陳情文書表

受理番号第226号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和3年11月8日 付託年月日令和3年11月25日
件名 海底火山噴火による漂流・漂着軽石に関する陳情
提出者今帰仁村議会議長
座間味 薫
要旨


 今年8月に小笠原諸島・硫黄島近海の海底火山の噴火で噴出した軽石が、海流によって沖縄本島各地及び今帰仁村の海岸・漁港等へ大量に漂流・漂着し、漁業や観光業に多大な影響を及ぼしている。当村の海岸線は東西に長く北面していることから、今後も北風の影響をもろに受け、海上に滞留している軽石がさらに漂着し、被害が拡大していくものと考えられる。
 漁港内に漂流・漂着した軽石を人力で撤去するのはとても困難であり、軽石の混入した海水を漁船が吸い上げて機器類が故障した事例もあり、漁業関係者は出漁すらできず、漂着が確認された10月25日から収入のない日々が続いている。燃料や資材類等の高騰の影響も受け、このままでは廃業せざるを得ない業者が増加することが考えられる。また、漂着軽石の影響により景観が悪化し、ホテル宿泊客やマリンレジャー体験等のキャンセルが相次ぐなど各方面に被害が及んでいる。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 損害を被った漁業や観光業の個人や事業者への補償制度を創設し、漂流・漂着軽石問題が収まるまで休業・休漁補償を早急に行うこと。
2 漁業組合に対し、漁獲減による減収補塡及び運営費補助を行うこと。
3 漁港、海岸及び河川に漂流・漂着した軽石の撤去、清掃及び新たな軽石の侵入防止策を早急に講ずること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

1 (漁業) 今回の軽石の漂流・漂着により、多くの漁業者が操業の自粛を余儀なくされるなど、大きな影響が出ております。
 そのため県では、県内漁業者の経営と生活を守るため、軽石の漂流・漂着に伴う漁業活動の自粛や漁船の損傷、養殖魚介類の斃死等による漁業経営への影響に対する支援策を講じるよう、知事が直接国に対して要請したところです。
 特に漁船保険や漁業共済等の各種補償制度が、軽石の被害についても確実に適用されるよう、強く要請しております。
 なお、県では、漁業者の収入確保を図りつつ、早期の漁業再開につなげる取組として、モデル的に、漁業者が行う軽石の除去作業の支援を開始したところであります。
 また、県及び水産関係団体で構成する対策協議会を設置したところであり、同協議会において情報の共有を図るとともに対応策の検討を行うこととしております。
(観光業) 県では、沖縄観光コンベンションビューローと連携し、マリンレジャー事業者を対象に軽石による影響や被害状況を調査しております。
 一部の事業者からは、マリンレジャーサービスの提供について、場所の変更や中止、船舶のメンテナンスや軽石対策費用の負担が発生しているとの報告がありました。
 軽石の海岸への漂着や海洋での漂流状況は流動的であることから、事業者への影響や被害状況について継続的に情報収集し、関係部局と連携して効果的な支援のあり方について検討するとともに、支援の方向性が定まった段階で財源の確保等を国へ求めていきたいと考えております。
2 今回の軽石の漂流・漂着により、多くの漁業者が出漁できず水揚が減ることで、漁業協同組合の経営にも影響が懸念されております。
 そのため県では、漁家経営と漁協経営を支援するための休漁補償や減収補填等の支援策を講じるよう、国に対して要請したところです。
 また、令和3年11月補正予算で計上した「軽石による漁業被害調査事業」において、各漁協が行う軽石による被害調査に係る事務費を措置したところであります。
3 ⑴ 海岸においては、軽石漂着が顕著で、潮流などの影響で再漂流することにより漁港や港湾への影響が懸念される箇所から、海岸漂着物等地域対策推進事業で除去作業を行っているところであります。
 引き続き、観光、海浜利用に支障を来している場所など、漂着状況を踏まえ、市町村及び関係団体と連携し、回収・処理を進めていきます。
⑵ 県内には、県管理漁港が27港、市町村管理が60港、合計87港の漁港があります。漁港の整備や災害復旧事業などの対応は、漁港管理者が行うこととなっております。
 漁港内に軽石が漂流・漂着した場合は、漁港管理者が水産庁と応急工事協議を行い承認を得たあと、漁港災害復旧事業での撤去工事が可能となります。また、軽石が再度漂着した場合でも、その都度応急工事協議を行うことで、撤去工事が可能となります。
 軽石の侵入防止対策としては、漁港管理者が港口にオイルフェンス等を設置することで侵入を防ぐことができますが、漁船の出入港に影響することから、地元漁業者と十分な調整を図り対応することとなります。
 県としましては、市町村が管理する漁港において、適切な対応ができるように指導してまいります。
 河川において、軽石は潮の満ち引き及び風等の影響が大きいことから、現在、軽石の漂着・消失に注視しているところです。
 今後、河川内への大量の軽石漂着により河口閉塞等があった場合、対策等を講じてまいります。