委員会記録・調査報告等

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文教厚生委員会記録
 
平成28年 第 6定例会

3
 



開会の日時

年月日平成28年12月15日 曜日
開会午前 10 時 0
散会午後 3 時 17

場所


第2委員会室


議題


1 参考人招致について
2 閉会中継続審査・調査について


出席委員

委 員 長  狩 俣 信 子 さん
副委員長  西 銘 純 恵 さん
委  員  新 垣   新 君
委  員  末 松 文 信 君
委  員  次呂久 成 崇 君
委  員  亀 濱 玲 子 さん
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  平 良 昭 一 君
委  員  瑞慶覧   功 君
委  員  金 城 泰 邦 君


欠席委員

照 屋 守 之 君


説明のため出席した者の職・氏名

(参考人)(陳情平成28年第99号について)
 障がいのある人もない人もいのち輝く条例づくりの会代表  長 位 鈴 子 さん
(補助者)(同第99号について)
 障がいのある人もない人もいのち輝く条例づくりの会顧問  高 嶺   豊 君
 障がいのある人もない人もいのち輝く条例づくりの会顧問  上 里 一 之 君
(参考人)(陳情第118号について)
 公益社団法人沖縄県栄養士会会長  下 地 洋 子 さん
 琉球大学元教授          新 城 澄 枝 さん



○狩俣信子委員長 ただいまから、文教厚生委員会を開会いたします。
 参考人からの意見聴取について及び閉会中継続審査・調査についてを一括して議題といたします。
 本日は、参考人として、障がいのある人もない人もいのち輝く条例づくりの会代表長位鈴子氏、公益社団法人沖縄県栄養士会会長下地洋子氏及び琉球大学元教授新城澄枝氏の出席をお願いしております。
 参考人からの意見聴取を行います。
 参考人からの意見聴取については、去る10月7日の本委員会での決定に基づき陳情第99号及び第118号の陳情審査の参考とするため、陳情者等からそれぞれ説明を求めるものであります。
 まず初めに、障がいのある人もない人もいのち輝く条例づくりの会代表長位鈴子氏から説明を求めます。
 お手元にあります事務局配付資料の資料1をごらんください。
 長位鈴子参考人から、高嶺豊氏、上里一之氏及び早坂佳之氏を補助者として出席させ、必要に応じて発言させたいとの申し出がありますので、委員長として同席を許可したことを御報告いたします。
 参考人及び補助者の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 参考人から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人の説明を聞く場でありますので、参考人が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それではまず初めに、長位鈴子参考人から、陳情第99号沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例施行後3年目の見直しに関する陳情について、提出に至る背景及び目的等について簡潔に御説明をお願いいたします。

○長位鈴子参考人 沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例―共生社会条例第24条について。
 まず、沖縄県障害を理由とする差別等の解消に関する調整委員会について、これは権限の明確化を要望いたします。条例制定後、3年目の見直しに当たり調整委員会を沖縄県子ども生活福祉部の圏内から切り離し、知事の任命のもと、障害者の人権や権利を守るために第三者機関として早期に新規設立を求めます。理由としては、条例制定3年を通して、沖縄県子ども生活福祉部で調整委員会を一度も開くことなく2年の任期を終了しました。また、各市町村の差別事例相談員が抱える差別事例に関して、沖縄県の広域相談専門員へ相談することが少なく、相談があった場合でもその後県庁内の部局のみで判断されるという問題があります。障害当事者が実際に差別を受けたかどうかの調査及び検証がされないまま、広域相談専門員に位置づけられることに不満と不安の声が広がっています。沖縄県民への周知や啓蒙・啓発活動に関して、広域相談専門員も障害者団体と同等の運動をともに行っていく必要性があるにもかかわらず、障害者団体へ赴くことがないのが現状です。参考資料として、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律―障害者差別解消法がことしの4月から施行されました。これは差別解消法の人権や権利をという形です。ただ、現在、資料で参照している部局の考え方としては、障害者福祉サービスの中で部会として障害者施策推進協議会を置こうという形で考えているようですので、その件に関しては第三者機関を早期に設立すべきだと考えます。
 次に、条例の第4条、第7条、第9条、第12条、第13条及び第17条に関してですが、要望としては、国で2016年4月1日より障害者差別解消法が施行されまして、沖縄県の共生社会条例において、差別解消法を踏まえた上で質の高い条例づくりを行う必要がある。障害者差別解消法において、合理的配慮を行うことは官公庁及び医療、教育機関に法的義務があるとされ、これを行わないことについて差別とすることが明記されている。実際に法的義務がなされているか、調査・検証する必要が生ずるが、条例において明記されているにもかかわらず、守られていない。
 理由は障害種別によって合理的配慮は異なる。障害者団体でも法整備及び施策については各障害者団体と連携を強化しつつ、合理的配慮を整える必要があると考え、3年経過しているが合理的配慮が具体的に見られていない。
 例としては、第13条の建築物の利用における差別の禁止ということで事例が出ています。それから、第9条の医療の提供における差別の禁止、これは聴覚障害者が緊急診療を行う際に、今、風邪とかがはやっていて手話通訳をつけないまま病院へ行った際に、医療従事者と障害者との意思疎通がきちんとできないということで断られるケースが出てきています。あと、第12条の教育における機会の付与、インクルーシブ教育システム構築ということで文部科学省は教育委員会へ通知しているが、依然として分離教育の構築は変わるどころか、発達保障の名のもと分離が強化されているように感じる。子供たちが社会で育ち合うためには、交流だけではなく、実践している県内の教育を生かす方向性が教育現場には必要である。個々の子供たちの合理的配慮は大きく異なることから、成長とともに必要な合理的配慮をしていくことを強く求めます。そして、医療ケアをしている子供たちは看護師を学校現場に配置することが合理的配慮と考える。親を毎日のように学校に同行するよう許可していることはおかしいと考えております。

○狩俣信子委員長 長位鈴子氏の説明は終わりました。
 続きまして、高嶺豊補助者お願いします。

○高嶺豊補助者 条例第24条の中で、沖縄県障害を理由とする差別等の解消に関する調整委員会が設置されております。実は私は調整委員会の委員長を拝命しておりましたが、条例が発効されてから一度も委員会は開かれておりません。県に問い合わせますと、まだそういう事例は挙がっていないということで、2年間の任期中に何の会議の招集もありませんでした。実は、3年目ですので調整委員の任期はみんな切れていまして、今、調整委員会は存在しません。それにもかかわらず再任の手続もとられていないということで、これは恐らく県の条例の実施に対する怠慢ではないかと思っていまして、長位代表も委員ですのでそう思っていると思います。こういう簡単な行政手続も踏まれていないということは、我々委員にとって大きな不満があります。今、その条例の施行というのは全て県の障害福祉課に委ねられているということが大きな原因ではないかと思っています。県はそれとは別に障害者差別解消法がことしの4月1日から施行されていて、障害者差別解消法は国の法律ですが、そこでも訴えを受けて、それを審査する障害者差別解消支援地域協議会を設置しなさいといわれていますが、実はまだそれも設置されていなくて、県としては、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律―障害者総合支援法―これは完全に福祉法です。福祉法の中に沖縄県障害者自立支援協議会がありまして、これは福祉法を実施するための県の協議会ですが、その中に1つの部会として障害者差別解消支援地域協議会を入れようという計画があると聞いております。これは全然的を射ていないと思います。実は、この障害者差別解消法は障害者基本法という形で国の障害者施策に関する法律の中の基本法で差別を禁止しますという条項が入っています。そして、差別を解消するために障害者差別解消法を別個につくっていまして、そこで差別解消の協議会をつくりなさいと言っています。しかし、今、県がやろうとしているのは、障害者総合福祉法の中の―これは完全に福祉のサービスをどうしようかという中に障害者差別解消法支援地域協議会を一つの部会として折衝することで、恐らく全然何の権限もないような部署になると思います。ですから、法律の体系からしても全然違うところに置こうとしていると。我々としましては、既に県の条例の中に調整委員会があるので、そちらに本当は国の障害者差別解消法の協議会も一緒にして、そこで差別に関しては判断することがすごく合理的で、法的にも全然問題がないと思います。ですから、そういうことはぜひやってもらいたいと思っていますが、何せ調整委員会も一度も開かれていなくて、そういう動きが県の内部で決められていく段階ですので、これは我々としてもおかしいということで、今回の見直しのときに調整委員会をもう少し県の福祉の部署から独立した形で知事直轄の第三者委員会として設置して、事例が挙がったときだけではなく、条例の運営と監視を調整委員会で担うような、そういう権限を強化していかなければ、この条例は今のようにきちんとした広報もできていませんし、誰も監視できない状況になっていますので、その役割を持たすような形での調整委員会をぜひ強化するような形で今回の条例改正の見直しをしてほしいと思います。私は条例づくりのときに県民会議の委員長もやっていましたが、3年後の見直しの意図としては、障害者差別解消法ができるので、そのときに条例も再度見直す必要があるだろうということがありまして、見直しというのが附帯決議に入っています。そういう形で障害者差別解消法と合理性があるような形で今回ぜひ条例を改正して見直していただきたいと思います。

○狩俣信子委員長 参考人の説明は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 新垣新委員。

○新垣新委員 障害者差別解消法がことしの4月1日から施行されて、私も疎いところ、勉強不足な部分がありますが、例えば差別と捉えられるところをわかりやすく教えていただけませんか。今、船をおりるときやデパートなどに障害者に対する配慮があるのか、ないのかとか、そういったもろもろをわかりやすく教えていただけませんか。

○長位鈴子参考人 まず条例の目的としましては、障害がある人もない人も地域社会の中でともに暮らしていくということが大きな目的です。その中で、差別とうたわれているのは、障害があるからあなたはここの学校に行きなさい、ここの施設に入所しなさい、そこのサービスを使いなさいというように、本人の意思に反して今の社会福祉の中でサービスにはめ込むことは差別と思います。ただ、今、実際に現状として社会づくりがそのようになっているのかといいますと、まだそこまでいっていないので、差別という文言を県民に周知した場合には障害を持つ人たちが暮らしにくい社会になるだろうということで、あえて差別と言ってはいませんが、分離するということは具体的に差別に当たります。ということで、まず第7条は、「第17条までに規定する行為のほか、障害のある人に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。」とうたわれていますので、第17条までに規定する行為は差別とうたわれています。あと第7条の2項で、「何人も、障害のある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害のある人の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。」ということで、合理的配慮をしないということも差別に当たると言っています。

○新垣新委員 生まれてきたくて生まれてきたわけではない、このようなハンディキャップを背負って。社会がいたわるべきということも大事だと。
 続きまして、先ほど3年を経過して見直しをする必要があると。障害者差別解消法と重ねて条例もあわせて検証していく必要があると。その中で調整委員会が2年間で一度も開かれていない。そして、今、お聞きしますと、障害者の声が少し骨抜きにならないかと。逆に県がやってあげるからいいではないですかみたいな、思いやりのないことを進めようとしているという問題に関して、非常に不満があると。私が理解できるところもたくさんあります。同じ気持ちです、この問題について。まずは知事に、参考人の皆様、団体の方々で直談判をすることはどうですか。今、先方の意見も聞いて、議会も、行政も一体とならないと県民への周知や障害者の方々が生きがいを持てる社会づくりのために予算化とか、幅広く山積した課題だと強く思っていますので、知事にこの声を要請しに行くことについてはいかがですか。

○長位鈴子参考人 皆さんにお配りしている資料の中に、「沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」による相談活動等の実施状況について(平成26年度)という資料がありますが、3ページをごらんください。
 県では相談件数として、平成26年4月1日から平成27年3月31日までの1年間に寄せられ相談件数が93件と書いてありまして、その中で相談が1件、合理的配慮に関する相談がゼロ件、つらいことや嫌なことに関する相談が27件ということで、市町村にも出ています。実際に、市町村の相談支援専門員は障害者福祉サービス法の中の相談員も兼任しているところがあります。それは別紙の資料、障がいのある人もない人もいのち輝く条例づくりの会でアンケートをとって、各市町村に送らせてもらったものにもありますが、まず県は各市町村の障害者福祉サービスの相談員に兼任をさせているということが現状あります。ですので、本当に人権や権利などを強く感じながらそこに特化したような相談員は今のところまだ育てられる余裕はないと思います。あと相談件数ですが、私たち障害者団体にはこういう件数ではなく、もっとたくさんの件数が毎回上がってきています。ただ、行政に相談をするというのは、市民・県民は敷居が少し高いのかと思うことと、やはりこれは嫌な思いをしたけれどもどこか諦めてしまって、もういいやと。いつもこうでしたし、これ以上言ってもとか、どこに訴えていいのかわからないけれどもという形であります。件数がこのように平成27年度も出てきていますが、これは全然少ないだろうと思います。ということで、知事に対する直接要請も時期を見てやれるようにしたいと思います。

○新垣新委員 これは次年度の予算にもいろいろな形で県の条例も変えるとか、予算も必要な額はあると思いますので、そこを一日も早くアポイントメントをとって、副知事ではなく知事に会ってほしいと思います。

○高嶺豊補助者 今、この条例に関しての施行が子ども生活福祉部だけで実施されているというところがすごく不透明になった原因だと思います。この調整委員会は知事の任命で受けていましたので、これを早急に復活させてそこできちんとこの条例のあり方をもう一度議論するような形で、これをできれば議員から県の部長にでも訴えて、透明性のある議論をぜひやってほしいということで確約をとってもらえれば―今、子ども生活福祉部に持っていってもらちが明きません。ですので、部長あるいは知事の指導のもとにこの問題は知事が任命をした調整委員会の中できちんと議論してくださいという形で―これは3年目の見直しで、まだ検証もされていません。この3年間どれだけの効果があったか、なかったかという検証も含めて調整委員会で議論をして、その上でこの条例はどのように見直すかということを進めていってもらいたいと思います。ですから、県の事務方の中だけでは我々としてもかなり不満が残ると思います。

○新垣新委員 「沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」による相談活動等の実施状況についての資料の2ページに、障害のある人やその保護者等、そして知事、調整委員会と図がありますが、今、この調整委員会というところが全く機能していなくて、引き継ぎもされていないと。レームダック―死に体みたいな状況になっているということが浮き彫りになっていると。これはやはり知事が調整委員会の関係者を任命しますので、再度それを復元させるためには知事と会って、私たちも心一つにして陳情者の意見を尊重していきたいと思います。強くサポートしていきたいということで、議会にも再度申し入れがあれば改善策もどんどん言ってきて、やってほしいということが1点。また2点目に、国民の権利及び義務―これは日本国憲法に反映されていないと思っています。明治時代に憲法がありまして、いじめをしてはならぬ、人のあら探しをしてならぬ、障害者をいたわるべきという文言があったそうです。今の日本国憲法の中に国民の権利及び義務という問題で文言が何か入っていますか。この第13条の中で、障害者をいたわるべきだという明治時代のいいものは導入すべきだと思っていまして、その件に関して答えられる範囲で構いませんので、お願いします。

○長位鈴子参考人 明治時代にありました大日本帝国憲法のいたわるという文言に関しては、あの時代は必要だったと思います。何もない時代でしたので。平成の今の時代ではいたわるというよりも、私たちは人権が欲しいのです。本当に人として対等に、平等に生きる社会をつくりたくて生きています。ですので、障害のない人と同じような権利を下さいと、それだけです。

○新垣新委員 個人の尊重、幸福の追求権、公共の福祉をもっと具体化して、平等というものをさらに考えていくべきだと私は強く思いました。
 次に、この問題において、先ほどの資料の3ページにアンケートがあります。差別または不利益、合理的配慮、つらいこと・嫌なこと、意見・要望・苦情等とありますが、それに対し実態は違うというニュアンスで受けとめています。再度この問題において不愉快な思いをしているという思いに傷ついていると思ってお聞きしていますが、言える範囲で構いませんのでもう一度お聞かせ願いますか。県プラス市町村と書いてありますので……。

○上里一之補助者 まず、差別や偏見を感じたときにどのような段階を経て協議されるかということを再度お話ししたいと思います。
 今の資料2ページをお願いします。フローチャートの中で一番上に差別事例相談員という方が市町村に配置されています。不愉快なことや差別を受けたと感じたときには差別事例相談員に相談をします。そこでうまくいかなった場合には広域相談専門員が県庁内におります。そこでもうまく協議されなかった、解決できなかった場合に知事へ調整委員会を開いてくださいと申し出て、その後知事から了解をいただいてから調整委員会が開かれます。その3段階が形としてあります。一番、差別事例相談員がいる市町村段階での苦情などはかなり多いですが、そこはほとんど数字にあらわれていません。それが現状です。

○新垣新委員 先ほども申し上げましたが、まず知事と会って、調整委員会の復活といいますか、これをしっかりするということ、また市長会・町村会の首長に―今、県プラス市町村という形の連携も必要だと思いますので、大変御足労されると思いますが、こういう形で理解と周知、そしてしっかりと市町村、障害者に対してサポート、平等、人権が伝わる、生きがいが持てる形をぜひもっともっと広げていくという形で頑張ってほしいということを―私が今感じている範囲ですが、この3年間検証も何もされていないということに対して、これは明らかな行政の怠慢としか受けとめられませんので、ぜひこれからもサポートしていくことをお約束申し上げて、質疑を終わります。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 平良昭一委員。

○平良昭一委員 やはり、現場の声といいますか、実際の状況を踏まえたときにこれではいけないだろうと感じています。特に、高嶺補助者からのお話の中でいろいろな差別の相談が市町村から上がってきて、それで広域相談専門員、そしてそれに基づいて調整委員会があることが当然で、そこで3年間というものの条例の見直しをすべきだというフローチャートがあったと思います。しかしそれが3年間で一度も行われていないという状況の中、ましてや任期は2年であるという、もう空中分解しているわけですよね。そうであれば、条例の見直しをやることさえもつくれていないということが現状で、陳情の趣旨だと思います。まずはそれに関して、差別事例相談員が相談を受けて市町村から上がってくるものに関して、実際に知事まで届いているのかどうかということをまずは確認しないといけないと思いますが、いかがですか。

○長位鈴子参考人 まず、私たちは3年になったときに障害福祉課へ行きまして、3年目の見直しについて実際にいつごろからそのような動きをしますかということで、4月、5月ごろからそのような動きをしました。そうしましたら、課としては何かあれば見直しするのであって、今は何もないのでという形で言われました。それはおかしいということで、そのときに県議会へ陳情を出したり、部長にお会いしてお話をしたり、当時、部長は課長でしたので、一緒に動いてきたということもありまして、当時のいきさつなどをお話ししましたが、今は障害福祉課の担当が全部かわっているということで、当時のアンケートや現場、離島まで行って議論したことが庁舎内で届いていないような感じがします。それが一つ大きな問題点だと思います。もう一点として、先ほど高嶺補助者からもお話がありましたように、県としては障害者総合福祉サービス法の中に部会として入れ込みたいと思っていまして、権利擁護部会とありますが、権利擁護のものと条例は全く別物だと考えています。サービス福祉の中で権利擁護はありますが、人権や権利というものに関しては擁護されるのではなく、自分たちの権利をかち取るというものと、あとは法律家や専門性が必要ですので、先ほど憲法でうたわれていたように、憲法ではどうなのと。国ではどうなのか。そして県では何が足りないのかといろいろな検証をしながら考えていくのが調整委員会の最初の決め事だったと認識していますが、それが調整委員会は助言・あっせんで終わっているということに関していかがなものかと思います。

○平良昭一委員 市町村からの声が上がってきたときに、差別事例相談員がいて、そこで解決できないものに関しては当然県に上がってくるわけですよね。その中で県の担当する方々がまちまちであるのでうまくいっていないという形で捉えていまして、そうであれば調整委員会はこういうことも監視するべき状況があると思いますので、当然そういう役割はあると思います。委員は15名でしたよね。その中でそういうことがあればもっとスムーズにいけるような状況づくりをしていくことが大事だということが調整委員会の役目だと思います。そこで調整委員会の庶務は子ども生活福祉部の障害福祉課に置かれているはずで、規則ではそうなっていますが、実際にはそこが活動をしていないと捉えていいのでしょうか。

○長位鈴子参考人 本音を言っていいですか。本音の部分では、参考人としてその役割は担っていないと思っています。といいますのは、市町村の相談員が抱えているケースというのはすごく大変なのです。いろいろな問題を抱えながら日夜奮闘しているところがありまして、もし県の広域相談専門員であれば、来なさいということではなく、自分たちから出向いていくという形で各市町村に出て行きながらやるべきではないかと思っていまして、それを何度か県の広域相談専門員や県の障害福祉課にも問い合わせをしたり、直接足を向けて行きましたが、自分たちの出張はありませんと言われたことも事実ありますので、その役割を本当に担えているのかどうかというところです。あともう一つは、沖縄は離島も多くありますし、離島の障害者は本島とは違ういろいろな問題も出てきています。やはり離島は役所の職員が兼任していたり、1人で高齢者福祉から、舗装具、補助具と何役もしているので、何役もできるわけないという声も上がっています。それをどうすれば実際に離島の障害者も同じように人権や権利などを守れるようなシステムができるのかということは、再度見直しの段階で考えていかなければいけないと思います。離島は研修が年に1回、宮古島・石垣島でありますので、そのときに行く機会があると思います。恐らくそれだけだと思います。

○平良昭一委員 大変いい条例だと私たちは捉えてきましたが、実際、中身を見てみますと、形だけ、名前だけの条例になっているという感覚も実際持っています。やはり、3年間で見直しという基準を置いたのも、かなり法改正によって厳しいところもあったと思います。完璧な条例というのは最初からできるわけがありませんので、そのための期間を置いたにもかかわらず、それが全く機能していないと。機能していないということは、見直しさえもしないということにつながっていくわけで、陳情の趣旨というのはそこだと思っていますので、この調整委員会をおっしゃるように第三者機関として早期に立ち上げるべきであるということを踏まえながら、現実的にお話をしてもらっていることは、今の障害福祉課では到底できないということをおっしゃっているわけですので、独立したような状況の中で改めて条例の真意を問いながら、この3年間でできなかったことも徹底して見直すような状況、おっしゃるように第三者機関としての機能を果たせるような状況をつくっていくことがまずは先決ではないかと思いますが、そのとおりですよね。

○長位鈴子参考人 私はそれを強く要望して、見直し条項の中に入れていきたいと思います。それが障害のある人たちの声なき声だと思います。

○平良昭一委員 いろいろ細かいことはあるかもしれません。ただ、前段でつまずいていることに関して、これは全く進んでいないということがはっきりしたわけですので、そうであればそれなりに対応は知事を初め、第三者機関をつくりながら早目に陳情者の要求に応えられるような状況づくりをしていくことが我々委員会としての課題だと思いますので、それをまた委員長に御配慮していただきたいと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 3年前、条例をつくるときに皆さんが相当の努力をされて県議会に持ってきたと。そしてこの条例についても、障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくりということで、言わば普通の人も暮らしやすい社会にするということが根底にあるということで、内容が本当に練り込まれた条例だと思ってきました。附則の中に3年間の見直しを入れるということも、皆さんの要求をしっかり入れ込んでということで、やはりつくったときに県議会でかかわった議員としてこれで少しは皆さんの差別解消や人権に対する問題が解消に向けて動き出すと思っていましたが、3カ年たってこういう状況というのが初めてわかったというところでは、実効性のあるものにするという中身で陳情も一度なされたということ、そして皆さんの努力に本当に敬意を表したいと思います。1つ、第24条の中に調整委員会をしっかり入れ込んでいるけれども、実際に調整委員長をなさっていた高嶺補助者が委員会が開かれていないという指摘をされていて、この調整委員の任期が2年で切れたとありますが、いつ切れたのですか。

○高嶺豊補助者 委嘱状は持っていませんが、恐らく3年前の3月に就任をしていてそこから2カ年ですので、去年の3月には切れています。その後何の連絡もないので、今、委員は誰もいないということになります。

○西銘純恵委員 やはり、この条例を執行部側が生かしていくというところが弱かったということが露呈していると思いますが、第24条の調整委員会事項の条文の中で一つは差別解消のあっせんを行うということになっているので、これが機能すればというのは、条文そのものは生かすことさえすれば問題ないということでよろしいですか。

○長位鈴子参考人 「助言又はあっせん」とありますが、実際は庁舎内の部局内だけで話されていて、それは差別ではない、差別であると判断をしているので、調整委員会まで細かな情報がないのが現実です。県や市町村に相談したのですがと、後から調整委員の15名は誰ですかといった電話や問い合わせがありまして、自分たちですがと。そして、このように県に上げたけれども聞いていますかと。全く聞いていない件もあるので、恐らく第22条等含めて部局内だけの判断だと思います。

○西銘純恵委員 これは仕組みといいますか、具体的な仕組みがうまく機能していない問題だと受けとめました。もう一つ、「必要な事項を調査審議させる」とありますが、先ほど条例の見直しも含めて調整委員会でこれを生かしていくということで機能させたいということを答弁されたと思いますが、そうでしょうか。その条項があれば、この調整委員会の中で条例の見直しにしても、具体的な議論にしてもできるという考えで、条文そのものは「問題ない」でよろしいのでしょうか。

○長位鈴子参考人 今、確かに条文の中ではそのようにうたわれていますが、県サイドの中で考えられているのは、やはり障害者総合福祉サービス法の中の部会として入れようという形で条例が取り扱われることに関しては、人権や権利という部分からしますと部会やサービスとは違うと思っています。

○高嶺豊補助者 今、委員の質疑で第24条の中に調査・審議があるのでこれが生かされたらどうかということですが、恐らくここの調査・審議というのは、事例が挙がってきたときにそれを調査する権限であって、条例全体を推進するための役割というのはここには付与されていないと。ですから、それを入れてもらって、調整委員会で条例の状況あるいは啓発及び差別状況の審査や調査をする役割というのを入れてもらえれば、必ずしも事例が挙がってくるのを待たなくても、年に何回か行って、条例がどれだけ浸透しているか、本当に事例が挙がってきているかということを審査できるように強化できるような文言にぜひやってもらいたいと思います。

○西銘純恵委員 といいますと、第24条の実効性のある今の不足部分を直すような手直しも必要だということでよろしいですか。

○高嶺豊補助者 ぜひそこを入れてもらいたいと思います。それから、恐らく施行規則の中で事務局は子ども生活福祉部に置くという形になっていますが、これは恐らく福祉の問題ではありません。障害者基本法の中に以前は「障害者の福祉を増進することを目的とする。」と障害者基本法にありましたが、今、この福祉の言葉が全部なくなっています。そして、障害者基本法の中心は障害者の権利を守って地域で自立する生活を保障するということであります。例えば、バリアフリーの問題や雇用、教育問題というのは福祉問題だけでは対応できません。ですから、そういう面ではもっと広い―障害者基本法は内閣府が管轄です。ですから、県においても、福祉の上、例えば知事直轄のような形で行って、そうすればいろいろな領域全体を協議できるような位置にありますので、ぜひそういう形でレベルアップができればと思います。

○西銘純恵委員 先ほど、条例の改正部分をおっしゃいましたが、施行規則の第7条「調整委員会の庶務は、子ども生活福祉部障害保健福祉課において処理する。」という部分についても今のお話では人権や総合的な箇所に持っていくと。この規則というのは条例ではないので議会には諮らないのですが、そこも検討していただいて、全庁的な分野が見られるようにということで訂正を求めるということでよろしいでしょうか。

○長位鈴子参考人 今、委員がおっしゃったとおり、見直しの段階でいろいろな課題が出てきていますので、そこも含めて根本的に見直す必要があると思います。

○西銘純恵委員 もう一点は、差別事例を市町村の相談員が身近ですので受けていて、それを県の広域相談専門員にということでありますが―県の体制がわからなくて済みません。広域相談専門員にどういう資格の方が何名いらっしゃるのかわかりますか。

○長位鈴子参考人 今現在、3名いらっしゃると聞いております。この方々もある意味何らかの形でシェルターの相談員であったり、子供の相談員だったりと、恐らく経験は積んでいるかと思いますが、問題は、広域相談専門員は庁舎内のほかの正社員の補助も兼任していると聞いていまして、実際に相談員にゆとりがあるのかと思う節々はあります。

○上里一之補助者 今の広域相談専門員のことについて補足ですが、条例の中には広域相談専門員を県の福祉保健圏域―各5つの圏域に1人を配置するということに本当は決まっています。ただ、現在、県内には3名おられて、3名とも県庁内に所属しています。離島を含めたところの動き方としては、やはり宮古圏域また八重山圏域にもしっかり配置してほしいという思いもあります。

○西銘純恵委員 私の記憶によれば、ある意味では市町村の指導・助言を行うのは5圏域というのがこれまでの県の考え方でやってきているのに、本庁内に3名体制ということは、やはり市町村ときめ細かくやりとりができないだろうと思います。そして、現場に出て行くということができていないのはそこにあるのかと。そこも改善するところかと思いました。例えば、5圏域にとおっしゃいましたが、これは1人体制でいいのかとも思いますが、そこら辺について御意見はどうですか。

○長位鈴子参考人 やはり障害者の差別にかかわると、電話で対応を検討できるところもあれば、中には関係者を集めて関係者会議を何度も何度もやらないといけないケースも出てきていますので、恐らく3名では無理です。

○西銘純恵委員 広域相談専門員はシェルターやいろいろな経験を積んでいるとおっしゃいましたが、障害種別に誰でも人権を保障されてという条例の観点からいいますと、やはり障害者当事者も相談員の中に広域相談専門員や市町村は市町村の話ですので別ですが、結局、広域相談専門員というのは、今は3名ですが5圏域に配置して、また相談員同士で事例などを相談する体制をつくっていくということをやると思いますが、差別の事例が個別に出てくるということを考えたときに、その中に当事者の中から障害種別に相談員を入れていくことは重要ではないのかと思いますが、そこについてはどう考えていますか。

○長位鈴子参考人 この件に関しても、最初、県で募集をハローワークにかけた時点で、まず身辺自立ができている者、自分で移動ができる者、いろいろな現場の人たちと一緒に連携できる者というような形だったと思います。そうなりますと、実際に障害者でもそこで区別をされるのではないかということで、私たちはこのハローワークの案件を持って最初のころに福祉部に話をしに行ったことがありました。これは障害者を区別していませんかと。重度の障害を持っていて自分でトイレも行けない、御飯も自分で食べられないけれども相談はできるという人たちもたくさんいるわけです。そうなったときに、なぜその枠をあけないのかと言いましたら、電話をとれないとか、障害福祉課は少し狭いので車椅子の人たちが移動できないとか、物がいっぱいあるのでみたいな形のニュアンスでしたので、やりたいと思ってもどこかで自分はだめなのだという形で諦めるしかないと思った人たちはたくさんいます。

○高嶺豊補助者 実は、県も雇用資格の中でそのように障害者を差別するような雇用を始めています。相談員というのは相談を受けることが中心ですので、本当は移動などは余り関係ないわけです。その事例に関していろいろな知識を持っていて、それでもってそれが差別であるかどうかを判断するという役割ですので、実際には自分で通勤するとか、電話をとるとか、そういうことは全然関係ありません。そこで合理的配慮をしなさいというのは、そのために人が必要であれば介助人をつけるとか、条例ではそういうところに合理的配慮をしなさいと、そういうことを言っているのです。ですが、県自体が合理的配慮をしないので、それをできない人は雇用しませんという形で進められたものですから、そういう意味で調整委員会に来たときには既に採用した後で、承認してくださいという形で来ていましたので、なかなか調整委員会としては意見を述べることができませんでした。この中にも、広域相談専門員を採用するときは調整委員会の意見を聞きなさいと書いてあります。承認を得なさいと。これが事後承認という形でなされたものですから、ここら辺も少し条例の趣旨には合っていないと思っております。ですから、その辺では予算があるのかないのか、そこで判断をされて、予算がないので障害のない人を調査委員にしますというニュアンスになっているというのが現状だと思います。

○西銘純恵委員 この条例は本当にすばらしいとつくったときには思いました。私たち議会でも勉強会をやりまして、共通理解を深めるために何度も何度も意見を聞いたり、交流したりしてしかできていかないと思うものを、条例をつくった子ども生活福祉部だけではなく、県庁そのものが理解されていないということがどんどん出てきていると思います。まず、議会もかわっていますので、もう一度条例そのものの勉強も含めて、県職員や子ども生活福祉部長にも声をかけて、職員そのものに条例の趣旨を知らせないと、今のような条例と反すること―配慮についても書いてありますが、魂のない内容になっているということを感じていますので、ぜひ後押ししたいと思いますが、県職員にしっかりとそういうものを知らせていく。雇用の問題など、いろいろな場所で合理的配慮がないということをおっしゃったので、そういうことを一から始めるということが見えたのかなという気がします。私たちも努力したいと思いますし、ぜひ子ども生活福祉部長や職員の皆さんにもやりたいということで申し入れたらいいのではないかと思いますが、最後にお答えをいただいて終わります。

○長位鈴子参考人 相談支援専門員という仕事は自分の生きていく中で最も必要で、身につけているわけです。どこにどういうシステムがあって、どういう人たちがいて、どこに相談すればいいのかと。途中で障害になったにしても、即座にこの団体へお願いして駆けつけてもらおうかなどということが実際に私たちの生活の中にあるにもかかわらず、やはり雇用の段階で―欠格条項といいますが、国でも欠格条項の撤廃がうたわれるぐらいにありますが、沖縄にはまだまだ欠格条項がありまして、その説明を堂々と窓口でするということに関しては、憤りといいますか、諦めるしかないのかと。先ほども言いましたが、人権と権利が欲しいと思っているにもかかわらず、私自身が諦めるしかないのかと思ったことも事実ありましたので、そこら辺でもう一度この条例を魂が入った条例にしていくために、市民・県民に周知することも必要ですが、県庁内の職員並びに部局の中で再度それを強化する必要があると思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 亀濱玲子委員。

○亀濱玲子委員 広域相談専門員の話が出ていましたが、県庁内に相談員が3名いて、これは41市町村の相談員から相談を受けています。これはむしろ充実させていく方向で求めていかないといけないかと。働いてはいますが、当事者の問題解決に十分ではないという状況から、もっともっと充実させていくということが必要だと思います。第24条について皆さんはこのままでいいという意見がありますが、むしろここが問題だと思っています。調整委員会の目的は、助言・あっせんというのが主になっていて、委員会が立ち上がったときの要綱、設置された調整委員会が何をすべきかということが委員の中、あるいは行政の中でも明確ではないままスタートしたのではないかと。ここに上がっていないというのは、私のイメージでは広域相談専門員が処理できないことがここに上がってくるというイメージをしていましたが、全くこれが機能していないということは、スタートの段階で調整委員会がどういう役割を担っているということが明記されていないのではないかということを感じますが、いかがですか。

○高嶺豊補助者 この条文ができたころは、我々としてはいろいろな難しい問題が出てくるので、そういう案件がもっと頻繁に出てくるだろうという認識がありまして、こういう条項でいいだろうという思いでやりましたが、実際、ふたをあけてみると、相談員の中で解決できたという報告しか上がっていません。まだ下から上がってこないので調整委員会を開く必要はありませんということで3年間やってきました。そういう意味では、この条文の中に少し瑕疵があるのではないかと思います。ですから、本当は、調整委員会の権限をもう少し大きくして、この条例を検証し、推進するための役割を付与してもらえれば、もう少し積極的に動ける委員会になると思います。それと事務局体制もきちんとやってもらえればいいと思いますが、今は全て障害福祉課が取り仕切るような形になっていますので、委員会も開かれませんし、検証もされないという状況があるのではないかと思います。

○亀濱玲子委員 ですから、むしろ必要なのは助言やあっせんを求められて開かれる委員会ではなく、合理的配慮をそれぞれの障害を持っている―例えば、医療ケアが必要な子や聴覚に障害のある方々など、さまざまな人たちに対しての合理的配慮は何かという、しっかりとした権利が守られているかという物差しを当てる委員会というのが必要なのではないかと思いますが、これは決してこの調整委員会ではないと思いますが、いかがですか。

○長位鈴子参考人 3年前の県民会議の中で、640件の嫌な思いとか、いろいろな思いをした件数が出てきています。差別事例が差別に当たるのか、当たらないのかということも県民会議の中でいろいろ議論しました。それを3カ月か半年ぐらいかけて1例、1例、それぞれの立場でやりましたが、それがあったのでもっと条例ができれば調整委員会でいろいろな案件が出るのではと私たちも安易に考えていたところもあります。ですので、今回の見直しに関しては、先ほど委員からありましたように、実際に調整委員会は別建てて県知事の直下において権限と周知徹底、合理的配慮をどうするのかということも含めて設置すべきだと考えます。

○亀濱玲子委員 今、県がやっている事業も含めて、あるいは県の庁舎、41市町村の庁舎がきちんとした合理的配慮に基づいて運営され、あるいは事業が施行されているかということをむしろきちんと当てはめるので皆さんの思いがまちづくりや当たり前に暮らせるような条件を整備していくことにむしろ前進していくと。ですから、調整委員会の役割とはおっしゃっている目的がずれているということをここで確認をして、どういうものがつくられれば目的が達成できるかということが必要だと思います。基本的に、今言っている調整委員会は必要かもしれませんが、広域相談専門員をもっとふやして、広域相談専門員と調整委員会の事務項目で何の役割があって、こういうときは必ず調整委員会にかけなければいけないのだというシステムをきちんとすることによって、もしかしたら調整委員会は動くかもしれません。こういう整理の仕方が実は必要かと思いますが、いかがですか。

○高嶺豊補助者 条例のみを考えれば、広域相談専門員との調整みたいな形で役割分担ということでできると思いますが、我々としてはもう一つ障害者差別解消法がありますので、そことの兼ね合いで別個に障害者差別解消法の協議会をつくって、また同じように差別の検討をするということは二重構造になる可能性がありますので、そうではなく障害者差別解消法もこの条例も趣旨は全く同じです。国も法律はつくったけれども、各県はその条例をつくっていいですよと。この条例というのは、障害者差別解消法と一体で運営できるような条例をつくっていいですよということで言っているわけです。ですから、また障害者差別解消法ができたので協議会をつくりましょうとするのではなく、それらを統合するような形―3年ですのでちょうどいい機会だと思いますが、障害者差別解消法と条例の整合性をとり、それを調整できるような委員会―調整委員会に格上げしないといけないのではないかというのが我々の見直しの趣旨です。

○亀濱玲子委員 そうであるならば、役割分担としてここに何を担わせるのか、少なくとも調整委員会という言葉ではないだろうなと。そういう意見が提言できるような、あるいは定期的にチェックがかけられるような、実際に実行力がある委員会として位置づけていかなければならないのではないかと思いますが、いかがですか。

○長位鈴子参考人 私たち障害者団体もそれは強く望んでいます。やはり、ある意味一定の権限や実効性があって、社会に対して障害があってもなくても、年老いても、生まれてくる子供たちも幸せな社会をこの沖縄でつくるということを目的としているので、あっせんや助言などではなく、本当に社会全体を見直せるだけの部署が必要だと思います。

○高嶺豊補助者 今のように名前を変えるということは全然問題ではないと思います。ですから、今ありますように差別を解消する協議会をこの条例の中で位置づけてそれを強化し、障害者差別解消法と条例の両方見られるような機関にぜひしていただいて、それが県知事の直属の組織となればすごくいいのではないかと思います。

○亀濱玲子委員 ぜひ、この第24条を生かす―いわゆる強化する形でいって、せっかく条例があって見直しの機会ですので直していって、皆さんの意見やさまざまな障害を持っている方の意見がしっかりと反映できるようにすることが必要かと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 金城泰邦委員。

○金城泰邦委員 さまざま資料をいただいて見させていただいているのですが、今回、皆さんから陳情が上がってきた背景で一番大事なのはどこですか。

○長位鈴子参考人 私たちはこの条例をつくるために8年、9年かけて市民・県民の意見を県知事に上げてきました。その魂をないがしろにするといいますか、骨抜きにされたくないと思いまして条例をつくってきましたし、条例ができたからといって事務方だけに任せておくということも私たちは考えていません。実際、自分たちの生活にすぐに反映するものですから、地域、地域で格差があってもおかしいですし、生まれてきてはいけない命などはないはずですので、どんな子供たちが生まれてきてもいいようにこの社会を変えていきたいと思っております。それで条例を何とか強化していきたいと思っていまして、前文の下から3行目「ここに私たちは、国際社会や国内の動向を踏まえ、障害のある人もない人も全ての県民が等しく地域社会の一員としてあらゆる分野に参加できる共生社会の実現を目指して、この条例を制定する。」という思いを持っています。

○金城泰邦委員 そういう強い思いがあって条例の制定に働きかけてこられて条例ができたと。しかしながら、実際、条例ができたけれども、この3年間の中で資料を見てみますと、ひとしくには到底及ばないような事例もあるということですよね。1つは差別または不利益な取り扱いを受けた事例もあると。そして、合理的配慮が不提供な事例もあると。そういった部分に対して今までそれを解決するための役割を担う調整委員会も開かれていないということが今の議論の中で報告されております。例えば皆さんからいただいた資料の中には、差別や不利益な取り扱いを受けた相談が17件あったけれども、終結は8件ということは残り9件はまだ解決していないということで私は受けとめております。現場では障害を持つ方々が差別的な扱いを受けた、不利益をこうむったことに対して苦情を発信したけれども、しかしながらいまだにそれが置き去りにされているという状況があるということになるのでしょうか。

○長位鈴子参考人 実際に、差別と言われていることは障害者福祉分野だけではありません。これは全然権限がありませんが、障害者団体に毎日のように電話があります。今、実際に行われているのは障害児を抱えているお母さん、お父さんたちが学校で教育委員会とやりとりをしていると。そして、実際に自分たちの子供たちを一体どこへ行かせたらいいのだろうと。障害のある子を産んでしまった私が悪いのだけれどもと自分を責めているのです。責めること自体、お母さんたちが望んで産んだわけではないですよねと。同情ではありませんが、あたかも今の社会は障害児を産んだあなたたちが悪いのだと、なので何とかしなさいみたいな、親に押しつけてきたような環境なのです。あとは努力しなさいとか、健常者に近づきなさいみたいな形の教育とか、トレーニング、リハビリなどが行われていました。ですので、いつも自分たちが悪いと思わされているのです。ですので、実際に条例をつくってきた私でさえときにはめげるときもあります。これってどうなのだろう、どこの条例にどう当てはめるのかと。やはり何名かで話し合うからこそ、なるほど、この条文でこういけばいいとか、どこに相談すればいいとかありますが、今、障害福祉課だけに相談に行くということではありません。建築基準法の中で効力はないにせよ、教育委員会に行きたいけれども公共施設なのになぜエレベーターがないのかと、離島の人たちは階段なので車椅子を持ち上げますと言いますが、電動車椅子は90キログラム、100キログラムあります。100キログラムを5人ぐらいで持つとなれば、本当に持ち上げられるのですかということもありますよね。過重な負担は強いらないのですが、そこに予算化をしたり、いろいろなことをしていきますということを県民や障害者団体にも何らかの形でアクションがあれば諦めなくていいのですが、それすらないのに差別していませんとか、合理的配慮をしていますと言われている今の官公庁のあり方に関してもどうなのだろうと思うこともあります。あとは手話や点字、要約筆記、障害種別を超えてですが、そういう人たちにも合理的配慮が今の社会されているのかどうか、離島には手話をする人がいないので沖縄本島から連れて行くしかありません。そして沖縄本島から連れて行くとなりますと、今度はその人たちの渡航費や宿泊費は一体どこから出るのですかという問題も出てきます。そうであれば所在地である離島、離島で育成する問題も出てくるでしょうし、教育課程の中でそういう教育があればいいなと思うものもあります。ですので、これは障害者分野だけではなく、全庁舎、全課にかかわる問題だと思います。

○金城泰邦委員 多岐にわたる御要望も出てくるのかと思っております。第23条などを読みますと、調整委員会がそういった声を本来受けとめる役割、そういった差別等の解消に関する役割を担っていると。調整委員会が開かれて、そこで調整委員会から知事に必要な措置を勧告するよう求めることができるとありまして、それをもって知事は必要な措置をとるよう結果として勧告する流れになると思いますが、調整委員会が開かれなければ知事はそういった必要な措置を勧告することすらできないということになっているわけですよね。そこも一つ大きな問題だと受けとめておりますが、調整委員会の委員でもあられる高嶺顧問はどう思われますか。

○高嶺豊補助者 恐らく調整委員の助言というのは、差別事例が挙がったときにそれを検討して、その結果を知事に上げるという、今、その役割しか調整委員会の機能が指定されていませんし、今までそういう事例が1つも挙がってこないということで調整委員会が開かれていないということになっています。ですから、せめてこの調整委員会の役割をもっと強化する必要があるのではないかと思っております。

○金城泰邦委員 実際にはあります。私も知っている案件があります。そういったサービスをするところで使われている利用者の方が差別を受けていて、一度相談をしたけれども、その後どうなったかといいますと、もっとひどい虐待を受けてしまって、もう二度と誰にも相談できなくなってしまったという事例があります。このような一番悲惨な事例は絶対になくさないといけないと思いますし、それを機能させるようにもっと強化しないといけないと思います。そこについては怒りを持っています。もっと声をストレートに拾い上げるような仕組みに変えないといけないと思いますし、そういった相談を受けて非常に心を痛めております。

○長位鈴子参考人 委員のおっしゃるとおり、心が折れそうになって、ある意味生きていくこともいいよという人たちも実はいます。ただ、そこに対して調整委員がきちんと機能していたり、フォローアップだとか権限があれば、物差しで差別にはもしかしたらならないけれども、このような使い方をもう少ししてみようかとか、一緒になって事業所にこのようにやってみたらどうですかとか、何か問題がありますかとか、一緒に動く人たちが必要になってくるのです。フォローアップといいますか、背中を一緒に押して上げるとか、支えていくことも調整委員の役割だと思います。ただ、物差しをつくって、これは差別、差別ではないというものではないということです。

○上里一之補助者 今の声の吸い上げも含めてですが、まず、差別を受けて市町村におられる差別事例相談員に相談をしたと。そこでどのような話し合いがされて、それを広域相談専門員に持っていきましょうかとか、それはよしましょうかとか、そういうことを決めているプロセスさえどういったものなのか私たちは見えません。先ほど亀濱委員がおっしゃっられたようにそれぞれの役割をしっかりもう一度明確化する必要があるかと感じております。全然そのプロセス自体が見えません。何を持って、今回は差別です、今回は差別ではありませんと、誰が決めているのでしょうか。それが全くわかりません。

○金城泰邦委員 市町村においては、例えば市町村もしくはそこが委託している福祉を担当する方がそういった相談を兼ねているケースも多々あります。そうなりますとどういうことかといいますと、そういった福祉担当の方は事業所ともかかわりを持っていますので、受け皿なのです。厳しいという部分も、なかなかつなげにくいということも懸念すべき材料だと思いますので、やはりそこは立て分けて、特化した方を配置しないと、本当の意味で上に声は上がっていかないのではないかと思っているところです。

○高嶺豊補助者 先ほど、訴えたらさらに虐待されたという事例があったということですが、これなどは内部告発みたいな形で告発したら逆にそれでもって処罰されたという形ですかね。そういう事例は絶対にあってはいけないと思っていますので、そういう意味では訴える人をサポートするような仕組みもなければいけないと思います。ですから、ただ単に条例があるので訴えなさいではなく、そういう面で我々が一番信頼できるのは、当事者団体なのです。当事者団体で訴えればそれを加えて一緒に―本人ひとりで行くと恐らく潰されますので、そういう当事者団体、要するに受け皿があって、そこが一緒になって事業者なり、あるいは市町村に行ってやれば、本人以外にも支援者がいますので仕返しされるということはやりづらいと思います。ですから、そういう形で当事者団体の支援というものがこの条例の中ではうたわれていなくても―実は、条例の中で障害当事者団体を強化するという文言が入っていますが、その中で当事者団体に対して差別事例の検証をやるような仕組みを一度、県の中でつくっていただければ先ほどのような事例は少なくなっていくのではないかと思います。ですから、そういう意味では条例がありますので、組織はもっときちんとした仕組みにするようなことを我々としてもぜひ県に訴えていきたいと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 3年前に皆さんが大変御苦労されて条例をつくったときのことを考えますと、我々はこの3年間何をしたのかという思いにずっと駆られている一人ですが、きょうは6月に改選されて新しい議員もふえましたので、大変いい機会をいただいたのではないかと思います。3年前のときに画期的と言われるような、それでも皆さんにとっては十分ではない中でまずはスタートさせることだということで、附則に見直しを入れるということをしました。そのことは今生きていて、調整委員会も含めて機能していなかったという事実について愕然としていますが、今、皆さんの大きな話の中で、例えば教育の問題など、これは障害者にとってサービスを与えるという問題ではないのだと。つまり、みんな一人一人が人として人権が尊重され、尊厳が尊重される社会ということに皆さんは大きく切り込んでいると思います。ですから、社会全体がそういう意識を高めていく必要があると思います。この中で沖縄が先んじてそういう意識を全県的に広めていくということを今いる議員も含めてみんなでスタートラインに立てたのではないかと思います。子供たちのいじめの問題や福島県の避難者の問題、それからさまざまな問題において、私がずっと感じていることは、人権教育というのがすごくおろそかになった国づくりがされていると思います。障害があるなしとか―私たちも含めて我々はみんなどこかに障害がありますが、大小、種類がさまざまある中で、県庁職員、教育現場も含めて、みんなある意味で意識がまだまだ熟成していない中における皆さんの声だと冒頭で受けとめております。そして、つくった条例にどうやって魂を入れていくのか、機能させていくのかという問題だと思いますが、皆さんからいただいた資料で改めてこれまでの条例を読み直してみて、やはり部署を福祉部だけに置くということをぜひ議会の上から提案したいと思います。そういいますのは、教育であったり、雇用であったり、それからバリアフリー的なまちづくりであったりと、多岐にわたるわけです。そのことを沖縄県がどのように―特に、総合的に声がかけられるところの部署とはどこだろうということをみんなで話し合って提案していきたいと思いますが、今、私が話したことで皆さんから何か提案がありましたらお願いします。

○長位鈴子参考人 実際、私たちは相談ケースに応じてどの部署に行けばいいのかと悩みます。県に行きなれている自分たちでさえどこの部署でどう話せばいいのかということもありますし、各市町村の福祉課に相談に行っても、これは福祉課ではありません、どこどこへ行ってくださいみたいな、言葉を返せば少し変な意味ですが「たらい回し」というものもありまして、障害者の問題から家庭が貧困であったり、ネグレクトや虐待が起こっているとなったときに児童相談所も必要ですし、とにかく一同に集まってぱっと話をしたり、また自分たちで持ち帰ってやりましょうというところがあればもう少し迅速にいけるのかと思います。今、複合型の虐待・差別がすごく見え隠れしています。もう一つは先ほどから何度も言っておりますが、5000人や8000人などの小さな離島にいる障害のある子供たちは特にそうですが、島に高校がなく沖縄本島に出てこらざるを得ないと。そうしたら実際にどこに行くのですかといったときに、デイサービスやショートステイ施設に行くしかないということで選んで行く人たちもいます。ですので、高校をつくりなさいとかではありませんが、実際に子供たちの教育保障のことなどを考えますと教育ですよねとなったときに、相談員1人では持ち切れない事案がたくさんあります。ですので、調整会議―今はそのように言っていますが、ある意味、知事直下型の中であればもう少しいろいろな人たちを集めやすいですし、なぜ私たちはあなたたちに呼ばれなくてはいけないのと言われなくていいわけです。行政にお願いしたときもそうですが、そういうことが実際に出てきています。

○高嶺豊補助者 県の仕組みはよくわかりませんが、そういう面では、今、長位参考人が言ったように、各部署を統括できるような部署に委員会を置くことにより、総合的な判断がとれるのではないかと思います。国の場合、内閣府の中にそういう権限がありますが、県もそういう権限のある知事など、そういう中にそういう担当の部署を置くことが理想的ではないかと思います。

○比嘉京子委員 今、長位参考人のお話でヒントを感じました。今、貧困問題で特別委員会を立ち上げていますが、貧困対策の先進地である東京都足立区と荒川区を視察に行ったときに、区長直轄の全部署が見渡せるところにトップを置いています。ですから、貧困問題も、障害者の問題も全庁的に―これは雇用の問題や教育の問題、福祉や医療の問題も含めて全部を網羅するので、一部署に置いておくことが―ちょうど沖縄県の貧困問題も一部署にあるわけですが、この組織体制から見直したほうがいいという意見等を言ってきているものとしては、そういうところがヒントになりましたので、また我々議員も相談しながら皆さんの意向が酌めるような組織のつくりを少し考えてみたいと思います。
 もう一つ、今、私が一番聞きたいことは組織体制をどうするかというところの皆さんのアドバイスでした。それから、第24条のところで皆さんがきょうおっしゃったこと、たくさんの議員が個々にこうやったほうがいいのではないかといろいろ感じてこられたみたいですので、ここの中から条例改正へ向けて皆さんの代表者の声がどうやったら届くのかということを少し私たちに預からせていただいて検討をさせていただければと思います。最後に言い残したこと、または訴えたいことがありましたら、どうぞおっしゃってください。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 次呂久成崇委員。

○次呂久成崇委員 私もずっとお話をお伺いしていて感じたことは、先ほど長位参考人がおっしゃっていた条例の下から3行目の部分、「共生社会の実現を目指して、」というものが条例なのです。ですけれども、各市町村の相談員であったり、広域相談専門員という方がいても連携がなかなかできていないような感じがして、実際、委員であります高嶺補助者にも報告が何もないということからしますと、やはり広域相談専門員というものは年に1度なり、定期的にそういう事例、相談内容を報告して、その報告をもってここにあります調整委員会―調整委員会という名前もどうかと思っておりますが、その中でこの条例を実現するために報告内容をもってしっかりと審査を行って、また条例の見直しをしていくという流れをしっかりつくらないといけないと見て感じました。ですので、この委員会で委員会のあり方としてしっかり要綱などをつくって、委員会を定期的に開催するといった見直し、あり方をきちんとやっていかないといけないと先ほどから皆さんや委員のお話も聞いて感じましたので、ぜひ私もそのようにしっかりと取り組んでいきたいと思います。

○狩俣信子委員長 それでは、先ほど比嘉委員からありました、最後におっしゃいたいことはないですかということですので、お願いします。
 上里一之補助者。

○上里一之補助者 組織のあり方もそうですが、実は障害者基本法のもとでは、各都道府県に障害者施策推進協議会というものがありまして、沖縄県においても意見が集約できる場がありましたが、最近は機能されていません。そのかわりに、障害者総合支援法をもとに設置する自立支援協議会がありまして、そこにすりかわったような形になっています。そういう現状があるので、今の条例も含めて検討する場は、やはり障害者基本法において全体的な施策を検討する場の推進協議会、そういう場を再度活用していくことも一つの方法かということを感じています。組織の問題に関しては、そこら辺を活用していただきたいと思っています。

○高嶺豊補助者 実は、この条例への県の取り組みというのは長位参考人もお話しされていましたが、我々は条例をつくるのにも5年をかけて自分たちで協議をして、条例案もつくりました。そういうこともありまして、県知事にお願いをして今の条例ができています。そういう面でも、本当に我々のいろいろな思いが凝縮された条例であると思っていますが、条例が可決されたときに我々が言ったことは、これからが本当は大変だという実感でした。この条例は実際に立派な条例です。それを実際に施行して行動するとなりますと、これから我々は頑張らないといけないということを肝に銘じてきました。ですから、この3年間で期待を裏切られたので、やはり我々からもっといろいろ発信していかないと今の条例は復活できないという気持ちがありまして、今回、見直しをお願いしています。ですから、そういう意味では、我々障害当事者はこの条例に多大な期待を持っていますので、これを本当に実効できるような形にぜひ見直していただきたいと思っております。それから、どういう部署にするかということですが、今、障害者問題は福祉の問題ではないということは世界的にもわかっていまして、障害者問題は人権だという捉え方がありまして、国際障害者の権利に関する条約ができています。同じように、例えば女性の平等に関するものや子供の権利など、そういうものをまとめてできるようなところとして県知事の下にそういう仕組みがあって、その中でさまざまな差別を調整するような機関、その中に障害者や女性、児童の問題もまとめられるような部署ができれば、その中でまとめてといいますか、もっと広範に人権問題を議論する、あるいは調整できるのではないかと思います。ですから、そういう形でもし条例も改正されましたら、今後やはり実効性のある条例になるのではないかと思います。

○長位鈴子参考人 今回、このような機会をいただきありがとうございます。
 私が53年間ずっと思い続けていることは、障害は社会がつくると。私たちの体が動かないことは私の責任ではないと教えてくれた人たち、先輩たちを含めてですが、それをやっていくためには社会が変わらないといけないと思います。そして社会を変えるためには物をつくればいいわけではなく、人と人との意識をこれからどのように構築していくのかということは、本当に多岐にわたると思います。幼少期からいろいろな人たちとかかわりながら、ああでもない、こうでもないと言いながらつくり上げていく。そういう沖縄県の社会にしていきたいですし、子供たちに残せるものとしては、誇れる社会、誇れる沖縄、沖縄に生まれてよかったと言えるような沖縄をつくりたいと思っていますので、これは障害があるなし関係なく、最後、生まれてよかったというような地域社会を一緒に実現できるようにお願いしたいと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、長位鈴子参考人等に対する質疑を終結いたします。
 この際、参考人及び補助者各位に対し、委員会を代表して、一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
 長位鈴子参考人、補助者の高嶺豊様、上里一之様及び早坂佳之様、ありがとうございました。
 休憩いたします。

   午前11時55分 休憩
   午後1時20分 再開

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 午前に引き続き、参考人からの意見聴取を行います。
 次に、公益社団法人沖縄県栄養士会会長下地洋子氏及び琉球大学元教授新城澄枝氏から説明を求めます。
 お手元にあります事務局配付資料の資料1をごらんください。
 下地洋子参考人から新垣慶子氏を、補助者として出席させ、必要に応じて発言させたいとの申し出がありますので、委員長として同席を許可したことを御報告いたします。
 参考人及び補助者の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 参考人等から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人等から御説明をいただいた後、委員から参考人等に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人等が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人等の説明を聞く場でありますので、参考人等が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それでは、下地洋子参考人から、陳情第118号沖縄県における管理栄養士養成校設置に関する陳情の提出に至る背景及び目的等について簡潔に御説明をお願いいたします。

○下地洋子参考人 きょうは、私ども沖縄県栄養士会の陳情に対して、発言の場を設けていただきまして心より感謝を申し上げたいと思っております。
 私が沖縄県栄養士会の会長をしております下地洋子です。左が参考人の琉球大学元教授の新城澄枝、補助者の新垣慶子が参加させていただきます。
 まず、皆さんのお手元に資料が届いていると思いますが、陳情書を読み上げて、その後時間の許す限り沖縄県栄養士会の現状等を御説明させていただきたいと思っております。
 沖縄県における管理栄養士養成校設置に向けての陳情書、陳情の要旨として、管理栄養士は、食と栄養を通して人々の健康維持・増進、疾病予防・治療にかかわる業務の専門職です。その職務を果たすに当たって、科学の進歩と社会の変化に的確に対応するため、常にスキルの向上を図り、専門職としての能力の習熟が求められており、日々研さんを重ねる責務があります。残念ながら本県現職管理栄養士・栄養士の資質向上のための卒後教育環境は、十分とは言えません。その要因の一つに、沖縄県は都道府県別・人口当たりの養成施設数及び入学定員数が最も少ない県であることが考えられます。
 陳情の意義といたしまして、①管理栄養士養成施設の設置により、本県の保健・医療・福祉・介護の領域における人間栄養学を基礎においた広い視野と専門性を持った人材の育成が可能となる。②沖縄県の置かれた自然的(亜熱帯)、地理的(島嶼環境)、歴史的特長を踏まえ南に開かれた、国際的視野を持った指導的人材の育成が可能となる。③沖縄県には、管理栄養士養成校は未設置であり、唯一の栄養士養成施設・琉球大学教育学部生涯健康教育コースが存在するが定員10名のみである。全国一栄養士養成が不足している県であり、設置の意義は大きい。④沖縄県唯一の「栄養教諭(一種免許)」の養成が可能となる。⑤県内に管理栄養士養成施設があることは、子弟の進学の際、経済的な負担の軽減につながる。⑥大学院修士課程設置による高学歴化と生涯学習への社会的要請に応えることができる。⑦現職管理栄養士のチーム医療職としての資質向上のための生涯教育に貢献できる。以上、陳情書ですが、この後は栄養士会について少し紹介させていただきたいと思います。
 沖縄県栄養士会の会員数といたしまして、トータル529名、そのうち管理栄養士386名、残り143名が栄養士となっております。職域ごとに事業部を設けておりまして、病院栄養士等の参加している医療事業部、行政栄養士や公務員栄養士が所属している公衆衛生事業部、学校給食を担当している栄養士が所属している学校健康教育事業部、保育所や介護事業所、高齢者福祉施設等の栄養士が所属している福祉事業部、産業給食や企業などの会社に勤めている栄養士が所属する勤労者支援事業部、フリーランスの栄養士が属している地域活動事業部、養成校等の教員等が所属している研究教育事業部となっております。沖縄県の場合はさきに述べましたように、琉球大学など養成校が少ないということもありまして、専門学校などの講師もそこに所属しているという現状になっていまして、トータルで7つの職域に特化した事業部がございます。管理栄養士と栄養士は、個人や集団に食事や栄養についてアドバイスをする栄養の指導や提供する食事の管理、いわゆる献立作成や栄養素の計算等を行う職業としております。
 管理栄養士と栄養士の違いを簡単に御説明いたしますが、資料の3ページをごらんください。
 上段の図ですが、栄養士・管理栄養士とはというところで栄養士法から抜粋いたしました。栄養士法第1条、「この法律で栄養士とは、都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事する」と定義づけておりますし、第2項の「この法律で管理栄養士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導並びに特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等を行うことを業とする者をいう。」ということで、栄養士・管理栄養士等を簡単に説明いたしました。
 続きまして、免許の違いを御説明させていただきますが、5ページ上段の図をごらんください。
 管理栄養士国家試験受験資格の見直しというタイトルがありますが、中間の枠の中の説明をごらんになっていただければと思っております。1枠目は、管理栄養士養成施設修業年限4年を出た者となっており、卒業すると栄養士免許を知事免許として取得することができます。次に、下の2枠目、栄養士養成施設というところで、修業年限2年、3年、4年という養成校を卒業した者も卒業と同時に知事からの栄養士免許が取得できるということになります。当県の琉球大学は、栄養士養成施設の修業年限4年というところに該当します。その後、国家試験の受験資格が発生するところで1枠の管理栄養士養成施設を卒業した栄養士は、卒業と同時に管理栄養士の国家試験の受験資格が発生します。2枠の栄養士養成施設、2年、3年、4年を卒業した栄養士に関しては、修業年限2年の栄養士は実務経験3年以上、修業年限3年の栄養士に関しては実務経験を2年以上、それから修業年限4年の栄養士に関しては1年以上の実務経験を満たしたところで受験資格が発生します。そういうことで、琉球大学を卒業した栄養士は、卒業後1年以上の実務経験を積んだのち、管理栄養士の国家試験が受けられるという状況になります。その後、合格した際に、今度は厚生労働大臣免許ということで、管理栄養士の免許がいただけるということになっております。
 当会は昨年、創立50周年を迎えたところです。創立当時の栄養普及活動は、低栄養や食生活の改善等に主をなしていたと思いますが、現在、目まぐるしく変化する生活スタイルに加えて、食習慣の多様化、それから栄養情報の氾濫などもあり、低栄養過栄養―少ない栄養、過ぎた栄養による各種疾病の増加が見られるようになっております。そのことで管理栄養士、栄養士の業務も大変複雑化してまいりました。病院栄養士が勤務する医療事業部においては、2010年より栄養サポートチーム加算―NST加算が実施されております。栄養サポートチーム加算について6ページで御説明させていただきたいと思います。上段の栄養サポートチーム加算の概要として、まず栄養サポートチーム加算を週1回行うことにより、200点の加算が保険点数で決まっております。概要といたしまして、「栄養障害の状態にある患者が栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれる患者に対し、患者の生活の質の向上、原疾患の治療促進及び感染症等の合併症予防等を目的として、栄養管理に係る専門的知識を有した他職種からなるチームが診療することを評価したもの。」ということで、それぞれの病院で、NSTチームを組織しまして、各病院で栄養サポートチーム加算がとられているという現状、だんだんとこれもふえつつあるということを右図で御説明させていただいています。そういうNSTチーム加算が実施されることにより、多くの病院ではNSTが医療の質の向上や医療費の削減に貢献することを目的に、さまざまな医療スタッフとチームを組み、患者に最もふさわしい方法で栄養状態を良好に保つことに力を注いでいます。さらに、医療保険制度、介護保険制度の改正により、医療機関、介護施設、福祉施設の入所から在宅復帰という流れが今起こっておりまして、在宅ケア支援に移行することになっているところで、私ども栄養士も在宅訪問・栄養指導の介入、それから地域包括ケアシステムの推進により地域ケア会議の支援等も管理栄養士の業務となってまいりました。6ページでそれを説明させていただきたいと思います。下段の地域ケア会議の推進という図ですが、御存じのとおり、2025年を目標に地域包括ケアシステムが国としては進められています。そこの一つのツールといたしまして、地域包括支援センター主催による地域ケア会議というものが行われつつあります。地域ケア会議の構成員といたしまして、医師・歯科医師・薬剤師・看護師・歯科衛生士・PT・OT・ST、そしてその中に管理栄養士ということも明記されています。そういうこともありまして、私ども栄養士会では、昨年度より地域ケア会議に参加できる栄養士のリーダー養成ということで2年にわたって研修会の実施を行っているところです。今年度、新しいところで健康サポート薬局というタイトルで事業がスタートしておりまして、今年度10月に健康サポート薬局の届け出が開始される旨の情報が厚生労働省から公益社団法人日本栄養士会に入っております。
 最後の7ページを見ていただきたいと思いますが、内容といたしましては、地域住民による主体的な健康の維持、増進を積極的に支援する薬局ということが認められたときに、健康サポート薬局という届け出が可能となる仕組みです。7ページ上の新聞記事の情報ですが、こういったことを第1号としてスタートした記事が2016年10月5日の朝日新聞に掲載されたところです。これはコンビニエンスストアのファミリーマートで薬局をコンビニ内で経営しているという情景になりますが、ファミリーマートの中に国家資格である管理栄養士の資格を持つ店員が食生活のアドバイスをすると。これは有料ですが、そのサービスがスタートしたという記事が新聞に出ておりました。健康サポート薬局の概要を見ていただきますと、これは条件を満たした薬局が都道府県・保健所設置市に開設の許可を申請し、これが認められた際には都道府県知事の許可を受けて健康サポート薬局の届け出ができるということも10月1日以降可能となっております。その中で管理栄養士が栄養相談の支援のために配置されるということが、今後、沖縄県内でもふえてくる可能性が出てまいりました。これまで述べてきましたように、これからの栄養士・管理栄養士の役割は、県民のライフステージごとに一人一人に寄り添った健康づくりの支援がとても大切になってまいります。将来、沖縄県内に管理栄養士養成校が設置されることにより、保健・医療・福祉・介護の領域において、人間栄養学を基礎においた広い視野と専門性を持った人材の育成が可能となります。きょうを機会にぜひとも実現の御支援をいただきたいと思っております。
 以上、意見を述べさせていただきました。

○狩俣信子委員長 参考人の説明は終わりました。
 これより参考人等に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 きょうはお時間いただきましてありがとうございます。何分にも栄養士や管理栄養士ということについて、議員たちがまだまだ理解を十分にしていないということ、それから沖縄に栄養士や管理栄養士の養成校が本当にないという状況を皆さんから御提案いただきまして、質疑の場ができたこと―今回、本会議においても公明党から質疑も出ておりましたので、私としても大変前進していると思っております。
 まず、1番目に先ほど説明をいただきましたが、少しプリントが見えづらかったので、栄養士と管理栄養士の違いからもう一度御説明いただけますか。

○下地洋子参考人 資料の3ページで御説明を申し上げましたが、簡単に言いますと、栄養士は養成校を出ると県知事から栄養士の免許がございます。管理栄養士の場合は、栄養士の免許を持った者が管理栄養士国家試験を受けて合格した際、厚生労働大臣の免許を得ることができます。

○比嘉京子委員 仕事内容としてどのような違いがあるのか、わかりやすくお願いします。

○新城澄枝参考人 簡単に申し上げますと、栄養士の業務は名称独占です。業務独占ではございません。栄養士も管理栄養士も実際には同じ仕事をすることができます。つまり、栄養の仕事を大きく分けますと3つありまして、1つは食事管理ではなく、その人の健康状態に応じた栄養の管理を指導することができます。これは栄養士も管理栄養士も同じですが、管理栄養士には障害者に対するということが栄養士法にうたわれておりますので、管理栄養士という名称を使って指導する場合、ドクターがいるところでドクターの指示のもとに栄養指導を行えば、保険点数―つまり、レセプト請求ができるということになります。栄養士はその仕事ができません―仕事はできますが、レセプト請求ができないという縛りがあるということになります。業務独占ではございませんので、栄養指導はドクターがなさっても、看護師でも、栄養の知識があればやっていただいても結構なのですが、法律的なバックアップは管理栄養士のみになされているという、そういう仕事の違いはございます。それから、給食管理等々、一般的に考えられる栄養士の仕事といいますのは、集団に料理をつくって学校給食を差し上げるとか、病院給食などといった給食管理業務は栄養士の仕事というのが一般的な考えですので、そちらの給食管理に対する食事管理の加算点数をいただけるということはもちろんございます。いずれにしましても、管理栄養士は今の社会のニーズといいますか、厚生労働省の考えていらっしゃる栄養士に求める一番大事な人間栄養学を基本にした、人の健康管理という意味の仕事にはかなりたががありますので、先ほどのNSTとか、下地参考人の話していた仕事内容に関して、国の考えている方針全てに保険点数がかかわってまいります。これは管理栄養士でないとできないことになります。

○比嘉京子委員 今、管理栄養士と栄養士の違いをお伺いしましたが、例えば沖縄県内に管理栄養士なり、栄養士が職場としてどういうところにいて、どのような仕事についているのか。先ほど、保健や医療などとおっしゃっていましたが、職種的にはどういう場所で、どのようなお仕事をしているのか、説明していただけますか。

○新城澄枝参考人 資料の2ページに、沖縄県内管理栄養士・栄養士の配置数が書かれております。これはあくまでもきちんとした根拠があってのデータでございまして、法律に管理栄養士または栄養士を置かねばならないという義務のところで報告義務がございますので、厚生労働省が確認されているところの数値が特定給食施設と書いてあるところにございます。例えば、学校の給食あるいは病院―特に病院関係は厚生労働省への届け出義務がありますので、これは比較的正確な人数ということになります。比較的といいますか、調査年度の人数になります。それから、介護老人保健施設でも法律にのっとって報告義務がありまして、枠の上の欄はほとんど義務のあるものですので、厚生労働省から出ている報告になります。上段の学校という部分だけは、届け出義務は厚生労働省としては把握していませんので、これは沖縄県の保健体育課の資料でございますが、学校には必ず給食センターなどがございまして、大体140名ぐらいが常時働いております。ここにお示しした数字を合計いたしますと、大体1200名ぐらいがはっきり把握しているところでございます。あとは、例えば個人のクリニックや報告義務のないところ、それからフリーランスで働いている栄養士でいろいろな食品関係の指導をしたり、もちろん栄養指導で伺っている場合などもこの中には入っておりませんので、最低限をお示ししたものだということになります。

○比嘉京子委員 今、管理栄養士の養成校の設置をお願いしますということですが、栄養士ではなく管理栄養士の養成をお願いしますということは、先ほど栄養士から管理栄養士になるための説明がありましたが、今、沖縄県では琉球大学の10名のみということは全国的に見て低いというお話がありましたが、どのくらい低いのかということを少し教えていただけますか。

○新城澄枝参考人 資料の1ページは平成24年度の資料ですが、これをごらんいただきましたら、左側が管理栄養士・栄養士養成施設数で、右側が管理栄養士・栄養士養成施設の入学定員でございます。いずれも沖縄県は最下位ということが一目でごらんいただけると思います。沖縄県の場合は、実際に入学定員が琉球大学の栄養士養成で10名という定員になっております。栄養士養成は施設認定でございますので、1施設の認定は最低限40名単位になっております。その倍数でいくということになりますが、どの県でも40名以下というのは恐らく定員としてはない―恐らくではなく、私どもが知る限りございません。人口10万対で0.7名しか養成していないと書いてありますが、単純に総人口に対する沖縄県民の人口で単純割にしますと、大体1%弱ぐらいの人口比になると思いますが、日本全国の登録者数に沖縄県を計算しますと、栄養士の養成人数はたしか0.04%ぐらいだったと記憶しております。昔、計算をしたことがありますが、かなり桁数が違うほどの少なさだと。養成施設校からの資料ですと、人口10万対で0.7名、平均でたしか2.幾らか―恐らくお手元の資料では数値が潰れていると思いますので、2.37名が全国平均ですので単純人口比でいきますと、沖縄県は低いということにはなります。いずれにしましても、沖縄県は管理栄養士はございませんので、栄養士の養成だけです。

○比嘉京子委員 いかに沖縄県が栄養士養成をしてこなかったかということが一目だったと思いますが、例えば先ほどからおっしゃっている人口当たりにしますと、沖縄県はどれくらいの養成人数を見込めばいいのでしょうか。例えば、全国平均といかなくても、沖縄県の人口としたらどれぐらいの人数を見込めばいいのでしょうか。

○新城澄枝参考人 単純な計算でいきますと、年間大体230名ぐらいは養成が必要だと思います。今の230名というのは、今、国全体で養成している2万2000人に対しての数になりまして、それから比例計算でいきますと大体230名ぐらいは必要だろうと思います。

○比嘉京子委員 今の人口比でやりますと、沖縄県の人口から見ると230人ぐらいは養成されてもいいのではないかというお話がありました。沖縄県でこれまで栄養士の免許や管理栄養士の資格を取った人たちは、10名以外はみんな県外で資格を取ってきたということになるわけですが、年間でなくてもいいですが、どれぐらいの人々がどの辺で多く免許を取得してきているのか、わかる範囲で構いませんがお願いします。

○新城澄枝参考人 データとしては少し古くなりますが、沖縄県保健医療部の担当課に平成25年12月末時点で89人が栄養士の申請をしておりまして、管理栄養士は59人の申請があります。累積でいきますと、その時点で沖縄県栄養士の登録者が3257名、管理栄養士が1075名ということで、県から登録者数としていただいているものがございます。私どもがその前後をずっと見ていったときに、多いときで115名ぐらいから―89名の栄養士というのは、どちらかといいますと少ないほうかもしれませんが、大体100名前後の栄養士登録数がありましてその中の10名は確実に琉球大学の卒業生ですので、差し引きいたしまして90名から100名ぐらいが県外からの新規登録になります。ただ、ここで見落としていけないのは、資料の5ページ、先ほど私が平成25年の栄養士登録者数が89人と申し上げたのは、2枠目の栄養士養成施設を出てきた人たちと1枠目の管理栄養士養成施設を出てきた人たちの栄養士免許申請というところです。これは施設認定ですので、申請をすれば無試験で知事から栄養士免許が交付されます。その人たちが89人となります。そして、管理栄養士の申請と申しますのが、その後の管理栄養士養成施設の新卒者であればその年に卒業した人ということになります。残りの59名の方は、既卒者で実務経験を積んでいって国家試験を受け、何回チャレンジしたかは別として、受かったという人数の登録が59名ということになります。したがいまして、管理栄養士と栄養士を単純に足すわけにはまいりません。つまり、あくまでも栄養士免許を取得して、さらに管理栄養士を受けた人が新卒者と既卒者を含めて59名の新しい登録があったということで計算しますので、新規登録は100名前後ということになります。新規登録者は100名前後ということですが、県外に90名しか出ていないかといいますと、そうではございません。県内に戻ってきて個人で申請する人というのは、ほとんどが国公立大学を出ている人たちが多いと思います。養成施設校の修業年限が2年とか、3年という専門学校の場合、あるいは県外の大きな学校の場合には在校生が卒業前に一括申請をしています。そう申しますのは、この修業年限のキャリアを埋めるために、4月1日から必ず在職していないといけないということがありまして、31日までに免状を手にとっていないといけないのです。そうしますと、卒業式を終えて個人で申請しますと、1日足りなくても1年間実務経験が延びていって後回しになるということもありますし、県外の場合には人数が多いので、教員免許と同じように登録のときには学校で履修証明と卒業証明書が必要になりますので、それがまだ出ない前の段階で一括申請を予約でやっておいて、卒業式の日に取りかえるということができているようです。沖縄の場合、県との約束でこれが得られなかったので、琉球大学もできませんでした。それで個人申請をしているという人たちが九十何名で、県外で専門学校や短期大学などを出ている方たちはほとんど県外で申請している可能性が非常に高いということがございます。私は以前、14年間教育学部におりまして、その前は医学部にいましたが、改めてこの15年よくよく見ていきましたら、琉球大学に存続させる意味があるのかなどいろいろありましたが、そのときに調べたところでは、四国・九州圏内、そして岡山県の美作大学も入りますが、回答をいただいた13校で沖縄県出身者の在校生調べをしたことがあります。それで390何名かの学生がおりまして、修業年限4年から2年ですので、平均で単純に3で割りますと大体100名前後と。そして、そのときは美作大学に沖縄県出身者が八十何名か在籍していました。あと、千葉とか、東京などの関東は非常に養成校が過密していまして、そこに沖縄の子供たちがよく行きますが、そこは調査の対象にはしておりませんので、13校だけのものでも在校生が390名ぐらいいるということは、県外にかなりの数の子供たちが出ていると。そうしますと、親御さんの精神的な負担や経済的負担を考えると、ぜひ沖縄にあったほうがいいのではないかと思います。

○比嘉京子委員 13校を調べても390人の沖縄出身者がいたということがわかりましたが、きょうの説明の中で栄養教諭一種免許の養成が可能となるというところが少しわかりにくいところかと思ったのですが、それについての説明をお願いしてもいいですか。

○新城澄枝参考人 今、栄養教諭は非常に注目されておりまして、栄養教諭の免許というのは文部科学省の資格です。これは法律的に、必ず栄養士養成をしている学校に施設認定をするという決まりになっています。それで沖縄県では琉球大学の栄養士養成がありますので、栄養教諭は今のところは養成しております。栄養教諭の免許は教員免許の種類で、専修・一種・二種がございます。栄養士養成には二種ですが、管理栄養士養成校は一種免許です。専修は大学院を持っているということになります。もちろん単位の違いなどがありますが、必ず栄養士養成校でないと認可をおろさないという理由は、病態栄養・病態生理という教育科目があることが前提となっておりまして、子供たちの生活習慣病の低年齢化とか、アレルギーの問題などございますので、ただ健康保持増進のための食事管理というだけではありません。栄養教諭の資格も個人指導が入ってきますので、個別指導をするとなりますと、どうしても栄養士の養成校だろうということで文部科学省からの免許は厚生労働省とのタイプでそれになっております。沖縄では琉球大学から、今、二種免許が10名―これは本人たちが取得すれば出ますが、これも新聞等でありますように平成29年から教育学部から農学部へ移されます。農学部では教員免許は養成しないということになりましたので、沖縄県では今後はゼロということになります。それから、一種免許を取るということは、管理栄養士養成校でないと課程認定がおりませんので、どうしても管理栄養士養成校をつくっていただいたほうがその先の専修免許まで可能性が出てくるということになります。ただ、この免許資格というのは、栄養士養成は施設認定ですので、他の教員免許とは違って、よその大学を出て戻ってきたり、あるいは琉球大学を卒業してよその課程認定を受けているところに行って単位を取れば取れるという免許ではございません。基礎のところの栄養士養成として入学した学校に行って単位を履修して免許を取ると。ですから、県外で卒業した学生がたくさんいらっしゃいますが、琉球大学へ科目等履修をしたいと希望が出ても、免許は差し上げられないと。勉強をすることは構いませんが、免許は差し上げられないと。自分の卒業校に戻ってということになりますので、沖縄の栄養士養成校がなくなるということは、教員が一人も育たないということになりまして、地産地消とか、食文化などと言いましても、18歳から県外に出ておりまして、18歳まで台所に立ったことのない子供たちが向こうで日本食基準の食―いわゆる、標準的なカリキュラムでやってきて、ここで食文化を教えるということは少し難しいところがあるかと思っております。

○比嘉京子委員 今、沖縄県は長寿復活に向けて頑張ろうというところにありますが、栄養士養成校の設置がある県とない県における―設置をすることによって長寿復活にどのような影響といいますか、貢献ということにつながるのかということを最後にお聞きしたいと思います。

○下地洋子参考人 長寿にどのような影響を及ぼすかという御質疑ですが、先ほど申し上げたように、私ども栄養士会には7つの職域に特化した事業部がありまして、生まれてから死ぬまでのオールステージにそれぞれの専門の栄養士がかかわるということで、食に対して食べたものがどう体に影響していくのかというところをライフステージごとに栄養的食事の支援ができるということも―先ほど、栄養士も管理栄養士も栄養指導の中身は一緒だということを申し上げましたが、栄養士だけで少し弱いところは医療的な点数の付加があるとか、これは病院もそうですが、福祉施設も医療点数としての管理栄養士がいるだけで大きく収入が違うということもあるということと、栄養士法にも書いてありましたように、困難な栄養指導といいますか、高度な栄養指導というところで管理栄養士が明記されていることがありますので、食べた食べ物が体の中でどのように代謝をされるのかとか、病態ごとの食事指導など、いろいろな意味で管理栄養士のほうが栄養士としても県民の健康づくりにはお役に立てるのではないかということもありますし、それだけではなく、今、新城参考人が申し上げたように、管理栄養士養成校でなければ可能でないということもたくさんあったということも皆さんに御理解いただけるかと思います。さらに、もう一つ言わせていただければ、琉球大学を4年出ても管理栄養士の受験資格、国家試験がないというデメリットからしますと、管理栄養士になりたいという学生たちにとってはとても大きな壁になっていることがあります。それから、管理栄養士養成校を卒業して、直ちに管理栄養士の国家試験を受けるという学生にとっては、これは個人の問題もあると思いますが、合格率からいっても格段の差があると。2年、3年、1年と実務経験をしている間になかなか勉強の時間がとれないという学生の話もよく聞きますので、そういった意味から総合的に見たときに県民の健康づくりイコール長寿というところにつながった視点で見れば、やはり管理栄養士養成校があるにこしたことはないと。ぜひ設置をしていただければということを強く思っております。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 金城泰邦委員。

○金城泰邦委員 御説明に来ていただきありがとうございます。初めて知るようなことばかりですので、どこから聞いていいのかということがありますが、先ほど新城参考人の御説明にありました管理栄養士及び栄養士の養成についてですが、定員の話が少しありまして、40名もしくは80名ということで定員が決まっていると。今、琉球大学は10名の定員ということですが、このことについて少し御説明いただけますか。

○新城澄枝参考人 40名を上限としての認可になりますが、それ以下でも構わないということになっております。実験実習等々の問題や事故防止、助手などの配置の問題などがありますので、上限は40名とうたっておりまして、それ以下の定員は構わないということになります。ただし、計画養成ですので、1回申し出た定員を変更するときは再度申し出て指導・査察を受けないといけないといういろいろな問題がございますので、大体の学校は申請したら40名でそのままやっていると。琉球大学の場合は教育学部であったということが一番のネックで人数を減らしたということになります。日本の国の教育制度、文部科学省に照らし合わせて、学生定員数が各科10名前後という縛りがありましたので、そこになったと思います。

○金城泰邦委員 10名枠しか設けられないのにもかかわらず、今後、先を見通すと学科自体がなくなってしまうのかということで大変なことだと思います。先ほどの説明の確認ですが、免許を取ろうとしたときには入学した学校で卒業しなければ資格免許が取れないという御説明だったかと思いますが、そこも再確認したいのですが……。

○新城澄枝参考人 実際のところ、平成12年に管理栄養士の法律改正とともに少し変わりまして、編入制度が設けられましたので、平成12年改正で平成14年からの実施になりますが、平成14年以降は編入制度をとっておりますので、正式な手続をすれば、一旦どこかの栄養士養成校に入学したという学生などは、定員が決まっているので超過はできませんが、定員のあきがあって、その学年に履修したものなどが合うということになれば、正式に移ってそこで勉強をして、追加して4年なら4年済ませると免許はいただけます。ですから、短期大学2年生になって、やはり4年間で管理栄養士をもらいたいというときに、そこの大学にもう一度再チャレンジ―いわゆる、編入試験を受けるということになりますので、あくまでもそこに正式に移らないともらえない。教員免許や更新・講習といったものでは取れない資格であると。いわゆる、医師免許・薬剤師免許・看護免許と同じ厚生労働省のたがのはまった免許は計画養成で施設認定ですので、そういうことになります。

○金城泰邦委員 そういったことからすれば、編入などはなるべくなく、スムーズに4年間受けられる体制があるといいと思いますが、仮に琉球大学で管理栄養士の養成学科を創設することができないのかと思ったりもしますが、もしかしたらハードルも結構高いのかどうか、例えば40名の定員とありましたが、今、10名で教育学部としては文部科学省所管の―それが例えば40名になってくる、あるいは厚生労働省の形も出てくるのかとか、80名にしますと担任の先生方のハードルが高いのかということがありますが、その辺についても教えていただけますか。

○新城澄枝参考人 琉球大学ではかつて、まだ私が在職中のときに医学部へ移って管理栄養士でも、あるいは栄養士からまずはスタートということで移りたいという希望で何度も話し合いを持ったことがございます。一旦、栄養士として受け入れることについてオーケーをいただきましたが、結果的にはもろもろの事情がございましてできませんでした。今あるので琉球大学でつくることがいいとは思いますが、あったとしても栄養士養成があるので管理栄養士養成について何かを足していってというわけにはいきません。厚生労働省の場合は、一旦それを閉鎖してもう一度認可を受けますよね。そういうものに対する―先ほどの教員数とか、学生定員など、既設の大学に関しては既存でつくりやすい面と逆にさわれない面とお互いにテリトリーの問題がございまして難しかったというところがあります。そして、二転、三転しまして、結果的には農学部に移るということには決まりましたが、最低限潰さないという前提で移っていくと。形としては農学部に移ったということは、今、私たちが求めている栄養士養成とは学生を育てる教育理念が違ってくると思います。農学部になりますとどうしても産業資源開発になりますので、健康食品の開発・研究などにはいけると思いますが、人間栄養学―いわゆる、病院やNSTなど、今、国が求めている管理栄養士の養成とは、現在よりもほど遠くなっていくということになっております。ですから、教員もやらないということになったのだろうとは思います。新しく琉球大学が考えてくださるということは恐らく難しいと。外枠が決まっているので、なかなかそこは難しいところがあると思います。

○金城泰邦委員 なかなか大学側もいろいろ縛りがあるのだとわかりました。今回は管理栄養士の養成校を設置してほしいという趣旨の御要望で、それは沖縄県の中でということだと思いますが、県内の出身者が沖縄県の中でそういった資格を取れるような学校を設立してほしいと。そこは別に琉球大学ということの限定した考えではなく、県内の学校がやってくれればそれは非常にいいことになるのだということだと思います。そういった意味では養成校を設置しようとしたときの課題といいますか、沖縄県としてここは協力しないといけないという課題があれば教えていただきたいと思います。

○新城澄枝参考人 課題としましては、それこそまさに沖縄では養成校が琉球大学しかなく、しかも栄養士ですので、教員の配置数にかなり差があります。専門職の人が4名で成り立つ栄養士養成と―40名で向こうも認可を受けていますが、40名単位で認可を受けるときに、管理栄養士ですと15名の専門職の方が必要になります。そのうち、助手の人数が栄養士ですと3名とか、それだけ差がありまして、細々とやっているにはハードルが非常に低い栄養士養成で行っておりますので、当然専門家が少ないわけです。例えば、調査研究等々をこなすことに関しても自分たちの大学の中の仕事で目いっぱいで、人数も少ないですので教育に追われて、例えば県の調査ものや先ほどの比嘉委員の御質疑にもあったと思いますが、沖縄県で5年に1回ないし3年に1回大きな調査を行って、正しく栄養の面から評価していって、沖縄の問題点を掘り起こして、それをまた現場に持ち帰って栄養士たちに教育を―いわゆるブラッシュアップをして、卒後教育をしっかりやって、それを担う栄養士と、リーダーとしてそういう調査研究などをやる拠点と調査研究を資質を持った方―いわゆる、養成校の先生方たちがしっかりいらっしゃれば、勉強をすることで卒前教育と卒後教育をしっかりすれば、それこそ長寿にもつながっていくような―一生懸命教える人だけがいて議論がしっかりした根拠に基づいたといいますか、それのつながりが薄くなりますと一生懸命頑張っているけれども、頑張っている割には方向性が本当に正しいのかということもありますし、調査研究といいましても、ただの調査研究ではなく、栄養士等々の職業能力開発大学校―職能学校の場合には、やはり実践に強い研究をいたしますので、現状把握と申しますか、それが沖縄には足りないと思います。養成校がないに等しいので、そういう専門家が育っていないと。ということは、今、管理栄養士養成校をつくるとした場合、本音を申し上げますと、今、沖縄県内で文部科学省と厚生労働省の2つの条件に備わった教員をすぐ15名集められるかといいますと、それは少し難しいです。そう言いますのも、養成校がないに等しく、私どもは家政科の大学院の教員でしたので、勉強は教えていても栄養士の養成は専門としてはしていません。ですから、そういう専門家が出ていないということが、いわゆるリーダーが薄いということになるので、そういう調査研究等々も薄くなっていくと。今は後輩といいますか、そういうリーダーが育っていないので、今からつくるとするならば本土の先生方の力もいっときはかりて、沖縄の子供たちが伸びていくというところで少し時間を待たなければいけないと。人的な配置としては、いろいろ問題はございます。本音を申し上げますと、リーダーが育っていないのは養成校がなかったからです。ですから、ないままでいきますと今よりも悪くなるということです。

○金城泰邦委員 大変よくわかりました。やはり、スタートしないとリーダーも輩出できないですし、一時期は連携をとりながらもここでスタートを早くやるということが重要だということがわかりました。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新垣新委員。

○新垣新委員 るる御説明がありまして勉強になりましたが、将来的に県民の健康生活または食生活、イチキロヘラス運動ではなく、サンキロヘラス運動に食生活で変わっていくだろうと期待を込めて、県民の長寿奪回に向けてお聞きします。例えば将来に向けてまず窓口となるのは県も入ってほしいとか、関係各位の大学とか、専門学校など、そういった養成学校が必要だと思います。今、教員の問題もるるいろいろな問題がありまして、まだまだすぐできるものではないということがわかりました。例えば、今、陳情者が養成校設置という形で段階的にまずはできるものから手順としてどのように進めていくことがいいのかということをお聞かせ願いますか。陳情者が描いている戦略をお聞かせください。

○下地洋子参考人 陳情書を出した責任者ですので、ぜひ設置をしてほしいというところですが、どうしたらいいかという御質疑に対して、やはり超党派で御支援をいただければと思っております。先ほど新城参考人の話を聞いていまして、発言したかったことを一つ言わせていただきますと、リーダーが育っていないという指摘をしましたが、私ども栄養士会が勉強会をしようとするときに講師がいないと。離島県ということもありまして、どうしても県外から講師を呼ばざるを得ないという状況が研修会を立ち上げるときにいつもありまして、そうしますと講師派遣の人件費が―私たちは会費運営で、収益事業もありませんし、収入は会員の会費のみで運営しているところですので、予算的にも頻繁に質の高い著名な講師をお迎えしたいというときにはなかなかちゅうちょしてしまうという状況があります。県内でもしこういった管理栄養士養成校ができてリーダーがどんどん輩出されてきますと、私たち組織のスキルもバージョンアップするといいますか、そういった私がずっと思っていたことを先ほど言いそびれたので今の質疑で言わせていただいています。そういった面においては、やはりどうしても県内に管理栄養士養成校を設置したいという強い思いを持っておりまして、そういうときにきょう御参加の皆さんの党派を超えた応援をぜひいただけたらいいということを感じております。ですから、今後はそれを超党派でするにはどうしたらいいかということはまた持ち帰りまして、具体的な案は練っていきたいと今現在思っているところです。

○新垣新委員 具体的に、今、描いているものが定まっていないということですが、これはいいことですので間違いなく進めていくと思います。私の観点を提言したいということで受けとめてほしいのですが、私は沖縄県立沖縄水産高等学校―沖縄水産高校出身ですが、沖縄水産高校の上に高等専門学校―高専があります。専攻科と短大卒等という形でありまして、県立高校と高専という形で学校に1年生は、南部・中部・北部・離島・石垣・宮古に一高専学校という形で幅広くつくっていけば、県民の健康はさらによくなるのではないかと思っています。長野県を追い越したいということが目標なのです。やはり、お年寄りや自分たちのおじいちゃん、おばあちゃんがずっと長生きするように、平均寿命も105歳以上を目指したいということが私の強い思いですが、その考えをどう思いますかと。高校と高専という形で―沖縄県はお金がないので、ないのでしたらないなりに知恵を絞るとか、こういう考えなのですが、どう思いますか。提言ですが……。

○下地洋子参考人 高専という厚生労働省とか、文部科学省という立場での縛りがあると思いますので、新城参考人から高専に対してのアドバイスがあればよろしくお願いします。

○新垣新委員 北部にも高校を卒業して専門学校2年間で職業訓練学校と―職業訓練学校に沖縄振興特別措置法―沖振法の補助も入っています。そういった形で沖縄振興策の一環として、新しいモデル事業で組むという形で、先生方もいないという現状に対して先生方もつくらないといけないですし、やはり県出身者のほうが沖縄の食べ物をよく知っていますし、いいと思いますので、そういったことについても工夫やさまざまな観点でできるのではないかと思っています。やはり沖縄振興策として、どうにか政治力を活用して一つになって、補助を引っ張ってきて育成をしていくと。また、そういったことを次代につなげていくという形で恒久的な県立高専という学校になればいいなと。実は、沖縄水産高校ができたのも沖振法でした。ずっと継続しています。ですから、それも一つの一環として、県立高校のどこか―南部・中部・北部・離島・石垣・宮古とかでやってもいいのではないかと思っています。そこら辺についてまずはシンクタンクをつくるべきだと思いますが、どうですか。

○下地洋子参考人 御提案ありがとうございます。私もそういう情報に疎かったので、またいろいろ勉強させていただいて、アドバイスなどを今後もいただきながら考えていきたいと思っております。

○新垣新委員 これは非常にいいことで、きょうもこういう形で副知事に会うのではなく、知事にぜひ要請をして、県民のリーダーは知事です。議会で選ばれた人ではなく、やはり県民のリーダーは知事です。ですから、そこにしっかりとアポイントメントをとって、要望書を出して、こういったシンクタンクをつくってほしいという形で行うことはどうですか。

○下地洋子参考人 一応、知事にも陳情は出しております。

○新垣新委員 ぜひ、沖振法でうまい方法論をつくって、県にもシンクタンクをつくってほしいと強く要望して、我が党も政府では公明党も一体となって予算をとってきて、沖縄の県民生活をよくするように長寿奪還に向けて頑張っていきますので、引き続き頑張ってください。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 来年度から琉球大学の中で養成ができなくなるということで受けとめましたが、そうですか。

○新城澄枝参考人 現在、琉球大学の教育学部で養成しているものを農学部に移されるということです。定員はそのままですが、教員免許はなしということになります。今まで教育学部にあったときは栄養教諭を出しておりましたが、栄養教諭の教員免許はなくなります。栄養士養成に特化するということになります。

○西銘純恵委員 では、10名の管理栄養士の養成については従来と変わらないのですか。

○新城澄枝参考人 琉球大学は栄養士の養成校でございまして、管理栄養士は養成しておりません。ただ、学生は大変優秀で、卒業した学生に関しては1年間の実務経験が済んで国家試験を受験をしますと、大体80%ぐらい―管理栄養士養成校の卒業生の国家試験の合格率は、全国平均で90%で、栄養士養成校は20%を少し切るぐらいの合格率となっています。それに対して、琉球大学の場合は80%を少し超えて合格しておりますので、管理栄養士は出ております。今、栄養士会で活躍している子たちも多いと思います。

○西銘純恵委員 1年間は実務経験を行って管理栄養士になってきているということですが、栄養教諭になるということはある意味ではこれから入学をする皆さんが農学部に移ったときにどうなるかということも危惧があるのかと思います。しかし、今おっしゃったのは4年間プラス1年間の実務経験で琉球大学はやってきたけれども、できたら学校を卒業してすぐ試験が受験できるようにということを考えているということは、従来の不都合を改善するという目的を持って、管理栄養士の養成校ということで陳情が出されたのかと思っていますが、そうですか。

○新城澄枝参考人 琉球大学での設置ということではなく、沖縄県内のどこかでいい管理栄養士養成校をつくっていただきたいというお願いでございます。琉球大学は今の時点では管理栄養士はつくらないと、そのように考えていらっしゃると思います。そして、私は退職してそろそろ5年になりますので、琉球大学のことは私の知る限りでは、農学部に移ってこれまでどおりの栄養士養成を続けていく、ただ栄養教諭は養成しないという最ももったいないことで地産地消を教える子供たちが沖縄県内で育たないと、学校教育で食文化を教える人が外で要請されてくるということはもったいない、残念だと思います。

○西銘純恵委員 結局は、毎年100名ぐらいが栄養士となって、そのうち10名ほどしか県内で学ぶことができないと。そして、本土で学んでいるという経済的負担というのがこの間あったということで県内に養成校をということで、今、受けとめています。参考資料の1ページ、都道府県別の養成施設数で、宮崎県と沖縄県は養成施設が―沖縄県は琉球大学とおっしゃいましたが、宮崎県も1校ですよね。それで入学定員については、宮崎県が60名、沖縄県が10名ということで、1校であっても60名とか、2クラスで80名ということができるわけですよね。ですから、養成校を沖縄のどこかに来てもらうか、どういう設置をするのかはこれからの話ということも伺いましたが、少しイメージがわからなくて、大学を持ってくるということはまず難しいですよね。そうしましたら、全国でやっている養成校というものが、比較的沖縄にも誘致できるというのかよくわかりませんが、専門校として、学校として養成ということになるのか、何かイメージとして構想なりありますか。

○下地洋子参考人 県外から誘致というのはあり得ないと思いますが、専門学校となった場合、管理栄養士は養成できないと思いますので、そこら辺は不可能かと思います。

○新城澄枝参考人 管理栄養士養成に関しては、法律改正後と先ほど申し上げましたが、厚生労働省の考え方としましては4年制大学に新しい認可をおろすという方向性です。ですから、短期大学・専門学校に関しては考えていないと。しかも、栄養士養成の新規も基本的には考えていらっしゃらないのですが、都道府県の御事情によって、法律改正の後に新規で栄養士養成が認可されたところは数校ございます。しかし、ほとんどが管理栄養士に移行しておりまして、お手元の資料にはないのかもしれませんが、かつてとは違って、今は栄養士養成校や専門学校なども管理栄養士養成校に変えつつございます。ここでどこかの学校を誘致することももちろんできませんし、専門学校もたくさんありまして、希望しているところは事実ございます。いろいろな相談を受けておりますが、栄養士養成なら沖縄の場合はまだこれだけしかございませんので、厚生労働省も恐らく感触としては認可はすると思います。方向性が新規では栄養士養成は認可せずに、管理栄養士にしてほしいという願いはあっても、沖縄県のような状況という県はよそにはございませんので、もし沖縄の専門学校あるいは高専あたりがつくりたいといった場合には、栄養士養成に関しては認可がおりる可能性はありますが、2校目からは大変たがが厳しいです。設置に関しての条件が非常に厳しく、沖縄で管理栄養士養成校がなくていいかとか、専門学校程度でやっていいかとなりますと、その先が望めないという―いわゆる、先ほどのリーダー養成が難しくなるということです。栄養士養成を細々としているのでは―参考資料には恐らく定員数が40人とか、60人、80人で受けたのに60人しか養成していないと、読みかえるとそういうことになります。それは何かと申しますと、そういう県というのは隣県に非常に有名な管理栄養士養成校を数校持っている県があったり、そこに学生が流れてしまうので、自分のところではこれでいいというところはあると思います。沖縄の場合は島国で隣県があるわけではないので、管理栄養士養成校をつくらない限り―今、管理栄養士養成校へ行く子はみんな外へ出て受験していますので、そういう状況がずっと続くということになります。例えば、千葉県などで養成人数が少ないといいましても、埼玉県に養成校がたくさんあったり、東京都などもたくさん学校を抱えていたり、九州に関しても福岡県が大量に養成をしております。実際に管理栄養士養成校がないところは沖縄だけではなく、8県ございます。沖縄を含めると9県ですが、その状況は全く違います。沖縄は独自でやらないといけない事情がございまして、隣にいい学校があるので向こうへ行きますというわけにはいかないということです。他県では養成校をつくっても隣県の近いところにいい学校があって、そこに流れてしまうので私たちのところではつくれないということで、恐らく香川県や徳島県などですが、そういう事情がございます。徳島県や長野県などがどんどん健康を取り戻しつつあるといいますか、糖尿病なども平成10年前後ぐらいには沖縄県は糖尿病死亡率が少ない順位で1位か、2位ぐらいで、徳島県は死亡率の高さで1位だったと。そして、共同実験をしませんかと医学部にいたころの上司が徳島県に戻られてそういう話が平成10年ごろにありましたが、今は逆転しまして向こうは糖尿病などもかなり改善しつつあります。それはやはり徳島大学の医学部に管理栄養士養成校がございますので、非常に優秀な方たちがそこを出られて日本全国の栄養士会のリーダー等々もそこから輩出していますので、やはりリーダーが育つというのは時間はかかりますが、向こうは目に見えて―徳島では前にでき上がっていましたが、今になってこれだけ沖縄をしのいで飛び越えて行ってしまうというのは、徳島県と大塚グループさんがお金を出してくださるので研究が進んでいるということもあるはずですが、非常にいいリーダーが輩出される拠点があるということは、健康回復には大事なことです。幾ら痩せようと言いましても、不健康な痩せ方では逆効果ですよね。

○西銘純恵委員 よくわからないのですが、医学部でしたら管理栄養士もということですので、例えば琉球大学の医学部にそれができれば管理栄養士の養成ができるという考え方で、ほかの都道府県もどちらかといえば大学の中に養成施設があるということで捉えていいのですか。

○新城澄枝参考人 やはり、有名管理栄養士養成校というのは、4年制大学の中にございます。

○西銘純恵委員 養成校という表現があったものですから、それで専門とか、何とかという言葉が出てきましたが、琉球大学の医学部ができるときから努力されたという話も聞きました。やはり琉球大学の中に地域枠の医学生の養成ということも沖縄県の要請でふやしていっているということがあるのです。ですから、琉球大学の医学部の中で管理栄養士の養成というものがあれば、最もやりやすいのかということが少し浮かんだので、議会に上げて要請をするということも考えたほうがいいのかと思いますが、その意見に対してどうですか。

○新城澄枝参考人 かつて、私は保健学部―今の医学部の保健学科に25年勤めておりましたけれども、実際には医学部で養成をするということが一番いい教育ができるだろうというのは私どももそう思いました。あるとき、森田孟進前学長は大変前向きでいらして、かなり膝詰めで医学部に移すという話し合いをして、各学部長をお呼びされて、結果的には保健学部に移ることになりました。しかし、医学科の御都合もありまして、保健学科の教授会は通りましたが医学部全体で4年間待ちなさいということになり、それで何だかんだで尻すぼみになってしまったという経緯がありますが、その後、14年間教育に移って栄養士養成にかかわってきたときにずっとそれをどこに移すという、厚生労働省と文部科学省とのたががはまったのがなかなかない学部でやっているといろいろありまして―先ほどの養成校という表現は、大学の中にあっても厚生労働省から考えると養成施設なのです。そして、文部科学省から考えると大学は大学の設置に合った大学教育をする学部なり、学科なのです。ですから、学部・学科の設置にかかわる資格保持者と養成施設としての厚生労働省の考える栄養士を養成する資格を持っているというものを、同じ人間が持ち合わせていないと教員にはなれません。ですから、そういう教員が沖縄では育ちにくいという、いわゆる育っていないというのは現状だと申し上げたのはそういうことです。私どもも大学院は県外で受けてきましたので大学2期生ですが。ですから、そういう都合がいろいろあるので、沖縄に養成校がないということになりますと、拠点がないということになりますので、なかなか調査研究ができるかといいますと、現場だけでは難しいと。実践はこなすようにリカレント教育はかなり進んではいますが、下地参考人の話のとおり、なかなか他都道府県からの先生方をお呼びすることは―もちろん講演に来ていただいても、日常的にいらしてそこで沖縄のことを研究していらっしゃるという方でないと、沖縄の現状の把握・分析というのは、今のところ栄養専門ではなく、医学部系や薬学部系御専門の講師をやっている方たちが沖縄の場合は力をかしてくださっています。しかし、他都道府県の徳島などは、栄養士養成できちんと身でもって勉強してきた方たちがそれの解析に当たっているという大きな違いがございますので、やはりそこは違うと。

○西銘純恵委員 琉球大学医学部の中に設置していくということは、選択肢として無理ということですか。それとも、私たちがそこを選択肢の中に入れて考えるということは、可能なのでしょうか。

○新城澄枝参考人 ぜひ、先生方のお力をいただいて、大学に圧力をかけていただければ、それは願ったり、かなったりでございます。確かに、医学部の中の栄養を必要としていらっしゃる先生方―いわゆる、栄養が治療の一環である内科的なところの先生方は、医学部に持ってきたいとおっしゃってくださっています。今でもつくってほしいとおっしゃいますが、何せ大きな総合大学になりますといろいろな駆け引きがございます。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 末松文信委員。

○末松文信委員 いろいろお話を伺っていて大体イメージが湧いてきましたが、今、西銘委員がおっしゃるようにせっかく琉球大学に今あるわけですので、それをきちんともう一度再生するという形が一番いいのかと思いますが、それは先ほどの話からすると可能性としてはいかがですか。

○新城澄枝参考人 在職している間の14年間は森田孟進前学長と御一緒させていいただいて、かなりやりました。カリキュラムも全てできて、臨床検査技師の資格と栄養士の資格を兼ね合わせた力のある人たちを10名定員で育てるということで、移るという話もきれいに決まってからだめになったといういきさつがございます。その詳しいことはわかりませんが、大学そのものでそこを考えるということは今のところないように思えます。二転、三転して、やっとまた農学部に戻れるという形―農学部ですと知っていますので、農学部に戻れるという形になっただけで、あくまでも存続しているものを潰すのは忍びないという温情でやっていることで、本当にそれが必要だと思うのなら医学部に持っていくと医療に一番いい人材養成が―臨床系に強い栄養士は全てに潰しがききますが、それが森田孟進前学長のときにできなかったのでもうできないだろうと思っております。

○末松文信委員 選択肢は幾つかあっていいと思いますが、実は名桜大学に人間健康学部ができていて、そこに看護学科ができ、その人気も大変大きいようですが、そういった意味では名桜大学に設置することも可能なのかと、今、お話を伺って感じただけですが、いかがですか。そういう選択肢というのはありますか。

○新城澄枝参考人 実は、名桜大学の人間健康学部に関しては、私も設置委員になりかかわっておりました。やはり既存のところにつくるということは、いろいろな意味でつくりやすいというメリットはありますが、先ほどから何回も出てきますように、今現在いらっしゃる先生方と学生定員がどうなるのという危機感があります。普通に考えましたら、看護があるので栄養士養成と看護をドッキングすると非常にいい学生が育つだろうと思って頑張りました。しかし、向こうもボタンのかけ方をスポーツ栄養から入っていってしまって、スポーツ栄養の先生方のほうが非常に熱心でした。最初、私たちが看護にとお願いしましたら、スポーツ栄養のほうが乗ってきて、それで委員会もでき上がって、青図面やいろいろなことが進みましたが、看護とは学内の大学院を先につくらないといけないとかいろいろあったようで、そうこうしているうちに向こうも休眠と私にはおっしゃっていましたが、ずっと休眠中でございます。

○末松文信委員 今の話はいつごろの話ですか。

○新城澄枝参考人 たしか、平成20年か、平成21年ごろから―私は平成24年に退職しましたので、平成24年の1年前、平成23年ぐらいまでの間だったと思います。向こうが法人化と看護の大学院をつくるということで、それを先にするということになりまして、委員会を1年間休みましょうと。私も学部で役職をやっておりまして、自分の大学が変な目に遭いそうになったので、退職するまで1年間休ませてくださいと言いましたら、そのまま休みになってしまいました。

○末松文信委員 なぜをそれを聞くかといいますと、今おっしゃるように名桜大学が私立のときにぎりぎりのところにいて、それを公立にしました。そして、公立にしたことによって相当学園の環境が変わってきています。もし、その以前の話でしたら可能性はあるのかという感じはしますが、そういうことも視野に入れて、私も地元ですので聞いてみます。きょうもこの話ではないですが名桜大学へ行ってきました。今のお話を伺って学長たちとも一度話をしてみます。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 亀濱玲子委員。

○亀濱玲子委員 県の処理方針というのは、課題を整理しながら管理栄養士の養成校については検討したいということが県の意向ですので、もしもそういう意欲を示している大学、可能性がある大学があれば積極的に県はかかわっていくべきだと思います。ここが望ましいというところがあると思いますが、可能性―いわゆる、意欲を示しているところについてはいかがですか。

○新城澄枝参考人 今現在、私の耳に入っていることでよろしいですか。今、一生懸命な大学として私立では沖縄大学が一生懸命頑張っていらっしゃるようです。それから、専門学校などで栄養士養成をつくりたいということで実際に動いているところもございます。ただ、私が申し上げたいことは、どこにつくろうと沖縄でどうせつくるのであれば、きちんとした栄養士養成―こういう理念でもって、こういう学生を育てて、こういう社会貢献をさせたいのだということをしっかりもったところにつくっていただきたいと。ただそれだけはお願いしたいということだけです。どこでつくっていただいてもいいのです。それと、厚生労働省のたがというのは結構強くて、やってみますと意外と大変で、そこもしっかり理解していただいて、最初からしっかりつくるという覚悟を持って栄養士養成をするのだという学校であればどこでも。地の利がよければなお結構だと思います。

○亀濱玲子委員 県は課題を整理しながら検討したいという意向があるわけですが、皆さんと日ごろからやりとりをしている県との窓口はありますか。なかなかそういう機会というのはありませんか。

○新城澄枝参考人 栄養士養成の所管課は、保健医療部の健康長寿課になっておりまして、そこに栄養士が1人配置になっております。かつては2人でしたがそこも1人になりました。そこが相談窓口といいますか、実際に栄養士養成が始まりましたら、そこを通して全て厚生労働省に伺いも、申請も、年間の報告、学生定員、在校生についても計画養成ですので年々ずっと報告義務があります。ですから、1人欠けても、なぜここは定員が1人欠けたのですかとか、在校生が1人いないのか、休学している理由はなどといった報告義務は全て健康長寿課の担当からいくことになります。

○亀濱玲子委員 やはり島嶼県ですので、沖縄県が独自でつくるという覚悟を決めて取り組まないと実現できない課題ですので、改めて必要だと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 平良昭一委員。

○平良昭一委員 はっきりと申し上げましてこの問題に関しては大変我々は疎い状況ではございましたけれども、管理栄養士なるもの自体も全く知らなかったという現状があります。そういう面では、これまでの皆様方の活動、行動が起こされてきたことに関して、いまいち県民の中でも広がっていなかったのかと少し反省もあります。そういう面では、先ほど名桜大学にもそういうアプローチをしてきたということも聞きましたが、私が考えるには看護学校あたりでも専門的なものが取り入れられれば十分いけるのかと思ったりもしますが、琉球大学の教育学部から農学部へ移るということではありますが、それも含めながら県内の大学、専門学校等の要請というのはかなり前からやられてきたのでしょうか。

○新城澄枝参考人 琉球大学は当時は国立で今は国立法人ですよね。そして、県立看護大学は県立で、もともと設置者が違いますので、そこの垣根を越えての話し合いというのは全くございません。琉球大学の中でどこに持っていくかというのは、文部科学省の教育改革―以前ありました教員養成の関係で教育学部からは教員免許ではない、ゼロ免課程の栄養士はよそに出したほうがいいという話でいろいろ移り先を検討しまして、学内での検討はかなりやってまいりましたが、他の大学とはやっていないという実情があります。それと、もう一つ、仕事が見えにくいというのは、現場も含めて私たち栄養士の仕事が余り評価していただけていないような仕事をしていたのかと、少し残念でもありますが―あるいは、人数が少ないのでそれだけ目立たないということもありますので、ぜひ人数をふやしていただくためにも養成校は必要だと思います。養成校の指導監督はどこでもそうですが、子ども生活福祉部や保健医療部が厚生労働省からいらして、私たちの所管課は健康長寿課ですが、向こうも実際には細かい指導や話し合いにはいらっしゃいません。その前にお聞きしたところによりますと、うちは県だからと。国には国のやり方があるでしょうということらしく、県は国に御相談に行ったり、報告をお願いしたりといういい関係を持ってはいますが、それを発展的にどうするかとか、定員をどうするかといったことは県では言える立場ではないといいますか、私どもも教員の問題などがあったときに、それも県では私たちからは言えませんと。よその県は県立ないし私立であっても県の指導監督が行き届いていると思いますが、沖縄の場合そういうところは連携が余りうまくいっていないと。ただ、仲が悪いというわけではなく、少し立場が違うということでありましたので、今後つくっていただけるのであれば、県はしっかりそういうところも見ていただけるのではないかと思っています。

○平良昭一委員 先ほどから話題になっています、我々沖縄の長寿県が崩れてきたということも、当然そういうこともかかわってきていますし、皆さん方の陳情を対応するところが健康長寿課であるということもかなり意識をしているからこそ県はここで主管としてやってくるわけです。そういう面ではお互いのボタンのかけ違いがあるのかもしれませんが、重要としたことは、そこから来ている可能性も十分あるわけです。そういう面ではお互いの感覚意識というものをまずは取り戻していかないといけない、これは我々の責任もあると思いますので、そういう面では県内で養成することが今のところできない。これだけたくさんの方々が離島県というハンディキャップを背負いながら、県外に出て行って勉強しているわけですよね。そういう面では先ほどほかの委員からもありましたとおり、沖縄県独自でつくらないといけない。それは最低限の条件だという意識の中で管理栄養士の養成施設をつくっていかないといけないという大きな目標ではなく、やらないといけないのだという認識を持たないといけないと思います。そういう面では、きょうの皆さん方の説明というのは我々も十分理解できるような状況になりましたので、どうしても県内で必要だという認識を持って新たな考え方、要するに、つくらないといけないのだという考え方をもって県も当たってほしいと思います。そして、これまでと同様に琉球大学の農学部に移るけれどもあるということも踏まえながら新たなものも絶対必要だということを持ちながらやっていかないといけないと、認識している者たちでお互い共有しないといけないと思いますので、やはり専門家でありますので、その中ではまだまだリーダーが足りないということでありますので、本土から時期的に借りてこないといけない状況も先ほど説明がありましたので、やはり足りないのだという認識を持ち続けて取り組んでいけるような状況をつくっていきましょう。そういう面で今後の取り組み方について伺いたいと思います。

○下地洋子参考人 大変貴重な御意見ありがとうございます。最初に栄養士・管理栄養士を御存じなかったということも、本当に私たちの力不足ということがここで改めてわかり少し恥ずかしい思いをしていますが、そういうことも踏まえて、実は健康長寿復活という時点で、サンサンマルショック―330ショックという言葉が沖縄県で流通していますが、その時点で栄養士会として今やるべきことは何かということで、長寿再生支援計画というプロジェクトを立ち上げて、今、それに沿って事業展開をしているところです。何しろ栄養士というのは病院でも看護師に比べて数が少なく、福祉施設においても大体1人で、学校給食もなかなか学校に1人というわけにはいかない状況で、外に出て行くチャンスとして目に触れる機会というのがなかなかないのかと。栄養計算をしたり、患者一人一人の栄養計画をつくったりという膨大な作業に追われてなかなか外にアピールできない状況があるのは確かですので、そういう意味から県内に管理栄養士養成校をつくるということで、今、激励を受けたということを感じているところですので、組織でも改めて本当に必要なのだという意識を認識していきながら県とこれからも運動を進めていきたいと思っております。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。
 次呂久成崇委員。

○次呂久成崇委員 実は、栄養士から管理栄養士の国家試験を受けて資格を取得するのに、先ほど琉球大学卒の方は80%の合格率ということでしたが、全国は大体どれぐらいの合格率で、また沖縄県はどれぐらいの合格率なのかということをわかればお願いします。といいますのは、私の知り合いが栄養士から管理栄養士を取得するのに7回目のチャレンジでやっと取ったということがありまして、みんなでお祝いをしましたが、それで物すごく難関だという思いがあったものですから、実際に先ほどからリーダーとして、教員も一緒に育てないといけないと感じていますので、それが現状として沖縄県を全国と県内で比べたときにどれぐらいなのかということを教えていただきたいと思います。

○新城澄枝参考人 今現在、全国は平均で恐らく50%近くはいっていると思います。合格率は、四十何%か、50%弱です。そして、養成施設の種類によって―つまり、管理栄養士養成校を出た子たちは合格率が91%ぐらいで、一般養成校を出ると20%とか、20%台と思っていただいたほうがよろしいかと思います。琉球大学の場合80%と申し上げたのは、卒業したら全員が受けるのではなく、今は全員が受けますが当時は教員になる子もいましたので、受験した人の80%は受かるという計算になります。大変狭き門ではございますが、管理栄養士と栄養士養成でこれだけ違いがあると申しますのは、栄養士養成校は専門科目が50単位で厚生労働省は認可をおろします―法律的に50単位以上です。そして、管理栄養士の場合は83単位以上になりますので、その差の33単位は臨床系の科目が多いのです。ですから、非常に国家試験にとっては強い力を卒前教育で受けてくるということになります。それが1つだと思います。もう一つは、卒業して、勉強をしてきたそのままの若い頭ですぐ試験を受けられるのと、実務経験を2年、3年、1年と積まなければ受けられないという下りのエスカレーターを上っていくようなものですので―学生にはいつもそう言いますが、下りを上っていくようなもので、1年目で通らなければまたさらにスピードアップするわけですので、さらに一生懸命走らないといけないと。ですから、その受かる努力というのは物すごく大変だと思います。先ほど、下地参考人が話されたように、自分の日常の仕事にも大変な思いをしながら国家試験の勉強をするということは、キャリアは上がっていきますが、試験の解答はまた別の問題も少しありますので、合格率はどうしても下がっていきます。そうしますと、若い頭のときに八十何単位受けさせておいて、しっかり基礎をつけておけば社会に出ても、キャリアを積みながらでもさらにレベルアップができるということになります。それから、ぜひ沖縄でつくっていただきたいのは、全ての領域で御理解いただいてサポートいただかないとできない話ですので、できれば先生方の後押しをいただけるとそれは鬼に金棒だと思います。あと、名桜大学の話もありましたが、もちろん名桜大学をこれから起こしてもいいと思いますが、今、沖縄大学も話が出ています。名桜大学も沖縄大学の話が出たのでどう考えていらっしゃるのかはわかりませんが、地の利というのは大事だと思います。私ども栄養士は日進月歩の高度な専門内容と技術を学んでいきますので、リカレント教育が非常に重視されております。そして、認定制度も走っておりますので、卒後教育を非常に充実しなくてはいけないと。そして、働いている人たちが仕事が終わってからリカレント教育を受けに行くということが必要になりますので、どうしても地の利というのは一応お考えいただきたいとことが1つと、もう一つは、やはりつくったらいいではなく、つくって本当に沖縄に役立つ―長寿対策はもちろんですが、本当の意味の栄養士・管理栄養士が育てられる学校をつくっていただきたいというのが一つです。ですから、そのためのディスカッション―どのようにつくったらいいのか、どこにつくったらいいのかということはまだまだ足りないのかもしれません。

○次呂久成崇委員 今のお話を聞いても、管理栄養士の養成学校の設置だけでなく、足腰を強くさせるためにはそれを指導する教員という人材も一緒に育てていかないといけないと強く思いました。やはり、足腰を強くするための取り組みを県がしっかりと中心になってやっていく必要があるのではないかというのは恐らくみんな共通の意識が理解できたのではないかと思いますので、またしっかり取り組んでいきたいと思います。

○狩俣信子委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、下地洋子参考人等に対する質疑を終結いたします。
 この際、参考人及び補助者各位に対し、委員会を代表して、一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
 下地洋子参考人、新城澄枝参考人、補助者の新垣慶子さん、ありがとうございました。
 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人等退室)

○狩俣信子委員長 再開いたします。
 次に、閉会中継続審査・調査事件の申し出の件についてお諮りいたします。
 昨日、閉会中継続審査・調査すべきものとして決定した請願1件、陳情28件とお手元に配付してあります本委員会所管事務調査事項を閉会中継続審査及び調査事件として、議長に申し出たいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 以上で、本日の議題は全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

  委 員 長  狩 俣 信 子