委員会記録・調査報告等

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米軍基地関係特別委員会記録
 
平成28年 第 4定例会

3
 



開会の日時

年月日平成28年10月11日 曜日
開会午前 10 時 1
閉会午後 5 時 56

場所


第4委員会室


議題


1 陳情第39号、第43号、第78号、第80号、第81号、第117号、第119号及び第124号から第127号まで
2 軍使用土地、基地公害、演習等米軍基地関係諸問題の調査及び対策の樹立(米軍北部訓練場内のヘリパッド建設地区における抗議活動を行う市民の身
 柄の拘束について)
3 軍使用土地、基地公害、演習等米軍基地関係諸問題の調査及び対策の樹立(6月以降の米軍関係の事件・事故について)
4 閉会中継続審査・調査について


出席委員

委 員 長  仲宗根   悟 君
副委員長  親 川   敬 君
委  員  山 川 典 二 君
委  員  花 城 大 輔 君
委  員  末 松 文 信 君
委  員  照 屋 守 之 君
委  員  宮 城 一 郎 君
委  員  崎 山 嗣 幸 君
委  員  新 垣 清 涼 君
委  員  渡久地   修 君
委  員  嘉 陽 宗 儀 君
委  員  金 城   勉 君
委  員  當 間 盛 夫 君


欠席委員

なし


説明のため出席した者の職・氏名

知事公室長          謝 花 喜一郎 君
 参事兼基地対策課長     運 天   修 君
 環境部環境企画統括監    棚 原 憲 実 君
 環境部環境政策課副参事   普天間 朝 好 君
 環境部環境保全課長     仲宗根 一 哉 君
 土木建築部土木整備統括監  上 原 国 定 君
 教育庁教育指導統括監    與那嶺 善 道 君
 教育庁参事兼義務教育課長  石 川   聡 君
 教育庁保健体育課長     平 良 朝 治 君
 警察本部刑事部長      渡真利 健 良 君
 警察本部交通部長      大 城 正 人 君
 警察本部警備部長      重 久 真 毅 君



○仲宗根悟委員長 ただいまから、米軍基地関係特別委員会を開会いたします。
 陳情第39号外10件、本委員会付議事件軍使用土地、基地公害、演習等米軍基地関係諸問題の調査及び対策の樹立に係る米軍北部訓練場内のヘリパッド建設地区における抗議活動を行う市民の身柄の拘束について、本委員会付議事件軍使用土地、基地公害、演習等米軍基地関係諸問題の調査及び対策の樹立に係る6月以降の米軍関係の事件・事故について及び閉会中継続審査・調査についてを一括して議題といたします。
 本日の説明員として知事公室長、環境部環境企画統括監、教育庁教育指導統括監、警察本部刑事部長、警察本部交通部長及び警察本部警備部長の出席を求めております。
 まず初めに、陳情第39号外10件の審査を行います。
 ただいまの陳情について、知事公室長の説明を求めます。
 なお、継続の陳情については、前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
 謝花喜一郎知事公室長。

〇謝花喜一郎知事公室長 ただいま議題となっております、知事公室所管に係る陳情につきまして、県の処理概要を御説明いたします。
 知事公室所管の陳情は、継続が3件、新規が8件、合計11件となっております。
 まず、継続審査となっております陳情3件につきまして、処理概要を御説明いたします。
 説明資料の1ページをお開きください。
 陳情第39号辺野古新基地建設を直ちに中止し、普天間飛行場の即時閉鎖を求める陳情につきまして、処理概要を御説明いたします。
 県は、国地方係争処理委員会の決定を真摯に受けとめ、安倍総理を初め、各大臣へ協議を求めましたが、国は7月22日に不作為の違法確認訴訟を提起しました。
 その後、9月16日に福岡高等裁判所那覇支部が言い渡した判決は到底受け入れられるものではなく、県は、去る9月23日に最高裁判所へ上告及び上告受理の申し立てを行ったところであります。
 県としましては、埋立承認の取り消しが法的に正当であるとの判断を最高裁判所に求めるとともに、今後もあらゆる手法を用いて、辺野古新基地建設阻止に向けて取り組んでまいります。
 その他、基本的な処理概要に変更はございませんので、説明は省略させていただきます。
 次に、新規の陳情につきまして、処理概要を御説明いたします。
 説明資料の7ページをお開きください。
 陳情第80号F16戦闘機の嘉手納基地への大挙飛来に対する陳情につきまして、処理概要を御説明いたします。
 嘉手納飛行場をめぐっては、米軍再編に伴う一部訓練移転が実施されておりますが、外来機のたび重なる飛来に加え、米国州空軍F16戦闘機の平成27年1月、6月及び10月の配備に続き、F22戦闘機が平成28年1月にも配備されております。
 また、去る9月22日、沖縄の東方約100マイルの海上に墜落したAV8Bハリアー戦闘攻撃機も外来機であり、このような状況は、負担軽減と逆行する状況であると言わざるを得ません。
 外来機、常駐機にかかわらず、米軍の訓練等により、県民に被害や不安を与えることがあってはならず、あらゆる策を講じ、騒音を初めとした周辺住民の負担軽減が図られるよう、県は、米軍及び日米両政府に対し、これまで強く要望しております。
 県としては、これ以上地元の負担増になることがあってはならず、今後ともあらゆる機会を通じ、航空機騒音を初めとした負担軽減を、日米両政府に対して粘り強く働きかけていきたいと考えております。
 続きまして、説明資料の9ページをお開きください。
 陳情第81号F15戦闘機からのフレア誤射に対する陳情につきまして、処理概要を御説明いたします。
 項目1及び2につきましては、平成28年7月13日に発生したF15戦闘機からのフレア放出について、県は、沖縄防衛局及び在沖米空軍に対し、このような事故が二度と起こらないよう、原因の究明、再発防止措置の徹底、事故調査及び報告の迅速化を強く求めるとともに、今後の一層の安全管理について万全を期すよう強く要請しました。
 項目3につきましては、県としては、これまでも、航空機のさらなる安全確保を求めるとともに、住宅地上空の飛行回避や航空機騒音規制措置の厳格な運用について、米軍及び日米両政府に対し求めてきたところです。
 今後とも引き続き、沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会―軍転協などと連携を図りながら、粘り強く働きかけていきたいと考えております。
 続きまして、説明資料の15ページをお開きください。
 陳情第119号北部訓練場のオスプレイ飛行訓練による高江区民の生活権の侵害について視察し改善を求める陳情につきまして、処理概要を御説明いたします。
 項目2につきましては、県としては、ヘリ着陸帯の米国への提供により、航空機騒音等、地域住民の生活環境に影響を与えるようなことがあってはならないと考えております。
 オスプレイについては、建白書の精神に基づき、日米両政府に対して配備撤回を求めてまいります。
 項目3(1)につきましては、県は、オスプレイについて、軍転協と連携し、日米合同委員会合意事項の徹底的な遵守や飛行実態の確認、地域住民に隣接する着陸帯での離発着などの運用停止など、具体的な措置を求めております。
 続きまして、説明資料の17ページをお開きください。
 陳情第124号米軍北部訓練場のヘリパッド建設工事等に関する陳情につきまして、処理概要を御説明いたします。
 北部訓練場の過半の返還について、県はSACO合意事案を着実に実施することが、本県の基地の整理縮小及び地元の振興につながることから、その実現を求めているものであります。
 その条件とされている6カ所のヘリ着陸帯の移設については、当該地域の自然環境や地域住民の生活への影響をめぐってさまざまな意見があるものと承知しております。
 オスプレイについては、環境影響評価の対象となっておらず、騒音が住民生活に影響を与えていることから、引き続き、日米両政府に対して配備撤回を求めてまいります。
 県としては、十分な説明もないまま強行に工事を推し進めようとする姿勢は、信頼関係を大きく損ねるものであり、到底容認できるものではなく、地域住民の日常生活に最大限配慮することなどを求めております。
 辺野古新基地建設について、県は、辺野古に新基地はつくらせないということを県政運営の柱にしており、政府に対し、普天間飛行場の固定化を避け、県民の理解の得られない辺野古移設案を見直し、県外移設及び早期返還に取り組むよう求めております。
 続きまして、説明資料の19ページをお開きください。
 陳情第125号継続審議になった陳情第78号の再審議を求める陳情につきまして、処理概要を御説明いたします。
 項目1につきましては、陳情第78号の項目1に同じであります。
 項目3及び4につきましては、陳情第78号の項目3及び4に同じであります。
 続きまして、説明資料の21ページをお開きください。
 陳情第126号米軍北部訓練場のヘリパッド建設に対する抗議決議を求める陳情につきまして、処理概要を御説明いたします。
 県は、北部訓練場の過半の返還について、SACO合意事案を着実に実施することが、本県の基地の整理縮小及び地元の振興につながることから、その実現を求めているものであります。
 その条件とされている6カ所のヘリ着陸帯の移設については、当該地域の自然環境や地域住民の生活への影響をめぐってさまざまな意見があるものと承知しております。
 オスプレイについては、環境影響評価の対象となっておらず、騒音が住民生活に影響を与えていることから、引き続き、日米両政府に対して配備撤回を求めてまいります。
 県としては、十分な説明もないまま強行に工事を推し進めようとする姿勢は、信頼関係を大きく損ねるものであり、到底容認できるものではなく、地域住民の日常生活に最大限配慮することなどを求めております。
 続きまして、説明資料の23ページをお開きください。
 陳情第127号米軍北部訓練場のオスプレイパッド建設とやんばる上空のオスプレイ飛行に関する陳情の処理概要につきましては、陳情第126号に同じであります。
 以上、知事公室の所管に係る陳情11件につきまして、処理概要を御説明いたしました。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

〇仲宗根悟委員長 知事公室長の説明は終わりました。
 次に、環境部環境企画統括監の説明を求めます。
 なお、継続の陳情については、前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
 棚原憲実環境企画統括監。

〇棚原憲実環境企画統括監 環境部関連の陳情につきまして、御説明いたします。
 環境部関連の陳情は新規3件となっております。
 それでは処理概要を御説明いたします。
 お手元の資料11ページをごらんください。
 陳情第117号高江ヘリパッド建設に伴う環境破壊への懸念に関する陳情について御説明いたします。
 1について、北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称)―移設事業は、沖縄県環境影響評価条例―条例の対象事業ではありませんが、事業者が自主的に条例に準じて環境影響評価の手続を実施しております。
 条例は、対象事業の環境影響評価の結果を他法令の許認可等の意思決定に適切に反映させることを目的とする制度であり、許認可等により規制するものではありません。
 事業者は、施工計画の変更に当たり、平成28年7月20日に移設事業に係る環境影響評価検討図書を提出しており、県では、7月22日に当該検討図書で示された工事計画に変更すべきではない旨の文書を送付しています。
 また、9月9日には、移設事業に係る環境影響評価検討図書、工事用モノレールの変更についてを県に提出したため、県担当職員による現地調査が終了し、沖縄県赤土等流出防止条例の対象事業とならないことなどが確認されるまでは、工事用道路の建設を中断すること、当該検討図書で示された計画で事業を実施すべきではない旨の文書を9月23日に送付しております。
 なお、新たに設置される工事用道路については、立入調査のほか、沖縄防衛局により提出された設計図書の資料についても確認した結果、切り土・盛り土などの土地の改変は行われておらず、条例に基づく事業行為に該当しないことを確認しております。
 2について、事業者が自主的に条例に準じて実施した環境影響評価の手続において、事業者から送付された環境影響評価図書などについて、条例に準じ、沖縄県環境影響評価審査会―審査会に諮問し、審査会からの答申を踏まえ知事意見を提出しています。
 また、条例に準じて送付された事後調査報告書についても、審査会へ諮問し、答申を得ております。
 県では、審査会の答申を踏まえ、必要な環境保全措置を講ずるよう求めております。
 3について、事業者は、自主的に実施している環境影響評価の手続の中で、ノグチゲラ、ヤンバルクイナ等の生息調査等も実施しており、事業実施後は、事後調査を行っております。
 県としましては、事業者から提出される事後調査報告書について、適切に審査を行うとともに現地調査を実施し、審査会の答申も踏まえて、必要な環境保全措置を講ずるよう求めております。
 4について、県では、これまでマングース防除事業の中で、ノグチゲラやヤンバルクイナなどの希少種調査を実施してきております。
 また、小型コウモリ類については、人目に触れる機会がなく、生態も含め不明な点が多いことから、今後、その生息場所などの確認調査を実施することとしております。
 県としましては、これらの調査結果や、専門家の意見等を踏まえ、引き続き、事業者に対し必要な環境保全措置を講ずるよう求めてまいります。
 5について、県では、事業者から提出された沖縄県赤土等流出防止条例に基づく事業行為通知書について、施設の設置基準及び管理基準に基づき厳正に審査を行っており、また、平成28年8月29日と9月27日に立入調査を実施し、事業現場の状況や赤土等流出防止対策の状況等を確認しております。
 今後も当該事業現場の立入調査を行い、適切な赤土等流出防止対策が講じられているか十分に確認し、必要な指導を行っていく考えであります。
 お手元の資料15ページをごらんください。
 陳情第119号北部訓練場のオスプレイ飛行訓練による高江区民の生活権の侵害について視察し改善を求める陳情について御説明いたします。
 3(2)及び(3)について、北部訓練場周辺における航空機騒音については、沖縄防衛局によって東村内の3つの測定局で常時測定を行っており、騒音苦情の多かった平成28年6月の高江区牛道集落の航空機騒音測定結果では、環境基準を下回っております。
 また、沖縄防衛局では、東村からの要望を踏まえて、高江集落上空の飛行回避のため航空標識灯を新たに2基追加設置したところであり、現在3基が稼働しております。
 北部訓練場周辺での騒音・低周波音については、着陸帯を米軍へ提供する国の責任において測定を実施し、その結果を公表すべきと考えております。
 県としましては、航空機騒音による住民への影響の把握については重要なことであると考えておりますので、引き続き、東村高江周辺の航空機騒音の推移を注視していきたいと考えております。
 お手元の資料19ページをごらんください。
 陳情第125号継続審査になった陳情第78号の再審議を求める陳情の項目2については、先ほど説明しました、陳情第119号の項目3(2)及び(3)に同じでありますので説明を省略させていただきます。
 以上、環境部に係る陳情の処理概要について、御説明いたしました。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

〇仲宗根悟委員長 環境部環境企画統括監の説明は終わりました。
 次に、教育庁教育指導統括監の説明を求めます。
 與那嶺善道教育指導統括監。

〇與那嶺善道教育指導統括監 教育委員会関連の陳情につきまして、御説明いたします。
 教育委員会関連の陳情は新規1件となっております。
 それでは、処理概要を御説明いたします。
 お手元の資料15ページをごらんください。
 陳情第119号北部訓練場のオスプレイ飛行訓練による高江区民の生活権の侵害について視察し改善を求める陳情につきまして、処理概要を御説明いたします。
 項目1につきましては、県教育委員会としましては、オスプレイ等の騒音で教育活動に支障があってはならないと考えております。
 学校においては、適切な学習環境を確保するため、学校環境衛生基準に基づき、騒音測定を行っておりますが、航空機等による騒音については、環境基本法及び環境整備法に基づいた測定方法によることとなっており、県関係部局等と連携してまいりたいと考えております。
 また、東村教育委員会及び学校と連携し、児童生徒の出席状況を確認しており、児童生徒の支援を第一に考え、スクールカウンセラーを派遣するなど、今後とも適切に対応してまいります。
 以上、教育委員会に係る陳情処理概要について、御説明いたしました。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

〇仲宗根悟委員長 教育庁教育指導統括監の説明は終わりました。
 これより陳情に対する質疑を行います。
 質疑に当たっては、陳情番号を申し述べてから重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 宮城一郎委員。

〇宮城一郎委員 陳情第119号、北部訓練場のオスプレイ飛行訓練による高江区民の生活権の侵害について視察し改善を求める陳情について、沖縄県として高江の北部訓練場のヘリパッド新設工事に対する基本的な立ち位置を確認させていただいた上で陳情の質疑を進めさせてください。まず確認したいのは、SACO合意で北部訓練場の過半の返還を目標として、それに伴って返還地にあるヘリパッドを残る地域に移設することを条件にされているものについては、沖縄県は容認する方向でよろしいのでしょうか。

〇謝花喜一郎知事公室長 北部訓練場の過半の返還につきましては、県はSACO合意事案を着実に実施することが本県の基地の整理縮小及び地元の振興につながることから、その実現を求めているところでございます。

〇宮城一郎委員 その後、新たなヘリパッドをオスプレイが使用するのではないかという臆測や疑念が地域住民からも出てきたのですが、当時、沖縄防衛局において真部前局長から、そういう事実は把握しておりませんので、わかり次第、速やかに地域住民等に報告差し上げますという御説明がありました。今、海兵隊のレビュー等によってオスプレイの利用が現実としてあり、また、実際に既に提供されたN4の2つのヘリパッドではオスプレイの発着が現認されている中で、いまだに沖縄防衛局からの報告は県民、区民、村民等々にもなされていない状況です。この現状において、県はどのような見解をお持ちでしょうか。

〇謝花喜一郎知事公室長 委員からございましたように、オスプレイにつきましては、沖縄県はその配備に際し配備撤回を求めてきたところです。高江につきましては、環境影響評価においてもオスプレイのことには触れられていなかったということで、このような観点からも沖縄県としてはオスプレイの配備、それから北部訓練場の使用については反対しているということでございます。

〇宮城一郎委員 オスプレイを使用することがわかった中で、義務はないのでしょうが、新たなアセスが行われていない。ここまでオスプレイが飛ぶことを秘匿のうちに進めて、わかった後も新たなアセスをしようとしない。そうやって進められていくSACO合意、北部訓練場の過半の返還というのは、沖縄県民にとって誇れるものかどうかというところを、県のお考えをお聞かせください。

〇謝花喜一郎知事公室長 沖縄県は、北部訓練場の過半の返還については基地の整理縮小、地域の振興につながるということで、基本的にはその実現を求めているというスタンスでございます。ただ、オスプレイの配備については本来、配備の撤回を求めておりますし、環境影響評価においてもそういったことは言及されておらず、今時点においても十分な説明を受けていない中では、北部訓練場の返還についてわかりましたと言えるような状況ではないということでございます。

〇宮城一郎委員 改めてお伺いしますが、先ほどSACO合意及び北部訓練場の過半の返還は県としても望ましいところであるということだったのですが、当時、SACO合意の中でもオスプレイの使用は全く項目にありませんでした。今、2016年の県の立ち位置のまま当時に戻ったとして、オスプレイの使用が条件として含まれた北部訓練場の過半の返還及びSACO合意は容認できるものですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 SACO合意については、基本的に我々は返還を進めてもらいたいところですし、移設の条件として6カ所のヘリ着陸帯も容認していたわけですが、オスプレイが使われるということについては十分説明も受けておらず、アセスにもなかったと。以前からオスプレイの配備については県は配備撤回を求めてきたわけですから―現在、オスプレイの配備について懸念を示している方々が反対する中で強行に作業が進められようとしています。そういったことを含めてトータルで考えた場合、今の時点で県としては北部訓練場の返還についてどうぞやってくださいと言えるような状況にはないということでございます。

〇宮城一郎委員 北部訓練場の過半の返還は県として歓迎するものではあるが、オスプレイの使用に基づいた新ヘリパッドの利用については断じて容認できるものではないという解釈でよろしいでしょうか。

〇謝花喜一郎知事公室長 おっしゃるとおり、返還は進めてもらいたいという思いはありますが、オスプレイがこの地域で運用されることについては、本来、撤回を求めていたわけですから、そういった観点から県はわかりましたとは言えないということです。

〇宮城一郎委員 それを踏まえて陳情第119号の内容について一つずつお尋ねしたいのですが、記の1、沖縄県議会文教厚生委員会は、高江区において子育てを行っている家庭の生活環境及び教育環境の聞き取り調査を行うことが要望として上がっておりますが、処理概要の中で、県として行っている、または行っていこうとしていることは、東村教育委員会及び学校と連携し、児童生徒の出席状況を確認し、児童生徒の支援を第一に考え、スクールカウンセラーを派遣するなど、今後とも適切に対応してまいりますということなのですが、スクールカウンセラーの派遣は既に実施されているものですか。これからなさろうとされているものですか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 スクールカウンセラーについては、派遣を2日間行いましたが、本人と会えなくて東村教育委員会の教育相談員と面談をしている状況です。今後も支援は継続して行っていこうと考えているところです。

〇宮城一郎委員 児童生徒の出席状況の確認とスクールカウンセラーの派遣が、今、実施されている2つのアクションだと思いますが、記の1で高江区民の方々が子育て環境、家庭環境、生活環境の実態把握のために求めていることに対して、この2つで十分とお考えでしょうか。

〇與那嶺善道教育指導統括監 県教育委員会としましては、6月と7月に職員を現地に派遣して東村教育委員会及び学校とで保護者と面談し状況の確認を行っております。その後、出席等の確認等も踏まえて、学校での教育環境の整備を第一に考え、生徒の支援等を行っているところでございます。ちなみに、7月に入っての状況としては、騒音による欠席もないと報告を受けているところでございます。

〇宮城一郎委員 教育庁の範疇から外れてしまうかもしれませんが、家庭における子供の生活環境については何らかのアクション、ないしは御予定がありますか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 学校における欠席等について、先ほどスクールカウンセラーと教育相談員等を派遣して教育相談を行うということですが、家にいても子供の生活環境なので、学校や教育委員会と相談しながら配慮できる部分はやっていきたいと考えております。

〇宮城一郎委員 これからやっていこうという言葉をいただいたのですが、可及的速やかに実施がなされることを望みます。
 続いて、記の3(2)及び(3)について、内容は県独自のオスプレイの騒音・低周波測定、分析、情報の集積等を望んでいるものなのですが、現時点では沖縄防衛局の情報に依存するにとどまっていると処理概要からは推察いたします。改めまして、県が主語として調査に踏み込んで予算を確保し、県独自のロジックを持ってこれに当たっていくお考えがおありかどうか、確認させてください。

〇棚原憲実環境企画統括監 処理方針にも記載させていただきましたが、基地を提供する沖縄防衛局がその責任において測定等を実施すべきであると考えております。現在、3カ所で測定を行っていますが、仮に県が行ったとしてもデータ的には相違はないだろうと思います。沖縄防衛局が実施している測定結果については、低周波音も含めてさらに詳細に分析した上で県へ提供するよう求めているところです。県としましては、そのデータをきちんと精査の上、沖縄防衛局に対して東村の意見も踏まえて対応していきたいと。ただ、新たな航空機の騒音の回数や音量が基準値を超えるようであれば、改めて検討していきたいと考えております。

〇宮城一郎委員 これまで沖縄県は県民の声を代弁して北部訓練場に対してさまざまな形で声明や要望を出しているとは思うのですが、現実には打てど響かずといいますか、運用改善や住民の懸念をこのように解消してほしいということに、沖縄防衛局ないしは日本政府が真摯に向かい合っているようには県民の目には映っていないというのが私見でございます。そのような中で、相手である沖縄防衛局のデータに依存した状態で、果たして県独自の理論が構築できるのか。あるいは、3カ所で十分なのか。そこからの距離は十分なのか。生態系との因果関係も含めて、沖縄県が自分たちの頭で考えて方策を進めていくという点では、独自の考察、調査が必要になってくるのではないかと思うのです。先ほどの話では、必要に応じて考えていきたいということですが、なかなか前に進めない現状を打ち破るためにぜひ前向きな御検討を賜りたいと考えているところですが、いかがでしょうか。

〇棚原憲実環境企画統括監 まず、測定地点につきまして、その選定に当たっては当該地域における平均的な航空機騒音の暴露状況を把握できる地点、そして住居の分布状況や密集度等を勘案して航空機騒音を代表すると認められる地域を選定するという考え方に基づいています。沖縄防衛局が設置している牛道集落の測定局については、住宅の点在状況や小中学校との位置関係を踏まえると、おおむね妥当な位置ではないかと考えております。距離が離れて点在する住宅については、距離による減衰率で、ある程度の推定値を出すことが可能なので、その辺のデータも含めて状況を把握していきたいと考えております。生態系への影響につきましては、確かに沖縄防衛局が実施している測定では把握できないところがありますので、今年度から県独自で北部訓練場の北側で基礎的なデータを収集している状況にあります。

〇宮城一郎委員 最後に、自分のことで恐縮ですが、観光人としてずっと歩んできまして―これは辺野古についての裁判ですが、知事も陳述書の中でヤンバルの海も森も沖縄の貴重な観光資源で、観光資源という着目点だけではないにしても沖縄県民の財産だとおっしゃっています。そこをオスプレイが自由気ままに飛び回って、私たちの生活を脅かすということは非常に許しがたいことだと思いますので、その考え方に立脚してぜひ積極的に前のめりに、転んでも結構なので、進んでいっていただきたいということを要望としてお伝えしておきます。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 渡久地修委員。

〇渡久地修委員 陳情第78号、陳情第81号、陳情第117号、陳情第119号、陳情第124号、陳情第125号、陳情第126号、陳情第127号に関連して、昨日、一昨日、知事が官房長官と会談をして、年内の北部訓練場の過半の返還を歓迎しますと言ったということが新聞報道に出ていて、解説記事の中で、知事はオスプレイパッドの建設を容認したということが書かれたりしているのですが、これは事実ですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 記者会見での議事録等も含めて、もう一度見てみました。歓迎という言葉は出ておりますが、容認という言葉は一切使っておりません。翌日、知事が別公務でのマスコミ等のインタビューに対し、従前通りだとお答えをしております。県のスタンスは基本的に変わっていないということです。先ほど宮城委員にお答えさせていただきましたが、そういったスタンスで知事は北部訓練場の件については考えているということでございます。

〇渡久地修委員 県民の間からは、年内返還となると―条件つきではなく返還するというのなら歓迎ですが、6カ所のオスプレイパッド建設が条件であれば、また大挙機動隊などを総動員して県民の反対運動も全て無視をして強行するのではないかという不安が広がっているわけです。ですから、知事が従来言っているオスプレイの配備撤回を求めているという―県、あるいは県民が納得していないようなやり方は容認できないと。そういう立場は変わらないということでいいですか。もう一度、お願いします。

〇謝花喜一郎知事公室長 結論から申し上げますが、従前どおり変わりません。そして、先ほど申し上げました歓迎という言葉の質疑について、全体をもう一度読み上げて御説明いたします。マスコミから「北部訓練場に関しては知事からも年内の返還を同意されたと受けとめてよろしいでしょうか」という質問に対しまして、「返還そのものはそういう形で返還をしたいということでありますので、ですから、会談の終わりのほうでありましたので、それについての課題とか、そういったことについては触れませんでしたが、いずれにしろ年内に北部訓練場を返還するということについては、県の方針としてもそれは早目に返してくれということでありますので、大変その意味で歓迎しながら返還については承ったわけであります。」ということで、直ちに歓迎ということではなく、いろいろ課題もあるということはしっかり認識しながらお話をしたということでございます。実際、知事にも確認させていただきましたが、官房長官に対して承ったという話は確かにしましたと。ただ、諸課題がありますので、そのことについては後日申し上げたいということを伝えた上で、そういう言葉にしたということです。ですから、県のスタンスは変わっておりません。

〇渡久地修委員 知事が言っていたさまざまな課題というのは何ですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 オスプレイの話や、工事について強行する、地元の人の日常生活にいろいろな影響を与えているなど、これは本会議でも説明したとおりですが、そういったさまざまな課題があると知事は説明しております。

〇渡久地修委員 オスプレイの配備撤回、工事の強行も容認できないということで、そこははっきりさせないといけませんし、会談の報道等で誤った発信がなされてもいけないので、そこは知事としても改めてしっかりと県民や政府に向かって発信する必要があると思いますが、その辺はきちんとしたほうがいいのではないですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 おっしゃるとおりで、マスコミ等からそういった要望があればしっかり説明したいと知事もお答えしておりました。

〇渡久地修委員 陳情第78号、ヤンバル上空のオスプレイ飛行禁止等を求める陳情で、知事の現場視察については、日程等を勘案し、検討してまいりますということですが、これは7月7日の陳情書なので大分たちましたが、こういう状況もありますので、子供たちの状況がどうなのか、環境がどうなのかも含めて早目に調査が必要だと思いますが、いかがですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 県は、基本的にさまざまな課題について現場を確認する作業は行うようにしております。今後、機会を見ながら現地の状況について情報収集したいと考えております。

〇渡久地修委員 県の基本的な認識として、SACO合意で基地の整理縮小につながるということですが、北部訓練場の6カ所のオスプレイパッド建設については、新たに宇嘉川河口の水域が提供される。その河口部分の陸域が提供されて、今まで行われていなかった水・陸・空が一体となった海兵隊の上陸訓練が行われると。それが一番の狙いなのです。そして、この前明らかにしましたが、防衛省の内部資料では自衛隊まで訓練するということなので、これは実質的に新たな基地の機能強化なのです。皆さんはその辺の認識が甘いのではないですか。基地の機能強化だということをきちんと捉える必要があるのではないですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 本会議で委員からいただいた資料について、今、確認作業を行っているところです。オスプレイの配備については、再三申し上げていますが、基本的に配備撤回を求めているというスタンスでございます。それ以外に、本会議で出ましたのは自衛隊との共同訓練という新たなものです。これが機能強化につながるのではないかということですが、本会議でも答弁させていただきましたが、これが負担増につながるものであってはならないということが県の基本的なスタンスなので、こういったさまざまな観点も捉えながら辺野古新基地、それから北部訓練場については議論、検討していく必要があると思っております。

〇渡久地修委員 高江集落を囲むように6カ所つくられますよね。なぜあえて集落を囲んでつくられようとしているのか、皆さんは知っていますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 確かに集落に近いということは県も承知しております。これにつきましては、選定に当たって環境面への配慮など、いろいろな視点があると思いますので、環境部から答弁をしたいと思います。

〇棚原憲実環境企画統括監 新たなヘリパッド建設に当たりましては、沖縄防衛局において、できるだけ環境への負荷が少ない場所ということで、自然環境の保全に関する指針の評価ランク1の区域を除外しております。その後、11地区を選定した上で最終的に6カ所を選定していったと。環境部分の対応については、そういう報告を受けております。

〇渡久地修委員 米軍、あるいは海兵隊の文書の中で、返されるところにあるヘリパッド7カ所は使い物にならないと。それで、日本政府が日本の国民の税金でつくってくれるので、こんなにありがたいことはないと言っていることを知っていますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 今回、返還される地域で7カ所のうち3カ所はオスプレイに合わない、それから、残り3カ所もマルではあるが水準が低いという評価をしていることから、基本的にオスプレイ配備を前提とした米側の判断で7カ所については返還されると推察しております。

〇渡久地修委員 これがきちんと書かれている文書が最近出てきているので、そこも確認してください。

〇謝花喜一郎知事公室長 了解しました。

〇渡久地修委員 復帰前に海兵隊が高江周辺にベトナム村というものをつくって、そこに住民を住まわせて攻撃する訓練を行っていたことを知っていますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 たしか私の記憶では、県議会でそういう議論があったということは承知しております。

〇渡久地修委員 とにかく返すところのヘリパッドは使い物にならないと。そこで新たにつくる際に、高江の集落周辺につくったのは、以前のベトナム村のように実践訓練で住宅なども標的に入れて訓練するのが目的ではないかと指摘する識者も結構いるわけです。その辺はどう考えていますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 恐らくベトナム戦争のころにアメリカと対戦していた側を想定した対応だということは承知しております。

〇渡久地修委員 ですから、なぜ新たに6カ所高江集落周辺につくるのかということは、先ほど言った環境が―縮小どうのこうのではないのです。今までできなかった水・陸・空が一体となった上陸作戦―ジャングル作戦を行う。これは敵地に侵入する訓練を行うのです。そして、そこに集落もある。私はそういったこともあると思うし、これが負担軽減にはつながらないと思うので、その辺はぜひ調べていただきたいと思います。
 次に、陳情第119号、北部訓練場のオスプレイ飛行訓練による高江区民の生活権の侵害について視察し改善を求める陳情です。先ほどの質疑でスクールカウンセラーのことを言っていましたが、私は以前にも本会議でも取り上げて、本会議での答弁はスクールカウンセラーを派遣していますということでした。このスクールカウンセラーについては、相手の児童のこともあるので、中身については配慮していただいて答弁は差し控えさせてくださいということで、それ以上は聞かなかったのですが、先ほどの答弁では子供には会っていないということですか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 スクールカウンセラーについては、2回派遣して子供や保護者と会う調整をしたのですが、子供側の都合がつかずに会えなくて、東村の教育相談員が子供への相談業務を実施しております。

〇渡久地修委員 私は本会議場で中身がどうなのかということは聞けなかったのです。それは相手のプライバシーの問題で、特に子供に関する問題なので配慮してほしいと言うから聞かなかったのですが、会っていないということと配慮して聞かないということは全然違います。会えなかったら会えなかったということをきちんと言ってもらなわないと困るのですが、どうですか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 少し説明不足だったと思いますが、一般的にスクールカウンセラーや教育相談員の業務マニュアルの中では、相談者が悩んでいることをきちんと言えるような環境ということで、相談した内容は外部に漏らさないという守秘義務のもとで行っているため、先ほどあったような答弁になっていると思います。

〇渡久地修委員 私は守秘義務の話がわかるから了解したのです。ところが、会っていないということと守秘義務があるということは次元が全く違うのです。そこは注意してください。
 それから、騒音調査について、学校においては学校環境衛生基準に基づき測定を行うが、航空機については環境基本法などで行うということですが、沖縄県の場合は学校環境衛生基準だけではだめだということで、私は本会議でもかなりやり合いをしたのです。学校環境衛生基準というのは、決められた日にちの決められた時間に飛んでいるか、飛んでいないかだけの測定ですよね。10回飛ぼうが100回飛ぼうが、そのときに飛んでいなかったらゼロとしかカウントされないわけです。これではだめなのです。現に沖縄県の航空機騒音で困っている学校で、飛んでいるときにどうなのかということを測定しないと、全然調査にならないです。特に高江の小中学校や宜野湾市立普天間第二小学校などの周辺、嘉手納基地の周辺で、そこは学校環境衛生基準とか何とかではなく、飛んでいるときの騒音が幾らなのかということを教育委員会として把握しないといけないのではないですか。

〇平良朝治保健体育課長 委員からもございましたが、航空機騒音につきましては別の測定方法等がございますので、関係部局と連携を図ってまいりたいと思います。

〇渡久地修委員 ぜひこれはやってください。それから、環境部も沖縄防衛局任せではなくきちんとやっていただきたいと思います。
 次に、陳情第117号、高江ヘリパッド建設に伴う環境破壊への懸念に関する陳情について、コウモリがオスプレイの低周波音でいなくなっているという通報があって、我々は現場を調査しました。宜野湾市、宜野座村城原区―ここでは区長に会いました。それから、高江区のオスプレイの訓練が激しいところで4名から聞き取りをしました。ここに小型コウモリとありますが、準絶滅危惧種であるオリイオオコウモリが、オスプレイの訓練が激しくなっているときに完全にいなくなったという証言を得たのです。これは県に調査を申し入れましたが、その調査内容を教えてください。

〇棚原憲実環境企画統括監 委員から申し入れがありまして、県としましても現地で6名の方に聞き取りを行っております。オスプレイの飛行以降、オオコウモリについては減っていると、6名中3名の方がおっしゃっていました。区長、住民の方、東村教育委員会の方から聞き取りした内容ではそういう情報を得ております。

〇渡久地修委員 私たちが行ったときは、高江ではオスプレイの訓練が物すごく激しいときで、少なくなっているのではなく完全にいなくなっていたということでした。皆さんが行ったときには、オスプレイの訓練が中断していて―今も中断しているのかな。その後、戻って来つつあるという話がありましたが、把握していますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 その後の話は、こちらでは聞いておりません。

〇渡久地修委員 私は調査に行った人から直接聞きました。私たちが行ったときには減っていたが、その後、訓練が中断しているので徐々に戻りつつありますという報告が自然保護課には届いているということなので、確認してください。ですから、確実に因果関係があると思うのです。高江区では絶滅危惧種の小型コウモリがヒューム管の中に巣をつくって飛び立っていったのですが、これもオスプレイの訓練で完全にいなくなったということなので、その辺はしっかりと調査してください。

〇棚原憲実環境企画統括監 オオコウモリにつきましては、住民の情報を収集するとともに、小型コウモリついては県独自で今年度調査を実施する予定にしております。ただ、数が非常に少なく、情報も少ないということがありますので、以前にこういうところに生息していたという情報を収集しながら、実際に現地も確認して生息状況について調査していきたいと思っております。

〇渡久地修委員 ハワイの環境アセスでは、コウモリに影響を与えるということとカメハメハ大王の文化財などがあって、2カ所で訓練が中止になっているということは知っていますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 その情報は把握しております。

〇渡久地修委員 オスプレイはそういう鳥獣類にも人体にも影響を与えるので、そこは環境部でしっかり調査をして、これは絶対認められないということで頑張ってください。
 最後に、陳情第80号、F16戦闘機の嘉手納基地への大挙飛来に関する陳情です。議長名で出されていますので全会一致の決議だと思いますが、ここでは外来機の飛来、飛行訓練はいかなる理由があるにせよ禁止することを求めています。なぜ外来機が大挙飛来してくるのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 まず嘉手納基地があり、また、沖縄県の周辺には広大な訓練区域、射爆撃場があるということが起因していると考えております。

〇渡久地修委員 やはり訓練空域、水域があるからなのです。だからアメリカからも来るし、本国からも来るし、最近は州軍や韓国、日本本土では三沢基地や岩国基地からも来るということで、実弾訓練ができるのは日本でここだけなのです。ですから、ここをなくさないといけません。処理概要では、今後ともあらゆる機会を通じて負担軽減を働きかけていきますということですが、負担軽減策とはどういうものですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 我々は常に航空機の騒音、それから排気ガスといったもので嘉手納基地周辺に住んでいる嘉手納町民、沖縄市民等から要請等を受けております。そういった実情を日米両政府に十分訴えて、航空機の騒音、廃煙等についてはしっかりと配慮してもらいたいと。あわせて、外来機については負担増につながるものなので、極力制限をしてほしいということを求めております。それから、常駐機においても国外での訓練を嘉手納町は強く要請しておりますので、そういった嘉手納町の意向も含めて要請しているところでございます。

〇渡久地修委員 外来機はテスト飛行のためにも来るということで、AV8Bハリアー攻撃機が墜落しましたよね。県議会も全ての原因究明がされるまでは飛行するなということを求めましたが、飛行を再開しました。本当に県民の命を軽んずるものだと思いますが、これに対して県はどういう見解ですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 まず、県は墜落が起きた際に安慶田副知事を中心に米側、外務省沖縄事務所、沖縄防衛局を県に呼んで強く抗議しました。そのときに事故原因の徹底究明、原因の早期公表、その間の飛行中止を求めておりますが、今般の動きというのは―県に十分な説明があると思っておりました。そういった中で再開に向けてのプレスリリースを行いたいということがあって、それに対して到底容認できないと。県からの抗議に対してしっかりと透明性を持って公表するという説明があったにもかかわらず行ったということに対して、県としては強く抗議を行ったところです。そういった中で米側の予定通り飛行が再開されたということについては、強い遺憾の意を表したということでございます。

〇渡久地修委員 最後に、嘉手納町議会は外来機の飛来、飛行訓練はいかなる理由があるにせよ禁止すべきだということを求めていますが、県としてもせめて外来機の飛来は行うなと、そして訓練空域、水域は返還すべきだということを求めるべきだと思いますが、いかがですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 外来機、常駐機にかかわらず、負担増になってはならないということが基本的なスタンスです。今、県が求めている空域などは一定程度限られているわけですが、AV8Bハリアー攻撃機などの外来機によるものがたび重なると県としても言及せざるを得なくなるだろうと思っております。この件については、さまざまなチャンネルで意見交換を行いながら、県の方針を検討してまいりたいと考えております。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

〇照屋守之委員 陳情第124号、米軍北部訓練場のヘリパッド建設工事等に関する陳情ですが、既に報道もされていますように、知事が北部訓練場の年内返還について交渉をするという国の方針を歓迎をするということで、これは事実上、沖縄県知事がヘリパッドを容認したという形で報道されて、県民、国民の受け取り方もそのようになっていると思います。知事公室長から先ほど説明がありましたが、歓迎するということは北部訓練場の返還を歓迎し、それに伴うヘリパッドの建設も県としては認めたという受け取り方をされると思いますが、それについてはどうですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 基本的に従前と同じスタンスでございます。けさも知事に確認しましたが、容認といった考えは毛頭ないと明言しておりました。やはり高江のヘリパッドにつきましては、オスプレイにしろ地域住民の日常生活への影響、抗議活動等、さまざまな課題がある中で、県が高江のヘリパッドについて容認ということを直ちに言える状況ではないということを、再度、確認したところでございます。

〇照屋守之委員 翁長知事は、発言の内容について今のような答弁をよくしますよね。就任以来、国は強行的だということでいろいろ批判している発言について、本会議でなぜそんなに批判するのですかと聞いたら、それぞれの立場を主張しているだけですという表現をします。マスコミ報道も含めて、そういう表現はそのまま伝わりますので、そうではないと言っても到底県民には理解できません。さらには国に対しても、官房長官が北部訓練場の返還時期を明示して、それに伴ってヘリパッド建設は完了するということが前提ですから、そういうことを明確に伝えた上で歓迎をする。それに対して何のコメントも出さない。今のような説明もないということになれば、国は翁長知事がヘリパッド建設、北部訓練場の過半の返還について理解をしたという受け取り方をすると思うのです。ですから、後でそういう言いわけめいた説明をされても、既に終わっていることですから、そこはしっかりと北部訓練場の返還を認め、それに伴ってヘリパッド建設も認めるが、オスプレイ配備はだめだということを明確にすべきではないですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 北部訓練場の過半の返還については、県も基地の整理縮小、地元の振興につながるということで実現を求めているということはおっしゃるとおりでございます。一方で、オスプレイ配備については従来より配備撤回を求めていたという基本的なスタンスは変わっておりません。そういった中で、高江につきましては、工事に際して資機材の運搬等に関連して自衛隊ヘリの使用や機動隊の配備等で地域住民の日常生活にさまざまな影響があるということがございます。そういった中で、知事は信頼関係も含めて直ちに高江のヘリパッドの移設について容認ということにはならないということを従前から繰り返しているところでございます。今回についても同様なスタンスでいるということでございます。

〇照屋守之委員 ですから、そのような曖昧さが県民に対しても混乱を来すし、知事に対して期待をしている反対派の住民の方々も含めて、トップリーダーとしての姿勢が厳しく問われていると思うのです。私は逆に、翁長知事は平成8年に返還が決まったものを、今、20年たって2つのヘリパッドが既にできあがっている状況で、あと4つについてきちんと知事が返還の歓迎をすることによって、反対派の方々も地域の方々も、知事が表明しているのだからいいやという形で、歓迎発言はその混乱をおさめるという狙いもあったのではないですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 私が知事の発言の奥底まで推しはかって答弁はできませんが、先ほど来お答えしていますように、知事の本心は年内の返還については確かに承ったということをおっしゃったと。それが記者会見の場では歓迎という言葉で出ていますが、その前に課題があるなどの幾つかのフレーズがあるわけです。今回の報道では歓迎という言葉だけが前面に出たということでありまして、知事の基本的なスタンスは、さまざまな課題があって、それについては後日申し上げたいという思いがあったということでございますので、こういったことからしますと、歓迎という言葉からいろいろな思惑でそれを推し進めようとしていたということはないと私自身は思っております。

〇照屋守之委員 翁長知事は自民党で30年ぐらい頑張ってもらって、沖縄の基地の状況も熟知しておりますので、今、オール沖縄体制があるにしても―基地の整理縮小について、翁長知事は辺野古は反対しておりますが、対案は何も持っていません。基地は経済発展の最大の阻害要因だと言っても、知事として基地の整理縮小についてどういう案がありますかといったら何も持ち合わせていませんよね。ですから、そういうことを考えていくと、翁長知事は辺野古反対という形で進まない。むしろ裁判所が辺野古しかないというところまで引き出して、とんでもない方向に行きつつあるわけです。那覇軍港も含めて嘉手納以南の整理縮小も進まないということになっていけば、北部訓練場の過半の返還は保守のリーダーとして何としてもやっていくという実績をつくらないといけません。それすら反対をしていくと、これはオール沖縄どころの話ではないということが知事にはあろうかと思います。今さら容認をする何とかということではないのですが、北部訓練場返還を明確に歓迎をするという言葉は、年内に返ってくるということに対してはいいという話ですよね。そうすると、そこは反対という形では言えないのではないですか。さまざまな課題があっても、知事が本当に反対ということを言えるのですか。そこは、今は反対されている方々も含めて非常に厳しい課題です。ずるずる時間だけ延ばしていって、12月いっぱいには完成するのです。あと2年も3年もあるという話ではないのです。ですから、ここで知事がお考えになっている北部訓練場の過半の返還を認める。ヘリパッド建設を認める。ただし、オスプレイ配備は難しいという形で県民に明確に説明したほうがいいのではないかと思います。いかがですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 繰り返しになって恐縮ですが、基本的にはSACO合意事案は着実に進める必要があるということですが、オスプレイにしろ、作業の進め方にしろ、いろいろな課題があるわけです。その中で地域住民にも不安をお持ちの方がいます。そういった現状を見たときに、知事は沖縄県の立場としてこれを容認すると言える段階ではないということでございます。

〇照屋守之委員 ここまで国が進めているものについて、返還は年内にお願いしますと。アメリカも知事が認めているから日本政府と交渉します。課題はオスプレイだけでしょう。あれだけ公に話し合いをして、諸般の事情でこういうことがありますので、私はヘリパッドを反対しますという形で知事が方向を変えることができるのですかということなのです。そこも含めて反対と明言をされるのであれば、それなりの理由が必要でしょうし、そうなると北部訓練場の過半の返還も一気に吹っ飛びます。ここはぎりぎりの段階で、先ほどから言いますように3年も4年も10年もという話ではなく、年内にどうしますかということですから、知事も今までのように現場に任せる、答弁も任せるということにはならないでしょうということなのです。反対という選択肢はあるのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 反対という選択肢があるかという質疑ですが、今まで沖縄県はオスプレイについては明確に配備撤回ということで、そのヘリパッドでオスプレイが使われるということは当然反対なわけでございます。その中で工事が強行になされているということで、地域住民にさまざまな影響を及ぼしています。そういったことをトータルで考えたときには、今の時点でわかりましたとは言えないということでございます。県政の中で反対の選択肢があるかとか、賛成するかといった議論まではできていないということが現状だと感じております。

〇照屋守之委員 こういう基地問題は、本来は皆様方がもっと早目に知事も含めていろいろな手だてを講じていると思うのです。辺野古しかり、こうなったら裁判を起こすとか、辺野古新基地建設問題対策課をつくってやるとかしていますよね。このヘリパッド問題については知事の公約の問題ですから、そこも含めて皆様方が曖昧にやっていることは事実と反します。こんなことを県議会に説明してもらっては困ります。これだけ問題があって、12月までに決着をつけるということを、今はこういう議論をしていないといういいかげんな県政がありますか。私が申し上げているのは、そういう知事の公約も含めて考えていくと、どうしますということを明確にして―北部訓練場の過半の返還は認めたのですから、それに伴うヘリパッド建設も認めているということが日本全国やアメリカにも伝わっています。もしそうではないということがあったときには、それぞれの立場の責任問題も含めてきちんとやらないといけないところまで来ているのではないかと思います。その辺の覚悟はどうですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 一昨日の官房長官との会談の本当に後半で、官房長官から年内の返還を目指しているという話があったと聞いております。副知事から年内ですかと確認すると、そうだという流れの中で、知事は承りました、ただ、さまざまな課題があるので、それについては後日申し上げたいということを言ったということです。知事のマスコミのぶら下がり取材で報道されているような発言があって、そこがクローズアップされているわけですが、知事は機会を見つけ県民に向けてマスコミ等を通して説明すると同時に、いろいろな方にも御説明することになろうかと思っております。今、私が申し上げられますのは、翁長知事のスタンスは従前と同じだということでございます。

〇照屋守之委員 今の翁長県政で北部訓練場の過半の返還に伴うヘリパッド問題はさほど重要視されていません。これだけ現場で大混乱して、本会議で警察や公安委員会もあれだけ追及されるのに、知事としてどう対応するかということが明確にされていません。せんだって二階幹事長と会ったときに、予算の要求はしますが、辺野古には反対して、ヘリパッドについては一言も触れていませんよね。本来は知事がそういう問題意識を持っていて、反対の方々の思いも含めて混乱をおさめたければ、自民党本部の幹事長に明文化してお願いする。辺野古をお願いしたら、二階幹事長からすると心外ですよ。それよりは、ヘリパッドについてきちんとやる。我々は、朝食会で菅官房長官と会談しましたが、国側は沖縄で起こっている、特に基地問題に対して、知事がどう反応するかということに非常に神経を使っているのです。会談をする前に、オスプレイはこう、ヘリパッドはこう、北部訓練場はこういうことだから慎重に行ってくれと。大変な状況になっていますという形で、先制パンチで知事がそこに投げていれば、恐らくそうはならなかったもしれません。ですから、菅官房長官―国は既に、北部訓練場返還の問題は知事が了解したので我々はしっかり進めていきますということになっていますから、今後の国に対する扱いは注意してくださいね。皆様方は二階幹事長に直接お会いして予算の要求、あるいはサッカースタジアムの要求で、まだ計画もないのに予算をこうしてくれ、財務省が動かないというようなことをするレベルではないです。一旦そのような形で知事が承認したものを、そうではないという形になると、これは自民党本部としても大変なことですよ。大変な責任を負うということになりますので、そこはぜひ慎重にやっていただきますようお願いします。
 次に、陳情第39号、辺野古新基地建設を直ちに中止し、普天間基地の即時閉鎖を求める陳情です。これは裁判になって、上告していますよね。私は本会議でも取り上げておりますが、判決文を見るとことごとく県の主張は否定されているのです。仲井眞前知事のものは認められて、翁長現知事の埋立承認取り消しは違法だと断言されています。普天間基地の被害を除去するには辺野古沿岸を埋め立てするしかないということですよね。私は上告理由書を見ておりますが、新基地建設反対の民意や基地負担の歴史なども含めて、いろいろ書かれています。これは高等裁判所の判決を最高裁判所で覆すというだけのものを持ち合わせて上告されているという理解でいいですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 県の弁護団は、高等裁判所の判決を不服としてさまざまな課題があるだろうということで、憲法違反、判例違反といったもの、また、事実関係についても経験則違反ということがあって上告書及び上告理由書を提出していると思います。そういったことからすると、覆せるものと考えて出されたものと理解しております。

〇照屋守之委員 上告理由書の4ページに、沖縄の長く苛酷な日本国防衛及び基地負担の歴史として、「沖縄は、1879年、日本国に併合された。その後沖縄では沖縄の言葉であるウチナーグチが禁止され、日本国民になるべく皇民化教育が実施された。」というようなことも全部入れているのです。私は、翁長知事、弁護団もそうですが、裁判にかける戦略が余りにも―本来は埋立承認がいいのか悪いのかという一点で争うべきだと思うのです。歴史背景や人権問題も含めて、全部突っ込んで入れているのです。ウチナーグチが禁止されているというのも、戦争が終わったときに、英語を使うか、日本語を使うか、琉球語を使うかという選択の中で、屋良朝苗先生も含めて日本語で行くということに決めたのです。沖縄の人が決めてきたのです。ですから、この中にこのようなことも入れて、いかにも沖縄は虐げられているということに結びつけるという戦略に私は非常に疑問を持っています。それから、新基地建設に対する明確かつ強固な反対の民意として、「沖縄は、今日まで自ら基地を提供したことはない。辺野古へ移設されるとされる普天間飛行場もその他の基地も、戦後沖縄県民が収容所に入れられている間に取られ、あるいは住民が住んでいる場所を銃剣とブルドーザーによって強奪された基地なのである」。これは弁護士が書いているのですよね。私は本会議でも言ったように、辺野古は自主的に契約し、強制ではありませんと。これは辺野古史ですよ。このようにいろいろな条件をつけて、強制ではなく自主的にやりましたという記録がきちんとあるのです。キャンプ・ハンセンも辺野古が建設される状況を見て、我々もそういうことになれば仕事もあり、経済的にもよくなるということで誘致運動まで行うのです。新聞報道にもあります。こういう中で、辺野古をつくらせない。この裁判に異議があって、上告理由書の中に事実と相反することを書いて最高裁判所に送ったら、最高裁判所はどう判断するのですか。これは事実としてあるのです。ですから、こんな紛らわしいことを―なぜ裁判で勝とうとするのに事実と異なることを上告理由書の中に入れるのですかということです。わざと裁判を不利にするようなことではないですか。いかがですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 弁護団の陳述書は500ページに及ぶものです。そういった流れの中で、沖縄の基地問題というのは、現状だけを考えるのではなく長い歴史の中で見なければなかなか理解できないだろうという観点で、そういった歴史的なことも含めて記述があるものと思います。基本的なお話をさせていただきますと、上告ができる場合には、高等裁判所の判決に憲法の解釈の誤りがあること、その他憲法の違反があることを理由とすることになっています。それから、上告受理の申し立てができる場合としては、現判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある事件、その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められることとなっています。そういった観点から、上告理由書及び上告受理申立理由書ではこの部分についてしっかり説明しております。大事なのは上告理由書及び上告受理申立理由書の中の部分でございまして、委員がおっしゃったことは背景やイントロダクションといった流れの中の一つだと私どもは理解しておりますし、上告理由書及び上告受理申立理由書の中では、今回の高等裁判所判決の問題点についてしっかり論点立てしていると理解しております。

〇照屋守之委員 上告理由書をつくるときに、これは県のことですから、当然、知事もチェックしますよね。辺野古は1956年12月28日に米国政府と村長が基地の使用契約書を交わしたわけです。これは事実です。そうすると、上告理由書の内容には事実と反することが何カ所か書かれているのです。これは最高裁判所に出すものですよね。こんな上告理由書が出せますか。それを皆様方は知らなかったと言うのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 辺野古史の中では当時の状況として、民政府は、これ以上反対を続行するなら集落地域も接収地域に線引きをして、強制立ち退き行使も辞さない。しかも一切の補償も拒否すると強行に勧告してきたということが記されているわけでございます。そういった中で契約に至ったということを、私どもとしてはみずから差し出したというようには捉えていないということでございます。

〇照屋守之委員 相手が問題ですよね。最高裁判所に出すのです。これは事実関係がどうかという話です。もちろん背景もそうです。1956年12月28日に村長と契約をしているということは事実です。両方とも強制ではありませんと。このことが我々の地域のためになるし、米軍のためにもなるということで契約したわけです。これは最高裁判所に出すものですから、一般県民にこういう状況だと、知事が私に対して見解が違いますという答弁とはわけが違うのです。裁判所は事実をもってしか判断しないのではないですか。ですから、事実と異なるようなものを上告理由書に入れるということは、裁判を放棄しているのですかと言いたいのです。

〇謝花喜一郎知事公室長 ですから、いろいろな形で県民は―それが辺野古史の中にも記述されているわけでございます。これ以上反対を続行するなら、集落地域も接収地域に線引きされ、強制立ち退きも辞さないと。そして一切の補償も拒否される。そういった中でやらざるを得なかったということが記されているわけで、それをみずから差し出したというようには我々は到底考えられないということでございます。

〇照屋守之委員 なぜ高等裁判所の裁判で負けたのかということは、知事公室長が言うように、これは知事のお考えなのでしょう。周りの歴史的なものも、全て自分中心に考えている。ですから、高等裁判所で否定されるわけです。そのように否定されたにもかかわらず、その歴史認識を今度は最高裁判所に上げる。これでよく裁判を闘う姿勢として持っているなと非常に不思議なのです。上告理由書の14ページに、オスプレイの問題や負担軽減も含めていろいろ書かれています。「国土面積の0.6%にしかすぎない沖縄県に、面積にして73.8%の米軍専用施設が集中している。普天間基地が辺野古新基地に移設され、嘉手納以南のキャンプ・キンザー(牧港補給地区)、那覇軍港、キャンプ瑞慶覧、キャンプ桑江、第一桑江タンクファームの5つの基地が返還されても、実際は73.8%から73.1%へ、すなわちわずか0.7%しかその面積は減少しない。なぜなら、5つの基地の返還とはいっても、県内移設だからである。」云々とありますよね。知事は、北部訓練場や別の基地の問題について対案を示し、私が提案した基地の整理縮小では50%返りますというようなことをやっていて、それを最高裁判所に認めさせて、だから今のやり方ではだめだというように―そうとれるわけでしょう。こういうことも何もやらないで、現状だけ批判して、あたかも裁判に勝つための理由にしようということが理解できないのです。どういうことですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 基本的に県としては、県みずから基地を返還するのであればどこをかわりに差し出しますという立場ではなく、本来は国がしっかり沖縄の過重な基地負担を考えて、国みずから国外、県外を含めて考えるべきだろうというのが県のスタンスでございます。そういった中で、辺野古に基地をつくれば普天間基地の480ヘクタールが返るということについては、必ずしもそうではないだろうということを言っているところだと思っております。

〇照屋守之委員 代執行訴訟のときに、十ぐらいの和解条項が示されて、それについて、代理の弁護士が裁判所と国側と了解して、もちろん知事の了解ももらって和解をしました。その後、事実上の勝訴に等しいということで県幹部の方々が有頂天になっていて、そのときの議会で知事は、裁判所の判断に感謝をしているとまで言い切りました。私はこれに対して質問をしたのでよく覚えていますが、幹部は勝っていると。知事は裁判所に感謝しているという形でいたものが、一転、判決が出た後にあれだけの裁判所批判をするというのは、一体全体どうなっているのか理解できないのです。この裁判をするに当たって、県庁内で何が起こっているのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 まず、なぜそのときに評価したかという背景を、私なりに整理して答弁させていただきます。知事が評価をしたのはこの部分だと思います。和解勧告文に、本来あるべき姿として沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して米国に協力を求めるべきである。そうなれば米国としても大幅な改革を含めて積極的に協力しようという契機となり得る。そのようにならずに今後も裁判で争うとすると、仮に国が勝ったとしても県が勝ったとしても―そのようなくだりがあります。ですから、恐らくこの辺のところで辺野古唯一ということではなく、アメリカ側とも政府は交渉しなさいとおっしゃっているのではないかと知事は考えたのではないかと思います。それから、和解勧告文の中で、いろいろ議論はあったが工事は中止するということがあったので、そういったことも含めて、県の立場としては評価するということになったのではないかと。これは当時おりませんでしたが、私なりの推察でございます。そして、今なぜ変わるかというと、このようにアメリカとも協議しなさいと言っていた裁判官が、県が求めた証人尋問等を取り上げもせず、一方的に国の主張のみを取り入れた判決を行ったということが一番の問題点で、委員からは私もいろいろ御指摘を受けていますが、県としては批判せざるを得ないということだと理解しております。

〇照屋守之委員 翁長知事は裁判所に対して、自分の都合のいいことは評価して、都合の悪いことは批判しています。これはまさに翁長県政の大きな特徴ではないですか。我々は県政としてこういうことがあってはいけないと思っています。中立公平の判決が下りているのに、調子がいいときは評価をして感謝して、自分に都合が悪ければ堂々と批判をして、県民の民意をないがしろにした判決だとまで言い切っているのです。ここは訂正をしないと―辺野古の方々は、普天間基地の危険性を引き受けてもいいという形でずっときているわけです。周辺も辺野古か普天間しかなければしょうがないという考えの方もいるわけです。確かに辺野古につくらないほうがいいという方は表面的には多数いるかもしれません。ですから、中立公平な裁判からすると、いろいろな方の意見を組み入れて判決を下したのだと行政は思わないといけないのです。それを、県民の民意をないがしろにした判決が下されたと言う―司法に皆様方が堂々と挑戦できるような―最高裁判所があなた方のそういう批判を聞いたらどうしますか。裁判になりませんよ。私が申し上げたいのは、判決はきちんと受けとめて、不満があれば修正をして上に上げる。それだけでいいのです。そこをしないで、沖縄県の行政は自分の都合のいいように裁判所に対していいときは感謝して、悪いときは徹底的に批判する。それも、自分で批判すればいいのですが、県民の民意をないがしろにするというような、いいかげんな批判の仕方がありますか。ですから、そこは気をつけてください。
 それから、代執行のときの和解がありましたが、それは今回の裁判でも生きているという認識を持っていますが、いかがですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 和解は有効だと思っておりますが、ただ時点が変わってきているだろうと私も本会議で答弁したところでございます。9項で、原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定後は、となっていますが、高等裁判所判決は取消訴訟判決確定の裁判ではなく、違法確認訴訟だったわけです。ですから、ここで想定しているステージではないということです。ただ、いずれにしましても、国も県も確定判決には従うということは行政の立場として当然だということは答弁しているところです。

〇照屋守之委員 この判決でうたわれているのは、代執行で国地方係争処理委員会の結果によって県は曖昧だからといって裁判を起こさなかったわけでしょう。要するに、裁判所はそういうことも含めて言っているくだりがあって、知事が表明をしている関係で、被告にも原告にも錯誤はなく同和解は有効に成立したという形で裁判所が断言しているわけですから、代執行に係る十の和解条項はそのまま引き継がれると裁判所は明言しておりますが、それでいいですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 9項については、そもそもステージが違うという話をしましたが、確定判決に従うということはある意味当然のことでございます。ですから、仮に県が最高裁判所の確定判決で敗訴した場合には、翁長知事が行った承認取り消しは取り消さざるを得なくなります。従うというのはそういう意味でございます。次に変更申請などが出ますが、前に取り消したからということで抗弁することはできません。ただ、法令に基づいてしっかりとケース・バイ・ケースで判断をするということは行政の権限として与えられておりますし、和解条項があるからといってその権限が縛られることはないだろうというのが我々の考えでございます。

〇照屋守之委員 国が敗訴したら、埋立承認ができないわけですから辺野古は断念です。県が敗訴したら、知事の取り消しが違法ですから埋立承認は通ります。その後、国も県もその手続を実施して互いに協力して進めていきなさいというのが和解勧告ですよね。そこで県が敗訴すると、ありとあらゆる手段をとって、撤回を考えるとか何とかということは、この和解条項からするとあり得ないわけでしょう。

〇謝花喜一郎知事公室長 撤回の話は、違法に生じたさまざまな事象に基づいて判断することでございます。これは最高裁判所判決確定後に検討したいと思っております。手続については、法令に基づいて審査するということは行政手続に基づく行政の立場として当然ですので、我々は公有水面埋立法等関係法令に基づいて国から出される申請等についてしっかり審査していくということでございます。

〇照屋守之委員 私の認識は、最高裁判所の判決が出れば、埋立承認は認めざるを得ないので、撤回どころの話ではなく、今後の手続はその趣旨に沿って互いに協力してやっていくということですから、県も向こうから出されるものをやります。国が敗訴すれば一巻の終わりで全てなくなりますので、手続を粛々と進める。もう一つは、辺野古は普天間の危険性を除去するための唯一の手段だと。そうでなければ解決できないということが高等裁判所で認められたわけです。そうすると、県が敗訴して普天間返還には辺野古しかないという判決が下れば動かしようがない。埋立承認の問題ももちろん大事ですが、ここも合わせて辺野古しかないと言い切っている判決からすると、ここは勝ち負けで明確になっていくのではないですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 委員がおっしゃった部分は、まさしく我々が強く反発しているところです。本来、高等裁判所で議論すべきは、翁長知事が行った承認取り消しの適法性、違法性です。ところが高等裁判所の判決は、仲井眞前知事の行った承認の適法性、違法性を判断しているわけです。そこも我々は法令違反として訴えますが、一番問題なのは、高等裁判所判決は沖縄防衛局が出した埋立必要理由書を県知事にかわってみずから評価しているのです。この評価を行った上でるる審査を行ったと。その際に、仲井眞前知事が行った承認の中でも辺野古が唯一ということには一切触れていませんし、埋立必要理由書でも触れていません。それにもかかわらず、裁判所は辺野古唯一だという言葉をどこからどう出してきたのかということが我々にはわかりません。そういったことを強く今回の上告理由書の中で訴えているということでございます。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。

   休憩 午後0時0分
   再開 午後1時21分

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 午前に引き続き、質疑を行います。
 照屋守之委員。

〇照屋守之委員 高等裁判所の判決ですが、翁長知事の埋立承認取り消しは違法、普天間飛行場の危険性除去には辺野古の建設しかない、それができなければ普天間飛行場の危険性は継続されるという明確な司法の判断が出ました。それを不服として最高裁判所に持ち込むわけですが、先ほど言いましたように、代執行訴訟に係る和解条項は今回の裁判でも最高裁判所の判決が出た後も引き続き継続されます。そして、辺野古と普天間の問題もかぶさって、この問題にはこれしかないという判決が高等裁判所で出されて、最高裁判所の判決が待たれるわけですが、そうなった場合は、知事はありとあらゆる手段を使って辺野古に基地をつくらせないというお考えが、最高裁判所の判決によってできる部分とできない部分の両方が出てきます。ここはどうなるのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 あくまでも高等裁判所の判断は是正の指示が適法か違法かという話で、上告をしております。固定化せざるを得ないというものは裁判官独自の判断だと思っておりまして、本来、原告も被告もそこまで主張していないわけですから、我々としては裁判所がそこまで言及するのはいかがなものかという思いはございます。それはおいておいても、高等裁判所の判決で我々が求めているものは、少なくとも翁長知事が行った承認取り消しの適法性、違法性についてでございます。これがもし違法という判断がされれば、当然、承認取り消しは取り消すということになります。仮に、翁長知事の承認取り消しが適法ということであれば、国が行った是正の指示が不適切だということになって、県の承認取り消しが生きるわけですから、国は工事ができなくなるという流れです。いずれにしましても、県は辺野古唯一という判断には拘束されずに、全てにおいて事後の手続については法令にのっとって作業を進めるということになると思います。

〇照屋守之委員 その裁判の趣旨に従うということですから、判決も含めてトータルの裁判に従うという形で約束している県が、この判決が出た後に我々は納得できませんと。個人的な感情としてはそういうことが起こるかもしれませんが、裁判所は明確に、埋立承認の問題が入り口ですが、平成8年に日本政府とアメリカ政府が合意した普天間飛行場の返還について、解決策を具体的に示しているわけです。これは県ができないから、司法の判断で客観的にこういう形でしか解決できないということが出ているわけです。ですから、それに従わざるを得ないというのが司法判断ということではないですか。それに背いて、こうではないということを県は示すことができなかったわけでしょう。話し合いをすることすらできなくて現在まで至っているから、高等裁判所でそういう判決になり、それを不服として最高裁判所に行くわけです。最高裁判所は承認問題と普天間飛行場を辺野古にどうするかという具体的なところまできているので、その最高裁判所の判決に県も国も従うしかないのではないですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 先週、辺野古訴訟についてのシンポジウムがございましたが、多くの行政法学者、地方自治法学者がいらっしゃる中でお話が出たのは、本来、行政裁量権の範囲内にあるものについて、裁判所が―しかもそれを原告、被告の双方が出した資料ではなく、埋立必要理由書に基づいて知事の立場に立って判断を行ったということは極めて異例だということが言われております。それぞれが主張をしていないものについて、あたかも司法の裁判所が行政に成りかわるような形で判断することは、そもそも司法権の逸脱ではないかという批判も出ました。ですから、少なくとも高等裁判所の判断のあり方は極めて異例だという意見を多くの方々から受けましたので、この件について辺野古が唯一という高等裁判所の発言に我々は全く拘束されるものではないと考えております。ただ、委員がおっしゃるのが和解条項に基づいた拘束の話でしたら、和解条項のステージとは違うような流れの中でやっているということでございますので、いずれにしましても、県は上告をしているわけですから、しっかりと県の主張の正当性を立証していきたいと考えているところでございます。

〇照屋守之委員 日本の行政、司法、立法という三権分立について、なぜあなたが一知事公室長として一々クレームをつけるのかと。ここは日本です。沖縄県も日本の憲法が及んで、その中で皆さんは仕事をしているのです。それを司法判断について平気でああだこうだと言うこと自体、県民を含めて誤解を与えるのです。司法判断には従うのです。クレームをつけるものではありません。それについてああでもない、こうでもないと。普天間飛行場の問題が平成8年から20年たっても解決していなくて、翁長知事も解決策を示すことができないし、国も難渋しているという問題について、裁判所が焦点を当てて解決するにはどうするか、客観的に見てこれしかないという判決を出しているのです。皆さん方は「ありがとう」と言わないといけない立場ではないですか。それを、これに縛られることはないとか、司法権をどうのこうのという失礼なことを言って、あなた方は裁判に臨めるのですか。最高裁判所がこれを聞いたら何と言いますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 これが他県の事案であればそこまで批判するのはいかがなものかという部分もあると思いますが、いわば県が被告として訴えられて、私もその一員として裁判に臨んでいるわけでございます。裁判所に公正中立を期待している流れの中で、先ほど一例を申し上げましたが、本来の司法の判断の部分を逸脱しているのではないかと思われる部分が多々ございますので、そういったものについてはおかしいのではないかと主張をすることは可能ではないかと。ただ、それについて品性を保つということは重要だと思いますので、もしそういったところで不適切な発言があったとしたらおわび申し上げますが、反論すべきは反論してもよろしいのではないかと思っているところです。

〇照屋守之委員 反論はいいです。しかし、最高裁判所の判決が出たら、それにきちんと従いますと。高等裁判所の判決と全く同じであれば、それに従わざるを得ませんと。それだけではないですか。それを司法判断が逸脱したとか―ここの論議は公です。最高裁判所も県がどのように答えているか見ています。これを最高裁判所が見たら、とんでもないと。県の行政は何だと。自分たちが判断できないものを司法に持ち込んで、自分の都合のいいときは裁判所に感謝して、そうではないものは批判する。こんな行政があるかと。まさに日本の憲法の三権分立を逸脱して、それでも我々は従いませんと。最初から最高裁判所の判決に対して、我々はありとあらゆる手法を尽くして反対しますということですよね。これは県知事の責任問題にかかわっていくのです。我々は知事がこの問題を解決してくれると期待して、辺野古も含めてあらゆる手段をとりますということになったのに、つくらせないと一生懸命頑張っている知事が裁判を通してどんどん国に対して有利な状況をつくり出しています。一体全体どういうことなのですか。つくらせないと言いながら、あげくの果ては辺野古しかないという司法判断をする。それが戦略だったのですか。最初からそれを狙っていたのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 先ほど来答弁しているように、辺野古唯一だという、いずれも主張、立証していないものについてまで違法確認訴訟判決の中で裁判所が踏み込む必要はなかったのではないかと考えております。最高裁判所においても、争点は翁長知事が行った承認取り消しが適法か違法か、純粋法律的に憲法判断、憲法解釈、判例法に基づいてどうなのかということが議論されるわけでございます。ですから、それには国も県も従うと。承認取り消しが違法とされれば、承認取り消しは当然取り消しますということは常々答弁させていただいております。これが判決に従うという趣旨だと考えております。ただ、その後のことまで縛られるというのは果たしてどうなのかについて、県としては、それ以後のものについては縛られるものではなく、しっかりと個々の法令解釈に基づいて判断をしていくということでございます。

〇照屋守之委員 そういう理解での一つ一つの答弁が、最高裁判所の判断を非常に危うくするのです。この判決文を読んでいくと、県の曖昧さとして、国と話し合いをするといっても全然話し合いが進まない。国地方係争処理委員会の判断の後に裁判を起こすということでしたが、これも起こさない。そのようにやるべきことをやらないで、ずっと先延ばしにしていくということが、この判決に示されているのです。ですから、県が行っていることが問題解決にならないということになれば、高等裁判所がわざわざそういうところまで明記してこの問題を解決する。最高裁判所に上がって、その問題に決着をつける。これは県の責任でも国の責任でもありません。司法判断でそういう判決が出たら、その司法判断によって問題解決をするということが本来の皆様方のスタンスなのに、国はそれに従うが皆さんはそれに従わない。そうなれば、最高裁判所以上のものがあるのですか。誰がどう判断するのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 最高裁判所は確定判断ですから、それには従います。違法と判断されれば、それに基づいた対応はします。これは国、県の双方です。それ以上でもそれ以下でもないと考えているところでございます。

〇照屋守之委員 ですから、それ以上でもそれ以下でもないわけです。辺野古しかないということが判決ですから、そこは司法判断で、行政と立法とは全く別個です。知事公室長、あるいは翁長知事がそうではないと言ってもここは日本ですから―翁長知事が就任してから今の流れをずっと見ていると、ヘリパッドの問題もそうですが、翁長知事は国の立場も尊重し、自分たちの立場も尊重するということに特に最近は重点を置いていないかと感じるのです。ですから、県は反対してつくらせない。国はつくる。これが同時に行くわけでしょう。まさに反対しながらつくらせるという状況ですよね。翁長知事は国の批判ばかりして尊重していないのではないかと思っていたのですが、最近は国の立場も尊重し、自分の立場も主張しているということですから、結果的に知事は反対して、国はつくるということが、2年後の任期までそのままずっと行くのだろうという思いがしています。結論として、翁長知事がつくらせないと言うのは任期中には実現できないということを認めて、反対のまま行くだろうという感じがしますが、やはりそういう状況ですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 委員の御質疑の趣旨を正確に踏まえているかどうかは置いておきまして、仮に県が敗訴をしても承認取り消しは取り消されて工事は再開されます。ただ、それでもいろいろな手続が出てまいりますので、その際に県は法令にのっとって判断いたします。ですから、場合によってはまた訴訟になるかもしれません。いずれにしましても辺野古の問題については時間がかかるという意味で、委員のおっしゃっている趣旨がそういったことであれば、そのとおり時間がかかることだと思います。

〇照屋守之委員 そのとおりと言えば、あなたは私が言った意味がわかるでしょうね。翁長知事はできもしないのにつくらせないと任期中はずっと言っていくという話です。それは県民に対する裏切り行為ではないかという意味を込めて言っているのです。これから進めていく上でまた訴訟になるというその程度の認識でこの裁判に挑んでいること自体が、私は理解できないのです。ですから、そこは整理してください。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 末松文信委員。

〇末松文信委員 陳情第39号、辺野古新基地建設を直ちに中止し、普天間基地の即時閉鎖を求める陳情について、処理概要に追加的に書いてあるところがありますが、埋立承認の取り消しが法的に正当であるとの判断で最高裁判所に求めると書いてありますが、正当であるとの根拠はどこにあるのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 埋立承認の取り消しを行う際に、県は第三者委員会を設置しまして深く検討してまいりました。その第三者委員会の報告を県庁内部でも詳しく精査し、瑕疵があるという判断をした結果、承認を取り消したということです。そういった過程の中で、知事が行った承認取り消しについては違法な点はないという意味で、正当であるとの判断を求めるということでございます。

〇末松文信委員 判決の要旨をお持ちですか。この中で、皆さんが言われている第1号要件について、4ページにこう書いてあります。「裁量権の範囲を逸脱した、またはこれを濫用したものとして違法となる」という状況の中で、6ページの結論を見ると、「本件埋立事業の必要性が極めて高く、それに伴う環境悪化等の不利益を考慮したとしても第1号要件該当性を肯定できるとする判断が不合理なものであるとは認めることはできない」とあります。したがって、これは法的に不合理ではないという表現ですが、これについてはどう思いますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 これについては、まず十分な審理がなされていないという基本がございます。それから、今回の高等裁判所の判決は、沖縄防衛局が出した埋立必要理由書を県知事に成りかわってみずから審査しています。これは多くの行政法学者等が大変おかしいのではないかということを主張しています。引用させていただきますが、「沖縄防衛局が出した埋立必要理由書を高等裁判所はみずから見て判断しているのですが、例えば、原子力発電所の設置許可の取り消しを周辺住民が求める訴訟において、裁判所が電力会社の許可申請書を審査し、許可申請書から原発の設置は必要だと認められるので設置許可を出した行政長の判断に違法はないということを判断しているに等しい。」という論評をある行政法学者が公表しています。本来、沖縄県は沖縄県知事が行った承認取り消しの適法性を判断してくださいと言っているわけですが、現知事の承認取り消しが争点だと言いながら、沖縄防衛局が出した埋立必要理由書を見る限り問題ないというような論理を展開しているのです。それは本来、裁量権を持っている行政庁が行うべきであって、裁判所はそれについて一定の配慮をしないといけないような、いわゆる裁量権の範囲内なのです。それを逸脱しているのではないかということを、今回の上告理由書に沖縄県側の弁護団は主張しています。委員は高等裁判所判決の一つ一つを御質疑すると思いますが、我々はそれ自体にいろいろな課題があるだろうということで、その部分についてはしっかりと主張、立証していきたいと考えております。

〇末松文信委員 私は、裁判所はこの決定を下すまでに、知事公室長がおっしゃるような背景も全て検討した結果、こういう結論に至っていると思います。私は、知事公室長の言い方は一方的ではないかと思っています。
 次に、第2号要件です。これは環境アセス等の話もありますが、これについても裁判所は結論として、9ページですが、「本件承認処分の取消しは許されない」と。こういったもろもろのことがあって、最終的にはこういう結論を得ているのです。そこまでにいろいろな論評がありますが、県は国や国地方係争処理委員会との話し合いの中でも、和解の場所には参加したかもしれませんが、結果の糸口も見出せないという状況で、和解条項に基づいて和解を進めるのは不可能だろうということを裁判長も判断して、これ以上、時間を費やすわけにもいかないということで、最終的に決断したということを書いてあります。裁判所でのこれだけの議論を、知事公室長が言うようにいろいろな学者はいると思いますが、この方々がこう言っているからこうだということで上告するというのはいかがなものかと思いますが、どうですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 第2号要件は自然環境保護関係で極めて重要な部分なのですが、これにつきましても県は、環境の専門家などを証人として申請しました。しかし、そういった部分についても一切証人の申請は認められず、2回の口頭弁論で終わっています。1回は知事の冒頭陳述です。県が求めた証人申請も十分審査が行われないまま、環境保全については我々から見ると国の主張をそのまま引き写したような形のものにしか見えません。県もさまざまな面で反証しておりますが、これについては一顧だにされていないと言わざるを得ません。そういった流れの中でいかがなものかという反論もあるかもしれませんが、我々としては不服でございますので、上告をさせていただきたいと考えております。

〇末松文信委員 環境部にお尋ねします。皆さんが審査した瑕疵があるという点について、実質的に審査した結果としてどういうところが問題だと思っていますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 普天間飛行場代替施設建設事業の実施に係る環境影響について、事業者である国は、評価書の総合評価において、事業の実施に際して、環境保全上特段の支障は生じないとしているが、次に示す不適切な事項等により事業実施区域の環境保全上重大な問題があると。また、当該評価書で示された環境保全措置等では、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能と考えると。主な問題点としましては、埋立土砂の調達量の約80%が調達先未定であったこと。オスプレイの航空機騒音等の予測評価について、十分なデータが示されていなかったこと。以上のようなものを主な点として知事意見を提出しております。

〇末松文信委員 この重大な問題と言われているところで、埋立土砂の調達量の約80%以上が調達先未定であったと。これは経過の中で事業者はどう答えていますか。

〇上原国定土木整備統括監 辺野古埋め立ての埋立土砂につきまして、事業者は調達場所が未定であることを前提に、供給業者等との契約において、生態系に影響を及ぼさない措置を講じる旨規定するとし、調査の実施者は供給業者等であり、モニタリング調査の方法と外来種の侵入が確認された場合の対策については専門家の指導等を得て適切に実施することとして、いずれについても専門家の指導、助言を得るというような回答をするにとどまっているという状況でございます。

〇末松文信委員 これは判決の要旨の中にも書いてあります。それは後日できる話ではないのですか。そういうことを回答しているわけでしょう。それを問題点にするわけですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 環境アセスメントにおいては、事前に科学的な知見において環境への評価をできるだけ軽減させる措置をとることとなっております。ただ、事後調査において対応するということが大きなウエートを占めますと、自然環境は一度失われれば二度とそのままの状態で回復することができないということが生じる可能性があります。そういう趣旨では、可能な限り環境影響評価の段階で知見を集積して対応を確定していただくというのが望まれるところです。

〇末松文信委員 同じことを聞きますが、那覇空港の第2滑走路もそういう指摘をしましたか。

〇棚原憲実環境企画統括監 環境部で考えているのは、まず那覇空港については自然環境の状況や県外からの土砂量等も含めて、それに対する対応は同様にしています。ただ、全く同じ状況ということではありません。ちなみに土砂量ですが、那覇空港の場合は990万立米、辺野古は2062万立米ということで量の差もかなり大きいということ、また、那覇空港の場合は土砂は全て県内調達という状況の違いもございます。

〇末松文信委員 先ほどの80%が未定というのは、どこから調達予定かわかりますか。

〇上原国定土木整備統括監 埋立願書への添付図書におきまして、埋立用土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書では、県外7地区の供給業者の採取場所、最寄りの港、当該港までの陸上運搬経路が地図上で明示され、岩ズリのストック量も示されております。

〇末松文信委員 辺野古の場合、埋立申請書の中に県外7カ所から搬入するということが明記されているわけですよね。

〇上原国定土木整備統括監 明記されております。

〇末松文信委員 先ほど那覇空港は990万立米、辺野古は何立米でしたか。

〇棚原憲実環境企画統括監 2062万立米ということで、約2100万立米でございます。

〇末松文信委員 環境部では、数量が約2100万立米だから、あるいは990万立米だからということで、将来の可能性について評価していましたが、数字は評価の対象になるのですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 辺野古の場合、約2100万立米が埋立用材の量と言いましたが、県外からは約1640万立米で、約8割というのはそういうことです。

〇末松文信委員 私が尋ねているのは、環境評価として数量で評価が違うのかということです。

〇普天間朝好環境政策課副参事 那覇空港の場合は、数量のみではなく全て県内からの調達となっております。評価書の段階では8割が不明となっておりまして、県外から来る場合は外来種対策等も関係してくるかと考えられます。

〇末松文信委員 事業者は外来種対策は専門家の意見をきちんと踏まえて行うと回答していますよね。これでもなお問題だと考えているということですか。

〇上原国定土木整備統括監 環境の専門家の意見を聞いて環境保全対策を詳細に検討するとしていることがあります。また、専門家の意見を聞いて対策を検討するとしているそのものが承認の要件に適合しないということではなく、承認出願の時点で事業者として可能な限りの検討を尽くし、一定レベルの具体的対応を示すべきであったと考えているところでございます。

〇末松文信委員 このことは前知事の承認のときにも同じだったと思いますが、なぜ違うのですか。

〇上原国定土木整備統括監 承認当時にどう考えていたかという御質疑だと思いますが、承認当時は埋め立ての必要性については普天間飛行場の危険性の除去が喫緊の課題であるということと、環境保全措置については、ある程度の対策がとられ、現段階で考えられる措置が講じられており、基準に適合していないとは言えないという判断をしたところでございます。

〇末松文信委員 私はそれが正しいと思います。皆さんは後でこじつけて問題として指摘したことについて、今、問うているのです。前知事のときに、同じ県庁職員が審査して問題があるとは言えないという表現をしながら、政権がかわったら問題ありになるのですか。これは行政の判断ではないのではないですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 前知事の行った承認については土木建築部からお答えしたとおりですが、先ほど来、那覇空港と辺野古の違いは何かという話もありますが、環境部サイドは常に意見を出さないといけないと思います。環境部サイドからの意見としては、当該事業の申請書に示される環境保全措置では不明な点があり、事業実施区域周辺の生活環境及び自然環境の保全について懸念が払拭できないということを環境部長は述べております。議会でも相当ぎりぎりまでそういう主張を答弁していたと思いますが、こういった流れの中で県議会でもさまざまな意見があったということで、今の県政になりまして、やはり懸念があるのであればということで弁護士や環境の専門家の方々、合計6名を交えた普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会―第三者委員会をもう一度立ち上げ、相当数次にわたり検証を行っております。その検証の結果、瑕疵があるのではないかという報告がなされたということです。その報告を受けて庁内でさらに検証を重ねた結果、やはり承認に瑕疵があるというような最終判断に至ったという流れでございます。

〇末松文信委員 知事公室長は毎回こういう答弁をしていますが、私はそんなことは聞いていません。あなたは政治的に反対しているわけであって、第三者委員会で検証していただいた結果を内部で審査したと言いましたが、その最終決定は県が行うわけですよね。なぜ同じ環境部が前回と違う問題提起をしたのかと聞いているのです。

〇棚原憲実環境企画統括監 環境部からの意見は、前後で一切変わっておりません。農林水産部、土木建築部からの意見照会に対して環境部が提出した意見は一貫して同じでございます。

〇末松文信委員 これは一貫しないといけませんよね。まさにそのとおりです。なぜ一貫しているものを―先ほど重大な問題があるから認められないと答弁していたでしょう。重大な問題ではないのではないですか。前知事のときにも環境部は同じ意見を出しているわけです。どこが問題なのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 環境部は懸念が払拭されないという意見をずっと主張しているわけです。そういった流れの中で、最終的には土木建築部で公有水面埋立法第4条第1号、第2号要件に照らして適ということになったわけです。ただ、県議会でもさまざまな議論があり、環境部は一貫して懸念が払拭されていないと意見していることも踏まえて、今の県政になって第三者委員会で検証した結果、おかしいのではないかという報告が出たので、それを庁内で議論したということです。そこで行ったのは、事実関係を十分把握している環境部、農林水産部、土木建築部に確認を依頼し、その確認を受けたものを最終的に知事公室―当時の辺野古新基地建設問題対策課を中心に、弁護士の意見も交えながら検証して、最終的に瑕疵があると判断したという流れでございます。

〇末松文信委員 土木建築部にお尋ねしますが、都市計画法や建築基準法、公有水面埋立法というのはどういう目的であるのですか。いろいろな法律がありますが、これは生活基盤や産業基盤が必要だから、それを積極的につくらせるために一定の枠を決めることで法律ができていると思います。しかし、つくっていくにしてもこれぐらいの問題は払拭してくださいという趣旨だと思うのです。今、皆さんはつくらせないための議論をしているので、これではできるものもできないわけです。土木建築部として、どう考えますか。

〇上原国定土木整備統括監 都市計画法や公有水面埋立法も含めてですが、開発行政の法律というのは地域の振興、発展のために適切な土地利用を図りながら開発していくことがベースになると思います。県としては、あくまでもつくらせないためということではなく、適切な地域振興のために行っていることだと思います。例えば道路や港湾、公園などの計画を撤回する場合、影響について事業の進捗や経済社会状況によって異なる公共の利益と、影響を受ける場合の不利益を比較して個別に判断していくものだろうと考えております。

〇末松文信委員 判決要旨にも、一旦許可した後に覆すことができるのは、詐欺の手段をもって埋立免許を受けたときと書いてあります。一度承認したということは、これぐらい重要なことなのです。こういうことを逸脱しているのはあなた方ではないですか。前知事が逸脱しているものは何もありません。

〇謝花喜一郎知事公室長 判決要旨を読み上げます。「公有水面の埋立事業は多大な費用と労力を要し、さまざまな法律・利害関係が積み重なっていく性質を有し、法も一旦した法4条の免許を取り消し得る場合を詐欺の手段をもって埋立免許を受けたときと定めるなど、取消権の行使を制限する趣旨の規定を設けている」云々という部分を引用したと思いますが、我々はこの部分についても上告受理申立理由書で反論をしております。取消制限法理の議論だと思いますが、ここの部分をもって制限されるということについて、法解釈が細かくなりますが、読み上げますと、「国のなす埋め立てと私人のなす埋め立てについて、知事の及ぼす統制に差異を設けていないことは免許基準や改正時の審議の経過から明らかであるにもかかわらず、原判決が職権取り消しに対する強度の制約を認めた点は明らかに法令に反する」ということで、我々はこれに対して明確に反論し、これをもってよしというわけにはいかないということでございます。

〇末松文信委員 公有水面埋立法第39条にはそんなことは書いていません。これまで議論させていただいた中で私が何を言いたいかというと、知事公室長が答弁のたびに最高裁判所で敗訴した場合、この裁判については従うが、それ以外にこの事業を阻止するためにあらゆる手段を講じると発言されています。先ほど土木整備統括監が言われたように、整備することをベースに法律があるわけです。整備させない立場から法律を精査すると、本末転倒です。このことについてはもう一度考え直してもらわないと、法律を無視して、つくらせないためにどんな手段もとるというのはいかがなものかと思います。これについて見解をお聞かせください。

〇謝花喜一郎知事公室長 先ほど土木整備統括監からございましたように、それぞれの法律には制度、目的、趣旨等があると思います。やはり社会基盤整備も重要でございます。ただ、環境重視などいろいろな観点から環境法、制度も整備されてきております。そこで、なぜ都道府県知事に承認権限を与えたかという観点から議論しないといけないと思います。やはりさまざまな影響について一番承知しているのは地元の県知事だと我々は考えています。そういったことから沖縄県知事は手続についてしっかり事業者から意見を聞き、地域住民の話を聞き、いろいろな観点から精査をした結果、承認するかどうかという判断は必要だと思います。その手続に問題があれば、我々行政マンとしては法令に基づいておかしいものはおかしいと言わないといけないということでございます。それを一つの手法としてつくらせないとしているのではないかという趣旨の発言かもしれませんが、法令に基づいてしっかりと審査はさせていただきますということでございます。そういうことで今後も作業していくことになるだろうと思います。

〇末松文信委員 もちろん法律に従って行うということですが、運用する立場として、これを何とか推進したい側に立つときと、阻止しなければならない側に立つときに運用が違うのです。知事公室長は後段をとってそういう話をしていると思いますが、これはよくないと思います。環境保全の立場から、ミティゲーションの発想もありますよね。ここはどうしても開発しなければならないので、この環境の代替環境を造成するといった細かいことまで事業者といろいろ詰めてきたはずなのです。辺野古で受け入れを表明したときの条件整備の中にもミティゲーションの発想はきちんと入れてあって、環境保全への影響についてはいろいろな意味で最小限にしてくださいと。足りないものは補ってくださいということを基本としてきたのです。そういう意味では、何十年か前にサンゴの白化現象がありましたが、それが回復してきて、今、また白化現象が出てきています。自然界というのはそれだけの回復力もあるわけですし、そういったことも環境影響評価の中に位置づけて、総合的にどう判断するのかというのが環境部の判断だと思います。今、払拭できないからだめだということではなく、ここまで来た以上はつくらせないといけないから、環境担当としては環境に影響がないよう、将来的に保全できるようにという立場から事業者と詰めていって―できることは全てやると言っているわけですから、どうしてそういう視点に立てないのかと。ただ、問題があるからだめだと一蹴する。こういうことについて疑問を投げかけて終わりたいと思います。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新垣清涼委員。

〇新垣清涼委員 陳情第78号、陳情第117号、陳情第119号、陳情第124号、陳情第125号、陳情第126号に関連してお聞きしたいと思います。まず、陳情第117号、高江ヘリパッド建設に伴う環境破壊への懸念に関する陳情の記の1について、平成28年7月20日に移設事業に係る環境影響評価検討図書が提出され、県はその工事計画に変更すべきでないという文書を送っていますよね。その結果、事業者はどういう対応をされましたか。

〇棚原憲実環境企画統括監 県としては、不明な点等が多いということで、変更された計画では事業を実施すべきではないという意見を申し上げましたが、残念ながら、沖縄防衛局によって伐採等の事業が進められておりました。

〇新垣清涼委員 県からそういうことをすべきではないと言ったが、沖縄防衛局はそのまま進めたと。また、工事用モノレールの変更については、皆さんからこの計画で実施すべきでない旨の文書を9月23日に送付したということですが、その結果はどうなのですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 先ほどの答弁と同じく、これにつきましても伐採等が進められておりました。

〇新垣清涼委員 県に出された事業者からの計画の変更について、県からは、環境保全のためにこういうことは好ましくないので、従前の環境に対する措置がとられたほうで行ってほしいということでしたが、事業者には聞いてもらえていないと。高江のオスプレイパッド建設については、当初の計画として、N1地区建設が終わってからG地区、H地区の計画だったと思うのですが、現在はどうなっていますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 沖縄防衛局が実施しました自主アセスでは、野生生物へ与える影響等を考慮し、工区を区切って実施するということでしたが、今回の変更に当たっては、工事期間の短縮を目的に同時に行うということで、事実同時に作業が進められております。

〇新垣清涼委員 国は、北部訓練場の過半を返還して国定公園に指定をするということで、ある意味でヤンバルの自然を守るという姿勢を見せながら、ヘリパッドについては強行に進めていると理解していいですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 9月15日にやんばる国立公園が指定されましたが、これは北部訓練場の施設外の既存の土地について貴重な野生生物の保全を図る必要があるということで、北部訓練場を除いた場所において指定が行われております。

〇新垣清涼委員 高江区では、ことし6月にオスプレイがN4地区から飛び立って訓練を始めて、1カ月間で去年1年分以上の苦情が寄せられたという報道があります。一方で、陳情第119号、北部訓練場のオスプレイ飛行訓練による高江区民の生活権の侵害について視察し改善を求める陳情の中では、環境基準値を超えてはいないというような答弁がされています。そういう報道と皆さんの処理概要を見ると、その測定機はきちんと住民が住んでいる場所に設置されているのかと。多くの区民が苦情を出しているにもかかわらず、基準を満たしているということに納得がいかないのですが、その辺はどうなのでしょうか。

〇棚原憲実環境企画統括監 ことし6月に約60件の苦情が寄せられて非常に多かったということですが、7月以降は苦情はなくなっている状況でございます。確かに苦情が非常に多かったということもありますし―もう一点、測定機の設置場所につきましては、通常、測定機を設置する場合、平均的な航空機騒音の暴露状況等を把握できる地点として、住居の分布状況や密集度等を勘案し、当該地域の航空機騒音を代表すると認められる地点を選定することになっております。沖縄防衛局が設置している高江区牛道集落の航空機騒音測定局につきましては、住宅の点在状況や小中学校との距離等の位置関係を踏まえると、そういう趣旨からはおおむね妥当な位置ではないかと考えております。

〇新垣清涼委員 集落の位置関係の点としてはいいとしても、N4地区から飛び立っているオスプレイがどういう軌道で飛行訓練をしているのか。そことの関係も非常に大事だと思うのです。私も時々高江まで行くのですが、非常に低空でオスプレイやCH53が飛ぶという状況をたびたび目にしています。ですから、そういう低空飛行をしているにもかかわらず基準を超えていないということは、その軌道から外れたところで測定がされているのではないかと疑念があるのです。住宅との位置としてはこの辺がいいだろうということになっているかもしれませんが、軌道としてはどうなのでしょうか。

〇棚原憲実環境企画統括監 飛行ルートについては明らかでない部分が非常に多いのですが、今回、沖縄防衛局が測定機を設置する際には、東村及び高江区の意見を聞きながら、遮蔽物が少なくて正確な測定が見込める場所を選定したと聞いております。ルートによる影響はかなり強いと思いますので、現在、東村の要望に応じて標識灯を2個追加し、計3個の標識灯を設置しまして、高江区の上空をできるだけ避けて通るようにということで東村から沖縄防衛局に要請しています。その測定結果はもうしばらく待たないといけませんが、そういう対応はされていると聞いております。

〇新垣清涼委員 標識灯を設置して、そこを避けてくれということであれば大変いいかと思っていますが、現場では子供たちが眠れずに学校を休んでいるという状況もあると聞いています。先ほどのやりとりでも実際には子供に会えていないということもわかりました。私は普天間飛行場のそばに住んでいていつも思うのですが、爆音だけではなく、ヘリコプターから出る低周波音が人体にはかなり影響があると言われているにもかかわらず、なかなか実証ができないというもどかしさがあるのです。県としてはこういう調査は国が責任を持ってやるべきだという処理概要になっているのですが、県民の健康を守る立場から県としても地域住民の声を聞いて、設置あるいは調査をすべきだと思いますが、どうでしょうか。

〇棚原憲実環境企画統括監 低周波音につきましても沖縄防衛局に測定を強く求めているところですが、低周波音には基準値がないということと、機種の判別が自動測定できない状況にあります。例えば、オスプレイが発する低周波音なのか、CH53から出る低周波音なのか、その判断がまだできません。県としては、今、普天間飛行場の自動測定装置において、音の波形で何とか機種の判別ができないか、さらに映像の自動撮影装置もつけて、機種の判別ができるようにしたいということで実証実験を行っています。そのデータをもとに、国に対して基準等の設置を求めていきたいと考えているところです。高江区につきましては、まず環境基本法に基づく類型指定がございまして、年間1日当たりの離発着回数が10回以上とか、年間Ldenが57デシベル以上といった基準があります。今後、そういう状況が発生したり、それに達しなくてもかなり悪化しているなどという問題が生じた場合には、県としても検討してまいりたいと考えているところです。

〇新垣清涼委員 今はそういう調査をして、回数としては離発着はないという判断ですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 沖縄防衛局から県に提供がありましたのは平成26年度までのデータです。平成27年度は、現在求めているところですが、精査中ということでまだいただいておりません。ただ、我々は東村などからの苦情の状況も聞きながら状況を把握していきたいと思います。今後も騒音発生回数や騒音レベルは非常に重要なことなので注視していきたいと考えております。

〇新垣清涼委員 6月には60件以上の苦情があるわけですから、年間10回以上という要件を満たしていると思うのです。既に月にこれだけの苦情があるということは、それだけの回数があるからこういう苦情が来ているはずなのです。ですから、そこはぜひ調査をしていただきたいと思うのですが、皆さんは高江区のヘリパッドの運用状況を調査されたことはありますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 運用実態の確認調査については、知事公室で高江区の現場がどういった場所なのか確認のために行ったことはございますが、その際にオスプレイが飛んでいたことはございませんでした。ただ、別業務で宜野座村と意見交換をしている際、たまたまオスプレイが飛行しているのを見かけまして、村役場の2階ぐらいだと思いますが、目の高さにオスプレイが見えてこんなに間近に見えるのかと驚いたという話を村長にしたら、これが普通だというようなお話でした。

〇新垣清涼委員 陳情に出ているのは、知事に現場を見てほしい、そして地域の声を聞いてほしいということなのですが、やはり担当部署で現場に行って地域の皆さんの声、あるいは高江区の状況として数字にあらわれない飛行形態もありますので、ぜひ調査していただいて、低周波音の健康被害についてもできるだけ早く調査していただきたいと思うのですが、その辺はどうでしょうか。

〇棚原憲実環境企画統括監 低周波音につきましては、引き続き沖縄防衛局に測定していただき、データを提供してもらうということと、県としても低周波音の影響等の把握のために普天間飛行場などで行っている調査を継続していきます。現場調査につきましては、現在、赤土等流出防止条例に基づく工事等が行われておりますので、希少種等の移植状況等も含めて、こまめに現場で確認していきます。また、高江区長や東村役場からの情報収集には今後とも努めていきたいと考えております。

〇新垣清涼委員 私たち米軍基地関係特別委員会では、今おっしゃる希少種の移植なども含めて、高江区の現場調査をさせてほしいということで沖縄防衛局にお願いしているところですが、沖縄防衛局は米軍用地内への立入調査については非協力的で、まだ実現していません。ですから、頼りになるのは県の担当部局の皆さんなので、私たちも諦めずにさらにプッシュしてできるだけ現場を見たいと思いますが―N4地区について私たちは一、二回入っていますが、N1地区、H地区、G地区については調査ができない状況です。ですから、ぜひ引き続き調査していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

〇謝花喜一郎知事公室長 環境調査については、先ほど答弁があったように認めていただいていますが、米軍基地関係特別委員会の立場としてはなかなか難しい状況ということはお聞きしましたので、知事公室サイドからも沖縄防衛局のしかるべき部署に説明を行って、何とか実現できるようにやっていきたいと思っています。

〇新垣清涼委員 沖縄防衛局は、環境を守るためにみずからつくった計画さえも変更し、県からの指示も聞き入れないという国のやり方に大変憤慨をしているわけですが、皆さんはオスプレイの配備撤回や騒音の軽減についても事あるごとに日米両政府に要請をされていると思います。米国に対してはどういう要請をしているのでしょうか。文書での要請はされていますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 軍転協を通してオスプレイの配備の見直しについては文書で要請しております。

〇新垣清涼委員 この間のAV8Bハリアー攻撃機墜落事故についても、原因究明できるまでは飛行するなと県から要望を出しました。ところが、去る7日から再開をしています。県が日本政府や米国に対して県民の生命、財産を守るためにやっていることは、最低限の要望だと私は思っているのです。アメリカでは米軍は着実に実施しているはずです。日本政府でも、よその地域だと恐らくそういうことをしているはずです。三沢基地に行ったときにも、夜間訓練するときには前もって連絡があるという話もありました。そういう意味では、沖縄だけが差別的な扱いをされているのではないかと思うのです。私たちはこれ以上の基地負担は御免だと。知事もそうおっしゃっているので、そのことは事あるごとにしっかりと文書で大統領宛てに出すべきだと思うのですが、それはどうですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 大統領にすぐ行くかどうかは別にして、前回のAV8Bハリアー攻撃機の飛行再開のプレスリリースは県議会の開会中だったのですが、我々はそれはぜひやめてもらいたいということで相当遅くまで先方の上司に連絡をとって、まずは県への説明が先だという思いで、プレスリリースについては一旦中止してくれということで調整をしました。しかしながら、結果的には実現できなかったわけですが、これまでのように向こうからの電話一本で再開して、これを県が後で抗議をしてということではなく、委員のおっしゃったように一つ一つ順序を―こちらから申し入れたことではなく、向こうからきちんと説明しますと言って、それを守ってくださいというごく当たり前の話を我々はしているだけなので、こういったことについては手順をしっかり守ってもらいたいという意味で、もうワンランク、ステージを上げて県として主張すべき段階に来ているのではないかと感じております。

〇新垣清涼委員 私たちは県民を代表する県議会で、皆さんは県民の命と財産を守るための県職員なので、そういう意味では日本政府が言うことを聞かない状況にあっても、諦めずに訴えていくことが求められていますので、ぜひ引き続き頑張ってください。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 金城勉委員。

〇金城勉委員 一般質問のときにも取り上げたのですが、2006年の日米合意から2012年の再編見直しがあって、9000人がハワイやグアムなど国外に移転するということがありました。その中で、沖縄に残る部隊はどういう部隊かという質問の中で、知事公室長からは、各司令部、基地維持要員、そして実働部隊としては第31海兵遠征隊という答弁がありました。そういうことを踏まえるならば、沖縄の負担軽減は大きく前進できるのです。ですから、実働部隊の第31海兵遠征隊が太平洋上を訓練しながら、時に沖縄に来て訓練をするというようなことであれば、基地の容量もかなり軽減ができるだろうと思うのです。そういう日米の国防、外交のトップ同士が取り決めた再編を具体的に推進することによって、辺野古の問題も解決のめどがつくのではないかということを私は一般質問でも聞いたのですが、これについて改めて知事公室長の見解をお聞かせください。

〇謝花喜一郎知事公室長 委員の御指摘は、私どもも大変重要な視点ではないかと考えております。今後、辺野古移設の必要性ありきということではなく、普天間飛行場の現状が今後どうなるかということも見据えて、辺野古唯一ではなく、ほかの策はないのかという観点から議論をすることが重要だと考えていたところで、委員の御指摘は大変示唆に富む御意見だったと感じているところでございます。

〇金城勉委員 こういう日米合意がきちんとあるわけですから、それを具体的に実施することによって沖縄の負担軽減もできるし、ハワイ、グアムへの移転もできるし、そうすることによって辺野古が必要であるか否かということも具体的な話ができると思うのですが、こういう視点から政府側との協議はなされていませんか。

〇謝花喜一郎知事公室長 これまで普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会―普天間移設協議会等があったわけですが、時間も限られていることもあって、十分こういった協議ができていませんでした。我々は作業部会の中で、その必要性も含めてより具体的な内容を議論してもらいたいということで、時間の設定もそうですが、そういうことを前回の和解協議の中で申し入れしたところです。今の委員からの御指摘も一つの参考にさせていただきながら、辺野古移設の必要性の絡みは極めて重要だと思いますので、それについて可能であれば委員からの御意見も紹介させていただいて、より具体的な議論ができればと考えているところです。ただ、いかんせん相手がいることなので、私の思いどおりになるかはわかりませんが、何らかの形でそういった議論は今後していく必要があるのではないかと考えております。

〇金城勉委員 ただ辺野古移設に賛成、反対というだけではなく、具体的に日米合意の中で展開される部隊のあり方が現実にあるわけですから、それを踏まえて必要か否か、あるいは規模はどうなのか、そういうこともつぶさに議論することによって、もっと違った局面が見えてくるのではないかと思うのです。そのときに大事になってくるのは―私が伝え聞くところにおいては、アメリカ側の懸念というのは、例えば辺野古移設を断念することによって、次は嘉手納飛行場にまで県民の反対が及んでくるのではないかというような懸念があると聞いたことがあります。そういう意味では、在沖の米軍は日米同盟に基づく在日米軍全体の中の一つの位置づけとしてあるわけですから、やはり一定の役割は認めなければいけないと思うのです。その辺の認識はどうですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 翁長県政のスタンスとしては、SACO合意事案を着実に進めるということで、そのSACO合意事案の中に嘉手納飛行場は入っていませんので、我々はその返還も含めて議論はしておりません。

〇金城勉委員 そこを県としても明確にメッセージを出して、やはり一定の抑止力として日米同盟の役割は認めると。その上で過重な分については見直しを求める。この辺のめり張りを日米両政府へメッセージとして出すということは非常に大事なことだと思うのです。それを踏まえた上で、今の辺野古の問題について、2012年の再編見直しを踏まえるならば、もっと別の検討があっていいはずだと。もう一つは、例えば9000人が国外に出て行くことについての進捗状況、見通しはいかがですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 防衛白書の引用ですが、2014年12月、米国の2015年度国防授権法が成立し、2012年米会計年度以降続いたグアム移転資金の凍結が解除されております。再編計画の調整による事業内容の変更に伴い実施されていた補足的環境影響評価については2015年8月に終了し、今後はグアムにおける本格的な移転工事が進んでいくということでございます。さらに、北マリアナ諸島連邦における訓練場整備に関する環境影響評価は2018年に終了するということでございます。予算の凍結解除から環境影響評価、そして北マリアナ諸島の環境影響評価も進んでいくということで、着実に移転は進んでいると思っております。

〇金城勉委員 2018年ということは再来年ではないですか。ですから、そういうことを具体的に踏まえながら議論を詰めていけば、ただガチンコに国と県がお互いにぶつかり合って、反対だ推進だというだけの厳しい議論ではなく、沖縄県もどれだけは負担できると。しかし、これ以上の負担は勘弁願いたい、あるいは別の方法をとっていただきたいというような、かみ合った議論を県と政府の行政同士できちんと詰めていくことが重要だと思うのです。そういう空中戦ばかりやっていると実のある、かみ合った議論にならないと思います。ですから、そこをぜひ踏まえていただきたいと思います。そして、国外への移転のあり方については、日本側の資金的な負担も明確にされていますので、米側に対して沖縄県も全てが反対ではなく、抑止力の一定の負担分は当然受け入れる。現状として認める。その上で過重な分については速やかに出してほしい。そして資金的にも―米側も予算的な面が現実問題としてありますので、そこは日本側もきちんと負担をするというところを、また県から政府に対して落ち着いた議論の中で後押しをする。こういうことが重要だと思いますが、どうですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 そのとおりだと思います。先ほど作業部会の話もしましたが、普天間飛行場の負担軽減作業部会もございます。そういった中で具体的な米国における流れ、訓練移転についても日本政府が費用を負担して行うという話もございます。そういったことを説明いただく必要があると思っておりまして、5年以内の運用停止も求めておりますので、その一環としても政府には進捗状況を御説明いただいて、その後はどうなるかという議論ができればと考えております。

〇金城勉委員 今の政府と県との状況は―私も辺野古移設は反対で主張しているのですが、ただオール・オア・ナッシングで事を運んでも突破口は見出せませんので、辺野古以外の選択肢はどうなんだと。今、私が提案したのは、国外に向けた移転の件を踏まえながら議論を進めるということと、日本側も資金的に一定の負担をサポートすることが必要でしょうし、さらには普天間飛行場の閉鎖状態をつくるためにはどうするかとか、そういうかみ合う議論をぜひ県も考え出していただきたいと思います。とにかく反対だと言うだけではなく、具体的に今申し上げたようなことをるる政府との協議の場に出しながら、議論をかみ合わせていく努力を求めたいと思います。そして、海兵隊の多くが外に移転することになると、今、議論されている高江の問題もおのずと解決の見通しが立ってくると思います。大幅に負担減になり、訓練の回数も激減して、ヘリパッドを使わなくても済むような状況が生まれてくることが期待できます。この在沖海兵隊をどう軽減させるかということに全精力を集中していただきたい。そうすることで辺野古の問題も高江の問題も大きく改善させることができると思いますが、どうですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 先ほど来、示唆に富む御意見をいただきましたので、そういったことを踏まえて、この件につきましては知事、安慶田副知事にも御報告させていただいて、そういった視点で作業ができるように頑張っていきたいと思います。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 崎山嗣幸委員。

〇崎山嗣幸委員 陳情第124号、米軍北部訓練場のヘリパッド建設工事等に関する陳情です。この陳情は高江ヘリパッド建設を受け入れることはできないということですが、処理概要を見ると、6カ所のヘリ着陸帯の移設については、さまざまな意見があるものと承知をしているということで、実際はこれに言及していないと理解していいですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 県の基本的なスタンスは、SACO合意事案を着実に実施することが北部訓練場の過半の返還につながり、沖縄県の基地の整理縮小、地元の振興につながるということで実現していただきたいと思っております。この6カ所の移設についてさまざまな意見があると承知しているということについては、ここに書いてあるとおりです。オスプレイの配備については撤回を求めていることで、我々としてはこの処理方針で保留しているということではなく、県の考えはここで全て表現しているつもりでございます。

〇崎山嗣幸委員 陳情者の意思は、北部訓練場の過半の返還によって7カ所のヘリパッドのうち1カ所は置いて6カ所を南側に新しくつくることに関して、今、4カ所をつくっていますが、その6カ所のヘリパッドをつくってくれるなということを表明しているのです。7カ所は返還されて6カ所は南側に移すということですよね。県は6カ所の移設についてさまざまな意見があるということで、これではどういうことを言及しているのかわからないのです。オスプレイについては反対だということですが、それはヘリパッド建設だけならいいということなのか―この6カ所が明らかにオスプレイパッドだから、残されたところに建設されるのではないですか。要するに、オスプレイパッドでなければ、6カ所は移設せずに返還されたのではないかと聞きたいのです。オスプレイパッドだから、この6カ所はどうしても返還させるわけにはいかないということですか。それに対して皆さんの立場はどうなのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 まず、オスプレイは配備の撤回を求めております。この6カ所についてさまざまな意見があるということは、ここにつくるに当たって反対される地元の方々も―先ほど騒音等の話もございました。そういった流れの中で沖縄県の今の立場としては、全体としては進めていただきたいのですが、さまざまな課題がある中で、現時点でわかりました、どうぞヘリパッドをつくってくださいと言えるような段階ではないということです。

〇崎山嗣幸委員 いろいろな意見があるから、どうぞつくってくださいということは言っていないということですが、この陳情者の意思は、明らかにオスプレイパッドだから建設しないでほしいという表明なのです。私は、あえて6カ所を移設しなくても既存の15カ所で足りるのではないかと思っているので、全面返還の立場なのですが、当局がSACO合意を実施するということであれば、この6カ所の必要性については国から聞いていますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 我々が当初、なぜ6カ所かという説明を受けたときはこういうお話でした。現在、北部訓練場には22カ所のヘリコプター着陸帯がありますが、北部訓練場で実施している訓練の質及び量を維持するため、返還予定地内にある7カ所のヘリコプター着陸帯を残余の部分に6カ所移設する。平成14年6月20日に那覇防衛施設局が北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設に係る継続環境調査検討書について説明を行った際、同局職員から米軍の訓練機能を保ったまま返還することがSACO合意における条件であるとの説明があったということでございます。

〇崎山嗣幸委員 次に、陳情第119号、北部訓練場のオスプレイ飛行訓練による高江区民の生活権の侵害について視察し改善を求める陳情について、先ほど騒音の話で、沖縄防衛局が調査している3カ所は妥当だと考えているということで、ルートについてはこれから測定したいと言っていましたが、沖縄防衛局の調査によって今の騒音の実態が53.8デシベルで、苦情も60件あったが、今はなくなっていると。今まで言われていた琉球大学の渡嘉敷教授が調べているデータは、電車の音並みの騒音で、子供たちも睡眠不足になったり、落ちそうで不安だということが新聞報道にあって、これによると99.3デシベルもあったということで相当な乖離があるのですが、これは測定の仕方が違うのですか。

〇仲宗根一哉環境保全課長 航空機騒音に係る環境基準については、現在、Lden―時間帯補正等価騒音レベルとして評価を行っております。これは単純に音の大きさということではなく、航空機騒音の発生回数や発生の時刻、航空機が発する騒音の暴露量をもとに計算して求めるものになります。ですから、渡嘉敷教授が計測しているのは騒音ピークレベルで、騒音そのものの音の大きさをはかっているということでございます。

〇崎山嗣幸委員 皆さんのデータのとり方には基準があると思いますが、実際に住んでいる皆さんや学校の子供たちなど、生活する部分の実態を把握しないと実感できないと思うのです。このデータ以外に、実際に皆さん自身が現地で目視をしたりして実感することが大事だと思います。そのことによって沖縄防衛局が出しているデータや子供たちの心の問題や精神的な被害が掌握できると思います。実際にオスプレイに先行して提供しているところを含めて、深夜も低空飛行しているし、県自身がデータを測定する以前に、実感をして調査することが重要ではないかと思ったのですが、いかがですか。

〇仲宗根一哉環境保全課長 高江区については、環境保全課で騒音測定はまだ実施しておりません。ただ、東村の村立診療所や東村福祉保健課に聞き取りを行っております。その結果、9月27日時点でオスプレイの訓練による住民への健康被害に関する情報や診療実績はないと聞いております。

〇崎山嗣幸委員 次に、陳情第117号、高江ヘリパッド建設に伴う環境破壊への懸念に関する陳情です。2007年に出された環境評価検討図書から、その後、随分と変更されているという報道があって、工事用のモノレールを使うということも含めて、いきなりモノレールを使わずにトラックで砂利を運搬するということで、道路の幅、全長―樹木を伐採する方向に変わったということですが、ここに対して県は沖縄防衛局に申し入れをしたということですが、こういった環境評価図書が出されてから勝手に変更していく例は幾つありますか。道路の砂利運搬以外にも出された後に勝手に変更しているようですが、皆さんが問題だと言ったとしてもそのままやって、これを見逃している状態に見えるのです。それ以外に自衛隊のヘリコプターで重機を運ぶなど、そういうことについては皆さんに通知があるのか、勝手にやっているのか、問題だと言っても無視されているのかどうか、その辺についてはどうなのですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 沖縄防衛局から提出され、その後説明も受けたのですが、環境影響評価の検討図書による大きな変更点としましては、まず一番大きいもので、工事工程の変更として1年1カ月で行う工程を6カ月に短縮すること。2番目に作業ヤードの設置。3番目に工事用モノレールの設置及びヘリコプターによる建設機材の運搬という3点が主な工事計画の変更点として一番最初に出されました。その後、工事用道路の設置についての変更図書がもう一度出されたということになります。

〇崎山嗣幸委員 このように環境影響評価図書が出されてから簡単に工程を1年1カ月から6カ月に短縮したり、作業ヤードをつくったり、トラックで砂利を運搬するというように勝手に変えていくことについて、自然体系や森林破壊、それから赤土の流出も起こってくることについては皆さんも調査をしたと思いますが、支障があるということで勝手に変更するなと言ったのか。この始末として、このまま皆さんは言いっ放しで終わるのか。現地を確認されたようですが、問題はなかったのですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 本来の環境影響評価法、県の環境影響評価条例はいずれも許認可ではないので、従いなさいという命令はできません。ただ、我々としましては、事前に出された環境影響評価書に基づいて適切に低減措置をやっていただきたいということで、出された環境影響評価検討図書の変更について、十分な調査がなされていないことなどを踏まえて工事を中止すべきだと、まず担当レベルで口頭で申し上げております。その後、副知事から沖縄防衛局長に、特に影響の大きい工事用道路を含めた計画は実施すべきではないと強く言って、さらに文書でも沖縄防衛局に対してその旨を送付しております。そういう中で伐採工事などが進められたところですが、我々としましては、少なくとも検討図書で出された希少種を移植するとか、赤土対策はこういう形で実施しますというようなことは、担当職員を派遣して確認しているところです。

〇崎山嗣幸委員 許認可だからという以前の問題で、皆さんの責務として自然体系を守るという務めがあるわけですから、今言われている事例は、1年1カ月の工期を半年にすることによって生態系に及ぼす影響など、工事を一気に行うことによる問題は専門家ですからわかると思うのです。ですから、そういった自然体系が破壊されていることに対しては、許認可ではないということで、みすみす許されるものではないと思うのです。それで陳情者の意思も、県が率先をして自然体系を壊すようなことを―工期を半年も縮めたり、当初、計画していなかったトラックでの砂利運搬のために樹木を伐採したりすることについて通知して―自然体系が破壊されていくことに対する問題意識は、我々以上に皆さんはあると思うのです。そういったことを含めて、環境影響評価検討図書が当初出されたものから変更されていくことについて、許認可ではないと言っても、皆さんがしっかりチェック、検証をして、沖縄防衛局にさせないという強い姿勢を示すべきだというのが陳情者の意思だと思いますが、いかがですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 その前に、先ほどの答弁で環境影響調査の件について工事の中止を求めたということですが、工事の中止を求めたのは、沖縄県赤土等流出防止条例に基づいて現地確認が終わるまでは中止することを申し入れています。ただ、環境影響評価検討図書で示された計画で事業を実施すべきではないということは伝えてあります。もっと強く言うべきではないかという委員からの指摘ですが、我々としましても、当初の環境影響評価制度の趣旨を踏まえて実施すべきだということをずっと強く申し入れてきております。その後も事後調査報告書がありますので、彼らが保全するとした措置について、今後も引き続き審査会の専門の先生方の意見を踏まえながら適切に評価していきたいと考えております。

〇崎山嗣幸委員 この赤土等流出防止の状況について、皆さんは実態をどのように捉えていますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 赤土等流出防止条例に基づくものにつきましては、9月27日に県の担当職員が直接現地に入りまして、追加で沖縄防衛局に求めていた設計図書の書類等も確認した上で、工事用道路については切り土、盛り土等の土地の改変は実際に行われておらず、県の条例に基づく事業行為には該当しないということを確認しております。その他、住民から苦情がありました赤土が流れているのではないかということについても、9月8日と9日に通報がありまして、保健所職員が雨の日に確認したところ、N1ゲート入り口で車の切り返し等で土が荒れて、そこから流れていたと。そういう点についても保健所職員から改善を指示しております。

〇崎山嗣幸委員 環境保全の立場でしっかり頑張ってもらいたいと思います。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 山川典二委員。

〇山川典二委員 陳情第80号と陳情第81号を一括して質疑させていただきます。まず陳情第81号、F15戦闘機からのフレア誤射に対する陳情について、7月22日に陳情が出ておりますが、記の1及び2についての処理概要で、平成28年7月13日に発生したF15戦闘機からのフレア放出について、県は、沖縄防衛局及び在沖米空軍に対し、このような事故が二度と起こらないよう云々、強く要請しましたということですが、いつ要請をしたのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 要請は翌日14日に行っております。

〇山川典二委員 要請をしてやがて3カ月になりますが、その後の原因究明等を含めてどうなりましたか。

〇謝花喜一郎知事公室長 沖縄防衛局経由ではございますが、米軍によると、今回のフレアの放出は、嘉手納飛行場所属のF15戦闘機のパイロットが、嘉手納飛行場上空において不注意でフレアを放出させてしまったということでございます。

〇山川典二委員 嘉手納飛行場上空のどれぐらいの高さのところで放出したのかは、わかりますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 フレアが具体的に嘉手納飛行場の上空どれぐらいのところで放出されたのかということについて、アメリカ側からはパイロットが着陸の準備をしていたところ、フレアが嘉手納飛行場の沖縄市側のフライトライン上で放出されたと。フレアは数秒の間に空中で完全に燃焼したという報告を受けております。

〇山川典二委員 そもそもこのフレアとは何ですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 相手方からのミサイル攻撃を避けるために、航空機から空中へ放出される熱源だという説明をいただいております。

〇山川典二委員 フレアの大きさ、重さはわかりますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 済みません。よろしく教えてください。

〇山川典二委員 長さ20センチメートル、重さ190グラム、大体3秒から4秒で燃焼します。したがって、この陳情の中身はいかにも落下して炎上するような書き方なのですが、それはさておき、フレアは本来そういうもので、特にアメリカ空軍はM230という非常に燃焼の高い、光を放つようなものを使っていまして、目標物を誤認させるためのものです。このフレアは通常、戦闘態勢のときにしか使われないものなのです。それもロックオンといって、ミサイルの追尾を逃れるためには―電波や赤外線という主に2つの熱光線があるわけですが、ロックオンすることによって相手側のレーダーにどこにいるかわからないように防御する。さらに、ミサイルがたまたま来たときは、それに追尾されないようにフレアを出す。このセットなのです。ところが、なぜその段階でフレアを出したかというところを究明することが非常に重要なのです。これは単に誤って、ましてや嘉手納飛行場の直前、あるいは上空で出すようなものではないわけです。これはとてもではありませんがかなり離れた訓練空域でしか出さないものだと思いますが―セットなのです。ですから、フレアだけ発射するというのはあり得ない話なのです。その辺の情報はありますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 答えになるかどうかわかりませんが、質問項目の安全装置がある場合、今回の誤射について安全装置をかけていなかったことが原因かという質問に対して、誤射はスイッチ装置によるもので安全装置によるものではない。パイロットが押してしまったという説明がありました。

〇山川典二委員 したがいまして、これはこの問題だけではありませんが、ぜひ教育の部分を徹底して行うということを要請してほしいのです。普通でしたらこの人はパイロットとして失格で失職します。それぐらいの重大なことなのです。ぜひその辺も含めての要請活動をお願いしたいと思います。
 それから、陳情第80号、F16戦闘機の嘉手納基地への大挙飛来に対する陳情について、本会議でも嘉手納飛行場への飛来機はわからないということでしたが、本当にわからないのですか。

〇運天修参事兼基地対策課長 沖縄防衛局が嘉手納飛行場におきまして目視調査を行っておりますが、その中で、F16、FA18、F22、AV8Bハリアー、それから空中給油機のKC130、KC135、輸送機のUC35、C130、C17、AV22等々が外来機と考えられる主な航空機ということで調査をしております。嘉手納飛行場で外来機と考えられる航空機の離着陸の回数の4万3467回中、約3割程度である1万170回が外来機によるものということを目視調査で確認しているということです。

〇山川典二委員 目視で本当にそれだけ確認できるものだと思いますか。具体的に何名が目視調査をしているかという調査内容がわかれば教えてください。

〇運天修参事兼基地対策課長 沖縄防衛局におきまして、今、申し上げたのは平成27年度の調査でございますが、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの365日間、調査時間は午前6時から午後6時まで、目視で確認している調査でございます。

〇山川典二委員 防衛省は防衛省としての役割があるのでいいとは思いますが、県の基地対策課の担当窓口と米軍関係者との情報交換会、あるいは司令官との会議などはあるのですか。

〇運天修参事兼基地対策課長 米軍との関係ですが、まず司令官の交代式に副知事や知事公室長等が参加していろいろ話をいたしますし、特に地域調整事務所―四軍調整官の事務所がございますが、そことは米軍全体にかかわる事件、事故等を含めて県民から寄せられる要請等について、その都度、時期を設定しまして意見交換はしているところでございます。

〇山川典二委員 そういう意見交換の場は1年間に何回ぐらいありますか。

〇運天修参事兼基地対策課長 平均すると2カ月か3カ月に1回は行っていると思います。

〇山川典二委員 その中身も問題だと思いますが、私はぜひ定期的に―これだけ辺野古の問題、高江の問題、嘉手納飛行場の実態を解決するには、最低でも毎月1回、テーマを細かく決めて議論をして、ただ儀礼的な上辺だけの情報交換ではなく、軍事ですから、向こうも話さないところがありますが、ぎりぎりまで話せるところもあるわけです。例えば飛来機の話などは情報としてとれるわけです。あるいはヘリパッドがなぜ6カ所、7カ所なのかを含めて、そういう軍事的な戦略としては敵対する国に情報をとられる可能性があるので出しませんが、本丸の周辺の部分は、ある程度のコミュニケーションの中で情報交換はできるわけです。なぜそれをずっとやらないでいるのかと。本会議や委員会の議論を見ていると、なぜこんな稚拙な議論で、大勢の職員、議員も含めて議論が前に進まないのかと思います。これだけの基地を抱えている本県だからこそ、もう少し県としてしっかりと米軍と直接情報をとると。そして、沖縄防衛局からの情報とも照らし合わせながら、しっかりと県政の事業の中に組み込む、あるいは―今、非常に微妙なところですが、だからこそ毎月1回行えるようにできませんか。

〇謝花喜一郎知事公室長 2カ月に1回ほど行っているという話がありましたが、私も着任してから何回かお会いしております。委員の御指摘のように、日ごろから意見交換を行うことは大事だと思っております。実際、嘉手納町や沖縄市、北谷町などの首長の皆さんと話しますと、何かあるとすぐ司令官に連絡して意見交換を行い、さまざまな情報をとっているということも聞きましたので、県もそのように委員から御提言をいただきましたので、しっかりと意見交換できるよう、そのチャンネルを広く、太くできるようにしたいと思っております。

〇山川典二委員 個人的な話ですが、私は嘉手納の空軍基地に毎月1回、情報交換のために行っています。個人でさえ行けるわけですから、県としてしっかりとやっていただきたいし、何かあったから確認するのではなく、日ごろからある程度突っ込んだ議論はしていただきたいと思います。そうしないと沖縄の基地問題はいつまでもずるずる―やはり解決すべきところはどんどん前に進めていかないとだめだと思いますので、それも来月からすぐやると言ってください。

〇謝花喜一郎知事公室長 早速、意見交換したいと思います。

〇山川典二委員 これは切実なお願いでございます。これは与野党関係なくみんな賛成なのでぜひ行ってください。そして情報交換をこの米軍基地関係特別委員会ともしていただきたいと思います。
 次に、陳情第119号、北部訓練場のオスプレイ飛行訓練による高江区民の生活権の侵害について視察し改善を求める陳情、記の1について、高江小中学校の子供たちは何名ぐらいいらっしゃいますか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 在籍は15名になっております。

〇山川典二委員 小学生、中学生がそれぞれ何名かわかりますか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 小学生が10名、中学生が5名です。

〇山川典二委員 小学校、中学校の教員はそれぞれ何名いらっしゃいますか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律―定数法に基づいて配置はされているかと思いますが、今、資料を持ち合わせておりません。

〇山川典二委員 東村教育委員会などと連携して、出席状況を確認したり、児童生徒の支援を第一にということですが、どういう支援をするのですか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 スクールカウンセラーですが、不登校に関してどういう要因で学校に来られないかということと、どうすれば学校に来られるようになるかというような相談業務に入っております。

〇山川典二委員 不登校はこの15名のうち何名いらっしゃいますか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 不登校という形ではおりません。ただ、現に6月から8月にかけて欠席の子がいたということです。

〇山川典二委員 不登校はいないのに、先ほど不登校の話がありましたが、これはどのように理解すればいいですか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 本会議で教育長が答弁したのですが、6月にオスプレイの飛行が激化して、その中で6月に子供たちの1日欠席が2人、4日欠席が3名という報告がありましたので、早速行って状況を調べてきました。そういうことで、不登校である30日以上の子供ではないのですが、特別な要因で欠席しているという状況をサポートするために、すぐに行ってもらおうということでスクールカウンセラーを派遣しております。そのスクールカウンセラーは2日間派遣したのですが、保護者本人の事情で会えずに、東村の相談員に相談業務をしているところです。

〇山川典二委員 4日欠席が3人で、1日欠席が2人ということですが、これはオスプレイが原因で欠席をしたということで皆さんが認めた数字ですか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 こういう判断はしていないのですが、保護者からそのような騒音で休みますという届け出があったものだけを我々は要因として捉えております。

〇山川典二委員 保護者からの騒音が原因で欠席しますという届け出は、これまで累計で何件ぐらいありますか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 6月において騒音を理由として届け出があった欠席は、6月に1日欠席したのが2名、4日欠席したのが3名。7月においては9日欠席が3名となっております。累計で8名ということです。

〇山川典二委員 8月、9月はまだとられていないということですか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 8月29日に2学期の始業式をしておりますが、騒音を理由とする欠席の届け出は1人もいません。

〇山川典二委員 少し気になるのですが、7月に9日間も3人が休んでいるのはオスプレイの影響だと皆さんは理解しているのですか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 我々の判断としては、保護者が届け出たことということで、そうかという確認はしていないところです。

〇山川典二委員 これが1日、2日であれば理解できますが、9日間、それも3人がオスプレイの影響による届け出で休んでいることに関しては、どのように理解したらいいですか。本当にオスプレイなのかどうか、確認することも必要ではないですか。

〇石川聡参事兼義務教育課長 繰り返しになりますが、保護者からそういう訴えが出ていますので、それを信じるしかないかと考えております。

〇山川典二委員 激しく飛び交っているときの因果関係については、皆さんのところで分析などはされないのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 苦情等は6月に60件ほどありましたが、7月以降は苦情はなかったということが1つございます。そういった中で、7月に9日間、オスプレイが要因で休んでいるということで、この事実関係をどのように整理するのか―我々は苦情がないということと、もう一つは飛んでいるか、飛んでいないのかという実態の把握が大事だと思います。この件については沖縄防衛局に照会をしているのですが、まだ回答をいただいていないので、その飛んでいる回数なども踏まえた上で関係部局で確認し合って報告することになろうかと考えております。

〇山川典二委員 やはり相手があることなのでなかなか確認することも―ただ、その因果関係については県として最低限しっかりと把握していただきたいと思います。
 もう一度、整理として確認します。県の姿勢としてヘリパッドは歓迎するという発言などもありましたが、ヘリパッド建設は歓迎でオスプレイ配備は反対と。辺野古については、あくまで最高裁判所の判決が出た後も、その結果を見ながら反対していく。しかし、国は粛々と進めていくというようなきょうの議論だったと思うのですが、そういう理解でいいですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 北部訓練場のヘリパッドについてお話がありましたが、北部訓練場の過半の返還については、SACOの合意事案を着実に実施するという観点から、我々としては基地の整理縮小、地域の振興につながることから、着実に進めていただきたいということが1つでございます。ただ、6カ所のヘリ着陸帯の設置につきましては、地域住民の生活への影響など、さまざまな議論があって、そういった中でオスプレイについて県は明確に反対だということです。一方、工事につきましては、自衛隊機や機動隊の投入等でいろいろ意見があるということで、そういったことを踏まえると、一概にヘリパッドの建設にわかりましたと言える段階ではないということを答弁させていただいております。また、辺野古移設につきましては、最高裁判所に上告しておりますので、県の正当性をしっかり主張してまいります。その最高裁判所の確定判決には県も国も従います。それ以降については、さまざまな事情を踏まえて的確に対応するということでございます。

〇仲宗根悟委員長 先ほど、山川委員の質疑で答弁を保留された部分に関して、石川聡参事兼義務教育課長から答弁の申し入れがありますので、発言を許します。
 石川聡参事兼義務教育課長。

〇石川聡参事兼義務教育課長 高江小学校の児童数は10名で、2学級ございます。その2学級の教職員の定数が4名で、それに小さい学校ということで1名の配置があって、計5名です。その中に教頭先生がおりますので、教諭は4名ということになります。高江中学校は生徒数が5名で、1学級です。その教職員の定数は5名で、これに小規模校ということで2名の配置があって、計7名いるのですが、その中には校長と養護教諭の籍が入っていますので、教諭は5名ということになります。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 嘉陽宗儀委員。

〇嘉陽宗儀委員 陳情第119号、北部訓練場のオスプレイ飛行訓練による高江区民の生活権の侵害について視察し改善を求める陳情について、処理概要に地域住民の生活環境に影響を与えるようなことがあってはならいと考えておりますと書いていますが、これはどういうことですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 地域住民の生活環境に影響を与えるようなことがあってはならないという趣旨については、平成22年7月20日に地元東村は条件つきで容認の姿勢を示しておりますが、その際に自然環境の保全と住宅地及び学校上空を飛行しないこと等を求めております。そういったことを我々は米側や沖縄防衛局にしっかりと対応していただきたいという意味で、その陳情処理方針を書いております。

〇嘉陽宗儀委員 具体的に生活環境への影響について説明できますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 この件につきましては、平成22年7月20日の東村の要請を読み上げさせていただきます。1つ目に、住宅及び学校上空の飛行回避のため、侵入回避標準灯を2カ所以上設置すること。2つ目に、騒音測定機を2カ所以上設置し、訓練期間中は継続して測定結果を区民に通知すること。3つ目に、夜間7時以降の飛行を禁止すること。4つ目に、学校の授業時間及び学校、区民行事の際は飛行訓練を禁止すること。5つ目に、北部訓練場以外での飛行訓練は行わないこと。6つ目に、軍用車両の公道での制限速度の厳守と農道への乗り入れは禁止すること。7つ目に、事故及び事件が発生した場合は早急に対応し、区民に対して説明すること。8つ目に、訓練等に関する疑問、質問等が生じた場合、早急に連絡がとれるよう体制を整えること。そういったことを要請しております。

〇嘉陽宗儀委員 基地からの影響について、特に普天間飛行場周辺では人体に大きな影響がありますよね。具体的にどういうことが起こっていますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 航空機騒音による健康への影響ということで回答したいと思います。県が実施した調査によりますと、子供の教育や健康への影響として以下のことが確認されております。身体的、精神的にも幼児の問題行動、食欲がなくなる等の要因となる。呼吸器、情緒不安定、消化器、神経質等において騒音のレベルによって有意性が認められる。航空機騒音暴露量と学童の長期記憶力との間に有意な関連がある。低出生体重児の出生率との間に有意な関連があるなど、主なものとしてはそういうことが報告されております。

〇嘉陽宗儀委員 この問題は、以前も議会で議論されていましたが、単なる爆音だけではなく、情緒不安定や血圧上昇、脳梗塞に関連するなど、文字どおり生命にかかわるような事態が起こってくるわけです。この陳情者の皆さんは、静かな環境で空気のおいしいところといって都市から移住をしたが、こういうひどい目に遭っているということで、そういう被害の訴えについてはどう考えますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 確かに静かな環境というのは我々が生活していく上で非常に大事なことだと思うのですが、社会的な状況に応じて航空機騒音も生じております。その中で、環境部として、例えば測定や航空機を運営している米側に要請することなどについては、環境基準の判断を目安にやっていくしかないと思っています。高江区につきましても、今後の騒音状況については非常に重要だと思っていますので、引き続き情報収集をしていきたいと思っております。

〇嘉陽宗儀委員 私の友人は沖縄市に住んでいましたが、沖縄市の排気ガスなどが我慢できない。静かな環境でおいしい空気のところに住みたいと言って高江に引っ越したわけです。この前会ったら、ひどい目に遭っていると嘆いていました。一生の財産をはたいて、長生きするために新しいところに行ったら、これでは長生きどころではないという悲鳴を上げているのです。ですから、今、説明のあった状況によって、こういうことは沖縄県民の健康、生活環境を守るために許さないという決意で皆さん方は取り組まなければだめだと思うのですが、いかがですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 落ち着いた自然環境で暮らしたいという住民の方、また、地域に愛着を持った昔からいる方々の生活環境は大変重要だと思っています。そういった思いを含めて東村は要請を出したと考えております。沖縄防衛局もその要請を受けて最大限配慮するという形で回答をしているようですが、我々も東村との意見交換を密にしながら、陳情処理に書いてありますように、地域住民の生活環境に影響を与えることのないよう対応してまいりたいと考えております。

〇嘉陽宗儀委員 陳情第117号、高江ヘリパッド建設に伴う環境破壊への懸念に関する陳情について、このヘリパッド建設予定地には希少種が生息していますが、実態は調べていますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 北部訓練場移設事業の際に沖縄防衛局が実施した環境影響評価において、希少種の数や種類などについての事前調査は行われております。今後も事後調査において希少種等がどのような状況になっているか、我々も把握していきたいと考えております。

〇嘉陽宗儀委員 沖縄防衛局から出されている資料は説明できますか。

〇普天間朝好環境政策課副参事 平成19年2月に送付のあった環境影響評価図書では、事業実施区域周辺4地区のヘリパッドからおおむね半径500メートルの範囲では動物が2086種、植物が975種、合計3061種が確認されております。また、確認種のうち希少種は動物が97種、植物が109種、合計206種が確認されております。

〇嘉陽宗儀委員 この希少種を保全するため、基地建設をする場合は特に注意しなければいけませんよね。このためにどういう努力をされていますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 環境影響評価図書でこのような希少種が見つかったという報告がありましたら、我々は環境影響審査会の昆虫類や鳥類、植物類などの各分野の専門家の意見を聞き、この場所に移植することが保全措置として適切かどうかとか、専門的な意見を踏まえて事業者に対して意見を申していきます。そして、先ほども言いましたが、事業調査報告書においてそれが確実に実施できたかどうかも確認しております。

〇嘉陽宗儀委員 この米軍基地関係特別委員会で以前、ヘリパッド建設のときに立入調査をしたのですが、この希少種の保全のためにどういう努力をするのか事業者に聞いたら、移植しますという説明だったので、こういう植物・生物は、その生息している条件で育って初めて希少種であって、あなた方が言うようにどこにでも移したらすぐ枯れると指摘しました。その後、そこはどうなったかわかりますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 北部訓練場の移設工事で現在、N4地区が供用開始になっておりますが、その際に移植するとされていた35株中、25株の生存は事後調査報告書において確認しております。100%とはなかなかいきませんが、専門家の意見を聞きながら率を上げるように我々は助言、確認をしているところです。

〇嘉陽宗儀委員 これは植物ですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 特に希少種につきましては、保存の面で場所とどういう種類かということは公表を控えさせていただいております。言葉は悪いのですが、とられたりするなどの観点から公表は差し控えております。

〇嘉陽宗儀委員 希少種の移植でも容易に根づくものと、相当努力しないと根づかないものがあります。当時、事業者はすぐに根づくようなものなので、見てくださいと我々に説明していましたが、これはごまかしだということで批判しました。その地域でレッドデータブックの中に登録されているのは何種類ぐらいありますか。

〇普天間朝好環境政策課副参事 希少種については動物が97種、植物が109種、合計206種が確認されているのですが、希少種の中にはレッドデータブック登録種のほかに固有種も入っておりまして、現在の資料ではレッドデータブックだけの種数については確認できない状況です。

〇嘉陽宗儀委員 改めてその希少種が生息しているのか調べて、今後また報告してください。

〇棚原憲実環境企画統括監 事後調査報告書においても県の環境影響評価審査会の専門の委員が現地で移植状況を確認したり、その場でも適切なアドバイスをいただいているのですが、生息率についても可能な限り把握して、継続して保全を図っていきたいと考えています。

〇嘉陽宗儀委員 私が持っている資料も見せますので、ぜひこの資料も活用してください。
 それから、工事用モノレールの変更について、移設作業が進められていますが、希少な植物類の分布状況の記録を行ったということで、環境影響評価図書において移植対象種となっている貴重な植物は幾つありますか。

〇棚原憲実環境企画統括監 変更後の検討図書では、工事用道路及びその周辺で貴重な植物種は10種、貴重な動物種は29種確認されております。

〇嘉陽宗儀委員 今の数字ははっきりしていますので、今後、それを保全していくために努力をしてください。
 最後に、SACO合意の着実な実施による沖縄県民の負担軽減について、SACO合意当時、私は議会にいて、このSACO合意では沖縄県民の負担軽減にならないということを指摘しました。ところが、先ほどの皆さん方の答弁は、SACO合意の着実な実施によって県民の負担が軽減されるということでしたよね。本当に軽減されるのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 移設条件をめぐってさまざまな課題はあると思いますが、辺野古を除いて、県としてはSACO合意の着実な実施が基地の整理縮小、また、地域の振興にもつながるだろうと思っております。ただ、実際に移設するに当たっては移設される側が出てまいりますので、そことの関係でいろいろな課題があります。それは日本政府においてしっかり対応すべきだと考えております。

〇嘉陽宗儀委員 SACO合意の着実な実施によって沖縄県民の基地負担が軽減されるということについて、皆さん方はこれをどのように検証するのですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 SACO合意の最終報告に基づいて返還された地域として、読谷補助飛行場やギンバル訓練場などがございます。いろいろ課題があったにせよ、その返還跡地は地域の振興発展に大きく貢献していると思っております。そういったことで、県としては合意事項を着実に実施して基地の跡地利用を行うことが、沖縄県の振興につながると考えております。

〇嘉陽宗儀委員 嘉手納以南の返還の問題は、沖縄市以北に大変な負担を押しつけていると思います。ですから、SACO合意の着実な実施によって県民の負担軽減になるということは、私から言えば一種のまやかしです。毎日の生活の中で基地と向き合っている人たちがいますし、それが結果として何もよくならないのではないかという声もありますので、あくまで沖縄の基地問題は、移設ではなく無条件撤去を掲げて頑張るべきだと思います。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 親川敬委員。

〇親川敬委員 高江に関連した陳情について、まとめて質疑させてください。今回、高江関係の7件の陳情のうち、5件は生活環境、自然環境の問題を危惧しているということが陳情者から上げられています。今、北部地域で定住、移住に一番力を入れているところは御存じですか。

〇謝花喜一郎知事公室長 私は企画部にいたので、定住、移住について東京都でブースを設けていたことがあります。その際に、東村と渡名喜村だったと記憶しています。

〇親川敬委員 そうなのです。北部地域で定住、移住に一番先進的に力を入れているのは東村なのです。この東村がなぜそれだけの―もちろん住宅や仕事の面など、いろいろな政策をセットで展開しているのですが、一番決め手になるのは何だと思いますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 移住に関して重要なことは、やはり雇用の場だと思います。人口増を目指していくわけですから、そこに若い夫婦が来て子育てを行うには働く場がなければならないと思います。自然環境も重要ですが、やはり雇用の場が必要だと私は考えています。

〇親川敬委員 ここに子供を連れて移住してきたときに、一番心配なのは、子育ての環境がどうなのかということです。各委員からも質疑がありましたが、学校を休む子が多いとか、住民から苦情が頻繁にあるとか、ピークがいつの時期だというときに、なぜそういう声が上がってくるのかという裏づけはできているのですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 高江地区の航空機騒音の状況等につきましては、沖縄防衛局が測定していると御説明しましたが、東村にもその情報は入っております。最も騒音が激しく苦情が多かった6月についてのデータは、東村を経由して状況を把握しております。今後、平成27年度の詳細なデータが出てくると思いますので、このデータの把握と影響についてきちんと分析していきたいと考えております。

〇親川敬委員 これは引き続きやってほしいと思います。地域に住んでいる方々からすれば、県に陳情を出しても沖縄防衛局からデータをもらってからということになると、やはり心もとないと思うのです。皆さんが言うことはこういう数字で裏づけされているのだということで、タイムリーに相談に乗ってあげられるような体制をつくるべきだと思います。沖縄防衛局が運営の責任者でデータをとっているから、そこから入手すると。それはそれでいいと思いますが、それはタイムリーではないのです。私は、ぜひ県が調査をすべきだと思いますが、その辺は検討に値しないのですか。

〇棚原憲実環境企画統括監 タイムリーにということでは、沖縄防衛局が実施している部分では難しいと思うのですが、我々としては、環境基準値のデータも踏まえて県が実施するという判断をしていくことと、地元の東村の意見も重要だと考えていますので、今後も東村と連携を密にし、情報をとりながら一緒に検討していきたいと考えております。

〇親川敬委員 測定しているのであれば、すぐに出すべきだと思うのです。それが精査中とか何とかということで時間がかかる。ここに何らかの原因があると思います。そこは県として強く求めてほしいと思います。
 もう一点は、ヘリパッドの運用について、10年前に発表されたときと今とで、どのような運用がされるのか説明してもらえますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 答えになっているかわかりませんが、当初、県にはオスプレイという情報はなく、CH53等による使用という報告でございました。ただ、ことし6月に約60件の苦情があり、オスプレイが頻繁に飛来しているということで、このあたりで県も、多くの方々も反発しているところでございます。

〇親川敬委員 やはり当初はオスプレイの話はなかったはずなのです。しかし、今、オスプレイが運用されると。海兵隊が持っている飛行機で、垂直離着陸できるものはオスプレイ以外に何がありますか。

〇運天修参事兼基地対策課長 F35Bがあります。

〇親川敬委員 F35Bはどこに配置される予定ですか。

〇運天修参事兼基地対策課長 岩国基地にハリアーとF18ホーネットの後継機として配置されることが通告されております。

〇親川敬委員 F35Bは、ハリアーの次期戦闘機として運用が予定されています。それが来年1月には岩国基地に配備されるということで、岩国の地元にも説明は終わっているようです。オスプレイも最初は運用形態の中に入っていませんでした。岩国基地にF35Bが配備されるということで、その訓練先はどこなのかということも懸念されるのです。このF35Bがどこで訓練されるのか、情報を持っていたら教えていただけますか。

〇謝花喜一郎知事公室長 軍転協においても、F35Bの配置については大変懸念を示しておりまして、沖縄に配置しないようにということで特に嘉手納飛行場周辺の自治体からは強い要望がございます。要望はしていますが、まだ政府から具体的に沖縄配置という報告はないということです。

〇親川敬委員 やはり懸念されることなので―先ほども言いましたが、オスプレイも最初は運用機に入っていなかったのに後で入ってきました。このF35Bもそういうことにならないように、県は情報を密に収集してください。高江の皆さんの環境、生活権の問題なのです。彼らが心配しているようなことにならないために、そこで運用される戦闘機について県は責任を持って情報収集し、県民に情報提供すべきだと思います。よろしくお願いします。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶものあり)

〇仲宗根悟委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、知事公室関係の陳情に対する質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 休憩いたします。

   (休憩中に、補助答弁者の入れかえ)

〇仲宗根悟委員長 再開いたします。
 次に、本委員会付議事件軍使用土地、基地公害、演習等米軍基地関係諸問題の調査及び対策の樹立に係る米軍北部訓練場内のヘリパッド建設地区における抗議活動を行う市民の身柄の拘束についてを議題といたします。
 ただいまの議題について、知事公室長の説明を求めます。
 謝花喜一郎知事公室長。

〇謝花喜一郎知事公室長 ただいま議題となっております米軍北部訓練場内のヘリパッド建設地区における抗議活動を行う市民の身柄の拘束について、県の対応を御説明いたします。
 北部訓練場の過半の返還条件とされているヘリ着陸帯移設については、工事に際し、事前に十分な説明もないまま、資機材の運搬が強行されるなど、地域住民の日常生活に影響を及ぼしております。
 現場においては、法令の遵守と憲法で保障された表現の自由の両者に配慮することが重要であると考えております。
 県は、去る9月21日、北部訓練場ヘリ着陸帯移設工事に係るさまざまな課題について沖縄防衛局と意見交換を行いました。
 その際、安慶田副知事から沖縄防衛局長に対し、地域住民の日常生活に最大限配慮するとともに、県道施設の利用及び管理に支障を及ぼすことがないよう、適切に対応していただきたいと申し入れたところであります。
 以上で、説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

〇仲宗根悟委員長 知事公室長の説明は終わりました。
 これより、米軍北部訓練場内のヘリパッド建設地区における抗議活動を行う市民の身柄の拘束について質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

〇謝花喜一郎知事公室長 質疑なしと認めます。
 以上で、米軍北部訓練場内のヘリパッド建設地区における抗議活動を行う市民の身柄の拘束についての知事公室に係る質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 休憩いたします。

   (休憩中に、説明員の入れかえ)

〇仲宗根悟委員長 再開いたします。
 次に、米軍北部訓練場内のヘリパッド建設地区における抗議活動を行う市民の身柄の拘束について警察本部警備部長の説明を求めます。
 重久真毅警備部長。

〇重久真毅警備部長 県警察が、米軍北部訓練場内のヘリパッド建設地区における抗議活動に伴い、市民らを同建設地区の斜面下からロープにより引き上げた件について御説明いたします。
 現在、北部訓練場ヘリパッド移設工事への抗議参加者の一部は、北部訓練場米軍提供施設内へ、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法―刑事特別法に違反して侵入し、建設工事を妨害するため、座り込みや重機へのしがみつき行為やチェーンソーへの接近など、危険かつ違法な抗議行動を行っているところでございますが、県警察では、これら抗議行動に伴う事故のほか、工事関係者等との事件やトラブル防止等のため、同施設内において警戒警備に当たっているところであります。
 本件につきましては、9月28日午後1時10分ごろから、北部訓練場H地区の斜面下に刑事特別法に違反して侵入した抗議参加者およそ30名が集まっていたところ、同所には工事により伐採した樹木等が落ちてくるなど危険な状態にあったことから、午後1時16分ごろから沖縄防衛局職員が刑事特別法違反である旨警告するとともに、速やかな移動を促しております。
 しかし、その後も抗議参加者が移動せず、危険な状況にあったことから、午後1時36分ごろから、危険防止と安全確保のため、機動隊により斜面下からの移動を促す措置を開始しております。
 その際、同所は落差およそ10メートルの急斜面であり、雨の後で滑りやすいことや高齢者も多いことなどから、ロープ4本を使用して、うち2本は樹木に縛りつけて斜面下から頂上部分までの手すりのかわりとして使用し、2本は万が一の滑落事故を避けるため、命綱として抗議参加者の腰やリュックサック等に巻きつけて滑落防止措置を行いました。その結果、抗議参加者約30名のうち、相当数の方々は警察官の見守る中でみずから歩いて急斜面を登られました。そのほか、我々がつくったロープの手すりにつかまりながら、また、私どものロープを命綱として腰につけたままの状態でみずから歩いて急斜面を登られた方もいらっしゃいました。中には警察官にありがとうとお礼を述べる方すらいらっしゃったということです。他方で、移動する意思が全く欠如している一部の方々につきましては、機動隊員五、六人が補助して押し上げるなど、いわゆる災害救助とも似た要領で安全対策を徹底して行い、午後2時46分ごろには、全ての抗議参加者を安全な場所へ移動させております。
 なお、移動する意思が全く欠如していた抗議参加者のうち3名まで引き上げた時点で、その抗議参加者らが激しく暴れ、ロープが体に食い込んだり、締まり過ぎたりするなどしたため、ロープ使用はかえって危険であると判断し、その後は、手すり用ロープと機動隊による補助のみで移動を行い、完了しております。
 以上のことから、県警察は、危険防止と安全確保のため行ったものであり、抗議参加者の身体を拘束したものではありません。
 なお、使用したロープにつきましては、速やかに危険防止と安全確保を図る必要があったため、やむを得ず、作業現場にあったものを使用して対応したものであります。
 繰り返しとはなりますが、抗議参加者らは、北部訓練場米軍提供施設内へ刑事特別法に違反して侵入し、今回の状況へと至ったものであります。
 県警察では、これらの抗議行動の状況を踏まえ、現場における混乱及び交通の危険の防止等のため、各種法令に基づき、必要な警備活動を行っているところであり、警察法第2条に規定する警察の責務を達成するための業務を適切に行っているものであります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

〇仲宗根悟委員長 警察本部警備部長の説明は終わりました。
 これより、米軍北部訓練場内のヘリパッド建設地区における抗議活動を行う市民の身柄の拘束について質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 親川敬委員。

〇親川敬委員 抗議参加者3名まで引き上げた時点で、この抗議参加者が激しく暴れたということですが、30名ほどのうち何名かは自主的に登って、残っていた人のうち3名まで引き上げた時点という理解でいいですか。

〇重久真毅警備部長 そのとおりでございます。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 崎山嗣幸委員。

〇崎山嗣幸委員 刑事特別法に違反しているためそういう対応をしたということですが、新聞報道に刑事特別法の違反ではなく、日米両政府が米軍北部訓練場に限って基地内で日本側が逮捕権を行使できるということに合意したという報道がありましたが、日米地位協定上、そういう対応が可能なのですか。

〇重久真毅警備部長 まず、刑事特別法そのものについて答弁申し上げる前に、ロープを命綱として使った救助活動は刑事特別法に違反しているから行ったものではございません。あくまでも、そのまま抗議参加者が斜面下にいらっしゃると、伐採された木が落ちてきて、けがをすることは間違いない。当たりどころが悪かったら命を落とすかもしれないという緊急の状態がございましたので、抗議参加者の安全を守るために斜面を登ってもらったということを前提として申し上げたいと思います。その上で、刑事特別法の適用云々につきましては、県警察として答える立場にございません。刑事特別法を所管しているのは法務省でございまして、さまざまなケースに刑事特別法を適用できるのかどうかについては、法務省当局が判断すべき事項でございます。日米地位協定につきましても外務省が米国当局とさまざまな交渉を行っていると承知しておりますが、私どもが仮に北部訓練場内で何か犯罪行為があったときに、米軍の同意を得て検挙ができると理解しております。

〇崎山嗣幸委員 これまで幾多の米兵による殺人・暴行事件が起こって、1995年の少女暴行事件が発端となって普天間飛行場への返還につながっていくのですが、日米地位協定の改定を求めても、米軍の裁量ということでなかなか身柄を拘束できないという、皆さんもじくじたるものがあって、日本の警察権が及ばなかったということは御承知だと思います。そういった中で、今回、北部訓練場内に入る方々について、いとも簡単に日本側が逮捕権を行使できるということに対して問題を感じたのです。これが簡単にできるのであれば、これまで日米地位協定上できなかったことについて、日本の警察が米軍基地内で犯罪を起こした米兵に逮捕権を行使できるという方法をとるべきではないかと疑問を持ったのですが、見解はいかがですか。

〇重久真毅警備部長 これまでさまざまな経緯があったことは承知しております。本件につきましては、我々県警察が米側と交渉したものではございません。日本の外務省が米側と交渉した結果―法文上は日米地位協定もいろいろな手続を経て米側の同意がとれれば逮捕できると私どもとしては承知しております。いずれにしましても、私どもとしては工事の参加者はもちろん、抗議をする方など関係者の皆さんの安全を確保するために最大限の対応をしていきたいと思っております。

〇崎山嗣幸委員 管轄が若干違うような感じもしますが、従来、重大事件を起こした米兵が基地内に逃げ込んで身柄が拘束できなかったり、逮捕権を行使できなかったということで、県警察も含めて犯罪者を日本側が拘束できなかったというジレンマがあると思います。ですから、こういう問題以前に、米兵による事件・事故が絶えずあるという沖縄の置かれている状況に関して、基地内であっても県警察の逮捕権が及ぶことを含めて、日米地位協定の改定を県も求めているので、県警察としても可能な限り―違う方向での逮捕権ではなく、そういったことの逮捕権を含めて求めていくべきではないかと思いますが、皆さんはそれを求めていく立場なのですか。

〇重久真毅警備部長 捜査の現場で米軍敷地内においていろいろな問題があるということは、我々警備部だけではなく、県警察全体で共有して認識している論点だと思います。今回、高江の件で米軍の同意を得て、場合によっては日本の警察が逮捕するかもしれないということでございますが、実際に個別の案件がどうだという話をするつもりはありません。ただ、いずれにせよ県警察としては逮捕云々という以前に工事をする人、抗議をする人、皆さんの安全を確保するに尽きるわけでございます。どうしても被疑者の逮捕となると報道上も大きく書かれますので影響力が大きいのですが、私どもは検挙することが目的ではありません。関係者の安全を確保することが目的でございますので、そのために最大限の対応をしていくということに尽きると思います。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 渡久地修委員。

〇渡久地修委員 総務企画委員会において、警備の問題で陳情が出されて審査されています。そして、きょう北部訓練場に入った人をロープで引き上げた件についての説明があって、向こうとの関係で戸惑っているので、確認のために質疑します。このロープで引き上げた云々という個別的な問題以前に、7月11日までは選挙中も非常に静かで穏便だったということで、高江住民の抗議行動は9年間も行われていますが、その間は逮捕者もけが人も救急車の出動もゼロだったということでしたが、それでよろしいですか。

〇重久真毅警備部長 そのとおりでございます。

〇渡久地修委員 7月11日に県警察の機動隊が動員され、全国からも500名の機動隊が来て、7月22日には県道を封鎖して資機材を搬入しました。そこから、これは大変だということで住民を含め県民の反対運動が大きくなっていったと。そして、けが人が出たり、逮捕者が出たりしているということも事実ですよね。

〇重久真毅警備部長 7月11日以前に逮捕者やけが人はおらず、その後、逮捕者や救急搬送される方が出たことは事実です。ただ、県外から機動隊の応援派遣をもらったから逮捕者が出た、抗議行動が激化したということは事実と反するのではないかと考えております。

〇渡久地修委員 事実関係として7月11日以前まではなかったわけです。そして、私たちから言わせれば、沖縄防衛局が工事を強行して、それに県警察の機動隊が一体となってやって来て、住民がこれでは大変だということで抵抗してきたと。この全体のものがしっかり事実関係を示していると思うのです。警備部長は何度も関係者全体の安全を守るということを言っていますが、私が一番不安に思っているのは、年内に返還されるということは、逆に年内にヘリパッドの工事を沖縄防衛局がさらに強行に進めてくるのではないか。そうなると、また機動隊も一緒になって住民をごぼう抜きしたり、いろいろなことが激しくなって、もっとけが人などが出るのではないかという不安があるのです。皆さん方は沖縄防衛局の立場に立ってはいけない。当然、反対運動する側にも立てないと。中立公平の立場で臨むと言っていますが、これはどうですか。

〇重久真毅警備部長 池田本部長からも累次答弁していますとおり、反対される方々は表現の自由をモットーとされておりますが、度が過ぎなければ我々はそれに対して関知しません。関係者に危険が及ぶなり、表現をされている御本人の安全が守られない段階になって初めて、私どもとしては中立の立場で対応します。単純にプラカードを掲げているなど、そういうところまで我々は何かをしようとするものではございませんが、今の状況は北部訓練場の敷地内に入ってショベルカーにしがみついたり、伐採される木の下で木が落ちてくるのを待っているということで、表現行為としてはやり過ぎといいますか、工事を妨害している状況でございます。こういった段階では工事をする側、反対活動をする側、双方の安全を確保しないと警察が不作為に問われます。今回、ロープの件がありますが、関係者の安全が唯一最大の私どものモットーと考えております。

〇渡久地修委員 警備部長の言う、中に入ってどうのこうのというのは、私は現場を見ていないのでこれについて論評はしませんが、憲法の表現の自由を守り、公平中立にやっていく上で、それを担保する措置についてはどう考えていますか。

〇重久真毅警備部長 法的な意味での担保と言えば、裁判所による救済という道があります。実質的な担保ということであれば、メディアによる統制など、仮に警察がひどいことを行えば翌日の地元紙を飾るわけです。そういう意味での監視、チェックもあります。ただ、繰り返しになりますが、訓練場の敷地内には普通の人は入れません。メディアの方も入れません。ですから、今、地元紙でメディアの皆さんが訓練場内の状況を報じているということは、読者の名において抗議に参加される方からの情報が掲載されているという実態でございまして、やや一方的な嫌いもございますが、いずれにせよ担保ということで言えばそういったところではないかと思います。

〇渡久地修委員 先ほど言いましたが、7月11日までは逮捕者も出ずに平穏に抗議行動が行われていたというものが、7月11日以降、工事が強行されたと。これが全体的に抗議行動が激化をして、けが人も出ているという意味では、県警察においては表現の自由をしっかり守ると同時に、いささかも沖縄防衛局と一体となって工事を強行していると言われないよう、中立公平を守っていくべきだと指摘して終わります。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

〇仲宗根悟委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、米軍北部訓練場内のヘリパッド建設地区における抗議活動を行う市民の身柄の拘束についての警察本部警備部に係る質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 休憩いたします。

   (休憩中に、説明員の入れかえ)

〇仲宗根悟委員長 再開いたします。
 次に、本委員会付議事件軍使用土地、基地公害、演習等米軍基地関係諸問題の調査及び対策の樹立に係る6月以降の米軍関係の事件・事故についてを議題といたします。
 ただいまの議題について、警察本部刑事部長の説明を求めます。
 渡真利健良刑事部長。

〇渡真利健良刑事部長 本年6月から8月末までの米軍構成員等による刑法犯の検挙状況について、御説明いたします。
 同期間における米軍構成員等の刑法犯の検挙は、4件5名、前年同期比はマイナス4件、マイナス8名となっております。
 罪種別では、凶悪犯が1件1名、粗暴犯が1件1名、窃盗犯が1件2名、その他、住居侵入未遂が1件1名となっております。
 検挙した被疑者については、那覇地方検察庁に送致しております。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

〇仲宗根悟委員長 警察本部刑事部長の説明は終わりました。
 次に、警察本部交通部長の説明を求めます。
 大城正人交通部長。

〇大城正人交通部長 お手元の資料を御確認ください。
 本年6月から8月末までの米軍構成員等による交通事故の発生状況について御説明いたします。
 同期間における米軍構成員等による交通人身事故につきましては、36件発生し、前年同期と比べ3件の減少となっております。
 同期間における交通死亡事故の発生はございません。
 以上でございます。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

〇仲宗根悟委員長 警察本部交通部長の説明は終わりました。
 これより、6月以降の米軍関係の事件・事故について質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 嘉陽宗儀委員。

〇嘉陽宗儀委員 先ほど、犯罪者が出て何人検挙しましたという説明がありましたが、そのうち起訴された者は何件ですか。

〇渡真利健良刑事部長 窃盗が起訴猶予処分、住居侵入が処分保留で釈放、粗暴犯についても処分保留で釈放されております。残りは全て公判請求起訴されております。

〇嘉陽宗儀委員 以前は米兵関係の犯罪が発生しても逮捕しにくいという状況がありましたが、皆さん方が頑張って成績が上がりましたよね。不起訴になるのではないか、あるいはすぐにアメリカに飛んで帰るのではないかという心配がありました。いつだったか忘れましたが、沖縄市で犯罪を起こして、翌日高飛びするという情報が入りましたので、私どもはそのホテルに行って宿泊していることを確かめ、きょうアメリカに帰るそうだがどうするつもりかと通報したことがあります。この人は沖縄警察署に検挙されましたが、その結果はわかりますか。

〇渡真利健良刑事部長 明確に事件名がわかりませんので……。

〇嘉陽宗儀委員 結局は県警察がしっかりしないと、いろいろなルートで―軍用機は事前にチェックしなくても乗れるのです。滑り込んで逃げ出していく。そういう事例はたくさんあります。結局、捕まえたがなかなか起訴しないと。さらに、裁判所でも有罪判決が出てこないということに県民の不安が渦を巻いています。起訴をされた米兵関係者の事件で、裁判で有罪が確定しているのは何%ぐらいですか。

〇渡真利健良刑事部長 我々警察が検察庁に送致した事件の起訴率については、私どものほうでは全てを把握しておりません。

〇嘉陽宗儀委員 把握していないことはわかるので、把握しなさいというのが私の宿題でしたが。

〇渡真利健良刑事部長 起訴については検察庁の所管ですが、我々としては送致した事件の起訴について引き続き把握して、再逮捕や余罪の追及といった事件に限っては起訴を確認しておりますが、全ての事件については確認しておりません。

〇嘉陽宗儀委員 特に私が問題視しているのは米兵犯罪で、検察庁が起訴して裁判になって、結果、周りの圧力があってなかなか有罪に持ち込めないというジレンマがあるという話を聞いていますので、そういうことがないように警察法第2条、公正公平の立場からきちんとしてほしいと思います。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 山川典二委員。

〇山川典二委員 この数字の中には、在沖米軍基地の所属と、ローテーション―遠征で一時期滞在して訓練して帰る人たちがいるのですが、その内訳はわかりますか。

〇渡真利健良刑事部長 刑事部で扱う事件については、沖縄に現在滞在している米軍全てが入っております。例えば、沖縄の基地に所属している部隊、神奈川県にいる部隊、本国から入ってきても日米地位協定が適用されますので、現在沖縄にいる人間が犯罪を起こせばこの中に入ってきます。

〇山川典二委員 できたら、在沖米軍基地所属と外から来ている―現実的には外から来ている軍人がかなり多いのです。ところが、例えば米本国から来る場合、飲酒運転が許されている州があるのです。そういうところから来るときに、教育は受けるかもしれませんが、やはり平気で飲酒運転をするのです。そういうこともあるので、ぜひ在沖米軍基地所属の者と外から来た人たち―これには1週間から数カ月までという幅はありますが、それは分けるべきだと思うのですが、いかがですか。

〇渡真利健良刑事部長 米軍の部隊のローテーションの関係についてはなかなか把握できないところもありまして、我々としてはどの部隊に所属しているかということまではある程度把握できますが、これが1週間ローテーションの中に入っているかということについては……。

〇山川典二委員 そうではなくて、こうして飲酒運転か何かで捕まったときに、どこの所属かということがわかるわけですから、そのデータを内部で分析、色分けしていたほうがいいのではないかということを言っているのです。

〇渡真利健良刑事部長 過去にこういう分析はしていませんが、可能であれば検討する余地はあると思います。

〇山川典二委員 ぜひその辺は前向きにお願いしたいと思います。アメリカ軍の運用というのは軍事上なかなか明らかにしませんが、北朝鮮や中国、尖閣諸島も含めて、米軍はむしろ基地の縮小という方向に向かっていながら、効率のいい運用ということで、外部から特殊部隊も含めてかなり入ってくるようなローテーションの計画があるように聞いていますので、それで内訳はせめて持っていたほうがいいのではないかと思います。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。
 渡久地修委員。

〇渡久地修委員 先ほどの報告で凶悪犯、殺人が1件1名ということですが、これを具体的に教えてください。

〇渡真利健良刑事部長 新聞等で報道されましたうるま市における事件で、5月に逮捕したものを6月に殺人で再逮捕したということで、6月の発生に計上されております。

〇渡久地修委員 罪名は何になりますか。

〇渡真利健良刑事部長 強姦致死と殺人です。

〇渡久地修委員 死体遺棄は入らないのですか。

〇渡真利健良刑事部長 5月に死体遺棄で逮捕しておりまして、6月に再逮捕した事実が殺人ということでございます。

〇渡久地修委員 これは軍属ですよね。皆さんが捜査をしていく過程で、米軍との関係で壁はあったのか、あるいはスムーズに捜査は進行したのか。その辺の課題があるのか、ないのかについて教えてください。

〇渡真利健良刑事部長 本件につきましては、我々が先に身柄を拘束しておりましたので、そんなに捜査に支障はございませんでした。一方で、米軍側でやっていただく調査事項等がありましたので、その辺は米軍捜査機関と緊密に連携をとりまして、捜査の作業としては障害なくスムーズに進んだのではないかと感じております。

〇渡久地修委員 今回は皆さんが先に身柄を拘束したということで、そうかもしれませんが、県警察としてこの種の犯罪に対応する場合の一番の壁になっているものは何ですか。

〇渡真利健良刑事部長 事件はそれぞれ個別のものなので、確立的に申し上げることはできませんが、制度上では、日本人の事件とは違って身柄が米軍側の手中にあった場合、逮捕ができないということは特徴としてあります。ただ、調べる際は米軍側が我々の留置場に入れている者と同等に、調べの時間にはきちんと出頭していただいておりますので、そんなに壁にはなっていないと感じております。

〇仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

〇仲宗根悟委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、6月以降の米軍関係の事件・事故についての質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 休憩いたします。

   (休憩中に、説明員退席)

〇仲宗根悟委員長 再開いたします。
 陳情の質疑については全て終結し、採決を残すのみとなっております。
 陳情の採決に入ります前に、その取り扱いについて御協議をお願いいたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、陳情の取り扱いについて議案等採決区分表により協議)

〇仲宗根悟委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 陳情については、休憩中に御協議いたしました議案等採決区分表のとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

〇仲宗根悟委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、閉会中継続審査・調査事件の申し出の件についてお諮りいたします。
 先ほど、閉会中継続審査・調査すべきものとして決定した陳情11件とお手元に配付してあります本委員会付議事件を閉会中継続審査及び調査事件として、議長に申し出たいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

〇仲宗根悟委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。
 ただいま議決しました陳情に対する委員会審査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

〇仲宗根悟委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 以上で、本委員会に付託された陳情等の処理は全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。


 委 員 長  仲宗根   悟