委員会記録・調査報告等

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子どもの未来応援特別委員会記録
 
平成29年 第 5定例会

2
 



開会の日時

年月日平成29年10月11日 曜日
開会午前 10 時 2
散会午前 11 時 42

場所


第2委員会室


議題


1 子どもの貧困問題並びにこれに関連する諸問題の調査及び対策の樹立(学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の展開について)
2 陳情平成28年第140号
3 閉会中継続審査・調査について


出席委員

委 員 長  仲 村 未 央 さん
副委員長  上 原 正 次 君
委  員  新 垣   新 君
委  員  具志堅   透 君
委  員  島 袋   大 君
委  員  仲 田 弘 毅 君
委  員  次呂久 成 崇 君
委  員  亀 濱 玲 子 さん
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  瑞慶覧   功 君
委  員  瀬 長 美佐雄 君
委  員  西 銘 純 恵 さん
委  員  金 城 泰 邦 君


欠席委員

      なし


説明のため出席した者の職・氏名

子ども生活福祉部長      金 城 弘 昌 君
 子ども未来政策課長     喜舎場 健 太 君
 商工労働部産業雇用統括監  伊 集 直 哉 君
 教育庁教育指導統括監    與那嶺 善 道 君
 教育庁教育支援課長     登 川 安 政 君
 教育庁義務教育課長     當 間 正 和 君



○仲村未央委員長 ただいまから、子どもの未来応援特別委員会を開会いたします。
 子どもの貧困問題並びにこれに関連する諸問題の調査及び対策の樹立に係る「学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の展開について」、陳情平成28年第140号及び閉会中継続審査・調査についてを一括して議題といたします。
 本日の説明員として、子ども生活福祉部長、商工労働部産業雇用統括監及び教育庁教育指導統括監の出席を求めております。
 まず、本委員会付議事件子どもの貧困問題並びにこれに関連する諸問題の調査及び対策の樹立に係る「学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の展開について」審査を行います。
 ただいまの議題について、子ども生活福祉部子ども未来政策課長の説明を求めます。
 喜舎場健太子ども生活福祉部子ども未来政策課長。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 お配りしているお手元の「学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の展開について」と書いている資料をごらんください。関連資料については、後ほど御説明します。
 資料の1ページをごらんください。学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の展開につきましては、資料の子供の貧困対策に関する大綱ですが、これは平成26年8月に閣議決定されております。その中で、子供の貧困に関する基本的な方針として定められております。一部抜粋という形でまとめている枠の中をごらんください。
 教育の支援については、学校を子供の貧困対策のプラットフォームと位置づけ、①学校教育による学力保障、②学校を窓口とした福祉関連機関との連携、③経済的支援を通じて、学校から子供を福祉的支援につなげ、総合的に対策を推進するとともに、教育の機会均等を保障するため、教育負担の軽減を図るとしております。
 次に、沖縄県子どもの貧困対策計画をごらんください。これは昨年3月に先ほどの大綱等を踏まえて策定したものでございますが、その基本方向である枠の中をごらんください。教育の支援においては、学校を子どもの貧困対策のプラットフォームと位置づけ、①学校教育による学力の保障、②学校を窓口とした福祉関連機関との連携及び③経済的支援を通して、総合的に対策を推進するということで、基本的な方向を定めて取り組んでいるところであります。
 次に、2ページをごらんください。ここから学校プラットフォームの中の3つの柱のそれぞれの取り組みを御説明していきます。
 まず、1つ目の柱である、学校教育による学力の保障についてを御説明いたします。主な具体的な取り組みとして、1.少人数指導等について御説明いたします。日々の授業における指導体制や指導方法の工夫、改善を図るため、チーム・ティーチングや少人数指導を行い、児童生徒一人一人の習熟の程度に応じた指導を行うとともに、少人数学級編制による学習規律の定着やきめ細やかな指導の充実を図っています。県教育委員会では、平成29年度時点で小学校1年生から5年生まで及び中学校1年生で少人数学級を実施しております。資料の中で、少人数学級の拡充ということで、例えば小学校1年生につきましては30人学級を平成20年度から、小学校2年生で平成21年度からというように記載しております。
 次に2つ目の具体的な取り組みとして、学校訪問等による子どもの貧困問題の理解増進について御説明いたします。学校訪問等を行い、全ての教員が子どもの貧困問題に対する意識を共有し、理解を深めてもらい、スクールソーシャルワーカーや支援員等と連携を図り、支援が必要な家庭の児童生徒を早期の段階で子どもの居場所等の生活支援や福祉制度につなぐというものであります。平成28年度及び平成29年度の学校訪問、校内研修の実績については資料内に掲げているとおりです。学校訪問につきましては、平成28年度の小・中学校21校、高等学校20校となっており、本年度はまだ途中ですが、小・中学校66校、高等学校25校を訪問しているところであります。
 次に、3ページをごらんください。学校プラットフォームの2つ目の柱である学校を窓口とした福祉関連機関との連携について御説明いたします。主な具体的な取り組みの一としまして、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、小・中アシスト相談員、子どもの貧困対策支援員等の配置拡充について御説明いたします。平成28年度の各支援の配置状況につきましては、スクールソーシャルワーカーを県の各教育事務所に20名配置し、問題を抱える児童生徒の環境への働きかけ等を実施しております。スクールカウンセラーは、全中学校と小学校183校に99名を、県立学校については52校へ29名を配置し、児童生徒、保護者等への情緒の面からの支援を実施しております。小・中アシスト相談員は、小学校62校、中学校43校に52名を配置し、登校支援、問題行動等への対応を実施しております。教育相談・就学支援員は、県立高校13校に心理職及び福祉職を延べ26名配置し、就学並びに就業支援を実施しております。子どもの貧困対策支援員は、28市町村に105名を配置し、子どもを就学援助や居場所などの支援などにつなげるための調整を実施しているところであります。
 次に、2つ目の具体的な取り組みとして、生活困窮世帯等への学習支援いわゆる無料塾の取り組みを御説明いたします。生活保護世帯、準要保護世帯等の児童生徒に対し、市町村やNPO等と連携し、子ども一人一人の学習の定着状況に応じたきめ細やかな学習支援の取り組みを実施しているところであります。平成29年9月時点の子育て総合支援モデル事業の実施状況といたしましては、小・中学生は16教室、15町村で406名を支援しており、高校生は11教室、10市町で297名を支援しております。これにつきましては、このあとに関連資料で具体的に御説明したいと思います。
 次に、4ページをごらんください。情報の連携といたしまして、各市町村の子どもの貧困対策担当課長及び市町村教育委員会に対し、支援員や学校関係者の専門性を生かした支援の重要性、改正児童福祉法の規定を踏まえた情報共有、支援員に対する研修及び学校訪問等について、沖縄県との調整を経て内閣府から文書で通知しております。また、改正児童福祉法の規定の取り扱いについては、教育庁県立学校教育課及び義務教育課から各学校宛てに文書で通知しているところであります。
 次に、5ページをお開きください。学校プラットフォームの3つ目の柱の経済的支援について、御説明いたします。主な具体例として、1.就学援助の充実については、(1)市町村と県の協議の場の設置を行っております。これは、市町村と県との就学援助担当者連絡会議等を開催し、対象品目や単価等の全国調査結果の共有や効果的な周知方法について意見交換を実施しているところであります。具体的には、就学援助担当者連絡会議を平成28年11月に35市町村出席のもと開催し、就学援助制度周知広報事業検討委員会に5市町村から委員として参加しているところであります。次に(2)沖縄県子どもの貧困対策推進交付金を御説明いたします。これは基金を活用し就学援助の充実を図るため、認定基準の見直しによる対象者の増加や眼鏡代購入費等の対象費目の追加、学用品費等の支給単価の増額等により、必要な児童生徒に対して援助が届くよう支援しているものであります。いわゆる県単の30億円基金であります。就学援助の充実に係る平成29年度の交付金の所要額につきましては、交付金所要額が32市町村で1億9674万8000円で、これは就学援助についてであります。米印の市町村に対する交付金全体の所要額は3億7333万6000円となっております。次に2つ目の高校生等の就学支援などによる経済的負担の軽減について、御説明いたします。(1)高等学校等就学支援金等支出事業については、全ての意志ある高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、授業料に充てる高等学校等就学支援金を生徒に支給し、家庭の教育費負担を国が支援する制度であります。平成26年4月以降の新入生から学年進行で実施しており、平成28年度は3学年が対象となっております。平成28年度の対象人数及び支給額については、延べ47万1407人に対し、45億5293万2000円を支給しております。これについては上が県立学校で、その下には私立学校を記載しております。
 次に、6ページをごらんください。経済的支援の2つ目の具体的な取り組みとして、(2)高等学校等奨学のための給付金事業を御説明いたします。教材費や教科書費などの授業料以外の教育費負担軽減を図ることを目的として、低所得世帯の高校生を対象に、返済義務のない奨学のための給付金を支給しております。平成28年度の給付単価、給付人員及び給付額は資料に掲げたとおりであります。
 次に、3.奨学金制度等の充実について御説明いたします。まず、(1)県外進学大学生支援事業についてであります。能力があるにもかかわらず経済的な理由で県外進学が困難な県内高等学校等生徒に対し、入学支度金30万円以内及び月額奨学金7万円以内を支給するものであります。平成28年度の実績としましては、交付決定者数25人となっています。
 次に、7ページをごらんください。(2)子どもに寄り添う給付型奨学金事業について、御説明いたします。これは、110団体で構成する沖縄子どもの未来県民会議の民間企業からの寄附を活用した事業であります。児童養護施設等の出身者に対して大学や専門学校への進学を支援するため、入学金及び授業料の全額を給付する内容になっております。平成28年度の給付者は、応募申請のあった9名全員を給付対象者として決定しているところであり、現在、次年度の応募を締め切ったところで、新規で18名の応募があったところです。この後に審査等を行い、決定したいと考えているところであります。
 次に、関連資料の主なものについて御説明したいと思います。関連資料の12ページをごらんください。先ほど説明しました沖縄子どもの貧困に係る学校訪問、学校教職員の理解増進という取り組みについて、資料一覧表にして整理しております。読み方としては、左の行に市町村名。上から下にかけて、那覇市から与那国町までありまして、真ん中の列に平成29年度訪問校で、小学校、中学校、高等学校と、各学校について校長先生、教頭先生、生徒指導の先生など、子どもの貧困について御説明したところの学校名を記載して整理をしているところであります。一番下の行を見ますと、今年度は小学校については33校、中学校も33校、高等学校については25校を回っているところであります。
 次に、13ページをごらんください。これは去る9月に内閣府沖縄振興局で、沖縄子供の貧困緊急対策の実施状況を取りまとめて公表した資料でございます。13ページの1の子供の貧困対策支援員のところをごらんください。先ほども御説明いたしましたが、平成29年3月現在で合計105人の支援員が28市町村に配置をされ、活動しているという内容となっております。
 次に、15ページをごらんください。子供の居場所事業につきまして、上から4行目までのところで、合計122カ所26市町村、沖縄県と記載されております。7月の本委員会の視察で見ていただいた真和志高校が沖縄県の取り組みとなっておりますので、沖縄県というように記載しています。合計122カ所の居場所が設置されていて、子供たちの支援に当たっているということです。
 さらに19ページをごらんください。居場所の運営支援の例①というところですが、例えば、左上の那覇市kukuluについては、本委員会で調査・視察した金城隆一氏が運営している不登校になった生徒への手厚い支援を実施している居場所の例がここで紹介されています。
 次に、20ページの右下をごらんください。子ども元気ROOMです。去る7月に視察を行っていただきました南風原町が取り組んでいる居場所が紹介されています。
 次に、23ページをごらんください。子育て総合支援モデル事業における支援児童及び生徒数について、平成29年9月1日のものを記載しております。表1の小学生、中学生につきましては、例えば、一番上の嘉手納町が実は一番初めての取り組みでありまして、平成24年が15名、平成25年度が43名、平成26年度は32名というように増加を図っているところです。また、14番の国頭村、15番の大宜見村と東村、16番の本部町と今帰仁村につきましては、今年度諸般の調整が整えられましたので、今月中に教室をスタートしたいということで、平成29年度に人員は入っておりませんが、今後それぞれ20名程度の子供たちに新たに支援を開始するということになっております。同表を見ますと、平成29年度の合計が406名となっておりますが、その左が昨年度の数字で、今年度途中ではありますが、現時点で既に前年度を上回っているという状況であります。その下に記載している高校生についても拠点の数をふやしているところであります。さらにその下の3.高校生(フォローアップ教室)をごらんください。これについてはこれまで無料塾の成果として、進学の成果が大きいということで拡充しておりましたが、その課題の一つとして、中学校の支援等が終わることで支援が切れてしまうため、継続的な支援が必要であるということがありました。このため、小・中学校の教室に加えて、高校に入った後もしっかり高校生活が定着し、学習支援ができるようなフォローアップ教室を新たに展開しているところであります。北谷町においては1教室、南部圏域においては4カ所で行っておりますが、まとめて1つということで合計17人の高校生に継続した支援を行っております。これによって切れ目のない支援がことしから新たに始まっているところであります。
 次に、24ページをごらんください。先ほど、情報提供というところでありましたが、内閣府沖縄担当部局から各市町村教育委員会の担当課長宛てに学校と福祉との連携についての通知文書をこちらに添付しています。
 32ページをごらんください。一昨年の県議会2月定例会で決まりました30億円の基金事業である平成29年度沖縄県子どもの貧困対策推進交付金事業の概要です。先ほど御説明いたしましたが、例えば、表の一番上の、1.就学援助の充実を図る事業については、32市町村に1億9600万円余りを交付をしております。次に、2.事業実施により見込まれる効果として、例えば、就学援助の充実を図る事業につきましては、小・中学生期の教育の支援ということでの内容を記載してあります。
 最後に39ページ以降につきましては、先ほど説明しました経済的支援について、高校生を対象とした支援金制度等の紹介を添付しております。
 説明は以上であります。

○仲村未央委員長 子ども未来政策課長の説明は終わりました。
 これより、「学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の展開について」質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 西銘純恵委員。

〇西銘純恵委員 最初の展開についての説明で、政府が大綱をつくって、それと連動して、沖縄県も同じような立場でつくられたということですが、政府が子供の貧困対策について法をつくってやるのであれば、今県が行っているものも含めてたくさんの施策に取り組んできましたが、具体的には政府も経済的支援を通じてと資料で書かれているけれども、この財源について、政府から出された子供の貧困に関する予算は総額でどれくらい来ているのですか。この施策そのものにマッチする金額が来ているのでしょうか。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 子供の貧困対策をまとめた政府の予算総額というのは手元にございませんが、配付している資料の中で申し上げますと、関連資料の7ページに文部科学省が作成した資料で平成27年度のものがございます。タイトルの「幼児期から高等教育段階まで切れ目のない教育費負担軽減を目指す」という中で、国全体の施策を落とし込んで、そこに要求段階ではありますが、予算額が記載されております。例えば、幼児教育の無償化ということであれば、平成28年度の予算345億円であるとか、そのようなことでの把握はしていますが、貧困対策の総額は手元に持っておりません。

〇西銘純恵委員 今、幼児教育のことを言われたけれども、沖縄県では、それに該当する額が来ていますか。スクールカウンセラーや、先ほど説明を受けた学校に対する支援員の配置とかあるけれども、それについては、どのような予算というか―私は子供の貧困イコールやはり親の所得が少ないということが主であると、そこがネックだということがあるものですから。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの配置についても、やはり正規職員として配置できていけるような予算立てができていないとおかしいのではないかと思うのです。それについて、国としてどのような予算立てをしているのですか。

〇當間正和義務教育課長 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の予算について御説明申し上げます。平成28年度のスクールカウンセラー等の配置事業等の予算につきましては、予算総額といたしまして1億6335万9000円。平成29年度は1億6460万円となっており、大きな変化はございません。

〇西銘純恵委員 今、お尋ねしているのは、支援員が105名配置されているとあるけれども、これは有資格者ということになっているわけですね。教員免許や、臨床心理士、社会福祉主事、精神保健福祉士など、専門的に子供たちや親を支えるという貧困対策にはとても大事な部分だと言っているだけに、皆さんが予算はほぼ変わりませんという話ではあるけれども、やはりきちんと正規雇用でやっていくということも大きな柱になっていくのではないかと思うのです。これについて政府の考え方がどうなっているのかわかりますか。例えば、きちんと学校教育の中に配置する基準として持っていくという動きはあるのでしょうか。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 関連資料の13ページに添付している資料をごらんいただきながら、御説明したいと思います。西銘委員の質疑につきましては、13ページの子供の貧困対策支援員についてどのような資格があるのかというと、この真ん中の資格を有する支援員が81人。また実務経験がある支援員が90人と一定の資格を持っているという前提の上で、本会議でも御質疑がありましたが、現在全ての支援員が緊急対策事業という位置づけでありますので、非正規職員となっているところであります。これにつきましては、現在モデル的に取り組んでいる子供の貧困対策の成果によって、その後の展開があるのかと思います。今後正規化するということについては、内閣府も方向性を示しておりませんが、この事業は非常に成果を上げつつあるという認識のもと、そういった議論も今後出てくるのではないかと考えております。

〇西銘純恵委員 事業の成果については、やはりしっかり声を上げていただいて、それだけの重要なポストであるいうことで、正規職員に持っていくこと。事業としては恒常的に実施することがとても大事であるかと思いますので、一応指摘しておきます。
 それと、就学援助については、市町村が、結構頑張っていろいろやっていて、眼鏡代購入費等を入れたりしているということなのですが、これも就学援助が生活保護のボーダーの低所得ということで法律では位置づけてやってきたと。それがなかなか実態に合うような就学援助が支給できていなかったというもので、今子供の貧困対策ということでやっているものと思います。国からの公的支援について、かつての補助の割合と、それから子供の貧困対策の大きな柱になっている就学援助の割合が、まだ都道府県や各自治体が持っているのが大きい割合のままなのか。そして、それを見直して2分の1に持っていく動きがあるのかどうかについてお尋ねします。

〇登川安政教育支援課長 就学援助につきましては、現在要保護に対する就学援助ですが、国庫補助事業によって2分の1が国庫補助でございます。準要保護につきましては三位一体改革の後、税源移譲されましたので、この分については市町村に対して交付税で措置されています。その準要保護も三位一体改革以前は要保護と一緒で国庫補助が2分の1でした。したがいまして、三位一体改革以降も2分の1という国の負担については変更ないものと理解しております。それから、全国都道府県教育委員長協議会とも連携して、毎年度継続して、この就学援助、市町村の準要保護の財源についての交付税措置については、しっかりと必要な生徒数に応じた予算の確保を国に対して要望しているところでございます。

〇西銘純恵委員 就学援助については、市町村が対象人数をふやしてきたという部分と、それから支給対象が眼鏡代購入や学校指定の病気、例えば風邪だったら無料になっていないということがあるのです。その辺の支給の内容においても拡充してほしいということが受けている側からもあるし、また受けていない方もいます。申請したけれども認定から漏れた皆さんからきちんと認めてほしいということが実際にまだあるわけです。例えば、小学校の子供は受けられたけれども、同じ兄弟でも中学校では受けられていないという実態がまだあると思います。そこら辺のものについて、そもそも先ほどおっしゃった交付税できちんと充てるという全国スタンダードの制度として、やはりできていないという現状、準要保護の件ということがあれば、そこは貧困対策以前にきちんとしてくれということを求めるべきだと思います。これについては先ほどの要請ということで理解してよいのですか。

〇登川安政教育支援課長 就学援助の国に対する要望事項については、昨年7月に全国都道府県教育長協議会、それと全国都道府県教育委員長協議会から国に対して要望しています。また、要保護児童生徒の就学援助に要する経費については、必要な就学援助を行えるように、対象者数の増加等も含め、市町村の対象者数に見合った十分な財源措置を講じることといった形で、必要な就学援助、それから人数の増加に対しても必要な措置を行っていただくよう要望しているところでございます。

〇西銘純恵委員 先ほど、子供の貧困対策で30億円の基金を活用した市町村は独自に拡充していると言われたのですが、それについてもう少し詳しく説明をお願いできますか。不十分だから市町村が独自でやっているということではないのですか。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 関連資料の32ページになります。委員の御質疑は、上の表の1、就学援助の充実を図る事業というところの質疑であると認識いたしました。32市町村に約1億9600万円を交付しておりますが、これについては一昨年の2月議会で基金の議決をしていただきましたので、4月以降に市町村と圏域別の意見交換を通して、一番はこの事業が子供の貧困対策に資するものだと市町村の強い要望を受けまして、この基金のメニューとしてまず位置づけられました。その中でやはり市町村としては、既存の財源の中でなかなか踏み込みにくいこの基準を、この基金を活用すれば対象者を拡充できる、品目を拡充できるという要望がありましたので、この1年間取り組んだところ、平成29年度は全てとは言えませんが、32市町村で約1億9000万円を活用していただいているということで、今のところ必要な分は届いているものと理解しているところです。

〇西銘純恵委員 こういう考え方はいかがですか。要するに就学援助の制度については、先ほどからあるように交付金の要請をしているけれどもやはり不十分であると。それで、沖縄県で子供の貧困対策を全国より早く始めて、実際は沖縄県の独自の貧困対策予算によって2億円近くを―実際は国からは就学援助で沖縄県はこれだけ今でも実績として2億円足りないというところで、やはりそれを拡充するというのが本命です。大もとにきちんと制度をやれということをすべきだと思いますが、こういう方法についてはどう考えますか。

〇登川安政教育支援課長 就学援助の準要保護に対する国からの交付金につきましては、この交付金の算定基準に基づいて、各市町村に交付されているものだと認識しています。この中で交付税をいかに活用して、どのような就学援助とするかについては、各市町村の実情に応じた形で現在実施されているところでございます。その中でどういった形で行うかどうか。また財源関係について、どのような形で確保していけるのか。さまざまな課題、議論等があるかと思いますが、我々といたしましては、市町村と意見交換しながら、各市町村がどういった事業しているのか。その中で市町村ごとにどのような必要があるのかどうかを注視しているところです。この財源については、子ども生活福祉部の基金を活用していますが、その中で市町村としてどう判断するのか。これは離島の市町村、市街地の市町村とそれぞれ教育環境が違いますので、そこは市町村においてどのように交付税の予算を活用するかについては、その判断を委ねながら、いろいろと意見交換しながら、今後改善していきたいと考えております。

〇西銘純恵委員 就学援助そのものがきちんと、沖縄県の市町村の事業を実施しているところへの支給が不十分だから、別予算で充てざるを得ないということは明確だと思います。そこをもっと打ち出してやっていただきたい。子供の貧困対策予算はもっと必要なものがたくさん出てくるわけですから、やはりそういう立場でやってもらうことを要望します。

〇仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉京子委員。

〇比嘉京子委員 きょう学校をプラットフォームとして総合的な子供の貧困対策を展開していくという国の方針に県も一様の方向を示してくださっているわけなのですが、まず沖縄県の子供の貧困問題がクローズアップされている中、私たちはその沖縄の子供たちをどう育てるか。地域でどういう支援体制や仕組みづくりをするのかという本当の入り口に立っているのではないかと思っています。そのときにさまざまな財源がおりてきているわけですが、そこでその使われ方を含めて、ある意味で大切に使うというか、ばらまきになってはいけないというような観点も含めて質疑させていただきます。皆さんの説明が早いので少しついていけなかったのですが、資料1ページの沖縄県の子供たちについて、①、②、③と国と同様な方向を示したわけですが、それにかかわる部署です。例えば教育庁を含めてこれについて合意をされて、これに基づいてやっていくということで、スタートしているという理解でよろしいですか。

〇與那嶺善道教育指導統括監 子供の貧困問題で、特に委員がおっしゃった沖縄県の宝である子供の将来が、その生まれ育った環境によって左右されることがあってはならないものと考えております。さまざまな子供の貧困対策の事業がございますが、各学校の全職員、それからスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、また子ども生活福祉部が配置している子どもの貧困対策支援員と連携しながら、子供の支援について教育委員会も努めてまいりたいと考えております。

〇比嘉京子委員 現在、学校現場の過重労働等が大きな問題となっている中で、新たな役割をまた連携をしながらやっていくということになるわけですが、現在の教員数、人的な状況の中で、それを十分にやっていけるとお考えなのでしょうか。これを引き受けるための課題はどういうものがあるのですか。

〇與那嶺善道教育指導統括監 実態も含めて、学校において子供の貧困対策に取り組むときには、まずはその学校の子供たちに対する気づきといいますか、それをやらないといけません。当然、従来から気づきについては、全職員でやっております。その次に情報提供や対応策の検討。それから学校の主な役割としては、それを関係機関につなぐということが大きな役割でございます。そういう流れを含めた連携の中で、委員からありますように、学校の教職員は大きな課題といいますか、長時間労働などの負担もございます。ですから、そういう部分も含めて、基本的には教職員のみではなく、先ほど申し上げたような外部の人材も活用し、連携しながら、そういう部分で生徒の支援のためにつないでいくということもやっていかないといけないものと考えているところです。

〇比嘉京子委員 現状の体制の中で、学校で気づきを行い、それぞれの役割の方につないでいくという考え方なので、特に人員・体制については問題ないと言えば変なのですが、やはり確かな学力の保障というわけですから、学力面でついていけない子供たちに対する学習支援等につないでいったりするわけです。結局そうでない子供たちも含めて、放課後や夜の居場所づくりなどと並行しながら学習支援体制をつないでいくとか、いろいろなことが起こってきています。学校でどれだけ子供たちの学力をつけていけるのかということを考えるとき、やはり学校の教職員の人員体制をもっとふやしていくということがまずスタートラインにあるべきではないかと思うのです。現在、少人数学級が実現されている学年と実現されていない学年があるわけです。少人数学級が実現されていない学年について今どのような課題があるのか。また、少人数学級が実現されている学年についても、ある学年においてはもっと少ないほうがいいということがあるのかなどを含めて、現在の教員の体制をどう考えるのかということについてお答えください。

〇當間正和義務教育課長 まず、学校において子供たちのいろいろな状態に気づくということは、とても大事なことだと考えております。その気づいたことにいろいろ対応するという中で、特に学習面におきましては、各学校等に学習支援員などが配置されておりまして、彼らによって放課後の学習支援や夏休み等にある時間を設定し、希望者等に声をかけながら補習の指導という形で学習の保障の取り組みを実施しているところでございます。そういった意味で、現在学校には学習支援のための人的配置がなされております。
 それから少人数学級については、少人数にすることによって、当然1学級当たりの子供の数が減りますので、子供たち一人一人に気づきやすいというような利点があるものと考えております。このため、現在小学校1年生から5年生まで、それから中学校1年生において少人数学級を実施しております。今後、その拡充等についても研究していきたいと考えております。

〇比嘉京子委員 学校の学習支援員とはどのような方なのか。そして全県の全学校でその体制が整っているのかということについてお答えください。

〇當間正和義務教育課長 全学校に学習支援員が配置がされているのかということについて全体の把握をしておりません。特に、離島等においては、人材がいないというようなこともあって配置できていないということがあります。ただ、一括交付金等を活用した事業となっていることから、多くの市町村でこの事業を推進しているという状況がございます。ちなみに浦添市では、1校に2名の学習支援員を配置しています。その資格等については、教員免許を持った方や教員を退職した方がいらっしゃいます。面接等を通して、その資質等について確認をしながら実施をしているところでございます。

〇比嘉京子委員 1校に2名ということで支援をしている現状はどうなのかなと思います。貧困対策における学習支援については、先だって我々が視察したところではマンツーマンで行っています。一人一人のレベルの違い、環境の違いに対してマンツーマンで、どこからできていないのかを確認し、これに基づいて指導する支援体制を先進地では行っています。そういうことを見ると1校当たり2名で学習支援ができるのかという疑問が起こってくるわけです。だから、学習はしっかりと放課後の支援を含めた学校の中で完結するという姿があれば、それ以外の支援体制についても、しっかりとすみ分けてできるのではないのかと思います。ですから、ほかの都道府県を見ることも大事なことですが、沖縄らしい支援のあり方を私たちが今模索していくべきだと思っています。それによって、学校から漏れた支援をまた別のところではしごして云々というよりも、学校の中で、一人たりとも漏らさないという体制をどうやったら構築できるのかということを、学校のプラットフォーム化の中でどのようにすれば完結できるのか。ほかに学習支援を持っていかないようにするためにはどうすべきか。しっかりとした学力をつけるということを学校で完結するという。だから、学校にもっと先生方をふやすために、加配的教員にお金を投じることとか、そのようなあり方がむしろ明快であると思います。夏休みも学校で補習があるから、先生方についても、退職者や教員免許を持っている方に支援の協力を要請して、やっていただくというようなことも沖縄らしい方策ではないかと一応提案しておきます。繰り返しますが、学校に2人という体制で学習支援と言われるのが、これでは全然十分ではないのかということについても一応提案しておきます。先ほど説明があったどの学校にどれくらいの人数による支援体制があるのかという資料があればいただければと思います。
 次に、福祉関連でソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどさまざまな相談体制、支援員の配置がなされています。後ほど、子ども未来政策課長からどこの学校でどのような対応ができているのかという資料をいただきたいのですが。それと現在の充足率はどうなっているのでしょうか。例えば、目標の充足率があって、それに対して学校の充足率としてどのような支援員がどれだけいるのか。生徒1人当たりの割合として。気づいて、つないだら、迅速な支援体制でこの家庭にはどのような支援を提供できるのかというようなことを小まめにやらないと、手いっぱいの人ではなかなか対応できないのではないかと思います。学校配置の充足率は幾らなのでしょうか。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 関連資料を見ながらお聞きいただくとわかりやすいと思います。関連資料の18ページをごらんください。これは市町村等別の沖縄子供の貧困緊急対策事業の支援員の資料になります。同表の左の列から市町村別となっており、行の一番上が那覇市、一番下に沖縄県が、八重瀬町など市町村ごと入っております。例えば、那覇市でいいますと、子供の貧困対策支援員を26人を配置しております。さらに福祉の部門にも入っています。この方々は生活保護世帯にも入っていって、必要な学習支援や居場所につなぐ、福祉の中で回るようなことが主な業務です。委員の質疑にある学校との関係を見ると、表中の教育委員会18名の方々がまさに学校と連携しているということになります。那覇市の場合は、各中学校単位で1人の担当者を配置しています。これについては、先ほどからも説明していますが、この貧困対策支援員が、全ての子供たちの支援を行う前に、まず学校で行っているスクールソーシャルワーカーの先駆的な役割がありますので、現在、この方たちと一緒にさらに上乗せして入っていくというような活動しています。充足率という目安のようなものは設けていません。那覇市の場合はしっかりと担当者を決めて学校訪問を行っているという状況であります。

〇比嘉京子委員 私たちが目指している支援体制、組織体制、仕組みづくりという点でいうと、やはり現在やっている方々がどれぐらい丁寧にきめ細かく対応できるだけの人員が配置されているのか。ある程度の地域格差もあると思われるのですが、地域で目標の人数がつくられていて、そこに対して毎年度どのように人員をふやしていくのか。ですから、予算の使い方としても、まずは人的配置ということが仕事の大きな質を上げることになると思うのです。それを網羅していくためには、どのような役割があって、どれくらい不足しているのかということ。ぜひ今実施している中から、人数的なこと、また対象となる子供たちに対してどのぐらいの割合の人が必要なのだということも含めて、できるだけ早くこれについて検討していただければと思っています。
 今、プラットフォーム化といったときに、福祉が中心となってやっておられると思うのですが、そこが沖縄の距離感も含めて地域社会に合った組織や仕組みづくりというところを私たちはスタートさせなければいけないのです。模索し、走りながら、ここは沖縄的にはこうだよねということをもう少し、大枠でしっかりと足腰をつくるようなこと。今は資金が来ているからいいのですが、もし来なくなったときに何もなかったと言われたらどうしようかという気もどこかにあるのです。そのようなこともあって、今沖縄が注目されていて、資金も来ているわけですから、やはりしっかりとした体制をつくるということが大事ではないのかと思っております。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 委員のお話は、貧困対策支援員の役割と居場所について、もっとしっかりしたものにしていきなさいという質疑だと認識しました。これについては、まさに内閣府沖縄担当部局と同時に市町村から日々課題等が上がってきています。これについては、各委員にも視察していただいた南風原町が恐らく全国でもトップレベルの貧困対策を行っています。これを実現できたのは、専ら貧困対策支援員と居場所をしっかりとつくって、不登校者をなくすというビジョンを掲げて取り組んでいると。そういう先進的モデルとなる町が走っています。このようなものをほかに広げていくということが非常にわかりやすい取り組みになるものと考えております。委員の質疑については、しっかりと成果が出せる事業ということでやっていきたいと思っています。

〇比嘉京子委員 皆さんがとられた幼児教育についてのアンケートを見ますと、やはり子供たちの根っこに自己肯定感の育ちが弱いのではないかと思います。そこを幼児教育の入り口論として、母子間の信頼関係も含めてどのような位置づけになっておられるのですか。またどうされようとしているのですか。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 冒頭にもありましたように、沖縄県では6年間の貧困対策計画の中で、ライフステージの中の乳幼児期対策についてもいろいろと掲げております。また待機児童の解消はもとより、県でこの後予定しています乳幼児期の調査ついても小・中学校の調査も加えて、乳幼児期の保護者に対するアンケートになりますが、いわゆる乳幼児期における生活実態をしっかりと把握して、その課題の解消に向けて施策を打っていくということを目的として今年度に調査を予定しています。そういった中で、さらに厳しい実態が恐らく上がってくると思いますが、これに対応する施策を打っていくということを考えていきたいと思っております。

〇仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。
 亀濱玲子委員。

〇亀濱玲子委員 資料3ページの学校を窓口とした福祉関連機関との連携について、説明資料の13ページと18ページに実績等が書かれているわけですが、これについて教えていただけますか。例えば、各支援員が配置されている。実施している子供の貧困対策支援員は28市町村で105名となっています。現状はそうなっているようですが、沖縄県は41市町村を抱えているわけです。これについて質や量の課題があったら教えてください。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 まず質の面における課題につきましては、例えば障害者施策や高齢者施策のようにきちんとした法、ガイドラインなどに基づいた、これを重厚に固めて走った事業ではありません。まさに緊急対策で、目の前の子供たちの支援を早急にすべきであるということで、地域の実情ということで始めました。そういう意味でここにも書いています。資格のある方や実務経験がある方を市町村において専ら採用して取り組んでいますが、やはり課題としてはそうした資質の向上があると思います。支援する側の資質の向上です。
 それと量の面における課題については、具体的には41市町村のうちの28市町村ということで、まだ支援員を置いていない市町村、特に町村となります。これについてもこれまで議会で質疑がありましたが、離島における人手不足等もありまして、なり手がいないという課題があると聞いております。これについては、ほかにどのようなやり方があるのか今検討しているところですが、できるだけ、内閣府とともにこの事業は全ての市町村に開かれているということを我々から説明をしております。人手がないというところについてもさまざまな角度から検討して、子供の貧困対策が必要ないところもあるのかもしれませんが、恐らくほとんどのところで必要性があると思いますので、我々も国と一緒になって、事業をいつでもできるという姿勢で取り組んでまいりたいと思っています。

〇亀濱玲子委員 先ほどの答弁で、充足率の目安がないとおっしゃったのですが、これについては全市町村ができるだけ人員を配置するという体制で取り組むということが県の方針であると理解してよいですか。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 先ほども申し上げましたが、この事業のキーワードが地域の実情ということで、我々は支援員の役割、効果などを去年の報告会でお知らせをしています。その中で、この事業を使って貧困対策に取り組みたいというところが現在28市町村ということです。我々としては全てといいますか、本当に地域の実情として必要なところには、当然この事業を使っていただきたいのです。逆に言うと、41市町村全てが必要ないのにやってほしいということにはならないのかと思います。

〇亀濱玲子委員 今の答弁はおかしいと思います。県としてどのような方針を持つのですかと聞いているのです。事業をやりたいという市町村が出れば考えるという対応はよくないと思います。基本的には、沖縄県が抱える課題を県がどう精査して、向き合うのかということを問うているわけですから、それについて41市町村の中で子供の貧困問題がないところがあるかもしれないというような言い方ではなくて、やはり県の対応としてきちんとその必要性を洗い出して対応していくという。このこと全てに応えていくという姿勢を私は求めています。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 子供の貧困対策に限定してお答えしました。具体的には人口が非常に少ない村に直接伺ったところ、子供の貧困対策というよりも、子供たちの学習支援などの課題はあるということで、これは既存の施策でいけるだろうというような村があったものですから、そういうお答えをしました。委員の指摘の中で、現在の沖縄県の厳しい状況の中で、県の気持ちが入っていないのではないかということであれば、決してそういうことではなくて、全ての市町村において基本的にはこの事業を活用していただきたいということで訂正させていただきたいと思います。

〇亀濱玲子委員 先ほどの答弁の中でも、外部人材の活用や、それぞれをつないでいくというようなことをお答えいただきました。実際に、沖縄県の学校現場、教育機関、そして福祉の窓口がどのように連携しているのか。あるいは総合的にこの課題に取り組むというネットワークや体制については構築されていますか。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 内容が大変深い質疑でありまして、答弁となると相当時間がかかりそうです。端的にお答えしたいと思います。
 まず市町村において、子供の貧困対策について、例えば那覇市、浦添市、中城村などで既に首長を中心とした、行政だけではなく関係NPO法人を含めた、協議会のようなものを、たしか中城村では既に3回実施しているということです。市町村を挙げて子供の貧困対策に取り組む姿勢とビジョンを示している会議があることが1つです。
 また、それ以外の主な取り組みについても、視察された南風原町のように、貧困対策支援員と学校関係者が定期的に意見交換し、子供たちの支援を話し合っていくなどの取り組みを行っている市町村もあります。
 この市町村の取り組みをどう県が把握しているかにつきましては、緊急対策事業の中で市町村への助言や指導を行う支援コーディネーター事業について県の委託事業として実施しております。北部、中部、南部、宮古・八重山地域にスーパーバイズをするようなコーディネーターを配置しており、毎月市町村から報告をいただいているところです。具体的にこのコーディネーターは2週間に1回、市町村に赴いて各支援員からの話を聞き、課題解決に向けた助言などを行っています。これについては月に1回報告し合って、好事例や課題として共有し、またさらに現場に返していく中で、現場の実態を把握しているものと考えております。

〇亀濱玲子委員 私は本当に連携が大事だと思っているのです。私たちが視察した埼玉県の事例で、子ども食堂をつくる、居場所をつくる、そこに来てそこにいてもいいよという場所をつくる。だけれども、ここに出て来られない子供たちを訪問して、支援をして、暮らしぶりはどうなのか。親の暮らしはどうなのか。あるいは病気はないのか。そして、この子供が学校に戻れるのか、戻れないのか。居場所だったら行けるのか。行けなければ訪問指導員が定期的にこの家の玄関先に行って、生活の自立や学習につなぐというきめ細かな作業がない限り、私は全体の連携と結果を出すことは難しいものと思っています。沖縄県が市町村任せではなくて、沖縄県の方針として、家庭から出て来にくい子供たちへの継続した訪問支援ということにも積極的に取り組むべきだと考えています。これについての考え方をお聞かせください。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 全くそのとおりだと考えております。本当に個別具体的なケースについて会議を積み重ねながら効果が出てくるものと考えています。そういう意味では、沖縄県においては無料塾についても送迎がありますので、送迎という言葉をアウトリーチという言葉に変えて、ただ子供たちを送り届けるのではなくて、保護者と短い時間でも会う―保護者の気持ち、困り感を聞き出す。そのような取り組みを県の委託事業の中でやっています。また、委員に視察していただいた侍学園など、まさにそこを十分活用しているという好事例がありますので、県がやるべきことはそういった既に実践しているところについて、課題があるところにさらに広げていくということです。子供を通した家庭支援についても、今後取り組んでいきたいと考えています。

〇亀濱玲子委員 具体的な事業として、訪問支援事業などについて、積極的に県から市町村に呼びかけて、取り入れさせていくような考え方はありますか。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 ただいまの質疑は、家庭の訪問支援、事業のようなことを今後できないのかと認識しました。これについては、必要性を感じておりますが、現在の内閣府事業と県の事業の中で、まずは貧困対策支援員が家庭との間に入っていきますので、その資質を向上させる中で、もっと強力に子供だけではなく、いかにして家庭支援ができるのか。これについては今後やってみたい項目ではありますが、今の現状ではまずは子供の支援をしっかりやっていくというところで、次のステップということで少し検討させていただければと思います。

〇亀濱玲子委員 では、次のステップとおっしゃったので、関連資料の7ページの幼児期から切れ目のない支援ということに関して、これから調査するということですので、ぜひ沖縄県の幼児期、その就学前の子供たちの置かれている状況も含めて、今お願いした訪問支援あるいは相談窓口になるかと思いますが、連携の体制をぜひ構築していただきたいのです。これについては課題として申し入れたいと思います。
 続いて、資料5ページの経済的支援の中で、先ほども西銘委員が質疑した(2)沖縄県子どもの貧困対策推進交付金の中の、沖縄県にかかわる対象者の増加と、対象項目の追加について、どれぐらい支援項目が変わり、支援対象者が増加したというようなことがあれば教えてください。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 県教育委員会との連携に基づきお答えします。まずは就学援助率がございます。これについては速報値ではありますが、平成27年度がいわゆる貧困対策をする前というように理解していただければと思います。平成27年度の速報値が20.39%。これに対して現在の速報値で平成28年度が21.52%ということで、1%強上がっています。およそ1500人ぐらい増加しているのではないかということです。その要因はいろいろあると思いますが、このような基金の活用が進められたことによるものと考えております。

〇亀濱玲子委員 なぜこれを聞いたのかというと、それでもなお、沖縄の課題は残りますかということを聞こうと思ったのです。もしそれをお答えいただけるのでしたらお願いします。まだ数値や内容が十分に把握できてないので、課題がまだ洗い出せていないというのでしたら、そのお答えでよろしいかと思います。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 就学援助率は、この基金事業の最たる成果だと思って1%強向上したというお話をしましたが、正しく言うと、平成28年度の半ばから始めたものですから、この1%要因についてはほかの要因も入っているのではないかと考えております。そういう意味では、平成29年度の実績が出てくると、1年を通した施策ということですので、これが恐らく減ることはないと思っています。どこまで上がるのかについては、まさに県と市町村のこれからの取り組みということで、具体的な数値についてはもう少し進捗を待ちたいと思っております。

〇亀濱玲子委員 この追加する対象項目というのは、国の基準とは別に、県の判断として沖縄県に特化してこういう支援が必要なので項目をふやすということができないものになっているのか教えてください。

〇登川安政教育支援課長 関連資料の30ページをごらんください。就学援助制度の概要という形でまとめています。この中で就学援助の対象費目がございます。この学用品費等の学用品費A-1からA-2の学用品、通学用品。それからBの学校給食。Cの医療費といった形で学校就学に必要な経費はほとんど網羅されています。その中で、今回の事業の中で、眼鏡を追加したりなどいろいろな工夫はされております。基本的には、就学援助対象項目の援助制度としてはこういった項目になっております。この範囲内で考えていくことになるのかと思います。

〇仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。
 次呂久成崇委員。

〇次呂久成崇委員 関連資料の18ページの市町村等別の沖縄子供の貧困緊急対策事業の実施状況ですが、沖縄市の支援員の配置は14名。そして子供の居場所の運営支援や実施内容というところがほかのところと比べて少し数字が大きいものですから、その要因について簡単に説明していただけますか。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 沖縄市の右側の列の子供の居場所の運営支援というところが25カ所でこれが総数です。この25カ所の中で、4つのメニューを行っているということで、これが内訳になります。例えば、食事については25カ所の居場所のうち11カ所が食事を提供しています。あわせて、生活指導とは、挨拶や靴を並べるなどということも生活指導と言っています。学習支援は学校の宿題等。あとキャリア形成支援については、なかなか難しいのですが、仕事を学ぶという以前に、今後どうやって生きていこうかというようなキャリア支援をやっているメニューということで示しています。沖縄市においては、例えば、生活指導、学習指導が数字的に多いのではないかということについて、市の方針で恐らく生活指導と学習支援はしっかり居場所でやっていくというスタンスであるものと認識しています。逆に言うと、そこはまさに地域の実情ということですので、それぞれの市町村がどこに重きを置いているのかということがここにあらわれてきているものと考えております。

〇次呂久成崇委員 市町村の実情に合わせて、いろいろと事業展開をしているということなのですが、これは県の基金を活用したもの。あと国からのメニューとして直接、たしか国からの補助で10分の10があるのですが、それでやっているところ。それぞれの自治体で取り組み方が違うと思います。それをまとめた一覧のようなものはあるのでしょうか。例えば各自治体は、県の基金ではこういう事業をやっています。沖縄市、石垣市は基金でこういう事業をやっています。一方、国の補助メニューとしては、直接こういうのをやっていますというような各自治体において取り組んでいるメニューについては県で把握しているのでしょうか。

〇喜舎場健太子ども未来政策課長 国のメニューと県のメニューがそれぞれあります。これについては市町村にわかりやすくするために個別ではなく、今はセットで説明をするように心がけております。今、ちょうどごらんいただいている18ぺージには2つの大きなメニューがあって理解しやすいと思います。あと32ページで県の基金事業については主にここになります。この中に就学援助と放課後児童クラブ―いわゆる学童の利用その他もろもろです。県の事業については、支援員と居場所以外の貧困対策に資するものは活用しやすいように間口を広くしています。それぞれの事業は密接に関連しております。例えば、居場所事業は内閣府の事業で、メニューとして施設の改修が難しいところが、実は県の基金事業を使って施設の改修を行っている市町村が既に幾つかあります。逆に言うと、このわかりにくさというよりも両方のメニューがあることによって補完し合っており、徐々にそれが密接になっているということが現状であるものと理解しております。

〇次呂久成崇委員 一覧でそういうものがあれば、私も見てみたいなと思います。各自治体がどのような取り組みを、国のメニューや県の基金を活用したメニューで取り組んでいるのかというのを私たちもまた勉強させていただきたいと思います。
 あと1つ、県も国も大きな基本的な方針として、学校を窓口とした福祉関連機関との連携ということで、先ほどから連携の仕方というところでいろいろ上がっています。実は私がずっと思っているのは、教育庁が子供の貧困対策を考えたとき、教育の現場から考えたときの学習支援のあり方や経済支援のあり方。また就学などのような教育庁から見た支援について、私は余り見えないという感じがしています。これは子ども生活福祉部だけではなくて、もちろん一緒にやってはいるのかとは思うのですが、教育庁からの見方で支援のあり方についてどのように考えていらっしゃるのかお答えください。先ほども窓口があって、情報提供を関係機関につなぐということがあったのですが、学校現場においてそれは誰が行うのですか。各担任が直接関係機関に対して行うのか。それとも担任と学校長等が市の行政の福祉部に行うのかというような具体的な連携のやり方について、少し見えないような気がします。

〇與那嶺善道教育指導統括監 少し難しい御質疑であります。子供の貧困対策については学校現場が一番主になるといいますか、そういう部分において管理職の立場も大変重要になります。そういう意味で、この貧困対策に関しては、本年度も県立学校長会などの研修、全指導主事会、各地区の小中校長連絡協議会等におきまして、子ども生活福祉部から講師を派遣していただいて、県の対策等についての説明とあわせて研修を行っております。当然、その研修を行った後、各学校において各校長から教職員等に対して研修内容を伝達して、特に貧困の子供の状態の把握のために、朝の健康観察や授業等を通して、こういう部分をしっかり見ていただきたいと。ただし、この貧困等の把握に関して、学校現場では、親の経済状況や家庭の経済状況の変化などの部分は気づきにくいところもございます。また保護者や児童生徒のプライドなどにも慎重に配慮して対応しなければなりません。そのため、日ごろから教育支援員や教育相談員が各学校にいます。それと先ほど申し上げたソーシャルワーカーです。それから子供の貧困対策支援員と連携して、気づいた生徒に関しては、まず担任、教科担任、養護教諭、それから部活の顧問など、その気づきをもとに情報を共有して、その管理者に報告し、学年会やケース会議等での対応があります。中学校などは週1回生徒指導委員会とか、そういう部分で情報を共用して、どこにつなげればいいのかということを検討して、関係機関につないでいる状況でございます。

〇次呂久成崇委員 この学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の推進の図を見ただけでも、学校の役割はもっともっと重要になってきていて、それがやはり先生たちの負担になってくるのではないのかと。ですので、やはりこういうつなぎ、スクールソーシャルワーカーやカウンセラーなど、いろいろ相談員がいるようですが、この貧困対策については、やはり専門的な人員を各学校にきちんと配置をしていただきたい。つなぐ役でいうそういう人員配置を教育庁としてしっかりと求めていってもよいのではないかと思います。そうでないと、先生方にもかなりの負担がかかると思いますし、やはり専門員をしっかりと配置することによって、このような福祉分野の専門家などともきちんと連携ができると思いますが、これについていかがでしょうか。

〇當間正和義務教育課長 まず学校の子供の貧困対策における第一義的な責任は、子供たちにしっかりと学力を保障していくこと。そして、この子供たちが将来仕事とか希望を持っているのか。先ほど、自己肯定感というお話がありましたが、そういったことをしっかりと身につけて、将来の夢を持って生活ができるようにするためにも、子供たちの学力を保障するということが一番大きなことだと考えております。そのために放課後の補習指導等をその学校の中で完結をすると。先ほど比嘉委員からありましたように、それがとても大事なことであると思っております。子供たちとかかわるということでしか、学校でしか気づけない部分がございます。子供たちのかかわりについて、特に授業や補習などの中でしっかりとかかわっていくと。その中で気づいたことを今度はどのような形で伝えていくかということについては、今すぐ人員をふやすということは大変難しい状況がございます。現在、子供の貧困対策支援員という形で各市町村等において配置されている人員がおります。その皆さんと、連携をしながら、学校の教職員にこれ以上の負担をかけるようなことは、本来の趣旨から外れていくことになりますので、学校としてしっかりできるところを行いながら、またスクールソーシャルワーカーや市町村が配置している子供の貧困対策支援員の皆さんと連携をしながら、進めていくというような形をとっていきたいと考えております。

○仲村未央委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○仲村未央委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、「学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の展開について」質疑を終結いたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、説明員の入れかえ)

○仲村未央委員長 再開いたします。
 次に、子ども生活福祉部、商工労働部及び教育委員会関係の陳情平成28年第140号の審査を行います。
 ただいまの陳情について、子ども生活福祉部長の説明を求めます。
 なお、継続の陳情については、前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
 子ども生活福祉部長の説明を求めます。
 金城弘昌子ども生活福祉部長。

○金城弘昌子ども生活福祉部長 それでは、陳情の処理方針について、お手元に配付してあります陳情に関する説明資料で御説明申し上げます。
 表紙をめくりまして、陳情一覧をごらんください。本委員会に付託されております陳情については継続が1件となっております。継続審査となっておりますこの陳情につきまして処理方針に変更はございませんので、説明を省略させていただきます。
 以上で、陳情の処理方針についての説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。
 
○仲村未央委員長 子ども生活福祉部長の説明は終わりました。
 これより陳情に対する質疑を行います。
 質疑に当たっては、陳情番号を申し述べてから重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
 質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○仲村未央委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、子ども生活福祉部、商工労働部及び教育委員会関係の陳情に対する質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 休憩いたします。

   (休憩中に、執行部退席)

○仲村未央委員長 再開いたします。
 陳情の質疑については全て終結し、採決を残すのみとなっております。
 これより陳情の採決を行います。
 陳情の採決に入ります前に、その取り扱いについて御協議をお願いいたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、陳情の取り扱いについて議案等採決区分表により協議)

○仲村未央委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 陳情については、休憩中に御協議いたしました議案等採決区分表のとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○仲村未央委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
次に、閉会中継続審査・調査事件の申し出の件についてお諮りいたします。
 先ほど、閉会中継続審査・調査すべきものとして決定した陳情1件とお手元に配付してあります本委員会付議事件を閉会中継続審査及び調査事件として、議長に申し出たいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○仲村未央委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 以上で、本委員会に付託された陳情の処理は全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

   委 員 長  仲 村 未 央