要旨
公営住宅は、低廉な家賃を設定し住宅に困窮する低額所得者であっても入居できるようにすることで、住宅セーフティネットとしての役割を果たすことが期待されている。ところが、2017年3月、沖縄県の公営住宅「入居募集のしおり」などに、県条例に根拠のない年収200万円以上の収入要件を保証人に課す等の記載があることが判明し、沖縄県は全国一厳しい保証人の収入要件で、同様の条件が県内10市町村でも記載されていた。保証人の確保が困難な入居希望者への対応に関し、国土交通省は2018年3月30日、全国の都道府県等に「公営住宅管理標準条例(案)についての改正について」を発した。この改正では保証人に関する規定が削除されている。また、同省が同日発出した「公営住宅への入居に際しての取扱いについて」においては、緊急時の連絡先が確保できない場合にも入居の支障とならないよう、地域の実情等を総合的に勘案して適切に対応するようにとしている。貧困の問題が深刻な沖縄において、現在全県を挙げてその対策が進められているが、貧困対策における一丁目一番地は住まいの確保である。 現在、貧困問題において自助のみを強調する自己責任論が根本的な解決を妨げているとの指摘があるが、公営住宅の目的に照らしても、責任を入居者本人の自己責任にとどまらず入居者以外の保証人にまで求めるべきではなく、これを手当てするのは公助の役割とすべきである。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 公営住宅条例を改正し、公営住宅の入居に際して保証人を不要とすること。
2 緊急連絡先については、確保できない場合に入居後の生活支援に関わる団体を緊急連絡先に代替させること。 |