陳情文書表

受理番号第252号 付託委員会文教厚生委員会
受理年月日令和3年11月30日 付託年月日令和3年12月8日
件名 妊娠、出産、子育て期の切れ目ない子育て支援と幼児期からの包括的性教育の実施に関する陳情
提出者子育て支援「やーにんじゅの会」
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要旨


 2019年に公布された改正母子保健法による産後ケア事業の実施に当たっては、子育て世代包括支援センターと関係機関の連携により母子保健や児童福祉に関する事業とさらなる機能強化が求められている。しかし、沖縄県においては、子育て世代包括支援センターの設置は23市町村にとどまり、妊産婦・乳幼児への産後ケア事業に地域格差が生じており、切れ目ない支援体制の構築が課題となっている。現在、コロナ禍の医療現場においては孤独な出産が続いており、核家族化された社会では、新生児や乳児の世話に不安・負担を強いられる世帯が多く、各自治体の子育て世代包括支援センターでは人員と場所に課題を抱えている。育児のスタートから親たちが適切なケアを受けながら安心して子育てができる居場所や、情報共有を通してスキルを身につける支援が必要である。沖縄県では若年出産が多く、幼児期から子供自身が自らの人権について理解し、自分の安全を守るための包括的性教育を受けることが重要である。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 妊産婦・乳幼児への産後ケア事業を実施し、切れ目ない支援体制を構築すること。
2 妊娠期からの孤立を防ぐ子育てサポートができる居場所をつくること。
3 沖縄県全域において格差のない幼児期からの包括的性教育を実施すること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事、教育委員会
報告内容

1について
 県では、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援体制の構築に向け「母子健康包括支援センター」を全市町村で設置できるよう推進しており、令和3年12月現在24市町村で設置済みとなっております。
 さらなる設置推進のため、国の専門家を招聘し、未設置市町村を対象に意見交換会を行う等、設置に向けた支援を行っているところです。
 また、産後ケア事業につきましては、令和3年12月現在、30市町村で実施しており、県としましては、全市町村で実施できるよう働きかけを行っているところです。

2について
【子ども生活福祉部】
 県では、市町村が子育て世代の多様なニーズに対応するため、地域の実情に応じて実施する子育て世代包括支援センターを含む利用者支援事業や、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、ファミリー・サポート・センター事業などの取組を支援しております。
 県としましては、引き続き市町村と連携し、子育て中の親子が孤立することなく、必要な支援につなげられるよう、多様な居場所や相談窓口の充実など、誰もが安心して子育てができる環境づくりに取り組んでまいります。
【保健医療部】
 県では、母子健康包括支援センターにおいて、不安を抱える妊産婦の相談に対応するとともに、必要に応じて母子保健サービスや地域の子育て支援機関に適切な時期に繋げられるよう、引き続きセンターの機能強化に取り組んでまいります。

3について
【知事】
 令和2年6月に国が決定した「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」では、子どもたちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう生命の尊さを学び生命を大切にする教育、自分や相手、一人一人を尊重する教育を推進することとされており、特に幼児期では、被害に気づき予防できるよう、自分の身を守ることの重要性や嫌なことをされたら訴えることの必要性を子どもに教えることとされています。
 今般、内閣府と文部科学省において、有識者の意見も踏まえ、幼児期をはじめとした子どもの発達段階に応じた教育に活用できる「生命(いのち)の安全教育」の教材及び指導の手引きが作成されたことから、県では、市町村を通じて、保育所等へ周知を図っているところです。
【教育委員会教育長】
 幼稚園では「性に関連する指導」については、幼稚園教育要領に基づき、園生活において、適宜、絵本や説明を通して、健康や道徳性、規範意識等の人権やルール・マナーの理解を深めるよう取り組んでおります。
 小学校から高等学校までの 「性に関する指導」については、学習指導要領に基づき、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切に行動を取れるようにすることを目的に実施されております。性の多様性や人権については、道徳や学級活動、外部講師を活用した講演等でも学習しております。
 また、「生命(いのち)の安全教育教材」を活用した「生命(いのち)の安全教育」にも取り組んでおり、学校教育活動全体を通して、体系的・総合的に性に関する教育を実施しております。