平成23年(2011年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 6月29日
農林水産部長(比嘉俊昭)
 

 それでは農林水産業の振興の中で、東日本大震災や原発事故による農産物出荷への影響についてお答えします。
 本県からの農産物出荷については、震災直後、物流の混乱や停電などで一時的に関東以北の市場機能がストップするなどの影響が見られました。特に菊については、関東以南の市場へ出荷が集中したこと、計画停電による冷蔵庫の使用制限で花卉卸売業者や花屋において買い控えが生じたこと、ガソリンなどの燃料不足によりお彼岸の需要が減少したことなどから、3月に単価が下落するなどの影響が生じました。そのため、県としては、生産者への支援対策として、借入金の利子補給や再生産に伴う肥料及び農薬の費用の一部助成を行っているところでございます。4月以降は、青果物・花卉ともに東京都中央卸売市場への出荷状況が昨年並みとなっており、回復傾向にあるものと考えております。
 今後、首都圏での計画停電の影響などが懸念されることから、県内外の卸売市場や出荷団体と連携し、販売対策等の強化に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、6次産業化の取り組みについてお答えします。
 県では、農林漁業の振興を図るため、食品メーカー等と連携し商品開発に取り組む農商工連携や、農業者がみずから農産物の加工・販売などに取り組む農林水産業の6次産業化を推進しているところでございます。
 具体的には、平成22年度から地域資源に着目して、「県産農産物付加価値向上推進事業」により、地域内生産者や加工グループ等と連携した加工品開発、県内食品メーカー等と連携した加工品開発、大手食品メーカー等と連携した加工品開発による全国展開など3つの加工品開発モデルの構築を実施しているところでございます。
 さらに、平成23年度からは、「アグリチャレンジ6次産業化支援事業」により、地域資源を生かした加工品の試作開発、食品加工基礎講座や企業派遣研修など加工技術習得、商品化に必要な加工機材の整備に取り組んでいるところでございます。
 さらに、6次産業化のための各種事業の実施を通じて、モンドセレクションなど世界商品評価基準を満たすようなブランドを構築するとともに、新たな産業の創出に向けて展開することとしております。
 次に、「全国豊かな海づくり大会」の準備作業、事業内容及び経済効果についてお答えします。
 「全国豊かな海づくり大会」は、水産資源の維持培養と海の環境保全に対する県民の意識の高揚を図るとともに、水産業に対する認識を深めることを目的として開催される国民的行事で、平成24年秋ごろに糸満市において開催され予定となっております。
 県では、去る4月26日に県内各界各層等で構成する沖縄県実行委員会を立ち上げ準備を進めているところでございます。
 本大会の内容は、功績団体の表彰や大会決議などを行う「式典行事」、稚魚の放流や漁船パレードなどを行う「海上歓迎・放流行事」、水産業や環境保全等の企画展示、県産農林水産物等の紹介及び試食販売などを行う「関連行事」などとなっており、2日間で県内外から約5万人の来場者を見込んでおります。
 経済効果につきましては、来場者数や関連行事での販売状況等をもとに、先催県の状況も踏まえ、今後試算してまいりたいと考えております。
 次に、パパイヤの販売、栽培状況と風評被害の対応及び未承認遺伝子組み換えパパイヤに関する説明会について一括してお答えいたします。
 平成20年度のパパイヤの生産状況は、栽培面積が31ヘクタール、生産量が965トンとなっております。また、平成23年4月21日に国から公表のありました遺伝子組み換えパパイヤ「台農5号」の面積は、平成23年5月末現在3.6ヘクタールで、過去5年間の中央卸売市場の平均単価を用いて推計すると、被害額は約1500万円を見込んでおります。
 さらに、パパイヤの販売価格は、公表後、県中央卸売市場の市況によると低下傾向で推移しておりましたが、5月中旬には公表前の水準に回復している状況でございます。
 県は、風評被害の防止とパパイヤの生産振興を図る観点から、国と連携して生産農家を初め市町村、農業協同組合及び青果物流通業者等を対象に、遺伝子組み換えパパイヤについて説明会を開催したところでございます。説明会においては、生産者等から原因究明や伐採に伴う損失補償を求める意見が出されております。
 次に、国の損失補償に対する県の考え方についてお答えします。
 国は、「カルタヘナ法」に基づく未承認遺伝子組み換えパパイヤの伐採処理に伴う損失については、補償の規定はないとの説明をしております。しかしながら、生産農家からは、平成15年に同法が制定されてから約8年間、遺伝子組み換えパパイヤの検査方法が確立されていないことから、国内侵入防止対策の強化や伐採に伴う補償を求める意見があります。このため、県は、5月と6月に農林水産省や関係省庁等に対し、早急な原因究明、検査技術の確立と技術移転、国内侵入防止対策の強化、伐採処理等に伴う補償など「カルタヘナ法」の運用の見直しを含め抜本的な対策を講じるよう国に強く要請したところでございます。
 県といたしましては、パパイヤ生産農家に対する補償については国が行う必要があると考えておりますが、パパイヤの生産振興を図る観点から、緊急的に伐採作業と苗の配布支援を行うなど関係機関等と連携しパパイヤ生産農家の経営安定に取り組んでまいります。
 以上でございます。

 
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