委員会記録・調査報告等

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文教厚生委員会記録
 
平成25年 第 6定例会閉会中

3
 



開会の日時

年月日平成25年10月28日 曜日
開会午前 10 時 5
散会午後 4 時 57

場所


第2委員会室


議題


1 参考人からの意見聴取(陳情第119号について)
2 参考人からの意見聴取(陳情第120号について)
3 参考人からの意見聴取(陳情平成24年第106号について)
4 視察調査日程について(追加議題)


出席委員

委 員 長  呉 屋   宏 君
副委員長  狩 俣 信 子 さん
委  員  又 吉 清 義 君
委  員  島 袋   大 君
委  員  照 屋 守 之 君
委  員  新 田 宜 明 君
委  員  西 銘 純 恵 さん
委  員  糸 洲 朝 則 君
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  嶺 井   光 君


欠席委員

委  員  赤 嶺   昇 君


説明のため出席した者の職・氏名

(参考人)(陳情第119号について)
 豊見城市学童保育連絡協議会会長      川 満 光 雄 君
(参考人)(陳情第120号について)
 一般社団法人沖縄県歯科医師会専務理事   加 藤 進 作 君
(参考人)(陳情平成24年第106号について)
 公益社団法人沖縄県精神保
 健福祉会連合会事務局長          高 橋 年 男 君  
(補助者)(陳情第119号について)
 とよみ学童ともだちクラブ学童保育指導員  大 城 美 香 さん
 どろんこ学童クラブ学童保育指導員     瀬 長 洋 子 さん
 長嶺学童クラブ学童保育指導員       金 城 文 子 さん
(補助者)(陳情第120号について)
 一般社団法人沖縄県歯科医師会会長     比 嘉 良 喬 君
 一般社団法人沖縄県歯科医師会副会長    真境名   勉 君
 一般社団法人沖縄県歯科医師会常務理事   米 須 敦 子 さん
 一般社団法人沖縄県歯科医師会事務局職員  金 城   淳 君
(補助者)(陳情平成24年第106号について)
 公益社団法人沖縄県精神保健
 福祉連合会精神保健相談員         兼 浜 克 弥 君
 公益社団法人沖縄県精神保健
 福祉連合会精神保健相談員         岡 野 真由美 さん



○呉屋宏委員長 ただいまから、文教厚生委員会を開会いたします。
 参考人からの意見聴取についてを議題といたします。
 参考人として、豊見城市学童保育連絡協議会会長川満光雄氏、一般社団法人沖縄県歯科医師会専務理事加藤進作氏及び公益社団法人沖縄県精神保健福祉会連合会事務局長高橋年男氏の出席をお願いしております。
 参考人からの意見聴取を行います。
 参考人からの意見聴取については、去る10月17日の本委員会での決定に基づき、陳情平成24年第106号、陳情第119号及び同第120号の陳情審査の参考とするため、陳情者等からそれぞれ説明を求めるものであります。
 まず初めに、豊見城市学童保育連絡協議会会長川満光雄氏から説明を求めます。
 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人着席。その後、参考人から申し出のあった補助者の陪席について協議し、申し出どおり陪席を認めることで意見の一致を見た。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 参考人から申し出のあった補助者の出席及び説明につきましては、休憩中に御協議したとおり取り計らうことに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 休憩いたします。

   (休憩中に、補助者着席)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 参考人及び補助者の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 参考人から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人等が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人の説明を聞く場でありますので、参考人等が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それではまず初めに、川満光雄参考人から、陳情第119号放課後児童健全育成事業の充実を求める陳情の提出に至る背景及び目的等について、簡潔に御説明をお願いいたします。

○川満光雄参考人 私は、保護者の代表である川満と申します。
 去る9月3日に豊見城市から市補助金に関する説明会がありまして、そのときに、次年度以降は保育料を上限8000円にするということを伝えられました。それに対して、その金額を超えた学童クラブに対しては補助金を60万円減額するという趣旨を伝えられました。それを持ち帰って試算してみると、保育料を上限8000円にすると運営が大変厳しくなるということと、保育料を減額することによって7割の保護者は楽になりますけれども、約3割の保護者は困るということでした。大事なことは、この3割が本当に学童保育を必要としている家庭―ひとり親世帯とか、働きながら学童保育に預けないといけない世帯とか、子供がたくさんいて出費が多い家庭とか、そういった3割の方が困るということでした。また、運営が厳しくなることによっていろいろな経費削減が生まれ、指導員に対する待遇が厳しくなるということと、そうすることによって指導員の雇用保障とかが厳しくなるということで、全県的に今、浦添市、南風原町、西原町などもそういった流れになっていると。各市町村の財政が困難ならば、市町村が連携して新たな補助制度を設けてほしいということで、保育料は上限8000円にして運営は厳しくなるけれども、補助金は出さないという厳しい状況があるので、その辺を検討していただきたく陳情を出しました。よろしくお願いします。

○呉屋宏委員長 参考人の説明は終わりました。
 これより参考人等に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 お疲れさまでございます。確かに、県内の学童クラブは私立民営という感じが多いものですから、それをやっていらっしゃる方々も大変なことだと思うのです。今、上限を8000円に持っていくと3割の方が困るということですが、あと7割の方はどのくらい減額されるのですか。そこらあたりはおわかりですか。

○瀬長洋子補助者 どろんこ児童クラブ保育指導員の瀬長です。
 提出した資料に基づいてお話をさせていただきます。皆様に提出しました資料の中の資料4、保育料8000円に対する豊見城市学童保育連絡協議会―豊見城市連協加盟学童の現状と試算ということで資料をつくりました。私はどろんこ学童クラブです。上の現在の保育料という枠をごらんください。どろんこ学童クラブは1年生から3年生まで39名おりますが、保育料のみは1万200円です。おやつ費1500円、保育教材費800円、施設費500円、月額1万3000円になっております。保育料を一律8000円にした場合には下の括弧の金額になります。保育料を一律8000円にした場合、どろんこ学童クラブは保育料が1年生から3年生までは8000円、おやつ費、教材費、その他はそのままとして1万800円になります。そうすると、現在との差額は1年生から3年生まで毎月2200円安くなります。年額で2万6400円の減額になる予定です。年間人数というものは年間トータルで試算しての人数になっています。4年生から6年生までは現在5名の在籍で、保育料は4200円です。その他は施設費を除いて一緒です。現在の4年生から6年生までの保育料はトータルで6500円となっています。豊見城市の提案は、どの学年も一律に上限8000円にということでしたので、8000円にして試算をしてみました。そうすると、現在は6500円ですけれども、8000円にした場合の金額でいいますと1万300円に上がってしまいます。4年生から6年生までは毎月4500円上がることになっております。
 それと、豊見城市には減免制度がありませんので、ひとり親世帯や兄弟児割引を学童クラブ独自でやっております。学童独自の割引制度の実施状況という2枚目の表をごらんください。どろんこ学童クラブとしましては、ひとり親世帯は1万200円のところを4000円の割引をして、6200円が現行の保育料です。現在7名の児童がおります。この児童たちについて減免もすることもなく一律に保育料を8000円にしましたら、ひとり親世帯の保育料は6200円から8000円になります。そうすると、月1800円の負担増になることがわかりました。兄弟児のほうは、1年生から3年生までの児童の兄弟のみ1人当たり1500円の割引を行っております。割引を行って1人当たりの利用料1万1500円、保育料としては8700円でございますが、兄弟児の場合は現在の保育料8700円から8000円になってマイナス700円、こちらのほうは負担がふえることはありません。毎月700円の負担減になることがわかりました。保育料を一律8000円にした場合の状況についてどろんこ学童クラブは以上ですが、保育料の決定は各学童クラブで運営の状況によって変わりますので、ほかの学童クラブもそれぞれ状況が少しずつ違うと思います。

○狩俣信子委員 先ほど川満参考人の御説明の中で、指導員の雇用環境が厳しくなるということがありましたよね。これは要するに指導員に対する給与とか、そこらあたりがこれから大変な負担になってしまうのですか。どういう状況ですか。

○金城文子補助者 長嶺児童クラブ学童保育指導員の金城です。
 長嶺児童クラブは豊見城市から指定管理を受けて、長嶺小学校内に入っている学童クラブ室を指定管理者という形で運営しております。今回、指定管理者の条例改正が豊見城市議会で行われまして、その中の改正案として保育料は上限8000円とするという形で減にはなるのですが、長期休暇の場合―夏休み、冬休み、春休み等の場合は保育料に加算額を取るという形で、夏休みが5000円、冬休み、春休み等は1000円という形で加算金が出ます。この条例は可決されましたので、長嶺児童クラブとしてはその範囲内である程度来年度の試算を行いました。豊見城市からは人件費を削減するしかないというような指導がありましたが、それもいたし方ないのかと。予算が成り立たないのでは人件費を削減するしかないのかという形で役員としては考えているのですが、役員としても簡単に人件費を下げることはしたくないという思いはあります。しかし、数字は出さなくてはいけないので、ある程度の試算はしました。保育料を8000円にし、それから加算額もつけたとして、7割の方が減になるのはトータルして月に1000円ぐらいです。3割の方は大幅なアップです。現在、ひとり親世帯で利用料は8500円ですが、保育料を上限8000円にした場合、利用料等々含めて―豊見城市としては利用料は変えなくてもいいということでしたが、やはり負担になる方々のことを考えますと、利用料を変えずにさらに加算額も取るとなると本当に大変な金額になりますので、その辺は利用料も減という形で私たちは考えております。それで利用料は最高でも1万円ぐらいではないかと考えて試算しましたが、今、ひとり親世帯で8500円のところが1万円になりますので、月額1500円アップという形になります。兄弟児割引もしていますが、兄弟児にしてみると1人1万円かかったとして、もし2人いる場合は月々2万円という形になるのですが、長期休暇等になると3万円を超える額になりますので、やはり途中退所の子がふえてしまうのではないかと懸念されています。ですので、本当にこのぐらいの利用料の見込みという形での試算になるのですが、途中退所も考慮した試算については非常に難しいです。それでもやらなくてはいけないですので、人件費の部分からいいますと正規職員の一時金のカット、時間外手当もなくす形でシフトを組むとか、そのようにやらざるを得ないのかと考えております。

○狩俣信子委員 基本的なことがわからないのですが、そこで働いている職員がどのくらいいるのかということが見えなくて、今聞いたら正規職員の給与もカットせざるを得なくなるとか、時間外手当もつかなくなるのではないかという懸念をおっしゃっていますので、この3つの学童クラブの正規職員、非正規職員が何名かということを教えていただけますか。

○金城文子補助者 長嶺児童クラブは児童数が当初4月時点で100名でした。9月現在は87名です。正規職員が3名とパートの皆さんが5名います。午後2時から出勤だとか午後3時から出勤だとかという形でやっています。ちなみに、資料にも記載してございますが、パートが4名となっておりますが10月から1名ふえておりますので5名です。とよみ学童は正規職員が2名、非正規職員が4名です。児童数は現在58名です。どろんこ学童クラブは正規職員が2名、パートが2名です。

○狩俣信子委員 やはり皆さんの厳しい状況の中で、こういう正規職員の皆さんからも給与を削っていくあたりで非常に厳しい状況にあるということは思うわけです。その中で私が思ったのは、豊見城市は減免措置がないと。例えばひとり親世帯とか生活困窮世帯などに対しても減免措置がないのですか。

○川満光雄参考人 きちんとひとり親世帯に子ども手当とかの手当を出しているから、学童クラブに対してこういった補助はいいのではないかという意見でした。

○狩俣信子委員 減免措置がないということで私は受けとめたのですが、ほかの市町村の減免措置についての状況はわかりますか。二、三でいいのですが。

○大城美香補助者 とよみ学童ともだちクラブ学童保育指導員の大城です。
 県内の市町村独自の減免制度についてですが、豊見城市においては現在やっておりませんが、浦添市においては、10年ほど前から家賃補助とひとり親世帯への補助を市独自でやっております。那覇市においても昨年度から家賃補助を実施しています。今年度に関しては家賃補助の金額も多少上がったというように聞いております。あと、南風原町も家賃補助があると聞いています。

○狩俣信子委員 そういう意味では減免措置もない、家賃補助もないという中で大変だとは思います。やはり皆さんがおっしゃるのは、この8000円ということは豊見城市で決まったわけですよね。

○大城美香補助者 提案というか、そのようにしてくださいというように説明会の場で言われています。8000円の保育料が決定されたのは、現在で言うと指定管理を受けている長嶺児童クラブ、もう一つは来年4月に学童クラブが開設するということですが、そちらも指定管理で行うということで、指定管理に関する学童クラブに対してはもう決定した形になっています。民間のほかの学童クラブに対しては来年4月から実施してくださいと言われています。

○狩俣信子委員 要するに、上限8000円ということについて豊見城市の決定があるわけですよね。

○大城美香補助者 はい、豊見城市の意向です。

○狩俣信子委員 意向ではなくて、市議会の決定ですかと聞いているのです。

○大城美香補助者 指定管理の学童クラブに関しては市議会で決定しています。

○呉屋宏委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、島袋委員から、豊見城市議会で決定された上限8000円というのは、指定管理者が小学校内の施設を利用して学童クラブを運営している場合であって、それは豊見城市の条例事項であるから従わないといけないが、それ以外の保育所併設型や自治会運営型の学童クラブの場合と区別して説明したほうがよい、委員が混同しかねないとの指摘があり、それに対して参考人側から、ほかの民間の学童クラブに対しても、市としては一律に上限8000円にしたほうが管理しやすいので、来年4月から上限8000円にしてくださいとお願いされているとの補足説明があった。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 私立民営型や公設民営型、いろいろあるかもしれませんけれども、一応条例で上限8000円と決まったところはそのまま移行していくと。そこらあたりで私立民営の皆さんとの保育料での格差が出てくるのではないかという御心配もあるのですね。

○川満光雄参考人 それもあります。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 これは先ほどもありましたように、豊見城市議会で決まったと言っていましたね。今、陳情は県議会に出していますけれども、豊見城市議会の決定を県が覆すことは非常に厳しいのかなという思いがあります。皆様方が豊見城市の行政とか市議会に対してどのような形でいろいろ陳情、要請をして、結果的に豊見城市の執行部とか議会がどういう意思決定をしたのかという経緯を説明してもらえませんか。

○大城美香補助者 実は、豊見城市議会には陳情なり、要望なりを出す時間がありませんでした。説明会の場では指定管理に関する条例について話が出ていなくて、その場では知らなかったので、当事者の長嶺児童クラブにもこのようになりますという説明がない中で議会が始まった形になっています。
 私たちは豊見城市学童保育連絡協議会ではあるのですが、県議会に陳情を出した経緯については、豊見城市の条例を覆してほしいということではなくて、今、那覇市や浦添市などでも保育料を8000円にしていくという動きがある中で、県全体として一緒に市町村と連携しながらこの問題を考えていくべきではないかという思いがあって、豊見城市の話から出たことではあるのですが、今回県議会に陳情を出した経緯があります。条例で決まったことを覆すということは陳情の中には盛り込まれていません。ただ、やはり8000円にすることで運営が厳しくなる学童クラブがあるという現実、減免制度もない中でそれを強行するという形ではやはり現場の不安が大きくなる、保護者の不安が大きくなるというところで、県も一緒に考えていただきたいと思って陳情を出しています。

○照屋守之委員 皆様方は自分たちはもういいと、県全体にそういうようなものが波及していくとまずいので、県議会にも陳情を出してその対応方を考えたほうがいいというニュアンスですか、今の説明は。

○金城文子補助者 決して私たちはもういいというわけではありません。指定管理に関しては条例で決まりましたので、我々長嶺児童クラブとしては豊見城市の考えに従わないといけないと考えて試算をしておりますが、他の学童クラブに関してはそのように条例で決まっているわけでもないですし、やはり運営は困るということでありますので、もうこれでよいという考えではありません。ただ、この8000円という数字が出てきた経緯は、沖縄振興一括交付金を活用した公的施設活用促進事業というものがこの10年間行われるわけですが、その交付金を活用した場合、保育料は8000円にするという文言がその中に載っております。今度開設される豊崎児童クラブはその交付金を活用しての建築になりますので、それで豊崎児童クラブは上限8000円になります。ですので、既に公的施設を活用している長嶺児童クラブも上限8000円にしてくださいということでした。県として保育料を8000円にするということを文書の中に盛り込んでおりますので、なぜ県が8000円と考えたのかという部分は私たちの中でも腑に落ちない部分です。そこら辺の県の考えを伺いたい部分もあります。そういうことで県としての考えも伺いたいし、保育料が減になることは多くの保護者が歓迎することですが、困る保護者もいるということで、保育料を減にするのでしたら、陳情に書かれていますように、それ以外の補助金も出していただけるのであれば運営に支障はないかと思います。そのようなことで、県としても一緒に連携してやっていただきたいという思いです。

○照屋守之委員 8000円にすると、7割の保護者が減額されることはプラスですよね。しかし、3割の部分が厳しくなるということですね。我々も全体から見ると、7割はプラスになるが3割が厳しくなるので、その厳しくなるものをどうしますかということを考えていけばいいのではないかと思うのです。プラスになる部分まで枠をはめたからけしからぬという話ではないでしょう。ここが少し理解できないということと、今まで豊見城市は皆さん方に対してそういう何らかの補助というか、支援をやっていますか。市から具体的な金額でやっていますか。

○大城美香補助者 豊見城市として独自の補助はないです。国の基準に合わせた補助のみとなっています。

○照屋守之委員 放課後児童健全育成事業とか、そういうものが市町村にはありますよね。そういうものから皆さん方に出しているという補助の分はないのですか。

○大城美香補助者 放課後児童健全育成事業として国の補助金の枠があるのですが、その枠に沿った補助のみです。

○照屋守之委員 国の補助にしろどちらにしろ、豊見城市に一旦入って―豊見城市が独自の事業メニューをつくって、その中で学童クラブの部分を支援しますという形で豊見城市が国からもらって、その分から皆さん方に回っている補助金は一切ないのですかという話です。それをある程度金額的に教えてください。

○大城美香補助者 今後何年かで年間何学童クラブに対して備品費という形で、年間100万円の環境を整えるための予算は各学童クラブにつき1回やってもらっています。

○照屋守之委員 ということは、皆様方の今の運営は資料に書いてある保育料と、いろいろなおやつ費とか教材費などで賄って、先ほど言っていた長嶺児童学童クラブの正規職員3名やパート4名とか、とよみ学童ともだちクラブの2名とか58名の児童とかというもの全てを、預かったお金から人件費を払い、経費を払いという形で賄っているという理解でいいのですか。

○大城美香補助者 そうです。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 保育料を8000円をめどにということですが、説明は先ほどやってもらいましたけれども、去る9月24日に皆さんが陳情したものが全ての委員に届いたかと思うのですが、この中に、沖縄県が保育料を月額8000円をめどに定めたことに端を発したと書かれているのです。これは豊見城市だけではなくて、全県の学童クラブに対して保育料を8000円にという設定になっていくのか、そこについてはどう考えていますか。

○瀬長洋子補助者 私たちの説明の中に保育料―おやつ費、施設費などを除いて月額8000円をめどにと県が定めたことに端を発しとありますが、これは本来、沖縄振興一括交付金を活用してつくられる公的施設では、保育料を8000円にするようにということだったと思います。しかし、今後の公的施設で8000円でできるのであれば、今まで利用してきた公的施設も8000円でできるのではないかという解釈が広がっているように思います。市町村の担当課にも広がっているように思います。それが豊見城市からの民設民営も公的施設利用も含めて8000円にしてほしいという提案につながったかと思います。そして那覇市も、学校の余裕教室を利用しているところにも来年度からは保育料8000円をめどに予算を立ててほしいということを提案してきています。それが広がっているということは県の意向なのかどうかということも私たちは県に聞きたいと思って、その辺も見解を聞きたいと思っております。これは何度も学習会を重ねる中で、全国学童保育連絡協議会事務局次長の真田さんがこの間沖縄に来ていたのですが、保育料は公設公営、自治体が直営でやっているところは決める権限があります。例えば委託をしているところには決める権限がありますが、保育料は運営の主体者―例えば民営でしたら民営の保護者会、個人でしたら個人、法人でしたら法人、運営主体者が決めることになっていて、行政が一律に、運営形態にかかわらず保育料を設定してくることは全国でも例がないとおっしゃっていました。そのことに関しても、沖縄県としての考え方はどうなのかということを確認していきたいと思っております。

○西銘純恵委員 先ほどあったのですが、沖縄県の放課後児童クラブ支援事業実施要綱は、公的施設移行促進事業等を大きな柱にして平成24年度から施行されています。この公的施設移行促進事業の中で、保育料は8000円にというものが数字として上がっているのですが、事業の目的を見ると、放課後児童クラブの質の向上及び利用料の引き下げを図ることによりという明確な事業目的があるのです。先ほど聞いた3割の皆さんで保育料が上がっていくことが明確になっているのであれば、この要綱で県は去年から―ほかの市町村も8000円に従わないといけないという部分で、結構浦添市でも現場の学童クラブをやっている皆さんから、これではやっていけないという声が上がったのです。それで先ほど聞いたのですが、8000円にしたら3割の皆さんが負担増になると。そして途中退所も想定が困難であると。説明を受けた一番最初に、長嶺児童クラブは100名から出発して、途中で八十何名になっているということで、8000円にしなくても学童クラブに入る人数は年度初めには結構いるけれども、途中からどれだけいなくなるかで保育料収入にも相当な変動が出るわけですよね。お尋ねしたいのは、保育料だけを都道府県が決めて、それがある意味で市町村への強制力を持っているのではないかという指摘があるのですけれども、そうしたら例えば指導員の給与を最低どれだけ保障するとか、正規職員をどれだけに引き上げるとか、こういうこともあってしかるべきだと思うのですが、県が決めたものには保育料だけ書いてあるのですよね。だから、それに対してほかの施設面積とかいろいろあると思うのですが、市町村に保育料だけを8000円にすると来たことに対して、8000円にすることで指導員の状況は逆に厳しくなると言われたものですから、指導員の給与とか正規職員にするとか、そこら辺も県は考えたのかどうかということを沖縄県に対して聞く機会はありましたか。

○川満光雄参考人 聞いていないです。

○西銘純恵委員 通常は、沖縄全県の学童保育連絡協議会がありますし、豊見城市連協もありますし、そういう大きな意思決定をするときには、県は皆さんの意見はどうですかと、保育料をこれだけにしたらどうなりますかということがあって、それから今後の方針ということになるので、そういう意見を県から聴取されたことはありませんか。

○川満光雄参考人 ないです。

○西銘純恵委員 聞いていると、やはり県がこの額を設定したということが現場の実情に合っていないのではないかということと、父母共同運営ではあるけれども、豊見城市にあるほかの学童クラブ、運営形態の違うほかの学童クラブの皆さんに―来年4月以降は保育料を8000円に設定してほしいということもあるのですが、何かほかの学童クラブの意向調査をされましたか。どんな意見が出ましたか。

○瀬長洋子補助者 私たちもこの提案を受けて、ほかの学童クラブがどのような受けとめをしていて、どのような方向で検討しているのかを早く一堂に会して話し合わなければ、これは全体のものにならないだろうということで気兼ねしておりました。ただし、この集まりを持って決定を行って、それから陳情を出すのでは議会に間に合わないので、とりあえず豊見城市連協で先に提案をいたしました。提案の内容を持って、ほかの学童にも集まる場を持つための案内をしながら回りました。あゆみ学童という学童クラブの方とお会いしたところ、個人で運営しているということで大変困りますと言っておりました。特に減免等の補助がない中では大変厳しいとおっしゃっておりました。ほかの学童クラブでは、指導員の人件費のやりくりをするためにも、例えば正規職員であっても午後から来ていただくとか、午前中は保育園で働いてもらって午後から学童クラブに来てもらうとか、そういうことも検討せざるを得ないということをおっしゃっておりました。

○西銘純恵委員 公的な制度として、例えば1年間40人規模で賄える予算額を補助して、残りの何割を保育料で賄いなさいということがない中で、結局は運用形態がみんな違うところで、それぞれの子供たちの人数とかそういうことに応じて各自で保育料を決めているという実態だと思うのです。瀬長さんは30年前に私の三男を見てくれた浦添市の保育指導員から出発されて、今は豊見城市ということですが、やはり国の制度がしっかりしていない中で、学童クラブが必要だということでやっているけれども、実態は指導員のほうにいろいろとしわ寄せが行くような形で今度の8000円ということになれば、子供たちの放課後が、健全な発達を目的とする学童保育事業が今後どうなるのかというところも危惧するのです。
 指導員の件ですが、資料も出されていますがどれくらいの期間定着しているのか、指導員の皆さんの説明をお願いできますか。長い方では30年とか―浦添市にも30年近い方がいらっしゃるのですが、指導員の待遇条件とあわせて、指導員になって3カ年以内の退職とかの割合がどうなっているのか。そしてこの状況をどう評価しているのか、判断しているのかという説明をお願いできますか。

○瀬長洋子補助者 状況はそれぞれ違うと思うのです。どろんこ学童クラブの場合で言いますと、私はどろんこ学童クラブ9年目ですが、当時から約40名の児童数でしたので正規職員2名、パート1名の体制です。私は当初から男性指導員とパートナーを組んでおりました。そのパートナーが、当初の方は5年、2人目は3年、今の方は2年目ということで3回かわっております。かわった理由は、やはり2人の指導員は結婚しておりませんでした。給与で見ると、5年間勤めてくれた1人目の方は月12万円からのスタートでした―正規指導員になってやっと12万円でした。昇給は2500円ありましたが1人でも生活するのがとても厳しいということで、福島県の出身でしたがやめて帰られました。2番目の男性指導員は12万円では厳しいでしょうということで、保護者会が努力をして初任給14万円にしていただきました。それでも将来に希望が持てないということで、3年間勤めてやめました。現在の指導員は27歳ですが結婚して子供が2人います。基本給が14万円では厳しいということでしたので15万円にしましょうということで、保護者会が努力をして初任給を引き上げてくれました。就業規則の中に、子供1人につき2500円という扶養手当なども若干ついていますが、奥さんがまだ学生だということで厳しいということはおっしゃっていました。

○大城美香補助者 補足させていただきます。今回配付いたしました資料3の4ページです。この資料は豊見城市内の学童クラブの指導員の勤続年数となっています。これはNPO法人沖縄県学童・保育支援センターが、昨年度県内全体で実施した調査の報告書です。市内に16学童クラブあるのですが、やはり指導員の勤続年数としては1年目から4年目ぐらいが多い状況となっています。資料3の4ページの一覧になっている表をごらんください。1年目から4年目が多い状況です。これが長年―10年以上となると16学童クラブ中でも12人、一人もいないところもあるという形になっています。圧倒的に1年目が多いということで、指導員の入れかわりがすごく頻繁にというか、入れかわりが毎年繰り返されているという状況が学童クラブの中にあると思います。私たちとしては、やはり複数の学年の子供たちを―1年生から6年生まで、県内においては幼稚園生を預かっている学童クラブもありますので、幼稚園生から6年生までの子供たちを指導員が長い年月をかけて保育していくという部分では、やはり学童クラブの中で、しっかりと長い期間子供たちを見守り育てる指導員の存在が必要だと考えています。入れかわりが頻繁な学童クラブでは子供たちが落ちつかないだとか、子供たちが大人を信頼できないと言ったら大げさかもしれませんが、落ちつかない状況が生まれてくるし、保護者とのコミュニケーションとかもやはり長年働き続けられる環境があってこそですので、よりよい学童クラブづくりにつながっていくのではないかと考えています。
 5ページの部分に給与形態がありますので、そちらもあわせてごらんいただきたいと思います。

○西銘純恵委員 県が保育料を8000円に定めたというこの要綱、私は去年つくられたこの要綱の説明を受けました。8000円の根拠は何ですかと聞いたら、全国の父母共同運営学童クラブの保育料の全国平均だと言われたのです。そうでしょうか。どうですか。

○大城美香補助者 先にお配りしております資料2の1ページをごらんください。これは全国学童保育連絡協議会が出されたものを添付しています。全国的には、父母共同運営の平均で1万872円が保育料となっています。一部おやつ等々を含むことが可能性としてありますが、1500円から2000円のおやつ代が含まれていると考えたとしても、やはり9000円近い保育料だということが見てとれると思います。豊見城市においては、1年生から6年生までで保育料が平均7160円とありますが、これは4年生から6年生までの保育料が極端に低く設定されている学童クラブがありますので、1年生から6年生までで平均すると低いという結果になっています。

○西銘純恵委員 そうすると、沖縄県が参考にしたと言っている8000円そのものが、全国にも学童クラブに保育料をこの額にしなさいというところは沖縄県以外はない。その上8000円という金額も、実際は全国と同じだと言っているのが1万872円で、2000円の差があると。それが今、金額の違いも出たということですから、要綱は条例ではないために、私たち県議会を通らずに執行部がつくったのです。ですから、この8000円も去年からスタートされているけれども、公的施設に移行するための8000円というものが、実際既に公的施設に入っている、ほかにももろもろの学童クラブに全て影響を及ぼしていくことがあるものですから、あさっての執行部との陳情審査でも明らかにさせていく、そして実態に合ったものにしてほしいと思うのです。
 学童クラブの指導員の人件費は本当に専門的に継続勤務していくには頼りない金額だと言われたのですが、陳情書の中にほかの児童福祉職と比較しても低いという指摘があったのです。それについて確認したいと思うのですが、厚生労働省からの通常の40人規模の施設に対する全体の補助金と人件費がどのように積算されているのかということも教えていただけますか。

○瀬長洋子補助者 追加でお渡ししました資料の7ページ、全国学童保育連絡協議会からの資料28、放課後児童健全育成事業の国庫補助基準をごらんください。これは今年度の運営費に対する国庫補助基準の設定についてということです。質疑にありました40人規模の場合ということで、人件費の考え方としては、国は指導員が年200日来るとして1日6670円、これは東京都の日給を参考にしているそうです。8分の6時間とは、補助基準の考え方が午前12時から午後6時という6時間の設定ですので、6時間勤務の計算になっています。3人掛ける6670円掛ける50日―50日とはパートのことで、年間半分以下の勤務の計算になっております。長期対応分約100万円とは、夏休み、春休み、冬休みの長期対応分。研修代替分の24万円とは、3名につき1人8万円程度の研修予算ということで新たに組み込まれました。これが国の考えている40人規模を想定した場合の人件費の試算になっています。

○西銘純恵委員 実態では1人当たり―例えば10年間勤務した方の現状というのか、実際正規職員でやってきた方と比較して、1人当たり年収幾らという形になっているのですか、正規職員で。

○瀬長洋子補助者 国の基準に照らし合わせて年間幾らになるかという具体的な試算はしておりませんけれども、例えば市立保育所の初任給でしたら月15万2800円から始まります。これはどの市町村も一律だと思います。そのようにして、例えば公立保育所でどのくらい一時金があるかわからないのですけれども、例えばそれを4カ月分としましてもそれなりの年収になると思いますが、それから考えた場合にも実際―ちょうど私がどろんこ学童クラブで10年目くらいですので、今、私の基本給が19万2500円になっています。一時金は3カ月分となっていますが、そこから社会保険等々を引かれましたら手取りで14万3000円近くしかありません。これは残業をしないで考えた場合ですが、差し引かれたらこのような金額にしかなりません。3学童は同じですが、勤務はほぼ8時間で午前10時から午後7時までの実働8時間の正規の仕事をしておりますが、国の考え方は正規職員であっても6時間という考え方ですので、それから見ても実際の私たちの時間に対する給与としては、10年目で約19万円は決して高いものではないと考えております。

○西銘純恵委員 保育料を独自に決めている学童クラブということで、結局は県が8000円というものを出していることに対して撤廃をするという申し入れ、陳情になるのかと思うのですが、それと学童クラブの指導員の定着を含めて、もっと待遇、処遇等について県のほうも援助するというか、そういう課題が出てきたのかなということと、いろいろな形態の学童があるので、保育料が払えないひとり親、低所得世帯を含めて減免を―沖縄県は家賃補助だけは出発しているけれども、浦添市がやっているような減免補助が県内の学童クラブで助成されて、実現できるようにということが陳情の趣旨でありますので、一応私どもも議会で議論していきたいと思います。ありがとうございます。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 糸洲朝則委員。

○糸洲朝則委員 きょうの皆さん方への質疑のやりとりは、あさっての執行部を呼んでの陳情審査の参考に、また皆さんの意向、要望を反映させるという意味だと思います。したがって、皆さんの陳情に対する答え、県の考えを聞きたいということが先ほどありました。今、何点か西銘委員が取り上げましたが、私は皆さんの陳情と県が議会に出している処理方針を申し上げて、どこが不足なのか、だめなのかということを具体的に聞かせてください。そのことをあさっての陳情審査できちんと話し合ったこと等も含めてやりますので。
 1点目に、月額8000円の保育料の規定の押しつけではなく、利用料に含まれる保育料の設定もこれまでどおり運営主体の各学童クラブに任せること。これが1点目の皆さんの陳情です。これに対して県の陳情処理は、「放課後児童クラブの保育料は、基本的に運営主体において任意に設定することができるものであります。しかしながら、本県は民立民営のクラブが多く、家賃などの負担のため保育料が全国より高くなっていることから、利用者の負担軽減を図るため公的施設活用を促進する事業を実施しております。」、これは先ほど質疑が出ておりました。市町村が当該事業を活用して施設設備を行う学童クラブについては―多分先ほどの長嶺児童クラブもそれに入ると思いますが、「公的施設移行後の保育料を8000円以下とすることを補助要件としているところであります。」と。明確に公的施設を利用している学童クラブと民設民営を分けて県は考えているという答えなのです。ただ、先ほどの質疑の中で、豊見城市で条例を改正して、長嶺児童クラブは公的施設に入っておりますからその条例に合致するという話をしておりまして、それは問題がないわけではないだろうけれども、これはまた後で伺いますが、4月以降、民設民営の皆さんにもそれをやれということは県の考えには当たらないわけです。しかし、市から4月以降民設民営も8000円ということで来るのであれば、それは県の考えとは合致しないという認識でいいですか。

○川満光雄参考人 そうです。

○糸洲朝則委員 そうであるならば、それはあさっての審査において、市のほうにしっかり指導するように私たちから申し伝えます。それでいいですよね。

○瀬長洋子補助者 糸洲委員がおっしゃるのは、県は民設民営の学童クラブにまで8000円にするようにとは言っていないということですよね。でも、公的施設利用のところ―今後、沖縄振興一括交付金でつくられる施設はもちろん要綱に適用されますけれども、公的施設を利用しているのはほかにもあるのです。学校の余裕教室だったり児童センターだったり、そういうところも8000円にしたほうが……。

○糸洲朝則委員 公的施設に移行していく、それはいろいろな形態があると思うのです。

○呉屋宏委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、糸洲委員から参考人等に対して、各陳情項目に対するおおまかな確認があった。その後、糸洲委員から参考人等に対して、執行部が示した処理方針があるので一度確認してもらった上で、各陳情項目について、どれがよくてどれがだめかということを後ほど伝えてほしいという要望が伝えられ、質疑を終了した。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 ほかに質疑はありませんか。
 島袋大委員。

○島袋大委員 地元のことですが、厳しく聞く場合もあると思いますけれども、ひとつ了解していただきたいと思っています。実際、これをわかりやすく言えばどのような影響が出るのですか。この設定をすることによってどのような影響が出ますか。

○瀬長洋子補助者 保育料が一律8000円になることによってどのような影響が出るかということについては、保護者の中で保育料が下がる方と上がる方がいる。上がる方の中には、一番困っているひとり親世帯が含まれるということです。高学年については、保育料が上がることによって定着率が低くなるのではないかということが予想されます。高学年がいることによって子供たちの、集団の質が変わるのです。目指すお兄さん、お姉さんがいることによって。ですから保育の質を保つという部分、いい年齢集団をつくるという上では、より必要な高学年がいなくなる可能性があるのではないかということが心配されます。そして、保育料収入の不足によって人件費が足りなくなりますので、その分待遇が悪くなることによって、より指導員のなり手がいなくなるのではないか、なっても続かないのではないか、二、三年したらやめていくのではないかということが一番心配されております。

○島袋大委員 先ほど照屋委員からも話がありましたけれども、放課後児童健全育成事業補助金―これは補助金はないですという答弁をもらいましたけれども、実際この放課後児童健全育成事業補助金は国、県、市で3分の1ずつ補助金が出ていると思うのです。先ほど補助金は出ていないと言っていましたけれども、その辺を含めてこの補助金は出ていると思いますから、これは出ていますということを訂正しておかないと、マスコミがいますので間違って補助金が出ていないということでは県内全体の議論になりますから、これは補助金が出ているはずですのでその辺は答弁の訂正をしたほうがいいと思います。

○大城美香補助者 済みません、国の基準に合わせた補助金は出ているという答弁だけは私の言葉足らずでした。市独自の補助制度はありませんという意味での回答です。申しわけありません。

○島袋大委員 この補助金は国、県、市で3分の1ずつ出ていると思うのですが、豊見城市の16団体全て回って調べてきました。数字も確認しましたけれども、この補助金は毎年上がっている。その中で、親御さんにしてみれば保育料を下げることは非常に喜ばしいことでもあると思う。7割の方々はプラスになっていいと。3割の方々はもろもろ大変だということはあるかもしれないけれども、豊見城市の場合で今回の陳情の中で言えば、一番いいところでとよみ学童ともだちクラブでは平成19年度で360万円くらいしか補助金がなかったと思うのです。平成24年度は680万円近くあったと思いますが、その間に右肩上がりで補助金は上がるのだけれども、そのときに運営の中で保育料を下げる云々ということは考えなかったのですか。

○大城美香補助者 国が出している基準額、人数に応じた補助金額と長時間加算等があるのですが、一番大きく変わったのは障害児加算金です。障害児が1人いても2人いてもですが、現在140万円くらいあります。その障害児加算金があることで、障害児を受け入れて障害児加算金をもらうことで補助金額は確かに上がっていますけれども、もちろんこれは基本的に人件費なので、例えばうちとしては次年度この子が卒所してしまいますと、単純に140万円減になりますが、児童数は1人減るくらいの児童数です。そういうことを考えると上がってはいますが、実際は基準額の部分で上がっていないので運営は厳しいと考えています。

○島袋大委員 次に、この運営の件で聞きたいのですが、学童クラブというものは授業終了後から大体午後7時くらい、親御さんが仕事から帰るまで見ていただいている大変な仕事だと思っておりますけれども、学校が授業を行う時間帯を考えると、各学童クラブとしては毎日何時から職員が勤務していますか。

○大城美香補助者 私たちは午前10時から午後7時までの実働7.5時間だったり、8時間での勤務をしています。ほかの市内学童クラブでも同じような形態で勤務しているところは何カ所かあります。おっしゃるように子供たちが来るのは放課後ですよねということはもちろんですが、午前中私たちはミーティングをしたり、お便りを作成したり、行事についての話し合いをしたりというように時間を使っています。わかりやすく言えば、幼稚園の先生たちが午前中子供たちを見た後に、午後の三、四時間ほど子供たちのことを相談したりだとか、幼稚園教育以外の業務をしている―午前中子供たちを見て、午後はほかの業務という幼稚園の先生とは逆で、学童クラブにおいては午前中にその業務を果たして、午後に子供たちを保育しているというように考えていただければ、イメージしやすいのかと思います。

○島袋大委員 ですから、ここをしっかりと今のように説明していただいて、県の担当部署も呼んで確認はするのだけれども、私自身の認識としても、大体幼稚園が終わるのが午前中ということであれば、午前12時から準備をして、こういった形で午後7時くらいまでやってもらうと。午前10時からというスタートはその分人件費が動くものだから、そういったもので人件費で食っていないかという判断になってくるものだから、今おっしゃったような答弁をしてもらって、これからいろいろ議論するのだけれども、そういう準備時間、職員会議等々、午後から受け入れをするためにやることがあるから、午前10時から出勤しているという認識でいいのですか。

○大城美香補助者 はい、そうです。

○島袋大委員 人件費を考えると、指導員は定期的な昇給制度はあるのですか。

○大城美香補助者 ほかの学童クラブの実態はまだわかりませんけれども、私たちの学童クラブにおいては就業規則等の中で昇給はあります。

○島袋大委員 昇給があるということは、賞与、ボーナス関係はどうなっていますか。

○大城美香補助者 それも保障してもらっています。

○島袋大委員 ざっくばらんでいいのですけれども、これは要するに運営者である会長、保護者会―学童クラブはそういった形になると思うのですけれども、その中で会長や保護者会が査定もろもろを判断されていますか。

○川満光雄参考人 それは保護者会の会長、副会長、会計とかで相談して決めています。

○島袋大委員 きょうのこの場で豊見城市だけのことを聞いていません。こういう陳情が出たからこそ沖縄県全体に反映してきますから、そこで確認したいのですが、私も調査をしていろいろ疑問に持つというと言葉は悪いのですけれども、ここで聞きたいと思うのは、保護者会などは大体長くて1年で交代、保護者会の会長とかは1年とか、2年くらいで交代があるかもしれませんが、毎年そういった保護者会の会長が人件費、昇給の判断は難しいと思うのです。やはりその辺は指導員の方々とのいろいろな議論になってくると思うのだけれども、その辺を少し教えてください。

○川満光雄参考人 毎月役員会を持っていて、その中で運営委員会があって、運営委員会の中で指導員も交えながら話し合って決めています。給与に関しては会長個人の意見ではなく、会計とかその他の保護者と話し合って、やはり子供を預けるわけですから、特に給与は指導員の士気にもかかわりますので、頑張ってもらいたいので、みんなで話し合ってこれだけということで指導員にも告げています。

○島袋大委員 これからこういった形で、いい形にしていくような議論はいろいろ出てくると思うのだけれども、やはりそういった形で県は沖縄振興一括交付金を活用したさまざまな動きの判断が出てくると思います。今、沖縄振興一括交付金を一部活用しているところもあるかもしれない。これは国税でありますから、そうなった場合には会計検査、いろいろな面で出てくるのです。そういった場合に各学童保育の運営のもとで第三者機関を入れているのか。要するに、市は定期的に1年に1回ぐらい監査の中で確認として見るか、あるいは書類を提出してくださいという指導があるかもしれないけれども、こういう一括交付金という補助金、国税を使うことによって監査がいろいろな面で出てくると思うのですけれども、その辺はどういう形で考えを持っていますか。

○川満光雄参考人 会計に関しても役員会で話し合ったのですが、これからそういった感じで監査が入るという話も聞いていますので、一応会計事務所にお願いするかということも検討中です。来年度に向けて、これから話し合って決めていこうと思っております。監査に関しての情報は一応入っています。

○島袋大委員 最後に1点ですが、学童保育連絡協議会―これは市はありますけれども、全県組織もあると思っています。その中で今、陳情の処理概要の中にも、県はいろいろ議論した上でそういった形で動いているということが書いてあるのだけれども、あくまでも県は8000円という形で提示をするとき、県も協議の場を粛々とやってきたと私は認識しているのです。その中で沖縄県学童保育連絡協議会の方々、役員も中に入れて議論しているという認識ですが、豊見城市連協の皆さん方はこういった形で沖縄県学童保育連絡協議会は行きますよという話を聞いたことがありますか。

○川満光雄参考人 それはなかったです。要は寝耳に水のような感じで、慌てて今、緊急会議とか役員会とかを開いている状況です。

○島袋大委員 その辺は確認ができましたので、しっかりとまた議論していきたいと思っています。よろしくお願いします。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 1点だけ。県は、保育料は基本的に運営主体が決めるものだと考えているわけです。けれども今、公的施設を使うよう誘導するために、そういう8000円のことを考えたと書いてあるわけですが、そこで1点だけ聞きたいことは、1つは助かる人が7割いるわけですよね。それで兄弟児の割引であるとか、ひとり親世帯とかという3割が高くなると。上限を8000円にして、低い人はそのままでいいですよという市との話し合いはなかったですか。

○川満光雄参考人 現状としては、話し合いがないままそのようにやるということで来て、慌てて別の学校の臨時総会―長嶺児童クラブの臨時総会に行ったときには、寝耳に水といった感じで話し合いはなかったです。

○比嘉京子委員 確認ですが、公的施設利用においては、一律8000円とするということが市の条例で9月議会に決まったと。しかし、民設民営でやっているところはたくさんあるわけですよね。そこにそのまま普及されるということはまだ未確定ですよね。

○瀬長洋子補助者 9月3日に説明を受けました。そのときに一律上限8000円とするということで、8000円に満たない保育料のところもあるのです。そこは上限ですからおのおので検討していいという説明でした。先ほどの公的施設に入るところが8000円というものは、市の9月議会に出された指定管理条例の改正で、その指定管理となっている長嶺児童クラブ、4月オープン予定のとよさき学童クラブに関して8000円ということが条例に入っております。それ以外の公的施設利用のところもということで決まってはいません。私たちも公的施設利用ですから、指定管理の学童と同じ扱いでできる限り上限8000円を検討してほしいということです。9月の市議会の福祉部長の答弁では、そのようにできないか説明していると。要綱を整えていくかどうかはこれからだというように答えておりました。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 又吉清義委員。

○又吉清義委員 今、皆さんから出ている豊見城市連協加盟学童の現状と試算ということで、豊見城市には純然たる学童クラブが幾つあるのか、加盟しているところは幾つあるのか。現状としてわからないので教えていただきたいのですが。

○川満光雄参考人 今、加盟しているのは3学童です。現状として全体では16学童です。

○又吉清義委員 最後に1点ですが、確かにいろいろな法令が変わることによってメリット、デメリットがあるのです。皆さんからデメリットも十分説明いただいているのですが、逆にメリットとしてはどのような意見があるのか。互いにこの整合性があって初めていいものができると思うのですが、皆さんのところで一律になることによっていいという意見があるのか全くないのか。なぜいいのか、どうあるべきかという話し合いを持ったことがあるかとか、そういった意見を皆さんは聞いたことがあるのかどうか。

○川満光雄参考人 そういった意見は、各学童クラブで臨時役員会とか保護者会とかを開きながら話し合っています。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、川満光雄参考人に対する質疑を終結いたします。
 この際、委員会を代表して、参考人等に一言お礼を申し上げます。
  本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
 川満光雄参考人、補助者の大城美香さん、瀬長洋子さん、金城文子さんありがとうございました。
 休憩いたします。

   休憩 午後0時2分
   再開 午後1時23分

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 午前に引き続き、参考人からの意見聴取を行います。
 次に、一般社団法人沖縄県歯科医師会専務理事加藤進作氏から説明を求めます。
 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人着席。その後、参考人から申し出のあった補助者の陪席について協議し、申し出どおり陪席を認めることで意見の一致を見た。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 参考人から申し出のあった補助者の出席及び説明につきましては、休憩中に協議したとおり取り計らうことに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 休憩いたします。

   (休憩中に、補助者着席)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 参考人及び補助者の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 参考人等から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人等から御説明をいただいた後、委員から参考人等に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人等が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人等の説明を聞く場でありますので、参考人等が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それではまず初めに、加藤進作参考人から、陳情第120号沖縄県歯と口腔の健康づくり推進条例の制定に関する陳情について簡潔に御説明をお願いいたします。

○加藤進作参考人 ただいま御紹介にあずかりました沖縄県歯科医師会専務理事をしております加藤でございます。今回、参考人としてお招きいただきましてどうもありがとうございました。今回は沖縄県歯と口腔の健康づくり推進条例の制定に関する陳情ということでまいりました。お手元に既に配付されていると思いますけれども、陳情文書、そして沖縄県歯と口腔の健康づくり推進条例案、そして今回、これらを補足説明いたします資料の1、2、3とつけてございます。それでは資料のほうを読みながらという形でやっていきたいと思います。
 まず、陳情文書の内容につきましては、歯科口腔保健の推進に関する法律が平成23年8月に公布されました。そして2008年の新潟県歯科保健推進条例を皮切りに、現在34都道府県で条例が公布、施行されております。私どもが陳情を出したのは9月24日でしたが、現在までに山形県と富山県で条例が制定されましたので36道府県となっております。生活習慣病対策は国を挙げた大きな課題となっております。歯科保健が全身的な健康状態に大きく関与することは明らかであります。県民の歯と口の健康増進を図ることは全身の健康を守るということと同意義でございますので、医療費を減少させることにも寄与しております。そして、依然として県民の歯、口腔の罹患率はかなり悪くて、全国水準に比べまして劣悪な状況であります。こちらも後で説明いたします。歯と口の健康は単に食べる機能にとどまらず、会話、表情といった日常生活に密接にかかわるものでございます。高齢者を初めとする県民生活の質を確保する上で極めて重要であり、歯科保健の地域格差の是正、そして成人に対する歯周病対策、妊産婦、要介護高齢者、そして障害者に対する歯科保健対策は喫緊の課題でございます。そのようなことで今回、沖縄県歯と口腔の健康づくり推進条例を早期に制定していただき、県民の健康増進を図るということで配慮していただきたいということが陳情の内容でございます。
 そして、その条例の内容でございます。第1条から第15条までございます。第1条は沖縄県歯と口腔の健康づくり推進条例の目的、第2条に基本理念が書かれてございます。県民が生涯を通じてみずから主体的に歯と口腔の健康づくりに取り組むとともに、全ての県民が必要な歯と口腔の保健医療サービスを受けることができる環境が整備されることを基本理念としました。
 第3条からは県の責務、市町村による協力や支援、そして第5条は歯科医療関係者の役割、どのようなことをやらなければならないのかということを書いてございます。第6条は保健医療福祉関係者及び教育関係者の役割。そして第7条は、事業者は基本理念にのっとり、県内の事業所で雇用する従業員の歯科検診及び歯科保健指導の機会確保、その他の口腔の健康づくりを推進するように努めるということですが、県を筆頭に予算がかなりシーリングされているということで、そういった検診事業がかなり少なくなっている。事業所でもまず最初に切られてしまうのが歯科検診です。大体3000円から3500円かかります。この検診がいろいろなところでできなくなりましたといった話が多うございますので、これは喫緊の課題、一番働き盛りの方でこれがどんどん減っていくことは非常に問題であるということで、声を大にしていきたいということでございます。
 次に、第8条の県民の役割、第2項に関してでございます。県民は未成年者の健康状態及び健全な歯と口腔をつくる習慣に関心を抱き、歯磨きを励行するなど虫歯予防、歯周病予防に努めるものとする。そして第3項、保護者はその子供の歯の健康状態に注意し、当該子供が歯科疾患に罹患したときは適切な治療を受けさせるものとする。現在、ネグレクト等と思われます事例が全国で多くございます。沖縄県で上がった事例はそれほどないのですが、そういったこともかなり考えられる。そして中には、やはり家庭的な事情でなかなかそういう治療を受けさせられないといったこともありますので、そういったことがないように保護者は子供を十分見なければいけないという条文でございます。
 そして、条例の基本的な屋台骨でございます基本的な施策実施ということで、こちらは第1号で歯と口腔の健康づくり推進に資する情報を提供しなくてはならない。また、第2号で市町村、教育関係者、保健医療福祉関係者は連携をしなければならない。第3号はフッ化物洗口等の効果的な虫歯予防の推進に関すること。第4号は母子保健、学校保健、成人保健、産業保健、高齢者保健等を通じた生涯にわたる歯と口腔の健康づくりを推進すること。第5号は障害を有する者、介護を必要とする者等に対する適切な歯と口腔の健康づくりの確保及び推進を進めるということ。第6号は携わる者の確保及び資質の向上に関すること。第7号ではその研究調査も進めてくださいと。そして、第8号でその他の必要な施策の推進に努めることというのが基本的な施策でございます。
 次のページをごらんください。
 第10条は、歯と口腔の健康づくりに関する計画を立てなければならない、そしてその進状況をお知らせしなくてはならない、公表してくださいということ。そして、第11条は学校への支援。知事は幼児、児童及び生徒の虫歯及び歯周病を予防するために、学校等における歯磨き、フッ化物洗口等の普及その他効果的な取り組みに関して必要な措置を講ずるものとする。第2項、知事は学校等においてフッ化物洗口等が実施される場合は、学校保健安全法第5条の規定による学校保健計画またはこれに準じた計画に位置づける。そしてフッ化物洗口等の的確な実施のために必要な助言を行うものとするということでございます。第12条は障害者及び介護を必要とする高齢者、妊婦等、特別に配慮しなければならない人に対して手厚く推進していかなければならないということです。第13条は5年ごとに実態調査をしてくださいということ、そして第14条は、県は必要な財政上の措置を講じていただきたいということです。第15条は11月8日をいい歯の日、11月8日から14日までをいい歯の週間として制定するということになっております。
 以上、沖縄県歯と口腔の健康づくり推進条例案のかいつまんだ内容でございます。
 今、なぜこの推進条例制定を議会に陳情したのかという内容に関して、委員各位にお話ししたいことがありますので参考資料とともにお話ししていきたいと思います。歯、お口は健康の源と言われています。全ての生きる源は口から始まり、人間は生きるために食べなければいけない。日本歯科医師会では最後まで自分の口で食べるというスローガンを持ちまして、食べる喜びは生きる喜びであるといったことで伝えております。ある老人保健施設に一番の楽しみは何ですかというアンケートをとったところ、最も多い答えは家族に久しぶりに会えることかと思ったのですが、そうではなくて食べること、食事の時間が一番楽しいという答えでした。そういう話をお聞きしまして、長く生きるということは末永くおいしいものをいただくことだと考えております。我々は沖縄県歯科医師会として、お口の健康から長寿復活を進めていきたいと思います。
 1ページをごらんください。こちらは9月3日、長寿復活へ県が始動したという新聞記事が載っております。これは2月に発表された都道府県の平均寿命で沖縄県の女性が3位に落ちてしまった。男性はついに30位にまで落ちたと。26位のショック以上にことしの2月にそういった事例ができまして、何とかしなくてはいけないと県も考えております。歯科医もそれにどれくらい関与できるかということですので、全身の健康も長寿もお口から救っていかなくてはならないのではないかということで、この条例を出したものでございます。
 次のページをお開きください。超高齢社会の現状を報告いたします。3ページは、日本がどれくらい高齢化社会かということを示しております。2060年までのグラフが載っておりますけれども、どの国よりも立ち上がりがすごいのです。フランスなどでは、百何十年たってやっと高齢社会になると言われているぐらいですけれども、日本は超高齢社会も通り越しているような状況でございます。そして、アジアとの比較でございますけれども、やはりアジアの中でも立ち上がりが物すごい。ほかを寄せつけないぐらいの高齢社会になっていくと。この高齢社会を生き抜いていくにはどうしたらよいのか。こちらもお口のほうから提案していきたいと思います。なお、こちらの資料は日本歯科総合研究機構というところから拝借しております。
 4ページをごらんください。年齢階級別に見た死亡数の推移でございます。1950年代はどんな年代の人も亡くなったということがわかります。事故とかそういったものもあったと思います。だんだん年代が進んでいきますと高齢者ばかりになっていきます。2005年に線が引かれておりますけれども、それ以降は推計値で2040年がピークになっております。166万人の大多数を高齢者が占めるようになることを厚生労働省が発表しております。
 次のページ、死亡率の推移を原因別に見たものでございますけれども、一番見てほしいところが赤線のところです。これは肺炎でございます。既に悪性新生物とかはどんどん上がっておりますけれども、こちらの肺炎がついに3位まで上り詰めてきたということです。脳血管疾患を抑えて3位になっているということです。なぜかといいますと、やはり肺炎には口腔ケアが必要です。歯科医療はこの肺炎を抑える重要なポイントを持っております。歯科医が一生懸命口腔ケア、全ての医療機関が口腔ケアをすることによって肺炎の上昇をとめることができる。医者ではなくて歯科医からも肺炎を抑えることができるのではないかという提案でございます。
 次のページですが、こちらは介護が必要になった主な原因の構成割合でございます。こちらは死亡のトップとは違って、介護が必要になる原因は脳卒中、認知症、高齢衰弱といったものが介護を必要としてくると。やはりこういった脳卒中になった後は麻痺等がありますので、こちらも口腔ケアが必要であると。これからはそういったものが必要であるということでございます。
 7ページは皆さんによく聞いてほしいところでございます。平均寿命と健康寿命の差です。男性では約9年、女性では約13年の乖離があると。これは男性が79歳生きたとしても健康の寿命は70歳で、その後9年は何らかの障害を持って生きていかなくてはいけないということです。女性の場合はやはり寿命が長いので73歳までは結構健康ですが、やはり体力的に問題がありますのでそこからが長いです。今後どうしたらよいかということは、健康寿命を延ばすために口腔ケアが必要ではないかと考えております。次のページは先ほどお話ししましたまとめでございますので割愛いたします。後でお読みいただきたいと思います。
 続きまして、健康寿命に関与する歯科医療ということで疫学的データをお見せしたいと思います。10ページをお願いします。こちらは口腔ケアと誤嚥性肺炎の関係―先ほど口腔ケアをすることによって肺炎を少なくできるのではないかと言いましたけれども、実際に専門的な口腔ケアをした人は誤嚥性肺炎の発症が6割以下に減少しているということです。何もしないとやはりそれだけ多いということでございます。口腔ケアをやればやるほどよくなるという結果でございます。
 11ページに行きたいと思います。歯周治療と糖尿病の関係でございます。こちらも歯周病のコントロールをした患者は糖尿病が良好になっていくという研究でございます。次のページには広島スタディーと書いてございますけれども、こちらはヘモグロビンA1cが最大で1.2ポイント下がったという研究結果でございます。これは広島の研究だけではなくて、全国的、世界的にこれは言われていることでございます。
 続きまして、13ページと14ページはほとんど同じものでございます。14ページをお開きください。歯数の増加と寿命の延伸との関連性、歯が多ければ多いほど寿命が長いということです。特にお伝えしたいのは、これは宮古島での研究結果です。東京の先生がこれを研究したのですが、宮古島の中で研究されたものでございますので身近に感じると思います。女性でもやはり歯が多い人ほど寿命が長い。平均寿命はもちろん女性が長いのですけれども、右肩上がりのグラフが物語っているということです。
 次の15ページに関しては、これは赤い棒線が―これは歯がなくて義歯の状態が悪い人の健康の危険度がずば抜けて高いというグラフでございます。続きまして16ページ、歯数、義歯使用と認知症の関係でございます。これもやはり歯が多いほど、そして義歯を上手に使えば認知症が少なくなるという研究でございます。これは義歯でもかむことができれば大丈夫だということです。かむという行為が認知症を防ぐのではないかと考えております。17ページは義歯を入れている人と入れていない人、そして歯がたくさんある人の転倒のリスクでございます。こちらもやはり歯が19本以下で義歯を使用してない人は転倒しやすいという結果でございます。
 資料1の最後でございます。とにかく歯が多ければ要介護になりにくいということでございますけれども、こちらから言わせていただければ、義歯でも上手にかめるようになればよくなるということです。なるべく要介護にならないように、こちらもお口から提案したいということでございます。
 資料2をごらんください。先ほどは全身の状態についてデータを示して説明しましたけれども、資料2に関しては現在の沖縄の歯の状況、そして、今物すごく頑張っていらっしゃる他府県の状況―はっきり言いますと佐賀県が頑張っております。また、新潟県は昭和47年ぐらいからずっと歯の状態がよろしいということで、次のページからグラフがありますけれども、この歯のデータは1歳半検診、3歳検診、学校検診の12歳のデータが全国的に送られてきます。ですから、全国的に比較できるものが1歳半検診の歯の状態と3歳児健診の歯の状態、そして12歳児の状態です。ところが、1歳半とか3歳は乳歯でございます。そこで我々が比較対象とするのは12歳児、こちらのほうで推しはかって、全国的にどういう状態なのかということを次のページからお知らせしたいと思います。
 左目盛りの虫歯の本数とは、虫歯であったり治療した跡であったり、それが何本あるかということを書いてございます。平成18年度からのグラフでございますけれども、一番左の新潟県は平均して虫歯が1本しかない。沖縄県は右端の3.5本ということです。今、佐賀県が頑張っているという話はしましたけれども、平成18年度は29位でございます。その次の平成19年度、新潟県は1本以下になりました。沖縄県は3.5本で変わりません。佐賀県に関しては27位になって、2本以下になりました。
 その次の4ページは、佐賀県は何をやったのかといいますと、2002年からかなりフッ化物洗口を小学校で取り入れております。その実施率がかなり高くなっておりまして、2008年には70%ぐらいです。人数に関しても2万人以上のフッ素物洗口を学校でやっております。主に小学校でございます。
 そして5ページ、佐賀県は本数がだんだん下がってきまして19位になりました。沖縄県はやっと3.1本になりました。その次の6ページに行きます。佐賀県も16位になりまして、沖縄県も下がっております。やっと3本を切りました。
 次の7ページは先ほどの4ページと同じですけれども、どれぐらいフッ素物洗口をしているかというグラフでございます。重要な点は新潟県、京都府、愛知県、佐賀県はフッ化物洗口実施率がすごく高いところなのです。そこが虫歯本数の少ないほうに位置しているということです。1位、2位、3位です。
 平成22年度には佐賀県は9位に位置しております。沖縄県はやっと2.6本ぐらいです。そして9ページは佐賀県がついに1本まで下がっております。新潟県もどんどん下がっております。
 次のページは、先ほども御説明しましたフッ化物洗口の実施状況でございます。そして11ページに書かれていますように、佐賀県は小学校のフッ化物洗口実施率がトップでございます。小学校で90%という平成24年度のデータがございます。
 そして、12ページは佐賀県からいただいたデータでございますけれども、平成24年度には0.8本にまでなりまして、1本を切りました。そして、実施率が90%、4万5000人です。随分前の1999年には3.33本ございました。沖縄県も3本のときがありましたけれども、佐賀県もいいわけではなかったということです。この状況に奮起されていろいろやったという話が次のページ、佐賀県のニュース紙に載っております。かいつまんでお話しします。1991年度から3歳児の虫歯本数が10年連続で全国ワーストワンになって、それを受けて新潟県の取り組みを参考に2002年からフッ化物洗口の推奨を始めて、唯一未実施だった三養基郡基山町も効果があるとして2学期中に実施することになり、実施率が100%になりましたということです。最後のほうに書いてありますが、一方でフッ化物洗口について健康上の影響を懸念する声もございますけれども、厚生労働省は2002年度に洗口濃度ガイドラインを配布いたしまして、虫歯予防を認め、正しい方法でうがいをすることは全く問題ないという直近10月23日のニュースでございます。
 次のページからはフッ化物洗口ガイドライン以降の施設数ですので、これはお目通しください。随分ふえているということでございます。17ページは現在日本でどのぐらいフッ化物洗口をしているのかという、いろいろなデータをWHOとか財団法人8020推進財団とかで調査をしまして、8500施設で89万1000人がやっているという状況でございます。次のページは先ほどからの話をまとめ上げ、一つの紙にまとめたものです。後ほどごらんください。
 そして19ページ、つい最近福祉保健部と沖縄県歯科医師会でつくりましたパンフレット、「みんなでブクブクむし歯ゼロ作戦」にも沖縄県の現状はこんなに悪いという話を書いてございます。何とかフッ化物洗口をみんなに推し進めることはできないかということで、福祉保健部と我々歯科医師会で取り組むということが書いてございます。
 次ページは少し前になるのですが、健康アイランドという沖縄県保健医療福祉事業団が出している冊子がございますけれども、そちらに沖縄県はみんな悪いのか、そうではないということで、久米島町はこれだけよくなったという情報でございます。データは少し古いのですけれども、平成18年には沖縄県で3.5本だったものが久米島町では0.85本であったということ。ところが、以前の久米島町は全国平均の3倍に当たる12本ありました。虫歯の洪水だったのです。ところが今は虫歯がゼロということになっております。これも久米島町の養護教諭とか担当の先生のおかげですとか、いろいろな協力を得まして現在でも続けております。次のページは先ほどの続きでございます。久米島町がどれだけ頑張っているかということが書いてございます。こちらもお目通しよろしくお願いいたします。
 最後の22ページは、学校保健における歯科保健対策推進のための保健医療機関の連携、こちらは上のほうに県議会と書かれてございます。県議会や歯科医師会、県教育委員会、県の健康増進課、全てが一体となってこれに取り組んでいかなければならないということでございます。
 そして、沖縄県はどうしたらいいのかというと、資料3で歯の数と健康度の関係ということで、こちらは北海道から香川県まで幾つかの医療費調査をいたしました。北海道、長野県、山梨県、茨城県、兵庫県及び香川県で、香川県を除き全て70歳以上または65歳以上でございます。香川県だけは40歳以上で少し数値が高くなってございます。次のページをお開きください。北海道を見ていただきたいのですけれども、右端が残っている歯がゼロから4本の方の医療費でございます。月額3万5000円を超えております。左端の20本以上ある人と比べると月に1.59倍医療費がかかると。ほかの県の調査も見ていただければ全部多くなっていることがわかると思います。歯があるとどれだけ医療費が削減できるか、お口から健康、財政面でも協力していきたいと考えております。
 そして3ページ目、歯科保健をライフステージと見ますと、ゼロ歳から6歳までは母子保健法で守られております。そして6歳から15歳、長ければ大学まで行きますので、22歳までは学校保健安全法がベースになっております。ところがそれ以降になりますと、定期検診や歯周疾患検診、高齢者検診といった形の任意の検診でしかない。我々が考えているのは、こちらも条例によって検診をふやすことを考えていきたい、任意ではなくて必ずやっていきたい、それが健康長寿を目指す手段だと思っております。
 次のページでございますが、推進条例は新たに富山県と山形県がふえて36都道府県で制定されて、もうやっていないところのほうが少ないぐらいだと考えております。あとは沖縄県をこちらに加えていただければと望んでおります。
 最後のページでございます。こちらは歯科口腔保健の推進と目標の一覧です。乳幼児期、学齢期、成人期、高齢期と我々は全てのところを継ぎ目なく管理していかなければならない。それにはやはり条例を制定しないとなかなかできない。先ほどもお話ししましたとおり、任意ではなかなかやってもらえません。これでは健康長寿復活はできないと思います。以上です。

○呉屋宏委員長 参考人の説明は終わりました。
 これより参考人等に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 加藤先生、どうもお疲れさまでございました。クリニックで見る感じとここで見る感じでは大分違っておりまして、人違いかしらと思いましたけれども、私の歯は加藤先生にずっとお世話になっております。ありがとうございます。先生の御説明を伺って、認知症にも関係するし、それは大変だという感じがありまして、やはり健康長寿沖縄を取り戻すためには歯が肝心だということが先生の御説明でよく理解できました。少しお尋ねしますけれども、陳情の中に歯の疾患、病有率が高いと書かれておりますね。劣悪な状況であるということですが、特に子供たちの状況というのですか、それは先ほどの3.幾らかということでよろしいですか。

○加藤進作参考人 先ほどの3.幾つというのは資料2の1ページ、目標の必要性というところに書いてございます。これは歯科口腔保健の推進に関する法律に対する厚生労働省の目標とか、そういった考え方が書かれているのでございますけれども、その中ごろに、12歳児の1人平均齲歯数都道府県データにおいて、最も低い値を示す自治体と最も高い値を示す自治体の間には、平成22年では約3.5倍、平成23年では約4倍の格差があると書かれてございます。この高い自治体とは沖縄県でございます。こういった公的な文書にも書かれていることでございます。それだけ突出して悪い状況です。先ほど何回もやりましたグラフを見ていただくとわかると思うのですが、沖縄県はここ何年も最下位でございます。ただし、大人はどうかといいますと、データベースというものがなかなかないのです。検診になかなか行かないので、それを県庁なりそういったところに提出することも余りないので、比較するのが難しいということでございます。ですから比較できる12歳児で全国比較しております。

○狩俣信子委員 お子さんの場合は12歳で比較するということですが、例えば障害を持った方の歯科検診、歯科治療は今どのようになさっていますか。

○米須敦子補助者 県歯科医師会の常務をしております米須と申します。
 私は10年間泡瀬特別支援学校の校医をしておりますが、現在、学校を挙げて検診とともにブラッシング指導を全員に行って、口腔ケア指導をしております。それと同時に、障害者ということでなかなか集団指導ができないものですから、個別の指導で―泡瀬特別支援学校自体が、重度身体障害者の支援施設としては九州一大きな学校でございます。それで先生方がとても指導に時間をかけて、生活指導のときにマッサージをしてくれたりして、すごく敏感な子たちが多いこともありますから、そういうことから始めて現在は虫歯が1本を切っております。多分、ほかの特別支援学校と比べてもそのデータ自体は飛び抜けてよくなっております。ただし、なかなかPTAとのすり合わせがうまくいっていない状況で、歯科受診に関しての勧告はしているのですけれども、これは特別支援学校ばかりではなく小・中・高でなかなか受けていただけない現実もあります。検診事業は法律としていいのですけれども、きちんと受診するというところはなかなか進んでいない現実もありますので、やはり何らかの形で、妊産婦検診もそうですが、まずスタートしてからそういうものをつくっていかないと、そこで途切れてしまうという状況が現実であります。

○狩俣信子委員 確かにおっしゃるとおり、例えば大人になってから定期的にきちんと検診を受けてということになってくると、なかなか行かない部分もあったりして、大分ひどくなってから行くということがあるかと思うのです。やはりこういう条例ができて、しっかりできると―新潟県などは本当に進み方がすごいです。そういうのを見るとやはり沖縄県でも大事だと思いますし、もう36道府県がやっていらっしゃる。でも、先ほど取り寄せた資料では大分県と鹿児島県が早速やろうとしているのです。それで39番目ぐらいになってしまうのかという心配も持ちながら、でもやはり長寿の関係、それから糖尿病とか認知症とかさまざまなことを考えると、県全体でこの条例をつくって健康な歯を維持していくことはとても大事なことだと思います。先生方の御努力はたくさんあると思うのですが、早目に条例が制定されるといいなと感じました。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 島袋大委員。

○島袋大委員 何点かお聞きしますけれども、これは条例を制定することによって予算措置、財政が出てくるのです。フッ化物洗口をするのであれば予算を伴いますけれども、その予算的な面はどれぐらい把握されてますか。

○加藤進作参考人 今の御質疑はフッ素洗口と考えてよろしいと思いますけれども、今回、このフッ素洗口で新たに1回法というものができまして、今まで4回法、5回法、毎日法というものがありました。それに加えて今回、週に1回というものが新たに認可されました。医療用医薬品添付文書情報というものの改正があったのですが、今度は濃い目のものが使えるようになったのです。それによって随分と―今まで4回やっていた、5回やっていたというものが1回で済むようになります。それが大体初年度1人382円になります。これを沖縄県全部で行うと6000万円近くになるのかもしれませんけれども、そういった財政措置もしてほしいということでございます。ただし、一斉に行うわけではありません。これはやはりモデル地区としてこの学校、こういったところでやってほしいということを少しずつやっていかないといけない。全部一斉にやるわけにはいかないと思います。ですから、最初からこのような金額が出るわけではない。例えば学校の生徒が100人いたとしたら、3万6000円ということです。

○島袋大委員 これは1人当たり年間380円、6000万円という数字は沖縄県全体の児童にかかる予算だと思いますが、1人当たりにすれば年間380円で済むということですよね。その認識でよろしいですか。

○加藤進作参考人 はい。

○島袋大委員 私もこれに5年間携わっておりますけれども、新潟県の条例を参考に沖縄県もやろうということで、いろいろな面で提案させてもらいました。やはりネックとなっているのは、学校関係の方々からしてみれば給食が終わった後の歯磨きの時間ということで、職員の皆さん方の労働力、時間をそういった形で担当を入れないといけないということで四苦八苦しているのが現状ではないかと。いろいろな面で調べたところ、そういう内容で理解しているのですけれども、今の話であれば、毎日ではなくて1週間に1回すればいいということですから、5分以内では大体終わるということですよね。皆さんたちから見て時間にするとどうですか。

○加藤進作参考人 そのとおりだと思います。5回毎日やることと1回とでは全然違うと思います。それで学校側の労力もかなり減ると思いますし、そういったことに関しても推進しやすいと考えております。

○島袋大委員 各都道府県の条例も何度か見ていますが、責務において県が音頭をとってやりましょうと。知事名でどうのとかいうことがありますけれども、各都道府県の中で市町村独自で条例を制定するところもあるのですか。

○加藤進作参考人 もちろんやっております。先ほどの資料にもあったかと思いますが、かなりの市とか―町村まではいかないかもしれませんが、あります。そして県内においても、県が制定した後に那覇市で進めていきたいというような話も出ております。

○島袋大委員 やはりこれは皆様からしてみれば、県が音頭をとって柱的なものでどかんと条例をつくって、その枝葉として市町村もしっかりやってくださいということが一番きれいではないかという認識でいいですか。

○加藤進作参考人 そのとおりだと思います。

○島袋大委員 県の担当部署も呼んでいろいろ聞いたら、県が音頭ではなくて市町村に任せたらいいというようなこともあるかもしれないけれども、やはり県として柱をしっかりつくって、いろいろな面で市町村におろすということがきれいな条例のつくり方だと私も思っていますし、ましてや那覇市が中核市だからといってどんどん条例化してきて、では県議会は何をしてきたのかという形になってくると思いますから、これは県としてしっかりとした幹をつくって、市町村におろすべきだと私も思っております。
 その中でやはり気になったのは、福祉保健部の考え方と学校側、県教育委員会の考え方として、条例案の中にも入っていましたけれども、この条例をつくることによって各都道府県でメリット、デメリットいろいろな面で議論は出たかもしれないけれども、やはり学校教育の位置づけの中で、条例をつくるときにいろいろな面で議論に時間がかかるという要素は何ですか。学校関係の皆さん方の認識、理解してもらうために時間がかかっているのか。要するに、先ほど言った歯磨きの時間を毎日行うことは大変だから待ってくださいということが実際にあるのかどうか聞きたいのですが。

○加藤進作参考人 委員おっしゃるとおりでございますけれども、そういった声も幾つか上がっていることは事実だと思うのです。そういった考えもあると思います。やはり労力的な問題、学校においては水場の問題、そういったことを盾にしていろいろ難しいのではないかという方もかなりいらっしゃると思います。しかし、そのための条例ではないかと思うのです。歯磨きに対しても、学校に水場がないから歯磨きもできないというところも中にはございます。それがこの条例ができることによって改善して、今度は水場をつくろうではないかという形になってくれるかもしれません。そういったことでも今回条例が必要だと思っております。ですから、この条例をつくらないとなかなか考え方も変わってこないのではないかということもあるのです。ただ、そういった学校の先生方の苦労もわかります。間違った情報などもいろいろ出てきていると思うのです。そういったことも加味されて、なかなか了承が得られないのではないかと考えております。

○島袋大委員 この条例が制定されるに当たって、これからいろいろ議論が出てくるかと思うのですが、歯科医師の先生方としてもフッ素洗口するだけではなくて、やはり各学校へ指導員も含めて、沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例も可決されましたから、障害者の皆さん方も含めてそういう指導―学校に行って最初の段階は歯磨きの仕方、フッ素洗口、いろいろやっているかもしれないけれども、この条例を制定するに当たって、やはり歯科医師の皆さん方としても各学校にいろいろな面で指導することも頭に入っているということですか。それも可能だということで認識していいですか。

○加藤進作参考人 それはもちろん島袋委員の言うとおりだと思います。頭に入っていると思います。それが嘱託医であると思っておりますし、それを考えていないのであれば、その方は嘱託医の資格はないと思います。

○島袋大委員 虫歯がふえれば歯医者はもうかるのですけれども、予防させてまでもこれだけ率先するということは大変すばらしいことだと思っていますから、我々もしっかり議論して早目に制定するように頑張っていきたいと思います。またいろいろな面で意見交換したいと思いますので、よろしくお願いします。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 推進条例の制定は積極的にやらないといけないのではないかと思うのですが、お尋ねしたいことが幾つかあります。資料3の2ページ、歯の数と健康度との関係、医療費で見た場合という資料は、どちらがどこを調査した資料なのか。歯が多ければ医療費も少ないという数字になっているのですけれども、出所はどちらで、どのような調査をされたのか、お尋ねしたいと思います。

○加藤進作参考人 前のページに載っております。2ページは1ページをグラフにしたものでございます。

○西銘純恵委員 各都道府県の国民健康保険団体連合会―国保連合会ということなので、沖縄県の国保連合会に対してこの資料を出していただく努力はされたのでしょうか。あれば欲しいと思うのですが。なければいいです。

○加藤進作参考人 申しわけありません。出しておりません。ただ、これから出すことも可能だと思います。

○西銘純恵委員 やはり県内も調査されて、資料として結果を示されたらそれだけ説得力もあるかと思うのです。
 それと同じ資料の4ページですが、条例を制定したのは36県だけれども、フッ化物応用の条文を入れたところが26カ所、そのうちフッ化物洗口の条文が入ったところが10カ所ということですよね。フッ化物洗口を入れたところ、フッ化物応用を入れたところ、どちらも入れないところ、この3種類に分かれている議論の特徴をお尋ねしたいのですが。

○加藤進作参考人 全てを把握しているわけではございませんけれども、やはりフッ化物洗口、フッ化物応用という文字を削除した県もあるとは聞いております。当初の条例案では入っていたと聞いているところもございます。

○西銘純恵委員 少し気になるのは、先ほども出ました資料2の13ページの「フッ化物の健康への影響を懸念する声もある。」という部分ですけれども、具体的に医療として健康へどのような影響が出ているのかということと、もう一つ、この中ほどに親が同意をするという、フッ化物洗口の実施を親の同意でということはやはり何らかのリスクを伴うものなのかと。そこら辺が専門ではないので気になるところですが、条例の中にも洗口ということと、そうではない応用とか使われたことがそこら辺にあるのかなと。詳しく説明をお願いいたします。

○加藤進作参考人 資料中ほどの親の同意ということは、やはりこういったものを学校に―医療ではないのですけれども、こういったものを持ち込んで何かをする場合には、やはり親の同意が必要であると感じております。我々も保育園で進めておりますけれども、これは必ず必要なことでございます。小学校、もしくは中学校でもそうですけれども、本人たちは恐らくそれほどわからない場合もあります。理解ができていないこともあると思いますので、やはりそういったことをやる場合は、全てにおいて親の同意が必要であると考えております。
 そして、下の「懸念する声もある」ということでございますが、そういった事例はほとんどないです。懸念の声もあるということで、フッ化物洗口をしたからといってがんになったとか、そういういろいろな病気になったということはございません。今までありません。ただ、久米島で1件あったことは、出しっ放しにして水が腐ったということがあって、それぐらいの事故でございます。飲んで何かあったということはなかなかないです。そういう報告はありません。

○西銘純恵委員 一番懸念することは、人体への何らかの副作用というのか、そこら辺もどうなのかという部分ももう少し資料として後日出していただけたらと思います。条例の中には、そういうフッ化物洗口は親の同意が必要とかは入っていましたでしょうか。案としては入っていませんよね。

○加藤進作参考人 それは入れておりませんけれども、マニュアル等々、我々は必ず嘱託医がまいりまして、長時間にわたる説明、そして学校側とのすり合わせもしております。やはり未成年でございますので、これは親に承諾を得て、そして理解を求めてから全て行うものでございます。ですから、そういった同意を得られない子供たちには水でうがいをするといった方法で推進しております。

○西銘純恵委員 後日で結構ですが、先ほど聞いた3種類の条例制定の違いの議論について、フッ化物洗口と応用とそうではないものと、それからフッ化物洗口の文言を当初は入れていたけれども、削除されたものがあるのかないのか。そこら辺も資料として後日出していただきたいと思います。
 先ほど泡瀬特別支援学校でブラッシング指導をして、虫歯を1本以下にできたということを聞いたら、やはり歯磨きとかそこら辺をやれば―先ほども1年間フッ化物洗口をやれば、6000万円の予算がかかるということでした。では、お金をかけずに大人になっても当たり前にずっと歯を大事にする、生かすというようなブラッシングを習慣化させることが基本ではないかと感じるのです。佐賀県は虫歯が1本未満になったと、1本以内になったと。それはフッ化物洗口をやってきたからだという資料ですけれども、沖縄県はやっていないのだけれども、いずれにしても3.何本から2.何本に、沖縄県自身も何らかの取り組みをして下がっているわけですよね。その取り組みとは何だったのでしょうか。

○米須敦子補助者 実は県内でもかなり格差がありまして、那覇市内と久米島町、私は今沖縄市ですが、中部地区とでは全然違う値が出てきます。沖縄市としては早目に取り組まなくてはいけない。では、沖縄市が動けば中頭郡というか、中部地区が動くだろうということもありまして、まず認可保育園からフッ素洗口を始めております。沖縄市の全ての認可保育園はここ五、六年で実施し始めております。公立保育所が終わって、認可保育園が終わりまして、今、認可外保育施設に入っております。それと同時に嘉手納町も始まっておりますし、うるま市もやっております。実際にフッ素洗口は保育園においては中部地区だけではなくて、那覇市あるいは南部地区、全体的に始まっておりますので、その影響も出ているように思います。
 実際に泡瀬特別支援学校も永久歯の虫歯の数は減ってきておりますが、乳歯の虫歯の数は依然としてかなり多い数字が出ております。泡瀬特別支援学校の場合もフッ素洗口をとはいっても、こういう条例の制定がない中でなかなかできないというじだんだを踏んでいる状態で、卒業してからどうしようという子供たちもいるわけで今度、高校生にもう一度やり直しをしております。もうこの子たちを見る法律がないわけですから、彼らが検診を受ける機会もありませんので、その生活支援の前にそういうことをきちんとやるすべを何とかしたいということが、教員、職員を含めて今の私たちの課題になっております。それと、就学してきたばかりの子供たちにはなかなかそういう習慣がついていません。彼らは公立とかそういったところの保育園にもなかなか行っておりませんので、その学校に入って初めてという子が多いのです。実際に障害も重度化しておりますので、なかなかその辺のところでじだんだを踏んでいるということが―進めば進むほどその壁に当たりながらということで、今やっているところがあります。保育園に関しては先ほどのとおりで、あと私は私立小学校の校医もしておりますが、そこではフッ素洗口を進めてほしいという希望をいただいております。なぜいいとわかっているのに保育園でやめてしまうのかということで父兄からお願いがありまして、来年度に父兄説明会から入りまして、実施していくことになっております。
 先ほどのなぜ同意書を得るのかというお話ですが、それは未成年を―私たちは就学児を対象としておりますので、やはり御父兄の許可を得ることは当たり前のことだと思っております。その前に、もちろん実施する側の先生方への説明は十分に行った上で段階を経て、父兄にお話をして、そこで了解を得て実施するという感じでやっております。
 先ほどフッ素洗口の事故の話がありましたが、実際にあったのはやはり沖縄県のように水自体が腐ってしまうと。フッ素というものは鉱物の中でもすごく安定した材料ですから、それがだめになるということはないのです。水が腐ってしまうので、保育園で今やっている管理方法としては、水の管理は絶対にミネラルウォーターで薄めるようなことはしないでくださいと。逆に水道水できちんとやってくださいという手技の説明のために、こういうマニュアルもつくってやっております。コスト的にも1回法とかいろいろ考えてきたのですが、毎日やる側としては仕事がふえるわけですから、なかなかちゅうちょされるのです。なぜ保育園で広がったかというと、やってみると全然負担にならないことがわかってきたので、今では多くの保育園で一番手のかかる保育園生に対して、お昼の後に少し音楽をかけて1分間洗口していただくということで、どんどん広がってきていることが事実です。

○西銘純恵委員 フッ化物洗口に少しまだ理解できていない部分はもっと理解が深められるのかなと思います。
 あと財政措置の関係と学校への支援で、例えば歯科検診を毎年学校で定期化してやっていくとか、また歯科治療が必要なときにお金がかかるのです。3割負担をなかなか―歯が痛いけれども医者に行けないので、学校を休んで家で痛いのを我慢している子供たちが身近にいることを聞いたりするわけです。だから、そういう治療に対する中学3年生までの医療費無料も、通院費無料がまだ3歳までとかあるので、その助成等も含めてやはり学校の中で入れていくことが大事なのかと。財政措置のところは個人的にそう思ってはいるのですが、そこら辺についてはどういう御意見でしょうか。

○加藤進作参考人 こちらのほうは学校保健安全法で補われている場合もあります。あと生活保護法もございます。そちらのほうもありますけれども、やはりそういったことに対して財政的な補助ができればいいです。中には「ろくみ」とかといって6歳児未満は費用が出ないとか、そういった日本全国いろいろな行政があるのです。ですから、やはり歯科に関しても上に上がれば上がるほどというか、小学校まで無料というところは口腔内環境がかなりいいです。やはりそういったところで財源を回していただくということは、我々にとってもうれしいことだと思います。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 先ほどの話ですけれども、資料2の2ページの沖縄県の3.5本というひどい時期から、8ページから9ページにわたって虫歯が2.5本に落ちている理由として、公立保育所、認可保育園、認可外保育施設へと中部地区を中心に、また那覇市も含めてフッ化物洗口が普及した成果ではないかというお話でしたよね。そのように理解してよろしいですか。

○加藤進作参考人 それが全てではないと思うのですけれども、これは全体を見ていただければわかると思うのですが、全ての県が下がっているのです。ですから、日本全国の皆さんがお口の健康に関して関心を持ってきたということはあり得ます。また、今は歯磨き粉の中にフッ化物が入っているのです。今では90%以上の歯磨き粉に入ってございます。その影響もあると思いますし、やはり最初に言った関心度が高くなってきた。昔のように子供はほったらかしということではなくて、見る目が随分出てきたとは思います。それがやはり低いところが―沖縄県にはそれが足りないのではないかと感じます。やはり条例によってそのところも―先ほどネグレクトというような話をしましたけれども、やはり関心を持ってほしい、関心を持てば少しずつでも下がると思います。

○比嘉京子委員 その根拠にはさまざまな理由があるだろうということですよね。そうすると第一義的には啓発活動といいますか、関心度を高めるというようなことが―今、沖縄県の健康長寿の大きな目標の中でももちろん歯の健康は8020運動でやっているわけですけれども、その点を考えると、今おっしゃったように特別支援学校も含めて、基本的にはいわゆる親御さんが夜寝る前の膝元での仕上げ磨きというような幼児期からの習慣化ですよね。その習慣の延長線上に保育園や幼稚園、小学校があって、この習慣をいかに徹底するかという、一生物の習慣を身につけると同時に、その次にフッ化物洗口という順位でいいですか。

○加藤進作参考人 比嘉委員の言われているとおりだと思います。

○米須敦子補助者 もちろんそれは当たり前のことだと思うのですが、実は虫歯の本数の数値を上げている子にはなかなか構ってもらえない子たちとか、その格差がある場合に、まず集団で考えた衛生活動と個人で考えた衛生活動があると思うのですが、県とか大きな単位で考える場合にはその端と端も考えなければならないと思うのです。その平均値を考えてしまうとみんなそこに入ってしまうと思うのですが、実際になかなか手当てを受けられない、先ほどの医療費にしてもその恩恵を受けられない子供たちがいかにしてそうならないように生活できるかということを考えた場合、ということがまずスタートでして、それに対して最も費用がかからない方法を考えると、やはりフッ素洗口は世界的に始められた最初の予防のスタートなのです。実は北欧では要らなくなっています。先ほど加藤専務が申し上げたように、歯磨き粉の中に入れているだけでケアができる。それにホームドクターがしっかりいてきちんとできるので、国を挙げて集団的にやるレベルではないからやらなくて済んでいる状況です。では現実的に日本はどうか、沖縄県はどうかというと、そのレベルにまでなかなか達していないので、そのトータルで考えたときに―悪い人たちも含めてですが、できるだけこちらの格差をなくした上で、どのように努力して平均値である高い山をいい方向に持っていくかということだと思うのです。集団的にやるということを考えると、初年度はコップを用意するなどコストが少し高目になってしまうのですが、次年度からは薬品だけの準備になってくるのです。そうするとコストがまた下がってきますし、例えば既に処方されたものではなくて、薬剤師の協力も得てきちんと薬剤をはかってくれるようになると、さらにコストが大幅にダウンするのです。そういう方法をいろいろ駆使してやったのが久米島町です。こちらにもその結果が出ていますけれども、佐賀県の話も出ましたがやはり10年かかっているのです。実は沖縄市とかでもデータをとろうとやってはいるのですが、そのデータをきちんとしたものとして出す場合にはどうしても時間がかかる。今、保育園の皆さんもよく費用対効果ということをやるのですが、もちろんイメージしてやっているものは、もう少し先の時点でのきちんとしたデータの分析になると思います。今はまずその結果を出していくような段階だと思っております。とにかく範囲をぜひ考えていただきたいと思います。

○比嘉京子委員 フッ素洗口は年齢的に期限というか、どれくらいまでですか。今、小学校に普及しようという話ですが、幼稚園や学校ですか。

○加藤進作参考人 小さい子でも歯が生えている子はできます。ただし、やり方が少し違いますのでスプレータイプでやるとか、そういうことはあります。一番効果的なのはやはり4歳から14歳までというように聞いております。これは早い子では4歳から永久歯が生えてくるのです。その早く生えた子はそれだけやわらかい状態で行きます。それと4歳と6歳では6歳臼歯が生えてくるときの状態がやはり違いますので、そこら辺でやはり4歳からという形です。最後に生えかわるのが14歳と言われております。そこら辺が一番効果的な時期と言われております。もちろん大人が使っても虫歯予防になりますし、根っこがしみたりする老人の方にも使えます。そういったことでいろいろな幅があります。小さい子には小さい子専用がございます。ただし、洗口できない子もいますので、そういった子にはスプレータイプというものもあります。

○比嘉京子委員 論点がずれたら困るので、先ほど1歳半検診、3歳検診のお話をされておりましたけれども、1歳半検診における虫歯率はかつての低い時期から非常に高い率に移行していると思うのです。だから、根本は何かというと、もちろん今のフッ素洗口の問題はあるかもしれませんが、基本的に大人になっても歯に関心を持ち、大人になっても歯のケアをするということを考えると、やはり食後の歯磨きであるとかという習慣性、それから食べ物の内容も非常に影響を及ぼしていることがあると思うのです。そのこともセットにしていかないと、歯は歯だけ、食べ物は食べ物だけ、運動は運動だけという健康ではなくて、一つの人体に対するアプローチですよね。歯の部分からのアプローチ、ほかの部分からのアプローチと。ですから、やはりこれは―皆さん県にいろいろなかかわりをしておられると思うので、やはりトータルとして3食をきちんととる子は虫歯率が低いですよね。それとよくかむというような子も低いですよね。そしゃく回数が多いほど低いですよね。そういうことを全てトータルすると、私はやはり基本は生活習慣と食事内容にあって、多分にトータルの健康長寿を考えた場合にはその二次、三次的な順番づけになると思うのです。その観点からすると、やはり一生ものの習慣というものをまずは第一義的に打ち出した啓発活動があって、そしてそれにプラスして、これがあるとよりいいというデータがあるというように順番づけを明確にしていくことを、ぜひ県と一緒にやるべきではないかと思っていますが、どうですか。

○比嘉良喬補助者 今言われているようにこの条例に関しては、要するに赤ちゃんから高齢者までを一つの流れとして条例を考えています。要するに食べること、そしてかむこと、その辺がやはり重要視された状態で、いわゆるステージの中では永久歯に生えかわるまでの間、そこが大事なところでやはりフッ素洗口なりをして歯の強化を図ると。その前に妊娠の初期から妊娠時のお母さんの健康状態、口の健康状態、お母さんの口の健康状態が赤ちゃんに移っていく。そこをやはりケアしなくてはならない。そういうところまでシームレスに考えた形の条例を今回私たちは提案しております。決してフッ素洗口だけにこだわっているわけではなくて、やはり食べることをどう生かすのか―それだけ虫歯があれば食べられない。その前に治さなくてはいけない。その前に予防的な措置としてフッ素洗口を考えるということです。高齢者においては、先ほどあったように成人における検診がない。特に今の沖縄県の長寿社会を落としているのは、やはり40代から60代の間の生活習慣病です。要するにメタボリック症候群です。それはなぜかというと、かむことができなくなっている。かむためには何が必要なのか。食材の問題もあるし、歯が健康であるかどうかとか、飲み込む力があるのかどうかとか。歯そのものではなくて、口の中の健康が大事だと私どもは考えておりますので、そのためにはまずは条例を出していただいて、その中でいろいろな政策が出てくると思います。やはり各ステージにおいてアプローチの違いは出てきます。そういったことを考えていきたいということです。

○比嘉京子委員 条例の制定は我々もみんな賛成だと思うのです。もちろん内容については精査させていただきたいのですが。今、皆さんは4歳児からの永久歯の問題に焦点を当てていると思うのですが、口腔状態については皆さんが御専門ですから、やはり乳歯の時期に早くから虫歯のある子供は永久歯に早く生えかわるという問題があって、乳歯に虫歯のない子は永久歯がその下から入ってきて、ゆっくりと生えかわっていくという時間的なラグがあると思うのです。そうすると、乳歯で虫歯ができるような生活環境であったり、食環境であったり、口腔環境であったり、沖縄県は乳歯期の子供そのものの問題を視野に入れて、今生えてきた永久歯をどうするかという問題ではなくて、乳歯期に虫歯を早くつくる子供の口腔状態や生活環境が、永久歯でも虫歯を早くつくる環境の流れにあるという見方を自然にするというか、今、乳歯期の虫歯が非常に低年齢化しているという実感があります。4歳児の問題もさることながら、乳歯期における指導からスタートしないといけないということを含めると、やはり基本的なところをまず強調して順番づけていく必要をぜひとも皆さんのほうから、御専門の皆さんからやっていただきたいと思っています。

○加藤進作参考人 比嘉委員から乳歯の問題のお話がありましたが、今、沖縄県歯科医師会でもマイナス1歳からの虫歯予防を提唱しております。何となくわかると思うのですが、おなかの中にいるときから妊産婦の歯科治療をケアしていて、もちろん子供への垂直感染とかそういったこともありますので、そういったものを防止するために妊産婦からの指導を行っております。そして、乳幼児歯科ということで私どもは研修会もたくさんやっております。ですから乳歯は虫歯になってもいいとか、そのようには思っておりません。ただし、フッ化物洗口に関しては、どちらかといえば永久歯のほうが大切だということであって、乳歯をおろそかにしているわけではございません。確かに乳歯で虫歯の多い子は永久歯も虫歯になる確率が高いです。やはりそこら辺はあると思います。

○比嘉京子委員 親の中には、どうせ乳歯は生えかわるから虫歯になっても大丈夫だという認識があるのです。親のほうにそういう認識があって、すごくないがしろというか、余りにも認識がないことを否めないところがあって、生まれたときから始まっているのだという、そこを啓発活動のスタートに置いてほしいという要望です。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 糸洲朝則委員。

○糸洲朝則委員 きょうはいろいろと勉強させていただきました。ありがとうございます。ウチアタイするやらいろいろありますが、やはり条例を制定して、県、もちろん県議会、県民のそれぞれの役割、親御さんの役割、そういったことが重要であることは重々理解することができました。したがって、この条例を制定するに当たっては、県議会もさることながら執行部に委ねることもあるわけでございまして、まず確認でございますが、我々はこの陳情をあさって審査しますが、これは県知事のほうにも出してありますか。

○加藤進作参考人 県知事宛てには出してないです。

○糸洲朝則委員 そう質疑したのは、陳情に対する福祉保健部からの処理方針にこう書いてあるのです。歯と口腔の健康づくりに関する条例については、全国的には34道府県で、主に議員提案により制定されておりますと。主に議員提案で制定されているという処理方針になっているのです。それで本来、知事部局で条例案をつくって議会に諮る手法と、議会のほうで条例案をつくって議決して、そして知事に対してこういう条例をつくりました、ついてはこの条例をきちんとやってくださいという2通りがあるわけです。それで、本来ならばこの陳情を知事にも出して議会にも出して、両方でその研究を行って、そしてどちらでいくかと。本来ならば知事部局から提案して、それについて我々が質疑をしながら仕上げていくというのが普通のやり方だと思うのです。それで願わくば知事にも出したほうがいいかと。あるいは知事はよろしいので、県議会で議員提案でお願いしますというどちらですか。

○加藤進作参考人 議員提案を望んでおります。

○糸洲朝則委員 各都道府県においても主に議員提案という、何か意味があるのですか。普通は議員提案でやる条例というものは少ないのです。この条例に限って主に議員提案でやっているということは、何か根拠とか理由とかありますか。

○比嘉良喬補助者 県からおりてくるよりは、やはり議員の方々が一致団結をした形で提案して、沖縄の健康を守るという意志でやっていただきたいという考えでございます。

○糸洲朝則委員 多分、今の雰囲気でいくといい方向へ流れると思うのですが、予算措置とかを実際にやるのは執行部です。執行部の自覚を促すという意味でも、県知事にも同様の陳情をしていたほうがいいと思います。これは私の意見として、どうするかは皆さんで検討してください。
 もう一点。まだ十分に条例案を読み込んだわけではないのですが、今までの説明や質疑答弁で感じることは、子供のときにきちんと予防する、これは十分大事であるし、また理解ができました。しかし、説明にもありましたように、学校を卒業して、社会人になってからの管理がなかなかうまくいっていないと。これは何も歯に限らず、特定健診に限って見ても沖縄県は―私もまだことしは行っていないのですが、大変低い割合にあるのです。したがって、そこら辺を促していくという意味で、例えばこの条例案で特定健診の項目に歯科検診を入れるとか、そういうことが可能であるかどうか。あるいは他の県にそういう項目があるかどうか。特定健診は年々上がってきているのです。もしそれに歯科検診も併設してやることができれば、大人になってからの健康管理に物すごくいいと思いますが、いかがですか。

○比嘉良喬補助者 新しい提案をありがとうございます。本当は特定健診に関しても、歯科の特定健診がないことにじだんだを踏んでいる状態です。では、何か特定健診に歯科検診を入れられない理由があるのかというところで、やはりなかなか検診の難しさというものがありまして、今、沖縄県歯科医師会としては検診システムの再構築というものを考えて、もう少し簡易にできないか、そして誰でも受けやすい環境をつくりたいということで、ことし検診システムの再構築をしている段階です。それができれば特定健診の中に含まれる可能性が高いかと。これに関しては福祉保健部とも調整をしながら、新しい歯科検診が入り込めるかどうかということを考えながら、ぜひとも糸洲委員が言われたように、やはり特定健診の中に歯科検診も入れていただきたいと私たちももともと思っておりますので、それも含めて条例に生かせればよいと思っております。

○糸洲朝則委員 これは検討してください。我々も研究します。実際、自分に当てはめて考えてみても、やはりかかりつけの歯科医師からそろそろ検診ですということが何回も来てから、ようやく予約をとるということが実際でございますので。しかも一回行くと、もう週に二、三回行かなくてはいけなくなるので―たまに行くからそうなるのだろうけれども、実際そういうこともあってなかなか歯科検診は難しいと感じているので、今、そういう提案を申し上げました。御検討してください。
 もう一点、先ほどいろいろなデータの説明をしていただきましたが、例えば男女別のデータというものはないですか。50代、60代、70代というデータはわかりましたけれども、男女別のデータはないですか。女性は長寿です。したがって女性のほうが歯もいいのかと思ったりするので、健康とのかかわりでその辺のデータはないですか。なければないで終わります。

○加藤進作参考人 今のところはありませんけれども、この条例を制定していただければ確かにそういうデータベースもできると思いますので、そのころにはぜひそういった比較もしたいと思います。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新田宜明委員。

○新田宜明委員 希望としては各市町村の虫歯とか歯周病の罹患率の実数というのでしょうか、そういうデータが欲しかったのですが、きょうはそれが出されていないので執行部から要求しようかと思っております。
 それと、フッ化物洗口についてさまざまな意見があることは御承知だと思うので、皆さんがフッ化物洗口をお勧めする根拠なりデータについて、資料がございましたらぜひ提供していただけませんか。よろしくお願いします。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、加藤進作参考人等に対する質疑を終結いたします。
 この際、委員会を代表して、参考人等に一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
 加藤進作参考人、補助者の比嘉良喬さん、真境名勉さん、米須敦子さん、金城淳さんありがとうございました。
 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人等退席)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 休憩前に引き続き、参考人からの意見聴取を行います。
 次に、公益社団法人沖縄県精神保健福祉会連合会事務局長高橋年男氏から説明を求めます。
 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人着席。その後、参考人から申し出のあった補助者の陪席について協議し、申し出どおり陪席を認めることで意見の一致を見た。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 参考人から申し出のあった補助者の出席及び説明につきましては、休憩中に協議したとおり取り計らうことに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 休憩いたします。

   (休憩中に、補助者着席)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 参考人及び補助者の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 参考人等から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人等から御説明をいただいた後、委員から参考人等に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人等が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人等の説明を聞く場でありますので、参考人等が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それではまず初めに、高橋年男参考人から、陳情平成24年第106号「こころの健康を守り推進する基本法」の制定を求める意見書の提出に関する陳情について簡潔に御説明をお願いいたします。

○高橋年男参考人 御紹介いただきました参考人の高橋と申します。よろしくお願いします。補助者として精神保健福祉士で専門相談員をしております岡野と兼浜も同席させていただきます。よろしくお願いします。
 きょうは私どもの陳情につきまして、貴重な時間をいただいて本当に心から感謝申し上げます。お手元にきょうの陳情に関する説明資料として、パワーポイントでつくりました24ページのプリントと私どものリーフレットが2つあると思います。1つは沖縄のもので、もう一つはみんなネットという全国47都道府県の私たち家族会の連合体のものです。
 それでは、早速陳情の説明に移らせていただきます。24ページのプリントに沿って話をさせていただきます。まず初めに、2ページの「はじめに」というところで、私たち沖縄県精神保健福祉会連合会の簡単な紹介、概要について説明させてください。今から34年前になりますけれども、1979年に沖縄県で初めて精神障害者の家族の会が久米島で誕生しました。それから約9年を経て、家族会が県内各地で活動を広げたことによって、1988年に他府県連の結成を追うように沖縄でも沖縄県家族会連合会ができました。当時の家族会の活動というものは、自分たちの息子や娘たちが精神科の病院を退院した後の回復に必要な療養ですとかリハビリですとか、そしてもとの学校に戻ったり職場に復帰できたり、新しい仕事につけたりということを支援するための作業所づくりが家族会の主な活動でした。県連の家族会は、地域の精神保健を支えてくださった保健所の保健師の皆さんや県の主管課の応援もあって、任意団体の家族会から社団法人ということで県の認可をいただいて、1994年から公益的な活動を広く展開するようになりました。中でも特徴的なものは、南風原町にある精和病院が同町新川に引っ越しした後の跡地に、私たちの活動の場として沖縄県が授産施設てるしのワークセンターをつくってくださって、建物は県がつくってその運営を私たちに委託してくださいました。それが1996年のことです。当時の病院から地域へという精神医療政策の最先端を行くような象徴的なシンボルとして、行政と医療関係者、そして福祉関係者、家族と医者が本当に心を一つに取り組んだてるしのワークセンターの発足だったという印象があります。その翌年からはグループホームの設置、運営を始めて、2002年には全国的に地域生活支援センターというものが国、県のかけ声で大きく広がった時期があります。そういったいろいろな応援があって、今日の私たちの基礎が築かれてきました。おおよそそのような歴史といいますか、自己紹介です。
 3ページをごらんください。久米島で精神科の医師が巡回診療を始めてくださるようになって、それまでは左下の写真にありますように、復帰前の沖縄は精神病を発症してもなかなか診てもらえる病院の数も少なくて、特に久米島のような離島では自宅監置といって、医療にかからずに悲惨な状態で長く放置されてきた状態がありました。この久米島の写真をごらんいただきますと、自宅の敷地の隅っこに隔離部屋をつくって、そこに患者を閉じ込めて食事も排せつも全てこの中でという、本当に悲惨な生活を強いられるような処遇がずっと続いていました。実は那覇市でも、まだ10年もたたないつい最近のことですが、南部保健所の相談員が周りの方を説得して、自宅監置されていた方を医療につないだということがあったほど、こういう状況がなかなか改善されないままに、地域の理解が進まないままに精神科の医療福祉はおくれてきたということがあります。右側の写真は、精神科の医師が家々を回って、奥のほうに閉じこもっている青年をこのような笑顔が出るまでに回復させた写真です。
 4ページ、5ページですけれども、そのようなことがあって初めて久米島で家族会が誕生しました。当時は駐在保健師制度といって、県の保健師が島々、市町村ごとに駐在していて、精神保健に関して全県的な取り組みが―市町村で温度差があるのではなくて、県の最先端の処遇方法を離島の隅々にまで波及させていくような仕組みがあって、これが離島の精神疾患の皆さん、家族の皆さんにもとても助けになりました。その駐在保健師を中心として、3カ月に1回ぐらい医師が回ってくるのですけれども、それまでの間に保健師や地元の民生委員とか、学校の先生とか社会福祉協議会とか、役場の職員の皆さんが一緒に患者と家族を支える温かい地域づくりが進んできて、それで家族会をつくろうと。それで、5ページにあるとおりドライブに行ったり、卓球大会があったり、ビーチパーティーをやったり、いろいろな音楽活動だったり、スポーツだったり、地域で穏やかにやわらかい時間を過ごすことによって、引きこもっていた精神疾患の方たちが少しずつ心を開いてきて、支える形が広がってきました。久米島から始まりましたこういう活動は、全琉に心の和を広げる集いということで、1983年、今から30年前にスタートしました。
 6ページ、7ページですが、家族会ができたことで県の支援もあって社団法人になりまして、公益的なグループホームの事業ですとか、福祉サービスの事業が始まります。病院から退院して地域で暮らすためには、やはり最初に住まう場所がどうしても必要。グループホームといいますのは、世話人の目が届く範囲で、見守りの中で生活ができるような居住支援の制度です。7ページにありますてるしのワークセンターには、パン工房があって、お弁当の厨房があって、園芸ができるビニールハウスがあって、こういう日常的な物づくりをすることで地域の皆さんとの交流を行っています。てるしのワークセンターは、南風原町にあるものですから南風原のお祭りなどにも参加することで、ここの写真にもありますように保育園に通っている小さい子供から高齢の方まで、あらゆる世代の人たちと交流をすることで地域の中で暮らしていく環境づくりを続けてまいりました。
 8ページ、9ページにありますように、パレット久茂地で毎年9月に行っている障害者雇用支援のキャンペーンイベントですとか、音楽の発表の場だったり、芸術文化の活動、スポーツの交流大会も10年ぐらい前から県からの補助金がつくようになりまして、盛んになってきています。
 さて、精神保健福祉医療が今どのようなところに来ているのかということを陳情の中でも書かせていただきましたけれども、もう少し詳しく説明させてください。10ページに傷病別の医療機関にかかっている患者の推移ということで、一番上の青い折れ線が精神疾患です。平成20年までのデータになっていますけれども、今、この数がますます右肩上がりになっていることは御存じのとおりかと思います。国民病と呼ばれるほどに精神科を受診する方の数がふえていまして、2005年には300万名を超えて、昨年には国のほうで精神疾患を5大疾病の中に位置づけたということで、各都道府県においても精神疾患についての医療計画をつくることが義務づけられることになっています。11ページにはその精神疾患の中でも、このグラフで黄色い真ん中のあたりの部分とその上の水色の部分がふえていることがわかります。黄色い部分が鬱です。水色の部分がストレス関連の障害ということで、ストレスの多い社会の中でこの病気を国民病として国も位置づけ、施策の対応をしていくことになっていると思います。
 その次の12ページをごらんください。世界保健機関―WHOと世界銀行、少しなじみがないような感じがするのですが、そのWHOと世界銀行がDALYという指標―病気にかかることによって失われてしまう命と病気にかかることによって障害を抱えたまま一生生活する、それを社会がどのようにカバーしていくのか、社会的コストがどれぐらい必要かという指標がDALYという指標です。これは、各国の医療政策を疾病ごとに優先順位をつけて政策立案していく上でWHOと世界銀行が定めた指標でして、右側の表を見ていただいてもOECD各国、そして日本もほかの感染症や循環器疾患、がんに比べても精神疾患がその国の大きな損失を招く病気の第1位だということがおわかりになると思います。そういうことからヨーロッパ各国、とりわけイタリアとかは先進的な精神医療の改革にいち早く取り組んでいます。
 その次の13ページ、少し細かいDALYの説明ですが、真ん中から右と左に分かれていまして、左側が男性、右側が女性のグラフです。一番下の左から15から29、30から44、45から59と書いてあるのは、年齢別にどういう疾患にかかっている方たちが多いのかということを示しています。細かい説明は省きますけれども、紫色の棒グラフ、黄色の点線で囲まれているところが神経・精神疾患の方たち、とりわけ若い世代でこの病気による損失が極めて大きいことがわかります。これは介護保険制度などでも言われているかと思いますが、2025年になると福祉を保障してもらう側の高齢者の数と負担する現役世代の数が1対1になると言われていて、そのときに若い世代が精神疾患で働けなくなるのは本当に国の存亡にかかわると言っても過言ではないぐらい、政策をつくっていかなければならないという大事な局面に来ているのではないかということがわかると思います。少子高齢化の時代到来の中で、精神保健施策の意味はやはりとても大きなものがあるということをぜひ国にも伝えていきたいと思います。
 さて、世界的にもそういう流れですが、日本はどのようになっているのか、沖縄はどのようになっているのかということを14ページ、15ページでお示ししたいと思います。14ページは精神科病院の入院病床の数、国際的な比較ということで表を載せております。水色の吹き出しはいろいろな改革のきっかけを4つほど―ライシャワー事件、クラーク報告、宇都宮病院事件、それから退院支援事業を載せていただきました。下には1960年から2005年までの5年刻みの時間軸が書いてあります。縦軸の1から5まで数字が振ってあるのは人口1000人当たりの入院ベッドの数です。ここにはカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本などいろいろなOECD各国の入院病床の増減が書かれていますが、ほんどんどの国は1970年代、1980年代から右肩下がりでどんどん入院病床を減らして、今は人口1000人に対して1床ぐらいの入院病床数になっているのです。それに対して日本は赤くて太い折れ線ですが、いろいろ国際的な批判を浴びても、病院の中で不祥事が起きても、なかなか病院のベッド数、入院者数が減らないのが日本の特徴です。
 15ページの表は沖縄県のことですが、表の見方として横軸は時代で復帰前から平成20年まで、縦軸はベッド数の実数が書いてあります。沖縄県では復帰のころにちょうど2000名が入院できるベッド数がありました。赤の線は全国平均のベッド数ですが、昭和57年ごろに沖縄県のベッド数が全国平均のベッド数を上回るようになって、今では全国平均3000床ぐらいのところを沖縄県では5400床ぐらいあるので、1.7倍ぐらいの状況です。左のほうに少し説明を入れましたけれども、5年以上の長期入院の方が全体の約3割いらっしゃいます。2年前のデータですが、入院してから回復して退院するまでの日数―在院日数が294日です。
 16ページをごらんください。少しデータが古いのですが、数字はほどんど変わっていません。精神科に一旦入院して回復して退院するまでの日数を書いています。日本を除くほかのOECD各国は大体入院してから3週間たたないうちに、2週間から3週間のうちに家に戻って、通院で回復できるようにしようという医療方針をとっているのですが、日本だけは1年近くの入院生活を余儀なくされるということがいまだに続いていると。学校に通っている子供たちだったら、3週間ぐらい休んでも留年したり1学年おくらせたりすることはなくて、そのまま友達と一緒に卒業して就職活動ができたり、職場でも3週間ぐらいであれば、病気休暇で周りが力をかしてカバーしてくれると思うのですが、1年休職となるとなかなかもとの職場に復帰するのはよっぽど身分保障のある職場でなければ難しいところで、仕事を失うことが結果として病状をまた悪化させるという悪循環のサイクルに入ってしまうのです。ぜひ日常生活を続けながら心の病をほどいていくような医療に変わっていただきたいということで示させていただきました。
 今、先ほども少し紹介しましたけれども、世界中で精神医療の方向は医学モデルから生活生きがいモデルへということで、病状が改善して初めて退院して、生活の改善につながるという医学モデルだったところから、ここ20年ぐらいは多少幻聴が聞こえようが、眠れないことが続こうが、生活に張りができて仕事に生きがいができれば、それが薬となって回復のきっかけがつかめるという、一人一人にとっての生活の目標というものが回復のモデルになっているということで、今はもうほとんどが地域のクリニックを利用しながら回復に向けた取り組みを、地域の社会資源を利用しながら行っている状況です。ちなみに先ほど紹介した県内5400床余りのベッド数というものは、県内精神科病院で病床を持っているところは22カ所あるのです。平均200から300ぐらいの病床を抱えている病院が22カ所あります。クリニックはもう毎年のようにどんどんふえていて、1990年代の初めにぽつぽつと2つ3つと始まったものが、今や50カ所を超える精神科クリニックが動いています。昼間に仕事をしている人のために夜間に診察してくださるところもあれば、大きな精神科病院では24時間の救急医療体制を充実させて、長期入院の方をできるだけ地域に出していこうと取り組んでいるところもありまして、だんだん変化の兆しがあるとはいっても、日本全国と同じようにまだまだ旧態依然のところが残っていることもまた沖縄の現実です。
 では、どのように変えていけばいいのか、ヨーロッパの先進的な精神医療改革を実際見てこようということで、去年、一昨年と県総合精神保健福祉センターの仲本所長も一緒にイタリアの視察に行ってきました。
 18ページからですが、イタリアには本当に精神科病院というものは一つもありません。総合病院の診療科目として精神科を扱う、オープンな総合病院の一環として精神科があるだけです。以前、精神科病院だったところは、写真のように病院ではなくて精神保健センターとして衣がえをして、地域の方たちもサポートに入って―先ほど久米島のことを紹介しましたが、心の和を広げる集いのようなことがここで交流として行われていました。
 19ページはイタリアの精神病院―1960年代ですからもう50年以上前の病院の様子です。僻村の山の斜面を高い塀で囲って、沖縄でいえば愛楽園のように離れた島に塀をつくって隔離したように、敷地面積でいうと私どもが見に行ったところは愛楽園の20倍ぐらいの面積を囲って、山の斜面全部が病院施設になっていて、当時は自給自足の生活をしていましたということを紹介されましたが、自給自足といってもこのような形で拘束衣をつけられて、食事をとるにも手が使えなくて口でそのまま食べたり、手が使えないので排せつもそのまま垂れ流しという人権が踏みにじられた時代があったようです。翻って今の精神医療はどれだけ変わっているかということも、やはり突きつけられる思いがしました。
 20ページはイタリアの精神保健センターの内部の様子です。日本、沖縄だと落ちつかない―ベッド部屋の入り口には鉄格子と鉄扉が二重三重にあるのですが、左の写真のようにカーテンのような入り口が外との雑音を遮断させるために置かれていました。右側の写真は手前に寝台があって、ベッドから窓の外を見れるように撮ったところですが、きちんとカラーコーディネートされた室内の装備があって、窓には鉄格子もなくてオープンで、心が晴れやかになるように配慮している色使いであったり、素材を工夫したりということをおっしゃっていて、医師とか看護師、ワーカーなどマンパワーも非常に大事に上手に組み合わせてサポートしていることがわかりました。これだけの医療スタッフがいて、ベッドは8つしかないのです。満員で8人の方を世話しても、医師は2対1で診てくれる、看護師は倍で診てくれる。もちろん24時間ですのでこのような体制ですが、沖縄県でも今、病院のスタッフはこれぐらいいると思うのです。本当にその方たちが地域で上手にサポートができるような仕組みに変われば、みんな新しい形ができるのだろうと思います。
 それから21ページは、退院した後に働く場を一般の事業所と同じように障害者が働ける場所を協同組合という形で、例えば契約を優先的にするとか、社会保障のための控除は賃金からなるべく少なくするとか、いろいろな配慮があるのですが、いただく賃金は一般の事業所並み、生産するものも一般の事業所と互角に勝負ができるオリジナルの製品をつくったり、サービスを提供するレストランだったりということをやっていました。
 22ページです。やはり心の健康というものは、一旦いろいろな波が押し寄せてきて自分で自分をコントロールできないまでに混乱した中でも、それを一つ一つどういうことで困っているのかということを解きほぐすサポートをいろいろな職種の方が一生懸命かかわることで―ピアサポートですとか、コミュニティーセラピーですとか、そこで解決していくという取り組みをやっていました。医師がおっしゃっていたことは、どうしても病院となると投薬が中心になって、服薬することで感情が抑えられてとろんとした感じになって、一人一人の個性ですとか自律的な活動が阻害されて、いわゆる施設病というか、薬を飲むにしても1列に並んで世話をしないといけなくなって、自分で自分を律するということが入院生活の中でだんだん奪われてしまって、それがまた退院を長引かせることになって医療費もかかるということで、費用対効果もよくないということをおっしゃっていました。イタリアで大切にしていることは、ぎすぎすした仕事の面をどうやってカバーしていこうかということで、地域の方たちと一緒に文化とか芸術とか、スポーツ等に社会参加する形を一生懸命つくることでカバーしていくことを大切にしているとおっしゃっていました。
 23ページですが、先日も沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例が話題になりましたが、障害者の国際権利条約に日本も批准していますが、イタリアのようにWHOが改革のモデルにした病院から地域へというシステムを日本においてもぜひ国の制度としてつくってほしい。施設はやはり鍵はない、拘束はしないということを最低限のモラルにする、障害者が健常者と同等の生活を営めるように保障する義務を行政に課しているということをおっしゃっていました。ヨーロッパ全体が今イタリアのように動き出している、先ほど写真で御紹介させていただいたような感じです。
 最後に24ページですが、精神病者に対する人権を尊重して、差別を禁止することを何よりも全体改革の前提にしてほしいということ。そして、精神疾患の状態にはいろいろな状態がありますので、それに応じて高度で質のよい医療を受けられるように。そして、心のバランスが崩れるのは本当に待ったなし―24時間365日、その瞬間でないとサポートできないということが多々あるのです。1時間待ってとか、夜が明けるまで、病院が開くまでと待てないのです。困っている現場に必要なサポートが生活の場で受けられるようにしてほしい。それを見守っている家族や介護者の支援もやはりセットで必要です。そういうことを全体として、小さいころから子供たちの教育の中で偏見を払拭する教育啓発をやってほしい。そういう課題を盛り込んだ心の健康を国民的課題とする基本法を国として制定してほしい。その促進のために全国47都道府県議会で国に意見書を出していただきたいということが今回の陳情で、今、47都道府県のうち約6割ぐらいの都道府県議会で陳情が採択されて、国に意見書を提出しています。九州8県の中では、沖縄県と佐賀県の議会だけがまだ採択いただいていないものですから、今回は何とぞ県議会として、先ほど説明の中で紹介しましたように、全国平均と比べても沖縄県の精神疾患を抱えている患者は1.7倍ほど多いのです。理由はいろいろ説明されているのですが、沖縄戦を体験したことによる心のトラウマを抱えて70年近く生きてこられた先輩方や、その方たちの世代を継いで病気でバランスを崩していく若者たち、日本本土と沖縄の文化的、風俗的な違いもあって、なかなか就職で本土に行ったけれども、進学で本土に行ったが戻らざるを得ないという方が多いのです。それも含めてぜひ県議会としても、制定を求める意見書を提出していただければと思います。どうも御清聴ありがとうございました。

○呉屋宏委員長 参考人の説明は終わりました。
 これより参考人等に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 要するに、心の健康を国民的課題とする基本法をということですが、沖縄県の現状というのですか、例えば入院していらっしゃる方、通院していらっしゃる方という実態はおわかりですか。どうなっていますか。

○高橋年男参考人 今、入院されている方が5400名余り。それから通院、外来で通っている方たちが3万5000名ぐらい。合わせて4万名余りだと思います。

○狩俣信子委員 要するに、外に出てもらって治療を受けたほうが早く回復するというお話も少し聞いたような感じがするのですが、この5400名という方についてはそういう治療方法が厳しいという状況なのですか。

○高橋年男参考人 退院促進事業というものが2002年から始まりましたので、今から11年前のことになりますが、その事業を始めるに当たって、県から各病院に対して退院できる方が病院にどれぐらい残っているのかというアンケート調査をしているのです。その結果、治療としては終わっていて退院できる状態にあるにもかかわらず、地域で住まう場所だったり、生活する拠点基盤がなかったりということで、病院が生活の場になっている方たちが7割以上いるという結果が出ています。その方たちを対象にして、県障害保健福祉課が退院促進事業を保健所単位で精神障害者の支援センターに委託して、七、八年ぐらい続けていますが、退院できた方が目に見えてふえているわけではありません。

○狩俣信子委員 要するに、治療は終わっているというお話と地域で生活の基盤がないということは、御家族の皆さんとの関係はどうなっているのですか。

○高橋年男参考人 入院するときのきっかけとして、家族との折り合いが悪くなって入院しているケースもありますし、職場の人間関係がこじれて精神的に不安定になって入院に至った方もたくさんいらっしゃいます。その方たちにとって、退院するときに家庭が安らぎの場になるかというと、なかなか厳しいケースもあって、自分で独立してアパートを借りたり、グループホームを利用して新しい環境の中で住まうということで退院につながるケースが多いのです。職場に関してもこれまでの職場に復職するケースもありはするのですが、やはり一度あつれきを生んだ職場関係の中にもう一度戻っても、またストレスをためて不安定になるケースが多いものですから、新しい次の人生のステップもみんなで考えていこうと一生懸命取り組んではいます。ただ、なかなか難しいと思います。

○狩俣信子委員 今、集団のグループホームは9カ所しかないというお話で、人数で言うと30名。数としてはもうたくさんの方が外に出たくても出られない状況ということですよね。御家族の関係とかいろいろおっしゃっていましたけれども、やはり経済的な基盤というものが足を引っ張っていることも大きいのですか。

○兼浜克弥補助者 経済的な基盤に関しては障害者年金であったり、あるいは生活保護制度であったり、そういったものでうまく退院するための費用であったり、その後の生活を獲得することは可能ではあるのですが、実際に入院している方々が退院したいという気持ちになるまでに―長期間入院する空間というのは本当に上げ膳据え膳で何もしなくても生活できる環境なので、入院期間が長ければ長いほどそこが本人の居場所になってしまって、本人の退院したいというモチベーションそのものも低下していることが大きな一因になっているのかと思っています。そういう意味で今、退院したい気持ちをつくるための、本人が地域で生活する気持ちになるための支援を一生懸命に病院のスタッフと私たち地域の生活支援担当者が一緒になって取り組んでいる状況があるのですが、そういった環境がなかなかないというところで入院している患者本人がイメージできない。入院期間中は本当に鍵のかかった空間で外出する機会が制限されてしまっているので、なかなかそういう場面に出会えないということもあって、本人自身が退院にかなり恐れをなしているというような現状になっています。

○狩俣信子委員 そういうことを考えると、グループホームでの生活は有効なものだと思うのですが、実際にはどうですか。

○高橋年男参考人 資料に9カ所と書いてありますのは、私たちの法人で設置、運営しているグループホームが9カ所で30名です。ほかの法人でもグループホームをつくっていて、正確な県全体の数は存じ上げないのですが、それでも全県で200名程度かと推測しています。今、私たちが運営しているグループホームというものは、ほとんどが1DKとか2Kぐらいのアパートで、普通のアパートの住人と同じような住まい方をしていただいて、4名で1つのグループで1カ所のグループホームというスタイルです。その4名の皆さんが一緒に交流ができる談話室を1単位に1カ所ずつ設けていまして、そこで春夏秋冬、今の時期であればミカン狩りに行こうとか、春になれば花見に行ってみようかとか、バーベキューに行ってみようとかということで、みんなで楽しめる時間を共有しながらと。でも、日常的にはそれぞれ職場に行ったり、学校に行ったり、支援センターに相談に行ったり、そのようなことを世話人の方が見守りながら、少し不安定になったときには医師の処方どおり薬を服用しているかとか、食事や生活の乱れはないかとか、友人関係とか―生活保護でまとまったお金が入ると、悪友たちが結構集まってきて飲んで使ってしまうこともあって、世話人のほうでそのようなことを少し気をつけていて、上手に金銭管理はできていますかとか。御家族との調整であったり職場との調整であったり、そのような感じで、余りおせっかいがましくはないのですが、少し乱れていないかということを気にかけながらサポートしています。グループホームは1Kとか2Kとか小さいものですから、職場が決まったり、結婚しようとか新しいステージを目指すときには、ここから出て次のステップを踏まれる方も多いので、ついの住みかというわけではないですが、退院した後に少し落ちつくまでの時間を、長短はありますが一緒に過ごすことで自分の落ちつきを取り戻していただこうという場所です。

○狩俣信子委員 最後に、社会復帰をするための訓練としていろいろな活動があると思うのですが、皆さんが取り組んでいる障害者のスポーツ大会とかいろいろやっていますが、心の芸術文化フェスティバルというものがありますね。そこら辺はどのようなことをやっていらっしゃるのですか。例えば三線とか、どのようなものがあるのですか。

○兼浜克弥補助者 心の芸術文化フェスティバルはその名のとおり、精神に障害を持っている方々が普段の自分たちの気持ちを絵あるいは陶芸や舞台発表を通して、毎年11月の精神保健福祉普及月間に合わせて私たちの法人が主催する形でやっています。ただ、普及啓発という意味で、実際に心の芸術文化フェスティバルに足を運んでいただいた方に、精神保健福祉あるいは精神障害当事者に関して知っていただくということが主な目的になっています。というのも、精神に疾患を持っている方々のイメージについては、やはり一般の方々は何をしでかすかわからないというところで、実際には一般生活に関係のない、対岸の火事のような存在であるとして自分たちのように考えることがなかったという部分が大きくて、実際に地域でもやはり障害を持っている中身が―精神に課題を持っていますと伝えるとすぐにアパートの大家であったりとか、不動産関係者の方がお断りするという現状があって、なかなかうまくひとり暮らしができないという状況を改善するため、普及啓発を目的とした形で開催しています。一方で、参加者の割合にすると、やはり精神保健福祉医療関係者の方が半分以上来ていて、一般の方々にこういったイベントがありますと御案内してもなかなか足が向かないことが大きな課題ではあります。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 国への法律制定ということで、イタリアの精神医療改革を挙げていらっしゃるのですが、私も日本の制度が貧しいということをとても感じているのです。身近で長期入院の方は社会に出ることがなかなか困難になっているということを聞いているのですが、最近70代の母親と30代、40代のとりわけ男性の相談が多いのですけれども、アルコール依存症と鬱の症状が出て、結局精神障害ということでやるのですが、親は逃げようとするのですけれども、行き先がないと。けれども、母子分離できない状態とかがあって、ただ若い病気の青年が―この間来た相談は、40代の方で母親と一緒にいるのだが、母親には全く何も言わないで、2カ月に10万円の障害年金があるので自宅を出て何かの仕事について、足りないものは生活保護を受けたいと言うのですけれども、アパートを借りられないのです。まず保証人がいないとか、そういう状況です。資料18ページにあるけれども、イタリアのように国として精神保健センターを無料で地域に開放して、そういう住みかというか、安心して住むことができることをきちんとやっていかないと、やはり個人の努力では全然解決できないと感じているのです。通院患者は結構周りでふえていると思うのですが、皆さんの目指している精神保健―政府は地域に帰すと言っているけれども、グループホームも実際9カ所やっていらっしゃるというのですが、この安心して住むところ、親と離れて自立できるところをグループホームということで表現してよろしいのか、200名ぐらいというと通院患者3万5000人に比べたら全然足りないですよね。そこら辺でどれぐらい必要とされているのかという調査をかけたり、そういうことも大事だと思うのですが、住むところという点でどのように感じていらっしゃるのか、お尋ねします。

○高橋年男参考人 本当に今、沖縄県の入院患者の皆さんのことを考えただけでも、3000名以上の方たちが退院可能だという主治医の先生や院長がおっしゃっておられるように、治療として病院でこれ以上やることはありませんが、生活のサポートとして食事のことであったり、仕事のことであったり、住まいのことであったり、トータルでケアする形がなかなか社会資源として地域の中に生まれていないのです。それは、一つには今求めている基本法の中でみんなが合意できる生活のあり方、支援のあり方をつくっていくことが必要だと思います。というのは、今は余りにも医療に予算が偏重していて、地域で暮らしていて通院で治療されている方と入院で治療を続けている方を人数の比率でいうと、入院の方を1とすれば通院の方は7なのです。医療費と福祉の予算を見ると医療費が97%です。福祉はたったの3%です。これは全国の比率ですが、沖縄県の場合はもう少し医療のほうが大きくて、地域の社会資源が貧困というか、乏しい状況です。これはやはり法律できちんと―病院で見なくても、福祉のほうで7割以上の方を見ることができるので、少なくとも医療費と福祉、五分五分で予算を分けるぐらいの制度になれば、地域の病院にいらっしゃる看護師だったり、保健師だったり、ソーシャルワーカーだったりをコーディネーターとして地域に配置して支える仕組みができるのです。それはイタリアやイギリスがやったように、病院にいたスタッフを地域でサポートできる仕組みに変えていくことで本当に実現していることですから、やはり今の診療報酬任せだったり、福祉サービス事業の請求事務任せだったりとか、そのままにしておけば変わりようがないものですから、基本法という形で方向性について国民的な議論をしていただくことは必要なことだと思います。

○西銘純恵委員 やはり法制定の必要性が大きいことは感じましたけれども、いわゆる障害者自立支援法ができて就労移行事業ですか、相談に来たある方が、障害年金をもらって働きに行って、支援センターに行って1カ月働いて7000円しかなかったらしいのです。1カ月働いて日曜日以外毎日通って、精神障害という理由だけで自分の労働とは本当に何なのだろうと。余計病気にするのではないかと思うのです。できることをやって働いていると。そうやって時間も拘束されているということであれば、それに応じた報酬をきちんと設定していなかったことが障害者自立支援法だったと思っているのですが、そこら辺についても、やはり働いて人のためになって、そしてきちんと給料をもらうということが、ある意味では元気にしていくことになると思うのですけれども、ここら辺については、今の現状とか制度の問題を指摘することがあればよろしくお願いいたします。

○高橋年男参考人 2008年に制定された障害者自立支援法がことしからいわゆる障害者総合支援法という名前に変わりましたけれども、仕組みとしては全く同じです。西銘委員がおっしゃるように1カ月二十何日働きに出て、7000円とか8000円ということが本当に相場なのです。このようなことが常識で通るわけがないでしょうと本当に思います。では、福祉の業界はどうなっているかというと、1人の利用者が福祉の事業所に1日来ると、六、七千円が事業所に入る仕組みなのです。そうすると、単純に20日間その方が見えたとしたら、14万円が事業所に入るのです。本来であれば、国は14万円をこの方にお支払いして、14万円のうちから、この事業所に行きたいということで1日行けば7000円払うというのが本来の仕組みですが、利用者のところに14万円は届かない。国から勝手に事業所に振り込まれるという制度なので、本当にスウェーデンとかでもやっているように、国から利用者のところに社会保障のお金として来たものの中から、例えば14万円だったらそのうちの3万円は医療費に使いますとか、3万円は福祉の事業所に使います、あとの七、八万円は自分の日常生活に使いますといったような使い方ができると、回復の度合いは全く違ってくると思います。患者の皆さんがおっしゃることは、お金がないことで自分の未来は全然光が見えない。薬よりもお金があったほうが安定するのにと愚痴ではなくて本当におっしゃっていて、やはり制度のあり方がこれでいいのかということでいろいろな方が感じているところではないかと思います。

○西銘純恵委員 最後の24ページ、そこに書かれていることが皆さんが基本法に求める内容かと思っていますが、意見書を提出してくれということですが、意見書案そのものは議会事務局にも届けましたでしょうか。

○高橋年男参考人 陳情原本に付録で意見書の参考例文をつけてあります。県議会の名前とか、日にちとかを入れていただけるような感じで提出してありますのでよろしくお願いします。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 ありがとうございました。この心の健康を守り推進する基本法と、この前、沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例をつくりましたね。その2つの違いは何ですか。

○高橋年男参考人 先日、県議会で諮られたいわゆる障害者の権利条例は、県の条例として障害を持っている方たちの差別をなくしていこうという思いが詰まった条例ですが、今回陳情しているものは、心のケアが必要な方、障害者全体の中でも心の健康が国民的課題ですということをお話しさせていただきました。その心のケアが必要な方たちの国の制度を―医療と福祉、保健全般にわたって制度として組みかえをしていだだかないと、今の日本の制度だと、先ほど紹介したような日本の精神医療の負の歴史を塗りかえていくことがなかなか難しいのです。そのために国会で議論していただいて、国民全てが精神医療のあり方について、今や5人に1人が生涯のうちにこの疾患にかかると言われているほどなので、5人に1人ということは、各家庭に必ず1人はこの疾患を抱える方がいらっしゃると思っていただいて、誰でも少しのきっかけで心のバランスを失ってもがき苦しむことが普通の状態なものですから、国の制度全般が今のままではとても立ち行かないと私どもは思って、国の法律としてつくっていただきたいという趣旨です。

○照屋守之委員 仕組みですね。多分この精神疾患については、我々の地域でもあるのだけれども、例えば偏見というか、その家庭も余り真剣にかかわろうとしないし、また周りも真剣にかかわろうとしないし、非常に対応というものが地域でもそういった病院に預けたりとか何とかという、我々の意識そのもの自体が余りかかわりたくないというような、両方ともそのようなことがあるかもしれませんね。だから、その辺の意識を変えないとなかなか難しいなと。これは先ほど言ったように人ごとではない。我々も全く同じなのだということが非常に重要かもしれません。余り自分のこととして、また自分のところに来ても余り表に出してそのように求めない。何とか隠そうというか、真剣に向き合わないということがあるのではないですか。何だかそのような感じがします、我々の地域でも。だからといって我々がそこに積極的にかかわっているかといったら、別にそのようなこともないし、その辺の意識を変えていかないとなかなか難しいかもしれませんね。そういう面ではそのような議論をしていくことはいいかもしれませんね。いかがですか。

○岡野真由美補助者 貴重な御意見ありがとうございます。まさにそのとおりだと思います。日本ではすごく偏見が強くて、今まで面倒なことを病院に押しつけてきた、病院に隔離してきたという歴史がずっとあると思います。先ほど説明であったイタリアの話ですが、イタリアではまさに病気の理解を地域の人たちに知ってもらうための活動を行ってきて、1960年代にはまだ隔離拘束で病院で閉じ込める形だったものが、今は病院をなくして地域でサポートする仕組みに変わっています。精神疾患というイメージは、日本ではまだ治らないとか、相談しにくいとか、隠そうというところが強いのですけれども、イタリアでは誰でも病気にかかる状態であるという理解を広めるために、文化活動とかスポーツの活動とか、みんなで集う場所をつくって各活動を広げています。ですから、決して私たちにも難しいことではなくて、一人一人の努力とみんなとのつながりで変えていけることなのだと私たちは思って、今回こちらでお話しさせていただきました。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 きょう非常に勉強になったと思ったものが、資料16ページの在院日数が長いという日本のありようですね。先ほど補助者の兼浜さんからもありましたように、そのことによって日常生活に戻る自信を失わせていくという悪循環に対して国に法制定を求めていくということは、とても悪循環が悪循環を生み出しているというようなことで考えると、非常におくれていることと意識改革、啓発活動、これが非常に大事なことではないかと実感いたしました。陳情については、ぜひ議会としても前向きに―多分きょう皆さん一緒に理解できたのではないかと思いますので、ぜひやりたいと思います。
 私のほうとしては、時間があればぜひともこれはお話ししたいということがあれば、お一人ずつでも言っていただけるといいかと思います。

○高橋年男参考人 社会生活を送る上で、病気であろうが、障害があろうがなかろうが、やはりいろいろな人生の壁といいますか、生きづらさや困難を抱えるということは、一人一人違う課題であれ持つことだと思います。そのようなことをくぐりながらの人生だと思うのです。それを精神疾患だというだけで偏見の目で見られて、小さいときからのいじめだったり、同根だと思うのですけれども仲間外れにされる、孤立化させられてしまったことで、自分の中で負のスパイラルに陥って薬に頼らざるを得ない。先ほどおっしゃったアルコール依存症も同じことだと思うのですが、やはり人間一人一人がお互いに思いやりを持って暮らしていけるつながりといいますか、コミュニティーのあり方、ひいては国民のあり方のようなことがこれから本当に大事な時代になっていくのではないかと思いますので、ぜひとも今回の陳情のことをきっかけに一緒に考えていただければと思います。どうもありがとうございました。

○比嘉京子委員 最近よく取り上げられる沖縄県立看護大学の先生方の研究の中に、戦争体験によるPTSDというものがありますね。それから沖縄県教職員の病休の中における精神疾患の割合、それからきょうお話がありました精神疾患が全国比にして1.7倍ぐらいあるという話を含めますと、沖縄県議会としてこれまで余りにも十分に理解してこなかったかもしれないという感じを持ちましたので、きょうをきっかけにぜひ検討させていただきたいと思っております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 又吉清義委員。

○又吉清義委員 あと少しだけ説明をお願いしたいのですが、資料の13ページについてですが、この精神疾患―神経系の方がとにかく15歳から29歳、そして30歳から44歳まで男女とも非常に断トツなのです。これをもう少しかみ砕いて、例えば5歳単位ではどうなっているかと。15歳というとまだ中学3年生です。これがまた45歳になると急に男女とも半減するものですから、そこはなぜそうなのか、皆さんとして分析した結果がありますか。それがわかることによって、一番大事な早目に対応できると。健康であれば本人が一番幸せなものですから、男性は20代、30代は飲み過ぎて循環器疾患が非常にふえておりますけれども、その点、やはり15歳から44歳までの間をもう少しかみ砕いた資料をいただけるのかということ。なぜ45歳後半になると急に激減するのか、その辺等も何か調査したことがあるのかどうか。

○高橋年男参考人 男女ともに44歳までのところで精神疾患が一番大きくなっているのは、この心の健康を崩すきっかけというものは、例えば学生時代ですと高校受験を控えた中学2年、3年生、14歳、15歳、16歳というあたりで、受験だったり、進路のことで悩んだり、部活のことで悩んだり、大学受験のことで悩んだり、また思春期は性に目覚める時期でもありますし、これからの人生をどうしようかということで、とても悩みを抱える時期です。親の背中を見ながら、私などはあのような親にはなりたくないと思ってきたほうですが、人生観を自分の中でつくっていく時期に負の要素を抱え込んだときに、やはり自分に対する否定的な思いが大きくなり過ぎて、眠れなくなったりということで体の衰弱とともに頭の神経もさえわたったりして病気になる時期。それから20代、30代はやはり結婚して子供ができて、しかしこれから生活は家をつくったり車を買ったり、新しい事業を広げたりということで45歳ぐらいまでいろいろ抱える時期です。45歳を超えると、不惑も過ぎると人生このようなものかという諦めも出てきて、精神活動もやはり脳の中の神経伝達物質も年とともに―思春期にはアドレナリンが多過ぎるほど出ていたものが、40代、50代になるとだんだん精神活動も幅が小さくなってくるのです。50代から後にふえてくるのは、悪性新生物と書いてありますのはがんのことです。やはり男女問わず加齢とともに食生活であったり、生活の疲労がたまってきて、がんを発病することが多くなったり、水色のところは循環器系なので、心臓疾患とか脳梗塞とか、経験的に御存じだと思いますが、これもストレスだったりアルコールだったりということが大きな要因で、女性よりは男性のほうが循環器疾患は多い傾向にあるようです。
 特に、このDALYを出したのは、社会を背負う責任世代になって高齢の先輩方を支えていく世代が、若いころに疾患を抱えて社会を支えられなくなることは、国全体の損失としてすごく意味が大きいということを見ていただけたらと思って、これを出させていただきました。五大疾病のそれぞれ―がん対策基本法もありますし、4大疾病は全て医療計画があるのですが、精神疾患は去年5大疾病に入ったばかりということもあって、県においても今、医療計画を立てているところなのです。まだ国全体として精神疾患に関する基本法がありませんので、このようなことをデータとして見ていただいて進めてほしいということで示させていただきました。

○又吉清義委員 幅が大きいものですから、もう少しスパンが細かくあればと。なぜかといいますと、確かに中学生を各学校で二、三名見ていたことがあるのですが、大学を卒業して途端に変わる子をよく見ているのです。彼は高等学校、大学はこうではなかったと。要するに、24歳から二十六、七、八歳の間に変わる子を結構見ているものですから、これも何が原因なのかということが少しあることと、やはり大事な働き盛り、結婚適齢期においてそうなることで男女が出会わないことによって、なお一層少子高齢化どころか子供もいない時代になってしまうことも改善してあげないと、日本全体が大変なことになるなということが少しあるものですから、ぜひもう少し細かくおわかりであれば資料としていただけないかということが1点目です。
 最後に、比嘉委員からもありました16ページ、日本では入院が300日近くもあるという大きな原因に、受け皿がない、社会で温かく見守る姿勢も足りないということであれば、これは大変なことだということと、私が知っている二、三名のことですが、躁鬱病で入院させると余り病院も出したがらないという傾向も何回か見たものですから、強引に出してくれということで出したこともあるのです。家族は出したいのだけれども、医者が認めないと。どのぐらい家族が言えるのかということと、平気で二、三年入院させて、体重が40キログラム前後だったものが出るころには八、九十キログラムになっているものだから、こういうこともどうして病院側と今の説明でずれるのかと。その辺もうまく説明をすることと、もう一つは、やはりこのように入院させるからにはせめて太らせないようにしてもらいたいと。大体出るころには少なくて20キログラム、多い方では30キログラム太ってくるのです。退院した時点でメタボリック症候群になるものですから、そういうことも皆さんには努力していただくと非常にいいと思ったのですが、なぜこのように今、病院によってこういうことがあるのかということも皆さんは現状課題として把握しておりますか。

○兼浜克弥補助者 御指摘ありがとうございます。私たちの目指すサービス、支援のあり方については、入院治療に頼らない支援ができるというところです。しかし一方で、22カ所の病院のほとんどが入院機能として持っている中で、退院してベッドがあくと運営そのものがかなり厳しいと表現する病院もあります。先ほど出てきた退院促進支援事業―これは国が社会的入院の方々を解消しましょうと、平成18年度当時、全国で7万2000人いた社会的入院患者を解消しようとしてつくった制度ですけれども、それを病院運営をしているトップの方に話をすると、やはり厳しい顔をされるのです。患者がいないと私たちの病院は成り立たないという構図がどうもあるようです。実際に、空床問題を課題とするベッドコントロール会議というものがあるようです。このベッドコントロールで空床がなくなるようにということで、必要とされない入院治療に関しても、少し眠れなくなった、では入院しようかという形で促す医者もどうも存在しているようです。この状況を改めて見ていくと、心を病むと入院してなかなか出られない、そのためには心を病まないようにしないといけないというところが結構あるようです。私たちはそのような状況をつくらないためにも、精神科病院を少なくしていくことも含めて、事務局長の高橋からもあったように今の精神科医療予算の97%という割合を、私たちの社会を変えていくために福祉部門に多く予算化するような動きのきっかけとして、今回の基本法制定でこの入り口ができるといいかなと思っています。

○高橋年男参考人 又吉委員がおっしゃった20キログラム、30キログラム太って出てくること、二、三年入院させられるということは本当に実感だと思います。入院すると病院の秩序を乱さないように―大声を上げないとか、廊下を走ったりしないとか、拘束するわけには今の時代はそうはいきませんので、薬で神経伝達物質の活動を鈍くするのです。そうすると表情がとろんとして、生き生きとした目つきでなくなるし、私がよく話をする患者は、薬を飲むと二日酔いで頭が痛くてふらふらしているときに、30キロの砂袋を後ろに引きずりながら歩くような感じがするという表現をしている方がいます。それから、患者の皆さんが余りにもとろとろするので、看護師がこの薬は何かということで患者の5分の1の薬を試しに飲んでみたそうです。そうしたら、もうトイレに行きたいけれども畳からはうこともできないくらい、排せつも漏れそうになるほどに薬の副作用が激しかったと。又吉委員も少年たちとスポーツされているから御存じだと思いますが、あの活発な子供たちが本当に一歩踏み出すことさえやっとという感じなので、食事でとるカロリーの分を新陳代謝で筋肉にかえられるかというと、そのようなことができなくて、1年入院すると20キログラムは普通に、100キログラムに体重がふえてこちらの作業所に来ている人が何名かいらっしゃいますが、この心の健康を取り戻すには、やはり体の健康とセットでやっていかないとできないということを実感として見られているのは、そのとおりだと思います。

○又吉清義委員 ぜひお互いいろいろな角度から、やはり治すために入院したのだけれども、人間は太るとついどうしても劣等感が出てくるのです。そういったことはやはり1日でも早く回復してもらうためにも、お互い協力して工夫できたらと思うものですから、全然面影がないということも何度か見ているものですからあえて聞いてしまいました。ありがとうございました。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、高橋年男参考人等に対する質疑を終結いたします。
 この際、委員会を代表して、参考人等に一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
 高橋年男参考人、補助者の兼浜克弥さん、岡野真由美さんありがとうございました。
 以上で、参考人等に対する意見聴取を終結いたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人等退席)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 次に、視察調査日程についてを議題に追加することについては、休憩中に御協議をお願いいたします。
 意見の一致を見たときは、本件を議題に追加し、諮ることといたします。
 休憩いたします。

  (休憩中に、議題の追加について協議した結果、視察調査日程を議題に追加することで意見の一致を見た。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 視察調査日程については、休憩中に御協議いたしましたとおり、議題に追加し、直ちに審査を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 視察調査日程についてを議題といたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、視察調査日程について事務局より説明した後、協議を行った結果、視察先及び視察時期については案のとおり実施することで意見の一致を見た。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
お諮りいたします。
 視察調査日程につきましては、休憩中に御協議いたしましたとおり決することとし、議長に対し委員派遣承認要求をしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次回は、10月30日 水曜日 午前10時から委員会を開きます。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。







沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

 委 員 長  呉 屋   宏