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昭和58年(1983年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 3月 3日
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議 事 の 概 要
昭和58年3月3日(木曜日)
午前10時1分開議
日程第1 代表質問
1 小橋川朝蔵君(自民党)
2 砂川 武雄君(自民党)
3 平良 哲君(自民党)
4 仲村 正治君(自民党)
5 城間 盛栄君(社大党)
午後6時12分散会
○議長(大田昌知君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた地方労働委員会会長楚南兼正君は、別用務のため本日の午前中の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長宮城調一君の出席を求めました。
○議長(大田昌知君) この際、念のため申し上げます。
本日から5日まで及び7日から9日までの6日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(大田昌知君) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
小橋川朝蔵君。
〔小橋川朝蔵君登壇〕
○小橋川朝蔵君 本員は、自由民主党沖縄県連の議員団を代表いたしまして、かねて通告してありましたもろもろの案件につきまして本員の所見を述べながら知事並びに関係部長に質問をいたしますので、誠意ある御答弁をいただきたいと思っております。
まずその前に、金武町のキャンプ・ハンセンにおきまして、金武町出身の目取真君が、ふらちな米兵によって刺殺されたことはまことに遺憾のきわみであり、激しい憤りを感ずるものであります。その場所が目取真君の住宅から約500メートルの場所であり、目取真君の勤務場所である「金武タクシー」から約1000メートルであります。と申しますことは、生活並びに活動の範囲内で被害になっておるわけでございます。翌日の夜7時にしめやかな葬式が行われましたけれども、参列した人々は目を伏せてただ悲しいというだけでなくて、怒りに満ちてふるえながら野辺送りをしたのでございます。その後、犯人の引き渡し問題で地位協定第17条第5項(C)の規定により物議を醸しましたが、われわれ一般人でさえ現行犯については犯人を逮捕する権限が与えられているにもかかわらず、日本の国内でそのことがなされないのはきわめて残念至極なことであり、私の心情といたしましては、犯人は首根っこを押さえつけてわが主権のもとで捜査、送検したいのであるが、戦後37年もたつというのにこのことがかなえられないということは、独立国の権威に関することだと思ってざんきにたえない次第であります。知事は、県議会の決議事項が完全にかなえられるよう努力するとともに、日米協議会に対しまして地位協定の17条5項(C)が国内法同様に改正されるよう最善の努力をお願いいたしまして、最初に通告した質問であります県庁舎移転並びに改築についての質問をいたしたいと思っています。
沖縄県の庁舎の移転並びに改築につきましては、沖縄県民の最大の関心事でございます。現在の行政府はスラム街と言われて、それにもなおさらに2億3000万円の家賃を出して沖配ビル等を借りております。これは行政能力を低下せしめるものであり、大変緊急な課題になっておるわけでございます。
知事は、県庁舎を現在地で改築する意図を持って来年度予算にその基本設計費を計上してございます。
そこで県議会といたしましては、去る25日に全体会議を開催いたしましていろいろと議論をいたしました。その中で主なるものを挙げてみますと、まず改築問題につきましては、このことについていつ、どこで立案計画されたのかわれわれは知らない。2番目は行政の立場だけで庁舎を建設するのか。また議会の立場も考慮するのか。いまの調子でいくというと、10階建ての行政ビルに隠れて議事堂は守衛詰め所のかっこうになっていくのではないかと心配される。3番目には、帰復10周年事業として取り上げると聞いておるが、約200億の資金獲得のめどはついたのかどうか。4番目は、昔の県庁は国が焼いたのだから、当然国の資金においてこれは改築すべきであるという意見がございました。これは改築に対するさまざまな疑問の代表的なものでございます。
ところが移転問題になると賛否両論はさておきまして、モノレールを含めた総合交通体系の整備計画とのかかわり合いはどうなっておるか。2番目には、均衡のとれた県土利用の関係はどうなっているんだ。3番目は、那覇の人口密度は全国一であるが、過疎、過密の同時解消を考えたことがあるか。4番目には、これまで公共施設の再配置は大いに論議されたのであるが、このことにも配慮したのか。5番目は、資金関係で困難だという話があるが、他市町村で敷地を無償提供する申し出があったときには受けて立つのか。6番目には、21世紀に向かって高邁、遠大なる発想のもとに県庁は改築すべきではないか。そしてまたさらに県庁所在地の移動は、県議会の3分の2の賛成を得る特別議決であるので、その必要が得られないと判断したのかなどといろいろあったわけでございます。これらの議論に対しまして、知事は、この演壇からその問題を明らかにしていただきたいと思います。
次に、行政機構の改革について質問をいたします。
今回、知事から議会に提出されましたところの沖縄県の部設置改正案があります。現行の組織ができたのは昭和49年でありますけれども、昭和54年に内部的にいろいろの変動がありました。ところが知事は4年間の実験を踏まえてその結果、いろいろな支障を感じられたと思います。特に第2次振計の出発の年でございますので、強力な組織を組みかえる必要が生じたことは同感でございます。組織とは、平凡なる人に非凡の仕事を完遂させることであり、さらにまた組織とは、力を発揮するための仕組みであると言われております。執行当局が選んだ機構は、ある程度執行当局にお任せするのが常識でありますので、わが党は提案された改正案に対しましては全面的な賛意を表明いたします。
ところが一方、労働渉外部の消滅解消につきましてはいろいろな批判がありますので、ここでいささか反論を含めて所見を申し述べます。
思うに、米軍基地関係業務は、その中に基地労働業務を繰り入れた従来の組織は基地から派生する諸問題の解決に足かせとなっているのが現状でございます。私は、今日まで議会の中で軍特別委員会に属しておりましたけれども、長年の活動の中で基地問題は論議されましたが、基地労働問題に対しましては、「サマー・タイム」があったとき以外は議会で論議されておらないわけでございます。これをもってしても基地の諸問題と基地労働者の関係は、おのずから違った形で、違った政治的、行政的な配慮がされるべきだと思うわけででございます。
顧みまするに、沖縄県における就業者総数は43万1000人でございます。その中で雇われている人は29万5000人、約30万人でございます。ところが軍雇用者はわずか7000人で、それは全雇用者のわずか40分の1にしかすぎません。そこで、基地従業員問題は、むしろ基地問題からは切り離して転職、再就職、その他の問題を含めて雇用創出のできるその機会を与えられる商工部に組み入れた方が最も適当だと思うわけでございます。
その次に申し上げたいことは、これまで米軍基地から派生した事故は、なかなか知事のところに持っていくのに時間がかかったわけでございます。そこで知事、副知事執行部の足下に、知事公室のところに基地関係の事件が即座に解決のめどがつく対策を立てる必要があります。経済の流通機構と同じように、私は、事故、事件とは、そしてまた知事部局とは太い、短いパイプで結んだ方がよいと思うのでございます。そこで基地関係を知事の足下に置いたことは、解決を早め、アメリカ、米軍に対しましての威信を高めるにも一番よい方法だと思っているわけでございます。
なお、観光文化局の新設につきましては、昭和35年、いまから23年前でございますが、工務局の中に観光係が1人おりまして、1つの机を置いて始めたのが観光行政の始まりでございます。翌年の経済局におきましては、観光課を設置して他県並みに行政に取り組みました。昭和51年、沖縄県観光振興局に昇格したことは今昔の感ひとおしでございます。ところが、54年、局を廃して商工観光部に名称がえして指導課と企画課の2課を設置したことは、観光行政の促進上一つの後退ではないかと心配いたしました。遺憾の念を禁じ得なかったのでございます。そこで今回は、これが局に昇格し、観光行政の強化に努めたことは大変慶賀にたえません。また現在、沖縄県の財政問題で一番悩みであることは病院会計の欠損77億でございます。この対処策といたしまして、病院局を新しく設置して病院負債の解消に対処することは全く当を得た措置であり、私は、今回の行政改革はみごとと言わざるを得ません。そこで本員は、このように評価するものでありますが、特にこの際、機構改革に踏み切った知事の所見を承りたいと思っております。
次に、観光問題について知事の所見を承ります。
本員は、県議会におきまして当選以来、特に観光問題については多くの提言をいたしてまいりました。その中でも特に今日の知事の発表にもありますように、クリーン・グリーン・グレイシャス運動が県民運動となって展開されるまで、先進県並びに先進国の例をとり、宮崎県の沿道美化修景条例あるいはハワイにおける各種制度の現状を見聞いたしまして、沖縄県においてはわが国の各県に類例のない観光振興条例の制定に踏み切ることができました。特に昭和52年、これはいまから6年前でございますが、私はこの場所から2月の定例議会に、海洋万博でホテルは十分に間に合ったけれども、ホテルにお客を入れるためには大きな催しを沖縄県で連続的にやらなくちゃならぬということでコンベンション・ホールの設置を当時の平良知事に提案したのでございますが、今日までなしのつぶてでございました。あるいはそのときはわからない人々が多くて「ションベン・ホール」ではないかといったようなふらちな発言も聞いたことがあります。ところが西銘知事は、このコンベンション・ホールの設置につきましては予算を計上して建設の段階に入っております。今後、これはどのように展開されるか御所見を承りたいと思っております。
なお、そのときに私は、膨大な負債を背負って立ち往生しているところのリゾート公社と観光開発公社の合併を促進し、これは一応成功したかに見えたのであります。ところがその後、観光公社は毎年3000万円の莫大な資金を一般財政から繰り出しておるわけでございます。これは本社管理費となって持ち出されております。5カ年間のその合計は、53年からでございますけれども、1億5199万円となっております。公社は現在、沖縄海中公園、旧海軍壕司令部、名護浦荘、沖縄館、沖縄エキスポランドを経営しているわけでございますが、いずれも海軍壕以外はランニングコストが間に合わないぐらいの精いっぱいの経営でございます。
思うに、観光開発公社はその創立当時、私もそれに参画した一人でございますが、危険度の高い開発は政府がバック・アップをしなくちゃならない。沖縄の自然は戦争によって消滅した。守るべき自然がないから、私たちは観光資源を空と海に求めようじゃないか。しかし暴風地帯であるところの海の開発は余りにも危険度が高いので一般企業が手をつけないであろう。だとするならば、政府がバック・アップすべきだといって海中公園の建設を始めたのでございます。その次に首里の陸軍壕の調査を進めたのでございますが、地盤の関係から地層が悪くて、たとえ開発になってもそのまま観光客に見せるには余り危険度が高いというのでこれはやめました。その次に海軍壕の開発になりましたけれども、海軍壕は成功しているわけでございます。
ところで、つらつら考えてみまするに、もはや観光開発公社の目的は達成されたと思うわけでございます。もろもろの仕事を民に移管し、本社で仕事をしているところの18名の職員を観光局に引き上げて局長のもとに掌握し、体制を強化することが今日的観光団体のあり方ではないかと思うわけでございます。そして漸次工夫しながら、ハワイにおけるビジターズビューローの形態をとりつつ、それに移行しながら沖縄観光の諸団体を衣がえして再編成する必要があると思うわけでございます。
その次に、観光基金問題でございますが、これはわが国では石川県しかございません。これから組織化されるでございましょう。現在の遊興飲食税の3%並びに5%、これを拠出し、県から5000万円を出費するような形になっておるわけでございます。現在、県は、観光開発公社に3000万、観光連盟に3200万円も繰り出しておりますので、機構改革を機会にこの基金を大いに研究課題といたしまして、沖縄県に観光基金の創設をしなければならない時期になっているわけでございますので、それに対する御高見を承りたいと思っています。
観光産業は一過性でございまして、大変将来に向かって心配事項があるわけでございます。私は皆さんにこのビラをお見せいたしますけれども、(資料を掲示) 「ついに出た 狙い撃ち広告」という題でございまして、これはコピーでございますのでカラーではございませんから余りわかりませんが、これには、「常夏 沖縄NO」、そうでないというんです。「サイパンYES」と書いてあります。「航空料金 沖縄安い・サイパン割安」と書いてあるんです。そしてたとえば、「免税ショッピング 沖縄一部できる。サイパン全品目できる。」。「常夏 沖縄NO、サイパンYES」。「ビザ 沖縄不必要、サイパン不必要」。「機内食 沖縄無、サイパン有」。「外国体験 沖縄できない、サイパンできる」。「日本語使用 沖縄可、サイパン可」。「航空料金 沖縄安い、サイパン割安」とまさに沖縄観光に対するねらい撃ちでございまして、これはサイパンと沖縄を具体的に比較したコンチネンタルの謀略的宣伝でございます。
このようにいたしまして、いま沖縄観光は徐々に、いや急速に伸びてはきましたけれでも、あちらこちらのところからねらい撃ちをされている状況でございまして、この沖縄観光を固定化するためには、私は知事部局並びに沖縄県民が英知をしぽる時期になっているんだと思っております。
復帰になりまして一番悪くなったのは飛行機内での機内食だと言われております。そして沖縄県の観光は航空業界主導型と言われまして、このビラにあるとおりに一定の料金があります。そして沖縄県の航空料金は遠距離逓減法でございますから安いのでございますけれども、こういう機内食のお粗末さ、削減によっていろいろとそれが補てんされているかに見えるわけでございます。私は、航空会社が沖縄県の観光に対しまして宣伝その他の面で貢献されたことには満腔の敬意を表するものでございますけれども、沖縄の航空路はまたドル箱だと言われておりますので、知事がもう一度航空会社にいろいろと念を押して、そういったようなコンチネンタルの沖縄攻撃みたいなようなパンフレットが出ないようにいろいろと方策を立てなければならぬと思いますので、知事の努力に期待するわけでございますので知事の御所見を承りたいと思っております。
次に、移民問題について質問をいたします。
移民は、戦前は明治元年に始まりまして、それから30数年おくれまして沖縄移民が開始されました。沖縄県に国際交流事業団が置かれましたのは、戦後の琉球政府時代からの歴史的過程はありますげれども、これはわが国の各県にあるものではございません。北海道、東北、関東、中部、関西、中国、九州、沖縄となっておるわけでございまして、1つの県に国際交流事業団の支部が置かれたのは沖縄県だけでございまして、これは沖縄県がいかに国際交流の拠点であるかを示すものだと思っております。
そこで、沖縄県におきましては、ロサンゼルスを含めまして中南米に対しまして本議会の議決を経まして2億592万3000円の援助金が送り出されているわけでございまして、それ以外に市町村の援助金といたしまして5468万円も含めますと約3億の金が南米の移民地にわが沖縄県から援助されているわけでございます。ところが南米は御承知のように地球の反対側であり、余りにも遠隔な地であるがゆえに交流にはこれが大きな妨げとなっているわけでございます。特にアルゼンチンとわが国の間には移住協定があるとは言いましても、外交法権が効果的に発動されておりません。沖縄出身者を含めた日本人の誘拐事件もまだ解決されておりません。通貨価格の低下など不安な要素がありまして、私はアルゼンチン移民に対しては非常に心配しているわけでございます。このような状況の国にバイアブランカのサンアドロフ入植計画が進められてぎたのでありますが、きわめて慎重に構える必要があると思います。それに対するその後の県の具体的対応の説明を求めます。この移民には3億円の借り入れもし、また現地におけるところの事務所の経常費もこれから持っていかなければならぬわけでございますから大変な心配事でございます。
思うに、世界におけるところの移民の受け入れ国はカナダ並びにオーストラリアでございます。この際私は、移民問題に南米から他の方面に目を向ける必要があろうかと思います。私は、南米一辺倒の国際交流から目を転じて、沖縄の地理的条件を生かしてフィリピン並びにオーストラリアに向けた方が得策だと思うわけでございます。
まず、オーストラリアにつきましては日本の約20倍の面積でありますが、人口、わずか1450万人で、5人に1人は移民でございます。私は、県議会議員ともどもに機会がありまして現地をつぶさに見てきたのでございますが、現地の大使館を訪問したとき、大使の説明を聞くことができました。オーストラリア移民の利点は、まず東京から12時間で行ける。気候が沖縄とよく類似している。特に沖縄あてに牛肉を多量に輸出しているので沖縄県とは親密感がある。ラジオで日本語教育放送をしているぐらいの親日感情が深い。それに今日までは歴史的に白濠主義で白人しか入れなかったけれども、現在では日欧主義に変わって、わが日本の国に対しては親近感を持っているわけでございます。そこでアルゼンチンに3億の金を費やすならば、同じ3億の金を費やして私はオーストラリアに目を向けた方がいいんではないかと思っております。ところがオーストラリア移民は難点があります。技術が必要でございます。私はこの際、沖縄県の職業訓練所を充実拡充することによって内外の需要にこたえるような対策を立てながら、この技術に対応しながら移民政策を転換すべきではないかと思っています。
比島移民の有利性はまた沖縄からすれば東京より近いのでございまして、土地が沃肥で、戦前の耕地名が赤嶺三郎耕地あるいはバゴ大城などの耕地がいまも残っておりまして、沖縄県に対しましては特に親近感を持っているわけでございます。しかし戦争中のいさかいがありますので、しっかりした調査の上、治安などの保障が得られたときにフィリピン移民は展開すべきだと思いますけれども、大変有望なところだと思いますので、これからの国際交流は沖縄の地理的条件を生かしてまず南の方に目を向けることも必要ではないかと思いますので、知事の所見を承りたいと思っています。
次に、パイン問題と農業の振興について質問申し上げます。
パイン問題は、古くて新しい問題であります。これは沖縄の基幹産業に組み入れられておりながら、国頭と八重山の産業でございます。2つ目には、わが国の果樹振興法の指定作目でありながら沖縄県にしかありません。そのために国においては、沖縄県の代議士以外は目を向けません。ややもするとまま子扱いの産業でございます。流通面から見るとグローバル、冷凍パインの総攻撃の矢面に立っているわけでございます。
一方、農家にしてみれば、価格が安定しないので植えつける計画が立たないのでございます。そのためにこの産業は「ブーラハッタイ」しながら今日までまいりました。特に流通面では米国との合意事項として58年9月までは現行の非自由化でよいが、10月以降は自由化にするという申し合わせがあります。さらに生産を安定せしめることは緊急な課題でありますけれども、昭和56年の農林大臣告示は10万トンであります。ところが現在は八重山、国頭において約6万トンを前後しているのであります。もし現在の生産がとまってそれ以下になるとパイン産業は沖縄県から撤退したものと判断され、国の保護を受けることもできずに基幹産業から外れるおそれがあるわけでございます。これまで育てたパイン産業の危機がやってくるわけでございますから、これに対する当面の知事の施策はどうなっているか御説明をお願いいたします。
なお、沖縄県には、肉用牛価格安定基金、子牛安定基金、野菜価格安定基金、鶏卵安定基金等々の産業に対する安定基金がございます。しかしそれらのものは、その多くが農林省とかかわり合っておるのできわめて有効に働いております。パインは植えつけてから2カ年後に収穫ができて金が入るわけでございますから、この2カ年間を補償するためにはパイン価格安定基金の創設が望まれるわけでございます。県、農協、生産者、パッカー、関係市町村などの出資により可能だと判断されます。ところがパイン産業は9市町村にまたがる小さな連帯者でございまして基金の造成には困難だと思いますので、あらゆる方策を立ててパイン基金の創設を知事に強く要望いたしましてパインに関する質問を終わります。
次に、わが沖縄県の首脳並びにわれわれ県議会議員も同様でございますが、私たちは政府に対して砂糖問題、パイン問題、予算折衝等いろいろ要求するときには1つの定見を持っていかなければならぬと思っております。ややもするというと、沖縄は甘えているとか、もはや沖縄県は特別扱いにされないとか、沖縄県は国にもたれかかっているんだというふうな声がかまびすしく論議されまして、わが沖縄県に対するわが国政府の対応はだんだんだんだん冷え切っていくような感じがするわけでございます。
ところが私たちは、米軍基地をまず最初にとらえてみなければなりません。わが沖縄の県土は日本の国土の0.59%にすぎません。1%にも足らないわけでございます。ところが米軍基地は全国の47%を前後しながら沖縄はこれを抱え込んでいるわけでございます。もし沖縄県土の面積と日本県土の面積の比例に応じてこの問題を考えるならば、沖縄県は現在の74分の1の基地を抱えれば、ちょうどわが国の各県と等しい米軍基地を抱えることになるわけでございます。この米軍基地の重みは、歴史的な過程がありますのでいま直ちにこれを排除するということはできないのでございますが、抱え込んでおりながらも、私たちは日本の政府に対しましてこれだけの基地を背負っているんだと、わが国の国防に貢献しているんだと。そしてそれから受ける被害も並み大低のものではなくてわれわれは苦悩しているんだと。この苦悩に対してわが国は、ほかの県とは異なった配慮があってしかるべきであって、予算も各県の伸び率と同じであり、あるいはまたその他の要求事も各県と同じであっては、われわれ県民はたまったものではありません。このことをまず十分に認識を踏まえることでございます。
なお、さらに私たちは現在多くの領海をわが国に経済水域を提供しているのでございます。わが国の経済水域は389万平方キロでございまして、200海里時代になりますとわが国の国土の約12倍になるわけでございます。沖縄県は小笠原を含めましてこれに187万平方キロメートルの経済水域をわが国の利益のために提供しているわけでございます。いままでは遠隔の地であり貧乏県だからということでいろいろの同情をもってされましたけれども、これからはわれわれ沖縄県は国にこれだけの貢献をしているんだということをまずぶっつける必要があろうかと思います。
特に砂糖折衝におきましては、カリフォルニア米を食べておりましたので、私たちは日本の政策のらち外に金武ターブックヮ、羽地ターブックヮ、奥間ターブックヮ、その他島尻のターブックヮは、そのまま稲作からキビ作へ転換してまいりました。しかしながらわが国においてはその前に昭和45年に農民に対して770億の休耕補償を出しているわけでございます。46年には771億、47年には753億、48年には708億の休耕補償を出しておりまして、合計3000億を国は休耕補償といたしましてわが国の稲作農業家に繰り出しているわけでございます。ところが先ほど申し上げましたとおりに沖縄県はそういうことをしないで、その恩典を受けないまま稲作をキビ作に転換したのでございますから、サトウキビ価格の折衝の場合は奄美大島とは違ったような対応でもいいから、このことを強く力説いたしましてわが沖縄県の農業が安定するように糖価安定法並びに砂糖事業団に懇請する必要があろうかと思うわけでございます。それがわれわれ沖縄県が国・政府、その他の機関に折衝する基本的な心構えになっておらなければならぬではないかと思っています。いままでこの問題がややもすると沖縄県の立場を知らない人々が政府の機関の中にもおりまして、沖縄県はいつもおんぶされている、沖縄県が復帰したためにわれわれ日本の国はこれだけ損をしているんだと言わんばかりの発言をしておりますけれども、これらの人々に対しては許しがたい発言として大いにたしなめる必要があろうかと思うわけでございますので、特別に御配慮をいただきたいと思います。
その次に、最後でございますが、青少年の交通事故死に対しましては大変遺憾にたえないのでございます。
青少年が健全に育つようにその精神復興のためにあらゆる問題を討議することもよいでしょうが、しかし若い命を落とさないように対策することは、なおそれ以上の大きな問題ではなかろうかと思うわけでございます。ところがわが沖縄県の青少年の高校生の死亡は、わが九州においては1位で福岡県と同じでございます。何で長崎県はゼロだのに沖縄県では毎年19名の高校生が急いで命を捨てるのであろうか。このことは、人の命は地球より重い。特に高校生の命はさらに大人の命よりも大切に育てていかなければならぬのでございますが、これがウナギ登りに統計がどんどんどんどん多くなっているわけでございます。
時間がありませんので手っ取り早く説明をいたしますけれども、これが3人の場合でございます。(資料を掲示)昭和50年、51年、52年と死亡率は高くなりました。ところが53年にはこのような谷間ができたんです。なぜ谷間ができたか考えてください。そうしてそれから330%、530%、630%と毎年毎年高校生の交通死亡事故が起こっているわけでございます。これは教育長、警察本部長、この谷間は何で谷間になったかというとこれは取り締まりが強化されたんです。これは交通方法の変更のとき、「730」の場合でございます。このようにいたしまして交通事故は減ったのでございます。警察本部長、このような形で事故を減らす方法もあるんです。教育長、お二人に対しまして今後この統計が下がるためにはどうすればよいのか、この対策を承って私の質問は終わります。ありがとうございました。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 小橋川議員の御質問に対しましてお答えいたします。
キャンプ・ハンセンにおける殺害事件につきましてはまことに遺憾であり、この事件につきましては2月28日、米軍関係者を県に呼び、事件の経過説明を求めるとともに、綱紀の粛正と遺族に対する補償を強く要請いたしております。また3月1日にはアメリカ大使館、防衛施設庁、外務省等に対し再発防止に万全を期し、被害者遺族への補償については特段の配慮をするよう申し入れてあります。
地位協定についての御質問に対しましてお答えいたします。
地位協定は、安保条約に基づく日米間の取り決めであるので、その改定はきわめて困難であると思われます。しかしながら県警等の捜査に対してはできる限りの協力が得られるよう要請してまいっております。
次に、県庁舎の移転改築についての御質問に対しましてお答えいたします。
庁舎の建設場所を考えるに当たって基本的なことは、まず全県的に利便性の高い場所であること、沖縄県のシンボルとしてふさわしい場所であることが必要であると考えます。また効率の高い行政機能を発揮し行政サービスの向上を図るためには、国の各機関や各種団体等の関連機関とより効果的に連携できる場所が望ましいと考えております。このように考えますと、現在の場所は、北部、中部、南部、先島、離島等全県的な交通の要衝の地にあり利便性のきわめて高いところであります。歴史的にも、明治以来今日まで県庁の所在地として県民生活と深くかかわり合いながら県庁が立地してまいりました由緒ある場所でありまして、その歴史と伝統は尊重されなければならないものと考えております。広さについて見ましても、全国の県庁敷地面積の広さと比較いたしてみましても狭いとは考えられません。したがいまして現在地から他の場所に移転しなくてはならないという決定的な要因は見当たりませんし、現在の場所が県庁所在地として最も適当な場所であると考えております。次に建設時期について申しますと、現在の庁舎はごらんのとおりきわめて狭く、民間ビルを年間約2億円をかけて借り上げておりますし、県民に迷惑をかけております。できるだけ早い時期に新しい庁舎を建設することが必要であると考えております。建設費については約200億円を見込んでおりまして、そのうち行政棟については約140億円を見込んでおります。資金計画については約半分を庁舎整備基金をもって充当し、残り半分を起債、一般財源、警察棟については補助金制度もありますので資金計画は可能であると考えております。
なお、建設計画に当たっては、県議会の代表や学識経験者を含めた協議機関を設置して十分協議してまいりたいと考えております。
次に、行政機構についての御質問に対しましてお答えいたします。
今回の行政組織改正に当たっては、第2次沖縄振興開発計画の推進を基本にいたしまして企業誘致対策の強化、病院事業の健全化、62年国体等現下の行政課題への取り組みの強化を図る考えであります。このような行政課題に取り組む中にあっても本県の行財政を取り巻く環境は厳しく推移しておりまして、組織の簡素化、効率化にも努め、商工観光部と労働渉外部を統合して「商工労働部」にしたいと思っております。今回の両部の統合により、商工行政と労働行政との有機的な施策の展開が図られると考えます。
次、米軍基地関係業務は、基地渉外業務と渉外労務業務、軍用地の利転用対策などがございますが、行政的にはそれぞれ性質の異なる業務でありますので、機能別に分担させ各主管部長のもとでその取り組みをさせた方がより的確、強力な対応が可能であると考えております。基地被害対策等の業務を知事公室に位置づけることにより、県としての政策的判断を速やかに行い適切に対処していくことで基地行政への対応は強化されると考えております。
次、コンベンション・ホールの建設についての御質問に対しましてお答えいたします。
沖縄産業文化会館、これは仮称でございますが、コンベンション・ホールの建設につきましては現在、建設場所を宜野湾市大山地先埋立地に内定いたしておりまして、昭和59年度着工を目途に検討を進めているところであります。今年度は施設の規模、内容、建設資金等を明確にするため基本設計調査をすでに発注し実施中であります。また58年度は引き続き基本設計調査を進めるとともに、建設に向け実施設計を行う必要があり、58年度予算の中で実施設計費を確保すべく国に対し強く要請しているところであります。
次、観光産業の問題点についての御質問に対しましてお答えいたします。
御提言の観光開発公社と観光連盟を統合してハワイ式のビジタービューロ一を設置し観光振興を図れということにつきましては、公社と連盟は寄付行為、定款、事業内容及び性格等が異なっていること並びに種々の問題があるため現段階では困難だと考えます。しかしこのことは観光振興の上で大変有効と思われますので、沖縄産業文化会館の計画ともあわせて今後検討してまいりたいと思います。
次に、観光振興基金の創設についての御質問に対しましてお答えいたします。
この制度は現在石川県等で実施されておりますが、その内容は県と業界による基金の出捐及び料理飲食税等の報償金から成り、これを旅館、ホテルに対する運転資金融資の原資として活用するとともに、その果実運用益は観光宣伝事業費として活用されているものであります。観光振興基金の創設については、設置主体、課税客体、基金の捻出及びその運用など他県の状況を見ながら検討してまいりたいと思います。
コンチネンタル航空会社の宣伝ビラについての御説明があり、それに対する対応策についての御質問がございましたがお答えいたします。
グアム、サイパン等に就航している国際線には多くの航空会社がございますが、その中にはIATA(国際航空運送協会)に加盟していない航空会社もございまして旅客確保のためにさまざまな宣伝があることは考えられますが、御指摘の件については実情を調査の上対処してまいりたいと考えております。
次に、海外移住問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
ブエノスアイレス州政府からコロラド川流域に農業移住者を受け入れたいとの申し入れを受けて、これまで数次にわたる視察調査を行いました結果、同地域が移住地として有望であるとの結論を得て外務省、国際協力事業団等の指導協力を得ながら積極的に今日まで進めてまいりました。ところがアルゼンチンにおいてはフォークランド紛争後の処理をめぐる政治的混乱に加えて失業者の増大、異常な物価上昇等深刻な経済不況に陥る等投資環境が極端に悪化いたしておることや、県の行財政を取り巻く環境が大変厳しくなっていることなど重大な情勢の変化が生じたため、これまで進めてまいりました計画を当分の間延期し、今後どうするかについては慎重に検討したいと思います。またオーストラリアヘの移住については、近年、技能技術を有する移住者を受け入れるようになっており、今後、移住先国として非常に有望でありますので、県としては同国への移住を国際協力事業団等関係機関と協力して推進してまいりたいと思います。一方、フィリピンヘの移住につきましてはわが国との移住協定が締結されておりませんが、今後情報等を収集し検討してまいりたいと思います。
次、パイン問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
パイナップルかん詰めが自由化された場合、経営基盤の脆弱な本県のパイン産業は壊滅的な打撃を受けることになりますので、これまで輸入自由化・枠拡大しないよう国に要請し続けてきたところでありますが、なお引き続いて要請してまいりたいと思います。また果樹農業振興基本方針の生産目標については昭和55年度に策定されましたが、その後の実態に即して見直しを行うものといたしますが、見直しの時期、数量等についてはパイナップル産業を取り巻く情勢を十分見きわめた上で対処してまいりたいと思います。パイン振興基金の創設につきましては検討させていただきます。
次に、諸問題の政府折衝についての基本的な考え方について御指摘があったのでございますが、御質問に対しましてお答えいたします。
本県は、地理的、自然的条件において本土各県と大きく異なる上、広大な米軍基地を抱えております。そして27年間にわたる米国統治もあって多くの分野において本土と格差が生じております。これらの特殊事情に基づく本土との格差是正を図るため本土復帰に際して、沖縄振興開発特別措置法が制定され本県の振興開発が図られておりますることは御案内のとおりであります。この基本的認識に立ってこれまでも国庫支出金の要請を初め、特別交付税の要望、その他あらゆる政府折衝を行っておるところでありますが、今後とも御指摘の点を踏まえまして政府折衝を継続してまいりたいと思っております。
次に、青少年の交通事故についての御質問に対しましてお答えいたします。
昭和54年以降、本県の高校生の交通死亡事故は年々多発いたしておりまして、昭和53年3人、これは交通変更当時の数でございます。54年10人、55年16人、56年19人、57年19人の傾向にあり、昭和58年もすでに3人の死者が出るなどまことに憂慮すべき事態となっております。
昨年の事故について見ますと、事故発生の時刻は73%が午前0時から午前6時の間に起きておりまして、曜日別に申し上げますと土曜、日曜、長期休暇に77%を占める遊び型の事故となっております。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 石田慧史君登壇〕
○警察本部長(石田慧史君) 高校生の交通死亡事故が大変ふえていると、何とかこれを防止するための対策はないのかと、こういった御質問についてでございます。
若干説明を申し上げますと、昭和57年中の県下の交通事故死者は107人となっておりまして、昭和56年中に比べまして約33%の増加となっております。中でも青少年、特に高校生の交通事故死者は、御指摘のようにここ数年来大幅に増加をいたしておりまして、昭和57年中は19人、全死亡事故に占める比率は20%近くにも上っております。また、この数字を九州各県と比較してみますと、構成比対比で九州平均の3.5倍となっております。
さらに、高校生の交通死亡事故の状況につきまして先ほど知事からも話がございましたが、2輪車によるものが約80%、それから夜間の事故が約60%、それから日曜日の事故が約30%となっております。
このため警察といたしましては、現在、高校生の交通死亡事故の防止を最重点の施策の一つとして取り上げまして、総合的に各般の施策を推進いたしているところでございます。
そのうち主要なものを申し上げますと、その1つは、高校生の交通安全意識の高揚、運転技術の向上を図るためのものでございまして、警察本部に、県、教育庁、学校、PTA連合会、交通安全協会連合会、自動車教習所協会などの諸団体で構成いたします中央連絡会議、これは第1回会合を去る2月8日に開催いたしましたけれども、これを設置いたしまして、また各警察署におきましても地域連絡会議、これは中央の先ほど申しました組織に対応するものでございますが、こういったものを設置いたしまして中央、それから地域が一体となって統一的、具体的な施策を推進いたしているところでございます。
それから指導取り締まりの面でございますが、現在、8の日作戦というようなことで毎月8日、18日、28日の月3回、特に2輪車を中心にいたしまして街頭における指導取り締まりを強化いたしているところでありますが、高校生による2輪車の事故が日曜日及び夜間に多いと、こういうことから、土曜日の夜から日曜日の早朝にかけまして毎週県下全域で強力な指導取り締まりを実施いたしているところでございます。
しかし、いずれにいたしましても大変将来性のある本県の未来を背負って立つべき高校生が、このような交通事故によりむだな死をするということは何としてでもこれは防がなくちゃいけないと。こういった決意のもとに私どもといたしましてはただいま申しましたような各般の施策を推進いたしているところでございますが、小橋川議員の先ほどの御指摘にもありましたように、私どもといたしましては53年の「730」、この時期に交通事故、死亡事故を含めましてこれを大幅に減らしたという経験を持っているわけでございます。今後、そのとぎの経験をもさらに生かしまして関係機関、それから私どもの指導取り締まりはもちろんでございますが、県民の英知を結集するような形でこの痛ましい高校生の交通死亡事故防止に一層の努力をしていきたいとこのように思っております。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 高校生の交通死亡事故についての御質問にお答えいたします。
先ほど知事からの答弁にもありましたように高校生の事故は大変ふえてきておりまして、大変憂慮すべき事態になっております。その事故発生の時間、それからその場を見ますと、ほとんどが午前0時から午前6時の間に起きているのがほとんどでございます。それから曜日別に見ますと土曜とか日曜、それから長期休暇等に起こっているのも非常に多うございまして、いわゆる遊び型の事故になっているわけでございます。
そういった高校生の交通事故防止につきましては、教育庁といたしましても再三高等学校に指導助言を行ってきておりますし、また学校におきましてもその防止対策に苦慮しているわけでございます。しかもその事故のほとんどが学校管理下以外の場で起きているということからその対策には非常に苦慮しているものでございますが、そういった防止のためには、先ほど県警本部長からも話がありましたようにそういった関係の機関と連携をとりまして十分な対策を立てていきたいと思います。もちろんそういった学校での交通安全指導の徹底充実もさることながら、地域住民、関係機関団体の理解と協力を得るということが一番大切なことではなかろうかと考えておりまして、今後ともこの面の強化に努めていきたいというふうに考えております。
○議長(大田昌知君) 砂川武雄君。
〔砂川武雄君登壇〕
○砂川武雄君 本員も自由民主党沖縄県連所属県議団を代表する者の一人として所見を申し添え、質問を展開いたします。
まず最初に、離島振興とその対策についてお伺いをいたします。
御承知のように、本県は本土を遠くかけ離れたところに位置する離島県であるばかりか、沖縄本島を軸に有人離島41にも及ぶ全国でも数少ない離島の集合体であることは申すまでもありません。その離島県の中の有人離島41の島は、5万人も住む宮古島や、12人しか住んでないような水納島など大小さまざまな島でございますが、知事は御就任以来、御多忙の合間を縫ってこれらの離島にくまなく足を運んでおられ島民を励ましておられることは、戦前戦後を通じ最高の離島思いの知事であると高く評価され喜ばれておるのであります。
知事の積極的な御努力により、いまや道路、港湾、空港、学校校舎の整備や水道、電気などいわゆる社会資本の整備を中心に農漁業の基盤整備、医療福祉、生活環境施設など各分野において見違えるほど整備されてまいりました。県の資料によりますと、過去10年間で離島の公共施設の整備のために投じた額は3190億円にも上り、離島空港は復帰前の6カ所だったのが11カ所となり、県道の舗装率が15.8%から87.9%となり、圃場整備率は1.7%から13.6%と伸び率を示し、格差是正はいま一歩というところでありまして大変喜んでおるものでございます。
ところで、沖縄県の県民所得はようやく伸び率が縮まってまいりましたが、それでも本土の70.7%しかありません。29.3%も本土と比較して低い位置にあることは一体何が原因なのか、これを探求し是正をするためにどのような努力をなすべきであるか。2次振計がスタートしたばかりの発展途上にあるわが県に課された大きな命題であり、本土に追いつけ追い越せ、そして日本一の平和で豊かな明るい活力ある沖縄県を生み出す、これがわが沖縄県の振興開発の目標であり、進路であり、110万県民の願望であると私は理解し強調したいのであります。
そのように本土と比較してわが県の所得が29.3%も低いように、無数にまたがる離島に住んでおられる人々の所得もまた本島の76.1%で、格差が23.9%もあることを本員は指摘せざるを得ないのであります。その格差を是正し、県全域の均衡ある発展のため行政の手を差し伸べることはまた県政の重要な課題の一つであると信ずるものであります。県民が本土に追いつけ追い越せを合い言葉として励んでおられるように、島に残り、島を守って離島に住む県民もまた皆様と同じように沖縄本島の皆さんに追いつけ追い越せの気概をもって地域社会の発展に取り組んでおられる事実を私は目の当たりに見て知っておるのでございます。さらにもっと飛躍して沖縄本島はおろか本土並みの達成を見たい、経済的自立を図りたい、日本一の農家になってみたいと大きな夢と希望を捨てない青年たちがたくさん残っていることもまた事実であります。これら住民に希望を与え、青年に夢をかなえさせてやるにはやはり政治の力にまたねばならない問題が離島にはたくさん横たわっているのでございます。
離島の振興、このことについてはこれまでこの本会議場においても多くの方が取り上げ、問題点が論じられているとおり離島振興は言い古された言葉であり、使いならされた言葉でもありますが、達成を見るまで欠かすことのできないわが国の重要な施策であると同時に、わが県が抱える重要課題でもあると信ずるのであります。問題解決促進のため再度取り上げるわけでございますが、その前に、本員が教育の機会均等と離島地域の過疎化の歯どめ対策の一つとして地域の自治体を初め、地域に住む住民がもっともっとやる気を起こし、活力を取り戻すためにもその条件整備の一環として、この際高等学校またはその分校を設置して若い人口の再配置を図るようにしてもらいたいと主張してまいりましたが、知事並びに教育長におかれましてはこの趣旨を十分と御理解なされ、本年度教育予算において離島である伊良部島に高校を新設する費用が計上されております。離島振興の大きな目玉として位置づけ厚く御礼を申し上げ、さらに今後とも与那国町や竹富町、多良間村や南北大東村、伊江村や伊是名、伊平屋村など設置可能な島にこれが実現するよう要望し、実現するまでは教育の機会均等や父兄の経費の負担軽減、生徒の健全育成の立場から、離島僻地の生徒には何らかの救済措置が実現できますよう厚かましく重ねて要望いたし、このことは次の機会に取り上げることにいたしまして本論に入ります。
たくさんある中で主なものを拾い上げてみますが、まず第1番に離島への架橋であります。
申すまでもなく離島振興の目標は、離島の隔絶性を解消することにあると思います。離島を結ぶ橋をかけることは、離島住民の有史以来の願望であり夢であり、もろもろの離島苦を解消する最良の方策であります。わが県は、これまで宮城橋、野甫大橋、伊計大橋を開通し、瀬底大橋、奥武島の海中道路の建設、池間大橋設計等着々と進めており、その積極的な姿勢はその地に住む住民はもとより県民から高く評価されており、今後も引き続き橋をかけ、海中道路をつくり離島苦を全面解消してもらいたいと思うのであります。多額の資金を要することでありますので大変厳しいこととは思いますが、今後の取り組み、計画見通し等についてお伺いをいたします。
2点目、同じ国民、同じ県民でありながら南北大東島は民放はもちろん、NHKでさえもいまだに中継局ができず同時放映はできておりません。比較的人口が多く遠隔の地にある宮古、八重山地域については、NHKが昭和51年12月から日本電信電話公社の海底同軸ケーブルを利用して同時放映が実現しております。おかげで文化の恩恵に浴しているのでありますが、民放についてはこれまたいまだに実現されておりません。テレビは、御承知のようにいまでは一日足りとも欠かすことのできない生活必需品となり、必要欠くべからざる文明の利器であり情報源でもあります。これが設置実現は情報化社会において必要なものだと思います。知事の積極的な対応を望み対策をお聞かせ願いたいのであります。
第3点、宮古―本土間、石垣―本土間の直行便の開設を強く求め知事の御見解を承りたい。
離島県の中の離島で比較的人口の多い宮古島に住んでおられる皆様が、島を挙げて東京直行便の実現に向けその推進に取り組んでおりますことは、知事、御承知のことと思います。これは地元だけの問題ではなく、また地元だけで解決できる問題でもありません。これには航空関係者はもちろんのこと、政府の御理解と御配慮をいただかなければなりませんが、最も重要なのは、知事、あなた御自身がこの問題に対する御理解と実現に向けての御熱意がなければならないことは申すまでもありません。
それではなぜ島民が東京直行便を必要としているのか、またその実現によってどのような効果がもたらされるのか私見を申し述べてみたいと思います。
高度経済成長から安定成長経済へ、積極財政から緊縮財政へと経済並びに財政環境を余儀なくされ、変化しつつある体質に伴ってこれまで財政主導の公共投資によって支えられ成長を続けてきた経済構造、特に離島は行財政改革による公共工事の大幅な伸びが期待できそうにない現実に対応するには、経済体質を改善し、自立自営の道を厳しく見出し真剣に取り組まねばならない重大な岐路に立たされていると思いますが、特に脆弱な経済基盤しか持ち得ない離島においてはなおさらのことであると懸念されるのであります。そこで公共工事依存の経済体質とも並行して農業と水産業、あわせて観光産業の発展による島の経済の再建確立が急務中の急務であると言われておるのであります。幸い比較的広大な農地を有しておりますので、花卉や野菜が増産されます。漁業基地も漸次整備されておりますので、生産される生鮮な魚介類が豊富にあります。ウナギも養殖されています。すばらしい海や美しい自然に囲まれながら未開発の観光資源の多い島でもあります。本格的なリゾートホテルを含む施設も着手されました。観光産業は飛躍的発展が予想されるのであります。これら3つを柱にした産業開発が十分に生かされ島興しを図るためには、何としてもこれまで最大のネックとなっている輸送問題の解決、すなわち本土直行便の実現による大量、迅速かつ低廉な輸送ルートが確保されねばならないということであります。飛行場の滑走路も2000メーターに延長していただきました。本土直行便が就航すれば、建設中の大型リゾート施設と相まって観光産業の飛躍的発展の起爆剤的役割りを果たします。野菜、花卉、魚介類など生鮮な農水産物の生産販売が活発化するので農水産業発展に大きく役立ちます。雇用の増大による失業対策、若年労働者の島内就職を可能ならしめ、商店街にも活力がみなぎることが十分と予想されるのであります。このように夢と希望を持ちながら島を挙げて東京直行便の就航を待ちわびているのであります。何としてもこのことは早急に実現させねばならないと思います。待ちわびる住民に対する知事の御高見を賜りたいと思います。
なお、空港がありながら利用されていない伊江島空港については、住民から再開の要望はないのか。それとも利用者が少なくて活用されないのか、実情をお聞かせ願いたい。そして開港に向けて御努力を願いたいのであります。
さらに、伊是名村や伊平屋村に空港を建設するのがおくれているが理由を御説明ください。いまや県内の離島間交通事情も88%が航空機利用だと聞かされております。もはや飛行機は県民の足となっておるのであります。このような時の流れとでも申しましょうか、スピード時代にいまだ空港がないため行政の平等な恩恵が得られず、産業、経済、教育、文化などありとあらゆる面で立ちおくれが目立ち、幾多の離島苦をなめながら空港設置を強く強く要望して待っておられる伊平屋島、伊是名島に住む県民に平等な政治の恩恵が得られるよう知事のお力をかしていただきたく御答弁を求めるものであります。
4点目に、電気と水の供給についてお伺いをいたします。
私から申し上げるまでもなく水と電気、これは文明、文化のバロメーターと言われており、経済大国を自認するわが国日本においていまだに水道がなく天水を頼りに生きている島が存在し、24時間送電のない島があることはまことに遺憾であります。確かに100名足らずの人が住んでいるような島に数億の金がかかる、これは経済効果だけから見るならば厳しい面があるかもしれませんが、島を守っておられる住民生活向上のため、さらに過疎化防止のためやらなければならない重要な仕事だと思います。生活が一番安定し、身分も保証されているサラリーマン向けの1兆円減税や人勧凍結のみが大きく取り上げられる成長した経済社会の中で、このような格差は思うだけでも身の毛がよだつのであります。訴えるすべも知らず力は弱いのでありますが、水と電気だけは与えねばならないと思います。水に不自由をかこっている多良間村の水納島を含む3つの島と南大東島の一部への送水、さらに24時間送電がいまだ実現しない4つの島に対する取り組みについて御答弁を求めるものであります。
5点目に、離島振興の目玉は何としても青年男女が島にとどまることであり、これなくして離島振興を叫ぶのは無意味であるといっても過言ではないと思うのであります。そこで離島振興の立場から、青年を島に定着せしめる方策として比較的人口が密集し、比較的広大な農地を有する宮古島と石垣島に農業大学かその分校が設置できないものか、さらに職業訓練学校を設置できないものか、この2つを提言いたしたいのであります。
農業大学については後日の検討課題としてとっておきますが、職業訓練学校についてはできるだけ早い機会に実現できますように御検討願いたいのであります。職業訓練及び技能検定は、特に若年労働者を含む個々の労働者や企業に役立つことは論をまちません。同時に地域社会の利益につながるものであり、重要な関心を持たざるを得ないのであります。現在、県内には、県立の訓練校が浦添市、具志川市にあり、雇用促進事業団の経営する学校が北谷町、具志頭村に設置されており、両方あわせてそこの修了生は約1500人にもなっていると言われ好評を得ておるのでありますが、このような施設が離島にないのは行政の配分とでも申しますか、片手落ちのような気がするのであります。こんな施設こそ離島にも設置して青年男女に職業訓練をなすべきではないでしょうか。北城ろう学校宮古分校には来年卒業予定の生徒、いわゆる風疹児44人がいよいよ巣立たんとしております。これら生徒の父兄は、これが早期実現を去年から知事に直訴しておられます。これらの訓練も含めて学校設置はすばらしい離島振興の施策ではないかと思うのであります。厳しい問題提起かもしれませんが、前向きの御検討を賜りますようお願い申し上げながら、御答弁を賜りたいと思います。
次に、南方カツオ基地漁業についてお伺いをいたします。
南方カツオ漁業が離島伊良部島だけでなく、宮古島の経済を支え、今日の繁栄を見たことは余りにも有名であります。昭和53年に55億、54年には少し落ち込んで33億、55年は59億、56年は45億と莫大な収入があり島全体に活気をみなぎらしたのであります。これの及ぼす波及的経済効果がいかに大きいか察するに余りあるものがあります。しかるに昨年あたりから、アメリカにおけるかつおぶしの売れ行きが思わしくないなどの理由で、3社のうち2社が出漁を取りやめねばならない状態に追い込まれ、1社17隻のみが出漁したのであります。せっかく新造した漁船も港に係留されている姿は、見るに忍びないものであります。船主はもちろん、200名を超す船員が途方に暮れておりますことは、経済問題だけでなくゆゆしき社会問題であり憂慮されているのであります。ことし出漁した17隻の水揚げ高も10億を少し超す程度になろうかと言われており、この落ち込み、この数字の格差を見るだけでも、伊良部島を初め宮古本島並びに県経済に及ぼす悪い影響が予想され心配しているところであります。知事におかれましては、54年に現地も御視察になられ、現地政府はもちろん、視察研修の青年の受け入れなど漁業基地関係者に接しておられ、前向きに積極的に取り組んでおられることは大変喜ばしいことであります。対策協議会も設置して御検討しておられることを承知しておりますが、なお国際間における問題等もあり厳しいと聞かされています。しかしながら何としても善処しなければならない重要な課題でありますので、知事の最善の御努力を求め、御答弁をお願いいたします。
次に、通告してありました下地島空港残地開発についての質問は、次の機会にしたいと思いますので取り下げをいたします。
以上、数点、離島振興について哀願するように要請を交えながら質問をいたしましたが、わが県の県民所得が、本土より29.7%も低い格差がありますように、本島に対する離島の格差もまた23.9%も低いという現実は、何としても是正に努めねばならないと思います。このことは地域の自治体を初め、地域に根差し、地域の発展に取り組んでおられる皆様方が立ち上がり、もっともっとやる気を起こし、活力をみなぎらす努力が絶対条件でありますが、これを指導、激励、啓発し、温かい手をかしてもらって格差をなくし、離島振興が単なるかけ声、単なる言葉に終わらないよう、知事を初め、関係機関の特別の御配慮を求めます。県議会の皆さん方の御協力も格段にお願いをいたしまして、離島振興に対する質問を終わります。
次に、職場における婦人の地位向上に取り組む姿勢についてお伺いをいたします。
わが自由民主党は、去る1月22日、党大会において婦人の地位を高める施策を強力に推進することを本年度も引き続き党の運動方針として取り上げ、位置づけを行いました。たくましい自由社会、文化国家、福祉国家を目指すわが党が、婦人の英和と能力を生かし、婦人の地位を高めるための施策をいままでより以上に強力に推進するため運動方針を強化し取り上げたことは当然なことでありますが、このことはとりもなおさず青少年の健全育成を初め、複雑多様化していく社会への対応など、発達していく民主主義社会におけるお母様方の果たす役割りが大きくなり、いよいよ重要になりつつあることを物語るものであり、時宜を得た措置であり施策であると自画自賛をしておる次第であります。
婦人の社会的参加を進め、婦人の地位を高めるには、婦人自身の意識の改革高揚も含め幾多の問題が残されていることも承知しておりますが、しかし婦人問題の解決、男女平等のあり方、職場の民主化などは民主主義社会の成熟度を示すバロメーターでもあると言われておりますので、婦人の地位向上はわが国80年代の最も重要課題の1つであり、積極的に対処する時期であると本員はかたく信じて疑わないのであります。知事におかれましても、御就任以来、本問題については強い関心をもたれ対処しておられることは高く評価しておるのでありますが、さらに進んで県庁や学校現場、各種委員会などに有能な婦人の掘り起こしを図られて職場における地位をもっともっと高めていただき、婦人の英知を婦人の能力を十二分に発揮せしめ、たくましい自由社会、文化国家、福祉国家に貢献せしめたいことを要望しながら御答弁を求めるものであります。
さらに、学校現場におきましても積極的に主任にもなり、離島の学校、不便な学校へでも喜んで御赴任なされる教育熱心な御婦人の先生方がたくさんおられると思います。このような先生方を積極的に教頭に昇進せしめ、校長に抜てきなさるお考えはないのか。学校現場において女の先生方が喜んで主任にもなられ、教頭もふえ校長もふえるようになれば、教育現場から自然と男女平等が子供らにも芽生え、80年代における重要課題、婦人の地位向上につながるものであると思います。教育長の御答弁も求めます。
次に、県立病院事業の健全経営化についてお伺いをいたします。
県立病院事業は、これまで県民の生命を守り、医療福祉にすぐれた貢献をしてこられたのであります。知事におかれましても、県民のニーズにこたえて毎年新しく開発される機械器具の導入を初め、病院の設備の拡充、さらに地域の強い要望を取り入れての南部病院の設立等すばらしい成果を挙げてこられたことは、県民ひとしく評価しておる次第であります。いまや県立病院は地域的配分はりっぱ、規模の上でも設備においても申し分ないものとなり、人的体制も含め名実ともに県民の医療機関として発展してきたのであります。ところが経営面で見ますと、昭和56年度で病院事業の収支状況は、総収入145億に対し総費用が163億となり、単年度で差し引き18億円余の赤字経営であると聞かされております。県財政からの繰り入れも類似県並みには繰り出しておりますが、本年度で累積赤字は77億余にも達し健全経営であるとは申されず、むしろ危機感さえ抱くものであります。果たしてこれでよいのか。脆弱な県財政の中でこれ以上の繰出金は、もろもろの施策に影響が出てくるのではないかという意見がある反面、赤字の要因は、民間病院では対応できない重症患者の対応、高度特殊医療の実施、夜間診療業務、離島僻地診療所の設置など果たすべき役割りがあり、一般会計からもっと積極的に対応すべきであるとの意見も多く見られるのであります。このように特殊事情を持つ病院事業に経営面で締めつけるのは酷であることは理解できるのでありますが、累積赤字77億余と言われる病院経営もまた厳しく取り上げ、厳しく見直さなければならない重大な局面を迎えたのではないかと考えられるのであります。
ここでお伺いをいたしますが、健全経営に戻すため、一般財源からの繰り入れをどのように考えておられるか。
2点目は、病院管理局を新たに設置して健全経営に取り組まれる御方針であるやに承っておりますが、打開策があるなら県民の前に明らかにしてもらいたいのであります。
最後になりましたが、去る11月14日施行されました知事選挙において、大多数の県民から御支持を受けられ御当選なされた知事に、県民代表の一人として最高の言葉をささげてのお喜びを申し上げます。
選挙選を振り返ると、沖縄の置かれている独特の厳しい政治情勢に加え、革新のエース、現職の参議院議員との戦いでありましたので、現職のあなたも、すばらしい4カ年間の実積がたくさんあるとはいえ、かつてない激しい選挙であったのであります。票差1万3000余票、重みのある大勝利でなくて何でありましょう。高く評価して県民こぞって喜んでおる次第であり、私が最高の言葉をささげてのお喜びを申し上げるゆえんでもあります。いよいよ、施政方針にもありましたように、世界経済を含むわが国経済の厳しい時勢であります。沖縄には、あなたでなければ解きほぐすことのできない問題が積み重なっています。110万県民とともに手を携えて保守も革新もなく、あなたが口癖のように言われる全国一の沖縄県、世界一の平和な島、明るい郷土をつくり上げていただくことを御祈念申し上げて、代表質問を終わります。
○議長(大田昌知君) ただいまの砂川武雄君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時49分休憩
午後 1時25分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
午前の砂川武雄君の質問に対する答弁を願います。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 砂川議員の御質問に対しましてお答えいたします。
離島を結ぶ架僑についての御質問に対しましてお答えいたします。
離島架橋については、御指摘のとおり離島苦を解消し、離島の振興を図る上で重要な課題だと考えております。県としては、これまでも離島架橋の可能性について検討しているところであり、国や県の財政が厳しい折ではありますが、今後とも地域の開発動向等を踏まえまして離島発展のため積極的に離島架橋の実現に努力してまいりたいと思います。
次に、離島におけるテレビジョンの開設についての御質問に対しましてお答えいたします。
南北大東におけるNHKテレビ放送につきましては、特殊法人宇宙開発事業団が昭和59年1月に打ち上げを予定している放送衛星によって解消できるものと期待いたしております。また、民間テレビ放送の先島への同時放送につきましては、県、郵政管理事務所及び放送事業者で種々検討いたしました結果、マイクロ回線使用料の捻出がむずかしいこと等がございまして早急な実現は困難でありますが、通信技術の進展が著しいものがあることからその推移を見守りつつ同時放送に向けて努力してまいりたいと思います。
離島から東京への直行便就航と離島空港建設についての御質問に対しましてお答えいたします。
離島地域の航空輸送に対する依存率は高く、第2次振興開発計画の中でも宮古、八重山の離島圏域内はもとより、本土間の交通通信ネットワークの整備拡充を行い、離島の持つ不利性の克服と生産活動の効率化及び生活便益の高度化、広域化を図ることにいたしております。したがって離島から東京への直行便は離島振興はもとより、本県の観光及び農林水産業等の振興を図る上からも必要であり、実現しなければならない大きな課題であると考えております。
次に、離島空港の整備についてお答えいたします。
県が、設置管理する第3種空港は11ございます。第1次振興開発計画においては宮古空港及び石垣空港の暫定ジェット化を初め波照間、粟国、北大東、伊江島、下地島、多良間の6空港を新設してまいりました。その他の既設空港におきましても滑走路、照明施設等の整備を行い機能の充実を図ってきたところであります。
本県においては、将来ますます増大が予想される航空需要に対処するため、第2次振興開発計画においては新石垣空港の建設を推進するほか、宮古空港を本格的なジェット機対応空港として昭和58年7月の供用開始を図ることとしており、また与那国空港はYS11型機対応空港として拡張整備中であります。また伊是名、伊平屋における新規空港の設置については、離島住民の福祉向上及び地域開発等の面から地元から強い要請がなされており、県におきましてもこれまで両村における諸調査及び基本計画等を行い、第4次空港整備5カ年計画、昭和56年から60年度までとなっておりますが、第4次空港整備5カ年計画で整備ができるよう国に対し空港設置の要請を行ってきたところでありますが、米軍の伊江島射爆場訓練空域及び財源問題等があって空港設置がおくれている状況であります。
ともかく離島空港の新設については厳しい状況にありますが、第2次振興開発計画においては航空需要の動向に応じ整備等を検討することになっており、県としては今後とも検討を行うとともに、関係機関へ強力な要請を行い空港設置ができるよう努力してまいりたいと思います。また伊江島空港については米軍による訓練空域が設定されているため同空港の運用時間帯が制限され、航空機の就航もおのずから制限されたことにより利用客も少なく定期便の運航が休止している状況であります。県といたしましては、伊江村長から月、水、金、午前8時から午前10時までの運航時間帯の設定について要請があり、これまで米軍及び関係機関へ要請してまいったところでありますが、さらに58年1月18日の3者連絡協議会幹事会においても同空港の運用時間帯の拡大について要請したところであります。今後とも村と協力して引き続きその実現方に努力していきたいと考えております。
次に、離島における水と電気の御質問に対しましてお答えいたします。
現在、県内には、沖縄電力から電気の供給が受けられず、自家発電による時間給電を余儀なくされているところが竹富町鳩間島、西表島舟浮、新城島及び多良間村水納島の4地域があります。これらの離島地域は、現在、県、町村の補助を受けて部落営で15時間から18時間の給電が行われており安定的供給体制がまだとられていないため、住民生活及び産業振興等の面で支障を来しておるところであります。
この4地域のうち、鳩間島については昭和57年度と58年度の2年間の継続事業として海底送電事業を実施中であり、今年の夏ごろには完成する予定となっております。また西表島舟浮部落につきましては、昭和59年度から事業着手ができますよう予算要求すべく調整中であります。多良間村水納島と新城島については、島の人口及び産業等の今後の推移を見ながら共同自家発電等の整備充実の面から検討していきたいと考えておるところであります。
本県には41の有人離島がございますが、そのうち生活用水の確保が困難な島で、地理的、自然的条件から海底送水が可能な離島については、昭和46年度から昭和57年度までに宮古の池間島を初め勝連町浜比嘉島に至るまで15の離島に海底送水管を布設し、現在生活用水を給水しているところであります。また多良間村水納島、その他の離島で河川水、地下水等が乏しく生活用水の確保が困難な離島については、引き続き昭和58年度から昭和60年度にかけて国や関係市町村とも調整しながらそれぞれの離島の自然的、地理的条件に応じ海水の淡水化による水道施設の整備や集水グラウンドによる貯水池を建設するなど離島の生活用水の確
保に努めてまいりたいと思います。
職業訓練校の先島誘致についての御質問に対しましてお答えいたします。
公共職業訓練校の設置につきましては、地域のニーズや雇用の動向及び産業構造の変動等によって考慮されるのでありますが、いまのところ先島地域に職業訓練校を設置する計画はございませんが、このことは今後の課題として検討してまいりたいと思います。現在、先島出身者の職業訓練については、寄宿舎の設備のある雇用促進事業団立の訓練校で主として対応している状況であります。また風疹児の職業訓練については、各関係機関と協議し前向きにその対策を講じていく所存であります。
次に、南方漁業再開についての御質問に対しましてお答えいたします。
パプア・ニューギニア国における今期操業ができるようにするため担当者を現地に派遣いたしまして、1月27日から2月2日までの間、現地国において事務調整を行ってきたところであります。今回の事務調整においてパプア・ニューギニア政府から漁業許可の条件が提示されており、その内容を検討し、再度同国と調整する必要があると考えております。これと並行して操業の長期的安定を図るため県、関係市町及び船主等で構成する漁業会社を設立すべく関係者と調整を行っているところであり、早期に操業ができるよう努めたいと思います。
職場における婦人の地位向上についての御質問に対しましてお答えいたします。
婦人の登用につきましてはこれまでも十分配慮もし努力もしてきたところでありますが、今後とも御要望の趣旨を踏まえてなお一層努力したいと思います。
県立病院の健全経営についての御質問に対しましてお答えいたします。
病院事業は、地方公営企業法の一部適用により企業の経済性の発揮と公共の福祉の増進という2つの目的を持っております。しかし県の病院事業は、地域の一般医療機関で満たし得ない質的水準の医療、がん、成人病等に対し高度の機器設備を用い専門的な医療技術者を置いて行う医療、リハビリテーション、その他の先駆的医療、未熟児収容部門における医療等特殊な看護を要する医療、救急医療、僻地医療、さらに医師、看護婦の養成、公衆衛生活動等は、通常、能率的な経営を行ってもなお赤字経営とならざるを得ない要素がございます。したがって地方公営企業法第7条の2の規定により一般会計から経費負担の制度を設けているところであります。病院事業の経営については独自の経営健全化の努力も行いつつ、また一般会計においても県財政事情を勘案して繰り入れを図り経営の再建を図る計画であります。
なお、一般会計からの繰り入れについては、基本的に次のとおり考えております。
1つ、昭和56年度決算繰入額を基準とする。2つ、基準額に病床増加分、物価上昇分を加算する。ただし、病床増加分については実施ベースで見直しを図る。3つ、経営健全化促進のため定額3億円を加算することにいたしております。
県立病院事業は環境保健部の県立病院課で管理いたしておりますが、累積赤字が年々増大いたしまして事業経営が厳しい状況にありますことは御案内のとおりでありその改善を図る必要があります。現在、県立病院課は管理係、業務係、施設係のほかに経営健全化班、企画班及び電算班を設置し業務処理に当たらせているところでありますが、今後さらに組織権限を強化し、病院事業に対する局長を配置して経営再建を図るため病院管理局を設置することにいたしております。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 婦人の地位向上に関しての御質問にお答えいたします。
現在、校長、教頭、指導主事として活躍している方々が26人おります。今後も有能な女教師の管理職への登用に関しましては、これまでどおりに力を入れていきたいと考えております。また学校現場でも教務主任等に任命されよく管理者を助け、児童生徒の学力向上等教育的実績についても高く評価されている方々が多いと報告を受けております。
次に、僻地離島等への赴任の問題でございますが、近年、教育熱心な女教師が離島僻地へも赴任したいという方々がふえていく傾向にございますので、今後に期待をしているところでございます。
○議長(大田昌知君) 平良 哲君。
〔平良 哲君登壇〕
○平良 哲君 午前のお二人に続き、私も自由民主党所属県議団を代表する一人として、さきに通告いたしました事項について所感を述べながら質問いたします。
1980年代は混迷の時代であり、予測の困難な時代であると言われております。世界の先進工業国も、不況、失業、インフレの経済不況に悩まされているのが現状であります。ちなみに失業率を見ると、アメリカ9.8%、西ドイツ7.6%、イギリス12%等主要10カ国の平均失業率は10%であり、先進工業国の失業者は3200万人に達していると言われているのであります。それに比べてわが国の失業率は2.4%、130万人であります。インフレの状況は、アメリカの7.1%、西ドイツの5.8%等先進主要国は5%から10%台、残りの約160カ国は2けたから3けたの高いインフレであり、5%以下の物価上昇は世界でも日本だけであります。経済成長率は、アメリカ、西ドイツ、カナダ等でマイナス、OECD全体でマイナス0.5%であります。わが国は、57年度当初見通し5.2%を下回るものの、3.1%の伸びが見込まれております。
このように成長率、インフレ、失業率のどれをとってみても、わが国は世界で最も安定した経済運営をなし、政治も自由民主党の安定政権のもとで堅実な政治が行われており、政治も経済も世界で最も安定している国、それがわが国日本であります。
20世紀初頭、極東の小国であった日本、面積にしてわずか世界の0.3%、人口は世界の3%、その日本が、今日では世界のGNPの11%を占める自由世界第2の経済大国に成長したのであります。わが国が近代国家になって戦後この方38年間も戦争がなく、平和と繁栄を享受できたのは、国民の高い教育水準と勤勉さ、加えて政治路線の選択が正しかったからであります。わが国が西欧型社会へ追いつき、近代化を図るという目的は達成され、いままさに新しい時代の扉を開こうとしているのであります。しかし世界の趨勢としては停滞の時代、灰色の時代を迎えており、その導火線となったのが2回にわたる石油危機と技術革新がストップしてしまったことによると言われております。
最近、石油の値下げが行われつつあることはわが国にとって歓迎すべきことであります。しかしいずれにしても世界は新しい秩序と安定を求めて不透明の中を模索する時代であり、わが国の前途も容易ならぬものがあると思うのであります。内には行政改革、財政再建、外には貿易摩擦、資源問題等一概に内政、外交問題と単純に区別でぎないような重要問題ばかりであります。これからの日本は、世界の孤児にならないために国際的な視野に立って連帯と協調の精神をもって協力と責任を明確に果たしていくという基本認識を確立する必要があると思います。
国内外の厳しい情勢の中で、国民的課題は何といっても行政改革を断行し、破綻寸前の財政を再建して安定した財政基盤を確立することであると思います。いまや国債残高が約100兆円に達する最悪の財政を立て直すために、国の58年度予算は財政史上例のない厳しい超緊縮予算の編成をいたしているのであります。すなわち一般会計予算規模は前年度当初予算に比べて1.4%増の50兆3796億円であり、その中には56年度の決算不足額を補てんするため、国債整理基金特別会計から借り入れた2兆2500億円の返済も含まれております。これを差し引くと実質的な一般会計予算の規模は、対前年度比で3.1%のマイナスであります。
国の58年度予算を受けて本県の新年度予算も編成され、今2月定例議会に提案をされました。公共事業等で他県より配慮されているものの3249億円、3.2%の仲び率は復帰後かつてない超緊縮財政であります。「伸び率ミニなれど思案と苦労でまとめた予算」と予算編成のごろ合わせを見ても、いかに財政当局が御苦労されたかは容易に推察されるのであります。自主財源の構成比が初めて19%台に達しましたが、中身は20億円の財政調整基金を取り崩して比率を高めたものであり、毎年10%以上伸び続けてきた県税も5%台に大幅に落ち込んでおります。依存財源では国庫支出金が1.5%と微増したものの、財政運営のかぎを握る地方交付税は22億円も減額され2.3%のマイナスであります。ことしの本県経済は、公共事業や観光の低迷、人勧凍結、民間企業の賃金抑制等が予想され、全体としては厳しい経済環境であると思うのであります。
国は、58年度の経済見通しについて名目成長率5.6%、実質成長率3.4%を見込んでおります。県は、名目で7.2%、実質で4.1%の予想であります。県は、ことしの経済見通しとして観光関連産業、個人消費及び民間企業の設備投資等の増加を見込んでおり、これらの需要を背景とした経済の成長を予測いたしております。
そこで2点ほどお伺いいたします。
1つ、観光関連、個人消費が伸びる要因は何を考えておられるのか。
2点目、本県の経済成長率が国を上回って伸びる要因は何であるのか、成長を支える要因の相違等についてお尋ねいたします。
次に、新年度予算について6点ほどお伺いいたします。
1、本県の財政構造について、48年から56年の9カ年間の平均を見ると、本県予算に占める国庫支出金の割合が42.7%、全国平均26.8%、地方交付税32.5%、全国平均17.1%、県税は11.9%、全国平均31.9%であります。このように本県は依存財源に占める割合がきわめて高く、弾力性の乏しい財政状況であります。
義務的経費について見ると、本県47.6%、類似県平均41.7%で著しく高い数値となっております。経常収支比率も85.7%、全国平均78.3%。70%台が通常の比率と言われており、本県の85.7%はまことに異常な比率であり財政硬直の大きな要因となっているのであります。その上、新年度は地方交付税の2.3%の減、県税の伸びが5%以下に落ち込むなどかつてない超緊縮予算の編成を余儀なくされているのであります。このような厳しい財政状況の中で、県はいかなる基本姿勢を持って新年度予算を編成されたのであるかお尋ねいたします。
2、本県は高率補助との関係で道路橋梁費及び河川費について、俗に言う割り落としが適用されております。毎年どれぐらいの割り落としがあるのか。高率補助は本県の特殊事情を考慮した措置であり、このような割り落としについて早急にその是正措置を求めるべきであると思います。率直な御意見をお聞かせください。
3、地方財源不足額2兆9900億円のうち、1兆3000億円は財源対策費で県債を発行して対応することになっております。他県は少ないところで92億円、多い県、たとえばお隣の鹿児島は244億円の財源対策債の発行が予定されております。本県はわずか30億円程度の発行見込みであり、全国的に見ても少ない状況であります。公共事業に充てられる財源対策費であるだけに、高率補助が適用されているとはいえ、本県に対してはもっと配慮されてもよいのではないかと思います。これにかわる何らかの代替措置が考えられるのであるかお伺いをいたします。
4、次に県債についてお尋ねいたします。
51年度から県債が急速に増加してきております。このことは長期的には需要の創出による景気の拡大を図り、雇用の安定と税源の涵養にもつながるものとして起債を活用してきているものと思われます。しかし県債はあくまでも借金である以上、その限度額がなければならないと思います。県は、公債費比率が10%を超えないことが財政構造の健全性を脅かさない範囲と考えているようであります。現在のところ他県と比べて比率は多少低いのでありますが、今後も県債の積極的な活用が期待されます。しかし自主財源の乏しい本県では、他県同様の公債費比率を考えることはいささか問題があろうかと思います。2次振計に盛られている各種の旺盛な事業を推進していくに当たって、県債の有効かつ弾力的な運用を今後どのように進めていかれるおつもりかお伺いをいたします。
5、次に2次振計に基づく主要プロジェクトの事業実施についてお尋ねいたします。
これから62年国体の施設整備、中城湾港、都市モノレール、庁舎建設、コンベンション・ホール等の建設、県立芸術大学の創設等旺盛な財政需要が見込まれます。しかし昨今の厳しい財政状況から判断して地方交付税や県税等の伸びは余り期待できないと思います。したがってこれらの主要プロジェクトを効率的に推進していくためにはある程度のプライオリティをつけて年度間調整を行い、財政計画と整合性のある事業の推進を図るべきであると思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
6、最後に本県の旺盛な財政需要に対応していくために、また弾力的な財政運営を推進していくためにも、自主財源の確保について特段の努力を払わなければなりません。自主財源の確保についていかなる対策をお持ちであるのか明確な御答弁を求めるものであります。
次に、農漁業の問題についてでありますが、時間の都合上かなりの部分を通告したものから割愛させて、主として野菜、花卉類についてお尋ねいたします。
58年度は全般的に厳しい経済環境で、県は農漁業の生産増加を見込んで第1次産業全体として9.9%の伸びを予想しております。これは第2次産業の5.6%、第3次産業の7.1%と比べても大きな伸びを見込んでいるといえます。特に野菜、花卉類については農業施策の適切な展開と農家の自助努力により、昭和56年度には県外出荷が100億円を超えるなど非常な勢いで生産は増大しているのであります。最近の新聞記事を見ますと、沖縄農業を追い越せ、本土各地から視察団続々、上昇する空飛ぶ農業等々、本県農業の発展ぶりを大きく紹介しております。これは本土の端境期をねらった農業生産の展開によるものでありますが、省エネルギーの進展により今後一層クローズアップされ、冬春期における生産物の供給基地としての重要性は次第に高まっていくものと考えられます。わが国農業の中で冬春期に加温なしで野菜、花卉類が生産できる地域は沖縄をおいてほかにございません。このような地の利を生かした農業の展開には大きな期待が持てるものと思います。
そこで野菜、花卉類の生産振興に関連して質問いたしますが、1、現在、特に花卉類については生産の著しい増大によりピーク時には定期航空便だけでは輸送できずチャーター機を飛ばすと聞いておりますが、離島農業のネックは何といっても経済的な輸送手段の確保にあると思います。今後の野菜、花卉類の生産計画とそれに対応した輸送手段の確保の見通しについてお伺いをいたします。
2、また野菜、果樹類の生産を大きく阻害しているミパエ類の防除対策についてでありますが、ミカンコミバエについては本島での根絶を終了して、宮古、八重山地域の防除に取り組んでおり、またウリミバエについては昭和58年度から大量増殖を始めるなどその根絶作戦は着実に進展していると思われます。そこでお伺いしたいと思いますが、野菜及び果樹農業を振興するにはどうしてもミバエ類を根絶しなければなりません。病害虫の撲滅を図るということは、それこそ歴史的な大事業であると思います。その防除の現状と今後の見通しについてお尋ねいたします。
次に、夫婦共働き公務員の問題と関連して県の人事行政についてお伺いをいたします。
本県の人件費比率が高いことはすでに指摘いたしましたが、類似県である島根、徳島、高知、佐賀、宮崎と比較してみますと、類似5県の人件費の比率の平均は昭和56年度の決算ベースで30.7%、これに対し本県は38.7%であります。人件費が高くなるということは経常収支比率が高くなり、県財政が硬直化してそれだけ政策経費が減少して適正かつ効率的な県政運営に支障を来すとともに、県民サービスの低下を招くことにもなりかねないのであります。
そこで質問といたしまして最初に、本県が他県より人件費比率が高い要因として職員定数が多いとかあるいは給与単価が高いとかいろいろ指摘されておりますが、これについて県はどのように考えておられるかお聞かせください。
2、本県職員の年齢構成を見ますと、38歳から48歳までが最も大きくふくらんで、20代の若い層が少ないいわゆるちょうちん型をしていて理想的な職員構成とはきわめてかけ離れたものになっております。このことは20代の若い層がきわめて少ないという現象を招き、将来の人材育成、有能な職員の採用あるいは雇用拡大の見地から問題があろうかと思われるのであります。このような職員の年齢構成を角度を変えてみますと、少ない年齢幅の中に部長、次長から一般職までひしめいている現状が推測されます。また事実そうなっているわけであります。このことは組織の維持、発展にとってゆゆしい問題であると考えます。このような状況下では職員は将来の展望が開けず沈滞し、モラルが低下して士気に影響するおそれがあります。よく組織は人なりと言われております。組織を活力あるものにするには、絶えず若い人を採用し新陳代謝を図る必要があります。この点について県はどのような対策を考えておられるかお伺いいたします。
3、次に本県の人件費が他県に比べてきわめて高いという指摘をいたしましたが、さらに職員の構成比の中で女子職員の占める割合がきわめて高くなっております。ちなみに本県の27.9%に対し、九州各県で最も高い佐賀県で17.9%、最も低い大分県で12.4%であり、本県は大分県の2倍以上の比率を占めております。このことは、最近県が実施の意向と伝えられる夫婦共働き公務員の問題と重要なかかわりがあるように思われてなりません。夫婦共働き廃止の目的と内容はどういうものであるのか。また婦人団体等から女性の働く権利を奪い基本的人権を侵すものという指摘もあるが、これを制度として導入するのであるか、それとも一種の行政指導的な性格のものであるか明らかにしていただきたいと思うのであります。
次に、労働福祉会館の問題についてお伺いいたします。
新聞報道によると、労働福祉会館の運営が行き詰まり、身売りされるのではないかと言われております。御承知のとおり、同会館につきましては建設当初から当時野党であったわが党は、会館の運営について大きな疑問と不安を抱き問題を提起してまいりました。すなわち県が労働福祉の事業を推進していくことは労働行政上も必要なことであり結構なことである。しかし会館を建設しそれを運営していくに当たっては、会館を利用してもらう労働者の皆さんも当然受益者負担の原則に基づいて応分の負担金を分担しなければならない。このことは他県や本県の他の福祉施設を見てもこのような基本的考え方に基づいていわゆる独立採算制の経営を行っているが、どこの施設も厳しい運営を余儀なくされているのが実態であります。しかも建設当初の県財政は逼迫をしていて、ひとり暮らしの老人対策費、心身障害児保育費等、いわゆる福祉優先の政策を主張する当時の革新県政が、このような弱者への対策費や補助金約2000万円を無慈悲にも削って、同会館の運営補助だけが前年度に比較して2500万円から8500万円と3倍以上の大幅増額を行ったのであります。そして事業計画とそれに伴う資金計画も明示されないまま、収支見積もりは当初から51万円の黒字を見込んでおりますと、まことしやかにしらじらしく本会議で答弁をしたのであります。そこでわが党は、ほかの会館がすべて大幅な赤字経営を余儀なくされている状況の中でこの会館だけが黒字経営をすることはあり得ない。収支見積もりは借入金の償還や利息支払いの問題を隠蔽した議会向けに表面をつくろうための見積書であり、議会軽視もはなはだしい答弁であると当時指摘したのであります。したがって同会館の運営は、県の労働福祉行政を補完する立場にあるという美名のもとに、すべて県の補助によって運営していこうとする安易な姿勢であり、組合と革新県政の構造的癒着による県民不在の理不尽な行政行為であると私どもは糾弾したのであります。
このようにわが党は、建設当初から同会館の問題については県の行政運営上重大な禍根を残すであろうと強い警告を発して今日までその推移を見守ってきたのであります。しかしながら残念なことには、わが党が指摘し懸念したことがすべて現実のものとなり、県財政に大きな負担をかけ西銘県政になってもその対策に苦慮しているところであります。15億9000万円の多額の資金を担保なし、保証人なしの条件で当時の執行権者の無定見な指示によって借り入れがなされ、しかも58号線沿いに面した1等地の県有地に同会館は建設されたのであります。運営を開始してから5年目で早くも経営が破綻を来し、抜本的な対策も見出されず、外観の威容さだけが目立っている建物となっているのであります。
そこで県財政との関係で3点ほど質問いたしたいと思います。
1、建設当初から現在までに一般会計からの持ち出し分は幾らになっているのか、また受益者負担の実態はどうなっているかお伺いいたします。
2、借入金の償還計画については、最終借り入れの時点から2カ年間据え置きの後、毎年1億1300万円を返済することになっておりますが、まだ1銭たりとも返しておりません。そこで今月末までに元利の返済、遅延損害金、運営補助、公租公課等含めて保健医療福祉事業団へ支払うべき金額は総額で幾らになりますかお答えいただきたいと思います。私の試算では、すでに一般財源から約6億円支払われており、今月末までに当然返済すべき金は元金を含めると残りあと約5億円支払わなければならない計算になっております。これだけの多額の金を県の一般財源から補助することは、現状の厳しい財政状況からとうてい不可能なことであります。
質問3、新聞によると、同会館の代物弁済案に対し、労働福祉の後退であるとする県労協が反対行動も辞さない構えを見せていると報じております。しかし私は、労働福祉行政は当然県の福祉行政の一環として積極的に推進していくべきであるが、労働福祉とこの会館の運営問題とは根本的に次元の違う別個の問題であると考えております。これまで述べてきましたように建設当初から大きな問題含みのまま推移して今日に至り、乏しい県財政の大きな負担になっている以上は、この辺で抜本的な対策を樹立して英断をもって解決すべき時期に来ていると判断をいたしているのであります。いつごろまで具体的にどのような対応策をもって解決なされるお考えであるのか、毅然たる決意をここで披瀝していただきたいと思うのであります。
次に、那覇国際空港の沖合い展開についてお伺いいたします。
那覇空港は、現在、県内の各離島を結ぶ拠点空港であり、同時に札幌、東京、大阪、福岡の各空港とともに日本列島を縦断する基幹空港でもあります。また国際空港として新東京国際、大阪国際、福岡、東京国際とともにわが国の5大国際基幹空港の一つであります。本県の航空需要は復帰後年々増加して年平均16%の大幅な伸びを示し、昭和57年の乗降客数は526万人で、これは47年の130万人に比べて4倍以上の伸びとなり、同じく取扱貨物量も7万5000トンで6倍以上の顕著な伸びを示しております。さらに那覇空港は、本県が本土と東南アジアのほぼ中間に位置するという地理的有利性から2次振計において、「国際交流の拠点となる空港」として位置づけられ、第3次全国総合開発計画においてわが国の南の玄関としての機能を有する基幹空港として整備されることになっているのであります。
このように重要な機能を持つ那覇空港は、今後の旺盛な航空需要に対応していくために一層の利便性、安全性等を確保するとともに解決しなければならない多くの課題を抱えております。
まず当面は、現在工事中の滑走路の300メートル延長とターミナル地域の整備及びアクセス交通の整備となり、長期的には新たに3500メートルの滑走路1本を建設するとともに、これに伴う諸施設を備えた本格的な国際空港として整備する必要があります。
県の調査によると、昭和75年における那覇空港の航空需要は乗降客数2000万人、年間航空機離発着回数は約12万7000回と予想され、滑走路の処理能力は限界に達するものと予想されております。そのために沖合いにもう1本の滑走路を新設する必要があると結論づけているのであります。
以上のことを踏まえて、県は56年に沖合い展開による那覇国際空港の建設を国に要請をいたしました。国は本格ターミナル地域の整備について鋭意検討した結果、本格ターミナルビルに約600億円、新しい滑走路に約2000億円の建設費と10数年に及ぶ長い建設期間を要することが明らかとなったのであります。そのため国の財政状況と空港整備特別会計の厳しい現状から、その早期整備はきわめて困難となる見通しであります。結論を先に申せば、62年の沖縄国体どころか、2次振計の期闇中においても沖合い展開による那覇国際空港の建設はむずかしいということであります。したがって、沖合い展開を前提にした本格ターミナルの建設やモノレールとの直結構想も断念しなければならないおそれもあると思われます。構想断念か継続か、この選択を迫られている県当局の苦悩も十分に推察されるのであります。
去る2月3日、那覇空港整備促進協議会の国場幸太郎会長を初めとするメンバーの方が、知事に促進要請をした際、知事から、いまの国の財政状況ではむずかしい、現空港は民間専用に、新空港は防衛予算によって実現を図り自衛隊専用にしたらどうか、こういう趣旨の発言があったと報じられております。
2月21日の企画総務委員会においてこの問題に関し県当局は、現構想推進の方針は変わってないが、一つの論議の段階であるという答弁をいたしております。沖合い展開による現在の構想が困難であれば、次善の策として沖合いに自衛隊専用の滑走路を新設し、これによって軍民分離を明確にさせるとともに、陸側の都市再開発、航空機騒音問題等の解決に寄与できるのではないかとこういう観点から、現実問題として一つの論議として議論をすることは大いに結構なことだと思います。民主主義というものは論議を深めていくところに進歩発展があるのであります。
そこで今回の問題について知事の御見解を明らかにしていただきたいと思いますが、まず第1、沖合い展開による新しい滑走路を防衛庁予算で建設して自衛隊専用の滑走路に使用させるという知事の発想は、知事から直接の指示はないが、事務段階においても一つの論議として進められていることが明らかとなっております。国内外の厳しい経済情勢や国の財政事情を考慮すれば、知事のお考えも一つの発想として十分に理解できるのであります。政治や行政は、理想とロマンと厳しい現実との整合性のあるものでなければなりません。2次振計と3全総に位置づけられている南の玄関と国際交流の拠点とする計画とを並行して同時に推進できるのであれば、そっ啄同時に解決できる方法として大いに論議を深めていく必要があります。
そこで知事にお伺いしたいことは、現実問題として、従来の構想を断念して政策の一大転換を図り、新しい発想による那覇国際空港の建設を推進して、民間専用空港と自衛隊専用空港を併置していくお考えであるのか真意のほどを率直に御答弁いただきたいと思うのであります。
2番、那覇空港の問題につきましては、県議会においても過去2回にわたって意見書を決議いたしました。第1回目は48年の12月議会、2回目は50年4月5日の議会であります。いずれも同空港から米軍基地を撤去して民間空港として解放せよという趣旨の意見書であります。第1回目は全会一致の決議でありましたが、2回目は自衛隊問題で意見の一致を見ることができず、わが党は修正動議を提出いたしたのであります。私はみずから党を代表して提案理由を述べさせていただきました。その趣旨は、われわれは、これまで革新の欺瞞性や詭弁をいやというほど見せつけられてきた。したがって過去の苦い経験から判断をして、那覇空港を完全な民間空港として解放せよというこういう主張の背景には、これを隠れみのとして全会一致の意見書を盾に、現在同空港を共用している自衛隊の反対、または撤去運動にこれを利用しないという証拠や約束が何一つ示されてない。わが党は、党の重要な基本政策の一つとして自衛隊を支持し容認しております。那覇空港は運輸省が管理運営する第2種空港であり民間空港であります。民間空港という目的は達成されましたが、民間専用については現在自衛隊も使用しており、代替施設がない現状から、また国防という国の根幹にかかわる見地からわが党は那覇空港を国際空港として整備するとともに、自衛隊については代替施設をつくり使用させるという趣旨の修正動議を提出したのであります。はからずも西銘県政になって再びこの問題が大きくクローズアップされてきました。そこで知事の新しい構想というものは、わが党の自衛隊については代替施設を設けて使用させるという意見書の趣旨と同一のものと考えてよいのかどうか、それとも全くの新しい発想による構想の展開と考えてよいのか御意見をお聞かせください。
3、わが国の中で、同一地域において空港の軍民分離構想が推進されているところがあれば建設費用、期間等を含めて具体的にお示しいただきたいと思います。
最後になりましたが、教科書問題をめぐる知事発言について質問いたします。
高等学校日本史の教科書が文部省における検定の過程で、沖縄戦に関する記述の一部が修正されたということに関連して県内外で大きな問題となっております。教科書に関することは文部大臣の所管するところであります。教科書の検定は、教科書が適切であるかどうかを決定するための制度であり、その適否についての論議は当然のことといえます。ただ今回の教科書問題が、一部報道機関の不正確な報道によって引き起こされたものであったということは、サンケイ新聞が昨年9月7日付ですでに報じたとおりであります。その記事の一部を御紹介しますと、文部省の検定で出版社によっては日中戦争での「侵略」を「進出」に置きかえたところもある。サンケイ新聞を含む幾つかの新聞がこのように報道したのが今回の教科書問題の発端であります。
ところが、改めて問題の歴史教科書を調べてみると、侵略を進出に書きかえた事実はなく、さきの記事が誤報であることがわかりました。この記事がきっかけとなって外交問題にまで発展したことを考えると、その責任の大きさははかり知れません。読者の皆様に深くおわびするとともに、今後なお一層正確な取材の徹底を期すことを約束しますと、このような誤報に対するおわびの記事であります。このことについては文藝春秋の昨年11月号に香山健一氏の「新聞記者の倫理を問う」という論文の中で厳しく糾弾され、わが国新聞界の反省と新聞倫理の再生を強く促されたのであります。県内においても沖縄戦の記述のあり方について、見方によってはそのことがあたかも沖縄戦のすべてであるかのように取り上げられているきらいがあるが、決してそれだけが沖縄戦のすべてではありません。沖縄戦の様相については、一方的な記述を避けて、広い視野と公正な立場からその様子を後世に伝え、その価値判断は後世にゆだねるべきであると思量するものであります。また学校現場においては、児童生徒の心身の発達に応じた教科指導がなされるべきであり、このことを無視した沖縄戦の学習指導のあり方は妥当ではないと思うのであります。
そこで最後に、3点ほど知事に質問をいたします、教育長も含めて。
1、今回の教科書問題に関して文部省はどのような行政措置をとったのか。県教育長に対して沖縄戦のことについて特に指導助言があったのかどうか。
2、学校現場に対して教育長はどのような指導助言を行ったのであるか。そのことに関して現場において教科書指導の上で困ったということがあるのかどうか御答弁をいただきたいと思うのであります。
3、昨年12月県議会における教科書問題についての知事の発言に対し、野党から再三再四にわたって質疑が行われました。このことに関して先月の2月5日、沖縄署名の会やその他のグループから、知事発言の撤回を要求する署名が高良公室長に手渡されております。この問題について、国民や県民に知事の真意が十分に理解されてないように思われてなりません。確かに昨年12月県定例議会における本盛議員の質問に対する知事の答弁は、知事の真意を十分に伝えてない感があり舌足らずなところがあったと思います。その後、続いて行われた上江洲議員、石川議員、与那嶺議員及び仲原議員の一連の関連質問に対しては、終始一貫、知事は同じ文言をもって繰り返し答弁されております。答弁の内容は、県民の強い要求である世界平和への願いを込めて、客観的かつ公正な記述を内容とする沖縄戦の事柄を、児童生徒の心身の発達段階に応じて適切な配慮のもとに教材化して学習させることについてはいささかも疑問を持つものではありません、これを否定するものでもありませんと、このような一連の一貫した発言の内容こそ知事の真意であり、教科書検定の沖縄戦に関する記述についての知事の基本的な見解であると私は確信いたしております。
したがって知事発言の一部をとらえて抗議や発言の撤回を求めるような言動は厳に慎むべきことであり、軽率な行動であるとのそしりを免れかねないのであります。しかしながら国民や県民の中にまだ知事の真意を十分に伝えておりませんので、教科書問題をめぐる知事発言の真意をここで再度表明していただきますようお願いいたしまして、質問を終わることにいたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 平良議員の御質問に対しましてお答えいたします。
県経済と新年度予算についての御質問に対しましてお答えいたします。その中で観光関連、個人消費の伸びを見込んでいるが、その要因は一体どこにあるかという御質問に対しましてお答えいたします。
57年度の観光客数は、予想に反しまして前年度を下回る状況で推移いたしております。その要因としては、全国的に景気回復がおくれたことに加えまして航空運賃の値上げ、航空機事故、航空スト、長期バススト等がかなり影響したものと見られます。58年度は観光需要の面から見ますと、国の経済成長率は57年度を上回り、所得の増大が見込まれることからいたしまして観光に対する需要は増加するものと見られます。
一方、県におきましては機構を改革して観光行政に対する取り組みを強化することにしており、加えて民間サイドにおきましては大規模リゾート施設のオープン等受け入れ体制も整備されつつあります。また千葉県に設置されるディズニーランドの開設等による影響が懸念されるのでありますが、58年度の観光条件は明るさが増すものと期待されておりまして、あわせて県、それから民間団体、本土エージェント等が提携して誘客活動を強化することにより、潜在需要が大きいとされている本県への観光を増大させることができると見ております。
また、個人消費については、県民生活の基本要件である物価が引き続き安定すること、賃金環境も57年度よりは改善されると見込まれること等からいたしまして、これらの要因を背景にして消費は対前年度と比較いたしまして増大するものと受け取っております。
次に、58年度県経済の見通しの中で本県の経済成長率が国を上回っておるが、その伸びの要因は何かという御質問に対しましてお答えいたします。
58年度の本県の経済成長率は、名目で1.6ポイント、実質で0.7ポイント国を上回る見込みでありますが、過去の実績も本県が高い状況で推移いたしてきております。58年度におきましてもこの水準は維持できるものと見ております。
58年度の成長を支える主な要因を需要項目で見ますと、経済成長への寄与率は、名目ベースで本県は民間消費が60.8%、観光収入を含めた移出が20.5%、民間企業設備投資が11.5%となっておりますが、国は民間消費が80%、輸出と民間企業設備投資がそれぞれ10%となっており、国においては民間消費に大きく依存する形となっております。また財政については、国、本県とも厳しい状況にありますが、本県は2次振計を推進する必要性から予算の伸びも国の伸びを上回っており、その分経済に与える寄与率も国を上回るものと思っております。さらに国全体としてはこれまで輸出が大きく経済を支えてまいりましたが、国際経済環境が厳しくなったことを背景にいたしまして、経済成長に対する輸出の寄与率は56年度実績の42%に対し、58年度は10%ときわめて小さくなっており、内需を中心とした経済へ移行するような見通しとなっております。
以上のように58年度の経済情勢は、本県と国との経済構造の相違等から本県が国より総じて堅調に推移すると見られますので、見通しの成長率は妥当な線と見ております。また格差是正の観点からも国を上回る成長率の確保が必要でありまして、そのように努力したいと考えております。
次は、国及び地方公共団体の厳しい財政状況の中で、県はどのような基本的見解をもって新年度予算を編成されたかということに対する御質問にお答えいたします。
58年度の県財政は、国及び地方公共団体の財政を取り巻く環境が一段と深刻さを増している状況を反映いたしまして、これまでになく厳しい環境にあります。このような財政環境下にあって昭和58年度の予算は重点施策を中心にしながら、1つには、第2次沖縄振興開発計画に基づく沖縄振興開発事業を中心としてその必要な額の確保を図る。2つには、地域経済の浮揚を図るため財源の効率的配分によりまして県単事業の額の確保を図る。3つ目には主要プロジェクトが引き続き推進されるようその額の確保を図る。この3つを重点に事業の選択を行い、さらに一般行政経費、その中でも特に物件費及び補助金等の抑制を図りました。また歳入面においては使用料及び手数料の適正化を図り、財政の効率的運営を図ることを基本方針といたしまして編成してまいりました。
次に、地方交付税の割り落としの是正措置についての御質問に対しましてお答えいたします。
地方交付税の道路橋梁費と河川費につきましては、本県に対する国の負担率が他県と異なるということから、すなわち高率補助があるということから割り落としが適用されており、その額は57年度分で申し上げますというと約27億円になります。しかしながら沖縄振興開発特別措置法による高率補助は、本県の立ちおくれた社会資本や産業基盤等を早急に整備するためのものでありますので、同法の制定趣旨をしんしゃくしていただきまして、地方交付税の割り落としが改善されるよう毎年要望を続けておりまして、今回も自治省に対しまして要望してきたところであります。 なお、この割り落としにつきましては、段階的にでもその改善が図られるよう引き続き要請する考えであります。
次に、財源対策債の代替措置についてお答えいたします。
本県の財源対策債は約30億円を計上いたしました。類似5県においては島根県103億円、徳島県92億円、高知県149億円、佐賀県106億円、宮崎県167億円で、平均123億円となっております。
本県の財源対策債が少ない理由は、財源対策債の配分が一般公共事業を中心にしてなされておりますが、本県の場合、一般公共事業については国の高率補助が適用され県負担額が少ないことによるものであります。
御指摘の代替措置については、財源対策債が一般公共事業の地方負担額に充当されるものであることから、制度上は原則として困難であります。しかしながら今回の財源対策債が地方財政計画の財源不足を補うためにとられた措置であることにかんがみまして、58年度の本県の財源不足に対処するため、地方債計画に計上されておる調整債の配分について配慮してもらうよう国に対し強く要望していく考えであります。
次に、県債の運用についての御質問に対しましてお答えいたします。
本県の県債が急速に増加してきたのは昭和51年度からであります。これは国が本来なら地方交付税で措置すべき財源不足を地方債の増発で対処したことと、沖縄振興開発計画に基づく社会資本の整備を初め福祉施設、教育施設及び医療施設等の整備を図るため、一般財源の不足を県債の活用で賄ってきたことに起因するものであります。これまで県債の運用に当たっては、将来の財政圧迫の要因とならないように慎重に対処しておりまして、今後はなお一層財政運営については慎重に対処する必要があると考えております。このような基本的認識に立って、第2次沖縄振興開発計画に基づく諸事業、昭和62年に予定されている国体を初め主要プロジェクトの実施等旺盛な財政需要の中から事業の選択を行い健全財政に心がけ、県債の活用を考えていくことはやむを得ないものと考えております。
次に、厳しい財政状況であるから、主要プロジェクトについてはプライオリティをつけて年度間調整をする必要があるんじゃないかという御指摘に対しましてお答えいたします。
御案内のとおり、本県の場合、振興開発計画に基づく各種プロジェクトの推進等旺盛な財政需要が見込まれておりますが、昨今の厳しい財政環境から判断いたしまして地方交付税や県税等の伸びが期待できない状況にございまして、御指摘のとおり各種プロジェクトの実施の時期、またその期間等については国体等開催年度の確定している事業を優先いたしまして、その他緊急性、また熟度等を考慮するなど年度間の調整が必要であると考えております。
一方、これらの旺盛な財政需要に対応するため歳出面では経費の節減合理化を進めながら、歳入面においては自主財源の強化を図るなど財源の確保を積極的に進めていく考えであります。
旺盛な財政需要に対応していくためには、自主財源の確保について特段の配慮が必要ではないかという御指摘に対しましてお答えいたします。
県財政を安定的に運営していくためには、国庫支出金や地方交付税及び地方債等の依存財源の確保を図っていくことはもちろんのこと、自主財源をいかに確保していくかが重要な課題でありますることは御指摘のとおりであります。本県の自主財源の構成比、決算ベースで見ますというと、53年度の16.7%に対しまして54年度が18.3%、55年度19.3%、56年度19.8%と年々若干の改善はされつつあります。これは県税事務所の微税体制の強化による徴収率が向上いたしたことと、産業振興、とりわけ観光産業の育成強化等によって観光客数が増加し、それに伴って県税が増加したこと、さらには受益者の受益に応じた負担という見地から使用料、手数料等の適正な料金への改定等を行ったことによるものであります。しかしながら、自主財源の構成比については全国平均及び類似県平均と比べてかなり低い状況にありますので、その確保については今後一層努力していかなければならないと考えております。
そこでこれらの対策といたしまして、当面は、1つ、広報活動を強化いたしまして納税思想の向上等に努力し県税の徴収率の向上を図ること。2つには、使用料、手数料等については今後とも適正な料金に見直しをしていくこと等の措置を講じるとともに、長期的に申し上げますというと、何といってもこれは産業の振興を図ること等によって担税力を強化すること、自主財源の確保を図っていくことが必要だと考えておりますが、それとあわせて財源の効率的な配分についても引き続き検討していく必要があると考えております。
次、野菜、花卉の生産計画と輸送手段の確保の見通しについての御質問に対しましてお答えいたします。
野菜、花卉の生産は、今後本県農業の中心的役割りを果たし、56年現在の257億円から、昭和66年には約2.5倍に相当する630億円を目標に、生産基盤の整備を初めハウス、集出荷施設の整備等生産対策を積極的に推進する考えであります。特に冬春期の県外出荷につきましては、現在の100億円から約3.5倍に相当する350億円に拡大するとともに、輸送手段の確保につきましては航空機の活用とあわせまして予冷、消毒施設の整備、冷蔵コンテナの導入等によりまして船舶を中心とする輸送体制の確立を図ってまいりたいと思います。
次に、ミバエの防除体制についての御質問に対しましてお答えいたします。
ミカンコミバエ防除についてでありますが、沖縄群島地域の根絶防除事業は昭和52年10月から開始し、昭和57年8月24日をもって根絶を達成いたしました。宮古、八重山群島地域については昭和57年4月から防除を開始しており、昭和60年度には根絶を達成する計画となっております。
次に、ウリミバエの防除について申し上げます。
ウリミバエの根絶防除は、久米島で成功したウリミバエ不妊虫放飼法によりまして実施するため、昭和55年度からウリミバエ大量増殖施設等の建設に着手し、本年度には週3000万匹生産可能な設備を完成することになっております。58年度には不妊化施設を完成し、59年度から不妊虫放飼による根絶防除を開始する計画となっております。ウリミバエ根絶防除計画は、宮古群島地域が昭和59年度から61年度まで、沖縄群島地域は昭和62年度から64年度、八重山群島地域が65年度から66年度までの計画で根絶防除を推進する計画となっております。
次に、夫婦共働きについての御質問に対しましてお答えいたします。
人件費比率が高い要因についてでありますが、類似各県と比較いたしまして人件費比率が高いことは御指摘のとおりでありますが、それは本県の特殊事情からいたしまして類似県と比較して職員定数が多いこと、ラスパイレス指数が高い水準にあること及び給与等級の高い方に職員の分布比率が偏っていること等が大きな要因となっております。
次に、年齢構成の是正策についてでありますが、職員の年齢構成がいびつな形をしておりまして、その結果として職員の新陳代謝や人材育成等御指摘のとおり問題が多いわけであります。県としては、その対策の一環といたしまして退職勧奨や希望勧奨を実施して高齢職員の退職を促進し、2、幹部職員の人事ローテーションを促進するとともに、3、管理職の共働ぎ職員の人事運営についても考慮するなど組織の活性化を図りたいと思います。
次に、女性比率と夫婦共働きのかかわり合いについて申し上げますと、女子職員の構成比率がきわめて高いことも御指摘のとおりでありますが、管理者の夫婦共働きの問題と直接的な関係はございませんが、実態としてはかなり女性の比率が高くなっております。
夫婦共働きの廃止の目的と内容について申し上げます。
県職員の年齢構成については御案内のとおりであり、理想とはかけ離れておりますが、このことが原因でいろいろな問題が出ております。たとえば20代の若い職員が少ないことは将来の県政を担う人材の育成上問題があり、また中高年に年齢構成が高くなることは人件費比率を高め、財政硬直化を招くことは御案内のとおりであります。また本県は全国一失業率が高く、有能な若い人たちが失業している社会的背景があり、一方で公的職場を一つの家庭の夫婦が占めることは社会的公平を欠くのではないかと考えられる一面もあります。
以上のような県内外の事情に対応するとともに、職員の新陳代謝を図って組織の活性化を図ることをねらいといたしておるのであります。したがってこれは男女差別ではなく、職員はみずからの意思によって定年まで勤務することも可能でございまして、人権問題とは異質の問題として処理してまいりたいと考えております。また当該内部運用は、すべての県職員夫婦が対象となるわけではございません。経済的にも一定の水準に達している一部管理職に限定してきわめて限られた範囲で行うものでありまして、県民の御理解が得られるものと考えております。
次、労働福祉会館についての御質問に対しましてお答えいたします。
労働福祉会館につきましては、労働福祉公社が建設資金の全額を沖縄県保健医療福祉事業団から借り入れ建設したのでありますが、同公社の財務状況から借入金の返済ができず長期にわたり遅延し、延帯金、公租公課等を含めまして債務は年々増大している実情であります。県の一般財源でこれを全額負担することは、県の財政事情からきわめて困難な状況であります。
以下、質問に対しましてお答えいたします。
建設当初から現在まで公社に対し補助いたしました金額は全部で5億9887万円であります。また受益者負担として労働団体から出揖された金額は、現在までわずか208万円であります。
昭和58年3月31日までに保健医療福祉事業団へ支払うべき金額は、元金及び利息、遅延損害金等、合計5億5393万円であります。その他運営費補助金、公租公課等を含めますと総額で5億7862万円となります。
今度は県の対応策でありますが、この問題の抜本的な解決を図るべく今日まで幾度となく協議を重ねてきたところでございますが、まだ結論を見るに至っておりません。代物弁済案をもとに、早期に結論を見出すべく現在関係機関と協議を重ねているところであります。
次、那覇空港の沖合い展開についてお答えいたします。
県は、昭和56年、沖合い展開による那覇国際空港建設構想の促進を前提に、那覇空港の本格ターミナル地域を早期に海側で整備するよう国に要請しているところであります。この要請に対しまして国は、本格ターミナル地域の整備について種々検討してきておりますが、その結果、500億から600億円の膨大な投資と10数年の長期間を要することが明らかとなっております。このように厳しい空港整備特別会計の現状からいたしまして、その早期整備はきわめて困難であるとのことであります。さらに滑走路の沖合い展開について航空需要が増大しても、なお現滑走路で十分処理できるとの観点から難色を示しております。
このように沖合い展開による那覇国際空港建設構想の具現化は、当分の間きわめて困難な状況にあります。そのため次善の策として那覇空港の沖合いに自衛隊専用の滑走路を新設させ、これによって軍民分離を推進するとともに、陸側の都市再開発、航空機騒音問題等の解決に寄与でぎるのではないかという観点から、一つの議論として論議しているところであると御理解賜りたいと思います。この場合でも、国の厳しい財政状況から可能であるかどうか、関係機関との調整が円滑になされるかどうか等きわめて困難な多くの課題を抱えております。県としてはそのような論議をしている段階であって、仮にそのような方策をとるとした場合におきましても十分時間をかけ慎重に検討し、その結果を踏まえて結論を出す必要があると考えております。
御指摘の代替施設が自衛隊専用の滑走路と解釈すれば、現在論議している沖合いの自衛隊専用の滑走路の新設構想は、結果的には自民党から提出されました意見書と同一趣旨のものと考えられます。
次に、わが国の中で同一地域で空港の軍民分離構想が推進しているところがあれば具体的に示してもらいたいということでありますが、お答えいたします。
わが国の空港で現在軍民分離が進められているものとしては、北海道の新千歳空港があります。現在の千歳飛行場は防衛庁の管理下に置かれ、民間航空は航空自衛隊との共同使用により利用しているところであります。昭和48年に運輸省は民間専用空港としての整備基本計画を決定し、昭和50年には第2種空港に指定するとともに工事が着工され、現在用地造成等が進められているところであります。第1期の事業費は640億円で、施設としては3000メートル滑走路1本とターミナル施設等が計画され、開港は昭和60年代前半と聞いております。第2期計画としてもう1本の滑走路が計画されておりまして、建設期間は20年近くの歳月を要するものと見込まれております。
次に、教科書問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
高等学校日本史の教科書における沖縄戦に関する記述の修正問題については、12月議会でも申し上げたとおり、歴史的事実は事実として教えるべきであると考えます。ただ単に、一部分の事実を強調して取り上げることは、判断力、思考力が未発達あるいは発達過程にある子供に対しては健全な情操を育てるという意味から教育的に問題があるのではないかということでございまして、沖縄戦に関することを学習させることが好ましくないということではありません。したがって県民の強い要求である世界平和への願いを込めて、客観的かつ公正な記述を内容とする沖縄戦の事柄を児童生徒の心身の発達段階に応じて適切な配慮のもとに教材化して学習させることにつきましては、いささかも疑問を持つものではありません。またこのことに関してすでに教育長から、各県立学校及び各市町村教育委員会教育長に対して文書による指導助言がなされているとのことであり、当然の措置だと受けとめております。特に教科書は教育委員会が所管する事項であり、教育委員長、教育長を中心にこの問題に当たらせるのが筋であると考えております。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 教科書問題に関しまして文部省はどのような行政措置をとってきたのか、また県教育長に対して特に指導助言があったかとの御質問にお答えいたします。
今回の教科書問題につきまして文部省は、昨年11月24日付で教科用図書検定基準を改正いたしております。特に歴史教科書の記述に関する検定のあり方に配慮がなされることになっているわけでございます。この検定基準は昭和57年から適用されるわけでございまして、昭和56年度に検定を終えた高校の歴史教科書につきましては、1年繰り上げて実施されることになるわけでございます。昭和58年度からは、適切に配慮された歴史教科書が発行されるものと考えております。
本件に関し県教育委員会に対しまして、文部省から沖縄戦のことに関して特に指導助言はございません。
それから学校現場に対し、沖縄戦に関して教育長はどんな指導助言を行ったかということでございますが、沖縄戦に関することを学習内容として取り扱うことにつきましては、昨年の11月6日付で各県立学校長及び各市町村教育長あてに助言の文書を出しております。これを要約いたしますと、1つ、歴史的事実は事実として学習させること、2番目に、沖縄戦の事実は児童生徒の心身の発達に応じて取り扱い、国際協調の精神を培うよう心がけること、3番目に、沖縄戦の様子については沖縄県教育委員会編の「沖縄県史」が適切な学習資料になること、そういうことでございまして教育課程に位置づけて適切な学習指導の工夫がなされるべきであるということで指導助言をいたしております。
それから学校現場で教科指導上困ったことがあったかということでございますが、学校現場からは特に困ったということは聞いておりません。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 仲村正治君。
〔仲村正治君登壇〕
○仲村正治君 代表質問を行います。
私は、昭和51年以来今日まで7年間、微力ながらも県勢発展のため精魂を傾け、県民が政治に何を求めているかを解決するために最善の努力を尽くしてきたつもりであります。しかしその間、一体何をなし得たかという質問に対していささか返事に戸惑いを感ずるところでございまして、引き続き県議会の立場から県民の負託にこたえる努力をするつもりでありましたが、諸般の事情によりまして県議会における代表質問は、恐らくこれが最後になるものだと考えております。
政治の世界は、一寸先はやみだとよく言われますが、その運命はいかんともしがたく、今回、私は、多くの県民の方々の勧めを受けまして突然重大な決意をいたしたところであります。浅学非才な者ではございますが、議員各位並びに知事をお初め執行部の皆様の変わらぬ御指導、御鞭撻、御叱正をお願いする次第であります。
私は、まず、西銘知事の政治姿勢についてお尋ねいたしますが、知事は第1次振計の総括、点検、反省の上に立って、その10年の成果を土台にして第2次振興開発計画を策定され、わが郷土の百年の大計をみずからの手で実現すべく昨年11月には2期目の知事選挙に出馬され、県民の信任を得て当選されたのであります。知事は選挙後、心の安まるいとまもなく、昨年暮れは12月議会の終了を待たずして58年度国庫支出金獲得のため上京され、本県からの要求額の満額達成を果たされたのであります。これは政府の58年度予算編成方針が対前年度比でゼロあるいはマイナスシーリングというきわめて厳しい情勢下での満額達成でありましたので、西銘知事の御苦労や御努力、なかんずく対政府折衝の抜群の政治力は県民がひとしく認むるところであります。選挙の際は、政府とのパイプの太さが盛んに論争されましたが、まさしくその実力とパイプの太さの威力を遺憾なく発揮されたものと考えております。知事は選挙のときに県民に訴えられたことは、振計に基づく本土との格差是正と経済の自立発展の基盤整備の事業を推進していかなければならないという本県の立場として、しかも今日のように国の内外において行財政環境の厳しいときに、県民が保革に分かれて相争う時期ではない、県民は主義主張を乗り越えて沖縄の将来を考えるべきだと訴えられましたが、知事は、選挙のときに県民に訴えられたこのような政治風土づくりをどのように実行されるおつもりかお尋ねしたいと思います。
わが国政治の根底をなすものは、国民が独立匡家の尊厳を維持し、日本国民として精神的にも物質的にも世界人類に誇り得る社会をつくることだと考えます。そのためにはやはり法治国家として法令遵守の社会の確立と社会秩序尊重の思想の高揚こそが、近代先進国家の基本原則であります。知事は過去4カ年間、当然国の機関委任事務として都道府県知事が行うべき自衛隊の募集業務を断行し、さらに主任制の実施等々法令遵守の政治姿勢を貫いてこられましたが、これは県民の社会規範遵守の思想を高める上で大きな示唆を与えたものと思います。しかしいまだに沖縄には、「アメリカ世」の「テーゲー主義」とイデオロギー闘争集団による法令無視の風潮が根強く残っております。口では憲法を守る運動といいながら、平気で法律違反のストを行い、法律で禁止されている公務員が選挙運動を堂々と行う。その他憲法で保障されている基本的人権を無視して、自衛官という職業を持っているという理由でその人たちの成人式への参加を妨害する行動など狂気じみた行為が堂々と行われております。これは管理者や取り締まり当局の責任が問われる重大な問題であると思います。去る11月の知事、参議院選挙の際、県内の幾つかの小中学校の職員室に特定の候補者のポスターが張られ、ビラは積まれ、選挙事務所の状態であったことを、知事、教育長、県警本部長は知っておられるか、そのような法律違反の行為にどのように対処してこられたか御答弁をお願いするものであります。
さらに、ここ二、三年来、小禄地区で行われた成人式への参加を取っ組み合いで妨害している行為は犯罪にならないのかお答えを願います。今後知事は、県民の法令遵守と社会規範、そして公徳心の高揚にどのように対処していかれるかお尋ねをしたいと思います。
次に、国防と県政とのかかわりについてであります。
今日ほど、わが国が独立国家としての国防のあり方について真剣な討議が求められているときはないと考えます。特に本県は、日米安保条約を基軸としたわが国国防と密接なかかわりを持つ在日米軍基地の44%を抱える立場から、知事の姿勢はきわめて重大であります。国民の一部には、わが自民党の国防政策を軍国主義復活だと宣伝している。しかしこのような批判を聞くとき、わが国は独立国家として果たしてこれでよいのか、もっとまじめに国家の安全保障について考えるべきではないかと思うものであります。たとえ国内で与野党の立場で政策的対立はあったにいたしましても、国家の安全保障を確立する国防については普遍的国策でなければならないと考えるからであります。ひとりわが国だけは、各党の意見が大きく分かれるところで、独立国家存立の基本ともいうべき国防を全く否定している政党があることは、みずから国政担当の責任を放棄したものとしか考えられません。もちろん国防の基本は、文民統制のもとに、平和、自由、民主の国家体制を維持するための専守防衛がその目的でなければなりません。それと同時に、国防費が公平で適正な限度の国民負担になるものであるべきであります。しかし本県の米軍基地の現状を考えるとき、必ずしも国益イコール県益だということを素直な気持ちで考えることはできない。それほど米軍基地から派生する問題の重圧を余儀なくされ、国民負担という点から過重な県民負担を強いられている。しかもそれは振興開発計画の大きな障害にもなっております。このように1県だけに偏った米軍基地の状態や、それによってのしかかる県民への過重な負担あるいは振興開発を阻害している現状等々を考えるとき、安保条約や国防の名のもとに沖縄県民だけがその犠牲に甘んずることはないと思うが、知事はこの現状をどのように受けとめておられるか。また国に対して基地の全国的立場から適正な配置と国民的負担の見直しを国に求めるべきであると思うが、これについての御見解を承りたい。
次に、基地の整理縮小についてであります。
これはさきに私が申し上げました全国的配置統合との関連で第一義的には国の責任でなされなければならないが、何よりも県や市町村の積極的姿勢がなければ前進するものではありません。いまこそ県が基地の整理縮小の具体的計画を立てて市町村と国の間に立って円滑な返還作業を進めるべきだと考えますが、この問題にどのように対処していかれるかお尋ねをいたします。
国はACMIの空域設定を認めると言っているが、たとえこのことが沖縄県知事の権限の及ばない問題にしても、本県の航空路や船舶航路に新たな規制が加えられることは明白であります。したがって県の姿勢としては、これ以上沖縄周辺の空域、海域に制限を加えることは反対だという姿勢を持つべきであります。今回、国がACMI空域を認めるということであれば、その分、他の制限空域の解除を求めるべきであります。離島苦に悩む伊是名、伊平屋の村民から要請の繰り返されている空港建設は伊江島射爆場の訓練空域に阻まれ、それが実現できない状態であります。また大東島も2つの訓練空域にはさまれた狭い航空路を非常に危険な状態で運航している現状である。したがって今回国がACMI空域を新たに認める分だけこの両空域から解除されるべきだと思うが、知事の御見解をお尋ねいたします。
次に、キャンプ・ハンセン内に建設する漢那ダムはその話し合いのめどが立たず、工事着工が危ぶまれているという報道がなされております。今日まで四、五年がかりで調査設計を進めてきて58年度着工という段階で足どめされるようなことは全く理解できないことだが、総合事務局や県はどのような折衝をしてきたか御説明を願います。
次に、基地被害を防圧、根絶する対策についてであります。
今日まで米軍基地から派生する事故、被害は、その都度口を酸っぱくして抗議等を続けても全くとどまるところを知らないのであります。つい先般の与那原のソノブイ落下事故、久志、辺野古周辺のジェット機の爆音公害等々が起こったかと思えば、今度は金武町でのタクシー運転手刺殺事件が発生し、県民はいまや安心して道も歩けない状態で全くふんまんやる方ないというところで、このようなことでは基地被害と抗議の繰り返しにしかすぎないような感じがいたしますけれども、いまこそ事故発生の未然防止対策について知事が毅然たる姿勢で米軍や政府に迫るべきだと考えますが、これについての御所見を求めます。
以上、知事の国防と国防費の国民負担、基地被害に対する姿勢をお尋ねいたします。
2点目に、昭和58年度予算についてであります。
第2次振計は、57年度を初年度として66年までの10カ年計画でありますが、57年度予算は沖振法の延長も決定されないときに、また第2次振計も策定されない以前に編成計画が立てられ決定されたわけでありますから、ある意味で2次振計に向けての暫定的性格があったのであります。その視点からいたしますと、私は、昭和58年度予算は2次振計の実質的スタートの予算であると考えるものであります。知事は、4カ年前に前任者から引き継がれた継続事業のほか、屋良、平良両知事が第1次振計でうたいながら全く手をつけきれなかった主要プロジェクト事業の着手を含めて2次振計に向けての芽出しを図ってこられたのであります。それらの事業は今日まで調査設計という言うなれば苗床の中で育ててきたようなものだが、いよいよ58年度以降、これを本畑に移さなければならない建設の事業が始まるわけでありますので、苗床での育苗の予算と本畑で行う建設の予算はその質、量において大きな違いがあります。したがってこれらの主要プロジェクトを含めて2次振計を円滑に推進していくためには、政府の積極的な財政援助とそれに対応できる自主財源の創出は2次振計を効果的に推進していく上で不可分の条件だと考えますが、58年度予算の編成方針また財源確保の基本姿勢をお伺いいたします。
ただいま議会に提案されております58年度予算案は、いま、国が置かれている厳しい財政環境の中、また国の地財計画を受けての他の都道府県との比較を考えるとき、知事が国庫支出金獲得のためいかに努力され御苦労されたかは県民はよく承知いたしておりますが、第2次振計を達成していく上では、期間中の予算の平均伸び率を少なくとも6%以上にしないといけないという試算からいたしましてきわめて厳しい内容の予算だと言わざるを得ません。また相変わらず高い失業率を示している本県の雇用情勢の中で、最近57年度予算の公共工事等の影響で漸次下降線をたどりつつありますが、本県経済が依然として財政主導型の経済構造という視点から58年度予算がどれだけの景気浮揚対策や雇用創出が図れるかは、県民の関心事であります。知事は、58年度予算の景気浮揚と雇用創出の波及効果をどのように見ておられるか、果たして経済予測どおりに経済成長率5.8%は達成できるのかお伺いいたします。
具体的な内容について触れますが、各部局からの要求は対前年度比9.9%増の要求に対し、3分の1の3.2%の伸びとなって復帰後一番低い伸び率となった。これは旺盛な財政需要に対して財源の伸びが鈍化したことに起因している。その中でも地方交付税が例年6%程度の伸びに対して、逆に2.3%減少し約80億円も落ち込んだことになっている。しかし地財計画ではマイナス4.9%ですから、本県はまだまだ恵まれた状態だとは思います。また県税収入も前年度9.7%の伸びに対して、本年度は5.0%の低い伸び率のほか、国庫支出金も前年度2.9%の伸びに対して1.5%の伸びと主要財源が全般的に厳しい状態になっている。そのため国庫補助金の対応費はどうしても県債に求めなければなりませんが、これの伸びぐあいは47年度の24.8%に対して17.5%ですし、地財計画の31.3%よりはるかに低いのでこれは慎重に対応されたものと考えますが、反面、対応する玉がなかったとも考えられるのであります。依存財源と自主財源比率は、依存財源が57年度82.2%に対し、58年度は80.8%となり、逆に自主財源は47年度の17.8%から、58年度19.2%に上がってきたことは結構だが、類似県や全国比較において担税力の弱さから県税収入が伸びず、自主財源比率は相変わらず低い状態であります。また一方においては、国の財政環境が悪化の状態に陥り、地方交付税や国庫支出金に依存してきた財政構造も低成長時代で壁に突ぎ当たり、その前途は非常に厳しいものが予想されます。知事は、58年度予算における歳入の状況や今後の財政計画の見通しをどのように立てておられるかお伺いをいたします。
一方、歳出では、公共工事が57年度2.6%の伸びに対して、本年2%の伸びは、全国が昨年来2カ年間ゼロ%に対してこれだけ伸ばしたことは高く評価すべきであります。これは全国シェアにおいても、57年度2.8%に対し、58年度も2.86%の獲得を図れたことは、政府の特別な配慮と知事の御努力によるものだと考えます。国庫支出金の伸びが鈍化した大きな原因の1つは小中高校の施設整備が一通り終わったことで、これだけで約80億円近くの落ち込みがあるわけですが、学校工事が終われば、いままで手薄だった方向にその的を当てて予算確保を図るべきだと思うが、予算の総枠拡大という点からこの問題をどのように考えておられるかお尋ねをしたいと思います。
一方、歳出面において考えますとき、新聞報道では、小規模新規県単事業は軒並みカット、借金体質の予算だと論評しているが、このような県単事業に対する姿勢で景気、雇用対策が図っていけるか、さらに県債が地財計画の31.3%に対して、58年度予算では17.5%、また公債費も56年度比較で類似県が9%に対し、本県は5.5%ですから58年度でも特別に公債比率が増加したとは考えられないが、この小規模県単事業全面カットと借金体質予算の指摘をどのように考えておられるか御所見を承りたい。
次に、第2次振興開発計画についてお尋ねいたします。
昨年、本計画を練り上げる段階で議論されたことは、振計はマスタープラン的なもので、事項別の実施計画を別に立てる必要があるという議論があった。確かに2次振計を実効性の高いものにするためには、中長期の実施計画と財政計画を内部的参考資料として立てる必要があると考えますが、これについてどのような考え方を持っておられるかお尋ねをいたしたいと思います。
次に、振興開発計画は、計画そのものが国の責任において策定されるものだということは当然としながらも、その計画が国の責任で実施されるという文言を織り込むことが国の責任をより明確にすると同時に、その財政的担保を保証させるものだという与野党の強い主張もあって、知事は最後まで粘り強く要求されそれを実現されたわけであるが、国の財政環境が悪化してきた今日、この国の責任とは、一体どの程度保証されるものであるか何となく不安でなりません。今日のように国の財政が極度に落ち込んできたからといって、振計の基本目標である格差是正と経済の自立発展の基盤整備をおくらせるようなことがあってはなりません。この国の責任ということが58年度予算で十分生かされているか、また今後2次振計推進にこのことは絶対に保証されるものであるのかどうかお答えをお願い申し上げたいと思います。
次に、総合交通体系の整備についてお尋ねいたします。
総合交通体系の整備は、振計全体を押し上げていくための動脈的役割りを果たすのできわめて重要であるとともに、開発全般に先行すべき性質のものであります。特に離島県という地理的条件から、陸上、海上及び航空輸送の総合的体系化は、県民の経済活動や社会開発に重要なかかわりを持つものと思うからであります。
第1点は、陸上交通についてであります。
本県の道路の改良率、舗装率は、復帰10年間で急速に進められ本土水準に達したと言われておりますが、都市地区の交通渋滞が相変わらず続いている現状は、増加する車両に道路開発が追いつけないところに最大の原因があります。したがって道路がよくなったといっても、人口比率、面積比率、車両台数比率から見た道路総延長、占有率は本土に比較して非常に低い水準にあります。特に都市面積の中の道路比率が10%以内で本土の中都市の約半分しかないということと、同時に道路の体系的整備のおくれが交通渋滞に拍車をかけ、交通のネックを至るところで引き起こしているのであります。このような交通渋滞を解消するためには、現道の拡幅や立体化、バイパス建設等の抜本的方法と拠点改良の暫定措置の両面からその解決策を図っていかなければなりませんが、その場合、国、県、市町村のそれぞれの実施する道路開発の総合調整の役目はどこが行っているのか。また中南部都市圏で渋滞解消拠点として挙げられているところは何カ所で、その中で具体的に対策を立てているところの御説明を願います。
沖縄高速自動車道は、沖縄本島の陸上交通の主たる骨格として中南部の主要道路をそれに連結することによって那覇―名護間の通過車両を高速自動車道に吸収し一般道路の車両の間引き調整ができると同時に、南北間の時間短縮が図られることで大きな期待を寄せられておりますが、現在、地主の合意が得られない個所があることで果たして62年国体までに完成できるのかという懸念があるわけでありますが、まだ合意されない場所は何カ所で、その距離や全長の比率、そして今後の見涌しはどうか、また完成は当初の予定どおりできるのか御説明を願います。
道路交通網の整備と同時に、定時定速の交通機関の確立は重要な課題であります。
現在、バス、タクシーが交通渋滞によってその機能が失われてしまったので、モノレール導入によって交通渋滞を解消し、それによってバス、タクシーの定時定速性を回復しようということだが、そのためにもモノレールの早期実現を望むものであります。モノレール建設は、その関連街路建設によって普通一般車両の流れが大幅に緩和されるところに大きな期待を寄せているところであります。このモノレール事業は運営会社の設立や国、県、那覇市の関連街路工事は順調にはかどっているのか。また既存のバス、タクシー事業との調整はきわめて重要でありますが、それは完了したと見てよいか。私はモノレール導入があるなしにかかわらず、バスの定時定速性確立は重要であると考えております。そのためにはバス路線の再編強化とバスターミナルを那覇市の南北に分離し、乗客の利便と効率的運行を期すべきだと以前にも主張いたしましたが、総合事務局とこの問題について詰める考えはないかお尋ねいたします。
次に、港湾整備についてであります。
本県の交通体系整備の中で港湾の位置づけは離島県であるがゆえに、物資流通の拠点として港湾の整備と健全な運営は重要であります。県民経済に及ぼす影響もきわめて大であり、このような点から、県は復帰後10年、港湾整備には積極的な投資がなされ、その達成状況は他の部門に比較して順調に進められているものだと思います。さらに西銘知事誕生によって中城湾港開発事業も着々と進められ、いまや海洋県沖縄の夜明けともいうべきときであります。しかし港湾開発に当たっては将来の経済発展とその発展に見合う投資、いわゆる港湾需要度の見通しをきちっと立てる必要があります。
したがって既設の那覇港、平良港、石垣港の市管理港湾並びにその他の県管理港湾の設備投資についてはその需要のバランスを十分見きわめ、その投資効果について慎重に検討する必要があると考えますが、これについてどのように考えておられるか。また港湾の維持管理の収支のバランスを保つことは低物価政策上重要なことだが、ごれらの重要港湾の収支のバランスはどのようになっているかお尋ねいたします。
中城港湾は、物資流通港として10年計画で開発するわけでありますが、背後地に立地される関連企業は港湾建設と並行してその作業を進めていくべきだと思いますが、本土からの誘致を含めてどのような作業が進められているか御説明を願います。
次に、空港整備についてお尋ねいたします。
まず、那覇空港の整備についてであります。
県は、将来、沖合い展開をするという方向で調査を行いその建設のめどを昭和60年代に置いていたわけでありますが、池田開発局長の説明では、国の空港特会の状況が非常に厳しくなり、沖合い展開の時期は昭和70年代にずれ込みさらに空港ターミナルの海側建設の計画も当分たな上げせざるを得ないということだったが、これは引き続き沖合い展開の方向での調査を進めていくということか。その場合、その可能性はどうか御説明を願います。
70年代にずれ込むとなりますと、昭和60年代の航空需要予測値からいたしまして、もし沖合い展開での拡張計画が当分できないとなると、現空港の整備拡張と空港ターミナルの整備は第4次空整の中で進めていかなければなりませんが、これにどのように対処していかれるおつもりか、その点、計画の練り直しの必要はないかお答えをいただきたい。
現在の暫定ターミナルはもうすでにキャパシティーをオーバーしてその混雑状態は、観光産業を積極的に伸ばしていこうとする県の立場としても早急に解決を図らねばならない。その場合、現滑走路の東側に新空港ターミナルを建設すべきだと思うが、これも空港特会が非常に厳しい状況の中で五、六百億円もかかるターミナルを62年国体までに建設することはきわめて困難な状況にあるとの説明があった。確かに大阪空港みたいに航空機騒音防止対策等、空港周辺対策費に莫大な予算が食われている現状から空港の使用料収入で空港特会を賄うことは大変だと思う。自然に黒字空港の収益分もそういうところに流れる不合理性が出てくるものだと思います。那覇空港程度の空港を建設するとなると55年ベースで1700億円かかるということだが、那覇空港は復帰のときに米軍から運輸省がただで引き継いだようなものであります。運輸省が那覇空港に投じた資金は、復帰してから56年までに空港施設費で112億円、周辺対策費で95億円で合計207億円ぐらいだと聞いております。その点、米軍が基本施設はつくったものにちょっと手を加えただけですから非常に安上がりの空港だと言えるのであります。反面、空港の収支は、着陸料がジャンボ89万円、DC10、54万円、YS、22万円ですから、56年ベースで年間約60億円の収入を上げているのに対しまして、維持管理運営費は約15億円ぐらいです。差し引き、年間45億円の黒字を出しております。そのような観点から空港特会の厳しいのを理由にターミナルやその他の空港整備がおくれるようなことがあってはならないと思いますが、知事はその点についてどのような御見解をお持ちであるかお尋ねいたします。
次に、新石垣空港の建設についてであります。
この事業は、一時、猛烈な反対運動が起こり、御破算になるのかと考えましたが、執行部の忍耐強い御努力で地元の説得、用地補償契約等々順調に作業は進んでいるようであるが、しかし問題点が全部処理されたわけではありません。残っている問題の今後の見通しについてどのように見ておられるか。また、2カ年の停滞があったわけだが、当初の完成目標どおりの達成ができるのか御説明を題います。
現在、離島から空港建設の要請を受けているのは伊平屋、伊是名、西表だと思いますが、その状況と見通しを説明していただきたいと思います。
企画総務委員会は2月16日から18日まで伊是名、伊平屋の調査に参りましたが、両村からもろもろの陳情を受けた中で、両村の離島苦に悩む共通の要請として空港の早期建設を図ってほしいという切実な訴えを受け、われわれ一行もそれが重要かつ緊急の課題であることを痛感いたしたのであります。その日折りしも、行きも帰りも風速15メートルぐらいのしけでほとんど全員が船酔いして、上陸しましたら、地元の方々は、冬海はこれが普通だという話を聞かされまして離島住民の御苦労を思い知らされ、何としても空港建設の要請に早急にこたえるべきだと考えました。県としても、伊是名、伊平屋の空港設置調査をなされたと思いますが、空港の位置とか建設費とかの問題もあるにいたしましても、一番のネックはその地域が伊江島の射爆場訓練空域に覆われているということであります。何としてもこの訓練空域の全部あるいは一部の解除を国並びに米軍に求めるべきだと思います。知事の離島振興を推進する立場から、これら伊是名、伊平屋、西表の空港建設についての御見解を承りたい。
次に、農業の基盤整備とその振興策についてお尋ねいたします。
まず、私は、この問題をこれからの国庫支出金総枠拡大の対政府折衝の品目づくりという点から今後の重点目標にすべきという立場で問題を取り上げたいと思います。
復帰10年、小中高校の教育施設整備には、他のいかなる部門よりも最優先してその整備に力を傾注してまいりました。10年間で水泳プール等一部を除けば本土水準以上に施設だけは整ってきたものと考えます。学校建設の事業が一段落したために昭和57年、58年ともに教育振興費は七、八十億円近くも対前年度比の落ち込みが生じ、これが国庫支出金総枠の伸びを鈍化させている大きな原因でもあります。復帰10年で学校建設は一段落ついた、次は農漁業の基盤整備だという一つの合い言葉で予算総枠拡大の目標設定をする必要があるのではないかと考えるものであります。特に農業基盤整備事業は、申請主義事業のため今日までなかなか市町村から上がってこなかった。しかしいまはもう全く逆で、市町村も採択順番を待っている状態に変わってまいりました。この事業を拡大することが毎年の予算総枠拡大、農業の振興、経済全般に及ぼす波及効果もきわめて大きいものがあると思うからであります。本県農業は、何といっても基盤整備による生産コストの低減と生産性の向上を図ることが先決だが、それと同時に亜熱帯圏の特性を生かした方向での作目の試験研究を強化し本土市場における競争力を高める必要があります。そのためには灌漑排水、圃場整備、農道整備等の基盤整備を急がねばなりません。第1次振計期間中での達成率は非常に悪い。要整備量に対して灌漑排水が9.6%、圃場整備14.4%、農道整備23.7%等々で本土水準に比較して非常におくれている現状で、これこそ2次振計の格差是正の最重点施策にすべきであります。
農業基盤整備についても、さきに伊是名、伊平屋に参りましたときに村当局や農業団体から強い要請を受けたのでありますが、伊平屋村の田名地区、伊是名村の勢理客地先干拓を含めて大野地区の土地改良事業について、事業の優先採択と整備期間を短縮するため各年度の予算割り当ての大幅な確保の要請を受けた。特に伊是名村の場合、分みつ糖工場の原料が現在2万トン内外だが、4万トン台に生産を引き上げていかなければ採算ベースに乗らないので、どうしても土地基盤整備と農地拡大を図ってサトウキビ生産を引き上げていかなければならないという課題を抱えているのであります。
一方、伊平屋村の場合は、広々とした田名平野が湿田のため荒廃地になって実にもったいない。その地域の基盤整備をやろうということだが、逆にこちらはサトウキビ作付はまかりならぬという制限を受けているということだが、輸送の利便の悪い離島地域で果たしてサトウキビ以外の作目で農業が成り立つのか、どういった作目指定をするつもりか。含みつ糖の生産制限ということだと思いますけれども、あれだけ伊是名の分が減っても制限をしなければならないのか御説明を願います。だとすれば伊是名、伊平屋を一つの工場圏としての計画は立てられないのかお伺いいたします。
いま、私は、具体的に例を挙げて基盤整備の質問をいたしましたが、農業基盤整備について先ほど申し上げましたように各年度の予算総枠拡大並びに農業生産の安定的拡大の立場から2次振計の主要プロジェクトとして強力な対政府攻略を試みるべきだと思う。確かに土地改良事業の各年度の推移は、過去10年間の中でも昭和52年の107億円に対し、昭和57年には206億円と急速に伸びてまいりましたが、さらに追加上積みの努力をすべきだと考えますが、知事のこれらの問題に対する御所見を承りたい。
次に、福祉行政についてお尋ねいたします。
さきに県は、沖縄県社会福祉予算対策協議会から、58年度県予算に対する要請を受けられたと思います。その1つは、58年度予算でこれら福祉団体関係予算の増額並びに新設に対する件で、その2つ目は、県の福祉施策改善についての要請、そして3つ目は、国に対して施策の改善についての要請だったと思うが、この要請に対してどのような対応をなされたかであります。
まず、そのうち、58年度予算に対する要請は福祉団体の運営費や事業費等でありますが、58年度予算でどの程度の対応がなされたか御説明を願います。特に保育団体に対する運営補助金を新設することについてその願意は満たされたかどうか。
要請項目の中で、2次振計の中で計画されている総合福祉センターの設置を早急に実施すべきという点についてでありますが、何年度に建設を予定しておられるかお答えを願います。
さらに、社会福祉施設の適正配置の中で老人ホームの適正配置が要望されております。適正配置が求められているからには何か問題があると考えるが、現在どのような基準でどこどこに配置されているか御説明を願いたいと思います。
3つ目の国に対する施策改善についての要請事項の中で、保護、援護措置費の採暖費を採冷暖費に改めるべきだということだが、寒い地域で採暖の予算が措置されれば暑い沖縄県は採冷費の予算がつくのは当然だと考えるが、その現行の措置費の採暖費を採冷暖費に改めるよう国に働きかける考えはないか御説明を願いたいと思います。
次に、保育単価の級地の改善要請の中で、現在国の示している現行の保育単価が、特甲、甲、乙、丙の4段階区分になっているが、著しく地域格差を生み出しているという指摘である。特に沖縄の場合、丙地域に属し、その格差が非常に大きく開いていて不利な立場に立たされているということだが、その格差是正と級地改善の要請をなさるおつもりはないかお答えを願いたいと思います。
そのほかに漁業問題、戦後、復帰処理問題がございますけれども、時間の都合がございますので以上で私の代表質問を終わりたいと思います。それぞれの質問に対して適切な御答弁をお願いする次第であります。
○議長(大田昌知君) ただいまの仲村正治君の質問に対する答弁は、時間の都合上休憩後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後3時40分休憩
午後4時 再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
休憩前の仲村正治君の質問に対する答弁を願います。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 仲村正治議員の御質問にお答えしなければなりませんが、時間の制約がございまして答弁が簡略になるかもしれませんけれどもお許しをいただきたいと思います。
選挙のときに訴えた政治風土づくりについてどう実行するのかという御質問に対しましてお答えいたします。
私は、知事就任以来今日まで、わが県の安定的発展を目指して県民の理解と協力を得ながら県政運営に当たるべく努力してまいりました。この間、いろいろ御批判等もございましたが、私としては県民の声に耳を傾け、主義主張を乗り越え、県民福祉の一層の向上を目指して努力してまいりたいと考えております。
法令遵守の思想高揚についての御質問に対しましてお答えいたします。
全体の奉仕者たる教育公務員の法令に抵触する政治行為があってはならないと考えております。教職員の政治的行為については教育長に答弁をさせます。
次に、国防と米軍基地についての御質問がございましたが、在日米軍基地の44%が沖縄に集約されておりますことは御指摘のとおりでございまして、その全国的な立場から再配置を考えるべきではないかという御提言につきましては全く同感であります。
次に、整理縮小計画の具体的な進め方でございますが、これは市町村の計画を尊重し、産業開発の上からどうしても返還してもらわなければならない施設区域につきましては、これを積極的に推進してまいりたいと考えております。
次に、ACMIにつきましては御案内のとおり民間航空の運航に支障があってはなりませんし、そういう立場から検討を進めている段階でございましてまだ日米間の基本的な合意には達しておりませんが、いずれにいたしましても県としては既存空域の整理統合を含め民間航空機の運航に支障のないような体制で臨みたいと考えておるところであります。
次に、基地被害につきましてはたびたび申し上げているとおりでございまして、基地の安全管理はもちろんのこと、また基地からの被害を最小限度にとどめるよう諸般の問題等について3者協議会を通じ米軍に強く申し入れているところでございまして、先日、キャンプ・ハンセンの事件につきましても外務省、防衛施設庁、アメリカ大使館を訪れまして、再発防とさらに遺族に対する補償について特段の配慮を賜りまするように強く要請してきているところであります。
次に、58年度予算の編成方針、また財源確保の基本的な姿勢についてでございますが、御案内のとおり振興開発に基づく各種プロジェクトの推進等旺盛な財政需要が見込まれておりますが、58年度の県財政は国及び地方財政の大変厳しい状況の中で編成されたものでございまして、この予算の編成に当たりましては重点施策を中心に第2次振興開発計画に基づく、いわゆる沖縄振興開発事業を中心として必要な額の確保を中心として予算を編成してまいりました。
次に、58年度予算で景気浮揚と雇用創出の波及効果はどのくらいか、またこの予算で2次振計の経済成長率5.8%は達成できるかということでございますが、景気浮揚と雇用創出の波及効果を計数的に把握することはきわめて困難ではございますが、経済成長率の面からいたしましても、また政府の経済成長率と比較いたしまして県の成長率は高くこれは見込まれておりますので、それらの経済成長に及ぼす波及効果等を考えてみましても、対前年度と比較いたしましてある程度期待できるのではないかと考えております。5.8%の達成ができるかどうか予断は許さないわけでございますが、少なくとも2次振計を施行いたしましてその成果を上げるためには5.8%程度の成長率は必要ではないかと考えておるところであります。
58年度予算における歳入の状況や今後の財政計画の見通しでございますが、これにつきましては先ほど平良哲議員の御質問に対しましてお答えしたとおりでございまして自己財源は大変厳しいものがございまするし、対前年の伸びにおきましてもそう期待できるものではございません。そういうことでやはり国からの財政援助を引き出すことによってこの予算の編成をしていかなければならないわけでございますが、全国的な伸びに対しまして沖縄県の伸びは特に公共工事の面におきましては2%以上の伸びを見せておりまするし、特に農業面における予算の伸びも7%前後の高い伸びを示しておりまして、いままでにない大変苦しい予算の編成ではございましたが、他県との比較におきまして3%以上の伸びでございますのである程度の期待が持てるものだと考えております。
今後の財政計画の見通し等につきましてはこれは簡単に算定できるものではございませんが、毎年度予算の積み上げによって振興開発計画の中で盛られた事業を1つ1つ遂行していく以外に方法はないと考えているところであります。
次に、予算の総枠維持でございますが、これは大変むずかしい問題でございまして、いま、57年、58年度以降大型プロジェクトは全部芽出しをしているわけでございますが、こういった事業が一応終わりますというと、どういうプロジェクトを考えて対前年度比較において予算枠を、予算総枠と申しますか、この枠をどう維持していくか大変困難な問題がございます。一例を例にとってみましても、ことしの予算は学校校舎建築が一応整備されましたのでその点、30億円内外の大きな枠がそれだけ外された形になっておりますが、それを埋めるための対前年度予算を枠をどう維持していくか大変苦心をしたところでございまして、今後プロジェクトを中心として総枠の維持ということについては特段の配慮を払う必要があろうかと考えておりまするし、わが県の財政状況からいたしまして何としても国庫支出金を中心とした予算の確保が引き続いて要請されなければならないと考えておるところであります。
小規模新規事業は軒並みカットされておるが、このような県単事業の状態で景気対策、特に雇用創出対策が図られるかどうかお尋ねしたいということでありますが、お答えいたします。
1つには、第2次沖縄振興開発計画に基づく沖縄振興開発事業を中心としてその必要な額の確保を図る。2つには、地域経済の浮揚を図るため財源の効率的配分によって県単事業の額の確保を図る。3つには、主要プロジェクトが引き続き推進されるようその額を確保する。こういうことを中心として58年度の予算を編成したわけでございますが、これらの事業について重点的な配分をしたことになっております。投資的経費においては全体として2.7%の伸びでございまして、国の地方財政計画ではマイナス0.3%となっておる状況と比較いたしましてまあまあの伸びではないかと考えております。ただ、県単事業については、国の地財計画の伸び率0%に対しましてゼロということに対しまして、本県の伸びが0.9%の伸びとなっておるわけでございます。これは振興開発事業費を中心とする補助事業の補完上からも配慮したものであります。なお、小規模事業等についても可能な限り予算措置を行っております。
次、国の責任という文言を挿入したのであるが、この財政計画の線に沿って国の責任で振興開発計画を実施するに当たって具体的な保証があるのかという御質問でございますが、実施計画につきましては第2次振興開発計画を基本にいたしまして事業の重要性、緊急性を勘案しながら、当面重点的に実施する主要な事業を明確にし、今後の県政運営の指針とするため各県の策定の事例を参考にいたしましていま調査検討しているところであります。国においても厳しい行財政環境のもとでわが国経済社会には流動的要素がまだ多く、より長期的にしかも弾力的に対応していく必要があるという観点から新5カ年計画の策定が見合わされ、この夏を目途にわが国経済社会の展望と経済運営の指針づくりに着手したところでございます。県におきましてもこれらの状況を踏まえて引き続き検討させることといたしておりますが、現時点では財源的に不確定要因があって実効性のある県独自の実施計画を策定することはぎわめて困難な状況にあります。
次に、総合交通体系の整備についての御質問でございますが、国、県、市町村の実施する道路開発の総合調整の役目は一体どこが行うかということでございますが、道路の整備計画につきましては沖縄県総合交通体系基本計画に基づいて実施しております。毎年度の事業実施に関しては、沖縄開発庁一括計上という関係から予算要望の中で調整が行われているところであります。
それから中南部都市圏における渋滞解消拠点はどこどこであるかという御質問でございますが、交通渋滞の著しい地点については国、県においてその解消に努力しているところでありますが、現在問題となっているところはおよそ14カ所であると考えております。そのうちすでに事業化に入っているところ、また事業のめどの立っている個所としては垣花交差点及び安謝交差点の立体化、真玉橋交差点及び国場交差点の改良、国道330号西原バイパス及び331号小禄バイパスの改良、県道7号線及び40号線の改良が挙げられます。
次に、沖縄自動車道の南伸についての御質問に対してお答えいたします。
この建設促進につきましては、県、公団、土地開発公社及び関係市町村一体となって鋭意努力いたしているところであります。2月現在の進捗は、全線31.5キロメートルのうち92%が中心くい設置を完了しており、残る土地も年度内完了を目標にして関係市町村及び地域関係者の協力を得ながら折衝中であります。中心くい設置の了解がまだ得られない地域においても沖縄自動車道の南伸計画には理解を示しており、地元から提起されているもろもろの問題については中心ぐい設置後に行われる設計協議の段階において十分協議検討していくことで御理解を得るよう努めております。
なお、62年国体に間に合うかとのことでございますが、工程的には非常に厳しい状況にありますが、先ほど申し述べましたとおり年度内にはほとんどの中心くい設置を終わり、62年国体に何とかして間に合わせたいと考えております。
モノレール関連でタクシー、バスとの調整でございますが、これはいま着々その調整について準備を進めておるところでございます。
それからバス路線網の再編強化とバスターミナルの南北分離についてお答えいたします。
バス路線の再編整備は一義的には国の所管となっておりますが、県民の足を確保するということから重要な問題であり、県はこれまで国の沖縄地方陸上交通審議会や総合事務局運輸部との事務連絡会議等で県の意向を積極的に反映させてまいりました。その結果、那覇交通では、昭和58年1月6日を期して小禄石嶺線の新設、寒川線の真地団地への延長、糸満線の武富ハイツヘの延長、平和台団地線の延長、空港線の待機時間の設定等、バス路線網の再編及び運行ダイヤの見直しが実現いたしました。また本県の表玄関である那覇空港におけるバス利用の促進を図るため、空港線のバス停を空港ターミナルの中央に移設することになっております。今後引き続き他の路線についても国と連携をとりながら県民生活の利便性を考えたバス路線網の再編整備を促進してまいりたいと思います。
港湾の整備状況でございますが、本県の港湾整備は他県と比べて整備が十分でない上、今後とも取り扱い貨物の増大も予想されること。また離島県である本県の産業の発展は港湾整備に負うところが大きいこと等から、第2次沖縄振興開発計画及び国の港湾整備5カ年計画等においても港湾施設整備が重要なものとして位置づけられております。今後も港湾整備については努力してまいりたいと思います。
次に、中城湾港の建設についての御質問に対しましてお答えいたします。
港湾計画は、昭和65年を目標年次としてその整備を図っていくことにいたしております。当面の埋め立て計画は昭和58年度から工事に着手し、昭和63年度までに約180ヘクタールの団地造成を計画いたしております。企業誘致に当たっては、港湾工事と並行して進めていくことといたしております。まず第1段階においては、昭和58年度を初年次として業種別に移転希望企業に対する実態調査を行い、移転の時期、用地面積等を明確にしていく。その後の段階として立地する企業の経営状況と移転に際しての問題点の整理を行い、立地または移転に必要な助成等の措置を講じて移転再配置及び新規企業並びに県外からの企業誘致を進めていく考えであります。
那覇空港の沖合い展開につきましては、先ほど平良哲議員にお答えいたしておりますのでその点でひとつ御理解を賜りたいと思います。
次に、石垣空港の建設についてでありますが、昭和57年3月に設置許可を得て事業を進めているところでありますが、一部住民からの反対意見があり、県としてはその都度説明を行い理解を求めているところでありますが、まだ十分の御理解をいただいていないのが現状であります。しかし権利関係者はそのほとんどが理解を示し補償について話し合いを進めているところであり、できるだけ早く妥結して事業の進捗を図りたいと思います。
伊是名、伊平屋の空港についてでございますが、この設置につきましては両村民の離島苦の解消、福祉向上及び地域開発の面から地元より強い要請がなされているところでございまして、県においてもこれまでいろいろ調査をし基本計画等を進め国に対して空港設置の要請を行ってきたところでございますが、伊江島射爆場訓練空域、また財源の問題等もございまして現在実現を見ておりませんが、なお引き続きその設置について努力を傾注してまいりたいと思います。
沖縄の農漁業の基盤整備についてでございますが、土地改良、農免改良事業等を中心とする土地改良事業等につきましてはまだ全国並みの達成率にもいっておりませんので、なお引き続き土地改良事業については努力を傾注し予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
離島地域における土地基盤整備と導入作目についての御質問でございますが、離島におきましては含みつ糖製造を中心として生活が維持されているわけでございまして急激な作目の転換ということは考えられませんけれども、できるだけ含みつ糖の生産目標を大体9000トンと抑えておりましてこれを目標にしてできるだけ作目の転換を図っているところでございますが、その点作目の転換ができるまで伊是名、伊平屋のサトウキビ栽培事業についてはこれを認めていかざるを得ないのではないかとかように考えておるところであります。
次に、福祉団体等の運営費や事業費等の予算措置についてでありますが、昭和58年度予算については第2次振興開発計画の実質的な初年度として認識いたしまして厳しい情勢の中ではありましたが、社会福祉振興基金、民間社会福祉施設振興資金の充実及び社会福祉協議会の育成強化を図るほか、老人福祉施設の整備等県民の福祉ニーズを配慮して予算は対前年度比較において6.3%の伸びとなっており、生きがいのある福祉が推進されるものだと期待をいたしておるところでございます。
保育団体に対する運営補助でございますが、県は保育事業の向上を期して同保育協議会に対し毎年研修費や会議運営費等の助成を行っておるところであります。したがって個々の団体に対する助成はいまのところ考えておりません。
次に、総合福祉センターの設置でございますが、第2次振興開発計画の後期に建設する予定で検討を進めているところでございます。
老人ホームの適正配置についてでございますが、今後とも県の配置方針に基づいて必要な施設の整備を進めていく考えでございます。58年2月末現在で申し上げますというと、北部圏域に6カ所、中部圏域6カ所、南部圏域9カ所、宮古圏域1カ所、八重山圏域1カ所、計23カ所の施設が整備されております。
次、保護、援護措置費の採暖費を採冷暖費に改めるよう国に働きかける考えはないかという御質問でございますが、この件につきましては御提言の趣旨を踏まえまして国に強く働きかけていきたいと考えております。
次に、保育単価でありますが、これは国家公務員の給与に関する法律に基づいて設定されており、人事院規則で調整手当が地域別に特甲、甲、乙、丙と4区分に定められて保育単価に差があるようになっております。本県は丙地域で東京、京都、大阪等は特甲地域となっております。60人規模の保育所で3歳未満児の園長設置の保育単価を見ると特甲地域、1人月額6万490円で、丙地域が5万6380円となっておりますが、規則設立時と今日では社会経済情勢の変化等もございまして、現状にそぐわないものであることが、九州ブロック主管部長会議でも提起されましてその改善方について国に要請しているところであります。
次に、国防と米軍基地との関連で漢那ダムに関する御質問に対しましてお答えいたします。
御指摘のとおり、漢那ダムのダム本体及び貯水池等はほとんど提供施設区域内になっておるためその返還を求める必要があり、55年10月6日付で総合事務局から防衛施設局を通じて返還申請を行い、現在日米合同委員会で協議が進められている段階であります。現在基地内においては立入調査の許可を得てダム本体建設に向けての調査測量を行っており、調査については特に支障なく進められております。返還については起業者である国が鋭意折衝を進めているところであります。今後は地域住民の理解と協力を得てダム本体着工が円滑にできるようその促進に努力していきたいと考えております。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 教職員の選挙運動に関することにつきましてお答えいたします。
教職員の職務はきわめて公共性の高いものでありまして、職務の遂行に当たっては法令に忠実に従う義務があると考えています。公務員は政治行為の制限を受けることから、選挙のたびに文書によりまして違法行為がないよう厳重に注意してきたところでございます。御指摘の件につきましては、今後かかることがないよう一層指導を強化していきたいと思っております。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 石田慧史君登壇〕
○警察本部長(石田慧史君) まず、昨年11月の知事選及び参議院補選の際、県内の小中学校の職員室に特定候補者のポスター等が張られまして選挙事務所のようであったが、これに警察はどう対処したかという御質問についてでありますが、当時、御指摘のような事実関係につきましては明確には把握できなかったものでございます。
御案内のとおり、選挙違反の取り締まりにつきましては、警察としましては違反取り締まりを通じて選挙の公正の確保に寄与するという立場から、これまで不偏不党、厳正公平な取り締まりを実施してきているところでありますが、今後ともこの姿勢を堅持して厳正な取り締まりに当たる所存でございます。
次に、ここ二、三年来、小禄地区で行われた成人式への自衛隊員の参加を、取っ組み合いで妨害している行為は犯罪にならないのかとの御質問にお答えをいたします。
55年1月、小禄中学校で開催された成人式式典に際し、自衛隊員の参加に反対して小禄地区の成人式式典の関係者に対し反対派が暴行を加えて傷害を負わせるという事案が発生いたしましたが、これにつきましてはその場で犯人を逮捕いたしております。警察は、これまで小禄地区の成人式につきましては、抗議行動に伴う違法行為の未然防止と発生事案に適正に対処するために所要の体制をとり警戒警備を実施してまいりましたが、昭和56年以降は成人式式典に参加する自衛隊員とのトラブルは発生いたしておりません。警察は、今後も違法行為は看過しないとの方針のもとに適切に対処してまいりたいと考えております。
○仲村正治君 議長、休憩願います。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後4時33分休憩
午後4時34分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 那覇空港の沖合い展開の具現化を促進するため、引き続き各種の基礎的調査を進める必要があると考えております。
沖合い展開の可能性につきましては、空港整備特別会計の厳しい状況並びに航空需要が増大してもなお現滑走路で十分処理できるとの見解もあり、きわめて困難な状況にあります。
昭和56年度に調査した那覇国際空港建設技術調査によりますと、昭和75年における那覇空港の航空需要は約2000万人、年間航空機離発着回数は約12万7000回と予測され、滑走路の処理能力は限界に達するものと見ております。そのため沖合いにもう1本の滑走路を新設する必要があるとされております。
この調査の結果及び56年度に策定いたしました沖縄県総合交通体系基本計画においては沖合いにおける滑走路の新設は昭和75年を目途にしており、経済社会の伸展状況に対応して種々検討を加えなければならないが、現在のところ昭和75年の目標は練り直す必要はないと考えております。
空港の整備は、御承知のとおり限られた空港整備特別会計、昭和57年度で2500億円のうち、空港整備費675億円で全国77公共用空港の整備が行われているところであります。その原資は空港使用料収入等であります。したがって航空需要のきわめて高い東京、大阪、福岡、千歳、那覇等の空港使用料収入が大きな比重を占めており、これらの収入によって航空需要の少ない沖縄を初め全国の離島空港等の整備が行われているところであります。そのような状況から、遺憾ながら那覇空港の整備についても空港特会の制約を受けざるを得ないものと考えております。
○議長(大田昌知君) 城間盛栄君。
〔城間盛栄君登壇〕
○城間盛栄君 本員は、社会大衆党所属議員団を代表して所見を述べながら通告の順を追うて質問いたしますので、明確なる御答弁を賜りますようお願いいたします。
わが党は、第2次大戦における悲惨な戦争体験からして、沖縄の基本的政治課題は反戦平和を基調とした人間尊重、福祉優先の政策を掲げ、平和で明るい豊かな沖縄県を目指して、戦後、米国による軍用地一括買い上げ阻止闘争を初め軍事基地の整理縮小、さらには撤去を要求し、今日まで県民とともに推進してまいりました。しかし現在の国際、国内情勢は憂慮すべき展開を見せつつあります。国際的には核戦争の恐怖、環境破壊の進行といった脅威論を強調し、極限の姿に発展しているのが米国とソ連です。
このような情勢の中で、中曽根政権発足後わずか2カ月で、1月11日訪韓して40億ドルの経済援助で日韓体制の強化を足がかりとして、1月17日には訪米しレーガン大統領と会談、並びにワシントンポスト紙とのインタビューの中で日本列島不沈空母、4海峡封鎖の防衛構想を表明し、さらに米国とは運命共同体などと発言し、これを受けて58年度国家予算にも見られるように教育福祉などの経費を抑え込み、防衛費予算は6.5%、3年連続の突出予算となっております。これと関連しての思いやり予算で沖縄関係は嘉手納基地へのF15用シェルター6基やキャンプ・コートニーヘの米軍住宅263戸など米軍の前線後方支援施設費もすべて認められており基地強化は進む一方で、中曽根首相の軍拡路線は沖縄基地の強化につながり、県民の反戦平和の願いに逆行する政策を推し進めております。
また、県政も5年前に発足した西銘保守県政は、安保、基地容認の姿勢を貫き、自民党保守政権・中央政策に追従し、自衛隊募集業務を初め演習容認など、軍隊は演習しなければ役に立たないなどの発言に見られるように県民不在、国策優先の県政を貫いております。そのことは極東最大の米軍基地を抱える沖縄の基地関係の事故は、復帰後現在までに227件を数え、特に最近激増し56年の25件から57年は35件にふえ、復帰後最高を記録している。58年に入ってからは与那原町内でのソノブイ落下事故を初め、2月23日の金武キャンプ・ハンセン基地内での米兵による日本人殺害事件、3日後2月26日夜、北中城村キャンプ・フォスター基地内でタクシー運転手がナイフを持った米兵に襲われた事件、基地に隣接する北谷町、金武町内で米兵による暴行傷害、器物破壊などの事件、町長や議会が米軍に直接抗議するなど地域住民を初め県民に大きな不安と衝撃を与えております。
ここで質問に入りますが、まず最初に、昭和57年12月15日、第11回定例会におけるわが党代表の本盛議員から教育問題の質問の中で、教科書検定の歴史教科書の記述に関する検定のあり方について、沖縄県民が強く関心を持ち、史実に基づく記述を要求した沖縄戦における住民殺害は歴史的事実であり、記述復活を求める意見書を本県議会は昭和57年9月4日、臨時議会を開いて与野党全会一致で決議されたが、国の答申では全く触れられてなく、新検定基準を公示した小川文部大臣は談話の中で、問題となった高校教科書の是正は正誤訂正の手続によって修正するものではないと、これまでの検定は間違ってなかったと高姿勢を表明しているが、書籍会社の三省堂は文部省に対し、史実に基づいた沖縄県民虐殺を含む教科書の正誤訂正を文部省に提出したが、これらの受け付けを文部省から拒否されたのである。
沖縄戦における事実を政治的判断のみで事実を覆い隠そうとする知事の対応と所見を議会で求めたことに対し知事は、歴史的な事実は事実として大事にしなければならない、文部省が取り扱うことであり知事はコメントすべきでない、友軍による住民虐殺があったかどうかよく知らない、日本人同士のことなので教育効果の問題もあり書くこと自体問題があるのではないかと答弁をした。県民を代表する知事が、議会決議を無視して国策追従する姿勢だと野党から発言の撤回を求め議会は空転した。2月9日の新聞報道によると、12月県議会で日本軍による民殺害の事実は知らないなどと答弁した知事の発言は、本土でも大きな反響を呼び、知事発言の問題性を追及するため2月11日、東京で沖縄住民虐殺の抹消に抗議する会の集会が催された。これは2月県議会に向て署名運動を展開し、さらに代表団を派遣して西銘知事に抗議することにまで発展している。12月議会でのわが党代表質問者の本盛議員への知事の答弁は、県民があの忌まわしい戦争で悲惨な体験をしたあのような過酷な戦争が再び起こらないようにと毎年県慰霊祭で声高らかに平和宣言をし、平和を希求する県民の心情を裏切る発言だと思います。
県史での記述のその一例を挙げてみたいと思います。
沖縄防衛の任務に当たっていた第32軍司令官牛島中将は、昭和19年8月30日の訓示7項目のうち、3項目は沖縄県民に対する条項が示されている。1つは、第5に、「「現地自活ニ徹スベシ」、極力資材ノ節用、増産、貯蔵等ニ努ムルト共ニ創意工夫ヲ加ヘテ現地物資ヲ活用シ一木一草トイエドモ之ヲ戦力化スヘシ」。第6で、「「地方官民ヲシテ喜ンデ」「軍ノ作戦準備ニ協力セシムルト共ニ敵ノ来攻ニ方リテハ軍ノ作戦ヲ阻碍セサルノミナラス進テ戦力増強ニ寄与シテ防衛セシムル如ク指導スヘシ」」。3つ目は、その7に、「防牒ニ厳ニ注意スヘシ」との3項目は沖縄県民に対する過酷なもので、5、6項目は奴隷的に沖縄県民を圧迫したもの、第7項の「防牒ニ厳ニ注意スヘシ」は、何の罪もない善良な沖縄県民を簡単な訓示により住民虐殺行為があちこちで行われていたことである。
有力な幾つかの学校の校長を務めてきた、現役校長を務めていた照屋忠英がスパイということで有無を言わさず夫婦もろとも無知な一軍曹とかの日本刀で斬り殺されたことで広く伝えられているし、また警官もスパイの嫌疑で殺害され、北部でも当時の現職の校長新城力の証言で、私の同村人3人が山の中で平山という大尉に斬首される現場を見た。このようにしてスパイ嫌疑で殺害された沖縄県民は数百人に上るであろうと言われており、また第32軍司令官牛島中将は八原大佐高級参謀長を呼び、「軍の主戦力は消耗してしまったが、なお残存する兵力と、足腰の立つ島民とをもって、最後の一人まで、そして沖縄の南の果て、尺寸の土地の存する限り、戦いを続ける覚悟である。今後貴官に一切を任せる。思う存分自由にやってくれ」と、国という観念のもとに尺寸の土地があって人間が死に絶えて何の意味があるだろうか。20万有余の沖縄県民の犠牲者に全く無関心ではおれない。1人残らず死んでも尺寸の土地を守るという皇軍軍国主義教育の方針が、このような人間性喪失の動物本能に徹したと、住民虐殺の記述が県史に明らかに記録されております。
政府は、教科書検定問題でこれまで中国への進出という記述を、中曽根首相みずから侵略と認めました。沖縄戦の記述が小中高校生の教科書にはほとんど書かれてなく、あのような悲惨な戦争を再び繰り返さないためにも教科書に沖縄戦における日本軍による住民虐殺、住民の集団自決、防空ごうからの強制立ち退きの3点については記述すべきだと思います。知事は、昨年12月定例議会の発言を撤回し、文部省に記述要求をするお考えはありませんか御所見を承ります。
さらに、12月定例会における知事の発言は、選挙前の西銘知事の、反戦平和で明るい沖縄を、青少年の健全な育成を図るための教育の推進の基本姿勢とも反し、平和を願う県民の意思を無視するばかりでなく、大戦で命を落とされたみたまに対する冒とくでもあり、また高校生の思考力や判断力を不当に評価し、真理真実を学ぶことを阻むものである。日本国憲法と教育基本法の理念に立って真理と平和を希求する人間の育成を目指して、よりよい教科書を次代を背負う子供たちに与えなければならないと考えます。 沖縄県教職員組合中央執行委員長比屋根清一氏から、2月24日付で教科書の問題に関する7項目について公開質問状が知事に提出されていると聞いておりますが、この問題には誠意をもって回答すべきだと考えます。知事の真意を賜りたい。あわせて本議会でも御回答願いたいと思います。
次に、ACMI(空中戦闘技量評価装置)の設置は、これまで那覇空港の管制官から民間航空の運航に危険が高いと反対の声があり、昨年7月17日、県議会において米軍のACMIの空域設定反対に関する意見書を全会一致で採択し国に要請しましたが、知事は新年早々1月4日の年頭記者会見でACMIについて米軍から新たに提案してきた空域は民間航空機に影響がないというので設置に反対しないと容認を明らかにしておりますが、全運輸省労動組合沖縄航空支部の甲斐委員長は、新たに提案された設置空域は硫黄島上空と同じく交通の要路となっており、民間航空の安全上問題があるので反対であると語っている。2月7日の新聞社説によると、空中戦闘訓練ではミサイルも発射されるということが明らかにされています。新しい訓練空域の設置は、基地の強化につながるものであり知事も反対すべきと思いますが、知事の御所見を承ります。
次は、対潜戦用の海洋観測所建設計画についてであります。
1月29日、マスコミ情報によりますと、日米合同委員会は1月27日、海上自衛隊の海洋環境観測施設建設用地として、ホワイト・ビーチに約7万平方キロメートルに及ぶ地域を日米共同使用に同意した。これは対潜戦――敵潜水艦との戦争――用のデータ収集施設として1000海里シーレーン――沖縄は南西航路帯――防衛と関連して建設され、その内容は防衛秘密として一切明らかにされてはいない。建設費は30億円投じ、59年度完成予定だと報道されております。このような新しく設置される施設はさらに軍事基地の強化につながるものであり、知事が掲げている軍事基地の縮小整理を推進する上から知事としても反対すべきであると思いますが、御所見を賜ります。
那覇空港の民間専用空港化についてであります。
政府は、復帰に際し、那覇空港を完全な民間空港として返還することを約束し、第3次全国総合開発計画でも同空港の地理的特性から国際、国内主要都市及び県内離島との航空路網の拠点として整備拡充することが明記されておりますが、復帰8年目の昭和55年1月25日、航空自衛隊の空対空ミサイル・サイドワインダーが点検中爆発し自衛隊員1人が死亡、3人が負傷するというきわめて衝撃的な事故が発生した。事故現場は、航空機誘導路からわずか250メートルと離れておらず、一歩間違えば大惨事を引き起こすものとして県民に恐怖と不安を与えた。那覇空港は1日180回前後の航空機が離着陸をし、平均1万44人の通過客があり、その安全性の確保は優先されなければならない。那覇空港は自衛隊との共同使用になっているため民間機の使用が制限され、かつ演習などによる事故も発生し、さらに空港内には弾薬庫も設置されており、同空港はいつ大事故が発生するかも知れない大変危険な状態に置かれており、このことを重視した沖縄県議会は、昭和55年2月4日、那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、同空港を民間専用空港にするよう意見書を議決し関係機関に要請したいきさつがあります。
県は、那覇空港を当面は共用、将来は民間専用にするとの方針のもとに同空港建設構想を進めてきた。西銘知事は2月3日、那覇国際空港の早期建設を求める国場幸太郎那覇空港整備促進協議会会長らの要請に対し、いまの財政状況ではむずかしい、現空港は民間専用にし、沖合い新空港は自衛隊専用にしたらどうかと発言したことは、今後の民間専用化の推進に足を引っ張るものだと憂慮をいたすものであります。災害は忘れたころにまたやってくると言われているように同空港の軍民共用は危険をはらんでおり、今後、那覇空港を知事としてどのように位置づけようとしているかその真意をお伺いいたします。
次に、沖縄電力の民営移行問題についてであります。
電気事業の位置づけの中で、沖縄電力は産業の振興、県民福祉の向上を目的として、復帰と同時に国の助成の必要性から沖振法により特殊法人として設立している。沖振法第29条では、国及び地方公共団体は、電気事業の用に供する設備であって、沖縄における電気の安定かつ適正な供給の確保とうたわれておる。ということは、特殊法人としての沖縄電力に与えられた国の政策目的である。また沖縄における電気事業の健全な発達を図る基本目的があり、全体的な沖縄振興開発の一環として沖縄振興開発特別措置法で沖縄電力は設立されている。沖振法も10年延長され、第2次振興計画2年目に入ったいま、民営移行の具体的方向づけをすることは早計だと思いますが、ここで質問いたします。
沖縄電力の民営移行については、県議会において特殊法人のまま存続するよう意見書を全会一致で採択して国に要請しましたが、西銘知事は12月1日上京の際山中通産大臣に会い、沖縄電力の民営移行について県としては、1つ、本土大手への合併より現地法人として運営したい、2つ、その場合料金の安定化、9電力並みの維持を条件として特別措置など残る諸条件は政府の政治的配慮で解決してほしいと要請した。この要請は、知事が結論づけた印象を県民に与えている。そのことにより沖縄電力の移行問題については審議会が審議進行中の国、県2つの協議会の判断に大きな影響を与えるものだと憂慮していたが、沖縄電気事業協議会は57年12月27日協議会を開き、独立の民営会社とするか、本土9電力会社のうちいずれかの社と合併するという2つの方法による結論を出し、資源エネルギー庁に答申しているが、沖振法が延長されたので、第2次振計期間中は特殊法人のまま運営した方が本県の電気事業の安定はもたらされるものと思いますが、国としては現在どのようなお考えを持っておりますか。また知事として沖縄電力の今後の位置づけはどのようにお考えですか、知事の御所見を賜ります。
次に、米軍の犯罪について。
2月23日、金武タクシーの目取真興栄運転手が、キャンプ・ハンセンの基地内で米兵2人に理由もなく、それこそ虫けらのように殺害されたことは県民に不安と衝撃を与えております。なお、一家の経済を支える大黒柱を失った遺族にとっては、その怒りや悲しみ、その無念さははかり知れないと思います。3日後の26日には、中城村在昭和タクシー運転手牧志朝文さんが、北中城村キャンプ・フォスター内でナイフを持った米兵2人組に襲われ現金4000円と15ドルを奪われ、幸いけがはなかったが、間違うと第2の殺害事件になりかねないと県民は大きな不安を抱いております。
このようなたび重なる非人道的犯罪は極東最大の軍事基地があるゆえであり、3月1日の本会議でも、米軍基地内における米兵による日本人刺殺事件に関する意見書、同抗議決議が全会一致で決議されています。同決議文にもあるように、米軍基地において極悪非道な事件が起こされたことは、米軍人の沖縄県民に対する占領意識と人命軽視によるものであり、人道上絶対に許すことはできないと強く関係機関に抗議要請することになっておりますが、知事はこのような殺害事件などについてどのように受けとめておりますかお伺いします。
また、この事件に対し知事は米軍に対しどのような抗議をなさいましたか、また軍はどのように回答しましたかお答え願います。
次に、県警本部長にお尋ねいたします。
米軍人の犯罪行為について、基地内犯罪、基地外犯罪について地位協定上どの程度の調査権がありますかお伺いします。
次に、米軍人の日本人に対する悪質犯罪の中で、裁判においてこれまでうやむやにされた事件はありませんかお伺いします。
次、知事の所信表明と第2次振興開発計画について。
第96回国会において沖縄振興開発特別措置法が10年延長され、これに基づいて昭和57年8月5日、第2次沖縄振興開発計画は決定され、昭和57年度からスタートし、向こう10カ年間、昭和66年を最終目標年次として設定された第2次沖縄振興開発計画の目標は、沖縄の特性を生かし、各面にわたる本土との格差の是正を図り、自立的発展の基礎条件を整備し、新しい生活像を目指して平和で活力ある沖縄県を実現することを目標としております。その基本課題としては、経済社会の自立的発展に向けて県民一人一人が安定感と潤いと誇りをもって生活し、わが国経済社会の中で安定的発展をするためには、第1次振計で積み残された諸問題は、第2次振計に向けて多くの解決すべき課題を抱えております。昭和57年5月15日は復帰10周年を迎え、第1次沖縄振興開発計画が56年度で終了し、昭和57年度からは第2次振興開発のスタートした年であり、58年度は復帰11年目、第2次振興開発計画の2年次に入ります。また西銘知事2期目の就任初年度の県政運営の所信表明で、2次振計の計画目標に沿って平和で明るい活力ある沖縄県の実現を目標に、自立自助の気概、連帯感を県政発展の原動力とし、県民一人一人が潤いと誇りをもって生活できる国際性豊かな文化の香り高い地域社会の形成に努めるとうたっておりますが、このことは県民一人一人の願望であり異論はないと思います。
58年度の県予算をどのような明るい展望が開けるか期待いたしまして、所見を述べながら質問に入ります。
55年の国勢調査の結果からとらえてみますと、出生率は本県は類似県より約5ポイントも高く、死亡率は本県が約2.5ポイント低い。失業率も類似県に比べ約2から3ポイント高い。新規学卒者、高校卒の就職状況については本県が72.5%、類似県は最低県が99.8%で、他県は100%の就職率である。住宅の状況は、個人住宅1000世帯当たり間借り世帯も類似県の約2.5倍とかなり住宅事情が悪い。公営住宅建設は約60%にしか達していない。生活保護者、1000人当たり本県の29%に対し、全国平均12.21%であり、約2.5倍生活保護者が沖縄は高いということになります。本県は、全国並みに類似県に比較して出生率は高く死亡率は低いため、今後人口増加率は高くなることが予想される。人口増加率に比例して失業の高い本県は、さらに労働市場は狭められることが予想されます。その他住宅事情も悪く、県民所得は本土の約70%と低い。生活保護者は全国平均の約2.5倍と県民生活は本土と比較して多くの格差があり、第2次振興開発計画の目標で示されている、県民一人一人が潤いと誇りをもって生活することはほど遠いと考えます。第2次振計2年次である58年度予算の伸び率3.2%と復帰後最低であり、このような予算の伸びでは第2次沖縄振興開発計画の意義、本土との格差是正を目標に設定した諸事業の達成は不可能ではないかと思います。
そこで知事に質問いたします。
58年度の予算編成を見ると、県税歳入がダウンし、交付税がマイナスヘ転じ、その穴埋めとして財政調整交付金の取り崩し、県債17.5%へ伸ばし、辛うじて3.2%の伸びで苦しい予算編成がうかがえます。本土との格差是正を目標に設定されている第2次振興開発計画の目標を達成するには、他県より約10%前後の上乗せの予算の伸び率がないと第2次振計の目的は達成できないと思います。そのことはどんなすばらしい計画でも、財源の裏づけなくしては絵にかいたモチに等しいからであります。現在の予算の伸び率で第2次振興開発計画の目標達成が可能であるか、知事の御自信のほどをお伺いいたします。
次に、土地改良事業の推進についてであります。
第1次産業の振興は、農業基盤整備事業を推進し、農業経営の合理化を図り、生産反収の引き上げ、労働の省力化のための機械化農業を推進し、生産コストの軽減を図ることが大きな課題だと思います。灌漑排水事業は復帰後、第1次振計終了の年56年度までに9.6%という低い整備率である。また圃場整備事業の整備率もわずか14.4%、農道整備事業は他事業よりかなり伸ばして23.7%という実績になっておりますが、ここで質問いたします。
1つ、県の土地改良の主たる3事業の整備について、57年度までの全国との格差はどうなっておりますか御説明願います。
2つ、3事業について第2次振興開発計画期間中昭和66年までの年次ごとの整備計画は設定されておりますか。また第2次振計の最終年までには本土水準に達する見通しがありますかお伺いいたします。
サトウキビ価格についてであります。
サトウキビは、本県農業の基幹作目であり、農家経済の主柱をなしております。サトウキビの価格の安定なくして沖縄農業は成り立たないと言われている。毎年、生産団体を初め県並びに県議会も国に対し、生産費を補償する価格の決定を要請しておるところでありますが、57年度産サトウキビ価格については57年11月18日、政府は、56年度の買い上げ価格にトン当たり40円引き上げ、57年度の農家手取り価格は2万1450円と決定されたのであるが、結束なわが1巻き80円の値上げであり、その他生産費の値上がりを加味した場合、40円の引き上げは実質上据え置きかマイナスの価格にしかならないと農家から不満の声があります。知事としてはサトウキビ、トン当たり2万1450円の価格は妥当な価格と思いますか、あわせて今後の価格対策についてもお伺いします。
雇用失業対策についてであります。
沖縄の完全失業率の年間平均は昭和48年が3.5%、49年4%と比較的安定した数値を記録していたが、海洋博が開催された50年には5.3%に上昇して以来、52年の6.8%をピークに、5から6%台の高率を続けていた。現在それが8年ぶりに4.9%台に下がったことは、公共工事の拡大により失業者が吸収されたと思われる。だがこのことは、逆に公共工事が減少すれば、再び最悪事態に陥るおそれがあることが十分考えられ、沖縄の雇用情勢は依然として不安定だと思います。したがって本県の雇用情勢は厳しい状況下に置かれておりますが、それに加えて県の12月6日、県外就職のUターン調査によると、県外就職者の43.9%が県内に戻っていることが明らかである。そのうち、県内で就職したいからとの理由が61.5%、家庭の都合というのが18.8%が主な理由である。56年度中にUターンした者は男女合わせて2914人となっております。年齢別では20歳から24歳が55.5%、25歳から29歳が23.5%、19歳以下6.8%となっており、30歳未満が実に86%を占めております。
次は、57年3月卒の新規学卒者の就職状況を申し述べますと、中学卒の就職希望者数182人のうち、県内はゼロとなっております。高校卒の就職希望者数7561人のうち、県内就職者1286人、県外4071人、県内外合わせて5357人となり、3560人の失業者の数が労働市場へはき出される結果になります。したがいまして若者たちに職場が保障され、就職の機会と希望を与えることは県政の大きな課題であり、このような本県の労働条件からして今後労働集約型の2次産業の振興を図り、労働雇用創出事業を興さなければならないと思います。
そこでお尋ねしますが、知事は今後の雇用失業対策についてどのような対策を講じておられるか、あわせて企業誘致の見通しについて御説明願います。
次に、沖特法第38条に基づく職業の安定のための計画はどうなっているか。同計画に基づく事業として県はどのようなものを考えておりますか具体的に御説明願います。
次に、基地の縮小整理と跡地利用について伺います。
知事は毎年所信表明の中で、基地の縮小整理を推進し、跡地の有効利用に努めると言っており、なお去年11月の知事選挙の政策にもこの問題については積極的に取り組む姿勢がうかがえましたのでお尋ねいたします。
知事は、就任以来今日まで基地の縮小整理について具体的計画を立て国に要請したことがありますか。
第2点目に、返還軍用地の実態はどうなっておりますか。その跡地利用についても御説明願います。
次に、跡地利用事業を行う場合は、都市計画法、農振法による国の補助率では、自治体並びに地主の負担が大きいためその推進に困難を要する。そのため前平良知事は、国の責任を明確にさせ、全額国の費用で実施させるべく、沖縄県における軍用地の転用及び軍用地跡の利用促進に関する特別措置法(仮称)案要綱を作成して国に要請しておりましたが、県土の約12%という米軍基地を抱える本県として今後の返還軍用地の跡利用計画を促進する上から重要な課題だと思いますが、知事もこの特別措置法案が立法化に向けて努力すべきだと思いますが、知事の御所見を賜ります。
次は、労働渉外部の廃止についてであります。
広大な沖縄基地は、軍雇用員の福祉、基地被害、相次ぐB52の飛来、事故の頻発など本県は特殊事情を抱えており、さらに毎年基地機能は拡大され、基地行政は今後ますます強化されるべきであるが、知事は基地を認め、防衛は安保によらなければならないと述べ、労働渉外部の廃止はその立場を表明しており、知事の基地行政の軽視のあらわれである。今後の基地にまつわるもろもろの問題や事故などについて知事は十分対処できると思いますか知事の御所見を承ります。
3者協議会の機能についてお伺いします。
西銘知事は就任以来、一貫して安保、基地容認の姿勢を保持しているが、米軍の演習は毎年激増し事故は56年は25件だったのが、57年には35件と前年より10件もふえ復帰後最高の記録を示しているが、2月15日の3者協議会の席上、知事は、昨年の航空機事故や演習による山火事が多発したことを指摘し、また与那原町内でのソノブイ事故からして民間地域上空飛行を避けるよう求めるとともに、県道104号越え実弾演習についても最低限度自粛してもらいたいと申し入れたことに対し、米軍側は、P3C機などの飛行ルート変更を明らかにしたと言っておりますが、ここで知事に質問いたします。
第1点、県道104号越え実弾演習の自粛申し入れをした翌日16日には23日に実弾演習を実施するとの通知が発送されており、3者協議会での自粛の申し入れに対し米軍側からどのような回答があったか。米軍側はP3C機の飛行ルートの変更を明らかにしたが、変更後のルートは明らかにされてないが、変更後のルートについてお伺いします。
次に、人勧凍結について。
12月定例議会において人事委員長は、知事に対し4.5%の給与引き上げ勧告をしておりますが、県が2月定例議会で57年度補正予算に公務員給与の引き上げ費用が計上されなければ、自治労は自衛手段を含む戦術を展開する方針を決めているようである。昨年10月、総理府の消費者物価指数3.9%を上回る5.2%になっており、83春闘の労働側要求7%賃上げ満額獲得しても、実質は2%程度の賃上げにしかならないと強調しております。また昨年10月の首都圏における一般世帯307世帯を対象に実施した10月の実収入は、対象年度同月と比較して5.2%の伸び、預貯金の引き出しは19.5%と大幅に増加し実収入の伸びの低さを貯金の引き出しでカバーしていると調査結果を発表している。自治労県本の調べでは、県内で人勧凍結した場合、公務員を初め年金受給者、保護世帯などで45万人、金額にして220億円の損失、4月から遡及するとオーバーし300億円ぐらい予想され、三越、山形屋、リウボウ、ダイナハの県内デパート、スーパーの年間売り上げに匹敵する。人勧どおり実施されなければ生活を守る手段として買い控えをし消費購買力が低下することは明らかであり県経済の不振につながると思いますが、景気浮揚の面から県は57年度の人勧案どおり実施すべきだと思いますが、知事の御所見を承ります。
2点目に、58年度の人事委勧告があれば、勧告どおり実施する考えがありますかお伺いします。
教育と青少年問題についてであります。
世界でも類例を見ない高度経済の波に乗ったわが国は、物の豊かさでは世界でもトップクラスのランクに位置づけをしていると言えよう。そのように日々変化する社会は価値観の多様化、大衆消費、車社会、享楽的世相など現代の社会環境を反映して個々それぞれに大きな影響を与えている。特に最近は、青少年の間に従来では想像だにつかなかった事件が日常茶飯事のように起こり全く憂慮にたえません。その中でも家庭内暴力や校内事件などはいまや大きな社会問題としてクローズアップされております。例を挙げますと、横浜市での中学生グループによる浮浪者襲撃殺害事件、東京町田市での中学生刺傷事件等いずれも暴力的風潮の延長にある事件と思われます。一昔前までは想像もつかなかった事件が、いままさに私たちの周囲で起きております。その要因は、簡単には探ることができないかもしれません。このようになった背景には急激な社会情勢の変化、偏差値教育、学校の管理社会等いろいろ言われております。幸いにして本県では他府県のごとく深刻な事態にはまだ陥っていないとはいうものの、あの事件を対岸の火としてながめておくことはできない重要な問題です。
青少年の非行防止は、一人一人が自分の問題として、また社会全体の問題として個々が真剣に考え努力を要する問題として強く求められております。私たち日本国民は物の豊かな時代を追い続げ、今日の繁栄を築きました。その豊かさもこれからは心の豊かさ、いわばやさしさ、いたわりの心を持つ人間を育てる、そのような豊かさに今後は転換をすべきではないかと思います。いたわりの心を持ち、感情豊かな青少年を育てることは私たち大人の責任であり、そのために地域社会、学校、行政が連携を深めながら次代を担う青少年を育成しなければならないと思います。
次に、高学歴化社会に伴い、本県においてもここ数年高等学校への進学率が高まり、ほとんどの青少年が高等教育を受ける機会が与えられるようになったことはまことに喜ばしいことであります。今後は進学率の上昇とともに質の充実が必要となってくると思います。その中で2月9日の新聞報道によりますと、中部の具志川商業高校のアンケート調査の結果によると、1年生1クラスに匹敵する50人が退学し、学校をやめたいと思っている生徒が199人とその学年全体の実に84%もいるということがわかり、関係者に大きなショックを与えております。
ここで教育長にお伺いします。
1つ、高校生の意識調査を全県的に実施し、その実態を把握しているかどうか。
2つ、教育行政において青少年を育成する事業はどのようなものがありますか。
3つ目、県内における校内暴力の実態を把握しているかどうか。
4つ目、56年度中に刑法犯で検挙された少年は1730人、前年より93人増に達しているとマスコミは報じているが、青少年非行の増加の原因について以上4項目についてお尋ねいたしましたが、これらの問題について今後指導方針も含めて抜本的対策について御所見を承りたいと思います。
次は、中央卸売市場の開設と運営についてであります。
県は、安謝埋立地に中央卸売市場の建設を進めており、この市場は青果物及び水産物の流通を円滑にし物価の安定を図るのが目的だと思います。今日まで青果物の取引は那覇の与儀経済連市場、古波蔵経済連農産物地方卸売市場を中心に生産者が直接出荷し相対取引するという生産出荷卸売等社会的分業がなされている。県がいま建設を進めている中央卸売市場の開設運営に生産者、消費者は関心を持っておりますので、ここで知事に質問いたします。
1つ、中央卸売市場はいつ開設されますか。
2つ、卸売、仲卸売業者並びに生産者の参加などについて詳しく御説明願います。
3点目、生産出荷のシステムはどのような方法で行われますか。
4つ、中央卸売市場の開設によって与儀経済連市場での相対売はどうなりますか。
5つ、いまアメリカが貿易摩察問題でわが国に農畜産物の輸入拡大を迫っております。今後外国、本土から安い農畜産物の輸移入により、生産基盤の立ちおくれている本県農産物が打撃を受け生産意欲を失うことにでもなれば第1次産業の衰退につながると心配する声もありますが、知事の御所見を賜ります。
以上をもって質問は終わりますが、御答弁によって再質問いたします。終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 城間議員の御質問に対しましてお答えいたします。
教科書問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
高等学校日本史教科書における沖縄の記述に関することは先ほど平良哲議員にお答えしたとおりでありまして、決してそのことを軽視しているわけではありません。しかしこれは教育庁の所管事項でございますので、できるだけ教育委員長、教育長を中心にこの問題に当たらせるのが筋であると考えております。したがって県民の要望に沿った教科書のできることを期待いたしております。
沖教組の教科書問題に関する公開質問状の7項目についての御質問がございましたが、お答えいたします。
まず質問の1点は、沖縄戦実相を教科書に記述することについてであります。県民の強い要求である世界平和への願いを込めて客観的かつ公正なる記述を内容とする沖縄戦の事柄を、児童生徒の心身の発達に応じて適切な配慮のもとに教材化して学習させることは大事なことであると考えます。
2番目の質問に対しましてお答えいたします。教科書に事実を記述し平和教育を行うことについての質問でありますが、わが県が第2次世界大戦において多くの人命、財産、文化遺産等を失った歴史的事実にかんがみ、教科書においても沖縄戦の全貌が正しく記述され、戦争による惨禍が再び起こることのないよう人類普遍の願いである恒久平和を希求する心情を育てることは緊要なことであります。
3番目の質問、関係当局への申し入れについてでありますが、教科書の検定は文部大臣が行うところであり、教科書については所管である教育委員会が教育長をして県民の意を体して対処させているところであり、文部省においても県民の要望を踏まえて対応がなされるものと思う。
4、史料の整備についてであります。沖縄戦による犠牲者については沖縄県史にはおよそ24万4000人と記述されているが、今後とも県民はもとより、関係機関の協力を得てより正確な把握に努めたいと。
5番目、教科書の総点検についての質問であります。教科書の取り扱いは教育委員会が所管しており、教育長において適切な配慮がなされるものと思量する。
6番目、総理大臣の侵略戦争発言についてでありますが、総理大臣の発言に知事が言及することは適当でない。
7番目、高校の教科書の記述について。学校教育において戦争の悲惨さなどについて児童生徒に適確な理解を得させるとともに、戦争を防止し、平和を確立しようとする態度を育てることは重要であると受けとめている。教科書の記述については心身の発達過程にある児童生徒の健全な情操の育成についても十分配慮がなされるべきではないかと考えている。高校の教科書の記述についても、その発達段階に応じて取り扱われるのが適当ではないかと考える。以上が沖教組からの公開質問に対する私の見解でございます。
次に、ACMIの設置についてお答えいたします。
ACMIにつきましては先ほど仲村正治議員にお答えいたしましたとおり、県としてはこれまでこの設置によって民間航空機の安全運航に支障があってはならないとの基本的態度で対処してきたところであり、去る1月17日には外務大臣、防衛施設庁長官など関係機関に対し、本件の設置については極力既存訓練空域の活用を図る等民間航空機の安全運航に支障がないよう、また既存の米軍訓練空域の削減など沖縄周辺空域の全体的な見直しを要望したところであります。
対潜水艦戦用の海洋観測所の設置についてであります。
沖縄海洋環境観測所の設置につきましては那覇防衛施設局に照会いたしましたところ、この施設は海上自衛隊の船舶、航空機の行動に直接関連するものではなく、この施設で収集された資料は別途分析され海上自衛隊の任務達成に必要な資料として活用されるとともに、海洋及び気象等の環境条件の調査研究を行うものと聞いております。
那覇空港の民間専用化についての御質問に対しましてお答えいたします。
県がこれまで要望してまいりました那覇空港の本格ターミナル地域の整備と沖合い展開による国際空港建設構想の具現化は、空港整備特別会計の厳しい現状からいたしまして当分の間きわめて困難な状況にあります。そのため次善の策として那覇空港の沖合いに自衛隊専用の滑走路を新設させ、これによって軍民分離を推進するとともに、陸側の都市再開発、航空機騒音問題等の解決に寄与するのではないかという観点から一つの議論としての話をしたものでございまして、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
次、沖縄電力の民営移管についてお答えいたします。
沖縄復帰時に本土並みの電力供給を行う目的で暫定的に国の出資を主体とした特殊法人の沖縄電力が発足いたしましたことは、御案内のとおりであります。しかし国としては基本的に電気事業については、効率的かつ弾力的運営を図る見地から民営により行うことが望ましいと考えているようであります。それでこの沖縄電力についても民営移行することが適当として閣議決定が繰り返し行われてきており、その方針に変更はないと承っております。安定した県民生活と経済社会を実現するためには電力の安定供給は基本的条件であり、電気事業は単に公益事業としての安定供給の責務にとどまらず、適正料金による供給の確保が責務として課されているものと考えております。したがって沖縄電力の民営移行についてはこのような条件、すなわち本土並み料金水準が確保されるための条件整備が不可欠であります。そのためにはどのような措置が講じられなければならないかについて、目下、県電気・エネルギー対策協議会において検討をしていただいているところであります。山中大臣に対しましても、沖縄県にとって最も有利な条件でこの問題が方向づけられるよう特段の御配慮をお願いしているところであります。
次に、米軍の犯罪についての御質問に対しましてお答えいたします。
キャンプ・ハンセンにおける殺害事件についてはまことに遺憾であり、この事件については2月28日、米軍関係者を県に呼び事件の経過説明を求めるとともに、綱紀の粛正と遺族に対する補償を強く要請したところであります。また3月1日にはアメリカ大使館、防衛施設庁、外務省等に対し、再発防止に万全を期し被害者遺族への補償に十分配慮するよう申し入れてあります。
地位協定は安保条約に基づく日米間の取り決めでありますので、その改定はきわめて困難であると思われます。しかしながら県警等の捜査に対してはできる限りの協力が得られるよう要請しているところであります。
58年度の経済見通しについてお答えいたします。
58年度の県経済見通しについては、国や民間機関の成長率に比べまして沖縄が高目になっておりますが実現できるかとの御指摘でございますが、経済成長要因として現年度、不振だった観光や水産業が好転するものと期待いたしております。
ちなみに観光について申し上げますと、現年度は国内景気の低迷等による影響、または航空運賃の値上げ、航空機事故あるいは天候不順等本県の観光産業にとってきわめて悪い条件が重なったために観光入域客数が減りましたことは御案内のとおりであります。しかしながら58年度は国の景気も上向きになるものと見込んでおり、また県内の観光施設の整備が見られるなど観光環境も幾らか改善するものと期待しております。また県としても観光誘客対策の充実等組織体制を整えて観光振興に努力していく考えであります。水産業も南方カツオ漁業の振興策を進めており、漁獲量の増加もある程度見込まれるものと考えております。また農林業につきましてもサトウキビ、野菜、花卉等の増産が見込まれることからいたしまして、現年度より生産の増加が見込まれます。企業設備も観光関連施設を中心にして増加が期待されております。さらに物価の安定等により個人消費の増加が幾らか見込まれるなど経済情勢は上向きに推移するものと見込まれます。今後、振興開発に係る諸施策を積極的に推進いたしまして公共事業の執行に当たって波及効果を高めるとともに、地場産業の育成、中小企業振興等に力を入れていくことによりまして見通しの成長率は達成可能であると考えております。
58年度予算の3.2%という低い伸び率では2次振計の目標達成はおぽつかないと思うがどうかと、知事の自信のほどをひとつ伺いたいということでありますが、2次振計は沖縄振興法に基づき作成された国の計画であります。また沖縄振興法は厳しい行財政の中で従前の高率補助が全面的に認められ、今後とも沖縄振興開発事業の実施が円滑に推進されるよう延長されたところであります。しかしながら、御指摘のとおり現在の国の財政はきわめて厳しい状況にあります。そのような中にありながらも、2次振計に盛られた主要プロジェクトはすでに57年度及び58年度予算においてそのほとんどが芽出しをしております。またいまだ構想段階のプロジェクトにつきましても調査等を進めその実現に努力していく考えであります。確かに現状においては国の財政もここしばらく硬直的な状況が続くと思われるのでありますが、2次振計は10年間の計画でありまして、その間の経済動向を見ながら対応せざるを得ないことは御案内のとおりであります。県としては、第2次振興開発計画の目標達成に向けて努力をし、国に対しても強く要請していく考えであります。
次に、土地改良事業の推進についてお答えいたします。
昭和56年度における圃場整備率は全国の36%に対しまして本県はわずかに14.4%、灌漑排水9.6%、農道整備23.7%と低い状況に置かれております。これは57年度実績はまだ集計されておりません。2次振計は基本計画としての性格を有しているため、年次別の整備目標は設定しておりませんが、県の目標としては灌漑排水施設は52%、圃場及び農道整備はおおむね70%まで引き上げるよう努力していく考えであります。また国の第3次土地改良長期計画、これは昭和58年から67年までの計画でありますが、この計画では全国平均の土地基盤整備目標を70%に設定しているところから、2次振計の最終年次までには全国平均の整備水準に達するものと期待いたしております。
サトウキビ価格についての御質問に対しましてお答えいたします。
サトウキビは沖縄農業の基幹作目であり、その価格は本県農家の所得に多大の影響を及ぽすものであります。そのため県は関係機関とともに価格引き上げ要請を強力に行ったところでありますが、昨年に比べまして1トン当たりわずかに40円引き上げとなり、2万1450円にとどまりました。今期の農産物価格は例年になく大変厳しく、政府支持格価9品目の中で価格が引き上げられたのはわずか生産者米価、たばこ、サトウキビの3品目だけでございまして、他の6品目は据え置かれたのであります。サトウキビについては一応配慮されておりますものの、今回の価格は56年度の生産費に達していないような状況にあります。なお今後、土地基盤整備、地力増強対策、病害虫対策及びサトウキビ収穫機械の普及を推進するなど生産性の向上を図るとともに、引き続き生産費を補う価格の設定について国に強力に要請していく考えであります。
雇用対策についての御質問に対しましてお答えいたします。
企業誘致につきましては、工業基盤の整備を初め県エ業立地促進条例の制定、誘致推進組織の拡充強化を図るほか、企業立地説明会や企業訪問を実施するなど積極的に取り組んできたところであります。このような状況の中でこれまでに情報処理関連企業2社の本県進出が実現したほか、観光関連企業の立地も見ており新規雇用の面からはかなりの効果が得られる見通しにあります。今後とも企業立地を取り巻く環境には依然として厳しいものがありますが、雇用効果の高い製造加工業の誘致を促進するため工業基盤の整備や関係市町村と一体となった優遇措置の強化等種々の条件整備を推進いたしまして、電子機器関連企業を初め県内の未利用資源や農水産物を活用した企業の立地を実現して雇用の確保を図るべく努力してまいりたいと思います。
沖縄振興法第38条に基づく「安定計画について」の御質問に対しましてお答えいたします。
38条に基づく「職業の安定のための計画」については、沖縄振興法の延長に伴い国は新たにその作成作業を進めているところであります。県は、同計画の策定に当たっては、沖縄の実情に即した有効な雇用対策事業が実施できるような計画内容にしてもらいたい旨要請を行っているところであります。また具体的な雇用対策事業としては学校における職業指導の充実強化、職業訓練の充実、県内外求人開拓による雇用機会の確保、県外就職の促進、各種援護制度の活用による就職の促進等を図っているところであります。今後とも一層推進してまいりたいと思います。特に本年度においては雇用創出特別事業の一環として地域雇用開発推進事業の実施、若年求職者職場適応訓練の実施、県出身就職青少年の集い及び産業職業セミナーを実施したところであります。また事業主体の行う職業訓練を援助するため地域職業訓練センターについては目下建設中であり、本年10月開所の予定となっております。
基地の整理縮小についての御質問に対しましてお答えいたします。
返還の実態でありますが、基地の縮小整理についての具体的な返還計画はこれは安保条約、地位協定との関係から基本的には施設提供者である国の責任においてなされるべきものであると考えておりますが、県としては基地所在市町村の意向等も踏まえ、具体的に返還すべき施設等を提案し返還の促進に努めていきたいと思います。軍用地の返還は復帰前、復帰後合計いたしますと9684ヘクタールとなっております。また土地区画整理法や土地改良法などによる事業の実施状況を見ると、完了済みが約14%、実施中が約11%及び計画中が約8%となっております。なお、自衛隊施設として使用されている地域が約4%、その他個人や企業、組合等が住宅、工場用地並びに返還後農地及び森林としてそのまま利用している地域が約51%となっており、おおよそ88%が利用されております。また軍転特措法の立法については、これまでも申し上げましたように関係法令等との整合性などからいたしまして立法化の要請は考えておりません。
次に、軍事基地の整理縮小と跡地利用についてとの関連質問についてお答えいたします。
去る2月15日の3者協において、私は特に米軍の演習問題を議題として取り上げ、昨年の基地関係事故等が県民に大きな不安を与えることを訴えました。そして実弾射撃演習も必要最小限度の回数に自粛する等により事故の未然防止に努めるよう申し入れたところであります。また与那原町で起きたソノブイ落下事件等同種の事故の再発防止に万全を期すよう申し入れるとともに、中部訓練場での訓練の際は、航空機は学校や民間住宅地域上空の飛行を極力避けるよう申し入れたところであります。P3Cのルート変更については具体的ルートの明示はなかったのでありますが、民間住宅地域上空の飛行を避けるよう配慮しているとのことでありました。
次に、人勧凍結についてお答えいたします。
人事委員会勧告の実施が見送られた場合、県経済に与える影響については大なるものがあると思量されます。しかし人事委員会勧告を実施するに当たりましては12月定例会でも答弁いたしましたとおり、地方公務員法で国並びに他都道府県との均衡及び財政事情等を総合的に考慮しなければならないようになっており、現時点で国及び他都道府県においても実施されていない状況であります。仮に地方交付税等の財源措置が講じられない中で本県が独自に人事委勧告を実施するとなると、一般財源内での措置はきわめて困難であります。したがいましてなお引き続き国並びに他都道府県の動向を見て慎重に対処してまいりたいと思います。
なお、58年度の人事委勧告については、勧告が出た時点で国並びに他都道府県の動向及び本県の財政事情等も勘案して慎重に対処してまいりたいと思います。
中央卸売市場の開設についての質問に対しましてお答えいたします。
沖縄県中央卸売市場整備計画は、青果物、水産物を取り扱う総合市場として整備する計画であり、施設の整備に当たっては青果物部門を先行して整備することにいたしております。業者収容については、去る2月23日に決定した沖縄県中央卸売市場業者収容基本方針に基づき収容する予定であります。中央卸売市場の開設は、昭和58年度末を予定いたしております。卸売、仲卸業者並びに生産者の参加については、まず卸売業者は開設区域内の地方卸売市場の卸売業者と青果物流通業者で構成する1社、仲卸業者は現在地方卸売市場で取引実績のある者及び青果物の流通業務を営んでいる者から24業者、関連事業者は開設区域内において業務を営んでいる者の中から50業者をそれぞれ一定の収容基準を設けて選定収容する予定となっております。中央卸売市場への生産出荷のシステムについては、農業団体の共販体制を主軸に委託出荷を図っていく考えであります。中央卸売市場開設後の経済連与儀市場での相対売りにつきましては、従来どおり存続していく考えであります。農畜産物の輸入自由化問題については、本県の農業振興の上からきわめて憂慮される問題であり、国に対し自由化及び枠拡大阻止を要請してきたところであります。また今後とも引き続き要請していく所存であります。同時に基盤整備や農業技術の改善等を強力に推進し、生産の向上とコスト低減を図ることにより農家が安心して営農に励めるよう努力いたしたいと思います。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 石田慧史君登壇〕
○警察本部長(石田慧史君) まず、米軍人の犯罪行為については、基地内犯罪、基地外犯罪についてどの程度の捜査権限があるかとの御質問にお答えしたいと思います。
犯罪の捜査につきましては、原則としてわが国の刑事訴訟法にのっとって行っているところでありまして、これは、米軍人の場合も一般人の場合も同様でございます。ただ御案内のとおり米軍構成員等に対する捜査につきましてはいわゆる地位協定、刑事特別法等に別の定めがあり、その関係規定は多岐にわたっておりますので、ここではわが国が第1次捜査権を有する犯罪、これはもっぱら合衆国の財産安全のみに対する罪、それともっぱら構成員の身体、財産のみに対する、罪公務中の作為、不作為から生ずる罪を除く罪を言うのでありますが、この第1次裁判権を有する犯罪の捜査のうち逮捕、捜索等の強制捜査権の行使に関するものについてその概略を申し上げたいと思います。
まず、逮捕権の行使についてでありますが、これは米軍の施設外、区域外においては原則として制限はございません。また米軍の施設内、区域内についても米軍が警備していないところにあっては同様でございます、制限はないということでございます。しかし米軍の施設内、区域内であって米軍が警備しているところにつきましては、重大犯罪の現行犯人の追跡逮捕の場合を除き、米軍当局の同意を得て、または米軍当局に嘱託して行うこととされております。また被疑者が米軍当局の手中にあるときは、わが国において公訴の提起がなされるまでの間、米軍が引き続き拘束するものとされております。
次に、捜索、差し押さえ、検証について申し上げます。
米軍の施設外、区域外については軍用財産を除き制限はございません。米軍の施設内、区域内についても、米軍の警備してないところにあっては軍用財産を除き制限はございません。しかし米軍の施設内、区域内であって米軍の警備しているところにつきましては、米軍当局の同意または米軍当局に嘱託して行うこととされております。
それから次に、米国人の犯罪の裁きについてうやむやにされた例はあるかとの御質問についてでございますが、復帰後の殺人事件の認知件数は366件でありますが、うち米軍人によると認められるものは6件で、これはいずれも被疑者を検挙、解決いたしているところでございます。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 教育と青少年問題についての4件御質問がありました。その1件は高校生の意識調査を実施したことはあるか、その実態を把握しているかと、退学者の問題でございます。
高校生の退学に関する意識調査は、必要に応じ臨時的に行ってきております。それから実態調査につきましては、昭和52年度から継続的に調査をしてきております。
退学者の状況についてでございますが、近年、退学者がふえつつあることは全国的な傾向と言われております。本県におきましても昭和55年度で約1100人、昭和56年度で約1200人となっており、憂うべき数字になっております。この中退者の理由や背景については、個々の問題やその他複雑な要因が混在した形であらわれてきておりますので一概に断ずることはできませんけれども、生徒自身の意識や態度に起因するものや、学校生活、家庭生活に起因するものなど広範に及んでいるわけでございます。一般的に言えることは、学校生活への不適応、それから学習意欲の喪失などが挙げられるわけですが、同時に成績差によるいわゆる不本意入学等にも問題があろうかと思われます。
それから青少年健全育成のためにどのような事業を行っているかということでございますが、県教育委員会としましては青少年の問題行動を未然に防止するために、次のような施策を積極的に行っております。
まず、学校教育指導の面と社会教育指導の面、両面からありますけれども、学校教育指導の面からはまず生徒指導推進地域の指定、それから生徒指導推進校の指定、これは中学2校、高校1校を指定しております。それから道徳教育推進校・研究グループ指定、これは小中校2校を指定いたしております。それから基礎学力向上推進地域指定を6地域の各市町村において行っております。それから来年度からの新しい事業といたしまして、教育相談事業として仮称「心の電話」ということで電話相談を行いたいと考えております。それから児童生徒集団宿泊学習の実施によりますところの望ましい人間関係の育成と生活態度の育成を考えております。それから社会教育指導でございますけれども、青少年団体の育成による子供会の普及と地域活動の実施、それから家庭教育振興を図るための家庭教育相談事業、各種参考資料の作成等をいたしております。それから青少年教育施設の充実によりまして団体宿泊訓練等を通じで情操を高め社会性の育成をする。そのほか青少年の指導に当たる指導者の研修事業等も多岐にわたって推進いたしております。
それから県内における校内暴力の実態とその対策でございますが、57年の県警本部の資料によりますと、校内暴力の実態は中学生が23件、高校生1件、計24件になっております。補導人員は中学生で149人、高校生2人で、補導人員は総計で151人になっております。校内暴力の内容は、生徒相互の暴力行為や施設損壊等がほとんどでございます。本県では、他県に比べて教師に対する暴力行為は非常に少なく、中学校2件だけになっております。しかし児童生徒の問題は模倣性が非常に強く、他県のことだというような考え方は大変禁物だと考えておりまして、このような観点から教育委員会としましても他県や本県の2件の事件を分析し、学校、警察、地域との連携を深めながら問題行動の未然防止に努力しているところでございます。
それから昭和57年の刑法犯に占める犯罪少年の増加が目立っているが、その原因と対策についてでございますが、これは県警の資料によりますと、57年中の刑法犯に占める犯罪少年の数は前年度に比べて5.7%の増加を示しております。その原因もいろいろありまして一概には申し上げることはできませんけれども、おおよそ次のようなことが考えられるのではないかと思います。すなわち個人的な要因からくるものとしましては忍耐力や罪悪感の欠如、自已顕示欲や欲求不満など、また環境的な要因としては家庭における教育力の低下、地域の連帯意識の欠如、青少年を取り巻く有害環境の問題などいろいろ要因が考えられます。このようなことから県の教育委員会としましては、次のような対策や指導に基づいて青少年の非行防止に努めているところであります。先ほど申し上げたのがほとんどでございますけれども、青少年健全育成にかかわる関係機関との連絡の強化、相互連携を密にして当たっていくということ、そのほか青少年の夜遊び防止を図るための在宅確認運動の展開や市町村及び地域ごとの夜間街頭指導の強化を行っていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 城間盛栄君。
〔城間盛栄君登壇〕
○城間盛栄君 答弁漏れもありましたが、住民虐殺の公開質問状に対して教職員会に回答されたかどうかですね。公開質問状ですから、これも含めて。県議会でこのように知事の説明に対しては評価します。
それで第1、問題は、沖縄電力の問題だと思いますが、これは民営に移行するという一貫した方針。これは私は石油が安くなるから沖縄電力も黒字になりつつあるんだと、これを見きわめて民営にできるんだという考えはどうかと思うわけですね。なぜならば石油が安くなれば、九州電力もうんと黒字は大きくなる、沖縄電力の場合は小さい。そういう面からして結局石油が安くなっただけ利益が上がれば、それだけまた電気料は下げてくるわけです。結局本土が下げれば、沖縄も下げなければいかない。これは沖縄電力は、決して私は民営移行する場合に特別な法律がない限り、私は特段の配慮ということでは解決できないと思っておりますが、その点について知事のお考えを聞きたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 再質問に対しましてお答えいたします。
民営に移行するということがたびたびの閣議で決定いたしておりますので、現在のままの特殊法人のまま沖縄電力を存続させることにつきましては大変むずかしいと考えております。したがいまして合併か現地法人か二者択一が迫られるわけでございますが、条件整備も含めながら、いずれにしても現地独立法人にするか、合併するにいたしましても、合併すればこれは問題はございませんが、現地法人にする場合どういう条件整備をすればいいか等を含めまして、いま県の石油・エネルギー協議会で各面から検討をいたしておるところでございまして、その意見を踏まえて国に要請をしていきたいとかように考えているところであります。
○議長(大田昌知君) 城間盛栄君。
〔城間盛栄君登壇〕
○城間盛栄君 いまの電力問題ですね、閣議で決定されたから仕方がないということですが、何といっても沖縄のすべての、第2次振計に向けてもあらゆる産業の振興、また生活の向上においても電力が私は沖縄経済はすべて左右すると思っております。この問題についてどうしても民営移行にした場合には、何とかの法律の裏づけがなければ不可能じゃないかということですね。本土が電気料が黒字が出れば、これは電気料は下がってきます。沖縄も下げなければいけないと。そういう面で本当に知事は閣議で決定しているからといって十分配慮で措置できるかどうか、自信あられるかどうかもう1回御答弁願いたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 正直申し上げまして自信のほどはありませんが、これは所管官庁の資源エネルギー庁・通産省も、いま九州電力に合併をするのか、させた方がいいと考えているのか、現地法人のままで条件整備をした方がいいのか、いろいろいま県内でも協議会でも意見の分かれるところでございまして、合併するのであればこれは問題はないわけです。合併してしまえば、九州電力の配下に入るのか、またほかの電力会社の配下に入るのかわかりませんけれども合併すれば何も問題はないと思う。ただ現地法人としてこれを民間法人として存続させていく場合にどういうような条件整備をしていくか。もちろん赤字対策についても国がこれはめんどうを見てもらう、それから財政上の特別措置もやってもらう、課税の減免税の問題等々いろいろ整備すべき条件等がありますから、こういう条件整備がされて、むしろこの方が沖縄のために有利になるというときには、思い切ってその線で国に要請した方がいいんじゃないかと思いますが、まだ協議会の結論が出ておりませんので、正直申し上げまして協議会も合併、独立法人、両論併記をしてうまく逃げたような形で答申されると思いまするけれども、いずれにいたしましてもいま検討している段階でございまするから、これを踏まえて検討し、基本的な姿勢といたしましては沖縄県に有利なような形でこれを民営移行に持っていくということで臨みたいと考えております。
○城間盛栄君 答弁漏れ。教職員会への公開質問状の回答はどうしましたか。
○知事(西銘順治君) これはだから先ほど公開質問状の各項目についてお答えしたとおりでございまするから、御理解いただきたいと思います。
○議長(大田昌知君) 以上で本日の代表質問を終わります。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明4日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後6時12分散会
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