陳情文書表

受理番号第173号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和5年11月28日 付託年月日令和5年12月11日
件名 県の赤土等流出防止対策に係る基本計画の見直しと諸事業の検証に関する陳情
提出者NPO法人 おきなわ環境クラブ
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要旨


 平成6年の沖縄県赤土等流出防止条例制定以降、約30年間赤土等汚濁モニタリングでは海域の赤土等堆積指標(SPSS)が用いられ、沖縄県赤土等流出防止基本計画でも同様に記載されている。そもそも流域(陸域)から海域へ流れ出る赤土等の量を、海底にたまったSPSS値から推定することは不可能で、赤土等による川や海の濁りは、濁度か透視度などの水質測定による流域単位の保全管理が基本である。しかし、第2次基本計画をはじめ関連の諸事業においてSPSSが用いられており、このことにより川や海の流域における汚濁(流出)源に対して、具体的な防止策を指示・指導できていない。また、基本計画のSPSS値と赤土等の推定年間流出量の推算値からは畑のグリーンベルトとマルチングだけが提案されており、流域ごとに具体的な汚濁(流出)防止策が指示・指導できない内容になっている。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 第2次沖縄県赤土等流出防止基本計画の見直しについて
(1)降雨時における川の河口地点水質について、簡便な透視度、濁度または浮遊物質量(SS)のいずれかの測定結果から各河川流域から海へ流れ出る汚濁(流出)量の推定が可能であることから、SPSSに代わる的確なモニタリング手法を確立すること。
(2)SPSSに代わり降雨時の透視度、濁度または浮遊物質量(SS)などを用いた測定方法を基軸とし、基本計画と諸事業を見直すこと。
(3)川や海の赤土等汚濁対策は地域が主体となった取組が最も重要であるため、流域や河口に位置する市町村と連携すること。
2 赤土等流出防止対策関連事業の検証について
(1)赤土等流出防止海域モニタリング調査事業はSPSS測定を基軸とした調査業務であり、川や海の流域単位で具体的な汚濁(流出)源対策が提示・指導できていないことから、新しいモニタリング手法を導入すること。
(2)平成24年から実施されている赤土等流出防止対策促進(支援)事業は、小学校への出前授業などに終始し、当事者である農家や工事業者、地域への啓発教育が欠けている。赤土等汚濁対策は、流域の市町村が主体となった持続可能なモニタリング体制の確立が重要であり、そのための財源と地域の啓発教育がセットになった体制づくりを展開すべきであることから、当事業の成果と費用対効果について検証すること。
(3)令和元年度に始まった赤土等流出防止対策実践ツアー事業は、これまで旅行業登録業者とNPOのJVで実施されてきたが、令和5年度は無登録のNPOのみで実施している。旅行業登録のない者がこのツアー業務を遂行することは違法行為に該当すると考えられるため、当事業における契約について検証すること。