平成21年(2009年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 2月20日
渡久地 修
 

 私は、日本共産党県議団を代表して仲井眞知事に質問します。
 まず第1に、構造改革路線からの転換についてです。
 自公政権は、何でも市場に任せればうまくいくという規制緩和万能論と市場万能主義の新自由路線から、官から民へ、国から地方へとのかけ声のもとで、医療、福祉、教育予算を削減し、地方切り捨ての構造改革路線を進めてきました。しかし、その路線がもたらしたものは貧困と格差の拡大、医療や福祉など社会保障の崩壊、雇用や農業や地域の崩壊でした。この路線は今や破綻に直面しています。
 小渕内閣の経済戦略会議で、構造改革の急先鋒を自認してきた中谷巌一橋大名誉教授は、「資本主義はなぜ自壊したのか」という本の中で、一時日本を風靡した「改革なくして成長なし」というスローガンは新自由主義の行き過ぎから来る日本社会の劣化をもたらした。改革は必要だがその改革は人間を幸せにできなければ意味がないと書いています。
 1月の九州各県議会議員研究交流大会で鹿児島県知事は、先進国で一番貧困率が高いのはアメリカ、次は日本、200万の所得のない方が我が国に1000万人以上という数になってしまった。国民健康保険料が払えない方が既に2割、大変な貧困社会、格差社会が生まれてしまった。それをどう是正するかというのが今の大きな課題と述べていました。また、鳩山総務大臣は、三位一体改革について失敗の部分がある。地方をここまで苦しめるなら必ずしも正しくない部分があったと述べ、さらに麻生首相は郵政民営化は反対だったと述べるなど、構造改革路線の破綻が日々明らかになっています。
 政府のこのような政策に追随し、県政運営を進めてきた結果、沖縄でも暮らし、雇用、福祉、医療の崩壊はより深刻になっています。県内食料自給率は30%に低下、さとうきびを除くと6%、非正規雇用者は40.8%、年収200万円以下のワーキングプアと言われる県民が50%、生活保護世帯も10年間で1.5倍、経済苦による自殺者も10年間で815人、後期高齢者医療制度で高齢者には大増税、国保の滞納世帯は4万9528世帯で19%になっています。しかしながら、知事は新年度予算でも行政改革の名で、宮古・八重山の支庁廃止、離島地域密着型サービス構築事業、渡航補助費の廃止、軽費老人ホーム事務費補助金の削減など、構造改革路線を引き続き進めていこうとしています。
 今、県民が望んでいるのは、この路線に追随したことに厳しく反省をし、県民の暮らし、福祉、医療、教育を重視した政策に転換することであります。
 知事の見解を求めます。
 次に、構造改革路線の典型的なものとして推し進められようとしている県立病院問題についてです。
 日本の医療制度は、国民皆保険制度の実現で保険証があればいつでも、どこでも、だれでも医療を受けることができるというものでしたが、今やそれが崩壊し始めています。患者のたらい回しによる死亡、産科医や小児科医のいない地域、国保手帳が取り上げられ病院に行けないなど大問題になっています。それは財界などの求めに応じ、診療費抑制策を強化し、医療給付費の増加を経済の伸びの範囲に抑えることを定め、医師養成数の削減、自己負担増による診療抑制、診療報酬の引き下げを次々と行ってきたことに大きな原因があります。
 OECD諸国の中での医師数は、人口10万人当たりイタリア420人、ドイツ、フランス、スウェーデンは340人ですが、日本では200人と極端に少なく、30カ国中27位となっています。OECD諸国平均にするには、14万人以上の増加が必要という深刻な事態です。看護師不足、介護職不足も深刻です。さらに政府は、医療構造改革の名で2025年には医療給付費を8兆円減らすことを目標に、後期高齢者医療制度の導入と高齢者負担の引き上げ、患者負担の引き上げ、診療報酬のさらなる引き下げを進めようとしています。その一方で、財界、大企業の求めに応じて法人税はどんどん引き下げ、無駄な大型公共事業や米軍への思いやり予算などには税金をつぎ込んできました。
 今回の県立病院の独立行政法人化は、日本を医療崩壊へと導いていった構造改革路線をそのまま踏襲し、医療の公的責任を放棄するものです。現在の県立病院あり方検討委員会は県立病院や病院事業局とは別の部局が主体となり、現場の県立病院長なども入れないなど、県の行革方針を推進するための最初から独立行政法人化ありきの委員会となっており、そのあり方そのものが問題ではありませんか、お答えください。
 日本国憲法25条は、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定しています。県立病院は、地域住民の公共財産です。地方自治体の本来の目的である住民の福祉の増進に寄与するものでなければなりません。また、いつでも、どこでも、だれでも安心してよい医療の提供という国民皆保険制度の大原則を堅持し、県民に保障することでなければなりません。その立場からも、教育や医療は公的責任において実施されるべきです。
 さらに、沖縄の医療を考えるときに戦後の27カ年間の米軍占領支配により、日本国憲法や国民健康保険法など日本の医療制度から切り離されてきた苦難の歴史とその負担をいまだに負っていることを抜きにして語ることはできないと思います。
 米軍全面占領下の沖縄、すべてが軍事優先で県民の命も虫けらのように扱われ、人権や土地や財産も奪われるなどまさに無権利状態でした。医療供給体制、医療保険制度は後回しにされてきました。病院も全国平均の半分、医師、看護師も全国平均の3分の1、1966年に医療保険制度が導入されたと言っても対象者は県民の4割、療養費償還制のため現金がなければ医者にはかかれないという状況で、大多数の県民は無保険のままだったといいます。虫垂炎の手術も当時の労働者の月収の3倍から5倍だったとのことで、金の切れ目が命の切れ目だったといいます。復帰後、このような劣悪な沖縄県民の医療体制を改善、強化するために、県では急速に県立病院の整備を進めてきました。このことについて国会の厚生労働委員会調査室の2008年5月の医療調査報告書では、「沖縄県の医療提供体制で特徴的なこととして、県内医療機関全体に占める県立病院のシェアが高いことが挙げられる。これは、本土復帰当時の沖縄県の医療事情が、全国に比べてかなり立ち後れた状況にあり、急増する医療需要に対処するため、県立病院の整備を急速に進めてきたことによるものである。このことにより、沖縄県では、県立病
院主導の医療提供体制が形成されてきた。」と書いています。復帰時の国立病院やほかの公的病院などの少なさ、民間医療機関の未発達の中で、県立病院は急速に整備、強化されてきました。まさに県民の命と健康を守るために果たしてきた役割は大きいのではないでしょうか。
 復帰前の医療状況、復帰後どのように県民医療を確保してきたのか。今後の沖縄県民の医療をどのようにしようと思っているのか。その中で県立病院の役割についてお答えください。
 県民医療の確保のためにも県立病院として存続させるべきです。知事の決意を伺います。
 県立病院は不採算医療、高度医療を担っていると言われています。どのような医療体制を指しているのか。この果たしている役割と、この機能がなくなったら県民の命と健康は守れるのか伺います。
 2007年の国会の第1特別調査室の報告書は、沖縄県以外にも離島を持つ都道府県は数多くあるが、沖縄県自体が本土から遠く離れたところに位置するため、沖縄県の離島に対する支援は他の都道府県と比べて厳しい状況にあると書いています。
 このような中、離島病院への医師の派遣、インターネットを通じての患者の診察支援などまさに現在の離島医療を支えているのが沖縄県立中部病院です。
 今、全国的に患者のたらい回しによる死亡事故などが大問題になっていますが、沖縄では患者のたらい回しがありません。それは県立病院が365日24時間救急救命医療の特別の体制をとっているからであり、また民間医療機関では診ることができないような難病など高度医療を実施しているからではないでしょうか。
 先日、県立病院の役割を考える勉強会がありました。そこで民間医療機関の看護師さんは、県立病院だけでなく、私たちも頑張っている、救急医療も行っている。しかし、自分たちの病院にないような高度医療や民間では困難な病気は県立病院にお願いし、搬送している。私たちが安心して医療を続けられるのは県立病院があるからだと話していました。まさに県立病院は最後の命のとりでです。県民は医療体制の充実こそ願っています。知事の見解を伺います。
 国のたび重なる医療制度改悪、診療報酬改定が全国の自治体病院や民間病院の経営を圧迫しています。この間の改悪の経過と県立病院への影響について明らかにしてください。
 その改悪のたびに福祉保健部及び現在の病院事業局はどのような対策をとってきたのか。また生活が困窮し国保税を払えない県民がふえ、その結果、手帳がないまま病院に搬送、あるいは受診したりする事例がふえ、全額の自己負担を払えなくなったり、また手帳があっても自己負担分を払えない県民が県立・民間病院を問わず病院経営に大きな影響を与えている実態について答弁を求めます。
 県福祉保健部は、国保税を引き下げるために市町村への補助を行うこと、国保手帳をすべての県民へ発給する対策をとること、国保法44条の適用を徹底することなど、みずからやるべきことをまず最優先すべきではありませんか、お答えください。
 県民に信頼された医療機関に発展させるには、優秀な医者、看護師や技師などの人材確保、高度医療機器の確保が必要だと言われています。現在の取り組みと今後の課題について伺います。
 県福祉保健部長は、7対1看護体制は必要、しかし全適では定数条例が壁になり難しいと言っていますが、独立行政法人化へもっていくための意識的な世論操作、ごまかしではありませんか。県が定数条例を改定すれば看護師の増員はできます。現に、他府県では県立病院のまま定数をふやしています。
 日本共産党県議団は、島根県立病院、埼玉県立病院に調査に行ってきましたが、このことを確認してきました。
 さらに、日本共産党県議団は、赤嶺政賢衆議院議員を介して県が主張している点について総務省に問い合わせをしました。総務省自治財政局地域企業経営企画室の理事官は、そのようなことは一切ありません。公営企業等に定数管理を一切かぶせていない、公立病院ガイドラインでも一切定数管理はかぶせていない、地方自治体の裁量の問題との回答を得ています。
 県が真剣に看護師をふやす気があるかどうかではないか。7対1看護にするために、定数条例を改定するよう強く求めるものです。知事の決意を伺います。
 2番目は、雇用、暮らし、福祉、教育を守り充実させることについてです。
 まず、県民の雇用を守る緊急対策について。
 日本共産党県議団は、派遣・期間工切りの大量解雇問題について、6月、9月議会、11月議会で取り上げ、知事が直接、解雇を行っている大企業に対して解雇しないよう要請することや、県外事務所への相談所の設置、職員の増員などを提起し、また、12月25日、1月7日に緊急の申し入れを行い、そして1月8日から愛知県と東京で雇用問題の緊急調査を行い、愛知県事務所、東京事務所にも直接申し入れを行ってきました。そしてその調査に基づいて県に対して11項目の緊急申し入れを行いました。その後どのように対応し、どのような成果があったのか、今後どのように強化するのか伺います。
 3月の年度末を控え、12万人から40万人の新たな失業者が出ると懸念されています。派遣・期間工などの解雇の実態、県出身者の実態はどうなっているか。沖縄県内の失業の増大も懸念されていますが、対策の強化について伺います。
 トヨタ自動車は13兆円の内部留保、製造業の大企業で120兆円の内部留保があると言われています。株主への配当はふやす一方で、労働者の首は切る、このことに社会的な批判が噴出しています。内部留保を回せば解雇は回避できます。今、企業の社会的責任を果たさせることが重要となっています。また、今回の事態は、労働者派遣法を改悪し非正規雇用を広げてきたことが根本原因となっており、政治災害であり、政府の責任で解決させること、そのためにも労働者派遣法を99年の改悪以前に戻させ、雇用のルールを確立させること、この立場で県政も対応することが大事だと思います。知事の決意を伺います。
 その上で、県としての緊急の宿泊所の確保、生活と再就職の支援、緊急雇用対策、生活保護受給の支援などを行うことを求めるものです。
 次に、今こそ沖縄で雇用の場を広げる本腰を入れた対策について伺います。
 県内食料自給率向上と地産地消の取り組みを本格的に推進し、県内食料自給率を現在の30%から50%に確保すれば、新たに農業の分野だけでも1万8800人の就業の場が確保できます。農業、漁業の第1次産業の担い手をふやすための所得補償、価格補償制度、若者の就業者支援のための3年間の所得補償制度の確立などが求められています。県としての取り組みを伺います。
 最新版の「厚生労働白書」でも、社会保障関係事業には高い雇用誘発効果があると指摘しています。沖縄でも30人学級を実現すれば962人の雇用が必要です。不足している看護師の数が10対1の場合でも770人必要です。7対1看護であればさらに必要です。特別養護老人ホームの待機者が入所できるよう施設を整備すれば、あと1800人必要です。消防の職員も国の基準にあと1325人必要です。これらの雇用の場の確保を本腰で進めるべきです。見解を求めます。
 地球温暖化防止対策と新たな雇用創出に向けて。
 自然エネルギー、風力発電、太陽光発電が環境を守る新たな産業、雇用創出として世界的に注目されています。先進的な具体的事例について県の認識を伺います。また、離島県であり、自然環境を大事にした観光立県を目指す沖縄こそ、
CO2削減と自然エネルギー産業、雇用創出の先頭に立って推進すべきです。
 そのためには、余剰電力を買い上げる売電価格が日本では極端に低いのが普及への阻害要因と指摘されています。国に価格の引き上げを求めること、同時に国待ちにならずに県独自の条例を制定するなど積極的に推進するよう提案します。見解を伺います。
 子供の医療費の無料化について。
 12月に子供の医療費の有料化の方針が県から出されましたが、今回は提案しないということになったその経緯を明らかにしてください。知事から明確に撤回し、今後とも有料化はしないと約束すべきであります。
 子供の医療費の無料化を中学校まで拡大することが大きな流れです。県として中学校まで拡大すべきです。また、現物給付制度の実現は県民の大きな願いであり、実施に踏み出すべきです。さらに、この制度を国の施策として実施するよう求めるべきです。知事の見解を伺います。
 学力向上のためにも、一人一人の成長のためにも、教職員の過重負担解消のためにも30人学級を早期実現すべきであります。見解を伺います。
 3番目は、無駄な大型公共事業中心から環境を大切にした政策への転換についてです。
 まず、泡瀬干潟の埋立強行の中止について。
 泡瀬干潟は、南西諸島の貴重な自然の宝庫です。これを埋め立てることは沖縄の自然を破壊する愚かな行為であるとともに、沖縄の観光と沖縄の経済にも重大な打撃を与えるものです。 この泡瀬埋立事業は、去年の那覇地裁の判決でも経済的合理性が認められないとして、沖縄県と沖縄市に対して新たな公金支出の差しとめを命じられたものです。今回の工事の強行は、この判決をことごとく踏みにじる暴挙であり、沖縄の将来に重大な禍根を残すものであり、直ちに工事の中止を求めるものです。知事の見解を求めます。
 次に、那覇空港滑走路増設計画と民間専用化について。
 那覇空港の民間専用化は復帰時の約束であり、多くの県民は民間専用化を望んでいます。県議会も那覇市議会も民間専用化を求めてきました。県知事や副知事は、滑走路を2本つくり、1本を自衛隊に使用させたらどうかとの一連の発言をしていますが、これは軍民共用空港の固定化をねらったものであり、民意に背くものであります。明確に民間専用化を求めるべきです。お答えください。
 小禄、豊見城、糸満などでの飛行機の爆音は、自衛隊機によるものではないでしょうか。県は自衛隊基地に爆音をなくすよう申し入れていますが、見解を伺います。また、県の測定器と国土交通省の飛行記録を照合し、爆音の被害実態を正確に把握し県民に公表すべきです。 
 在日米軍再編計画で民間空港の使用について合意していますが、滑走路が2本つくられると米軍機の使用の危険性が危惧されます。岩国が典型的な例です。県はこのことについてどう認識しているのか。
 県は、今のままでは15年には那覇空港はパンクすると言っていますが、民間専用化すればその心配はないと思います。また、国や県の需要予測も過大な需要予測ではないでしょうか。過大な需要予測が泡瀬干潟埋め立てや那覇港のハブ港化構想での無駄な税金の投入につながったことを教訓にすべきであります。さらに、現下の不況のもとで既に予測の修正が迫られているのではないでしょうか、お答えください。
 大嶺海岸は、那覇市に残された最後の海の宝庫とも言われています。どのような貴重種が生存しているか。大嶺海岸、干潟を保全すべきです。
 この工事で県民の税金は幾ら投入されるのか。予算の内訳について。また仲井眞知事が町村前官房長官に申し入れた内容だと、沖合の滑走路と現在の滑走路の間まで埋め立て、大嶺海岸を全部埋め立てる内容になっています。そうなると、今の海岸はすべて埋め立てられることになるが事実か。そうなると県民の負担はあと何倍に膨れ上がるのかお答えください。
 次に、世界自然遺産登録とヤンバルの森を守ることについて。
 ヤンバルの森は、生物多様性の森として世界的に貴重な自然が残っていると言われています。県の認識と世界自然遺産に登録することの意義について県の見解を伺います。
 今ある林道でもう十分ではないでしょうか。これ以上の林道建設はやめるべきです。答弁を求めます。
 環境を維持するために沖縄のサンゴ礁の役割、サンゴの実態と破壊の原因、今後の保全、回復対策について県の取り組みを伺います。
 復帰後の急速な開発によって埋立率は全国一となっています。埋立面積、消失した海や干潟の面積などの実態、海岸線の護岸工事の実態、残された自然の海岸はどれだけか。これ以上の埋め立てはストップし、自然を守るべきであります。見解を伺います。
 一日じゅうほとんど走行し続けているレンタカーの急増と
CO2増加の実態について伺います。レンタカーを低燃費、ハイブリッド、電気自動車などに切りかえれば大幅なCO2削減につながるが、県としての対策が必要ではないでしょうか。
 4番目に、基地のない平和な沖縄を目指してについて伺います。
 オバマ政権が誕生しましたが、基地の撤去が沖縄県民の願いであることを、特に県知事及び県政が発信する重要な時期だと思います。その立場から質問します。
 米軍再編合意で負担軽減と言いながら、逆に基地の強化が進められていることを知事はどう認識しているのか。県民の命と暮らしを守るためにどのように対応するのか。以下、具体的に基地ごとの実態について明らかにしてください。
 ア、嘉手納基地へのF22の配備は米軍の戦略と基地機能の強化ではないか。また、心臓を突き刺す殺人的な爆音についてもふえているのではないか。その原因は何か。さらに、夜間・早朝の爆音についても増加しているのではないか。
 イ、ホワイト・ビーチへの原子力潜水艦の寄港もふえ、放射能漏れも起きているのではないか。
 ウ、キャンプ・ハンセン内の実弾射撃訓練場が次々と建設され、さらに流弾事件が起きたにもかかわらず、米軍は実弾演習とのかかわりを否定し実弾訓練を強行しているではないか。
 エ、自衛隊の旅団化、那覇空港へのF15戦闘機の配備、米軍との共同訓練、キャンプ・ハンセンへの自衛隊ヘリの着陸など、米軍との一体化が進められているではないか。
 オ、知事は、辺野古の沖合移動、環境アセスの確実な実施を言っているが、実際には兵舎の建設、護岸の建設、アセスも1年で終了など、なし崩し的に新基地建設が進められているのではないか。
 カ、東村高江のヘリパッド建設をやめてほしい、静かな環境で生活したいとやむにやまれず頑張っている住民や子供を国は裁判に訴え、工事を強行しようとしているではないか。知事、基地機能の強化、演習の中止を求めるべきです。見解を伺います。
 グアムの基地建設協定は、米軍再編のパッケージの押しつけを協定に書き込むことで拘束力を持たせ、日米合意を強引に押しつけるものです。
 去年、沖縄県議会は新基地建設反対の決議と意見書を可決しました。この協定はこの沖縄県民の意思を踏みにじる暴挙です。また、この協定はアメリカがグアムをハワイや沖縄と並ぶ新たな米軍の戦略拠点にするというものです。沖縄の負担軽減を口実にして、それとは関係のないアンダーセン空軍基地やアプラ湾の基盤整備も予算に計上されています。日本政府の日本の負担は沖縄の海兵隊の移転に伴い、施設整備に限定するというこれまでの説明を覆すもので、米軍基地強化のための国民の税金を他国の基地建設にまでつぎ込むものであり、絶対に許されないものです。これは実質上の安保条約の大改悪ではないか。知事はきっぱりと反対すべきです。見解を求めます。
 知事の訪米結果について。
 知事の訪米予算は、辺野古への新基地建設につながる要請内容を削除し、沖縄県民の基地あるがゆえの苦難軽減を訴えに行くという一致点に基づき11月議会では全会一致の可決となりました。その一致点とは何だったのか、その経過を含めて知事の見解を伺います。
 知事は、その県民の一致点に基づいてどのように要請し、成果はあったのか。
 新聞報道では、辺野古への新基地建設についても要請したとされているが、事実なら議会合意を踏みにじるものではないか答弁を求めます。
 (4)、思いやり予算の廃止について。 
 沖縄の米軍基地の電気料金、水道料金、下水道料金も日本政府の思いやり予算で支払われていると言うが事実か。去年1年間の額は幾らか。思いやり予算創設時から合計で幾ら支払っているか。なぜ私たちが負担しなければならないのか、明確にお答えください。
 次に、日米安保条約について。
 来年は、改定日米安保条約から50年になります。沖縄の基地負担の根源は、そもそもサンフランシスコ条約と日米安保条約にあります。沖縄を日本から切り離し米軍の全面占領下に置き、今日でも強大な基地を建設し、基地あるがゆえの事件・事故、米軍人・軍属による凶悪な犯罪の恐怖にさらされています。さらに21世紀の末まで押しつけられようとしています。知事はそれを評価するのですか。
 安保条約は成立の過程から秘密裏に進められ、国民の知らないうちに強行されたものであることがアメリカの解禁秘密文書などから明らかになってきています。
 サンフランシスコ条約は、吉田茂首席全権ら6人の全権が1951年9月8日午前、サンフランシスコのオペラハウスでの調印式に全員が参加し、これに全員が署名しています。日米安保条約調印式はその日の午後、プレシディオ基地の米軍司令部に移動させられ、そこの下士官集会所で行われています。しかし、6人の全権団のうち、苫米地義三と徳川宗敬の両氏は、この経過に強い疑問を抱き、安保条約の調印式への出席を断っています。安保条約の調印式には、日本側から吉田茂首相と星島二郎、池田勇人、一万田尚登の4人の全権が出席、15分とも言われるごく短時間の調印式だったようですが、アメリカ側はアチソン国務長官ら4人の代表が調印しましたが、日本側で調印したのは吉田首相ただ一人でした。日本側で日米安保条約に調印したのはなぜ吉田首相だけだったのか。このいきさつについて解禁されたアメリカ国務省の極秘内部報告書は、安保条約の条文は1951年9月8日のサンフランシスコの調印まではごくわずかな日米両政府関係者以外、だれにも知らされていなかった。もちろん一般の国民はその内容を知る由もなかった。吉田首相だけが日本代表として調印したのも残りの日本側全権使節
は条約の内容を知っていなかったからだと書き、さらに日本政府関係者も国民も、日米安保条約はある意味で強制が生み出した産物だと考える傾向がある。そう考えるのは、日米安保条約交渉を特徴づけてきた秘密のせいであり、安保条約が占領時代に締結されたという事実のせいでもあると国務省の報告書は書いています。
 沖縄への基地の押しつけがアメリカの全面占領のもとで、このように秘密裏に進められ、今日のこの被害を受け続けていることに満身の怒りを覚えます。この事実経過と知事の認識について明確にお答えください。
 世界は軍事同盟のない世界、紛争の解決は戦争ではなく国連中心の話し合い、平和外交によって解決するというのが大きな流れであります。今こそ安保条約はなくし、アメリカとも友好条約を締結するように見直す時期に来ているのではないか。沖縄の知事としてそのことを今こそ主張すべきであると思います。
 5番目に、不発弾問題についてです。
 最初に、今回の爆発事故で被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 不発弾があるのは戦争を起こした国の責任であります。国がそのことを不問にすることは許されません。知事も施政方針で明確に述べるべきではなかったのか。沖縄戦でどれだけの弾が撃ち込まれて、どれだけ処理されて、どれだけ残されているのか。これまでの事故について県民がこうむってきた被害、経済的損害についてお答えください。
 県は、沖縄戦とはどのような戦争だったのか。また、戦後の米軍占領時代を通しての視点で詳しく解明して、不発弾の存在、発見、処理及び事故などについて国にその責任があることを一点の曇りもないように明確にして政府を初め国民・県民に訴えていくことが必要であります。
 沖縄県発行の戦争遺跡調査報告書の中でも、「去る太平洋戦争末期において、サイパン島の陥落により日本の敗戦が濃厚となっていく状況下で、沖縄戦は本土防衛・国体護持のための時間稼ぎである「捨て石作戦」として遂行され、沖縄は国内で唯一、一般住民を巻き込んだ熾烈な地上戦の場となった。「鉄の暴風」とも形容される戦火の下で、沖縄県民は、想像を絶する極限状態を経験し、20万人余の貴い生命と多くの貴重な文化遺産を失った。」と書いています。
 知事、この時間稼ぎの「捨て石作戦」にこそ、鉄の暴風約20万トン、当時の県民1人当たり350キロの砲弾が撃ち込まれた原因があるのではないですか。
 戦争で被害を受けた他府県の都市は、戦災地復興計画基本方針に沿って再建が始まりましたが、沖縄は27カ年間本土から切り離され、米軍占領支配にあり、憲法や法律、その基本方針などが適用されず長期間放置されてきた結果ではないですか。
 沖縄振興特別措置法の根本精神は、戦争の惨禍と長年の米軍占領に対しての沖縄県民への償いの心を持って国は諸施策を行うことではなかったのか。この精神にも反し、戦後処理でありながら国の全面的な責任を不問にしさらに放置されることはもはや許されません。知事は重大な決意で臨むべきであります。見解を求めます。
 最後に、沖縄縦貫鉄道の導入建設について。
 沖縄縦貫鉄道の導入は、県土の均衡ある発展と県経済の発展にとって欠かせないものです。早期導入についての県の計画、建設にかかる費用と経済効果と雇用効果、その後の県経済の効果について。慢性的な交通渋滞緩和を初め
CO2削減など環境政策上でも必要であります。見解を伺います。

 
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