陳情文書表

受理番号第229号の2 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和3年11月12日 付託年月日令和3年11月25日
件名 小笠原諸島の海底火山噴火による軽石被害対策に関する陳情
提出者うるま市長
中村 正人
要旨


 今年8月、小笠原諸島の海底火山で生じた噴火により噴出した軽石が、10月11日頃から沖縄・奄美地域に大量に漂着している。うるま市においては同月14日から市内の漁港、港湾、漁場、海岸及び岸壁等に軽石が漂着し、漁業従事者等に多大な影響が出ている。当市は漁業従事者等とともに撤去作業を行っているが、軽石は海流、潮流、風の影響により日々漂着し、一向に収束のめどが立たない。また、離島である津堅島と本島を結ぶフェリーや高速艇が万が一、軽石により航行不能となった場合、島民の生活物資の確保や救急搬送が難しくなる。一刻も早い軽石の撤去作業、さらには今後、漁業従事者等に対する漁業補償や設備補償等が求められる中、今以上の財政負担は限界がある。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 漁港、港湾、漁場、海岸及び岸壁等に漂着した軽石撤去費用について財政措置を講ずること。
2 軽石被害により影響が生じた漁業補償費について財政措置を講ずること。
3 養殖業に影響が生じた養殖事業者へ損失補償支援を行うこと。
4 モズク苗場等に影響が生じた漁業従事者等へ損失補償支援を行うこと。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

1 ⑴ 海岸においては、軽石漂着が顕著で、潮流などの影響で再漂流することにより漁港や港湾への影響が懸念される箇所から、海岸漂着物等地域対策推進事業で除去作業を行っているところであります。
 引き続き、観光、海浜利用に支障を来している場所など、漂着状況を踏まえ、市町村及び関係団体と連携し、回収・処理を進めていきます。
⑵ 県内には、県管理漁港が27港、市町村管理が60港、合計87港の漁港があります。漁港の整備や災害復旧事業などの対応は、漁港管理者が行うこととなっております。
 漁港内に軽石が漂流・漂着した場合は、漁港管理者が水産庁と応急工事協議を行い承認を得たあと、漁港災害復旧事業での撤去工事が可能となります。また、軽石が再度漂着した場合でも、その都度応急工事協議を行うことで、撤去工事が可能となります。
 軽石の侵入防止対策としては、漁港管理者が港口にオイルフェンス等を設置することで侵入を防ぐことができますが、漁船の出入港に影響することから、地元漁業者と十分な調整を図り対応することとなります。
 県としましては、市町村が管理する漁港において、適切な対応ができるように指導してまいります。
 河川において、軽石は潮の満ち引き及び風等の影響が大きいことから、現在、軽石の漂着・消失に注視しているところです。
 今後、河川内への大量の軽石漂着により河口閉塞等があった場合、対策等を講じてまいります。
2 (漁業) 今回の軽石の漂流・漂着により、多くの漁業者が操業の自粛を余儀なくされるなど、大きな影響が出ております。
 そのため県では、県内漁業者の経営と生活を守るため、軽石の漂流・漂着に伴う漁業活動の自粛や漁船の損傷、養殖魚介類の斃死等による漁業経営への影響に対する支援策を講じるよう、知事が直接国に対して要請したところです。
 特に漁船保険や漁業共済等の各種補償制度が、軽石の被害についても確実に適用されるよう、強く要請しております。
 なお、県では、漁業者の収入確保を図りつつ、早期の漁業再開につなげる取組として、モデル的に、漁業者が行う軽石の除去作業の支援を開始したところであります。
 また、県及び水産関係団体で構成する対策協議会を設置したところであり、同協議会において情報の共有を図るとともに対応策の検討を行うこととしております。
(観光業) 県では、沖縄観光コンベンションビューローと連携し、マリンレジャー事業者を対象に軽石による影響や被害状況を調査しております。
 一部の事業者からは、マリンレジャーサービスの提供について、場所の変更や中止、船舶のメンテナンスや軽石対策費用の負担が発生しているとの報告がありました。
 軽石の海岸への漂着や海洋での漂流状況は流動的であることから、事業者への影響や被害状況について継続的に情報収集し、関係部局と連携して効果的な支援のあり方について検討するとともに、支援の方向性が定まった段階で財源の確保等を国へ求めていきたいと考えております。
3及び4について 災害等に伴う漁業者の減収対策としては、国による漁業共済制度が整備されておりますので、一義的には、共済制度で補填されるものと考えております。
 一方、漁業共済制度に加入していない漁業者がいることや、補填の時期が概ね一年後となるなどの課題も指摘されております。
 そのため、県では、令和3年11月補正予算で計上した「軽石による漁業被害調査事業」の中で、県及び県漁連等の水産関係団体で構成する対策協議会を設置し、情報の共有を図るとともに対応策の検討を行うこととしております。
 県としましては、同協議会での議論を踏まえ具体的な支援策を検討してまいります。