委員会記録・調査報告等

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土木環境委員会記録
 
平成28年 第 4定例会閉会中

2
 



開会の日時

年月日平成28年10月18日 曜日
開会午前 10 時 0
散会午後 3 時 45

場所


第3委員会室


議題


 1 平成28年第4回議会乙第20号議案 平成27年度沖縄県水道事業会計未処分利益剰余金の処分について     
 2 平成28年第4回議会乙第21号議案  平成27年度沖縄県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分について   
 3 平成28年第4回議会認定第1号  平成27年度沖縄県一般会計決算の認定について(環境部所管分)
 4 平成28年第4回議会認定第22号  平成27年度沖縄県水道事業会計決算の認定について
 5 平成28年第4回議会認定第23号  平成27年度沖縄県工業用水道事業会計決算の認定について           
 6 決算調査報告書記載内容等について


出席委員

委員長 新 垣 清 涼君
副委員長 照 屋 大 河君
委  員  座 波   一君
委  員  座喜味 一 幸君
委  員 翁 長 政 俊君
委  員 仲 村 未 央さん
委  員 崎 山 嗣 幸君
委  員 上 原 正 次君
委  員  赤 嶺   昇君
委  員 糸 洲 朝 則君


欠席委員

 具志堅   透君  嘉 陽 宗 儀君 
 ※ 決算議案の審査等に関する基本的事項4
  (6)に基づき、監査委員である具志堅透
   君及び嘉陽宗儀君は調査に加わらない。


説明のため出席した者の職・氏名

環境部長  大 浜 浩 志君 
 環境企画統括監  棚 原 憲 実君
 参事  謝名堂   聡君
 環境政策課長  永 山   淳君
 環境政策課基地環境  玉 城 不二美君
 特別対策室長
 環境政策課副参事  普天間 朝 好君
 環境保全課長  仲宗根 一 哉君
 環境整備課長  松 田   了君
 自然保護課長  金 城   賢君
 環境再生課長  崎   洋 一君
企業局長  町 田   優君 
 総務企画課長  渡嘉敷 道 夫君
 経理課長  上 原   淳君



○新垣清涼委員長 ただいまから、土木環境委員会を開会いたします。

 本委員会所管事務調査事件「本委員会の所管事務に係る決算事項の調査について」に係る平成28年第4回議会乙第20号議案及び同乙第21号議案の議決議案2件、平成28年第4回議会認定第1号、同認定第22号及び同認定第23号の決算3件の調査及び決算調査報告書記載内容等についてを一括して議題といたします。

 本日の説明員として、環境部長及び企業局長の出席を求めております。

 まず初めに、環境部長から環境部関係決算の概要について説明を求めます。

 大浜浩志環境部長。

○大浜浩志環境部長 環境部の平成27年度一般会計決算の概要について、お手元にお配りしております歳入歳出決算資料に基づいて御説明いたします。

 まず初めに、平成27年度一般会計歳入決算の状況につきまして御説明いたします。

 1ページをお開きください。

 歳入の6つの款のうち、環境部所管の歳入は、国庫支出金、財産収入、繰入金、諸収入の4つの款からなっております。

 使用料及び手数料については出納事務局、県債については総務部でまとめて計上されることとなっております。

 環境部所管の歳入の合計額は、予算現額19億4666万5870円、調定額は18億5609万8929円、うち、収入済額も調定額と同額となっており、調定額に対する収入済額の割合である収入比率は100%となっております。

 次に、(款)ごとの歳入について御説明いたします。

 (款)国庫支出金は、収入済額6億6297万6694円で、主なものは、海域生態系保全事業費及び陸域生態系保全事業費等の沖縄振興特別推進交付金であります。

 (款)財産収入は、収入済額1684万3898円で、その主なものは、環境保全基金利子及び産業廃棄物税基金利子等の財産運用収入が1052万6998円、不用品の売払収入が629万6400円であります。

 (款)繰入金は、収入済額11億6200万7135円で、その内容は、産業廃棄物税基金繰入金と沖縄県再生可能エネルギー等導入推進基金繰入金であります。

 2ページをお開きください。

 (款)諸収入は、収入済額1427万1202円で、その主なものは、動物愛護管理センター受託金であります。

 次に、歳出決算の状況について御説明いたします。

 3ページをお開きください。

 平成27年度の一般会計の歳出は、衛生費と農林水産業費の2つの款からなっております。

 その合計額は、予算現額は34億5262万600円、うち支出済額は29億7439万5812円、翌年度への繰越額は3億3121万4000円、不用額は1億4701万788円となっております。予算現額に対する支出済額の割合を示す執行率は86.1%となっています。

 次に、翌年度繰越額3億3121万4000円について御説明いたします。

 翌年度繰越額(目)環境保全費3億1842万4000円は、沖縄県再生可能エネルギー等導入推進基金事業において、補助事業者である市町村の調整おくれ、関連工事の進捗がおくれたこと等に伴う繰り越しであります。

 (目)自然保護費1279万円は、沖縄海岸国定公園本部ふるさと歩道整備において、現場内から発生する雨水排水処理のため、本部町との農道占有協議に時間を要したことによる繰り越しであります。

 次に、不用額1億4701万788円のうち、(目)で主なものについて御説明いたします。

 (目)環境衛生指導費の不用額4312万7818円は、主に海岸漂着物等地域対策推進事業が9月補正予算で事業開始となったため、事業期間が短かったこと等による執行残であります。

 (目)環境保全費の不用額5615万2363円は、主に観光施設等の総合的エコ化促進事業の補助金交付決定の取り消しに伴う支出減及び沖縄県再生可能エネルギー等導入推進基金事業の補助金の確定に伴う実績の減などによるものであります。

 (目)自然保護費の不用額3438万2556円は、主に外来生物侵入防止事業費の調査対象箇所の減による委託費執行残によるものであります。

 以上をもちまして、平成27年度の環境部一般会計決算の概要説明を終わります。

 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○新垣清涼委員長 環境部長の説明は終わりました。

 次に、企業局長から平成28年第4回議会乙第20号議案及び同乙第21号議案の議決議案2件、平成28年第4回議会認定第22号及び同認定第23号の決算2件について説明を求めます。

 町田優企業局長。

○町田優企業局長 平成27年度の水道事業会計及び工業用水道事業会計の決算、並びに両会計決算の結果生じました未処分利益剰余金の処分について、その概要を御説明申し上げます。

 初めに、認定第22号平成27年度沖縄県水道事業会計決算について、お手元にお配りしております決算書に沿って御説明いたします。

 1ページをお開きください。

 決算報告書の(1)収益的収入及び支出について御説明申し上げます。

 収入の第1款水道事業収益は、予算額合計294億5692万7000円に対して、決算額は297億1662万8469円で、予算額に比べて2億5970万1469円の増収となっております。

 その主な要因は、第1項の営業収益における給水収益の増加によるものであります。

 次に、支出の第1款水道事業費用は、予算額合計296億2726万7221円に対して、決算額は285億9804万1946円で、翌年度繰越額が2億5458万2036円、不用額が7億7464万3239円となっております。

 不用額の主な内容は、第1項の営業費用における動力費や負担金等の減少によるものであります。

 2ページをお願いいたします。

 (2)資本的収入及び支出について御説明申し上げます。

 まず、収入の第1款資本的収入は、予算額合計145億5810万円に対して、決算額は121億7836万2268円で、予算額に比べて23億7973万7732円の減収となっております。

 その主な要因は、建設改良費の繰り越しに伴い第2項の国庫補助金が減少したことなどによるものであります。

 次に、支出の第1款資本的支出は、予算額合計201億9588万1913円に対して、決算額は173億7821万6189円で、翌年度への繰越額が25億8478万9646円、不用額が2億3287万6078円となっております。

 繰り越しが生じた主な要因は、第1項の建設改良費において、工事計画の変更等に際し不測の日数を要したことによるものであります。

 次に、3ページの損益計算書に基づきまして、経営成績について御説明申し上げます。

 1の営業収益155億5616万4824円に対して、2の営業費用は257億5139万2562円で101億9522万7738円の営業損失が生じております。

 3の営業外収益126億3082万7850円に対して、4ページの4の営業外費用は16億357万8979円で110億2724万8871円の営業外利益が生じており、経常利益は8億3202万1133円となっております。

 5の特別利益、6の特別損失を加味した当年度の純利益は8億6200万4392円となり、この当年度純利益が、当年度未処分利益剰余金となっております。

 次に、5ページの剰余金計算書について、御説明申し上げます。

 資本合計の前年度末残高424億1946万3240円に対し、当年度変動額が8億8609万1536円増加したことにより、資本合計の当年度末残高は433億555万4776円となっております。

 次に、6ページをお願いいたします。

 剰余金処分計算書(案)について御説明申し上げます。

 未処分利益剰余金は、当年度末残高8億6200万4392円の全額を、今後の企業債償還に充てるため、議会の議決を経て、減債積立金に積み立てることにしております。

 次に、7ページの貸借対照表に基づきまして、財政状態について御説明申し上げます。

 まず、資産の部については、8ページになりますが、資産合計4501億3831万2627円となっております。

 負債の部については、10ページになりますが、負債合計4068億3275万7851円となっております。

 資本の部については、資本合計433億555万4776円となっております。

 なお、11ページから13ページは決算に関する注記、また15ページ以降につきましては、決算に関する附属書類となっておりますので、後ほど御確認いただきたいと思います。

 以上で、認定第22号平成27年度沖縄県水道事業会計決算の概要説明を終わります。

 続きまして、51ページをお開きください。

 認定第23号平成27年度沖縄県工業用水道事業会計決算について御説明申し上げます。

 決算報告書の(1)収益的収入及び支出について御説明申し上げます。

 収入の第1款工業用水道事業収益は、予算額合計6億8732万9000円に対して決算額は6億9905万1537円で、予算額に比べて1172万2537円の増収となっております。

 その主な要因は、第1項の営業収益における給水収益の増加によるものであります。

 次に、支出の第1款工業用水道事業費用は、予算額合計6億8245万8000円に対して、決算額は6億5937万1730円で、翌年度への繰越額が136万9038円、不用額が2171万7232円となっております。

 不用額の主な内容は、第1項の営業費用における負担金や動力費等の減少によるものであります。

 52ページをお願いいたします。

 (2)資本的収入及び支出について御説明申し上げます。

 まず、収入の第1款資本的収入は、予算額8056万1000円に対して、決算額は6957万3000円で、予算額に比べて1098万8000円の減収となっております。

 その主な要因は、補助事業の計画を見直したことにより、第1項の国庫補助金が減少したことによるものであります。

 次に、支出の第1款資本的支出は、予算額合計2億3575万8730円に対して、決算額は2億1864万6501円になっております。

 不用額は1711万2229円であります。

 不用額の主な内容は、資本的収入が減少した要因と同じく、補助事業の計画を見直したことによるもので、これにより第1項の建設改良費が減少となっております。

 次に、53ページの損益計算書に基づき、経営成績について御説明申し上げます。

 1の営業収益2億7432万4645円に対して、2の営業費用は6億2757万6746円で、営業損失が3億5325万2101円生じております。

 3の営業外収益4億277万3978円に対して、54ページの4の営業外費用が1730万881円で、3億8547万3097円の営業外利益が生じており、経常利益は3222万996円となっております。

 5の特別利益を加味した当年度の純利益は3222万6996円となり、この当年度純利益が、当年度未処分利益剰余金となっております。

 次に、55ページの剰余金計算書について、御説明申し上げます。

 右端の資本合計の欄でございますが、資本合計の前年度末残高13億596万7415円に対し、当年度変動額が、3239万9534円増加したことにより、資本合計の当年度末残高は、13億3836万6949円となっております。

 次に、56ページをお願いいたします。

 剰余金処分計算書(案)について御説明申し上げます。

 未処分利益剰余金につきましては、当年度末残高3222万6996円の全額を、今後の建設改良費に充てるため、議会の議決を経て、建設改良積立金に積み立てることにしております。

 次に、57ページの貸借対照表に基づきまして、財政状態について御説明申し上げます。

 まず、資産の部については、58ページになりますが、資産合計78億237万97円となっております。

 負債の部については、60ペ-ジになりますが、負債合計64億6400万3148円となっております。

 資本の部については、資本合計13億3836万6949円となっております。

 なお、61ページから63ページは決算に関する注記、また65ページ以降につきましては、決算に関する附属書類となっておりますので、後ほど御確認いただきたいと思います。

 以上で、認定第23号平成27年度沖縄県工業用水道事業会計決算の概要説明を終わります。

 決算の概要説明に続きまして、当該決算と関連のある議案として提出しております未処分利益剰余金の処分について、その概要を御説明申し上げます。

 別冊の議案書(その2)の47ページをお開きください。

 乙第20号議案平成27年度沖縄県水道事業会計未処分利益剰余金の処分について御説明いたします。

 本議案は、決算における未処分利益剰余金の処分を行うためには、地方公営企業法第32条第2項の規定により議会の議決を必要とすることから、提出したものであります。

 内容につきましては、平成27年度水道事業会計の未処分利益剰余金8億6200万4392円の処分について、今後の企業債償還に充てるため、全額を減債積立金に積み立てるものであります。

 以上で、乙第20号議案平成27年度沖縄県水道事業会計未処分利益剰余金の処分についての概要説明を終わります。

 48ページをお開きください。

 続きまして、乙第21号議案平成27年度沖縄県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分について御説明いたします。

 本議案は、決算における未処分利益剰余金の処分を行うためには、水道事業会計と同様に、議会の議決を必要とすることから、提出したものであります。

 内容につきましては、平成27年度工業用水道事業会計の未処分利益剰余金3222万6996円の処分について、今後の建設改良費に充てるため、全額を建設改良積立金に積み立てるものであります。

 以上で、乙第21号議案平成27年度沖縄県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分についての概要説明を終わります。

 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○新垣清涼委員長 企業局長の説明は終わりました。

 これより質疑を行いますが、本日の質疑につきましては、決算議案の審査等に関する基本的事項に従って行うことにいたします。

 なお、要調査事項の提起の方法及びその取り扱い等については、昨日と同様に行うこととし、本日の質疑終了後に協議いたします。

 質疑及び答弁に当たっては、その都度委員長の許可を得てから、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。

 また、質疑に際しては、あらかじめ引用する決算資料の名称、ページ及び事業名等を告げた上で、質疑を行うよう御協力をお願いいたします。

 決算特別委員長から調査を依頼された事項は、沖縄県議会委員会条例第2条に定める所管事務に関する決算事項でありますので、十分御留意願います。

 なお、答弁に当たっては、総括的、政策的な質疑に対しては部局長が行い、それ以外はできるだけ担当課長等の補助答弁者が行うこととしたいと存じますので、委員及び執行部の皆さんの御協力をお願いいたします。

 さらに、課長等補助答弁者が答弁を行う際は、あらかじめ職、氏名を告げてください。

 それでは、これより直ちに各決算に対する質疑を行います。

 照屋大河委員。

○照屋大河委員 主要施策の成果に関する報告書の36ページ、サンゴ礁の保全再生事業について、特徴的なもので構いませんので、事業概要の説明を求めたいと思います。

○金城賢自然保護課長 県では衰退したサンゴ礁生態系の保存・再生を図るために平成22年度からサンゴ礁保全再生事業を行っております。その中でサンゴ礁の再生の実証試験やサンゴ礁再生に関する調査研究、サンゴ礁保全活動を行う民間団体への支援を実施しております。また、平成24年度からオニヒトデ総合対策事業を開始しており、オニヒトデの大量発生メカニズム等を明らかにする調査研究等を実施しているところでございます。

○照屋大河委員 何年からスタートしていますか。

○金城賢自然保護課長 サンゴ礁の保全再生事業は平成22年度から行っており、オニヒトデの総合対策事業は平成24年度から実施しているところでございます。

○照屋大河委員 衰退したサンゴ礁ということですが、平成22年度に事業をスタートするに当たって、沖縄県を取り巻くサンゴ礁はどういう状態だと認識し、把握をしてこの事業をスタートしたのですか。

○金城賢自然保護課長 沖縄県のサンゴ礁の状況としましては、1998年に大規模な白化現象や赤土の流出、長期にわたるオニヒトデの大量発生等により、かなり危機的状況にございました。そこで、県では平成21年度からサンゴ礁の状況を調べておりまして、沖縄島周辺では約9割の地域で被度が10%未満という状況がわかりました。慶良間海域では約7割、久米島海域では約5割、宮古海域で7割、八重山海域で5割と、被度がかなり低いという状況でございましたので、その状況を踏まえてサンゴ礁の保全再生事業を開始したところでございます。

○照屋大河委員 その割合について、平成27年度までの成果も含めて、環境部としてどれくらいの目標を持って事業を進めているのですか。

○金城賢自然保護課長 再生の実証試験では県内の3海域、恩納村海域、読谷村海域、慶良間海域で、平成23年度から昨年度末までに約11万本のサンゴ種苗を約2.5ヘクタールの海域に植えつけております。この事業は今年度までなのですが、今年度末までには3ヘクタール以上の海域でサンゴ礁の種苗を植えつける予定でございます。

○照屋大河委員 今年度までということですが、ことしに入って白化の状態が進んでいるという報道もされていて、この再生事業と自然現象による白化被害との兼ね合いをどのように感じているのか。ことしの白化の状態も把握されているのであれば教えていただきたいと思います。

○金城賢自然保護課長 本年7月ごろに発生したサンゴの白化につきましては、高海水温等の影響によるものと考えられております。海域によって状況の差はありますが、沖縄県のほぼ全海域で確認され、9月以降の台風の接近等による海水温の低下により、現在、サンゴの白化の進行は終息しつつあります。サンゴ礁の保全再生事業で植えつけをしているところですが、これから海水温は下がっていきますので、1年を通してどういう状況なのかということは詳細な調査を行い、実証していきますが、サンゴ礁の保全再生事業として最終的に死亡するサンゴの割合は1割から2割程度と見込まれているところであります。

○照屋大河委員 県内でサンゴ礁保全活動を実施した11団体を支援したということですが、重立ったものが11団体ということなのでしょうか。その事業をされているところを把握した上で支援しているのか、それとも、ほかにもたくさん活動しているところはあるが、ここが主要な団体だという認識で11団体ということになったのでしょうか。

○金城賢自然保護課長 補助を行っている団体につきましては、県が補助要綱をつくっておりまして、応募をしていただき、その要綱の中の審査に合致したところに補助をしております。その11団体につきましては、サンゴ礁の植えつけやモニタリングを行っているNPOの団体など、そういったところに補助を行ったところでございます。

○照屋大河委員 専門的に意識もあって活動されている団体という認識なのですが、先ほど言ったように平成28年度で事業を終えてしまうのですか。年度ごとの環境によって白化の状態がある―県は終息していく見通しをお持ちのようですが、実際に支援を行った団体の皆さんと現状に対する意見交換、あるいは将来に向けた沖縄におけるサンゴ礁や海の環境についての情報交換なども踏まえて、平成28年度でこの事業は終了してしまうということなのでしょうか。

○金城賢自然保護課長 平成28年度までということですが、今月7日にOISTでサンゴ礁の保存再生事業の成果ということでシンポジウムを行っております。その中では、サンゴ礁保全の取り組みをしている研究者等から発表がありました。この白化の状況や対策等につきましては、引き続き環境省や漁業協同組合等、関係機関と連携して情報収集、意見交換をしながら、サンゴ礁の保全に向けて対応していきたいと思っております。

○照屋大河委員 サンゴ礁を壊して盗んでいくという事例も新聞報道などで見たのですが、そういう実態は皆さんのところで把握されているのか、別の部署なのか。この状況はわかりますか。

○金城賢自然保護課長 サンゴ礁の盗掘については把握しておりませんが、サンゴを採取するときには漁業調整規則等で許可が必要だと聞いております。これは農林水産部の所管になると思いますので、場合によってはそちらで情報をお持ちかも知れませんが、当部でそういった情報は持っておりません。

○照屋大河委員 予算をかけて再生をして、環境も守っていくという視点で重要な事業だと思います。一方で、部署は違うようですが、盗んでしまったり、壊してしまうというような実態もあるので、先ほどの支援する団体も含めて、大切にして守っていこうという意識喚起といいますか、それも踏まえて、国の研究も進んでいきながら検討されるということで、これは大事なことだと思いますので、しっかりと事業を進めていっていただきたいと思います。

 次に、同じく主要施策の成果に関する報告書から、42ページの米軍施設の環境対策ということで、平成27年度の成果がどう発揮されているのか、事業の概要も含めてお願いします。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 米軍施設環境対策事業については、米軍施設に起因する環境問題に対応するため、新たな環境保全の仕組みとしての環境調査ガイドライン(仮称)と、米軍基地及びその周辺の環境情報をとりまとめた基地環境カルテ(仮称)の策定を平成26年度より進めております。平成27年度につきましては、平成26年度に収集した情報や資料をもとに素案を作成しております。素案作成に当たりましては、有識者からなる検討委員会及びより専門的、具体的な議論を行う場としての専門部会を設置し、指導、助言を得ながら進めてまいりました。

○照屋大河委員 仮称ということですが、これはまだでき上がっていないのですか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 平成26年度から平成28年度―今年度の終了をめどにしております。

○照屋大河委員 検討する中で、直接的な米軍関係者とのかかわりはありましたか。米軍についての協力などもあったのですか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 平成26年度、平成27年度におきましては、直接、本国に行きまして、ハワイ州、マサチューセッツ州等の米軍の関係者等に聞き取りをして、協力を依頼しております。また、在沖米軍に関しましては、この事業も含めまして情報交換等をしてまいりました。

○照屋大河委員 本国というのは、本国における法律、基準を沖縄でも示していこうという調査だったのですか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 平成26年度、平成27年度には積極的にいろいろなところ―ハワイ州、マサチューセッツ州で資料を収集して、沖縄に適用できるものがないのか研究してまいりました。

○照屋大河委員 この中身として、国内における環境基準ガイドラインなどに対する比較は既にお持ちですか。米国の基準、あるいは日本における基準についての比較はこれからですか。既に何か検討されているのですか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 アメリカ本国におきましてはEPA等がございますが、米国での基準など、そのやり方について沖縄で適用できないか、新規の物質を導入できないかということで、専門部会の中で検討を進めているところでございます。

○照屋大河委員 実際に立ち入りの必要性を感じながら要請をしたこともありますか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 今までのところ立ち入りの要請はしておりません。

○照屋大河委員 その必要性は、まだ県では感じていないということですか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 現在、抱えている課題については特にございません。

○照屋大河委員 環境調査ガイドライン及び基地環境カルテを整えた上で跡地への調査などが必要になってくると思うのですが、これについて今、立ち入りが認められないということもあるのですが、その辺はどう考えていますか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 立ち入りにつきましては、環境補足協定等、いろいろございますので、今後どのように適用するか検討しているところでございます。

○照屋大河委員 跡地利用についても、返還跡地を開発した後に汚染物質が見つかったり、それを解明するために長らく工事がとめられて利用できないという実態も既に皆さんは承知していると思いますので、沖縄の閉ざされた中での環境汚染といいますか、的確に米軍に意識を持ってもらいながら、後には沖縄県民の土地だと意識させながら、環境に対する意識を高めていく必要があると思いますので、環境調査ガイドラインや基地環境カルテ、環境補足協定との兼ね合いも含めて、ぜひ強い姿勢で取り組んでいただきたいということを申し上げて終わります。

○新垣清涼委員長 崎山嗣幸委員。

○崎山嗣幸委員 歳出の決算書の3ページ、環境保全費で繰越額3億1842万4000円、不用額5615万2363円という説明がありましたが、これは市町村への再生可能エネルギーの補助金で、調整ができずに繰り越しになったということですが、この環境保全費で再生可能エネルギーの補助をした市町村の実績と不用額になったところで予定された市町村があったのか、説明をお願いします。

○崎洋一環境再生課長 主要施策の再生可能エネルギー事業の内容ですが、まず地震や台風などの大規模な災害に備えて、県内の防災拠点や避難所等の太陽光発電装置や蓄電池を導入する事業でございます。平成27年度から実施しておりまして、平成28年度まで行う予定でございました。繰り越しにつきましては、南城市、南大東村、北大東村、多良間村の4市町村で繰り越しがございまして、南城市におきまして接続に係る沖縄電力との調整おくれがございました。南大東村については、太陽光パネル設置場所変更による関連工事の発生がございまして、赤瓦屋根が撤去となり、その関連の工事で繰り越しが発生しております。北大東村におきましては、太陽光パネル設置場所における関連工事ということで、このおくれということでございました。多良間村におきましては、沖縄電力との接続に係る調整のおくれということでございました。その4市町村合わせて3億1842万4000円の繰り越しになっておりまして、平成27年度から平成28年度に繰り越しまして、平成28年度でほぼ完成をしております。平成27年度の実績でございますが、伊江村、伊平屋村、伊是名村の3村で9施設が完成しております。伊江村では2施設で、伊江小学校、伊江村福祉センター。伊平屋村では、伊平屋離島振興総合センター、伊平屋小中学校、伊平屋産業連絡拠点センター。伊是名村では伊是名小学校、伊是名中学校、伊是名村保健センターでございます。この実績に対しまして4億6484万円の執行でございました。内訳として、先ほど太陽光発電と蓄電池と申しましたが、環境部のエコの部分の取り組みとしまして、CO2の削減量が84トンとなっております。平成28年度に繰り越したものについてはまだ執行中ですが、平成27年度から平成28年度分が124トンと推測されております。

○崎山嗣幸委員 不用額は約5600万円ですが、これは何ですか。

○大浜浩志環境部長 この事業では、予算の支出としては7億700万円余りです。次年度への繰り越しが3億1000万円であります。不用額が620万円余りありますが、これにつきましては入札残等を含めまして、合計すると11億3200万円の予算額で執行したということです。先ほど申しましたように、平成27年度は3村9施設。平成27年度、平成28年度で一部繰り越したので、4村12施設を今年度までに実施している状況でございます。

○崎山嗣幸委員 今、聞いているのは環境保全費の不用額5615万2363円は何ですかということです。

○永山淳環境政策課長 環境保全費全体の不用額が5615万2363円となっておりますが、その主な内容は、先ほどの部長の説明と重複しますが、一番大きいものが観光施設等の総合的エコ化促進事業が2781万5000円です。沖縄県再生可能エネルギー等導入推進基金事業が620万6000円、水質測定機器整備事業が414万400円、地球温暖化等対策事業が262万2000円ということが、主な不用額の内容となっております。

○崎山嗣幸委員 再生可能エネルギーのCO2削減として、84トンの効果を出したということですが、環境部が推進する再生可能エネルギー―実際に84トンという実績を上げていますが、県のエネルギー自給率は全国より低く0.2%で、化石燃料が99%だったということで、皆さんはそれで自然環境保護といいますか、CO2削減のために太陽光や風力を推進していると聞いていますが、環境部で行っている市町村への補助をさらに拡大して推進していくということで、どのような目的を持っていますか。今、平成27年度と平成28年度の2年度分を聞きました。そういったCO2削減の効果が出ているということですが、環境部としての目標は持っていますか。さらに抑制していくということでしょう。

○崎洋一環境再生課長 県では地球温暖化対策の実行計画がございまして、その中で2000年度現在で1244万トンございました。そして、これから迎えます2020年度に1244万トンまで落としていこうと。毎年ふえてはいますが、過去の2000年度のレベルで推移していこうと計画しております。

○崎山嗣幸委員 そういった努力を所管課で進めていくことは高く評価しますので頑張ってほしいと思いますが、推進に当たっての問題点と課題として、他方で大宜味村から陳情が出ていると思いますが、太陽光パネルを地べたにブロックで設置をして、その反射光によって住宅に被害を与えているということがマスコミや陳情書で出ているということで、反射光による被害が他県で裁判になったり、パネルで熱中症になったり、室温が52度になったという問題が起こっていると聞いているのですが、皆さんがCO2削減を推進する一方で、そういった問題の規制というか、設置条件は全くなく民家の近くの地べたにパネルを設置して、反射光でどこまでやっていいのかというところは無制限になっているのですか。

○崎洋一環境再生課長 新聞報道にございます大宜味村の件はおいておきまして、環境再生可能エネルギー事業につきましては、防災拠点地と避難する場所などが対象になっていまして、公共施設の屋上など、それを設置する箇所を大体決めております。大宜味村の場合は宅地造成後の地べた、あいている農地、使われていない遊休地に設置したと聞いております。当事業で設置しました太陽光パネルは全て公共施設の屋上に設置しておりまして、隣接への反射等のトラブル報告はまだ受けておりません。それから、再生可能エネルギーの導入に当たっては地域住民の理解、自然環境との調和が重要だと認識しております。

○崎山嗣幸委員 お聞きしたいのは、環境部としてCO2削減のために市町村に補助を出して導入するということについては、防災拠点もそうですが、市町村に対する補助が限定なのか、環境施策として再生可能エネルギーを多方面に拡大していくということなのかということです。皆さんが行っている事業は防災拠点として市町村に補助するというメニューだけなのか、その他、所管部としてこれ以上CO2を拡大させたくないという行政政策は皆さんの任務ではないのですかということを聞いているのです。

○大浜浩志環境部長 再生可能エネルギーは、将来的に推進していくべきものであって、CO2を減らしていかないといけないと思っています。ただ、我々が再生可能エネルギー等導入推進基金事業で行っているのは防災拠点、避難所ということで、そういった施設の屋上でやっていますが、商工労働部では再生可能エネルギーについての補助金メニューがたくさんありますので、そこで広がりを見せていくかと思います。全国的にもこのようなトラブルが見えてきていることがございまして、経済産業省がガイドラインを作成しているという状況でございますので、今後、沖縄県でもこのガイドラインを踏まえて商工労働部と連携しながらやっていきたいと思っております。

○崎山嗣幸委員 風力などは市街地から500メートル未満では開発できないということがあるようですが、今、言っている太陽光については民家の近くにパネルが何百とあって、こういう制限はないのかと思いますが、これは皆さん承知しているのですか。

○大浜浩志環境部長 現在のところはそういう制限はないと記憶しております。ただ、9月に大宜味村がこういう問題を踏まえて条例を制定しておりまして、50メートル範囲内に住宅は設けないことという条例をつくっていると聞いております。

○崎山嗣幸委員 大宜味村だけでなく、北部地域一帯にも広がっていると聞いているのですが、県と市町村における条例や課題の調整はなされていくのですか。北部地域一帯も含めて、ほかの市町村にも影響していると聞いているので、ここは県の調整する役割もあると思いますが、いかがですか。

○大浜浩志環境部長 これから経済産業省においてガイドラインができますので、市町村とも状況を把握しながら対策を講じていきたいと考えております。

○崎山嗣幸委員 次に、主要施策の成果に関する報告書、33ページの世界自然遺産登録推進事業に関連して、2306万円の自然公園管理費が出ていますが、2016年9月16日にやんばる国立公園が指定されました。2018年の世界自然遺産登録を目指す上で、第一歩を踏み出したということで皆さんも評価していると思いますが、世界自然遺産登録に向かって取り組んでいくときの課題と条件をおおまかでいいので教えてもらいたいと思います。

○金城賢自然保護課長 まず、世界自然遺産として登録をしようとしているところは、奄美大島と徳之島、ヤンバル―沖縄島の北部地域、西表島の4カ所でございます。世界遺産に登録されるためには、その地域が基準に合致しているかということがございますが、この4地域につきましては生態系と生物多様性が豊かであるという条件はクリアしています。もう一つは、その遺産の価値がしっかり守られるためには法的な保護担保措置が必要になりますが、沖縄のヤンバルと西表島につきましては国立公園になっておりますし、奄美大島についても、このたび国立公園の指定に向けて、パブリックコメントがあるということで、保護担保措置がほぼとられるようになりました。今、この2つがクリアされています。もう一つは、価値が担保されるためには、地域で持続的な利用と保護が図られるということで、地域ごとに地域別行動計画を策定することがあります。まずはその策定が課題になるかと思います。

○崎山嗣幸委員 国立公園の指定が条件ということで、自然環境の厳格な保護や開発の規制、希少種の環境を守るということが大きな条件だと思っておりますが、国立公園に指定されたことで、主な規制といいますか、メリット、デメリットがあると思いますが、これからやんばる国立公園にはどういった規制がかかってきますか。

○金城賢自然保護課長 今、国立公園に指定されましたが、国立公園の場合は、しっかり規制をして保護をすることと、そこを利用するための利用計画の2つがセットで行われます。まず、規制のところとして、特別保護地区、第1種特別地域、第2種特別地域、第3種特別地域ということで、一定の開発等を行う場合には規制がかかり、許可が必要になります。一方、利用ということで、利用計画の中で国民、県民のたくさんの方に利用していただくということで、歩道や園地などの整備計画がございます。その自然の状態によって、特別保護地域、第1種特別地域についてはほぼ開発ができないということになります。そういった地域は、国立公園の中でも世界遺産の地域となります。第2種特別地域、第3種特別地域については、一定程度の規制がかかります。例えば第2種特別地域ではゴルフ場などはできませんが、第2種特別地域と第3種特別地域で家を建てたり工作物をつくるといったことについては、自然公園法の中で基準が定められておりまして、その基準に合致すれば一定程度の開発等はできることになっております。

○崎山嗣幸委員 北部訓練場の北側、過半の返還がされたら、そこは改めて公園に追加をしていこうという話がありますが、その北部訓練場内の希少種、動植物の実態把握はされているのか。いずれ対象にしようということですから、天然記念物のノグチゲラ、ヤンバルクイナなどについての実態把握や保護対策はされていますか。

○金城賢自然保護課長 北部訓練場内における内外の状況としては、マングースの防除対策の中で希少種の回復状況ということで、希少種がどういう状況かという調査を行っております。マングースを駆除することによって、ヤンバルクイナやノグチゲラなどが回復しているかどうかという調査をあわせて行っておりまして、北部訓練場の中でもマングースの駆除等を行って、そういった調査も行われております。その中では、マングースの駆除の効果が出てきておりまして、ヤンバルクイナやノグチゲラ、アカヒゲ等の生息調査で回復しているという結果が出ております。

○崎山嗣幸委員 マングースの捕獲対策のための回復調査を行っているとのことですが、実際にヤンバルクイナは700羽から1000羽に回復していると言われていますが、このヤンバルクイナやノグチゲラについて大まかな数は掌握していますか。

○金城賢自然保護課長 この調査は、1キロメートル四方に区切ってメッシュを置いて、その中で確認状況ということで調査をしております。具体的にヤンバルクイナにつきましては、メッシュ数が全体で299カ所ございますが、平成21年度にヤンバルクイナが確認できた箇所が299カ所のうち150カ所だったものが、平成27年度では299カ所のうち182カ所で確認されたということで、確認状況としてはふえています。ノグチゲラにつきましては、153カ所から209カ所。アカヒゲにつきましては、187カ所から237カ所ということで確認されております。

○崎山嗣幸委員 これは7800ヘクタールの北部訓練場の中ですか。それとも、トータルですか。

○金城賢自然保護課長 マングースの駆除につきましては北部訓練場の内外で行っておりまして、北部訓練場を含めたヤンバル全体の数字でございます。

○崎山嗣幸委員 返還されるところを聞きたいのですが、7800ヘクタールの北部訓練場の中と分けた実態把握はできないのですか。

○新垣清涼委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、自然保護課長から、後ほど資料を提出するとの答弁があった。)

○新垣清涼委員長 再開いたします。

 崎山嗣幸委員。

○崎山嗣幸委員 訓練場内とそれ以外の部分が知りたいので、後で資料をください。

 それから、沖縄防衛局がヘリパッド基地を建設していますが、G地区、H地区で2万4000本の立木を伐採したということで、これがやんばる国立公園の世界自然遺産登録に向けて大変な影響を受けていると思いますが、この伐採による希少種への影響はありませんか。

○大浜浩志環境部長 東村高江のヘリパット建設に伴う希少種の状況については、まだ把握しておりませんので何とも言えませんが、本会議でも申しましたとおりコウモリの件もありましたので、そういった調査の準備を進めているところでございます。

○崎山嗣幸委員 2007年の環境影響評価では、特別天然記念物のノグチゲラの巣穴が29カ所あったと言われていますが、倒された2万4000本の木の中にノグチゲラの巣穴があった29カ所も入っているのですか。

○大浜浩志環境部長 そこは把握しておりません。

○崎山嗣幸委員 いずれにしても、過半の返還がされたら、そこを国立公園に指定しようとしているので、実態が壊されると回復が難しいわけですから、わかりませんでは通らないので、これから実態把握に努めてもらいたいと思います。そうでないと、過半の返還がされても、登録の条件があって、これだけ条件整備をするべきだという中で野放しにされて、ヤンバルクイナもノグチゲラも守れないようでは大変な思いになるかと思うので、その辺は実態把握と保護を求めたいと思いますが、いかがですか。

○大浜浩志環境部長 1点目に、返還された後につきましては、国立公園への指定は環境省が行いますが、そこの部分はほとんど国有林だと思いますので、ここは林野庁が生態系保護区域として指定するのか、これはどちらでも保護担保措置になりますので、今後、返還されたときには、そこをきちんと守っていくということになろうかと思います。ヘリパッド建設で伐採されたところについては、森林管理署と協議をして許可を得ていると連絡を受けていますが、この辺の状況についても今後しっかり把握していきたいと思います。

○新垣清涼委員長 仲村未央委員。

○仲村未央委員 沖縄市の嶽山原については、平成24年度から平成26年度の調査で結果の一部が明らかになってきているようですが、国内初確認の種が昆虫を中心に最低でも100種類ぐらい見つかったという報道がありましたが、このあたりについては県としてどのように把握されていますか。

○金城賢自然保護課長 県では沖縄市の状況について確認をしておりますが、嶽山原地域の生物調査の詳細につきましては、沖縄市の郷土博物館で沖縄振興特別推進交付金を活用し、平成24年度から平成28年度までの5カ年計画で嶽山原を含む市内、全陸域の生物調査を実施しているということでございます。その結果、沖縄市全体で見られる動植物の6割以上が嶽山原に集中していることがわかっております。それから、先ほど委員からございましたように、貴重な動植物の生息も確認されておりますが、特に昆虫類は国内では未確認の種が100種類に上っているという報告を受けております。

○仲村未央委員 今回、一括交付金を活用して沖縄市が調査を行っていますが、このあたりの環境の評価は、そもそも県としては何らかの評価をしてきたのか。嶽山原に対してどのような認識をお持ちだったのですか。

○金城賢自然保護課長 県では、その地域もそうですが、全県の自然環境の保全に関する指針ということで陸域・海域の評価を行っております。嶽山原の地域につきましては、主な植生がイタジイやリュウキュウマツということで、県の自然環境の保全に関する指針ではランクの2と位置づけられているところでございます。

○仲村未央委員 今回、改めてこのような具体的な調査で、1万種ぐらい採取して、名前がわかったものだけでも1000種ぐらいという博物館の報告がありますが、今回の調査というのは本来、市町村が行うものなのか。つまり、たまたまここは米軍基地に隣接する緩衝地帯で、なかなか人の手が入らなかったという環境ですよね。こういう地域の保護や価値の評価は、本来、誰がやることなのか。そこら辺の国、県、市町村の役割はどのようになっているのですか。

○金城賢自然保護課長 その地域における貴重な自然や動植物等の保全につきましては、国もそうですが、それぞれの県や市町村も―例えば市町村では、市の天然記念物などを指定していますので、当然、それぞれの身近な環境保全という役割があると思います。特に、身近な自然がどんどん失われていって価値がなかなか伝わらないということもございまして、県としては自然環境の保全に関する指針を平成10年につくっておりますが、そういった地域の価値をさらに見直そうということで、今年度から生物多様性おきなわブランド発信事業として、地域に残された生物多様性の現状を把握し、総合的評価をしていこうと。その中では、それぞれの地域での考え方もあると思いますので、情報交換をしながら、県全体の環境保全につなげていければと思っております。

○仲村未央委員 今回、確定したものでも100種類ということですが、恐らくまだまだ新種なり未確認なりのものを、大学院大学やさまざまな研究者、国際機関を通じて調査中ですよね。このような一定の評価が市から報告されたことを受けて、県として、この取り組みの中で何か具体的に関与する話もありますか。

○金城賢自然保護課長 先ほども申しましたように、情報共有等を図りたいということで、生物多様性おきなわブランド発信事業も今年度から始まったばかりでございます。県の結果等も踏まえて、市町村の結果も尊重しつつ、そこについてどういうことができるかについては、今後、情報共有等に努めていきたいと思っております。

○仲村未央委員 いずれにしても、都市部でヤンバルの一部と地層的なつながりがあるようなことも環境の専門家が指摘しているようですが、あれだけの市街地でこれだけの環境があるという意味からも、非常に貴重な資源だということを改めて市民も感じているのです。一方で、ここは牧港補給基地、キャンプ・キンザーの移転にほど近い場所ですよね。そこも含めて、今、沖縄市から市長名で移転場所となる地域の環境評価を行ってほしいということが、県と沖縄防衛局に出されていると思いますが、その件については把握されていますか。

○普天間朝好環境政策課副参事 沖縄市から県に対しまして、本年9月12日付で要請文が出されております。タイトルが統合計画による嘉手納弾薬庫知花地区マスタープランに係る環境影響評価実施についての要請ということで、内容としましては、マスタープランの内容は環境影響評価法、または条例の対象ではない可能性が高いということで、環境影響評価における対象事業となることを要請されている内容となっています。

○仲村未央委員 実際、要請に対して県の認識はどうなのですか。環境影響評価の対象なのか、条例の対象なのか、どちらの対象でもないのか。やるつもりがあるのかということが要請文には書かれていますよね。これについてはどのような認識でしょうか。

○普天間朝好環境政策課副参事 県としましては、詳細な計画の内容を承知していないところでありまして、条例対象になるのかどうかについてもお答えは難しいのですが、ただ、基本的に条例対象とならなくても、要請もいただいておりますので、何らかの環境影響評価は検討していただきたいという考えは必要だと思っているところです。

○仲村未央委員 市の要請に沿えば、開発面積40ヘクタールが移転候補地として上がっており非常に大規模であります。しかも、そこには14棟の倉庫群や検査場、整備場、管理事務所、クリーニングなど、施設の面的にも広いのですが、汚染のもととなるような要素のある複合的な施設があるというのが市の大きな心配なのです。これに対して、環境アセス条例は一つの単一面積、一つの事業場について、15ヘクタール以上とか、埋め立てであれば何ヘクタール以上とか、要件がそれぞれ決まっていますよね。しかし、こういう複合的なもの、しかも大規模なもの、かつ、異なる要素があればなおさらアセス条例の対象としてほしい。本来、国に対してはアセスの対象としてほしいということは言っているのですが、県としても積極的に調査に入ってほしいということがこの地域の要求であり、議会や住民からもかなり強く環境影響評価の要望があるわけです。先ほど、それも含めて考えていきたいということもありましたが、部長はそのあたりはどうなのですか。私は、地域の資源として未確認種があれだけ発見されるような物すごい環境の宝庫で、そこにこれが来るということであれば、やはり最低でも条例の対象として、あるいは本来は国によって法の対象としてアセスをかけるべきという思いがあるのですが、いかがですか。

○大浜浩志環境部長 まず、嶽山原の位置ですが、キャンプ・キンザーの予定地である知花地区からもう少し北に行った端のところで、西側は嘉手納弾薬庫、東側はビオスの丘など、そのあたりの三角地帯のところにあって、大分離れているところではあります。そこにつきましては、プラント事業でいろいろな仕事も入るので、市町村とも連携しながらこの辺のところも調整していきますが、今、レッドデータブックの改訂作業も行っておりまして、その中で委員もいろいろ情報交換すると思いますので、そこで生物の価値といいますか、評価を行っていこうと思っております。一方、キャンプ・キンザーの移転予定地については、環境影響評価の対象事業になるかどうか、はっきりしたことは言えませんが、事業種としては対象ではないと思いますが、沖縄市も要望しておりますし、ほかの事業でも沖縄防衛局はいろいろな形で環境影響評価を行っておりますので、そのことについてはしっかりお願いをしたいと思っております。その辺の環境影響評価の調査は事業者がやることが基本ですので、事業者にきっちりしていただいて、我々もこれらに対する評価、審査をしていくという役割で、そのような声が来たらしっかり取り組んでいきたいと思っております。

○仲村未央委員 もし本当にここに施設が移転されてくることになれば、立入制限がおのずとかかってくるという制約を受ける土地でもあります。ですから、そこが持っている環境や水、地下を伝うものも含めて、事前にしか評価予測、保全は確認できないだろうという危機感がすごくあるのです。基地であればなおさら、アセスの必要性があるという沖縄市から要望があるので、その性質も鑑みて、ぜひ県としても国に強く要求し、県としてかかわるべきことは強く対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、基地環境汚染について、先ほども照屋委員からありましたが、沖縄県として把握している基地環境汚染は何件ありますか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 現在、把握しております運用中の米軍基地から流出した油や汚水等による汚染は、過去20年間で96件ありまして、沖縄の米軍基地等の資料から引用しておりますが、毎年5件程度報告されています。また、把握している米軍基地返還後における油や有害な埋設廃棄物による土壌汚染は11件ございまして、うち6件は国が行う原状回復の過程で発覚し、国が汚染対策については責任を持って実施しております。また、地権者への引き渡し後に発覚した環境汚染につきましては5件ありまして、そのうち4件については、具体的にはキャンプ桑江の北側土地、北谷町上勢頭、沖縄市サッカー場、読谷補助飛行場で、汚染対策について継続調整しているところであります。基地環境汚染ではありませんが、米軍活動による汚染の可能性及び周辺への影響を調査するため、基地周辺の環境実態調査として2件、キャンプキンザー周辺の環境とPFOS検出問題関係について実施しているところでございます。

○仲村未央委員 恐らく原因者は米軍、あるいはその活動であろうと思いつつも、まだ特定がなされていないために、この件数には入っていないものもありますか。それとも、おっしゃったものは疑わしきも含めて全てですか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 こちらで把握している範囲の件数でございます。

○仲村未央委員 毎年5件ほどの件数が上がってくるペースは、その都度、対処に県の行政も含めて、非常に翻弄されるといいますか、かかわらざるを得ないし、もちろんかかわるべきだとも思いますが、今、取り組みの中で実際に手がつけられているものは何件でしょうか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 先ほどの件数で通報のあったものについては5件で、それぞれ大きいもの、基地外に出ていないものについても通報がありますので、実際、基地環境特別対策室として取り扱っている案件につきましては、汚染原因者として国が米軍活動に起因する蓋然性が高いとしているもので、北谷町上勢頭、沖縄市サッカー場、北谷町桑江の北側で、残り1件については米軍の使用に起因するという判断が困難だと思っているものでございます。主に引き渡し後の案件について携わっております。

○仲村未央委員 汚染対策については100%国が負担しているのか。それとも、県や市町村の負担が生じているのか。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 先ほど申しました3件につきましては、既に国が蓋然性が高いということで支障除去をしておりますので、調査から支障除去につきましても責任を持ってなされると考えております。ただし、環境調査を独自に行った沖縄市の1件につきましては、負担は市のほうになっております。

○仲村未央委員 それからPFOSですが、最近の状況とその後の経過について報告をいただけますか。

○仲宗根一哉環境保全課長 PFOSに関しては、企業局でも浄水に使われるものに対して水源の水質の調査はされていますが、環境部としましては、水源以外の河川や地下水など、県全体での状況がまだわからないということもあって、今年度から環境調査を始めております。現在、夏場の調査はほぼ終わっているのですが、これから分析結果が出てきますので、その夏の結果がまとまり次第公表したいと考えております。また、それが終わりましたら冬場の調査ということで、年度内にあと1回調査を入れたいと考えています。

○仲村未央委員 比謝川だけではなく、全県では具体的にどこを調査されているのですか。

○仲宗根一哉環境保全課長 県が毎年度実施しております公共用水域の水質測定調査の中では、重立った河川について予定しております。地下水については、宮古島で2カ所予定しておりまして、普天間飛行場周辺の地下水もサンプリングすることにしております。そのほかに、キャンプ瑞慶覧、牧港補給基地―キャンプ・キンザー、その周辺についても調査を予定しております。

○仲村未央委員 これも基地環境関係という認識で、PFOSが検出されるということは、やはり基地の影響だろうと踏んで、今の場所を特定して調査にかけているということですか。

○仲宗根一哉環境保全課長 基地周辺からの影響もあるだろうと考えてはいるのですが、PFOS自体、一般的に使用されていたものですから、これについては全国的にも調査はされておりまして、いろいろな発生源、流出源は県内にもあるだろうと考えておりますので、環境が全体的にどういった実態になっているのかの把握を目的に調査を開始しております。

○仲村未央委員 企業局からは飲料―取水関係の最新報告はありますか。

○町田優企業局長 先日の本会議でも答弁いたしましたが、当面の対策として、PFOS濃度の高い水源からの取水を停止しております。恒久的な対策としては、PFOSに対して除去効果の高い粒状活性炭がございまして、北谷浄水場の粒状活性炭を取りかえる作業に取り組んでいるところでございます。

○仲村未央委員 次に、きのう、土木建築部に汚水処理のことでお尋ねをしまして、個別の浄化槽の台帳が環境部の管理のもとにあるとお聞きしました。この台帳を作成している目的と、今の登録件数がわかればお尋ねしたいと思います。

○松田了環境整備課長 浄化槽法において、浄化槽の維持管理あるいは法律的にどういう基準であるべきかということを定めておりますが、浄化槽の設置の際は県に届け出なければならないという規定がございます。今、土木建築部から、建築基準法に係る建物の設置の際につきましても、浄化槽は、し尿処理施設であるという観点から保健所で内容のチェックが行われることになっております。全保健所で浄化槽の設置届け出のチェックをし、その際、どういう場所にどういう浄化槽が設置されているかを把握するために台帳をつくっておりまして、記載をして設置等の管理をしております。2点目の設置基数でございますが、いわゆる単独浄化槽―し尿のみを処理する浄化槽については、平成26年度末時点で県内に約5万1526基あるという報告を受けております。

○仲村未央委員 今、適切な維持管理が―5万1526基の台帳を皆さんは保有されていますが、その耐用年数がどれくらいたっているのか。適切に処理しきれているかどうかまで把握できるような状況ですか。

○松田了環境整備課長 浄化槽の耐用年数ですが、公益社団法人沖縄県環境整備協会という浄化槽関係の維持管理、あるいは検査を行う機関に問い合わせてみたところ、おおむね30年程度と言われていると。ただし設置された場所、あるいはメンテナンスの状況で耐用年数は大幅に違ってくると。沖縄県の場合、50年以上前に設置された浄化槽が十分機能するということで、使用されている浄化槽もあるということでした。維持管理については、法律上、設置する際に、例えば勾配がきちんとされているか、設置が適切に行われているか、強度的に問題のない施工がされているかというようなチェックをする7条検査、それから、毎年適切に維持管理されているか、破損がないかというチェックを受ける11条検査がございます。沖縄県の場合、7条検査については全国平均を上回る97.2%の受検率がありますが、11条検査については7.2%ということで、全国平均の4分の1程度になっております。そういうことから、県としましては、パンフレットをつくって、設置者に研修を行う研修制度、それから、毎年9月30日は浄化槽の日と国が定めておりますので、県内各地でイベントを行って、法律に基づく検査、あるいは維持管理を適切にしましょうという普及啓発活動を行っているところでございます。

○仲村未央委員 11条検査を毎年行うことは設置者の義務なのですか。

○松田了環境整備課長 法律上、義務になっております。

○仲村未央委員 しかし、実際には全国の4分の1の7.2%しか検査を受けていないまま、耐用年数についても登録しっ放しということがかなりあると思うのですが、そこはどういう認識を持っていますか。

○松田了環境整備課長 11条検査については、平成26年度の全国データでも37.9%ということで、全国的にも問題になっております。たしか平成24年度だったと思いますが、設置者宛てに一部の保健所からはがきを出しまして、維持管理の状況はどうか、あるいは下水道に接続しているなら廃止の届け出をしてくださいというような案内をして、受検率が上がったという成果がございますので、そういう取り組みを今後も行っていきたいと考えております。

○仲村未央委員 時間が限られているので、部長に総括的要望と見解をお聞きしたいと思います。実際に、下水道の普及率と接続率の間に非常に大きな差があるところもかなり見られます。都市部でも、十分普及していますが、接続率にはかなり開きがあるところも何市か見られます。そこは浄化槽を使っているのでなかなか接続に至らないということで、環境部と土木建築部、そして市町村と運用のあり方や11条検査のあり方も含めて、もっと密に改善の対象として捉える必要があると思いますが、いかがですか。

○大浜浩志環境部長 下水道管が整備されている区域では基本的に下水道接続ということになりますが、どうしてもここにいくためには接続費がネックになると思います。片や既存の単独浄化槽があるところにつきましては、なるべく合併浄化槽にかえるなり、敷設をさせるなりということになります。先ほど言いましたとおり、単独浄化槽が5万1000基ぐらいあるのですが、その台帳を整理しながら、市町村が持っている情報とも突き合わせて、下水道事業者とも連携して取り組んでいきたいと思っております。下水道事業者も接続者が接続しやすい環境をつくることが大事だと思いますので、そういうところもいろいろな形で連携をとっていければと思います。

○新垣清涼委員長 上原正次委員。

○上原正次委員 主要施策の成果に関する報告書の32ページ、沖縄県再生可能エネルギー等導入推進基金事業について、崎山委員の質疑でも詳しい内容を答弁いただいておりますので、確認をとりながらお聞きします。予算規模も大きいのですが、避難場所や防災拠点への導入ということで、この事業は平成28年度で終わりということですか。

○崎洋一環境再生課長 この事業につきましては平成28年度で終了でございます。

○上原正次委員 平成27年度の実績として、伊江村、伊平屋村、伊是名村の3村9カ所というのは公的施設のみの事業でよろしいでしょうか。民間施設等はこの事業の対象にならないのか、お尋ねします。

○崎洋一環境再生課長 この事業につきましては、防災の兼ね合いも備えまして離島を優先しておりまして、公共施設の屋上等で太陽光パネルをつくって、二、三日間の防災対応ができるような規模をつけるという条件がございます。

○上原正次委員 平成28年度について確認します。南城市、南大東村、北大東村、多良間村で繰り越している理由として、沖縄電力との調整のおくれが南城市、多良間村、太陽光パネルの設置のおくれが南大東村、北大東村ということでよろしいでしょうか。

○崎洋一環境再生課長 はい。

○上原正次委員 この事業は大規模災害に備えた防災拠点、避難所等の整備が目的ということで、今回、この事業が平成28年度で終わるということですが、申請市町村が少ないのですか。

○崎洋一環境再生課長 決算特別委員会でございますので、平成27年度から平成28年度への繰り越しが南城市、南大東村、北大東村、多良間村と申し上げましたが、平成28年度事業も進んでおりまして、まだ決算の段階には来ておりませんので先ほどは説明しませんでしたが、渡嘉敷村、南大東村、那覇市、宜野湾市、宮古島市、座間味村まででございます。目標は30施設としておりましたので、平成28年度までですとトータルで31施設になり、目標は達成すると。それから、当初は基金事業でございましたので、14億円の基金をつくりまして、平成28年度までには大体13億9300万円、約99.5%を見込んでおりまして、予算いっぱいで執行する予定でございます。

○上原正次委員 トータルで31施設ということですが、これも平成28年度までの事業で31施設が整備可能ということでよろしいでしょうか。

○崎洋一環境再生課長 平成28年度末、平成29年3月までには完成するということございます。

○上原正次委員 これは再生可能エネルギー、地球温暖化に関する取り組みの事業ですが、環境白書の中でエネルギー供給事業者や自動車及び家庭や住居での対策の推進が課題となっていますということですが、環境部として今後どのような対策をとっていくのか、お聞かせください。

○棚原憲実環境企画統括監 地球温暖化対策としての県の取り組み方針ですが、1点目が、沖縄県においては基幹産業である観光施設等が非常に多いということで、環境部の取り組みとして観光施設のエコ化促進事業―ホテルなどのLED化を進め、それを全県的に広げていこうということで、希望があるところに補助をして事業を実施しています。今年度は、LNG―重油等から液化天然ガスにかわりますと温暖化対策として非常に有効ということで、そういう補助事業も実施しているところであります。もう一点、自動車産業から出るCO2については、天然ガスや電気自動車の普及を進めていこうということで、県としては手続の中継という形になりますが、民間で充電器の設置の手続をする場合に県を経由して国に申請をすると。その手続に協力しまして普及を図っているということで、自動車産業、観光産業面でのCO2削減について今後も対策を進めていきたいと考えているところです。

○上原正次委員 ホテルに関しては、主要施策の成果に関する報告書31ページの観光施設等の総合的エコ化促進事業と理解してよろしいですか。

○棚原憲実環境企画統括監 おっしゃるとおりです。

○新垣清涼委員長 赤嶺昇委員。

○赤嶺昇委員 犬猫の殺処分の実態を教えてください。

○金城賢自然保護課長 県では、犬については狂犬病予防法に基づく捕獲抑留と動物の愛護及び管理に関する法律―動物愛護法に基づく保護引き取り、猫については動物愛護法に基づく引き取り等を行っておりますが、平成27年度の殺処分は犬、猫を合わせて3292頭となっております。

○赤嶺昇委員 3292頭ということで、減ってはいますよね。一番多いときと比べてどれくらい減っていますか。

○金城賢自然保護課長 平成20年ごろは1万頭だったものが、平成24年度には6600頭、昨年度までにはさらに半分の3200頭余りに減ってきているところでございます。

○赤嶺昇委員 それでも、3200頭余り殺処分されているということで、県はゼロを目指しているのですよね。

○金城賢自然保護課長 知事の公約でも殺処分数ゼロを目指すということになっております。

○赤嶺昇委員 他府県と比較して本県はいかがですか。

○金城賢自然保護課長 平成26年度の値ですが、殺処分数が一番多かったのが大阪府の5171頭で、沖縄県は4000頭余りで7位でございました。人口1万人当たりの殺処分数でも7位ということで、全国で上位という状況になっております。

○赤嶺昇委員 全国7位ということで、余りいい数字ではないので早目に対策をしていただきたいのですが、部長いかがですか。

○大浜浩志環境部長 犬、猫の管理の計画では、平成35年度までに3300頭に減らすという計画だったのですが、既に平成26年度で達成しておりますので、それを前倒しして、限りなくゼロに近いような新たな目標を今年度つくって、可能な限りゼロを目指すことにしております。これを目指すからには、飼い主の意識の向上も必要ですし、終生飼養が法律のかなめでもありますので、終生飼養の普及と動物愛護管理センターにむやみに持ち込まない―引き取りを拒否することができるという法律になっておりますので、そういった取り組みもしつつ、なるべく殺処分に持っていかないような施策を講じていきたいと考えております。

○赤嶺昇委員 計画もあるということですが、知事公約はゼロということで、あと2年しかないので、そこを目標にしてもらいたいと思います。

○大浜浩志環境部長 引き取り数等も検討しつつ、可能な限りゼロに近づける努力をしてまいりたいと思います。

○赤嶺昇委員 部長にかかっていますので、ぜひよろしくお願いします。

 沖縄県環境保全の計画がありますが、温室効果ガスについての取り組みとして、県はどの位置にあるのか、状況としてはいい状況なのか悪い状況なのか教えてください。

○崎洋一環境再生課長 日本全国を100%とすると、沖縄県は0.9%ということでございます。

○赤嶺昇委員 この数字がいいのか悪いのかわからないのですが、他府県と比較してどうですか。

○大浜浩志環境部長 排出量から言うと、全国の排出量に比べると沖縄県は1%くらいということでございます。これにつきましては、本土と比べるとそれほど大きい産業がないこと―大きい排出源としては電力等があると思いますが、電力につきましても環境に配慮したエコの取り組みとして、排出源をなくすという形でLNGにかえたりしておりますので、排出量自体からみると全国の1%という数字になっているのかなと考えております。

○赤嶺昇委員 グリーン購入の推進という取り組みがありますが、この概要は何ですか。

○大浜浩志環境部長 グリーン購入というのは、再生紙を使うなど、エコ商品を購入していくというものでございます。

○赤嶺昇委員 余り聞きなれないところもあって、ホームページ等を見ると皆さんもいろいろな取り組みをされていますので、もっとアピールしたほうがいいと思います。

○大浜浩志環境部長 古紙率の高い紙を使ったり、自動車を購入するときには排出量をクリアしたものや電気自動車、ハイブリット車などを購入しようということが、グリーン購入という形になります。

○赤嶺昇委員 これに関連して、沖縄県地球温暖化対策実行計画の中で低炭素エネルギーの利用促進で、これまで自動車のバイオ燃料の導入や電気自動車、ハイブリット車のレンタカー導入等も行ってきたと思いますが、今、水素車が出ていますよね。結構高いとは思いますが、沖縄の環境を考えると、この導入も検討したほうがいいと思います。ちなみに水素車はリッター当たり幾らぐらい走るのか、把握していますか。満タンに入れた場合、何キロメートル走るのか。

○棚原憲実環境企画統括監 今、データは持っていませんが、たしかトヨタ自動車の水素自動車でしたら、満タン4リットルで700キロメートルぐらいだったと思います。

○赤嶺昇委員 実質走行では500キロメートル走ると言われています。那覇市に1つのステーションがあれば3往復ぐらいできるかもしれないと。観光客がこれだけ来ますので、ミライという水素自動車が県内で走るということは、日本の技術をここで体験できるということを踏まえて―今、都市部では、東京都、大阪府、福岡県にはありますので、沖縄県も水素ステーションを含めてつくると。いろいろな課題はあると思いますが、注目されている世界の技術でもありますし、環境部として導入に向けて検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。

○棚原憲実環境企画統括監 水素自動車については、都市部で多いということがあります。その理由の一つとして、水素を製造するのに、例えば電気から水素をつくると物すごいコストがかかるということがあります。また、他県の場合は大手の製鉄所から出る複製水素がありまして、それを圧縮してステーションに運んでいるということで、改めて水素をつくっていることではないという状況があります。本県の場合は大型の製鉄所がないので、電気から水素をつくるというと、エネルギーのロスなどを考慮すると今の技術だと少し問題があるかと思います。ただ、委員のおっしゃるように、普及という意味を含めて、今、飛躍的に技術も進歩しておりますので、そういう情報収集を継続的にやっていきたいと考えております。

○赤嶺昇委員 課題もありますが、ぜひ前向きに検討していただきたいと思っております。

 最後に、米軍施設環境対策事業検討委員会を開催していますよね。それを開催している中で、今後、専門家や学識経験者も入れて米軍施設の環境対策事業検討―要するに、それを開催されているのですが、今後の課題を教えてください。

○玉城不二美環境政策課基地環境特別対策室長 米軍施設環境対策事業の今後の課題につきましては、現在、平成28年度までにこの事業を進め、環境調査ガイドライン及び基地環境カルテにある程度のめどをつけて実施するところであります。今後、これを実際に使ってもらうという形で米軍や防衛省を含めて調整していくということが一つの課題になっておりますが、一番の課題として、運用中の基地などについて情報を収集するいろいろな方法を模索しているところでございます。

○赤嶺昇委員 せっかくですので、しっかり立ち入りもできるような状況も含めて積極的に進めていただきたいと思っています。

○新垣清涼委員長 休憩いたします。

   午後0時5分休憩

   午後1時20分再開

○新垣清涼委員長 再開いたします。

 午前に引き続き、質疑を行います。

 糸洲朝則委員。

○糸洲朝則委員 主要施策の成果に関する報告書の33ページ、世界自然遺産登録推進事業について、午前中の説明では、奄美大島、沖縄のヤンバル、そして西表島という説明だったと記憶していますが、今回の登録予定、あるいは調査事項の中に慶良間国立公園は入っていませんか。

○大浜浩志環境部長 世界自然遺産の候補地には入っておりません。沖縄県内で入っているのは、沖縄島北部と西表島の2つになります。それと、奄美大島と徳之島の4島は候補地に上がっております。

○糸洲朝則委員 国立公園としては、慶良間諸島は海ですよね。今、挙げられた4つはどちらかというと山、森に分けられると思いますが、そういう位置づけがあるのですか。

○金城賢自然保護課長 世界遺産の登録基準として、生態系という項目や生物多様性、地形地質など4つの基準がありますが、それが陸域に係るものが多いということと、今回の登録につきましては奄美大島、徳之島、それからヤンバル、西表島ということで、一つの連携した形の価値として認められているものですから、それで、今回はこの4つになっています。

○糸洲朝則委員 今後の登録へ向けた取り組みと、スケジュール的な問題―その中でも県、国、あるいは関係市町村がやらなければいけないことを、わかりやすく説明していただけますか。

○金城賢自然保護課長 スケジュール的なものにつきましては、まず4つの地域の法的保護担保措置としては、今回、国立公園ということで奄美大島についてもめどがつきましたので、来年の2月をめどに環境省が推薦書をユネスコに提出することになっております。それを受けて、来年の夏ごろにIUCNの専門家が世界遺産に足るかどうかという調査を行った上で、その後、最終的に世界遺産委員会の調査が終わった翌年の平成30年に登録をするというスケジュールになっております。それぞれの役割ですが、4つの地域が一体となった形で世界遺産の価値があるかということで、包括的管理計画を環境省が中心になって定めます。その包括的管理計画と整合をとる形で、それぞれ4つの地域が地域別行動計画ということで、保全と利用が一緒になった計画をつくることになります。それぞれの地域別の行動計画―沖縄県ではヤンバル地域と西表島ですが、そこについては県と関係する市町村、産業界や観光業界の関係者、ヤンバルでは森林組合など、そういった方々と調整を図りながら計画を策定をしているところでございます。

○糸洲朝則委員 わかりました。それで、来年夏のIUCNの調査―きょう、マスコミのコラムに安慶田副知事が出られていましたが、IUCNの国際会議が沖縄に入る予定になっているのですか。

○大浜浩志環境部長 IUCNの世界自然保護会議は4年に1回開かれておりまして、ことしはハワイであったということです。次期、4年後はどうかという話がありますが、まだ具体的な打診などはございませんので、もしそういうことがあれば沖縄県でぜひ行ってもいいかということで新聞にコメントがあったかと思っております。まだはっきり具体化したものはございません。

○糸洲朝則委員 副知事も大分自信満々で答えていたようなコラムでしたが、いずれにしても、来年調査に来られるということは、大会を沖縄に持つということも含めて、この辺がうまく連動していけば世界遺産登録にも連動していくし価値も上がっていくと思うので、知事を含めて、その取り組みはしていただきたいと思うのですが、いかがですか。

○大浜浩志環境部長 そのような打診等があれば世界遺産登録に向けても弾みになると思いますので、話があれば進めていきたいと感じております。

○糸洲朝則委員 世界自然遺産登録にもなるような価値のある沖縄の自然―そういうところに、日本学術会議もかなりの期待を込めて沖縄に国立自然史博物館をということで、この間の本会議の部長からの答弁でも学術会議からの知事への要請等もあったというお話も伺って、大変意を強くしております。これも本会議で確認しましたが、学術会議の構想では、自然史博物館は東京の博物館を挟むように東北と沖縄という位置づけで来ておりまして、沖縄と東北の福島県でシンポジウムを開きました。沖縄でも2014年と2015年、そして、ことしの石垣市も含めて3回開かれていますが、それぞれのシンポジウムの持つ意義と中身について簡潔に教えていただけますか。

○金城賢自然保護課長 今、委員からありましたように、3回にわたってシンポジウムが開かれております。このシンポジウムの実行委員会は、学術会議のメンバーの方々、特に琉球大学の西田先生を中心に実行委員会がシンポジウムを開いておりまして、県からはことしは環境部長、平成26年は環境企画統括監、平成27年には環境企画統括監と観光企画統括監がそれぞれ参加をしまして、国立自然史博物館の意義等について―それから、県におきましては平成27年に、県の沖縄21世紀ビジョンの中で県立の自然史博物館と書いてありましたので、今は国立ですが、ちょうど方向性としてそういった自然史博物館―まさしくそういったデータをしっかり蓄積といいますか、そういう施設については重要だということでシンポジウムが開かれております。

○糸洲朝則委員 この質疑をするに当たって、いろいろな資料を読んでみました。私は長野県の自然史博物館は見てきましたが、やはり地域に限定していると感じたのですが、この国立自然史博物館は物すごく構想が雄大で、沖縄のみならず、特に沖縄に設置する目的は東アジアを視野に入れた博物館構想で、これは県を挙げて取り組むだけの価値があるという思いをしています。みんなもまだ自然史博物館のイメージが描けない状態だと思いますので、その辺についてのわかりやすい説明をいただければと思います。

○金城賢自然保護課長 自然史博物館とはどのような施設かというと、動植物などの自然史標本を収集、保全し、自然環境についての調査研究結果を教育普及する国立の施設と。欧米には国を代表する自然史博物館がございます。例えばアメリカのスミソニアン博物館やイギリスにはロンドン自然史博物館がございますが、委員の御指摘のように、日本には自然史博物館がございませんし、東アジアのほかの国にも国立の自然史博物館はありません。ですから、東アジアにおける自然の状況や動植物をしっかり研究できるような施設として自然史博物館というのは非常に重要でございます。また、取り扱う対象は動物学、植物学、地質学、古生物学、鉱物学、人類学など自然そのもの、その歴史を含めて多岐にわたる施設となります。

○糸洲朝則委員 国立自然史博物館を沖縄に置くという大きな意味ということから考えて、やはり国立であるから国に任せておけばいいというものではないと思うのです。ですから、同様な規模というか、むしろそれよりも大きい規模になると思いますが、例えば科学技術大学院大学の誘致に当たっては、かなり沖縄県が力を入れて誘致したという経緯があるわけですから、この辺はもっと沖縄県が全庁的な取り組みをしていただきたいのですが、どうですか。

○大浜浩志環境部長 ことし5月に日本学術会議から国立自然史博物館設立の必要性ということで提言がございました。以前から、場所につきましては日本を3つに分けて、北と南、真ん中には国立科学博物館ということで、先ほど言った標本資料を収集するということについては、災害等を含めて分散するという意味からも、やはり北と南に置く必要があるのではないかということでございます。まだ今回の提言の中では地域は示されておりません。沖縄が優位だという知事への報告もありましたが、来年当初にはマスタープランが出るということがございます。その中で沖縄自然史博物館という文言が出ることが予想されますので、沖縄県でということが出れば、県にもいいことでありますので推進していきたいと考えております。提言としての方向性は示されたので、これを日本学術会議として沖縄でということをきちんとうたっていただくというところから始まっていくと考えておりまして、それが出た際は知事を先頭にしていろいろな要請行動をしていくと思いますし、それは議会も一緒になって要請行動なりしていくことになるかと思いますので、その節は協力のほどよろしくお願いします。

○糸洲朝則委員 これで質疑を終わってもいいくらいのいい答弁ですが、実際に国が動いてくれないことにはどうしようもないのです。これは文部科学省ですか、それとも環境省ですか。

○大浜浩志環境部長 一義的には文部科学省というようなことを言っておりました。まだ引受先ははっきり決まっていませんが、その辺も含めて、今後いろいろな形で固まってくると思っております。その中で県もしっかり要請をしていくという形になるかと思います。

○糸洲朝則委員 沖縄ともう一つは東北という構想ですが、東北ではシンポジウムや誘致を福島県が行っています。そことの連携、あるいは意見交換や調査などはやっていますか。

○大浜浩志環境部長 今、福島県というのもまだはっきりわかりませんが、そことの連携につきましてはまだ行っておりません。

○糸洲朝則委員 これは東京を中心にして、東北と沖縄という構想の中にあるわけですから、連携をとれるところはとったほうがいいかという思いで、そのことをお伺いいたしました。さて、石垣市でのシンポジウムはまだ記憶に新しいのですが、石垣島そのものがミュージアムだという視点から、石垣市への誘致を、市長を初め強く言っておられるようですが、当然、場所は石垣市に決まったわけでもヤンバルに決まったわけでもないという状況だと思いますが、場所についても全体の構想が出てこないと検討できないというような段階なのですか。

○大浜浩志環境部長 そういう段階だと思います。マスタープランが出てから、規模や人数などもこの中で抱えてくるはずですので、それを見ながら―予定地についてはまだ白紙でございます。

○糸洲朝則委員 世界自然遺産の登録と現存する科学技術大学院大学、そしてこの自然史博物館は連動性があると思うのです。そうなってくると科学技術大学院大学との連携、学術的な展開、人材育成などは既に向こうではやっているわけですから、そことの連携やタイアップ、あるいは自然遺産登録をされるとそういったもの等も含めて、もっと県民にわかりやすく、そしてまた誘致しようという県民意識を高める何らかの施策を展開していただけませんか。

○大浜浩志環境部長 県民の気運を高めるのは非常に大事でありますし、どういう規模でどういう施設でというのはまだ具体化されておりませんが、その辺はインターネットを通じたり、いろいろな施策を今後、打っていきたいと思っておりますが、いかんせん、来年当初のマスタープランを見据えて取り組んでいきたいと思っております。

○糸洲朝則委員 学術会議からの意見書等も読んでいますと、やはり沖縄に設置する自然史博物館の大きな目標の中では東アジアを視野に入れた構想になっているのです。東アジアの持っている多様性といったもの等を考えると、やはり日本が先陣を切ってやっていただくと。ましてや、まだ韓国や中国にもそういった類いのものが出ていないと。したがって、今、日本が国立自然史博物館を持って東アジアに向けた取り組みをしていくということが、大きな国際貢献にもなるし、また、人材育成にもなる。いろいろな意味で沖縄の持っているポテンシャルをもっと出していけるのではという思いをしております。提言書が出てくるのを待つのではなく、むしろ沖縄でもそういう構想を持って語り合えるような取り組みをしてもらいたいと要望して終わります。

○新垣清涼委員長 座波一委員。

○座波一委員 まず、サンゴ礁の保全再生についてですが、ある意味では温暖化対策にもなり、CO2対策にもなると言われているサンゴの再生ですから、単純に再生だけが目的ではなく、地球環境に影響するぐらいの取り組みをしないといけないと思って聞いておりましたが、効果がなかなか捉えられないという感じがします。平成22年度から再生の活動をしておりますが、平成27年度の成果を見ていると、技術開発を行った。防止する知見を得ることができた。オニヒトデの調査でメカニズムを明らかにしたなど、平成27年度においても調査の段階なのです。ですから、実際にサンゴの再生にどうつなげたかというのが見えてこないのですが、どうなのですか。実際に再生活動につながっているのでしょうか。

○金城賢自然保護課長 県内では、恩納村海域、読谷村海域、慶良間海域の3海域で平成23年度からサンゴ種苗を植えていまして、平成27年度までには11万本のサンゴ種苗を植えつけております。平成27年度の実績としては3万5675本ということで、平成27年度までに2.5ヘクタールのサンゴの再生を行っております。それから、調査研究等ではタカセガイ育成種を活用したサンゴ種苗の中間育成技術や、沖縄科学技術大学院大学の遺伝子解析によるどこからサンゴが来ているかという調査など、その研究成果があらわれております。

○座波一委員 11万本の育成に着手したということですが、実際にこれが再生して根づいているかということが確認できるのかどうか。次の赤土等の流出防止対策にもつながりますが、赤土の流出が非常に密接に関係していると思います。幾ら育苗をしても、赤土汚染でやられます。その繰り返しではないかという懸念があるのですが、その関係性はどう見ていますか。

○仲宗根一哉環境保全課長 赤土に関しましては、サンゴとの関係、あるいは水生昆虫との関係について、条例を制定するに当たっていろいろと調査、研究がされております。その条例の中で、事業所排水については赤土の濁水の濃度を管理基準として200ミリグラムパーリッターで排出することと決定されております。これにつきましては、サンゴも含めて水生昆虫への影響という観点から決められております。

○座波一委員 ですから、関係はどう見ているのですか。

○謝名堂聡環境部参事 補足させていただきます。最初にサンゴの研究成果ということですが、これにつきましては約3ヘクタールに15万本の植栽ということでございます。単純に3ヘクタールと申しますが、世界的にも初めてぐらいの面積で植栽をしているという状況でございます。実際に植栽をしていくに当たっては、無性と有性があって、サンゴの枝を折ってふやしていく方法と卵から育成する方法の2つの方法がございますが、今回はこの2つの方法を使ってこれだけの数字を出し、これは世界的にもかなりの成果であります。それから、実際に植栽をしますと2割から3割しか生存しないというところだったのですが、先ほど申しましたように中間育成という技術を使って七、八割まで伸ばしたということはかなりの成果だったと思います。また、サンゴへの影響についても、具体的に何が原因なのかということを今まさに調査中でございます。場合によっては赤土が流れできた段階で、海の富栄養化―栄養が非常に過多になって、オニヒトデが大量に発生するという研究もございます。その辺も含めて調査をしていて、おおむねオニヒトデの調査についても2年先の大量発生が予測できるというところまで来ておりますので、サンゴについては一定程度の成果が出ているのではないかと考えているところでございます。

○座波一委員 サンゴの育成、育苗が順調にいっていることは認めていますが、赤土対策と並行して対応しないと、やったことが無駄にならないかということを指摘しているのです。年間3億円近い予算を何年か続けているわけですから、沖縄県の場合は赤土対策が非常に大きな影響を出していると思っています。この赤土の原因について、調査も対策事業で行っていますが、主な原因は何と見ていますか。

○仲宗根一哉環境保全課長 環境部では、赤土等の年間流出量の算定を行っておりまして、その中で、沖縄県赤土等流出防止条例が平成7年に施行されておりますが、条例施行前の平成5年度の年間赤土流出量が52万トンでした。条例施行後、近々でいいますと平成23年度の年間流出量が32万トンということで、条例施行前と比べますと約4割削減されております。最も大きかったのは開発事業からの流出量が8割減ったということなのですが、相対的に見て、農地からの流出量が割合として大きくなっておりまして、平成23年度現在では、年間流出量の約86%が既存農地からの流出となっております。

○座波一委員 環境分野は、今や事業の先取りという観点を忘れてはならないと思います。環境を汚染したから対応しようということがこれまでの発想だったかもしれませんが、今後は沖縄もいろいろな産業育成で事業展開するわけですから、土地改良も含めて、農業や工業、観光業での開発が出てきていますので、その分野から赤土が出ているということがわかっていて、あるいは、赤土をどうとめるかという技術もでき始めているわけなので、農業分野での赤土の流出がわかっていながらとまっていないというのが現実なのです。そこを環境部の皆さんが土木建築部や農林水産部にこれではいけませんよと言うことはできないのですか。

○仲宗根一哉環境保全課長 委員がおっしゃるように、農地については条例の中で直接の規制ができておりませんので、その原因について考えますと、農家にしてみれば、対策をとるということが直接収益につながらないということもあって、なかなか対策をとっていただけないという現実があります。ですから、我々としては、地域で赤土流出防止に関する啓発活動や、活動をしているNPO団体などに支援をするといった事業を展開しているところです。それに当たっては、事業効果を高められるよう農林水産部とも連携しながら進めているところです。

○座波一委員 こういう分野で環境の専門家として積極的に提言していく時代になっているのです。そこが、今後、県の横断的な取り組みとして求められているところで、私は絶対に必要だと思っています。ですから、土地改良をして、例えば圃場の流出を抑えるための区画のかさ上げ、あるいは沈殿槽の増設といったものをどんどん提言していかない限りは赤土対策はおさまらないのではないですか。具体的な方法あるのでしょうか。

○仲宗根一哉環境保全課長 現在、農林水産部の事業として行っておりますのが、農地の勾配修正―勾配が急ですと赤土が流れやすいこともありますので、勾配を緩やかにする勾配修正や、畑から流れ出た濁水を受けとめる沈砂地―これは土砂を沈殿させて、上澄みを流すというものです。こういった土木的対策のほかにも、マルチングやグリーンベルトといった、いわゆる営農対策も推進しております。それと同時に、農家等を対象とした赤土流出防止に関する普及啓発活動も実施していると聞いております。

○座波一委員 原因はわかっていて、対策を講じる手段もありますので、いつまでもそういうことができないということでは、せっかく年間何億円も使った取り組みでもイタチごっこになりますので、これはあるところでしっかりやらないといけないと思っています。よろしくお願いします。

 次に、主要施策の成果に関する報告書43ページの航空機騒音低周波音広域測定事業ですが、沖縄県で公式に測定するのは環境部だけだと思います。基地対策という点では―今、いろいろな基地問題でもめています。反対もあれば賛成もあるでしょうが、いずれは共存という部分は考えていかないといけないと思います。共存という意味では、その数値をしっかり把握してどのようにすればいいというような、例えば東村高江の問題もありますが、地元の人はこのルートを飛ばなければいいというような意見もあるのです。測定結果はその辺の提言につなげていますか。

○仲宗根一哉環境保全課長 我々は従来から、例えば嘉手納基地や普天間基地で航空機騒音を測定しております。年度ごとに出してくる測定結果に基づいて環境基準を超えている、あるいは超えていないというデータが出てきますので、それをもって例えば米軍や防衛省などに航空機騒音軽減要請を毎年行っております。この事業については、従来の事業ではなく、普天間飛行場にMV22オスプレイが配備されて米軍機騒音に対する苦情が広範囲にわたっています。この事業の中で平成27年度から平成29年度までの3カ年をかけて、普天間飛行場周辺を含めた広域における航空機騒音の実態把握と同時に低周波音の自動測定システム構築に係る検証を行っております。低周波音につきましては、東村高江でも問題になっておりますが、自動測定システム構築に向けて検証作業を進めているといった段階です。ですから、今のところ実用段階には至っておりませんが、今後、データの蓄積、集積を行って、国に対し環境基準や規制基準の設定を強く求めていきたいと考えております。

○座波一委員 これは中南部地域ということで、普天間飛行場を中心にしたものということですが、このように数値で皆さんのデータがそろうことで、例えば基地行政、あるいは地位協定の改定問題に対する提言は説得力が出てくると思います。この地域を外してここから飛ばないといけませんというように示さないといけないのです。我々も地位協定改定の交渉の場で意見を聞いていますと、この辺があやふやなのです。共存というと語弊があるかもしれませんが、共存という部分からいえば、どうしても導いた部分がないと、数値的、あるいは数値と地域を―この地域ではこの数値以上はだめだとか、通ってはいけないとか、そういうところまで出すような作業も必要ではないかと思うのですが、どうでしょうか。

○仲宗根一哉環境保全課長 今のところ、この事業の目的に関しては普天間飛行場周辺での騒音の実態を、近年、オスプレイの配備によってどのように変わっているのか具体的に示すということがこの事業の一番の目標になっております。平成28年度については、新たな騒音レベルの等高線―コンターを作成した上で、もし、コンターの広がりがあるようならば、それについても国にお示しして、今後の対策に役立ててほしいということです。低周波音に関しましては、まだ知見が少ないということが実情でございますので、国に対しても知見の収集を求めておりますが、我々も知見の集積に努めて、データを国と共有しながら今後の対策に役立てていくように求めていきたいと考えております。

○座波一委員 公式に測定するのは皆さんしかいませんので、この説得力というのはすごいと思います。ですから、ぜひ活用できるようにしてほしいと思います。今後の基地周辺対策、いろいろな面で役に立つ資料をつくってほしいと思います。

 次に、今年度は公共施設のインフラ長寿命化基本計画、行動計画の策定期限です。ごみ処理施設も公共施設で対象になっているかと思いますが、長寿命化計画を立てた公共のごみ処理施設はどこがありますか。

○松田了環境整備課長 平成28年9月末現在、47市町村中、市町村の行動計画を取りまとめたところが7市町村ございます。那覇市、浦添市、恩納村、座間味村、渡名喜村、久米島町、与那国町の7市町村でございます。

○座波一委員 今の市町村では行動計画ができているということで、那覇市と浦添市の溶融炉もできているということですか。

○松田了環境整備課長 行動計画と申しますのは、いわゆる市町村全体の施設に関する長寿命化の方向性を示した計画でございまして、その市町村のマスタープランとして、例えば廃棄物処理施設以外の道路や学校等を含めて、全体の計画をどうしていくかという方向性を示す計画でございます。その行動計画に基づいて、各施設ごとの個別施設計画を立てることになっており、それは平成32年度までに策定することになっております。ちなみに那覇市・南風原町環境施設組合につきましては、平成32年度、長寿命化計画の策定以前に独自の取り組みとしてそういう計画はつくっております。

○座波一委員 長寿命化計画は、処分制限期限の延伸をするための施策ですよね。処分制限期限を延ばすということですので、10年経過したら取り組まないといけないものがあるということなのですが、それはそれで浦添市もやっていることでいいのですが、10年経過したところでやっていない市町村、組合もあるのではないですか。

○松田了環境整備課長 長寿命化計画と一般に我々が呼んでいる計画は、平成25年に国が今後の人口の減少、あるいは産業の進展がなかなか見込めないような状況を踏まえてインフラの管理をどうしていくかを鑑みた場合、長寿命化をして計画をつくってきちんとメンテナンスをする。あるいは、なるべく早目にメンテナンスをすることによって長寿命化していこうと。場合によっては不要になった施設を早期に償却していくということも含めて、国としてつくっております。その国の長寿命化計画に関する考え方を踏まえて、平成26年度以降、都道府県等にも長寿命化計画を策定するようにということで通達がございました。その中で平成26年度から平成28年度の間に行動計画、マスタープラン的なものをつくるようにということで、今、各市町村と取り組んでいるところでございます。その行動計画に基づいて、平成32年度までに各個別施設の計画をつくっていくということが定められております。

○座波一委員 長寿命化計画もなく、あるいは地域計画ということで計画も立てていない状態で溶融炉などの施設がとまっているところがあるのですが、これをとめる理由は何ですか。

○松田了環境整備課長 1990年代後半、日本全体でダイオキシン問題が脚光を浴びまして、そのときに調査をしてみますと大気中のダイオキシンの排出される量の90%以上が、廃棄物処理施設から出るものだったということで、当時の厚生省が廃棄物処理施設のダイオキシン対策を推進する観点で基準を強化しております。その中で、通常の焼却施設が850度の焼却であるのに対して、溶融施設は1250度から1400度以上ということで、非常に高温で処理をすることからダイオキシンが発生しにくいということがありまして、溶融等もダイオキシン対策として非常に有効であるという通達がなされております。また、そういうことから溶融したスラグがリサイクルしやすいということもありまして、廃棄物の最終処分量を抑えるという観点から、市町村で溶融施設が導入されたという経緯がございます。ただ、溶融施設の運転管理には燃料が非常に必要だということ。それから、高度な運転技術が必要ということもありまして、県内では座間味村、渡嘉敷村、伊平屋村の3カ所で導入されております溶融炉、それから、中城村・北中城村清掃事務組合の灰溶融炉施設もとまっておりますので、4カ所でとまっている状況でございます。

○座波一委員 今、とまっているところでは、焼却残渣は民間委託かと思いますが、その状態でいつまで続けるのですか。地域との計画で、特に北中城村などは浦添市との広域を模索しているということですが、それは現在の地域計画が成り立っていないと整合性がなくなって、そこへの参加も難しくなると思います。

○松田了環境整備課長 市町村の一般廃棄物の処理につきましては、市町村で計画をつくって、処理をしていくことが基本になっております。今、4カ所の市町村、一部事務組合につきましては、溶融炉がとまっている状況でございます。特に中城村・北中城村清掃事務組合につきましては灰溶融炉がとまっている状況でございまして、現在、両村と組合、浦添市で、今後は広域化を進めていきたいということで調整をしていると聞いております。当然、広域化をして処理をする場合は、それぞれの市町村及び事務組合で計画をつくり、その計画の上で広域化をするということが必要になってくると理解しております。

○座波一委員 現状として、地方財政法と補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律―補助金適化法に抵触するのではないかという指摘もありますので、しっかりと精査してほしいと思います。これは提起しておきます。

○大浜浩志環境部長 中城村・北中城清掃事務組合が会計検査院からそういうような御指摘を受けて、資料を提出しているところですので、その資料を会計検査院の中でしっかり審査していただくことになるかと思いますが、おっしゃったように、その状況について注視してまいりたいと思っております。

○新垣清涼委員長 座喜味一幸委員。

○座喜味一幸委員 CO2削減、再生可能エネルギーについて、今、沖縄は大きな課題を抱えていると思います。太陽光や風力発電等を入れたいという沖縄県の目標に対して、事業が進まない課題が幾つかあるかと思いますが、その概要を説明してください。

○棚原憲実環境企画統括監 エネルギー政策の部分では、商工労働部産業政策課等が担当となっておりますが、今回、我々が防災施設等に太陽光発電を入れる際に沖縄電力株式会社との調整を行ってまいりました。その中で、再生可能エネルギーを導入するに当たっては、安定的な電力供給を維持するだけの最低限の量は確保しておかないと安定供給に支障が出るということで、ベースラインという表現がありましたが、そのラインの範囲内で接続しないといけないということで、調整に時間を要したということがあります。今後も接続についてはかなり制限がかかるものと思います。再生可能エネルギーは発電量が不安定という要素もありますので、安定供給の面で導入には支障が生じるということはありました。

○座喜味一幸委員 一方で、環境部としてはCO2の削減ということが、ある意味では国策として目標を持って取り組まなければなりませんよね。沖縄県として、こういう課題も含めてCO2削減にどのように取り組もうとしているのですか。

○棚原憲実環境企画統括監 かなり制限がある部分はありますが、その中でも液化天然ガス―LNG等をホテルなどの大手事業者に導入し、重油とかえることによって、CO2がかなり削減されるということもあります。そして、バイオマスエネルギーは、太陽光発電と違って時間的、気候による変動が少ないということで、安定的な発電が可能になります。そのような安定的な再生可能エネルギーにつきましては、今後も導入を進めていけると考えております。

○座喜味一幸委員 これも課題が難しくて、島嶼ゆえのいろいろな問題や制約があって、やらないといけないのですが島嶼のハンデや不都合があるのです。お題目を唱えて目標をつくるのはいいのですが、このアクションプログラムは大変難しいと私は個人的に思っていて、今後、各部との連携も含めてどう進めていくのかがよく見えないので、私もこれから勉強したいと思っております。

 次に、外来生物進入防止事業に5億円近くの予算がついておりますが、外来生物に関して、平成26年度、平成27年度、どのような事業を行ってきたのか御説明願います。

○金城賢自然保護課長 外来生物については、平成21年度にどういった外来種が入っているかという調査を行っております。平成27年度に補正で外来種対策事業を行っておりまして、平成27年度から平成31年度までの事業の中では、まず緊急的に対策をしなくてはいけない既に入っている外来種で、例えばグリーンアノールやタイワンスジオなど、昆虫や希少な動物等を捕食してしまうものに対してどのように対策をするか、捕獲するような手法を研究しています。もう一つは、平成31年度までに総合的な外来種対策の指針をつくろうということで、昨年度は実態調査を始めたところです。

○座喜味一幸委員 この指針がまだできていないというのが少し理解できないのですが、まず外来生物の特定をしていく。そして、調査の手法、どの程度の密度で調査をしていくかという基準、それに対する対策というものが示されなければ、この条例や事業が極めて生きてこないと思うのですが、その辺はどうですか。

○金城賢自然保護課長 外来種については、県にもかなりの種が入っていて、そもそも実態がわからないということで調査をしております。グリーンアノールなどは緊急的に対策をしなければいけないということで、今、実態調査をしております。また、外来種については個々の生態や特性によって駆除の手法がなかなか決められていないものですから、専門家の意見を聞きながらどういう駆除が必要かということを行っているところでございます。

○座喜味一幸委員 埋立土砂についてはどうですか。

○金城賢自然保護課長 埋立土砂に伴う外来種については、昆虫や植物などいろいろな種がありますが、それぞれの外来生物が生息している場所によって状況が違いますので、駆除の手法や調査の手法についてはまだ決まっていないところがございます。そういうものにつきましてはケース・バイ・ケースで専門家の意見を聞きながら調査手法を確立していきたいと思っております。

○座喜味一幸委員 那覇空港の埋立用材の件で、新聞に調査の記事が出ていましたが、那覇空港の埋立土砂がなぜ調査の対象になって、どういう協議のもとで、どの程度の密度で調査をしていくかを聞かせてください。

○金城賢自然保護課長 平成27年11月に沖縄県公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例が施行されまして、平成27年12月24日に那覇空港の滑走路増設事業を行っております沖縄総合事務局から届け出がされました。この条例は、県外から埋立土砂を搬入する場合に外来生物の侵入を防止するという条例でございまして、その埋立土砂というのは土砂だけではなく、岩ズリや埋立用に関連した護岸等の基礎石、被覆石といったものもあります。那覇空港の場合は土砂ではなく基礎石、被覆石などが石材として搬入されるということで、公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例の対象になる埋立用材を搬入するということで届け出がされたものでございます。

○座喜味一幸委員 調査の要領などいろいろな基準をつくっていないと、ケース・バイ・ケースというわけにはいかなくて、今後もまた出てくると思いますので、それを明確にしなければならないのではないのかと思っています。それから、調査のルールの決め方で予算が相当かかるし、体制を強化しなくてはならないという危惧を持っているのですが、基準ができて調査のやり方と外来生物の調査すべき項目が明確に基準化されないと、極めて不均一な調査になると思っているのですが、那覇空港は当初、県外からの材料搬入の予定はなかったのですよね。それが調査の対象になった経緯は何ですか。

○金城賢自然保護課長 事業者によれば、那覇空港の滑走路増設事業において、護岸の石材について悪天候等で石材が県内でなかなか調達できない部分があって、30万立米ほど県外から持ち込まないと事業の進捗に支障が出るということで、許可承認権者と調整をして30万立米程度の石材を搬入するという計画があったと聞いております。

○座喜味一幸委員 那覇空港の埋立承認のときの環境部コメントと、辺野古の埋立承認のコメント、課題というのは何か違いますか。それぞれの課題は何だったのでしょうか。

○普天間朝好環境政策課副参事 那覇空港滑走路増設事業の環境生活部長意見につきましては、当該事業に係る環境保全図書に記載された環境保全措置等については、さらなる改善の余地が考えられることから、以下の事項に配慮をさせた上で事業実施区域及びその周辺の環境保全に万全を期する必要があるということで、6項目の意見を述べています。また、普天間飛行場代替施設建設事業につきましては、当該事業に係る環境影響評価書に対して述べた知事等の意見の対応状況を確認すると、以下のことなどから当該事業の承認申請書に示された環境保全の措置等では不明な点があり、事業実施区域、周辺の生活環境及び自然環境の保全については懸念が払拭できないということで、18項目の意見が述べられております。

○座喜味一幸委員 土木建築部から回答した承認の決裁も回っているはずですが、留意事項に6項目と18項目の違いはあれ、土木建築部から埋立承認として出した文書の内容は全く一緒の形になっていませんか。

○大浜浩志環境部長 承認申請に係る我々のところからの調整、それから決裁につきましては、我々の部内に回ってきておりませんが、土木建築部で環境部長意見を踏まえて承認をしたということでありまして、それ以降、我々と土木建築部等々での意見調整はありませんでした。

○座喜味一幸委員 外来生物に係る条例に基づいて調査を進めていく場合、今後、予期される埋立事業に関して県がある程度の調査体制、人材を含めてそろえなければ、今の条例には対応できないのではないかと思っているのですが、その指針づくり、基準づくり、体制づくり、人づくりに関して、部長、どのような方向でいくのか。その辺を教えてください。

○大浜浩志環境部長 指針づくりにつきましては、調達する場所が複数になったり、事業によって長崎県や奄美大島、瀬戸内など多岐にわたるので、画一的なものはなかなか難しいのですが、専門家の意見も聞きながら、今回、那覇空港の実績も踏まえて、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。体制につきましては、条例について6名の専門員を委嘱しております。それから、自然保護課に職員を3名増員しました。同時に、予算は補正で2000万円ほど―これにつきましては、那覇空港と普天間代替施設の両方が来るだろうと予想して、2000万円ほど補正しております。昨年度は那覇空港のみ来ましたので、大体600万円でやっておりますが、先ほど言い忘れましたが、専門員、職員、それから調査をコンサルタント業者に委託しておりますので、この3者で現地調査を計4回ほど行っております。その中で、那覇空港につきましては遜色なくできたかと思いますが、普天間代替施設が来るようであれば、その届け出等も見ながらの対応になるかと思いますが、予算や人員を十分検討していかなければならないだろうと考えております。

○座喜味一幸委員 那覇空港については、事前に那覇空港滑走路増設環境監視委員会を設置して環境に配慮してやりますということで、協議あるいは承認の段階からしっかりとできていたということで、何ら奄美大島から材料を入れるにしてもスムーズに入ったということがあるのですが、実際に那覇空港滑走路増設環境監視委員会を含めて、那覇空港と県の連携はどのようになっていますか。

○大浜浩志環境部長 那覇空港滑走路増設環境監視委員会も組織されて、事後調査等で意見を聞いていると思いますが、そことの直接的なやりとりは事業者の中にいるものですから、我々がその中でやるということはありません。そこで検討した結果が我々のところに来て、我々は沖縄県環境影響評価審査会がありますので、そこで意見を聞いて、意見を申し述べるという段階だと思います。

○座喜味一幸委員 そうすると、辺野古だからといって特段に変わってくることは起きないかもしれませんね。向こうも監視委員会で地元を入れた意見を十分協議しながら仕事を進めていくということであれば、那覇空港と辺野古も余り変わらなくて、監視委員会からの課題報告と連携をとっていけばやれるということであれば、量はふえたにしても今のルールの中でいけるという理解でいいのですか。

○謝名堂聡環境部参事 昨年、私が課長をしていましたので、私から概要を含めて御説明をさせていただきます。今、委員がおっしゃる外来種ですが、これは特定外来種とそれ以外の外来種に分かれております。沖縄県で特定外来種は21種ありまして、これは国が駆除することになります。それ以外については県がやることになります。特定外来種については、既に特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律―外来生物法や植物防疫法などで国でチェックがなされることになっております。ただ、植物防疫法、外来生物法を含めて、基本的には意図的に人間が持ち込むとか、はっきりした状況が見えるようなところを阻止するのが一般的なものでございますので、足の裏にくっついてくるとか、倉庫の中に入ってくるとか、まさに土の中に入るというような非意図的なものは基本的に対象にならないことになっております。そこで、我々はこの国の法律を補完する形で条例として提案されたと認識しております。そういう意味では、県外から持ち込まれるものに対しては、法律で一定のチェックはされますが、それをすり抜ける場合については我々が条例の中で審査をする。この細かい審査は、基本的に言えば土を全部焼きなさい、砂、石を焼きなさいということは1000億円をかければできるかもしれませんが、現実的にそれができるかというとなかなか難しいので、基本的には事業者と相談をしながら、可能な体制でどうしたいのかというのを提案いただいて、専門家と相談をしながら具体的な対応を決めていくことになっております。今回も那覇空港につきましては、石を運び込む段階から専門の先生と一緒になって現地を見て、こうしたほうがいいといういろいろな意見をいただいて、具体的にどうですかと投げかける形でチェックをさせていただいております。そういう意味で、あえて罰則等もございません。なぜかというと、非意図的なものに対して効果があるかというとなかなかないものですから、それから、許可制でもございません。あくまでも届け出に基づいて審査をして、すり抜けるもののリスクを減らすという仕組みに基本的にはなっておりますので、どこがということではなく、法律の抜けてくるものに対するリスクを減らすという条例になっていると考えております。

○座喜味一幸委員 ごもっともです。今の説明の通りでいいのですが、これがある意味で特定された範囲内で条例をつくるからそういう議論になるわけで、外国から入ってくる土砂や採石、土木資材、園芸作物、ペット等々含めて、外国から多くの外来生物も入っておりまして、これは国がやっております。それを補完する形でということですが、実態として県内から、あるいは園芸商材等を含めて、極めてとめられないぐらいのいろいろな動きがあります。これは外来生物という場合でも有用な動植物もあれば、有害なものもある。そういう極めて大きな流れの中で、この縛り方というのは私はどうも妥当ではないのではないかと。土木建築部でも議論になりましたが、護岸工事や高潮工事、港湾工事などでいろいろな土木工事が入ってきます。そういう中では目に見えない形で外国から、あるいは本土から砂や石の土木資材が入ってきている。等々を含めると、トータルとして物を見ていかないといけないのかなと思ったりして、この条例の生かし方というのは今後も丁寧にやっていかないといけないと思っております。

 もう一点、一番大きな問題となった普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会で、環境保全に対する配慮が必ずしも十分ではないという―法廷闘争にまで入ったのですが、承認したときの環境部の考え方に対して、承認に瑕疵ありとした環境に関する大きな項目というのは何だったのでしょうか。課題と経緯を教えてください。

○謝名堂聡環境部参事 今、2点の御質疑があったかと思いますが、1点目はいわゆる埋立資材だけでは片手落ちではないかという点でございます。もう一点につきましては別の者で答えさせていただきますが、委員のおっしゃるとおり、実際には埋立資材以外にも野球場や運動公園、ゴルフ場など、多々そういうような県外からの資材が入っているのは事実でございます。今回、議員提案の部分で、これは埋立資材に限った形ではありましたが、先ほど申しましたように我々としては一定程度のリスクの低減になるということで理解しております。委員のおっしゃるように、ほかにもあるではないかという点についてはまさにそのとおりで、先ほど外来生物の事業を行っているという話をさせてもらいましたが、特定外来生物は国の役割です。それ以外のものは、県で侵略的外来種にどういうものがあるのかということを特定している状況で、具体的にそれが特定された段階でどのような形でそれを阻止するのか、もしくは非意図的なものにつきましても、国の行動計画の中でどういう形で侵入してくるのかを特定しなさいというのが行動計画の内容にもなっておりますので、我々はまさに今、意図的なものはもちろん条例の延長上で整理をしていかなければいけませんし、非意図的なものもどういうのがあるのか、もしくはどういうものを特定するのかというところで調査していて、その具体的な結果報告が3年後の平成31年の最終的な行動計画にまとまるということでございます。その中で、おっしゃるとおり、そのまま条例を流しますと園芸資材はどうなるのかなど大変な問題になるので、例えば同じ県内の資材であってもグラウンドとか、ゴルフ場とか、特定のものについては届け出をしていただいて、同じように条例の中でチェックをしながらリスクを減らすということになるかもしれませんが、それはまさに調整中ということでございます。

○大浜浩志環境部長 後段の第三者委員会の件ですが、第三者委員会で瑕疵を認める云々の検討の中でも環境部へこれはどうだったかということについての意見照会なり、調整なりはなかったということが事実でございまして、それについて我々がどうこうと言えるような立場にはありませんので、承認の段階でも、いわゆる環境部長意見を述べた後は我々のところには調整はなかったというのが事実でございます。

○座喜味一幸委員 第三者委員会からもですか。

○大浜浩志環境部長 第三者委員会からも環境部に意見調整はなかったということでございます。

 我々から第三者委員会に環境部長の意見はどうだったかということで資料を提供して、向こうからのヒアリングでどういう意見を述べたのかということは聞かれましたが、それ以外で判断に直接結びつけるような調整や話し合いはなかったということです。

○座喜味一幸委員 もう一度確認しますが、当時、承認に至ったときの環境部の意見を出しました。第三者委員会からはどのような調査の依頼、質問があってどのような回答をしたか、それについては全くなかったのか、その辺だけを明確に説明してください。

○大浜浩志環境部長 第三者委員会の中では資料を提供して、その説明をしました。そこから意見を求められることはありませんでしたということでございます。

○座喜味一幸委員 今回の承認取り消しの大きな柱が環境問題なのです。環境が問題になっていて、皆様方の当初の承認の判断と取り消しの判断というのは、環境部も少なくとも指摘を受けて、この指摘に関して我々は調査不足でしたとか何とかというような返事がなければ、彼らは判断ができないはずなのです。その辺はどうですか。

○大浜浩志環境部長 正式な照会は、先ほど申しましたとおり、公有水面埋立法に基づく承認申請の中で土木建築部長から意見を求められてそれを提出しました。それが最後でございます。第三者委員会の中では、意見なりの資料を提出して、環境部長意見の資料の説明をしたと。それを第三者委員会の中で検証したというのが事実でございます。

○座喜味一幸委員 今の第三者委員会の資料、質問に対して回答したという文書を出してもらえますか。

○普天間朝好環境政策課副参事 先ほど申し上げました環境生活部長意見―普天間飛行場代替施設建設事業に関する問題ですが、環境影響評価書に述べた知事意見に対する事業者の対応を確認した上で下記のような意見を述べています。埋立承認申請書に示された環境保全措置等では埋立面積の最小化等に対する評価が具体的に示されていないこと。航空機騒音に係る予測評価の妥当性が確認できないこと。ジュゴン、ウミガメ類、サンゴ類等、海域生物への影響の程度が不明であること。米軍へ周知するとした環境保全措置の効果の不確実性が大きいと考えることなどの不明な点があることから、事業実施区域周辺の生活環境及び自然環境の保全について懸念が払拭できないとの環境生活部長意見を承認の前に述べております。

○座喜味一幸委員 確認しますが、先ほど土木建築部に18項目か19項目の留意事項を付していますよね。その内容と基本的に変わっていないということですか。

○普天間朝好環境政策課副参事 先ほど申し上げましたのがこれと同じものでして、環境生活部長意見が18項目ありますが、今の懸念が払拭できない意見を述べた理由の主なものが埋立面積の最小化、また、航空機騒音による予測やジュゴン、ウミガミメ類、サンゴ類の影響の程度が不明であること、米軍への環境保全措置の効果の不確実性ということで、環境生活部長意見は18項目ありまして、その主な内容というのが今、申し上げましたものです。その内容があることから懸念が払拭できないということで、土木建築部に提出しているところです。

○座喜味一幸委員 委員長、これは当初の行政の継続性ということと職員の信頼を確保していくためにも、当初、行政の人たちがしっかりと基準に基づいて審査したものが、第三者委員会が入ることによって―よく理由がわからないのに取り消しとなったという経緯が、今の話を聞いてもよくわからないものですから、担当の知事、副知事に検討を―要調査事項に入れておいてもらえませんか。

 最後に、先ほど説明したように外来生物に係るトータルとしての行動計画を速やかに策定して、しっかりとした対応をしなければ、我々がつくった外来生物の侵入に関する条例に魂が入らないと思いますので、その辺をトータルとしてしっかりと効果を出していくために頑張っていただきたいと思いますが、部長、どうですか。

○大浜浩志環境部長 先ほど参事からありましたように、平成31年に策定目標でございますが、なるべく早目に策定に向けて取り組んでまいりたいと思います。

○新垣清涼委員長 ただいまの質疑につきましては、要調査事項として提起したいということですので、誰にどのような項目を確認するのか簡潔に説明をお願いします。

○座喜味一幸委員 同じ行政の継続性の中で、埋立承認を審査したことと、第三者委員会が入ったことによって埋立承認が取り消しになったという根本的な環境に関する経緯がよくわからないので、どのような経緯なのか、もう少し明らかにしてトップの人に聞いてみたい。

○新垣清涼委員長 ただいま提起のありました要調査事項の取り扱いについては、本日の質疑終了後に協議したいと思います。

 大浜浩志環境部長。

○大浜浩志環境部長 先ほど座波委員への答弁で、中城村・北中城村清掃事務組合の灰溶融炉について、会計検査院の指摘を受けていると答えたのですが、そうではなく、その施設は防衛省の予算でやっており、防衛省と調整をしているということで、会計検査院からの指摘ではないということで訂正させていただきます。

〇新垣清涼委員長 翁長政俊委員。

○翁長政俊委員 皆さん方は辺野古埋立承認について、土木建築部の審査の段階で最終的に意見を出しましたよね。それを受けて、最終承認をするかどうかの判断が行われたと。皆さん方の意見書では、懸念が払拭できないという意見であったということです。そこで、今般出された高等裁判所の判決は、かいつまんで言えば、環境保全対策については、現在の見地をもとに実行可能な範囲においてこれに対する措置が講じられていることで足り、その場、その状況に応じて専門家の助言・指導に基づいて柔軟に対策を講じることが合理的であるという判決内容だったわけです。このことについての皆さん方の見解を聞かせてください。

○大浜浩志環境部長 環境影響評価は事業を行う前の手続ですので、環境に対して予測評価を行っていく形になります。予測評価を行う項目につきましても、沖縄県の環境影響評価条例であれば技術指針がございます。環境影響評価法では、各事業ごとに主務省令がございまして、こういった形で選択して、こういった手法で調査をしなさい、こういった形で予測しなさいということがございますので、その中で事業者が項目について調査し、こういう手法をとりますという予測評価をしていきます。ですから、この中で予測ができないというものではないと我々は思っておりまして、その予測の仕方がどうのこうのではなく、予測をした結果が十分であるかどうかが大きな目玉になってくると思います。そうすると、事業を起こした事後ではどうしても予測に合わない場合が出てくることがあります。これは不確実性と言っていますが、その程度が大きい項目につきましては事後調査をして、その中できちんと評価をして、環境影響評価の結果と事後調査を行った結果を比較して、足りないものは環境保全措置をとっていこうというのが環境影響評価の主な流れでございます。ですから、一度、アセスの中でそういう予測をしていくものですから、予測の程度を小さく見積もって、その場その場で環境が崩れたということでやっていくことになると、もともとあった大事な生態系などが改変されたり、どうしても影響が出てしまうことに陥る可能性が高いものですから、環境影響評価制度の中でそういうことを言われると、この制度の根幹を揺るがす場合もあると思っております。きちんと予測評価をしていくという制度ですから、それを飛び越えて現場でやっていくということになると、この制度の趣旨からはなかなかうまくいかないのではないかと思っております。

○翁長政俊委員 回りくどくて、なかなか理解できません。現在、あなた方がやってきたアセスにおいて―要するに、環境アセスで100%十分だということはないのです。自然をさわる以上は必ず負荷がかかるし、そこにはそれなりのリスクが伴うのは事実です。しかし、これを極力抑えていくという努力が必要であって、そういう中で、現在の見地でできるものは予測をしながら行うわけです。ただ、裁判所はそれを超える事態が起きると言っているのです。起きたときには、その時点でなし得る最大限の措置を講じることによって乗り越えられるというのが、裁判所の判決の内容なのです。ですから、そのことについてどう思うかと聞いているので、もう少しわかりやすく説明してください。

○大浜浩志環境部長 我々は審査の中で現場を見たり、環境影響評価審査会の意見も踏まえて審査をさせていただいて、そういう意見を述べたということです。

○翁長政俊委員 承認時に付した留意事項も含めて、あなた方の意見は私も認めています。環境に負荷がかかる―アセスを行う以上、皆さん方は手続上、意見を出さないといけない立場にあるのですから、それが懸念が払拭できないという答えだったわけです。それを受けて、承認という行為に及んだのです。今回の裁判で争われたのは、それに違法性があると。違法性があるから取り消しをするといって裁判が行われ、その結果、高等裁判所なので最終判断ではありませんが、高等裁判所の判決で違法性は見当たらないと。環境アセスについても、承認をする時点であらゆる見地を結集した形で行ったアセスを了とし、問題が起きた時点できちんと対応すればいいという結論になっているので、それは、あなた方が言っている懸念が払拭できないという意見とそう大きな差はないと私は思っているのですが、あなた方の見解としてはどうなのですか。

○大浜浩志環境部長 繰り返しになりますが、承認申請のときに承認権者である土木建築部から意見を求められて、懸念が払拭できないという意見を述べました。それ以降、我々との調整はありませんので、そこにコメントを求められても、環境部としては難しいところがあると思っております。

○翁長政俊委員 あなた方が付した意見そのものとそんなに差はないのですから、この意見が払拭されるということも含めて、私は承認の妥当性がそこで承認されたと認識していますので、そこは一歩踏み込んでもいいのではないですか。

○大浜浩志環境部長 環境の審査をするほうが承認の決裁に入ることは法律からするとまずいので、あくまで部長の意見という形になっているのは、そういうことでございます。

○新垣清涼委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、翁長委員から質疑内容について補足説明があった。)

○新垣清涼委員長 再開いたします。

 大浜浩志環境部長。

○大浜浩志環境部長 環境部の懸念が払拭できないという意見は、現在でも払拭できないという意見でございます。

○翁長政俊委員 先ほどから議論が出ているように、第三者委員会であなた方は懸念が払拭できないという意見を出しました。そこでヒアリングが行われたのですか。

○大浜浩志環境部長 第三者委員会で意見を聞かれてヒアリングされたのは土木建築部と農林水産部でございます。我々は1回出て、アセスの手続について聞かれたということでございます。

○翁長政俊委員 1回出てアセスの手続論だけだったのですか。なぜそうなったかという意見はなかったのですか。

○大浜浩志環境部長 それはなかったと聞いています。

○翁長政俊委員 環境問題が大きくクローズアップされている中で、第三者委員会が事業者である土木建築部に意見を付し、土木建築部はそれを受けて承認をしました。しかし、土木建築部は環境アセスの専門家でないので、皆さんの意見をもって承認をしたということになると思いますが、第三者委員会が審査の深みを出すためには、当然、なぜ懸念が払拭できないという意見に至ったのかという議論をすることが、第三者委員会が持っている責務としてあるべきだと思うのです。そうでなければ、第三者委員会の権能や委員会としての重みに疑義が残ると思っています。環境アセスというのはそれほど大事なことなのです。呼ばれて手続論だけをして、中身の議論が全くなかったということは、第三者委員会に問題があったということに私は行き着くのですが、それに対してはどうですか。

○大浜浩志環境部長 第三者委員会は総務部が所管して開いたわけですが、その中には法律の専門家が3名、環境も含めて3名で議論をしているということでございます。我々はあくまでも最初の手続に対してどうだったかということを聞かれただけであって、その第三者委員会の専門家の中で検討したと聞いております。

○翁長政俊委員 この議事録は残っていますか。

○大浜浩志環境部長 ホームページに議事録が公開されているということです。

○翁長政俊委員 その中で、手続論だけが質疑されて、それ以外のものは全くなかったということは確認できるのですか。

○大浜浩志環境部長 それについては確認できると思います。

○翁長政俊委員 第三者委員会のことをあなた方に聞いてもどうしようもないのですが、環境アセスに係る重要な問題を手続論だけで済ませたという第三者委員会のあり方については、表面上の審査だけをして、中身に深く入っていかなかったのではないかという疑義が残っています。

 次に、企業局のキャッシュフローについてお聞きします。キャッシュフローの資金の運用によって出た収益が2020万円ということで、かなり出ていますよね。

○上原淳経理課長 今回、議案として提出しております未処分利益剰余金の処分のことですが、この内容につきましては、企業局の1事業年度における経営活動などにより発生した利益を利益剰余金と呼びます。そのうち、まだ使い道が決まっていない利益剰余金を未処分利益剰余金と申します。この未処分利益剰余金の使途を決めることを処分といいまして、この処分については地方公営企業法第32条第2項に基づき議会の議決を得る必要がございますので、今回、提出したところでございます。企業局には、2つの事業がございまして、水道事業会計、それから工業用水道事業会計でございます。

 決算審査意見書26ページのキャッシュフロー計算書についてですが、企業局で1事業年度に当たりまして現金の入りと支出、その年間分の動きをあらわしたものでございまして、期首は現金が194億9677万円余りありましたが、期末では176億8988万円という残高でございまして、これは現金の動きでございます。

○新垣清涼委員長 休憩いたします。

(休憩中に、翁長委員から質疑内容の補足説明があった。)

○新垣清涼委員長 再開いたします。

 上原淳企業局経理課長。

○上原淳経理課長 資金の運用についてお答えいたします。企業局では、沖縄県企業局ペイオフ対応方針及び県の企業局資金運用要領に基づきまして、水道事業会計及び工業用水道事業会計の資金について、預金、その他の金融商品で運用しているところでございます。資金のうち日々の支払い準備金については、短期運用―1年未満を対象として定期預金、外貨預金による運用を行い、引当金、積立金及びその他の余裕資金については長期運用―1年以上の対象として財政見通しなども踏まえ債券運用を行っております。

○翁長政俊委員 定期については、どういう種類でどういう規模でやっているのですか。

○上原淳経理課長 定期預金につきましては、琉球銀行、沖縄銀行、JA、ろうきんなどに預金しているということでございます。

○翁長政俊委員 前年と比べると運用益が出たということですが、どういう運用の効果があってそういう状況になったのか、そこは明確に答えてください。

○渡嘉敷道夫総務企画課長 委員のおっしゃる2020万4000円の内訳ですが、預金利息が1937万4000円、有価証券の利息が83万円でございます。

○翁長政俊委員 この有価証券はどういう種類のものですか。

○渡嘉敷道夫総務企画課長 2件とも大阪府公募公債でございます。

○翁長政俊委員 利率はどうなっているのですか。

○上原淳経理課長 大阪府公募公債につきましては5年ものでございまして、平成26年度購入のもので利率が0.209%、平成27年度購入の大阪府公募公債につきましても5年ものでございまして、利率が0.135%でございます。

○翁長政俊委員 リスクが低いものを選択しているのはよくわかりますが、資金運用という意味では、そういうリスクも勘案しながらもう少しいいものを買うというチャレンジ精神はないのですか。

○町田優企業局長 リスクの高いものの運用については、例えば株式の購入などを想定されているかと思いますが、私ども日々の資金の運用に当たっては、どうしても万一のことを考えてやらざるを得ません。ですから、どうしてもリスクの低い運用を最優先にこれまでやってきたというのが実情でございます。

○翁長政俊委員 それでは、外貨預金がありますが、どういう外貨を買っているのですか。

○上原淳経理課長 琉球銀行を窓口として、常時、平均的に20億円から30億円の金額を外貨預金として預けております。

○翁長政俊委員 ドルを持っているのですか。もっと詳しく教えてください。

○上原淳経理課長 手続につきましては琉球銀行にお願いをしているので、企業局としては円で預けております。

○翁長政俊委員 円で預けてドルを買っているから外貨預金になるわけでしょう。円で買っていたら普通の定期預金と変わらないではないですか。わざわざ外貨と書いてある以上は外貨を持っているわけです。ドルを持っているとすれば、変動相場ですから、どうなっているのか中身まで教えてください。

○上原淳経理課長 企業局としては企業局にございます現金を琉球銀行に預けまして、この運用については、琉球銀行に任せているということなので、こちらでドルで幾ら持っているということは……。

○新垣清涼委員長 休憩いたします。

(休憩中に、翁長委員から質疑内容の補足説明があった。)

○新垣清涼委員長 再開いたします。

 上原淳企業局経理課長。

○上原淳経理課長 企業局としましては琉球銀行に円で預けまして、琉球銀行で外貨の運用についてはドルにかえたりしまして、それから上がってきました利息につきましては、円で企業局に返ってくるということでございます。

○新垣清涼委員長 休憩いたします。

(休憩中に、翁長委員から質疑内容の補足説明があった。)

○新垣清涼委員長 再開いたします。

 上原淳企業局経理課長。

○上原淳経理課長 企業局で運用しております外貨につきましては、元本割れのリスクのある商品の運用は行わず、公金保護ということを徹底しておりますので、安全性は保護されることが約束されております。

 外貨預金につきましては当初から為替予約付のものでございますので、最初から幾らと、これ以下にはならないという約束のもとでやっていますので、金利は満期まで一定のものでございます。元本割れはないということで、安全なものを使っているということでございます。

○翁長政俊委員 私が不勉強で理解ができないのか、元本割れしない債権というのがあるのですか。

○上原淳経理課長 この名称につきましては、為替予約付という商品を使っておりますので元本割れはないということでございます。

○翁長政俊委員 この外貨預金で利益は出ているのですか。平成27年度でどれだけの利益が出たのですか。

○上原淳経理課長 この利息は0.05%でございまして、平成27年度においては運用益は106万円余りとなっております。

○翁長政俊委員 私が承知しているものでは、仮にドル建てで持っていたら、今、円が高くなっていますので厳しい現状です。そういったリスクを伴った商品を扱っているのではないかという懸念があるのですが、こういう懸念には及ばないということで理解してよろしいですか。

○上原淳経理課長 委員のおっしゃったとおり、私どもが運用している外貨等についても安全性を保護された約束のもとに使っておりますので、リスクが発生するということはありません。

〇新垣清涼委員長 以上で、環境部長、企業局長に対する質問を終結いたします。

 休憩いたします。

   (休憩中に、執行部退席)

○新垣清涼委員長 再開いたします。

 次に、決算調査報告書記載内容等について御協議をお願いいたします。

 まず初めに、要調査事項を提起する委員から改めて提起する趣旨について御説明をお願いいたします。

 座喜味一幸委員。

〇座喜味一幸委員 執行率を上げるためには人材の育成、組織体制の強化の問題、単価等を含む積算の問題、発注のあり方等々があるので、特に総合的に横断的に県がいかにして執行率を上げていくか。これは大変重要であり、全庁的な取り組みが必要だと思いますので、ぜひ決算特別委員会の総括質疑でお願いします。

〇新垣清涼委員長 以上で、要調査事項を提起しようとする委員の説明は終わりました。

 次に、要調査事項として報告することについて反対の意見がありましたら、挙手の上、御発言をお願いいたします。

   (「意見なし」と呼ぶ者あり)

○新垣清涼委員長 御意見なしと認めます。

 以上で、要調査事項として報告することへの反対意見の表明を終結いたします。

 次に、2番目の説明をお願いします。

○座喜味一幸委員 沖縄県下地島空港特別会計から4億円のお金がずっと入って、休止状態です。それに対して、土木建築部が提案をいただいている4つの事業の計画が上がってきているのですが、取り組みを早目にしないといけないということと、沖縄開発委員会では副知事が会長になっているので、空港問題に対する方向性を出さないといけないのです。土木事務所レベルでも実務ではわかっているので、早目に事業を入れて、県の一般会計からの約4億円の無駄な繰り入れを早くなくして効果を出していくという意味において、三役の決意をしっかりと……。

〇新垣清涼委員長 以上で、要調査事項を提起しようとする委員の説明は終わりました。

 次に、要調査事項として報告することについて反対の意見がありましたら、挙手の上、御発言をお願いいたします。

   (「意見なし」と呼ぶ者あり)

〇新垣清涼委員長 意見なしと認めます。

 以上で、要調査事項として報告することへの反対意見の表明を終結いたします。

 次に、3番目の説明をお願いします。

○座喜味一幸委員 今、沖縄県の大変大きな政治課題となっております前知事の辺野古の埋立承認が承認取り消しという大きな問題になっておりますが、きょうの審査を通して、環境部の意見を第三者委員会は聞いていないとか、裁判では環境の問題というのは瑕疵があるとして承認取り消しの課題になっていますが、なぜ瑕疵があったのかという経緯等がわからない。その辺についてトータル的に知事の考え方を聞いてみたい。はっきりしたほうがいいと思いますから、ぜひ上げてください。

〇新垣清涼委員長 以上で、要調査事項を提起しようとする委員の説明は終わりました。

 次に、要調査事項として報告することについて反対の意見がありましたら、挙手の上、御発言をお願いいたします。

 照屋大河委員。

○照屋大河委員 行政手続にのっとって第三者委員会も設立されて、その結果を踏まえた手続をもって取り消しという判断をされていますので、特に改めて第三者委員会の検証の経緯等を聞く必要はないと思いますので、それについては反対の意見を申し上げておきます。

〇新垣清涼委員長 以上で、要調査事項として報告することへの反対意見の表明を終結いたします。

 次に、決算特別委員会における調査の必要性及び整理等について、休憩中に御協議をお願いいたします。

 休憩いたします。

(休憩中に、要調査事項の必要性及び整理等について協議した結果、予算の執行率を上げるための体制強化、人材育成及び発注方法等について、下地島空港特別会計の一般会計からの繰入金の圧縮に向けた県の取り組みについて、辺野古埋立承認の審査の経緯及びその後の第三者委員会における検証の経緯についてを報告することで意見の一致を見た。)

〇新垣清涼委員長 再開いたします。

 要調査事項につきましては、休憩中に御協議いたしましたとおり報告することといたします。

 次に、特記事項について御提案がありましたら、挙手の上、御発言をお願いいたします。

   (「提案なし」と呼ぶ者あり)

〇新垣清涼委員長 提案なしと認めます。

 以上で、特記事項の提案を終結します。

 次に、お諮りいたします。

 これまでの調査における質疑・答弁の主な内容を含む決算調査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

〇新垣清涼委員長 御異議なしと認めます。

 よって、さよう決定いたしました。

 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。

 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。

 本日の委員会は、これをもって散会いたします。

   午後3時45分散会


沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

  委 員 長  新 垣 清 涼