陳情文書表

受理番号第98号 付託委員会文教厚生委員会
受理年月日令和5年6月19日 付託年月日令和5年6月28日
件名 「乳幼児の意見を聴かれる権利」に関する陳情
提出者*****
要旨


 令和4年7月30日、那覇市楚辺の認可外保育園で生後3か月の乳児が心肺停止状態になり、搬送先の病院で亡くなった。当該園では事故が起きる1か月前に利用者から立入検査を求める通報があったとのことだが、国の認可外保育園に対する指導監督の指針では「子供の命に重大な被害が生じるおそれを通報によって把握し、問題があると認められる場合などには自治体が特別立入調査をする」よう定めているにもかかわらず、調査されなかった。このときにしっかり調査され改善されていれば、乳児の命が失われずに済んだかもしれない。
 国連子どもの権利委員会一般的意見7号(以下「7号」という。)には「もっとも幼い子どもでさえ、権利の保有者として意見を表明する資格があるのであり、その意見は「その年齢および成熟度にしたがい、正当に重視され」るべきである(第12条1項)」とうたわれている。赤ちゃんが表す喜怒哀楽は「聴かれなければならない」思いであり、赤ちゃんは聴かれることにより自分が権利主体であることを体得していく。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 保育士・保護者がいつでも相談しやすく通報でき、必要な情報提供がなされ、守秘義務が守られる窓口を設置すること。保育施設における状況・行為などについて危険と思われる情報が提供された場合は、即刻立入調査を行い、場合に応じて警察と連携をとり、乳幼児の安全を確保すること。
2 子供の死亡事故などの重大事故について、事実関係の把握を行い、死亡または重大な事故に遭った子供やその保護者の視点に立って発生原因の分析などを 行うことにより、必要な再発防止策を検討する検証委員会を設置すること。
3 乳幼児1人1人に目が行き届くゆとりのある環境を確保するため、保育士配備と保育士の雇用条件の改善を迅速に進めること。認可保育園・認可外保育園の区別なく同一の保育基準を設定し、保育士の雇用は派遣会社を通さず、行政が直接責任を持って行い、給与は行政から直接保育士に支払うこと。保育所・ 保育士・保護者に対する人権教育の研修機会を設け、実習などを交えた効果的な乳幼児の権利に関する見識を深める研修を繰り返し行い、日常の保育を通し職員同士が互いにフィードバックし自分を振り返る時間を確保すること。
4 夜間保育・長時間保育・一時保育などの利用を求める保護者の要望を取り入れるため、乳幼児の全保護者対象のアンケート調査を行うこと。保育所職員・保護者・行政でチームをつくり、現にある資源を最大限生かし、夜間保育・長時間保育を行うモデルとなる保育施設設立を中心に、再公営化を進める実現可能なロードマップを策定すること。目標実現に至るまでの待機児童対策を十全なものとし、差別なく全ての乳幼児の権利を確保すること。
5 乳幼児期のためのサービス及びプログラムに対する資金投入を最優先事項とすること。