委員会記録・調査報告等

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文教厚生委員会記録
 
平成28年 第 1定例会

2
 



開会の日時

年月日平成28年3月4日 曜日
開会午前 10 時 0
散会午後 3 時 10

場所


第2委員会室


議題


1 乙第15号議案 沖縄県子どもの貧困対策推進基金条例
2 乙第23号議案 沖縄県国民健康保険財政安定化基金条例


出席委員

委 員 長  呉 屋   宏 君
副委員長  狩 俣 信 子 さん
委  員  又 吉 清 義 君
委  員  島 袋   大 君
委  員  照 屋 守 之 君
委  員  新 田 宜 明 君
委  員  赤 嶺   昇 君
委  員  糸 洲 朝 則 君
委  員  西 銘 純 恵 さん
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  嶺 井   光 君


欠席委員

なし


説明のため出席した者の職・氏名

子ども生活福祉部長     金 城   武 君
 福祉政策課長       上 間   司 君
 青少年・子ども家庭課長  大 城   博 君
保健医療部長        仲 本 朝 久 君
 国民健康保険課長     宮 平 道 子 さん
 教育庁教育支援課班長   國 吉   聡 君



○呉屋宏委員長 ただいまから、文教厚生委員会を開会いたします。
 乙第15号議案及び乙第23号議案を議題といたします。
 なお、ただいまの議案2件については、3月2日に開催された本会議において、先議案件として本委員会に付託されております。
 本日の説明員として、子ども生活福祉部長及び保健医療部長の出席を求めております。
 まず初めに、乙第15号議案沖縄県子どもの貧困対策推進基金条例の審査を行います。
 ただいまの議案について、子ども生活福祉部長の説明を求めます。
 金城武子ども生活福祉部長。

○金城武子ども生活福祉部長 それでは、乙第15号議案沖縄県子どもの貧困対策推進基金条例について御説明いたします。
 議案書(その3)の81ページをごらんください。
 本議案は、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子供が健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会の確保を図るため、子供の貧困対策を推進することを目的として、沖縄県子どもの貧困対策推進基金を設置する必要があることから、条例を提出するものであります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○呉屋宏委員長 子ども生活福祉部長の説明は終わりました。
 これより乙第15号議案に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 糸洲朝則委員。

○糸洲朝則委員 沖縄県子どもの貧困対策推進基金の創設は大変いいことですが、そこに至るに当たって皆さんは調査されていますよね。その中における貧困率が29.9%、ひとり親の世帯は58.9%と、パーセンテージでの数値は至るところに出てきているのでよくわかりますが、具体的に数字として何名とか、何世帯とか、そういうものがあれば教えてください。

○大城博青少年・子ども家庭課長 平成22年の国勢調査で18歳未満の子供の数が本県は約30万人となっております。今回の調査で算出された29.9%、約3割を単純に掛けますと、貧困状態で暮らす子供が約9万人いるということになります。

○糸洲朝則委員 9万人ということは、それ以外のところはもっと高いわけですね。60%近いので、人数にして……。

○大城博青少年・子ども家庭課長 18歳未満の子供が30万人いて、その30%が貧困状態ということで想定しますと、9万人の子供が貧困状態で暮らしているということになると考えております。

○糸洲朝則委員 全体ではそうですよね。ひとり親世帯が約6割で上がっているので、ひとり親世帯だけ抽出したものの6割だと思いますが、その実数をお願いします。

○大城博青少年・子ども家庭課長 実は、今回、沖縄県子どもの貧困実態調査―沖縄子ども調査という調査をやっておりまして、その調査では小学校1年生、小学校5年生、中学校2年生にアンケート調査をかけまして、家族の類型についても分析をしております。それで見ますと、3学年平均で母子世帯が12.5%、父子世帯が2%となっておりまして、合計しますと14.5%がひとり親世帯という結果になっております。

○糸洲朝則委員 調査に基づいて貧困対策推進基金、そして各市町村あるいは県でそれぞれの子供の境遇、ライフステージに応じてということでやっておりますが、例えば、ここで教育・生活・就労・経済と、それぞれ支援の項目があるわけで、その子に適切な支援をということが大変重要だと思います。例えば、全体的に小学校1年生、小学校5年生、中学校2年生と抽出した中での把握の仕方ですが、実際、顔が見れるような形で把握していただくのが一番いいと思います。それができるのは市町村という最前線の行政機関とか、あるいは学校現場。18歳未満ですから、小・中・高との連携、そこを通した県の把握した上での分析力あるいは実施する力が必要だと思います。それがきめ細かにされたとき、この基金が有効に使われるという思いをしておりますが、今、私が言う市町村との連携、掌握、学校との連携、これは皆さん方としても各課によって担当されると思いますが、それについて御説明いただければありがたいです。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今、御指摘のありました個々の実情を詳しく把握するという点ですが、次年度から内閣府の緊急対策事業で支援員が各市町村に配置されまして、家庭をアウトリーチして実情を把握することになっております。そのような活動を通して、どのような支援ニーズがあるのか、今、その市町村で欠けている支援ニーズは何なのかということが浮かび上がってくると思いますので、その不足している支援ニーズの中で、沖縄振興一括交付金―一括交付金でできるような事業、各省庁の国庫補助事業を活用してできる事業、またそれではなかなか執行することが難しい事業等については、ぜひ基金を活用して対応していくようにしたいと思います。それから、市町村との連携につきましても、今後、基金をどのような事業に活用していくか等も含めて、例えば、圏域ごとに市町村の皆さんに集まっていただいて、県や場合によっては国の職員にも参加いただいて意見交換を行うなどして、連携を深めていきたいと考えております。

○糸洲朝則委員 子供の貧困と言えども、突き詰めていけば親の貧困なのです。ですから、親の貧困によって―生活保護制度というものがある。したがって、その中で保護されていくのはそれなりにきちんとされている部分もあると思います。ただ、生活保護には至らないけれども、どうしようもない貧困にあえいでいるというはざまの子供たちをどう掌握していくかと思ったりしていますが、いかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 御指摘の点は、子供の貧困という問題をどう捉えるかということになると思います。子供の貧困についての研究者の論文等を読んでみますと、必ずしも親の収入が不足しているという形では捉えておりません。当然親の収入が不足していることが鍵になっているわけですが、それだけではなく、養育環境や社会とのつながり、あるいは子供に対する勉強の指導が十分にできないとか、複合的に問題が積み重なっている状態を子供の貧困と捉えておりまして、そういう理解をしますと、親の収入を改善するだけでは子供の貧困問題を解決することが難しく、総合的な対策が必要になるのではないかと考えております。

○糸洲朝則委員 皆さん方の答弁にありますように、子供の貧困の定義づけそのものがまだ曖昧な部分がありますし、もう一つは、貧困側といいますか、私は貧困ですと言ってくれれば、それはどういうことかと掌握もできますが、なかなかそういうこともないと思います。客観的に見てこの子は教育支援が必要だとか、あるいは生活支援が必要、就労支援が必要だと、これは先ほどから言っているように行政側や地域が―支援員を配置するという国の制度がスタートするわけですが、そこらあたりで入り込んでいって、掌握していくということ等も期待したいのですが、心配されることは、今の行政というのは申請主義ですので、申請されたものは受けるけれども、申請のなかったものはわからないでは済まされないわけです。ですから、客観的に見てこれはこういう支援が必要だという働きといいますか、そのセクションをきちんと定める必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。学校や市町村役場、あるいは地域におろしていって―例えば、何項目か挙げてこれに該当する人はいませんかという感じで吸い上げていかないと、なかなか肝心の本人に届かないと思いますが、そこら辺はいかがですか。

○金城武子ども生活福祉部長 つながる仕組みが子供の貧困に対して重要だと、委員御指摘のとおり、みずから私は貧困ですと強く申し出る方はなかなかいないと思います。一番今回の貧困対策推進計画の中で学校を中心とした―プラットフォームという位置づけでやっておりますが、学校にいると大体子供たちの状況とかが見えてくる。そこのところはスクールソーシャルワーカーを配置しておりますが、これがまだ十分ではないと。今回、国の内閣府の事業として支援員という形で配置されますので、ここの福祉とつなぐパイプが非常に重要だと思っております。さらに、そういう支援員の活用もそうですが、地域の民生委員・児童委員の方、またさらに実際に住んでいる場所で把握されている方もいますので、その辺のネットワークもしっかりつないで、支援が必要な家庭、子供たちに支援が届くような仕組みをつくっていく必要があるかと認識しております。

○糸洲朝則委員 30億円という基金の額と6年という期間は何か意味があっての設定ですか。30億円で6年ぐらいあれば今の貧困状況をかなり脱却できるという目標……。皆さんの計画を見ても数値目標も出ていますので、それから算出した額なのか、あるいは期間なのか。本当はこれが冒頭の大変重要なことだと思いますが、いかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 基金の設置期間につきましては、計画の期間と一致させております。計画の期間につきましては、国の大綱が5年をめどに策定されるということで、当初は5年間を考えていたわけですが、子供の貧困対策が沖縄振興全体の中でも重要な位置づけになるのではないかと考えまして、沖縄21世紀ビジョン基本計画の計画期間と一致させたほうがいいだろうということで、計画期間を6年に改めております。また、内閣府の緊急対策事業につきましても、集中対策期間が6年間でセットされているということで、その期間とも整合性をとったほうがいいのではないかということで、基金の設置期間は6年間ということで設定しております。
 基金の使い道については、今後市町村と意見交換をして対象事業を設定していきたいと考えていますが、子どもの貧困実態調査の結果を踏まえますと、非常に厳しい家計の状況の子供が多くて、日常的な食料品ですら買えないことがあると。そういう家庭がある中で、貧困世帯でありながら就学援助制度を知らず、申請に至っていない、あるいは周りの目が気になって申請できていないという家庭が少なからず存在していると。この部分をぜひ改善したいと考えておりまして、就学援助制度の適正利用を促進する取り組みを各市町村にやっていただきたいと考えております。その取り組みに必要な額として6年間これで対応できるようにということで所要額を見込んでおります。

○糸洲朝則委員 まだ条例を詳しく読んでいませんが、6年で30億円ということで、その中で足りればいいのですが、足りないことも想定されるわけですよね。その場合には、次から積み立てをするのか、あるいは年次的に6年の間に幾らかの積み立てをしていこうと考えているのか。6年間これだけぽっきりということにはならないと思いますが、その見通しも含めていかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 子供の貧困対策につきましては、従来から沖縄振興特別推進交付金を活用して実施しておりますし、次年度からは国の緊急対策事業の財源も活用できます。また、文部科学省や厚生労働省の子供の貧困対策の国庫補助事業もございます。今回、県の基金が加わるということで、全体を通じて市町村が実施する必要がある財源を確保していくということになるのではないかと考えております。そういうことを考えますと、県としては今回の30億円の基金の創設で、市町村が地域の実情に即した対策を効果的に推進していく上で必要な財源は一定程度確保されているのではないかと考えております。

○糸洲朝則委員 国もそういう方向へ走っている、当然市町村もと。そうは言っても、30億円に上積みをしていくことが可能なのかどうか、あるいは考えているのかどうか。できたら条例のどこかにそういうものがあれば一番いいのですが、どうなのですか。

○金城武子ども生活福祉部長 今、青少年・子ども家庭課長からもありましたように、子供の貧困対策を総合的に推進していこうということでございますが、当然、当該基金も有効に活用しますが、それ以外にも今の沖縄振興特別推進交付金―ソフト交付金を拡充することもまず1つ。そして、内閣府の緊急対策事業も十分に効果的な部分でしっかり活用していく。そして各省庁の貧困対策もいろいろメニューはございます。この基金というのは、基本的にはそういう国の事業になかなかなじみにくいような事業をまずやると。そして、ただ、国の事業であってもなかなか補助率が低く、市町村の財政的負担が大きくて手を出しにくいような部分もございますので、その辺も少し基金を活用しながら可能性を、そういうあたりで支援できる部分は支援していくということで、まずはこの30億円で一定程度の事業として我々が見込んでいるのは、単純に割りますと、毎年5億円になります。すき間を埋めると言えば変ですが、足りない分をこれでしっかりバックアップすることで国の事業のメニューをうまく活用しながら市町村の取り組みの促進をしていくという考えでやっておりますので、今の段階では30億円で一定程度の事業の展開は可能かと考えております。

○糸洲朝則委員 示唆的なもの、例示的なものがありますか。今は国の施策と市町村の施策のすき間を埋めるようなという大変、非常にいいことですが、行政の仕事というのは案外きちんとした仕組みになっていますので、そのすき間を埋めるというのはいいことだけれども、難しいのです。ですから、例えば、どういう事業とか、そういうものがあればある程度私たちも描けるのですが、いかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 具体的な事業は地域によって実情が異なる部分もあると思いますので、市町村とよく協議をして決定していきたいと考えておりますが、現時点において県で考えているような事業を例示いたしますと、先ほど申し上げました就学援助の適正利用を促進するための市町村の取り組みに関する事業、それから、今回の実態調査で沖縄県は貧困状態の子供が非常に多いということがわかりまして、その中で特に支援が必要な家庭に早くつながる必要があると思いますので、そういう観点から母子保健分野で支援が必要な家庭を早期に把握するための取り組み、それから、低所得世帯が保育を利用しやすくするための取り組み。例えば、放課後児童クラブで保育料の負担を低減していくような事業が考えられると思います。それから、学校教育で学力の保障に関連するような施策など、こういった事業が基金の対象事業として活用できるのではないかと想定しております。

○糸洲朝則委員 今、就学援助、就学支援の話が出ましたが、小・中・高の入学時というのは結構お金を使うのです。ここら辺は制度の中であるかもしれませんが、そこら辺に手当てをしてあげるだけで、この子はスムーズにみんなと一緒に勉学にスタートできるという感じがします。案外手の届かないところはこういうところかとふと思いついたのですが、もしそれが答弁できれば答弁していただきたいですし、答弁できなければできないで頭の片隅にでも置いておいてください。ランドセルが買えないとか、いろいろあります。これは学校に確認すればすぐわかることですので。ですから、入学祝い援助みたいな形で手当てしてあげるだけで全然スタートが違うと思います。そういうものがあればいいなと思ったので申し上げました。

○大城博青少年・子ども家庭課長 各市町村の教育委員会で実施しております就学援助制度においては、学用品も支給対象になっておりまして、その中で小学校に上がるときのランドセル等の購入費用に充てることも可能になっているということでございます。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 赤嶺昇委員。

○赤嶺昇委員 調査もしてきたところで、貧困率が29.9%ということですが、各市町村の状況はどうですか。市町村名は言わないということになっているのですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今回、貧困率の調査に関しては、市町村に御協力いただいてデータを算出したわけですが、調査の実施に当たりまして、市町村ごとのデータについては一切公表しないという条件で協力してもらっておりますので、県でデータを公表することはできません。

○赤嶺昇委員 県は当然各市町村の実態は知ってはいるわけですよね。

○大城博青少年・子ども家庭課長 把握しております。

○赤嶺昇委員 事前に約束をしたとはいえ、各市町村みんな一緒ではないと思います。私は個人的にむしろ表にしっかり出して、目的は子供たちの貧困を解決していくことが大事です。市町村が悪いとか、いいとかという話ではなく、我々としてはそういう分析もわからないと、議会でも、委員会においても、これから審査していく中で―これは6年間ぐらいあるわけですから、実態がわからないということは……。約束したとはいえ、ここは今後公表も含めて市町村の協力を仰ぐということは必要ではないのかと思いますが、いかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 子供の貧困率の市町村ごとのデータの取り扱いに関しては、委員おっしゃるように市町村ごとのデータがわかったほうが実態の把握、現状の分析につながるという意味で非常にメリットはあると我々も考えております。ただ、それぞれの市町村によって、地域のイメージとかに与える影響等を考慮してできれば公表したくないと考える市町村もあるのではないかということで、公表はしませんので協力していただきたいということで、今回そういう取り扱いにしたということでございます。一番大事なことは、子供の貧困率の調査を一定期間経過後にもう一度全県規模で実情を把握できるような形で実施したく、そのときに次回の調査からは協力できないという市町村が出てくることがないようにと考えておりまして、慎重に進めているところですが、委員おっしゃるようなメリットもあると思いますので、今後機会を捉えて市町村と意見交換などやってみたいと思います。

○赤嶺昇委員 市町村のメンツを見るのか、子供たちの実態をしっかり見て、厳しいところは厳しいところでむしろ県を挙げて、もっとバックアップすると、それを改善していくということが何よりも大事だと思います。ですから、協力をいただく前提条件は理解しておりますが、今後話し合いをする中で、やはり市町村に対して公表してもいいところも含めて―委員会でそういう意見があったということもぜひ言っていただいて、市町村を責めるということではなく、しっかり直していくということが大事ではないかと思っておりますが、いかがですか。

○金城武子ども生活福祉部長 やはり、地域の実情はそれぞれの地域で違いますので、それをしっかりと把握してお互い共通認識を持って取り組むことは非常に重要だと思っておりますので、スタートの時点で市町村との信頼関係もございますので、市町村の意向をしっかり踏まえて今後の対応を検討してまいりたいと考えております。

○赤嶺昇委員 そこでお聞きしたいのですが、平均が29.9%ですよね。市町村名はいいのですが、最も貧困率の高いところが何%で、最も低いところは何%ですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 最も高い割合を申し上げますと、個別市町村の貧困率をそのまま申し上げることになりますので、市町村名と連動はしていないのですが……。

○呉屋宏委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、赤嶺委員から貧困率の最も高い箇所と最も低い箇所との差を確認したいので、数値を答弁するよう指摘があった。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 大城博青少年・子ども家庭課長。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今回、子供の貧困率29.9%は、貧困率を算出するために必要なデータが全部そろった8自治体のデータを用いて算出しております。その中で一番厳しかった団体の貧困率は、県の貧困率よりも5%程度高くなっております。一方、県の貧困率よりも低い市町村もありまして、そちらも県の貧困率と比較して5%程度低い水準となっております。

○赤嶺昇委員 慎重になることはいいですが、国も県も市町村も本気でこれを解決していこうという目標になっているわけですから、ここで市町村のメンツ云々ではなくて、慎重になるのはわかりますが、しかしそこもしっかり市町村とも腹を割って、それを改善していくということが一番大事だと思っております。あと、新聞等でも、各市町村でそういう対策の部署といいますか、動き出しがあるのですが、現段階で市町村で子供の貧困に対する取り組みをスタートさせたところというのは、どのように把握していますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 個々の市町村の取り組み状況の詳細は把握しておりませんが、県と同じように全庁体制で対策を推進できるようにということで、庁内検討組織を置いたところが、例えば那覇市、沖縄市であると聞いております。先日、新聞報道等で名護市において推進するための組織を設置したという情報がございました。また、宮古島市では政策参与の配置をしたと聞いております。それから、内閣府の緊急対策事業の活用状況についても、正確に何市町村というところまで情報はまだ把握していませんが、非常に多くの市町村が積極的に活用したいということで、内閣府と調整を進めていると聞いております。

○赤嶺昇委員 今、青少年・子ども家庭課長から個々の市町村の取り組みは把握していないという答弁がありましたが、これは把握しないといけないと思います。予算もそうですが、ほとんど市町村が主体だと言っている中で、よくわからないというのはいけませんよ。それぞれの市町村が主体的に動くと思いますが、新聞で知るということではなく、そこは積極的に市町村ごとでこういう取り組みをしますということを把握しながら取り組んでいくべきだと思いますが、いかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 先週24日に市町村との意見交換を行いまして、その中である市の職員から、子供の貧困対策で地域ごとに大きな取り組みの格差が生じてはいけないと思うと。ぜひ、県は各市町村の状況を把握して、そういうことがないように、あるいは個々の市町村の取り組みの中で非常にいい事例があれば、それを各市町村に情報をフィードバックして普及させていく、そういう役割を担ってほしいという要望も受けておりますので、そのような役割を県が果たせるように取り組み状況の把握に努めていきたいと思います。

○赤嶺昇委員 そのとおりだと思います。要するに、これからみんな動いていく中で、より効果的に、あと体制が一番よくスムーズにいっているケース、場合によっては市町村のケースがよくて、県が見習うケースもあると思います。ですから、そういうことも含めて情報交換をして、実はこういう体制が一番ベストで、取り組み状況がスムーズにいっているということを積極的にやっていただいて、他市町村にも共有していくことは大事だと思いますが、いかがですか。

○金城武子ども生活福祉部長 子供の貧困対策についていろいろな重要な施策を市町村が担っているという状況もございます。そういう意味では、我々も市町村の状況をしっかりと把握して連携をして、小まめに意思疎通といいますか、連絡会議も持って全県的にしっかりと貧困対策を推進してまいりたいと考えております。

○赤嶺昇委員 資料で細かいものもたくさんありますが、きょうは基金という大枠の部分で、今後またいろいろと議論していきたいと思っております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 嶺井光委員。

○嶺井光委員 一般質問でも取り上げましたが、就学援助の問題、一点に絞ってやろうと思っております。
 教育委員会の所管の中でやっていると思いますが、貧困対策でも大きなテーマとしてとれるようなお話があったので、ぜひ頑張ってもらいたいと思っております。この貧困問題は社会問題化していて、国もこれをしっかり捉えて10億円の予算をつけていると。そういう意味では、沖縄県でこれから取り組むことに国も支援の手を差し伸べていると捉えております。しっかり取り組んでもらいたいと思っておりますが、一般質問でも答弁いただきましたが、就学援助制度の認定基準あるいは対象費目について伺いました。各市町村間でばらつきがあります。貧困を救うという機会にしっかり市町村と連携をして、平等に支援が行き渡るような取り組みをしっかりやってもらいたいのです。そういう意味での考え方をまずはお聞かせください。

○國吉聡教育支援課教育支援班長 就学援助制度は、市町村の単独事業として実情に応じて実施されておりますので、認定基準や支給額について格差が生じているというところを県としての課題だと考えております。各市町村の認定基準であるとか、そういう状況について各市町村に集まってもらって、去る1月に市町村担当者連絡会議を行ったところであります。こういう情報交換を通して情報を共有してほかの市町村でやっているようないい事例とかを参考にしてもらって、底上げを図っていきたいと考えております。

○嶺井光委員 県も市町村間でばらつきがあるということを認識していますので、先ほど言ったように、この機会に平等な支援という方向性をしっかり定めてやってもらいたいと思っております。具体的に教育長が答弁しておりましたが、認定基準は市町村民税の非課税世帯、そこで大体統一されていると思います。まずは、それ以外の市町村ごとのばらつきを整理して、どこの市町村にいても同じように支援が受けられるように、あるいは援助対象費目といいますか、これも場合によっては貧困世帯の子供が視力が弱いとか、そういうところについて眼鏡の購入の支援をするとか、そこら辺は一部の市町村にとどまっているという状況だと思います。そういうところをしっかりできるのか。そういう具体的なものの検討といいますか、情報共有はしているのですか、どうですか。

○國吉聡教育支援課教育支援班長 委員おっしゃいますように、就学援助認定基準について、市町村民税の非課税世帯を対象にしたり、生活保護の停止または廃止、児童扶養手当の支給といったものはほとんどの市町村で採用しているところです。それ以外にも、保護者の職業が不安定で生活状態が悪いと認められるものであるとか、生活保護基準に一定の係数を掛けたものといった認定基準を設けているところもございますので、その辺も情報交換しながら改善できるように促進していきたいと思います。それから一方の援助品目ですが、やはり学用品費、新入学児童生徒学用品費、それから通学用品費といったものはほとんどの市町村で行われています。少ない費目として、クラブ活動費ですとか、生徒会費、PTA会費などを援助費目に加えているところは少ないという状況でございますので、このような市町村の取り組みも情報共有していきながら改善を促していきたいと考えております。

○嶺井光委員 これは認識されているようですが、市町村間のばらつきについて調査されたデータはあるのでしょうか。

○國吉聡教育支援課教育支援班長 市町村担当者会議のときにも市町村にお配りして、ほかの市町村がどういう項目をやっている、どういう認定基準を採用しているというものは市町村担当者内では共有しているところであります。

○嶺井光委員 ぜひ、この調査も生かして、平等にしっかり支援が行き渡るようにしてもらいたいと思っております。
 それから、援助制度の周知の問題について、一般質問でもいろいろな方が取り上げておりましたので、ある程度は確認できておりますが、中には援助そのものをためらう方もいると聞いております。どの程度の方々にためらいがあるのか、そこら辺の実態も把握できていますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今回実施しました子ども調査の中で、各学年の保護者の方になぜ就学援助を申請しないのかという質問をしておりまして、その中の回答で、必要だけれども周囲の目が気になったので申請しなかったと回答しているのが、貧困世帯ですが、小学校1年生で7%、小学校5年生で10%、中学校2年生で5%となっております。

○嶺井光委員 これはかなり高い数値ではないかと思います。周囲の目を気にしてためらうということは、子供の教育そのものにブレーキがかかっているという状況になりかねないわけですから、そこら辺はしっかり拾い上げていくという努力も必要だと思います。そこで、民生委員・児童委員の方々が各地域におりますが、この方々の働きも大きいと思っております。そういう地域の方と、きめ細やかに接しておられる方々として、民生委員の方の活用が大事だと思いますが、そこら辺は生かされているのか、どうなのでしょうか。

○國吉聡教育支援課教育支援班長 周知の方法を調べた際に、そのほかどういう周知の方法をやっていますかという調査も行っております。その中で、民生委員でありますとか、学校からの家庭の状況などの情報を確認して、行政から積極的に案内を行うという団体もありますので、そういったいい事例をほかの市町村にも紹介して、地域の実情にあった周知の方法、拾い上げができるようなことを促していきたいと考えております。

○嶺井光委員 民生委員の充足率については以前も議論したことがありまして、どちらかというと不足の状態だと思っておりますが、現実はどうなのでしょうか。

○上間司福祉政策課長 平成28年2月1日現在ですが、今の充足率は89.5%となっております。

○嶺井光委員 この充足率は全国的に見るとどうなのでしょうか。

○上間司福祉政策課長 全国で最も悪い充足率となっております。

○嶺井光委員 そこら辺なのです。やはり、貧困の問題が社会問題化している中で、行政の皆さんが一生懸命にやるということは当然のことですが、これを支援する民生委員とか、社会・地域のお力もぜひ一緒になってやらないと解決には少し遠い、あるいは迅速なスピード感のある支援ができないのではないかと思います。この充足率については、全国的に最悪の状態がかなり前から続いていると思います。そこら辺の取り組みとして県としてはどうなされていますか。

○上間司福祉政策課長 充足率の向上に向けての取り組みですが、県も市町村も一緒になって取り組んでいるところでありまして、例えば、市町村の取り組みとして首長が民生委員・児童委員の日に一日民生委員として、家庭訪問や啓発活動を行っている例があります。また、県におきましては、充足率が低い市町村を平成26年度から個別に、首長と市町村の沖縄県民生委員児童委員協議会がございますので、こういった役員の方々も同席しまして、一緒になってどういった取り組みで向上を図っていくかということを意見交換しながら、現在連携を図っているところであります。

○嶺井光委員 きょうの追加資料に民生委員事業費がありますが、平成27年度に比べて予算もふえています。指摘したいことは、民生委員の充足率が不足している状況には何らかの原因があるのではないかと思いますが、やはり活動を支援するという意味では、端的に言っても経費面とかも大事ではないかと思いますが、いかがですか。この充足率に満たないという現状の課題といいますか、どうしてそうなのでしょうか。

○上間司福祉政策課長 充足率が低いという話ですが、原因として考えられることとして、まず地域住民との関係性の希薄化、それぞれの地域住民の抱えている課題が複雑、多様化、複合化しておりまして、そういったことにアプローチする民生委員の負担増などが考えられるところでございます。

○嶺井光委員 ですから、負担感があると思われていると。それでなり手がいないということだろうと思いますが、それこそ解決すべき課題ですよね。いろいろな負担感がある中で、今度は貧困問題についてさらに頑張ってもらおうという立場の方々です。予算がふえたということは、私が言っているような今回民生委員にも頑張ってもらわないといけないということでふえたのか、ふやした要因は何ですか。

○上間司福祉政策課長 民生委員・児童委員の任期が3年でございまして、次年度になりますが、一斉改選の時期に当たっております。そういうことで、こういった改選も含めて費用を増額しているという状況であります。

○呉屋宏委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、嶺井委員から、増額は民生委員の待遇面に対する支援ではないのかとの確認があり、執行部から増額の主な理由は改選に要する経費であるが、研修会を増加する等支援の拡充も行っていると補足説明がされた。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 嶺井光委員。

○嶺井光委員 民生委員の皆さんは負担感がある中で、今回の貧困問題についても頑張ってもらおうということになるわけですから、それなりのいろいろな活動支援、経済的支援も含めてやってもらいたいと思っております。
 それからもう一つ、新聞記事で何度か見ていますが、行政がこのように貧困対策をしていくということは当然でありますし、大事なことです。そして、これに加えて県民運動的なものも動きは既にありますよね。私の地元の大先輩の方が月に100円集めれば幾らになっていくという論壇の投稿がありました。ああいうものに対して行政としてはどういう捉え方をしていますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 子供の貧困対策は、県と市町村が一生懸命やるだけではなくて、先ほども児童委員の話もありましたが、子供の貧困対策にかかわるいろいろな主体の協力を得て進めるべきだと思います。こういう問題が起こってきた背景には、社会とか、経済が変わってきた影響は多くありますので、県民一人一人にもいろいろ力をかしていただいて、対策を進めていく必要があるということで、今回、議会の中でもいろいろと議論が出ましたが、県民会議を設置していろいろな事業を実施していきたいと、県民運動として展開していきたいと考えております。

○嶺井光委員 この県民運動の中でやるかどうかは別として、あの提案はとてもすばらしいと思っております。いろいろな支援、義援金などが電話一本で電話料に加算されて徴収されていると。いろいろなシステムや方法があると思いますが、これをどうやってやるかということが課題だと思います。あるいは、社会福祉協議会―社協単位でやるのか、これを市町村ごとにやるのか、県を一まとまりにしたものでやるのかということで、具体的に県民みんながやろうではないかという気運を高めて本当に動いてほしいと思っているのですが、どうでしょうか。

○金城武子ども生活福祉部長 ああいう形で投稿があって、非常に県民全体的に盛り上がっております。県民会議は幅広く団体参加を呼びかけてやりますが、具体的にどういうプロジェクトをやるかということは、その中で一応議論してやっていこうということなので、今、御提案の部分を含めて、どういう形で県民全て参加するような形の運動にできるか、事務局としてそういう考えを持ちながら議論を踏まえて対応してまいりたいと考えております。

○嶺井光委員 全国の中でも貧困率が際立って高いわけです。でも、沖縄のユイマールの精神、捨てたものではない県民性がありますので、こういうところで厳しい課題を解決するのだと。それこそオール沖縄だと思います。選挙でいうオール沖縄ではなく、こういう助け合いの精神、こういうものをオール沖縄でやっていこうという取り組みを具体的にやっていただきたい。これは知事にも進言して、ぜひ実現してほしいと要望して終わります。

○金城武子ども生活福祉部長 委員の御指摘をしっかりと受けとめて、取り組んでまいりたいと思います。

○嶺井光委員 オール沖縄のことについても、これとは少しテーマが違いますが、どこで使うかということは大事だと思います。そういうことをぜひ知事にもおっしゃってください。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 中間報告で子供の貧困率が29.9%ということですが、沖縄県の子供の貧困についての認識を伺いたいのですが、まず、貧困層で小学校1年生、小学校5年生、中学校2年生で、食料を買えなかったことがあるという結果を先にお尋ねします。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今回の調査で、過去1年間に経済的な理由で嗜好品を除く食料品を買えなかったことがありましたかという質問に対して、あると答えた貧困世帯の割合が、学年によって少し差はありますが45%から50%程度ございます。

〇西銘純恵委員 ライフラインの電気・水道・ガスがとめられた経験があるということも深刻だと思ったのですが、とりわけ、水道をとめられて、中学生の女の子が公園で体を拭いていたということに直接かかわったことがありまして、貧困層で水道がとめられたということについてはどうでしょうか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今回の調査では、水道をとめられたことがあるかという形ではなく、電気・ガス・水道をとめられたことがあるかということでお伺いしておりまして、これは過去10年間でということでお伺いしておりますが、貧困世帯で小学校1年生が19%、小学校5年生で17%、中学校2年生で18%となっております。

〇西銘純恵委員 これだけでも子供の状況は大変だと思っていますが、国立大学法人山形大学の戸室健作准教授が都道府県ごとの貧困率で、沖縄県は37.5%と出したのです。今の状況を聞いて、これは中間報告で上がってきた数字だと思っていますが、戸室健作准教授が出された37.5%という結果を受けてどのように認識しているのか、お答えいただけますか。

○金城武子ども生活福祉部長 沖縄県の子供の貧困状況が厳しいという現状は、もともと所得が最も低い、あるいはひとり親家庭出現率が全国の2倍等々で、我々も重々認識しておりましたが、やはりああいう形で具体的に37.5%という数字が出ますと、この数字の大きさに非常に驚いたといいますか、その新聞が出たときにはそういう衝撃を受けたところでございます。

〇西銘純恵委員 市町村の数値において、比較できるのは8カ所ということだったのですが、就学援助の割合とは連動していますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 市町村ごとの子供の貧困率と就学援助率というのは当然連動すると思いますが、子供の貧困率のはかり方と就学援助の認定基準に違いもありますし、その辺は一概には言えないのかと考えております。

〇西銘純恵委員 就学援助の財源ですが、大阪子ども調査との比較が出されて、沖縄県であれば就学援助の割合が3割、4割あってもおかしくないと見ています。沖縄県では市町村が財源をなかなか捻出できなくて、そこを抑える形で十分に役割を果たせていないと思っているのですが、この就学援助の財源というのは国がどういう割合で持っているのですか。

○國吉聡教育支援課教育支援班長 就学援助制度の経緯ですが、これはもともと平成16年までは国庫補助制度があったのですが、三位一体改革の際に地方の自己決定権と自己責任を拡大する観点から、地方六団体の提言等を踏まえて、平成17年に国庫補助が廃止されております。それ以降は税源移譲がなされ、市町村の単独事業としてその実情に応じて実施されているところであります。

〇西銘純恵委員 就学援助が市町村の単独事業になったということは、沖縄県にとっては余計に援助制度を実施することが困難になったと受けとめますが、どうですか。

○國吉聡教育支援課教育支援班長 就学援助率を市町村で見ると、高いところで20%を超えたところも幾つかありますが、やはり1桁の自治体もあります。市町村間で開きがある現状です。県では、各市町村へ就学援助事業の認定基準や援助費目の状況について情報提供を行って適切な実施をお願いするとともに、国に対しても全国都道府県教育長協議会等を通して十分な財源措置について要請を行っているところであります。

〇西銘純恵委員 今の答弁は従来型ですよね。それで子どもの貧困対策の推進に関する法律ができて、教育や経済支援、そして就労においても、国と地方公共団体は全て細かくやりなさいということになっているわけですよね。そうすると、貧困対策費として、国から何らかの形で沖縄県や市町村に対して就学援助に関する分ということで、沖縄県の貧困率に合わせて新年度予算、次年度予算で入ってきたのかどうか。就学援助に充てる国庫補助はありますか。

○國吉聡教育支援課教育支援班長 就学援助の財源につきましては一般財源化されておりますので、地方交付税措置ということになっております。

〇西銘純恵委員 先ほど一番低い修学援助率が1桁とおっしゃったので割合を聞きたいと思いますが、市町村に頑張れと言っても頑張る財源がないわけです。ですから、子供の貧困対策と言っているのであれば、国がその分を持ちなさいと。沖縄県は全国の2倍あるわけですから、就学援助に対しても財源をそれなりに子どもの貧困対策としてやらないと、実質これは進まないのではないですか。それとも今度の30億円の基金で充てるものがあるのですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 12月1日に国、県、市町村の意見交換を行っておりますし、そういった意見交換の中でも就学援助費の負担が大きいという声は聞いているところです。しかし、やはり沖縄県の子供たちの状況を見ますと、日常的な食料品を買えないことがある、しかもよくあると回答している子供も中学校2年生で8%もいるのです。これは緊急に対応しなければいけない状況だと思っておりまして、苦しい家計の状況を助ける制度が法律に定められて義務としてあるのであれば、財源が厳しくても、適正利用を促進する取り組みというのはぜひ市町村にやっていただきたいと考えているところでございます。

〇西銘純恵委員 国がそういう法律をつくりながら財源を充てていないということは少し虫がいいと思うのです。市町村で独自に給食費を助成しているとか、独自施策として子供の医療費を中学校卒業や18歳まで入院・通院を無料にしているとか、県内でも子供の施策をいろいろやっています。これに対しては貧困調査の中で違いが出たのかどうか、分析ができたのかどうか。子供に対して市町村が独自に行っている施策があるわけです。それが貧困調査の割合の中で貧困率が落ちているとか、そういうことが具体的に見えていますか。もし中間報告でそれが分析できていないのであれば、その辺もぜひやってほしいと思うのですが、いかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 子供の貧困率の算出は、家庭の可処分所得だけで貧困か、貧困でないかということを決めておりまして、市町村が給食費を減免するような取り組みを行ったとしても、可処分所得には変動がないものですから、貧困率には影響を与えないことになります。

〇西銘純恵委員 学校教育になりますが、歯の治療が必要な子が治療を受けていないとか、眼鏡が必要な子が眼鏡を購入されていないとかという年1回の学校調査があると思うのですが、それはどうなっていますか。

○國吉聡教育支援課教育支援班長 虫歯の治療についてはすぐにデータはないのですが、眼鏡の購入費を就学援助費の中で費目として取り入れているのは県内で2団体あります。

〇西銘純恵委員 今、お尋ねしたのは就学援助ではなく、健康診断を行って、虫歯があって治療しないといけないが、この1年間で治療ができず、虫歯がそのまま放置されている子というのは全県で何名残されているのかとか、眼鏡が必要だけれども眼鏡を買えないとか、そういうことが学校の中で見える貧困のバロメーターとしてわかるわけです。ですから、そういう調査等も実際は日常的にできるデータであると思いますので、その辺もぜひ次の調査の段階では生かしてほしいと思います。
 市町村の調査について、貧困調査を行ったところは何カ所でしょうか。地域独自に貧困調査を行ったところ、行う予定のところはありますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 子供の貧困をテーマにした調査というのは全国的に見ても行っているところは少なく、我々が参考にしたのは大阪市の子ども調査なのですが、それも大阪市が実施したものではなく、研究者の皆さんが行っている調査です。ほかに類似した調査は東京都足立区が行っているという状況にございまして、恐らく県内の市町村でもまだ子供の貧困をテーマにした調査は実施されていないのではないかと思います。今回、県で調査を実施したことを受けて、市町村レベルでも子供の貧困に関する調査を実施する必要があると考えている市町村があるということは、幾つか情報を聞いております。

〇西銘純恵委員 今度の法は市町村で調査を行うことは義務づけていないということですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 法律では、地方公共団体に実情を把握するための調査・研究に努めるということが求められております。

〇西銘純恵委員 市町村によって貧困の状況は違うわけですから、市町村が独自にみずからの地域を調査していくということになっていますので、そこも推進してやってもらったほうがいいのではないかと思うのですが、いかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今回、子供の貧困に関する県の検討会の中で強く指摘されたのは、やはり地域によって課題が違う、活用できる資源も違うと。ですから、地域で問題を把握して、地域で解決策をつくっていくという仕組みにすべきだということです。そういう意味で個々の市町村の抱えている問題を調査によって把握するということは、効果的に施策を実施していく上で有効だと思いますので、そういう観点から市町村と今後意見交換していきたいと思います。

〇西銘純恵委員 市町村に実情を把握してほしいということを積極的に県が求めていくということでよろしいですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 市町村にも積極的に取り組むよう促していきたいと考えております。

〇西銘純恵委員 最後に雇用対策ですが、沖縄県の非正規率が全国と比べても44.5%と。これは過去の数字ですが、半数を超えている可能性が高いと思います。ひとり親はトリプルワークとして、介護の仕事で事業所を幾つかかけ持ちしてやっているという状況があるわけです。ですから、雇用で賃金をちゃんと確保していくとか、生活ができる収入にしていくということを大もとに据えなければいけないと思うのですが、今度の30億円の基金、そして、それを超えた60億円の既存の制度も含めて、雇用対策に関連する施策の説明をいただけますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 我々の課で行っている事業ですが、まずひとり親家庭の親に対して就労に有利な資格取得を支援するということで、高等職業訓練促進給付金などを給付しております。それから生活困窮者、生活保護受給者に対して就労支援員による支援、就労準備段階の方への支援を行っているということでございます。それから就労困難な方、児童扶養手当を受給している方に対して、ハローワークと福祉事務所が連携した就労支援を行っています。今後は県民会議を立ち上げて、構成メンバーに経済関係団体の方にも参加していただく予定にしておりますので、構成団体間で話し合って何か具体的な就労の促進に結びつくような、例えば民間企業の皆さんへの働きかけなど、そういった取り組みも進めていきたいと思います。

〇西銘純恵委員 雇用問題はぜひ力を入れてほしいと思います。それから児童扶養手当の支給が年に3回なのです。毎月の支給がなくて、大変困窮しているのに借りるところもないと。これは国がそういう制度にしているのですが、なぜ毎月になっていないのか。毎月の支給を求めるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 確かに、児童扶養手当は年3回の支給になっておりまして、毎月の支給にはなっておりません。どのような経緯でその頻度での支給になっているのか、その経緯も含めて研究させていただいて、あるいはひとり親家庭の皆さんにとって月々の支給ではないことがどの程度家庭に負担を与えているのか、そういった点も把握して検討を進めていきたいと思います。

〇西銘純恵委員 改善を求めます。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 島袋大委員。

〇島袋大委員 この基金と貧困対策もろもろを含めて県政の重点政策と言っていましたが、この子ども貧困対策推進基金の創設はなぜ2月補正なのですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今回、子どもの貧困対策基金を2月補正で積み立てることにしたのは、基金を活用して子供の貧困の実態調査の追加の分析を行いたいということで、調査事業を同じように2月補正で予算計上しております。それで2月補正にしたということと、早期に基金を積み立てることによって、貧困対策の事業化に向けた市町村との協議をできるだけ早く進めていきたいということで、2月補正に計上して基金を創設することにしたものでございます。

〇島袋大委員 それだけ重点政策であれば、今年度の新年度予算から組むべきだったのではないですか。その辺のいきさつですよ。なぜ補正予算でぽっと出てきたのですか。やるのであれば今年度の新年度予算で重点政策とうたって基金をつくることが筋的にいいのですが、なぜ2月補正になったのですか。今、2月補正になった理由は聞きましたが、本丸という形でやるのであれば今年度の予算のスタートでするべきだったのではないですか。

○金城武子ども生活福祉部長 御指摘の部分もございますが、要するに子供の貧困の実態が厳しいということはある程度認識を持っていましたが、実態調査を年末にかけて行いました。そういうことがもろもろ見えてきて、はっきりと明確に沖縄県の厳しい現状がわかりました。そして、それに続いて早急にやらないといけないということで年明けの2月、そしてさらに追加調査も行う必要があるだろうと。そして、市町村との関係も含めて、早期にどういう事業を行う必要があるのかどうか、そういう話し合いもやりたいというこで2月になったというところでございます。

〇島袋大委員 2月補正で30億円の基金ということでありますが、この30億円の基金のつくり方です。どのように予算を集めたのですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 30億円の基金の財源については、一般財源となっておりまして、国庫は入っておりません。どのようにこの財源を工面したかということについては詳細に把握はしておりませんが、今回、税収が増加したりというところもありますので、そういった財源を活用して確保されたのではないかと考えております。

〇島袋大委員 ですから、ここなのです。県政の重点政策の本丸と言っておきながら、今年度で基金の提案をするかと思ったら2月補正。2月補正で組んで、財源はどこからかと担当部署に聞いたらわからない。では、これは誰かがトップダウンでそういった形でやりなさいという指示で予算をかき集めたと我々は認識していいのですか。担当部署が把握しないままに、30億円という数字も出していない中で、30億円が適当だから予算をかき集めてやりなさいということで予算を集めて基金をつくったと私は認識していいのですか。

○金城武子ども生活福祉部長 先ほども申し上げましたように、今年度の6月ごろから計画をつくるという作業をこれまでやってきました。実態把握も10月ごろから調査をして、非常に厳しい現状が見えてきたと。ではそのためにどうするか、やはり財源が必要だということで、その間うちの部と総務部とでずっと調整をしてきて、早期にやる必要があるだろうということで今回2月補正で行ったということでございます。当然必要性が高いわけですから、総務部にそういう要求をしまして、あとは総務部として財源の中で捻出可能だという判断がありまして、今回の措置をしていただいているということでございます。

○島袋大委員 こういう事業をやりたいからということで、担当部署としては総務部に予算要求を上げると。まさしく子ども生活福祉部長の答弁は部長としての答弁だと思います。そして、この予算の組み替えの仕方です。30億円の基金をつくったのでどういう事業をするかというのは文教厚生委員会の管轄かもしれませんが、30億円の基金をつくった、もろもろ含めて、どこから財源調整をして補正予算で30億円を組んだのかは、総務企画委員会の管轄になるということですか。ですから、この辺の内訳までしっかりとやってもらったほうが―別にこの事業に否定的とは言っていませんが、予算をどうやって組んだのですかということです。一般財源分もあるかもしれませんが、我々が聞きたいことは、財政調整基金まで手を突っ込んで30億円を基金に積んだのかという話です。ですから、そのあたりを説明していただければという話です。

○大城博青少年・子ども家庭課長 財政の担当部署から聞いた範囲ですが、今回の30億円の財源は、財政調整基金等の取り崩しによるものではなく、税収の範囲内で対応していると聞いております。

○島袋大委員 では、年度末になる中で、見込みの税収よりはふえた金額があったので、その予算の中から基金に充てたという理解でよろしいですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 範囲内で30億円の基金は対応していると聞いております。

○島袋大委員 30億円の基金に関しては平成33年度までということですが、先ほど子ども生活福祉部長が年5億円という計算で30億円と、積み増しも今のところは考えていないということであります。その中で内閣府は1年で10億円、次年度合わせて6年間で60億円の予算を組むと。その事業内容ですが、内閣府の職員がいろいろ市町村を回っています。県の基金の事業と内閣府が推し進めようとして市町村とヒアリングして議論している事業がダブった場合、内閣府の予算は補助率100%で市町村の持ち出しはありません。基金については持ち出しをする市町村は出てきますよね。その辺のダブった場合の精査です。市町村としては、財源持ち出しはやりたくないので、内閣府の予算は100%だから、これを使おうと言います。気持ちはわかります。市町村は使いたいけれども、持ち出さないといけないので。内閣府のほうは100%です。この基金の使い方、そういった形の精査の仕方について、県としてはどう考えていますか。

○金城武子ども生活福祉部長 内閣府もこの間に県内視察ですとか、いろいろ情報収集をされていました。我々も県の計画策定の作業の経緯、そして検討会からの提言内容を含めて、10月ごろからずっと意見交換をしておりました。国としてそういうことをするということですので、当然、我々も重複しないように基金の使い道は決めていくと。このあたりの情報共有はこれまでもずっと行ってきましたし、これからも情報共有しながら、効率的に事業の展開をしていきたいと考えております。

○島袋大委員 部長を中心に担当部署の方々も、各施設など含めて視察していることは聞いていますし、内閣府の方々からも聞きました。県の皆さん方にもしっかり頑張ってもらっているということを聞いていますが、非常に重要なことです。私は、30億円の基金の活用で3市町村を回りました。実際にどうなのか聞きますと、自分たちは30億円の基金を使うよりは内閣府の10億円のほうが使い勝手がいいと。30億円の基金も使いたいけれども、メニューの調整の仕方で、我々は何を求めていけばいいのかと悩んでいるわけです。市町村も非常に悩んでいる状況なのです。その辺はいろいろとヒアリングしていると思いますが、調整の仕方については常にしているということでいいですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 基金の活用に関しては、2月24日に意見交換を行いまして、その中で計画の素案と実態調査の説明をして、その後市町村の皆さんと意見交換をして、基金に関してもどういう事業に充てたいということで要望が出ておりますけれども、そのときに市町村から具体的に出された意見は、例えば、就学援助の適正利用を進めることによって増加する就学援助費に対して支援をしてもらいたい、放課後児童クラブの保育料の負担軽減に関する事業に支援をしていただきたい、乳幼児検診の受診率の向上を図るための事業に活用させてもらいたい、学校現場でのきめ細やかな学力保障に関する取り組みに支援をさせていただきたい、高校生の通学費の負担を軽減するための事業に使わせていただきたいなど、そういった事業に活用したいということで意見が上がっております。

○島袋大委員 内閣府の補助率100%の10億円は、もろもろ含めて、全国初で、沖縄県だけです。これに連動して30億円の基金を使って活用していこうと。沖縄振興特別措置法の改正のときに、当時自民党は野党でしたが、文言調整の中で附帯決議に押し込んだので、今、内閣府において沖縄振興予算として使えるということの大義があるわけですよ。そういうことを考えれば、今、頑張っているはずですけれども、市町村との連携をしっかりやっていただく。内閣府の10億円の使い方は、企画をしっかり立てられる、頑張りたい市町村はいろいろな面で協力しますという話で出すわけです。県の基金の使い方は、各市町村がいろいろと企画書を書かないといけないかもしれませんが、できる市町村もろもろ含めてすくってあげると。しかし、町村の離島や過疎地域を含めて考えますと、やり方によっては項目に書いてあるように、居場所づくりもろもろ含めて学童保育などにしか使い切れないと思います。その辺の各市町村の思いというのは、カリキュラムなど含めて要望が違うと思います。子ども生活福祉部長を中心に担当部署も計画をつくるに当たってヒアリングをしていると思いますが、なかなか統一性がとれない市町村の思いがありますから、その辺は逆に、この市町村はこういう案件が多かったとか、こういう案件、こういう案件と順位から含めて違うはずですから、最終的にそういう一覧もつくっていただきたい。そうしないと我々も審査できないと思いますので、そういう最終的な計画のもとで一覧を作成することはできますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 市町村によって課題も違いますし、取り組める事業内容も変わってくるわけですから、それぞれの市町村の実情に応じてできることをしていくことが大事だと思っております。ぜひ個々の市町村がどういう要望をしたのか集約できるような取り組みをして、こちらでも情報提供していきたいと思います。

○島袋大委員 ぜひとも頑張ってください。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 30億円の子どもの貧困対策推進基金ができていくということは、とてもいいことだと思いますし、これを見ていてもいろいろなものにきめ細かに配置されていると思います。子供たちの貧困がずっと言われてきて、県も調査において29.9%という数値を出しました。子供だけではなく、ひとり親家庭などいろいろありますので、これからは切れ目のない支援をどうしていくかということがとても大事だと思います。生まれてから幼稚園、保育園、そして小学校、中学校、高校といろいろな問題がありますので、そのあたりをしっかりしていただきたいと思います。市町村の職員の皆さんも、これに対するちゃんとした意識を持ってやらないと、例えば高校生の授業料を減免するときに、周囲に気兼ねして、届け出をしなかった子供たちがいるわけです。子供たちの心は非常に敏感なのです。あなたは困っているからだよねということになると、届け出書をもらいにも行くことができない。そこをしっかりと研修でもいいので入れていただきたいのですが、そのあたりはいかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 子供の貧困問題は、1つは物質的な不足の問題ですが、もう一つは心理的な傷つきの連続の過程であると言われておりまして、委員のおっしゃることはよくわかります。支援を行う側が、支援が必要な子供たちを傷つけるようなことがないように、そういった点も研修を行うなどして取り組んでいきたいと思います。

○狩俣信子委員 そこはお願いします。議会の中でも言われておりましたが、子供の貧困という言葉自体がひとり歩きをすると傷つく子がいるという話もありました。きのうか、おとといの新聞に、「子ども食堂」のことをスマイルカフェと名前をつけたと。これはいい名前だと思いました。子供の貧困の基金ではなくて、例えば、子供生き生き基金など、ほかの呼び方を考えてもいいのではないかと思うのですが、そこら辺の御配慮はありますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 先ほども申し上げましたが、支援を行う側が支援を受ける子供たちを傷つけたり、あるいは自己肯定感を低下させるようなことがあってはならないと考えておりますので、子供たちが集う場所の名称や利用する制度の名称などは配慮して考えていきたいと思います。

○狩俣信子委員 先ほど、8自治体は調査できたというお話がありました。41市町村の中での8自治体ですよね。地域地域によって差があるとは言っていましたが、あとの市町村の状況などについてもしっかり調査をしていただいて、子供たちの貧困やひとり親家庭の状況などを沖縄県の実態として出していただきたいと思います。市町村名を言わないまでも、どういう状況かということを知りたいのです。A地域は高齢化問題でどうのこうのとか恐らくあると思いますので、それは各市町村の名前は出さないまでも、沖縄県の実態として調査結果を出していただきたいのですが、いかがでしょうか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今後、市町村と意見交換をして、どの市町村にとっても差し支えがないという状況が確認できましたら、公表を検討していきたいと思います。

○狩俣信子委員 先ほど、民生委員・児童委員の話が出ていました。研修をしますということでしたが、実態としてはそこが問題ではなく、ほかにもっとあるのではないかという思いがあります。ですから、そこらあたりを解決していかないと、民生委員も児童委員もふえないのではないかと思いますが、そこの改善を―新田委員も改善についてはいろいろ意見もあるようですから、いろいろなところの意見を聞いて、改善する中で民生委員・児童委員をふやしていただきたいと思っております。やはり、なかなか受けても続けられないという状況もあるようですので、そこの改善がまずは必要だと思っておりますが、いかがでしょうか。

○上間司福祉政策課長 先ほど充足率が低い理由を2点ほど述べましたが、それ以外にも、例えば民生委員の役割や活動内容が十分に周知されていないということなども挙げられます。そういったことに対しましては、県としては周知を図るための方法を拡充しているところであります。また、市町村の首長たちと意見交換をする中で具体的に話が出た内容としましては、例えば民生委員の確保に向けた取り組みに関する先進事例があれば情報提供を願いたいとかあります。やはりそれぞれの市町村を回ってわかったことは、個別の事情がそれぞれあります。そういった個別の事情を把握しながら、できるだけの支援をしていきたいと考えております。

○狩俣信子委員 ぜひ、それを努力してやってください。そして、民生委員の方が地域のことをよくつかんでいますよね。ですから、そこら辺も含めてとても大事なお仕事だと思っておりますので、今、沖縄県が抱える子供の貧困のことを考えたら、地域の中でもこういう取り組みが広がっていくといいと思います。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 部長や課長たちが30億円の財源を把握していない。税収増や基金の取り崩しの有無等も含めて把握せずに、基金をこういう形で使いたいということで議会に説明をするという今の皆さん方のありよう。課長たちは説明できなくても、部長クラスは、こういう財源はどういうところから幾らぐらい持ってきてこうなっていますということぐらいは説明しないといけません。上からおろされたからこの予算をつくりましたという、こんなでたらめな説明はないです。財源についてもう一回説明してください。

○金城武子ども生活福祉部長 基金について、最初から当部としては必要性が高いということで総務部へ要求をしてきたところでございますが、財源そのものにどういうものがあるということに関して、うちの部で直接的に把握することはなかなか難しいです。ただ、総務部の中でいろいろと話を聞いておりますが、消費税の関連でかなり今年度税収がふえたという話も聞いております。それ以外に、県税も全体的にふえているということもきのうの補正審査の中で説明がありました。どの財源を30億円に充てるという具体的なものまでは説明を受けておりませんけれども、一般財源として捻出できるということで伺っておりまして、我々もお願いをしてそのとおりになったということでございます。

○照屋守之委員 最初からそういう説明をすればいいのです。消費税や県税などの税収を当初予算でこのぐらい見込んで、この財源を活用して30億円つくりましたと言えばいいのです。課長が最初から把握していないという言い方をするものですから、把握していない予算を議会にかけるのかと、我々はそう思うのです。ですから、説明はきちんと最初からそう言えばいいのです。そうすれば我々は何も文句はないわけです。
 今、30億円を補正予算で組んでいますよね。そして、皆さんからいただいた沖縄県子どもの貧困対策推進計画の素案ですが、30億円を入れて、合計で約197億2500万円。それと約61億7600万円が貧困対策の事業という説明のようですが、この30億円というのはこれまでやってきた事業ですよね。例えば、乳幼児家庭全戸訪問事業や養育支援訪問事業など平成27年度にある事業がこちらにあって、それから平成28年度があって、そして平成27年度に行った事業を移動して、それが貧困対策みたいなもので新たに30億円をつくって、合計で60億円ですか。この説明はおかしくないですか。これは今までやってきた平成27年度の事業の中から事業を全部出して、トータルで30億円つくって、今回30億円の基金をつくって合計で60億円ですよという説明ではないですか。おかしくないですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 この資料は、子供の貧困に関する主な施策の予算額を集計すると60億円になりますという形でつくったものでございます。ですから、平成28年度の新規の施策に限ったものではありませんで、従来からやっていた施策も含めて、トータルとして主なものを積み上げると60億円になったということでございます。

○照屋守之委員 子どもの貧困対策推進計画は、先ほど島袋委員も言ったように、最初から予算を組んでこの分も貧困対策ということであれば、それは理解できるのですが、今回から30億円をつけて貧困対策をするのに、あたかもこれが一気に60億円ですか。これまでやってきた事業を全部拾い出してトータルで30億円ぐらいあって、新たに30億円をつくって、これでトータル60億円が貧困対策というのは、全くおかしな話です。こんなことをするので、我々はおかしいのではないかと言っているのです。ですから、貧困対策そのものにクレームをつけているわけではないです。これはどうぞ大いにやってください。ただ、なぜこんなことをするのかという話です。今までやってきた事業は貧困対策ではなかったでしょう。これまで別個でやってきた事業がありまして、これもトータルに含めて貧困対策にして、こういうことになっていますという説明はやるべきではないですか。

○金城武子ども生活福祉部長 計画をつくる以前から貧困対策として生活保護の制度も含めて、いろいろな形で児童福祉の世界でも、一応対策としてはやってはおります。今回、計画をつくるに当たって、改めてそれを体系的に整理し、新規事業を含めて主な事業として60億円として上げていますが、少なくとも新規事業で基金を含めても約33億円ほど、あるいは既存の事業でも7億5000万円余り拡充もしております。既存事業も効果や必要性の高いものは計画の中に位置づけて拡充をしていくという視点も含まれておりますので、トータルとしてこの事業をしっかりと取り組むことで貧困対策を総合的に推進していこうということでございます。

○照屋守之委員 貧困の定義は非常に曖昧ですよね。先ほどの答弁の中で親の収入の問題ではないとか、養育環境の問題とか、いろいろありまして、結局総合的な対策が必要であるという言い方をしていましたね。総合対策と言いますが、その基金の活用は、何をどうやって、どういう基準でやっていくのですか。貧困対策は何でもありということになりますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 国の子どもの貧困対策の推進に関する法律の中で、貧困対策の大きな柱として示されておりますのは、教育の支援、生活の支援、保護者の就労に関する支援、経済的な支援、この4本柱の中でやっていくということになりますので、当然、基金の使途もその中から地域の実情に応じて必要性の高い施策に充当していくことになります。

○照屋守之委員 先ほど8自治体で高いところが35%と言っておりましたが、問題意識を持っているところ、あるいは実情を把握していないところも含めて、皆さん方が捉える貧困と市町村が捉える貧困では相当な差があると思います。ましてや、実態も把握していない市町村も含めて、貧困という捉え方、それぞれの地域の貧困について、相当のギャップがあると見ています。そういう中でこの基金をつくって市町村も一緒に対応していくということですよね。それぞれの市町村が把握もしていないところで、どうやって対応していくのですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 子供の貧困につきましては、法律の中でもできるだけ対象とする施策を限定したくないということで、定義も設けられなかった経緯があるようでございます。そういったこともあり、子供の貧困とは何を指すのかという部分が、主体ごとにイメージが違うため話がかみ合わないということも起きているわけですけれども、今回、子供の貧困率の調査あるいは沖縄子ども調査を実施して、できるだけ積極的に公表して、県民の皆さんにお知らせしたものを県民みんなで話し合って、子供の貧困とはどういうものなのかという共通認識、イメージを形成していくことも大事ではないかということで公表もしております。我々は、市町村ごとの子供の貧困率を把握いたしまして、県民には公表しておりませんけれども、当該市町村には、当該市町村の子供の貧困率データに関してはお返しをして今後の市町村の対策に役立てていただきたいと思います。また、市町村によって、非常に熱心に対策に取り組んでいるところもあれば、どこからどう手をつけていけばいいのか戸惑いがある市町村もあろうかと思いますので、そういったところには県の職員ができるだけ―場合によってはそれぞれの市町村へお訪ねして担当職員と話し合うなどして対策が少しでも円滑に進むようにサポートしていきたいと思います。

○照屋守之委員 この30億円というのは補正予算です。財源が厳しい中で緊急の予算として30億円をつくっているのです。市町村とどういう形でやるというイメージづくりもせずに、予算をつくってからこれからやりますと。冗談でしょうという話です。予算をつくるからには、市町村との貧困対策というのは非常に総合的なことですねと、こういうことについては、どういう形で県と市で連携をして、皆さん方はどういう形でお困りですか、我々が対応しますという形で具体的に相互にイメージをつくった上で予算をどう活用するかということにならないと、こんないいかげんなやり方がありますか。イメージもできていないのに、これから予算をつけてやりますという話がありますか。では、一体全体30億円の基金をつくって、基金を使うときの国と県の負担割合はどうなるのですか。この基金を活用するときに、市町村にどのぐらい負担させるのですか。

○金城武子ども生活福祉部長 基金を活用した事業費の負担割合ですが、これも含めて、例えばどういう事業をやっていくかということでいろいろありますので、その辺も県としてイメージ的なものやいろいろな事業をメニューとしてある程度考えている部分はありますが、最終的には市町村が自分たちの地域でこういうことをしたいといろいろな意見が出てくるかと思います。その辺を集約して、最終的には事業を選定していくということでございまして、事業の選定、財源、負担割合も含めて今後市町村と話し合った上で決めていきたいと思います。

○照屋守之委員 市町村からは一切取らないということではなく、これから事業を進めていく上で、市町村によって負担割合を決めていくと。皆さんはまともですか。30億円の基金をつくって市町村も一緒にやりますよと。この負担割合はこれから事業ごとあるいは市町村に応じて、皆さん方は1割負担しなさい、皆さん方は3割負担しなさいと……。いいかげんな説明はしないでください。負担割合がどうなっているのかということですので、これはきちんと説明してください。

○大城博青少年・子ども家庭課長 基金を活用して実施する事業の負担割合についても、市町村と相談しながら最終的には決定したいと思っておりますが、県で想定しておりますのは、きちんと就学援助の周知や適正利用を図る取り組みによって短期間で就学援助費が増加すると思います。短期間で急激に増加する就学援助費の激変緩和に充てるような事業をするのであれば、この負担割合。子供の貧困対策に資する事業で、市町村が単独の経費でやっているような事業であれば、こういう負担割合。それから、子供の貧困対策に関する厚生労働省や文部科学省が実施している国庫補助事業の中で、補助率が余り高くなく、重要な事業ですがなかなか市町村が実施できないような事業がありまして、その市町村負担に対して県で一定の財政支援をしてもらいたいといったものに対しては、県の負担割合はこのぐらいにしましょうというような事業の種類によって負担割合を設定し、できるだけ市町村が対策を積極的に取り組めるような状況になるように設定していきたいと考えております。

○照屋守之委員 これは100%全部県負担でしてください。今のようないいかげんな説明で、それぞれの事業によって負担割合を変えていく。そうすると市町村はこれに対しては1割負担、これに対しては2割負担、これに対しては3割負担ですねと。こんなことが市町村にできますか。内閣府の10億円はどのようになっているのですか。10億円は全部国の負担ですよ。100%です。10億円の100%負担ですので、沖縄県の市町村はどうなりますか。この10億円でいきますと、那覇市は2億円ぐらいもらえますよね。10億円を41市町村の人口割でやったら、那覇市で2億円ぐらいあります。沖縄市で1億円ぐらいあります。うるま市では8500万円ぐらいになります。これは人口比でいきますとそうなります。皆さんは意味をわかっていますか。それぞれの市町村は、自己負担がないような形で貧困対策をやりたいわけでしょう。国がやってくれるのは100%ですからありがたいのです。あれもこれもお願いしますで、要望がどんどん出てくると思います。10億円に対して30億円ぐらいの要望が出てきますよ。皆さん方がそれを補えばいい話ではないですか。一方では100%国が面倒を見ます、一方では事業ごとで負担割合を考えますと。市町村は皆さん方を選びますか。そういうことでしたら政治的に要求しますよ。こんなことをするのであれば、県の基金を国に上げて、国ならできるので国から100%市町村におろしてくれということになります。

○金城武子ども生活福祉部長 我々が市町村に基金を活用して支援しようとしているのは、基本的には本来市町村の事業として今やっている、例えば就学援助も地方交付税措置があってやっているわけですが、市町村間で格差が生じたりなどいろいろあります。その中の一部を県が支援することで、それを誘導して全県的には平均的にアップするような取り組みをしていこうということですので、100%といいますか、10分の10ということは今のところは考えておりません。

○呉屋宏委員長 休憩いたします。

   午後0時6分 休憩
   午後1時20分 再開

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 午前に引き続き質疑を行います。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 先ほど、市町村との意見交換の中で、就学援助費や放課後児童クラブ、乳幼児検診、学力向上、高校生の通学支援費などの要望があるという説明でしたが、国も具体的なものは市町村に対応するということになっていますよね。そうしますと、国がやることと県がやる部分が重なる可能性もありますよね。そういう中で事業をどうやって予算化して市町村と連携して進めていくのかということと、実際、今、県は国の10億円の予算の活用をどのように把握していますか。その違いも含めて、今後の基金の対応を説明してください。

○金城武子ども生活福祉部長 国において、平成28年度当初予算で10億円が計上されており、事業は大きく2つの柱があります。つながる仕組みが重要だということで子供の貧困対策支援員の配置事業が1つ、もう一つが子供の居場所の運営支援。この居場所の中身の運営については柔軟にやるということですが、子ども食堂からは学習支援等々ができると。国の事業はこの2つの柱になっておりまして、この2つの事業に対して、県は事業成果の分析評価、好事例の普及を県の役割として与えられております。そういう内容で国の10分の10の事業は組み立てられていまして、その間、我々も内閣府と中身についてもいろいろと意見交換してきたところでございます。

○照屋守之委員 中身が支援員の配置や居場所の運営とかになってきますと、放課後児童クラブなどで市町村の要望と貧困対策のものが国の分と重なる部分が出てきます。そのときに、先ほど言ったように国は100%面倒見ます。これは6年間続きます。一方、県は30億円基金を積み立てました。それはこれから市町村とも調整していきます、負担割合はこれから事業ごとに協議していきましょうという話になるわけですよね。先ほど言ったように、10億円を人口割でいきますと那覇市は2億円です。41市町村で平等に人口割にしていくと、それぞれの市町村にそういう金額が6年間入ってくるのです。沖縄市は約1億円近く入ってくるわけです。国は100%です。皆さん方のものは、国がやらない部分を皆さん方がメニューをつくって、それぞれの市町村とも協議をして、この事業については県は8割です、皆さん方は2割出してください。この事業については皆さん方は1割で県は9割です。この事業については、皆さん方は3割出してください、県は7割ですと。こういう同じ貧困対策で市町村が対応していくときに、市町村の末端はどうなりますか。これは6年間続くのです。国の分が10億円、10億円とずっと毎年続くわけです。そうすると市町村は、それぞれ100%もらえるので、この分の予算をそれに充てていく、そして来年も再来年も充てていって、それが6年間続くのです。一方、皆さん方のところはいろいろ調整して、市町村の負担も出てきますということになりますと、同じ貧困対策でありながら、市町村は財政的な厳しさもある中で、果たしてこの30億円の基金が本当に市町村の要望、あるいは県民の要望に応えられるような使い方ができるのかと非常に疑問を持っているのです。この調整はどうするのですか。

○金城武子ども生活福祉部長 基金の活用は、いろいろな市町村の意向を踏まえてどういう形でやるのかということで、補助率は頻繁に事業ごとに組みかえるという違いはないような形で、当然市町村の事務的ないろいろな意味で負担がないような形でやろうと思っております。子供の貧困対策というのは、既存の一括交付金やソフト交付金も活用しますし、市町村でもソフト交付金を活用した事業を現に今もやっておりますので、その部分の取り組みも含めて、この基金で行うのは、国の事業ではなかなか手当てができないような部分を県で支援することで、市町村の事業を全体的に推進するような活用の仕方を想定しております。ですから、現に制度としてありますが、支援がなかなか市町村全体一律に、統一的にできていないものを引き上げてあげる。あるいは厚生労働省補助事業であっても、補助率が低いがためになかなか手が出しにくい部分を県が幾らか支援することで市町村ができるような仕組みに持っていくと。この辺は市町村の要望を踏まえた上で今後どうするかということについては検討していこうと思います。

○照屋守之委員 今、御指摘のいろいろなメニューがあってもなかなか対応できないというのは、市町村はその裏負担があるからできないわけです。裏負担があって、100%補助ではないからできないと。裏負担があるからできないものを皆さん方はそれをとって、市町村に負担をさせるという理屈は合わないのです。市町村はそれぞれの裏負担1割とか2割とかを確保できれば、今のメニューでもいろいろなことができるわけです。裏負担が問題ですので、このような基金を活用して、裏負担分も含めて県がやりますということであれば、喜んで彼らはできるわけです。ですから、部長の認識は市町村の立場には立っていません。お金がたくさんあれば何でもできます。こういうものに頼らなくてもいいのです。私が聞いたところでは、国は市町村と連携をとっています。そういう意向調査も受けて、福祉関係者、学校、支援団体や経済界とも連携をとっているのです。子供の居場所づくりにしても学生ボランティアを活用していくということですが、今度は学生ボランティアの支援をしていかなければいけない。そうしますと、経済界にお願いをして、そういう基金をつくってもらって応援していく。市町村と協議会も設置していくわけです。皆さん方はおくれているのです。国はそうやっていろいろな仕組みをつくって、貧困対策を国の責任で、沖縄県では特別に沖縄振興特別措置法に基づいて10億円を6カ年間つけるという仕組みでやりますので、国が言うとおりにやりますよ。100%お金を出してくれるのですから。そして、皆さん方はあえてこれからいろいろな仕組みをつくって市町村とも協議をして、負担割合をどうするのかとか考えるわけですよね。それは手おくれです。私が言いたいことは、10億円の6カ年間、60億円を国は100%でやると。国が全責任を負ってやるという仕組みが既にあるわけですから、皆さん方もこの30億円を5億円ずつの30億円に分けて、その分を100%県が見ますよと、国との対応で協議できない分は我々県がやりますという仕組みに組みかえてやれば、市町村からも県民からも喜ばれる、これがまさに今、国と県と一体となって貧困対策に取り組むということだと思います。ですから、100%皆さん方が面倒を見て、しっかり国の事業と分けながら、市町村や県民が困っていることに対応できるような仕組みに改めたほうがいいのではないですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 この間、内閣府とは、子供の貧困対策にかかわっているNPO事業者や福祉施設の皆さん、それから積極的に取り組まれている市町村に一緒に訪問しまして、実情をお伺いしております。沖縄県子どもの貧困対策に関する検討会の提言の中で課題として指摘されている事項などについても、一緒に意見交換を行いました。12月1日の国、県、市町村の意見交換にも参加しまして、各市町村長からの意見もお伺いしております。そういう中で、内閣府が緊急対策事業を実施しまして、支援員の配置と居場所の運営支援に対応されたと。我々も国の事業と相まって、子供の貧困対策を積極的に進めることができないかと考えて、できるだけ国の事業内容とダブらないような方向で基金を活用していくと。そういう方向で、今後も国、県、市町村と十分連携をとりながら進めていきたいと思います。

○金城武子ども生活福祉部長 基本的には、市町村が事業としてやっているものに対して県も一部を支援しましょうということでございます。例えば、待機児童解消のために待機児童解消支援基金がございます。これにつきましても市町村の裏負担分として安心子ども基金事業での8分の1の負担がございますが、その8分の1の4分の3を負担することで、これまで市町村においてなかなか受け皿づくりが進まない中で、かなり大きく動き始めたということもございます。補助率についても市町村と相談しますが、市町村の意向をしっかりと踏まえて補助率の設定についても検討してまいりたいと考えております。

○照屋守之委員 去年まではそういったものはありませんが、今度はメーンに貧困対策を県が打ち出しております。県の考えと市町村の考えはイコールではありませんが、貧困対策と名をつけてやっていくには、皆さん方が本来もっと早目に市町村ともいろいろ連携をとって、同じ共通認識のもとにやっていれば、市町村の後押しをしていくという今の言い分は当たっています。ところが、今回の貧困対策はそうではありません。まだそれぞれの市町村が貧困の現状把握も貧困という定義づけもなかなかされていない状況の中で、県が音頭をとっているわけですから、皆さん方が責任を持ってきちんとそういうものもこれからつくると。国では既にできています。皆さん方は定義づけも含めてこれからやるわけですよね。ですから、そういう中で市町村と対応していくことになりますと、市町村側からしますと国はそういう形でやっているのではないかと、100%でしょうと、皆さん方はどうなのですかと。皆さん方が市町村の事業を応援しますと言っても、これは余計なお世話ですよと。我々は100%もらえるので、これは県と連携するよりは国としたほうがいいと、単純明快ですよ。市町村の財政がどうなっているかわかりますか。自主財源が2割か3割です。その中でそれぞれの地域・住民の福祉向上やいろいろな財政需要に応えていく。非常に厳しい財源で運営しているのです。ですから、裏負担といえども、この裏負担分さえ負担できないので、先ほど子ども生活福祉部長がおっしゃっていたようないろいろなメニューがあっても市民のための事業ができないわけです。そういう事情もわかりながらやっていかないと。全く同じような形で国は100%で6年間やります、県は事業ごとにやっていきますというのでは。我々もこの実態をわかった上で言っていますので、国がそれをしなければ問題はないです。県はどうぞ頑張ってくださいとなりますが、国はそういう形で先んじて、市町村の意向調査、経済界あるいは学生とか、福祉関係も含めて協議をした上でたたき台をつくって、10億円を6年間出しましょうと。市町村には一切負担をかけません、国が全て面倒見ますとやっていて、それを後追いしていく県は、私どもも基金で30億円ですが、5億円の6年間を全て県でやりますよと、どうぞ一緒に沖縄県の貧困を解消しましょうという形にならないと厳しいのではないかと思っております。こういう状況であれば、県民に説明できません。国はできるけれども県はできませんとしか言えないので、そうしますと、国ができてなぜ県ができないのかという話です。しっかりそういう形で市町村負担なく我々は貧困対策をやりますと断言できなければ、我々は審査するのに判断が厳しいと思っていますが、最後にその辺をもう一度お願いします。

○金城武子ども生活福祉部長 内閣府とは、これまでずっと意見交換をしています。例えば学生ボランティアの話もそうですが、県も同席していろいろな形でこれまで積み上げてきました。内閣府の事業は、居場所づくりと支援員の配置と、ある意味ではこの2つがメーンですので、それ以外で総合的に推進していく立場からしますと、事業としては幅広く展開していく必要があると考えていますので、この基金をうまく活用して、市町村の意向も踏まえながら補助率の設定についてもしっかりと対応していきたいと考えております。

○照屋守之委員 補助率の設定も市町村の意向も踏まえながらと、こんないいかげんなやり方はありません。非常に厳しい中で補正予算で30億円を決めて、市町村と県との負担割合も含めて全然決まっていない中で、このような率も市町村と相談しながら決めていくというやり方は、とんでもないことです。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 今までの質疑の中で知らないことが結構ありましたので確認ですけれども、今の内閣府の沖縄子供の貧困緊急対策事業はどのように位置づけられて、それは例えば閣議で確定されたのか、内閣府における沖縄振興なのか、そういう明確な何かがあるのですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 沖縄子供の貧困緊急対策事業ですが、内閣府が実施する事業となっておりまして、その資料の中で子供の貧困問題について、今後の沖縄振興計画期間中(平成28年度~平成33年度)を集中対策期間として、地域の実情を踏まえた対策に集中的に取り組むという記載がございます。

○比嘉京子委員 これは他都道府県においても貧困対策を国としてやっているのではなく、沖縄県に特化して、沖縄振興計画期間中の平成33年度までの間、特別に集中的にするという位置づけがされているという理解でよろしいですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 国と県、それぞれ沖縄県の子供の貧困の現状が厳しいと、緊急に対策を進める必要があるという認識で一致しておりまして、この事業は全国一律の施策とは別に沖縄振興の一環として実施される事業でございます。

○比嘉京子委員 乙第15号についてお聞きしますが、事業のメニューを見ましても少なくとも皆さんと教育委員会、経済、労働と幾つかの部署にまたがっていると思いますが、それを統括するのは皆さんの部であるという理解でよろしいですか。

○金城武子ども生活福祉部長 子ども生活福祉部で総括して推進していくということになります。

○比嘉京子委員 各部署にまたがってさまざまな施策をかなり手広くやる。そして、それを効果的な財源の使い方につながるようにするためには、部の中にそういう対策室なり、特化した人員を配置するなり、そういうことが必要に思われるのですが、そういう計画はどうですか。

○金城武子ども生活福祉部長 青少年・子ども家庭課で、子どもの未来応援チームということで、3名職員を配置していますが、今後職員体制についてはさらに強化していく考えでございます。

○比嘉京子委員 どのぐらい確保すれば支援できるのか、具体的な人数はないですか。

○金城武子ども生活福祉部長 最終的な調整中でして、人数は現時点では差し控えたいと思います。

○比嘉京子委員 仮称ですが、子どもの貧困解消県民会議のメンバーに市町村、労働団体、経済界が位置づけられています。そこで提案ですが、知事をトップとする会議の中に、附属なのかどうかは別として、下部組織でもいいのですが、皆さんとの連携。やはり、どうしても行政に届かない声はあります。これはみんなわかっていることです。そういう立場にある、または経験をしている人、意見を持っている人、過去に経験した方でもいいですが、そういう人たちの声を集めるような仕組みづくりをぜひやってほしいと思っていますが、その考えはどうですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 県民会議につきましては、国の関係機関、市町村、教育関係の団体、医療・福祉・保健の団体、経済界、労働団体のほかに地域で実際に支援を行っている団体の皆さんにも参加していただく考えであります。できるだけ幅広い立場の皆さんに参加をしていただいて、県民運動として進めていきたいと考えております。

○比嘉京子委員 一例ですが、先日相談に来られた方がいまして、親が19歳で妊娠、出産をして、高校を中退しているけれども高校の資格を取得し、自分の身の回りの貧困の連鎖を断ち切るために大学に入った方―今は大学1年生ですが、その方が後期の授業料を納められず、退学の決定が目の前に迫っているという状況の話を聞いたときに、先ほど西銘委員の質疑でひとり親支援として、資格取得を支援しているという話がありました。資格取得支援のある市町村の文書を見てみますと、特化した資格があります。例えば、看護師、介護士、理学療法士、作業療法士等々ありますが、本人が大学で取ろうとしている資格はそれに該当していないのです。そうしますと、資格取得のための援助が受けられていないわけなのです。1年間援助が受けられなかったがために、予定が大幅に狂っているわけです。子供のみの貧困対策なのか、親が立ち上がろうとしているときのための貧困対策なのかということに私も直面してわかったことなのです。こういう一例があるということも含めて、さまざまな職種にもっと枠を広げて、職種を限定せずに―もう書き込まれているのです。入学当時から今日があることは予測できていたと本人は言っていました。つまり、自分がもらえるはずの月々8万円ほどの支援金がもらえずに来たわけなのです。ですから、そういうことを言うと、まだまだすき間だらけだなという感がいたします。そこも含めてそういう立場に置かれている人の声をいかに吸い上げるかという仕組みが大事だと感じていまして、そのような意向をぜひ酌み取っていただきたいのですが、いかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今回、子どもの貧困対策推進計画の策定に当たって、実情の把握あるいは県がすべき施策を検討するために検討会を設置していろいろと御意見をお伺いしました。その中にも当事者の意見を代弁できる方ということで参加をしていただいております。長く社会的養護のもとで暮らされた方ですが、そういった立場の方にも来ていただいて、意見をお伺いしております。当事者の意向を踏まえて施策を検討するという視点はとても大事なことだと思いますので、引き続きこういった取り組みを続けていきたいと思います。

○比嘉京子委員 どうやって貧困かどうかを把握していくかという問題ですが、例えば母子保健分野の協力をという発言があったと思います。そこで提案ですが、例えば6カ月健診や1歳半健診の健診率が沖縄県は低いですよね。受診に来ていない子供たちの家に家庭訪問をするような状況把握方法はお考えですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 乳幼児健診に来られない方に対するフォローアップの取り組みは市町村でもやっていらっしゃると思います。ただ、保健師の数も限られておりますし、母子保健推進員の方のマンパワーも限られているということで、なかなか十分にできていない部分もあるかと思いますので、基金を活用して母子保健の受診率の向上、あるいは未受診者のフォローアップの拡充、対策のための事業を実施すべきではないかと県も考えております。その方向で市町村とは意見交換をしていきたいと考えております。

〇比嘉京子委員 やはり、まずは把握をする、スタートラインで食いとめるということが重要だと思います。例えば半年健診でも、1歳半健診、3歳健診でもいい。かつて私も栄養相談等をやっていたことがありまして、そのときに体重の推移や全身の推移が悪い子供たち、例えば伸びが3パーセンタイル未満の子供たちのところには全て報告をして保健師に行ってもらっていました。やはり受診に来ないということがふえている現状にエネルギーの多くを、そして入り口のところでお母さんや両親が抱えている不安や問題点を早く把握するということが重要だと思います。財源をニーズのあるところに平たく全部配るのもいいですが、どこが重要で、どこで歯どめをかけるか、エネルギーをどう分配していくかということをぜひ考えてほしいと思うのと、そこを入り口として、どういう入り口のところでまずは把握できるように努めるか。余り薄く広くではない分配の仕方をぜひお願いしたいと要望しておきます。
 もう一点ですが、アメリカのペリー就学前計画の実験等を以前に議場でも紹介したことがありましたが、幼児教育は貧困の連鎖を断ち切ると。四、五十年の実験結果から世界中がそれをやっているわけですが、日本は全然やる気がないのです。ですから、経済協力開発機構―OECDの中で日本はGDPに占める幼児教育における支出の割合がワーストワンなのです。このことを見ても日本政府がいかにそういうところに目がいかないか。世界中のほかの後進国よりずっとおくれているのは日本なのです。そのことを踏まえて、沖縄県で貧困対策を行うときに幼児教育でいかにストップをかけるかと。第2段は乳幼児のときから幼児教育です。幼児教育にかなりのエネルギーをかける。アメリカでは貧困地域の子供たちを幼児教育を受けたグループと受けなかったグループで分け、40年間の差を見たときに、高校中退、成人後の年収、犯罪率、さまざまなものが幼児教育を受けたグループのほうがずっと優位にいるのです。ですから、どういう家庭であってもその連鎖を断ち切る。そういうことを社会的な支援として集中的にやる。それを今後推進会議等でやれるときにはもっと深く調べて、ぜひとも反映してほしいということを要望したいと思いますが、いかがですか。

○金城武子ども生活福祉部長 実は、推進会議の場でも委員の御指摘の部分、実際にこういうシミュレーションをした場合の違いといいますか、このことは厚生労働省の白書の中にも記述がありまして、私からも推進会議の場で紹介をして、子供の貧困は非常に重要だということを訴えてきたところでございます。そして、検討会の提言の中でも低学年児の学力保障といいますか、これについてもかなり強く委員の方からこの部分をしっかり支援しないといけないという御意見が非常に多かったところでございますので、そのあたりで先ほどの乳幼児期を含めて年齢の若いとき―ここがまたどちらかというと市町村が担う部分になっていますので、このあたりをしっかりと我々も重点的に支援していこうという考えは一緒でございます。

〇比嘉京子委員 先ほどの相談に見えた方から親の学歴は調査項目に入っていますかということがあったのですが、入っていますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 沖縄子ども調査は、保護者と子供それぞれにアンケートを実施しておりまして、保護者の調査の中で親の最終学歴については確認しております。

〇比嘉京子委員 これは中間報告なので、またこれから分析の分野に入るという理解でいいですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 今後の調査結果の報告で入れる方向で考えております。

〇比嘉京子委員 今、どのような集計になっているか見えていないのですが、こういった人がここでは何と答えているかというクロス集計をしっかりかけて、より実相に近い分析をしてほしいと思います。たくさんのアンケート項目が親子でとられているわけですが、今、一個一個の平たい集計が出てきているような気がします。今後はぜひクロス集計をかけて、そういう人はどうなっているのかというところ、つまり情報の入手場所さえも把握できていない可能性があるのではないかと思います。そうすると、それが見えてきたときに、どの時点でそういう情報を中学校3年生までに上げるのかどうかということを、与える場所を定める必要があるのではないかと思います。こういう状況に陥ったときにどういう社会的な手当てがあるのか、どこに助けを求めるのかということを含めて、やはりそこら辺の実相に迫り、連鎖を断ち切ると。見ているとそういうことを繰り返しているような気がしますので、そこら辺はもう少し詳しい集計を待ちたいと思います。ぜひクロス集計を出して有意差の検定までかけてほしいと思うのですが、いかがですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 学校アンケート調査から分析できることは、おっしゃるとおりいろいろあると考えておりまして、2月補正で継続調査の分の予算をお願いしていますが、その中でクロス集計についてもやっていきたいと考えております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 又吉清義委員。

〇又吉清義委員 資料に入る前に確認事項からさせていただきたいと思います。この乙第15号議案の施行期日は公布の日からということで、条例を出すからにはいつから施行するという予定があるかと思いますが、何月ごろを予定していますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 3月11日の予定でございます。

〇又吉清義委員 次に、子供の貧困率が29.9%という統計をとったというのですが、これは皆さん方の説明を見ますと実態調査をした結果とおっしゃっておりました。この実態調査そのものが子供の貧困の定義として理解していいのかと思いますが、この実態調査というのは具体的にどのような調査をやっているのですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 日本の中で子どもの貧困率というものを厚生労働省が国民生活基礎調査で算出しておりまして、この子どもの貧困率というのが我が国における子供の貧困の公的な唯一の基準になっております。そのときの貧困率は、17歳以下の子供全体に占める等価可処分所得が貧困線を下回る子供の割合で子どもの貧困率を算出しておりまして、貧困か貧困でないかをはかる基準が直近の国の調査では122万円で設定されております。それが平成24年の国の調査になっておりまして、我々は平成26年度に調査を行ったのですが、それ以降の物価変動を加味しまして、今回の調査では126万円を貧困線に設定しまして、等価可処分所得がそれを下回る子供の割合を算出したところ29.9%になったということでございます。

〇又吉清義委員 私はもっといろいろな調査をしているかと思ったのですが、要するに、一般的に言えばそういった所得の基準ラインをもとにやったということしかわからないのですが……。では、先ほどこの条例案が通った場合、3月11日に公布して施行していきたいということをおっしゃっておりますが、1つ気になることは、先ほどから聞いていると市町村とこれから対応して負担割合も決める、そして仕様も決めるという言い方をしているのですが、運用規則というのは既にできていると理解してよろしいですよね。補助率もできているわけですよね。

○大城博青少年・子ども家庭課長 基金を活用して実施する事業に関する要綱をつくらなければいけないと思いますが、それは今後市町村の意向を聞いて、対象事業を設定した上で作成することとしております。

〇又吉清義委員 あと1週間後に公布をして、市町村に応募をするわけですよね。応募をするけれども運用規則もない。補助率も決まらない。市町村に迷惑をかけませんか。おかしいと思いませんか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 基金が3月11日に成立した以降は速やかに市町村との意見交換を開始しまして、市町村がどのような事業を活用して事業を実施したいかという意向調査を行い、それを整理した上で対応を要綱に落とし、速やかに事業を実施できるように取り組んでいきたいと考えております。

〇又吉清義委員 おかしいと気づきませんか。公布の日から施行されていくと、3月11日から使っていいと。これは私が言っているのではなく、皆さんが言っているのですよ。そうある中で市町村と詰める、使い方も決める、補助率も決める。こういうのは絵に描いた餅と言いませんか。各市町村は本当に使いたいのです。使いたいのであれば、いつから使うことができると、もう少ししっかりとした条例を出すべきだと思います。私はこれを説明会で聞いたときにすごいなと喜びました。しかし、資料をとってみれば、何ていいかげんな条例なのかと正直に言ってがっかりしています。もう一つ言わせていただければ、この30億円の基金をつくるのにどのような事業を行うのか資料を下さいと言いましたら、30億円の新メニューは何もないのです。継続メニューだけではないですか。子供の貧困に対して、今まで皆さんが出しているメニューで子供の貧困率が29.9%もあると。改善もされないから、さらなる予算を組み、基金をつくり、さらに進もうという発想だと思っておりました。これはただ水増しをするだけなのですか。皆さんは何のアイデアもないのですか。僕でさえもあります。30億円の基金を楽しみにしていましたが、がっかりしています。この30億円の基金を活用して、市町村に具体的にこういうものをやってもらいたい、県もこれをやりたいという意思はないのですか。

○金城武子ども生活福祉部長 先ほど、青少年・子ども家庭課長から説明がありましたように、2月補正で継続の調査を行いまして、この条例が成立しましたら早速この基金に基づく事業がスタートしますので、継続事業の調査、そして事業者を選定して契約をする。ただ、市町村については今から詰めていきますが、市町村も当初予算への計上は時間的に間に合わないところでございますので、補正等で市町村は対応することになります。ですから、我々も基金を取り崩して使うというのは今後の補正で対応します。これについては、待機児童解消支援基金の場合も県が一旦基金を積んで、その後に市町村といろいろな意見交換をして、市町村の意向を踏まえて事業化に向けてやったということでございますので、今回も同様な形で手続を踏んでやっていこうということでございます。

〇又吉清義委員 正直に言ってわかりません。予算を組むというのは、運用規則もつけて、このように使いましょう。だから30億円必要なのだと。皆さんはこれが全くないのです。とりあえず30億円積んでおきなさいと。各首長にワッター30億円アンドーンディチ、使い方はナマカラキミーンドーンディチ。ですから、これは絵に描いた餅と言いませんかと。馬の前にニンジンをぶら下げて走れ走れと、餌でつっているようにしか見えません。なぜ30億円なのか。どのように使うのか。市町村からどういう声があったのか。これも全くない。県の予算というのはこのようにして決めるのですか。こういう予算を私は2回見ています。市町村でもこんな予算はつくりません。運用規則、なぜこうなるのかという根拠はきちんとあります。別に県はなくていいわけですね。なくていいのであれば理解しますよ。県の予算というのはこのように決めるのですね。

○大城博青少年・子ども家庭課長 基金を活用して実施すべきと考えている事業は、先ほど答弁をいたしましたが、我々は実態調査を踏まえまして就学援助の適正利用を促進するための事業をぜひやる必要があると考えておりまして、それは重点的に取り組みたいと考えております。市町村との意見交換の中で、市町村から、例えば乳幼児健診の受診率を高めるための事業に充てたいとか、学校における学習支援に係る事業に充てたいとか、そういった要望を受けておりますので、その要望を踏まえてこれから要綱に落とし込んでいって、市町村にも次年度に歳出予算で計上していただいて、補正予算で整理した後に事業を展開していくということを考えております。

〇又吉清義委員 やってもらいたい気持ちはよくわかります。余りにもいいかげん過ぎませんかと。素人でもこんなことはしません。お金は幾らかかるのか、なぜ必要なのか、どのように使うのか、計画を立てて予算を組むと思います。皆さんはお金から先に組むと。今回の2月補正は68億円の補正予算で、そのうち30億円はこの基金です。すごいメーンです。2月補正予算の68億円の半分以上がこの基金なのに、大事な部分の中身が何もないと思いませんか。私は正直に言って残念でなりません。ですから、市町村がどうのこうの言う前に皆さんもしっかり計画を立てる。国では10億円を出すのにしっかりメニューを組んで、予算をどうするかという計画もある、皆さんにはないということ自体どうしようもありません。
 もう一つお伺いしますが、今回30億円の基金を組んで平成33年度まで60億円の予算でやっていくということなのですが、これは2月に30億円を組んで、残り30億円の基金の上乗せというのはいつごろを予定していますか。2月16日の議案説明会の中で、トータルでは60億円で持っていって、4つの事業をしますと皆さんはちゃんと説明したわけです。ですから、残りの30億円というのは具体的に何年ごろを予定しているのか説明していただけますか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 この60億円といいますのは、県の事業の中で子供の貧困対策に関する主な事業を集めたものが60億円ございますということで、基金の造成予定額が60億円ということではございません。

〇又吉清義委員 では、子どもの貧困対策推進基金は30億円で終わりですね。

○大城博青少年・子ども家庭課長 基金の造成予定額は30億円でございます。

〇又吉清義委員 そうすると今のことは矛盾しませんか。皆さんの資料ではトータル幾らになっていますか。1200億円になっていますよ。この資料を合計したら幾らになっていますか。計算してみてください。子ども貧困対策推進計画で関連事業と書いてありますよね。番号1から10までで幾らかといいますと、4億7000万円ですよね。2ページ目が9億9000万円、3ページ目が22億円、4ページ目が6億5000万円、5ページ目が92億円です。

○大城博青少年・子ども家庭課長 この資料は子どもの貧困対策推進計画に盛り込まれた子供の貧困対策関連の事業の予算を集計したものでございまして、この基金の充当事業ということではございません。

〇又吉清義委員 では、30億円の基金の充当はこれには一切ないということでよろしいですか。一番最後のページの62番目に30億円基金事業で別口に入っているわけですよね。別口に入っているということは上とは全く関係ないと理解してよろしいですね。

○大城博青少年・子ども家庭課長 この資料は、子どもの貧困対策推進計画(素案)の中に盛り込まれている事業について、子供の貧困対策の主な分野ごとに「つながる仕組みの構築」、「教育の支援」、「生活の支援」、保護者の「就労支援」、「経済的支援」、それから「その他」の区分に分けて整理をしたものになっておりまして、現在、子どもの貧困対策推進基金は「その他」に区分をして、整理をしまして、基金の30億円もこの集計には含まれております。例えば、62番の子ども貧困対策推進基金といいますのは、生活や教育などの個別分野に限定されないような内容でして、この基金はいろいろな事業に充てられる予定にしておりますので、「その他」に区分をして30億円は集計をしております。

〇呉屋宏委員長 休憩いたします。

〇呉屋宏委員長 再開いたします。
 又吉清義委員。

〇又吉清義委員 全く理解できないのですが、例えば資料2ページの11番から24番で、11番目は37、16、教育と書かれています。これは何かといいますと、沖縄子ども貧困対策推進基金30億円の予算を4つのグループに分けると。4つのグループに分けたうち、教育の予算と30億円の予算は違うということでよろしいですね。

○大城博青少年・子ども家庭課長 この資料は基金を充当する事業ということではなく、計画に盛り込まれた子供の貧困対策に関連する事業の一覧になっております。

〇又吉清義委員 ですから、30億円をこのように使いたいという意味ではないわけですよね。しかし、皆さんは条例を制定しない前に新年度予算にこのように組んであるということですね。

○大城博青少年・子ども家庭課長 この事業はあくまでも計画に盛り込まれた子供の貧困対策の全体像を把握していただけるようにということでつくった資料になっておりまして、基金を活用して市町村に実施していただきたい事業といいますのは先ほど申し上げたような、例えば就学援助の適正利用の促進など、そのような取り組みに活用したいということでございます。

〇又吉清義委員 私はとても期待しておりましたが、中身を見て非常にがっかりしました。この30億円に期待している市町村はいっぱいあるかと思います。しかし、こんなアワティーハーティーすると、正直に言って知事がよく使うハナシクヮッチーそのものですよ。今、皆さんが3月11日にこれを公布しても、各市町村は使うこともできない。がっかりしますよ。つくることに反対ではありません。しかし、しっかりと運用規則もつくる、そして市町村に対して負担割合をどうすると。各市町村に事情聴取をすると100%の補助が望ましいです。そういうものをしっかり受け入れる。受けた条件を整備をして、私は再度この議案を提出したほうが気持ちいいと思います。取り下げたほうがいいと思います。そのほうが各市町村から喜ばれます。今のままでは使いたくても使わせもしない、皆さんもどう使わせていいかわからない。大変なことになると思います。ぜひこの議案を取り下げて、各市町村ともっと詰めて、やっていただきたいということを提案して終わります。 

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新田宜明委員。

〇新田宜明委員 貧困の問題というのは、先ほど執行部からさまざまな要因、あるいは複合的な要因が考えられるという話も伺ったわけですが、沖縄県の貧困問題というのは社会政策から出てきた貧困、すなわちこれは政治の貧困だと思っております。沖縄県の特殊な戦後の歴史的な背景、これは非常に大きな問題だと思います。復帰して44年目になりますが、27年間、本土法の適用が受けられなかったという問題。そして沖縄県は製造業が全く育たなかった。基地依存のざる経済のもとで産業基盤が脆弱な上に働く場がない。こういうことが長い間放置されてきたわけです。そこから所得の格差と教育の格差という本土との差が出てくる。こういう歴史的な背景の根が非常に深いと思います。復帰して4次にわたる沖縄振興策は格差是正論を基本に、本土に追いつけという経済政策が非常に中心になっていまして、教育や福祉部分に重点的に政策的な投資が行き渡るのではなく、港湾や道路などのハードなところにどんどんシフトさせたがゆえに、今日の状態が起こったのだろうと思います。しかし、これは沖縄県の発展過程の中では、ある意味では必要悪的な施策だったかもしれません。ただ、今、沖縄21世紀ビジョンを新たに構想する、策定する段階で過去40年間の振興策の総括の上に立って、沖縄21世紀ビジョンの中で新しい施策のあり方が問われています。これに向かって新しい沖縄県のあるべき姿を描こうという前向きな考えだと思っていまして、こういう沖縄県の貧困問題に特化して重点施策を県政が引っ張っていこうということは、例えば沖縄県の産業構造と就業構造のひずみの是正と同時に、経済的な発展と相応する、要するに教育や福祉の部分を底上げしようというすばらしい考えだと思っております。そういうことで、まず1点目に、市町村は住民の生活に直結する分野にいるわけですので、非常に貧困の実態を把握しやすいのです。市町村の自治体が一番よくわかります。ただ、国勢調査も出ているわけですから、皆さんもぜひ国勢調査の最新のデータに基づいてマクロ的に沖縄県全体をある意味では補足できるような、こういうデータの収集をしながら市町村間にばらつきが生まれないかどうかということをチェックする機能を働かせてほしいと思います。国勢調査で個々人のデータを積み上げた一つの統計的なものが出ていますので、それを皆さんはやる考えがないかどうかをまずお聞きします。皆さんは皆さんなりのデータをちゃんと把握して、それに基づいて市町村間にばらつきがないかどうかをチェックする仕組みをつくれるかどうかをお伺いします。

○大城博青少年・子ども家庭課長 調査・分析に当たっては、既存の統計データを有効に活用して把握できる部分がいろいろとあると思いますので、国勢調査あるいは就業構造基本調査、労働力調査、いろいろな調査がございますので、そういったデータを活用して、情報を確保し、市町村への情報提供などを行っていきたいと考えております。

○新田宜明委員 全部で3点伺います。あと1つは、住民とじかに接している市町村が迅速に効果を発揮できると思います。そういう意味では、各市町村にワンストップの住民の貧困問題やさまざまな相談に対応できるスペシャリスト、総合窓口みたいな方を置いて、そこでいろいろな問題が解決できるといいますか、こういうワンストップサービスができるような仕組みづくりも推進できないかと思いますが、どうですか。

○大城博青少年・子ども家庭課長 貧困家庭の特徴に、社会的な孤立というものがありまして、相談窓口を開きましたのでいらしてくださいと言ってもつながらない家庭が多いというお話もお伺いします。ワンストップで総合的な情報を提供できるような窓口を設置することも大事だと思いますが、あわせて例えばいろいろな支援メニューに関する知識を持っている支援員が個々の家庭につながり、そして適宜実情に合わせて適切な支援をコーディネートしていくといったことができるように支援の研修などにも力を入れていきたいと考えております。

○新田宜明委員 社会的ないろいろな風習や周囲の目を気にしてなかなか行政に訴えることのできない人たちが結構多いです。ですから、そういう人たちを拾い上げるためにもさまざまな学校や民生委員・児童委員の協力も必要だと思います。その前に一番思うことは、自治体が持っている本来の役割というのは、住民の福祉向上を図ることが目的ですので、これを実現するために市町村の役所職員の意識改革が必要だと思います。自分たちははっきり言えますが、公務員という安定した、身分も保障された位置にあるものですから、なかなかそういう階層のところまで目線を落として寄り添うことの認識を深めるということが、置かれている状況から非常に難しいと思います。そういう意味では、支援員や指導員などいろいろさまざまな人たちを研修することも大事ですが、役所職員―公務員の意識が変わらないとだめだと思います。例えば、生活保護、あるいは要支援の就学援助でも受けたいと思っていても、役所に行ったら切られるのではないかとか、難しい手続を要求されて非常に困っている方たちがたくさんいます。敷居が高いのです。これを変えないとだめだと思います。そういうことも要望して、最後に子ども生活福祉部長の見解を伺って終わります。

○金城武子ども生活福祉部長 なかなかつながる仕組みというのが非常に重要でありまして、やはり窓口でそういう対応がまずいとなかなかそれもつながりにくくなりますので、市町村ともそのあたりも意見交換する中でお互いの共通認識を深めていきたいということで貧困対策をしっかりと推進してまいりたいと考えております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 よって、乙第15号議案に対する質疑を終結いたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、説明員等入れかえ)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 次に、乙第23号議案沖縄県国民健康保険財政安定化基金条例の審査を行います。
 ただいまの議案について、保健医療部長の説明を求めます。
 仲本朝久保健医療部長。

○仲本朝久保健医療部長 それでは、乙第23号議案沖縄県国民健康保険財政安定化基金条例について御説明いたします。
 平成28年第1回沖縄県議会文教厚生委員会議案説明資料の1ページをお開きください。
 本議案は、国民健康保険法の一部改正に伴い、国民健康保険財政の安定化のため、保険料収納不足により財源不足となった市町村に対し貸し付け・交付を行うことを目的として、沖縄県国民健康保険財政安定化基金を設置し、その管理及び処分等に関し、必要な事項を定めるものであります。
 なお、基金の財源につきましては、平成27年度より国から交付がありますが、当該基金の処分に係る規定は平成30年4月1日から施行することとなっております。
 条例案につきましては、資料の2ページまたは乙号議案書の98ページをごらんください。
 以上で、乙第23号議案についての説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○呉屋宏委員長 保健医療部長の説明は終わりました。
 これより、乙第23号議案に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 説明を受けましたが、平成30年度から基金を設置するということですが、2年後の2018年に国民健康保険―国保がどのように変わるのでしょうか。今は国保税の徴収とか、保険証の交付を市町村がやっていますが、そこら辺も含めて何か変わることがあるのでしょうか。

○宮平道子国民健康保険課長 平成30年度以降、今回の法律の改正に伴う制度移行がございますが、保険者機能のあり方が変わるということになっておりまして、今現在、市町村が行っております国民健康保険事業について、県が市町村とともに保険者となり、財政運営の主体となるということになっております。今現在、市町村で行っていただいております賦課徴収であるとか、資格管理、保険事業については、住民と身近な関係の中で引き続き市町村に担っていただくというような役割分担になっております。

○西銘純恵委員 財政運営の主体が県と市町村になるということですが、国からのこれまで県や市町村に入っている国庫が、2年後以降―国からの基金をつくるということはいいのですが、その後に国から入ってくる国庫関係に変動が出るのでしょうか。従来どおりの割合などの仕組みは変わらないでしょうか。

○宮平道子国民健康保険課長 今あります財政の仕組みは、若干変わるということはあると思いますが、負担割合については変わらないと考えております。ただ、今回の制度改革において、保険者機能のあり方とあわせて、国保の財政基盤を強化するということで、平成30年度以降、新たに1700億円が全国で投入されるということがありますので、これも含めて公費の拡充が図られるという形になっております。

○西銘純恵委員 平成27年度から基金の財源を国が補助するということですが、基金条例をつくったら県の計画はどのような基金積み立てということになるのでしょうか。

○宮平道子国民健康保険課長 基金につきましては、財源は全額国庫でということになっております。平成27年度は、国において200億円の財源が確保されております。平成28年度においては400億円の予算が計上されているところでございます。国としましては、平成29年度までに全都道府県に総額2000億円を積んでいくということになっております。

○西銘純恵委員 沖縄県には幾らですか。

○宮平道子国民健康保険課長 今年度、交付決定を受けておりますが、沖縄県分として2億8500万円の交付決定をいただいております。今年度、国の予算措置が200億円ということでございましたので、総額2000億円と考えますと、約10倍の28億5000万円ぐらいの基金になるのではないかと考えております。

○西銘純恵委員 この28億5000万円を財政安定化基金ということで図も示してありますが、従来そういうやり方はなかったと思います。この基金を使って何をどうするのかについて、少し説明をお願いできますか。

○宮平道子国民健康保険課長 平成30年度以降、給付に必要なお金は県から全て市町村に交付をしていくということになります。この給付に必要な財源を市町村から納付金という形で納めていただくということになりますが、この納付金は保険税等を財源として、これを県に納めていただくという形になります。ですので、市町村が納付金を県に納めるための保険税の収納が不足した場合に、この基金を活用しまして、市町村に貸し付けを行うということになります。必要な保険税収納額が不足したことについて、特別な事情があると認められた場合には、不足した額の2分の1相当額を交付するという形になっております。

○西銘純恵委員 今、保険税は市町村みんな違いますが、これが全県一円になるということにはならないのでしょうか。保険税そのものは市町村で納付額を想定して決めるということになるのでしょうか。市町村が平成30年度以降に現在市町村民に課している保険税がどうなるのでしょうか。高くなるのか、低くなるのか、そこら辺も含めてどう見ていますか。

○宮平道子国民健康保険課長 先ほど、県に納付金を納めていただくと申し上げましたが、この納付金を納めるのに必要な保険税の税率がどれくらいかということで、県で各市町村ごとの標準保険税率を示すことになっております。市町村においては、この標準を参考にしながら、各市町村において税率を設定していただくということになります。

○西銘純恵委員 では、従来より高くなるのか、低くなるのかということは、今のところわからないということでよろしいですか。

○宮平道子国民健康保険課長 先ほど、1700億円の追加の公費拡充があると申し上げましたが、そういったものの入り方がわからない部分がございまして、まだどれくらいの額が経費として算定されるのかがわからない部分がございます。今後、国で標準保険料等の算定についてガイドラインを示すことになっておりますので、それらを踏まえ、また公費の追加投入のあり方も踏まえながら検討していくと考えております。

○西銘純恵委員 先ほどこの基金から貸し付けと交付の説明が少しありましたが、貸し付けを受けたら市町村はまた基金に返済をすると。しかし、交付については特別な事情と先ほどありましたが、交付というときには、景気変動等ということがあります。市町村が財源不足になったときに県はどう考えているかということですが、例えば、国保の世帯に特別な事情があって、申請減免をやってもらったというところで市町村が財源不足になったというときに、交付申請を基金にするわけですよね。そういうときに基金としては交付とするのか、それとも貸し付けとするのか、これはとても大事なところだと思いますが、どうでしょうか。

○宮平道子国民健康保険課長 保険税減免につきましては、各市町村で基準等を定めて運用をしていただいております。これにつきましては、今現在、国調整交付金や県調整交付金で補塡をしておりますので、この部分について基金の交付対象になるものとは少しすみ分けになるのかと考えております。

○西銘純恵委員 交付要件は、特別な事情で財源不足になったときに、満額ではないですが、2分の1を交付すると書いているわけですから、ここをどう運用するかということが今後市町村との関係でもとても大事になってくる。例えば、交付を受けられなければ借金をして返済をする。そうしますと市町村がそのために保険料を上げなければいけないとか、そういうことがあったら困るわけです。ですから、交付について交付要綱は都道府県が決めることができるということになるのでしょうか。

○仲本朝久保健医療部長 交付要件になります特別な事情については、現状、言葉的には災害とか、景気変動等と想定されますが、詳細については引き続き地方と協議の上で、これは国において政省令で規定されるとなっております。具体的なものについてはまたこれからということになると思います。

○西銘純恵委員 ここは大事なところで、省令とおっしゃいますが、沖縄県の場合は特にそこについて意見を上げて、いろいろな事情で払えなくなったという部分で保険料の値上げにいかないようにぜひやってもらいたいと思います。
 現状を少し確認したいのですが、今、1人当たりの国保税の額、この間の二、三年でもいいのですが、推移を伺いたいと思いますし、一番高いところがどこで幾らなのか、そして一番低いところがどこで幾らなのかということもあわせてお尋ねしたいと思います。

○宮平道子国民健康保険課長 保険税の調定額ということで御説明いたします。1人当たり、保険税の調定額が平成24年度で5万9202円、平成25年度で5万9984円、平成26年度―これは速報値になりますが、6万1550円となっております。平成25年度におきまして、県内の市町村で最も調定額が高いところが伊是名村の8万676円です。最も低いのが粟国村の3万2787円となっております。

○西銘純恵委員 今のように、国保税そのものが市町村によって2倍以上の開きがある状況です。ですから、市町村で、負担できる、できないという住民の皆さんの目線で保険税を決めていると思いますが、どんどん上がっていっている状況を見ましたら、とても負担できないところにさらに追い打ちをかけていくと。そして重症化につながるのではないかということで、県と市町村が主体になるということであれば、ぜひ平成30年度以降は市町村との話し合いをしっかりして、県が主導して県民負担が抑えられるような立ち場でやってもらいたいと思いますが、年収に占める国保税の割合についても、一番高いのは何割でどこの市町村、一番低いのは何割、どこの市町村ですか。それから、県の平均割合は幾らですか。

○宮平道子国民健康保険課長 平成25年度において、1人当たりの保険料負担率が最も重いのが多良間村になっておりまして、27%でございます。最も低いのが東村の7.5%となっております。そして、県平均は16%となっております。

○西銘純恵委員 今の答弁を聞いて、多良間村では3割近く国保税だけで占めているといいましたら、住宅費、食費等いろいろ考えて本当に負担能力を超えているものになっているのではないかと思います。ですから、基金をつくっていくというときに、交付は省令で決めると言ったのですが、社会保障、医療をどう守るか、皆保険制度が都道府県単位下になるのであれば、沖縄県が独自に―沖縄県がずっと子供の貧困ということもやっておりますが、親の貧困、県民の貧困も全国に比べても全然違いますし、国保については医療を受ける、受けないということになりますので、ぜひ財政安定化基金の活用についても積極的に交付ができるというものにやっていただきたいと思います。

○仲本朝久保健医療部長 今回提案しております基金につきましては、全国一律の制度の中で国が10分の10の負担をしてつくる基金でございます。その面から言いますと、運用についても全国一律の規定になろうかと思います。今の御質疑の県独自の、あるいは沖縄県としてどうするのかという部分については、またこの基金とは別の視点で議論などが必要かと思います。

○西銘純恵委員 やはり、基金が滑り出しに入っていくというころにあわせて、そこも含めて市町村と丁寧に話し合いをして、県の繰り入れになるのか、名称はよくわかりませんが、支援をするという立ち場で―医療を保障する、命を守るという立ち場でやっていただきたいということを要望して終わります。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 提出の理由で、国民健康保険法の改正に伴い基金を設置するとありますが、この法改正に伴って基金を開設するという背景を少し説明してもらえませんか。

○宮平道子国民健康保険課長 昨年の5月に持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律というものが成立しまして、その中で県が市町村とともに国保の保険者になるということが平成30年度以降決まっております。その財政運営の主体となるということの中の一つとして、県に財政安定化基金を設置するということが法律の中で規定されております。

○照屋守之委員 そうであれば、収納不足により財源不足となった市町村に対して貸し付け・交付を行うとなっておりますね。今、平成30年度に向けてそれぞれの市町村の国保会計はとんでもない状況になっています。今現在、累積赤字はどのくらいありますか。

○宮平道子国民健康保険課長 平成26年度の速報値ですが、実質的な財政赤字は109億円となっております。

○照屋守之委員 平成30年度までにそれぞれの市町村の国保でそれをチャラにするということのようですが、これはそういう理解でいいですか。

○宮平道子国民健康保険課長 平成30年度の制度移行までに赤字解消に取り組んでいただきたいと考えております。

○照屋守之委員 こういう基金を積み立てるのであれば、これをどんどん積み上げていって、財政赤字の109億円をこういう基金で補塡して、市町村と県を一つにするというぐらいのことをやらないと、それぞれの市町村が109億円をチャラにして県も一緒になりましょうということは、物理的に難しいと思います。ですから、この基金の使いようは少し考えたほうがいいのではないですか。とてもではないですができません。そう思いませんか。

○仲本朝久保健医療部長 この基金そのものは、国民健康保険法に基づく基金で、先ほど御説明したように国から10分の10の交付を受けてつくる基金です。その使途については、国で決めて全国一律で運用するという形になろうかと思います。一方、委員御指摘の109億円の赤字については、これまでも答弁しておりますが、1つは沖縄県の特殊事情がございます。それから所得の低さという特殊事情もございます。そういう面から市町村の国保財政は非常に厳しい状況になっていることは承知しております。そのために、一つは、保険料の適正な課税、運用、それから医療費をふやさないための努力とともに、国に対しては沖縄県の特殊事情を御理解いただいて、ぜひとも配慮してほしいという要望をこれまでもやっておりますし、そういう面を含めて国に対してしっかり要望していきたいと考えております。

○照屋守之委員 財政安定化基金は全国的にそういう仕組みをつくって市町村に対して貸し付け・交付を行うということですが、貸しても返さないといけないので、赤字は一緒なのです。減りません。問題は、いかに平成30年度までに市町村が抱えている109億円の財政赤字をなるべくチャラにして、県も一緒になって新たな国保財政をつくり上げていくというのが、お互いの大きな使命だと思います。これについて要請をしていると言いますが、沖縄県の特殊事情といいましても、県知事がそういう運動をやっていますか。

○仲本朝久保健医療部長 市町村国保については、昨年度の要請に対して国から国保制度改革において対応するという意向が示されておりました。そのため、国保制度改革の動向を注視しているところでございます。市長会、町村会、国保連合会とは今現在も引き続き情報共有し、連携しているところでありまして、県ともども再度要請を行うこととしております。

○照屋守之委員 平成30年度以降は他の健康保険等も全部一緒になってしまうのですか。

○宮平道子国民健康保険課長 市町村国保ということです。

○照屋守之委員 要するに、こういうやり方をしますと、いつまでも国保の負担は減りません。結局、被用者保険に加入していた人たちが定年後に国保に入るわけですよね。そこから病院に行く回数がふえるのです。ですから、他の健康保険も含めてやっていかないと、これは絶対解決しません。毎年、毎年、赤字です。市民、県民に病気になっているのに病院に行くなとは言えませんよね。こんなことはできないので、お互い公が今の国保での問題は、他の健康保険も含めてトータルで仕組みを考えていかないと、これは幾らお金を投入しても厳しいと思います。なぜ他の健康保険も含めて改革させないのですか。

○仲本朝久保健医療部長 今の保険の仕組みそのものについては、今回の国の改革でもって被用者保険も含めた形で、いろいろな形での検討がなされて改革が進められております。その中で、今回国が財政支援を強化して、全国的に見ればある程度国保の赤字も解消できるだろうということで、トータル3100億円に財政支援を入れるということがトータルとしてはあります。ところが、一方で、我が市町村国保に関しては他県とは違う、それぞれの特殊な事情があります。それは先ほど申しました、戦争の影響である前期高齢者交付金の問題、それから所得が低いという状況、そういった他県とは違う状況があると思っております。その分につきましては、全国的な仕組みというよりも特別な事情ということで国に対して働きかけをしますし、我々も医療費を抑制するという仕組みもしっかりやっていかないといけないと思っております。

○照屋守之委員 ですから、1年で保健医療部長を終わってはだめですよ。こんな大事な問題をきちんとしっかりやらないと、もっともっと頑張らないと。もっと頑張ってけじめをつけてしっかりやらないと、私はなぜかわるのか不満を持っています。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 よって、乙第23号議案に対する質疑を終結いたします。
 以上で、本委員会に付託された先議案件に対する質疑を終結いたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、執行部退席)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 議案の質疑については全て終結し、採決を残すのみとなっております。
 休憩いたします。

   (休憩中に、議案の採決方法等について協議)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 これより、乙第15号議案沖縄県子どもの貧困対策推進基金条例及び乙第23号議案沖縄県国民健康保険財政安定化基金条例の2件を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 ただいまの議案2件は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、乙第15号議案及び乙第23号議案の2件は原案のとおり可決されました。
 次に、お諮りいたします。
 ただいま議決しました議案に対する委員会審査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 以上で、本委員会に先議案件として付託された議案の処理は全て終了いたしました。
 次回は、3月9日 水曜日 午前10時から委員会を開きます。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。










沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

  委 員 長  呉 屋   宏