委員会記録・調査報告等

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公共交通ネットワーク特別委員会記録
 
平成30年 第 4定例会

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開会の日時

年月日平成30年7月3日 曜日
開会午前 10 時 0
散会午後 0 時 36

場所


第5委員会室


議題


1 鉄軌道を含む公共交通ネットワークの整備拡充並びにこれらに関連する諸 問題の調査及び対策の樹立(鉄軌道の計画案づくりについて)
2 陳情平成28年第45号の5、同第60号、同第90号、同第128号、陳情平成29年第3号の5、同第7号の2、同第46号の5、同第87号、同第94号の5、同第125号、同第126号の4、同第133号、陳情第44号の5,第48号の4、第55号及び第60号
3 閉会中継続審査・調査について


出席委員

委 員 長  玉 城   満 君
副委員長  当 山 勝 利 君
委  員  座 波   一 君
委  員  中 川 京 貴 君
委  員  座喜味 一 幸 君
委  員  翁 長 政 俊 君
委  員  狩 俣 信 子 さん
委  員  大 城 一 馬 君
委  員  平 良 昭 一 君
委  員  玉 城 武 光 君
委  員  比 嘉 瑞 己 君
委  員  上 原   章 君
委  員  大 城 憲 幸 君


欠席委員


説明のため出席した者の職・氏名

 知事公室基地対策課副参事 上 原 宏 明 君
企画部長  川 満 誠 一 君
企画振興統括監 嘉 数   登 君
交通政策課長 長 濱 為 一 君
 交通政策課公共交通推進室長  宮 城   優 君
土木建築部建築都市統括監 嘉 川 陽 一 君
空港課長 金 城 利 幸 君



○玉城満委員長 ただいまから、公共交通ネットワーク特別委員会を開会いたします。
 本委員会付議事件鉄軌道を含む公共交通ネットワークの整備拡充並びにこれらに関連する諸問題の調査及び対策の樹立に係る鉄軌道の計画案づくりについて、陳情平成28年第45号の5外15件及び閉会中継続審査・調査についてを一括して議題といたします。
 本日の説明員として、知事公室長、企画部長及び土木建築部長の出席を求めております。
 まず初めに、鉄軌道の計画案づくりについて審査を行います。
 ただいまの議題について、企画部長の説明を求めます。
 川満誠一企画部長。

○川満誠一企画部長 本日の資料として、沖縄鉄軌道の構想段階における計画書及び計画書の概要版資料の2種類をお配りしております。
 まことに恐縮ですが、本日は計画書の内容につきまして、概要版資料を用いて御説明申し上げます。
 表紙をめくっていただいて、1ページをごらんください。
 この計画書は全6章で構成されております。
 沖縄鉄軌道の構想段階における計画案づくりは、平成26年10月より3年半をかけて進めてきたところであります。沖縄県では去る5月1日に沖縄鉄軌道の構想段階における計画書を策定いたしました。第1章及び第2章で、構想段階における検討目的と経緯、専門委員会における検討の総括について記載しております。第3章から第5章にかけては、本計画書の骨格部分となる鉄軌道導入に当たっての基本的な考え方である概略計画、鉄軌道と連携するフィーダー交通ネットワークのあり方や計画段階以降に必要な取り組み及び検討事項などを取りまとめております。また、第6章については、構想段階の次の段階となる計画段階以降の今後の進め方について記載しております。
 2ページをお願いいたします。
 上段の1、構想段階における検討目的と経緯について御説明申し上げます。
 沖縄鉄軌道の構想段階における計画案づくりは、沖縄21世紀ビジョンで示された沖縄の将来の姿の実現や、陸上交通の現状の課題解決の観点から、県土の均衡ある発展、中南部都市圏の交通渋滞緩和、県民及び観光客の移動利便性の向上等を図ることを目的としております。構想段階における計画案の策定に当たっては、県民及び市町村など、関係者等の理解と協力が不可欠であることから、透明性の高い計画策定プロセスが求められたところでございます。また、導入ルートのみに議論が偏ることなく、沖縄の将来を見据えた大局的な観点から検討が実施されるよう留意が必要とされたところでございます。
 このようなことから、計画案の検討に当たっては、全体を5つの段階に分けて、3つの専門委員会を設置して審議を行うとともに、各段階ごとに県民の皆様との情報共有を図りながら進め、延べ6万2000人の皆様から寄せられた御意見を検討に生かしてまいりました。このような計画策定プロセスを経て、鉄軌道導入に当たっての基本的考え方及びフィーダー交通ネットワークのあり方や具体的な整備計画を検討する計画段階以降の課題及び取り組み方針等について、本県の計画書として取りまとめをいたしました。
 続いて、下段の2です。
 沖縄鉄軌道計画検討委員会の総括について御説明申し上げます。
 ルート案の選定に当たっては、事業効果、持続性、事業費・工期、事業実施上の留意点の4つの視点に基づき各ルート案の効果や影響の程度等について確認し、総合的観点から評価が行われました。この結果、人口及び宿泊施設等が集積する地域を経由し、中部の東西いずれの地域からもアクセスがよく、両地域の需要を取り込むことができることから、鉄軌道及び公共交通の利用者数や単年度便益の事業効果が高いこと、公設民営型の上下分離方式を適用した場合、事業実施の目安となる開業後30年から40年以内での黒字転換が可能であることなどの理由から、那覇-浦添-宜野湾-北谷-沖縄-うるま-恩納-名護を経由するルート案、C派生案と称しておりましたが、これが選定されたところでございます。
 また、今後の検討に当たっての留意点として、計画段階以降は現場の状況等を確認の上、経済性、施工性、環境面等の観点から、幅広く検討を行い、影響の回避や低減を図る必要があること、まちづくり等の取り組みについては、市町村等と連携して進めていくことが重要であること等が示されております。
 3ページをお願いします。
 沖縄鉄軌道の構想段階における概略計画について御説明申し上げます。
 起・終点は那覇及び名護としております。なお、今後、公共交通の需要が増大することも考えられることから、将来的には鉄軌道の延伸について公共交通の利用状況等を踏まえて検討していく旨を計画に盛り込んだところでございます。
 想定する構造は、用地確保や事業費等の観点から、市街地部は道路空間、郊外部は専用用地への導入を基本といたしまして、市街地部のうち、宜野湾-北谷間は高架橋で、それ以外は地下トンネル、郊外部は山岳トンネルと高架橋を想定しております。右側の図では青色の部分が地下トンネル、赤色が高架橋、オレンジ色が山岳トンネルと高架橋が連なる箇所として想定しております。
 それから検討対象として想定するシステムは、那覇と名護の間を約70キロメートル、この距離を1時間で結ぶため、最高速度が時速100キロメートル以上の専用軌道を有するシステムとしており、大きさとしては小型鉄道、モノレール、専用軌道を持つLRTなどを例示しております。
 4ページをお願いします。
 フィーダー交通ネットワークのあり方について御説明を申し上げます。
 フィーダー交通とは、幹線と接続する支線のことであります。骨格軸である鉄軌道と各地域とを結ぶ路線バスやモノレールなどの交通機関を指しております。フィーダー交通ネットワークについては、既存の公共交通ネットワークを踏まえ、広域的な観点から鉄軌道との効率的な結び方について検討を行っていくことが重要であると考えており、現在は既存の路線バスが地域と主要施設を結んでいることから、主に路線バスの活用が想定されるところであります。
 また、将来のフィーダー交通ネットワークの構築を見据え、各地域における交通の現状と課題等を踏まえた公共交通の充実について、沖縄本島を複数のエリアに分けた議論の場を設定する等、まちづくりの主体である市町村等との共同により検討を進めてまいろうとしております。
 5ページをお願いいたします。
 ここでは、今後の計画段階以降に必要となる取り組み、検討事項について記述しております。検討事項の1つ目として、具体的なルート及び構造につきましては、速達性の確保、地震や津波、土砂災害等への対応、自動車交通への影響、自然環境や生活環境への影響などについて留意し、現場の状況等を確認の上、幅広い視点で検討を行うことが必要であります。2つ目としまして、駅の位置や駅の数は需要や採算性に大きな影響を与えるため、ほかの交通機関との結節、人口密度や集客施設の立地状況等を踏まえながら幅広く検討を行うことが必要であります。3つ目として、費用便益費につきましては、事業による効果・影響を把握する観点から、計画段階においてより正確に評価を行うため、構想段階において考慮されていない便益の検討、定量的評価が難しい効果の評価方法の検討なども含め、幅広く検討を行うことが必要であります。
 また、今後必要な取り組みとして、鉄軌道の導入に当たっては駅周辺のまちづくりや既存公共交通の利用環境の改善が必要不可欠であることから、市町村等と連携して幅広く検討を行っていくことが必要であります。
 6ページをお願いします。
 最後に今後の進め方について御説明申し上げます。
 これまで検討を行ってきた構想段階は、下のフロー図の黒塗りの部分に当たります。おおむねのルート等の概略計画について、検討を行う段階でございました。次の計画段階では、具体的なルートや駅の位置、交通システム等を決めることになりますが、このためには整備スキームや整備主体等が決定される必要があります。その後、事業実施の可否が判断され、概略設計や各種法手続を経て着工となります。沖縄県といたしましては、公設民営型の上下分離方式による全国新幹線鉄道整備法を参考とした特例制度の創設等、早期の事業化を国に働きかけてまいりたいと考えております。
 以上が、沖縄鉄軌道の構想段階における計画書の概要の説明でございます。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○玉城満委員長 企画部長の説明は終わりました。
 これより、鉄軌道の計画案づくりについて質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 また、この際、執行部の皆様に申し上げます。
 答弁に際しては、要点をまとめ、要領よく行い、円滑な委員会運営が図られるよう御協力をお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 座波一委員。

○座波一委員 まず6ページについて、説明がありましたとおり、事業実施をするかについては判断がまだ先ですね。これはこの計画の流れからいくと、まだまだ先なのかと思うわけですが、その辺の見通しはどうですか。
 前回の公共交通ネットワーク特別委員会で、7月は国との調整段階に入るという説明でした。それも含めて、この事業を実施するかどうかの判断の時期について、どこに妥当性を見出しているのかお答えください。

○宮城優公共交通推進室長 昨年度、3月30日の計画検討委員会の取りまとめを受けて、今年度5月1日に構想段階における計画を策定したところです。今後、特例制度の創設や鉄軌道導入に向けた取り組みの早期着手について、国に働きかけてまいりたいと考えており、具体的にどれくらい先なのかという数字的なお話については、なかなかできないところであります。できるだけ早期にこの計画段階の整備計画等をつくる作業について進めてまいりたいと考えているところです。

○座波一委員 やるべきことはわかっているのだから、計画が進んでいるにもかかわらず、それがなかなか示せない理由は何ですか。

○川満誠一企画部長 特に内閣府で調査しているという事情もございまして、あちらは、県が考えているものよりも長大であること、上下分離方式でないこと等がございまして、費用便益費についても成立していないということでございます。このような中、県としてはどのようにすれば実現可能性が高まるかを中心に検討しており、この後は県の考え方をお伝えして、具体的に事務的な調整を継続して行っているわけでございます。
 今般の骨太の方針等の要請につきましても、鉄軌道という文字も入れて要請したところでございます。残念ながら、その記載はまだ得られていないのですが、このような形で継続して、県が考えている方法であれば、手が届くのではないかと繰り返し求めてまいりたいと考えております。

○座波一委員 内閣府との調整の中でも、上下分離方式という考え方について一致しているわけでもないと。また、ビー・バイ・シーがまだクリアされていないと。さらには骨太の方針にも入らなかったという、この3つの観点から状況が非常に厳しいのではないかと見ていますが、どうですか。

○川満誠一企画部長 確かに容易でないことは承知しております。しかし、もともと鉄軌道は長大な、非常に巨大な事業でございます。したがって論点も多岐にわたりますし、沖縄全体にとって非常に重要な社会インフラになることは確実です。本土の例に倣うのであれば、整備新幹線もございますし、多くの地域で軌道系の交通は国が大きく関与して整備していることも事実です。県としても丁寧に説明の上、これを求めてまいりたいと考えております。

○座波一委員 その考え方には賛同します。沖縄振興特別措置法―沖振法における公共交通機関の理念にのっとってやるのはいいのです。やる方向での国との調整であればいいのですが、今はできるか、できないかの議論の段階なのです。どうもこれが腑に落ちなくて、沖振法に沿って、沖縄21世紀ビジョンでうたわれたとおり国の特例制度を求めてやっていこうという構想が、まだまだ協議の段階であることに非常に不安を感じます。これが1点目。
 まだまだ時間がかかるこの整備の話ですが、これはやるべきだと思います。この機会にフィーダー系を最終的にこれと連結させていく構想や公共交通の再編問題が、今むしろ地方で非常に盛り上がっています。そこら辺を整備していったほうが県民生活に便利性が出てくるのではないのかということが、2点目。
 もう一つは、県の公共交通に対する考え方です。これは鉄軌道を導入するからいいという問題ではなく、今既存のバスの再編問題も含めて、公共交通をいかにして整備するのかという方向性が県民に示されていない。バスを利用してくださいというのはわかりますが、どのように再編するのかという大胆な市町村との連携の姿が見えないというのが私の感想です。ですから、そこをフィーダー系という位置づけであれば、むしろその辺を整備しながら鉄軌道の採算性も上がっていくと、今言っている幹線の費用便益の計算も上がっていく可能性すら見えてくると思っています。以上の点について答弁をお願いします。

○川満誠一企画部長 実現可能性につきましては、時間はかかるが、沖縄県の生産力、発展にとって必須の社会インフラであるという説明については整理できると思います。沖縄本島の中南部に120万人ほど人口がありまして、鉄軌道には輸送密度という考え方があるわけです。調べたところ、これは本土の輸送密度と遜色ないと、主要都市と沖縄県の人口集積地域では輸送密度は遜色ないという考え方がございます。
 それから、確かにたくさんの利用者がいないといけないわけですが、既に本県は車社会で公共交通は多くの問題を抱えています。既存のバスについては、現在、基幹バス構想を進めておりまして、利便性の向上も努力をして、徐々にではありますが公共交通も減り方は下げどまっている、若干よくなっていることもございます。
 もう一つ、フィーダー交通についても御指摘のとおりであると承知しています。このことにつきましては、一つの案で那覇から名護まで1時間という中で、直接通っていないところも、鉄軌道の利便性を沖縄本島全域にくまなく行き渡るように、フィーダー交通を考えなければならないと考えております。この中ではエリアにおける市町村ごとのまちづくりとのかかわりが非常に深いので、その現状を見ながら、路線バス、LRT等の配置が最適であるか検討を続けてまいりたいと考えています。

○座波一委員 ルート案が決定したわけですから、それに沿ったフィーダー系の構想を市町村と一緒になって練っていくことは、今後とても大切であるし、鉄軌道の本線を整備することにもプラスになると思っています。
 またバスの問題ですが、これもLRTとして、フィーダー系の柱として、本県はぜひやるべきではないのかと。鉄道は30年後か20年後に走るのかもしれませんが、バスは今の話ですから、ぜひそれを考えてほしいと思います。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉瑞己委員。

○比嘉瑞己委員 3ページの概略計画から質疑します。
 今回の構想計画で大まかなルートや、その路線の構造等が見えてきました。その中で気になるのが、一番下にある検討対象として想定するシステムです。この路線の上を走るシステムについてはどういったものを想定していますか。

○宮城優公共交通推進室長 冒頭で企画部長が説明されたとおり、那覇-名護間の70キロメートルを1時間で結ぶためには、時速100キロメートル以上を出すことが可能な専用軌道を持つ交通システムと考えています。

○比嘉瑞己委員 具体的に検討したシステムについては、どういったものがありますか。

○宮城優公共交通推進室長 小型鉄道、モノレール、専用軌道を持つLRT等々です。計画の中に想定するシステムとして例示しております。

○比嘉瑞己委員 これは県民も大変関心のあるところだと思います。この上を走るシステムをどのように検討したのか、この間、検討委員会等で議論されたと思います。あるいはワーキングチームでも議論されたと思いますので、委員会の後で議事録やその資料をぜひ提供していただきたいと思います。
 なぜ、このシステムに言及しているのかというと、相当大きな事業になり、このシステムによっても費用便益も変わってくると思うからです。この構想段階の計画を見ると、路線の形態についてはかなり具体的な話も出ています。山岳ルートや地下トンネルという形になっていて、このトンネルや高架橋を通る路線が決まってしまうと、おのずとそのシステムは限られてくるのではないかという懸念があるのです。今おっしゃったいろいろなシステムがあるにもかかわらず、路線が先に決まってしまうと、走るシステムが限られてしまうのではないかという懸念があるのですが、その辺はどう思いますか。

○宮城優公共交通推進室長 次の計画段階におきまして、現地の状況等々も踏まえて具体的なルート、駅の位置等々が決まっていくわけです。その中で那覇-名護間を1時間で結ぶシステム、かつビー・バイ・シーのことも、当然コストも考えながらシステムについても決まっていくものと考えております。

○比嘉瑞己委員 もう一度確認しますが、今度の計画段階においては、この路線構造だけに縛られて考えるのではなく、上を走るシステムも含めて総合的に改めて検討して、この計画はできていくものと理解していいですか。

○宮城優公共交通推進室長 そのとおりです。

○比嘉瑞己委員 走るシステムによっても、費用便益や法体系も全然変わってくると思います。この構想段階でかなり多角的な検討をなされていますが、ざっと目を通しても、まだ数値化できない検討項目もあったと書かれています。本当に総合的に検討した上で、特に上を走るシステムについては、県民の関心も高いので、その点も重視して計画段階に進んでいただきたいと思います。企画部長の見解をお願いします。

○川満誠一企画部長 県民の皆様に情報を提供しながら、多くの方の御意見を伺って、実現できるところをつくっていきたいと考えているところでございます。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 大城憲幸委員。

○大城憲幸委員 今の話に関連して、同じく6ページから質疑します。
 これまでの説明では、3年半かけて構想段階をきちんとまとめて、それを持って国と交渉する。計画段階からは当然、国の理解のもとに進めると。ある意味、計画段階からは県独自ではできませんという説明であったと思うのです。今後の進め方についても、次の計画段階で具体的なものはやりますということですが、これは計画段階からは、国の事業に対する理解がないと進まないということについては、そのとおりでいいのですか。その辺の考え方について再度お答えください。

○川満誠一企画部長 これは、もともと数千億円の巨額を要することが想定されている事業です。ですから、財源の確保、資金の調達も大事なのですが、本県には、このような長大な鉄軌道を運営するノウハウの蓄積がございません。事業主体等も含めて政府のノウハウ、能力、資金力が必須であると考えております。

○大城憲幸委員 確認しますが、国の理解が得られなければ計画段階には進めないという考えですね。

○川満誠一企画部長 同じ答弁になりますが、理解が得られるよう努力して、次の段階に進んでまいりたいと思います。

○大城憲幸委員 そういう意味では、先ほど言った3年半きちんと構想を練ってがっちりとそれを固めて、そして2018年度で議論を深めて、この2019年度に向けて骨太の方針にのせていく。そして次年度の予算に組み込んでいく計画であったと思うのです。先ほど少し触れていましたが、残念ながら骨太の方針にのらなかったという、先ほどの企画部長の答弁によると骨太の方針にはのらなかったが、次年度の予算獲得を目指すために頑張っていくと。来年度は計画段階に進めるために国の理解を得るための努力をしていく取り組みになるのですか。また今年度はどうなりますか。

○川満誠一企画部長 次年度に直接予算というよりも、沖縄振興の大きな考え方として、既に沖振法には趣旨が明記されていますし、公共交通が政策課題であることも了解済みです。
 鉄軌道という巨大な事業を進める上で、詰めるべきところを詰めていって、理解を進めながら動き出すところに持っていきたいということです。
 ですから、繰り返しになりますが、国はやはりこの種の事業については非常に慎重になるのが当然ですが、本県にとっては、今後の県全体の発展、生産力を相当大きく左右する重要な社会インフラであると考えておりますので、努力を続けてまいります。

○大城憲幸委員 私も企画部長と同じ認識です。重要であるからこそ、本来はこれほどの事業ですから、今度の骨太の方針にどうしてものせたかったのですね。ですからそれを聞いていて、骨太の方針に向けた県三役を含めた動きが弱かったのではないかと。これは個人的な感想です。
 次に、国の調査については、これまでコンサルタント等に調査を依頼していましたが、今年度はいわゆる鉄道事業者に調査を依頼するという話を聞きました。その辺の情報を持っていますか。その状況については理解していますか。

○宮城優公共交通推進室長 現時点におきまして、そのような情報は聞いておりません。

○大城憲幸委員 私も国に確認したわけではないのです。そういう情報があったものですから。
 そこで感じたのは、やはり国も今までとは段階が少し違ってくるのかと。そろそろ沖縄の鉄軌道をどうするのかと最終的に判断する段階に来ているという印象を持ちました。そして、やはりこれもどうしても国の理解が得られないといけない事業ですから、これまでは国の調査と県の調査で、ばらばらにやっていましたが、それを何とか近づける努力が、今後必要になると思います。その辺について内部の議論はどうですか。

○宮城優公共交通推進室長 前年度の内閣府の調査については、間もなく報告書もいただけるのかと思っております。今後とも詳細に情報交換させていただいて、ぜひその方向で進めてまいりたいと考えております。

○大城憲幸委員 もう一つ気になることで、毎回、質疑していると思いますが、モノレールが来年の夏にはてだこ浦西駅まで開業します。そして、MICEの関係で西原町までの延伸の声も多分どんどん大きくなっていくと思います。そういう中で、ほかの公共交通との連結とかについても、ちらっと触れてはいるのですが、やはりこのモノレールとの連結についてどうするのかという議論を、もう少し頭をやわらかくして、いろいろな方向性から検討することも必要であるかと思うのです。
 これについては、現段階でなかなかこうしなさいというものを、私も持っていないし、皆さんもこの議論は非常に難しいと思うのです。今後は国との調整も含めてなかなか避けて通れない議論になると思いますが、その辺についての考え方はありますか。

○川満誠一企画部長 現実にモノレールは運行しており、延伸、それから今後の本県における、特に都市部の構造がどのように変容していくかということにも密接にかかわっていますので、具体的に動かしていきたいと。鉄軌道の場合は名護と那覇、その間の中部の主要な地域を通っていく都市間交通の重要なものとなりますので、若干、その役割において異なるところがあると思っています。ですから、鉄軌道ができた暁には、都市交通であるモノレールとか、フィーダーの場合にはBRT―バス・ラピッド・トランジットとか、いろいろなものが考えられるわけですが、それらとの円滑な連結は必須であると考えております。

○大城憲幸委員 やはりそれぞれが、両方を今後充実させるのはなかなか難しい気がしていますので、私も研究を進めていきますので、ぜひ、その辺も頭をやわらかくして考えていただきたいと思います。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 中川京貴委員。

○中川京貴委員 鉄軌道については、私も一般質問でこれまで取り上げてきた経緯もあります。この鉄軌道検討体制を立ち上げたメンバーと検討委員会のメンバーがかわる理由についてお聞かせください。

○宮城優公共交通推進室長 この計画書の最後の13ページ、14ページあたりに記載されている資料をごらんになった上での御質疑かと思います。
 プロセス検討委員会については、どういう体制でこの鉄軌道の計画検討を進めていくかをまず話し合っていただきました。その後に3つの委員会―総合的観点からの計画検討委員会、技術的観点からの技術検討委員会、さらにそれを県民とのコミュニケーション等も含めたチェック機関としてのプロセス運営委員会という体制で進めていくことを決めた最初の委員会になります。

○中川京貴委員 その後、平成27年から平成30年で検討委員会が継続されていますが、最後の14ページで新たな委員が何名か入ってきていますね。その理由は何ですか。

○宮城優公共交通推進室長 13ページの下から14ページにかけてが、その3つの委員会でございます。それぞれの専門分野の方々に各委員会に入っていただいて検討を進めてきたところでございます。

○中川京貴委員 これまでに3年半かかっているこの鉄軌道の財源は県の単費ですか。また、現時点でどれくらいかかっていますか。

○宮城優公共交通推進室長 これは単費であり、毎年1億5000万円ほどかかっていたと記憶しております。
 平成26年10月以降のトータルの金額については、手元の資料では確認ができないところです。

○中川京貴委員 再度確認します。来年も再来年も1億5000万円がずっと出るものと理解していいですか。

○宮城優公共交通推進室長 構想段階における計画は、今年度の5月1日に策定が終わりました。今年度は、構想段階で算出を行わなかった便益等についての研究も行っていくので、この事業の予算について、今年度は1億円となっております。

○中川京貴委員 ということは、毎年1億円の予算がかかるものと理解していいですか。

○宮城優公共交通推進室長 次年度以降は、さまざまな視点で検討を行っていくと思いますので、金額的には今後いろいろと変動していくものと考えます。

○中川京貴委員 これについては、これまでに一般質問で何度も取り上げており、鉄軌道は本県にとって欠かすことができない、沖縄の将来を担うもので、その必要性があることについては理解しています。ただし、この間の答弁でもまだ国の裏づけがとれていない中で、見切り発車しているのではないかと。国からの裏づけがとれない一番の理由は何でしょうか。

○川満誠一企画部長 検討する項目が非常に多岐にわたること、いろいろなパターンを検討していかないといけないことで、県が成立するところを一生懸命整えていることと、国の立ち位置がより慎重であるという感じがしています。これは国よりも県が慎重でないというわけではありませんが、非常に莫大な金額がかかるためではないかと思います。国が上下一体方式であるとか、全体の長さも若干違うとかいうあたりが違っているものですから。国が県の形に近づいてくるのかどうかはわかりませんが、県の考え方についての説明を繰り返し行って、その合理性があることを御理解いただくしかないものと考えております。

○中川京貴委員 国が沖縄県に近づくことはないと思っています。まず、これを見てください。県が今出されている図面です。この図面を見てもわかるように、恩納から那覇に向かう場合、最終地点は那覇空港ですか、どこですか。

○川満誠一企画部長 起・終点を那覇と名護としていることは、交通の結節は2次交通としての働きもございます。モノレールと鉄道を並列するのか等いろいろな議論があって、目下のところ結論は出ておりません。
 しかし、沖縄にたくさん入って来る方々が、モノレールないし鉄軌道という2次交通を利用しやすくすることは必須であると考えています。

○中川京貴委員 そもそも、こういった形で那覇空港から名護までと、これから観光立県沖縄を立ち上げるためには、那覇空港から本部までが一番理想だと思っています。
 それと、恩納村から、わざわざ、うるま市に行って沖縄市を回って那覇市に行く人はいません。将来10年後、20年後を展望したときに、果たしてこれがいいと判断をしたことに対して少し理解しにくいのですが。北谷、嘉手納、読谷を通せば、これは解決するのです。距離的、時間的にも、嘉手納、読谷を通せばいいという数字が出ているのに、わざわざ、うるま市、沖縄市を通している。これは人口という点ではわかりますが、北谷、嘉手納、読谷を通さなかった理由がよくわかりません。

○宮城優公共交通推進室長 具体的な起・終点、駅の位置等々は、次の計画段階で決まるわけです。構想段階におきましては人口の分布、自動車交通量や大型宿泊施設の分布等々、客観的事実に基づいてルート案を設定し、さらに県民意見を踏まえて7つのルート案になったということです。
 採算性等々も内閣府の調査においても厳しい状況も見えている中で検討を進めた結果、よりよい案ということで、このC派生案が選ばれたところですので、御理解のほどよろしくお願いします。

○中川京貴委員 御承知のとおり恩納村、特に読谷村は毎年500名も人口がふえていて、日本一の村として既に4万人を超えています。あれだけの莫大な土地がありますので、10年後、20年後にはこれも4万5000人、何万人になるのかわかりません。
 それと、企画部長は詳しいと思いますが、高速道路です。国道58号の交通渋滞を緩和するために高速道路があるはずですが、読谷、嘉手納は高速道路も通っていません。これに接続されていません。西湾岸道路があると言いますが、西湾岸道路も、この間の企画部長の答弁でも、計画されて30年間たっています。執行率もまだ半分に達していません。そういった事実から、これから10年間から30年間かかるかもしれない構想に、もっときちんと理論武装して国を説得しなければいけないと思っています。
 先ほど企画部長は、例えこれをつくったとしても、沖縄県には経営能力がないから、内地から経営感覚のある人が運営しないといけないという答弁をしていましたが、その答弁でいいのですか。

○川満誠一企画部長 誤解を招く言い方であれば反省しますが、現実に沖縄にはモノレールを除いて鉄軌道を運営している実績がないので、ノウハウ等は移植といいますか、持ってこないといけないという趣旨で申し上げたものでありまして、本県でできないということではありません。

○中川京貴委員 那覇ではモノレールを経営しているではないですか。こういったノウハウも勉強する必要はありませんか。

○川満誠一企画部長 それはおっしゃるとおりだと思います。しかし、運営主体、実施事業主体の鉄道会社が本土にたくさんありまして、例えば、JR九州やJR西日本。私鉄にも各社ございますが、ダイヤをつくったり、実際の列車のメンテナンスを行ったり、非常に多岐にわたるものと考えられます。ですから、現実として、現在の本県には、そのようなことを実施できる組織体が存在しないと申し上げたわけでございます。

○中川京貴委員 今の状況では、正直に言って、国に対して説得するほどのものはないと感じます。その理由は、我々は会うたびに鉄軌道の話をしますが、その前にいろいろな課題があるからです。そういった意味で、私が企画部長にお願いしたいのは―これは話が変わりますが、2次交通の高速船についても、県は乗り気ではありませんでしたね。これは知事、謝花副知事が企画部長のときに、検討していないと答弁しているのです。しかし、国道58号の交通渋滞の緩和、これから1000万人の観光客で予測される渋滞に対して、早目に対応すべきであるということで、我々自民党会派が内閣府と党本部に行って、予算化させたのです。県は後追いしているのです。これについては、今年10月から実証実験が始まります。そういったことを鑑みて、理論武装して国を説得して予算をつけさせる仕組みをつくるべきだと思いますが、いかがですか。

○川満誠一企画部長 いろいろと取り巻く環境の大きな変化に敏感になって、兆しを捉えて、可能な限り事前に考えをめぐらせて対応すべきであることは、おっしゃるとおりだと思います。

○中川京貴委員 やはり、採算性、それと費用対効果。40年後には黒字になる仕組みをつくられていますが、乗る側の立場も考えて、私はある意味では今のこの仕組みで本部町までやらないと、後で追加工事をやった場合は、県の負担が大きいものと思っています。
 企画部長は本会議の答弁で大体6300億円くらいだと。県の持ち出しがそれから1000億円までは行かず、500億円程度であると説明していました。しかし、私は7000億円かかっても、那覇から本部まで通す。そして、将来30年後、40年後にも、沖縄県民が利用できる採算性がとれる仕組みをつくらないと、いつになっても国はオーケーしないと思っています。いかがでしょうか。

○川満誠一企画部長 おっしゃるような御意見も多くの方の中から出てきているものであると承知しております。しかし、最初に申し上げましたとおり、今後も公共交通の環境は変化し得るわけです。人口の増減とか、さらにどのように発展していくのかについても読めないところでございます。限られた資源を最適配分することは同じだと思うのですが、とにかく長きにわたって効果を発揮するような鉄軌道の敷設ができればいいと、それをやらないといけないと考えているところでございます。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 大城一馬委員。

○大城一馬委員 いよいよルートも決定されて、事業着手に向けてこれからいろいろな検討がなされると思っています。ただし、やはり先ほどから話が出ていますように、現段階では国との調整について極めて難航していると。そういうことが非常に懸念されるところではあります。しかし、これは成功に向けてしっかりと県民を挙げて取り組んでいかなければならないと思っております。 そこで2点お聞きします。5ページの計画段階以降に必要な取り組み検討事項で、需要及び採算性、そして費用対効果がありますが、具体的に、どういう考慮をされるのか。また難しい点があるのか示してもらえませんか。

○宮城優公共交通推進室長 需要及び採算性の部分に関しましては、やはり上下一体方式ではなかなか採算がとれないことは我々の構想段階の検討の中でも明白になっているところです。そして、全国新幹線鉄道整備法を参考とした特例制度が必要というところと、それからビー・バイ・シーの部分で当然その構想段階の検討の中におきまして、場合によっては1を上回る可能性があるところが確認されました。しかし、今年度の構想段階で行った便益の検討は、通常の鉄道事業が事業採択される際に、一般的に使われる項目のみを算出したところです。今後はその段階ではやっていなかった便益について、例えば、移動時間の定時制向上による効果など、そういうさまざまな効果がほかにもございますので、そういうところの便益項目についても調査を行って、評価の精度を高めていきたいと考えております。

○大城一馬委員 いろいろな問題点が山積していることは重々承知しています。平成28年度に国土交通省が交通白書を出しましたね。その中身を読み込んでいきますと、今後の国の方針はまちづくりの観点からするとLRTであると。各地域、全区画でLRTを含む新たな公共交通の方針を出しているのです。これと那覇-名護間との整合性がそこにあると思います。この方針の相違について、その点は全く問題はないのですか。

○宮城優公共交通推進室長 今おっしゃったLRTは、一般的な次世代型の路面電車、つまり都市交通としてのものかと思います。片や国の方針として地方回廊構想で、全国津々浦々を高速でつなげていこうという話もあります。そのあたりは我々の鉄軌道についても沖縄本島の縦軸として機関軸をつくろうというところについては、問題ないのかと思っています。

○大城一馬委員 やはりルート案が決定されていますので、ここはフィーダー交通、いわゆる駅との連結ですね。これはスピード感を持って計画案をつくっておかないといけないと思っているのです。いろいろと多様な観点からこの問題、とりわけ中南部の渋滞緩和。これも皆さん方の概要の中に入っているので、そういったことも含めると、やはりフィーダー交通の早期の計画案づくり、これに取り組む必要があるのではないかと思うのですが、どうですか。

○宮城優公共交通推進室長 フィーダー交通につきましては、計画段階において駅の位置が決まらないと、なかなか具体的な話として進みづらいところはあります。将来的なフィーダー交通ネットワークの構築を見据えて、まずは沖縄本島内を幾つかのエリアに分けて、その地域の公共交通の充実について、まちづくりの中心である市町村、バス事業者等の関係機関と連携、共同して、今年度からの検討を進めてまいりたいと考えております。

○大城一馬委員 ぜひお願いします。
 それと、このフィーダー交通について市町村と連携しながらというお話がございました。これについては代表質問でもそういう答弁がありました。今、南部の、那覇市、南風原町、与那原町、西原町の4市町が、新たな交通協議会の設置を予定しています。それは当然知っていますね。

○宮城優公共交通推進室長 はい。そのようなお話を聞いています。

○大城一馬委員 近々、これについて県に要請に行くと思います。要するにこの中に、やはり4市町としては何としても設立段階から県も参加してもらわないと、計画のあり方に極めて支障があるという強い要望があるのです。それについては企画部長が代表質問で答弁されておりましたが、参加をお願いしたいと思います。検討していきたいという話ですが、ぜひこれに県が入ってもらわないと。

○宮城優公共交通推進室長 本会議で企画部長から答弁させていただきましたが、協議会の設立趣旨等が示され次第、県のかかわり方については検討してまいりたいと考えております。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 平良昭一委員。

○平良昭一委員 構想段階まできたということでありますが、かれこれ20年前、県土の均衡ある発展の中で、北部の市町村から那覇-名護間を1時間で結ぶという要望が出てきて、県に提言して、それに向かってきていることから踏まえて、この段階までやっと来たのかなという感じがいたします。
 ルート案に関してはそれぞれの地域でいろいろな問題があったかと思いますが、C派生案で決定してきているわけです。ただ、このルート案が決定したことによって、全く関係ない市町村が出てきている中で、気運の高まりがないことも、国である程度問題になっているのかと思います。
 先ほど大城一馬委員からもありましたように、フィーダー交通とのかかわりの中で、このC派生案で通るところだけではなく、各市町村にどう絡めていくのかが大事になってくると思うのです。そういう面では計画段階以降の必要な取り組み、検討事項の中で、各市町村とこれから連携をとらないといけないわけです。鉄道がこの地域を走るだけではなく、どう広げていくのかが大事になってくるわけです。当然、駅が中心を担っていく可能性がありますので、その駅からどうつないでいくのかが大事になります。
 今後、県としては各市町村、沖縄本島内であるかもしれませんが、そこに対してどのような取り組みをしていく構図があるのか、お聞かせください。

○宮城優公共交通推進室長 先ほどの答弁とかぶってしまうのですが、今年度、将来の公共交通、フィーダー交通ネットワークの構築を見据えて、沖縄本島内を幾つかのエリアに分けて、地域、市町村の皆さんと一緒になって、短期的、中期的、長期的、さまざまな観点から地域の公共交通について共同で検討を行っていきたいと思います。この中でやはりどうしてもコミュニティバス等々、それから、デマンドタクシー等々の話から、将来的には駅を中心としたバス網の再編や、新たなシステムを導入する等、そういう議論の中で、地域の皆さんと一緒に勉強をしながら進めていこうということで、今年度から開始していこうと思っているところです。

○平良昭一委員 ルート案が決定してから、意外に県民の関心が落ちてきている感じがしてならないのです。そういう面では、どう実現性を持っていくのかについて、国を説得するために沖縄県の気運がどうしても必要なのですね。そういう面では足りない点が、これから出てくるはずですから、その辺を皆さんでも考えていただきたいということがあります。
 それと、先ほど企画部長から説明があったとおり、特例制度等を設けて、財源を確保しながらやっていくということもあります。その運営会社をどうするかについてもある程度考えているのかもしれませんが、以前に鉄道を敷設するときに許認可の問題等がいろいろとあるという話がありました。ある会社がその特例を持っている中でやらざるを得ないという話も聞いたことがあります。戦前、嘉手納まで軽便鉄道がありました。そのノウハウは今でも生きているという話があるのです。その会社は潰れていない。その会社はこれまで継続していて、現在でもあるという話を聞いたことがありますが、その辺の話を聞いたことはありますか。

○宮城優公共交通推進室長 かつての軽便鉄道については、制度上から見ると死んでいないというお話は聞いたことがございます。ただし、これから新たに鉄軌道を導入する場合におきましては、新たな免許等の取得が必要になると考えています。

○平良昭一委員 新しくつくるよりも、意外にこれを生かしてみると。戦前の会社ではありますが、実際にまだ生きている可能性もあるわけです。別に廃止の届出を出したこともないですから、許認可の問題の中で、今から会社をつくるのと、現にある会社を生かすのでは、大きな違いが出てくると思うのです。その辺は少し調べてみる価値があると思いますが、いかがですか。

○宮城優公共交通推進室長 いずれにしましても、事業主体につきましては、当然、本県にふさわしいあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。

○平良昭一委員 会社はあるという人もいますので、その辺をうまく生かしてやっていく方法がある。国を説得する一つの材料になる可能性があるのです。私は調べる価値があると思っていますので、それを要望として伝えたいと思います。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 翁長政俊委員。

○翁長政俊委員 これまでの議論を含めて、これから計画段階に入っていきますが、まずは本線の部分について、どのようにしてきちんと計画にのせていけるのかが肝要であろうと思っています。その後に、フィーダーという話になるのでしょうが、問題はこの本線の部分です。これも事務方の皆さんがやっている計画案をつくる作業、これはこれとして、本県にとって必要な鉄軌道のあり方を含め、沖縄21世紀ビジョン。さらに先日、富川副知事が出した中間報告の中にこれは入っているのでしょうか。そういったものも含めて、必要性は理解しますが、問題なのは具体的な計画に入っていくと、国との合意の取りつけ、これは事務方で済む話ではないのです。事務方でつくる計画案は計画案としてわかる。しかしながら、膨大な予算を確保するということにおいては、私たち自民党の中にはいろいろなものがあります。政府の予算をつくっていく中において、自民党の中における議論、特に美ら島議連や沖縄振興部会とかで話されていることは、私たちにとっては非常に重要な議論です。
 今言われている国とのかかわりの中で、骨太の方針に入れていくことは、国家戦略としてやるということなのです。この中に入れられない現実を、企画部長を含めて皆さんは三役とお話しされていると思います。現段階でどう取り組んでいて、どのような認識でおられるのですか。

○川満誠一企画部長 骨太の方針は、御指摘のとおり政策を推進する上で非常に重要なものであると承知しております。毎年度、重要項目、沖縄振興の内容については、要請を重ねて政府の御理解をいただいてのせていただいているわけでございます。今般、骨太の方針にのらなかったわけですが、決してこれがだめだということではなく、まだ熟度が達していないという扱いを受けているのではないかと考えているところです。知事、副知事とも調整しており、これはなかなか難しいところもございますが、県としてもできる限りの準備をして、動き出すときには対応が後手に回らないように、あらかじめ努力しておくことを企画部としては持っているところでございます。

○翁長政俊委員 企画部長の答弁を聞いていると、この計画が軌道に乗るかどうか、国家プロジェクトとして採用されるのかどうか定かではないが、それが将来採用されるのであればそのための資料をつくっておこうという程度のニュアンスにしか聞こえないのです。こういう意気込みでこれだけの単費を使って計画案をつくり、県民に夢を与え、さらには必要性を国に説いていって、だから必要なのだという議論が、国の予算部局に対して皆さん方の思いというものは通じますか。

○川満誠一企画部長 全体的に問われている論点については、丁寧に対応しております。どのようにしたらできるのかについて力を注いでやってきています。全体として長大な路線で上下一体方式でということでやると、到底届かないわけです。どのような条件のもとでやっていけばいいのかを丁寧にやっております。よりどころとしては、沖縄本島の特に中南部、名護市に120万人の人口が集積していて、輸送密度も高いと。県が求めている内容も、本土には事例があるので、決して法外な要求をしているわけではないところをベースにして、繰り返し丁寧に求めていきたいと考えているところでございます。

○翁長政俊委員 沖縄の希望や沖縄の必要性、それは県民みんながひとしく感じていると思います。それを政治的にどうクリアして、国に予算化させるか。これを持ってきて、今の皆さんがつくっている計画をいかに軌道に乗せていけるのかが課題なのです。ここの部分をクリアできなければ、皆さんが幾ら調査して、計画をつくってもこれは絵に描いた餅になるでしょう。
 そこを私どもは大変心配していまして、いかに国から予算を引っ張ってくるかという手だて、ここの部分がどうも後手後手になっていませんか。上下分離方式についても、国が頑として上下一体方式ではないとだめだと言っているのは、私に言わせれば、この計画を前に進めないための言いわけにしか使われていないという感じがしないではないのです。ここを突破して、上下一体方式がだめで、上下分離方式がいいという形をつくっていかないといけないわけでしょう。国は県と真逆のことを皆さんと議論しているわけでしょう。ここの部分でさえ議論として突破できないのに、どうやってこれをやりますか。
 それに加えて費用対効果という問題が出てくる。これは幾らどんなに計画をつくっても、国の財政当局をしっかりとクリアしていって、この予算を引っ張ってくるシステム、これを県の三役含めて、企画部長が三役と接触する機会は特に多いでしょうから、たまには本委員会に担当副知事が来て、これを説明するような形でないと、これが現実に県民の夢として動いているかどうか、私たちはつかむことすらできない。この部分は非常に重要です。今年度、骨太の方針にのせられずに予算化されなかった。
 もう一つ言えば、MICEもまさにそうです。絵は描いた。計画も進んでいる。しかしながら予算がつかない。そして今、たなざらしになっているわけでしょう。沖縄県が単費でできるのなら話は別です。いずれにせよ国の予算を引っ張ってくる、その努力が必要になるでしょう。これは県三役がやらざるを得ないのではないですか。どのような形でやるのかということを見せてください。幾らフィーダーの議論をしたって、本線ができないのですから、話にならないです。
 委員長、担当副知事を呼んで、ここの部分がどうなっているのかをもっと詳しく議論するとか、意見を聞くとか。議論をさせたくないのなら、一方的に意見してもいいのです。副知事を呼んで、どのような形で進んでいるということを見せてもらわないことには、次年度だって予算化ができるのかどうか、概算要求に入るかどうかすらわからないでしょう。もう計画段階に入るのに、こういった議論があることも、ぜひ上に伝えてもらって、一度、国との折衝がどうなっているのか、今県が抱えている課題、部局で抱えている課題を三役がどう認識していて、国とどのように調整していくのか。この部分をもっとつまびらかに、私たちに説明できるような機会をぜひつくっていただきたいと思っています。そうではないと、鉄軌道の夢は前に進まないと思っております。ぜひ、そこを要望します。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 上原章委員。

○上原章委員 私も国と県との合意が非常に見えないというか、例年、この特別委員会でも議論していますが、例えば、上下分離方式、上下一体方式という全く相入れない、これについてどう歩み寄っていくのかを心配しているのです。ビー・バイ・シーも県は1時間にこだわっていますね。時速100キロメートルを超えるものと。でも、国と我々がいろいろと意見交換する中で、費用対効果も含めて6000億円を超える費用に対する国の考え方が、県とほど遠いような気がするのです。この辺の、国と県の違いについて、現段階でどのように見ていますか。また具体的にどう対応される予定ですか。

○川満誠一企画部長 事務的な調整としては、特に内閣府とはやりとりをしていて、御存じのとおり、国は上下一体方式を基礎に、少し路線の長さも違うとかいろいろとございます。県はどのような形でやると届くのかということを中心にやっています。
 費用便益について若干御説明いたします。昨今の国債の利回りをベースに考えると、コストが非常に大きく、過大にならないので、現実に合わせてやっていくと届くのではないのかとか、いろいろなことを申し入れております。それと、さらに事務的なことを超えて、要請のレベルで知事、副知事、今年に限っては翁長知事の体調がすぐれないので、必ず副知事と一緒に関係要路に要請して、繰り返し趣旨と熱意はお伝えしているところでございます。
 よりどころとして、その趣旨が沖振法にあるということ。これも繰り返しになりますが、他県の事例をつぶさに見ても、沖縄のこの状況は本土復帰が非常におくれたということと、枢要なところが米軍基地で押さえられているという、さまざまな歴史的事情に由来することもございますので、沖縄の特殊事情であることは説明ができるのではないのかということでやってきております。この辺の御理解をいただいた上で、これは巨額な投資でございますが、本県の生産力を高めて、さらに経済活動を大きくして、ここから富を生み出す働きが出てくると思いますので、そのベースから説明を繰り返してまいりたいと思います。

○上原章委員 私もその趣旨と、沖縄に対する国の支援はぜひ必要であると思っているのです。今、県がずっと積み上げてきた一つの構想段階、これは国と歩み寄ることができる着地点を見つけなければならないということだと思います。
 県が考えている上下分離方式、それから採算性、1時間で行くという基本路線を変えないことについては、まず一つの原則になるのですか。

○川満誠一企画部長 名護と那覇間を1時間というのは、都市間交通の必要最小限の条件だと思います。これが2時間、3時間もかかると利用者は非常に少なくなるのではないかと考えます。
 それから上下分離方式につきましても、これについては初期投資が莫大ですので、その後の運用について非常にコストを圧迫して、収支がつかないことになるわけです。しかし、本土におきましては整備新幹線方式という事例もございます。引き合いに出すのは気が引けるのですが、本州架橋なども1兆数千億円から8000億円などのレベルでの行政投資もなされています。いろいろなところの鉄軌道、公共交通の巨大な行政投資を見れば、本県に144万人もの人が住んでいて、人口も集積、密集していて、都市機能についても課題を持っているところを政府が政策的に財政出動するのは大いにあり得る話ではないかということを訴えてまいりたいと考えております。

○上原章委員 それはよく理解しています。ただし、それを国、内閣府に今の企画部長の話をして、これが理解されているのですか。国は県の構想についてほとんど理解していないものと、老婆心ながら私は感じていますが、その辺はどうなのですか。

○川満誠一企画部長 県が求めている内容については、これを是とする、否とするという意味では厳しいのですが、中身がこうなっていることについては承知されていると思います。実現につきまして、動き出すにはいろいろな状況があります。県ができることは、丁寧に対応していくことについては、できるだけ整理して、合理的な内容であることをお伝えすること。
 もう一つ、市町村とも連携して、多くの人がこれを熱望していることをお伝えするということになるのではないかと思っています。

○上原章委員 先ほど翁長委員からありましたように、これはもう事務方レベルでなかなか歩み寄れる着地点を見出すことは難しいという思いがしています。皆さんの一生懸命な姿勢は評価いたしますが、ぜひ、三役等の責任がある人が国としっかりとした信頼関係をつくらないと、これだけの構想とこれに係る予算については、なかなか難しいような思いがしています。その辺をしっかりとやっていただくことを要望します。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○玉城満委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、鉄軌道の計画案づくりについて質疑を終結いたします。
 次に、陳情平成28年第45号の5外15件の審査を行います。
 ただいまの陳情について、企画部長、知事公室基地対策課副参事及び土木建築部建築都市統括監の説明を求めます。
 なお、継続の陳情については、前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
 初めに、企画部長の説明を求めます。
 川満誠一企画部長。

○川満誠一企画部長 それでは、企画部に関する陳情案件につきまして、お手元の公共交通ネットワーク特別委員会陳情に対する説明資料により、処理概要を御説明申し上げます。
 表紙をめくっていただきまして、陳情説明資料の一覧表がございます。
 企画部関係の陳情は、継続が11件、新規が4件となっております。
 前回の処理方針に変更のない陳情につきましては説明を省略させていただきまして、変更のある陳情について御説明いたします。
 初めに、陳情平成28年第45号の5平成28年度「離島・過疎地域振興に関する要望事項」に関する陳情につきまして、処理方針の一部について変更を行っております。
 まず、3ページをお開きください。
 6の那覇-久米島間の「球美の島交流促進事業」における割引率を小規模離島並みに拡充することについて、変更部分を下線で表示しておりますので、読み上げて御説明申し上げます。
 県では、久米島の航空路線について、平成27年度から29年度までの間、同地域の活性化を図るため、観光客等の交流人口を対象に約1.5割の運賃低減を図る実証事業を実施しました。
 この結果、旅客数増加などの効果が認められたことから、平成30年度から、本事業を本格実施し、久米島町の0.5割と合わせて2割の運賃低減が実現しております。
 県としては、久米島町と連携し、引き続き離島の交通コストの低減に努めてまいります。
 次に、4ページをお開きください。
 8の粟国-那覇間の航空路線について、定期路線化し、安定運航を図ることについて処理方針を変更しておりますので、読み上げて御説明申し上げます。
 離島航空路線は、離島住民の生活や産業活動にとって非常に重要な交通手段と考えております。
 粟国航空路線については、就航可能な航空会社の確保に向けて、引き続き、関係機関と連携し取り組んでまいります。
 続いて、6ページをお開きください。
 陳情平成28年第60号鉄軌道の導入ルートに関する陳情につきまして、処理方針の変更部分を下線でお示ししており、変更していない部分も含め、全体を読み上げて、御説明申し上げます。
 鉄軌道の計画案づくりは、沖縄21世紀ビジョンで示された「沖縄の将来の姿」の実現や陸上交通の現状の課題解決の観点から、県土の均衡ある発展、中南部都市圏の公共交通の整備による渋滞緩和、県民・観光客の移動利便性の向上、世界水準の観光リゾート地の形成、低炭素社会の実現、駐留軍用地跡地の活性化を図ることを目的に、県民の皆様や市町村等と情報共有を図りながら進めてきたところであり、計画案づくりに当たっては、沖縄の将来を見据えた大局的な観点から、検討を行ってまいりました。
 加えて、県民の皆様から求められた「効果・ニーズ」や「配慮・留意事項」などを踏まえて整理した「事業効果」、「持続性」、「事業費・工期」、「事業実施上の留意点など」の4つの視点をもとに、平成30年1月18日の計画検討委員会において、北谷町、沖縄市、恩納村等を経由するC派生案が推奨ルート案として選定されたところであります。
 これを受けて、県では、5月1日に、推奨ルート案に基づく概略計画、フィーダー交通ネットワークのあり方、計画段階以降に必要な取り組み・検討事項等を内容とする沖縄鉄軌道の構想段階における計画書を策定し、県としての考えを取りまとめました。
 今後は、各地域と鉄軌道を効率的・効果的に結ぶことにより、沖縄本島の全域において鉄軌道の利便性を享受できるよう、将来のフィーダー交通ネットワークの構築を見据え、市町村等との共同により検討を進めてまいります。
 続いて、12ページをお開きください。
 陳情平成29年第46号の5平成29年度離島・過疎地域振興に関する要望事項に関する陳情について、一部処理方針の変更がございます。
 3の波照間空港の再開及び航空機の一日も早い就航を実現することにつきまして、石垣と波照間を結ぶ航空路線については、同路線へ就航可能な航空会社の確保に向けて取り組んでいるところであります。
 県としましては、引き続き、関係機関等と連携して取り組んでまいります、と変更しております。
 13ページをお開きください。
 陳情平成29年第87号多良間-石垣間航空路線の早期運航に関する陳情につきましては、石垣と多良間を結ぶ航空路線については、同路線へ就航可能な航空会社の確保に向けて取り組んでいるところであります。
 県としましては、引き続き、関係機関等と連携して取り組んでまいります、と変更しております。
 続いて、15ページをお開きください。
 陳情平成29年第125号旅客船に係る軽油引取税特例措置の延長・恒久化に関する陳情につきまして、処理方針の変更部分を下線でお示ししておりますが、変更していない部分も含め、全体を読み上げて御説明申し上げます。
 軽油引取税は、昭和31年に地方税の道路目的税として創設され、道路使用に直接関係しない船舶等については、地方税法の規定に基づく知事の承認により課税の免除ができることとされております。
 平成21年の税制改正において、道路目的税から普通税に変更されたこととあわせて、知事による課税免除措置は3年間の期限付き特例措置となり、これまで延長を重ねてきております。
 国においては、平成30年度税制改正により船舶等に対する軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年間延長することが決定されました。
 これを受け、県では、地方税法の規定に基づき、知事による課税免除措置を平成33年3月31日まで延長したところであります、と変更しております。
 続いて、17ページをお開きください。
 ここからは、新規の陳情について、御説明いたします。
 陳情第44号の5平成30年度「離島・過疎地域振興に関する要望事項」に関する陳情に係る経過・処理方針等について、読み上げて御説明いたします。
 1について、現在、北部圏域では15系統の路線バスが地域間を運行しており、地域住民の日常生活を支える足として、重要な役割を担っております。しかしながら、バス利用者の減少とともに、運行回数の減少など利便性の低下が課題となっております。
 このため県では、国、市町村と協調して赤字路線の運行費を補助するとともにコミュニティバスの運行の促進などバス交通の改善に努めております。
 今後とも、北部圏域の公共交通の充実に向けて、国、市町村と連携して、利便性向上に取り組んでまいります。
 2について、処理方針は陳情平成29年第87号と同じであります。
 続いて、18ページをお開きください。
 陳情第48号の4単身高齢者が安心して暮らせる社会の実現を求める陳情に係る経過・処理方針等について、読み上げて御説明いたします。
 1について、路線バスの運行については、バス事業者において利用者の多寡や他路線との競合等を勘案した上で、運行時刻や本数を決定しております。このため、バスの運行は、朝夕の通勤・通学の時間帯に多く、昼間には少ない状況となっております。
 県としましては、多様な利用者ニーズを踏まえた公共交通の利用環境のあり方について、関係者と連携しながら、引き続き交通事業者と協議してまいりたいと考えております。
 2について県では、県道等においてバス停のバリアフリー化とあわせて上屋等の設置を行っております。また、基幹バスシステムの導入にあわせて、国道58号久茂地交差点から国道330号コザ十字路までの上屋設置可能なバス停について、バス事業者と連携して上屋の設置に取り組んでいるところです。
 県としましては、引き続き関係機関と連携して公共交通の利用環境改善に取り組んでまいります。
 続いて、20ページをお開きください。
 陳情第55号石垣-那覇航空路線の沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業の適用継続を求める陳情に係る経過・処理方針等について、読み上げて御説明いたします。
 那覇-石垣路線については、新幹線並み運賃の実現という政策目的を、できるだけ安定的に継続できるよう適用条件を見直し、7月1日以降も事業を継続することといたしました。
 県としては、引き続き離島住民等の交通コストの負担軽減に取り組んでまいります。
 続いて、21ページをお開きください。
 陳情第60号離島割引運賃の継続に関する陳情に係る経過・処理方針等について、読み上げて御説明いたします。
 処理方針は、陳情第55号と同じであります。
 以上で、企画部に関する陳情案件の処理方針等の説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○玉城満委員長 企画部長の説明は終わりました。
 次に、陳情平成29年第126号の4の記1について、知事公室基地対策課副参事の説明を求めます。
 上原宏明知事公室基地対策課副参事。

○上原宏明知事公室基地対策課副参事 知事公室所管に係る陳情につきまして御説明いたします。
 継続審議となっております陳情1件につきましては、前回の処理概要から変更はございませんので、説明は省略させていただきます。   
 以上、知事公室所管陳情について、御説明いたしました。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○玉城満委員長 知事公室基地対策課副参事の説明は終わりました。
 次に、陳情平成29年第126号の4の記2について、土木建築部建築都市統括監の説明を求めます。
 嘉川陽一土木建築部建築都市統括監。

○嘉川陽一土木建築部建築都市統括監 土木建築部所管の陳情につきまして、処理概要を御説明いたします。
 土木建築部関連の陳情は、継続1件となっております。
 当該陳情につきましては、処理概要に変更はございませんので、説明は省略させていただきます。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。

○玉城満委員長 土木建築部建築都市統括監の説明は終わりました。
 これより各陳情に対する質疑を行います。
 質疑に当たっては、陳情番号を申し述べてから重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 大城憲幸委員。

○大城憲幸委員 処理方針の4ページです。陳情平成28年第45号の5の中の8番、粟国の航空路線の件です。
 今回方針を変えています。第一航空が撤退をしたわけですが、ここにあるのは就航可能な航空会社の確保に向けて取り組んでいくということです。これを見ると、飛行機の問題はもう解決したということでいいのですか。県に所有権が移ったということでいいのですか。その辺の説明をお願いします。

○長濱為一交通政策課長 御質疑の内容は、航空機購入補助金のお話だと思います。4月1日以降運航されていない状態、その段階ではまだ社員もいらっしる状況でした。その後、我々が聞いた情報によりますと、沖縄事業本部の社員は解雇されています。それから現在、航空機、機材も、本社がある大阪に持って行っていると。空港ビルとの契約関係について、詳細はまだ未確認なのですが、近々聞けるであろうということです。それを第一航空にこういう状態になりましたねとお伝えして、今、県として補助金の返還を求める状態に至っているとお伝えしております。ただし、現時点ではまだ第一航空社が機材を保有している状態でございます。

○大城憲幸委員 基本的には撤退するわけですから、当然補助金を返してもらう。あるいは、それができないのであれば飛行機を返してもらうという現実的な方法をとるしかないと思うのです。それが早目に決着がつかないと、この処理方針にある次の航空会社への提案もなかなか進まないのではないかと思うのです。その辺の見通しやスケジュール的なものはこれからなのですか。現時点で、これらについてはどうなっていますか。

○長濱為一交通政策課長 国も補助金を出していますので、協議して一緒に進めているところです。我々としては、補助金を返還していただくよりは、この機材を沖縄の離島路線にしっかりと有効に活用していただきたいと考えておりまして、その方策について、今検討しているところです。

○大城憲幸委員 粟国村については、その後に運航していたヘリコプターもああいう状況になってしまったわけですから、もう待ったなしだと思うのです。その辺は、相手もあるので、余り強引には進められないと思うのですが、少しスピードアップして、取り組みの強化をお願いします。
 次に、処理方針20ページです。陳情第55号ですが、陳情第60号も関連いたします。本会議でもいろいろと議論があって、引き続き審査するということで、個人的にはいいことであると思っています。一方で、これを実施していく仕組みとして、やはり石垣島などは、お客さんがどんどんふえていく中で、今後、LCCを含めて新規参入がふえてくることで、自由競争によって運賃が下がるのではないか。長い目で見れば、島の皆さんには継続的な運賃の引き下げにつながるという考え方もあるわけですね。ですから、その辺は補助のあり方と自由競争を促すというところにおいて、これからどこで切るのか。あるいはそれを並行して進めていくのかという仕組みづくりが重要になると思うのですが、その辺の議論はどうなっていますか。

○長濱為一交通政策課長 これについては、当初、適用保留と通知させていただきました。過去の事例も参考にして、低運賃の航空会社が入ってくることで既存の航空会社に早目に通知しなければいけない状況もございましたので、そういった形で通知させていただいたと。ただし、その段階でもLCCという、実際に運営形態あるいはサービスの形態が違う航空会社を同一に扱っていいのかについては内部でも議論していて、今般、適用条件の一部を見直して、離島住民を対象に固定的な価格で設定している運賃、それから当日の購入及び追加料金がなく変更可能という形での要件を加えたところでございます。県としては、こういった形で安定的な事業の継続が望ましいものと判断して、今回こういった結論を出しております。

○大城憲幸委員 今の仕組みについて、冒頭に言った、今後ある意味並行して自由競争、どんどん参入したい皆さんが参入してくる。そして全体的に運賃が下がるような話であれば、自由競争で島民の運賃が下がるような仕組みに移行できると。そういうものも見据えて今回つくったという理解でいいですか。

○長濱為一交通政策課長 我々が、今回、見直しした基準から見ても、適用保留に当たる場合はもちろん存在しますので、そういった場合には、自由競争を尊重していくことになるかと思います。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 狩俣信子委員。

○狩俣信子委員 処理方針の17ページの陳情第44号の5をお願いします。
 北部圏域のバス交通利便性についてですが、年々利用者が減ってきていると。それによって運行回数が減少してきているということですが、要するに高齢化社会、特に地域で見ると、買い物難民が出てくる状況があります。ここらあたりで、利用者がどのくらい減って、運行回数がどのくらい減っているのか、お聞かせください。

○長濱為一交通政策課長 今、運行回数の具体的な減り方については資料を持ち合わせておりません。しかし、昨今の動きとしては、東村を走っていた川田線という路線が廃止になりました。ただし、東村がコミュニティバスをかわりに運行するといった動きがあります。

○狩俣信子委員 これは赤字路線の運航費を補助するとなっていますね。先ほど、東村の川田線は廃止になったと。それで影響を受ける住民も結構いると思うのです。その中で、どのくらいの赤字路線が出ていて、どのくらい補助していらっしゃいますか。

○長濱為一交通政策課長 赤字路線の補塡につきましては、県は、国や市町村と協調して行っております。国と協調している路線につきましては、今回決定した分については8路線です。この国との協調補助は、基本的には複数の市町村にまたがる路線です。
 県と市町村で連携して補助している路線は、同一市町村内が原則ですが、これについては、現在30路線に対して運行費補助を出しています。
 平成29年度分については、国、県、市町村で合わせて約4億700万円の補助を決定したところであります。

○狩俣信子委員 赤字路線ということになると、平成29年度と言いましたが、今年度も、これは継続なさるということですね。

○長濱為一交通政策課長 平成30年度の計画についても、各事業者から出していただいております。過去の経緯から見て、おおむね例年どおりに近い形の補助になるのかと思います。

○狩俣信子委員 先ほど、東村がコミュニティバスを運航しているという話もありました。北部圏域におけるコミュニティバスの実態はどうなっていますか。

○長濱為一交通政策課長 コミュニティバスの状況について、北部圏域に限って申し上げますと、国頭村営が2系統、東村営が2系統で、合わせて4系統となっております。

○狩俣信子委員 そのようなコミュニティバスの運行に対しても補助があるのでしょうか。

○長濱為一交通政策課長 北部圏域、国頭村と東村を合わせた4系統については村営の形をとっており、村がしっかりと運営を支援しているということでございます。

○狩俣信子委員 やはり地方に、特に過疎地域に行けば行くほど、こういう交通面での不便がたくさん出てくると思います。高齢化社会の中で、交通は非常に大切だと思いますので、いろいろと御配慮されているようです。今後とも地域に合わせた補助をしっかりと行っていただきたいと思います。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 座波一委員。

○座波一委員 処理方針の18ページの陳情第48号の4です。
 狩俣委員の質疑とも関連しますが、今、この自治体が取り組んでいる地域公共のコミュニティバスが非常に重視されています。いわゆる交通弱者の救済という点では、この陳情もまさにそのことであると思っています。
 その関連で言うと、地域公共交通コミュニティバスの現状の多くが一括交付金を利用した実証実験を踏まえた後に、本格運用になっていると思います。しかし、運営形態の内情は、全てが補助金に近い状況なのです。そういう中で一括交付金がなくなっていく場合に、交通弱者の救済問題、コミュニティバスの存続はどうなるのかということがあるわけです。それについて、県はどのように考えていますか。

○長濱為一交通政策課長 地域のコミュニティバスは、一括交付金の前から各地域で課題になっていました。我々が把握している、一括交付金を使ったものとしては、北谷町や与那国町がこれを活用して実証実験を行っております。
 そのほかの町村につきましては、基本的には一般財源を使っていくと。先ほどの国頭村、東村の事例についても、そういう状況でございます。

○座波一委員 そういう状況の中で、決して楽な運営ではないことについては認識していると思います。特に、一括交付金を活用して導入しているところがありますね。そういうところは、今後継続できるのかという問題になるのです。県はどのように指導していくのですか。

○長濱為一交通政策課長 一括交付金でスタートしたところについても、当然地域の住民の声があって、それでもってまずは一括交付金を財源にしてスタートしたものであると認識しております。運営の継続につきましても、この自治体と地域住民が連携して、いろいろな形で、例えば、医療施設や福祉施設であるとか、そういったところと連携しながらやっていくものと考えています。

○座波一委員 ですから、陳情にあるとおり、時間帯が合わないから非常に使いにくいとかいった問題についても、コミュニティバスであれば解決できるのです。でも、通常の公共交通では、時間帯が非常に不都合であるというのがこの陳情の趣旨ですね。そういう意味では既存の公共交通機関と利用者の実態とのギャップをいかに埋めていくのかが公共交通の課題だと思います。
 ですから、皆さんが自治体と一緒になって公共交通機関の現場が、地域の実情と合っているのかについて、これを把握する作業が、今後必要になってくるのではないかと思いますが、どうですか。

○長濱為一交通政策課長 その地域の大切な足を守るのは非常に重要であると考えています。
 先ほどの鉄軌道の議論の中で、将来のフィーダー交通を見据えた形で、沖縄本島を7ブロックに分けて、各市町村を主体にして、その市町村と連携した地域交通のあり方を考えていくと答弁をしたところです。今年度に、そういった連絡会議の立ち上げを予定しています。そういった会議の場なども使いながら、各地域との意見交換を踏まえて、県としても方向性を考えていきたいと思います。

○座波一委員 この陳情の記の2にあるとおり、バス停の上屋がないところが田舎にはたくさんあるのです。都市部は建物が結構あるので、雨でも建物の影に隠れて待てるわけです。しかしながら、地方では本当に何もないところにぽつんとバス停の看板が1本立っていて、バスを待つ人が日光に当たりながら待っているということがよくあります。お年寄りも、観光客もです。そういうことを見ると、やはり上屋は大切であると思います。
 県はバスが大事だと言いつつも、そういう整備がおくれていると思います。その取り組みについて、どのような計画があるのですか。随時、上屋を建てていこうという計画はないのですか。

○長濱為一交通政策課長 交通政策課では、基幹バス導入に向けてバスルートの上屋設置を進めており、バス協会に対しての設置費の9割の補助などを行っております。それ以外に、運輸振興助成金を活用して、バス停上屋の改修等に対する補助等も行っており、今後ともバス事業者及び道路管理者とも連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 平良昭一委員。

○平良昭一委員 処理方針の17ページの陳情第44号の5について質疑します。
 コミュニティバスの必要性について議論したいと思います。日曜日でしたか、テレビ番組で、山の中にひとりで住んでいるおばあちゃんのために、市町村がコミュニティバスを走らせているシステムがありました。北部の状況も全く同じでありまして、交通弱者のために、どれだけ手を差し伸べていけるのかが大きな課題であると思います。
 そのような中で、これまで赤字路線に対して補助金を出してきた。しかし、あれだけ大きなバスを動かしていても、やはり乗る方が少ない。1人や2人のために路線を変更することもできない。そうであれば交通弱者のためにどれだけ配慮できるのかがこれからの課題だと思っています。まさしく、この陳情はそれを言っていると思います。
 今、北部では4系統のコミュニティバスが走っていると思いますが、これは決して大きいバスではないと思います。先般のテレビ番組の中では、六、七名乗りくらいのワンボックスカーでやっているわけです。当然、これは市町村単位でやっています。
 これまで県内でバス会社がコミュニティバスを運行することはありましたか。こういう小さなマイクロバスとか、もっと小さなものでもいいのです。

○長濱為一交通政策課長 読谷村と北谷町で、琉球バス交通、沖縄バス等に委託して、既存の大きなバスではなく、小さ目のバスで運行している事例があります。

○平良昭一委員 交通弱者の足に対して、やはりバス会社が先見の明があるわけです。ですから、そういう委託契約ができるのであれば、市町村にやらせるよりは事業者にさせたほうがうまくいくと思うのです。そういう面では決して大きなバスは必要ではないし、8名乗りくらいのワンボックスカーでも十分運営できる。これを利用する方々はたくさんいらっしゃると思います。そういう面では、市町村単位でやっていくのではなく、県からの助成金によって、当然路線だけではなく、交通弱者に対して、運転手を含めてバスを賃貸なりすることも今後、必要になってくると思うのです。陳情者は恐らくそのことを言っているのではないかと思います。山の中にひとりで住んでいる、交通に不便している方々に対してどれだけ手を差し伸べていけるのか。そこが今後の生活パターンを継続してできるような状況をつくっていくことだと思います。その辺について、県が乗り出していけないのですか。

○長濱為一交通政策課長 先ほども申し上げたとおり、今年度、市町村地域連携交通会議という仮称の会議についての開催を予定しています。その中で、市町村でのコミュニティバスやデマンドタクシーであるとかいった形のきめ細やかなサービスはどういったものがいいのかについては、やはり市町村がよりわかる状況にありますので、そことの連携という形で、県としてはしっかりとサポートしていきたいと考えております。

○平良昭一委員 今、言ったように、やはり市町村はよく中身も知っています。またバス会社も含めてもいいと思いますので、ぜひその連携をとってもらって、この陳情の趣旨に配慮していただきたいと思います。
 次に、処理方針の22ページの陳情平成29年第126号の4です。
 まず、知事公室に伺います。国、県、村の三者で協議会を設けて―以前の米軍空域に関する説明では、土曜日と日曜日にしか空域は解除されないということでした。それでは到底、航空会社が参入できるはずもないということで、その協議会をぜひ持ちたいと言っていましたが、これまでどうなっていますか。

○上原宏明基地対策課副参事 4月末ごろに伊江村に対して三者で意見交換を行いたいと日程調整を行いました。しかし、5月中旬に伊江村から、定期便の就航に係る調査、調整、また米軍に対する要望内容の具体化を行いたいということで、同村において状況が整い次第、伊江村から知事公室に連絡するということになり、今、伊江村からの連絡待ちという状況になっております。

○平良昭一委員 これは国もかかわってくるわけですから、その三者で協議会を持つということでいいのですか。

○上原宏明基地対策課副参事 国―沖縄防衛局も含めた沖縄県、伊江村の三者による意見交換を行いたいと考えております。

○平良昭一委員 当然、この区域が制限されていることは、伊江村も、とにかく土、日だけではどうしようもないというのは当たり前の話ですから。ただし、ここにきて伊江村に基地があることで、いろいろと新しい工事が始まって、訓練空域が広がったという話があって、民間の那覇空港着の航空機が若干おくれる状況になっているという話も聞きます。その辺の事実関係はどうですか。

○上原宏明基地対策課副参事 報道によりますと、日米両政府が上空5000フィート以上を飛ぶことを条件に、那覇空港到着便の民間機について伊江島訓練空域の運行を認める等の報道があることは承知しております。しかし、その事実関係について、国土交通省の那覇空港事務所に照会したところ、同事務所から、その合意の有無を含めて、日米両政府の同意なしには公表しないことになっているために、お答えできないという回答がございました。

○平良昭一委員 沖縄-羽田を初めとして、沖縄と本土間の便については、ほとんど定刻の時間帯に到着できない状況が続いているのです。それは、訓練空域が広がってきて、これを迂回しないといけなくなっていて、その分時間がかかるということも聞かされているわけです。もし、これが勝手に広げられているのであれば大変な問題です。その辺は、日米の取り決めの中で、公表できないと言うのかもしれません。でも、ただでさえ時間がかかる飛行機の便が、これが原因になって、さらにおくれるとなれば大変なことですよ。ここはしっかりと調べて、確認すべきであると思いますが、いかがですか。

○上原宏明基地対策課副参事 再度、国に照会して、粘り強く求めてまいりたいと考えております。

○平良昭一委員 これについては、ぜひ確認していただきたいと思います。
 次に、土木建築部に聞きます。当然、この空港ターミナルは県の所有です。52年間全く使っていないわけですが、その維持管理については、年間幾らくらいかかっていますか。

○金城利幸空港課長 ターミナルに特化した維持管理費に係る資料は、今、手元にありません。
 年間の伊江島空港に係る管理費は、昨年度の決算で見ると694万3000円で、そのうちの空港等を含めた維持管理は611万5000円になっています。

○平良昭一委員 全く使わない空港でも維持管理費がかかるということです。その一番の原因は、やはり空域が制限されているからです。参入会社の一番のネックはそこです。そこを踏まえて、三者協議したいということがこれから出てくるはずです。一日も早く、その制限を解除できる状況をつくっていくことが、この要望に対する最大の効果であると思います。ぜひ今後それをスピーディーにやっていただきたいと思います。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 座喜味一幸委員。

○座喜味一幸委員 陳情第44号の5について質疑します。
 第一航空に係る多良間、波照間、粟国の件ですが、この第一航空については、現在どういう課題、整理に向かっているのか、その辺の御説明をお願いします。

○長濱為一交通政策課長 先ほども答弁いたしましたが、基本的に離島の航空路線のうち粟国、多良間、波照間の航空路線をどうにか再開できないか、維持できないかと考えております。その方策について、行政、航空会社を含めた関係者らで検討を深めてまいりたいと考えております。

○座喜味一幸委員 いずれにしてもこれは無視できない。できない、動けない、動かない状況は早目に解決するために、一括交付金を使った財産として2機の航空機があるので、その辺の取り扱いを速やかに整理をしておくべきであると思うのです。現在はどういう方向でこの財産の話は進んでいますか。

○長濱為一交通政策課長 機材購入で補助金を出した2機の飛行機ですが、国で75%、県で25%負担しました。国も補助金を返還してもらうよりも、沖縄の離島路線にしっかりと使ってほしいという考え方で、そこは県と歩調を合わせております。我々は、まだ補助金返還の手続をとっているわけではなく、今、第一航空が飛行機を保有している状態です。
 どういう形で、次に運航できる会社がその飛行機を使えるのかを、非常に難しい、あるいは手間もかかるのかと思っていますが、そこを目標にしっかりとやっていきたいと考えています。

○座喜味一幸委員 これは離島から見ると、飛行機はあるのだから、すぐに飛ばせるのではないかと簡単に考えるのですが、これを延ばし延ばしにしていたら非常にまずい。スピーディーにどういう体制、航空会社でやるのか。また本当に第一航空でいけるのか。その辺のけじめについて、速やかに整理しないとまずいのではないですか。飛行機についても年々、使わずにいると老朽化するわけですし、管理費もかかります。
 当面の間、暫定的にでも、飛行機の利活用の方法はないのか。より具体的に第一航空と膝詰め談判して、運航再開に持っていけるのか。場合によっては、ほかの航空会社という可能性もあるのか。その辺の見通しについては、待ったなしだと思うのですが、その辺はどうなっていますか。

○川満誠一企画部長 現在、機材の有効活用が社会経済上望ましいことは国土交通省とも内々に話しております。ただし、現実に、第一航空による再就航が無理であるという状況になっていますので、その数は限られてくると思いますが、就航の意思がある航空会社と調整して、県内の離島便を確保できるように協議を継続しています。
 それと先ほど、お尋ねされた件ですが、この機材購入費の補助金については、一括交付金ではなく、別の国土交通省の補助メニューと県の単費によるものです。

○座喜味一幸委員 いずれにしても、せっかく3つの離島に対して飛ぶと言っていた飛行機が、このような状態であるということは、財産が寝ているようなものです。加えて、その見通しが立たないというのは重要な問題です。
 沖縄の離島に飛んでいる既存の航空会社との交渉等の可能性はないのですか。

○川満誠一企画部長 それらについても、可能性としては全てを視野に入れて、全体として取り組んでいるところでございます。

○座喜味一幸委員 できれば、国土交通省を含めて、航空行政については、国もしっかりとしたポジションがあるわけですから、そこの知恵もかりながら、これは速やかにやらないと、形としては少しみっともないですよ。
 離島は、観光客もふえる、利便性がよくなると期待していたのに、何年もこのような状態が続いていては、まずいわけです。ぜひ、これは待ったなしだと思いますから、場合によっては、三役の決断で、知事や副知事が行って、ぜひこういう形でまとまってくれないかというくらいの熱意を持ってやらないと。これははたから見ていると、何なんだこの行政の遅さはという話になります。企画部長、この辺については、パワーアップしてやってもらえませんか。

○川満誠一企画部長 さらに努力して、一日も早く協議が整うように努力してまいります。

○座喜味一幸委員 ちなみに、いつごろまでに解決するという見通しは持っていますか。それがないと困ります。目標を設定してやらないといけません。

○川満誠一企画部長 何分、相手のあることでして、時期を明言できればいいのですが。そういう状況であるということについて、御理解を賜りたいと思います。

○座喜味一幸委員 次に、石垣市からの陳情第55号として出ている離島航空コスト軽減事業です。
 大分、県と石垣市がもめて、この陳情に上がってきましたが、これについては解決したという、本会議における答弁がありました。
 この適用条件を見直すことによって、事業を継続したと言うのですが、この適用条件について、もう少し丁寧に説明していただきたいのです。
 宮古島にスカイマークが入ってきたときに、この一括交付金による離島航空コスト低減事業については、一度保留になって、適用されませんでした。今回、新たに石垣にバニラエアが入ってきて、この問題が起きました。これからも、このようなLCCを含めて、いろいろな事情が出てきて、複雑になるのです。 その基準については、非常にシンプルであると思っているのです。適用条件のどこを見直したのか。これを見直したから事業の継続になったのか。この基準の部分について、丁寧に説明してください。

○長濱為一交通政策課長 見直し後の適用基準については2つございます。
 1つ目が、当該路線の離島住民向け割引運賃に価格差がないこと。これは従来、競争状態にないことと言っていましたが、そこについて基本的には変更ありません。
 2つ目が、離島住民向け割引運賃がJRの新幹線並みを上回っていること。そこも一緒ですが、離島住民向け割引運賃について、今回、新たに定義を設けました。これは離島住民を対象に、固定的な価格で設定している割引運賃のことで、当日購入及び追加料金なく変更が可能なものであるという定義を加えたのです。これによって、バニラエアが採用している変動型運賃は、これに該当せず、他社の便がこれに該当しますので、その適用を継続するということです。以前のスカイマークのときには、JTAやANAよりも安い運賃が固定的な運賃として設定されていましたので、そのときと整合性をとってということです。

○座喜味一幸委員 この部分について、先ほど言った価格差がないという条件を入れてしまうと、独占禁止法、公正取引委員会との絡みで、この辺は非常に微妙なものになるのです。これは政策的な価格設定ということで、逃げざるを得ないと思うのですが、逆に言うと、このことが競争を阻害していた部分もあると感じているわけです。
 今後の基準のあり方としては、JR並みの価格基準額を設定しておいて、その基準に対して上回っている部分の補塡という明確なシンプルな形です。先ほど言った価格変動とかは抜きにして、その設定をシンプルにしていかないと、今後の価格設定いかんでは、いろいろなパターンが出てくると思うのです。
 ちなみに宮古、石垣において、新幹線並みの基準運賃として、どれくらいの額を設定していますか。

○長濱為一交通政策課長 今回の石垣路線につきましては、通常の片道運賃である1万500円を対象運賃としています。

○座喜味一幸委員 そうであれば、宮古は8050円と決まっているのですね。この額が明確なのです。宮古は8050円で、これは冬期と夏期で違うのですが、石垣もそれですね。この基準額をベースにしてそれを下回ることについては、離島の住民としては嬉しいのです。これより上回った分に関して、コスト低減による補助をのっけていくというシンプルな形にすれば、県が言う、難しい保留とかという事態にはならないものと思っています。これは新幹線並みの基準価格を設定して、それよりも上なのか、あるいは下がっているのかということです。逆に、離島においては、今後は、もはや新幹線並みの価格より安いLCCが入ってくる。そういうLCCの参入を阻害する価格設定のあり方になると、まずいと思っているのです。これについては、今後、重要な課題であると思うのですが、どうですか。

○川満誠一企画部長 説明の仕方もあると思いますが、御指摘のように新幹線並みの運賃を実現するのが政策の目的でございます。その際に、自由で公正な競争を阻害しないようにという独占禁止法の趣旨を踏まえて、価格競争に入っているところの片方にのみ支援はできないので、そのような立て方になっているわけでございます。
 今回は、LCCのような価格変動型で、とにかくサービスをぎりぎりまで削って安価なものを提供していく航空会社が参入することについては、当初、想定していなかったものです。このたび形式的にこれを適用すると、価格変動のために、これまでやっていたフルサービスキャリアの部分も新幹線並みが実現できなくなることに立ち入ることになるのです。ですから、それでは政策目的が実現できないことを考えて、検討を重ねてやってきたところでございます。
 今後は今の条件で、価格変動型ではないフルサービスキャリアが競争をしている状況であれば、新幹線並み運賃を超えていれば適用するということで安定的にできるのではないかと考えております。

○座喜味一幸委員 検討を視野に入れて、弾力的な適用をお願いします。
 もう一点、離島と離島間の航空運賃が事業の対象になっていませんね。これについては、どういう経緯でそうなるのですか。

○嘉数登企画振興統括監 宮古-石垣間については、本事業の対象となっております。

○座喜味一幸委員 どの程度の割引率で、これはいつからできていますか。

○嘉数登企画振興統括監 これはほかの路線と一緒で、4割の低減になります。

○座喜味一幸委員 以前、飛行機に乗ったときに、全然、割引が効いていないなという思いがしたのですが、そうであれば、後で確認したいと思います。
 いずれにしても、第一航空の速やかな再開に向けての取り組み、離島運賃の弾力的な運用による離島の交通コストの低減について、ぜひとも弾力的にやってください。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。
 比嘉瑞己委員。

○比嘉瑞己委員 陳情第45号の5、粟国の航空路についてです。
 第一航空が撤退した後に、ヘリが飛んでいましたが、これも事故があって、現在の粟国の航空便の状況はどうなっているのか。それと波照間、多良間についても現状を教えてください。

○長濱為一交通政策課長 まず、粟国につきましては、航空機もヘリも現時点では飛んでいない状態です。波照間も同様の状態です。多良間は宮古-多良間間が運航している状態です。

○比嘉瑞己委員 離島にとって空の便は生活の手段になっていますので、一日も早い再開が求められていると思います。皆さんも新たに就航可能な航空会社の確保に向けて動いているということで応援したいのです。
 そもそも第一航空が参入してきた経緯を振り返りたいのですが、陳情にもあるように定期路線化してほしいという文言があります。調べてみると、第一航空は不定期運送事業者になっていました。この不定期運送事業と定期運送事業の違いについて、教えていただけますか。

○長濱為一交通政策課長 現在の航空法におきましては、国内定期航空運送事業は、各地間に路線を定めて一定の日時により運航する航空運送事業となっています。一方、そのほかの遊覧飛行、チャーター運航等が、一般的に不定期航空事業と言われています。

○比嘉瑞己委員 この定期運送をするには、それなりの体制や機材が必要であると理解します。
 この那覇-粟国空路は、第一航空が参入する以前は定期運送事業者である琉球エアーコミューター―RACがやっていたわけですね。それが、なぜこの不定期運送事業者である第一航空に任されるようになったのかを教えてください。

○長濱為一交通政策課長 当時は、RACがこの路線から撤退し、その後に、第一航空が飛んでいいという意向を示したものと。
 実は、この事業者ごとに定期航空運送事業者、あるいは不定期航空運送事業者ということが定められていて、第一航空については、不定期の航空運送事業者であったということです。

○比嘉瑞己委員 その当時は、第一航空が積極的に手を挙げたからお願いしたという形だと思います。この間、第一航空も努力されて、貢献してきていただいたと思うのですが、こういった現状になっています。
 今、新たな航空会社の選定に向けて動いているということなので、もちろん早期の再開は大切なことなのですが、安定的に飛ぶということが島の人たちの願いだと思います。次に選ぶとすれば、安定している航空事業者が当然優先されていくべきであると思いますが、その辺の考え方はどうですか。

○長濱為一交通政策課長 定期航空運送事業者が安定的であり、信頼や安全生の面でも高いという認識はしており、そこは確かに望ましいところであると考えております。しかし、安全対策等がしっかりとしていて、定期航空運送事業者に劣らない事業者の中で、意志や能力がある会社であれば、それについては幅広く考えていきたいと思います。

○比嘉瑞己委員 逆に、定期航空運送事業者の立場になると、実際に離島航空路に手を挙げたくても、新規参入という新たな形の挑戦になると思うので、投資するにしても大きな額になると思います。
 先ほどから議論している第一航空に対して、税金を投入し、購入した航空機は、国が75%、県が25%という、全てを税金で購入した公有財産であると思います。皆さんはその譲渡やリースという形もあると言っていたのですが、これは法的には可能なのですか。国との協議の中身はどうなっていますか。

○長濱為一交通政策課長 補助金で民間事業者が購入した財産について、補助した者の許可なく、これを売却したりすることは許されておりません。しかし、補助した国、県が了承すれば、それは可能であると考えております。

○比嘉瑞己委員 そうであれば一日も早い再開のためには、現実的な対処として、就航できる会社に譲渡して再開してもらうという形がいいと思います。そうすれば定期運航会社も手が挙げやすいと思うのです。先ほど限られてくるという話もありましたが、これまでの経過を見ると、以前はRACがやっていたわけです。RACについては、県も株主としてかかわっているわけです。この離島空路をしっかりと確保するために、RACに対して、県からも株主としてしっかりと手を挙げさせていくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

○長濱為一交通政策課長 我々も同感です。以前に飛んでいたRACやその親会社であるJTAを含めて、沖縄に就航している航空会社のいろいろなノウハウや人脈等、さまざまな専門的な知見をおかりして解決に向けて進めていきたいと考えています。

○比嘉瑞己委員 いずれにせよ定期航空会社に任せていってほしいということです。その中でも、RACには責任があるということを指摘しておきたいと思います。
 これまで当面の中期的な課題ということで質疑したのですが、今回の件を教訓にしないといけないと思います。もっと長期的な視野で、県としても今後の対応を検討していく必要があると思いました。沖縄21世紀ビジョンの中でも、離島振興は大きな柱です。粟国など小さな離島にある800メートル級の滑走路を飛ぶ飛行機は限られているそうです。そういった意味で、なかなか経営的にも厳しい。そうであれば、やはり公共交通としてしっかりと県が位置づけて、長期的なビジョンを持つべきであると思います。
 以前に、県が新しい航空会社を設立するという話もあったと聞いています。その議論について並行して検討していく必要があるのではないか。また、こういったビジョンに対しては一括交付金の活用についても、十分可能性があると思いますが、その点はいかがですか。

○長濱為一交通政策課長 離島航空路線の維持確保については、島嶼県である沖縄にとって非常に重要な課題であると認識しております。
 県が主体になって、航空会社というのはなかなか専門的な、特に航空という事業に関して言うと、高度な専門性が必要になりますので、そういった可能性を念頭には置きつつも、やはり安定して、安全で、島民の信頼も得られるしっかりとした航空会社に就航していただけるように、我々としても取り組みを進めてまいりたいと考えています。

○比嘉瑞己委員 課題はたくさんあると思うのですが、やはり長期的な視野に立った調査研究は、これからずっと積み重ねていく必要があると思います。企画部長の見解を求めます。

○川満誠一企画部長 離島振興は非常に重要な課題であり、特に人の移動につきましてはライフラインに直結しますし、全体的に見て中長期のコンセプトをきちんと持ってやっていきたいと思います。
 現在の粟国、その他離島の路線の課題については、当然、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えております。
 まずは離島航空路確保維持協議会がございますから、いろいろな政策課題を確認しながら丁寧に着実に前に進めてまいりたいと考えるところです。

○玉城満委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○玉城満委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、企画部、知事公室及び土木建築部関係の陳情に対する質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 休憩いたします。

   (休憩中に、執行部退席)

○玉城満委員長 再開いたします。
 陳情の質疑については全て終結し、採決を残すのみとなっております。
 これより陳情の採決を行います。
 陳情の採決に入ります前に、その取り扱いについて御協議願います。
 休憩いたします。

  (休憩中に、陳情の取り扱いについて議案等採決区分表により協議)

○玉城満委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 陳情については、休憩中に御協議いたしました議案等採決区分表のとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○玉城満委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、閉会中継続審査・調査事件の申し出の件についてお諮りいたします。
 先ほど、閉会中継続審査・調査すべきものとして決定した陳情13件と、お手元に配付してあります本委員会付議事件を閉会中継続審査及び調査事件として、議長に申し出たいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○玉城満委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。
 ただいま採択しました陳情に対する委員会審査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○玉城満委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 以上で、本委員会に付託された陳情の処理は全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

  委 員 長  玉 城   満