになっているのか。
 現在の試験場跡には県立病院の移転構想もありそれにも影響しますけれども、同センターの建設がおくれることで農業振興の方面でどのような影響があるのか、お伺いいたします。
 (3)番目に、農林水産品及び工業製品の輸送費用の軽減策についてであります。
 農林水産品や工業製品を本県から県外へ移出する輸送費のコストが本県の産業振興や雇用拡大の大きなネックになっていることは、これまで再三指摘されました。また、この軽減策についてはJA沖縄中央会などから要望が強かったわけでございます。
 知事は、去る10月に自由民主党税制調査会の山中貞則最高顧問と面談し、ポスト3次振計に向け必要な制度面の拡充について意見交換し、戦略品目の輸送コスト軽減策への支援を訴えたと新聞に報道されております。新たな沖縄振興法に盛り込むよう、今後政府に強く働きかけてほしいことを要望し次の点についてお伺いいたします。
 助成制度については、たばこ特別税を財源として創設することを検討しているけれども、それ以外の助成制度の道はあるのか。
 2番目に、戦略品目のうち工業製品、農林水産品の品目はどのようになっているのか。
 3番目に、助成制度創設による生産波及効果と雇用効果の予測についてお伺いいたします。
 (4)つ目に、1県1JA構想でございます。
 去る11月16日の新聞報道によると、JA中央会は、県内28JAと県経済連、県信連を一つに統合し、1県1JAとする構想を全体組合長会へ提案し、基本的な意見の一致を見たとされております。
 その背景には大手金融業界や製造・流通業界で進む事業統合・合併の中、各JAと県連が一本化することで組織と経営体質の強化を図り、県域規模での効果的な事業展開を進めるべきであり、おくれは許されないとの深刻な現状認識があるように思われます。
 全国的には奈良県が既に1JA化しているようでありますけれども、県はどのように考えているのか、質問をいたします。
 これまでの地域別5JA構想を取りやめ、1JA構想が提起されたことについて県はどのように考えておりますか。
 2番目に、県内JAの経営環境や財務はどのような状況にあるのか。
 3番目に、1JA構想の実現に向け県も積極的にかかわる必要があると考えるが、県のかかわり方及び支援についてでございます。
 (5)番目に、漁協の損失補償についてでございます。
 沖縄県信用漁業協同組合連合会から、読谷村、那覇地区、平良市、八重山の4漁業協同組合が信用事業を擁護するために金融機関から借り入れた場合の総額18億7590万円の2分の1を限度とする損失補償について県が肩がわりする債務負担行為が今議会に提案されております。公的資金を投入する場合は、それぞれの自己責任を十分果たして将来の経営健全化が図られることが絶対条件であります。
 そこで質問いたします。
 県が公的資金を投入して損失補償しなければならない理由は何なのか。
 2番目に、損失補償をするとすれば漁協の経営健全化は図られるのか。また漁協に対する指導はどのような姿勢で臨むのか。
 (6)番目に、農村アメニティーの建設に向けた農村整備でございます。
 農村、漁村は、これまで自然とともに農業生産を初め国土・環境の保全、生産条件の維持形成を図ってきました。また生活の面で地域の文化を創造し、それぞれ歴史、伝統などを継承してきております。しかし近年においては過疎化や高齢化の進む中で農地、山林などの管理が行き届かなくなり、国土・自然環境の保全、食料生産力の確保など国民生活の安全、安心を確保する上でさまざまな問題が生じております。
 一方において、豊かな自然環境に恵まれているこれらの地域を美しいアメニティーに満ちた地域づくりを進めることが国民から提起されております。
 農漁村において最も大切なことは、美しさと活力に満ちたそれぞれの地域特性を生かしただれもが住みたい農村らしさの創造であります。人々が農村に定住するための農業・農村の条件整備は大変重要であると考えます。魅力ある農村地域の整備に関し、農林水産部において田園空間整備事業を手がけていると聞いております。
 そこで質問いたします。
 現在、玉城村、知念村で実施されている田園空間整備事業の概要と進捗状況について御説明願います。
 2番目に、このような制度を利用して今後北部地域において計画はあるのかどうか、お伺いいたします。
 次に、医療と福祉行政についてでございます。
 県立那覇病院の移転計画とその機能について。
 老朽化している県立那覇病院を、高度な機能を幅広く担う新病院を農業試験場跡に建設する構想を進めておりますけれども、先ほどの農業研究センター移転計画がおくれている中で来年度までに基本計画をまとめる作業を進めているが、今後のスケジュールについてお伺いいたします。
 2番目に、新病院の機能については高度な多機能を有する施設整備と、県民から強い要望のある子ども病院の設立に配慮して総合母子医療センターの整備を検討されていると聞きますけれども、その機能と子ども病院の機能をどのように組み入れていくのか、お聞きいたします。
 (2)番目に、離島医療組合に対する取り組み、特に伊江村、与那国町の実態であります。
 久米島病院は、県と仲里村、具志川村の離島医療組合方式で設立しているけれども、伊江村と与那国町はそれぞれの自治体で医療機関を設置し運営しております。それぞれ一般会計からの繰り入れも多く、財政の圧迫要因とともに医師の確保が困難で深刻な問題を醸し出しております。
 県民は、ひとしく医療を受ける権利を有しており、その実態について県はどのように受けとめ、今後どう対処していくのか、お聞きいたします。
 (3)番目に、総合福祉センターの建設までの経過と今後のスケジュール、設備機能の概要であります。
 平成5年度に基本構想の策定、設置場所が決定されて来年早々工事が着手されることになっておりますけれども、地域福祉活動を総合的に支援する目的で設置される拠点施設の建設は、福祉行政及び福祉活動を展開している関係者が強く求めていた事業であり、基本構想の策定から工事着手までの期間が長過ぎたと思いますけれども、その経過と今後のスケジュールについてお伺いいたします。
 休憩お願いいたします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午前10時30分休憩
   午前10時31分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
○渡久地 健 10番目に、沖縄マリンジェット観光株式会社に対する債権放棄についてでございます。
 同株式会社の解散清算に伴う県の債権放棄問題は、事業着手の際の条件整備が不十分な中で強行に実施されたこと及び第三セクターのあり方について大きな課題を残すことになっております。
 昨年実施した経営診断には、事業着手に先立ってまとめられた調査報告書の中で事業採算について厳しい旨の提言があったと指摘されており、再建の方向性の中で新たな航路開発として年150万人の宿泊のある恩納村のリゾートホテルや久米島が挙げられ、当時のベースポート地を泊港から那覇港に、本部の寄港地をエキスポ港から渡久地港に移転する旨の提言がなされております。このようなことは、採算ベースを考えた就航計画が全くずさんであり、大幅な赤字が予想される状況下で事業を進めた当時の県政トップや幹部の責任は重大であると指摘せざるを得ないのであります。
 債権放棄額は7億4600万円余でありますけれども、実際の県の損失は出資金2億円、補助金6億8400万円を加えると実に17億3500万円に膨らみ、県財政が厳しい中で県民に対する行政責任は免れないものだと思います。
 そこで質問いたします。
 会社解散に至る経緯と清算手続の方法について。
 県の財政支援状況と県の債権を放棄する理由について。
 3番目に、従業員の他の職場への再就職の状況について。
 4番目に、第三セクターの経営状況は本県のみならず全国的にも厳しい実態が指摘されております。全国の状況及び県内の第三セクターの状況と課題についてお伺いいたします。
 次に、新石垣空港建設に係る位置決定の審議の状況と今後のスケジュールでございます。
 知事は、選挙公約で「問題解決できる実行型の県政確立」を目指し、新石垣空港については民主的な手続を踏まえた意思決定を図り早期実現を図ることを訴え、公約どおり昨年8月に36名の位置選定委員を選任し、ことし4月にカラ岳陸上案が決定し、その後建設位置地元調査会議が開かれ、去る11月22日には海岸線の保安林を保全し、土工量バランスにも配慮した原案から約180メートル陸側へ寄せた案を決定し、位置決定により新石垣空港計画は3年以内の着工に向けて大きく前進したと報道されております。
 そこで質問いたします。
 位置決定の審議の状況、環境調査等の課題、今後のスケジュールについてお伺いいたします。
 市町村合併の取り組みと今後の課題について。
 平成12年4月から地方分権一括法が施行され、地方分権はいよいよ実行の段階を迎えております。自己決定・自己責任のもと、住民に身近なサービスの提供は地域の責任である選択により決定することが求められております。
 一方、厳しい財政状況にあって効率的な行政運営の実現が求められる中で、市町村合併について国の方でも積極的な支援が進められております。住民生活や社会経済の面では広域的観点に立った効率的、総合的な町づくり、重点的な投資による基盤整備が期待されております。
 また、市町村の行財政の面では効率化が求められ、行政サービスの高度化、多様化の適切な対応が期待されております。
 そこで質問いたします。市町村合併に対する県の取り組みとその課題についてお伺いいたします。
 13番目に、少年法の改正でございます。
 来年4月から改正施行されます少年法は、刑罰対象年齢を16歳以上から14歳以上に引き下げるなど約50年ぶりの大改革であり厳罰化を柱にしております。
 罪を犯した少年たちの口から、人を殺す経験がしたい、少年は死刑にならないので殺したと。また、昨日問題になりました新宿の歌舞伎町の問題でも、人を壊したいというショッキングな少年の発言を聞くと、罪に見合った罰を受けるのは当然である、犯罪を犯した少年だけが法によって守られているという現状はバランスを欠いているという考え方も国民の間で広まっております。
 一方、西鉄バス乗っ取り事件で重傷を負った被害者は、14歳といえばまだ義務教育の年齢、厳罰だけではなく一生かけて償えるよう人として教育することが大事であると話し、「目には目を」の応報的な考えに基づく厳罰化が果たして犯罪の防止につながるかどうか、専門家の中でも疑問視する声も確かにあります。
 少年たちを凶悪で特異な犯罪へと走らせているのは大人社会の急激な変化であり、家庭で、学校で、社会で確固とした価値観を持たないまま、子供の教育がなされずにいた社会の責任でもあります。今こそ心の豊かさの教育が求められております。
 そこで教育長に質問いたします。
 少年犯罪を防止する教育のあり方、心の豊かさを求める教育のあり方が求められております。学校現場でどのように対処する方針ですか、お聞きいたします。
 次に、県警本部長にお伺いいたします。
 平成11年度に殺人や窃盗、傷害などの刑法犯罪で検挙された少年の数は1262名で、そのうち中学生が51%を占めており、全国平均の35%を大きく上回り低年齢化が顕著であります。過去3年間の少年犯罪のうち、今回の改正で刑罰対象年齢14歳から15歳を適用すると何件の事件と人員が該当するのか。また県警として少年犯罪防止にどのように取り組むか、お伺いいたします。
 14番目に、マルチ商法「ユーゼン」、「古さと会」の問題でございます。
 マルチ商法による被害が全国の2倍と言われる本県では、また新たな被害の実態が明らかになりました。きょうの新聞でもこの「古さと会」の被害者が自殺したという報道がありました。「ユーゼン」と「古さと会」の2社が募った県内の会員数は延べ1万人以上と言われ、被害総額が60億と、過去の豊田商事、ベルギーカットダイアモンド商事事件、経済革命倶楽部(KKC)などの悪徳商法の教訓が生かされずに被害額はこれまでの最高だと言われ、今深刻な問題を招いております。
 借金までして出資するのは沖縄だけの特徴だと言われ、沖縄の美風であるユイマール精神が災いして友人や知人の紹介で入るのがほとんどであり、最初は1口と言われているのが、次々と欲を出して10口、20口とその被害は大きくなっているのが実態だそうであります。
 ある弁護士は、マルチ商法破綻とバブル崩壊になぞらえて、崩壊を予知できた一部の人だけがうまみを味わっただけで、ほとんどの不動産業者は踊らされただけだというバブル崩壊、マルチ商法も、会員も自分がもうかる側に立っているという錯覚を覚える。会員も自分がもうかる側に立っていないということを自覚すべきだということで注意を喚起しております。
 そこで伺います。
 県民生活センターに昨年からことしまでに寄せられたマルチやマルチまがい商法の相談件数はどのようになっているのか。
 新聞報道によりますと、相談員は5名で、平成2年度から相談件数は現在2倍に達しているけれども相談員の増員はなく、年々予算も削減され、年4回発行していた啓蒙のためのニュースも2回に減らされているとお聞きいたします。消費者対策の面から予算の確保と県民の生活を守る観点で相談員の増員など組織の強化はぜひ必要だと思いますけれども、当局の御見解を賜りたいと思います。
 2番目に、県警本部にお聞きいたします。
 現在、県警生活安全部で被害者の会から提出された書類をもとに事実関係を捜査していると思いますけれども、それについての刑事告発の見通しについてお伺いいたします。
 捜査上の関係でいろいろ難しいとは思いますけれども、もし現段階で答えることが難しければ、過去のマルチ商法の事例の刑事告発等について御報告いただければ幸いだと思っております。
 最後に、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)2010年開催誘致についてでございます。
 この件については、ことしの2月定例会で私の質問に対し、開催地が全国一巡する2010年開催を目指して知事が先頭となって全県挙げて積極的に誘致活動に取り組むことが必要であると強調いたしました。それに対して知事は、前向きに検討していくことの答弁があり、その後本会議でもたびたび議員の方から要請がありました。
 その後、3月には県高等学校体育連盟に「平成22年全国高等学校体育大会誘致推進委員会」が設置され全県的にムードが高まっており、去る12月1日には県高校体育連盟や県高校校長協会が県市長会、町村会やPTA連合会などの県下10団体の同意のもとに知事に2010年の開催を求める要望書が手渡されております。
 インターハイの開催には多大な開催費用が必要となり、財源確保の必要が当然あります。また競技種目は市町村に当てはめる必要があります。全県的な取り組みが必要であり、また競技施設等の整備に多大な経費と期間が必要であります。同時に競技力の向上を図るために小・中・高校が連携した長期計画を図る必要があります。
 平成20年(2008年)までの開催地が既に決定及び内定している中で、まだ奈良県と本県が開催の意向を正式に表明しておりません。しかしながら、既に2度目の開催を打診する県が出ているとお聞きいたします。
 インターハイの開催はスポーツの普及・発展だけではなしに、他の都道府県の選手や関係者とのスポーツの交流を通して本県の青少年に夢と自信を与える絶好のチャンスであり、ことし開催された九州・沖縄サミットにつながる21世紀の沖縄を担う人材育成にも大きく貢献するものだと確信しております。
 来年度の予算編成、これからの組織編成の面から勘案いたしましてもぜひ今議会で知事の明確な表明が必要だと思います。インターハイの開催に向けて知事の明確な御答弁をお願いいたしまして代表質問を終わります。
○知事(稲嶺惠一) 渡久地健議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、橋本龍太郎元総理の沖縄担当大臣就任に関する見解についてお答えいたします。
 沖縄問題は、国政の中でも重要な位置づけをされており、関係する省庁も数多いことから沖縄担当大臣は強力なリーダーシップを有する方を望んでおりましたが、今回の第2次森改造内閣において全く予想もしなかった橋本龍太郎元総理が就任されることとなり、驚くと同時に感激をしているところであります。
 橋本長官は、普天間飛行場の返還を含めSACOを取りまとめるとともに、沖縄経済振興21世紀プランを提唱するなど沖縄問題に精通し、その解決に並々ならぬ情熱と御尽力を賜ってきた方だけに最高の人材だとまことに心強く思っております。
 次に、知事就任2周年に当たり、公約実行の成果と今後の県政運営に当たる決意についての御質問についてのお答えでございます。
 私は知事就任以来、「問題解決のできる実行型県政の実現」を目指し、公約の実行に真摯に取り組んでまいりました。これまで沖縄政策協議会の再開、3歳未満児医療費の無料化、21世紀プランの策定及び九州・沖縄サミット首脳会合の誘致など私なりに多くの実績を上げ得たものと考えております。
 しかしながら、本県は産業振興、雇用情勢の改善、基地問題など取り組むべき多くの課題を抱えております。
 私は、これらの諸課題を解決するため今後とも広く県民の立場に立って、より効果的で実現可能な方策を導き出して、政府や関係各界の皆様の御協力を得ながら一歩一歩着実に公約を実行し、県民の夢や願いが響き合い、喜びが実感できる沖縄を築き上げてまいりたいと考えております。
 次に、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産登録を決定したことについて、登録決定記念式典及び祝賀行事についての御質問にお答えいたします。
 「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産に登録されたことは、琉球独自の文化遺産が顕著な普遍的価値を有する人類全体の遺産として高く評価されたものと考えております。沖縄県民にとって21世紀へ向け新世紀を飾る歴史的快挙でまことに喜ばしいことであり、全県民挙げて祝賀したいと思います。
 登録決定記念式典及び登録決定記念祝賀会につきましては、県及び関係7市町村で構成する世界遺産登録記念事業実行委員会が主体となって2月上旬の開催を目途に準備を進めております。
 次に、那覇市長選の結果と今後の県政運営と那覇市との関係についての御質問にお答えをいたします。
 翁長雄志さんが那覇市長に当選されたことは、同氏の那覇市の課題実現のために保守・革新の構図を排し、市民の立場から発想して市民とともに課題の解決を図るという基本姿勢が市民に評価されたものと理解しております。
 県土の中枢機能が集積し、県都である那覇市の発展を図ることは県全体の振興を図る上でも重要な課題であります。このため雇用の確保はもとより、モノレールを初めとする道路交通網の整備、市街地再開発等良好な都市空間の形成及び那覇港湾開発事業の推進など数多くの課題の解決に向けて那覇市と連携を深め取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、基地問題について、就任2年を迎え基地問題解決に向けた所感と決意を聞きたいとの御質問のお答えでございます。
 私は、基地問題は国際情勢や県土の有効利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、環境の保全、経済振興策等多くの問題が複雑に絡み合っていることから、実現可能なものから一つ一つ解決していくことが重要であり、また基地の整理縮小についてはSACOの合意事案を着実に実施していくことが現実的で実現可能な方法であると考えております。
 知事就任後、私は、関係市町村の理解と協力を得ながら国と連携して基地問題の解決に取り組んでまいりましたが、国に対しては、県民の命と暮らしを守る観点から主張すべきことは強く主張してきたところであります。今後ともその姿勢を堅持してまいりたいと考えております。
 このような基本姿勢に立って基地問題に真剣に取り組んでおり、課題の解決に向け着実に成果を上げてきたものと考えております。
 基地の整理縮小では、SACO合意事案のうち幾つかの事案について移設先の受け入れ表明がなされるなど、SACO合意事案の実施が着実に進捗しているものと認識しています。
 日米地位協定については、抜本的に見直すことが県民の総意であることからその見直しを日米両政府に要請しました。
 嘉手納ラプコンについては、民間航空機の円滑な定期運航や安全性の確保のため、沖縄における航空交通管制の日本側への移管について日米両政府に強く働きかけました。
 現地レベルで解決できる問題については、三者連絡協議会(三者協)で積極的に取り上げており、米軍人・軍属等による事件・事故防止のためのワーキングチームの設置や小学校への英語ボランティアの派遣が実現しております。また、緊急車両の基地内道路の使用についても、年内にも本事項に係る日米間の合意が得られるものと考えております。
 このように多くの問題が複雑に絡み合った基地問題を一つ一つ解決の道筋をつけ、県民の基地負担を着実に軽減していくという観点から、私の施策は広く県民に支持されているものと考えており、今後とも多くの県民の理解と協力を得ながら諸施策を進めていく所存であります。
 同じく基地問題について、SACO最終報告における返還合意事案の進捗状況、それと次のSACO合意事案の実施を促進するための今後の対処の仕方、この2つの御質問について一括してお答えをいたします。
 SACO合意事案の実施に当たっては地元の理解と協力を得ることが基本であり、各事案について現在国と関係自治体との間で話し合いが進められており、基地の整理縮小に向けたSACOの実施が着実に進展しているものと理解しております。
 御承知のとおり、普天間飛行場については移設先の名護市の受け入れ表明があり、国において代替施設協議会が設置され、移設に伴う諸課題の解決について協議が進められているところであります。
 その他の事案については、読谷補助飛行場で行われていたパラシュート降下訓練の伊江島補助飛行場への移転が完了したほか、キャンプ桑江及びキャンプ瑞慶覧における米軍住宅統合や楚辺通信所の移設、海軍病院の移設など幾つかの事案について移設先の自治体の受け入れ表明がなされるなど、SACO合意事案の実施が着実に進捗しているものと認識しています。
 これにより、読谷補助飛行場や楚辺通信所の全面返還及びキャンプ瑞慶覧などの一部返還への道筋がつけられ、基地の整理縮小が着実に進展することが期待されます。
 県としては、地元市町村がSACOの趣旨について理解を示され、苦渋の選択をしたものと重く受けとめており、その実施に当たっては、基地の移設先である地域住民の生活に著しい影響を及ぼさないよう基地運用に伴う安全の確保や地元市町村が要望する振興策の実現など、地元の意向に沿った取り組みがなされるよう国に働きかけていきたいと考えております。
 同じく基地問題について、最近米国サイドから新しい動きが出ていると、この動きをどう認識しているかと、またこれらを県民の願いである基地の整理縮小にどう生かしていくかとの御質問にお答えをいたします。
 最近のジョーンズ米海兵隊総司令官の発言や超党派の国防専門家グループのレポートで、沖縄県民の負担の軽減を図る立場から海兵隊の訓練の移転や兵力の削減について提言が行われるなど、在沖米軍基地について米本国内にも新しい動きが出ていることに県は注目しているところであります。
 これらの提言は、国防専門家としての立場から行われたものでありますので、県としてはアメリカの新政権の中でこれらの提言がどのような形で政策に反映されていくのか、今後の動向を注意深く見守りながら県民の基地負担の軽減を図る観点から適切に対応していきたいと考えております。
 いずれにしましても、県としては県民の願いである基地の整理縮小が一歩一歩着実に推進できるよう取り組んでいきたいと考えております。
 次に、同じく基地問題について、15年使用期限問題の知事の決意と解決に向けて、今後日本政府に対してどのように対応していくかとの御質問にお答えをいたします。
普天間飛行場は市街地の中心部にあり、市民生活に深刻な影響を与えていることから、その早期返還を県政の重要課題として取り組んできました。
 15年の使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が55年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から使用期限を設け、国に強く求めているものです。
 県としては、代替施設の15年使用期限についてこれまでもあらゆる機会に要請してきたところであります。最近でも全国知事会や代替施設協議会等で国に要望しており、政府内においてもより認識が深まってきているものと考えております。
 県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ、明確な考え方を示すべきであると考えており、引き続きあらゆる機会に強く求めていく考えであります。
 なお、代替施設の15年使用期限問題が着工までに何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えております。
 続きまして同じく基地問題について、軍民共用空港の民間空港の機能及び民間航空機の需要についてどう考えているかとの御質問にお答えをいたします。
 県は昨年、移設候補地を選定した際、「移設にあたって整備すべき条件」の一つとして、「代替施設は、民間航空機が就航できる軍民共用飛行場とし、将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものであること」を提示しております。
 第2回代替施設協議会において、「空港関連産業の育成・誘致及び空港を活用した産業等のための条件の整備・検討を進め、具体的な事業展開が図れるようにする必要がある」こと、「代替施設には、民間機能としてのエプロン等の基本施設や旅客ターミナル等を併せて設ける」必要があることを説明しました。
 民間機能における航空機の需要については、那覇空港における既存の調査結果や北部地域における航空貨物の実績並びに今後展開される多くの振興策等を勘案しながら、民間機能における潜在的ポテンシャルを求めました。
 また、北部地域にある主要ホテルの利用者は、年間延べ約260万人の観光客に利用されていることなどから、北部地域の航空旅客は現状でも一定の利用可能性があると考えています。
 県の独自の推計では、2010年度に関東、関西、中部方面に1日6便(3往復)程度の就航を見込んでおります。
 基地問題についてのうち、10月11日に国際自然保護連合(IUCN)の総会でジュゴンの保護勧告案が決議されているが、どう受けとめ、どう対処していくのかとの御質問にお答えをしたいと思います。
 去る10月11日、国際自然保護連合の世界自然保護会議においてジュゴン等の保護に関する決議が採択されました。
 県は、普天間飛行場代替施設の移設候補地を選定した際、代替施設の建設については必要な調査を行い、地域住民の生活と自然環境への配慮を国に強く申し入れております。これを受け、国においては昨年末の閣議決定において、「地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」との安全・環境対策の方針を示し、「環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。」としています。
 第2回代替施設協議会において、環境影響評価とは別に、防衛庁が環境庁の技術的な助言を得てジュゴンの生息状況の予備的調査を実施することになり、去る10月末から調査が開始されております。
 また、第3回代替施設協議会において県は、住民生活への配慮や自然環境への影響を検討する必要があることなどから、サンゴと藻場について補足調査を要望し実施されることになりました。県としては、代替施設の建設に当たって、この方針に基づき政府において適切な措置がなされるものと考えていますが、引き続き自然環境への影響を極力少なくするよう要望していきたいと考えております。
 次に、基地問題についてのうち、宮城浦添市長が那覇軍港の一部機能の移設容認のこれまでの方針を撤回したけれども、県に直接説明はあったのか、方針変更についてどう思うかとの御質問にお答えいたします。
 宮城浦添市長が去る10月20日、浦添市長選挙に臨む考え方を表明し、那覇軍港の一部機能の移設を容認する考え方については撤回すると述べ、これまでの方針を変更しました。このことについて県は直接説明を受けておりません。
 また、昨年3月に宮城浦添市長と面談した際、市長から、ハブ港湾については民港として整備し、その一部は米軍にも使っていただくという浦添商工会議所の提案の趣旨を生かし具体的に検討していきたいと直接伺っていることでもあり、これまでの考え方を変更したことについてはまことに残念なことだと思っております。
 次に、同じく浦添市長は、西海岸開発は市の最重要課題として取り組むと主張しているが、軍港の移設と浦添市の西海岸開発は切り離して考えることができるのかどうかとの御質問にお答えします。
 平成11年度に実施した「那覇港国際流通港湾計画調査」では、国際流通港湾としての新たな開発整備の方向性が示されましたが、その実現のためには国の制度的、財政的な支援が不可欠であります。また、那覇港湾施設についてはSACO合意で浦添埠頭地区への移設を促進するとされており、改訂される港湾計画に基づく新たな港湾整備と那覇港湾施設の移設は密接に関連しているものと考えております。
 このため、浦添市西海岸地区の開発と那覇港湾施設の移設はあわせて検討する必要があり、今後国との協議を行うとともに、那覇市と連携しながら浦添市との合意形成に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、那覇市長選挙で、那覇軍港の浦添地先への移設促進と実効性のある跡地利用を推進するとの公約を掲げた翁長氏が当選したが、今後県はこの移設先問題について那覇市と連携してどう取り組むかとの御質問にお答えをいたします。
 県としては、産業振興や経済の自立的発展を図るためには、浦添市西海岸地区を含む那覇港を「ハブ機能を有する国際流通港湾」として整備することが重要であると考えております。
 また、26年間返還が実現されなかった那覇港湾施設の返還を促進するためにも、改訂される港湾計画の中で浦添埠頭地区に位置づけ、早期に港湾整備事業が実施できるよう条件整備を図っていきたいと考えております。今後、那覇港湾施設の移設に関し基本的な考え方が一致している那覇市長と連携をとりながら、浦添市との合意形成に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、日米地位協定に対して、河野外相の運用改善による対応が適切であるとの発言について、その真意と取り組み、対応について聞きたいとの御質問にお答えします。
 去る11月1日の衆議院外務委員会や11月10日の参議院本会議において河野外務大臣は、地位協定の改正が本筋であるとしつつも、運用の改善によりその時々の問題に機敏に対応していくことが合理的であり、地位協定の運用の改善に誠意を持って取り組む旨の答弁をされております。
 しかし、SACOの最終報告によって地位協定の運用の改善が行われた後も米軍基地に起因する事件・事故や環境問題などの諸課題が山積していることから、県民は運用の改善だけでは不十分であると考えており、日米地位協定の抜本的な見直しを求めることが県民の総意であります。県としては、このような県民の意向を体して、今後ともあらゆる機会を通して日米両政府に対し、日米地位協定の抜本的な見直しを粘り強く訴えていきたいと考えております。
 次に、基地問題のうち、知事の訪米についての御質問にお答えいたします。
 県は、基地問題は国の外交・防衛にかかわる問題であると認識しており、その解決に向けてはまず国家間で話し合いがなされるべきであると考えております。
 しかしながら、長い間にわたって過重な基地負担を背負ってきた本県にとって基地問題の解決は重要な課題であり、その解決を強く求める県民の意向を体して必要に応じ地元の声を米国政府等に伝えることは重要であると考えております。訪米の際には、基地の整理縮小や日米地位協定の見直しを含め本県が抱えている基地問題について米国政府等に要請するとともに、シンクタンクから依頼のある講演や企業誘致活動も行いたいと考えております。
 なお、訪米については、来年の1月20日に新大統領の就任式があり、その後、連邦政府や連邦議会の主要ポストも決まりますので、そのあたりも見きわめつつ、県内外の情勢も考慮しながら最も効果的な実施時期を判断したいと考えております。
 次に、新たな沖縄振興計画について、「選択と集中」を新たな方向性として示した沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会の中間報告についての見解を聞きたいとの御質問にお答えをいたします。
 国が設置した沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会の中間報告については、「沖縄の社会経済状況」、「産業の振興」、「社会資本の整備」、人材の育成等について現状、課題及び今後の施策のあり方が示されております。同報告書は、専門的立場で今後の本県の振興開発の方向について述べられたものであり、新たな沖縄振興計画県案の策定に向けての貴重な御意見として参考にしてまいりたいと考えております。
 同報告書と、県の作成した3次振計総点検報告書で示された沖縄振興の方向性は、基本的に共通するものが多いと認識しております。
 また、同報告書で示された「選択と集中」の概念についても、県の総点検報告書で示した基盤整備についての「目的志向型の戦略的・重点的な整備」、産業の振興についての重点を置くべき分野の戦略的な振興などと方向性は共通するものと理解をしております。
 次に、同じく振興計画のうち、3次にわたる振計に掲げた「格差是正」に対する考え方と新たな目標設定についてお答えをいたします。
 格差是正の目標については、これまで本県の振興開発を進める上で一つの理念として大きな役割を果たしてきたものと認識しております。
 しかしながら、第3次沖縄振興開発計画総点検報告書に対する沖縄県振興開発審議会からの意見書においては、「計画目標である本土との格差是正については、今後の本県振興の理念、目標の中でどのように位置づけるか、十分な検討を進める必要がある。」とされております。
 今後、計画の県案策定に当たっては、民間主導型経済の構築、アジア・太平洋交流拠点の形成、安らぎと潤いのある生活空間の創造、それぞれの特性を生かした各地域の均衡ある発展などを施策の柱として検討してまいりたいと考えております。県としては、審議会の意見を踏まえるとともに、県民が沖縄の将来像を描けるような夢と希望の持てる目標にすることが重要であると考えております。
 次に、同じく振興計画のうち、県独自の長期総合計画を策定する計画はあるのかとの御質問にお答えいたします。
 県の長期総合計画についてはこれまでも議論がありましたが、3次にわたる沖縄振興開発計画は、県が原案を示し国が策定することなどから県の総合計画としての役割を果たすものと認識してきたところであります。
 しかしながら、IT革命や経済のグローバル化、地方分権の進展など時代潮流が大きく変化する中で県の主体性と責任が求められてきており、県民参加の意義もこれまで以上に大きくなっています。また、沖縄県振興開発審議会の意見書の中でも計画の達成率が検証できるように具体的な目標値を設定するよう意見が出されております。
 このようなことから、県の長期総合計画については、今後とも沖縄県振興開発審議会を初め各界の意見も伺いながら、新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方を取りまとめる中で検討してまいりたいと考えております。
 次に、北部振興策について、協議会は東京で開催しているけれども、国側の調整機能を県内にある国の機関にゆだねて政策展開の迅速化を図るべきではないかとの御質問にお答えします。
 北部地域の振興に係る国の調整機能を県内にある国の機関にゆだねて政策展開の迅速化を図ることについては、去る11月に開催されました第5回北部振興協議会において地元名護市から、県内に政府の窓口を設け北部地域の振興を図ることについて検討していただきたいとの要望がなされたところであります。
 国においては、同市からの提案を受け、沖縄総合事務局の活用を念頭に検討を進めることとしております。県としましても、振興事業の円滑な推進を図る観点から地元の要望に沿う形で調整窓口などの設置が実現できるよう支援していきたいと考えております。
 次に、特別振興対策調整費事業についてのうち、沖縄産業振興・創業支援センター(仮称)の建設状況と活用についての御質問にお答えいたします。
 沖縄産業振興・創業支援センター(仮称)は、既存産業の高度化及び新産業の創出を図るため、諸施策を総合的かつ一体的に支援するための拠点施設として平成11年度に着工されました。同センターは7階建てのインテリジェントビルで、総床面積約1万5300平米、建設総事業費43億4000万円となっています。平成12年11月末現在、建設工事の進捗率はおおむね80%に達しており、平成13年4月の供用開始に向けて順調に進捗しております。
 同センターにおいては、これまで分散立地していた沖縄県産業振興公社を初め沖縄県工業連合会、沖縄県中小企業団体中央会等の各産業支援団体が集積することになります。同センターは、これらの各産業支援団体の有機的な連携のもとに、企業化のシーズから研究開発、経営、マーケティング等、各段階に応じて一貫した各種支援施策を総合的に実施する新事業創出支援体制の拠点として位置づけられております。
 今後、こうした機能を活用しつつ、既存産業の振興はもとより、本県の戦略産業として成長が期待される情報、観光、加工交易型産業の振興を図っていく所存であります。
 次に、農林水産業の振興についての御質問のうち、生産法人をどの程度育成するのか、またそれが軌道に乗るまでの課題及び県の支援・指導についてお答えいたします。
 さとうきびの生産振興を図るためには、農地の利用集積による生産法人の育成が必要であります。
 生産法人の育成については、営農用機械の導入に要する初期投資や運営資金の確保及びオペレーターの養成等の課題があります。このため、県としては生産法人に対してハーベスター、汎用管理機等の導入支援を行っております。
 また、初期投資の資金として農業経営基盤強化資金等の融資を行っております。
 さらに、オペレーターの養成については、農業機械利用推進事業やルネッサンス事業等による農業機械研修を実施しております。今後とも関係機関との密接な連携のもとで各種の支援・指導を図りながら、平成15年度までに46法人を目標に育成していく考えであります。
 次に、同じく農林水産業の振興についてのうち、玉城村、知念村で実施されている田園空間整備事業の概要と進捗状況についての御質問にお答えします。
 新たな農村整備に当たっては、農村を単に農業生産を支える生活の場としてとらえるのみではなく、自然と人間が織りなす農村の伝統文化に視点を置いた田園空間としてとらえることが重要となっております。
 玉城村、知念村においては、農村が有する豊かな自然、伝統文化を再評価し、農村アメニティー建設のため田園空間整備事業を実施しております。事業内容としては、「受水走水」の水田の復元を初め農業用水として利用された泉の復元、「斎場御嶽」へ結ぶ石畳道路等を整備する計画であります。総事業費は12億円で、整備期間は平成12年度から17年度を計画しております。
 なお、平成12年度は基本計画を策定し、それを踏まえて各工種の実施設計と関連施設用地の確保を行うことにしております。
 同じく農林水産業の振興についてのうち、田園空間整備事業についての北部地域への計画についての御質問のお答えでございます。
北部地域においては、世界遺産の今帰仁城跡を初め仲原馬場、八重岳、備瀬のフクギ並木、琉球藍等すばらしい自然と歴史的資源があります。これらの資源を活用した北部地域の魅力ある農村を形成するため、平成13年度に田園空間整備事業の調査を行い、14年度採択に向けて鋭意取り組んでいるところであります。
 次に、医療と福祉政策について、総合福祉センターの建設までの経緯と今後のスケジュール、設備機能の概要について御報告をいたします。
沖縄県総合福祉センター(仮称)は、本県の地域福祉の展開に欠かせない民間福祉活動の活性化や福祉人材の効果的育成等を行う総合的な拠点施設として県民が長い間待ち望んでいた施設であり、県としてもその実現に向け鋭意取り組んできたところであります。
 同福祉センターは、平成5年度に基本構想、平成6年度に基本計画を策定し、平成9年度に基本設計、平成11年度に実施設計を行いました。今後のスケジュールとしましては、今議会の議決を経て建設工事に着手し、平成14年度中に工事の竣工、供用開始を予定しております。
 総合福祉センターの主な機能としては、1、ふれあい交流機能、2、情報サービスの提供機能、3、ボランティア活動振興機能、4、民間社会福祉活動振興機能、5、高齢者の社会参加促進機能、6、福祉人材の養成、研修機能の6つの機能があり、具体的な施設としては多目的ホールや民間福祉団体の事務所、ボランティア室等が整備される予定であります。総合福祉センターの整備により、県民すべてが社会福祉に対する理解を深め福祉活動に積極的に参加することが期待され、皆が支え合う「ユイマール」の精神をはぐくみ、安らぎとぬくもりのある福祉文化の創造に大きく寄与するものと考えております。
 次に、沖縄マリンジェット観光に対する債権放棄について、解散に至る経緯と清算手続の方法についてお答えをいたします。
 沖縄マリンジェット観光株式会社は、平成8年12月に県、関係市町村、県内の経済界の資本参加のもと第三セクターとして設立された会社であります。県の財政支援や会社の営業努力にもかかわらずマーリンの利用率は18%から24%と低迷を続け、当初の事業計画で想定していた50%前後の利用率と比較して大幅な開きがありました。そのため県は、同社の経営に関して厳しい認識を持っていたところであります。
 また、平成11年2月県議会の附帯決議を受け、同社は経営診断を受けたところ、一企業の自助努力の限界を超えており、事業を継続することは困難であるとの判断をしたところであります。県としても、事業をこれ以上継続すると累積欠損はふえる一方であり、債権者や県民の損失を最小限に食いとめる責任があると認識し、早期の事業撤退を決断したところであります。
 以上のことから、同社は平成12年2月18日の臨時株主総会において会社の解散決議をするに至りました。会社清算は、商法の特別清算の手続により行っているところであります。
 その理由は、債務弁済の原資となる船舶の売却を有利な条件で処分する必要があったこと、県と沖縄振興開発金融公庫の大口債権者が債権額の95.2%を占めており一般債権者への弁済に配慮する必要があったこと、裁判所の関与と監督のもとで公平公正かつ迅速な清算を行う必要があったこと等を勘案したことによるものであります。
 次に、新石垣空港に係る位置決定の審議の状況と今後のスケジュールについての御質問にお答えいたします。
 新石垣空港建設位置地元調整会議は、新石垣空港の建設予定地であるカラ岳陸上案について、地元の方々の合意が得られる建設位置の確定に資するために設置されたものであります。
 地元調整会議は、石垣市長を議長として新空港建設予定地周辺の公民館、農業関係団体、漁業団体、自然保護団体及び行政機関のそれぞれの代表計12名で構成され、カラ岳陸上案のより具体的な建設位置を検討していただきました。
 同会議では、カラ岳の切削、農地への影響、周辺集落への騒音の影響、白保海域からの距離等を考慮して作成した3つの滑走路方位案及びそれぞれの滑走路方位案中の複数の建設位置案の計7案を検討した結果、位置選定委員会で選定された原案を南側に180メートル移動した案に決めていただきました。このたび地元中心の同会議で具体的な建設位置が決まったことにより、新空港の早期建設に向けて大きく前進することになるものと考えております。
 次に、同じく新石垣空港のうち、環境調査の課題と今後のスケジュールについてお答えいたします。
 新石垣空港建設に当たっては、白保海域の良好な自然環境の保全や貴重な野生生物を保護するために、学識経験者や環境保護団体等で構成する環境検討委員会や工法検討委員会を設置し、専門的な立場からの助言を得ながら環境保全のための十分な対策を検討していきたいと考えております。
 なお、今後のスケジュールといたしましては、今年度から平成13年度にかけて環境影響評価方法書の作成、環境現況調査、地形・地質調査等の諸調査や空港基本設計を実施する予定であります。その後、環境影響評価書の作成等、環境影響評価法に基づく諸手続を行い、関係地権者や関係団体の理解と協力を得て平成15年度には新空港の設置許可申請をし、許可を得て早期の事業着手に努めたいと考えております。
 続きまして、市町村合併の取り組みと今後の課題についての御質問にお答えをいたします。
 地方分権の推進や少子・高齢化の進展、介護保険、廃棄物処理問題及び日常生活圏の拡大など広域化、多様化する行政需要に的確に対応しつつ行政サービスの向上を図るためには市町村合併は避けて通れない大きな課題となっております。
 県は、これまで県・市町村行政連絡会議や各種行財政説明会を通して行政体制の整備に向けての助言や情報提供に努めてまいりました。
 また、久米島の具志川村、仲里村や具志川市、与那城町、勝連町及び宮古地域の各市町村長、さらには那覇青年会議所等民間団体とも意見交換を行い、去る9月27日にはリレーシンポジウムを開催するなど合併の機運が高まるよう努めているところであります。
 県では、近く市町村合併の推進のための要綱案を沖縄県市町村合併促進審議会に諮り、審議、答申を経て市町村合併の議論に資するための同要綱を策定するとともに、全庁的な推進体制を確立していきたいと考えております。
 今後の課題としては、市町村合併について広く県民の御理解を得ていく必要があることから、各種メディアを活用した広報活動の展開や地域別説明会の開催などを行い、県民に対して積極的に情報提供を行ってまいります。
 次に、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)2010年開催誘致について、予算や組織編成の面から勘案して今議会で明確な知事の表明が必要と考えるがという御質問に対してのお答えでございます。
 全国高等学校総合体育大会は、高等学校教育活動の一環として広くスポーツ実践の機会を与え、技能の向上とスポーツ精神の高揚を図り、心身ともに健全な高校生の育成と親睦を図るために開催される我が国最大の高校生のイベントであります。
 本県において大会が開催されることは、高校生のみならず、小学生、中学生に大きな夢と希望を与え、スポーツの普及・振興が図られるとともに、本県教育の活性化に寄与するものであります。さらにそれぞれの市町村が一体となり誘致開催に取り組むことは、地域の活性化を促し県勢発展に大いに資するものと考えます。
 大会の開催に当たっては、競技施設の整備や選手強化等長期的な取り組みが必要であり、市町村等関係団体や関係機関の協力を得て諸準備を進めていきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○教育長(翁長良盛) 世界遺産登録に関連いたしまして、渡久地議員の御質問にお答えいたします。
 保存、活用方法、特に周辺の整備事業についてという御質問にお答えいたします。
 「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産登録は、琉球独自の文化遺産が顕著な普遍的価値を有する人類全体の遺産として高く評価されたものでありますが、同時にこれらの遺産を恒久的に保存していくこともまた県民の重要な役割だと考えます。
 世界遺産に登録された資産の保存につきましては、これまでも文化財保存整備の一環として取り組んでまいりました。今後は、世界遺産登録を契機になお一層適切な保存整備と管理に努めてまいりたいと考えております。
 利活用につきましては、児童生徒の郷土学習や総合学習などに活用するとともに、県民の生涯学習の場としての活用を推進していきたいと思います。また市町村が既に実施しているグスクを活用した取り組みなどを積極的に支援し、遺産群を中心とした地域活性化を図っていきたいと考えております。
 なお、周辺整備事業については、関係部局の協力を得ながら核となる世界遺産の保護は言うまでもなく、特に駐車場の整備を初め周辺地域の環境保全に配慮させていきたいと思います。
 次に、沖縄特別振興対策調整費に関する事業に関連いたしまして、国立高等専門学校の誘致の具体化、創設準備委員会による建設場所決定、その規模及びスケジュールについてという御質問にお答えいたします。
 国立高等専門学校の設置については、平成12年4月に琉球大学に国立高等専門学校(沖縄)創設準備委員会が置かれ、創設に関する基本的事項についての検討が進められております。
 同委員会から、去る8月に出された国立高等専門学校(沖縄)の創設についての中間まとめによると、学校の建設位置については沖縄県から推薦した名護市辺野古地区となっております。また学校規模については敷地が約15ヘクタールで、設置学科は4学科、生徒数は1学年160名となっております。今後、同委員会のもとに専門部会が設けられ、さらに具体的な検討を行うことになっておりますが、最終的な決定は文部省が行うことになっており、現在のところ開校までのスケジュールについては示されておりません。
 なお、次年度は引き続き創設準備が行われることになっており、概算要求には基本設計費が盛り込まれております。
 最後に、少年法の改正に伴う青少年、児童生徒の指導の方針についてという御質問にお答えいたします。
 全国的に多発している少年犯罪の防止を図るため少年法が改正されました。
 このことを受けて県教育委員会は、少年法改正の趣旨などをあらゆる機会や場を通じて各学校に周知徹底を図っていきたいと考えております。各学校においては、他人を傷つけたり恐喝するなどは犯罪であり、子供であっても絶対に許されないとの毅然とした態度で従来にも増して指導する必要があると考えております。
 県教育委員会におきましては、児童生徒の人格を尊重し、信頼関係に立つ学校づくりを目指した人権教育の徹底、児童生徒が夢と希望の持てる学校づくりのための進路指導、生徒指導の強化、家庭、関係機関・団体と学校が一体となった地域づくりのための連携の強化をさらに推進していきたいと考えております。
 また、他への思いやりや命の大切さなど心豊かな児童生徒を育成するため、ボランティア活動や体験活動などを生かした心に響く道徳教育の充実、幼児、高齢者、障害のある人々との触れ合いを実施する学校行事などの充実に鋭意努めていきたいと考えております。
○知事公室長(親川盛一) 渡久地議員の基地問題についての御質問にお答えをいたします。
 まず、去る8月に代替施設協議会が設置され数回にわたり協議会が開催されているが、これまでどのようなことが協議されたかという御質問にお答えをいたします。
 代替施設の基本計画の策定を協議する代替施設協議会は、去る8月25日の初会合からこれまで4回開催されております。
 第1回協議会においては、協議会の設置や今後の取り組みについて話し合われ、普天間飛行場代替施設の規模、工法、具体的建設場所、その他代替施設の基本計画の策定に必要な事項について協議すること、また協議に当たっては安全・環境面に十分留意することなどが了承されました。
 第2回協議会においては、県の方から軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけについて説明し、同位置づけにおいては今後の協議に生かしていくため運輸省の知見もいただきながら引き続き関係機関で検討を深めていくことが確認されました。また、ジュゴンの生息状況の予備的調査について防衛庁が環境庁からの技術的な助言を得て実施することが了承されました。
 第3回協議会においては、キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域の地形、生物分布等の状況として藻場やサンゴ等の分布状況について防衛庁から説明があり、経年変化が予想されるサンゴと藻場について沿岸を中心とした周辺地域の状況を含め補足調査を実施することが了承されました。
 また、先日開催された第4回協議会では、航空機騒音を初めとする生活環境等について防衛庁から説明があり、代替施設の具体的建設場所等の検討に当たっては、自然環境や生活環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限努力を行うとの基本方針に基づき検討を行うことが確認され、これに関連して米軍ヘリコプターによる現地試験飛行を実施することが了承されました。さらに、今後協議される工法について総合的、具体的な検討に用いる資料を入手するため部外団体へ作業依頼することが了承されました。
 このように基本計画策定に当たって具体的な課題について一つ一つ協議が進められております。
 次に、国、名護市、県の3者による実務者連絡調整会議が設置されたが、設置目的、協議内容は何か、また県はどのような立場で対処をしていくのかという御質問にお答えをいたします。
 実務者連絡調整会議は、代替施設協議会における名護市長の要望を踏まえて国が設置したものであります。同調整会議は、国、県及び名護市の実務者レベルで閣議決定に盛り込まれている代替施設の使用に関する協定及び名護市内の既存の米軍施設・区域に係る事項について協議することを目的としております。
 県としては、名護市が求めている使用協定等について市と連携して名護市の要望が実現されるよう取り組んでいきたいと考えております。
 次に、県はこれまで那覇港湾施設の移設問題等について浦添市とどのような調整を行ってきたのかという御質問にお答えをいたします。
 これまで県と浦添市は、那覇港湾管理一部事務組合の設立及び那覇港港湾計画の改訂に向け事務的な調整を行ってきたところであります。このような中で、ことし3月には那覇港国際流通港湾計画調査を踏まえ港湾計画改訂の素案を作成したところであり、また一部事務組合の設立に向けて継続して取り組んでいるところであります。
 那覇港湾施設の移設については、これまで事務段階での話し合いを行ってきましたが、県と浦添市では移設に関する基本的な考え方に相違があり、現在のところ進展していない状況であります。
 次に、緊急車両の基地内道路の通行に係る現地での合意内容及び日米合同委員会での決着の見通しについての御質問にお答えをいたします。
 緊急車両の基地内道路の通行については、昨年9月に開催された第18回三者連絡協議会いわゆる三者協に県が議題として提案し、今後事務レベルで検討していくことが確認されました。
 三者協での協議結果を踏まえ、昨年11月、米側及び県の関係者によるワーキングチームが設置され、緊急自動車へのステッカーの貼付、米側への事前通報、米軍車両による先導など実施に向け具体的な方法や条件について現地レベルで協議が重ねられてきました。その結果、本年4月、米側との間で本事項の実施についておおむねの了解が得られました。その後、在日米軍において、本事項の実施は米軍と地域社会とのよき隣人関係の構築に寄与する取り組みであるとの評価がなされ、すべての在日米軍施設において適用できる枠組みを設定するため、現在、日本政府との間で集中的な協議がなされているところであります。
 県は、これまで本事項の一日も早い実現を日米両政府に対し強く働きかけてきたところであり、年内にも本事項に係る日米間の合意が得られるものと考えております。県としては、本県における基地問題の解決を促進するためにはできるだけ現地で早期に対応することが重要であると考えており、現地司令官の権限を強化するよう引き続き日米両政府に対し働きかけていきたいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 新たな沖縄振興計画のうち、沖縄振興新法のあり方や新たな計画の考え方についての来年5月までの具体的な作業と取り組みについてお答えいたします。
 現在、新たな沖縄振興計画策定に向けて基本的な考え方の素案づくりを進めているところであります。今後、県議会を初め各種団体等の意見も踏まえ、来年の3月までには沖縄振興新法及び新たな計画の枠組みや骨子等について沖縄県振興開発審議会への諮問案を求めてまいりたいと考えています。その後、沖縄県振興開発審議会における審議等を踏まえた上で、来年の5月をめどに県の基本的な考え方を決定してまいりたいと考えています。
 次に、新たな沖縄振興計画のうち、沖縄開発庁及び内閣官房内政審議室の体制と取り組み及び県との連携についてお答えいたします。
 来年1月の中央省庁再編に伴い、沖縄開発庁及び内閣官房内閣内政審議室の沖縄問題担当室は、内閣府の沖縄担当部局として発足することになっております。
新たに発足する組織は、沖縄担当大臣のもとに沖縄振興局が設置されるとともに、企画・立案、総合調整等の業務を担当する政策統括官が設けられ、沖縄振興新法の制定とそれに基づく新たな沖縄振興計画の策定業務が一元化されることから、沖縄振興の推進体制がより強化されるものと期待しております。県としては、新たな沖縄振興計画の策定が円滑に推進できるよう連携をより強化してまいりたいと考えております。
 次に、同じく新たな沖縄振興計画のうち、沖縄経済振興21世紀プランの位置づけについてお答えいたします。
 21世紀プランは、沖縄経済の自立的発展に向け具体的な施策を盛り込んだ実践的な経済振興プランであります。
 一方、新たな沖縄振興計画は、沖縄振興新法に基づき経済振興はもとより、教育・福祉や社会資本の整備、圏域別の振興等を含む沖縄振興の総合的な計画として策定されるものと考えております。県としては、21世紀プランの実効性を確保するため沖縄振興新法に明確に位置づけるよう去る8月に政府に要望したところ、政府としても本プランの内容が新たな沖縄振興計画に反映されるよう前向きに検討するとの方針が示されております。
 次に、新たな沖縄振興計画について、沖縄総合事務局が実施した市町村の現状と課題に係る調査について県の見解はどうか、また今後どのように反映していくのかについてお答えいたします。
 沖縄総合事務局が実施した同調査については、社会資本の整備、産業振興及び福祉・保健など今後の沖縄振興に当たっての市町村の考え方を把握する上で貴重なものと考えております。県としては、現在、新たな沖縄振興計画の中に圏域別振興のあり方を明確に位置づけるため個別にヒアリングを行うなど市町村との意見交換を行っております。今後、基本的考え方の素案の策定に向けては同調査も参考にしていきたいと考えております。
 次に、北部振興策のうち、「北部振興協議会」及び「移設先及び周辺地域振興協議会」の開催における地元要望と国の方針等の協議内容についてお答えいたします。
 北部地域の振興については、産業の振興による雇用機会の創出や魅力ある生活環境の整備による定住条件の整備を図り、地域の持続的な発展を目指すことが重要であります。
 こうした観点から、北部12市町村及び移設先等3市村においては、地元の創意と工夫を生かした「北部地域振興に係る基本的考え方」や「普天間飛行場移設先及び周辺地域振興事業の推進に係る基本的考え方」を策定し、国に要望しております。北部市町村からの要望を踏まえ、第2回北部振興並びに移設先及び周辺地域振興協議会の合同会議において、地元地域の要望を最大限に尊重した内容の「北部振興並びに移設先及び周辺地域振興に関する基本方針」が決定されております。
 また、平成12年度北部振興事業については、地元からの要望を受け熟度を勘案しながら順次調整を進め採択されており、去る11月の第5回北部振興協議会で地元からの要望事業のすべてが決定しております。
 次に、同じく北部振興策のうち、平成12年度に採択された事業内容及び次年度以降の採択方法についてお答えいたします。
 平成12年度北部振興事業として採択された事業は、非公共事業13事業、公共事業11事業の合計24事業であります。
 非公共事業においては、新たな雇用機会を創出する観点からIT産業等集積基盤整備事業、サーバーファーム整備事業や食肉処理施設整備事業などが実施され、さらに今後の産業振興や新たな事業の展開に向けた調査事業なども実施することとしております。
 公共事業においては、地域の生活環境の向上や景観形成に資する観点から海岸整備事業や港湾改修事業などを実施することとしております。
平成13年度以降の事業については、本年度から実施する北部振興事業基本構想策定事業などの結果を踏まえ、産業の振興や定住人口の増加につながる事業を中心に協議会に提案していくことになります。
 事業の採択に当たっては、熟度の高まりなどを勘案しつつ実情に応じて順次採択されていくものと考えていますが、可能な限りまとまった形で事業採択ができるよう調整を図っていきたいと考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後0時  休憩
   午後0時1分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 渡久地健君の質問に対する残りの答弁については、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午後0時2分休憩
   午後1時20分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 午前の渡久地健君の質問に対する答弁を継続いたします。
 商工労働部長。
   〔商工労働部長 當銘直通君登壇〕
○商工労働部長(當銘直通) 沖縄特別振興対策調整費に関する事業についてのうち、特別自貿地域の賃貸工場の入居状況と今後の見通しについてお答えいたします。
 賃貸工場は、立地企業の初期投資を軽減し特別自由貿易地域への企業立地の促進を図るとともに、本県における産業振興や貿易の拡大に資するため企業立地の受け皿施設として沖縄特別振興対策調整費を活用し整備したものであります。
 同施設は、独立平面型の1000平米タイプ3棟、1500平米タイプ2棟、2000平米タイプ1棟の合わせて6棟で、平成12年4月から供用開始しております。
現在の入居状況は、EMを連続培養する装置の製造を行う企業1社、イタリアのタイルメーカーと技術提携しタイルの輸入加工を行う企業1社の合計2社が入居しております。
残りの4棟については、これまで積極的に誘致活動を行ってきたところ、賃貸工場への入居に関心を示している企業が数社あり、事業計画等について調整を進めております。県としましては、今後とも関係機関との連携を図りながら、国内外の企業に対する積極的な企業誘致活動を展開していきたいと考えております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 沖縄自動車道の通行料金割引とその経済効果についての御質問にお答えいたします。
 沖縄自動車道の通行料金については、北部―中南部間の円滑な交流を促進し、観光産業を初めとする本県の経済振興を図るため、平成11年7月1日から平成14年3月31日までの時限措置として3割程度の割引が実施されております。
 料金割引を実施した平成11年7月から平成12年6月までの1年間の利用台数を前年と比較しますと、前年の1322万台に対し1810万台と488万台、率にして36.9%と大幅に増加しております。
 その経済効果としては、利用台数の大幅な増加から判断しますと、1つ目に、移動時間の短縮や輸送コストの低減により企業活動の効率化が図られること、2つ目に、北部と中南部間の交流が促進されること、3つ目に、利用者の増加により中南部の交通渋滞の緩和に寄与することなど観光産業を初め本県の経済振興に大きく貢献しているものと考えております。県としては、国に対し引き続き通行料金の割引措置を要請してまいりたいと考えております。
 次に、沖縄マリンジェット観光への県の財政支援状況と債権を放棄する理由と内容についてお答えをいたします。
 マリンジェット観光に対する県の財政支援状況は、出資金として2億円、補助金として6億8400万円、貸付金残高として8億5191万9000円であります。以上、出資金、補助金、貸付金残高を合計した財政支援額は17億3591万9000円であります。
 同社の特別清算人は、協定案として県から借り入れた貸付金とそれに係る遅延利息と違約金の放棄並びに株式会社琉球銀行に対する保証債権の放棄を申し出ており、県として県議会の議決を停止条件に同意したところであります。
 県の債権放棄の内容は、1つ目に、沖縄マリンジェット観光株式会社に対する長期短期貸付金残高約8億5000万円から弁済額約1億500万円を差し引いた額約7億4500万円に遅延利息、違約金を加えた額の放棄であります。
 2つ目に、琉球銀行がマリンジェット観光株式会社の長期貸付金に遅延利息を加えた額に行った保証に係る債権の放棄であります。
 次に、県が債権を放棄する理由は、1つ目に、沖縄マリンジェット観光が県の主導で設立し、その運営に深く関与した会社であること、2つ目に、その財務状況が債務超過の状態にあり、債権者に対してすべての資産を売却しても債務を弁済することができない状態にあること、3つ目に、マリンジェット観光の特別清算を円滑に進める必要があること、4つ目に、琉球銀行の連帯保証債務について、県の行政目的を果たすためマリンジェット観光に非常勤かつ無報酬で役員に就任していた県関係者が保証人になっていることから、同人に保証履行が求められない処理をする必要があること等によるものであります。
 同じくマリンジェット観光関連で、従業員の他の職場への再就職状況についての御質問にお答えをいたします。
 沖縄マリンジェット観光株式会社の常勤役職員は、会社解散時で役員3名、職員8名、船員12名、計23名でありました。
民間会社の協力によりマリンジェット観光株式会社に出向していた役員3名、船員10名は、出向元の御理解を得てそれぞれの職場に復帰しております。
 また、マリンジェット観光で採用された正職員5名、船員2名、臨時職員3名については、県が関与した会社の清算であることから再就職先のあっせんに努め、現在清算事務に携わっている1名を除き全員再就職しております。
 以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) 農林水産業の振興についての御質問にお答えします。
 まず、農業研究センター用地として取得した土地面積、契約に同意した地権者はどの程度かとの御質問にお答えします。
 農業研究センターの移転整備については、平成7年度から用地取得を開始し、平成13年度に移転する計画でありましたが、用地取得が難航したため移転整備が大幅におくれている状況にあります。
 平成12年11月末現在における用地取得の状況は、68ヘクタールのうち48.6ヘクタールで71%、契約に同意した地権者は286名のうち235名で82%となっております。
 次に、なぜ用地取得が難航しているか、取得するために市や関係者の協力はどうなっているかとの御質問にお答えします。
 用地取得が難航している主な理由は、農業経営の継続を希望している専業農家の代替地条件が厳しいためその対策に時間を要していること、2点目に、土地価格不満や補償額不満の調整に時間を要していること、3点目に、相続問題の処理に時間を要していることなどであります。
 用地取得については、沖縄県土地開発公社に委託しておりますが、当初から糸満市や糸満市農協にも御協力をいただいているところであります。
 次に、農業研究センターの建設がおくれることで農業振興の方面でどういう影響があるのかとの御質問にお答えします。
 農業研究センターは、21世紀を展望した特色ある亜熱帯農業の技術開発と農業技術を通した国際交流の拠点とすることを目的に現在の農業試験場を組織再編し移転整備するものであります。
 厳しい産地間競争などに対応するためには、先端技術や高度な機器を駆使しブランド化に向けた新品種の開発や栽培技術、土壌改良技術等を確立するとともに、環境保全型病害虫防除技術の開発や台風、干ばつ等に対する防災技術の研究を推進し、より安定的な生産システムを確立する必要があります。
 新しい農業研究センターは、これらの研究課題に十分対応できるように機能強化された体制を目指しており、本県農業の発展に大きく寄与するものと期待しております。狭隘で老朽化している現農業試験場の施設では、今後一層進むと予想される国際化への対応のおくれが懸念されることから、早期の移転整備に向け強力に取り組んでいるところであります。
 次に、農林水産品及び工業品の輸送費用の軽減について、1つ目には、助成制度についてはたばこ特別税を財源として創設することを検討しているのか、また他の助成制度の道はあるのか、2点目の戦略品目のうち工業製品、農林水産品の品目はどうなっているのか、3点目の助成制度創設による生産波及効果と雇用効果の予測については関連しますので一括してお答えします。
 大消費地から遠隔地にある本県において、輸送費用の軽減は市場競争力を強化し県外市場の拡大を図る上で大きな課題となっております。そのため県としては、輸送費用の軽減策としてたばこ特別税などを財源とした輸送費助成制度の創設を検討しているところであります。対象品目としては、農林水産品が野菜、花卉、果樹、養殖魚介類等の戦略品目、工業製品が泡盛、健康食品などであります。
 この輸送費助成制度による波及効果は、単年度で出荷額約95億円、雇用約2800人と試算しており、生産拡大及び雇用創出が期待されます。輸送費軽減策につきましては、今後とも関係各団体等と連携しながら、その実現に向けて検討を重ねていきたいと考えております。
 次に、JA関連の御質問の、5JA構想を取りやめ1JA構想が想起されたことについて、2点目の県内JAの経営環境や財政について、3点目に1JA構想の実現に向けて県のかかわり方及び支援策については関連しますので一括してお答えします。
 このたび、JA中央会が1JA構想を打ち出したことについては、昨今の社会経済情勢の変化に迅速に対処し、組合員農家や地域社会のニーズに適切にこたえるための措置であると考えております。
 県内JAの経営環境は、農業生産の伸び悩みに伴い購買事業、販売事業の不振が続いております。また信用事業においては金融システムの大改革が進む中、早期是正措置やペイオフ解禁への対応が迫られており、今後の競争社会を乗り切るためには体力の強化が必要であります。
 こうした中、全県を単一JAとして抜本的に組織再編することは財政基盤が強化され、農業・農村の振興発展に大いに貢献することが期待されます。県としてもJAの組織再編に対し積極的に協力していく考えであります。
 次に、漁協に対し県が公的資金を投入して損失補償しなければならない理由は何かとの御質問にお答えします。
 漁業協同組合は信用事業、共済事業、経済事業などを通じて組合員の社会的・経済的地位の向上を図るとともに、漁業権の保有・管理という重要な役割を担っています。
 漁協が営む信用事業に対しては、経営が悪化し自己資本比率が4%以下になると、行政手法として業務の改善や停止命令を発しなければならない早期是正制度が平成10年度から導入されております。
 本県にあっては読谷村、那覇地区、平良市、八重山の4漁協の自己資本比率が極めて低いためこのまま放置すれば信用事業の停止命令を発せざるを得なくなり、漁業者の生産活動のみならず漁家経済にまで大きな影響を及ぼし地域社会の混乱が懸念されます。このため、県としては漁業者の生産活動の維持・確保や信用不安を回避し漁協経営の再建を図るため、関係市町村と連携して損失補償を行うことにしております。
 次に、損失補償をすれば漁協の経営健全化は図られるのか、また漁協に対する指導はどのような姿勢で臨むのかとの御質問にお答えします。
 今回、損失補償の対象となる4漁協は、経営改善を図るため財務改善計画を策定しております。財務改善計画では収益事業の改善、事業管理費の節減、漁業補償金の充当、遊休・過大資産等の売却、増資などであり、経営の再建を図ることにしております。
 財務改善計画の実行に当たっては、漁協の役職員及び組合員の責任のもとで着実に遂行することを確認し経営責任を明確にしております。
 また、経営改善計画の実効性を確保するため県、関係市町村、系統団体による財務改善管理機関を設置し定期的に進行管理を行う考えであります。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 医療と福祉政策について、県立那覇病院移転計画との関連で、農業研究センター移転計画との関連で計画どおり進められるのかとの御質問、それから高度機能及び子ども病院機能の充実についての御質問は、関連がございますので一括してお答えいたします。
 高度多機能病院の構想については、老朽化している県立那覇病院の改築に合わせて本県の医療の課題を解消するため、特に人口の集中している南部保健医療圏を中心として高度医療や救命救急医療、母子総合医療、離島医療支援、国際医療協力支援等の事項について「地域医療を支援する高度で多機能な病院検討委員会」を設置し検討しているところであります。
 病院立地の候補地については、農業研究センター構想の所管部との理解を得ながら十分な調整を行い、計画どおりに進められるように努めていきたいと考えております。
子ども病院機能については、本県において周産期の死亡率が高い状況や小児医療に課題があることから、これらの包括的な医療の実施を図る必要があり、高度多機能病院内で母子総合医療センターとして設置する方向で検討しております。
 次に、離島医療組合に対する取り組み、特に伊江村、与那国の実態と対策についての御質問にお答えいたします。
 本県は多くの離島を抱えていることから、離島医療の確保は重要な政策課題の一つとして取り組んでいるところであります。
 その一環としまして、平成9年4月に沖縄県離島医療組合を設立し、本年4月には公立久米島病院の運営が開始されました。県としましては、離島医療組合に対して医師、看護婦等医療要員の派遣と運営負担金の予算措置を行い、その安定的運営を支援しているところであります。
 離島医療組合につきましては、県と離島町村が一緒になって医療を確保する枠組みができたものであり、今後の離島医療確保のモデルになるものと考えております。現在、伊江村と与那国町におきましてはみずから診療所を設置し医療確保に努めておりますが、安定した医療を確保するためには両町村営診療所を離島医療組合に加入させることが肝要だとして加入促進の要請を受けております。
 今後、診療所の運営を離島医療組合事業として取り組んでいくには、共同で処理する事務内容の確認等の幾つかの課題があることから、関係町村との協議を踏まえながら、また他県の取り組み等も参考にしながら検討を進めていきたいと考えております。
○総務部長(與那嶺恒雄) 沖縄マリンジェット観光株式会社に関連しまして、第三セクターについてお答えいたします。
 第三セクターの全国の状況については、平成11年1月1日現在の公社、協会、基金、株式会社等その名称のいかんにかかわらず地方公共団体が出資または出捐を行っている民法法人または商法法人を対象に自治省が行った調査によりますと、都道府県の出資に係るものが3251団体となっております。
 その経営状況については明らかにされておりませんが、景気の低迷や経営不振等から厳しい団体が多数あるものと聞いております。
 一方、沖縄県における第三セクターの状況については、県が25%以上の出資、または人的支援を行っている団体は60団体でございます。
 平成11年度末の経営状況は、都市モノレール株式会社や産業振興センター等事業開始に至ってないものを含めた株式会社9社のうち7社が累積欠損金を有しており、またその他の公社等51団体の中にも厳しい経営状況の団体がございます。
 県としましては、今年度から取り組んでいる「沖縄県行政システム改革大綱」において、公社等外郭団体との適切なパートナーシップの構築を図るため情報開示を促進するとともに、公社等外郭団体のあり方について改めて見直しを行い、統合すべきものは統合を進め、県職員の派遣のあり方を含めて役職員数の見直しや事業の合理化、経営の改善を進めていくこととしております。
 また、県財政の健全化を図る観点からも公社等外郭団体の行っている事務・事業について必要性、緊急性、効果等に関し総点検を行い、財政支援のあり方を再検討することとしております。
 以上でございます。
○警察本部長(西村泰彦) 少年法改正に伴う県警の取り組みについてお答え申し上げます。
 今回の少年法改正で刑罰対象年齢が引き下げられたことは大きな変更点の一つであります。
 現行少年法では14歳、15歳の少年は刑罰を科されることなく少年審判で保護処分に付されるのみであり、16歳以上の少年には保護処分か裁判で刑罰を科することも可能であります。
 これに対しまして、改正された少年法では14歳、15歳の少年事件でも家庭裁判所が刑事処分相当と認めれば刑罰が科されることもあります。
 過去3年間の県内における14歳、15歳の少年による強盗、強姦などの凶悪犯罪の検挙人員の総合計は13人で、14歳が6人、15歳が7人でありまして、殺人事件での検挙はありません。
 これらの過去3年間の14歳、15歳の少年犯罪のうち「改正少年法」によれば刑事処分相当と認められる犯罪につきましては、個々の事件を審判する家庭裁判所の所管となりますので、渡久地議員がお尋ねの該当事件数及び人員につきまして県警としては把握しておりません。
 次に、少年犯罪防止についてお答えいたします。
 凶悪化する少年非行の背景には青少年の規範意識の希薄化、家庭のしつけや学校のあり方、地域社会の青少年問題への無関心、青少年を取り巻く環境の悪化などの要因が複雑に絡み合っているものと考えられるところであります。
 したがいまして、この問題への対処に当たっては少年法改正のみならず家庭、学校、地域において関係者・機関・団体が協力し、一丸となって取り組んでいくことが必要であると考えております。
 そこで、県警といたしましては、関係機関・団体と協議いたしました結果、去る11月30日に「沖縄県少年育成ネットワーク」が設立されました。これは少年の深夜徘回等の不良行為を防止し、青少年を健やかにはぐくむ環境づくりに県民総ぐるみで取り組むため県内の行政機関を初め民間の各種業界、組合、団体など76の組織で構成され、それらが相互に連携を図りながらそれぞれの立場で街頭補導、酒、たばこの少年への販売自粛など自主的な活動や規制を行おうとするものであります。県警といたしましては、今後、本ネットワークに参加された皆様と連携して家庭、教育現場や地域社会と一体となって少年の非行防止、健全育成を図ってまいる所存であります。
 次に、マルチ商法「ユーゼン」、「古さと会」の被害実態についての県警の調査状況についての御質問にお答え申し上げます。
 本件につきましては、現在、会員などからの事情聴取等所要の情報収集を行っているところでありまして、詳細につきましては答弁を控えさせていただきたいと思います。今後、刑罰法令に触れる事実があれば厳正に対処してまいります。また、刑事告発につきましては、告発があれば適切に対応してまいります。
 なお、過去におきまして本県において多数の被害者が出た事案としまして、平成8年から9年にかけて経済革命倶楽部いわゆるKKCによる詐欺事件について警視庁、神奈川県警等との共同捜査により被疑者を検挙した事例があります。
 以上です。
○文化環境部長(宮城光男) マルチ商法「ユーゼン」、「古さと会」の被害実態とその対策についての御質問のうち、県民生活センターの相談件数と組織の強化についての御質問にお答えします。
 株式会社「ユーゼン」、「古さと会」の被害につきましては、県内において平成11年に同2業者のマルチ商法を装うネズミ講まがい商法がはやり、知人、友人、模合仲間等からの口コミを通して急速に広がり、主に40代から60代の女性の被害者が多く出ました。
 この件に関する相談件数は、平成11年96件、平成12年11月末までに30件と、合わせて126件となっております。県としては、当該2業者について昨年11月から県民に注意を喚起するために新聞紙上にも取り上げ被害防止に努めてまいりました。今後も被害の防止に努めるとともに、被害に遭った人たちに対して法的な説明や助言などを行っていきたいと考えております。
 なお、県民生活センターにおける一般的な消費生活相談件数につきましては平成2年度は2788件、平成11年度は5276件と10年間に約2倍に増加しております。県としましては、これらの事態に十分に対応していけるように県民生活センターの強化に努めてまいりたいと考えております。
 それから同じくマルチ商法関連で、刑事告発の見通しはどうかという御質問にお答えいたします。
 株式会社「ユーゼン」と「古さと会」の被害者は、現在、被害者の会の結成に向けて準備中であり、その際、県民生活センターの専門相談員である弁護士が法的な説明・助言を行うこととしております。
 なお、刑事告発等については被害者が行うものでありますので、県としては被害者の会がどうされるのか今後の推移を見守っていきたいというふうに考えております。
○國場幸之助 通告に従いまして自由民主党を代表し質問をさせていただきます。
 この12月定例議会は、非常に多くの意味が込められた議会であると私はとらえています。98年に誕生した稲嶺知事就任の折り返し地点に当たる議会であり、32年ぶりに県都那覇市において保守・中道の翁長雄志市長が誕生した後の初めての県議会であります。那覇軍港の移設問題を初め県と那覇市が連携をしなければ解決できないさまざまな懸案事項に本格的に取り組む足がかりができたわけであります。さらには今世紀最後の議会であります。
 私は、ここで稲嶺県政の中間決算並びに県都との連携、さらには20世紀の総括と21世紀の展望が開けていけるような代表質問を1年生議員の目から見た素直な視点で行っていきたいと思います。
 1、新たな沖縄振興開発計画について。
 平成4年度にスタートした第3次沖縄振興開発計画も平成13年度をもって終了します。昭和46年12月に制定された沖縄振興開発特別措置法に基づく第1次沖縄振興開発計画から本土との格差の是正、自立的発展の基礎条件の整備が図られ、3次振計においては、我が国の経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域としての整備を図るという新たな目標が掲げられました。終戦からの復興、27年間の米軍支配からの脱却、本土との同等な基礎的社会基盤の整備を初め、3次にわたる30年間の振興開発計画には時代の要請、意義というものがあったわけであります。しかし依然として米軍基地の問題、高い失業率、本土との所得格差、内発的な産業の発展が図られていないなど多くの課題を抱えたまま20世紀の終わりを迎えようとしております。
 新たな沖縄振興開発計画は、従来のハード面の整備を中心とした開発計画から、民間の活力を生かした産業の振興、人材の育成、さらにはアジア・太平洋の拠点として沖縄県が21世紀に飛躍できるような計画を描かなければなりません。さらには基地問題という沖縄の経済社会構造に根深く潜む大問題を抱えていても、本土からの補助金やさまざまな優遇措置を受けるのが当たり前であるという依存体質からの脱却を図らなければなりません。経済の自立の前に精神の自立を図るという理念と、悲惨な戦争経験を踏まえ、基地問題の解決と恒久平和を子々孫々県民全体で希求するものの、過去を嘆くだけではもはや何も生まれないという新たな時代認識を持って沖縄の変革、刷新ができるような沖縄振興開発計画を策定していかなければならないでしょう。
 以上のことを踏まえまして質問に入ります。
 (1)、格差の是正を次の振興計画の中でどのように位置づけるのか。
 (2)、民間主導の自立経済の確立のためには民間部門と行政部門の新たな役割分担が求められるが、県はどのように考えているのか。
 (3)、次期振計の中で高率補助をどのように適用させていくのか。
 (4)、新たな振興開発計画とその根拠となる沖縄振興新法は県と国との共同作業で策定されているが、実施計画に関しては沖縄県独自で策定する必要性があると思うがどうか。
 (5)、実施計画が確実に実行できているのかを客観的に評価する手法を取り入れる考えはないのか。
 (6)、計画の策定に当たり、県民の各層から幅広い意見を反映させるとあるが、具体的にどのような取り組みがなされているのか。
 (7)、沖縄次世代委員会の設置目的と委員選考の過程を明らかにしてほしい。
 2、県都那覇市との連携について。
 県都那覇市において、32年ぶりに保守・中道の翁長雄志市長が誕生しました。財政再建を初め多くの難題が那覇市には山積しております。県もしっかりとバックアップ体制を整え、新市長を支えていかなければなりません。そして、県にも那覇市の協力がなければ解決できないことがあります。県と那覇市とのパイプ、県と国とのパイプ、是々非々の基本姿勢のもとにお互いが力を合わせて諸問題の解決に取り組み、新しい世紀を迎えることを願って質問に入りたいと思います。
 (1)、翁長雄志那覇市長の誕生に対する知事の所感と、新市長とともに取り組んでいきたい諸課題を明らかにしてください。
 (2)、那覇港湾施設の移設について。
 沖縄がアジア・太平洋の拠点として飛躍していくためには、本県が潜在的に持つ地理的な優位性を存分に生かさなければなりません。そのためには那覇港をハブ機能を備えた国際流通港湾として整備していくことが不可欠であります。新全国総合開発計画においても沖縄が「太平洋・平和の交流拠点(パシフィック・クロスロード)」として位置づけられており、我が国とアジアとの結節点としての大きな役割が期待されております。
 ことしの3月に沖縄特別振興対策調整費事業として、那覇港国際流通港湾計画基本調査報告書がまとまったようですが、全体事業費約5500億円という壮大な計画を実現するためには国の財政援助を初めさまざまな協力が必要となります。そのためにもSACO合意に基づく那覇港湾の施設の移設が必要であり、この問題と那覇港の整備、浦添市の西海岸開発は密接な関係があることを改めて認識しなければなりません。競争力のあるハブ港湾をつくることは沖縄の産業振興、経済の自立の第一歩であることを確認しまして以下のことをお尋ねします。
 ア、軍港移設推進を掲げる翁長新市長の誕生に伴いまして県、那覇、浦添市による一部事務組合の設立に加速がつくと思われますが、県としてはどのように取り組んでいくつもりでありましょうか。
 イ、那覇港国際流通港湾計画基本調査報告書の中でトランシップ貨物の増大を最優先に掲げておりますが、それはどのような経済波及効果があるのか、また実現の際の課題を明らかにしてください。
 ウ、荷役料金やコンテナの修繕代等シップサービス費用の低減が競争力のある港湾の条件になりますが、コスト競争力の獲得のためどのような取り組みが考えられていますでしょうか。
 (3)、沖縄都市モノレールについて。
 平成15年度に開業が予定されている都市モノレールは、那覇都市圏で恒常的に発生する交通渋滞の緩和、時間短縮効果及び定時・定速性の確保、大量輸送サービスの確保、那覇都市圏の再開発を初め21世紀の新交通体系として期待を集めています。現在の事業状況を初め以下のことをお尋ねします。
 ア、事業の進捗状況と乗車効率の予測。
 イ、バリアフリー対策について。
 ウ、乗車効率の向上のため県としてはどのような取り組みをしていくのでしょうか。
 エ、交通広場に駐輪場が設置されていますが、駐車場を設ける考えはないのか。
 オ、モノレールの利用促進を図るため県民の各層から幅広く意見を募る場を設ける考えはないのか。
 (4)、沈埋トンネルについて。
 那覇沈埋トンネルは、那覇空港と那覇港を結び円滑な交通体系の実現を目指すとともに、慢性的な交通渋滞の解決を図るため西海岸道路の一区画として計画された県内初の海底トンネルであります。
 那覇港湾施設の移設に伴う国際流通港湾が整備され、また那覇空港の拡張整備が実現されますと沖縄経済の大動脈としての働きが望まれています。  そこでお伺いします。
 ア、沈埋トンネル工事は当初の計画どおり進んでいるのか。
 イ、環境、景観への配慮にはどのようなことがなされているのか。
 (5)、奥武山運動公園の整備について。
 県都に所在する総合運動公園としてプールや野球場を初めとする施設の老朽化対策や公園の再整備は県民全体の要望であります。
 そこで以下のことをお尋ねします。
 ア、翁長市長の誕生を踏まえ、奥武山運動公園全体の整備に那覇市と連携をとりながら取り組む考えはないのか。
 イ、整備計画は、沖縄県立社会体育施設整備検討委員会の中で検討しているとのことだが、具体的にどのような計画が進められているのか。
 3、大那覇国際空港の整備について。
 全国的な公共事業見直しの議論の中で、地方空港建設への風当たりはますます強くなってきている観があります。しかし、民間主導の経済の自立を実現するためにはアジア経済のダイナミズムとリンクし、サミットの成功を経験した国際交流の拠点としての機能を高めていかなければなりません。そのためには那覇空港の拡張整備がどうしても必要であります。
 さらに、将来需要への対応はもとより、島嶼県である以上、現行の滑走路1本のみではことし9月の大型船座礁事故のようなことが生じた際、観光客や県民生活に多大な影響を及ぼすのは明らかであります。
 那覇空港の沖合展開は県経済の死活問題であり、長年の県民の悲願でもあります。さらに、日本国土全体の均衡ある発展を実現する政策にもつながりますから、沖縄の自立のみならず国全体としても意義のあることでありますので、知事を先頭にもっと積極的に推進運動を進めていきましょう。
 それでは質問します。
 (1)、平成15年度を初年度とする第8次空港整備5カ年計画に那覇空港が採択されるまでの要請スケジュールと課題を明らかにしてください。
 (2)、県の調査によると、平成22年までに那覇空港の滑走路の処理能力は限界に達するが、国の調査ではどのようにとらえられているのか。
 (3)、北部の軍民共用空港と那覇空港の平行滑走路増設はどのような分担がなされているのか。
 (4)、軍民共用空港の民間空港の整備は、空港整備特別会計で行うのか、SACO関連予算で行うのか。
 (5)、平行滑走路の増設の要請過程において、防衛庁とはどのような交渉がなされているのか。
 (6)、9月議会で補正計上された新規航空路線の就航を図る調査費の内容を明らかにしてください。
 4、情報通信産業の振興についてお尋ねします。
 先月国会において、すべての国民がITの利用を通じ能力を最大限発揮するとともに、ITから恩恵を受ける社会の実現を基本理念とした「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」、いわゆるIT基本法が成立しました。来年の1月の施行に向けて政府は総理大臣を本部長とし、全閣僚と民間有識者による推進戦略本部を内閣に設置します。
 農業社会から産業革命を経た工業社会の成立、そしてインターネットを中心とするIT革命は、後世の歴史家が必ずや大きな時代の転換点であったと記すことは間違いありません。情報通信の費用と時間を劇的に低下させて密度の高い情報のやりとりを容易にし、人間を取り巻くあらゆる関係を一変させ、情報と知識が付加価値を生んでいくような社会へと移行する、これがIT革命の本質であります。
 県は、マルチメディアアイランド構想の推進やコールセンター誘致の実績がありますが、まだまだ県民に広く認知されておりません。この点ではまだまだ取り組みが足りないと言わざるを得ないのであります。
 それは、知事が自分の言葉で情報通信産業の重要性をもっと積極的に訴えるという姿勢が県民にはなかなか見えづらいというような実態があるのではないでしょうか。アメリカの情報スーパーハイウエー構想、シンガポールのシンガポールワン構想、韓国のサイバーコリア構想、マレーシアのスーパーコリドー構想、これはすべて大統領や首相がみずからが直轄でIT構想を打ち出してトップがみずから推進に努めております。日本でも大分県や高知県では知事が旗振り役となりまして、IT立県としての地位を築きました。そして、ITをイットと読んだとか読まないとかで世間を騒がしました森総理もみずから先頭に立ってIT立国の確立に向けて動き出したわけであります。
 情報通信産業は製造業とは違い、沖縄県が他の県と初めて対等に勝負ができる産業として成長しつつあります。しかし、余りの情報進歩の速さや世界的な通信費の値下げへの動き、そして今やITによる地方活性化を唱えない地域はないという現状から通信費の補助や雇用への助成だけでは競争力を持つ時代は終わろうとしております。
 まずは、知事を先頭にしたIT文化の醸成が必要であります。そうすることにより若い人が情報関連分野に進んでいくような社会的な雰囲気をつくり、すべての県民が気軽にインターネットに触れるような機運を生み、情報通信産業を担っていく人材が育つ素地ができてくるわけであります。
 沖縄県には基地問題という大問題があります。しかし、20世紀と21世紀の橋渡しをする稲嶺知事には基地問題の解決と基地がなくなった後の沖縄発展の基礎を築いていただきたい。そのために私も与党議員の一員として微力ながら知事を支えていくことをお誓い申し上げまして、以下の質問をしたいと思います。
 (1)、沖縄サミットの「沖縄IT憲章」を踏まえて、知事を先頭に県民一丸となってITに取り組むことを決意する「沖縄IT宣言」を行う考えはないのか。
 (2)、琉球銀行調査部によると、県内企業の74.5%が本県の情報通信産業振興策について「知らない」というアンケート結果が出されました。
 さらに、「行政の説明が不足している」としたのが74%もあり、「県民に対する積極的説明が必要」としたのは99.1%もありました。この実情をどのようにとらえ、今までとは違う新たな説明方法としてどのような取り組みを考えているのでしょうか。
 (3)、県内のマルチメディア関連施設の利用状況はどのようになっているのか。
 (4)、マルチメディアアイランド構想で2010年までに2万4500人の雇用創出を図るとあるが、現在の進捗状況と達成までの道筋を明らかにしてほしい。
 (5)、人材の育成は最重要な課題でありますが、IT教育に学校が独自で取り組むのは難しいとの声を教育現場から聞きます。教員免許がない技術者を講師として招くとか、ITが得意な学生をインターンシップとして学校に派遣する制度を導入する考えはないのか。
 (6)、人材育成財団の海外留学生に占める情報技術専攻の割合はどれくらいあるのか。
 (7)、IT分野においては、企業誘致という視点より人材を誘致するという考え方が重要になります。ITの教育者、技術者の招聘には住環境の整備、子弟の教育環境の整備が不可欠だが、どのような取り組みがなされているのか。
 (8)、12月補正予算に組まれている情報通信技術講習推進事業の内容を明らかにしてください。
 (9)、コールセンター誘致の次の段階として、沖縄県内のみならず本土や台湾市場を見据えたデータセンターの誘致を戦略的に取り組む考えはないのか。
 (10)、11月12日、台北市の福華大飯店で開催された企業誘致説明会に県のマルチメディア推進室も参加していたが、台湾側の反応はどうであったのか。
 5、観光産業の振興について。
 (1)、ポストサミットの沖縄観光について。
 サミットの成功と感動は、本県に大きな自信と誇りをもたらしました。しかし本当に大切なことはこれからであります。サミットでの貴重な経験と実績、そして世界に発信された沖縄の知名度をこれからの県勢発展への起爆剤としていく。
 以上のことを確認しましてお尋ねします。
 ア、ポストサミットの沖縄キャンペーンについてどのような取り組みがなされているのか。
 イ、国際コンベンションアイランドの形成に向けて取り組んでいることは何か。
 (2)、昨年の12月、那覇空港新ターミナルビル内に開設しました沖縄特定免税店の売り上げが目標額の2割にも満たない危機的な状況にあります。自民党沖縄振興委員会において沖縄振興開発特別措置法の法改正が確認され、特定免税店の保税地域への指定、観光戻し税8品目の販売等が検討されているが、県ではこの問題をどのようにとらえ、問題解決に取り組んでいるのか。
 (3)、スタークルーズ社の接岸確保の問題について。
 スタークルーズ社の客船が接岸確保困難な状況にあるという問題は、港湾管理者の那覇市だけではなくて沖縄全体の観光と経済全般にかかわる大きな問題であります。
 平成11年度の台湾からの観光客入域数は史上最高の15万8228人を記録し、海路入国者が7万3045人となりました。そのうちの約97%をスタークルーズ社の客船が乗せてきました。これは、空路も含めました台湾からの全観光客の約45%を占めております。さらに中城港、平良港、石垣港から入域した乗船客は県内で約20億円の県内消費が試算されており、県経済にとって大きな存在となっております。沖縄経済振興21世紀プランの最終報告においてもクルージング拠点の重点的整備が掲げられておりますが、その理念は実現されておりません。
 10月10日のスターアクエリアス号の運休と11月27日のノルウェージアンスター号の運航開始まで県側のさまざまな努力は評価されますが、以下の課題にどのように取り組んでいるのか、お尋ねします。
 ア、スタークルーズ社の沖縄観光への貢献をどのようにとらえているのか。仮に撤退があるとすれば、観光客の入域者数にどのような影響が考えられますか。
 イ、那覇港の港湾管理者である那覇市とどのような話し合いが持たれてきたのか。
 ウ、平成12年11月27日に運航を始めたノルウェージアンスター号は、那覇新港埠頭の9号岸壁に寄港しております。しかし、ここは外航の貨物船専用で保税地域のためタクシーの乗り入れも一般人の立ち入りも禁止されております。観光立県としてふさわしい岸壁の確保のためどのような取り組みがなされているのか。
 (4)、映画産業の誘致と育成について。
 来年の4月からNHK朝の連続ドラマ「ちゅらさん」が放送されます。沖縄を舞台にしたドラマがふえるほど本県の知名度も上がりますし、観光客の誘客にも大きく貢献するでしょう。
 最近、フィルム・コミッションというNPOが注目を集めております。テレビや映画の撮影ロケを誘致し、円滑なロケ活動を支援する動きであります。先進国のアメリカにはこの団体が180以上もあり、ハリウッドのあるカリフォルニア州は年間3兆円、カナダのバンクーバー市は年間6億円の消費と4万5000人の雇用創出が試算されております。
 映画の撮影隊は3カ月から6カ月滞在し、ホテルや飲食業、クリーニングやセットづくりを担う建設業を初め経済波及効果ははかり知れないものがあるわけであります。
 日本では、神戸市がことしの9月に「神戸フィルムオフィス」を開設しました。事務局は神戸国際観光コンベンション協会に置き、市の産業推進局企業誘致推進室と連携をとりながら活動を進めております。この動きに触発されまして北海道庁、熊本県、京都市等々多くの自治体が動き始めておりますが、豊富な観光資源を持った沖縄こそこの分野で先達になれると考えられます。
 さらに最近の映画製作では、「タイタニック」で見られましたように、CG(コンピューターグラフィック)を初めIT技術の粋を集めた作品がふえてきました。県がマルチメディアアイランド構想のCG製作者の育成という目標を掲げ、またSEA─ME─WE3やChina─Usといった光海底ケーブルの陸揚げが全国の約4割も集積しているというインフラの優位性、そして世界に7台しかないコンテンツ映像作成システムが北谷町にあるという恵まれた施設整備の有効活用は、映画製作という総合産業を絡めることにより確実なものとなります。
 もちろん交通規制やエキストラの動員等々多くの公的機関の理解と県民の協力がなければ映画産業の誘致と育成をすることはできません。しかしサミットでの県民との触れ合い、NAHAマラソンや宮古島トライアスロンでの地域住民の厚いもてなしから、沖縄県民はホスピタリティー精神のあふれるすばらしい資質があることが明らかになりました。次の世紀の県民全体を巻き込んだ中からの産業育成の一つに映画産業を据えることを提言しまして、以下お尋ねします。
 ア、観光産業とIT産業がリンクする総合産業である映画産業の育成を県はどのようにとらえているのか。
 イ、フィルム・オフィスの設立を検討したことがあるか。
 ウ、その可能性を調査する考えはないか。
 エ、映画芸術のオリンピックと言われる映画祭を沖縄県で開催する考えはないか。
 6、企業誘致の促進と雇用問題について。
 不況の打開と自立経済の確立を公約に掲げ2年前に就任した稲嶺知事は、選挙公約の実現を目指しさまざまな経済振興策を手がけてきました。中でも、みずから県外に足を運んで特別自由貿易地域の紹介や企業の誘致に努める姿勢は高い評価があります。
 そこで以下のことをお伺いします。
 (1)、知事みずからがトップセールスを行った企業誘致説明会と今までの実績を明らかにしてください。
 (2)、説明会の後に行われるアンケートで県に出された要望を明らかにしてください。
 (3)、そこでの課題があるとしたら、どのように解決に取り組んでいるのか。
 (4)、北海道は東京事務所に12人の企業誘致対策監を置き、アジアの拠点の一つでありますシンガポールは9カ国・1地域に16の海外事務所と約40名の企業誘致担当者を配置しております。沖縄県も人員増強、体制強化が必要だと思うが、県の見解はどうか。
 また、実際に企業誘致に携わっている県職員の考えはどうなのか。
 (5)、若者に夢と希望の持てる沖縄をつくるというのが知事の公約の一つでありましたが、知事就任の2年間を振り返り、若年層の雇用促進を図るためどのような政策を推進してきたのか、またその効果と現在の状況はどうでありましょうか。
 7、教育問題について。
 (1)、青少年の凶悪犯罪が大きな社会問題となっておりますが、子供は大人社会の様相を映し出す鏡である以上、学校教育の現場だけではなく、家庭はもちろんのこと、地域社会全体で青少年の健全な育成に努めていかなければなりません。平成12年4月1日から施行された「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令」により、教育免許を保持しない民間人も校長及び教頭になれるようになりました。この法改正によりさまざまな経験を積んだ民間人が教育機関に新しい空気を吹き込むものと期待されております。県の方でもその動きを支援する体制はできているのでしょうか。
 (2)、IT時代、知識社会に入ったからこそ基礎学力の充実が重要となります。高度な情報化社会を生きていくには情報の取捨選択、情報の加工、そして発信が必要となり、そこには知識社会、知識教養、見識を磨くことがますます大切となってくるからであります。ゆとりの教育、心の教育、創造性を育てる教育、そして社会性をはぐくむ教育は不可欠な理念であります。しかし、そのことと子供たちに基礎的な学力を確実に身につけさせることは対立するものではありません。
 最近は、大学生の学力低下が明らかになってきました。そして理系の総授業時間数が他の先進国に比べて少ないという指摘もあります。
 このような現状を踏まえて以下のことをお尋ねします。
 2002年からの新学習指導要領により小中学校の総授業時数が約70時間削減されております。基礎学力の低下が懸念されておりますが、県の見解はどうでありましょうか。
 (3)、「総合的な学習の時間」が小学校で105時間から110時間、中学校で70時間から130時間設置されておりますが、その目的と内容を明らかにしてください。
 (4)、人材育成財団の語学教室のカリキュラムと教室の教員採用の過程を明らかにしてください。
 8、環境問題について。
 人間と自然との調和を確立することは直接的な、あるいは予期し得る未来での人類の生存にとって利益となるばかりではありません。それはまた深遠な文化的価値でもあります。なぜならば人類は、みずからをこの地球という星の絶対君主とみなすことはできないし、また完全に孤立して生きることもできないからであります。
 これは、1972年に「成長の限界」という概念を提唱したローマクラブの創設者アウレリオ・ペッチェイ氏の言葉であります。人間も自然の一部であり、地球の有限性を認識し、生態系の保護と環境との共存こそが我々の生命や健康を守ることにつながると自覚することが21世紀を迎える我々の共通認識となりました。
 県の方でも、沖縄経済振興21世紀プランの中において「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想を盛り込んだことは高く評価されます。環境と開発は対立概念ではなく、環境共生モデルを目指すことが次世代の沖縄の共通理念であることを確認して以下の質問をします。
 (1)、沖縄県環境影響評価条例の制定について。
 沖縄に生息する貴重な動植物を保護することは観光資源として重要なだけでなく、人類共通の財産として守らなければなりません。このことから、自然環境を改変する事業を行うに当たり、環境保全の十分な評価や調査を行う環境影響評価の考え方は重要となります。
 以下、質問します。
 ア、環境影響評価の条例化を行う意義、または必要性は何か。
 イ、条例化によって具体的に何が変わるのか。
 ウ、この条例の特徴について述べてください。
 エ、具体的な内容を定める条例・規則の基本的な考え方はどうか。
 (2)、廃棄物対策について。
 廃棄物対策課の実態調査によると、1999年度の産業廃棄物不法投棄が県内の166カ所で行われており、自然景観の悪化、環境衛生の悪化等県民生活に悪影響を及ぼしつつあります。
 このような状況が生じた原因をどのようにとらえているのか。また問題解決にどう対処しているのでしょうか。
 (3)、放置車両の問題について。
 県内の放置車両は増加の傾向にあり、特に離島県においては深刻な問題になっております。廃棄物対策課の調査によると、ことし6月の時点で1万49台、1年前の調査よりも28%も増加しております。県の方でも放置自動車の発生の防止及び適正処理に関する条例骨子の案をまとめているようですけれども、その中身と特徴並びに県が取り組んでいる放置車両対策を明らかにしてください。
 (4)、赤土条例について。
 水域の生態系の保護を図る県赤土流出防止条例の施行から5年が過ぎました。この条例の今までの実績と効果を述べてください。
 さらに、既存農地や基地を規制対象外としているので依然として赤土の流出は続いていますが、県としては条例を見直す考えはないと聞いています。それでは問題解決にどのように取り組んでいるのでしょうか。
 9、ことしの4月に地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法が施行されました。475本の法律改正を一括形式で行い、明治時代から続く中央集権国家からの脱却を図る歴史的な出来事であります。
 この法律改正に伴い、国と地方の役割の明確化、機関委任事務制度の廃止、国の地方に対する関与は必要最小限のものに限る等々国と地方との関係改善が求められ、地方公共団体や地方議会の持つ役割がますます重要となってきております。
 それで以下のことをお尋ねします。
 (1)、地方分権一括法の施行に伴い、県ではどのような作業が行われているのか。また職務を遂行するに当たり、何か変化が見られるのか。そしてそのことが県民生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
 (2)、一括法により認められました法定外目的税を活用し自主財源を安定的に確保する考えはあるのか。
 10、最後に知事にお聞きします。
 20世紀を振り返り、どのような時代であったのでありましょうか。
 また、沖縄県のさらなる発展のため来る21世紀をどのような時代にしていきたいのかを知事みずからの言葉で決意を語ってください。
 以上をもちまして今世紀最後の自由民主党の代表質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○知事(稲嶺惠一) 國場幸之助議員の御質問にお答えいたします。
 最初は新たな振興開発計画について、本土との格差の是正をどう位置づけるのかについてお答えいたします。
 格差是正の目標については、これまで本県の振興開発を進める上で一つの理念として大きな役割を果たしてきたものと認識しております。
 しかしながら、第3次沖縄振興開発計画総点検報告書に対する沖縄県振興開発審議会からの意見書においては、「計画目標である本土との格差是正については、今後の本県振興の理念、目標の中でどのように位置づけるか、十分な検討を進める必要がある。」とされております。今後、計画の県案策定に当たっては、民間主導型経済の構築、アジア・太平洋交流拠点の形成、安らぎと潤いのある生活空間の創造、それぞれの特性を生かした各地域の均衡ある発展などを施策の柱として検討してまいりたいと考えております。県としては審議会の意見を踏まえるとともに、県民が沖縄の将来像を描けるような夢と希望の持てる目標にすることが重要であると考えております。
 次に、同じく新たな振興開発計画についての中で、民間主導型の自立経済の確立のためには、民間と行政の新たな役割分担をどのように考えているかとの御質問のお答えでございます。
行政部門においては、産業活動を支える空港、港湾、情報通信インフラなどの基盤についてこれまで以上に目的志向型の戦略的、重点的な整備を図るほか、産業活動を促進する新たな制度を創設するなど民間部門の創造的な活動が十分発揮できる環境整備を積極的に推進していきたいと考えております。
一方、民間部門については、このような産業活動を支援する各種施策を積極的に活用し、活力ある民間主導型経済の構築に向けた主体的な取り組みが一層促進されることを期待しております。
 次に、県都那覇市との連携についてということで、翁長新市長の誕生に対する所感と、新市長とともに取り組んでいきたい諸課題を明らかにしてほしいとのお答えでございます。
 那覇市長選挙で翁長雄志氏が当選したことは、同氏の那覇市の課題実現のためには保守・革新の構図を排し市民の立場から発想し、市民とともに課題解決を図るという基本姿勢が多くの市民に理解、支持された結果だと思います。
 県土の中枢機能が集積し、県都である那覇市の発展、都市計画事業の推進を図ることは沖縄県全体の振興を図る上でも重要な課題であります。このため雇用の確保はもとより、沖縄都市モノレールを初めとする道路交通網の整備、市街地再開発等良好な都市空間の形成及び那覇港湾開発事業の推進など数多くの課題の解決に向けて那覇市と連携を深め取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県都那覇市との連携についての中で、沖縄都市モノレール事業の進捗状況と乗車効率の予測についての御質問のお答えでございます。
 沖縄都市モノレールは、那覇都市圏の交通渋滞の緩和及び都市機能の充実を図る基幹交通として導入するものであり、国、県、那覇市及び沖縄都市モノレール株式会社の4者が協力して事業を推進しております。
 平成12年度末の進捗見込みは、公共事業として整備するモノレールインフラ部において事業費ベースで約90%、支柱本数ベースで約97%、PC軌道けた本数ベースで約86%であり、駅舎建築でも15駅のうち11駅を整備する予定であります。
 また、沖縄都市モノレール株式会社が整備する運営基地や車両製作等のインフラ外部においては事業費ベースで約30%となる見込みであり、平成15年度の開業に向け順調に進捗しております。
 次に、乗車効率については、平成15年度の開業時における1日当たりの利用者を約3万5000人と予測しており、定員165人に対し平均で約4割程度が乗車することとなっております。今後とも県と那覇市の連携のもと、事業の推進を図るとともに、利用者の確保に取り組んでいく所存であります。
 次に、大那覇国際空港の整備について、第8次空港整備5カ年計画に那覇空港が採択されるまでの要請スケジュールと課題についての御質問のお答えでございます。
 第8次空港整備5カ年計画は、航空審議会の答申を経て平成15年11月ごろ閣議決定されるものと考えております。
 県としては、那覇空港の沖合展開による平行滑走路の建設に向けて那覇空港拡張整備促進連盟を設立し、政府、国会等関係機関に対し、これまで延べ4回の要請活動を展開してきたところであります。平成13年度は連盟の予算を大幅に増額し、より一層効果的な要請活動に取り組んでいきたいと考えております。
 また、課題としましては、那覇空港拡張整備基本計画の策定に向けた基礎的調査の実施や新たな沖縄振興計画への位置づけ等があるものと考えております。
 同じく那覇空港の整備問題について、北部の軍民共用空港と那覇空港の平行滑走路増設はどのような機能分担がなされているのかということのお答えでございます。
 代替施設は、普天間飛行場の代替施設として軍民共用飛行場を念頭に国において建設されるものであります。
 県としては、代替施設は、将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものであるとともに、同飛行場を地域産業の拡大や新たな産業の創出につなげ、移設先の地域はもとより北部地域の自立的発展と振興を図っていきたいと考えております。
 一方、那覇空港は、第2種空港として全国の航空ネットワークに位置づけられており、沖縄県の表玄関として今後も増加することが予想される航空需要への対応が主たる役割であると考えています。県としては、那覇空港と代替施設は、それぞれ異なる機能を有する飛行場であると認識しております。
 次に、情報通信産業の振興について、沖縄サミットの「沖縄IT憲章」を踏まえて「沖縄IT宣言」を行う考えはないかとの御質問にお答えいたします。
 県におきましては、IT憲章が沖縄において採択されたことの意義を踏まえつつ、地域の高度情報化及び沖縄県マルチメディアアイランド構想に基づく情報通信産業の振興に向け各種施策を強力に推進することとしております。御質問の「沖縄IT宣言」につきましては、このような県の姿勢を県民にわかりやすく示す方法として前向きに検討したいと考えております。
 次に、観光産業の振興について、現行の沖縄型特定免税店制度の問題点とその解決についてどのように取り組んでいるかとの御質問にお答えいたします。
 沖縄特定免税店は、平成11年12月から那覇空港ターミナルビル内で営業を開始しております。
 免税店の売り上げについては、経営の努力にもかかわらず当初の売り上げ予想を大幅に下回る状況で推移しております。
 その原因としては、幾つかの制度上の問題点や、設立間もないことによる営業ノウハウの不足があると考えております。このため県では、同問題解決のため関係省庁と制度改正に向けた調整協議を行っているところであり、政府・与党の自由民主党において制度拡充の方向で作業が進められていることは、県にとって大きな支援であり大変力強く思っております。県としては、観光振興に寄与するという本制度の趣旨を生かすため、現在、自由民主党税制調査会で検討作業が進められている免税方式への変更や、対象品目の追加以外のその他の問題点についても見直しを進め、国へ要望していく考えであります。
 次に、企業誘致の促進と雇用問題について、1つ、説明会の内容と今までの実績、その次にアンケート等で企業からどのような要望があるか、その次の企業誘致の課題にどのように取り組んでいるか、次に企業誘致体制の強化についてという4つの御質問につきまして、関連いたしますので一括してお答えいたしたいと思います。
 県においては、企業の立地を促進し雇用拡大を図るため、企業誘致基本方針等に基づき国内外での企業誘致説明会の開催や企業訪問など企業誘致活動を積極的に推進しております。
 また、企業誘致活動はトップセールスが重要でありますので、国内外の企業誘致説明会などには私や担当副知事が出席して企業の皆様に沖縄への進出を強く呼びかけております。その結果、平成11年度以降、製造業につきましては8社、情報通信関連につきましてはコールセンターなど25社が立地しており、合わせて1822人が新たに雇用されております。
 企業誘致説明会でのアンケートや企業訪問等を通して企業からさまざまな要望等が提示されておりますが、県としましてはこれらの要望等を受け、特別自由貿易地域制度の拡充・強化に取り組んでいるほか、物流コスト低減のための施策や賃貸工場の増設の検討など立地インセンティブを高めていきたいと考えております。
 企業誘致体制につきましては、平成11年4月に企業誘致の総合窓口として商工労働部に企業立地推進課を設置いたしました。
 また、本年4月には、企業が集中する東京や大阪において企業誘致対策監と企業誘致推進役を計6名配置するとともに、各県外事務所や海外事務所との連携を強化して積極的に企業訪問を実施するなど沖縄に関心を持つ企業等に対し迅速かつ的確な情報提供を行っているところであります。
 県としましては、今後とも企業の立地を促進するため本県の投資環境の改善を図りつつ、必要に応じて私自身が企業をお訪ねして沖縄への進出をお願いしていきたいと考えております。
 次に、環境問題についての御質問のうち、環境影響評価の条例化を行う意義及び必要性についてお答えいたします。
 環境影響評価とは、開発事業の実施を決定するに当たって、その事業が環境にどのような影響を及ぼすかについてあらかじめ調査、予測、評価を行い、その結果を公表して県民、関係市町村などから意見を聞き、それらを踏まえて環境の保全の観点からよりよい事業計画をつくり上げていこうとするものであり、総合的な環境の保全を図る上で極めて重要な施策であります。
 国においては、昭和59年に閣議決定された「環境影響評価実施要綱」に基づいていわゆる閣議アセスとして環境影響評価は実施されてきましたが、平成9年に環境影響評価法が制定され、平成11年6月から同法が施行されたことにより法に基づく確たる根拠を持つことになりました。
 一方、県では、平成4年に「沖縄県環境影響評価規程」を告示し平成5年2月から同規程を施行してきたところでありますが、本年4月に制定した沖縄県環境基本条例において「環境影響評価の推進」を位置づけたこと、また事業者に対し一定の義務を課すためには確たる根拠が必要となることから条例化を図ることとしました。環境影響評価条例を制定することは、本県において環境への負荷の少ない持続的に発展が可能な社会を構築する上で重要であると考えております。
次に、同じく環境問題について、環境影響評価の条例化によって具体的に何が変わるのかとの御質問にお答えいたします。
 現在の沖縄県環境影響評価規程に基づく環境影響評価は、告示による行政指導で行われているため強制力がなく事業者の任意の協力により実施されてきましたが、条例制定後は義務として位置づけられることになります。
 また、本県の島嶼環境の特性に配慮して対象事業を拡大したこと、事業計画のより早い段階で一般県民等から意見を聞くこととしたこと、事後調査の実施を義務づけたこと、環境基本条例に対応した生物の多様性の確保等の評価の方法を取り入れたことなどこれまでの制度の一層の充実が図られております。
 同じく環境問題についてのうち、この環境影響評価条例の特徴についてお答えいたします。
 環境影響評価条例の主な特徴は、1、本県の自然環境の特性に配慮し、特に自然公園法等で特別地域に指定されている地域を「特別配慮地域」と設定し、その地域内で行われる開発事業等については小規模な事業から環境影響評価を行うこととしたこと、2、国及び他府県では対象としていない砂防ダム、防波堤、養殖場の建設等の事業を対象事業としていること、3、環境影響評価法では義務づけられていない事後調査の実施を義務づけていること等となっております。
 次に、20世紀はいかなる時代であったのか、来る21世紀はどのような時代にしていきたいのかについてお答えいたします。
20世紀を一言で言えばまさに激動の世紀でありましたが、政治・経済・社会のあらゆる面において人類が大きな進歩を遂げた世紀でもありました。特に一連の民主化運動によって人権を尊重する思想が普遍化するとともに、民主主義社会が世界各国で実現し、また技術進歩と経済発展によってより豊かな社会が実現しました。
 さらに、植民地とされていた各地域の独立と、これらの国を含め世界各国を構成員とする国連の成立により健全な国際関係の枠組みが構築されました。
 このように、人類の活動の拡大とその相互作用が相まってさまざまな事柄がグローバルに展開していく世紀となりました。しかしながらその過程において人類は2度にわたる世界大戦を起こし、同時に社会主義国家の登場と長い東西冷戦、そしてその終えんを経験しました。
 また、生産活動の飛躍的な拡大は、一方で地球規模での環境破壊を引き起こしており、さらに国際間の経済社会的な格差は今日でも解消されていないことも現実です。
 これらの成果と反省を踏まえて、来るべき世紀には人権が尊重され、豊かな生活を享受でき、戦争の惨禍がなくなり、人類普遍の願いである平和な世界が実現されるよう願っております。
 さらに、「IT革命」という言葉に象徴されるようなさまざまな科学技術の発達は、21世紀においてなお加速すると思われます。人間の英知によって生み出されたこのような科学技術が人類全体の幸福に貢献するよう望んでおります。特に本県は、遠隔の地にある島嶼県であるためにこれまで産業振興の面でおくれていますが、IT革命は、沖縄の地理的不利性を克服して経済・学術・文化の交流を一層促進させ、アジア・太平洋地域における国際交流拠点として大きく発展する可能性を高めてくれるものと期待しております。
 このような国際交流拠点づくりを目指しながら、21世紀には人、物、情報等が活発にかつ多様に交流する島、コンベンション・アイランドとメディア・アイランド、またエコロジーとエコノミーが調和した持続可能な環境共生型のエコ・アイランド、さらに訪れる人たちに人間性回復やいやし体験の機会を提供できる島、ウェルネス・アイランドとして沖縄が発展できる時代にしたいと考えております。
 そして、すべての沖縄県民が願っている平和で基地がなく、そして豊かな島という究極の理想に向かって一歩一歩進んでいきたいと考えております。
○企画開発部長(与儀朝栄) 新たな振興開発計画についての中で、次期振計の中で「高率補助」をどのように適用させていくのかについてお答えいたします。
 高率補助制度は、これまで3次にわたる沖縄の振興開発を推進する上で大きな役割を果たしてきたところであり、ポスト3次振計においても引き続き重要であると考えております。21世紀の沖縄の振興に必要な制度・施策については現在検討を進めているところですが、沖縄県振興開発審議会を初めとする県民の意見を反映させながら今後関係機関と調整していきたいと考えています。
 次に、同じく新たな振興開発計画についての中で、県独自で実施計画を策定する考えはないか、実施計画が確実に実行できているかを客観的に評価する手法を取り入れる考えはないかについて一括してお答えいたします。
 新たな振興計画は、これまで以上に本県の振興発展を実効あらしめる計画として策定される必要があると考えております。このようなことから、実施計画の策定については今後検討してまいりたいと考えております。
 また、計画を実効あらしめるためには、財源の確保とあわせて県民ニーズに的確に対応した施策を効率的、効果的に推進し、進行管理を適切に行うことが重要であると考えております。
 次に、同じく新たな振興開発計画の中で、計画の策定に当たり県民意見の反映についてどのように取り組んでいるかについてお答えいたします。
 新たな沖縄振興計画の策定に当たっては、県議会、沖縄県振興開発審議会、市町村、各種団体はもとより、広く一般県民から意見を求めるなど新たな計画づくりに反映させてまいりたいと考えております。現在、市町村や各種団体からヒアリング等により意見を伺っているところであります。
また、新たな沖縄振興のあり方について、広報誌及びインターネット等により県民の皆様からの意見を募集したところ、多数の意見が寄せられております。今後、これらの意見については早急に整理し、新たな沖縄振興計画の策定に反映させていきたいと考えております。
 次に、県都那覇市との連携についての中で、軍港移設推進を掲げる翁長新市長の誕生に伴い一部事務組合の設立に加速がつくと思われるが、県としてはどのように取り組んでいるかについてお答えいたします。
 那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備するためには、県、那覇市、浦添市3者による一部事務組合の設立が不可欠であると考えており、これまで組合設立許可申請に伴う規約や事前協議書、条例・規則の作成等の諸準備作業を進めてきたところであります。しかしながら、那覇港の整備方針に対する国の支援措置や那覇港湾施設の取り扱い等組合参加の条件について浦添市との合意が整っていない状況にあります。
 このたび那覇市長に就任した翁長雄志氏は、那覇港湾施設の移設等那覇港について積極的な姿勢を示しているところであり、今後那覇港の管理問題も含め、那覇市と連携しながら浦添市との合意形成に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、同じく県都那覇市との連携についての中で、那覇港湾施設の移設についての中で、トランシップの増大による経済波及効果と実現の際の課題についてにお答えいたします。
 平成11年度に実施した那覇港国際流通港湾計画調査報告書によりますと、トランシップ貨物誘致による生産誘発額は、荷役料や港湾使用料等の直接効果と港運業者等の諸活動に伴う原材料やサービス等総合効果として52億円となっております。
 また、トランシップ機能の効果としては、新たなFTZによる交易型産業の立地促進、物流拠点を支援する貿易関連産業やシップサービス産業等新たな産業の展開が想定されます。それにより、消費者物価の低減や沖縄産品の価格競争力及び生産性の向上など産業振興に大きく寄与することが期待できます。
 また、トランシップ貨物の増大に向けては、港湾荷役の協業化や海上輸送費の低減、荷役業務の24時間・365日稼働及び港湾施設使用料の低減等港湾管理の効率化や物流コストの低減に向けた制度や規制緩和等の推進が課題と考えております。
 同じく県都那覇市との連携についての中で、港湾のコスト競争力獲得のためどのような取り組みが考えられているかについてお答えいたします。
 那覇港が国際競争力のある国際流通港湾として利用されるためには、効率的港湾運営や公共事業の対象範囲の拡大、荷役作業の協業化や荷役の効率化及び港湾関連諸手続のコンピュ-タ-化、貨物や入港船舶増大に伴う荷役料等の低減化が考えられます。
 また、海上輸送費の低減化に向けては、内航船舶についても外価油使用ができる特例措置により低減を図ることが考えられます。
 次に、大那覇国際空港の整備の中で、滑走路処理能力の限界に関する国の調査についてお答えいたします。
 国においては、平成11年度及び平成12年度において那覇空港の整備に関し、短期的に解決すべき課題や長期的な航空需要への対応を踏まえた将来展望について調査を実施しており、那覇空港の滑走路処理能力の限界時期についてはこの調査を踏まえて検討されるものと考えております。
 次に、同じく大那覇国際空港の整備の中で、平行滑走路増設の要請過程で防衛庁とはどのような話し合いが行われているかについてお答えいたします。
 平行滑走路の増設を促進するための具体的な取り組みとしまして、那覇空港拡張整備促進連盟によりこれまで延べ4回の要請活動を行ってきております。
 要請先は内閣官房、運輸省、沖縄開発庁、関係国会議員等となっておりますが、運輸省所管の事業が想定されることからこれまでのところ防衛庁への要請は控えてきたところであります。しかしながら平行滑走路の増設を促進するためには防衛庁と運輸省との調整がスムーズに行われることが重要であることから、今後は防衛庁への要請も必要であると考えております。
 次に、同じく大那覇国際空港の整備の中で、9月補正予算に計上した新規国際路線の就航を図る調査費の内容はどのようなものかについてお答えいたします。
 今回の国際航空ネットワーク拡充調査においては、那覇空港を経由する国際路線や那覇空港における国内線からの乗り継ぎ路線について、アジア・太平洋地域の需要動向を踏まえた就航可能性を調査するとともに、これら路線の就航を促進するために必要な運航経費の軽減など優遇措置の具体的な内容を検討していくこととしております。
 次に、情報通信産業の振興の中で、県の情報産業振興策が県民に広く認知されていないという実態がある、これから県はどのような取り組みをしていくかについてお答えいたします。
 県におきましては、平成10年9月に策定した「沖縄県マルチメディアアイランド構想」に基づき情報通信産業振興のための各種施策を強力に推進しております。また、同構想の推進を目的とするFROM沖縄推進機構が設置され、現在、117の企業や各種団体が加入し、情報通信産業の振興に向けた産・学・行政が一体となった活動を展開しております。
 同構想の県民への周知を図るため、一般向けフォーラム等を平成10年度は5回、平成11年度4回、今年度はこれまでに1回開催するとともに、県のホームページや広報番組における構想の紹介及び沖縄県産業まつりにおけるパンフレット配布等の広報活動を行っております。今後とも、県の施策について関連企業や県民に御理解いただけるよう関係団体の協力も得ながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、同じく情報通信産業の振興の中で、県内のマルチメディア関連施設の利用状況についてお答えいたします。
 県内のマルチメディア関連施設には、県の施設として沖縄県マルチメディアセンター、八重山マルチメディアセンター、テレ・ビジネス人材育成センター等があります。
沖縄県マルチメディアセンターの一般利用者数は平成11年度は約1万2000人、平成12年度は現在までに約1万3000人と増加傾向にあります。八重山マルチメディアセンターについても開所7カ月で約1万人となっております。また、テレ・ビジネス人材育成センターの受講者数は平成11年度で400人、平成12年度は約1200名が見込まれております。
 国の施設である沖縄情報通信研究開発支援センターは、平成10年3月の開所以来約700団体、約8300名の利用があり、また市町村の施設として沖縄市テレワークセンター、名護市マルチメディア館などがあります。これら県内のマルチメディア関連施設は、人材育成、研究開発、企業立地、雇用創出の面でそれぞれ利活用されており、大きな成果を上げております。
 同じく情報通信産業の振興の中で、マルチメディアアイランド構想で2010年までに2万4500人の雇用創出を図るとあるが、現在の進捗状況と達成までの道筋を明らかにしてほしいについてお答えいたします。
 沖縄県マルチメディアアイランド構想に係る施策の展開によりこれまでにコールセンターを中心に約2700人の雇用が発生しており、一定の成果を上げております。
 目標達成に向けて、構想においては、第1段階としてコールセンター等の情報サービス産業を中心に産業の中核を形成し、第2段階としてコンテンツ産業を中心とした産業の高度化を図り、第3段階としてソフトウエア産業を中心としたハイテク分野の集積を達成し2万4500人の雇用を実現することとしております。
 同じく情報通信産業の振興の中で、ITの講師、技術者の招聘にどのような取り組みがなされているかについてお答えいたします。
 沖縄県マルチメディアアイランド構想においては、情報通信産業集積のための沖縄の魅力の一つとして「リフレッシュ可能な自然・生活環境」が掲げられており、ハイテク分野の講師、技術者を沖縄に定着させるために住環境や子弟の教育環境等は重要な条件であると考えております。現在、県内では民間企業によるリゾートオフィスの計画もあると伺っておりますが、今後、市町村や企業とも相談しながら技術者等の定着に必要な社会条件等について検討していきたいと考えております。
 次に、情報通信産業の振興の中で、情報通信技術講習推進事業の内容を明らかにしてほしいについてお答えいたします。
 国においては、IT立国の形成を目指した施策の一環として、国民一人一人の情報活用能力の向上を図ることを目的に情報通信技術講習推進特例交付金を交付することにしております。
 県は、この交付金を基金として造成しこの基金により講習事業を実施するとともに、市町村が講習事業を実施する場合には県から10分の10の補助金を市町村に交付する事業であります。本県の予算額は6億5800万円で、この事業の実施期間は平成12年度の交付決定の日から平成14年3月31日までとなっており、受講人数は約5万人と想定しております。
 同じく情報通信産業の振興の中で、コールセンター誘致の次の段階としてデータセンター誘致を戦略的に取り組む考えがないかについてお答えいたします。
 情報サービス産業の中でもコールセンターについてはこれまでに18社が進出、雇用者数2400人と一定の集積が形成されております。
 最近、情報サービス産業においてはインターネットを活用したビジネスが立ち上がりつつあり、中でもデータセンター等の先端的な分野については県としても注目しているところです。今後は、これらの産業の誘致及び育成にも力を入れて取り組みたいと考えております。
 次に、情報通信産業の振興の中で、台北で開催された企業誘致説明会での台湾側の反応はどうかについてお答えいたします。
 去る11月12日に台北市において沖縄の企業投資環境説明会を実施したところ、台湾側企業60社の参加がありました。
 参加企業に対するアンケート調査を実施した結果、情報通信産業関連で沖縄への進出に関心がある企業が3社あり、現在、沖縄県産業振興公社台北事務所を通じ詳細な情報収集を行っております。
 次に、観光産業の振興の中で、スタークルーズ社の接岸問題について那覇市とどのような話し合いが持たれているか、また岸壁の確保のためどのような取り組みがなされているかについて一括してお答えいたします。
 現在の那覇港は、基本施設の整備がおくれているため大型旅客船専用バースの確保が困難な状況となっております。
 そのため県は、大型旅客船の接岸に関し当面の対応策として、接岸バースが安定的に確保できるようバースの運用調整やバス・タクシー駐車場の確保等について管理者の那覇市や国の関係機関と協議したところであります。その結果、専用バースの確保には至っておりませんが、運用調整により接岸は可能な状況となっております。
 今後とも、那覇市や入国管理局等国の関係機関等と連携を図りながら大型旅客船の受け入れ体制の整備に努めるとともに、中長期的な取り組みとして那覇港全体の整備計画の見直しを行い、新たな国際クルージングに対応した大型旅客船専用バースの整備を港湾計画に位置づけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 沖縄次世代委員会の設置目的と委員選考の過程についてお答えいたします。
 沖縄次世代委員会は、平成12年3月に策定した沖縄県行政システム改革大綱に基づいて設置するものであり、平成12年中に当委員会のメンバーを決定し平成13年1月から開催する予定でございます。
 当委員会は、県政が抱える幾つかの課題について知事が若手の県職員や民間の方と直接話し合うことにより、今後の施策展開のヒントを得ることや職場の活性化、開かれた県政の推進などを図ることを目的として、平成13年度は自立経済実現のための人材育成のあり方について意見交換することとしております。
また、メンバーのうち公募委員の選考については、テーマについての提言を提出していただきまして、委員会の趣旨をよく理解していること、委員会参加の明確な意識を持っていること、委員会において積極的かつ建設的な意見を述べることが期待できること、この3点を基準として外部有識者等で構成する選考委員会で選考を行うこととしております。
 次に、地方分権一括法の施行に伴い、県での作業の状況、職務を遂行するに当たっての変化、県民生活への影響についてお答えいたします。
 県は、いわゆる地方分権一括法の施行に向け、昨年度その対応について全庁挙げてさまざまな検討を行った結果、62本の条例の制定、一部改正や多数の規則の改廃等を行ったところであります。
 また、同法の趣旨を踏まえ、既存の事務・事業の必要性や今後のあり方などについて改めて総点検を行い、その結果を本年3月に策定した沖縄県行政システム改革大綱にまとめたところであり、今後は同大綱の確実な実施を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、従来県が行ってきた事務・事業であっても住民生活に密着したものについては、最も身近な行政主体である市町村に権限移譲されることが望ましいとの観点から、今後とも市町村への権限移譲に向けて取り組んでいく考えであります。
 なお、県民生活への影響につきましては、例えば機関委任事務制度の廃止により県及び市町村の自己決定・自己責任の範囲が拡大したことにより県民にとって行政がより身近なものとなるとともに、条例制定権の拡大等これまで以上に県民の意見が行政へ反映されることとなったことや、より地域の実情に根差した行政サービスの提供、住民の利便性の向上の推進などが可能となったものと考えております。
 同じく地方分権一括法により認められた法定外目的税の活用についてお答えいたします。
 地方税法の一部改正によりまして、現行の法定外普通税に加え特定の費用に充てる法定外目的税の制度が創設されたところであります。
 法定外目的税を導入する場合は、国税または他の地方税と課税標準が同一でないこと、住民の負担が著しく過重にならないこと、地方団体間における物の流通に重大な支障を与えないこと、国の経済施策に照らして適当であることの要件があります。
 また、本県におきましては、観光の振興、社会福祉の充実及び中小企業の育成に必要な財源を確保する観点から、法人県民税の超過課税を平成12年6月から実施しております。
 このようなことから、新税の導入につきましては慎重に検討すべきものであり、本県の社会経済状況などを踏まえて調査研究していきたいと考えております。
 以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 県都那覇市との連携についてのうち、沖縄都市モノレールのバリアフリー対策についての御質問にお答えいたします。
 沖縄都市モノレールは、沖縄県及び那覇市の福祉のまちづくり条例に基づき高齢者、障害者等にも安全で利用しやすい公共交通機関を目指してバリアフリーに取り組んでおります。
 施設整備に当たっては、沖縄県身体障害者福祉協会等の関係団体と調整を行いながら意見を反映させるよう努めたところであります。
 主なバリアフリー施設として各駅舎にエレベーター、エスカレーター、視覚障害者誘導ブロック、音声誘導システム、点字案内板、車いす対応自動券売機、多目的な福祉トイレ等を設けます。さらにホームと車両とのすき間と段差を解消し、車いすでも楽に安全に乗車できるようにするためホームに可動式スロープを設置します。
 同じくモノレールの乗車効率向上のため県としてどのような取り組みをするのか、それからモノレール利用促進を図るため県民各層から幅広く意見を募る場についてはどうかという御質問には一括してお答えいたします。
 沖縄都市モノレールが開業後の健全経営を図るためには、利用客の安定的な需要確保が不可欠であります。
 モノレールの利用促進につきましては、沿線地域における魅力的な町づくりやモノレール利用客の利便性を図るため、空港や病院等との連絡デッキ及び歩行者専用橋等の駅周辺施設の整備に取り組んでいるところであります。またバスやタクシー等との乗り継ぎを円滑に行うため、おもろまち駅や赤嶺駅、小禄駅等の主要駅において交通広場の設置を計画しております。
 ソフト面の施策につきましては、バスとの共通乗車券や周遊観光券などの企画乗車券の発行及び誘客を目的とした各種イベントの開催等について検討を進めております。
 モノレール利用促進の意見集約の場につきましては、平成13年度には利用促進の協議機関として沿線の通り会及び関係機関等から成るモノレール利用促進協議会の設置を検討しております。
 同じく交通広場に駐輪場が設置されているが、駐車場を設ける考えはないかとの御質問にお答えいたします。
 沖縄都市モノレールの15駅のうち8駅においては、駐輪場等を設けた交通広場を整備し他交通との結節による利便性を確保することとしております。
 モノレール駅における駐車場については、パーク・アンド・ライド駐車場として自動車からモノレールへの乗りかえが図られることから、有効な施策であると考えております。
 その設置について、平成11年度から12年度にかけて現況把握、整備条件の整理、可能性調査等を行っているところでありますが、整備に当たっては駐車場の設置が効果的な駅の選定、駅周辺における用地の確保、整備効果等解決すべき多くの課題があります。県としては、今後とも引き続き検討してまいりたいと考えております。
 同じく沈埋トンネル工事は当初の計画どおり進んでいるのかとの御質問にお答えいたします。
 那覇港臨港道路空港線は、那覇港の各埠頭と那覇空港、本島南部等の背後圏との連携を強化するため那覇埠頭地区港口部を海底トンネルで横断する道路であり、また西海岸道路の一区間として慢性的な交通渋滞の解消を図る目的で計画された道路であります。
 沈埋トンネルの工事につきましては、当該道路の一部として沖縄総合事務局が整備を進めているところであります。
 沈埋トンネル部の全体事業費は約800億円、水深マイナス12.2メートルの航路を確保し、計画延長724メートル、車線数6車線で、平成9年度から本格的な整備が始まっております。平成12年度末までの進捗状況は約37%を見込んでおり、これまでに300億円を投資し、平成19年度の完成に向けて鋭意事業を推進していると聞いております。
 同じく環境、景観への配慮にはどのようなことがなされているかとの御質問にお答えいたします。
 環境への配慮につきましては、トンネル内に発生する自動車排気ガスを空港側及び三重城側に設置する換気塔の換気機から除じん機に通すこととしております。これにより排気ガスに含まれる有害物質の二酸化窒素及び一酸化炭素濃度を環境影響評価指数以下に希釈し、地上32メートルの高さで排出することで周辺環境への影響を軽減させる計画となっていると聞いております。
 また、景観につきましては、換気塔から陸上部に建設される建造物であることから、沖縄の海の玄関口にふさわしいシンプルでシンボリックなデザインを採用し、景観への配慮を行っているとのことであります。
 同じく、奥武山公園の整備については那覇市と連携をとりながら取り組む考えはないかとの御質問にお答えいたします。
 奥武山公園は、都市公園法第2条の2の規定に基づき全県的な広域レクリエーション需要を充足することを目的として、昭和47年に事業認可を受けて設置された県営の運動公園であります。
 当該公園は、県都である那覇市の交通の利便性に恵まれた要所に位置していることから、全県規模のスポーツ競技大会や産業まつり等が開催されるなど県民に広く利用されております。このため、同公園についてはこれまでに周辺地域の用地取得に取り組み区域の拡張を図るとともに、園路や広場、緑地等の整備を進めてまいりました。
 また、多様化するレクリエーション需要や災害時の避難場所としての機能を確保するため公園区域を拡張し公園機能の整備拡充を積極的に推進していくこととしております。
 今後とも公園整備に際しましては、スポーツ施設の管理者である県教育委員会や那覇市とも協議しながら整備を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 國場議員の御質問にお答えいたします。
 まず、整備計画は、沖縄県立社会体育施設整備検討委員会の中で検討しているとのことだが、具体的にはどのような計画が進められているのかという御質問にお答えいたします。
 県立奧武山総合運動場には野球場、陸上競技場、水泳プール、武道館等のスポーツ施設が設置されております。同施設は、武道館を除くほとんどの施設が老朽化し、これまで何度か改修してまいりましたが、関係団体から改築・改修が強く望まれております。
 県教育委員会といたしましては、平成12年3月に「社会体育施設整備検討委員会」を設置し、主として奧武山総合運動場の整備について検討を進めているところであります。その整備方針の中で、2010年の全国高等学校総合体育大会誘致・開催を視野に入れ、水泳プールを初めとする奧武山総合運動場の整備が必要であると考えております。
 なお、施設整備に当たっては、関係部局や那覇市との緊密な調整が必要であると考えております。
 次に、IT教育に学校が独自で取り組むのは難しいとの声を聞くが、教員免許がない技術者を講師として招くとか、ITが得意な学生をインターンシップとして学校に派遣する制度を導入する考えはないかという御質問にお答えいたします。
 本県では、高度情報通信社会の将来を担う児童生徒が情報化に主体的に対応できる教育を一層充実させるため平成11年度に情報教育推進計画を策定し、情報教育の推進に努めているところであります。
 小中学校及び県立学校における情報教育を支援する方策としましては、民間の人材を特別非常勤講師として活用する事業を実施しているところであります。この事業は、「沖縄県緊急雇用対策特別事業」の一環として実施しているもので、平成12年度は県内の公立小中学校160校、県立学校59校に講師を派遣しております。
 なお、大学が公立の小中学校及び県立学校をインターンシップの場として学生の派遣を実施する場合においては積極的に活用していきたいと考えております。
 次に、人材育成財団の海外留学生に占める情報技術専攻の割合について伺いたいという御質問にお答えいたします。
 国際化時代における本県の振興開発を担う多様な人材の育成を目的として、平成9年度から平成12年度までに国費留学生をアメリカ、イギリス、オーストラリアなどに延べ40人を派遣し、またその間、県費留学生を109人、アメリカを初めヨーロッパ、中国、東南アジアなどへ派遣しております。
 その中で情報技術を専攻した者は県費留学生1人、国費留学生6人となっており、その留学生全体に占める割合は4.7%となっております。今後、本県の情報通信産業を振興するためにも情報技術関連分野を専攻する人材の派遣についてその拡充を図っていきたいと考えております。
 次に、平成12年4月1日から施行された「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令」により、教員免許を保持しない民間人も校長及び教頭になれることになった、県の方でもその動きを支援する体制はできているのかという御質問にお答えいたします。
 校長及び教頭の民間人登用については、幅広く人材を確保する観点から地域や学校の実情に応じた特色ある学校づくりや強いリーダーシップを発揮し、組織的、機動的な学校運営を行うことができる人材の確保が期待されるものと考えております。現在、民間人登用については東京都教育委員会において平成13年4月に1名の学校配置を予定している状況であり、他府県においては民間人登用に伴う課題について検討しているのが実情であります。
 県教育委員会といたしましては、校長、教頭への民間人登用については、今後他県の動向を見きわめながら慎重に対処していきたいと考えております。
 次に、2002年からの新学習指導要領により小中学校の総授業時数が約70時間削減されている、基礎学力の低下が懸念されるが県の見解を伺いたいという御質問にお答えいたします。
 新学習指導要領で目指しているのは、習得した知識に基づきみずから考え、問題を解決する能力を育成することであります。今回の改訂では授業時数の縮減が行われておりますが、このことは学ぶ内容は削減されますが、基礎・基本を一人一人が確実に習得できるよう理解や習熟の程度に応じて個別指導や繰り返し指導を行うなど、子供たちがゆとりを持って学習できるようにしようとするものであります。
 県教育委員会といたしましては、新教育課程のねらいとする「生きる力」を育成するとともに、その基盤である基礎学力の定着が一層図られるようこれまで進めてきた本県の学力向上対策をさらに推進する所存であります。
 次に、「総合的な学習の時間」が設置されるが、その時間の目的と内容を明らかにしてほしいという御質問にお答えいたします。
 「総合的な学習の時間」は、「[ゆとり]の中で[生きる力]をはぐくむ」という今回の学習指導要領のねらいを達成するために、小学校3年以上から高校3年までのすべての学年で教育課程に位置づけて実施することになっております。
 「総合的な学習の時間」のねらいは、「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。」などであります。
 「総合的な学習の時間」の学習活動といたしましては、例えば国際理解、情報、環境、福祉・健康などのような従来の教科の枠を超えた横断的、総合的な課題、また児童生徒の興味・関心に基づく課題、さらに地域や学校の特色に応じた課題など、各学校で創意工夫を生かして学校の適切な課題に取り組むことができるようになっております。
 本県におきましては、新学習指導要領移行期間の平成12年度からすべての小学校、中学校、特殊教育諸学校で取り組みが始まり、県立高校でも81%の学校で取り組みが始まっております。平成14年度からの完全実施に向けて市町村教育委員会や学校を指導していきたいと考えております。
 次に、人材育成財団の語学教室のカリキュラムと教員採用の過程はどのようになっているかという御質問にお答えいたします。
 財団法人沖縄県国際交流・人材育成財団語学センターでは、午前に英語の集中講座を開講し、夜間講座では英語、中国語、韓国語、タイ語、スペイン語、フランス語の6カ国語の同時通訳基礎講座を実施しております。また会話習得を主とする各種普及講座、実用英語講座、TOEFL講座も実施しております。
 講師の採用につきましては、国内外の大学などの教育機関を通して適任者を推薦していただき、経歴と面接により選考しております。
 選考の基準としましては、専門分野の研究内容と教職経験の有無、教師としての適性等を重視しております。
 また、面接は所長などにより2回実施し、適任者の選考に努めているところであります。
 以上でございます。
○知事公室長(親川盛一) 國場議員の大那覇国際空港の整備についての質問事項のうち、軍民共用空港の民間空港の整備は空港整備特別会計で行うのか、SACO関連予算で行うのかという御質問にお答えをいたします。
 普天間飛行場代替施設は、米軍に提供する施設・区域として国において整備されるものであります。
 なお、代替施設の民間機能に係る施設整備に要する経費については、今後国において検討されるものと考えております。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 観光産業の振興についての中の、国際コンベンションアイランドに向けての取り組みについてお答えいたします。
 本県は、美しい亜熱帯海洋性の自然景観と暖かい気候風土及び独特の伝統文化等その恵まれた特性を生かし、コンベンション都市として各種の会議、大会を誘致してまいりました。
 これまで県は、国際コンベンションの誘致について運輸省の外郭団体である国際観光振興会──いわゆるJNTOであります──との連携を強化し、海外コンベンション情報の入手、国際ミーティング・エキスポへの出展、海外キーパーソンとの商談会や招聘事業を実施するとともに、コンベンションの業界専門情報誌であります「コングレス&コンベンション」により広報宣伝事業を行っているところであります。
 九州・沖縄サミット首脳会合が成功裏に終了し、沖縄県は国際コンベンション都市として広く世界に発信されたことから、県では、サミット受け入れのノウハウを生かし国等との連携のもとプロジェクトチームを設置し国際会議等の誘致に取り組んでいるところであります。県では、今後とも国際会議等の誘致体制を強化するとともに、美しい町並みの景観などハード・ソフト両面に沖縄カラーを演出して国際コンベンションアイランドの形成を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして同じく観光産業の振興についての中の、スタークルーズ社の沖縄観光への貢献と撤退による影響についてお答えいたします。
 スタークルーズ社は、平成9年から台湾の基隆を起点として台湾―沖縄間で日本で初の定期クルーズを実施しているところであります。
 スタークルーズ社の定期クルーズによる平成11年の台湾から沖縄県への入域観光客数は7万884人であり、これは同年の沖縄県への外国人入域観光客数17万7208人の約40%、海路による外国人入域観光客数7万3045人の約97%を占めております。
 また昨年度、日本交通公社が沖縄開発庁の委託を受けて実施いたしましたスターアクエリアス号の乗船客へのアンケート調査の結果、同船の乗船客が県内で消費する額は約20億円と試算されております。
 以上のようにスタークルーズ社は本県の観光振興のみならず地域経済の発展に大きく寄与していることから、那覇市を初め関係機関と連携を図り今後ともその継続発展に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 観光産業の振興についての中の、ポストサミットの沖縄キャンペーンについての取り組みについてお答えします。
 本県の観光については、4月から導入された新航空運賃制度の影響や沖縄サミット開催に伴う警備や宿泊施設不足等で夏場の旅行商品が海外や国内の競合地へシフトされるなど、これまで順調に推移してきた入域観光客が減少傾向にあります。
 このことから、サミットで整備されたインフラや国際観光コンベンション地としての受け入れ体制が飛躍的に向上いたしましたホテルなどを活用し、即効性の高い全国版の日刊紙や旅行専門誌での広報活動を行うとともに、知事を先頭に観光関連団体等を網羅した沖縄観光キャンペーン訪問団を組識し、東京や大阪での誘客キャンペーンを実施することにより沖縄観光の需要の喚起を図ることにしております。
 また、新規に開設されました上海―那覇間の国際定期航空路線の利用の促進を図るため、上海において開催された中国国際旅遊交易会で沖縄キャンペーンを実施したところであります。
 さらに、中国の旅行社やマスコミ関係者を本県へ招聘することにより中国市場に対する情報提供を積極的に展開し、巨大市場であります中国への誘客プロモーション活動を強化することにしております。
 以上でございます。
○商工労働部長(當銘直通) 観光産業の振興の中で、総合産業である映画産業の育成を県はどのようにとらえているか、フィルム・オフィスの設立を検討したことがあるか、その可能性の調査、また映画祭を開催する考えはないかについて、関連しますので一括してお答えいたします。
 本県には、映像ソフトの資源となる美しい自然環境や固有の文化・歴史などが存在しており、これらを活用した映画産業の振興を図ることは観光情報の積極的な発信につながるものと考えております。
 また、沖縄県産業創造アクションプログラムでは、マルチメディアを活用した映像等のエンターテインメント関連ビジネスを21世紀の成長分野として位置づけ、新たな産業の創出と関連企業群の集積を促進することとしており、沖縄県マルチメディアアイランド構想の第2段階においてもコンテンツ産業の集積を図ることとしております。
 県におきましては、平成10年度よりデジタルメディアセンターを設置しコンテンツ制作の人材育成と企業化を促進しており、さらにコンテンツ映像制作システムを備えた施設が国の支援を受け県内に設置されるなど映像制作の環境が整いつつあります。
 一方、映画のロケ撮影の誘致を目的としたフィルム・オフィスは、米国ではハワイ州を初め各地で映像分野のワンストップサービスを行う非営利の機関として設立され、観光情報の発信や地域経済の活性化に多大な効果を上げております。国内においても、本年9月に神戸市でフィルム・オフィスが設置され取り組みが進められています。
 こうしたことを踏まえ、本県においても集積が進みつつあるCGなど情報関連分野等を活用した映像制作、フィルム・オフィス設立や映画祭の開催など映像産業の育成・誘致による産業振興の可能性について検討する必要があると考えております。
 次に、企業誘致の促進と雇用問題についてのうち、若年者の雇用状況と対策についてお答えいたします。
 平成12年10月の本県の完全失業率は8.8%で、そのうち15歳から29歳の若年者の失業率は15.8%となっており、依然として厳しい雇用状況が続いております。
 県においては、高校、大学等の新規学卒者を対象とした県内・県外企業の合同面接会の開催や県外企業における職場体験実習の実施など、特に雇用状況が厳しい新規学卒者を中心とした若年者の就職促進対策を重点的に実施しております。
 また、国においては30歳未満の若年者を雇い入れた事業主に対して賃金等の一部を助成する「沖縄若年者雇用開発助成金」の対象事業所を25事業所から30事業所に拡大するとともに、平成12年度は高校新規卒業者の助成金の支給対象時期を従来の7月から4月に改善するなど制度の拡充を図っております。
 さらに、財団法人雇用開発推進機構においては、今年度から大学生等を対象とした県外企業へのインターンシップ事業や、若年求職者を対象とした情報通信産業に対応する職業能力開発支援事業を実施するなど若年者の雇用開発に取り組んでおります。
 県といたしましては、沖縄労働局や関係機関との連携を密にし、若年者に対する雇用対策を着実に実施することによって雇用状況の改善に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) 環境問題に関する御質問にお答えします。
 まず、環境影響評価条例・規則の基本的な考え方はどうかという御質問にお答えします。
 環境影響評価条例の施行する日は、条例公布後1年を超えない範囲内に規則で定めることとしておりますが、本条例を全面的に施行するためには施行規則と技術指針を策定する必要があります。施行規則については、条例の細部である公告及び縦覧の方法や様式等を定めるほか、対象事業の規模要件を定めることとしております。また技術指針については、それぞれの対象事業ごとに調査、予測及び評価を行う技術的な手法や環境保全対策の方法を記載することとしております。
 なお、これらのことを定めるに当たっては、本県の島嶼性という狭隘で脆弱な環境特性及び海洋性亜熱帯気候を考慮して策定する考えであります。
 次に、不法投棄の原因をどのようにとらえているか、また問題解決にどう対処しているかという御質問にお答えします。
 平成11年度に県が実施した産業廃棄物不法投棄等実態調査によりますと、県内において166カ所の不法投棄があり、投棄物としては廃タイヤ、瓦れき類、廃家電等の粗大ごみが確認されております。
 不法投棄の要因としては投棄者のモラルの欠如、処理費の出し惜しみ、産業廃棄物処分場の逼迫による処理費の高騰が挙げられます。
 県は、不法投棄の未然防止対策として保健所によるパトロ-ルに加え、県警、市町村、産業廃棄物協会等関係団体との連携による合同パトロ-ルを実施し不法投棄の監視と早期発見に努めており、悪質な不法投棄者に対しては告発により厳しく対処しているところであります。
 また、逼迫している産業廃棄物処分場については、民間による建設計画に対して指導・助言を行っているところでありますが、処理施設に対し地域住民の不安感、不信感等があり理解が得られないことから設置が困難な状況になっております。そのため、県としても公共関与による施設の確保について検討する必要があるとの観点から、排出事業者、産業廃棄物処理業者との意見交換を行うなど取り組みを進めているところであります。
 次に、放置自動車の発生防止及び適正処理に関する御質問にお答えをいたします。
 県では、平成7年度から廃棄物資源化対策事業を実施し、離島市町村が収集した廃自動車を含む資源廃棄物を本島に船舶輸送する経費についてその2分の1を助成することにより、平成11年度までに廃自動車5937台、重量にしまして6049トンを処理し離島市町村の資源化対策を支援してまいりました。
 しかし、その後も放置自動車は増加し、平成12年11月、つい先月のことでございますが、離島における調査結果では7544台が確認されるなど深刻な状況にあります。
 そこで、県としては離島における廃自動車問題の抜本的解決を図るため、他県の離島自治体が条例を制定して廃自動車の適正処理に取り組んでいる事例を紹介するとともに、県内離島市町村においても地域の実情に応じた市町村条例を制定するなど、今後の発生防止に向けた取り組みを促しております。
 ちなみに、市町村に示した事例としましては、まず市町村が集積地を設置して市町村が一時保管後処分する例です。それから市町村が処理業者を指定し、処理業者が処理を行う例、それから解体業者を登録する制度を設けるとともに、船舶輸送業者を指定する例となっております。
 これら市町村の自主的な取り組みを促進するための方策として、条例等の制定を前提として現在ある放置自動車を一斉に撤去することとし、その費用について国と検討を進めているところであり、引き続き離島の廃自動車問題について積極的に取り組んでいく考えであります。
 次に、赤土等流出防止条例の施行から5年が過ぎた、これまでの実績と効果はどうか、それから既存農地や基地からの赤土問題に対してどう取り組んでいるかという御質問にお答えします。
 赤土等流出防止条例は、平成7年10月15日に施行され、この条例に基づき年間約800件の開発事業の通知・届け出があり、赤土対策についての審査・指導を実施しております。その結果、開発事業現場からの流出量は条例施行前に比べて条例施行後は約80%減少したと推算されており、条例は一定の効果を上げているものと考えております。
 しかし、既存農地からの赤土流出量は約20%程度の減少にとどまり、赤土流出量全体の約70%を占めていることから既存農地対策が今後の大きな課題となっております。
 既存農地の赤土対策につきましては、農林水産部において圃場勾配修正等水質保全対策事業を進めているところであり、文化環境部におきましても民間主導型の流域協議会の設置推進による普及・啓発活動の強化や赤土等監視員による監視活動の強化等、赤土問題の改善に向けて努力しているところであります。
 なお、基地内の赤土対策につきましては、県の申し入れにより貯留型砂防ダムの設置、航空機による緑化等対策を講じてきております。
 県としましては、今後とも既存農地や基地からの赤土流出問題について関係機関とも連携しながら引き続き対策を講じていきたいと考えております。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後3時51分休憩
   午後4時15分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 高嶺善伸君。
   〔高嶺善伸君登壇〕
○高嶺 善伸 戦争と紛争の世紀と言われた20世紀、そして人類と環境が共生して平和でありたい21世紀、その節目の12月県議会において代表質問の機会を与えてくれました護憲ネットワークの先輩議員の皆さんに感謝を申し上げつつ代表質問を行います。稲嶺知事の誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、知事の政治姿勢についてであります。
 憲法で保障されるべき人権についてですが、憲法第14条は、「すべての国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」。さらに第25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定めております。
 沖縄県民の現状は、国内の米軍提供施設の75%を国土のわずか0.6%の沖縄県に押しつけられ、米軍基地の過重な負担、そして基地から派生する事件・事故で脅かされており、このような状況は憲法第14条、第25条に違反していると思いますが、どうお考えですか。
 (2)、太平洋戦争で23万人余の戦争犠牲者を出した沖縄戦の歴史を世界に発信し、後世へ伝えるのが沖縄県の歴史的使命だと思いますが、次の点をお聞きしたい。
 ア、アジア最大の米軍基地がある沖縄で行われたサミットで各国首脳やマスコミを通じて沖縄の心がどのように理解され世界へ情報発信できたと評価しているか。
 イ、サミット後、基地問題についてどのように情報発信を続けていかれるのか、取り組みをお聞きしたい。
 ウ、2002年度採用教科書を検定中の中学校歴史教科書の中に、沖縄戦について、10万人の島民が生命を失い、日本軍の戦死者も11万人を数えたと言われているという記述がなされているとの報道があり、沖縄戦の実相を改ざんするものだと思いますが、知事の御所見を賜りたい。
 (3)、戦後の経済復興、そして本土復帰後の3次にわたる沖縄振興開発計画による本土との格差是正と沖縄の自立について、歴代の県政の取り組みをどのように評価しているか。今後のポスト第3次振計への展望をどう考えるか、お聞きしたい。
 次に、平和行政についてであります。
 (1)、普天間飛行場代替施設15年使用期限問題について。
 知事は、県内への代替施設は軍民共用空港で基地としての使用は15年間と公約いたしました。9月定例会の伊波栄徳議員の代表質問に対して、「移設に当たって整備すべき条件の一つとして国に強く申し入れております。 使用期限問題については、閣議決定を受け、これまで日米防衛首脳会談、外相会談、日米首脳会談、日米安全保障協議委員会についても取り上げられており、引き続き日米両政府において解決に向けた協議がなされるものと考えております。」と答弁しています。
 しかし、大森防衛施設庁長官は去る11月24日の記者会見で、知事が代替施設着工前に15年問題の解決を求めていることについて、いつまでにやらなければならないと期限をつけてやっているわけではないと述べ、政府として解決時期を設定することに否定的な考えを示したと報道されております。これは、3月17日のコーエン米国防長官発言、4月5日のダンジッグ米海軍長官の期限設定に対する一連の否定的な見解に連動しており、県民は裏切られた思いであります。
 そこでお聞きします。
 ア、11月24日の大森長官の発言は閣議決定を形骸化し知事の公約及び期待を無視する問題発言と思いますが、知事は政府に真意を確認し抗議をしましたか。
 イ、新聞報道によると、ある県選出自民党国会議員は、15年使用期限を前提にすると移設はできない、米政府から約束を取りつけることは無理だとの認識を持っているようだが、知事はどのように受けとめていますか。
 ウ、知事は、15年使用期限問題の解決は代替施設着工前、完成前、完成後いずれの時期をタイムリミットと考えているか。
 エ、そもそも15年使用期限を公約とした稲嶺知事は、15年後には米軍基地が代替施設から本国に撤退するという前提か、あるいは県外または国外へ移転するという前提か、明確にしてもらいたい。
 (2)、在沖米軍基地の縮小及び訓練の分散について。
 知事は、9月定例議会の答弁で、ジョーンズ総司令官との会談を通して、沖縄の過重な基地の負担を軽減するために海兵隊の訓練や基地そのものの移転縮小を日米両政府に働きかけることを明言しました。
 私は、グアムのアンダーセン米空軍基地を見る機会がありました。冷戦が終了し東西問題が解消され、基地は縮小され、米軍撤退後も基地経済から脱却できないグアムは、沖縄の基地がグアムに移転してくるのを期待しているのです。
 このほど米国の元国防次官補リチャード・アーミテージ氏、ジョセフ・ナイ氏、元国防総省日本部長ロビン・サコダ氏、元国防副次官補カート・キャンベル氏、米外交問題評議会主任研究員マイケル・グリーン氏等超党派で日米関係における重要事項の提案がありました。
 内容で注目したいのは、沖縄の基地が重要な役割を果たしていることを強調しながら、我々はSACOの合意の中に、アジア・太平洋地域における分散化という第4の目標を入れるべきであった、米国はこの一帯を通したより幅広く柔軟な海兵隊の配備と訓練を検討すべきであると提言していることであります。
 そこでお聞きします。
 ア、知事は、9月18日のジョーンズ総司令官会談内容と同様なこの提言に対してどのような感想をお持ちか。
 イ、知事は、沖縄の負担軽減のために基地及び訓練等の移転縮小の要請を今後どのような方法で行うか。
 ウ、沖縄の基地及び訓練等受け入れを希望しているグアムと連携して日米両政府に対して要請してはどうか。
 (3)、八重山平和祈念館について。
 太平洋戦争の沖縄のもう一つの悲劇は、マラリア有病地帯として恐れられている山奥に日本軍の命令によって強制疎開させられ、3000名余の病死者を出したいわゆる八重山戦争マラリア事件であります。当事者や遺族の悲痛な体験がこの「悲しみを乗り越えて」という600ページにわたる手記に悲しい記録がおさめられております。(資料を掲示) 
 この中には、9名の家族中7名が目の前でなすすべもなくマラリアで死んでいった女性の悲痛な叫びや、17名の家族のうち16名までもがマラリアの犠牲者になり、1人残された悲しみなどがつづられております。
 遺族を中心に沖縄戦強制疎開マラリア犠牲者援護会が結成され、軍命による強制疎開であることを粘り強く訴え国の補償を求めてきましたが、結局3億円の慰藉事業という形で決着しました。釈然としない結末に無念さをかみしめている遺族の思いを思うときちんと総括しておきたいものであります。
 まず、知事の八重山の戦争マラリア事件についての歴史的な認識として強制疎開は日本軍の命令、いわゆる軍命であったと認識しているか。また、この八重山の戦争マラリア事件をどのように感じているか。国の責任及び決着のあり方についてどのように評価しておられるか。
 イ、慰藉事業の一つとして建設された八重山平和祈念館の意義と今後の活用をどのように考えているか。
 ウ、八重山平和祈念館の展示内容について、沖縄県平和祈念資料館とともに昨年の第7回議会において歴史の改ざん事件として指摘、議論されました。その後、元監修委員、専門委員との検討協議に基づいて12年度の予算で展示されることになっていますが、是正措置はどうなったのか、具体的にお聞かせ願いたい。
 次に、総合交通体系についてであります。
 (1)、沖縄南北縦貫鉄道導入について。
 戦前走っていた軽便鉄道が戦争で破壊され復活されずに今日に至っており、本土復帰後県議会の決議も含めて全県的な鉄道建設運動がありましたが、当時の国鉄再建問題で立ち消えになっています。ことしになって沖縄南北縦貫鉄道を実現する会のNPO活動が発端となり、定時・定速で本島北部と南部を結び地域間格差をなくそうという沖縄鉄軌道導入問題が盛り上がっており、県議会でも超党派で沖縄県議会鉄軌道導入促進議員連盟がスタートし、沖縄県市議会議長会、沖縄県市長会の決議がなされ、知事にも要請がなされていると思います。
 日本鉄道建設公団も既に沖縄鉄道建設を前提とした条件整備に着手したと伺っており、鉄道の恩恵を受けてこなかった沖縄に国策として鉄道を建設する千載一遇のチャンスと言われております。現在行われている沖縄県総合交通体系の見直しの過程で鉄道導入の文言を入れるかどうか、注目されています。
 そこでお聞きします。
 ア、知事は、沖縄に南北縦貫鉄道を導入することについて率直にどのような認識を持っておられるか。盛り上がっている県民世論に対してどのように感じておられるか。
 イ、鉄軌道導入可能性調査の結果、どの時期にどのような組織で評価するか。新たな沖縄総合交通体系基本計画に含めるかどうか、どのようなプロセスで決まるのか、そしてその時期はいつか。
 ウ、知事は、これまで国に対して鉄道導入について公式、非公式を問わず打診協議したことはないか。今後、新法、新計画政府要望に対する県案として協議する考えはないか。
 エ、昭和56年9月に策定された沖縄県総合交通体系基本計画で、「北部圏の成長と都市機能の成熟が広域的展開を必要とする段階で検討すること」になっているが、ポスト3次振計で検討してはどうか。
 (2)、バス4社統合問題について。
 県内バス会社4社は乗り合い事業を統合することになっているが、このほど「バス統合に関する可能性調査室」がまとめた調査報告書が発表されました。新会社設立の条件整備として行政による170億円の財政措置が必要とされております。
 戦後、国鉄の恩恵を受けなかった沖縄は民営バス事業のおかげで県民の生活路線を確保してきました。法律の改正によりバス会社が生き残りをかけて統合再スタートするに当たり、行政の支援が必要だと考えます。国鉄は25兆5000億円の長期債務を抱えてJR7社に分割・民営化し、その長期債務は国策として処理され、予想される年度の運営赤字は経営安定基金の運用益で補てんされる仕組みとなっています。政府を巻き込んだ政策的な取り組みを期待したい。
 ア、調査室がまとめた報告書をどのように評価しているか。そしてどのように対応するか。
 イ、行政による支援措置は国鉄のなかった沖縄への国策の一環として国と連携をとりつつ対応してはどうか。
 ウ、路線の維持についてJRと同様、当面、経営安定基金を創設して支援策を講ずるべきではないか。
 (3)、沖縄都市モノレール運営について。
 沖縄都市モノレールは、平成15年供用開始をめどに工事は進んでいるが、経営について心配する声も聞かれるが、次の点をお聞きしたい。
 ア、経営の見通しをどのように考えておられるのか。
 イ、モノレール、バス、タクシー等の連携による利便性の増進を図るためにどのような取り組みをしていくか。
 次に、経済問題について。
 (1)、第1次産業振興について。
 ア、沖縄県は、戦後の基地経済と復帰後の観光産業の発展により第1次産業は減少の一途をたどっており、就業人口は3万9000人で全体の7%にすぎません。就業人口の減少傾向に歯どめがきかず、高齢化の進行で厳しい状況にある今日、第1次産業に対する知事の基本的な姿勢をお伺いしたい。
 イ、さとうきび生産についてですが、今年度価格は関係機関・団体の強力な取り組みでトン当たり2万450円に決定され、感謝申し上げます。今後、国内甘味資源の確保と基幹作物振興の観点から農家が意欲を持って生産に取り組める振興策が必要だと思うが、県の取り組みはどうなっているか。また、製糖企業等の経営安定のために国内産糖交付金、糖業振興臨時助成金、含みつ糖価格差補給金等の今後の予算の確保の見通しについてお聞きしたい。
 また、パイナップルについては観光産業の発展とともに生果用は活路を見出しつつありますが、加工用原料の減少により厳しい状況にあり、今後の増産の見通しと加工施設の整備計画についてお聞かせ願いたい。
 また、戦略品目の野菜、花卉、果樹、薬用作目についての産地育成、技術経営指導体制はどうなっているか。流通販売対策をどのように考えているか、お聞かせ願いたい。
 ウ、日本農業新聞の報道によりますと、本年度全国肉用牛枝肉共励会で見事名誉賞に輝いたのは栃木県坂本畜産の牛で、産地は沖縄県となっており、石垣牛であります。坂本さんのおかげで子牛生産地沖縄が注目を集めており、感謝申し上げます。今や畜産は、本県農業粗生産額944億円のうち38%の359億円を占めるに至っており、本県における今後の畜産業の見通しと今後の振興策をお伺いしたい。
 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律により、平成16年11月までに家畜排せつ物の処理または保管施設を整備しなくてはなりませんが、その負担は農家経営を脅かす深刻な問題であります。畜産農家の理解と協力を得るために県としてどのように取り組んでおられるか。対象農家の実態と支援事業はどうなっているか。
 また、農家負担軽減対策として「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想の一環として有用微生物等を活用し、家畜排せつ物の堆肥化による県独自の資源循環型の土づくり事業を抱き合わせて実施する考えはないか。
エ、水産業協同組合法によれば、沖縄県は県内の漁協について健全な経営を確保するため監督の責任が定められております。自己資本比率が基準に満たない県内の漁協は、3月までに信用事業を県信漁連に譲渡する以外に方策はありません。
 9月議会での県当局の答弁は、「地元市町村や系統団体と連携し信用事業の譲渡及び経営の改善が図られるような対策を検討する」と答弁いたしましたが、譲渡手続などタイムスケジュール等を勘案すると今12月議会で支援方策を明確にし損失補償の議決等所要の措置が必要であり、議案が上程されております。県当局の取り組みをお聞かせ願いたい。
 (2)、観光振興について。
 沖縄県は、観光振興策の一つとして昨年、9市町村9地域の観光振興地域指定を受けました。この制度は、県知事の申請に基づき沖縄開発庁長官が指定するものであります。
 そこでお聞きしたい。
 ア、観光振興地域指定の目的や期間はどのようになっているか。地元の協議機関の設置等対応状況はどうなっているか。
 イ、雇用創出、経済効果をどのように見込んでいるか。
 ウ、土地利用効率を高めるための道路などインフラ整備の計画はどうなっているか、お聞かせ願いたい。
 次に、雇用問題について。
 (1)、沖縄県の完全失業率は8.4%で、全国平均の2倍という厳しい状況である。ことしの倒産件数は既に100件を超えていると言われ、雇用不安が県内に漂っております。
 そこでお聞きしたい。
 ア、昨年とことしにおける県内の閉鎖、倒産企業及び事業所は何件で、原因をどのように把握しているか。また失業者は何名か。そのうち再就職できたのは何名か。再就職対策はどのように行ったのか。
 イ、倒産防止に対してどのような指導と施策を講じているか。その成果をどのように評価しているか。
 ウ、中小企業金融安定化保証制度が一昨年スタートしましたが、実績と効果をどのようにとらえているか。今後の継続の見通しと償還期限の延長や融資条件緩和を望む声があるがどうか。
 エ、新たにNTT西日本沖縄支店の営業所4カ所、営業拠点7カ所、営業窓口3カ所が廃止され、300人の人員削減が予定されており、情報通信産業による雇用の創出と言いながら現実は逆行しているように思います。既存企業育成、雇用の安定確保の観点からどのように対応したか、お聞かせ願いたい。
 (2)、本県の若年労働者の失業率ですが、無業者が29.1%で全国平均の3倍であります。これは沖縄県の雇用状況と世相を反映しており、21世紀を担っていく若者たちへの的確な対応が求められておりますが、実態はどのようになっているか、対策をどのように考えておられるか、お聞かせ願いたい。
 次に、医療問題についてであります
 (1)、県立病院に勤務する公務員医師会の陳情によると、過労のため厳しい勤務状況が報告されているが、診療科ごとの実態はどうなっているか、実態に即した定数の見直し、再配分をすべきではないか。
 (2)、医師を初め医療従事者の養成確保にどのように対応しているか。厚生省の派遣医師依存ではなく自前の医師確保が急務ではないかと思われますが、いかがでしょうか。琉大医学部の地域医療に対する対応は改善されているかどうか、お聞きしておきたいと思います。
 (3)、僻地・離島医療の取り組みはどうなっているか。僻地医療支援病院の指定への取り組みはどうなっているか、お聞かせ願いたい。
 次に、離島振興についてであります。
 八重山郡民が切望してやまない新石垣空港建設についてお伺いいたします。
 ア、新石垣空港建設位置の地元調整会議の結果を踏まえ国との協議、地元公民館との協議など今後どのような対応をしていかれるのか。
 イ、懸念される環境問題について新石垣空港建設工事関連だけでなく、流域の宮良川土地改良区からの赤土流出防止対策を並行実施し環境保全対策を講じてはどうか。
 (2)、各離島発着の航空運賃の軽減策についてであります。
 ア、離島振興の大きなかぎを握っている航空運賃について、まず、離島割引制度の拡充への対応はどうなっているか。
 イ、特別割引制度の平準化を図れないのか。
 以上申し上げましたが、答弁により再質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 高嶺善伸議員の御質問にお答えいたします。
 最初は、政治姿勢について。
 国土の0.6%にすぎない本県に国内米軍提供施設の75%があり、過重な基地負担をしている現状は、憲法第14条、第25条に違反していると思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
 本県が過重に米軍基地を負担している現状について、法のもとの平等を保障した憲法第14条及び健康で文化的な最低限の生活を保障した憲法第25条に照らして合憲であるか違憲であるかの判断は、司法の権限において行われるべきことであると考えております。
 しかし、本県に存在する広大かつ過密な米軍基地が県民生活や本県の振興開発にさまざまな影響を及ぼしており、多くの県民が米軍基地の整理縮小を強く望んでいることは厳然たる事実であります。県としては、本県が過重に負担している米軍基地の整理縮小を図るためSACOの合意事案を着実に実施するとともに、SACOで合意された施設以外についても実現可能なものから計画的かつ段階的に基地の整理縮小に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、同じく政治姿勢についての中で、沖縄サミットで各国首脳やマスコミを通じて沖縄の心がどのように理解され、世界へ情報が発信できたと評価しているかとの御質問にお答えいたします。
 県ではサミット開催に際し、平和を希求する沖縄県民の心をさまざまな機会にさまざまな手法で訴えてまいりました。事前の広報活動としてインターネットを活用したホームページを開設したほか、東京外国特派員協会での講演などを実施しました。
 サミット開催中は、クリントン大統領から平和の礎で平和を求める沖縄の心を高く評価する内容のスピーチがあり、その模様は世界に発信されました。
 また、内外の報道関係者を対象に米軍基地の状況や平和施設などを紹介するプレスツアーなどを実施したところ、多くの参加がありました。県としては、こうした取り組みを通してサミットで本県を訪れた方々が県民の平和を希求する心を理解していただき、世界に発信できたものと考えております。
なお、サミット終了後、クリントン大統領から、平和の礎の訪問も実に感慨深く、県民の皆様にお話する機会も得られたことを大変うれしく思うとの礼状が届いているほか、各国の駐日大使からも沖縄県民の対応に感謝しているとの言葉をいただいております。
 同じく政治姿勢についてのうち、本土との格差是正と沖縄自立について、歴代の県政の取り組みをどのように評価しているか、今後のポスト3次振計への展望をどう考えるかについてお答えいたします。
 本県の振興開発については、社会資本の整備を中心に多くの分野で本土との格差が縮小され着実な成果を上げております。これは国、県、市町村等による総合的な施策の推進と県民の不断の努力が相まってなし得たものと認識しており、歴代の県政の取り組みに対して高く評価するものであります。
 しかしながら、基地問題を初め産業振興のおくれ、高い失業率など今なお多くの課題が存在しております。このようなことを踏まえ、今後の本県の振興については自助、自立の精神のもとに行政、県民が一体となり、本県の持続的な発展を目指していきたいと考えております。
 特に産業面においては、沖縄経済振興21世紀プランを着実に進めるとともに、新たな制度の創設を国に求めるなど本県の経済振興を確実なものとし、競争力、持続力のある民間主導型経済の構築を図りたいと考えております。
 次に、平和行政についてで、大森防衛施設庁長官の発言は閣議決定を形骸化して知事の公約及び期待を無視する発言だと思うがということの御質問に対するお答えでございます。
 大森防衛施設庁長官は、平成12年11月24日に行われた定例記者会見において、15年問題は知事を初め県民の非常に大きな要望だと真剣に受けとめており、解決への努力を最大限しなければならないと認識している。政府として、いつまでにやらなければならないという期限をつけてやっている話ではなく、機会あるごとに米側と十分協議して解決の方向を見出さなければならないと認識していると述べました。長官の発言は、使用期限の問題について政府としては、昨年末の閣議決定に従い適切に対応していくとの考えを示されたものと理解しております。
 県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ、明確な考え方を示すべきであると考えており、引き続きあらゆる機会に強く求めていく考えであります。
 次に、同じく平和行政で、県選出自民党国会議員が15年使用期限を条件にすべきではないとの意見の報道があるが、どのように受けとめるかについてお答えいたします。
 15年の使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が55年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から使用期限を設け、国に強く求めているものであります。
 県としては、代替施設の15年使用期限についてこれまでもあらゆる機会に要請してきたところであります。最近でも全国知事会や代替施設協議会等で国に要望しており、政府内においてもより認識が深まってきているものと考えます。今後とも引き続きあらゆる機会に強く求めていく考えであります。
 次に、平和行政について、使用期限解決のタイムリミットは着工前、完成前、完成後のいずれの時期かについてお答えいたします。
 県としては、移設に当たって整備すべき条件として代替施設の15年使用期限を設けることを申し入れており、これまでその早期解決を求めてきたところであります。15年使用期限問題については、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えており、今後ともその解決を強く求めていきたいと考えております。
 次に、同じく平和行政について、知事は、15年使用期限後は米軍基地が代替施設から撤退するという前提か、あるいは県外、国外への移転を前提としているのかについてお答えいたします。
 15年使用期限の設定については、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から移設に当たって整備すべき条件として国に強く申し入れたものであります。県としては、15年使用期限後は、より一層県民の財産として地域の自立的発展や振興開発につながることが重要であると考えております。
 次に、平和行政についてのうち、1つは、超党派の専門家グループによる提言に対してどのような感想を持っているか、次に沖縄の負担軽減のために基地及び訓練等の移転、縮小の要請を今後どのような方法で行うのかという2つの御質問について一括してお答えをいたします。
 最近のジョーンズ米海兵隊総司令官の発言や超党派の国防専門家グループのレポートで、沖縄県民の負担の軽減を図る立場から海兵隊の訓練の移転や兵力の削減について提言が行われるなど、在沖米軍基地について米本国内にも新しい動きが出ていることに県は注目しているところであります。
 これらの提言は、国防専門家としての立場から行われたものでありますので、県としては、アメリカの新政権の中でこれらの提言がどのような形で政策に反映されていくのか、今後の動向を注意深く見守りながら県民の基地負担の軽減を図る観点から適切に対応していきたいと考えております。いずれにしましても、県としては、県民の願いである基地の整理縮小が一歩一歩着実に推進できるよう取り組んでいきたいと考えております。
 次に、平和行政についての中で、八重山の戦争マラリア事件における住民の強制疎開をいわゆる軍命であったと認識しているか、この事件で国の責任及び決着のあり方についてどのように評価しているかという御質問にお答えします。
 八重山戦争マラリア犠牲者の問題については、平成元年以降、沖縄戦強制疎開マラリア犠牲者援護会、石垣市、竹富町及び県等が連携し、戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用を要請してきた経過があります。
 戦争マラリア犠牲者につきましては、軍命によりマラリア有病地に強制的に避難させられた結果発生した戦争犠牲者であり、私もそのように認識しております。同問題については、沖縄戦強制疎開マラリア犠牲者援護会の長年にわたる粘り強い要請活動の結果、平成7年12月に国の特段の配慮により県が実施する慰藉事業として解決を見たものと理解しております。
 次に、総合交通体系について、知事は、南北縦貫鉄道導入について率直にどのような認識を持っているか、また盛り上がる県民世論についてどのような認識を持っているかについてお答えいたします。
 沖縄本島に鉄軌道の導入を求める「NPO・沖縄南北縦貫鉄道を実現する会」や沖縄県議会鉄軌道導入促進議員連盟の設立など県民世論の高まりは公共交通の利便性の向上、都市交通問題の解決、高齢化社会の到来や環境問題への対応など、21世紀における本県を支える基盤整備の必要性や豊かな地域社会形成への期待のあらわれであると認識しているところであります。
 南北縦貫鉄道の導入につきましては、交通需要や採算性など検討すべき課題が多岐にわたることから、県としましては、今回「総合交通体系基本計画」の見直しに当たっての基礎的な資料を得るための鉄軌道導入可能性基礎調査を行っており、引き続き検討していくべき課題と考えております。
 次に、同じく総合交通体系についての御質問の中で、モノレール事業の経営の見通しについての御質問にお答えいたします。
 沖縄都市モノレールが広く県民・市民に親しまれ、開業後の健全経営を図るためには利用客の安定的な確保が不可欠であります。
 開業時の利用客数については、中南部圏域の人口及びパーソントリップ調査等から1日約3万5000人と予測しております。これに基づく収支計画については開業後10年で単年度の収支が好転し、開業後25年には累積でも収支が好転するものと見込んでおります。
 開業後のモノレールの利用客の安定確保を図るため、バス、タクシーなど他交通機関との交通結節点の整備等ハード面の施策とあわせてバスとの共通乗車券の発行などソフト面の施策にも積極的に取り組み、総合的に施策を講じてまいります。
 次に、経済問題について、第1次産業振興に対する基本的な姿勢についてお答えいたします。
 本県の農林水産業は、食料の安定供給のみならず、農地・森林・水産資源の保全、伝統文化の継承など多面的機能を有しており、重要な役割を担っております。しかしながら農林水産業を取り巻く環境は、担い手の高齢化や減少、国内外の産地間競争による価格の低迷など厳しいものがあります。
 このような状況を踏まえ、21世紀に向けた活力ある農林水産業を構築するため、平成11年2月に策定した「沖縄県農林水産業振興ビジョン・アクションプログラム」に基づき園芸品目の拠点産地の育成、流通販売対策の強化、さとうきび生産法人の育成、現場即応型技術の開発・普及等の施策を重点的に推進しているところであります。県としては、今後とも農林水産業の振興を積極的に推進していく考えであります。
 次に、観光振興について、観光振興地域指定の目的や期間はどのようになっているか、地元の協議機関の設置等対応状況についてどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 観光振興地域制度は、本県の観光振興を図るため観光関連施設の整備を特に促進することが必要とされる地域について、県知事の申請に基づき沖縄開発庁長官が指定し、法人税の投資税額控除等の税制等の優遇措置が講じられるものであります。これまでに県下9地域が既に指定済みとなっており、今後は各地域ごとに関係行政機関、地域内に存在する団体等で構成する推進連絡協議会を設立し関係者の意見調整を図るとともに、官民それぞれの役割分担に応じた責任ある取り組みを図る必要があると考えております。
 これまで、各観光振興地域の連絡協議会の設立について順次取り組んできたところであり、既に名護市の「ブセナ地域」、上野村・城辺町の「宮古島南岸リゾート地域」、本部町の「海洋博公園地域」の3カ所が設立済みとなっております。現在、石垣市川平地域を初め、残りの6地域についても早期設立に向け関係機関と事務的な準備を進めているところであります。
 次に、医療問題について、医師の養成確保、厚生省医師等派遣制度、琉大医学部の地域医療に対する対応についての御質問にお答えいたしたいと思います。
 医師の養成確保につきましては、医師の県内定着及び医療水準の向上を図るため県立中部病院において昭和42年以来、卒後医学臨床研修事業を実施しており、医師確保に大きな成果を上げているところです。同研修事業の中で専門医や離島・僻地医療を担うプライマリーケア医の養成確保を行っていますが、継続的に取り組むことが重要であり、引き続き研修事業の充実に努めることとしております。
 また、毎年2名の学生を自治医科大学に送り出し、離島医療を担う医師の養成確保を行っております。
 なお、琉球大学医学部の設置等により医師確保の困難性が大きく改善されておりますが、耳鼻咽喉科、麻酔科等の診療科目については依然として医師確保が困難な状況にあります。このため、特に離島において安定的に専門医を確保するには引き続き厚生省医師等派遣制度等を活用した国の支援が必要と考えております。琉球大学医学部に対しましてはさらなる地域医療への貢献に大きな期待を寄せているところであり、今後とも大学の協力も得ながら安定的医師確保のシステムづくりに努めていきたいと考えております。
 次に、離島振興について、新石垣空港位置の地元調整会議の結果を踏まえ、国や地元公民館等との協議など今後どのような対応をしていくかについてお答えをいたします。
 新石垣空港建設位置地元調整会議では、カラ岳の切削、農地への影響、周辺集落への騒音の影響、白保海域からの距離等を考慮して作成した3つの滑走路方位案及びそれぞれの滑走路方位案中の複数の建設位置案の計7案を検討した結果、位置選定委員会で選定された原案を南側に180メートル移動した案に決めていただきました。
 このたび、地元中心の同会議で具体的な建設位置が決まったことにより、新空港の早期建設に向けて大きく前進することになるものと考えています。今後、国と十分調整を図りながら空港基本計画や環境影響評価方法書を作成し、環境影響評価書の作成など環境影響評価法に基づく諸手続を行い、関係地権者や関係団体の理解と協力を得て新空港の設置許可申請をし、許可を得て早期の事業着手に努めたいと考えています。
 なお、地元の公民館等に対しては事業の進捗状況に応じて随時説明会等を開催するとともに、地元の要望にも十分配慮しながら事業実施についての理解と協力を得ていきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 高嶺議員の知事の政治姿勢についての質問事項のうち、サミット後、基地問題についてどのように平和情報発信を続けていかれるかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
 県は、より多くの人々に本県の基地の現状を知っていただくことが本県の基地問題の解決を促進する上で大きな力になると考えており、サミット開催時はもとより、現在も継続して本県の基地問題についてインターネットによる情報発信を行っております。
 サミット終了後、県が新たに情報発信を行っているものについて具体的に申し上げますと、サミット期間中に使用した本県の基地の現状や基地問題についての県の基本的な考え方や取り組みを説明したパンフレットについて日本語及び英語の両方を沖縄県のホームページに掲載しております。また、8月末に県が日米両政府に要請した日米地位協定の見直し案についてもホームページに掲載したほか、今回新たに米軍基地に関する統計資料について日本語及び英語の両方を掲載するなど本県の基地の現状等について広く県内外に情報発信をしております。
 県としては、サミットでの情報発信を一つのステップにして今後とも本県の基地問題についてインターネット等の情報媒体を積極的に活用し、より充実した情報発信を行い、県民の願いである基地の整理縮小に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、平和行政についての質問事項のうち、沖縄の基地及び訓練等を希望しているグアムと連携して日米両政府に対して要請してはどうかという御質問にお答えをいたします。
 県は、外交・防衛に関する事項については、当事者である日米両国政府において取り組むべき問題であると認識しており、沖縄の基地及び訓練等のグアムへの移転についてもまず国家間で話し合いがなされるべきものだと考えております。県としては、アメリカの新政権における今後の動向を注意深く見守りながら、県民の基地負担の軽減につながるよう適切に対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(翁長良盛) 高嶺議員の御質問にお答えいたします。
 まず、検定中の中学校歴史教科書の中に沖縄戦について、10万人の県民が命を失い、日本軍の戦死者も11万人を数えたという記述がなされているとの報道があり、沖縄戦の実相を改ざんするものだと思うが所見を聞きたいという御質問にお答えいたします。
 マスコミで報道されております中学校歴史検定申請図書の記述に当たって、沖縄戦の実相が改ざんされているということにつきましては、検定申請図書、いわゆる白表紙本は一切公表されておりませんので、その内容を確認することができない状況であります。
 教科書は、学校教育における教育指導の主たる教材であり、極めて重要な役割を持つものであります。したがいましてその記述に当たっては、公正適切で正確性が求められるとともに、それを使用する児童生徒の発達段階に応じた配慮がなされなければならないと思います。教科書における沖縄戦の記述についても、このような考え方に基づいて記載する必要があると考えております。
 なお、平成14年度から使用される小中学校の教科書については、現在文部省において検定作業中であり、検定本の法定展示は平成13年6月ごろに予定されております。
 次に、雇用問題に関連いたしまして、本県の若年労働者の失業率について無業者が全国平均の3倍であり、21世紀を担っていく若者たちへの的確な対応が求められておりますが、実態はどのようになっているか、対策をどのように考えておられるのかという御質問にお答えいたします。
 平成12年3月の県立高等学校卒業者の3月末の無業者は4881名で卒業者の29.1%であります。6月30日現在の追跡調査では、無業者は3984名で23.8%まで減っております。
 本県が無業者の多い要因としましては、生徒の進路の意思決定が遅いことと、就職に関しては県内希望者が多いこと等が考えられます。このことにつきましては沖縄労働局、県商工労働部と連携して未就職卒業者対象の就職面接会の実施、高校生の県外企業職場実習・職場見学会を実施するなど就職意識の高揚を図っております。
 また、沖縄県緊急雇用対策特別事業により、本年度から県立高校24校に就職促進相談員を配置し生徒の就職活動と就職担当教諭の就職指導を支援しております。今後、なお一層、小・中・高の連携を図り、児童生徒が主体的に進路選択ができるよう人間としてのあり方、生き方の指導を中心に据え、望ましい職業観、勤労観の育成を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○文化国際局長(金城勝子) 高嶺議員の平和行政についての部分で、八重山平和祈念館の意義と今後の活用についてどう考えるかということにお答えいたします。
 八重山平和祈念館は、戦争マラリアの実相を後世に正しく伝えるとともに、人間の尊厳が保障される社会を構築し、八重山から世界に向けて恒久平和の実現を訴えることを基本理念として開設されたものであります。
 同館におきましては、これまで絵画・作文・詩の児童生徒平和メッセージ展を開催したほか、慰霊の日や終戦記念日に遺族会を中心とした「ピースフル・コンサート」や「朗読と講演の夕べ」等が開催されるなど地域の皆様にも活用されております。今後とも遺族会を初め地元の意向が反映されるよう同館の管理運営の充実を図ってまいります。
 次に、同じく平和行政についてですけれども、八重山平和祈念館の展示内容について元監修委員、専門委員との検討協議に基づいて12年度予算で展示されることになっているが、その結果はどうかというお尋ねでございます。
 八重山平和祈念館の展示につきましては、平成12年6月に展示製作を委託し、11月13日には完了検査を終了したところであります。この検査には、元監修委員会の会長、専門委員等も立ち会い、確認したところでございます。
 元監修委員との協議については、昨年の11月から今年の1月までの3回石垣市において市民に公開して行いました。その結果、改ざん等がなかったことについて元委員の皆様の御理解が得られたものと考えております。
 検討協議は、専門委員の作成した当初案へ戻すということではなく、展示内容の充実を図るという観点から建設的な検討が加えられ、文案がまとまりました。
 具体的に主なものを申し上げますと、専門委員が「強制退去」としていた表現については、「退去」には強制の意味があるとして「退去(強制避難)」と用語を統一することになりました。
 また、「集団死とも言われている。」とされていた写真説明につきましては、「日米最後の地上戦闘に巻き込まれ、折り重なるように斃(たお)れた住民」と修正されました。
 「マラリア患者の看病風景」としていた写真説明については、マラリアの症状と看病の状況をより詳しく説明することとされました。
 それから、専門委員による展示では20点余り標題のみで説明文はありませんでしたが、これらのものにつきましても新たに説明文が加えられております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 総合交通体系についての中の、鉄軌道導入可能性調査の結果、どの時期に、どのような組織で評価するか、新たな沖縄総合交通体系基本計画に含めるかどうか、どのようなプロセスか、その時期はいつかについての御質問にお答えをいたします。
 鉄軌道導入可能性基礎調査の結果は、沖縄県総合交通体系基本計画の見直しのための基礎的資料として活用するとともに、広く県民に公表したいと考えております。
 新たな総合交通体系基本計画については、平成13年度中に学識経験者、市町村、運輸事業者の代表者等で構成する「沖縄県総合交通体系整備調査委員会」の審議を経て策定していきたいと考えております。
 同じく総合交通体系で、これまで国に対して鉄道導入について公式、非公式打診、協議したか、新法・新計画を政府要望に対する県案として協議する考え、それからポスト3次振計で検討してはどうかについての御質問でございます。一括してお答えをいたします。
 鉄軌道の導入にかかわります今回の調査の内容等につきまして、事務段階で国に対し説明をしてきたところであります。
 国への要望やポスト3次振計での対応に関しては、将来需要や採算性、整備課題等も踏まえ、諸計画との整合を図りつつ都市モノレールを初めとする軌道系交通システムや道路網等のハード施策と交通需要マネジメントやITSなどソフト施策もあわせて新たな交通システムとして総合的に検討してまいりたいと考えております。
 総合交通体系の中での、「バス統合に関する可能性調査室」がまとめた報告書をどのように評価し、どのように対応するかについての御質問でございます。お答えをいたします。
 平成12年8月に設立されたバス統合に関する可能性調査室は、県内の金融機関からの出向者等で編成され、第三者的な立場から本島バス4社の乗り合い部門の統合の可能性について同年10月末に調査報告書をまとめ、関係者に内容を説明した後解散しております。同報告書は、バス4社の乗り合い部門を統合する新会社設立について一つの方向性を示したものとして一定の評価をしているところであります。
一方、統合の当事者である4社統合委員会においては、新会社の組織、資本、財務、事業等について、弁護士や公認会計士等の専門家の助言も受けながら乗り合い部門の統合に向けて検討を進めているところであります。
 県としては、これまでバス4社の代表者及び沖縄総合事務局と意見交換を重ねてきたところであり、今後、4社統合委員会の検討結果を受けて、今回の調査報告書も参考にしつつ国と緊密な連携を図りながら積極的に対応していきたいと考えております。
 同じく総合交通体系で、行政による支援措置は国鉄のなかった沖縄への国策の一環として国と連携をとりつつ対応してはどうか、それから路線の維持についてJR同様、当面、経営安定基金を創設して支援を講ずべきではないかについての御質問でございます。一括してお答えをいたします。
 バスは、本県における唯一の公共大量輸送機関であり、県民の足を安定的に確保するためにはバス事業者の経営健全化を図ることは重要な課題であると認識しております。現在、バス4社は、乗り合い部門の統合に向けて検討を進めているところであり、県としては、その検討結果を受けて具体的な支援措置等について国とも連携を図りながら対応を検討していきたいと考えております。
 また、路線維持については、地方バス路線維持費補助事業及び地方バス運行対策補助事業により国、県、市町村で補助金を交付し生活路線の維持・確保に努めているところであり、県及び市町村の負担については地方交付税により一部財源措置をされております。
 次に、離島振興についての離島割引制度の拡充への対応についての御質問でございます。お答えをいたします。
 県内離島航空路線の運賃低減は、離島住民の生活の安定及び離島地域の振興を図る上で極めて重要な課題であります。
 このため、県は当該路線の運賃低減を図るため県管理空港の空港使用料の軽減措置を行い、これにより航空会社は平成9年10月から離島住民を対象とした割引運賃を創設、実施しております。離島割引の対象路線は、那覇─宮古、石垣等の県内6路線と離島発着の県外8路線となっており、割引率は実施当初15%でありましたが、本年4月からは割引率を拡大し、現在では26から30%の割引率となっております。
 また、当該割引制度は他の割引制度に比べ予約時期、利用期間及び座席数等の制限がないなどの優位性を持っております。したがって、県としましては当該割引制度の利用者が今後一層増加するものと期待をしております。
 同じく離島割引制度の平準化が図れないかについての御質問にお答えをいたします。
 国は、国内航空分野の需給調整規制の廃止とあわせ、運賃・料金を認可制から事前届け出制に規制緩和する改正航空法を平成12年2月に施行しました。これに伴い各航空会社は、バーゲン型運賃、インターネット運賃及び介護帰省割引運賃など各社がアイデアを競い多種多様な割引運賃を設定しております。
 多様化した割引運賃は、利用者が情報収集に努め適切な運賃を選択した場合には利用者負担の軽減が図られます。しかしながら一般的に割引率が高い割引運賃ほど予約期限、予約変更及び座席制限などが厳しく、利用者にとって不便な状況も生じております。県としては、利用者にとって年間を通してより利便性の高い割引運賃の実施について各航空会社に対し割引制度の拡充を要請してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○土木建築部長(銘苅清一) 総合交通体系についてのうち、モノレール、バス、タクシー等の連携による利便性の増進を図るためどのような取り組みをしていくのかとの御質問にお答えいたします。
 沖縄都市モノレールは、バス、タクシーなど他交通との結節による利便性を確保するため、おもろまち駅及び赤嶺駅の交通広場内にはバスベイ、タクシーベイ及び一般乗用車の乗り場、駐輪場を計画しております。また旭橋駅等の6駅の交通広場内には、タクシーベイや駐輪場などを設置し隣接する道路敷にバスベイを計画しております。
 なお、交通広場を設けない残りの7駅についても、バスやタクシーとの乗り継ぎができるように駅に隣接して道路敷等にバスベイやタクシーベイを設ける計画であります。
 以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) 経済問題についての関連で、さとうきび農家が意欲を持って生産に取り組める振興策が必要だと思うが、県の取り組みはどうかとの御質問にお答えします。
 さとうきびは、本県の基幹作物として農家経営はもとより、地域経済の維持・発展に大きな役割を果たしております。
 しかしながら、近年、農業者の高齢化、他作物への転換等により生産量が減少し、製糖企業の操業度も低下するなど厳しい状況にあります。このため県としては、さとうきび生産振興を図るため、かんがい施設等の生産基盤の整備を初め機械化の促進、優良種苗の増殖・普及、担い手の育成等諸施策を推進しているところであります。
 特に、平成13年度から拡充・継続される新ルネッサンス事業は、さとうきびの収穫面積の維持・拡大対策、単収・品質向上対策、生産法人の育成などの支援ができるようになっております。
 また、新たに創設された砂糖生産振興事業は、性フェロモンによるハリガネムシ防除、梢頭部収穫機の開発及び歩どまり向上施設等の整備を図ることにしています。今後とも各種事業を総合的に活用し、農家が意欲を持って生産に取り組めるよう農業所得の確保と製糖企業の経営安定に努めていく考えであります。
 次に、製糖企業の経営安定のため国内産糖交付金、糖業振興臨時助成金、含みつ糖価格差補給金の今後の予算の確保の見通しについてお答えします。
 沖縄県における甘蔗糖企業は、さとうきび原料の加工を通じて農家経済を支えるとともに、雇用機会の創出等地域経済の維持・発展に大きな役割を果たしております。
 このため、県としては、さとうきび生産者及び企業の経営安定が図られる水準に国内産糖交付金を確保するよう国に強く要請しているところであります。
 また、糖業振興臨時助成金及び含みつ糖価格差補給金については、「新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱」に明確に位置づけられております。このことから、今後はその予算の確保が図られるよう引き続き国に強く要請していく考えであります。
 次に、パイナップルについて今後増産の見通しと加工施設の整備計画について伺いたいとの御質問にお答えします。
 パイナップルは、台風や干ばつ等の厳しい気象条件でも比較的安定した生産が可能であり、また缶詰加工業による雇用の創出とともに観光産業とも密接にかかわるなど地域経済に大きく貢献している作物であります。
 しかしながら、近年、農家の高齢化、機械化のおくれなどにより生産量は減少しており生産拡大を図る必要があります。このため、新たな生産担い手として大規模農業生産法人のJA果樹農場おきなわとJA八重山農場を立ち上げるとともに、新生産技術の開発、機械化体系の確立等生産体制の強化に取り組んでいるところであります。平成10年度からは植えつけ面積も漸次増加しており、今後生産量も増加に向かうものと考えております。
 また、八重山地域の加工施設については、缶詰製造を目的とした整備計画を進めてきましたが、採算に見合う原料確保が困難な状況にあります。現在、地元においては民間企業と連携し、平成13年度からカットフル-ツ加工の方針を打ち出し調整を進めているところであります。県としては、八重山地域の新たな加工の方針が農家所得の向上につながるよう各種生産基盤の整備、新たな農業技術の開発・普及等生産面から引き続き支援していく考えであります。
 次に、戦略品目の野菜、花卉、果樹、薬用作物についての産地育成、技術経営指導体制、流通対策はどうなっているかとの御質問にお答えします。
 戦略品目の産地育成については、現在47の産地協議会を設置しており、そのうち7地区を産地認定しているところでございます。
 推進体制としては、農林水産部内の関係機関を網羅したワーキングチームを設置するとともに、市町村、農協、生産者、地域農業改良普及センター等で構成する産地協議会を中心に、関係者が連携を図りながら産地形成に向けた活動を展開しております。
 また、経営技術指導としては、農業試験場における革新的農業技術開発研究及び農業改良普及センターにおける現場即応型技術の現地実証展示圃の設置等を行っております。
 流通販売対策としては、低コストで安定的に大消費地に輸送する手段を開発するため平成12年度からJRコンテナ活用対策事業を実施しているところであります。
 さらに、ITを活用した農林水産部関連ホームページを開設し農林水産物に関する情報を発信するとともに、生産・出荷団体等のホームページと連結することにより販売促進を図っていくこととしております。県としては、今後とも地域における産地育成に向けた取り組みに対し積極的に支援していく考えであります。
 次に、今後の畜産業の見通しと振興策を伺いたいとの御質問にお答えします。
 本県の畜産は、温暖な自然条件を生かし生産基盤の整備、経営体質の強化が図られ順調に伸びております。特に肉用牛については、平成11年末の飼養頭数が8万897頭と復帰時の約3倍、子牛生産頭数は8.8倍となっております。この飼養頭数は、第3次沖縄振興開発計画の13年度目標8万頭を既に突破し全国的にも有数の肉用牛生産県と評価されており、今後とも安定的な伸びが期待されております。
しかしながら、近年の畜産を取り巻く内外の情勢は、国際化の一層の進展による価格競争の激化と畜産環境問題などから特に酪農、養豚、養鶏等の部門においては厳しいものがあり、適切な対応が求められております。このため県としては、平成11年2月に策定した「沖縄県農林水産業振興ビジョン・アクションプログラム」に基づき飼料基盤の整備、家畜の改良増殖、価格安定対策、環境保全対策等の諸施策を総合的に展開し、畜産振興を強力に推進していく考えであります。
 次に、家畜排せつ物法が施行されたが、家畜農家の理解と協力を得るためにどのように取り組んでいるか、また法律の対象農家の実態と支援事業はどうなっているかとの御質問にお答えします。
 平成11年に施行された家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律は、畜産業を営む者が遵守すべき管理基準や金融上の支援措置について定めています。県としては、法律の周知を図るため畜産農家を初め市町村、関係団体を対象に管理基準の内容、支援措置、罰則などについて具体的な説明を実施してまいりました。
 法律の対象となる県内の畜産農家は2243戸で、そのうち適正なふん尿処理施設整備を要する農家は1621戸であります。管理基準が適用される平成16年までには緊急を要する688戸を整備し、応急措置を講じて対処可能な933戸は平成20年度までに整備する計画であります。
 整備資金の対応としては、資源リサイクル畜産環境整備事業などの国庫補助事業や金融上の支援対策を活用していく考えであります。
 次に、農家負担軽減対策として有用微生物などを活用し家畜排せつ物の堆肥化による県独自の資源循環型の土づくり事業を実施する考えはないかとの御質問にお答えします。
 家畜排せつ物の処理法は、堆肥化と浄化処理に大きく分けられます。いずれも活性化のよい微生物を活用した処理方法であります。
 県におきましては、「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想に基づき家畜ふん尿のメタン発酵処理に関する調査事業を実施しております。このメタン発酵処理は、メタン細菌が生成するバイオガスを発電に利用し、その電力を堆肥生産などに循環利用するものであります。現在、その経済性と今後の普及の可能性を検討しています。
 また、本県農業の持続的発展と畜産環境対策を図るため、有用微生物を活用した低コスト堆肥による土づくりについても検討していく考えであります。
 次に、漁協の信用事業譲渡問題について、12月議会で支援方策を明確にし損失補償の議決等所要の措置が必要ですが、取り組みはどうなっているかとの御質問にお答えします。
 漁業協同組合は、信用事業、共済事業、経済事業などを通じて組合員の社会的・経済的地位の向上を図るとともに、漁業権の保有・管理という重要な役割を担っています。
 漁協が営む信用事業に対しては、経営が悪化し自己資本比率が4%以下になると、行政手法として業務の改善や停止命令を発しなければならない早期是正制度が平成10年度から導入されています。本県にあっては読谷村、那覇地区、平良市、八重山の4漁協の自己資本比率が極めて低いため、このまま放置すれば信用事業の停止命令を発せざるを得なくなり、漁業者の生産活動のみならず漁家経営にまで大きな影響を及ぼし地域社会の混乱が懸念されます。このため県としては、漁業者の生産活動の維持・確保や信用不安を回避し、漁協経営の再建を図るため関係市町村と連携し12月補正に損失補償を提案しております。
 次に、離島振興の関連で、宮良川土地改良区からの赤土流出防止対策についてお答えします。
 宮良川土地改良区における赤土等流出防止は、従来から各事業の中で対策を実施してきたところであります。平成5年度からは水質保全対策事業を導入し、平成12年度まで544ヘクタールにおいて圃場の勾配修正、グリーンベルト、沈砂池の設置等の赤土等流出防止対策を実施しているところであります。
 しかしながら、宮良川土地改良区内には赤土等流出防止対策の必要面積が約900ヘクタール残っています。このため県としては地元農家への啓蒙普及に努め、理解と協力を得ながら水質保全対策事業を積極的に推進し、赤土等流出防止対策を実施していく考えであります。
 以上であります。
○観光リゾート局長(糸数昌宏) 経済問題についての中の、観光振興地域指定関連の雇用創出、経済効果をどのように見込んでいるのかについてお答えいたします。
 平成11年12月に観光振興地域の指定がなされて以来、県はこれまで連絡協議会の設立を促進するとともに、本制度を活用した観光関連施設の整備促進に努めてまいりました。その結果、ゴルフ場の供用開始、ホテル増設の着工など観光関連施設の整備がある程度進展を見せ始めていることから、観光振興地域の指定がもたらす雇用創出や経済効果については今後十分期待できるものと考えております。
 次に、同じく経済問題についての、観光振興地域内の土地利用効率を高めるための道路などインフラ整備の計画はどのようになっているのかについてお答えします。
 観光振興地域内のインフラ整備については、地元の意向を踏まえた上で連絡協議会を活用して関係機関等と積極的に調整を図るとともに、民間活力による観光・リゾート施設の整備を促進し、美ら島沖縄の創造を目指して魅力ある観光地としての環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○商工労働部長(當銘直通) 雇用問題の、昨年とことしにおける県内の閉鎖、倒産企業及び事業所の件数、原因、また失業者数、そのうち再就職できた者は何名か、再就職対策についてはどうかにお答えいたします。
 平成11年と平成12年の県内倒産状況につきましては、東京商工リサーチ沖縄支店によりますと、負債総額1000万円以上の倒産は平成11年が83件、平成12年が11月末現在で132件となっております。
 倒産の要因につきましては、金利負担の増加や運転資金の欠乏による過小資本が最も多く、平成11年で27件、全体に占める割合は32.5%、平成12年が11月末現在で42件、31.8%となっております。
 これらの倒産に伴う失業者等の実数を把握することは困難でございますけれども、雇用対策法第21条においては、企業倒産や事業縮小等により30人以上の大量の雇用変動がある場合は、事業主は1カ月前に公共職業安定所に届け出ることとされています。この届け出のうち企業倒産による離職者の数は平成11年は130人、平成12年は284人の合計414人であります。現在、そのうち181人が再就職していると聞いております。
 企業倒産による離職者の就職については、公共職業安定所と連携し職業紹介、職業相談、求人開拓等を強化するとともに、緊急雇用創出特別奨励金等の雇用支援制度の活用促進に努めることとしております。
 また、再就職に必要な職業能力の開発、向上を図るため、県立職業能力開発校等において各種の職業訓練を実施しております。今後とも沖縄労働局等関係機関との連携を強化し、離職者の再就職が円滑に促進されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、同じく雇用問題の1つに、倒産防止に対してどのような指導と施策を講じているか、その成果をどのように評価しているかについてお答えいたします。
 倒産防止対策としましては、商工会議所等に経営安定特別相談室を設置して商工調停士等による倒産のおそれのある中小企業の事前の相談・指導に応ずる体制を整備しております。また経営安定特別相談室の指導を受け、商工会議所等から推薦を受けた中小企業者に対しましては、中小企業体質強化資金助成制度による低利融資制度もございます。
 連鎖倒産防止といたしましては、取引先が倒産し売掛金債権等の回収困難が生じたときに、一定の範囲内で無担保・無利子・無保証人の貸し付けを受けることができる中小企業倒産防止共済制度があり──これは中小企業総合事業団の運営している制度でありますが──県といたしましても加入促進等に努めております。
 その成果といたしましては、経営安定特別相談室での相談受け付け件数が平成11年度で27件となっています。また平成11年度で処理が終結したのが同じく27件となっておりますが、そのうち倒産が回避されたのが13件となっております。
 また、中小企業倒産防止共済につきましては、平成12年9月末現在の加入累計で3622件となっており、そのうち当共済の貸付制度を利用した件数は1399件となっております。県としましては、今後とも商工会の経営指導員等が行う日常的な経営改善普及事業を通して中小企業の経営基盤の強化に努めていきたいと考えております。
 次に、同じく雇用問題の、中小企業金融安定化特別保証制度の実績と効果をどのようにとらえているか、今後の継続の見通しと償還期間の延長や融資条件の緩和を望む声があるがどうかについてお答えいたします。
 平成10年10月に施行された中小企業金融安定化特別保証制度の県内における保証実績は、平成12年10月末現在8699件、1564億3000万円となっております。
 また、効果につきましては地元3行の融資残高の推移を見ますと、平成11年10月以降対前年同月比が11カ月連続でプラスとなっており、県内中小企業者の資金調達環境の改善に寄与しているものと見ております。
 今後の継続の見通しとしましては、当制度は当初予定より1年間延長されて平成13年3月末までとなった経緯もあり、今後は単なる制度の延長だけではなく、一般保証制度の無担保保証の限度枠を5000万円から8000万円に引き上げる、経営の安定に支障を生じる中小企業に対する特例保証の対象範囲を拡大することなど円滑な資金供給のための信用補完制度の充実に向けた制度の見直しが進められているところであります。
 なお、当該制度を利用した中小企業者が返済に困難を来した場合には、保証協会において償還期限の延長等返済条件の緩和等についても柔軟に対応しているところでございます。
 次に、同じく雇用問題の、新たにNTT西日本において300人の人員削減が予定されているが、雇用の安定確保の観点からどのように対応したかにお答えいたします。
 企業の人員削減等により30人以上の大量の雇用変動が発生する場合、雇用対策法第21条の規定により事業主は一月前に公共職業安定所長に届け出る義務があります。
 その場合、離職者を対象に集団説明会や個別の相談会を実施するとともに、緊急雇用創設特別奨励金等の各種の雇用支援制度を活用しつつ、再就職に向けた求人開拓や職業紹介及び再就職に必要な職業訓練等幅広い就業促進対策を講ずることとしております。
 なお、御質問のNTT西日本については、現在のところ雇用変動の届け出はないと聞いておりますが、具体的に雇用等の問題が発生する場合には沖縄労働局・公共職業安定所と連絡会議を設置するなど連携を密にし適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○病院管理局長(新田宗一) 医療問題に係る質問で、県立病院の医師の勤務実態はどうなっているか、実態に即した定数の見直し、再配分をすべきではないかとの質問にお答えいたします。
 各県立病院における個々の医師の業務量の実態を把握するため、県立病院の診療科のうち特に勤務条件が厳しいと言われております小児科、産婦人科及び脳神経外科等につきまして平成11年度の業務実態を調査いたしましたところ、中部病院の小児科、北部病院の脳神経外科、八重山病院の産婦人科等において医師1人当たりの患者数、当直回数、時間外勤務等から見まして厳しい勤務状況にあることが認められました。
 このような業務実態を踏まえまして、特定の診療科の医師の業務過重を緩和し業務の平準化を図るためには、医療需要に応じた弾力的な医師の配置を行う必要があると考えております。現在、その調整作業を行っているところであり、平成13年4月を目途に各病院における医師の定数の見直し、臨任医師や嘱託医師の増員等により勤務状況の緩和を図ってまいりたいと考えております。
 なお、八重山病院におきましては既にことしの4月から産婦人科医師1名の増員を図り対処したところであり、また中部病院につきましては当面の緊急措置といたしまして臨任医師及び嘱託医師を配置して対応してきたところであります。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 医療問題のうち、僻地・離島医療の取り組み、僻地医療支援病院の指定についての御質問にお答えいたします。
 国においては、二次保健医療圏単位で「へき地医療支援病院」等による支援策を行ってきましたが、今後、第9次へき地保健医療計画においてこの対策を改め、新たに県単位での支援策を行うこととしております。
 本県においては、これまで県立八重山病院と県立北部病院を「へき地中核病院」として医師派遣や巡回診療の実施に努めてきました。しかし本県は全国有数の島嶼県であり、離島・僻地における医師の不足や代診医の確保にはまだ課題が残っております。
 このことから、本県においては離島に勤務する医師や代診医の確保を図るため今後ともプライマリーケア医や自治医科大学卒業後の離島勤務医の養成を充実させるとともに、離島医療組合の活用・推進を図りながら県単位の支援策として琉大医学部、県立、市立及び民間の医療機関の連携のもとに「離島・へき地医療支援機構」や「離島・へき地医療拠点病院群」の創設を行う必要があると考えており、今後、関係機関等と十分な調整、検討を行っていきたいと考えております。
○高嶺 善伸 議長、休憩してください。答弁漏れがあります。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後5時52分休憩
   午後5時54分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 高嶺善伸君。
   〔高嶺善伸君登壇〕
○高嶺 善伸 再質問の前に、県内4漁協借り入れに対する損失補償、すなわち債務負担行為の議決提案は時宜を得た適切な措置だと高く評価します。どうぞ今後、財務改善計画の実行が適切になされるように監督指導を期待したいと思います。
 まず、憲法に関する評価なんですが、私は地方自治法の趣旨に従って、今、知事はどういう観点に立って県民の安全、健康、福祉を第一義的に考えないといけないかという立場から、今県民が置かれている状況はどうかと聞いたわけです。
 そこで、合憲か違憲かじゃなくて、憲法下の県民の状況では答えやすいように正常な状態であるのか、異常なのか、違法な状態なのか。これは嘉手納爆音訴訟に関する判決などでも明確になっていますので、もう一度答弁をお願いしたいと思います。
 それから15年使用期限問題についてですけれども、これは知事の記者会見談話などでも棚上げしたまま着工はあり得ないだろうという答弁をしているんですよ。したがってその知事の言っている15年使用期限の解決は着工前か、着工後か、完成後か、これについて明確にしてもらいたいと思います。
 それから知事は、米軍基地の代替施設からの撤退に関して、県民の財産としての今後の活用についてはわかりますが、私どもが言っているのは、10年後には米軍基地というのは撤退するのか、あるいは県外、国外に移転するのか、どういう前提で知事は15年使用期限を言ったのか、その辺を明確にしてもらいたいということなんです。
 それからグアム移転については、8月31日の「星条旗」で伝えられた報道では、ジョーンズ司令官はグアムに訓練を移転したいということをグアム当局者に言っているんですよ。ということは、グアム移転問題については日米間の問題ではなく、基地所在の地域同士がお互いに連携をとり合って国に訴えること、その日米間に訴えることも速やかな県民の負担を解消していく方法だと思うんですよ。
 そこで、既にそういう動きがあることを知事は理解した上で速やかにグアム当局との知事レベルでの話し合いも必要ではないかと思いますので、改めてお聞きしたいと思います。
 それから鉄道の問題でありますが、以前に知事は7月1日の「21世紀フォーラム」においては輸送体系を考える中で前向きに検討したいというような答弁をしておりますが、その後はずっと可能性調査の結果を踏まえて考えたいということで終始しております。これは優先順位の中から鉄軌道問題については、知事は率直な認識の表明を控えているというような気がするんですよ。そこで制度にのせる、のせないじゃなく、まずは知事はこの鉄軌道の問題について、南北鉄軌道を導入することについては率直にどういう認識を持っているかと、私はそれをお聞きしているんですよ、率直な認識です。
 それから、最後のポスト第3次振計で検討してみたらどうかと私は聞いているんです。それについて検討するのかしないのか、お答えをいただきたいと思います。
 それから沖縄戦の実相についてでありますが、採用される教科書についてはやはり学校教育の現場の問題や子供たちの教育に対する責任の問題からして、教科書にはおっしゃるとおり公正、正確さが求められております。そこで沖縄県として沖縄戦の実相を伝える教科書の内容はどういう基準であるべきかということで、特に戦死者の記述については島民、つまり沖縄県民の死亡者もしくは軍の死亡者、これの的確な数字の把握は必要じゃないかと思います。
 というのは、今、平和祈念資料館における戦没者の総数は20万656人ということで援護課の資料なんですよ。ところが平和の礎での刻銘者の数は既に23万7000を超しております。
 そこで沖縄戦としての戦没者の数、犠牲者の数、特に県民と日本軍の数の分析については、沖縄県としての数字を明確にしておくことが実相を伝える大事なポイントだと思いますので、それをお聞きしたいと思います。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後6時2分休憩
   午後6時4分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 高嶺善伸議員の再質問にお答えします。
 最初は、過重な基地問題に対する考え方でございます。
 本県に存在する広大かつ過密な米軍基地が県民生活や本県の振興開発にさまざまな影響を及ぼしており、多くの県民が米軍基地の整理縮小を強く望んでいることは厳然たる事実であります。その認識に立ち、今後とも基地の整理縮小に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、使用期限解決のタイムリミットは着工前、完成前、完成後のいずれの時期かという御質問にお答えします。
 15年使用期限問題については、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えており、今後ともその解決を強く求めていきたいと考えております。
 次に、知事は、15年使用期限後は米軍基地が代替施設から撤退するという前提か、あるいは県外、国外への移転を前提としているのかとのお答えでございます。
 15年使用期限の設定に当たっては、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から、移設に当たって整備すべき条件として国に強く申し入れたものであります。県としては、15年使用期限後はより一層県民の財産として地域の自立的発展や振興開発につながることが重要であると考えております。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 鉄軌道に関する再質問でございますが、知事の発言、それからポスト3次振計への検討という御質問でございましたけれども、先ほどから説明をいたしましたが、鉄軌道可能性調査をまず実施をする必要があると。それは県民に対して公表をするということで、鉄軌道の導入に関しては多岐にわたって課題、難題、それからこれから議論を続ける必要があるということでございまして、ポスト3次振計への検討につきましても引き続き検討ができる余地を残すよう検討をしたいと思っています。
○知事公室長(親川盛一) グアムと連携して日米両政府に対して基地の訓練等の移転を要請する考えはないかということでございますが、ジョーンズ海兵隊総司令官の発言は、沖縄で行われている訓練の中でも、特にゲリラ対策等につきましてはグアム等に移転が可能じゃないかという趣旨の発言だったと、このように理解をしております。
○高嶺 善伸 休憩してください。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後6時8分休憩
   午後6時10分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 教育長。
   〔教育長 翁長良盛君登壇〕
○教育長(翁長良盛) 高嶺議員の再質問にお答え申し上げます。
 現在、公立の小・中・高校で使用されております歴史教科書における沖縄戦の記述でございますが、戦死者の死者の数が全体の状況からいたしまして、いわゆる小学校、中学校、高校を通しまして死者は12万人以上、もしくは12万人とこのように記述されているわけでございます。
 これは、この数字は昭和32年、当時の琉球政府で推計された数字だと私どもは理解しているわけでございます。いわゆる沖縄県民戦没者の数が約9万4000人、それから県出身軍人・軍属が約2万8228名、それを合計いたしますと約12万人になるわけでございます。ですから現在使っている教科書ではその数字を押さえて記述されております。
 以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後6時12分休憩
   午後6時12分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 教育長。
   〔教育長 翁長良盛君登壇〕
○教育長(翁長良盛) お答えいたします。
 32年当時の推計でまとめた数字、先ほど申し上げたところでございますが、県出身の軍人・軍属が2万8228人、それから他都道府県出身兵が6万5908人でございますから、その数字を合わせますと9万人と、このように私どもは理解しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後6時13分休憩
   午後6時14分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 高嶺善伸君。
   〔高嶺善伸君登壇〕
○高嶺 善伸 知事は、地方分権法の趣旨に基づいて県民の命と暮らしを守るように頑張ってください。
 それを強く要望して質問を終わります。
○大城 一馬 我が党は、去る10月31日に結党50年を迎えました。
 社大党は、かつては沖縄の政治家の養成学校と言われておりました。稲嶺知事のお父上の亡き一郎さんもかつて若いときには社大党にかかわってきております。したがいまして知事におかれましても少しは社大党の理念、血が伝わったというふうに私は思っております。そういう意味では基地問題等におきまして我が党の主張、スタンスに沿った県政運営を稲嶺知事に切に要望する次第でございます。
 沖縄社会大衆党・結の会連合を代表して質問いたします。
 「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産への登録が去る11月30日に決まりました。県民、関係市町村ともども喜ぶものであり、このことは県民に自信と誇りを与えるとともに、次代を担う青少年にとりましても意義深いものがあります。今回の決定は、観光面への期待のみならず、我が沖縄県が「基地の島」から「文化の島」へと脱却する好機でもあると思います。
 それでは質問いたします。
 まず基地問題についてであります。
 県が普天間飛行場の移設先を決定してから1年が経過しましたが、稲嶺知事の15年使用期限問題は政府への主張だけに終始し、また政府もあからさまに北部振興策と基地移設をリンクさせることで露骨な懐柔策をとり続け、一方で代替施設協議会などにおいて施設の規模や工法、建設位置の決定の論議を先行させることでますます外堀が埋められていき、知事にとって肝心な命綱の15年使用期限問題が八方ふさがり、たなざらしの状態であることは否めません。
 そこで質問いたします。
 稲嶺知事が主張し続けている普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題は、具体的に日米両政府においてどのように進んでいますか。今日までの知事の主張に対して日本政府は米側に知事の意向を伝達するだけですが、このような政府の対応を知事はどう認識していますか。
 知事は、15年問題の決着の時期をどこに設定しているのですか。また建設着工までに解決できなければ、どのような対応をなさるつもりですか。
 さらに、15年使用期限問題は政府への主張のみでは県民が納得しないと思いますが、この際、文書とか覚書とかで担保を要求し、知事自身の強い決意を示すべきではないでしょうか。
 去る11月29日に普天間飛行場の移設に伴う第4回の代替施設協議会が開かれましたが、具体的な協議内容を公表していただきたいと思います。
 また、代替施設協議会においての議論での今後の課題と問題点を述べてもらいたいと思います。県からは協議会において特に問題提起をなさったのでしょうか。
 ところで、名護市長は移設決定以来、ようやく基地に反対する市民との対話集会を来年1月に開く予定だと表明していますが、県としても対話集会を開く考えはありますか、お答えを願いたいと思います。
 去る10月11日にナイ前国防次官補、アーミテージ元国防次官補ら日米関係に詳しい外交・安全保障問題の超党派専門家グループが海兵隊の展開、訓練施設などをアジア・太平洋地域に分散すべきと提言していますが、この提言に対しまして稲嶺知事はどのように評価していますか。
 現実路線を標榜される知事は、この際米国内の意見や提言を真摯に受けとめて、当面は海兵隊の削減・撤退が現実的な選択であることを日米両政府に訴えると同時に、基地の県外・国外移設を主張すべきと思いますがどうですか。
 米側の一連の発言、動きからしますと在沖米軍基地や海兵隊の削減・撤退が急速に進む可能性が十分予想されますが、基地跡地利用やそれに向けた制度確立作業を早急に打ち出すべきではないでしょうか。
 1996年、日米特別行動委員会、いわゆるSACO最終報告から4年の年月がたちました。先ごろ返還作業の実施状況が防衛庁から報告されています。知事はその報告についてどのような感想をお持ちですか、述べていただきたいと思います。
 SACO合意の11施設のほとんどが県内移設条件つきとなっています。サミット後のマスコミの世論調査結果に見られるように基地の県内移設には反対が55%、賛成39%となっており、県内移設の地元合意の難しさは火を見るよりも明らかであります。知事は、SACO合意における返還問題の実効性をどのように認識していますか、所見を求めます。
 次に、平和行政についてでございます。
 学童疎開船対馬丸の戦没者慰藉事業の一環として対馬丸戦没者記念会館建設構想が国から提案されたと言われています。ところが平成12年度で国側は予算を確保したにもかかわらず、県側から具体的予算要求がなく会館建設が一向に進んでいない状況にあり、関係者から県の消極姿勢に批判の声が上がっておりました。
 そこでお尋ねしますが、同会館建設の調査、設計に要する費用3000万円を国側は平成12年度で予算確保していますが、県はそのことに関してどのように対応してきたのですか。
 県側から国への予算要求がなされていないとのことですが、何が問題点ですか。
 同記念会館建設の今後の見通しについてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、沖縄振興策についてお尋ねします。
 沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会の3次にわたる振計の現状と課題の中間報告が10月31日にまとめられましたが、どのような内容ですか。また、中間報告には県の第3次振計総点検報告書はどのような形で反映されていますか。
 同委員会の最終報告に向けてのスケジュールはどうなっていますか。
 審議会の報告は、新たな沖縄振興計画にどのように反映されていくのですか。
 先ごろ沖縄総合事務局が振計に対する市町村の評価について分析した「市町村の現状と課題にかかる調査」をまとめましたが、その調査結果は新たな沖縄振興計画にどのように反映されますか。
 次に、21世紀プランには97項目の産業振興策が盛り込まれていますが、県はその実効性の確保についてどのような対応をなさっていますか。
 また、97項目の産業振興により雇用の創出はどの程度予測していますか。
 特別自由貿易地区の企業立地の状況と今後の見通しを示していただきたいと思います。
 知事は、平成10年に経済の稲嶺を標榜し知事に当選しました。その選挙において失業率9.2%、県政不況のネガティブキャンペーンの展開がなされました。確かに平成10年8月だけの完全失業率は9.2%でしたが、しかしその年の年平均の失業率は7.9%でありました。
 さて、稲嶺県政2カ年の失業・雇用問題を検証しますと、稲嶺知事の就任後1年目の平成11年度平均失業率は8.3%、そして平成12年のことしも10月時期で失業率8.8%、完全失業者5万6000人となっておりまして、これを見る限りいまだに失業率の解消、雇用創出の拡大状況は先が見えてこないと思いますが、知事はこの数値をどうとらえていますか。
 次に、ジュゴン等の自然保護についてであります。
 10月4日からヨルダンのアンマンで開催されました国際自然保護連合総会で日米両政府に対するジュゴン保護勧告決議がなされましたが、その内容と決議に対する知事の所見を伺いたいと思います。
 同決議は、ジュゴン個体群の減少の阻止と回復に役立つジュゴン保全対策の実施を日本政府に求めていますが、県としてもジュゴンの保護・保全対策を行うべきと思います。国際法並びに我が国と沖縄県においてジュゴンはどう位置づけられていますか。県は、これまでジュゴン対策にどのように取り組んできたのですか。また、今後どのように取り組んでいくのですか。
 政府は、10月下旬から沖縄本島におけるジュゴン調査を開始していますが、その調査目的は何ですか。政府の調査に対して環境団体などからジュゴンを研究してきた研究者や環境団体を加えるべきだとの指摘がありますが、政府は拒否しています。名護市議会も研究者や環境団体と意見交換をしながら調査を進めるよう決議をしております。県として意見交換するように政府に求める考えはないですか。
 現在、辺野古沖に新たな基地建設計画が進められていますが、今回の国際自然保護連合総会でのジュゴン保全勧告決議に反するものだと考えますが、知事の御見解を伺います。
 ジュゴン保全のために知事は代替施設協議会において環境影響評価調査を行うよう求める考えはないですか。県としても辺野古海域での藻場を含めたジュゴンの独自調査を行う考えはないですか、御答弁をお願いしたいと思います。
 北部訓練場の再編に伴うヤンバル原生林での新たなヘリパッドと軍用道路建設がノグチゲラやヤンバルクイナに重大な脅威を与えていると国際自然保護連合総会決議は指摘しています。県として米軍の新たなヘリパッドと軍用道路建設の中止を求める考えはないですか。
 次に、鉄軌道導入についてお尋ねします。
 鉄軌道実現に向けては県内の各界各層の声、要望など県民世論の機運が高まっていますが、県はこの状況をどう認識していますか。
 また、9月議会で補正計上しました800万円の調査はどこまで進んでいますか。
 さらに、平成13年度においての予算の取り扱いについてどう考えていますか。
 ところで、去る9月議会において我が会派の喜納議員の一般質問の中で、鉄道導入に関して県のしかるべき部局にプロジェクト班設置の提起がありましたが、どうとらえていますか。
 県民の悲願である鉄軌道導入をポスト3次振計にどのように反映させていきますか、知事の決意をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、バス統合問題についてお伺いいたします。
 バス4社の統合が計画されていますが、先日、バス統合に関する可能性調査室の報告書がまとめられました。
 そこでお尋ねしますが、県は同報告がバス統合にどのような影響を与えると思いますか。
 報告書によりますと、株主構成は行政の参入を求めていますが、県の見解を求めたいと思います。
 また、乗り合い部門500人削減も出ていますが、雇用対策についてどのような対策をなさるつもりですか。
 県バス協会から新会社発足におきまして経営資金、債務超過解消等で公的財政支援を県や県議会に要望しておりますけれども、県はこのことに関しましてどのような対応をなさるつもりですか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、県内JAグループについてでございます。
 沖縄県や県内JAグループが1県1農協の統合を強力に進めていると言われております。確かに大競争時代を迎え、金融界を取り巻く状況や農家の高齢化による減少傾向など農協の経営環境は厳しさを増していると思います。
農協合併は経営規模を拡大し、経営、財務基盤を強化する一つの手段、方法だと思いますが、いずれにしても問題点は農家や組合員の理解と協力、そして利益性と思います。
 そのような視点に立ちまして質問をいたします。
 昨年策定した県内28農協を5農協に統合するいわゆる広域合併構想にはどのような課題、問題点があったのでしょうか。同構想はどのように進んでいたのですか、示してもらいたいと思います。
 1県1農協構想が急速に出てきた背景は何でしょうか。
 同合併構想は、農家や組合員にとりましてどのようなメリットがあるのでしょうか。また各JA農協や農家、組合員の意見の集約はどうなっているでしょうか。
 県は、同構想にどういった対応策を考えていますか、所見を述べていただきたいと思います。
 最後に、現28農協には不良債権、赤字経営など経営上の問題点が存在するのですか。あるとすればその現状を示してくださいますようお願い申し上げたいと思います。
 再質問は答弁によっていたします。よろしく御答弁のほどお願いいたします。
○知事(稲嶺惠一) 大城一馬議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は基地問題について、15年使用期限問題はどのように進んでいるのかという御質問と、今日までの知事の主張に対する政府の対応を知事はどう認識しているかとの御質問を一括してお答えいたします。
 15年の使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が55年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から使用期限を設け、国に強く求めているものです。
 県としては、代替施設の15年使用期限についてこれまでもあらゆる機会に要請してきたところであります。最近でも全国知事会や代替施設協議会等で国に要望しており、政府内においてもより認識が深まってきているものと考えています。
 県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ、明確な考え方を示すべきであると考えており、引き続きあらゆる機会に強く求めていく考えであります。
 知事は、15年問題の決着の時期をどのように選定しているか、その際、建設着工までに解決できなければどのように対応するかという御質問にお答えいたします。
 県としては、移設に当たって整備すべき条件として代替施設の15年使用期限を設けることを申し入れており、これまでその早期解決を求めてきたところであります。15年使用期限問題については、何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと考えており、今後ともその解決を強く求めていきたいと考えております。
 次は、基地問題について、主張のみでなく文書、覚書などの担保をとり、強い決意を示すべきではないかについてお答えいたします。
 基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ、明確な考え方を示すべきであると考えております。県としては、15年使用期限については、移設に当たって整備すべき条件の一つとして申し入れたところであり、その実現についてあらゆる機会に強く求めていきます。
 次に、同じく基地問題について、名護市は基地に反対する市民との対話集会が予定されているが、県はどうかというお答えでございます。
 基地問題については、県民の間にさまざまな考え方があることは承知しており、県としては早期に普天間飛行場の返還が実現するよう取り組んでいるところです。これまでにも多くの方々の要請や申し入れについて対応してきており、その内容についても十分承知しております。今後とも名護市の皆様方の御理解と御協力を得ることが重要であると考えており、名護市と連携しながら対応していきたいと考えております。
 次に、基地問題について、最初は、専門家グループが海兵隊の展開、訓練施設などをアジア・太平洋地域に分散すべきと提言しているがどう評価するかという御質問と、在沖海兵隊の削減・撤退を求めると同時に、基地の県外・国外移設を日米両政府に提起すべきではないかとの2つの御質問にお答えをいたしたいと思います。一括してお答えします。
 最近のジョーンズ米海兵隊総司令官の発言や超党派の国防専門家グループのレポートで、沖縄県民の負担の軽減を図る立場から海兵隊の訓練の移転や兵力の削減について提言が行われるなど、在沖米軍基地について米本国内にも新しい動きが出ていることに県は注目しているところであります。
 これらの提言は、国防専門家としての立場から行われたものでありますので、県としては、アメリカの新政権の中でこれらの提言がどのような形で政策に反映されていくのか、今後の動向を注意深く見守りながら県民の基地負担の軽減を図る観点から適切に対応していきたいと考えています。
 いずれにしましても、県としては県民の願いである基地の整理縮小を一歩一歩着実に推進するため、外交・防衛の当事者である日米両国政府の今後の動きを注意深く見守りながら対応していきたいと考えております。
 次に、基地問題についてのうち、SACO合意の進捗状況についての感想はどうかということ、SACO合意の実効性についての知事の所見を求めるという2つの御質問に一括してお答えいたします。
 SACO合意事案の実施に当たっては、地元の理解と協力を得ることが基本であり、各事案について現在国と関係自治体との間で話し合いが進められており、基地の整理縮小に向けたSACOの実施が着実に進展しているものと認識しています。
 御承知のとおり、普天間飛行場については移設先の名護市の受け入れ表明があり、国において代替施設協議会が設置され、移設に伴う諸課題の解決について協議が進められているところであります。
 その他の事案については、読谷補助飛行場で行われていたパラシュート降下訓練の伊江島補助飛行場への移転が完了したほか、キャンプ桑江及びキャンプ瑞慶覧における米軍住宅統合や楚辺通信所の移設、海軍病院の移設など幾つかの事案について移設先の自治体の受け入れ表明がなされるなど、SACO合意事案の実施が着実に進捗しているものと認識しています。これにより、読谷補助飛行場や楚辺通信所の全面返還及びキャンプ瑞慶覧などの一部返還への道筋がつけられ、基地の整理縮小が着実に進展することが期待されます。
 県としては、地元市町村がSACOの趣旨について理解を示され、苦渋の選択をしたものと重く受けとめており、その実施に当たっては、基地の移設先である地域住民の生活に著しい影響を及ぼさないよう基地運用に伴う安全の確保や、地元市町村が要望する振興策の実現など地元の意向に沿った取り組みがなされるよう国に働きかけていきたいと考えております。
 次に、沖縄振興策について、21世紀プランには97項目の産業振興策が盛り込まれているが、その実効性の確保についてどう対応しているかとの御質問にお答えいたします。
 21世紀プランに盛り込まれた施策については、国や市町村との連携のもと、沖縄振興のための特別調整費や各省庁予算を活用してその実効性の確保を図っているところです。
 このうち、特別自由貿易地域における賃貸工場の整備、航空運賃引き下げ、沖縄自動車道の通行料金の割引、観光地における公共インフラの整備、情報通信産業育成のための施設の整備、情報化や国際化等に対応した人材の育成、産業振興・創業支援センターの整備、国立組踊劇場の設置、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産への登録等の施策が実現しております。その他の施策についても引き続き着実な推進を図っていきたいと考えております。
 次に、21世紀プランの97項目の産業振興策により雇用の創出はどうなるかについてお答えいたします。
 21世紀プランの施策については、インキュベート施設の整備や人材育成支援事業等によるコールセンター等の情報通信関連企業の立地の進展、特別自由貿易地域における賃貸工場の整備等により新たな雇用が創出されており、今後も企業活動の活発化や新規立地による雇用拡大が見込まれています。
 また、航空運賃の引き下げや国際会議の開催等による観光客の増大により多くの雇用が創出されているものと推測され、今後、観光振興地域制度等を活用した新たな観光・リゾート拠点の創出による雇用の拡大も期待されます。
 さらに、産業振興・創業支援センターの支援による新規企業や新事業分野の創出、国立高等専門学校の設置による人材の育成等により雇用が創出されるものと期待しております。
 次に、ジュゴン等の自然保護について、最初の国際自然保護連合(IUCN)総会で日米両政府に対するジュゴン保護勧告決議がなされた、それに対する所見を聞きたいという御質問と、次の海上米軍基地建設計画が進められているが、同基地建設はジュゴンの保全勧告決議に反するものだと考えるがどうか見解を伺いたいと、この2点の御質問に一括してお答えいたします。
 去る10月11日、国際自然保護連合の世界自然保護会議においてジュゴン等の保護に関する決議が採択されました。
 県は、普天間飛行場代替施設の移設候補地を選定した際、代替施設の建設については必要な調査を行い、地域住民の生活と自然環境への配慮を国に強く申し入れております。
 これを受け、国においては昨年末の閣議決定において、「地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」との安全・環境対策の方針を示し、「環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。」としています。
 第2回代替施設協議会において、環境影響評価とは別に防衛庁が環境庁の技術的な助言を得てジュゴンの生息状況の予備的調査を実施することになり、去る10月末から調査が開始されております。
 また、第3回代替施設協議会において県は、住民生活への配慮や自然環境への影響を検討する必要があることなどから、サンゴと藻場について補足調査を要望し実施されることになりました。
 県としては、代替施設の建設に当たって、この方針に基づき政府において適切な措置がなされるものと考えていますが、引き続き自然環境への影響を極力少なくするよう要望していきたいと考えております。
 なお、ジュゴン等の保護に関する決議は、日本国政府に対し環境影響評価を可能な限り早期に完了すること、また日米両国政府に対し環境影響評価による結果を考慮し適当な措置をとることを要請する趣旨の内容になっております。
 次は、鉄道導入について、各界各層の声など県民世論の機運が高まっている中、どう認識しているかとの御質問にお答えいたします。
 沖縄本島に鉄軌道の導入を求める「NPO・沖縄南北縦貫鉄道を実現する会」や沖縄県議会鉄軌道導入促進議員連盟の設立など県民世論の高まりは公共交通の利便性の向上、都市交通問題の解決、高齢化社会の到来や環境問題への対応など21世紀における本県を支える基盤整備の必要性や豊かな地域社会形成への期待のあらわれであると認識しております。
 鉄道の導入につきましては、交通需要や採算性など検討すべき課題が多岐にわたることから、県としましては、今回「総合交通体系基本計画」の見直しに当たっての基礎的な資料を得るための鉄軌道導入可能性基礎調査を行っており、引き続き検討していくべき課題であると考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 大城一馬議員の基地問題についての質問事項のうち、第4回代替施設協議会における具体的な協議内容を公表していただきたいという趣旨の質問にお答えをいたします。
 第4回の代替施設協議会においては、軍民共用飛行場としての普天間飛行場代替施設が設置・運用された場合に、その周辺地域の生活環境に及ぼすと考えられる影響について特に航空機騒音を中心に防衛庁より説明がありました。
 航空機騒音については、騒音予測コンターを作成し、海側に米軍機の飛行経路を設定した場合、環境庁が定める「航空機騒音に係る環境基準値」である70W以上の騒音がキャンプ・シュワブを除く陸地側に及ばない限界距離は、滑走路の方位にもよるが、滑走路の中心から辺野古集落の中心まで最短で約1.1キロメートルであるとの報告がありました。
 これに対し、住民生活への配慮を求める意見が出され、今後の代替施設の具体的建設場所等の検討に当たっては、生活環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うとの基本方針に基づき航空機騒音を環境基準の範囲内とする等の視点を踏まえて検討を行うこと、また米軍ヘリコプターによる現地試験飛行を実施することが確認されました。
 また、今後協議される工法について総合的、具体的な検討に用いる資料を入手するため部外団体へ作業依頼することが了承されました。
 なお、代替施設協議会における協議内容については、国のホームページで公開されております。
 次に、同じく基地問題の中の、協議会での今後の課題、問題点は何かという御質問にお答えをいたします。
 代替施設協議会は、代替施設の規模、工法及び具体的建設場所、その他代替施設の基本計画の策定に必要な事項を協議する場であります。
 県としては、代替施設は、移設先及び周辺地域の住民生活に著しい影響を与えない施設計画とし、住民生活への配慮や自然環境への影響を極力少なくするよう取り組む必要があると考えており、そのことを念頭に置き協議に臨んでいきたいと考えております。
 次に、協議会において県として特に問題提起があったのかという御質問にお答えをいたします。
 県からは、第1回の協議会において、代替施設については将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものであるとともに、同飛行場を地域産業の拡大や新たな産業の創出につなげていく必要があることを要望しました。
 また、第2回の協議会においては、軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけを説明するとともに、代替施設における民間機能と別途協議されている空港活用機能とは一体的な展開が必要であること、またこれらの実現を図るためには国の特段の配慮が必要であることを要望しました。
 次に、第3回の協議会においては、環境の保全を図る観点からできるだけ広い範囲から必要なデータを収集し住民生活への配慮や自然環境への影響を検討する必要があること、また3年前の調査結果については経年変化が予想されるサンゴと藻場について沿岸を中心とした周辺地域の状況を含め補足調査の実施を要望しました。
 先日の第4回の協議会においては、健全な生活環境の確保を図る観点から、普天間飛行場代替施設の建設については地域住民の生活に十分配慮し航空機の騒音等の影響を極力少なくすることが重要であり、今回の航空機騒音の予測結果は今後の基本計画策定の中で生かしていくよう要望しました。
 さらに、15年の使用期限問題についても、これまで3度、政府におかれては県民の強い要望を御理解いただき積極的に取り組んでいただくよう要望しております。
 次に、ジュゴン等の自然保護についての質問事項の中の、その調査目的は何か、それから県として研究者や環境団体と意見交換するように政府に求める考えはないかなどの趣旨の御質問にお答えをいたします。
 ジュゴンの調査については、基本計画の策定後に実施する環境影響評価に先立って行う予備的調査であると聞いております。政府からは、本調査により、その分布及び生態に関する知見や資料が少ないジュゴンについて資料を収集し、ジュゴンの生息等の状況について確認するものと聞いております。
 なお、今回の調査は、防衛庁が環境庁の技術的な助言を得て行うものであります。
 次に、同じくジュゴン等の自然保護についての中の、ジュゴン保全のために沖縄県環境基本条例等に沿って厳しい環境影響評価調査を行うよう求める考えはあるか、辺野古海域での藻場を含めたジュゴン調査を県は行う考えはあるかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
 国は、普天間飛行場の移設に係る政府方針において、普天間飛行場の代替施設については「自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」こととしており、代替施設の建設に当たっては環境影響評価を実施することとしております。
 県は、第3回代替施設協議会において、住民生活への配慮や自然環境への影響を検討する必要があることなどからサンゴと藻場について補足調査の実施を要望したところであります。これを受け、国においてサンゴと藻場については改めて調査を実施することになりました。
 また、環境影響評価とは別に、防衛庁が環境庁の技術的な助言を得てジュゴンの生息状況の予備的調査を実施しておりますので、県独自の調査を行う予定はございません。
 次に、同じくジュゴン等の自然保護についての中の、米軍の新たなヘリパッドと軍用道路建設の中止を求める考えはないかという御質問にお答えをいたします。
 北部訓練場の返還に伴うヘリパッドの移設については、ヘリパッドの移設場所及び進入路等支援施設の整備に関して防衛施設庁は、平成10年12月から平成12年3月までの間、約1年余の期間を通して環境影響調査を実施し、現在、調査結果の整理を行っているところであると承知しております。
 県は、ヘリパッドの移設場所の決定に際しては、当該移設場所の自然環境への影響やその対策等について県及び関係市町村に十分に説明するよう国に申し入れたところであり、国の調査結果が出た段階で関係する市町村の意向や自然保護団体等の意見も踏まえながら、当該地域の自然環境に十分配慮した移設場所の選定が行われるよう適切に対応したいと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(与儀朝栄) 基地問題について、基地跡地利用やそれに向けた制度確立作業を早急に打ち出すべきだと思うがどうかについてお答えいたします。
 国は、駐留軍用地の跡地利用に係る新たな制度への対応を図るため、昨年12月に「駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等に関する方針」を閣議決定しております。
 その中で、大規模駐留軍用地における行財政上の措置、跡地整備事業等を担当する事業実施主体の明確化、給付金支給などについては新たな法制の整備により対応することとしております。現在、跡地利用の促進及び円滑化等の確実な実施を図るため国、県、宜野湾市による「跡地対策準備協議会」を設置し、跡地利用計画策定、文化財関係、再開発事業関係など11の取り組み分野ごとの課題について検討し、制度の確立に向けて取り組んでいるところであります。
 次に、沖縄振興策について、沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会の中間報告はどのような内容か、また県の第3次振計総点検報告書はどのような形で反映されているかについてお答えいたします。
 国が設置した沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会の中間報告については、沖縄の社会経済状況、産業の振興、社会資本の整備、人材の育成等について現状、課題及び今後の施策のあり方が示されております。
 同専門委員会は、ポスト3次振計について調査審議するための国の機関であり、県の総点検作業とは別の立場で中間報告を取りまとめられているものと理解しておりますが、同報告書と県の作成した3次振計総点検報告書で示された沖縄振興の方向性は基本的に共通するものが多いと認識しております。
 次に、沖縄振興策について、最終報告に向けてのスケジュールはどうなっているかについてお答えいたします。
 沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会のスケジュールについては、今後、沖縄振興のあり方について調査審議を進め、来年5月ごろには同専門委員会として最終報告を取りまとめられる予定となっております。
 次に、同じく沖縄振興策の、新たな沖縄振興計画にどのように反映されるかについてお答えいたします。
 沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会の最終報告書については、国の沖縄振興開発審議会の審議を経て内閣総理大臣に報告されるものと理解しております。このことから、同専門委員会の最終報告については国において新たな沖縄振興計画に反映されるものと考えております。
 なお、県においても、新たな沖縄振興計画の策定に向けては国の審議会の最終報告も参考にしたいと考えております。
 次に、同じく沖縄振興策について、先ごろ振興開発計画の市町村評価が出されたが、新たな振計にどのように反映されるかについてお答えいたします。
 県としては、現在、新たな沖縄振興計画の中に圏域別振興のあり方を明確に位置づけるため個別にヒアリングを行うなど、市町村との意見交換を行っております。今後、基本的考え方の素案の策定に向けては、沖縄総合事務局が実施した「市町村の現状と課題に係る調査」も参考にしていきたいと考えております。
 以上です。
○福祉保健部長(平良健康) 平和行政について、対馬丸戦没者記念会館に関連して3つの御質問がございます。まず、国は調査、設計費3000万円を予算確保しているが県の対応はどうかと、次に県から国への予算請求について、3つ目に会館建設の見通しについてでございますが、関連しますので一括してお答えいたします。
 国においては、対馬丸遭難者遺族会の要望を受けて、学童疎開船「対馬丸」の戦没者と高齢者である遺族に対する慰藉を通じた福祉の向上を図るため対馬丸記念館(仮称)の整備について予算を確保しております。
 これを受けて、県では同遺族会等関係者の意向を踏まえて協議検討をしてきたところであります。しかし記念館の管理運営についてその運営方法、内容、財源等種々検討すべき課題があり、12月補正への調査、設計費3000万円の予算計上を見合わせたものであります。
○商工労働部長(當銘直通) 沖縄振興策について、特別自由貿易地区の企業立地の状況はどうなっているかにお答えいたします。
 特別自由貿易地域は、本県における貿易の振興と企業の立地促進を目的に設置されたもので、我が国で最も手厚い税制上の優遇措置などが講じられております。県では、これらの優遇措置を活用して計画的かつ効果的な企業誘致活動を行うため企業誘致基本方針等に基づき企業誘致説明会や企業訪問活動等に取り組んでおります。その結果、同地域には医療機器用半導体基板製造の先端技術型企業が立地したほか、賃貸工場には2社が入居し既に操業を開始しております。
 県においては、企業立地の厳しい状況を踏まえ、今年4月から企業が集中する東京や大阪に企業誘致対策監や企業誘致推進役の計6名を配置するなど企業誘致体制の強化を図っており、その成果等もあって新たに数社が立地意向を示しております。現在、その誘致に向けて調整を進めているところであります。
 次に、同じく沖縄振興策についての、平成12年10月の完全失業率8.8%、完全失業者数5万6000人の数値をどうとらえているかについてお答えいたします。
 10月の完全失業率は8.8%と高い数値となっておりますが、これは就業者数は前年同月に比べ8000人ふえたものの、労働力人口が9000人ふえ、就業者数の増を上回ったため完全失業率が高い数値となったものであります。
 また、完全失業者を求職理由別に前年同月と比較すると、リストラなどによる非自発的離職者や自発的離職者は減少し、新規に労働市場に参入してくる「その他」の理由による失業者が増加しております。
 一方、公共職業安定所における10月の求人状況を見ますと、県内新規求人数が15カ月連続、県外からの求人についても11カ月連続で前年同月を上回り、有効求人倍率は0.30倍と前年同月を0.07ポイント上回っております。
今後の雇用の動向については、完全失業率等の推移を引き続き十分注視する必要がありますが、比較的好調な新規求人数の状況や景気全体の回復基調等から判断すると、本県の雇用失業情勢は緩やかながら改善の傾向にあるものと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) ジュゴンは、国際法並びに我が国と県においてどういう位置づけをされているのか、また県としての取り組みはどうかという御質問にお答えします。
 ジュゴンは、文化財保護法の規定により文化庁において天然記念物に指定され、捕獲を初めとする現状変更等が規制されており、また水産資源保護法の規定においても採捕が禁止され、さらに「種の保存法」や「ワシントン条約」においては取引規制の対象となっております。
 ジュゴンについては、環境庁において分布、生物学的特徴等に関する国内外の研究論文、文献等の収集調査を行うとともに、防衛施設庁では生息状況に係る予備的調査を実施しております。ジュゴンの保護については、国においては関係省庁が密接に連携して取り組むべき課題としており、県としても国や関係機関等と連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。
○地域・離島振興局長(山川一郎) 鉄道導入についての御質問で、9月議会で補正計上した800万円の調査はどこまで進んでいるか、また次年度の予算取り扱いはどう考えているかについて一括してお答えをいたします。
 鉄軌道導入可能性基礎調査を進めているところであります。現在、道路交通センサスデータ等により交通の地域間流動など検討を始めたところであり、今後それらの地域間における概略的需要や概算事業費の算出を初め採算性、地域に与える影響、整備課題等を検討してまいりたいと考えております。
 平成13年度予算の取り扱いにつきましては、庁内で議論を行っていきたいと考えております。
 鉄道導入に関するプロジェクト班を設置する考えはないかについての御質問にお答えいたします。
 21世紀における本県の経済振興や産業振興、県民生活の安定を図っていくためには交通網の総合的な整備は極めて重要であり、軌道系交通のあり方や交通のソフト施策を含めた「新たな交通システム」の構築について多角的な視点から引き続き現行の体制で検討してまいりたいと考えております。
 鉄道導入についての御質問で、ポスト3次振計にどのように反映させていくかについての御質問でございます。お答えをいたします。
 ポスト3次振計に鉄軌道の導入を位置づけていくことにつきましては、関連する調査を行うとともに、県民世論、各圏域の開発整備の方向性など多角的な視点からの検討が必要であります。県としても、21世紀の本県を支える総合的な交通体系を構築していくことは極めて重要であると考えているところであり、将来需要や採算性、整備課題等も踏まえ、諸計画との整合を図りつつ、都市モノレールを初めとする軌道系交通システムや道路網等のハード施策と交通需要マネジメントやITS等ソフト施策もあわせて「新たな交通システム」として総合的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、バス統合問題についての御質問でございます。
 御質問は、バス統合に関する可能性調査室の報告をどう分析するか、調査報告はバス統合にどのような影響を与えると思うか、報告書によると株主構成は行政の参入を明記しているが県の見解を求める、それから乗り合い部門人員500人削減も出ているが、雇用対策についてはどうかについての御質問にお答えをいたします。
 4点とも調査報告書に関することでありますので、一括してお答えをいたします。
 平成12年8月に設立された「バス統合に関する可能性調査室」は、県内の金融機関からの出向者等で編成され、第三者的な立場から本島バス4社の乗り合い部門の統合の可能性について同年10月末に調査報告書をまとめ、関係者に内容を説明した後、解散しております。同報告書は、バス4社の乗り合い部門を統合する新会社設立について一つの方向性を示したものとして一定の評価をしているところであります。
一方、統合の当事者である4社統合委員会においては新会社の組織、資本、財務、事業等について弁護士や公認会計士等の専門家の助言も受けながら、乗り合い部門の統合に向けて検討を進めているところであります。
 県としては、これまでバス4社の代表者及び沖縄総合事務局と意見交換を重ねてきたところであります。今後、4社統合委員会の検討結果を受けて、今回の調査報告書で提案されている株主構成や雇用対策等も含めて国と緊密な連携を図りながら、県としてどのような対応が可能か、総合的な観点から検討してまいりたいと考えております。
 同じくバス統合問題についてでございます。
 県バス協会から新会社発足において経営資金、債務超過解消、退職金費用等の公的財政支援が県や県議会に要望されているが、県の対応はどう考えるかについての御質問にお答えします。
 バスは、本県における唯一の公共大量輸送機関であり、県民の足を安定的に確保するためにはバス事業者の経営健全化はもとより、事業の集約化や統合を図ることは重要な課題であると認識しております。
 バス統合については、現在、4社統合委員会で乗り合い部門の統合に向けて検討を進めているところであり、その結果を受けて県としてはどのような対応が可能か総合的な観点から検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(小那覇安優) 県内JAの統合問題についての5JA構想の課題と進捗状況はどうなっているか、2点目に、1JA構想の背景と農家や組合員へのメリットはどうなっているか、3点目の1JA構想に対する各JA、農家の意見と県の対応策についてはどうか、4点目の現在の28農協の経営上の問題点は何かは、関連しますので一括してお答えします。
 JA系統組織においては、平成10年2月の第15回JA沖縄大会で、現在の28JAを郡単位の5JAに統合する合併構想を決議しています。各地区JAにおいては、合併推進事務局の設置や離島JAとの事業協同運営機構発足に向けた専門委員会の設置など5JA構想実現に向けて取り組みを行ってきたところであります。
 しかしながら、昨今の急速な社会経済情勢の変化に伴い、これまでの5JA構想では依然としてJA間の財務格差が解消しないことや合併後の経営健全性確保に課題が残ることが明らかになっています。
 平成11年度の県内JAの経営状況は、農業生産の伸び悩みによる経済事業の不振や低金利政策等による信用事業の収益性悪化等により、28JAのうち15JAが赤字を計上しております。このことから5JA構想の進捗は必ずしも計画どおり進展していない状況にあり、抜本的な合理化が求められているところであります。
 全県を単一JAとして組織再編することのメリットについては、財務基盤が強化され、信用力の向上や農家組合員へのサービスの提供等が増進されることであります。このことは、農家所得の向上や農業の振興に大いに貢献することが期待されます。
 今回の1JA構想については、去る11月15日の全体組合長会で県連会長からの提案に基づき組織決定されたものであり、今後、各地域段階のJAレベルで組織討議が行われ、総代会の場で農家組合員の意見を集約することになります。
 県としては、地域農業の発展と農家の所得向上を図る観点から、JAの組織再編に対し積極的に協力していく考えであります。
○大城 一馬 休憩。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後7時19分休憩
   午後7時20分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 大城一馬君。
   〔大城一馬君登壇〕
○大城 一馬 まず15年問題における担保の問題と、知事、着工前の解決の問題、この件について触れますけれども、やはりこの15年問題は知事自身がいわゆるみずから県民に、私はこの15年使用期限問題を提起しますと、県民からの要望じゃないんですよ。行政手続を経た要望じゃないんですよ。知事自身が県民に約束されたんですね。したがいましてやはりこれは当然知事は、ある意味ではそれこそ主体性を持って、責任感を持って私は政府とやってほしいと。要するに文書、覚書等でまずいんであれば、例えばこの問題が着工前に解決しなければ私は責任をとりますと、それぐらいのやはり僕たちとしては決意というのは当然県民にちゃんと示すべきだというふうに思います。
 そして対話集会ですけれども、名護市民と連携しながら対応すると。要するに名護市長は対話集会をやるんですよ。そうしますと連携しながらですから、当然知事も対話集会に参加して一緒にやるということで理解してよろしいですか。
 そして平和行政の対馬丸記念会館の問題ですけれども、管理運営費の問題がまだまだ方向性が示せないということなんですけれども、御承知のようにこの対馬丸の遺族の皆さん方はもうほとんど高齢なんですね。90に近い平均年齢、父母の皆さん方ですね。
 そういう中で、この遺族会の皆さん方に、あなた方で維持管理を考えてくれと言われてもこれは戸惑うんですよ、当然のことなんです。ましてやこの対馬丸の記念会館というのは、普通の箱物の運営と違うんですよ、知事。美術館の維持管理運営費等々とですね。
 あの戦争で米軍の魚雷によって沈められた学童のこの無念さ、いまだに海底に眠っているんですよ、この遺体というのが。やはり県がしっかりやると維持管理も含めて、そのぐらいの私はぬくもりですね、熱意がほしいと思うんですよ。今のような県の説明からしますとこの維持運営費の問題、県は消極的であると。もし遺族会がこれはできなければ、この事業はなくなるということですか。そしてこの件につきましては、県と国で11月の末に調整をなさっていると思うんですよ。その結果、どういうことの調整がなされたのか、あわせて御説明をしてほしいと思います。
 次にジュゴンの保護調査ですけれども、やはりこれはあの地域は平成10年に県がランクⅠとして指定しましたよね。当然県独自で指定したこの地域ですよ。やはり県としても独自で調査して、防衛庁でもやるのはいいんですけれども、やはりこういうのは二重三重にやればそれなりの結果が出ると思うんですよ。もう一度県の独自調査についてどうするか、お尋ねしたいと思います。
 よろしくお願いします。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後7時26分休憩
   午後7時29分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 大城一馬議員の再質問にお答えいたします。
 主体性を持ってやるべきであるということでございますので、私の方は主体性を持ってそして今回の条件として強く主張したわけでございます。したがって、代替施設の15年使用期限問題が何らの進展もなしに全く棚上げされたままで進むことはあり得ないと、今後とも強くその解決を求めていきたいと考えております。
 次に、名護との問題ですが、これは名護市と今後とも連携をしながら先方と話し合いを続けて、そして判断をしていきたいとこのように考えております。
○福祉保健部長(平良健康) 対馬丸記念館についての再質問でございます。
 県としましては、対馬丸遺族会等関係者の意向を踏まえまして協議検討してまいりました。しかしながら記念館の管理とか運営につきましてはその運営方法、内容、財源等種々まだ検討すべき課題が残っております。そういうことで引き続き調整を続けてまいりたいと考えております。
 国におきましても、国と県で引き続き調整をするというふうな立場でございますので、そのようにしてまいりたいと思っております。
○知事公室長(親川盛一) 大城一馬議員のジュゴンの調査を県独自でやるべきじゃないかという旨の再質問にお答えをいたしたいと思います。
 防衛庁が現在、このジュゴンの生息状況等の予備的調査を実施しているわけでございますけれども、これは専門家の集団でございます環境庁の技術的な助言も得て実施しているということでございますので、県としてはやはりそれを十分この代替施設協議会においても報告されますし、それを受けて対応してまいりたいとこのように思っております。
○大城 一馬 この記念会館の問題ですけれども、国が全額3億円負担するんですよ。那覇市も用地を無償で使用させることになっているんですよ。せめて維持管理費ぐらい知事、県の方でよろしくお願いします。
 以上です。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後7時33分休憩
   午後8時16分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 平仲善幸君。
   〔平仲善幸君登壇〕
○平仲 善幸 知事には、さまざまな沖縄問題を解決するために頑張っておられることに敬意を表し、県民の会を代表して代表質問をさせていただきたいと思います。
 農業に基軸を置いた循環型社会の構築について、私は提言をしながら、また皆さん方のお考えをお示し願えれば非常に幸いだとこう思っております。
 沖縄経済の状況、そしてまた雇用問題、沖縄の環境等を視点を変え、自然の力、生命の原点からいろいろな問題を見てみたいと思います。
 今、ゼロエミッション構想が計画されていることは大変結構なことだと思います。私は、農業経験者としてかねがね思っていることですが、畑の中で営まれる微生物の有機性廃棄物分解能力は、今後の地域環境改善になくてはならないものだと考えております。
 農地を所有している農家の皆さんが積極的に環境保全型社会に参加していただける場、また農家の皆さんが組織する法人が廃棄物を出す側ではなく活用する側から廃棄物の処理に積極的に参加してもらう必要があると考えております。
 有機性廃棄物ゼロエミッション構想は、養豚農家、園芸農家、さとうきび生産農家で農業法人を設立してみずから処理工場を建設し、飼料、燃料、堆肥を生産することで初めて有機性廃棄物が循環し、そして安心して活用することができると考えております。
 飼料生産については、安全なしょうちゅう廃液、そして魚の残渣、食品加工残渣、さとうきび工場から出るバガス等は、養豚農家の管理のもとで豚のえさとして養豚農家が優先的に活用する。そしてまた燃料生産については園芸農家の廃ポリ、そしてさとうきび工場から出るバガス、段ボール等を固形燃料にして工場の燃料として使用することで工場の燃料代は安く上がり、また廃ポリ、バガスは初めて有効的に活用され環境負担も著しく軽減できます。
 堆肥生産については、養豚農家のふん、さとうきび工場から出る廃液の廃糖みつを適正に処理した後、高品質で付加価値の高い有機堆肥にして経営に参加した園芸農家、そしてさとうきび農家が自分の農地に使用することで有機堆肥の普及拡大につながると思います。また豚の尿は発酵処理した後、液体肥料または農業用水として園芸農家、さとうきび栽培農家が使用することで河川の汚染は防止され、流域住民の方々を悪臭から開放することができると考えております。
 このように立場を変え、有機性廃棄物は農業関係者の異なる生産農家による総合補完関係で処理するのが一番理にかなったよい方法だと考えております。
 廃棄車両ゼロエミッション構想は、園芸農家、酪農家が主体となり農業生産法人を設立して、部材製造工場を建設して農業用施設の鋼材、施設の水はけ材、畜ふんの水分調整材、堆肥化の発酵促進剤、施設内の冷房用燃料等を生産することで廃棄車両は農業用資材原材料として見方を変えることができます。
 農業用施設、建設資材生産は、鉄の部分は施設の構造物として活用し、アルミニウムは農業用ハウス建築資材として使用することができると思います。また車両解体時に出る不要なごみの中で繊維等は炭化して安全を確認した後、水分調整材、発酵促進剤、土壌改良材として使用することができると言われております。ガラス、その他のごみは高温でセラミック化して施設周辺の整備の資材としてみずから製造することで安全は確保され、安心して活用できると思います。冷房用燃料の生産は、古タイヤを油化して石油に戻した後精製し、園芸農家の夏場の冷房用、酪農施設の空調施設燃料用としての活用があると思います。
 このように、農業に基軸を置いた循環型社会こそが今求められるゼロエミッション構想であると確信をしております。
 そこでお聞きいたしたいと思います。
 1、農水産業。
 地球誕生以後、数億年にわたる植物生命の営みの中で、地上に上陸した植物の気の遠くなる生命循環において形成されてきた土壌圏を、我々は数十年で崩壊をさせ、その結果、農業は連作障害に悩まされているわけであります。
 学者の中には海水、海の生物、植物、動物、土壌圏も共通の情報があると言われております。その情報は研究の結果、微量ミネラル要素のバランスだと言われているわけでありますが、どう思いますか。ここに沖縄農業復活のヒントがあると言われております。
 また、海洋県である沖縄の水産資源確保のためにも土壌圏の再生は早急に取りかからなければならない課題だと考えておりますが、お答えを願いたいと思います。
 2番目に、生命産業。
 微量ミネラルバランスのとれた肥沃な土壌圏の再生を研究して植物に適した土壌を生産し、植物の持っている生態防御と薬草としての野菜の力を復活させ、長寿県としての農産物の特産化を図りつつ、沖縄農業の大きな課題である風害に対抗できる施設農業の整備をし、供給に対応できる農業を生命産業へと移行する必要があると思いますが、どう思いますか。
 3番目に、技術革新。
 生命産業の確立を図るためにはいろいろな技術の蓄積が必要であると言われております。1番目に、微量ミネラルバランスのとれた堆肥生産技術、2番目に、植物に適した土壌研究、3番目に、植物の薬草成分を生成する技術、採算性に適した施設の建設研究、管理コスト低廉化のための新エネルギー開発、生産物の情報と販売のIT開発。
 これらは沖縄で全部開発できると研究者は言っているわけであります。この件についてのお考えをお聞かせください。技術革新には県も積極的に参加して指導協力すべきだと思います。
 また、株式会社トロピカルテクノセンターを活用すべきだと思いますが、お聞かせを願いたいと思います。
 4番目に、環境保全。
 技術開発して農地が持っている自然浄化能力を利用し、生命産業に必要な資材はすべて廃棄資源を最大限に活用することで地域環境は大きく改善されると言われております。
 (1)に、堆肥化、飼料化生産技術によって有機性廃棄物はミネラルバランスのとれた付加価値の高い堆肥、ビタミンの豊富な飼料となります。堆肥は肥沃な土壌形成に貢献し、化学肥料、農薬等を減らすことができ、環境ホルモンによる地域環境汚染を防止して環境保全に大きく貢献できると考えている研究者もたくさんおります。飼料は、経営難に苦しんでいる養豚農家に供給することで経営が安定し、養豚場の環境改善に資金を回せることで地域環境がよくなるという養豚農家がいるわけであります。
 (2)番目に、農業用施設建設資材の鋼材は、廃棄車両の活用で生産できると考えている業者がおります。また解体時に発生するごみは炭化して安全を確認後、畜産農家の畜ふん尿脱臭資材、また発酵促進剤として活用し、その他の廃棄資源は、その物性に応じた処理方法でリサイクルできることを研究している人がおります。
 (3)番目に、新エネルギーの開発は今後の展開における最大の課題であると考えております。今検討されるエネルギーは、農業用廃ポリ、廃タイヤ等の油化、また紙、廃材等を固形燃料化することと、今研究中のウオーターハンマー現象による発電技術は今後の農業革新になると思われております。
 以上の方法で環境は保全され、沖縄の環境は各方面の関心を呼び注目を集めるとともに、沖縄で開発された技術は他府県に普及するという農業関係者がおります。お考えをお聞かせを願いたいと思います。
 5番目に、観光立県。
 環境保全技術の構築された施設と生命産業へと変革した農業施設、薬膳的効能化した野菜と温暖な気候を全面に打ち出して全世界に発信することで、環境問題を抱える世界の国々の人々が来県していただけることで平和な沖縄、技術革新した沖縄農業が全世界に波及できると考えております。来県していただいた人々が帰国され沖縄の技術を本国に広げていただければ、沖縄は初めて自立経済へと発展できると確信をしておりますが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、21世紀の沖縄は基地経済から脱却し、生命産業を基軸に循環型社会の構築ができる技術革新と考えておりますが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
 以上であります。
○知事(稲嶺惠一) 平仲善幸議員の質問にお答えいたします。
 最初に、農水産業を生命産業への要旨(1)の、微量ミネラル要素のバランスについてどう考えるかという御質問と、水産資源確保のためにも土壌圏の再生が課題と考えるがどうかとの2つの御質問に一括してお答えいたします。
 農業の持続的発展を維持し循環型社会を構築するためには、土壌におけるミネラル要素のバランスが重要であります。
 農業は、本来自然の循環機能を最大限に活用し食物を生産する産業であります。
 しかしながら、戦後の我が国農業は、化学肥料や農薬の多量投入により生産性の向上を図ってきたため土壌肥沃度の低下や連作障害の発生など種々の問題が起こっています。
 農業の持続的な発展を図るためには、自然循環機能の維持増進による環境と調和のとれた農業生産を推進することが重要であります。県としては、循環型の農業を目指して家畜ふん尿等の堆肥化を初め低・未利用資源の適切な活用による健全な土づくりを推進していく考えであります。
 次に、生命産業を技術革新への御質問で、肥沃な土壌圏の再生や農産物の特産化及び風害対策施設農業の整備が必要であると考えるがどうかとの質問にお答えします。
 作物生産に適した肥沃で健全な土壌をつくるためには、有機物資源である家畜ふん尿等を堆肥化し、微量のミネラルをバランスよく含む良質の堆肥として農地に還元していく必要があります。
 農産物の特産化については、健康・長寿をアピールする薬草やゴーヤー等を肥沃で健全な土壌で生産し、長寿県沖縄のブランド商品として生産振興を図っているところであります。
 また、施設利用農業については、現在研究開発を進めている台風に強い低コスト施設を普及することによって周年出荷が可能になり、健康・長寿を志向した農業がさらに進展するものと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○農林水産部長(小那覇安優) 技術革新を環境保全へについての1番目の、生命産業を確立するための技術開発について県の考え方を聞きたいと、2点目の、民間の技術開発に県も積極的に参加して指導協力すべきだと考えるがどうか、3点目の、技術革新には株式会社トロピカルテクノセンターを活用していくべきだと考えるがどうかとの御質問は、関連しますので一括してお答えします。
 亜熱帯性気候と島嶼性という特異的な本県の農業技術開発に当たっては、物質循環型生態系の保全を目指した基盤研究とこれに裏づけされた現場実践的技術の確立を図る必要があります。
 農業試験場においては国や他府県、大学等との共同研究を実施するとともに、民間などの行う技術開発へも積極的に参加・協力し、技術開発の効率的推進と研究蓄積を図っているところであります。
 また、これまでに株式会社トロピカルテクノセンターを初め農業機械メーカーなどとの共同研究も実施してきており、薬草研究や小型ハーベスターの開発などの成果が上がっております。県といたしましては、地域特性を生かした環境保全型農業を推進するため今後とも産・学・官の連携による先導的技術開発とその実用化を促進していく考えであります。
 次に、環境保全を観光立県へについて、堆肥化、飼料化生産技術などの開発により廃棄資源を最大限に活用することで地球環境は保全され、沖縄で開発された技術は他府県に普及するという意見があるが、県はどう考えるかとの御質問にお答えします。
 近年、地球規模での環境問題への関心が高まる中で廃棄物問題に対する県民の意識も高まってきており、廃棄物をいかに減量するか、再生利用するかは行政推進上の大きな課題であります。
 しかしながら現在、食品残渣等生ごみの有機性廃棄物は、その大部分が焼却され循環利用されてない状況にあります。また家畜ふん尿等についても、一部の不適切な管理と処理が河川等の環境汚染の原因となっております。これらの有機性廃棄物を資源としてとらえ農業に活用することは、環境を保全し循環型の農業を推進する上から重要であります。
 現在、オガコの堆肥化、バガスの飼料化、廃プラスチックの油化等廃棄資源を有効に活用する技術が開発され農業現場で利用されております。県としては、「ゼロエミッション・アイランド沖縄」構想の実現に向けて廃棄資源を活用する技術開発を進めるとともに、本県で開発された技術を共通の課題を抱える地域へ積極的に普及展開していく考えであります。
 次に、観光立県を世界へについて、沖縄の技術が世界へ広がれば自立経済へと発展できると確信するが県の考えを聞きたい、2点目に、21世紀の沖縄は生命産業を基軸に循環型社会の構築ができると考えるが、県の考えを聞きたいとの御質問は、関連しますので一括してお答えします。
 本県の農業は、食料の安定供給を初め県土や自然環境の保全など重要な役割を担っており、農業の持つ多面的機能の発揮が求められております。県としては、今後とも持続可能な循環型社会を目指した総合的な技術開発を推進するとともに、観光産業とも連携した農業の振興を積極的に推進し国際社会にも貢献していく考えであります。
 以上でございます。
○前島 明男 通告に従い公明党・県民会議を代表して質問を行います。
 1番、情報通信技術(IT)講習推進特例交付金について伺います。
 情報通信技術の目まぐるしい発展は、世界の産業界でも情報革命とも言うべき大きな変革をもたらしております。
 世界的な情報革命の進展に伴い、産業ないし社会の情報化が急速に進展しており、これらの流れを踏まえ情報技術を活用した新しいビジネスへの参入による情報産業が発展し、さらに産業界のみならず行政、公共分野から消費者まで社会を構成するすべてにわたって展開されようとしており、今日最も活力がある産業となりつつあります。このような社会経済情勢の中でITをあらゆる経済社会活動に活用した新しい経済構造の進展は、21世紀の経済競争力を左右するようになると思われます。
 ところで、我が国のITの普及率はアジアの中でも低い方に位置し、早く世界のレベルまで追いつき追い越せと大きな目標を掲げ危機感を持って取り組むことになったわけであります。
 そこで、公明党が積極的に推進し国民的規模でIT技術を向上させ、デジタル・ディバイド、いわゆる情報格差をなくすようにするため、去る臨時国会でIT講習を推進するための補正予算約550億円を計上させました。
 そこで、次のことについて伺います。
 (1)、沖縄県の予算規模は幾らか。
 (2)、この予算はいつからいつまでの予算か。
 (3)、この予算の大きな目的は何か。
 (4)、対象人数は何人か。これは県全体であります。
 この4項目につきましては、先ほど國場議員の代表質問の中で答弁がありましたので割愛をいたします。
 (5)、教育関係予算はどうなっているか。その配分はどう考えているか。
 大きな2番、福祉行政について伺います。
 (1)、無認可保育園対策について。
 無認可保育園は、これまで行政の対応できない多くの児童を保育し社会的ニーズにこたえ、保育行政の補完的役割を果たしてきました。それにもかかわらず長い間公的助成もなく自力でボランティア精神と保育の使命感に燃え、厳しい経営を強いられながら何とか持続できてきているのが現状であります。
 全国の無認可保育園の児童は認可保育園児童のわずか8%でありますが、我が沖縄県は50%以上が無認可保育園児童です。そして全国で最も高い入所率である状況から、沖縄県の市町村は無認可保育園を認可保育園にするか、それと同等の処遇をすべきだと考えます。児童がいない、財政が厳しいと認可をしないのは行政の大きな問題だと認識すべきです。認可、無認可にかかわらずどの親も同じ県民であり、しかもきちっと県民税を払っておられます。行政の恩恵は県民が等しく受けられなければならないはずであります。
 ところが現実はどうでありましょうか。不平等と言わざるを得ません。児童福祉法の理念にもあるように等しくその生活を保障すべきだと考えます。国は地方行政に対し、既設無認可保育園には極力行政指導を行い、社会福祉法人とするようにとあり、認可を与えるようにしております。
 現実に認可基準にほぼ達し、認可園を希望する無認可保育園は多数あります。県は、市町村に対し積極的な取り組みを勧め、沖縄の児童を児童福祉法のもとで平等に育成できるよう県の責任のもとに具体的な方策を打ち出してもらいたいと思うものであります。
 そこで、次のことについて伺います。
 ア、県はこれまでどのような対策をとってきたか。またその対策で十分だと考えているのか。
 イ、今後どのような対策を考えているのか。
 ウ、浦添市が平成13年度から実施する無認可保育園対策をどう評価するか。
 これは、浦添市がこれまで補助のなかった無認可保育園へ新たに補助をすることで認可園に近い状況を整えるのがねらいのようであります。児童の対象を待機の7割を占めるゼロ歳児から2歳児までに絞り、市が独自の認定基準を設け、財政補助をするいわゆる指定保育所として活用していく方針で10カ所を指定し、月額で子供1人当たり数千円から数万円の幅で補助を検討しているとのことであります。この制度は、県内では初めての試みで画期的なものと高く評価をするものであります。
 また、浦添市が投じたこの一石は、他の市町村の無認可保育園への援助のあり方に大きな影響を与えるものと確信するものであります。
 エ、県は、市町村の上位官庁で行政指導をする立場にあるわけですから、保育行政は市町村が窓口だからと回避せずにもっと積極的に市町村や保向連等とも連携をとって対策に取り組んでもらいたいがどうか。
 オ、無認可保育園と認可保育園とでは大きな格差がありますが、職員の平均給与、児童の措置費、その他について具体的に御説明ください。
 (2)、障害者の就労支援について。
 障害者、彼らはみずから好きこのんで障害者になったわけでは決してありません。そんな人は一人もいないはずであります。障害を持って生まれたとか、あるいは事故等に遭って障害になったとかでこれまで大変な苦労をしてこられたと思います。また彼らを支えてこられた御家族のことを思うとき、ねぎらいの言葉さえ見つかりません。
 我々の社会は、老若男女、障害者、健常者がいて成り立っております。ならば、皆が協力し合って豊かで安心できる環境をつくることが大事ではないでしょうか。家族にのみ負担をかけるのではなく、行政も地域も一体となって支えていくべきだと考えます。そこで彼らが一日も早く、1人でも多く自立できるように就労支援については国、県、市町村が積極的に取り組まなければならない重要課題の一つであると考えます。
 そこで、次のことについて伺います。
 ア、障害者の雇用状況はどうなっているか。
 イ、障害者の法定雇用率はどうなっているか。これは国、県、市町村役場、企業であります。また今後の取り組みはどうか、伺います。
 ウ、作業所問題は育成会運動とともに始まり、今や成人期の地域生活の場として、養護学校卒業後の出口として重要な場となっているだけでなく、さまざまな本人支援の活動の拠点となっております。しかし一方でその財政的基盤の弱さ、公的評価の低さが問題となっております。
 そこで、小規模作業所運営への支援について現状と課題をどう認識しているか。また県が交付している補助金を具体的に説明してください。
 エ、現在、国庫補助金は12月と2月に交付されているため余りにも遅過ぎるとの声が聞かれます。県や市町村からの補助金も合わせて80%以上が10月以降で、4月から10月までの運営は四苦八苦のようであります。もう少し現場に合った発想と支援をしてもらいたいと思うがどうか、伺います。
 オ、ピアカウンセリングについて我が県の状況はどうなっているか。また今後どう取り組むのか、伺います。
 大きな3番、あっせん利得処罰法について伺います。
去る11月22日、参院本会議において、政治家などが口ききの見返りに報酬を得ることを禁止する「あっせん利得処罰法」が成立し、来年2月下旬に施行されることとなった。この法律は、日本の政治の質を変えるもので、画期的な法律ができたと思います。
 そこで、次のことについて伺います。
 (1)、この法律のねらいはどこにあるか、伺います。
 (2)、刑法197条の4に規定されている「あっせん収賄罪」と今回の「あっせん利得処罰法」はどこがどう違うのか、御説明ください。
 (3)、この法律の対象となる人物と行為について具体的に御説明ください。
 (4)、この法律ができたことについて知事の御所見を伺いたい。
 大きな4番、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産に登録されたことについて伺います。
地球上に存在する世界遺産は、貴重な文化や自然を世界のすべての人々にとってかけがえのない宝物として保護していこうという世界遺産条約によって指定されます。今回、我が沖縄県が世界に誇れる「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が登録決定されたことはまことに喜ばしい限りであり、県民の自信と誇りにつながるものと確信するものであります。
 そこで、次のことについて伺います。
 (1)、遺産登録決定された大きな要因は何か。
 (2)、決定された波及効果ははかり知れないものがあると思うが、どういうことが予想されるか。
 (3)、この世界遺産を維持管理していくには相当の経費がかかると思うが、年間幾らで県の負担金はどのくらいか。
 (4)、今後、世界遺産をどう活用していくつもりか、お聞かせください。
通告の質問は以上でありますが、少し時間がありますので、通告外ではありますけれども、実はきょうの夕刊を見まして非常に怒り心頭に発するといいますか、新報、タイムス両新聞の社会面に大きくこのように載っておるわけであります。(資料を掲示)
 これをかいつまんでお話いたしますと、「国費米留学希望の女子高生 いじめ、不登校克服したのに… 合格の内定取り消し」、こういう見出しで載っております。
 これはどういうことかといいますと、この女子高生は、中学2年のときに不登校で1年間学校を休んだようでありますけれども、一生懸命勉強して高校に入学した。そして非常に成績も優秀だということで学校長が米留学の試験を受けなさいということで試験を受けたわけなんですが、1次試験、2次試験に合格して県国際交流・人材育成財団、そこから合格通知をもらったわけですね。そして東京にありますYFU日本国際交流財団、これは留学生を委託して送る役目をするんですが、そこが結局中学時代に不登校で成績が一定の域に達してないということでアメリカの高校の行き先にも連絡もせずにそれを断ってしまうわけですね。その子供は結局そこに留学できなくなるわけなんですが、やはり1人の女子高生の問題ではあるんですけれども、黙っておれる問題じゃないんで、少し皆さん方に知っていただきたい。新聞を見ればわかることですけれども、そういうことで、政治も経済も社会も皆1人の人間を大事にしなければいけない。過去に何があったかが問題じゃないんです。現在、この子は本当に更生して真面目にやっているわけですから、何としてでもこの子が米留学できるように私も応援していきたい、そのように思います。
○知事(稲嶺惠一) 前島明男議員の御質問にお答えします。
 福祉行政について、心身障害者小規模作業所の現状と課題及び県補助金の交付状況についての御質問のお答えでございます。
 小規模作業所は、地域で働く場または活動の場の確保が困難な在宅の障害者の親等が中心となり、障害者の自立と社会参加を促進するため設置されるもので年々増加しております。現在、県内には43小規模作業所があり、592名の利用者がおります。小規模作業所は法的助成制度の対象外施設であり、財政基盤が脆弱であることが課題となっており、県としては障害者の自立と社会参加の促進を図るため助成を行っております。
 補助金の交付状況は、平成11年度が38作業所に7750万円、平成12年度が42作業所に8700万円を市町村を経由して補助する間接補助を行っております。今後とも小規模作業所の安定的運営を図るため助成を行ってまいります。
 次に、あっせん利得処罰法について、この法律のねらいはどこにあるかということと、できたことについての所見を伺いたいということの2つを一括してお答えいたします。
 この法律は、公職にある者等の廉潔性を確保し、政治に対する国民の信頼を確立するために公職にある者等のあっせん行為による利得等を防止しようとするものであります。
 具体的には、国会議員等が特定の者に不当に利益を得させる目的でその権限を利用してあっせん行為をし、その報酬を受けること等を処罰することとしております。この法律が制定の趣旨に沿って適正に運用されることにより、政治倫理の確立及び公務の運営における公正の確保が図られるよう期待しております。
 次に、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産に登録されたことについて、遺産登録決定された大きな要因は何かについてお答えいたします。
 「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産に登録された大きな要因は、次の3点が挙げられます。1つには日本、中国及び東南アジア諸国との交流の過程で独自の発展を遂げた琉球地方の特異性を示す遺跡群であること、2つには琉球の政治的統合の過程を示す貴重な記念物及び考古学的遺跡の事例であること、3つには琉球地方独特の自然観に基づく信仰形態の特質をあらわす顕著な事例であることです。
 これらのことから、普遍的価値を有するものとして高い評価を受け、人類全体の宝として登録されたものと思っております。
 また、こうした文化遺産の保護、活用について、県民が一体となって取り組んできたことが評価された結果でもあると考えております。
 次に、同じく世界遺産の件で、決定された波及効果ははかり知れないものがあるが、どういうことが予想されるかについてお答えいたします。
 このたびの世界遺産登録は、国際化と情報化の時代にあって、県民はもとより県外、国外で活動する県関係者へ大きな自信と誇りを与え、沖縄の歴史や文化を世界へアピールできるものと確信しております。特に次代を担う子供たちへ夢と希望を与え、平和で活力ある社会の形成者として創造性、国際性に富む人材育成についてはかり知れない影響を及ぼすものと思われます。
 さらに、県民の郷土文化に対する認識と愛着を新たにし、文化財保護意識の高揚、新しい文化の創造などに寄与するとともに、文化財を生かした地域活性化や観光資源としても大きな効果が期待できるものと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○教育長(翁長良盛) 前島議員の御質問にお答えいたします。
 まず、情報通信技術(IT)講習推進特例交付金についてという中で、教育関係予算はどうなっているか、その配分はどう考えているかという御質問にお答えいたします。
 国の計画では、IT講習会の約8割を学校施設等を活用したIT講習会で実施することを想定しております。本県においても、国と同様にIT講習会の約8割を学校施設等を活用したIT講習会で実施することを想定しております。
 教育関係予算については、情報通信技術講習推進基金の金額6億5800万円の約8割である5億円を想定しております。
 なお、予算の確定後に市町村の希望等を参考に市町村ごとの配分をしていきたいと思っております。
 次に、世界遺産登録との関連で、この世界遺産を維持管理していくには相当の経費がかかると思うが、年間幾らで県の負担金は幾らかという御質問にお答えいたします。
 世界遺産を初めとする文化遺産の整備や維持管理につきましては、平成12年度予算で見た場合、総額5億3000万円余となっております。そのうち県負担の割合はおおよそ10%となっております。これらの資産の整備や維持管理については、長期的かつ計画的な取り組みが必要なことから、今後ともなお一層の努力をしてまいりたいと考えております。
 同じく遺産群関係でございます。今後世界遺産をどう活用していくつもりかお聞かせくださいという御質問にお答えいたします。
 県教育委員会といたしましては、本県の文化の発展と郷土の歴史と文化に誇りを持ち、創造性、国際性に富む人材の育成と生涯学習の振興を図るため世界遺産を積極的に活用していきたいと思います。そのため、児童生徒の郷土学習や総合学習等に活用を図っていきたいと思います。
 一方、県民の生涯学習振興の面では、郷土史の学習や史跡めぐり等の多様な遺産の活用を促進し、文化財を生かしたイベントの実施など教育的、文化的な活用を考えていきたいと思います。また、海外からの見学者との交流などを通して沖縄文化を世界へ発信していきたいと考えています。
 さらに、より一層文化財の保存・整備、活用に努め、県民の文化財保護意識の高揚を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 福祉行政について、無認可保育園に関連しまして県はこれまでどのような対策をとってきたか、また十分と考えているかとの御質問、それから今後はどのような対策を考えているかとの御質問につきまして一括してお答えいたします。
 保育所は、保育に欠ける乳幼児を保育する児童福祉施設であり、国の定める児童福祉施設最低基準等を遵守して運営されております。
 一方、認可外保育施設は法的な基準によらず運営され、子供たちの処遇面等に困難な課題があります。平成12年4月1日現在、県内の認可外保育施設は496カ所、2万3999人の児童が利用しております。
 県におきましては、国の無認可保育施設に対する当面の指導基準をもとに、児童の安全・衛生面や保育の質を確保するという観点から昭和58年に「無認可保育施設指導監督要綱」を定め、立入調査を実施しております。
 なお、平成8年度からは認可外保育施設専門指導員、嘱託でございますが、配置して指導を強化しております。
 さらに、職員の資質の向上を図るため施設長研修や職員研修を実施し、安全保育や衛生管理に関する意識の高揚を図ることに努めております。
 また、市町村と連携のもと、利用する児童の処遇改善のための健康診断料を助成しており、今後とも同事業の充実を図ってまいります。
 次に、浦添市が平成13年度から実施する無認可保育園対策をどう評価するかとの御質問にお答えいたします。
 平成12年4月1日現在の県内における保育所数は323カ所、定員2万2793人で、入所児童数は2万3482人となっております。
 保育に欠ける児童として入所申し込みを受けたが、保育所に入れない待機児童が1645人おり、入所児童に対する割合を示す待機率は7.0%であります。このうち浦添市におきましては待機児童が397人、待機率にしまして25.4%と最も高い数値を示しております。
県では、待機率の高い市町村と連携を図りながら保育所の創設、老朽保育所改築の際の定員増及び少子化対策臨時特例交付金を活用して平成13年度までに待機児童解消に取り組むこととしております。
 浦添市におきましても同様に待機児童の解消に努めてきたところでありますが、今回は無認可保育園を利用する児童に対する助成を講じたものとして評価していきたいと考えます。
 次に、市町村や団体と連携をとって対策に取り組んでもらいたいがどうかとの御質問にお答えいたします。
 認可外保育施設を利用している児童が心身ともに健やかに育成されることを目的に、健康診断料を平成9年度から市町村を通して補助しております。今後とも市町村と連携を図り、多くの利用児童が健康診断を受診できるようその充実に努めてまいります。
 また、施設を利用する児童の処遇の改善につながる職員の資質の向上を図るため研修等を実施しており、引き続き関係団体と連携して取り組んでまいります。
 次に、保育所の職員の平均給与、児童の措置費についての御質問にお答えいたします。
 保育所に入所している児童の措置費としての運営費には人件費、入所児童の給食材料費や採暖費などの事業費、保育所の維持管理のための管理費が含まれており、その費用につきましては児童福祉法の規定により国が2分の1、県、市町村がそれぞれ4分の1を負担することになっております。
また、保育所職員の給与等については正確な数字は把握していませんが、運営費の補助基準額が示されております。
なお、認可外保育施設の給与等の実態調査を実施していないため格差については掌握しておりません。
 次に、福祉行政の中で障害者の就労支援についての質問でございますが、小規模作業所への補助金の早期交付についての御質問にお答えいたします。
 小規模作業所への補助金については、国からの補助金は、全日本手をつなぐ育成会、日本身体障害者福祉協会から沖縄県手をつなぐ育成会、沖縄県身体障害者福祉協会へそれぞれ2回に分けて交付されております。平成12年度は9月下旬に各作業所にそれぞれ交付されておりますが、2回目は1月末ごろに交付されることになっております。
 県の補助金については、市町村経由の間接補助金になっており、今年度は10月に各市町村へ一括して交付しております。県補助金の早期交付につきましては市町村とのかかわりが大きいことから、市町村との連携のもと現行よりも早く交付できるよう努めてまいります。
 次に、障害者の就労支援の中でピアカウンセリングについての本県の現状と今後の取り組みについての御質問にお答えいたします。
 ピアカウンセリングとは、障害者自身がカウンセラーとなり、実際に社会生活上必要とされる心構えや生活能力の習得について個別的に支援を行うことであります。本県においては、ピアカウンセリングを脊髄損傷者連合会や聴覚障害者協会、NPO法人「イルカ」等で実施しており、県はこれらの団体の活動に対し補助金を交付して支援しております。
 また県は、ピアカウンセラー養成講座を実施している沖縄県身体障害者福祉協会に補助金を交付し人材育成に努めております。
 今後は、すべての福祉圏域で障害者の生活全般の相談に対応できる体制整備を図るため生活支援事業の実施を検討しており、この事業の中にピアカウンセリングを位置づけて障害者の相談業務の充実を図っていきたいと考えております。
○商工労働部長(當銘直通) 福祉行政についての中で、障害者の雇用状況はどうなっているか、障害者の法定雇用率はどうなっているか、また今後の取り組みはどうかについてお答えいたします。関連しますので一括してお答えします。
 障害者の職業紹介状況について沖縄労働局によりますと、平成11年度の公共職業安定所における新規求職者数は770人で就職者数は395人となっており、就職者数は前年度に比べ116人増加しております。
 法定雇用率に関しましては、平成12年6月1日現在の法定雇用率が適用される県内企業481社において雇用されている障害者数は1212人で、常用労働者に占める障害者の割合である実雇用率は1.60%で平成8年以降5年連続で改善傾向にあります。これは全国平均の1.49%を0.11ポイント上回っておりますが、依然として法定雇用率の1.8%を下回っており、法定雇用率未達成の企業も全体の58.6%を占めております。
また、2.1%の法定雇用率が適用される行政機関の実雇用率は国が2.15%、県、市町村が2.59%となっております。
 国、県においては、障害者の就職を促進するため毎年9月を「障害者雇用促進月間」と位置づけ、障害者雇用面接相談会や障害者雇用優良事業所の表彰などを行っております。また職場適応訓練制度や特定求職者雇用開発助成金の活用促進に加え、雇用推進員、手話協力員の配置など障害者雇用対策の充実・強化を図っているところであります。
 県としては、今後とも沖縄労働局を初め関係機関と連携しながら障害者雇用を進めてまいります。
 以上でございます。
○総務部長(與那嶺恒雄) 刑法のあっせん収賄罪とあっせん利得処罰法の違いについてお答えいたします。
 あっせん収賄罪とあっせん利得処罰法は、1点目に、処罰の対象となる公職者の範囲が、あっせん収賄罪では国及び地方公共団体の公務員等であるのに対し、あっせん利得処罰法では国会議員及びその公設秘書、地方公共団体の議員または長に限定されていること、2点目に、あっせん行為の範囲が、あっせん収賄罪では特定されていないのに対し、あっせん利得処罰法では売買、貸借、請負等の契約または行政処分に特定されていること等の違いがございます。
 このほかにも成立要件、刑罰などの点で異なっております。
 それから、あっせん利得処罰法の対象となる人物と行為についてお答えします。
 あっせん利得処罰法の対象となる人物は、「衆議院議員、参議院議員及びその公設秘書又は地方公共団体の議会の議員若しくは長」となっております。
 次に、対象となる行為は、「国若しくは地方公共団体等が締結する売買、貸借、請負その他の契約又は特定の者に対する行政庁の処分に関し、請託を受けて、その権限に基づく影響力を行使して公務員にその職務上の行為をさせるように、又はさせないようにあっせんをすること又はしたことにつき、その報酬として財産上の利益を収受した」こととなっております。
 以上でございます。
○新垣 米子 御苦労さまです。
 最後の質問に入ります。最後まで頑張っていきましょう。
 日本共産党を代表して質問を行いたいと思いますが、質問に入る前に第2次森内閣について一言触れたいと思います。
 国民が望んでいるのは森首相自身の退陣です。ところが退陣すべき本体はそのままにして、3人の首相・総裁経験者を入閣させ、何とか箔をつけようとしていますが、とりわけ橋本前首相は米軍基地の県内たらい回し、消費税増税などの失政でやめた人物です。この内閣がいかに国民に支持されない内閣であるかは明白です。
 このことを申し述べ、通告に従い代表質問をいたします。
 最初に、基地問題と知事の政治姿勢についてです。
 我が党は第22回党大会を開き、21世紀を展望した「「日本改革」の提案」を明らかにしました。
 提案の第1は、「軍事同盟中心から平和・中立の日本へ──安保・外交政策の転換」です。今、東アジアでは2つの平和の激動が起こっています。1つは東南アジア諸国連合の動き、もう一つは朝鮮半島の平和の激動です。
 この東アジアの激動の中で日米安保体制を21世紀まで続けるのか、その是非が今、根本から問われています。軍事同盟に縛られ、巨大な米軍基地が置かれている沖縄と日本、このような体制を永久不変と考える自民・公明政治に国民の批判が広がるのは当然です。
 第2は、「経済の民主的改革」です。
 自民党政治のもとで日本経済には異常なゆがみがつくられてきました。今政治に求められるのは、大企業優先の政治から国民生活優先の政治へと経済政策を根本から転換することです。
 そのために我が党は、1つ、日本経済の異常なゆがみを正すために経済活動に民主的ルールをつくる、2つ、ゼネコン・大銀行への放漫な税金つぎ込み、大企業や高額所得者に対する税制の優遇、消費税の増税計画を直ちにやめ、財政、税制、社会保障の民主的転換を図る、3つ、日本経済が米国経済に強く従属させられている事態を転換し、対等平等の日米経済関係を確立することを提唱しています。
 我が党の「「日本改革」の提案」は、沖縄県民の要求とも合致するものであり、私はこうした立場から次の質問を行います。
 1つ、冒頭でも述べましたが、今、東アジアには2つの平和の激動が起きています。1つはASEANです。ASEANは、北朝鮮を含むアジアのすべての国が参加し、非同盟・非核、紛争の平和的解決など平和と進歩の国際的な源流を形成しています。いま一つは、韓国と北朝鮮が大国の介入によらず統一の方向で合意したことです。これは、朝鮮半島問題の平和的解決や、我が国を含む東アジアの平和と安全に極めて大きな意義を持つものです。
 このことについての知事の御所見を伺います。
 2つ、アンマンの国際自然保護連合の総会は、沖縄のジュゴンの保護を求める勧告を日米両政府を除く全会一致で採択しました。ジュゴンの調査を可能な限り早期に実施し、生存を確実に保障する適切な対策を講じるよう日米両政府に求めています。政府が推薦をする専門家もこうした調査は最低3年は必要だと言っていますが、防衛庁の調査はわずか3カ月です。知事は、この勧告をどう受けとめておられるのか。
 ジュゴンの調査を国任せでなく、県が主体的に調査内容の変更、改善を国に強く求めるべきではありませんか、伺います。
 3、ヤンバルは世界で唯一の亜熱帯雨林地帯です。世界的に貴重な動植物が多種多様に存在し、屋久島と同様「世界自然遺産」に認定される条件が整っています。屋久島は、観光客が11万人から25万人にふえ、経済効果ははかり知れません。米軍は、ここにヘリパッドの建設を計画していますが、これはこの貴重なヤンバルの自然を破壊することになります。
 知事、ヘリパッド建設計画を中止させ、ヤンバルの貴重な自然を世界自然遺産に登録するために声を上げるべきだと考えますが、所見を伺います。
 4、知事、あなたは「15年使用期限」は叫び続けると言っています。ところが米国政府は、受け入れられないと繰り返し拒否を表明してまいりました。日本政府もまた要求する考えを今まで一言も示していません。
 知事、15年問題が何ら保証がないままに新基地建設に向けた具体的な作業に県みずから参加していること自体、公約違反ではありませんか。
 11月30日の地元紙は、新基地建設への「「既成事実ばかりが積み上げられていき、気がついてみると、「いまさら引き返せない」という土壌が出来上がってしまうのではないか。そのことを強く危ぐする。」と報じています。
 知事、日米両政府の態度が明確である以上、そしてまた公約を守る意思がおありなら、新基地の受け入れをきっぱり拒否すべきが県民の立場ではありませんか、改めて伺います。
 5、会計検査院は、自治体が管理する全国21の空港のうち、19の空港が赤字に陥っていると報告しています。知事は、米海兵隊の巨大な出撃基地と抱き合わせで「軍民共用空港」計画を打ち出していますが、経済的に成り立たないというのが専門家の一致した見方です。
 また、マスコミのアンケート調査でも北部に空港は要らないというのが北部住民の圧倒的な声です。米軍の巨大出撃基地受け入れと抱き合わせの軍民共用空港計画は直ちに撤回すべきだと考えます。
 以上の点について御答弁ください。
 次は、失業、雇用対策についてです。
 県統計課が12月1日に発表した10月の県内における完全失業率は8.8%で、完全失業者数は5万6000人となり、ことしの最悪の数値をさらに更新したとマスコミは報じております。
 稲嶺県政になって山形屋、宝グループの倒産、先月は東急ホテルの閉館、さらにはダイエーは11月24日に82店舗の閉鎖、6000人の人員削減を正式に発表しました。その中に県内の店舗が含まれている可能性もあると報道されています。失業、雇用の悪化は一層の拍車がかかっているのではありませんか。
 以下の事項について質問します。
 1つ、沖振法の提案説明で、沖縄の振興は、沖縄戦の惨禍と戦後の米軍占領下における県民の忍耐と苦難に対する償いの心で行われること、これを政府は今も認めていますが、知事はその立場を認めますか、お答えください。
 2つ、沖縄の振興策が現行沖振法制定の目的で進められるべきであるというのなら、振興策と引きかえの新基地建設をきっぱり拒否し、2001年度で終了する3次振計をさらに発展・充実させた振興策の策定を政府に要求すべきですが、知事の答弁を求めます。
 知事は今年の2月定例県議会で、現行の沖振法の単純な延長では限界と答弁していますが、沖振法第38条、39条の活用で雇用対策事業を生かすことは十分可能です。それらの事業を実施しようともしないで、現行法に限界があり廃止すべきとするのは納得できません。現行法のどこに、どのような限界があるのか、お答えください。
 3、稲嶺県政のもとで本土企業の参入が顕著になっており、本土企業優先に県民から強い不満の声が上がっています。これまで地元業者が受注していた琉球大学の清掃業務や那覇空港の警備業務などが本土企業に発注されています。沖縄における経済活動の成果が本土企業に吸収されたのでは、県経済の持続、安定した振興・発展を進めることはできません。知事は、地元業者優先で施策を進めると言ってきたのではありませんか。この事態は知事の施策と逆行するものであり、知事はどうお考えですか、お答えください。
 4、デパートやスーパーなどの大型小売店舗の出店に関する規制法がなくなり、大型店の出店に当たっては都市計画法や大型店立地法が適用されることになっています。大型店の野放しの出店、また一方的な撤退によって地元商店の経営と地域生活が大きく脅かされています。
 生活環境を保持するために必要な施策を講じるという条項を活用して、住民の生活環境に配慮し、地元の商店街を大型店の無秩序な進出から守る要綱を制定するよう提案しますが、いかがでしょうか、お答えください。
 5、県当局は、規制緩和は経済構造改革の一環として国策により進められているとしてその動向を見守ると規制緩和に同調の立場です。京都のMKタクシーや観光部門への本土バス業者の参入決定は、県内業者の経営と県経済に与える影響ははかり知れません。県としても、業界の実情と役割をよく聞いて無謀な規制緩和を抑えるよう強力に取り組むべきです。お答えください。
 6、沖縄県の基幹作物であるさとうきび農業は、生産費も償えない価格を強いられ、農家は経営の維持の見通しが困難になっています。政府に対してさとうきびの価格補償の引き上げを要求するとともに、改めて国産糖に関する入札制度の撤回を求めるべきと考えますが、お答えください。
 2月定例県議会の代表質問で、教職員の臨時任用の正式採用及び法定人数に満たない消防職員について質問いたしました。教育長は、できる限り本務職員の配置ができるよう努めると答弁していますが、1000人を超す正規教員不足を解消するため教職員定数法に基づく教員の採用を行うべきであります。
 また、文化環境部長は、消防力の充実・強化を図るため基準を達成することは必要、引き続きその確保に努めると答弁しています。消防職員の基準達成の実績はどうなっているのか、教職員採用の件とあわせてお答えください。
 3つ目は、医療、福祉の充実についてです。
 (1)、介護保険問題について。
 介護保険実施から8カ月、65歳以上の保険料半額徴収開始から2カ月が経過しました。保険料の徴収通知が届いた直後から、全国の自治体の窓口に「払えない」との怒りの声と苦情が殺到している実態が報告されています。ところが森政権は、介護保険の負担で苦しむお年寄りに、さらに医療でも1割定率負担を押しつける健康保険法の改悪案を11月30日強行しました。来年1月から新たな年間1人当たり1万円の負担増は、ますます保険料が払えない、サービスが受けられない、病院にも行けない事態となることは火を見るよりも明らかです。
 深刻な高齢者の実態を踏まえて、低所得者の負担を独自に減免措置をとる自治体がふえているのもその反映であり、また厚生省自身、独自の減免措置をとる自治体に対して罰則を行うとしてきた通知を11月23日撤回の表明をしたことに見られるように深刻な実態を認めざるを得なかった反映と言えます。
 そこで質問します。
 10月からの保険料の年金天引き徴収通知後、各市町村に寄せられた苦情や問い合わせはどれだけか。その内訳は。
 在宅サービスにおける介護度ごとの限度額消化率(利用率)はどうか。その理由は。
 地方税法24条の5、個人の道府県民税の非課税の範囲及び第295条の個人の市町村民税の非課税の範囲に該当する者は、住民税を課税すると生活そのものが成り立たなくなるから、法によって非課税者にされていると考えるが、どうか。
 介護保険法199条では、先取特権の順位を国税、地方税、介護保険料となっています。介護保険料より優先権を持つ地方税が免除されている地方税非課税者に介護保険料、利用料を課することは法の精神からできないと考えるが、どうか。
 介護保険は、契約主義だとして生活保護者へ、生活保護費に上乗せして国は支給しています。非課税者に保険料と利用料を課するのだとするならば、生活保護受給者に対する措置と同様のことを国と地方自治体の責任で行うことが法の精神と考えるが、どうか。
 以上の理由から、住民税非課税者に対する介護保険の保険料と利用料減免制度の確立を国に要請することと同時に、県当局としての措置を改めて強く求めます。知事の御所見と決意を伺います。
 多機能病院構想について。
 母子医療の充実は県民総意の願いであり、「多機能病院構想」における母子総合医療についての基本方針は全体の合意が得られる内容と考えています。
 検討委員会の中で糸満市や南部地区医師会からいろいろな意見が寄せられていますが、今後の県立病院のあり方を含め沖縄の医療をどうするのかという重要な問題にかかわる議題であり、中間報告を踏まえて基本的な点での質問をします。
 イ、なぜ県立那覇病院と南部病院の機能再編が必要か。
 「高度多機能病院」の医療内容とその必要性。その根拠。
 そして規模と建設費用。
 建設後の経営の見通しについて。
 そして医療法上の位置づけはどうなっているか、伺います。
 4番目に、漫湖の保全について。
 ラムサール条約登録された漫湖の渡り鳥が激減していることは以前から指摘されていますが、そのために登録が抹消されるかもしれないと言われています。
 漫湖保全のための県の施策が求められていますが、実態と対策はどうか、伺います。
○知事(稲嶺惠一) 新垣米子議員の御質問にお答えいたします。
 基地問題と知事の政治姿勢についてのうち、東南アジア諸国連合と朝鮮半島の2つの平和の流れについての所見を聞きたいとのお尋ねでございます。
 国の平和と安全が確保されるためには、軍事的側面における対応だけでなく、安定した国際関係が築かれることが基本であります。それを築くため、東南アジア諸国連合が信頼醸成に向けた相互理解と相互交流の促進に乗り出したことは、高く評価したいと思います。
 また、朝鮮半島情勢については、南北間の対話が一歩踏み出したばかりでありますので、県としてはこれからの朝鮮半島情勢の推移を注意深く見守っていきたいと考えており、広くアジア・太平洋地域の不安定要因がなくなり、米軍基地の整理縮小につながるような状況になることを期待するものであります。
 次に、同じく基地問題と知事の政治姿勢について、国際自然保護連合の勧告をどう受けとめているかについてお答えいたします。
 去る10月11日、国際自然保護連合の世界自然保護会議においてジュゴン等の保護に関する決議が採択されました。
 県は、普天間飛行場代替施設の移設候補地を選定した際、代替施設の建設については必要な調査を行い、地域住民の生活と自然環境への配慮を国に強く申し入れております。これを受け、国においては昨年末の閣議決定において、「地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う」との安全・環境対策の方針を示し、「環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。」としています。
 第2回代替施設協議会において、環境影響評価とは別に、防衛庁が環境庁の技術的な助言を得てジュゴンの生息状況の予備的調査を実施することになり、去る10月末から調査が開始されております。
 また、第3回代替施設協議会において県は、住民生活への配慮や自然環境への影響を検討する必要があることなどから、サンゴと藻場について補足調査を要望し実施されることになりました。県としては、代替施設の建設に当たって、この方針に基づき政府において適切な措置がなされるものと考えていますが、引き続き自然環境への影響を極力少なくするよう要望していきたいと考えております。
 同じく基地問題についてのうち、アメリカの15年使用期限は受け入れられないとの態度が明確である以上、新基地受け入れを拒否すべきだと考えるがどうかという御質問のお答えでございます。
 15年の使用期限問題については、戦後、日本の平和と経済繁栄の中で、沖縄が55年間にわたり過重な基地負担をしてきている状況にかんがみ、基地の固定化を避け、基地の整理縮小を求める県民感情から使用期限を設け、国に強く求めているものです。
 県としては、代替施設の15年使用期限についてこれまでもあらゆる機会に要請してきたところであります。最近でも全国知事会や代替施設協議会等で国に要望しており、政府内においてもより認識が深まってきているものと考えています。県は、基地の提供責任は日本政府にあり、政府が責任を持ってしっかりと沖縄の動向を踏まえ、明確な考え方を示すべきであると考えており、引き続きあらゆる機会に強く求めていく考えであります。
 続いて同じく基地問題で、米軍基地受け入れの口実とされている「共用空港計画」は直ちに撤回すべきだと考えるがどうかとの御質問にお答えいたします。
 県は、代替施設については、「民間航空機が就航できる軍民共用飛行場とし、将来にわたって地域及び県民の財産となり得るものであること」を「移設にあたって整備すべき条件」の一つとして国に申し入れております。
 普天間飛行場の移設問題については、昨年末の閣議決定に基づき協議会が設置され、それぞれ具体的な作業が進められております。県としては、代替施設の軍民共用化により、同施設を地域産業の拡大や新たな産業の創出につなげ、移設先の地域はもとより北部地域の自立的発展と振興を図っていきたいと考えています。
 次に、経済問題、雇用、失業問題についての御質問で、沖縄の振興は、沖縄戦の惨禍と戦後の米軍占領下における県民の忍耐と苦難に対する償いの心で行われるとのことを認めるかとの御質問に対してでございます。
 沖縄振興開発特別措置法の提案理由に、「県民への償いの心をもって事に当たるべき」という趣旨のことが述べられていることは承知しております。沖縄の振興については、今後とも国の責務による支援が必要であると考えております。
 同じく経済問題、雇用、失業問題についてのうち、3次振計を発展・充実させた振興策の策定を政府に要求すべきだと考えるが見解を伺いたいという点と、現行法のどこに、どのような限界があるのか見解を伺いたいという2つの御質問に一括して答弁をいたします。
 本県は、これまで3次にわたる沖縄振興開発計画に基づく施策の総合的な展開により着実に発展してきました。
 しかしながら、厳しい雇用情勢、財政依存度の高い経済構造、広大な米軍施設・区域の存在など依然として解決すべき多くの課題を抱えております。本県が財政依存の経済構造から脱却し、21世紀の早い時期に自立型経済を構築するとともに、基地跡地の円滑な利用を促進し、我が国、ひいてはアジア・太平洋地域の経済社会及び文化の発展に貢献する特色ある地域の形成を進めるためには沖縄振興開発特別措置法の延長では限界があり、新たな時代に対応した新たな理念、施策を盛り込んだ沖縄振興新法の制定が必要であると考えております。
 なお、沖縄振興開発特別措置法における特別措置のうち、必要なものは新法に引き継ぐ必要があると考えております。
 同じく経済問題、雇用、失業問題のうち、地元業者優先で施策を進めると言っているが、最近本土企業の参入が顕著になっている事態をどう考えるかについてお答えいたします。
 県は、県内需要の創出による経済の活性化を促進するために昭和59年7月に「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」を策定し、以来県内企業への優先発注を推進しております。
 また、本方針の実行を期するため国の出先機関、市町村、公社・公団、経済団体等に対して積極的な対応を要請してまいりました。さらに県内大学、航空会社等に対しても同様の要請をしてまいりました。
 加えて昨年7月には、基本方針の趣旨を踏まえ県内企業への優先発注などを柱とする「沖縄県県産品奨励宣言」を行ったところであります。
 その結果、平成11年度の実績で県発注の公共工事に関して県内企業の受注率は件数で95.4%となっております。県としましては今後とも関係機関との連携を密にし、本方針の効果的な推進を図ってまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(親川盛一) 新垣米子議員の基地問題、それから知事の政治姿勢についての質問事項のうち、ジュゴンの調査については国にその調査内容について改善を求めるべきだと思うがどうかという御質問にお答えをいたします。
 ジュゴンの調査については、基本計画の策定後に実施する環境影響評価に先立って行う予備的調査であると聞いており、現在その調査が実施されております。
 今回の調査は、防衛庁が環境庁の技術的な助言を得て行うものであり、予備的調査結果については代替施設協議会に報告されることになっております。県としては、国にその調査内容について改善を求める考えはございません。
 どうも失礼しました。新垣米子議員の基地問題、知事の政治姿勢についての質問事項でちょっと答弁漏れがございましたので、お答えをいたします。
 ヘリパッド建設計画の中止を日米両政府に要求するべきと考えるがどうかという御質問でございます。お答えをいたします。
 北部訓練場の返還に伴うヘリパッドの移設については、防衛施設庁が平成10年12月から平成12年3月までの間、約1年余の期間を通してヘリパッド移設予定地等の環境影響調査を実施し、現在調査結果の整理を行っているところであると承知しております。
 県は、ヘリパッドの移設場所の決定に際しては、当該移設場所の自然環境への影響やその対策等について県及び関係市町村に十分に説明するよう国に申し入れたところであり、国の調査結果が出た段階で関係する市町村の意向や自然保護団体等の意見も踏まえながら、当該地域の自然環境に十分配慮した移設場所の選定が行われるよう適切に対応したいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(宮城光男) ヤンバルの貴重な自然を世界自然遺産に登録すべきだと考えるがどうかという御質問にお答えします。
 世界自然遺産に登録されるための要件の一つとしまして、いわゆる国内法による担保として国立公園等に指定し、法的に保護措置が講じられている必要があります。
 北部訓練場を含むヤンバル一帯は、イタジイに代表される亜熱帯の自然林に広く覆われ、ヤンバルクイナなど多くの固有種が生息する貴重な地域であります。
 環境庁では、北部訓練場返還後のヤンバル地域の保全活用構想の策定を進めており、平成10年度から3カ年計画で専門家、地元3村、関係機関及び団体で構成する委員会を設置し「やんばる地域保全活用方策調査」を実施しており、また平成15年度までの予定でヤンバル保全整備計画の策定に向けた経費を平成13年度の概算要求に盛り込んでいます。
 県としましては、これらのことを踏まえ国の調査等を積極的に支援協力し、地元3村及び関係者の協力を得ながら、まずヤンバル地域の国立公園化を促進し、世界遺産の登録についてはその後の課題としていきたいと考えております。
 次に、消防職員の基準達成の実績はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 消防職員の定数については、消防庁が示す消防力の基準を参考にしてそれぞれの市町村の事情を加味し、市町村等が条例で定めることになっております。
 この基準に基づいて算定した県内の所要消防職員数は2080人ですが、平成12年4月1日現在の条例定数は1402人で、去る2月議会で答弁しました平成11年4月1日現在の数値と比較して6人の増、率にして0.4ポイント増加しております。また現員数は1390人で11人の増、率にして0.8ポイント増加しており、各市町村等においても消防力に対する意識が高まっているものと思います。
 しかしながら、現員数は消防力の基準より678人、条例定数より12人それぞれ少ない人数になっております。県といたしましては、消防力の充実・強化を図るため基準を達成することは必要であり、引き続きその確保に努めてまいりたいと思います。
 それから漫湖の実態とその保全対策についてという御質問にお答えいたします。
 漫湖に飛来する水鳥の種の数の減少については、昭和52年ごろと比較してみますと、確認した種は132種から70種に減少しておりますが、平成3年から11年にかけて年間で最も飛来数が多い日の記録を見ると約1000羽前後で推移してきており、特に減少傾向は見られません。
 漫湖の課題としては、陸地化の進行や水鳥生息地の問題、治水やごみ、水質等の問題があります。
 漫湖の湿地の保全については、これまで「漫湖チュラカーギ作戦」による清掃等を実施しており、さらに国や県を初め市町村、NGO等により今後いろいろな取り組みがなされることと思います。
 現在、国においては豊見城村地先の河川敷において水鳥湿地センターを整備し湿地の保全対策を図ることにしており、また県においては漫湖干潟においてえさとなる生物相、さらには水質、土壌、植生等の総合調査を行い、漫湖保全基本計画を策定したいと考えております。
 さらに、庁内の関係課で構成する漫湖鳥獣保護区保全連絡協議会等においてマングローブの適正分布や漫湖の望ましいあり方を協議し、ラムサール条約登録湿地にふさわしい漫湖の保全に努めてまいりたいと思います。
○商工労働部長(當銘直通) 沖縄経済問題、雇用、失業問題についての中で、地元の商店街を大型店の無秩序な進出から守る要綱を制定するよう提案するが、所見を伺いたいについてお答えいたします。
 平成12年6月に施行された大規模店舗立地法は、大規模小売店舗を設置する者に対し、その周辺の地域の生活環境を保持するため、施設の配置や運営方法について適切な配慮を求めることを目的として制定されております。
また、同法では、地方公共団体が生活環境の保持の観点から必要な施策を講ずる際には、既存中小小売業者への商業上の影響を理由に大型店の出店を調整するなど同法の趣旨に反した規制を行うことができないことを明確に定めたものであり、県による独自規制は困難であると考えております。
県としては、市町村で策定が進められている中心市街地活性化基本計画による各種商業施策への支援を行い、商店街の活性化や競争力の強化を図るなど商店街の振興に努めてまいります。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(山川一郎) タクシー業者の参入自由化については、県は無謀な規制緩和を抑えるよう取り組むべきだと考えるがどうかについての御質問にお答えをいたします。
 タクシーは、大量輸送機関としてのバスの補完的役割を果たすとともに、目的、必要に応じて気軽に利用できる身近な交通手段として広く県民生活に定着しております。タクシーは、個々の利用者のニーズに適応したきめ細かい多様なサービスを提供することが可能であり、平成13年度からの規制緩和の実施は、公正かつ自由な競争を促進することにより事業者の創意工夫を発揮させ、サービスの向上と事業の活性化を図ろうとするものであります。
 県内タクシー業界においても、規制緩和に向け、マナー講習・介護講習や人工衛星を利用した車両位置確認システム、いわゆるGPS導入などサービス向上に取り組んでいるところであります。県としては、利用者にとってよりよいサービスが提供され、タクシーの利用が促進されることを期待しているところであります。
 以上でございます。
○福祉保健部長(平良健康) 医療、福祉の充実について、10月からの介護保険料の徴収通知後、各市町村に寄せられた苦情や問い合わせについての御質問にお答えいたします。
 平成12年4月から介護保険制度がスタートし、要介護者への介護サービスの給付と40歳以上の第2号被保険者の保険料の徴収が行われています。
 65歳以上の方の保険料については、新しい制度になれていただくためにこれまでは国が負担していましたが、平成12年10月から1年間は保険料の半額納付が始まっています。来年の10月からは本来の保険料の全額が納付されることとなっています。
 保険料の徴収が始まった10月以降、各市町村に寄せられた苦情等は正確な数は把握していませんが、那覇市の状況を申し上げますと、保険料決定通知書等を発送した翌週のピーク時で1日118件の電話等での問い合わせや納付についての相談があったとの報告を受けています。その他の市町村では、ピーク時で1日10ないし20件程度の問い合わせ等があったということであります。
内容の主なものは、介護保険制度に関すること、保険料の算定に関すること、保険料の納付方法に関することなどとなっています。県では、引き続き県民に対する制度の周知を図り、理解を深めてまいりたいと考えております。
 次に、在宅サービスにおける介護度ごとの支給限度額に対する利用率についての御質問にお答えいたします。
 市町村からの介護保険事業状況報告書によると、在宅サービスの利用率は要支援が56.6%、要介護1が39.9%、要介護2が42.0%、要介護3が42.9%、要介護4が36.0%、要介護5が40.6%となっており、平均で43.3%となっています。
 利用率が低い状況にあるのは、支給限度額が在宅介護の重視を基本理念として現在のサービス水準をかなり上回る水準で設定されており、また個別の事例において要介護認定を受けても今のところサービスを利用しなくても大丈夫とか、あるいは家族介護で間に合っているなどの声があり、実際の利用割合は本人の希望やサービスの供給量によって決まってくるものであり、今後の制度の定着状況やサービス供給量の増加によってふえていくと見込んでおります。
 次に、非課税者についての質問が3点ほどございますが、介護保険料等を課すことは法の精神からできないと考えるがどうか、それから生活保護受給者に対する措置と同様のことを国と地方自治体の責任で行うことが法の精神と考えるがどうか、それから介護保険料等の減免制度の国への要請と県としての措置についての3点の御質問につきまして一括してお答えいたします。
 介護保険制度は、国民の老後生活の最大の不安要因となっている介護を社会全体で支える仕組みとなっており、40歳以上の人から保険料が徴収されることとなっています。保険料は、所得に応じて5段階の所得段階別で徴収される仕組みとなっており、低所得者についてはその中で最も低い保険料が適用されます。また、災害や失業等の特別の理由がある場合は保険料の減免や徴収が猶予されることになっています。
被保険者が保険給付の対象となる介護サービスを利用した場合は、そのサービスに要した費用の1割を負担することとなっています。利用者負担は、保険料と利用者負担とのバランスをとることにより、サービスを利用する者と利用しない者との間の公平な負担を確保することと、サービス利用者に費用意識を持つことにより費用の効率化を達成する等の考え方に基づくものとされています。
介護保険の保険料と利用料の減免制度の確立を国に要請することにつきましては、各都道府県の動向や市町村の意向等も踏まえながら何らかの対応が必要かどうかについて検討していきたいと考えています。
 次に、医療、福祉の充実についての中で、多機能病院構想に関連して、なぜ県立那覇病院と南部病院の統廃合が必要なのか、それから高度多機能病院の医療内容とその必要性について、2点の質問について一括してお答えいたします。
 高度多機能病院の医療・機能内容である救命救急医療や母子総合医療、離島医療支援については、南部保健医療圏に救急患者が多く発生している状況や周産期死亡率が全国1位であること、離島医師の安定的確保等の課題を解消するためであります。そのため、南部保健医療圏において県立病院に求められる役割を総合的に把握しつつ、これらのニーズに十分にこたえられる新たな機能を持つ病院として整備することとして検討しているところであります。
 このことから、同一医療圏にある県立那覇病院と県立南部病院については、これまで果たしてきた医療機能を維持することを基本として、地域住民が求める新たな高度医療等に対応できるよう検討していきたいと考えております。その内容については、県民各層の代表者で構成する地域医療を支援する高度で多機能な病院検討委員会において検討しているところであります。
 次に、高度多機能病院の規模と建設費用について、建設後の経営の見通しについて、医療法上の位置づけについての3点の御質問につきまして一括してお答えいたします。
 高度多機能病院の規模、建設費用、経営の見通しについては、求められる政策的医療の内容を十分に把握した上で検討していくこととしております。
 高度多機能病院の医療法上の位置づけとしては、医療法により国及び地方公共団体は県民に対して良質かつ適切な医療の確保を行う義務があることから、本県としては政策医療を担う国立病院や一般医療を担う民間病院等との連携を図りながら、二次医療圏内で政策的医療を担う中核病院として位置づけていきたいと考えております。
○農林水産部長(小那覇安優) 沖縄経済問題、雇用、失業問題についての御質問で、県は政府に対しさとうきびの補償価格の引き上げを要求するとともに、国産糖に関する入札制度の撤回を求めるべきだと考えるがどうかとの御質問にお答えします。
 国においては、平成11年9月に「新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱」を策定し、平成12年6月に「砂糖の価格調整に関する法律」等が制定され、平成12年10月から新たな制度が実施されております。新制度においても、最低生産者価格制度及び輸入糖と国内産糖の価格調整を行う仕組みは従来どおり維持されております。
 しかしながら国内産糖企業への助成方式は、農畜産業振興事業団による売買方式から国内産糖交付金を交付する方式に改められています。交付金単価の算定要因である国内産糖価格については、入札制度が導入されております。入札制度は法律として制定されていることから、撤回は難しいものと考えております。
 県としては、さとうきび生産者価格及び国内産糖交付金単価の決定に当たっては、適正な農業所得の確保と甘蔗糖企業の経営安定が図られるよう引き続き国に強く要請していく考えであります。
○教育長(翁長良盛) 1000人を超す正規の教員不足を解消するため、教職員定数法に基づく教員の採用を行うべきだと考えるがどうかという御質問にお答えいたします。
 教職員の定数につきましては、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」等にのっとり基準を定め、配置しているところであります。本県の定数内臨時教員数は、平成12年度小学校190人、中学校245人、高校170人、特殊教育諸学校114人の合計719人となっております。
 臨時的任用教員については、児童生徒数の増減に伴う教職員定数の変動や特色ある教育課程の実施への対応とともに、新規採用者の中長期的な展望に立った採用計画及び教職員の年齢構成の適正化などを図る上から一定の臨時的任用措置をやむを得ず行っているところであります。
 さらに、初任研加配や指導方法改善加配などは1年を単位とした任用でありますので、本務教員を充てることが困難な状況であります。
 今後とも教職員の適正配置を図り、本務教員の確保に努めていきたいと考えております。
○総務部長(與那嶺恒雄) 地方税法の非課税者についてお答えいたします。
 地方税法第24条の5及び第295条は、個人の道府県民税及び市町村民税の非課税の範囲について定めた規定でございます。
 個人の道府県民税及び市町村民税は、定額で課される均等割と所得の多寡によって課される所得割によって構成されております。
 しかしながら、他人の経済的援助によって生活を維持している者のように全く担税力のない者、あるいは担税力が著しく薄弱である者についてまで負担を求めることは適当でないことから、これらの者に対しては道府県民税及び市町村民税を課さないものとされております。
 その非課税の範囲は、生活保護を受けている者及び障害者、未成年者等で所得金額が125万円以下の者となっております。
 以上でございます。
○新垣 米子 環境庁の方向、方針はどうかと、調査に対する方針はどうかということをちょっと聞きたいと思います。
 以上です。
○議長(伊良皆髙吉) 休憩いたします。
   午後10時12分休憩
   午後10時14分再開
○議長(伊良皆髙吉) 再開いたします。
 知事公室長。
   〔知事公室長 親川盛一君登壇〕
○知事公室長(親川盛一) お答えいたします。
 防衛庁が予備的調査を実施する場合には、専門家の集団でございます環境庁の技術的援助を得て行うということで、詳細な例えば調査、予測、評価なども行いながらさせるとこういうことでございます。
○議長(伊良皆髙吉) 以上をもって代表質問は終わりました。
 本日の日程はこれで終了いたしました。
 次会は、明8日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後10時15分散会

 
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