陳情文書表

受理番号第62号 付託委員会文教厚生委員会
受理年月日令和3年3月10日 付託年月日令和3年3月17日
件名 県教育委員会宛て要望書(2020年10月5日付)への回答に関する陳情
提出者沖縄県自立生活センター・イルカ
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要旨


 2020年6月、県内小学校のクラス担任が、普通学級で授業中の特別支援学級在籍児童が騒いだ際に「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と普通学級の児童に挙手を求め、手を挙げない児童に対して「あなたも支援学級に行きなさい」と発言し、これにより児童1人が4日間学校を休んだという事件が、同年9月にマスコミ報道された。
 この事件について、認定NPO法人DPI日本会議は、同年10月5日、県教育委員会宛てに抗議並びに要望書を提出し、11月5日に回答が届いた。しかし、障害者権利条約が目指すインクルーシブ教育の理解とその推進、差別や虐待に対する認識、再発防止のための障害当事者・団体を含めた定期的な話合い等に対する回答は、実質的にゼロ回答と言わざるを得ない。そのため、今後も同様な事件が教育現場において繰り返されることは火を見るより明らかである。
 今必要なことは、現場や障害当事者の声にきちんと耳を傾け、インクルーシブ教育の概念を国際人権レベルで理解し、具体的施策につなげることであり、ちゅうちょなく分離された環境に児童生徒を追いやる教育体制を変えていく必要がある。
 一方、県内の複数の市町村においては、医療的ケアが必要等重度の障害のある児童生徒を、限られた人材・資源の中で地域の学校で受け入れ、インクルーシブ教育を実践しているが、このような実践ができるのは、それを支える現場や保護者の努力が大きく、管理者や教諭個々人の意識に任されているのが実情である。実質的に障害のある人とない人とが平等に学びに向き合える環境を整備したインクルージョンを実現した教育では、障害のある子のみならず周りの子供たちにも、充実した学びが得られることが分かっており、今後、国においては全ての公立校でバリアフリー化が義務化される。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 県は、沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例第18条に基づく研修を、障害者権利に知見のある障害者団体との協力の下、企画・実施し、教育に携わる管理者の参加を義務化すること。
2 県教育委員会が行う教員に対する研修において、障害者権利の研修を実施すること。
3 各市町村教育委員会においても上記研修を実施し、各学校における研修の実施を働きかけること。
4 学校におけるバリアフリー化について、各障害者団体の助言を得ながら推進すること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者教育委員会
報告内容

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  県教育委員会では、障害のある児童も障害のない児童も共に学ぶ仕組みの構築に向けて、管理職をはじめ特別支援学級担当者を含む全ての職員を対象に障害理解等についての研修会や市町村教育委員会の担当者からなる連絡協議会等を実施しているところです。
  これまでの取組を踏まえ、当事者及び障害者団体の知見を活かした研修会を実施するとともに、学校施設を利用する障害者等の意見を活かした学校施設のバリアフリー化の推進に努めるなど、インクルーシブ教育システムの構築に向けて取り組んでまいります。