陳情文書表

受理番号第11号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和4年1月12日 付託年月日令和4年2月15日
件名 沖縄の主体的な首里城再興に資するための首里城復興基金事業の在り方に関する陳情
提出者首里城再興研究会
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要旨


 首里城の再興は県内外から大きな関心と注目が寄せられ、特に首里城復元における正殿大龍柱の向きに関する事項は大変重要であり、大龍柱を含む首里城の復元には多額の寄附金(首里城復興基金)が充てられている。首里城の本来的な所有者であるウチナーンチュの意見が圧倒的に「大龍柱は正面向き」であり続けてきたことは、正面向きの決定的写真資料に裏づけられた沖縄の民意である。そのような中、首里城復元に向けた技術検討委員会(第2回)は、「令和復元においても、大龍柱の向きは平成復元を踏襲する」との暫定的な結論(案)を示し、多くのウチナーンチュ及び県民を愚弄し、多くの寄附者に不信感と失望感を抱かせている。技術検討委員会は、「御普請絵図帳」(1846年)からフランス海軍古写真(1877年)までの約30年間において大龍柱の向き等に変更があったとの内容があくまで仮説にすぎないにもかかわらず、変更があったことは明らかであると学術的な根拠を示さず拙速に断定したり、膨大な資料を調べたものの大龍柱の向きに変更を加えたことを示す明確な記述は見出せなかったと証拠のないことを自認しているにもかかわらず、論理矛盾を含みかつ最新の研究成果を無視した上記の暫定的な結論(案)を導き出したりしている。これはまさしく木に竹を接ぐやり方で、御都合主義的と言わざるを得ない。1964年に国際的に採択された歴史的建造物の保存・修復に関する「記念建造物および遺跡の保全と修復のための国際憲章」第9条は、修復について「目的は、記念建造物の美的価値と歴史的価値を保存し、明示することにあり、オリジナルな材料と確実な資料を尊重することに基づく。推測による修復を行ってはならない。」と規定しており、技術検討委員会の暫定的な結論(案)は、同憲章に反する。このままでは、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産認定が取り消される危険性もある。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 首里城再興においては、県が沖縄総合事務局と締結した3点の屈辱的な覚書(「首里城正殿復元工事に用いる制作物の譲渡に関する覚書」、「首里城正殿復元工事に用いる赤瓦の譲渡に関する覚書」及び「首里城正殿復元工事に用いる木材の譲渡に関する覚書」)を破棄し、沖縄の主体的な首里城再興の体制を整えること。
2 県が主体的に、首里城復元に向けた技術検討委員会(第2回)で示された「令和復元においても、大龍柱の向きは平成復元を踏襲する」という暫定的な結論(案)を撤回させること。
3 上記1及び2が解決するまで首里城復興基金事業に関する予算(特に首里城正殿大龍柱の復元にかかる予算)の計上並びに執行を全面的に停止すること。