委員会記録・調査報告等

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子どもの未来応援特別委員会記録
 
平成30年 第 3定例会

2
 



開会の日時

年月日平成30年3月23日 曜日
開会午前 10 時 41
散会午後 3 時 11

場所


第2委員会室


議題


1 参考人からの意見聴取(陳情平成28年第140号に係る支援コーディネーター配置事業について)
2 陳情平成28年第140号
3 閉会中継続審査・調査について


出席委員

委 員 長  仲 村 未 央 さん
副委員長  上 原 正 次 君
委  員  新 垣   新 君
委  員  具志堅   透 君
委  員  島 袋   大 君
委  員  仲 田 弘 毅 君
委  員  次呂久 成 崇 君
委  員  亀 濱 玲 子 さん
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  瑞慶覧   功 君
委  員  嘉 陽 宗 儀 君
委  員  西 銘 純 恵 さん
委  員  金 城 泰 邦 君


欠席委員

      なし


説明のため出席した者の職・氏名

説明のため出席した者の職・氏名

(参考人)(陳情平成28年第140号に係る支援コーディネーター配置事業について)
 北部地区支援コーディネーター      宇 根 美 幸 さん
 中部地区支援コーディネーター      鈴 木 友一郎 君
 南部地区支援コーディネーター      松 本 大 進 君
 宮古・八重山地区支援コーディネーター  山 内 優 子 さん
(補助者)
 宮古・八重山地区支援コーディネーター  若 松 る み さん

子ども生活福祉部長      金 城 弘 昌 君
 福祉政策課長        金 城   賢 君
 子ども未来政策課長     喜舎場 健 太 君
 商工労働部産業雇用統括監  伊 集 直 哉 君
 商工労働部雇用政策課長   下 地 康 斗 君
 商工労働部労働政策課長   宮 平 道 子 さん
 教育庁教育指導統括監    與那嶺 善 道 君
 教育庁教育支援課長     登 川 安 政 君
 教育庁保健体育課副参事   島 袋 勝 範 君



○仲村未央委員長 ただいまから、子どもの未来応援特別委員会を開会いたします。
 陳情平成28年第140号に係る参考人からの意見聴取についてを議題といたします。
 なお、ただいまの議題につきましては、去る12月18日に開催された本委員会での決定に基づき、陳情平成28年第140号の審査の参考とするため、県内各地区の支援コーディネーターをそれぞれ参考人として招致し、説明を求めるものであります。
 本日の参考人として、北部地区支援コーディネーター宇根美幸氏、中部地区支援コーディネーター鈴木友一郎氏、南部地区支援コーディネーター松本大進氏及び宮古・八重山地区支援コーディネーター山内優子氏の出席をお願いしております。
 陳情平成28年第140号に係る参考人からの意見聴取を行います。
 支援コーディネーター業務を通して見た子どもの貧困の状況等ついて、各地区支援コーディネーターの宇根美幸氏、鈴木友一郎氏、松本大進氏、山内優子氏から説明を求めます。
 お手元にあります事務局配付の資料をごらんください。
 山内優子参考人から若松るみ氏を補助者として出席させ、必要に応じて発言させたいとの申し出がありますので、委員長として同席を許可したことを御報告いたします。
 参考人の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 参考人から説明を求める前に、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
 なお、参考人が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、陳情の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人の説明を聞く場でありますので、参考人が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 それでは松本大進参考人から支援コーディネーター業務の概要と、その業務を通して見た子供の貧困の状況等ついて、簡潔に御説明をお願いいたします。
 次に、宇根美幸参考人、鈴木友一郎参考人、山内優子参考人から、支援コーディネーター業務を通して見た子供の貧困の状況等について、それぞれ簡潔に御説明をお願いいたします。
 松本大進参考人。

○松本大進参考人 NPO法人サポートセンターゆめさきで沖縄県子ども・若者総合相談プラザsorae―ソラエの事業を主に担っております臨床心理士の松本と申します。きょうはよろしくお願いいたします。
 まず、一番最後に配付した沖縄子供の貧困緊急対策事業「支援コーディネーター配置事業について」という資料に沿って、支援コーディネーター事業の枠組みを御案内したいと思います。
 事業の目的ですが、現在、各市町村では貧困対策の支援員と居場所の配置が進んでおります。沖縄県としては、こういった支援員や居場所の皆様を後ろ支えする事業ということで、各事業所から人が複数名出て、支援員に対する助言であったり、行政間のつながりを支えたり、連携を強化したり、また、居場所の方々の支えもここに含まれているというところが大きな事業目的でございます。対象地区は4地区ございまして、南部地区はNPO法人サポートセンターゆめさき、中部地区はNPO法人青少年自立援助センターちゅらゆい、北部地区は沖縄県労働者福祉基金協会―労福協、宮古・八重山地区が教育振興会で、各4地区に事業を沖縄県が委託をして実施しているというのが大きな枠組みでございます。支援コーディネーターの主な業務内容ですが、こういったところで各市町村の行政担当者や支援員、場合によっては居場所の方々にもヒアリングをかけて状況把握をしたり、助言や情報共有を行うこともございます。それから、いろいろな連絡会議や検討会議に参加したり、主催したりしながら、支援員のスキルを向上させるための研修の開催も業務内容として含まれております。こういう中で、月に2回ぐらい訪問するのが業務の仕様になっておりまして、各事業所が主体になった各圏域を回りながら進めております。あとは、このメンバープラス子ども未来政策課の皆様、また、必要に応じて、今年度は教育庁からも出席していただく場合もありましたが、月に1回、各事業所の重立った方が集まって全体会議、代表会議を行い、どのように支援コーディネーター事業を行い、どのようなことが見えてきているのか、随時、子ども未来政策課と情報を共有しながら進めてきているところでございます。
以上、支援コーディネーター配置事業の大きな枠組みを御説明いたしました。
 続いて、南部地区で見えてきたことをまとめたものがこちらの資料です。支援コーディネーター事業南部地区NPO法人サポートセンターゆめさきに沿って、南部地区、また、全体とも重なりますが、見えてきているところを御説明したいと思います。この資料は、沖縄県子どもの貧困対策計画を私なりに参照しながらまとめたものでございますが、左側が子供の貧困の状況で、右側が成長に及ぼす影響ということで、不登校、社会的自立に関する数値などが非常に深刻な状況になっていると。そういう中で、少なくとも個人的に注目している点は、進路の未決定率というところです。中学校、高校の進路未決定率を見ますと、全国の平均の約3倍もあるのです。不登校、中退等についても非常に深刻な状況にあって、ワースト1になることも多いのですが、そういう中で進路未決定が全国比3倍で突出して多いのが沖縄県の一つの特徴ではないかと。こういった進路が決まらないということが累積して、若年無業者になっていると。そういうところで貧困対策のいろいろな方々と協力しながら、こういう状況を何とか前に進めていけないかということも含まれているのではないかと考えております。
 次のページは、全体で見えてきているところです。大体、体制的なところを中心に書いているのですが、もし個別にどういう世帯でどう起こっているのかということがあれば、ぜひ聞いていただいて、答えられるところはお答えしたいと思います。まずは全体の概要を御説明したいと思いますが、見えてきているポイントが2つあると考えております。1つは、支援員や居場所を支える体制づくりで地域差が出ているというところで、うまくやれているところとそうではないところがはっきりしてきているということです。もう一つが、困難事例の対応スキルの個人差です。個別の支援員や居場所の皆様がいろいろな対応をされるのですが、できる方とそうではない方が二極化しているというところが見えてきております。
 それでは、そのポイントに沿って御説明したいと思います。支援体制の地域差では課題を大きく2つ挙げておりまして、1つ目の課題が、各市町村の中で貧困対策の支援員をどう位置づけるかというところで、しっかりと位置づけられているところとそうではないところが出てきています。これも傾向が2つありまして、1つが、支援員の役割が限定され過ぎているということです。内閣府からの指標があればごらんいただければというところだったのですが、内閣府から落とされてきている支援員の位置づけとしては、貧困の世帯や子供たちが各地域支援につながっていくというところで、つなぎ支援と言ってもいいかと思いますが、そういう支援につながっていくというところを応援していこうというのが支援員の位置づけとしてあります。そうすると、文言どおりつなぐだけで、ほかのことが全然できなくて、結局、学校からの要望に柔軟に応えられないところが出てきて動きが硬直するということが見受けられたりします。もう一つが、支援員の役割や支援そのものについて枠組みが不在ということです。各市町村に内閣府から指標がおろされてきて、10分の10で事業が進むわけですが、その中で支援員任せになっていて、その支援員が適切に担当課に報告したり、難しいケースについて適時に連絡、報告があればいいのですが、担当課の方に聞いてもどう動いているかわからないと。支援コーディネーターが見に行くと、ケースの管理がばらばらというところも見受けられたりして、これは支援員のスキルの問題もあるのですが、基本的な情報管理や報告、連絡、相談のあり方をどうしたらいいかわからないというところが1つ目の課題として上がってきています。
 次に、2つ目の課題、情報の共有について御説明いたします。①として、どの機関であっても個人情報の保護は非常に大事です。ところが、いろいろなケースを相談していく中で、これは私の理解なのですが、匿名の情報であればあるレベルで柔軟にやりとりができるのではないかと。ただ、個人情報保護に係る匿名とは言えないような情報についてはしっかり守らないといけません。例えば、各関係機関で情報を共有するときに、個別の名前やクラスなどを挙げて、この子がこうだと言うとひっかかってしまうのですが、ある学年の女の子が半年間、全然学校に行っていないと。詳しくは言えないが、世帯は大体こんな感じだと。もちろん、どこに住んでいるかは特定されないのですが、こんなケースはどうしたらいいかというところは相談に係る情報なので、個人情報までいかないのではないかと。ですから、経験や個人情報の相談業務の連携の中でこれぐらいは言えるのですが、それがかた過ぎたり、逆に緩過ぎることもあります。これは個人のスキルの問題になりますが、こういった情報共有のあり方、個人情報保護の理解のあり方もいろいろ進めていく必要があると。②として、1行しか書いておりませんが、これが非常に大きい課題でございます。学校との連携については、支援コーディネーターで全体会議をずっとしてきましたが、毎回、トピックに上がるところでした。私もいろいろなところで勉強しながらではございますが、今の教育に係る法制度との兼ね合いもあるかと思うのですが、いろいろな意味で学校の校長先生、先生の裁量が大きい枠組みではないかと考えております。そうすると、学校の校長先生や先生方がこの人の専門性や相談、機関を信頼できると、解釈上、校長先生としては内部性を認めるのだと思います。その中で、匿名レベルもあれば、この人は信頼できるというところで、あるレベルの情報が共有される場合があります。これを各支援員が非常に丁寧に学校を回って、人柄や事業説明など―こういったところで子ども未来政策課には各学校に非常に足を運んでいただきました。そういう中で理解を得ていって、学校の中に入れてもらって情報共有や会議の場を設定できた校区もあれば、そうではない校区もあるのが実情でございます。ただ、次年度に向けて子ども未来政策課でもしっかり学校を回っていくことを計画しているようです。
 もう一つは、困難事例の対応スキルの個人差です。課題の一つとして、支援員経験がゼロ年、つまり、1年いかない方が半数ぐらいいらっしゃいます。残りの半数が大体2年以上の中堅からベテランになってくるのですが、こういった初心の方の研修をどうするのかということが1つでございます。そういったところと連動して、県内全体の課題かと思いますが、結局、いろいろなバックグラウンドを持たれている方がいろいろな形で支えています。私は臨床心理士ですが、ソーシャルワークに強い方もいれば、NPO法人で居場所で地道にやってこられた方や大学の先生もいらっしゃいます。そういったところで、支援の切り口や方向性、用語を整える必要があるかと。そういう中で共通して人材育成をする必要もあるということが全体として見えてきているところでございます。私からは以上でございます。

○仲村未央委員長 ありがとうございました。
 次に、北部地区の状況を宇根美幸参考人、よろしくお願いいたします。

○宇根美幸参考人 沖縄県労働者福祉基金協会で支援コーディネーターとして北部圏域を担当している宇根美幸といいます。きょうはよろしくお願いいたします。準備不足で皆さんのお手元に配付資料がないのですが、準備してきたものを読み上げて報告したいと思います。
 北部圏域の子供の貧困対策事業の実施状況ですが、支援員の配置状況は7市町村で13人となっております。居場所の設置状況については、5市町村で8カ所、そのうち学習支援を行っている居場所が7カ所、食事の提供をしている居場所が1カ所で、学習支援においては学習支援プラス食事の提供まで行っております。子供の貧困対策事業の支援員の活動状況についてですが、名護市が7名、本部町が2名、ほか5村については1名配置となっております。支援対象者がつながる仕組みについては、学校からつながってくる、それから、民生員や行政窓口、関係機関からつながってくるということになっております。
 次に、支援員の資質について、現状と課題を含めて報告したいと思います。1つ目に、支援員のスキルについては、支援歴が1年未満の方も多く、北部圏域においては毎月定例会を開いて、支援員に係る資質向上のための研修会の開催、事例検討会、発達障害に係る研修会、支援員のためのセルフケアの研修、居場所との合同研修を開催しております。また、スキルアップはもちろんですが、支援員が支援をする上で孤立しないために支援員同士が顔の見える関係づくりが持てるような工夫をしております。2つ目に、実支援においては、子供だけではなく世帯支援も重要で、その際にどこまでかかわったらいいのかという漠然とした不安が支援員には見受けられます。支援員及び支援対象者がお互いに安心してかかわるためにという課題の解決に向けては、事例検討やケース会議の開催などの対応を重ねていくしかなく、その中でアセスメントの行い方、支援計画の立て方、支援の評価を行うといった一連の流れを積み重ねていく活動現場にしていかなければいけないという課題があります。困難事例のかかわり方については、専門家からの助言をもらうなど、今後はさらにサポート体制の強化が必要だと感じています。
 行政について、1つ目に、事業目標が明確でないために事業にどう取り組むべきかが曖昧で、支援員の位置づけにおいては活動のしづらさがあるように見受けられます。特に、学校や教育委員会との連携においては、まだまだお互いの理解と歩み寄りも必要で、支援対象者が潜在的にいることや誰のための支援なのかなど、情報の共有や連携の仕組みづくりが必要だと思っております。2つ目に、庁舎内連携、関係機関との連携として顔の見える横のつながり、ネットワークが必要なことは明確でございます。そのつながりは、実支援にかかわる支援員をサポートする体制づくりにもなります。北部圏域においては、社会資源の乏しさ、資源の格差があり、支援員が入れかわり立ちかわりでは、支援を受ける側の困惑と不信感へとつながります。その現状を解消するためには、行政運営を行う職員や議員の皆さんの現場訪問での激励、また、子供たちの現状をきちんと見てほしいと思っております。3つ目に、離島については高校入学をきっかけに島立ちがあり、親元を離れていきます。親の負担も大きく、ひとり親世帯は生活困窮状態に拍車をかける実態もあります。また、子供をサポートするためには行政区を越えての連携が必要で、学校を中退することを防ぐための防貧の支援のあり方も必要だと感じております。4つ目に、地域の現状の把握についても必要で、特にひとり親世帯の厳しい状況、何が原因で困窮に陥るのかをヒアリングすることも必要だと感じています。関係機関との連携において見えてくるのは、家計運営の意識の乏しさ、ライフプランを描けず、収支バランスがとれていないという現状があります。手当においては、4カ月に1回という支給方法の見直しや、就学援助の支給方法、それから、ひとり親世帯の就労支援、特に子育てと仕事の両立においてバランスがとれるということはとても重要で、地域の企業を巻き込む工夫も必要だと感じております。
 居場所については、学習支援が多いのですが、居場所に来ても学習に向かえない子供たちがとても多いのが現状です。学習に取り組む前のやる気を起こさせる支援が必要な子供たちが多い中、遊びを通した自己肯定感を高めること、親でも先生でもない大人とかかわること、さまざまな体験を行うこと、そして、憧れる、目標とする大人と出会うことが居場所に通ってくる子供たちには一番必要なことで、その居場所が北部においては地域によってとても不足していること、また、居場所にかかわる人材不足が大きな課題になっています。
 最後に、学校、教育委員会との連携ですが、各市町村の小・中学校、高校を訪問して、事業説明、連携したいこと、現在のケースについての情報共有を行ってきました。中学においては、進路未決定者の子供たちが義務教育卒業後につながりが途絶えることなく、切れ目のない支援が行えるように、一部の地域ではありますが、対象者の把握を行っております。貧困の連鎖を断ち切るためには、中途半端な環境にいる子供たちの状態像の把握が急がれ、把握においての連携拒否がないような仕組みづくりを県行政、市町村行政にも行ってもらいたいと感じております。北部地区については以上です。

○仲村未央委員長 ありがとうございました。
 続きまして、中部地区の状況を鈴木友一郎参考人、よろしくお願いいたします。

○鈴木友一郎参考人 NPO法人青少年自立援助センターちゅらゆい、中部圏域コーディネーターをしている鈴木と申します。お手元の資料は4枚ほどになります。
 到達点としては、いろいろな課題はありながらも、支援員が配置され、居場所が設置されたことで、少しずつではあるのですが、学校や関係機関に地域も含めて浸透してきていると。中部圏域には市部、町村部がありますが、地域性を考慮した取り組みが展開されているといったこともあるので、ケースの発掘は行われてきているということは、この事業があるからこそだと改めて感じています。
 そこを踏まえて見えてきた課題というところで、少し重複するのですが、4点ほどあります。教育と福祉の連携のあり方として、情報の共有とケースへの理解及び連携のあり方が課題だと感じています。ただ、一部の町村では、支援員が学校内の生徒指導部会に毎週参加をして、情報の共有化ができ、つなぎも含めてロスが軽減されているということで、なかなか興味深い取り組みだと感じています。また、学校と福祉の役割分担については、本来、学校が担うことと、福祉が担わなくてはいけないことの整理をしなくてはいけないのではないかと感じています。個人的には、学校が少し福祉化をしていることがどうなのかということは感じております。もう一点は、高校との連携というところで、二、三の高校の進路指導や教頭先生とお会いをしている中で少し感じたのですが、高校も勉強したがっていると。ただ、高校はどういう社会資源とつながっていいのか困惑しているということをおっしゃっておりました。ですから、中退予防も含めて考えていくと、高校との連携を同時に考えていかなければいけないと感じます。
 2点目として、教育と福祉の連携ということもあるのですが、行政内部の連携というところで少し課題が見え隠れしてきていると。町村部に関しては、コンパクトにまとまっていて話がスムーズに通りやすいという印象を受けるのですが、市部単位になるといろいろな課がまたがるので、なかなか前に進まないと。ケースが据え置かれてしまうということも結構見受けられます。もう一つ、2ページに一部まとめております沖縄市と県を比較した数字を見ていただければと思いますが、根拠となる数字を、その市町村が把握をして見える化していくということが必要だと感じています。これは特に新しいものではなく既存のものをまとめただけなので、そういうことをするだけでも地域の状況が見えるかと。
 3点目に、要退去に上がるということも大変なことなのですが、その以前の子供たちの層が多いので、予防的な支援が特にこの事業の中では必要なのではないかと。市部あたりにいくと、重篤化しないとなかなか支援につながらないという現実があります。そういった意味では、赤信号になる前の黄色信号での対応が必要かと感じています。実際に赤信号になってしまうと、それだけ人もお金も労力もかかるということで、ここのところがすごく大事なのではないかと感じています。
 最後に、居場所の方向性として、本来、居場所が何を担うのかという役割の整理が必要ではないかと。やはり子供のニーズに合わせた居場所は検討されてしかるべきで、特に、中・高生の居場所がすごく少ないと感じています。4ページを見ていただくとわかるのですが、ほかのメニューもあるかもしれませんが、乳・幼児期、小学生期の支援のメニューが既存の施策の中では固まっていて、中・高生になるとだんだん薄くなってしまっているので、本当に居場所が必要な子供への対応をどうしていくかということが課題かと。あとは、北部地域からも出ていたように、学習以前の問題がある子がいると。勉強することも大事なことなのですが、それ以前の生活支援が必要な子供の居場所づくりが課題だと感じています。中部地区からは以上です。

○仲村未央委員長 ありがとうございました。
 それでは、宮古・八重山地区の現状について、山内優子参考人、よろしくお願いいたします。

○山内優子参考人 宮古・八重山地区に配置されている一般社団法人教育振興会に所属している山内と若松るみです。よろしくお願いいたします。私たちは平成29年1月に配置されまして、毎月1回から2回程度、宮古・八重山に訪問をして指導してまいりました。きょうは具体的に支援コーディネーターとして何をしているかということと、その結果、どのような課題が見えてきたかということを説明したいと思います。済みません。私も大変急いで原稿をつくったものですから、誤字を訂正いたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、宮古島市です。八重山も同じなのですが、離島ということもあって、この事業が一気に降って湧いたように実施されたものですから、市の職員、そして市民も、子供の貧困がどういうことなのか、今の時代、貧困の子供はいないようにも見えるし、子供の貧困について講演もなされていないということで、非常に理解が不十分だということをまず感じました。
 一番上に平成24年と書いてありますが、平成29年に訂正をお願いいたします。平成29年2月14日に市長にお会いして、県からコーディネーターが配置されたということで、ぜひ一緒に宮古島の子供の貧困について取り組んでいきましょうということで表敬いたしました。3月には、全ての市民を対象に子供の貧困とはどういうことなのかということについて講演会を実施いたしました。タイトルが沖縄の子供の貧困、「私」が抜けていますので入れてください―今私たちがなすべきことということで講演をしまして、参加者は135人、たくさんの関係者や機関からも参加していただきました。宮古島市には貧困対策支援員が2名配置されています。身分は嘱託で、専任で業務を行っていました。業務内容も明確で、貧困家庭の子供を居場所につなぐことと、居場所につないだ後、居場所の支援を行うという2つの役割を担っていました。宮古島市には、私たちが配置されたときには既に4カ所の居場所が設置されておりました。そのうちの2カ所は福祉部が設置いたしまして、貧困家庭の小・中学校の子供たちを対象に食事の支援、学習支援、生活支援をメーンにして、送迎もしておりました。そこは「でいご教室」と「まなびやぁ」というところで、約100名近くです。最初はそこに入る子供たちをどこから集めてこようかなど、非常に苦労したようですが、いざ、ふたをあけて預かってみると、そこに来ている子供たちがここは楽しいということで子供たちの口コミで対象者が広がって、今では定員も満杯状態になっています。3カ所目は、教育委員会が設置した「ぬくもり教室」です。ここは遊び型非行の子供に対象を絞っていて、非常に対応が難しい子供たちなのですが、その子供たちを何とかしないとということで―ただ、対象の子供には1対1の個別対応をするものですから、2名から10名程度を預かっています。あと1カ所は、社会福祉法人漲水学園が社会貢献事業として母子家庭の子供を対象に学習支援、食事支援を送迎つきで行っています。ここは母子会と連携をとり、約20名の子供を預かって支援しているということで、ほかの市町村にはない非常にユニークな居場所ではないかと思っております。とてもいい活動をしています。当初、この4カ所が設置されていましたが、実は宮古島市には児童館が6館あります。この6館の児童館を活用して、ぜひ児童館でも子供の食堂を実施してくださいということで、下地児童館で―そこは市から委託された法人がやっていましたので、そこに来ている子供たちです。そうすると、児童館ではレッテルが張られないわけです。貧困の子も貧困ではない子も誰でも来られますし、しかも無料ということで、ここでは毎週土曜日には昼食を出して、週2回はおやつを提供しています。土曜日は40人、地域の人も巻き込んで実施しているということで、先日、児童館の館長がおっしゃっていたのですが、児童館に来ている子供たちが最近変わっていて、落ち着いて、けんかがなくなったというのです。ですから、児童館で子供食堂をしたりおやつを出したりすることで、子供たちが精神的に安定して落ち着いたと。以前はごたごたが絶えなかったそうです。職員2人でけんかの仲裁に追われていたけれど、今はそれがほとんどなくなって、1人でもゆっくり子供たちを見られるという効果が出ているという報告をしておりました。
 今後の課題としては、現在、5カ所の居場所があるのですが、地域が偏っていて貧困の家庭が多い地域に居場所がないということで、それを今後やっていかないといけません。特に私たちが感じたのは、伊良部地域や池間島地域などの旧離島、橋がかかる前の離島の地域の貧困状態です。伊良部地域には児童館が2カ所あるのですが、そこに来ている子供たちはみんなおなかをすかせていて、せっかく児童館があるのに、そこを活用して何とかできないかということは今後の非常に大きな課題ではないかと思っています。それから、どの居場所に行っても、市役所や支援員などもそうですが、みんなが気にしていることは―これはモデル事業として開始されましたので、3年間は10分の10ですが、その後はどうなるのかということをとても気にしているわけです。そういう意味で、今後、間違いなくといえば語弊があるのですが、もしかしたら3年後は10分の8などに減らされるかもしれないということを考えると、国からの予算だけを当てにしないで、地域の人たちや民間企業を巻き込んだ支援の構築が必要ではないかと感じました。そのためには、宮古島市の庁舎内に貧困対策連絡協議会をぜひ設置して、今後、そういうことを考えていく必要があるのではないかと思っています。
 次に、石垣市にいきたいと思います。同じ離島でも、宮古島市と石垣市では違っています。ここも最初の日付を平成24年から平成29年に直していただきたいと思います。
 石垣市も同じように市民の子供の貧困についての理解が不十分でした。それで、平成29年2月15日に市長表敬を行うと同時に、7月に八重山地区の民生委員・児童委員の皆さんに研修会を実施しまして、参加者は80人でした。石垣市も同じように、1月から毎月2回訪問をしています。石垣市は貧困対策支援員が3名配置されています。ところが、身分は非常勤で3カ月更新です。ですから、貧困の子供を支援する貧困対策支援員が3カ月更新で、まさに貧困状態にあるということをすごく感じました。ただ、専任で業務を行っておりまして、業務内容も明確で、貧困家庭の子供を居場所につなぐ役割と支援を行う役割、それから、3名配置されていますので、家庭へのアウトリーチも頻繁に行っていました。
 居場所については、当初1カ所設置されていまして、私たちが応援をして2カ所設置し、現在は3カ所になっています。石垣市の特徴は、児童館というものがないわけです。ですから、居場所を設置するにしても場所がないということで、とても困難な状況にありまして、一番最初に、平成28年7月に古い保育園を使って「子どもホッ!とステーション大川」を設置したのですが、そこには非常に重い子供たちが来るということで、受託をしていた方が1年満たないうちに撤退をして、去年の4月から新たな受託者が支援をしています。2カ所目の居場所が「子どもホッ!とステーション未来塾」で、石垣市にある唯一の児童館と言われている子どもセンターを活用し、夕方、中学3年生の高校受験生の学習支援を去年の6月から集中的に行った結果、約18名が全員合格ということで、非常にうれしい知らせが届いています。3カ所目の居場所ですが、石垣市の真喜良地区に真喜良団地がありまして、そこが貧困家庭が最も多いと言われているところでした。そこには児童館ももちろんないので、ぜひ居場所をつくりたいということで、地域の自治会の事務所を回って、私たちも市と協力して説得をして、やっと去年の9月に「子どもホッ!とステーションまきら」ができました。そこは地域の子供も全部来なさいという形でやっています。
 今後の課題としては、石垣地区も居場所が地域的に偏っていて、大浜や磯辺などの東部地域にないということで、今後、そこに設置していく必要があります。また、石垣市の特徴として、居場所事業を実施したために、これまで潜在化していた―つまり、地域で放置されていた子供たちの掘り起こしがされて、より重いケースがどんどん出てきています。ですから、言葉遣いが乱暴だったり、暴力を振るったりなど、いろいろな問題のある子供たちも居場所に来ています。石垣市の最初の居場所の受託者が撤退したというのは、こういう背景があったからなのです。それで、居場所をどのようにみんなで協力をして支援していくかということが大きな課題ではないかと思っています。それから、石垣地区には児童館が1カ所しかないので、今後、できれば児童館をつくって、より多くの子供を支援できる体制をつくることが必要ということと、石垣地区も同じように地域、学校、民間企業を巻き込んだ支援の構築をしていく必要があるのではないかと思っています。

○仲村未央委員長 ありがとうございました。
 非常に駆け足ではありましたが、各地区の輪郭的なことはお話をいただけたかと思っております。
 参考人の説明は終わりましたので、これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 新垣新委員。

○新垣新委員 まず、拠点となる子供たちの居場所からしっかりしないといけないという問題で、宮古地区や石垣地区では偏りがあると。これはどこにいってもあると思います。正直な感想から申し上げますと、1点目に、中学校校区に活動拠点を置くことはどうか。2点目に、支援員に対する処遇を公務員並みにすべきだと思います。そうすることによって、しっかり熱意も―保障という問題が大事ではないか。3点目に、ことしの2月にフィンランドに行って、地域の核となるネウボラという施設を見てきました。日本では母子包括支援センターになっていますが、それを家族支援センターという名前に変えて、1つ大きなものをつくって、赤ちゃんの健康診断や母子診断、一般の県民の健康診断―また、そこではネウボラに通わないと児童手当がもらえないというのです。ですから、親がしっかりしないと子供がしっかりしない。親が何をしているかということもしっかり把握できるし、親を修正することも大事ではないかということが3点目です。4点目に、1つは大きなものを地域に置いていただいて、家族支援センターという形で親の健康や、親が何の仕事をしているのかということを見る。そして、子供はここで健康診断をしないと児童手当をあげることはできない。そこで学校とも連携をして、子供たちの健康を管理していくと。わかりやすいのは、虫歯の多い子はほとんど貧困だという意見を学校の先生方からも聞いています。また、ネグレクトの親が多いと。地域に偏りがあるかもしれません。御飯をつくらないとか―そこをしっかり学校とも話して、活動拠点をしっかりしてほしいというのが4点目です。5点目に、南部地域の糸満市、豊見城市、八重瀬町、南城市、与那原町、南風原町、3市3町の支援員の状況はどうなっているか。この5点をお聞きします。

○松本大進参考人 まず、中学校の校区ごとに居場所がつくれないかということで、議論の大前提として、内閣府から支援員と居場所の配置について直接市町村にお金がおりていて、事業がスタートするときに市町村や県も悩んだし、私たちも悩んだのですが、事業の予算の使い方の基本枠組みは、各地域で貧困の状況が違うので市町村が独自に考えるようにというところが出発点でした。ですから、しっかり考えられて組めたところもあるし、ある種、自由の不自由のようなことも実際に起こっていました。そういう中で、中学校の各校区に居場所がつくれないかということで、歩いていけるところに居場所を配置するということが組めているところとそうではないところがあると。そこは各市町村が―先ほどの10分の10の補助が終わっていくという話と連動しますが、これも市町村で差があって、ボランティアレベルでできるぐらいのところで、複数の居場所を設置するとか、歩いていける場所でというように組んでいるところもあれば、困難なケースにも対応できるような居場所が必要だということで、数は少ないがしっかり予算をかけてつくろうというところもあります。そういう中で、居場所の数が少なく中学校区まではなっていない場合は、各居場所で送迎まで手が出せるかどうかということが一つのポイントになると思います。遠くても送迎が充実していれば通えます。ただ、送迎までの仕様を折り込むかどうかというのは各市町村が決めるので、その必要性を各市町村がどう考えるかというところかと思います。
 次に、支援員の処遇の保障ですが、これも同様に、ある市町村は支援員に割と予算をつけて、その分、居場所はボランティアレベルでやっていこうというところもあれば、支援員よりも居場所に予算をかけようというところもあって、そのさじかげんは各市町村によりけりだと思います。ですから、おっしゃるとおり、少なくとも南部地区としても見えているところですが、支援員の入れかわりがあります。ある種、マネジメントが難しくて、いい人なのに出て行ってしまうこともあるし、やはり待遇ということで出るところもあります。それから、支援の枠組みもなかなか見えてこないし、自分の力が十分発揮できないということで離れていく方もいらっしゃいます。そこは少し別の議論ですが、処遇について市町村がどう考えるか、また、県や内閣府としてどう考えるか、どのようにおろしてくるかということは議論の余地があるかと思います。
 次に、親御さんの修正のお話ですが、ここは非常にポイントになるところだと思います。こういうところで、1つ、実は毎月の会議で上がっていて、どこまでできるかというところで、なかなか共通でやることはこれからかもしれませんが、少なくとも南部地区で見えているところからすると、親御さんの世帯支援までいかに到達し得るかで、冒頭の鈴木さんの資料にもありましたし、私の資料にもありましたが、貧困世帯の親御さんも39歳未満の若者なのです。ニート状態、ひとり親で、キャリアをどう積むかということもあるわけです。ですから、親御さんのキャリア支援として、例えば、ネグレクトの修正など―ただ、やってくださいと言ってもやらないので、一緒にやろうというようなゆとりが出てくると、子供にもやれるというようなところとか、支援につながったりもするので、いかに困難な親御さんにタッチしていけるか。ただ、ここが支援員の位置づけとして、どこまでやってもらう枠をとっているのか、その支援員ができるのかどうか。居場所としても、予防レベルでいくのか、それとも世帯支援まで踏み込んだレベルまでしっかりやるのか。あとは、居場所ができるのかどうか。ここの組み合わせになると思います。一事業所の思いとしては、極力親御さん支援まで到達できるように人材育成や居場所に入って一緒にやっていきたいのですが、正直、複数の居場所の行政担当の方からはボランティアレベルでスタートしているから難しいということで、本当に悩みながらですが、やはりそこまでいかにつないでいけるか。この枠組みでやってもいいし、どこかにつないで到達してもいいというのが一つ大事なポイントだと思います。
 あとは、家族支援センターのように拠点化するということは非常に素晴らしいアイデアの一つだと思います。こういうところで、社会的自立だけに引き寄せるのもどうかと思うのですが、例えば、生活保護世帯で進路未決定の―最近、非公式なところでいろいろ聞いて、大体の感じをつかんでいるのですが、中学校の進路未決定の子たちは県内で毎年大体420人から430人出ます。そうすると、人口比で大体の推計が出るので、各市町村の進路未決定の全体像の生活保護世帯の割合が大まかに見えてきているのですが、大体1割に満たないのです。進路未決定の1割に満たない子たちが生活保護なので、何だかんだ支援員がついて結構手厚くやっているのかと。そこに至らない層が、何か支援が必要ではないかと。そういうところでいくと、今回、児童扶養手当について、支給するからきちんとつながろうということで、ある層を何かの支援の枠組みに乗せる。生活保護は、毎月1回ぐらいワーカーとやりとりしているので、そういったところもアイデアの一つかと思いました。
 南部地区の支援員の状況ですが、多岐にわたっているので―教育現場と連携して非常に丁寧にやれているところもありますし、概況で言うと、支援の枠組みがあるレベルで定まっていたり、支援が硬直してしまっているところもあるのですが、全体で見ると学校との連携は比較的進んできているのではないかという状況です。ただ、個別の支援員の力量として、学校にどう信頼してもらえるかというところで差が出てきているのが正直なところです。あとは、繰り返しになりますが、一部の地域では離職などいろいろな難しさがあって、また次年度以降、修正しないといけないと感じているところでございます。

○新垣新委員 1つ感じたことがありまして、送迎については市町村の裁量と聞いたのですが、それができたら非常にいいのですが、これをうまく法制化して―沖縄県は条例とか、国の理解もあるので、市町村と県が一体となって、地域の中学校校区にできなければ送迎つきにするとか、学校とも連携して塾や食堂もできるようにするということが1点。また、フィンランドという国は社会主義ですから、社会主義の厳しさとして親がしっかりしないと子供がしっかりしないということも、私も次代を考えるべきだと思っています。その中で、母子包括支援センターを家族支援センターに変えて、ここに通って子供と一緒に親も健康診断を受けないと児童手当をあげないとか、そういう厳しさを与えない限り―そして、何の仕事をしているかということも、ぜひ参考意見として法制化してマネジメントしてほしいのです。親がしっかりしないと子供もしっかりしないというのが一番大きなウエートだと思いますので、ぜひ県と連携して法制化をお願いしていただきたいと思います。

○仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。
 亀濱玲子委員。

○亀濱玲子委員 圏域のコーディネーターが必要だということは、この間、委員会でも指摘をして、それが実現し、皆さんが総合的に地域を見てくださることはありがたいと感じているところです。内閣府の子どもの貧困緊急対策事業は市町村が受け取るということですが、平成29年10月現在では、沖縄県の41自治体の中で3町8村が受けていないと。もしかしたら、現在は申請して受けたかもしれませんが、平成29年10月時点では受けていません。北部地区の方から離島支援、あるいはひとり親支援が難しいという課題があったのですが、実際に事業を実施していない自治体を皆さんはどのように把握されていますか。この事業を行ってない自治体とのかかわりが難しいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○宇根美幸参考人 北部圏域ですが、離島は3つありまして、そのうち伊平屋村のみが事業を実施しています。平成28年度は、全市町村において現状を把握しようということで、実施をしていない伊是名村、伊江村もヒアリングをしてきました。その中で、教育委員会で学習支援をしているのでとりあえずやっている形ではあるとか、平成29年度において実施していく予定だという回答はありましたが、本年度はまだ実施をされていない状況です。私たち沖縄県労働者福祉基金協会では、この事業のほかに生活困窮者自立相談支援事業とファミリーサポート事業も受託しているのですが、伊是名村、伊江村においては、生活困窮者の相談ということでつながってくるケースがありまして、その世帯にはお子さんがいますので、その支援を通しながら貧困事業もどうかという投げかけを行っている状況です。

○亀濱玲子委員 とりあえず改善には向かっているというか、今、つながる努力をされている最中で、具体的な支援が十分できている状況ではないという受けとめ方でいいですか。

○宇根美幸参考人 ヒアリングをした中で、伊江村においては、子供の貧困というネーミングも少し取り扱いづらいということがあります。この事業を担当している人が家に来ることで、私たちがというような警戒もあるので、貧困事業だけをするのがやはりハードルが高いということがありまして、障害高齢者、子育て世帯をひっくるめて総合的に検討したいということがありました。その後、私たちの事業としては設置されている市町村への訪問が主になりますので、本年度においては2つの村について具体的な働きかけはしておりません。

○亀濱玲子委員 地域の偏在に支援が行き届くということを考えると、特に宮古地区もそうですが、例えば、城辺地域でも子供が歩いて通えるところ、自転車で通える範囲で支援が受けられるような居場所がより近くにないと、この問題には十分手が届かないのです。ですから、この報告を上げてくださったので、改めて地域の偏在などにおいて県や自治体の担当者とうまく連携がとれているか、情報が共有されているかということについて、皆さんが感じていることがあれば教えてください。

○山内優子参考人 宮古地区の池間地域ですが、そこには児童館もないし、学童もありません。ただ、そこにいる大人たちが池間地域の子供たちのために何とか居場所をつくりたいということで、池間小・中学校では幼稚園が休園になっていて、あいている施設があるので、そこをぜひ居場所に使わせてほしいということでかけ合って、個人の努力によってみんなのおうちという居場所のようなものをつくって、子供だけではなくお年寄りも含めて活動しています。そこに沖縄セルラーが子ども基金をつくって、30万円をみんなのおうちに支援してきたわけです。沖縄セルラーとしては、どんな事業でも立ち上げるのにお金がかかると。ですから、最初に沖縄セルラーが支援をするので、ある程度、事業が開始されれば、あとは行政が引き継いでほしいということをお願いしているのですが、それが2年目にうまくいかなくて、そのまま潰すわけにはいかないので今年度も沖縄セルラーが支援をしているという形で、個人の努力で頑張っているということはおかしいのではないかと思います。そういう意味では、行政がしっかりしてほしいと思います。それから、宮古地区の多良間村があります。私たちは多良間村には行っていないのですが、教育振興会が塾を村から―そこは村自体がしっかりしていまして、そこにいる子供たちの学習支援をしっかり行っているので、あえて小さなところに貧困の居場所をつくる必要はないのではないかという話を聞いたので、そこには行っていません。石垣市については竹富町と与那国町があるのですが、竹富町に訪問をして聞いたら、竹富町には小浜島などの離島がたくさんあって、それぞれの離島で子供会が活発に活動していると。ですから、子供会を中心に青年会や老人会など、みんなで子供会を支援して、子供たちをいろいろな行事に参加させたりしているので、ここもあえて貧困の子供の居場所をつくる必要はないということを竹富町役場は言っておりました。ただ、まだ与那国町には行っていないので、とても気になっているのですが、与那国町にもいろいろな人たちが入ってきて、今ああいう地域では子供が非常に不安定になるので、そこをしっかりやっていかなくてはいけないと思っています。次年度は与那国町も支援できればと思っています。

○松本大進参考人 支援を受けていない町村があって、そこに対する啓発も必要ではないかというのはおっしゃるとおりです。そういう中で、複数の事業を引き受けながらやっている一つとして支援コーディネーター配置事業もあって、この事業枠だからここまでということではなく、できる範囲で広がりを持ってやりたいといつも思っているので、非常にいい御指摘を受けたと思っています。支援コーディネーター事業については、当初は支援員を支援するということで、まずは支援員を配置しているところに行こうと。ですから、今後は別の事業なりこの事業なりで、配置していない町村に飛行機代などをつけて啓発していくことも必要ではないかというところをぜひ発信いただくと、やはり町村向けの啓発としていろいろ回れるように工夫をしましょうということで―多分、宇根参考人や山内参考人もそうだと思うのですが、各事業所の持ち出しで回られていた部分があるのではないかと思うので、事業枠組みとして啓発のところをぜひ織り込んでいただくと。ただ、個人の思いとしては、この事業だからここまでではなく、おっしゃるとおりやはりそこだったと。南部地区としては非常によかったと思いながら、これまで支援員向けが中心だったので、次年度は居場所もしっかり回りましょうということが指標に落とし込まれたので、例えば、北大東村は居場所があったりするのですが、そこは飛行機代も取ってしっかり訪問のコースに入れようということで進めていくところなので、そういった中で見えてきたところからいろいろな啓発をかけていきたいと思いました。

○亀濱玲子委員 多良間村のように、子供たちの教育にかかる費用や医療費などが全部無料で独自にやっている自治体もあるのですが、今、北部地区の方のお話を聞いて、一つの貧困という看板を上げてしまったら、より小さな地域はそこに行くと子供が貧困かと言われるので、ほかの事業とセットにして、そうではない子も一緒の居場所づくりをする工夫が必要ではないかと思います。それから、松本参考人がおっしゃっていた支援員の役割が限定されていることや、支援員の役割そのものの枠組みが不在であるということが、皆さんが自治体とかかわるときに―例えば、この人を生活保護につなぎたいが、どうやって自分たちの役割を認めてもらって、どこまで力を持てるかということは市町村によって違うと思うのです。ですから、むしろ皆さんの経験上どうあってほしいと思っていらっしゃるかという提言が欲しいと思いますが、いかがでしょうか。

○松本大進参考人 ぜひ全体からも発信があるといいと思いました。まず、いろいろな社会支援につなげるつなぎ支援が中核であるということはもちろんですが、関係機関との関係をつくったり、世帯や本人との関係をつくらないとつなぎにならないことも非常に多いです。ここが担当課の考え方によって非常に狭かったり、全然考えがなかったりする場合があるので、つなぎ支援が中核ですが、それに付随して関係性構築のためなどの支援もやっていきましょうということがあるといいと。そういう中で、柔軟に学習支援やアウトリーチ、不登校支援などを学校との連携の中でやっていくと、学校もやってくれているということで情報を出してきたり、関係性がどんどんよくなっていたりするので、こういったところが一つではないかと思います。

○亀濱玲子委員 例えば、子ども未来政策課と皆さんと自治体と教育庁で、必要な支援は何かということと、支援員の役割を明確化することが―市町村のばらつきをなくして皆さんが入りやすくなる工夫ができるとしたら、そういうことなのではないかと思います。それから、学校だけではなく、中学校卒業、高校卒業をした子の学習や就労支援は市町村もできていないのです。それは先ほど言ったように、子供の貧困の相談に乗っていったら家族支援をしていかないといけないところに行き着くので、このトータルでの枠組みと皆さんの役割を明確にするような協議は、せっかく予算を出して力を入れようと思っている沖縄県でやらなければいけないことかと思うのですが、これについて皆さんはどう感じていますか。

○松本大進参考人 おっしゃるとおりで、これを毎月1回の会議でずっと話をしていて、次年度以降、どのように出してくるかというところなのですが、会議の中で話し合われていたこととしては、役割をきちんと明確にしないと自由の不自由でみんなどう動いていいかわからないということで、県としては、つなぎ支援が中核だということももちろんですが、中期的、長期的な行動目標として、不登校の支援や学習支援、進路未決定の支えなどといったところも織り込んでいこうということを内閣府と話をしている最中だとお答えいただいていますので、次年度以降、内閣府として各市町村に事業をおろしてくるところでどんな指標にしてくるかということを見ているところだと思います。

○亀濱玲子委員 沖縄県が貧困対策に力を入れているところで改善していないのが、小・中学校生の不登校率です。これについて皆さんが感じていることがあれば教えてください。

○鈴木友一郎参考人 これも市町村によってばらつきがあるのではないかと思います。大きい市部でも、学校によってばらつきがあると。逆に町村部はそこまでではないと感じています。まずは基本的な指標として、学校や市町村がデータは持っているはずなので、そこは表に出すと問題になると思いますが、まずはきちんと把握をすることではないかと。それは県がやるよりも市町村がきちんと取り組んでいくことだと感じます。その上でどういう傾向があるかということは、支援員がわかっていたり、要保護児童対策地域協議会―要対協にかかっていたりするケースがかなり高いのではないかと思います。そこを踏まえて、貧困脱却ということを考えると、きちんと個別のケースプランをつくっていかないとだめなのではないかと感じています。

○山内優子参考人 小学生の不登校と中学生の不登校では違うと思います。小学生の場合は、ネグレクトの家庭の子供が不登校になると。沖縄で一番多いのは、若年出産、若年結婚をして、離婚をして、親が夜に働いて朝に子供を起こしきれないと。それだけではなく、お母さんが次の彼氏をつくって夜に家にいないとか、子供たちが夜通し起きて朝に起きられないとか、小学生の場合はそういった家庭の問題だと思うのです。ですから、親がしっかりしないといけないのではないかと。今回、支援事業で居場所を回ってみて、そういう家庭がふえていると実感しております。ですから、そういう家庭の子供を居場所につないでしっかり支援をしていくことによって、親も変わっていくのです。子供をこちらが預かって食事や勉強を見てあげれば子供は変わるので、それによって親も変わっていくという二次的な効果があるのではないかと思います。中学生の場合には、学校の授業についていけないことが大きな原因です。学校に行っても勉強についていけないので、昼間は寝て、夜に徘回して、朝起きられないと。そのように小学生と中学生のパターンをしっかり分けて対応していくことが必要ではないかと思っています。

○松本大進参考人 貧困支援として不登校がどうなっているかという発言があったことが、一つの前進かと。といいますのが、不登校を扱うかどうかということも議論の俎上に上がったのです。ただ、事業が動いてみたら、そこも学校と関係をつくっていかないと進んでいかないし、片方の議論として、それは教育の役割だという話も出てきたりするのです。ですから、こういう社会的自立の支援をどう位置づけるかということを県としてどう考えるのか、内閣府としてどう考えるかというところで議論が進めばと思います。それから、山内参考人との発言と重なるところがあるのですが、ソラエという事業で不登校をたくさん見たり、貧困対策として各地域に行って不登校を見る中で、不登校などの社会的自立が困難で、学習が苦手で行けないケースがどれぐらいあるのか、親御さんの押し出しが弱いケースがどれぐらいあるのか、はたまた、親御さんはしっかりしているが、繊細さ、過敏さが何らかの要因になってそうなっているのかという全体のデータがないのです。ですから、次年度以降そうできたらいいと思いながら、また皆さんと相談ですが、せっかくこういう枠組みで県内全体で取り組もうとしているので、各子供や世帯の客観的な状態像を把握することが大事かと。そういう中で、学習の困難が何割ぐらいなのか、ネグレクト傾向がある世帯が何割ぐらいなのか、また、クロス表にしてみたらしっかりわかると思うので、そういうことも進めていきたいと思っています。

○仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。
 金城泰邦委員。

○金城泰邦委員 皆様、大変御苦労されていると思います。普段、皆様コーディネーターが行政とかかわる窓口はどこになっていますか。

○松本大進参考人 これも各市町村で違っていて、大きい市町村は教育にも予算がついて、福祉の児童家庭課か保護課のどちらかが多いのですが、教育と福祉の両方に予算がつくので、両方が窓口となっている場合が多いです。小さい市町村の場合は2つにまたがっているところは少なくて、教育委員会か、福祉の事業所の受け持ちの課のどちらかが窓口になっていると思います。

○山内優子参考人 福祉も児童家庭課という子供の問題を中心にしているところがあったり、宮古島市では福祉政策課という生活の自立支援をしているところが担当しています。また、福祉の内部でも担当課がばらばらということはあります。

○金城泰邦委員 子供との接点はどこを通じて持っているのですか。

○松本大進参考人 子供との接点は非常に大事なポイントで、対象となるケースをどう把握するか、どう接するかという御質疑かと思います。これも体制づくりで地域差がございます。幾つか例を出しますと、割とスムーズにできているところは、教育委員会からおろされてきて、学校に子供ソーシャルワーカーというスクールソーシャルワーカーに準ずるような―あとはスクールソーシャルワーカーという名前でおろしている地域もあるのですが、こういうところは既存の支援員やスクールソーシャルワーカーという先輩の後を追っていく形で、学校の先生も使い方がよくわかるので、心配な子のケースが上がってきて、そこで子供や世帯と接するということが1つです。あとは、居場所に配置されている場合もあります。そうすると、居場所に子供たちが入ってきて、そこに支援員が行って、居場所のスタッフと情報共有をしながら気になる世帯をピックアップしていくというところがあります。もう一つは、行政内部で課同士の連携体制が非常に整っていて、例えば、就学援助を受けている世帯や生活保護、要保護世帯の情報を市町村内部で突き合わせをして、行政内部で潜在的な支援が必要な世帯を洗い出して、そこで学校と連携をして支援対象を絞り込んでいくと。そういう中で、居場所経由か、学校経由か、はたまた違う経由から一番会いやすいところを模索してつながっていくということが多いです。

○金城泰邦委員 学校関係はワーカーを通じて、あとは地域の居場所があると思うのですが、行政区とのかかわりとしては、地域自治会長や行政区長、あるいは保護者のPTAとのかかわりを持っている事例もありますか。

○山内優子参考人 居場所を地域の自治会の事務所に設置しているところもあります。そういう意味で、自治会が中心になっているところもありますし、浦添市ではPTAの役員の皆さんが子ども食堂を開始しています。PTAだと後から引き継いでいけるので、PTAの運営も非常にいいかと思っています。

○松本大進参考人 この御指摘は大変いい御指摘だと思っています。また違う関連事業で児童民生委員の方とお話しする機会があって、昔は民生委員と学校が割と近かったり、その流れでPTAとも近かったりしたのですが、今は距離が遠くなって学校になかなか入っていけないと。要対協などに位置づけてくれたら入りやすいのですが、地域によって要対協に児童民生委員が位置づけていないところもあったりして、距離が遠くなって情報がとれないということが、県内全体の一つの大きな傾向ではないかと思います。そういう中で、うまくやれているところの例でいくと、各中学校区あたりでケース会議や貧困対策会議などの何らかの会議があって、そこに貧困対策支援員や民生委員、PTAの重立った方が入って情報共有の場がつくれている地域が出てき始めています。昔からつくられているところもありますが、こういうところは地域の民生委員の方も巻き込んで丁寧に支援が進んでいると思います。

○仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 子供の貧困対策については、8年前か9年前に県議会で勉強会を開いて、沖縄の子供の状況は大変だということで、調査や対策を行うべきというところから始まったと思います。結局、調査をすると全国の倍近くの29.9%ということで沖縄の厳しい状況もわかって、やはり現場から出発をされたので、沖縄の重要な課題として運動をされてきたかと思うのですが、今、内閣府の事業で各居場所づくりに予算が入っていると。そして、きょう、参考人で来ていただいたのは支援コーディネーター配置事業ということで、県の予算を使って取り組んでいるのですが、この事業に具体的に入ってみて、数字で出たものが表に少しずつ見えてきたかと思うので、最初に感想をいただけたらと思います。

○山内優子参考人 私がなぜ支援コーディネーターに手を挙げたかというと、いきなり内閣府から予算がおりてきて、現場ではどうすればいいかわからないという状況で、何とかお手伝いしたいということで入ったわけですが、居場所事業をしてみてよかったと思うのは、それぞれの地域には、これまで直接子供に食事を与えたり、勉強を教えたり、いろいろな生活指導を行う場所はなかったわけです。児童相談所が持っている児童養護施設では、子供を親元から離していたのですが、居場所というのは親元から居場所に通わせるので―今まで各市町村には、スクールソーシャルワーカーや児童民生委員などの子供を支援する人がいたのですが、親や子供に対していろいろ指導をしても、具体的におなかがすいているから御飯をあげたり、勉強を教えたりする場所はなかったわけです。そこで、居場所がその役割を果たしていて、具体的に支援をすることによって子供が目に見えて変わっていく。挨拶ができなかった子がきちんとできるようになったり、勉強も学校で積極的に手を挙げるようになったり、いろいろな好事例が出ているわけです。そういう意味では、居場所事業はとても有効な事業だと思いました。
 それから支援員ですが、支援員は居場所につなぐだけではなく、支援員の強味としては、これまで地域には支援する人がいたのですが、児童相談所の職員や福祉事務所、家庭児童相談室―家児相の職員なども、余り直接経済的な問題には突っ込んでいけなかったのです。ただ、貧困対策支援員はこの家庭が貧困だとわかっているので、家計はどうなっているか、いろいろな手当があるがもらっているかなど、そういうことも直接すぐに親に聞けるという強味があって、居場所にはつながなくてもアウトリーチができるのです。そういう家庭に訪問をして、修学旅行に行けないという子供がいたら、こういう手当がもらえますと言って一緒に申請をして修学旅行に無事に行かせたとか、ランドセルがないから学校に行けないという女の子がいて、支援員がネットワークを使って子供のランドセルを集めてきてあげたとか、そういったいろいろな方法を活用しながら家庭を安定させるという役割も担っていて、とてもいい活動をしている支援員がいると思います。

○西銘純恵委員 配置事業が始まったのは平成29年度からですか。

○山内優子参考人 私たちコーディネーターは平成29年1月から配置されました。

○西銘純恵委員 平成28年度後半から始まったということですが、予算も含めて、皆さんが1年間取り組んでみて不足していること、県に対して配置事業としてやりたいことなど、要望がありましたらよろしくお願いします。

○鈴木友一郎参考人 県にということも少し重なると思うのですが、各自治体がゴール先をどこに持っていくのかということを、この1年で真剣に考えないといけないのではないかと。町村部はかなり取り組んでいるのですが、市部にはすごく課題があると感じていて、町村部ができて、なぜ市部ができないのかというところを見ていく必要があるのではないかと思います。もう一つは、山内さんがおっしゃっていたように支援員も頑張っていらっしゃいますが、社会福祉協議会や児童館の職員、障害のある相談支援事業所などは、ケースによって結構かかわっていたりする場合も見受けられます。もしかしたら保育園もそうだと考えると、市町村がどのような設計図を書いていくのかということが大事なのではないかと思います。居場所に関しても同様なことが言えて、居場所が何を担っているのかというところで、誰でも来られるという居場所も当然必要だろうと思いますし、同時にしんどさを抱えている子供に対してどう寄り添い場所をつくるのかと。数字的には29.9%の子供が貧困だということですが、29.9%の子供に対して居場所が本当に必要かといえば、私はそうではないだろうと感覚的に少し感じていて、ただ、やはり必要な子供もいるので、そこをどのように考えていくかということがあると。あとは、中・高生の部分をどうしていくのかというところと、もう一つ抜けているのが乳・幼児期のところで、正直、そこまではやり切れていないと感じています。

○宇根美幸参考人 北部地区で感じていることですが、鈴木さんがおっしゃったように行政の目標設定がないということで、この貧困事業をどうしていこうか悩んでいるところが見受けられます。ヒアリングをしていく中で、そういった課題が各市町村から出てくるのですが、何をしたら私たちの地域から子供の貧困がなくなるかを考えていこうということで話し合いを進めてきました。その中で、やはり地域づくりではないかということが各地域から出てきています。その地域づくりの中で、人のつながりや関係機関のつながり、行政の意識といったところでモチベーションが上がると、自然とそういった居場所がつくれていくのではないかと考えています。この貧困事業を皆さんに知ってもらいたいということで、民生委員の定例会や区長会に支援員も一緒に行って事業の説明を行ってきましたが、北部地区では子供というよりも高齢者支援、高齢者を中心とした地域づくりに対する意識が高くて、そのほか、空き家対策を中心にした地域づくり、観光を参考にした地域づくり、その後に子供だというところがあります。ただ、共通しているのが地域づくりというところなので、事業の縦割りではなく、全てが横でつながって、誰もが中心にいられるというところを目指していける内容になればと感じています。

○松本大進参考人 県への御要望として、端的に広域での居場所事業や相談、アウトリーチができる機関が必要かと思っています。例えば、南部地区では各市町村に居場所があるのですが、各居場所で持ちきれないケースが出てきていて、近くにあるからいけないということもあったりするのです。もう一つは、難しいケースです。全然出てこないとか、親御さんが難しいとか、居場所で受けたいがなかなかつながれないなどのケースは、やはりボランティアレベルの予防ベースのところでは難しくて、そうすると、やはり広域で受け取れるような居場所や―また、各支援員はとても頑張っていらっしゃるのですが、難しいケースはできないということも出てきていて、そういったところは恐らく中部地区や北部地区、離島関係も同じかと思いますので、広域での居場所、相談、アウトリーチができるしっかりした枠組みが必要ではないかと思います。

○山内優子参考人 私は具体的にお願いしたいことがありまして、今回、石垣地区では高校に行くことを諦めて、親も行かせる必要はないと言っていた子供たちを支援員が一生懸命支援して、18名が高校に合格しています。ところが、高校に入学しても制服や入学準備金などが準備できなくて困っているという子供たちがいますので、各市町村の居場所で勉強して合格した子供たちの高校入学準備金を、ぜひ県が予算化して支援できれば非常にありがたいと思っています。それから、宮古地区の伊良部児童館には、土曜日の朝から御飯を食べていない子が来るということで、指導員が自宅でおにぎりをつくって、昼間、そこに来る子供に与えていると。そこで、せめて炊飯器があっておにぎりがつくれれば子供たちのおなかを満たすことができるのですが、児童館では食事をとっていけないという決まりがあるというのです。ですから、家でおにぎりをつくって来ていて、そうすることによってコンビニから盗むのを防ぐことができればいいと。ここも個人の力でやっているので、そういう決まりをなくして、柔軟に対応できるように支援していただければと思います。最後に、居場所に来ている子供たちはいいのですが、来られない子供たちがたくさんいて、対処療法的に次から次に出てくると。ですから、一番大切なのは若年の妊娠、出産から支援していくことではないかということで、ぜひ今後、若年出産をした母子への支援もしっかりできるような体制をつくっていただければと思っています。

○西銘純恵委員 いろいろな要望が出ていますが、沖縄県としても独自の貧困対策が歩き出して、課題も出て来ていて、やはり大きな問題は財政措置だと思うのです。国が子どもの貧困対策法をつくって、沖縄県の予算は30億円の基金だと。そして、内閣府から来たものが皆さんにということを含めて、とても頑張ってはいるのですが、その法に基づく全国での子供の対策について具体的に予算上も出てくれば、市町村の3年で切れた後にどうするかというところも不安なく拡充していくということもあると思うのです。先ほど、法の制定という意見もありましたが、そこら辺について国に対して意見がありましたらよろしくお願いします。

○山内優子参考人 国はモデル事業として10分の10の補助で行っているわけですから、費用対効果を求めてくると思います。ことし、3年目になるので、費用対効果をどのように出して評価してもらうかということが一番大きな課題かと思っています。ただ、3年間で貧困がなくなるわけではありませんし、子供が劇的に変わるわけもありません。そういう意味で、もっと費用対効果のあり方を県と国が議論しながら、できるだけこの事業を継続していけるように、そのためには居場所も支援員もしっかり頑張らなければいけないと思いますし、それを支援する私たちももちろんしっかり支援していければと思っています。

○西銘純恵委員 皆さんも頑張っていますし、市町村も頑張っていますので、私たち県議会もさらに前進させるにはどうすればいいかということを議論していきたいと思います。

○仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。
 島袋大委員。

○島袋大委員 今、皆様の質疑を聞いてもそうですが、根本的に市町村との連携が重要だと思っております。県は子ども未来政策課をつくって、この事業が始まる前に我々が指摘していたのは、市町村は混乱に陥ると。その中で、県がどれだけ音頭をとるかが大きな鍵になると3年間言い続けてきました。きょう、皆さん方の意見も聞きながら、皆さんが委託事業として受け、非常に御尽力いただいて感謝しております。市町村とは月に2度ぐらい会っているということですが、今の話の中でも、根本的に全部はできないので、まずは3つを統一してやっていこうとか、課題を解決しようというような意見は県に上がっていますか。県は子ども未来政策課という監督課を持っているのですから、皆さん方がコーディネーターとしていろいろな市町村と議論している中で、市町村が悩んでいるのはここだとか、こういう改善策があるのではないかということについて、県との議論はどうなっていますか。

○松本大進参考人 御指摘のとおりで、議論の繰り返しではあるのですが、支援員の位置づけや、そもそも貧困対策支援をどう考えるのかというところがとても大きなポイントでした。そういう中で、先ほど亀濱委員からもありましたように、社会的な自立も非常に難しいので、そこも織りまぜた指標にしたほうがいいのではないかということを上げて、内閣府からの調整を待っているところです。もう一つのポイントとして、県レベルでも市町村レベルでもそうかもしれませんが、福祉と教育とのコンセンサスをどう落とし込んでいくかというところは当初から議題に上げています。そういう中で、子ども未来政策課には教育庁から出向された学校の先生がお二人いらっしゃって、その先生方を中心に回っていただいていると、やはり回った後で学校の理解が深まっていたという事例も複数あるので、このあたりの課題は、次年度以降もポイントに置いて一緒に回ったり、子ども未来政策課独自に学校を訪問したりということを検討いただいている状況です。そのように随時上げている中で、県としてできることを考えていただいているところではないかと思います。

○島袋大委員 ここが重要だと思っています。当初は内閣府からの予算に縛りをかけようとしたのですが、市町村のニーズに合わせて自由に使える裁量が必要だろうということで、今、させているのです。ですから、町村によってはほかに連携している事業があるのでしなくていいというところもあって、これはこれでオーケーだと思っていますし、那覇市や沖縄市、宜野湾市、浦添市などの大きな市になれば、そのスキルにあった予算を手挙げ方式でとれるというシステムをつくっているのです。その辺は皆さん方で議論しながら、もっとこういった形で活用するにはどうするべきかということを、あと3年しかありませんので、その辺の形づくりをしてほしいのです。県はこのように市町村と直接ですから、その辺の連携をしっかりとっていただきたいということが1つ。あとは、皆さん方の御意見としても、教育委員会に対して小学校、中学校の家庭訪問をしっかり行うべきだと。やはり学校の先生が中に入って見るのが唯一のチャンスなので、支援員が問題が起こってから行くよりは、小学校や中学校に家庭訪問をして、その辺のカウント率を上げるべきではないかと思うのです。そこは県と議論すれば市町村におろせるはずですから、そういったことも含めて皆さん方の思いを県にどんどんぶつけるべきかと思うのですが、どうですか。

○鈴木友一郎参考人 結局は、子供たち一人一人のケースにどう対応していくのかということだと思うのです。先ほど少し話をしたように、支援計画が十分できているとは言いがたいので、どういう支援が有効だったのか、どういう支援が有効ではなかったのかということがなかなか見えないだろうと感じていて、市町村の事業なので、私たちがああしろ、こうしろということは当然言えないのですが、個別のプランをきちんとつくって、その中で支援員だけではない包括的なプランも含めて考えていくということがないと、なかなか見える化できないのではないかと思います。それから、既存の数値もきちんと洗い出して見える化をしていくということは、市町村に促していくと。そのひな形を県が示せば、市町村としてもこんなやり方があるということが見えるのではないかと感じています。

○島袋大委員 パイが大きい事業なので、皆さん方も委託を受けている中でどんどん御意見を言ってもいいと思います。その中で県も気づくところがあると思いますし、我々委員も一緒になって頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○仲村未央委員長 質疑なしと認めます。
 本日は長時間にわたり御意見をいただいて、各圏域の特徴や課題、共通する部分もお話を伺えたと思っています。また、それぞれの委員から個別に問い合わせ等もあるかもしれませんが、ぜひ引き続き全県の支援員を支援していただき、我々委員もともに頑張らせていただけますよう、今後とも御協力よろしくお願いいたします。
 本日は、まことにありがとうございました。
 以上で、宇根美幸参考人、鈴木友一郎参考人、松本大進参考人、山内優子参考人に対する質疑を終結いたします。
 この際、参考人各位と補助者に対し、委員会を代表して、一言お礼を申し上げたところです。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御説明をいただき心から感謝いたします。
 本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
 宇根美幸参考人、鈴木友一郎参考人、松本大進参考人、山内優子参考人及び若松るみ補助者、大変ありがとうございました。
 休憩いたします。

○仲村未央委員長 再開いたします。
 本日の説明員として、子ども生活福祉部長、商工労働部長及び教育長の出席を求めております。
 子ども生活福祉部、商工労働部及び教育委員会関係の陳情平成28年第140号の審査を行います。
 ただいまの陳情について、子ども生活福祉部長の説明を求めます。
 なお、継続の陳情については、前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
 子ども生活福祉部長の説明を求めます。
 金城弘昌子ども生活福祉部長。

○金城弘昌子ども生活福祉部長 それでは、陳情の処理方針について、お手元に配付しております陳情に関する説明資料で、御説明申し上げます。
 表紙をめくりまして、陳情一覧をごらんください。
 本委員会に付託されている陳情については、継続が1件となっております。
 継続審査となっております陳情1件につきましては、子ども生活福祉部の処理方針に変更はありませんので、説明を省略させていただきます。
 以上で、陳情の処理方針についての説明を終わります。

○仲村未央委員長 子ども生活福祉部長の説明は終わりました。
 次に、商工労働部産業雇用統括監の説明を求めます。
 伊集直哉産業雇用統括監。

○伊集直哉産業雇用統括監 続きまして、商工労働部所管に係る陳情処理方針について、御説明申し上げます。
 継続審査となっております陳情1件につきましては、処理方針に変更がありませんので、説明を省略させていただきます。
 以上で、陳情の処理方針についての説明を終わります。

○仲村未央委員長 産業雇用統括監の説明は終わりました。
 次に、教育委員会教育指導統括監の説明を求めます。
 與那嶺善道教育指導統括監。

○與那嶺善道教育指導統括監 続きまして、教育委員会所管に係る陳情処理方針について御説明申し上げます。
 継続審査となっております陳情1件につきましては、処理方針に変更がありませんので、説明を省略させていただきます。
 以上で、陳情の処理方針についての説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○仲村未央委員長 教育指導統括監の説明は終わりました。
 これより、陳情に対する質疑を行います。
 質疑に当たっては、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 新垣新委員。

○新垣新委員 執行部に対して質疑はありませんが、委員長に対して、国の動向を注視したいという立場で、すぐに採択をするわけにはいかないという気持ちで継続を求めたいと思います。

○仲村未央委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、委員長から新垣委員に対して、陳情の取り扱いについては後ほど協議を行うとの説明があった。)

○仲村未央委員長 再開いたします。
 質疑はありませんか。
 次呂久成崇委員。

○次呂久成崇委員 記の4、教育予算ですが、八重山商工高等学校と八重山農林高等学校の寄宿舎については、八重山商工高等学校では完成して入寮が始まっているということですが、寮費が1万円の値上げになっているのです。これから完成する八重山農林高等学校でも同じく寮費の値上げをする予定ということなのですが、陳情にもあるように、保護者の経済的な負担を軽減することについて、今、貧困対策等にいろいろ取り組んでいる中での値上げというのは少し逆行しているのではないかと思うのですが、詳細について教えていただきたいと思います。

○與那嶺善道教育指導統括監 八重山農林高等学校等の寮費の値上げに関しては、今、検討されているという一報はございました。ただ、詳細は把握していないので、新しい寮をつくった場合、その寮に入る生徒や光熱費などを年間できちんと試算して、それを寮費として検討して値上げをしていくのかどうか検討している最中だと理解しております。

○次呂久成崇委員 検討中ということでよろしいですか。

○登川安政教育支援課長 県立学校の併設寮については県立学校教育課所管でございますが、教育支援課として、お昼にそういった問い合わせの電話があったということでお答えさせていただきます。教育指導統括監が説明しましたように、寮費については年間の総経費を寮生で割って出しますが、それが今、どういった状態で検討されているかについては正確にはお答えできませんので、担当課と調整して後ほど御説明いたします。

○仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

○比嘉京子委員 先ほど参考人招致をしまして、いろいろとお話をお伺いしたところなのですが、その中で高校入学時の支度金が非常に負担になっているというお話がございました。例えば、保護家庭であってもなくてもですが、高校入学時に関して、制服や運動着など、親の選択というよりも学校から決められたものを購入せざるを得ないという中において、どれぐらいの支度金が必要だと試算されているのかということが1点。それから、それに対する支援体制としてどういうものがあって、幾らぐらい出されているのか、この2点についてお聞きしたいと思います。

○登川安政教育支援課長 高校に入る際には、教科書代や制服代といったもろもろのものが必要となってきます。ただ、各学校によって制服などの値段も違うので金額はお答えできないのですが、こういった支援については、平成26年度から授業料以外の教育を支援するということで、奨学のための給付金事業があります。これは授業料以外ということで、制服代や通学費関係など、いろいろなものに充てられまして、例えば、第一子の高校生で全日制の場合は年額7万5800円の支援がございます。それから、15歳以上23歳未満に扶養されている兄や姉がいる世帯で、その第二子が高校生の場合には年額12万9700円の授業料以外の支援をしております。ただ、入学後の支給になるので、入学前の制服代についてはとりあえず家庭で負担して、入学後、この方針に沿って受給することになります。

○比嘉京子委員 希望すれば、どれぐらいの子供たちにそれが交付されるのかということについてはどうでしょうか。

○登川安政教育支援課長 奨学のための給付金事業は、住民税、所得税あるいは非課税世帯で、沖縄県の場合には家計が厳しい生徒が多いということで、約3割の生徒がこの給付金を受給しております。

○比嘉京子委員 支度金については、とりあえずは自前でというお話がありましたが、この7万5800円や12万9700円はいつごろ給付されるのでしょうか。

○登川安政教育支援課長 これには収入関係の証明書が必要でございます。受け付け自体は前年度の所得ということで、7月1日時点で受け付けします。今、申しましたように、高校生の約3分の2の生徒の支援の申請書を学校を通じて県が受け付けしまして、その後、申請チェック関係を行い、12月に給付を開始している状況で、全国的にもそういった流れになっております。

○比嘉京子委員 今の沖縄の状況に、これでは時期的な問題としてなかなか満たし得ないと。制服等の発注をかけたり、いろいろなことがあると考えると、やはり3月までに給付してもらえないとなかなかクリアできない厳しい課題になっているのではないかと思うのですが、検討の可能性はあるのでしょうか。

○登川安政教育支援課長 この事業は国庫補助事業でございまして、国から3分の1の補助を受けています。そういった全国スキームで行っている事業ということで、各県とも国のスキームの中で前年度の所得証明書で申請の可否を決定し、入学後の7月以降の受け付けとなっているものですから、沖縄県だけ先に受け付けを行うという運用はなかなか難しい状況でございます。

○比嘉京子委員 今、高校の問題に焦点を当てたのですが、もちろん小学校や中学校においても、入学時にはびっくりするような出費が出るものです。例えば、上の子がいるので下の子にお下がりをあげようと思っても、通用するものとしないものがあるのです。学校によっては、体育着を学年ごとに色分けしていると、卒業生の色が1年生になってくるのです。そうすると、上の子のお下がりがこの子の色になるとは限らないのです。これは一例ですが、そういうさまざまなふぐあいがあって、入学時には普通にお給料をもらっている人でさえ、非常に負担に感じる状況があります。そういうことに対して、先ほど高校の事例があったので焦点を当てて聞いたのですが、子ども生活福祉部でこれを補塡するような手だてとして、小学校、中学校、高校の入学時における就学援助的な施策はあるのでしょうか。

○喜舎場健太子ども未来政策課長 子ども生活福祉部では、子ども貧困対策推進基金として30億円の基金を創設しております。平成30年度につきましては、就学援助に活用していただくような市町村の事業に約5億9000万円ということで、就学援助以外も入っていますが、大半の市町村ではこれを就学援助に使うということなので、子ども生活福祉部としては、そういう財源を市町村と意見交換をして提供していると。最終的には、就学援助制度ということで市町村が活用していきますが、子ども生活福祉部としては市町村のその課題に関して対応しているところでございます。

○比嘉京子委員 5億9000万円というのは、今のような就学援助の資金として市町村で使っていいということでおろしているお金だと理解していいのですか。

○喜舎場健太子ども未来政策課長 そのとおりです。

○比嘉京子委員 それは、小学校、中学校、高校で1人当たり幾らという試算になっているのでしょうか。

○喜舎場健太子ども未来政策課長 子ども生活福祉部で把握しているところによりますと、この事業の関係では、次年度、対象品目が拡大するということで、校納金、眼鏡購入費などを追加するのが7市町村、あとは、まさに入学費などといった支給単価の引き上げをするのが22市町村で予定されていると把握しております。

○比嘉京子委員 1人当たりの単価と人数について、お願いします。

○登川安政教育支援課長 まず、小学校の新入学児童、生徒の学用品等については、市町村の状況によってさまざまな幅がございます。例えば大きなところで4万600円を支給している自治体もあれば、9950円―1万9900円前後を支給している市町村が大多数となっております。中学校については、制服などの費用がかかるということで、新入学生徒の学用品等の就学援助として、一番大きな金額のところが4万7400円、下のほうの金額のところが1万1450円とかなり幅がございますが、大体2万円から4万円程度を支給している市町村が大多数でございます。

○比嘉京子委員 この件に関して、高校はないということですか。

○登川安政教育支援課長 子ども生活福祉部でお答えいただいたほうがいいかと思いますが、生活保護の生業扶助の中で高等学校等就学経費の支給として入学準備金があると聞いております。

○金城賢福祉政策課長 生活保護制度におきましては、入学準備金として6万3200円が支給されます。一方、先ほど申し上げた高等学校等就学経費については、生業費の中で―これは毎月の支給ですが、学用品や参考書代に充てるものとして約1万2000円が支給されるという状況でございます。

○比嘉京子委員 今、聞いておりますと、まだまだ支援体制は強化されないといけないのではないかというのが感想なのですが、出していく時期が非常に重要ではないかと思います。新年度が始まる前に安心して高校受験ができる、進学を迎えられるということができるように、もう少し時期を早めていくという可能性についてはいかがでしょうか。

○登川安政教育支援課長 就学援助の入学前資金につきましては、非常に重要なことということで従来からの課題で、これまで本県で実施市町村はありませんでした。ただ、平成30年度の入学生から小学校においては7市町村が、中学校においては16市町村が入学前の支給を行う予定となっております。これは県教育委員会としては、援助を必要とする時期に支援ができるような先進事例を紹介するなど、今後も市町村と意見交換しながら、入学前支給の生徒が各市町村に広がっていくよう促していきたいと考えております。

○比嘉京子委員 市町村で幅があって、中学校では平均2万円から4万円だということですが、その範囲の中では、到底、体育着等はおさまらないのです。おさまらないのにもかかわらず、どれでなければいけないという指定があるのです。義務教育においてそういう指定をする大前提は何なのかということについては、かつてから非常に問われている課題ではあるのですが、制服や靴、体育着、トレパンなどの指定があって、これが1着のみならず2枚以上必要とするときの出費は、今の支給からするとかけ離れています。そのことも含めて、額と時期については、受ける側の立場に立ってもっと真剣に取り組まないといけないのではないかと思うのですが、いかがですか。

○與那嶺善道教育指導統括監 まだまだではあるのですが、先ほど教育支援課長からもありましたように、入学前に支給している自治体も出てきております。そういう意味で、今後も支給時期などについて市町村に促していくことを継続することと、額に関してもいろいろな教育予算等を全国の教育庁、協議会等でお願いしているところなので、それも含めて継続して要請していきたいと思います。

○比嘉京子委員 全国との足並みではなく、沖縄が特段にそういう対象の子供たちが多いということはわかっているわけですから、いかに沖縄が率先してそういう子供たちに見合った対策をとっていくかということが問われているし、時期も金額もまだまだ十分ではないという感想を持っておりますので、まずは迅速に、そして財源をということを要望しておきたいと思います。
 最後に、賃金の問題で、正規雇用のための予算を組んだと思いますが、何名分に幾らの予算を組んでいるのでしょうか。

○下地康斗雇用政策課長 県では正社員雇用拡大助成金事業を実施する予定でございまして、若年者等の正社員雇用を行って、定着に向けた取り組みをする企業に対しての助成金ということで、1人当たり60万円で、対象は300人を予定しております。

○比嘉京子委員 そういう働きかけを県単位で行っていくというのはとても意義があることなのですが、就労体系として、観光業界は非常にニーズが高いのですが、なかなかマッチしていないこともございます。親の給与をアップさせていくということを考えると、対象が貧困問題にかぶせられる施策かどうかということに非常に疑問があるのですが、最低賃金について3%の引き上げを目指すということになっていますが、現時点では幾らなのですか。

○宮平道子労働政策課長 平成29年10月1日施行の沖縄県の最低賃金は737円となっております。

○比嘉京子委員 1カ月単位にすると、どれぐらいの収入になるのでしょうか。

○宮平道子労働政策課長 737円を1カ月の法定労働時間173.8時間で計算しますと、月収にして12万8090円となっております。

○比嘉京子委員 こういう賃金で、若い人が2人で働いて子育てができるかどうか。この賃金が生活保護の金額より高いのか安いのかという問題にもなるのですが、これはまだまだな感が強いのではないかと思います。1000円を目指すのはいいのですが、沖縄県としてどこに焦点があるのですか。

○宮平道子労働政策課長 最低賃金は、国の中央最低賃金審議会から引き上げの目安が示されておりまして、それを受けて都道府県ごとに労働局において最低賃金を決めるということになっております。沖縄県が決めるというものではございません。

○比嘉京子委員 例えば、今の母子家庭の方々の就労支援をするために、どのような施策がとられているのでしょうか。

○下地康斗雇用政策課長 ひとり親就職サポート事業として、母子家庭、父子家庭も含めてひとり親家庭の親が就職をしたいというときに、座学の研修や職場訓練を3カ月ぐらい行って、OJTをして継続雇用に結びつけるという事業を行っております。また、新年度からの新規事業について、先ほど対象者を若年者等とお話ししましたが、等の中には妊娠、出産、育児を理由として離職をした者や、就職の援助を行うに当たって特別な配慮を要する者ということで、生活保護の受給者や母子家庭の母などを正社員として雇用して定着に結びつけた企業にも60万円を支給するということで、新規事業とひとり親就職サポート事業を合わせて、そういった親の就労支援をしているところでございます。

○比嘉京子委員 そういうさまざまな支援体制がある中で、中学校も十分に出られなくて親になっている人たちの問題で、夜間中学も必要になってきます。こういう問題も含めて、先ほどの報告の中には月収7万円で5名の子供を育てているという親のお話もあったのですが、現状はすごく深刻で、我々の想像を絶するほどの状況下にある子供たちもいるということを踏まえて、私たちの仕事がもっとスピードアップをして、本当に必要なところに手が行き届くということが非常に見えにくくなっている時代なので、これは子ども未来政策課長にもお願いしたいところなのですが、いかにして一番大きい問題を抱えている人をキャッチしていくかということが私たちに問われいてると思います。ですから、この問題は非常に広くて、今、対処的なことばかりに追われているのですが、いかにしてそういう人たちを生み出さない仕組みをつくっていくかという予防のところが、一方ではもっと重要になってくるのではないかという感想を持ちましたので、皆さんのこれからの御奮闘をお願いしたいと思います。

○仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。
 仲田弘毅委員。

○仲田弘毅委員 学校給食について、質疑したいと思います。全国47都道府県で学校給食を完全実施しているのは何県ですか。

○島袋勝範保健体育課副参事 公立小学校における完全給食の実施率は99.2%でございます。中学校につきましては、90.2%の実施率でございます。

○仲田弘毅委員 これは全国の実績ですか。

○島袋勝範保健体育課副参事 全国の実績でございます。

○仲田弘毅委員 大阪府においては、給食の実施率が60%を少し超えたぐらいだと聞いているのですが、そのことはどうでしょうか。

○島袋勝範保健体育課副参事 平成28年度5月1日現在の実績でいいますと、大阪府につきましては小学校が99.5%、中学校が81.1%の実施率でございます。

○仲田弘毅委員 沖縄県は、ほぼ100%ですよね。

○島袋勝範保健体育課副参事 小学校におきましては100%、中学校におきましては98%となっております。県立中学校の2校と城北中学校の若夏分校が給食の実施はしておりません。

○仲田弘毅委員 県立中学校としては、与勝高校に併設された与勝緑が丘中学校では学校給食が実施されているのですが、新しくできた球陽中学校、開邦中学校ではまだ実施されていないという理解でよろしいですか。

○島袋勝範保健体育課副参事 そのような理解でよろしいかと思います。

○仲田弘毅委員 裕福家庭の子供たちも困窮家庭の子供たちも、同じ時間帯に同じメニューで給食をともにするわけです。しかし、23の市町村において全額補助になっているところと、一部補助になっているところがあります。これは基地があるところ―うるま市の中でもホワイトビーチを軍用地として抱えている地域は完全無償化にした時期があるのです。しかし、周囲の学校と家庭との調整を図るという意味において、今は肩を並べて給食費を徴収していると。給食費は小学校、中学校で4000円から5000円ぐらいの額だと思うのですが、4000円、5000円でも支払いが毎月になると厳しい家庭もたくさんあると思うのです。ですから、陳情の中にありますように、私自身も学校給食費は完全に国で賄って無償化していただきたいという意見を持っていますし、学校給食、公教育の中においては、こういったシステムが一番大事だと考えています。そのことについて、今後、教育委員会として、国に要請・陳情が出ているように無償化に向けて努力するということですが、現状はどうなっているのかお聞かせください。

○與那嶺善道教育指導統括監 処理方針にもあるように、学校給食法がございますが、その中で県内23の市町村が給食費の全額または一部助成を行っております。さらに、経済的に困窮している児童・生徒においては、生活保護や就学援助による支援が行われております。また、子どもの貧困対策推進基金を活用して、学校給食費補助金交付事業や就学援助の充実を図る事業を実施している市町村もございますので、そういう事例を各研修会できちんと紹介して、引き続き、そういう基金の活用も周知していきたいと思います。教育委員会としては、学校給食会という組織もございますので、学校給食会が取り扱う牛乳や米穀という物資につきまして、離島も含めて県内全ての学校給食共同調理場長に同一商品と同一価格で提供しております。今後とも市町村または学校給食会等関係機関と連携して、丁寧かつ安全・安心な学校給食の提供にも努めてまいりたいと考えております。

○仲田弘毅委員 学校給食費は、完全に食材だけの額ですよね。施設費、光熱費など、俗に言うランニングコストは行政が負担しているので、その食材を公教育の立場で子供たちに公平公正に適用するという意味でも、無償化というのが一番大事だと考えています。教育委員会もぜひ頑張って、国を沖縄から動かしていけるような体制づくりをしていただきたいと思います。

○仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。
 金城泰邦委員。

○金城泰邦委員 処理方針にある離島高校生への修学支援の拡充について、先ほど次呂久委員から八重山の高校の寮に関して質疑がありましたが、あの答弁では間違っています。きのう、市議会でこれが問題になっているのです。八重山商工高等学校では、これまで2万8000円だった寮費が3万8000円に上がっていて、食費で1万5000円、維持費で2万3000円ということが保護者に通知され、3月14日から募集が始まっているのです。あのような答弁でいいのですか。

○登川安政教育支援課長 この情報は教育支援課では又聞きなので、所管の県立学校教育課と相談して、しっかりと対応させていただきます。

○金城泰邦委員 八重山商工高等学校だけではなく、八重山農林高等学校でも2万6000円から3万6000円に上がるそうです。県議会の文教厚生委員会でも視察に行って、離島高校生への支援はしっかり行うべきだとしているのですが、その後にこういうことです。子供の貧困対策という観点から、所管課としてはどう思いますか。

○與那嶺善道教育指導統括監 先ほどの答弁を修正させていただきます。教育支援課長からありましたように、しっかり掌握していなかったので、把握していないということで答弁を修正させていただきたいと思います。

○金城泰邦委員 答弁の修正がありましたが、そういった離島高校生の寮のあり方について、皆さんとしてはどう思いますか。

○與那嶺善道教育指導統括監 今の情報が初めてあったものですから、まずは寮費をどういった形で積算したのか等も含めて、きちんと確認して学校現場と意見交換を進めていきたいと思います。

○金城泰邦委員 きのう、地元の市議会で問題になって、きょうの朝に地元紙にも出ています。値上げ理由としては、八重山商工高等学校が32名の定員に対して9名、八重山農林高等学校が30名の定員に対して6名しかいないと。それを人数割りにしたらこうなるという説明になっているのです。本来、高校の寮は県の教育委員会の所管であって、皆様がそれをきちんと押さえていないということがおかしいのではないかと思うのです。私は地元の市議にこの件で相当しかられています。ですから、今、私も相当厳しく言っているのです。

○仲村未央委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、教育指導統括監から、この件について担当課に確認し、後ほど回答したい旨申し出があり、金城委員も了解した。)

○仲村未央委員長 再開いたします。
 ほかに質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 就学援助について、入学準備金の支給において金額の幅があるということですが、国は新年度から基準を上げていると思うのです。その上限を小学校、中学校でどこまで上げたのか。そして、そこを支給していないのはなぜか。先ほど入学前支給も小学校で7市町村、中学校で16市町村と言われましたが、それも国会でやりとりがあって、要望が寄せられて準備金を早いうちに出すということで進んだと思うのですが、実際は少ないのではないかと思うのです。どうでしょうか。

○登川安政教育支援課長 これは要保護生徒に対する国の平成30年度の新入学生徒学用品費の補助単価でございますが、小学校が4万600円、中学校が4万7400円を上限とする形で国から補助を受けられることになっております。この補助上限をもとに各市町村の事情に合わせながら市町村ごとに支援の単価を定めていることから、市町村によっては差があると理解しております。

○西銘純恵委員 入学前支給についてはどうなのですか。

○登川安政教育支援課長 国の補助金については、平成29年度から事前支給できるような補助を行うという形で進んでいることから、今回、平成30年度から市町村が実施するということになっております。国の補助金も平成29年度からの前出し支給となっております。

○西銘純恵委員 そうすると、とりわけ沖縄県では、準備金の額については国が定めたもの以上に必要だと。支度金としては十分ではない額だろうし、そこに引き上げてもらうということと、もう一つは、事前支給がそこまでなければ借り入れができるのかどうかとか―子供の入学を心から喜ぶことができないという状況があるわけです。ですから、今年度の事前支給は終わりましたので、次年度に向けて県から全ての市町村ができるような援助を行うべきだと思うのですが、いかがですか。

○登川安政教育支援課長 県教育委員会としましては、各市町村に対して意見交換会の場でどのようにしたら入学支援金の事前支給ができるかどうか―これはノウハウ的なところもございます。また、2回支給になるということで業務多忙感もあるというようないろいろな課題もありますので、それについての対応策と先進市町村の例を提示しながら各市町村に促しておりますし、新年度においても、各市町村に今回の小学校7市町村、中学校16市町村の情報を提供しながら、未実施の市町村に対してできる限り入学準備金の支給に対応していただくよう促してまいりたいと考えております。

○西銘純恵委員 仕事が煩雑ということではなく、心のある行政といいますか、必要なところに必要な時期に届くということが大事なので、その辺のやりとりを丁寧にしていただきたいと思います。子ども貧困対策推進基金の費用で就学援助関係に5億9000万円ということですが、就学援助の支給を受ける人数に上乗せ分でどれぐらい枠が広がったかということはつかんでいますか。

○喜舎場健太子ども未来政策課長 子どもの貧困対策推進基金を活用しまして、市町村が活用している就学援助の自立を図る事業だけを照らしますと、次年度は5億6000万円ぐらいを市町村が活用することになっております。今、委員の質疑は、基金を活用してどのぐらい効果があったかということですが、この部分だけの抜き取りは非常に難しいところです。

○西銘純恵委員 額や品目の拡充など、いろいろあると思うのですが、ぜひ県が独自に努力しているものについては掌握できるようにしたらいいのではないかと提案しておきます。
 次に、先ほど支援コーディネーター配置事業のコーディネーターの皆さんと質疑応答をして、離島における居場所学習支援事業で高校に入学ができた子がいるということだったのですが、その高校入学につながったという実績はつかんでいますか。

○喜舎場健太子ども未来政策課長 支援コーディネーターからも報告がありましたが、現在、沖縄県では大きい取り組みとして無料塾を行っております。今、離島ということでしたので、宮古地区、八重山地区でも平成28年度中途から展開をしております。手元に数字は持っておりませんが、宮古地区、八重山地区、それぞれの生活困窮世帯の子供たちが高校や大学等への進学ができているというところです。訂正ですが、宮古島市、石垣市に関しては市の無料塾として実施をしておりますが、それぞれ取り組みが進んでいるということです。もう1点、訂正させてください。先ほど基金を活用した就学援助に市町村がどういう金額を活用しているかということについて、欄の読み間違いがありました。平成30年度の就学援助の充実に関しましては、3億9411万7000円を市町村事業に活用していくということで、5億円とお答えしましたが、訂正しておわびさせていただきます。

○西銘純恵委員 次に、高校生、大学生への給付型奨学金について、県が行った独自の給付制が2年目に入りますが、報告をいただけますか。

○登川安政教育支援課長 この事業は、平成28年度から始めて今年度が2年目です。今年度につきましても、前年度と同じように25名の内定者を11月2日に定めまして、年明けから1月、2月、3月と指定大学に合格、進学を確認した上で入学支度金等の支給の準備をしているところです。来年度においても同額の25名ということで、来年度は、ことしの採択者と昨年度の採択者50名に対して、月額7万円以内の奨学金を支給する事業となっております。

○西銘純恵委員 そういう給付型の奨学金は沖縄県が最初にやっていますよね。もう1年間を終える学生がいますが、その辺の意見、感想などを聴取する機会はありましたか。

○登川安政教育支援課長 県の奨学金として、限られた予算の中での25名でございます。この25名の採択者には、採択、支援する条件としまして、学生の対応関係もお願いしながら、例えば、出身校において学生としての生活関係、どういった勉強をしているかどうか、また、自分が今後どうしていくかどうか話をしてもらうなど、そういったことを次年度以降は行っていく予定です。これをいかに後輩たちに広げていくかが重要な事業だと考えております。

○西銘純恵委員 給付型奨学金について、県内で市町村が独自に開始をしたところはありますか。

○登川安政教育支援課長 これまで竹富町が平成29年度から竹富町ふるさと応援奨学金、石垣市教育委員会が平成30年度から石垣市奨学給付金、北谷町が平成30年度から北谷町育英会給付型奨学金ということで、多くの市町村でそれぞれの地域の子供たちを支援するために給付型の奨学金を開始しているところが増加する傾向にございます。

○西銘純恵委員 沖縄県が先導して身近な市町村で拡充していくということが、現状を変えていく大きな力になっていると思います。最後に、県民会議などが独自に給付制に取り組んでいますが、どれぐらいの事業がありますか。

○喜舎場健太子ども未来政策課長 今、沖縄子どもの未来県民会議という民間と企業が一体となった県民運動を実施している中で、児童養護施設等の子供たちの大学進学に対する奨学金を実施しております。初年度―平成28年度が9名、平成29年度が18名、応募者全員の大学、短大、専門学校における入学金と在学中の授業料を負担していくということで、合計27名の子供たちの支援をしているところでございます。

○西銘純恵委員 個々の施策にいろいろ取り組んでいることで前進しているという状況を見ると、それが沖縄の子供たちを励ましているし、頑張ろうということになっていくと思いますので、ぜひ継続して頑張っていただきたいと思います。

○仲村未央委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、委員長から金城委員の質疑で保留している件について答弁が可能か確認があった。)

○仲村未央委員長 再開いたします。
 與那嶺善道教育指導統括監。

○與那嶺善道教育指導統括監 担当課に確認したところ、担当課も本日情報が入ったばかりということでした。八重山毎日新聞もこちらにあるのですが、これも含めて、担当課が学校に詳細を確認しているところと報告を受けております。

○金城泰邦委員 皆さんには報告が来ていないが、現場では通知がされているということだと私は受けとめたのです。通知のような文書もあって、3月14日から募集が始まって締め切りが3月30日までということは、既に新入生の保護者に行ってしかるべきものだと思いますし、その通知の連絡先が学校側になっているということは、学校は県教育委員会と全く連携なしに、自分たちでこう取り決めたから自分たちの範疇で行うものだという認識になっているということですか。

○與那嶺善道教育指導統括監 寮費等に関しては、県内の寮も寮費はばらばらでございまして、その寮の実態や生徒数、光熱費等の必要経費を含めて寮費が定まっていくということは、先ほど御説明したとおりでございます。例えば、県内では一番高いところで4万円近くの寮もありますし、2万円弱の寮もございます。県で平均すると2万7000円弱ぐらいになります。実際に八重山商工高等学校と八重山農林高等学校から寮費に関してこうしたいということは、先週、担当課に相談があったらしいのですが、こちらが助言をする前に決定されたのか、行き違いがあったのかということはございます。今後、こういう部分をしっかり確認させていただいて、対応していきたいと思います。

○仲村未央委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、委員長から質疑内容について補足説明があった。)

○仲村未央委員長 再開いたします。
 與那嶺善道教育指導統括監。

○與那嶺善道教育指導統括監 先ほど県内の状況を御説明しましたが、基本的に寮は学校が運営していますので、寮費に関しては学校主体で決定されるものと認識しております。ただ、基本的には相談を受けますので、指導・助言等は教育委員会で行っている状況でございます。

○金城泰邦委員 今の御答弁からすると、高校の寮については高校で決めるものであるということだと受けとめます。募集要項では、詳細に食費は1万5000円、維持費は2万3000円を予定していると書いているのですが、この予定がどこまで動くかわかりませんし、そこは皆さんの監督・助言にもよるかもしれません。ただ、これまで審議している陳情にも記の4で保護者の経済的な負担を軽減することとあって、処理方針として離島高校生への修学支援の拡充を求めているということもあるので、そういった事態を受けて―今、聞いたばかりだということでしたので、今後、学校が決めたから1万円アップにするしかないということになるのか、その辺についての見解を求めたいと思います。

○與那嶺善道教育指導統括監 繰り返しで申しわけありませんが、詳細が把握できていない部分がありますので、学校側からどういった積算でこういう金額が出ているのかきちんと確認させていただいて、それが適正なのかどうかという部分も含めて指導・助言していきたいと考えております。

○仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。

  (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○仲村未央委員長 質疑なしと認めます。
 先ほどの支度金の額は、過去の質疑の中でも一般質問あたりで整理されていたのではないかと思うのです。小学校、中学校、高校の支度金ぐらいは、かかわる数値なので、最高がどれぐらいになっているなどというものがあれば情報提供をお願いしたいと思います。
 以上で、子ども生活福祉部、商工労働部及び教育委員会関係の陳情に対する質疑を終結いたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、執行部退室)

○仲村未央委員長 再開いたします。
 次に、陳情の採決を行います。
 陳情の採決に入ります前に、その取り扱いについて御協議願います。
 休憩いたします。

   (休憩中に、陳情の取り扱いについて議案等採決区分表により協議)

○仲村未央委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 陳情については、休憩中に御協議いたしました議案等採決区分表のとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○仲村未央委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、閉会中継続審査・調査事件の申し出の件について、お諮りいたします。
 先ほど、閉会中継続審査・調査すべきものとして決定した陳情1件とお手元に配付してあります本委員会付議事件を閉会中継続審査及び調査事件として、議長に申し出たいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○仲村未央委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 以上で、本委員会に付託された陳情の処理は全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。











沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

   委 員 長  仲 村 未 央