決算特別委員会

企業会計



 
開会の日時、場所
 平成24年10月16日(火曜日)
 午前10時6分開会
 第7委員会室


出席委員
 委員長   玉 城 ノブ子さん          
 副委員長 仲宗根   悟君  中 川 京 貴君 
 委   員 又 吉 清 義君  末 松 文 信君 
 委   員 島 袋    大君  中 川 京 貴君 
 委   員 新 垣 良 俊君  新 田 宜 明君 
 委   員 髙 嶺 善 伸君  山 内 末 子さん
 委   員 奥 平 一 夫君  西 銘 純 恵さん
 委   員 吉 田 勝 廣君  前 島 明 男君 
 委   員 當 間 盛 夫君           


欠席委員
 委   員 玉 城   満君  大 城 一 馬君 


委員外議員
 委   員 比 嘉 京 子さん


説明のため出席した者の職、氏名
 病院事業局長  伊 江 朝 次君
  病院事業統括監  呉 屋 幸 一君
  県立病院課長  嘉手納 良 博君 
  県立病院課経営企画監  稲 嶺 盛 秀君 
  県立病院課医療企画監  篠  裕 子さん
  北部病院副院長  知 念 清 治君 
  中部病院長  宮 城 良 充君 
  南部医療センター・  我那覇   仁君
  こども医療センター院長 
  宮古病院長  安谷屋 正 明君 
  八重山病院長  松 本 廣 嗣君 
  精和病院長  伊 波 久 光君 


本日の委員会に付託された事件
 1 平 成 24 年 平成23年度沖縄県病院事業会計
   第5回議会 決算の認定について
   認定第21号
3ii4
○玉城ノブ子委員長 ただいまから決算特別委員会を開会いたします。
 本委員会では、委員外議員制度を導入しており、定足数の確保が重要となりますので、審議中に定足数を欠くおそれがある場合には退席しないよう御協力をお願いいたします。
 なお、本日は委員外議員制度により、本委員の大城一馬委員にかわり、委員外議員として比嘉京子議員が出席しております。委員外議員は本日終日の御出席をお願いいたします。
○比嘉京子議員 本委員会におけるパソコンの持ち込み及び使用について提案いたします。
○玉城ノブ子委員長 ただいま比嘉京子委員外議員より提案のありました本委員会におけるパソコンの持ち込み及び使用についてを議題といたします。
 休憩します。
   (休憩中に、本委員会におけるパソコンの持ち込み及び使用についてを協議し、異議がない旨意見の一致を見た。)
○玉城ノブ子委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。本委員会におけるパソコンの持ち込み及び使用につきましては、休憩中に御協議いたしましたとおり決することに御異議ありませんか。
   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○玉城ノブ子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 平成24年第5回議会認定第21号を議題といたします。
 本日の説明員として、病院事業局長の出席を求めております。
 ただいま議題となっております平成24年第5回議会認定第21号については、既に説明は終わっておりますので、これより直ちに病院事業局長に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁に当たっては、その都度委員長の許可を得てから、自席で起立の上、重複することがないように簡潔に発言するよう御協力をお願いいたします。
 また、質疑に際しては、あらかじめ引用する決算資料の名称、ページ及び事業名等を告げた上で質疑を行うよう御協力をお願いいたします。
 なお、答弁に当たっては、総括的、政策的な質疑に対しては部局長が行い、それ以外はできるだけ担当課長等の補助答弁者が行うこととしたいと存じますので、委員及び執行部の皆さんの御協力をお願いいたします。さらに、課長等補助答弁者が答弁を行う際は、あらかじめ職氏名を告げてください。
 それでは、これより質疑を行います。
 仲宗根悟委員。
○仲宗根悟委員 きょうは決算審査2日目の病院事業局ということで、命の現場を預かる、日々御苦労の絶えない病院長初め、いつも頭を抱えている病院事業局長、スタッフの皆さん、大変御苦労さまです。現場は県立病院、文字どおり365日無休、そして救急医療、高度特殊医療、そして離島・僻地医療を大きく担っておりまして、県民の医療ニーズに対応してきていると思っております。改めて皆さんには敬意を表したいと思っております。
 そこで、病院事業局長、県立病院の果たす役割、使命からまずお聞かせをいただきたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 沖縄の県立病院は、委員も御存じのとおり、他府県と違いまして、いわゆる主要都市だけではなくて、離島・僻地各地まで、診療所を含めて医療を担っているという状況がございます。これは沖縄県民の生命と安全を守る大変重要な役割を復帰以前からずっと続けているという状況がございます。ですから、これは市町村ではできないような事業を県として長きにわたってやっているということであると認識しております。
○仲宗根悟委員 先ほど冒頭に申し上げました24時間365日絶え間なく、深夜でも、医師だけではなくて看護師あるいは放射線科の技師、そして検査技師、薬剤師等、医療スタッフをそろえて、そして心筋梗塞あるいは大動脈破裂の手術が昼間と質的にも何ら変わらぬ状況の中で行う準備をしている、そういう医療レベルで対応しているという意味では、非常に質の高い医療が行われていると、私たちもそのように思っております。今、本土で取り沙汰されている患者のたらい回しの状況が平然と起こっている中で、我が沖縄県、まさに患者の受け入れを一度たりとも断ったことがないということです。そういうことで、質の高さという点では、私自身も県民の一人として非常に誇りを感じ、現場の皆さん、そして病院事業局の皆さんも、非常にそういう部分では、冒頭に申し上げました敬意を表するという言葉に尽きると思います。
 そして、今まさに国において公立病院事業、全国的にも厳しい状況の中において、公立病院の改革ガイドラインというものが策定され、そして地方公共団体に対して、このガイドラインを踏まえた病院経営の改革に取り組むように要請がなされたということを受けて、その対応を求められて、県のこれまでの再建計画だと私は思っているのですが、この平成23年度決算では、35億677万4956円という単年度純利益を計上しております。そして、今回の決算、現場の努力の結果だと感じているのですが、病院事業局長としてどう評価をされているのか、まずその辺からお聞かせいただけませんか。
○伊江朝次病院事業局長 このいわゆる県立病院再建計画、平成21年から始まったこの3年間の期間において、3つの目標を立ててやりました。これは何かといいますと、不良債務の解消、それから資金不足の解消、100億円余りありました資金不足をどう解消するかということ。それから、ずっと慢性的な赤字状態にあった病院経営を、経常黒字に持っていくという3つの目標を立ててやってきたわけでありますが、おかげさまで一般会計からの85億円という定額の繰り入れ、そして病院事業職員がみずから給与も削減して、日々の運営のコスト削減に邁進して、安定した医療を提供してきた結果、全て前倒しで、平成23年度、最終年を迎える前に3つの目標を改善したということで、職員の頑張りと一般会計からの支援に非常にありがたいと思っておりますし、今後は、こういった再建期間を終えて、この3年間の基礎固め、蓄えをしっかり持って県立病院事業の健全な経営を続けていきたいと考えております。
○仲宗根悟委員 ありがとうございます。沖縄県病院事業会計決算審査意見書―決算審査意見書の中で、審査意見が4ページの中ほどに示してありますが、「病院事業局は、これまでの経営改善の取り組みに、一定の成果は上げたものの、まだ多くの課題を抱えている」という指摘がございます。そして「今後の病院経営に当たっては次の事項に留意し、適切な処置を講ずるよう要望する」ということで、(1)からいろいろあるのですが、まだ大きな課題というような意味では、どういった取り組みを今後行っていきたい、そして、この課題、どのような課題があるのかという認識についてお聞かせいただきたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 今の県立病院の課題といいますと、やはり一番大きなものは、財務面で大分改善してきたということです。一方では、まだ長期の返済をしなければいけない負債が約63億円あります。これと結局179億円という累積赤字が取り沙汰されておりますが、実際の金額はいわゆる帳簿上の金額でありまして、もう現金が出ているという状況がございます。ですから、平成23年度時点では、帳簿上の累積赤字179億円というものがありながら、38億円という現金をしっかり持っているということで、財務面では非常に改善してきておりますし、内部留保で71億円出ておりますが、これを今後の病院事業にどのように投資していくか、使い道をしっかり考えなければいけないと思います。
 当面の課題としましては、やはり病院事業でありますから、人の集約産業であるということですね。そういう意味では、医師不足とか看護師不足をまずゼロに近い状況になるぐらい改善をしていかなければいけない。そうしないと、県民の皆様へ安定した質の高い医療サービスはできないと思います。
 ということで、まず大きな課題が、医師、看護師等の人材の安定確保です。先ほど言いました長期債務の解消、こういった財務体質の強化を図って、今後とも―再建期間が終わった後も、持続的な病院経営が安定した、健全な経営ができるような状態を維持していくということがとても大事だと思っております。
○仲宗根悟委員 私も親戚に病院長を経験した方がいす。そして、よくお話を聞く機会があるのですが、その方がいつも口癖として言うことは、沖縄の県民の命は県立病院でしか守れないのだと言うのですね。小さいころからそういうことを聞かされているものですから、どういうことなのだろうと漠然としていまして、民間病院もいろいろある中で県立病院しか守れないと自負しているという言い方をされているわけです。
 やはり皆さんの仕事をいろいろ見ていますと、なるほどということが少しずつわかってきたといいましょうか、入ってくるのです。やはり私たち県議会も、責任を持って政策医療を担っているわけですから、民間ができない不採算部門を県立病院がカバーして、病院経営の中にも医療人の育成とか養成も行っているわけですから、やはり県民の命は県立病院でしか守れない、その最後のとりでなのだと。人も物も充実して初めて公的機関としての役割、使命が果たせるものだと非常に感じています。
 そういう意味では、今おっしゃったスタッフ、人員の問題という課題を抱えているということですが、やはり現場のモチベーションというものが非常に大きな問題だろうと思っているのです。いろいろ詰めて詰めて、それから結果を出そうとする余り、相当のプレッシャー、あるいはストレスがかかっていないかということを非常に危惧するわけです。その中で、現場のモチベーション、あるいは、経営再建にも非常に大きくかかわることだと思っているのです。
 そこで、今の人員はまだまだ足りないとおっしゃいました。北部病院は、今回7対1を見送りましたが、次年度、どういうお考えでこの7対1に取り組まれるのか、その辺の計画はございますか。
○伊江朝次病院事業局長 昨年の計画では、今年度、平成24年度から北部病院をやりまして、その後、宮古病院、八重山病院という計画でございましたが、経営の状況とかを検討した結果、見送るというような形になりました。
 今回は、一応、病院の病棟の形態とか、そういったところをいろいろ見直した結果、7対1を北部病院に実施しても収支がとんとんか、若干黒字になるだろうという見通しを立てております。ということで、病院事業局といたしましては、今後、関係部局と来年の実施に向けた検討をして、協議していきたいと考えております。
○仲宗根悟委員 それでもう一点は、この間、病院の人員、スタッフの問題の中で、民間と比べてコメディカルの部分に非常に差があるという指摘があるのですが、現場としてコメディカル職員の少なさというのでしょうか、民間と比べての足りなさ、どのようなカバーの仕方、あるいは、これから拡大する取り組みがあるのかどうか、その辺をお聞きできませんか。
○伊江朝次病院事業局長 今のコメディカルの件でございますが、病院事業といたしましては、定数の問題に関して長い間、手がつけられていなかったという状況がございまして、診療報酬の改定とか、そういったものに備えた対応が不十分であったということは重々に反省しております。
 そういう意味で、この数年は、やはり現場の意向、現場としっかり協議しながら診療報酬の傾向も踏まえて、業務量とかサービスの低下を来さない状況を考慮した上で、できる限り人材をふやしていこうという検討をしているという状況でございまして、これは知事部局との協議の対象にもなりますので、全て現場の言ったとおり、そのまま右から左にということはなかなかできませんが、長い間、この病院事業が赤字だということもありますから、そういったことも解消するよう配慮もしながら、人材の確保には前向きに検討していきたいと考えております。
○仲宗根悟委員 私は、人も物もやはり充実して初めて黒字が結ぶと、黒字になってから人が入るというよりも、むしろ充実させて、構えて受け入れる、それからどんどん患者も多くなり、黒字になるという思いがあったのです。
 あと1つは、そこで決算審査意見書の中にも―5ページですが、医療スタッフの確保について述べられています。その中で、医師や看護師の欠員等により診療科目の診療制限、病床の一部を休床しているところがありますということで結んでいますが、現在、休床しているところ、それから、休止ですか、診療制限という箇所はどことどこがあるのでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 休床の件については、南部医療センター・こども医療センターと中部病院が問題になっておりましたが、昨年の定数増で、南部医療センター・こども医療センターは10月1日から休床した14床がオープンしております。中部病院に関しては、まだ52床をあけるだけの看護師の確保ができていないものですから、とりあえず10月1日に14床を再開して、順次確保でき次第広げていきたいと考えております。
 それから、診療制限でございますが、今、北部病院で診療制限というよりも、むしろ病病連携といいますか、地域にある病院と、しっかりお互いに役割分担をしているという状況はございます。
○仲宗根悟委員 この診療制限の北部病院で、地域の病院との役割分担というものは、具体的にはどういった内容なのでしょうか。
○篠﨑裕子県立病院課医療企画監 北部病院は、今、内科医が数はいるのですが、病休の方がいらっしゃったりとか、若手が多かったりすることで、少し診療制限というか、夜間の制限だけをしています。その間の救急車に関する緊急性のものは全て受け入れは行っております。それ以外の歩いて来られる方の救急に関しては、北部地区医師会病院にお願いして担っていただいております。
○仲宗根悟委員 確認したいのですが、診療制限のイメージとしては、診療時間が午前9時から午後5時、6時までとすると、午前中ですとか、あるいは午後の制限、そういった形での診療制限なのかと思ったのですが、それとは違うのですか。
○篠﨑裕子県立病院課医療企画監 今、北部病院では、夜の10時から朝の8時までの制限を行っています。
○仲宗根悟委員 そうしますと、夜間の診療制限によっての患者に対する支障等々は、あるのでしょうか。
○知念清治北部病院副院長 診療制限といいましても、内科だけの救急を制限していまして、去年、一昨年、調べたところ、その時間来院される方は四、五名ということなので、特に支障はないと思っております。また、当院に通院しているぜんそく患者が発作で来た場合も受け入れていますので、歩いて来られる軽症の方だけを制限しているという状況です。
○仲宗根悟委員 よくわかりました。この医師確保の問題とか、あるいは病院経営の問題、これは病院事業局として各病院長だけの問題ではありませんし、私たち議会としても、大きく課せられたテーマであります。やはり一緒になって解決、あるいは緩やかな経営ができるように私たちも一生懸命カバーできないかなという思いですので、一緒に再建について議論も深めて、よい方向に向けていけたらいいという思いですので、どうぞ頑張っていただきたいと感想を述べて終わりたいと思います。
○玉城ノブ子委員長 新田宜明委員。
○新田宜明委員 私、6月に初めて県議会議員になった次第で、病院事業の内容についてほとんど知識を持っておりません。そこで、きょうの質疑は、私自身の病院事業に対する理解を深めながら、県民の命を守るために、皆さんがよりよい事業の推進のために頑張っていけるように、私の立場から支援したいという思いで、質疑をさせていただきたいと思います。
 仲宗根委員が総体的な質疑をいたしましたので、私が先輩や県の職員等から少しばかり受けた知識の受け売りになるかもしれませんが、そういった側面から私が少し理解を深めたいという部分について質疑をさせていただきたいと思います。
 まず第1点目でございますが、県立の各病院の平成23年度の経常収支と対前年度比較を出していただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
○伊江朝次病院事業局長 県立北部病院の平成23年度経常利益は1億670万6406円となっており、平成22年度2億2564万6820円と比較すると、マイナス1億1894万414円の減少となっております。
 県立中部病院でございますが、平成23年度経常利益は5億7544万7663円となっており、平成22年度7億4422万4753円と比較すると約1億6877万7090円の減少となっております。
 続きまして、県立南部医療センター・こども医療センターの平成23年度経常利益は4億7501万4095円となっており、平成22年度5億7321万5479円と比較しますと、これも9820万1384円の減少となっております。
 次に、県立宮古病院の平成23年度経常利益は1億5001万8076円となっており、平成22年度2億8132万1507円と比較すると1億3130万3431円のこれも減少でございます。
 県立八重山病院の平成23年度経常利益は2828万2039円となっており、平成22年度は赤字でございまして、389万1339円と比較しますと3217万3378円の収支改善となっております。
 最後に県立精和病院でございますが、平成23年度経常損失はマイナスの3926万5640円となっており、平成22年度もマイナスでございますが、1348万5673円と比較いたしますと2577万9967円の収支の悪化となっております。
○新田宜明委員 今、病院事業局長から各県立病院の経常収支の決算額を前年度比較で出されたわけですが、四捨五入で数字を言わせていただきたいのですが、八重山病院が約3200万円の黒字でございます。残りの北部病院、中部病院、南部医療センター・こども医療センター、宮古病院、精和病院は、軒並み悪化しているわけです。収支が改善されたのが八重山病院のみということでいいですね。
 すると、特に収支が比較的悪化したのは中部病院でございますか。
○伊江朝次病院事業局長 前年度に比較して収支が改善したのは八重山病院だけと。その他の病院はみんな悪化したということでございます。
○新田宜明委員 では、各県立病院の院長の先生方、なぜ平成23年度の収支が悪化したのか。その経営の方針と結果についての所見を伺いたいと思うのですが、八重山病院以外、よろしくお願いいたします。
○知念清治北部病院副院長 収支変動の要因ですが、入院患者数は少しふえまして、新たな施設基準を取得して、入院単価は増加して、経常収入は増加したのですが、退職者等の増加によって給与費が増加したことから、経常収支は平成22年度に比べて1億1894万円の減少となっております。
○宮城良充中部病院長 平成22年度と比較しまして、およそ4670万円程度減収になっておりますが、実は平成23年度の入院収益は6億1200万円、そして外来収益も4300万円ふえているのです。ところが、費用として7対1ということでナースをふやしましたので、看護師の手当が3億4000万円ふえました。そして、当然患者がふえましたので、薬品費3億2000万円、そして診療材料費が7000万円ふえたということで、前年に比べて4670万円が減収したという格好になります。一応収益としては上がっております。
○我那覇仁南部医療センター・こども医療センター院長 平成23年度の総収益は、前年度に比較して1億円以上増加しています。それから、入院単価も約500円増加しています。ところが、総費用で給与費が手当で2億円以上の増加。それから、我々はドクターズクラークと言いますが、医師事務作業補助員の増加、看護補助員の増加による人件費の報酬、それから退職金などによって支出が増加して、支出は4億
2000万円の増となっています。以上から、経常収支が9000万円ほど悪化したという状況です。
○安谷屋正明宮古病院長 宮古病院の平成23年度経常利益は1億5001万8076円の黒字となっております。内訳を見てみますと、昨年度に比べまして入院収益で1133万円の増加となっております。外来収益が6279万円の増加で、医業収益は昨年度と比較して7024万円の増加となっております。一方、平成22年度の経営状況がよいものですから、繰入金が8663万円の減少となって、医業外収益が約1億円近く減っているということです。それから、費用に関しては、法定福利費の負担金の上昇がありまして、これで1422万円の増加となっております。それに、退職給与金、職員が多いということで退職金が9815万円の増加。ですから、繰入金の減、退職金の増で、昨年度に比較すると収益といいますか、黒字の幅が減っているという現状です。
○伊波久光精和病院長 精和病院の場合は、経常損失が3926万円となっておりますが、医業収益で見ますと、前年度に比べて改善しているのです。ただ、経常収支で見ると3926万円の赤字ということで、その大きな要因は、やはり繰入金が大幅に減ったということでそういう結果になっていると考えております。
○新田宜明委員 主要な経常収支が若干減った、あるいは大幅に減ったということについて、各病院から御答弁がありましたが、総じて人件費の増加と繰入額の減による経常収支の減少が見られたのではないかと私は理解したのです。
 そこで、県立病院は、平成22年度、四捨五入をして約1900万円の収支決算でございますが、平成23年度は一気に16億5300万円となっているのですが、その要因はどういうことなのか、もう少し詳しく説明していただけますか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 県立病院課に16億5336万3361円の経常収支ということのお答えですが、この大きな要因は、繰り入れの経営支援分を県立病院課に計上したということがその大きな要因になっております。
○新田宜明委員 経営支援の繰り入れと、このことによって県立病院課の収支は対前年度で一気に16億3500万円もふえたという数字が明らかになったと思うのですが、平成22年度はそういうことはやっていませんよね。各病院に繰り入れ、配分していると思うのですが、そういう繰り入れ方法になった理由を教えていただきたいのです。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 経営再建支援分の大半を各県立病院に配分せず、県立病院課に計上したのは、大きく分けて2つの理由がございます。1つ目の理由といたしましては、経営再建支援に係る一般会計繰入金は、経営再建期間中に繰入金を定額措置するという関係部局の合意に基づき実施されているものであり、定額措置終了後の病院ごとの経常収支を把握するためには、各病院に対して全額を配分するのは適切ではないと我々は判断いたしました。各県立病院に対して、繰り入れ基準に基づく繰入額を措置しております。
 2つ目の理由といたしましては、経営再建支援に係る一般会計繰入金は、資金繰りの改善を目的とするものであるから、内部留保を確保し、今後の資金需要に対応していくため、県立病院課に計上していくことが適切であると考えております。
 なお、病院事業局の決算は、各病院ごとに単独で決算を行うのではなく、6病院及び県立病院課全体で決算を行うものであることから、経営再建支援分の配分による平成23年度病院事業決算への影響はないと判断しております。
○新田宜明委員 今、御答弁で、それなりの皆さんの理屈はわかりますが、対平成22年度と同じような手法で繰り入れをしなくなると、各病院間のある意味では地域需要やさまざまな要因があって、病院の経営は違うと思うのですが、そこではっきりと色合いが出ることによって、あるいはその差を皆さんは意図的に表に示すというか、見せようとしているのではないかという悪い勘ぐりもしてしまうのです―そういうことではないと善意に解釈すればそうなのですが、このような一つ一つの経営努力は当然求められて当たり前ですが、前年度と比較して一気に経常収支が悪化したかのような数字が出ると、どうしてもそのように受けとめざるを得ない。
 そうなると、やはり経営合理化という新たな視点が働いて、経営の悪いところは縮小化、あるいは何らかの方向で整理統合しないといけないというような世論、あるいは県民、あるいは経営感覚からの仕向け方を意図しているのではないかと思わざるを得ない。ですから、私は、対前年度との比較も含めてですが、同じように、平成22年度もやっているのだったら、同じような経営の支援の仕方をするべきではないかという思いで先ほど質疑したわけでございます。
 時間がありませんので、この問題については、さらに私よりも十分熟知している方もいらっしゃると思うので、この件については結構でございます。答弁は要りません。
 次に、離島病院あるいは診療所もそうですが、医師の育成策はどのような施策を講じているのか、あるいはその成果はどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
○篠﨑裕子県立病院課医療企画監 離島の地域を担える医師の養成とか確保につきましては、根本的には県全体を見てくださる福祉保健部において事業を行ってもらっています。1つは、離島・僻地の医療を担う医師を養成するための研修医を集め、その研修を充実させて、それを定着に結びつけるという臨床研修事業が1つです。臨床研修事業は、県立では南部医療センター・こども医療センター、中部病院、北部病院の3つで行っております。もう一つは、以前からある自治医科大学に資金を出して、それで離島・僻地への医師を確保する事業が継続しております。もう一つは、今いる国立大学法人琉球大学の学生、研修医に対して、就学金という形の補助を与えて、それに対しての将来離島・僻地医療に対する貢献をしていただくための医師の確保という事業があります。
 病院事業局としましては、医学生とか研修医の離島への体験実習を行い、離島医療を目指す人材を育成確保するような事業も行っております。
○新田宜明委員 その施策を講じた成果はどのようになっているのかお伺いします。
○篠﨑裕子県立病院課医療企画監 今、離島の診療所と離島の中核病院に関しては、中部病院、南部医療センター・こども医療センター、北部病院で研修を終えた医師がそちらに勤務しております。それとまた、自治医科大学は毎年2人が大学を卒業して中部病院で研修を受けて、それからまた離島の診療所に行っています。今、宮古病院には5名の研修医を修了した方を配置しております。八重山病院には6名の研修修了者が行っております。
 具体的な数は今持ち合わせがないので、後でお渡しできればと思います。
○伊江朝次病院事業局長 今、私も正確な数字はないですが、臨床研修事業が中部病院で始まったのが昭和42年です。中部病院で研修をした方が約900人近くになっておりまして、新たに平成16年から南部医療センター・こども医療センター、北部病院も始まっているのです。研修した方々は優に900人以上になっていると思います。そのうちの何割か今ど忘れしているのですが、かなりの方々、約6割か7割ぐらいの方々は離島の施設で勤務しているという状況でございます。
○新田宜明委員 ぜひその辺の成果についてもきちんと把握をしていただきたいと思います。それと、特に各離島における診療科目と医師の充足率、充足状況はどうなっているかも含めて、この研修医制度があることによってその辺の補完的な役割もできるのではないかと思っているものですから、この辺の実数成果をきちんと把握していただきたいということで、私の質疑を終わります。
○伊江朝次病院事業局長 沖縄の県立病院事業の研修事業は、やはり離島の医師を確保するということが目的であります。そういう意味では、始まった当初は、内科、外科、小児科、産婦人科、いわゆるメジャーと言われている診療科の医師たちを養成することが主な目的でございました。当時は離島にそういった方々を配置すれば事足りたのですが、今は離島の医療ニーズも都会と変わらない状況になっておりますから、耳鼻科とか眼科とか整形とか、マイナーと言われる診療科のスタッフも確保しなければいけないという状況がございます。そういった方々もやってはいるのですが、離島のニーズを満たすまでには至っていないということで、そういうものを補完するということで、国立大学法人琉球大学との提携、それから県外の大学、それから公募で人材を確保しているという状況でございます。近年は県内の民間病院でも研修事業を始めましたので、そういった方々もやはり離島医療に参加するという状況ができてきております。
○玉城ノブ子委員長 髙嶺善伸委員。
○髙嶺善伸委員 きょうは、伊江病院事業局長初め、県内の各病院長もお集まりで、日ごろ県立病院事業運営に大変御苦労いただいていることは、労を多としたいと思います。
 私は久しぶりに決算特別委員会に出席するものですが、数字が過去と大分大きな違いを見せているものですから、感慨深く決算審査意見などを参考にしております。病院事業に特化した包括外部監査が平成15年度に行われたときに、深刻な病院経営だなと思いました。当時、累積赤字も400億円近くになっていて、もう純資産の7割が赤字だと、せいぜい減価償却前のとんとんでいいというぐらいの経営健全化計画が続いておりました。今回、平成23年度の決算を見ると、単年度で35億円の利益を出し、そして累積欠損金も圧縮するということで、いろいろな意味での経営再建計画に成果を出していることをまずは高く評価したいと思います。
 先ほど仲宗根委員からも、県立病院の使命、役割等についての御質疑があり、説明をいただきました。そういう意味では、その使命を達成するために日々頑張っておられますので、我々議会はそれを後押ししていくという応援団の意味もございます。そういう立場から何点か質疑をしたいと思います。
 本会議で今後の県立病院の経営形態をどうするかという議論をしてまいりましたが、知事の答弁では、平成21年から平成23年までの経営再建計画の動向を見ながら、特に平成23年度の決算を見て、検証委員会でいろいろ審査をして、年内には方向を示すというような答弁が続いております。そういう意味では、平成23年度、最終年度の再建計画の達成状況はこれまでも本会議等で病院事業局長から答弁がございましたので、私は立派な成果を出しつつあるなと思っております。
 そういう意味では、県立病院経営再建計画を達成するために、どのような御苦労をされたのか、今後の見通しについてお聞きしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 今、委員おっしゃるとおり、平成10年代の半ばごろは、特に後半の状況はさんざんたる状況でございまして、一時借り入れが100億円以上になっておりましたし、本当にもらった繰入金もすぐ返さなければいけないというような―それで借金を返したという状況がございまして、職員の時間外手当も11月ぐらいからずっと繰り延べして、翌年の4月にまとめて払っているというような状況がございました。
 このような状況の中で、県立病院事業の経営再建が始まったわけでございますが、定額の85億円を3年間やるということと、当然病院職員も自分の給料に対して手をつけざるを得ないということもございました。そして、公立病院特例債という国が特に借金の返済に認めてくれたものもありまして、財務的にはある程度支援の条件がそろってきたのだと。
 しかしながら、病院経営そのものは、やはり病院現場の人たちがやることでございます。病院現場の人たちの意識が変わって、現状をしっかり認識して、どのようにしていかなければいけないのかという気持ちがまとまったものにならないと、こういった再建は成らなかったと思います。
 そういう中で、病院現場も必死にコスト削減いたしましたし、それから県立病院課も含めて、民間の活力を導入して民間のノウハウをしっかり入れてこういった経費の節減に向かってやったことは、とてもこれまでも県立病院事業にはない絶大な効果を示したと思うのです。
 従来は、県立病院ですから、しっかり世間のコンセンサスを得た医療をやっていればよいのだ、赤字は気にしないでよいのだと我々が若いときには言われました。しかし、これは親方日の丸といいますか、右肩上がりの経済状況でどんどん税収が上がっているときはそれでよかったと思いますが、そういうところが変わってきた状況の中では、公営企業の病院といえども、しっかり自分たちの収益の入るをはかって出るを制すという言葉が一番基本になると思うのです。
 そういう意味では、職員自体がコスト意識も持って、この3年間の計画に向かった結果が、初年度からしっかり経常黒字にもなりましたし、資金不足の解消も2年目に達成されて、最終年度を待たずに3つの目標を達成することができたということは、この3年間は、病院事業の職員全体がしっかり心を一つにして経営再建に向かった結果だと思っております。
 今後は、去る9月にも10年間の収支推計が出ましたが、現状とは違う新たな展開がございます。消費税の問題にしてもそうですし、それから新たな会計基準で退職引当金をしないといけないということと同時に、県立八重山病院と宮古病院については病院の新築もございますので、そういったこれからの出費もしっかり把握しながら、この3年間で健全化した状況を何とか維持していきたいと思っております。
 最終的に病院経営の改善が成ったかどうかは検証委員会に付託して、そこで審議しておりますので、その結果を待って今後の運営形態ということは、議論になると考えております。
○髙嶺善伸委員 本当に御苦労さまでした。こういう再建計画の達成度と、今後10年間の収支見通しは経営再建検証委員会でもきっと評価されるものだと、私は今の答弁を聞いて確信しております。
 それで、そういう実績も踏まえて、平成24年度から平成27年度までの経営安定化計画というのも病院事業局がつくって、さらなる目標に向かって経営改善をしていこうという取り組みをすることになっております。その経営安定化計画についての意義及びその取り組み等についてお聞かせください。
○伊江朝次病院事業局長 病院事業局では、経営再建計画の3つの目標を前倒しで達成して、平成23年度決算では約29億円の経常利益を計上しております。一方、病院事業については、昨年度の県立病院の経営再建検証委員会から、患者数の確保とか医師、看護師の人材確保、それから給与費の適正化、財務体質の強化等の課題も指摘されております。これらの課題に取り組みながら持続的な経営の健全化を達成する必要があると考えております。
 そこで、いわゆる県立病院安定化計画でございますが、これは経営再建計画の成果を受けて、県立病院改革を継続するという基本的な考えのもとに、大綱的な計画として経営に関する目標を定めて、それで運営の指針とすることを目的として、平成24年度から平成27年度までの4年間を期間として策定しております。
 具体的には、まず経常収支の黒字を維持するということです。2番目には、手元流動性の確保です。それから、3番目には長期の債務の、今約63億円余りありますが、これを縮減していくということです。
 それからまた、その目標を実現するために、診療報酬改定への対応や、DPC分析や、患者数の確保等を図っていくということです―これは収益の確保です。2番目には、コストの問題、材料費の適正化や業務委託などの見直しによる費用の縮減を図っていく。3番目には人員体制の整備と人材の安定確保です。4番目には内部留保をしっかり使うためには、効果的、あるいは効率的な設備投資をしていくということです。それから、長期債務の縮減ということで、5つの項目を定めて経営安定化計画に取り組んでいきたいと思っています。
○髙嶺善伸委員 県立病院改革を継続していくという基本的な考え方のもと、この経営形態として、県立病院であるべき姿を目標にして取り組む姿勢が示されました。ぜひそういう形で離島を含む県立病院の使命を各病院長も含めて果たしてもらいたいと思っております。
 県立八重山病院の老朽化については、さきの本会議の答弁で老朽度の調査をことしやるということでございます。これについては、伊江病院事業局長もかつて県立八重山病院の院長でもありましたし、私は懐かしい決算記録を見たら、知念清病院事業局長時代の答弁がありました。少し紹介しておきますが、八重山病院につきましては、老朽化が進んでおりまして、建てかえについて配慮していかなければならないと思っていると。私も八重山病院に院長で赴任していたことがありますので、その老朽化については知っているつもりです。ですから、できるだけ早目に、宮古病院だけではなく、八重山病院の改築も考えていかなくてはならないと。老朽化という問題は放っておくと大変な問題に発展する可能性があるということを指摘して―松本八重山病院長もきょうお見えですが、予算特別委員会でも八重山病院が置かれている老朽化の状況等の報告がありました。
 ことし給湯管の破裂ということで、果たしてこれを放っておいて機能が維持できるのかということもあります。そういう意味では、今回の経営安定化計画及び県立病院の収支推計を見ると、この10年間というものは八重山病院の移転改築に伴う配慮がなかなか見えてこないので、そういう意味では、まず事業の中でどのようなことを想定しているのか。今回老朽度の調査をしますので、それを踏まえて、このような緊急性からしてどのように取り組んでいくのか、その点もお聞かせください。
○伊江朝次病院事業局長 先ほど経営安定化計画の中で述べました効果的、効率的な設備投資の中にそれは含まれていると思っております。現在、宮古病院をずっとやっている段階でございまして、今の状況の中で、すぐ本格的な八重山病院の新築に取りかかるということは、マンパワーの上でも少し無理がありますが―先ほど委員がおっしゃいましたが、老朽度調査をしっかりやって、今後一体どれだけ耐えられるか、あるいはふぐあいがないかをまず把握するということを考えております。
 これが八重山病院を新築するためのスタートラインだと思っておりますし、私としては、やっとここまで来たなという感じでおります。
○髙嶺善伸委員 それで、先ほど答弁がありましたように、効率的、効果的な設備投資ということで、地元の協議、検討を通したコンセンサス形成を図るなど準備を進めていくということであります。
 具体的には、今度の老朽度の調査について、既決予算の範囲でやられるということですが、以前には一度耐震化のある程度の修繕も行いました。今回行う老朽度の調査を踏まえて、皆さんの経営安定化計画に基づいて、具体的に今の10年間の収支の見通しの範囲で新たな建設改良、つまり八重山病院の移転改築は、財政的に可能だという見通しを持っておられるのかどうか、その辺をお聞かせください。
○伊江朝次病院事業局長 せんだってでき上がった収支推計のとおりに順調にいけば、それは十分可能だと考えております。
○髙嶺善伸委員 財政的には十分可能ですので、今年度の老朽度の調査を踏まえて、やはりかなり老朽度が進んでいますので、安定した離島の拠点病院、あるいは災害拠点病院の機能が、きちんと先が見えるように、早目に建てかえのためのスケジュールを示すことにつながるように、今回調査をしてもらいたいのです。これは病院事業局だけではなく、医務課ともいろいろ相談していかなければならないのですが、先を見通して言うわけではないが、そういう財政的な見通しのもとに建てかえていくのだということであれば、地元石垣も、今の病院機能を提供しながら建てかえるのであれば移転改築だと、そういうためには合意を形成して、今の現行跡地利用計画の中に県有地もございますので、県有地を利用して、もし移転をしてもらえるのだったら、はっきりと絵を描きながら国有地、県有地の利用の仕方を、地元も合意形成して後押ししていくということで、次年度以降のさらなる建てかえの計画が見えてくると思うのです。それを示せる、そういう老朽度の調査だと思っているのですが、そのように解釈してよろしいでしょうか。病院事業局長の立場もありますが、この辺は歴代の病院事業局長がこれだけ踏み込んで経験や実情を踏まえた答弁をしてきていますので、病院事業局長もひとつ御答弁をきちんとお願いしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 土俵をはみ出すぐらい踏み込みたいと思っておりますが、今、委員のおっしゃった件でございますが、私としては、地元のコンセンサスがいまいちまだできていないのではないかという感じを持っております。だから、できるだけ早く石垣市、竹富町あるいは病院も含め、どのような形の新病院に持っていくかということを、ぜひ合意形成していただいて、これをまとめて早く出していただきたいと。そのために、私たちもいろいろ協力をしていきたいと思っております。老朽度調査はできるだけ早くということで考えておりますので、早ければもう来月、11月ぐらいからでもやれるような形で踏み込んでいきたいと思っております。
○髙嶺善伸委員 よろしくお願いします。
 最後に、決算審査意見書の指摘にもありましたが、今後の経営改善の取り組み、やはり診療報酬改定が2年に1遍あるわけです。これはなかなか我々議員でもわかりにくい。そういう専門スタッフと、連携をとりながら的確に対応していくということも必要ではないかと思っております。そういう意味では、人の配置が収益改善につながるという実績もございました。過去3度、職員定数条例を改正して診療報酬に的確に対応することによって収益改善してきた。これについて、病院事業局長、どのような対応をしたので診療報酬改定も含めて収益改善につながっていったのか。今後、さらに的確な対応をするためには、どのような収益の確保が可能なのかお聞かせください。
○伊江朝次病院事業局長 こういった診療報酬の改定にできるだけ早く対応するために、今事務方の強化も図っております。これは長い間、病院事業の固有の職員は医療請求事務の方しか過去に採用しておりません。約10年間のブランクがあって、新たな固有職員の採用を初めて、もう3年になります。そのような形で人材の確保は徐々にできつつあります。
 あとは、こういう方々をいかに鍛えて、こういう取り組みをしっかりアップ・ツー・デートにできるような状況に持っていくかということがございます。それをしっかり、途中からでもできるように、民間から中途採用という形でもやっておりますし、さらに民間の活力を使った―NPO法人を使った経営支援も平成19年からずっと継続してやっておりまして、人材の体制としてはまだ成ったとは思いませんが、徐々にではありますが、かなりできつつあるという状況であります。
 診療報酬は、微妙なものもございまして、施設基準が成ったときに―これがまたずっと継続するとは限りませんので、病院の機能も踏まえた配慮をしながら、しっかりこれに対応していかなければいけないと思っておりまして、そういう意味では、沖縄の県立病院事業は、知事部局とは離れた公営企業としての力を発揮しつつあると私は感じております。
○髙嶺善伸委員 監査委員の指摘にあるように、やはり各種加算をどのように取得するか、診療単価を向上することによって収益改善できるか、その辺は医療の提供、機能とまた別の意味での取り組みにもなるかもしれませんが、できるだけ研究をして、より経営の改善につながるように努力をお願いしたいと思います。
○玉城ノブ子委員長 山内末子委員から、質疑時間5分間を奥平一夫委員に譲渡したいとの申し出がありましたので、御報告をいたします。
 なお、質疑の持ち時間を譲渡した委員は、譲渡を受けた委員の質疑中は在席する必要がありますので、御了承、お願いします。
 それでは質疑を行います。奥平一夫委員。
○奥平一夫委員 皆さん、大変お疲れさまです。日々、県民の命と健康にかかわっていただいて、感謝申し上げます。質疑をさせていただきます。
 最初に、決算審査意見書を参考にしながら質疑したいと思います。累積欠損金が179億円、約180億円、その欠損金が病院経営にどういう影響を与えるのかお聞きしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 先ほども少し述べたのですが、179億円の中に減価償却費とか繰延勘定、あるいは資産減耗費という現金を伴わないものがカバーしているという状況です。179億円のお金が不足しているのではなくて、実際には38億円という現金が出ているということで、結論からいえば、余り関係ないと思っております。
○奥平一夫委員 決算審査意見書の中に、未収金についての指摘がございました。未収金について、病院事業局長の認識と、これからどう対応していこうとしているのか。それと未収金をずっと積み上げてきていますので、この辺の対応もどうだったのかということについてお伺いしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 未収金の額が年々何千万円単位ですが累積していっておりますし、去年は前年度よりもさらに少しふえた状況がございます。今19億4777万円ということで、毎年どんどん膨れ上がっている。これは、はっきり言って、病院経営をしていて未収金がゼロになるとは考えておりません。どうしても患者さんの状況の中で、未払い、あるいは支払い能力がない人たちを県立病院事業としては、受けざるを得ないということがございまして、一定額は発生していくものなのかなと。
 その中でも、とりわけ病院事業に従事する職員の、怠慢と言ってはいけないのですが、やはり努力してこういった未収金が発生しないように、そういったものを自分たちの努力で改善できるものはぜひやっていかなければいけない。これはやはり職員個々の一人一人が、きっちり払える人からは、しっかり払ってもらうという認識で、自分たちがやった医療サービスに対する対価はきちんといただくという認識でやっていけば、取れるものを取らないという状況にはならないと考えておりまして、その辺のところの意識を、ぜひ現場とも共有しながら、できる限りそういった無駄な未収金をなくしていきたいと考えております。
○奥平一夫委員 そのとおりだと思いますが、これは看過できない問題だと思います。昨年からことしにかけても、およそ7000万円の未収金が積み上がってきているわけです。1年間で7000万円という額は非常に大きいと思いますが、これは誰が担当しているのでしょうか。この未収金の対策についてどのようになっているのか、その辺をお聞かせください。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 まず、未収金は一旦発生してしまうと、これに対する対応というものはかなりの労力を必要とします。ですから、まず発生防止策としまして、担当職員―病院においてはMSWと言っておりますが、メディカルソーシャルワーカーで納付相談の強化をする、あるいは社会資源というか、社会の診療報酬的なものも大いに活用しまして、高額療養費制度、あるいは出産一時金の直接支払い制度などの活用をなるべくしていくような方法をとるということ。あるいは、退院日の事前通知の徹底をやりまして、患者の支払い準備期間を設けてあげるということ。あるいは院内の体制の問題ではございますが、未収金対策委員会の開催によって、院内の未収金の状況を各職員が十分に共有する、周知徹底をするということ。あるいは、ことしも11月―来月ごろから始めようと計画しておりますが、未収金対策強化月間を実施するということです。これは臨戸訪問等も一応予定しております。
 あと、各病院において、これは直接未収金対策につながるかどうか我々もまだ未確定ではございますが、支払いの用途を少し広げようということで、クレジットカードも支払い方法の一つとして導入しております。
 回収の強化ということになりますが、先ほども言いましたが、かなり労力を使いますが、電話による督促、あるいは自宅への臨戸訪問の強化を現在やっております。悪質な未納者に対しては、支払い督促など法的措置を行う予定にしております。法的措置を講じても支払わない債務者に対しては、強制執行ができるかどうか、今我々もその方法について検討中でございます。
○奥平一夫委員 未収金を回収するためのチームがあるのでしょうか。大体何名ぐらいでそれに対応しているのですか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 各病院に未収金の担当者を配置しておりまして、例えば中部病院におきましては担当者が1人、これは正職員でございます。それに嘱託の職員が4名、これは未払いの支払い相談等をやりながら患者の相談に当たっているという状況になっております。実際、臨戸で徴収業務ということになりますと、どうしても法的な調整が必要でございますので、また嘱託職員に臨戸の状況を指示はしてございませんが、職員が2人ぐらいそろって徴収に行くということは現在もやっております。
○奥平一夫委員 ちなみに平成22年度から平成23年度の1年間で7000万円という未収金が出ておりますが、対象者は何名ぐらいですか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 未収金の件数ということになりますが、これは実際に発生した件数で、いろいろな状況がございますが、これをトータルいたしますと、6つの病院プラス―旧南部病院の未収金が若干ございまして、これが2000万円程度ございますが、これも含めますと4万6661件、平成23年度に発生をして―失礼しました。私、今、間違って報告しました。現年度分は1万723件、過年度分が3万5938件で、合計で4万6661件となっております。
○奥平一夫委員 わかりました。とにかく、7000万円という未収金は本当に看過できない金額でもありますので、きちんと徴収方法なり、あるいは未然にそれを防止するというさまざまな対策を立てていただきたいと思っております。
 それから、決算審査意見書の指摘の中で、病床利用率や入院、外来患者数について目標が達成できなかったという指摘がありましたが、今後どういう対応をしていこうと考えているのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 入院患者の確保でございますが、これは昨今の民間の病院とかも含めた増加もありますから、かつてみたいな、県立病院にだけ患者が集中するということは、今後大幅に見込めるとは思っておりません。
 しかしながら、我々がやらなければいけないことは、患者確保をするためには、しっかり人材を確保して、まず休診あるいは診療制限をなくすということが一番大事ではないかと思っております。離島の病院も含めて、こういったマンパワーの不足で診療制限になって、結果的に、経営成績あるいは病床利用率等が下がるという状況が間々見受けられますので、全力を挙げてその辺にしっかり取り組んでいって、結果的に新たなサービスも追加できれば、入院患者の増につながっていくのではないかと思っております。
○奥平一夫委員 今の病院事業局長の答弁は、つまり、病床が閉鎖されたり、あるいは医療制限されているから、それが主な原因ではないかという御答弁ですよね。
○伊江朝次病院事業局長 必ずしもそれだけではないと思っております。といいますのは、かつてとは違って、平均在院日数30日とか、これは県立病院にはないのですが、そういう時代というものはもうございません。できる限り早く治して早く帰すという状況がございますから、今の病床利用率を維持することはかなり困難であるだろうと思いますし、入院患者延べ数に関しても、こういった平均在院日数がどんどん短くなるという傾向を踏まえますと、今後の病床編成も含めた検討は必要だと思いますし、患者数を伸ばせば伸ばすほど収入が上がるわけではないのです。長いこといる患者さんがいれば単価は下がってきますから、逆に全体としては収入は落ちる。だから、その辺の平均在院日数とバランスをしっかりとった病棟運営は、とても大事ではないかと思っております。
○奥平一夫委員 長くいる患者さんで収益が出るわけではないというお話ですが、どのようにすれば収益が上がってくるのでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 今は、急性期医療の主たる診療報酬制度はDPCという制度になっておりまして、出来高と丸めというのがございます。丸めというものは、例えば入院して薬を使ったら、どんな薬を使っても丸めという状況がございます。出来高というものは、例えば内視鏡の検査とか、それから手術です。こういったところが出来高になりますので、やはり入院して手術がかなり多くなるような状況があれば、収益の増にもかなり影響してくるのではないかと考えております。
○奥平一夫委員 それでは次に、病院事業の損益勘定についてお伺いしたいと思うのですが、平成23年度の経常収支、最高の29億円の黒字を出しているのですが、次年度以降の推計はどのようになっているのでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 この10年間の収支推計でございますが、まず前提条件があります。先ほどからも繰り返し述べておりますように、消費税の値上げ10%等は一応除外、それから新会計基準の引当金も除外、それと県立病院の7対1看護を北部病院までということを前提にいたしまして、繰入金も平成24年度の59億円という大きな前提を踏まえて、経常収支はこの10年間ずっと黒字で、平均約11億円という見通しを立てております。
○奥平一夫委員 10年後も11億円ほどの経常収支を出すだろうというお話だと思います。それからもう一つ、手元流動性は、10年後はどうなっているのでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 先ほどの条件を前提にいたしますと、約238億円ということになります。
○奥平一夫委員 今の病院事業局長の答弁によりますと、懸案でありました3つの課題も大きくクリアしていますし、それから流動性も200億円余り積み上がってくるということを考えれば、持続的な経営ができるという見通しが立つのではありませんか、どうですか。
○伊江朝次病院事業局長 私は今そのような判断をする立場にございませんので、コメントを控えさせていただきます。
○奥平一夫委員 別にそれは、もちろんいろいろ判断する方はいらっしゃるのですが、病院を経営している病院事業局長として、このような成果が出たものをどのように判断するかという、病院事業局長の範囲で御答弁いただきたい。
○伊江朝次病院事業局長 このようになればいいなと思っております。
○奥平一夫委員 これは三、四年ほど前から、病院の経営形態をどうするかという話になって、いろいろ病院事業局の御努力、病院現場の皆さんの努力で本当にこれだけ経営が改善してきた。今のお話もありますように、これから持続的経営も可能だと見通しを立てたと考えれば、もうこの辺でそろそろピリオドを打って、独立行政法人化―独法化はやめましょう、やはり県営でいきましょうという声が出てもいいのかと思います。もちろん病院事業局長の立場ではなかなか言えませんが、ことしの後半に検証委員会で結論が出るということでありますが、病院事業局長としても、この検証委員会についても、きちんと経営改善の問題、あるいは持続的な経営ができるということを含めて、やはり申し入れをしたほうがよろしいかと思うのですが、いかがでしょうか。そういう立場にはありませんか。
○伊江朝次病院事業局長 私の立場といたしましては、この3年間の経営再建の結果をしっかり持ってきちんと提出するということで、おのずと結果は出てくると思っております。
○奥平一夫委員 このことを呉屋病院事業統括監にもお伺いしますが、どう思いますか。
○呉屋幸一病院事業統括監 今後10年の長期収支の見込みについては、先ほど病院事業局長が述べましたように、いろいろな条件がついております。しかし、そのベースとなるのは平成23年度決算がベースになって推計をしております。この平成23年度決算は、繰出金の支援はあったものの、各病院の努力によって実質的な前年並みの黒字は出しております。今後も10億円程度の黒字を出していくということでございますので、その努力を見ていただければと思います。
○奥平一夫委員 いいと思いますね。それで一生懸命、独法化へいろいろなことで皆さんちょうど動いていたような気がするものですから、特に呉屋病院事業統括監におかれましては、今の現実を見ていけば、本当に独法化という話はもう出てこないのではないかと思いますが、その辺はいかがですか。
○呉屋幸一病院事業統括監 私は、これまでもそうですが、独法化の立場で病院経営をしてきたわけではなくて、経営再建をするということでやって、いろいろ対応を考えてきたわけで、その結果が今回の平成23年度決算になっていると考えます。
 それを、いろいろな条件はついていますが、長期収支に反映されていると。それをどう評価するのか、それは検証委員会の評価を待ちたいと思います。
 ただ、一言申し上げれば、経営が悪いから独法化だということだけではなくて、こういう経営状況の中でさらに発展をしていくためにどうしなければいけないかということも、一つ検討にもなると思います。これは検証委員会が判断することだと思います。
○奥平一夫委員 もう一つだけお聞きしたいのですが、この事業推計を見ていますと、平成26年から、平成27年、平成28年と企業債償還分がふえていくわけです。それから、長期の借入金の償還金もふえていくわけですが、これはどういうことが理由となっていますか、わかりますか。
○伊江朝次病院事業局長 従来、資本取引といいますか、企業債とか長期の返済分は、企業債の病院事業負担分だけが返済の対象でございましたが、平成23年度から公立病院特例債の返済が始まりました。これが今後5年間続きます。そして、新たに一般会計から借りた20億円と、産業振興基金から借りている20億円の返済が加わってきまして、この3つが重なった状況で、平成27年度が一番ピークになって23億円という返済が生じます。ここが一番きついところではないかと考えております。
○奥平一夫委員 わかりました。それでは質疑を続行いたします。先ほどの収支推計の中では、恐らく病院事業局長も触れられていたと思うのですが、新しい企業会計制度に移行するだろうということが見受けられるということで、私も先日そのお話を聞きまして、これはどういう制度に変わっていくのか少し疑問だったものですから、この辺について、会計制度が変わると病院経営にどれぐらい影響があるのか、その辺についてもお答えいただきたいと思います。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 平成26年4月から、公営企業会計基準の見直しがされることになっています。そのときに病院事業に大きく影響する部分は、退職引当金の計上でございます。実際、平成23年度末で県立病院課で試算した退職給与引当金の総額でございますが、大体140億円から150億円になっております。
 この会計基準の退職金の引き当てについては、例えば15年に割り振って計上するとか、そういう方法論はございますが、直接退職金の引当金の部分が経営に大きく影響してくると認識しております。
○奥平一夫委員 これは、病院経営にとっては大変重大な問題だと思いますが、それと私が聞き及んだ話によりますと、資産に計上していた病院事業債も負債分として計上することになったというお話を聞いているのですが、その辺はいかがですか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 今、委員の御指摘になった企業債は、現在、公営企業法の会計基準に基づいて、借入資本金ということで計上しております。しかしながら、これまでの状況からして、本来、公認会計士の指摘もございましたが、これは資本金ではない、負債だという御指摘がございました。今回、総務省の考えもございまして、これは負債に計上することになりました。しかしながら、これは会計上の取引でございますので、直接経営に影響することはないとは理解しております。
○奥平一夫委員 こういう会計制度が変わることによって、例えば先ほど御答弁がありましたように、退職引当金を負債に計上することになりますと、今いろいろ質疑している平成23年度の決算で見ると、これは例えばの話どういうぐあいになりますか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 これはあくまで試算の話でございますが、会計基準の変更に基づいて、この長期推計に与える影響は、我々は大体100億円ぐらいだと見積もっております。
○伊江朝次病院事業局長 先ほど140億円から150億円ぐらい要るだろうというお話がございましたが、毎年度に直しますと約10億円ということで、純損益で35億円ですから、25億円になると、経常収支は24億円となると思います。
○奥平一夫委員 いずれにしても、大変厳しい制度への移行だと思いますので、この辺はまた心してぜひ経営に頑張っていただきたいと思っています。
 次に、離島医療についてお伺いしたいと思うのですが、海で隔絶された離島というものは、やはりできるだけこの地域で医療を完結していきたいということが地域住民の願いでもありますし、病院事業局長もかねがねそういうお話をされていますが、この地域完結型の医療ということについて、病院事業局長の考え方をもう一度お聞きかせください。
○伊江朝次病院事業局長 私は八重山病院長を11年間した当時いつも思っていたことは、地域でしっかり2次医療をやりたいと思っておりまして、それを何とか確保することに腐心しておりました。当時は、私たちができないものは何かといったら、心臓の開心術ぐらいではないかというぐらい、一応スタッフはそろえて対応していたと思っております。
○奥平一夫委員 非常に心強い御答弁だと思うのですが、本当に離島にいましたら、県立病院で処置できない疾病については出てこざるを得ない。かなり厳しい経済的な負担、精神的な負担もあります。そういう意味で非常に厳しいのですが、離島ではこれをできるだけ完結できるようにという思いがあるものですから、その辺、病院事業局としても、それぞれの離島が抱えている課題を克服しながら、地域で完結できるような医療体制をぜひ整えていただきたいと思っております。
 そこで、チーム医療という言葉が常々出てきます。先ほども出てまいりましたが、チーム医療というものは何なのかということについてお伺いしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 従来のパターンでは、医療は医者が主体になってやるものなのかと。それに附属して看護師がアシストするという考えであったと思いますが、やはり今は病院の中のあらゆる職種が参加して、患者さんをできるだけ早く治して帰すということで、そういったところはまた診療報酬にも手当てされているという状況がございます。
 1つ例を挙げれば、栄養サポートチームは、栄養士、医師、看護師、それからリハビリの方々も含めて、1人の患者に対して実際に議論しながら患者さんを診て、問題点を探して、それを一つ一つ解決していくという、職場横断的な、職種横断的なチームを組んでやるものがチーム医療だと思っております。
○奥平一夫委員 この中部病院や、南部医療センター・こども医療センター、あるいはほかの私立病院もたくさんある本島では、それは潤沢にできるかもしれませんが、とかく医師や看護師やスタッフが非常に不足がちの離島の病院ではなかなかそれが難しいのですが、これは本会議でも聞いたのですが、チーム医療というものは離島の病院でも今はしっかりやれておりますか。
○伊江朝次病院事業局長 私がおりました八重山病院では、そういった栄養サポートチームは既に稼働しておりまして、機能しておりました。今は、まずほとんどの病院でそれをやっていると認識しております。
○奥平一夫委員 チーム医療が患者さんを早目に退院させていく、あるいはリハビリをさせて退院させていく、診療報酬も上がるということで、かなり取り入れられているというお話でもありますが、チーム医療をするについても、今、職員の人材の確保というのが非常に重要になってまいりますが、いつも言われることは、離島においては医師や看護師以外のスタッフがなかなか定数で確保できないと。この辺についてはどう思われますか。
○伊江朝次病院事業局長 この点につきましては、この数年、現場ともしっかり議論しながら、増員のことも検討して、逐次配置していっている状況がありまして、少しずつ改善していると思っております。
○奥平一夫委員 もう一つお聞きしますが、職員確保の取り組みは、それぞれの病院でも、病院事業局でもなさっていると思います。先ほど答弁もありましたが、要は離島勤務の医師の定着が非常に悪いと聞いていますが、その定着率は何%くらいでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 今、委員の御質疑に明確な数字は持ち合わせておりません。実は、私たちも研修医のころ、宮古病院、八重山病院へ行ったら1年で帰れると、逆に言えば、1年間は島から出なくてもしっかりやるんだという意気込みでやっておりました。そういう時代から、今は中堅の医師も宮古病院、八重山病院へ行ったりしていますし、管理職も中部病院とか、転勤して行っているという状況がありまして、若い人たちも1年で帰るということは少なくなってきておりまして、やはり2年、3年いるという人が徐々にふえつつあるのです。ですから、委員のおっしゃった3年間を定着と見て、数字は今明確に出しておりませんが、今後調査してぜひ次回のときにはお答えしたいと思っております。
○奥平一夫委員 若手の医師がなかなか定着しないということもよく聞きます。特に離島勤務されている医者はですね。いろいろな要因があると思いますが、その辺の阻害要因というものはどういうものがあるか挙げてください。
○伊江朝次病院事業局長 これは私ごとになりますが、やはり1年間しっかりやったら、次のキャリアアップのためにステップアップしないとということで、新たな自分のスキルを高めるための修行の場を求めていくというのが若い人たちのキャリアアップのコースだと思っておりまして、私自身も、若い人たちがずっとそこにいたら逆に困るなと。やはり一旦出ていって、しっかりまた武者修行して、バージョンアップした姿でリピーターになっていただいたほうがいいなと考えております。
○奥平一夫委員 例えば後期研修医が1年、2年たってスキルアップのために出ていく、ほとんど帰ってこないというような状況がありましたら非常に困るわけで、各離島の病院でもそういう研修医の継続的な勤務を図るための取り組みをしていると思うのです。それは、例えば安谷屋宮古病院長、八重山病院長、その辺の取り組みがもしありましたら、御報告いただけませんか。
○安谷屋正明宮古病院長 お答えになるかどうかわかりませんが、今、宮古病院は新しい病院をつくっているのですが、その整備基本計画の中で、医療以外に宮古病院が提供する機能として研修教育機能を挙げているわけです。宮古病院は、平成16年度の初期医師研修の時点から救急医療と地域医療の研修に取り組んでいるのです。3カ月コース、1カ月コースと取り組んでいるのですが、一応、来年度からは1年コースを国立大学法人琉球大学と共同しながら取り組むことにしております。
 それから、先ほども話がありましたように、離島医療体験実習、離島医療を志す人材の育成確保を図る事業ということで、国立大学法人琉球大学の医学生の1週間の研修を年間に36名ほど受け入れていますし、他府県―神戸大学などからも5年次の学生たちが研修に来ます。何を言いたいかというと、離島の医療の現状がどうかということを知ってもらいたい。そういうことを踏まえた上で若い人たちに来てもらいたいし、ただ、委員がおっしゃる、また2度目に来るかという取り組みに関しては、これからだと思うのですが、要するに、基本的に離島医療というのが何であるかを知ってもらいたいということで、研修、教育に力を入れているという現状です。
○松本廣嗣八重山病院長 今の離島が一体どういうものかを知っていただくために、若い方、あるいは研修医に早目に離島に来ていただくということは非常に大事な取り組みだと思っております。そして、正しく理解して、やはり離島は大変だから行かないと触れ回ってもらっても私は構わないと思っています。だが、本当の姿を知ると、やはり離島はとても重要なところだ、自分たちが活躍する場だと理解する方もいらっしゃると思っているのです。そういうことで、一人でも離島の味方をふやすという意味で、いろいろな人たちを受け入れたいと思っております。
 しかしながら、現在来ていただいている先生方は、大体50%弱が1年で入れかわりますが、そのほとんどの方が県立病院の後期研修医を修了された方たち、あるいは国立大学法人琉球大学からの応援、あるいはもっと短い周期で言うならば、3カ月交代で今来ていただいている民間からの応援です。あとは、公募をかけまして、本土から来ていただく先生方、あるいはこれまでの関係でずっと応援していただいている本土の大学の先生方、こういう方たちで構成されております。
 1年で交代する、特に研修修了者の方は、先ほど病院事業局長がおっしゃったように、やはりキャリアアップをしたいわけです。我々としては、今の日本の医療の問題でもあると思いますが、専門医志向というのですか、患者も医者も専門医を求めるという、これしかしないのだというぐらいの専門医ですね。そういう人たちに目が向いているような気がするのです。
 そうすると、離島の中ではそういう人たちは余り役に立たないのです。そういう特殊な患者さんはごくわずかです。普通の病気、一般的な病気を診る医者が非常に重要で、後期研修医、1年でかわるのになぜそういうものを手に入れているのだ、そういう制度で動いているのだということになりますが、これは彼らは最も一般医療ができる状態になっているのです。
 外科医でも一般外科医、小児科でも一般小児科医、産婦人科でも一般産婦人科医、そのような形で、私はがんしかやりませんとか、私は小児外科しかやりませんとか、私は心臓以外はやりませんとか、そういう人たちとは違う人たち、こういう人たちに来ていただくと、非常に少ない人間でやるわけですから、我々にとっては、あるいは地域の住民にとってもありがたいはずです。
 その次のステップになりますと、完全に地域で完結することは、経営上も含めまして困難であります。ですから、そういう場合は中部病院に送ったり、あるいは南部医療センター・こども医療センターに送ったり、あるいは大学に送ったり、そういう形で診療を完結するということになるわけです。
 ですから、今私たちはその1年間で来る人たちをここに定着するように何か一生懸命引っ張って、残れ残れと言って動いているかというと、必ずしもそうではないのです。むしろ彼らは本当にパワフルですが、そこに指導者がいて、その指導者のもとだと物すごい機能を発揮するわけです。この指導医クラスの人たちが来ることを望んでいます。しかしながら、これはやはりなかなか難しいことではあります。
 我々のホームページのつくり方がよいのかわかりませんが、最近はすごい、ある大きな病院の副院長が応募してくるとか、16年目とか12年目とか、そういう指導医クラスの人たちが、自分は離島で貢献してみたいということでお越しになっているのです。
 そういう意味では、公募をかけたりすることで、そういう人たちを探すということが一つの方法。
 ただ、彼らをどのようにそこに定着させるかということはなかなか難しいことです。地域の住民が彼らを歓迎しているよ、感謝しているよ、支えているよという姿勢を示すことも非常に重要なので、地域の住民の理解を求めることも大事でしょうし、彼らは家族で来ますから住居を探すことが結構難しかったり、そのような場合には住居を提供できるような状況をやるとか、多少生活をよい状態で過ごせるような、あるいは学会に参加しようとしたときに、容易に行けるような体制をつくることです。もちろんその人の補充をしてということです。そのようなことをやって、多少でも状況をよくしなければ難しいとは思うのです。
 我々の病院は4つの診療所を抱えておりますので、そういうところの急患発生あるいは代診、そういうことも含めて、24時間救急は当然ですが、いろいろな仕事が重なっているので、こんなにたくさんあったら大変だ、早く逃げ出そうという状況を何とか改善できないものかとは考えておりますが、これもまた難しいことです。それは大きな組織の中で改善していくしかないのではないかと思っております。
 済みません、長くなりました。
○奥平一夫委員 どうもありがとうございました。病院事業局長、今の安谷屋宮古病院長や松本八重山病院長のお話を受けて、やはりこの課題を解決するのは病院事業局長しかいないと思いますが、いかがですか。
○伊江朝次病院事業局長 なかなか私一人の一存ではできないものですが、やはり県立病院事業挙げて、関係部局としっかり協議して、今の宮古病院、八重山病院の院長の思いが少しでも実現するように、何とか頑張りたいと思っております。
○奥平一夫委員 次に、この県内にある16の診療所。今3つは休診しているらしいのですが、この13の診療所の現状をお伝えいただけますか。
○伊江朝次病院事業局長 今、稼働している県立の附属診療所は16でございます。北部に伊平屋、伊是名の2つ、中部が津堅の1つ、南部医療センター・こども医療センターが一番多くて8つ、半分は南部医療センター・こども医療センターの附属でございます。宮古病院は多良間にありまして1つです。八重山病院が4つという状況がありまして、いずれも医師と看護師、事務員の3人体制で診療を行っております。
○奥平一夫委員 ある離島診療所に勤務した先生の報告書を入手したので、この中で特に印象的なものは、365日24時間オンコール状態で、精神的にも非常に参るだろうと。そういう意味では、こういう離島診療所は2人体制といいますか、早目の交代をしながら、いつでも交代ができる状態をつくっていかなければならないと思いますが、こういう1人体制について、病院事業局長の御意見を伺いたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 委員おっしゃるとおり、1人で送られて、24時間365日、常に住民からのリクエストがあれば対応しなければいけないという状況にはあると思います。昨今は、地域の住民の皆様たちにも、できるだけ昼間来られるのは昼間来ていただきたい。1人しかない医師を何とか休ませていただきたいということを、ずっと機会あるごとにお話をしておりまして、そういう意味では、その辺も大分浸透してきたのではないかと思いますが、しかし、いかんせん一定の住民がいるということは、住民の方には常に救急、緊急の事態が起こるということです。それに対して、そこに1人しかいない医師は応じなければいけないということは、これは必然的なものだと思っております。
 そういうことをある程度覚悟して行っているわけです。期間も限定しておりまして、1年ないしは2年、場合によっては、医師にとって割と居心地がよければ3年いたりするという状況がございます。問題は、診療所が対象にしている住民の数が各診療所によって違う。対象が二、三百人と非常に少ないところもありますし、一方では1000人以上の住民を相手にしなければいけないということがありまして、非常に格差があるのですね。
 そういうところを本当に、委員おっしゃったように2人体制に持っていければ、勤務としてはかなり楽にはなると思いますが、現状でそのようなことができそうだと私が考えているところは、西表島しかないということです。1つの島に2つの診療所がございますから、それを真ん中にでも統一してやれば、そういうことは可能ではないかと思っております。
 そういう中で、2人体制にすることはかなり困難があると思いますから、できる限り、休日をふやしていけるような、診療、いわゆる代診の制度を充実していくということが、今、喫緊の課題ではないかと思っております。
○奥平一夫委員 医師も本当にぎりぎりで足りない状態の中で、こういう勤務状態を続けますと、本当にドミノ倒しのようにして医師がやめていく可能性もあります。この辺はできるだけ休みをとらせてあげるということを、ぜひやっていただきたいと思います。
 この先生が言うには、この島では私には主治医もいない、診療所の医師にとってはまさに無医地区状態だとぼやいているようでありますが、こういう報告もありますので、ぜひ改善をしていただきたいと思っております。
 それから、最後になりますが、私ども県民ネットは、宮古病院で視察をさせていただきましたので、最後に安谷屋宮古病院長に、資料をいただきましたが、幸い病院事業局長がいらっしゃるので、この宮古病院の課題について、ぜひ何かありましたら。
○安谷屋正明宮古病院長 離島の病院にとって一番の大きな問題点は人材確保だと思っております。まず、医師の確保に関しては、現在宮古病院は内科医師の欠員で、病院事業局ともども医師確保に向けて今動いているところですが、やはり医師確保について今後どうしていくか、安定的な医師確保をどうするかという問題が1つあります。
 それから、1人診療科の医師体制があります。例えば循環器の医師、眼科の医師、耳鼻科の医師、泌尿器科の医師等、1人診療体制の科をどうするかという問題をクリアしていかなければならないという問題があります。
 先ほど委員が話していましたように、診療所の1人医師体制の休日夜間のカバーをどうするかという問題もあります。
 ですから、そういう医師確保に関して安定的な離島医師を確保する体制づくりがどういう形であるべきか。やはり県全体、県だけではなくて、国立の大学もありますし、民間病院もありますし、そういうものを含めた沖縄県の離島医療を守る体制がどうあるべきかということをみんなで考えなければならないと考えております。
 それから、看護師の確保に関しても、やはり育休、産休補充は離島では非常に苦労します。各病院が独自で確保しなければなりませんし、7対1の看護が宮古病院、八重山病院でできない場合には、どのような看護の質の提供をするか。そのような課題、またリスク防止も含めて、看護師の業務の緩和をどうとるかという問題も含めて、課題を解決する必要があると思います。
 基本的には、やはり人材確保に関してどう取り組むかということが大きな課題だと考えております。
○奥平一夫委員 経営上の問題については、何か課題はありませんか。
○安谷屋正明宮古病院長 県議会の中でも、これまでもずっと離島医療の院長の立場から、離島増嵩費に関して毎年毎年訴えてきました。ただ、平成24年度からは、宮古病院、八重山病院に各2億円の離島増嵩費を繰り入れてもらいました。ですから、これが1年ではなくて毎年続く、やはり宮古病院、八重山病院に関しては離島増嵩費が2億5000万円から3億円くらいあるわけです。これに今までは繰入金も1円もなかったという状態が、平成24年度からは各病院2億円の離島増嵩費が入りましたので、これが毎年繰り入れられると、離島の病院を維持していくためには非常に力になります。
○奥平一夫委員 最後になりますが、松本八重山病院長、八重山病院の課題についてお伺いしたいと思います。
○松本廣嗣八重山病院長 ほとんど今、安谷屋宮古病院長がおっしゃったことに尽きると思います。人材の確保が非常に大きな問題だと思います。ただ状況が多少は違います。宮古病院は本島に近いということ。我々は那覇から400キロほど離れているというところ。それに、先ほど申し上げましたように、離島の診療所を4カ所抱えていると。少ない親病院の医師でそこの支援をする、あるいは急患搬送にかかわる、あるいは石垣島から本島、あるいは本土に患者を搬送する。そういうときに、我々は医師を失ってしまうのです。親病院は医師を失って離島に与えたり、急患搬送したり、本土に患者搬送に行ったりするわけです。そのような部分を何とか支えられるような仕組みが欲しいと。これは安谷屋宮古病院長が言ったように、大きな―全体の組織で支えていく方法を考えてほしいと思います。
 離島増嵩費に関しても全く同じです。その他の人材に関しましては、例えば非常勤の形でいろいろな職種を―メディカルソーシャルワーカーだとか、その他のリハビリの職員を手に入れようとしましても、なかなか来手がないのです。ですから、来てもいいよというぐらいの条件を与えるための定数確保、そのようなものが非常に必要なのだと思います。そこら辺がなかなか思うようにいかないことが非常に厳しいなと思いますので、そこら辺を何とか解決していければと願っております。
○奥平一夫委員 以上で終わります。
○玉城ノブ子委員長 休憩いたします。
 午後は1時30分から再開をいたします。
   午後0時23分休憩
   午後1時34分再開
○玉城ノブ子委員長 再開をいたします。
 午前に引き続き、質疑を行います。
 山内末子委員。
○山内末子委員 皆様、こんにちは。5分しかないということで挨拶もできないのですが、日々公共の福祉向上のために御尽力をしていただいている皆様、本当にお疲れさまです。早速ですが、質疑に入らせていただきます。
 先ほど、県立病院の再建計画については、前倒しで3つの目標を達成していただいたと。奥平委員の質疑の中で病院事業局長から、今年度にも検証委員会が行われまして、今年度にはこの独法化に向けて決断をする時期が迫ってきております。そういう流れの中で、断念に向けた意思を確認いたしましたが、再度お尋ねいたします。独法化に向けまして、今の段階で、病院事業局長のお気持ちをお聞かせください。
○伊江朝次病院事業局長 皆さん御存じだと思いますが、私は特別職で、一般の公務員ではございません。仲井眞知事から、病院事業を引き受けるに当たって、しっかり経営再建してくれと、これは公営企業全適のもとでのお話でございます。ですから、そのときに独法化のドの字も出ておりません。ですから、私は今、与えられた課題についてしっかり永続的な経営ができるようにやるという決意でございます。
○山内末子委員 その強い決意をもって、病院事業局含めてそれぞれの病院の経営改善に向けて、病院事業局長のリーダーシップを持ってさらなる御尽力をお願いしたいと思います。
 それで、今、再建計画については、県もそうですが、それぞれの病院も本当に努力していただいている。そういう中で、先ほども少し懸念することが示されましたので、その件についてお伺いいたしますが、平成26年度から新地方公営企業会計制度へ移行されるわけですが―ことしもそうですが、経常利益が黒字転換してきております。その流れの中で、この新会計制度によりますと、今の形態から平成26年度の新しい形態になっていくと、黒字の部分が赤字にあらわれてくるのではないかという懸念のある会計制度だと思うのです。それにつきまして、病院事業局長として、その会計では、今までの会計をどう評価していくのかということについてお聞かせください。
○伊江朝次病院事業局長 先ほども述べましたが、毎年約10億円を積み立てていかなければいけないという費用の支出がございます。こういったことをやったにしても、少なくとも、大体これだけでしたら―いわゆる新会計基準の引当金の費用の増だけでしたら、経常収支はとんとんという形になると思います。
 さらに、消費税とか八重山病院の問題もありますから、それに加わってくるという状況がございまして、そういうことも加味しましても、まだ正確には出しておりませんが、何とか資金繰りの都合はつくような見通しでは考えております。
○山内末子委員 この件につきましては、それぞれの病院長、平成26年度から始まってきますので、この経営形態も含めて大変懸念することが多いと思いますが、その件に対します見解をお一人ずつお願いしたいと思います。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 山内委員の質疑に本庁でお答えをしたいと思います。
 平成26年4月から公営企業の会計基準の見直しがされます。先ほどもお答えしたように、病院に一番大きく影響するのは退職金の引き当て制度でございます。それ以外にも、借入資本金の負債への計上とか、セグメント情報の開示とかいろいろありますが、まず我々が考えている一番大きいものは、退職引当金の計上でございます。先ほども答えたように、大体140億円から150億円程度の手当てをしなければいけない。
 ただ、その手当ての方法についても幾つかの方法論がございまして、総務省が出されている方法論の一つとして、15年に分割して引き当てを計上することもできるとありますので、今回我々はそれを採用して、退職金の対応はしていこうとは考えています。
 経営に対する影響ということを単純に計算をしますと、平成26年の予算から病院全体で10億円程度計上していかなければいけないと思っています。これが現金ベースで計上していくか、あるいは経理的な数値で計上していくかは、これから検討していく段階だと考えております。
○山内末子委員 今は10億円ぐらいという計算が出ているのですが、私たちがとても心配していることは、今まで計上されなかった。例えば負債の部分だとかを計上していかなければいけないとなると、実質経営実態はちゃんと黒字になっているが、表に出てくるものが赤字になる可能性が大変高くなるという意味で、ぜひそこは病院事業局で経営実態をしっかりと―ここが大事だと思っておりますので、そこをしっかりと把握して、その上での見解を出すということをぜひお願いしたいと思いますが、その辺について決意をお願いいたします。
○伊江朝次病院事業局長 午前中にもお話ししたのですが、この10年間の収支推計の前提条件として、平成23年度の決算をもとにということがまず前提にございます。ですから、今の経営状況を維持して、さらに繰入金が59億円という形であるということと、それから費用の面で、7対1看護を北部病院までという形が大きな前提になると思っておりまして、その上での収支推計でございますから、今言ったような引当金が毎年10億円。どのような形で現金としてきちんと計上しなければいけないのか、それはまた別の形で、一応帳簿だけのものになるかということは別問題だと思います。そういう意味からしても、経常黒字は達成できるかどうかは、かなり厳しくなるとは思いますが、少なくともキャッシュフロー、現金は出せる。現金が出せるということは、100億円という一時借入金があったときには戻らないということになると考えております。
○山内末子委員 よろしくお願いいたします。
 それでは、先ほど来、皆さんと議論しております医療スタッフ、特に医師確保についてですが、今はどの病院も、それから福祉保健部も一生懸命やっているのですが、皆さん苦慮している状況の中で、やはり沖縄県がずっと続けてきました中部病院とハワイ大学の研修医制度、この点はとても大事にしていかなければならないと思うのですが、その件について、今の現状について中部病院長、よろしくお願いいたします。
○宮城良充中部病院長 中部病院の研修医制度は、午前にも病院事業局長からありましたように、昭和42年から順調にやってきております。現在、中部病院に関しては28人の若い医者が毎年入ってくることになっております。これは皆さんも御存じのように、マッチングということで、全国の大学から中部病院の研修医制度に入りたいということで、毎年大体80人から90人ぐらいの希望者が殺到しております。
 そういうぐあいに、非常にやる気のある若い医者が来ておりますので、できるだけ初期研修が終わった後も引き続き後期研修をやって、そして短期間でも、最低でも1年は離島で診療してほしいという形をずっと続けております。ただ、先ほどもありましたように、どうしても若い医者は次のステップを目指していきますので、離島ではやはり1年ないし2年という形がずっと続いております。我々はそれをわきまえておりますので、毎年十二、三人の若い医者を送り出して、離島から毎年十何人の若い医者が内地あるいは外国に出ていくという形を続けながら、サポートしている格好になっております。
 ですから、こういうサポート体制がなければ、恐らく離島を初め、本島の県立病院の内科、外科も含めて、医者を確保することは非常に難しくなると思いますので、今後ともしっかりと研修医制度を続けていってほしいと思っております。
○山内末子委員 本当に全国に誇りを持ってこの制度を広げていくよう、ぜひ今後とも努力をしていただきたいと思っております。
 休診や診療制限があるということで―今の医師の確保についてですが、何人のスタッフが今不足しているのか、休診あるいは診療制限を解消していくためには、それぞれあと何人ずつスタッフが必要なのかということを、それぞれの病院長、お願いいたします。
○知念清治北部病院副院長 北部病院は、正職員定数43名に対して、現在、正職員の医師は30名です。ということで、定数に対しては13名の欠員ですが、臨任が6名いますので、実質的に7名の欠員となっております。
○宮城良充中部病院長 中部病院は、本当に医者がいないという科は眼科だけでございます。眼科は今回面接をいたしまして、採用できる見込みができましたので、科としては全体的に足ります。ただ、定数が93のところ、実際の医者の数、臨任、嘱託を含め103人おりますので、実際103人で現在の医療をやっているということですから、93引く103が必要な数になると思います。
○我那覇仁南部医療センター・こども医療センター院長 南部医療センター・こども医療センターは、定数が108人に対して今14人足りません。
 医者の数は、正職と臨任合わせて116人、それから研修医が53人で、十分な数はいると思いますが、現在、休診をしているのは―こころの診療科と聞いたことがあると思うのですが、いわゆる小児の発達とか精神的なもの、3年ぐらい前にそれを一旦閉めて休診しました。ところが、人材が見つかって来年4月から開くことになっています。
 それからもう一つは、泌尿器科がことしの4月から担当が異動ということで休診していたのですが、現在その後を継続する医師の目安が立っていますので、病院事業局と協力しながら、来年4月の再開に向けて今努力しているところです。
○安谷屋正明宮古病院長 宮古病院は、今年度4月には医師は40名配置していました。新聞報道にもありましたように、7月から8月にかけて、内科医師の4名の医師が退職とか、いろいろありました。それで、1名は南部医療センター・こども医療センターから1カ月交代で応援してもらっています。また1名は、中部病院から1週間ローテーションで応援をいただいています。それから、病休で休職していた医師が一応復職してきましたので、現在、医師の不足は2名の状態ですが、11月から、民間病院からの応援に向けて県立病院課が中心になって動いたおかげで、少しめどがつきそうな状態になっております。宮古病院は、休診という状態はなくて、内科医師の欠員に伴う新患患者の制限ということだけで行っております。
○松本廣嗣八重山病院長 八重山病院で、現在、欠員となっておりますのは眼科の1名です。次年度になると耳鼻科がまたいなくなりますので、その耳鼻科の獲得という問題が出てくると思います。産婦人科、あるいは一昨年の内科の問題は非常に大きかったのですが、何とか数を確保することはできたと思っております。
○伊波久光精和病院長 精和病院は定数が9名となっておりまして、現在、正職が6名に臨任が3名と一応数はそろっています。ただ、現場的に言いますと、臨任は研修で回ってくる先生たちも含めて、そこに宛てがっているものですから、当直やら院外の業務とかもいろいろありまして、やはりその定数内でやっていますと、毎年流動的になってしまうものですから、そういう意味では、形としては9名いますが、やはりもう少し定数を―少なくともあと1名ぐらいふやして、10名という枠にしてもらえたら助かるという状況です。
○山内末子委員 平成23年度、定数確保-条例で枠を広げましたし、そういった意味では少し緩和されているのかなという感もしますが、まだまだやはり医師の確保、それからスタッフの確保については、私たちもしっかりと応援をしていきますので、病院事業局長、受け入れ体制がしっかりしてこそ患者を受け入れられるという意味ではぜひ頑張っていただきたいと思っております。
 それと、病院、県、地域。地域が自分たちの県立病院なんだと、自分たちの病院だという意識の啓蒙もさらなる努力が必要かと思いますので、ぜひその点も含めてよろしくお願いいたします。
 以上です。終わります。
○玉城ノブ子委員長 西銘純恵委員。
○西銘純恵委員 この3年間、県立病院を再建するということで、県民も本当に心配してきたのですが、それぞれの病院長にお尋ねします。3年を待たずに再建目標を達成されているのですが、3年間の再建の取り組み努力と、成果と課題と今後の見通しについてお尋ねします。
○松本廣嗣八重山病院長 経営改革を病院事業局の方向性に従って、職員の意識改革、経営努力を一生懸命進めてまいりました。八重山病院では、これまでの経過をごらんになったらおわかりのように、ごくわずかな赤字であったり、黒字であったりという成果ではありますが、やはり職員の意識は随分変わったと思うのです。我々が稼ぐというのですか―我々の給与は収益にどれだけ依存しているのかとか、経費をどのように削減すべきなのか、それから患者の獲得のためにはどのようにすべきなのか、そのようなことを一生懸命努力してきたと思います。わずかではありますが、そういう努力の積み重ねで多少変わってきた。改善はしてきたのだと理解しております。
 ただ、大きく依存する部分が人材の確保ということでして、医師の確保の見通しが立たないような状況がありますと、やはり非常に不安定になってしまいます。今後、病院の老朽化ということなどもあります。今後は、さらにそういう起債を設けて、それを返していくという形になりますので、そういう部分も考慮した運営をしていかなければいけないのではないかとは思います。
○安谷屋正明宮古病院長 宮古病院は、平成21年度、平成22年度、平成23年度と経常黒字を達成しております。一番の大きな原因としては、やはり職員が経営というものをしっかり見据えて対応してきたことだろうと考えております。
 具体的にどういう体制でやってきたかといいますと、各セクションに年間の目標をはっきり持たせたことです。宮古病院では院長ヒアリングといって、各セクションに年2回の目標達成をしているかどうかの話し合いをします。そういう形を数年間続けてきたということです。
 それから、例えば薬剤管理指導とか栄養食事指導などに関しても、毎週の目標管理、話し合いをする体制を数年間とってきております。それから、今、DPCという診療報酬でやっているわけですが、この経営アドバイザーのいろいろな話し合い、指導のもとに、そういう分析を推進して経営改善に向けて取り組んでいるところです。
 先ほど、午前中もありましたが、病床利用の適正化に関してもベッドコントローラーを配置して適正なベッドコントロールの推進をしております。それから費用面で、材料費の縮減プロジェクトを病院事業局全体で取り組んでおりまして、診療材料、薬品費の低減化に努めているところでございます。薬品に関しては、後発医薬品の積極的な利用を推進していまして、今、約26%の後発医薬品を使用しております。
 それから、医師の確保に関しては、あくまでも地域医療を守るという観点が大事なことなのですが、専門医師1人が欠員になると、経営面でも大きく影響してまいります。宮古病院の場合には、脳外科の医師、眼科医師の欠員がございました。それを確保することによって経営面でも大きな効果を上げていると思います。
 それから、地域医療再生基金というものがありまして、それを活用しながら、新病院に向けてCT、MRIの新しい機器の導入なども含めてやっております。
 そういう形で病院職員のいろいろな改革の動きに対する協力といいますか、意識改革は大きな力になっていると考えております。今後とも、この体制を維持しながら、宮古圏域の医療が安定的に進むように努力していきたいと思っております。
○我那覇仁南部医療センター・こども医療センター院長 大久保前院長から引き継いだことを基本的には継承していますが、病院事業局と協力して、まず1つは、いかにすれば診療報酬加算がとれるか、あるいはDPCに関して職員間で勉強会をするということで、これまでのとれていなかった部分を手技として上乗せすることができました。
 それから、昨年から始まった7対1の看護で管理加算がよくなっております。
 それから、各セクションに関しては、ワンセクション、ワン改善といいますか、毎月の管理者会議で一つの目標を持って一つずつ改善していくということをしています。
 それから、以前はOKBと言ったのですが、要するに、中には長期入院している方もいるわけですので、関連する病院との地域連携を通じて―連携を強くして、なるべくそういった長く入院している方を引き取ってもらう。そして短期急性期病院の役割を果たしたいということがあります。
 それから、南部医療センター・こども医療センターでは最初に治験センターを始めました。数としてはまだ少ないのですが、これからはそういうことをもっと利用しながら収益をふやしていきたいと。
 それから、わずかではあるのですが、待合室に広告を出して、そういったことを出すことによって地域と病院のボンディングといいますか、連携を非常に強くするということを考えています。
 それから、各病院も皆さんそうですが、経営アドバイザリーの方たちのプロの意見を聞いて、いかに収入を多くして、支出を減らすかという努力で改善が得られたと思っております。
○宮城良充中部病院長 はっきり申しまして、中部病院は従来、黒字病院でしたので、余り言うこともないかと思うのですが、この中で、先ほど松本院長も言ったように、やはり職員の意識は随分変わったと思います。
 例えば、ドクターのカンファレンスも、普通は病気のこと、症例について討論するものがカンファレンスですが、最近は事務長が呼ばれて、事務の話をしてくれ、経営アドバイザーが来たら経営の話をしてくれという形で、職員の意識が随分変わってきたことが大きな要因だと思っております。
 もう一つは、DPCも含め、診療報酬が随分変わりました。皆様御存じのように、その加算分が全国でトップになったことがある中部病院でございますので、診療報酬はハードルがだんだん高くなっていくのです。それをクリアするためには、やはりそれなりの人の手当てが必要ですので、加算を維持するためにも、これからコメディカル、ドクターも含めて、人をどういうぐあいに手当てしていくかがこれからの検討材料になると思います。
 そして経営の中で黒字は出ておりますが、今後は薬品費、それから診療材料費を縮減し、そして7対1ができるようにしっかりとナースを確保することが中部病院に残った問題だと思っております。
○知念清治北部病院副院長 まず、収益面の改善に向けてですが、施設基準の新規取得によって収益増に努めています。例えば医師事務作業補助体制加算は25対1、それから地域連携小児夜間・休日診療料加算がありますが、これは地域の小児の開業医の先生が夜間、当院で月1回当直してもらうことで得られる加算です。それから今年度は医療安全対策加算とか感染防止対策加算などをとっております。
 それから、委員会活動を活発化して、医師と事務が直接討議、検討する場ができております。例えば診療報酬検討委員会の下部組織として査定返戻作業部会をつくりまして、事務職と各科の先生方が、こういう例で返戻されたということを直接話し合って、次からはこうしたら返戻が少なくなるなというような会議を持ったりしております。
 それから、DPC委員会の下部組織としてDPC作業部会も持ちまして、これも医師と事務の間で直接討議する場であります。
 それから費用面においては、材料費及び経費の縮減に努めております。例を挙げますと、業務委託契約を仕様書から見直して、契約金額の実質的縮減を図っております。
 材料費については、各卸業者と価格交渉を実施することや、各病院の担当者間で価格情報に基づく情報を共有することで、診療材料費、薬品費の縮減を図っております。
 ちなみに平成22年度、医業収益に対する材料費比率は22.4%でありましたが、平成23年度では19.6%になっております。
○西銘純恵委員 経営改善に向けて、収益を上げるという形のほうが多く報告ということで受けたのですが―みんな終わりましたか。
○伊波久光精和病院長 精神科の場合、国の政策として、平成16年から入院治療から地域生活へということで、長期入院の退院促進という大前提があります。精和病院は精神科救急と処遇困難をいろいろ受け入れてきたのですが、一方で長期入院患者は退院させる、それから処遇困難、精神科救急を活発に受け入れると。
 ただ、これは受け入れただけでは診療収入にプラスにならないものですから、急性期病棟という少し単価の高い病棟を整備して、そこで受け入れて早期に社会に返すという早期退院と、長期入院をなるべく退院させることで、入院数はどんどん減ってはきているのです。
 そういう中で収益を上げないといけないということで、今言った単価の高い急性期病棟をうまく活用しましょうということと、今できることは、入院単価を少し上げることと、そのためには入院治療の中でのOT―作業療法を活発にすることによって入院単価が上がるものですから、OT部門として、1病棟分を作業療法室に活用して、その作業療法の点数を上げるということ。
 それから訪問看護とか外来をもう少し活発にするということ、それから、せっかく退院させた人をまた地域で支えるために、今言った訪問看護をふやすことと、デイケアを少しふやすことで―そういった外来部門を少し拡充することによって、入院収益の減少分を少しでもカバーしようという試みが行われてきました。
 院内では毎月、各セクションの目標を挙げてもらって、経営改善の会議などを行って―今はこういう状況にある、もう少し頑張らないといけないということは、毎月行っています。
 ただ、我々精和病院の場合は、経営とは関係なく、機能とかいろいろな体制の見直しも要望されているのですが、今はこの安定化計画、再建計画中は、この辺は少しおいておいて、まずは経営をよくしようという方面で、今引き続きやっているところです。
○西銘純恵委員 精和病院の精神とかの先生には、収益を上げるという性質の病院ではないという部分もあって、大変答えづらかったところもあると思うのですが、やはりほかの病院の先生方、職員の皆さんが努力した結果は、県民の医療の質を向上させるということでは、いろいろな意味でプラスになっていると私も受けとめています。
 病院長の報告を受けて、病院事業局長の見解も伺います。
○伊江朝次病院事業局長 私も現場にいた者の一人として、現場の病院経営がこの数年でいろいろ変わってきたということは非常に肌で感ずると思っております。
 といいますのも、自分たちでなかなか力が及ばないものは、いろいろな外からの力もかりて、自分たちの力にして再建していくという、従来公営企業にはなかった取り組みをきっかけに、やはりいろいろ民間的な手法を取り入れて、現場の経営改革をしてきたということが大きな柱になっていると思うのです。
 こういうことも、病院現場の若い事務職員から始まったということが非常に大きな原点だと思うのです。今まで二、三年でかわっていく事務方が、なかなか思うように動いていかないというようなことがございましたが、やはりこういう限られた二、三年の中でも、やる気のある人は大いに病院の運営に力となっていったという状況がありまして、そういう傾向が今後もずっと持続していけば、県立病院事業の経営は、基盤も非常に強化されて、昔の姿に戻るようなことにはならないと考えています。
○西銘純恵委員 患者数の不足が、先ほどやりとりの中で、休床しているとか、実際はそういう休床を引き上げれば、医師を確保すればということも言われたのですが、今年度、医師定数をふやしたのですが、病院事業局長、今、県立病院で必要な医師の定数は現状で足りるという認識でしょうか。足りていないということも、先ほど病院長からも明確にあったのですが、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 昨年は久しぶりに医師の定数の増を42名という形でできたということは、現場の希望からは少し離れていたとは思うのですが、やはりこれまでにない画期的なことだったとは思っております。
 医療の動向は、診療報酬の改定もさることながら、やはり地域住民の医療のニーズをどう捉えるかにも関係してくると思うのです。ですから、人材を今ある中でどのようにしてスクラップ・アンド・ビルドするということも必要ですし、それだけで十分でなければ、その時点で現場ともしっかり意思の疎通を図りながら、必要な人材の確保ができるよう努めていきたいと考えております。
○西銘純恵委員 3年間の経営再建を終わって、今新たな医師もふやし、現場との意思疎通を図るとおっしゃったのですが、私は今年度、やはりその現場の医療体制の見直しも含めて、大きく現場で動いている時期だと思うのです。そこで、今年度にはそのような新たな医師数、定数に対して見直しをしていく時期だと思うのですが、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 現時点では、県立病院課の人材確保チームが現場に出向いて、いろいろヒアリングしながら意見交換をしている状況で、決まった数字としてはまだ出ておりません。
○西銘純恵委員 議会としては2月議会で111名の定数について、もっとふやすということで、意思を出したのですが、増員については次年度、やはりきちんとした数字を出して提案をしてもらうぐらいに頑張ってほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 これは、やはり医療のニーズ、それから経営の状況もしっかりわきまえながら、病院事業に人をふやしたから悪くなったとか、そのようなことがないように、できるだけ健全な姿を保ちながら、そういう人材確保を図っていきたいと思っています。
○西銘純恵委員 精和病院も、あと1人いればということを明確に、定数不足を言っていました。ですから、定数増の立場で申請をすると受けとめているのですが、そうでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 これは病院現場の意向を踏まえたいろいろなデータとか状況を吟味して、やはり責任ある決断を出していかなければいけないと思っております。
○西銘純恵委員 今のは、ふやさないといけないという決断ということで受けとめます。
 離島診療所に対する医師派遣についても、どのようにやっているのでしょうか。定数との関連も含めてお願いいたします。
○伊江朝次病院事業局長 診療所の医師の確保については、まず第一義的に、自治医科大学の出身者を毎年2名、診療所の医師としての要員の確保のために送っております。
 さらに加えるに、県立病院事業の研修事業の中で、診療所に勤務する医師を養成するためのプライマリーケアコースが毎年7名入ってきておりまして、この自治医科大学出身者とプライマリーケアコースの修了者が3年修了した時点で、離島の診療所に配置されていくということです。主なる医師の供給はこれになっておりまして、今足りないところを一部、今1人だったと思いますが、外部からの人材確保でやっているという状況がございます。
○西銘純恵委員 配置の予算はどこから出るのでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 基本的には病院事業からの配置になっておりますから、病院事業の予算の中で確保されております。
○西銘純恵委員 具体的にどちらかの親病院ということを前に聞いたものですから、そこら辺の報告をお願いします。
○伊江朝次病院事業局長 これはそれぞれの親病院の会計の中に入っております。
○西銘純恵委員 それは、そこの診療所の運営費、そして医者、看護師、事務の経費、そして、例えば代診とかがあるのですが、そういう経費、全てを含めて親病院持ちでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 基本的にはそういうこととなっております。
○西銘純恵委員 いろいろあるのですが、この診療所に派遣されている方が1年、2年と。そうしたら
365日、実際は休暇なしという実態があると。その代診についてお尋ねしたいのですが、これはそこの診療所から戻ってこられた、ほかの親病院に戻られたとかも含めて、経験者もいると思うし、現在勤務されている方もいると思うのですが、この必要な研修とか、いろいろ希望する休みについて代診がきちんととれているのかどうかのアンケート、実態調査をしたことはありますか。
○伊江朝次病院事業局長 今の診療所の医師の実態調査は、これまでやったことはございません。
○西銘純恵委員 代診派遣の日数について、どのようになっていますか。
○篠﨑裕子県立病院課医療企画監 平成23年度の場合で、全体で代診派遣日数が総数として447件ありました。そのうち親病院での代診医の派遣に関しては
338件、ドクタープールという福祉保健部が持っている事業で98件と、ユイマールというドクタープールが11件です。
○西銘純恵委員 447日を単純に16人で割ったら、1人当たり28日ぐらいかと思うのですが、通常の勤務医の形態からすれば全く足りないと思うのです。だから、実際想定されて、代診が割合的に希望、必要とするもののどれぐらい保障されているかはわかりますか。
○篠﨑裕子県立病院課医療企画監 この代診の数は、今のところ夏休みの5日間プラス前後2日ぐらいのお休みをかけて9日間とか、あと学会派遣とかに行く日数で、今実績としてはのっております。
○西銘純恵委員 先ほど診療所体制で、2人体制も必要だというところがあるということを病院事業局長が答えられました。そこも含めて、親病院から送るときには、親病院はそのかわりは、また何らかの形で探さないといけないという窮屈な状況が起こるわけです。338日ですよね。だから、そういう意味では、やはりその問題も含めて、医師定数もやらないといけないと思います。
 もう一つは、ドクタープールが98日ということですが、これがほとんど賄えていない理由は、代診の方法にあると思うのですが、ドクタープールで抱えている課題というのか、代診が機能していないということは、どこに原因があるのでしょうか。
○篠﨑裕子県立病院課医療企画監 こちらの代診を行うドクタープールに関しては福祉保健部の事業で、その中に沖縄県離島医療支援事業実施要綱というものがあるのですが、その事業内容として、診療所の医師の研修及び学会等と対象が限られていまして、今そちらの利用しかできなくなっております。
○西銘純恵委員 そうしますと、夏休み、休養、法事等について使われていない、これは福祉保健部でまたやりたいと思います。
 次に、経常収支の繰り入れについてお尋ねします。平成22年度、平成23年度は幾らでしょうか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 一般会計からの繰入金状況ですが、収益的収支予算、いわゆる3条予算に対しての繰入額が、平成22年度が54億8152万
8288円、平成23年度が71億1738万538円、資本的収入予算に係る繰入額が、平成22年度33億846万2327円、平成23年度18億1227万9844円となっております。
○西銘純恵委員 一般会計から病院事業に繰り入れをするのはなぜですか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 地方公営企業法に言う経費負担の原則に基づいて繰り入れをされております。
○西銘純恵委員 私はいつも救急医療についてお尋ねしているのですが、それでは地方公営企業法第17条の2の第1号についてお尋ねします。何と書いていますか、負担の原則2種類を述べてください。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 まず地方公営企業法第17条の2の第1号経費については、一般行政事務を企業が肩がわりして行っている場合のように、受益者負担の原則になじまず、料金回収に適しない経費ということで、企業の独立採算制の枠から外し、繰出金として一般会計に負担させるものが第17条の2の第1号経費、第17条の2の第2号の経費については、能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費と法律でうたっております。
○西銘純恵委員 地方公営企業法第17条の2第1号について明確にその条項を答えてもらえませんか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 失礼いたしました。「その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもつて充てることが適当でない経費」となっております。
○西銘純恵委員 この地方公営企業法第17条の2第1号に基づいて救急医療の繰り入れがなされているわけですが、平成23年度、救急医療の経費は幾らでしたか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 平成23年度、地方公営企業法第17条の2第1号に基づき、救急医療確保経費として11億9038万2000円措置されております。
○嘉手納良博県立病院課長 平成23年度は費用として24億8924万1000円でございます。
○西銘純恵委員 地方公営企業法第17条の2第1号についてはこれをきちんと繰り入れをしなさいということを明記しているのです。私はずっとここを言っていますが、この決算においてもこれが曖昧にされたままやられています。
 ちなみに、ほかの県でこの救急医療、経費を全て一般会計から繰り入れをしているところは、どこがありますか。
○嘉手納良博県立病院課長 全国で2団体ございます。そしてその費用の内訳として、職員人件費の増嵩分、いわゆる待機とか、あるいは遺失利益、空床に伴う遺失利益等が対象経費となっております。
○西銘純恵委員 沖縄県は、法を遵守すれば、そういう経費を全てということで私はずっと言ってきたのですが、実際そのように、また同じように空床とか言っていますが、実際はこの経費については、救急医療は、どこから救急でという仕分けはできないわけでしょう。実際に救急患者を診ている、手術をしているとか、そういうときに、何が救急ですと線引きしながら歩けるのですか。そういうことはできないから、地方公営企業法第17条の2第1号では救急医療は全て、この収入が入ったにしても、この経費をそのまま繰り入れをしなさいということで地方公営企業法第17条の2第2号と分けているんですよ。
 それでお尋ねします。全ての繰り入れの1床当たり平均、全国と沖縄県はどうなっていますか。
○嘉手納良博県立病院課長 病床1床当たりの繰入額については、平成22年度地方公営企業年鑑等に基づき、全国と比較しますと、全国平均が471万2000円に対し、本県は373万5000円でございます。
○西銘純恵委員 今、平成22年度を出したのですが、これは84億円の特別繰り入れをされているときなのです。では、10年平均でどうですか。通常84億円で未来永劫行くのですか、そうではないでしょう。
○嘉手納良博県立病院課長 10年間平均額で比較しますと、全国平均が446万6000円に対し、本県は283万円となっております。
○西銘純恵委員 この数字も、いただいた資料とまた違えて出してきたりして、皆さんの数字は何が合っているのか、毎回変わってくるのです。この数字が変わるというところでお尋ねしたいのですが、次回の検証委員会はいつでしょうか。
○嘉手納良博県立病院課長 11月12日の予定でございます。
○西銘純恵委員 ずっと検証委員会で独立行政法人化についてどうするか決められると言っていますが、私は病院事業局長も無責任だと思うのです。この間3年間やってきて、数字も手元流動性は2月、6月議会で激論して、最初、どの数字が今の、10年間に
238億円という現金がありますという数字に変わったのですか、どの数字からどう変わったのですか。
○伊江朝次病院事業局長 今、去年の収支推計を持っておりませんが、記憶が確かだったら35億円だったと思います。
 これは前提条件が今回と違うわけです。平成22年度の決算に基づいた10年間の推計でございまして、さらに繰入金が50億円ということです。それから7対1の看護基準を、平成26年までに全病院で実施するということが前提にあったと思います。今回はこれが違ってきております。それから退職金の計算も、民間の機関にお願いして、民間の手法を用いて、普通退職あるいは定年退職等をしっかり推計しながら出しております。
 ということで、今回の平成23年度の決算を基準にすると、10年間の収支推計の手元流動性は238億円になるということでございます。
○西銘純恵委員 今度指摘したいことは、決算書で出しているのですが、先ほどは平成23年度の3条繰り入れは71億円と言ったのですが、皆さんが検証委員会に出された2の2の資料で、65億円の繰り入れということで数字を出しているのです。だから、皆さんは数字をいろいろなところに、安定的にいかないような数字のさわりがある。そして県立病院課に
16億円という現金を入れたということも、これは問題があるということを指摘します。
 最後に病院事業局長に、10年間やって手元流動資金もしっかりとある、そして経営も黒字になったと。これは先ほども言われましたが、病院事業局長、病院事業局として、県立病院は今のような状況で継続的にしっかりいけると。10年後、200億円と言ったらどうですか。179億円の目に見えない、実際は借金ではないものを持っているなどと言っても、あれは紙切れと一緒です。200億円余りの現金が10年後にあるということは、どんな風が吹こうが絶対に安定していけるということは、病院事業局長がそれを出すべきではないですか。
○伊江朝次病院事業局長 これはあくまで先ほどの前提条件、平成23年度並みの決算、そして7対1看護も北部病院までということと、毎年の繰入金が平成24年度の59億円と。ですから59億円ということが前提になっておりまして、八重山病院の新築、消費税の値上げ、それから新会計基準の退職金の引当金は含んでおりません。ですから、あくまで今の条件でやると出るものが238億円でありまして、実際に現実には、これよりはもっと落ちるということが私たちの考えでございます。
○西銘純恵委員 落ちても100億円以上あるでしょう。
○伊江朝次病院事業局長 おっしゃるとおりです。
○玉城ノブ子委員長 吉田勝廣委員。
○吉田勝廣委員 9年ぶりの決算委員でありますから、少し数字をいろいろと教えてください。決算審査意見書の15ページ、一般会計からの繰入金というところで、先ほども地方公営企業法第17条の関係、一般会計からの繰り入れの法的な根拠とかのお話をなさいました。
 そういう中で、僕も少し調べたのですが、平成20年、平成21年、平成22年、平成23年と、この第17条に基づく繰入金が入っているわけです。そうしますと、たしか平成21年から黒字になっております。平成20年が約83億円の繰入金をしているのですが、マイナス22億円という形で赤字というか、その前は赤字が非常に多かったのですが、平成19年が12億円の赤字という中で、平成21年から黒字になるわけですが、この理由、なぜこういう黒字に展開してきたのかを少し説明していただけませんか。
○伊江朝次病院事業局長 実は平成19年度から、まず診療材料のコストダウンというか、値引き交渉とかをいろいろ始めました。それと同時に、この何年かの診療報酬の改定もございましたし、平成21年度は、入院収益等の増といったところが経営にかなり影響してきたのではないかと思っております。
○吉田勝廣委員 平成19年に約40億円の繰入金が入っているのです。僕は繰入金と収益に相関関係が非常にあるのではないかという感じがするのですが、それはいかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 政策医療で繰り入れをしなければいけない対象項目は、救急医療、小児、高度医療、周産期、こういったところの収支差を繰り入れするという形になっておりますから、経営の状況がよくなってくれば、当然それに反映される繰入金は減ってくるということはございます。
○吉田勝廣委員 いや、ざっと見ると繰入金は減少しないで一定しているのです。そうではないですか。
○伊江朝次病院事業局長 先ほど言いましたように、繰入金は病院の収支不足を全部補うわけではないのです。限られたものが政策医療の対象になっておりますから、その辺の状況が改善すれば当然減ってくる。特に高度医療などの収支が改善したということはございます。それから小児医療も、もともとはかなり不採算のところがありましたが、この辺も少し改善したという状況があったと思います。
○吉田勝廣委員 決算書から繰り入れ状況を見る限り、繰入金は法に基づいて、公的医療機関としてやらなければならないところに補助金が入っていると理解してよいのでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 そのようなことだと思っております。
○吉田勝廣委員 そのようになれば、これからの県立病院のあり方論が、公的病院でなければできないようなことに、地方公営企業法第17条に基づいて補助金を支出することはごく自然であると考えれば、この繰入金はそのまま―大体89億円であるとか中身はいろいろありますから、それは継続をして、その中からこの病院経営を考えるということを前提にすればよいのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 繰入金はあくまで原則的には、総務省が示した繰出基準に基づいてやらなければいけないと思っております。そこでさらに自治体の状況も加味してやっているということがございますから、やはり出していただくものはしっかり出していただくようなことが私たちは基本的姿勢だと思っております。
○吉田勝廣委員 先ほど、黒字になった原因も聞きました。そして、これから問題として、医師の確保とか、専門スタッフの確保とか、恐らく高度医療機器の購入とか、さまざまなことをしなくてはならないと思います。その前提として、医師の確保とか専門職スタッフの確保はどういう形でやっていくのか、この具体的な策があれば聞かせてください。
○篠﨑裕子県立病院課医療企画監 医師の確保についてお答えします。現在、県立で行っている研修病院での研修修了後の離島研修という形で、離島に研修医を派遣したり、必要な診療科においては、大学や民間病院に出向いて協力連携をして派遣していただく方法などがあります。
 あと、院長先生を含め、医者の人的なネットワーク、友人なり上司であった先生たちを頼って、全国に行って地域医療にある程度かかわっていただける先生を派遣していただくよう依頼をしに行っております。
○吉田勝廣委員 これは何回も聞いていますから、形式的なことで。私が言いたいことは、実際それでも来ないわけだから、どうするかということです。先ほど言ったように、ステップアップもそのとおりだし、医師に対する手当だとか、将来性に対する希望とか夢があるではないですか。これをいかに与えていくのか。これは現場の院長先生が一番わかるだろうから、現場の院長先生、少し説明してくれませんか。どうすれば医師確保ができるか、わくわくするようなことを言ってください。中部病院長からで結構です。
○宮城良充中部病院長 一番難しい問題になっております。毎年このように若い医者が来て、研修をして、それなりに力をつけていくのですが、やはり沖縄に残って、定着してやりたいという何かがいま一つ欠けているのではないかと思います。
 それは何かと申しますと、今、松本院長も言ったように、恐らく専門化志向が大きくネックになっていると思います。それに対して我々は、逆方向へ行こうということで、むしろこれからはまず総合的な医療をやって、それから専門的なことをやればよいということを初期研修、後期研修からやって、それで医者を残そうという方向転換を今やっているところでございます。
 その中から、沖縄の離島あるいは沖縄の医療に興味を示して、残ってくれて、そういう人たちをステップアップのために外国に送るとか、そういう形を今後続けていければと思います。やはり若い医者はこれだけの教育を受けていますので、1つでも2つでも伸びていこうという人ばかりです。そういうものを何とか目指してあげれば、沖縄にもまた残るのではないかと思っております。
 済みません、これぐらいしか答えはできません。
○吉田勝廣委員 中部病院の研修制度が高く評価されていることは全国的に知られていて、私の知っている医師も、中部病院の研修に行こうとしたら、成績が悪くて落とされましたというようなことも言っておりました。この方は沖縄で研修を受けて、今大阪で仕事をしています。そういう意味で、若い医師に夢を持たせて、沖縄で仕事をしてもらう。先ほど先生が言ったような総合的な医療体制に、若い医師が根づくかどうかと。
 そのためには、ある程度の財政的な支援がなければ、そういう先生方を定着させることはできないと思うのです。そういう意味では、病院事業局長。やはりこういう対策を早急にすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 従来、我々は900人以上の研修修了者を出しながら、全国にばらまいてきたという経緯がございます。そういう状況で何とかやってはこられたのですが、あちこちにひずみが出てきているわけですから、こういうせっかく育てた人材の中からいろいろピックアップして、医師個人のキャリアアップを支援しながら、今後は沖縄県の病院事業に貢献してもらうような制度をしっかり据えていかなければいけないと思うのです。
 ですから、先ほど奥平委員から、3年間定着させるにはどうしたらよいのかということがありましたが、例えば3年間定着したら留学してもらう、そして一定期間勤めるとかいったものは今でもあるのですが、もう少し抜本的に見直しながら、国内、国外留学も踏まえた医師のライフプランを支援できるような人材確保に結びつけていけたらと考えております。
○吉田勝廣委員 3年でも2年でもよいですが、留学制度であれ何であれ、問題は財政です。それに対してどう支援をするか。そしてまた、研修を待ち受けるポジションをどう確保するかも大事だと思うのです。そこはやはり、事務方が財政的制度をつくるわけだから、そういう制度をつくるためには、ある程度条例化しないといけない。では、そこをどう具体化していくか。どうですか。
○呉屋幸一病院事業統括監 若い研修医、それから医者にとって魅力ある病院とは何か、そこで研修をする、あるいは医療の業務に従事していく中で、どれだけ自分の力を蓄えていくか、あるいはつけていくか、その研修の内容、あるいはその病院が持っているシステムの中身について非常に問われるのだろうと思います。
 今、病院事業局長が申し述べましたように、研修制度もきちんと制度としてやっているわけです。ただ、その部分については経費的にまだ十分ではないところはあります。これについてはその病院で、いかに経費を生み出していくかという努力にもかかっているところがあって、非常に厳しいところはございます。
○吉田勝廣委員 医師の確保をして医療収入を上げる、これは基本です。今は医者が少なくて、あるいは7対1をやったら収益が上がってきており、そういう医療をもう少しクラスを上げれば、医療収入が上がる。また、せっかく900名の研修生が来ているわけで―これはよそにないことだから、医者の卵たち、立派な一人前になろうとする人たちがこっちへ来ていて、その人たちをいかにして定着させることができるかと。社会的要因も含めて、最高な地理的要因はあるわけです。900名もいてなぜ定着しないか、そこの検証をすることによって何とか定着させるのだと。それはどういうことなのかと。そこを僕は今聞いているわけです。
 そして、その中から、定着することによって沖縄の医療の質がもっと増して、研修制度が出てきて、またより定着するという相乗効果ですよ。そこを、お金を借りてでもいいから―なかったら金をどうつくり出すかでも結構ですから、そういうことをきちんとやるべきではないかと思いますが、病院事業局長、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 先ほど言った900名余りが研修を修了して、6割は県内に定着しております。これは県立病院から民間病院に行かせているということで、かなりの他府県出身者がいるという状況がございます。
 それを踏まえて、沖縄県の病院事業の人材育成、いわゆる中堅の人たち、しっかりした者を育てるためにも、国外、国内留学はぜひ必要だと思うのです。
 こういうことは、病院事業局だけではなく、沖縄県の医療を預かる福祉保健部とも、あるいは総務部ともしっかり協議しながら進める事業ですので、沖縄振興一括交付金というものも出てきているので、そういうものを利用しながらいろいろ考えていきたいと思っております。
○吉田勝廣委員 今の答弁をずっと待っていたのです。今後、平成25年度で沖縄県の医療保健計画は改訂されます。そういう中で、研修制度とか、今度医療ベッドをどうふやすか。それで臨床工学技士等をどう採用して、どのように経営に結びつけるか、僕はさまざまなアイデアが浮かんでくるのです。
 そしてまた沖縄振興一括交付金は10年続くかわかりません。ただ、沖縄21世紀ビジョンで10年続くと言っているわけだから、そういう中でそれを盛り込んでいくのだと。夢があれば若い医師も必ず来るのではないかと。
 そこで中部病院長―中部病院で特に研修を受けているわけですから、そういう夢を医師に待たせるとか、今後の病院経営で、中部病院として、例えば看護師のスタッフ、いろいろなスタッフをふやしていきたい。そうすることによって経営が向上していくのだということがあれば、夢でも結構ですから、少しお述べください。
○宮城良充中部病院長 非常に前向きな御提案をありがとうございます。やはり若い医者も含めて、実は現場では若い医者もさることながら、中堅どころが残って、一番働き盛りですので、こういう中堅どころの人材も確保するということを考えますと、先ほど出た海外留学を含めて、リフレッシュすることは非常に大事だと思いますので、これはもう離島、本島かかわらず、リフレッシュするような中堅どころの研修制度も同時にやっていただければ定着がよくなって、医療はよい方向に向かっていくことは間違いないと思いますので、ぜひとも皆さんのお力をかりられればと思っております。ありがとうございます。
○吉田勝廣委員 僕は総合的な医療体系を形成していくために、福祉保健部は、沖縄県医療計画の中で県立病院をどうのように位置づけて、どのように将来の展望をつくっていくか。それを計画に挿入していくことが非常に大事です。
 そしてまた、医師以外の医療スタッフも、やはり向上心、夢があるような働き場所があって、7対1になって業務量が少し緩和されて、よい仕事ができるだろうということもあります。また、さまざまな職種の医療スタッフをまとめて、総合的なチームをつくっていくことが大事だと思いますから、この辺も医療計画審議会の中できちんと議論していき、またその後で県立病院のあり方論で今後の展望をどう切り開いていくかが大事ではないかと思っております。
 そういう意味で、最後に、申しわけないですが、各病院長の決意を聞かせていただきたいと思います。最後に病院事業局長、決意をお願いします。
○知念清治北部病院副院長 県立北部病院は、北部地域で救急医療初め高度特殊医療、離島・僻地医療など極めて重要な役割を担っています。
 しかしながら、医師確保の問題とか看護師の産休等に伴う臨任看護師の確保、長期入院患者の抑制などさまざまな問題があります。このような問題は北部病院だけの努力ではなかなか解決できないので、今後、北部市町村圏事務組合等と連携を強化して対応する必要があると考えていますので、各委員の皆様には引き続き御支援、御指導をお願いしたいと思います。
○宮城良充中部病院長 中部病院はこれからも頑張ります。6つの病院の中の兄貴的な存在だと言われておりますので、そういう意識を持ちながらいきたいと思います。
 先ほど医師確保の話で出ておりますが、もし中部病院で余力を持って医師を採用してほしいのであれば、中部病院で教育をして、また各離島に送るという方法もございますので、これからいろいろな方法が考えられますので、またよろしく御検討をお願いしたいと思います。
○我那覇仁南部医療センター・こども医療センター院長 私は個人的には小児科医で、ずっとこども医療センターでありまして、小児の話をしたいと思うのです。かつて沖縄県は、離島に小児科を充足させるには人材がかなり不足した状態にありました。ところが、現在は最も離島に医師を確保しているのは小児科なのです。
 それはなぜかというと、南部医療センター・こども医療センターができて全国から応募があり、しかも彼らの希望は離島でやりたいと。我々のスタンスも、県立病院で小児科をトレーニングして、3年目は離島へ行くのですが、我々の一番の教育のアウトカム―理想とするものは何かというと、離島でひとり立ちできる医師を養成することです。これは県立病院のどの科もそういう目標も持っています。
 もう一つ、定着率の話があったのですが、どうしても若い人は長いことはおれません。議員にも力をかりたいのですが、こういう人たちが帰ってこられるシステムをつくる。そのためには何が必要か。定数条例の改定です。彼らは残りたいが、残れないからほかへ行くという人もいるのです。
 だから、中堅の医師の募集も含めて、もっと若い人たちが県立病院に残って、それから外でトレーニングして、また帰ってくると。そのようにして、今度は県立病院単独ではなくて、横に連携しながら、それを生かしていくというシステムを構築することが、将来の沖縄県の医師確保にとても大切なことだと思います。
○安谷屋正明宮古病院長 田委員の後押しに感謝します。宮古病院はこの3年間、県立病院経営再建に向けて頑張ってきましたが、今後、地域の医療を守るという意味で、やはり経営を抜きにして語れないと思うのです。これを頑張っていくためには、職員に夢がなければやっていけません―経営、経営だけでつつかれていたらもちません。ですから、職員、医師、看護師も、コメディカルの職員も、夢がないとこの地域医療を守れません。
 先ほど田委員からお話があったようなものがすぐ実現できるかどうかは別にして、議員の皆様がそういう方向で後押ししてくれるなら、そして地域住民が医師、職員を迎えてくれるなら、やはり夢のある、地域として経営的にもよい体制ができるのではないかと思って、田委員に感謝申し上げます。
○松本廣嗣八重山病院長 全く田委員には感謝します。
 私は、やはり離島というところは本島の病院とは少し違うと思うのです。我々の地域には人口が5万4000人ぐらいしかいなくて、観光客でふえるというようなことはありますが、これが極端にふえていくことはございません。
 では、我々の地域に開業医がどれだけできるかという問題なども関係してきます。そして、人口構成が徐々に変わっていき、老人がふえてき、患者は自然増になるはずです。そのようなことをいろいろ予測しながらやっていくことが重要だと思うのです。
 ただ、石垣島は南に開かれた玄関といいますか、そういうところにあるわけですから、島のことだけ、あるいは日本のことだけ考えていくようなものではなくて、もう少し外に向けて視野を広げられるようなものを石垣島につくってもよいのではないかと思うのです。
 そして、そこで外国の医師たちを受け入れ、あるいは非常にレベルの高い病院をつくったら、心臓の手術を―今の段階であそこでやるなどということは、夢のまた夢でできませんが、海外からのそういう患者がたくさん来るような、あるいは医師も海外の医者が来るような関係であれば、海外の例えば心臓の患者を受け入れるぐらいのレベルの病院をつくって、そのフリンジベネフィットといいますか、そういう余禄で地域の住民が心臓の手術でもそこで受けられるような形ができるかもしれないとは思います。
 いずれにしろ、そのようなことは小さく小さく、経営のことだけとか、内々のことだけを考えていたのではなかなか成り立たないと思うのです。ですから、県議会のお力をかりながら、我々の制限された中だけで動くのではなくて、もう少し広い視野で物事を進めるような御検討をいただければありがたいと思います。
○伊波久光精和病院長 今、精神科の政策医療が転換期にありまして、今後どのように展開していくか、その中で公的精神科病院としてどのような役割が求められるのかが、まだ混沌としている状態です。
 来年度から5疾病5事業ということで精神疾患が加わりまして、これがまたどのような影響を及ぼすのか、それから先ほどから言いましたように病棟をいろいろ削減したり、そのような動きがあります。
 医師に関しては、精和病院でも中部病院でトレーニングを受けて、それから精神科医になったドクターが活躍しているのです。大学からとか単独でという人はなかなか来ないものですから―我々は後期研修を受け入れているのですが、そういう意味で中部病院で精神科の後期研修の枠をもう少し広げてもらって、育てていただきたいと。
 精和病院もそうですが、宮古病院の精神科とか八重山病院の精神科に関しても、今後はすごく流動的になってくるということと、単価の高い急性期病棟の場合は、今48対1という精神科特例で、医師の数は少なくて済むようになっているのですが、だんだん一般並みの医師配置をしなさいとなってくると思うのです。
 だから、民間も含めて精神科医は少ないということで、先ほどから医師定数に関していろいろ言われていますが、極論ですが、医者が余ってしようがないということには絶対にならないと思います。ほかの職種はどうか知りませんが、たくさん採用したこの人たちの退職金をどうするのだとか、処遇をどうするのだという問題が出てくるかもしれないのですが、医者に関しては、ある面で、僕から言わせれば、基本給は余り高くないのではないか、いろいろな手当で高くなっているのであって、人数がふえても別にその分の手当がそんなにふえるわけではないと。
 そういうことで、やはり少しお金が欲しいという人はどうしても出ていってしまうということで、医者の定数はもう少しふやして、来る者拒まずで、どうせ出ていくはずですから、その辺はもう少し緩和してほしいということが希望です。
○伊江朝次病院事業局長 僕の記憶している限りでは、田議員が病院事業に質問したのは今議会が初めてではないかと思っております。本当に思わぬ方向からいろいろな質疑が飛んできて、我々が考えている以上の新たなこともお話しいただきましたし、県立病院そのものが、やはり皆さんの財産になっているということをつくづく感じました。
 あとは、地域の皆様がそれぞれ当該の県立病院を、ぜひ自分たちの病院だと思って、しっかり支援していただいて、うまく利用するということまでいけば、今後の県立病院事業は非常によい方向に行くのではないかと思っております。今後とも御協力をよろしくお願いします。
○玉城ノブ子委員長 當間盛夫委員。
○當間盛夫委員 田委員の力強い応援の後にやりにくいところもあるのですが、先ほどの各病院長のお話を聞いて、やはり医師確保、看護師確保は、定数条例の改定をしなければいけないということで、これは議会がしっかりと責任を持って、きょうは与党の皆さんもしっかり痛感しておりますので、与党も一緒になって定数条例の改定をやれるものだと思っておりますので、ぜひ一緒になってまた頑張っていきましょう。
 市内の民間病院にいる理事長が静脈瘤を起こして、急遽南部医療センター・こども医療センターに入院して、すぐ手術をしました。この理事長のところへ面会に行くと、県立病院は大したものだと、それまで批判していた理事長がしっかりと、やはり県立病院はあるべきだ、きちんと県立病院の役割を果たしているという評価もしておりましたので、また頑張ってください。
 きょうは決算でもありますので、少し辛い話もしながら。先ほど気になったことが八重山病院長からもありましたので、八重山病院の改築の件を少し話をさせてもらえば。もう宮古病院新築は結構進んでいます。来年の3月開業という形ですが、その宮古病院の状況はどう進んでいて、そしてまた八重山病院改築に向けてどうしていくのかを病院事業局長から少しお願いします。
○伊江朝次病院事業局長 宮古病院の件ですが、今年度中に病院の建築が終わって、その後は内部の整備、医療機器の導入とか、職員をその機器になれさせるためのトレーニングをする期間を設けて、来年の5月のゴールデンウイークに引っ越しをして、新たな病院で医療を再開する予定になっております。
 現在の状況ですが、実はことしは台風が多いものですから、職人はいるが、材料が来ていないという状況がこの数日あります。現に今居座っている台風の影響で、資材の搬入ができないということがありまして、ことしは台風の影響で、工事の進が約3カ月おくれているのではないかという状況がございます。
 それで完成も年明けにずれ込むのではないかということになっておりますが、できるだけ施工業者にハッパをかけて、後半の追い込みで何とか予定どおりに持っていけたらと考えている状況でございます。
 とにかく工期どおり順調に完成しないと、医療機器の搬入とかにも影響しますし、その医療機器や電子カルテ等にも、職員がなれない状況でオープンの時期を迎えることは避けなければいけないと考えて、その辺をどう是正するかで今、県立病院課も宮古病院も腐心しているという状況でございます。
 それから、八重山病院の件ですが、古い八重山病院と宮古病院のタイムラグは3年ぐらいございますので、大体同じような時期につくられているということではあります。病院事業もこの10年間、過去5年は経営がかなり厳しいという状況で、私が八重山病院長をしているときも、病院を新築してくれということは一言も発することができなかったという状況もございまして、建物の老朽度調査も、本来なら宮古病院に合わせて、三、四年後にはやっておかなければいけなかったという状況がございましたが、そういうこともできないような状況で、ずっとこれまで来たということがございます。
 近年になって、そういう状況も、経営支援もあって大分改善してきましたし、財政的にもそれが可能な状況にはなってきていると思います。去る、平成22年には耐震化ということで、八重山病院が地震で壊れることのないような補強はしましたが、いろいろな内部の設備とかも―ことしに入っても、給湯管の破裂とか、天井の電灯がコンクリートの剥離で落下したということもありますので、やはり早急に、そういう老朽度を調べなければいけないと思っております。まず老朽度調査やって、今後のスケジュールをどう考えるかということを始めたいと思っております。
○當間盛夫委員 せっかくですので、八重山病院長も見えていますので、今、状況等を含めてどう考えるのか、少しお話しいただけますか。
○松本廣嗣八重山病院長 八重山病院は32年たっておりまして、病院事業の経営状況は全体として多少よくなってきたわけです。実は私は、あと5年ぐらいの間には、ひょっとしたら病院が緊急機能停止をするようなことも起こるのではないかと思って、老朽度調査をしていただけませんかと要請書を病院事業局長に提出したところ、その10日ぐらい後に給湯管の破裂が起こったのです。
 これは病院の施設を管理している担当者から、いつどこが壊れてもおかしくないという話を聞いていたので要請をしたが、途端にそういうことが起こって、私自身が本当にびっくりしたのです。これは5年以内にと思っていたが、いつ起こるかわからないと思うようになって、非常に危機感がございます。
 もし、電源と水がストップしますと病院は機能しません。手術場も救急もお産も一切できなくなります。そうすると、今抱えている患者をどうするかという問題が出てくるわけです。
 近くに開業病院が2カ所ありますので、そちらに患者を何人かずつ受け取ってもらうかとか、それで十分でない、あるいは重症な患者を本島に送る手続はどうすればよいのかとか、そのようなことを考えなければいけない状態になったわけです。そういうことで調査を急いでいただきたいということで報告を差し上げたという状況があります。
 我々、急にとまるという可能性の中で診療をするわけですが、とまってしまうと全く身動きができないだろうと。それがいつ起こるのか、修理をしている最中にでも起こり得るだろうと、そのぐらい切迫感がございます。
○當間盛夫委員 松本病院長のせっぱ詰まった部分もあるとは思うのです。
 病院事業局長、今設計、建築しても3年、4年かかるはずです。今現状いろいろな改築をしても5年もたないと言われるのです。それからすると、次年度に実施設計に入っていかないと、間に合わないと思うのです。実施設計を1年でしても、その工事が2年、3年かかってしまうとなると、どうなのでしょうか、次年度実施設計に向けて、皆さん、進しているのでしょうか。
○呉屋幸一病院事業統括監 施設の老朽度で病院長が非常に危機感を持たれていることは承知しております。そのために今年度、緊急に既決予算で老朽度調査を始めております。
 そういう施設の老朽化に対する対応ということで、日ごろの点検は、毎年維持管理費という形で業者に委託をして施設の整備をしております。あと、空調設備もがたがきている、それも取りかえるということで、常日ごろの建物の整備は丁寧にやっていこうと考えております。
 建てかえについては、委員おっしゃるように年限がかかるということもありますが、地元でどういうところにつくるのか、規模はどうするのか、市町村がどのような形で病院建設にかかわってくるのか、それを早急にまとめていただかないと、基本構想とか基本設計とか実施設計には入っていけないというところもありますので、そういう地元のまとめも急いでいただければと私どもは考えております。
○當間盛夫委員 いや、必要としているわけですから、早急にまとめたらいいのです。維持管理はやはり並行してやらないといけないです。その部分でやっていることは、あくまでも改築するための維持管理になるはずで、なくなって、もうだめになってから新しいものということにはならないはずでしょうから、これは新病院ができるまでの、この5年間―三、四年間の話になるはずでしょうから、並行してしっかりとやってもらえれば。早急に地元の皆さんに、用地はどこにするとかを、次年度を待たなくてしっかりとやってもらいたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 経営改善はいろいろと取り組まれて、医療の費用とかも縮減して黒字化に持っていっている、これは高く評価する部分です。県立病院がそういった部分で良質な、安定した医療をするためにも、やはり経営が安定していくということは最も大事な部分があります。
 それと、未収金がどうしても気になっておりまして、全国に比べて未収金はどういう状況にあるのでしょうか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 未収金に関しては、西銘委員にも同じ資料をお渡ししておりますが、今、沖縄県の未収金の状況は、午前中にもお話ししましたとおり19億4777万4000円になっておりまして、次に未収金の多い県は岩手県で13億5004万2000円、岩手県に関しては病院数が多いこともあって未収金が多くなっております。次に多い県は静岡県の6億 7974万6000円となっております。これが1位、2位、3位となっております。
○當間盛夫委員 岩手県には20病院ぐらいあって13億円が未収金になっていると。岩手県の病院を見ると6億円ぐらいなのです。この数字が少し違うのではないかと思うものですから、岩手県は今度3・11に遭ったように震災もあったということで、その部分の状況も少しあるのですが、岩手県は20病院あると、病院事業局長、沖縄県の19億円は突出しています。
 皆さん、冒頭で赤字でもという形があるのですが、この19億円の入院、外来の未収金の割合を教えてください。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 総額で御報告しますが、入院が16億7522万4087円、外来が2億7057万2014円、診療所が197万7963円、合計19億4777万4064円となっております。
○當間盛夫委員 割合は86%が入院なのです。その意味では8割以上が入院しているわけですから、やはり長期になっている方々もいます。退院された方々もいろいろとあるはずでしょう。これは時効などはあるのですか。少し教えてください。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 診療報酬の時効は3年でございます。
○當間盛夫委員 では、この時効になった金額はわかりますか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 3年未満の未収金の額が6億3019万1748円、3年を超えた未収金が13億1758万2316円になっております。
○當間盛夫委員 時効ということは、もう請求できないということになるのですか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 平成18年以前は、我々の診療報酬の未収金も公的債権で処理されておりましたが、最高裁の判例がございまして、それ以降は、私法的な債権と位置づけられまして、3年ということになっておりまして、援用が必要になってきております。公的債権の場合は援用も必要なくて、5年を経過したものに自動的に処分できたのですが、現在はそのようにはできておりません。
○當間盛夫委員 もう少しわかりやすく言ってください。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 現在、援用が必要な金額、あるいは実際時効中断をしていて、幾らになっているかという数字は、今手元に資料として持ち合わせてございません。後でまた調整して御提供できると思います。
○當間盛夫委員 でも、実際これだけの大きな金額になってくると、いろいろな沖縄の状況、県民所得が低いから仕方ないという話にはならないはずです。
 先ほども言っているように、県立病院が安定した経営体質を持たないと、これは後々我々県民にかかってくる部分があるわけですから、このことをしっかりとやってもらいたいという意味で、この未収金のお話もさせてもらっています。
 この部分で、皆さんが債権回収サービス業者、サービサーへ委託したということがあるのですが、平成
23年度の債権回収の実績を教えてください。
○嘉手納良博県立病院課長 サービサーへ回収を委託した額は、平成23年度3億5637万777円で、そのうち回収した額が1348万6179円ということで、回収率は3.78%でございます。
○當間盛夫委員 病院事業局長、この3.78%の回収率をどう考えますか。
○伊江朝次病院事業局長 ほかのいわゆるベンチマークになるような情報がないので、何とも言えないのですが、数字だけ見れば、正直言って非常に低いという状況があると思います。この債権回収サービスに回しているということも、従来古い―少しもう凍りついたような、氷漬けになってとれそうもないようなものが多かったのですが、最近はもう少し早く出すということもやっておりまして、そういうことをして回収率を上げようとしていますが、余り変わっていないというところが現状ではないかと思っております。
○當間盛夫委員 これだけの回収であれば、皆さんが頑張ればできるのではないかと思って、わざわざその35%もかけて、500万円近く委託料を払うということはどうなのかというところもあるわけです。
 これは期限がことしの3月に切れているのですが、これは継続されているのですか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 3カ所の病院は継続しております。北部病院と八重山病院と本庁です。本庁には旧南部病院の未収金を管理しております。
○當間盛夫委員 他府県を見ると、回収率が15%以上でなければ、ほかのところに変えるとか、いろいろな策を持つのです。回収率が4%もないところに、まだ継続して北部病院、本庁などでやる。皆さんの当初の分は、旧南部病院のものを15件やる。ところが、その回収は2件だけですよ。なぜそれを評価して、また北部病院だとか八重山病院とかを継続して、その業者にさせるのか、その辺の意図が見えないのですが、何でこれを継続しているのですか。
○嘉手納良博県立病院課長 県内においてサービサー業務を行っている会社は1社だけでございます。
○當間盛夫委員 この債権回収サービスというところは根本的に何をしている会社ですか。
○伊江朝次病院事業局長 職員を4人配置して、電話による督促、それから文書の発送です。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 債権回収会社、いわゆるサービサーは、債権者から委託を受け、または債権を譲り受けて、その管理回収を行う民間の専門業者でございます。
○當間盛夫委員 回収サービスの主にやっていたこれまでの仕事は、基本的に家賃とかの部分です。本来病院の未収金というものは、そうではなくて、全国的に今、外部へ委託しているものは、司法書士でやったり、そういった部分が多いはずなのです。何かあったら悪質な債権者に対しては少額の訴訟をしながらでもやるとか、きちんと専門の部分を持ったところに外部委託をするというところがあると思うのですが、県外の実例を見たらどうなのですか。
○嘉手納良博県立病院課長 県外の一部都道府県においては、法律事務所等の活用もあると聞いております。
○當間盛夫委員 よい悪いは別にして、県営住宅に未収金があるときには、県みずから訴訟するわけです。いろいろな状況がありますので、皆さんも割り振りしているはずです―本当に一生懸命頑張って月々払っている方々も、全く悪質な部分も。皆さんは、その悪質な滞納者に対しての少額訴訟はされているのですか。
○嘉手納良博県立病院課長 過去において少額訴訟を起こしたことはございます。
○當間盛夫委員 過去はあるが、今はやらない理由は何かあるのですか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 先ほど少額訴訟の話をしましたが、実際、当県立病院では、少額訴訟はやったことはございません。ただ、支払いの督促はずっとやっております。
○伊江朝次病院事業局長 過去に八重山病院で1件あった以後は、今のところ検討したことはございません。
○當間盛夫委員 これをやらないと言うのは、とれないからですか。やったがとれないという話があるが、やっても無駄だということですか。
○伊江朝次病院事業局長 そういった非常に悪質な、あるのに、なかなか出さないというような事例がないということだろうと思います。
○當間盛夫委員 沖縄の県民所得で、今の沖縄の生活保護の状況とかを考えると、僕も余り強くは言えないが、やはり払いたくてもという方々と、払えるがという方々はいるわけです。この辺はしっかりと振り分けて、悪質な方には少額訴訟もしっかりと起こして、民間の司法書士会なりも活用しながら、その対策はしっかりととっていくと。これは19億円、来年になると20億円という形の話にはならないわけです。監査でもこれだけの指摘を受けるわけですから、毎年その部分の指摘を受けて、また去年との対比で7000万円ふえていましたというような形では、全く改善が見えないというところもありますので、その対策を早急にお願いします。
○玉城ノブ子委員長 20分間休憩いたします。
   午後3時52分休憩
   午後4時16分再開
○玉城ノブ子委員長 再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 比嘉京子議員。
○比嘉京子議員 各病院の院長先生、お久しぶりです。いつも最前線で県民の命を24時間365日守っていただいて、本当に感謝を申し上げたいと思います。なかなか遅々と進んでいないような気もするのですが、私が昨日、かなり前の資料等を読んでいましたら、県立病院も10年前からすると、かなり改善されてきたような気がいたします。しかしながら、現状にはなかなかまだ合っていない。
 先ほど視野を狭くしないでという宮古病院の院長のお話もありましたように、私どもは目先の採算性の問題を非常に―経営が悪化していたということもあって、経営再建化計画にのっとっている今、時期なのでということもあるかもわかりませんが、やはり私は、県民の医療の質を高めていくことこそ、経営はついてくるのだという理屈をもう一度思い起こしたいと思うのです。質を大事にしていく方向で一生懸命やっていくことによって収益は上がってくると、今の診療のあり方がそのようになっているわけです。ですから、質を上げる努力をもっと真剣に一生懸命やることが大事かとは思っています。
 しかしながら、きょうは決算委員会ですから、数字的なことを幾つか確認させていただきたいと思っています。今どういう状況にあって、今後どういう方向に行って、その後どうなるのかということが少しでもひもとけたらよいかと思って質疑をいたします。
 まず初めに、この3年間、経営再建に向けて取り組んできたわけですが、きょう朝からずっとありますように、3つの目標は達成されたということですが、その中において経営再建計画の後に安定化計画が出て、それが平成27年を目途にして、この3つのこれまで達成したものがどのように推移していくのか。経営の継続性を非常に問題視しているようですが、経常収支の黒字の維持は平成27年にはどうなるのか、手元流動性はどうなるのか、そして70億円の長期債務の縮減はどれぐらいの額になるのか、平成
27年度を目途にお願いいたします。
○伊江朝次病院事業局長 平成27年度の経常収支は
11億円、手元流動性は128億円、長期債務の残が20億円となっております。
○比嘉京子議員 次回、平成24年度ですが、今後平成27年度までの間、4年間でこれだけ大幅な改善がさらに見込めるわけです。このような状況は全国の公営企業法の全部適用病院の経営状況からすると、どういう位置にあるのでしょうか。例えば実質収支比率のランキングでも構いません。
○伊江朝次病院事業局長 平成22年度で4位になっております。
○比嘉京子議員 今、沖縄県のだけ聞いていると、なかなか位置がわからないので、この質疑をしたのですが、全国のベスト5に入っているわけです。それぐらい沖縄県の経営状況は良好と言えるわけです。
 一方で、例えば1病床当たりの医師の条例定数は全国レベルで見るとどれぐらいの位置にいるのですか。
○嘉手納良博県立病院課長 平成22年度で申し上げますが、医師の1床当たりの数についてはありませんので、全職員数ベースでいきますと、全国ランク
17位となっております。100床当たりで116.9人、これは現に配置されている職員ということで出ております。
○比嘉京子議員 今のは多分、実際に当たっているスタッフで割っていると思うのです。私は条例定数で聞いたわけです。ですから、もっとランキングは、ワースト10の中に入っているわけですね。
 それはよいとして、言いたいことは、人数は少ないのに、それだけ経営状態は良好だと。では、医師またはその医療スタッフがどれだけ過重に頑張っているかということを言いたいわけです。
 それを考えますと、今沖縄県のやっていることはどういうことだろうかということですが、まず皆さんが経営状況を上げるために、どの院長も人の確保だというお話をさっきからされているわけですが、人の確保も大事ですが、今実際に休床している病床をあけること、まずこれが緊急の課題だと思うのです。そのことを先ほど、朝から質疑がありましたが、14床あけるというお話がありましたが、全部あけるとしたらどれくらい収益増になるのですか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 中部病院の52床の休床をフルオープンすると、年間で8億円ぐらいの収益が上がることになっています。
○伊江朝次病院事業局長 試算したところ、南部医療センター・こども医療センター14床で年間2000万円、中部病院52床で年間3億2000万円の収支の増です。
○比嘉京子議員 私は、この病床をあけることがまず第1番目に大事ではないかと思うのです。今後の5つの取り組みの中に収益の確保があるわけですが、その中において、先ほど答弁にもありましたが、私はやはり処遇や身分の確保が大事だと思うのです。そのことをなしにして、なかなか人材は集められないと思うのです。そのことを踏まえて、各病院の院長に、自分の病院に今この人材を入れることによって改善したいことの一、二点を挙げていただけますか。
○松本廣嗣八重山病院長 八重山病院では、眼科の医師、MSW、言語聴覚士、視能訓練士の4者がいれば収益は上がると思います。
○比嘉京子議員 できたら金額も。
○松本廣嗣八重山病院長 申しわけないですが、金額に関して答えることはできません。
○知念清治北部病院副院長 医師、看護師以外には、リハビリがふえれば増収になると思います。それと薬剤師がいれば、病棟での服薬指導もふえると思いますので、薬剤師も挙げさせていただきます。
○宮城良充中部病院長 いろいろな職種がございますが、まず薬剤師は病棟の指導、それから検査技師はエコー、リハビリは早期リハビリ、診療情報管理士はDPCの検討から経営にかかわり、臨床工学士は安全面、ケースワーカーと臨床心理士は、物忘れ外来とか小児の親の相談に乗ることができますので、そういうもので加算がつきます。
 そして、現在14床ですが、看護師がふえればそれも開きますので、中部病院の場合はトータルとして2億円の増収が見込まれます。
○我那覇仁南部医療センター・こども医療センター院長 人的には、今各院長が話したようにMSW、栄養士、薬剤師、リハビリ等の人的補充があれば増収が見込まれます。
 もう一つ私が力説したいことは、いわゆるPICのことを議員の皆さんにお話ししたいと思います。PICを御存じでしょうか。小児の集中治療室です。今、政策医療としてこれができたことによって、小児の救命率が以前よりも随分飛躍したわけです。
 ところが、現在6床で、これが非常に足りない。従来、治療すべき患者がまだ延びるとか、小児のベッドが足りないために成人のICUで診てもらったり、他の病院に転院してもらう状態が続いて、非常に危機的な状況があります。
 南部医療センター・こども医療センターのPICは、小児の最終的なとりでであります。これは宮古、八重山、鹿児島県の南も含めて、全沖縄から来る。厚生労働省は今このPICを全国に展開しようと計画しています。それはどうしてかというと、日本のPICの数が欧米に比べて圧倒的に少ない。これは全国でも南部医療センター・こども医療センターの6床を含めて100床しかないのです。
 NICUは全国津々浦々に普及しているのですが、新生児を過ぎた小児の、心臓の手術もそうですが、敗血症とか溺水とか、もろもろの外傷も含めて、全てそうです。そういうことを鑑みて、私たちは10床までなるべく早く、この増床について議員の力もかりて、早急に開始したいと思います。そうすることによって2億円ぐらいの収益が見込まれます。
○安谷屋正明宮古病院長 定数増による収益が宮古病院でどのぐらいになるかは、きょうは持ち合わせていませんが、一つには宮古病院の医療の質を高めるという視点、将来的にどの方向に向かうかという視点で話をしたいと思います。
 まず1番目に医師に関しては、実際、宮古病院には病理医がいません。病理診断とかの医療の質の向上のためにはこれが必要だと思っていますし、救急の総合医も必要だと思っています。
 それから、先ほど話したように、特に循環器の1人体制は厳しい状況にありますので、やはり2人体制にしなければならないだろうと思っております。
 それから看護師に関しては、宮古病院は来年5月を目途に移転を予定しています。そのときに看護体制を、配置等を考えていますので、そのためにはどうしても看護師の増員が必要だと思っております。
 新病院においては、宮古島市が運営している休日夜間診療所が宮古病院の中に一緒になって、一次救急部門を担います。それで宮古病院の放射線とか検査などの共同利用といいますか、検査などをするために一次救急の質が上がるわけです。そのために検査部門の仕事量がふえますので、技師も必要だと考えております。
 それ以外にコメディカルとして臨床心理士、精神保健福祉士、MSW、それから診療情報管理士でも中心になる人は、定数として確保する方向で動きたいと思っているわけです。
 ただ人をふやすだけでは、経営面では給与費がふえますので、その辺の精査はしながら、あるべき姿に持っていくべきだろうと考えています。
○伊波久光精和病院長 医師に関しては、先ほど言いましたように、我々の定数は9名です。管理職が2人で、当直とかいろいろなものは残りの人でやる。その中でも当直に余り従事できない人がいますので、精神科の場合、例えば院内業務以外に鑑定であるとか、離島応援に行ったりとか、保健所の応援で離島へ行ったりとか、それから各種委員会とか、病院外に出向くことが多いものですから、やはりそういう意味でも、管理職を除いた数で、少なくとも10名ぐらいは必要だと感じでいます。
 それから、精和病院は職制としてのPSWがいなかったのですが、おかげさまで地域連携室をつくって、PSWを正職員として配置できました。デイケアも拡大しました。それから訪問看護も行いましたが、多くが、例えばデイケアにしたら、スタッフが10名いるとすると、正職員は2人で、あとは、臨任であったり嘱託であったりと。
 いずれまた期限が切れるものですから、いつも毎年4月にはレベルがかなり落ちるということで、ある一定程度のパラメディカルの正職化は必要ではないかということで、要望させていただいております。
 今は心理士もいるのですが、従来の心理士は保健所から回ってくるもので、病院心理ではなかったものですから、今回きちんと臨床心理士が応募して、1人確保していると、やはりいろいろなことができる。心理検査もいろいろなことができるし、心理療法もできる。
 我々は心神喪失者等医療観察法とかも抱えていて、鑑定も多いものですから、その意味できちんとした正職員で、少しずつでもよいから、なるべくふやしていきたいと考えています。
 例えば検査のレントゲン技師も、精和病院は週に半日、南部医療センター・こども医療センターから来てもらっているだけです。だから、その辺を、うちで抱え切れなかったら回数をもう少しふやすようなことをしてほしいと。
 しかも、従来は週に2回体制であったものが1回でずっと続いていた。最近も、従来から週2回にしてもらっていた歯科衛生士に入ってもらって、いろいろそういう指導を行っていて、はっきり言うと、現在の体制をいかに維持できるか。できればもう少し質も経営もアップしたいが、とりあえず質を何とか落としたくないというところが最低限の要望です。
○比嘉京子議員 今、先生方が切実な訴えをされておりました。私は南部医療センター・こども医療センターの我那覇先生が説明されたPICUについて、前に論壇に書かれたものを読んだのですが、PICUの10床はぜひ実現してほしいと思います。
 それから小児病棟が94床しかない。全国で平均170床ある。そのことも踏まえて、特に南部医療センター・こども医療センターの意味をぜひ充実させてほしいと思います。今おっしゃったように、私は今5つの今後の取り組みの中において、収益を上げるための一つの人的確保だけを聞いているわけですね。そこから見ても、皆さん人を採ることによってマイナスになるとはおっしゃっていないわけです。数字は今持っていないが、収益を上げる自信がある、それは明らかに上がるのだと皆さんおっしゃっているわけですが、この検証委員会の中で、やはり人件費の問題を言っているわけです。沖縄県の人件費は高いのですか。
○嘉手納良博県立病院課長 1人当たり人件費の額は、大体全国と均衡であると見ております。
○比嘉京子議員 では、なぜ高いという表現になっているのですか。改善点に書かれていますよね。
○呉屋幸一病院事業統括監 決算審査意見書の4ページに、委員おっしゃるように「医師や看護師等の増員に伴い、給与費の増加が見込まれる」ということで、給与の増嵩が見込まれる。給与水準としては、各県バランスはとれていると思います。ただ、そういう増員に伴い、また患者数の減で、今後経営環境は厳しくなるというところがありますので、検証委員会で指摘されていることは、給与費比率の話で、それが平成23年度決算で64.3%で、平成22年度より高くなっているという指摘が検証委員会でもありました。
 今、各病院からもいろいろ人的な要望がありました。それは病院で切実に必要としている人数だと思います。そういう要望もあり、県立病院課では各病院を回って、そういう現場からのヒアリングをして精査していきたい。必要業務量の精査、それに見合う経営的な負担もどうかということで精査していきたいと考えております。
○比嘉京子議員 私は少し違うのではないかと思っています。全国的に給与は決して高くない。離島県であるから、離島増嵩費と、それからこれは知事部局だって、離島に行くときには手当が出ているわけです。別に病院の職員の手当が高いわけではなく―これは県庁全体でやっていることではないですか。ですから、基本的な給料が高いのではなく、プラスアルファの部分で人件費にかかっているということではないですか。
○伊江朝次病院事業局長 先ほど県立病院課長が給与費のうちで、基本給及び手当で公表されている平均給与で見た場合、沖縄の県立病院は全国と比較して、水準はおおむね均衡しているという答弁がありました。それで、なぜだろうということでいろいろ考えた結果、どうも本県は職員数が平均よりも3人多いというところが少し違うのか、それで給与費比率を高くしているというようなことが調査で出ているのです。これはもう少し精査しないと、まだはっきり言えませんが、こういうところが現状で言えるのではないかと思っております。
○比嘉京子議員 病院事業局が出している資料2の2の中にこのように書いてあります。これは北部病院の場合で、報酬で0.6億円、手当で0.5億円。ですから、報酬に近いぐらい、これは宮古、八重山へ行ったらもっとふえると思うのです。
 そのように、これは医師を確保するため―県庁の職員を確保するため、派遣するためにも同じです。医師を確保するためにもこれは必要経費だと見ないといけないものを、ずっと人件費の比率が高い、高いということで、人をふやさない方向の議論に進んでいくことは、私は経営的にも、医療の質的にも問題だと思っているのですが、いかがですか。
○呉屋幸一病院事業統括監 平成22年度から職員定数の増員をしてきております。平成22年度から平成
24年度まで303名でしょうか、定数増をしてきております。これは何も給与比率が高いから抑えているというよりも、現場でそういう要望が強いということで、医師も今年度からですが、臨任の定数化ということでやってきていますし、7対1に必要な看護師、それからコメディカルも、去年は確保してきております。ですから、給与費が高いからといって定数を一概に抑えてきているということではございません。
○比嘉京子議員 では、今後、定数の改正に向かっては、収益増も皆さんおっしゃっているわけですから、定員増を、現場の声に十分に配慮するというような理解でいきたいと思いますが、いかがですか。
○呉屋幸一病院事業統括監 そのことについては、今、定数のチームが各病院を回って、現場からヒアリング調査をしております。その中で業務量の精査とか、真に必要な人数は何名なのか、経理的な見込みはどうかも精査して人数の把握をしていきたいと考えます。
○比嘉京子議員 7対1看護体制について、北部病院が平成25年に7対1体制に行くのですが、宮古病院、八重山病院はいかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 北部病院に関しては先ほど述べましたとおり、収支がほぼ均衡か若干上回るということで、今後実施の方向へ向けて各部局と検討に入りたいと思っております。
 その状況も見ながら、今のところ宮古病院、八重山病院の場合は、費用の増がかなり上回るというような試算が出ておりますので、病棟の再編なども加味しながら、今後の検討課題にしたいと思っております。
○比嘉京子議員 八重山病院の院長にお聞きしたいと思います。改築問題に何名かの委員から質疑がありましたが、私はもう一歩踏み込む必要があると思っています。というのは、もう我々が前期に視察に行ったときから―伊江病院事業局長が前の病院長であられたときから大変な老朽化をしているわけです。私は3年後などという悠長なことではないように思うのですが、最後にもう一度八重山病院の今の状況をお伝えください。
○松本廣嗣八重山病院長 天井の電灯が落ちたということですが、これはコンクリートに固定してあったものが落下しているので、コンクリートの劣化も十分考えられるということです。
 それから、先ほどは給湯管の破裂のことをお話ししましたが、以前の耐震工事のときに揚水管を調べたところ、水を屋上に上げる大きなパイプの中にはこぶがいっぱいできているのです。これはいつ破裂してもおかしくない状態であり、また衛生的にも非常に問題がある、流量も減るために、実は4階で透析をしようとしますと水圧が足りなくて透析ができないという状況がございます。
 ですから、インフラの部分と言っておりますが、こういう配管とか電線とかクーラーのダクトなどの問題が手つかずに置いてあるということです。?体コンクリートの劣化も含めて、むしろそのインフラ部分が怖い状況にあるのではないかと思いますので、できるだけ早い時期に調査を進めていただきたい。私たちの希望は、一刻も早く新築していただきたいということでございます。
○比嘉京子議員 伊江病院事業局長、今の意見をお聞きになってどうなのでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 できるだけ早く老朽度を調査して、前向きに検討していきたいと考えております。
○比嘉京子議員 最後に、県立病院課の経常収支が
16億5000万円という状況になっている、これに対して、私は県立病院課が収益を上げるような事業をしているとは思えないのですが、それはどのように理解したらよろしいですか。
○呉屋幸一病院事業統括監 平成23年度決算に繰出金が84億円余りありました。その配分については繰出基準に基づいて各病院に適切に配分しております。残りの経営支援分については、これまでの100億円の資金不足があった、それを解消し、さらに今後資金運用に困らない70億円程度の留保資金を確保していかないといけないということで、その分を県立病院課に計上したということでございます。
○比嘉京子議員 私は訂正をもらっておりますので、ぜひ検証委員会に2通り出すなりしていただきたいと思います。
○玉城ノブ子委員長 中川京貴委員。
○中川京貴委員 伊江病院事業局長初め職員の皆さん、朝から大変御苦労さまです。私はできるだけ重複しない質疑をしていこうと考えておりましたが、1点だけ先ほどの未収金については質疑させていただきたいと思います。
 その前に、まずもって、きょうは各県立病院の院長初め、これまでの経過と課題、また将来を展望したお話を聞かせていただきました。その中でも人材の確保の取り組みに加え、また経営感覚にすぐれた人材を育成し定着させるために、各研修会の受講、研修派遣等を推進し、職員の一層の資質向上を図っていきたいというお話がありました。
 しかしながら、そのためにも、やはり病院事業局と県のしっかりとした連携ができなければ、難しいと思っております。伊江病院事業局長、その権限を執行部と、特に総務部と連携がとれているのか、病院事業局長がどんどん要請しても、総務部でとまっているのか、少し見解を教えていただきたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 確かに企業会計という知事部局から独立した形で、病院事業には権限があると思います。これは人事権、財務権がありますが、実際には、例えば定数の問題に関しても、それから予算も議会に提案するときには知事部局を通してやらなければいけないという状況がございます。
 ですから、昨年から話題になっている定数問題に関しては、総務部としっかり協議していかないといけない。繰入金に関しても、私たちが出した額をしっかり認めてもらうためには、総務部との協議が必要で、こういうところがお互いのコミュニケーションをしっかりしないとできないことかと思っております。
○中川京貴委員 病院事業局長、私がなぜそういう質疑をするかというと、きょう朝から、各委員からたくさんの質疑が出ましたし、ある程度の把握もしていると思います。140万県民を県立病院がしっかり守るという責任感からも、今、病院事業局長がおっしゃるように、独立した機関でありながら―本来でしたら知事、副知事のそばに病院事業局長の席をつくって、その位置づけをすべきだという考えを私は持っております。
 そういう意味では職員の皆さん、聞いていただきたいことは、きょう委員の皆さんは一生懸命質疑をしております。さらに、本会議では、代表質問、一般質問では病院事業局長に相当質問をしております。病院事業局長はそういった職員のトップとして、また本会議においては、そのはざまに立ちながら一生懸命知恵を出しているだろうと思っておりますが、やはりこれからの課題は―いろいろな山積する課題もたくさんあると思うのですが、もう結論は大体出ていると思います。
 その結果この二、三年で健全経営がなされていながら、一番うれしく思ったことは、ことし初めか去年でしたか、県立中部病院がテレビで全国放送されて、全国から研修生も来て、中部病院の救急医療を初め、この病院体制のあり方については、私は高く評価しておりますし、48名の県会議員も、その番組を見た人はそれを感じていると思っております。
 そういう意味で質疑しているわけですが、やはり病院事業局長が皆さんの代表としてよい仕事ができるように私たちもサポートしていきたいと思っておりますが、各病院の院長から課題と抱負もお聞きしましたので、それはもうお聞きしません。
 ただ、各院長のこれまでの責任と、これだけは院長が権限でできるような仕組みがあるべきだと。一々お伺いを立てなければできないような―3年前でしたか、もう手足も出ない状況で医療体制ができますかと、どの院長先生でしたか忘れましたが、そういう思いも聞きました。
 最近は、そういった意味では各院長がその権限を持ってしっかり仕事ができているのか、各院長に聞いたら時間がありませんので、病院事業局長が答えてください。
○伊江朝次病院事業局長 まだ時間はあるので、本来なら聞いたほうがよいと思いますが、私もついこの間まで院長の一人でございましたから、ある意味でみんなを代表して代弁できると思います。実はこの3年間の定数改正で310人ふやしております。これは、私は病院事業管理者として全国の病院事業管理者とお会いして、いろいろお話しする機会があるのですが、皆さんびっくりしております。
 ですから、現場の期待に100%は応えられていないかもしれないですが、長い間こういう定数改正ができていなかった状況で、310人の医師、看護師、コメディカルをふやしたということは、ある程度は県の理解もあったと思いますし、評価してもよいとは思っております。
 こういった状況の中で、経営の体質もかなり強化されてきたと思いますし、こういったことをしていただいた以上は、自分たちでしっかり足元を見据えて、医療の質の向上、県民に対するサービスをしっかり提供しながら、ある程度独立独歩のような経営状況もつくっていって、病院の経営健全化を図れるようにしなければいけないと考えております。
○中川京貴委員 病院事業局長、どうもありがとうございます。先ほども少し触れましたが、未収金について各委員から出ましたが、1つだけ聞かせていただきたいのです。たしか保証人制度があったと思うのですが、その保証人制度も含めた形での未収金になっているのか、お伺いしたいと思います。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 今、病院に入院するときには入院申込書が必要になってきます。その中には保証人を2人記入していただくことになっておりまして、当然この保証人の目的は、入院費の確保等にも一応貢献しているものと我々は認識しております。結局この保証人の前提は、本人等の支払いが困難な場合は、我々は保証人にも電話等、あるいは直接お会いしたりして、その未収金の確保に努めているところでございます。
○中川京貴委員 當間委員からも質疑がありましたが、県営団地の支払いのこともあって、今度県議会もその裁判措置ということになりましたが、やはり公正公平な立場で、ずるをしている人からとれないということでは大変困る。県営団地でも、本当に仕事がない、また病気になった、収入がない状況の中では、その措置がされておりました。病院もそういうところにはきちんと措置をしながら、しかしながら収入もある、だが払う気はないといった悪質なところは、保証人制度もしっかり適用させて、僕は集金すべきだと思っておりますが、いかがでしょうか。
○嘉手納良博県立病院課長 先ほどもありましたように、保証人にもしっかりと債権回収に当たっていきたいと。それから、悪質な未納者については、法的措置も含めて債権回収の強化に努めていきたいと考えております。
○中川京貴委員 では、別の質疑をしたいと思います。実はことしは御承知のとおり台風でいろいろな被害がございました。中部、北部においては3日間の停電とか、そして先ほど答弁の中で八重山病院の院長でしたか、病院は電気と水がとまれば何もできないということもあって、県立病院の仕組みとしては、いざ停電した場合に発電機が作動すると思うのですが、その発電機は実際は何時間、何日間ぐらいもつのでしょうか。
○宮城良充中部病院長 中部病院は沖縄県の基幹災害拠点病院になっておりますので、それなりの準備はしないといけないということで、不十分ではありますが、やっております。1つは水の話が出ましたが、実は中部病院の構内に3カ所の井戸を掘りました。これは水がなくなると透析もできなくなる、手術もできなくなるということがありましたので、災害拠点ということで井戸を掘らせていただきました。
 それから、お問い合わせの電力ですが、病院はどこでもそうだと思いますが、外からの買電は、1カ所が潰れても入るように、必ず2カ所からするようになっています。中部病院はメーンとサブ2つございまして、1000キロワットを2つ持っております。
 それから、自家発電が650ワットのものを2台持っております。それは当然重油ですので、1日の使用量が2500リットル、そして重油を入れるタンクが2基ございまして、1基が3万リットルを2基持っています。
 災害拠点病院としては、全部ダウンすると、ふだんの6割はその自家発電で賄うようにと設定されたので、幸い中部病院は6割を満たすことができますので、そのまま使った場合には3日間耐えることはできると思います。
○中川京貴委員 伊江病院事業局長、今話を聞いたとおり、それでも3日間なのです。宮古病院もそうですが、今後、八重山病院も含めて、新築に当たって、僕はソーラーシステム、風力システムを活用した蓄電、またいざというときのためにも、これだけの命を預かる立場として、これから病院事業局長がどんどん提案していって、沖縄振興一括交付金を初め予算獲得をしていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 沖縄県立病院は精和病院を除いて全て災害拠点病院になっておりますから、今言った自家発電の3日間の稼働、それから食料、水の備蓄があります。とはいっても、委員おっしゃったとおり3日間という限定ですから、最近はやりのソーラーシステムとか、いわゆるエコを意識した発電も視野に入れた施設整備はぜひ考えていかなければいけない課題だと思っておりますので、ぜひ検討したいと思っております。
○玉城ノブ子委員長 又吉清義委員。
○又吉清義委員 朝から大変御苦労さまでございます。初めてですが、諸先輩方のお話を聞いたところ、病院事業は3年前までは赤字だったものが、平成21年度から病院経営もだんだん黒字になったということで、非常にうれしいことだと思います。
 そこで質疑に入る前に少しお尋ねいたしますが、病院事業の目的についてもう一度確認したいと思いますが、よろしくお願いいたします。
○伊江朝次病院事業局長 沖縄の県立病院事業は他府県と違いまして、その県の基幹的な病院だけをやっているという状況ではないわけです。ですから、離島を含めた県内隅々まで、診療所も配置してやらなければいけないという状況がございます。
 そういうことで、これは全県民の命と安全を守っている、そのために病院事業の中で、その人材確保もしたり研修事業もしているということが最大の目的であると思います。要するに県民の安心安全を保障していると言っても過言ではないと思っております。
○又吉清義委員 確かに私もお話を聞いている限り、皆さんの事業により県民の生命を守る、そして健康を守る、やはり単なる経営学と違って、そこまで担っているということは、範囲がかなり大きいと、質疑を聞きながら改めて痛感している次第です。
 ですから、本来ならば、その中で経営という観念から言えば、黒字を出すことが当然ですが、その中には収支のバランスが、どうしても赤字だが、県民の命を守るためには必要な部分も出てくるかと思うのです―どの部分が出てくるかは、まだうまく聞き取れないのですが。皆さんの努力で無駄を省く、そして経営を改善する中で、このように黒字にしているのですが、やはり皆さんとしては、経営する中で、県民の命を守り健康を守るという段階において、これを受け入れることによって、私はどうしても赤字になる部分も多々あると思うのです。
 その辺も例えば今ベスト3とか、もしそういうものがあれば、どういった部門があるか、その辺がおわかりでしたら御説明できますか。
○伊江朝次病院事業局長 総務省の繰出基準にある、従来から言われている一番大きいものは救急医療、小児医療、それから高度医療という、病院の中にあるICU、集中治療室です―人材とか物を投入してやらなければいけないというところですね。それから周産期医療、そして最後に精神医療です。こういうところがいわゆる不採算、政策医療としてしっかりやっていかなければいけない診療対象となっているわけです。ですから、こういうところで収支の不足が出てきたら、繰入金として出していくということになっております。
 とはいっても、従来こういう小児医療とか不採算部門はありましたが、先ほど我那覇院長が言った小児の集中治療室とか、それからNICUにしても、ある程度人材をかけていけば、それなりに診療報酬が手当てされていくという状況がございますので、過去とは少し変わってきていまして、やはり収支の結果、高度医療とかで黒字が出てくるという状況もございます。
○又吉清義委員 私もちらっと聞いたのですが、確かに救急医療を受けられる病院は、民間は本当にもうからない、むしろないほうがよいと。なければかなり利潤が上がるが、治療費がとれないと聞いたもので、なぜかというと、まず救急医療に来る方にあるパターンがある。住所を持たない、何も持たないという方々がいるものですから、病院で治療が終わったら―元気になったら、さっといなくなってしまうといった部分もあって、非常に困るということも聞いています。
 それから延命措置で、年のいった方のICUもかなり厳しいと聞きました。しかし、家族が望むのであれば仕方がないのですが、そういうものもあると聞く中で、県民の命を守る、健康を守る意味では、これもまた無視はできないと思いますので、そういうものも仕方ないかということです。
 そこで、もう一つお願いしたいことは、この決算審査意見書の9ページを見て、病院の経営は県民の命を守る、健康を守るという観念から、ぜひ皆さんも事業展開として、現場を預かっている皆さんがもう少し頑張っていただきたいというものが表7の入院と外来のところです。
 この入院は実績としてわかるとおり、平成21年度と平成23年度の比較でふえている。しかし、外来は減ってくる。これは何を意味するかというと、沖縄県が非常に特異的な病院の体制で、他府県では外来がかなり多い、入院はそんなに多くないと。
 以前に、沖縄県民は、できるだけ病院に行かないようにして、重病になったときに行く習慣があると聞いた覚えがあるのです。この数字から見ても、多分これが少し出ているのではないか。
 ですから、重くならないうちに早目に病院に来なさいと、これを習慣づけるようにすることによって、先ほどあった病院事業の理念のとおり、県民の命を守る、健康を守るという観点からして、私は、この現場を預かっている皆さんが集中的に、真っ先に気づいて、そういう事業展開も、総務部と少しやるべきだと思うのですが、県民の命を守るからには、経営だけではなくて、私はそこまでも拡大するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 実は沖縄県立病院は、特に宮古病院、八重山病院では外来がかなり多くて、実際そこで勤務している医師が、午後9時、10時まで外来診療で追われる。病棟の患者を診られない、病棟に上がるのが本当に午後11時、12時になったりするという状況がございました。
 昨今の国の政策でも、病院は入院治療するところであるということです。外来部門は、特に比較的慢性的な状態になって落ちついている方、例えば投薬だけ、本当に血圧コントロールだけとかいう方々を病院で診ると、ある意味では資源の無駄ではないかということですね。
 こういう方々はクリニック、診療所、いわゆるかかりつけ医制度で診ていただきたい。このようなことで、やっと少しずつ中部病院にしろ南部医療センター・こども医療センターにしろ、そのようにシフトしていっています。今、宮古病院、八重山病院ではそのような状況で、地元で開業医の方がかなりふえました。数年前までは本当に少なくて、病院に来ざるを得ない状況があったのです。そういう中で、外来の比率が非常に高い状況があったのです。
 これが大分緩和されてきております。低いといっても、ほとんど中央の病院、中部病院や南部医療センター・こども医療センターがそういう全国並みの状況で、離島とか北部病院などは、まだ多いような感じがあるのです。ですから、今、医療は役割分担をしっかりしていくという流れになっておりまして、外来を多くとるというような状況にはなっておりません。
○又吉清義委員 何も皆さんがとりなさいということではないです。沖縄県民の習慣として、他府県と比べて、できるだけ病院へ行かないようにして、重病になったときに行くという悪い習慣があるものですから、逆に県として、こういうクリニックとか県民には早期発見、早期治療は大事ですよと働きかけることによって、患者も減るし、医療費適正化に向きませんかということです。残念ながらそういったPRがないと思っております。
○伊江朝次病院事業局長 今委員おっしゃったように、やはり早期発見、早期治療は、身近にかかりつけ医を持つことによって、気軽に相談できる、受診する機会もふやせる、これが一番の今の近道ではないかと思うのです。
 むしろ病院に行って長く待たされて、もう行きたくないという感じになっては一番困るわけですから、やはり僕は身近のかかりつけ医をしっかり持つことによって、自分の健康を守るということが大事だと思っております。
○又吉清義委員 ですから、私は、そういうことも県を挙げて県民に周知徹底するべきではないか、そうすることによって、生きている間、もっと健康であるということが一番かなという感じがするものですから、それでお尋ねしている次第です。
 余り時間がありませんので、あと少しよろしいですか。32ページからで、先ほどの八重山病院の建てかえについてもですが、これは33ページで、今、八重山病院で収入として固定資産の売却があります。これは病院経営再建計画に基づいた売却なのか、その辺が見えてこないのですが、それについてはどのような売却であるかということです。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 平成23年度の八重山病院の固定資産売却益は、宮古病院の建てかえに伴って土地を等価交換した部分でございます。八重山病院の持っていた土地を宮古病院の一般会計の土地と等価交換しました。これが6000万円ぐらいでございます。
○又吉清義委員 普通、等価交換で値段は発生しないと思うのですが、発生しますか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 等価交換をしても、公営企業の経理の原則からしますと、一応お金が動いたという格好で伝票を作成いたします。
○又吉清義委員 あと1点、八重山病院の建てかえについてのお願いで、もし可能であればですが、例えば建てかえする場合に、こういう土地の等価交換ができるのであれば、例えば八重山病院は、3年、4年、5年もつか厳しいということであれば、逆にこの八重山病院の土地をどこか民間の土地と等価交換して、その地に早目に着工すると経費が大分安くなると思いますが、この地につくるのではなくて、今みたいに等価交換をしてつくれば、私はかなり順調に、また入院している患者の方からも、立ち上がればすぐ移管できると思いますが、やはりそのような計画で八重山病院も早急に進めるべきかと思いますが、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 委員の提案どうもありがとうございます。実は八重山病院の今の病院敷地は病院固有の財産です。一方、宮古病院は違うので、どこかに委員のおっしゃったようなしかるべき土地があれば、その跡地と交換するということは―もちろん一般会計との話ですが、それは可能ではあると考えます。
○又吉清義委員 病院事業局長、経費が大分浮くものですから、ぜひ真剣に考えていただきたい。現に県営志真志団地のときに提案したのですが、あのときは約1億5000万円ぐらい浮いたのですよ。これは等価交換できると言ったのですが、図面を引いているからもうだめだということで、やらないものですから、そして、その後また図面も引き直しがあって、私はかんかんに怒ったのですが、やはりそういうものは周りの地域の方々と協議することによって、本当に経営の無駄も省く、なおかつ早急にできるという観点から、従来の発想ではなくて、皆さん実際に等価交換もしているのであれば、そういうこともして早期に進めると、地域の方々も非常に喜ぶかと思います。
 そしてもう一つ、同じく33ページからで、この辺がよく理解できないのですが、一番下の過年度損益修正損がトータルでは1億円余りで、これが各病院等でほとんど発生している。特にこの言葉、損益損が何を意味するのかと、非常に気になるところが、精和病院の去年が9億円、ことしが3億円で数字がかなり大きいのですが、これがどういう意味か、少し御説明をお願いしたいのです。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 委員の御指摘の過年度損益修正損は、病院事業の特性がございまして、過年度の収益にかかわる査定減及び未調定分の、年度を越えた分を調整した数値ということで、過年度損益修正損で経理をするという流れになっております。
 例えば前年度の2月、3月分の収入は、保険制度によって2カ月後に金が入ってきます。平成23年度は3月31日で決算をして、2月、3月分も請求はするのですが、まだ金は入ってきていない。
 調査決定をして―調定をして決算書に組み込みます。しかし、収入としては4月、5月で入ってきます。その時点でその差額分の調定したものと、保険制度の場合には、審査機関で査定をしていきます。そうすると、この請求したものより少なく入ってくる場合がございます。これが先ほど言った調定減になりまして、過年度損益修正損という経理になります。
○又吉清義委員 要するに出納整理期間の調整で、実費との調整かと思うのですが、そうしますとマイナスになるということは、予定よりは減ってしまったと。プラスの数字は、多かったということは、余計に入ってきたという理解でよろしいのですか。
○稲嶺盛秀県立病院課経営企画監 委員のおっしゃる一般会計には4月、5月と出納整理月間がございますが、県立病院は特別会計でございます。3月31日で決算をいたしますので、出納整理期間はございません。
 先ほど委員は4月、5月で収入の調定をすればよいと言うのですが、県立病院、特に特別会計の場合は3月31日で調定をして、年度を越すと、これはその越した年度のもので修正しないといけないということで、過年度損益修正損という経理の科目がございます。
 プラスが出たら修正益になっていきます。これは損ですからマイナスでございます。過年度のものには特別損益というものがございまして、特別利益の中には過年度損益修正益というものがございます。そして特別損失のところには過年度損益修正損というものがございまして、前年度の決算を修正する項目ということで、この科目が設置されてございます。
○又吉清義委員 わかりました、先ほどこちらの単位を千円だと思っていたら円ですから、失礼しました。これからすると9億円になるが、こんなに動くのかとびっくりしていたのですが、円だったら十分理解できます。大変済みませんでした。
○玉城ノブ子委員長 それでは、以上で病院事業局長に対する質疑を終結いたします。説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 次回は、明 10月17日 水曜日 午前10時から委員会を開きます。
 本日の委員会はこれをもって散会いたします。
   午後5時33分散会
 
 
 
 
 
 
 
沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。
 
  委 員 長  玉 城 ノブ子
 
 

H241016 第2号 病院事業局.htm