平成21年(2009年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 11月30日
 


○議長(髙嶺善伸) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 11月26日、翁長政俊君外8人から、議員提出議案第1号「沖縄県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例」の提出がありました。
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○議長(髙嶺善伸) 日程第1 乙第1号議案及び乙第2号議案を議題といたします。
 各議案に関し、委員長の報告を求めます。
 総務企画委員長。
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   〔委員会審査報告書(条例) 巻末に掲載〕
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   〔総務企画委員長 當間盛夫君登壇〕
○総務企画委員長(當間盛夫) おはようございます。
 それでは、ただいま議題となりました乙第1号議案及び乙第2号議案の条例議案2件について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 委員会におきましては、総務部長の出席を求め慎重に審査を行ってまいりました。
 以下、審査の過程における執行部の説明及び質疑の概要等について申し上げます。
 まず、乙第1号議案「沖縄県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」は、平成21年度人事委員会勧告並びに国及び他の都道府県の職員の給与改定を考慮し、県の職員及び県費負担職員の給与を改定するため関係条例の一部を改正するものである。
 主な改正内容は、1つ目は、医療職給料表(1)を除くすべての給料表の減額改定を行う。2つ目は、一般職の期末勤勉手当の支給割合を年間4.35月分から0.2月分を引き下げ4.15月分に改定する。3つ目は、義務教育等教員特別手当の支給限度額を1万5900円から1万1700円に引き下げる。4つ目は、医師及び歯科医師の初任給調整手当支給限度額を30万6900円から41万900円に引き上げるとの説明がありました。
 本案に関し、今回の人事委員会勧告は特例措置による減額前の給与との比較であり、もらってもいない給与と比較すること自体が不当ではないか、また、給与の削減を4月1日にさかのぼって行うことは不利益不遡及の原則に反し違法ではないか、九州各県で遡及しないという勧告を行っている県はあるのかとの質疑がありました。
これに対し、沖縄県人事委員会が特例措置による減額前の給料表と比較して勧告を行ったことから、県としてはその勧告を尊重するものである。人事委員会勧告制度そのものが4月1日の公民給与の比較を行うため、さかのぼってその差額分を調整することになる。これについては、平成17年の東京高裁判決において違法性がないとされている。
 九州各県では、佐賀県が遡及しないという勧告を行っており、熊本県が遡及する勧告を行っているが、県当局は遡及しての実施はしないとしているとの答弁がありました。
 次に、特例措置による減額をした上にさらに人事委員会勧告に基づく減額を行うことは二重に減額することになり、職員に与える打撃も大きい。何らかの緩和措置を考慮すべきではないかとの質疑がありました。
 これに対し、県の財政事情による給与の特例措置減額と人事委員会勧告制度に基づく給与の減額は別のものであるとの認識をしている。しかしながら、減額が職員の生活や士気に影響を与えることは認識しており、職員団体から特例措置について再度交渉したい旨の申し入れを受けていることから、今後、職員団体との話し合いを持ちながら何らかの措置を検討したいとの答弁がありました。
 そのほか、沖縄県のラスパイレス指数の推移、九州各県で特例措置減額の緩和措置を行っている県の状況、人事委員会勧告制度の問題点、中期見通し時点と現時点の県の財政状況の違い、職員団体との交渉回数、勧告実施と地方交付税の関係、勧告に基づく給与減による県経済への影響、削減に伴う県経済への影響などについて質疑がありました。
 次に、乙第2号議案「沖縄県教育長の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例等の一部を改正する条例」は、期末手当の支給月数を引下げ改定する国の特別職及び一般職の職員との均衡を考慮し、教育長、特別職の知事等及び特別職の秘書についても期末手当の支給月数を引き下げ、改定するため条例を改正するものである。
 主な改正内容は、教育長、特別職の知事など及び特別職の秘書の期末手当の支給月数を引き下げるとの説明がありました。
 本案に関し、知事等も給与などの特例措置による減額を受けている中で、さらに今回の条例改正による減額を行うことは他の職員などに大きな影響を与えることになるが、どのように考慮したのかとの質疑がありました。
これに対し、知事等の特例措置による減額は、県の財政事情で一般職員に減額をしてもらっていることを考慮し、知事みずから減額を申し出たものである。今回の条例改正による減額は、国の特別職などの給料との均衡を保つための減額であるとの答弁がありました。
 そのほか、副知事及び教育長の特例措置による減額の内容などについて質疑がありました。
 以上が委員会における質疑の概要でありますが、乙第1号議案については、採決に先立ち、共産党所属委員から反対する旨の意見表明があり、採決の結果、乙第1号議案については、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、乙第1号議案については、社民・護憲ネット所属委員から附帯決議の動議があり、採決の結果、全会一致で可決されました。
 乙第2号議案につきましては、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、審査の経過及び結果を申し上げましたが、よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして報告を終わります。
○議長(髙嶺善伸) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
 質疑はありませんか。
   〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(髙嶺善伸) 質疑なしと認めます。
 これをもって質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。
 乙第1号議案に対する討論の通告がありますので、発言を許します。
 前田政明君。
   〔前田政明君登壇〕
○前田 政明 私は、日本共産党県議団を代表して、ただいま議題となりました乙第1号議案「沖縄県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」に対する反対討論を行います。
 国家公務員の給与を引き下げる国家公務員給与法改定案が26日の衆議院本会議で採択され、日本共産党以外の賛成多数で可決されました。
 日本共産党の塩川鉄也衆議院議員は、国家公務員給与法改定案は、「自公政権下で出された8月の人事院勧告に基づき、国家公務員の給与とボーナスを大幅に引き下げるもの。1人当たり年平均15万4000円という過去最大規模の減収を押し付けるものです。 国家公務員とその給与に準拠する地方公務員、さらには民間の給与と景気にも深刻な影響をもたらすものだと批判しました。」。
 「また、2002年に小泉内閣が打ち出した「総人件費抑制」政策が、本来中立であるべき人事院にも押し付けられ、「この間の人事院勧告は、国家公務員の労働基本権を制約する代償措置とは到底いえない」と指摘。それを前提とする同法案を批判しました。」。
 「衆議院の総務委員会で、塩川氏が、旧政権の圧力でどのように人事院勧告がゆがめられたかの検証を求めると、原口一博総務相は「前政権で何が起きていたのかは検証したい」と答弁しました。「塩川氏は「その人事院勧告そのものが旧政権の圧力でゆがめられている。そこへの検証もなしに法案をそのまま出したことには同意できない」と表明しました。」。」
 また、「日本共産党の山下芳生議員は27日、参院総務委員会で江利川毅新人事院総裁に対し、人事院の独立性についてただしました。 山下氏は、今年の夏季一時金を凍結した背景に、国家公務員給与を引き下げる議員立法を準備していた旧与党のプロジェクトチームの会合に人事院給与局長が出席するなど、「不偏不党、独立性確保に反する事態があった。」」ことを追及しました。
 2009年人事院勧告に対しては、労働界からいろんな意見が出ております。
 財界による空前の雇用破壊、賃金抑制のもとで、労働条件など一定の改善部分があるとはいえ、財界・政府・人事院がつくり出したと言える生活破壊の史上最悪水準の大幅賃金削減は到底容認できない。
 「第1に、勧告は、公務員労働者に耐えがたい生活悪化をもたらすことである。1998年から11年間で一時金では1.1月、平均年間給与は61万5000円(本年は15万4000円)の引き下げ、「給与構造改革」による抑制、自治体での独自カットなどを加えると、さらに大幅な賃金削減となるものである。職場からの切実な生活改善の声に全く耳を傾けない、労働基本権の代償性を放棄する不当なものである。」。
 「住居手当(持家部分)について、「財形住宅持家個人融資の減少」により必要性が低下していると国の事情に言及し、廃止を強行したことに抗議する。国は広域的異動などを前提とし、約4割の職員が居住している職員官舎と借家手当に特化する住居保障とするものである。自治体は国と異なり、職員の半数近くが持家手当の支給対象となっている状況であり、住居保障としての持家手当を地方自治体で存続することを求めていくものである。」と、09年人事院勧告の不当性を批判する自治労連などの見解が表明されています。
 10月8日に沖縄県人事委員会より給与等に関する報告及び勧告が行われました。
 その勧告内容は、平成20年4月から適用されている給与の特例条例(給与カット月例給から3%、夏季・年末一時金から2%)についても「諸情勢が整い次第、早期に解消されることを望む」と報告されています。その趣旨にもかかわらず、減額前の制度的な賃金を基礎に平成21年4月からさかのぼり、平均で月額623円引き下げ、一時金で約0.2カ月平均で7万2425円引き下げる勧告となりました。実際の公務員と民間の給与格差は、月額で1万323円民間賃金が職員給与を上回っていながら、実際の公民格差を反映しない人事委員会勧告となっています。県給与改定の影響は警察職員、県給与を参考にしている民間企業の職員等多くの県民の給与と家計経済に悪影響を与えるものとなります。
 この間の自公政治の賃金抑制政策とのかかわりで県人事委員会勧告の影響は、行政職給料表の適用者の平均年間給与額の増減額は、平成17年度は年収615万円支給が平成21年度589万円、そして勧告後は年収が581万2000円となる。平成17年度からの5年間の増減は37万9000円、特例条例による減額も入れると1人当たり53万8000円、今年度の減額は21億円という影響額となっています。
 平成17年度から平成15年までの夏季・年末の手当の増減は、平成17年度期末手当については、年間4.4から今回勧告が4.1で、差は0.3カ月となっています。
 今回の県人事委員会勧告では、民間給与との月例給の比較は、先ほど述べました民間給与が36万2368円、特例条例措置後は35万2045円で、民間給与より1万323円低い。今度の人事委員会勧告の減額措置後、減額措置前は511円上回っている。減額措置後では1万323円減となっています。4月まで実質もらっていないのにさかのぼって減額する不利益不遡及を適用するという不当なものとなっています。
 先ほどありましたように、他県によってはこのような不当な遡及はしないという勧告をしている人事委員会もあります。そういう面では、県人事委員会の勧告の内容は労働者の権利を守る代替措置としての役割を果たしておりません。
 09年人事委員会勧告どおりの給与改定が行われた場合の影響額として、40歳主査の場合、給料月額34万9000円、これが09年当局提案影響額で、給料表改定引き下げで月例7200円を含めて23万3831円というような影響が出るような状況にもなっています。
 そういう面で、沖縄県経済の消費購買力を高め県内景気をよくするためにも、消費購買力に大きな影響を与える公務員給与の削減は消費購買力の低下をもたらすものになります。今回の県の改定で期末手当の支給額減に伴う影響は、先ほどありましたように約20億円の経済波及の減少が見込まれるということです。
 また、公務員給与に準じて関連する給与が決まるというところは、県の外郭団体28団体ほどになっているとのこと。今、景気がどんどん衰退してデフレ状態になっている中で、沖縄の経済を活性化するためには公務員給与は大きな影響を与えます。
 自公政権での「総人件費抑制政策」のもと、政治的圧力がかけられた中で出された人事委員会勧告は、労働者の権利を守る役割を果たしていません。人事院勧告そのものが賃金抑制の悪循環をつくり出す仕組みとなっていると指摘されています。今度の沖縄県人事委員会勧告は、不利益不遡及の原則を踏みにじるなどの不利益を与える内容ともなっています。
 今回の職員給与の改定は、この県人事委員会勧告を前提とする給与条例となっています。公務員に対する労働基本権制約の代償措置としての機能・役割を果たすべき人事院の中立・公平な第三者機関を投げ捨てた、今回の政治的なこの勧告を認めるわけにはまいりません。人事院と同様の措置が必要などとする今回の県人事委員会勧告は、県人事委員会の存在をみずから否定するものと言わざるを得ません。
 勧告が公務員だけではなく民間労働者の一時金の動向にも否定的な影響を及ぼすことになります。労働組合がないような企業において、人勧を賃金相場の参考とする事例はたくさんあります。民間準拠と言いながら、結果として人事院勧告がまた民間にマイナス影響を与えることになるという点では、極めて深刻な事態を引き起こすことになります。
 深刻な景気悪化、経済危機の中で、雇用破壊と並んで賃金の引き下げや社会保障の改悪などによる生活破壊が急速に進んでいます。今こそ雇用の安定とあわせ、家計を応援して内需主導の経済に切りかえることが求められています。
 以上の理由で、日本共産党県議団は、乙第1号議案「沖縄県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」に反対するものです。
○議長(髙嶺善伸) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 休憩いたします。
   午前10時21分休憩
   午前10時21分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
 これより乙第1号議案及び乙第2号議案を採決いたします。
 議題のうち、まず乙第2号議案を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(髙嶺善伸) 御異議なしと認めます。
 よって、乙第2号議案は、原案のとおり可決されました。
   ――――――――――――――
○議長(髙嶺善伸) 次に、乙第1号議案を採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、原案可決であります。
 お諮りいたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(髙嶺善伸) 起立多数であります。
 よって、乙第1号議案は、委員長の報告のとおり可決されました。
   ―――――◆ ・ ・ ◆―――――
○議長(髙嶺善伸) 日程第2 議員提出議案第1号 沖縄県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 提出者から提案理由の説明を求めます。
 翁長政俊君。
   ――――――――――――――
   〔議員提出議案第1号 巻末に掲載〕
   ――――――――――――――
   〔翁長政俊君登壇〕
○翁長 政俊 皆さん、おはようございます。
 ただいま議題となりました議員提出議案第1号「沖縄県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例について」の提案理由につきまして、提出者を代表いたしまして御説明を申し上げます。
 県議会議員の期末手当は、同条例に基づき年3.3月分が支給されております。
 今般、人事委員会勧告に基づき一般職員に支給する期末・勤勉手当の支給割合が年0.2月分引下げ改定されること及び知事等に係る期末手当の支給割合が同じく年0.2月分引下げ改定されること等を考慮し、県議会として議員に係る期末手当の支給割合を検討する必要があるとの認識で一致し、先日11月26日開催の各派代表者会で協議を申し上げたところであります。
 その結果、県議会議員に係る期末手当の支給割合について、年3.3月分から年3.1月分へ0.2月分引き下げることで意見が一致し、本条例案を提出することとしたものです。
 本条例案の改正内容を申し上げますと、平成21年12月に支給される期末手当の支給割合を、現行の「100分の170」から「100分の150」に改め、平成22年度からは、6月に支給される期末手当の支給割合を、現行の「100分の160」から「100分の145」に改め、12月に支給される期末手当の支給割合を「100分の150」から「100分の165」に改めるものであります。
 以上で提案理由の説明を終わりましたが、慎重に御審議の上、よろしく御賛同賜りますようお願いを申し上げる次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(髙嶺善伸) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
 質疑はありませんか。
   〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(髙嶺善伸) 質疑なしと認めます。
 これをもって質疑を終結いたします。
 この際、お諮りいたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第1号については、会議規則第37条第3項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(髙嶺善伸) 御異議なしと認めます。
 よって、本案については、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
   ――――――――――――――
○議長(髙嶺善伸) これより議員提出議案第1号沖縄県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(髙嶺善伸) 御異議なしと認めます。
 よって、議員提出議案第1号は、原案のとおり可決されました。
   ―――――◆ ・ ・ ◆―――――
○議長(髙嶺善伸) この際、お諮りいたします。
 議案研究のため、明12月1日及び2日の2日間休会といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(髙嶺善伸) 御異議なしと認めます。
 よって、明12月1日及び2日の2日間休会とすることに決定いたしました。
   ――――――――――――――
○議長(髙嶺善伸) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 次会は、12月3日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午前10時29分散会

 
20090602000000