委員会記録・調査報告等

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文教厚生委員会記録
 
平成27年 第 6定例会閉会中

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開会の日時

年月日平成27年2月9日 曜日
開会午前 10 時 4
散会午後 3 時 1

場所


第2委員会室


議題


1 参考人からの意見聴取(陳情平成26年第46号、同第79号について)


出席委員

委 員 長  呉 屋   宏 君
副委員長  狩 俣 信 子 さん
委  員  又 吉 清 義 君
委  員  島 袋   大 君
委  員  照 屋 守 之 君
委  員  新 田 宜 明 君
委  員  赤 嶺   昇 君
委  員  糸 洲 朝 則 君
委  員  西 銘 純 恵 さん
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  嶺 井   光 君


欠席委員

なし


説明のため出席した者の職・氏名

(参考人)(陳情平成26年第79号について)
  西原町教育委員会教育長      小橋川   明 君
(参考人)(同第46号について)
  沖縄・民間戦争被害者の会会長   野 里 千恵子 さん
(補助者)(同第79号について)
  西原町教育委員会教育部長     新 垣 洋 子 さん
  西原町教育委員会教育総務課長   外 間 哲 巳 君
  西原町教育委員会教育総務課主幹  宜次富 清 博 君
  西原町教育委員会教育総務課主事  又 吉   諒 君
(補助者)(同第46号について)
  沖縄・民間戦争被害者の会副会長  瑞慶山 良 實 君
  沖縄・民間戦争被害者の会監査役  阿 良 光 雄 君



○呉屋宏委員長 ただいまから、文教厚生委員会を開会いたします。
 参考人からの意見聴取についてを議題といたします。
 参考人として、西原町教育委員会教育長小橋川明氏及び沖縄・民間戦争被害者の会会長野里千恵子氏の出席をお願いしております。
 参考人からの意見聴取を行います。
 参考人からの意見聴取については、去る平成26年10月7日の本委員会での決定に基づき陳情平成26年第46号及び同第79号の陳情審査の参考とするため、陳情者等からそれぞれ説明を求めるものであります。
 まず初めに、西原町教育委員会教育長小橋川明氏から説明を求めます。
 お手元にあります事務局配付資料の資料1をごらんください。
 小橋川明参考人から新垣洋子氏、外間哲巳氏、宜志富清博氏及び又吉諒氏を、それぞれ補助者として出席させ、必要に応じて発言させたいとの申し出がありますので、委員長として同席を許可したことを御報告いたします。
 参考人及び補助者の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 参考人から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人の説明を聞く場でありますので、参考人が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それではまず初めに、小橋川明参考人から、陳情平成26年第79号被災児童(脳脊髄液減少症)の救済に関する陳情について、事故に対する対応状況及び今後の対応方針等について簡潔に御説明をお願いいたします。
 小橋川明参考人。

○小橋川明参考人 おはようございます。西原町教育委員会教育長の小橋川明でございます。それでは、早速ではありますけれども、事故に対する対応状況及び今後の対応方針等についての御説明をさせていただきたいと思います。皆様に対する説明を時系列に全てというのは時間的にも厳しいと思いますので、我々の2つの対応、それから今後の対応方針等についてお示しをして、あとは質疑の中でお答えをしていきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
 それでは、当該事故発生直後の対応について御説明を申し上げます。
 平成24年3月1日、3校時の体育館での体育の授業でタグラクビーを行っていました。授業の中盤に男子児童数名がぶつかり、被災児童が後頭部を床に打った事故が発生しております。担任は、衝突後に本人に痛みの様子と保健室へ行くかと尋ねたところ、体育館の隅で休むという本人の意思表示があったので見学をさせたようであります。4校時以降、被災児童は教室で授業を受け、給食をとり、午後も授業を受けて帰宅しました。体育の授業終了後も痛みが続いているという訴えは本人からなかったため、担任は大丈夫だと判断し、養護教諭に連絡をしておりません。
 次に、学校から町教育委員会に報告があった時期、そして当時の町教育委員会としての対応について御説明いたします。平成25年1月23日付で小学校より日本スポーツ振興センターに提出する災害報告書が学校長から町教育委員会へ提出をされております。しかしながら、その時点において内容は十分に把握されず、通常の学校事故で頭部打撲と頭痛で処理されております。その後の平成24年3月から9月まで病院へ行かれていなかったということがあって、平成25年6月3日に日本スポーツ振興センターから詳しい事故内容がわかる資料を求められ、その資料の提出と同時に平成25年6月18日付で学校から教育委員会へ事故報告書が提出されております。その報告書により、町教育委員会としては詳しい事故内容を把握することとなりました。
 最後に、今後の町教育委員会としての対応について御説明申し上げます。保護者から請求があります県外での治療等にかかる費用については、町が加入している全国町村会総合賠償補償保険で対応を進めております。現在の状況は、内容の詳細について保険会社から医療機関に照会しております。その回答文書がまだ提出されておりませんので、その回答を待っている状況にあります。また、病院のカルテについて提出をいただけるよう保護者に依頼しているところであります。資料がそろいましたら因果関係等の精査をし、賠償補償についての判断が出てくるものと考えております。また現在、賠償補償とは別に当該生徒の救済支援策を町として実施できるかどうか、関係部局と連携し他市町村の事例等を参考にしながら、医療給付等の検討を進めているところでございます。
 かなり、はしょって御説明申し上げましたけれども、まず冒頭はこの程度の説明をしまして、あとは質疑を受けていきたいと思っております。以上です。

○呉屋宏委員長 参考人の説明は終わりました。
 これより参考人等に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 お疲れさまです。私は、前にも西原町教育委員会にこの件についてお伺いしたいということで行きましたけれども、あれから1年ほど経過していますでしょうか、まだ解決できていないことに心を痛めております。今、参考人からお話を伺いましたけれども、体育の授業中にタグラグビーをやっていたときに転んだということで、後で保健室にも連絡しなかったということですけれども、通常学校でこういう事故が起こったときの対応はそういうものでしょうか。

○宜志富清博補助者 学校におきましては、その場で気を失ったとか骨折したなどの重大事故は確実に報告されていますけれども、こういった頭を打った場合は、様子を見ながら経過観察するというのが通常であります。しかしながら、実際に起こっていることですので、保健の先生に報告することは通常行うべきだと考えております。

○狩俣信子委員 けれども、その最初の段階から連絡がされていないのですよね。頭を打ったというのは、その後何が出てくるかわからないというのがありますので、そこらあたりは学校としてもしっかりやるべきであったと一つ言っておきます。
 それから事故後ですけれども、その詳細は保護者に連絡がなかったということですが、そうですか。

○宜志富清博補助者 先ほど参考人から説明がありましたように、重大な事故とは思わず家庭には連絡しておりません。

○狩俣信子委員 平成25年6月、診断書は既に保護者から出されていたと思いますけれども、その保護者が出した診断書が町教育委員会に未提出であったというのが発覚したとありますが、その事実はどうですか。

○又吉諒補助者 先ほど、養護教諭が診断書を約半年間も持ち込んで対応がおくれたということですけれども、結論からいいますと、養護教諭から意見聴取した際に、学校保険で対応する際の書類が届いてから、教育委員会へ診断書の報告を考えていたとのことでした。
 養護教諭は、平成24年12月に保護者から2つの病院からの診断書の提出がありましたけれども、平成24年9月から平成25年2月分の日本スポーツ振興センターへ医療費を請求する際に提出する「医療等の状況」という書類がありまして、その「医療等の状況」が保護者から届いた後に、診断書を日本スポーツ振興センターへ提出しようと考えていました。診断書を日本スポーツ振興センターに提出する際には、町教育委員会を通して学校保険の日本スポーツ振興センターへ送ることになりますが、3月に医療費を日本スポーツ振興センターに請求した際は提出せず、後日不備で届いたので6月に再度日本スポーツ振興センターに提出する際に、診断書を添えて町教育委員会に提出したとなっています。

○狩俣信子委員 半年以上おくれる中で、例えば養護教諭の一存でそれをやったのでしょうけれども、保護者に対してこの書類を一緒に提出してくださいというようなアドバイスはなかったのですか。

○又吉諒補助者 養護教諭からの聞き取りを行った際の回答ですけれども、養護教諭は12月の時点で保護者とお話をして、治療費も高額になっていますのでうちの学校保険で対応してみましょうということで、1月分の医療費の請求をするために、診断書と「医療等の状況」を提出してくださいということでお願いしています。その中で、保護者に対して診断書を一緒に送るという説明はなかったと回答を受けています。

○狩俣信子委員 今の答弁は少しわかりづらいのですけれども、保護者にそれを言わなかったということですか。

○外間哲巳補助者 日本スポーツ振興センタ―へ請求をする場合、診断書は通常提出しておりません。日本スポーツ振興センターの様式で記載して提出する形になりますので、通常の病院の診断書を提出するということではありませんので、それでそのまま持っていたということだと思います。

○狩俣信子委員 そうならばなお不思議です。必要がないのであれば、もっと早く町教育委員会へ申し出をして対応させるべきではなかったのですか。日本スポーツ振興センターへの提出は診断書なしでもできたのですよね。もっと早く町教育委員会へこれを上げるべきではなかったのですか。

○外間哲巳補助者 その対応につきましてはやっております。

○狩俣信子委員 それが6月にあったわけですか。

○又吉諒補助者 本来であれば、養護教諭はこのような事故が起これば、診断書を先に町教育委員会に提出するべきではなかったのかという狩俣委員からの質疑ですけれども、それに対してはおっしゃるとおりで、養護教諭としては診断書を先に町教育委員会へ提出して、ここまで大きな事故になっていたのであれば報告すべきだったと思っています。

○狩俣信子委員 町教育委員会でも努力したと思いますけれども、町の法律顧問、弁護士に相談した結果、過失と責任を認めるということになっていますけれども、それは事実としてそのように受けとめてよろしいですか。

○外間哲巳補助者 確かに町の顧問弁護士に相談いたしました。その時点では学校で起きた事故ですので、教諭が実際に事故現場にいたとしても見ていなかったというのは、幾らかの過失があるかもしれないという話はお聞きしています。しかし、これはあくまで事故に対しての見解ということであります。

○狩俣信子委員 私が聞いているのは、町教育委員会が過失と責任を認めると書かれているので、それは事実そのとおりだったのですかと聞いているのです。

○小橋川明参考人 今の御質疑は、保護者からの資料に基づいての御質疑だと思いますけれども、ここには過失と責任を認めるという表現をされていますけれども、いつこれをこういう形で我々が述べたかという覚えはございません。これは保護者と確認したいと思います。

○狩俣信子委員 改めて聞きます。今の発言は過失と責任は認められないという趣旨でしょうか。

○小橋川明参考人 実は、我々町教育委員会としては、平成24年3月1日に起きた事故については事実でありますので、学校の体育の時間中に起きたわけですから、程度の差はあれ、我々としては何らかの過失と責任は伴うという思いを持って、それは町議会でも我々としてはこの事故に対して責任はありますと述べているのであって、今、この表現はどういう表現なのか私も確認したいと思っておりました。いわゆる脳脊髄液減少症もこの時点で我々が認めたということで言っているのか、そこの趣旨がわかりません。ですので、先ほど申し上げましたとおり、事故については我々としては全く責任がないとは言えないという意味で捉えてほしいと思います。

○狩俣信子委員 そうはおっしゃっても、体育の授業で頭を打ったことによって脳脊髄液減少症を発症したのです。この子がほかにどこかで頭を打ってではないのです。体育の授業で頭を打ったから出てきた結果ではないのですか。そこらあたりはどうお考えでしょうか。

○小橋川明参考人 脳脊髄液減少症の発症については、先ほど冒頭で申し上げましたとおり、我々は今調査中であります。保護者が配付した資料の下段部分にある診断結果についての中で、ハートライフ病院へ2回の通院があるように示されています。これは年月日は記されていませんけれども、我々の記憶では、そのハートライフ病院の2回の通院の間―平成24年3月から9月ごろまでのスパンにおいては被災児童は学校にも通っていますし、ほぼ通常どおりの通学をやっております。そういうことからすると、この事故が発生して半年後に脳脊髄液減少症を発症したという中で、本当にこの事故でこれが発症したのかどうかが問題になっています。この原因を究明するために今調査中ということであります。ですから、我々としては3月1日で脳脊髄液減少症が発症したと確認をしていない状況にあります。

○狩俣信子委員 それは半年ぐらいかけて、だんだんと液が漏出して症状が出てきたと考えられるのです。その後、琉球大学医学部附属病院でも後頭部打撲が発症の原因である可能性が高いとか、いろいろ何カ所かがそれを言っているのです。ですから、そういうことも含めて―ほかで頭を打ってどうにかしているのであれば話は別ですけれども、体育の授業で転んで頭を打ったというのがやはり原因ではないかと、一般的な素人からするとそう考えられるわけです。それはさておき、私はまず事実関係から確認していきたいと思いますので聞きますけれども、平成26年5月9日に町教育委員会が虚偽の報告をしたと出ていますけれども、これはどういうことでしょうか。

○宜志富清博補助者 その件に関しましては、紹介状の意味を十分に理解していなかったことが原因であります。紹介状の定義は2通りありまして、まず1つ目は、患者が治療をしている病院の技術や施設が十分ではなく、その病院から、より高度な医療機関への推薦という形で紹介されて書かれるものと、あと1つは、治療を受けている本人や保護者からほかの病院を受診したいという申し出があった場合、治療経過等を書いてもらう2種類があるということを知らずに、紹介状を前者の意味のみで理解していたことが原因となっています。

○狩俣信子委員 わかりました。そこらあたりは子供に対する影響は非常に大きい事故のことでありますので、取り扱いはもう少し慎重にすべきであったと思います。保護者に対してもこれで誤解を与えてしまうわけですから、それはしっかりやるべきだと指摘しておきます。
 次に、西原町議会の中でもいろいろ出ておりますけれども、例えば保険適用についてですけれども、それについては皆さんの中ではどういう形で捉えられていますか。脳脊髄液減少症についてはやらないという捉え方ですか。
 全国町村会総合賠償補償保険がありますよね。その中で、学校事故についてはいろいろ補償する必要がありますよね。けれども、この被災児童については、琉球大学医学部附属病院まではオーケーだが国際医療福祉大学熱海病院―熱海病院に行ったら適用外ですよということですので、皆さんの受けとめ方としてはそういう感じで行うつもりでしょうか。

○外間哲巳補助者 今、狩俣委員がおっしゃる日本スポーツ振興センターの学校保険につきましては、日本スポーツ振興センターの保険適用の定義があると思いますので、保険外の治療については適用できないということであります。ですので、先ほど小橋川参考人からも説明がありましたように、町教育委員会としましても全国町村会総合賠償補償保険の適用ができないかということで事務を進めております。その中で、現在、因果関係等を調査中ですので、それがはっきりすれば結果が出てくると思っております。

○狩俣信子委員 因果関係が出るのかというのが気になりまして、今も熱海病院にずっと通うわけですから、そこらあたりの費用は保護者が全部負担しているという状況の中で、なるべく早い救済措置が必要なのです。そのために、その因果関係というのは今どのぐらいまで進んで、どうなっていますか。

○外間哲巳補助者 現在、保護者に病院のカルテの提出をお願いしております。そのカルテの提出がありましたら、詳細について精査ができると保険会社から聞いております。また、その間の保護者の治療費等の負担が大きいということで、町としましては貸付条例を制定いたしまして、当分の保護者負担を軽減したいということで行っております。

○狩俣信子委員 小橋川参考人は、町議会での答弁の中で、将来的に治るのかどうかという見込みは未知数であると。それに対して、損保会社の弁護士と相談したけれども、保険会社も当然、生涯的な補償までやることは可能性としてはあるということを言っているというのがあります。またその後に、保険会社はそれも含めての保険だと言っているということですけれども、それは事実でしょうか。

○小橋川明参考人 そのとおりであります。それがそのとおりになるという判断は、当時の事故が原因で発症したという因果関係がはっきりさえすれば、当然、補償をしていくという考え方に立っております。

○狩俣信子委員 それからあと1つ。答弁の中で、弁護士の話もそうですけれども、医療の話もあり、皆さんはどちらかといえば、病院側が頭を打ったことによる後遺症としても、そこは余り信じないと言ったら悪いのですが、少し軽く見て、弁護士との話を重視している印象を受けるのですけれども、第一義的には医者の診断が大事ではないかと思いますけれども、そこはどうですか。

○小橋川明参考人 これも委員がおっしゃるとおりだと思います。基本的なことについてはそのとおりだと思っております。ただ、脳脊髄液減少症の件については、先ほど言いましたとおり事故から発症までの期間が離れている関係もありまして、その因果関係も医療の面から精査する必要があるということがあって、狩俣委員も先ほどおっしゃっていたように、医療関係で素人である我々が因果関係を調査するというのは限界があります。そういう意味で、これは弁護士と相談しながら調査していく中で、これがあるかどうかの確定をしていくという作業を今やっているということであります。

○狩俣信子委員 ですから、小橋川参考人が因果関係について、専門的な知識が必要だと言いながら、医療にせよ法律的にせよちゃんとやると言いながら、資格のある弁護士同士でやっていると答弁に出ているものですから、まず最初は弁護士よりも医者の意見というのが大事だと思うのですけれども、そこらあたりはどうお考えでしょうか。

○小橋川明参考人 これも先ほどから申し上げていますけれども、我々は今、全国町村会総合賠償補償保険の適用ができないかということでやっております。その総合賠償補償保険お抱えの医者がいらっしゃるようです。その医者が治療等の書類を取り寄せて、因果関係を吟味するという段取りで現在やっているところです。

○狩俣信子委員 それは大体いつぐらいになるかという予測はつきますか。

○小橋川明参考人 これも先ほどから申し上げているとおりですけれども、現在、熱海病院での質問状、それから保護者に提出をお願いしている医療にかかった病院のカルテがそろいさえすれば、一定程度のめどはつくというお話を聞いております。ただ、カルテについては3カ月前後かかると聞いております。それが出た後ということになりますので、少なくとも3カ月以上はかかると考えております。

○狩俣信子委員 外間哲巳補助者―西原町教育委員会総務課長が町議会での議員の質疑に対する答弁の中で、現在は調査中でありますので、私のほうでは因果関係を完全に認めたという発言をしていないと出ているのです。議事録を見ると、因果関係を完全に認めたわけではないと発言しているのです。病院の診断では頭を打ったことによると出ているのに、あえて強調してそういう発言があるので、とても私は気になっているのです。外間総務課長、発言なさいましたよね。

○外間哲巳補助者 町議会での発言だと思いますけれども、今、私に記憶がございませんで、因果関係がはっきりしてないということを言いたかったと思いますけれども、現在調査中ですので、先ほどから申し上げていますように教育委員会も素人ですので、医学的な部分については調査中であります。

○狩俣信子委員 やはり水泳や野球、陸上といったいろいろなスポーツを頑張っていた健康な子供が、頭を打ったことによって、今や大変な状況にあるわけです。親として一日でも早く改善してほしいという気持ちで熱海まで行くのです。そこに専門医がいるという、沖縄県よりも技術がもっと進んでいるということが一つあると思うのです。そこらあたりをやはり御理解いただかないと、今後こういう事故が起こったときに子供を救うのが難しくなるなというのが私の実感ですので、西原町教育委員会としてもそこをしっかり捉えて、ぜひ前向きに対応していただきたいということを最後に申し上げておきます。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 糸洲朝則委員。

○糸洲朝則委員 やりとりを聞いていて、第一に学校現場での事故、子供たちを預かる参考人あるいは学校という視点に立つのであれば―今、保険の補償がどうのこうのという論点になっていますけれども、基本的な原点というのはこの子供を一日でも早く治す、ここに絞らなければならないと思うのです。その対策として、日本スポーツ振興センターとか全国町村会総合賠償補償保険を活用しようという話になっているのではないかと思うので、ここはやはり町の教育全般を預かる参考人として被災児童の一日も早い回復を最優先にすべきだと私は思いますけれども、いかがですか。

○小橋川明参考人 委員のおっしゃるとおりであります。我々も一貫してその姿勢で臨んできたと考えております。一番厳しいのはお子さんであります。そのお子さんの状況が一日でも早く元気になって、学校へ復帰してほしいという思いであります。そういう意味で、我々がこれまで子供に対する学校での教育的な配慮として、現在在籍している中学校の先生方には、保健室でも全員体制で授業を受けられるようにと、これはずっと言い続けておりますし、常に学校と子供の状況を確認しながら、お互いに情報を共有しながら、今はどうするべきかということを常に考えながら進めております。ただ、印象としてこの補償問題が現在議論されている中で、そういったことがどうも陰に隠れてしまっているかのような形で受けとめられがちですけれども、我々は子供のためにできることについては、全力で一生懸命やっているつもりでございます。これからもその姿勢を貫いていきたいと考えております。

○糸洲朝則委員 脳脊髄液減少症のポイントは、今回2つあると思います。一つは保険適用外ということで、これは今、厚生労働省あたりで適用できる流れができているというのは、先日の参考人招致の質疑の中で確認しております。これは、一日でも早い法整備を国、県あるいは町も含めてやるべきだということが一つ。あと1つは、現在保険のきかないブラッドパッチ治療という特殊な治療、しかもこれが県内でできず、熱海に行って治療しなければならない。これは費用もかかるし時間もかかる。しかし、このブラッドパッチ治療をやらないと、この生徒の病状回復は望めないという現実を見据えてやっていると。例えば、この保険がおりるまで待つというわけにはいかないでしょう。多分、それで親御さんは自腹で行っていると思いますけれども、これには限界があるのです。そこで皆さんは貸付条例を出しまして、この間見させていただいて、少し違うのではないかと。貸し付けではなく、当面町できちんと対応しておいて、保険適用云々というのはその後の対応ではないかという感じを受けたのです。いかがですか。

○小橋川明参考人 この件に関しまして、先ほどから申し上げていますとおり、現在負担している医療費について、我々として何ができるかといった場合、責任があってその責任のもとで支払いをするのであれば、それは損害賠償の領域に入っていきます。そういう意味で、これは先ほど言ったように、我々が損害賠償の責任に値するという調査結果が出れば、そのときにしか出せない思います。事前に出すわけにはいかない。
 それから支援の問題ですけれども、現在、因果関係があるかどうかで損害賠償がはっきりしていくさなかにあって、これが確定していない中でこの間の負担を軽減するためにはどうするかといった場合、貸付条例で一旦無利子で貸すという措置をとっていますけれども、何らかの支援をといった場合、我々としては、我々に責任がないとした場合は、支援していくという立場で検討に入っていく必要はあるだろうと考えておりました。まさに貸付条例を諮っていく上で町議会は附帯決議を出しましたけれども、この附帯決議でも何らかの支援をやっていけるような制度づくりができないかということです。
 そういうことで、実は保護者とも去る12月25日にお会いしてお話をしましたけれども、我々としては損害賠償という視点と支援という視点について、同時に検討に入っていきたいということを伝えております。先ほど言いましたように、町議会でも附帯決議が出されている以上、これは我々も支援措置については検討していかなければならない。そういった形で両方、同時に進めているということで御理解いただきたいと思います。

○糸洲朝則委員 この間から各委員が質疑をやっている思いというのは、今のことに尽きると思いますけれども、やはり時間的にそう猶予はないと思うのです。これは早く治療をすればするほど回復は早いと思うし、そういう視点からもっと生徒の健康回復という―ブラッドパッチ治療をやればその可能性がかなり高いというのを聞いていますので、そういう方向からぜひ前向きに子供の立場に立ってやっていただきたいと思います。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 嶺井光委員。

○嶺井光委員 今の質疑とやや似ておりますので、絞って1点だけ確認しておきたいと思います。学校の教育環境とは、子供たちがしっかり学習できる、あるいは教職員も安心して教育活動ができるようになっていなければならないと思います。しかし、こういう事故がたまたま出てくる。今回の事故はこれに加えて自由診療の域に入ったということで、かなり高額の医療費負担がかかっているということで議論もかなり沸騰していると思います。ただ、過失責任が今どこにあるかという詳細がまだはっきりしていないから、明確な補償といった対応ができていないと受けとっておりますけれども、行政ですからそういうちゃんとした部分のもとで動かないといけないという面は理解できます。でも、一連の事故は学校で、しかも授業中にということでありますから、責任の一端はあるという認識は先ほど参考人もおっしゃっておりましたので、あとは明確な度合いの問題もあるかもしれませんけれども、ただ、教師をいさめるとかそういう問題ではないですけれども、やはり頭を打ったということだと、安全策としてもっと適切な対応があったのではないのかというのも感じたりしています。これは今さら教師を責める云々の問題ではなくて、今後、西原町だけにとどまらず、教育現場全てに対応の厳しさというのは大事だということを感じております。そこで、貸付条例をつくったというのも被害を受けた方々への支援の一端だと思いますけれども、この過失責任の一端を認識しているということであれば、例えば一時金として支援しておくといった議論はなかったのか。そこら辺はどうですか。

○小橋川明参考人 一時金の支払いについては、保護者の弁護士からその主張は言われておりました。ただ、我々が述べている責任とは、先ほど言いましたとおり、事故が起きたことに対する責任は少なからずあるだろうと。ただ、この脳脊髄液減少症を発症したことについては、この事故が原因なのかどうかについて今、課題があるということで、その課題が整理できるのかどうかといった意味でいろいろ調査をしている段階であります。そういう意味で、まだはっきりしていない中で一時金の支払いはどうなのかということで踏みとどまっている次第であります。ただ、この調査をしていくには時間がかかりますので、負担軽減を図るという意味では、貸し付けであれば何とか対応したいということで今回の条例制定につながったということでございます。

○嶺井光委員 貸付条例は、今度の事故が契機でできたのだろうと思いますけれども、それは今回の事故のケースにかかわらず、こういうのが支援策としてあるのはいいことだと思っております。今の脳脊髄液減少症は事故そのものが原因なのか、ほかの要因があったのかということで疑問に持っておられる時点で、我々がどうこう言える問題ではないですけれども、いずれにしても、一時金制度というのは貸付制度ができたからもういいよという問題ではない気がするのです。ある意味、行政側の誠意というのか、そういう部分としても必要であったのではないかと思って、この議論があったのか、なかったのかという確認をしたかったということだけです。質疑については終わります。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 町教育委員会が努力してやっているのがこの貸付制度ということですけれども、今、因果関係が争われていると言っていますが、日本スポーツ振興センターも事故があって平成25年6月18日付で書類を提出してと言いますけれども、この日本スポーツ振興センターは支払いをしましたか。

○外間哲巳補助者 日本スポーツ振興センターについては、保険適用されている分については適用されております。

○西銘純恵委員 保険適用というのは、要するに健康保険とか国の制度に適用されているという意味ですか。

○外間哲巳補助者 そのとおりです。

○西銘純恵委員 それ以外は自己負担されたのですか。

○外間哲巳補助者 健康保険適用外については、日本スポーツ振興センターについても適用外ということで、保護者の自費負担となっていると聞いております。

○西銘純恵委員 仕組みそのものが保険でやっているということであって、因果関係については、皆さんが平成25年6月18日に出された事故発生状況報告について、平成24年3月1日の事故があってということで、事故から半年後の9月に登校できなくなったことを認めているので支給したということでよろしいですか。

○外間哲巳補助者 日本スポーツ振興センターの保険につきましても、当初は事故からある一定期間あいておりますので、本当に因果関係があるのかということで追加資料の提出を求められております。そちらの資料提出後、日本スポーツ振興センターの保険については適用が認められたことになっています。

○西銘純恵委員 そうすると、やはり因果関係を見て資料を提供して、因果関係があるということで保険がおりたことになると思うのです。事故から発症までに期間があいたことについて、町教育委員会はもう一つの保険である全国町村会総合賠償補償保険をとおっしゃっていますけれども、これはどのような制度ですか。いわゆる交通事故等の関係で任意保険に当たる部分になるのか、どういうものですか。因果関係を認めたら、保険適用といったもの一切抜きに満額補償するものですか。

○外間哲巳補助者 全国町村会総合賠償補償保険につきましては、町が賠償責任を負う場合に補償できるように加入しております。今回の事故につきまして、そういった健康保険の適用外の医療費等についても適用できると聞いております。また因果関係が認められれば、後遺症等がもし残ってしまった場合にも適用できると聞いております。

○西銘純恵委員 町が責任を負う場合とおっしゃったのですけれども、授業中の事故というのは明らかですよね。頭痛の症状を検査したけれども原因が出なかったということで、通常、頭痛を持つ子供が脳の病気以外の原因で頭痛は一般的にあるのでしょうか。調べてそういう事例はありましたか。何でもないのにそういう頭痛を訴えることがあるのか。

○外間哲巳補助者 その点につきましては、私のほうでは把握しておりません。

○西銘純恵委員 保険会社任せというのが私はとても問題だと思うのです。この事例については学校も行けなくなった、休学したという本当に大変な状況だと先ほどからおっしゃっているわけです。授業中の事故だったと。そして頭痛があることと因果関係があるのかないのかというのを保険会社に丸投げしていると。本当はお金を払わない立場にあるというのが保険会社なのです。できるだけ払わないようにするという立場をとっているのは誰でもわかることなのです。けれども、町として学校事故については責任があると、補償しなければならないという立場に立つのであれば、通常そういう頭痛があるのか、そして立てないぐらいになるのか、学校も休まなければならなくなるのか独自に調べるべきではないですか。なぜ丸投げするのですか。

○小橋川明参考人 これは先ほど来から委員の皆様に御説明しているとおり、我々は3月1日の事故については学校で起きたわけですから、これは何らかの責任があると先ほどからそのように申し上げております。だから脳脊髄液減少症も補償すべきだという捉え方について、これは専門的な知識を要する、いわゆる原因がそこにあったかどうかということについて調査している段階でして、この判定をして、頭を打って脳脊髄液減少症を発症したということを資料に基づいてしっかり確認してやっていくという立場で今臨んでいるわけです。損害保険会社についても、全国町村会総合賠償補償保険は全国町村の皆さんでこの制度をつくって、その委託先が保険会社ということであって、これは通常我々が一対一で任意保険でやっている内容とは違います。そういう性格も捉えつつ、ぜひこの保険の取り扱いについては考えてほしいと思います。

○西銘純恵委員 難しい症例で専門性が求められるのではあれば、なおさら実際けがをして以降、治療に通っていると。けがをする以前についても、多分病歴やそういったものは生徒一人一人の入学以降の記録を持っているのではないですか。過去にその子が特別にそれに該当するような病気を持っていたとか、そういうことがあったのですか。

○宜志富清博補助者 学校からの保健観察簿等には記載されておりません。

○西銘純恵委員 そうすると、今でも保険適用するかどうかで厚生労働省の中でもまだ結論が出ておらず、最近解明されようとしているものが、脳脊髄液減少症という病名がつく、つかないという話とは全く別ではありませんか。元気な子供が学校の事故以降立つことができなくなり、生活ができなくなり、学校へ行けなくなったことが事故以前の状況では考えられない。では、少なくとも治療については学校の事故以降に起こっているし、これは治療しなければならないという立場に立てないのですか。

○小橋川明参考人 これは個人的な見解といいましょうか、推測といったものは一つの考え方としてそう捉える場合も多々あるだろうと思います。ただ、我々は行政の立場で本当に因果関係があって、我々に責任があるのかどうか。それを確定させてもし因果関係があるのであれば、しっかりした補償をしていくことが求められてきます。そういうことからすれば、今調査していることをしっかりやった上でしか結論は出せないという立場で臨んでいますので、その辺を御理解いただきたいと思います。

○西銘純恵委員 弁護士をつけているということですけれども、どちらの代理人弁護士ですか。皆さんが直接代理人を立てているのですか。

○小橋川明参考人 現在、保険会社の弁護士に依頼しております。

○西銘純恵委員 先ほども指摘しましたけれども、保険会社の代理人というところが―本当に町教育委員会が誠意を持ってこの事案について向き合っていくということであれば、保険会社の代理人であってはいけないと思うのです。ちゃんと町教育委員会として専門的にどうかと、例えば先ほど因果関係とか、この病気のことについても専門的にどうするかといえば、本当は専門である熱海病院の医者に会って、どうですかというような立場で―だから、私は先ほどのが原点だと思うのです。その事故が起こる以前は健康な子であったことを踏まえたら、町教育委員会としてもやはりそれが原因ではないかということを独自に診断された病院に行って当たり前だと。それも専門の医者が少ないと、沖縄にもいないのであれば、独自調査をしてもよかったのではないですか。調査をなさいましたか。

○小橋川明参考人 独自調査ということでありますけれども、これを医療の面からどう確認をとっていくか。まず、全く問題意識のない―いわゆる我々はこの病名自体を初めて知った中で、それを我々が研究したりというのは力量的に非常に困難であります。そういう意味でこういう代理人を立てて、調査をやってもらう。これは通常、いろいろな事例が発生すれば当然そういう形でやっていきます。弁護士を通して、熱海病院にも質問状を投げて確認したりということもやってもらっています。それから、我々としてはこれが全くの原因ではないという断定のもとに調査しているわけではなく、あるかもしれないという意識もありますので、しっかりと調査した上で責任があるのであれば、しっかり補償してほしいということは強く言っております。

○西銘純恵委員 考え方がおかしいと思うのです。支払い義務があるかもしれないという立場に立つのであれば、先に少なくとも医療費の負担をして―未払いもあり、治療が継続できるか不安であるという保護者に対して治療費を払って、あるかもしれないという結果が出たときにどうするのかというのが参考人の立場だと私は思うのですけれども、それを保険会社があるかないかまだわからないから待ってくれというのを待つところが納得できません。

○小橋川明参考人 御質疑の中で、この確定していない中での支払い関係については、先ほどからるる説明していますとおり我々が現在、どれだけのことができるかということでいろいろな視点から捉えて、今できることについてやった結果が西原町学校災害医療費等資金貸付支援条例であります。これは、確定していない中でも保護者の方は経済的負担を強いられていて、我々はそういう意味でも、確定するまでは何らかの形で軽減していく必要があるだろうということでこの条例をつくったわけです。これは無利子であるし、我々に責任があるということであれば補償していきますので、この補償をした場合は相殺して精算していくという方法でありますので、この間の負担が厳しいということであれば十分対応できるシステムになっていると我々は考えています。

○西銘純恵委員 最後にお尋ねします。一番学校現場の教師―授業中の事故ですから、教師が授業の中で、補償されていないこの問題が長引いているということで教育活動の中にも萎縮が出る。教師自身が心の痛みを持っていると思うのです。そこら辺についてどう考えていらっしゃるのか。そして今後、そういう取り扱いについてどうする考えをお持ちなのか。

○宜志富清博補助者 この件につきましては、やはり早急な初期対応が必要なことですので、文部科学省からも脳脊髄液減少症に関する対応については2度通知が出されているので、校長会でも2回説明して、病院もどこの病院と指定して、頭を打った場合には指定した県内の2病院で必ず脳脊髄液減少症を疑って検査を受けるよう指導しております。先生方も不安ですので、町教育委員会で琉球大学医学部附属病院の専門医を招いて学習会を行っております。教員も萎縮してしまうとありましたけれども、頭を打ったと同時にこういった対応をしていきましょうということで第1回目の勉強会を開催しましたので、毎年、啓発の意味で実施して、今後このようなことがないよう体制をしいているところであります。

○西銘純恵委員 2カ所の病院名をお願いします。

○宜志富清博補助者 1カ所は琉球大学医学部附属病院、2カ所目は牧港……。病院名の資料は持っていないですが、牧港クリニックだったと思います。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 島袋大委員。

○島袋大委員 関連するので確認しますけれども、町教育長宛てに事故発生状況報告書が、日本スポーツ振興センターに平成24年3月1日に起きた事故に関しての学校事故災害発生報告書ですよね。この中身を見ると、事故が発生したときの状況、脳脊髄液減少症と診断された事実及び治療の経過などが記載されているのです。だから、平成25年6月18日に学校長が公印も押して町教育長へ提出した事故発生状況報告書は詳細に書かれていますけれども、この内容を見ると、この事故の後にそういった形で脳脊髄液減少症になったと。先ほど西銘委員も言っていましたけれども、私も既にこの文書で書かれているから因果関係どころではなく、これはこういった形でなっていますと報告されていると思いますけれども、その辺はどういう解釈をしているのですか。

○外間哲巳補助者 学校事故発生状況報告書につきましては、学校としては事故があった事実関係及び保護者からその事故が原因であると推測されるということで、そのような形で事故報告書を提出しております。

○島袋大委員 これは、要するに一つの公文書ですよね。推測や臆測もろもろを含めての経過報告は私は書かないと思うのですけれども、これは私が今、文書を見て感じとった内容ですけれども、こういう公文書を日本スポーツ振興センターに提出しているはずなので、これは一公文書です。公文書の中には、そういった脳脊髄液減少症と書かれているので、この事故と同時にそういったことになったという報告だと私は文書を見て思うのですけれども、それに親御さんの感情や臆測もろもろが文章化されていると、私は判断できないと思いますけれども、受けた町教育委員会としてはそういう認識ですか。

○外間哲巳補助者 推測などではなく、時系列にこういう事実がありましたということで、事故が起こってそういった病状が出て、琉球大学医学部附属病院へ行って、その時系列の事実を書き込んでいるということであります。

○島袋大委員 その文書の内容も判断して、日本スポーツ振興センターが給付金もろもろを親御さんへ振り込むことになったということですよね、どうですか。

○外間哲巳補助者 日本スポーツ振興センターの保険につきましては、それを受けて適用したということであります。

○島袋大委員 もう一点ですけれども、全国町村会総合賠償補償保険が今ネックになっているということでありますけれども、この保険に関しては、今言う形で日本スポーツ振興センターに出した学校事故災害発生状況報告書と同じようなものが出されていると私は思いますけれども、これも同じ内容で出されているのですか。

○外間哲巳補助者 資料としては提供しております。

○島袋大委員 その辺が少しわからないので教えてほしいのですけれども、この全国町村会総合賠償補償保険がありますよね。その中で、時系列としてこういった事故が起きて、こうこうと経過報告がありますよね。この経過報告は今までの日本スポーツ振興センター宛てに出した添付資料もろもろと同じような形で提出して、全国町村会総合賠償補償保険の保険会社が判断するということでいいですよね。同じような状況で資料を提出しているということですか。

○外間哲巳補助者 資料は同じように提出されていると思っております。あと、全国町村会総合賠償補償保険は、今、独自にカルテや病院への質問状を集めているところでございます。

○島袋大委員 その中で、同じような形で日本スポーツ振興センターは給付金を出したということですけれども、この全国町村会総合賠償補償保険には同じように資料を出しているけれども、何がネックになっているのですか。大体、今確認事項であると思いますけれども、何がひっかかっているのか。

○外間哲巳補助者 ひっかかっているということでなく、カルテと病院への質問状を待って判断したいということであります。何がひっかかっているというよりは、資料が整い次第、判断したいということであります。

○島袋大委員 先ほど、小橋川参考人などが言っていた審査中という発言と同じようなことだと思いますけれども、その中で病院側に対して質問事項を出すというのも、確かに診察しているのでそうですよね。その中で、全国町村会総合賠償補償保険の代理保険会社の皆さんが、学校現場と間に入っている町教育委員会、それから親御さんの3者もろもろ含めての意見交換や状況聴取等はやらないのですか。

○外間哲巳補助者 町教育委員会とは何度も話し合いを持っております。学校にも事情調査に行っております。

○島袋大委員 当初に出した事故発生状況報告書が一番重要だと私は思うのです。現場がそういった形で町教育委員会へ出しているわけですから、この現場の学校長名で公文書として提出したものもろもろ含めて、町教育委員会は保護者と議論して、全国町村会総合賠償補償保険の損害保険会社いろいろ含めた最終的な議論にするべきだと私は思っているのです。これは皆さんの判断になると思いますけれども、全国町村会総合賠償補償保険の中で対象となる町村業務で、学校教育活動として学校管理下における児童・生徒については死亡、後遺障害のみで入院・通院給付はありませんということでありますけれども、今は、ほぼ後遺症的な面になっていると私は思っていますけれども、そういったもろもろを含めた最後の詰め事として、行政として学校側、町教育委員会、西原町としてはそういったことがあるからこういった形で給付できませんかというのを、保険会社を含めた制度があると思いますけれども、その詰めの交渉というのはこれから行うということですか。

○外間哲巳補助者 今の保険の内容でありますけれども、通常、学校事故の場合は、日本スポーツ振興センターの保険がきく分については向こうが優先になると聞いております。今回、その辺の懸念がありましたので保険会社に保険外の治療について適用できるのかどうか確認したところ、賠償責任があるのであれば適用できると伺っております。

○島袋大委員 入り口論としては、できる可能性があるということですよね。その中にどう押し込むかということが重要だと思いますから、その辺は大変だと思いますけれども、やはり起きた事故ですから、そういった形で因果関係も今議論中だと思いますけれども、その中で当初日本スポーツ振興センターの給付はこういった資料で給付されているのだから、同じような形で最後の詰めの議論は大事だと思います。親御さんたちも大変だと思いますので、参考人を中心にひとつ皆で汗をかいていただいて、この辺は目的達成に向けてやらないといけないと思っていますから、我々もできる限りの援護的な面をどうするべきかという議論になると思いますけれども、これも早目にそういう結論を出すためにも、ひとつ汗をかいていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新田宜明委員。

○新田宜明委員 きょうは公務で忙しい中、参考人として御出席いただきまして感謝申し上げたいと存じます。この事案について、被害者の親御さんは大変苦しい思いをしていると非常に察します。前例のない中、こういう症例が発生したということで行政として非常に対応が難しいはざまにあるだろうと察しております。先ほど質疑が始まる前に呉屋委員長がお話しされていたように、ここは市町村の行政機関である教育委員会あるいは議会がありますから、そこで十分議論されていると私は察しております。そして、私どもはここで皆さんの議会でのやりとりや対応について糾弾したり、あるいは指導的なことをいう場ではないと私は理解しております。そのことを踏まえた上で質疑したいと思います。
 まず、県に何ができるのかという視点が非常に大事だと思っております。陳情者の趣旨は、県に対して治療費あるいは渡航費等の救済策を講じることと、県教育委員会のホームページあるいは保健だより等によってこういう症例、事故があることを県教育委員会として発信してほしいと。同時に、学校現場への広報・指導を徹底することという陳情の趣旨でございます。県教育委員会の処理方針として、「脳脊髄液減少症の実態把握を努めるとともに、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度の対象範囲の拡大や給付金の増額等について、全国都道府県教育長協議会等を通して国へ要望しているところであります。」となっております。これは非常に重要なことだと思うのです。要するに、今は保険適用のはざまにあるということですよね。それを早急に制度化あるいは条例なり法律化して、そのはざまにある間を私たち県として何らかの援護策・救済策ができないかどうかという施策を考えるための委員会だと思っております。そういう意味で、県の処理方針を参考にしながら、施策的に保険適用はざまにある間をどうするかということを、市町村と連携して講じられるかどうかという知恵を出し合う場だと私は理解していますので、そういう観点で市町村の行政としての立場、あるいはしかし、そのはざまにある子供を含めた親御さんは非常に厳しい状況にあるということを私もよく理解しながら、行政として県が何かできないかどうか、あるいはどうやってほしいということがあれば、ぜひ聞きたいというのが、私が皆さんに対して一番お尋ねしたいことですけれども、それがありましたらぜひ申し上げてほしいと思うのです。どうでしょうか。

○小橋川明参考人 我々としても、保護者の方々あるいはお子さんが非常に苦しんでいるなということは、毎日のようにひしひしと感じております。そういう意味で、この間の貸付条例も何らかの継続的な負担を軽減していこうという気持ちで制定してきましたし、それからこの貸付条例を制定するに当たって、町議会は附帯決議を示しました。これもあと1歩進んだ形での救援策として何とかならないかという意味で出たと理解しております。実は、私どももこの貸付条例を制定する際にこういった救援措置等もできないかということも考えてきました。ただ、最終的には貸付条例に至ったわけですけれども、この救援策等については幅広い制度になりかねませんので、附帯決議も含めて我々は、町長部局も含めて内部で幅広く調整会議を持って検討していこうということで、今立ち上げているところであります。そうした場合、我々が県議会とどう対応できるかということでありますけれども、実は私どもは当事者ということもありまして、この救援策を重視して先にというわけにはいかない。実は、先ほど申し上げましたとおり、この因果関係について、あるかないかはっきりしていませんので、我々としては、我々に責任があれば損害賠償という形で何とかしていきたいという思いもあります。ですから、先ほど言いましたとおり、2つ同時に今進めているところであります。そういう中にあって、県議会にこうしたほうがいいのではないですかとか、こういったことはなかなか言える状況にはないということを御理解いただきたいと思います。ただ、私どもとしては、附帯決議も含めて救援策も何とかできないかということを、今、検討に努めているということだけは御理解いただきたいと思います。

○新田宜明委員 最後に、県教育委員会の陳情処理方針で、私が重要だと思っているので質疑していますけれども、いわゆる学校現場で起こった、あるいはその因果関係を立証することが非常に難しい事例がたくさんあるかもしれませんけれども、県教育委員会は、日本スポーツ振興センターに災害共済給付制度の対象範囲の拡大とか、給付金の増額を全国都道府県教育長協議会を通して国へ要望しているとありますけれども、この処理方針についてはいかがですか。こういった問題について、皆さんの学校現場ではほぼ対応できると見ているかどうかを聞きたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○小橋川明参考人 大変申しわけありません。県教育委員会の考え方について、我々が現在議論したことはございません。このやり方でどうなのかという意見については厳しい状況にあります。ただ、これから持ち帰って、これがどうなのか我々も考えてみたいと思います。

○新田宜明委員 最後ですけれども、ぜひ県として被災児童を救済する条例もしくは制度をつくってほしいという陳情ですので、このことについては文教厚生委員会を通して十分議論させていただきたいと。とにかくこういった問題について、市町村だけでは非常に厳しいのではないかと感じていますけれども、そういう問題が初めて陳情として上がっているので、どういう角度から―少なくとも我々が将来に向けて、こういう新しい事例に早目に対応できる施策をつくることがまず大事だと思っておりますので、そういう意味で、このはざまにある2年間の問題をどう処理できるかというのを議論させていただきたいと思います。ありがとうございました、以上です。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 では、これまでを踏まえて質疑したいのですけれども、参考人は冒頭で、3月1日の事故の過失責任を感じているとおっしゃいましたよね。被災児童は学校で元気な子であって、病歴等も特になかったと。さまざまな事故で事故直後に起こる症例もあるでしょうし、事故から時間をかけて起こっていくさまざまな症例もあるかと思うのです。そこに、我々医者ではない人間がさまざまな議論をしても始まらないと思うのです。そこでお聞きしたいことは、今3月1日の事故について責任を感じているということが原点として非常に重要だと思うのです。その学校現場で起こった事故に関して、町教育委員会としては子供の最大の利益を考えていくという意味において、ここはしっかりと支援していくことに変わりはないわけですよね、いかがですか。

○小橋川明参考人 スタンスとしては、比嘉委員のおっしゃるとおりでございます。これまでもそのようにやってきたつもりであります。

○比嘉京子委員 親としては、学校に子供を送って、安全に学業をして家に戻ってくるという当たり前のことを期待しているわけですけれども、今回、議論が随分ずれているのではないかと思うのです。ずれている理由も多々ありますけれども、先ほどの原点に戻れば今起こっている治療に最大限協力していく―これは参考人も先ほどそういう気持ちに変わりはないとおっしゃっていましたよね。そうすると、因果関係だ何だというよりも現象として今治療を要する、しかも元気な子供が頭痛によって立ち上がれない、学校に行けないということが半年後から起こっているわけです。そういう病気が認知されずに、親も手探りでどうしてこうなったのかと言いながらずっと探して、光を求めて今のところに行き着いているのです。それが、例えば学校保険における日本スポーツ振興センターの保険が適用されたのです。学校保険は今の保険適用内での保険ですよね。治療がたまたま保険適用外の治療になっていることに対する問題だと思いますけれども、では、これは因果関係云々という前に、学校で起こった頭痛が起因で今延長線でいっているわけです。これに対して、今保険はおいておいて、町としてどういうスタンスで臨まなければならないと思われていますか。損害保険会社の話ではありません。学校で起こったことに対して、参考人としてはどのように対応すべきですか。

○小橋川明参考人 先ほどから申し上げているとおり、学校で起きて我々に責任があるとすれば、当然それなりの措置を講じなければならないと考えております。

○比嘉京子委員 先ほどの確認と少し違うのです。3月1日の事故への過失と責任を感じているとおっしゃっているわけですから、その責任を感じているからには、責任をとるという全うの仕方が必要ではないかという質疑をしているのです。

○小橋川明参考人 その件に関してでありますけれども、例えば、当時課題になったのは、体育の授業中に事故が起こった瞬間を担任が見ていなかったということについて、結果的にこれは担任としての立場上十分ではなかった。そういった面でも一定の責任を感じます。それから、その直後に病院に行って、頭をぶつけて打撲だという診断が出ています。こういったものについては、当然我々の責任において日本スポーツ振興センターに申請して支払いもしていますし、それから起きた事故によってこういう症状があらわれたことについては責任を感じているということであります。先ほどから言いますように、この脳脊髄液減少症が発症したことについて、我々素人が事故から半年後に発症した、その間の内容を十分掌握しておりません。そのときに何が起きたのか、本当にそうなのか我々として把握もできない状況にあります。それから、発症したのがこのことによるのかどうか。これは我々の仕事の視点では判断できない。そういったことを調査しているのであって、事故も含めた責任は100%全くありませんということは言えませんということであります。

○比嘉京子委員 その考え方について、学校で体育の授業で見ていない中で何らかの問題が起こったと。その直後にさまざまな現象が起こることもあるけれども、時間的な経過の中でさまざまなことが起こってくることも専門家でないので我々が議論する必要はないと思うのです。我々が議論することではなくて、起因している問題だからこそ学校も認めて、日本スポーツ振興センターの補償をおろしたのです。その延長線に保険適用外の問題があるわけで、ではこれが保険適用内であればこのような議論をしましたかという話になるのです。これが日本スポーツ振興センターの保険適用内の治療であれば、皆さんはこのような議論をしたのですかという話です。

○外間哲巳補助者 日本スポーツ振興センターが保険適用を認めたのは、日本スポーツ振興センターが判断して認めたということでありまして、今回、西原町が賠償補償をする場合は、町として改めて事故と脳脊髄液減少症との因果関係を精査した上での対応になると考えております。今は因果関係の調査中ということでありますので、まだ結論は出ていないということです。

○比嘉京子委員 同じことを先ほども言われているのでわかっています。この答えは先ほどと同じです。では、話を変えますけれども、皆さんは附帯決議の記の2と3についてどのように実行される考えですか。

○小橋川明参考人 この附帯決議については、その後内部で調整していきながらどういう形でこれを検討していくのか、どういう体制で議論していくのか、そういう場づくりを検討してきました。これは町内部を全体的にまとめる計画調整会議で2番や3番を含めて町として救援策がどうつくれるのか、つくれないのか、そういった検討をしていこうとつい最近立ち上げたばかりです。この中身の議論はまだやっていない状況にあります。

○比嘉京子委員 話が前後しますけれども、学校で起こった事故であるという責任を感じておられる。その責任を感じておられることと、子供を治すための治療や補償は全面的に学校としてとるというスタンスもお示しになりました。そうすると、保険適用外なのか適用内なのかという議論は別なのです。学校で起こった責任をとるということは当然のことであって、因果関係云々となっている根拠を調べさせていただきましたら、先ほど西銘委員も言いましたけれども、なかなかフェアな議論になっていないということは私から見ても明らかです。それはきょう議論をする余地はありません。本来なら皆さんの議事録を読み上げたいところです。例えば、損害保険ジャパン日本興亜株式会社―損保ジャパンの担当弁護士は利害関係があるので、この判断はなかなかフェアではないと思うのです。そうすると、町の教育委員会がここまで損保ジャパンの意向を受けて答弁していることは非常に偏っていると思われます。また内容もそうなっています。やはりそうではない別の第三者が議論し、皆さんに提言するならわかります。利害関係のない人たちが議論をして、皆さんに対して因果関係についてはこう考えるべきでしょうと。因果関係を問題にして、発生から4年目に入ろうとしている中において、これだけけがをした側に負担を与えている実態について、我々も何とかしなければならないという調査なのです。そのことを踏まえると、初動の問題指摘もたくさんあるでしょうけれども、これは後日、県教育庁とも議論します。けれどもこれだけの期間がたって、これだけ被災児童に対する負担があり、保護者に対する負担がある。けれども原点の責任は感じている。そうであれば、全部とろうという姿勢がどうして起こらないのでしょうか。
 聞き直します。皆さんが因果関係について聞いたりしている全国町村会総合賠償補償保険―損保ジャパンの対象となる町村等の業務というのがありますよね。その中にこう書いてあるのです。「学校教育活動(学校管理下における児童生徒については、死亡・後遺障害のみで入院・通院給付はありません)」となっているのです。そうすると今、入院や通院は皆さんが入っている全国町村会総合賠償補償保険の損保ジャパンでは適用外になるわけですよね。確認していいですか。

○外間哲巳補助者 先ほど島袋委員の質疑でもお答えしたように、日本スポーツ振興センターが適用できる分については、全国町村会総合賠償補償保険は向こうのほうが優先になると聞いております。今回の件につきまして、保険会社の担当にこの分についても適用できるかと事前に確認をとっております。そのお答えとしては適用可能と聞いております。

○比嘉京子委員 今は入院と通院ですよね。それは適用可能ですか。

○外間哲巳補助者 可能と聞いております。

○比嘉京子委員 最後に、今ちょうど保険適用外の先進医療について、このブラッドパッチ治療に関してははざまかもしれませんけれども、いろいろな問題が起こってくる可能性が今後あると思うのです。そうすると、今このはざまの中で対象となっている被災児童の治療を今の状態で何年間もやっておくということに対する参考人の見解を伺います。

○小橋川明参考人 今回の事例については、先ほど来申し上げていますとおり調査中であり、カルテや質問状を待っている段階であります。我々としては、情報収集等については全力を挙げてスピーディーに、解決のめどが立つように事を進めてもらいたいということで保険会社にも伝えてありますし、そのように我々も考えていまして、先ほど言いましたように、そういう意味で損害賠償と救援策も後でやるわけではなく、同時進行でスピーディーに対応していこうと考えて取り組んでいるところでございます。

○比嘉京子委員 最後に、先ほども附帯決議について町で話し合いをしていると言われましたけれども、附帯決議の2番目に、学校管理下における事故において10分の10、その他を10分の5とすると。3番目に、給付・補償の期間は10年をめどにするというのもあります。それと、皆さんの議論の中には、この子は5年生のときに事故があったけれども、現在は中学校2年生であり、あと1年ぐらいだという議論もあるのです。こういうことも考えると、私は本質的なところの判断といいますか、そのことに非常に懸念を持っているものですから、皆さんの責任があるということと対応の仕方にずれがあるということを指摘して終わります。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 きょうはどうもありがとうございます。
 この問題はずっとこれまで対応されてきて、いろいろな議論をされてここまで来ているのだろうと思って、とやかく言う筋合いではありません。保護者の方々も町教育委員会も、学校も含めてこういうことをやっているけれども、なかなか歩み寄りがないというのは、この附帯決議を見ていても、保護者としては事故の負傷であることと、補償が納得できない中での治療費等の借り入れには強い抵抗感があることを含めて考えていくと、一義的に何とか治療してもとに戻そうということと先ほど参考人たちも懸念している、これに対する責任があっての補償は別物ですよということですけれども、要するにこれは最初から感情の行き違いが、保護者の感情的な不満といったものがあって、なかなか歩み寄って協議ができなかったという経緯はありませんか。感情的なもつれはないですか。そのように見受けられますけれども、それぞれがお互いの主張をし合ってこういうことになっていませんか。

○小橋川明参考人 保護者と我々が接触した中では、特に感情的にお互いがぎくしゃくすることは、私がかかわっては特にないと思います。3月1日の事故が原因だということと我々は調査中だということの食い違いがある中で、いろいろ捉え方の違いがあるだろうとは思いますけれども、学校の当初の担任や校長先生、養護教諭といった皆さんが十分対応し切れていなかったのではないかという件に関して、保護者と学校との関係で保護者から強い指摘を受けた場面はございました。それから、参考にしてほしいと思いますけれども、昨年の12月25日とことし1月26日に、基本的に保護者と私と2人でいろいろ話し合ってみようという機会をつくりました。その中でもお互い見解の相違はありますけれども、基本的には先ほどから申し上げているとおり、損害賠償の視点それから救援策の視点の双方で我々は考えて進めているという話の中で、一定の理解を示していただいて、今現在にあるのかと思っております。そういう意味で、それほど感情的にぎくしゃくはしていないと捉えております。

○照屋守之委員 例えば保護者の意見も聞き、今の町教育委員会の意見も聞くと、両方それはそうだなとしかならないのです。今のような形で、きちっとした責任があれば因果関係を認めて、それについてもやりますよと言っていますよね。今の負担がかかる治療については、こういう条例をつくって200万円を貸し付けて、後でそういうものがはっきりすれば補塡するという形で、極めて客観的に見ると、町教育委員会は今の段階ではそういう形でしか対応できないのかと。個人的な立場と公の立場があって、個人的にはどうかという部分と、これがまた一緒ではないというのもわかります。私だって200万円でやりなさいということになりますから。ですから、そこを埋め合わせていくのは、あとはよい悪いを判断するのは感情的なものだと思うのです。だからそこをきっちりやっていなくて、せっかく町議会でそういう補償制度、治療費の仕組みをつくっても保護者が拒否するということになれば、それはやはり納得していないのでしょう。今、こういう流れがずっといけば、最終的には裁判で決着つけますよという形にしかならないのです。我々は外から見ていて―県議会という立場で見ていると、やはりそれはきちんと当事者同士でまとめていく、それぞれの言い分を聞いて何とか折り合いをつけるという立場だと私は思っているのです。ですから、それが一致しなければ、どういう手だてを講じても納得しないわけですから、どうぞ第三者の裁判に委ねてくださいということしかできないではありませんか。ですから、先ほどから言っておりますように、どうやってこれからもう一回感情的な埋め合わせをして、起こっている事態に対してきちんと対応する、あるいは保護者が懸念している補償問題についてやるということをきちんと整理する必要があると思いますけれども、その点はいかがですか。

○小橋川明参考人 先ほど申し上げました最近2回の保護者との話し合いの中で、附帯決議も出ていることですし、何らかの支援策も含めて検討していきたいと申し上げていきながら、支援策を判断していく場合は、必ずしも100%保護者が思うような制度は厳しいかもしれませんということも含めて、やるとすればお互いが歩み合って妥協していく方向もぜひ視野に入れてほしいと伝えてございます。まだ2回ですので、いろいろ状況が変わってくるなり、そういったことがあれば双方でいつでも意見を交換し合おうと確認しているところですので、お互いがバッティングするような状況は、話し合いによってできるだけ避けていく努力をお互いにやっていこうと考えているところです。

○照屋守之委員 ぜひお願いします。以前、うるま市でトラブルがありまして、結果的に裁判になったのです。裁判になって和解して、金額を決めて折り合いをつけたのです。できればそういうところまで行かなくても、お互いにわかり合ってきちんと対応できればいいという思いがあります。ただ、裁判まで行き着くというのは、やはりよい悪いを別にして感情的にどうしても一緒になり切れない部分がある。そこに行き着くとずっと並行線です。ぜひその努力を当事者同士、なかなか厳しければ第三者を通してそういう話し合いをするとか、きちんと対応して今後の対策についてもやる。県議会は県全体のものをやるというところをぜひしっかり頑張っていきたいと思います。以上です。ありがとうございました。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり。)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、小橋川明参考人等に対する質疑を終結いたします。
 この際、参考人及び補助者各位に対し、委員会を代表して、一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
 小橋川明参考人、補助者の皆さん、ありがとうございました。
 どうぞ御退席ください。
 休憩いたします。

   休憩 午後0時7分
   再開 午後1時33分

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 午前に引き続き、参考人からの意見聴取を行います。
 次に、沖縄・民間戦争被害者の会会長野里千恵子氏から説明を求めます。
 お手元にあります事務局配付資料の資料1をごらんください。
 野里千恵子参考人から、瑞慶山良實氏、阿良光雄氏、大城絹枝氏及び柳田虎一郎氏をそれぞれ補助者として出席させ、必要に応じて発言させたいとの申し出がありますので、委員長として同席を許可したことを御報告いたします。
 参考人及び補助者の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 参考人等から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人等から御説明をいただいた後、委員から参考人等に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人等が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人等の説明を聞く場でありますので、参考人等が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それでは、野里千恵子参考人から、陳情平成26年第46号沖縄戦、南洋戦などの一般民間戦争被害者救済のための新援護法制定に関する陳情の提出に至る背景及び目的等について簡潔に御説明をお願いいたします。
 野里千恵子参考人。

○野里千恵子参考人 私は沖縄・民間戦争被害者の会の野里千恵子と申します。こちらは副会長をしております阿良と瑞慶山です。阿良は監査もしております。後ろに大城と柳田が副会長としてかかわっております。きょうは私どものためにこういう時間を割いていただいて大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、私たちの趣旨を申し上げたいと思います。
 新援護法制定のための陳情の趣旨、内容については、既に委員のお手元にお届けしてありますのでお目通しのことと存じますけれども、弊会の陳情に至る経過及び理由は、去るアジア太平洋戦争の沖縄戦、南洋戦等において、民間戦争被害のうち、戦傷病者、戦没者遺族等、援護法から除外され、未補償のまま戦後70年間国及び行政当局から放置されてきた人やその遺族など、一般戦争被害者を会員として2010年―平成22年10月9日に結成されました。現援護法は軍人・軍属中心の救済と、戦闘参加者として援護された人、されない人の差別が生じたまま現在に至っております。憲法の定める法のもとの平等に反するとして、2012年から新援護法制定を求める活動を始めました。戦闘参加者というと、何らかの形で軍に協力した人たちを20項目にわたって認めた法律ですけれども、遺族会が軍人・軍属だけではなくそれに加わった人たちもいるのでということで、遺族会で要請を行い1957年にそれを認めてもらい、戦闘参加者という名前で準軍属として扱われ、援護を受けているのです。そのために不平等が起こってきたということです。新援護法制定のための要請活動として、県や各市町村に陳情文書の送付と同時に直接足を運んで要請活動をやってきました。その結果、ついに平成26年12月に県内41市町村議会が内閣総理大臣、衆参両院議長、厚生労働大臣宛てに意見書を提出していただきました。各市町村議会の意見書を受けて県議会で採択してくだされば、私どもとして大変ありがたいところでございます。
 新援護法とは、一般民間人で戦争被害を受けながらも、援護法の申請をしていない方々や援護の手続を申請したが却下された方々など、未補償の一般民間戦争被害者を救済するための法律でございます。私たちは全国空襲被害者連絡協議会―全国空襲連や日本弁護士連合会の方々の支援も受けつつ、全国の戦争被害者とともに現在頑張っているところです。沖縄でも41名の弁護士が加わっております。自民党鳩山邦夫氏を中心に各党、無所属及び国会議員連盟も超党派で取り組んでおります。前野田佳彦内閣のときには56名の国会議員で取り組んでいましたけれども、新援護法案を確定し国会提出寸前に衆議院解散・総選挙となり、その後再結成され、現在は30名の議員で取り組みを進めているところです。戦後70年の節目、ことしが正念場です。どうぞ私たちの取り組みを理解いただき、県議会でも全会一致で採択してくだされば大変ありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。南洋戦については補助者の阿良さんが少し補足いたします。

○呉屋宏委員長 続きまして、阿良光雄補助者。

○阿良光雄補助者 南洋戦被害者の一人、阿良光雄と申します。個人的な部分は抜きにして、大まかに南洋戦でどのぐらいの方が犠牲になって、未補償の状態にあるかという点を説明していきます。
 南洋戦等による一般民間住民の戦死者は2万5000名とされています。そのうち約8000名が戦闘参加者、協力者として当時の援護法の対象とされましたけれども、それ以外の戦没者1万7000名は未補償のまま放置されております。さらに軍の強制によって疎開を命じられ、疎開船の撃沈による死亡者が約1500名に及ぶと言われています。その他多数の後遺障害者等に対しても戦後の援護法では救済されておりません。この数字は、当時の琉球政府福祉援護課が援護法適用申請等の手続の際に調べた数字に基づいております。この援護法は軍人・軍属、戦闘協力者が対象とされていたため、これらの南洋戦被害者1万7000名、それから疎開船による死亡者1500名、それから後遺障害者等は対象とされておりません。我が国は法治国家であります。憲法で定めている法のもとの平等、基本的人権の保障に照らし、軍人・軍属と同様に差別なくひとしく補償することが国としての責任であると思っております。そのために、国に対し新援護法の制定を強く求める活動をしてまいりました。最終的に沖縄県議会の御支援をお願いして、この願いがかなえられますように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。以上です。

○呉屋宏委員長 参考人の説明は終わりました。
 これより参考人等に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 島袋大委員。

○島袋大委員 よろしくお願いします。県下各市町村議会での決議状況、37議会が決議とありますけれども、41市町村議会も同様に、そういった形で意見書を出してくれていろいろやっていただいたと思っていますけれども、本土の地方議会でも意見書の採択もろもろがされていると書いていますけれども、全国にまたがってそういったものを含めて、意見書の広がりはどのようになっていますか。

○瑞慶山良實補助者 私たちの新援護法制定に向けた動きというのは、まず全国空襲連という全国組織がありまして、その全国組織の中に東京空襲犠牲者遺族会、東京大空襲訴訟原告団、大阪空襲訴訟原告団、沖縄戦被害国賠償訴訟原告団などの組織がありまして、その全国空襲連の援護法推進本部設置に基づいて全国的な運動をやっているところです。そして、請願署名運動の目標は全国で100万人で、国会議員の賛同署名も国会議員の3分の2を目標に、地方議会促進決議書・意見書採択を全国自治体の3分の2を目標にしています。また、政府、政党への要請行動をということで、超党派で取り組んでいるところです。全国的な運動が今どうなっているのかははっきりわかりませんけれども、署名は今全国で30万人ほど、沖縄県が四万六千、七千名という状況です。全国の各自治体の採択状況の情報は入っておりませんで、よくわかりません。

○島袋大委員 41市町村議会にもお声かけして数多く、37市町村で決議されているということでありますけれども、やはり市町村議会でも声が出ていますので、県議会にもこういった形で陳情が出されておりますので、趣旨としては県議会としても早目に意見書を出していただいて、そういった形での御協力を願いたいということで出されているという認識でいいですよね。以上です。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 お疲れさまです。運動するに当たって被害者の皆さんの特徴的な声といいますか、文書でまとめていらっしゃると思いますけれども、そこら辺を述べていただけますか。

○野里千恵子参考人 被害者の会に参加している会員は、200名余りが集まっておりますけれども、その方たちの年齢で80代や90代の方がいらっしゃいます。お孫さんが引き継いだり、子供が引き継いだりしているのですけれども、その中で90代、80代の方がお一人ずつ亡くなってしまいました。そのメンバーの中には、自分の目が黒いうちに仏壇の家族に対して、国からの謝罪があったよ、これだけの見舞金があったよという報告をしたいという切なる思いで参加していらっしゃいます。中には、母親の胸に抱かれ爆風で目をやられて、小さいときから義眼で何の補償も治療費もなく、ずっと自分で義眼を二、三年に1回入れかえて生きている人もおります。また、目の前で自分の親を亡くし、戦後自分の該当する市町村で手続をしようとしたら、証人を連れてこいとかということでぐるぐる回されて、結局認められない状態で泣き寝入りしているときに、瑞慶山弁護士の呼びかけで集まった方たちがほとんどです。そういう六十何年間放置された方たちが、自分も救ってもらえるのではないかということで呼びかけに参加していらっしゃるメンバーです。中には、外国にいてインターネットで見たということで参加している方もいらっしゃいます。自分でずっと手続をしたけれども、認められないであっちに行ったりこっちに行ったり、たらい回しにされて全部拒否されて今まで生きていたというメンバーです。

○西銘純恵委員 先ほど、沖縄戦で7万名と南洋戦で1万7000名プラスいらっしゃるということで説明を受けましたら、たしか何十年前になりますか、補償が受けられるということで沖縄県中で援護法の適用を受ける手続で皆さんが動いた時期があったかと思います。振り返ると、確かに私の身近でも申請したけれども証人がいなくてできなかったとかありますけれども、今説明を受けましたら、会に参加されている大方の皆さんは、そのように証人がいらっしゃらないということで当時手続の努力をしたがとおっしゃっていますけれども、それは参加してる皆さんだけであるのか、それとも全県的に健在でいらっしゃる皆さんにも声をかけたら、そういうのがもっと出てくる可能性としては高いということになるのでしょうか。

○野里千恵子参考人 沖縄県民の4人に1人は犠牲になっている状況ですので、数にすれば物すごく莫大な数になると思います。中には、年をとったので動けない、手続に行けないという方や、今まで認められなかったのだから今さら認められるわけがないと弱音を吐いていらっしゃる方もおられます。調査をすれば、何十万名と出てくるのではないかと思います。

○西銘純恵委員 先ほど議員提案で法律が制定されれば適用される皆さんが出るのではないかということも話されていましたけれども、今ある援護法の援護内容―金額でも結構ですけれども、現在のものについて、もし紹介できるのでしたらどうなっているのかお願いします。

○呉屋宏委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、瑞慶山良實補助者より、県平和援護・男女参画課へ問い合わせたところ、典型的な例として、軍人として亡くなった方に対する戦後の援護法の適用により、死亡者1人当たりで受けた累積額が2012年までで6200万円ほどに上るという事例が紹介された。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 法が制定されて、当初からやっていれば累積でこのぐらいになっているでしょうという金額をお聞きしたら、生活の一定の足しになっていた気がしますけれども、民間人ということで適用外のものでこれほどの差が既についているし、これから適用するといってもそれほど年月は残されていないかと思います。
 それで、外国の例も出されていますのでお尋ねしたいのですけれども、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアでは一般人も補償されていることについて、どのような補償になっているのかおわかりでしたらお願いします。

○野里千恵子参考人 全国空襲被害者連絡協議会の資料に基づいて申し上げますと、1人当たり幾らという金額はわかりませんが、一人一人を人間として大切にする人権・人道的な立場から、軍人・軍属・一般民間人差別なく一律に補償されるとうたわれております。

○西銘純恵委員 命は平等という主張をされていますけれども、新援護法制定の要望ですが、それについては具体的に考えていらっしゃることはありますか。

○瑞慶山良實補助者 新援護法については、東京都を中心に活動している東京大空襲訴訟にかかわった弁護団を中心に、それから先ほど参考人からもありました超党派での議員連盟で五十数名の国会議員が賛同していただきまして、国会議員と弁護士の方々が膝詰めで議論して、衆議院法制局の方々のアドバイスを受けながら、法案の骨子はできているのです。それを議員連盟を中心とする議員立法で提出するタイミングを見計らっていたやさきに解散されてしまったものですから、タイミングが外れてしまいました。現在は二十四、五名と半分に減少しているという状況で、再度議員連盟を立て直す動きを東京都で一生懸命やっております。それと、皆様に誤解されると困りますので、今できている法案の骨子を見ますと、先ほど出ている現行援護法による援護とは全然違う水準の金額です。私たちが訴えている新援護法は、実は戦場で亡くなった民間人1人につき、毎年ではなく1回100万円を渡して終わり。それから、片腕を失ったとか目を失った、足を失ったといった障害を負って生きている方も今たくさんいます。それは障害の程度に応じて20万円とか50万円といった、100万円以下の障害補償―これも1回きりという形の新援護法なのです。ですから、かなり金額を落とした形です。それはやはり全国空襲連の方々と相当議論する中で、沖縄はやはり1000万円や2000万円を要求しましたけれども、全国の弁護士がいろいろ厳しい状況の中で、とりあえず被害者に対する国家の謝罪と国の誠意をかち取ればいいのではないかということで、実現性を見て100万円という水準に落としている法案です。

○西銘純恵委員 この法案についても、皆さんとしていろいろ今意見を述べたけれども、その法案を制定してほしいという考えを持っているということでよろしいですか。

○瑞慶山良實補助者 我々は全国空襲連の下部組織ですので、そこで全国の代表が集まって議論した結果としての法案ですので、100万円という低レベルですけれども、それは全国が足並みをそろえて全国民が一致団結しなければかち取れない戦いですから、そこで余り欲張ってしまって、金額を引き上げていろいろ難しくなるとまた問題になるのです。そういうものもありますが、やはり人権意識のある方々が立ち上がって今闘っているのが、新援護法制定とは別の裁判闘争です。それは、沖縄県でも今平均年齢80歳の112名が集まって原告となり、補償要求をしている裁判がありますけれども、この裁判における補償要求は死亡者1人につき1000万円です。弁護費用200万円を含めた1200万円の補償をしてくれと国に要望する裁判が今継続中です。その裁判の要求と新援護法で求める額とはまた別の問題です。

○西銘純恵委員 県議会に対しては、新援護法の制定ということでよろしいですね。ありがとうございます。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 糸洲朝則委員。

○糸洲朝則委員 皆さんの資料2ページの国民の戦争被害という項目で、空襲被害者、沖縄戦・南洋戦被害者など一般民間戦争被害者(死者)は80万人と言われているとありますけれども、民間戦争被害者が80万人というのは全国規模でよろしいでしょうか。沖縄県だけですか。

○瑞慶山良實補助者 去る戦争において、全国民の中で戦争で犠牲になった方は310万名と言われていて、その中で230万名が軍人で、純然たる民間戦争被害者は80万名と言われているのです。80万名の民間戦争被害者の中で、沖縄における地上戦が非常に特殊だったということで、その中で戦争協力者という項目を設けて、沖縄県の純然たる民間戦争被害者5万4000名ほどを準軍属として現行の援護法で救済しているのです。全国的に見れば、80万名の中から5万名ぐらいの民間人が救済されていて、あと75万人は放置されているのが現状です。

○糸洲朝則委員 ですから、これは全国でしょう。

○瑞慶山良實補助者 全国です。

○糸洲朝則委員 それで、80万名あるいは75万名という全国の中で、沖縄戦・南洋戦におけるのが、次のページの死者3万8754名とは沖縄県ですか。沖縄県の民間戦争被害者がまだ補償されていないというのは―先ほど聞き漏らしましたけれども、南洋戦では1万7000名と言われていますよね。沖縄戦の一般民間戦争被害者のうち、推定10万名近い死者・負傷者が未補償だと。沖縄県が10万名近いと。
 それで、新援護法という説明で骨子もできているということですけれども、これは国会での動きとしては議員立法という方向なのか、それとも政府から出される方針のどちらで動いているのですか。

○瑞慶山良實補助者 議員立法の方向で動いています。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新田宜明委員。

○新田宜明委員 少し教えていただきたいのですけれども、この陳情書の中にイギリス、フランス、ドイツ及びイタリアでは自国民、外国人を問わず一般民間戦争被害者が軍人・軍属と同じく平等に補償されているという記述がありますけれども、ヨーロッパにおける戦争被害に対する救済の範囲といいますか、被害補償の範囲はどのようなものなのか教えていただきたいです。

○瑞慶山良實補助者 私は専門家ではないので、ヨーロッパにおける補償の実態というのは細かいところはよくわかりません。ただ、我々は全国空襲連の弁護団が調べ上げて、ヨーロッパでどういった戦後処理をしてきたのか、ヨーロッパのいろいろな戦後補償のあり方を調べ上げた結果、我々の陳情書にあるように、ヨーロッパでは軍人・民間人問わず平等に補償していると。例えばドイツの場合、ユダヤ人犠牲者に対してもドイツ人と同じように補償していると。外国人であってもドイツ国内で犠牲になった方々は補償しているというのが現状らしいです。

○新田宜明委員 先ほど議員立法で原案みたいなものができているというお話ですけれども、これは人的被害に対する補償のみなのですか。

○瑞慶山良實補助者 人的補償だけです。物的な被害もありますけれども、とりあえずは人的補償だけです。

○新田宜明委員 私が考えるに、人的被害はもちろんのこと、やはり国策で戦争は引き起こされるわけです。当然に人的補償のみではなくて、財産・物的被害にもあるべきではないかと思うのです。私は戦後の昭和20年生まれですけれども、糸満市兼城の学校のすぐ裏に家があるのです。そこは守備軍が沖縄に配属された段階で将校たちの兵舎に没収されまして、学校が全体の兵舎で将校たちが民間の家を没収して兵舎として使われていました。そのときに屋敷内で飼っていた馬とか牛、豚は全部徴用といいますか、そういうことを親から聞いているのです。ですから、人的な被害も真っ先な問題ではありますけれども、戦争によって侵された財産の被害をもし議員立法でやるのであれば、個人的にはそこまで範囲を広げてほしいという思いがあります。ですから、それは要望ですけれども、援護法の問題とは、当時は戦闘協力者という形で申請しないと認められなかったということですか。それは確認したいです。

○野里千恵子参考人 例えば、4歳から6歳の子供が目の前で親を亡くし、孤児として手続を提出したとき、証人がいないからだめだと。それから家族の発言だけでは認められないということで却下されています。当時4歳から6歳の子供が戦闘中にそばに誰がいたかはよくわからないのです。そのまま拾われて孤児院に収容されていますし、自分が母や父を亡くしたときにそばに誰がいたのかもわからない。探してこいと言っても探せない状態で、そういう形で補償を認められなかったという状態があるのです。家族の証言ではだめだということでした。
 それと、先ほど物的被害についてもというお話がありましたけれども、私たちもそれを考えました。私が署名を求めたときに、ある人が疎開へ行き、荷物も家も失った、牛や馬をとられたという状態で一緒にやってくれないかと言われたこともあります。弁護士の話によると、人間の命でさえも補償できてない状態で物的なものまでかぶせたら範囲が広くなるので、まずは人的補償にしようとなっているのです。

○新田宜明委員 原告の数が112名とおっしゃいましたけれども、どういう年齢層の方ですか。遺族も入っていて、生存者もいらっしゃるわけですよね。大体どういう構成になっているのでしょうか。

○瑞慶山良實補助者 平均年齢は80歳です。

○新田宜明委員 もう少し詳しく、例えば孤児であったとか、親が亡くなったとかです。

○瑞慶山良實補助者 これは個人で皆違いまして、例えば伊江島の方の場合は伊江島のごうで集団自決をして、たまたま生き残ったという方で今でもびっこを引いてる方とか、同じごうの中で小指を失った人もいます。また、ある女性は、昭和13年生で当時7歳で母親と弟を島尻郡で失って、ひとりで戦場をさまよい戦争孤児となって戦後ひとりで生きて、赤の他人に養女としてもらわれてそこで育ってきた方や、あるいはサイパン島で家族のほとんどを失って帰ってきた方など、戦争被害者は千差万別で皆違います。

○阿良光雄補助者 私は南洋群島の引揚者で、2度沈没船から生き延びた生存者の一人です。そのとき、姉を最初の沈没船で亡くし、次の船に救助されてまた弟が亡くなったわけです。当時14歳であった兄が、現地パラオでペリリュー島へ召集がかかったのです。そういった事実を戦後の援護法の手続の際、父はパラオの本島に召集されていましたので、終戦直後にペリリュー島に派遣された次男が戦死していると確認しているのですけれども、そういう状況も説明して船で亡くなったのは戸籍上でも除籍されています。ペリリュー島に派遣された当時14歳の兄は、玉砕して34名が生存者として帰ってこられたようですけれども、いまだに国は死亡通告を出してくれません。戸籍上では生きている状況にあるのです。ペリリュー島は逃げるところもない小さな島で、最悪の戦いが行われたということで、ことし天皇皇后両陛下が慰霊のためにいらっしゃるスケジュールになっているようです。ペリリュー島はパラオ諸島の一つですので、こういう状況で父がパラオの本島で確認して帰国し、父が母と2人で当時の琉球政府援護課に手続へ行ったら、家族では認められないと。証人を3名連れてこいと。ああいう玉砕したところで誰が証人がいますか。また、自分が生きるのに精いっぱいで、我々6名家族から2名が欠けて4名は生存してきましたけれども、私もその中の一人ですから、そういう説明を行っても当時の援護課の皆さんは認めてくれませんでした。これは今、確認すれば全てのデータがあり、わかることです。ですから、日本政府は戦後、沖縄戦についても南洋戦についてもその被害の実態調査を行っていないということに、本当は先ほどの資産も含めて請求をやりたいですけれども、人の命にかかわることすら調査も行われていないという実態で、我々が人的被害以外に物的被害も要求できない状況にあると御理解いただきたいです。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 嶺井光委員。

○嶺井光委員 国会議員が議員立法をしようと動いたわけですよね。当時五十何名かの議員連盟の方々がいて、これが二十何名かに減った。この数字はどう見るべきでしょうか。勢いが弱くなったと見るべきなのか、国会議員の当落の関係なのか。そこら辺はどう見ていますか。

○瑞慶山良實補助者 全国会議員に対してこの戦後補償、我々の趣旨を国会議員一人一人に回って説得していると思いますけれども、あの段階でこの趣旨に心が動いて賛同してくれたのが56名いたと。56名もいればかなりの力ですから、その方々を中心にしっかりとした、道理の通った国民が納得できそうな範囲の法案を作成して提出すれば、中間的に悩んでいた議員の中からもこれは成立させようという動きになる可能性はあります。とりあえずは56名の超党派で、自民党や社民党、共産党、公明党の議員もいます。超党派でこの趣旨に賛同してくださった方が集まっていたのです。ところが、衆議院が解散されて、再度新しい議員の方々が当選してきた中で、戦後生まれの若い議員もたくさんいます。戦争の悲惨さなどが不足している議員もいると思うのです。それを再度盛り返して仲間をふやそうということで、25名まで減っていましたけれども、今は30名ぐらいにまでふえてきているので、これからもどんどんふやしていこうという動きをしています。

○嶺井光委員 国は補償そのものを嫌がっているわけですよね。国民全てということで受忍の範囲だと。しかし、実態はかなり被害の格差があるわけです。ですので、立ち上がって頑張っていると思いますけれども、やはりこれは議員立法でなければできないことだと思うのです。そういう意味では、減ってきた国会議員をいかにふやして、再度議員立法を実現するかにかかっているという気がしていますし、その取り組みをしていると思われます。
 6歳未満児の戦闘協力者の補償問題が最近ありましたよね。あの背景を御存じであれば聞かせていただけませんか。

○瑞慶山良實補助者 私の知識の範囲で申し上げますと、民間被害者の中で、軍にごうを提供したとか、軍の炊事を手伝ったとか、弾を運ぶのを手伝ったとか、伝令を手伝ったといった何らかの分野で協力があったと認められた方が補償されたのです。その中で、6歳未満の問題については、6歳未満の子はまだ未熟で、自分ひとりで戦場の中を自己判断で動き回るのは非常に難しいので親と一体化させている。6歳未満の被害者は親と一体とみなして補償するということで、親が戦闘協力者と認められた6歳未満の子供は援護法の適用オーケーとなっているのです。親が戦闘協力者として認められていない子供は認められないです。

○嶺井光委員 そういう意味では、究極な被害の方々が現実におられるわけですから、国は先ほど言ったように、受忍の範囲であり国民全ての被害でこれが分けられないのだろうと思います。そういう歴然とした被害の落差があるものをどう示し、納得させるかになってくると思います。6歳未満児問題が後からついてきたように、国会が議員提案をして実態調査を国に訴えていく、国会議員が動かないとどうしようもないのではないかと思っていて、そこに尽きるのではないかと思っています。

○瑞慶山良實補助者 嶺井委員の御意見に関連して補足いたします。東京大空襲訴訟がありまして、一審、二審、最高裁まで行って敗訴しましたけれども、この一審と二審の判決文の中にこのような文面が入っているのです。
 原告らが、戦後の立法により各種の援護措置を受けてきた旧軍人・軍属との不公平感を感じ、原告らのような一般戦争被害者に対しても救済や援護を与えるのが国の責務であるとする原告の主張には、心情的には理解できるものがある。国民自身がみずからの意思に基づいて結論を出すべき問題であるだろう。すなわち、国会がさまざまな政治的配慮に基づき立法を通じて解決すべき問題である。
 裁判官がこのように述べているのです。この判決を受けて、弁護団は刺激されました。司法は、莫大な国家財政が動く問題ですので判断を避けたのです。司法は、これは国会の問題ではないのですかと投げかけたのです。それで弁護団もよしということで、これは国会で新しい援護法をつくってもらって救済する運動をやろうと、裁判闘争の中で出てきた一つの示唆だったのです。一審、二審においても、これまで従来述べてきた受忍論は判決文の中で一切触れていません。裁判官も今、受忍論まで文章化して出すことはちゅうちょしていると見受けられます。

○嶺井光委員 そういうことを聞くと、より国会議員連盟の皆さんの数をふやして、いま一度盛り上げていくことが一番大事ではないかと思います。終わります。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 今、議員立法でというお話がありました。そのためには国会議員の皆さんの賛同を得なくてはならないと。30名ぐらいの方は賛同されているのですね。沖縄県選出議員のうち、何名がそれに賛成していますか。

○野里千恵子参考人 総会のときに毎回メッセージをくださる方が、糸数慶子議員、それから赤嶺政賢議員、山内さんが国会議員のときにはお見えになりました。それから照屋寛徳議員も加わっていらっしゃいます。
 30名の中に、4名の県選出議員が入っていると思います。

○狩俣信子委員 議員立法という形になると、やはりどれだけ多くの国会議員を入れるかが大きな焦点になると思います。それで、皆さんが議員連盟に入ってもらうための努力といいますか、例えば各政党に要請文を出したりなどは毎回やっていらっしゃるのでしょうか。

○瑞慶山良實補助者 前回、解散する前は瑞慶山弁護団長を中心に、国会議員の方々に何名か打診して動いていたのです。その後解散されて、去年新たな方々が出てきましたので、それから時間もまだたっていないし、恐らく具体的なアプローチはしていないのではないかと思います。

○狩俣信子委員 個々の議員に働きかけるのも大事だと思いますけれども、政党を通してこういったことがありますという協力依頼といいますか、それもやっていたほうがいいのではないかとお話を聞いていて受けたのです。今後、それについてはどう考えますか。

○瑞慶山良實補助者 これは当然のことです。私たちは非常に無力な市民の集まりですので、考えたことはやはり沖縄県の市町村議会議員の方々にこの動きを理解していただいて、底辺を広げようと。最初に糸満市議会の新垣新議員を説得して、積極的に協力していただき、彼が突破口となって糸満市議会を説得し決議して、それから豊見城市議会を説得に行って、私たちも委員会へ呼ばれて説明してということで、二、三年かけて41市町村議会が全会一致で賛同していただいて、自信がついて今、委員方に実績をひっ提げてお願い申し上げているのです。今回、沖縄県議会議員の皆さんが賛同していただければ、次は国会議員の先生方だよと。県下41市町村議会も県議会も後押ししてくれたと。あとは国会議員を会派ごとに尋ねて、しっかりこれまでの運動を伝えて、国会議員の皆さんに賛同いただくという考えを持っています。

○狩俣信子委員 やはり、高齢化していく中で早く決着をつけなければならない問題だと思います。戦争で後遺症を持った障害者への適用が全然されていないのですね。そこらあたりはどうですか。

○瑞慶山良實補助者 先ほど申し上げましたように、今提案している新援護法案では、亡くなった方には100万円、障害を受けた方には程度に応じて100万円以下の支給をするということです。

○狩俣信子委員 そうであっても、沖縄の障害を持ったたくさんの方に対しては、現行援護法の適用除外とされていて、実際に現在はお金を受け取っていないのですよね。

○野里千恵子参考人 適用外として拒否されてきています。

○狩俣信子委員 そういう意味では、私たち県議会もそれが適用される方向で努力していくべきだと感じております。きょうはありがとうございました。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 赤嶺昇委員。

○赤嶺昇委員 皆さんの努力によって41市町村で決議がなされたということで、決議が全会一致なのかということと、国に対して意見書もそれぞれ出していると理解していいですか。

○野里千恵子参考人 私たちは陳情書を送りましたが、詳しい内容がわからないから説明してくれということで、伊江島にも足を運びました。国頭村へ2回。各市町村のほとんどへ足を運んで説明してきました。離島におきましては、知人、友人を通して文書による説明を行ったり、電話でお願いをしたりということで、内容を説明して採択していただいています。
 41市町村全てで意見書を国へ出しています。それを受けて、最終的に県へお願いに上がっております。

○赤嶺昇委員 離島も含め、皆さんが説明に行かれているということで、皆さんの活動費はどのようにやっているのですか。

○野里千恵子参考人 費用ですけれども、交通費等は運営しているメンバーの自腹です。会員は200名で年会費は2000円ですが、80%しか会費を納めていなくて、文書を印刷したり送付したりすると赤字で、弁護士事務所の財政をお借りしている形になっているのです。

○赤嶺昇委員 非常に気持ちも伝わってきました。今回、県議会において採択されて意見書を出したら、皆さんの思いは伝わると理解してよろしいですね。

○野里千恵子参考人 私たちの望みはそれでございます。ぜひとも高齢の方々が元気なうちに謝罪をしてもらい、認めてもらうことを願って頑張っているところです。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 80万名という未補償の一般戦争被害者について、今お話を聞いていても、軍人・軍属が優先されて、一般の方々の声も含めてなかなかこういう形がつくれなくてこうなったのではないかと思っています。今、いろいろな話があるように、ここはとにかく我々も含めて最後の踏ん張りどころで、早目に意見書を出してしっかりやりたいという思いもあります。
 この人数について、例えば80万名、沖縄県の7万名とか南洋戦の1万7000名とかありますよね。これは、例えばそういう法律をつくったときに、国が再度こういう方々を調査する手続もしなければなりませんか。

○瑞慶山良實補助者 この法案の中では、国に対して調査義務を課しています。国は再度、民間戦争被害者の実態調査をやりなさいという項目を入れています。沖縄戦・南洋戦の被害の実態調査はされていないらしいのです。沖縄県も国もやっていないらしいのです。再度、国の責任においてもっと実態調査をしていただいて、もしこれが通れば、それに基づいて補償もなされていくと思うのです。この法案が通れば、被害者遺族の方々がどんどん市町村役場の窓口に来て、申請ができますよね。そのいろいろな調査を国も一緒になって実態調査が始まって、それで確定した人に支給が始まっていく形になるのではと思っています。

○照屋守之委員 議員立法で上げる寸前まで来ていたが、なかなかできなくて法制局でどうのこうのといって、1000万円の要求が100万円に下がったという、具体的な数字まである程度出ているのですか。

○瑞慶山良實補助者 法案の中に数字も全て書き込まれています。年齢を問わず戦場で亡くなった民間人は、1人につき遺族に対して100万円の補償。負傷した人は負傷の程度に応じて障害補償、そこは書き込まれています。国の調査も書かれているし、その辺は案文に載っています。

○照屋守之委員 そうすると、例えば80万名となると単純に100万円を掛けると8000億円になるのです。皆さんの今の立場はそういう内容で、新たに実態調査をしてもらって、多少のプラスマイナスはあるけれども、とにかくこの問題を早目に決着つけるためには、そういう形でもやらないとどうしようもないという感じですか。

○瑞慶山良實補助者 やはり先ほど委員からもありましたように、最近よく言われるのは、戦争トラウマによる症状が80歳を過ぎて顕著に出てくる方もいっぱいいるということで、戦争における無残な場面に遭遇して、それが心の傷となって、ずっと引きずったまま精神障害を起こしたりといろいろ言われているのです。やはりそういったものは、自分の人生がなぜこうなったのか原因の説明もないまま、自分自身に説明もできないまま悶々とした状態で精神が病んでいると思うです。国の宣戦布告によって沖縄戦が始まって皆さん方に迷惑をおかけしました、国が責任を持って被害を受けた方に公に文面で謝罪して、その後、お金は微々たる補償ですけれども100万円で我慢してくださいねという形で、それぐらいでもやってくれれば、何らかの心の傷は100%ではないけれども、悲惨な戦争体験は国の責任の結果だったと、自分で自分を責めないで済むと思うのです。責任も不明確で、あなたは運が悪かったねと偶然性と運の悪さで片づけられて、自己責任にさせられてしまっているから相当悩みが大きいと思うのです。

○照屋守之委員 我々はこういう立場からすると、例えば軍人・軍属で50兆円ほどやったのに、一般のそういうものについては8000億円かというものがあって、これは10%にも満たない、1.6%とかで、そうすると、どうせ法律をつくるのではあればもっとやってほしいというのもあります。ただ、そういう形でがちがちやっていても、戦後70年になってまでこれを新たにそういうことをすると、さらに問題解決が長引く話にもならないかということと、皆様方がある程度そういう御理解をしていただければ、今のような仕組みである程度形が整って、議員提案として法案が上がってそれが国会で認められれば、そういう仕組みができればそれもそれでいいのかという思いもあります。そういう意味で五十何兆円のものと8000億円、この程度でいいのですかという思いがあって確認しているのです。ただ、私もこれはぜひ今回の議会で採択して、皆様方が何カ年かけて市町村議会を説得して頑張ってきましたけれども、我々も意見書を採択すると、直接国に対して要請という手続をものによってはとったりするのです。文書を送付したりもしますが。今回の事例というのは、もちろん国にも出しますけれども、それぞれの政党にも出して―国というよりも議員提案だから、我々が自民党も公明党も共産党も社民党もそれぞれの政党を回って、こういうことだからぜひ早目に国会で法律をつくってくれという要請行動もいいのかと思っています。ぜひ我々もそういう形で協議したいと思っております。どうもありがとうございました。以上です。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 大体のことは理解しているつもりですけれども、戦争で亡くなった一般の方々は今まで全く補償はなかったのですか。年間わずかながらでも少なからずあったのですか。

○瑞慶山良實補助者 ゼロです。何もありません。

○比嘉京子委員 やはり、委員皆さんが考えを述べられているので、新たな全国的な運動展開を含めて、まず沖縄県選出の国会議員もろとも―我々も言いますけれども、本当に急いで大きなうねりをつくっていくことが必要ではないかと思われます。ぜひ県議会も支援していけると思いますので、急ピッチで大きな動きを展開できるように、全国的なレベルでも含めて、それをぜひとも皆さんにもう一頑張りしてほしいと思っています。以上です。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 又吉清義委員。

○又吉清義委員 私の誤解かもしれませんけれども、沖縄戦・南洋戦に対するものが主なものかと思いますけれども、沖縄でこういった軍人・軍属などの補償をやっている団体等もありますけれども、そういった団体等との連携とか、一緒に歩調を合わせてやっているということは今まではなかったのでしょうか。

○阿良光雄補助者 南洋戦において申し上げると、南洋群島帰還者会というのが戦後つくられておりまして、その帰還者会を中心に援護法の手続、そういった要請も行っていたと思いますけれども、これは都市部を中心にしかそういった組織があるとわからなかったのです。地方にいるお互いの被害者は、そういう組織があって、いわゆる遺族連合会と連携してやっていることもわからなかったのです。それでその後いろいろな問題が出てきて、援護法の申請があると、適用できるということを耳にして、当時の琉球政府の援護課へ行ったら、証人を3名連れてきなさいとか、そういうことで全然相手にしてもらえないわけです。そういう形で取り残されてきて、南洋群島帰還者会の中でも戦闘協力をした一般被害者の方の中には援護法の適用を受けた方もいらっしゃることを耳にしております。軍人・軍属が中心ではあったのですけれども、沖縄戦と同じように、戦闘協力者として認められた方は民間戦争被害者でも援護を受けられた方もいらっしゃるということですけれども、それ以外は取り残されて、今日に至っているということであります。

○又吉清義委員 そういう制度がある中でも、また十分行き届いた中でも、皆さんが十分知らない中のものも、また逆に皆さんでこれは何とかしないといけないとやっている中で、そういった団体との横のつながりとか、連絡云々はまだ連携がとれていないと理解してよろしいわけですね。

○阿良光雄補助者 南洋群島被害者の分については、私は南洋群島帰還者会に加入していろいろ協力をやっているわけですけれども、その方たちは当時対象になって受けられた方も結構いらっしゃるみたいで、最近署名活動で協力のお願いに行ったら、なぜ今ごろなのか、これは終わったことではないのかと余り相手にしてくれないわけです。ですから、私たちも協力するから頑張りなさいといって署名に積極的に協力していただくような、我々に対していい感じを受けない状況であります。

○瑞慶山良實補助者 今お願いしている新援護法は、実は2本立てになっておりまして、当初は空襲被害者等援護法という全国何十の都市が受けた空爆などの空襲被害、その空襲被害者等援護法という法律1本だけで沖縄も全部含めて新援護法を制定しようと動いていたわけです。けれども、沖縄戦は東京空襲とか大阪空襲という空襲被害と中身が違うのではないのかということが我々の運動を通じてはっきり見えてきて、瑞慶山弁護士が全国空襲連や弁護士会の中で、沖縄戦は空襲被害だけではない、例えば疎開船が沈没して亡くなった事例とか、集団自決して亡くなったとか、マラリアで亡くなったとか、その他スパイ扱いされ処刑されたとか、あるいは捕虜収容所で餓死したとか、そういう本土にはない特殊な事例があって、ただ空襲被害者に補償するというだけでは沖縄では外れる者がたくさん出るからということで、空襲被害者等援護法という中心的な法律のほかに、沖縄戦時行為等特別補償法という2本立ての法律になっております。沖縄だけ特別に地上戦があったことに起因する、他府県には見られない沖縄独特の被害実態があるものですから、これは全て救済しようということで全国の弁護士の方も認めたのです。ですから、沖縄だけは捕虜収容所で栄養失調で餓死した人とか、八重山戦争マラリアの被害者の方々とか、これらも全部救済の対象になっているのです。それをつけ加えておきたいと思います。
 なお、広島・長崎の原爆で亡くなられた方は、現在一切補償されておりません。生き残った方で後遺障害がある方は補償されておりますけれども。この新援護法では、そういう亡くなった方々も救済しようと法案に入っております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、野里千恵子参考人等に対する質疑を終結いたします。
 この際、参考人及び補助者各位に対し、委員会を代表して、一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
 野里千恵子参考人、補助者の皆さん、ありがとうございました。
 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人等退室。退室後、委員長から、文教厚生委員長名で議長宛て「手話言語条例(仮称)制定に向けた活動への予算確保について」という文書を提出してよいか各委員に提案した結果、全委員からの了解を得た。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

 委 員 長  呉 屋   宏