平成 6年(1994年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 3月 8日
第 5号  3月 8日
 

    議 事 の 概 要
   平成6年3月8日(火曜日)
    午前10時2分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第34号議案まで及び乙第1号議案から乙第26号議案まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 具志 孝助君(新生党) 
    2 比嘉 勝秀君(自民党)   
    3 上原 賢一君(自民党)
    4 新垣 哲司君(新生党) 
    5 西銘恒三郎君(自民党)
      午後2時58分散会

○議長(儀間光男君) これより本日の会議を開きす。
 日程に入ります前に報告いたします。
 本日質問予定の仲松昌彦君から発言通告の撤回がありました。
○議長(儀間光男君) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第34号議案まで及び乙第1号議案から乙第26号議案までを議題とし、質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 具志孝助君。
   〔具志孝助君登壇〕
○具志孝助君 おはようございます。
 通告に従い一般質問を行います。
 モノレール事業についてお伺いをいたします。
 先ごろ、県と那覇市は、バス事業4社とモノレール建設に関する協定書と覚書を締結しました。質問の前に、モノレール対策室のスタッフを初め関係者の皆さんに御苦労さまでしたと、慰労と激励を申し上げたいと思います。
 昭和47年、沖縄振興開発計画の中で軌道システムの必要性が提起され、那覇市においてはモノレールの導入が検討されてから実に22年の歳月が流れたことになります。
 モノレール事業の導入で最も難しい問題がバス事業者の合意取りつけでありました。同じ大衆輸送機関としてバスとモノレールはまともに競合し、今後とも路線や運賃において競争は避けて通れないだろうと思われます。加えて、狭隘な本県にはバス会杜が4社もあり、いずれも経営環境は厳しく、モノレール事業の新規参入を歓迎する環境にはなかったわけであります。それだけに皆さんの御苦労は大変なことだったと思います。モノレール事業の最大の難関をクリアして実現に向けて大きく前進したところでありますが、県民の中には期待と同時に不安を持っている人も少なくないと思われます。
 そこで私は、このような県民の声にこたえるために幾つかの事項について質問を行います。
 最初に、一般論としてモノレール事業の全国の事例についてお聞きをいたします。
 ア、現在、全国において都市交通機関としてモノレール事業を運営しまたは推進している箇所について建設中、計画中も含め何力所あるのか、お聞きをしたい。
 イ、先進都市モノレールの経営形態は、第三セクターによる株式会社あるいは第三セクターによらない株式会社等が考えられますが、その状況についてお聞きをしたい。
 ウ、モノレール事業のインフラ外事業における自己資金と借入資金の比率はどのような状況になっているのか。
 エ、先進都市モノレールにおける融資先――すなわち資金借入先であります――はどのような金融機関になっているのか。特に大阪モノレールの場合は、大阪府が特別な条件でもって融資をしているとこのように伺っておりますが、他の先進都市ではどういうぐあいになっているのかというようなことでございます。
 オ、補償金の支払い方法は他都市ではどのようになっていますか。沖縄県では貸付金方式ということですが、それとの関連においてお答えください。
 力、経営状況はいかがでしょうか。東京モノレール以外はすべての事業体において赤字を出していると、こういうような状況だと伺っておりますが、その辺のところの状況を御説明いただきたいと思います。
 キ、モノレール事業の健全経営のために他都市ではどのような支援策をとっているのか、また本県においてはどのような支援策を考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 次に、バス事業者との協定書と覚書について伺います。
 去る1月26日、県は貸付金方式によりバス事業者とモノレール建設に関する協定を締結いたしました。貸付金方式は、全国のモノレール事業では全く例がないと言われております。そこでバス事業者との協定等バス事業活性化資金貸し付けについてお尋ねをいたします。
 モノレール覚書第4条「バス事業活性化資金貸付」の条文の中に、「平成6年度および平成7年度に貸付実施する。」と、こういうような条文があります。平成6年度予算案の中にバス事業活性化資金貸付金6億1565万8000円が計上されております。
 そこでお尋ねをいたしますが、1番目、貸し付けは4社一括であるのか、あるいは個別になるのか、個別とすれば4社それぞれどのようになっているのか、内訳を示していただきたい。
 2、協定書締結の直後に琉球バスが事実上倒産した。締結の時点である程度想定していたのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
 3番目、倒産について琉球バスあるいはバス協会から県に対し何らかのコメントがあったかと思います。そのコメントがあったとすれば、内容について御説明を願いたいと思います。
 4番目、琉球バスの倒産は今後モノレール事業の推進に何らかの影響をもたらすことと思うが、御所見を賜りたい。
 資金計画についてお伺いをします。
 県民にはモノレールを走らすことに反対する人はいないと思います。問題があるとすれば、金目の問題とルートの問題が考えられるわけでありますが、金目の問題は、モノレールが一たん動き出すと物が物だけにたとえ赤字経営になっても後戻りができないという不安感であります。
 それから、ルートの問題は、距離が短くて利用者が一部に限定されるという不満だと思います。しかしルートについては状況によっては後で幾らでも延伸することが可能かと思いますが、最終的にはやはり資金問題に尽きると思います。
 そこで、モノレール事業の資金計画はどうなっているのか、御説明を願いたい。つまりモノレール事業の総事業費は幾らほど予定をしているのか。
 2番目、モノレール事業はインフラとインフラ外に分けられるが、インフラ部分の国庫補助事業はどの程度想定をしていらっしゃるのか。そしてインフラ外部分、すなわち単独事業として自前でやらなければならない事業費はどの程度予定をしているのか、お尋ねをいたします。
 3番目、インフラ外の自己負担分の資金調達の方法はどのように考えていらっしゃるのか、それも御説明を願いたいと思います。
 バス問題が一応解決したことから、今後の焦点はいよいよ沖縄金融公庫からの資金借り入れ、すなわち融資取りつけになると思われます。沖縄公庫は1月26日、すなわち協定書が締結された日でありますが、その協定書が締結されたことに対し次のようなコメントを発表しました。
 沖縄公庫が発表したコメントでございますが、公庫としては、モノレール導入に伴う問題点を十分県民、市民が理解した上で事業の成否を判断することが重要と考えており、慎重に対応したい。特に収支計画の基盤となる需要予測の妥当性、財政支援の確実性などが問題。バス路線再編で出てくる路線廃止で地域住民の支持が得られるか、財政支援の規模によっては県民、市民に負担をかけなければならないことも起こり得る。これらの点について十分な支持のもとに事業が行われるかどうか見きわめる必要がある。このようなコメントであります。
 すなわちこのコメントは、皆さんはモノレールの利便性だけ見るのではなく、事業として果たして採算性がとれるのか、万が一赤字に陥った場合は、赤字の程度によってはみずからが負担しなければならないことになりますよと、こういうような一種のおどしともとれるような内容になっていると思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、沖縄公庫からの問題指摘の主なものはどういうものがあり、それに対し県はどのように対処をしておられるのか、お尋ねします。
 さて、これらの課題を克服し特許申請にこぎつけるには、モノレール事業に対する県民の素朴な疑問を払拭し、県民の深い理解と協力を得て推進していくことが肝要であります。
 そこでお尋ねをいたします。
 1、100万都市の北九州のモノレール利用客数が1日約3万人と聞いておりますが、30万都市の那覇市で1日4万人乗る見込みは大丈夫か、お伺いをします。
 2番目、北九州を初め先進のモノレール事業は赤字続きだそうですが、沖縄のモノレールもそうならないのか心配であります。収支の見通しについて改めてお伺いをしたい。
 3番目、モノレール利用客数の見通しについて、那覇市の場合、国内主要幹線である那覇空港を初め金城地区の商業ゾーン、奥武山運動公園、パレットくもじ再開発ビル、国際通りの商業集積、天久新都心等多くの利用客が見込める主要施設が張りついております。
 そこでお尋ねをいたします。
 それらの主要施設から発生する利用客数はどのぐらい見込めるのか、お尋ねをいたします。
 4番目、モノレールの利用客数をふやすには、バス、タクシー等他の交通機関との結節をスムーズにするのが肝要であると考えているが、モノレール15駅におけるバス等他の交通機関との結節をどのように考えているのか、伺います。
 5番目、最後にバス会社との協定も締結しモノレール事業も大きく前進しましたが、どうも私が見た限りでは県民に対するPRが絶対に足りないように思われることであります。バス会社との調整が足踏み状態ではやむを得なかったとは思いますが、バス会社との協定がなされ展望が開けた現在、ぜひとも積極的に県民にPRし、県民を挙げて関係機関に要請していく雰囲気づくりが非常に重要な段階にあると思うが、県の所見を伺いたい。
 以上でございます。答弁によりましてはまた再質問をお願いいたします。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕  
○知事(大田昌秀君) 具志孝助議員の御質問にお答えいたします。
 その前に、ただいまは大変心温まる激励をいただいて、モノレール対策室のスタッフにかわりまして心からお礼を申し上げます。日夜大変努力しておりますので、今のような励ましをいただきますとますますやる気が起こりますので、本当に感謝いたします。
 さて、モノレール事業との関連で、補償金の支払い方法は他の都市ではどのようになっているか、沖縄県は貸付金方式ということだが、それとの関連で答えてほしいという御質問でございます。
 先進都市におけるモノレール等の導入によるバス事業への影響に対する措置としての補償金等の金銭給付は、導入後に支払いをするのが一般的であります。本県も他の都市と同様に導入後に減益措置等の金銭給付するのを基本としているところであります。
 なお、本県が導入前に貸付融資を行うのは、1つには、特許申請にはバス4社の合意が不可欠であること、2つ目には、バス4社は現在経営上厳しい状況にあること、3つ目には、モノレール導入影響対策は、導入後の対策だけでなく、導入前の対策も必要であること、4、本県バス事業は唯一の公共交通機関として交通サービスに寄与していることなどを勘案し、厳しい経営状況にあるバス事業の活性化を図る観点からでございますので、御理解賜りたいと思います。
 次に、モノレール事業健全経営のために他の都市ではどのような支援策をとっているのか、また本県での支援策はどうなっているかを伺いたいという御質問にお答えいたします。
 モノレール建設は、道路建設と同じように公益的、公共的な基本的社会資本であるため公共団体による支援は不可欠であります。先進の都市においても、運営会社に対し無利子ないし低利の貸し付け等の支援を行っております。都市モノレール事業は、初期投資が大きい事業であることにかんがみ、沖縄都市モノレール株式会杜が健全な会社経営を行うためには県、市からの支援金が必要であり、本県においても沖縄都市モノレール株式会社に対する無利子貸付金を考えております。
 次に、琉球バスの倒産は今後モノレール事業の推進に何らかの影響をもたらすと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 モノレール事業の推進につきましては、特許申請の最大の懸案事項となっておりましたバス事業者との合意が得られ大きく前進したところであります。バス事業者との合意は、県、那覇市並びにバス4社の協定締結によって成立しており、琉球バスの会社整理申請によってその効力が失われるものではないと考えております。本県唯一の大量輸送交通機関であるバスは、県民の足を確保する上でぜひとも必要であることから、琉球バスの問題は県といたしましても真剣に受けとめているところであります。しかしながら現段階ではどのような影響を与えるかについての予測は困難であり、今後の推移を見きわめながら慎重にかつ適切に対処していきたいと考えております。
 次に、同じくモノレール事業との関連で、積極的にPRしていくことが重要な段階にあるが、それについての考えを伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 都市モノレール事業の推進には、県民の理解と協力が不可欠であることは御指摘のとおりでございます。したがってパンフレット、広報ビデオ、宣伝パネル等を制作し関係機関、団体、住民等に対し説明会やモノレール展を開催するなど積極的にPRするため、平成6年度予算に都市モノレール広報委託費を計上しているところでありますので、御理解いただきたいと思います。
 なお、お許しを得まして、他の御質問につきましては関係部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
○議長(儀間光男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 大城義勝君登壇〕
○土木建築部長(大城義勝君) モノレール事業についての御質間にお答えいたします。
 初めに、全国において都市交通機関としてモノレール事業を運営しまたは推進している箇所について、建設中、計画中も含めて何力所あるのかお尋ねしたいという御質問にお答えいたします。
 モノレール事業は、全国で東京モノレールほか6カ所あります。そのうち営業路線が東京モノレールほか4カ所、工事中が千葉都市モノレールほか2カ所、計画路線が大阪都市モノレールほか2カ所となっております。
 次に、先進都市モノレールの経営形態は、第三セクターによる株式会社あるいは第三セクターによらない株式会社等が考えられるが、その状況について聞きたいという御質問でございますが、千葉都市モノレール、大阪都市モノレール、北九州都市モノレール、多摩都市モノレール、沖縄都市モノレールの5都市モノレールが第三セクター方式の株式会社であり、東京モノレールと湘南モノレールが第三セクター方式によらない株式会社となっております。
 次に、モノレール事業のインフラ外事業における自己資金と借入資金の比率はどのような状況になっているかということでございますが、平成3年現在、インフラ外部建設費の自己資金と借入資金の割合は、北九州都市モノレールが16対84、千葉都市モノレールが26対74、大阪都市モノレールが22対78となっております。沖縄都市モノレールについては現在関係機関と調整中でありますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
 次に、先進都市モノレールにおける融資先はどのような金融機関になっているかという御質問でございますが、北九州都市モノレール、千葉都市モノレール、大阪都市モノレール、多摩都市モノレールの融資先は、日本開発銀行であります。沖縄都市モノレールの融資先については、沖縄振興開発金融公庫を予定しております。
 次に、その経営状況はどうかという御質問ですが、平成3年度の償却後損益で見ると、東京モノレールと湘南モノレールは黒字、千葉都市モノレール、大阪都市モノレール、北九州都市モノレールは赤字となっております。ただし、償却前損益では千葉都市モノレール、北九州都市モノレールとも黒字となっております。
 次に、貸し付けは4社一括であるのか、あるいは個別になるのか、個別とすればその内訳を示せという御質問でございますが、バス事業活性化資金はバス事業個別に貸し付けするものであります。
 バス各社の貸付金額は、那覇交通が約4億4000万円、琉球バスが約1億2000万円、沖縄バスが約3900万円、東陽バスが約1200万円となっております。
 次に、協定書締結の直後に琉球バスが事実上倒産したが、締結時点である程度想定していたのでは、という御質問にお答えいたします。
 琉球バスの問題につきましては、これまでのバス事業者との調整過程において厳しい経営状況にあることは理解しておりましたが、会社整理申請をするほどの状況にあるとは全く想定していませんでした。
 次に、倒産について琉球バスあるいはバス協会から県に対し何らかのコメントがあったと思う、その内容について説明願いたいという御質問でございますが、琉球バスの問題について、琉球バスまたはバス協会からコメントはなく、新聞等の会社整理申請報道で初めて知った次第であります。
 次に、モノレール事業の総事業費は幾らほど予定しているかという御質問でございますが、モノレールの総事業費については現在見直し中であり、関係機関と調整を行っておりますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、インフラ部の国庫補助事業、インフラ外の単独事業は幾らかという御質問でございますが、インフラ部は支柱、けた及び駅舎の骨格部分等で、インフラ外は車両、車庫、駅務機器及び変電所等であります。
 インフラ部については国の補助事業で建設し、インフラ外は会社事業で建設されます。それらの事業費についても現在見直し中であり、関係機関と調整中でありますので、公表は差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、インフラ外の自己負担分の資金調達の方法はどのように考えるかという御質問でございますが、インフラ外の資金としましては沖縄振興開発金融公庫からの借入金、沖縄県、那覇市からの助成金等のほか、出資金を計画しております。出資金については、沖縄県、那覇市、沖縄振興開発金融公庫、民間からの出資を計画しております。
 次に、沖縄公庫からの問題指摘の主なものはどういうものがあり、それに対し県はどのように対処しているかという御質問でございますが、沖縄振興開発金融公庫との調整につきましては、需要推計結果とそれに基づく事業収支計画を説明し、出資、融資について鋭意調整を進めているところでありますが、利用客推計の確実性、経営の見通し等金融機関としての立場から指摘があり、今後とも公庫からの出資、融資の取りつけに全力を傾けていきたいと考えております。
 次に、100万都市の北九州市のモノレール利用客数が1日約3万人と聞いているが、30万都市の那覇市で1日4万人乗る見込みは大丈夫かという御質問にお答えいたします。
 100万都市の北九州市より30万都市の那覇市は不利ではないかとのお尋ねですが、ちなみにモノレールが走る路線区域人口を比較しますと、沖縄都市モノレールが約10万2000人、北九州市モノレールが6万5000人となっており、那覇市の路線区域人口が大幅に上回っております。
 また、那覇市内の道路混雑状況からすると、北九州市モノレールよりも利用客需要条件は有利であると思われることから、1日当たり利用客4万人は妥当な値と考えております。
 次に、北九州市を初め先進のモノレール事業は赤字続きだそうだが、沖縄のモノレールもそうならないか心配である、収支見通しについて伺いたいという御質問にお答えいたします。
 北九州モノレールの営業損益は赤字が続いていますが、年々改善されつつあります。
 一方、償却前営業損益で見ると、開業当初は赤字でしたが、3年目からは黒字に転換しています。また、千葉モノレールでも償却前営業損益は開業後5年目に黒字となっております。
 沖縄都市モノレールの収支計画は、単年度で見ると償却前の損益では早い時期に黒字に転換し、償却後でも10年前後に黒字に転換する見通しになっております。したがいまして、モノレール事業の経営は短期的には厳しいが、長期的には十分採算が見込める事業であると考えております。
 次に、モノレール沿線の主要施設等から発生する利用客数はどのぐらい見込めるのかという御質問でございますが、モノレール沿線主要施設調査によれば、那覇空港、金城地区の商業ゾーン、奥武山運動公園などのモノレール沿線主要施設を利用する1日当たりの利用者及び従業者は約11万6000人となっており、これらの潜在需要の掘り起こしを図ることにより利用客増の見込みが大きいものと考えております。
 次に、モノレール15駅におけるバス等他の交通機関との結節をどのように考えているかとの御質問でございますが、モノレールとバスとの結節は交通広場及びバス停留所の二通りの結節方法が考えられます。現在、主要な8駅においては交通広場を計画しており、バス、タクシー、2輪車との乗り継ぎの利便性を高める計画であります。また、その他の駅についてもバスとモノレールの結節が円滑になるようバス停留所の整備を計画しております。
 このように利用者の利便性向上対策を図ることにより、利用客の確保に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 具志孝助君。
   〔具志孝助君登壇〕
○具志孝助君 私は、実はこの議会ではこれまでの懸案でありましたモノレールの協定書、それからそれを補完する覚書について詳しくただしてまいりたいとこう思ったわけでありますが、予算特別委員会も控えていることでありますので、詳しくはそこに回すことにしまして大まかなことをお尋ねをするわけですが、今回の協定書の特徴は全国に例がない前払い方式をとられたと、いわゆる将来発生するであろう補償金を前払い的に支払いをすると、しかしこれは前払いでは適当でないので貸付金という形にしようやと、こういうことになっていると理解をします。
 そこでお尋ねをしますが、補償金というのは冒頭知事も御説明がありましたが、事業が開始をして初めて事業前と事業後の比較において実質的な損失というのが計算ができる、把握ができると思うわけですが、それを事前にやるということは大変困難をきわめた、これが今日十数年間交渉に時間が経過したというような原因になったことは容易に理解をするわけですが、あえてお尋ねをしますが、この今回貸付金6億程度の予算を計上しました。那覇市も同率で負担していこうということですから、那覇市の負担分入れたらそれの倍ぐらいになるでしょう。12億ぐらいになると思っております。
 そうなりますと、全体的にはどれぐらいの感じで計算がなっていたのか、もし説明ができるようだったらお尋ねをしたいなあというようなことと、それから補償金の前払いということについてやはり一般的に言っては行政上問題にならないかと、こういうような指摘もあるわけなんです。問題になるから貸付金方式なんだと、こういうようなことにもなろうかと思いますが、もう少しここを御説明いただければいいなあと思っております。
 そこでまあまあ、バス企業との交渉はいずれにいたしましても決着をした、大変喜ばしいことであります。あとは資金融資の件、公庫側が先ほど私が申し上げましたあのコメント、場合によってはもし赤字が出ていったらこれは我々は貸すのはいいよと、しかし本当に返してくれるのかねと、こういうような心配ですね。これについては県も那覇市も一緒になって、連帯になって、連帯責任、いわ々る連帯保証人になる約束をされたわけです。それでも財政的な支援策については、まだ補償じゃないと。今、那覇市の、あるいは県の脆弱な財政状況からしてみたら、本当に大丈夫なのかと、まだこう言っているわけですね。これについてどのような形で説得をされようとしているのか、もう一度この財政支援策についてお尋ねをいたします。
 それから、話はちょっと前後しますが、このバス関係には特に大きな影響をもたらす路線問題、特に那覇市内を走っている那覇交通のバス、これは大きく路線変更、路線廃止を迫られてくるわけなんです。このときに路線変更について住民市民のいわゆる理解が得られるか、こういうようなことがあるわけですが、これも早目に場合によっては知らしめる必要もあるんじゃなかろうかと思うんです。
 そういう意味で15駅がある、そのようなことから考えてバス路線の再編というのか、路線廃止の本数というのはもうバス協会と当局においてある程度の話は詰まっているかと思うんです。そうしないとまた補償金の大枠もつかめないと思うんですね。そうであるとすれば、今の時点で支障のない程度で御説明がいただければ、この路線の再編についてある程度市民に理解を得るためにそういう前提で説明ができるんであればお尋ねをしたいなあと、こう思います。
 よろしくお願いします。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午前10時37分休憩
   午前10時39分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 大城義勝君登壇〕
○土木建築部長(大城義勝君) 再質問にお答えいたします。
 まず1点目でございますが、貸付金につきましては県と那覇市が2分の1ずつ負担することとなっております。それを2カ年にわたって継続する2年債務ということになっております。そのことから容易に金額の想定ができようかと思います。
 それから、バスの再編につきましては開業2年前までに詰めることになっておりまして、現在いろいろその案について調整中でございます。そういうことで御理解をいただきたいと思います。
 それから、公庫の融資が最も大きな課題になります、今後。そういったことで、今後鋭意私どもとしては公庫の理解を得るべくいろいろな説明をしながら、最大限の努力を払っていきたいと考えております。御理解いただきたいと思います。
○議長(儀間光男君) 具志孝助君。
   〔具志孝助君登壇〕
○具志孝助君 大変大事な時期でありますので、どうぞひとつ慎重に検討をされて一日も早く公庫の理解もいただき、そして我が沖縄125万県民が待望久しくしておりますモノレールが快調に走り出すようにお願いを申し上げるわけでありますが、こんな状況で、さてじゃ特許申請もいつ予定しているか、そして国庫要請は来年度できますか、そしていよいよ操業開始はこれまで2000年とこういうぐあいに予定を立てておって、今見直し中だとも言っているわけですが、どれぐらいおくれて、西暦二千二、三年には走るのかなとこういうぐあいに思っているわけですが、せっかくの機会でありますので、大体今はこういうような努力目標を置いてことし中には何とか特許申請をしたいとか、そしてモノレールは2002年には走らせたいとか、こんなような目標で結構ですから、お聞かせをいただければと最後にそう希望を申し上げて、そしてお答えできるんであればお答えをしていただいて……。
 相手があることで慎重に運ばなければならないということを重々聞かされております。私も支援をする立場でありますので、理解をいたしまして皆様方のこれからの健闘に期待をいたしたいと思います。
 以上で終わります。
○議長(儀間光男君) 比嘉勝秀君。
   〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 一般質問を行います。
 沖縄問題の真の解決は基地問題の解決によって終了すると、私は日ごろからそう認識をいたしております。
 沖縄県は、第3回目の振興開発計画をスタートしたばかりでございますけれども、今もって沖縄問題の真の解決というのが図られてない。これはまさに基地問題、これも沖縄県の行政が生産性のないこの基地行政に振り回されている。そういうところから見ても、やはり真剣に政治の衝にある者が取り組まなければならない重要な課題だと思います。
 米山防衛施設庁長官が訪米いたしまして、具体的に基地の問題が進もうという状況でございます。太平洋方面アメリカ海兵隊総司令官のスタックポール中将も3月に沖縄にお見えになるようであります。モンデール大使も4月に沖縄にやってくるようであります。そういう要人の来島を期待するとともに、いよいよ基地問題が具体的に動き出していくのかなあという期待をしているところでございます。
 私は、一般質問を行いますけれども、具体的にひとつ大田知事の答弁を求めるものであります。
 第1点目、平成6年度の当初予算を審議する定例議会で大田知事と各党会派との代表質問の中から、基地の整理縮小、実弾演習の廃止について日米の両国政府に強く訴え続けてきたにもかかわらず、その実がなかなか上がらない。大田知事は、かつての土地闘争のときに言及して、あのときの状況は県民が一致団結をして解決に向けることができたのが、現状は行政と一体となってこの基地問題の解決を図っていくというシステムがなされてないところに問題があると嘆いておられます。まさに知事御自身のいら立ちと申しますか、とりようによっては挫折感と申しますか、そういう感じが知事答弁から受けるわけであります。
 知事が引用されたかつての土地闘争のときの状況というのはです、第1点目に施政権が完全にアメリカに握られていたという状況、2点目に日本の立場は沖縄に対して明治の廃藩置県――これは琉球処分とも言われておりますけれども――から戦後27年の異民族支配を通して国策の名において沖縄を見捨ててきたという、ある面、負い目があったことをそのときの状況を思い出していただきたいのであります。
 あのときの状況は、必然的に現地沖縄側の政治的発言力が大きく物を言えた時代であったと思うのであります。したがいまして沖縄県民は必死になって、当時思い出していただきたいわけですが、アメリカ寄りと非難を受けておった比嘉秀平行政主席を先頭に立てて全公務員が総辞職をかけて立法院代表、市町村代表、軍用地主代表ともどもに一致一丸となってワシントンに乗り込み、土地問題解決に身を挺したことは御承知のとおりであります。
 施政権が返還された現在、あの当時の団結力と盛り上がりを知事が期待しているというのであれば、現状に対する認識の甘さが指摘されてもいたし方がないと思うのであります。
 現在の沖縄側の政治的発言力は極端に落ちております。弱くなっております。残念ながらこの状況を認めざるを得ないのであります。
 これは知事が言われていることは、私ども安保を認める、俗に言う保守側に対しても呼びかけていることだろうし、また皆さんの与党、安保破棄を主張してきた皆さんにもこの団結力、政治的発言力が極めて弱くなって団結がされてないという嘆きだろうと思うわけであります。意思統一を図ってこの団結力を図り、そういった強力な政治的バックグラウンドを形成できない大きな要因がそこらに起因しているのではないでしょうか。大変難しい時代を迎えていると言わざるを得ません。大田知事の率直な基地問題に対する時代の基本認識をお示し願いたいと思います。
 2点目、施政権が日本に返還された中で、日米安保条約、地位協定に基づいた基地が現実に存在しているということを認識すべきであります。
 全国の米軍専用基地の75%がこの小さな沖縄に集中しております。これは余りにも広過ぎます、余りにも重過ぎます。したがいまして、沖縄県は、外交権もない地方自治体の県知事がこれら基地問題解決に向けて直接ワシントンに出向いて直訴をしてきたところであります。西銘前知事時代に2度、大田知事になって2度、また国政に復帰した西銘沖特委員長が、ついせんだっての訪米でかなり突っ込んだ話し合いがなされてきたところであります。いずれもそれなりに大きな効果があったと私は率直に評価をいたすものであります。
 ところで、西銘前知事と大田知事の訪米直訴について、交渉の進め方に2人の間に論理的に、また交渉を終わって後の行動において明確な差があることを認めねばなりません。
 西銘さんがアメリカの要人にお会いした際に、日米安保条約が日米の友好と繁栄に大きく果たした役割を積極的に評価をいたします。また、当然提供施設の中での軍事訓練も認めます。
 ところで、沖縄のこの狭い地域で提供施設の中であっても住民に直接危険が及ぶおそれのあるものについては断固反対を表明し、また議会の全会一致の協力も求めて日米の両政府に強く訴え、解決に向けて積極果敢な政治行動を展開したことも御承知のとおりであります。
 西銘知事時代に東村福地ダムでの湖水上訓練をやめさせ、また国頭村安波ダム隣でのハリアーパッド基地の建設を中止させ、恩納村での都市型訓練施設の撤去を実現させた輝かしい実績があったことは御案内のとおりであります。
 ところで、大田知事のやり方、進め方は、要請する内容は西銘さんと大筋似通っておりますけれども、論理の組み立て方が根本的に違っています。現実に存在している安保条約が果たしてきた役割を大田知事は評価いたしません。できるのであればこの条約をなくしたいとも思っております。そして基地の全面的な返還を求めて、基地の存在そのものを否定したいと思っておられます。
 ところが、交渉相手はそこらの本質的な認識を知事がお持ちだということはちゃんとわかっております。そこが問題だと思います。知事が繰り返し述べておられるとおり、安保条約の軍事的側面を取り除いて平和的、経済的側面に改めていきたいということなどは単なる知事の希望であって、現実的処理を具体的に示して解決を図っていく立場の知事の姿勢が、スローガンとしてはよいかもしれませんが、基地の整理縮小が遅々として進まない原因がそこらに起因しているのじゃないでしょうか。
 したがいまして、基地の整理縮小を図るということは、安保条約を破棄し、基地を全面的に開放することによって国の存立、根幹にかかわる国防政策が破綻を来すおそれがあってはならないのであります。国防政策の理念をしっかりした形で保証してやらないと日米間の信頼を損なうおそれがあります。そこを誤って甘い判断と認識で取り組んだときには真の解決は得られない、結果として真の解決が遅々として進まないと思うのでありますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 質問第3点、西銘前知事、大田現知事の知事外交を通して、特に米国ワシントン政府を相手にして基地問題を訴えてきたわけですが、政府要人との交渉の中からこの問題はアメリカを相手にした問題ではなく、日本政府の国内問題であるということを、少なくとも比重をアメリカから日本政府に移すべきであるということを本員はこの報告の中から読み取れるのであります。知事の御所見を賜りたいと思います。
 そしてまた、この基地問題こそ極めて政治的要因を含んだ間題だと思うのであります。ただ単に、行政的に知事公室に任せて実務的に処理できる簡単なものではございません。極めて政治的な問題だと思いますけれども、率直な知事の御所見を賜りたいと思います。
 次、4点目、県道104号線実弾演習の廃止について具体的に御質問を申し上げます。
 私の記憶では、戦後の占領時から復帰以前まで実弾演習は本島内ではやられてなかったと思います。勘違いだったら訂正してください。本土の東富士演習場までわざわざ沖縄から出かけていって実弾演習をやっていたのではないかと私は記憶をいたしておりますけれども、この際、いつの時点から実弾演習が行われるようになったのか具体的にお伺いを申し上げます。
 2点目、西銘代議士一行の訪米で明らかになったことですが、仮に政府が沖縄からの輸送費を財政的に負担するのであれば、実弾演習を本土でやってもよいとの前向きの返事があったと報告されております。大田知事もそのような感触を得ていると思います。西銘さんは具体的にアメリカ側の意思を日本政府の要路に伝えたと聞いております。大田知事も関係要路に要請されたことがあるのかどうか、なされたのであれば具体的にどの場所に移してもらいたいと、はっきりした明確な御答弁を願いたいと思います。
 それから、大田知事の基地問題に対する考え方、例えば反戦平和等の理念からすると、本土のどの場所に政府の負担で移してやってもらいたいとは言い切れないのではないだろうかという懸念もあります。実際問題どうなのか、具体的にお答え願いたい。
 4点目、西銘訪米の際、県道104号の問題でお願いしたところ、実際のところ西銘前知事、あなたが知事時代から粘り強く訴えた結果、近い将来解決を見るかもしれない、しかし解決した際にその花は大田知事が取るんですねと冗談で言われたようであります。しかし花は大田知事が取っても、その実は県民自体が取るわけですから、花は要りませんと西銘さんは答えたようであります。このやりとりを大田知事はどう受けとめられるか、率直な御所見を賜りたいと思います。
 軍転特措法についてであります。
 現在は軍縮の時代です。基地を大幅に整理縮小し、その跡地を計画的に活用し、さらなる発展の起爆剤としなければなりません。沖縄県議会も時間をかけて論議をし、軍転法の制定に向けて全会一致の決議を見ております。足並みが完全にそろったところであります。いよいよ大田知事の手腕、力量が問われるところであります。
 1点目、今や軍転法は法律として制定を図らなければなりません。政府の厚い壁を打ち破ってその成立を図るためには、大変なエネルギーが必要になろうかと思うのであります。政治的発言力は、さきに申し上げましたとおり沖縄側は弱まっております。この沖縄側の意思の集約をどのように図っていくおつもりであるのか、その手法を具体的に示していただきたいと思います。
 2点目、この法案が成立を見たときの状況について御質問を申し上げます。
 軍転法が通りますと確実に制度化が図られ、このシステムにのっとって地主は競って土地の返還を求めてまいります。その結果として、大田知事の政治的なねらいである基地の全面返還に通ずる道であります。当然、基地の維持は現実問題としてできなくなることは火を見るよりも明らかであります。そのように認識をし理解してよいのかどうか、知事の御所見を賜りたいと思います。
 答弁によって再質問を行います。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 比嘉勝秀議員の御質問にお答えいたします。
 まず、基地問題の解決を要請する上で、現状は行政と一体となって解決を図っていくというシステムができていないと知事は言っている。しかし、施政権が返還された現在もなお復帰前の県民の団結力と盛り上がりを期待しているところに知事の現状に対する認識の甘さがあると、知事の基地問題に対する時代の基本認識を示してほしいという趣旨の御質問でございます。
 米軍の土地接収に対する県民の反対闘争や施政権の返還を求める県民が結集して日米両国政府に対しその解決を訴えた1950年代当時の政治状況と、施政権が返還された後の今日の政治的状況とでは、御指摘のように大きな変化があることは私も十分に承知しております。
 しかしながら、復帰20周年目にマスコミ各社が行った世論調査によりますと、県民の約80%が基地の整理縮小を望んでいることが明らかになっております。したがいまして基地の整理縮小についての要請は、行政府は当然のことでございますけれども、県民もそれぞれの立場を超えてできることを行政と一緒になってやっていくというのが望ましいことは、これまた当然のことでございます。
 沖縄の基地問題は、一朝一夕にして解決できるものではなく、今後長期的に解決を図っていかなければならない課題でありますが、その際、県民が一体となって両国政府に訴えるのでなければ、その効果は大きくないということを認識しているから申し上げた次第でございます。
 次に、国防政策の理念を保証せず、安保条約を破棄し基地を全面的に開放するなどといった甘い判断と認識で取り組むと、結果として真の解決が遅々として進まないと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御承知のように、安保条約は本県に過重な基地負担を強いていることは比嘉議員も御指摘のとおりでございます。面積で全国の0.6%にすぎない本県に、米軍の専用施設の75%に当たる広大な施設・区域が集中し、航空機騒音や実弾射撃演習等によって県民生活に現実に多大の悪影響を及ぼしているばかりでなく、未来に向けての振興開発を図る上でも大きな制約となっていることは、改めて指摘するまでもないことだと思います。したがいまして私は、2度の訪米要請を含め日米両国政府に対し米軍の基地問題の解決を繰り返し要請してきたところであります。
 平成4年7月のことでございますが、恩納村の都市型戦闘訓練施設が撤去されました。これは、私が恩納村のおばあさんたちが座り込みをしている実情を踏まえまして、復帰20周年までにぜひとも目に見える形で解決してほしいということを強く要請したわけでございまして、また平成5年8月には、県道104号線越えの実弾射撃演習に係る3砲座の廃止が決定されたことも御承知のことだと思います。
 去る2月1日には細川総理大臣に直接お会いして、太平洋戦争終結50周年に向けて沖縄の基地問題が目に見える形で解決されるよう強く要請したところでございます。
 その後、2月26日の米山防衛施設庁長官の訪米など沖縄の米軍基地問題は日米間における具体的な交渉のテーブルにのっかっておりますが、これはこれまでにめったに見られなかったことだと考えており、展望が開けるのではないかという期待を持っております。
 それから、沖縄の基地問題はむしろ国内問題であるとされており、比重を日本政府に移すべきと思うが知事の見解はどうかという御質問にお答えいたします。
 我が国における米軍基地は、日本安保条約に基づいて存在していることは周知の事実であります。したがってこの条約の当事者国である日米両国政府に基地問題を訴えることは当然のことと考えております。したがいまして私は、これまで機会あるごとに日米両国政府に対し沖縄県民の生命財産を守る立場から基地問題の解決を要請してきています。
 これまでの要請の過程で強く感じましたことは、当事者である両国政府にそれぞれ行きますと、一方の側は他方の責任じゃないかと、他方の側はまたあっちの責任じゃないかという、そういう言い方でやること、これはもう日常的に見られることでございまして、ですからそういったことについては我々としては客観的に判断をして、繰り返し繰り返し両国政府に対して強く要請していきたいというふうに考えております。
 それから、基地問題こそ極めて政治的要因を含んだ問題であり、ただ行政的、実務的に処理できるものではないと思うがどうかと。
 おっしゃるとおり、基地問題を解決するためには行政の責任者としては可能な限り全力を尽くして当たるべきでございます。しかしながら、それに加えまして政治的な立場からの要請もまた不可欠であると考えておりまして、その面でも最大限の努力を傾けているところでございます。したがいまして軍転特措法の立法化の問題につきましても、行政的な立場からの要請とあわせまして、政治的にもそれらの解決が図られるよう政治家の先生方にも可能な限りお会いしてお願いしているところでございます。
 県道104号線実弾射撃演習の廃止について、西銘訪米の際、県道104号線の問題で要請したときのやりとりを知事としてどう受けとめるかという御質問にお答えいたします。
 会談の内容はよく承知しておりませんが、西銘衆議院議員が沖縄の基地問題解決のために訪米されたことについては、大変心強く思っているところでございます。
 なお、私たちは、沖縄のいわば県民性とでも申しますか、自分の苦しみを他に移すということは好まない県民性を持っているというふうに思っております。したがいまして私たちは、現実に104号線越えの実弾射撃演習で地元の人々、そして県民が苦しんでいる事態をよその方に移そうという気持ち、そういう特定の場所を決めてそこに移してほしいというような気持ちは持っておりませんので、御理解いただきたいと思います。
 なお、お許しを得て、その他の御質問につきましては関係部長から答弁させます。
○議長(儀間光男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 高山朝光君登壇〕
○知事公室長(高山朝光君) 比嘉勝秀議員の御質問にお答えをいたします。
 県道104号線実弾射撃演習の廃止について、県道104号線越え実弾射撃演習はいつの時点から行われるようになったのか、具体的に伺いたいとの御質問にお答えをいたします。
 同演習の開始時期につきましては、那覇防衛施設局、在沖米海兵隊に照会いたしますとともに、地元金武町の記録を調査をいたしました。それによりますと昭和25年6月、朝鮮戦争が勃発する前後、米軍は伊芸、屋嘉の杣山地帯や恩納岳、ブート岳を目標に陸海空の射撃演習を開始したとなっております。
 さらに、復帰後最初の同演習は昭和48年3月30日に実施され、そのときは105ミリ砲であったとなっております。
 また、県道の封鎖は昭和48年4月24日の第2回目から実施されているとのことであります。
 次に、同じく104号線越えでございますが、西銘代議士は訪米要請で県道104号線越え実弾射撃演習について、仮に政府が沖縄からの輸送費を財政的に負担すれば本土でやってもよいとの米側からの返事を日本政府要路に伝えたとのことである、知事も関係要路に要請されたか。やったとすれば、具体的にどの場所に移した方がよいかということについて答えてほしいということにつきましては、先ほど知事がお答えをしたとおりでございます。
 次の104号線越え実弾射撃演習の廃止についてでございますが、知事の反戦平和の理念からすると、本土のどの場所に政府の負担で移してもらいたいとは言えないのではないかとの実際問題として具体的に答えてもらいたいとの御質問にお答えいたします。 
 狭隘な島で、しかも住民地域に近い場所で行われている県道104号線越え実弾射撃演習は極めて危険であり、環境の破壊にもつながっております。
 このようなことから、県はこれまで日米両政府に対しその演習の廃止を繰り返し要請してきました。したがいまして沖縄の実弾射撃演習を特定の場所に移してほしいとの要請を行ったことはございません。今後とも日米両政府に対し県道104号線越え実弾射撃演習の廃止を要請していきたいと思っております。
 次に、軍転特措法の制定について、軍転特措法を法律として成立させるために沖縄側の意思の集約をどのように図っていくつもりか、その手法を具体的に示していただきたいとの御質問にお答えいたします。
 既に県議会で全会一致で軍転特措法の制定に向けての要請を御決議いただき、政府、関係先に御要請いただきましたことに対し、まず御礼を申し上げます。
 県は、軍転特措法について平成3年11月以来機会あるごとに関係省庁、各政党及び国会関係要路へ要請をいたしてまいりました。また県議会を初め軍転協、軍用地等地主会連合会等においても早期制定に向け関係機関へ積極的な要請活動が行われ、県民一体となって推進する機運が盛り上がっております。今後さらに県議会の先生方を初め軍転協、軍用地等地主会連合会など関係団体との緊密な連携を図りつつ、県民の意向の集約に努めてまいりたいと考えております。これを踏まえ県といたしましては、軍転特措法の立法化に向け一層粘り強く要請してまいりたいと思っております。
 次、同じく軍転特措法の制定について、軍転法が通ると確実に制度化が図られ、このシステムにのっとって地主は土地の返還を求める、結果として基地の全面返還に通じ基地の維持は現実問題としてできなくなることは明らかである、そのように認識をし理解してよいのか所見を聞きたいという御質問にお答えをいたします。
 これまでの米軍基地の返還が跡利用計画のないまま返還されたり、細切れに返還されたことなどにより長期間にわたり遊休化した事例が多く、そのため地主が経済的に大きな損失をこうむっている状況にあります。軍転特措法は、このような状況を抜本的に解決するために返還のあり方、地主の損失補償、市町村等への行財政上の支援措置を盛り込んだ内容とするものであります。返還跡利用の現実的な対応を図るものでございます。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 比嘉勝秀君。
   〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 再質問を行います。
 かつて日本社会党の今は亡き浅沼委員長がこういった発言をしたことがございます。黒い飛行機、あれは正式にはB52でしょうか、偵察機、これが終戦後関東地区の砂川基地に飛来したときに、こういった危険なものは沖縄に持っていけと、こういった発言を実はしたことがあるんです。これは亡くなった人を言うわけじゃございませんけれども、私は、こういった面からするとやはり沖縄に対する本土政治家の見方というのは、うちの自民党も社会党も共産党に至って余り信頼できないです、これは正直言って。
 ですからこういったことじゃなくして、大田知事、具体的に自分の苦しみをほかに移すという、今の議論とは違うんです。私は、少なくともこれだけ基地の重圧に苦しんでいる沖縄側のこの具体的な、スタックポールさんが費用をかけたら移していいよと言っているわけですから、痛み分けをやってもらいたいと、そのぐらいのことは言ってもらわないと、ただ自分の理想的なことを言っても始まらないと思うわけであります。
 それから国防問題、これはやはりしっかりした考えを持ってかからぬと、我が国の不幸というのは日本社会党、自由民主党、この国防問題、大切な国の根幹にかかわる問題、不毛の論争が今日まであって、今国民から大きな批判を受けているわけです。まさに不毛な論争でした。ですからこういった連合政権の時代で国防問題、しっかりした形で今位置づけされようとしているさなかでございますので、やはり政治家としての大田知事の国防問題に対するしっかりした形をもう一度御答弁を願いたいと思います。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 比嘉勝秀議員の再質問にお答えいたします。
 比嘉議員が県出身の議員として今申し上げたことについては、私も相当程度に同感でございます。したがいまして私が知事会議などでも申し上げていること、それから機会あるごとに政府の要路に対して申し上げていることは、日米安保条約がそれほど重要だというふうな基本線に立たれるのであれば、その過重な負担を沖縄というようなところだけに過去半世紀もしわ寄せする形で押しつけるのではなくて、日本全国が共通に、平等に負担したらどうですかということは繰り返し申している点でございます。
 それから、国防問題につきまして、これはもう国の非常に重要な問題でございますし、また地方自治体にとっても御指摘のとおり非常に大事な点でございますが、私は、国防問題につきましては過去の沖縄戦を踏まえ太平洋戦争の苦い経験を踏まえ、日本国憲法に基づいて平和を大事にし人間性を尊重する、命を大事にする立場から、経済的な、文化的な友好関係に立った国防というものを考えているわけでございます。
○議長(儀間光男君) 上原賢一君。
   〔上原賢一君登壇〕
○上原賢一君 一般質問を行います。
 基地問題についてまず最初にお伺いをいたします。
 大田知事は、日米安保条約前文についてどういう御見解をお持ちですか、日ごろの知事発言との絡みでこの点知事の見解を求めます。
 次に、琉球新報平成6年1月24日朝刊の104号線問題関連の記事の中で防衛施設庁の見解として、「演習用の兵器移動費を日本政府が負担するのは、現行の地位協定では不可能」との施設庁見解が報道の中にあるわけでございますが、さきの西銘衆議院議員、儀間光男議長、そして私、西銘恒三郎議員ともどもの訪米の際の米国側からいただいたお答えとは、日本政府の意見として異なった見解が出ているわけですが、これについて知事の地位協定24条の経費負担の解釈の問題だと思いますが、お考えをお聞かせください。
 せっかくですから、訪米の際の米国政府高官との折衝の中における我々の要請活動の一端を御披露しておきたいと思います。
 国務省のロード次官補との会見の中で、儀間光男県議会議長がこういう発言をいたしております。県議会においては、全会一致でもって県道104号線越え実弾演習廃止の決議を行ってきた。民主主義の本家本元である米国政府におかれては、沖縄124万県民の意思を尊重し、一日も早く同間題の解決に向け御尽力賜りたいという発言をいたしたわけで、議会の全会一致の104号線越え実弾演習廃止の意思を明確に米国政府高官に提示したわけでございます。その答えは新聞報道でも御承知のとおりでございまして、非常にいい回答を得られたものだと思っております。
 昨年3月のスタックポールの那覇市における発言、要するに実弾演習については日本政府が負担をすれば別でやってもいいという発言を、一軍人の発言の裏づけを政府の国務省並びに国防総省の高官の発言として確約を得てきたと、今回の訪米はそういう成果を得た意義ある訪米であったというふうに思っております。
 3番目に、新年度予算に、知事は本土主要新聞への基地問題解決を伝える広告を掲載されると、こういうことであります。
 先ほどの比嘉勝秀議員の質問にもありましたように、現在の政権は連立細川政権であります。大田知事を支援している政党、代表して申し上げれば日本社会党、これは細川政権を支える最大の与党政党であります。我が国の政治が政党政治でもって運営されている限りにおきましては、その政党の意思を明確に政策でもって反映していくのが政党政治であることからするならば、何ゆえもって大田知事はみずから最も近い、支えている政権政党の社会党、そのようなルートを通して細川政権に対してみずからの政策を訴えていかないのか、解決策を目指していかないのか。何ゆえにもってある意味では大田県政のとってきた常套的な手法であるパフォーマンス的な手法でもってマスコミを利用して問題の解決に当たるのか。何で、ルートはたくさんあるのに――以前の自民党政権下であればわかります、しかしあたたを支えている政党がその支持基盤の中核であるわけでございますから、そのような政党政治のルートに乗って、なぜみずからの問題の解決に当たっていかないのか、全く46都道府県どの県政でもとったことのない手法でもって問題の解決に当たっていくのか、実に一連のマスコミを利用するという大田県政の、ある意味では余りにも政治的な政治手法が見え隠れしていると、こういうふうに理解するしかないわけであります。その辺のことについて御答弁を願います。
 次に、汚水処理についてでございますが、県内におけるし尿の処理についてでございます。
 本県のし尿の約24%が海洋投棄をなされているわけでございますが、本県のし尿の海洋投棄の実態についてお答えください。
 生のし尿をそのまま何の処理も施さないで、我が糸満市の沖54海里ですか、たしか、そこにそのまま投棄している。これをずうっと続けてきている。あの場所は、パヤオ漁業という先進的な漁法が開発されまして、パヤオ漁法のまさしく漁場になっているわけです。港川漁協、糸満漁協、カツオ・マグロはそこで漁獲されている。そういう場所にし尿をそのまま捨てている。それをずうっと続けてきている。その実態についてお答え願います。
 環境保健部はあくまでも管理責任者であります。実態とこれについての県の考え方、今後の対応、それから海洋汚染防止のためのロンドン条約締約国会議において総量規制ということが約束されておりますが、これとの関連でもってお答え願います。
 それから、環境保健部長がお答えするかもしれませんが、農林水産部長、あたたはこの漁場保全という部長としての役割があるわけでございますが、農林水産部長としてこの生し尿を良好なパヤオ漁場に投棄していると、この実態についてどういう見解を持っているのか、お答えを願います。
 次、単独浄化槽の実態についてでございますが、浄化槽法第7条検査の実施状況、この実施状況についてでございますが、同条の遵守が実態としてなされていないとすれば、その原因と解決策についてお答えを願います。
 それから浄化槽法第11条の実施状況、同じく同条の遵守がなされていないとすれば、それの原因と解決策についてお答えを願います。
 次に、小型合併処理浄化槽の普及についてでございますが、小型合併処理浄化槽の機能とそれについての県の考え方、単独浄化槽との比較においてお答えを願います。
 ちなみに、単独浄化槽というのは従来言われている浄化槽でございますが、これはトイレから出る汚水等々を処理するのみでございますが、合併処理浄化槽は台所で使う汚水も合併して処理していくということで、むしろ今の海洋汚染、河川の汚染の実態を見ました場合、トイレから出るものの処理も大事でございますが、この台所から出る汚染物質が海や川を汚しているということもまた大きいわけでございます。
 小型合併処理浄化槽は、ほぼ公共下水道でもって処理されるだけの汚水処理の実績が出ると、こういうことでございます。ぜひともこれを普及していただきたいと思うわけですが、これの普及についての県の考え方と普及実績についてお答えを願います。
 沖縄県においては、他県並みの小型合併処理浄化槽の普及がなされておりませんが、その原因と解決策についてお答えを願います。
 次に、合併処理浄化槽設置事業、平成3年度から7年度まででございますが、これに対する県の取り組み姿勢と現在までの実績についてお答えを願います。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 上原賢一議員の御質問にお答えいたします。
 まず、日米安保条約前文に対する知事の見解を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
 日米安保条約の前文には、日米両国間の平和、友好関係の強化、経済的協力の促進等という相互協力の側面と自衛権の保有、極東の平和及び安全の維持に関する関心、すなわち安全保障という軍事的側面があります。我が県の米軍用地というものは、この軍事的側面によって過重な負担となっているというふうに理解しております。
 次に、基地間題との関連で、なぜ政治的に政党を利用してやらずにマスコミを利用しようとするのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 これまで政治的に政党レベルではもう繰り返し繰り返しやっております。例えば社会党の沖縄総合対策委員会というのがございますが、そこの山口委員長を初めとする他の有力な閣僚の方々にもお願いしておりますし、現にせんだって総理にお会いしましたときも、社会党の出身であります上原開発庁長官も同席して基地問題の解決に一緒になって訴えたところでございます。
 しかしながら、日本全国の今の若い人たちの意識とでも申しますか、認識とでも申しますか、それが現実に沖縄が過重な負担を強いられているという事実さえ知らないというのが非常に多うございますし、またそのような問題について本土のマスコミというものは復帰前のように沖縄の問題を報道していません。したがいまして、非常に政治、社会を変えていく上で力を持っているマスコミを通して訴えるということは沖縄の基地間題の解決に当然のことでありまして、しかも最も効果的な方法の一つだと考えております。
 次に、汚水処理の問題との関連で、県内におけるし尿処理についてロンドン条約に定める総量規制についての御質問にお答えいたします。
 海洋環境を汚染する原因を効果的に規制することを目的に提唱されたロンドン海洋投棄条約、いわゆるロンドン条約は、主に放射性廃棄物、右害廃棄物等の投棄の禁止について規定しております。平成5年11月開催されたロンドン条約締約国会議においては、一部廃棄物の規制強化が図られたほか、その他の廃棄物についても投棄総量に配慮することが求められております。
 現在、し尿など自然起源の有機物質については投棄可能となっておりますが、海洋環境の保全の立場から陸上処理へ移行するよう市町村に対し指導助言を行っております。
 なお、し尿の陸上処理については、平成9年度においてし尿処理施設の整備を計画しており、海洋投入処分は解消されるものと考えております。
 お許しを得て、その他の御質問につきましては、関係部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
○議長(儀間光男君) 知事公室長。
  〔知事公室長 高山朝光君登壇〕
○知事公室長(高山朝光君) 上原賢一議員の御質問にお答えいたします。
 県道104号線越え実弾射撃演習の廃止について、平成6年1月24日の琉球新報朝刊の県道104号線問題関連記事の中の、「演習用の兵器移動費を日本政府が負担するのは、現行の地位協定では不可能」との防衛施設庁の見解に対してどうかとの御質問にお答えをいたします。
 御質問の趣旨の防衛施設庁の見解につきましては新聞で報道されておりますので、そのことにつきましては承知をいたしております。
 県がこれまで行ってきました県道104号線越え実弾射撃演習につきましての要請は、経費の件でなく、場所も特定しての移設要請ではなく、日米両政府で解決してほしいと、あくまでも廃止を要請をしてまいりました。
 それから次の件で、本土主要新聞への基地問題解決を訴える広告掲載について多額の経費をかけて効果は期待できるのかという御質問にお答えいたします。
 昨年の訪米時におけるワシントンポスト紙への新聞掲載は、国内、国外でも相当の反響がございました。これまでの県議会におきましても、沖縄の基地問題の実情を広く国民に訴える必要があるのではないかとの御提言もいただいておりますので、平成6年度は新しい試みとして国内全国紙を活用し、沖縄の基地問題の深刻な実態を国民に広く訴えていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 砂川恵徹君登壇〕
○環境保健部長(砂川恵徹君) 上原賢一議員の御質問にお答えいたします。
 汚水処理について、県内におけるし尿処理について、本県のし尿の海洋投棄の実態はどうなっているのか、これについての県の考え方と今後の対応について所見を伺いたいという2つの質問に一括してお答えいたします。
 平成4年度における県内で収集されたし尿は、1日当たり373キロリットルとなっており、そのうちし尿処理施設で約65%が処理され、海洋投入による処理が約22%、農村還元処理が約8%、下水道投入処理が約4%等となっております。
 し尿の海洋投入については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の規定に基づき、粉砕等の前処理をした後、国の指定した排出海域、領海基線より52海里の公海上において海洋投入処分しております。
 県としましては、し尿の海洋投入は違法ではありませんが、衛生的処理及び海洋汚染防止の観点から陸上処理に移行することが望ましいとの方針に沿って、現在、一部し尿の海洋投入処分を行っている那覇市、浦添市及び南風原町に対し陸上処理への移行について指導助言を行っております。
 なお、平成9年度において那覇市及び南風原町がし尿処理施設を整備する計画であり、また浦添市においても既存のし尿処理施設への委託処理を行うこととしておりますので、陸上処理の実現が可能であると考えております。
 続きまして、汚水処理のうち浄化槽法第7条の内容と検査の実施状況、同条の遵守がなされていないとすればその原因と解決策、浄化槽法第11条の内容とその実施状況、同条の遵守がなされていないとすればその原因と解決策についてお答えをいたします。
 浄化槽法第7条は、浄化槽を設置後6カ月後2カ月以内に、工事が適正に施工され浄化槽本来の機能が発揮されているかを確認するため水質検査の受検義務を定めたものであります。
 浄化槽法第11条は、浄化槽の管理状況を客観的に判断するため指定検査機関の行う水質に関する検査を受ける義務を定めたものであります。平成4年度における当県の法定検査の実施状況は、7条検査の実施率が2.7%、11条検査については3.3%で極めて低い状況にあります。
 このような現状を解消するため、県では浄化槽管理者へ管理及び関係法令遵守を指導する目的で浄化槽に関する諸情報の電算化を平成4年度、5年度継続事業として進めているところであります。県では、同電算システムが本格稼働する平成6年度より浄化槽管理者への直接指導及び法定検査時期の通知等を行い、指導の強化を図る考えであります。
 また、従来、浄化槽の日の10月1日を中心に行ってきた浄化槽維持管理キャンペーンを強化し、浄化槽管理者への維持管理意識の啓発を行い、維持管理状況の改善を図っていく考えであります。
 続きまして、汚水処理のうち小型合併浄化槽の普及について、小型合併浄化槽の機能とそれについての県の考え方について、単独処理槽との比較についてということでございます。これの普及について、県の考えとその実績、他県並みの普及がないがその原因と解決策、合併浄化槽設置事業に対する県の取り組む姿勢と実績ということに一括してお答えいたします。
 合併処理浄化槽とは、し尿と台所排水等雑排水をあわせて処理する浄化槽で、し尿だけを処理する単独処理浄化槽に比べ処理能力が高く、下水道と同等の機能を有しております。生活環境及び公共用水域の水質保全を図る上で有効た手段であります。
 国においては、市町村が設置者――個人でありますが――に補助する合併処理浄化槽設置整備事業について昭和62年度から補助制度を創設しております。県でも同制度の活用に加え県費補助により普及促進を図っております。
 その実績としましては、平成3年度を初年度とし、名護市、宜野座村、金武町で同事業を実施し、平成7年度からは宮古地域を加え事業を実施する予定であります。
 しかし、他県の状況と比較すると導入時期が遅かった等の事情もあり、実績としていまだ33基と低い状況にあります。今後とも県では市町村に対し、総合的な生活排水対策及び合併処理浄化槽の整備を含めた排水対策について指導していく考えであります。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 農林水産部長。
  〔農林水産部長 赤嶺 勇君登壇〕
○農林水産部長(赤嶺 勇君) 汚水処理との関連でございますが、海洋投棄について、漁場の保全に取り組まねばならない農林水産部長の見解は、との御質問にお答えいたします。
 し尿の海洋投棄による海岸及び沖合漁業につきましては、直接的な影響があったとは聞き及んでおりません。しかしながら、し尿の海洋投棄につきましては、漁場の保全及び海洋汚染防止の観点から好ましくないので陸上処理に移行すべきだと考えております。
○上原賢一君 ちょっと休憩願います。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午前11時47分休憩
   午前11時48分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 環境保健部長。
   〔環境保健部長 砂川恵徹君登壇〕
○環境保健部長(砂川恵徹君) お答えをしているつもりでありますが、導入した時期が他府県と比べて遅かったという状況があって……
○上原賢一君 ちょっと休憩。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午前11時48分休憩
   午前11時51分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 環境保健部長。
   〔環境保健部長 砂川恵徹君登壇〕
○環境保健部長(砂川恵徹君) その原因ということでございますが、いろいろそういう相談もいたしましたが、いきさつというのがなかなか難しくて、やはりこれまでの設置者の認識の問題だというふうなことしか申し上げられないんですが、それを解決するためにどうするかということで、後半の部分お答えをいたしておりますが、浄化槽の管理者への管理及び関係法令遵守を指導する目的で電算化を行って、それを通知を徹底して意識の改革を行っていくというふうなことをするつもりでおります。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 上原賢一君。
   〔上原賢一君登壇〕
○上原賢一君 日米安保条約前文に対する知事の見解をお聞きしたわけですが、どうも答えが明確じゃないので少し日米安保条約前文を読み上げます。
  日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約 
  日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的 に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民 主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並び にそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、両国が国際連合 憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よって、次のと おり協定する。
 と、こういう前文があるわけです。
 今読み上げた限りにおいては、だれが考えてもこれは平和を希求するということと、知事が常々言われている友好条約的なのがこの条約じゃないかと私は思っているわけです。そして、経済的関係を相互に協力関係でもって維持していくということを前文でうたっているわけです。
 それから、2条でもその国際経済政策における食い違いを除くことに努め、また両国の間の経済的協力を促進すると。知事が昨日の一般質問の答弁で言っているように、日米安保条約はもちろん相互防衛条約でありますが、その内容は単なる防衛条約じゃなくて、お互いの平和を希求すると、友好関係を保つ、経済的協力関係を保つと、こういうことを前文にも条文でもうたっているのが日米安保条約なんですよ。
 ですから、お聞きしたいことは、日米安保については平和的、友好的なものに変えていくと、こういうことを言っておりますが、じゃ、現日米安保条約は平和ないしは友好的、そしてまた経済的な協力関係をうたった条約ではないという、知事がそういう日米安保についての解釈をなされるのであれば、その根拠はどこにあるんですか、それをお答え願います。
 次に、もし知事が平和的、友好的な条約に変えていくということであるならば、国際条約、国際法は事例主義です。じゃ、どこに知事の考えているようなそういう友好条約があるのか、事例でもって示していただきたい。
 2点目、次に平成3年9月の知事訪米の際、訪米の成果報告の中で知事は、アンダーソン国務次官補代理との会談での中でこういうことを言っております。知事の明確なアンダーソン国務次官補に対する要請の言葉の中に、日米安保関係の重要性及びそれが日米関係に持つ意義は知事は理解していると、こういうコメントを発表している、これは当局からもらった資料ですから。このコメントと知事が日ごろ公式の議会答弁で言っている答えとは全く相反することをアメリカの米国政府に言っているわけですが、この違いについてどういうことなのか、御答弁願います。
 それから、昨年3月の那覇市におけるスタックポール発言、太平洋方面米海兵隊総司令官、この方はもう日本国を含めた極東太平洋方面の海兵隊については最高の責任者でありますが、スタックポールが那覇市において、日本政府がファイナンス並びに兵たんを負担するならば別の場所でやってもいいという発言を行ったわけです。あれからもう1年たった。
 ああいう発言があったにもかかわらず、先ほどの知事公室長の発言にあったように全く大田知事はこれを受けてのアクションは起こしていない。何で行わないのか。目下、懸案となっているこの104号線越えの問題の解決に向けて太平洋方面の最高の責任者であるスタックポールは移していいと言っているのに、これについて1年たっても知事、何のアクションも起こしていない、全く理解に苦しむところであります。何でこれを受けて知事は行動しないのか、政府に対して働きかけをしないのか、これについてお答えを願います。
 本土新聞への基地問題の記事の掲載についての問題でございますが、まさしく知事の言われたように繰り返し繰り返し要請しても成果が出てこない。これは我々県議会としても何回も要請活動をしても全く同じような苦しみを味わってきた、これは前県政の時代でもまたそうであったと思います。
 しかし、行政はその繰り返し繰り返しを続ける中から成果を見出していく以外にないんだというふうに我々は理解をしているんです。繰り返し繰り返しやる以外にないんですよ。パフォーマンスでもって物事が解決するわけはない。行政の努力を放棄してはいけません。知事を先頭にして我々議会も、何度でも何度でも足を運んで要請する中からしか答えは出てこないと。新聞に出したから答えが出てくる、ましてや政権がかわったら頻繁に足を運ぶかと思ったら、大田県政、全くそういう活動、行動の跡が見られない。これが我々の実感であります。これについての御答弁も願います。
 汚水処理について詳しくお聞きしたいんですが、時間が余りありません。先ほども申し上げましたように、し尿の問題は、農林水産部長は法律上関係がない、直接的な影響はないと言っていますけれども、港川漁協からは要請が来ているはずですよ、やめてくれと。こんな漁民からの要請も来ている。ましてや糸満と港川の漁民はそこで魚をとっているんですよ。昔と違う。昔はそこは漁場じゃなかったんですよ。十数年前からそこは良好な漁場になっているんです。県民の食べる刺身はそこでとっているんですよ。それをですね、直接的な影響がないと。
 農林水産部長、もしこのことを県民が知って、あそこでとった刺身には寄生虫があるとか何とかの問題になったときの責任、どうとりますか。これは予算特別委員会で詳しくやりますから、時間がありませんので。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後0時1分休憩
   午後0時2分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 上原議員の再質問にお答えいたします。
 まず、日米安保条約の経済的側面、平和的側面について読み上げられたわけでございますけれども、それは私が先ほど申し上げましたように相互協力の側面でございまして、その次に安全保障の側面を持っているというふうに申し上げたわけでございます。
 これまで基地間題の解決という場合に、我々が現地の司令官に会います、例えば104号線の現地の司令官に会いますと、我々は日米安保条約、地位協定に基づいてこの義務を果たしているんだと、日米安保条約の義務を果たしていて演習をしているんだと、演習をしない軍隊は軍隊ではないと、だから我々は義務を果たしているから、そこを理解してほしいということを言うわけです。
 そこから、それだとすれば、日米安保条約の問題を今の平和条約的な経済的な側面をもっと前面に出すようなものに持っていけば、今の軍事基地、演習は必要ないという論理になるわけでございまして、そこからそういうことを申し上げているわけでございます。
 それから事例主義の問題ですが、日中平和条約的なものが一つの例ではないかと思います。
 それから、スタックポール発言について、日本政府が軍隊を移す費用を負担すれば移してもいいという話、それを防衛施設庁の高官、それから防衛庁の高官にも、アメリカ側の人がこういうことを話していますよということは言っております、ちゃんと。そして、その答えとしては、といったってどこに移したらいいかと、東富士に移そうとしたら、向こうの住民は大反対しているし、というようなそういう発言も聞いております。
 それから、行政が繰り返し繰り返し政治家も含めて政府要路に要求すべきであって、マスコミを利用するのはおかしいじゃないかというような趣旨の御発言ですが、これは決してそうではありません。今は民主政治というのは世論の政治でございますから、行政や政治家というのは当然その責任を果たすことは当たり前ですけれども、しかしマスコミを通して世論形成をするということは、問題解決を図る上で非常に効果的でありますので、これはやらなくちゃいけないというふうに考えております。
○上原賢一君 ちょっと休憩願います。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後0時5分休憩
   午後0時8分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えします。
 繰り返しになりますけれども、これまで日米両国政府に、沖縄の基地問題が余りにも過重だから、県民の立場からはもうこれ以上我慢できませんから、しかも実弾射撃演習をリゾート地のすぐ近くでやる、自然破壊の問題とか不発弾の問題とか、もうこれ以上耐えられませんから、どうかひとつ撤去してくださいと言いましたら、日米安保条約があるおかげで日本の繁栄があるとかですね、日米安保条約がアジアで果たしているその意義とか、いろいろ聞かされるものですから、アメリカヘ行ったときもまたそのことを言うものです
から、皆さんがそうおっしゃることは理解できますということを申し上げているわけですよ。そういうことがあるということを理解できますと。
 しかし、そのことによって沖縄だけが過重な負担を負わされるのはもう御免ですと。日米安保条約がそれほど重要であれば、日本全国民が共通に負担も分担して平等に責任を負うべきだということを繰り返し言っているわけです。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後0時9分休憩
   午後1時30分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 午前の上原賢一君の質問及び質疑に対する答弁を願います。
 知事公室長。
   〔知事公室長 高山朝光君登壇〕
○知事公室長(高山朝光君) 上原賢一議員の知事訪米時の発言関連についてお答えを申し上げます。
 実は、先ほどお見せしていただきました資料に基づきまして調べをいたしました。この中で、報告の中では、おおむね次のとおりということで、日米安保関係の重要性及びそれが日米関係の持つ意義は理解しているというような表現になっていますんで、本来どのような経緯ということ、全体的なところの知事が述べた分について問い合わせをいたそうということにして調べをしましたんですが、実は現在、この基地対策室の方にその職員は勤務しておりませんで、連絡がとれなかったんで詳細については本人から聞いておりませんが、いずれにいたしましてもこれは、おおむねという形でのここの記録になっています。
 それともう1点、これまで私も知事の訪米に同行いたしましたが、知事が沖縄県の基地整理縮小を要請いたしますときに、知事からも答弁がございましたが、米国側の言い分としては日米安保条約に基づいて沖縄に基地があるんですよということを先方が申したときに、話したときに、知事は、仮に安保条約があったとしても沖縄の基地は非常に過重だというような表現になっております。通常、これは何度も私、同行の中で何名かお会いした中でも同じようなことを知事がそういうことでの発言をしておりますので、ここの、重要性及び日米関係の持つ意義は理解しているというようなところは、やや短絡的な表現になっているかというふうに思います。
 以上でございます。
○上原賢一君 議長、休憩願います。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後1時32分休憩
   午後1時32分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 英文で交渉する場合、あるいは日本文で通訳を通して交渉する場合ですね、表現が必ずしもそのとおり原文のとおりにならない場合がしばしばあるわけですよ。
 それで、今の問題については私の英文の原文がありますけれどもね、必要でしたらごらんになっていただきたいんですが、さっき言ったように私が言っているのは、日本国でもアメリカでも日米安保条約の重要性を強調するから、皆さんがそれを強調するのは理解できますと。しかし、だとすれば沖縄だけにしわ寄せしないで、日本全国で負担すべきだし、また現実にこんな基地被害があるから、そこはぜひ考えてくださいと。そしてこれを解決しなければ、かえって日米間の平和友好関係に支障を来しますよと言っているわけですよ。その文章はですね、前の方に、おおむね次のように、と書かれておりますので、そこをぜひ御理解いただきたいと。
○上原賢一君 議長、休憩願います。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後1時34分休憩
   午後1時42分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 知事公室長。
   〔知事公室長 高山朝光君登壇〕
○知事公室長(高山朝光君) ただいまの御指摘の点につきましては、当時記録した本人ともよく連絡をとり、訂正も考えていきたいというふうに思います。
○議長(儀間光男君) 上原賢一君。
   〔上原賢一君登壇〕
○上原賢一君 ただいまのお答えをいただいたわけですが、先般国務省に行った際も知事がそういう発言があったということはある程度我々も確認しているんですよ。しかもその確認されたのは公式の文書ではっきり明言されているのを、言っている、言っていないである面言い逃れとしか聞けないような御答弁をいただいたわけですが、この点についてはぜひ訂正するなり、あるいは日米安保条約は是認するんだという発言にしていかなければ、今後の知事の日米両政府に対する交渉も何ら功を奏しないと、こういうことを申し述べておきます。
 それから、スタックポール発言との関連でございますが、県道104号線越え実弾演習廃止についてスタックポールは明確に言っていると、それは昨年3月、沖縄那覇市で言っている。知事は訪米の際、ハワイの会見の際もその点確認してきている。ところが1年たっても何らのアクションも起こさぬ。104号線越えについては努力する云々、議会答弁ありながら、国に対して何らのアクションも起こさぬ。条約というのは一方の当事者がですね、オーケーと言ったら、その条約の相手国である日本政府もオーケーということなんですよ、国際条約の信義からしてそういうことですよね。
 その点について何らアクションを起こさぬということは非常に不可解でありますが、ではこれまでやらなかったのはもうしようがない、これからどういう行動をしていくのか、日本政府に対して、それについてお答えを願います。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 先ほど申し上げましたように防衛施設庁、防衛庁でも、アメリカの司令官の中にはこういうことを発言している人もいますよということをちゃんと申しております。
 それから、104号線の問題につきましてはですね、先ほども申し上げましたように我々沖縄の人が非常に苦労しているから、じゃそれをよそへ移して、日本本土の他県の人たちにまた同じ苦しみを与えるということは忍びないと。ですから、これを移すのではなくて、ぜひ廃止してほしいと。だからこそ日米安全保障条約の平和友好的、経済友好的な側面を前面に出してほしいというふうに言っているわけでございます。
○議長(儀間光男君) 新垣哲司君。
   〔新垣哲司君登壇〕
○新垣哲司君 一般質問をいたします。
 サトウキビの新害虫の撲滅についてでございますが、その件につきましては代表質問においても二、三の方が質問をされておりましたが、角度を変えて質問をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 新害虫シロスジオサゾウムシは、1912年に初めてフィリピンで発見されたヤシ類の害虫である。
 シロスジオサゾウムシは、県内での発生例は1976年3月に沖縄市知花の台湾産トックリヤシモドキで見つかってからその後の発生はなかったと聞いていましたが、昨年11月の末、具志川市の米原のキビ畑農家で発見、幼虫とサナギを昆虫学研究所で専門家が調べた結果、新害虫シロスジオサゾウムシとわかった。中部を中心に北部、南部でも発見され、また八重山などにも侵入が確認され、早急に全県的な調査が必要と思います。
 新害虫シロスジオサゾウムシの発生は、農業関係者を大きな不安に陥れている。ただでさえ、キビの生産量が落ち込んでいるだけに、もし新害虫が蔓延することになると、減産にさらに拍車がかかり、糖業自体が壊滅的な打撃を受けなければならないことになると思います。
 参考といたしまして、イモゾウムシの場合、緊急防除を実施したそうですが、発生地における発見がおくれかかったためや、優良品種の塊根芋づるが種苗として発生地から広範に移動されていたこともあって、所期の目的は達成できなかった。いかに病害虫が発生したときは早急に対策が必要かということを伺いました。
 そこで質問に入ります。
 1、当面の対応といたしましては、県は気温が上昇すると分散するため発生圃場への対応として、被害茎はサナギ、幼虫、成虫をビニール袋に入れ回収、被害茎を所定の場所に集め灯油などで焼却するとのことですが、これは原始的な処理方法であり、早急な対策を講ずるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 1、昨年3月13日において新種害虫シロスジオサゾウムシと同定されてわかっており、県の対応が遅いのに問題があると言っていますが、その件についてどう思いますか。
 1、天敵検索、成虫に薬剤防除はどこまで進んでいますか、お尋ねをします。
 1、ゴルフ場の芝にあちらこちらでシバオサゾウムシが発生し、幼虫は芝の根を、成虫は茎葉を食害して枯死させる。そこで、シロスジオサゾウムシ成虫の薬剤防除にはシバオサゾウムシ防除を参考にできないかどうか、お尋ねをいたします。
 1、抜本的な撲滅はどのような方法がよいか。
 1、予算措置について伺います。
 1890年、カンショオサゾウムシということでこれは県の農業試験場の資料からでございますが、その資料を読み上げて質間をしたいと思います。
 「本種はニューギニア原産で、小笠原諸島、南洋諸島、モルッカ、セレベス、ニューギニア、オーストラリア、フィジー、サモア、タヒチ、クリスマス島、ハワイ諸島に分布し、別名オガサハラオサゾウムシ、ハワイオサゾウムシとも呼ばれている。いずれの地域においてもサトウキビ重大害虫として知られている。寄主はサトウキピの他にココヤシ、バナナ、パパヤ、サゴヤシである。分布域の拡大は主にココヤシの持込みによるものと考えられている。形態はシロスジオサゾウムシよりも大型で成虫は全体的に黒色を呈するが、蠕室の形態、幼虫ともにシロスジオサゾウムシと比
較して大型であることを除けば、極めて似た形態をしている。サトウキビに対する被害状況はシロスジオサゾウムシと酷似し、幼虫が庶茎内部に食入し、食害するものとして被害は激甚である。ハワイ諸島においては現在でもサトウキビの重要害虫になっている(ハワイサトウキビ生産者組合報告、1991年)が、本種の原産地であるニューギニアより天敵の寄生蝿を導入しある程度の効果をあげたとの報告もある。」。
 ここで質問をいたします。
 ニューギニアやハワイから資料として提供してもらったことがありますか。そして場合によっては専門家を派遣することも考えていますか、お尋ねをいたします。
 次は、我が党の代表質問との関連として日米安保条約についてでございます。
 1、さきの知事の答弁において日米の学者にも安保見直し論があるようで、知事は見守りながら検討していきたいとおっしゃっていますが、具体的に御所見を伺います。
 1、安保が存在するから基地があるという表現をしていますが、基地以外に日本にとって大事な役目をしていると思いますが、お尋ねをいたします。
 あとで再質問いたします。
○知事(大田昌秀君) 議長、休憩お願いします。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後1時54分休憩
   午後1時55分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 新垣哲司議員の御質問にお答えいたします。
 農業問題との関連で、シロスジオサゾウムシの当面の防除対策について県は被害茎をビニール袋に入れ、所定の場所に集めて焼却するとのことだが、これは原始的な処理法であり、早急な対策を講ずべきだと思うがどうかという御質問でございます。
 シロスジオサゾウムシは、フィリピン諸島に分布し、ヤシ類の害虫として知られております。サトウキビヘの加害は今回が初めてであり、その生理、生態の解明や適正な防除法が確立されておりません。そのため農業試験場において、生理、生態の解明及び防除法の確立試験、天敵の調査等に取り組んでおります。
 現段階における防除対策としては、次のような方策をとっています。1つには、発生圃場は早目に収穫して被害茎をビニール袋に入れて回収及び焼却すること、2つには発生地域からの苗の移動、導入は避けること。なお、被害茎の焼却による防除は現段階では最も有効な防除方法の1つであります。現在、効果的な防除方法の確立に全力を挙げているところでありますので、御理解いただきたいと思います。
 それから、平成6年度におけるシロスジオサゾウムシの防除対策予算はどうなっているか伺いたいという御趣旨の御質問にお答えいたします。
 平成6年度における病害虫防除異常発生対策費として400万円を計上しており、今回のシロスジオサゾウムシの防除対策費についてはこの中から支出していく予定であります。また、同害虫の緊急防除費として国においても所要額の確保が見込まれております。
 次に、日米の学者にも安保見直し論があるようだが、知事は見守りながら検討したいと言っているが、具体的な所見を聞きたいという御質問にお答えいたします。
 私はこれまでにもお答えしたとおり、本県の真の発展を図るには基地のない平和な県づくりを進める必要があると考えております。
 本県の過重な基地負担の根拠となっている安保条約については、その軍事的側面を平和友好的なもの、あるいは経済的、文化的なものに改めた方が望ましいと思っております。このことは安保条約を是認する前提からではなく、安保条約が現実に存在し、機能している実情に対し現実的に対応していこうとするものであります。
 米軍基地問題の解決につきましては、県益の擁護、とりわけ県民の生命、生活及び財産を守る立場から、県議会の御協力も得ながら、その整理縮小に取り組んでまいりますので、御理解いただきたいと思います。
 同じく、安保は基地以外に日本に大事な役目をしていると思うが所見を聞きたいという御質問にお答えいたします。
 日米安保条約体制が、日米間の自由、民主主義の価値の共有、政治、経済分野での緊密な関係の確立等に寄与してきたという指摘を否定するものではありません。しかし行政の責任者としては、本県の過重な基地負担の根拠となっている同条約の軍事的側面を評価するわけにはまいりません。その軍事的側面を平和友好的あるいは経済的なものに改めるとともに、米軍基地の整理縮小を促進することが本県の自立的発展を図る上で極めて重要であると考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
 なお、お許しを得て、その他の御質問につきましては、関係部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
○議長(儀間光男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 赤嶺 勇君登壇〕
○農林水産部長(赤嶺 勇君) 新垣議員の御質間にお答えいたします。        
 農業問題との関連でございますが、昨年3月に新害虫シロスジオサゾウムシと同定されたが、県の対応が遅く問題があるのではないかとの趣旨の質問にお答えいたします。
 シロスジオサゾウムシは、昭和51年3月に沖縄市知花のヤシから発見されましたが、その後18年間発生は確認されておりません。
 平成5年3月に具志川市兼箇段でサトウキビの茎を食害するゾウムシが発見され、九州大学に同定を依頼した結果、シロスジオサゾウムシとして新たに命名されております。
 その後、農業試験場、病害虫防除所が中心になって同虫が発生しているかどうかの調査を実施した結果、平成5年11月30日にサトウキビの新害虫として定着していることを確認いたしております。平成6年1月6日に病害虫発生予察特殊報第4号として「シロスジオサゾウムシの発生について」を発表し、関係機関へ情報を提供し防除方法を指導するとともに、発生分布の実態把握に努めているところであります。
 次に、同じく農業問題との関連でございますが、天敵探索、農薬防除はどこまで進んでいるか伺いたいとの質問にお答えします。
 シロスジオサゾウムシの天敵につきましては、現在調査を進めているところでありますが、寄生バチ、寄生バエ等の天敵は発見されていないため今後とも引き続き調査を実施する考えであります。
 防除薬剤につきましては、成虫の防除薬剤としてはトクチオン、バイジット等があり、幼虫の防除薬剤としては浸透性の高いアドバンテージ、ガゼット等に効果が認められておりますが、引き続き必要な農薬の調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 同じく農業問題との関連でございますが、ゴルフ場の芝に発生しているシバオサゾウムシの防除方法はシロスジオサゾウムシ防除の参考にできないかとの質問にお答えいたします。
 シロスジオサゾウムシの防除につきましては、シバオサゾウムシの防除薬剤を参考にしながら効果試験を行っております。
 しかしながらシロスジオサゾウムシは、サトウキビの茎に侵入食害し、シバオサゾウムシは芝の根部を食害するものであり、実際の防除に当たってはその方法は基本的に異なるものがあります。したがいましてシロスジオサゾウムシの防除については、同害虫の生理、生態に即した防除法の確立が必要であります。
 次に、抜本的撲滅についての質問でございますが、本害虫の基礎的な生理、生態の解明、有効薬剤の探索が重要であります。現在、試験研究を鋭意実施しているところでございます。
 次に、カソショオサゾウムシについての関連での質問でございますが、サトウキビの重要害虫と言われているカソショオサゾウムシは沖縄に生息しているのか、あるいはまた同害虫の専門家の招聴をする考えはあるかとの趣旨の質問にお答えいたします。
 カンショオサゾウムシは沖縄県には生息しておりません。本種は、ニューギニア原産で小笠原諸島、南洋諸島、ニューギニア、オーストラリア、ハワイ等に分布しており、いずれの国でもサトウキビの重大害虫となっております。
 防除方法につきましては、先ほども質間の中でもございましたけれども、天敵を導入しある程度の効果を上げているという報告もありますが、本種につきましては、シロスジオサゾウムシと同様農薬も含め有効な防除法についての報告は見当たりません。農業試験場においては、このような難防除害虫の天敵利用等について、諸外国の実態を把握するため専門家の招聘や現地調査を検討しているところでございます。
 なお、同害虫の資料につきましては、ニューギニア等からの資料はもらっているかとのことでございましたけれども、現在のところは入手してございません。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 新垣哲司君。
   〔新垣哲司君登壇〕
○新垣哲司君 シロスジオサゾウムシについてでございますが、実際に1890年にハワイで大変大きな病害虫ということで発見された虫でございます。
 県の農業試験場からもらった資料によりますと、非常によく形態が似ているというようなことは試験場も重々知っているわけでございます。したがいましてこの虫が発生してから1年余、いずれにしてもサトウキビを食害するのは最近ではございますが、トックリヤシとか1976年ですか、その発見がなされていることは事実でございますので、ハワイ諸島であれだけの被害をもたらした害虫とよく似ているということであれば、事前にやはりその国とも連絡をとりながら対策を講じるべきではないかというふうに思うわけでございますが、先ほどの部長の答弁によりますと、いまだにまだ資料も取っていないということですが、新聞にも指摘がございました、県の対応がおそいと。これは何を意味するかと申しますと、松くい虫でもおっしゃるとおりでございます。イモゾウムシでもおっしゃるとおりでございます。まず、発見したら早急に対策をしなければならないというのが害虫に対して一番大事なところでございます。
 そして、それを発見した場合には、それなりの予算を措置いたしまして早急に対処が必要というのがこの害虫の撲滅のねらいではないかというふうに思っております。したがいまして、先ほどの質問に対しまして部長はお答えはしてないわけでございますが、ハワイ諸島であれだけの農作物に被害を与えた害虫とおおむね似ているということでございますので、資料を取り寄せ、あるいは研究もしているでしょう。そういうのも照らし合わせながら、もし必要であればハワイまで専門家を派遣する必要があると思いますが、その件についてどのようにお考えをしているか、再度伺いたいと思います。
 次に、安保問題についてでございますが、知事はやはり安保があるために基地があるんだというような姿勢は変わってはおりませんが、しかし安保が大事な役目をしているということについては、これは日本の経済あるいは政治にも大きく寄与をしているというような答弁がございました。まさに日米安保条約というのは、我が国の安全の保障、極東の安全ということで、これは軍事的にも大きな役割をしているわけでございます。
 そういう意味で、今までの質問にも何回もあったんですが、卵が先か鶏が先かというような論議のようでございますので、あえてその件について私は質問をするわけでございますが、いずれにいたしましてもこの日米安保条約というのは、大変我が国に大きな役目をし、そしてまた今日世界の経済大国をなしているのもやはり安保条約のおかげで、同時にこれを中心に日米間で十分信頼関係を保ったものだと、私は考えるわけでございます。
 したがいまして昨今の政治情勢というのは、私たちが考えても非常に淡々として変革の時代を遂げているわけでございます。
 御案内のとおり、自民党や社会党の55年体制と言われた、また自民党の長い間の政権が今や連立政権に変わりました。これは国会議員のだれでさえ、あるいは政治評論家においてもこのような8党会派が連立で政権をとるということは夢にも思わないことだったというふうに言われたわけでございます。最近は綱渡りのようにこの政権を維持しているところでございますが、いずれにいたしましても、やはり事実は事実といたしまして今日の日本に大きく繁栄をもたらしたのは、何といっても自由民主党の政権は正しかったということは、これはだれもが否定する余地はございません。したがいまして、やはり自民党が政権を離れたということは一部の心ない人によってのことでございまして、今日の日本が繁栄したのは、これは私たちが見るまでもなく、自由民主党の政策は今までの状況からいたしまして誤りはなかったといっても言い過ぎではないというふうに考えているところでございます。
 したがいまして大田知事、もう一度この安保条約に対して、日本と米国とのそういう友好の中で日本がこれだけ戦後わずかな間で経済大国になったということは、その点については知事はどういうふうに考えますか、お尋ねしたいと思います。
 以上です。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 新垣議員の再質問にお答えいたします。
 日本の経済的発展をもたらしたのは安全保障条約のおかげだとか、いろいろ言われておりますし、また一方ではそうではなくて平和憲法があって、外国みたいに軍事力を強化しなかったことが今日の日本の経済的発展をもたらしているというふうに議論する人たちも多うございますけれども、私は個人的には後者の方を支持します。
○議長(儀間光男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 赤嶺 勇君登壇〕
○農林水産部長(赤嶺 勇君) 新垣議員の再質問にお答えいたします。
 カンショオサゾウムシについての文献でございますけれども、これにつきましては一応ハワイから一応の資料をいただいておりますけれども、特に同病害虫の原産地であるニューギニア、その辺からの資料はいただいてないと、こういうふうなことでございます。
 それから、シロスジオサゾウムシに関する文献でございますけれども、いろんなところで照会をし検索をしているところでございますけれども、シロスジオサゾウムシに関する文献が今のところ見当たらないというふうなことで、私ども、そういう意味では大変心配をしているところでございます。
 いずれにしましても、そのシロスジオサゾウムシ的なものにつきましては、これまでもサトウキビのプランテーションだとか、そういう形でサトウキビが振興されてきた一面がございまして、そういう会社的なところでは発刊されているかもしれないですけれども、公にされた文献がないと、こういうふうなことで私ども鋭意その辺の資料の検索を急いでいると、こういうふうなことでございます。
 カンショオサゾウムシにつきましての生態というよりも、食害につきましてはシロスジオサゾウムシと似ていると、こういうふうたことで、カンショオサゾウムシについての防除方法、さらにはまた天敵についてのハワイでの対処の仕方、こういったものにつきまして試験場において作業、調査をしていると、こういうふうなことでございます。
 以上でございます。
○新垣哲司君 ちょっと休憩お願いします。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後2時17分休憩
   午後2時18分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 農林水産部長。
   〔農林水産部長 赤嶺 勇君登壇〕
○農林水産部長(赤嶺 勇君) 一方がカンショオサゾウムシ、また今回沖縄県で発見されているのがシロスジオサゾウムシというふうなことになりますが、沖縄県にはカンショオサゾウムシは侵入しておりません。
 それから、生態は割と似ているというふうなことで、要するにサトウキビを食害するというふうな意味での生態は似ているというふうなことですけれども、それは具体的に試験場においてきちっとした形で生理、生態を解明しなければ十分わからないと、こういう一面がございます。
 いずれにしましてもハワイ等におきましては、天敵利用による同害虫の駆除あるいはまた薬剤防除の仕組みにつきましても先進地でございますので、そういう意味ではその実態等につきましての調査を県としても検討するし、さらにまた専門家をお招きして沖縄における検討を進めていきたいと、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 新垣哲司君。
   〔新垣哲司君登壇〕
○新垣哲司君 私も農家で育って農業を営んだ一人でございますので、大変この害虫については心配をしているところでございます。
 御案内のとおり、本県は長い年月をかけてやっとウリミバエがいなくなったと思ったやさきに、今度は新害虫が発生したということで、大変その害虫との闘いで農家は心配をしているところでございます。これから県といたしましても、この害虫に力を入れていただきまして、一日も早く撲滅していただきたいということを要望いたしまして、その件については終わります。
 3分間ありますので、1つ。
 きのうも我が会派の伊佐吉秀議員からもお話がございました。朝日新聞、琉球新報にも載っていたわけでございますが、社会党の全国の書記長会議で村山委員長はその話の中で、自民党のリベラル派などとの連帯も視野に入れて柔軟に……
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後2時20分休憩
   午後2時21分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
○新垣哲司君 終わります。
○議長(儀間光男君) 西銘恒三郎君。
   〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎君 一般質問を行います。
 ロンドン大学の森嶋通夫名誉教授が、「政治家の条件」という本の中で、マックス・ウェーバーの本を引用しながら次のように述べております。
「信念の政治家であることは良いことだが、責任を負わないようでは困るし、他方、結果に責任を負うことばかり心配して、無難なことしか行なわず、信念のないのも政治家としては失格である。信念倫理と責任倫理はAかBかの二者択一の関係にあるのではなく、とくに政治家の場合には、両者をほどよい比率で保有している必要がある。両者は敵対あるいは排他関係にあるのではなく、異質であるが故に補完的であり、両者を兼ね備えている人こそが「政治への職業」を持ちうるのである。」。
 続けて、ウェーバーは、この信念倫理と責任倫理の両者の間につり合いをとる能力、すなわちバランス感覚を政治家が持っているかどうかを論じております。バラソス感覚(判断力)をなくし、どちらか一方の倫理に不当に偏ってしまったときには、その政治家は危機に瀕していると論じております。
 さらに、信念にブレーキをかけるものとして、自分の行為の結果に対する責任を強調したのでありますが、この責任を果たすためには政治家は現実を直視する必要があると論じ、結論として、政治家にとって欠くべからざる最重要な素質として、1、信念を貫く倫理、2、その行為の結果に対する責任倫理、3、さらに、この両者を見事に調和させるバラソス感覚、つまり判断力、以上3つを取り上げているのであります。
 知事は、安保条約についてこれまでの答弁を聞いておりますと、3年前からずうっと繰り返しの同じ答弁をしております。すなわち軍事的側面を平和友好的あるいは経済的、文化的なものに改めてほしい、さらに基地の存在は日米両国間の条約に基づくものであり、一地方自治体の力だけで直ちに基地問題を解決することはできませんと述べております。
 この答弁を聞くまでもなく、安保条約は知事の権限を越えた国家間の取り決めであることは言うまでもないことであります。そうであるならば、知事が選挙公約に掲げた安保条約の廃棄や基地の全面返還という2つのスローガンは、明らかに知事の権限を越えた公約と言わざるを得ません。
 そこでお伺いします。
 1、次回選挙に立候補するときの公約についても、これまで同様に知事の職責を越えた安保条約廃棄や基地の全面返還をスローガンに掲げるおつもりでしょうか、お伺いします。
 もしそうならば、全く現実を無視した思いつきの政治姿勢と言わざるを得ません。なぜならば、行政は現実を直視することから始めなければならないことは、あえて私が言及すべきことでもないのでありますし、大学教授であった知事はよく御存じのことと思います。
 責任倫理なくして信念倫理のみに偏した政治姿勢は政治家の危機であります。責任倫理と信念倫理を見事にバランスさせた知事の明快な答弁を求めます。
 新年度予算に自衛官募集事務費145万円を計上していただき敬意を表します。このことは、知事の政治家としての信念倫理よりも現実的な責任倫理をバランスさせたものと理解できます。
 さて、連立政権の細川総理も国会で、憲法が主権国家として固有の自衛権を否定したものでもなく、自衛隊は必要最小限の自衛力であるから憲法違反ではないと述べております。
 本県では復帰をして4000名以上の県民が自衛隊に入隊し、現在、約2000名が全国の自衛隊で活躍をしており、高い評価を得ております。
 自衛官募集事務は、県及び33市町村が既に実施をしております。全国3000余りの市町村の中で、本県の20市町村のみは自衛官の募集事務を実施しておりません。
 そこでお伺いします。
 2、県内には、その家族を含め約1万6200名の自衛隊関係者が居住しております。それぞれに市町村民であり、県民でもあります。公平公正な行政を標榜する知事として、募集事務を実施していない20の市町村に対して地方自治法にかなった行政を行うよう指導すべきではないでしょうか、知事の御所見を伺います。
 アメリカの首都ワシントンDCには快適な地下鉄が走っております。その地下鉄に乗っておりますと、「ナショナル・アーカイブズ」という聞きなれない駅名がありました。後で聞きますと国立公文書館という意味だそうであります。恐らく知事は、大学教授のときに何度も足を運んだものと推察申し上げます。
 さて、本県でもいよいよ県立公文書館建設が始まりました。そのことについては全く異論はございません。しかし利用する側の視点からお伺いします。
 地方公共団体の税収が落ち込んでいる昨今、もとより財政基盤の脆弱な本県では、より効率的な財政運営が望まれるのは至極当然のことと考えます。
 3、公文書館建設検討委員会の場で、現在手狭となっている県立図書館との合同建築物にすべきだというような議論はなかったのか、お伺いします。利用者の立場からしますと1階から3階を図書館、4階から6階を公文書館として例えば建設しますと、財政の効率的な運用になると思いますが、知事の御所見を伺います。
 4、次に公文書館建設の総事業費とその財源はどうなっておりますか、伺います。
 5、完成後の維持管理費用と人件費をそれぞれどの程度予定しておりますか、伺います。
 6、推定利用者は1日に何名を見込んでおりますでしょうか、伺います。
 7、現在の県立図書館での1日の利用者数はどうなっておりますでしょうか、お伺いします。
 知事の消費税に関する議会答弁は、基本的には反対でありますと判で押したように信念を持って答弁をしております。ところが実際に行っていることは、その答弁と全く逆の行為であります。この議場におる議員や関係者は、すべて知事の答弁が言葉の羅列に陥っていることに気がついているはずであります。
 昨年12月の3日に東京で開催された地方交付税財源確保緊急総決起大会に知事は出納長を代理として出席をさせております。いわゆる地方関係6団体の関係者が一堂に会し、現行の消費譲与税を地方税の財源にしようという大会であります。このように、全国では今や消費税の一部を地方の財源にしようとしているのであります。完全に定着した消費税について、公約に拘束され、いまだに消費税反対という知事の答弁はまさに県民をだます発言であります。今やみずからの行為の結果に対し、責任倫理を発揮すべきときであります。
 そこで伺います。
 8、消費税廃止という公約については、そろそろ県民の前に明確に釈明をすべきときだと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 9、平成6年度予算で消費譲与税として歳入計上されている金額は幾らになっておりますか、伺います。
 昨年の暮れ、政治改革の議論に国民の目がくぎづけにされる中、約30年ぶりに行政手続法が成立をしております。マスコミの報道も政治改革が中心であったため、この法律については控えめな報道でありました。
 ところが、一般の市民と行政、あるいは企業と行政とのかかわり、さらには国、県、市町村同士での行政のかかわりにとって極めて重要な法律が成立したのであります。
 10、昭和39年の第1次臨時行政調査会以来30年ぶりに成立したこの法律が県民生活や産業界にとってどのような意味を持つのか、まずお伺いします。
 また、今後に残された課題等があれば御説明をお願いします。
 海浜条例について、知事は所信表明の中で、同条例の周知に努めますと述べております。本県の持つ島嶼性や全国第4位の海岸線延長を考えると、海浜や海岸線を県勢発展のために工夫を凝らして行政の施策を展開していかなければならないと考えます。
 そこでお伺いします。
 11、条例の中に規定されている県の総合的施策についてこれまでの県の取り組み状況はどうなっておりますか、伺います。
 12、条例制定後、外国の状況を調査したと思いますが、その調査結果と成果について御説明をお願いします。
 13、かながわ海岸美化財団の設立後の実情及び同財団の財政事情について御説明をお願いします。
 雇用情勢について、知事は所信表明の中で、厳しい局面が予想されるが、観光関連の伸びを背景に第3次産業を中心に就業者の増加が見込めると述べております。
 今春卒業予定の県内の5つの大学、短大を含めまして学生849名に対するアンケート調査の結果によりますと、1月から2月の時点で就職内定を得ているのは全体の40%であり、これは昨年の調査と比べますと54%に対して14ポイントの減少となっております。県内の雇用情勢はますます厳しいと言わざるを得ません。
 質問14、この状況下でそっけなくさらりと就業者増加が見込めるという知事の所信表明の言葉でございますが、これはどのように判断をすればいいのか、知事の御説明をお願いします。
 質問15、旧議会棟について知事の考え方を県議会で明確にしながら、全くむだな検討委員会をつくりました。その費用は幾らかかっておりますか、また委員会としての最終結論はいつ出すのでしょうか、お伺いします。
 答弁によりまして再質問をいたします。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 西銘恒三郎議員の御質問にお答えいたします。
 まず、政治姿勢との関連で、次回選挙の立候補に当たっても知事の職責を越えた安保条約や基地の全面返還をスローガンに掲げるつもりかという御質問でございます。
 私は、残された任期を公約実現に向けて誠意を持って全力を傾けて取り組み、県民の負託にこたえたいと思います。
 次期知事選への立候補につきましては、支持政党や団体の方々とも相談の上、最終的な決意をさせていただきたいと考えております。したがって、次期選挙に当たっての政策づくりについて申し上げる状況にはございませんので、御理解いただきたいと思います。
 次に、自衛官募集事務について、自衛官募集事務を実施してない市町村に対し募集事務を行うよう指導すべきではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 自衛官の募集事務に関する市町村の指導につきましては、市町村の自主性、主体性を尊重しながら対処しているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、消費税を廃止するという選挙公約について県民の前に明確に釈明すべきと思うが、知事の所見を伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 消費税については、逆進性の問題、食料品に対する非課税措置の問題等がありますが、これまでの法改正等によってある程度の緩和措置がなされたこと、他府県では転嫁が実施されていることなどの現状を考慮した場合、行政の立場として現実的な対応が求められ、県の使用料等に対する消費税の転嫁を実施しているところであり、その点では公約どおりではないことについて認識いたしております。
 なお、お許しを得て、その他の御質問につきましては、関係部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
○議長(儀間光男君) 総務部長。
   〔総務部長 山城正栄君登壇〕
○総務部長(山城正栄君) 公文書館に関連いたしまして御質問がございますので、お答えいたします。
 1点目は、公文書館は県立図書館と併設すれば利用者の便宜、経費の節減等に役立つのではないかという趣旨の御質問でございます。
 御指摘のように、他府県におきましては相乗効果を期待いたしまして図書館等との複合施設として建設しているところもございます。
 本県におきましては、平成3年12月に沖縄県公文書館建設検討委員会が発足いたしまして、公文書館建設に関する基本構想をまとめる過程の中において併設の問題が議論をされたようでございます。しかしながら、県立図書館は昭和58年に建設されておりまして、公文書館を図書館の敷地に併設することになりますと、用地の狭隘さの問題や構造上の問題等がございまして併設は困難であると判断をいたしております。
 以上のようなことから、本県の公文書館は単独施設として建設に取り組んでいるところでございます。
 公文書館建設の総事業費とその財源はどうなっているかという趣旨の御質問でございます。
 沖縄県公文書館建設に要する総事業費は、約43億円を予定いたしております。
 財源といたしましては、県債、特定財源及び一般財源を充てることにいたしております。
 なお、県債、いわゆる起債につきましては地域総合整備事業債を予定いたしております。
 同じく公文書館との関連で、公文書館の完成後の維持管理費用と人件費はどの程度予定しているかという趣旨の御質問でございます。
 沖縄県公文書館の維持管理費につきましては、沖縄県立図書館及び千葉県立公文書館等同規模程度の施設等を勘案いたしまして約3億円と試算をいたしております。
 人件費につきましては、おおむね1億円程度想定いたしております。
 推定利用者は1日何名見込んでいるかという趣旨の御質問と、現在の県立図書館の1日の利用者数はどうなっているかという趣旨の御質問でございます。
 公文書館の利用者は、1日平均約40名から50名程度を見込んでおります。
 なお、県立図書館の1日の平均利用者は平成4年度の実績で542名であります。
 次に、消費税との関連で、沖縄県へ配分される消費譲与税は平成6年度予算にどの程度計上されているかという趣旨の御質問でございます。
 平成6年度当初予算に計上してございます消費譲与税の額は58億1900万円でございます。
 行政手続法との関連で、行政手続は県民生活や産業界にとってどのような意味を持つか、また今後の課題は何かという趣旨の御質問でございます。
 行政手続法は、行政庁の処分の事前手続における不備や不統一を解消し、公正で透明な行政運営の確保を図るために制定されたものであり、平成5年11月に公布され、ことしの10月1日から施行される予定になっております。
 その内容は、1つには、許認可等の申請が要件に適合しているかを判断するための審査基準の設定と公表、2つ目には、申請から処分までに要する標準的な処理期間の設定と公表、3番目に、許認可の取り消しなどの不利益処分を行う場合の処分基準の設定と公表などから成っております。
 この法律が施行されますと、行政運営の透明性の向上、行政側の恣意的な取り扱いの防止、処理の迅速化などの効果が期待されております。
 県では、法令の施行に向けて許認可等の処分や届け出を規定する関係法令の洗い出しを行っているところでございまして、今後、国の法令施行準備作業にあわせて適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、我が党の代表質問との関連で、旧議会棟について知事は考え方を明確にしておきながら検討委員会をつくっていると、その費用は幾らかと、最終結論はいつ出るかという趣旨の御質問でございます。
 旧議会庁舎の取り扱いにつきましては、現在、旧議会庁舎に関する検討委員会で審議をしているところでございますが、その委員会に要する費用は約92万円を予定いたしております。
 また、検討委員会は、平成5年11月24日設置以来、鋭意御審議をいただいているところでございまして、平成5年度末までには委員会としての審議の結果が出る予定であると聞いております。
 以上でございます。
○議長(儀間光男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 大城義勝君登壇〕
○土木建築部長(大城義勝君) 海浜条例についての御質問にお答えいたします。
 海浜条例に規定している県の総合的施策の取り組み状況はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 海浜利用に関する県の総合的施策の策定については、これまで実施してきた委託調査等を踏まえて平成5年度内に総合的施策の案を策定し、平成6年度においては同案を市町村等に説明すると同時に意見聴取を行い、同年8月には海浜利用に関する県の総合的施策を策定する予定であります。今後は、同施策に基づいて市町村、事業者等に対し海浜条例の趣旨実現に向けて指導を行っていきたいと考えております。
 次に、条例制定後海外の地域を調査したと思うが、調査を実施した国や地域とその成果について御説明願いたいという御質問にお答えいたします。
 海浜条例第4条に規定する海浜利用に関する県の総合的施策の策定に当たり、海外の海浜地事情を参考にするためハワイのホノルル、マウイ島、ハワイ島、フランスのドーヴィル、二ースなどのビーチ施設設備の内容や運営状況、海浜における清掃の主体とその費用、海浜地の土地利用区分や制限内容、海浜管理の課題等について調査をし、その成果を報告書にまとめたところであります。県の総合的施策の策定に当たっては、これらの調査報告書等も参考にして、関係部局で構成する連絡協議会において検討を行っているところであります。
 次に、かながわ海岸美化財団の設立後の実情、財政事情を説明されたいとの御質問にお答えいたします。
 かながわ海岸美化財団は、海岸の一元的管理を目的に平成3年4月1日に設立されております。財団の職員は現在13名で、相模湾に面する海岸約150キロメートルの海岸清掃と美化啓発が主たる事業となっております。
 財団の基本財産は18億8000万円で、その出資内訳は神奈川県15億円、市町3億円及び民間800万円となっております。
 海岸美化財団においては、基本財産の果実約4000万円及び県と市町から約3億7000万円の負担金でもって年間約4億1000万円の予算で海岸の清掃等を行っているとのことでございます。
 以上であります。
○議長(儀間光男君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 高嶺朝幸君登壇〕
○企画開発部長(高嶺朝幸君) 我が党の代表質問との関連で、就業者の増加見込みについての御質問にお答えします。
 県内の雇用失業情勢は、依然として厳しい現状にあることは御指摘のとおりでありますが、県内就業者数について見ますと、卸・小売業、サービス業など第3次産業を中心に増加している状況にあります。
 平成5年度の実績見込みとしては、就業者数は前年度に比べて8000人程度増加して54万5000人程度になるものと見込んでおります。
 また、平成6年度の就業者数の見通しでは、民間消費や観光関連等の持ち直しによって前年度に比べて8000人程度増加し、55万3000人程度になるものと見込んでおります。
 もとより、今後の対策として公共事業の円滑な執行を図るとともに、民間住宅建設の一層の促進に努め、また農林水産業を初め製造業等の地場産業や観光・リゾート産業の振興を図るための諸施策を積極的に推進し、雇用の場の創出を図ってまいる所存でありますので、御理解をいただきたいと思います。
○議長(儀間光男君) 西銘恒三郎君。
   〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎君 まず、消費税について、知事、いま一度確認をしたいんですが、知事の答弁を聞いておりますと、小さい声で公約と違うというのを認めますという発言を私もかすかに聞いたような気がするんですが、選挙公約に掲げた消費税廃止を明確に釈明をしたのでしょうか。いま一度大きい声でお願いをしたいと思います。
 知事、安保条約についてでございますが、次期選挙公約に掲げるかという聞き方をしたものですから知事の答弁が得られたかったんですけれども、知事の答弁を何度も読んでおりまして、みずからの知事の職責を越えているということを認めておられる。それから平和友好的な、経済的な、文化的な条約に変更したいという答弁も何度も聞いておりますが、この安保条約1条から10条まであるんですが、前文を読んでおりますと、知事が言っている、答弁をしているそのもののまさに国連の憲章にも沿った平和友好的な、文化的な条約でございます。
 知事は、訪米の米政府高官とのやりとりの中でも、先ほど上原賢一議員の質問にもありましたが、安保条約の重要性を認めていると発言をしております。いささか苦しい釈明をしておりましたが、ここに平成6年2月2日、沖縄タイムスの1面でございますが、一連の細川総理と会った後に羽田外務大臣と知事はお会いになっております。この記事の中でもですね知事、さらに要請に当たって日米安保体制の重要性は認識しているがと、全くアメリカの政府高官に発言をしたのと同様のことを外務大臣にも発言をしていると。
 このような知事発言を見ておりますと、安保条約廃棄、基地の全面返還というこのスローガンもそろそろ釈明をして、積極的に認めるわけではないけれども、県知事の職務からすると国家間の条約であるから、積極的には認めないけれども認めざるを得ないというようなそのぐらいの釈明をぜひともしていただきたい。そして次の選挙にはそういうみずからの職責を越えるような公約は掲げることなく、正々堂々と闘っていただきたいなという気がします。知事のコメントをいただきたいと思います。
 安保条約に関して、知事のこのような発言と似ている現象が起こっていると思います。
 知事、1月の1日に知事が在沖米軍のトップを知事公舎にお招きをしたんじゃないかという話が私の耳に入ってきております。これはおつき合いですから全く構いませんが、安保条約についてはコメントをいただき、この在沖米軍のトップを知事公舎に正月に招待したという事実も伺いたいと思いますので、よろしく御答弁をお願いします。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 西銘恒三郎議員の再質問にお答えいたします。
 選挙公約につきましては、支持政党や団体の方々とも相談の上、最終的な決意をする際に具体的になっていくと思いますので、現在、次期選挙に当たっての政策づくりについて私の方から申し上げる立場にはございませんので、御理解いただきたいと思います。
 基本的には基地のない平和な沖縄県づくりというのは、私が政治家として信念を持って目標にしている点でございます。
 それから、消費税についても先ほど申し上げましたけれども、逆進性の問題とか、食料品に対する非課税措置の問題等がありますが、これまでの法改正等によってある程度の緩和措置がなされたこと、他府県では転嫁が実施されていることなどの現状を考慮した場合、行政の立場として現実的な対応が求められ、県の使用料等に対する消費税の転嫁を実施しているところであり、その点では公約どおりではないことについて認識いたしております。
 それから、ただいま御質問の、正月に米軍の方が来たじゃないか、招待したんじゃないかという御趣旨の御質問にお答えいたしますと、国務省関係のアメリカ総領事の方から年賀に行きたいから来ていいかというようなことでございまして、私の方としては1日は県庁の職員が見えるので、もし来たいのであれば2日に来てくださいということを申しましたら、1日に四軍調整官を一緒にしてアメリカ総領事が訪ねてきたのが事実でございます。
○西銘恒三郎君 休憩してください。
○議長(儀間光男君) 休憩いたします。
   午後2時55分休憩
   午後2時55分再開
○議長(儀間光男君) 再開いたします。
 西銘恒三郎君。
   〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎君 知事、先ほどの羽田外務大臣に会ったときの新聞の記事でありますが、日米安保体制の重要性は認識をしていると知事みずからが発言をしております。アメリカでの発言も同じであります。
 どうも知事は外国の要人や政府の要人に対して日米安保体制の重要性は認識していると発言をしておりますので、みずからの権限を越えているのでどうしようもないと、ですから現実的な対応をするのはもう仕方のないことというぐらいのことがなぜ発言できないのか、いま一度知事のコメントを求めたいと思います。
○議長(儀間光男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えいたします。
 もう繰り返し申し上げておりますように、基地問題の解決について訴えますと、政府首脳、それからアメリカ側の責任者が常に日米安保条約、地位協定の重要性、そういうことを指摘して沖縄基地を今のままやるのが日米安保条約を保持する上で非常に大事だという趣旨の言い方をしますので、皆さんがそうおっしゃるのは理解しますけれども、その重要性について指摘されるのは理解しますけれども、しかし現実にそのしわ寄せが沖縄だけに過重にあるとすれば、これは行政の責任者として認めるわけにいきませんと、ぜひ解決していただきたいと、その方が日本とアメリカの友好関係にもプラスになりますよということを繰り返し繰り返し申し上げているわけでございます。
 安保条約が国際的な条約であるということはもう周知の事実でございますけれども、とは申しましても、一地方自治体の責任者が直ちに解決することはできないということはこれはわかり切ったことでございますけれども、とは申しましても、現実に基地被害が起こって県民の暮らしが破壊され、自然が破壊されるというような事態が起こりますと、我々は声を大にして繰り返し繰り返しその改善策を求めるのは行政の責任者、政治の責任者として当然だと思いますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(儀間光男君) 以上をもって本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで全部終了いたしました。
 次会は、明9日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
午後2時58分散会

 
19940105000010