委員会記録・調査報告等

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文教厚生委員会記録
 
令和3年 第 4定例会閉会中

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開会の日時

年月日令和3年7月15日 曜日
開会午前 10 時 2
散会午後 3 時 31

場所


第4委員会室


議題


1 参考人からの意見聴取について(陳情第118号児童生徒の自殺または自殺が疑われる死亡事案に係る詳細調査報告書の再調査を求める陳情について)
2 参考人からの意見聴取について(請願第1号選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書の提出を要望する請願について)


出席委員

委 員 長  末 松 文 信 君
副委員長  石 原 朝 子 さん
委  員  小 渡 良太郎 君
委  員  新 垣 淑 豊 君
委  員  仲 里 全 孝 君
委  員  照 屋 大 河 君
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  瀬 長 美佐雄 君
委  員  玉 城 ノブ子 さん
委  員  喜友名 智 子 さん
委  員  上 原   章 君


欠席委員

      なし


説明のため出席した者の職・氏名

(陳情第118号について)
(参考人)
沖縄県立高校保護者有志 鈴 木 友一郎 君
(補助者)
 沖縄県立高校保護者有志 仲 村   晃 君
(補助者)
 沖縄県立高校保護者有志 森 川 恭 剛 君
(補助者)
 沖縄県立高校保護者有志 森 川 久美子 さん
(補助者)
 沖縄県立高校保護者有志 伊 波 頼 子 さん

(請願第1号について) 
(参考人) 
 選択的夫婦別姓・陳情アクション沖縄 共同代表 真 鶴 さやか さん
(補助者)
 選択的夫婦別姓・陳情アクション沖縄 共同代表 砂 川 智 江 さん



○末松文信委員長 ただいまから、文教厚生委員会を開会いたします。
 陳情第118号に係る参考人からの意見聴取についてを議題といたします。
 なお、ただいまの議題につきましては、去る7月2日の本委員会での決定に基づき、陳情第118号の陳情審査の参考とするため、陳情者を参考人として招致し、説明を求めるものであります。
 本日の参考人として、沖縄県立高校保護者有志の鈴木友一郎氏の出席をお願いしております。
 タブレットに掲載しています資料県議会参考人委員資料配付レジュメを御覧ください。
 鈴木友一郎参考人から、補助者として森川久美子氏、仲村晃氏、森川恭剛氏を同席させ、必要に応じて発言させたいとも申出があり、委員長として適当であると判断し、出席を許可したことを御報告いたします。
 参考人及び補助者におかれましては、本日は御多忙のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 参考人から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人の説明を聞く場でありますので、参考人が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それでは参考人から、陳情第118号児童生徒の自殺または自殺が疑われる死亡事案に係る詳細調査報告書の再調査を求める陳情について、提出に至る背景及び目的等について、簡潔に御説明をお願いいたします。
 鈴木友一郎参考人。

○鈴木友一郎参考人 おはようございます。
 今日は大変お忙しい中、全会一致で参考人で呼んでいただき誠にありがとうございます。まず、お話をする前に、コザ高校の保護者の一人として、あるいはこの社会に生きる大人の一人として、亡くなられたお子さんや御遺族の方に本当に申し訳なかったという気持ちでいっぱいです。そのことを踏まえた上で今日の参考人に臨んでいますので、その旨よろしくお願いいたします。
 再調査をしていただきたいというところです。レジュメの①から⑤まであると思うんですけれども、ここの中で述べられているということが基本的に全てかなというところであります。
 ①として、具体的な事実関係の詳細が不十分で本案件の核心が捉えられていないというふうに感じています。ではどういうことが不十分なのかというところで、もう少し具体的な話として、まずは①-1の御遺族が明らかにしてほしいと願っている点というところで、御遺族の方から文面を頂戴しています。こちらは森川久美子さんより代読をさせていただく予定でしたが、御遺族の方から御自分で―今御遺族の方がいらしていて、事前にきちんとお伝えしておけばよかったんですけれども、やっぱり御自分でお伝えしたいというところがありまして……。遺族の方が来られていまして、事前にしっかり伝えてほしいというところだったんですけれども、今回ぜひ御遺族の方の口からしっかりお伝えしたいというところなんですけれども、可能でしょうか。

○末松文信委員長 許可いたします。どうぞ。
 伊波頼子補助者。

○伊波頼子補助者 第三者委員会設置要望について。1月30日、午前3時前に息子が亡くなりました。亡くなる前日には部活動顧問からの激しい叱責や以前からの暴言、人格否定に近い言葉を受け、息子は限界の域に達していました。
 息子が亡くなって学校側が行った基本調査を基に第三者チームとして詳細調査を行うということでした。ですが、期間や対象人数が極端に少なく、こんなにも短い期間で調査できるのだろうかという不安が残りました。当初2月15日から3月5日までの19日間での実施と伝えられましたが、実際には4日間の聞き取りでした。3月5日までみっちり時間をかけて聞き取りを行うと思っていましたが、部員1人僅か30分程度。また、報告書作成に1週間かかると聞かされ、調査最終日前日と思われる2月25日に第三者チームへの進捗状況を問い合わせました。担当者不在ということで折り返し案内されたんですが、折り返しかかってきた電話はコザ高の校長先生からでした。私は質問先と返答先が違うことに違和感を覚えました。
 また、亡くなる当日の1月29日金曜日、その行動記録がないことに疑問を思いました。息子は日頃から部員数名とお昼の弁当は練習場で食べていました。その日の弁当は唐揚げ一口しか食べていないことに誰も気づかなかったのか。それとも昼食時間に部員とは違うところにいたのか。顧問との接触はなかったと報告を受けましたが、実際はどうだったのか。また、その後の清掃時間にクラス2人の子供たちが息子が空を見ていたと同じような発言があり、ふだんとは違う行動を目撃していることが、何かあったのではないかと不安点が多く、実際の行動がどうだったのかを知りたいと思いました。
 亡くなる前日の事柄についても、複数名の生徒が部顧問の強い叱責を受けている場面を練習場所で目撃しているにもかかわらず、顧問の聞き取り内容のみ記載になっており、生徒からの証言内容の記載がないことに疑問を思いました。そのときの顧問の発言内容も実際に聞いた内容とは違うニュアンスでした。離れた場所にいてもどなっているように聞こえるくらいの音量で、ふだんの叱り方とは違うという様子がほかの部員からも話がありました。
 高校全体が情報共有しておらず、聞き取りなどしていない様子も見られ、学校全体が本件に関して他人事にしているのかと感じられました。それは教員からの聞き取りがあまりにも限定的だったからだと感じました。調査期間の短さから内容があまりにも希薄過ぎて、再発防止としては効果的ではないと感じました。
 調査期間の期日設定についても、調査員の抱えている仕事の合間での調査と説明を受け、それなら別期間で詳細を調査し、真実を明らかにした上で再発防止策を打ち出してほしいと願います。報告書自体に複数回の不足と思われる記載内容から再調査が必要という意味ではないかと強く感じています。
 4月27日の新聞紙面においても、県議に説明する際に報道機関を入れないことや議事録を残さないのはどういうことなのか、説明もありませんでしたし、閉鎖的な印象も受けました。
 県教育委員会は不足と思われている調査報告の内容やアンケートから再発防止としてガイドラインを作成しているが、効果的な内容になっているのか疑問に感じます。調査チームが報告した内容には、上記のように明らかにふだんと違う行動についての記載もなく、全体的で抽象的な印象の内容になっているものだと感じました。それは限られた時間で最大限の努力の結果ですが、なぜ息子がその選択しかできなかったのか、その背景から丁寧に聞き取りをし、その過程となるものをしっかり調査や検証を行ってほしいと思います。そこから全体として向き合ってほしいです。
 私たち家族は最愛の息子とあまりに早い別れに、今も癒えない悲しみの中にいます。息子は小学生からゲームや放課後の友達との遊びも我慢して、週末も夏休みも家族のイベント行事もお泊まり会も全て我慢し、練習に向けてひたすら時間を費やしました。中学生では海遊びや川遊びに行くこともなく、そこには沖縄県代表として県外大会でも活躍したいという願いがあったからです。息子の四十九日の4日後には、あんなに頑張って勝ち取った全国大会が始まりました。息子は出ることもなく、息子の名前が書かれていた全国大会用のゼッケンだけが自宅に届けられました。さぞかし無念だったと思います。さぞかし悔しかったことだと思います。頑張ったことが認められず、さぞかし孤独だったと思います。
 17歳というこんなにも短い生涯の半分は、沖縄県代表として必死に頑張ってきたんです。彼の努力や苦悩に目をそらさず向き合ってほしいです。息子が生きたあかしと尊厳を守ってほしい。そのためにも再調査として一人一人が向き合って、検証していってほしいです。子供にも一人一人生きる権利があります。大人の都合やキャリアのための子供たちではないんです。命の貴さを真剣に考えてほしいです。
 以上です。

○末松文信委員長 ありがとうございました。
 それでは、鈴木さん、続きはありますか。

○鈴木友一郎参考人 続きまして、当該部活で一緒に部活動を頑張っていた保護者の方から、再調査で明らかにしたいと思っているところのお話をいただきたいと思っています。よろしいですか。

○末松文信委員長 続けてください。
 それでは、森川恭剛補助者、どうぞ。

○森川恭剛補助者 おはようございます。コザ高校保護者の森川といいます。
 亡くなったAさんは私の息子の1学年上の先輩で、小学校低学年の頃から一緒に競技をしてきました。息子はAさんを追いかけるようにコザ高の同じ部活に入りました。
 Aさんが亡くなった夜、部員らはAさんをずっと探し回っていました。息子が家に帰ってきたのは9時半を過ぎており、Aさんが病院に運ばれたと電話で伝えられてからです。自宅の周囲で救急車のサイレンが鳴り響いていました。私も子供たちが部顧問から頻繁に叱られていたこと、Aさんが―しかし、Aさんが自殺に追い込まれるほどの事態になっていたということに気づけませんでした。Aさんの御家族は、どうすればAさんを守ってあげられたのかといつも問い返していると思います。私たちは同じことをコザ高校や県教育委員会に尋ねたいです。どうして部顧問の暴言等からAさんを守ってあげなかったのか。
 今回、県教育委員会等が行った子供の自殺が起きたときの背景調査は、コザ高校が行った基本調査と県教育委員会が行った詳細調査から成ります。いずれも文科省の背景調査指針に基づくものです。このうち詳細調査は、2月16日から3月5日までの18日間で行われました。調査の目的は、文科省の指針によれば再発防止と遺族や生徒、保護者らの事実に向き合いたいという希望に応えることです。しかし、報告書自身が本件事案の調査としては著しく短い期間であると言わざるを得ないと書いているとおりです。18日間の調査では、遺族や生徒、保護者らの事実に向き合いたいという希望に応えることはできません。
 調査期間が終わる2日前の3月3日、遺族らに対して調査の経過報告がありました。私も同席しました。これで終わりではないですよね。調査を続けてほしい。これが遺族の要望でした。県教育委員会の職員は、調査委員の方々も多忙なので期限を切って調査を依頼していると説明しました。ただし、調査期間の延長もあり得るというニュアンスでした。遺族側からも再発防止策の一つとして調査の継続が必要である旨を報告書に明記してほしいという提案がありました。
 残念ながら、報告書の中に再発防止策として再調査が必要であると明記されてはいません。しかし、短期間のうちに行われた調査だから個々の事実関係を厳密に確定するのには適していない。それゆえ、関係機関においてそれぞれの立場から必要な調査等が行われることを願ってやまないと締めくくっています。これを受けて私たちは、今回これまでの県教育委員会等が行った調査では事実に向き合いたいという遺族らの希望に応えるという目的が達成されていませんので、新たに県教育委員会から独立した知事公室、または総務部による再調査を要望するに至りました。調査期間が著しく短く、遺族らの事実に向き合いたいという希望に応えていないこと、これが再調査を要望する第1の理由です。
 次に、なぜ教育委員会ではなく教育委員会から独立した知事公室、または総務部による再調査を要望するのかを説明します。詳細調査報告書は、Aさんを自殺に追い込んだ部顧問が過去にも複数の問題事例を起こしていたと報告しています。そして、そのときの学校の対応は適切ではなかったとも指摘しています。だから報告書を読むと、過去の問題事例で適切な対応が取られていれば今回のことは起きなかったのにと悔しくなります。しかし報告書は、過去の問題事例で学校が適切な対応を取らなかったから部顧問の暴言等を止められず、Aさんを守れなかったとは書いていません。
 また、報告書は文科省作成の運動部活動の指導のガイドラインについて、本件ではその内容を全く意識しない指導がなされていた可能性が高いと指摘しています。このガイドラインには、体罰等の許されない指導の例としてパワーハラスメントと判断される言葉や態度による脅し、威圧、威嚇的発言や行為、嫌がらせ等を行うこと、また、特定の生徒に対して独善的に執拗かつ過度に肉体的、精神的負荷を与えることが挙げられています。
 つまり報告書は、部顧問による暴言等のパワーハラスメントがあった可能性が高いと指摘していることになります。しかし、パワーハラスメントがあったという事実関係を厳密に確定していません。また、部顧問のパワーハラスメントを学校が漫然と見過ごしたという事実があったことも確定していません。部顧問や学校、そして学校の監督者である県教委の責任に関わる事実関係について、報告書はあやふやです。過去の問題事例でも、Aさんの場合も、その責任があやふやです。ここに根深い問題、再発防止のために避けて通れない問題があると認識しています。
 詳細調査の調査組織が発足した2月16日、コザ高で当該部活の保護者説明会がありました。Aさんが亡くなった翌日、部顧問は部員らの前で土下座をして謝罪し、お前たちは部活を辞めてもいいと述べたそうです。その真意ははかりかねますが、事件後も部顧問は出勤を続け、部員らに話しかけるなどしていたため、保護者からやめさせてほしいという声が上がりました。校長は生徒と接触しないように注意するが、彼でないとできない入試業務を図書館に籠もって彼にしてもらっていると述べました。また校長は―説明会当日の新聞に出ていた部顧問とAさんのLINEのやり取りについてどう考えておられるかという質問が出ました。校長は新聞記事を読んでいないようでした。教頭がタブレットで校長に記事を見せました。部顧問がAさんに、保護者名義の文書が至急必要だから百均で未提出の保護者の分の印鑑を買ってくるように指示している内容です。校長は彼に裏切られたと答えました。一瞬その答えの意味がつかめませんでしたが、彼にしかできない入試業務をさせているということでしたので、恐らく校長は部顧問のことを信頼していたのだと理解しました。校長は部顧問が当該部活で起こした過去の問題事例のことも、その保護者会で保護者から指摘を受けるまで知らなかったようでした。部顧問は管理職の先生方から信頼されて、問題行動を続けていたことにならないでしょうか。
 教頭のお一人にも確認したことですが、昨年の高校総体で総合優勝を逃した部員らが部顧問に言われて職員室の前で教頭の一人に、準優勝ですみませんでしたと謝ったそうです。部顧問が謝らせたということです。これは不適切な指導の一例です。教頭は謝罪を受け、部員らの労をねぎらったそうです。このようにコザ高では不適切な指導が何の疑問も抱かれることなく、当たり前のように行われていました。
 しかも部顧問のパワーハラスメントの可能性を指摘した今回の報告書ですら、コザ高の先生方の間で共有されているようではありません。私は報告書ができたと聞き、県教育委員会に電話をして子供が調査に協力したので報告書を見せてほしいと依頼しました。断られました。同じく調査に協力したコザ高にも報告書を渡せないのかと尋ねましたところ、1度読んでもらったが渡していないという回答でした。
 3月26日にコザ高で全校生徒の保護者説明会が開かれ、学校側から詳細調査の再発防止策に基づく16項目にわたる改善点が示されました。私は報告書があるなら見せてほしいと思い、あるかどうかを尋ねました。簡略版しか持っていないという回答でした。それで十分な改善策をコザ高としてまとめることができるのかともう一度尋ねましたところ、報告書全文があるということでした。県教委の話とは違っていました。それならば、その内容についてコザ高の先生方がどう思っておられるのかを知りたかったので、報告書を共有し、先生方と意見交換をする機会をつくってほしいと要望しました。現在までその機会はありません。
 しかし、文科省の背景調査の指針では報告書の活用の仕方について、当該校の教職員、同地域の学校の教職員で報告書を共有し、報告書の内容について共通理解を図ると示されています。確かに保護者とも共有することが望ましいとは書いてありませんが、もし既に先生方の間で報告書が共有されているのであれば、学校でAさんが自殺に追い込まれるほどのパワーハラスメントを受けていたことについて、先生方がどう考えておられるのか、どのように先生方はこの受け入れ難い事実に向き合っているのかを聞かせていただきたいです。先生方も知りたい、発言したいという気持ちを無理に抑え込んでいるのではないでしょうか。何より生徒たちが過去の問題事例でも、Aさんが亡くなっても、なお事実に向き合おうとしない学校に対し不安を感じていないでしょうか。
 詳細調査報告書には、なぜ命を絶たねばならなかったのか、Aさんのその悔しさのことが書かれていません。御遺族の悔しさも伝わってきません。報告書は、Aさんの自死は部活動顧問との関係を中心としたストレスが要因となった可能性が高いとまとめました。しかし、Aさんがこらえ切れないほどのストレスを抱え込んだのは、何度も何度も理不尽に取り扱われ、痛めつけられたからです。
 Aさんは食事もろくに取れなくなっていました。だから部活を休んだAさんをみんなが探し回りました。部顧問は死に直結するような暴言をAさんに向かって吐いていたのではないでしょうか。部顧問は部員らと一緒にAさんを探し、病院にも駆けつけたそうです。そして、部員らの前で土下座もしました。部顧問自身もAさんが危ない、そこまで自分が追い詰めたという自覚はそのときあったのではないでしょうか。なぜその責任に関わる事実関係を報告書はあやふやなままにするのでしょうか。
 私たちが知事公室、または総務部による再調査を要望する理由は、部顧問本人だけではなくコザ高校と県教育委員会も事実に向き合おうとしていないからです。しかし、このような重大事態が起きたのに学校や県教委までもが事実に向き合わなければ再発防止できず、繰り返されることになります。これがコザ高で起きていたことです。コザ高校と県教育委員会が事件後の対応も含めて再調査の対象であると考えます。
 2017年に作成された文科省のいじめの重大事態の調査に関するガイドラインでは、学校の設置者及び学校の対応について十分な調査が尽くされていない場合は、地方公共団体の長等は再調査の実施について検討することとあります。本件は生徒間のいじめではなく、教員による暴言等のパワーハラスメントを要因とする重大事態です。学校の設置者及び学校の対応について、十分な調査を尽くさないまま調査を終えることが許される事案ではないことは明らかであると考えています。
 ありがとうございました。

○鈴木友一郎参考人 今、県教委から独立をした再調査を求めるというところでのお話だったんですけれども、他の都道府県で同様なケースがないのかを少し調べてみました。今から10年ほど前に、新潟の県立高校で同じように部活の問題で生徒さんが自死してしまうという案件で、再調査というところで新潟県のほうでは行っています。このときの委員として携われた世取山先生のほうから、第三者チームの詳細報告書を読んでいただき、コメントをいただいています。そのコメントの代読を仲村さんにお願いしたいと思います。

○仲村晃補助者 代読します。
 新潟大学教授、世取山さんの詳細調査報告を読んでの感想。
 新潟の上越地区の高校の自殺事件は、同じ部活動でも、インターネットマナー違反を理由とする処罰が機械的に繰り返されたので、行為に対する批判も、人格攻撃と受け止めやすい青年の人格が壊れたのだという筋でした。しかし、コザ高校のは、顧問が日常的に人格批判と支配を行い、青年を追い詰めていったもので、その悪質性において新潟の事件とは比べ物にならないほど悪質だという印象を受けています。青年が追い詰められていくプロセスでどのような気持ちになっていたのかを丁寧に検証し、部活動において展開しやすい顧問による人格支配がどのようなもので、どのような危険性を有しているのかを明らかにするという課題が、第三者委員会による報告書にもかかわらず残っているというのが現段階での私の意見です。
 行為に対して機械的に罰を繰り返して加えることの危険性を示した事例ではなく、部活顧問による人格支配の危険性を示した事例として分析する必要があります。そのためにはLINEでのやり取り、日常的なやり取り、坊主になった経緯、試合に勝てなかったときの指導の内容など、もっと細部に立ち入って検証をする必要があると思いました。
 以上です。

○鈴木友一郎参考人 今①-1から①-3まで述べさせていただきました。①-4、6、7、8、9、10というのは今森川さんのほうから関連するというところで話していただけたのかなと思ったので、少し割愛をさせていただきます。
 第三者チームの調査報告書というのは、校長先生、教頭先生2人と担任の先生と部顧問と、もう一人ほかの高校の先生、この6人でしか行っていないというところなんですね。当該高校の先生たちの聞き取りというのは全くされていなくて、先生たちが本当に知らなかったのか、あるいは知っていたけど言えなかったのか、それすらも分からないという状況にやっぱりあります。県教委がこの調査をするというのは、先生たちから見るとやっぱり縦の関係という形になると思うんですね。なかなか本音のところは出てこないという部分と、学校もそうなんですが、県教委も事件の前と、事件の発生したときと、事故後の今に至るまで、その辺というのはその対応も含めて彼らが調査をするのではなくて、彼らは調査検証されなければならないのではないかなと思っています。そもそも県教委というのは高校からすると指導監督をする立場です。強い言葉で言えば加害者の側なんですね。加害者の側が調査検証をするということは果たして適切なのかどうなのかというふうに考えています。
 他府県の例を見ても、資料で多分お配りしているかなと思うんですけれども、新潟県、鹿児島県、奄美市、大津市のいろんな例があると思うんですけれども、これは全て教育委員会が多分調査はしていないと思います。総務部に位置づけられるところが調査をしていると思いますので、ということを考えると県立高校の設置者というのは沖縄県に多分なるのかなと思います。ですので、教育委員会を含めて調査検証されるというところは、沖縄県がやらなければいけないのではないかなというふうに思っています。
 ちょっと繰り返しになるんですけれども、第三者チームは弁護士さんと公認心理士さんが携わったと言っています。ここにある学校が行ったとされる基本調査というのも、どういう調査がされたのかというのは全然僕たち保護者は分かりません。かなりデリケートな問題を含んでいる問題を事件発生当時の学校が行っているという、そこの怖さというのは、そういう辺りも含めて検証されなければならないのではないかなというふうに考えています。
 あと、②から③、④、⑤とあります。要約はここに書いているので読んでいたければ分かるかなと思います。
 以上です。

○末松文信委員長 参考人の説明は終わりました。
 これより、陳情第118号に係る参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
照屋大河委員。

○照屋大河委員 遺族の皆さんには心よりお悔やみ申し上げますし、子供さんには御冥福をお祈りしたいなと思います。私の息子とは同級生だというふうに思います。うるま市出身ですが、地域からもたくさんの子供たちがコザ高に進学していて、つい先日であれば野球大会の選手、本当にクラブ活動も含めて身近な子供たちの思い、悔しさ、そういう選択をさせてしまったというのは本当に悔しいなと思っています。
 先ほどお母さんからお話がありました、17歳の人生の半分を部活動、全国での活躍、沖縄県を背負った活躍ということであったということですが、部活動を一緒にされていた方もお話がありました。その問題行動があった部顧問、複数回問題行動があった顧問、メールのやり取りが深夜まで続くという事実も判明していますが、やっぱり子供にとっては部活動で頑張るということでそういった事実を抑え込んでいるというふうな印象というのは、家庭や保護者会などではお話があったんでしょうか。

○森川恭剛補助者 すみません、質問の御趣旨が少し分かりにくかったんですが。

○末松文信委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、照屋委員から子供たちは部活動で活躍したいという思いがあって、顧問のそういった事案を封じ込めていたのか。日常的に不満を言ったりすることはなかったのかという点でお話を聞かせていただきたい旨の補足説明があった。)

○末松文信委員長 再開いたします。
 森川恭剛補助者。

○森川恭剛補助者 私の知っている範囲では、コザ高の部員たちはとても仲がよく、お互い励まし合っていたと思います。また、当該競技は必ずしも学校だけで練習するのではなく、別の練習場所をそれぞれの部員が持っていますので、そちらで競技力を向上させるということもやっていたようです。そして、顧問による部活動での指導というのはあまり熱心ではなかったと思っています。自主練も多く、生徒たちの競技力というのは自分たちの別の場所で鍛え上げられてきたもの、それが寄せ集まって自分たちで励まし合って練習をしていた。そんな印象を受けています。

○照屋大河委員 先ほど今回の件を受けて校長先生がその内容について全く知らなかった、裏切られたというふうな発言があったということで、日常的な、今の説明を聞くとなかなか顧問がしっかりそこに携わって、関わっていた状態ではなかったのかなというふうに感じますが、そもそも校長先生や他の先生たちとこの部活動との距離はあったというふうに見なければいけないのかなと思うんですが、その点はいかがですか。

○鈴木友一郎参考人 すごく重要な指摘かなと思います。つまり、ほかの先生も含めてこのことがどうなっているのかということは逆に僕たちがまさに知りたいことなので、何度も繰り返しますが、調査チームの報告の中ではそれが残念ながら見えてこない。校長先生は分からなかったというふうにおっしゃっているということなんですけれども、そこも含めてなぜ分からなかったのかということが知りたいと。なので、一つ一つ丁寧に知りたいことがたくさんあるというのが本音です。なので、再調査というところで進めていくと。
 多分新潟県も物すごく細かいところまで立ち入って多分調査されていると。多分これは2年はかかったとおっしゃっていました。大津市のも、ちょっとデータがなかったんですけど、大津市って尾木直樹さんが以前委員をやられて多分有名になったところなんですけれども、両面コピーで250ページ立てぐらいの、これは大津市のほうから僕が取り寄せた物になっています。ここには事件を受けて教員の責務だとか学校の責務だとか、あと大津市なので市教委の責務だとかというところも踏み込んで述べられています。課題がかなり大きい話なので、一つ一つ丁寧にひもときながら、なぜ起きたのか。なぜ起きたのかが分からないとどういう手だてを、手だても立てられないというのがあるのではないかなと思っています。なので、再調査をしていただきたいと。利害関係が絡まない第三者にお願いしたいというのが切なる希望です。

○照屋大河委員 調査結果の内容の中で調査の継続の明記があったということです。必要な調査が行われることを願ってやまないというところまで、これまでの調査報告書には明記することができたと。なお、県議会への陳情という形で今日に至っていますが、これまで学校側や教育委員会などには再調査についてどのように皆さん働きかけを行ってきたのか。その中で今皆さんへの回答というのはどのようなことが言われているのか。再調査はもうしないとかという形で言われているんでしょうか。

○鈴木友一郎参考人 ちょっと保護者説明会のところに前後するんですけれども、保護者説明会のときに第三者チームの調査報告というのは県教委が多分設置をして行ったと。その保護者説明会のときに誰が説明をしたのかといったら、校長先生と教頭先生がされたんですね。このときに県教委の担当者は来ていませんでした。そもそも高校の先生が、校長先生が、概要版であるんですけれども調査結果の報告を保護者にするということにすごく違和感を覚えました。なぜ設置をした県教委の職員が来なかったのかということはいまだに謎です。
 同様の話は高校の保護者会の中でも、森川さんとかほかの保護者の方も含めて同様な話はしています。その後どうなったのかという回答は一度もありませんし、保護者会はその後一度も開かれていません。
 ある種、高校の中でこの話をするのはタブーになっています、雰囲気として出しにくいと。自分の子供もこの話には触れたがりません。なので、それはできないだろうと思います。なので、しっかりとした利害関係の絡まない学識者の方であるとか弁護士の方であるとか、この問題に精通している方が軸になって、改めて不足していると思われる調査をしていただきたいというふうに願っています。

○仲村晃補助者 それに関連したお答えなんですけれども、お母様と先日お話ししている中で、県教委がどういう対応をしてきたのかというと、例えばAを聞くとBを答える。BじゃないというとCを答えるという、本当に行き違い。この当該教員、顧問の先生に対しての処分とかは人事課です、ここは保健体育課という形で、答える担当者がばらばらだったらしいんですね。そこで親御さんのほうは不信感を抱いたという話は僕は聞いています。
 これは本当に再三繰り返すように、教育委員会が主になって調査するものではなくて、教育委員会自身も本来は調査される側にあるはずなんですよね。そこは繰り返しちょっと強調しておきたいなと思いました。
 以上です。

○森川恭剛補助者 調査については、今回の詳細調査が終わるときに、先ほども申し上げましたようにこれで終わりじゃないですよねという御遺族から意見が出され、教育委員会のほうも調査の延長について含みを持たせていましたし、そのとき県教育委員会がどう考えていたのかというのはよく分からないんですが、確かにその後、人事課が処分を検討するというために調査を生徒に対して行っています。しかし、その後は既に再発防止のための検討委員会も立ち上げられており、調査についてはもうしないというふうにいつの時点かで県教育委員会は判断したのかなというふうに受け止めています。ですから、このままでは事実に向き合ってもらえていないという気持ちが強くなったので、今回の陳情に至りました。

○照屋大河委員 最後になりますが、この問題は今学校の中でタブーというような環境、そういう雰囲気というかそういう事態の中で、例えば先ほどお話しいただいた先輩の姿を追って入部した後輩、森川さんの子供さんたちとか、その部活動というのは今なお活動は続けられているんでしょうか。

○森川恭剛補助者 息子も事件のときはもう   やれないと言っていました。しかし、やはり―すみません。もう競技は続けられないと言っていました。しかし、部員同士で集まることで多分慰め合うこともできたんだろうと思いますし、亡くなったAさんが一緒に練習していた場所で過ごすと、やはりいつも思い出していると思います。私も息子とじっくり話し合ったことはまだありません。けれども、私たちがこういう再調査を求める動きなどをしていることは息子も理解してくれていて、いつか息子ともそういう話をじっくりしたいと思っているし、御遺族と比較はできませんけれども、私の息子も本当に大切な人を失って、多分大人になれば一緒にお酒でも飲み合って、そういうことができたんだろうなと思うんですけど、だからそういう話を息子と御遺族、あるいは私も含めて何年たってもそういう話をしていきたいなと思っています。

○照屋大河委員 そういう苦しい思いをされている子供たち、同じ部活動に限らず学校の子供たち、多感な時期で本当に大きな影響があると思うんですが、学校側や教育委員会から子供たちの精神面をサポートするような事件後の動き、取組とかというのはあるんでしょうか。カウンセラーとか。

○森川恭剛補助者 学校の対応は、カウンセラーを配置するので相談のある生徒はカウンセラーに連絡を取るようにと、そういう指導をしているようです。でも、息子がカウンセラーに相談することはありません。

○照屋大河委員 以上です。

○末松文信委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、上原委員から競技名は削除したほうがいいのではないかとの提案があり、委員長において整理することになった。)

○末松文信委員長 再開いたします。
 ほかに質疑はありませんか。
 喜友名智子委員。

○喜友名智子委員 本日は御多忙の中、参考人招致ということでお話を聞かせていただいてありがとうございました。まだ御遺族の方も、それからほかの同級生のお子さん方も親御さんたちもまだ恐らく落ち着かない中で、お話しするのもまだつらい時期にこのような陳情までやっていただくという事態を本当に深刻に受け止めています。陳情の内容が調査をもうちょっとしっかりしてほしいと、しっかりやってほしいという内容と理解しておりますので、どのような形で調査を深掘りをしていけばいいのかという観点から幾つか聞かせてください。
 まず、世取山教授のコメントの中で気になっているのが、2段目の行ですね、下から4行目。部活顧問による人格支配の危険性を示した事例として扱うべきであるというところをどのようにして明らかにしていけばいいのかというところは、私も同じことを考えております。そのときに聞き取りの調査対象者の範囲というのを、今皆さんがお考え、あるいは希望の範囲を、今の段階でいいですのでどこまでやってほしいとお考えなのか、そういった御意見とか意向はありますか。

○鈴木友一郎参考人 本当に委員が御指摘のように、すごくデリケートな問題をはらんでいるかなと思っていて、繰り返しになるんですが、弁護士と公認心理士でやれるような正直代物ではないのかなと思っています。どういう調査をしていけばいいのかとか、今おっしゃるようにどういう調査項目であるとか、対象を誰にするのかだとかということも踏まえて、それこそ丁寧に時間をかけてやらないといけない事案なのではないかなと思っています。
 新潟の場合は、7名の方が多分委員になられたのかな。そのときに教育であるとか福祉であるとか心理であるとか弁護士さんであるとか、弁護士の1人、すごく興味深いなと思って読んだんですけれども、1人の弁護士さんは御遺族の推薦による弁護士さんもこの委員の中に入っていました。これでも2年はかかったということです。もうちょっと補足をすると、世取山先生とちょっと電話でこの件でお話をさせていただいたときに、二十日間というのはあり得ないと。やっぱりどうやっても2年ぐらいはかかると。しっかりしたものを作るというのであれば2年はやっぱりかかるし、教育委員会がやるというのは―別にこれは教育委員会を悪く言うということではなくて、そもそも無理なんだよというふうにお話しになっていました。というのは、さっきの繰り返しになるんですけれども、当事者ではあるのでというところを考えるとやっぱり丁寧に、どういう調査項目にしていけばいいのかということの対象も含めて検証しなきゃいけないのではないかなと。
 もう一点、繰り返しになるんですけれども、学校が行った基本調査の中身というのは僕は存じ上げていません。急にやっているので子供たちに何を聞き取ったのかということはすごく気になるし、もしかすると傷ついているかもしれないということが考えられる。そのぐらいデリケートな話なので、やっぱり外部からしっかりとした形での調査委員会をつくらないと、この案件が何だったのかということが見えないのではないかなというふうに改めて思っていると同時に、繰り返しますが、そこがない改善計画というのは果たして実効性を伴うのかどうなのかということは危惧するところです。
 以上です。

○喜友名智子委員 ありがとうございます。
 私も二十日間の調査期間では全く短いと。恐らく時間がたつうちに話したいということも恐らく生徒さんにも教員の方にも出てくると思うんですね。今は話せなくても、1年後だったら話せるかもしれない。2年後だったら話せるかもしれない。そういったところまで含めた調査というのは私も必要だと思います。
 すみません、ちょっとこれは御遺族の方にお伺いをさせていただけますか。同じく世取山さんの御指摘の中での人格支配という言葉、今回の事件のポイントかなと思っております。今回は高校生になってからの自死事件ということなんですけれども、この部活の顧問とは小さい頃から教わっていたという関係だったと理解しています。これは正しいですか。

○伊波頼子補助者 以前から面識はありまして、この教諭を通して知り合えたというのもあるんですが、親しみやすさから言っていいこと悪いことがどんどん積み重なって、最終的には本人が支配に近いような、反抗もできないような、何かしらキャプテンという位置づけに対して叱責があったり、また理不尽な叱りもあったですし、本人の中でも判断がつきにくくなっているということもあったので、一種人格支配に至ってしまったのかなというのは思いました。

○喜友名智子委員 なぜ今このことをお聞きしたかというと、やっぱり付き合いの期間の長さというのが高校だけではないだろうと考えたときに、調査の対象期間を高校生になった期間から始めたほうがいいのか、それともそれ以前からの顧問とお子さんとのコミュニケーションの在り方まで遡って振り返ったほうがいいのか、調査範囲にどこまで含めるほうがより事実をしっかりと調査することになるだろうという疑問が私の中にあったので、今のお話をお尋ねしました。
 御遺族としては、お子さんの様子がやはり変わったとか、今回の自死につながったこと、調査時期というのは高校からが適切とお考えなのか。今の時点で結構です。それとももっと遡って長期間にわたって調査してほしいとお考えなのか、そういった御意向は何かありますか。

○伊波頼子補助者 以前からの関係性は良好でした。お互いに利害関係もなかったですし、ただ、高校に入ってから実績を残さないといけないという極度のプレッシャーもありました。本人の意図だけではなく、全体像、連帯責任という形も含めていろいろ行き過ぎた指導等も考えられたので、高校に入ってからの調査でよろしいかと考えています。

○喜友名智子委員 ありがとうございます。
 あともう一点ですね。これは私自身が運動部とか、いわゆる体育会系という部活に所属をしたことがないものですから、基本的なところを少し教えていただきたいと思います。皆様のお子さんがそれぞれ運動部に高校で所属されていて、ふだん例えば何時間ぐらい部活動、あるいは部活動以外でもその種目の練習時間にかけていたのかというところ、1日に割いていた時間の確認ですね。
 それから、御家族やお子さんにとっての部活動そのものの位置づけをどのように捉えているんでしょうか。例えば分かりやすくというか、ちょっと比べて考えたいのが、例えば私は高校は進学校だったので朝から夕方まで授業をして、部活動にかける時間というのは長くて2時間とか1時間半とか、運動不足を解消する程度で部活を捉えていました。けれども、恐らくそういった競技活動をメインに高校生活を送っているのではないかなと今思って、そのお子さん、あるいは御家族の中での部活動の位置づけ、高校生活の中での、をどういったふうに捉えているのか教えていただけると参考になります。

○鈴木友一郎参考人 私のほうはちょっと種目は違うんですけれども、水泳部なんですけれども、学校に一応部活はあるんですけど、いわゆるスイミングスクールというところに行っていて、水泳部、20人ぐらいいるのかな。大体ほかの子も学校で水泳をやるというよりはスイミングスクールで習うみたいな形で、大体週6日で1日2時間ぐらいですかね、やっています。ただ、小中高と続けてきていて、その種目自体に関して本人の中でのアイデンティティーみたいなものはやっぱりあるんだろうなというのは感じています。

○森川恭剛補助者 この競技の練習にかける時間というのは、その個人によっても、また競技によってもいろいろな違いがあると思います。今回亡くなったAさんについては本当に練習熱心で、その学校だけではなく自宅でも、または別の自分の練習場所でも練習、競技にかけていた子供でした。また、その競技を通して自分の人生を考える。例えば体育の教員になりたいとか、本当にその競技と自分というのは切り離せない、そういう存在だったと思います。

○仲村晃補助者 今回、Aさんは推薦入学だったらしいんですね。要するに優秀な成績で、それを買われてコザ高。コザ高はその部活動はかなり優秀な成績を毎年、全国制覇とか、準優勝ではなくて優勝することが顧問、学校の最大目標。それを垂れ幕に出して、今回もAさんの名前は垂れ幕として高校に掲げられていたそうです。推薦入学という、今回新聞等で取り上げられていますけれども、推薦入学で入ったからには部活を辞めると自分は辞めないといけないんじゃないかという恐怖もあったんじゃないかなと僕は考えています。
 何のために高校に入ったのかというところが抜け落ちているんじゃないのか。部活というのは本来学校のおまけらしいんですね。これは文科省の指導要領の中にも特に明記されていない、都道府県、その学校に任せられているおまけなんですね。そのおまけが今すごい肥大化してしまっていて、そこに親たちも期待してしまって、中にはプロ野球とかそこを目指している子たち、実際大谷選手も昨日活躍していましたけれども、そういうのを見ると親御さんも加熱してしまう。でも、それを静める人がいないんですね、現実。誰が静めるのかといったら、本来は教育である場がちょっと待てよというストップ。この問題は生徒だけではなくて先生の働き方にまで今及んでいるという話を聞いています。そういう意味でもすごい深刻な指導死という言葉も使われ始めていますので、沖縄でそれが起こってしまっている現実、その責任、責務というのはすごい重大だと僕は考えています。

○喜友名智子委員 以上です。ありがとうございました。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 小渡良太郎委員。

○小渡良太郎委員 本日はお越しいただいてありがとうございます。
 以前も少し話を聞かせていただく場を設けていただいて、あの後いろいろと私自身できる聞き取りをしたりとか、また頂いた資料を読み込む時間として活用させていただきました。皆さんがおっしゃるように、このような事態は二度とあってはならないと。そのために再発防止の在り方をしっかり考えるのももちろんですし、また今回あったことの調査もしっかりやっていくということは非常に重要なことだと考えています。
 その観点から、今私どもも2月、3月議会の中で詳細報告の取りまとめたものを教育委員会から報告を受けました。今日お話しされている部分と、その報告まとめ、皆さんもタブレットを開けば過去資料に入っているんですけれども、比較をしながら話を聞かせていただきました。いろんないじめの事案も説明いただいたんですが、今回のこの件については教師が加害者ですから、通常のいじめとは状況が違うと。特に学校の管理監督責任も非常に重大なものがあると考えていますし、この教育委員会も人事を担っていると。総括的な責任というのをしっかりと考えていかなければいけないと。これも以前いらっしゃったときに話したと思うんですが、やはりそこの部分が今手元にある調査結果のまとめというところを見ても抜けているなというのを改めて感じました。
 確認をさせていただきたいのは、高校が行った基本調査に関して、先ほど喜友名委員の答弁の中でどのような範囲でやったか分からないとかという話、鈴木さんからあったんですけれども、この内容というのは皆さん、または御遺族の方、基本調査の部分で報告とか、または全体の報告じゃなくて概要でも構わないので、そういったものというのは聞くことが今できているのか、あくまで詳細の部分だけなのか、少し教えてください。

○鈴木友一郎参考人 僕は全く存じ上げていません。詳細報告書に関しても御遺族の方から頂いたものなので、保護者が知っている範囲というのは恐らく概要版のみだと思っています。

○森川恭剛補助者 基本調査につきましては、御遺族の下には県教育委員会のほうから調査結果報告書が手渡されています。

○小渡良太郎委員 我々が今回ではなくて前の議会で確認をしたのは、この基本調査は学校側が行うものであって、詳細調査に移行する前に調査対象を絞るとか、またはいろんな形で例えばクラス聞き取りをする、部活動の部員の方々に聞き取りをすると。でも、一斉に全部やるという形になると非常に範囲が広くなるものですから、基本的な調査の部分である程度それを絞り込んで、詳細調査で深く確認をしていくという説明があったんですけれども、この基本調査の部分で聞き取りになられている範囲でも構わないので、基本調査もそもそも足りないよという印象を受けているのか。そうなると絞る前の段階から改めてしっかりと、本当にゼロベースで調査をしていく必要があるとお考えなのか。基本調査はある程度納得できる、または理解ができる内容なのかという部分、聞き取りされていなかったら分からないでも構わないので教えていただければと思います。

○鈴木友一郎参考人 すごく重要な御指摘だなと思っています。本当に何を基本調査でされているのかが分からないというのが、そこにはてなマークがあります。と同時に、当該高校の先生に当該高校の生徒が聞くというのは、果たしてどこまで本音のベースが出てくるのかなという気がしているところが1点と、あとはこの事案が起こった比較的間もない頃の話なので、かなり子供たちも混乱をしているということがもしかしたら想定されるのではないかなと。今委員が御指摘のように、どういう手法でやるのかということが果たして、本当にどういう手法でやるのかということを踏まえて基本調査なるものをしたのか、されなかったのかということが分からないので、逆にそのことも検証、調査していただきたいという思いもあります。

○森川恭剛補助者 基本調査につきましては、対象は生徒についてはクラスメイトと部員です。そして、生徒に関する調査については、クラスメイトについてはちょっと分かりませんが、部員については、部員にとってAさんが自殺された理由というのは比較的明白であったと思います。そういう状況で基本調査が学校によって記名式で行われました。しかも、その調査フォームというのは全く、何というのか、生徒が亡くなった。それについて何かおかしい、何か気づいたことはありますか。そういう本当に漠然とした質問のフォームです。だから部員たちもどこまで知っていることを書けばいいのか、多分分からなかったんじゃないかなと今にして思えば思います。
 それから、基本調査において学校の全教員に対して調査するようにというのが文科省の指針にありましたが、コザ高校が先生たちに対してどの範囲で調査をしたのかは確認ができない状況です。

○小渡良太郎委員 ありがとうございます。
 やはり皆さんが不足だと感じている部分、いろいろな説明も、またやり取りも含めて客観的に私が見ても明らかに不足をしているということは感じるところであります。
 この調査の期間、今手元にある私どもが文厚委員で頂いた調査結果のまとめの部分に関しても、著しく短い期間であるが、短期間のうちに一定程度の事実確認と速やかな再発防止の提言を行うことができたという話は書かれています。ただ、これを改めて確認をしたら、この問題に対する責任というのがやっぱり見えてこない。学校として、教育委員会として責任を果たしますというものは書かれています。でも、この事案に関して責任をどう感じているのか、責任をどう取っていくのかというところは、やはり著しく欠けているのかなと。それも含めてやはりしっかりとした調査をしていかなければならないなというのを改めて感じています。
 もう2点、簡単に確認をさせていただきたいんですが、再調査にいろいろ要望したいこととかというのを確認しようとして、喜友名委員から同じようなものがあったので、この再発防止という部分で、恐らく調査をしていこうという形で考えた場合、私自身としては急いでやる必要がある部分というのと、時間をかけてじっくり調査をしていく部分というのが2つ分かれるのかなという気がしています。
 やはり聞き取りに関しては先ほど委員からの質疑もあったように、時間がたたないとなかなか重い口を開いてくれないという部分もあるかもしれませんし、ただ、先生方が異動してあちこちに散ってしまうと解明ができなくなる、より解明が難しくなるという部分もやはりあるのかなと。急いでやる部分と時間をかける部分というのをしっかり分けていかないといけないとは思うんですが、その部分でもまず再発防止というのもやはり急いでつくっていかないといけないことだと思っています、聞き取り以外の部分でですね。この事案を受けて部活動の顧問がとかという、少し一般的に報道されるいじめの事案とは違う内容ではあるんですけれども、皆さんの思いで結構ですから、このようなことが二度と起こらないために、もちろんしっかり調査をして教育委員会、また学校側を含めて再発防止のいろんなことをつくっていくというのは当然なんですけれども、皆さんが求めたいことがあれば御意見いただきたいと思います。

○鈴木友一郎参考人 まさにそういう意味では個別化をやっぱりしていって、少し全体を把握していくという作業が、逆に言うと委員御指摘のように今できていない状況なのかなと。個別の積み上げをしながら全体の整理をかけていきながら、優先順位、どの順番でこれをやっていけばいいのかというところのロードマップみたいなものがもしかしたら必要なのではないかなというふうに思っています。
 あと同時に再発防止の観点からいうと、子供たちがちょっとしんどいんだよねというときに、子供たちのしんどさをキャッチできる、そういう機関というか場所が必要なのではないかなと思っています。先生からはどうしても成績をつけられて評価されるという関係があるので、なかなか思っても先生に伝えにくいんじゃないかなと子供は思っています。なので、先生ではない、教育委員会ではない、しっかり子供の悩みをキャッチをして改善、解決をしていくという第三者の機関というのは別に1つは必要なのではないかなというふうに感じています。

○仲村晃補助者 結構忘れがちというか、今回の件自体が本当に特殊というか、なかなかあってはならないことが起こってしまっているというところで見えなくなっているのは、これを一般企業で考えた場合、完全なパワハラですよね。これがもしかしたら支配する側、される側、ちょっと言葉はきついかもしれないけれども、そういう構造に学校自体がなっていると。そうやって考えたら、これはある一般企業のパワハラ上司が社員に与えた場合、これは法的な問題になってくるはずなんですけれども、実際この教員、顧問に関しては何の罰も与えられていないというところはすごいおかしいなと。学校という、公務員という壁があるのかなと。ごく一般の考え方なんですけれども、すごい違和感。そうやって考えていくと、今の急いでやらなければいけない調査というものと時間をかけるものというのはすごい丁寧にやらなければいけない部分ではあるんですけれども、確かに急がないと忘れていく、記憶違いがあるという部分はあるのかもしれないけれども、1人の子が命を落としているんですね。それを本当に考えると、どこまで丁寧さを追求していっても足りないことはないと思うんですよ。そういう意味でも、さっきの新潟の件もありましたけれども、2年かけたというところ、最低そこからスタートすることで再発防止の策が生まれてくるのかなと。実際県教委はこの後、対策の会議みたいなものをやるらしいんですけれども、それもすごい危ないなと思っています。

○森川恭剛補助者 今コザ高の保護者の中でも考え方はいろいろあると思います。事件に触れないほうが子供たちのためになるんじゃないかと考えておられる方もおられると思うし、あるいはコザ高は運動に力を入れている学校ですので、Aさんの死のイメージを払拭するようにもっと部活で頑張ろうというふうな雰囲気もあるかもしれません。でもそうじゃなくて、再発防止のためにはAさんの死を大事にするというか、Aさんの死を忘れないというか、Aさんのことを学校が忘れないという姿勢を示すことが子供たちの安心にもつながるし、先生たちも悔しいと思うので、その思いに正直に向き合うことができるのではないかなと考えます。だから、私はコザ高の先生方とこの事件について話し合いたかったです。

○小渡良太郎委員 今森川さんのお話を聞いていて、そのように思わせている風潮を結果として学校、また県教委がつくってしまっているということもまた大きな問題なのかなというふうに感じました。学校、子供たちが話さないほうがいい、あまり触れたくないとかという、本来再発防止をしっかりやっていく、この事案を二度と起きないようにやっていくというんであれば、やはり広く聞く意見も出てくるだろうし、ある程度共有しなければならないと。早期に調査を終えて、はい、終わりましたという形でやってしまっているからそういった風潮が生まれているんじゃないかなというのも感じました。
 いろいろとお気持ちもお聞かせいただいたので、我々としても再調査、どのような再調査が必要なのかという部分も含めてしっかりと思いを酌んで対応していきたいと思います。部活動の話に関しても、やはり私も今懸念をしているところではあります、先ほどお話しいただいた部分ですね。おまけの部分で、問題が起きるんだったら、じゃどのような形でやるかというところも、安易に考えられたら一生懸命やっている方々に対して、子供たちに対して本来違った意味での再発防止という形にもつながりかねないので、そういったことも含めて慎重に取り組んでいきたいと思います。ありがとうございます。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 玉城ノブ子委員。

○玉城ノブ子委員 一番子供たちの人権や安全が守られなくてはならない学校でこういうことが起きてしまったということについて、本当に残念だし、御遺族の皆さん方の思いを考えると本当にみんなが子供を守ることができなくて申し訳ないという思いですね。やっぱりそういうことが二度とあってはならないという思いはみんな同じだというふうに思います。そのために、じゃどうしたらいいのかということを私たちは考えていかなくてはならないだろうというふうに思っています。
 それで皆さん方から直接今までずっとお話をお聞かせいただいて、本当にそのために私たちが必要な対策を打っていかなくてはならないんだということを今痛感をしながらずっと聞いておりまして、私たちも教育委員会から概要版というのをもらったんですけれども、短い期間で非常に不十分な調査であったということが、私もこれを読んでいてそういうふうに思っております。その中で大変気になるのがありまして、指導者による体罰やハラスメントの内容ということで、部員の皆さん方を対象に体罰や暴言があったのかと。セクハラもあったのかということの質問に、57%の皆さんがそれがあったということを答えているんですよね。保護者の68%の皆さん方がそれがあったということをおっしゃっておられる。そういうやっぱり状況にあるということについて、保護者の皆さん方への説明会があったということなんですけれども、その中では具体的にこの内容については報告はなかったんでしょうか。

○鈴木友一郎参考人 学校説明会のときに、先ほどもちょっと初めのほうで述べさせていただいたんですけれども、事件の内容を管理者の方が話されていて、そのとき僕はどういう調査がされたのかというのをそもそも知らないというか、事件の内容の説明ということだったので保護者説明会に行きました。第三者チームの調査報告、概要版というところで示されています。
 すごく違和感を覚えたのは、事件の説明会の当日にいきなり学校側が改善案なるものを出してきたと。学校から初めて聞く話なのにいきなり改善案と言われても、これはイエスともノーとも言えませんと。事実関係も分からない中で改善案ってないんじゃないですかということは述べさせていただきました。そのときに、これは後から分かったことなんですけれども、何度も繰り返しますが、当該校の先生への聞き取りとか、当該校のほかの先生が何を考えているのかということが一切分からないと。そのことはすごく私は気になりますというところで保護者会でも説明していますし、それは保護者説明会から3か月たっていますけれども、その後どうなったのかということは一切何もありませんので、そもそもの対策ということはもちろんしていかなきゃいけないんだけど、そもそも何があったのかすら分からないという状況で、どうにかしてほしいということは委員のいろんな方々から言われているんですけれども、すごく困惑をする。僕自身もすごく困惑するところです。なので丁寧に本当に再調査をしていただきたいという1点に尽きます。

○玉城ノブ子委員 今のお話を聞いても、十分な調査ではなかったということは保護者の皆さん方との関係からいってもそうであったんだなということは分かりますけれども、体罰やハラスメントが解決されたというふうに考えますかということに対して、部員や保護者の皆さん方は66%から80%の皆さん方が解決はされていないというふうに答えているんですけれども、管理職や指導者の皆さん方は解決の方向に向かっているというふうな答弁になっているんですよね。それについて私は、この認識の違いがちょっとおかしいんじゃないかというふうに思ったんですけれども。

○鈴木友一郎参考人 まさしくこれもすごく大事な点だなというのは思って、この図では何で起きているのかということも含めて、特に当該校、コザ高校の件に関してどういうことが行われたのかということが、まさに今の委員御指摘のところのずれが、子供や保護者と学校、教師側とのずれ感というところはもしかしたら浮き彫りになるのではないかなという感じがしています。

○仲村晃補助者 何が起きているのか分からないというのは、そもそも学校に行っている子供たちは1日の大半学校で過ごしていますよね。それは親はほとんどどういったことを子供たちが考えてどういう生活を送っているのか、見ることができないし、知ることができないんですね。何が起きているのか分からない。そこで子供が傷ついているかもしれないと思ったとしても、守り方が分からない。そもそも守ることもできない。その中でこういった事故というか、事件だと思っているんですけれども、僕は、これはコザ高だけ問題ではなくて、全県の問題。再調査がもしできたとしたら、その調査の結果は本当に沖縄県の教育に関わる学校、教育者―教員ですね。PTAも含めて皆さんで共有して、これを本当に把握し、責務、責任として捉えてほしい。でなければ、似たような問題は起きる。実際過去にもガイドライン的なものはつくられているみたいですけれども、完全に形骸化していますね。先生たちもその存在すら知らないというのが現状だと思います。そういうことも考えると、本当に再調査がどれだけ大事なのかというのは親としても認識しているつもりですし、言いたいこと山ほどあるんですけれども、そういうことで再調査はとても強く求めます。

○玉城ノブ子委員 最後ですけれども、私も大津市の第三者委員会の調査の内容、概要版ですけれども読ませていただきました。非常に丁寧な、そして本当に時間をかけて丁寧な調査がされているというふうに思いました。先ほどもちょっとお話が出ていましたけれども、一つ一つの学校の教員に対する提言だとか、そして学校に対する提言だとか、細かく掘り下げて調査をして、細かく提言を行っているんですよね。やっぱりそこまできちんとしっかりと調査をして、二度とそういうことが起こらないような環境をつくっていくためにはどうしたらいいのかということをもっとみんなが真剣に考えて議論をしていくことが必要だなということを、大津市のものを読ませてもらってそういうふうに思いました。ぜひ皆さん方の思いを再度聞かせてください。

○仲村晃補助者 ありがとうございます。
 特に沖縄県の教育の中では平和教育といって、戦争で亡くなられた方に対しての命の貴さの教育が毎年行われていますが、そこで言われる言葉が命どぅ宝、果たしてこれが命どぅ宝に対する扱いなのかなというのが僕の本当に矛盾した思いです。
 沖縄県、本当に子供の様々な問題に僕はつながっていると思うんですね。今回の教育委員会の振る舞いという言葉をあえて言わせてもらいますけれども、果たして大事にされているのかなと、子供が、この沖縄県では。たくさんのしんどい思いをしている子供たちが数字で完全に表れていますね。全国ワーストという数字が本当にたくさんあります。教育に関してだけでも進路未決定だったり、中途退学、不登校、全部ワーストです、沖縄県。なぜでしょう。その答えがもしかしたら今回のこの調査にも表れているんじゃないかと僕はすごく感じました。子供は人権があります。それすら、人権についても一言も語られないんですね、今回。子供の人権、尊厳。お母さんもおっしゃっています。尊厳を守りたいと、自分の子供の尊厳を。
 今回僕も線香をあげに行かせてもらったんですけれども、初七日のこの期間、本当に煙が絶えなかったそうです。なぜかというと、同級生、この子に関わった子供たちが毎日毎日通って、僕らができることは何だろうと。これぐらいしかできない、線香のあげ方が分からない、ごめんなさいと泣き崩れた子もいたそうです。そういう思いを誰がさせているのかと。子供たちは子供なりにできることを一生懸命考えて行動に移してくれました。その大人たちは果たしてどういう振る舞いを行っているのか。本当にここは沖縄県の問題として大きな問題だと思います。ぜひ皆さん検討されて、再調査につなげていただきたいと僕は心から本当に願っています。ありがとうございます。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新垣淑豊委員。

○新垣淑豊委員 本当に今日はありがとうございます。
 我々も委員会であったりとか本会議でも、この件については取り上げる方も結構いらっしゃいます。そのときの答弁もちょっと確認をしながらお伺いしたいんですけれども、その前に、私も今回皆様がおっしゃっているように教育委員会以外のところが調査をするというのはとても賛同いたします。やはり教育委員会というのはどうしても現場の職員の方も委員会の中に入ってしまう部分があって、なかなか本当に現場の先生方のことをしっかりと調査できるのかということを考えたときに、やはりそこに本当に客観的に入っていけるのかというのは感じておりますので、これまでも問題教諭の指導が不適切な教員判定会というものもあるそうなんですけれども、実質これがこの数年形骸化している、全く行われていないという現状も実は委員会の中でも出ておりました。なので第三者委員会というのは僕はしっかりやっていくべきだというふうに思います。それが前提で、教育委員会がどういうふうにこの事件に対して、皆さんに対して対応されているのかというのを2点お伺いさせていただきたいと思います。
 まず1点目、先ほど仲村さんがおっしゃっていたようにいろいろな部署にお話が飛んでしまうということがありましたけれども、この件について例えば関連する部署の方々が一堂に会してしっかりとした聞き取りがされたのかどうかということをお伺いさせていただきたいです。例えば人事であったり県立学校教育課であったり保健体育課、こういったところが全て関わると思うんですけれども。

○伊波頼子補助者 すみません、質問をもう一度お願いします。

○末松文信委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、新垣委員から聞き取りの体制について確認があった。)

○末松文信委員長 再開いたします。
 伊波頼子補助者。

○伊波頼子補助者 聞き取りに関してはそれぞれ担当部署が違うということで、それぞれの聞き取りになっています。ただ、私たちもてっきり情報は共有されているという認識でしたので、何度も同じことを説明するのにすごい違和感を感じました。その都度、私たちが質問した部分に関しては明確な答えではなく、次にこういう機会があるからという形で、きちんとした適切な返答に関しては保留になったりとか検討しますということでお答えいただいていたことがありました。

○新垣淑豊委員 何度も何度も同じような説明をするというのは非常につらいと思います。そういったところについては教育委員会に対して我々もしっかりと物申したいと思っています。
 この6月の定例会がありまして、その中でも代表質問であったり一般質問の中でもその案件についての質問が出されています。そのときの教育長の答えで、再調査についての要望が出されているのは聞いていると。御遺族の意向を確認させていただいて、詳細調査でどういったところが足りないのかと聞き取った上で精査をさせていただくという答弁を繰り返しされているんですね。正直それから今日まで2週間以上たっている中で、教育委員会のほうからそういったお話が、改めてどういったところが調査としてやってほしいのかということの聞き取りがまたされたのどうかということをちょっと教えていただきたい。

○伊波頼子補助者 家族には何が足りなかったのかという案のメールが来たんですが、ただ、私たちとしては調査してほしいのは教育委員会からの調査ではなくて、話しやすいほかの第三者機関として調査をしていただきたいという思いが強いものですから、今の御質問に対して私たちは一旦お答えはまだしていない次第です。なぜかといったら、お答えするには少しお時間もいただきたいですし、ただ、先ほどもおっしゃっているんですが第三者委員会としてしっかりと精査して調査していただきたいという思いが強いものですから、そういう部分からまだ教育委員会さんのほうにはお返事は差し上げていません。

○新垣淑豊委員 分かりました。私が確認させていただきたいのは以上です。ありがとうございました。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 今日はありがとうございました。非常によくまとめられた資料を頂きまして、大変参考になっております。
 私から2点確認をしていきたいと思うんですが、まず生徒10名余りの聞き取りを当初されていますね。先生方が6名ということで先ほど校長、教頭、担任というお話があったんですけれども、この10名の中に部員のお子さんたちは何名ほど聞き取りされているんでしょうか。

○伊波頼子補助者 聞き取り調査に協力していただいた部員は全部で14名です。その中でもやはり体調不良で時期をずらして調査をしていただいた子もいらっしゃいますので、私が認識しているのは14名という人数です。

○比嘉京子委員 ありがとうございます。
 もう一点は、非常に直前の問題として、LINEのやり取りというのを報道では顧問の先生は削除したというようにありますけれども、そのお子さんの保存状況といいますか、それというのは今どのようになっているんでしょうか。その内容が第三者委員会でどのように検証されているんでしょうか。

○伊波頼子補助者 息子の携帯はまだ解約はしていません。LINEの状況も見える状態で保存もしております。これまでの経緯や流れについても調査の内容として御提示はさせていただいています。検証については、どのように検証されたかはそれぞれの担当部署のほうで精査されているかと思うんですが、具体的にそれがどういうふうに検証されたかというのは、すみません、私は分からないです。

○比嘉京子委員 子供たちの言っていることと顧問の言っていることというのは一致しているんでしょうか。言い分といいましょうか。

○森川恭剛補助者 報告書には、子供たちの言い分というのは背景には採用されているかもしれませんが、子供たちの言い分と教員の言い分が食い違う部分については食い違っているという記述もなく、教員が認める範囲内のことが書かれているという印象です。

○比嘉京子委員 やっぱり再発防止、本当に意味のある再発防止をやるためには徹底した調査が必要であるというのは多分に委員の一致した考えではないかなと私は思います。この徹底した調査のある一定の理解というのは、やっぱり御遺族の理解、御遺族が十分の調査をしていただいたという理解、それを得ることがとても大事ではないかと思います。ですから、今回の皆さんの参考人にいらしていただいたことを非常に私たちは参考になっておりますので、ぜひ生かしていきたいというふうに思います。御要望にもお応えできるようにやっていきたいとは思いますが、最後に特に御遺族の方に言い足りなかったことがあればお話しいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○伊波頼子補助者 うまく伝え切れるかどうかはちょっと不安なんですけど、私たち家族、本当に17歳という期間しか一緒にいられなかったんですけど、息子が生きたあかしと尊厳を守ってほしいというのが一番の願いです。また、関わった子供たちも息子のことを忘れることなく、ただそっとしておくとかではなくて、息子の分まで一緒に一生懸命頑張って生きないといけないという気持ちで前を向いてほしいなと思います。息子は残念ながら全国大会に出場することもできず、これから仲間との楽しい時間を過ごす時間もできなかったことを本当に無念に思っています。一人一人が生きる命の大切さをしっかりと見極め、息子の分まで精いっぱい生きてほしいなというのが私たち家族の願いです。
 大切な息子は、言葉に優しく、人に優しく、とても人思いでした。今私たちがこのような行動ができるのは、大切な人のためにどのような行動をしたら人は変われるのかなという息子の言葉を大事に、優しさに触れながら今過ごしています。
 ただ、再調査に関してはもちろん皆さんで共有した形で今後の対策に向けてしっかりやっていってほしいと思いますし、ただ、子供たちそれぞれ投げ捨てる命は一つもないんだよというのは強く言いたいです。どんな形であれ人は生きる権利はしっかり持っています。沖縄県全体でそういうような認識を持った社会になってほしいなと私たちは思っています。すみません、うまく伝え切れなくて。
 以上です。

○比嘉京子委員 ありがとうございました。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 上原章委員。

○上原章委員 時間も限られて申し訳ないんですが、私のほうから少し確認だけさせてください。
 まず今回の事案については、本当に誰もがどうしてこれを止め切れなかったかという、その思いでいっぱいなんですけど、皆さんが今回出した陳情の中に、基本調査を学校は生徒50名余りという文章があります。ただ、県は基本調査を学校がやっている中で全職員聞き取りをしたという処理概要になっているんですけど、ここがちょっと違うところが、あまりにも差異があるなと思うんです。この辺はどうお考えでしょうか。

○鈴木友一郎参考人 正直今の言葉は驚きです。そういう発言は学校説明会の中では聞いていません。であれば、先生たちがどう思っているのかを知らせてほしいです、せめて。

○上原章委員 分かりました。
 あと1点、皆さんから頂いた他府県の調査の中で、私も自浄作用能力が問われていると思っている部分、本当に利害のない第三者委員会が―今回教育委員会がやった調査も、著しく短い期間であったというのは認めているわけなんですけれども、新潟県の2年間かけてやった中に事務局は教育庁の総務課に置いているんですね。弁護士さんやその学識者、また専門性の高い人たちに改めて中立、透明性の高い調査をしてもらったときの事務局は、先ほど県がしっかりリードしてやってほしいという、この教育庁総務課という新潟県の事例というのはどうお考えでしょうか。

○鈴木友一郎参考人 詳細のところまでは存じ上げていないところもあるんですけれども、僕は保護者の一人として、少なくともこれまでの対応を見て信用してくれというのは、僕はうんとはちょっと言えないなというのが率直なところです。

○上原章委員 分かりました。
 あと1点最後に、再発防止の部分で公的第三者機関をと。県は6月の議会では親子電話相談や24時間子供SOSダイヤルがありますというような答弁になっているんですけれども、私はこれで皆さんが―また過去私たち議員にもいろんな事例の相談がいっぱいあります。一番気になるのは先ほどお話があった人格支配の危険性というところで、教師、指導者対生徒というのはあまりにも私は非常に権威というか、成績を評価される、その対等の部分がやっぱり弱くて、非常に生徒の、児童の中の本当の思いがなかなか発信、キャッチできないというところで、私はこの公的第三者委員会、特にハラスメント、教師から受ける人格を否定される部分というのは徹底的に見つめ直さないといけないということで、私は沖縄県が本当にこれにしっかり取り組むという形にしないとこれはもう届かないなというのが、私も日頃のいろんな方々の相談の中でこの自浄作用能力が本当にしっかりされれば、教育委員会がリードしてやれればいいんですけど、今回については非常に弱い。皆さんのこの事件は本当に心痛い思いがあるんですけど、この点最後にお聞かせ願えれば参考にさせていただきたいと思うんですが。

○鈴木友一郎参考人 まず強調したいのは、何度もになるんですけれども、再調査をしっかりしていただきたいと。小さい積み上げで大きい今回のようなケースが生まれたと。ということは、どういう小さい積み上げがあったのかということが解明されないと、ある程度解明されないといけないのかなという部分が1点と、もう一つは今委員の御指摘のあったように、困ったときに本当に学校に相談できるのかというのは、僕は何度も言うんですけどなかなか難しいなというのはちょっと思っています。
 他府県の例でいうと、困ったときに救済を申し立てる、長野県の中では子ども支援委員会というものが立ち上がっていて、今年の2月だったか3月だったか、毎日新聞に多分載っていたと思うんですけど、同様に過去に高校時代に部活でパワハラに遭ったけれども、しっかりとした再調査が長野県の中でされていなかったということをある高校を卒業された方が長野県の子ども支援委員会に訴え出て、それが再調査になるのかどうかという、その後は今ちょっとよく分からないんですけれども、そういう機関があると。そこには完全に独立した形での大学の先生であるとか弁護士さんであるとか心理系の人であるとかというところで、学校が正しいとか本人が正しくないとかではなくて、事実関係がどうなのかということを把握をして調整をする機関が長野県では設けられているみたいです。なので、そういったものが仮にあったとしても全部防げるかどうかは分からないんですけれども、少なくともそういう機関は必要なのではないかなという部分がちょっとあったものですから、陳情の中には入れさせていただきました。

○上原章委員 ありがとうございます。
 参考にさせていただきます。
 特に弱い立場の人をどう守るかに過ぎることはないと思いますので、今日は本当にありがとうございました。終わります。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 瀬長美佐雄委員。

○瀬長美佐雄委員 どうも今日はありがとうございました。
 参考に資料提供をいただいて、一定読ませていただきました。私は新潟県の調査報告書、そこで今回沖縄県がその立場に立つ必要があるなと思ったのは、やっぱり尊重されているのは当事者ですと。遺族の意向に応えるという立場で取り組んだ報告書だというふうに感じました。聞きたいのは、現実的に後輩の保護者もいらっしゃっていますが、同級生、後輩を含めて、現状としてケアが必要ではないのかなという状況なのか、実際子供たちを見て受ける状況をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木友一郎参考人 ケアするしないということも1点あるんですけれども、冒頭で述べたようにうちの子供はこの話を一切しないという、結構明るい子なんですけれども、一切しません。学校の雰囲気も多分、何度もあるんですけれども、ちょっとこの件については話せないという雰囲気が漂っていると。ということは心に蓋をしてしまっているという状況という、正直しんどいだろうなと。ここに触れたくないという気持ち、子供の中ではそういう子がいても不思議はないなというふうに思っています。なので、本当にどうするのかということは、何が起きたのかというところをしっかり見据えながら、逆に学校の中で本当に何が起きているんだろうということをしっかり考えていかないとならないのではないかなというふうに改めて思っています。多分全体的にはそういう雰囲気なんじゃないかなと。逆に当該部活の子はもっとなんじゃないかなというふうに思っています。

○森川恭剛補助者 息子もAさんが亡くなったときは1週間休みました。本当に立ち直れるのかと不安に思っていました。でも、今は学校に通っています。仲間同士で多分Aさんのことを話したりしているんだろうなと思います。それが支えになっているような気がしています。特にケアが必要ということではないと思っていますが、私から言うことではないかもしれませんけれども、御遺族、三男の子がいて、とてもけなげに頑張っています。でも、つらいんじゃないかなというふうに察しています。

○仲村晃補助者 ケアというところでいうと、もちろん生徒さんたち自身のケアというのは何らかの形で考えていかないといけないと思うんですけれども、身近にいた大人たちも心を痛めているはずなんですね。そういう意味で、ケアって何だろうと。やっぱり責任を痛感して責任をどう取るかというところ、今見ている限り責任の取り方が分からない。それは教育委員会を含め僕もそうです。どうやって取ったらいいんだろう、これ。大人としてどういうふうな責任の取り方があるんだろう。やっぱり再調査なんですよね。細かくなぜこういうことが起こってしまったのか、なぜ助けられなかったのか、そこをつぶさに調べていくことでしか僕らは責任を痛感できないし、取れないんじゃないかなと僕は感じています。

○瀬長美佐雄委員 要するにケアにつながる解決の方法はやっぱり全て明らかにするという中で、それを踏まえて子供たちは子供たちなりにそれを理解すると。保護者も関係者も、だと思います。そのための取組であり、この陳情というふうに要請として受け止めたいと思います。
 この新潟県のことは今回の沖縄に照らすと、文字どおり沖縄こそが今回の学校の対応、教育委員会の対応を新潟県は第三者委員会が。その対応の在り方として、一定の学校に対する教育員会の対応が本来の今回の事例のような対応のガイドラインにもちょっと応えられていないというふうな指摘が読めました。そういう意味では、今後起こしてはいけないことを、やっぱり第三者委員会の在り方の中でいうと、私は新潟県が設置したこの第三者委員会はとても今回の沖縄の事例に対しても示唆に富んだ取組だと私は受けましたが、そういう規模のあるいは取組を期待するということでの陳情として理解していいのか伺います。

○鈴木友一郎参考人 第一義的には本当に御遺族の意向に沿う、御遺族が納得される。そこが納得された上で僕たち保護者、大人も子供たちも納得するということになるのかなと思います。今御指摘の点はまさにそのとおりなので、ぜひしっかりと教育委員会から独立をした形での再調査、丁寧な再調査を再度求めたいと思います。

○瀬長美佐雄委員 どうもありがとうございました。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○末松文信委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、陳情第118号に係る参考人に対する質疑を終結いたします。
 この際、委員会を代表して、参考人及び補助者各位に一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思いますので、どうぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
鈴木友一郎参考人、森川久美子補助者、仲村晃補助者、森川恭剛補助者及び伊波頼子補助者、大変ありがとうございました。
 休憩いたします。

   午後0時13分休憩
   午後1時30分再開

○末松文信委員長 再開いたします。
 請願第1号に係る参考人からの意見聴取についてを議題といたします。
 なお、ただいまの議題につきましては、去る7月2日の本委員会での決定に基づき、請願第1号の審査の参考とするため、請願者を参考人として招致し、説明を求めるものであります。
 本日の参考人として、選択的夫婦別姓・陳情アクション沖縄共同代表の眞鶴さやか氏の出席をお願いしております。
 タブレットに掲載してます資料請願提出にいたった背景と理由を御覧ください。
 眞鶴さやか参考人から、補助者として砂川智江氏を同席させ、必要に応じて発言させたいとの申出があり、委員長として適当であると判断し、出席を許可したことを御報告いたします。
 参考人及び補助者におかれましては、本日は御多忙のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 参考人から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は請願の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人の説明を聞く場でありますので、参考人が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それでは参考人から、請願第1号選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書の提出を要望する請願について、提出に至る背景及び目的等について、簡潔に御説明をお願いいたします。
 眞鶴さやか参考人。

○眞鶴さやか参考人 こんにちは。選択的夫婦別姓・陳情アクション沖縄の眞鶴さやかと申します。本日はよろしくお願いいたします。
 では、請願提出に至った背景と理由について、お手元の資料を基に御説明させていただきます。まず自己紹介なんですけれども、陳情アクション沖縄の共同代表眞鶴さやか、1986年生まれ、35歳、会社員。うるま市出身で2019年、約2年前に法律婚して、妻氏婚を選択しました。自分がしたくない改姓を愛する夫にしてもらって、罪悪感で押し潰されそうな思いです。
 どうして私がこの活動をすることになったかというと、五、六年前にいとこの女の子が結婚して名字が変わっていないことを知って、そのときにずっと夫の姓しか選べないと思っていたんですけど、妻の姓でも結婚できるんだということを初めて知りました。私も眞鶴という姓がやっぱり仕事をしている上ですごいかっこいいねとか、テンペストに出てくる眞鶴という人もいるので、かっこいいということに気づいて変えたくないという思いが強まってきました。夫に眞鶴で結婚しないかと言って夫は了承してくれたんですけれども、夫の両親が大反対して1年ぐらい疎遠になって、あちらのお母様が息子が取られる気持ちと泣いていらっしゃったのがとても私も悲しかったです。女性が改姓すべきという周囲の圧力がすごくて、とても傷ついていました。みんなが誰も傷つくことなくハッピーで結婚できるようになればいいのにと思って、どちらも改姓せずに法律婚がなぜできないのだろうということで調べていきますと、同姓を強制する法律になっているのは日本だけということを知りました。
 インターネットで調べていくと、SNSで選択的夫婦別姓・全国陳情アクションという団体があることを知って、そこで当事者の多くの方がいることに気づいて、そこでいろいろな情報を勉強しながら、2019年にうるま市に請願を出して、2019年10月7日、賛成多数で可決され、選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書がうるま市から国に送られました。そこで5回ぐらい各会派に向けて勉強会を行ったんですけれども、そのときのうるま市議の方の声です。これからは一人っ子同士の結婚も多くなってくるので時代の流れに合わせたほうがいい。結婚したくてもできない方を助ける、個人を尊重することが大事なので救済したい。地域特有の名字を大事にしていて、郷土を大事にしていると思った。多様性は大事にしないといけないといった声が上げられました。
 2020年11月22日、いい夫婦の日に全国のアンケート調査が発表されて、全国でもニュースになりました。そこで全国でも選択的について賛成という方が多かったんですけれども、沖縄が賛否倍率10.3%で1位という結果が出まして、そこでとても困っている人が多いということも浮き彫りになりました。
 次の9ページですけれども、県民の意識調査というのも県のほうでされていまして、そこでも選択的夫婦別姓を認めるほうがよいという方が賛成が大きく増加している結果になりました。
 全国のアンケートのニュースを見て、隣に座っている砂川さんが私にSNSで連絡をくれて、私も改姓してとても困っているということで、何か動かなくてはと思ったメンバーが続々加入しまして、2020年12月、選択的夫婦別姓・陳情アクション沖縄が発足しました。
 11ページからは、砂川のほうから読み上げていきたいんですけど、よろしいでしょうか。

○末松文信委員長 はい。それでは、砂川智江さん。

○砂川智江補助者 よろしくお願いします。選択的夫婦別姓・陳情アクションの砂川智江と申します。
 それでは、11ページから16ページまでは私が御説明させていただきます。11ページ、選択的夫婦別姓を望む県内当事者の生の声とまとめてあります。これは私たちのグループのメンバーであったり、グループに寄せられた声を集約いたしました。読み上げていきます。シングルで子育てをし、子供が二十歳になったのを機に結婚。夫婦それぞれに子供がおり、2人とも自分の子供と自分の名字が別になることに強い抵抗感があったため、どちらも改姓を望みませんでした。また、氏名は顔と同じく、自分の人生を刻む看板だと思っています。不本意ながら改姓しましたが、最期は自分の名前で人生を閉じたいです。私は県内離島出身者ですが、いつ何があるか分からないコロナの時代、ほとんど使っていない戸籍名で新聞の死亡広告に載ったら、地元の友人知人は私が他界したことに気づかないでしょう。寂しいです。
 ちなみにこれは私のことです。
 次に、男性である私は、女性が名字を変えるのが当たり前だと思っていたし、どんな気持ちになるかなど考えたこともありませんでした。しかし、当然一人一人の思いがあるし、それを尊重し合うことが男女平等だと今は思っていて、息子にも伝えました。
 パートナーが転勤族ですが、私は生まれ育った沖縄で両親や親族の近くに住み、今の仕事を続けたいと考えています。夫とは仕事の関係上、ずっと同居できるわけではないため、事実婚を選べません。悩んだ末に3年前に私が改姓して法律婚をしました。子供を授かり、今は私が沖縄で子育てをしていますが、旧姓使用は限られており、不自由を感じています。また、私自身は姉妹しかおらず、さらに父方のいとこに男性がいません。父は長男でトートーメーがあり、継承者に困っている状況です。夫は次男で、私が継承することに理解を示してくれています。別姓も認められるようになれば、トートーメーも継ぎやすくなるのではという期待も抱いています。
 次のページです。私は生まれ持った姓を変えたくなく、また交際しているパートナーに改姓を強制したくないので、法律婚をしたくてもできない状況にあります。結婚は人生において重要なイベントです。一日でも早く、誰もが平等かつ自由に結婚できる日が来ることを望みます。
 少女時代は新しい名字になるのに憧れていたこともありました。しかしいざ婚姻届を書くときに、氏名が変わるかもしれない現実を初めて突きつけられ、握ったペンが動きませんでした。夫婦とも改姓を望まなかったのでじゃんけんで決め、私が負けました。銀行の通帳は名義変更をすると困ることが多々あるのでそのままにしておきたかったのですが、窓口で有名人でないと旧姓使用できないと言われ悔しい思いをしました。現在はペーパー離婚を経て、相変わらず家族仲よく暮らしています。
 姓が変わるのは自分ではなくなる感じがします。名前と同じく姓も私のアイデンティティーとして確立しているので、この姓を一生使い続けたいです。もっと早く選択的夫婦別姓になると思っていたので、もう何年も結婚を先延ばしにしていますが、来年からは40代、年齢的に不安や焦りを感じてもいます。自営業者のパートナーに改姓させるのは金銭的にも負担がかかります。何より、自分がされて嫌なことを相手に代わってもらうのは公平ではないし、何か違うなと思います。
 旧姓は先祖が戦の功労を認められて与えられた姓だと聞いています。代々受け継がれてきた姓に誇りを持っているので、改姓は悩みました。結局、事実婚の不自由さに仕方なく改姓しましたが、先祖との絆が断たれた気持ちがして苦しかったです。改姓後は、口座、クレジットカードの名義変更、それに伴う十数件に及ぶ各種自動引き落としの変更、さらに車の名義や保険に至るまで、あらゆる変更手続に煩わしさがありました。会社に旧姓で現金書留が届いたときは、不在票を持って郵便局に行っても、旧姓も会社の住所を証明するものもなくて大変な思いをしました。夫婦別姓が認められるようになったらすぐにでも戻したいです。
 私は結婚をしたときに改姓した側ですが、免許や口座、保険に各種会員証、その他様々な機会で登録した全ての名義を書き換えなくてはならず、2年たった今でも完了していません。知らない番号からの着信にはどちらの姓で返事してよいか悩み、返事ができません。
 ほかにも、仕事の姓とプライベートの姓が異なると面倒。絆や愛を見える化しないと不安な人、それよりも人を尊重することのほうがずっと大事。改姓後、名前を言うたびにうそをついている感覚になる。妻の思いをまだ受け止め切れていない自分がいる。この問題にもっと深く関わりたい。
 この小さい文字、最後のその他意見は3月に私たちがイベントを開催したときにアンケートで寄せられた声です。
 14ページです。夫婦別姓が必要とされる理由。①仕事面。生来の名前で築いたキャリアを改姓で分断せずに済む。現在は改姓で仕事をしている方がほかの方から認識してもらえなくなるということも起きています。戸籍名が必須の資格職や旧姓で検索される学術論文などの実績を結婚後もスムーズに引き継げます。②プライバシー面。改姓した側だけが本人の意思とは関係なく、結婚、離婚、再婚などの事実を周知されるプライバシー権の侵害が防げます。③人権面。個人のアイデンティティーとなっている生来の姓を変えたくない人の人格権を守ることができます。DVの減少が期待できます。④慣習面。結婚改姓した側が、まるで相手側の家に入籍、嫁入り、婿入りしたかのような誤解がなくなります。現法では結婚する2人は実家の戸籍を抜けて2人で新しい戸籍をつくりますが、周知が進んでいないということも見受けられます。昭和22年に廃止された家制度が慣習として残り、何となく社会的な圧力を生んでいるという面もあります。互いに氏名とその背景を尊重しながら、男女平等の形式でパートナーシップが結べる。少子化の時代、一人っ子同士の結婚などで親の姓を継ぎたいというカップルが法的に正式に夫婦になれるというところがあります。⑤手続・コスト面。公的書類、金融機関の口座やカード、何十もの改姓手続や周知の負担がなくなります。また改姓手続を正確に行うための役所や企業側のコストも削減できます。
 こちらからは、様々な実際に上がっている声です。事実婚二十数年、相続と互いのみとりが心配。改姓しないままの通帳は偽名とまで言われ、ペーパー離婚に。どちらかの姓に統一しなければならない時点で既に公平ではない。事実婚では法的に不利。十数万円の費用をかけ、公正証書を作成。改姓問題で結婚をちゅうちょする人、破談になる人、出産の時期を逃す人がいる。自分が自分ではなくなるような喪失感に耐えられず、ペーパー離婚。改姓すれば私の名字は私の代で途切れてしまう。特許出願や研究発表に使う旧姓の通称は、会社が後ろ盾にないと保証されない。子連れ再婚で2度目の改姓。一家の大黒柱が別の人間になる苦痛。妻氏婚のため婿養子かとの偏見に苦労した父。自分もパートナーも法人代表、お互いこの姓と名で多くのことを成し遂げてきた。出生率を上げたいのなら、女性が結婚に二の足を踏む状況を少しでも減らしてほしい。海外赴任中は夫の姓を名乗り、帰国次第、離婚して妻氏婚をし直すことにしている。通り名と法律姓との混在で民間サービスでも不利益が発生している。
 私からの説明は以上です。

○眞鶴さやか参考人 続いて、17ページから御説明させていただきます。
 選択的夫婦別姓とはということなんですけれども、夫婦別姓推進、全員が別姓にするということではなくて、困っている人を救う選択肢をつくってくださいということです。議論のポイントは、夫婦同姓か別姓かということではなくて、これを強制しているか選択できるかということです。選択できることが大事だと考えています。
 次のページです。基礎知識①現在は夫婦の姓を決めないと法律婚ができません。この写真のように夫の氏、妻の氏というところのどちらかにチェックをすると婚姻届が提出できます。現在、日本国籍の人は婚姻届記入の際、氏の選択をしなければ法律婚をすることができません。ただし、国際結婚の場合は同姓も別姓も選択できます。日本人の結婚に関しての法律は、民法第750条夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。戸籍法第74条婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。夫婦が称する氏を決めなければ婚姻届は出せないとなっています。
 基礎知識②事実婚という制度は存在しません。事実婚届という制度はなく、婚姻届は出していないけど、一緒に暮らしているし、実質結婚しているのと同じだろうという、公的な保障がない状態です。事実婚の要件とは、お互いに婚姻の意思を持っている。共同生活をしている。事実婚を公的手続にも表明している―というのは、住民票の続柄のところに妻(未届)、夫(未届)ということで、本当は婚姻届を出したいけど出せないということで未届けということを記載しているということです。そして、子供を認知しているということです。基礎知識②事実婚状態のデメリットとして、下記が上げられます。法的な優遇措置が受けられません。行政サービス、相続税や配偶者控除が受けられません。離婚時の年金分割ができません。子供が非嫡出子になります。共同親権が認められません。手術に立ち会えなかったり、手術のサインができなかったり、終わりの際をみとることもできない可能性もあります。介護施設に夫婦として入居できません。夫婦名義でローンが組めません。
 基礎知識③ですけれども、法律婚したとして旧姓を使うとしたら、旧姓は法的に使えないということが分かっています。旧姓では海外渡航ができません。法人登記、役員登記ができません。特許も取れません。確定申告、健康保険も旧姓ではできません。車や住宅などのあらゆる契約もできません。医療や法律の資格も旧姓ではできません。閣議書や公文書もできません。銀行口座の開設もできません。仮に最高裁の裁判官のように旧姓が法的な場面で使えるようになったとして、一人複数の、しかも法的根拠がない名前を法的な場面や医療現場で命を左右する場面で署名するよう国が推奨することは、法治国家としての基盤を揺るがすものです。
 続きまして、基礎知識③旧姓は法的に使えないということで、旧姓通称使用のためのシステム改修費に、既に国庫から税金が200億円近く使われています。一方、戸籍には別姓での登録が可能なシステムが1996年、平成8年の時点で既に出来上がっていますので、システムの改修費に莫大な税金が使われることはありません。旧姓通称使用をさらに拡大していくと、ほかにも多大なシステムの改修費が必要になります。行政のみならず、民間の企業においても同様に莫大な費用が必要であり、政府が旧姓通称の使用を認めるよう通達を出していますが、改修の費用に見合わないとの理由で旧姓通称の使用を認めていない銀行などは存在しています。
 続きまして23ページ、基礎知識④家制度は既に廃止されています。法律婚すると、親の戸籍を抜けて新たに夫婦の戸籍がつくられます。戸籍は親と子の二世代まで記載されることになっています。強制的夫婦同姓は、家制度導入のため1898年、明治31年に始まりました。家制度は差別的な制度であったため、1947年、昭和22年に廃止済みです。こちらは伝統とは言えず必然性もありません。嫁入り、婿入りということも今は存在しません。
 基礎知識⑤戸籍システムは25年前から氏と名を両方記載可能です。先ほども申し上げましたが、1997年6月11日の国会法務委員会での答弁でも導入にはコストがかからない旨が述べられています。逆に、現在は離婚などで氏を変更する場合は、ワンストップでは手続ができず、個別での多岐にわたる対応が求められるため、行政の側においてかなり煩雑な労力を必要とします。それはつまり税金の無駄遣いです。
 続きまして、基礎知識⑥トートーメー・姓・遺産相続は全て無関係です。トートーメーと名字は連動しません。沖縄は長男がお位牌を管理する代わりに遺産を全てもらうという慣習があるかと思いますが、慣習と法律は別の話です。親が亡くなったときに結婚で名字が変わった兄弟も全て法定相続人です。遺言書がなければ法定相続分で平等に相続されますし、トートーメーを継ぐ人に遺産を多くしたいならそのように遺言書に書けばよいかと思います。こういったことはそれぞれの御家庭で話し合って決めていくものかと思います。沖縄県の県民意識調査でも、トートーメーは長男が継ぐべきだという考えがあります。あなたの考えに近いものは何ですかということで、それぞれの家に任せるべきであるという項目が圧倒的に多いことになっています。
 続きまして、基礎知識⑦子供の姓の決め方は今と同じです。1996年、平成8年にあった法制審議会の答申では、子供は結婚時に決めた筆頭者の名前で統一されると決まっていました。結婚時に筆頭者が決まるので、その時点で子供の姓も決まります。今現在と決め方もタイミングも全く同じです。
 公明党や野党案では、子供が生まれるたびにどちらかの姓にするかを決めるという案が出ています。それだと関連法令の改正点が増えますが、それぞれの姓を子供に受け継がせたいと考えているカップル、離婚再婚があっても子供の氏を無理に変えずに家族戸籍に入れたいという方はこちらの案を望んでいます。自分が自分の姓で生きたいとの考えが選択的夫婦別姓を求めている本質ですので、子供は最初に決まった氏であれば、自分と違っていても構わないと多くの方は考えています。また、子供は親の持ち物ではありません。親の離婚再婚などで無理に改姓を強いられることのないような法改正を望んでいます。
 最後になりますが、姓を変えたい人は変える、変えたくない人は変えない制度にすることで、結婚できなかった人ができるようになります。幸せな人が増えるだけです。沖縄県議の皆様、国に意見書を出していただくようどうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

○末松文信委員長 ありがとうございました。
 参考人の説明は終わりました。
 これより、請願第1号に係る参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 新垣淑豊委員。

○新垣淑豊委員 わざわざ参考人として来ていただきまして本当にありがとうございます。これは委員会でも当局のほうにお尋ねしたんですけれども、要は事実婚であるというところと実際の法律婚、ここの違いというのはいろいろあると思いますけれども、法律婚をすることでのメリットというところですね。例えば事実婚状態だとできないところが幾つかありますよね。法的にだったりとか行政的にできないところ、この中でもいろんなことが書かれていますけれども、結婚するほうと、デメリットとなっているところを解消するというところ、例えば手術に立ち会えないとかみとれないとかを、そこはできるようにしたほうがいいとか、これは結婚しなくてもできるようにしたほうがいいんじゃないかとか、そういうところを直していったほうがより早いのか、それとも事実婚のほうを、今憲法の問題とかもあるかと思うんですけれども、そこを変えていったほうがよりスムーズになるのか。どちらのほうがまずスムーズになるのかというのを参考までに聞かせていただきたいです。

○砂川智江補助者 事実婚にいろいろなメリットを付加していくとなると、非常に広範なたくさんの関連法律を改正して、それに伴って様々な制度や行政サービスを変更していかないといけないということで、選択的夫婦別姓で法律婚ができるようにするというよりも事実婚のほうに法律婚のできることを増やしていくというほうが、非常に煩雑になっていくと思います。事実婚では今のところ法的な措置として、例えば相続税であったり配偶者控除、配偶者特別控除、離婚をするときの年金の分割であったり、子供の戸籍で父親のところが空欄になったり、様々なできないことがありまして、例えばそういったところを一つ一つ解消していくとなるとかなり道のりが遠いのかなというところです。あと事実婚の御夫婦の間に子供が生まれたときには、自動的に子供はお母さんのほうの戸籍に入りますよね。そうするとお父さんのところでは入っていないので認知するというような形がありますけれども、そういったところの難しさもあるので、同一戸籍の中で家族が別姓であっても一緒にいるというところを私たちは望んでいます。

○新垣淑豊委員 ありがとうございます。
 あと、これも確認したいのですが、夫婦別姓をするに当たってどういうステップを踏んでいけば今後これが法的にオーケーになるのか。要は先ほど申しましたように憲法のお話もあったかと思うんですけれども、何をクリアしていけばこれができるのかという段階を幾つか、どういう段階を踏まえれば選択的夫婦別姓というものが実現するのかということについて教えてください。

○砂川智江補助者 まず立法府のところだと思うんですけれども、民法の改正が必要になっています。それで、先ほどの説明の中にもあったんですけれども、1996年、平成8年に法制審議会のほうで民法改正する法律案の要綱というのができていまして、このときは本当にこれが通過する一歩手前まで行ったという経緯があります。なので、法律を改正すれば法律婚ができるようになるというところですね。ちなみにこのときの法律案の中で、第3項に夫婦の氏というところがあります。ここに夫婦は婚姻の際に定めるところに従い夫もしくは妻の氏を称すると。これは今の法律ですよね。これの後ろに、または各自の婚姻前の氏を称するものとすると付け加えられているんですね。ほかにも改正しているところはあるんですけれども、そういった法律案を基に改正をしていくというステップが必要になってくるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○新垣淑豊委員 分かりました。ありがとうございます。
 決して私は反対しているわけではないです、もちろん。例えばそれを改正するとなると、今の部分だけではなくほかの法律とかとも多分連動していろいろ改正していかないといけないところが出てくるんだと思いますけれども、これを改正するとなるとどれぐらいの期間がかかるものなのでしょうか。実際に法的なものを変えていくのに、全ていろいろなものが調整されていくと思うんですけれども。

○砂川智江補助者 これは一つの戸籍の中に家族がみんな今までどおりおりますので、法律が改正されたことによってその他たくさんの法律を連動して改正していかなければならないということにはならないと思います。ただ、戸籍法は連動しているので改正が必要になってくるということになります。それも96年のときに民事行政審議会というところで答申がされていまして、それも大きな改正ではなくて、先ほどの資料の23ページに現在の戸籍謄本が載っていますけれども、ここで今俗に言う戸籍謄本では、代表者のところに筆頭者としてフルネームが載っていて、そのほかの家族の構成員は下の名前だけが記載されていますけれども、ここが家族、構成員のところも下の名前だけではなくてフルネームで記載がされるようになるというところを、戸籍では変えることになっているそうです。それ以外では、例えば年金であったりとか相続であったりとかというのは戸籍の中に入っている家族なので、触っていくということはありません。

○新垣淑豊委員 特にそんなに大きな法改正というものはそこまで必要ないということで、分かりました。ありがとうございました。
 以上です。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋大河委員。

○照屋大河委員 今日は参考人として参加いただいてありがとうございます。眞鶴さん、こんにちは。初めて会ったのが今年の1月頃だったか、2月頃だったか、眞鶴さやかですと聞かされて、平敷屋かと話をして、その後眞鶴何々さんを知っているかと言ったら眞鶴の孫ですという話で、名前を変えていなかったがために、さやかさんと最初に会ったときにいろいろ初めてにもかかわらずその背景がつながることができたのかなというふうに感じています。
 今回の陳情アクション沖縄、旦那さんのお母さんに泣かれてという大変な気持ちも聞かせていただきました。ただ、陳情の動きの中で、先ほど紹介にもあったようにまずは地元うるま市での意見書の可決を見られたようです。この中にも紹介されていますが、うるま市議会の声の中で、これからは一人っ子同士の結婚も多くなるので時代に合わせたほうがいい、結婚したくてもできない方を助ける個人を尊重することは大事なので救済したい、あるいは多様性を大事にしないといけない、地域特有の名字を大切にしていて郷土を大事にしていると思うというような賛成をする声が今ここで紹介されていますが、実際は多数可決だったということですので、そのほか慎重な意見というか、反対の意見がどのようなものがあったのかという点について聞かせてください。

○眞鶴さやか参考人 5回ぐらい、各会派に向けて勉強会をしたんですけれども、圧倒的に男性の方が多くて、うるま市ですね。女性の方は2人だったと思います。皆さん初めてこの話を聞いたということでびっくりしていらっしゃいました。多分結婚するときに夫の姓、妻の姓かということで話合いも皆さんしていらっしゃらないんだなということに気がついて、あとは年代の差もあると思います。六十代以上の方とか、若い方は―そうですね、年代もあると思うんですけれども、私がびっくりしたのは男女混合名簿にも私は反対だとか、女性天皇につながるのではないかとか、女性に権利を与えることになるのではないかとか、本当に女性差別の人もいました。
 あとはやっぱり皆さんがおっしゃるように、賛成なんだけどちょっと心配という方の質問では、やっぱりどういう法改正とかお金がどれぐらいかかるのかという話もあったんですけど、あとは私の妻が旧姓に戻したいと言ったらどうするんだという方がいらっしゃいまして、びっくりしてちょっと何も言えなかったんですけど、後から思うとお二人でお話合いされてはいかがでしょうかということで、多分奥様がそう言ってこられたときに話し合えばいいかなということで、現時点では法改正されたら、先ほど砂川が言ったようにそれぞれフルネームでちゃんと家族戸籍に入るということなので、きちんと家族ということになりますよと。安心してくださいということで、妻が独立しちゃうとかいう感じでちょっと悲しい思いをされている方に安心してくださいとお伝えしました。

○照屋大河委員 この点も先ほど説明がありましたが、沖縄において夫婦別姓について賛成する意見が多いというふうなアンケートの結果が先ほど説明がありました。今うるま市での議会の可決ということで説明を受けていますが、その中でもあまり知らない方も多くてこの件に関して戸惑ったということですが、その他の市町村において陳情アクション沖縄としての動き、あるいは同様の可決の状況などがあるのであれば教えてください、県内市町村。

○砂川智江参考人 今のところ実際に意見書が通ったというところは、眞鶴さんのところのうるま市のみです。私ども2人で去年の12月にこのグループをつくりまして、ちょうど半年ほど前なんですけれども、メンバーも少しずつ入りながら勉強しながら各市町村にもできる範囲で広げていきたいなというところではございます。
 私が沖縄市に今居住をしているものですから、夫と2人で陳情者になってこの6月の沖縄市議会の議会に陳情書を提出いたしました。それは参考配付の形になって審議には至りませんでした。もちろん御相談させていただいている先生方、沖縄市の議会の中にもいらっしゃいますので相談をさせていただいて、継続的に出していこうねということにはなっております。
 また、ほかの市町村の例えば那覇であったり大きいところのほうにも出していけたらいいなというふうに話し合っております。
 以上です。

○照屋大河委員 先ほどの法制審議会のお話もありましたし、実は全国ニュースなどにはかなり取り上げられていて、もっと認識というのは市町村に広がっているのかなということでありましたが、皆さんの活動も昨年12月からということですのでぜひ頑張っていただければというふうに思います。
 ところで、この選択的夫婦別姓に関する最高裁の判決が先日出たかと思いますが、皆さんは承知はしておられますか。その判決に対する感想などがあれば聞かせてください。

○眞鶴さやか参考人 承知しております。最高裁というのは人権の最後のとりでであるので、そこで違憲判決が出なかったということはすごく残念に思います。今回、前回の裁判とは違っていて、別姓の夫婦になぜ婚姻の効果を与えないのかということで主張しているんですけれども、そのことには一切返答がない決定になっていまして、それを明らかにしてほしいところです。

○照屋大河委員 今、残念だというお話がありました。前回のということで2015年だったかな、同様の審議が最高裁でなされて、時間がたって夫婦の在り方も多様性がある。女性の活躍、働き方にも違いがある。ただ、それをもって今回違法とまでは言えないんだと。しっかり国会の中で議論されるべきものだということで、前回同様に国会での議論を求めた内容だというふうに思いますが、国会での状況というのを、選択的夫婦別姓に対する議論の状況などというのが今お分かりでしたら皆さんの把握されている範囲で教えていただけますか。

○眞鶴さやか参考人 国会で質問があったり答弁があったりということはちょくちょく見受けられるんですけれども、きちんと場を設けて国会で会議しているというのは把握しておりません。ただ、反対派の議連だったり慎重派の議連と推進派の議連が自民党内でできていたりということで、そういう水面下のものはできているんですけれども、きちんと公に立ってちゃんと国民の前で国会で議論しているというのは承知しておりません。

○照屋大河委員 同様な認識です。2015年かな、判決があって、国会での議論を最高裁から求められたにもかかわらず、なかなか国会で議論が進んでいないという点も判決後のマスコミ報道などでも指摘されています。その中に皆さんが、皆さんはアクション沖縄、しかし全国的な組織の中で各議会の中にでも様々な働きかけをされている、そういうところまで―ある議会には国の国会議員から採決を慎重にしろ、反対にしろというような圧力というか、そういうこともニュースになったりしています。
 生きづらさを訴える、先ほど言ったように強制かそうでないかということを選べるんだということで、たくさんの皆さんがそれを求めているということをうるま市議会に取り組んだような、大変だと思います。丁寧な説明を議会側からも発していきたい。国会で審議される、決定されるべき法律的な課題かもしれませんが、生活者、女性の皆さんや、あるいはそうでない方も含めて同姓を生きづらさと考えている人たちはきっと私たちの近く、県議会議員であり市町村議会の近くでの生活者の声だというふうに思っていますので、まだできること、県議会での議論も含めてやっていきたいなと思いますので、今日はありがとうございました。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 石原朝子委員。

○石原朝子委員 今日は参考人招致、眞鶴さん、ありがとうございます。
 今回資料の中で、全国アンケート調査で沖縄県が賛否倍率1位だった。その理由というのはどのように考えていらっしゃいますか。

○眞鶴さやか参考人 この調査をした早稲田大学の棚村先生もおっしゃっていたことなんですけれども、まず沖縄は離婚再婚が多いということで、結婚に伴う、離婚に伴う改姓手続、変更手続に苦労された方が多くいらっしゃるということ。もう一つは、沖縄は戦後復興して男女ともに仕事を頑張ってきたということで、女性の社長率が日本一ということで、やっぱり会社を経営している方からすると登記だとか口座だとかの変更にすごく煩雑になるということで、不利益を被っている女性の社長さんもたくさんいらっしゃるということです。あとは沖縄は意外とトートーメーとか家制度があると思っている方がいらっしゃって、長男の嫁になるといろいろ大変だということも聞いてます。そういったことで、やっぱり名字が変わるということはそこのおうちに属すということで、一人一人それぞれの自由を尊重できない。それぞれの思いを尊重できないということでちょっとストレスを感じていらっしゃる方もいらっしゃるのかなと思います。
 以上です。

○石原朝子委員 そういうところもあるかもしれませんね。沖縄の家族、親戚関係で門中とか、県外よりは独特な習慣もありますし、それでもって一族の意識というのも氏で一つで統一されている環境の中でこういった賛否倍率が1位になるというのは、やっぱりいろいろ悩んでいる女性も多かったのかなと改めて感じさせてもらいました。
 実は私の子供も夫婦別姓、外国人と結婚しているのでやっぱり夫婦別姓なんですよね。そのときに娘から選択制の氏のことを聞いたときに、やはり女性は負担感があるんだという話をして、たまたま外国人と結婚したので変えることなく元の氏のままで生活をしておりますけれども、これは外国人だからと思って私、家族、親族、こういうものだなというふうに捉えていたんですけど、じゃ外国人ではなく同じ沖縄の人と結婚したときの姓の選択をどういうふうに考えていくかと考えたときには、やはり周りのいろいろな人たちの話を聞くと、これまで家族制度が壊れていくのではないかとか、一族の意識とか、子供に与える影響はどういったことが出るのかということを心配される方がいらっしゃるんですよ。外国人と婚姻している娘にとっては、子供に関しては籍は夫側の籍で氏を継続していく、そういう国みたいなんですよね。それでそこら辺は納得はしているんですけど、それを日本人の夫婦で選択的夫婦別姓制度に変えたときに、家族の在り方とか子供へ与える影響、そしてまた親族への影響などどういったものが出てくるかなという部分があって、今いろいろなことを情報収集しながら調べています。そこら辺、どのように考えていますか。その心配な声を聞いたことはございますでしょうか。

○眞鶴さやか参考人 やはり今まで皆さん同姓でということでやってきたので、そういう心配はよく聞きます。夫婦別姓が認められていない国は日本だけなんですね。世界中で別姓のために一体感がないとか、離婚率が上がるとか、そういったデータはないので問題ないかと思います。別姓を理由に例えば子供がいじめられるとかいうのも聞いたことありませんし、多様性とか差異を尊重する社会はSDGsが掲げる未来かと思います。子供が心配ということなんですけど、今沖縄も多いんですけど、離婚再婚とかでステップファミリーも多くいらっしゃいます。戸籍筆頭者の子供は改姓することがなくて、そうでない子は最大で2回改姓することになる。子供への影響を心配する人は同姓を選べばいいですし、法的根拠があれば親子で姓が違っても同じ戸籍にきちんと入っているので何の問題もありません。
 以上です。

○石原朝子委員 眞鶴さんたちが推進に向けて活動している内容も、やはりそれで困っている人たちも実際いるということなんですよね、姓を選べないという状況で。そこら辺もよく理解はしておりますが、やはりそれに向けた不安を抱えている方々もいるということなので、慎重に私も考えて取り組んでいきたいなと、今後ともですね。家族には別姓はいますけれども、日本にこれまでの家族制度の一体化を壊すようなやり方はせずに、やっぱり慎重に取り組んでいく方法でいければなと私も思っています。反対はしませんけれども、段階的にそういう別姓に向けた在り方は検討していかなければならないと思っています。
 以上です。ありがとうございます。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 玉城ノブ子委員。

○玉城ノブ子委員 私も選択的夫婦別姓については、当然これは進めていかなくてはならないというふうな立場であります。先ほども夫婦同姓を法律で義務づけている国は世界で日本だけだというお話がありました。本当にそうですよね。そういう意味では、国連の女性差別撤廃委員会でも、法律で夫婦同姓を義務づけることは女性差別で改正すべきだという勧告も出しているわけです。そういう意味では、日本はやはり女性差別撤廃条約の批准国でもありますので、当然選択的夫婦別姓を法制化していくべきだというふうに考えておりますが、どうでしょうか。

○眞鶴さやか参考人 私も先生と同意見です。2015年、女性差別ではないかということで訴えている裁判が負けているというのもあるので、それがもし―今96%が男性の姓で結婚しているということでそうなっているんですけれども、これが仮に逆転したとして、女性の姓が96%になったとしても男性が困るだけなので、そうではなくて男性も女性も名前を変えずに結婚できる制度になればいいなと思っています。

○玉城ノブ子委員 今選択的夫婦別姓にというのが世論として広がっているというのがあるというふうに私は認識をしているんですけれども、最近の世論調査でも7割以上が選択的夫婦別姓にすべきだという声も出ているので、先ほどお話は出ていましたけれども、地方議会の中にも積極的に選択的夫婦別姓制度の導入をということの運動をやっぱり私たちがやっていくことが必要なのかなと思います。そういう意味で眞鶴さんたちが積極的にこういう運動の先頭に立っていらっしゃるというか、それで頑張っていらっしゃるということに非常に私も感動して、一緒にその運動を進めていくことができればなというふうに思います。そういう意味ではぜひ全県に、それは全国でも同じではあるんですけれども、その運動を一緒に広げていくことができればというふうに思うんですが。

○眞鶴さやか参考人 やっぱり困っている人の声をまず市民の代表である、今住んでいるところの議員さんに届けて、その議員さんからまた国に意見を届ける、意見書を届けるということは、草の根運動的なことなんですけれども、でも声を上げることすらできないという方もいらっしゃいますので、こつこつとやっていけたらいいなと思っています。

○玉城ノブ子委員 どうもありがとうございます。
 まず県議会で夫婦別姓の皆さん方の陳情が採択をされて、国のほうに法制化を求めていくということは非常に大事ですので、そういう方向で私たちも頑張っていきたいというふうに思います。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 小渡良太郎委員。

○小渡良太郎委員 改めてこんにちは。
 以前も勉強会で少しいろいろと聞かせていただいたんですけれども、ちょっと確認したいのが27ページ、資料の最後のほうになるんですが、子供の姓に関して―選択的夫婦別姓の中でも私は基本的に賛成ではあります、自民党の中でも青年局等は賛成の議員は多いですから。その中でやっぱりいろんなメリットの部分はよく報道等でもありますので存じ上げている方が多いんですけれども、僕らは推進するに当たってデメリットをどう打ち消していくかという議論も始まっています。その中で、子供の姓に関してが最近よく取り上げられがちなんですけれども、ここでは1996年の法制審議会の答申の中で、子供に関しては結婚時に決めた筆頭者の名前で統一されるとあるんですが、ちょっと僕の認識だと婚姻の際にあらかじめ子供が名乗る姓を決めておくだったと思うんですね。ちょっとそこら辺の認識が、奥さんの姓なのかお父さんの姓なのかを決めておくと。筆頭者が誰であってもという感じだったので、そこの部分をもし知っていれば。後で調べることもできるとは思うんですけれども、ちょっとお答えいただきたいなと。細かい話なのでなかなか答えられる部分の範囲を超えているかもしれないんですが、もし知っていれば教えてください。

○砂川智江補助者 婚姻時に決める筆頭者で子供の氏も決まるというふうに私たちも学びましたけれども、確かに今小渡委員から指摘いただいたように、96年のときの法律案の答申では、夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとするというふうに正確には書かれておりますので、ここで筆頭者とは言及はしていないです。

○小渡良太郎委員 やはり子供、よく選択的夫婦別姓の議論の中で議論のターゲットになるのは、今いる人たちの部分がメインになっているんですけれども、今後制度がもし変わったときにどのような影響があるかというのを考えると、子供の姓については少し重要視していかないといけないのかなと。同姓だから当たり前に子供もその姓というのは置いといて、どちらの姓を名乗らせるかという部分に関しても、例えば今未成年の姓を変えるのってすごく大変なんですよ。大人になったらそんなに難しくないんですけれども、未成年の場合結構難しいと。そこの条件緩和も必要じゃないかとか。
 また親権に関しても、共同親権はまたちょっと問題は別になるんですが、共同親権の議論もやっていて、それも含めて一緒にやっていくべきじゃないかという議論もあったりして、なかなか今あるもののメリット、デメリットというものに関してはちょっと感情的な部分もあったり、認識の違いとか認識のそごの部分もあったりして、なかなか合致できないところはあるにしても未来に向けての議論というのは積極的に進めていくべきだというふうに私どもも認識をして、今その議論がスタートしているというふうな状況になっています。
 国民一人一人の税金云々の管理に関しても、戸籍制度だけじゃなくて個人番号も含めてやっていくべきじゃないかとか、結構改正する法律とかも多岐にわたるなと。
 ただ、それでもやっぱり一歩一歩前に進めていくためには、僕らの委員会の中での議論とか議会の中での議論というのも重要なんですけれども、やっぱり皆さん方のような形での活動は、結構あちこちで話をしてみてなかなか分からない方々がまだ多いと。僕もこれに関して一番最初に疑問に思ったというか必要なのかなと思ったのは、結婚した直後新婚旅行に行こうといって海外に行くときに、パスポートの切替えが間に合わない。パスポートと取ったビザの名前が違っていて入れないとかという、うまく乗り切ったんですけれども、そういった問題があって大変だなと。私の妻は私の姓を名乗っているので切替えのときにすごい大変だったという記憶もあります。
 望む、望まない、いろいろあるとは思うんですけれども、やはり社会的な議論というか認知というのがもう少し進まないと、実際に法改正とかという動きにつなげるにはちょっとまだ運動の部分が足りないのかなと。別に皆さんが足りないというわけじゃなくて、我々も含めて多くの方々に選択的夫婦別姓というものが認知をされるということが重要だなというふうに特に最近感じているんですけれども、先日こういった会を立ち上げて活動されているという話だったんですが、今後そういった部分に関してどのように取組、議会に対しての陳情とか以外の部分で取組をされようと考えているのかお聞かせいただきたいなと。理由としても、議会で議論は進んだけど、議会だけで議論されていて多くの県民は知らないみたいな形になると、それもちょっと違うのかなと思う部分もあるものですから、おのおの頑張っていこうという意味で今後どうやっていきたいのか教えていただきたいと思います。

○砂川智江補助者 この活動なんですけれども、やはり法改正を目指していきたいというところで、議会の方々の御理解を全国的にいただきたいというのが非常に大きな目標ではありますけれども、この問題は望む夫婦が別姓を使えるようになればそれでいいと。それでみんなハッピーというわけではなくて、やっぱり根っこにあるのは男女、親子、全ての人がお互いを大切にし合う。尊重し合う。支配はしないという、やっぱりそういった意識改革が一番大切なんじゃないかなと。すごくつながっていると思いますので、私たちにできることとしては、3月にも大きめのイベントを開催しましたけれども、そのようなものを企画して様々な専門家の方や、または一般の人たちに御参加をいただいて意識を広げていく。みんなで勉強したり情報交換をしたり意見交換をしたりするというところを草の根的にこれからもやっていきたいと思っています。そして、これとは別に私たちは交流会を開いておりまして、SNSなどで周知して来てもらっているんですが、そういったところで本当に悩んでいる方やその御家族が声を、今まで誰にも言えなかった、初めて言うみたいな、本当に気持ちが楽になったというような方たちもお話をしていただいております。そういった方々が少しずつ増えていってどこでも話ができるようになっていけば、やっぱり意識は変わっていくし、すごく社会はよくなっていくんじゃないかなと思っています。
 ごめんなさい、もう一つだけ言わせてもらいたいんですが、選択的夫婦別姓が法制化されたときに初めて別姓夫婦がこの日本に誕生するというわけではありません。今既にたくさん私たちの周りにも別姓の夫婦、別姓の親子というのは存在しておりますし、彼らの周りには親戚やオジー、オバーたちももちろんいらっしゃるわけですよね。なので、急に何か得体の知れないものが生まれるというわけではなくて、既に今私たちの周りにたくさん別姓の家族というのは存在していて、非常にうまくやっている、仲よくやっている、とてもいい家族というのはたくさんいらっしゃるので、そういった方々、これから調査しないといけないとかそういうことではなくて、そういった方々の話に耳を傾けていくというのがいいんじゃないのかなと思ってはおります。ちなみに私も親子別姓ですが、選択的夫婦別姓が法制化されたら私は自分の息子と同じ名字になれるんですよ。親子同姓になれるんですね。別に親子同姓じゃないといけないよというわけではないんですが、たまたま私はそれを望んではいて、そうなったらいいなと思っています。

○小渡良太郎委員 ありがとうございます。
 あともう少しなんですけれども、今おっしゃった点、まさに議論になっていて、事実婚のデメリットを解消するという方法もありじゃないかという話はあるんですね。選択的夫婦別姓の制度導入と、例えば事実婚のデメリットを少しずつ解消していくというのと、みたいな話があって、私自身は別姓制度に移行したほうが事実婚のやつも解消されるわけですから、そのほうがいいんじゃなかという考えはあるんですけれども、今実際にいる方々のデメリットを解消することで達成できるものはあるんじゃないかという話もあって、そこら辺もなかなか知られていない部分だったりするんですよ。今既に事実婚という形でやられている方々が無視できない数いらっしゃるということも、多くの方々は知らない。特に今後結婚していく、今結婚されている方々とか、問題を抱えている方々だけじゃなくて、もう少し若い方々にもアプローチしていくと議論もいろいろ深まっていくのかなと。これは質疑じゃないので少し議題を外れているんですが、そういった感想も一応持ってはいます。引き続きともに頑張っていければいいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上で終わります。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 瀬長美佐雄委員。

○瀬長美佐雄委員 よろしくお願いします。結婚に当たって女性が名字を変えるのが当たり前というふうなことが今まで課題は感じている人もいたとは思いますが、問題として提起されてこなかったという中で、この陳情の意味はとても大きいというふうに思います。苦労もされていると思いますが、根本、今反対されている議論の中で何が反対の主な理由になっていて、それに対しては違うんじゃないのというまた皆さんの思いもあろうかと思いますが、そこの特徴的な主な選択的夫婦別姓に対する反対の理由、それに対して皆さんはこう思っているんだけどというのを何点か紹介してください。

○眞鶴さやか参考人 反対の主な理由というのが幾つかあるんですけれども、日本の伝統、今までのことを変えたくないという方たちという部分があって、ほかにもあるんですけれども、例えば保守的なというか、やっぱり今までのものを変えたくないという人たちは、改姓は結婚への意気込みであるから改姓するのが当たり前とか、そう言うと、じゃ改姓しなかったら、私改姓しなかったんですけど、結婚する意気込みがなかったかというと違うと思うし、あと家族の中で姓がばらばらだと個人的に違和感があるとか言うので、これも選択制なのでお互いにそう思うカップルは同姓を選ばれるだろうし、自分がそう思うからといってなぜ全ての人が強制されなきゃいけないんでしょうかということが上げられると思います。あとは離婚が増えるのではということで、日本以外の国で同姓も別姓も選べるので、そういった形で別姓のカップルが離婚が多いといったデータもありませんし、全て思い込みによる疑問が多いように思われます。

○瀬長美佐雄委員 ありがとうございます。
 要するに反対している理由を聞いても、率直に言うと理解できないという回答じゃないのかなという問題意識だと思います。資料の中で、先ほど家族の形が変わるという懸念が示されたと。でもそれに対しては、今家制度そのものは廃止されているし、そういう不理解が根底にあるんじゃないのかなというふうな意味での資料かと思うんですが、そこら辺の説明をお願いします。

○砂川智江補助者 ありがとうございます。
 家制度であったり伝統的、家族という言い方をされる方もいらっしゃいますけれども、形が壊れるということを心配されているという方もいらっしゃるというのは聞いております。私が思うのは、家族という言葉を使うときに、家族とはどういうもの、何を指しているかというすり合わせをしないと議論がかみ合わなくなってしまうんじゃないかなと思っていて、どういったものを家族と言っているのかなというところを確認していく作業は必要だと思います。明治時代の家制度というのは1947年にもなくなっているわけですから、そういったものをベースとして頭の中にイメージしていると議論が進まないんじゃないかなと思って、この資料は作らせてもらいました。

○瀬長美佐雄委員 17ページに選択的夫婦別姓とはという意味で、夫婦別姓の推進ではないんですと。議論のポイントは夫婦同姓か夫婦別姓かではなくて強制か選択ができるのかと。そういう意味では、夫婦別姓推進という意味で捉えられるとどういう問題が発生するのかということも懸念されているのかなと思います。ここら辺のポイントに上げた理由の説明をうかがえますか。

○眞鶴さやか参考人 現時点では強制的に夫婦は同姓、同姓の夫婦しか婚姻は認めないということになっていまして、私たちが申し上げているのは選べること、同姓も選べるし別姓も選べるということを主張していまして、なので別姓推進をするということはほかの夫婦にも別姓にしなさいということだと思いますが、私たちはほかの夫婦が同姓であろうと別姓であろうと別にみんな幸せならいいんじゃないかと思っているので、それぞれの御家庭でお二人でお話合いして決めればいいことだと思っているので、誰にも強制されないという、それぞれが尊重される社会になればいいなということで、みんなに別姓をしなさいということではなくてそれぞれが選べる社会になればいいなと思っています。

○瀬長美佐雄委員 日本だけが強制的同姓制度だということ自体が問題ですというのは先ほど質疑にありました。それ自身はジェンダー平等の観点からすると、とてもマイナス要因として国際的には見られているというふうなことだと。私はそう理解していますが、そんな観点もありますか。

○砂川智江補助者 そうですね、ジェンダー平等というところとやはり大きくつながっている問題だと思います。国連の女性差別撤廃委員会からもそのような指摘を日本は受けておりますし、そのときに国連からは圧倒的多数が夫の氏を選択する実情の中で、女性が自己の氏を夫婦の氏に選択することは今非常に困難であると。女性が自己の氏を称する機会を失っている状況である。これでは夫にも妻にも同じ権利があるとは言えないというふうに指摘をされておりますので、平等な権利を得る機会、つまりジェンダー平等というところとつながっている。密接な関係があると思います。

○瀬長美佐雄委員 ありがとうございます。
 この皆さんの要望は当然だし、賛同するものです。同時に世界でいうと、例えばミドルネームがあったり両方の名字を認めている国もあって、取りあえず今求めるのは少なくとも選択的に認めてほしいと。その法制化を求めるということでしょうが、海外のそういった氏の考え方というのは、一定外国の方と結婚した方には両親の名字であったりミドルネームがあったりという、そこら辺の視点というのは、それはその国の歴史やそういった制度ですので日本も目指す必要はないとは思いますが、そこら辺の海外のそういった姓名の捉え方と、今取り組んでみて感じる思いとか、何か違いがありましたら、これは確認というか、思いです。

○眞鶴さやか参考人 日本で国際結婚をされる方は、先ほど同姓も別姓も選べると申し上げたんですけれども、石原先生のように、すごく羨ましいですけれども、それももともと日本で国際結婚するときは別姓が原則だったんですけれども、同姓になりたいという国際結婚のカップルもいらっしゃって、途中から同姓も選べるというふうになったと聞いています。

○瀬長美佐雄委員 以上です。ありがとうございました。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 上原章委員。

○上原章委員 どうも御苦労さまです。ありがとうございます。
 私どもも本当に今の時代を考えると、この別姓については時代の必要性があるんじゃないかなと思っております。特に女性の社会進出などを考えると、そうした制度を選択肢として、選べるそういう選択肢がやっぱり必要じゃないかなという思いなんですけど、皆さんが今日資料の14ページに夫婦別姓が必要とされる理由という形で幾つかあるんですけど、多くの方々がこのことは本当に必要だというところで、社会進出以外でこれはぜひ国民の方々に御理解いただきたいという部分がそれ以外でありましたらちょっと教えていただきたいなと思うんですが。すみません、率直にお聞かせいただければと思いまして。

○砂川智江補助者 ありがとうございます。
 お仕事以外で別姓を望む意見ということですよね。確かに委員おっしゃるようにお仕事でのキャリアを分断しないためという意見も非常に多くあるんですけれども、もちろんそれだけではなくて、例えば専業主婦の方であっても生まれ持った名前が本当に自分のアイデンティティーであって、顔と同じアイデンティティーであるから失いたくない。名前は自分そのものなんだということで、結婚しても自分の名前を使い続けたいという方々は多くいらっしゃいます。仕事だけではないと思います。

○上原章委員 非常に理解できます。1つだけ、私もいろんな方とお話しする機会がありまして、特に女性の立場の人とかお母さんという立場の人もいますけど、これは夫婦で、ある意味では大人でお互いを尊重し合う立場の部分があって、生まれてくるお子さんの立場になったときにお父さん、お母さんの姓が違うというところで、当然お父さん、お母さんの生き方を生まれてくる子供にもちゃんとお伝えてしていく。さっきSDGsのお話もありましたけれども、やっぱりその子供の目線というか立場の部分は、結構いろんな方が非常に課題なのかなというお話がありました。さっきいじめとか、ああいう社会的な自分の環境でどう思われるかという、それは外的にいろんな要因があるとは思うんですけど、本当にもし子供の立場のときにお父さんとお母さん、本当に素朴に姓が違う。これをどういうふうに―その家族を構成していく中で一つの大事な部分なのかなと思うんですが、ちょっと御意見があればお聞かせ願えればなと思いました。

○砂川智江補助者 ありがとうございます。
 全国陳情アクションのほうで、今まさに夫婦別姓で生活をしているお宅、御家族にインタビューをしているものがございまして、そういったお話をいろいろ情報として聞く機会がありましたけれども、家庭の中でフルネームでは呼ばないと。子供がお父さん、お母さんを呼ぶときに名字から呼ぶということは普通にふだんの生活の中でないので、これは子供が言っていた意見なんですけど、お父さん、お母さんの名字が違うということをふだんの生活の中で意識したことはないという御意見が割とお子さんの意見として多かったかなというのがあります。あと戸籍上は夫婦同姓なんだけれども、仕事や生活は改姓した側が旧姓の通称使用をしていて、現実的には別姓をしているというお宅もたくさんありますけれども、そういったところを含めてお父さんとお母さんは別々だけど意識したことはないよというところが多かったです。

○上原章委員 分かりました。そういった個々のケースも多様化していると思うんですけど、そういったところもしっかり、今皆さんがそういった運動をする中で多くの御家庭の中ではしっかりお互いを認める中での日々があるというのを今日のお話の中で感じましたので、しっかり我々それぞれの立場の政党や議員のあれがあるとは思うんですけど、ぜひまた意見書とか全国市町村、また国に発信するのも大事かなと思っております。頑張ってください。
 以上です。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 お疲れさまです。本当にこういう問題を皆さんが投げかけてくださったので、すごくいろんなことを思いに至ることができました。ありがとうございます。自民党の支持層の中にも賛成者が急ピッチに進んでいるという状況は、皆さんの力で3年間で倍になっているということもありますので、皆さんの活動の成果かなというふうに思います。
 まず質問なんですけど、皆さんが今送られている資料の24ページ、戸籍システムは25年前から氏と名を両方記載可能になっていますというのがありますよね。いわゆる戸籍では夫婦別姓で戸籍に登録するような仕様になっていますと。このことと皆さんの運動との関連性というのをちょっと質問させてください。既にもう両方別姓ということが成り立っているという理解ですか。

○眞鶴さやか参考人 家族戸籍の中に別姓の家族がいるというシステムは準備はされているんですけれども、まだ運用はされていません。というのが、まだ民法改正がされていない。夫または妻の氏とするという民法が、どちらも変えないというもう一文つくだけで法改正されるんですけれども、それがされると戸籍システム、別姓での戸籍というのもちゃんと活用されていくと。今は準備されたまま、眠ったままの状態になっています。

○比嘉京子委員 ありがとうございます。
 いわゆる戸籍も民法も憲法の24条の個人の尊厳というところに依拠していくんだろうと思うんですけれども、そうすると今戸籍はできているけれども民法が動かないというところで、皆さんの活動が今なされているというふうに理解をいたします。私のほうからは、何といいましても、たくさんの別姓が必要とされる理由というのは先ほどもありましたけど、前回もらいました資料の7ページなんですけれど、この中で本当にそうだなという思う中に1つ、DVの減少が期待できるというのは、確認ですけれども、先ほどの支配しないというところに依拠しているという理解でよろしいですか。

○砂川智江補助者 おっしゃるとおりだと思います。これはDV防止団体のアウェアという団体がございます。そちらの山口のり子さんという代表の方で、DV加害者に対して教育プログラムを実施している方がいらっしゃるんですが、その加害者の方たちの多くが、DVを始めたきっかけは結婚で妻が改姓したことだと言ったということがあります。それは何かというと、彼女が自分のものになったという所有意識だったり、自分が家長だ。彼女は自分の家に入ったんだから僕や僕の両親を優先すべきだという考えを持ち始めたということがあったそうです。その支配であったりとか所有意識というのが、知らず知らずのうちにそういうDVにつながっていくという調査もあるということです。

○比嘉京子委員 もちろん私は選択制なので大いに認められるべきだというスタンスに立っているんですが、一つの進め方として、コスト論で考えてみるのもいいのかなというふうにも考えます。そうしますと、皆さんが出された資料の中に、再婚するときでしたっけ、手続に10万円―これは前にもらった資料の8ページですね。事実婚では法的に不利があって、数十万円の費用をかけて公正証書を作成するというのがあるんですが、こういうようなコスト論であったり、もちろん労力もあるんですけれど、それから先ほどの必要とされる理由のところの手続、コスト面というような公的書類とか金融機関の口座、それから改姓手続とか様々なもの、先ほどパスポートの件があったように、そういう問題をもう少しクローズアップしていくということもありなのかなと。全部大事なんですけどね、本来は。大事なんですけど、この煩雑さとコスト論と、それから手続に要する時間的な問題であるとかということを踏まえると、すごくここら辺も説得力を持っていくのかなというような気がしますけれども、いかがですか。

○眞鶴さやか参考人 おっしゃるとおりかと思います。コストももちろんかかっているので、コストをかけない方法で今民法を改正するという方向があれば、もう戸籍システムも準備されていますし、別姓での戸籍もちゃんとつくれると。戸籍ってすごい印籠だと思うんですよね。私たち結婚しましたという印籠だと思うので、それを基にいろいろな保険だったり確定申告とか、いろんな夫婦に関するものは家族の戸籍で全部証明して回れますので、システム改修とかにお金がかからないという点は説明していきたいと思います。

○比嘉京子委員 それと、先ほどの十数万円の費用がかかるところの右下のほうに、女性の弁護士のことだろうと思うんですが、弁護士の仕事は通称だけど後見人登録は戸籍名のみなんだと。そこら辺というのは非常に仕事上の問題ではないかなと思うのが1つと、私も実感としてあるのは、やっぱり必要とされる理由のところで旧姓で検索される。学術論文とか実績とかというのが旧姓、淘汰されてしまうと。自分のことはどうなっているんだろうと、この間から考え始めておりますし、それから、例えば教職免許なんていうのは使っていないので旧姓のまま置いてあるんですよ。多分そういう資格の問題であるとか、それから論文的な問題であるとか、そういうような問題を今考えると女性というのは本当に振り捨てて結婚しているのかなというのが今自分の問題としてあるんですね。ですから、そういう意味も含めてコスト論と個人の尊厳という両方をもっと強調してもいいのかなということと、それからいじめとか何とかというのは、世の中の多くのカップルでそういうのが増えたら当たり前になっていくので、珍しくなければいじめにならないのではないかというような考えを持っています。そういうことも含めてですけど、3年間で倍増している認知を考えると、もう少し皆さんの活動を後押ししていけたらいいなというふうに思っています。本当に自分を振り返る機会にもなりましたし、それからそうだなと思うようなこともあり、今後は望むならそういうことが当たり前になるという社会、そういう社会を皆さんが一生懸命やってくださっているので、後押ししていけたらなというふうに思っています。よろしくお願いします。終わります。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。
 喜友名智子委員。

○喜友名智子委員 お話ありがとうございました。
 私は選択的夫婦別姓は賛成の立場ですので、皆さんの請願、応援をしたいという立場です。一方で恐らく世の中としては関心のない人が多いんだろうという、非常に残念な現実も空気感として感じています。ちょっと教えていただきたいのが、恐らく選択的夫婦別姓にはダイレクトに聞くと賛成だよという方のほうがやっぱり多いと思うんですね。選択肢が増えたらいいよと。だけど制度ができたときに、自分は夫婦同姓にするという方のほうが恐らく実態としては多いのではないかと思います。こういう御意見に対しては皆さんどういったお話をされていますか。

○砂川智江参考人 確かにおっしゃるとおり、外国でも選択的夫婦別姓が認められている国でも夫の氏を選んで同棲をしているというカップルのほうが多いというのは事実としてあると思いますし、恐らく日本でもそうではないかなと何となく思いますけれども、それについて具体的に話をした、議論したということはないんですけれども、その背景にあるものは何なのかなと。外国のことは分からないんですけれども、やはり日本においてはこれまで圧倒的多数の96%の女性が改姓してきたという今の現実を見たときに、やっぱり多数の圧力というんですか、社会的な圧力、何となくそうでなければというような圧力があったりとか、また夫婦になる男女の経済的な格差で何となく女の人が遠慮して何か言えないみたいな空気感があるというのも正直あるんじゃないかなと思います。また、結婚するときに何となくですけれども、結婚したいわけですよね。このラブラブなときにあまり水を差すようなことは言いたくないというような感覚というのも、女性のですね。何となくなんですけど、それはあるとは思います。ただ、それを否定するものではありませんけれども、制度があれば使いたいときに使いたい人が使えるわけですから、そういった姿を見ていって少しずつ意識も男女平等になっていくんじゃないかなというふうに話したことはあります。

○喜友名智子委員 先ほどから議論で何度か発言があるように、96%の女性が実質的には男性のほうの姓を選んで結婚しているという現実。この中で社会の理解が深まるまで選択的夫婦別姓待とうやというところは、私は逆に政治の議論としてそこに逃げちゃっていいのかなと考えている部分があります。実際にこの夫婦別姓が必要とされる理由のところで、仕事面だったり手続やコスト面という実害が出てきている中で、4%の人が女性の姓を選んでいるから結局カップルの選択でしょうというところは、やっぱり政治とか政策論としてこの4%を見捨てているという現実でしかないと思っています。ただ、政治だけがいきなり制度を変更するというところは、やはり超えないといけないハードルがありますので、今回の皆さん方の請願というのは本当に大きな意味があると思っているんですね。
 県の資料で、うるま市には1度―5ページですね。うるま市では意見書が可決されたという結果、皆さん方は結果として出されておられます。県内のほかの市町村に対して既にアクションを起こしているとか、これから予定されているというようなところはありますか。

○砂川智江参考人 先ほど少し申し上げたんですけれども、実際に陳情書を出したのは沖縄市しかございません、私たちのグループではですね。今度那覇市の選挙が終わりましたので、検討しているところです。

○喜友名智子委員 恐らく皆さんもお仕事をしながらこのような活動をされているでしょうし、全ての市町村議会にアクションを取るというところはやっぱり物理的な限界もあるかと思います。この働きかけをしている市町村は、何か理由があってされているんですか。うるま市のほうは在住者ということでアクションを起こされたのかなと思うんですけれども、沖縄市や、ほかに那覇市といったところに市議会としてアプローチを考えている、あるいは予定しているというようなときに、何か皆さんの中でどういった形でここの市町村議会にはアプローチしようというときの基準などはあるんでしょうか。

○眞鶴さやか参考人 特に基準とかはないんですけれども、最初私が自分の住んでいるところで陳情したということもあって、砂川さんも同じように今住んでいるところで陳情しているというところで、あと那覇のほうも那覇在住のメンバーがいるので那覇のメンバーと一緒にやりたいなというところで、やっぱりうるま市で陳情活動をしてきて思ったのが、じかにお会いしてお話を聞いていただくと初めて聞いたとか勉強になったという方々が、議員さんも初めて聞いたという方がいらっしゃるので、全部の41市町村を回るのはちょっと難しいんですけど、やっぱり人口が多いところですね。那覇、沖縄市、うるま市、浦添とかですね。そこから意見を出していって、あとどんどんまたそれぞれでそれぞれの住んでいるところで声が上がるといいなと思っています。

○喜友名智子委員 やっぱり夫婦別姓はやらないといけないよねという議論を一つアクションとして起こしているという活動そのものが、私は本当に困っている人たちがいる、まだ世間の中では少数でもそこの声をきちんと上げているというところで、皆さん方の活動というのは非常に大きな意味があると思っています。県議会でもこれからまた議論は続けますけれども、ぜひこういった情報、またアップデートとかありましたら、私は基本的に後押しをしたいという立場ですけれども、また県内でこういった選択的夫婦別姓を必要とされている方たちの声があればどんどん上げていただきたいなと思っております。
 私からの質問は以上です。

○末松文信委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○末松文信委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、請願第1号に係る参考人に対する質疑を終結いたします。
 この際、委員会を代表して、参考人及び補助者各位に一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 眞鶴さやか参考人、砂川智江補助者大変ありがとうございました。
 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人等退席)

○末松文信委員長 再開いたします。
 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これを持って散会いたします。 






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

   委 員 長  末 松 文 信