要旨
令和5年1月24日に国内最大のサンゴ礁海域で国立公園の石西礁湖で発生した「シンハイズ-2」の座礁から2か月半が経過しているが、いまだ対策が講じられず座礁船の左舷側船体の破孔から積荷ウッドチップが船外へ流出している。
船舶が座礁した場所は、我が国最大のサンゴ礁海域・石西礁湖内で最も健全なサンゴ礁生態系が形成されているが、座礁船や積荷の海底への堆積によりサンゴ礁生育に必要な光合成が阻害され、白化現象等周辺海域の環境悪化が懸念される。
また、座礁した海域は重要な漁場として周年を通じて潜水器漁業等が行われており、南側の竹富島と小浜島間の海域では、モズク養殖が盛んで毎年3月から5月にかけ収穫期を迎えることから、今後の漁業活動への甚大な被害と漁業生態系への悪影響が生じることを危惧している。
さらに、同海域は八重山圏域においてダイビングをはじめマリンレジャー業の名所スポットが点在するポイントであり、座礁船がリゾート情緒あふれる海洋景観を著しく損ねている。観光旅行者に与える沖縄観光の印象に負の影響を及ぼしかねない。また、今後、台風時期を迎えることから、座礁船が早期撤去されない場合には積荷ウッドチップの流出被害の拡大、燃料流出等により八重山圏域の環境・漁業・観光へさらなる被害拡大が懸念される。
ついては、今後の座礁船撤去における作業内容の開示及び説明を座礁船関係者へ求める等、座礁船の早期撤去に向けて対処するよう配慮してもらいたい。 |