決算特別委員会

普通会計



本日の委員会に付した事件
 1 平成15年第4回議会認定第1号 平成14年度沖縄県一般会計決算の認定について

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○安次富修委員長 ただいまから決算特別委員会を開会いたします。
 平成15年第4回議会認定第1号を議題といたします。
 本日の説明員として教育長の出席を求めております。
 教育長から教育委員会関係決算の概要の説明を求めます。
 山内彰教育長。
○山内彰教育長 それでは、教育委員会所管の平成14年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元に平成14年度一般会計歳入歳出決算概要をお配りしてありますので、それに基づいて御説明申し上げます。
 まず、説明資料の1ページをお開きください。
 教育委員会所管の歳入につきましては、歳入予算現額563億7436万4000円のうち、調定額が525億7578万130円であります。全額収入済みとなっております。
 次に、歳入の主なものについて御説明いたします。
 まず、(款)使用料及び手数料の収入済額が54億882万1037円でございます。
 その内訳を各項ごとに申し上げますと、(項)使用料(目)教育使用料の収入済額52億7072万4367円は、全日制高等学校授業料51億5923万6950円、定時制高等学校授業料5578万6376円、通信制教育受講料629万7060円、社会体育施設使用料3336万5783円、博物館使用料936万970円が主なものでございます。
 次に、(項)手数料(目)教育手数料の収入済額1億3809万6670円は、高等学校入学料9279万5870円、高等学校入学考査料3921万3600円が主なものでございます。
 続きまして、(款)国庫支出金の収入済額は462億3468万8290円でございます。
 この内訳を各項ごとに申し上げますと、(項)国庫負担金(目)教育費国庫負担金の収入済額412億9324万637円は、義務教育給与費379億4474万9000円、養護学校給与費28億1144万3709円、盲ろう学校給与費3億4907万4063円がその主なものとなっております。
 次に、(項)国庫補助金(目)教育費国庫補助金の収入済額47億4414万1690円は、県立高等学校の校舎等の新増改築に係る学校建設費33億5330万1000円、産業教育施設整備費5億3013万6000円、特殊学校施設整備費3億3357万8000円がその主なものとなっております。
 次に、(項)委託金(目)教育費委託金は、収入済額1億9730万5963円で、教育調査研究費1億1719万3402円、首里城発掘調査等に係る文化財発掘調査費7970万円がその主なものでございます。
 続きまして、(款)財産収入の収入済額は2億3736万5619円でございます。
 この内訳を各項ごとに申し上げますと、(項)財産運用収入(目)財産貸付収入の収入済額3283万8950円で、教職員住宅の建物貸付料3254万6810円が主なものでございます。
 次に、(項)財産売払収入は、収入済額2億452万6669円で、学校用地等の売払収入として(目)不動産売払収入8951万6402円、実習船等の売払収入として(目)物品売払収入4539万3700円、農林高等学校や水産高等学校等の実習生産物の売払収入として(目)生産物売払収入6961万6567円でございます。
 説明資料の2ページをお開きください。
 次に、(款)寄附金でございます。(目)教育費寄附金の収入済額が607万円でございますが、これは国立組踊劇場設立推進事業寄附金でございます。
 続きまして、(款)諸収入の収入済額は6億8883万5184円でございます。
 その内訳を各項ごとに申し上げますと、(項)貸付金元利収入(目)教育貸付金元利収入が1億9026万8000円で、財団法人沖縄県国際交流・人材育成財団への貸付金元利収入1億1026万8000円、財団法人沖縄県学校給食会への貸付金元利収入8000万円でございます。
 次に、(項)雑入の収入済額は4億9856万7141円で、この内訳は、平成13年度教職員給与費国庫負担金の額の確定による過年度収入が3億418万5473円、雑入が1億9438万1668円でございますが、これには、基地周辺の県立学校施設への防音事業関連維持費助成金1億5391万8000円が含まれております。
 以上が平成14年度の教育委員会所管の歳入状況でございます。
 続きまして、歳出の概要について御説明いたします。
 3ページをお開きください。
 教育委員会の歳出総額は、(款)教育費と(款)災害復旧費の合計で、予算現額が1748億541万6000円、支出済額が1664億2197万8673円、翌年度繰越額68億5709万7950円、不用額15億2633万9377円でございます。
 以下、各款、項ごとに御説明いたします。
 (款)教育費については、予算現額が1747億6899万1000円、支出済額1664億658万8672円、翌年度繰越額が68億5709万7950円、不用額15億530万4378円でございます。
(項)教育総務費は、予算現額63億371万7000円、支出済額61億5967万809円、不用額1億4404万6191円でございます。
 不用額の内訳は、教育庁職員給与費の執行残や物件費等の経費節減によるものでございます。
 (項)小学校費は、予算現額522億5195万円、支出済額520億4240万7893円、不用額2億954万2107円でございます。
 不用は、公立小学校の教職員給与費の執行残でございます。
 (項)中学校費は、予算現額346億602万7000円、支出済額343億9820万7860円、不用額2億781万9140円でございます。
 不用は、公立中学校の教職員給与費の執行残でございます。
 (項)高等学校費は、予算現額628億1843万3000円、支出済額568億8914万7651円、翌年度繰越額54億4268万2200円、不用額は4億8660万3149円でございます。
 繰越については、国の経済対策に伴う学校建設費の補正に係るもので、関係機関との調整に時間を要したことなどによりやむを得ず繰り越さざるを得なかったものでございます。
 不用については、高等学校教職員給与費の執行残、学校建設費での入札残等でございます。
 (項)特殊学校費は、予算現額163億2925万7000円、支出済額147億2175万700円、翌年度繰越額14億1441万5750円、不用額1億9309万550円でございます。
 繰越は、国の経済対策に伴う学校建設費の補正に係るもので、関係機関との調整に時間を要したことなどによりやむを得ず繰り越したものでございます。
 不用については、盲ろう学校及び養護学校教職員給与費の執行残や学校建設費の入札残などでございます。
 4ページをお開きください。
(項)社会教育費は、予算現額14億6027万3000円、支出済額12億5240万2622円、不用額2億787万378円でございます。
 不用は、文化財保護費の受託事業の計画変更による執行残等でございます。
 (項)保健体育費は、予算現額9億9933万4000円、支出済額9億4300万1137円、不用額5633万2863円でございます。
 不用は、国庫内示減及び物件費の経費節減によるものが主なものでございます。
 以上が(款)教育費の決算状況でございます。
 次に、(款)災害復旧費について御説明いたします。
 (款)災害復旧費(項)教育施設災害復旧費については、予算現額3642万5000円、支出済額1539万1円、不用額2103万4999円でございます。
 不用は、執行残によるものでございます。
 以上が教育委員会所管の平成14年度歳入歳出決算の概要でございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。
よろしく御審議のほどお願いいたします。
○安次富修委員長 以上で説明は終わりました。
 これより質疑を行いますが、質疑及び答弁に当たっては、その都度委員長の許可を得てから、自席で起立の上、重複することがないように、簡潔に発言するよう御協力をお願いいたします。
 それでは、これより直ちに質疑を行います。
 渡嘉敷喜代子委員。
○渡嘉敷喜代子委員 
 9月議会で、今教育界が抱えている緊急なものは何かということをお尋ねしたときに、教育長は、高校生の就職の問題、不登校、それから中途退学、この3つを挙げて説明していただきましたけれども、これまで取り組んできた実績、そしてこれから取り組もうとする事業などについてお尋ねいたします。
○山内彰教育長 最初の就任のときに、課題性については、1つには不登校の問題、2つ目に就職の問題、それから中途退学の問題を取り上げたわけですけれども、不登校に対しては最重要課題の1つだととらえております。その数が余りにも多く、しかも内容を分析しましたら、遊び、非行型が多過ぎる、そうしますと、これは社会全体の要因も考えられるなということで、4月、5月、6月という形で分析調査をしているやさきに大きな事件が起きまして、大きなざんげと深い反省に駆られています。一言で言うと、事はやさきに生じるなという気持ちでございました。
 県教育委員会としては、事件の問題、不登校の問題に関しては、子供の居場所をつくってあげようということで、子供の居場所づくりということで力を入れてきた、これは教育基本法の方策として居場所づくりを大きなテーマにしていきたいと。居場所となりますと、学校での居場所、家庭での居場所、社会での居場所というのが必要になろうかと。そういう意味では、全県的な取り組みが必要かと思って、そのスタートをしているところでございます。
 ちなみに、学校においては子供たち一人一人、例えば公立小・中学校においては1688名という不登校の数がありますけれども、これを分析し、一人一人どういうケアをしてあげたらいいか、本当に居場所をやるのにどうしたらいいだろうかということで、不登校児童・生徒等への指導、支援カルテなるものを作成いたしまして、子供を支えていこうという対策を立てているところでございます。
 中途退学についても、これについて全庁体制で、あるいは社会に呼びかけて、今その支援をしていこうと、一人一人への声かけ、そしてまだまだやっぱり体制づくりでは弱かったというのが見られましたので、その辺に力を入れていっているところです。
 就職においても、若干就職率そのものは伸びてきましたけれども、いかんせん絶対数についてはもう少し力を入れる必要があるということで、今力を入れているところでございます。
○渡嘉敷喜代子委員 この居場所づくりに関してもそうですけれども、各学校への協力というのも大きいかと思います。全く不登校の子がいない学校というのはあるんでしょうか。
○山内彰教育長 それはもちろん、小さい学校においては全然問題ないところもあります。地域によってもかなり違いがありまして、とりわけ都市地区においては大きく、数字の分析をしますと、過半数以上が都市部に集中しております。したがいまして、11の市の学校においては、これも7から8中学校におきまして大体数値的にありましたので、これは11の市については特に力を入れていく必要があるということで、そこに連絡会議などを立ち上げているところでございます。
○渡嘉敷喜代子委員 そうすると、都市部の学校に集中して不登校の子供たちがいるということは、学校に対しての協力とかというものもかなり大きいわけですよね。こういう事業をするときに、学校への協力というのはどういう形でお願いをしているのですか。
○山内彰教育長 公立小・中学校への協力体制というのと、それから県立の場合は直接でございますので、県立学校においては県立学校長会を定期的に開催いたしておりますので、そこにおいて直接本庁サイドで協力依頼をして、学校長のコンセンサスを得ていく。それから、小・中学校においては市町村立でございます、しかし、県として全体的な今のような把握が必要でありますので、教育事務所等を通して、教育委員会の教育長会、それから定期的な校長会、あるいは担当者会等々で理解をお願いしているところです。
○渡嘉敷喜代子委員 教育委員会からそれぞれの市町村の教育委員会、そして校長会という、それから校長がまた直接小学校、中学校の教師への協力依頼という形になるわけですね、そういう系統はわかりました。
 高校生の就職活動ですけれども、以前はよく中学校、高校の教師が本土の企業回りをしたり、そういう依頼などをやっておりましたけれども、現在もそういう形でやっていますか。
○仲宗根用英教育次長 現在、高校の就職指導につきましては、県立学校長会と就職担当者等が直接県内の企業等に赴きまして、就職開拓、協力をいろいろとお願いしているところでございます。
○渡嘉敷喜代子委員 県内の企業に対しての依頼活動をやっているけれども、県外はやっていないということですか。
○仲宗根用英教育次長 県外につきましても、職場開拓または見学、それに就職に対しても相談等いろいろとるるしております。
○渡嘉敷喜代子委員 各高校の先生が主だと思うんですけれども、やっぱり現場の教師が直接職場開拓とかそういうことをやっているわけなんですよね。そういう意味で、やはり不登校の問題にしても、それから中途退学者、あるいは就職の件にしても、それぞれ学校の皆さんの、現場の末端の教師の皆さんの協力を得なければやっていけないということですよね。そういうことを確認して次の質疑に入りたいと思います。
 10月31日の新聞でしたか、その日ははっきりしませんけれども、教職員の資質向上を図ることを目的として、文部科学省が全国の都道府県に調査研究を委嘱した、「教職員の評価システム」に関する検討委員会を発足させたということが載っておりますけれども、この検討委員会の目的をまずお尋ねしたいと思います。
○山内彰教育長 せんだって教職員の評価システム検討委員会というのを教育庁内で立ち上げました。それは、国の公務員制度改革と関連して、文部科学省は平成15年度から3年間、教職員評価について全都道府県及び指定都市で調査研究を委嘱しております。その制度にのっとって、本県においても学校教育の効果性と説明責任を明確にするとともに、また教職員一人一人についてもそれぞれの職能成長を図っていくことが子供たちの教育を保障することになるのではないかということを踏まえて、教職員の評価システム検討委員会を発足して、本県の教職員の評価のあり方について多角的に検討していただきましょうということでの教育庁からのお願い事であります。したがって、これから3年間の研究指定を受けたという形でございます。これは全国、全県的に取り組まれているものの一環でございます。
○渡嘉敷喜代子委員 報道によりますと、委嘱状交付のときに、内容が学校運営にかかわることであり、委員が思い切ったことを言えないからということで非公開にしましたけれども、どういうことをそちらで実際に話し合われるのか、内容についてお尋ねいたします。
○山内彰教育長 先ほどもお話ししましたとおり、大きな目的がありますので、そのねらいに沿って内容的なものを、これから実際にどういうことを踏まえていけばいいのか、これについても御検討をお願いしたい、私どもが内容としてこれこれですと提示したものではなくて、実質これからどういう内容で、どういう方法でそういうことが構築できるのかということでの検討委員会でございます。
○渡嘉敷喜代子委員 事務局側から東京都の教育の事例を説明したと言うけれども、東京都の何を参考に説明があったのか、そのあたりをお尋ねいたします。
○山内彰教育長 委員がおっしゃるのは、たしかこれは新聞報道によるものだと思いますけれども、何も東京都だけを紹介したわけではなくて、委員の皆さんから先行的に実施、試行しているところがあるかとの前もっての御質疑に対して、事務局側が資料を準備したのが東京都、大坂府、広島県、埼玉県、神奈川県、高知県の6都府県で先行実施されておりましたので、そういうことを東京都を含めてトータルで紹介したということでございます。
○渡嘉敷喜代子委員 東京都は、先進県ということで紹介したかもしれません。私は、石原知事になってから東京都の教育界が物すごい管理体制に入っている、教師の締めつけがあるということを聞きまして、7月でしたか、東京都の教育委員会の様子を見てきました。そうすると、その話の中で、今主任制というのがしかれていますよね。これは、主任同士の学校間の異動はありませんよね。その学校に行って主任になるわけですよね。ところが、東京都が取り入れているものは、主任の上に主幹みたいな中間管理職を置きまして、この管理職は給料形態も決まっていて、この人たち同士の異動になるわけです。東京都の教育委員会の方ではこれは管理職ではありませんと言いますけれども、やはり給料形態、その人たち同士の異動になりますと、どうしてもこれは管理職になるわけです。そういうことで、教師への締めつけというのがすごくひどくなっている、そういう状況を聞きましたので、新聞を見たときに、どうして東京都なのかと私はすごく不思議な思いをいたしました。
 そういうことで、内容についてもこれから検討していくということですけれども、現在教師の評価とか勤務とか、以前もこの勤務評定について問題がありましたけれども、直接学校の校長先生が教師についての勤務とか、そういう状況は把握していて、それはまた教育委員会へ報告する義務もないということでありますので、そのままの状況で、何も今回わざわざ教育委員会の方でこういう検討委員会を立ち上げて、教師の評価とかやって、これが給与とかにかかわってくるということであれば、本当に人権問題になるのではないかという気がいたします。
 そういうことで、再度お尋ねしますけれども、本当にこの検討委員会はどういう目的でやるのか。
○山内彰教育長 用語の使い方でございますけれども、私ども先進県という表現はしていませんでしたけれども、新聞ではそう書いていましたか。
○渡嘉敷喜代子委員 いえ、書いていません。
○山内彰教育長 私たちも先行的に実施、試行しているところの資料を活用させていただいたということでの表現をしているわけでございまして、東京都が先進県というとらえ方はしておりません。公務員でございますので、公務員は当然評価を受けるべきじゃないかと教育庁としてもとらえておりますし、それについては全国の教育長会においてもその話し合いはしたところでございまして、今、現代の時代において、人格、人権の評価云々じゃなくて、私どもが言った職務の内容について、方法について評価をし、そして評定をしようという意図ではございませんで、それがどのように目標達成がされているか、目標管理としての評価視点というものを主体にしているところでありまして、決して人格や人権の云々ではありません。また、今それでこうやるという話ではなくて、そういう視点から御検討をお願いしたいととらえているわけですから、本県の教職員評価のあり方について、多角的な観点からよろしくお願いしますと、こういうことであります。
 ただ、1つだけ言えることは、公務員制度において評価の問題は避けては通れないことになっているのではないか、また、公務員としての説明責任、アカウンタビリティーも問われている1つではないかととらえているものですから、執行する教育庁としての責任もそこに感じている次第です。
○渡嘉敷喜代子委員 今、県庁内での職員に対しての評価というのはどこでやられているのですか。仕事の分掌とかというのは、何年か置きに監査とかそういう感じでやられていると思うのですけれども、公務員のそういう審査というのはどこでやられているのかですね。それによって給料とかボーナスとか、そういうものにかかわって、今回も行政改革も入るわけですから、そういうのがかかわってくるのかどうか、お尋ねいたします。
○山内彰教育長 先ほども申し上げたように、国の公務員制度と県の公務員制度を一緒にして改革が今求められていると。したがって、平成18年度から公務員についてのシステムの構築に向けて今やっている最中で、現段階において評価制度が構築されているわけではございません。だから、これからも入っていくだろう公務員制度、そして教職員という形でのシステムに向けての調査でございます。
○渡嘉敷喜代子委員 今、校長が部下を審査したり、評価したりという制度を実際にやっていますよね。それではだめなのかどうか。報告はないけれども、やっぱり上司として部下がどういう研修を受けたり、それなりの評価というのをやっていると思うんですよ。それではいけないのか、再度お尋ねいたします。
○山内彰教育長 一言で言いますと、制度としてはそこには存在していない。人事異動やその他において教職員の一人一人のお仕事の内容を伺っているだけの、あるいは報告をやっていただいているわけであって、制度としてそこに出ていないので、制度として構築するのはいかがなものでしょうかということでの検討委員会と。したがって、検討委員会とさせていただいたわけです。
○渡嘉敷喜代子委員 制度として置かれていないから、どうしても制度として置きたい。それは、検討委員会でどういう検討をして進めていくかわかりませんけれども、やはり教育庁としてこういう方向でやってほしいという意図的なものというのはあると思うんですね。そういうことで、やはり管理体制につながってしまうのではないか、そういうことが心配されるわけです。先ほどの通達の仕方も聞きましたときに、教育委員会から校長会、そして校長会から下部の末端の教職員の人たちへおろしていくという、こういう形態があるわけですから、そういう経路を経て末端の教師へつながっていく。今回の場合には、教頭とか校長が対象になっているわけですけれども、そういうことによって、校長は学校へ帰りましたら今度は教師を管理していくということは、これは目に見えているわけですから、どういう方向でこの委員会が進んでいくかわかりませんけれども、そのあたりをしっかりと、そうあってはいけないということを姿勢でもって、これは教育庁の姿勢になるかと思いますけれども、そういうことで、しっかりととらえていただきたいという気がいたします。
 関連しますけれども、教職員の自己管理のアンケートを6月にやりましたよね。これが今度、中頭教育事務所では9月にもやっているわけです。このときに、もう教育庁はやらない方針だということで私は受けとめまして、ほかの市町村もそうだったかと思います。ところが、中頭教育事務所は、教育委員会から流れてきた文書はまだ生きているんだということで9月に実施し、それから3月も学期ごとにやるということで、そういう方向で9月の実施をしたわけです。これに対して、教職員はものすごい反発をして、本当にプライバシーにかかわることであり、教職員の管理につながるということで、今、中頭教育事務所管轄で職員が署名運動をやっているんですよね、御存じですか。
○山内彰教育長 教職員団体としてでしょうか。
○渡嘉敷喜代子委員 教職員団体としてです。
○山内彰教育長 それについては存じていませんけれども。
○渡嘉敷喜代子委員 教育庁は、新聞の報道によりますと、実質的には撤回すると、事実上の撤回だというようなことが出ております。ところが、教職員団体の方ではこれはまだわからないと、またやるかもしれないということで、署名運動をやっているわけですよね。このような形で、これから先ほど教育長が掲げました緊急の課題を抱えていて、本当に教師の協力が得られるのか、一緒になってそういうことに取り組んでいかなければならないものを、不信感というのが出てくるわけですよね。やはり教育をしていく上には、教育委員会と教師が対峙するのではなくて、お互いに協力していくということが一番大切なことだと思います。それが子供の教育にはね返ってくるわけですから、このような対峙の形になっていて、今後教育していく上で一体どんなメリットがあるのか、やはりそのあたりをしっかりととらえていただきたいなと思います。
 私が言いたいことは、1度文書が流れました。そのときに、教育委員会でこれはもうやりませんということであればやらないということを、この新聞報道によると、地域の状況に合わせて独自の不祥事防止策に取り組んでほしいということですけれども、校長の采配でもってそういう防止策に取り組んでほしいという文書をしっかりと出していただかなければ、また今回の中頭教育事務所のように、文書が生きているというような行動に移されたら本当にたまったものじゃないなという気がいたします。そのあたり、どうお考えですか。
○山内彰教育長 教職員は今1万5000名おります。いろいろな考えもあろうかと思います。しかし、絶対多数というものもまた必要かと思うんですね。教職員の意識調査については、教職員個々の実態をみずからがどのようにコントロールしていくか、教職員のモラルの形成を図ろうというのが私どもの願いでありまして、決してこれでもって縛っていこうという話ではないわけですね。ですから、ここで十分理解を得られたところもあって、学校内で全然変わった形でお互いにつくり出したところもあるわけです。私は、そういうことをやりますと、県教育委員会としての調査の当初の目的は達成できたと。私たちとしては2つだったんです。まず全体の把握をしたい、なぜかというと、余りにも危機の問題が大きかった。教職員による不祥事が多発して、これは子供の人権にかかわっていたじゃないですか。そういうことをしますと、子供の人権を保証せんといけない教育庁は、やはり子供の視点に立って教育行政を運営し、そして教職員の協力を求めていくというスタンスは変わらないと思います。学校によっては、設置者である教育委員会にいかがなものでしょうかということでコンセンサスを得て、向こうも、我々自分たちでやるべきものを県がやってくれてありがとうというのが教育長だったとの声も聞こえますので、あとはお任せしますという形で県教育委員会としてはおさめ得たわけであります。危機意識の実態把握と、教師みずからが自分を律する意識を高揚せぬと、本県は危ないですよということでの意識調査でございまして、決してこれで縛ろうとかなんとかするものでありません。
 もう1つですけれども、先ほど管理ということでしたけれども、私は管理は必要だと思います。だって、教育庁は管理者を発令しているわけですから、管理者というのは縛るのではなくて、理を通すことだと思いますね。理を説くから、水道管は水が流れるから水道管といいますけれども、理の管だから管理というわけです。理がなければ通らないと思います。だから、私たち学校長が余りにもその辺が十分ではなかったのではないかと、個人の問題に関して。だから、そこはもう一つお互いで認識し合い、理解し合っていこう。だから理解と対話というキーワードを出しましたけれども、やっぱり理解するために対応してやっていけば十分やられていく。
 今、中頭教育事務所と言いましたけれども、中頭教育事務所の所長や教育長たちにも……。
○安次富修委員長 答弁は簡潔にお願いします。
○山内彰教育長 はい。直接聞きましたけれども、それについては十分理解しているということでございましたので、そう答えたわけでございます。
○渡嘉敷喜代子委員 最初のアンケートの場合には、確かに教育長がおっしゃるとおりよかったと思います。私は教育長と6月の時点でこの件についてお話ししたときに、これが1回ならともかく、最初のころはこれを毎月やるという方針でしたね。これをずっと続けていくということは、やっぱりまずいのではないかとお話をしました。この時点で、私は教職員団体の方へ一般質問でこれをやりませんと、お互いに労使間で信頼関係を築いていくためにも、じっくりと話し合ってくださいということで話し合いをしました。ところが、今回9月にまた問題が出てきましたので、これは捨てておけないなということで質問いたしましたけれども、やはりどうしても、恐らく校長の権限に任せていられなかったから教育委員会でやったということをおっしゃいますけれども、やはり校長の権限、采配、これをもっと信頼して任せていただきたいと思います。それが教育委員会と校長との信頼関係にもつながるし、また校長と教師との信頼関係にもなると思いますので、もっと校長に権限をしっかりと与えてもいいのではないかという思いがしますけれども、そのあたりよろしくお願いします。
○山内彰教育長 それについては十分そういうような形で対応しているつもりでございますけれども、現に学校長さんたちとの校長研修会等での話においてはうなずいてくれているわけですから、あとお任せ。ただ、緊急事態のときの発令の仕方で行った事態については、また御理解をいただきたいと思っております。
○渡嘉敷喜代子委員 先ほどから話し合ってきましたことは、総括すると労使間の信頼関係だと思うんですよね。教育委員会と校長、そして校長と現場の教師たちのお互いの信頼関係の上に成り立つものが教育であって、それがそのまま子供たちへの教育へと反映していくと思います。教師をいろいろな形で、管理という言葉が悪ければ、いろいろ審査をしたりアンケートをとったりしていく上で、この状況を保護者が見ているわけですよね。そして子供たちが見ているわけです。一般の公務員の皆さんにアンケートをとるのとはわけが違うと思うんですよ。そういうことで、そのような背景もしっかりと踏まえて、こういう調査にはもっと慎重に当たってほしいという気がいたしました。今後またいろいろな問題が出てくるかと思いますけれども、教育長のそのあたりの姿勢をお聞かせいただきたいと思います。
○山内彰教育長 それについては十分考えてやっていきたいと思っております。
○渡嘉敷喜代子委員 不祥事が出たら、もうこれは学校の問題だ、何だということで押しつけられがちですけれども、やはり子供の教育の一番最初にかかわっていくのは親であり、幼児のころからどう教育をしてきたかということが大きなものになるわけです。心の教育がなされていない、そのような状況で小学校に入って中学校に行って、不登校の問題やら、それからいろいろな不祥事につながるようなことになってくるかと思います。そういうことで、教育委員会としても心のしつけとかいうことに一生懸命取り組んでいらっしゃいますけれども、やっぱり家庭への喚起ということもしっかりと押さえていきながら当たっていただきたいということで要望としておきたいと思います。
○安次富修委員長 高嶺善伸委員。
○高嶺善伸委員 竹富町西表島にある忘れな石についてお聞きしたいと思います。
 管轄がどうこうではなく、一緒に問題を考えたいなということで質疑をさせていただきますが、まず教育長、この忘れな石はごらんになったことはございますか。
○山内彰教育長 2度ほど行きました。
○高嶺善伸委員 西表島の南風見田の海岸に、戦争の悲しみを静かに伝えているわけですが、太平洋戦争末期に軍命により波照間小学校の全児童のほか、全島民をマラリア有病地帯の西表島に強制的に疎開させたことによって、全児童がマラリアに罹患して、66名の子供たちが死んでいったという歴史がございます。「悲しみを乗り越えて」という記念誌に目を通してみますと、子供たちもさることながら、亡くなっていった村の人たちの思いが書かれております。ある方は、何と1家族17名で、家族7人、あと9人と16名が亡くなって、1人残ったという方の思いや、一家全滅の話、また11人家族から2人だけ残った家、あるいはまた幼い子供だけ3名残ったという歴史がつづられております。
 この忘れな石は、当時の校長だった識名信升先生が疎開地で子供たちの苦しみ、つらさに思いをはせ、同時に校長として子供たちを守ることのできなかった心の痛みを記して、忘れないという思いで青空授業をして、石の上に刻み込んだのがこの忘れな石ということであります。
 最近は、そういう教育を重視して全国から詩の朗読会とか、いろいろ訪ねる方が年々ふえておられるそうであります。ところが、残念なことには、海岸の中途にあるために、そこに行く道がないと。したがって、道路から一たん海岸へ出て、ずうっと歩いて、ちょうど岩を登ってから現場にたどり着くということで、そこをずっとボランティアで管理している平田一雄さんの話をお聞きしますと、千葉県からわざわざお見えになった団体の中で、満潮だったその時期、足を滑らせて、びしょぬれになったという方とか、いろいろな話があって、何とか道路をつくって戦争の体験を風化させないように、何とかみんなに見てもらいたいという思いを話しておられた。竹富町も、御承知のように財政が厳しくて、なかなかそうもいかないということで、この忘れな石を何とか県教育委員会で位置づけて、支援の方法はないんだろうかと思っております。というのは、平成5年、1993年には沖縄県平和教育研究校というのがございまして、波照間小学校が指定されて、先生方と子供たちで戦争体験の悲しみを歴史に残していこうということで教育に反映されたことがあるんです。そういうことを考えると、この校長以下職員と子供たちが生死をともにして終戦を迎えた忘れな石のあたりを、何とか教育の機会に取り入れるようなことも念頭に置いて整備ができないだろうか、特に、進入道路ですね、そういう思いで質疑するわけですが、教育長の率直なお考えをお聞かせください。
○山内彰教育長 確かにあの刻まれた「忘勿石 ハテルマ シキナ」でしたか、あの10文字はすごく印象的で、しかもその文字が消えかかっていますよね。砂岩というもろい岩であって、訪ねたとき、そしてそこから波照間が見えるということでは、すごく戦争遺跡としての教育的価値があろうかなと認識しております。したがいまして、現在県教育委員会では戦争遺跡詳細分布調査を実施しておりまして、平成16年度には八重山地域の調査を予定しておりますので、その一つにしていきたいと思っています。
 ただ、忘れな石の保存、活用については、八重山地域の調査終了後に竹富町教育委員会とも連携して考えていけたらと思っております。
○高嶺善伸委員 そういう平和教育研究校指定のいきさつも踏まえて、ぜひ教育的な機会に触れるように、調査を含めた取り扱いの御検討をお願いしておきたいと思います。
 次に、幼稚園教育についてお尋ねいたします。
 市町村立の各幼稚園にはいろんな課題があって、各教育委員会も取り扱いについてはいろいろ御苦労しておられますが、児童福祉の保育所の問題と、学校教育における幼稚園教育とは全然別個であるんですけれども、地域によっては、保育の問題と幼稚園教育の問題が同時に解決されなくてはならないという課題等々も耳にしております。それで、また各家庭や両親の、あるいはまた親の仕事の形態によっては、なかなか保育に費やす時間が確保できないということで、5歳になると幼稚園に進むことを夢にしている子供たちがいる場合もあるんですが、実際に親の選択は、いやもう幼稚園は午前中だけだから、午後も保育のある保育所の方に置いておきたいというような形で、幼稚園へ行かずに保育所からそのまま小学校へ入学するケースもあります。
 そこで、教育長にまずお聞きしたいんですけれども、幼稚園教育の重要性、保育事業と全然違う教育的な価値についてお考えを聞かせてください。
○山内彰教育長 たくさんあると思いますけれども、一言で言うと、ロバート・フルガムの「人生のすべてのことは幼稚園の砂場で学んだ」そういう言葉がありますけれども、そのとおりじゃないかと。遊びを通して人間の生き方を学ぶところ、いわゆる人生の礎を築くところじゃないかと考えております。
○高嶺善伸委員 そのような大変重要な幼児期に教育に携わる幼稚園の先生方も、大変御苦労しておられると思います。その重要性にかんがみて、多くの子供たちに幼稚園教育を受ける機会を与えたい。そのために、今世相を反映した保育に欠ける各家庭の状況を見たときに、ぜひ幼稚園でも預かり保育ができるように、県教育委員会としても指導できないのかと考えておりますが、その辺についてはどうでしょうか。
○山内彰教育長 先ほども委員おっしゃっていたように、女性の社会進出と職場の問題、幼稚園における預かり保育の必要性が求められていると認識しております。そしてまた、文部科学省においても預かり保育を推進しております。したがいまして、県教育委員会としても沖縄県幼児教育振興プログラムを策定しまして、幼稚園における子育ての支援の1つとして預かり保育を促進しているところでございます。
 平成15年度においては、公立幼稚園の243園中61園、25.1%の率ですけれども預かり保育を実施し、徐々にその振興が見られる状況にあります。実施主体が市町村教育委員会でありますので、職員配置、予算等については各教育委員会で主体的に取り組まれていると考えておりますし、今後、希望する幼稚園においては預かり保育ができるように促進を図っていきたいと考えております。
○高嶺善伸委員 確かに保育所に入所したくても入れない待機児童も多くて、そういう意味では、幼稚園への入園が促進されれば待機児童の解消にもつながるという問題等々も含まれていますが、どうも各教育委員会は、おっしゃったように、人員の配置とか予算の問題でなかなか思うようにできないと。あるいはまた幼稚園の現場からもぜひ預かり保育をやりたいという要望があるが、財政的なことでどうもこたえられないということも現場の声としてはあるんですよね。そこで、文部科学省もそう奨励していくし、県教育委員会としても推進していく立場にあるのであれば、財政的にも支援のスキームというのができないものか、その辺についての県の考え方をお聞かせください。
○山内彰教育長 財政の問題になると非常に厳しい話になろうかと思うんですが、いかんせん公立幼稚園とはいっても市町村の単位でございますので、ただ、預かり保育に対しての地方交付税というものの制度というのがスタートしておりまして、そういうものをもとに、これから県としても100%を目指して、いわゆる推進活動を展開していくようにしていけたらと思っております。
○高嶺善伸委員 とかく保育園、保育所、保育事業のことが中心的な感じですが、やっぱり幼稚園教育のすばらしさが家庭に伝わるように、そしてこれから子供を育てる中で、親も幼稚園教育の重要性について十分認識できるような教育行政をお願いしておきたいと思います。
 次に、県立八重山養護学校でございまして、そこをお訪ねする機会があったんですが、寄宿舎の問題をいろいろ考えてはいるんですが、やっぱり地域柄、与那国町とか竹富町におられる児童・生徒もいることだし、何とか寄宿舎があると助かるという声もございます。そこで、県内の学校の寄宿舎設置状況、八重山における必要性及び今後の予定等についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。
○山内彰教育長 おっしゃるとおり、八重山養護学校の通学区域には離島や遠隔地もありますので、離島等からの通学や家庭の事情により入所を希望する児童・生徒のため、寄宿舎設置は必要だと理解しております。
 ただ、需要動向として調査しましたら、平成15年度で10名が寄宿舎入所を希望しておりましたので、今後も年間その程度の入所希望者が見込める状況があるのではないかと考えております。したがいまして、建設計画について県立特殊教育諸学校編成整備計画で八重山養護学校寄宿舎の新築を今計画に入れているところでございます。
○高嶺善伸委員 ぜひ地域性も十分配慮した上で、寄宿舎設置といいますか、建設に向けて早急な取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、高校生たちの活躍について、私もいろいろ新聞報道を見たり、関係者から耳にするたびに、スポーツや文化関係で沖縄県の子供たちが非常に今頑張っているなという感じがいたしております。スポーツのように華々しい、注目度の高い競技などの活躍についてはよく目に触れますけれども、やっぱり沖縄県の文化、特に離島、八重山などでしたら芸能関係ですね。そういう意味では、部活で自主的に生徒の皆さんが活動しながら、それで先生の中にはまたこういうものにたけている先生もおられて、その指導者と子供たちが非常に息をぴったり合わせて、すばらしい郷土芸能クラブの運営をしているのが目につきます。そういう意味では、教育上のいろんな要素を考えると、地域の特殊性、特に地域文化というものに対して誇りを持って、自分のふるさとに誇りを持つような子供たちとして社会に出て行くことが大事だなという気がいたします。
 そういう意味で、私の選出の地元の高校に絞って申し上げて大変恐縮なんですけれども、八重山高等学校、八重山商工高校、八重山農林高校とございますが、競い合って非常に地域の文化を大事にしています。郷土芸能クラブの活躍も、新聞等で見ると非常に目覚ましいなという気がしておりますが、教育長はどういう印象を持ってごらんになっておりますか。
○山内彰教育長 本県の高校生の文化活動、これはもうすばらしいものがございまして、せんだっても、今お話がありました八重山高校の文化活動部が訪問してくれました。表敬ということで、全国総合文化祭で優秀賞1位をもらったということでの御報告でありました。その顔を見ましたら、もう輝いていますよね。夢を持っていますよね。大きな舞台でまた活躍したいということで、やはり文化を通して子供たちが生きている。我々は今教育では、文化力という言葉を文化庁長官が使っておりますので、やはり子供たちに文化力をつけていくということが大事だなということを、高校生の活躍を通して理解しているところです。
○高嶺善伸委員 石垣市では豊年祭というのがあって、4カ字挙げてやるんですが、そのときにいろんな団体、それから自治体からいろんな踊りを出すわけですよ。その中で、八重山農林高校になってくると、郷土芸能クラブがそこで奉納するんですけれども、このきびきびとした明るい表情で団体で踊る姿を見て、一番拍手の多いのは高校生の芸能ですね。そういう意味では、全国大会出場及び全国大会で1位、金賞をもらう、あるいは最優秀賞をもらうというときには、大いに表彰して褒めてあげるべきだと思いますが、どうもスポーツ面に比べると文化面の活躍の表彰の機会が少ないような気がしませんか、その辺についてはどうですか、教育長のお考えを聞かせてください。
○山内彰教育長 決してそういうことはないと思います。私どもは2月に教育関係において、幼、小、中、高まで一括して活動評価をし、そして表彰しているところであります。しかも、全国大会になると特別表彰ということで知事表彰なども入れているところでありまして、文化面においても表彰の例としては取り上げていると。ただ、華々しさというんですか、マスコミ報道等との関係でそう映っているのではないかなと、個人的にはそのように思っておりますけれども。
○高嶺善伸委員 ウチナーンチュのアイデンティティーの確立という意味で、子供たちに学校教育時代から植えつけていくことによって、沖縄の未来には可能性が輝いている、そういう気がしますので、マスコミも大いに使ってください。
 最後に、県立高校の授業料の納付の件について、これは出納長にも総務部長にも提案してきたんですが、本県は離島が多い。したがって、金融機関のない町村が23町村沖縄県にはあります。そういう意味では、公金の自動振替等があるとこういうのも納付しやすいということですね。今、21都道府県では授業料を含む公金の自動払い込みを扱っているんですよね。そういう意味では、竹富町、与那国町あたりの御父兄から、子供に持っていかせるのではなくて、親が郵便局の窓口を通して払いたいというのが以前からありました。最近、県立高校の授業料についてどうなったか、その後の取り組みの経過を聞いておりませんが、現状とこれからの取り扱いについてお聞きしておきたいと思います。
○山内彰教育長 それについても御要望ということで検討させていただきたいと。手数料等々の問題もありますので、検討事項と思っておりますので、そうさせていただきたいと思います。承っておきたいと思います。
○高嶺善伸委員 郵政官署の取り扱いについても国も奨励していますしね。あまねくサービスの体制が郵便局にはございますので、県も49億円ぐらいの収入未済額等々がありまして、解消策として、県民が納付しやすいような条件づくりも必要じゃないかと。したがって、年々決算をして、どこに問題があるか、県教育委員会には収入未済額がありませんので、総務部にも、出納室長にもお話ししておきましたので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
○安次富修委員長 吉田勝廣委員。
○吉田勝廣委員 先ほどの高嶺委員のお話で、高校生の活躍とかいろいろ言われました。私も中学生とか運動会とかをいろいろ見ていて、確かに子供たちの表現力も伸びたと。そして、その主張の中にも、家族、そして地域とのコミュニティーですね。これを大事にする子供たちのお話大会ですね、これが出てきたと。そういう思いもしつつ、そして沖縄の子供たちの活躍によって、よく沖縄に住んでみたいとか、沖縄の環境のすばらしさを勉強してみたいという形で、修学旅行生だとか、文化、それから環境、そして体験、そういう形でかなり今評価されつつあるように思います。
 しかし、残念なことに、この沖縄県で起こっている集団暴行とか、北谷町に見られるあの事件とか、私もこの12年間PTAとしてかかわってきて、瀕死の重傷を負わせるような事件も私の町でも起こりまして、加害者となったその子供たちは今、青年会で活躍をして、青年会長になったりしております。そういう意味で、今後の生きる力といいますか、子供たちはいろんな事件、事故を起こしながら、生きる力を自分たちでどのようにして形成していくかということが非常に問われているのかと。そしてまた、学校、地域、PTAといいますか、関係者が一体となって、生きる力をどのようにしてはぐくんでいくかということだと思いますけれども、教育長にこれに関する考え方を伺いたいと思います。
○山内彰教育長 おっしゃるとおり、生きる力は本県だけじゃなくて、日本の学校教育において、ゆとりの中で生きる力という大きなテーマのもとに、学校教育が今進んでいるところでございます。本県においても、ゆとりとは単に時間ではなくて、心の居場所であると。そして、生きる力というのは、私としても大きく3つあるかと。1つは、自然の中で生きるという力。ですから、自然の中で人間がどう生きていくかという力だろうと。ある意味ではサバイバル力ですか、これは感性的なものが体験と感性によって生まれてくるだろうと考えているところです。
 もう1つは、やっぱり社会の中で生きる力というのが必要です。これは人間関係でありまして、社会関係でそれもやはり体験が必要であろうと思います。社会体験と私たちは呼んでおります。
あと1つは、人間として、自分として生きる。これは存在感でありまして、私が社会の中でどう貢献できているんだろうかという満足感がないと、やはり生きる力という意味にはつながらないんだ。そういう意味では、沖縄にはいい自然があるし、おっしゃるとおり、いい社会、コミュニティーがありますし、あと1つは、自分としてどうだろうかというものがいまいち弱いような感じがしますので、そういうものに力を入れて、これから学校教育から社会教育につないでいく必要があろうかと、こうとらえているところです。
○吉田勝廣委員 その最後のところの、自分の自己表現といいますか、自己主張といいますか、これが子供たちのお話大会では非常に自己主張があっていいんですけれども、多くの子供たちの中では、高校生も含めて自己主張がないのじゃないかな。子供たちと接してそういう感じがするものだから、教育の中で自己主張できるような雰囲気づくりというか、場所づくりといいますか、例えば、AがよくてBが悪い、なぜBが悪くてAがいいのかとか、そういう討論であるとか、このことが非常にいいんじゃないか、親と子の関係とか、そういうところの論争がないのじゃないのかなと思ったりはしております。
 そういう意味で、先ほど自然のお話もありましたし、それから社会的な中で子供たちをどう生かすかということがあります。そういうことの中で、私、例えば自然の中で今後子供たちをどう生かすか、どう体験させるか、非常に大事だと思います。社会の中にどう生かすかという場合、家族の枠から離れて社会体験をどうさせていくか。例えば、高校生の就業する、仕事を求める。すると、役場へ行って1週間入るか、10日入るか、2カ月入るか、そしてまた体験として青年の家でもいいでしょう。どこでもいいでしょう。集団生活をすることによって、また社会生活の中の自分の位置というか、そしてまた自分の、何と言うんですかね、あると思うんです。学校教育から離れてしなければ、寄宿舎でもいいですよね。そうすることによって、人と人とのつながり、これが非常につながっていくんじゃないかなと私は思っています。ですから、そういう意味で、自然と地域へ溶け込む、そして自分の価値を見出す、さっきの3つですね。これを総合的な一貫したところで学習する場所、それがないのか、それが政治的であるのか、そしてそれをつくるという努力、これが私は必要だと思うんですよ。
 よく東京からとか来るんですよね。例えば久米島町に来たり、恩納村に来たり、みんな体験しているんですよ。一緒に宿泊して、1週間とかサバイバルとかですね。こんなにいい自然の中にあるのに、なぜ沖縄の子供たちがそういうことをできないのかという思いをしていますからね。教育長、その辺いかがでしょうかね。
○山内彰教育長 今の形でいきます自然体験とか農業体験を初めとして、体験活動を県としても進めて、豊かな体験活動推進校なるものを指定して進めているところでありますけれども、いかんせん学校教育の範疇の中のものでございますので、そこはまたもう一つ広げて社会教育、あるいはひょっとしたらこれは行政の範囲の中で、行政が教育に目を向けてそういう環境づくりということに、まさにちゅら島沖縄づくりというふうになろうかと思うんですけれども、委員おっしゃっていることはすごく大きな構想でありまして、広大なプロジェクトを立ててやっていく必要があろうかと思っています。ただ、学校教育においてもそれに近づけるような努力ということで、自然体験、人間体験、社会体験、美的体験、6つぐらいの体験活動を取り入れまして、推進をし、やっているところであります。
 ただ、市町村においてはもう始まっているところもあります。例えば、浦添市などは第2スクール、セカンドスクールということで、東村と契約して、東村に1週間やるとか、こういうのも生まれております。私どもも、1週間学校にじゃなくて、すぐ職場にということで、職場体験ということで中学生に位置づけ、小学生には1日か3日間、親と一緒に行動して大人体験という形での体験活動なども取り入れて、総合的なプロジェクトというのが必要かなと感じております。
○吉田勝廣委員 恐らくそういうことを含めて今後やっていかないと、今の状況を解決というか、いい方向に進むことができないのではないかという不安を持っているわけです。そういうことで、例えば問題行動を起こした子供たちの意識がどういう形なのかですね。それから、現代の世の中で規範意識といいますか、何といいますか、我々が人権とか公共の福祉とか権利とかいろいろ社会情勢の中であると思うんですよね。また、社会法上の中で青少年の問題行動の背景ですね。先ほども教育長が言われましたけれども、多様な人間関係を通じて育成していくんだというお話がありましたけれども、この問題行動を起こした子供たちの意識と、また、なぜ社会はこの問題行動を起こした子供たちに対して何もしないのか、声かけしないのか、この辺のお考えがありましたら伺います。
○山内彰教育長 私は、1つにおいては学校教育の活動から見ましたら、社会においては人間における関係性の喪失というものが生じていると認識しております。本来、人間は関係性があって、家族があれば家族で食事はする。ところが、今現在において食育というものも我々は取り入れていますけれども、まず家族ではなくて単独で食事をしてしまう。家庭で食事、家庭で寝る、こういう基本的な生活習慣形成がやはり人間性の関係性の喪失をつくっているんじゃないか。そういう意味では、関係性の構築を図る必要がある。そうすると、皆子供たちに、今問題を起こした子供たち、北谷町の事件もそうですけれども、一人一人を見ますと、孤独である、孤立している。独立はさせたいんですけれども、自立と孤立とは違うと思いますけれども、孤立させてしまう。自立というのは、やっぱり本人が社会で存在感を味わうことだと。ですから、その存在感こそ社会の居場所だと思っていますので、これから教育委員会としては子供の居場所づくり推進ということ一本で大きく動いていきたいということで、今、財政当局に予算要求をしているところです。
○吉田勝廣委員 非常に大事なことだと思います。そういうことで、ひとつ現実的な問題として、子供たちが社会的規範というか、ルール性に欠けている。僕は今の高校生のミニスカートというんですか、学校の規則についてどういう形で守られているのかどうかということを聞きました。僕は学校で、我々、高校時代は服装違反なんかすると先輩に注意されました。これがいいことなのかどうかは別として、しかし、基本的なルールは守りましょうと、それが校内の規則だと思います。それさえ守れなくて、社会のルールを守れるかということだと私は思うんです。ですから、僕はやっぱり服装の問題をきちんとすることによって、一つのルールを確立するんだと。
 今、子供たちを見ていますと、全国的に、修学旅行に来るのもみんなミニスカートですね。僕は、あれがひざ上何センチかわかりませんけれども、ルールは守られているか。学校の規則があるのに、それを守らせる努力をしたかどうかということは、これは基礎的な、基本的なルールだと思うんです。その辺はいかがでしょうか。
○山内彰教育長 1つには、やっぱり道徳観とか倫理観、あるいはそういう自己実現、自立というのは、みずからを律する心というものの教育活動というものの、やっているものと負の部分の相互関係かなと考えているわけです。どうしても負の部分が大き過ぎて、どんどんいっているところはあろうかと認識しています。社会の負の部分、つまりゲーム的な感覚で、デジタル化していく。今の律するというのは、ある意味ではアナログの部分で形成されていくわけですから、そういう情感的な生活習慣になっていなくて、デジタル的な生活習慣が大きく作用しているのではないかととらえております。ですから、そういう面での指導というものは十分にやっていく必要があろうかと思っております。
○吉田勝廣委員 今、例えばでっかい企業もいろんな表示の問題とか、いろいろありますよ。だけれども、それに対する子供たちの認識もいろいろ違ってくるでしょう。今私が言わんとするところは、学校の規則、例えば、スカートはひざ上何センチですか、それが守られていない。どこで子供たちに規則を、基本的なルールを守らせることが学校でできるか。私は、問題行動を起こした家庭に対して、家庭に問題があるよと言っても、家庭はなかなか改善できないのですよ。これは所得の問題、親子関係の問題、いろいろあるのです。ですから、家庭が解決できなかったら、さっきの居場所の問題ですね、第2の場所、第3の場所でしか解決できないので、その方向性を出さなかったら、こういう形そのままになるのです。だれかがやっぱり語りかけていって、この子供をどこかへとか、教育することによって、また立派に成長していきますよ。
 ですから、私は高校生とか、中学生はある程度制服はきちんとされていると思います。高校生だけがちょっとまだ残念だけれども、基本的なルールを守っているかというと、そうではないような感じがするのですよね。そこで、そういう基本的なルールを学校で守らせることができない。携帯電話も議会でも言われておりますけれども、携帯電話を学校でもポコポコ授業時間にやる、これが勉強時間中通るか通らないか、この小さなことですね。小さなことを見逃すことによって、次に大きくつながっていきますよ。沖縄社会のテーゲー主義ですね。我々はわかりますよ、僕も本来は規則は余り好きじゃありませんから。だけれども、決めるべき規則というのはきちんとしておかないと、これは将来にわたって大きな問題になるのではないかと、私はそう思うものですから、学校の規則に対しての重視、小さなルールですね。これを確立すべきじゃないかと思いますけれども、いま1度お願いいたします。
○山内彰教育長 とても大事なことだと思います。ただ、学校によってはと、こう言わせてもらいますと、例えば宮古高校でいきましたら、今の制服の問題とか、ぴしゃっとやっております。ですから、学校の基本的な姿勢を打ち出し、子供たち一人一人に対応していくとか、南部農林高校に行っても、子供たちがすごくあいさつをし、すばらしい。制服を見ても何を見ても、これは基本的生活習慣の確立が十分されているという感もいたしますので、やはりそういうことでぜひ1度ごらんになっていただいて、これは学校の大きな問題でもあるし、また役割でもあると認識しております。そのように努めていきたいと思っております。
○吉田勝廣委員 最後に、中学校の廃統合が進んでおりますけれども、中学校の廃統合をすることによって、財政的な環境はどうなっているか、お伺いします。
○山内彰教育長 客観的なデータを持っておりませんけれども、主観的な答弁になろうかと思いますけれども、やはりそれにおいては財政的には大きな浮く部分というのですか、それは言えるのではないでしょうか。まず、例えばせんだって今帰仁村の中学校が統合されましたけれども、3名いた校長が1人減るとか、人的な配置の問題、人件費の問題等義務的経費の緩和等々ありますので、そういった面でかなり違いは生じると思って見ております。
○吉田勝廣委員 私が言わんとするところは、教育庁の関係、地域の関係、市町村の関係です。
○杉浦友平財務課長 小学校費、中学校費の普通交付税に用いる基準財政需要額でございますが、直接の所管は企画開発部の市町村課になりますけれども、教育費の関係でお答えいたしますと、例えば中学校費におきまして、その財政需要額を算出する場合に、生徒数、学級数、学校数を基礎数値としております。統合に伴って影響を受けるものは、そのうちの学校数と学級数であるかと思いますけれども、統廃合等により学級数、学校数が減少した場合におきましては、3年間にわたりまして数値急減補正というものがございまして、翌年は90%、2年目が60%、3年目が30%が普通交付税に算入されることとなっております。
○吉田勝廣委員 私が言っていたところはそこだったんです。廃校することによって地方交付税の算定がされることになるから、また市町村の教育委員会は大変ですよと。それは、県の教育委員会はいいでしょうけれども、そこのところは今後どうしていくかということがまた大事だと私は思っていますけれども、よろしくお願いします。
○杉浦友平財務課長 もともと学校運営に要する経費として、学級数あるいは学校数、生徒数で交付税算定しておりますので、統合によりまして当然学校自体がなくなりますので、それに要する経費も必要なくなるわけです。ただ、一挙にこれをゼロにするわけにもいきませんので、数値急減補正ということで激変緩和措置を講じているものと考えております。
○吉田勝廣委員 その辺の認識を皆さんが持っていて、これからどうするかをよく考えていただきたいと思います。
○安次富修委員長 宮城國男委員。
○宮城國男委員 まず、総合的な学習の時間について伺います。子供がみずから学び、考えるということで、生きる力を養う。先ほど教育長の方から御答弁ありましたように、自然や社会の中で、人間として、個人として生きる力を養うことを目標に、そういう総合的な時間が導入されまして1年余になるわけですけれども、この件につきまして、いわゆる児童・生徒、あるいは教師、保護者はどう評価しているか、まずそれから伺います。
○山内彰教育長 総合的な学習の時間の取り組みについては、これまで全体の目標、学年の目標、それから年間の指導計画、さらには授業実践の方法等について、事例集や資料集を出して取り組みをやってまいりました。おかげさまで、各学校におきましてはそれぞれの地域性や児童・生徒の実態等を踏まえた取り組みがなされているととらえております。とりわけ特色ある教育活動の充実を図ることができつつあるのではないか、こういう違いです。
 今おっしゃっていました児童・生徒におきましては、アンケートもしてみましたら、総合的な学習に対しては、まず1つは楽しく取り組んでいる、学ぶということを楽しんでいるということは、私としては非常にいいことだと思っております。
 それからもう1つは、自分でやりたいテーマを決めるので楽しいということがあります。要するに、興味、関心が高まっている。しかも、さっきおっしゃっていました、みずから課題を見つけ、みずから考え、主体的に判断するという非常に大事なキーワードが生まれたのではないかと。これはまた、まさに総合的学習がねらっているところであります。
 先生方においては、教師はどうかといいますと、教師も全くしかりでございまして、これは教える話じゃないわけですから、ともに活動する時間でございますので、総合的な学習の時間の創意ある実践の中で、児童・生徒とともに考え、ともに追求して、ともに学んでいこうというスタイルが確立できたのではないかと思っております。地域においても、地域人材活用に大いになりましたので、人材が入ってくる、学校が開放されていって、ワッター学校という発想が生まれ、さらに強まったのではないかと理解しております。
○宮城國男委員 児童・生徒も教師も総合的な学習の時間を評価しているということで、確かにおっしゃるとおりで、全国的な調査の結果も、子供たちの90%がこの学習の時間を好きだということを言っている。ただ、教師については、いま1度必ずしも県内と違うような結果も出ているわけですね。それで、今教育長からも御答弁ありましたけれども、学校やその地域の特色のある課題についても取り組んでいるかと思います。どういう問題について取り組むかということについては、いわゆる国際的な問題であるとか、あるいは教育環境の問題とか、いろいろあります。それから、児童が関心を持つもの、あるいはその地域の特徴、そういう例示的なものがありますけれども、大体総合的学習の時間を利用して英会話の勉強があるというのが普通、一般的に我々が新聞等でも見受け、またいろいろ聞く機会はありますけれども、県内では英会話以外にどういうものを学校や地域の課題として、そういう総合的な時間で取り上げているか、それを伺います。
○山内彰教育長 内容については、御承知のように学校に任されておりますので、小学校においては従来ふるさと学習なるものがありまして、それの発展的な内容で地域学習というものが取り入れられるし、それから情報に関する、ITですね、それを規定として位置づけている学校もありますし、コンピューターと遊ぼうとか、コンピューターで何々しようとか、そういうのもありますし、それから、実際その時間を職場の見学に割り当てている学校もありますし、環境を取り上げたものもありますし、福祉、健康を取り上げているところ、国際理解もあります、平和も当然あります。それから、中学校においても先ほどのようなものとほとんど一緒でありますけれども、中学において一つ違うのは、進路体験をしてみようという実践的なものが内容的に入っております。
○宮城國男委員 多岐にわたっていろいろ学習しているわけですけれども、このいわゆる総合的時間というのは、特にマニュアルというのがないわけですね。それだけに、現場においては混乱もないわけではないです。それで、特に教師の方においては、いわゆる学習意欲も含めて学力を向上させる、そういう時間的な余裕もなかったというようなことも言われているわけですね。そういうことで、今後の課題についてお聞かせください。
○山内彰教育長 今スタートしたばかりでございまして、1つには、それをどのように理解していくか。今知ったばかりでありまして、実際体験を通さないと理解していけないわけですから、教師側にとってもこれは戸惑いもたくさんあります。ですから、教師に負担があるということは間違いないと思います。
 それと同時に、教師の方法値において、教師としてのあり方というのもまた問われているのではないかと。これまで教える教師でありましたけれども、これからはともに学ぶ教師、あるいはガイダンス機能を持つ教師とか、そうした教師の課題点と学校の裁量の問題、あるいは内容開発の問題、地域の協力性の問題というようなたぐいが大きな課題性として出てくるかととらえています。そして、行政としての支援体制が何ができるか、これまでは、ある意味ではマニュアル的な支援体制でよかったわけですけれども、そうはいかなくなりましたので、ここは行政においても大きな課題も抱えております。
○宮城國男委員 昨年、全国的な調査結果によりますと、いわゆる新指導要領の影響で、どうも学力が低下しているという懸念する声があるわけですね。日本PTA協議会の70%の父兄がそう答えているわけです。新指導要領の内容については、子供たちが全部もちろん理解することができるわけではないということで、どうしても最低限のいわゆる基準を設定すべきだということで取り組んでいかなければならないと言われておりますけれども、そういう学力も含めて、吉田委員から質疑のあった規律、あるいは体力、そういう問題のいわゆる基準づくりについてはどうなっていますか。
○山内彰教育長 基準という非常に厳しい言葉がありますけれども、すべての児童・生徒が達成できるような基準という形は学校教育においては設けておりませんけれども、達成できそうな目標を設定して、その実現に向けて努力するということは大切だと考えております。したがいまして、本県では過去16年間にわたって学力向上を大きな最重要課題の一つとして取り組んできたわけです。その場合に、本県児童・生徒が達成すべき目標を立てようということで、その目標を方法値として達成度テストを実施して、その内容の理解を、すべての児童・生徒が8割は解けるというような目標値を設定しスタートしたわけで、また読書活動においては、目標冊数が小学校で70冊、中学校で20冊は本を読んで卒業していくんだという目標を立てまして進んできた、その成果としては大きなものを得たと思っております。それが今、文部科学省としては確かな学力ということで打ち出されていますけれども、本県においては、そういう面においては課題性から生まれた政策論でございましたけれども、目標政策論としてはよかったのかと理解しております。
○宮城國男委員 例えば、読み、書き、あるいは計算するということは、これは最も基本的な問題だと思うんですね。例えば、2年生ですと1年で学んだことを十分に理解するようにするというのが普通の学力の基準としてあると思うんですね。これを年度ごとに、学年ごとに設定する。例えば、規律については、いわゆるあいさつをする、「はい」とか「おはようございます」とか、そういうものを、いわゆる段階的に身につけるようにするとかいうことも大事だと思うんですね。あるいはまた体力についても、例えば小学校でどういった種目が、いわゆるスポーツの種目として導入されているのか、あるいは中学ではどうなっているのか、その辺の基準というのはないわけですか。
○山内彰教育長 具体的な内容をと思いましたけれども、私たちとしては、体力、例えば25メートルを皆泳ぐことができるような、これこれを持とうとか、小学校4年生でどうという、そういう推進計画を立てておりまして、その推進の目標値というものを持って進んでいるところです。いかんせん、しかし規律とかそういうものについては基準を設けるということは厳しいことでございまして、体力と学力についてはそのような立て方をして、特に沖縄県教育推進計画とありますけれども、ここにおいて児童・生徒の体力、運動能力の評価ということで、体力、運動能力をティスコアということで、全国平均を50点とした場合に、ここまでということで目標値を立ててございます。体位が、小学校になりますと平成13年度で48.4、平成16年度が49.5、じゃ、平成23年度まではこれを50にしようというような目標達成数値を、おっしゃるような基準値ととらえてよろしいかと思います。
○宮城國男委員 この規律の問題等についても、先ほど吉田委員からも質疑のあったとおりであります。また、きのうのいわゆる公安委員会関係の決算審査の中におきましても、警察本部長の方から凶悪な青少年の事件が起こった一つの大きな要因として、そういういわゆる規律に対する意識の希薄化があるというような指摘もあったわけです。そういうことからしても、ぜひその辺にも力を入れていただきたいと。また、体力というと、なかなか体力の宿題というのは出せないわけですね。ところが、他都道府県においては宿題を出しているところもあるんですよね。体育の宿題、これは、縄飛びを何回しなさいよ、腕立てを何回しなさいということで、体力づくりもしている。健全な精神はというように、そういうことで、それも含めて今後ひとつ基準を設定し、達成するようにしていただきたいと思います。
 先ほど教育長の方から、学力については達成度のテストをやっているということでございますけれども、これにつきましてはいかがですか。どれくらい、毎年やっているんですか。その実施する頻度とかまた対象、学校は小、中、高全部を対象にしているのか、その辺はどうですか。
○山内彰教育長 これは毎年実施いたしております。そして、小、中、高の学校ともやっております。それで、年度ごとの比較対照をし、しかもそれは各学校が自分たちの子供たちはどうだろうか、あくまでも競争とかなんとかではなくて、さっき言いました目標の実現を図ってそういうことをやっているところで、その成果としては大きなものが得られていると思います。
○宮城國男委員 その結果につきましては公表、開示して、要求があれば開示するとか、学校ごとのそういうことはないわけですか。
○山内彰教育長 これは公表云々ではなくて、やはり学校を設置している教育委員会内において、本校の学校の実態がどうであるか、他の学校の県の平均値とあわせてどうであるか、この辺についてはすぐれている、この辺については課題性があるということでのやり方でございまして、自己努力と、学校を自己としますと学校の自己努力、あるいは子供1人の自己努力。ある学校に行きますと、もう家庭にも浸透しておりますので、一緒になってやっている、そういうことはいい意味でとらえて自己評価がされているのではないかなと思っております。
○宮城國男委員 基礎学力の調査ですね。これは達成度とは別に、またおやりになっているわけですか、それもやっていますか、基礎学力の調査とか、そういうのは特にやっていますか。
○山内彰教育長 私どもは、先ほど言いました達成度テストを県としてはやっていますけれども、基礎学力そのものについては、それぞれの市町村においてお任せして、教育委員会で実施しております。それは、教育委員会サイドに任せた形にしております。
○宮城國男委員 特に、いわゆる県教育委員会で調査とか、そういうことはしていませんか。
○山内彰教育長 先ほどの達成度テストの内容においては、2年生、3年生それぞれの基礎的、基本的事項を定着させるということがねらいでありまして、そのもので変えることができるのではないかと、そうとらえているわけです。
○宮城國男委員 これは今、公開をしていないと。請求があっても、それはやってはいないわけですね。開示はしていないわけですね。情報の開示はしていないかと思いますけれども、特に請求があれば、そういう開示もするのかどうか。
○山内彰教育長 基本的には、学校ごとのデータを公表することについては、実施の趣旨にそぐわないと思っております。あるいは過小規模校だと、学年を決めますと1人しかいないというのもありますので、プライバシー保護の問題等にも配慮して、あくまでも学校段階で、子供の指導方法の一つとしてとらえていただきやっております。
○宮城國男委員 そうしますと、これは結果的には個人の指導ということに役立てるというのが目的なわけですね。
○山内彰教育長 そうです。
○宮城國男委員 次に、3番目に英才教育について伺いますけれども、子供の能力を早期に引き出して個性を伸ばす教育、いわゆるだれでも英才教育ということですね。これは学力だけに限らず、スポーツであるとか教育であるとか、あるいは文化、科学、いろんな方面でそういう教育をすべきだと思っておりますけれども、この英才教育についてはどうなっていますか。
○山内彰教育長 県教育委員会としても個性の尊重を基本にしておりますので、国及び郷土の自然と文化に誇りを持って、創造性、国際性に富む人材の育成を期して教育施策を展開しております。そのもとで本県の学力向上対策は、児童一人一人に基礎学力を確実に身につけさせて、そして次のその子の持つよさや可能性を伸長させていくというところに視点を置いています。そして、豊かな人間性は、みずから学び、みずから考える生きる力につなごうということでございますので、その時点において興味、関心、あるいは進路等を踏まえて、それぞれの能力、個性を伸ばしていこうというスタンスは、間違いなく今の達成度としても、原点はここに置いております。
したがって、高校においても多様な選択コースとかそういったものを設けて、最終的な選択能力の形成ということにつなごうかという考えで進めております。
○宮城國男委員 個性を伸ばし幅広い人材を育成するということで、特にそういう総合的なプログラムというのがありますか。例えば、社会的にそういうスペシャリストを招待して授業を受けさせるとか、そういうプログラムがあるかどうかです、その辺はどうなっていますか。
○山内彰教育長 おっしゃるとおり、個性化のこれからが大きなものだなと思っていますが、学習指導要領によって教育課程の弾力化というのが入りまして、これから画一から創造へというテーマが入りまして、画一的な教育から学校長裁量で創造性へと。ですから、スペシャリストの活用という形は各市町村や学校でプロジェクトをつくるような形にさせております。現に、那覇市ではスペシャリストの活用という促進事業との絡みで取り入れて、大きな効果を上げています。近くで言いますと那覇市内でも、各学校へ行ったらスペシャリストの活用というもののプロジェクトが入っているかと思います。
○宮城國男委員 非常勤講師や社会的な特別の講師を招来して、ぜひそういう人材を今後ひとつ大いにつくっていただきたいと思います。
 それから、指導力不足教員ということで、去年も分限免職されたかと思いますけれども、現在そういう指導力不足教員というのはどれくらいいますか。
○山内彰教育長 実態という場合、数値の紹介が非常に難しいわけでございますけれども、実質的な紹介をいたしますと、平成15年度は申請、いわゆる学校長から上がってきたのが3名おりまして、検討委員会で3名を認定となっています。昨年度、平成14年度は申請が8名ありまして、やっぱり認定が3名。その前の平成13年度が10名の申請がありまして、認定を2名やっております。
○宮城國男委員 3名ということでありますけれども、そういう指導力不足ということで認定された後の処遇はどうなりますか。
○山内彰教育長 第1義的には指導力の不足でありますので、指導力不足等教員と認定された者については、総合教育センター等で担当指導主事を置いて、1年間教科指導や生徒指導、ホームルーム、経営等について、改めて研修をしてもらうということが一つあります。そして、その指導力を向上させて、自信を持って教壇に立てるようにしていくというのが行政の措置でございました。
 その研修後は、判定会にまた付して、職場復帰が可能かどうかを判定して職場に戻すように努めているところでございます。
○宮城國男委員 研修後、また研修の結果によっては現場復帰になるし、あるいはまた研修の継続ということもあるわけですね。
○山内彰教育長 そうです。
○安次富修委員長 休憩いたします。
   午前11時56分休憩
   午後1時23分再開
○安次富修委員長 再開いたします。
 午前に引き続き質疑を行います。
 宮里政秋委員。
○宮里政秋委員 教育長、この予算書の3ページですね、教育指導費、これが7300万円不用額になっていますね。それに各小学校、中学校、高等学校、それぞれ2億954万円、大体2億円、2億円、ずっと人件費の残という形で説明がありました。説明を聞いていて余りよく理解できない。なぜこれが不用額になるのか御説明いただけますか。
○杉浦友平財務課長 資料3ページの(項)教育総務費(目)教育指導費の7300万円の不用額につきましては、多くの事業がございますので細かくは説明できませんけれども、一番大きなものといたしましてALT、外国人指導助手の当初予定人員が50名を予定しておりましたが、47名しか配置できず、その3名分に係る報酬、旅費、負担金等の減でございます。また、高等学校費、小学校費、中学校費の職員給与の不用額につきましては、一番大きなものは退職者の見込みの減でございまして、勧奨退職、あるいは普通退職に係る経費につきまして、当初見込みに比べて実際の退職者が減ったことに伴う不用額でございます。
○宮里政秋委員 それでは教育長、まず美術館、博物館の建設の状況について、進状況を御説明いただけますか。
○山内彰教育長 美術館、博物館の進状況でございますけれども、両館の建設については、昨年の復帰30周年記念事業として位置づけて事業実施を決定するとともに、基本設計を終えたところであります。ことしは建物と博物館展示の実施設計及び用地の購入を予定しておりまして、実施設計については平成16年の3月までに完了する予定であります。建築工事及び展示工事につきましては、平成16年度から平成18年度にかけて実施する予定にしております。
 なお、博物館新館、美術館のオープンは平成19年の秋ごろを予定しており、そのときには県民に親しまれる博物館、美術館を目指して事業を推進していきたいと思っております。
○宮里政秋委員 教育長、他都道府県に比べて全体の規模及び内容はどうなっていますか。また、沖縄ならではの特色があれば、ぜひひとつ御説明ください。
○山内彰教育長 面積でございますけれども、大体延べ床面積で合計2万2283平米ございます。それから、展示室の面積が博物館で3372平米、美術館で1841平米ございまして、どちらも沖縄県の特色を出せるようにしていきたいと思っています。と申しますのは、博物館については伝統的な、現在現有する所蔵品がございますので、それをもとにしていきたいと思いますし、また、美術館については現代美術館ということで、近代的な沖縄の作家を中心にしたアジア、そして沖縄と関係する諸外国という形での作品の収集に努めているところでございます。
○宮里政秋委員 今、教育長から美術館、博物館の建設についての進状況の説明がございました。我が党は、この美術館、博物館については一貫して本会議でも要求してきたところですが、日本で唯一常設の美術作品展示場を持たない我が沖縄県で、いよいよ美術館、博物館が完成され、平成19年開館の運びになっております。これに対して教育長を初め関係者の御努力に深く敬意を表し、皆さんとともに喜びたいと思います。
 そこで、学校教育を初め県民生活の中で美術館との結びつきが欠けていたことは、県民にとって目に見えない大きな損失だったと思います。山内教育長も御存じのように、幼少のころから教育が人間の全面発達を促す、そういう点が非常に大事です。いつでも気軽に見学ができる博物館、美術館にしたいと思っています。
 そこで教育長に伺いますが、参観料を小学校生、中学校生、高校生を含めて無料にしていただきたい、それは御検討していますか。
○山内彰教育長 参観料でございます。いわゆる入館料でございますけれども、現在、県立博物館の入館料は、常設展の場合、一般が210円、大学生及び高校生が100円、中学生及び小学生が50円となっております。小・中学生の場合、教育課程に基づく教育活動として入館する場合は入館料を免除しております。したがいまして、その線で考えていった方がいいのかと思っております。博物館新館や美術館において、小・中学生の入館料については、無料にするか否かについては今後検討してまいりたいと思っております。
○宮里政秋委員 津嘉山教育長時代に、例の琉球王国のグスク及び関連遺産、これが世界遺産に登録されました。これは、我々沖縄県にとって大変大事なことで、私はそのときに非常に印象に残っているのは、子供サミットで沖縄の中学生が、私たちの身の回りにある御嶽が、エジプトのピラミッドや中国の万里の長城と同じ価値を持っていることを知って、後世に残していくために今後頑張らなくてはいけないと、中学生が言っているのですね。すぐれた郷土の文化や歴史を学ぶことは、郷土のよさの発見につながり、ひいては郷土を愛し、郷土に誇りを持つ心の育成につながる。これは私は非常に大事なことで、そういう意味ではぜひ首里城を無料にしてほしいと思ってやって、最初は、これはなかなか実現しなかった。再度教育長に要求して、ついにこれは実現しています。だから博物館も、これは我が沖縄の文化です。大事なものですから、小学校及び中学校生を全部無料にして、広く未来を背負って立つ子供たちの情操教育を豊かにしていくためにも活用させていただきたい、もう1度、御決意をぜひお願いしたい。
○山内彰教育長 現時点においては、先ほど申し上げましたとおり、御意見を受けとめておきたい、今後検討させていただきたいと思います。
○宮里政秋委員 時間がありませんから、国立組踊劇場、これの進状況、もうほとんど完成して、この間、私は行って見てきたんですが、こけら落としをしていろいろ計画されている。これは国立ですから、我が沖縄県だけのものじゃない、日本全体の国立、すばらしい文化。これのこけら落としがどうか、まあ、もうほとんど完成で、私、素人目でそう思うのだが、これを御説明いただけますか。
○山内彰教育長 おかげさまで、国立劇場は8月31日に竣工式を終えました。今後は舞台施設スタッフの習熟等に一定期間を要しますので、来年の1月18日に開場記念式典、そして23日から開場記念公演、いわゆるこけら落としに入ります。8週、8テーマのもとで開催する予定を立てております。記念公演としまして、1週から2週、3週は大きなテーマとしては、1週目で御冠船踊りを想定した王朝絵巻とか、そういう形で、3月の19、21日までを予定しているところでございます。
○宮里政秋委員 そのことについてはいろいろ要望もあるんですが、時間がありませんから前に進みましょう。
 通告しておきました危険校舎ですね、老朽校舎と言った方がいいかな、老朽で危険な実態の校舎があると思いますが、沖縄県における小学校、中学校、高等学校は皆さんの管轄ですから、小学校、中学校、高校も含めて危険老朽校舎がどれだけあるか、これに対する改築計画を御説明いただけますか。
○山内彰教育長 ことしの5月1日現在でございますけれども、老朽化していると思われる昭和52年度以前に建築された建物が、市町村立小中学校で約33万8000平米、率にしますと16.3%残っております。
○宮里政秋委員 これは小学校、中学校、高校の内訳はわかりませんが、圧倒的に小学校、中学校が多いわけで、小学校、中学校は御承知のように、市町村教育委員会が独自に持っていろいろやるわけですが、これは市町村教育委員会といっても、現在の場合は任命制になっていて、財源は全部市町村長が持っていますからね。こういう危険老朽校舎が16.3%もあるわけです。子供の生命、安全にかかわることだから、県教育長としては、市町村教育委員会が独自の予算編成を持ってはいても、指導という面で、これは特別措置がある限りやっておかないと。それがなくなると、とても手が出せませんよ、どうですか、その点。
○山内彰教育長 おっしゃるとおりでございまして、私どももその面で推進をしている。そして、市町村とも連携をしているところでございますけれども、ただ、市町村においては財政事情等から年次的な老朽校舎の解消が厳しい状況にあると伺ったものですから、県教育委員会では市町村教育委員会と、沖縄振興特別措置法で高率の国庫補助率が維持、継続している間にぜひ実現をということで今促進しているところでございます。
○宮里政秋委員 教育長、御存じのように市町村教育委員会はそれぞれ予算をつくって、それぞれの市町村長と調整しますよね。やはり地方教育行政の組織及び運営に関する法律では、市町村教育委員会は予算編成する、市町村長は勝手に自分に権限があるからといって、教育委員会の意見を聞かねばならないとなっていますから、それを活用して、徹底して指導してほしい。だから、ある程度各市町村教育委員会で、予算は全部市町村長がやると思っている人がいるんですよ。それは間違い。それよりも市町村教育委員会は独自に予算編成をやる、予算編成をする場合、市町村長は教育委員会の意見を聞かなければならない。各部長の意見を聞かなくても、市長は予算をできるんですけれども、ただし、教育委員会は地方教育行政の組織及び運営に関する法律でもって調整権を与えられている。その点を皆さんによく指導して、この特別措置のある間に体育館、プールを含めて、高率補助の時期に完成するように指導してほしい。
○山内彰教育長 そのスタンスを踏まえまして、これまではどちらかといいますと任せ切りというんでしょうか、そういうことがありました。あと一歩踏み込みを入れまして、県で作成した3年間の改善計画案を立てまして、個別に市町村に今助言というんでしょうか、指導等もやり、促進をしているところでございます。
○宮里政秋委員 プール、体育館の進状況はどうですか。
○山内彰教育長 平成15年の5月1日現在で、小学校で66.8%、中学校で53.4%でございます。全国と比較すると低い状況にありますので、この点についても国庫補助率が高い、10分の7.5ありますので、その時点でぜひやっていただけたらと思っております。ただ、小規模校が多くて、併置校があるんですよ。そういう面でパーセンテージが落ちている部分もありますけれども、それを除くと72%と数的には多くなります。
○宮里政秋委員 最後。宮古の台風の翌日、私は、我が党は宮古へ行きました。物すごい被害ですよね。あそこは体育館を含めて復旧の状況はどうなっていますか。
○山内彰教育長 私も2日後にすぐ行ったんですけれども、城辺町の城辺中学校の体育館を見てびっくりいたしました。爆撃でもされたかなというような被害状況でございましたし、ショックも大きくて、これは積極的に対応しないといけないということでやったところでございます。したがいまして、緊急を要するものに対してはもう対応を始めておりまして、とりわけ、例えば具体的にいきますと、城辺中学校の体育館については、現在10月27日から11月7日までかけて、国と一緒に災害現地調査を終えて復旧に向けて、負担率が80%の国庫負担等々をやって対応しています。ですから、この面に際しては、もう工事計画に入っているところでございます。
 社会教育施設等の復旧に関するものについては、市町村と積極的にかかわりを持って、交付税等々の措置でやっていくように努力しておるところでございます。
○安次富修委員長 新垣米子委員。
○新垣米子委員 予算執行についての答弁もありましたけれども、改めて、翌年度の繰り越し、不用額が前年度よりかなり大幅にふえています。繰り越しの問題については、物理的な問題でのいろんなことでの一定理解できる部分はありますが、不用額がこれだけふえていることに対して、納得がいきません。ふえた理由、内容と理由と、この事態に対する教育長の認識についてお伺いいたします。
○山内彰教育長 まず、翌年度繰越ですが、その主な理由は、国の経済対策にかかわる2月補正事業、55億1915万円に伴うもので、関係機関との調整に時間を要したということになろうかと思います。したがって、やむを得ず繰り越さざるを得なかったものであって、今後予算の執行に万全を期して繰越額の減額に努めてまいりたいと思います。
 次に、不用の主な理由は、先ほども申し上げましたけれども、学校職員等の退職手当等の見込み減による給与額の減ですね。それと、あとは学校施設整備等の入札執行残による減、あと、文化財保護費の国庫補助金の内示減、そして経費節減等による保留額、これは5%程度でございますけれども、そういう数値でございます。
○新垣米子委員 今説明がありました退職者の見込み減、そしてそれに伴って、恐らく臨時的任用職員の見込みの減だと思っていますがね。ところが、今退職者、特に勧奨退職、ちまたでは知っている方もおられますけれども、やっと宝くじに当たったよという言い方をされるんですよね。だから、これは見込み減というよりも、申請者がいなくてこれだけ減ったということではなくて、どうなんですか。勧奨退職を希望したのに実際は認められなかったということも聞いていますからね。そこの実態はどうなんでしょうか。
○山内彰教育長 基本的にはほとんど全員、50歳以上という年齢によっては全部、もう100%認められていると思います。
○新垣米子委員 私は今これだけの臨時的任用職員の見込み減の問題も含めてそうなんですけれども、それは当初、皆さんはこれだけの予算が必要だろうと、臨時的任用職員の配置にしてもこれだけの本県の教育体制を遂行していくために必要だと。だけれども、結果としてこれだけ余らせたということの問題は、私は次に教育費の父母負担の問題と絡んで、県民の暮らしの実態や、あるいは今先生になりたい、臨時的任用職員が物すごく多くて、早く本採用してほしいとか、そういう問題や、何度も受験しても、なかなか5000人の人たちが合格しない、採用の見通しがないということも、本当にたくさんあるわけですよ。だから、そういう面では本当に、例えば少人数学級を早目に整備をして、採用して体制をつくってほしいと。そういうところで希望なり県民の要求がすごくあるにもかかわらず、こういう形で実際に見込みでこういう形で減っていることに対する、余らせているということに対する県民の感情からしても、なかなかこういう今の執行の実態、不用額の実態というのは、やっぱり納得を得られないものではないかなと思いをしております。これは通告していませんけれども、関連でぜひお聞かせいただきたいと思います。
○山内彰教育長 先ほど申し上げましたように、給与の見込み減が実質的には609名から575名ぐらいの数でございまして、数値的に大きい額面でございます。今のが臨時的任用でございますね。その数というのは、トータルで見ますと、スパンで考えますと、どうしても見込み額としてそれだけ立てておかないといけないという必要減から来たものと考えておりますけれども、見込み減ですね。今後はぎりぎり目いっぱいそういうことには努めていきたいと思っております。
○新垣米子委員 ぜひそれは改善を図る意味でも、こたえるためにもぜひしていただきたいと思います。
 次に、去年、うちの玉城ノブ子議員が質疑をしています、父母の負担問題との絡みで、全国と比べても沖縄の父母負担は大きいと。小中学校、養護学校を含めて具体的な数字を示していただきました。そこからして、今学校現場での、例えば事務用品を含めて教材活動に必要な予算が削減されてきている問題、それで支障を来している。あるいは離島出身の生徒の家庭訪問に夏休みに行かれるその旅費がPTA会費から補てんされているとか、こういう問題が現実に指摘もされていますが、その辺の事実を含めてどうなんですか。減額、事務用品を含めて、教材を含めての予算の減の問題。
○山内彰教育長 結論から申しますと、当予算については削減されていないと思いますけれども。といいますと、平成12年度が26億1534万9000円、平成13年度が26億1538万1000円、平成14年度が26億6070万9000円ということで、したがって、教材活動に直接的な支障を生じているとは理解しておりませんけれども。また、離島出身の生徒の家庭訪問等の旅費がPTA会費から補てんされている実態については、直接的には把握しておりません。
○新垣米子委員 ぜひそれは実態をつかんでいただきたいと思います。
 次に、私、去年の父母負担の多さの中に、沖縄の離島を抱えた部活動の、特に派遣費用を含めた問題が指摘をされています。最近の本県の子供たちのスポーツや文化面での活躍の問題、大きな喜びとともに、今後の頑張りを期待するものなんですが、私も息子の部活動を通して感じたことは、本当に経済的な余裕がなければ維持できないなと、子供を応援することができないなということを実感しています。
 ある後輩は、その部活動をするために遠征費だとか、あるいは合宿費のために1年間休部してアルバイトでお金をつくって、部活動を続けたということも身近にありました。そういう面でも、本当に県内にあるそれぞれのスポーツのトップクラス、沖縄を代表するトップクラスのそういう部活で頑張ってきた子供たちの家庭の、その子のために家族が本当に経済的な無理をして、こういう相談に来られるということを、私ここ二、三人相談を受けています。だから、本当に我が子が頑張れば、本当に応援したいと思わない親はいないと思うのですよ。同時に、私たち自身も沖縄の子供たちが頑張ることを応援したいと、そういう思いがあるのですが、本当に今、頑張っている子供たちを支えているそれぞれの家庭の実態がどうなのかという問題は、本当にこういう相談を通して思いをするものですから、その辺の問題はきちんとリアルに見ていただきたいと。そのために、教育長として頑張れ、頑張れということだけじゃなくて、物心両面での支援というのが本当に求められていると思うのです。
 それで、かなりの数だと思うんですが、改めて私は沖縄県を代表して派遣されたスポーツや文化面での代表派遣にかかった費用がどれだけなのか、それは、頭割りすればどれだけの個人負担があったかということとも関係がありますから、そこと、あとそれぞれ強化、中学校体育連盟や高等学校体育連盟とか、いろんなそういう団体からの補助がどれぐらいなのか、ちょっとお示ししていただきたいと思います。
○山内彰教育長 今おっしゃっていましたように、文化活動、運動部活動において高校生の活躍はすばらしいものがあるし、中学生もまた基礎づくりとして頑張っているところですから、それについては学校、本人、行政と一緒になって協力関係をとっているところでございますけれども、トータルの数値というのはなかなかこれが客観性があるかどうか、ちょっと学校によっても違いがあるものですから御提示できないんですけれども、私どもが持っている数値としては、例えば文化活動としては、中学校では年間1人につき100円、高等学校では500円を徴収していると報告を受けております。
 平成14年度の高校生の県外派遣は、1人につきおおむねどれぐらいかということを見てみましたら、8万から9万円ほどだということでございます。高等学校文化連盟では、そのうちの片道の航空運賃の約9割、平均にして約2万8000円を補助しているということでございました。また、県内派遣費については、こちらも片道航空運賃の9割、平均1万2000円を補助しているということでございました。したがいまして、県教育委員会では平成15年度は中学生の文化活動を支援するために、中学校文化連盟に206万4000円を計上し、県の中学校総合文化祭の運営費等に充当していただきたいということにしております。高等学校文化連盟に関しては3214万8000円を計上し、強化費等に役立ててほしいというふうにやっているところでございます。
 同じように、運動部活動においても中学校体育連盟とか高等学校体育連盟を通して、派遣費用に対して助成をやっているところでありますけれども、平成14年度の中学生の県外派遣費は、選手1人につき九州大会で約7万円ぐらいかかると。全国大会で約9万4000円程度であるということでございました。したがいまして、中学校体育連盟が派遣費補助として九州大会に3700円、全国大会に4600円、総額で332万2000円を補助していますということでございました。高等学校体育連盟も1人当たりの県外派遣費について求めたんですけれども、これはかなり違いがあるようで、十分には掌握していませんので御紹介できませんけれども、全国大会で大体2万5000円、九州大会で1万3000円、総額にして3070万円を県としては援助しております。
○新垣米子委員 それだけかなり頑張って、子供たちがそういう面では沖縄の代表として行く、かなりふえてきていると思うんですよね。それに比べるとどうなんですか。以前、それぞれの補助金が減額するときに私もちょっと質疑をしましたけれども、相対としては高等学校体育連盟とか中学校体育連盟とか、今言った高等学校文化連盟とかの補助金は減っているんですか、ふえているんですか。
○山内彰教育長 具体的な数字の提示はできませんけれども、若干減っていると聞いております。
○新垣米子委員 減っていて、その分父母負担がかなりふえている、現実の問題としてふえざるを得ないというのがあるわけですよね。ですから、私はこれだけ苦しい中で子供たちの頑張りを本当に大変な思いで支えている、こういうことを考えるときに、全体としてこれを支えていく、支援が求められていると思います。それは引き続きぜひまた要望していきますが、そこはお願いをしたいと思います。
 次に、高校授業料の減免の問題について引き続き質疑いたします。
 実は、平成13年度の全国の授業料の一覧表、資料をつくっていただきました。そこを見てびっくりしたのは、定時制に対する沖縄県の減免率が4.6%、一番高いところで広島県が49%、あと大坂府だとか栃木県だとか20%を超すところが5県で、あと15%を超すところが12県。そういう面では、平均が13.6%との関係でも、特に定時制というのは働きながら学校へ行っている、そういう子供たちへの、全日制の減免よりもこれだけ低い、全国から比べてもかなりの低さというのに私も改めてびっくりしたんですが、その原因は何でしょうか。
○山内彰教育長 授業料減免状況の平成13年度の資料でございますね。確かに数値的に4.6%と全国に比べ低くなっております。ただ、我々も相対比較をして、全国の高い理由について何だろうと思ったんですけれども、いろいろ検討しましたけれども、把握できませんでした。ただ、平成14年度の在籍者数のうちに、本県は休学者が入っているんですよ。その休学者を母体にしておりますので、実質的に受講している生徒に対する減免率は、定時制でもこれを抜きますと7.9%という、全国平均的な数値になっていましたので。
○新垣米子委員 平均より少ない、半分ぐらい、それでも半分です。
○山内彰教育長 そういう形で、申請者に対する承認率は、定時制で73.6%ということで、申請者に対しては低い数値でもないのかなということで、直接的な要因というのは今十分には、他の都道府県との比較においては承知しておりません。
○新垣米子委員 例えば、定時制は一括納入になっていますよね。その問題について、4月、9月時点で中退者の数がピークになっているという問題で、この一括納入の問題を何とか改善できないかという問題との関係なんですけれどもね。私は、ここにも一つ、次の中退の問題との絡みでも、この問題はきちんと改善、見直ししていくことが必要じゃないかと。そのこととも合わせてこの減免率の問題も、きめ細かな対応が必要じゃないかということを感じております。
 それで、本会議でも一般質問でやりましたが、大阪府が昨年度の減免率が20%を超しました。この問題については、もちろん今これがかなり大きな財源的な負担にもなっていて、見直しがどうこうということまで論議がされてきているようなんですが、この問題はさておいても、全国一失業率の高い沖縄県でこそ、全国一の減免率であってしかるべき。今の7%前後するようなこの実態ではよしとするということはできないんじゃないかと。もっと高くてしかるべきじゃないかと思いますが、その認識、所見をお伺いします。
○山内彰教育長 所見ということでございますから、ちょっとその数値を見て比べた場合、失業率、実質は把握していませんが、必ずしも相関性があるとは言えないのではないかともとらえているんですけれども。減免率は枠内でおさめようということで、原則として全在籍者の8%以内でとどめているわけです。現在の経済状況等により、減免の申請者がふえることも予想されますし、平成14年度の本県における減免率が7.40%ということは、生徒の生計状況や学業成績の状況等、総合的に勘案して実質的に適切に対応していくということが必要なのかなと考えておりますけれども。
○新垣米子委員 一律に比較できないというのは、これはちょっと教育長、認識不足ですよ。大阪府は沖縄県に次いで2番目に失業率が高い、そのために、生活保護が物すごくふえたんですよ。それは、生活保護はそこで減免の対象になっていますからそうでありますけれども、それは今の自治体の実態の反映で、こういう実態になっているんですよ。大阪府はそれなりに当然として、こういう全体を見込んで、そういうことで減免をやっているわけですよ。そういう全国一高い沖縄県の実態を、一律にそういう比較はできないんだという言い方は、私はちょっと認識不足だと思います。
 それで私は、さっき一律の対応ではなくて、いろいろ勘案してという言い方を教育長はされましたけれども、実は現場で、例えば申請者がふえているけれども、実際の承認率は上がっていないんですね。減免率は実際に、去年7%を切っています。私は授業料の値上げのときに、前教育長と、当然値上げをすることによって困難な家庭が出てくると、それであれば、この8%の枠であっても、とにかくそこは頑張ってその枠は全体の予算を目いっぱい使っていきたいと、減免に対して図っていきたいと。ところが、実際には7%を切っているわけですよ。現場でどういうことが行われているか、それは私に相談が来ているんですが、例えば兄弟だから、あなたはもう1人が受けているから受けられないよと、あるいはまたあなたよりももっと困っている人がいるんだよと、現場で、例えば兄弟でも減免規定にないものが、堂々としてそういう形で申請を受け付けない理由にされている、こういう相談が相変わらず出ている。だから、私は申請者が多くなっているけれども、承認率や減免率が思うように伸びないということは、現場でのこういう対応が私は問題だと思うんですよ。恣意的な現場での対応を排除するべき。だから、申請した人は原則全部受け入れて、減免できるかどうかというのは公正で客観的に見ても納得いく基準を示して、そこをきちんとフォローするということが私は行政としての、とりわけ、今の子供たちや沖縄県民の暮らしの実態からしても、これは精いっぱい頑張るべき皆さんの課題だと思います。それに対して御所見をお聞かせください。
○山内彰教育長 それについては、校長に対して必要事項を調査の上で、県教育委員会に提出するようにとの指導はやっているわけですから、実質、本当にふるいにかかったというのは該当できないという者のみになっているというのが実態だと思うんですね。また、そのように努力していきたいし、それについて考慮していくように努めていきたいと考えているわけです。決してそれをマイナス部分と考えているわけではないものですから、そのように御理解をいただけたらと思います。
 それから、先ほど数値の問題で、単純にできないと言ったのは、私どもができないというのは、生活保護者になっているかどうかの実数を比較できないという意味での単純比較ができないということでの答弁をさせていただいたわけですね。大阪府の実数と、うちの保護者が実際に失業率で、高校生の保護者がそうなのかどうなのかという実数を持っていないものですから、そういう実態での比較ができないよという形での、実際論で言ったことでございます。
○新垣米子委員 それはもう相関的なものですから、総合的なものですからね。
○山内彰教育長 総論での話と、各論で違って、実務上の話をしたことでございますので、御理解ください。
○安次富修委員長 糸数慶子委員。
○糸数慶子委員 11月11日にハーバービューホテルで、文化庁と県の方の主催、それから県教育委員会が主催して講演会があったようですね。文化芸術懇談会ですか、そのときに会場の参加者の中から、この心のノートについて愛国心を強調している内容は戦争につながらないかという質問があったようですが、心のノートについて、この授業はいつから始まったのか、その概要などお伺いしたいと思います。
○山内彰教育長 心のノートについてですけれども、これは本県においても平成14年度に全小中学校に配付され、各学校の主体的な判断のもとに活用されているものでございます。これは、児童・生徒が身につける道徳的な内容を児童・生徒にとってわかりやすく書きあらわして、価値についてみずから考えるきっかけとなるものだと認識しております。さらに、学校教育活動全体について活用されることで、心の教育に資することができるのではないかなと考えております。
○糸数慶子委員 今、県内の各小・中学校に配付ということなんですけれども、具体的にはどれくらいの本が配付されたんですか、冊数ですね。
○山内彰教育長 実数としては全児童に配付されているようでございます。全児童・生徒ですね。
○糸数慶子委員 その数はおよそで、全児童・生徒数は御存じですか。
○山内彰教育長 およそ15万6000余りでございます。
○糸数慶子委員 通達文書なんですけれども、ございますでしょうか。
○山内彰教育長 特段これは通達云々じゃなくて、配付の文書として担当から各教育委員会の道徳担当主事等あてに配ったものでございます。
○糸数慶子委員 その文書がもしありましたら、ぜひいただきたいんですけれども。
 心のノートの送付についてということで、平成15年4月2日に書かれておりまして、これは実際に15万6000冊が配られたということなんですけれども、これは副読本ですか、それとも教材になるのですか。
○山内彰教育長 これは教科書や副読本ではなくて、補助的な教材として御利用くださいというものでございます。いわゆる資料でございます。
○糸数慶子委員 今、私は手元に実はこれをお借りしておりますけれども、4冊ありまして、小学校から中学校まで、実際に配付したということで手元にありますけれども、これは学校そのものに任せて使っていただいているわけですか、それとも教育長の方からこういう通達が出ているんですけれども、道徳教育担当の方、義務教育課の方から出ていますけれども、具体的にはこれはどのように活用されているんでしょうか、もう1度改めてお尋ねします。
○山内彰教育長 まず、基本的には学校の主体性でございます。学校に資料としてお配りしてありますので、学校の教育課程の中で使うか、それは学校長判断で取り扱われていると思います。おおむね道徳の時間を初め、教科、特別活動、総合的な学習とか、それぞれが関連するページを拾って、教科書ではございませんので一遍にこうやるわけじゃなくて、そこで必要な部分を使っているのではないだろうかと思っております。
○糸数慶子委員 なぜ今この本に私こだわってお伺いするかと言いますと、やはり今現在の日本の教育の流れの中で、実際に教育基本法を改定していく、改正していく、改悪していくといいますか、変えていこうとするその流れがあるわけですけれども、その流れを受けて、実際に今、副読本でも教材でもないとおっしゃいましたが、それを具体的に各教科、あるいは道徳の時間、それぞれが抜き出して子供たちにこの本を使っていろいろ授業といいますか、学んでいるという実態を伺ったときに、沖縄県の小中学校でほぼ100%これはもう使用されているという状況ですよね。
○山内彰教育長 はい、これは学校に配っているわけですから、子供たちも活用していると考えてもいいんじゃないでしょうか。
○糸数慶子委員 そこが、実は私も問題視しているところなんですけれども、実は、せんだって沖縄県高等学校・障害児学校教職員組合、沖縄県教職員組合の教育研修会のときに、各分科会に分かれてそれぞれの沖縄の今後の教育の課題をいろいろ話し合われているんですけれども、今、この教育基本法の改正で、教育長はこれまで私、何度も伺ってきたんですけれども、これは日本全体の流れの中で考えていきたいとおっしゃっていまして、教育長個人としての見解といいますか、それは今までの質疑の中でお伺いできなかったわけですが、実はなぜこれを危惧するのかといいますと、こうじわりじわり、子供たちの教育の中で、ある意味、愛国心を育てていく中で、将来的には今の日本国がイラクの方に、もうまさに自衛隊を派兵するという状況の中で、しかも、国の小泉政権の中で法律が変わっていく、2005年までには憲法も変えていくという動きの流れの中の一環で、こういうのが使われていくのではないかと危惧して、今改めてお伺いしているところなんですけれども、その件に関しての教育長の御見解をお伺いしたいと思います。
○山内彰教育長 私は全く違うと思っております。それは、心の教育の重要性が今説かれ、そして子供たちの心の荒廃をどうするか、そして、家庭でもその話をするいい資料がないものだろうかという形でつくり出されたものがこの心のノートでございまして、実際にめくってみてお読みになっていただけたらと思います。私も小学校低・中・高学年、中学生とやっていますけれども、中身としてそういう子供の心の問題、あるいはこれはどうですかと、ワーキングも入れるような形をとりながら、そういうところに基本が置かれていると理解しておりますから、進めているところでございます。ややもすると、その辺が欠けていると言われているわけですから、じゃ、どうしますかということへの一つの方策論じゃないかなと考えています。
○糸数慶子委員 ここはちょっと考え方の違うところなんですけれども、実際には、この本の中に愛国心を先取りするという形で強調されているのは、理想の日本人というものがあたかも存在するように教えて、形にしようとしている。非日本人かどうか評価するのを、結局は外形的なことで、戦前の植民地でやった形式主義に陥ろうとしているのではないかという危惧をする国民も実際にいるわけでして、このノートの実際の活用状態が100%国民に受け入れられているとはやはり考えられないからで、今、気軽に日本がそれこそ国家主義といいますか、全体主義的な流れの中で、気軽に自衛隊を海外に出して、本当に血を流すことに一向に痛みを感じない世の中の流れを心配して聞いています。
 なぜかといいますと、教育長も先ほどからおっしゃっていますけれども、やはり子供たちの教育というのは、自然の中で生きる力、社会の中で生きる力、人間として生きる力ということで、それを総合すると命を大事にする教育だと思うんですね。ですから、特に沖縄においては、朝の高嶺委員の質疑にもありましたが、やはり戦争が実際に地上戦として沖縄であった状況の中を、むしろそういう心の教育をするよりも、今、県の方でも、県教育委員会の中でも、平和学習に関するテキストというのもできていますが、そういうテキストに対する活用の方法は、この心のノートほど徹底的に平和ということ、あるいは命を大事にするということに関しまして、これだけの比重を持って学校現場で教えているかどうかというのにとても疑問を感じるんですが、その辺はいかがですか。
○山内彰教育長 2つのことでお答えしたいと思うんですが、1つは、委員おっしゃっているような云々の、これは先ほど講演しました高橋教授の主張でございまして、それは学者が一論でこうとらえておりますけれども、本当にお読みになっていただいてほしいわけですけれども、そういう形というのは生まれていない、内容的にもそう思っております。また、それは子供たちにそういうことをしっかり読んでもらって活用できる、どの学校においてもそういうことがあるから、教育委員会としてもそれは推薦できるわけでございまして、まずそれが1点ですね。ですから、心のノートの活用としては、1つには、やはり子供の道徳性を発展する窓口にできるんじゃないか。2つ目は、日常生活や教育活動を通じて用いれるのではないか。さらに、学校での多様な教材開発にかえってつながるんじゃないか。読みますと、家庭でも使えるわけですから、そういう面です。もう1つの平和学習については、私ども平和を3つの視点からつくって、平和学習の手引きというのは、平成5年に私たちはやって、実質走っております。そういう面で弱かったのは心の教育の面でありましたので、それについて強調しているということでありまして、決して平和学習の云々とはこれが結びつかない。逆にこれは平和を愛する心というのも入っているわけでありまして、そういうことの原点にもなろうかなと思っております。
○糸数慶子委員 見解の相違ですけれども、では、これに関する費用というのは、どの程度の費用をかけてつくられているのか、お伺いしたいと思います。おわかりでしたら教えてください。
○山内彰教育長 これは国の政策でつくられたものでありまして、県としては承知しておりませんけれども。
○糸数慶子委員 多分、国民の血税でつくられた、こういう本だと思いますので、これは後で結構ですから、一体どれぐらいの費用をかけてこういう教材、先ほど副読本でも教材でもないとおっしゃったんですが、教えていただきたいと思います。
 それから、これは提言なんですけれども、「忘れな石」という宮良作さんと宮良瑛子さんが書かれたすばらしい本があります。子供たちに本当の意味での平和を伝えるのであれば、こういう過去の歴史を沖縄が学んで伝えていくということもとても大事だと思います。
 次にお伺いしたいのは、学校へのスクールカウンセラーの配置なんですけれども、相談員、スクールカウンセラーの配置の実態とこれからの見通し、今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
○山内彰教育長 平成15年度のスクールカウンセラーは、64の公立中学校と8つの公立高等学校、合計にしますと学校で72校に配置しております。人数的には65人でございます。実態ですから、相談延べ回数の昨年度の実績を調べてみましたら1万214回と。1人当たり185件の相談を行っていることになります。
○糸数慶子委員 今後の課題ですね。1人の人でたくさんのカウンセリングをしているんですけれども、今後どのようにしてふやしていくのか、見通しをお伺いいたします。
○山内彰教育長 スクールカウンセラーの確保については、他都道府県に比べて本県は非常に臨床心理士等の御協力がありまして、円滑に運営されている方でございます。他都道府県からもどのようにやったかということ、これは協力体制でございまして、実際に資格を持っている方々の協力体制がよくて実施ができたなと、まず一つ思います。
 ただ、課題といたしましては、配置拡大を伴った場合、スクールカウンセラーの資格保持者の絶対数が得られるかどうかという面では一つの課題性が見えています。2つ目が、予算措置の問題等が挙げられるかと。実際にはその2つかと思っております。
○糸数慶子委員 協力が得られてこういう状況がスムーズに運営されているとおっしゃっていますけれども、では実際に、学校現場での教職員のメンタルヘルス、先生方の実際に心的要因といいますか、精神的にもかなり参っている先生方が多いということなんですが、それとの乖離がないかどうかお伺いしたいと思います、実態です。
○山内彰教育長 先ほどのスクールカウンセラーとの関連からしますと、例えば北谷町の例ですけれども、教師向けのカウンセリング講習会など実施して、教師もそういう、いわゆる能力というんですか、そういうものを養うようにさせているところであります。
 メンタルヘルスといいますと、教師そのもののメンタルヘルスですか。
○糸数慶子委員 そうです。
○山内彰教育長 これについては、本県の教職員を対象にして2つの事業を行っておりまして、平成9年度から公立学校共済組合本部では24時間のフリーダイヤルで教職員健康相談24というのを実施してまいりました。あと1つは、昨年度からですけれども、昨年の9月からですけれども、沖縄県教職員互助会とタイアップして、新たに教職員のメンタルヘルス相談事業というのを実施いたしまして、これは県内の医療機関に委託して、精神科医あるいは心療内科医、そして医療心理士等を指定いたしまして、教職員の悩み相談に答えているという事業を開設しております。
○糸数慶子委員 実態も伺いました。
○山内彰教育長 相談事業については、平成14年度が健康相談で368件ございました。そのうち件数にしてメンタルヘルスが31件ございますね。ことし、平成15年度は9月末までですけれども、相談件数が172件ございます。メンタルヘルスがそのうち22件ございます。
 それから、教職員等のメンタルヘルス相談事業については、平成14年度、これは9月からで、途中から3月までですけれども、相談人員が72名、件数にして92件。ことしは10月末現在で相談人員が154名、件数にして210件となっております。
○糸数慶子委員 これは他都道府県に比べてどうなんでしょうか。今、先生方がこれだけ精神的に、あるいは心疾患を、病を抱えて休職している先生方も多いと聞きますけれども、この数はどうなっているんでしょうか。
○山内彰教育長 全国平均の数値しか今持っておりませんけれども、平成13年度と比較しますと、教職員健康相談24においては全国が5万3148件ですね。構成比、そうしますと、本県が378ですから、数値的な比較が単純にはできないですね。
○糸数慶子委員 単純に人口割といいますか、先生方の数にして多いのか少ないのか。
○山内彰教育長 パーセンテージが出ていませんので、件数でしか各都道府県とも出していないようでございまして。それから、相談事業が一致していないということもありまして、それぞれの都道府県で違いがあるととらえていただけたらと思います。数値だけまたここにございます。
○糸数慶子委員 担当課長にもしお話しできれば、お願いします。
○新垣隆雄福利課長 これは、教職員健康相談24ということで、公立学校共済組合本部に相談があった件数でございます。平成14年度の数なんですけれども、パーセントは出ていないんですね。北海道から沖縄県までの件数は一応上がっております。例えば、全体では5万3319件、そのうち沖縄県は368件という相談がありました。この北海道からの割合はつかんではいないんですけれども、鹿児島県が399件、沖縄県は368件ということで、大体沖縄県の方が多いかなと。福岡県が1940件、沖縄県が368件ですので、約6倍近く福岡県が相談事業が多かったということになります。
○糸数慶子委員 その原因は何ですか、その原因をぜひ教えていただきたいんですけれども。
○新垣隆雄福利課長 原因は相談内容ごとに分けてありますけれども、一番多いのが治療に関する相談、現在治療中の方なんですけれども、治療に関する相談が32.2%、それから、気になる体の相談についての相談が25.5%と。あと、ストレス及びメンタルヘルスに関する相談が15.6%と。大体上位3項目ですね。相談が多かったという実態があります。これは去年の平成14年度に限っての数字でございます。
○糸数慶子委員 今、一応原因もおっしゃっていただいたんですが、先ほど教育長は、子供たち、ゆとりの教育といいましょうか、居場所づくりということもありましたが、実際に学校の先生方が週5日制になったそのあおりで、子供たちの教育を本当にきめ細かくしたいというのと同時に、忙し過ぎてこういう実態になっているのではないかと危惧しています。徹底してその原因を究明して、このメンタルヘルス、本当に先生方に対するゆとりといいますか、それもぜひできるような方向で御指導していただきたいと思います。それは学校現場の先生の数の配置にも問題があると思うんですが、もう少し突き詰めて、これは解決策を徹底して図っていただきたいということを要望いたします。
 それから、次に移りますけれども、今、例えば特別な支援を要する児童・生徒を普通学校へ入れるための人的な配置とか、あるいは設備、その財政支援がどのように行われているか、お伺いします。
○山内彰教育長 普通学校での受け入れ条件でございますが、障害児の普通学校での受け入れということでございますね。現在、小学校、中学校においては障害のある児童・生徒の受け入れのために、まず施設面においての配備をしております。エレベーターとか自動ドア、スロープ、身障者用のトイレ、あとは点字ブロック、さらに階段の手すり等の整備に努力しているところです。高等学校においては、また直接本人の体験入学等を通して、この施設の状況を見てもらって、手すりの設置や、スロープ、トイレ改修等の対策をやっております。もちろんこれはバリアフリー対策とあわせて考えているものでございます。
 また、就学については特殊学級への入級が基本となっておりますので、そのための教員配置については義務標準法に基づいて定数配置ということで、定数措置をやっているところでございます。
 あと、介助員等の措置については、これは市町村の事業として行われておりまして、那覇市や浦添市、沖縄市など18の市町村で介助員が配置されております。学校教育補助者配置事業等を活用して、可能な範囲で補助者の配置に努めていけたらなと思っております。
○糸数慶子委員 今、具体的にその数はわかりますでしょうか、普通高校が、こういう実際に改善されて、障害を持っている方々が通学できる状況になっている学校です。
○山内彰教育長 教育措置でございますか。
○安次富修委員長 そういう環境が整えられている学校の数。
○山内彰教育長 小学校280校のうちで133校が、その整備がされております。中学校162校で60校、合計しますと442校で193校、高等学校においては62校の中で46校、特殊学校は16校全部ですので、以上のような状況であります。トータルのパーセンテージで、小学校が47.5%、中学校が37.0%、小・中合計で43.7%、以上の学校でございます。
○糸数慶子委員 なぜこのようなことを伺ったかといいますと、実は、多分教育長ももう御存じだと思うんですが、糸満高校の2年生の金城彩花さんという目の不自由な高校生が沖縄を代表して、家族をテーマにして、全国での英語スピーチコンテストで3位という快挙をなしています。彼女は学校からおうちへ帰るときも、おうちから学校へ行くときにも、1人で目の不自由さを克服してバス通学で糸満高校に通っているようですが、今のこういう教育状況が、取り巻く環境が悪化している中で、とても心の温まるいい話を聞きましたけれども、障害を持っていることが逆に彼女を強くした、とても大きな要因になったということで、お母さんが彼女をしっかり励ましながら自信を持たせて学校へ行かせたことと、学校の先生方の教育が本当にすごくよくて、すばらしいネーティブ・アメリカンと同じぐらいのすごい英語力で全国で3位を得たというのもありまして、バリアフリーという意味では、こういう障害のある子を受け入れることによって学校全体が変わっていったということを聞いておりまして、その辺、今43%ですか、ぜひこれからもそういうバリアを取り払った教育ができるように要望して、終わりたいと思います。
○安次富修委員長 大城一馬委員。
○大城一馬委員 山内教育長には義務教育課長時代に、今さっきの糸数委員からお話が出ました障害児の普通学校・学級への受け入れ、バリアフリー施設の問題で何度か父母の会と要請しに同行されました。その成果が今の数字に非常にあらわれていると思っております。どうかひとつ、これからまた山内教育長を先頭にして、沖縄県の教育界が統合教育に向けてしっかりと施策を立てるということで、頑張ってほしいということを、まず評価しながら要望もしておきたいと思っております。
 先ほど午前中からいろいろと委員とのやりとりの中で、現在の教育の価値観、そして教育を取り巻く状況、教育長の非常に格調高い文学的な表現で質疑応答がなされております。拾い出してみますと、例えば人間性の関係創出とか、そして自立と孤立とは違うとか、あるいはまたデジタル習慣、アナログ習慣というような、私にはなかなか理解できない表現で答弁がなされておりますけれども、ひとつここは私の質疑は、現実的な直視でもって質疑をしていきたいと思っております。
 きのうも実は県警察本部の方に質疑をさせてもらいました。これは教育関係とも関連しますので、改めて教育長にお伺いしたいと思います。
 まず、最近多発しております県内の少年による集団暴行事件なんですけれども、これは全国的にも多発しています。きのう県警察本部は私の質疑に対して、平成15年10月末現在で集団暴行事件が29件起きていると、そして105名が事件送致されている、その中で特徴的なのが中学生が関与する事件が18件、78名、それも女子が関与する事件が9件、35人ということで、非常に高い数値であるとの答弁がありました。
そのことに関しまして、最近県内でも多発しておりますこの集団暴行事件について、一体どういう認識を持たれているのか、お伺いしたいと思います。
○山内彰教育長 集団暴行事件―こう呼んでおきましょうかね―が多発している、しかも中学生が多くかかわっていることに対して心を痛めております。
 未然防止のためには、やはり何といっても、学校教育の中においては教師と児童・生徒との人間的な触れ合いということで、あと一歩その触れ合いを持っていく方向性と、そして、そこから得られる信頼関係の構築を図りたい。あとは、私たち、こういう体制をとっておるんですけれども、生徒理解推進体制と。相手の立場に立てるような関係性がないと到底これはやっていけないということで、生徒指導というような形だけじゃなくて、生徒理解推進体制の構築をしていこうということで、直接指導、支援をしていきたいと考えておるところでありますけれども、力及ばす、問題が起こっているんです。そのためには、やはり先ほども申し上げましたけれども、児童・生徒のよさを見つけて、そこにある可能性を伸ばすために話し合いをし、この居場所を構築してあげようじゃないかという発想に立っております。
 学校だけでなくて、不登校児童・生徒等への指導支援カルテなどを作成して、子供一人一人に本当にきめ細かに対応できるような姿勢と、それから未然防止においては、実は7月段階ではございますけれども、県警察本部とも連携をしてサポート制度の機能化を図っていこうという形で今進めておるところでございます。
○大城一馬委員 いろいろと精神的な観点からのそういう解決策を強調しておりますけれども、しかし、残念ながら、この事件というのは現実と言っていいほど起きるような事態になっております。具体的なそういう取り組み、目に見えた形での取り組み、これはやはりいろいろと、例えば先ほどの話がありましたスクールカウンセラーの完全配置とか、いろんなそういう手法があると思いますけれども、しかし、これは何といっても現場の教師の力ですね、そのことが非常に問われているのではないかと思っております。
 現場の先生方はいろんな意味で非常に多忙であると。もうそういう教科の多さ、いろいろな多忙さの中で生徒との触れ合い、そういうところがなかなか時間がとれないというような話も現場の先生方から直接聞いたこともありますけれども、そういった精神的ないろいろな教えもいいんでしょうけれども、具体的にどうするんだという、いわゆるマニュアルですね。その辺のところの対策が必要ではないかと思いますけれども、そういったことに関しまして具体的な対策というのはどうでしょうかね。
○山内彰教育長 先ほどは児童・生徒理解推進体制の概念的な話をしましたけれども、具体的な中には実は今のような活動計画を立ててございます。例えばカウンセリングにおいて、カウンセラーの記録簿の活用をして一人一人との対応とか学習支援、やっぱりわからないからおもしろくないということもありますので、この辺とか、あるいは公民館での活動状況とか、そういった指導・支援体制という大きな構造図の中に推進計画を立てて、生徒指導理解推進体制という計画案のもとでやっております。その1つとして、例えば先ほど出ましたけれども、職場体験をさせようということで、あれは嘉手納町でしたか、生き生きチャレンジウイークでしょうかね。それぞれ各市町村単位で子供たちに直接体験をしていこうというような形での1週間の職場体験をさせるとか、こういうことも取り入れておる次第です。つまり、起こったものへの処理というよりは、未然のものへの方向性も先取りしていくようなやり方、取り組みというものを推進していこうということでございます。
○大城一馬委員 まさにこれはもう非常事態。非常事態宣言を持っていいぐらい、こういう事件が多発しております。そういうことで、ぜひしかるべき対応をやっていただきたいと思っております。
 次に、これまたきのうも県警察本部の方にもいろいろと発生状況を質疑いたしました児童の拉致未遂事件ですね。我々、拉致というとあれですけれども、これは県警察本部では声かけ事案ということで述べておりますけれども、捜査しておりますけれども、これまた、ことし10月末現在で49件。それもほとんどが午後4時から午後6時まで、あるいはまた午前8時から午前10時まで、いわゆる登下校のときに発生しているわけですね。これが、この時間帯で46件です。
 そうしますと、これはなかなか県警察の巡回警らでも解決に結びつかないという、きのうの答弁の中で出てきております。そういう中で、やはり何といっても、この場所がまた一般住宅での路上、これが一番多いと。そしてまた、被害対象者も実際、全国のひとり歩きの小学生女児、女の子が多いということで、これは地域との、いわゆる地域と教育委員会との連携の必要性、これが非常にまた大事ではないかなと思っております。それぞれの市町村教育委員会、あるいはまた市町村の小・中学校・高校で対応策につきましてはとられているところもありますけれども、そういった対策について全県の小・中学校の対応、そして市町村教育委員会の対応、地域の対応、実情がおわかりでしたら説明してください。
○山内彰教育長 県の教育委員会も、まず、それの起こった場所等を分析等々をやってみましたら特色が出て―特色というんですか、特徴があるというんですか、偏りがあるというんですか、それがありまして、全県的ではありますけれども、中頭の、例えば与那原署管内とか、南風原町から与那原町、西原町、浦添市とかいうところが主でありまして、そういったところにおいては、まずとりあえずこの地域、先ほど委員がおっしゃったように地域との連携ということで、教育事務所長等を通して各教育委員会との一斉運動と。教員が帰りに子供と一緒に帰ってみる、そこによって安全チェックができるという安全マップ作成運動とか、そういうことでやって、私どもとしては直接的にはできませんけれども、この教育事務所、教育委員会単位に行動開始をさせているところであります。時間帯も特定できるところがありますので、その辺のチェック活動ということをさせております。こういう形を警察とも連携して、これからまた強力に取り組んでいきたいと思っているところです。
○大城一馬委員 私どもの時代には集団登下校というのがありまして、地域の子供たちが集まって一緒に登校するとか、そういうことで非常に私は思い出があるんですよね。先生方もそうだと思いますけれども。そういったことも一つの未然防止策にも奨励してつながるんじゃないかなと思うんですけれども、また、学校によっては南風原町なんかは既にそういうことをやっていると。PTAも一緒になってやっているというような話も聞いていますし、そういった具体的なちゃんとした対応策をぜひ打ち立てて奨励していただければと思います。
 そして、これは何といっても一番肝要なのは自衛手段ですね。子供たちでもみずから身を守るということで、何か最近、こういう事件が発生して、携帯用防犯ブザーの売れ行きが相当伸びていると。そして、これも100円ショップでも売っているし、あるいはまた高くても700円ぐらいだということで、売れ行きもいいんですけれども、いかんせん、まだやはりこういうのはなかなか全児童には普及できない、購入できないというのが実情だと思うんですね。そういうところもやはり1つの未然防止策として、県教育委員会ができるだけ全児童・生徒に持たせるような、例えば購入費の補助とかそういうことも、こういう時期ですから、こういう事件ですから、必要ではないかなと思いますけれども、どうですか、教育長。
○山内彰教育長 この提言については承って検討させていただきたい。やはり大事なことであるし、ただ、先ほども言いましたように、具体的という面では市町村教育委員会を中心にして、教育長会等で投げかけてみたいと思っております。
○大城一馬委員 ぜひこういう具体的な、そういう施策をとってくださいよ。お願いします。
 最後になりますけれども、2001年の大阪府の池田小学校事件で不審者によって児童・生徒が殺傷されましたね。その件を教訓にして、県教育庁も学校への不審者の実態把握を調査をやったというようなことがありますけれども、この調査した結果、どういった状況になっているのか、お尋ねしたいと思います。
○山内彰教育長 かなり前で、そのときに調査をいたして、その後の不審者侵入対策についての対策案ということで、幾つかやったというのがありますけれども、今、当時の調査資料は手持ちとしては持っていませんけれども、その後やったのが大きく3つに分けられるんですけれども、1つは、来校者の受付案内や名札着用を学校内でやって、先ほど言いました自己防衛体制をつくろうということが1つと、それから職員による声かけ対策を徹底していこうとか、それから3つ目に、構内巡視の実施状況をやっていこうとか、そういう大きな柱でやって、具体的にはベルを持つとか、いろんなCAPの指導といいますか、自己防衛手段の方法というのを研修会をやって、今でもこれを実施しておりますけれども、そういうようなたぐいで、これはある意味では、学校でそのシステムは確立されていったんじゃないかなととらえております。
○大城一馬委員 その池田小学校事件以来、各地域との連携が非常に話がありまして、学校によってはコミュニティー施設を設置するとか、そういうことも今起きているわけですよね。このコミュニティー施設の設置率は全県小・中学校でどうなっていますか。
○山内彰教育長 おっしゃるとおり、緊急時に対応できる防犯教室とか、避難訓練場所とか、そういうものの確保がされて、被害を最小限に食いとめるような指導もされております。一番心強く思ったのは、学校安全対策について保護者や地域の理解が得られたということは大きなものがあります。そして、ボランティアの皆様も校内巡視活動に参加しているというのが特徴かなと思っています。
 なお、委員御質疑の施設についてでありますけれども、学校、家庭、地域社会が連携、協力するということから、拠点として学校地域連携施設の整備促進ということで進めてまいりました。小・中学校の校舎の改築時、あるいは新増築時に国庫負担をやって、地域コミュニティーとしての会議室や講義室とか、そういったものを設置しております。現在、小学校の校舎内設置が26校ですね。体育館内に設置が55校、中学校では校舎内の設置で9校、体育館内に61校、合計しますと小学校で65校ですか、中学校も65校が、いわゆる純然たるコミュニティー施設として設置されております。
○安次富修委員長 金城勉委員。
○金城勉委員 先ほどのお話の中で教育長は、教育の課題として不登校、あるいはまた就職の課題、そして中途退学者の問題というものを中心に掲げておるとおっしゃっておりました。その中で中途退学者の問題についてお尋ねをしたいんですけれども、今日、県内の県立高等学校の中での中途退学者の推移を教えていただきたいと思います。
○山内彰教育長 中途退学者の人数と総在籍に占める割合でございますけれども、5年間の数値を申し上げますと、平成10年度で1776人、3.3%でございます。平成11年度が1686人、3.1%、平成12年度が1824人、3.3%、平成13年度が1740人、3.2%、平成14年度が1640人、3.0%となっております。平成8年度から3%前後を推移しておりますが、過去3年間はわずかながら減少傾向にあり、取り組みの成果もあらわれつつあるかなと思っていますけれども、これから一層この面に向けて努力していきたいと考えております。
○金城勉委員 中途退学者をできるだけ出さない、そして高校生、みんなしっかり勉強してもらって、そして卒業をさせる、これは非常に重要なテーマだと思います。その件については、具体的に目標の数値などを設定しての取り組みなんでしょうか、お尋ねします。
○仲宗根用英教育次長 各学校に自分たちの学校での努力すべき中途退学率の数値目標を掲げさせまして、努力をして、もしその努力にもかかわらず思わしくない結果が出たときには、また学校に対しての指導を強めているところでございます。
○金城勉委員 そこで、その中途退学がこれだけの数字が出てくるということについての原因分析はどのように考えていらっしゃるんですか。
○仲宗根用英教育次長 原因の分析につきましては、まず、基本的な生活習慣が身についていないままに入ってきている生徒の実態も考えられます。それから、基礎学力が十分に身についていないという状況の子供たちも考えられておりまして、また、そのほか、人間関係づくりがうまくできない状況の生徒等、いろいろと考えられます。
○金城勉委員 そこで、この数値目標を各高校ごとに設定をしてもらって、そして、その目標達成に向けて努力をしてもらう、場合によっては教育庁から指導すると、こういうお話が今ありましたけれども、今年度ですか、あるいはまた昨年の末ですか、教育長からの通知として、この各高等学校の方に通知が出されたようなんですね。校長を通して現場の教師に届いていると聞いておりまして、その1つが中途退学者を出さないためには留年者を出さないと。そして、2点目には年間授業時数の3分の2以上出席しておれば留年にはしないと。さらには、授業の無届け欠課や提出物を出さないことを理由に減点してはならない。あるいは、たとえ何科目単位保留があっても進級はさせる。そして、単位を落とした科目については仮進級した学年で追試に合格すればいいというふうに通知があったということですけれども、これは本当ですか。
○仲宗根用英教育次長 おおむねそのとおりとなっております。
○金城勉委員 それで、この通知が最近、学校現場におりてきて、現場を担当する教師の皆さんが非常に戸惑いを覚えているという話を伺っているんですね。こういう方針が学校現場の皆さんに、教師にとっては急に出てきたと。そういういわゆる前触れもなく、議論もなく、教育長通知として校長を通しておりてきた、そういうふうな実情として受けとめられております。
 そこで、学校現場の声としては、そういうことが打ち出しされるといろんな問題点が出てくると。現に出てきていると。1つには、出席さえすればいいと。寝ていようが騒いでいようが怠けていようが関係ないと。結局は厳しく注意されることもなく、進級はできると。あるいはまた、この無届け欠課や提出物を出さないということによって、従来は、ある種のペナルティーを科しながら、提出物をちゃんと出しなさい、出さなければ減点にするよと。あるいはまた無届け欠課についても、ちゃんときっちり厳しく指導もしてきたと。しかし、こういうことが出てきたために、この歯どめがきかなくなったということがあるようなんですね。これまでは出席率を上げたり、あるいはまた勉強しない、怠けたりするような生徒に対しては、いわゆる減点にするよという1つの指導性でもって学習意欲を高めていくような指導性というものもつくれた。しかし、それができなくなってきた。結局、どういう授業態度であっても35点以上とりさえすれば単位はもらえる、進級できるという状況になってきた。
 それから、極力留年者は出さないという方向で指導が出てくると、結局、単位保留は幾つもしても進級はさせる。進級した時点で、この追試を受けて、何とか目標の数値だけは達成する。しかし、いざ3年になって卒業間際になると、その単位保留というものが積み重なってくると、これが結局は卒業できないということにつながってしまう。いわゆる問題の先送りではないのかという現場の教師の悲痛な悩みが寄せられているんですね。そういうことについてはいかがですか。
○仲宗根用英教育次長 私たちは生徒が、高校に入学してきた者について全員卒業してもらいたいということを基本にしております。そして、子供たちが学校の授業を受ける中で、この学校で授業を受け、卒業できる喜びが持てるような学校生活を送ってもらいたいということのもとに、今お話があるように、中途退学を減らすためにこのような通知を出したわけではございません。最近の多様化した生徒の実態からして、また、教育の流れから個性化の時代を迎えまして、個々生徒一人一人にどういう教育をしていくかということの流れの中で指導要領も変わって、新学習指導要領として打ち出されております。
 言えることは、この生徒の個性を尊重しているということからしますと、画一的にこれまで歯どめなどをかけて、例えば早い話が12単位、4教科クリアしなければ進級させないとか、このようなことがかえって逆に子供たちの学ぶ意欲をそぐような状況となってきたと。できるだけ指導要領でも履修即修得の考えから、最近では履修即修得の見直しの方向へとなってきておりまして、96単位必ず修得しなければ卒業できないという時代じゃなくなったわけです。
 ですから、74単位、3カ年間を通して修得できた者は卒業ができるということにもなってきましたし、また、個々の生徒の必修科目というものも、努めてそのものが少なくなってきましたし、実習科目を多く、履修即修得の科目を多くすることによって、その他の教科、科目等も学校で子供たちに合うように設定ができると、こういうことなど、いろいろな多方面から子供一人一人に合うような努力をさせて、この子供たちが卒業できるようにという意図のもとに、その通知を出しまして、これは全国的な流れでございます。あえてこのものが、結果として中途退学を減らすという方向にも結びつくんじゃないかという期待もしての通知でございます。
○金城勉委員 今お話を申し上げた件については、最近いきなり出てきたという話なんですけれども、実際はどうなんですか。これまでそういう議論の積み上げというものは、どのようになされてきたんでしょうか。
○仲宗根用英教育次長 これはいきなり出したわけではございません。これは指導・教育改革という大きな流れの中で、先生方の意識の改革が今求められております。この意識の改革をなす中で、学習内容についての考え方、履修方法についての考え方、指導方法または指導観、そういったもののいろいろと考え方が変わってきていることを先生方に変革を求めた中での今度の通知でございます。決していきなりという状況ではございません。
○山内彰教育長 ちょっと補足させていただきますと、先ほどスタンスと言いましたけれども、やはりこれから大きく教育が変わろうとしていると。その中においては、単に指導等の改善だけじゃなくて、内規やあり方についても変容する必要があると。教師もそういう意識を持って改善していく必要があると。ですから、3つの基軸を申し上げましたけれども、まず価値観を形成させていく。子供たち一人一人の価値観はどうだろうかと。そして個性、よさを伸ばしていく。そうすると、あと1つは選択の方法を選んで。ですから、入り口から出口まで教育の保証をやっていくというスパンの高校教育というものが求められているものですから、今のようなスタンスが生まれてきたということを御理解いただけたらと。
 したがって、これは学習指導要領もそうなっておりますので、知らなかった云々じゃなくて、学習指導要領を勉強して、校長会等々でもやって、研修体制もとって去年からスタートしたものでございまして、成績評価についても、今までは減点法でございましたけれども加点法にしていくとか、それから、原級留置云々についても考慮していく、履修即修得も見直しをしていく、そういう大きなスタンスの変容ということでとらえていただきたいと思います。
○金城勉委員 では、その辺のところが学校現場においてはまだまだ浸透、理解がなされていないんでしょうかね。
 今のような教育庁からの目標数値の学校現場への指導、あるいはまた学校現場における目標数値の設定等々ということが、現場においては勢い余ったせいか、いわゆる単位保留者を出すと校長に呼ばれて経過報告書を出しなさいと言われたり、いわゆる始末書に匹敵するようなものになっている場合があるようですね。そしてまた、この子はまだまだ学力不足だと、認定するにはちょっと難しいというふうな教師については、受けとめ方にもよるんでしょうけれども、校長から圧力がかかる、圧力というふうに受けとめられてしまう、こういうケースもあるやに聞いておるんです。
 ですから、そういう留年者を出さない、中途退学者を出さないということは、当然教育現場における目標としていいんですけれども、その辺の運用の仕方において無理が出てくると、その本来の目的、趣旨というものが損なわれてしまうという危険性も、また一面あるわけですね。やっぱりそういう中途退学者というものの原因として、今おっしゃったように基礎学力が足りない、生活習慣ができていない、そういうものを、やっぱりその学習意欲を高めさせる、指導する過程においてそういうものを身につけさせるということも、また学校現場における指導体制なわけですから、そういうものが数値が先行してしまって、それを追いかけるためにこの辺の中身がついていかないという現実になると、本末転倒になる懸念もあるわけですね。
 ですから、その辺のところは、教育庁としては、現場のきちっとしたそういう情報を細かく収集することによって、その辺の調整能力というか、指導性というものをきちっと発揮していかないと、勢いこういう現実の現場においては留年者が出ているよ、単位保留者が多いよ、卒業どうするんだと、場合によっては教師に対しての圧力と受けとめられかねないような言動があったりもすると、こういうことになると本来の姿じゃなくなってしまうと思うんですね、その辺についてはどうですか。
○仲宗根用英教育次長 私たちの出した通知が、学校現場で先生方の圧力になったりしているような状況等があるということを今伺いまして、そういうものが本当にあるのかどうか、また、そういうことにあってはならないと考えておりますので、学校長会等を通して、私たちのこの通知した意図がどういうことの意味なのかを十分周知、指導していきたいと考えております。
○金城勉委員 私のもう1つの視点は、この中途退学、あるいはまた単位保留で卒業できない、その時点におけるある意味での敗北を味わうと思うんですね。そういういわゆる一時の敗北というものは、決してすべてが悪いと受け取ってはいけないと思うんですよ。人間の一生というのは長いわけですから、その思春期における一時期の選択の誤りとか、あるいはまた進路の間違いとか、あるいはまた自分の努力の不足とか、そういうことによって一時つまずくということは、本人にとっては非常に学習能力、学習の場としての価値はあるんですね。ですから、そういう部分もまた一面では認めながら、もし退学するんだったら退学、卒業できないんだったらできない、そのことによって本人が学ぶべき部分というものをきちっと教師や、あるいはまた親や地域社会が教えていくことによって反省をして、そこから復活を遂げていくという、こういう部分もまた非常に大事な教育の要素としてあると思うんですよ。ですから、数値目標がひとり歩きしないように、この辺のところはぜひお願いを申し上げたいと思います。
 それから、ちょっと角度を変えますけれども、県立高校の学区制の変更があるやに聞いているんですけれども、そのことについて今後のスケジュールを教えてください。
○山内彰教育長 県立高等学校の通学区域において見直しを図りたいということで、今、具体的取り組みをやっておるところでございます。ことしの6月に検討会を持ちまして、学区案作成を8月にやって、これから課内検討を入れて調整をしたところでございます。そして、今月、各市町村教育委員会、それから事務所等を通して、県立高等学校の通学区域の改選案ということで送付したところであります。今後、この案では平成16年度までに施策推進委員会等を持って、説明を入れて、来年度において教育委員会での会議にかけていきたいという方向性を持っております。
○金城勉委員 ということは、学区制を例えば広げる、そして今の学区制よりもより幅広い形の学校の選択ができる、そういう方向で目指していると理解していいんですか。
○山内彰教育長 はい。おっしゃるとおりでございまして、先ほどの関連もありますけれども、子供たちの進路選択の拡大を図っていくということが原点にございます。
○金城勉委員 そういう方向性を考えたときのメリット、デメリットというのがあると思うんですけれども、その辺についてはどのように整理されていますか。
○山内彰教育長 やっぱり拡大を図るわけですから、ある意味で生徒が自己の能力、適性、興味、関心、進路希望等に応じて、みずから希望する高校の選択を可能にするということで、より一層の個性の伸長が図れるのではないかということが、まず第1点目に考えております。それから、学校においても子供たちのニーズに応じたような特色ある教育活動、あるいは学校経営等が執行できるんじゃないかなと、こう考えております。
 デメリットもですか。教育委員会はデメリットという言葉を表現としては控えたいわけですけれども、課題性としては―懸念されることですね。懸念されることは、志願者数の偏りというのが一つの懸念でありまして、場合によってはそういう数字の動きというのがあるのかなと。あと1つは遠距離通学も、無理して向こうの学校をということでの懸念も生じてこようかなと思っております。ただ、各高校が創意工夫を凝らした教育課程を編成して、生徒のよさが生きるように間口を大きくして受け入れるという面で、教育委員会としてはその辺を期待しているところです。
○金城勉委員 このことについては、いつごろから議論されてきたんでしょうか。そしてまた、その議論の中での意見の集約というのは、どういう層の皆さん方の意見の集約をされてきたんでしょうか。
○仲宗根用英教育次長 この通学区域の拡大についての話については、先ほどもありましたように、検討委員会を平成13年度にスタートさせまして、そのもとに、選択に非常に偏りがあった、学校数の偏りがあった、都市地区では6校も選択して学校に行けるけれども、ある地区によっては1校しか行けないというようなことがあったので、その通学区の拡大を図らないといけないという御父母等からの要望がございまして、では、とりあえず要望のある、余りにも差のあるところを何とか是正して、改善した形での通学区域ができないものかということで、昨年、西原高校だとか浦添地区、そういったところを修正、改正、改善といいましょうか、それをいたしました。
 そして、その流れの中で、やはり今後は行きたい学校へ行ける学校、また、特色ある学校づくりをする中で、魅力ある学校に、生徒たちが行きたくなるような学校が今いろいろとなされつつありますので、子供たちが行きたくても行けないでは、これは選択権を認めない状況となっては困るんじゃないかということから、できるだけ通学を拡大する方向で、生徒たちのこれまでの限られた選択しかできなかった学校から、行ける学校をということで、中学校、それからPTA、校長会、そういうところとの話し合いもしながら、今日までこうして話を続けてきて、やはり拡大方向に行った方がいいんじゃないかというような流れとなっています。
○金城勉委員 デメリットという話はなかったんですけれども、教育長の言葉をかりると懸念される、課題という意味では、この学校の選別化、差別化というものが一方では行われていくのではないかと。平たく言えば、ディキヤー学校、ディキランヌー学校とか、こういうことになってしまうと、従来、何十年にわたって培ってきた学校の校風や伝統とか、そういうものが地域社会との交流も含めて崩れてしまうという懸念も、また一方ではあるわけですね。ですから、そういう個性ある学校づくりというものは、やっぱりそれぞれの学校できちっとなされてきて、同時にみんながいい形で努力して進めばいいんですけれども、勢い学力だけの選択となってしまうと、ちょっとそういう懸念も出てくるかという思いがいたします。
 次に、角度をもう一つ変えますけれども、先ほどから話にもなっていますけれども、ゆとり教育というものを対応することによって教育の質を高める、あるいはまた、生きる力を育てるということで週休2日制も採用されてきたんですけれども、一方ではまた、教師の立場からすると非常にハードになってきたと。授業日数は減ったけれども、授業時間数はそのままこなさなきゃいけないという。そういう意味で非常にハードになってきた。そういう中でストレスもたまり、また、さまざまな子供の教育に携わる中で、いろんな課題を抱えながら病気休暇を取らざるを得ないという話も聞いております。
 そういう意味で、県内における病気休職者の数は現在どうでしょうか。
○山内彰教育長 本県の教職員の病気休職者の数でございますけれども、平成13年度においては実数として279人がとっております。数の上からは全国でも6位ぐらいの位置になっております。その主な理由が、病気休職者は女性の割合が約8割と高いです。さらにその中で、産前休暇前の病気休職者というのが約3割と、最も多い状況にあるのが現況です。
○金城勉委員 全国的に比較しても高い割合というのは私も聞いていたんですけれども、今現在6位という話のようですから、この辺の原因はどこにあるのか、ちょっと後で教えていただければと思います。
 そのことと関連するかどうか。教師のそういう仕事がハード過ぎて、私も身近にお1人知っているんですけれども、30代の若さで急に亡くなった人がいらっしゃいます。その人はもう本当にまじめな先生でして、朝はだれよりも早く7時ごろには出勤して、夜は一番遅くまで学校に残って子供たちの面倒を見て、さまざまな形で仕事を頑張っていた先生なんですね。その方が30半ばで急逝したんです。そういうケースが県内に多く見られるという話を聞いているんですけれども、実態はいかがでしょうか。
○山内彰教育長 平成14年度から平成15年度までの2年間に病気により死亡した公立学校の教員数というのが13名であります。年代別の内訳を見ますと、20代、30代というのは2名。先ほどのその中にお1人入っているかと思います。40代が3名、50代が8名となっております。
 主たる要因を調べてみますと、がんが3件、脳梗塞が3件、肝臓疾患等が3件、その他になっております。
○金城勉委員 ハードスケジュールによって過労死という形にならないように願っているわけですけれども、それと関連して、教師の採用枠について、その新採用の数もどうかという話もあったんですけれども、学級数はそのままにしながら、そして、少人数学級を高等学校においても進めていくべきではないかと思うんですけれども、その教師の採用枠について今後の考え方をお聞かせください。
○山内彰教育長 やっぱり県立高校においても少子化の影響というのは受けておりまして、平成16年度から向こう5年間のシミュレーションを組んでみますと、生徒数は1000人程度の減少が見込まれます。それに伴い、教職員定数も今後5年間では減少せざるを得ないということになりますけれども、ただし、その補てんとして加配教員とか、今言う指導方法工夫改善等々によって補てんがなされていきますので、そのような要素も見込んでいきますと、5年間で80人程度の減少になろうかと予測しております。その間にまた、第6次教職員定数改善計画により30人から40人程度の改善増が見込まれますので、実際としては退職者数との絡みで40人ぐらいの減になっていくのかと、そういう計画を持って進めています。
○金城勉委員 非常に多様化する子供たちを指導していく教師ですから、できるだけ少人数学級で対応できるような教師の数の確保というものは、ぜひ教育庁として目指してほしいと願っております。
 最後に、ゲーム脳の恐怖についてということでお尋ねをします。
 私、従来2回、過去2回ほど一般質問や、あるいはまた文教厚生委員会でこの問題に触れたことがあるんですけれども、集団暴行事件などの話もありましたけれども、最近の子供たちは非常にキレやすくなっているという顕著な傾向が見られるんですけれども、その要因としてはさまざまな要因が指摘されているんですけれども、その中の一つとして、いわゆる子供たちのテレビゲームとか、パソコンゲームとか、そういうゲームに熱中する余り、子供たちの情緒、あるいはまた脳の仕組みそのものが憂うべき事態になっているという警鐘を鳴らした本が、ここに「ゲーム脳の恐怖」という本があるんですけれども、最近また別の本も新聞の読書欄で紹介されていたんですけれども、ゲームを長時間、そして習慣的に繰り返すことによって、人間の脳の前頭前野、創造性をはぐくむ、あるいはまた情緒、感情を抑制したりする、そういう部分が破壊されてくるという研究データを発表した本なんですね。
 ですから、そういう意味では、脳そのものが破壊されることによって人間がキレやすくなったり、情緒不安定になったり、表情が暗くなったり、感情の抑制がきかなくなったり、そういう顕著なデータが出ているわけですよ。そういう意味では、やっぱり社会現象として本当に暴力が日常茶飯事的に起こってくる今日の社会ですね。こういう視点からのアプローチも教育現場においても必要になってきたのではないかと思うんですね。
 ですから、私、このことについては何回か触れてきたんですけれども、そのことについて教育長として何か研究なりデータ収集なり、やったことはあるでしょうか。
○山内彰教育長 非常に大事な問題でありまして、また、課題として提言されていますゲーム脳、いわゆるテレビゲーム等を長い時間、あるいは長い周期の期間続けて見ていくと脳の働きが低下するという、この問題については、我々も大きな課題としてとらえております。実際に科学的なデータの分析等は私たちもやっておりませんけれども、前頭前野の未発育により、人間らしさを失って抑制のきかない行動を起こしやすいというものは言えるんじゃないかなということで、私、教育長として個人的にはそういう分析をしております。といいますのは、今まで起きた少年たちの分析、これをやってみますと、例えば神戸の問題も、例の彼にしても、やはりそういう衝動が見られたと。いわゆるこれは、さっき言いましたアナログ機能の低下に陥っていると。言語障害を起こしてしまうと。これは、もう科学的に証明されたのがアスペルガー障害、アスペルガー症候群というのがありまして、言語障害から起きてキレてしまうと。それははっきり科学的な立証がされている学説でありますから、こういうことを踏まえた場合はとても大事なことじゃないかなと考えているわけです。ですから、怖さも感じておりますし、テレビゲーム等はやはりコントロールというんですか。
 したがって、さっき言いました、言葉を交わすという機会、あるいは社会とのかかわりを持たす。そして、自分が生きるような存在をさせるというようなところを持っていく必要があるんだなと。1つには、具体的な話として読書活動は全国でも私たちが誇れるものだと思っています。毎朝やっていますし、読み聞かせもやっています。読書活動の奨励とか、さっき吉田委員からも質疑がありましたけれども、自然体験や、それから社会体験を通してやっていくというのは最大限努力しないと、この問題は将来大変な問題になるんじゃないかと危機感を抱いております。
○金城勉委員 ぜひそういう形で、調査研究も踏まえながら指導性を持っていただきたいと思います。
 実際、現実はこの本にもデータとして載っているんですけれども、週休2日制になって後の土曜日の使い方。子供たちはどう使っているかというと、ゲームの時間に使っているという子供たちが非常に多いと出ているんですね。ですから、そういう意味でも、子供たちをある意味では危険な方向に、だめにするような方向に、その週休2日制が実態として使われているというデータもあるものですから、その辺のところはきちっとした指導性を持って、やっぱり家庭における生活の仕方についても、学校における指導性というものを持てば、親ももっと意識を変えるでしょうし、あるいはまた、そのことについての指導性も持てると思いますので、そういうことでぜひ対応を、今後研究を重ねながら考えていっていただきたいと思います。
○安次富修委員長 20分間休憩いたします。
   午後3時34分休憩
   午後3時56分再開
○安次富修委員長 再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。
 砂川佳一委員。
○砂川佳一委員 私は象徴的な議論は余り得意でないので、具体論で質疑いたします。ぜひ歯切れよく明確な御答弁をよろしくお願いいたします。
 これまで各県単位で主管して行われております全国高等学校総合体育大会の趣旨、目的についての概要を説明お願いします。
○山内彰教育長 平成22年の全国高等学校総合体育大会開催概要というもので、私どもプリントを準備しておりますけれども、その目的は、高等学校教育の一環として高等学校生徒に広くスポーツの実践の機会を与え、競技の向上とスポーツ精神の高揚を図り、心身ともに健全な高等学校生徒を育成するとともに、高等学校生徒の親睦を図ろうとするものでございます。
○砂川佳一委員 そこで、沖縄県での開催予定年月日、そして何日間予定をされておるんでしょうか。
○山内彰教育長 開催の時期は、開催基準要綱がございまして、それによりますと原則として8月中になっておりますので、本県においても平成22年8月中に実施したいという予定を立てております。
○砂川佳一委員 それは、その競技種目というのは何種類ぐらいあるんでしょうか。
○山内彰教育長 予定競技種目は29競技、種目にして33種目になっております。
○砂川佳一委員 さらに、参加予定者数、選手、監督、コーチ、競技役員、運営役員、本部役員、報道関係を含めて、どの程度参加予定者が見込まれているんでしょうか、お伺いいたします。
○山内彰教育長 参加者数について、予定でございますけれども、6つに分かれてございます。1つには選手2万5490人、監督、コーチ7222人、3つ目に競技役員が5684人、運営委員が4453人、競技運営補助員が1万3522人、6つ目に都道府県の本部役員、報道員が567人ということで、トータルにして5万6938人ということで予定をしております。
○砂川佳一委員 それで、これまでの観客延べ人数の実績と、沖縄県での観客数の見込み数を伺います。
○山内彰教育長 観客延べ数でございますけれども、岩手県での全国高等学校総合体育大会の例を見ますと54万6355人ということでございますが、ほぼ岩手県と同じ54万人内外になるのではないかと見込んでおります。
○砂川佳一委員 そこで、これからが本番なんですけれども、競技開催地の選定についてですが、県庁所在地である那覇市を中心で考えるのでなく、一体的な見地で現場に即した実効性のある基準で考えていただきたいと思うのです。特徴ある沖縄らしい大会であったと評価される意味でも、ここで離島開催の有利性を強調しておきます。
 1つは、すべての管理体制がやりやすいということ、スムーズにいくという点であります。特に団体人数が多いほど効き目があります。何しろ一度島の中に入れてしまいますと、おりの中の囲いとは言いたくありませんが、外からの誘惑もありませんし、行動範囲が限られます。特に他都道府県からの高校生の団体行動が安全、安心で、運営管理がスムーズにいくわけです。大変重要な案件だと考えます。加えて、文化、自然景観の残る島々での開催は、参加者自身にとっても青春時代の思い出に残るすばらしい大会参加となり、趣旨、目的に沿った大会になると考えます。離島振興の観点から宮古、石垣、久米島などの開催が強く望まれるわけであります。教育長も全く同感だと考えますが、改めて考え方を伺います。
○山内彰教育長 今、競技種目別の会場地のことかと思いますけれども、それにつきましては、これからちょうど今、希望参加をとって、平成16年8月のあたりに県教育委員会会議において決定していきたいと考えています。その間、ことしの5月に意向調査を実施しておりますので、来月は高等学校体育連盟と各種競技団体による会場地調査などを入れて、いろいろと検討して決定に至りたいなと考えております。
○砂川佳一委員 実はスポーツアイランド構想を標榜して、数々のスポーツイベントに取り組んでいる、しかも大成功をおさめている宮古島においては、当大会を、特にバレーボール男子競技をぜひ誘致したいという要請が出ております。このことは、国際的なイベントとして毎年開催しております全日本トライアスロン宮古島大会を成功している実績と経験、大会規模についても2000名ほどでありますから、同じ規模であるということや、平成15年度沖縄県高校バレーボール大会で優勝した伊良部高校を筆頭に、バレーボールへの宮古島圏域の深い思いなどがあるわけであります。それを踏まえての自信と識認をもっての誘致活動だと考えます。このことについて、とりあえず教育長の個人的な見解で結構ですから、御答弁をお願いいたします。
○山内彰教育長 公的な立場にありますから、個人的な見解は控えさせていただいて、今の宮古島の希望に関しては、もう既に要請が届いておりますので、その意見書も読ませていただきましたので、それを踏まえてこれから話し合い事項に持っていきたいと思っております。
○砂川佳一委員 ただいまの答弁、まさに前向きな御答弁だと、教育長としての公の立場での御答弁だと受けとめて喜んでおります。あとは文教厚生委員会あたりで、幸い私は副委員長を務めさせていただいていますから、鋭意取り組んでまいります。
 続きまして、台風14号宮古島襲来に関しての質疑です。
 特に教育機関の中の中枢機能が甚大な被害を受けました。子供たちの心のケアから始まって、施設等の復旧作業も早急に行わなければなりません。教育委員会関係の復旧については重要かつ緊急性とともに、対応金額、予算等が大きいだけに御苦労をかけているものだと、大変さを理解いたしております。あれから2カ月過ぎたわけでありますけれども、その後の復旧状況、どのように経過しているのでしょうか。施設関係だけでもいいから復旧経過報告をお願いいたします。
○山内彰教育長 台風14号における被害については、宮古島は大変だったなと、心からお見舞い申し上げます。私も実際現地を見てびっくりいたしましたし、早急に対応する必要があるものと、それから、きちっとした計画書を立て国に申請していく必要のものがあり、それぞれ分けて対応を考えてまいりました。特に緊急を要する教室の窓ガラスとか入り口のドアとかについては、もう既に復旧してございます。
 それから、城辺町の城辺中学校の体育館等においては、学校教育関係施設については公立学校施設災害復旧費国庫負担法に基づいて調査をし、そして、10月27日から11月7日までの2週間で終了しました。あとはもう全面復旧に向けて着工の段階をする運びになっております。実質計画を見ますと、城辺中については平成16年1月に国庫認定ということで、設計を平成16年2月にやりたいと、それから、平成16年3月には工事着工をして、平成16年度中に完成したい。それから、平良中学校の体育館についても平成16年度中には完成したいと。向こうについては一部だったんですけれども、全面的にやった方がいいんじゃないかという、私ども教育委員会からそういうことで方向性を示しました。そういうことで全面改築ということで、大きなものについては予算措置を行い、その復旧に取り組んでいるところであります。
○砂川佳一委員 台風被害につきましては、県内外から多くの支援、そして御指導をいただきました。改めて御礼申し上げたいと思います。やはり宮古島独特のアララガマ精神、ワイドーの心で、今、復旧活動に努めているところであります。今後とも国、教育関係、大変重要な事項でございます。よろしくお取り計らいください。
 続きまして、宮古島の民俗伝統芸能。宮古のクイチャーについて広く保存作成事業が行われていると聞いています。当事業の趣旨、目的、効果など期待する点を述べてください。
○山内彰教育長 宮古の代表的な民俗芸能、クイチャーが平成14年1月18日に国の文化審議会の答申を得て、記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財として選択されました。宮古のクイチャーは人々の生活や信仰に深く結びついて伝承されています。芸能の本来のあり方をうかがうことができます。さらに、踊りや歌は他に類例がないと、そういう地域的特色を示しているのではないかなと、それがその選択の理由でございました。記録選択は無形の民俗文化財で指定されているもの以外の中から、特に記録作成などの必要のあるものについて選択をして、必要に応じて国が記録を作成したり、地方公共団体の行う調査事業や記録作成の事業に助成を行うという制度でございます。したがいまして、地元宮古の市町村においては保存、伝承のための努力が求められてもおります。
 県では文化庁の指導を受けながら、本年度から宮古のクイチャー記録作成事業をスタートさせております。総事業費としては400万2000円で、調査は宮古全域に及ぶことから、県が事業主体となって、平成17年度までの3カ年で実施しているところでございます。3カ年計画を立てております。また、専門家の調査として8名を委嘱するとともに、8月からは各地域へ調査に入って、既に3回の調査を終えているところです。最終年度には報告書を作成していく計画を立てております。
○砂川佳一委員 大変格調高い、そして意義深い御答弁であります。感謝申し上げます。
 ここで所見を少し述べさせていただきます。クイチャーとは、その語源は宮古島の方言で、声を合わせる、声をチャースという意味であります。声をかけ合わせることによって心も一つになると。大地を踏み鳴らし、悪魔を追い払い、六調子の手招きで幸せを呼び込む。歌の意味は、神々をたたえることから始まってラブソングまで歌われております。それぞれ各地によって違いますけれども、本来は円陣を組んで踊りますが、人頭税廃止運動が成功したときには、その喜びをあらわすために自然発生的に約3キロメートルの道のりを漲水港から鏡原地域まで踊り渡ったと伝えられております。また、雨乞いとか慶祝時、各集落の行事でも行われていますが、いわばミヤクンチュ、宮古の人の団結心、ユイマールの体現であり、ニライカナイへの願い事であります。まさに魂の叫びだと我々は主張しております。
 最近はしかし、沖縄本島中部あたりのエイサーとかいうお経、踊りに随分押されぎみでありますけれども、クイチャーの正統な伝承こそ、教育的見地から考えても宮古の大切な心のよりどころとなると思います。ぜひ実現に向けて取り組んでいただきたいとお願いいたします。幸いといいますか、私も実は、うるかクイチャー愛好会の会長もさせていただいて、少しでも身近な協力ができるということを決意申し上げまして、質疑を終わります。
○安次富修委員長 金城昌勝委員。
○金城昌勝委員 私は、教員の人材育成、あるいはまた質の向上について質疑いたします。
 沖縄県の本県の新しい沖縄振興計画の中で人材育成があちこちに見られます。人づくりは100年の大計と言われる。21世紀の沖縄が自立に向けて持続的に発展し、世界に開かれた交通・交流拠点を形成していくためには、産業、福祉、医療、学術、文化等、各分野を担う高度、多様な人材育成が不可欠であり、各分野における施策とあわせて積極的に取り組んでいきたいということが高らかにうたわれております。私も、そういったことが今後の沖縄発展に大きく貢献していくものと思っております。その中で、この土地の学力向上ですか、質を向上させるためには、やはり第1に教員の質の向上が求められるということになります。
 私、これまでいろんな形で人材育成のことについて質疑をしてまいりました。9月の議会におきましては、いわゆるそのアクションプログラムをつくったらどうかということを御提案申しましたところ、それにかわるものをつくるということでありましたけれども、それにかわるものはどのようなものであるか、御答弁お願いいたします。
○山内彰教育長 委員御指摘の教師の評価の件でございます。これについてはアクションプログラムというのを私ども、先ほど申し上げました教職員の評価システム検討委員会を立ち上げて、そして具体的な評価方法に検討して、そこでプログラムを持っていきたい、システム構築をしていきたいというスタンスに立っております。当然学校教育の主役である子供たちの教育を保障したい。そのために学校教育の効果性を出したいと。どのような効果性が出ましたかという、先ほど言いましたように目標をまず1番目に出したい、それから、説明責任を明確にして教職員の職能の成長を促したい、3つ目に、公正、公平で透明にしていきたい、4つ目が、県民への説明と教職員個人へのフィードバックができるようにしていきたいと、そういう視点を持っておりまして、したがって、それに関して教職員評価システム検討委員会で今検討させているところではございます。
○金城昌勝委員 まだ検討中であるわけですね。
 では、長野県の例を申し上げます。長野県の教育委員会で平成13年、中学生、高校生を含む県民4000人を対象にした高等学校の数学に関するアンケート調査を実施しましたところ、学校教育にどのような改善を望むかとの質疑に対して、教員の資質の向上を求める回答が上位を占めたという結果が出ております。それに基づいてアクションプログラムをつくりまして、1番目に採用の改善、適正な評価、研修・授業公開の充実、4番目に管理職登用の多様化等々についてやっておりまして、非常に効果を上げていると聞いております。
 それから、三重県におきましても似たようなことをやっておりまして、三重県では県民が求める教員像ということで、アンケート調査の結果を中心に、国の教育職員養成審議会で示された教員の資質、能力や、三重県教育振興ビジョンで述べられている教員像などを参考にして、すべての教員のライフステージ全般にわたる人材育成という観点から、県民が求める教員像を次のとおりに整理しましたということであります。
 その像はどういう内容かと申しますと、1番目に、豊かな人間性を持ち、社会や子供の変化に柔軟に対応できる人、社会人として幅広い教養と良識、確かな社会認識とすぐれた人権感覚、国際的視野を持ち、時代変化に柔軟に対応できる力。2番目に、子供に対する愛情と教育に対する使命感を持つ人、人を思いやる温かい心とたゆまない向上への意欲、子供の人格と個性を尊重し、ニーズを的確に把握する力、教育の課題に取り組む積極性と行動。3番目に、学校教育の推進に向けて的確に職務を遂行できる人、専門的知識、技能に裏づけられた実践的な職務遂行力、教育活動の充実に期するための企画・構想力、子供、保護者、地域との信頼・協力関係を築く人というような、いわゆる県民が求める教師像ということを三重県ではうたっています。
 本県では、私が質問しましたら、やはりまだやっていないと。私も本県においても、こういった県民に対して、県民が求める教員の像ということを求めて、しっかりしたものに基づいて評価のシステムとかをやっていくべきだと思いますが、教育長の御所見はいかがでしょうか。
○山内彰教育長 三重県でございますか。ちょっと調べてみますと、実際に県民が求める教師像という形での調査ではなくて、県民アンケートがなされているようでございますけれども、県民が求める教員像についての調査は本県においては実施しておりませんが、本県も国が出した教師像というのが教育職員養成審議会の答申がございまして、それをもとにして本県の教師像というものを打ち出して採用等々に使っているわけでございます。したがいまして、本県においてもそれを踏まえた教師像でいいのではないかということで、これまで進めているわけです。
 1つには、教員の普遍的資質、能力として教育者としての使命感、人間の成長、発達についての深い理解とか、児童・生徒に対する教育的愛情とか、教科に対する専門的知識、広く豊かな教養等を基盤にした実践的指導力と、結果的にはここにまとまっているものですから、教師としてのあるべき姿と。2つ目には、国際社会の変化に対応できるような能力ということがうたわれています。そしてまた、本県では2面4特性といって、2つの面と4つの特性を持っている教師が欲しいということで採用時にも出してきて、研修でも使っていますけれども、1つには、専門性と豊かな人間性でございます。これが2つの特性で、4つの能力としては専門的知識・技能の能力と指導技術の能力と使命感、教育的愛情、こういうことで、表にこれですよというふうには出してございませんけれども、教員としてはそういうことを座標軸にして出してやっているものですから、それにかえていっていいのではないかなということで考えております。
○金城昌勝委員 大体各県とも教育に対しては同じような感じで思っていると思いますけれども、それをどう客観的に正しく評価して次のステップに上っていくか、これが問題だと思います。ですから、この評価委員会ですね、独立した機関を持って、これは皆さん方公務員だけじゃなくして民間からも入れて、総合的にそれらを評価するシステム、よって、これが次はどう行っていくべきというのを方向性が出ていくものと私は思います。
 言葉は古くなっていますけれども、プラン・ドゥー・シーという言葉がありました。もう30年ほど前ですかね。今生きていますかな。やっぱり計画を立てて実行して、結果どうなったかというのが、私はその予算を投入してやる事業の一つ、あるいは会社経営でもしかり、行政の運営でもしかり、そういうふうに思っています。プラン・ドゥー・シーのこの考え方をもう1度持たれて、客観的に評価してどうあるべきだと。内部評価では私は適正な評価はいかがなものかと思いますので、民間のいろんな専門、各分野の人を入れての評価するシステムが私は必要になっていると思います。教育長の御所見を伺います。
○山内彰教育長 教員全体として組織体という形にしますと、やはりそういうことは必要性があるかと思います。今回の教職員の評価システム検討委員会においても、民間企業等からのそれらの人たちを構成員として入れておりますし、学識経験者も入れております。その他の部分からも入れて、多様な構成メンバーでつくってあります。したがって、おっしゃっているようにプラン・ドゥー・シー、これは私たち、教育活動においての大事な視点でございまして、あと1つ、教員の場合は、プラン・ドゥー・S・シーまで。シーに、またC、チェックのCまであります。チェック機能まで今度は入れるという、4つのサイクルを踏まえてやっていこうというのが今の姿勢でございます。
○金城昌勝委員 特に部長クラス、以上の皆さん方は第1次沖縄振興開発計画からかかわってきたと思います。第1次沖縄振興開発計画から第3次沖縄振興開発計画まで、いろいろとスローガンを持ってやってきました。結果としてはどう評価しますか。私は、インフラストラクチャー関係については整備はうまくいきましたけれども、県民所得から見ればまだまだ70%の県域と。これが成功だったと言えるかどうか、非常に私は疑問でありますし、また、これは各県民いろいろな判断があると思いますが、私はこれも3次にわたる振興計画の中で人材育成というのが一番欠けていたのではないかなという気がしてなりません。
 仕事をするのは人であります。ですから、人をつくらなくちゃいけません。沖縄県は資源がありません。人しかありません。この人の資源をいかに大事に育てていくか、それが今後の振興計画、あるいは沖縄の21世紀をどうあるべきかという方向性が生まれてくるんじゃないかと思っております。
 次に、教育主事について若干お伺いします。
 各市町村に教育主事の制度があってやっていますけれども、場所、場合によっては2カ所、2人のところがあります。これは市町村にとっては大変予算的に重荷になっております。1人大体1000万ぐらい。内容はどうかと申しますと、教頭や校長に昇任、力を持っているけれども、入ってくるポストがまだあかないということで、各市町村に預けてそのポストがあくのを待っているというように、私はかつて聞かされて認識したことがあります。現在、その教育主事は市町村に何名おるのかどうか、それをまずお伺いします。
○山内彰教育長 県内の52市町村のうちの44町村と2事務組合に、そこの要請に対して103名の指導主事を派遣しております。
○金城昌勝委員 今、教育長は要請とおっしゃいましたけれども、市町村にすれば押しつけなんですよ。そういうイメージを持っています。ということは、予算は市町村の予算でやっているんですよ。県が出してくるんだったらそうじゃないと思いますけれども、市町村にこれを負担させている。だから、皆さん方は要請と言うけれども、言葉はきれいだけれども、受ける側はそうじゃないということを御理解お願いしたいと思います。
 そこで申し上げたいのは、社会教育主事を派遣した市町村の学力、目的は達成されたかどうか、学力はアップしているかどうかですね、それの成果はどうでしょう。
○山内彰教育長 先ほど御紹介しましたように、小さな町村―8町村でございますけれども―以外は指導主事が全部派遣されております。その指導主事が派遣されている大きな効果性というと、先ほど言いました学力向上については、やっぱり指導主事たちと連携をしてやっているわけでございまして、それから教育過程の円滑な運営、そういう意味では子供の学習権の保障については効果性は高いんじゃないかなと。そして、子供たちの学力の向上においても大きな効果性を与えているのではないかと。それは1村1村では見えませんけれども、全県的な効果性を見ますと、私たちの学力向上の全国的なレベルというのが高くなりましたので、そういうことが言えるのではないかなと。
 昭和62年からこの事業を全スタートしたんですけれど、当時の状況というのは、もうそれは47番目で、46位の後ろさえも見えないと。マラソンで言えば、もう1周も何周も離れているような実態がございました。議会でこの実態を追及されて、各市町村の指導強化をしたらどうかということでいきましたので、その進めたときに市町村からは協議の上で原則として指導主事を置くという法律、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第19条2項でございますけれども、その適用を受けて制度化したらどうかということの合議をもってやっているわけですから、やっぱり効果性はあったと私どもとしては理解しておりますけれども。
○金城昌勝委員 学力問題もいろいろと議論したいんですけれども、時間がありません。とにかく、そういった教育指導主事の派遣は大変結構でしょうけれども、小さい町村では非常に負担が大きいんですよ。これはぜひとも県負担でやっていただければ、地元も喜ぶと思います。そういうことの考えはありませんか。
○山内彰教育長 本来、この指導主事の配置というのは市町村の責任のもとに置かないといけないということになっておりますので、それで協議の上で行くような形と。あとは経済的な問題で、ある意味では市町村からの要求の問題も高くて負担になっていると思います。若手を配置したいということでいくことによって経済的な面も解決できるんじゃないかなと。協議の内容になっていこうかなと思っていますので、そういう面で御理解ください。
○安次富修委員長 小渡亨委員。
○小渡亨委員 この平成14年度主要施策の成果に関する報告書の中から、まず数点質疑があります。229ページの中高一貫教育の推進とございます。その中で開発指定校と推進指定校とあるんですが、この違いをまず教えてください。
○仲宗根用英教育次長 中高一貫校につきましての推進指定校という場合は、この導入に向けて中高一貫教育を推進し、実践研究を行うという場合に使います。ただし、開発指定校となりますと、これは実践的研究を終えた後に指導方法、教育課程編成等のあり方、具体的な実践研究を行う場合をいいます。よって、両方とも中学校、高等学校、6カ年間の計画的、継続的な中高一貫校を検討、研究するという意味での事業でございます。
○小渡亨委員 ということは、では、推進指定校で研究をして開発指定校になるという形ですね。
 これを見ますと、伊良部地区とか本部地区とか、あるいは与勝地区とか、いわゆる過疎地域なんですよ。那覇市とか沖縄市とかはないんですが、これはなぜですか。
○仲宗根用英教育次長 中高一貫校は必ずしも過疎地域で、過疎地と言われているようなところで行うとは限りません。たまたま本県の場合、伊良部地区と本部地区、それから久米島地区、与勝地区と今のところなっているのでして、今後、県立高等学校編成整備計画の中で、19年度以降におきまして中部地区、それから那覇地区にも中高一貫校の設置の予定でございます。
○小渡亨委員 次に、231ページの「語学指導等を行う外国青年招致事業」ですが、そこで、外国青年とはどういう人をいうのか、まず説明してください。
○山内彰教育長 わかりづらい言葉だと思いますけれども、語学指導等を行う外国青年と言っております。これは英語でいきますとジャパンエクスチェンジアンド・ティーチング・プログラムといいまして、ジェットプログラムにやってくる青年たちのことを総称して言っているわけでございます。地域において国際交流活動に従事する国際交流員とか、あるいは小・中学校の語学指導を担当する、我々は外国語指導助手、ALTと言っていますけれども。それから、地域においてスポーツを通して国際交流活動に従事するスポーツ国際交流員、SEAと、そういうものを総称してそう呼んでいるものです。
○小渡亨委員 では、その方々のいわゆる資格とか、あるいは選考基準とか、年齢制限とか、こういうのはありますか。
○山内彰教育長 選考基準には、まず1つ目は、日本で教育するわけですから、日本について関心があって、来日後も日本に対する理解を深めようとする意欲があるかというのが設けております。2つ目は、大学の学士号取得者、心身ともに健康であるということを条件に付してあります。3つ目が、日本で職務に従事し、生活適応する能力を有している。4つ目が、青年交流プログラムの性格を有するので、原則として青年と呼ばれる40歳未満であることなどが条件としておりまして、性別の区別はしてございません。
○小渡亨委員 県内には5万人もアメリカ人が住んでおりますが、そういった方々は対象ですか。
○山内彰教育長 これは外務省が在外公館並びに大学校で募集説明会をやっていますので、沖縄県が本事業において直接採用するわけではございませんで、国の事業でございまして、国が任せたものですから、外国からの任用となっております。
○小渡亨委員 ちなみに、1人当たりの期間がどうなっているのか、あるいは1年当たりどのぐらいの金がかかっているのか教えてください。
○山内彰教育長 原則として1年でございまして、2カ年まで更新継続は可能でございます。報酬については1人当たり税引き後で年間360万円程度を支給しております。報酬及び旅費等を含む必要経費は1人当たり年額で約470万円となっております。財源はもちろん国の方でございまして、総務省が措置しております。
○小渡亨委員 次に、232ページの「早期英語教育の推進」の中で、ネーティブ・スピーカーとかネーティブ・アシスタント、あるいは地域在住のネーティブ・スピーカーだと思うんですが、このネーティブ・スピーカー云々の概略がよくわかりません。どういうことですか。
○山内彰教育長 これは早期英語教育に関して使っている言葉でございまして、ネーティブ・スピーカーとは英語そのものを母国語として話している者、英語を母国語とする者ということであります。したがって、日本語ではなくて英語で表現している理由は、児童・生徒を英語環境になれ親しませるという意味でネーティブ・スピーカーと、そういう英語を使っているわけです。ネーティブ・アシスタントも一緒でございまして、アシスタントはもう助手でございますから、英語を指導、支援する助手ととらえていただけたらと思います。
○小渡亨委員 では、これは先ほどの外国青年とは別なんですね。このネーティブ・スピーカーあるいはネーティブ・アシスタントは、どういう方々を選んでいるんですか。
○山内彰教育長 先ほどのは国の事業でございまして、この早期英語教育においては本県の事業として進めているわけです。ですから、これにおいては本県の英会話活動推進のために採用していると。教育事務所に派遣して各県内の18市町村でやっているのもおります。そういった者をネーティブ・スピーカーと呼んでいるわけです。
○小渡亨委員 先ほどの外国青年の場合には大卒の経験とかがあったんですが、これのいわゆる資格といいますか、あるいは選考基準といいますか、あるいは期間、あるいはもう1点、1人当たりどのぐらいの費用がかかるのか。
○山内彰教育長 これは県や市町村でやっているわけですから、一応そこの選考でやっているわけですけれども、国のこれに準じておりますけれども、それのとおりというわけではございません。中にはボランティアもいるものですから、ボランティアグループも含めておりますので、とりわけて選考資格というものについてはうたっておりません。
○小渡亨委員 まず、現在何名ぐらいこれがいるのか。そして、これはいわゆる在沖米軍関係者と理解していいのか。
○山内彰教育長 県の英会話活動推進のためには8名をネーティブ・スピーカーとして採用して、教育事務所に派遣しております。市町村は18市町村で、60名のネーティブ・スピーカーを採用して、特に小学校の英会話活動に各市町村が単独でやっております。
 それから、米人ボランティアグループは在沖米人や米軍関係者に要請をいたしまして、これはボランティアとして集団でやっているところもありますし、個人でやっているところもありますので、数字的には御紹介できませんけれども、100名余り、170名とも言われています。その都度数がふえていくというような形で、これは中頭教育事務所や国頭教育事務所を中心にして展開されているものであります。
○小渡亨委員 県内から英語をしゃべる人といえば、もう在沖米軍関係者がほとんどだと思うんですが、そうでない仕事で来ている方々がやるはずがないんですね。これをやる理由がないんです。ということは、ほとんどは在沖米軍関係者と理解していいわけですか。
○山内彰教育長 先ほどの米人ボランティアグループというのはそういうもので、あと、ネーティブ・スピーカーは市町村の採用ですから、ある意味では給与等ももらって、報酬ももらっていますから、必ずしもそうとは限りません。私が知っている人たちも、実際に報酬をもらってそれをやっている若い人たちもおります。
○小渡亨委員 もちろん在沖米軍の軍人は、これはできないはずなんですよ。軍人の奥さんとか、あるいは関係者だと思います。
 次に移ります。世界遺産について。これは252ページなんですが、世界遺産、これは首里城を中心とする関連遺産が世界遺産に指定されておりますが、この城壁を見ると、いわゆる難攻不落な城壁なんです。なかなか攻めにくいと。沖縄の歴史の定説によりますと、1509年に「百浦添欄干之銘」ですか、これによりますと、武器は全部蔵に入れて平和に徹すると。いわゆる沖縄は武器のない平和な集落と言われておりますが、この城壁を見る限り強固な城壁なんです。ちょっと矛盾しているような気がするんですが、それに対して教育委員会はどう思いますか。
○山内彰教育長 強固な城壁ですね。防御の機能強化が図られているというのは言えると思います。それは3つの特色があろうかなと思います。防御の機能強化、それから、自然美を生かした、自然の地形を生かしてのつくりですね。それから、石像文化というんですか、技術を生かした石垣の積み方と、そういう3つの特徴があろうかなと思います。そのような形から見ますと、実際、では武器がなかった云々はできないんじゃないかなと。おっしゃるとおりでございまして、我々もそう認識していますけれども。と申しますのは、結局、三山鼎立の1300年後半から1400年時代に築城されているわけですから、それまでは「阿麻和利の乱」や、あるいは「志魯・布里の乱」とか、いろいろあるわけですから、その防御の機能は十分図られていたということが言えるんじゃないかな。
 ただ、その後、尚氏王時代ですか、今そのときで武器庫を設けて、首里城ですね、武器を全部、いわゆる琉球の刀狩りをやって、その後侍は、帯刀しないという風習が、その後からの様子が紹介されて、そう言われているのではないかと思っておりますけれども。
○小渡亨委員 その尚氏王の以降も、首里城あるいは中城城等に関しては、この防御は完璧なんですね。しかも直線じゃないですよ。ほとんど曲線を描いた湾曲なんです。曲線を描いて、特にくぼ地を設けてつくっているわけです。それを、なぜくぼ地を設けたか、わかりますか、教育長。この城は、例えば中城を見た場合に、正面から見たら中が引っ込んでいるでしょう。左右が飛び出て引っ込んでいますよね。こういうつくりはなぜそういうふうにやったか、わかりますか。
○山内彰教育長 先ほど申し上げましたように、あの城壁の曲線形態をつくったのは、1つには自然の地形利用でありますし、2つには構造的な強度かなと、3つ目に言えるのが、やっぱり防御体制かなと。そういうことで含めているのかととらえたんですけれども、間違ってますかね。
○小渡亨委員 間違っています。北海道函館市の五稜郭も、あえてくぼ地を設けることによって、これを上る人間を撃てるわけですよ。その辺もよく研究しておいてください。
 鹿児島県の島津の城址のお城、これはどうなっているか、わかりますか。薩摩藩の鶴丸居城はどうなっているか。
○山内彰教育長 余り理解していませんけれども、行ったことはありまして、鶴丸城だったかなと思っております。
○小渡亨委員 あっちは城壁がないんですよね。鶴丸城は城壁がないんです。まるきり最近の普通の城山の場合でしたら、つくっていないですよ。沖縄の首里城は完全な鉄壁なんです。その辺がちょっと今、定説が違うのかなという気がします。
 そこで、1609年以降、沖縄に薩摩が侵攻するんですが、薩摩の役人は何名ぐらいいて、そしてどこに住んでいて琉球王国を押さえていたのか、これはわかりますか。
○山内彰教育長 担当にも聞きましたけれども、在藩奉行によって首里で仕事をしているということはつかんでいますけれども、何日間でどれぐらいというものについては、具体的な数字については承知しておりません。
○小渡亨委員 今の歴史の定説では、1609年以降、琉球は薩摩に侵攻されて、半植民地に置かれて、しいたげられたと認識されていますが、ちょっと違うのかと私は思っています。その辺をぜひ研究していかんといけないと思っております。また質疑しますから。
 次に、国立劇場おきなわについて。
 東京都、大阪府に次いで、都道府県では3番目にできました。それで、もう年明けからこけら落としが始まるんですが、そこで上演される組踊について、よくわからないものですから説明してください。
○山内彰教育長 私も十分にはわかりませんけれども、私の理解している段階で言いますと、組踊は、音楽と舞踊、せりふで構成された沖縄独特の、これは総合芸能であると言えるんじゃないかなと思います。古くから沖縄に伝わる音楽と舞踊を総合的に取り入れて、内容的には故事をもとにつくった楽劇、音楽の劇、沖縄的オペラと言えるんじゃないかなと思っています。
 起源としては琉球王府の時代ですから、中国皇帝の使者である冊封使を手厚くもてなす沖縄の心でもあるし、また、ある意味では歓待するためにつくられていったと歴史で学んでおりますし、そのときの奉行、あえて踊奉行といわれる、今で言えば興行係でしょうか、踊奉行も設けて、数々の芸能の場を仕込まなければいけなかったと。何しろ冊封使の滞在が半年近くもなるわけで、300人以上600人という数ですから、そういうエンターテインメントとして発生したこの組踊でありますけれども、もちろんそれは単なる娯楽じゃなくて、多くの庇護を受けて洗練されて、その格調高さとして、宮廷芸能としてでき上がったというところに意義があるんじゃないんでしょうかと思っております。もちろん御承知のように、もう創作は玉城朝薫を中心にして展開されたと思っています。
 ですから、当時は経済力、苦しいところもあったけれども、そこに文化力と、私どもはそう呼んでいますけれども、苦しいときだからこそ経済力と文化力、両方が合体されたものが宮廷芸能として残ったんじゃないかと。宮古のクイチャーが出ましたが、民族芸能はやはり経済力の苦しい中で、また庶民たちの文化というのも出たのかなというふうな、余計なことになったかもしれないですけれども、その辺は思っています。
○小渡亨委員 ちょっと宮古は違うけれども。
 この組踊がいわゆる完成した、完成したと言われるのは、これはいつごろですか。
○山内彰教育長 第二尚氏、尚敬王の冊封使を迎えたときの1719年に玉城朝薫によって創作されて上演されたと記録で読んでおります。その年の重陽の宴で二童敵討、執心鐘入とか、2演目を上演したというのが今記録に残っております。
○小渡亨委員 1719年といえば、薩摩が侵攻して100年も経過しているんです。先ほど言いました沖縄の定説では、薩摩が侵攻すると半植民地で搾取されたと。搾取されてきた中にこういった文化が伸びたわけです。それは、なぜ文化を伸ばした力があったのかというのはわかりますか、そこまで琉球王朝が先ほど貧しい中でも―私はそんなに貧しくないと思うんですがね、中でも、その中でこういった文化を華開かせたという原因はどこにあるかわかりますか。
○山内彰教育長 一言で言うと、皇帝の使者の冊封使の歓待、もてなしということがひとつ言えるんじゃないかなと。国王としての接待と理解していいかなと思っておりますけれども。
○小渡亨委員 だから、その辺が今沖縄の定説では、薩摩に侵攻されて沖縄はひどい目にあったと。いわゆる第1次琉球処分。そして明治政府にやられた第2次琉球処分と。しかし、それはちょっと違うんですよね。薩摩に支配されながらも、薩摩の力をかりて、しっかりとやったわけです。その一つは人頭税もあると思うんですが、いわゆる中央集権を、薩摩の威をかりて中央集権体制を確立していって、経済を豊かにして文化を伸ばしたと。私はこういうふうに理解しているんですが、県の教育委員会とちょっと違うんですよね。その辺、ちょっと研究していただかないとおかしいなと思うんですが。
○山内彰教育長 ぜひ講師に迎えて勉強させていただきたいと思います。
○安次富修委員長 伊波常洋委員。
○伊波常洋委員 まず初めに、30人学級、少人数学級について質疑いたします。
 私は3年前に県議会に登場して以来、文教厚生委員会の中で、あるいは本会議の中で何度も取り上げました。特に今、30人学級、少人数学級にする、まさにチャンスと私はとらえているものですから、何回も質疑しています。
 10年前から、あるいはもっと以前から日本は少子化に入っております。事前に通告しましたけれども、資料として求めました10年前と今日の生徒数、小・中学生です、生徒数の推移、それに伴う学級数の推移をお聞かせください。
○山内彰教育長 10年前といいますと、平成5年でございますね。今、平成5年のデータを見ますと、平成5年と平成15年、児童・生徒数、まとめてみますと小・中学校で平成5年が17万8662人、平成15年が15万4523人でございますので、この10年間に2万4139人の減になっているということが言えます。学級数を見ますと、小・中学校トータルで平成5年が5808学級、平成15年が5259学級、したがいまして、10年間の学級数の増減は549の学級が減っているということが言えます。
○伊波常洋委員 実に500以上のクラスが減っております。しかし、教室は残っています。では、その間、沖縄の教員定数も、生徒の減の分だけ定数も減ったのか、それと、そのほかの教員実数がわかればお願いします。
○山内彰教育長 御承知の教員定数、法定数と言っていますけれども、定数からしますと、平成5年が8545人でございます。当然、学級が減ったわけですから、ぐっと減るわけですけれども、実質には8268人。ですから、減った数というのは277人でございます。教員実数からしますと、平成5年が8513人、平成15年が8232人、実数からして281人の減になっております。
○伊波常洋委員 例えば、行政は各職種によっていろんな全国の会、あるいは沖縄が属する九州の会等、例えば全国知事会とか、全国議長会とか、いろいろありますけれども、全国教育長会とか、あるいは九州教育長会等で、この少人数学級の実現方については議題に上がったことはないですか。
○山内彰教育長 4月からの任用でございまして、まだ経験が浅くて、十分にはまだ2回ほどの研究会でございますけれども、その中では人数、学級については、義務教育国庫負担制度等々、大きなものが主題でございました。
○伊波常洋委員 やはり従来からの答弁ですので、これ以上は進めないんですけれども、生徒数及びクラス数が激減しているにもかかわらず、教員定数はそんなに変わらない。僕は逆に教員定数を維持すべきだったと。維持して、なおかつ今言う30人学級にするチャンスがなかったか。そのチャンスを逸したと私は見ています。今からでも遅くはないと思います。少子化はどんどん進むし、先ほどの答弁の中でも、高校、これが沖縄県でももう将来は約1000名減る。1学校分減るわけですから、その分、教員定数を減らすのではなく、維持しつつ、その分、少人数学級にぜひ回せるような主張を国なりに教育長として訴えてほしいと思います。
 それから、若干違いますけれども、これも私も何度も言っているんですけれども、能力別といいますか、習熟度別の学級編制ができないものなのか。といいますのは、例えばある小学校で1学年2クラス、もしくは3クラスあったとします。どのクラスでも算数とか国語の時間は同じように週何回かあるはずですから、同時に算数なら算数を、時間割をつくって、そして、2クラスであるのならば2ランクの能力別に授業をすると。3クラスであれば3ランクに分けて、その能力に見合った授業をすると。これは何も予算もかからないし、先生の数を別にふやす必要もないことですから、私はこれはやろうと思えばできることだと思っています。現に私の小学時代、中学時代は、私は小学校のときに4クラス、中学のときには何と10クラスもありましたけれども、そのようなクラスを離れて能力別の、特に数学、小学校では算数、中学では英語を含めて能力別の授業を受けました。いかがでしょうか。
○山内彰教育長 授業をわかりやすくするためにも習熟度別授業というのは大事であるし、また、習熟度別学級編制というものは学校によって大いに取り入れられていると考えております。また、県や国としても、先ほど定数がふえているというのも、実は指導方法の工夫、改善という形で置かれまして、その中で習熟度別に応じてやっていくとか、少人数指導をしていくとか、そういう形態によって対応していきましょうということで教員を置いている数でございまして、そこで補てんされているととらえていただければと。ですから、そのことがまた児童・生徒1人1人によりきめ細かな、わかる楽しい授業になっていくんじゃないかなと思っています。
 実際に本県においても、小学校160校に258人、中学校で88校に163人、習熟度別指導の取り組みとしての教員を大きい学校に加配してあります。加配していない学校においても、小学校36校、中学校26校で習熟度の程度に応じて授業は構成されています。ただ、学級編制となりますと、これは生活機能でありますけれども、生活機能と学習機能は違いますので、学習機能に応じたそういう対応をされていますよと。ただ、学級となると40人を基準にして学級編制していますよと、こういうちょっとあやがありまして、そういう委員のおっしゃることは、学校でもかなり取り入れられていると考えてよろしいかと思います。
○伊波常洋委員 教育長のおっしゃるとおりです。30人学級については、やっぱり文部科学省のいろんな教育要領、指導要領もありますから、簡単ではないと思います。ただ、2点目の習熟度別学級については、教育長の答弁のとおり、もう結構各学校で取り入れられている。恐らく校長の裁量権の範囲だと思いますので、どんどん推し進めていっていただきたいと思います。
 次に、英語教育なんですけれども、先ほどの小渡委員からるるありましたので、私は質疑は取り下げしますけれども、ただ、1点だけ英語教育について要望したいのは、我が国は中学生3年間、義務教育としての3年間、英語を学びます。高校もほとんど、高校生ですので、ここでも3年間学びます。6年間、大学に行けば第2外国語あたりでとれば、8年、9年、10年と英語を学びます。しかし、国際的にほとんど通用しないと。世界からは日本の英語レベルは全くできていないとよく言われます。
 しかし、これは実は当然なところがあります。日本語だけが世界の言葉とはかけ離れて、語順とか文法が全く違うものですから、我々日本人は脳の構造上、文法上、実は英語には全く向かない日本語としての日本人なんです。ですから、逆にその文法だの、テストだのにとらわれない小さなころから、先ほど言っていましたようにネーティブ、自然の言語をそのまま理屈抜きに取り入れられるような教育をしないとだめなんです。中学になってからは言うだけではだめですから、文法も覚えて試験に臨まないといけないですからね。ですから、遅くとも保育所あたりから、先ほど教育長がおっしゃっていましたネーティブの言語の使える人を子供たちにまぜ合わせて自然に覚えさせる。文法も何も要らずに英語を話せるネーティブの方と子供たちを接触させるような方策をぜひとってください。
 それから次に、IT教育についてお伺いいたします。
 文教厚生委員会で、たしか6月でしたかね、5月でしたかね。シンガポール、マレーシアを視察してまいりました。シンガポールでは―ちょっと戻りますけれども、言語が中国語、マレー語、これは当然皆さん義務で話さなくちゃいけないです。それに加えて、小学校のときからもう英語も義務です。ですから、あちらの国民は、この3カ国語はほぼ話します。加えて、IT教育でも、もう小学生のときから中学生にまで全員に機器が与えられております。少ない国民ですから、やろうと思えば全部できるはずですけれども、我が国の場合、どうもお隣、韓国とインド等と比べても、IT教育、それから機器そのものも教育の中でおくれているんじゃないかと思いますけれども、今、沖縄の現状を、特に小学生、IT教育は十分なされているのか、そのための機器は十分定まっているのか、そして、指導する側の特に教師が十分指導能力を持っているのか、持っていなければ、外部からの指導者等の傭聘なんかはどうなっていますか。
○山内彰教育長 これからの学校教育において、情報教育の充実というのは社会から求められていることであるし、学習指導要領の中でも情報教育の目標として、情報活用能力の育成というものが位置づけられております。したがいまして、国としてもその整備、それから内容、方法について全面的に打ち出されて、また、沖縄振興計画においても位置づけられておりますもので、マルチメディアアイランド構想。おかげさまで沖縄県の学校教育におけるITを利用し、活用した教育というのは、一歩前に出ているんじゃないかということが言えます。
 1つが、まず施設、整備等においては前倒ししたITセンターの設置でございます。そこにおいては教師が十分に指導できるようなということで、県立学校においては100%の教師が操作できると。指導についてはあと1年ぐらい待たないと100%には満ちませんけれども、そういうことで、全国平均よりかなり高い率にあると。施設整備設備の充実もかなり前に行っているということが言えます。
 それから、総合的学習における情報教育の導入ということで、小学校ではなれ親しむという感じからスタートしておりますけれども、そういうものを調べてみても、かなり発達しているのではないかなということが言えます。
 それからもう1つは、うちの、先ほどから紹介しています学力向上の中で、新学力向上の施策として「夢・にぬふぁ星プラン」というのをつくっておりますけれども、ここで基礎学力というのは、先ほどの基礎的、基本的な事項、読み書きでありまして、もう1つはコミュニケーション能力、さらにコンピューター操作活用能力というものを位置づけまして、徹底しましょうということで結局スタートしておりますので、この辺については十分県民のニーズにこたえることができるのではないかなというふうに見通しを持っております。
○伊波常洋委員 次に、民間登用の校長についてお伺いします。
 沖縄県でも10月の2日、教育長より民間登用の校長第1号として、前那覇市ゼロエミッション推進室長横山芳春氏に辞令が出されました。公募したところ、何と県内29人、県外22人、海外1人、52名の中から横山氏が沖縄初の民間人校長として辞令を受けたわけでありますけれども、その選考基準についてお聞かせください。
○山内彰教育長 任用につきましては、5つの観点から総合的に評価をいたしました。まず1つは、やはり民間等で培った豊かな人間性と幅広い知識や経験を有しているかということで、実は豊かな人間性でフィルターが落ちた応募者もございました。それから2つ目は、総合的なマネジメント能力とリーダーシップが発揮できるかと。いろんな面で細かい視点はございますけれども、トータルで言うとそういうことでございます。3つ目に、保護者との連携ということがとれるかどうかということも入れました。4つ目に、能力はあるけれども、教育に対する熱意と使命感はどうだろうかということも基準に設けました。あと1つは、先ほどから問題になっています心の教育の推進ということで、学校長として本当にやっていけるだろうかという5つの観点から、総合的に評価基準を策定して選考した次第です。
○伊波常洋委員 昨年、教育先進県であります広島県の尾道市でしたか、民間人登用の校長が自殺するという痛ましい事件がありました。その原因は、学校経営に悩み、そのときにその悩みを聞いてくれる相談すべき相手がいなかったと新聞報道では言われています。
 そこで、今回の沖縄県初の登用であるんですけれども、広島県の例が繰り返されないように、特にこの校長先生が現場との職場での教員たちとどのような信頼関係を築いていくのか、そして、何かこの方が学校経営、運営、あるいは職員の人間性、人間関係とかで何か悩んだ場合には、どう県として、教育庁として支援体制、相談体制をとっていくんですか。
○山内彰教育長 やはり外からいきなり、校長先生でございますので、信頼関係の構築というのは非常に大事だと思います。それは父母や教職員、あるいは行政、地域、もろもろかかわってくるかなと思っております。
 まず1つには、人的な視点からですけれども、学校の配置について、学校の選定をぜひやる必要があるだろうなと。どこでもいいというものではないのではないかなととらえております。2つ目は、教職員の配置等も十分考えないといけないだろうなと、人的配置を考えております。3つ目は、もし任用した場合は、学校訪問を実施して、適宜実施して、相談支援体制をとって行政がバックアップしないと、あの広島県の例からしますと、その辺が非常に欠けていたということで、孤立させてしまったという嫌いがありましたので、この支援体制を十分とりたいということで、これは前面に打ち出しております。本人にもそういう話をしてございます。4つ目は、やっぱり教職員及び父母とのコンセンサスができるように、前もって行政の方から説明をして、その学校に配置していくと。そういう体制をつくろうかなと考えております。
○伊波常洋委員 次に、県立高校について質疑します。
 沖縄県は米軍基地、在日米軍基地の75%を背負っております。特に普天間及び嘉手納飛行場を抱える中部は大変な爆音に悩まされております。当然、防衛庁として小学校はもちろん、中学校あるいは高校、この基地の被害である騒音から、いわゆる子供たちに平等に教育を受けさせるために、防衛庁による防音工事が施されるべきなんですけれども、去る新年度議会でしたかね、このときに聞いたときにも、石川市にあります石川高校を初めまだ防音・空調未整備校があるんです。文部科学省による空調・防音工事はほとんど終わっているということでした。さすが教育の国だなと思ったし、那覇空港周辺の学校も空港周辺による防音工事、これは国土交通省によってほとんど終わっていると。防衛庁によるやるべき防音工事が結構未整備の学校があったものですから、その後、私の質疑の後どう進しているのか、特に中部、たしか6校、石川高校、中部工業高校とか、6校未整備と聞いていたんですけれども、その後の現在の進状況はどうなっているのか、お聞きします。
○山内彰教育長 もう実態については委員御承知かと思いますけれども、対象校が27校で防音の工事ですから、整備済みが13校と、一部が8校を含めますと21校になって、整備率からしたら77.8%となりますが、その一部整備済み校の中に石川高校は入っていると理解していただけたらと思います。そして、未整備校が6校残っていますと。あれは2月議会の当初予算の話でしたので、今後、平成15年にあと4校ですか、平成16年度に石川高校を初め5校、平成17年で石川高校も両方にまたがりますけれども、高校4校と。平成17年度までにはその未整備校についてはやっていきたいととらえております。
○伊波常洋委員 教育長、具体的に年度を示しての回答、大変ありがとうございます。これで中部の未整備校が解消できれば大変すばらしいことです。
 次に、一昨年あたりから全日制高校の、やはり少子化と、あるいは教育の多様化によって再編がよく言われます。議会でもたくさんの質問がありました。ただ、定時制高校の再編については、これはなかなか質問もなかったし、聞いたこともなかったんですが、今回ちょっと取り上げるんですけれども、ひところに比べて定時制のクラスを持っている学校が大分減っているんじゃないかと。私たちが高校生のころは、ほとんどどの普通校に夜間は定時制というのがありました。今、それがどうなっているのか、普通科、商業科、工業科別に定時制を―何ていうんですか、これは併設というんですか、夜間定時制を持っている高校、今どのくらいの数で、できれば普通科、商業科、工業科別にお聞かせください。
○山内彰教育長 現在、定時制がある高等学校はトータルにして9校でございます。内訳を御紹介いたしますと、普通科は泊高校―ここは午前部、夜間部というのがございますが―だけです。商業科は4校ございまして、那覇商業高校、コザ高校、八重山商工高校、宮古高校の4校でございます。工業科は那覇工業高校と沖縄工業高校と2校であります。あと1つが農業科でございますけれども、北部農林高校と中部農林高校という状況です。
○伊波常洋委員 今、普通科の定時制が現在は泊高校だけと。実際、石川市からも通信に、泊高校に行っている人がいます。やはり普通科がほかにないものですから、遠いところまで行っているのだと今わかりました。
 そこで、この普通科が現在は泊高校にしかないということで、教育委員会では中頭教育事務所管内に新たな独立校を設置するという方針を聞いておりますけれども、そのとおりですか。
○山内彰教育長 定時制、通信制課程については、平成14年3月に策定しました県立高等学校編成整備計画の中で新たな独立校を設置することとしております。この独立校では、今お話ししました泊高等学校に在籍している中・北部の生徒の通学の便を確保してあげたいという、そして多様な学習ニーズに応ずることができるようにということで、今のところ中部地区に設置するという計画を立てております。
○伊波常洋委員 大変いいことです。先ほど何回も述べましたように、ドロップアウトした人とか、途中で退学した人とか、あるいは最初から高校を受けなかった人とか、いろいろありますので、人生またやり直せるということで定時制を目指す方もたくさんいます。何も那覇南部一点集中だけではなく、中・北部の人たちにも道を開いたことを大変評価いたします。
 それでは最後に、これも先ほど糸数委員からもありましたけれども、公立小・中学校・高校の校舎のバリアフリー化なんですけれども、これも既存の学校は仕方ないと思います。既存の校舎にエレベーターとかいろんなものを改築してつくるには莫大な予算がかかりますから、これは今すぐにというのは無理だと思うんですけれども、新築の際、あるいは全面改築の際、今このバリアフリーは基本設計段階で、もうそのようにつくるように義務化されているのか。例えば沖縄市の北美小学校、運動場の方に続けて新築中ですよね。そういった学校、今はもう設計の段階からバリアフリー化、あるいは身障者のためのつくりになっているものがもう義務なのか、お聞かせください。
○山内彰教育長 義務ではないのですけれども、補助制度がありますので、それを生かして、校舎改築時にはバリアフリー化の整備に努めていくという方針を持って進めているところです。
○伊波常洋委員 義務ではないけれども、国にそのようなバリアフリーでつくりますと言えば補助がつくわけですね。
○山内彰教育長 そのとおりでございます。そういう形で進めるということです。
○伊波常洋委員 先ほど私は、地元の方から泊高校の方に定時で行っている子がいると言いました。実は、この子は3年前に工業高校の建築科に入ったんです。ところが、この高校がバリアフリー化されていないものですから、エレベーターもないです、トイレもそんなにつくられていないんです、しかし、普通科ではなく、この子は工業の建築科の道を選びました。将来は建築士になって障害者のためのおうちも設計するんだという希望に燃えて、この工業の建築科に入ったんですけれども、この工業高校がバリアフリー化されていなかったものですから教室移動ができない。それでやむなく退学を余儀なくされて、今、泊高校の普通科に行っているわけです。ですから、今後新たにつくるのであれば、障害者の方に平等に教育の道を開けるようにバリアフリー化をぜひ進めてください。
○安次富修委員長 以上で教育長に対する質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、御苦労さまでした。
 次回は、明 11月14日 金曜日 午前10時から委員会を開きます。
 本日の委員会は、これにて散会いたします。
午後5時27分散会