陳情文書表

受理番号第99号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和4年6月14日 付託年月日令和4年6月29日
件名 持続可能な農業生産基盤の確立に関する陳情
提出者沖縄県農業協同組合中央会
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要旨


 農業生産の現場では、円安や燃油価格高騰に加え生産資材価格の高騰によって経営状況はかつてなく厳しい。一方、ウクライナ情勢など激動する世界情勢の中で、生産資材の原料となる資源の安定的な調達に支障が生じ、穀物類の輸出入が停滞する等食料安全保障の面においても重大な懸念が生じている。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 生産資材価格の高騰に対する支援策について、飼料・肥料価格上昇分に対する緊急支援措置を講ずること。また、国の経営安定対策のみでは十分な効果が得られないことから、地域農業の実態に応じた経営支援策を講ずること。
2 新たな沖縄振興計画に基づく「農林水産物流通条件不利性解消事業」について、現状の農畜産物の輸送実態が十分に考慮されていないことから、本県の地理的不利性を踏まえ、品目による輸送手段の相違及び輸送コスト上昇を加味した補助単価を設定し当該事業の仕組みを改めて見直すとともに、同事業の機能が十分発揮できるよう、万全の予算措置を講ずること。
3 生産コスト上昇分の十分な反映が実質困難な状況にあることから、県産農畜産物価格の再生産可能な価格形成に向けた消費・小売・流通段階の関係者の理解促進を図る取組に対する支援策を講ずること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
(営農支援課)
1 肥料価格の急激な高騰は、食料の安定供給や農家経営の安定化などの観点から、大きな課題であると認識しております。
  価格高騰の影響を緩和するため、今般、化学肥料の削減に取り組む農業者を対象に、国が肥料コスト上昇分の7割を支援することとなったことから、県も、令和4年度8月補正予算に「肥料価格高騰緊急対策事業」を計上し、15%分を上乗せして支援することとしました。
  また、今後も肥料価格高騰の影響が続く可能性が高いことから、国に対して、燃料価格のようなセーフティーネットを構築し、農業者が安心して経営を継続できる制度を整備するよう、令和4年7月に農業団体等と共に要請したところであります。
  県としましては、今後とも、農業者の肥料コスト低減に努めてまいります。

(畜産課)
1 飼料費の高騰対策として、令和4年6月補正予算において、飼料価格高騰緊急対策事業・配合飼料を実施し、国・生産者・飼料メーカーが積み立てを行う配合飼料価格安定制度における生産者積み立て分の一部について補助を行っております。
  粗飼料価格高騰緊急対策事業では、輸入粗飼料の乾牧草及び稲わらの購入価格の一部について補助を行っております。
  併せて、県では畜産農家の経営安定を図るため、国が実施する各種経営安定対策事業の生産者負担金の一部について補助を行っております。
  その後、配合飼料価格が更に高騰したことから、11月補正予算において予算措置したところであります。
  県としましては、引き続き、関係者及び生産者団体等と意見交換しながら、これらの事業により畜産農家の経営安定に繋げてまいります。

2 新たな農林水産物条件不利性解消事業については、生産者団体、学識経験者及び物流事業者との議論を重ね、新たな沖縄振興のための制度提言としてとりまとめ、国との協議等を経て、持続可能な物流ネットワークの構築を目指す現在の枠組みを立ち上げております。
  具体的には、輸送費補助の対象を米・サトウキビを除いた全ての農林水産物に拡充するとともに、一次加工品と沖縄本島向け出荷補助を加えた北部・離島市町村事業、鮮度保持技術を活用した品質の安定化とロット拡大による物流コストの低減化に向けた実証事業に対する補助等を新たに実施してまいります。
  補助単価の設定の考え方については、従来、航空輸送と船舶輸送の二つの単価を設定しておりましたが、顧客のニーズ、品質保持と物流コストのバランスを踏まえ、出荷者自身が輸送方法を選択できるよう一つの単価としております。
  引き続き、生産者など関係者の理解と協力が得られるよう丁寧に対応し、円滑な事業の実施により、持続可能な物流ネットワークを構築し、農林水産業の稼ぐ力の向上を推進してまいります。

3 生産資材価格等が高騰する中、持続可能な生産供給体制の確保に向けた経営体質の強化は重要であると認識しております。
  県としましては、引き続き、農業機械導入や災害に強い施設整備などの各種生産振興対策、担い手の経営力強化など、農業経営の安定化に努めてまいります。
  また、再生産可能な価格形成に向けては、県産農産物に対する消費者の理解と関心の増進が不可欠であることから、生産者や流通事業者によるPR活動等への支援や、ホームページや広報等による普及啓発などに取り組んでまいります。