委員会記録・調査報告等

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文教厚生委員会記録
 
平成27年 第 1定例会

6
 



開会の日時

年月日平成27年3月24日 曜日
開会午前 10 時 2
散会午後 5 時 28

場所


第2委員会室


議題


1 乙第9号議案 沖縄県介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
2 乙第10号議案 沖縄県指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
3 乙第11号議案 沖縄県指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
4 乙第12号議案 沖縄県指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
5 乙第13号議案 沖縄県安心こども基金条例の一部を改正する条例
6 乙第14号議案 沖縄県指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
7 乙第15号議案 沖縄県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例
8 乙第16号議案 沖縄県消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
9 乙第17号議案 沖縄県看護師等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
10 乙第18号議案 沖縄県自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例
11 乙第19号議案 食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
12 乙第28号議案 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例
13 乙第29号議案 沖縄県立高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例
14 乙第30号議案 沖縄県学校職員定数条例の一部を改正する条例
15 請願平成26年第2号、同第4号、陳情平成24年第77号、同第79号、同第83号、同第85号の2、同第89号、同第104号、同第110号、同第120号、同第121号、同第132号、同第140号の3、同第160号、同第178号、同第194号、同第200号、陳情平成25年第1号、同第28号の2、同第32号、同第36号、同第37号、同第49号、同第50号の6、同第82号、同第118号の2、同第119号、同第120号、同第121号、同第134号の2、同第139号、陳情平成26年第2号、同第8号、同第10号、同第26号、同第27号、同第29号、同第31号、同第36号、同第42号の3、同第46号、同第49号、同第50号、同第51号、同第52号、同第53号、同第54号、同第60号、同第61号、同第62号、同第63号、同第64号、同第66号の3、同第69号、同第70号、同第74号、同第76号、同第79号、同第82号、同第93号の2、同第97号、同第98号、同第99号、同第103号、同第105号、陳情第9号、同第12号、同第20号、同第25号、同第28号、同第29号及び同第30号
16 閉会中継続審査・調査について
17 意見書の提出について(民間戦争被害者を救済する新たな援護法の制定を求める意見書)(追加議題)


出席委員

委 員 長  呉 屋   宏 君
副委員長  狩 俣 信 子 さん
委  員  又 吉 清 義 君
委  員  島 袋   大 君
委  員  照 屋 守 之 君
委  員  新 田 宜 明 君
委  員  赤 嶺   昇 君
委  員  糸 洲 朝 則 君
委  員  西 銘 純 恵 さん
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  嶺 井   光 君


欠席委員

なし


説明のため出席した者の職・氏名

教育長          諸見里   明 君
 総務課長        新 垣 悦 男 君
 教育支援課長      識 名   敦 君
 施設課長        親 泊 信一郎 君
 施設課技術調整監    島 袋 登仁雄 君
 学校人事課長      新 垣 健 一 君
 県立学校教育課長    與那嶺 善 道 君
 県立学校教育課副参事  狩 俣 好 則 君
 義務教育課長      大 城   朗 君
 保健体育課長      座 安 純 一 君
 生涯学習振興課長    平 良 朝 治 君
 参事兼文化財課長    嘉 数   卓 君
 薬務疾病対策課長    上 里   林 君



○呉屋宏委員長 ただいまから、文教厚生委員会を開会いたします。
 乙第9号議案から乙第19号議案まで、乙第28号議案から乙第30号議案までの14件、請願平成26年第2号外1件、陳情平成24年第77号外69件及び閉会中継続審査・調査を一括して議題といたします。
 本日の説明員として、教育長の出席を求めております。
 まず初めに、乙第28号議案地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例の審査を行います。
 ただいまの議案について、教育長の説明を求めます。
 諸見里明教育長。

○諸見里明教育長 教育委員会所管に係る議案の概要について御説明いたします。
 お手元の文教厚生委員会議案に関する説明資料をごらんください。
審査対象は、条例3件でございます。
 平成27年第1回沖縄県議会文教厚生委員会議案資料の1ページをお開きください。
 乙第28号議案地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例について、御説明申し上げます。
 本議案は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第76号)が、平成27年4月1日に施行されることに伴い、5つの関係条例の規定を整備する必要が生じたため、改正するものであります。
 なお、条例の施行期日は平成27年4月1日としておりますが、改正法の附則に基づき、旧条例の規定を適用させる経過措置を附則で定めております。
 以上が、概要説明でございます。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします

○呉屋宏委員長 教育長の説明は終わりました。
 これより、乙第28号議案に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 県条例の改正案については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律―地教行法の改正があったということで、去年の国会での法律改正のときに相当議論されて、今でも地方議会でも法改正と関連する条例の改正について、出されていて議論があるところです。その一つは、政治家が教育内容をゆがめないかということで、去年の法律改正のときに世論調査でも75%が歯どめが必要だと答えたとか、政治が教育に果たす責任というのは、教育条件の整備などによって教育の営みを支えることだと。教育内容に介入するものではないということが相当議論されたのです。今、法改正を受けて文部科学省―文科省から通知が出されていると思いますけれども、最初に、教育委員会制度がどのように変わるのかというところで質疑したいと思います。
 まず、最初に総合教育会議を設けると。そうなった場合、知事と新教育長が置かれるということですけれども、その他の教育委員との意見が異なったときには、どのようになるのかお尋ねします。
 
○新垣悦男総務課長 改正後の地教行法におきましても、教育委員会自体は独立した執行機関でございます。ですから、総合教育会議の場でいろいろな調整協議がされますが、その協議調整された内容については、それぞれの持っている権限でもって執行するという状況がございます。そういう意味では、法律上は独立した執行機関として置かれておりますので、教育委員会の所管する事務については、教育委員会の会議で決定をして執行をしていく。ですから、知事と協議をして、知事の執行する分については知事が執行しますし、教育委員会が執行する、例えば教職員人事とか教科書といったものについては、教育委員会が持っている権限でございますので、それが知事の指示イコールそれを守るということにはならないと理解しております。そういったものが今回の大きな改正後も変わらない部分だと考えております。

○西銘純恵委員 この総合教育会議で物事を決めることもあるということになっています。今説明を受けたのですが、教育委員会が合議制の執行機関ということも明確にされていると思うのですが、法改正後に文科省から条例と関連する通知がいつ出されて、その内容において今の総合教育会議についてどのように記述しているのかお尋ねします。

○新垣悦男総務課長 委員がおっしゃるのは、平成26年7月17日に文科省から出された通知だと理解しておりますが、その中に総合教育会議についてという部分がございます。それでは、総合教育会議は、首長が招集して、地方公共団体の長と教育委員会の委員で構成すると決めてございます。その中で、大綱を決めていくという規定がされてございます。

○西銘純恵委員 4ページに書いてありますが、先ほど言った改正後の教育委員会についてどのようなものか触れている部分があります。4ページの教育委員会委員における教育長に対するチェック機能の分野について、先ほど明確な答弁がなかったので、4ページのその部分について述べていただけませんか。
 
○新垣悦男総務課長 その通知におきまして、特に教育委員会の委員による教育長に対するチェック機能の強化という項目がございます。その中には、改正後においても、教育委員会は合議制の執行機関であるため、その意思決定は、教育長及び委員による合議において、出席者の多数決によって決せられるものであると。そういう意味では、委員の役割が引き続き重要なものであるということになってございます。さらに改正法における委員の側からの教育委員会会議の招集の請求や教育長に委任した事務の執行状況に関する報告の規定は、委員による教育長の事務執行に対するチェック機能も強化するという点がございます。

○西銘純恵委員 8ページの知事が教育委員会と調整のついていないものについて、どのようにするという規定になっていますか。

○新垣悦男総務課長 教育長及び教育委員には、大綱にのっとった教育行政を行うような訓示的規定をしているものの、調整のついていない事項にまで大綱に則して教育行政の運営が行われるようなことはしてはならないという趣旨がございます。

○西銘純恵委員 ということは、首長が大綱に教育委員会と調整がついていないことを記載しても、教育委員会としてはそれを尊重する義務はないということですよね。

○新垣悦男総務課長 これで説明しているのは、先ほど申し上げました地教行法で規定している教育委員会の権限として列挙してございますが、例えば教育機関の人事とか教科書関係とかそういったものについては、完全に教育委員会の独立した権限だと定められておりますので、その中で総合教育会議なり大綱で定められるのはよろしくないですし、仮に決めても守れませんよという趣旨だと理解しております。

○西銘純恵委員 全国学力テストの結果公表については、どうなるのですか。

○新垣悦男総務課長 いわゆる学力テストの公表については、現在でもその実施要領により市町村の教育委員会がそれぞれ判断をすると。それによって、公立学校全体の―県が市町村の設置する学校の状況を公表する。本当は非公表ですが、あくまでもそのテストの趣旨に沿った公表の仕方をやるべきだということと、大綱なりで公表の仕方をやるということは望ましくないと定めてございます。

○西銘純恵委員 都道府県教育委員会が市町村の学力テストの結果を、市町村の同意を得ないで公表することができるのでしょうか。

○新垣悦男総務課長 市町村教育委員会の所管する学校の学力テストの結果については、都道府県が勝手にすることはできません。そのときには市町村教育委員会の了解を得て公表するという手続になります。

○西銘純恵委員 総合教育会議は首長が主催するということだと思うのですが、法ではどのように規定されているのですか。

○新垣悦男総務課長 総合教育会議につきましては、改正後の地教行法第1条の4で、「地方公共団体の長は、大綱の策定に関する協議及び次に掲げる事項についての協議並びにこれらに関する次項各号に掲げる構成員の事務の調整を行うため、総合教育会議を設けるものとする」と。幾つか項目がございまして、児童生徒の生命・身体に関する事項とか、総合教育会議は地方公共団体の長が招集するといったくだりがございます。

○西銘純恵委員 首長が教育に介入するのではないかという危惧を受けて、野田市などでは、この総合教育会議の事務局を教育委員会で所管できるようにということでやっています。教育委員会で、この総合教育会議の所管ができませんか。

○新垣悦男総務課長 委員がおっしゃる野田市長の判断で、総合教育会議を教育委員会に置く考えを示したという記事も承知しておりますが、規定上は総合教育会議の所管は首長ということで定められてございます。ただ、地方自治法に基づいた補助執行ということであれば可能だと考えております。その場合でも、あくまでも知事から補助執行の依頼を受けるという形になるかと考えております。

○西銘純恵委員 総合教育会議の公開や議事録の公開は、とても重要になってくるのではないかと思うのですが、これについては文科省はどのように通知を出していますか。

○新垣悦男総務課長 会議の公表と議事録の作成公表という項目がございます。その中に、総合教育会議における議論を公開し、住民への説明責任を果たすこと、会議は原則として公開ということ。仮に非公開とする場合は、いじめなど個別事案に関係する関係者の個人情報を保護する必要があるといった場合など具体的に示されております。基本的には公開ですということと、議事録についても作成するように指示がされてございます。

○西銘純恵委員 総合教育会議の事務局について、事務を教育委員会事務局に委任または補助を執行させることが可能だということを明確にされていますけれども、総務企画委員会の審査の中で、総合教育会議の事務局について、うまんちゅの会会派の議員が質疑をやっています。そうしましたら、知事部局として検討していく、教育委員会と協議するということも話しています。教育委員会としては、きちんと事務局を教育長側に置くということは、とても大事な総合教育会議の担保になるのではないかと思うのですが、そういう申し入れや話し合いを受けたときにどう対応されますか。

○諸見里明教育長 新しい総合教育会議等、地教行法の改正された点は、地方自治法の規定に基づいて、各地方公共団体の実情に応じて総合教育会議に係る事務を教育委員会事務局に委任または補助執行させることも可能であると確かにうたわれています。この補助執行を行うに当たっては、首長部局からの協議の申し出が必要となってまいります。ですから、協議の申し出があった場合、教育委員会で協議して対応していきたいと思っております。

○西銘純恵委員 申し出があったときには、教育委員会で受けますという意思を明確に主張しないと申し出はこちらに来ないわけですよね。そういう意思を言われますか。

○諸見里明教育長 法的には、首長が総合教育会議を設け、召集するという権限は首長側にあるのです。知事部局からの協議の申し出があった場合は、教育委員会で前向きに検討したいと思います。

○西銘純恵委員 次の質疑に移ります。改正地教行法は、教育委員会を国と首長に従うようにするものではありませんか。

○新垣悦男総務課長 先ほど申し上げましたように、現行の部分と基本的には大きく変わらないと理解しておりまして、首長から独立した執行機関であるということは担保されております。現に、国会の場でも附帯決議として出されておりますので、そういう意味では現行と変わらないのではないかと理解しております。

○西銘純恵委員 今の質疑に対して、独立した執行機関として担保されているということで、国と首長に従うものではないと答弁されているのですが、何を根拠にそのようなことを言うのか、この法改正の前に中央教育審議会が議論したと思うのです。その答申についてどのようになっているのか、担保されているのかお答えいただけますか。

○新垣悦男総務課長 法律制定に当たって、平成25年12月13日の中央教育審議会の答申がございます。その中に、政治的中立性、継続性、安定性の確保ということがございまして、現行制度においても首長から独立した執行機関であるということがあります。そういう意味では、例えば教育長を任命するに当たっても、教育長が地方教育行政の責任者であるという観点から、引き続き安定性、政治的中立性を確保する必要があると答申の中で述べてございます。

○西銘純恵委員 答申で出された文言を述べていただけませんか。

○新垣悦男総務課長 読み上げます。「現行制度において、首長から独立した執行機関で、公立学校の管理等の行政責任を行うことにより、教育が知事や市町村長が属する党派の利害に左右されることがないようにするとともに、合議体の委員会とすることにより、個々人の判断や恣意の介入を防ぐ仕組みとなっております。また、教育委員の任期4年は毎年1名あるいは2名が交代するように設定されており、委員が一斉に交代をして急激な教育の方針が変わることがないような仕組みになっている。首長が任命を行う教育長を地方教育行政の責任者とするに当たっても、引き続き政治的中立性、継続性、安定性を確保する必要があり、そのためには合議制の教育委員会が教育の基本方針や、教育内容に係る事項について、教育長による事務執行に必要な歯どめがかけられるような制度措置を講じること。」と述べてございます。

○西銘純恵委員 中央教育審議会の答申も明確にされて、それに沿って継続性、安定性、中立性が守られるということで言われましたけれども、一つ気になるのは、政府や首長が教育内容に介入する仕組みをつくるものではないかというところで、どう教育の自主性を守るかということが今度の条例改正でも議論をしなければいけない部分だと思っています。憲法で保障された教育の自由や自主性を侵害するものではないのかどうかというところが大事な部分なのです。それについて、どう考えていますか。

○新垣悦男総務課長 これも繰り返しになる肝心な部分でございまして、制度改正後も、教育委員会は首長から独立した合議制の執行機関として残されております。例えば、総合教育会議で調整される事項について、首長と教育委員会の両者の権限が重複する部分が対象になるわけです。権限外のものについてはできませんよということがございますし、教育の自由や自主性に関する部分に関して強制することはできないと考えております。

○西銘純恵委員 法改正に対して、衆議院や参議院でその部分について附帯決議がなされていますけれども、その部分も読み上げていただけませんか。

○新垣悦男総務課長 衆議院の附帯決議は7項目ございまして、その一番最初に、「政府及び関係者は本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。」ということがございまして、最初に、「本法施行後、教育の政治的中立性等を確保した上での地方教育行政における責任体制の明確化、迅速な危機管理体制の構築、地方公共団体の長と教育委員会との連携の強化等の状況について、必要に応じて検証を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。」とございます。これが衆議院の附帯決議の一番最初でございます。参議院の附帯決議につきましても、同様な文言で最初に記述がされてございます。

○西銘純恵委員 国の関与についても、決議されていますけれども。どう言っていますか。

○新垣悦男総務課長 衆議院の附帯決議では、新法第50条の文部科学大臣の指示の明確化についてという規定がございますけれども、それについても地方自治に対する国の関与は限定的であるべきであると、地方自治の原則を踏まえ、国の関与は最小限とすべきことに留意して運用することと。参議院の附帯決議におきましても、同じような記述がございます。

○西銘純恵委員 法改正に当たって、政治的中立性―国の関与を限定的にするということが明記されているというのが、少しの歯どめになるかと思いますけれども、去年この法改正のときにさまざまな議論がなされて、教育委員会はなぜできたのかという大もとが議論されたのです。それについて、去年4月16日に教育委員会制度について議論をしているのですけれども、教育委員会制度発足のときの3つの根本方針は、法改正においても変わらないということを共産党の宮本衆議院議員に答弁されております。この3つの根本方針というのはどのようなものでしょうか。

○新垣悦男総務課長 新教育委員会制度におきましても、先ほど申し上げた地方分権の趣旨と民意が反映できるレイマンコントロールということと、首長から独立した執行機関であるということは変わりませんというやりとりがございます。

○西銘純恵委員 教育の目的は、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するにあることが教育基本法で宣言されておりますが、この教育の目的を達成するために、行政が民主主義一般の原理のもとに立つあり方としては、権限の地方分権を行い、教育の地方分権、民意の反映、一般行政からの独立でなければならない、ということをはっきり答弁されておりますので、そこをよりどころに政治からの中立ということでは―先ほど教育長は前向きに対応していくとおっしゃいましたけれども、やはり少なくとも教育委員会事務局の中に、総合教育会議の所管を置くことをぜひ実践していただきたい。総務企画委員会でもそういう答弁がありましたので、それは4月以降の具体的運用で実現できるようにやっていただきたいと思いますが、もう一度答弁お願いできますか。

○諸見里明教育長 先ほども申し上げましたけれども、総合教育会議、大綱等、この権限は、首長部局にありますけれども、協議の申し出がありましたら、前向きに検討していきたいと考えております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 首長がいて、そして教育長という形で、首長が上位にあるような感じを私は受けます。私が思い出すのは、1999年の国旗及び国歌に関する法律なのです。あのとき国会で決められたのは、国旗は日の丸とする、国家は君が代とする。これだけだったのです。それに対して何もなかった。強制しないというのも附帯決議にあったと思います。しかし今や、東京都はもちろんあちこちで日の丸や君が代に対する強制を、処分をちらつかせてやっているものですから、教育は行政とはきちんと独立してやるべきだというときに、これをとても思い出して、国の権力がまた教育の分野に介入してくるのではないかという不安を持っています。そういう意味では、やはり、大綱を首長が策定していくという部分は、どうなのでしょうか。それに対して教育委員会として、教育長として、どのような反映ができるのでしょうか。首長が決めると言っていることに対して。

○諸見里明教育長 総合教育会議の中で大綱は決定されますけれども、総合教育会議は首長と教育委員会という対等な執行機関同士の協議及び調整の場として位置づけられているのです。この辺は、我々も教育委員会の独自性、主体性を発揮して、はっきりと我々の立ち位置を協議の場で申し伝えたいと思います。

○狩俣信子委員 そういう意味では、教育長の置かれた立場というのが、今おっしゃった対応できちんとできるかどうかということが大きいのです。私はこの部分について非常に危惧しております。あとは、任期が3年となっていますね。これについては、今教育長は継続してなさるわけですけれども、そういう部分で3年という任期についてはどうかかわってきますか。

○新垣悦男総務課長 3年任期につきましては、知事が教育長を任命するという規定がございますので、その規定の趣旨から在任中に1回は任命できるようにするために4年を3年にしていると理解しております。

○狩俣信子委員 在任中に1回は、自分の思った教育長を指名できるという言い方ですか。

○新垣悦男総務課長 おっしゃるとおりです。

○狩俣信子委員 現在は、教育委員会委員の選任については、どうなさっているのですか。

○新垣悦男総務課長 手続上の話になりますが、知事が議会の承認を得て任命するという規定になっております。

○狩俣信子委員 そこに行くまでの過程はどうなのですか。教育長が提案しているのですか。それとも知事サイドからこの人をという形でくるのですか。

○新垣悦男総務課長 知事が任命しますので、選任をして議会に提案するという流れです。

○狩俣信子委員 ということは、今の教育委員会委員も教育長の意思は入っていないと理解してよろしいでしょうか。知事の意向で、教育委員会委員も全部選任されていると理解してよろしいわけですね。

○新垣悦男総務課長 基本的には、教育委員会制度自体がレイマンコントロールという、いろいろな視点から意見を反映するという趣旨でございますので、当然、その段階では人事調整はあるということでございます。

○狩俣信子委員 私は、ひところ言われていた国が教育に介入するという部分が非常に危惧するのです。自主性とか自由などを言いながら、日の丸や君が代といった国家統制のような、強権的で処分をちらつかせて介入するような、そういう教育の現場になってはよくないと思うものですから、そこは教育長もしっかりとした対応をやっていただきたいと述べて終わります。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 趣旨が、地方教育行政における責任の明確化とありますよね。我々は、今の教育行政はそれぞれ独立して責任もはっきりしているという認識ですけれども、この法改正の中であえてそういう表現が出てくるということは、どういうことですか。

○新垣悦男総務課長 今回の改正の要点が幾つかございますけれども、教育委員会の委員長と教育長どちらが責任者かわかりにくいということと、一般論として、教育委員会の審議は形骸化しているのではないかとか、いじめ等の問題に対して、迅速に対応できていないといったようないろいろな意見がございまして、今回の改正に至っております。

○照屋守之委員 首長との連携の強化を図るということと、地方に対する国の関与の見直しを図るということ、この2つも非常に不思議です。それぞれの都道府県知事あるいは市町村長とそれぞれの教育委員会との予算も含めての連携がこれまでずっと長年にわたって行われてきているわけですよね。あえて、連携の強化や国の関与の見直しが盛り込まれたということもよくわかりませんけれども、いかがですか。

○新垣悦男総務課長 今回の改正のきっかけとして、大津市のいじめ問題が一つのきっかけと言われておりまして、迅速な対応ができなかったのではないかとか、地域の民意を代表する首長との連携ができているかどうかといった反省がございまして、今回改正されたということでございます。

○照屋守之委員 中立性とか継続性を確保するということは、表現ではそうなるけれども、例えば選挙で選ばれた県知事が任命するとなると、どうしても非常に政治的になっていきますよ。ですから、我々は現行のままでいいのかと思いがあるけれども、特に沖縄県の場合は、保守系も含めて、革新系いろいろあって、基地問題も含めて、非常に教育の与える影響は大きいので、この知事の関与が強くなっていくときに、これは知事の権限の人選なので、非常にどうかなという感じがします。中立性はもちろんのこと、継続的にやっていると任命する側は当然そう言いますよ。けれども、現実的にそうなっていかない部分があるわけです。ここは、どう担保しますか。非常に難しい問題ですよね。

○新垣悦男総務課長 大変難しい質疑ですけれども、知事が選任をして、議会に諮って承認を得るという段階で、チェック機能が働くのではないかと考えております。

○照屋守之委員 議会の同意を得て、直接任命をして、罷免を行う。やめさせるときも議会の同意を得るわけですか。そういう仕組みですか。

○新垣悦男総務課長 地教行法第7条に規定がございまして、教育長または教育委員が心身の故障のため職務を遂行できない、あるいは職務上の義務違反、非行があった場合については、首長は議会の承認を得て罷免することができるという規定がございます。基本的には罷免されることはほとんどないという考えであります。

○照屋守之委員 県知事の権限でそれができるとなれば、それは任命するのもやめさせるのも県知事の責任でできるようになっているわけでしょう。これは、任期があっても、例えば知事とうまくいかないとか、知事の思うようにいかないというところがあれば、そこは知事の権限でやめさせるということも可能だということになっていくのではないですか。

○新垣悦男総務課長 議会の承認が必要ですので、イコール知事が罷免や任用ということにはならないと制度上はなっております。

○照屋守之委員 例えば議会でも、多いところが多数をとればそうなりますよ。政治はそういうものですので。あとは議員に対して、こういうことだから私はこの人にはやめていただくという説明をして、多数をとれば、それはできるのでしょう。だから、今、非常に危惧されるのは、そういう形で選挙で選ばれる県知事の権限が非常に強くなっていくということ―スタートは中立性とかでやるけれども、だんだん時間がたっていくとそういうことの危惧があるわけです。今、沖縄県はどうなっていくのですか。平成27年4月1日からこの仕組みはスタートするということで、今の仕組みはどうなのですか。

○新垣悦男総務課長 法律の施行が平成27年4月1日からですが、経過措置がございまして、先ほどおっしゃった教育委員の任期中については、現行制度の教育長、教育委員が在職する、それ以外の総合教育会議とか大綱の設定等については、4月1日から適用されるという形になります。

○照屋守之委員 教育長あるいは委員としての任期満了まで在職する。教育長、今の任期はいつまでですか。

○諸見里明教育長 委員の任期と一緒ですので、平成29年3月31日までとなります。

○照屋守之委員 沖縄県の教育委員会は、これが4月からスタートするけれども、平成29年の3月31日までは移行期間として、いろいろな調整をやりつつ、今の教育長の任期が終われば、新たな仕組みになって、知事が教育長を任命してやっていくということになるわけですか。

○新垣悦男総務課長 現行制度はそうなります。平成29年3月まで教育長は委員としての任期がございますので、教育長としての任期がある間は、現行制度の教育委員長と教育長が在職すると。その後、旧制度が変わった段階で新しい教育長を任命するという流れです。

○照屋守之委員 これは全国でスタートしていますよね。それぞれの首長が、新しい仕組みになっているのだから新しい制度でやらないといけないという形で、首長権限が強くなりますよね。首長に交代と言われたら、新しい制度に移行しなければならないのではないですか。

○新垣悦男総務課長 教育委員会制度の継続性・安定性というのは、衆議院、参議院の附帯決議に出されておりまして、その中で、全国で何件かは確かに4月1日に変わるところもございますけれども、ほとんどの県では在任期間中は教育長は在職するという形であります。

○照屋守之委員 私は保守系ですけれども、今のこの新しい仕組みは、選挙で選ばれた知事の権限が非常に強くなるということがあって、知事が教育長を選んでいく、これは非常に政治的になっていきます。これまでの事例もそうですけれども、より強くなっていきます。これがいいか悪いかは別にして、そういう仕組みになっていきますので、そこは少し危惧しています。これはもちろん中立性や継続性を担保した上で、そういう仕組みになっていきますけれども、そこは危惧しておりますので、平成29年3月31日までということであれば、この平成29年3月31日までに、知事の同意もいただいて、懸念される部分を払拭して、新たな仕組みに移行するとか、それをぜひつくってもらいたいわけです。
 ですので、個人的にも非常に懸念がありますし、我々議会というのは、議案として出されたらなかなか拒否することができないことがあるのです。やはり、首長が選んでこの人がふさわしいということになれば、それは認めないといけないという状況下にあって、あとは本当に教育長としての任期を全うしていただくという期待をするしかないのです。ですから、ぜひ新しい制度に移行するに当たっては、今の教育委員会の中でも、今懸念されているこういう問題がある中で新しい仕組みに移行するということですから、改めてそのチェックもしてもらって、自分たちの中立性とかあるいは公平性をどう担保して沖縄県の教育をつくっていくかというところを議論してもらって、その上で知事ともしっかり話し合いをしてもらう。そのために平成29年3月31日まではしっかりやってもらいたいという思いがありますけれども、いかがですか。

○諸見里明教育長 委員がおっしゃるとおりだと思います。スタートはいいですけれども今後どうなっていくかという一抹の不安もございますので、先ほど総務課長が言いましたけれども、やはり新しい教育委員会制度でも地方分権という視点で、民意が反映できるレイマンコントロール、それから首長から独立した執行機関であるということを我々内部でもこの辺はしっかり守っていきながら、またチェック機能としての議会の重要さも十分あると思います。議会制民主主義を信じて、議会の活発な議論を通して、この辺は私も期待するところです。私もこの期間中は精いっぱい頑張っていきたいと思います。

○照屋守之委員 教育委員会の中でもしっかりチェックしてください。地方教育行政における責任の明確化とか、迅速に対応できていない、首長との連携強化を図るとか言われているわけですよね。今の教育委員会がそういう仕組みをつくってきたわけでしょう。だから、改めて、今の教育委員の責任も含め、自分たちの外から法律も変えられて、やってきたことをもう一度チェックしてもらって、平成29年3月31日までその辺も新たにもう一回見直して、これからの沖縄の教育をつくっていけるような、新しい仕組みをつくってください。ぜひお願いします。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 糸洲朝則委員。

○糸洲朝則委員 確認の意味です。県は新しい法改正に基づいて移行していくわけですが、沖縄県の41市町村の中で新しいシステムに移行する市町村はどこで、残りは―これは報道で読んではいるのですが、この実情を教えていただけませんか。

○新垣悦男総務課長 現在、具体的なものとして新聞報道で出ているのは、沖縄市、南北大東村、伊是名村が4月1日にやられるという情報をつかんでおります。

○糸洲朝則委員 平成29年3月31日までに残りの市町村が移行していくのかという思いなのですが、その辺に対する県の指導あるいは考えというのはいかがですか。

○新垣悦男総務課長 平成11年の途中までは教育長については県が承認をして教育長に就任するという手続がございましたが、現在はそういうものはございません。先ほど申し上げたように、基本的には、首長が議会に提案をして、承認を得て任命するという手続でございます。今の段階で、平成27年度中に現在の市町村の教育長の任期が切れるのが9市町村ございまして、9市町村のうちの教育長がどのタイミングで就任するかというのは把握しておりません。ただ、平成27年度内に委員としての任期が切れるところが9市町村ございます。ですから、この方が任期途中で辞任する、あるいは委員としての任期を更新する場合でも変わってきますし、そういう状況については41市町村の中でもそれぞれの市町村の首長の判断が反映されるということですので、県としてどうしなさいというようなことは申し上げられない状況でございます。

○糸洲朝則委員 ですから、先ほど照屋委員も指摘していたように、政治的な影響力といいますか、政治性というのが、中立公平とはいえどうしても首長の意向が物すごく影響するなと。もっと深く踏み込んで言えば、首長の意向で教育委員会そのものをコントロールできるシステムではないかということを心配するわけですが、その辺はどうですか。

○新垣悦男総務課長 繰り返しになるのですが、地方公共団体の中で独立した執行機関ということでありますし、教育委員会自体が合議制の機関であるということと、総合教育会議自体が公開の場で議論するということでございますので、そういった意味で二重、三重のチェック機能があるかと思っています。

○糸洲朝則委員 言葉としてはなるほどと思いたいのですが、やはり首長が出してくる以上は、人事権にかかわることですから通る議案じゃないと出しません。つまり、多数与党とか。仮に少数与党だったら、その辺は根回しをして出してきます。したがって、そこに議会の承認というのが担保される云々というのは、形上はそれが成り立ちますが、実質、人事行政というのはそういう甘いものではありません。極端に言えば、首長の意向というのがかなり影響するなという思いをいたしております。したがって、教育委員会あるいは教育長といった皆さん方の自立した魂という部分が大事だと思います。その辺の教育長の思いだけを聞いて終わります。

○諸見里明教育長 新しい教育委員会制度になっても、我々としての立ち位置、それから受け継がれた教育行政の流れというのは、ぜひ総合教育会議の中でもしっかりと議論しながら、主体性を持って頑張ってまいりたいと思っております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新田宜明委員。

○新田宜明委員 この法案は、平成26年6月13日の参議院の本会議で法案が可決成立をして、6月20日から公布されたとなっております。そのときの安倍総理の教育再生に関する答弁なのですが、「今回の改正により教育委員会制度の抜本的な改革が図られ、安倍内閣の大きな柱である教育再生の基盤が築かれるものと考えております。」と発言を行って質疑に答えております。実際、現場を担当する下村博文文部科学大臣は、「安倍内閣の最重要課題である教育再生は、世界トップレベルの学力と規範意識を育む教育を実現することを目標とする。そもそも教育の役割は、個々人の潜在能力を最大限引き出して、互いに認め合い、社会に貢献しながら自己実現を図ることにより、一人一人の人生が幸福で、よりよく生きられるようにするための手だてを提供することである。しかしながら、いじめや体罰を初めとした教育現場を取り巻く問題に現行の教育行政では迅速に対処できていなかったなどの課題を抱えており、教育がその役割を十分に果たしていない状況にあると受けとめている。このような状況を変革することが本来の教育の再生である。この教育再生の実現には責任ある地方教育行政体制の構築が重要であり、今回の改正で教育委員会制度の抜本的な改革が図られることにより、教育再生の基盤が築かれると考える。」という答弁をしております。そういった安倍総理の教育再生という大きな政策の中で、地方教育行政法が改正されたと思いますが、確かに先ほど大津市のいじめ問題等が発端となったということも言われておりますが、やはり今私どもは、これまでの国と地方との関係は地方分権、地方主権という流れがありながら、しかし一方においては、最近の動向は中央集権化に向かっているのではないかという懸念を持っております。そういう意味では、教育の政治的中立性が確保できるかどうかということは非常に重要な私たちの意識する部分でありますし、今後の首長と教育委員会との関係がきちんと中立性が保たれるように、あるいは公平な相互の独立した機関であることをしっかり踏まえるべきだと思っております。
 総合教育会議において、定義づけとその意味するところを非常にしっかり踏まえないといけない用語として「協議と調整」という言葉があります。ややもすると、似て非なる、非常に混同しやすい。このことによって、首長の権限が、場合によっては皆さんの権限の中に介入していく可能性があります。そこで、総合教育会議において行われる協議あるいは調整とはどういう意味なのか、それを明確にここで答えていただきたいと思います。

○新垣悦男総務課長 総合教育会議の中で、協議・調整を行うという規定がございまして、調整というのは、例えば、教育委員会それぞれの権限を前提としながら、予算の調整や執行の重なる分を調整していくと。総合教育会議で調整事項として上がったものについては、それぞれ履行する義務を負うものだと理解しております。協議については、それ以外の自由な意見交換ということで、協議でやったものに拘束されるということではないということで、使い分けをしております。

○新田宜明委員 先ほど、首長と教育長、あるいは教育委員の任命に関する手続上の説明がありました。より具体的にお聞きしたいのですが、教職員の人事異動については首長との調整事項ですか、協議事項ですか。

○新垣悦男総務課長 通知におきまして、調整事項には当然なりませんし、協議することについても好ましくないという通知が出ております。

○新田宜明委員 わかりました。それをしっかり確認したいと思います。
 次に、教科書採択の基準については協議事項ですか、それとも調整事項ですか。

○新垣悦男総務課長 先ほど申し上げましたように、教育委員会の権限のうちに列挙されていた事項に上がっておりまして、当然調整事項にはなりませんし、協議にもならないのではないかと考えております。

○新田宜明委員 このことが明確に確認したいことでありました。最後に、こういったもろもろの意見を踏まえて、教育長としての決意をしっかり述べていただきたいと思います。

○諸見里明教育長 委員からの御指摘ももっともだと思います。人事権、それから教科書等、教育委員会に属するいろいろな権限というのは、我々が主体的に対応すべきことだと考えております。この辺は、ぜひ総合教育会議の中で理解してもらって、進めてまいりたいと考えております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 嶺井光委員。

○嶺井光委員 1点だけ確認しておきたいと思います。議論の中で、首長、教育委員会は対等、独立な機関だということですが、気になるのは総合教育会議は首長が招集するということになっておりますね。その中で教育に関するいろいろな方針などが決まってくるのだろうと思います。今も同じですが、予算編成、あるいは条例などの提案権というのは首長にしかないですよね。しかし、予算編成については、地教行法で教育委員会の意見を聞くという明確な位置づけがあります。そこら辺に変化があるのか、ないのかということについてはどうですか。

○新垣悦男総務課長 総合教育会議の中で、首長と教育委員会が先ほど申し上げましたそれぞれの所管する権限の中で協議をするということでございますが、教育行政法上の必要な教育環境の整備やそれについての予算の調整を総合教育会議の場でなされていくということでありますので、基本的には予算の提案権は首長にあるのですが、逆に総合教育会議の場で議論はできると思っております。

○嶺井光委員 ちなみに現在、これまでの予算編成にしましても、編成作業自体は教育委員会でやるかと思いますが、提案そのものは首長がやりますよね。やはり、編成作業というのは要求ということになりますので、教育委員会の各部署の意向が要求に反映されるはずなのです。しかし、予算が少ないという現実がありますよね。そういうことは教育委員会の機関として意見を申し上げ、首長の政策とのすり合わせもあるかもしれません。こういう部分は、今現在、しっかりやられていますか。

○新垣悦男総務課長 知事―首長から予算に関する意見を求められた段階で、教育委員会で会議に諮って、意見として学力向上などといったことについては配慮していただきたいというものがございました。基本的には予算措置はされていると思っております。

○嶺井光委員 ある意味、こういう機会で対等な立場、あるいは独立機関ということをしっかり認識していただいて、具体的な教育の施策展開を首長に理解を求めて、教育委員会としての主体性を発揮していくことにつなげていくことも大事だと思います。気になることは、今回の教育委員会の全体の予算はふえておりまして、学校建設費や管理費というのは、ある意味、義務的、臨時的なものですので、変動がかなりあるかもしれませんが、教育振興費あたりは皆さんが具体的に教育現場そのものの活動の展開を示していく予算になりますので、こういう部分がしっかり主張して通るような形になっていかないといけないと思います。ですから、一般質問でも知事に見解を求めたのですが、具体的に言いますと、少人数学級というものも知事の政策としてやっていく、こういうところが総合教育会議でしっかり議論されて前に進んでいくようなことになるのであれば、いい制度になると思っております。そういう面を教育長はどうお考えですか。

○諸見里明教育長 御指摘のように、首長は現行制度におきましても、予算の編成、執行、条例案の提出等を通じて、教育行政の大きな役割を担っております。ですから、首長と教育委員会の意思疎通が十分でない場合、地域の教育の課題やあるべき姿が共有できないという課題があったわけです。今回、総合教育会議の中でいろいろな意見を通して、教育委員会もやはり言うべきことは言わないといけないと思いますし、この辺をしっかりとやっていきたいと思います。また、知事が少人数学級やいろいろな制度をやりたいと、そういう場面も意見交換しながら、むしろいいチャンスと言いますか、いい場面だと思いますので、この辺はぜひ予算につなげるような形で持っていきたいと思っております。

○嶺井光委員 こういう変わりどきといいますか、このような時期を契機にして、今おっしゃるようなしっかり教育の立場からの提言、あるいは首長としっかり組んで、やっていくように頑張っていただきたいと思っております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 皆さんがお聞きしたので、最終的に1点だけ確認したいと思います。先ほどから皆さんおっしゃっているのですが、首長というのは教育条件整備を考えるという理解ですが、教育の内容については皆さんが担うということは、今回の法改正において守られるという理解でよろしいですか。

○新垣悦男総務課長 予算につきましても、県の施策であります沖縄21世紀ビジョンに基づいた教育基本方針に基づき予算が措置されて、約3.8%の増があったということと、教育委員会と首長との意見については、ざっくばらんに意見交換をしていただいて、今おっしゃった指針に沿った運用をするしかないと考えております。

○比嘉京子委員 教育長にお聞きしたいのですが、今おっしゃるように教育の環境整備も含めた条件整備というものに対しての首長の役割は認めますし、必要だと思います。しかしながら、教育の内容に対して、これは教育長のある意味での行政からの独立性ということ―先ほど、3つの原則も言っておりましたが、そういう意味において内容等―ですから、先ほど教科書であるとか人事とかということをおっしゃっていたわけですが、内容等に対しては独立性は担保されているという理解でいいですかという確認です。

○諸見里明教育長 新しい教育委員会制度になっても、知事部局の役割や教育委員会の役割というのはしっかりとあります。教育委員会の役割というのは、これまで従来どおり担保されておりますので、教育内容については、ぜひ教育行政の我々の責任として果たしていきたいと思っております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 よって、乙第28号議案に対する質疑を終結いたします。
 次に、乙第29号議案沖縄県立高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例の審査を行います。 
 ただいまの議案について、教育長の説明を求めます。
 諸見里明教育長。

○諸見里明教育長 次に、資料の7ページをお開きください。
 乙第29号議案沖縄県立高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例について御説明申し上げます。
 本議案は、6年間の計画的・継続的な教育指導を行う中高一貫教育校として、県立球陽高校に球陽中学校、県立開邦高校に開邦中学校の県立中学校2校を併設するため、条例を改正するものであります。
 なお、施行の期日については、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において、教育委員会規則で定めることとしております。
 以上が、概要説明でございます。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○呉屋宏委員長 教育長の説明は終わりました。
 これより、乙第29号議案に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 よって、乙第29号議案に対する質疑を終結いたします。
 次に、乙第30号議案沖縄県学校職員定数条例の一部を改正する条例の審査を行います。
 ただいまの議案について、教育長の説明を求めます。
 諸見里明教育長。

○諸見里明教育長 次に、資料の9ページをお開きください。
 乙第30号議案沖縄県学校職員定数条例の一部を改正する条例について御説明申し上げます。
 本議案は、児童生徒数の増減等に伴い、平成27年度の学校職員定数を改める必要があることから、県立高等学校を4145人、県立特別支援学校を1783人、県立中学校を19人、市町村立小学校及び中学校を9410人の合計1万5357人に改正するものであります。
 以上が、概要説明でございます。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○呉屋宏委員長 教育長の説明は終わりました。
 これより、乙第30号議案に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 小学校・中学校の少人数学級の実施で、次年度加配を与えるということで定数がふえるのかなと思っていますが、教室不足で加配を充てる学校名を教えていただけますか。

○新垣健一学校人事課長 平成27年度につきましては、学級編制がまだでございますので、確定したことは申し上げられないところでございます。平成26年度に教室不足で未実施の学校が、おおよそそのまま移行するのではないかと。今回、学年の拡大がございませんので、同じようなことになろうかと考えております。

○西銘純恵委員 でも、定数は増にするということも含めて、各学校からは12月時点で、既に5月1日は確定かもしれませんけれども、準備をされているわけですよね。その段階で結構なのですが、今の状況でどうなのかということで学校名をお尋ねしたい。

○新垣健一学校人事課長 委員の御指摘のとおり、いわゆる条例定数を上げるに当たりまして、各市町村に次年度の児童生徒数及び学級編制数の見込みをもとに算出しているところでございますが、先ほど委員からもございましたように、年度が明けて4月に確定するものでございますので、具体的にどこの小学校、あるいはどこの中学校ということについては、まだ市町村からお聞きしていないところでございます。

○西銘純恵委員 現年度の状態がそのままいくだろうと話されましたので、では、現年度だけお願いできますか。

○新垣健一学校人事課長 平成26年度の教室不足での未実施の学校でございますが、まず、高江洲小学校で3年生、宮里小学校で2年生、浦城小学校で2年生、当山小学校で2年生、内間小学校で2年生、浦添市の宮城小学校で2年生、城東小学校で2年生、天久小学校で1年生、2年生、3年生。中学校は1年生しかやっておりませんで、読谷中学校、宮里中学校、真志喜中学校、神森中学校でございます。

○西銘純恵委員 那覇市のほうがまだ多いかと思っていたのですが、やはり教室建設が追いついていないというのが市町村によってすぐ出ますね。そういう意味では浦添市はおくれていますね。
 定数の改定なのですけれども、その定数内の臨時教員の人数と割合はどうなるのでしょうか。平成26年度との比較で両方お願いできますか。

○新垣健一学校人事課長 いわゆる条例定数をやる場合、それが本務か臨任かということでの定数の考え方ではないわけでございます。公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律―標準法に基づき、児童生徒数から学級数を割り出しまして、そこに当然必要な教員の定数がございますし、加配と申しまして、いわゆる習熟度別の少人数指導や、そういった分での加配定数をプラスします。それに、小・中学校でいえば、少人数学級をやるために県単定数もございますので、それによって条例定数がありまして、その内訳でこれが正規か臨任かということの算出はしていないところでございます。

○西銘純恵委員 標準法、加配、県単、それぞれの定数をお願いします。

○新垣健一学校人事課長 小学校が基礎の部分で5308名、加配分で500名、県単で40名、合計5848名です。中学校で―いわゆる本則と呼んでいますが、標準法の分で3217名、加配で352名、県単で12名、合計3581名でございます。高等学校につきましては、本則の部分で3834名、加配で119名、県単で192名、合計4145名でございます。それから、特別支援学校ですが、本則の部分で1632名、加配の分で31名、県単で120名、合計1783名でございます。

○西銘純恵委員 今度の総定数は1万5357人でよろしいでしょうか。

○新垣健一学校人事課長 はい。高等学校、特別支援学校、県立中学校、公立の小・中学校を合計いたしますと1万5357名でございます。

○西銘純恵委員 先ほど内訳を聞きました、小学校から特別支援学校までの合計が、その数字になるということでよろしいでしょうか。

○新垣健一学校人事課長 はい。そのとおりでございます。

○西銘純恵委員 そうしますと、加配の約1000人、県単の約400人、このうちで正規か臨時かというのは出していないとおっしゃったのですが、本則定数の中でも臨時というのがあるのか、加配と県単ではどうなのかというところをお答えいただけませんか。

○新垣健一学校人事課長 先ほど申しましたように、法律に基づきまして学級数―高等学校でいえば、収容定員数に応じまして、本則の教員数が出てまいります。それに研修等でありますとか少人数指導等の加配がありまして、当然配置される状況によりますので、本務か臨任かという色分けはないところでございます。

○西銘純恵委員 そうすると、標準法定数の中でも臨任がいるということですよね。それでは、平成26年度で、本務に対する臨時教員の割合はどうだったのでしょうか。小・中学校だけ出してたかとも思うのですが、新年度は1万5357人に対する本務割合はふえてきているのかどうか確認したいのですが。

○新垣健一学校人事課長 委員のおっしゃるように、文科省が数字を出しているもので、全国比較できるのが小・中学校だけでありまして、それでは平成26年度は正規が85.2%の数字でございました。次年度に向けましては、退職者数を上回る採用もあることから、正規率については改善すると見ております。

○西銘純恵委員 改善する割合の推計は出されていませんか。全体何名に対する何名ということでしょうか。

○新垣健一学校人事課長 毎月数字を見直すものですから少し動いておりますが、今議会に向けて出したものでは、今年度の85.2%が86.5%程度に改善すると見込んでおります。

○西銘純恵委員 改善された人数というのも出ますか。

○新垣健一学校人事課長 本務で120名ふえることを見込んでおります。また、新規採用と再任用を含めまして、39名の増を見込んでいるところでございます。ただ、退職者も18名ほどふえる見込みでございまして、これを換算しますと、86.5%、約1.3ポイントほど正規率が改善できるのではないかと見込んでいるところでございます。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 9ページを見ていますが、条例定数の部分で加配定数というものがありますけれども、その中でセンター研修、大学院派遣、初任研加配、生徒指導支援加配というものが出ているのですが、このセンター研修や大学院派遣はどれぐらいの数が行くのですか。それぞれについて教えていただけますか。

○新垣健一学校人事課長 センター研修については、次年度県立学校では38名を予定しております。それから幼・小・中で42名を予定しているところです。それぞれ項目ごとに細かい数字でございまして、後でまとめて資料でお出しするということでよろしいでしょうか。

○狩俣信子委員 では、その資料は後でいただきたいと思います。
大学院派遣についてですが、これは1年間休職しての派遣ですか。

○新垣健一学校人事課長 琉球大学への研修は職務専念義務免除で行っているところでございます。新教育大学院大学というのがございまして、例えば上越教育大学や兵庫教育大学など、年度ごとによって、行く学生の希望にもよりますけれども、出張で研修に送っているという状況です。

○狩俣信子委員 済みませんが、そのあたりの細かい資料も一緒にお願いします。それから、県単定数というものがあります。学校図書館司書や用務員、調理員、それも今聞いても数はなかなか出てこないと思いますので、この部分についても県単でどのぐらいの数をやっているのか、後で資料でいただけたらと思います。

○新垣健一学校人事課長 高等学校の県単定数については、今、数字を持ち合わせておりますので、よろしいでしょうか。まず、高等学校教諭11名、実習助手3名、事務1名、船員21名、学校司書60名、用務員86名、農業技術員10名、合計192名でございます。

○狩俣信子委員 調理員はゼロですか。

○新垣健一学校人事課長 調理員につきましては、現在、全て民間に委託をしている状況ですので、ゼロでございます。

○狩俣信子委員 専攻科の教諭というのもゼロですか。

○新垣健一学校人事課長 沖縄水産の専攻科の教員は、先ほどの教員の中に含まれております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 よって、乙第30号議案に対する質疑を終結いたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、補助答弁者入れかえ)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 次に、教育委員会関係の請願平成26年第4号及び陳情平成24年第194号外28件の審査を行います。
 ただいまの陳情等について、教育長の説明を求めます。
 なお、継続の陳情等については、前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
 諸見里明教育長。

○諸見里明教育長 教育委員会所管に係る請願及び陳情の処理方針について御説明申し上げます。
 お手元の請願・陳情に関する説明資料をごらんください。
 審査対象は、請願が継続1件、陳情が継続25件、新規4件の合計30件でございます。
 初めに、継続審査となっております請願1件及び陳情25件のうち、処理方針の変更を行う陳情3件について御説明いたします。
 説明資料の7ページをお開きください。
 陳情平成25年第121号の海洋技術科存続及び小型実習船「かりゆし」の代船建造についての項目2に係る処理方針について、次のとおり変更するものであります。
 変更部分は下線で示しております。
 2、代船建造。小型実習船「かりゆし」の代船建造については、平成26年度の予算により、安全な乗船実習環境や1級小型船舶操縦士免許の資格取得等を考慮して建造され、平成27年3月13日に沖縄水産高校へ納品・引き渡されております。
 次に、説明資料の12ページをお開きください。
 陳情平成26年第27号の30人以下学級の早期実現を求める陳情の項目2に係る処理方針について、次のとおり変更するものであります。
 2、少人数学級については、小学校1・2年生の30人学級及び小学校3年生の35人学級に加え、平成26年度から、中学校1年生においても35人学級を実施しております。
 少人数学級の推進につきましては、可能な限り拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
 今後、どの学年への拡大がより効果的か検討し、平成28年度は、着実に少人数学級を推進してまいりたいと考えております。
 次に、説明資料の25ページをお開きください。
 陳情平成26年第79号の被災児童(脳脊髄液減少症)の救済に関する陳情の項目1に係る処理方針について、次のとおり変更するものであります。
 1、西原町で脳脊髄液減少症を発症した問題につきましては、同町議会において、西原町学校災害医療費等資金貸付支援条例を制定し、給付・補償型の救済策についても附帯決議として加えられたと伺っております。
 県教育委員会としましては、3万5000人余の署名が添えられた被災児童の救済を求める要望書を重く受けとめ、西原町教育委員会へ、早急な救済支援策を検討するよう、文書による依頼を行っております。
 なお、平成27年2月に脳脊髄液減少症の実態調査を実施したところ、西原町以外、県内で学校管理下における児童生徒の発症事例はありません。
 現在、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度における対象範囲の拡大や給付金の増額等について、全国都道府県教育長協議会等を通して、国へ要望しているところであります。
 続きまして、新規陳情について、御説明いたします。
 説明資料の32ページをお開きください。
 陳情第25号首里高校内中城御殿跡の保存及び活用に関する陳情の処理方針について、御説明いたします。
 1及び2、首里高校内で確認された中城御殿につきましては、平成27年2月27日の調査終了日までの期間、14回にわたり発掘調査現場説明会を実施し、一般県民を初め、首里高校の生徒や教職員、市町村の文化財担当者など、広く県民に周知を図ってまいりました。
 また、遺跡の保存・活用につきましては、保存状態のよい井戸遺構がほかに例がない貴重なものであることから、保存ができないか、関係機関と調整を行っております。
 なお、その他の遺構につきましては、遺構や出土品の図面や写真などで詳細な記録作成を行い、発掘調査報告書を刊行して、さらなる県民への周知に努め、活用を図ってまいります。
 3、首里高校内中城御殿跡を含む首里城地区全体の計画的な保存と活用については、今後とも那覇市や国などの関係機関と意見交換などを行ってまいります。 
 次に、説明資料の33ページをお開きください。
 陳情第28号首里高校校舎改築の早期実現を求める陳情の処理方針について、御説明いたします。
 1及び2、首里高校内中城御殿跡発掘等調査につきましては、平成23年8月から着手し、平成27年2月27日をもって調査を終了しております。
 現在、首里高校では、工事中止から5年もの間、運動場が使用できないため、遠隔に位置する石嶺球場での体育の授業を余儀なくされ、移動のための変則的な時間割調整はもとより、カリキュラムの管理面等においてもさまざまな支障が生じております。
 県教育委員会としましては、生徒たちの学習環境を改善するためにも、平成27年度の早期に校舎建築工事が再開できるよう関係機関と調整してまいります。
 また、現校舎につきましては、引き続き生徒の安全面を最優先し、教育環境の整備等に努めてまいります。
 次に、説明資料の34ページをお開きください。
 陳情第29号平成27年3月1日の沖縄県立高等学校卒業式における国歌斉唱に関する陳情の処理方針について、御説明いたします。
 1及び2、県教育委員会としましては、児童生徒が将来、国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくためには、国旗、国歌に対し正しい認識を持ち、それを尊重する態度を育てることや、自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが重要であると考えております。
 学習指導要領では、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」とあり、本県では、毎年、卒業式及び入学式の実施状況調査を行っております。
 同調査においては、国歌斉唱時における教職員の起立状況に関する調査項目はありませんが、平成27年3月1日に実施された卒業式の調査結果から、国歌斉唱は全ての学校において混乱なく実施されていると認識しております。
 県教育委員会としましては、今後とも学習指導要領の趣旨に沿った指導の徹底を図ってまいります。
 次に、説明資料の35ページをお開きください。
 陳情第30号県立首里高校グラウンドから発掘された中城御殿遺構の保存に関する陳情の処理方針について、御説明いたします。
 1、平成27年3月23日に沖縄県議会文教厚生委員会が、首里高校内中城御殿跡を視察しております。
 2及び3、発掘調査の成果につきましては、平成27年2月27日の調査終了日までの期間、14回にわたり発掘調査現場説明会を実施し、一般県民を初め、首里高校の生徒や教職員、市町村の文化財担当者など、広く県民に周知を図ってまいりました。
 また、遺構の保存・活用については、現場説明会で実施したアンケートや沖縄考古学会の要請内容等を踏まえて協議を行い、保存状態のよい井戸遺構について、ほかに例のない貴重な遺構であることから関係機関と調整を行っております。
 今後は、遺構や出土品の図面や写真などで詳細な記録作成を行い、発掘調査報告書を刊行して、さらなる県民への周知に努め、活用を図ってまいります。
 4、首里高校内中城御殿跡につきましては、貴重な文化財であることから、沖縄考古学会の要請や学校関係者からの意見も踏まえて、入念な記録保存に努めるとともに、今後とも関係機関と協議を進めてまいります。
 以上で、請願及び陳情の処理方針の説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○呉屋宏委員長 教育長の説明は終わりました。
 これより各陳情等に対する質疑を行います。
 質疑に当たっては、請願・陳情番号を申し述べてから重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 14ページ、陳情平成26年第49号、「9月1日年休起算日」の早期実現を求める陳情について。高知県教育委員会では6年前からこれをやっていると、そして年次休暇の平均取得日数が変更前よりも12.3日から13.6日にふえ、一定の成果が出ており、三者交渉―沖縄県教職員組合・沖縄県高等学校障害児学校教職員組合・沖縄県職員労働組合において、県総務部から任命権者ごとに年次休暇の起算日設定ができると出ております。そして、厚生労働省からも70%以上―要するに、20日の70%、14日以上の年休を取得させるようにという要請も出ております。そういう中において、沖縄県内の病休、鬱病の休みが他府県に比べてとても多いということを考えたときに、そこに勤務している皆さんたちが9月1日付の起算日にしてもらえると夏休みもとりやすいのではないかということがありますので、そこについて改善していく方向で検討が必要だと思います。今、取得日についてどのような実態になっているのかについて教えていただけますか。

○新垣健一学校人事課長 教職員の年休取得につきましては、これまでも年次有給休暇が取得しやすいように公務の改善を図るとともに、私どもも学校現場に対して、連続で有給休暇をするようにという通知を図ってきているところでございます。一応、平成20年度から平成24年度にかけて、平成20年度の61%の取得から平成24年度では67.5%まで改善が図られていることから、今後も同様な取り組みが必要であると考えておりまして、引き続きさらなる取得の促進に努めていきたいというところでございます。

○狩俣信子委員 引き続き改善の方向にとおっしゃいますが、その中で9月1日起算日についてはいかがですか。

○新垣健一学校人事課長 確かに、既に3県で導入されている実績がございます。岩手県では平成18年度から、愛媛県では平成17年度から、高知県では平成18年度から実施・導入がされているところでございます。その中でも、岩手県で導入前の平成17年度と調査をした平成21年度とを比較しますと、変化がないという状況もございます。愛媛県では確かに導入前に比べて4年後は3.6日ほど伸びており、高知県については0.5日ほど伸びているという状況もございます。
 私どもも平成25年度に職員へのアンケートを実施しましたが、その中では9月1日の起算日を導入してもほとんど変わらないという回答が約4割と最も多かったこともございます。そういうことも含めまして、これまでの取り組みを並行しつつ、今後どのような取り組みができるかということを検討している状況でございます。

○狩俣信子委員 わずかながらも改善があったということは、やはりこれに取り組むべきだと思いますし、4割が変化がないだろうといいましても、今の学校の多忙化を考えましたら、年休をとりにくいという部分もあるのかと思っております。やはり、安心して夏季休暇の中で休めるという精神的な部分をもう少し考慮してやっていただきたいと思います。
 まず導入をしてみて、本当にどうなるのかということもやってみる必要があるのではないかと思います。何せ、鬱病、病休が他府県に比べて圧倒的に多いではないですか。その改善のためにも、幾ばくかの人が、9月1日に年休起算日を変更したら夏季休暇がとりやすいというのでしたら、それを教育庁としても考えてみる必要があると思いますが、教育長はいかがですか。

○諸見里明教育長 委員おっしゃるように、本県の教職員の精神疾患の罹患率といいますのは、本当に全国でも高く、大変な課題だと思っております。委員おっしゃいますように、今、9月1日に起算日を変更するということについて議論を進めているところでございます。いい方向で決着がつけるように頑張ってまいりたいと思っております。

○狩俣信子委員 期待しております。
 次に、25ページ、陳情平成26年第79号、脳脊髄液減少症の問題ですが、西原町もいい方向に取り組んでいくといいますか、それでもまだ御本人たちからしますと全額補償が欲しいということがあるみたいです。そこのあたりは少しおいておきまして、県教育委員会としては、脳脊髄減少症の理解を深めるために管理職研修、担当者研修、その他いろいろあると思いますが、現在はどのような取り組みがなされているのですか。

○座安純一保健体育課長 ただいまの学校管理下における脳脊液髄減少症の実態調査などを踏まえ、各学校において全職員で理解を深めるために文書による依頼や管理者研修会及び養護教諭研修会、各種研修会において周知・徹底できるように取り組んでおります。

○狩俣信子委員 管理者研修会では、何回その話をされたのですか。養護教員の皆さんの研修会では、何回それを取り上げたのでしょうか。

○座安純一保健体育課長 管理者研修会、校長研修会等、それから養護教諭研修会では琉球大学の中村先生を招いてやっております。年に2回です。

○狩俣信子委員 管理者研修会、養護教諭研修会でもそれぞれ2回はやったということで受け取っていいのですか。

○座安純一保健体育課長 管理者研修会は、各地区の校長・教頭研修会で1回、養護教諭研修会では2回です。

○狩俣信子委員 やはり、そういう研修会の中で周知・徹底をするということはとても大切なことだと思います。いつどこで事故が起こるのかはわからないわけですから、ことしだけで終わらずに、次年度も継続して取り組んでいただきたいと思います。
 次に、32ページ、陳情第25号について。きのう、実は文教厚生委員会で首里高校内の中城御殿跡を視察してきました。結構石畳などがあったり、先ほど出ていた井戸がきれいに残っているところなどを見させていただきました。その保存をしっかりやるというのと、片や首里高校の校長ほか3名から出されております学校の状況というのが、5カ年間も運動場が使えないという非常に厳しい状況だと聞いております。
 校長先生に聞きましたら、バスもチャーターして、バス賃も払って―まあこれは教育庁が出しているとは言っておりましたが、朝から晩まで石嶺球場へ体育の教師は行っていて戻ってこられないという状況、子供たちも行ったり来たりで非常に大変だというお話がありました。
 沖縄考古学会からの陳情に対しては、那覇市や国などの関係機関と意見交換をしながらと、一方首里高校校長側の陳情に対しては、平成27年度の早期に校舎建築工事が再開できるよう調整していくということが処理方針には書いてあります。文化財も大切ということもわかります。しかし、現在の子供たちが5カ年間も非常に不便な思いをしてきたということもわかるものですから、やはりこの部分につきましては、早急に話し合いを持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○諸見里明教育長 この件につきまして、一方では、学習権の保障をめぐって首里高校から5年間にわたって大変強い要望がございました。教育委員会にもいらっしゃっていました。他方で、文化財という貴重な遺構が見つかったことから、この両方に挟まれていろいろな議論をしてきました。県教育委員会としましては、今の子供たちの教育保障というものは一義的に大切でありますし、また保存も含めての観点をどうするのかということもありますので、これから関係機関や首里高校と進展が図れるように協議を進めてまいりたいと思います。

○狩俣信子委員 例えば、体育の授業が週に3単位ありまして、それを1日で3コマをまとめてやるということをお聞きしました。これは非常に大変なことだと思います。炎天下の中で3時間ぶっ通しでやるということについて、子供たちのことを考えますと早目の解決が必要だと思います。それから、校舎も大分古くなっているということで、きのう校長から写真を添えていただきましたけれども、首里高校の校舎も大変な状況だということがこれでわかります。天井は落ちてくるし、タイルも落ちるし、漏水はするし、この古い校舎を早く建てかえなくてはいけないということが首里高校の校長先生たちの意向だと受けとめておりますので、埋蔵文化財センターの皆さんとも早急にお会いして、その解決をお願いしたいと思います。

○呉屋宏委員長 休憩いたします。

   午前11時59分 休憩
   午後1時24分 再開

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 午前に引き続き、質疑を行います。
 質疑はありませんか。
 又吉清義委員。

○又吉清義委員 34ページ、陳情第29号について確認したいと思います。国旗、国歌斉唱についてですが、皆さんの処理方針の中で平成27年3月1日に実施された卒業式の調査結果からとありますが、各小・中・高校で調査を行ったということで理解していいですか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 毎年、県立高校等で入学式、卒業式において国旗、国歌の調査を行っております。調査内容としましては、式の進行状況、国旗掲揚の状況、国歌の斉唱状況等の調査を行っております。

○又吉清義委員 県内の状況についてぜひ知りたいので、資料としていただくことも可能ですか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 前回の文教厚生委員会で資料を提供していると思います。

○又吉清義委員 平成27年3月1日の調査結果についても配付したと理解していいですか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 大変申しわけございません。そのときは、平成27年の卒業式の状況について調査結果が出ておりませんので、提供した資料は平成26年3月1日の卒業式、平成26年の入学式の状況でございます。もし必要であれば提供させていただきたいと思います。

○又吉清義委員 国旗と国歌斉唱の状況について調査結果が出ていると思いますが、それについて御説明願えますか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 国旗、国歌の実施状況については、小・中・高校混乱なく厳粛に行われて、全ての学校で行われたと報告を受けております。

○又吉清義委員 後で個人的に資料をいただいて確認したいと思います。民間の方から全ての学校は順調にいっていないという調査結果をいただいたものですから、皆さんの資料とも突き合わせてみたいと。正直に言って、私が中学校2年生までは学校を挙げて国旗、国歌斉唱をよく頑張りましたが、1971年になぜかわかりませんが突然学校がやらなくなったものですから、いまだに疑問に感じております。1972年に日本復帰をしますが、その1年前までは先生方も一緒に日の丸も2つつくってきなさいというほど熱心だったものが、なぜ日本復帰をすると急にやらなくなったのか原因がわからないのです。その辺の理由については御存じですか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 その原因等については承知しておりませんけれども、平成2年からの調査結果によりますと、県立高校において100%といいますか、全学校が国旗掲揚、国歌斉唱をしているという状況にございます。

○又吉清義委員 今、国歌斉唱でもそうなのですが、例えばいろいろな国際テレビ、オリンピックを見ようが、スポーツ大会を見ようが―最近はごく見え始めてきたのですが、日本代表の選手の皆さんが国歌を歌えないと。これは周りから見て非常に惨めだなという感じがします。そういった意味で、国歌斉唱をしているならば、これは各学年小・中・高校みんな歌えると理解していいですね。ただ音楽だけ流れるのか、卒業式、入学式で国歌斉唱と言って終わりなのか、生徒たちの歌声が実際に聞こえるのか。そういった調査結果ということで理解してよろしいですね。

○與那嶺善道県立学校教育課長 特に小学校においては、年間指導計画等にどの学年でも歌えるように指導することということで、学習指導要領に載っております。先ほどの調査に関しては、歌っているかどうかという詳細な調査ではございませんので、実態等は把握しておりません。

○又吉清義委員 ぜひ、実態は調査したほうがいいと思いますよ。テレビで見てもわかりますように、外国の代表選手は国歌が流れると皆さん唇が動きます。そのような日本代表が余りにも少ないと思います。確かに、私たちは日本人でありますし、日本人として生まれてよかったと去る1月にイタリアに行ってわかったのですが、日本人であり、日本国籍であるからそこでちゃんと保護もされますし、保障もされます。やはりそれは国あってのものかなということを改めて痛感しました。ですから、そういった意味では、自分の国にどういったものがあるかということについて、しっかり認識を持つことは大事なことではないかと。今、詳細については調査していないということですが、やはりそこまで調査をしていただきたいと思います。本当に歌えるのか、歌えないのか。確かに、高校生などになりますと余り大きな声で歌わないのは事実です。しかし、口ずさむということはできてもいいのではないかという気はします。そこまで歌えるのか、歌えないのか、その辺までの調査は今後ぜひやっていただきたいのですが、いかがですか。

○諸見里明教育長 国歌につきましては、既に小学校1年生の段階から学習指導要領にもありますし、きちんと歌えるような形で学習面で指導していると思います。どうしてもと言うのでしたらあれですが、小・中・高校歌えるものとして認識しておりまして、どういう形にするのか、また必要なのかどうかについては考えさせてください。

○又吉清義委員 なぜ、あえてそういったことを言うのかといいますと、二十のときに中国へ2週間、そして24歳から32歳までタイによく行ったときに、本当に日本国民は、ばかだと笑われました。その当時は意味がわかりませんでした。皆さんは国歌も歌えない民族だと。そして、今に自分たちに抜かれると。理由がわかりませんでしたが、だんだんと彼らが予言したとおりになってきたなということを痛感しております。ですので、そういったこと一つ一つにおいてしっかりお互い教育をする、自信を持つということは大事なことではないかと思います。
 中国へ2週間行ったときに本当に驚きました。北京大学で学生にもろに言われました。最初は意味がわかりませんでしたけれども、言われて10年、20年たちますとこういうことがひしひしとよくわかります。彼らにとって、自分の国を大事にして誇りを持つということがいかに大事かということです。
 それから、いろいろな世界大会においても、最近は国歌斉唱になったときに唇が動く選手がだんだんふえたのですが、こういうのが少ないというのは世界からしますと日本は不思議な民族だという感じがしますので、歌うのではなくても、歌えるぐらいは、その辺はしっかり教育してもいいのではないかと思います。例えば、小学校の音楽で―私は怠け者だったので、音楽の時間は余り歌わなかったのですが、必ず最初と最後に歌わせる曲は「白地に」でした。これは必ず大きな声で歌わされました。音楽は好きではないのでぶっきらぼうにしか歌わなかったのですが、なぜそれがぴたりとなくなったのか。1971年まであれほど先生方が日の丸を持ってきて祖国復帰運動をしなさいと言っていたにもかかわらず、復帰すると同時にぴたりとなくなった理由が全くわからないので、ぜひその辺の原因等も調べて、学校現場で何が起きているのかということもしっかりと調査するべきだと思います。ですので、本当に歌えるのか、歌えないのかについて、しっかりと調査していただきたいということを切にお願いいたします。
 あと1つよろしいですか。先ほども何名かの委員から出ました32ページと33ページ、陳情第25号と陳情第28号、首里高校内中城御殿跡の保存と首里高校校舎改築の早期実現を求める陳情についてですが、ことしの2月で調査も終了したということで、今からいろいろ検証等も出てくると思います。実際、この跡地で埋蔵文化財が出てきたところに首里高校をどのようにつくるという計画や図面はでき上がっていると解釈していいのか、その辺の進捗状況はどのようになっていますか。

○親泊信一郎施設課長 設計につきましては、平成22年度に設計を行っておりまして、平成23年度に設計をもとに工事に入ったところ埋蔵文化財が出てきて工事が中止になったという状況でございます。ですので、設計についてはでき上がっておりまして、それをもとに平成27年度に工事に入っていきたいと考えております。

○又吉清義委員 といいますと、でき上がった設計の図面の中には埋蔵文化財との整合性といいますか、これは皆さんとしてはどのような考え方をしていますか。例えば、出た文化財の上にそのまま柱や教室がくるなど、図面変更はなしで進めるお考えなのか。その点についての整合性はどのように進んでいますか。

○親泊信一郎施設課長 校舎の改築部分につきましては、高さ制限の関係から掘り下げて高さを低くするという設計になっておりまして、その校舎が建つ部分の遺跡については撤去する予定でございます。ただ、水場遺構につきましては、校舎の建築場所から離れておりまして、そこについては保存が可能なのではないかということで関係機関と今後調整をしていくと考えております。

○又吉清義委員 意味がわからなかったのですが、例えば、埋蔵文化財が出てきた場所で設計の段階とかぶるところは、1カ所以外はほとんど保存ができなくて、文化財の上に設計どおりつくるしかないという考えで理解していいのですか。

○親泊信一郎施設課長 現設計どおり進めましたら、そういうことになります。

○又吉清義委員 例えば、文化財を残してもらいたいが―お金もかかることで大変かと思いますが、逆に設計変更をすることによって回避できるような場所もあるのかないのかという協議はなされておりませんか。

○親泊信一郎施設課長 先ほど申し上げましたけれども、高さ制限がございまして、その関係で運動場部分につきましては―わかりやすく言いますと、1階程度の掘り下げが必要になってきます。ですので、掘り下げをいたしますと、そこにある文化財については撤去しないと建築ができないということになっております。その辺も十分にこれまで検討してきた経緯がございまして、今の設計で進めるということで考えているところでございます。

○又吉清義委員 先ほどの説明によりますと、皆さんの工程表を見た限り平成22年度に設計ができ上がって、埋蔵文化財が出てきたのが平成23年度以降ですので、うれしいのか、大変なのか―皆さんが大変だということは重々よくわかっておりますが、設計ができた後に、実際整備をする中で埋蔵文化財が出てきてしまったということは、設計を今後いかに変更するのか、回避するのかについて協議はされていないと思っているのですが、協議をしたということで理解していいのですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 工事に入るときに文化財が見つかった場合は、そこで現地保存、そのままの保存ができるかどうかについて協議することが最初の手続となります。これについて立場は違いますが、私ども文化財保護を担当する側からそういう調整を既にいたしております。その中で、設計変更等ができないということになれば文化財が壊れてしまいますので、文化財の保護側からしますと次の方策として、記録保存という形をとります。これは文化財がなくなってしまいますので、この文化財がどういった状況なのかについて詳細に写真や図面や測量、あらゆる学術的な考察等も含めて記録として残します。それが後世文化財の保存活用にもつながりますので、そういう段取りとなっております。今回も、先に那覇市で試掘をいたしまして、その際に今の洞窟や石積みなどがある程度出てきて、結構広範囲な遺構、遺物が出ることがあるということはわかっておりました。その中で設計の変更ができるかどうかも踏まえまして、これは那覇市、建築関係の部署、文化財保護担当の部署―これは、那覇市や県も含めてですが、そういった中で調整をして、これは記録保存でやるということを決めました。

○又吉清義委員 ということは、今、那覇市と皆さんと出てきた文化財に関しては、1カ所を除いてほとんど記録保存ということで折り合いがついたと理解してよろしいですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 当初は、ある程度試掘調査やそれから私どもで少し表土掘削ということで表面を削って調査などもやっておりました。また、それ以降にそれ以外の部分でも文化財が若干出てきてはいるのですが、それを含めましてもやはり設計変更等を介してほかの方法をとるというところまではいかないと判断しまして、これについては庁内で調整をして、その方向で進めております。

○又吉清義委員 正直に言いまして、皆さんも非常に苦しい立場だとよく理解します。校舎をつくらないといけないという中で、出てきた価値あるものも保存するべきであるのか、ないのかと、本当に皆さんが板挟みになって大変だということはよく理解できます。皆さんの工程表を見ましたら、平成32年度が工事完了という日程になっているかと思いますが、文化財についてもどうあるべきかということについて、お互い納得のいく話がなされているのでしたら、これを保護することによって、これは設計変更できる、これはできない。逆に、今まであった設計分をもう少し伸ばして教室を横にふやすこともできないかなど、学校現場であり、保存してもらいたい側であり、学校をつくる側であるし、今一度やるべきではないかと。意見が2つに分かれること自体―後で失ってからでは遅いですし、また学校をつくるタイミングを逃してからでも遅いですし、どちらも大変です。ですから、お互いでここまででしたら譲れますということもぜひ頑張っていただけないか。恐らく、保存する側は保存しなさいと、そして、学校をつくってもらいたい側は―皆さんからいただいた資料によりますと、学校も早くつくらないといけないだろうなと。また今から工事に着工しても5カ年間かかると見た場合には、そういった話をするより、あと半年なり、1年なり、そこまでに結論を出してどうするのかということをお互い明確に立てるということも大事だと思います。今のままでは2つが整合性のないままに進んでいくという感じがしますので、保存してもらいたいという側とも十分話し合いは行われているのか、これがごく最近からなのか、その辺はいかがですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 文化財保護を担当する側からしましては、既に沖縄考古学会から2度ほど要請がありまして、考古学会の中でも文化財を保護する考古学者といいますか、そういった方々が多いのでいろいろな意見がございますけれども、中には文化財行政にかかわった方もいらっしゃいまして、そういった我々の状況もお話をして、私どもの認識としては文化財を保護する立場で側面から応援といいますか、できるだけそういった形でやってくれという形で要請されていると。その際に、当然受益者側といいますか、学校側とすればそれで工事をして校舎を建てるわけですので、そういったところとの調整もあるということも理解はされていると思います。その辺は、これまで要請等を受ける中で説明はしてきております。

○又吉清義委員 説明しているということですが、十分だと妥協をするラインが見えてこないものですから、ぜひその辺は進め方についていま一度考える必要性はないのかなと。それは最終的に皆さんが判断することなのですが、こちらとしてもここまではいいのではないかといった仕分けがあってもいいのかと思います。全部が全部保存をしなさいとは言いませんけれども、最低このラインは欲しいといったことが出てくるのではないかという考えがあります。そして、もう一つ、今度はつくる側で非常に懸念することが、例えば学校をつくるということで申請をする、国に補助金申請をする。そうした場合の補助金は、工事がおくれることによっていつまで繰り越しができるのか。図面を引いた皆さんとしてもいつから着工したいという段取りがあるかと思いますが、補助金との絡みは今どのようになっておりますか。正直に言いまして、幾ら文化財が出てきたからということで3年も4年も繰り越しをすることは不可能かと思いますし、単年度事業の計画もあるかと思いますが、補助金絡みの事業計画はどのようになっておりますか。

○親泊信一郎施設課長 この事業につきましては、一旦中止をしておりますので、平成27年度当初予算で計上してございます。ですので、国庫の補助申請といたしましては平成27年度に入って補助申請を行うと。その上で交付決定を受けて着工していくという段取りとなっております。

○又吉清義委員 個人的には何とも言えない立場ですが、保存してもらいたい部分、学校をつくりたいという部分、両方ありますので、皆さんとしてはできる限り幾らまででしたら時間が許せるのか。ぜひ頑張って、できるだけお互いが納得のいくような形で、おくれる場合にはおくれる側も、納得をしてこの分でしたら譲れると。そして保存する側もこの分でしたら何とかできるなどといった妥協点をぜひ見つけ出していただきたいと思います。それは皆さんが率先をしてやらないとできないことだと思いますので、そういった意味ではぜひ頑張っていただきたいと思います。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 11ページ、陳情平成26年第26号、「高校授業料無償化制度への所得制限や前納制の導入を行わないこと。」ということで、年収910万円以上の世帯については授業料を徴収するということになっているのですが、対象世帯は―生徒数でもいいですが、何名いるのでしょうか。

○識名敦教育支援課長 この制度は、平成26年の4月から新高校1年生を対象に実施されておりますので、今実施されている生徒の1月末現在の在籍生徒数が1万4800名程度おりますが、そのうち1万3500名、約91.4%程度が支援金を受けております。

○西銘純恵委員 そうしますと、910万円以上は1300人でいいのでしょうか。

○識名敦教育支援課長 授業料を納めている生徒が1280名、8.6%程度となっております。

○西銘純恵委員 910万円以上ということで1280名が授業料を払っているということなのですが、払われている皆さんから学校現場等に対して、同じように無償にしてほしいという声はないのでしょうか。

○識名敦教育支援課長 無償にしてほしいという声は特にありません。

○西銘純恵委員 県の教育庁までは耳に入っていないということだと思いますが、同じ教育を受ける中において所得の差で―そもそも910万円というラインにしたことに問題があると思っておりますし、無償化に向けて全て払わないで済むようにということについては県教育庁としてはどのようにお考えですか。

○識名敦教育支援課長 これは全国的な制度でございまして、委員おっしゃいますようにおよそ910万円以上の世帯からは授業料を徴収すると。また一方で、それを財源として低所得者向けに非課税世帯に奨学のための給付金という制度も創設してございますので、それはそれでいろいろな施策が講じられているのではないかと考えております。

○西銘純恵委員 パイを1つふやさないで、高いところから取って低いところにという話が教育の中であっていいのかと。そして、その前には一時期であっても授業料を無償と。そしてほかのOECD―経済協力開発機構加盟国では大方の高等教育が無償ですよね。ですから、そういう意味では県の教育庁の考え方として、国の制度だからそこで済むということなのかと。やはり、無償にということをいま一度要求する―全国教育長会議があるのでしたら、そこら辺でもやってしかるべきだと思いますが、そのような話は出てはいませんか。

○諸見里明教育長 本来であれば、授業料無償化は全員を対象としたほうがいいと思います。しかし、国民的な議論を経てこのような形で決着したわけですので、そういう形で進んでおります。九州教育委員長協議会、教育長協議会、全国都道府県教育長協議会等々を通して完全無償化の実現を求めて要求をしているところでございます。

○西銘純恵委員 ぜひ、積極的にその活動を続けていただきたいと思います。
 次に、12ページ、陳情平成26年第27号、少人数学級について。先ほど、処理方針の変更を説明しておりましたが、平成28年度は着実に少人数学級を推進してという内容になっていました。そして、平成27年度にやることが教室不足のところを加配にするということでしたが、実際に先ほど数字を聞きましたら、本当に偏った市でした。ですので、これは教室の増設をするということを市に求めないと今後の学級をふやしていくということの足かせになっていくと思います。それについてはこれまでも少人数学級の推進をされているのですが―うるま市、浦添市、宜野湾市、那覇市ですか、そことの具体的な施設建設についての話し合いはどうなっているのでしょうか。特にはやっていないのですか。

○新垣健一学校人事課長 各小学校を含めての校舎建築につきましては、具体的に進めているということではありません。いわゆる少人数学級につきまして、市町村において学級編制が行われているということと市町村立の学校につきましては、当該市町村の児童生徒の教育に責任のある市町村が教室の増築等についても一義的に判断するということがありますので、その辺まで突っ込んで議論はしていないということでございます。ただ、昨年度、市以外に読谷村も入っているわけでございますが、その教員と話す機会がございました。その際、やはり市町村におきましては、将来の児童生徒の数を見ると本県においてもどんどんふえていくということではなくて、少しずつ減っているという状況でございます。そういったことを踏まえまして、短期で考えること、長期で考えることを市町村なりにいろいろと工夫していらっしゃる中で、施設整備の着工に踏み込めないという事情もあるように聞いております。また、どこまで踏み込むのかということになりますと、例えば、市町村においては従来からの市街地は小規模学校化しておりますけれども、市街地が広がっていく中でだんだんと郊外の学校については大規模化している状況もあります。そういったところは校区の見直し等の検討によって学校のバランスがとれるというところもございますので、一義的には各市町村において施設建築で当たるか、あるいは別の手だてで当たるかというところも含めて検討をいただきたいと考えております。

○西銘純恵委員 今、2点言われたのですが、1つは生徒の伸びといいますのは、頭打ちになるのは何年後ですか。5年後ですか、目の前ですか。

○新垣健一学校人事課長 手元に細かい資料を持ち合わせておりませんが、児童生徒数は少しずつ減っていると認識しております。

○西銘純恵委員 全県の数ではなくて、今教室不足となっているところが問題ですので、今後少人数学級を県として確実に進めるという立場に立ったときにそこも減るということになっているのか、そこの検討が大事だと思います。それともう一つは、県は少人数学級ということで進めましたが、それを実践できない部分があります。具体的に浦添市が小学校で4つ、中学校で1つの5校ですよね。例えば、浦添市ですと浦城小学校が課題校です。ですから、そういう意味ではおっしゃるように分離校の計画等も踏み込んで、どういう計画を持っているのかということを―それは子供たちの教育環境を改善するという一つの目的になりますので、もう少し踏み込んで話し合いができると思います。ですから、そこはやはり新年度でも話し合いを持って、平成28年度から少人数学級をふやすということについて対応できるのかどうか、そして対応できるようにさせていくということも含めて話し合いを持っていくべきではないかと思いますが、いかがですか。

○諸見里明教育長 学級数の増でありますとか、校舎の改築につきましては、当該地域の市町村教育委員会の管轄ではありますが、特に県として少人数学級を拡大する関係上、当該市町村の教育委員会と推進する立場から協議を進めたいと思います。

○西銘純恵委員 小学校1年生、2年生、3年生、そして中学校1年生において少人数学級は既に実践されておりますけれども、教育内容の難しい学年などいろいろ検討があると思いますが、平成28年度の予定学年といいますのは一定程度検討はなされたのでしょうか。平成28年度にどの学年に持っていくかということについては全く白紙の状態ですか。

○新垣健一学校人事課長 私どもは少人数学級を進めるに当たりまして、当事者である市町村にアンケート調査等を行って検討を進めているところでございます。いわゆる少人数学級を進めるに当たっては、どの学年で進めたほうがより効果的かという聞き方で進めているところでございます。それにより上がってきた各市町村の意向等を踏まえて、庁内内部で検討委員会を設けまして、どの学年で進めることがより効果的かということを検討してこれまで進めてきておりまして、今後ともそういう形で進めていきたいと考えております。

○西銘純恵委員 では、この4学年を進めるに当たっては、必ずアンケート調査を行って決定したということでよろしいですか。そして、次年度についても、これからアンケートをとるということになるのでしょうか。

○新垣健一学校人事課長 これまでも市町村の意向を十分確認の上、行ってまいりました。今後もさらに他学年への進行に当たりましては、市町村の意向を踏まえて検討してまいりたいと思います。

○西銘純恵委員 アンケートは年度早々やられますか。

○新垣健一学校人事課長 例年夏ごろに実施しております。

○西銘純恵委員 2学年同時にということは、あり得ますか。

○新垣健一学校人事課長 今の段階で2学年できますかということになりますと、非常に厳しいというのが正直なところでございます。ことしも教師不足が拡大するのではないかということもございましたし、また、文部科学省―文科省の調査では、少人数学級よりも少人数指導のほうが高学年にいけば効果的だという結果も出ております。そういったことを踏まえまして内部で検討を進めているところでございまして、来年度すぐ2学年できるかということについて、お答えすることは非常に厳しい状況でございます。

○西銘純恵委員 次に、31ページ、陳情平成26年第105号、国旗掲揚及び国歌斉唱について。1つに、今の日本の国歌と言われる歌の歌詞を1番だけ意味を解釈してもらえますか。どんな歌ですか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 君が代の解釈でよろしいでしょうか。

○西銘純恵委員 1番の意味についてお願いします。

○與那嶺善道県立学校教育課長 平成11年の参議院国旗及び国歌に関する特別委員会の中で、君が代の解釈として、「日本国民の総意に基づき、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したもの」とあります。

○西銘純恵委員 普通歌といいますのは、語彙に意味があります。「我が国の」という解釈を国会で言ったと言いましたが、君が代とは何ですか。君というのは誰ですか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 先ほどと少し重複するかもしれませんが、君が代の解釈として君とは何かということですが、日本国民の総意に基づき、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国のことだと考えております。

○西銘純恵委員 この国旗・国歌の法制のときに強制をされるものではないと明確に言われました。ですから、これは大事な日本の戦後教育の出発、そして侵略戦争にそれが大きな影響を与えたという部分があって歌えないという人もいらっしゃいます。それを強制するということに今は問題が出ていると思います。結構あるのではないかと思いますが、新学習指導要領にあります、「指導するものとする」とはどのくらいありますか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 委員がおっしゃいますようにかなりあるかと思います。具体的なものは今持ち合わせておりませんので、必要であれば幾つか代表的なものも提供していきたいと思います。

○西銘純恵委員 卒業式、入学式の国旗掲揚・国歌斉唱について調査をされているということですが、ほかのかなりあるような「指導するものとする」ということについても、県教育庁は全て調査を毎年行っているのでしょうか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 もろもろの調査は生徒指導等も含めて実施しておりますが、国歌に関しては、学習指導要領で入学式、卒業式などにおいてはその意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとされております。文科省が以前やっていた調査を含めて、現在やっている次第でございます。

○西銘純恵委員 「指導するものとする」ということについて調査をかけているということがあれば、後日で結構ですので資料の提供をお願いしたいと思います。調査について、これは毎年調査をすることが義務づけされていますか、罰則規定はありますか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 先ほどの調査の件ですが、教育課程上の学習指導要領に定められた領域について、その報告を求められる場合もございます。義務づけられているかや罰則規定などがあるかということでございましたが、国旗・国歌については学習指導要領に基づいて教員は児童生徒に対し指導しております。しかし、児童生徒の内心まで強制するような趣旨のものではございません。あくまでも教育指導上の課題として指導に努めていくと認識しております。

○西銘純恵委員 お尋ねしていることは、やったかやらないかということを各学校に調査をするところまで、県教育委員会がやらなくていいのではないですかということを聞いています。やらなくていいと思えば、やらなくていいのですよね。

○與那嶺善道県立学校教育課長 先ほど申し上げましたように、罰則規定等はございません。

○西銘純恵委員 やらなくていいと思えば、やらなくていいのですよねということを聞きました。

○與那嶺善道県立学校教育課長 先ほど答弁しましたように、教育課程上の学習指導要領に定められた領域について、各学校の実態を把握するために調査をする場合もございます。

○西銘純恵委員 県立学校教育課長も教育長もよく聞いてください。「指導するものとする」という学習指導要領上のものはたくさんあるけれども、調査をしていないものはあるということですので、調査をする必要はないということを踏まえて今後ぜひ検討していただきたいと思います。
 最後に、32ページ、陳情第25号。首里高校内の中城御殿跡の保存に関してですが、高校建設が5年間おくれていて、見通しについても立つのかというところでとても危惧しておりますが、図面はいつ発見されたのですか。要するに、那覇市でも結構ですが、過去にそういうものを持っていたのではないかと。そうしますと、高校建設案というときに、きちんとした意見のすり合わせといいますか、首里城の城下町となっている部分で景観をどうする、まちづくりをどうするかということがあれば、そこを見越して動いていなければいけないけれども、後手に回っているという気がするので、図面の発見は早かったのではないですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 今お示しいただいた古地図ですね、絵図になっておりますが、これは前々からございます。ただ、これが首里高校の中にそのまま残っているかどうかということはわからないわけです。戦争で爆撃を受けたり、校舎建築のときに掘ってしまったりなどで当初は残っていないだろうという判断も若干あったようです。それで当初、建築する場合には那覇市で事前審査がございますので、そういったところで現況不明ということでわからないという状況がありまして、その後試掘をして確認しましょうという流れできております。

○西銘純恵委員 わからないことは調査をすることが先ですよね。今、陳情第25号を見ておりますが、陳情者によりますと、そこは中城御殿の創建当時のものもありますが、それ以前のもっと古いいろいろなものがあるということも、年代的変遷を解明するようなもっと古い時代の考古学的な場所になっているということも言っております。ですから、文化財を保護するという観点といいますか、沖縄はグスク遺跡群ということで世界遺産登録もしながら、そういう意味では何かそこら辺が手薄なのかということをこの間の対応でとても感じます。今となっては5年目になってということで話されているのですが、きのう現場を見ましたら10万点以上のいろいろなものが出てきてということも言われていて、石積みなどもとても保存の必要があると。考古学的にも、歴史学的にも、沖縄県民の歴史からしてもということをとても感じる場所でした。校舎建築とどうなのかということをとても感じておりますが、今、聞きたいことは、1つに、県民に広く周知を図ってきたと処理方針にありますが、私たち文教厚生委員会の委員もきのう初めて現場へ行くことができたという状況では、広く周知を図ってきたのでしょうか。何名の県民の皆さんに現場を見てもらって、これをどうしようかという県民ぐるみの話がなされたのか、とても疑問に感じます。それについてはどうでしょうか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 発掘調査につきましては、通常何回か現場説明会―これは、文化財がどういった形で発掘されているかということを県民に知らしめるということで通常やっております。今回、首里高校の中城御殿につきましては、考古学会からの要請等もございまして、これまで14回やっております。これは一般県民だけではなく、学校関係者の関心も高かったので、そちらの方々や学校の教員、それから考古学会の方々も含めて全部で2000人超えるような人数となっております。広報としましては、沖縄県立埋蔵文化財センターのホームページにも掲載しておりますし、新聞社・テレビ局等にも広報依頼はかけていると聞いております。

○西銘純恵委員 陳情者の沖縄考古学会も含めて、保存ができないかということで調整をされてきたと言っておりましたが、その皆さんは結論として校舎建築はオーケーですと言ったのですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 考古学会の中でもいろいろ意見があると聞いております。要請があった際に、会長ほか役員の方とも少しお話をさせていただきましたが、考古学会としては、こういう文化財がここにあって発掘をしていることの周知を含めて、どういうものがあるのだということをまず周知してもらいたいということ。そして、できるだけといいますか、価値も判断も含めてそういったことを文化財保護側でしっかりと意見を言ってくださいということでございました。その中では、例えば、必ずそこで全部保存をしなさいという話まではなかったように思います。

○西銘純恵委員 その話し合いについては、記録としてきちんと残されていますか―文化財を残してほしいという意見はなかったと今おっしゃったので。

○嘉数卓参事兼文化財課長 正式な要請の場でやった部分もありますが、実は、要請に来られた方はもと行政にいらっしゃった方もおりますので、ざっくばらんな形での会話等もございました。ですので、メモとして残っている部分と残っていない部分がありまして、今はその部分も含めてお話ししている部分もあるかと思います。その辺は確認してみないとわかりません。

○西銘純恵委員 とても大事な部分が曖昧にされているという気がしています。最後にお聞きしますが、首里城地区全体の計画的な保存と活用については、今後とも那覇市や国などの関係機関と意見交換を行っていくという処理方針となっておりますが、今の首里高校の現場において遺構をそのまま保存するといった場合に、高校をどこに建設するのかという問題もありますし、そこを残して首里のまち全体をどうするのかということについては、これから関係機関と意見交換をしますという話ではありません。先に今のものをどうするのかという結論を出さないと、残るか、残らないかということに逆になるのではないかと思います。保存ができる、できないということが、今、結論が求められている部分ではないかと思います。今、文化財を残さない、学校建築を急がないといけないということでやって、残りの箇所をやりましょうということにはならないわけです。ですから、全体をどうするということの結論がこの5年間でなされていないということも本当に後手後手だという気もします。そこら辺で県議会に学校を早く建築してほしいという教育現場の声と、考古学的にこれは沖縄県民の宝なので残してほしいという2つがぶつかっているので、これは全県的な議論にしないといけない部分ではないかと思いますが、それが関係者との意見調整を行ったと考えられているところに沖縄県の歴史遺産、さらに古代の遺跡も含めてどう考えているのかというところが問われます。そこら辺についてはどう考えていますか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 処理方針につきましては、陳情者の要請書において首里高校内中城御殿跡含めて首里地区全体を視野に入れた計画的な文化財の保存と活用ということでしたので、今回の首里高校の中城御殿の現状も今後の全体的な中でどういうあり方をするか、ということでまとめさせていただきました。ただ、この首里高校の中城御殿跡につきましては、工事が入るという事情もございますので、そこの段階でどうするのかということをまず先に決めないといけない部分があったということでございます。その中で文化財として保存する場合に、工事の設計変更ができるのかどうかということを、通常の文化財の協議の形をとって検討した結果、設計変更が難しいということで、では文化財保護行政上どういう形の保護ができるのかということで記録保存という形をとったわけでございます。先月、調査が終了したわけですが、それもしっかり調査いたしまして、記録を残しておりますので、今後の活用等も含めて首里地区全体の中でどうなっていくのかということにも活用できる方法はあるかと思いますので、そういったことも含めて考えていきたいと思います。

○西銘純恵委員 平成27年2月27日の調査終了まで陳情者の考古学会とも話し合いや調整等をしてきたということをおっしゃったのですが、平成27年3月11日に県議会に陳情が出されています。これは、話し合いが決してまとまっていないということなのです。ですから、そこら辺をもっと慎重にやっていかないといけないのではないですかということを指摘して終わります。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 糸洲朝則委員。

○糸洲朝則委員 32ページ、陳情第25号です。先ほどの答弁で14回にわたり、2000名余りに説明会を実施したという答弁でしたが、処理方針を見ましたら、「一般県民を初め、首里高校の生徒や教職員、市町村の文化財担当者など、広く県民に周知を図ってまいりました。」とあります。文化財担当者がどのくらい来たのかはわかりませんが、果たしてこれで陳情者の意向に沿った対応になっているのかと思いますと、とてもではないですが心もとない。大体県議会の委員会がきのう視察をしたぐらいですので、少なくとも県議会議員や市町村議員には見せるべきだと思いますが、少し甘くないですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 昨日、文教厚生委員会の委員に見ていただいたことはとてもよかったと思っております。現地で説明会を持つということは、説明会に来られる方の安全面などを考えて職員を配置したり、調査をストップさせたり―あと、説明会といいますのは、その時点時点で内容が変わります。一旦掘ったものをまた深く掘ったりしますので、そういったこと等もありまして少し難しいところもありますが、ただ、今回私どもとしてはできるだけ来ていただくように広報も努力をしたつもりでございますし、いろいろな方々に見ていただいたと考えております。ただ、今後の現地説明の持ち方につきましては、委員御指摘の分も含めて、検討させていただきたいと思います。

○糸洲朝則委員 平成27年2月27日に調査が終了しているので、例えば、1月なら1月、2月なら2月と一定期間設けて、この間現地説明をやりますと。そして、一般県民に呼びかけて、その期間人数を決めて入れるということをしないと、この陳情は現場を見ないと議論できません。先ほど、記録保存という答弁もありましたが、記録保存でも写真測量などやりますと大変難しい技術ですし、そこまでやらないといけないと思います。ですから、まずは周知徹底という陳情者の意向を皆さん方がどこまで誠意を持って多くの県民に見てもらって、そしてそこで議論をして、保存していくのか。保存はすべきだと思います。もう一度、周知徹底のあり方というものを、私が今言ったような方法も含めて検討してみてはいかがですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 話を少し戻すようですが、文化財保護行政では、文化財の保護という部分と―当然、これは工事が入って、文化財保護をどのようにやるのかという部分ですので、法律の中にも関係者の所有権や財産権を守らないといけないという部分もありまして、そういった話し合いの中で決めていくということもございます。今回の場合は、学校関係者のほうで非常に支障があるという状況もございました。そういった中で学校関係者への説明会も持って、この状況を説明いたしましたし、一方で、できるだけ早くという部分もありましたので、私どもとしてはできるだけ保存する側の要請に応える部分も進めながらやってきたつもりではございます。ただ、この辺の議論についてどうであったかについては、いろいろ御意見等もあるかと思いますが、私どもとしては要請者も含めて―考古学会の会長さんなどはこの間も電話等でお話しさせていただいたのですが、考古学会としてはできるだけそういうことをやっているのだということも含めて、今回出したというお話はございました。

○糸洲朝則委員 記録保存という答弁もあったのですが、どの程度の記録保存をするのですか。写真測量というのはやっていますか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 記録保存は後世に全て残しますので、遺物、遺構をGPSを使った測量をしながら、どこで何がどのような形であったのか。そして、出てきた物については全て図面、写真にして、そういったものを一つの刊行物として残します。データも残っておりますので、当然後々そういったものを展示したり、いろいろな方が研究なり、ごらんになることができるという形になっております。なぜ記録保存なのかというところですが、今回、記録保存なのか、現地保存なのかという部分もございまして、我々はいろいろと検討いたしました。先ほど申し上げましたように、これは文化財を保護する側と工事をする側がお互い協議をして決めることが法の趣旨なのですが、文化財側としても今回中城御殿をどこまで残すのかという検討をした際に、どうしても太平洋戦争での爆撃があったり、そういった部分で状態が攪乱―わからなくなっている部分もかなりありまして、どこまで文化財として活用するのかという部分では現地保存までは持っていけない、これは記録保存でやろうという部分もございました。そういったことも含めまして、重々検討をしてきたつもりでございます。

○糸洲朝則委員 一番いいのは今のまま残すほうが文化的価値から考えてもいいと思います。しかし、割を食うのは生徒たちですので、このことも考えなくてはいけないということにジレンマがあると思います。ただし今、記録保存というとかなりこれは時間がかかりますよね。どのくらいを見ていますか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 今回の発掘調査につきましては、遺物も結構出ております。実は、今は史料を発掘しただけです。この史料を全て整理しまして、学術的にも分析をしながら、報告書という形で後世に伝えられるようにまとめていきます。二年、三年ぐらいかけてそういったものを作成していきます。

○糸洲朝則委員 二年、三年かけてやるとの答弁でしたが、首里高校側は工事を早く始めてほしいと言っております。ここの現場調査は既に終わっているのですか。完全に図面化しているのですか。例えば、石垣などは難しいですよ。

○嘉数卓参事兼文化財課長 実質的に現場に入ったのは、昨年の7月末ですが、先月の2月27日で測量をして、写真も撮って、必要なものは全て完了しております。

○糸洲朝則委員 今、図面を見ているのですが、今の場所に校舎を建てて、そして、今、校舎があるところを運動場にするのですよね。記録では今の校舎があるところも何か出てきそうな雰囲気ではないですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 当然、文化財が想定される場合―今回、グラウンド側で出ておりますが、この古地図にも昔の屋敷跡の絵が描かれておりますので、試掘という形で文化財があるのかどうかということを確認します。それをもって、保存するにはどうしたらいいのかということを検討しながら作業を進めていくことになります。

○糸洲朝則委員 結論を出すにはまだ早いと思いますが、少なくとも記録を残して、今の遺構などを壊さないように埋め戻せば残るのです。そういう保存の仕方もあります。建物を建てて、がんがんやってしまいますと、みんな壊れて取り返しのつかないことになります。したがって、もう一度グラウンドにして、校舎は近くにつくるなどいろいろ工夫を―報告書等を二年、三年もかけてやっている間にまたいろいろな話が出てきますよ。そこまで議論はしていますか。文化財を埋め戻して保存すれば、文化財としては守られるのです。次の世代がこれをどうするのかについて考えればいいのです。

○嘉数卓参事兼文化財課長 おっしゃるとおり、埋蔵文化財の保存についてはそのままにして、上に土を積み、そこに建物を建てるという場合もあります。ただ、今回は校舎を建てるということがありまして、そういったことも進めながら残せる方法を考えて、その中で景観条例との関係でどうしても下の部分を切らないといけないということなども含めていろいろ試行錯誤しましたが、やはりその部分はどうしても削られてしまうと。そうしなければ校舎を建てることができないということなどもございました。そういったところで、ただこの文化財は残さなくてはいけないということで、記録をとって保存するという形で考えております。これは当然試掘をした那覇市の意見といいますか、そういったことも含めて協議を行って決めているところでございます。先ほど二、三年かかると言いましたが、現場調査は終わっておりますので、そのまま工事に入ることができます。あとは、出てきた遺物、史料の整理をして、沖縄県立埋蔵文化財センターでいろいろ作業をしながら刊行物にまとめていくということでございます。

○糸洲朝則委員 これは基礎図面だと思いますが、丸く書いてある部分は何ですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 今お示しの図は、工程管理図と書いたものでございますか。

○島袋登仁雄技術調整監 丸い表示は、地盤改良のために筒状に穴をあけてコンクリートを流し込むという工法になっているものでございまして、確かに深さがこの部分は出てきます。

○糸洲朝則委員 セメントミルクを注入して、恐らくパイルがわりになるようなものだと思いますが、いずれにしましても、こういった図面を見る限り今出ている石積みや水場―水場は少し外れていますが、完全に壊れますよね。跡形もなくなると。したがって、これは関係者だけではなくて、一般県民にも広く周知をして、みんなで議論を行って結論を出してもいいのではないかと思っております。もっと早く見るべきだったと今、後悔していますが、那覇市の議員たちも見ていないですよね。

○嘉数卓参事兼文化財課長 知っている範囲では、お一人、市議の方がごらんになっているということは聞いております。

○糸洲朝則委員 これは県でも時間をかけて議論したいぐらいですが、那覇市も当事者ですので―そこにも陳情は出ていると思いますが、向こうの方々にも見てもらうなどいろいろ周知徹底など工夫をしていただけませんか。1人でも多くの方に見てもらって、そして議論に参加してもらうということをやってもいいのではないかと思いますが、いかがですか。

○諸見里明教育長 これは大変難しい課題でして、一方では貴重な文化財があり、そして他方では首里高校の生徒たちや保護者、同窓会から一刻も早く建築してくださいという要請が大変強いです。今、恐らく資料が手元に行っているかと思いますが、学習環境が大変な状況でして、大変申しわけないのですが、きょう御理解いただきたいことは、4月には予算の要請をしなければ間に合いません。これ以上延ばしますと、恐らく同窓会を初め、大混乱するのではないかという状況でして、これと並行しながら今委員がおっしゃいましたように、もっと周知を行って、今やっと丁寧な記録保存―図面、写真など詳細な記録作成を行って、今回報告書を刊行する予定でございます。報告書には、どの位置で、どの高さといったことは全て記録されますので、これを残した形でやっていくしか今のところないのではないかと思います。並行してぜひ4月からの予算の要請はさせていただきたいと思います。

○糸洲朝則委員 確かに、これはどこかで決断しなければいけないですが、どっちに転んでも厳しいと思います。そこを我々もどう判断していくかということがこれからの議論になると思いますが、教育長の言いたいこともよく理解できますのでもう少し悩んでください。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 幾つかありますが、今ちょうど首里高校の問題がありますので、そこからお願いしたいと思います。
 まず最初に、遺跡に対して、教育庁の価値や重要性に対する認識についてお聞かせ願いますか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 先ほど来から遺構の価値といいますか、そういったことでお話が大分出ておりますので、少し補足させていただきたいのですが、確かに水場遺構や石積み、石列などが当時を思わせるような形で残っているところがございますが、ただ私ども文化財を担当する者として―例えば、その活用のあり方として将来復元であったり、文化財として指定をしていろいろ活用していくという部分がございますが、今回の場合、中城御殿の建物があったかを示すような礎石や柱跡といったものは今は出ておりません。石積みとしてそういった部分は出ておりますが、そういった点では将来的な活用のあり方としては少し足りないものがあるのかという部分はございます。そういったこと等も含めて、今回こういう判断になったということも御理解いただきたいと思います。

○比嘉京子委員 首里城のバッファーエリアとして、この地域が大変重要な地域であるということは周知の事実だと思いますが、皆さんは首里城が世界遺産になった理由といいますか、根拠はどう理解していますか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 首里城について、戦前は国宝ということもございましたし、一番大きいことは、首里城は図面といいますか、成り立ちというものが全て残っておりまして、そういった意味で文化財としても復元という意味で価値がございますし、グスク時代の象徴という部分もございまして、世界遺産ということでの登録につながった部分があるかと思います。

○比嘉京子委員 図面があり、復元ができたことは、首里城が世界遺産になった理由だという認識ですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 正殿の遺構が残っておりまして、それをもとに図面等も含めて復元できたということも大きかったと聞いております。

○比嘉京子委員 まさにそのとおりで、審議会であります国際記念物遺跡会議―イコモスが、首里城の消滅したものを再構築しただけでは世界遺産にはならないと否定的な見解でした。正殿の中にアクリル板で下の遺構が見えるように残っています。それが事実としてそこにあり、その上にレプリカを建て―ですから、首里城をつくっただけでは世界遺産にはならなかったという事実があります。その重さを考えますと、先ほどからの答弁は、その上に今からつくる理由がないとか、爆破された後であるといろいろおっしゃいますが、今見つかっている石積みの価値はどのようにお考えですか。専門家がおっしゃることは、大方それを取り上げておられます。その石積みの価値をどう理解されているのですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 石積みとしては、きれいに残っている部分は発掘で出てきましたので、それはそれで昔を思わせるといいますか、判断できる部分として貴重だと思います。ただ、文化財指定する場合の考え方や文化財の価値を判断する場合に、例えば、中城御殿であれば、中城御殿が屋敷としてどういった形であったのかという検証ができる遺構や礎石、柱跡といったものがないと文化財指定に持っていくことができませんし、そういったところでは少しまだ不十分という部分がございました。

○比嘉京子委員 この遺構が世界遺産に準ずる遺構であるという理解はありますか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 先ほど申し上げましたように、遺構の状況、出土物の状況等を踏まえましても、そこを例えば世界遺産の追加ですとか、世界遺産とどうかということになりますと、少し足りないということです。

○比嘉京子委員 その石積みは、通常の石積みと特徴を異にしていると理解しているのですが、同じような認識ですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 首里城の場合は、首里城跡ということで、遺構が史跡として世界遺産ということでありまして、今、上に復元している正殿自体は世界遺産ということではないということのようです。当然、中城城跡などについては、もともとの石積みもかなり出ておりますので、そういったところではありますが、首里城の場合はそういうことのようです。

○新垣悦男総務課長 遺構の価値ということですが、今世界遺産に指定されております遺跡がございますが、この遺跡の趣旨は琉球王国の関連遺産群という趣旨でございまして、イコモスが発表した報告書によりますと、中城城跡がメインで、交易によって繁栄した琉球王国の成立過程が見えるということで一括して指定されております。そういう意味で、首里城の価値といいますのは、上の石垣や構造物はレプリカで、世界遺産としての価値はほとんどありません。価値がありますのは、今おっしゃった正殿の中の―幾つか焼失しているのですが、遺構が3つほどございまして、その石垣が残されているがために首里城も加わっているという状況です。そういう意味から考えたときに、今の中城御殿の跡地といいますのは、どういう石垣だったのか、屋敷がどういう形であったのか、本物がどれなのかわからない状況がございます。ですから、世界遺産として指定する場合については、それが本物であるという証明が必要ですが、そういった資料がありません。それからしますと、今の中城御殿の跡地はまず厳しいと。それと並行しまして、中城御殿というものは御承知のとおり、旧沖縄県立博物館跡地になっていますので、そこを復元しようと。今の首里高校跡地から出ている中城御殿をなぜ廃棄したのかと言いますと、建物が老朽化している、石垣も崩れているということがあって移ったという記録がございます。そして、そのときには使える材料も全て持っていってしまっているという状況がありまして、向こうに今残っているのは廃墟と評価されております。そういうことで、一時野ざらしになっていたということが記録に残っております。そういう意味から考えますと、やはり厳しいということが言われております。

○比嘉京子委員 ここを世界遺産にしようということではなくて、今、事実として400年前、17世紀から19世紀のものだということで、そこから10万点ものさまざまなものが発掘されて、石積みがある、そして歩道といいますか、歩いた場所に工夫がある。こういう場所を私たちみんなで価値について考えきれないとなかなか話が進まないのではないかと思います。もう一つ言いますと、その価値と同時に首里高校の建っている場所は、歴史的にどういう場所でしょうか。中城御殿だけではなくて、どういう跡地ですか。

○新垣悦男総務課長 1600年代に中城御殿は王子が入るところとして建設されましたが、その後しばらく王子はそこにおられて、そばに別邸の大美御殿があり、その一帯に確かに王家関連の地区があったということは承知しておりますが、今の首里高校自体も国学から旧制中学校の第一中学校―一中となったという流れがございます。それだけ価値があると思います。

○比嘉京子委員 御殿から一中にすぐ飛ばされたので手を挙げてしまったのですが、琉球政府が最初に国学を建てたところではないですか。その後が一中であり、今の高校ではないですか。

○新垣悦男総務課長 国学は、今、沖縄県立芸術大学があるところにあったようで、そこから移ったと伺っております。ですから、旧制中学校ができたときからなのかなということは、言われております。

○比嘉京子委員 言ってみれば、首里城周辺にあります王家ゆかりの玉陵や守礼門含めて、その一帯がバッファーゾーンであったということは確かです。しかも、旧沖縄県立博物館跡といいますのは200年ぐらい後のもので、ここは200年前のものだと今言われております。そこをどうするのかということではありますが、まず私としてはここが非常に重要であるという認識をお互いに持っているのかどうかということが先にあり、首里高校の前代はどういう場所であったかということも含めて考えた上で、今後の質疑をしたいと思います。今みんなが評価している石積みが、きのう我々が見たら、3層になっていたわけです。ですから、非常に位の高い人たちが―いわゆる土砂で1回崩れても、2回崩れてもというような危機管理体制を非常に厳重にやってきたという跡であるということもきのう学びました。本当は全部つながって整然とした石積みを、中を見るために横から崩したわけです。石積みを中間地点で崩し、中を掘って、どういう構造になっているのか、きのうはそういう昔の人の技術的なことも含めて見ることができました。そこで、先ほどから那覇市の景観条例のお話、それから高さ規制のお話が出ていますが、埋蔵文化財発掘後、那覇市と皆さんはどのような協議をなさったのでしょうか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 試掘等で中城御殿のものが出てきたときに、那覇市、施設関係の部署と協議をしながら記録保存の方向でいろいろ動いてきております。ただ、その際に、那覇市の都市計画課都市デザイン室と景観条例の何か配慮ができないかということで、調整はしております。ただ、やはり校舎の大きさなどといったところで厳しいと。また、具体的な文化財の保存をどうするのかということ等も含めて厳しいというお話がございました。沖縄県としては、総合的に首里高校の現状等も踏まえて検討した結果、記録保存ということで決定いたしまして、その後景観条例の件につきましては調整はしておりません。

○比嘉京子委員 他の委員からの質疑の中で、高さ規制があるので、どうしても掘らざるを得ないと。今は記録保存だと皆さんお決めになっていると。その上で私としては、両方をどうやって調和させていくのかについて、皆さんがどれくらい汗をかいたのか、努力をしたのか、模索をしたのか、そういうことをぜひ教えていただきたいと思います。

○親泊信一郎施設課長 高さ制限の緩和という観点で答弁をさせていただきたいと思います。これまでの学校との調整の中で、現在地での改築を強く希望しているという状況がございまして、それを踏まえて我々としましては、現地で掘り込んでの建てかえということで進めてまいりました。以前、那覇市の高さ制限の緩和についてもっと調整ができないかといったお話を持っていったときに、具体的な計画を踏まえないと調整ができないというお話でございました。そういうことからしまして、今現在、我々といたしましては、現地での現設計をもとにしての改築という観点で進めておりますので、高さ制限の緩和についての調整を行う予定はないということでございます。

○比嘉京子委員 私はそこだと思います。この両方をどうやって尊重しようかという考えがそもそもないと思います。ですから、記録保存ありきで走り、設計変更なしで走ろうとするので、どうしてもぶつかり合ってしまいます。高さ規制だと多くの議員におっしゃっていますが、那覇市としては県がどういうスタンスで、何をどう守りたいのかが見えないのです。那覇市にどういった高さ規制があるのかということを問い合わせました。彼らとしては、一応の目安は安国寺で―ここに安国寺があります。今の図面からいいますと、安国寺よりかなり低いです。そうしますと、例えば石積みだけでも残そうと考えた場合に、首里城のように遺構をしっかりと下に残してずらすとか―中庭に面するところにするか、図書館のロビーにするかどうかはわかりませんが、皆さんが何をしたいのかがないのです。那覇市は、一旦そうは言ってはいますが、図面から見る限り低いのです。もう少し踏み込んで聞きましたら、具体的に諸事情が上がってきて、龍潭通りなどの高さに関しても、これは民間の建物をやるときでも、それぞれの家庭の事情で那覇市に具体的に案を持ち込んでくる。そうしますと、そこは那覇市建築審査会にかけて、二、三メートルというように高さを認めている事例が多々あるようです。ですから、沖縄県は何も働きかけていませんし、自分たちがつくった基本設計から変更しようという意識もなく、相談もありません。スケジュールどおりにやろうと今思っています。つまり、記録保存ありきできているところに問題がないのかを申し上げたいのですが、教育長どうですか。

○諸見里明教育長 首里高校の設計に関しましては、設計前の段階から、それから設計を通しても、那覇市とはかなり調整をやってきています。そのたびごとに設計の変更もありましたし、さらに図面の設計をして、それから再度那覇市との協議も進めてきております。そうした中で、どういう形でしかできないという感じで進めてきたときに遺構が見つかって、それは大変貴重なものであるということは理解しておりますが、今、お話を聞いてもこれをそのまま残すというよりも、我々の選択肢といいますのは、改築に走らないといけないと。生徒や保護者、同窓生をいつまでも待たすわけにはいかない状況もございまして、9月には着工できないと厳しいと思っております。

○比嘉京子委員 当初、この遺構調査は何年を予定していましたか。私の記憶によりますと、9年かかるという報道をしませんでしたか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 文化財の調査としましては、今の建物等で4年、反対側で2年の6年。それに建築の年数を入れて9年だという理解でございます。

○比嘉京子委員 それで今何年になっているのですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 発掘調査の部分としては、民間の発掘をかける業者を使ったり、予算を継続的に執行できる形にするということで、実質的にかかったのは一昨年の8月からですので、1年と少しです。ただ、その前に準備期間等がございますので、半分程度にはなっているのかと思います。

○比嘉京子委員 確かに、学校におけるさまざまな不利益というものは認めます。我々もそれは何とかしなければいけないと同じ思いです。ですが、横でそれだけのものが出てきている、そして生徒たちもそのことを今どれぐらいがわかっているのかはわからなくても、教育的にもこれを大人たちがどう扱ったのかということが後々検証されるだろうと思います。生徒たちが成長したときでも、今でも。今、調査においては皆さんの努力で早目に調査が終わっています。平成25年の8月からと書いてありますので、終わっています。そうしますと、例えばPTAの要請、那覇市との調整にしても、これだけのものが出る以前の話ですよね。PTAからの要請も早くつくってほしいでした。そして、そのPTAの要請を出した人に遺構を見ましたかと問い合わせをしたら、見てないと。知らないと。つまり、皆さんが今おっしゃっている理由の大半は、これだけのものが出てくる以前のものにかなりかかっているというのが私の理解ですが、いかがですか。

○諸見里明教育長 大変苦しい立場です。もう一度、那覇市、考古学会、学校、同窓会等々を交えて、設計も含めてどうできるかについて協議の場を設定しようと思います。しかし、4月からの予算の申請は待ったなしですので、これも並行して検討させていただけないでしょうか。その間何カ月かありますので、それでさらに周知の方法などをもう一度検討する場を持ちます。この辺で進めさせていただけないでしょうか。

○比嘉京子委員 ぜひやっていただきたいのと、ありき論では決してみんなと議論をしないということをぜひ約束していただきたいと思います。やはり、早く建設をとか、予算がなどと近視眼的になりがちですので―これは何百年前の問題ですから、近視眼的にならずに、それをどう考えるのかということが我々に問われていると思います。これはもしかしたら大々的な議論になるかもしれません。そういうことも踏まえて、ここで見誤ってしまってはいけないと思いますし、ぜひ教育長にはみんなの意見を調整して、みんながある程度納得できるような意見にきっとなってくださると思いたいので、ぜひともそこはお願いします。
 次に、25ページ、陳情平成26年第79号、西原の問題について。処理方針に、「全国都道府県教育長協議会を通して、国へ要望しているところです。」とありますが、見通しはどうでしょうか。

○座安純一保健体育課長 毎年、全国都道府県教育長協議会で教育問題等についての調査がありまして、そこで教育長から会議で学校事故、救済等も含めながら要請をしているところでございます。特に今のところは返答はないのですが、毎年要求をしているところでございます。

○比嘉京子委員 他府県からも同様の要望等といいますか、意見交換の中では他府県はどうなのでしょうか。

○座安純一保健体育課長 特にありません。

○比嘉京子委員 これは、きのう決定がされて、さまざまに、ある種の結論が出ているようですが、教育長として西原町の結論に対してコメントがありましたら、伺いたいと思います。

○諸見里明教育長 西原町とは電話で2回、最近もお会いしました。私の印象としては、西原町も本当に頑張っていらっしゃると。貸付条例、それと並行して市町村の損害賠償、この担保もやりながらさらに今般―きょうの新聞ですが、給付型の条例を創設したと。中身については新聞記事の段階でしかわかりませんが、こうした形で子供のためを考えて一歩前進したということは大変評価したいと思います。

○比嘉京子委員 県としては、市町村の対応についてこれ以上できる範囲は大体出尽くしているという理解ですか。

○諸見里明教育長 私どももいろいろとどういう形で意見ができるのかということは悩んでおりまして、これは一義的に町の問題だという向こうからの認識も心得ております。こうした中でいろいろな形で進めておりますので、我々としても何ができるのかというところで、学習支援などをやっていきたいと思っております。

○比嘉京子委員 糸数健康長寿課長が見えておりますが、この問題について質疑してもよろしいですか。今、脳脊髄液減少症について、国の動向はどのような状況ですか。

○上里林薬務疾病対策課長 脳脊髄液減少症は、いわゆる難病法でいいます指定難病ではなくて、普通の病気です。今問題となっておりますのは、治療法でありますブラッドパッチ療法が保険適用外なものですから、これを保険適用とするための先進医療という作業に入っております。その療法以外の部分は先進医療があると保険適用されますので、ある意味治療費が30万円だとした場合に自己負担が大体8万円ぐらいで済むという状況で、それを今国は保険適用にするかどうかを症例等を見て判断するという作業に入っておりますので、症例が集まり次第保険適用になるだろうと考えております。

○比嘉京子委員 2ページ、陳情平成24年第104号。18ページ、陳情平成26年第53号の2つに関連して、公立幼稚園の預かり保育の件でお聞きしたいと思います。今、特に5歳児の、特に学童問題、放課後問題等が顕著になっていて、この間も県内における附属幼稚園での預かり保育の拡充はどのようになっていますかとお聞きしました。拡充後の人員体制も含めてもう一度確認させていただければと思います。

○大城朗義務教育課長 今、市町村では、公立幼稚園の預かり保育の拡充について検討がされており、平成27年には1700名の定員増が見込まれております。この人数については、去る3月12日の文教厚生委員会の予算審査の際に1400名とお伝えしましたが、その前後に市町村からデータの変更がありまして、この場で1700名に修正させていただきたいと思います。それから、幼稚園教諭の増員等についてですが、現数で対応を予定している市町村は約30市町村。平成27年以降増員を予定している市町村が11市町村ございます。

○比嘉京子委員 午後の預かり保育が非常に手薄といいますか、資格を持たない人をお願いしてでも人手が足りないという現状が那覇市にもあります。そういうことも踏まえまして、前にも言いましたが、質の問題ということもありますので、そこら辺の人員確保に対する手だて等と親から強い要望のあります給食をどうするのかという2つの課題をぜひ前進させていただくようにお願いして終わります。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 赤嶺昇委員。

○赤嶺昇委員 10ページ、陳情平成26年第10号、普天間高校の件についてですが、現状はどうなっていますか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 各関係部局、宜野湾市と調整をしているところでございます。

○赤嶺昇委員 いつから調整をして、どれくらいの期間がたっていますか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 平成26年に調整を始めて、今、知事部局等と―きょうも実は担当が財政課と調整をしております。実際に移転に向けて何が課題なのかどうかも含めて精査をし、調整をして進めているところでございます。

○赤嶺昇委員 陳情は、平成26年2月18日に出されて、今はもう3月です。1年たって宜野湾市と調整をしていると言っていますが、少し時間がかかり過ぎではないですか。これだけをずっと処理していて、きょうも調整をしていたと。結局は、ここに移転するという方向で調整をしているのか、そこから教えてください。

○與那嶺善道県立学校教育課長 知事部局の財政課、企画部も含めて移転についての方向性で、何が課題なのか、移転理由などの課題を精査しながら今は調整しているところでございます。方向性としては、移転に向けて、極力、国に要請していけるのかどうかも含めて調整をしているところでございます。

○赤嶺昇委員 最初の答弁で宜野湾市と調整をしていると言っておりましたが、宜野湾市はどういう要望をしているのですか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 宜野湾市長が昨年の11月5日に県知事、それから教育長へ普天間高校の西普天間住宅地区への移設に向けて、要望書等を手交しているところでございます。

○赤嶺昇委員 では、宜野湾市長は西普天間住宅地区に普天間高校を移転したいということを明確に要望しているということで理解していいですか。

○狩俣好則県立学校教育課副参事 宜野湾市長からは、普天間高校の西普天間住宅地区への移設について要請があります。

○赤嶺昇委員 そうしますと、先ほど宜野湾市と調整をしていると答弁していましたが、宜野湾市の方針は明確ですよね。ですから、最初の答弁は違うと思います。要望も出しているわけですよね。これは、宜野湾市側の問題ではなくて、こちら側の問題ではないですか。

○狩俣好則県立学校教育課副参事 普天間高校の移設に関しましては、現普天間高校の跡地利用も含めまして、宜野湾市とは調整をしているところでございます。

○呉屋宏委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、赤嶺委員から、宜野湾市の移設要望が明確であるのかを答弁するよう指摘がされた。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 狩俣好則県立学校教育課副参事。

○狩俣好則県立学校教育課副参事 普天間高校の移設に関しましては、現普天間高校の跡地の再開発も絡んでいまして、それから宜野湾市から要請がございました。

○赤嶺昇委員 去年の2月10日に「今後、宜野湾市及び関係部局等と具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。」という処理方針が出てから1年がたっています。1年間処理方針が何も変わらない。なぜそんなに時間がかかっているのかということを明確に答弁してください。

○狩俣好則県立学校教育課副参事 この件につきましては、宜野湾市、国、県が参加する協議会等にも私どもも参加をして、いろいろ調整を重ねておりまして、西普天間住宅地区の跡地利用の観点から返還地のモデル的な利用ということもその中に入っております。そのことについても関係部局の企画部、宜野湾市とずっと調整をしているところです。

○赤嶺昇委員 処理方針は変わらないということで、あえて指摘させてもらっているのですが、これはもう一度お聞きしますが、宜野湾市の要望に沿って西普天間住宅地区へ移すという前提で皆さんは動いているのですか。それとも、そのことについても方針があるのか、ないのか。そこを教えてください。

○狩俣好則県立学校教育課副参事 現時点で、移す方向で検討を進めているところです。

○赤嶺昇委員 そうしますと、あとは国との関係などいろいろあると思います。県がしっかり宜野湾市と一緒になり、地元の生徒の皆さん、PTAの皆さんも含めてその方針に向かっているということを明確にしてもらって、今後どのように取り組んでいくのかということを、そろそろ示したほうがいいと思いますが、いかがですか。

○狩俣好則県立学校教育課副参事 現在、さまざまな課題がございますので、そのことについて課題解決の方法を模索し、また国にも調整に伺う予定にしております。それらを踏まえて課題が解決できればという方向で検討をしているところでございます。

○赤嶺昇委員 課題等というのは、結構難しいですか。クリアできそうですか。

○狩俣好則県立学校教育課副参事 現時点でまだ国と直接接触しておりませんので、どの程度難しいのかどうか、これについては今のところまだわからないという状況でございます。

○赤嶺昇委員 これについて1年以上たっていますので、次の議会までにまたどのように進んでいるかということを処理方針含めて、対応をしっかりとお願いしたいと思います。これは要望です。
 次に、6ページ、陳情平成25年第118号の2、沖縄県婦人連合会の活動支援について。沖縄県行財政改革プラン―行革プランなどいろいろと処理方針は述べておりますが、全て一律で予算カットをすることがいいのかどうかを含めて、今回、翁長県政の公約と照らし合わせて、処理方針も考えなくてはいけないのではないかと思いますが、いかがですか。

○平良朝治生涯学習振興課長 今、委員からございましたとおり、知事の公約にもなっておりまして、子供会等関係団体の補助につきましては、これまでも大会等を補助してきたところでございます。今回、新たな知事の公約の中で基金の創設がございまして、これをまた教育委員会のみで検討というわけにはまいりませんので、関係部局が調整の上、多方面から取り組む必要があるものと考えております。

○赤嶺昇委員 教育委員会は、沖縄県青年団協議会も担当ですか。

○平良朝治生涯学習振興課長 そのとおりです。

○赤嶺昇委員 青年会、婦人会もそうですが、地域のいろいろな団体の支援を―これは、翁長知事の公約でかなり強調されている部分ですので、今回、間に合わなかったと思いますが、教育委員会だけでなくて、次年度に向けて、この取り組みもしっかりと横断的に取り組んでいただきたいということを要望します。
 最後に、33ページ、陳情第28号、首里高校の件について。先ほど、教育長がおっしゃった4月に予算要求をしなければいけないということも含めて、私たちもきのう現地を視察して、これは大変だと思いつつも、一方では子供たちの学習環境も早目に確保しなければいけないという非常に難しい部分だと思います。今、発掘調査に5年間時間がかかっているということですが、首里高校の募集定員についてはどういう状況ですか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 一般入試の最終倍率で申し上げますと、平成26年度が1.12倍、平成27年度が1.20倍でございます。

○赤嶺昇委員 気になることは、子供たちは首里高校を目指している中で、長年ずっと老朽化やグラウンドが使えないなど、大変負担がいっていると思います。首里高校は伝統のある学校でもありますし、子供たちの教育環境を早目に対応してもらいたいと思っておりますので、しっかりと進めていただきたいと思っております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 嶺井光委員。

○嶺井光委員 首里高校の件について、大変悩ましいことかと思いますが、中城御殿は首里城史跡と一つと見ていいですか。どう捉えていますか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 中城王子の御殿ということで、中城王子は次期国王ということですので、首里城と一体ということでよろしいかと思います。

○嶺井光委員 首里城は国指定城跡ですよね。これに関連するものであれば、追加指定という議論は出なかったのですか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 先ほど来、少しお話をしておりますが、いわゆる文化財といいますのは、市町村指定もあれば、県指定、国指定もございます。首里城跡につきましては、史跡ということで国指定ですので、そういったこともお話であるかと思いますが、私ども文化財課としましては、今の現状の発掘状況等々を鑑みても指定に持っていくには、まだまだ不十分だと考えております。

○嶺井光委員 首里高校の建築の問題など、これまでの使われ方を総合して、こういう結論に結びついてるのかという感じが議論の中からします。というのも、園比屋武御嶽石門も後で追加指定されましたよね。

○嘉数卓参事兼文化財課長 そのとおりです。

○嶺井光委員 そういうことからしますと、私はきのう現地を見て、キーブルダチャーするぐらいのものだという実感です。そういう議論は当然出てくるのかと思っています。さらに、私の地元の糸数城跡。今は修復も終わりましたが、あそこも石積みがあって、ここまではグスクではないのではないかと素人感覚でそう思うところまでも、後で蔵屋敷だといって追加指定されました。あのような事例からしますと、これは何のためらいもなく追加指定になっていくのではないかと、きのう見て直感で感じましたが、どうでしょうか。

○嘉数卓参事兼文化財課長 それは、当然、専門員や研究者等も見解はいろいろあるかと思います。課内において専門員等で議論もありましたが、中城御殿については、いわゆる世子である中城王子の邸宅ということで、そういった場合には―古地図はありますが、例えばそこの礎石や柱跡ということで、この場所にこういう建物があったということがはっきりわかるような遺構がないと、学術的にも指定という形には持っていけないという議論がございました。県指定でも難しいという話も出ておりました。

○嶺井光委員 専門家ではないので深い議論はかみ合わないと思いますが、先ほど言いましたように、糸数城跡であの部分が追加指定されていったという経緯と比較しますと、これは物すごくはっきり目に見える形で石積みなどもあって、指定してもおかしくない明確なものだと思っております。この議論は恐らくかみ合わないと思うのでいいのですが、これはそういうことで私の感想を述べて終わろうと思います。
 次に、12ページ、陳情平成26年第27号、「30人以下学級」の早期実現を求める陳情について。これはずっと前からたびたび議論しておりますが、処理方針の2番目にありますように、着実に少人数学級を推進していくという処理方針の変更もあって、意欲を強く感じております。ぜひ頑張ってほしいと思います。どの学年に拡大するかということですが、中学校2年生、3年生に持っていったほうがいいのではないかと思います。これは実現を待っていますと、今の子供たちも終わってしまいますよね。ずっと訴えてきておりますが、気になることは、結局条件が整わない―つまり、教室がないということで実際にクラス分けできないという現状がありますよね。このことについて教育長も答弁しておりますように、新年度からはこのような教室がなければチームティーチング―TTや習熟度別指導などということで対応していきたいという方針がしっかりあるわけですので、そうであれば、受験を控える中学校3年生、あるいは次に控える中学校2年生―中学校1年生は既に平成26年度からやっておりますので、こういう形でいったほうがいいのではないかと思っておりますが、いかがですか。

○新垣健一学校人事課長 先ほどの少人数学級の学年進行をどの学年からがいいのかということにつきましては、市町村教育委員会の意向を十分に踏まえる必要があるということで、市町村教育委員会の意向を伺っているところでございます。その意向を踏まえ、さらには庁内でその意見を参考にしながら、どの学年に進めていくことがより効果的かということを考えて、今進めているところでございます。実際に、平成26年度から中学校1年生に導入しておりますが、市町村の意向としましては、小学校1年生、2年生、3年生と進んでいるところから、4年生への学年進行がいいという意見が一番多いところでございました。ただ、中学校1年生についてもそれなりの意見がございまして、私どもとしてはその際は―いわゆる、小学校6年生から中学校に上がるときに学級担任制から教科担任制に変わる、あるいは部活動などの諸活動が活発になり、不安を覚えるという中1ギャップなどがあるということで、庁内で中学校1年生から進めようということにしたということでございます。今、委員から御意見のあります中学校2年生、3年生につきましても、今後、市町村の意向を踏まえつつ、庁内でどの学年への進行がより効果的か、また少人数指導やTTとの比較等も含めながら検討して進めていきたいと考えております。

○嶺井光委員 少人数学級を求めてきましたが、やはり課題であります教室の確保が現実にできないという壁があり、TTあるいは習熟度で対応するという方法がありますので、しっかり研究してやってもらいたいと思っております。
 これに関連して、処理方針1番目の標準法の関係について。国に要望して頑張っているようですが、文部科学省―文科省は、これをふやすという方向に転じようという議論がありますよね。これは今どう進んでいるのか把握していますか。

○新垣健一学校人事課長 予算編成時に向けて、文科省が財務省にそういった要望を要求しているという動きがございますが、毎年それが見送られているところでございます。本年度につきましては、チーム学校という形で、学校がいろいろな形で現在の諸問題に対応するために定数増を要求したところですが、大幅な増には至らなかったという現状でございます。

○嶺井光委員 要するに、国は財源の問題でこういう議論にいっていると思います。そういう意味では、全国都道府県教育長協議会あたりで強く結束して頑張らないといけないと思います。決意をお願いします。

○諸見里明教育長 九州地区の教育長協議会、それから全国都道府県教育長協議会に参加をしていろいろ議論しておりますが、その中でも沖縄県からも九州で強く訴えているところでございます。そして、全国でもそれを通して国へやっております。

○嶺井光委員 地方分権の流れに逆行するようなことを国は考えているような状況ですので、頑張ってください。それから、処理方針4番目の義務教育費の国庫負担制度についてですが、国庫負担率2分の1が3分の1になっていますよね。これは、その分は地方交付税に補塡されるということでこのようになっておりますが。きちんとなってはいるとは思いますが、皆さんとしては、地方交付税にしっかり補塡されているという確認といいますか、しっかり実態としてはわかっているのですか。

○新垣健一学校人事課長 委員おっしゃいますように、国庫負担率が2分の1から3分の1になり、残りについては地方交付税で措置されているところでございます。地方交付税につきましては、詳細に私どものところで確認はしておりませんが、いずれにしましても、基本的に算出された定数の分について裏負担がなされているところから、地方交付税については措置されているものと認識しております。

○嶺井光委員 これは財政課にも確認をしたほうがいいと思っております。要請にもありますように、国庫負担制度の2分の1の復活をぜひ頑張ってもらいたいと思っております。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 23ページ、陳情平成26年第69号、しまくとぅばについて。陳情の趣旨が学校教育への導入などを求めており、教育委員会もいろいろな形で取り組みをしておりますが、処理方針の中で文化観光スポーツ部と連携をして、読本を各学校へ配布して活用する予定となっていますよね。これは今どういう形でやっているのか、説明をお願いできますか。

○大城朗義務教育課長 県内5つの地域の言葉を網羅して、沖縄本島の言葉、宮古の言葉、八重山の言葉、与那国の言葉ということで5つの地域に分けまして、日常的によく使う言葉等についてわかりやすく挿絵入りでつくられているのですが、完成が少しおくれておりまして、まだ配布には至っておりません。

○照屋守之委員 このしまくとぅばもそうですが、ここに書いてありますように、家庭や地域でやるべきだと思っております。具体的に学校でそういうことをやる意義といいますか、那覇の方言もありますし、宮古、八重山の方言もありますし、我々の地域にも特別な方言がありますし、方言は共通語にはなり得ないのです。今の社会的な流れでしまくとぅばという形でやっているのですが、果たしてこれは学校教育においてどのような狙いで、どのような教え方をしてやっていくのかと非常に疑問を持っております。この扱いは難しくないですか。

○大城朗義務教育課長 おっしゃるとおり、言葉は生まれ育った地域の風土や文化、歴史的、社会的な伝統に裏づけされたものだと思います。今、学校では学習指導要領がありまして、それに沿って教育が行われており、小学校5年生と中学校2年生の国語の授業の中で方言を取り扱うことになっておりますが、それ以外に、例えば特別活動の時間で運動会や学習発表会、読み聞かせなどといった形のところで取り組むことができるとあります。中城村は教育課程特例校の指定を受けて中城ごさまる科をつくっておりますが、これは各市町村教育委員会が決めることであり、一律には設定できないのではないかと考えます。ですから、基本的には地域あるいは家族で言葉を教えるべきだと考えております。

○照屋守之委員 これは非常に難しいです。学校教育でしまくとぅばを教えていくことの目的や意義というものがなかなか見出すことができません。これはどういうことですか。日常的に会話として使えるようにしていくのか、しまくとぅばは、あいうえおみたいな語彙も少ないですよね。表現も難しくはないですか。我々も田舎に帰ったら方言でよく会話をしますが、果たして教育で取り上げて、どういう目的で、どうなっていくのかということを非常に考えます。しまくとぅばを取り上げることは、教育行政としてどういう目的、意義があってやるのですか。

○諸見里明教育長 しまくとぅばを復活させようという意義だということは御承知だと思います。県議会でもしまくとぅばの日を9月18日に設定をして、全県的なしまくとぅばの普及、促進に取りかかっているところだと認識しているのですが、確かに委員おっしゃいますように、学校教育だけで復活させることは少し厳しいところがあると感じております。例えば、全く方言を知らない子供たちが大変多い中で、学校でやる時間帯や学習量などいろいろ定めがあり、その範囲内でやるということは大変難しいです。総合的な学習や特別活動、学校劇などの体制の中で何とかやりくりをしてやっているわけでございますが、やはりしまくとぅばといいますのは、先ほど義務教育課長からありましたように、沖縄の歴史に裏づけられた言葉であり、文化であり、それを話せるようになるということは地域の誇りにもつながると思います。しまくとぅばを何とか復活させようと学校教育、地域、家庭などできるところから始めて、そういう形で進めようとしているのではないかと思っております。

○照屋守之委員 やはり誇りだと思います。私も田舎に帰ると自然にそういう会話が出てきますが、ウチナーンチュ、シマンチュとしての誇りということがあります。ただ、今の沖縄の状況、日本、世界ということになってきたときに、子供たちが義務教育の中で社会に羽ばたいていくある一定期間を教育しようとするわけですよね。このしまくとぅばが全国に通用するかと言いますと、通用しません。ですから、ウチナーンチュとしてのプライドはあるかもしれませんが、それはそれぞれの個々の問題ですよね。個々の部分を余り強調してやっていくと、逆にやるべきことが時間も限られて、先生方もこれから方言を覚えていくことは大変ではないですか。先生方がそれぞれの地域のしまくとぅばを覚えて、三、四年ではまた異動になっていくということから考えますと、これは非常に難しいという思いがあります。現実の中でこういう時代になってきますと、しまくとぅばをもっともっと掘り起こしていこう、プライドを持って生きていくためにはそれも必要だということはわかりますが、それが即行政の中でできていくのかという点では非常に疑問があります。ただ、沖縄はここにありますように、そういう協議会みたいなものがあって、こういう時代の流れでどんどんしまくとぅばを奨励していこうということで、県議会でも議長などが方言で挨拶したりするわけですよね。それも、どこの言葉を使っているのかと言いたいのです。宮古も違う、八重山も違う、我々の言葉とも違うなど、全部違うもので統一しようとしますと非常に違和感があったりするわけです。ですから、ここはやはり教育に導入していくときに、少し気をつけて対応してもらいたいという思いがあって取り上げておりますので、よろしくお願いします。
 次に、31ページ、陳情平成26年第105号。34ページ、陳情第29号、国歌斉唱について。これは法律で決まっているものの強制ではないということですが、学校現場も過去の戦争体験も含めて違和感があるということも事実としてあると思っております。ただ、我々は日本国民として、ごくごく当たり前に国旗・国歌という部分、過去のそういう体験は否定しませんが、日本国民として自然に教育の中で身につけるべきだと思っております。しかし今は、意図的にそういうことを拒否しようする人たちがいて、それが学校現場にもあるのではないかという思いがします。強制ではないですが、自然に国歌が歌えて、国旗に対するそういうものができるような仕組みは、つくる必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 委員がおっしゃいますように、国旗・国歌の指導に関しては、児童生徒が将来国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくために、国旗・国歌に正しい認識を持ち、それを尊重する態度を育てることとともに、諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てることが大切だと思います。そのためには、委員おっしゃるように自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが、何よりも大切なことだと考えております。

○照屋守之委員 ふだんの授業の中で国歌を歌うということがありますか。入学式や卒業式などで歌うことがありますが、校歌は元気よく歌うのに比べて国歌を歌っている小学生は見たことがありません。

○大城朗義務教育課長 学習指導要領の音楽の時間に指導することが位置づけられておりますので、やっていると思います。

○照屋守之委員 やってはいても、そういう場面で校歌を歌うときの子供たちの勢いと国歌を歌うときでは天と地の差があります。今は余りそういうことはないかもしれませんが、あのような場所に行って起立をするときに非常に違和感があったりします。それは、国歌斉唱で立たすのではなく、開会の挨拶で全員を立たせてそのままやるのです。それを見ておもしろいことをやるなと思いましたが、一回座らせると立たない人たちがいたりするので、そのまま立たせたまま国歌斉唱を歌い、その後座ります。そこにも違和感を感じます。日本国民としてのプライドといいますか、我々も国旗・国歌に対してそういう対応をしますので、子供たちにも自然にそういう流れである程度つくらないといけないという思いがします。この陳情のように、こういう形で立たないということが恐らくまだあると思います。ですから、教える側のこだわりがまだとれていないと思います。その人たちはそれでいいかもしれませんが、沖縄や日本を背負っていく子供たちからしますと、それは少し違和感があります。ですから、我々の感覚で押しつけていないかという部分がありますが、どうですか。

○與那嶺善道県立学校教育課長 学校現場では学習指導要領で入学式、卒業式などにおいて、その意義を踏まえ、国旗・国歌を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとされております。ただし、具体的な実施方法などは記載されておりません。各学校の校長先生の責任と判断のもと、適切に指導がなされているものと認識しております。

○照屋守之委員 こういうことを法律や学習指導要領でやろうとするので違和感を感じるのです。これをごくごく当たり前に日本国民として、国旗・国歌は必要だと、世界中そうですねと、アメリカも中国も北朝鮮もヨーロッパも、これは国民として当たり前だと。国民として、こういうことは当たり前で普通ですよという形でいかないと、学習指導要領にこのように載っているのでこうしなさいということでは話になりません。ですから、自然に浸透していかないのです。こういう法律があって、指導要領があってということでは、それに対して抵抗が出てくるのです。なぜ押しつけるのかと。ところが、そうではないですよね。国民として、国歌や国旗などは当たり前の話ですよね。ごく当たり前に国歌も歌いましょう、そういう場ではそういうことも行いましょうということが必要ではないですかということです。学校の先生方もそういうことも含めて、ごくごく普通に当たり前にやりましょうと。我々が、今、生きているもの全て国ということではないですか。首里高校の建物をつくるといっても、あれも何十億円かは国から出ますよね。何だかんだ、福祉が大変だということがあれば、国にお願いするということは当たり前の話ですよね。我々がやっていることは全て当たり前ではないですか。では、我々は国に対してどういう思いがあるのですかという話になりますが、国は無条件で国民にやることは当たり前。我々は国に対しては、いや、おたくは認めませんよという形ですよね。今の我々の生きている世界では、税金ごときではおさまりませんよ。ですから、そういうことも含めて、世界は戦争をやっていませんか。世界も全部戦争をやってきました。世界各国戦争をやってきて、それでも国旗・国歌という話ですよね。ですから、こういう基本的な当たり前のことを法律がどうのこうの、決まりがどうのこうのということではなく、普通にこれは当たり前だという形でやっていかないことには、いつまでも法律や規則という話をやっていたら、学校現場もそうなりますよ。強制はしないでくださいという話ですよね。日本国民なのだから当たり前でしょうという話をすればできるわけです。ですから、浸透の仕方ですよ。決まりではありません。ごく当たり前に国民として、普通の人間として、これは当然ですよと。世界各国共通ですということを説いていく必要があるのではないですか。いかがですか。

○諸見里明教育長 国旗・国歌につきましては、さきに又吉委員から御指摘があったのですが、オリンピックで日本国旗が上がったときの喜びというのは、誰にもあると思います。そういう形で国旗を敬愛の対象とする形に持っていくことが本当に望ましいと思います。最高裁判所で問題となったときに、最高裁判所長官もこのようにつけ加えております。「自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが一番大切である」と。そういう形で進めていけるような形で模索できたらと思っております。

○照屋守之委員 次に、33ページ、陳情第28号、首里高校校舎改築について。保存を望む側と早目に学校をつくってほしい側の陳情要旨を見てみますと、早目に学校をつくってほしいという陳情は、非常に切迫感がありますね。保存をしなさいという陳情は、もっと時間をかけてじっくりいろいろな意見を聞いてやりなさいということですね。やはり、教育委員会もつくってほしいという切迫感は、学校あるいは父兄、子供たちから感じますか。

○諸見里明教育長 首里高校が5年にわたって遠隔地の石嶺球場に移動しての体育の授業を余儀なくされていると。その際にも、3時間ぶっ通して授業をやるなど、カリキュラムの管理面上でもいろいろな支障が出てきていることは確かです。さらに、現校舎でも老朽化が激しく、剥離したり、危険な状況にさらされているということに対して、教育長として子供たちに本当に申しわけないという気持ちでいっぱいです。ぜひ改善して早くつくるようにという要請は、5年間にわたってだんだん強まってきております。いつまで待たせるのかと。同窓会のある方が口調を荒げてという場面にも接しておりますし、一日も早い学習環境を整えてあげたいという気持ちは誰よりも持っております。

○照屋守之委員 保存を望む方たちは、時間をかけていろいろな議論をしてということでありますが、当事者の子供たちや父兄は切迫感があって、5カ年も待たされてということですが、これ以上待たせることはやめて、とにかく工事をしてくださいという切実な思いですよね。5年前でしたか、3つの工区で工事が発注されたものの、文化財が出てきて工事契約も解約しましたよね。あのようなことも業者からすれば非常に迷惑な話で、結局せっかく受注はしたものの工事ができなくなってということなのですが、工事は今から始めて二、三年かかりますか。どのくらいかかりますか。

○親泊信一郎施設課長 平成27年度予定しておりますのは、管理特別教室棟でございます。2カ年間を予定しております。

○照屋守之委員 これは全面改築ですよね。最後まで整備が終わるのに大体どのくらいの期間を要するのですか。

○親泊信一郎施設課長 全面といいますか、一部体育館、プール、理科棟がございまして、これについてはまだ新しい建物ですので、そこの改築は今はできない状況でございます。先ほどの管理特別教室棟、普通教室棟を次の二期工事で予定しておりまして、それから運動場の工事まで含めまして平成32年ごろを見込んでおります。

○照屋守之委員 今から始めて工事完了は平成32年ごろですか。これは前回工事を発注して、結局中止にして解約しましたよね。あれから5年たっているわけですか。あれは文科省の補助ですか。結局は補助をもらうわけですよね。こういう事情があって、このようになっていますとまた補助の申請を出そうとするわけですね。こういうものは、沖縄の都合で頻繁にこういうことを繰り返しても国は対応してくれるのですか。

○親泊信一郎施設課長 この辺は国に御理解をいただいて、説明をして、了解をいただくということになるかと思います。

○照屋守之委員 了解をもらうにしましても、はっきりさせないといけませんよね。文化財を整理して、いつから工事を始めますということをはっきりさせないと、いつまでもずるずるこれを引っ張って、我々の都合のいいように国の補助がもらえますかということなのです。ここは国はいつでもオーケーなのですか。

○親泊信一郎施設課長 今、予定しておりますのは、平成27年4月から調整を始めて、国庫の交付申請が5月ぐらいになるかと思います。それを受けて交付決定がなされまして、9月ごろの着工になるかと見ております。申請後、事情等の変化などで変更をする必要があるのであれば、交付申請の変更などといった手続を国にお願いしていくということが想定されます。

○照屋守之委員 個人的には、きのう文化財を見て、これはそのまま残したほうがいいのかなという思いと那覇だと土地もないわけですのでどうしようもない。聞くところによりますと、上に上げろと言えば高さの制限があったり、非常にいろいろな制約がある中でこの仕事をしないといけないわけですよね。5年前に入学してきた子供たちは卒業してしまいました。新しい校舎ができるよと言いながら、結局はつくられないまま卒業してしまったと。今度は今いる子供たちも間に合わずに卒業してしまって、これから入る子供たちがやっと全面改築の恩恵を受けてそこで学べるということですので、やはり非常に厳しい判断ですが、皆さん方はつくるということで意思決定をしてもらって、文化財保護についてはどうするのかということを決断しなければいけないのではないですか。今さらいろいろな人の意見を聞けば聞くほど、これは混乱します。あなた方はどうしたいのですかということになります。皆さん方がどうしたいという形をはっきりさせないと、周りもそれによって、まだ時間があるのでしたらもっともっとゆっくり時間をかけようという話にもなりますよね。ですから、ここは教育委員会が主体的にどうしたいということをはっきりさせて、それで理解を求めていくということでしかこの問題は解決できないのではないかと思いますが、いかがですか。

○諸見里明教育長 大変難しい立場にございまして、ぜひ建築を進めていきたい気持ちは大変強いものがあります。今の御意見を頂戴しまして、主体的な判断を決定できればと思っております。

○照屋守之委員 とりあえず、はっきりさせてください。我々はどちらにしても応援します。ただし、皆さんがぐらぐらしていたら大変なことですよ。私は責任を負えないので。子供たちに対して責任を負えないですし、父兄、学校長に対して責任を負えませんから。ですので、ぜひ毅然とした態度でどう解決するかということは早急に決断してやってください。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新田宜明委員。

○新田宜明委員 できるだけ質疑をしないで、私の見解を聞いていただきたいと思います。
 34ページ、陳情第29号、沖縄県立高等学校卒業式における国歌斉唱に関する陳情の件ですが、先ほど照屋委員がおっしゃったように、基本的に法律や規則、指導要領等で強制するような教育、指導方法ではなく、日本人としての気持ちや意識が醸成されるような環境整備をつくることが教育の一番の基本ではないかと思っております。そういう形で処理方針を書いたほうがいいのではないかというのが、私の結論的な意見であります。君が代の「君」というのは、どうしても天皇に読めます。そこに違和感を感じます。そして、君が代の詞を全部読んだときに今の時代とそぐわない。これが日の丸とセットになって、明治以来の日本の侵略戦争の歴史が脳裏に常によみがえるものですから、なかなかすんなりとは日本人の意識に統合されないという問題があると思います。同時に、沖縄のたどった歴史は、日本の総体の歴史一般ではないのです。特殊な歴史を歩んでおります。そういう中ですぐ日本人になりなさいと言われても、なりたくてもなれない、これが沖縄県民の意識なのです。ですから、文科省が北海道から沖縄まで一律的な学習指導要領でもって、日の丸や君が代を実施させなさいなどと言っても、これは無理な話だと思います。例えば、日本国憲法第19条では、思想及び良心の自由は、これを侵してはならない、そして、第20条でも、信教の自由を保障するとなっております。これがやはり基本で、すなわち環境整備ではないかと思います。ですから、そういう基本的なスタンス、そして地域、地域のさまざまな歴史的な体験、事実がありますし、その地域の歴史を通して普遍化していくという物の見方ができれば、相互の理解や相互の共通の意識として、こう認めることが他の違いを認めるという、このような普遍性を持つ意識に変化していくと思います。全国画一的な教育方針などというのは、余りよくないのではないかと思っておりまして、地域に根差した郷土の歴史をしっかり見つめることによって、愛郷心が出ると思いますし、愛国心につながっていくと思っております。そういう視点で、日の丸や国歌斉唱の問題についても捉えてほしいというのが私の意見でございます。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
 島袋大委員。

○島袋大委員 今のに関連して陳情第29号の件ですが、思想はいろいろあるかと思いますのでどうこう言いませんが、実際の学校現場で―今度の卒業式もそうです。各高等学校を何カ所か回りました。国歌斉唱で起立した後に教職員が堂々と座ると、ここが何かということです。子供たちが学校でいろいろなことを学んだ中で恩師たる教職員が堂々と着席すると。国歌斉唱が流れている中で、子供たちは立って、恩師は座っている。教育指導要領などもろもろあるかと思いますが、子供たちがこれから国際社会に向けていろいろ夢を持っている中で、学校の職員の方々が堂々と座ること自体いかがなものかと思います。私はそういう思いで、今、聞いております。みんな個々の意見はあるかと思いますが、あのような態度をとること自体おかしいと思っております。そして、そういうことを教育委員会としてはどういう指導をするのですかということです。指導云々ではないけれども、学校の先生方の中には年配の方もいらっしゃいますが、ここ最近は若い先生が座るのです。ここが重要な問題なのです。ですから、そういったことを考えれば、この若い先生たちがこれから十年たっても、各学校を異動するときに同じようなことをずっとしていくのですかということです。このことについて教育委員会としては、どのような考えを持っているのかをお聞きしたいのですが、いかがですか。

○諸見里明教育長 沖縄県では本当に難しい問題だと考えております。今、委員の中でも答えが違いますように、県民も二分されているのではないかと思っております。教育委員会としては、学校において学習指導要領に基づいて式典を厳粛に実施するとともに、児童生徒に国旗・国歌を尊重する態度を指導する一環として、児童生徒に教員みずから範を示すことは重要であると考えております。ただ、何名かの委員からも指摘がありましたが、国旗・国歌については、それぞれの地域の歴史、県民感情、いろいろなことを踏まえて考えていくことが一番最良ではないかと認識しております。教職員につきましても、それぞれの歴史観や世界観があり、思想、良心の自由の思いに対して考える必要があると思います。卒業式及び入学式における国歌斉唱については、秩序の確保や式典の円滑な遂行を図るために学校長と教職員が話し合いを持つなど、各学校において教育環境を整えていくことが重要であると考えております。

○島袋大委員 教員といろいろ話し合いすることも大事かもしれませんが、やりたい放題でいいのかということです。自分の判断でそのようにしてもいいのかと。では、生徒たちが、同じようなことをしてもいいのですかという話です。教育的指導においても、いろいろ自分勝手にやられたら困るのではないですか。実際、問題となっていることは、この間の去る知事選でも高等学校へ文書を送って、今回の知事選は誰の応援をしましょうと言ったり、小学校の授業に今度の選挙はこの人だったらだめですよと、泣きながら親御さんなどにこの知事はだめなんでしょうとか、このような介入してやるような―何でもやっていいのですかという話です。入学式や卒業式に教職員が自分はやりたくないので座る、こういう姿を生徒は見てどう思いますかと。教職員の皆さんが意見交換をするということであれば、そういうことをしっかりと議論するような形でやっていただきたいと思います。

○呉屋宏委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、教育委員会関係の陳情等に対する質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 休憩いたします。

   (休憩中に、執行部退席) 

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 議案及び陳情等の質疑については全て終結し、採決を残すのみとなっております。
 休憩いたします。

   (休憩中に、議案及び陳情等の採決などについて協議)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 これより、議案及び陳情等の採決を行います。
 まず初めに、乙第9号議案から乙第19号議案まで及び乙第28号議案から乙第30号議案までの条例議案14件を一括して採決いたします。

○呉屋宏委員長 お諮りいたします。
 ただいまの議案14件は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、乙第9号議案から乙第19号議案まで及び乙第28号議案から乙第30号議案までの条例議案14件は原案のとおり可決されました。
 次に、陳情等の採決を行います。
 陳情等の採決に入ります前に、その取り扱いについて御協議をお願いいたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、議案等採決区分表により協議)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 陳情等については、休憩中に御協議いたしました議案等採決区分表のとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、お手元に配付してあります民間戦争被害者を救済する新たな援護法の制定を求める意見書を議員提出議案として提出することについてを議題に追加することについては、休憩中に御協議をお願いいたします。
 意見の一致を見たときは、本件を議題に追加し、諮ることといたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、議題の追加について協議した結果、議題として追加することで意見の一致を見た。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 民間戦争被害者を救済する新たな援護法の制定を求める意見書を議員提出議案として提出することについては、休憩中に御協議いたしましたとおり、議題に追加し、直ちに審査を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 民間戦争被害者を救済する新たな援護法の制定を求める意見書を議員提出議案として提出することについてを議題といたします。
 民間戦争被害者を救済する新たな援護法の制定を求める意見書を議員提出議案として提出するかどうかについて御協議をお願いいたします。
休憩いたします。

   (休憩中に、意見書を提出するかどうか及び文案・提出方法等について協議した結果、議員提出議案として案のとおり意見書を提出することで意見の一致を見た。)

○呉屋宏委員長 再開いたします。
 議員提出議案としての民間戦争被害者を救済する新たな援護法の制定を求める意見書の提出については、休憩中に御協議いたしましたとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、閉会中継続審査・調査事件の申し出の件についてお諮りいたします。
 先ほど、閉会中継続審査・調査すべきものとして決定した陳情等44件とお手元に配付してあります本委員会所管事務調査事項を閉会中継続審査及び調査事件として、議長に申し出たいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。
 ただいま議決しました陳情等に対する委員会審査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○呉屋宏委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 以上で、本委員会に付託された議案及び陳情等の処理は全て終了いたしました。
 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

  委 員 長  呉 屋   宏