要旨
新型コロナウイルス感染症の蔓延による被害が世界中で拡大し、これまでに医療崩壊した国や地域では、現場の医療スタッフの判断で患者の選別が行われ、高齢者や重度障害者には人工呼吸器を装着しなかったり、装着している人工呼吸器を外してより若く治療効果のある人に着け直すということが起きている。本県でも専門家会議が患者の治療の優先順位を判断する「トリアージ」の指針を議論する方針を確認したとの報道に、障害者の命の選別につながるのではないかと大変な危機感を抱いている。感染症対策は、感染者への対応に数日の猶予がある点から突発的な自然災害などとは根本的に条件が異なる。これまでの経験を総動員し、あらゆる方策を検討し、優生思想につながる障害を理由とした命の選別がなされることがないようにしてほしい。
ついては、下記事項に掲げる対応を行い、そのための施策を国に求めるよう配慮してもらいたい。
記
1 障害を理由とした命の選別が行われないようにすること。
2 精神科病院や入所施設(障害児・者、高齢者)でのクラスターに対し、原因の究明及び公表を行い、速やかに適切な対応を取ること。
3 クラスターの激化や新規発生を防ぐため、全精神科病院・入所施設の職員及び出入りする全員に抗原検査(簡易検査、PCR検査)が徹底されるよう検査検査キットを配給すること。
4 アクセシビリティー(手話、字幕、点字印刷、音声対応、知的障害者などにも分かりやすい形の情報提供)の確保を徹底すること。
5 障害者サービス継続のための柔軟な対応と支援を推進すること(在宅勤務切替えのための就労中の重度訪問介護サービス利用及び支給量の一時的増加の速やかな容認、重度訪問介護従事者研修・医療ケア3号研修などの受講要件の緩和等)。
6 感染者全員の人工呼吸器の装着を想定し、人工呼吸器を確保すること。
7 重症者のための集中治療室を増設すること。
8 人工呼吸器を取り扱える医療従事者を増員すること。
9 消毒用アルコール、マスク、防護服など、感染者の在宅療養に必要な物資を定期的に配給すること。
10 感染者の医療、看護、介護に当たる者とその家族の安全安心のための保障を行うこと(保育園の継続、感染したときの保障等)。
11 感染者の医療、看護、介護に当たる者を報酬の上で評価すること。
12 PTSDに近い症状が報告されていることから、感染者の医療、看護、介護に当たる者の心のケアを行うこと。 |