平成13年(2001年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 12月 7日
知事(稲嶺惠一)
 

 髙良政彦議員の御質問にお答えをいたします。
 最初は米軍基地問題について、15年使用期限問題は任期内での決着の見通しはあるのかについてお答えをいたします。
 15年使用期限問題の解決については、県が移設に当たって整備すべき条件とし、また名護市が受け入れ条件としていることから、閣議決定された政府基本方針にも示されているように、政府においてしっかり受けとめられていると考えております。このため、県としては、着工までに何らの進展もなしに進むことはあり得ないと考えており、引き続き政府に対し、その解決を粘り強く求めていきたいと考えております。県としては、一日も早く同問題が解決できるよう努力しているところであります。
 続きまして、同じく米軍基地問題について、日米地位協定の見直し問題は、これも任期内での決着の見通しはあるのかについてお答えいたします。
 県は、昨年8月、日米両政府に対し「日米地位協定の見直しに関する要請」を行ったのを初め、これまで機会あるごとに日米地位協定の見直しの必要性を強く訴えてきたところであります。このような状況の中、去る6月北谷町で発生した事件を契機に日米地位協定の見直し問題が大きくクローズアップされ、7月の衆議院外務委員会において「日米地位協定の見直しに関する件」が決議されました。
 また、全国知事会において、平成14年度の国に対する要望の中で、日米地位協定の見直しが取り上げられるなど従来にない動きが出てきており、10月には本県で開催された九州各県議会議長会及び九州市議会議長会において地位協定の抜本的な見直しが決議され、さらに九州弁護士会連合会は日米地位協定のシンポジウムにおいて「日米地位協定の改定を求める宣言」を採択しました。
 このような動きは、国民全体が沖縄の基地の状況を理解し、国民全体に日米安保体制に基づく沖縄の米軍基地の問題はみずからの問題であるという意識が根づきつつあると認識しております。しかし政府は、日米地位協定については運用の改善を進め、これが十分効果的でない場合には地位協定の改正も視野に入れていくとしております。県としては、日米地位協定の見直しについてはあらゆる機会を通して全国民的課題として広く訴え、理解を得ることが地位協定見直しの実現につながるものと考えており、今後とも粘り強く訴え続けていきたいと思います。
 次に、米軍基地問題について、軍民共用については公約だが、地元では合意が得られていないと、なぜか、また見通しはどうかについてお答えいたします。
 代替施設を軍民共用とすることは公約であり、普天間飛行場の移設に係る平成11年末の閣議決定やこれまでの代替施設協議会での協議など軍民共用を前提に行われたものであります。県としては、現在の中南部一極集中から北部圏域の定住人口の増加を目指した機能拡充を図ることが県土の均衡ある発展を図る上で重要であると考えています。
 軍民共用飛行場は、その実現を図るための基本インフラとして最も有用な施設であると考えており、同飛行場の機能を生かした移設先の地域振興に全力を注ぐことにより、雇用機会の確保や産業の振興を図るなど地域経済発展の新たな拠点を形成し、北部地域の発展につなげていきたいと考えております。県としては、代替施設を軍民共用とすることについて、これまでの地元説明会においても県の考え方を示してきており、地元の理解は深まりつつあるものと考えております。
 続いて米軍基地問題について、那覇港管理組合における県、那覇市、浦添市の組合議員の構成割合、経費の負担割合とその根拠についての御質問のお答えでございます。
 本県の自立経済の確立と産業振興を目指し、那覇港をハブ機能を有する国際流通港湾として整備を図るためには、県主導で那覇港の開発整備及び管理運営を推進する必要があることから、まず県が経費の半分以上を負担することとしております。あわせて、県、那覇市及び浦添市の人口規模、予算規模、県民所得及び港湾利用企業の立地数による比較や県外の港湾管理組合を参考に総合的に検討し、県6、那覇市3、浦添市1の負担割合としたものであります。
 那覇港管理組合の議会の議員の定数については、県外の港湾管理組合や県内の一部事務組合等を参考に那覇市及び浦添市と協議し、総数10人が適当であると判断したところであります。その構成割合の算定については、県、那覇市、浦添市に基礎数値として1人ずつ割り振り、残りの7人を6・3・1の負担割合に比重をおいて案分し、県5人、那覇市3人、浦添市2人としたものであります。
 次に、米軍基地問題について、軍転特措法のさらなる延長を要請したが、その見通しはどうかについてお答えいたします。
 去る11月27日及び28日の両日、尾身沖縄担当大臣、中谷防衛庁長官を初め関係各位に対し、「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」の延長を要請してまいりました。要請先においては、本法が基地跡地の円滑な利用や沖縄振興新法に位置づけられる予定の基地跡地の特例措置の根拠法として必要があることについて御理解が得られたことから、延長に取り組んでいただけるものと考えております。
 次に、県経済の自立化についてのうち、沖縄県の特性を発揮し経済の自立を図るためには沖縄独自の法制が必要というのが一国二制度の考え方と思うがどうかということのお答えです。
 本県の自立的発展に向けては、魅力ある地域特性の発揮と不利性の克服により民間主導の自立型経済の構築と、我が国及びアジア・太平洋地域の発展に寄与する地域の形成等を図る必要があります。このためには、県民及び県内産業界の主体的な取り組みが何より重要でありますが、企業立地の魅力を飛躍的に高めるための税制上の特別措置等を講ずることが必要であり、産業振興のための沖縄独自の大胆な制度等を含む沖縄振興新法の制定を国に求めているところであります。
 同じく県経済の自立化について、一国二制度は政府にとってもプラスになることも訴えるべきではないかについてお答えいたします。
 本県における産業振興のための税制など沖縄独自の大胆な制度の導入は、民間主導の自立型経済の構築など本県の振興発展に資するばかりでなく、国民的な保養の場の形成や国際情報通信ハブの形成等を通じて我が国の社会経済の発展にも寄与するものと考えております。県としては、地域特性を生かしたこのような積極的な沖縄の位置づけを新たな沖縄振興策の基調に据えることとしており、国に対してもそのことを提起し、所要の措置を要望しているところであります。
 同じく県経済の自立化について、自民党沖縄振興委員会の税制改正要望の実現の見通しについてお答えをいたします。
 自由民主党沖縄振興委員会の税制改正要望事項には、内閣府原案で示された産業振興のための各種税制措置等に加えて、沖縄型特定免税店制度に係る消費税の免税や本土─離島路線に係る航空機燃料税の軽減措置の拡充など、県が要望しているハードルの高い大胆な税制が盛り込まれています。沖縄型特定免税店制度に係る消費税の免税等、国の税制の根幹にかかわるものもあり厳しい状況にありますが、県としては県議会、経済団体、市町村長、国会議員等と連携し、所要の措置が年末に取りまとめられる税制改正の政府案に盛り込まれるよう全力で取り組んでいるところであります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。

 
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