陳情文書表

受理番号第161号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和4年11月21日 付託年月日令和4年11月30日
件名 令和4年度サトウキビ価格・政策確立に関する陳情
提出者沖縄県さとうきび対策本部
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要旨


 島嶼県である沖縄県では、サトウキビが基幹作物として生産農家や地域社会・経済を支える重要な役割を担っている。本県のサトウキビ農業は小規模・零細で、かつ台風・干ばつの常襲地帯という不利性を抱えているが、さとうきび増産基金事業による増産対策や生産回復対策等により、サトウキビ農業の継続性や生産意欲の向上にも寄与している。今般、政府が策定したみどりの食料システム戦略においては、環境負荷低減と持続的発展に向けた農業振興が求められており、地域内循環システムの構築を図るためにも、サトウキビ農業は重要な役割を有している。現下の生産資材価格の高騰は、急激な円安の影響から高止まりの懸念が継続し、離農による生産者の減少など生産基盤の弱体化のリスクが顕在化している。
 ついては、令和4年度のサトウキビ価格・政策の確立に向けて、下記事項につき配慮してもらいたい。
                  

1 さとうきび生産振興総合対策の拡充・強化について
(1)みどりの食料システム戦略の目標実現に向け、環境負荷軽減に必要な機械・設備等への支援を講ずること。
(2)堆肥を活用した耕畜連携や工場から出る有機副産物の活用等、環境保全型農業への転換に必要な支援策を講ずること。
2 分蜜糖及び含蜜糖企業の安定操業に向けた支援について
(1)老朽化の著しい製糖施設の整備や機械収穫割合の増加に伴う集中脱葉施設の整備等、工場の安定操業に向けた支援策を拡充すること。
(2)含蜜糖企業の経営安定及び離島地域のサトウキビ生産を維持するため、含蜜糖企業の資金繰り負担軽減の仕組みを創設すること。
(3)インボイス制度の導入に際しては、生産者が出荷先を選定できず、価格差をつけて買い取ることができないことから、甘蔗糖企業の負担が大きくなることが想定されるため、同制度への対応に必要な支援策を講ずること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
 さとうきびは、本県農業の基幹作物であり、台風や干ばつ等の自然条件下にあって他作物へ
の代替が困難な地域で生産されていることや、製糖を通して雇用機会を確保するなど、農家経
済はもとより地域経済を支える重要な作物であります。
 このため、県としましては、JAおきなわ等と連携し、さとうきび生産者が意欲を持って生産に取り組み、甘しゃ糖企業の経営安定が図られるよう、令和4年11月25日に国等に要請を行っております。
 主な要請内容については、
 ① 「糖価調整制度」の堅持と財源確保については、現行の糖価調整制度の下で安定的に維持・発展できるよう、同制度の堅持と予算を確保すること。
 ② 甘味資源作物交付金については、生産農家が安心して生産に取り組めるよう地域の生産条件や経済事情を考慮し、再生産が可能となる交付金水準を確保すること。
 ③ 台風、干ばつ、病害虫等による生産への影響が恒常化する中、さとうきび増産基金事業(セーフティネット基金)による早期回復への取組を促進するため、地域の実態に即した支援策及び当該基金の予算を確保すること。
 ④ さとうきびの生産振興については、ハーベスタ等の高性能機械の導入による機械化一貫体系の確立・普及やさとうきび副産物等を利用した土づくりの推進など、さとうきびの生産性及び品質向上を図る取組に必要な予算を確保すること。
 ⑤ 製糖企業の経営安定対策については、地域経済において重要な地位を占めることから、働き方改革を踏まえた持続的な製糖工場の操業体制を確立し、糖業が維持・発展できるよう、製糖業の人材確保や省力化を図るための施設整備などについて、各対策事業において地域の要望に応じた計画的な予算を確保すること。特に、製糖工場の老朽化への対策については、製糖企業に対する万全の対策を講ずること。さらに、含蜜糖地域におけるさとうきび生産者の所得確保及び含蜜糖企業の経営安定を図るための所要の予算を確保すること。また、沖縄黒糖の安定供給及び消費拡大に関する対策を講ずること。
 などであります。
  なお、国においては、令和4年12月1日に令和5年産のさとうきび生産者交付金単価を、トン当たり1万6,860円と前年同様の単価水準に決定しました。また、「さとうきび増産基金」についても、予算を引き続き確保することとなりました。
  県としましては、今後とも、国及び関係機関と連携し、さとうきび・糖業の振興に取り組んでまいります。