陳情文書表

受理番号第236号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和3年11月24日 付託年月日令和3年12月8日
件名 令和3年度サトウキビ価格・政策確立に関する陳情
提出者沖縄県さとうきび対策本部
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要旨


 島嶼県である沖縄県では、サトウキビが基幹作物として生産農家や地域社会・経済を支える重要な役割を担っている。本県のサトウキビ農業は小規模・零細で、かつ台風・干ばつの常襲地帯という不利性を抱えているが、さとうきび増産基金事業による増産対策や生産回復対策等により、安定的な生産量を維持している。加えて、各地区における生産回復に向けた取組は、サトウキビ農業の継続性のみならず、生産意欲の向上にも寄与している。今般、国が策定したみどりの食料システム戦略においては、環境に配慮した農業振興が求められており、地域内循環システムの構築を図るためにも、サトウキビ農業は重要な役割を有している。
 ついては、令和3年度のサトウキビ価格・政策の確立に向けて、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 「糖価調整制度」の堅持と安定運用について
  現行の糖価調整制度について、その枠組みを堅持するとともに、安定的かつ持続的な運用が保たれるよう、必要な財源を確保すること。
2 さとうきび増産基金の継続と生産振興対策の万全な予算確保について
  さとうきび増産基金(セーフティネット事業)について、事業の継続と併せて、発動要件について現場の実態に応じた柔軟な対応を図るとともに、万全な予算措置を講ずること。また、さとうきび増産プロジェクトの着実な実行に向けて、甘味資源作物生産性向上事業については、地域の実情に応じた取組が可能となるよう、取組要件の見直し及びサトウキビの特性にあった事業期間の設定とともに、万全な予算を確保すること。
3 新たな含蜜糖制度の創設について
  小規模離島のサトウキビ生産を支える含蜜糖企業は、加工黒糖及び輸入黒糖との競合や不安定な需給バランスの下、極めて厳しい販売環境にある。また新型コロナウイルスの影響により過剰な在庫も抱えていることから、競合する輸入黒糖等との価格競争に対する支援として、含蜜糖生産条件不利補正対策事業(一括交付金)の予算枠の確保とともに、不安定な需給バランスを整えるための需給調整の制度化等、新たな支援策を講ずること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

 さとうきびは、本県農業の基幹作物であり、台風や干ばつ等の自然条件下にあって他作物への代替が困難な地域で生産されていることや、製糖を通して雇用機会を確保するなど、農家経済はもとより地域経済を支える重要な作物であります。
 このため、県としましては、JAおきなわ等と連携し、さとうきび生産者が意欲を持って生産に取り組み、甘しゃ糖企業の経営安定が図られるよう、令和3年11月26日に国等に要請を行っております。
 主な要請内容については、
①「糖価調整制度」の堅持と安定運用については、現行の糖価調整制度の下で安定的に維持・発展できるよう、同制度の堅持と予算を確保すること。
②甘味資源作物交付金については、生産農家が安心して生産に取り組めるよう地域の生産条件や経済事情を考慮し、再生産が可能となる交付金水準を確保すること。
③台風、干ばつ、病害虫等による生産への影響が恒常化する中、早期回復への取組を促進するため、さとうきび増産基金事業(セーフティネット基金)の予算を確保すること。
④製糖企業の経営安定対策については、地域経済において重要な地位を占めることから、働き方改革を踏まえた持続的な製糖工場の操業体制を確立し、糖業が維持・発展できるよう、製糖業の人材確保や省力化、季節労働者の宿泊施設の整備などについて、各対策事業において地域の要望に応じた計画的な予算を確保すること。
 また、製糖工場の老朽化への対策については、製糖企業に対する万全の対策を講ずること。
 さらに、含蜜糖地域におけるさとうきび生産者の所得確保及び含蜜糖企業の経営安定を図るための所要の予算を確保すること。また、沖縄黒糖の安定供給及び消費拡大を推進する仕組みとなるよう新たな対策を講ずること。
などであります。
 なお、国においては、令和3年12月3日に令和4年産のさとうきび生産者交付金単価を、トン当たり1万6,860円と前年同様の単価水準に決定しました。また、「さとうきび増産基金」についても、予算を引き続き確保することとなりました。
 県としましては、今後とも、国及び関係機関と連携し、さとうきび・糖業の振興に取り組んでまいります。