平成17年(2005年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 2月23日
 


○議長(外間盛善) これより本日の会議を開きます。
 諸般の報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
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   〔諸般の報告 巻末に掲載〕
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○議長(外間盛善) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 新川秀清君。
   〔新川秀清君登壇〕
○新川 秀清 おはようございます。
 護憲ネットワークを代表いたしまして、県政の諸課題につきまして質問をいたします。
 まず、質問につきましては基地問題、そして産業振興等々多くの課題があるわけでありますけれども、そういったことにつきましては後ほど渡嘉敷喜代子・新里米吉両議員とそれぞれ分担をいたしてありますから、私は主に知事の政治姿勢、そして平成17年度の施政方針について質問をいたしたいと思います。
 この通告いたしてあります質問に入ります前に、二、三知事の政治姿勢について申し上げたいと思います。
 まず、その1つでありますけれども、2月17日に報道されました米軍再編に対する沖縄県の対応についてであります。
 私たちは野党、そして中立の会派は、新聞報道によってこの案がつくられていて、そして知事は午前中に与党各派に対してみずからこの説明をするということが明らかになったわけであります。そのことに関しまして野党、そして維新の会そろって県に申し入れをいたしました。その結果、その日の午後になって嘉数副知事が対応していただきまして、野党各派に対しても説明をしていただいたわけであります。私は、この中でどうしてもこの知事のこういった対応に理解できないところがあります。
 これまで知事は、県政の重要課題の一つが基地問題だということで、基地問題に関する限り保革を超えて取り組む、そして県政運営に当たっては県民に開かれた県政を進めていくんだということをおっしゃったわけであります。
 しかしながら、今この基地問題に関して日米安全保障委員会や、そして報道にもありますように、今、沖縄の基地をめぐる大きな動きが出てまいっております。そういった中で、これからの沖縄の基地問題を考えるに当たって県のつくったこの案を与党には説明をする、しかし申し入れがなければ野党には説明しないとこういう姿勢でありますか。これでは開かれた県政ではないではありませんか。私はそのことをまず強く申し上げておきたいと思います。
 事、基地問題に関してはこれまで知事もおっしゃっておりますように保革を超えて、そして開かれた県政であるというならば野党に対してもこのようなことについては明らかにして、県民の英知を結集して事の解決に当たるべきではありませんか。そのことをまず申し上げておきたいと思います。これこそが開かれた県政であるはずであります。そのことを申し上げて、次に知事の政治姿勢についての質問に入ります。
 まず(1)点目の、知事にとって戦後この60年いろんなことがあったと思いますけれども、私たち沖縄にとってまさに艱難辛苦を強いられたこの60年でありました。そういった中で知事はこの戦後60年というものをどのように評価をされておるのか。
 さらに、少なくともこの60年の間、我が国が戦争をしない国としてこれまで歩んできた、それはこの憲法に基づくものであったというふうに思うわけでありますが、知事はこの憲法に対してどのように評価をされているのかお伺いをいたします。
 次に、米軍再編と自衛隊の増強についてであります。
 この件に関しましてはこれまで幾度となく報道がされてまいりました。それに関して県の御答弁は、防衛庁に確認したけれども、そういう事実はないという答弁だったということを繰り返し述べているわけであります。しかしながら、これを一々ここでいろんな報道にありますことを申し上げる時間はありませんけれども、米軍の再編とも絡んで自衛隊の増強が防衛庁内部で検討されているということは報道でも出てきております。
 そういうふうなことで、今この再編とも絡んでその後県はどのようにこの事実を把握し、またこれが沖縄の基地のさらなる増強につながっていくものでないかというふうに私は心配をするわけでありますが、その後どのように対応されたのかお伺いをいたします。
 次に(3)点目、郵政民営化についてであります。
 新聞にも出ておりましたユニバーサルサービスが確保できるのかということを離島や僻地の首長たちが大変心配をいたしているわけであります。これまで郵政事業は、その持っているところのネットワークあるいはフットワークを生かして地域にあまねく多くのサービスを施してまいりました。
 私は、これからの高齢化社会にあってこのフットワークこそもっと生かせるべき課題であるというふうに思っているわけでありますが、今、大きな課題になっておりますこの郵政民営化について知事の御所見を伺いたいと思います。
 それから(4)点目に、防災計画について伺います。
 これも施政方針の中で出ているわけでありますし、またスマトラ沖地震あるいはこれまでの我が国における地震の経験などから、あるいは津波の経験から、防災から減災への政策転換が急務だというふうなことが言われているわけであります。特に、四方を海に囲まれた本県においてこの津波対策は大きな課題の一つだというふうに思いますし、また四方の埋め立てが急激に進んでいる中にあって、このまちづくりとの関連で津波対策が緊急だと思うんでありますが、本県の津波対策の現状と課題、そして市町村との連絡体制をどういうふうにしていくのかということについてお伺いをいたします。
 それから、嘉手納飛行場と普天間飛行場の騒音防止対策について伺います。
 これまで県は騒音防止協定を守るように申し入れをしたということを繰り返し述べておるわけであります。しかしながら、これが守られてこなかった、これが現実であります。そればかりかこの二、三日、本国の演習に加わるということで早朝から嘉手納基地の爆音がますますひどくなっているという実態があります。そのことについての取り組みをお聞かせください。
 そしてイであります。第2次嘉手納爆音訴訟判決についてであります。
 このことに関して非常に遺憾に思いますのは、知事がこの判決について論評を差し控えたいということを言っておることであります。
 知事、県民の命と暮らしを守る行政の長として、なぜ今までの判決やそしてまたこれまで全国でも出されている判決を後退させるような裁判所のこの決定に対して、知事としてどうしてコメントできないんですか。原告団の団長が判決後、口にした第一声は、ワジワジーしてこれ以上の言葉もないということでありました。煮え返る思いであります。この痛みで5541名の皆さん方が原告になってこの訴訟を起こした。そして、人間らしく生きるために静かな夜を返してくれと、こういう主張であります。これに対して県の今までの調査などに基づいて原告はそれを立証するために懸命に努力をしてまいりました。そして、そうしたことをしたにもかかわらずあのような判決になってしまいました。まことに残念のきわみであります。
 これに対してどうして知事がああいうコメントしかできないのでありますか。私はそのことについて知事の御所見を伺いたいと思います。
 それから(6)番目、ヤンバルを含む琉球諸島の世界遺産登録について伺いたいと思います。
 このことについては2003年の5月に琉球諸島がその候補に上がったということの報道がありました。しかし実現を見ませんでした。それに関して現状と課題、そして県としての今後の方策はどうなっているかお伺いをいたします。
 2番目に、平成17年度の施政方針についてお伺いをいたします。
 (1)点目の、普天間の閉鎖と辺野古移設中止、これは私が今さら申し上げるまでもなく緊急の課題であるわけであります。そして81%余の県民の世論調査の結果でも明らかになっておるわけでありますが、2月15日の海外基地見直し委員会に対して明確にこの閉鎖と中止を要請されておりません。なぜなのかお伺いをいたします。
 (2)番目に、地方分権や三位一体改革、道州制の議論が進む中で、地域活性化に向けた主体的取り組みが重要だというふうに述べているんでありますが、今後どのように取り組まれてくるのか。
 それから(3)番目、沖縄振興施策について着実に進展している。しかしその中で県民生活に直結する保健福祉推進計画が最も低くなったということが報じられております。その要因は何でありますか。
 (4)番目に、米軍基地の整理縮小との関連で、駐留軍従業員問題は重要な課題の一つだというふうに思うんでありますが、このことが施政方針の中で述べられておりません。そこで、今後どのように進めていかれるのか伺いたいと思います。
 それから(5)番目に、バリアフリー観光の推進方策について、これを検討していくということが前の議会の中で述べられております。その結果と推進策についてどうなっているか伺います。
 (6)番目、水産業の振興について、水産試験場の移転の進捗状況はどうでありますか。
 次に(7)番目の、次世代育成支援のための主要施策についてお聞かせください。
 (8)番目、児童虐待防止及びその早期対応について伺います。
 児童相談所の充実強化については、今年度の施政方針や予算の中でもこれが計上されているということがあるわけでありますが、今後どのように進めていかれるかを伺います。
 それからイであります。民生(児童)委員の充足について。
 地域における福祉活動の大きな柱の一つであります民生(児童)委員、これが全国で一番充足をされていない県が本県であるということが出ております。そこで、今後地域での福祉活動に大きな役割を果たすこの民生(児童)委員――もちろん市町村との連携でしかできないと思いますけれども――これをどのように充足をしていかれるのかお聞かせください。そして市町村窓口を初め関係機関との連携についてどうされるのかお聞かせください。
 (9)番目の障害者福祉についてであります。
 平成15年度までの長期計画――これは主要目標達成についてというふうにしているんでありますが――計画の主要施策がどのように推進をされていったのかお聞かせください。
 イ、第3次障害者基本計画の理念とその主要目標について。
 ウ、平成17年度における心身障害者福祉の主要施策はどのようになっているか、さらに雇用対策についてはどのように推進をされていくのかお聞かせください。
(10)番目、里親の支援について。
 2月21日というふうに通告いたしておりますが、これは3月に変更になったということでありますので訂正をいたします。
 里親を支援する会が結成をされるということになっております。里親制度につきましては本県は先進県であります。そういうことで多くの方々の理解のもとでこの里親制度が本県では定着をしているということは事実でありますが、そういった中で県としてはどのようにこれから支援をされていくのかお聞かせください。
 なお、昨日の毎日新聞によりますと、福岡市では新たに「里親ファミリーグループホーム」というものをつくって、最高6名までの里子をその方で預かっていくという仕組みを考え出したということが毎日新聞で報道されております。そのようなことも含めて県としてどのようにされていくかお聞かせください。
 次に、高齢者のための緊急一時保護施設設置と保護事業についてどうなっているのか。
 それから(12)番、中の町A地区市街地再開発事業の概要についてお尋ねをいたします。
 この件につきましては、私も市におりますときに県との御協力もいただきながらこれを事業化するために努力をした経緯があるわけでありますが、それについてどうなっているかお聞かせください。
 (13)番の国民保護計画についてであります。
 今議会に関連する条例、そして予算が計上されております。この国民保護計画、一体、だれをどういったときに、何を守ろうとするものであるかよくわかりません。そういうことで、その関連でこの策定についての考えをお聞かせください。
 それから(14)番の平和行政についてであります。
 本年度の主要事業について、戦後60年、平和を希求する県民の思いをどのように発信していくのかということが問われていると思います。そのことでどのようにこの平和、県民の願いを発信をしていく方策をお持ちなのかお聞かせください。
 次に、過去において平和事業の一環としてカンボジアへの花木の植栽を行っております。その成果はどうであったのか。
 さらに、カンボジアにおける国土の緑化計画というのはどのように進められているのか。そして本県のこの事業がどのように貢献しているか伺います。
 次に、財政問題についてであります。
 非常に厳しい行財政の中で、平成17年度予算の編成に苦慮されたということがその方針の中でも述べられているわけでありますが、特に自主財源の乏しい本県において大きな課題の一つであります自主財源確保の見通しはどうなっているのか。
 次に、地方交付税や国庫支出金依存体質から脱却しなければならない、これが緊急の課題だというふうに述べているわけでありますが、その具体的な方策を示してください。
 ウ、三位一体改革の影響について。
 このことについても幾つか触れられているわけでありますが、本県の財政に及ぼす三位一体改革の影響はどのようになっているかお聞かせください。
 エであります。公債の増により一層厳しさを増すことが予測されるとしております。県債の償還計画と公債費比率の推移、これは2000年度から2005年度までについてどうなっているかお聞かせいただきたいと思います。
 以上、質問をいたし、お答えによって再質問をいたします。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
 それでは新川秀清議員の御質問にお答えをいたします。
 最初の御質問は、戦後60年と憲法についてでございます。
 沖縄は、第2次世界大戦で20万人余のとうとい命が失われるなどの多大な被害を受け、さらに戦後27年にわたる米国統治下から現在に至るもなお米軍基地の過重な負担を強いられております。このような過去の体験等から、沖縄県民は命のとうとさと平和の大切さを十分に知っており、私は平和を希求する沖縄の心を世界に発信し、世界の平和創造に貢献していくことが重要だと考えております。
 一方、日本が戦後復興や高度経済成長を遂げていく中で、沖縄においても県民自身の努力や沖縄振興開発計画などにより目覚ましい発展をしてきているものと考えております。
 日本国憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原理として我が国の安定と繁栄、国民生活の向上に大きな役割を果たしてきた憲法であると認識しております。憲法については、各種世論調査の結果を見ますと、時代の変化に応じて国民の認識も変化してきているものと考えております。
 次に、米軍再編と自衛隊の増強についての御質問にお答えをいたします。
 昨年12月10日に閣議決定された中期防衛力整備計画――平成17年度から平成21年度――において陸上自衛隊第1混成団の旅団への格上げが定められ、防衛庁は今後具体的に検討がなされるとしております。県はこれまで日米両政府に対し、あらゆる機会を通じて米軍再編において県民の目に見える形で本県の過重な基地負担の軽減がなされるよう強く求めてきたところであります。
 次に、郵政民営化に対する所見について申し上げます。
 本県には多くの離島・過疎地域があり、これらの地域においては郵政事業と住民生活とは極めて密接な関係にあり、民営化により郵政事業のサービス低下を来すことがあってはならないと考えております。現在、政府において法案化に向けた準備を進めているところですが、離島・過疎地域における郵政事業のサービス確保については、第1に、過疎地については現在の郵便局ネットワークの水準を維持すること、第2に、郵便に加え、貯金・保険の金融サービスについても実質的にユニバーサルサービスを担保することを盛り込む方向で調整がなされていると承知しており、一定の評価をしております。県としては、政府における調整を注意深く見守りつつ、離島・過疎地域における郵政事業のサービス低下を来すことがないよう適宜国へ働きかけていきたいと考えております。
 次に、海外基地見直し委員会への要請についてでございます。
 私は、2月15日に「合衆国海外軍事施設の構成見直し委員会」の委員と面談した際、米軍再編に対する沖縄の考えを明確に申し上げることが重要であると考え、在沖米海兵隊の県外移転や嘉手納飛行場の運用改善、陸軍複合射撃訓練場の建設中止、日米地位協定の抜本的な見直しについて申し入れております。
 普天間飛行場については上空からの写真を使い、同飛行場が住宅地域の中にあることや教育施設が同飛行場を取り囲んでいる状況を示しながら、海兵隊の県外移転等を強く求めたところであります。また、同飛行場の危険性を早急に除去するため、イラクに派遣されている兵力の帰還に反対であることを伝えたところであります。
 次に、本年度の平和行政の主要事業についてお答えいたします。
 戦後60年を迎えることしには、沖縄からの主たる疎開先である宮崎県、熊本県、大分県及び台湾から、当時お世話になった方々を招待し感謝の意を表すとともに、疎開の途中に亡くなられた方々を追悼すること等を内容とする疎開関係者交流事業を実施いたします。本事業の実施により本県と疎開先の方々との交流の促進や疎開体験の継承を図り、沖縄の平和に対する思いを県内外に発信してまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 本県の津波対策の現状と課題、市町村との連携体制についてお答えをいたします。
 県では、地域防災計画の地震編において地震及び津波を想定し、災害予防、応急対策、復旧・復興計画を定めております。県は、津波警報等の情報を県防災情報システム等により各市町村に伝達し、市町村は市町村地域防災計画の定めるところにより対応することとなります。しかしながら、ほとんどの市町村で防災担当の専任職員が配置されていないこと、防災行政無線の整備がおくれていること、津波避難地、避難経路の整備が不十分であること、観光客や海水浴客等への津波警報等の迅速・確実な伝達に問題があること等さまざまな課題があります。
 県としては、これら課題に市町村が積極的に取り組むよう市町村防災担当者会議の開催や地震・防災セミナーの開催等を通して指導及び啓発を行っているところであります。今後とも市町村への指導・連携を図るとともに、住民に対し啓発等を行ってまいります。
 次に、琉球諸島の世界自然遺産登録についてお答えをいたします。
 世界自然遺産に登録されるための要件の一つとして、国内法により国立公園等に指定し保護措置が講じられる必要があります。国は、琉球諸島について、やんばる地域等における国立公園化等の保護措置を講じた上で、条件が整い次第、推薦書の提出を目指すとしております。このため、平成16年度から3カ年をかけ「やんばる地域国立公園指定計画策定調査」を実施しております。
 県としては、地元の合意形成や県民に対する普及啓発を図るとともに、国の条件整備に向けた調査等に協力し、鹿児島県及び関係機関とも連携して世界自然遺産の推薦に向けて取り組んでまいります。
 次に、国民保護計画の策定についてお答えいたします。
 国民保護計画については、国民保護法により国の定める基本指針に基づき作成することになっており、その基本指針は3月末に閣議決定されるほか、モデル計画が提示される予定になっております。本県は、さきの大戦において悲惨な地上戦を経験していること、島嶼県であること、米軍基地が集中していること等の特性があることから、計画の作成に当たってはこれらの特性を踏まえ、国のモデル計画も参考に本県にふさわしいものにしたいと考えております。
 なお、避難や救援措置の検討など具体的な作業は平成17年度から本格的に取り組むこととしております。
 県としては、国民保護フォーラムの開催やホームページの積極的な活用などにより制度の周知にも努めていきたいと考えております。
○知事公室長(府本禮司) 騒音防止への取り組みと第2次嘉手納爆音訴訟の判決につきまして一括してお答えいたします。
 県は、これまで嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺の航空機騒音の軽減を図るため、関係市町村と連携しながら基地周辺地域における騒音測定を継続して実施するとともに、三者協や軍転協、渉外知事会等を通じ日米両政府に対し航空機騒音規制措置の厳格な遵守等の騒音軽減措置を求めてきたところであります。
 しかしながら、両飛行場の周辺地域においては依然として環境基準を超える騒音が発生していることから、去る2月15日、合衆国海外軍事施設の構成見直しに関する委員会の委員と面談した際にも航空機騒音が環境基準を超えている実態を具体的に説明し、騒音対策の必要性を訴えたところであります。県としては、今後ともあらゆる機会を通じ日米両政府に対し航空機騒音の軽減を粘り強く働きかけていきたいと考えております。
 去る2月17日には、嘉手納飛行場周辺住民による第2次嘉手納基地爆音訴訟の判決が那覇地裁沖縄支部において言い渡されました。県としては大きな関心を持って当該訴訟を見守ってまいりましたが、地域住民にとっては大変厳しい判決が出されたと考えております。
 同判決に対しては原告側が控訴すると聞いており、県としては今後とも当該訴訟の状況を見守りながら米軍航空機による騒音の軽減に取り組んでまいります。
 なお、早朝離陸につきましては、2月19日、県の方から強い申し入れをしております。特に、爆音訴訟の判決や普天間基地から一時移駐の動きもある中でこのような基地の運用のあり方については大きな不満を抱いているということ、それとこのような状況の中で地域住民の視点を強く意識して騒音を軽減するよう最大の配慮をすべきであるということについて申し入れをしております。
 次に、花の平和交流事業の成果についてお答えいたします。
 花の平和交流事業は、多数の県民の参加のもとに実施され、復興に努めるカンボジアの人々に沖縄からのエールを送るとともに、平和を希求する沖縄の心を発信し、平和友好のかけ橋を築くことに寄与したものと考えております。
 「プノンペン・沖縄友好の広場」に植樹した花木は、現在プノンペン市が維持管理を行っており、おおむね順調に生育しております。また、花の平和交流事業はプノンペン市の意向を踏まえて地域の緑化及び景観形成に役立てるために実施したものであり、将来的には同市の地域緑化を通じて観光産業の振興などにも貢献するものと考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 地域活性化の取り組みについてお答えします。
 地方の権限と責任の大幅な拡大を伴う地方分権の推進は、地方の自己決定・自己責任が強く求められるものであり、その中で厳しい地域間競争や国際競争を勝ち抜いていくためには、地域の知恵と創意工夫を生かす取り組みが重要となってまいります。
 県としては、自立型経済の構築に向け可能性豊かな若年労働力やこれまでに整備の進んだ産業基盤を活用するとともに、豊かな自然環境等の地域特性や優位性を生かし、観光、情報通信関連産業、農林水産業、健康・バイオ関連産業の振興や企業誘致に力を注いでいるところであります。
 また、離島・過疎地域等の振興についても、豊かな自然風土や伝統文化等地域の資源やアイデアを生かした地域づくりを促進するとともに、人材の育成、産業育成を支援してまいります。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 福祉保健計画の達成率についてお答えいたします。
 沖縄振興計画の分野別計画である福祉保健計画の進捗状況については、主要20指標のうち平成16年目標値に対して100%以上を達成したものが乳児死亡率の改善等8指標であります。
 100%に達しなかった指標の内訳は、90%以上の達成が6指標、80%以上90%未満が4指標、70%以上80%未満が2指標で、これらの平均達成率は87.9%となっており、総体としてはおおむね順調に成果が上がっていると考えております。
 目標に達しなかった要因としては、福祉保健事業を担う市町村の財政状況の変化、国庫の内示減や補助制度廃止の影響等が考えられます。
 なお、今年度じゅうに策定予定の第2次福祉保健推進計画においても、市町村や関係団体との連携をさらに強化し、目標の達成に努めていきたいと考えております。
 次に、次世代育成支援のための主要施策についてお答えいたします。
 県では、3月までに策定する次世代育成支援行動計画において、「親子が心身共に健やかに成長できる 子育ち 親育ち 地域育ち」を基本理念として、地域における子育て支援、母子保健の増進、仕事と家庭の両立の推進等8つの基本目標を柱として総合的に施策を推進することにしております。
 具体的には、待機児童の解消に向けた保育所の定員の増、放課後児童クラブの設置、集いの広場の設置、ファミリー・サポート・センターの設置等について数値目標を掲げ、子供を産み育てやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、児童相談所の充実強化、市町村等の関係機関との連携について一括してお答えいたします。
 児童相談所の組織体制の強化につきましては、平成17年度に児童福祉司4名、心理判定員1名の増員を含む9名の増員を行うこととしております。また、9名の増員のうち6名については、現在中央児童相談所に設置している児童虐待防止支援チームを両児童相談所に配置するためのもので、当該児童虐待防止支援チームを中心に児童福祉法改正に伴い、市町村の業務として位置づけられた児童相談業務への援助・助言、児童虐待防止市町村ネットワークの設置促進等を集中的に取り組むとともに、福祉保健所、学校、警察、民生委員・児童委員等の関係機関との連携を図り、児童虐待の未然防止に努めていきたいと考えております。
 また、コザ児童相談所への一時保護所の設置につきましては、現在、一時保護所入所児童1人当たりの一時保護期間が九州各県平均に比べ2倍以上になっていることや、一時保護の動向等について調査・分析し、今後の課題として検討していきます。
 なお、当面の対応として中央児童相談所の一時保護所についてことしの4月から20名の定員を24名に定員増するとともに、児童養護施設及び里親への一時保護委託等により適切に対応してまいります。
 続きまして、民生委員・児童委員の充足状況についてお答えいたします。
 民生委員・児童委員については、昨年12月1日に3年に一度の全国一斉の改選が行われ、本県においては新定数2256人に対し1920人の方が委嘱され、充足率は85.1%になっております。
 県としましては、市町村に対し欠員補充についての協力依頼を行い、現在188人の追加推薦があります。今後、沖縄県社会福祉審議会の答申を受け、厚生労働大臣に推薦することにしております。そのことにより委嘱者は2097人、充足率は93%に上昇します。
 欠員につきましては、引き続き市町村や社会福祉協議会等の関係機関と連携を図り補充に努めていきたいと考えております。
 続きまして、「沖縄県障害者福祉長期行動計画」の推進状況についてお答えいたします。
 県では、平成6年度に第2次の障害者基本計画である「沖縄県障害者福祉長期行動計画」を策定し、福祉、保健・医療、教育、雇用、生活環境等各分野の連携のもと、それぞれの施策を展開してまいりました。その結果、同計画の最終年度である平成15年度までに211の総事業数のうち189事業を実施し、実施率は約90%であります。
 続きまして、「第3次沖縄県障害者基本計画」の理念と主要目標についてお答えいたします。
 障害者のニーズの多様化や障害者みずからがサービスを選択し利用する支援費制度導入などの社会情勢の変化に的確に対応し、障害者施策を総合的に推進するため、昨年3月、「第3次沖縄県障害者基本計画~美らしま障害者プラン~」を策定いたしました。
 この計画は、平成16年度から10年間の本県の障害者施策の基本的方向を示すもので、「障害者が地域社会の一員としてともに暮らせる共生社会を実現するため、社会参加を阻む様々なバリアを取り除き、障害者が自己の選択と決定のもと自ら望む生き方を実現できる社会の形成を目指す」ものであります。
 また、施策を推進するため在宅生活の支援、社会参加の支援、雇用・就労の拡大などの大きな8つの目標を定め、それぞれの目標を実現するための24項目に55の数値目標を設定しました。例えば、「障害者の在宅生活を支援するため、市町村など身近な地域の福祉サービスの向上を図る」という目標については「多様な相談支援体制の強化」という項目を設け、「ケアマネジメント研修受講者数」などの数値目標を設定しております。
 第2次計画の成果や障害者及び障害者団体等の意見を可能な限り反映し策定したこの計画に基づき障害者施策を総合的に推進し、障害者福祉の向上に努めているところであります。
 続きまして、心身障害者福祉の主要施策についてお答えいたします。
 平成17年度の心身障害者福祉施策については、施設福祉サービス、在宅福祉サービス、社会参加促進事業等が主要な施策となっております。
 施設福祉サービスについては、身体障害者小規模通所授産施設及び知的障害者通所授産施設の創設のほか、知的障害者入所更生施設、知的障害者通所授産施設の改築を予定しております。
 また、在宅福祉サービスとして相談支援を行う障害(児)者地域療育等支援事業や居宅生活支援を行うホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス等のほか、新規事業として障害児タイムケア事業を実施する予定にしております。さらに、障害者の社会参加を促進する障害者社会参加総合推進事業や心身障害者小規模作業所運営費補助等を実施してまいります。
 続きまして、県の里親の支援策についてお答えいたします。
 県では、これまで沖縄県里親会へ補助金を交付するとともに、里親の普及促進、里親の基礎研修等についての委託を行っており、平成17年度予算案における里親に係る経費は、全国里親大会開催に係る補助金100万円を含め総額731万4000円を計上しており、前年度に比べ20.4%の増となっております。
 家庭に恵まれない児童を引き取り我が子同様に育て、家庭の温かさの中で児童を養育する里親については、今後の社会的養護の主要な役割を担うものと期待しております。このため、県では里親の養育技術の向上を図るとともに、里親自身の負担を軽減するため里親対応専門員による里親の養育相談の実施や、里親相互援助事業及びレスパイトケアの実施等により里親制度の充実に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、高齢者の緊急一時保護施設と保護事業についてお答えいたします。
 虐待を受けた高齢者の緊急一時保護については、身近な自治体である市町村が老人福祉法第11条に基づく措置を活用して対応することになっております。
 県の事業としましては、市町村への支援策として本年度、在宅高齢者虐待防止検討委員会を設置し、相談窓口の明確化、地域におけるネットワーク体制の確立、住民に対する啓発等問題解決に資するための指針を市町村を初め関係機関へ提示することとしております。
 以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) 米軍基地の整理縮小と駐留軍従業員問題についてお答えいたします。
 SACO関連の米軍基地の整理縮小に伴う基地従業員の雇用の安定確保については、国において「駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等に関する方針」に基づき、移設先または既存施設への配置転換により雇用の機会を図ることを基本としております。
 今後、米軍基地の整理縮小等によって基地従業員が離職を余儀なくされる事態が生じた場合においても、国において駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき離職前職業訓練、就職促進手当の支給、特別給付金の支給等の措置が講じられることとなっております。県におきましても沖縄県駐留軍関係離職者等対策協議会を活用するとともに、国及び関係市町村と連携を密にし基地従業員の雇用対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 続きまして、障害者の雇用対策についてお答えをいたします。
 県の障害者雇用対策としましては、訓練終了後の雇用を目的とする職場適応訓練事業や県立職業能力開発校において設計製図、OA事務、販売実務などの職業訓練を実施しております。また、北部・中部地区の障害者就業・生活支援センターにおいて福祉、保健、教育等の地域の関係機関が連携した就業・生活支援を行っております。
 平成17年度においては、職業訓練の委託先を社会福祉法人にも拡大して障害の態様に応じた訓練を実施するとともに、南部地区で障害者就業・生活支援センターを指定し、3地区センターの連携強化を図るために障害者就業支援ネットワークの構築に向けて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) バリアフリー観光の推進についての御質問にお答えいたします。
 県におきましては、今年度、障害者等の旅行実態や旅行需要、県内での受け入れ状況等の把握を行うとともに、関係者で構成する検討委員会において観光バリアフリー化推進方策の検討を行っているところであります。
 また、障害者の旅行における課題の抽出と対応策を検証するため、宮古島と本島においてモニターツアーを実施するとともに、観光のバリアフリー化を支える人材の育成を図るため県内3カ所においてシンポジウムと接遇セミナーを開催いたしました。さらに、県内観光施設等におけるバリアフリー対応の状況について、インターネットによる情報発信とバリアフリー観光マップの作成に取り組んでいるところであります。
 平成17年度においては、引き続きモニターツアーによる検証、人材育成事業や情報提供事業の充実強化に取り組むとともに、部局横断的に取り組むための実施計画の策定や県民ホスピタリティー向上に向けた啓発活動などに取り組む予定であります。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 水産業の振興策と水産試験場移転の進捗状況についてお答えいたします。
 本県の水産業は、モズク、クルマエビの養殖業等つくり育てる漁業が着実に進展しており、養殖技術の開発等水産試験場等の果たす役割がますます重要となっております。
 水産試験場については、昭和49年に整備され築30年が経過し施設の老朽化が著しく、また周辺の埋め立て等もあって試験環境が大きく変化しております。しかしながら、県では平成15年に策定した「新沖縄県行政システム改革大綱」において県単箱物の整備抑制が位置づけられております。また、現在、農業試験場の移転整備を進めていること等もあって、新たな試験場の整備については県有施設の整備に係る優先順位及び事業の熟度を総合的に勘案して検討することとなります。
 以上でございます。
○土木建築部長(末吉 哲) 中の町A地区市街地再開発事業の概要についてお答えいたします。
 沖縄市中の町A地区市街地再開発事業は、土地の高度利用と中心市街地の活性化を図る目的で平成12年度に国庫補助事業として採択され事業の促進を図っているところであります。
 本事業は、独立行政法人都市再生機構――これは旧地域振興整備公団です――が事業主体となり、地区面積約1.2ヘクタ-ルの中で建築面積約4800平方メ-トル、延べ床面積約1万7000平方メ-トルの地下1階、地上9階の再開発ビルが計画されております。
 平成16年3月には都市再開発法による事業計画の認可を受け、さらに去る1月には権利変換計画の認可を受けており、現在補償交渉が行われているところであります。
 今後のスケジュールは、16年度末までに実施設計を終え、17年度から既存建物の除却及び再開発ビルの建築工事に着手し、18年度には事業完了の予定であると聞いております。
 以上でございます。
○総務部長(仲田輝享) 自主財源確保の見通しと国庫支出金等への依存体質からの脱却についてお答えします。一括してお答えいたします。
 平成17年度当初予算において、自主財源の柱である県税は1.2%の増にとまっており、大幅な増収が見込めない状況にあります。このようなことから、予算編成に当たっては基金の大幅な取り崩しを余儀なくされるなど厳しい対応を迫られたところであります。
 県としては、自主財源の確保のため法人県民税における超過課税を実施しているほか、国及び市町村と連携した滞納整理の促進、財産の差し押さえ等の適切な法的な措置の強化などにより県税収入の確保に努めているところであります。
 また、受益者負担の原則及び負担の公平性を確保する観点から、使用料及び手数料の定期的な見直しを行っているほか、県有地の売り払いなど県有財産の有効活用を図っているところであります。さらに今後、県としては産業廃棄物に関する税の導入に向けた取り組みを進めるほか、中長期的には本県経済の活性化に結びつく産業振興施策の推進により税源の涵養を図ってまいりたいと考えております。
 次に、三位一体改革の影響についてお答えします。
 平成17年度の三位一体の改革による本県予算に及ぼす影響は、税源移譲に結びつく国庫補助負担金の改革として公営住宅家賃収入補助や国民健康保険国庫負担の一般財源化などで約96億円、義務教育費国庫負担金の暫定的減額として約55億円、合計で151億円となっております。
 これに対し、税源移譲額は所得譲与税が約43億円、税源移譲予定特例交付金が約55億円、合計で約98億円を見込んでおります。
 なお、税源移譲の不足分約53億円については、地方交付税により補てんされることが見込まれております。
 次に、県債の償還計画と公債費比率の推移についてお答えします。
 普通会計における公債費の状況を申し上げますと、2000年度は638億円となっておりましたが、2005年度には687億円を見込んでおり、約49億円、7.7%の増となっております。
 公債費の増の要因は、平成4年度以降の工業技術センター及び平和祈念資料館等の大規模な箱物の整備や国の経済対策の実施等に伴い県債発行額が増加したこと、地方の財源不足に対処するために平成13年度から臨時財政対策債が導入されたこと等によるものであります。
 また、公債費比率は2000年度の12.4%から2003年度には11.3%に低下しておりますが、2004年度は公債費が増加するとともに、分母となる地方交付税及び臨時財政対策債等が大幅に減少していることから、公債費比率は上昇することが見込まれます。
 県債は将来の財政負担につながることから、県としては引き続き行政システム改革大綱に基づきその抑制に努めるとともに、発行に当たっては財政運営に及ぼす影響を考慮し、事業の必要性、効果等を勘案しながら慎重に対処する必要があると考えております。
 以上でございます。
○新川 秀清 二、三、再度お尋ねをいたします。
 知事、見直し委員会あるいは今回の要請に対して県民の目に見える形で軽減を図っていくということをおっしゃっているわけでありますが、今、県民にとって目に見える形というのは普天間の閉鎖と新たな基地を辺野古につくらないと、これこそが目に見える形だと思うんです。それを具体的に要求の中でおっしゃってない、主張してない。私は、ここに今県としてなぜそういうことしか言えないのかということが不思議でならないわけです、理解できないわけです。いま一度、目に見える形でのこの軽減についてどうされるのかお答えください。
 それから嘉手納の爆音でありますけれども、先ほどありましたように、ここ二、三日、全く地域の住民を無視した形でこの爆音がまき散らされているという現実があります。そういった中で、県もこれまで騒音の軽減のためにいろんな努力をしてきたということをおっしゃっているわけでありますが、私はこの第2次嘉手納爆音訴訟の中で国が言っていることの中に、これほど県民を、この地域に住む住民をないがしろにした発言はないと思っているのが、「危険への接近」という言葉であります。
 今、嘉手納爆音訴訟の原告は5541名でありますけれども、この地域に住んでいる皆さん方は30万近い人口であります。そしてこの中に、原告団の皆さん方の中に、危険だと知りつつそこに家をつくったんだというふうな言い方で原告の主張を退けようとしている。そうするとこの地域に人間は住むなということですよ。そういうふうな国の主張があるということを前提にして、これからきちっと対応していただかないといかぬじゃないのかというふうに思っております。
 それから、これもあと一つ要望しておきたいと思うんですが、福祉保健部長、里親制度でありますが、これは沖縄は先進県である。これをいかに活用していくかというふうなことについては施設の問題もありますよね、それから地域でのネットワークということもいろいろ言われるんですが、その中でこの里親制度をもっと活用していくということは大きな課題だと思いますよ、これをもっと積極的に支援をしていく。先ほどもありましたけれども、この質的な面での向上を図っていくということをぜひ努力していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 以上申し上げて再質問を終わりますが、よろしくお答えをいただきたいと思います。
○知事(稲嶺惠一) 目に見える形と申しますのは、基地の整理縮小とは、単に基地面積の縮小だけではなく兵力の削減、訓練の移転・削減等が含まれております。そして同時に目に見える形というのは、同時にそれに並行して行うべき、地元市町村の意向を十分に含みながら県土の有効利用、基地の跡地利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、経済振興、そういうものを総合的に進めることでございます。したがって、米軍再編においてもかかる点を踏まえて日米両政府の協議を見守りながらしっかりとした県の考え方を提示していきたいと考えております。
○渡嘉敷喜代子 おはようございます。
 「護憲」を旗印に現場主義に徹し、1人の人権を守れずして万人の人権は守れない、そういうことをモットーにして社会制度充実に頑張っております社民党です。行動する社民党、行動する渡嘉敷喜代子です。
 それでは通告に従いまして護憲ネットワークを代表して質問いたします。
 基地問題について。
 まず、2月15日来県した米連邦議会の海外基地見直し委員会メンバーへの要請内容についてお尋ねします。
 ア、2月15日、知事は7人の委員に対し、在沖海兵隊の県外移設を要請されたとのことですが、その要請には普天間基地の閉鎖、県外・国外移転が含まれると理解していいですか。
 イ、知事は見直し委員に対して都市型戦闘訓練施設の建設中止、さらに日米地位協定の見直しを求めたようですけれども、その中身はどんなことだったか教えてください。
 (2)点目です。知事の所信表明で、「基地負担軽減の考え方をまとめる」としております。在沖米軍再編のタイムリミットが迫っているこの時期にまだ県案もないということなのでしょうか。県案の基本的な考え方を早急にお示しください。それはいつのことでしょうか。
 (3)点目。 去る1月30日から2月5日までの1週間の日程で社民・社大の国会議員及び県議会議員、そして名護市議の皆さんで訪米してまいりました。当面、最も緊急を要する問題として3点に絞りました。
 まず1点目です。普天間基地の即時閉鎖と返還、2点目として辺野古移設の見直し、3点目、在沖米海兵隊の撤退を要請してまいりました。要請先は国務省、国防総省、上院・下院議員の皆さん4名、シンクタンク5カ所に、そして6名の人に会いました。平和団体、大学教授の方にもお会いし、それから国会図書館アジア室長ほか1名の方に会って、いろいろな意見や情報交換をしてまいりました。その中でもハワイ選出の下院議員アバクロンビー氏は外務委員会で、ぜひ沖縄を視察したい、今、委員長と調整中だということでした。
 それでは印象的なコメントのあった人たちのことを紹介し、知事の所見をお伺いいたします。
 カート・キャンベル氏は、沖縄のことは沖縄の人が訴えることが最も大事なことで、皆さんのように訪米を重ねることがD.C.で存在感が出てくるのです。ついせんだって沖縄で稲嶺知事に会ったけれども、もう少し知事はアクティブな行動を起こすべきだ。ここ数カ月で確実に大きな変化がある。今後、似たような事故が起きたら本当に取り返しがつかないので普天間を早く返還しなくてはならない。辺野古はコストがかかり過ぎる。そして反対運動ももっと高まるだろう。環境の問題もある。強く変更すべきだと思う。変更することは決して恥じるものではないとキャンベル氏は言っております。
 キャンベル氏は、国防副次官補として重要なポストにいてSACOに深くかかわってきた人だけに、みずからの間違いを認める発言は重いのではないでしょうか。
 次に、ニュー・アメリカ財団副理事長のスティーブン・クレモンス氏は、これまでの要請文と違い具体的でわかりやすい。普天間の閉鎖と返還、辺野古移設即時中止については緊急を要し、賛同者を募り協力ができる。大田前知事は、沖縄の内政・政治的な情報もあったが、稲嶺知事になってから情報が得られなくなったということでした。
 D.C.で沖縄の存在感が出たとの評価や協力したいという応援団ができたのも、大田前県政のころから事あるごとに訪米を重ねてきた成果だと思います。
 ヘリ墜落以後初めての抗議・要請行動で県民の民意をしっかりと伝えたことは大きな成果であり、政府側の対応もこれまでとは違った緊張感がみなぎっておりました。事故のもたらした意味は大きいと思います。
 以上のことについて知事の見解をお聞かせください。
 (4)点目です。私は、国務省、国防総省の日本部長のジョン・ヒル氏に対して、沖国大が発行しました、今知事にお見せしております、学生自治会が発行しました冊子「“告発”」を30部取り寄せて訪問先に配布してまいりました。冊子の中にある墜落時の写真を示しながら、県民はヘリが墜落したことへの怒りだけでなく、事故現場が民間地であるにもかかわらず県警やマスコミまでもシャットアウトされ、占領地さながらのこのような状況に対して市民・県民の怒りが爆発しての3万人の大集会になったこと、そして集会は日本人としての主権を問う集会でもあったことを訴えてまいりました。そして辺野古の闘いと美しい海を守る立場から名護市議から訴えました。
 以上の観点から、知事の訪米に当たっても具体的な要請内容で当たるべきであり、内容についても県民に明らかにすべきだと思いますが、それはいつのことでしょうかお尋ねいたします。
 (5)点目、知事の言う基地の整理縮小とは一体何のことでしょうか。全体像を具体的に示し、沖縄の未来像をどう描いているのかお示しください。
 (6)点目です。これまで県は事件・事故のたびに日常的に振り回されているのが現状です。県民からは少なくともそう見えます。日米両政府の動きを県は事前にキャッチし、対応できる体制はありますか。その必要性はありませんか。
 (7)点目です。私たちは、基地問題解決のためにいろいろな提案をしてまいりましたが、知事はそれでは一体どのような取り組みが一番効果的とお考えですか、お示しください。
 環境問題についてお尋ねいたします。
 まず(1)点目に、地球温暖化防止に向けての京都議定書が発効されました。日本も目標達成に向けての対策が迫られると同時に、小泉首相も事あるごとに国際協調を主張してきた立場上、米国に対して京都議定書を守ることを伝えるべきではないか、このことについて知事の見解をお聞かせください。
 (2)点目、国際環境保護団体(IC)からヤンバルの山の保全急務とする認定を受けました。県の認識と今後の対策についてお伺いいたします。
 ヤンバルが世界遺産登録から外されたいきさつもあるだけに事は深刻です。今後の対策についてお尋ねします。
 (3)点目です。沖縄の環境問題の特徴は一体何だとお思いでしょうか、お尋ねいたします。
 (4)点目、沖縄のリアス式海岸線の美しさにあこがれて本土から観光客がやってきます。辺野古海域の埋め立ては、海岸の自然景観を保全する意味からも中止すべきだと思いますが、環境サイドから県の考え方をお聞かせください。
 (5)点目、環境保全に関連してどのような事業があり、それはどう機能し、また効果は出ておりますか、お尋ねいたします。
 (6)点目です。他県に比べて環境問題の取り組みで立ちおくれがありますか。あるとすれば何が原因でしょうか。
 (7)点目、私は、2003年9月議会でも質問いたしました。基地内のごみ箱は1種類しかないことを指摘しております。すべて有料で産廃として処分され、その中で危険物がなければよしではなくて、基地内のごみまで基地の外に排出されることへの疑問を投げかけました。基地内のごみは基地内で処分すべきものと提案もいたしました。今すぐできることは、排出抑制のための分別やリサイクル推進が大切かと思います。県は米軍側に対してもっと強い姿勢で提案すべきと思いますが、今後の対処策についてお尋ねいたします。
 3、教育行政についてお尋ねいたします。
 (1)点目として、12月議会の答弁で委員長は、教育基本法が戦後教育の機会均等や量的拡大及び教育水準の向上が図られたと評価する一方で、同法の制定当時とは社会状況の変化や教育のあり方も変容している。ここで言う社会状況の変化とは一体どういうことでしょうか。そのことが改正の理由になるのでしょうか、お尋ねいたします。
 (2)点目、地方分権の時代と言われて久しい。教育行政も同じことで、国の施策に左右されるのではなくて、沖縄独自の文化や地域性を生かした教育でありたいと思います。
 そこでお尋ねいたします。
 現在の時点で教育基本法の理念を生かしつつ、県独自で検討していることがありますか。あれば明らかにしてください。
 (3)、国の施策を遂行するばかりではなく、他県に先んじて教育制度や施策について教育庁内で横断的に検討する体制づくりの考えはありませんか。
 (4)点目です。ゆとり教育からの脱却を中教審は宣言しました。教育は百年の計であります。総合学習の導入は生活体験を通してみずから学び考える力を養うことが目的であったはずです。教育長は学力は何だとお思いでしょうか。また、ゆとり教育を廃止することで何が予想されるとお思いでしょうか。
 4、福祉行政についてお尋ねいたします。
 進行性化骨筋炎(FOP)の患者の支援についてお尋ねします。
 FOP、この病気についてちょっとだけ説明させていただきます。
 FOPとは、筋肉が骨になり関節の圧迫によって関節が曲がらなくなってしまう病気です。進行が早く内臓も圧迫されてほかの病気も併発し、呼吸困難を起こし死に至らしめるという病気であります。200万人に1人と言われ、日本には10名の患者がいると言われておりますが、もしかすると20名いるかもしれないということです。症例が少ないということで難病指定も受けていないのが現状です。相談を受けたこの患者は、せめて進行をおくらせる薬を開発させたい、そんな思いでインターネットを通して署名活動を開始しております。あらゆる人たちを通して署名活動を現在展開しているところであります。
 さて、私が会ったのが2月9日。1月4日に新聞で紹介されてから1カ月後のことです。その間に官公庁からだれの訪問も受けていないということでした。正直なところ私は一抹の寂しさを覚えました。一人の県民でも問題があれば行政としてまず現場に足を運んで現状を把握することが大切であり、そこを出発点として事が始まるのであり、私も県民の命を守る立場から、助けを求めている人に対して何かしてあげられないものかという思いで今回行政側に示唆する意味で質問の項目に入れました。
 相談者Uさんは2歳に発病し、現在は足の関節、腰、首、左手関節が硬直し曲がらない状況です。そして右手は辛うじて腰まで曲がるという状況で、つえをついて室内を歩いているのが現状です。座ることもできない、そして横になるのも母の手をかりなくてはできない。食事も排せつもすべて立ったまま。介助がなくては生きていけない状況です。今の状況になったのが18歳で、15年間今の状況が続いております。けがをすると病気が進行するのでリンゲル等の注射の針を刺すこともできず、医療行為は今のところ全くありません。
 本人の希望は、難病指定によって研究の糸口を見つけることができれば、せめて進行をとめる薬が開発されればという思いです。本人にとっては今しかない、1分1秒と待ってはいられないわけです。県もバックアップしてほしいと切実です。
 そこで質問いたします。
 まず(1)点目として、県はこの患者のことでどの程度把握しているのでしょうか。
 (2)点目として、今の介護制度では40歳から適用されるのは加齢による疾病のみで、交通事故や難病指定を受けていない障害者は適用外とされる法制度のもとで、第三者の手をかりなくては生活できない人たちを行政としてどう支援していけるのか。今後の体制づくりも県としてどう考えているのかお尋ねいたします。
 (3)点目でありますが、県は各福祉事務所との連携はどうなっているのか。また、指導体制も含めて密接な連携プレーが必要と思いますが、どうお考えでしょうか。
 以上をもって質問を終わりますが、答弁によって再質問させていただきます。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。
   午前11時25分休憩
   午前11時25分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 渡嘉敷喜代子議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、海外基地見直し委員会への在沖海兵隊の移設要請についての御質問でございます。
 私は、2月15日に「合衆国海外軍事施設の構成見直し委員会」の委員と面談した際、米軍再編に対する沖縄の考えを明確に申し上げることが重要であると考え、在沖米海兵隊の県外移転や嘉手納飛行場の運用改善、陸軍複合射撃訓練場の建設中止、日米地位協定の抜本的な見直しについて申し入れております。
 普天間飛行場については上空からの写真を使い、同飛行場が住宅地域の中にあることや教育施設が同飛行場を取り囲んでいる状況を示しながら、海兵隊の県外移転等を強く求めたところであります。海兵隊の県外移転が実現された場合には普天間飛行場の返還もなされるものと考えております。
 また、同飛行場の危険性を早急に除去するため、イラクに派遣されている兵力の帰還に反対であることを伝えたところであります。
 次に、海外基地見直し委員会への陸軍複合射撃訓練場の建設中止と日米地位協定の見直し要請についてお答えいたします。
 委員と面談した際、上空からの写真を使いながら陸軍複合射撃訓練場の位置や過去の流弾事故について説明し、建設場所が住宅地域や沖縄自動車道に近く非常に危険であり、地元も建設に強く反対していることから建設は中止すべきであると申し入れております。また、日米地位協定の抜本的見直しについては、締結から45年が経過しておりますが一度も改正されておらず、安全保障を取り巻く環境や社会情勢の変化、人権や環境問題などに対する意識の高まり等の中で、時代の要求や県民の要望にそぐわなくなっていること等から抜本的見直しを求めることを申し入れてあります。
 続きまして、基地の負担軽減の基本的な考えについてお答えいたします。
 県としては、米軍再編の中で本県の米軍基地の状況、地域における基地負担の現状を踏まえ、基本的な考え方として在沖米海兵隊の県外移転や嘉手納飛行場の運用改善、陸軍複合射撃訓練場の建設中止、日米地位協定の抜本的な見直しを求めてまいります。そのため、緊急的対応策として普天間飛行場の航空部隊や海兵隊の歩兵部隊等イラクに派遣されている部隊を戻さず県外移転することや、嘉手納飛行場の危険性の除去や騒音の軽減のための実効ある対策等を行うよう強く求めてまいります。
 次に、キャンベル氏等の発言についてお答えします。
 本県の米軍基地問題については、さまざまな方がそれぞれの立場で発言されており、キャンベル氏やクレモンス氏についても現在の立場で発言されたものと理解をしております。
 次に、訪米の際の要請の内容についてお答えいたします。
 私は、3月12日から20日までの予定で訪米し、米国務省や国防総省等の関係機関に対し、県民の目に見える形で過重な基地負担の軽減がなされるよう、さきに申し上げた米軍再編に対する県の考え方を示すとともに、米軍人等による事件・事故の防止など本県が抱えている基地問題の解決を強く訴えたいと考えております。
 次に、基地の整理縮小と沖縄の将来像についてお答えいたします。
 県が求めている基地の整理縮小とは、単に基地面積の縮小だけではなく、兵力の削減や訓練の移転・削減が含まれています。基地の整理縮小に当たっては、地元市町村の意向を初め県土の有効利用、基地の跡地利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、経済振興等を総合的に勘案する必要があります。また、米軍再編においてもかかる点を踏まえ、日米両政府の協議状況を見守りながら県の考え方を提示していきたいと考えております。
 基地問題解決の効果的な取り組みについてお答えします。
 在日米軍基地は、日米安全保障条約に基づき日本政府により提供されているものであり、県としては、政府が本県の基地問題を国民全体の問題として責任を持って取り組むよう引き続き粘り強く訴えていくことが大事であると考えております。
 続きまして、京都議定書発効の知事の所見について申し上げます。
 温室効果ガス排出量が現在のまま推移すれば、地球の温暖化により私たちの将来の世代、あるいは後発開発途上国や特に島嶼国の人々などがより大きな影響を受けると言われております。去る2月16日に京都議定書が発効したことは、我が国のみならず全世界にとって地球温暖化対策の重要な節目の日となったと考えております。
 国では、京都議定書の約束を果たすためあらゆる対策・施策を総動員して「京都議定書目標達成計画」を策定することとしております。特に、約束の達成には幅広い国民の理解と協力が不可欠であります。県としても国の施策と一体となって県民運動を展開し、全力を持って約束達成に寄与したいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○知事公室長(府本禮司) 事件・事故の連絡体制についてお答えいたします。 
 米軍関係の事件・事故については、平成9年3月に日米合同委員会で合意された「在日米軍に関わる事件・事故通報体制」に基づき、那覇防衛施設局が県に連絡することになっております。また、庁内及び関係機関との間の連絡や情報収集、現場調査等については「米軍基地関係事件・事故発生時の緊急対策要領」に基づき行っております。このように事件・事故が発生した際の通報体制に基づき適切に対応しております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 国際環境保護団体の認定についてお答えをいたします。 ヤンバル地域はイタジイに代表される亜熱帯の自然林に覆われ、ノグチゲラ、ヤンバルクイナなど多くの固有種が生息するなど豊かで多様な自然環境を形成しております。このため、県では自然公園や鳥獣保護区に指定するなど保全に努めております。また、外来種による捕食の脅威からヤンバルクイナ等を保護し、ヤンバル地域の生態系を保全するためマングース対策等を実施してきたところであります。
 県としては、今後とも国、地元自治体、関係機関と協力してヤンバル地域の生態系の保全に努めていきたいと考えております。
 次に、沖縄の環境問題の特徴についてお答えをいたします。 
 本県は、亜熱帯海洋性気候のもと、サンゴ礁が発達した青い海と貴重な野生生物が数多く生息する豊かな島々から構成され、他の都道府県とは異なる固有の自然環境を有しておりますが、島嶼県であるため環境容量が小さく、環境負荷の増大に対して脆弱であるという特徴を有しております。本県には大気汚染や水質汚濁といった身近な環境問題、県民の経済活動による廃棄物の増大、米軍基地に起因する航空機騒音等の基地被害、開発行為や農地からの赤土等の流出、貴重な自然環境の保全といった多くの環境の課題があるものと認識しております。
 次に、辺野古海域の埋め立てと海岸の自然景観についてお答えをいたします。 
 普天間飛行場代替施設建設事業の環境影響評価の手続につきましては、昨年11月29日に方法書について環境の保全の見地から意見を述べたところであります。海岸の自然景観への影響につきましては、今後事業者において調査、予測及び評価を行うとともに、環境保全措置の検討を行い準備書を作成することとなります。
 県としては、準備書において景観への影響の内容や程度、またそれに対する環境保全措置が示されますので、厳正に審査を行い、必要な意見を述べる考えであります。
 次に、環境保全の事業と機能、効果についてお答えをいたします。 
 県では、沖縄振興計画を環境の側面から推進していく分野別計画として「沖縄県環境保全実施計画」を策定しております。同計画では「循環型社会の構築」、「自然環境の保全・活用」の2つの施策、15の指標を設定し、事業推進のための機能と目標を定め環境保全施策事業を推進しております。
 平成15年度の実績では、廃棄物の排出抑制、自然環境保全地域の指定、大気環境基準、河川環境基準等10の指標において目標を達成し効果を上げております。廃棄物の再生利用等の指標において目標を達成していないことから、県産リサイクル製品の利用促進等新たな事業を展開し、達成に向けた取り組みを推進していきたいと考えております。
 次に、環境問題の取り組みについてお答えをいたします。 
 本県は、他の地域とは異なる固有の自然環境を有しており、この恵み豊かな環境を保全し、次の世代に引き継ぐことは私たち県民に課された責務であると考えております。そのため、県では沖縄県環境基本条例を初め環境保全に関する諸条例を整備し、環境保全施策を総合的・計画的に推進しているところであります。
 また、平成15年4月に策定した「沖縄県環境基本計画」では、「「豊かな自然環境に恵まれたやすらぎと潤いのある沖縄県」の実現に向け、目指す将来像として「循環」「共生」「参加」「地球環境保全」をキーワードとして施策の長期的目標及び方向性」を明らかにし、各種環境保全施策を展開しております。
 さらに、地球温暖化問題に対応するため、平成15年8月に沖縄県地球温暖化対策地域推進計画を策定するとともに、同年11月には沖縄県地球温暖化防止活動推進センターを指定し、地球温暖化防止活動推進員を委嘱するなど、県民や事業者への地球温暖化防止に関する啓発・広報活動等を推進しているところであります。
 本県には環境に関する多くの課題がありますが、今後とも課題の内容に応じて適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、基地内廃棄物の割合と排出抑制のための分別やリサイクルの推進についてお答えをいたします。 
 米軍基地内から排出される廃棄物については、県内の廃棄物処理業者によって委託処理されております。処理業者からの報告等によると、平成14年度に米軍基地から排出された生活系廃棄物は約3万4000トンとなっており、同じ期間に排出された米軍基地を含む県内の一般廃棄物総排出量52万1600トンの6.5%を占めております。県においては、生活環境の保全と循環型社会を実現するため、これまで米軍関係者に対し三者協議会や在沖米軍環境担当者会議等を通じて基地内における廃棄物の発生抑制やリサイクルの推進を要請してきたところであります。
 県としては、今後とも米軍基地から排出される廃棄物の処理状況等について監視していくとともに、米軍に対して発生抑制、リサイクルの推進を強く求めていきたいと考えております。
○教育長(山内 彰) 社会状況の変化と教育基本法の改正についてお答えいたします。
 昭和22年の教育基本法制定時に比べて少子・高齢化社会への移行、高度情報通信社会の進展、進学率の伸び、産業構造や就労形態の変化等が生じております。このような変化の中で社会の活力の低下、社会的使命感の喪失、就職難等が課題として生じております。
 教育面では、学ぶ意欲の低下、青少年の規範意識の問題、家庭や地域の教育力の低下などさまざまな課題が指摘されております。このような社会や教育の諸課題への対処として新しい時代にふさわしい教育を再構築するという視点から教育基本法の見直しが検討されているものと理解しております。
 教育基本法と本県の教育についてお答えいたします。 
 教育基本法の基本理念として、人格の完成、平和的な国家及び社会の形成者、個人の尊厳などが示されております。本県の教育の目標においても、みずから学ぶ意欲や豊かな表現力と粘り強さを持つ児童生徒の育成、平和で安らぎと活力ある社会の形成者としての県民の育成など、教育基本法の基本理念が反映されております。このような理念のもと、教育委員会は、「創造性・国際性に富む人材の育成と生涯学習の振興」という大きな目標を掲げ、学校教育の充実などの施策を展開しております。
 具体的な施策として、17年に及ぶ学力向上対策の「夢・にぬふぁ星プラン」、本県独自のユイマール精神を生かした子どもの居場所づくり推進事業等を通して心豊かな青少年の育成に取り組んでおります。
 横断的な体制についてお答えいたします。 
 県独自の取り組みとして、コミュニケーション能力の育成を目指すレッツ・トライ・イングリッシュ事業、教育の情報化を推進する総合教育情報ネットワーク推進事業、世界と手をつなぐ沖縄県・ハワイ州高校生交流事業等多くの施策を実践しております。また、特色ある教育や特色ある学校づくりの手引きを図り、「学校における指導の努力点」等も作成し独自の活用がされております。このような施策展開に当たっては、人事管理、財政管理、施設管理、教育課程の実施等の各機能を十分に生かし、沖縄の独自性、優位性を発揮した総合的かつ横断的に推進していると考えております。
 学力と今後の教育についてお答えいたします。 
学力のとらえ方にはいろいろあると思いますが、学校教育において学力とは4つの力の総体であると考えております。
 まず1つには学ぼうとする力、いわゆる関心、意欲態度、2つ目に学ぶ力、いわゆる思考、判断、3つ目に学んだ力、いわゆる知識理解、そして学んだことを生かす力、いわゆる表現し創造していく能力、その総合であるととらえております。
 また、今問われているゆとり教育の見直し問題については、学習指導要領のねらいやその手だてのあり方の視点から議論がされているものと理解しております。いわゆるゆとり教育は、児童生徒一人一人の個性を生かし、みずから学び、みずから考える力などの「生きる力」を培うことをねらいとしております。したがって、今後については個に応じた指導、「総合的な学習の時間」の充実を図るとともに、体験的な学習、問題解決的な学習の充実等を一層図っていくことが大切であると考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 進行性化骨筋炎の患者の支援について一括してお答えいたします。  
 いわゆる進行性化骨筋炎という疾患は200万人に1人の割合で発症すると言われており、現在把握されている進行性化骨筋炎による四肢体幹機能障害で身体障害者手帳を交付されている方は1人であります。 
 なお、同患者については重度心身障害者医療費助成事業が適用され、医療費が公費で負担されております。
 また、その他必要に応じて補装具や日常生活用具等の給付の活用、ホームヘルプサービスなどの活用をすることが可能であります。身体障害者福祉法に基づく障害者の援護に係る事業の実施主体は市町村であることから、今後とも市町村と連携し、障害者施策を推進してまいります。
 以上です。
○渡嘉敷喜代子 休憩してください。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。 
   午前11時49分休憩
   午後0時2分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 渡嘉敷喜代子君。
   〔渡嘉敷喜代子君登壇〕
○渡嘉敷喜代子 言ったことに対してもっと真剣な形で答弁していただきたいと思います。
 普天間基地の閉鎖が県外移転するということであれば普天間も閉鎖になるんですか。海兵隊を県外へ移設するということは普天間自身が閉鎖になることになるのではありませんかということを聞いているわけですよ。それに対して、そのような航空写真を見せたとか、そういうことじゃないんです。普天間を閉鎖するかどうかということに含まれているかということを私は聞いているんです。そのことを明快にお答えいただきたいと思います。
 それから先ほどの(6)番目のことですけれども、日米政府に対してどう事前にキャッチして対応できるかと、そういう体制づくりはあるのかどうか、今後もそういう体制はつくらなきゃいけないのじゃないかということをお尋ねします。
 それから、今回の米軍再編のこの時期は、普天間の閉鎖、それから辺野古見直しを最優先にすることが最も大事なことであって、県民の関心事はこれだけだと言っても過言ではありません。そういうことでも再編メンバーの皆さんにこのことを触れなかったということは一体どういうことなんでしょうか、お尋ねします。
 それから、2プラス2の負担軽減の言及に対して県は評価しているようですけれども、これまで日米両政府は沖縄の負担軽減を言っておりましたけれども、何の進展もありません。今回もSACOの最終報告の着実な実施と明示していることに対しても一体期待できるのかどうか。
 日米両政府が代替案を提示すれば検討するというようなこのような姿勢では本当に沖縄県はどういうことになるんだろうか。少なくとも2月19日の2プラス2に県案を示すべきであったと思いますが、その件についてお尋ねします。
 それから、先ほどから地元の意向を聞きたいというような言い方をしておりますけれども、じゃ普天間基地の閉鎖はあの3万人の、そして宜野湾市全会一致で閉鎖を言いました。この件について、じゃ地元の意見はどのようにして受けとめるんですか。
 それから、基地の返還のプログラムもないということで、それでは沖縄は未来永劫にその基地の島をずっと続けていくということなのか。他国が60年間というその長い駐留をしている国がほかにあればそれも教えてください。
 私ども訪米団は、ヘリ墜落以降、知事は辺野古に固執するものではないという考え方に変化したということを伝えてまいりました。今回、知事が訪米するに当たって本当に普天間の基地をどうするのか、辺野古見直しをするのかということをはっきりと向こうで言ってこなければ訪米する意味は本当にないと思います。キャンベルさんが、変更することは恥じるものではないということもこれは知事に対するエールだと思っております。こういう意見についてお尋ねいたします。
 それから福祉行政ですけれども、今年度の新事業の中で難病相談支援センターが立ち上げられたということ、これはとてもすばらしいことです。難病で苦しんでいる人たちに難病指定の手助けをしてあげることも大切ではないかと思います。個人でできないものは地域で、そして地域でできないものは市で、そして県で国でというふうにして温かい血の通った福祉行政であってほしいと思います。この件について福祉保健部長はどのようにお考えでしょうか。
 それから教育基本法の改悪について、青少年の非行とか家庭教育の低下とかということを挙げておりますけれども、その家庭教育の中にまで法が入っていくこと自体、とてもおかしいと。そこまで拘束していかなきゃいけないのかどうか、そのあたりについてもお尋ねしたいと思います。
 再々質問はしたくなくて再度申し上げたいと思いますけれども、本当にこの時期、米軍再編のこの時期というのはまたとないチャンスなんですね。この時期に本当に県の姿勢ですよ、何を持って訪米して訴えるのか。
 私ども訪米団は、この緊急性を見て辺野古の移設の見直しと普天間基地の返還ということを打ち出してきました。それに対してシンクタンクの皆さんもこの件については協力できるだろうというふうにして言っています。皆さんは12日から訪米するということですけれども、そういうことを訴えなくて4つの柱を挙げたと言いますけれども、これでは訴える力というのはないんですよ。今は、一体何が緊急性なのか、そういうことをしっかりと踏まえて訪米していただきたい。そうでなければ訪米する意味はないというふうに申し上げたいと思います。
 質問が何点になったかわかりませんけれども、その件についてしっかりとお答えいただきたいと思います。
 余りにも知事の、執行部の皆さんの答えの仕方がはぐらかしていくものですから、この件についてはこうですよということは言えないんですよね。トータルして今申し上げていますので、この訪米についてしっかりとした姿勢を持って、何を訴えるのかということをしっかりと訴えていきたい。そうでなければ訪米する意味がないということを申し上げて質問を終わりたいと思います。
○議長(外間盛善) ただいまの渡嘉敷喜代子君の再質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午後0時10分休憩
   午後1時45分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 午前の渡嘉敷喜代子君の再質問に対する答弁を願います。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 渡嘉敷議員の再質問にお答えをいたします。
 海兵隊の海外移設は普天間飛行場の閉鎖になるのかということと、見直し委員会での発言の問題と、訪米ということでいずれも関連がありますので、この3つを一括してお答えしたいと思います。
 普天間飛行場の返還はSACOにおいて既に決定しております。県としては、実効性ある代替案が提示されていない段階で日米両政府で確約された返還方針を変更する取り組みを行うことはできないと考えております。
 今回の米軍再編においては、世界における米軍のプレゼンスや兵力構成、基地のあり方の全面的な見直しが行われ、在沖米軍基地についてもSACO合意を超えて在沖米軍のあり方に大きな変動をもたらすものと考えております。
 したがって、日米間の協議で海兵隊の県外移転に普天間飛行場が含まれることが合意されればその返還がなされるものと考えております。
○知事公室長(府本禮司) 再質問にお答えいたします。
 まず、日米両政府の動きについて事前にキャッチし、対応できる体制ということにつきましてお答えいたします。
 県は、米軍等によります事件・事故は一件たりともあってはならないということを強く求めてきております。米軍関係の事件・事故については、いつ発生するかは事前に把握できませんので、24時間体制で情報が伝達する仕組みを構築しております。
 本県の米軍基地に係る日米両政府の動向につきましては、県は外務省沖縄事務所や米国総領事館等の関係機関と情報交換をするほか、各種の照会等を行うとともに、県内外のマスコミの報道、それからインターネット等の刊行物などを通じまして適宜その情報の収集に努めているところでございます。
 次に、2プラス2の前に県の基本的考え方を示すべきではなかったかということについてお答えいたします。
 2月15日に米合衆国海外軍事施設の構成見直し委員会の委員に知事が面談した際に、米軍再編に対する県の考え方を伝えたところでありますが、さらに米国総領事館を通じ、また内閣府、外務省、防衛庁を通じまして既に両国政府に伝えてございます。
 次に、米軍再編に当たり地元の意向を伺うということだったがということにつきましてお答えいたします。
 地元の御意向、宜野湾市長に私どもの職員が面談し御意見を伺ってございます。
 その次に、60年も他国の軍隊を受け入れている国が他にあるかということにつきましては、私としては承知しておりません。
 以上でございます。
○教育長(山内 彰) 家庭教育の中に法が入っていいのかについてお答えいたします。
 現行の教育基本法においても家庭教育について奨励されることの規定がされております。
 家庭教育については、家庭は教育の原点であり、子供に基本的生活習慣を身につけさせ、豊かな情操をはぐくむなどの役割や責任を有すること、国や地方公共団体は家庭教育を支援する必要があること等の観点から検討されているものと理解しております。
 いずれにしても教育基本法の改正については多様な意見があり、幅広い論議が不可欠で、今後ともその推移を注意深く見守る必要があると考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 進行性化骨筋炎患者への支援の再質問で、要約しまして既存の施策以外の国・県の動きということでお答えします。
 原因が不明で治療方法が確立していないいわゆる難病については、国は難治性疾患克服研究事業として68研究班によって121の疾患を対象に研究を進めております。現在、厚生労働省には進行性化骨筋炎を含めさまざまな疾患について難病指定の要望があり、選定の基準について検討を行っているとのことです。
 一方、県としましては平成15年度から特定疾患対策事業の対象疾患の拡大等について全国衛生部長会議において提案し、同会議から国に継続して要望書が提出されております。
 以上でございます。
○渡嘉敷喜代子 ただいまの知事の答弁と先ほど朝やった答弁との違いをちょっと指摘したいと思います。
 こちらの方でも皆さんは掘り起こして聞きましたか、先ほどの知事の答弁で1番の答弁で。
 この中で私たちが掘り起こして聞いたことは、海兵隊の県外移設が実現された場合には普天間飛行場の返還もあり得るというような答え方をしております。そして先ほど調整監が説明しておりました普天間飛行場の件について、航空写真を見せて説明したと。病院があって学校があるというようなことを説明しているわけですから、じゃその中で普天間の海兵隊が限定されると、海兵隊が県外・国外へ移設されるということと受けとめてもいいわけですねということでお尋ねしたいと思います。
 それから最初の普天間飛行場の返還もあり得るというような答弁ですけれども、これに今イラクに行っている5200名の海兵隊が対象になるのか、それとも沖縄県内にいる全体の海兵隊が対象になるのか、その点についていま一度お尋ねいたします。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。
   午後1時54分休憩
   午後1時55分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 渡嘉敷議員の再質問にお答えいたします。
 海兵隊の範囲の問題ですけれども、イラクかどうかということですが、私どもはイラクということだけではなくて、海兵隊の全体についてこれは日米両政府の決める問題ですが、最大限の県外移転というのを強く求めております。
○議長(外間盛善) 休憩いたします。
   午後1時56分休憩
   午後1時56分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 先ほども申し上げましたけれども、ちょっとしつこいんですけれどももう一遍申し上げますけれども、普天間飛行場の返還はSACOにおいて既に決定しております。県としては、実効性ある代替案が提示されていない段階で日米両政府で確約された返還方針を変更する取り組みを行うことはできないと考えておりますということで、次に再編というのはSACOを大きく上回るものであるというふうに考えているわけです。そして日米間の協議で海兵隊の海外移転に普天間飛行場が含まれることが合意されればその返還がなされるものと考えております。これが基本的な考え方です。そしてその中で私は普天間の基地の状況というものを普天間の航空写真を見せながら、そして非常に数多くの学校その他の所在地を見せながら普天間飛行場の非常な危険性について詳しく申し上げました。
○新里 米吉 護憲ネットワークを代表して雇用失業、産業振興、観光振興等を中心に質問を行います。
 通告による質問の前に、本日11時5分に沖国大に墜落炎上事故を起こしたヘリと同型機が市街地上空を飛行再開したとのことです。米軍の横暴に憤りを禁じ得ません。
 知事の所見を伺いたいと思います。
 雇用失業問題について質問します。
 かつて、1億総中流と言われるほど失業者が少なく、賃金格差も現在に比べ小さかった日本社会は、市場での勝者を優先する政策によって弱い者がより弱く、強い者がより強くなる弱肉強食の傾向が一層強くなり、二極化が進んでいます。
 EUでは2003年、「欧州雇用指針」がつくられ、激しい競争原理だけでは弱者が社会から排除され社会が不安定化するとし、完全就労と社会的公平をキーワード「市場万能主義」とは一線を画す姿勢を明確に打ち出したと言われています。
 しかし、日本では「市場万能主義」的な小泉構造改革によって企業は激しい市場競争を生き残るためにリストラと言われる首切りによる人員削減を強行し、典型労働者、いわゆる正社員の雇用を控えるようになりました。かわってパート、臨時、フリーター、さらには派遣労働等による低賃金策をとるようになりました。そのために失業者の増大、雇用不安、社会不安等が起き、賃金格差も大きくなっています。
 また、賃金抑制のためのサービス残業と言われる不払い残業が横行しています。その上、沖縄県は依然として全国一高い失業率の中で、建設業界の年間失業者数が4000人を超えるという沖国大教授の試算が明らかにされました。ダイエーの撤退に伴う失業問題も懸念されます。若年者雇用も依然として大きな課題です。
 そこで質問します。
 (1)、日本労働組合総連合会会長は、この数年間デフレ経済のもとで市場競争に勝ち残るために全産業的規模で雇用リストラのあらしが吹き荒れ、その結果、企業規模間、地域間、雇用形態間などにおける格差が広がっていると述べている。私も同感であるが、県の雇用、賃金についての現状認識を伺いたい。
 (2)、典型労働者、いわゆる正社員の減少とパート等非典型労働者の急増が進んでいる。経営者にとっては人件費抑制等で非典型労働者を雇用する傾向になっているが、労働者の雇用不安、低賃金と社会保障制度への悪影響が懸念される。県の所見を伺いたい。
 (3)、典型労働者と非典型労働者の労働条件に大きな格差がある。この格差を解消しなければ経営者の非典型雇用シフト指向をとめることは困難と考える。県の所見を伺いたい。
 (4)、この数年間、不払い残業が全国的に問題になっている。連合沖縄の労働相談でも、終業のタイムカードを押させて残業をさせる等の相談も寄せられている。巧妙で悪質な不払い残業の実態把握が困難な状況もあると思うが、現状と経営者への指導について伺いたい。
 (5)、沖縄県の失業率は依然として全国一高い。とりわけ若年者の失業率が大きな課題であるが、若年者雇用について県の所見と施策を伺いたい。
 (6)、ダイエー撤退に伴う失業雇用対策について伺いたい。
 次に、産業振興について質問します。
 沖縄県中小企業家同友会の「中小企業家しんぶん沖縄版」によると、「中小企業憲章」制定の意義と必要性について、日本経済を担っているのは客観的に見ても事業者数99%、従業員数80%の中小企業でありながらわき役に甘んじている現状を、中小企業が主役の日本にするためには中小企業憲章を制定することが必要と述べ、金融面においても借り手、中小企業の立場が尊重される法律が立法されやすい環境を実現するためにも憲章が国の政治の柱として確立される必要があるとしています。
 さらにEUでは、「欧州小企業憲章」を2000年に制定し、中小企業、自営業を軸とした経済政策・戦略が採用されて実効を上げていることや、ヨーロッパやアメリカのような中小企業の立場を代表する機関の必要性を述べています。そして県に対して中小企業振興基本条例について要望しています。
 ところで、特別自由貿易地域についてはこれまで多くの議員から質問がありました。私は、平成12年1月19日の決算特別委員会で埋め立ての処分や賃貸工場の現状等を含めて十分に機能していないことの理由、問題点をお聞きしました。商工労働部長は、「管理運営法人の未設置、輸入割り当てや関税割り当て制度などの輸入規制、割高な流通コスト、用地賃貸方式の未整備などが、本地域への企業立地を図る上で大きな課題となっております。」と答えています。しかし、その後管理運営法人が設置され、賃貸工場も整備されてきましたが、現在目標数の半分以下とのことです。
 そこで質問します。
 (1)、沖縄県中小企業家同友会が要望している国における中小企業憲章制定及び沖縄県中小企業振興基本条例(仮称)の制定について県の所見を伺いたい。
 (2)、信用保証協会が保証を行う売掛債権担保融資保証制度は、他県に比べ沖縄県の利用度が低いと言われている。その主な理由と打開策について伺いたい。
 (3)、県は、沖縄振興計画のアクションプランである分野別計画のうち、法定外7分野の達成状況を発表した。その中で特別自由貿易地域の立地企業数は目標の半分以下にとどまったようであるが、その原因とこれからの取り組みを伺いたい。
 (4)、県内スーパー最大手のサンエーが東京証券取引所市場第二部に上場した。県外の大手企業が県内市場に参入する中で上場できたことに敬意を表し、喜びたい。知事の感想を伺いたい。
 次に、観光振興について質問します。
 体験・参加型、滞在型観光、健康・保養型観光についてはこれまで多くの関係者が述べてきました。今日、その方向に進んできているようでありますし、リピーターがふえてきたのも沖縄観光が500万人を超える要因の一つになっていると思います。しかし、新聞連載で述べているように、リピーターの若者たちは宿泊特化型ホテルや民宿等に宿泊し、県民の日常食べている食事をし、県民と同じような生活をするのが特徴であります。
 ここ数年来、午後10時ごろ国際通りを歩いていると、観光客と思われる県外の若者たちがコンビニ等で食料を買っている姿が目につきます。食堂やレストランでも、かつて1500円から3000円の定食を注文する観光客が一定数見られたが、3年ほど前から沖縄そばやチャンプルーを注文するのが圧倒的に多くなったと話しています。このように観光客はふえたが、個人消費は減ってきたのが最近の特徴であります。
 また、リゾートホテルや都市型ホテルは、9・11米同時テロで引き下げた料金をもとに戻すことができず安いホテル料金のままです。那覇市にある県内の有力ホテルは、客室単価を9・11テロ以前の価格に戻したら客が減って減収幅を広げてしまったと新聞連載で紹介しています。また、圧倒的にエージェント率の高い県内ホテルは、格安パックによる安いホテル料金等で買いたたかれても拒否できない実態にあります。しかし、エージェントなしでは500万人を超える沖縄観光は実現できなかったと思います。
 このように、今日の状況は豊作貧乏、薄利多売型と新聞で指摘される実態にありますが、県内大手のグループが適正な価格を取れるサービス施設を強化し、沖縄観光全体の底上げを図るために世界的なホテルチェーン店と提携をし、従業員のすべてに高水準のサービス提供能力をつけ、提供ホテルの基準を超えるサービスでホテルを磨き上げようとしていることが報じられています。このような新たな挑戦が成功し、他のホテルも現状を打破する挑戦が起きてきたときに豊作貧乏、薄利多売の現状を克服できるだろうと期待したいと思います。
 沖縄観光は、現在圧倒的に国内からの客ですが、日本の人口の少子化が続く中で修学旅行などが減少していくと言われています。将来の沖縄観光は、国内客への依存から海外の誘客を強化して発展させることが求められます。特に、人口13億で現在も高い経済成長を続ける中国は、沖縄と古くから一衣帯水の関係にあり、しかも海外旅行をする富裕層も多くなり、今後さらにふえ続けることが予想されます。
 上海を初め沿岸地域及び首都北京等への誘客強化が重要になっていると思います。しかし、那覇空港国際線ターミナルは狭くて貧弱、とても外国からの観光客に喜んでもらえる状況ではないと思います。
 ところで、プロ野球新球団の東北楽天ゴールデンイーグルスが久米島でキャンプを実施しました。連日テレビで全国放送され、久米島の大フィーバーも紹介されていました。久米島の名前が全国の野球やスポーツファンに覚えられたと思いますし、経済効果も4億円と解説しているテレビ局もありました。楽天も含めてパ3球団、セ5球団の8球団が沖縄でキャンプを実施するようになったのは大変喜ばしいことです。セリーグは巨人以外の全球団です。誘致している市町村では、巨人ファンであっても誘致している球団に変わっていくだろうと思います。また、それぐらいの情熱を持って歓迎し交流することによって沖縄キャンプが継続されると思います。
 NHKの大河ドラマは「義経」で、平清盛が登場しています。「おごる平家は久しからず」です。私たちも現状に甘んずることなく、さらなる努力が必要と思います。
 そこで質問します。
 (1)、体験・参加型、滞在型観光、健康・保養型観光の現状と課題について伺いたい。
 (2)、外国人観光客の誘客と受け入れ体制の整備について、現在の取り組みを説明してください。特に13億の人口で経済発展が著しい中国、とりわけ富裕層の多い上海を中心とした誘客活動について伺いたい。
 (3)、沖縄観光を発展させるには外国からの誘客が大切である。そのためにはまず那覇空港国際線ターミナルビルの改築や新築等を含む整備が必要と思うが、県の所見を伺いたい。
 (4)、島田晴雄氏が、1万円券という安価なチケットは大手旅行会社には流れるが、市場には2カ月前など制約がある。せめて2週間前に買え、5泊以上の人らに1万円券でつなぐことがあってもよいのではと述べておられることについて県の所見を伺いたい。
 (5)、県内のリゾートホテルや都市型ホテルはエージェント依存率が高く、客室単価の引き上げも裏目に出る等の状況の中で、豊作貧乏、薄利多売型と言われる実態がある。県内最大規模のグループが適正な価格を取れるサービスと施設を強化し、沖縄観光全体の底上げを図るため世界的なホテルチェーングループとの提携を発表した。そのことについて県の所見を伺いたい。
 (6)、観光リゾート局が、観光客が宿泊する施設から簡易宿所を外す合理的な理由はない。むしろ外すことで観光の実態と統計が乖離してしまうとの指摘があるが、県の所見を伺いたい。
 (7)、新球団楽天の久米島キャンプで久米島がフィーバーした。楽天による経済効果は4億円とも言われている。セ5球団、パ3球団の8球団が沖縄で春季キャンプを実施した。プロ野球の半数を超える球団のキャンプは、経済効果と沖縄のPRにも貢献し観光にも大きく寄与する。また、子供たちに夢を与える等教育的にも大切なことである。プロ野球の沖縄キャンプが継続実施されるために県や受け入れ市町村が努力すべきこと、県民が心がけることについて述べていただきたい。
 次に、土木行政、離島振興について質問します。
 中城城正門前にホテルの残骸があります。この問題については新垣善春氏、喜納議員、私などが取り上げてきました。去る12月議会では瑞慶覧議員も質問しています。
 私の質問に対し、補償のあり方について専門家の意見を聞いて、平成14年には方向性が出せるように今進めているとのことでした。また、去る12月の瑞慶覧議員の質問に対し、権利者と交渉中であり、県としても早期に撤去し早期着工を図りたいと述べました。どちらの答弁も前向きですが、実現の見通しが伝わってきません。
 1月30日の新聞に、村外から伊江島に嫁ぎシマンチューとして一生懸命に頑張っている女性に感謝し、激励する「第5回伊江島に嫁いだ女性の集い」が報道されました。そして2月8日には古宇利大橋が開通し、300島民の喜びの声がマスコミで伝わってきました。
 私の出身地は、かつて離島であった平安座島です。子供のころは歩く速度のポンポン船で屋慶名に渡り、干潮時には4キロメートルの距離を歩いて渡っていました。このような中で、1953年8月海難事故が起き、当時の教頭先生を含む7名の方が亡くなりました。古宇利島でも1946年にスポーツ大会の応援団を乗せた船が転覆し、生徒、引率教員合わせて10名の方が亡くなったとのことです。離島苦を味わってきた私には、同じ体験をされた古宇利島の皆さんの気持ちがよくわかります。
 そこで質問します。
 (1)、中城城正門向かいにあるホテル残骸撤去については、これまで私を含め数名の議員が質問しました。県は撤去の考えを表明してきたが、いまだ実現していません。撤去の見通しと問題点を伺いたい。
 (2)、古宇利大橋が開通した。地元の要請から26年目、着工から約11年の歳月を経て、1960メートルの一般道としては日本最長の橋が完成した。離島苦を味わってきた300島民の喜びは大きいと思う。離島振興に関する次の大事業は伊良部架橋である。古宇利大橋開通についての感想と伊良部架橋の見通しについて伺いたい。
 (3)、公共工事に対する元請等から下請への不払い問題等が生じないような対策や業者への指導について伺いたい。
 次に、警察行政について質問します。
 2003年(平成15年)3月12日の予算特別委員会において、「割れた窓理論」について伊波常洋議員と私が質問しました。「割れた窓理論」については、その年の2月21日に当時の髙橋本部長が新聞連載で紹介し、その直後にテレビでも放映されました。
 髙橋氏の新聞連載を要約しますと、「割れた窓理論」は、建物の窓1枚だけでも割れたまま放置しておくと管理不行き届きとして他の窓も割られ建物全体が荒廃し、ひいては地域社会が崩壊していくというもの。
 身近な例を挙げると、管理されず荒れた空き地にはいつの間にか空き缶や瓶、さらには生ごみや粗大ごみまでも捨てられるようになり、地域住民は悪臭に悩まされるようになる。つまり、犯罪の発生は地域社会の環境に大きく影響され、比較的ささいな問題がより深刻な犯罪の呼び水になってしまう。
 ニューヨーク市警では、公共の場の落書きや酔っぱらい、地下鉄の無賃乗車、器物損壊等いわば迷惑行為のような犯罪を厳しく取り締まり、凶悪犯罪を激減させたと述べています。また、県警の実践にも前向きでした。
 昨年12月13日の新聞に、「県警に特殊部隊配備」と報道がありました。報道内容だけでは十分理解できません。配置は、県警の定数枠からの配置か、それとも警察庁からの特別枠配置か。県警の定数枠からの配置になると県民の治安や住民サービスにも影響が起きることになります。また、特殊部隊の任務についても詳しい説明が必要です。
 そこで質問します。
 (1)、「割れた窓理論」について本部長の所見及び警察としての取り組みを伺いたい。
 (2)、特殊部隊の配備が報道されたが、米軍人・軍属による事件・事故対策や空き交番問題等、県民の治安及び住民サービスの視点から県内警察官による部隊編入は問題がないか伺いたい。
 (3)、空き交番の実態と解消について、現状と解決策について伺いたい。
 答弁の後、再質問します。
○知事(稲嶺惠一) 新里米吉議員の質問にお答えいたします。
 最初は、CH53Dヘリの飛行再開についての御質問のお答えです。
 御質問の件につきましては、最近の米軍機の事故原因に人為的ミスによるものが多いことや、日米間で合意された再発防止策の実効性が明らかになっておらず県民の不安が払拭されたものでない状況であることから、好ましいものではないと考えております。
 続きまして、若年者の雇用対策についての御質問にお答えいたします。
 本県若年者の失業率が高い主な理由としては、企業側の即戦力志向の高まり等による技術・技能のミスマッチ、県内志向や公務員志向による地域・職種等のミスマッチに加え、職業意識の低さ等によるものと認識しております。このため、県内外企業就職面接会、県外企業職場体験実習等の実施、沖縄県キャリアセンターにおいては就職支援セミナー、キャリアカウンセリング等を行うとともに、県外インターンシップ等を実施しております。
 また、平成16年度から新規学卒者等の採用・就職促進等を図る若年者地域連携事業や、地域産業の活性化・高度化を担う若年人材を育成する地域産業活性化人材育成事業を実施しております。
 平成17年度においては、座学と企業実習を組み合わせたデュアルシステムの拡充や就職基礎能力速成講座を実施するなど、若年対策を積極的に展開してまいります。
 次に、株式会社サンエーの東京証券取引所市場第二部上場についての感想についての御質問にお答えいたします。
 株式会社サンエーの上場は、企業間競争が激化している流通業界において、地域に密着した流通業として安定的に業績を伸ばしている同社の実績と信用力の高さが認められたものであり、長年にわたる関係者の努力の成果であると考えております。
 本県においては、新興企業向けの証券市場に株式を公開するITや環境関連の企業も出てきております。また、先日、東京で開催された「創業・ベンチャー国民フォーラム」主催の「ジャパン・ベンチャー・アワード2004」において、経済産業大臣表彰及び奨励賞を受賞したベンチャー企業も出てきております。今回の株式会社サンエーの上場は、こうした本県の中小企業、ベンチャー企業に対しても大きな刺激となり、本県産業の振興につながるものと期待しております。
 続きまして、古宇利大橋開通の感想と伊良部架橋の見通しについての御質問にお答えいたします。
 離島架橋の整備は、離島の隔絶性を解消し島民生活の利便性の確保はもとより、教育、医療、福祉等の向上に資するとともに、地域における産業基盤の整備や観光資源の開発を支援するなど、離島振興を図る上で重要な役割を担っております。
 古宇利大橋につきましては、昭和54年から進められた地元の皆様の早期着工要請が実り、平成5年度に国庫補助事業として新規採択され、12年の歳月を経て去る8日にめでたく開通の運びとなりました。古宇利大橋の開通式に際しましては、夢と希望のかけ橋が実現したことで島の子供たちを含めた島民総出の盛大な歓迎を受け心から感激するとともに、同橋の開通が北部地域の振興に大きく寄与することを一層確信したところであります。
 伊良部架橋につきましては、昨年、環境影響評価の手続が整ったことから、平成17年度は橋梁実施設計とともに用地買収、漁業補償、工事用道路整備などに着手できるよう現在国と調整を図っているところであります。今後は早期整備に向けて取り組み、順調にいけば平成18年度には橋梁工事に着手できるものと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○商工労働部長(伊川征一) 県の雇用、賃金の現状についてお答えをいたします。
 労働力調査によると、本県の平成15年の雇用者数については、常用雇用者が38万1000人で、臨時・日雇労働者が9万1000人となっており、構成比は、常用雇用者が80.7%、臨時・日雇労働者が19.3%となっております。構成比を平成10年と比較しますと、常用雇用者が4.8%の減少、臨時・日雇労働者が4.8%の増加となっております。
 また、毎月勤労統計調査によると、平成15年の勤労者所得については、常用労働者1人平均月間給与総額が30人以上の事業所規模で31万8438円、5人以上で26万9608円となっており、平成10年と比較しますと30人以上で7.1%の増、5人以上で1.0%減少しております。
 次に、平成15年の事業所規模30人以上における就業形態別の賃金につきましては、一般労働者が36万3445円に対しましてパートタイム労働者が10万277円となっております。これらのことから就業形態の多様化が進んでいると考えられます。
 続きまして、労働者の雇用不安や社会保障制度などへの影響についてお答えをいたします。
 厳しい経済情勢が続く中、就業形態が多様化し、非典型労働者、いわゆるパートタイム労働者がふえております。これは、企業においては業務の繁閑に合わせた雇用量の調整、専門的人材の活用、人件費削減など、また労働者の側でも若年層を中心とした勤労観の変化、結婚・出産等で退職した女性、高齢者の就業意欲の高まりなどが背景にあると言われております。このようなパートタイム労働者の増加は、一方では雇用不安や社会保障制度等への影響が指摘されております。
 こうしたことから、国においては労働基準法を改正し、解雇ルールを明文化するとともに、多様な働き方に即した社会保障制度のあり方などを検討していると聞いております。県といたしましては、沖縄労働局と連携し労働基準法の周知・啓発に努めるとともに、巡回相談などの労働相談等を実施しているところでございます。
 続きまして、非典型労働者の労働条件の改善についてお答えいたします。
 「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」においては、事業主はいわゆるパートタイム労働者の雇用管理の改善等に努めることとされております。また、雇用管理の改善に関する指針においては、パートタイム労働者と通常の労働者との間の処遇の均衡を図るため職務の内容、意欲、能力等に応じた処遇についての措置を講じるよう努めることが求められるなど、パートタイム労働者の雇用安定について一層推進を図る内容となっております。県としましては、パートタイム労働者の労働条件の改善を図るため沖縄労働局と連携し、同法の周知に努めているところであります。
 続きまして、賃金不払い残業の現状についてお答えいたします。
 賃金不払い残業に関しましては、県の実施している労働相談によると、平成15年度の労働相談件数548件のうち13件の相談がございます。また、平成15年に沖縄労働局が1141事業所に定期監督を実施したところ、割増賃金関係の労働基準法違反が324件となっております。県としましては、沖縄労働局と連携し「賃金不払残業解消キャンペーン月間」での広報を通じ、労働基準法を初めとした諸法規の啓発・周知に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、ダイエー撤退に伴う雇用対策についてお答えいたします。
 産業再生機構がまとめたダイエーの事業再生計画では、県内の2店舗も閉鎖対象と報道されておりますが、店舗閉鎖についての最終的な判断は3月に決定されるダイエー再建支援企業が決めることになると聞いております。県としましては、今後の産業再生機構、支援企業の動向を注視するとともに、沖縄労働局等と連携し、情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、「沖縄県中小企業振興基本条例(仮称)」の制定等についてお答えいたします。
 沖縄県中企業家同友会による「沖縄県中小企業振興基本条例(仮称)」の制定等に関する要望は、中小企業家同友会全国協議会の総会宣言を受けての取り組みであると承知しております。また、この基本条例制定の趣旨は、中小企業の役割を重視し、地域経済の活性化を進めることを目的とするものと理解しております。
 本県においては、沖縄振興特別措置法に基づく産業振興に関する特例措置や沖縄振興計画の分野別計画である沖縄県産業振興計画を基本として、本県経済の担い手である中小企業の振興を図る各種施策を推進しているところであります。
 計画の策定に当たっては、中小企業関係団体との幅広い意見交換を行っており、中小企業の振興を図る要請の趣旨は生かされているものと考えております。
 なお、国における「中小企業憲章」の制定については、国の検討状況などを見守ってまいります。
 続きまして、売掛債権担保融資保証制度についてお答えいたします。
 売掛債権担保融資保証制度は、平成13年12月に創設された新たな保証制度であることから、県では信用保証協会と連携し、金融機関や中小企業者に対し説明会を行い同制度の周知を図ってまいりました。その結果、平成14年度の保証承諾件数は7件、保証承諾金額2億2500万円、平成15年度は14件、3億4300万円、平成16年度は昨年末現在で67件、8億500万円とその利用実績は伸びてきております。県としては、同制度が不動産担保力の弱い本県中小企業者の資金調達に有効であることから、引き続きその利用促進に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、立地企業が目標に達しなかった原因等についてお答えいたします。
 沖縄県産業振興計画において、特別自由貿易地域への企業の立地を平成16年度までに26社と見込みましたが、今年1月末現在11社の立地となっております。
 目標を達成できなかった主な理由としては、製造業の立地動向が全国的にも厳しいことに加え、本土の大市場から遠隔で物流コストが割高であること、関連産業の集積度が低いこと、本県の税制優遇制度を初めとする投資環境の認知度が低いことなどが指摘されております。
 県では、これらを踏まえ特別自由貿易地域物流支援事業を実施するとともに、テレビ・新聞等のメディアを活用した経済特区戦略広報事業を実施するなど認知度向上に努めているところであります。また、賃貸工場使用料の大幅な軽減措置を講ずるなど投資環境の改善を図ることとしております。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) まず、体験・滞在型観光の現状と課題についての御質問にお答えいたします。
 県におきましては、沖縄観光の付加価値を高めるため健康・保養型観光、エコツーリズム、文化交流型観光等の体験・滞在型観光を推進しております。
 健康・保養型観光につきましては、人間ドック型モデルツアー等を実施し、地域における受け入れ体制を構築したところであり、今後、本格的な旅行商品化に向けた取り組みを進めていく考えであります。
 エコツーリズムにつきましては、エコツーリズム推進計画やガイドラインを策定するとともに、西表島仲間川において全国で初めて事業者間保全利用協定の締結を実現いたしました。今後、全県的なエコツーリズム推進機関の設置やツアープログラム認定制度の構築等に取り組んでまいります。
 文化交流型観光につきましては、世界遺産周辺において世界遺産を活用するための観光案内所や駐車場等の利便施設を整備しております。今後、旅行商品の造成促進や歴史ガイドの育成に取り組んでまいります。
 また、沖縄空手道・古武道支援センターとの連携により、空手を活用した国内外との交流促進方策を検討するとともに、各流派合同による沖縄空手道・古武道セミナー及び演武会を開催いたしました。今後、空手発祥の地にふさわしい空手交流拠点の形成に向けた受け入れ体制の整備や情報発信システムの構築に取り組んでまいります。
 次に、外国人観光客の誘致と受け入れ体制の整備についての御質問にお答えいたします。
 現在、県におきましては、本県との直行便を有する台湾、韓国、中国等を中心に誘客活動を展開しておりますが、海外からの観光客誘致につきましては韓国からは新婚旅行とゴルフツアー、台湾からは若年層ツアーやクルーズなど、当面、国別にターゲットを定め、より戦略的に取り組んでおります。
 上海からの観光客誘致につきましては、新たに設置する上海事務所を活動拠点にし、富裕層をターゲットとしたツアー開発を行う考えであります。
 また、受け入れ体制については、現在、那覇空港国際線ターミナルにおける観光情報発信機能を整備しているところであります。今後は、公共交通機関や観光施設等での外国語表記の充実、多言語による観光ガイドブックや県内マップの作成、外国語のできる人材の育成・活用、年間を通した外国人観光客向けの部屋の確保などの対策を拡充強化してまいりたいと考えております。
 次に、安価な航空チケットについての御質問にお答えをいたします。
 航空運賃の低減化は、離島県である本県振興の重要な課題であります。復帰後、本県への入域観光客数が増大した大きな要因として、パッケージ型旅行商品の流通拡大や航空会社による各種割引運賃制度の導入及び国の航空機燃料税の軽減措置等により、航空運賃や旅行費用が引き下げられたことがあります。国におきましても、旅行コストの引き下げを「観光立国」の課題の一つとしており、昨年11月の「観光立国推進戦略会議報告書」において、長期旅行についても個人が格安な価格で航空機を利用できるようにすべきとの提言がなされております。
 現在、航空運賃につきましては事前届け出制で自由化されており、航空会社の経営判断にゆだねられておりますので、県としましては機会あるごとに航空会社に協力をお願いするなど、国とも連携しながら航空運賃の引き下げに努めてまいりたいと考えております。
 次に、エージェント依存率が高いこと及び世界的なホテルチェーンとの提携についての御質問にお答えをいたします。
 県内宿泊施設においては、入域観光客数の増加に伴い稼働率が向上し、宿泊単価についても上昇傾向にあるものの、宿泊特化型施設の増加による競争の激化や、観光客がホテル内の飲食施設を利用しない傾向となるなど、個々の宿泊施設における差別化や魅力づくりが求められております。このような中、県内資本ホテルの世界的なホテルチェーンとの業務提携は世界水準の施設やサービスの提供が可能になり、利用者の満足度が向上するほか、従業員の資質や管理運営面での向上が図られ、さらには海外富裕層の誘客にも寄与するものと考えております。このことにより、本県観光全体の質の向上や国際的なステータスの向上にもつながるものと期待しております。
 次に、宿泊施設統計についての御質問にお答えをいたします。
 観光リゾート局におきましては、主に観光客の利用に供する宿泊施設の実態を把握するため、毎年「宿泊施設実態調査」を実施しております。その中では、宿泊施設をホテル・旅館、民宿及び団体経営施設・ユースホステル等の3業態に分類し、軒数、室数及び収容人数を把握しております。
 御質問の簡易宿所には、民宿やユースホステルのほか、観光客の利用が増加しているいわゆるドミトリー等が含まれておりますが、これらの施設はすべて調査対象としており、観光面では限りなく実態に近い把握をしております。
 旅館業法に基づく宿泊施設数との差は、観光客が利用しない、いわゆるモーテル等を外していることなどによるものであります。
 次に、プロ野球キャンプの継続開催に向けた沖縄側の取り組みについてお答えをいたします。
 プロ野球キャンプは、地域経済の活性化や観光PRの観点にとどまらず、青少年の健全育成にも大きく寄与するものと考えております。
 プロ野球キャンプは受け入れ施設の整備が前提となることから、まず市町村としては施設の整備充実に十分な配慮を行うことが必要であります。さらに球団の協力を得て日々の詳細な練習スケジュール等のキャンプ情報を収集・発信し、より多くの県民がキャンプ地に足を運ぶよう働きかけるとともに、球場周辺の駐車場整備や交通整理を行うなど、官民一体となって歓迎体制をつくり上げることも重要と考えております。
 また、県民としては選手を激励するだけではなく、取材に訪れるマスコミや応援のために来県したファンに対しても親切に接することが大切であると考えております。
 以上でございます。
○企画開発部長(花城順孝) 国際線ターミナル施設の整備についてお答えいたします。
 国際線ターミナル施設の整備については、利用客の利便性向上のため、これまでに案内カウンターへの英語の話せる職員の配置やトイレ等の改修を行っており、現在は搭乗待合室を広げ観光情報発信室を整備しているところであります。
 国際線ターミナルビルの抜本的な整備については、現在、那覇空港の総合的な調査の中で検討を進めているところであり、今後、調査結果を踏まえ国及び関係機関と調整をしながら早期の整備促進に向けて取り組んでまいります。
○土木建築部長(末吉 哲) 中城城正門向かいにあるホテルの残骸撤去の見通しと問題点についてお答えいたします。
 中城公園内にある旧ホテル群は昭和46年から48年ごろにかけ建築され、49年の営業中断以降、放置されている状況であります。当該物件には抵当権が多数設定されていることや、営業補償を要求していることから交渉が難航しております。事業執行に当たっては、平成23年の完成を目途に現在用地買収を先行して事業を進めており、平成11年2月現在、全体面積95.3ヘクタールのうち58.1ヘクタール取得済みで、約61%の取得率となっております。当該物件については、今後とも粘り強く交渉を行い、早期に撤去ができるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、公共工事における下請への不払い問題についてお答えいたします。
 元請と下請の間の請負契約については、当事者間の私的契約という位置づけであり、また民事不介入という問題もありますので、行政が積極的に関与するには限界もあります。現在、県は公共工事において下請代金未払いの事実があった場合には、元請や関係業者等から事情を聞くなどして問題点の把握に努めながら自主解決に向けた指導助言等を行っております。
 県としては、建設工事の適正な施工の確保と建設業の健全な発展を促進するため、これまで以上に建設業法の遵守について講習会や各種説明会などのさまざまな機会を通じて指導していく考えであります。
 以上であります。
○警察本部長(三浦正充) 「割れ窓理論」と警察としての取り組みについてお答えをいたします。
 「割れ窓理論」と申しますのは、まさに議員の御指摘のとおり、建物の割れた窓ガラスを1枚でも放置しておくと、管理の目が行き届いていないと受け取られて順次他の窓も割られ、建物全体が荒廃し、ひいては地域社会全体の治安が低下していく、すなわち比較的ささいな違反行為の積み重ねによって人々の罪悪感が薄れ、それがエスカレートしていずれ大きな犯罪へとつながり、深刻な事態を招く状況になってしまうというものと理解をしております。したがって、この理論に基づく対策としましては、小さな秩序の乱れを看過せず、大きな乱れとなる前に対策を講じること、県民一人一人が地域社会の一員として罪悪感を失わず、社会規範を遵守する社会環境をつくることが重要であるということであり、治安を維持し、安全で安心して暮らせる地域社会を実現する方策として極めて有効な理論であると評価しております。
 この観点から、県内の治安に影響を及ぼす割れた窓に当てはまるものとしましては、地域の生活環境を荒廃させる要因となる公共施設等の落書きや損壊事案、自転車盗や車上ねらいなどのこれまで比較的軽微な犯罪と考えられていた身近な犯罪、少年非行に発展する要因となる深夜徘回などの不良行為、歓楽街の風俗環境を悪化させる要因となる客引き行為、自然環境を破壊する要因となる粗大ごみや産業廃棄物等の不法投棄などが考えられます。
 県警察では、これらの要因を除去するため各種取り組みを講じているところでありますが、具体的には公園の落書き消しや暗がりの点検、地域のパトロール活動等を通して生活環境の浄化を図る地域住民の自主防犯活動の促進対策、身近な犯罪の抑止及び取り締まりを強化することで県民の体感治安の向上を目的とする身近な犯罪抑止対策、少年補導活動の強化や居場所づくり活動等で健全育成を図る青少年の健全育成総合対策、那覇市松山地区等の風俗環境の浄化を目的とした歓楽街浄化対策、悪質な不法投棄を取り締まり、自然環境を保護する「美ら島環境クリーン作戦」などの諸対策について関係機関・団体、地域住民等と連携した取り組みを強化し、犯罪のない安全で安心して暮らせる地域社会の実現を目指す「安全なまちづくり総合対策」を推進しているところであります。引き続きこうした取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 次に、特殊部隊の配備は他の治安課題との関係で問題はないのかとの御質問にお答えをします。
 御質問の特殊部隊、いわゆるSATは、昭和52年に発生した日本赤軍による日航機乗っ取り事件、いわゆるダッカ事件を契機に警視庁と大阪府警察に設置されていたところ、深刻さを増す銃器情勢等に的確に対応するため平成8年に北海道、千葉、神奈川、愛知、福岡の5道府県警察に追加設置されたものと承知しております。
 その任務としましては、ハイジャック事件や人質立てこもり事件等の重大突発事件、組織的な犯行や強力な武器が使用される事件などに出動し、被害関係者の安全を確保しつつ事態を鎮圧し、被疑者を検挙することを主たる任務としております。これまでに平成7年6月、北海道で発生した全日空機ハイジャック事件、平成12年5月、広島で発生した高速バス乗っ取り事件に出動し、事件解決に貢献したと承知しております。
 当県にはこれまでこうした特殊な訓練を施され、特殊な装備を有する部隊がなかったわけですが、他県から離れた島で構成されている当県において仮にこのような突発重大事件が発生をした場合、他県からの支援にかなりの時間を要すること、気象条件によっては支援が困難な場合も予想されるところであります。いついかなる場合にも迅速かつ的確に県民の生命・身体の安全を図り得るよう、当県の置かれた地理的条件等を総合的に判断して今回SATを設置することとしたものであり、当県警察の治安維持能力、危機管理能力を向上させるものと考えております。
 この要員につきましては、平成14年度から平成17年度までに増員をされ、あるいは増員予定の245人の中で賄うこととしております。むしろこの増員の大半は交番機能の強化や各種事件・事故への対応に充てられるものであり、特殊部隊の設置によって他の業務、他の治安課題に影響を及ぼすことはないと考えております。
 次に、空き交番の現状と解決策についてお答えをします。
 本県には現在73の交番が設置されており、そのうち空き交番と言われる交番数は15交番、全体の20.5%であります。
 なお、空き交番とは、交番勤務員の不在が常態化している交番のことで、基本的には一当務――これは24時間制勤務のことでありますが――一当務当たり2人以上の交代制の警察官が配置されていない交番をいいます。したがいまして、一当務2人以上の警察官が配置されている交番において、警察官が事件・事故への対応やパトロールのため一時的に不在となっている場合は、ここで言う空き交番には含んでおりません。
 続いて、こうした空き交番の解決に向けての取り組みについてお答えをします。
 住民が身近に不安を感じる犯罪を抑止するためには、交番機能の強化が極めて重要であり、全国警察が空き交番を解消するための対策に鋭意取り組んでいるところであります。県警察におきましてもこれを重要施策の一つに位置づけ、警察官増員分の交番への重点配置、業務の合理化・迅速化による警察官の交番への配置がえ等により、交番に警察官を配置して空き交番の解消に努めているところであります。
 また、一時的に不在となる交番の解消のため交番勤務の警察官を補助する交番相談員の増員配置、昼間の時間帯に交番に常駐することを任務とする警察官の配置、パトカーを2人ではなく単独で運行させることによるパトカー乗務員の交番への臨時配置などにも努めているところであります。今後とも交番警察官のさらなる増員、交番配置の調整、平成16年度から地方財政計画で容認をされた交番相談員の大量増員等の諸対策を推進し、交番機能の強化を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○新里 米吉 2点再質問をします。
 1点目は、産業振興についての(3)についてです。
 先ほどの答弁で、26社の見込みに対して11社ということでした。目標の42%です。その理由が製造業の立地が全国的に厳しい、それから流通コストの問題、それから優遇措置のことが十分浸透していないと、大体私なりに先ほどの答弁を整理するとそういうことになるのかなと思いました。
 知事はきのうの答弁でも、知事のトップセールスもして企業を96社も誘致をしたという話もしておられましたが、ただ、そういう話がありながら肝心の特別自由貿易地域が42%しか埋まってないと。50%余りが空いている、こういう状況についてどう考えるのか。本当に今言った答弁でいいのかどうか、この辺が問題だろうと思うんですね。
 本当は私は、知事、非常に答えにくいだろうし、県も答えにくいんだろうけれども、優遇措置が浸透してないんじゃなくて、優遇措置が不十分でしたと答えた方がすっきりするんだろうと思うんですよ。釣り具にならなくてバーキで魚を釣っているようなものですよ、あれは。だからなかなか難しい。企業誘致対策監も置いて、知事もトップセールスをしてもこれはなかなか難しいんです。これが実態だろうと。
 ただ県としては、つくられたものを一生懸命活用していくという姿勢はこれは必要ですよ。そのための努力は必要。しかし、本当の理由はそこじゃないかと思い切って言ってみたらどうかと思います。
○議長(外間盛善) 時間です。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 新里議員から大変貴重な御提言をいただきました。
 先ほど申しましたように、私が知事になってから96社の誘致に成功しましたけれども、やはりその中で非常に沖縄に向く企業はなかなか現行では難しい企業というのがございます。
 1つは、情報通信関連産業というのは圧倒的に多いわけですけれども、それは情報ハイウェイを設置することによって非常に多くの方々が使いやすい状況になったわけです。そして最近では健康・バイオ産業というのは順調に伸びております。中城においてはいわゆる製造業というのが中心になります。製造業というのは、なかなか普通の場合は、先ほど部長の説明がございましたように多くの問題点がございます。この中で大変昨年は一つのすばらしいヒントを得たのは、ニップラという、世界一の水族館、本部の「美ら海水族館」のアクリルパネルのメーカーがそこに進出いたしました。もちろん私はトップセールスでその社長にもお会いをして来ていただいたわけですけれども、そこではいわゆる世界のオンリーワン企業ということでの特殊な技術その他を持っておりますので、現行の中で十分にむしろ大きく展開をしたいということでございます。
 その意味で、これからは一つの幅を非常に絞りまして、そしてその中でいわゆるオンリーワン企業、少々コストが高くても成功することによって付加価値を伸ばしていくと、そういう企業の誘致に積極的に取り組みたいと思っております。
 それから、制度自体の問題というのはこれはすべて最初から全部整えば大変結構でございます。しかし、多くの問題というのがあるというのは、1つ成功することによって次のステップに進むものだと思っております。
 例えば例を挙げますと、デューティーフリーショップというのは空港の中にありまして、空港の中で非常に大きく成功することによって空港外展開という一つのものが出てきたわけでございます。その意味で今後とも現在の制度を十二分に生かしながら、それを大きく発展させながら、そしてさらなる大きな飛躍を目指していきたいと考えております。
○糸洲 朝則 それでは公明党県民会議を代表いたしまして質問をします。
 初めに、国のあり方を決める根幹となる憲法と教育基本法の改正問題について、知事の基本的な政治姿勢を伺います。
 (1)、我が党は、現行の日本国憲法はすぐれた憲法であり、戦後の日本の平和と安定・発展に大きく寄与してきたと高く評価しています。中でも国民主権主義、恒久平和主義、基本的人権の保障の憲法三原則は不変のものとしてこれを堅持すべきだと考えます。
 また、憲法第9条は、アジア諸国民に多大な犠牲を強いたさきの大戦に対する反省と、再び戦争を繰り返さないというメッセージを諸外国に発信してきた平和主義の根拠であり、戦後の日本の平和と経済的発展を築く上で憲法第9条の果たしてきた役割は極めて大きいものがあったと認識しています。
 そこで我が党は、2002年の党全国大会において、憲法三原則を堅持するとともに、平和憲法の象徴である憲法第9条を堅持した上で、時代の進展とともに提起されている環境権やプライバシー権等の新しい人権を加え、現行憲法を補強する「加憲」という立場を打ち出しました。憲法改正論議に対する知事の所見を伺います。
 (2)、一方、教育基本法の改正問題で我が党は同法の基本理念について教育の目的を人格の完成としていることなどで、いかなる時代にも通じる普遍的なものと考えております。その基本理念は堅持しつつも、制定から半世紀以上が経過して教育の課題が多様化している現状を踏まえ、教育の向上のために同法を補完・補強する見直しの検討は必要だとの認識です。具体的には人格の完成、個人の尊厳などの現行法の理念を強化するとともに、生命の尊重という理念、学校、家庭、地域の連携、生涯学習の充実、教育振興基本計画の策定などを新たに盛り込むことを提起しております。ただし、国を愛する心を法律で規定することは国家によって愛国心を強要された戦前の国家主義への反省を踏まえ、慎重に検討すべきだとの考えです。
 国には、国民や領土のほかに統治機構という意味も含まれるため、その国を愛することを教育の目的として国家・政府が法律で求めることには問題があります。また、宗教に関する知識や宗教の意義を教えて宗教的情操を涵養することを規定することは、宗教を信じない自由も含め「信教の自由」を侵すおそれがあるため、基本的には現行条文を変えるべきではないと考えています。
 教育基本法の見直しは、人間の内面にかかわる極めて重要な問題です。国民的な論議の中で教育の未来に向けてよりよき合意が図られていくことを望みますが、知事の所見を伺います。
 2番目に、平和行政について伺います。
 今年は沖縄戦の終結から60年の節目です。砲弾の炸裂が途絶え、命の安全が保証されたとき、私たち県民は戦争の愚かさを知りました。その戦後も既に二世代相当の歴史的時間を経て、そして国際社会も日本も戦後とは異質な世界と言えるほど大きく変わってしまっているのが現実です。しかし、私たち県民にとっては、時代がどう変わろうともあの戦争体験を風化させることなく次世代に継承させていくことが日本の中の沖縄、アジアの中の沖縄、世界の中の沖縄の大きな使命と責任であると思います。
 国連のアナン事務総長は、国連の目指すべきゴールとして「脅威が生じにくい世界の創造」という予防的な役割と、「それでもなお起こる脅威に立ち向かいうる、より大きな能力の構築」という問題解決能力の強化の2点を挙げています。これは脅威が生じにくい世界の創造イコール対話と、それでもなお起こる脅威に立ち向かい得るより大きな能力の構築、抑止という概念に置きかえることができます。とりわけ米軍基地を抱える我が県にとっては、アジア・太平洋地域における信頼醸成と平和構築に向けてどのような貢献ができるのか、主体性の発揮が求められております。
 そこで、私ども公明党が改めて提案したいのが国連の新たな地域拠点となる「国連アジア太平洋本部」を沖縄県に設置するというプランであります。アジア太平洋本部の新設を通じて、同地域における人間の安全保障に関する活動を充実させながら、国連が目指す脅威が生じにくい世界の構築のモデル地域建設への挑戦を開始すべきだと考えます。
 今回、新たに太平洋地域もカバーした案を提唱させていただいたのは、太平洋地域にはカナダやオーストラリアを初め国連の活動に積極的な国々があり、そこに国連の活動を必要としている国々の多いアジア地域を結びつけることによって相乗効果が考えられるからです。
 そこで質問いたします。
 我が党のこれまでの提案を受け、県も国連機関誘致へ向けた調査を進めておりますが、具体的な最重要課題は人材の確保です。例えば外務省のJPO制度、いわゆる外務省主催による国連機関への人材派遣制度等を利用して国連に派遣された経験のある人材を県として採用し、国連機関誘致へ向けた特命を与えてはどうでしょうか。
 (2)点目に、戦争体験の風化が危惧される中、若い世代にどう戦争体験を継承していくかが問われております。例えば、他府県からの修学旅行生が戦跡をめぐる場合、その案内は地元の中高生が行うなど、次世代を担う若者がみずから学び、語ることによって平和の心を次世代へとつないでいく試みもあってよいものかと考えます。中高生などを対象にした平和ガイド養成講座を開設してはどうでしょうか。
 3点目に基地問題です。
 日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が19日、米国防総省で行われ、在日米軍基地再編問題について、在日米軍基地周辺自治体の負担軽減などを図るため、自衛隊と米軍による基地共同使用の拡大を検討することが合意されました。年内決着へ向けて米軍再編作業が加速する中、沖縄県としては今後海兵隊の海外移転など目に見える形で過重負担をどう軽減させていくのか、日米両政府に対し強く働きかけを続けていくことが重要です。
 一刻も早い危険除去が求められる普天間基地については、既定方針どおりSACO最終合意の着実な推進を図りつつ、一方で代替施設完成前の前倒し返還、実質遊休化の可能性を探るのが最善の選択だと考えます。
 そこで、負担軽減へ向けた県の今後の取り組みについて伺います。
 (1)つ、訪米要請で知事が米国政府に提案する内容は何か。また、訪米の具体的スケジュールはいかがでしょうか。
 普天間基地の今後の返還プロセスについて伺います。一刻も早い危険除去と跡地利用計画を並行して進めるべきだと思いますが、知事の見解をお聞かせ願います。
 政府は、辺野古移設見直しを米側に提起する方向で検討に入ったと報じられていますが、辺野古以外の代替案が示された場合の対応についても御説明願います。
 米軍再編に伴う日米協議の中で地位協定の見直しはどう位置づけられ、沖縄県の意見はどう反映されるのか。
 那覇軍港移設に伴う跡地利用計画の現状と今後の取り組みは。また、那覇市が構想している奥武山球場及び陸上競技場と、そして軍港跡地開発はリンクするのでしょうか。また、県のかかわり方について伺いたいと思います。
 4点目に観光振興について伺います。 
 我が県最大の産業である観光・リゾート産業は、今文字どおり基幹産業と呼ばれるにふさわしいリーディング産業として大変好調な推移を示しています。
 さて、今後の展望について考察した場合、従来の国内を中心としたリゾート客、修学旅行生がメーンとなっておりますが、沖縄の地理的優位性からすれば、アジアからのリゾート客をどう引き込むかは沖縄観光発展の新たな活路になることは間違いありません。特に世界経済の成長のエンジンとも言われる中国からの受け入れは、50年後の沖縄経済の命運を決定づける最重要課題です。
 ところが、その世界経済の中枢市場と沖縄を結ぶ那覇―上海直行便が、毎日運航から週2便に減便されるというではありませんか。しかもその理由は、利用率の低迷ではなく、国と国とが発着空港や便数などを定める航空協定の発着枠の制限ということです。今回の減便は、中部国際空港の開港など日中航空協定で定められた相互乗り入れの便数枠を超える需要が生まれ、枠内での減・増便の必要が生じたためと見られております。
 そこで伺いますが、(1)つ目に、現在、政府自身も2010年に1000万人の外国人観光客を誘致する「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を展開しており、この際、中国からの路線枠そのものの拡大を政府に強く要請していくべきだと考えますが、県の見解はいかがでしょうか。
 (2)、また、県は現在、上海事務所の開設を準備しておりますが、同事務所を拠点にして官民一体となって中国からの誘客運動を展開できないものでしょうか。
 (3)、沖縄観光コンベンションビューローでは、アシアナ航空チャーター便を利用した韓国ゴルフ客の誘致を進めておりますが、今後、韓国及び諸外国からの観光客誘致へ向けた県の具体的戦略についてお聞かせください。
 (4)点目に、昨年暮れ、那覇市おもろまちにオープンした空港外大型免税店、いわゆる「DFSギャラリア・沖縄」は、県内景気回復の要因の一つになっているとの指摘もありますが、DFSの反響、効果、あるいはまた課題等について御説明をいただきたいと思います。
 沖縄観光の課題の一つであります利益なき過当競争の問題ですが、県内のホテル業界からは、大手の旅行エージェント依存の集客システムと航空会社を中心とするキャリア主導型の販売戦略に対し、ざる経済の元凶との厳しい指摘があります。ある旅行会社の調べによると、県内の主要ホテルでは客室総数の実に9割を旅行エージェントに委託販売しているというのです。ちなみに、国内の他の観光地は5割程度、東京などの首都圏では2割程度。しかも客室単価の2割、中には最大4割をエージェントに販売手数料として支払っています。
 こうした観光の中身の問題については、現状と県の対応が必要かと思われますが、お聞かせ願いたいと思います。
 5点目に文化政策について伺います。
 観光客の一層の誘客を考える上で、映画による島づくりや映像による魅力発信は重要です。かねてから我が党が提案してきたことではありますが、国際映画祭開催へ向けた今後の具体的取り組みはどうなっておりますでしょうか。
 また、先日、全国に先駆けて「北の零年」の先行上映が沖縄で行われました。那覇市民会館で行われたプレミア上映会には、沖縄を映画の島にしようと提唱されている東映の岡田社長のほか、主演の吉永小百合さんも来沖され、知事も歓迎のあいさつを述べられました。
 実はこの席上、岡田社長は、沖縄を舞台にした映画づくりを約束されましたが、こうした制作会社の意欲を県が後押しする考えはないか伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 (1)、まず、ボランティアについてです。
 地域や職場での防災の担い手育成へ向け、県が積極的な取り組みを開始してほしいと思います。例えば、NPO法人「日本防災士機構」が認定する防災士を地域に誕生させ、災害発生時、避難や救助活動などにボランティアとして協力してもらうほか、減災に向けた防災点検などを担ってもらってはどうでしょうか。
 防災士は、阪神大震災をきっかけにできた同機構が正式に認定する資格で、今年1月現在全国で4320人おり、同機構は今後10年間で40万人の防災士認定を目指しております。
 都道府県としても既に愛知、三重、兵庫の各県が防災士資格取得のための研修を実施しておりますが、我が県としても研修会の実施とあわせて防災ボランティア基金の創設を提案し、県の所見を伺います。
 (2)、津波・高潮災害に対処するための琉球諸島沿岸津波・高潮浸水予測地図、いわゆるハザードマップの作成について伺います。
 (3)、津波シェルターの開発及び避難場所の設置について伺います。
 (4)、障害者や高齢者など災害弱者のための避難マニュアル作成を提案いたします。 
 (5)、国土交通省は、自治体の住宅耐震改修事業に助成を行う「地域住宅交付金制度」を創設する方針ですが、県の公共施設及び民間住宅耐震化の具体的目標について聞かせてください。
 (6)、ところで、米海軍病院は先月、県内の医療従事者向けにアメリカ心臓協会の救急救命処置の認定講習を開催しましたが、このような形での米軍の協力は重要です。大規模災害やテロに備えた病院、消防等米軍との協力体制はどうなっておりますか。また、基地内道路の通行や施設の利用はどうなっておりますか。
 (7)、ライフラインの確保は、大型台風のたびに停電等の被害を受けている我が県の大きな関心テーマです。新年度、宮古で電線共同溝整備事業が始まりますが、都市部も含めた全県的な取り組みの見通しについてお聞かせ願いたいと思います。
 医療・福祉行政でございますが、(1)点目に、難病支援センターについて伺います。
 現在、関係者がNPO組織を立ち上げ、難病支援センター的役割を担っております。同センターは、難病患者らが互いに支え合い、就労支援や健康相談などを通し自立を目指す活動を続けている組織ですが、難病患者からは支援制度が一握りの優遇措置に陥っているとの声もあります。現状と県の取り組みについてお聞かせください。
 次に、少子対策について伺います。
 認可外保育園への支援は最重要の課題であります。我が党は、沖縄の特殊事情や認可外保育園が担っている社会的役割などから国や自治体に支援策の強化を粘り強く求めてきたところでありますが、ようやく沖縄振興にかかわる特別調整費をこれに活用できるのではないかとの感触を厚生労働省や内閣府から得るまでに至りました。県の考えについて御説明をいただきたいと思います。
 (3)点目に、300人以上の企業や自治体に有給休暇や育児休業の取得向上への目標値を盛り込んだ行動計画の策定が義務づけられるいわゆる「次世代育成支援対策推進法」が4月から全面施行されます。しかし、300人未満の中小・零細企業が圧倒的に多い我が県においてはどう取り組むのか、当局の考えをお聞かせください。
 「沖縄県次世代育成支援行動計画」の素案が先ごろまとまりました。同計画が目指す人口減少社会における沖縄県の将来像と具体的取り組みについて示していただきたいと思います。
 (5)点目に、障害児の放課後ケアについて伺います。
 厚生労働省は、新年度予算で中高生向けの障害児タイムケア事業を開始します。これまで小学生の障害児を対象にした福祉サービスはありましたが、中高生は制度の谷間に置かれ、全国の自治体や保護者からはケア事業の早期実施を求める声が上がっておりました。県も中高生の放課後活動を支援する方向ですが、新年度から何がどう変わり、家族の負担はどこまで減らせるのか、具体的に聞かせていただきたいと思います。
 次に、教育行政について伺いますが、(1)点目に、英語教育の小学校での必修化を指摘する専門家は数多くおります。文部科学省も検討を開始しており、近い将来の必修化は自然な流れだと思います。
 そうした中、米軍基地を抱え長く米国との深いかかわりを持ってきた我が県は、非常に有利なインフラを持っていると言えるのではないでしょうか。他府県では、茨城県水戸市の「幼・小・中英会話教育特区」のように公立幼稚園の段階から英会話を取り入れている自治体もあります。
 もちろん我が県でも読谷高校2年生の小長井貴仁君や沖縄尚学高校附属中学2年生の知念藍さんがこのほど英検1級以上に相当する国連英検A級に合格するという快挙をなし遂げ、将来はそれぞれNASAで働きたい、国連の通訳官になりたいとの夢を語っております。語学教育の充実は、こうした国際的に通用する人材を育てるための土台です。
 そこで、我が県の県内学校現場へのネーティブスピーカーの英語助手の配置状況はどうなっておりますか。今後、県内全域を「英会話教育特区」として全国有数の英会話先進県を目指してはどうでしょうか。
 (2)点目に、今春から県立高校の学区が拡大され、学科改編の動きも活発化するなど高校改革が進んでおります。入学後のミスマッチによる中途退学などを防ぐとともに、学校の活性化にもつながると期待される一方、一部の進学校に生徒が集中し学校間の学力格差が広がるのではないかとの懸念もありますが、県立高校の再編作業の現状及び見通しについて御説明を願います。
 (3)、そうした中、県教育委員会から就職指導の研究校に指定されている那覇工業高校では、インターンシップ制度や進路宿泊研修制度が成功しております。これを大いに参考にし、全県的に進路指導のあり方を進めてはどうでしょうか、見解を伺います。
 次に、環境問題でございます。
 我が党の元環境庁長官・浜四津敏子代表代行は、去る16日、ノーベル平和賞受賞者でケニア環境副大臣のワンガリ・マータイさんと都内で会談をいたしました。マータイ女史は、環境破壊に苦しむ農村女性を救うため1977年に「グリーンベルト運動」を創設、約3000万本に上る植樹を通して環境保護や民主化、女性の地位向上に尽力したことが認められ、昨年12月、ノーベル平和賞を受賞いたしました。会談でマータイ副大臣は、日本には「もったいない」というすばらしい価値観がある、これを世界に訴えたいと強調しています。「もったいない」という言葉は日本にしかないそうであります。
 さて、二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減を義務づける京都議定書が2月16日に発効いたしました。数々の紆余曲折がありましたが、議定書が発効するに至ったことは国際社会、また未来世代にとっても画期的な出来事であります。各国は、あらゆる対策を総動員して温室効果ガスの削減目標達成に取り組むべきであります。官民挙げた意識改革と革新的技術開発が不可欠でございます。
 そこで県の考えを伺います。
 (1)つ、京都議定書が発効されたが、県の認識と取り組みはいかがでしょうか。
 (2)、環境税に対する見解は。また、環境税が導入された場合の沖縄県への影響はどのようなものが考えられるでしょうか。
 (3)、県内における新エネルギー開発の現状と将来見通しについて御説明をいただきたいと思います。
 次に、農林行政について伺います。
 「農民が不幸な国は、どんな国民も幸福ではありません。農民の幸せな笑顔が、その国の幸福を決める」、これはインドの「緑の革命」の父・スワミナサン博士の言葉です。「農業は生命産業」、これが公明党の考え方であります。農業は、国民の生命の源である食料を生産しております。安心・安全な食料を確保することは政治の最も基本の使命であり、農業政策は政治の重要課題であると言えます。だからこそ世界経済のグローバル化が大きな潮流となる中、私たちは守りの農業から攻めの農業への大転換を図り、沖縄の農業を地域再生へ向けた成長のエンジンへと発展させていかなければなりません。
 そこで伺います。
 全国では、地域素材を活用し地域と一体化して食農教育、総合学習との連携を強めているところがふえております。例えば、愛媛県今治市では地産地消と学校給食とを一体化させた取り組みを20年以上も推進してきており、地元産の農産物を給食用素材として利用するだけでなく、子供たちに安全を届けるため有機野菜の割合を年々高め、最近ではその割合は約6割に達しているといいます。県産農水産物の地産地消推進に向けた県の取り組みをお聞かせください。
 (2)、JA沖縄は、県産和牛の消費拡大を目指し、ブランド銘柄を「おきなわ和牛」に統一いたしました。そのメリットは何でしょうか。また、「石垣牛」など既に定着しているブランドもありますが、それらへの対応はどうなるのでしょうか。
 (3)点目に、ところで「松くい虫ゼロ大作戦」がスタートしてやがて満3年になりますが、最近の調べでは、2003年度1年間に県内で松くい虫の被害を受けたリュウキュウマツなどの松の木は8万7960本に上り、前年比57%増の深刻な状況にあることが明らかになっております。抜本的な対策の見直しが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、離島振興について。
 (1)、待望の新石垣空港がいよいよ事業化されますが、今後の取り組みと課題、開港までの行程について御説明願います。
 (2)点目に、離島市町村合併の今後の展望はどのように考えられますか。また、「一島一町村」という考え方に対する県の御見解を伺いたいと思います。
 以上、質問といたします。 
 よろしくお願いします。
○議長(外間盛善) ただいまの糸洲朝則君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
 休憩いたします。 
   午後3時24分休憩
   午後3時46分再開
○議長(外間盛善) 再開いたします。
 休憩前の糸洲朝則君の質問に対する答弁を願います。
 稲嶺知事。
   〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 糸洲朝則議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は、憲法改正についてでございます。
 御指摘のように、憲法について具体的な提言をされていることは承知しております。
 憲法論議については、さまざまな団体等によるさまざまな意見や提言があり、国民の間で論議が高まりつつある状況を見ますと、時代の変化に応じて検討する必要があると思いますが、時代の変化をどう認識し、対応していくのかについて十分に議論すべきだと考えております。
 いずれにしましても、憲法については主権者である国民がさまざまな議論を通してより理解を深めることが重要であると考えております。
 続きまして、教育基本法の改正についての御質問にお答えいたします。
 教育基本法の理念等についてはさまざまな意見があり、国民の幅広い論議が必要であると考えております。
 教育においてみずからの国や伝統文化について理解し、日本人であることの自覚を持ち、他の国や異文化に対して敬意を払い、国際社会の一員としての意識を涵養することは重要であると考えております。
 次に、訪米についての御質問にお答えいたします。
 私は、3月12日から20日までの予定で訪米し、米国務省や国防総省等の関係機関に対し、県民の目に見える形で過重な基地負担の軽減がなされるよう米軍再編に対する県の考え方である在沖米海兵隊の県外移転や嘉手納飛行場の運用改善等を示すとともに、米軍人等による事件・事故の防止など本県が抱えている基地問題の解決を強く訴えたいと考えております。
 次に、普天間基地の返還プロセスについての御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場返還問題の解決については、当面の危険性除去という緊急的措置と本来の移設・返還のそれぞれの側面から対応する必要があります。
 緊急的措置としては、普天間飛行場における海兵隊の兵力の削減及び訓練の分散、移転などがあります。県としては、米軍再編において本県の基地負担に大きなウエートを占めている海兵隊の県外移転を求めるなど、県民の過重な基地負担が目に見える形で軽減されるよう的確に対応してまいります。
 また、普天間飛行場返還後の跡地利用については、平成11年12月の閣議決定における「駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等に関する方針」に基づき、国、県、宜野湾市が密接な連携のもと、平成17年度を目途に「普天間飛行場跡地利用基本方針」の策定に取り組んでいるところであります。具体的な跡地利用計画につきましては、跡地利用基本方針が策定された後に宜野湾市が中心となって検討することとなっております。
 次に、辺野古移設見直しの新聞報道についての御質問にお答えします。
 新聞報道について外務省に問い合わせたところ、報道されているような事実はないと否定しております。県は、米軍再編における沖縄の基地負担の軽減についての県の対処方針として海兵隊の県外移転等を求めていきたいと考えております。
 次に、米軍再編と日米地位協定の見直しについての御質問にお答えいたします。
 2月19日に開催された日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2において日米両政府は、日米地位協定の問題に関し、環境への適切な配慮を含む取り組みの重要性を確認しております。また、自民党や公明党においては合同調査会、プロジェクトチーム等が設置されており、再編協議とあわせて日米地位協定についても検討したいとしております。
 県としては、日米両政府の協議等において日米地位協定の問題がしっかりと議論され、県が求めている日米地位協定の抜本的見直しの実現につながるよう引き続き働きかけていきたいと考えております。
 次に、京都議定書発効の県の認識と取り組みについてお答えをいたします。
 温室効果ガスの排出量が現状のまま推移すれば、地球の温暖化により私たちの将来世代、あるいは後発開発途上国や特に島嶼国の人々などがより大きな影響を受けると言われております。
 去る2月16日に京都議定書が発効されたことは、我が国のみならず全世界にとって地球温暖化対策の重要な節目の日となったと考えております。国では、京都議定書の約束を果たすため、あらゆる対策・施策を総動員して「京都議定書目標達成計画」を策定することとしております。特に、約束の達成には幅広い国民の理解と協力が不可欠であります。県としても国の施策と一体となって県民運動を展開し、全力を持って約束達成に寄与したいと考えております。
 県では、排出ガス削減のためのアクションプログラムとして平成15年8月に「沖縄県地球温暖化対策地域推進計画」を策定しております。地球温暖化防止施策を総合的・計画的に進めるため温室効果ガス削減目標を定め、県民、事業者、行政がそれぞれの役割に応じ、連携を図りながら取り組みを推進することにより削減目標の達成を図ることとしております。
 次に、地産地消の取り組みについてお答えいたします。
 県では、昨年2月に「沖縄県地産地消推進県民会議」を設立し、地産地消運動を全県的に展開しております。具体的な取り組みとしては、1、公立学校給食への地域食材の利用、2、ホテル等観光関連施設での県産食材の利用促進、3、地域直売所等の直販機能の強化及びネットワーク化、4、食育推進ボランティアの活用等による食農教育の推進、5、フードアドバイザーの派遣等量販店での県産食材の販売促進、6、農林水産フェア等各種フェア開催による地産地消推進のための広報宣伝活動など総合的に推進しております。
 また、17年度からは県産農林水産物の展示紹介、県産食材を利用した料理フェア、農業体験ツアー等を網羅した「おきなわの実りフェスティバル」を開催し、地産地消の取り組みを強化してまいります。
 次に、新石垣空港の今後の取り組みと課題、開港までの行程についてお答えいたします。
 新石垣空港の事業化については、昨年末の政府予算案で認められたことから平成17年度より事業が開始されることになります。平成17年度は飛行場設置許可を得て実施設計、用地測量等を行うことにしております。18年度以降は用地取得、土木工事、照明工事、建築工事等を順次行い、地域住民の協力を得て早期の開港に向けて鋭意事業を進める予定であります。
 なお、事業を進めるに当たっては円滑な用地取得に努めるとともに、自然環境への配慮に万全を期す考えであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○企画開発部長(花城順孝) 国連機関誘致の具体化に向けた人材の確保についてお答えをいたします。
 国連機関の誘致については、国の政策的位置づけが必要であることや受け入れ側の地元負担、国際航空路線等の交通ネットワーク拡充、機関受け入れに向けた環境整備などの課題があります。このため、現段階では人材確保等に先立ち、国連機関等の誘致について国の理解を求めるとともに、国際会議等の開催・誘致を図り、国際交流拠点としての環境整備を図ることが重要であると考えております。
 那覇港湾施設の跡地利用計画などについてお答えいたします。
 那覇港湾施設の跡地利用については、現在、那覇市において平成7年度に策定をした「那覇軍港跡地利用計画基本構想」の見直しを始めており、地権者意向醸成活動等を実施しているところと聞いております。また、平成15年3月に改訂された那覇港湾計画においては、同区域は「利用形態の見直しの検討が必要な区域」と位置づけられております。
 次に、奥武山野球場については1月25日に開催された第7回「県都那覇市の振興に関する協議会」において、那覇市が事業主体となって整備する方向で協議・調整を進めることが報告されております。県としては、今後とも那覇市と連携して那覇港湾施設の跡地利用の促進や奥武山野球場等の整備に協力していきたいと考えております。陸上競技場については、那覇市から具体的な計画が示された時点で検討されるものと考えております。
 次に、上海路線の維持についてお答えします。
 本県の観光・リゾート産業の振興及び国際交流・協力拠点形成を図るため、上海路線を初め外国路線の維持拡大に努めているところであります。このような中、中国東方航空が上海路線の減便を検討していることを受け、同社に対し文書で要請するとともに、副知事が上海に出向き週7便を維持するよう強く要請してまいりました。今後は日中航空交渉の推移を見守りながら、同路線の週7便の維持に向けて関係機関へ強く働きかけてまいります。
 以上であります。
○知事公室長(府本禮司) 平和ガイドの養成についてお答えいたします。
 沖縄戦の体験を正しく次の世代に伝えていくことは重要であります。そのため、平和祈念資料館においては、学校及び地域における平和学習支援活動の中核となる人材を育成するため、沖縄県平和祈念資料館ボランティア養成講座を平成16年7月から12月の約6カ月間開設し、32名のボランティアが誕生いたしました。このボランティアの方々には県内各学校や平和祈念資料館における本土からの修学旅行生に対して平和学習の支援活動を行っていただくこととしております。今後ともボランティア養成講座を継続し、次世代へ戦争体験を語り継ぐことに努めてまいります。
 以上でございます。
○観光リゾート局長(宜名真盛男) まず、上海事務所を拠点とする官民一体となった誘客活動の展開についての御質問にお答えをいたします。
 海外からの観光客をふやしていくためには、これまでの台湾、韓国に加えて新たな海外市場の開拓が重要であります。現在、上海は高い経済成長を続ける中国においても1人当たりの所得水準が最も高く、富裕層も多数存在することから、旅行市場としてポテンシャルが非常に高いところであります。現在、県で開設準備を進めている上海事務所については、県内の旅行会社やホテル関係者等にも誘客宣伝活動の拠点として十分に活用していただくとともに、県も一体となって上海のマスコミや旅行関係者等の招聘事業、観光展への出展、商談会開催など効果的な誘客活動を展開してまいりたいと考えております。
 次に、海外からの観光客誘致に向けた県の戦略についてお答えをいたします。
 現在、県におきましては本県との直行便を有する台湾、韓国、中国等を中心に誘客活動を展開しておりますが、海外からの観光客誘致については、当面、国別にターゲットを定め、より戦略的に取り組むことが重要だと認識しております。具体的には、韓国については新婚旅行とゴルフツアーの誘致、台湾については個人向けや若年層の旅行商品開発並びにクルーズやチャーター便の誘致、中国については新たに設置する上海事務所を活用し、都市部の富裕層をターゲットとしたツアー開発を中心に誘客活動を展開してまいりたいと考えております。
 次に、DFSの反響、成果、課題についての御質問にお答えをいたします。
 沖縄型特定免税店の空港外店「DFSギャラリア・沖縄」につきましては、昨年12月のプレオープンの状況などが各広報媒体を通じて全国に報道されたほか、パッケージツアーとして旅行商品化されております。
 今後の課題としましては、航空会社や旅行会社等との連携による旅行商品の拡充、モノレールやレンタカー会社との連携の強化及びことし3月のグランドオープン後の本格的な宣伝活動の実施があります。県としましては、沖縄観光の新たな魅力であるリゾートショッピングの拠点の一つとして活用を図っていきたいと考えております。
 次に、観光の現状と県の対応策についての御質問にお答えをいたします。
 沖縄観光の現状としては、入域観光客数は順調に増加している一方、観光消費額が伸び悩んでいる状況にあります。そのため、県としましては沖縄観光の質の向上、すなわち付加価値の高い旅行商品の開発、観光客の満足度を高めるための地域総体としての魅力の向上を図っていくこととしております。具体的には、経済波及効果の大きいコンベンションの誘致、リゾートウェディングやショッピング観光を推進するとともに、観光産業の人材育成、エコツーリズム等の体験・滞在型観光を推進してまいります。また、観光案内標識等利便施設の整備や世界遺産周辺整備などを実施するとともに、観光立国を実現するための景観形成法の整備など国の政策との連携を図り、美しい景観や豊かな緑の形成など美ら島沖縄の創造を促進してまいります。
 次に、国際映画祭への取り組み及び映画制作支援についてでございます。
 国際映画祭につきましては、国内外の先進事例調査、映画関係者・有識者等へのヒアリング調査などを実施し、現状の把握、課題の整理を行っているところであります。こうした中で、国際映画祭の開催につきましては専門的なノウハウを持った人材の確保、継続的な資金確保及び映画祭運営を担うしっかりしたボランティア組織の構築などが重要な課題として挙げられております。今後はこうしたことを踏まえ、関係者との議論を深めるなど、国際映画祭の開催可能性について引き続き検討してまいります。
 また、本県におきましては沖縄フィルムオフィスを活用し、映画やテレビ番組などのロケ誘致及び撮影支援を行っているところであり、観光振興に大きな成果を挙げております。
 御指摘の東映など、沖縄を舞台にした映画制作に意欲を示していただいている制作会社に対しましても、沖縄フィルムオフィスと連携を図り、その実現に向けて積極的に誘致活動を行っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○文化環境部長(屋嘉部長市) 防災士の活用及び防災ボランティア基金の創設についてお答えをいたします。
  防災士とは、自助、共助、協働を原則として、社会のさまざまな場で減災と社会の防災力向上のための活動が期待され、かつ、そのために十分な意識・知識・技能を有する者としてNPO法人「日本防災士機構」で認められた人を指します。災害発生時には、初期消火、救助・救命、避難誘導、避難所の世話などの分野で公的な組織やボランティアと協働して活躍することが期待されております。平成15年に第1期生が誕生し、昨年12月末現在では4000名を超える防災士が全国で防災活動に取り組んでおります。本県においても今後防災士の活躍が期待されます。
 また、災害発生時には救助活動、被災者支援、避難所の世話といったボランティアの活躍は必要であります。そのボランティア活動を支援するための防災ボランティア基金については、貴重な御提言として受けとめたいと思います。
 次に、津波シェルターの開発及び避難場所の設置についてお答えします。
 津波については、昨年12月に発生したスマトラ沖地震による大津波に見られるように、一瞬にして多くの犠牲者が発生したことから、改めてその脅威を認識したところであります。
 津波シェルターについては、平成11年に緊急避難塔を設置している三重県紀勢町に職員を派遣し、調査研究をさせたところであります。避難ビルと同様、津波から住民を守るための有効な手段だと考えております。多くの離島を抱える本県にとって津波対策は重要な課題であり、津波シェルターの開発及び避難場所の設置については、学校や公民館等の既存の公共施設の利活用も含めて市町村等の防災関係機関と協議を重ねてまいりたいと思います。
 次に、災害弱者のための避難マニュアル作成についてお答えをいたします。
 昨年7月に起こった梅雨前線に伴う新潟・福島豪雨及び福井豪雨においては、多くの高齢者等の災害弱者、すなわち災害時要援護者が逃げおくれ犠牲となられました。そのことを受け、国においては避難支援のガイドラインを今年度中に作成し、その後、災害時要援護者の避難誘導アクションプログラムの策定が予定されております。県としましては、同プログラムに基づきプライバシーの保護にも配慮しつつ、各市町村の防災部門及び福祉部門に対し、地域の実情に応じたマニュアルの作成を指導していきたいと考えております。
 次に、大規模災害等米軍との協力体制及び基地内道路の通行や施設の利用についてお答えをいたします。
 県では、災害時における住民の安全確保を図るため沖縄県地域防災計画で住民避難計画、医療救護計画等の災害応急対策を定めております。
 大規模災害等が発生した場合の米軍との協力については、平成14年1月に在沖米軍との間で締結した「災害時における沖縄県と在沖米軍との相互連携マニュアル」があります。このマニュアルに基づき災害対策本部が設置される規模の災害が発生したときに、人道的見地から災害時における災害応急対策や復旧対策を行うことになります。
 基地内道路の通行や施設の利用については、沖縄市ほか9消防本部と海兵隊のキャンプ・バトラー消防隊長との間で「消防相互援助協約」を、ニライ消防本部管理者と空軍長官代行との間で「消防活動相互援助協約」を締結しております。また、緊急車両の基地内通行についても基地司令官と個別に協定を結び通行が可能になっております。
 次に、環境税に対する見解とその影響についてお答えをいたします。
 国では、深刻化する地球温暖化問題への対応として環境税導入の検討を行っているところです。
 環境税は、温室効果ガスの排出量に応じ工場や企業、家庭などから幅広く負担を求めることができるなど、公平性、透明性、効率性、確実性にすぐれており、現在の国民のライフスタイルや社会経済システムを環境に優しいものへと変えていく推進力として、資源小国でもある我が国の社会経済基盤の強化にもつながるものと期待されております。特に、我が国の京都議定書の削減約束を確実なものにするためには規制的手法や自主的取り組み、経済的手法などさまざまな施策によって可能な限り排出削減を進めていく必要があることから、目標と実際のギャップを埋めるために必要な約14%の温室効果ガスの排出量のうち、約4%強程度の削減を環境税で確保するものとしております。
 環境税の導入に当たっては、企業や国民全員が温暖化対策に参加していく仕組みの構築を目指し、環境税収は各分野における温暖化対策の取り組みがより一層促進される支援に活用するとともに、あわせて雇用の促進など企業活力の維持向上にも活用するものとしております。
 環境税導入による本県への影響については、現在のところ把握することは困難でありますが、今後、具体化することにより明らかになっていくものと考えております。
○土木建築部長(末吉 哲) 津波・高潮ハザードマップ作成についてお答えいたします。
 「琉球諸島沿岸津波・高潮ハザードマップ」の作成は、沖縄県地域防災計画を受け、港湾・漁港等各海岸管理者が連携し、津波や高潮に対する予防対策や応急対策が検討できるよう被害範囲を予測・設定するものであります。平成17年度は沖縄本島沿岸地域を、18年度は沖縄本島周辺離島及び宮古・八重山沿岸地域を調査し、2カ年で作成することとしております。
 地域防災計画を担う各市町村においては、本ハザードマップを活用し、住民が避難するための経路や場所を指定した「住民避難用津波・高潮ハザードマップ」を作成することとなります。県は、「琉球諸島沿岸津波・高潮ハザードマップ」の整備を初め県民の津波や高潮に対する防災意識の高揚を図るとともに、住民参画のもと、さらなる県民の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県の公共施設、民間住宅耐震化の具体的目標についてお答えいたします。
 平成7年12月に施行されました「建築物の耐震改修の促進に関する法律」により、昭和56年以前に建築された学校、病院、百貨店等多数の方々が利用する特定建築物については耐震診断を行い、その結果により耐震改修や建てかえ等を促進することになっております。
 県においては、耐震改修が必要と思われる県有建築物について建てかえや改修等を進めております。また、平成17年度より施設保全情報を一元管理し、IT化によるストックマネジメントシステムの構築を計画しております。その中で耐震改修、補強、建てかえ等の工事選択を行い、耐震化を進めてまいりたいと考えております。
 県管理の橋梁については、平成8年12月に改訂された「道路橋示方書」に基づき、緊急輸送路に係る橋梁や地域防災上重要な橋梁について橋脚補強や落橋防止等の工事を行っているところであります。今後とも、県の公共施設の耐震対策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 また、新たに国土交通省が創設する地域住宅交付金制度により、平成17年度から地方公共団体による民間住宅の耐震改修事業への助成が可能となる予定であります。県としては、今後市町村とも連携し、同事業の活用について検討していきたいと考えております。
 次に、電線共同溝の全体的な取り組みの見通しについてお答えいたします。
 電線共同溝事業は、都市景観の向上、地震・台風時における災害の防止等を目的として道路管理者、電線類管理者及び地元の協力のもとで実施されるものであります。
 県内においては平成4年度から整備が始まり、15年度までに都市部では国道58号の上之屋、地方部では主要地方道の伊計平良川線等において約66キロメートルが整備されております。平成16年度から20年度までの現計画においては、国道58号の宜野湾地区や国道329号の金武地区、さらに宮古地区の主要地方道平良城辺線や八重山地区の国道390号等、全県において約36キロメートルを整備する予定であります。今後とも、計画に基づき災害に強いまちづくりの観点から積極的に電線地中化を推進していきたいと考えております。
 以上でございます。
○福祉保健部長(稲福恭雄) 難病相談支援センターの現状と取り組みについてお答えいたします。
 難病相談支援センターは、平成17年1月現在、全国で19カ所設置されています。県内ではNPO法人が独自に難病患者の就労支援、情報提供、患者及び家族交流会を実施しています。
 県では、平成17年度の新規事業として難病患者、家族等の療養や生活上の悩み等に対しきめ細やかな相談・支援を行うため難病相談支援センターを設置する予定にしております。
 主な事業内容は、難病相談支援員の配置、難病患者、家族に対する各種相談支援、地域交流会等の支援や難病患者に対する就労支援等で、運営については難病患者を支援するNPO法人に委託することにしております。福祉保健所の相談活動に加え、本事業の開始により難病患者の生活の質の向上が図られるものと考えております。
 続きまして、認可外保育施設への支援についてお答えいたします。
 県では、児童福祉法に基づく保育を基本と考えております。
 認可外保育施設に対する支援につきましては、国庫補助事業の認可化移行促進事業や県単独事業の保育士派遣モデル事業の活用等により認可化を促進してまいります。また、入所児童の処遇向上のため、県単独事業の新すこやか保育事業を市町村と連携しながら推進していきたいと考えております。
 御提言の件につきましては、貴重な御意見として承りたいと考えております。
 続きまして、次世代育成支援行動計画における将来像と具体的取り組みについてお答えいたします。
本県の平成15年の合計特殊出生率は過去最低の1.72となっており、全国1位を維持しているものの、人口を維持するのに必要な水準である2.08を大きく下回っております。少子化の進行は、労働力人口の減少に伴う経済活力の低下、年金・医療・福祉等社会保障費用の現役世代の負担の増大など大きな影響を及ぼすことが懸念されております。
 少子化対策としては、社会全体で子供を産み育てやすい環境づくりを行うことが重要であると考えており、このため、県では3月までに策定する「次世代育成支援行動計画」において、「親子が心身共に健やかに成長できる 子育ち 親育ち 地域育ち」を基本理念として、地域における子育て支援、母子保健の増進、教育環境の整備、仕事と家庭の両立の推進、子供の安全の確保等8つの基本目標を柱として総合的に施策を推進することにしております。
 具体的には、待機児童の解消に向けた保育所の定員の増、放課後児童クラブの設置、つどいの広場の設置、ファミリー・サポート・センターの設置等について数値目標を掲げ、子供を産み育てやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、障害児タイムケア事業についてお答えいたします。
 障害児タイムケア事業の実施によって、これまで放課後児童健全育成事業や障害児デイサービス事業で対象にならなかった養護学校等に通う中学・高校生の放課後の活動の場が確保されることになります。本事業を実施することにより、障害児を日常的に介護している家族の一時的な休息や保護者の就労支援等が促進されるものと考えます。
 今後、国から示される事業実施要綱等を踏まえながら、事業実施主体である市町村と調整し対応してまいります。
 以上でございます。
○商工労働部長(伊川征一) 次世代育成支援対策推進法に基づく県の取り組みについてお答えいたします。
 次世代育成支援対策推進法では、常時雇用する労働者の数が300人以下の事業主は一般事業主行動計画の策定に努めることとなっております。県では、策定中の沖縄県次世代育成支援行動計画において一般事業主行動計画策定の促進を位置づけており、今後、沖縄労働局と連携し、講演会、セミナー及び県の広報媒体の活用等により事業主に対する周知・啓発に努めてまいります。
 続きまして、新エネルギー開発の現状と将来見通しについてお答えいたします。
 本県は、環境の保全と産業の振興というバランスの上に、美しい自然と豊かな暮らしを両立させていくことを基本理念に新エネルギーの導入に向けて取り組んでいるところであります。
 新エネルギーの導入状況は、平成17年3月末見込みで風力発電が27基、1万5635キロワット、太陽光発電が27基、1847キロワットとなっており、また太陽光発電を導入している住宅も709件となっております。
 新エネルギー導入の将来見通しは、平成12年度に策定した「沖縄県新エネルギービジョン」で平成23年度までに風力発電を8万キロワット、太陽光発電を5万3000キロワット導入するとしており、今後、この目標の実現に向けて沖縄電力や関係市町村等との連携を図りながら、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 以上でございます。
○教育長(山内 彰) 小学校英語教育特区についてお答えいたします。
 県教育委員会では、英語が使える人材育成プランを策定し、その推進を図っております。
 現在、県内のすべての小学校に約480名の英語ネーティブスピーカーを派遣し、英会話活動を支援しております。また、小学校英語教育研究開発学校を指定し、英語を聞くこと、話すことを重視した指導方法の研究開発も行っております。また、中学校、高等学校においては国の英語指導助手100名を配置し、実践的コミュニケーション能力の育成を図っております。
 小学校英語教育の全県特区については、財政上の問題、小学校における英語教諭の配置、英語の教育課程編成上の問題等多くの課題があり、全県的に実施するには現在厳しい状況にあります。今後は、現在実施している諸取り組みを拡大させ、英会話教育の充実に努めていきたいと考えております。
 次に、再編作業の現状についてお答えいたします。
 県立高等学校編成整備計画は、中長期的な視点に立って生徒の多様化、社会の変化に適切に対応し、教育内容や教育方法の改善とともに生徒の視点に立った魅力ある学校づくりを推進していくものであります。この計画に沿って24の県立高等学校において農業や工業、商業、水産などの幅広い専門分野を総合的に学ぶ総合実業高校、情報処理や情報技術などに対応した情報中心校等のような新しいタイプの学校の設置や総合学科の新設などを平成14年度から平成23年度の10年間で推進しているところであります。これまでに3校で連携型の中高一貫教育が実施され、1校で総合学科の充実が図られてきました。平成17年度には2校が情報中心校として整備されることとなっております。
 今後とも教育を取り巻く状況を見据え、国際社会等に対応した21世紀を担う創造性豊かな人材の育成をねらいとした生徒の視点に立った特色ある学校づくりを目指していきたいと考えております。
 次に、進路指導のあり方についてお答えいたします。
 県教育委員会は、那覇工業高校を初め3校を研究校として指定を行い、系統的な進路指導の開発研究を推進してきました。
 その成果として、同校では就職内定率が前年度の42%から87%と高い割合で向上しており、このような研究成果を全学校に広めていきたいと考えております。同校でも実施したインターンシップは、生徒に社会性や望ましい勤労観・職業観をはぐくむために大きな効果があります。
 全県における実施率は、平成12年度は17校28%でありましたが、今年度は47校77%とふえ、次年度は全県立高校61校で実施する予定であります。その充実・拡大が図られたのは、県経営者協会、県商工会連合会、県農業協同組合連合会、沖縄労働局、県商工労働部、県高等学校PTA連合会等14の企業や団体が一体となって組織した沖縄県就業体験推進協議会や全県各地区に設置した就業体験地区連絡協議会の取り組みの成果であります。
 御提言のとおり、今後はこれまでの研究成果等を生かし、高校生の就職拡大に努めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○農林水産部長(諸見武三) 松くい虫対策の見直しについてお答えいたします。
 松くい虫防除については、平成14年度から平成18年度までの5カ年計画により、国、米軍、市町村等の関係者が一体となって全県を対象に被害木の伐倒焼却等を行っております。
 しかしながら、松くい虫防除については市町村の財政負担が大きいことや、被害が広域化・奥地化していること等もあって、必ずしも計画どおりには進捗していない状況にあります。このため、県としては、今後、松くい虫防除の効率的・効果的な対策を図るため水源涵養林や防風・防潮等の保安林など、公益性の高い松林を対象に絞り込みを行い防除を行うこととしております。また、林業試験場においては、抵抗性松の選抜・育種、天敵昆虫の探索及び実用化試験の実施などに取り組んでおります。
 続きまして、「おきなわ和牛」についてお答えいたします。
 JAおきなわにおいては、平成8年に県産和牛を「琉牛王」、平成14年には石垣産和牛を「石垣牛」として商標登録をしております。しかしながら、「琉牛王」については沖縄県産としてわかりにくいこと等もあって、JAとして「おきなわ和牛」にブランド名を統一し商標登録を行う計画であると聞いております。JAおきなわでは、既に県内地域ブランドとして定着化している「石垣牛」等については引き続き使用していくこととしております。
 県としては、「おきなわ和牛」としてブランド名を統一することは、消費者から沖縄産牛としてわかりやすく知名度のアップにつながるものと考えております。
 以上でございます。
○地域・離島振興局長(上原 昭) 離島市町村合併の今後の展望と一島一町村への県の見解についてお答えいたします。
 現在、県内の19離島市町村のうち10市町村が3地域で法定または任意協議会を設置しておりますが、現時点での協議状況を勘案した場合、多くの一島一町村等が単独自治体として存続せざるを得ない状況となっております。これら一島一町村等の離島町村は、少子・高齢化の進行や脆弱な財政基盤などにより、将来にわたって現在の行政サービスを維持し続けていくことは非常に厳しいものがあり、こうした課題に対し市町村合併は最も有効な手段であると考えております。そのため、県としては引き続き関係離島町村との意見交換を重ねながら、合併新法のもとでの合併を促進していきたいと考えております。
 しかしながら、広大な海域に点在する外海離島町村は合併が極めて難しい条件にあることから、これら町村の活性化が可能となるような方策についても今後検討していく必要があると考えております。
 以上でございます。
○糸洲 朝則 御答弁ありがとうございました。
 答弁についてはおおむね了といたしたいわけでございますが、中にはまだまだ議論を深めたいもの、あるいはすれ違い、そういったもの等もあります。ありますが、これについては予算特別委員会等で我が会派の代表がやってくれるものだと、ゆだねたいと思います。
 さて、1点だけ知事に御要望を言わせていただきますが、基地問題の今回の米軍再編に伴う基地の整理縮小、あるいは日米地位協定の見直し、戦後60年という節目のこのときを迎えて、まさしく今のこの時期を逃してはならない。これは大きな県民世論でもあろうかと思います。知事の発言の中にもそういう意気込みが感じられますので、ぜひこの機会に思う存分、この沖縄の基地問題が解決の方向へ向かって、いい方向へ展開されんことを願うものでございます。
 実はきのう、我が党の国会内での代議士会におきまして冬柴幹事長がこのように言っております。「また再編の基本的考え方として、「何よりも大事なことは、沖縄等での受忍限度を超えるような騒音など、米軍がいることによる諸問題を軽減する方向で進められなければならない」と強調し、「普天間飛行場(沖縄県)など大きな問題を抱えているが、(負担は)沖縄だけがするのではなく、日本全国が等しく分かち合っていくとの精神で対処すべき」」だと、このように申し上げております。いわゆるこのことは知事も言われましたが、小泉総理が全国的な問題としての位置づけで、冬柴幹事長が与党の幹事長としてこのように力強い話をされております。当然県民世論もさることながら、国民世論としてこのようにまた後押しをしていきたいと思いますので、ぜひ頑張っていい方向での解決をされんことを期待いたしまして終わります。
 ありがとうございました。
○議長(外間盛善) 以上で本日の代表質問は終わりました。
 本日の日程はこれで終了いたしました。
 次会は、明24日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時42分散会

 
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