委員会記録・調査報告等

1つ前に戻る



 
文教厚生委員会記録
 
平成29年 第 1定例会閉会中

1
 



開会の日時

年月日平成29年5月18日 曜日
開会午前 10 時 3
散会午後 3 時 42

場所


第2委員会室


議題


1 参考人からの意見聴取について(陳情平成28年第50号、同第157号及び同第162号)
2 参考人招致について(追加議題)


出席委員

委 員 長  狩 俣 信 子 さん
副委員長  西 銘 純 恵 さん
委  員  新 垣   新 君
委  員  照 屋 守 之 君
委  員  次呂久 成 崇 君
委  員  亀 濱 玲 子 さん
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  平 良 昭 一 君
委  員  金 城 泰 邦 君


欠席委員

末 松 文 信 君


説明のため出席した者の職・氏名

(参考人)(陳情平成28年第162号について)
 池 間 加代子 さん
(補助者)(     〃     ) 
 川 上   恵 さん
(参考人)(陳情平成28年第50号及び同第157号について)
 那覇子育て支援保育施設連絡協議会  真栄城 美登里 さん
 沖縄県認可外保育園連絡協議会会長  末 広 尚 希 君



○狩俣信子委員長 ただいまから、文教厚生委員会を開会いたします。
 参考人からの意見聴取についてを議題といたします。
 なお、ただいまの議題につきましては、去る3月22日に開催された本委員会での決定に基づき陳情平成28年第162号、同第50号及び同第157号の審査の参考とするため、陳情者等をそれぞれ参考人として招致し、説明を求めるものであります。
 本日の参考人として、池間加代子氏、那覇子育て支援保育施設連絡協議会真栄城美登里氏及び沖縄県認可外保育園連絡協議会会長末広尚希氏の出席をお願いしております。
 陳情平成28年第162号、同第50号及び同第157号に係る参考人からの意見聴取を行います。
 まず初めに、池間加代子氏から説明を求めます。
 なお、池間加代子参考人は、聾者でありますので、御説明や質疑の際、大嶺文子さん及び宮平絹江さんが手話通訳を行うことをあらかじめ御了承願います。
 また、お手元に配付しております事務局配付資料一覧をごらんください。
 池間加代子参考人から、川上恵氏を補助者として出席させ、必要に応じて発言させたいとの申し出がありますので、委員長として許可したことを御報告いたします。
 参考人等の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 参考人から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人の説明を聞く場でありますので、参考人が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。  
 それではまず初めに、池間加代子参考人から、陳情平成28年第162号意思疎通支援事業等の充実に関する陳情について、提出に至る背景及び目的等について簡潔に御説明をお願いいたします。
 池間加代子参考人。

〇池間加代子参考人 私は聴覚障害者です。宮古島市に住んでいます。池間加代子と申します。
 今回陳情させていただきましたのは、宮古島に住んでおりますが、大変狭いコミュニティーです。情報が全く入らず、困っていたところです。皆さんは、いろいろ情報を即座に取得できますが、私たちの場合は、そういった情報は自然には入ってきませんので、生活の面で大変苦労しているところです。
 聴覚障害以外の障害を持たれている方の場合は、耳が聞こえますので情報が入りやすいのですが、私たちのような耳が聞こえない者は大変情報から遮断された状況であるということを御理解ください。そのために手話通訳がいるのですが、手話通訳を利用したいと思っていても、私たちが求めるところと少し違っています。そういったところがあって、宮古島という狭い地域で情報を得ようと思ったら、やはりその島から出て行かなければならないということです。そういった状況を御理解いただきまして、私たちは聞こえる皆さんと同じように生活ができるように保障していただきたいというところで陳情させていただきました。全く聞こえないということはとても大変なことです。情報収集等々についても大変おくれていますし、理解できないところもございます。

〇川上恵補助者 補足をさせてください。私は、相談員をしておりまして、これまで彼女のお話を聞いてまいりました。耳が聞こえないということは、聞こえないという障害だけではなくて、いろいろなところから遮断されるということをまず御理解ください。例えば、宮古島―離島という地域です。インターネットを見ればそこから情報が見られるだろうと思いますが、例えばユーチューブを使ったとしても、字幕はありません。皆さんの場合はテレビやラジオ、インターネット、全ての情報が音として確認できますが、私たちの場合はそういったことはできません。欲しくてもそれが得られないのです。耳学を御存じですか―耳からの自然に入ってくる情報ということはすごく生活に役立っていると思うのです。それが私たちにはかなわないということなのです。

〇池間加代子参考人 ラジオも私たちには聞こえません。周りに発せられたことや情報も私たちには聞こえません。例えば、皆さんは渋滞情報とか、事故の情報等々、また今こういう状況が「起こっていて」、「事故が発生して」、「人が運ばれています」という情報もすぐに理解できるのですが、私たちにはそれができないのです。

〇川上恵補助者 どこが不便かということは、やはり目で見て情報が得られるように文字化してほしいということも要望のうちの一つです。
 また、文字だけではなく、やはり文字を十分解せない方たちのためには、手話通訳が必要です。そのことによって、文字だけで十分に得られないところを手話通訳によって、情報として見ることができるのです。
 聞こえる方たちにとっては、私たちに聞こえないものについての情報がないのでしょうか。見たことがないのでしょうか。私たちは外見から障害者ということがなかなか理解しづらい障害です。誤解もされやすいのです。ほかの障害の方々は一目で障害者ということで、配慮されやすいと思うのですが、聞こえないという障害はなかなか外見からは判断しづらいです。そういったことで、誤解を生んでしまって、無視をしていると言われたりとか。また聞こえないという障害は、ほかの障害者と比べて、幾分軽いのではないかというところもありまして、そういった誤解を皆さんには、知っていただきたい状況です。
 手話通訳についての課題です。皆さんは手話通訳の条例ができたので、それで、もう済んだと思われている人も中にはいるかもしれませんが、やはりしっかりとした通訳ができるためには、トレーニングが必要です。しかし、養成講座は開催されていますが、週に1回だけの講座で本当にそれが獲得できるのでしょうか。皆さんも英語のことを考えてください。英語を何年間も学んできたのに、話せる方はいらっしゃいますか。やはりそういった技術や知識、またコミュニケーションでずれているところもしっかり理解した上で、県政の知識を獲得した方が、通訳として働いていただかないといけないということです。そういったところに必要が出ているということです。

〇池間加代子参考人 小さい島で聞こえない者が生活しておりますが、情報にも限界がありますし、知りたい気持ちはとてもあります。それを手話通訳の方にお願いしたいと考えているのですが、なかなかそれが十分やってはいただけません。
 例えば、私の場合は子を持つ母親ですので、家庭訪問や学校行事、その他病院等に手話通訳を依頼したいと思っていても、1週間前までに申請を出してくださいと言われてしまいます。そのまま待っているときは不安です。医療にかかりたいと思っていても、病気になるのは前もって予定して病気になるわけではありません。突然病気になり、例えば胃が痛い、おなかが痛いというところで通訳をお願いするわけです。ただ私たちは電話ができませんので、メール等でのやりとりになります。私たちは連絡がつくまで家で我慢していなければいけない状況なのです。例えば病院に着いて待っていたとしても、通訳が探せないとか、手話通訳の方がおくれて来るとなると、通訳の方が来るまで私たちはその場で待たされるということです。治療を待たされるのです。皆さんの場合は何かが起こったときに、電話で連絡をし、すぐに病院に行って医師にかかることができます。

〇川上恵補助者 今、彼女が言いたいことをまとめますと、宮古島だけではなく、日本全体の問題として捉えていただければと思います。
 先ほど言ったように、やはり養成をしていたとしても、十分な時間が確保されていない、それによって、生活の保障がなかなかできていないということです。
 もし、病院で通訳が来るのが遅くなって、治療がおくれたために亡くなってしまったら、誰の責任になるのでしょうか。皆さんはすぐに治療を受けられますが、私たちは、それがかなわないことが多くあります。そのあたりをぜひ考えていただきたいです。
 手話通訳がついたから、それでいいのではないかということではなくて、それがスムーズに利用できるのかどうか、しっかりと制度の中でどのように派遣をするのか、どのように対応するのかということを含めて、考えていただきたいと思って、この話をさせていただいたわけです。
 補足で、少し手話通訳の状況についてお話しさせていただきます。英語など外国語の場合、医療通訳でも裁判通訳でも、しっかりと通訳がついているのは御存じかと思います。手話通訳は、全てが通訳の方にかかってきます。通訳士という資格を持っている人が医療通訳も司法通訳も全てを担うということになっています。外国語通訳の場合はそれぞれの専門に分かれて通訳者がおります。ですから、通訳に対する理解が社会的にないとなると、通訳に全てを任せていれば、あとは大丈夫なのではないかと誤解を生んでいるところです。
 手話通訳とは何なのか。聾者としての人権はどのように守るのか。やはりコミュニケーションの情報を欲しいというところで通訳が担うところが大きいので、そのあたりの仕組みを考えていただきたいというところがあります。
 専門性を持った通訳という意味です。例えば、手話通訳を養成する講習会は、コミュニケーション技術を学ぶ場、実際専門医療というところになりますと、そういうことを学ぶ場がありません。現在、手話通訳として活動されている方の大きな課題であると思います。もし、その現場で聾者と耳の聞こえない方と医者、医療関係者との話がしっかりと伝えられないということが生じてしまったら、その責任は誰が持つのでしょうか。ですから、まず通訳とは何なのかということをしっかり社会の皆さんにも理解していただきたいですし、不足しているところは修正していただきたいということでお話をさせていただきました。

〇狩俣信子委員長 参考人の説明は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 新垣新委員。

〇新垣新委員 私も家系に同じ苦しみを持つ生まれつき耳が聞こえない方がいますので、聴覚障害は重々理解しています。
 私も、いつかこのような問題を真剣に社会全体―日本全体が、もっとよりよく、聴覚障害者に寄り添う国づくりというものを浸透させなくては、達成しないといけないと思っている観点から質疑を行います。
 まず1点目ですが、「情報の習得がスムーズにできるよう、文字だけではなく映像化するなどわかりやすい方法で発信すること。」とありますが、確かに先ほど言ったユーチューブは字幕が出ないものもあります。やはり、情報共有する形で、国―総務省もそういったユーチューブ等に対しても要請をし、しっかりこの聴覚障害者の団体等もまた沖縄県も国民一体となって、政府、国に要請していただければということがあります。
 2点目に、実はデジタルテレビになって字幕が出るようになっています。アナログテレビのときはなかったのですけれども、デジタルテレビになって、今字幕が出るようになっているのです。沖縄県でもNHKや民放でも字幕という形で出るようになっています。その観点に関して、まず今それをユーチューブにもインターネット等もやっていただきたいのかと。世界的にもこれは大事なことと思いますから、日本から声を世界に広げるということについてどう思いますか。お聞かせ願いたいと思います。

〇池間加代子参考人 インターネットの字幕については、以前は字幕といいますか、文字情報が全くなかったのですが、最近では2年前あたりから大分ふえてきました。インターネットも普及し、だんだんと字幕の数もふえてきました。以前に比べれば、情報も得られるようになってきましたが、問題なのは、その文字だけで全ての情報が理解できないというところがあります。人によっては、わかる人もいれば、よく読み取れないという方がいらっしゃいます。

〇川上恵補助者 ユーチューブにこだわっているわけではないのですが、私が申し上げたいのは、例えばモノレールの事故があったとき、聞こえない私たちはその情報についてわからないままそこに待ち続けるということがあります。そういうことがないとしても、もし大きな災害が起こったときに私たちはどのように情報をとればよいのでしょうか。そういうことを確保してほしいということがまず願いです。
 インターネットはもちろん大事ですが、今ここ沖縄県で暮らしていることで、例えば、パレット久茂地のところには、大きなテレビ画面がありますね。何かあったときにその電光掲示板を見て、情報が得られると思うのですが、私たちはどこかに何か文字がないかということを探して情報を得なければならないということで、皆さんよりは情報獲得がおくれてしまうというところです。テレビの字幕についてですが、デジタルテレビになりましたが、沖縄県のローカル放送には字幕が一切ついておりません。全国放送であれば、字幕はつきますが、ローカル放送は一切ついておりません。
 まずそこに情報をつけていただくことが先ではないかと思います。そうすることで沖縄県民全てが平等に情報が得られるのではないかと思います。

〇新垣新委員 切実な声をありがとうございました。
 まず県議会で保守・革新一体となって、このローカル放送にも字幕が出るように、沖縄県のローカル機関にもこういった聴覚障害の関係者に伝わるようにそれを要請していくべきだということが理解できました。それを一生懸命、保守・革新関係なく一つになってやっていくべきだと思います。
 2点目ですが、この記の2です。
 宮古島では大体どれくらいの手話通訳が必要なのかということが1つと、沖縄県全体ではどのくらいの手話通訳確保のため人数が必要なのですか。
 また、全国市町村の場合、手話通訳者を専門職員として置いている自治体は全国にあります。そこで、県としても聴覚障害者の生活がよりよくなるように市町村に義務づけするのか。それとも県が特別配置するのか。そういったことについて現状はどうなっていますかと。宮古島に手話通訳者は何名必要なのか。
 例えば、病院機関との連携もあります。そして、また薬関係の連携も必要となり、老人ホームとの連携も必要となります。障害者に優しい沖縄県の条例をつくりましたし、しっかりこれは県も市町村も一体となって、やらなくてはいけない課題だとわかりましたし、まだまだ行き渡っていない部分も当然あります。まず障害者に寄り添うことが大事なので、実態数というものは、宮古島で必要な手話の人数はどのくらいですかと。沖縄県では聴覚障害者の団体が入っているので、情報はわかると思いますから、その実態は、どのくらい必要なのかということをお聞かせください。

〇池間加代子参考人 宮古島市で現在資格を持っている者は、手話通訳士が1名、手話通訳者が3名と聞いています。日常生活で利用したいと思っていてもこの数では十分ではありません。まず、病院、医療機関での通訳は必要になりますし、病院にかかりたい、医療にかかりたいと思っていても、数が足りないので、今は派遣できませんと言われましたし、手話通訳の数は全体的に足りないと言えます。

〇川上恵補助者 補足します。まず今、宮古島含めて、沖縄県での養成を説明させてください。手話通訳者の数は何名必要かということはおいておきまして、全体的に手話通訳の身分保障というところが十分ではないということがあります。日中別の仕事をして、時間があいているときに通訳対応するという方が多いわけです。ですから、日中通訳が必要になった場合に応えられる通訳者がいない、数が少ないということです。役所であれば、設置通訳という形で市町村に設置されていると思いますが、正職員ではありません。安定した身分保障がなされていないわけです。そういうことがもしかなえば、通訳の派遣についてもしっかりと対応できると思うのですが、今、非常勤とか嘱託という状況があります。

〇池間加代子参考人 そのとおりです。

〇新垣新委員 この課題を市町村も沖縄県も一体となって、嘱託、非常勤といった、市町村の財政ともあるのですけれども、やはり障害者に寄り添うという優しい社会をつくるためには、義務づけというものも必要だと痛感いたしましたし、県議会の場でも、沖縄県の市長会、町村会とありますから、そこで県知事を中心として話し合いの場を設けて、しっかりと真摯に耳を傾けていくべきであると痛感しました。
 3点目に移ります。「県主催で手話通訳者養成講座及び技術と知識を高めるために手話通訳士養成講座を実施すること。」ということがあります。現状はどうなっていますかということを再度お聞きします。これを県はどのくらい実際に開催しているのかということ、また人材育成もどうなっていますかということもお聞かせ願いたいと思います。

〇川上恵補助者 私は沖縄聴覚障害者情報センターで職員として働いています。手話通訳の研修担当を兼ねています。宮古島の状況について申し上げますと、通訳士についての養成はありませんので、受講のために沖縄本島に来ていただくということになります。宮古島の中でしっかりと資格を持った人を設置してほしい、人をふやしてほしいということになりますが、自己負担で受講される方が沖縄本島に来ていただくということになってしまいます。勉強する機会がないということとその場がないということが、現在宮古島での課題だと思います。

〇新垣新委員 人材育成についてはどうなのですか。

〇川上恵補助者 人材育成につきましては、今年度やっと離島におきましても徐々にではありますが、研修会を開催できることになりました。もちろん十分な数ではありませんし、費用も十分ではありません。宮古島、石垣島から沖縄本島に来ていただくということは減るかもしれませんけれども、年に数回の開催になってしまいます。やはり沖縄本島での開催と同じ回数、同じ質での開催が離島でもかなえられるようにしていただきたいと考えています。

〇新垣新委員 やはり沖縄本島は人口が多いということで、離島にもこういう格差があるとしみじみと理解できる部分がありました。
 少し具体的にお聞かせ願いたいのですが、例えば宮古島の聴覚障害者は何名いらっしゃいますかということと、やはり生まれてきたくてもこのような形で、やむを得なくこうやってなってきたという現状も理解できますし、その方々をサポートするのも行政の役割だと思っています。県も市町村も、今宮古島の手話通訳士養成講座を行うことは本当にもっと重要だと。受講数を沖縄本島と同様にするということと、この通訳士をどのくらいふやしてほしいのかという実態数というものについて宮古島ではどうなっていますか。

〇池間加代子参考人 今、宮古島で聴覚に障害を持っている方は300人ぐらいいると思うのですが、具体的に確認したことはないのですが、手話を使う聾者という数になると50名前後でしょうか。知っている方たちだけになりますが。

〇新垣新委員 手話通訳士は必要ですか。

〇池間加代子参考人 聴覚に障害があって、手話を言語として使っている方が約50名だったと思います。高齢の方、若い方、学校に通っている学生の方もいらっしゃいます。また、外に出て行けないという状況で家に引きこもってしまっている方たちも中にはいます。

〇新垣新委員 宮古島全体ではどのくらいの通訳士の養成を必要なのかという実態を求めることは寄り添わないといけないので必要です。どのくらい必要なのか、今で満足できないことは理解できますが、大体でいいので人数を教えてください。

〇池間加代子参考人 最低でも30名いたほうがいいと思います。昼間通訳が利用できるようにするということです。

〇川上恵補助者 申し上げたいのは、実際に昼間の活動というところと、やはり24時間での対応が私たちには必要なのです。病気や事故があったときに、いつでもどこでもすぐに通訳が利用できるというようになると、やはり30人ぐらいは資格を持った方がいていただいたほうがよいと思います。
 それから、数に少しひっかかるところがあるかと思いますが、手話通訳技術というものは、人によってさまざまです。利用者とのマッチングというところもあります。それらを含めると20名でもいれば、利用者としては誰をどの場面にというように選ぶことができます。今は利用できる方が4名しかいませんので、日中活動できる方は限られます。その人たちが自分たちとマッチングしたときに合うかどうかとなると、もう仕方なく諦めに近い状態で人を選ばざるを得ない。選べる状態であればですが。突然の依頼については、事前の情報がないために、通訳者も何も情報を得ないままに現場に来るということになりますので、その現場で内容を理解して伝えるということになると、大変な技術と知識が必要になります。突然の依頼については、通じ合うまでに少し時間がかかってしまうということもあるかもしれません。
 少し補足をします。手話通訳とは少し話がそれますけれども、手話についてお話をさせてください。
 情報として通訳のことはおいておいて、手話ということについてお話しさせてください。
 手話というものは高齢者や若い人の年代によっても違いがあります。皆さんと同じで、皆さんが使っている日本語も年齢や地域によって使い方が変わってきます。地域によっても違います。これは私たちも同じなのです。言語として手話を使っていますから。だから手話通訳の課題の前にまず手話はどういうものなのかということを理解していただきたい。それによって、その通訳というところでの課題や問題がわかってくると思います。沖縄県でいうと、方言を使う方がいます。沖縄本島の方言、宮古島の方言、石垣島の方言、またそれらの中の地域によっても違いが出てきます。皆さんどのように話をされますか。手話も同じなのです。それを考えれば、手話通訳は1人で十分といえるのか。いいえ、そうではないです。そのあたりをしっかりと言語としての手話を理解していただきたいと思います。

〇新垣新委員 地域性を大事にするということですね。

〇池間加代子参考人 そのとおりです。地域性が大事です。

〇川上恵補助者 方言が違うということ、方言に地域性があるということはわかっていただけましたね。私たちは年代が違います。少し手話も違ってきます。やはり手話通訳で利用できるということは、その地域性、また一人一人の使い方を十分理解した方が通訳として派遣されるべきではないかと思います。

〇新垣新委員 理解しました。しっかりとこれも優先順位を高くしてやるべきだと思っております。これは皆同じ気持ちであろうと確信しております。
 4点目に移りますけれども、その前に整合性を少しお聞きしたいです。例えば、視覚障害者の方が心筋梗塞で倒れた場合、呼び出しボタンとか、そういったときに誰が駆けつけてくれるのかと。私は福祉施設ももちろんですが、医療体制、声をかけても電話もできないというこの現実。毎日誰かが寄り添わないと耳が聞こえる、話せる人がいない。電話ができる方がいないと、やはりいざ倒れたときに誰が、こういったケアに必要な体制があるのか等の心配があって、例えば携帯のようにボタンで、地域の民生委員とか誰かが来てくれるのかとか、そういった体制はどうなっているのかということをお聞かせ願いたいと思います。

〇池間加代子参考人 重度や重複の障害を持っている方であれば、そういう制度も必要かと思いますが、そもそもコミュニケーションがとれない方が来られても、何を訴えているのかを把握できないのではないかと思います。

〇川上恵補助者 先ほどお話いただきましたとおり、例えば、倒れたときに友達がボタンを押せば、緊急通報システムのようにボタンを押せば誰かが駆けつけますが、視覚障害者等々の場合でしたら、耳が聞こえますので、駆けつけた方や運ばれた搬送先でのコミュニケーションができます。ただ、私たちが一番心配なのはコミュニケーションです。搬送されたとしても、もちろん、これは感じていらっしゃるのは高齢者の世帯だけだと思います。聞こえる皆さんが持っていないのと同じだと思います。倒れた後、搬送されたところで、あるいは倒れたときにその人の訴えを誰が受け取るのかというところです。やはり通訳なのです。ですから、私たちにとって通訳がすぐに利用できるということが大事であって、コミュニケーションをスムーズにとれるということが一番大事なのです。それを考えれば宮古島の現状でいうと、その人材育成するためのトレーニング、場所というところが一番大事なのです。訴えたいことが訴えられない。聞きたくても聞けない。これは私たちだけに必要なものとしての通訳を言っているわけではなくて―聾者が倒れました。搬送されました。医者としては、例えば消防の方が駆けつけると思いますが、そこで救急隊員の方が聞きたくても聞けない、何か訴えているけれどもわからない。私たちは努力できますが、もしそれが急病であれば、苦しみの中で相手に伝えるように手話表現を身振りでするとか、また救急隊員の方はどうにかそれを受け取ろうと努力するのでしょうが、そこで時間がかかってしまいます。搬送先でも同じです。医療関係者が、本人の状況を聞きたいと思っても治療のための情報が得られないということになります。これは聞こえない者と聞こえる者の両方に通訳が必要であることです。ですから、通じるためにどのようにするのか、これは聞こえない私たちが大変だということだけを理解していただきたいわけではなくて、聞こえる皆さんにとっても、通訳が必要であるという状況を理解した上で、制度はどうするのかということを考えていただきたいのです。

〇池間加代子参考人 高齢者が特にそうです。もちろん他の障害者の方も同じだと思いますが。いろいろと、手話通訳は聞こえる人にも、聞こえない人にも大事なツールです。そのような状況を把握してほしいです。

〇新垣新委員 救急消防員とか消防機関等や行政機関は、そういったトレーニング、手話ができるようにこの体制・行政機関等に配置できるようにすること。そして、福祉施設もさまざまな観点から、この手話を習得できる地域なりの人材育成も本当に行うべきであると強く思い、しっかりこの件をサポートして頑張っていくことを申し上げて、私の質疑は終わります。ぜひこのような不便や支障がないように頑張っていきます。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 亀濱玲子委員。

〇亀濱玲子委員 宮古島の聴覚障害者の方の相談は、同じような相談を何度も受けているわけですけれども、具体的に緊急の場合に、行政の窓口でどのように対応されたかという事例を―今、医療の現場の話をされましたけれども、例えば、子育て中ですから、学校であったり、いろいろな現場で必要なときに、通訳が来てもらえなかったという経験について、幾つか事例を教えていただけますか。

〇池間加代子参考人 先日―最近の話です。通訳を依頼しましたら、別の方とかち合って、派遣できませんと言われました。これは娘の修学旅行の説明会です。そういうところで、通訳の派遣申請を出しました。他の方とぶつかっていて人がいません。通訳が足りませんので、派遣できませんと断られました。手話通訳が足りないのもわかりますが、どうしたらいいのでしょうか。私はどのように娘の修学旅行の情報を得るのでしょうか。足りないだけで済まされることなのでしょうか。以前、娘のことなのですがいじめを受けていまして、緊急でその話が出てきました。突然、学校から呼ばれましたので、通訳を依頼しましたら、いません。派遣できませんと。ただ私は学校から呼ばれましたので、もちろん学校に行きましたが、先生が何をおっしゃっているのかもわかりません。娘を通訳として、使うわけにもいきません。通訳を依頼したのですが、その後、通訳がいらっしゃいました。そこでも時間がかかりまして、やっと状況を理解したということが実際ありました。
 通訳がすぐに利用できないというところがありまして、大変困ったということがありましたし、筆談ということもありますが、そのとき役所に言われたのが、1週間前の依頼ではないので、できませんというように言われるのです。通訳が足りないからと言われる場合と、前もっての申請ではないので、対応できませんと言われてしまったりということもあります。私たちには必要なときに通訳を利用したいのです。いつでもどこでも利用できるようにしていただきたいということです。

〇川上恵補助者 今、手話通訳のイメージとしては、コミュニティー通訳と考えていただきたいと思います。ほかの言語のコミュニティー通訳と同じで、課題も大体似ているところです。日常生活の中で、通訳がいなければやりたいこと、確認したいこと、いろいろなことができないのです。それは将来にわたって、影響してきます。その場で必要なときに解決ができればいいのですが、例えば、聞こえる皆さんは、行きたいときに行きたいところに行って、いろいろやりたいことをすぐにできるかもしれませんが、私たちは何かやりたいと思ったとき、何かを受けたい、説明を聞きたいと思ったときに、まず日にちを考え、申請を考え、生き生きとした生活のために、私たちは時間がかかるのです。通訳の費用のために。日常生活を送るためにも、生活の中で支障が出ているということを皆さんには御理解いただきたい。聞こえないから、障害者だからではなくて、しっかりと当事者が求めているものは何なのかということを聞く場を設けていただきたいと思います。

〇亀濱玲子委員 沖縄県は宮古島市を含めて、離島が多いです。そのときに私の友人は沖縄聴覚障害者情報センターの派遣依頼を利用するというようなことも聞いたりしていますが、例えば、それぞれの自治体で足りないところを沖縄聴覚障害情報センターが補うような形で、その手話通訳が出かけるということはありますか。

〇川上恵補助者 実際にございました。やはり、その場面に合った、適した技術を持っている者、またその場にいる聴覚障害の利用者との信頼関係ができている者ということになります。宮古島市については、やはり研修の場がない。それに見合った技術や知識を持っていない方に通訳に来てもらうと大変困るということで、相談を受けまして、それに見合った者を派遣したという実績が過去にございます。

〇亀濱玲子委員 やはり私は24時間、必要な情報がいつでもとれるという保障、確保することを目標に、一気にそれが満たされることはないにしても、まずはそういう姿勢で行政で受けなければいけない。1週間前ということがやはり不都合だということを直していかなければいけないということが一つと、スキルアップ、技術を身につけるための訓練の機会が今のままでは少な過ぎるということが今のお話ですごくわかりましたので、これは県が各市町村に手話通訳の養成をもっと手厚くするというような考えでいいのでしょうか。

〇川上恵補助者 人材育成をするということについては、もちろん講師が重要になってきます。個々人が出かけて行くとなると、大変厳しいものがありますので、沖縄本島から派遣して、地元でそれが開催できるということが大事だと思います。沖縄本島で開催する場合は、県から講師をお呼びすることもあります。けれども、離島からわざわざここの沖縄本島まで出かけて来なければならないということもありますので、そういう時間が確保されていないというところもあります。技術を身につけるところと、それから知識をしっかりと持ってもらうということと、役所の中でそれを保障していくことが大事かもしれません。

〇亀濱玲子委員 もし、御存じであれば、県下41自治体で、例えば非常勤とか嘱託ではなくて、しっかりと通訳が設置されている自治体は把握されていますか。皆さん同じような感じですか。

〇川上恵補助者 ありません。5年契約の嘱託ということで、人がどんどんかわってしまいます。新しく人がかわってしまったということになると、改めてその人にいろいろな情報を提供して、私たちが育てていくということになってしまいますから、やっと利用できるようになったと思った段階で、人がかわってしまいます。身分保障についても、よかったり悪かったりということもあります。本来であれば、各自治体が正職員として、しっかりとした人を雇ってその状況を保障してもらいたいということが現実です。
 宮古島では、今インターネットを利用するということが職員ではできなくなっていることを情報で知りました。私たちとしては、電話が使えませんので、ビデオチャットで設置通訳と話をしたいと思うのですが、それが今はかなわないのです。私たちはどのようにコミュニケーションをとればいいのでしょうか。聞こえる皆さんは、聾者を特別ということではなくて、皆さんも同じですよね。電話で用事を済ませたいと思ったら、すぐできるのですが、私たちはビデオチャットでしかできない。手話を使うとなると。電話が利用できませんから、その関係が整えられれば、私たちも幾分か、適応できるのではないでしょうか。今、職員がインターネット利用をできないというようになっていますが、本当にそれで私たち市民としてはどうなるのかということも考えていただきたいと思います。

〇亀濱玲子委員 そういうものを変えていかなくてはいけないのですね。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 平良昭一委員。

〇平良昭一委員 これまでの委員とのやりとりを聞いていますと、やはり我々健常者のほうがまだまだ足りない部分があったというように自覚しております。私も実は3年前に親父が喉頭がんを摘出して話ができなくなりました。その中でやはり家族にそういう方がいて初めて気づくことがあり、非常に申しわけないということがあり、一方、本人の生きていこうという気持ちが逆に伝わってきました。その中でまだ仕事もしております。話すことはできませんが、好きで司法書士の仕事を続けているのですが、それでも生きていきたいという気持ちというものが逆に伝わったのでよかったと。その中で私たちができることを考えていくことができたということはよかったと思います。
 今のやりとりを聞いてしまうと、県で手話言語条例も制定されましたが、それは言葉であるということでしかありませんので、それ以上のことが何もできていないということもさらけ出したような気がします。その中で、果たして皆さんと県でどれだけ話が煮詰まってきているのかが見えない。ましてや県の対応の中においては、41市町村のうち17市町村に計25名の手話通訳者が設置されているだけでしかないのです。恐らく社会参加への後押しをするのが、役場、市役所が一番の原点であるし、住民サービスへの原点であるべきところがまだまだ対応できていないという現実を、改めて知らしめることができたのです。それでは、今後どうするのかということについて、今の議論の中では見えてこないのです。宮古島の方々からそういう陳情が出てきたということに対して、沖縄県には視聴覚障害者協会がありますけれども、そことの意思疎通が全くできていないのではないかと思いますが、その点に関してはいかがですか。

〇池間加代子参考人 沖縄県聴覚障害者協会と宮古島との関係はありません。まだ十分な関係はできていません。宮古島は宮古島だけで、沖縄県聴覚障害者協会―沖聴協とのかかわりも今のところありません。もちろん関係を持つことは必要ではあります。関係性をしっかりと持って情報交換をするということは大事なのですが、費用がかかります。そこがなかなかできないというところがあります。それは沖縄県聴覚障害者協会の場合は、会員向けの運動をしていらっしゃいますので、そこに入っていない私たち宮古島にいる聴覚障害者の場合は情報が得られないまま、そこからもまた取り残されているというところがあります。

〇川上恵補助者 沖縄県聴覚障害者協会についてですが、宮古島にあるのは宮古島聴覚障害者の会というところで、別の団体になります。それぞれに会員がいます。問題は情報のとり方です。沖縄県聴覚障害者協会の場合は、行事の際に情報交換をいたします。ただ、沖縄本島で開催されますので、離島の方は自費で来ていただくということがありますので、そこがまず問題の1点目です。宮古島は宮古島の団体の中で情報を取得するということになりますが、やはり宮古島での状況について、沖縄本島にいてはなかなかそれが見えてこないというところがあって、各会の連携がなかなかうまくいっていないのが現実です。

〇池間加代子参考人 やはり沖縄本島で開催される行事等につきましても、情報を提供いただきましたら、参加したいという気持ちがありますが、交通費、宿泊費がかかるというところで、別途費用が生じてしまいます。

〇平良昭一委員 全く沖縄県の考え方と皆さんとの現場の声がつながっていないということが、これではっきりしました。その中で、今求められているのは、先ほどから言われているコミュニティーの通訳がまず一番必要というようなことがもう高い望みではなくて、せめてこれだけでもどうにかしてくれというような陳情だと受けとめました。そういう観点からすると、宮古島にも団体があるけれども、沖縄県の団体とも全然疎通ができていないということで、まずはその改善から始めないといけないだろうと思っています。宮古島にどれだけ手話通訳を必要とする人の数がいるかも恐らく県が把握していない可能性もあるわけです。各離島にどのくらいいるかということもわからないかもしれません。そういう面では、横の連携をもう少しとっていかないことには、次のステップにはいけないだろうと率直に感じています。そういう面からすると、県の手話言語条例を改善していくのか、それとも県の社会福祉の状況の中から改めて聴覚障害者の方々に対しての考え方を踏み込んでいくのかということになっていくと思うのです。まずはその辺から始めていかないといけないという実感として持っていますけれども、これをどう思いますか。

〇川上恵補助者 御質問について、お話をさせていただきます。私たちが言いたいのは国連で言われていることですが、私たち抜きで私たちのことを決めないでほしいという言葉があります。私たちは皆さんと話し合いをする際、情報交換をする際、特に情報をとって参加できているでしょうか。手話通訳がいろいろな場面で設置がされているので、皆さん来てくださいという情報があれば、私たちもそこに出向いて行って、意見を述べ、情報交換をして、変えていただきたいところ、十分なところまで声を上げやすくなるのです。それが平等な社会になっていくと思うのです。私たちにかかわることについてお話をされる場合、情報提供をお願いしたいですし、一緒に考えていただきたい。そういう場をつくっていただきたいということです。

〇平良昭一委員 先ほどの話でも、1週間前だと、対応できたのにというようなことです。そのような状況が、よくわかりました。そうであれば、当然どこに行って、いつであろうが何であろうが対応できるような状況を県の中でつくっていくということは絶対的に必要だということも感じました。私たちとしてもそれに近づいていけるような努力はしていきたいと思っています。
 最後に1点、現在の手話言語条例について、それに対していろいろなものを踏み込んで入れていけるような状況をつくったほうがいいのか。それとも、別に対応策を考えたほうがいいのかというのが、私たちには少しまだわからないものですから、その辺を教えていただきたいと思います。

〇川上恵補助者 条例の前に議員の皆様に手話とは何なのか、聴覚障害者とはどういう人たちなのかをまず知っていただきたいです。参加をしていただいて、コミュニケーションをとっていただいてから、その条例について考えていただければと思います。現実を見ていただいて、しっかりと見てから条例にはこれが必要なのではないかとか、いろいろなことが発想できるのではないのかと思います。手話ができるから話ができるのではなく、その背景にある聴覚障害者の暮らしというものがまず見えないと条例には生かされないのではないかと思います。一緒に話をする、その場にいる、そうして知るということが大事だと思います。議会がまずモデルを示していただきたいです。理解を示していただければ、県民にも広がりやすいと思います。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

〇西銘純恵委員 先ほど、川上補助者が話されていた、日常生活に支障が出ているということと、いつでもどこでも通訳派遣ができるようにということが解決への道だということは、条例をつくったときに指摘されたのですが、皆さんが余りかかわれていない県の協会や沖縄県にいる団体の7団体から、皆さんの意見を聞いて、条例をつくってきたという経緯はあるのですけれども、今の指摘があるのであれば、やはり拾われていなかった声があったのだと感じています。それで、沖縄県が平成27年―2015年に全県で40名、宮古島では5名の通訳者を養成をしたと。去年も何名かは養成しているとは思うのですけれども、実情を聞いたら通訳士は1名で、通訳者が3名、4名しかいないということなのですが、それについてはつかんでいらっしゃるのですか。ふえているのかどうか。通訳者が30名ぐらいいればよいと言いましたか。

〇池間加代子参考人 常にその数―今登録されている方の報告があるわけではないので、ふえたり、減ったりということが続いていて、先ほどお話しした人数になっています。以前は、手話ができる方が6名くらいいましたが、現在は4名と聞いています。

〇西銘純恵委員 そういう意味では、やはり必要とする人数の研修を宮古島、石垣島とか、離島で研修をさせるということをコミュニケーションだけではなくて、さらに踏み込んで専門的な手話でできるようにということをおっしゃったので、県に対しては、そういうことを議会としては拡充していくという立場で求めていくということでよいでしょうか。

〇池間加代子参考人 もちろんそのとおりです。ふえてほしいと思います。もっと、手話通訳ができる方はふえてほしいですし、やっていただきたいと思いますが、やはり交通費の問題がかなり大きなところではないでしょうか。研修または通訳の技術の知識、情報等を学ぶための予算の確保というところが問題ではないかと思います。

〇川上恵補助者 補足させていただきますと、今技術が進歩しておりますので、先ほどスカイプの話をしましたが、インターネットを活用しての情報共有ということも考えていただきたいです。日常生活の中でコミュニケーションをしっかりとれるということを技術を使い、利用していただけたらと思います。養成であったり、相談であったり、コミュニケーションをとるということであったりをインターネット環境を利用してはどうかという提案です。

〇池間加代子参考人 宮古島ではそれが有効であると思います。

〇川上恵補助者 インターネット環境やその技術を使う方法を考えていただけたらどうかと思います。飛行機をわざわざ使わなくてもよいということです。例えば、簡単な内容についてはビデオチャットを使い、また必要があるとき、とても重要なところだったときだけ飛行機を使うという……。

〇西銘純恵委員 宮古島でもっとそういう研修の回数もふやすし、専門性を持てるような研修を地元で県がやっていくことで、ふやしていけばいいのかというお尋ねをしたのです。

〇池間加代子参考人 県として、養成できる方について、しっかりとした講師を派遣して、指導していただきたいというところです。もちろんそれは必要です。

〇川上恵補助者 宮古島市が行うのではなくて、県が講師を派遣するという方法がよいです。

〇西銘純恵委員 県は沖縄県聴覚障害者協会に委託して、沖縄県が宮古島や石垣島に派遣をしているということで平成27年度の実績を出したのです。その結果5名は養成できましたが、今のお話では増減が出て、通訳士そのものは定着がふえていないということが見えているのですから、もっと回数をふやすとか、研修の中身も濃くしていくということで、県に対しては我々が拡充してほしいということでそれをふやしていく―宮古島でやることをふやすということであれば、ある意味では通訳士がふえていくことで、皆さんの願いにかなうということになるのでしょうか。

〇川上恵補助者 講座の数をふやす前に手話通訳の身分保障をどうするかが先ではないでしょうか。もちろん必要ではありますが、身分保障がしっかりして生活給としての生活ができるのであれば、人材もおのずと養成できるのではないかと思います。日中はほかの仕事を持ちながら、通訳の勉強をし、通訳者として活動するということにはやはり壁があります。
 例えば、アメリカの場合、私はアメリカで研修を受けてきたのですが、最初から専門的に通訳者を養成し、身分保障を確立していますので、その養成を受けた人たちがそれを仕事として、なりわいとしてやっているのです。今、保障がないままで数だけふやそうと思っても、生活できる給与の保障がない中で通訳者だけをふやしたとしても、仕事を兼ねながらの通訳対応となると、人はなかなかふえていかないと思います。まずはそこです。養成講座についてももちろん必要ではありますけれども。

〇池間加代子参考人 そのとおりです。

〇西銘純恵委員 浦添市が30年以上前から、嘱託でずっと通訳士を1名配置してきたのが、最近この方がやめられています。結局、嘱託という身分の更新を重ねることで、善意に基づいて行っていたということです。今おっしゃるような必要な職種を正規雇用していなかったというところがあるのです。行政の中でも17市町村しか、そういう配置もないという状況があり、ですから二面的にやはり解決をする必要があると思っているのです。正規雇用できちんと必要な通訳士を配置していくという当たり前のこと。さらにおっしゃるように通訳士をふやしていくということが大事かと思います。去年、障害者差別解消法ができて、この中で、やはり必要とされる通訳士の配置というのが、正規雇用でやれということで、皆さんのところや議会やいろいろなところから、これは予算の問題について浦添市の例で言わせてもらえば、浦添市が独自で嘱託をつけていたのです。ほかの市町村より私は先んじて行っていたと思っているのですが、そういう意味ではやはりそういう法律をつくった国としても、適正に配置をするという考えに立たないと、おっしゃるように差別解消もできないし、配慮ができないということになるし、幾ら養成をしてもきちんとした専門職として通訳士が育たないという課題があると思いましたので、両面でやはり取り組んでいきたいと思います。

〇川上恵補助者 先ほどお話ししました契約の更新の話ですが、嘱託での採用となると、通訳者の生活の質がどんどん下がってしまいます。正規雇用で身分保障された職員として採用されれば、生活の質も上がります。そういったところも通訳をするところでは、必要になってくると思いますし、私たちの求めている平等というところでの確保が、それによって可能ではないかと考えられます。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

〇比嘉京子委員 アメリカにいらっしゃった経験があるとおっしゃったので、私はやはり、政府の聴覚障害者に対する通訳という位置づけ―例えば、公共の場所、役所等においてはどのようにしなくてはいけないとか、福祉施設、病院、学校においてはどうなのかというような全体的なことを、法的なことなので、皆さんに聞くのはどうなのかと思ったのですが。まず、そういうものがあるのかないのかということについてはどうなのでしょうか。

〇川上恵補助者 アメリカで研修をしたという話をさせていただきました。大学院に行きまして、通訳学を専門に専攻して学んできました。アメリカでは法律につきましてはADA法があります。平等に情報提供することを保証しなくてはならないという法律がありますので、どこに行っても通訳が利用できます。アメリカは手話通訳のことについては言語としての見方です。福祉ではなく言語としての見方ですので、進んでいます。
 日本の場合は考え方が福祉中心です。聞こえないからサポートをしましょう。ではコミュニケーションを福祉にしましょうという考えが、言語として手話を見ていらっしゃるかどうか。それによってやはり見方や考え方が違ってくると思うのです。

〇比嘉京子委員 我々がせんだってつくった条例は、まず手話を言語として周知させようというのが大きな狙いにあったわけなのです。そうすると今日本において国の制度の中で、なぜ、各市町村においても各々の公共的な場所においても、雇用のあり方を含めて、ばらばらなのかということをずっと質疑を聞いていて思っているわけなのですが、それを考えると日本の制度として、その位置づけというのが、どこでどのように手話通訳というのはされているのでしょうか。本来、我々が調べておかないといけないことなのですが、もしおわかりでしたら、教えていただけませんでしょうか。

〇川上恵補助者 国の考え方は、現在事務事業として都道府県や市町村が手話通訳をしなければならないということになっております。手話通訳事業を義務化したのみです。どこに設置しようということではなくて、手話通訳事業をやりなさいということが県市町村に課せられています。その程度です。

〇比嘉京子委員 では例えば、そういう通訳者を置きなさいという義務化はしているが、その規模や、数字、質などということまでは、何らないという……。

〇川上恵補助者 数まではありませんし、技術についてもありません。手話通訳者以上の資格を持っている人を設置しなさい。それがかなわなければ、手話奉仕―手話奉仕というのは、通訳できるレベルにない人。その前に手話通訳制度を説明させてください。手話通訳制度は手話奉仕員、その次に手話通訳者、その次が手話通訳士と3つに分かれています。3段階です。手話奉仕員は、手話通訳ができる人ではありません。地域で1対1のコミュニケーションができる人のことです。手話通訳者は当然それなりの受講した人たちが試験を受けて手話通訳者になった方たちで、手話通訳士が全国レベルの資格です。今、池間参考人が言ったようにコミュニケーションだけの人が通訳として働いていることが多いことが問題であると思います。手話通訳者がいないから、奉仕員でいいというように思われては困るということです。もちろんそういう人を採用して設置通訳者としている市町村もございますので、本当にそれでいいのでしょうかという問題提起をさせてください。

〇比嘉京子委員 宮古島では先ほど通訳者が3名で通訳士が1人というお話がありました。そうすると、今宮古島にいらっしゃる障害者の方々にこの人数では足りないということがあって、前もっての申請であったり、即時対応ができないという状況があり、国の制度として、例えば、何名に対してどのくらい配置しなさいという義務化も何にもない。身分保障もないので、それぞれの市町村に任せられているという認識で質疑をしていいでしょうか。

〇川上恵補助者 そのとおりです。数は示していませんし、事業さえしていればよいというようになっております。

〇比嘉京子委員 先ほどからコミュニケーションとしての通訳士ということになると、レベル的に通訳者でよろしいでしょうか。

〇池間加代子参考人 もちろん、通訳士の資格を有している方が一番です。それがかなわなければ、通訳者となりますが、もちろんそれだけでは十分ではありません。全てのことに対応するということは期待できません。

〇川上恵補助者 まず、確認させてください。手話通訳者でいいのか、どうかという見方をどのように皆さんは捉えられているのかということを確認したいです。やはり通訳者と通訳士では、社会の見方が異なってきます。通訳者だと低い感じを受けませんか。私たちとしてではなくて、やはり社会の見方がどうかということです。通訳士という資格があるのとないのでは見方が違ってきます。皆さんはどう思いますか。通訳者でよいのでしょうか。そういったところに違いや、その立場、その近くというところがわかればトレーニングもおのずと変わってくるでしょうし、通訳士という国レベルの認定資格であれば、それに伴う責任というところも明確になってくると思います。ですから、もちろん私たちが望むのは手話通訳士です。

〇比嘉京子委員 私が聞いた意図は、例えば生活の中で、それから学校に呼び出されたとき、病院に付き添っていくとき、コミュニケーションとしてどのレベルなら、最低限補完できるのでしょうかということをお聞きしたかったわけなのです。

〇川上恵補助者 もちろん、手話通訳士です。

〇池間加代子参考人 医療でも、簡単なように思えて、とても大事なことを言われていることがあります。通訳者には私たちが知りたいという情報、伝えたい情報、それから聞こえる人たちが聞きたいと思っている情報を的確に伝えられるわけではないのです。ですから通訳士が私たちにとっては必要です。

〇比嘉京子委員 では、県内には通訳士は今何名いるのでしょうか。

〇川上恵補助者 21名だったと思います。
 手話通訳士だから、全てが依頼できるわけでもなく、もちろん、別の課題、技術の問題もあります。一般的な見方としては、やはり通訳士という資格があったほうがよいと思います。その通訳者の方が全員が全ての場面において、通訳がかなうかというとそうではないことは、前もって御了承ください。

〇池間加代子参考人 宮古島では手話通訳士の資格を持った方が1名います。ですが、その方は医療や教育場面の通訳が十分できていないかと……。

〇川上恵補助者 今の話については、裏にもいろいろございまして、手話通訳士の世界の中での話です。手話通訳士は、確かに最低レベル、決められた基準を超えた人が通訳士ということになりますが、全てができるということではないのです。もちろん、ベテランで信頼のおける通訳士もいれば、資格を持っていても、この内容はできないという方たちもいらっしゃるということは御了承ください。

〇比嘉京子委員 通訳士というのが望ましいということがわかったことと、それからよく多言語でも、聴覚障害でなくても、例えば英語での通訳であったりするときに、学会等でもさまざまな学会に専門的な用語が通訳できるかというとできないのです。ですから、沖縄県でコンベンションとしてある学会を開こうとするときに、沖縄県の中で調達できない通訳がたくさんおりまして、それで本土から呼ぶために現在すごく料金がかさんだりしているのです。それと同じように、私が先ほどお聞きしたのは、日常生活の中で、学校に呼び出されたときや病院に行ったときにとかという生活の中で、できることを考えたらやはり通訳者よりは通訳士がいいという確認ができました。また通訳士の中にも専門的なもっとレベルの高い分野を通訳しようとすると、それなりの用語関係の勉強といいますか、研修が必要であるということは他の言語からしても理解はしているつもりです。

〇川上恵補助者 おっしゃるとおりです。手話通訳者の皆さんは通訳に対するどういう見方を持っていらっしゃるかについてもそこをまず変えていかなければならないと思います。英語通訳の場合ですと、英語としての言語をしっかりと学んだ上で通訳としての専門性を持った研修を受けて通訳になります。
 ただ、日本の場合ですと、やはり福祉という見方が強いものですから、言語としての見方がないというところで、少し利用しづらいというところがあるかもしれません。だからそういう根本的なその通訳者自身についての、その福祉の見方を、考え方を変えていくことがまず先であるということと、学会レベルの話もありましたが、私も実際そういった場面に会ったことがあります。そのときに情報格差を非常に感じまして、そのときの情報格差の責任は誰の責任なのか。もちろんそれは主催する方たちとか、社会の責任ではあると思うのですが、そのところでひっかかるものがありました。皆さんにお願いしたいのは、まず手話通訳は何なのか。その役割は何なのか。その見方が変わっていけば、いい方向に向かっていくのではないかと感じました。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 次呂久成崇委員。

〇次呂久成崇委員 私は、1点だけお聞きしたいと思います。
 現在、聴覚障害者の方たちはやはり文字化、映像化されていない中で、非常に情報収集が困難だということなのですけれども、現状、どのように情報収集をなさっているのか。そして、皆さんがわかりやすい方法で発信をしてほしいということなのですけれども、これは私たちが皆さんたちとコミュニケーションをとるという立場で、本来私たちが考えないといけないものだと思うのですけれども、皆さんが考えるわかりやすい方法というもので具体的にどういった方法であれば、私たちはそういう情報収集をもっとしやすいというような案や考えがあるのかということをお伺いしたいと思います。

〇池間加代子参考人 宮古島市に住んでいる聴覚障害者の中でも、日本語がしっかりとわかる方と、日本語が習得できていない方に分かれます。それによって情報の収集の仕方が違います。
 日本語を習得できていない場合、文字だけでの情報提供をしていただいたとしても、工夫していただいたとしてもそれが得られません。ですから、一人一人、情報収集の仕方が違うということです。
 また、高齢者になりますと、日本語を学ぶという機会がなかったという方も中にはいらっしゃるので、この方法ですよということが申し上げられないです。全体的に情報収集には、個人差はありまして、やはり難しいということだけを述べさせていただけたらと思います。

〇川上恵補助者 情報のとり方につきまして、まず私は家族全員が聾者です。家族全員が耳が聞こえません。手話で生活してきました。テレビ番組も以前は字幕がありませんでしたので、想像でしか読み取れませんでした。何を話しているのかわかりません。次の日に新聞を読んで、また聾のコミュニティーに行って情報を確認していました。ですから、皆さんがその場で得られる情報についても、私たちは数日かけてとるのです。それも十分ではありません。
 今、字幕がふえてきました。テレビ番組も字幕がふえてきました。ですがそれは、それでもやはり情報取得は時間差があります。もちろん、皆さんが話している言葉を全て情報にしているわけではありません。しかも話していると同時に文字が出てくるわけではありませんので、情報の取得には時間差があります。
 また、うまんちゅ広場のことについて言うと、今番組はたったの5分です。1週間に1回だけです。以前は15分でしたが、今は縮小されて5分間のみの放送です。通訳者の技術もばらばらですし、私たちがそれを見て、理解できるかと言われると、十分ではないということをお伝えしたいと思います。
 また、ここでお願いしたいのは、しっかりと聾者が理解できるように通訳を配置してほしいということです。公共機関、公共交通機関であれば、しっかりと文字でも、その他の映像化でもしっかりやってほしいですし、何かをやる場合、また進めている中でも、しっかりと私たちをその話し合いに参加させてください。
 講演会におきましては、日常生活の中でも行きたい、見てみたい、聞いてみたいということがありますが、皆さんの場合は当日でも、都合がつけば行かれると思いますが、私たちはまず通訳がついているのか、ついていなければ、派遣申請をしなければ、個人でしなければならないということが出てきます。その責任とは私たちの責任なのですか。私たちがやらなければならないことなのですか。そういうこともいつでも、どこでも、保障された中で、私たちが気軽に、皆さんと同じような条件で社会に参加できるということを考えていただきたいと思います。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

〇狩俣信子委員長 以上で、池間加代子参考人に対する質疑を終結いたします。
この際、委員会を代表して、参考人に一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
 池間加代子参考人、補助者の川上恵さん、手話通訳者の大嶺文子さん、宮平絹江さん、大変ありがとうございました。
 休憩いたします。 〇狩俣信子委員長 再開いたします。
 午前に引き続き、参考人からの意見聴取を行います。
 今回の意見聴取は、陳情平成28年第50号及び同第157号の2件の願意が、認可外保育園に対する支援等ということでおおむね共通していることから本陳情2件に係る陳情者等を同席の上、一括して行います。
 那覇子育て支援保育施設連絡協議会真栄城美登里氏及び沖縄県認可外保育園連絡協議会会長末広尚希氏から説明を求めます。
 参考人の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 参考人から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人の説明を聞く場でありますので、参考人が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それでは、真栄城美登里参考人、末広尚希参考人の順で、陳情平成28年第50号認可外保育園の現状と活用に関する陳情及び陳情平成28年第157号認可外保育園に関する陳情について簡潔に御説明をお願いいたします。

〇真栄城美登里参考人 那覇市首里でこざくら保育園という認可外保育園をやっています。私たちは長年、認可外保育園を行ってきて、認可園と認可外保育園の差があることにとても不思議な感じがいたします。
 子供たちがその保育園にいるということは現実ですので、できるだけ行政とお話し合いをしながら、子供たちにとってよりよい環境をつくっていきたいということが私たちの願いでした。何年も前から、やはり差を少しでも縮めていきたいということで、行政とも話し合いをしてきまして、最近は大分支援のほうもやっていただいて、認可外保育園のほうも助かっていることがたくさんあります。しかし、やはりまだまだ格差がありますので、それを少しでも縮めていくために、そこにいる子供たちが少しでもよい環境で保育が行えるようなことを私たちは実践していきたいと思って陳情書を提出いたしました。
 認可外保育園の子供たちは先生方や周囲の方々に見守られて、一応すくすくと成長はしていると思いますが、補助金とかそういうものを考えたときに非常に差があるわけです。そこで保育料一つとってもすごい差があるので、認可外保育園にいる子供たちが受けるべきいろいろな環境を受けていない面がたくさんあると痛切に感じます。そこにまた働いている先生方も同じ保育士の免許を持っていたとしても、認可園に勤めていらっしゃる先生方との給与の差、労働条件の差、そういうことは説明ができないくらい大きなものがあります。そうしたもの一つ一つが改善されていければという願いが私たちはいつでもあります。
 それと、最近は待機児童解消ということで、保育園がたくさんできてきて、幾らか保護者にしてみれば、大分入りやすくなったと思っていますが、認可外保育園の立場といいますか、あるところは地域に根づいているのです。地域とともに子供たちが成長していく、地域の人たちと一緒になって、行事に参加したり、歴史を学んだり、しつけてもらったりとか、そういうメリットの部分もあるので、できれば郊外にボンと大きな保育園を建ててそこに収容するよりも、現在那覇市内でも90カ所近くの認可外保育園があると思いますが、全てが小規模の保育園だと思うのです。それでも地域にとっては非常に必要で、便利でもあり、また母親の支援とか、母親を育てる役割も十分に果たしているかと思うのです。そういう面を考えると、認可促進だけではなく、認可外保育園としての立場というものをもう少し手厚くしてもらえれば、非常に御父兄にとっても、保育園にいる子供たちにとっても、またそこにいる保育士にとってもいいことがあるのではないかと思います。
 それから認可外保育園に通っている子供たちは、第1子、第2子、第3子というように2人、3人の兄弟を預かっても、保育料はそれぞれの保育料なのです。一方認可園にいる子たちは軽減されていくわけです。第2子は半額、第3子はゼロというように、そのような支援が認可外保育園の子供たちにもあると保護者の方が非常に助かると思います。一つ不思議なことは、認可園にいる子供たちは第1子の子は第1子とカウントされて、第2子の子は第2子とカウントされて半額になるのですが、もしその第1子が認可外保育園にいるときは、第2子が認可園に入ったときは、第2子とはカウントされないらしいのです。そうすると、保育料の軽減がないわけです。親から見れば第2子ですが、認可外保育園にいる子は数えませんということは、どういうことなのかと最近とても不思議に思っています。18歳未満の子は、たとえ中学生でも第1子と数えるという決まりがある中で、認可外にいる子はカウントできないということは不思議だと思っています。できれば第1子として数えてもらえれば、第2子が認可外保育園に入ったときに保育料の軽減がされるのではないかと思っています。保護者の方々には支援になると思います。
 それから、認可外の立入調査が始まってからは、私たち認可外保育園はその立入調査を守るために必死です。お金ももちろんかかりますが、やはり事務的なこととか、いろいろな環境整備とかも必死で行っています。それを維持するためにも大変な努力が必要なのですが、それを維持していることによるメリットがないわけです。だからそういう認可外保育園の立入調査で合格をして、最低基準を守っている園に対しての支援、あるいはその園を準認可という―私たちが今、準認可という言葉を使っているのですが、認可園と認可外保育園の中間のような形で何らかの支援をしていただけるようなシステムができないかと思っています。そういうことを考えるとやはりそこにいる保育士たちにも恩恵が与えられるし、保護者の方にも幾らかの支援が行くだろうし、また認可外保育園そのものも環境整備とか、給食、教材全てのものが今よりもよくなっていくと思うのです。そういうことが、現在の私たちの願いです。私たちも地域に根差す保育園として、地域とともに、一生懸命いろいろなことで頑張っていき、子供たちが成長するのを、ずっと大きくなるまで見守っていきたいと思っています。

〇狩俣信子委員長 引き続き、御説明をお願いいたします。
 末広尚希参考人。

〇末広尚希参考人 認可外保育園は県内では390園、認可外保育園にいる1万4000人もの園児が沖縄県にはいます。全国的に無認可、認可外と言われる言葉で使われますが、まずここで皆さんはこの沖縄県における認可外保育園の本質を本当にわかっていらっしゃるのかということを前提知識として共有したいと思います。
 全国の保育事件、事故のほとんどは認可外保育園で起きています。しかし、死亡事故に関しても沖縄県はこれだけ認可外保育園が多いのですが、全国に比べてこの死亡事故というものは少ない。これはなぜかといいますと、戦後27年間の米軍統治の中で、そして復帰を遂げてから、この社会福祉環境整備のおくれによって、認可保育園の整備も沖縄県ではおくれました。本土ではポストの数ほど保育園というところで、戦後そのような運動が起こって、保育所がどんどん建ったのですが、沖縄県においてはその整備がおくれたのです。その中でこの地域の子供たちをどうにか保育をして、その地域の家庭を支えるというユイマールの心で生まれてきたのが認可外保育園です。ですから、決して、個人事業主として生まれてきた本土の認可外保育園と違って、地域を何とかしたいという思いで、保育士の免許を取ったり、認可保育園並みの行事やイベントを整えることによって、その保育の内容においては、認可保育園と認可外保育園もほとんど変わりがない地域があるぐらいの形であります。つまり、今言いたいことはこの全ての保育園について認可外保育園、認可保育園も沖縄県においては格差を強いられるべきではない子供たちがいるという点が1点。
 もう一点は先週、県で発表がありましたけれども、2200人余りの待機児童がいまだに表面的な待機児童がおります。これはそもそも申し込みをするのを諦めている子供たちもいるということをぜひ知っていただきたい。
 平成27年度に始まった子ども子育て支援新制度においては、私も県の子ども子育て会議の一員でありますが、潜在的待機児童も含めた待機児童対策を行うことが義務づけられています。平成29年度末までに各市町村が待機児童ゼロにしなければいけないというミッションを持ちながら、いまだに待機児童は減ることがありません。つまり、この待機児童が減らない間、誰が下支えをしているのかということを考えるとこの390園、1万4000人もいるこの園児たちというのが、ほとんどいわゆる待機児童であります。これを下支えをしているのが認可外保育園であります。この前提知識をまずは共有したいと思います。
 つまり、認可園に入れるまでの間、待合室とまではいかなくても、その間認可園に入れましたという電話が来るまでの間にいるところが認可外保育園だったりします。私も浦添市でライオンの子保育園という認可外保育園を運営しております。この私が園長サミットを昨年県内の園長先生を集めてやりました。そこにおいて、決議をして政策提言をするわけでありますが、私自身は那覇市首里でも、認可保育園を運営している理事長、園長でもあります。ですから、認可外保育園だけを見て、格差が強いられているということを言っているわけではなくて、認可園も認可外保育園も知る者として、皆さんに訴えを聞いていただきたいと思います。
 昨年11月23日の勤労感謝の日に、初めて390園の認可外保育園の代表者を集めて、社会福祉センターで園長サミットを行いました。そこで4つの提言をまとめさせていただいて、それを陳情という形で、県議会にも提出いたしましたので、それを口頭で説明をさしあげます。
 園長サミットに来られた議員の皆さんも多くいらっしゃいまして、非常にありがたい思いでいっぱいでありますが、このような形で議決をとって、提言文4つをまとめまして、円形の議場でやりました。そして、議事に沿って、全員で賛成一致で、全会一致の形で提言書をまとめて、そして浦崎副知事に手渡したという流れでございます。これが園長サミットの様子でありますが、そこで議決された内容を申し上げます。
 まず1点目、これは沖縄県において今、国で50万人の待機児童の受け皿をつくるというような力強い政策が進められておりますが、それがいろいろな形で沖縄県の保育現場にどういった形でメリットを享受できているかというところであります。認可保育園においては例えば、保育士の処遇改善策としまして4%賃上げ策が言われております。それを認可保育園と、そして新年度の平成29年度からは小規模の保育園、小規模の認可保育園にも適用しようではないかという形でありますが、これを認可外保育園にも適用させていただけないかと申し上げました。この根拠としましては、先ほども申し上げましたが、本土は約8%、1割にも満たない認可外保育園の比率であります。ですが、沖縄県においては施設数でいうと約半々です。認可外保育園43%、認可保育園57%、ほぼ同率の数になっております。これが沖縄県の現状であります。園児の数においても本土とは全く違う現状があります。つまり、認可保育園に入れるまでの間だけでも、待たされているこの認可外保育園、この待合室において、子供たちに格差を強いるべきではないというように考えます。
 そして、この多くの認可外保育園に働いている保育士の皆さんにも同じように、沖縄県においては処遇改善策を適用すべきではないか。少なくとも、認可保育園が待機児童がゼロになりましたというところまでは時限立法でも構わないのでそういった権利を子供たちは持っているのではないか。保育士の皆さんは持っているのではないかというように考えます。
 そこから、提言文2に移ってくるのですけれども、その保育の質の中で認可外保育園にもこの沖縄県の振興特別予算で認可外保育園に対する対策の予算が組まれましたが、非常に使いづらいものであります。各市町村において、そのアナウンスというものが認可外保育園に対してしっかりとアナウンスされているかといえばそうではない。せっかく保育現場の環境を底上げするために、例えば300万円まで施設改善費は使えますという補助金が用意されてもそれが使われている市町村はほとんどありません。これはやはり実行力となっている市町村が単費の持ち出しを嫌うということも含めて、なかなかそれを実行していただけていないというところがあります。
 その中で、1つは給食費の補助についてもお話ししておきたいと思います。私たち認可外保育園の政策提言において示した数字としましては、新すこやか保育事業という給食費の助成があります。これは認可外保育園に対して、市町村によって少し差がありますけれども、認可外保育園は99園、認可保育園は408園。この408園というのは、根拠は平均値をとっております。この数字の出し方というのは、この間県の方々とお話をしましたが、これよりもう少し低いのではないかというようなことを言っていました。でも、私たちが申し上げたいのはこの金額の差ではなくて、本来認可保育園に入れて公的な保育を受けられるはずの子供たちが認可外保育園にいることによって、この給食費の格差はいかがなものですかというようなことを言っています。ですから、この新すこやか保育事業、せっかくの給食費の助成金を認可外保育園の子供たちに認可外保育園の運営費として、子供たちにしっかりとその格差を埋めるような給食費の助成を検討していくべきではないかと思っております。ちなみに、この給食費の助成の件で、新すこやか保育事業の件で補足の訴えでありますが、去年―平成28年4月から、認可外保育園の1名以上も届け出が義務づけられました。これまでは6名以上だったのです。6名以上であれば、届け出を義務づけ、6名以下であれば、届け出は要らないということでした。平成28年4月からは全国的に1名以上であれば、どこの施設も届け出をしなければいけない。そして、どこの施設も指導監督の監査という対象になったのですが、その新すこやか保育事業においてはいまだに6名以上の認可外保育園だけが対象になっています。ですから、これは非常に現場の窓口として、ぜひこの県の認可外保育園の担当課には、恐らく気づいていながらもこの問題を看過していると思っておりますので、6名以下にもしっかりと光を当てていただけますようお願い申し上げたいと思います。これは見守りという形のアプローチのつながりにも機能しますし、そういった形でこの新すこやか保育事業、この1名以上の届け出が義務づけられて監査を受ける義務がある保育園全てに、全ての子供たちに給食費の助成を行っていただきたいと思います。
 提言文3及び4に関しましては、この訴えを各市町村に届けてまいりました。11月23日を皮切りに県と待機児童の多い子を中心に手渡しでこの提言文を渡してまいりました。すぐ動いていただいている市町村はまちまちですが、それぞれの市町村でまず初めに訴えがありますのは、やはり先に県が動いてくれないとというような言葉があります。これは沖縄県として、その戦後処理の中の一環として、沖縄県は平成の大合併を経験しておりますけれども、昭和の大合併というものを経験しておりません。そういった中で、各市町村の財政面も非常に苦しい中で認可保育園の創設がおくれました。そして認可外保育園が下支えを行っている沖縄県だからこそ、待機児童がゼロになるまでの間は行政の児童福祉法に基づく責任というものがあると思います。ですから、格差なき保育環境をぜひ沖縄県においては、実現させていただきたいと思いまして、政策提言、陳情を上げさせていただきました。

〇狩俣信子委員長 参考人の説明は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように、簡潔にお願いいたします。
 それでは質疑はありませんか。
 新垣新委員。

〇新垣新委員 認可保育園に入れなくて待機児童になって、その受け皿となって支えてくれたことにまずは感謝を申し上げるとともに、この格差というものを真剣になって助成していくことが今問われている問題だと強く認識しています。私も市会議員4期を行ってきまして、その間民生委員会で福祉・子育て支援を担当していましたし、私の後援会関係者からも無認可保育園から認可園になったという苦労話もよくお聞きしています。
 私、平成14年に法人保育所に子供たち1人に約105万円の運営補助金、運営補助金が認可保育園は105万円あると。認可外保育園については1人当たり国か県の助成など運営補助金等はどれぐらいありますか。たしか、ミルク、パンパースはついていたと聞いたことがありますし、それ以外で今どういう形で進捗状況が、格差があるのか。労働条件、給与等そういったもろもろも認可保育園と認可外保育園の違いについて状況等を御説明いただけますか。

〇末広尚希参考人 政策提言の中にもこの金額は持ち出させていただいております。まずゼロ歳児の運営費として、保育単価と言われる厚生労働省からの形で、市町村から支払われる場合は委託費としての名称があります。これに関しましては年間、認可保育園でゼロ歳児の場合は約183万円になっております。これはゼロ歳児の平均値です。認可外保育園の場合たった1万4000円です。その差というのは約182万円、約130倍もの差があります。先ほどミルクの話も出ましたけれども、新すこやか保育事業の中で給食費のミルクであったり、そういった現金支給、いろいろな市町村によって支給の形は変われど、この額は変わっておりません。もちろん、国からの補助金は一切ございませんし、これは沖縄県の問題として捉えられるのであれば、やはり県がしっかりとこの現状を鑑みてこの格差を埋める必要があるのではないかと思います。

〇新垣新委員 現在、格差是正の中で、国はゼロ歳児から2歳児の小規模保育19名以下という形で2年前から徹底的に待機児童を解消するために市町村に対して助成をしているという状況で、一日も早く認可外保育園を認可保育園にして、いくことが1点目。
 2点目に認可外の関係者にお願いしたいことは、今年度からスタートした公園等の公共施設等の活用はどうかとか、新しい準認可制度等もわかるのですが、例えば那覇市内には大きな公園がたくさんあります。そういうのが、いろいろな形で運営団体をつくって、この公園の中に大規模な保育園をつくることはどうかということも提言という形で御検討願いたいということです。
 3点目に、先ほど4%の賃金の値上げ策というものが末広参考人から出ております。認可園はたしか約平均が16万円近くになっていると。認可外保育園の現状として給料は幾らになっているのですか。これは4%上げることによって幾らを目指しているか、その3点をお聞かせ願いますか。

〇末広尚希参考人 まず小規模認可保育園としての待機児童対策というところと認可化と言われるところをお答えします。
 話が戻りますが、無認可が差別用語という点は余り私たちとしては捉えていませんのでどうぞお気遣いなく。一応全国的にそれを認可外というように呼ぶ流れは3年前からあります。
 この小規模保育園、いわゆる地域型保育事業が平成27年度から始まりました。これは新しい保育政策でありまして、家庭的保育事業。いわゆる保育ママとして、1人が3人まで自宅で見られたりするというところ、あるいはその小規模保育園は19名以下のゼロ歳から2歳までで、待機児童の一番多い年齢をダイレクトに機動的に待機児童対策として認可園として認めようではないかというような動きであります。これは待機児童対策では非常に画期的であります。なぜなら、やはり認可保育所は建つまでに2年、3年かかるのが普通です。100名規模の認可保育所が建ったとしても、このたび那覇市で新聞記事がありますが、保育園は建ったが、定員割れが3歳から6歳まで非常に多くあると。つまり100名規模の保育園を建てても待機児童対策としては、20名から30名しか埋まらないと。それ以上は、待機児童ではほとんどおりませんので、ゼロ歳児から2歳児までのこの待機児童対策としては、小規模保育園が機動的にしっかりと機能していると言えると思います。その中で、例えば浦添市には今、200名強の待機児童がおりますが、小規模保育園を建てる計画は今はありません。そういった形で平成27年度から各市町村で一生懸命になって計画を立てましたが、今各地で見られるように、認可保育所の反対の運動が起こったり、計画どおりに進んでいないのが現状であります。その中で、小規模保育園事業に関しても、年間2園とか、多くて3園というところが公募であります。その中でこのたび宜野湾市の公募は終わりましたが、2園の公募に対して非常にたくさんの認可外保育園が応募する現状があります。ですので、なかなか機能的に認可外保育園を認可化するに当たって、あるいは子供たちが公的な保育を受けるに当たっての受け皿として、あるいは行政の施策としてはまだまだ少ないのかと。これを本当に機能的にできていないのが現状と思っております。そこも含めて、もし可能であれば、県のリーダーシップをしっかりと各市町村に発揮していただいて、この認可保育所が今土地がない、あるいは土地があっても、住民の同意を得られなくて、足踏み状態、あるいは先延ばしになっている現状を鑑みると、新しい保育制度を活用していただくことも一つの手だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 公園の件ですが、私たちの政策提言中にはあくまでも認可外保育園と、認可保育園の格差の問題を取り上げておりますので、各市町村の首長を含め、保育化の方向性というものは言及しにくく、全国的には公園用地もやはりこの土地がない現状、あるいは都心部に集まっている待機児童という本質をしっかりと公園の中にも保育所をつくっていいという法律になりましたが、なかなか沖縄県ではまだ1園もできていないというところが現状だと思いますので、御指摘は非常に的を射ていると思います。
 市町村がこうしましょうという形で公募に踏み切っていただかないと、応募しようにもできませんので、そういったことで英断を期待したいと思っております。
 4%の賃上げですが、端的に申し上げますと、大体4000円から5000円というようなところであります。それだけでも全産業で10万円低いと言われる保育士の平均賃金でありますけれども、全産業が30万円少しですが、保育士は21万円というようなところであります。これは全国の平均でありますので、沖縄県においてはもう少し低いと思います。認可外保育園は最低賃金レベルでやっとの運営を強いられておりますから、最低賃金の正社員といっても認可園と同じような働きをしている保育士に支払われているというようなところを認識していていただければと思います。

〇狩俣信子委員長 休憩いたします。

〇狩俣信子委員長 再開いたします。
 末広尚希参考人。

〇末広尚希参考人 保育士の給与について、恐らく平均値をとったことはありませんが、これは認可保育園、公立も同じような形でありますけれども、保育業界に言えることでありますが、半分が非正規雇用の契約の形が強いられています。正規雇用を求めてもなかなか認可保育園であっても、公立であっても半分が非正規雇用の状況であります。認可外保育園は半分どころか、6割、7割が非正規雇用と考えてもいいと思います。その中で、月給において平均値をとったことはありませんが、これはあくまでも時給の範囲内でしか申し上げられませんけれども、今たしか時給の最低賃金が720何円かだったと思いますが、恐らく750円が認可外保育園の賃金になってますので、御察しいただければと思います。最低賃金のぎりぎりのところがお支払いされているというところであります。

〇新垣新委員 ある程度理解はしていました。平均額が知りたかったということです。実は私の姉が認可外保育園の保育士をやっていまして、今認可になっていますが、やはりそのときボーナスはなかったという苦しい時代があったと。その格差、その労働条件は非常にあるし、また仕切りについても認可保育園の場合は国から補助金等が入っていて、子供たちが顔と顔がぶつかるげんこつみたいなけがもなくなる。無認可保育園では思い切った遊びも運動もできない。保育園によって違うがそういものは出てきていたということも認識してはいます。そこでお聞きしたいのですが、提言として市長会、町村長会に公園等において、先ほどおっしゃったように土地の問題で進まない、住民合意が進まないという問題の中で、なかなか本土では非常に苦労していると。沖縄県ならなかなか苦労しないだろうと私は正直思っているのです。ですから、認可外保育園の方々が各公園での整備等、しっかりと市長会、町村長会に認可化に向けてこれができるようにまた地域性もあると思います。地域の問題はこれは41市町村あるのですが、地域の認可外保育園に任せるということ。そういった促進という形で私たちもサポートしていきますので、沖縄県も格差是正するところは是正していくと。市町村においても国による補助のサポートで、認可化に向かうところは向かうといったことで、皆さんの苦労を早く解決していきたいと思っておりますので、そういった連携、スクラムを組んで、戦略と戦術を練っていただけないかと私は強く思うのです。国にお金はあるのです。お金があるのですが、お金を生かし切れていないのです。日本全国津々浦々問題はあるのです。その問題をしっかりとクリアするためには、やはり県と市町村の連携。また認可外保育園と連携するということも大事だと強く思っているのです。私も地元の認可外保育園をサポートしていく立場ですから、市と連携をとって、国とも縦のパイプ、横のパイプという点と線を結ばないといけないので、しっかりそのような連携、今後認可外保育園の園長サミットとの連携をどう考えてますかということをひとつ提言して、答弁を求めたいと思います。

〇末広尚希参考人 認可外保育園園長サミットですが、このたび第1回目は非常にセンセショーナルな形でやることができ、これを成功させることによって、この場があると思っています。ずっと認可外保育園は、なかなか声が届かない状況にありました。一部では離島になるのですけれども、認可外保育園というものは、医者が免許を持たずにやっているものだというように言われた園もあるくらい行政の認識そのものが、最初に前提として申し上げましたが、認可保育園に入れるはずの子供たちが同じ指導監督基準の園庭のその広さや厨房設備の給食基準があるにしても、保育士の配置基準や面積においてはさほど変わりがない中で、認可外保育園と認可保育園の差というものが、ある意味では名称だけで、あたかも許可を得てないでそのままやっている保育園みたいな形で、離島で言われた認可外保育園もあるくらい、今まだまだ沖縄県においては本当は光を当てなければいけない問題であるはずなのに、この園長サミットによってようやくここまで来たというのが現状だと思います。ですから、第2回をことしの11月3日に開催を予定しておりますので、こういった形での連携は県やできるならば国にも深めていきたいと思っていますし、ぜひ市長、町長、村長の集まるところにお時間をいただき、このような形で公園用地もぜひ私たちに活用させてくださいというような訴えをさせていただきたいと思います。ぜひアシストをお願いしたいと思います。

〇真栄城美登里参考人 ただいまの公園用地の件ですけれども、実際に二十七、八年ぐらい前、那覇市のある認可外保育園の園長先生が公園の中につくりたいということで、地域の人たちとか、あるいは認可外保育園の仲間等から署名運動もして、陳情したことがあるのです。でも、一笑に付されたような感じだったのです。時代がそこに追いついてなかったということでしょうけれども、もし、そのように公園につくったらどうかというような提案があるのでしたら、それは県なり、各市町村から、投げかけるようなどこどこの公園につくりませんかというようなそういう提案があればいいのですが、認可外保育園の園長が個人でこの公園につくらせてくださいと言っても非常に無理があると思うのです。なぜなら、今の認可保育園とか、あるいは小規模保育園をつくるにしても認可保育園は補助がありますが、小規模保育園の場合は土地あり、建物があってもそこを直さないと小規模保育園にはなれない。直すには費用がかかる。その費用も県には1園当たり2700万円準備されています。これを改築費用に使ってくださいというお金が準備されていますというお知らせがあったにもかかわらず、那覇市はそれはやりませんということで、改装費は各園長持ちになったわけです。そのようにして、認可園になる、あるいは小規模保育園になるにしても、とてもハードルが高くて、行政側がハードルを下げてこの認可外保育園が何ができるか、どうすればできるかというのを考えて、こういった資金の面でも配慮ができるようなやり方ではないと非常に難しい面があるのです。今、那覇市にある認可外保育園の先生方も認可園にしたいけれども、市からはそれはオーケーが出ないという問題をいっぱい抱えてるのです。その辺をもっと市と県が一緒になってスムーズに話し合いができるように、資金があればそれをきちんと活用できるようなシステムをつくらないと難しい面があると思います。

〇新垣新委員 真栄城参考人からお聞きした問題で、認可園の建物について補助金はつきますか。

〇真栄城美登里参考人 はい。小規模保育園に関しては、改装費は県にはあるということでしたけれども、市はそれは使えないということで、私は首里ではなくて、真嘉比に小規模保育園をつくったのですが、そのときは一銭も出ませんでした。全部自己負担でやりました。

〇新垣新委員 私もこの件は疎かった部分もありまして、私も無認可保育園から認可保育園に移るときにはついた記憶が強くあったものですから。小規模のときはつかなかったと。建物やそういった整備費に補助金がつかなかったと。そこでもう一度調べてみたいと思います。補助金がつくようにまた配慮願いたいと思います。
 最後ですが、この仮称準認可園と仮称認可保育園B型の新制度を導入するということは、国の制度がある中で、これは県に求めていることなのかという確認が1点目。ではこの問題において、厚生労働省という問題、幼保一体型という問題も出てくるものもあると思うのです。その問題はどうクリアしていくのかということをお聞かせ願います。

〇末広尚希参考人 まずは準認可、もしくは認可保育園B型というものを提言をさせていただきましたが、これは390園もある1万4000人もいる中で、例えば認可保育園がここから上だとしたら、基準の中で認可外保育園というものは言ってみれば、ピンからキリまで、390園ありますから。認可外監督基準という厳しい基準があるのですが、今その認可外監督基準を満たしているのは、大体50%ぐらいです。あとの50%は満たしたくても、例えば鍵の改修をしたくても、その鍵をすぐに改修―修繕しなければ、子供たちが危険だと知りながらもその修繕費を自前で持ち出すことができない認可外保育園もたくさんあるのです。ですから、非常に苦しい財源の中で、その認可外監督基準を満たしたとしても、そこまでのメリットというものが今ないのです。ですから、認可化が進まない今、認可外保育園についてむしろこの100かゼロかではなくて、途中の認可外保育園の準認可園というものをつくることによって、いわゆる規制を強化する形で、この中間の基準をつくることによって今まで監督基準を満たしても満たさなくても何もメリットはないのではないか。別に自己資金で行うのはないではないかといって、諦めている認可外保育園にもそこの保育の質の底上げが図ることができる。それによって、その多くの待機児童が公的な保育を受けることができるのではないかと。この根拠というのが、先ほど出た小規模認可保育園がもとになっています。今、平成27年度から19名以下であれば、保育士比率も50%で認可保育園として、もちろん保育単価は少し変わりますけれども、それでも認可保育園並みの助成が受けられる形になっています。ですから、準認可園という私たちが提言したのも保育園比率が50%。そして厳しい保育環境の指導監督基準を満たした保育園については準認可園という形で制度をつくれば、保育の質の底上げにつながるのではないかというような提言です。
 沖縄県において時限的でも構わないので、認可保育園がしっかり整備されるまでの間、待機児童がクリアされるまでの間は必要ではないかと思います。
 幼保一体型なのですが、いわゆる認定こども園を指しているのかと思います。きょうのニュースでも浦添市が市立の幼稚園を認定こども園化にすると。これについてはすごくいい流れだと思っています。今まで5歳児問題という形で、1年の二重保育を強いられていた公立の幼稚園というものが、那覇市は先にかじを切っておりましたが、続いて浦添市という形で3歳児以上の認定こども園というものが1年型の公立の幼稚園がそこに変わることによって、待機児童、あるいは小規模保育の連携施設として2歳児以降の受け皿として、機能するのではないかと思っております。これは公園用地を活用して認可保育園がふえることとはそんなにバッティングすることはないものであると考えております。

〇新垣新委員 内容は一緒ですか。

〇末広尚希参考人 はい。むしろ今、小規模保育園がふえているのですけれども、3歳児以降の受け皿の連携施設について懸念材料となっておりますので、小規模保育でダイレクトにゼロ歳から2歳までの小規模保育をふやしながら、その認定こども園を3歳児以降の連携施設というような政策はすごく沖縄県にも合っていると感じています。

〇新垣新委員 私が言っているのは幼保一体、今認定こども園と言いますが、このB型もそのようなものかという確認を聞いているのです。少し見えないところがあって、後でこの政策提言をいただきたいと思います。このB型というのが、幼保一体も含まれている。では、そのような形でどういった補助メニュー等を目指してどういった助成をしてほしいのかという認可と無認可の制度の違いをどう整合性が合うのかということを聞いているだけなのです。

〇末広尚希参考人 政策提言を皆さんはいただいていないのですか。私、陳情と一緒に出していますし、あらゆるところで一緒に出していますし、これを前提に話をしているのですが、はしょったものを用意するにしてもこれを前提として話していただかないと、議論が深まっていきませんので、その辺は少し手を抜かないようにお願いしてもよろしいでしょうか。これは公的な形でいろいろなところに出しておりますし、当然陳情書と一緒に出しております。これが根拠となるものでありますので、どうかこのあたりはしっかりとよろしくお願いいたします。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

〇西銘純恵委員 390の認可外保育園を集めて意見を集約されたというところが本当に私たちもそういう声をまとめてほしいと思いがありましたので、努力されたことについて本当に評価したいと思います。
 最初に聞きたいのは、先ほど非正規雇用が認可外保育園は7割くらいと言われたのですが、認可保育園と認可外保育園の有資格者の割合はどのようなものでしょうか。

〇末広尚希参考人 認可外保育園の監督基準だと、認可外保育園は全職員の3割が保育士であればよいという基準となっております。認可保育園のほうは少し特例で小学校の免許であればよいとか、幼稚園の免許であればよいということになっているので、ほぼ100%というような比率であります。

〇西銘純恵委員 実態は100%資格者だと認識されているようですけれども、最初、県は認可化の新設のときは6割以上ということも……。正規の資格は100%ということであれば、やはり3割の有資格者ということになるとなかなか保育の質の問題もまだ上げないといけないのかと思うのです。施設面積とか、施設の条件や基準については、認可保育園と認可外保育園というものはどのような違いがあるのですか。

〇末広尚希参考人 施設に関しては、園児1人当たりの面積について少し差があります。ゼロ歳児は3.3平米で、これは一緒です。1歳児だけが違う形になっています。1歳児まで認可保育園は3.3平米です。認可外保育園においては1.98平米となっています。それ以外は一緒です。1歳以上は1.65平米になります。ですから、ほぼ同等な基準の中で認可外保育園も運営しているというような形であります。

〇西銘純恵委員 有資格者というところが大きな違いということで理解したのですが、真栄城参考人は長い間認可外保育園で頑張っていらっしゃるということですが、認可保育園を希望しているものなのか、認可外保育園のままがいいという考え方でいらっしゃるのか。御意見を伺います。

〇真栄城美登里参考人 私は母の代から行っていて、今47年目に入りますが、私がやり始めて43年目になります。その母の代のころから認可化をということで運動はしておりました。どの園も認可化したいということであったのですが、その時代にやはり認可外保育園というのは那覇市のほうでも余り問題にされてなく、問題提起をしても、そういう結果は見られないというのが普通でした。それでもその地域で認可外保育園として行っている役割というのは非常に重要なものがあったので認可外保育園でも頑張っていく。それから保護者の方も地域の方たちも認可外保育園でも保育所としての必要性を認めてくれていたので、とてもやりがいがありました。それでもやはりこの補助金の問題というのがあるので、各園それぞれ認可化したいということを希望は持っていたのですが、認可保育園になるには非常にハードルが高かったのです。そのハードルを越え切れないのが現状でした。

〇西銘純恵委員 施設改修費とか、県がこの4年、5年で結構支援事業を拡充してはいるのですけれども、それでもまだ高いハードルとは具体的にはどのようなところにあるのでしょうか。

〇真栄城美登里参考人 まず、認可保育園になるということは、今行っている認可外保育園の施設を改修しないといけないということです。そのためには、認可園保育園になると決まれば、改修費用もあるのですが、認可されることが決まらない限りは施設をさわることができないわけです。補助金もこの改修費もありますという段階に至らないのです。これは私たちが認可保育園になりたいと言っても市がオーケーしない限りはその費用も何も全然使えないものですから、あってなきがごときの形だったのです。認可化に向けては現実味がなかったのです。

〇西銘純恵委員 390園の認可外保育園が、認可保育園にしたいという希望を持ちながらなかなかできないという話を今聞いたら、行政側が認可保育園にするために法人の設立とか、いろいろな面でやはり支援をしていく、施設整備とかも含めて行う作業があるかと思うのですが、それについて390園であわせて認可保育園にしたいという希望を持っていて、できないというのがどれぐらいつかめているのですか。そして、小規模のままでもいきたいというのは390園の中で、幾つくらいですか。実際、運営費等もそれなりに支援が来るようなものなので、その辺について数字的につかめていますか。

〇末広尚希参考人 去年の調査の中では、8割が認可保育園になりたいというように出ています。ですから何らかの本当に諦めていて、ずっと昔からやっていてこの場所でしか、やる気がないというような苦しいながらも、これは子供たちにとっていいか悪いかは別です。苦しいながらも認可保育園としてほかで建物をつくる。あるいは認可保育園となるには、今沖縄県の中では、社会福祉法人を設立しなければいけない高いハードルがありますから。あるいは小規模保育園にしても自己資金の多くを求められたりします。ですので、そういった基準に非常にハードルを感じてしまって認可保育園になれないというところがほとんどだと思います。先ほどの準認可園と関連してお答えさせていただきますと、この話というのは、認可外保育園を認可化させるための運動ではなくて、認可化が進んでいない現状を認可外保育園というのをそのままにしていいのか。もっと言いますと、認可外保育園にいる子供たちをそのままにしていいのでしょうか。認可外保育園に働いている保育士の皆さんをそのままにしていいのか。普通の保育士としての枠組みから外した形でいいのでしょうか。沖縄県の特殊事情、その歴史的背景を見ても沖縄県においてはやはりこの保育士や認可外保育園にいる子供たちに認可外保育園の運営費を支援するというダイレクトなことではなくて、その中にいる子供たちについての補助について格差がないような形で時限的でもいいので、根拠としてはそういった待機児童をゼロにするまでは行政が児童福祉法に基づいた責任を負うべきであるというところから、私たちは発言をさせてもらっているところであります。

〇西銘純恵委員 小規模保育園として応募するが、宜野湾市で二、三園しか認められなかったと。それは一定の枠を決めて、小規模を希望しても拡充を認めていない。阻んでいるというように受けとめられたのですが、それはどういう理由でしょうか。そしてほかの市町村も同じようなことがありますか。

〇末広尚希参考人 これは平成27年度に子ども・子育て支援新制度が始まるに当たって、全て―その当時は18園、待機児童がいる市町村を対象に、この確保のための方策と量の見込みという2つをもとに県で取りまとめています。それが平成29年度末までに待機児童をゼロにする計画を記してもらっています。その計画どおりに市は公募をかけているというような形でありますけれども、市が何か拒んでいるという言い方よりも、むしろ計画どおりに進んでいて、現状が計画以外のイレギュラーな現状があるにもかかわらず、この計画を修正し切れていないというようなところであります。

〇西銘純恵委員 平成29年度までの計画そのものが、去年県の計画を既に達成したところもあるし、実際は計画を見直し、計画が達成されても待機児童は減らないと。計画そのものが低かったという指摘は既に県や市町村も認識が共有されている時期なのです。そういう意味では改めて今の計画を見直すということになれば、確かに小規模保育園についても認可園についても、もっと引き上げていくのかということを思います。希望されている方が多いというところに苦肉の策で、「準」ということを使われたと思いますが、認可外保育園に対しては厚生労働省は余り予算をかけていないのです。けれども、沖縄県が独自に行っている―私が評価してほしいと思うのは、認可以降の施設整備事業は5000万円まで引き上げられました。そのうち県が10分の9を持って、市町村が10分の1という。この5000万円というものはある意味では一定規模の認可化というものはとてもやりやすい支援事業ではないかと思ったのです。この施設改修の助成事業についてこの認可化を希望された8割の皆さんは周知されていて、そういうのも活用していきたいというところがあったのでしょうか。

〇末広尚希参考人 まず、大きな1点があります。これは5000万円まで使えます。認可化移行支援をしますと言っても、社会福祉法人の設立というものが前提としてあります。その時点で、土地もしくは何らかの大きな財産を持っていないと、それがただ認可外保育園が希望したからといってできるものではありません。これが全てです。

〇西銘純恵委員 条件そのものも認可化が実効的にできるような改善が必要というところについては、意見としてあるはずです。やはりそこが、県や市町村と取りまとめていくという、法人を設立するに当たってのクリアすべきものをやっていけば改善できるというものを聞きました。そこは見通しが持てる部分だと思います。
 もう一つ、県の事業ですが、認可外保育施設の研修事業ということで、先ほど1人の児童から認可外とみなして、給食費や新すこやか保育事業の対象になったとおっしゃっいましたが、そうですか。

〇末広尚希参考人 平成28年度の1年前から1名以上から届け出が必要になりました。これまでは6名以上においてだけ認可外保育園は届け出が必要とされていました。それに基づいた形で、新すこやか保育事業は6名以上の保育園にしか補助をしていなかったのです。それが義務づけられた基準が変わって1名以上というようになって、全ての保育園にようやく光が当たる準備が整ったにもかかわらず、新すこやか保育事業はいまだに6名以上を対象としていて1名以上というところにはなっていない。

〇西銘純恵委員 わかりました。そこも大事な部分だと受けとめました。
 1施設当たりの研修を受けたら13万円支給する事業があるのです。これは認可外保育園の皆さんにとって結構使いやすいと思ったのです。例えば、クーラー切りかえとか、いろいろな絵本を購入するなど、研修を受けるということであれば、390園の施設が皆毎年研修を受けて、13万円については、支給受けることができるものなのかと思っているのですが、どうですか。

〇末広尚希参考人 この13万円の補助金ですが、いわゆる認可外保育園が、研修を受けることによって、施設の質の向上につながるように13万円まで使えるという補助金です。しかし、これは使いやすいとおっしゃったのですけれども、全く使いづらいです。なぜかというと、今クーラーの話がちょうど出たので、クーラーを題材にします。クーラーが必要となるのはちょうど今の時期です。5月、6月に買いかえる。あるいはここで欲しいというところでつけていただく。ですがこの13万円の補助金は12月のみの日付の領収書ですとか、年によっては11月の中旬からとか非常に使いづらい。この間に買った商品そのものだけに対象とされていると。これが県の基準にないのですが、市町村においていろいろな事務作業の手間を惜しんでいるのだと思うのです。そういったところで非常に使いにくい補助金になっています。

〇西銘純恵委員 わかりました。これをしっかり使ってほしいと思ったものですが、どこに問題があるのかということはわかりましたので、改善に向けていきたいと思います。皆さんの要望に応えられるのはどこまでか、またこれからの検討課題と思うけれども、わかっただけでも、すぐに前進できる部分はあるのではないかと、思います。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 金城泰邦委員。

〇金城泰邦委員 さまざまな要望・提言等を伺いまして、改めて認識できた部分としては、国策としてやっている待機児童解消対策の中で、認可外保育園の認可化とあるのですが、先ほど参考人がおっしゃったように本土の認可外保育園というのは、やはり任意できちんと目的を持ってやってるけれども、沖縄県は歴史的に保育園が足りなくて、そこで自分たちとしてはどうしても受け皿づくりとしてやってきた思いがあるというお話をされました。その辺が沖縄県の独自性であるし、多分今の政策としての認可外保育園への支援策というのは、本土と同じような保育園であるという認識のもとでされているので、皆さんの求めているところの基準がうまく合っていないと。これはミスマッチになっているとイメージを持っているのです。その中で、沖縄県としては、委員会に提出していただいた資料がありまして、認可外保育施設の状況ということで、これは平成27年度時点ですけれども、証明書が交付されている交付済みの施設が269園あります。その中で認可化移行予定が101園あります。認可化移行を予定していないところが合計168園あると。その中で認可化移行の希望なしが104園あるのです。施設の認可化を希望しているのですが、していないのが64園。つまり希望していない園も確かにあるのだという認識もできますし、したいけれどもなかなかそれができないと。内訳としては自己資金がないとか、土地建物がないとか、保育士の確保が困難であるとか、市町村の計画に位置づけされていないとかという部分ですが、皆さんのこの390園もある保育園の中でもそういった部分ということについて、参考人としてはどのように感じておりますでしょうか。

〇末広尚希参考人 先ほど私が申し上げた80%がやはり希望しているというような数字が合致してよかったと思います。私自身、県内のさまざまな園長の声を聞く中で、この社会福祉法人を設立するためには財産的なハードルが高いということがある以上、認可外保育園がなかなか認可化というところには行かないのかと。県はしきりに認可化を中心にという言葉をずっと言っていますけれども、現状を見ても認可化というものはほとんど進んでいないではないか。もともと土地とか、財産を持っている認可外保育園は非常に少ないのです。それを条件とした形で、1年越し、2年越しの2年間、あるいは1年間の認可化移行支援というものを受けて、認可保育園になっていくということがこの補助金の性質でありますけれども、なかなか今の現状で言うと、認可外保育園が認可化されていくのは、非常に難しいのではないかと。頭打ちではないかと思うぐらい非常に危惧しております。ただ、再度申し上げますが、認可外保育園を認可化にするために、規制を緩和してくださいということは言っておりません。これを社会福祉法人立、2002年から株式会社でも認可保育園をつくれるようになりました。ですけれども、なかなか沖縄県ではそれが認められていません。それも1つの問題点としてはあるのですけれども、決して緩和するのではなく、むしろ今ある認可外保育園を県の財産として、資産として、人的資源として捉えていただいて、その地域で運営していく。この認可外保育園を応援していく。つまりその中にいる子供たちの格差を是正することによって、認可保育園に必ずしもなっていかなくても、少しの助成によって、このような大きな格差を少しでも埋めることができるのではないかというようなところで、準認可園制度やあるいは新すこやか保育事業に見られる、その給食費の99円と408円という食の命の安全をぜひ守っていただきたいというようなところであります。

〇金城泰邦委員 これまでお話を伺っております中で、準認可園の構想であるとか。特に末広参考人がおっしゃるように子供たちの格差をどう埋めるかというところを私は非常に大事だと思っています。その観点から行くと国の施策で持たされている保育士の4%改善であったりだとか、適用を認可外保育園でもという追従するような形ではなくして、沖縄独自の特措法的な形で、子供たちの支援の格差をどう埋めるかという部分で、認可外保育園の皆さんたちの独創的な発想、逆にまた現場の声をストレートに反映した要求というものを、県に対してもより具体的に出していただくことも一つの考えではないかと思うのです。その辺はどうでしょうか。

〇末広尚希参考人 前提の知識として、先ほど申し上げたとおり、認可外保育園とはというところで、ただの個人事業主として見られている部分が否めなかったので、ようやく昨年の園長サミットを皮切りに認可保育園に入れない人たちが、親子が待たされている、ある意味では待合室のようなところという前提が沖縄県においては持つことができたというのは大きかったと思います。ここから先は、やはり現場の声、親子の声をしっかりと反映させた形で具体的な案をどんどんと上げられるような仕組みといいますか、もっと関係性をつくっていければ、本当に現場で起きている本質的な保育現場の問題を格差をなくすための声として、具体策として届けていきたいというように思います。これはことしも開かれる園長サミットでも具体的な策、もしくは準認可園制度に見られるようにこれをもう少し煮詰めて再度決議するのかもしれませんし、やはり今このまま放置しておくわけにはいきません。やはりこれは是正を図っていただくまで、声は届けていきたいと思います。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

〇照屋守之委員 認可外保育園と認可保育園。以前からやはりこの差というものを含めて、いろいろ考えているのです。例えば認可保育園があって、認可外保育園がどんどん出てきたという。これはやむにやまれずという説明がありますけれども、自主的にその子供たちが好きで、自分たちで認可外保育園をつくっているのです。経営してきたわけです。最初からその差があるというのはわかっているわけです。わかっていてやるわけです。何年間か経営をずっとやり続けてきて、社会に貢献してきたという理由があるわけですね。だから私は、認可外保育園の皆様方は認可保育園にない独自のそういう保育のプランをつくって、料金も高いかもしれないけれども、認可保育園ができない、あるいは役所の直営ができない分を担っているというプライドがあってやっているとずっと思ってきたのです。ところが最近は、その認可保育園と認可外保育園の補助の違いとかいうようなものが非常に大きくクローズアップされて、これはおかしいのではないかと。市民や県民からしても何で同じ県民の子供たちが、一方でこれだけの処遇を受けながら、一方はそうではないものというような形でやってはいるのです。だからここは今のアプローチの仕方というのは、やはりもう少し認可外保育園の方々も方法を変えてやったほうがいいのではないかと率直に思います。というのは、先ほども言いましたように、もし自分が認可外保育園をやっているのであれば、プライドを持ってやるからそれはそれとしていいのだけれども、ただそこは、その違いが含めてこれは我々のような議会とか、あるいはほかの市民からそういうことをどんどん問題提起させるというようなこと。それとやはり県の対応を含めて我々が考えているのは、あくまで認可保育園を中心にやっているということだから、認可外保育園は見ていないのです。何かおかしいのではないのと言っても、やはりこれはそういう児童福祉法に基づいた形でというあくまでそういうようなもとでやっては来ているのだけれども、本来はこれまで認可外保育園の方々が長年にわたって県民のそういうものを担ってきたということを考えていけば、それは本来は民間がやるべきものも役所がやるべきものもやってきたのですね。そういうことになれば、本来、そこの立場を尊重して、今の待機児童問題をこの人たちの力もかりてやろうというようなことを考えていくのであれば、真っ先に認可外保育園にスポットを当てて一緒に対応すべきだと思うのです。それができていないというのは、やはり残念ながら行政や周りもそうですが、認可外保育園に対する信頼度のようなものがまだ構築できてなかったという部分があるのではないかと思うのです。ですから、ここは我々もそういう立場で反省しなければならないと思っておりますし、当事者である皆様方も園長サミットをやって、そういうスタートラインに着いたということに含めて、これからどういう形で、自分たちが県民の子供たちを担ってきたというプライドを大事にしながら、今の現状の中で、どのような形でそのこれだけ差があるものについて、本当に改善をしていって、役所、行政にも目を振り向かせてやっていくのかということはこれを真剣に考えないといけないと思っているのです。信頼の構築だと思っているのです。だから、これは簡単に皆様方が要求するものを役所がわかりましたとやれるようなものではないと思っているのです。今、県が責任を持って、もしこれを要請事項をやるのであれば、県は市町村にそれだけの財源の責任を負わないといけません。それだけの覚悟をまだ持ち切れません。ですから、そのような現状の中で、皆様方が思い悩んでいること、沖縄県の抱えている待機児童の問題も含めて、どうしていくかということをやはり真剣にお互い考えていかないと、これはなかなか難しい課題です。だから私はやはり信頼を行政、あるいは県も含めてそれぞれの市町村としっかりとこういう問題については認可外保育園の皆様方に相談しようと言えるぐらいの信頼構築というものは大事ではないかと思うのです。その辺はどうでしょうか。

〇真栄城美登里参考人 昔、県や市にお話に行ったときに、ある方があなたたちは好きでやっているのでしょう。それならこの辺にあるマチヤグヮーと同じではないのと言われたことがあるのです。今、聞いて少しそれを思い出したのですけれども、やはり好きでやってはいるのですが、必要に迫られているということもあるのです。
 保護者の方が子供たちを預ける場所がない。特に沖縄県は認可保育園の整備がおくれているので、共働きしようにも子供を預けるところがない。でも最初のころはおじいちゃん、おばあちゃんがいたり、近所の方々が見たりと、こう沖縄独特のユイマールという精神でできていたのですが、やはり時代の流れとともに核家族がふえたり、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんたちが昔の50歳、60歳はもう引退という形でしたけれども、今でしたら、まだまだ働ける。自分の生活が中心だという感じになって、どうしても保育園という組織が必要になってきているわけです。それでも、やはり沖縄県全体を見ても、認可保育園が追いつかない。保護者の要求に追いついていない。認可保育園に入るために2年、3年待ったということはざらだったのです。そのうちに子供は成長します。待ったなしなのです。そこで認可外保育園も必要に迫られてふえてきている。ただ、好きだからやっているだけではないのです。保育料が高いということもあるのですが、高くてもそこに預けなければ、保護者は生活していけない面もあるわけです。だから、私たちから考えてみたら子供1人預けるのに3万円かかる、2人預けて6万円、お母さんがパートに行って7万円もらって、それは割りに合っているのかしら。働くだけの余裕というものは経済的にできるのかしらとこちらが心配するのです。そのようにしてでも働かないといけない現状もあるし、またお家で子供と向かい合ってずっと子育てをしていることができない若い人たちもふえてきて、子供の育て方のノウハウも知らない人たちに保育所の先生方が親のかわりに教えてくれたりということもあるわけです。だからただ好きでやっているだけではなくて、本当に必要性があってそこに保育園ができてくるという現状があると思います。

〇照屋守之委員 ですから、役所や我々議会も含めて、そのようなギャップがまだあると思うのです。役所はやはり認可保育園というあるいは直営という保育園を通してそういういろいろな仕組みの中で、子供たちを安心して預けられるという、要するに責任をしっかり持てるという安心感を求めて行政はそういう形で子供の保育を行うわけです。
 一方で、認可外保育の分についてはもちろんそれぞれさまざまなお考えのもとにこのような必要に迫られてやってきたというのはありますが、世の中の考え方のギャップを含めて、そこの部分がやはりまだ公の部分できちんと統一した形で認められていない部分があると思うのです。ですから、そういうところをやはりそうではないよという今のお話をお伺いすることでわかってきます。その辺も含めて、認可外保育園の果たしてきた役割をやはりいろいろな分で、県議会で議論しておりますから、それぞれの市町村も含めてやってきて、改めて、今の待機児童の問題をそこの部分だけでいいのか。あるいは、今のものに対してもっと別の仕組みをつくって、予算をつけてそういうものができないかどうか。今の仕組みでできなければ、新たに沖縄県だけの特別の仕組みをつくってやるのかとかです。そういうものがやはり緊急に必要だと思っているのです。ですから、この4%の賃上げとかというようなものはそこはそことしていいわけだけれども、ただ今までの流れの中でやってきて、とりあえず大体どのくらいとかというようなものを4%ではなく、まずは2%でそのような仕組みはできないかとか。今よりさらに改善できるような仕組みができればいいわけです。これまでの役所の考え方をこれまでの我々の考え方も含めて、今起こっている問題と、これからの待機児童解消のために新たに認可保育園をつくる。それを口で言うけれども、現実的には厳しい。認可外保育園はこれだけ一生懸命頑張っていらっしゃる。そこの中で、どうしていくかということはやはり少しの知恵と、お互いの連携が必要な気がしますが、いかがですか。

〇真栄城美登里参考人 以前に認可外保育園に補助をというような運動もしたときに、認可外保育園は法の外にあるから補助はできませんと言われたのです。でも認可外保育園に子供たちがいる。そこに認可外保育園として保育園施設があるということは現実ですので、そうであれば法の外は見られなかったら、この子たちを法の中に入れてくださいとお願いしたいのです。その法の中に入れるということが結局、準認可だったり、準認可ということは正式ではないのですけれどもそういうものだったり、あるいは今促進している認可保育園、あるいは小規模保育園、それをもっと自由に私たちが希望すればそこができていくのかというような行政側の歩み寄りが必要だと思います。そうすれば、この子たちが法の中に入って恩恵が受けられると思うのです。今は希望してもできないという部分が大きいものですから。でもそこには子供たちがいるのです。那覇市の子供、各市町村の子供たちがいるのです。子供たちはどんどん成長していきますから、本当に待ったなしなのです。

〇狩俣信子委員長 次呂久成崇委員。

〇次呂久成崇委員 園長サミットで、やはり多くの園長の皆さんが集まってこのような政策提言をなされたということなのですが、もう少し、私は例えば、認可外保育園の現状というものをしっかりとデータ化したほうがいいと思っています。なぜなら、例えばこの保育士の有資格者の割合等もこの指導監査の中で最低でも3割配置してくださいとあります。しかし、実際にどのくらいなのか。先ほど非正規雇用の方の時給の話とかもあったのですけれども、まずそのような配置は平均的にどのようになされているのか。そしてまた、平均的な保育料がどれくらいなのか。そして、この認可外保育園がどのような運営状況なのか。平均的なデータとかあれば、この保育士の処遇改善の4%という根拠というものをもう少し明確になるのではないかと思います。私が一番聞きたいのは、この沖縄県独自の準認可園、この基準とかですが、今指導監査、また立入調査のほうで基準をクリアしていると証明書の交付がありますね。私は実はこの認可外保育園でも証明書を交付されている園とされていない園があって、交付されていれば、やはり新すこやか保育事業が適用されると。交付されていなければまた補助はもらえるものが少ないですよとか、いろいろ自治体によっても基準があると思うのですが、皆さんが言う準認可園というものは、一体どのような基準を考えていらっしゃるのか。私は立入調査で証明書をもらったらこの証明書も本当は認可外保育施設の看板と一緒に証明書を交付されている園ですというような表示があってもいいのではないかと思っているのです。それと合わせて、皆さんが言うこの独自の準認可園は、それよりもまたさらに基準が上で、認可保育園よりは下だけれども、そういう独自性の基準を持った園ですということをきちんと自分たちでもアピールできるような園として認定してほしいということを考えていらっしゃるのか。そこら辺のお考えをお聞きしたいと思います。

〇末広尚希参考人 もう一回前提を、おさらいします。
 私たちはあくまでも認可外保育園を何とかしてほしいということではないので、今は認可外保育園にいわゆる待機児童というキーワードとして認可外保育園に、言ってみれば認可保育園を待つまでの間だったり、今認可外保育園に1万4000人もいますが、調査の中では約7割が待機児童になっています。保育に欠ける、保育を必要とする子供が約7割です。ですから、その子たちを焦点にお話をされたほうが恐らく議論がかみ合うのかと。ですから、認可外保育園に何らかの証明書を表に張って、私たちを選んでくださいよと言う前に、認可外保育園では特にゼロ歳、1歳、2歳はどこもいっぱいです。認可外保育園に預けられなくて、認可保育園にも預けられない。2月末に不承諾通知が市役所から送られてきて、そこから初めて、認可外保育園を探し始める。それでも、もうどこも預けられない。預けられないと仕事ができない。あるいは、仕事ができなくてやめざるを得ない。そういったいろいろな現状があります。もう一つ言うと、私たち認可外保育園がなぜここまで強く行動できるかという理由が、待機児童の親と一番接しているのが認可外保育園なのです。認可保育園は市役所から送られてくる親御さんと初めて接します。そもそも1万4000人の中で待機児童が2200人しかいないのです。申し込みする前に7割も保育に欠ける子たちは諦めているのです。認可外保育園にどうにか我が子を預けてほしいと言ってきて、私の保育園の玄関から帰らないのです。この子を預けないと生活、この子を守るため、いろいろな形でもう帰れないのです。こういった待機児童と言われる親子を一番身近に接しているのは認可外保育園ということをまず知っていただきたいと思いますし、それが私たちの理由になると。ですから、認可外保育園をどうにか選ばれるためとそういった問題ではなくて、本来格差を強いられるはずのない子供たちにこれだけの差がありますと。当然私たちは保育を志して、認可外保育園いわゆる私立の認可外保育園を建てました。本土では、例えばゼロ歳児だと平均10万円の保育料を取っているのです。でも私たちは家庭の負担を考えてせいぜい3万円から3万5000円しか取れない。そうなると運営も非常に苦しい状態で、ただこの運営が苦しいから何とか補助をということではなくて、例えば給食の一汁三菜を給食で上げたくても、一汁一菜だったりします。もう少し運営費の補助があれば、給食費も含め、栄養士を雇うようなゆとりができて、子供たちの食の安全を守ることもできる。そういったところで、非常に本当に底辺な部分から、この格差問題というものを考えていただかないと認可外保育園が何とか運営を保っていくためではなくて、本来認可保育園に入れるはずの子供たちが認可外保育園に入れられているという行政側からの視点を持って、ぜひこの対策を考えていただきたいと思うのです。ですから、何とか我が子を預けたいという帰るに帰れない自分を責めている親がいっぱいいます。私たちも受け入れたくても受け入れられないのです。受け入れたとしても、そういった格差を私たちは全力を尽くしていますけれども、現状こういうことがあるということを私たちはやはり声を上げる責任があると思いますし、行政側にもその格差を埋める責任があると思っています。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 亀濱玲子委員。

〇亀濱玲子委員 この前の園長サミットで390園の中の80%が認可化を望んでいるというようになっていたそうです。そのアンケートの中で準認可園をアンケートの中で望みますかということをおとりにならなかったのですか。認可保育園、あるいは準認可園でなぜそれを聞くかと言いますと、皆さんはそこで決まったことを要望書として、陳情書として上げています。準認可園を認めてほしいということを上げているのではないですか。だから、その要望がそこでまとめられた皆さんの要望であれば、皆さんの要望は準認可園を求めているはずです。しかし、ここでとったアンケートは認可化を求めているのが80%となっています。この兼ね合いについては皆さんはどのように判断されていますか。

〇末広尚希参考人 提言文を決議するに当たって全会一致で賛成と。ですからそこに参加された全ての保育園が準認可制度に賛成というところであります。

〇亀濱玲子委員 準認可園を求めるけれども、認可化も求めるというようなスタンスと理解してよろしいのですか。

〇末広尚希参考人 これは各園に委ねられていることですので、私はここで申し上げることはできない部分はあるのですが、認可化というものが頭打ちになっているという現状をやはり知っていると。先ほど金城委員から数字のお話がありましたけれども、約8割が望んでいながらでもやはり断念しているというところの中で、苦肉の策として準認可制度というものを決議したものですから。これがどちらもなのか、片方なのかというところをを聞く必要はないのかと。そもそも無認可保育園になりたいという方々は何らかの形で各市町村でエントリーされていて、それでそのまま、この認可外保育園としての運営を選択せざるを得ないという状況になっているのでというところでしょうか。

〇亀濱玲子委員 私は、沖縄県において認可外保育園は本当に大事な役割を担ってきたと思っています。それを経営されている方がプラットホームといいますか、待合室のようなことをおっしゃっていたのがとても私は気になっていて、その中でも子供たちは育っていくわけですから。私たちが今考えるべき視点は、保育の質をどう担保するかという視点でまず質疑をしたいわけです。だから先ほど次呂久委員がおっしゃっていたようにそれを選ぶ親もいるのです。宮古島でもそうですが認可外保育園を選ぶ親もいます。なので、私は非常に劣悪で認可保育園を選べない人が仕方なしに選んでいるというような側面もあるかもしれませんけれども、そうではなくて、しっかりプライドを持ってその認可外保育園を経営されている方も知っていますので、そういう意味では待合室みたいなのが少し気になりました。あえて聞きますが、準認可園というものは、一定程度やはりどういう中身なのだと、子供の保育の質を担保するにはどういう中身なのだと示す必要があるだろうと思っています。なぜなら、県の処理方針では、保育の質と、保育士の処遇改善を図るためには、やはり認可化に持っていくということが皆さんの出された準認可園を認めてくださいという中の処理方針として、県は認可化なのです。認可化の促進なのです。ですから、それをあえて乗り越えていこうとすると、準認可園が子供たちにとって、どれだけの質の担保をしていくかということを示す必要があるのではないかというように思っているのです。背景はわかります。背景にこういうつらい状況があってそれを訴えなければいけないというようなお立場もわかりますが、この準認可園を示すからには、準認可園でどれだけ質の担保を図っていくのかということが描けなければいけないのではないかと思っています。私は先ほど次呂久委員が聞いたのに、参考人がお答えいただている内容が少しかみ合ってなかったので、多分ここなのだろうと思います。認可外保育指導監督基準を満たしているということと、保育士比率が50%以上配置されているということを一定程度の2つの柱にして、準認可園というように一定の柱を持ってらっしゃいるのかと思っているのですが、そういうことですか。

〇末広尚希参考人 まさにそれを前提でお話をしているつもりですので、当然その根拠となるのは、新しい支援制度の中で小規模認可保育園という形で保育士と比率が50%でも19名以下であれば認可園として認めますという国の基準が新しくなりましたので、そういったところを根拠にした形でその一つのアイデアとして。これは一つのアイデアをやってこれを細部にわたるまで具体的にと言われると。これから時間を要しますが、むしろ、それを受けるに当たって、担当部課、県庁の中でしっかりやるべきだと思いますし、先ほど待合室とあえて言いましたけれども、それがインパクトとして残っていただけると非常にありがたいと思います。逆にそのような認識を持っていただかないと認可外保育園を選んでいるから、選んでいる人もいるのでしょうとか、そもそも認可保育園を入所するために望んでもそこの窓口まで行かない人たちはかなりいるという現状を待機児童をゼロにします、解消しますと選挙のたびに言うのです。ですけれども、この本質をわかっていただかないと、これを空手形と言わざるを得ないですし、本質を捉えていないというところであります。

〇亀濱玲子委員 認可外保育園の子供たちへの補助というのは、もっともっと充実させていかなくてはいけないという課題は、それも本当にみんなの共通する課題ですので、しっかりとそこはやっていかなければいけないことですけれども、この地域の保育園、準認可園というものは、自治体が認める保育園はほかにもあったりしますけれども、もう少しこの内容が見えてこなければ、少しわかりづらいということが一つ印象としてはあります。
 それと例えば、認可保育園で定員割れが新聞に出たりしています。それについての御意見があるようでしたら、お聞かせいただけますか。

〇末広尚希参考人 その定員割れの話は、私も保育園の代表としてインタビューを受けた者としてお答えします。
 これは端的に言うと、先ほども説明しましたが100名規模の保育園をつくっても3歳以上のスペースはあいてしまうというところで、現状と対策のミスマッチというところです。ゼロ歳児から2歳児については保育園では埋まっています。ここは予定どおりです。もちろんこれだけの待機児童がいるわけですから。ですけれども、3歳、4歳、5歳というのは当然待機児童比率が少ないので、那覇市においては約680名の定員割れが起こっている。片や700名の待機児童がいると、この680名の待機児童は3歳以上を指していて、700名の待機児童はゼロ歳から2歳を指していて、定員割れというのは3歳以上のスペースを指しているというようなところです。
 もう一点、最初に質問がありました、もっと具体的にあるいはどのような形でという準認可園ですが、例えば東京都ですと、「認証保育所」という形で東京都独自でつくっています。認可保育園と認可外保育園の間を埋めるような認証保育所をつくっている。横浜市も横浜保育室という独自の形で待機児童が多い東京都、沖縄県、待機児童率でいうと沖縄県はワーストです。ですから、そういった独自の政策がない沖縄県というのは、やはり問題ではないかと思います。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 平良昭一委員。

〇平良昭一委員 陳情書にもありますが、保育士のモチベーションが下がっていくというような話がありました。その中で、子供たちも保育士も平等の権利を持っているということは、まさしくそのとおりだと思います。差があるということはあってはいけないということはわかります。しかし、やはり現状には、待機児童というのが、かなりいるということを、今踏まえているつもりであります。しかし、ここ4年、5年で我々地方にいる方々、今私はヤンバルですけれども、待機児童ということは全く話にも出てこなかったのです。その中で、先ほど園長サミットをした中で、そういう方々の御意見等というのもあったのでしょうか。認可外保育園の先生方は参加されてますか。

〇末広尚希参考人 主に待機児童がいる、いわゆる認可外保育園が多くある市町村が協議会を出していて、そこで代表が決められていて、その代表が席に座った形でありますので、待機児童がいる―平成27年度で言うと18市町村が該当するのですが、それ以外の待機児童がいない、いわゆる認可外保育園がほとんどない市町村においては、園長サミットに参加しておりません。

〇平良昭一委員 採択された政策を提言として、各市町村を回ってきたと言っています。その中で提言の3番目に沖縄県においては市町村への指導を行える県の強いリーダーシップが必要であるということと、それと無用な衝突が起こっている市町村の窓口に格差が出ないように新たにシステム構築したいということを言っておりますので、当然いろいろ回ってきたということの成果があると思いますが、やはりそれぞれ市町村で対応が違っているということですか。

〇末広尚希参考人 おっしゃるとおりであります。
 平良委員の御指摘のとおり、市町村によって県がせっかく施設、修繕費300万円を用意をしても、あるいは13万円の補助金などいろいろな形で用意してもこの地域の市町村の実行力、あるいはその説明能力というと少し語弊がありますけれども、そういった形での差があります。ある市町村ではこの補助金が全く使われていないところもありますし、無用の衝突というのをこの年に1回、指導監督基準を満たすための監査が行われるのですが、年によってこの県の監査員によって、言っていることが去年と違ったりですとか、隣の保育園と全然違うことを言ったりですとか。そういった曖昧な指導監督基準の中ですごく衝突が起きていると。この衝突が起きることが問題ではなくて、衝突が起きることのその向こう側には認可外保育園と行政との溝がすごく深まるということでなかなかその問題点が行政に上がりにくくなっていくことについて、非常に私自身は心が痛いと思ってます。

〇平良昭一委員 園長サミットが昨年の11月に開かれた中で、この陳情が出されたことについて、本会議の中でもその問題が出ました。その中で事前に調整したときに県の担当の職員に聞いたのです。これは各市町村でやる気のあるところ、ないところの違いが皆さんは感じますかということを聞いたら、明らかに感じると言っているのです。そうであれば、県も責任がありますが各市町村に対しても責任があるということをはっきりと思うのです。その中で、1つ気になるのは、私はヤンバルですので、ヤンバルのことを話しますが、いわゆる公立、町村立の保育園があったときに、あのときは準保育もやっていました。いろいろ社会福祉法人の保育園に徐々に移行してきたのです。それは何かというと公務員の削減、いわゆる保育士の先生方を削減するということが裏にあったと思うのです。やはり最初にモチベーションが下がるというのは、そういうところからもあると思いますが、過去にそういう状況があったことについて各市町村は引け目に感じているところがあるのではないかと思うのです。これはある面では、行政のトップの判断にもよりますので、公立を民間に移すと。そこでいわゆる認可保育園に認可をするのですけれども、明らかに待遇が違ってくると。それが今のような状況を生み出してきている要素があるのではないかと、私なりにこれを心配しているのです。その辺を感じたことはございませんか。

〇末広尚希参考人 おっしゃるとおりです。市町村によってその首長のリーダーシップ、あるいはその問題意識の持ち方によって、全く違うと思っています。ただ、その懸念されていることについては、端的に言うと感じたことはありませんので、これからその新世代の皆さんが保育を必要とする、あるいはその貧困と言われている沖縄県でありますから。本来だったら保育料が無料のはずの親子が認可外で3万円以上のものを支払うというようなところも現状としてはありますので、そういった新しい問題が出てきているのかと思います。

〇平良昭一委員 私は非常に保育士のモチベーションというのが気になるものですから。我々いろいろ調整して、看護師あるいは栄養士あたりが、県内の方が県外で働いているという状況が最近出てきているのです。そういう県内の保育士を目指す方々が県内の保育園で働きたくない。県外に出て行きたいというような状況が出てくることは非常に懸念される問題なのです。その辺の状況について最近感じられるものがありますか。

〇末広尚希参考人 県内で保育士の有資格者が2万人少しいるのですが、約6割程度しか保育士として従事していません。この理由については、5年以内に80%が離職をする、あるいは転職するというデータがありますが、一番は処遇。端的に言うと割りに合わないというところです。ですから、県外に保育を志して、保育士をやめたくないというところで移っていくことも想像できるというように思っています。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

〇狩俣信子委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、真栄城美登里参考人及び末広尚希参考人に対する質疑を終結いたします。
 この際、委員会を代表して、参考人に一言お礼を申し上げます。
本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
 真栄城美登里参考人、末広尚希参考人、大変ありがとうございました。 
 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人等退室。また、議題の追加について協議した結果、参考人招致についてを議題として追加することで意見の一致を見た。)

○狩俣信子委員長 再会いたします。
 参考人招致については、休憩中に御協議なさいましたとおり議題に追加し、直ちに審査を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 参考人招致についてを議題といたします。
 陳情第19号北朝鮮による拉致の可能性を排除できない沖縄県民の早期救出と真相解明を求める陳情の審査のため、陳情者を参考人として出席を求めるかどうかについて、休憩中に御協議をお願いいたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、陳情者を参考人として出席を求めることについて協議)

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 陳情第19号について、本委員会に陳情者を参考人として出席を求め意見を聞くことについては、休憩中に御協議いたしましたとおり決することとし、その日程及び人選については委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。
 次回は、明 5月19日 金曜日 午前10時から委員会を開きます。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

 委 員 長  狩 俣 信 子