委員会記録・調査報告等

1つ前に戻る



 
文教厚生委員会記録
 
平成30年 第 3定例会

7
 



開会の日時

年月日平成30年3月22日 曜日
開会午前 10 時 1
散会午後 6 時 53

場所


第2委員会室


議題


1 乙第11号議案 沖縄県介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例
2 乙第12号議案 沖縄県介護支援専門員資格登録申請等手数料条例の一部を改正する条例
3 乙第13号議案 沖縄県養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
4 乙第14号議案 沖縄県特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
5 乙第15号議案 沖縄県軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
6 乙第16号議案 沖縄県指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
7 乙第17号議案 沖縄県介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
8 乙第18号議案 沖縄県指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
9 乙第19号議案 沖縄県指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
10 乙第20号議案 沖縄県指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に
         関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
11 乙第21号議案 沖縄県指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準等を定める条例を廃止する条例
12 乙第22号議案 沖縄県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
13 乙第23号議案 沖縄県指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
14 乙第24号議案 沖縄県指定障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
15 乙第25号議案 沖縄県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
16 乙第26号議案 沖縄県指定障害者支援施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
17 乙第27号議案 沖縄県障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
18 乙第28号議案 沖縄県病院及び診療所の人員及び施設に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
19 乙第29号議案 沖縄県がん対策推進条例の一部を改正する条例
20 乙第30号議案 沖縄県住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例
21 乙第31号議案 旅館業法施行条例の一部を改正する条例
22 乙第32号議案 国民健康保険法施行条例
23 乙第34号議案 沖縄県国民健康保険調整交付金条例を廃止する条例
24 乙第35号議案 沖縄県国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
25 乙第46号議案 沖縄県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
26 乙第47号議案 沖縄県学校職員定数条例の一部を改正する条例
27 乙第60号議案 債権の放棄について
28 乙第62号議案 損害賠償請求事件の和解等について
29 乙第63号議案 損害賠償の額の決定について
30 請願平成29年第1号及び陳情平成28年第37号の2外61件
31 閉会中継続審査・調査について
32 参考人招致について(追加議題)
33 視察調査日程について(追加議題)


出席委員

委 員 長  狩 俣 信 子 さん
副委員長  西 銘 純 恵 さん
委  員  新 垣   新 君
委  員  末 松 文 信 君
委  員  照 屋 守 之 君
委  員  次呂久 成 崇 君
委  員  亀 濱 玲 子 さん
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  平 良 昭 一 君
委  員  金 城 泰 邦 君


欠席委員

なし


説明のため出席した者の職・氏名

病院事業局長       伊 江 朝 次 君
 病院事業統括監     金 城   聡 君
 県立病院課長      真栄城   守 君
 県立病院課医療企画監  與那覇 博 康 君
 県立病院課看護企画監  照 屋 洋 子 さん
 県立病院課副参事    大 城 久 尚 君
教育長          平 敷 昭 人 君
 教育指導統括監     與那嶺 善 道 君
 総務課長        識 名   敦 君
 総務課教育企画室長   賀 数 朝 正 君
 教育支援課長      登 川 安 政 君
 学校人事課長      古 堅 圭 一 君
 県立学校教育課長    半 嶺   満 君
 義務教育課長      當 間 正 和 君



○狩俣信子委員長 ただいまから、文教厚生委員会を開会いたします。
 乙第11号議案から乙第32号議案まで、乙第34号議案、乙第35号議案、乙第46号議案、乙第47号議案、乙第60号議案、乙第62号議案及び乙第63号議案の29件、請願平成29年第1号、陳情平成28年第37号の2外61件、閉会中継続審査・調査についてを一括して議題といたします。
 本日の説明員として、病院事業局長及び教育長の出席を求めております。
 まず初めに、乙第46号議案沖縄県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例について審査を行います。
 ただいまの議案について、病院事業局長の説明を求めます。
 伊江朝次病院事業局長。

○伊江朝次病院事業局長 議案書(その3)の176ページ、乙第46号議案沖縄県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例について、配付しております文教厚生委員会議案説明資料に基づいて御説明いたします。
 資料の1ページをごらんください。
 本議案は、北部医療圏及び八重山医療圏における医療機能の強化を図るため、県立北部病院に形成外科を、県立八重山病院に歯科口腔外科をそれぞれ新設する必要があること、並びに県立中部病院及び県立八重山病院の病床数を改める必要があることから、条例を改正するものであります。
 2ページをお開きください。
 議案の概要ですが、1の、現在、北部医療圏内に形成外科を設置する病院がないこと、及び3の、現在、八重山医療圏内に歯科口腔外科を設置する病院がないことから、県立北部病院に形成外科を、県立八重山病院に歯科口腔外科を設置するものであります。
 また、2の、第6次沖縄県保健医療計画の一部改定に伴い、中部医療圏の基準病床数が見直されたことから、県立中部病院の病床数を550床から559床に改める必要があるほか、4の、県立八重山病院について、平成30年10月に新築移転することに伴い、病床数を302床に改めるものであります。
 施行日については、県立中部病院の病床数の変更が公布の日から、県立北部病院の形成外科の設置が平成30年4月1日から、県立八重山病院の歯科口腔外科の設置及び病床数の変更が平成30年10月1日からとしております。
 以上で、乙第46号議案の説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いします。

○狩俣信子委員長 病院事業局長の説明は終わりました。
 これより、乙第46号議案に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 また、この際、執行部の皆様に申し上げます。
 答弁に際しては、要点をまとめ、要領よく行い、円滑な委員会運営が図られるよう御協力をお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 病床数の変更の数字的な根拠について、中部病院と八重山病院についてお聞きしたいと思います。

○真栄城守県立病院課長 まず、中部病院の9床の増床ですが、同病院につきましては、今般、国勢調査における人口の増加などに加えまして、中部医療圏で救急病院における救急患者の入院受け入れが困難な状況にあるということを踏まえまして、これは県保健医療部の所管になりますが、基準病床数の見直しが行われました。これについては、平成28年12月に第6次沖縄県保健医療計画の一部改定が行われまして、中部医療圏の基準病床数が全体で52床の増となっております。その中で中部病院の増床を行うわけでございますが、救急の状況を改善するために必要な整備について、保健医療部を事務局といたしまして関係者調整会議が行われました。その中で中部医療圏の4つの救急告示病院、中部医師会、県医師会、保健所、県医療政策課をメンバーとして協議が行われております。その中で現状を踏まえて、病床の利用率に応じて病床の配分数の決定が行われまして、その結果として沖縄県保健医療計画の一部改定に伴う病床整備についてという通知が保健医療部長からございました。そこで、中部病院については、52床のうちの9床の配分が決定したということです。中部病院としましては、現在の新生児集中治療室―NICUの稼働状況を踏まえて、NICUの増床を9床という形で計画をしているところでございます。
 それから、八重山病院につきましては、新八重山病院の開院を10月1日の予定としております。新八重山病院の移転・改築に当たりまして、基本構想、基本計画、基本設計等において、その病床数につきましては、現在の八重山病院の病床利用率をベースにして、それと将来の医療需要、病棟の効率的な運営、平均在日数の短縮、地域医療連携の推進及び医療制度の今後の動向等を総合的に検討いたしました上で、302床ということを決定した経緯がございます。

○比嘉京子委員 中部病院の9床増というものは、52床が中部医療圏において増を指摘されていて、そのうちの9床だということでしたが、52床から9床を引いた残りの分は、民間の病院で担っていくという理解でよろしいのですか。

○真栄城守県立病院課長 中部医療圏の中では、中頭病院、中部徳州会病院、ハートライフ病院に対して、残りの病床数が割り当てられている状況でございます。

○比嘉京子委員 八重山病院の稼動率の話と、中部病院は人口増という答弁があったのですが、八重山における人口増、観光客の増等、それから地域医療ということから考えると、かなり大幅な減になると思います。そのことをクリアできるということについて、もう少し説明をお願いします。

○真栄城守県立病院課長 302床の検討に当たりまして、基本的には、今の八重山地域における八重山病院が、今後果たすべき医療を維持できる規模として算定しております。その考え方として、現在350床の病床数がございますが、計画策定時におきまして病床利用率が約65%という稼動率でございまして、単純に換算いたしますと229床。350床のうち229床が動いていたという状況がございます。それに加えまして、将来の医療の需要ということで、圏域の入院患者数の推移を2040年度まで想定して、プラス33%増加するという形で見込みを立てております。そういうことで、その当時に稼働していた病床の229床に、今後、需要が増加するものと見込まれる133%という増加率をかけますと、305床という病床数がはじかれました。それをベースにして、全体の病床の運営も踏まえて302床という形で今設定しているところでございます。

○比嘉京子委員 利用率が65%というのは、大体その傾向で過去何年間も推移してきたいう理解でよろしいのですか。例えば、5年間の経緯でも、何%から何%の間を推移しているとか。ほかに病院ができたとかいう理由というか、その辺をもう少し説明してください。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 一応、通年で見ても、物すごく差があるのです。大体の平均の病床利用率を見込んでいるのですが、いいときは70%を超えるときもありますし、幅としては60%から70%くらいであると、基本的には考えられるとよろしいのかと思います。具体的な数字を申し上げますと、平成25年が61%、平成26年が61%、平成27年が62%、平成28年が60%という数字が出ています。ここ数年は極めて低いのですが、確かに、ほかにかりゆし病院や徳州会病院などができてから下がっているのも事実なのです。ただ、通年で90%を超えることもありますし、また60%を割り込むこともあって、年度の中で必ずしも病床利用率に関する六十何%というのがずっと続いている数字ではないことを御理解いただきたいと思います。

○伊江朝次病院事業局長 委員も御承知のとおり、保険診療の制度は、診断群分類包括評価―DPCができてから平均在院日数がどんどん短くなる一方です。八重山病院でも、平均して12日から13日くらいという形で、慢性期の状態になるとほとんど―医療をどうしても必要とする以外の人は、ほかの施設に移るという状況です。大体、許可病床利用率からいうと、ほとんど7割前後で推移しているという状況です。ですから、これまで説明した積算というものは、ほぼ現状を踏まえた将来へのニーズを考えた病床数になっているものと考えております。将来的にも急性期病院が主体となるところは、やはり入院が長期化しないように、できるだけ患者を早く治して帰すという方向に行くと思います。したがって、この辺が妥当なところではないかと考えております。

○比嘉京子委員 確かにおっしゃるとおりであると思いますが、これからの高齢化率がどれくらい加味されているのかという心配があります。それから、離島を抱えていて、マックスのときをとった経営というものは、なかなか難しいのかとは思います。そういう意味で言うと、1次医療や2次医療のあり方についても、地域の自治体がきちんと機能していないのではないかと見ているのです。1次医療について、しっかりと石垣市が担っていないという実態をどのように考えておられるのですか。そこは影響がないと。病床には―救急ですからどうかとは思うのですが、そこも含めて、やはり地域医療をしっかりと提供していくというか、要求していくということが大事ではないのかと思います。石垣市は救急医療を4年前から廃止しています。それについて、どのように考えていますか。

○伊江朝次病院事業局長 今、石垣市における1次医療は、ほとんどが徳州会病院で担っているという状況だと思っております。できるだけこういったものは、当該市町村がしっかりと参画して、病院と連携して担っていくことが、あるべき姿ではないかと考えております。我々としても、その辺を踏まえて、できる限り、このような連携をしなければ今後の医療のニーズといいますか、高齢化社会に対して対応できないのではないかとも考えておりますし、病院に入院しないような環境づくりを地域の市町村とどのように連携して行っていくのかということが大切ではないのかと考えております。それから、入院施設については、本当に必要な人たちが利用できるような形にすべきであると思いますし、患者さんの状態によってどういう施設で暮らしていくのか。その状況によって病院が何でもかんでも担わなければいけないとなると、やはり無駄なコストになってくると思いますので、その辺は、しっかりと行政と連携しながら、これからのあるべき療養のあり方や生活の場というものをすみ分けしながら救っていく必要があるのではないのかと。そういう意味では、今、厚生労働省がやろうとしている地域医療連携推進法人という制度があります。去年の4月からあるのですが、これはいろいろな病院を主体にして介護施設や行政などが参画して、その地域の療養や医療のあり方を緩やかに、しっかりと連携しながらやるという制度です。こういったことも踏まえながら、将来像のあり方を検討していくことが必要ではないのかと考えています。

○比嘉京子委員 3月ですが、救急で運ばれて付き添いで行ってみたのですが、やはり、これでは県立病院が疲弊していくなと感じました。医師たちも含めて。1次医療をしっかりと担わない自治体に対しては、指導を要するのではないかと―これは保健医療部のお仕事ではないかと思うのですが、やはりここに大きな問題があるのではないかと非常に痛感いたしました。結構、高度治療室―HCUは短期間にしていましたし、それから、高齢であってもさっさと退院をさせていくという一連の流れは見ることができたかと思うのです。そういう意味で言うと、やはりしっかりと10月の開院に向けて、行政に対する要求をもっとやるべきではないかと思います。これは保健医療部とも連携して、少し言葉はきついのですが、余りにもおんぶにだっこではいけないのではないかと。県立病院におんぶにだっこし過ぎるのではないかというような感じがいたしました。そこら辺は、沖縄本島北部も含めて、県立病院をつくって堅持をしていくという一方で、市町村の役割を明確にしていくということをしっかりとやっていただかないといけません。このような病床では、将来的になかなか厳しいのではないかという気がいたします。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 末松文信委員。

○末松文信委員 北部医療圏において、形成外科というような言葉を初めて聞きました。まずそのことから教えてほしいのですが。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 形成外科というものは、例えば、やけどなどの傷を治すという、事故などによる瘢痕とかそういうところを修復すると。また、がんなどの手術で臓器を切除した後に、それを再建するとか。これについて、まず沖縄県で始まったのが、先天性の疾患とかいうもので、例えば口蓋裂などの病気の再建手術とか―これは歯科口腔外科とかかわる部分がありますが、全般的になくなったところを修復するというイメージを持たれるといいと思います。そういうところを形成外科と言っています。これは幅広くいろいろな分野にかかわっておりますし、一般的な外科の知識に加えて、移植などの技術が必要な分野、専門性の高い分野であると思います。

○末松文信委員 整形外科との違いというものは、どの辺で線引きするのですか。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 整形外科は、基本的に骨折とか筋肉などの損傷したものを治すことが仕事です。一方、形成外科は欠損したところなどを、ほかの臓器やいろいろなものを使って補うというところで、分野としては完全に違うものです。これが、もっと分化していって、美容整形という言葉がありますが、いわゆる整形と言うように、骨とかそういうところの―骨折やなくなったものを修復とか切断するとかいうものではなくて、欠けたところを再生するというイメージを持っていただければよいのかと思います。

○末松文信委員 形成外科の設置に伴って、専門医が必要だと思いますが、そういった医師の確保はなされているわけですか。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 従来、形成外科というものは、一般外科をやられていた医師がその分野に興味を示されて、これをやっています。実は、これまでも北部病院には一応、形成外科を行う医師がいたのです。今は、主に中部病院と南部医療センター・こども医療センターにいらっしゃいますが、北部病院にもそういう医師がいらっしゃって、応援を頼みながら形成外科における処置や手術とかを行っていましたので、それに関しての医師確保はできております。それを今後も継続していけそうであるということで、今回きちんと標榜しようということになったのかと思います。

○末松文信委員 そのことについてもさることながら、北部病院で、現在、休診している科といいますか、そこの医師も確保できないでいて、こういった新しい分野を設置するのもいいことだとは思うのですが、既存の診療科の医師たちもしっかりと確保するということでなければ、全然地域のニーズと違うような方向に進んでいるのかという感じがするわけです。今、休診している診療科とその医師の確保の見通しということについて、少し教えていただきたいのですが。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 陳情にもありますが、従来から言われているのは産婦人科、外科、心臓内科です。その辺の医師については、もちろんメーンの項目としてその確保には取り組んでおりますが、このような分野は、全国的にどの病院でも医師確保が困難な状況です。今、中部病院でさえも、その辺の医師の確保が厳しい状況になっております。いわゆる診療科における地域の偏在というものが、中部病院や南部医療センター・こども医療センターのクラスにまで及んできているという話になっています。医師確保については、厳しい状況ではあります。引き続き、従来からやっているように医師確保のホームページにアップして、そういうところで募集したり、また、中部病院を初めとする研修施設を―研修を持っているところで外科医や産婦人科医を養成したりとかいうことを一応行っています。これから期待できるのは、やはり地域枠とかいうところをうまく活用して、誘導していかなければいけないと思っています。ただ、現在、画期的な新しい取り組みがあるわけではありません。

○末松文信委員 この件は、これまでも何度も話が出ているわけです。地域医療をどうするのかという、皆さんの保健医療計画の中でも、しっかりとそういったことに対応するとうたっているわけです。地域の人たちも大きなニーズとして持っているわけです。それについて、どのように対応するかということについて―先ほど病院事業局長もおっしゃっていたように、地域医療連携ということで、民間病院の医師たちとのタイアップもなされていると思いますが、その辺をもう少し強化するとか、地域におけるニーズをどう満たしていくのかという努力をもっとやってもらわないと、今の状態では、休診していて、先生がいないからだめですということで通じるのかと、非常に危惧しているのです。その点について、今後どのようにして解決していきたいと思っていますか。

○伊江朝次病院事業局長 昔の話をすると非常に語弊があるのですが、我々が医者になったころは、まず外科医であれば頭のてっぺんから足の先まで診ていたという状況があるのです。そういう意味では、今は外科医であっても、基本的な研修はしていても、さらに専門性を高めるという意味で細分化されてきているというようなことがあって、相対的に人手不足が起こっているという状況があります。正直に言って、普通の、ごく当たり前の疾患というのは一般外科医や一般内科医がしっかりと対応しなければいけないと思うのです。そういう形で研修は行われていると思うのですが、現実として、なかなかそこがうまくいかないという状況があります。ですから、専門性を高めた人たちが集まっている中で、基本的には研修を含めた基本分野をしっかりやっているわけですから、今後そういったことを押さえた診療を行っていかなければいけないと思っています。また、当面の北部医療圏の問題ですが、現に北部医師会病院というものがあって、そこには一定数の外科医が、たしか6人いらっしゃいます。現在の北部病院は、県外から派遣されていた医師がいなくなって、今度3人になるという状況です。それでも地域には9人いるという状況になります。先ほども言いましたように、それぞれの病院が別々にやるのではなくて、今後の方向として将来的な統合も含めた対応をどうするのかという準備段階で、先ほど言った地域医療連携推進法人という緩やかな連携をしながら、医療をどのようにして、お互いが役割分担をしてやるのかという取り組みをしないと、正直に言って、今の北部医療圏の外科の状況というものは、非常に危機的な状況であると考えております。制度上はそういうものもありますから、なるべくそういった制度のもとに、今のようにお互いが別々の場所にいるのではなく、近づいた連携を具体的にどのように行っていくのかということを話し合っていかなければならないのかと思っています。

○末松文信委員 そういった事情があるにせよ、特に周産期医療、産婦人科は即、命にかかわることだから、そんなにほったらかしにしていいとは思わないので、何とかそこのところは埋めてほしいと思います。
 先ほどの答弁で、外科については北部医師会病院に6名の先生方がいるということであれば、県立病院と北部医師会病院のどちらかに外科を設置して、医者をそこに集約すればいいのではないですか。

○伊江朝次病院事業局長 先ほど話した制度のもとで、そのようにやっている地域もあります。要するに、人をそこに融通したりして、一方では規模を小さくするという形で進めているところもありますので、ぜひその辺は地域医療を行っていく上で、しっかりと研究して、現実にどのように実施していくのかということを早急に考えていかなければならないと思っております。

○末松文信委員 今回の条例で医師もふやすとかいうことで―制度上そうしなければならないという建前の話が多すぎるのですが。この条例にしても、やはり聞いていると建前の話をしておられるような気がして、これが現実に伴わない。こういう状況では、本当の医療という意味を考えるとき、どうなのだろうかと思っております。ぜひその辺はカバーできるように頑張ってください。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 亀濱玲子委員。

○亀濱玲子委員 私は、ずっと住んでいるところがどこであれ、望む医療が受けられるということを、島嶼県である沖縄県は目指すべきだと思っています。それからすると、例えば八重山病院の病床数が減らされるということ、離島や僻地の病床数が減らされることにはもっと慎重であっていただきたいと思います。先ほど、末松委員もおっしゃっていたのですが、標榜している診療科なのに、ドクターがいないためにあけられないとか、脳外科や周産期とかいうようなことが―平成25年、平成26年、平成27年、病床稼動率が61%ですと答弁されているのですが、そのようなことを全て加味して、それから302床ということになっていくのか。これが、本当に100%きちんとドクターがいて、診療がなされて、そうであるならば61%の稼動率にはならなかったのではと思います。それで割り出されてくる302床ということで、本当に説得できるのだろうかと思います。これについて説明してください。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 先ほども答弁したのですが、302床は本当にそれで大丈夫なのかという議論なのだと思います。今、亀濱委員がおっしゃっている、そういう将来的な需要見込みとか医師の充足というところも加味した上で、この数字を出しております。2040年で133%増加するという増加分なども加味して計算しております。

○亀濱玲子委員 説明を聞いていると、どんなに努力してもドクターが埋められてこなかったということなどが課題としてあるわけですが、それも十分きちんと標榜する診療科が稼働していくということで考えていいのですか。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 一応、現在標榜している診療科は、きちんと医師を確保できる見込みという、医療需要の見込みということで計算しております。

○亀濱玲子委員 先ほど、役割を分けて小さくする、あるいはより高度な医療を受けられる連携というのがこれからの方向性というようなことを答弁されていたのですが、特に離島や僻地においては、自分たちが住んでいるところで、どういう医療が受けられるかということは、とても大事な視点だと思います。計算上、302床が本当にそうなのかということについて―昨日の質疑の中で、地域医療構想の中で、本当にこれだけ減らされていくのか。本当にこの計画をそのまま進めていくのですかと聞いたら、あくまでも予想を載せただけですとおっしゃったので、それが、条例によって、このように予定どおりのこととしてなされていくと、やはり少し不安が拭えないと思うので、これに対しては心配です。説明を聞くと、こうやってどんどん縮小されていくことについて危惧があるということを指摘しておきます。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 病床利用率ですが、今まで八重山だけ聞いていますが、精和病院以外のほかの利用率はみんな落ちているのではないかと思います。平成28年だけの答弁で結構です。

○真栄城守県立病院課長 病床稼動率については、平成28年度の北部病院は68.7%です。同じく中部病院が96.1%です。南部医療センター・こども医療センターが93.5%です。宮古病院が78.2%です。八重山病院は60.8%です。精和病院は84.8%で、合計で82.2%になります。次に、合計で言いますと、平成25年度が82.8%、平成26年が82.8%、平成27年が82.8%となっており、3年度とも同じ稼動率になっています。そして、平成28年が82.2%で、ほぼ横ばい状況になっております。

○西銘純恵委員 先ほど病院事業局長がおっしゃっていた入院日数は12日から13日だったでしょうか。この入院日数について、結構減っているところが影響しているのかという気がします。この稼動率、利用率等に影響があったのかどうかということについて、どのように判断されていますか。

○伊江朝次病院事業局長 先ほどお話ししましたとおり、診療報酬の制度がいわゆるDPCという制度になってから、平均在院日数を短縮するということで、制度を実施するような要求が出ているものですから、どうしても入院患者はその分だけ平均在院日数がどんどん縮まっていきます。したがって、トータルでの入院日数が減ってくるという状況で、許可病床に対して、これは随分前にできた許可病床ですから、現実とは大分違った形になっています。一方で、中部病院や南部医療センター・こども医療センターは、なかなかほかの病院のように下がってこないという状況があります。そこでも、やはり長期入院患者ということが問題になっています。というのは、やはりある程度、慢性的な状態になって、まだ医療のニーズがあるということで、なかなか後方の施設には移せないという方々も多いのです。ですから、それだけ重症の治療をされた後に、かなりの高度な後遺症というか、手がかかる状況で残る方もいるのです。こういった状況がありまして、中部病院や南部医療センター・こども医療センターのように高度医療をやっているところは、非常に厳しいものがあります。そういう意味では、沖縄本島北部や宮古、八重山は、ある程度その辺の状況とは違うのかと―もちろん、長期で入院している方はいらっしゃいますが、そういう意味では地域に退院していく状況があります。また、精和病院の場合は、患者が地域に、社会復帰しなければいけないという国の方向性が示されていますので、できるだけ入院をするのではなくて、社会復帰できるようなことで、病院側は一生懸命取り組んでおりますので、病床数もかなり減ってきている中で、80%台を維持しているという状況があります。

○西銘純恵委員 政策的に、医療の仕組みがこのようになってきている中で、先ほど病院事業局長がおっしゃった地域医療連携推進法人については、どこがどのように推進をするのでしょうか。法人をつくらせることについてはどうなっていますか。

○伊江朝次病院事業局長 これについては、昨年4月から厚生労働省が実施している制度なのですが、これは病院がまず2つ必要だと。病院、あるいはクリニックでもいいのです。そういうところが主体になるか、あるいは介護施設や市町村を含めたものが、この法人の中に参画して、いろいろと出資したり、医療の連携、人のやりとりなどを含めた、地域でのそれぞれの役割に応じて、患者に対するサービスを提供するための制度です。ですから、今まではそれぞれが勝手に囲い込みするとか、お互いに全然関係なくやっているという状況があって、患者さんがそれぞれの状態に応じた医療や療養が行われていないのではないかということが懸念されるものですから、それぞれ自分たちが持っている機能を最大限に生かせるような役割分担や連携をして、患者さんが本当にそこできちんとしたものが受けられるようにするための、地域の中での連携システムをつくるという制度になると思っています。

○西銘純恵委員 病院事業局長にお尋ねするよりも、保健医療部にという形になるのかと思ってはいるのですが、やはりそういうシステムを介護福祉医療―それが求められているというのがはっきりしています。これは保健医療部が担うということでよろしいのですか。

○照屋洋子県立病院課看護企画監 参考までに答弁いたします。私が、中部病院で働いた後に、平成25年から平成27年まで八重山病院におりました。八重山の方は亡くなるといったときに、どちらかというと家に連れて帰りたがります。中部病院では、この1週間から2週間が山という中で、なかなか連れて帰るという方は少ない。一方で、八重山病院ではもう短いという段階で、家族が家に連れて帰ります。病棟を見ていると、若干、病床利用率は下がるのかなと思いますが、やはり最後は家でみとりたいという傾向は、中部病院や南部医療センター・こども医療センターに比べると、八重山の方は意識が高いのかなという印象を受けました。そのことが、若干、病床利用率が低いという部分にも影響していることがあるのかということです。また、地域連携室とケアマネージャーたちとの連携が非常にとれているのが八重山病院の特徴であると思っています。例えば、患者さんが入院したと同時に、地域のケアマネージャーがこの方はこういう状況ですと。だから、ここまで日常生活ができれば、地域で見られますということで、入院時からの連携が非常にとれているのです。そういうこともあって、介護との連携がとれているというのは、患者にとってはとてもありがたいことで、それが入院時から機能しているという部分があります。したがって、ほかの県立病院に比べての病床利用率の低さは、そこも反映しているのではないかと思います。

○西銘純恵委員 宮古病院について、新築前と新築後の利用率はどうなっていますか。

○真栄城守県立病院課長 宮古病院は、平成25年6月に移転新築しております。それ以前の平成23年度の稼動率は65.3%、平成24年度は62.5%、新築移転の年度である平成25年度が80.5%、平成26年度が82.6%、平成27年度は81.4%、平成28年度は少し下がって78.2%になっております。

○西銘純恵委員 利用率については、やはり八重山病院はとても老朽化していて、数年前に見てもひどかったので、入院したくてもなかなかできないというのがあったと。それで、60.8%まで下がってきているのは想定できるわけです。新築すれば、やはり地元で入院したいということもあるし、利用率そのものが上がるというのは考えられる。そのような中で350床から302床に病床数を減らすというのは、将来設計とかいうことをおっしゃいましたが、ほかの県立病院と比べて、この減らし方というものが妥当であるのかと思います。350床から302床に減らすことによって、診療科のどこが、どのように減るのかということを教えていただけますか。

○狩俣信子委員長 休憩いたします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 真栄城守県立病院課長。

○真栄城守県立病院課長 診療科ごとの増減という考え方ではなく、病棟編成の中で病床数の設定をしております。具体的に、その単価で申し上げられるのが精神科病棟ということで、これが50床から38床になっております。それ以外については、さまざまな科に混合した形で患者が入っていますので、どこがどう減ったという説明については、少し難しいものがございます。一方で強化する部分もございます、御質問に沿った答弁ではないかもしれませんが、例えばICUを4床から6床。高度治療室―HCUを4床から8床。後方病床―GCUはこれまでありませんでしたが、これを6床新たに設置するという形で、機能的な強化を図っているところでございます。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 ICU、HCU、GCUというものがございます。GCUというのはNICUでは新生児の重症患者というものがありますが、その後方支援として位置づけている病棟です。NICUで一定期間重症患者を管理した後、一般病棟に移る前に、その間を取り持つもので、大人で言うとICUに対してのHCUのような位置づけです。そういうことで区切っていると考えていただければと思います。

○西銘純恵委員 脳外科や心臓外科などの救急―手術ができる診療科になるだろうと思っているのですが、そこら辺の関係で見ると病床はどうなるのですか。

○伊江朝次病院事業局長 脳外科については、昨年、医師を確保いたしましたので、ずっと継続していけそうです。心臓外科に関しましては、ずっと心臓の手術は行ったことはないです。これを宮古病院、八重山病院で実施するというのは現状ではかなり厳しいと思います。ですから、心血管系で言えば、いわゆる大血管手術―例えば体外循環というポンプを回すようなものでなく、大きな血管手術ですが、腎臓より下の大動脈瘤とかありますが、これを私たちは緊急でやっていました。それから上のものは、何らかの補助循環というものが必要になるものですから、これは非常に人手も要るし、さらに機械も必要です。やはり、症例数がないと技術の維持もできないということで、宮古病院、八重山病院ではかなり難しいのではないかと思っています。

○西銘純恵委員 宮古病院、八重山病院においては、現在、高度な手術についてはやっていないということですが、具体的な患者数は年間どれくらいいるのか。そして、沖縄本島に移すということになると思うのですが、それはきちんと手術が受けられて、そして回復して、また戻って来ることができているのかどうか。医療がきちん受けられているのかということを説明してください。

○真栄城守県立病院課長 今、心臓に関する症例数がどれくらいあるのかということについては、少し即答しかねるのですが、例えば、外科医がやらない循環器内科医が行うカテーテルを使って冠動脈を広げるものはやっています。ですが、いわゆる外科医が切るという心臓手術はできませんので、ほかの病院に紹介していると。中部病院や南部医療センター・こども医療センターにです。沖縄本島に紹介しているというのが現状です、このような方々の、手術して帰ってきた後の経過観察は、中部病院の心臓外科の医師たちが来て、外来でフォローしています。子供の場合にも、南部医療センター・こども医療センターの医師が来たりとかいうことは、随分昔からやっています。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新垣新委員。

○新垣新委員 病床の増減があるという、改正するということをお聞きしました。一番懸念しているのは、この条例の改正について、流行型のインフルエンザという想定外のものが出てきた場合の計算はできていますか。病床の増減があると、今、総合的に検討しているとお聞きしましたから、その対策はどうなっていますか。インフルエンザやノロウィルスとか、いろいろなものがあります。これは流行的に発生しますね。その対策はどうなっていますか。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 感染症用の病床については、先ほど病院事業局長も言っていたように、個室をふやすことによって、以前と違って感染対策もきちんとできて、隔離できるような病床の機能を強化しております。その辺の強化によって、より感染症に対応できるような病床の構造になっております。これに伴う患者が多くなったときには、一般の病床をある程度コントロールして、そこに移すということをやらないといけないので、そこら辺は後方支援の病院との調整を図っています。

○新垣新委員 今、調整していると聞きましたが、ことしはインフルエンザが非常に流行しましたね。12月下旬から1月下旬にかけてです。その対策とこれを鑑みた場合、その対応は十分にできますか。この状況に関して、お年寄りや子供たちが罹患した場合とかの対策はどうなっていますか。ことしが一番流行していましたね。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 現在、流行したときに、通常どのような対応をしているかというと、例えば最初からインフルエンザやノロウィルスであるとわからないときもあるのです。そういうときは、症状が出たらその部屋をまず完全に隔離するという対応をしているのです。特別病床というものを設けているわけではないので、そこを一定期間、封鎖して、新たな入院患者は入れないし、その部屋の患者を移動させないで、そこに集めて、それがさらに拡大したときは、一度、病棟ごと感染者をそこに集めて、1つの病棟でそういう感染者の入退院をコントロールして、それ以外の患者はほかの病棟で診るという体制をとっています。

○新垣新委員 もう一つ、北部圏域などで、今問題となっている小児科が少ないという、これに対するニーズがあります。石垣市においてもです。このインフルエンザになったときや、小児科の医師とかといったことなどは、どういった配置計画、どういったバランスを考えていますか。医師の確保とかもろもろについて、地域で格差があるというのは十分理解していますが、その格差対策についてはどうしていますか。この条例を提案する以上、そこまでしっかり計算していないといけません。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 やはり宮古、八重山や沖縄本島北部において、小児科医は総合病院のところにしかいないし、かつてこれを開業できると見られていた。そのための医師もいらっしゃいましたが、やはりそういうところも医師が高齢化して少なくなっているというのが実情です。どうしても小児科として対応できないときには、八重山病院や宮古病院も内科医―もともと、それぞれ小児科や内科とに分かれてはおりますが、基本的にインフルエンザなどについては大人だろうと子供だろうと、誰でも対応するというのが筋なのです。その辺は、医師会などにも協力を求めたり、そういうところで患者数が多いときには対応してもらうという―これは、何も小児科のドクターだけではなく、ほかの一般内科の医師とかいうところにも対応していただくということです。

○新垣新委員 インフルエンザへの対応は理解しております。今の質疑は、一般的なことを捉えて述べているつもりです。石垣市や宮古島市の民間の医療施設、沖縄本島北部においても小児科を求める声、ニーズが多いと。そういった人材育成等も考えた配置とかいったもろもろです。現場の声を聞くと、県立病院の場合で言えば、混んでいて入れないので帰ってしまうことが多いのです。これは、去る名護市長の選挙で勉強になったのです。どうお考えですか、病院事業局長。小児科がないというのは、子供たちがかわいそうなところがあるのです。もう人がいっぱいで入れません。何時間待ちで帰ってしまう。これは沖縄本島北部に関してです。本当に、この格差という問題に対して真剣に取り組んでほしいのです。将来がある子供たちです。

○伊江朝次病院事業局長 北部医療圏の場合は、北部医師会病院には、確かに小児科医はゼロです。北部病院にしかいないという状況です。そういう意味では、10万人の人口の中ではこれは本当に十分なのかどうかというのはしっかりと検討しなければいけない問題であろうと思います。今、我々が北部医療圏でやっているのは、この限られた人数でどう対応するかという、そのあり方もしっかりと、ある程度柔軟性を持って対応している状況です。一方で、ずっといる医師の方々もだんだんと年をとっていって、世代交代しなければいけないという問題があります。そういう中で、県立病院では、中部病院と南部医療センター・こども医療センターで、若い人たちを育てていくという状況です。今、小児科医の育成というものは、県立病院の場合は南部医療センター・こども医療センターが重点的に行っています。また宮古病院、八重山病院、北部病院もそうです。養成して出しているという状況です。一方で、琉球大学病院などの医育機関があります。今後、琉球大学病院にも新たな教授が出てきて、しっかりと県立病院と人材育成で連携していこうということで、いろいろと協議を行っております。一時期、小児科医の診療報酬が低いころに、かなり希望者が減っていたのです。今は、女医さんがふえてきたせいかもしれませんが、そういう意味では、増加傾向になっているという状況で、しっかりとした研修施設さえ確保しておけば、なんとか世代交代していけるのではないかと思っております。また、宮古病院や八重山病院に関しては、ほかの県立病院から出す、あるいは琉球大学病院から出してもらえる可能性がありますが、県外に公募すると、結構応募してくる方がいます。長年にわたってしっかりと対応していれば定着してくれているという状況があります。そういう意味では、産婦人科ほど悲観していません。ですから、小児科は女医さんの増加というものが、かなり追い風になっているのではないかと。今後は、女医さんをどのようにして働かせるのかと、そういう機会や環境をどうつくっていけるのかと思っております。

○新垣新委員 今おっしゃるとおりです。県立病院のパイがあって、そこに人が集中します。沖縄本島北部や八重山、宮古においてもです。足りないところを民間がどうつくるのかという形で、何らかの優遇措置、例えば特区制度みたいな形です。この格差というものはあってはいけないことですから、そこをどうにかして病院事業局も内部で検討して、強い意気込みでこの特例措置―箱物をつくるので、ぜひ来てください、民間でやってくださいとか。医療施設をつくってあげるので40年ここにいてください、優遇措置をしますとかいったもろもろを、石垣市、宮古島市、沖縄本島北部において、ぜひ検討していただくようお願いしたい。今回のインフルエンザでも、非常に想定外だったと聞いているのです。大変だったという県民の声が多かったのです。特に、今回、名護市でもすごかったのです。だから、そこら辺の問題を、まずはしっかりと小児科という問題も。お年寄りのみなさんに対しても十分にやっていますか。ぜひその対策等においても、頑張ってください。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 今回の条例改正で、北部医療圏、八重山医療圏の強化ということがあります。先ほどから出ておりますように、特に八重山病院です。これだけの病床を減らすということが、本当に県立の病院として新しくオープンするのに。宮古病院もそうでしたが、八重山病院もあれだけ古く、老朽化していて、かなり時間が経過していて、本来は真っ先にやらないといけない。そういう離島医療など非常に厳しいところをやらないといけないものを、新しく病院をつくって、なおかつ充実するのかと思ったら、病床をこれだけ減らすという―今の県立病院のあり方はおかしくないですか。中身は精神科とか、混合だからこれは説明できませんとか。本来、八重山圏域は、観光入域客だって70万人から百二、三十万人に、倍になっています。それに伴って、定住人口もどんどんふえていくというようなさまざまなことがあって、病院が果たす役割は非常に大きなものがあるにもかかわらず、病院が新しくなっても病床がこれだけ減るという―これは地域で説明できないと思います。県議会、県民の代表としても。これはどういうことですか。

○伊江朝次病院事業局長 八重山病院の350床というのは、かなり前に決められた病床数だと思うのです。少なくとも、私たちが八重山に赴任したころは、八重山病院しかなくて、これは100床足らずという状況でした。それからどんどん増大していって、350床になりました。一方で、平成15年には徳州会病院もできて、その前から、かりゆし病院という一般病院ができたりして、施設はかなりふえています。そういう状況の中で、県立病院における入院患者数が減っていったという状況があるのです。ですから、医療のやり方も昔に比べると―例えば手術もいわゆる低侵襲医療。我々は、例えば胆石などは、がばっと大きく切ってやっていた。これが立派な外科医だと言われて育ちましたが、今は本当に小さな穴で、数分くらいでやって、二、三日で帰れるような状況があるという医療のあり方。それから、脳外科の手術でも、がばっと頭を開けて脳動脈瘤をクリップしていたのが、今は、血管にカテーテルを入れてそこをコイルで埋めてやるという、ほとんど低侵襲医療になっていて、入院日数もどんどん減っているのです。ですから、そういう意味では、時代に合わせた病床数のあり方が、どうしても経営の中で必要になっています。これは社会の一つの方向ではないのかと思っております。ですから、私は病床数は減ってきても十分に地域の皆さんには説明できるものと考えております。

○照屋守之委員 それは医療を提供する皆様方の都合というか説明です。県民は、地域住民は八重山に新しく病院ができると。そこに病床数も含めてより充実した医療が受けられるものだということになるわけです。かなり前から350床あって、それが現在の地域のニーズに合わないということであれば、その前にこの病床数を変えておくべきです。だから、このタイミングで、新しい病院ができて上等になると期待しているのに、その病床数を減らすということになると。そこに何らかの要因があるとしか思えないわけです。皆様方がどう説明しても、県民からすると、我々は離島を軽視していると。金をかけすぎてこういうところにしわ寄せが出てきていると。職員数も確保できないのかということを普通は考えるわけでしょう。これによって職員数も減るのですか。

○伊江朝次病院事業局長 実際の病院現場では、許可病床と稼働病床というものがあって、患者の入院状況によって運営されている―いわゆる稼働病床というものがあるのです。その乖離がずっと続いているという状況です。ですから、特に八重山病院の場合は、地域で唯一の急性期に対応する病院であると認識しております。したがって、できる限り人手不足にならないように、診療科の人員不足にならないようにいろいろと努力しております。そういう中でも、どうしてもやらざるを得ない状況がありまして、地域の皆様には御不便をおかけしているという状況ではございます。先ほど言いましたように、心臓の手術をそこでやれと言われても到底、できる医療とできない医療というものがあるわけです。ですから、やはり多くの患者が受診する診療科は、最優先して確保していかなければいけない。唯一、それが我々の義務だと思っております。したがって、100%全てやれというのは、現実からしてなかなか難しい現状であると思っております。

○照屋守之委員 私はそれを言っているわけではありません。なぜ350床からこれだけ14%も減らすのかということが異常だと言っているわけです。そこは、これまでの仕組みの中で、長年にわたってそういう定数があって、実際に使っていない病床と差があるのであれば、その前に病床数は減らすべきです。新しい病院ができて、病床数がこれだけ同時に減るということ自体が、一般の県民からすると、なぜこうなるのかと。逆に後退するというイメージしかないわけです。ここが非常に腑に落ちないところです。私はうるま市選出なのですが、中部病院があって、以前から、なぜ八重山病院をもっと早目に改築してあげないといけないと。離島でこそ、もっと充実させるべきだと思っていましたが、結局、財政的なことなどから、なかなか改築できなかったわけです。それで、今度、オープンする。そうすると、これだけ長い期間待たせておいて、新しい病院になったのだから、医療スタッフや病床数も含めて、そういう体制で安心して、地域の皆さん方に医療を提供しますということを言いたいわけです。そうしたいのだが、こういうことになると、もう言えないわけです。「いや、こういうことだよ」と言っても、結局は言いわけにしかならないわけです。だから、私は県立病院でやっていくという知事の姿勢も含めて、それはそれでいいよと言っているのです。だから、県立たるゆえんで、本当に今まで困ってきた課題があるところを、もっと充実させることができるから県立なんです。それができなければ、医師が確保できない、何ができないとかいろいろなことを並べて、できないという現状をつくるのであれば、別に県立でなくてもいいわけでしょう。そこにいら立ちがあるわけです。先ほど言ったように、地域医療連携推進法人というものを含めて、今の医療圏としてやっている考え方と、実際に病院を経営している考え方とは、非常に乖離があるわけです。今の北部医療圏の診療の件も含めてです。実際に、医師不足とかについて、今でさえ県立病院においても確保できない。そのため、北部病院と北部医師会病院を一つにして、新たに医療機関をつくって、充実した医療を提供できる体制をつくってほしいというニーズがあって、それでは県立でやりましょうという形でいくわけでしょう。ところが、今のように地域連携推進法人がいいと病院現場は考えているのに、今のような課題を―北部医療圏も、診療科を設置しましたから、平等になりますという話にはならないのではないですか。

○伊江朝次病院事業局長 先ほどから言っております、地域医療連携推進法人というものは、要するにこの地域で限られた資源をどう有効に使うかという趣旨だと思っています。ですから、現実を踏まえて、どのように地域住民に適切なサービスを提供していくのかということで、今まで別々に動いていた法人や組織が一緒に手を取り合って、住民福祉のためにやろうということだと思っています。それから、新しい病院ができるのに病床数を減らすということは後退ではないかということですが、しょっちゅう条例を改定するわけにもいきませんので、普段は許可病床と稼働病床という違う2つのものがあって、現実に運用している状況があるのです。ですから、長年にわたって、その地域における病院の受け入れ状況を踏まえた上で、それを基準にして、将来構想も考えて、今回の302床が、将来的にも医療ニーズを賄える数字ではないかという形で、今度の新八重山病院ができるという状況でございます。これは、県民の皆様から負託された財産、資源を有効に使う一環であると思っております。

○照屋守之委員 到底そういう気にはなりません。病床も含めて、もっと充実させて、よくしていくというのが今の県立病院のありようで、その病床について、頻繁に条例改正しないというのは、これは皆さんの都合であって、県民は、そんなの関係ないです。新しく病院ができて、もっと上等になる。観光客もふえて人もふえる。経済も活性化することなどに伴って、県立病院の役割もふえていく。今、病院事業局長がおっしゃるように、私は病院事業局の体制も非常に重要だと思っているのです。病院事業局長は、離島医療も含めていろいろな経験があるからいいのですが、これからもずっと病院事業局長として、地域連携の形の推進も含めてやれるということではないでしょう。だから、病院事業局長人事がどうのこうのと2年続けてがちゃがちゃしているときに、非常に不思議に思ったのは、こういう課題を抱えていながら、一部の人たちは病院事業局長をかえればいいというような動きが公にあって、これは地域医療とか、そこに赴任した経験のないような人がトップになったときに、本当に、積極的にあなたは離島に行きなさいと、それによって職員を動かせることができますかということです。これは人間だから、自分はそういう経験がないのに、そういうこともわからない人間が指示を出して人を動かそうとしても、それはできないでしょう。だから、病院事業局長人事で、あれだけごたごたしていて、一体全体、今の県政って何なのかと思いました。だから、今抱えているさまざまな課題も含めた形での人員配置だったらいいのですが、本当にそういう形で今の伊江局長がやっていることが、次の病院事業局長になったときに、果たしてそういうことができるかということについて非常に不安を持っています。そういうあり方にです。だから、これは病院事業局長が答えきれないでしょうが、そういう課題を抱えている中で、頭さえ、病院事業局長だけかえて、体制だけをつくればいいという生やさしいものでもないでしょう。だから、非常に不信感を持っています。
 北部医療圏に、今、新しい科をつくっていいという形に―なかなか、名護市の禍根も含めてさまざまな要件があってできないということなのですが、本当に、真剣に北部医療圏をどうするのかということを考えています。これが、実際は、先ほど答弁されたように、今の県立北部病院と北部医師会病院の部分が、地域連携推進法人のような形がいいのか。本当は県立としてそのままいったほうがいいのかという。そこは、今やっていることも含めて将来につながっていきますから。病院事業局として、今後の基幹病院構想について、みずからの考え方なども反映させながら、北部地域における住民の方々の医療ニーズに応えていく。課題を抱えているものを解決していくことについてどう思っていますか。それは、我々も非常に悩みどころです。でも、これについては時間がありますから。ただし、いつまでも、5年も10年もかけてやるわけにはいけない。結局県立でやるといっても、まだそういうものを示すことができない。そういう小手先のことをやっていては、そういうニーズに応えることはできないのです。この新しい科をつくることなどはいいのですが、県立北部病院自体はどうしたほうがいいですか。

○伊江朝次病院事業局長 一言でいうと、私はそれを言う立場にはないのですが、先ほどから言っていますように、地域医療連携推進法人というものは、違う組織が緩い連携をもって地域医療にしっかりと対応しようということですから、別にすぐ一緒になる云々ではないのです。将来的に一緒になるのであれば、もう少し近づいて、お互いの意思の疎通、コミュニケーションをしっかりやろうというのがこの制度だと思うのです。ですから、今の北部医療圏の状況を見ると、小児科医がいる、いない。また、外科医が減っている、外科医がいるという、お互いに長所短所があるわけです。これをどう補い合っていくのか。そのための制度なのです。ですから、違う家柄の人たちが一つになるということであれば、もう少し近づいて、お互いにコミュニケーションをとらないと、なかなか将来いい方向には行かない。だから、そういったこともまず一つのステップとしてあってもいいのではないかという、これはあくまで私の意見です。
 それから、北部病院のあり方を見ると、北部医師会病院は民間です。一方で北部病院は県立でやっているという状況の中で、これを一つにするというのはなかなか一方の都合だけでやるということは難しいと思うのです。それぞれの経営手法があるわけですから、これが一緒になるということについては、相当時間をかけて、お互いの状況を認識し、議論してやっていかないと難しいわけです。一方の考え方だけでどうのこうのというのも、意見としてまとめることは難しいのではないかと思います。ですから、県立を基本としても、運営形態については、しっかりと議論した上でやっていかないといけないのではないかと思っています。これも個人的な意見です。

○照屋守之委員 今の話を聞くと、北部病院が抱えている課題―県立だからということと、新しく医師を確保したり、診療科をつくるという形で独自で努力をしている。ところが、県立北部病院と北部医師会病院の部分についても、そのような考え方があるにしても、結局、その病院現場で、今の御指摘のようなことを無視した形で保健医療部で進めているわけです。だから、非常におかしいなと思うのは、そういう課題もわからない人たちが、県立にしますと言って、さまざまな問題から―いやいや人はやめさせません、県立にみんなトータルにしますとか、わけのわからないことをやっているという実態がある。実際に病院現場で働いている、リードしている方々の意見を無視しながらやっているという現状からすると、これは我々県民からすると、同じ県立として、県で勝手に進めておいて、ここはそうではないというような話になれば、こういう診療科をふやすとか、何とかというレベルではないです。だから、我々県議会議員の責任として、今、そういう形で診療科をふやす、医師もふやしていくということの努力を皆様方にやってもらう。これから先の県立病院のありようについてもしっかりとつくってもらう。そこに対して、北部医師会病院の問題があるときに、県立病院としてどうあるべきか、どうすべきかということも一緒になってやっていかないと。県民の代表である我々が、それに振り回されて、なぜあなたはこれをやると言ったの、向こうはそう言っているという話になったら本末転倒です。医療行政の充実どころの話ではないです。実際に、地域医療連携推進法人として、全国で具体的にそういう法人の形態で運営しているという事例はありますか。

○伊江朝次病院事業局長 はい、ございます。広島の内陸にある三好市立病院が中心となって、赤十字病院などと一緒に人材確保をやっています。現に進んでいるのが兵庫県です。兵庫県の県立病院である姫路循環器センターと、その近くにある民間病院。この統合に向けて、そういう法人のもとで統合計画を進めていこうではないかということがあります。ほかにもこういったものをつくろうというのは2つ、3つあります。例えば、今、奄美大島にもそのようなものが進んでいるところがあります。これは、お互いばらばらでやっている資源を、いかに一緒になって有効利用しようということが趣旨ですから、いい方法ではないかと思っております。これは、宮古医療圏や八重山医療圏でも同じことが言えると思うのです。宮古や八重山にも民間病院がありますし、それから介護施設があります。また訪問ステーションもあります。こういったものがしっかりと連携していけば、退院しても隅々までいろいろな患者サービスが有効にできるのではないかと。ひいては、こういった状況でしっかりと管理していければ、再入院とかも減って、むしろ医療費が減ってくるのではないかと考えております。

○照屋守之委員 これは、先ほど言ったように、病院、クリニック、介護とかが連携しているとあります。民間はそれをやっているのです。ただし、中頭病院に行ったら「はい、こっち。」あるいは「どこどこに行きなさい。」とあります。今、病院事業局長が言っているのは、そういう形の連携という意味ですか。現在の医療現場について、そういう部分を把握していますか。こういう制度があるということはわかっていますか。

○伊江朝次病院事業局長 これは、昨年4月から施行されているので、ほとんどの方は十分認知していないと思います。今年の1月に全国の病院事業管理者協議会の全国会議があって、その中のセッションでその部分が取り上げられました。これは自治体が運営する病院が―全国で大体180くらいの自治体が参画しているのですが、こういった方々にはしっかりと広報されていると思います。県立病院長たちにも、今そういうことがあるということで話をしております。ですから、地域の皆さんに対してきちんと周知徹底していかないと、なかなか浸透していかないと思いますが、国も進めている制度ですから、取り上げてみる価値があるのではないかと考えております。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 金城泰邦委員。

○金城泰邦委員 乙第46号議案の概要で、提出の理由を見ますと、北部医療圏、八重山医療圏の医療機能の強化を図るという目的があります。また、県立北部病院の医療の機能強化ということがあるのですが、現在、県立北部病院で―例えば救急などの診療を受けたいという方が来て、それを受診している件数はどれくらいですか。また、それができなくて中部病院に搬送した件数はどれくらいあるのか。これについて数を押さえていますか。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 今、トータルの件数として把握していませんが、産婦人科を見ると、北部医療圏から中部病院に妊婦さんを患者搬送した件数は、平成27年度が30件、平成28年度が38件、平成29年度は37件あります。次に、外科に関する救急患者の推移は、平成28年度と平成29年度を比較すると、救急患者自体は―これは月単位でしか集計が出ていないのですが、平成28年の4月に476件あったのが、平成29年は222件。5月に454件だったのが267件。6月に314件あったのが268件という感じで、やはり昨年度から比べると救急を受診している人が、ほかに流れているという話になると思います。これは北部病院のデータです。

○金城泰邦委員 この議案の目的の1つは、やはり医療機能の強化ということもあるのですが、その目的の理由として、今年は搬送する件数が多いと。分野を強化して、なるべく搬送をしないで済むような体制づくりをする方向に行くべきではないかと思うのですが、この議案では、中部病院の円滑な受け入れに資する目的で病床増加というものがあります。これは少し相反するのではないかという印象があるのですが、いかがですか。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 強化というのが、中部病院の病床数の増加となっているところがおかしいのではないかというお話ですか。

○金城泰邦委員 北部病院や八重山病院の強化という部分について見えるところが、少し少ない。これを見ると形成外科の新設とありますが、本来、形成外科の新設が果たして望まれる強化なのかと疑問を持っているのです。むしろ、これまでの質疑にあった産婦人科や外科などが、本来強化されるべきものではないのかと考えます。つじつまが合わないのではないかと思うのですが。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 産婦人科や外科の強化ということに関しては、既に取り組んでいます。今回の条例として上げているもので、従来そういう診療科として取り組んでいた科があったのですが、標榜されていなかったものを、標榜に持っていくという形にしました。これも強化になるのですが。従来の産婦人科や外科については、もちろん強化に向けた取り組みをやっておりますが、今回の条例に関しては、これまでやっていたが標榜されていなかった部分をきちんと標榜するということを、条例改正として上げていますので、別のものだと理解してください。

○金城泰邦委員 なぜ、そのことを聞くのかというと、標榜されていた、なかったという話もあるかと思うのですが、搬送が多い案件というのが、これまでもあるわけですから、そこをしっかりと手当てしないといけないと思います。また、小児科もそうだと思います。産婦人科となると、入院して長期になる患者さんもいらっしゃいます。そうなると、北部圏域に住んでいる方が、長期で中部病院に入院なんていうことは厳しい話だと思うのです。そこは、やはり北部地域できちんと―八重山地域もそうですが、離島や僻地というところでも、そこで長期の対応ができるように対峙しないと、患者さんの負担も大きくなってきます。そこから本来は手を打つべきではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 その辺は従来から取り組んでいるのですが、まだ住民の方に対して、具体的にこの辺が強化されましたと言えるだけの成果が出ていないのは事実です。ただ、産婦人科の対策に関しては、保健医療部が、補助事業などを使って他府県から求人するなど、一番力を入れています。外科に関しても、ホームページに掲載するなど全国公募を行ったりして、その強化を行っています。従来からの取り組みとして、産婦人科、外科の強化を図っているのですが、全国的に医師の確保が厳しいところがあって、余り成果につながっていないということがあると思います。ただし、その部分についても、決して先送りしているという話ではございません。実際に、今までやっていても、現実として、まだ結果が出ていないという現状があるということです。

○金城泰邦委員 北部病院でも、救急窓口が厳しい状況にあるということもよく耳にしています。これは改善しないといけないのです。我々もそれを議論していかないといけないですし、4月から外科医が1人いなくなるといった先日の報道を見ますと、医師不足に拍車がかかっているのかという印象を持っています。努力しているのがなかなか伝わってこないのですが、なぜですか。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 従来、大学から派遣されていた医師が、今回、派遣できないという話になっていて、大学ともきちんと話をしているのですが、やはり大学もそんなに外科医がいるわけでもありません。医師自身は残ってもいいという御希望を出されても、大学から戻してもらわないと困るということでした。そういうことで、みんなで当たってはいるのですが、実際に、当直や夜間救急などに対応できる人材となるとかなり限られてくるのです。この辺は、これから、従来の取り組みに加えて人材育成を考えていかなければいけない。実は、琉球大学病院でも、外科の入局者が全然いなくて非常に困っている状況です。九州圏内もみんな結構厳しい状況なのです。従来の取り組みをさらに強化するという意味では、もっと積極的に県外も含めて―指導医もきちんと確保しないといけないところがあります。その辺にも取り組んでいますが、現実として、診療科の偏在や医師の偏在というところの壁がやはり大きく、まだ打開できていないのが現実です。

○金城泰邦委員 今、偏在と言いましたが、中部病院においては、ある程度診療科を横断できるような仕組みがあると聞いたことがあります。そうでしょうか。

○與那覇博康県立病院課医療企画監 横断というか、中部病院も外科医そのものはそんなに数が変わらず、一般外科の人はこれだけ、形成医療はこれだけと同じように分担しています。救急部門が充実しているというところでは、中部病院は助けられているところがあると思います。診療科を横断してという―委員がおっしゃるニュアンスがよくわかりませんが、今、中部病院でも外科医が足りなくて困っていて、ほかでどうやって養成するか、これからもっと人をふやしていくにはどうしたらいいかということです。逆に、南部医療センター・こども医療センターでは、外科医は―北部も3名ですが、南部医療センターも4名しかおりません。そのような状況の中で、今いろいろとやっている状況ですから、横断するといっても、各当直の部分で整形外科の医師が担当したり、そういうところは北部病院も含めて、北部医師会病院もみんなやっているのです。そういう横断的な取り組みというのは、当直という部分でしかできないということです。

○金城泰邦委員 病院事業局長の話などを聞いていると、今は、より細分化されていて、なかなか狭い範囲になっていると。昔は頭の先から足の先まで診ていたということであれば、そこの横断という意味でも、医師確保、偏在の問題というものは、少しは解消されていくべきでないかと思っています。
 あと1つ、人材確保という意味で、琉球大学病院の話がありました。もう少し琉球大学病院と県立病院―中部病院が一番大きいのですが、そことの連携が円滑に、今の地域医療連携病院という観点からも、さらになされるべきではないですか。その点について県は努力しているのですか。

○伊江朝次病院事業局長 金城委員が御存じであるのかわかりませんが、従来沖縄県の研修事業は琉球大学病院ができる前から県立病院でやってきたという経緯があります。昭和55年に琉球大学ができて、学生を募集するようになって、そこで数年たってから研修授業が始まりました。そのときに、県立病院は琉球大学の学生の臨床研修授業の指定病院になって、学生の研修について、ずっと協力してやっております。一時期は、卒業後の研修医の研修も提携してやっておりました。そういう中で、琉球大学病院もどんどん充実してきて、一緒にやるものは学生ぐらいになってきたという状況があるのです。一方では、北部病院、宮古病院、八重山病院に琉球大学病院から、研修医あるいは医師を派遣していたという時期があります。ところが、臨床研修授業が必修化されてから、病院に学生が―いわゆる卒業生が入っていかなくなった。この辺から、かなり厳しくなってきたという状況です。それで、何が起こったのかというと、北部病院、宮古病院、八重山病院に派遣した人たちが引き上げられていって、次には来ないというような状況になりました。だんだんこれが続いてきたということが今の状況なのです。ですから、我々がこれからやらなければいけないことは、当然、琉球大学病院にまず初期研修医が入っていけるような状況もつくらなければいけないのではないかと思います。はっきり言って、今年も10人くらいしかいないのです。ですから、こういったところを今後どうするのか。先ほどから言っていますように、地域枠の学生を県立病院と一緒になってしっかりと教育していくということも一つの大きな課題ですし、そういったことも大学や中部病院も含めて話し合いをしております。ですから、今まで、別々に一部のことでしか提携していなかったのですが、やはり一緒に手を取り合って卒業生の臨床研修授業をやっていかないと、全ての分野の診療科の人材育成はできないのではないかという問題意識は既に持っておりました。これまで、話し合いはされてきている状況でございます。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 次呂久成崇委員。

○次呂久成崇委員 今度、県立八重山病院に新設される歯科口腔外科について、その体制はどのようになっているのでしょうか。

○真栄城守県立病院課長 八重山病院の歯科口腔外科につきましては、新病院が開院する10月のオープンを予定しています。歯科医師1名と嘱託の歯科衛生士2名の体制で開始をする予定です。

○次呂久成崇委員 この条例に関してですが、やはり八重山病院の病床数を350床から302床にするという数字だけを見ると、やはりかなり減少していると思います。先ほどから、各委員からいろいろな質疑がある中で、以前は県立八重山病院しかなかったと。ところが民間病院も新設されていったということで、ほかに徳州会病院、かりゆし病院、下地病院といったそれぞれの病床数についてどれくらいかということは把握されていますか。ただ病床数が減るというよりも、やはりこういう民間の病院もできたのでというところで説明すべきだと思います。

○伊江朝次病院事業局長 大体ですが、徳州会病院が48床から50床くらいだったと思います。かりゆし病院は一般病棟が1つだけですから、大体40床から50床くらいではないかと推測します。

○次呂久成崇委員 そういうものを把握すると、トータル的にはこの病床数というのはある程度、一定数が確保されているというか、増床されてきていると思います。ただし、今回は、やはり医療機能の強化を図るということで、先ほどから言っている、ICU、HCU、GCUなどが増床されたり、新しくふえたというものに関して、もう少し機能強化というところをしっかりと公表しないと、我々、離島住民からすると、350床から302床に減ったという数字だけを見ると、どうしても不安というものを感じるのです。そこを払拭するために、しっかりとその内容を説明していく必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。

○伊江朝次病院事業局長 委員のおっしゃるとおりだと思います。従来ICUやNICUがなかったところに、平成10年代にICUとNICUをつくってきました。そういう中で、やはり一般病棟とのはざまにどうしても対応せざるを得ないベイビーたちをどうするかということで、今回GCUが設置されると。大人の場合はICUと一般病棟の中にもHCUが既にできております。ですから、その病床数は減っても機能は強化されました。先ほども言いました精神科に関しても、個室としては保護室しかなかったところに、精神科の患者が心の平安を得られるようにきちんとした個室をふやしたという、これは非常に今までと違う機能の強化であると考えています。

○次呂久成崇委員 これをしっかり説明することによって、離島住民の医療に対して、県立病院の安心安全という信頼につながっていくかと思いますので、ぜひそこはしっかりと言っていただきたいと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 質疑なしと認めます。
 よって、乙第46号議案に対する質疑を終結いたします。
 次に、乙第63号議案損害賠償の額の決定についての審査を行います。
 ただいまの議案について、病院事業局長の説明を求めます。
 伊江朝次病院事業局長。

○伊江朝次病院事業局長 それでは、乙第63号議案損害賠償の額の決定について、お配りしてあります議案説明資料に基づいて、御説明いたします。
 3ページをお開きください。
 本議案は、医療事故に関する損害賠償額について、地方自治法及び沖縄県病院事業の設置等に関する条例の規定により、議会の議決を求めるものであります。
 事故は、平成26年11月14日に県立南部医療センター・こども医療センターにおいて、白血病の患者に対して、中心静脈カテーテル挿入を行った際、血管の損傷により胸腔内に出血を来し、心肺停止状態となりました。その後、緊急蘇生措置が行われ心拍再開し、集中治療室での集中管理が行われましたが、同年12月5日に残念ながらお亡くなりになっております。
 当該事故については、遺族と損害賠償についての協議を行っておりましたが、沖縄県議会の議決による承認を得ることを条件として、損害賠償800万円で和解契約成立の合意に達しました。
 同病院においては、病院内に医療事故調査委員会を設置し、事故原因の究明を行うとともに、カテーテル挿入等を研修医が行う場合の院内統一基準の作成などの再発防止策を講じているところであります。
 以上で、乙第63号議案の説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いします。

○狩俣信子委員長 病院事業局長の説明は終わりました。
 これより、乙第63号議案に対する質疑を行います。
 質疑はありませんか。
 新垣新委員。

〇新垣新委員 鈴木清美さんという方が亡くなったと捉えていいのですか。損害賠償請求者は、今、遺族の方、生きている家族ということで捉えていいのですか。亡くなった方は男性ですか、女性ですか。年代はどのくらいですか。

〇與那覇博康県立病院課医療企画監 患者は49歳で、男性でございます。

〇新垣新委員 なぜ、議案書に年齢や名前が載せられていないのですか。当時亡くなった何々さんとか。800万円の損害賠償金が出て、議会の議決も必要となるのに、なぜ年齢とかが書けないのかと。これは個人情報でも何でもないでしょう。

〇金城聡病院事業統括監 今回の議案は、地方自治法の規定に基づき、県が損害賠償をする額について議会の議決を求めるものであります。請求者は亡くなった患者さんの奥さんになりますので、その方との関係で和解が成立しています。その和解の中の損害賠償の額が議決事項になります。説明の中で、特に亡くなった方のお名前を出さなくても、事件の内容というものは特定できると思います。そういう意味においては議決の求める要件は満たしているのかと思います。

〇新垣新委員 議会に提案する以上は、名前、理由、年齢とかを出すのが一般常識です。当然のこととして。800万円という税金が飛ぶのです。皆さんはそれぐらいもできないのですか。これは個人情報のレベルではないでしょう。なぜ当然のことができないのかということを聞いているのです。地方自治法などではないのです。当たり前のことを当たり前の形でやると。地方自治法のことはわかっています。なぜ、年齢が書けないのか、男性だとかいうことから説明してもらわないと。今後は、そのようにしっかりと説明してください。

〇金城聡病院事業統括監 これまでの類似の議案においても、いわゆる請求権を相続された方の請求であります。したがって、同じような形で同意を求めてきたところでございます。今回の議案を提案する際にも、これまでの取り扱いを踏襲させていただいて、議案という形で取りまとめさせていただいております。

〇新垣新委員 こういう形にこだわるのでしたら、せめて説明資料を最初に提示してください。そうすればこういった質疑はしません。ぜひこれを反省材料として、今後の対応をお願いします。
 次に、和解したという形で書いていますが、なぜ800万円という金額になったのですか。

〇與那覇博康県立病院課医療企画監 和解金額の800万円というものは、病院と患者側が弁護士を通して協議を重ねた上で合意した損害賠償額であります。その弁護士間での折衝を踏まえて、判例上も妥当な金額であるということ、事故の概要を詳細に説明していないのでわからないことがあると思いますが、手技上の過失の有無については少し不明であるということですが、研修医のみで手技を行ったという点に関しては病院に一定の過失が認められると。また、死亡事例という重大な結果であるものの、手術前の患者の状態は非常に悪く、余命が限られていた可能性が高いこと等を総合的に判断して妥当な金額であると考えられると。病院は、病院賠償責任保険に加入しているため、医療事故の損害賠償はその保険で全額賄われるという形になっております。これは、過去の事例とかを参考にし、保険会社にも問い合わせをしたり、同じような事例で大体幾らぐらい払われているのか―実は、同様の事例で1000万円を超える支払いになっているものもありまして、この辺の妥当性というのは法律家である弁護士などを通して双方で協議して、この金額が妥当であろうという話になりました。

〇新垣新委員 遺族からの請求額について、当初はどれくらいだったのですか。

〇與那覇博康県立病院課医療企画監 当初は、1000万円という話でした。

〇新垣新委員 次に、この病院賠償責任保険については、年間どのくらいの保険料を病院事業局は納めているのですか。これで損害賠償額の全額が払われるのですね。

〇與那覇博康県立病院課医療企画監 一応、全県立病院で年間4000万円です。

〇新垣新委員 今、このような死亡事故による損害賠償というものが、全国的に多発していると思いますが、今回の議案の件は、沖縄県で何回目の事例になっていますか。

〇與那覇博康県立病院課医療企画監 損害賠償の支払い案件がどのくらいあるかということですが、直近の3年間で見ると、平成28年が6件、平成27年が4件、平成26年が4件となっております。トータルの件数については、昭和57年から平成29年までに71件ありまして、損害賠償の総額は10億8943万5332円となっております。

〇新垣新委員 約10億9000万円近くということですが、今後このようなことがないように、事故は起きるものですが、なるべく事故がないように頑張ってほしいと思います。

〇狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

〇西銘純恵委員 損害賠償額の決定についての議案ということで、患者や遺族のプライバシーということもありまして、この提案の仕方は妥当ではないのかと思います。例えば、白血病の患者ということが明記されていますから、そういう病気を対外的に明らかにする、しないとかいろいろ出てくるのかと思いますので、こういう提案の仕方が一般的であろうかとは思います。ただし、一応はほかのところの提案の方法についても、一度確認しておいてください。 
 先ほどの質疑で気になるのは、年間4000万円の保険料を払って、年間平均でどれぐらいの賠償額が払われているのか。担保として保険に入っているということで、それ以外の金員の持ち出しといいますか、県から支払いはないということなのかと思っていますが、どうですか。

〇與那覇博康県立病院課医療企画監 過去の年間平均で、2400万円台の金額になっています。

〇西銘純恵委員 事故はないにこしたことはないという立場であるにしても、金額的には2400万円というのが年平均額で出ているということについても、これをゼロにしていくという努力が重要だと思っています。
 この患者に対して、カテーテル挿入を行ったときの医療体制ですが、万全な体制をとっていても、なおかつそういう事故になったのかというところをお尋ねします。

〇與那覇博康県立病院課医療企画監 事故の詳細をかいつまんで申し上げますと、平成26年11月14日に採血結果で播種性血管内凝固症候群、凝固障害という重篤なことが起きている状態であったことは事実です。そこで血液製剤と抗生剤の投与が必要であるという判断がなされましたが、普通に点滴することが困難でしたので、中心静脈という首の静脈からカテーテルを挿入する処置を行いました。しかし、そのときに主治医が外来診療で手が離せないということで、主治医の手技ではなく、研修医が指導医のサポートのもとにやるという状況ではあったのですが。ただ、そのときのサポート状況が―一応、研修医からスタートして、その指導医が来るまで待ってくださいというところだったのですが、研修医がそのまま先に始めてしまったものですから、その辺がやはり過失を問われた部分ではあります。これに関して、その後、南部医療センター・こども医療センターの中で、研修医に単独で危険性を伴う手技を行わせるべきではない。ましてやこういう重篤な患者でありますから、やはりきちんと指導できる経験値のあるドクターが一緒についてやる必要があるだろうということで、その辺の対応については見直しております。

〇西銘純恵委員 医療事故調査委員会が調査して、新たにそういうときの対応の仕方について確定されたのですか。そして、南部医療センター・こども医療センターだけではなくて、ほかの病院にもそれは周知されたということですか。

〇與那覇博康県立病院課医療企画監 従来、研修医が単独では行わない―もちろん手技的な、そういう危険性を伴うものは必ず指導医と一緒にやるということは、原則としてどの病院でも決められております。ただ今回、研修医が指導医が来るのを待たずにそういう手技を始めてしまったということで、やはりその辺の指導が行き届かない部分があったというところです。システムとしてはきちんとそういう体制はとられております。

〇西銘純恵委員 こういう場合、研修医の個人的な責任といいますか、そういうものは問われたのですか。

〇與那覇博康県立病院課医療企画監 研修医は、あくまでもその研修課程においては、100%本人が責任をとれる状態ではないので、基本的には病院の指導医を含めた主治医など、病院のシステムや体制が問われる話になります。したがって、個人の責任を追及するようなものではありません。

〇西銘純恵委員 県立病院が研修医を入れて医療体制をとっているのであれば、やはり研修医教育というのはとても大事だと思います。命を落とす事故につながったということに関しては、そういう意味でも、ぜひそれを教訓にしていただくことを指摘しておきます。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 質疑なしと認めます。
 よって、乙第63号議案に対する質疑を終結いたします。
 休憩いたします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 次に、病院事業局関係の陳情平成29年第97号外5件の審査を行います。
 ただいまの陳情について、病院事業局長の説明を求めます。
 なお、継続の陳情については前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
 伊江朝次病院事業局長。

○伊江朝次病院事業局長 それでは、病院事業局に係る陳情案件について、処理方針を御説明いたします。
 お手元に配付してあります陳情案件処理方針の目次をごらんください。
 病院事業局に係る陳情案件は新規1件、継続5件の計6件となっております。
 初めに、継続の陳情5件中、処理方針に変更がある4件について、御説明いたします。
 3ページをごらんください。
 陳情平成29年第136号新沖縄県立八重山病院における高気圧酸素治療装置の設置に関する陳情の変更後の処理方針を記載してございます。
 陳情者は、八重山市町会会長石垣市長中山義隆です。
 変更箇所につきましては、4ページをごらんください。
 右の変更理由の欄をごらんください。
 県立八重山病院における高気圧酸素治療装置については、平成29年度予算で設置することとしたため、処理方針を変更するものです。変更後の処理方針を申し上げます。
 八重山圏域における高気圧酸素治療装置については、漁業関係者の安全な漁労やマリンレジャーなどの観光産業の下支えとなっていることから、八重山圏域の振興に必要不可欠な装置だと認識しております。病院事業局としては、既決予算を活用して設置を行い、診療を継続してまいります。
 次に、5ページをごらんください。
 陳情平成29年第137号新沖縄県立八重山病院における高気圧酸素治療装置の設置に関する陳情について、陳情者は八重山市町議会議長会会長知念辰憲であります。
 内容は、陳情平成29年第136号と同じになっておりますので、説明は省略させていただきます。
 次に、6ページをごらんください。
 陳情平成29年第138号新沖縄県立八重山病院における高気圧酸素治療装置の設置と減圧症等治療の継続実施に関する陳情について、陳情者は、八重山広域市町村圏事務組合理事長中山義隆であります。
 内容は、陳情平成29年第136号と同じになっておりますので、説明は省略させていただきます。
 次に、7ページをごらんください。
 陳情平成29年第139号新沖縄県立八重山病院における高気圧酸素治療装置の設置と減圧症等治療の継続実施に関する陳情について、陳情者は、八重山広域市町村圏事務組合議会議長仲嶺忠師であります。
 内容は、陳情平成29年第136号と同じになっておりますので、説明は省略させていただきます。
 以上が、処理方針の変更についての説明でございます。その他の継続の陳情につきましては、変更はございませんので、説明を省略させていただきます。
 続きまして、新規の陳情1件について、その処理方針を御説明いたします。
 8ページをごらんください。
 陳情第32号新県立八重山病院における敷地内薬局の誘致に反対する陳情について御説明いたします。
 陳情者は、一般社団法人沖縄県薬剤師会会長亀谷浩昌です。
 陳情の内容は、県立病院への敷地内薬局の誘致を行わないことを求めるものであります。これに対する処理方針を読み上げます。
 敷地内保険薬局の設置については、平成27年6月に閣議決定された規制改革実施計画を踏まえ、厚生労働省通知の一部が改正され、患者の利便性に配慮する観点から、規制の一部が緩和されたところであります。それを踏まえ、病院事業局としては、新県立八重山病院の敷地内保険薬局について、利用者の利便性に配慮する観点から、設置の必要性を検討し、地域の関係団体とも調整しながら、適切に対応してまいります。
 以上で、病院事業局に係る陳情の処理方針の説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いします。

○狩俣信子委員長 病院事業局長の説明は終わりました。
 これより、各陳情に対する質疑を行います。
質疑に当たっては、陳情番号を申し述べてから重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 新垣新委員。

○新垣新委員 陳情処理方針8ページの陳情第32号について質疑を行います。
 まず、県は法改正されたからという形で、薬局を敷地内でやりたいということで、これを進めていくという方向ですか。2点目に、これだけ県薬剤師会が反対している中で、薬剤師会とは向き合いましたか。3点目に、この敷地内に入る薬局は県内企業ですか。それとも県外企業ですか。それについてお聞かせください。

○金城聡病院事業統括監 沖縄県薬剤師会からの陳情については、本会議の中でも質問がありましたが、病院事業局としては、現在、検討している段階でありまして、設置の必要性も含めて検討する必要があると考えています。その際には、患者の利便性を高める観点というものを重要視して検討を進めたいと思っております。
 2点目の薬剤師会との意見交換や調整があったかというお話ですが、日付について定かではありませんが、薬剤師会会長が病院事業局長に直接お会いして、要請の背景や趣旨とかを説明する場がございました。その際にも、病院事業局長から、現在、病院事業局として検討しているという話をしているところであります。
 3点目について、事業者は県内か県外かというお話ですが、それは県内の事業者から問い合わせがありますし、県外の事業者からも問い合わせがあるということであります。

○新垣新委員 これだけ断固反対するという強いメッセージが書かれていて、県立病院の敷地内薬局の誘致を行わないでほしいという強い文書がある中で、石垣市長とも意見交換をしていますか。

○伊江朝次病院事業局長 私が把握しているところでは、八重山病院が石垣市と話し合いをしたということは聞いていません。また県薬剤師会がそういう話をしたかどうかということも確認をしておりませんが、そういう話も以前はあったようには承っております。しかし、それが全然進んでいなかったというのが現状ではないかと思います。

○新垣新委員 これについて、私が調査した限りでは寝耳に水だと。知らなかったということです。おまけに、平成27年6月に法改正ができたからくっつけましたみたいな話しか石垣市から聞こえないのです。その件については、いかがですか。

○伊江朝次病院事業局長 実は、八重山病院の敷地と、石垣市が予定している役所の敷地の間に道路ができるのですが、道路と八重山病院の敷地の間に空き地ができるという話があったのです。そのときに、地元の薬剤師会から、そこが借用できないかという話は聞きました。ですが、この件については、八重山病院の一部の角を隅切りしたという状況で、これが消えてしまったのです。ですから、その時点でこの話はなくなりました。

○新垣新委員 それを踏まえて、今、薬剤師会もこの場所がいいと調査している段階であるとお聞きしております。その件にも関連して、ぜひ税収―固定資産税や事業法人税をいただくという観点から、ぜひ薬局については敷地外にということを検討していただきたいのですが、その検討の余地はありますか。

○伊江朝次病院事業局長 敷地外に予定している県外の薬局があるというのは先刻お話ししましたが、八重山病院の周囲のいわゆる区画整理の対象になっているところは、石垣市がそこについて、いつまでにやるということが、まだ決まっていないものですから、全くその見通しが立たないという状況です。ですから、その辺は石垣市ともいろいろと意見交換をしなければいけないとは考えておりますが、私たちとしては、できるだけ不便を感じるような人がゼロになるように考えなければいけないですから、そういう観点も踏まえて、いろいろな選択肢を検討に入れているという状況です。

○新垣新委員 新県立八重山病院は、いつオープンしますか。

○伊江朝次病院事業局長 今のところ、6月に建築工事を完了して、その後いろいろな準備が行われまして、医療器の購入や設置をして、10月1日にオープンします。

○新垣新委員 ぜひ、この問題においては、三者会談をやってほしいのです。石垣市や県薬剤師会、病院事業局も入って、きちんと向き合って三者会談をしてほしいのです。なるべくは、県薬剤師会の気持ちに沿えるような形でお願いしたいのですが、三者会談を行う覚悟はありますか。

○伊江朝次病院事業局長 この点については、やはり地域の皆様の意見もしっかりと大事にしながらやらなければいけないと思っておりますので、これについては、ぜひやってくれと病院現場に対しても話をしています。

○新垣新委員 今、病院現場ではやっていると言われたのですが、今のところ、まだ、この三者会談は1回目も開かれていないという情報です。

○伊江朝次病院事業局長 これについては多分、新年度に入ってからになるかと思っております。これはぜひやらなければいけないものと考えております。

○新垣新委員 ぜひ、この三者会談の実現については、お互いに向き合ってしっかりと取り組んでいただくことをお願いします。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 今の敷地内薬局の誘致に反対する陳情について、県立病院の敷地内薬局の誘致を行わないでほしいということに対して、実際には誘致するということで、この件は進められているという理解でいいですか。

○伊江朝次病院事業局長 民間の会社が、八重山病院の南側に保険薬局を計画している状況です。そこまでは病院の正面玄関から250メートルの距離があるものですから、体の不自由な方や御高齢の方、あるいは足がない方々にとっては相当不便を感じるのではないかということで、今回、法改正があったので、病院現場ではそれについても検討しないといけないのではないかという状況に至ったという次第でございます。

○照屋守之委員 平等にできる分にはいいのですが、これは問題があります。これは民間がやる分についてはいいのですが、県立でこういうものをつくったらだめです。これはどう考えても―今、我々が病院に行ったときに、その敷地内ではなくて周辺にいろいろな薬局があって、どこから薬をもらうというのは選ぶ側がやるのですが、この敷地内に特定するということは絶対にやってはいけません。とにかく、今、県薬剤師会が言っているように、ここに薬局があれば基本的にそこに行くのだから、ほかには行きません。特定して、そういう1つの業者の、個人への利益誘導というと少し失礼な話かもしれませんが、もちろん利便性があっていろいろなことができますという話なのでしょうが、沖縄でそういうことをやるのであれば、まず民間のどこかがやった後で、いろいろな影響を見ながらということであって、県立病院が特定の業者に対して便宜を図るなんていうことをやってはいけない。だから、県薬剤師会が組織全体のことを考えていくと、これは、やはり厳しいですという形で、わざわざ誘致しないでくれという話でしょう。そう思いませんか。県立病院という部分での公の立場の重さ。こういうことが本当にここで起こったら、沖縄県の県立病院は全部そうなります。ある特定のそういう人がやる仕組みというものをつくるとなったら、全部そうなります。石垣市だけ特定してと、そういう状況にはなりません。事業をしたい方々は堂々と主張してきますから、これを断るすべはなくなります。だからここは責任を負い切れません。

○伊江朝次病院事業局長 今、実際に中部病院や南部医療センター・こども医療センターは、門前といいますか、病院の近くに民間の薬局がございます。現八重山病院も3つほど周囲に薬局があるのです。だから、患者さんはそこに行っているのです。しかし、新しくできる病院は、どうしても現状でできる保険薬局が遠すぎるという違いがあるのです。ですから、都会みたいに、自分が住んでいる地域に顔なじみのかかりつけ薬局になれるような条件がそろっているところであれば、そういう支障はないと思います。ただし、やはり地方や田舎に行くと、どうしても自宅の近くに薬局がないという状況があったりするので、そういったことを踏まえると、やはり一部の人にはかなり不便を感じている状況があるのかと。これをどうするのかということで起こった問題だと思うのです。ですから、全県立病院が同じような条件になるとは思いません。

○照屋守之委員 病院事業局長は、聞き捨てならないことを言いますね。いろいろな理由をつけるにしても、もしも、この敷地内にそういうことができる道を、扉を開くとなると、今のようなことがほかのところでも起こって、当たり前にいろいろな条件をつけてきて、薬局が敷地内にできるという道をつくろうとしているのです。こんなことが許されますか。もちろん目の前にあるから、でも敷地内には入っていない。こちらは一方的に不便を感じるから、この方々に配慮をしながら検討する、認める。こんな理屈で病院事業、公のことをやったらおかしいです。みんなが、薬剤師会も含めて、これはいいことですというのであればわかりますが、その当事者が懸念して、県議会に対してもおかしいですということを言っているにもかかわらず、利便性を考えてみてやりますなんて言うことは公の立場ではない。それでは、みんな認めることになるのですか。

○伊江朝次病院事業局長 やはり、それぞれの地域で違いがあるということが前提だと思うのです。現に、今、新八重山病院の周囲は、石垣市の区画整理事業が全くなされていないような状況で、普通にそういったものをつくろうと思ってもできない。どうもつくるのが限定された地域であるということなのです。ですから、こういうときに、本当に不便を感じる人たちをどうするのかということから始まっているのでありまして、全ての県立病院でやるという意識は全く入っていないと。本当に、ごく一部の困る人が、それでは誰がその面倒を見るのか。県薬剤師会がそれをきちんとやってくれるというのであれば、これはまた別の問題だと思います。

○照屋守之委員 組織があるのですから、県薬剤師会にやらせたらいいのです。今のような理屈になると、どんなところでも公のものが特定のものを敷地内に入れる可能性ができるわけです。利便性がどうのこうのと言って。ここにあるよりは病院の目の前に、敷地内にあったほうがより利便性があるという理屈を掲げて。私がそういう業者を連れていったら、皆さんはやらざるを得なくなるのです。あとは条件になるのでしょう。この条件闘争で、我々は、よりいい条件で借りますよ、家賃も幾らでもやりますとか、条件闘争の材料にもなるわけです。石垣市はこういうことだからいい。ほかのところはそうじゃないからだめだという理屈は通りません。それをやるのだったら、全部の県立病院でこれができるという仕組みをつくってください。

○伊江朝次病院事業局長 これは法の解釈であって、法的にはそうなると思います。しかし、全部の県立病院でそれが必要だとは思いませんし、私どももそれを南部医療センター・こども医療センターや中部病院の敷地内でやることを推進したいということは毛頭考えておりません。あくまでも特殊な地域の状況を踏まえた上での話だという前提です。

○照屋守之委員 それでは、この特殊な地域というものは誰が決めるのですか。敷地内にそういうことを置く、置かないというのはそれぞれの業者の利害に絡んでいくのです。身近に、目の前にあると、利害関係が発生して、敷地外にあるよりはいいという話です。もちろん患者さんにとっては便利になるという話だが、この特定の薬局が利益を得るということが起こるのです。だから、いろいろな条件をつけて、ここは公の場に対してより身近に入りたがるわけです。これは当たり前の話です。だから我々はそれをさせないように「いやいや、これは公の地域なので、特定のものはできません」という形で、これまでは、できたわけです。それを県みずからが、こういう仕組みをつくれば、それは特定の地域で、そういう条件に合うからできる、そうでないところはできないという理屈は通りません。そうであれば、我々はどうやって説明するのですか。

○金城聡病院事業統括監 今回の検討については、先ほど病院事業局長から説明がありましたように、当該地域は区画整理事業が施行されている状況にあって、その施行段階においては、薬局の新設ができないという事情があります。その事情のもとで、患者の利便性をどうやって確保していくかということです。現に、病院事業として病院の敷地として計画しているものは、全て用途が設定されているわけですが、患者の利便性を考慮して、用途の一部を臨時的に期限を定めて変更して、患者の利便性を高めることができないかという観点から、現在、考慮や検討を進めています。未来永劫にその敷地を薬局のためにとは考えていません。したがって、利益誘導であるとか、そういう観点からの検討はしていません。

○照屋守之委員 それは、当たり前の話です。皆さん方が言うのは、患者の利益になることでしょう。業者がその敷地内に入ってくるというのは、利益になるからやるわけです。公の立場は、患者がどうやって便利になるかということを考えること。これは当然の話です。だからといって、これだけいろいろな業者がたくさんいる中で、特定の業者がそこに張りつくというのはおかしな話です。もし、これをやろうとするならば、これを公募して、入札にかけるとかいう手法をとるべきです。

○金城聡病院事業統括監 仮に、敷地の一角を用途変更して、臨時的に薬局に供する場合には、行政財産の使用許可として1年単位で区切るか、貸し付けとして特定の目的を達成するまで―当方としては、周辺の土地区画整理が完了して、薬局が設置できるような状況になるまで、臨時的に貸し付けようということで、それについては、広く県民―全国でもいいのかと思いますが、広く公募して、公平な観点から業者選定をすべきであると考えています。

○照屋守之委員 今から業者選定をするのですか。公募するのですか。

○金城聡病院事業統括監 貸付制度を活用する場合には、一般公募すべきだという考え方を持っているということです。

○照屋守之委員 今は何を検討しているのですか。

○金城聡病院事業統括監 今は、貸し付けるべきかどうかの検討をしているということであります。

○照屋守之委員 貸し付けるかの検討ですね。それならば、やめたほうがいいです。こういう道はつくるべきではないです。これから検討するのであればやめてください。繰り返し言います。民間の医療法人が、自分たちの責任でやる分については、我々県議会議員は、これに対してとやかく言える筋合いではありません。それぞれの医療法人がその敷地内でやることだから。でも、今、我々は、沖縄県立病院のことを検討しているのです。公のものですから、公のものが、自分たちが望む業者をそこに入れる。ただし、ほかではできない。ほかの県立病院も全てそうするのかといったら、それはケース・バイ・ケースですと。こんな話はできません。これを県議会が「はい、わかりました、どうぞ。」ということにはなりませんからね。我々の意に沿わないものを、皆さん方がそれをやるとなると大変な責任問題になってきます。これは恐ろしいことです。わかっていますか。どんな業者でも、自分の利益になるような、特定の仕事があれば、そこに入りたいのです。でも、いろいろな制約があるから入れないのです。それを希望する者がたくさんいるから、そう簡単にはできないのです。やろうと思ってもできないのに、今のような形で。患者の、県民の利益になることだからといって、皆さん方がそういう道をつくろうなんて考えることすらおかしいと思います。公ですよ。これは個人の利益を追求していることになりませんか。検討だけならいいです。やめてください。

○金城聡病院事業統括監 御指摘については、よく理解しているところでありますが、患者の利便性を高めるために、どういう手法があるのかという観点から、あらゆる可能性を探っているところです。土地の使用許可やその対応であったり、周辺の土地区画を円滑に進められないかという調整をしたりという、あらゆる可能性を探りながら、最も合理的に妥当な結論を得るために、今、努力しているところであります。

○照屋守之委員 皆さん方は、こういう面で患者の利便性を考えるのではない。皆さん方は、県立病院として、よりよい医療体制を充実させるという、そこの部分について特化して考えてください。医師確保の問題や医療機器の問題であったりとか、そういうことを考えるのが皆さん方の仕事です。県立病院の周辺にいろいろな競争相手がいて、薬局が我先にとその中に入り込もうとする、そのような人たちのことを考えることは皆さん方の仕事ではありません。それを県民、市民の利便性がどうのこうのと言って、特定の人がそこへ入り込むということになれば、それは市民の利便性かもしれませんが、特定の業者の方も来るというような、そういうことも一体となってやってしまうわけです。ですからそういうことは、公のものとしてはだめですと言っているわけです。とにかく、今はそういう形で、やる方向で検討している雰囲気ですが、ぜひ改めてもらいたい。もしそれをやるのであれば、本当に沖縄県の全部の県立病院の敷地内にそういう仕組みをつくる覚悟があるのか。そういうものに伴う、その責任は誰が負うのか。我々は一回認めたら、業者にも全部「はい、県立病院はそうなりますから、どうぞ営業活動してください」という形になります。そうすると、今度は条件闘争になります。より近いところに病院があって、その敷地内であれば利便性がいいわけですから。皆さん方の理屈からするとそれは成り立ちます。我々も、皆さん方が一回、石垣市でやったら「それでは、ほかもどうぞ入ってください」という話になって、皆さん方が断るすべはありません。そうすると、今の病院事業の敷地内は、一方で患者の利便性と言いながら、それぞれの商売がうまくいくように、そういうものに利用されかねません。それだけは伝えておきます。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 これまでの答弁を聞くと、石垣市の区画整理が新病院の開院に間に合いそうにないという理解でいいですか。

○大城久尚県立病院課副参事 石垣市の区画整理につきましては、まだ調査の段階にも入っていないような状況です。したがって、いざ着手して、ある程度完成しないと恐らく薬局はできないだろうと考えています。早くても、恐らく平成33年度から平成34年度くらいになるのかと考えております。

○比嘉京子委員 現状として、一番近い薬局を想定するとすれば、どれくらいの距離になるのでしょうか。

○大城久尚県立病院課副参事 現在、建築中のものが西側にあります。大体、正面玄関から250メートルくらい離れているところにあります。

○比嘉京子委員 先ほどから議論があるところですが、病院の敷地内に薬局を置くということは、合法的であるという理解でいいですか。

○金城聡病院事業統括監 法の範囲内の措置だと思います。

○比嘉京子委員 我々が病院を利用するときに、道を隔てたところに行くというだけでも大変不便です。しかも風雨の中で、お年寄りを抱えて移動する。これは、各病院でも非常に不便だという気がしております。現状としては、いろいろな意見がある中で、暫定的といいますか、これは石垣市の区画整理ができていないために起こった事案だと思うのです。だからこそ最短の門前薬局ができないわけです。そういうことを念頭に置くと、私は病院の敷地内に薬局を置かざるを得ないと思うし、それに私は何ら異を唱えるものではないのかと思っています。このようなお話がある中で、これを一時的というか、ずっとなのかということはわかりませんが、患者の利便性という点からすると、その問題は理にかなっているのではないかと思っています。県は暫定的なものとして考えているのですか。

○真栄城守県立病院課長 設置の有無について、まだ結論は出ておりません。ただし、検討の段階しては、区画整理事業の周りの環境が整う状況を見ながら薬局の進出があるだろうということを想定しますと、仮に敷地内薬局を設置するとしても、これは期間限定という形になることが妥当であると考えている状況です。

○比嘉京子委員 これは我々の責任ではなく、石垣市の問題だと思うのです。その環境が整っていないから薬局がつくれない。そのことがありながら、それなら外につくれということになると、これは無理がある話なのです。やはり結論というのは、おのずと導かれてくるのではないかと思うのです。県立病院があえてそれを自分たちの考えでやるというよりも、むしろ周辺との兼ね合いでやらざるを得ないという、選択肢がそこにしかないということを踏まえて、我々委員も考えるべきではないかと思います。病院事業局長、この考えに対する答弁をいただけますか。

○伊江朝次病院事業局長 今、国の制度としては、医薬分業という形で進められています。私としては、新病院の敷地内に、本来別の組織を入れるということは不本意です。最寄りの最短距離のところに、いわゆる保険薬局ができてくれれば、それにこしたことはないと思うのです。しかし、今の状況では数年単位で一部の患者さんが不便を感じるのではないかという懸念があるものですから、これについては検討課題だと思っています。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 利用者の利便性を優先して、当面、病院敷地内に院内薬局をつくっていくということでよろしいのですか。

○伊江朝次病院事業局長 今、これについて決めているわけではございません。その可能性として―敷地内への設置が可能になったものですから、いろいろと地域の薬剤師会や関係市町村とも検討して、今後進めようかと考えています。

○西銘純恵委員 今、県薬剤師会が敷地内に誘致するなと陳情が出されています。県薬剤師会について、どのように見ていらっしゃいますか。薬剤師の県内での団体ということで受けとめていますが、その皆さんとは協力、協同しながらやっていく関係にあるのかと思うのですが、いかがですか。

○伊江朝次病院事業局長 先日、薬剤師会会長がお見えになった際に、県薬剤師会の現状等についても意見交換しました。いわゆる、かかりつけ薬局制度が今後どんどん進められていく中で十分そこまでいっているのかというと、やはりまだ足りない面があるということです。今後は、そういったことも踏まえながら、できる限り患者への利便性を含めた対応をしていくとおっしゃっていました。

○西銘純恵委員 当面は、病院敷地内でやらざるを得ないという結論が出たときに、そこで県薬剤師会、地元の薬剤師の皆さんがやるような話、やりとりは出なかったのですか。それでも敷地内への設置は反対ということだったのですか。

○伊江朝次病院事業局長 その時点で、薬剤師会会長は、まだ八重山の薬剤師会の皆さんとしっかりと意見交換をしていたという状況ではなかったものと考えております。ですから、そういったことも含めて、今、県薬剤師会がそれをできないような状況にあるということは地元から聞いておりますので、ぜひ県薬剤師会として、地域の薬剤師会をしっかりと支援していただきたいと。やはり、医薬分業ということを考えると、かかりつけ医師やかかりつけの薬剤師がいることが住民にとっていいことでしょうし、その辺は離島地域のような不便なところもありますから、県薬剤師会レベルで対応できるように考えていただきたいと申し上げました。

○西銘純恵委員 今後、関係団体とも話し合いをして、地元の皆さんときちんと連携をとって、その解決方法を見出していくという立場を処理方針で書いているので、ぜひそれを進めていただきたいと思うのですが。

○伊江朝次病院事業局長 やはり八重山病院は地域の中核病院でありますし、当然、地元の方々のためにやらなければいけない状況でございます。したがって、石垣市、竹富町、与那国町も含めた意見交換を行わなければならないと思っております。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 末松文信委員。

○末松文信委員 病院事業局長がおっしゃったように、医薬分業からすると不本意だというお話についてはまさにそうだと思います。区画整理事業との関係、いろいろな周辺整備との関係で周辺ではつくれないという状況があるということですが、そういった中で病院敷地内に薬局を設置したいということですが、この敷地内で設置を予定しているのはどこですか。運営はどこがやる予定ですか。

○伊江朝次病院事業局長 これについては、病院は全く関知しません。あくまでも敷地内に応募してくる業者へ提供するというだけのことでございます。病院の意見をそこの運営に反映させるのは違法です。そういうことは全くあり得ません。

○末松文信委員 そうであれば、地域の薬剤師会、あるいは県薬剤師会でも結構ですが、そこが責任を持って運営するということも可能なのですか。

○伊江朝次病院事業局長 可能でございます。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 平良昭一委員。

○平良昭一委員 引き続き、同様の質疑をいたします。10月1日に新八重山病院がオープンするということで、薬局は近いほうがいいというのは当然の話であります。我々、沖縄本島北部の住人からすると、診療が終わってから薬をとるまでの時間もかかるし、距離もあるし、お年寄りからすると非常に不便であるということは経験上よくわかります。しかし、今のような状況の中で、区画整理が行われていない、おくれている中で、薬局を建てることができないということが現状としてあるわけです。その中で、国の規制も緩和されて、その敷地内の一角を用途変更して、当面やりたいという意向はよく理解できます。ただし、一旦、既成事実をつくってしまうというのは、今後、区画整理がスムーズに進んで、めどがついて、それでは新しく地域に薬局を出してくださいということになると、またここで問題が起こってくると思うのです。そういう条件つきという形の中で、病院敷地内で薬局を営業してほしい。営業するのは自由ですから、公募入札という形をとるのは当然です。ただ、その条件の中で、停止条件つきというものが果たしてのめるようなものなのかということは疑問です。そういう観点で、この条件については、法律的にも十分認められるのかという要素の中で、県はそういう考え方を持っていらっしゃるのですか。

○金城聡病院事業統括監 先ほど答弁したとおり、仮に病院以外の第三者に利用権を認める場合には、使用許可と貸付制度があると。使用許可の場合には、1年単位で、行政処分という形で使用権を認めますので、そこには紛争は生じないのかと思います。一方の貸付制度は、建物の所有を目的とした借地契約になると思います。したがって、そこには借地法が適用される可能性があります。そこで、借地法の適用がされないような契約を締結する必要があると。例えば、堅固な建物でないような借地契約をするという前提での契約でなければ、今回の私たちの目的は達成できないというように思います。

○平良昭一委員 移動できないという条件をつけるのであれば、不動産ではなくて動産という扱い、例えばプレハブという感じになると思うのです。果たして、それで十分に機能するのかということについて、我々にはわかりませんが、ただそれを条件としてのめるような方々―いわゆる薬剤師会の方々もその辺は考えていると思うし、一般の方々でも今興味を持っている方は当然入れると思うし、そういう条件をのめるようなことが十分可能なのかということが疑問です。とにかく10月1日には、薬局がないと困るわけですから、その辺を踏まえて、その条件をつけても、薬局を開設してくれる方々がいらっしゃるのか疑問に思いますが、どうでしょうか。

○金城聡病院事業統括監 今の公募や設置の御質疑について、現時点で公募するとかという決定がない段階でお話しするのも何ですが、いろいろな可能性があるのかと思っております。薬剤師会が運営する薬局が3つほどあります。これは簡易な建物であったり、そうでないものがあったり。したがって、薬剤師会にもそれなりの運営についての経済的、財政的能力などは持ち合わせているのかと。それ以外の事業者においても、そのような可能性はあるものと思います。ただし、目的は患者の利便性を高める観点からの対応ですので、そういう観点からいろいろな条件については検討されるべきであると考えます。

○平良昭一委員 10月1日のオープンまでには薬局がないといけないことを前提にするのであれば、こういう条件的なものをつけてやらざるをえないと思います。ただし、近隣の区画整理の状況がどのように進んでいるのかというものがまだ理解できないのです。これは、当然石垣市が中心になって行うことです。この区画整理の状況については、皆さんのところでも十分把握できるようなものなのか。それとはまた別に、県庁内の別のところで調整していくような段階であるのか。そうであれば、この区画整理事業が早く終われば、薬局ができるというような状況をつくってくれるということも大前提としてあると思うのです。その辺の意向について、きちんと石垣市に伝わっているのでしょうか。

○大城久尚県立病院課副参事 区画整理事業は石垣市の施行になります。ただし、この区域は県有地と国有地が約90%を占めていまして、恐らく県の所轄課、国の所轄課といろいろな調整をしているかと思いますが、まだ事業の合意が達成されていない状況です。ですから、ある程度設計が固まって用途なども決めることになるのですが、それについてはまだ未定になっているのかと思います。

○平良昭一委員 本来ならば、病院事業局長の話では、一時期は道路が入るということで、そこに薬局ができるだろうという考え方があったからそういう状況に―これは変更になったからそうなっていますが、当然ながら病院ができるのであれば、その区画整理事業も同時に進めていくべきであったかと思うのです。その辺について、なぜおくれたのか理由はわかりませんが、臨時的なやり方であればそうせざるを得ないような状況であると思っています。ただ、既成事実をつくってしまって、今後の区画整理ができ上がった後に、またゼロベースからのスタートになっていくのか。それとも既成事実をつくった方々が優先的になるかということについては疑問があります。ここで、また住民の意向がどう反映されるかということについてはまだ未知数ですから、その辺を見ながら条件的なものをつけて、運営させるということをしっかりとしておかないと、後々、区画整理が完了したときに問題が起きるとなると、これは大問題です。その辺をうまくクリアできるような条件を整えながら、地元の薬剤師の方々、県薬剤師会の方々とも話し合っていくべきだと思います。今回の処理方針に関しては、これで仕方がないのかという状況が見えてくると思います。そういう面から、今後のことを踏まえながら対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○伊江朝次病院事業局長 私も病院敷地内に薬局を置くということは、本当にもしそれをやるのであれば、どうしてもやらざるを得ないような状況の中で行うのだろうと考えておりますし、それが周囲の環境がしっかりと整ってきたときに、そこにきちんと移行できるような形にするのが、一番ふさわしいものと考えております。その辺をしっかりと踏まえて、今後、これについて検討するのであれば、そうすべきであろうと考えます。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 亀濱信子委員。

○亀濱信子委員 当然、地域に住む患者さんの立場に沿ったあり方というものに、一生懸命向かっていると思います。先ほど、病院事業局長が薬剤師会会長と一度お話ししたことがあるとおっしゃっていたのですが、この陳情の中には、八重山の薬剤師会の状況というか、意見というか、それらは反映されていると捉えてよろしいですか。それとも実態は違っていると捉えていいのか、そこをはっきりとさせてください。

○伊江朝次病院事業局長 私の印象としては、反映されているとは思いません。地域の薬剤師さんとお話をしましたかと聞いたら、地域の方とはやっていないというお話でした。ですから、きちんとそれをやってくださいとお願いしました。

○亀濱信子委員 それを確認したかったのです。地域の実情がどうかということをしっかりと捉えてから、患者本位の方向性を示すべきだと思うので、この地域の意見を確認させていただきたかったのです。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、病院事業局関係の陳情に対する質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 休憩いたします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 次に、乙第47号議案沖縄県学校職員定数条例の一部を改正する条例について審査を行います。
 ただいまの議案について、教育長の説明を求めます。
 平敷昭人教育長。

○平敷昭人教育長 それでは、議案の概要について御説明申し上げます。
 お手元の文教厚生委員会議案に関する説明資料をごらんください。
 資料の1ページをお開きください。
 乙第47号議案沖縄県学校職員定数条例の一部を改正する条例について御説明申し上げます。
 本議案は、児童生徒数の増減等に伴い、平成30年度の学校職員定数を改める必要があることから、条例の改正を行うものであります。
 一番下の表をごらんください。
 市町村立小学校及び中学校を1万58人、県立中学校を42人、県立高等学校を4099人、県立特別支援学校を1895人の、合計1万6094人に改正するものであります。なお、施行期日は平成30年4月1日としております。
 以上が、概要説明でございます。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○狩俣信子委員長 教育長の説明は終わりました。
 これより、乙第47号議案に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 また、この際、執行部の皆様に申し上げます。
 答弁に際しては、要点をまとめ、要領よく行い、円滑な委員会運営が図られるよう御協力をお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 新垣新委員。

○新垣新委員 与野党を超えて一般質問でもやっていましたが、教員がこうやってふえて、特別支援学級も非常に手厚くなっている、反映されているということを評価いたします。一番聞きたいことは、今、教員をふやすことによって、小・中学校を30人以下学級にするという目標があると思います。県は、それについてやりたいと、代表質問や一般質問の中で前向きな答弁をよく耳にしていますが、今回、教員をふやすことによって、果たしてこれができますか。これは、小・中学校がある市町村が決めることですが、そういった支援もできるのかということをお聞きします。今回の議案で教員がふえますね。

○平敷昭人教育長 今回の定数条例の改正について小学校を例にして申しますと、小学校6年生に35人学級、つまり少人数学級を導入するということでありまして、あくまで30人以下というのは、実態としては出現することはありますが、仕組みとしては、とりあえず少人数学級、35人以下を目指しているということでございます。

○新垣新委員 今は30人以下ではなく35人以下という形ですが、30人以下でやったほうが教員が生徒の見渡しをきちんとできる。生徒一人一人が見えるという多くの専門家の意見もありますので、その取り組みをお願いしたいのです。さらに教員をふやしてもいいと思っています。そこら辺は財政との兼ね合い等もあることについては理解していますが、教育に投資しないから沖縄が経済的に自立できないという問題になっていると。失業率の高さや所得の低さとか。ですから教育に一番予算を投入するのは当然のことだと思っているのですが、いかがですか。

○平敷昭人教育長 教育による人材育成という意味で、必要な予算を投入するということは極めて重要なことだと認識しております。今回は、小学校1年生と2年生は30人以下学級。それから小学校3年生から6年生までは35人以下という形で、その成果を見ながら、今後のあり方というものは、さまざまな角度から検討されていくべきであると思います。とりあえずこの35人以下学級について、まずは小学校全学年で実現した上で、今後のあり方等については、指導方法が変わってくることもありますので、その辺も踏まえながら慎重に検討していく必要があると思います。

○新垣新委員 地域によって30人以下もあるし、35人でとどめているところもある。その対応はばらばらだと思いますが、ぜひ35人以下学級をやった後に、30人以下学級を実現していただきたい。これからは少子化の時代ですから、そういう形にもできるだろうと思っております。
 次に、県単定数―標準法対象外の定数の件で、私は沖縄水産高校専攻科卒業生です。海の担い手の問題で、専攻科実習助手、専攻科教員、漁業の担い手を育成するための先生方は確保できていますか。

○古堅圭一学校人事課長 県単定数が充足されているかとの御質疑ですが、県単定数のうち、教諭に係る定数は10名で、実習助手に係る定数は3名となっており、全て充足している状況であります。

○新垣新委員 私が言いたいことは、先生は確保できていますかということがポイントなのです。定年退職を迎えた先生方の補充とか。

○古堅圭一学校人事課長 確保できているのかというお話ですが、学校人事課ではあくまでも水産高校の教員として採用しておりますので、専攻科に配置をする枠とかいったものは設けておりません。全ての教員は、水産高校の共通の採用です。先ほど御説明したとおり、教諭10名、実習助手3名についても、全て確保できる見通しであります。

○新垣新委員 1つお願いしたいのですが、漁業・海洋技術コース、船長コース、無線通信コースの3つがありますが、これは特殊なのです。まずは先生方の人材育成をする必要があり、その枠も小さいと思っています。先生方が退職しても、また再雇用して教えることができると。これは特殊な資格がないと、子供たちの人材育成、海の担い手が育成できないのです。そういった問題はどうなっていますか。まずは先生方を育てるということが大事なのです。以前にも同じことを質疑しているのです。その件に向けた取り組みはどうなっていますか。

○古堅圭一学校人事課長 教員の育成計画に関する御質疑ですが、島嶼県である本県の水産教育の重要性については十分認識しております。ただし、特に実習船に関係する乗組員の方々などについては、年齢層が非常に高い状況になっております。その方々の欠員を補充するという形で、新規採用を行っておりますが、当然免許保有者を中心に採用しております。これについては、計画的な採用を通じて、実習船の業務に必要な知識や経験等について、しっかりと引き継ぎができるような研修体制も含めて、今後、取り組んでいきたいと考えております。

○新垣新委員 ぜひ、これは第三者機関や予算、また調査員もつけていただきたい。宮古水産が統廃合されていつの間にかなくなって、沖縄の水産業は相当衰退したのです。水産業だけ15年前から担い手不足と言われているのです。農家よりも早く担い手不足と言われて、先生たちも育てないといけない。子供たちも育てないといけない。そういう課題が、本土と違って沖縄県は後手に回っているのです。本土は取り組みが早いです。例えば、無線でも、モールスができる、これは1級通信士というのですが、そういう資格がある先生方もきちんと現場に入れて育てています。水産業は特殊なものですから、人材育成もぜひお願いします。
 もう一つ伺います。水産高校の生徒たちが、実習船でインド洋に行きますね。今、その期間は何カ月くらいになっていますか。

○半嶺満県立学校教育課長 遠洋漁業につきましては、40日から43日という期間で実習に出ております。

○新垣新委員 この実習船において、先生方や生徒の疲労とかもあると思うのですが、今、実習船の人員は何名ですか。

○半嶺満県立学校教育課長 航海の際の船員についてですが、船員が20名、指導教官が2名ということで、合計22名です。現在の実習船についてはこの体制で運航している状況でございます。

○新垣新委員 生徒が初めて40日以上のインド洋に行ったときの話を聞きました。今でも初めての生徒は緊張して、海を見て軽い鬱の状態―ノイローゼになる生徒もいると。そういうことなので、実習船の先生をふやしてほしいという意見を持っています。初めて行く生徒は、非常に不安な子が多いのです。波が荒れたり、毎日、海ばかりだから狂いそうだという意見もお聞きしてます。今、指導教官が2名とお聞きしましたが、私のときは船が大きかったものですから、二十数年前には4名の先生がいたと記憶しています。ですから、最低でも4名はつけていただいて、生徒をしっかりと見てほしいという考えです。万が一にも事件や事故があった場合、たしか過去に事件があったと思うのです。したがって、私は4名くらいつけるべきだと思っています。教育長の見解を求めます。

○古堅圭一学校人事課長 定数にも全体の枠があります。したがって、今、御指摘があった点も含めて、引き続き検討していきたいと思います。また、学校側とよく意見交換をしながら、十分に進めていきたいと考えております。

○新垣新委員 学校が喜ぶと思いますから、やはり生徒を見るということにも、万が一にもということがあります、ぜひ進めていただきたいとお願いします。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 市町村立の小・中学校で292人ふえるということですね。学級数の増ということで説明されていましたが、小学校6年生の少人数学級の拡大によるクラス数、教師数、それと残りの何学級が、それ以外の理由でふえるということになるのですか。

○古堅圭一学校人事課長 平成30年度は、小学校6年生において少人数学級を実施する予定です。これによって、おおむね50名程度の教員を増員する予定であります。それ以外の242名は、それ以外の要因による教員の増であります。

○西銘純恵委員 学級数がそのまま242学級ということではないと思うのです。担任は何名で、それ以外の教師はどのような教諭になるのですか。

○平敷昭人教育長 確定値は新年度に入ってからになります。まず少人数学級は、小学校6年でおおむね50学級で、これは担任がふえるわけです。そのほかに、特別支援学級の拡充があって、これは見込みですが137名となっていますが、大体140名前後になります。そのほかに、学級数の増に伴って発生する教員や事務職員の部分が標準法上はふえてまいりますので、そういうものを見込んで、おおむね290名余りの数を見込んでいるということです。新年度になって生徒の数が確定すれば、実際の数も確定してくるということになります。

○西銘純恵委員 普通の小・中学校における特別支援学級の設置というのは、本当に普通の学校で学びたいという子供たちが、一緒にやるということでは前進している面だと思います。全県で140学級といえば、1年間でそれだけの数として見れば結構ふえていると思うのです。これについては、今後の推移といいますか、伸びる状況にあるのではないかと思います。どのような見通しをお持ちですか。

○平敷昭人教育長 特別支援学級が増加している要因については、まず学級の設置要件の下限を撤廃したということがございます。それに加えて、特別支援教育についての周知や御理解をいただくように啓発に努めておりますが、その理解が進んだことによりまして、対象となる児童生徒が特別支援学級に通う環境が整備されたということも大きな要因になっているのではないかと考えています。

○西銘純恵委員 1ページ4番の中で、県立特別支援学校で47人の増ということですが、幼児・児童生徒数の増による、クラス増ということだと思います。その内訳は答えられますか。幼児といえば、それが何クラスふえたとかいうことになると思うのですが、いかがですか。高校はどうですか。

○古堅圭一学校人事課長 特別支援学校における小学部、中学部などの区分けにつきましては、特にカウントしておりません。

○西銘純恵委員 学級数がふえるということがあって、それにプラスして47名になるということだと思いますが、例えば、医療的ケアを必要とする生徒については、小・中学校はどちらが看護師を配置するのか。高校については、県がやるのかと思うのですが、この職種の中に看護師は入っているのでしょうか。

○半嶺満県立学校教育課長 県立学校における医療的ケアに係る看護師につきましては、県立学校教育課で配置しております。

○西銘純恵委員 何名の予定ですか。その生徒は何名ですか。

○半嶺満県立学校教育課長 申しわけございません。これについては、定数の中には入っておりません。この看護師については、別で配置しているところでございます。

○西銘純恵委員 何名でしょうか。

○半嶺満県立学校教育課長 平成29年度の配置人員は、27名配置しているところでございます。平成29年度の医療的ケアの生徒は、5月1日現在で77名でございます。そして、平成30年度に向けて、現在、調整中ですが、把握している生徒数は90名であります。こちらも調整中でございますが、看護師は30名の配置を予定しております。

○西銘純恵委員 定数に入っていない、今の教育を受けるという現場で、生徒が90名にふえても看護師の配置が30名となると、明らかに看護体制は弱いのではないかと思うのです。その辺について、現場からの声として、多分配置については、まだ不十分ではないかと思うのですが、それについてどのように考えていますか。拡充する考えがあるのかをお尋ねします。

○半嶺満県立学校教育課長 先ほど申し上げました、平成29年度は27名で、平成30年度は30名を予定としており、3名の増となります。生徒の実態をしっかりと把握しながら、現在まだ調整中でありますので、必要に応じて看護師の配置を検討しているところであります。

○西銘純恵委員 定数に看護師は入っていないということで、この予算的なものは県が負担するという形になってくるのかと思います。この看護師の配置をするときに、国からの予算というものはどのようになっていますか。

○半嶺満県立学校教育課長 国から3分の1の補助をいただいて、その配置をしているところです。

○西銘純恵委員 3分の2は県が持っているということですので、財政的な面が大きく関連すると思います。
 平成30年度は、定数補助の教師が334人ふえるということで、これについては学級数との関係でふえると答弁されたのですが、特別支援学級が140学級もふえるということであれば、担任がそれだけふえても―例えば、1つの学校でそういう学級が複数になってきた場合、担任だけふえても学校運営が成り立つのか。本当は、一定のプラスアルファとなる担任以外の教師が必要ではないのかと思うのです。今の文部科学省―文科省の定数に係る法律でそういう枠というもの。別の教師の配置というものはあるのでしょうか。

○平敷昭人教育長 標準法では学級数の増に伴って、教員の数も一定程度、率として加算されることになっております。先ほど申し上げたように、事務職員も一定程度その分は考慮されるようになっています。あとはそのソースを学校の実情に応じて、具体的にどのように配置していくのかという形になると思います。単純にクラスの増プラス、若干のプラスアルファというものは、標準法で考慮されているようでございます。

○西銘純恵委員 今、考慮されていると言いましたが、1クラス40名という文科省の学級の数え方です。そうであれば、実態の生徒数、クラス数からすれば、おぼつかないのではないのかという観点から、予算の関係でお尋ねします。先生がふえると、そのうち3分の2を県が持ち、国が3分の1を持つと言いましたが、新年度の県の持ち出しの増加分といいますか―それとも、すぐ答弁できなければ、教員の給与費がどれだけになったのか。前年度と今年度を比較すると、どれだけ県の負担がふえたのか答えてください。

○識名敦総務課長 小・中学校、高等学校、それから特別支援学校の全部を含めた給与を県で負担しております。平成30年度の予算額が、1313億6000万1000円です。これは、前年度に比べて42億8274万3000円の増となっております。

○西銘純恵委員 国の負担は700億円くらいでいいのですか。3分の2が県と言っているので、大体700億円程度でしょうか。

○識名敦総務課長 いろいろと計算があると思うので、単純に割る、3掛ける2ということではないと思いますが、おおむねそんな考え方でよろしいのかと思います。県立学校、高校は国庫負担がございませんので、地方交付税で措置されています。それからすると単純に3分の2ということではないということです。

○西銘純恵委員 交付税は色がついていないので見えませんから、余りそこにきちんと来ているのかということ、ふやしている分がきちんと充てられているのかというところに、「はい」というわけにはいかないです。42億円を、前年度より教育予算、給与費にふやしているという県の努力は、本当に頑張っていると思います。
 先ほど、質疑がありました少人数学級を国の制度にするということについて、県議会で意見書を出せるのではないかと思いましたので、これは、後で相談したいと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 亀濱玲子委員。

○亀濱玲子委員 特別支援学校の人数をかなりふやしてくださっているのですが、対象となる児童数が、平成29年が77人、平成30年は90人と、かなりふえているのに、定数に入っていない看護師が3名しかふえていないということが、少し気になるので、重ねて質疑させていただきます。例えば、要項の中でうたわれているが、必要に応じて、90名にふえるこのような子供たちの状況によっては、途中から嘱託の配置などが、必要となれば充足していくというような対応が可能であるということで理解してよろしいですか。

○半嶺満県立学校教育課長 年度途中でありましても、その生徒の実態に応じて、増員等を検討することは可能でございます。

○亀濱玲子委員 安心して子供を登校させたいと思う親御さんにとっては、医療が受けられる体制が整っているということが、一番安心する材料だと思うので、これはしっかりと年度途中でも対応していただきたいと思います。
 同じように、市町村立の小・中学校の学級増による増がありますが、例えば障害を持っている子供さんが普通学級を希望するということによって、平成30年度に職員がふえたというものは、この定数の中に入っていたりするのですか。そういう状況は、新しい年度ではどうですか。

○古堅圭一学校人事課長 御指摘の点につきましては、総数の中には含まれておりません。

○平敷昭人教育長 特別支援学級に入らず、通常学級で教育を受けたいという生徒さんもいらっしゃると思います。生徒さんの個々の状況に応じて、それは通常学級だけの場合もありますし、障害の一部分について、通級という形でやる場合もございます。その児童生徒の状況によって、市町村では支援員という形で配置をすることもありますが、これは定数とは別の世界であります。

○亀濱玲子委員 定数にプラスして、年度の途中でも、その状況によって支援員をふやすという形であると理解していいですか。

○平敷昭人教育長 それにつきましては、学校において、児童生徒の状況を踏まえて支援員の配置とか、その辺を検討していく形になるのかと思っています。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 質疑なしと認めます。
 よって、乙第47号議案に対する質疑を終結いたします。
 次に、乙第62号議案損害賠償請求事件の和解等についての審査を行います。
 ただいまの議案について、教育長の説明を求めます。
 平敷昭人教育長。

○平敷昭人教育長 それでは、資料の3ページをお開きください。
 乙第62号議案損害賠償請求事件の和解等について、御説明申し上げます。
 議案の概要の1をごらんください。
 本議案は、コザ高校野球部の練習中に発生した負傷事故に関する損害賠償請求事件について、6の和解条項(案)にありますように和解をし、及び損害賠償の額を定めることについて、地方自治法第96条第1項の規定により議会の議決を求めるものであります。
 以上が、概要説明でございます。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 教育長の説明は終わりました。
 これより、乙第62号議案に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。

○狩俣信子委員長 質疑なしと認めます。
 よって、乙第62号議案に対する質疑を終結いたします。
 休憩いたします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 次に、教育委員会関係の陳情平成28年第51号外19件の審査を行います。
 ただいまの陳情について、教育長の説明を求めます。
 なお、継続の陳情については、前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
 平敷昭人教育長。

○平敷昭人教育長 教育委員会所管に係る陳情の処理方針について、御説明申し上げます。
 お手元の陳情に関する説明資料をごらんください。
 表紙をめくって目次をごらんください。
 審議対象の陳情は、継続17件、新規3件の合計20件でございます。
 初めに、継続審査となっております陳情17件のうち、処理方針の変更を行う陳情1件について御説明いたします。
 説明資料の8ページをお開きください。
 陳情平成29年第67号「労働安全衛生委員会」の設置を進め、学校労働環境の改善を求める陳情に係る処理方針について、次のとおり変更するものであります。下線部分は、追加した箇所でございます。
 記の1についてですが、県教育委員会では、県立学校に対し、平成28年10月に出退勤時間の適正な管理について通知し、各学校において適正な管理を行うよう周知するとともに、長時間勤務者の数や理由の報告を義務づける等、超過勤務の実態の把握に努めているところであります。今後、全ての県立学校に勤務管理システムを導入し、勤務実態がより適正に把握できるよう取り組んでまいります。また、市町村教育委員会に対しては、これまでも周知を図っておりますが、引き続き学校の労働環境の改善に向けて指導・助言してまいります。
 続きまして、新規陳情について、御説明いたします。
 21ページをお開きください。
 陳情第1号小中学校における臨時的任用職員の産前・産後休暇に関する陳情に係る処理方針について、御説明いたします。
 記の1についてですが、臨時的任用職員(県費負担教職員)に対する休暇制度の適用関係については、任用の際に交付される労働条件通知書において、沖縄県職員の勤務時間、休日及び休暇等に関する条例(昭和47年沖縄県条例第43号)の定めるところによると記載しており、臨時的任用職員(県費負担教職員)も、同条例の規定に基づき、産前休暇及び産後休暇を取得することができることとなっております。県教育委員会としては、引き続き、産前休暇及び産後休暇を含む休暇制度の内容について、周知に努めてまいります。
 22ページをお開きください。
 陳情第16号障害児童生徒の通常学校、保育園の受け入れに関する陳情に係る処理方針について、御説明いたします。
 記の1及び4についてですが、高等学校では、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的としていることから、現行の入学者選抜制度では公正かつ妥当な方法で、各高等学校、各学科等の教育を受けるに足る能力と適性等を備えた者を選抜しております。現在、県立高等学校においては、インクルーシブ教育システムの理念に基づき、高等学校の教育課程を履修できる能力、適性を有する障害のある生徒も受け入れ、特別支援教育支援員を配置する等、学習を支援しております。重度知的障害のある生徒については、特別支援学校において、将来の自立や社会参加に向け、生徒の障害の特性に応じたきめ細かな支援により教育を受けることが適切であると考えております。
 次に、記の2についてですが、市町村立学校等の特別支援教育支援員については、国から市町村に対して財政措置がなされており、市町村教育委員会において配置されております。また、幼稚園、小・中学校に在籍する医療的ケアが必要な児童生徒に対する看護師については、国の制度の活用や、市町村独自で配置しているところもあります。県教育委員会としては、看護師配置について国の制度の活用を促すなど、市町村教育委員会と連携を図ってまいります。
 24ページをお開きください。
 陳情第34号夜間中学校に対する支援事業継続に関する陳情に係る処理方針について、御説明いたします。
 記の1から3までについてですが、戦中・戦後の混乱期に義務教育を十分に受けることができなかった方で、中学校課程修了を希望する方に対して学習支援を行うことと、その希望者を広報等を通して募集するという目的で、平成23年度に戦中・戦後の混乱期における義務教育未修了者支援事業を開始しました。
 平成23年度から平成24年度にかけては、県内各所において説明会や広報活動を行い、あわせて学習支援希望のアンケート調査等を行いました。その結果、昭和7年から昭和16年生まれの方々41人が支援を希望し、その学習支援を3年間行うということで、平成23年度から平成25年度までの事業としてスタートしました。県教育委員会としては、毎年、すぐれた提案のあった珊瑚舎スコーレを含む3事業所に委託し、平成29年度まで延べ120人に対して支援を行ってきたところであります。当該事業については、これまで事業所と意見交換を行い、平成27年度までに入学した生徒を対象とし、その生徒が卒業する平成29年度をもって事業を終了することを継続して説明してきたところであります。したがって、珊瑚舎スコーレ等の平成28年度以降に入学した生徒に対しては、財政的な支援は行ってこなかったところです。これまで支援対象者については、公立中学校を在籍校として定め、各事業所にて一定の教育課程を修了した後に、卒業に相当する証書を在籍校校長から受けられるような特例措置を設けております。さらに、県立泊高等学校定時制課程及び通信制に受験することも可能となっております。本事業終了後も継続して卒業に相当する証書が授与できるよう、制度的な支援を維持していくことを予定しております。県教育委員会では、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の趣旨を踏まえながら、平成29年8月に立ち上げた公立中学校夜間学級等設置検討委員会で、夜間中学のあり方について研究しているところであり、戦中・戦後の混乱期における義務教育未修了者への支援についても、その中で検討してまいります。
 以上で、陳情の処理方針の説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○狩俣信子委員長 教育長の説明は終わりました。
 これより、各陳情に対する質疑を行います。
 質疑に当たっては、陳情番号を申し述べてから重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 新垣新委員。

○新垣新委員 陳情第34号夜間中学校に対する支援事業継続に関する陳情で、戦中・戦後で非常に苦労されながら沖縄県を築いてきた、学問が行き届かなかったので今やりたいという問題に関して、当然、県が支援事業を継続すべきだとお願いしたいのです。今、平成28年度以降に入学した生徒に対しては財政的な支援は行っていないと答弁されました。ぜひこれだけ世論が―戦争がなければきちんと中学校も出られたのですから、そういった形で進めていただけないかというのが1点目です。これについては、正直に言って必要な予算だと思っているのです。ワシントン事務所に関連する予算よりも、ここに充てることが重要ではないかという思いなのです。ですから、しっかりと大事なものを守ってほしいのです。いかがですか。ワシントン事務所よりもここです。何も成果がないのだから。

○當間正和義務教育課長 珊瑚舎スコーレ等への来年度以降の在籍予定の生徒―現在の1年生、2年生に対しては、平成28年度、平成29年度についても財政的な支援は行っておりません。支援対象者については、これまで公立中学校を在籍校として定め、各事業所にて一定の教育課程を修了した後に、卒業に相当する証書を在籍校校長から受けられるような特例措置を今後も続けていくということ。さらに、県立泊高等学校定時制課程及び通信制課程を受験することも可能になるという制度を継続していきたいと考えております。

○新垣新委員 お役人の考え方をやめてほしいのです。あの時代には、友達もいなかったのです。ここで、友達もできて一緒に学べるということが、いかに心の道徳になって、これからの子供たちに伝えて、社会的な輪という、平和というものも伝えてくれているのです。貢献しているのです。また、沖縄県だけで、唯一地上戦があって、戦争がなければこういった問題は起こらないのです。だから、沖縄県はしっかりとやってほしい。ワシントン事務所の予算は毎年8000万円になります。ところが何も成果がない。成果がないものではなく、こういう大事なところに予算はつけるべきだと思うのです。県民世論はここです。無駄な成果のないところにはやるなと。こういう大事なものからつけなさいと。しっかりとこれについて検討していただけませんか。見解を求めます。

○平敷昭人教育長 戦中・戦後の義務教育未修了者の支援事業につきましては、先ほど処理方針で申し上げたとおり、平成27年度までに入学した生徒について支援を行っており、その後は確かに支援を行っておりませんでした。珊瑚舎スコーレとも意見交換をしていく中で、この事業を終了することについては、一定の理解を得られているものと理解しておりました。ただ、意見交換の中で、今後、戦中・戦後も含めてそのほかの義務教育未修了者とか、法律の趣旨に沿った対応について支援をしっかりとなすべきであるというのが、先方の意見でもあるように考えております。ただし、今、議論になっておりますのは、検討委員会というものが、その中で学識経験者等も含めて、そのあり方を検討しているところでございます。問題は、その結論が出るまでの間のつなぎがどうなっているかということかと思っております。これについての全体的な、抜本的なやり方は、検討委員会の結論を踏まえるべきだと考えております。ただ、この途中のつなぎというものについては、珊瑚舎スコーレ側と、引き続き意見交換をやってまいりたいと。今、当初予算にはそれは組まれておりませんので、それについては、今後、意見交換をしながらどのような対応があり得るのかということを議論してみたいと考えております。

○新垣新委員 検討委員会のメンバーはどういう方々ですか。何名いるのですか。また、これまで何回議論されていますか。

○當間正和義務教育課長 公立中学校夜間学級等設置検討委員会の委員は、まず有識者として大学教員が2人、高校の定時制課程管理職が1人、市町村の教育委員会を代表して2人、県の中学校長を代表して1人、県教育委員会から1人ということで、合計7名となっております。また、会議につきましては、年3回実施し、検討委員会の報告書という形でまとめているところでございます。

○新垣新委員 この検討委員会に任せているから、今、財政的、支援的なものについては触れることができないと。それでは、検討委員会がオーケーと言えば、財政的な支援、この事業への支援をもう一度やり直すということで理解してもいいですか。

○平敷昭人教育長 現在、次年度を含めた実際の対象者とか、その就学の意向とか、その辺の状況も踏まえたいと。あとは設置主体などもどのようにやるべきかとか、さまざまな課題を整理しながら検討委員会でまとめていただくことになろうかと思います。その対象者というのは、戦中・戦後の対象者だけではなく、法律の含めるところになると、もっと広い対象者になります。それを踏まえてどうするのかという話ですので、検討の結果を待ちたいと思います。検討結果で、いろいろな課題等も整理していく必要があろうと思いますので、具体的にどういう形になるかわかりませんが、その検討結果については、一定の尊重はしないといけないのかと思います。ただ、今、議論になっているのは、その結論が出るまでの間についてどうするのかという議論ではないかと考えております。

○新垣新委員 答弁を聞いていて、戦中・戦後の方々を対象にして始まった事業であると理解しています。それ以外の、現代に近い方々も交えてやることについて、私はぜひやるべきだと思っています。学校に行けなかった子供たちも、このお年寄り方に触れて、社会人になって大きく成長していくということも大事です。道徳観というものを一番に考えてほしいのです。これが1点目です。
 2点目に、私はこの検討委員会は―多少きつい言い方をしますが、珊瑚舎スコーレをなくすための検討委員会ではないのかと。大事なものには予算をつけるべきです。これは続けていくべきです。無駄なワシントン事務所よりもここが一番大事です。教育委員会はきちんと思いやりを持ってほしいのです。これは、検討委員会の結果を見てからというよりも教育委員会主導でやってほしいのです。それについては、いかがですか。珊瑚舎スコーレをなくすために、検討委員会をつくったのかということについても答えてください。

○平敷昭人教育長 まず、最初の質疑の道徳観という御質疑について―お答えになるのかわかりませんが、夜間中学校については珊瑚舎スコーレで、戦中・戦後の義務教育を受けられなかった方々と、若い方々が一緒に学ぶという意味で、心の教育とかいう部分があるのではないかということは、確かに珊瑚舎スコーレで取り組まれている内容については、そういう効果もあるのではないかと思っております。
 珊瑚舎スコーレをなくすための検討委員会ではないかという御質疑については、今、検討委員会で議論されて取りまとめている課題、今年度の課題整理の中で、まずは設置のニーズがあるのかというものを整理をしながら、あとは夜間中学校の対象者についても、義務教育未修了者や不登校等による形式的な卒業者に加えて、外国籍の方々などの、受け入れの課題についても検討しているところでございます。設置主体に関しましては、市町村立であるとか、県立に加えていわゆる自主夜間中学―珊瑚舎スコーレのような民間のものでありますとか、各市町村で設置する無料塾というのもありますが、そのような方面の支援等も含めて検討しているところであります。今、どのような方法がいいのかということを広く検討しているところであります。

○新垣新委員 今、戦中・戦後の方々と若い子が入った、交わっているという問題についてはっきりと言います。今、不登校になった、いじめに遭った方々の心のケアを行い自立していくという、この珊瑚舎スコーレを高く評価をしているのです。ここには成果があるのです。そこをぜひ評価し、理解してほしいのです。この検討委員会の検討を見守るという立場もわかるのですが、この検討委員会はやらなければよかったのです。こういった物事は、県独自でやっておけばよかったのです。何もかも検討委員会に責任を負わせるようなやり方だから。検討を再度できるようにお願いします。
 狩俣委員長、珊瑚舎スコーレ理事長の星野さんを参考人としてお招きすることについて御検討をお願いします。

○狩俣信子委員長 休憩いたします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 陳情第34号に係る夜間中学に対する支援事業について質疑します。これについては、ここにも書いてあるとおり平成16年からスタートして、平成23年度に沖縄県教育委員会支援事業から補助金が支給されていると。これは県議会の理解を得ているということでやってきているわけです。これは、恐らくずっと補助し続けていても、ある一定期間でこの対象者はいなくなってしまうと思います。本来は金額的なことも含めてですが、こういう形で学んできたという、それを支援してきたということもありますから、そこは継続的にやっていったほうがいいのではないかという思いがします。もう一度どうですか。金額的には今どれくらい補助しているのかも含めて、今後の推移もある程度推測できるのだろうと思います。その辺も含めて御説明お願いできますか。

○當間正和義務教育課長 平成23年度から、戦中・戦後の混乱期における義務教育未修了者支援事業が始まっておりまして、平成23年度と平成24年度は予算が異なります。平成24年度からは一括交付金を活用した事業となっているということで、その推移について申し上げます。平成24年度につきましては、珊瑚舎スコーレ、エンカレッジの2事業者に委託をしまして、在籍者としては20名でした。平成25年度からは糸満市の三和人材育成会が追加され、3事業所に対して32名への支援を行っております。平成26年度は、3事業所の28名に対して支援しました。平成27年度は、3事業者の29名です。平成28年度からは、三和人材育成会については全員卒業されまして、珊瑚舎スコーレとエンカレッジに対する9名の方に支援をしております。平成29年度は珊瑚舎スコーレ3年生の2名ということになっております。
 珊瑚舎スコーレの内訳を見ると、平成24年度が14名、平成25年度が16名、平成26年度が12名、平成27年度が13名、平成28年度が6名、平成29年度は2名となっております。予算について実績額で見ると、平成23年度が672万5000円、平成25年度が710万7000円、平成26年度が755万4000円、平成27年度が697万6000円、平成28年度が618万4000円です。平成29年度は契約額ですが395万2000円となっております。

○照屋守之委員 人数がだんだんと減っているわけですね。ですから、県や県議会も、一括交付金を活用してそういうことができるということであれば、そこは珊瑚舎スコーレの在籍者数も、だんだんと減ってきていますから、逆にふえるということはあり得ないと思うのです。ですから、私はしっかりと継続してやるべきだと思っているのです。先ほど、検討委員会というような説明がありましたが、逆に、これは教育委員会―県の意思がどこに向いているのか。そのまま継続したいのか、やめたいのかということによって、この検討委員会の内容は変わってくるのです。第三者委員会というものがあって、知事は自分の公約を実現するためのものだと、去る本会議で言っていましたが、まさに県がどう考えるかによって、この検討委員会で検討される。それによって、皆様方が対応するということですが、そういうやり方ではなくて、県は継続していきたい。これだけの予算額だから、何とかやりくりをすればできるというようにしていかないと。平成23年度からしっかりと支援していて、平成30年度はもう支援しなくなるということになれば、平成23年度の県政を担っていたのは誰ですか、稲嶺知事ですか、仲井眞知事ですか。その県政においてできていたものが、翁長県政になったらできなくなるということは、政治的なものとしては非常に大きいですよ。そうは思いませんか。だから、金額的なものや一括交付金の活用も含めて、これだけありがたい制度ができて、お困りになっている方々を支援できるということであれば、やはり県政としても支援する方が存続する間はしっかりとやっていく。これが、べらぼうに30名、50名、100名と、ふえ続けていくということはあり得ません。自然に少なくなっていくのだから。そうすると、これまで珊瑚舎スコーレで学んできた方々は補助が受けられて、これから学ぶ方々は補助が受けられない。彼らの側から見ると、なぜ前はできたのに、今はできないのという不公平感も出てくるのではないですか。これは復活させるべきではないですか。

○平敷昭人教育長 珊瑚舎スコーレとの関係―珊瑚舎スコーレだけではなく、ほかの事業者にも、平成27年の12月に、前教育長のころに通知文書を出しているのですが、この事業は二度にわたって延長いたしました。本事業の終了について、前教育長名で平成29年度をもって事業を終了しますという形で通知させていただきました。意見交換をしている中で、この事業の終了については特に―年次進行で、平成27年度までの対象者に支援をして、平成28年度入学者からは支援を行ってこなかったわけですが、これについては、意見交換の中でも特段の意見はございませんでした。このため一定の理解をしていただいたのかと思っておりました。ただ、これにかわる全体的な―戦中・戦後だけではない、幅広い義務教育未修了者のための夜間中学の展開について、先方からもそういう意向がございました。そういうことも含めて、それについては検討委員会の中で議論していって、そのあり方や方向性を出そうと。もちろん検討委員会の意見は尊重しますが、最終的にはやはり県が方向性は決めないといけないものであると考えております。そういうことで、検討委員会の中での調査も踏まえ、議論しながら、そのあり方や方向性を進めるべきですが、戦中・戦後の部分に限って、順次支援がフェードアウトしてきたというのは事実でございますが、これについて今後のあり方が確定する。今後の全体的な方向性が見出すまでの間、フェードアウトしてきたものをどうするのかということについて、珊瑚舎スコーレとも意見交換をしてみたいと考えているところでございます。

○照屋守之委員 もう補助を終了するという意思決定をし、その通知をして、県議会に対してこのような陳情も含めて問題提起をされているから、どのような方法があるのか意見交換をするという話でしょう。それはおかしくないですか。そうではなくて、戦中・戦後とは別の問題もあるのであれば、当然、今やっている分は継続しながら、そこは別に検討するというのが筋ではないのですか。これをやめて、さまざまなことがあるから、やめる理由として別のものを検討しないといけないという。それは後でくっつけた話ではないのですか。補助はやらないと、終了すると意思決定してから、このつなぎの部分について、これからどのような対応があるのか、珊瑚舎スコーレとも意見交換をする。これはおかしな話です。そうであれば、こういう陳情なんか出てきません。珊瑚舎スコーレは納得はしていると言うが、それは皆様が勝手に解釈している話で、そこは納得していないからこういう陳情が出てくるわけです。県議会の立場としても、平成23年度から議会も含めて一緒にやって、行政も含めて理解してやってきたものをいきなり終了しますと、問題があれば検討します、検討委員会もやります、これもやりますと言われても、それはおかしな話でしょう。一体全体、これにどのくらいの莫大な予算がかかっていて、どういう支障があって、8割補助事業として一括交付金制度も活用できているという。こういうありがたい仕組みも活用できているにもかかわらず、それを打ち切るという。そのこと自体が説明できないのではないですか。そう思いませんか。

○當間正和義務教育課長 平成27年12月に事業終了の通知文を発出して、平成28年度の1年生については事業を終了してきたと。そして、平成29年度は1年生と2年生に対しても事業を終了してきたという経緯がございます。そのときには要望や陳情等もなかったということがまず1点ございます。
 それから、今、検討委員会を設けておりますのは、国においていわゆる教育機会確保法が制定されまして、例えば義務教育を終わっていない方、外国人といった方々にも教育機会を確保するようにというような国の動きがございまして、検討委員会の中で検討を進めているということでございます。

○照屋守之委員 補助を終了して、その通知も出して、珊瑚舎スコーレから何も言われなかったからどうのこうのと言って、また平成29年度の最後にそういうこともやっているという説明をしながら、珊瑚舎スコーレとつなぎのことについてはどのような対応があり得るかということで意見交換をするという。そんなやり方が本当にできますか。皆さん方は、県議会から指摘されるとか、県議会議員が何も言わなければやらないわけでしょう。これは皆さん方の逃げではないのですか。これにかかる金額が数千万円になると、大変な財政逼迫になるといったことで、不公平感も含めてきちんとやらないといけない部分であればいいですよ。しかし、いずれにしてもだんだん数が少なくなっていくものについて、それをやってあげるというのが行政の立場ではないのですか。

○平敷昭人教育長 担当課と珊瑚舎スコーレとの意見交換の中では、この形で事業を終了することについてはいたし方ないが、新たなスキームで、戦中・戦後も含めたスキームの事業を考えていたようなので、珊瑚舎スコーレから新たにかわりの事業が出てくると思っていたと。そのときの意見交換の議事録を見ると、そのように考えております。これまでの戦中・戦後の未修了者のみを対象にした事業は畳むのはいいのだが、それを広く対象にした形。ところが、それが来年度すぐスタートできないという状況に―今、いろいろな検討やニーズ調査もやっている段階ですので、そういう中で補助が切れるという形について、本来はしっかりと入れかわる形を考えていらしたということで、フェードアウトしてきているのも事実ということで、先方もそれは認識されておりました。ただ、その補助が切れるときに、新たなものが立ち上がるのではないかという理解をされていたようでして、それについて、こちらも検討委員会の議論を踏まえた上で、有識者も含めていろいろ検討していただいている中で、最終的にはしっかりと県教育委員会でやり方を決めるのですが、その議論やニーズ調査、さまざまな課題整理を踏まえた上でないと、新たな夜間中学というものはどういう形でやるのかわかりませんので、そういった中で今、新しい形のものが立ち上がるまでのつなぎというのが、今、浮かび上がっているのではないのかということです。それについては、先方とも意見交換をして、どういうものが対応可能なのかということを議論して、意見交換してまいりたいということでございます。

○照屋守之委員 いずれにしても、財政的な部分が絡んでくるのですか。先方は、それにかわる新たなものを期待しているのかもしれない。しかし、皆さん方はそれを断ち切った。そうすると当然話し合いも含めて、どのような対応があるのかというのを、皆さん方がこういう案でどうですかと。我々も財政的な負担をしながら、今までの支援にかわるようなものをやるというのが、その協議です。だから、ここを明確にしていかないと。教育長は、検討委員会とか何か別のものに責任転嫁するけど、そうじゃないです。そんなやり方をされたら、相手は困っているのだから。困っていて、これまでやってきたものを継続してもらいたい、でもこれはだめだという。でも、何か期待しています、お願いしますという切なる思いです。それでは話し合いをします。話し合いをする中で、継続を相手は望んでいるが、皆さん方が継続はできないが、こういうかわりのものをやりますということならば話もできます。そこで検討委員会とか、別の組織に責任転嫁してはいけません。必要な財政措置はしっかりとやりますということを言えば、珊瑚舎スコーレだって落ちつくわけです。もし、そうでなければ県議会も黙ってはいられません。我々、県議会でも、先方からもありがたいと思われ、皆様のおかげで学ぶことができましたということを言われているにもかかわらず、それが我々がわからないうちに補助が切られました。その後の対応はできません、わかりませんということです。ですから、ぜひ、今のものがつなぎ、あるいはこれは終わってしまったので、別のものを前向きに検討して、相手にも理解をしてもらうと。そういう交渉をしていくということの説明をしていただけませんか。

○平敷昭人教育長 法の趣旨を踏まえながら、抜本的な今後のあり方については、当然、検討委員会の議論は踏まえながら出していくわけですが、それまでの間のつなぎ的なものについては、珊瑚舎スコーレとも意見交換をしてまいりたいと。現在はそこまでの発言をさせていただきたいと思っております。

○照屋守之委員 意見交換をするというのは、県教育委員会もこういう事情がございますが、皆さん方の事情もよくわかりますと。しかしながら、これにかわるものについては、検討委員会が設置されて、そういうものを検討して、その間については、今まで同様に何らかの形で支援をしてまいりますというものがないと、珊瑚舎スコーレだって期待しているわけでしょう。そういうことがないと、ただ話し合いをするとなったら、その意味すらありません。だから、我々県議会議員も、先方に対して、我々も含めて一緒に考えますと言わざるを得ない状況なのです。

○平敷昭人教育長 支援の継続の予算措置については、この場で具体的に申し上げることはできないところであります。現時点で申し上げられませんが、珊瑚舎スコーレと意見交換をしていく中で、さまざまな、これまで行ってきたことも踏まえながら、どのような支援といいますか、そういうものも含めて、議論、意見交換をしてまいりたいということです。

○照屋守之委員 それでは頑張ってください。これは極めて政治的なものです。これは教育庁だけの問題ではないです。平成23年からスタートしたものが―稲嶺県政、仲井眞県政はできました。それが、翁長知事になってこれがなくなったということになると、これは金額が多い、少ないという問題ではないですよ。今、大変、衝撃的なことが起こっています。それだけは伝えておきます。
 次に、2ページの陳情平成28年第54号の2と、6ページの陳情平成28年第96号の、しまくとぅばの普及について質疑します。しまくとぅば普及センターで学校の指導もやるということについて、私は以前から、非常にしつこくこれを学校教育の中ではやってはいけないということを言っていますが、この陳情はやってほしいというものと、やってほしくないというものがあります。実は、私がなぜこれだけしまくとぅばに抵抗するのかというと、学校教育自体―教育課程でやるべきではないと考えているのです。これについては、それぞれの市町村、地域の公民館とかいうものを通して、地域で文化としてそれぞれの言葉を継承してもらいたいと考えています。そのために、県が、文化観光スポーツ部としてバックアップをしていくことについてはいいと思っているのです。ただし、教育にこれを入れる場合に、いろいろな宮古の言葉とか、さまざな言語が5つくらいある中で、それでは、一体全体どこのしまくとぅばを、しまくとぅば普及センターで、学校の先生方がそれを学んで学校に持っていくかという話なのです。どこのしまくとぅばを選んで、それをしまくとぅば普及センターで勉強して、どのようにして学校で教えるのですか。

○當間正和義務教育課長 しまくとぅば普及センターの役割でございますが、学校、保育所、民間企業、病院、老人ホーム等から、しまくとぅばの講師、話者の人材派遣の依頼があった場合に、同普及センターから派遣して指導するという形になっております。そちらに教員を派遣をして研修するということではありません。それから、各地区におけるしまくとぅば、方言というものは非常に大事なものだと思っています。学校で、しまくとぅばを扱うのはあくまでも教育課程の範囲内ということ。市町村等においては、それぞれの地域のしまくとぅば、方言をしっかりと子供たちに伝えていくという役割分担があるものと考えております。

○照屋守之委員 私が県議会議員になって、今の知事が、「ハイサイ、グスーヨー、チューウガナビラ、イッペーニフェーデービタン、ユタシクウニゲーサビラ」という、議会で提案するものを含めてやっている。これを見ると、知事は那覇の方言、那覇で使っているしまくとぅばを普及させたいと考えているのではないのかと思うのです。これはとんでもない話です。知事のかわりに挨拶をしに行く―この間も北部訓練場の返還の式典がありました。いろいろなところに行って聞いていると、やはり挨拶文の中に「ハイサイ、グスーヨー、チューウガナビラ」が入っているのです。「イッペーニフェーデービタン、ユタシクウニゲーサビラ」が入っているのです。このしまくとぅばは、どういう場所であるのか、どういう人たちがいるのかということによって、このしまくとぅばが、本当にそこで使ったほうがいいのか、悪いのかということが問われていると思うのです。県議会の中で、ああいう形で使用するというのも非常に不可解に思っているのですが、それを原稿にまで書いているのです。知事が使っているものを皆さん方は普及させようとしているのか。本当に、それぞれの地域のしまくとぅばを普及させようとしているのか。これが非常に曖昧なのです。翁長知事が那覇市長であれば文句は言いません。那覇のしまくとぅばでいいのです。ただ、県知事になって県議会で堂々とああいう形でやっているものだから、このしまくとぅばの普及そのもの自体は、那覇のしまくとぅばを全県下に普及させるといういう意味合いがあるのですか。

○當間正和義務教育課長 学校等における現状を見ると、各地域における方言等をしっかりと地域の方が指導するという形で進めています。一例を挙げますと、宮古島では宮古島の方言が使われておりますし、私が以前勤めていた伊江島では、いーじまぐちという形で、地域の方が子供たちに劇を指導したりする中で、地域のしまくとぅばを教えております。地域の文化を大事にしようという視点で、我々は進めているところでございます。

○照屋守之委員 繰り返しますが、くれぐれも那覇の方言、那覇のしまくとぅばを、今、知事がやっているように、いろいろな挨拶も含めて公でやるというやり方はだめですよ。それと、知事のしまくとぅばで、なぜこんな使い方をするのかというのがあります。「ウチナーンチュをウシェーテーナイビランドー」とか、いろいろな集会で堂々と言って、これがマスコミで報道されるわけです。しまくとぅばを普及させるのは、お互いのコミュニケーションをとる、地域の文化を大事にするという話ですが、事あるごとに反対集会で「ウチナーンチュをウシェーテーナイビランドー」と。こんな堂々と知事が使っているしまくとぅばでは、私は絶対普及させる気にはならないのです。なぜ、このような相手を批判するために、周りを不愉快にするために、しまくとぅばを使うのかと。これが新聞にもどんどん出る。これを内地の人も見る。これはどういう意味ですかと。沖縄県民をばかにするなと。ないがしろにしてはいけないという言葉を県知事が使う。そのしまくとぅばを皆さん方が普及する。これはおかしくないですか。そこに大きな疑問を持っているのです。そのようなしまくとぅばは人を不愉快にするのです。本来は、文化を大事にして、県民、地域住民であるという誇りを持つべきしまくとぅばが、使い方が悪いものだから、しまくとぅばなんか聞きたくないと。「ウシェーテーナイビランドー」というようなことを繰り返し、繰り返し反対集会で言って、新聞もこれを書き立てて、県民に対しても、どんどんこのような悪いしまくとぅばが伝わっていくということでしょう。だから、これをどうやって教育の中で教えるのですか。

○平敷昭人教育長 答えになっているのかわかりませんが、先ほどから義務教育課長が答弁しているとおり、しまくとぅばというものは、歴史的、社会的な伝統に裏づけられた言葉であると。その地域の言葉ですので、学校教育においても、しまくとぅばの文化的な価値を理解させる、また、しまくとぅばを尊重する―地元の方言を尊重する心を育むと。そして、これを普及、継承していくことが重要だと考えているわけであります。しまくとぅばは、あくまでも教育課程の範囲内で、その普及、継承に取り組んでいこうと考えているのが県教育委員会のスタンスでございます。指導要領で教える内容もふえているということがありまして、授業の時間数がかなりふえています。そういうことで、グローバル化やITとか、いろいろな現代的な課題の対応に向けて、学校への社会的な要請というものは多様化しており、教育活動が非常に過密になっているという状況もございます。そういった中で、しまくとぅばも、そういった制約の中で、教育課程の範囲内で対応するというのが実情であります。そういう中で、伝統的な地域の言葉、文化的な歴史的な背景に裏づけられた言葉を子供たちに伝えて、子供たちが学んでいくという視点でやっていきたいと考えています。

○照屋守之委員 これについては、ぜひお願いします。悪いしまくとぅばはすぐに覚えて広がるのです。だから、それぞれの地域で教える、学校で教える部分。今、知事が使っている「ウシェーテーナイビランドー」を覚えてしまっています。そんなしまくとぅばを使うのであれば、しまくとぅばなんか普及しないでいいと言いたいわけです。お互いのコミュニケーションをとるために、よくするために、文化を誇りに思うために、しまくとぅばを継承するという話でしょう。それを感情的にこんなものは要らないということになれば、もうしまくとぅばどころの話ではないです。ですから、ぜひ学校教育ではなく、それぞれの地域の言葉を、悪い表現ではなくて、お互いが仲よくなれるように、コミュニケーションをとりやすいような、しまくとぅばを中心に子供たちにも広めていく。悪いしまくとぅばは使わせないということにならないと。本当に、今の知事のしまくとぅばの使い方によって、これに対して、最近非常に抵抗感が出てきています。ぜひ、その辺は気をつけてください。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 24ページの陳情第34号について質疑します。夜間中学については、全国47都道府県に公立のものが何カ所あって、一番早い設置は何年前くらいですか。

○當間正和義務教育課長 今、夜間中学の一番早い設置はいつかということにつきましては、資料を持ち合わせておりませんので、状況を先に説明をさせていただきます。平成29年度7月時点で、8都府県で31校が設置されております。設置主体としては、区立または市町村立となっております。

○西銘純恵委員 古いところは、四、五十年―復帰前からのところもあるのではないかと思います。なぜかというと、沖縄はとりわけ戦中・戦後ということで、日本の国土が戦争でいろいろ破壊されたと。そういう教育を受けられなかった皆さんが教育を受けたいということで、多分8都府県と言われましたが、積極的に戦後教育の中でも、それが行われてきたものと認識しています。その歴史については、結構古いものではないかということについてはいかがですか。

○當間正和義務教育課長 先ほどの最初の設置についての資料が見つかりました。1951年に足立区立第四中学校というところで設置されております。

○西銘純恵委員 沖縄県では、公立の夜間中学がないと。もう一つ、全国の民間の夜間中学の状況はつかんでいらっしゃいますか。

○當間正和義務教育課長 現在、民間の自主夜間中学については、13都道府県に21の自主夜間中学がございます。

○西銘純恵委員 全国では、そういうふうにして義務教育を受けたいと、受けることができなかった未修了者の教育をやってきたが、沖縄県では公立がないという中で、珊瑚舎スコーレなどが2004年ですか。14年前に立ち上げて、そういう方々の教育を担ってきたと。県の補助というものは、それからさらにおくれて平成23年度という―7年後になりますか。そういう意味では県として、市町村も絡んで支援を行うというものが、義務教育ではあるがそういうところでも県政が補助を解消してきたということは、やはり珊瑚舎スコーレがその教育を担ってきたということについて評価しないといけないと思うのですが、教育長はどのように評価していますか。

○平敷昭人教育長 珊瑚舎スコーレが独自の取り組みとして、これまで戦中・戦後の皆さんも含めて、受け入れてこられて、教育の支援を行われてきたことに対しては、非常に有意義な取り組みであったと考えております。

○西銘純恵委員 本来ならば、教育行政が公設で未修了者の教育をするという立場にないといけないのではないかと思うのです。それをかわって担ってきたところに対して、満額ではないが補助を行ってきたというのがこの7カ年間ではなかったのですか。

○平敷昭人教育長 戦中・戦後の未修了者という沖縄の特殊事情という観点も踏まえながら、この事業は平成23年から必要性というか、沖縄の特殊事情を踏まえて事業をスタートしたものと考えております。

○西銘純恵委員 夜間中学については2つの観点があると思うのです。今、検討されているのは、公立の夜間中学をつくるということは、皆さんは新しい法律に基づいて考えを出してきているが、本来であれば、やはりもっと前から未修了者がいるという実態をつかんでいらっしゃるし、そこをどうするのかということも含めて法律で検討すべきところがそのまま問われたのかどうか、審議をされたのかどうかは、答えることができたらやってほしいと思うのです。多分そういう公教育をやるということもなかったのだろうと。それで、珊瑚舎スコーレがやっているものに補助金を出してきたのが、これまでの経過ではないのかと思います。この戦中・戦後の皆さんもやってあげたということですが、戦中・戦後の対象の方のうち、一番年齢の若い方は何歳ですか。

○當間正和義務教育課長 戦中・戦後の範囲の中は、昭和16年の方が一番若い方になります。平成29年で77歳、平成30年は78歳になります。

○西銘純恵委員 そういたしますと、本当に学びたいという気持ちはあっても、読み書きができないという思いを持ちながら、学びたいといっても、これから何名いるのか。現在2年生や3年生に上がる方が6名から7名いらっしゃるということを言っているわけですね。
 陳情者が2番目に言っているのは、この夜間中学校の運営、沖縄県における夜間中学校などの、今後の施策について行政との協働を呼びかけてきたが、具体的に応えてくれなかったということを言わざるを得ない状況にあるわけです。だから、教育庁が考えている、公立中学校における夜間中学校をどうつくるのかというものと、現にやっている民間であっても何であっても、全国ではそういう教育が行われているところに多分支援されていると思うのです。それについて、2本柱で話し合いをすべきだったはずなのです。ところが、公立夜間中学の設立がおくれているので、きれいになるというようなことを皆さんは考えているのか、そのずれがあるのかと思うのですが、どうですか。

○當間正和義務教育課長 現在、公立中学校夜間学級等として検討委員会は進めておりまして、その中で協議をしているのは、まずどこにそういう対象者―夜間の学習を希望する方がいるのかとかいったものを踏まえて、そうしたときにどこにつくったほうがいいのかと。公立がいいのか、それとも自主夜間中学がいいのかということも含めまして、議論につきましては、ニーズ調査をしっかりとしないと。例えば、今、国においては、1校は夜間中学をつくるようにとしていますが、沖縄県において、果たして1校でそのニーズに応えることができるのかということもあります。ただ、現在、対象者がどこにいるのかということが、北部の国頭から、宮古、八重山まで把握し切れていないという状況もあって、実際にどうしようかというときに、検討が先に進まなかったという経緯もあります。そういったこともありまして、平成30年度にはしっかりと対象者のニーズが把握できるような形で調査を行い、公立の夜間中学がいいのかということも含めて検討していくということです。

○西銘純恵委員 県都の那覇市で十数年間、実際にやっている学校があると。それを白紙から考えるということですか。一般的には、担ってきたところは、やはりほかの民間がやるにしても、先生方や運営にしても、これまでのノウハウとして相当な蓄積を持っているわけです。例えば、保育所でも、公立保育所をなぜ残せというのか。認可だけにするのかというところが問われるのは、ノウハウを蓄積した専門性を持ったところが必要だということで残すわけです。だから、今の県教育庁の考え方は、珊瑚舎スコーレは、そのまま継続しているし、生徒もいるし、新たな法律に基づく学び直しの皆さんも周りにたくさんいる地域になっていると。そうであれば、そこに継続して補助しながら、今考えるところにどうするか。国は公立を1つつくればいいという指導なのですか。教育が受けられるようにしなさいということではないのですか。法の趣旨はどうなのですか。1カ所でいいということですか。

○當間正和義務教育課長 国におきましては、最低でも1つ以上設置するようにということです。

○西銘純恵委員 やはり、これまでやっているところにしっかりと継続してもらって、それからプラスして公立にするのか、どこの地域にするのか、ニーズを把握していくことが継続になるわけです。今、夜間中学校で教育を受けている方々がいるわけです。戦中・戦後の皆さんも、それ以外の皆さんも。だから逆に言えば、これまでの戦中・戦後の補助金プラス夜間中学校としてやっているその生徒に合わせた、教師の体制に合わせた補助金の増額、これが当たり前であるという考え方として立つべきではないですか。

○與那嶺善道教育指導統括監 今までの珊瑚舎スコーレのノウハウを生かすべきではないかという御質疑がありました。夜間中学等検討委員会は、これまでの事業委託―珊瑚舎スコーレだけではないのですが、エンカレッジなど各事業所の研究実践の成果等も踏まえて検討していく所存でございます。また、先ほど珊瑚舎スコーレとの意見交換等を―これを打ち切ったときにそういうものをやってきたのかということでしたが、今まで平成27年度から定期的にそういう意見交換をして、昨年の5月にも意見交換しております。その中で、珊瑚舎スコーレから、この夜間中学に関しても、この対象者だけではなくて、学ぶ権利の保障の観点から、少し間口を広くして、そういうものを含めていくことが必要ではないのかという御意見もいただいております。

○西銘純恵委員 何か弁解に聞こえるのです。3カ所ありましたと。打ち切りますよと言われて既にエンカレッジはやめたのです。三和人材育成会は1回やっただけでしょう。1年から3年で卒業したら終わりです。だからそういう意味では、全く歴史や立ち上げも違う。それを同じような3つの事業所がありましたという話でくくることについて、とても違和感があるのです。そういう意味では、もっと真摯にといいますか、教育というものが何なのかという立場で捉えて、この問題についてはぜひ―受ける側もそうです。今、現実に夜間中学校に通っている方々がいるところに補助しないでいいのですか。この検討委員会で結論が出るまでは補助はありませんということで通用するのですかということ。この法の趣旨から見てもどうなのですかということが問われていると思います。ぜひ早急に検討していただきたいし、先ほど、委員会に参考人を呼びたいという意見もありましたので、やはり意見も聞きたいなと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 亀濱玲子委員。

○亀濱玲子委員 西銘委員に続いて質疑します。この夜間中学等の検討委員会が、これから議論していくということはとても大事なことではあるのですが、先ほど教育長が答弁された中で、沖縄の戦中・戦後の混乱の中で、学ぶことができなかった人への保障ということを話されましたが、やはり民間が担ってきたことを評価して、新しい組織につなぐためには今あることを継続して、この経験を次に生かしていくためには断ち切るのではなくて、継続して支援し、さらに新しい―戦後学べなかった人、あるいは新たな課題で学ぶことが保障されていない人たちへの支援というようにつないでいくためには、今、断ち切らないで、その経験をむしろ生かしていく。そのためにはやはり支援というのは継続していくべきなのではないかと。その視点というのはとても大事です。これまであったものを断ち切って、新しく検討しますということにはならないのではないかと。それでは余りにももったいない。この経験を生かしていくためには、やはり継続が求められるのではないかと思います。ぜひこれについては検討していただきたいと思います。

○平敷昭人教育長 夜間中学等の設置検討に当たりましては、これまで事業委託を行ってきました珊瑚舎スコーレ等の研究、実践の成果等も踏まえて検討してまいりたいと考えています。

○亀濱玲子委員 ぜひお願いします。もったいないです。そういうものを切って新たな支援を考えるというよりも、継続していただきたいと思います。
 次に、新規の陳情第16号です。これは参考人招致を求められているので、そのときに、さらに議論が深まると思うのですが、これについて確認させてください。この陳情者たちは、重度の知的障害児を高等学校に入学する道を開いてほしいということなのです。したがって、現状として、本県の県立高校の軽度の知的障害の受け入れの状況はどうなっているのか。また重度の知的障害の受け入れ状況はどうなっているか、この2点をお聞かせください。

○半嶺満県立学校教育課長 高等学校では、中学校における教育の基礎の上に心身の発達及び進路に応じて高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的としております。現行の入試の選抜制度では、公正かつ妥当な方法で各高等学校、各学科等の教育を受けるに足る能力と適性を備えた者を選抜しているところでございまして、現在のところ、重度の知的障害を持つ生徒の入学生はいないという状況でございます。軽度につきましては、この入試制度に沿ってクリアしていれば入学しているということを確認しています。

○亀濱玲子委員 あえて分けて聞いたのは、軽度についてはやはりできるだけその子に合った状況で受け入れていて、教育もなされている状況が見られるので、それは取り組めていると思います。しかし重度ですね。この陳情者が強く感じているのは、この子供たちを受け入れてもらうのに、障壁となっていることが、教育機関との話し合いが立ち塞がるように感じていらっしゃるのです。これについては、それを求める関係者とこれまでに意見交換をどれくらい行ってきたのか教えてください。

○半嶺満県立学校教育課長 陳情なされている方とは、これまで4回の面談等を行ってきております。

○亀濱玲子委員 この乖離しているのが何かということについては、今度、参考人として招致できたときに確認して、今後、さらに質疑をしていきたいと思います。
 次に、医療的ケアが必要な―これは保育園も置かなければいけないのですが、幼稚園、公立小・中学校の確保というものを求めているのですが、皆さんの答弁は少し要望していることとずれているかと思います。皆さんはやっているとおっしゃっているが、陳情者は確保されていないという趣旨だと思うのです。これについて、どういう状況なのか現状を教えてください。

○半嶺満県立学校教育課長 陳情処理方針にもございますが、小・中学校におきましては、医療的ケアが必要な児童生徒につきまして、実施主体である市町村において、児童生徒の状態をしっかりと把握して、それに応じた環境が整えられていると認識しているところでございます。

○亀濱玲子委員 恐らくこれが十分できていないということで、この陳情が出ていると思うのです。それでは、この中で医療従事者の配置を求めているのです。実際には市町村独自で配置されている状況もあるということですが、独自に配置されている状況というものは、どれくらいあるのですか。

○半嶺満県立学校教育課長 配置の状況でございますが、市町村では対象の生徒が15名であることを把握をしております。それに対して、平成28年5月1日現在の資料では、生徒15名に対して4名の看護師が配置されているという状況です。

○亀濱玲子委員 では残りは国の分で配置されているということになるのですか。市町村などで独自に4名配置されているということで、15名に対して4名ということですが、残りはどうなっているのでしょうか。

○半嶺満県立学校教育課長 生徒に対しての看護師の配置状況でございますが、15名に対して4名の看護師配置ということです。これは市町村に応じて、生徒に対して看護師を配置している市町村、あるいはそうでない市町村がありまして、看護師が配置されていない場合には、保護者で対応したりということで実施しているところでございます。

○亀濱玲子委員 後でいいので、配置状況の資料をいただくことはできますか。今、平成28年とおっしゃいましたが、平成29年はどうなっているかということもあると思うので、一応資料としていただいて、陳情者が来られたときに突き合わせてみたいと思います。

○半嶺満県立学校教育課長 配置状況につきましては、後ほど資料としてお持ちしたいと思います。平成29年度については、現在、調査中です。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 末松文信委員。

○末松文信委員 12ページの陳情第92号の2の、伊是名村の振興発展に関する陳情について質疑します。これは継続審査中ですが、離島の現状からすると切実な話だと思っていますのでお尋ねします。今、子供が沖縄本島で生活した場合、1人当たり―例えば寄宿舎で生活した場合と民間のアパートを借りて生活した場合の、それぞれの経費を教えていただけますか。

○登川安政教育支援課長 離島児童支援センター設立の際に調査して、参考資料としてつくったデータに基づいてお答えしますので、あくまでも参考として理解してください。寄宿舎関係、居住費の抑制の関係資料で、民間アパートの家賃―食費、光熱費等を含むという形ですと、年額約97万2000円。それから寄宿舎の場合は、これも食費、光熱費を含み、年額約51万6000円ということです。これは、あくまでも参考資料に基づくものでございます。

○末松文信委員 差額は幾らくらいですか。

○登川安政教育支援課長 差額は45万6000円です。

○末松文信委員 今、離島高校生修学支援事業の中で手当てされているのは、年間24万円です。したがって、宿舎での生活費の約半分ということです。そして自己負担が半分くらいになると思いますが、国や県、市町村、自己負担の割合というのはどういう計算をされていますか。

○登川安政教育支援課長 沖縄県の場合、この離島高校生修学支援事業―これは国庫補助事業でございまして、国からの補助金は2分の1になります。その残りの約4分の1を県が別途支援する形です。また残り4分の1は市町村が負担しています。

○末松文信委員 この24万円のうちの12万円は国からの補助ですか。

○登川安政教育支援課長 沖縄県の場合、この最大限24万円ということで、12万円は国からの補助ということです。

○末松文信委員 陳情平成29年第126号の2の、伊江島に関する陳情でも、同じようなことが書かれております。私も伊是名村で中学校まで出て、高校は那覇で出たわけですが、伊是名村の過疎化の原因―離島は全てそうだと思うのですが、過疎化の原因はこの教育にあるのです。子供たちを高校に送るとなると、田舎で現金収入がないから、家ごと引っ越して、那覇で生活しなければならないという状況がある。だから、現在もこの保護者の経済的負担が大変大きいということであります。今、離島・過疎地域から来る子供たちは、そんなにたくさんいないと思っています。その生徒に対して全額を国庫で手当てする。あるいは県や市町村で手当てするというようなことくらいは考えてもいいのではないかと思っています。ちなみに今の24万円をその倍にすると50万円くらいになるわけですが、そうすると全額でどのくらいかかりますか。

○登川安政教育支援課長 平成28年度の実績で、542名に支援しており、1億856万円がこの事業費の総額となっております。ですから、現在のこの24万円を倍にした場合には、2億1700万円になります。

○末松文信委員 今、答弁された金額であれば、一括交付金あたりを活用して、県単分、市町村分で賄うとしても、大した額にはならないと思うのですが。なぜ、それをやろうとは考えないのですか。

○登川安政教育支援課長 一括交付金の場合には、国に既存の制度がある場合には原則それを使うようにと。ですから、この事業は国の事業でございますので、一括交付金としての要望は、かなりハードルが高く、厳しいものだと考えています。

○末松文信委員 それは予算要求の仕方がまずいからではないのですか。ソフト交付金などは、そういったことで使えると思うのですが。例えば、市町村負担金の中でも、財政上いろいろな使い方があると思うのですが、このくらいの金額であれば十分手当てできる金額ではないかと思いますが。もし、そうであれば一括交付金を使わなくてもいいです。他の財源でも賄えると思うのですが。

○登川安政教育支援課長 この事業について、関係市町村からは事業の拡大についての要望があります。そういったことから、沖縄県としても国に対して、他県の教育委員長と合同で、この事業の拡充に対しては継続的に要望しているところでございます。

○末松文信委員 今の答弁は処理方針で書いてあるからわかっています。それをクリアできないかということを申し上げているのです。

○平敷昭人教育長 当該事業については、確かに現在24万円ですが、それが改定、拡充された経緯がございまして、その前は年額15万円でございました。そういうことで、基本的には既存制度がある分に関しては、一括交付金の要綱上も、デマケーション―すみ分けという関係もありまして、これに一括交付金を抱き合わせるという形が、非常にハードルが高いということで、ほかの県とも連携して充実を図っていきたいと考えています。

○末松文信委員 拡充をするにしても、その見込みというのはどのような感じですか。

○登川安政教育支援課長 現在、要望しているところですが、今のところふえるというか、拡充という形の見込みはございません。

○末松文信委員 これ以上議論しても進まないようです。ぜひ、離島・僻地の事情というものをしっかりと押さえていただいて、これからも十分な配慮ができるように努力していただくことをお願いしておきます。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 金城泰邦委員。

○金城泰邦委員 21ページの陳情第1号です。この処理方針を見ると、既に規定では休暇はとれることになっているが、こういった陳情が出ているという。小・中学校の臨時教員の産前・産後休暇についてです。質疑があったかもしれませんが、重なっていたら済みません。既に休暇がとれることになっているのに、休暇をとらせてほしいという陳情が上がってくるのは、現場ではこれが全く機能していないということですか。これについて教えてもらえますか。

○古堅圭一学校人事課長 臨時的任用職員の休暇制度関係の適用については、本務職員と同様に条例の規定に基づきまして、所要の休暇がとれるということで整備されております。基本的には、臨時的任用職員でも本務職員と同じような休暇制度ということになっておりますので、引き続き、周知に努めていきたいということでありますが、実は、臨時的任用職員の方が出産のために産前休暇・産後休暇をとろうとする場合、さらにその方がお休みになる期間において、また新たな臨時的任用職員が必要になるということになります。したがって、結局、本務職員、臨時的任用職員2人、合計3名の定数、人件費の負担というものが生ずるということになります。そういうこともありまして、限られた定数の枠、予算枠ということもありまして、なかなか臨任的任用職員のさらなる代替というのは難しいという状況にあります。

○金城泰邦委員 ということは、そういった条文はあっても、実際は機能していないわけですか。人がいないから休めないという状況になっていると思います。これまでにそういったものができた事例というか、実績とか、どういう状況ですか。何人くらいこの休暇をとれているのですか。

○古堅圭一学校人事課長 ここ数年間でありますが、産前・産後休暇を取得した臨時的任用職員については、いらっしゃらないということで認識しております。

○金城泰邦委員 それではゼロということでよろしいですね。

○古堅圭一学校人事課長 ゼロでございます。

○金城泰邦委員 ということは、こういった陳情が出ていますが、休暇をとれる体制をつくるための措置は、これは予算が中心になると思うのですが、これは知事部にしっかりと皆さんから要求していかないとだめですね。今までのやり方では変わらないのではないですか。どうでしょうか。

○古堅圭一学校人事課長 大変難しい面もありますが、先ほど答弁したとおり、本務職員1名に対して、臨時的任用職員2名の方々を追加をするということになりますので、難しいところはありますが、できるだけ産前休暇・産後休暇というものは、働く者にとっては非常に大事な制度でありますので、そういうことができるように検討する必要があるものと考えています。

○金城泰邦委員 かなり深刻な状況だと思います。教員の不足というのはかなり深刻だと思っています。
 次に、22ページの陳情第16号で、先日も質疑させていただきましたが、今年度、重度知的障害がある子を普通高校に通わせたいという保護者の思いがあって、受験したかと思うのですが、それについてはどういう状況ですか。

○半嶺満県立学校教育課長 一般入試が3月6日、7日に行われました。このの生徒も受験をしておりますが、入試を厳正に行うこと、あるいは公正・公平に行うという観点から、その細かい状況については答弁を控えさせていただいているところでありますが、配慮事項をしっかりと踏まえて、日程どおり試験を行ったと聞いています。

○金城泰邦委員 これについては、文教厚生委員長からも要望していただいて、配慮してもらって受験に臨んだ状況だと伺っております。その受験に向けての体制というもの、配慮については評価したいと思うのですが、肝心なのはここから先のハードルです。皆さんの処理方針によれば、インクルーシブ教育システムの理念に基づいて、高等学校の教育課程を履修できる能力、適正を有する障害のある生徒を受け入れていると。以前にも、身体の障害であったり、聴覚、視覚などに障害を抱えている生徒が受験して入学できているケースも多分あったかと思います。軽度の学校もあります。重度知的障害の子が入学できた事例は今までにないということでよろしいのですか。

○半嶺満県立学校教育課長 沖縄県にはございません。

○金城泰邦委員 これから沖縄県教育委員会は、どういうインクルーシブを目指すのかということが問われるきっかけになったかと思っているのです。これは、要するに試験に合格する能力がなければ入学できないということは、まずどういう根拠に基づいているのか示してもらっていいですか。

○半嶺満県立学校教育課長 先ほども申し上げましたが、高等学校においては、中学校における教育の基礎の上に、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的としております。そして、学習指導要領においては、その目的を達成するために教育課程の基準が定められておりまして、各高等学校では、その学習指導要領に基づき教育課程を編成し、教育活動を展開しております。さらに高校では単位を取得するということでして、最低でも卒業までに必要な74単位以上を取得することになりますが、それを取得してから卒業することになります。したがって、現状では重度知的障害を持つ生徒を高等学校に受け入れることは非常に厳しい状況であると考えているところです。

○金城泰邦委員 しかしながら、日本は障害者に対する条約にも批准していて、障害者基本法でも、国及び地方公共団体は障害者がその年齢及び能力に応じ、かつ特性を踏まえて十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒とともに、教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等、必要な施策を講じなければならないと書かれています。恐らく、それを受けて文部科学省も中央教育審議会の答申を受けて、高等学校の入学者選抜はあくまでも設置者及び学校の責任と判断で行うものであることを明確にし、一律に高等学校教育を受けるに足る能力適性を有することを前提とする考え方をとらないことを明らかにしているということが、文部科学省の現在の見解だと思っているのです。ですので、県教育委員会及び学校長の判断によって、これを受け入れることもできるということになっているという認識を持っているのです。陳情者も当然そうです。事例としては、昨年度か一昨年度、北海道においては、ダウン症の男子生徒が合理的配慮として、意思疎通支援者と同席して面接をクリアして入学した事例もあります。北海道にはそういった事例があります。でも沖縄県ではまだ事例がない。ほかの障害の児童生徒は、特別支援学校を選ぶ選択肢もあるし、普通学校を選ぶ選択肢もある。でも重度知的障害の子は特別支援学校しか選ぶ選択肢がない。沖縄県教育委員会はそういう方向を示している。今後は、重度知的障害の子についても特別支援学校を選択する選択肢と、普通学校を選択する選択肢と、同じようにやることができないのかと思うのです。そのためには、皆さんの受け入れる側の体制も変わらないといけないと思いますが、そのために必要な体制というのはどういうものなのでしょうか。

○平敷昭人教育長 体制の前に、少し答弁をさせていただきたいのですが、障害を持つ生徒も、いわゆるインクルーシブというのはそういう意味で、沖縄県の場合は分校から始まって併設校という形で、普通校の高校に―今の中部農林高校、南風原高校、陽明高校とかありますが、そこに特別支援の学校を併設して、授業については確かにいろいろな配慮事項がありますので特別支援の課程でやりますが、そのほかの活動や体育活動とか、それはほかの生徒とも交流しながらやるという仕組みをやっているところです。問題は、重度の知的障害の生徒さんは、今やっているような併設校の特別支援教育です。通常の高校の中で、特別支援の教育ができるかというと、現在、学校教育法の施行規則の改正で、平成30年度から発達障害等の通級指導ができるようになったという状況でございます。先ほど、条約の話もございましたが、今後、国としても―現在、沖縄県も学校教育法の施行規則の中で対応しているわけですので、あとはその生徒が、今は小・中学校では特別な支援教育の課程を組めるのですが、高校の場合は現段階では発達障害への対応という形までしかできないという制度的なものもございます。また単位を履修していくという過程で、学校が十分な対応ができないというところがあるわけです。そういった中では一定の制約があるものと認識しているところでございます。

○金城泰邦委員 そこが大事だと思うのです。今までの皆さんのやりとりだと、要するに重度知的障害の子はいや応なく特別支援学校に進むべきだというような形で、当事者、保護者には聞こえるわけです。でも、県教育委員会としては、そういった普通学校に受け入れる環境が、今はできる状況ではないということをきちんと言うべきだと思います。そこは全然、スルーパスして、児童生徒の問題だけを上げるという。それでは理解を生みません。どうですか、教育長。

○平敷昭人教育長 現在、普通の高校―特別支援学校以外の高校は、学校教育法の範囲でやりますと。発達障害への対応は通級指導までしか対応できないというものがございますので、そういった中で、この重度の知的障害をお持ちの生徒が入って来られても、十分な対応ができる教育課程が編成できないということがございます。そういった意味で、この障害の状況に応じて支援計画を立てて、自立等に向けて教育ができるのは、特別支援学校ではないかと考えているところでございます。それで処理方針に書かせていただいておりますし、逆にこの普通高校で受け入れたとした場合、十分な指導が―こちらとして責任を持った指導ができるのかということで、そういう意味でも特別支援学校が、よりきめ細やかな指導ができるものと考えております。

○金城泰邦委員 陳情者等の思いを酌み取ってほしいと思います。その思いというのは、特別支援学校に行かせたくないとかそういった逆差別的な意味ではないのです。一般の人たちと、世間と交わることによって、コミュニケーションを早い時期から培わせたいという思いがあるし、周囲の人にこういう人たちがいるのだという、そういう理解を広めていきたいという思いもあるのです。そういった関係者の思いからすると、やはり一般の方々といかにして交わる機会をふやすかというところに、今後、県教育委員会としてしっかりとビジョンを組み立てていってほしいと。これは当事者の思いとして伝えたいと思います。

○平敷昭人教育長 保護者の方の思いとして、小・中学校でほかの生徒さんと交わって教育を受けてきたと。その保護者の方のお言葉をかりますと、それによって周囲の子供さんもいろいろないい意味での影響があったとおっしゃっていることも伺っております。あとは、現在の高校の仕組み上、単位を履修しながら卒業しないといけないということもありますし、特別な教育課程というものが高校ではできないという制約の中で、責任ある引き受けという意味では、なかなか難しいところがあるというのが現状でございます。今後、高校の教育の仕組みとか、その辺が国としても教育課程、体制ができるような仕組みにならないと、なかなか対応が難しいところが現状としてございますので、保護者の方の思いもお聞きしながら、それでも制度の中での対応というものは、なかなか困難な状況にあるということも御理解いただきながら、今後、国の動向も注視しながら、今後の対応というのはあるべきかと考えております。

○金城泰邦委員 インクルーシブをうたわれても、現場ではそういった縛りがあってなかなか難しい。やはり教育の現場というのは、先ほどの産休もそうですが、なかなか難しいものがありますが、それは皆様も諦めないで、やはり誰のための教育かというと、先生のための教育ではないのです。生徒のため、子供たちのための教育ですから、そういう視点から、諦めずにしっかりと追求していってほしいと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 平良昭一委員。

○平良昭一委員 21ページの陳情第1号について質疑します。金城委員からもあったのですが、この臨時的任用職員―臨任の産前・産後の休暇に関する陳情について、いろいろ聞いてみると、当然、制度はある。これについて、周知徹底を今後していかないといけないというので、現場でその方々が非常に遠慮をしている状況がありありとわかります。先生が、いわゆるおめでたをして臨任が来ると。それにまた対応するために3人目を採用しなければいけないという状況があるということはよくわかります。しかし、現場からそういう声が上がっていて、対応をしてほしいということがあるという、その陳情が出てくるというのは、明らかにそういう事例がかなりあるということだと思うのです。これが2年や3年も続くようなことではないはずですから。10カ月で出産するわけですから、それがわかった時点から考えるともっと短くなると思うし、逆に小学校では、少子化の中で自分の目の前でこういう生命が誕生するというのをなかなか見る機会がない。自分の担任がそういう状況になるというのは、また一つのいいきっかけになるのではないかと思うのです。今の少子化の問題から見るとですね。そういう点からすると、予算的な措置の問題だけではない部分があると思います。そういう面では、周知をするということだけではなくて、遠慮している状況をカバーしてあげることが重要になってくるものだと思いますが、いかがですか。

○古堅圭一学校人事課長 陳情の処理方針にも少しお書きしておりますが、臨任の採用の際に、労働条件通知書という書面を交付します。その中で、条例の定めるところにより休暇等が請求できると書いていますので、それをもとに、現在、任用の段階で周知を図っております。いろいろと御指摘がありますが、県教育委員会としては、休暇制度の適用関係について、任用する際により一層周知に努めていきたいと考えております。

○平良昭一委員 採用する時点で説明を十分しているということではありますが、そうであれば、それがとれないような状況であるというのは、まさか暗黙の了解として現場からの圧力なんてものはないですよね。それがあったら大変なことですから、その辺はどうでしょうか。

○古堅圭一学校人事課長 そのような、圧力のようなものはないものと認識しております。

○平良昭一委員 結局、子供を産むのは女性でありますから、その条件というものは、それに対して休暇をとるというような状況でありますが、現代社会の中では、配偶者―男性についても、一般の企業ではそれに対する育児休暇もとれるような状況が普通になってきているわけです。国会でもかなり議論されました。そういう状況に置かれながら、いまだに教育の現場でそういうことがあるということは少し問題だと思います。その辺について、今後の周知徹底という姿勢はわかりますが、逆にこれからの世の中の流れを見ても、女性だけの問題ではないということを踏まえながら、徹底してこれを利用しなさいというくらいのことを言うべきであると思いますので、その辺の考え方をお答えください。

○平敷昭人教育長 産前・産後休暇をとった臨時的任用職員のための補充職員の場合、その分の教員定数が必要になります。また、産前・産後休暇は、有給休暇になりますので、補充対象になった職員の分と、今回、産前休暇をとる職員の給与も必要になると。仮に、産前休暇をとった臨任が本務職員の疾病等の影響で補充されている場合は3人分が必要になるということもありまして、その定数の確保が必要になります。臨任の産前・産後休暇に係る補充職員をどの範囲まで認めるのか。その辺のことも含めて、県教育委員会では検討しながら対応していく必要があろうかと思います。ただ、条例でそのように認めている権利でもございます。また、周知を図るということもありますので、その辺も踏まえながら、予算的、定数的なものについてもしっかりと検討していく必要があろうかと思います。その辺も踏まえながら対応していきたいと思います。

○平良昭一委員 皆さんの立場はわかります。でも私からすると、やはり産む方の立場に立って考えてほしいというのが本音であります。これからの作業もいろいろありますが、周知を徹底して、決して遠慮するような状況をつくらないような形をつくり上げていただきたいということを要望します。
 20ページの陳情平成29年第131号です。この継続審査中のものについて確認します。陳情者は、中学生と高校生が入寮できる学生寮の新設を訴えているわけです。これに対する陳情処理方針は、中学生については、親元、身元引受人の住居からの通学が望ましいと。これはいわゆる重要な発達の段階であるからということでありますから、この方針については今後も変わりはないですか。中学生の寮に対する考え方をお答えください。

○半嶺満県立学校教育課長 そのように考えているところでございます。

○平良昭一委員 そうであれば、陳情者の考え方もありますが、県の対応としては―開邦高校もあります。その中で、開邦高校と球陽高校の違いを教えていただきたい。

○半嶺満県立学校教育課長 開邦高校には寮がございます。現在、球陽高校に寮はございません。それにつきましては、開邦高校は特色ある進学校として、昭和61年に開校し、当初から通学区域が県内全域となっていることから寄宿舎を設けている状況でございます。球陽高校につきましては、平成元年に開校しておりまして、開校当初、理数科は通学区域が県内全域ではなく、中部地域を通学区域としていたために寄宿舎が設置されていない状況でございます。

○平良昭一委員 開邦高校はいわゆる全県下の対応と、球陽高校は中部地域を視野としたもの。私が聞いているのは、それぞれの学校の中身です。どういう目的でつくったのですか。

○半嶺満県立学校教育課長 両校の設置の目的は、いずれも特色ある進学校として開校しています。

○平良昭一委員 末松委員からも質疑がありましたが、沖縄本島北部地区に進学校を設置してほしいという要望があるのです。全県下から集めるのが開邦高校。中部地区は球陽高校。これはおかしくないですか。私たちはずっとそれを望んできました。なぜ北部地区にそれがないのですか。

○嘉数朝正教育企画室長 北部地区の進学校につきましては、教育環境を充実させていくために、平成27年度に名護高校に大学進学に特化したフロンティア科を設置しております。フロンティア科の当初の目的が達成できるよう、引き続き取り組んでいきたいと考えております。フロンティア科の進路実績を上げることが、北部地区の教育環境の充実につながるものと考えております。

○平良昭一委員 全県下で、昭和61年に学校をつくって、その2年後には中部地区に球陽高校をつくった。なぜ、その時点で北部地区というものが視野になかったのか。そこが疑問でたまらないのです。平成27年まで待って名護高校にフロンティア科をつくったということですが、結局、球陽高校は中高一貫教育校になりますね。それを行う理由は何ですか。なぜ、球陽高校を中高一貫校にしないといけなかったのですか。

○嘉数朝正教育企画室長 中高一貫教育については、現在、開邦高校と球陽高校に、それぞれ開邦中学校と球陽中学校を設置しております。中高一貫校につきましては、中学校と高校の6年間における、計画的、継続的な教育を提供する中で、本県を牽引する高い志を持ったグローバルに活躍できる人材育成を図るために開校したところであります。

○平良昭一委員 これは併設型ですか。それとも連携型ですか。

○嘉数朝正教育企画室長 併設型でございます。

○平良昭一委員 そうであれば、なぜ当初から併設型を北部地区に考えなかったのですか。

○嘉数朝正教育企画室長 中部地区と、那覇・南部地区に開邦中学と球陽中学の併設型一貫校を設立しましたが、それにつきましては、開邦高校、球陽高校―先ほど県立学校教育課長から答弁しましたとおり、進学に特化した学校というところで、既に設立がされていると。その学校を通して6カ年の一貫した教育を行うということで、まずはこの2校を併設型として設立したということでございます。

○平良昭一委員 平成27年度に名護高校にフロンティア科ができると。はっきりと言いますが、実際、北部地区は進学校に関しては、ほったらかされた状況だったのです。これは開邦高校と球陽高校をつくった時点で、北部地区からどんどん流れていった。そこで、ここに来て再編計画の中で、その話が四、五年前から出てきたということが現実なのです。そのまま、27年間―平成元年に球陽高校ですからね。北部地域という考え方がなかったということなのです。これは今の問題ではない。過去を踏まえての問題ですので、そういう面では、中高一貫教育ということに関しては、併設型であろうが連携型であろうが、もう少し県の考え方を総括しながら、もう一度考え直す時期に来ていると思います。何度も言っていますが、特に連携型です。併設型でこのような効果的なものがあるのであれば、それでは連携型はどうしていくのかということも議論してほしい。久米島高校の問題もあります。そういうことも踏まえて、中高一貫教育に関して、もう少しこれまでのことを踏まえながら考え直す時期に来ていると思います。これについてはいかがでしょうか。

○平敷昭人教育長 連携型の入試も含めて議論があることは承知しておりますが、学校としては、例えば本部高校で連携型を今すぐに廃止するとかいうことではなく、存続した上で、本部高校の魅力ある取り組みというものを進めていきたいという意見もございます。ただ、その連携型については、入試がないということなどいろいろな課題があるのではないかという御意見もあります。そういうことも含めながら、学校と意見交換しているところでありますが、これは新年度からというように、すぐに出せるものでもありませんので、引き続き、連携型をどうするのかということを、密に意見交換しながら考えてまいりたいと思っております。

○平良昭一委員 中学生が通える距離、高校生が通える距離から進学校に行けるということは、やはりこれは平等でないといけないのです。北部地区は金がかかってという問題だけで進学校を断念するという状況があるのです。だから、平成27年のフロンティア科というものが、皆さんがどれだけ力を入れてきたかという成果があらわれるのです。今年でもう3年目になるわけですから。その辺を踏まえながら、今後どうしていくのかということも考えなければならないと思います。結局、中学生の寮生活はだめだと言っているわけですから、中学校からやらないといけないというような状況があるのであれば、北部地区にもそれなりの学校は必要です。私はそう思いますが、いかがですか。

○平敷昭人教育長 現在フロンティア科でいろいろな取り組みをしている中で、今、確定した数値はないのですが、進学実績は、従来からの普通科と比べてもかなり向上していると伺っております。その取り組みの成果も踏まえながら、今後の取り組みのあり方を考えてまいりたいと思っております。

○平良昭一委員 これは3年目で、ある程度の実績をとってから、さらに議論したいと思います。
 13ページの陳情平成29年第94号の3で、久米島高校の園芸科の存続については定数の見直しを含めて全面的に支援をすることとなっていますが、今年の久米島高校の入試の状況はどうでしたか。

○半嶺満県立学校教育課長 平成30年度の久米島高校の連携型の志願者は、普通科が43名、園芸科は12名ということで、志願率につきましては地域に在籍している中で77.5%という状況でございました。両科で39名が合格しております。また、一般入試は、普通科が志願者13名で合格者が10名。園芸科は志願者が13名で合格者は14名でございます。今、2次募集については入試事務が進んでいるところでございます。

○平良昭一委員 陳情の趣旨は、定員の見直しを含めて全面的に支援していただきたいということでしたが、この結果がそれにあらわれていると思いますか。

○半嶺満県立学校教育課長 現在の久米島高校の入試状況を見ると、まず久米島町における中学校の卒業者自体が減少傾向でございます。それに伴って、合格者、入学者も減少しているという傾向でございます。

○平良昭一委員 連携型で77.5%ですね。その数字について、皆さんはどのように評価していますか。

○半嶺満県立学校教育課長 連携型の77.5%という状況でありますが、これまでの流れを見た中で、やはりしっかりと連携型で子供たちが来てもらっていると捉えているところでございます。

○平良昭一委員 これについては、久米島町が非常に頑張っています。町営の寮をつくったり、県外にも入学をしてくれということで、いわゆる営業も行っていると。町長を初めとしてやっているわけですから、非常に頑張っているのです。その中で、皆さんがどれだけ努力してサポートできるかということを、この陳情は言っているのです。したがって、結局は園芸科の存続について、皆さんがどういうことをしてきたのかということを陳情者は聞きたいわけです。園芸科に対して―1学級ですから12名ですね。地元で努力してもこれだけの数字しかない。そこで、県に対してどういう支援をやってくれるかということを望んでいるのかということ、それについて意見交換していますか。

○識名敦総務課長 この陳情については、定員の見直しも含めてという内容で、恐らく、その学級数―普通科や園芸科もそうですが、学科として学級数を維持するために必要な支援をしてくれということだと思います。去年、久米島高校や、じんぶん館に行って意見交換をしてきました。その中で、町教育長と30分くらい意見交換したのですが、久米島町からこういう陳情が出ていますが、町教育長としてどういうお考えですかとお聞きしました。じんぶん館ができる前は、確かに定員の見直しということも、久米島町でそういう話もあったと。ただ去年の6月でしたか、今、町教育委員会としては、定数の見直しよりも県外からの生徒の誘致に力を入れているので、しばらくはそこに力を入れて生徒数をふやしていきたいということで、今、じんぶん館は寮になっていますが、これが満杯状態なので、さらにスペースを区切って寮の定員をふやすというようなこともおっしゃっていました。県としてはできる限り、教職員の加配とかいうことをやっていきますが、そもそも連携型のパーセントはかなり高いということがございます。引き続き、高校とも意見交換しながら、今後どういう支援ができるのかということを意見交換をしながら、これについては厳しいところもありますが、検討していきたいと思います。

○平良昭一委員 寮の設置とか、いろいろ営業してきて、久米島高校の活性化につながっているという言い方ですが、高校があるからこそ町の発展につながるのです。そうであれば、教育をいかに大事にしているのかということは、地域の久米島の方々が一番知っていると思います。だからこそ、自分たちの力でどうにかしようということでいろいろなことをやってきている。連携型の77.5%はすばらしい数字です。それを評価していただいて、さらに何ができるかということを、これまでに意見交換してきたことは大変いいことですが、要するに久米島と県教育庁が同じ方向に向かっていくことが大事だと思います。その方向性が一致すればもっといけると思いますので、ぜひ今のようにどんどんと意見交換をやっていただきたいと思います。その辺を最後に聞かせていただきたい。

○識名敦総務課長 久米島町も県教育庁も、久米島高校の生徒がふえればいいという期待をしております。それは一緒だと思います。したがって、今後も久米島町や久米島高校とも意見交換して、その活性化について、どのような方法があるのか考えていきたいと思います。

○平良昭一委員 連携型について、先ほど本部高校の話をしましたが、当然、伊良部高校もありますね。ぜひ、久米島高校と同じように地域の方々ともっと意見交換を行っていただきたい。一つの目的に向かっているような状況、両方が別々に走るのではなく、両方が一緒になって動けるような、一つの方向に向かっていけるような状況をつくっていただくことを要望します。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、教育委員会関係の陳情に対する質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変おつかれさまでした。
 休憩いたします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 議案、陳情等に対する質疑については全て終結し、採決を残すのみとなっております。
 休憩いたします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 これより、議案及び陳情等の採決を行います。 
まず初めに、乙第11号議案沖縄県介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例、乙第12号議案沖縄県介護支援専門員資格登録申請等手数料条例の一部を改正する条例、乙第13号議案沖縄県養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例、乙第14号議案沖縄県特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例、乙第15号議案沖縄県軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例、乙第16号議案沖縄県指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例、乙第17号議案沖縄県介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例、乙第18号議案沖縄県指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例、乙第19号議案沖縄県指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例、乙第20号議案沖縄県指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例、乙第21号議案沖縄県指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準等を定める条例を廃止する条例、乙第22号議案沖縄県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例、乙第23号議案沖縄県指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例、乙第24号議案沖縄県指定障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例、乙第25号議案沖縄県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例、乙第26号議案沖縄県指定障害者支援施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例、乙第27号議案沖縄県障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例、乙第28号議案沖縄県病院及び診療所の人員及び施設に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例、乙第29号議案
沖縄県がん対策推進条例の一部を改正する条例、乙第31号議案旅館業法施行条例の一部を改正する条例、乙第32号議案国民健康保険法施行条例、乙第34号議案沖縄県国民健康保険調整交付金条例を廃止する条例、乙第35号議案沖縄県国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例、乙第46号議案沖縄県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例及び乙第47号議案沖縄県学校職員定数条例の一部を改正する条例議案25件を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 ただいまの議案25件は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、乙第11号議案から乙第29号議案まで、乙第31号議案、乙第32号議案、乙第34号議案、乙第35号議案、乙第46号議案及び乙第47号議案の条例議案25件は、原案のとおり可決されました。

○狩俣信子委員長 次に、乙第30号議案沖縄県住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例について採決を行いますが、その前に意見、討論はありませんか。
 新垣新委員。

○新垣新委員 乙第30号議案沖縄県住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例については、まだまだ議論が尽くされていないと感じます。私は継続審査を求めたいのですが、執行部が提案する以上、なかなか厳しいものがあるということで、今回、この部分は挙手による採決をお願いしたいと思います。

○狩俣信子委員長 ほかの委員はよろしいですか。それでは乙第30号議案は挙手による採決にしたいと思いますが。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 少し待ってください。乙第30号議案については、制限をかける市町村も含めてやはりバランスが悪いと思います。那覇市は独自でつくるということで外れていますが、そうでない10市町村や学校周辺の21市町村とか。これは新しくスタートするものなので、この規制のかけ方も含めて平等性がある形で検討したほうがいいと思います。ですから、これは、今、賛成・反対ではなくて、ぜひ、全会一致で継続審査として次の6月定例会まで延ばして、きちんと整理する必要があるものと考えます。ですから、ぜひ、継続審査をお願いできないでしょうか。
 
○狩俣信子委員長 ただ今の御意見もございますが、ほかに御意見はありますか。
平良昭一委員。

○平良昭一委員 今の意見ですが、昨年の9月から、国で新法をつくるということで進められてきたわけです。今回の委員会における執行部の説明でも、各市町村との意見交換も行ってきたということで、各市町村で規制をかけたいところはかけるし、そうしないところはやらないということのようです。これまでの委員会の中でこれについては、十分に審査されてきたものと受けとめています。これについては6月15日からの施行ですので、6月定例会まで待つということになれば、規制をかけてほしいと手を挙げてきたところについて、さらに悪化することになるという懸念があるわけです。それを踏まえながら、保健医療部長の話では、今後、課題が出てきた場合には柔軟に対応するということもありましたので、継続審査によってこれを延ばすことの弊害が大きいので、すぐに採決したほうがいいと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに御意見はありますか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 法の施行が6月15日であると。紛れもなく営業日が180日とかということで動くわけです。今回の条例は、そうでないともっと期間や場所について規制をかけたいと手を挙げた市町村が出てきたわけです。そういう市町村の意向も明確に入っているわけですから、そうしたいというところがこの条例の制定を待たずに、法の規制によって住居専用地域でも民泊ができるようになると混乱することになるので、賛否を決めたほうがいいと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに御意見はありますか。
 金城泰邦委員。

○金城泰邦委員 民泊に関連して、県内でも那覇市における違法民泊が一番ひどい状況だと思います。市内の約8割が違法民泊ではないかと言われています。これについて、那覇市はいろいろと審査していて、この3月ということではなくて、5月に臨時会を開く方向で議論しています。これは、違法民泊をどのように防止していくのかという議論がもう少し必要であることになっているようです。ですから、5月に臨時会を開いて6月の法律の施行に間に合わせるように議論すると聞いています。そうなると、県の条例と那覇市の条例の内容にかなりの開きが出てくる可能性があると思います。したがって、那覇市の議論の推移を見守る必要があると思いますし、規制をかけたい自治体と規制をかけたくない自治体のそれぞれの意見を聞きたいという思いもあります。

○狩俣信子委員長 ほかに御意見はありますか。
 亀濱玲子委員。

○亀濱玲子委員 新法に関連する条例ですから、いろいろな意見が出ると思います。既に平良委員がおっしゃったとおり、市町村の意見は聞いてきており、そうしたいという希望は出てきているので、これは条例として生かしていく。その後に、課題が出てきたときに、しっかりと対応していただく形でいくことがスムーズではないかと思います。ですから挙手採決すべきだと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに御意見はありますか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 昨日、この民泊の法律をつくった国土交通省の担当課長に電話をしました。その中で、法律の趣旨、都道府県における規制のありようなどを確認しました。私が保健医療部長とやりとりしたこと。今まで民泊をしてきた方々が旅館・ホテル業法から見ると違法であるが、この新法ができたら、これに基づいてできるようになっているのです。ところが保健医療部長が言うには、この方々は違法行為であると。国土交通省の考えとしては、今ある民泊についてきちんと法制化してやるという趣旨があって、この新法ができているわけです。でも懸念する部分もあるので、規制する条項も設けているのですが、この規制の部分について都道府県が全て取り入れると、民泊ができなくなるというおそれがあるわけです。だから、法律では認められているが、それぞれの都道府県の条例で規制されたら、民泊をやりたいという人たちはできなくなる。そうなると法的な手段で争うことになる可能性がある。ですから、そういうことも含めて考えていくと、やはりもう一度きちんと整理する必要があると思います。市町村の意見を聞いたと言いますが、それぞれの県民の意見は聞いていないわけです。本来は、県民が民泊をやる権利を持っているわけです。保健医療部長の話では、積極的にこれを周知するというわけでもない。だから、ここは一度立ちどまって、6月定例会と言わず、その前に臨時会を開いてもいいわけです。

○狩俣信子委員長 ほかに御意見はありますか。
 末松文信委員。

○末松文信委員 法律と条例の趣旨についてはよく理解しています。この条例の第1表から第3表を見ると、各市町が手を挙げてきたので、そのようなつくり方になっていると。そうなると、これから漏れるところが出てくる可能性があります。その意味では、ここのつくり方として、那覇市を除く全県的に網羅できるような条例をつくるべきではないのかと思います。ですから、その意味でも、少し議論を深めるためにも、ぜひ継続審査すべきだと考えます。

○狩俣信子委員長 ほかに御意見はありませんか。
 意見、討論等なしと認めます。
 以上で、意見、討論等を終結いたします。
 これより、乙第30号議案「沖縄県住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例」を採決いたします。
 本案は、挙手により採決いたします。
 なお、挙手しない者は、これを否とみなします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の挙手を求めます。

   ( 挙 手 )

○狩俣信子委員長 挙手多数であります。
 よって、乙第30号議案は、原案のとおり可決されました。
 次に、乙第60号議案債権の放棄について、乙第62号議案損害賠償請求事件の
和解等について、乙第63号議案損害賠償の額の決定について、一括して採決い
たします。
 お諮りいたします。
 ただいまの議案は、可決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、乙第60号議案、乙第62号議案及び乙第63号議案の議決議案3件は、可決されました。
 次に、陳情等の採決を行います。
 陳情等の採決に入ります前に、その取り扱いについて御協議願います。
 休憩いたします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 陳情等については、休憩中に御協議いたしました議案等採決区分表のとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、閉会中継続審査・調査事件の申し出の件についてお諮りいたします。
 先ほど、閉会中継続審査・調査すべきものとして決定した請願1件及び陳情51件とお手元に配付してあります本委員会所管事務調査事項を閉会中継続審査及び調査事件として議長に申し出たいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。
 ただいま議決しました議案等に対する委員会審査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 休憩いたします。
○狩俣信子委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 陳情第16号障害児童生徒の通常学校、保育園の受け入れに関する陳情及び陳情第34号夜間中学校に対する支援事業継続に関する陳情に係る参考人招致については、休憩中に御協議いたしましたとおり、議題に追加し、直ちに審査を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よってさよう決定いたしました。
 次に、参考人招致についてお諮りいたします。
 陳情第16号障害児童生徒の通常学校、保育園の受け入れに関する陳情及び陳情第34号夜間中学校に対する支援事業継続に関する陳情に係る参考人招致についてを議題といたします。
 陳情第16号障害児童生徒の通常学校、保育園の受け入れに関する陳情及び陳情第34号夜間中学校に対する支援事業継続に関する陳情の審査の参考とするため、参考人の出席を求めるかどうかについて、休憩中に御協議をお願いします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 陳情第16号及び陳情第34号につきまして、本委員会に陳情者を参考人として出席を求め、意見を聞くことについては、休憩中に御協議いたしましたとおり決することとし、その日程及び人選については委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 休憩いたします。

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 本委員会所管事務調査事項教育及び学術文化についてに係る視察調査日程については、休憩中に御協議いたしましたとおり、議題に追加し、直ちに審査を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 本委員会所管事務調査事項教育及び学術文化についてに係る視察調査日程についてを議題といたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、教育及び学術文化についてに係る視察調査日程について協議した結果、平成29年12月14日の本委員会において決定した、米軍CH53E大型ヘリコプターからの普天間第二小学校への窓落下事故の現場視察視察調査を取りやめることで意見の一致を見た。)

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 視察調査につきましては、取りやめるものと決することとしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 以上で、本委員会に付託された議案等の処理は、全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

   委 員 長  狩 俣 信 子