請願文書表


受理番号第3号 付託委員会総務企画委員会
受理年月日令和3年8月17日 付託年月日令和3年9月10日
件名 沖縄県における水難事故防止に関する請願
提出者一般社団法人 沖縄ライフセービング協会
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紹介議員仲村 家治
要旨


 沖縄県では緊急事態宣言が延長され、ほとんどのパブリックビーチが閉鎖されているが、現実には3密を避けて屋外での活動を行う人が非常に多く、自然海岸の利用者が増加している。その結果、県内の水難事故は急増しており、その数は過去最悪のペースで、令和3年の死亡・行方不明者数は7月末時点で24名と、自然海岸の安全確保は待ったなしの状況である。このような状況で、沖縄ライフセービング協会は以前から自然海岸でのパトロールをボランティアで実施しており、本年6月からは月ごとにエリアを決め、毎週土曜日に2名体制で関係機関と連携し、本島と石垣島でパトロールを行っている。しかし、県内を2名のみでパトロールするには限界があり、予算も当団体からの持ち出しのため、継続的かつ広範な活動が厳しい状況にある。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 県、県警察本部、消防、海上保安庁及び市町村等との連携を強化し、海の安全に特化した連絡協議会を設置すること。
2 自然海岸での安全確保のため、沖縄ライフセービング協会が行うパトロール 活動の人員増強と、パトロール体制充実のための予算を措置すること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事、公安委員会
報告内容

(処理経過及び結果)
【公安委員会】
1 「海の安全に特化した連絡協議会の設置」について、当県には、平成15年4月、「沖縄県水難事故防止推進協議会」が設置され、現在17の機関・団体が構成員となっており、その事務局は警察本部地域部地域課が担っておりますが、同協議会は水難事故防止施策を効率的に行うための情報共有を目的に設置されたものであり、同協議会員においては、それぞれの構成機関・団体が担当する業務に応じた水難事故防止施策を分担して行うこととなっております。
 本請願に係る連絡協議会につきましては、請願2のとおり、「自然海岸に係る安全」が念頭にあるものと理解しておりますが、その趣旨はパトロール体制の強化及び予算措置、つまり行政庁による自然海岸のパトロールという行政サービスのための体制構築の実現を図るべく協議会の設置を求めているものと受け止めているところ、「沖縄県水難事故防止推進協議会」につきましては、予算措置を伴う行政サービスを講じることを目的としたものではなく、また、同協議会において、県警察が主体となって構成員に対して具体的措置を行うよう求める権限もございません。
 体制構築の可否等の判断を伴う行政サービスの実現につきましては、自然海岸の管理について法的権限を持ち合わせた当該行政庁が行うべきものであり、また、昨年施行された改正水上安全条例に、県は、「水難事故の防止に関する総合的な施策を実施する責務を有する」、「国、市町村及び関係団体と連携及び協力を図るものとする」、「市町村に対する技術的な助言その他の支援を行うものとする」旨、「県の責務」が規定されていることから、県警察としましては、当該行政庁と連携して水難事故防止に取り組んでまいりたいと考えております。
2 「沖縄ライフセービング協会が実施するパトロール活動の人員の増強とパトロール体制の充実化を図るための予算措置」について、令和3年5月ころから、沖縄ライフセービング協会が自然海岸等のパトロールを実施していることは承知しているところ、同自然海岸については、県土木建築部海岸防災課等が管理者となっております。
 また、神奈川県においては、自然海岸の管理者たる神奈川県県土整備局河川下水道部と日本ライフセービング協会が包括協定を締結し、連携して自然海岸等の監視パトロール等を実施しているものと承知しております。
 重ねて、ハワイ型のライフガードは、行政庁たるホノルル市職員としての身分を有し、同市の救急通報システムの一部として行政サービスの体制に組み込まれているものと承知しております。
 本請願に係るパトロール体制の強化及び予算措置につきましては、その権限を持ち合わせた行政庁による「行政サービス」であると認められ、その体制構築の可否等の判断については、その実現につき法的権限を持ち合わせた当該行政庁が行うべきものであり、県警察としましては、当該行政庁が行う水難事故防止に資する施策等について連携して取り組んでまいりたいと考えております。

【知事公室】
1 現在、知事部局及び県警において、水難事故防止に向けた取組について意見交換を行っており、水難事故の未然防止に資する施策が重要との観点から、「沖縄県水難事故防止に係る検討会議」を設置し、各機関が保有する水難事故に係る情報の整理や分析、より効果的な施策の検討等を行っております。
  また、同会議における検討の内容を踏まえて、県内における水難事故の防止に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため設置されている「沖縄県水難事故防止推進協議会」などの関係機関と連携し、効果的な施策の実施に向けて取り組んでまいります。
2 海上保安庁においては、海上保安庁法に基づき、海難救助や海上の安全の確保等について任務を遂行しているところです。
  また、消防機関においては、消防法に基づき人命救助にあたっております。
  更に、知事公室が所管する公益社団法人琉球水難救済会では、水難事故防止のための体制強化の観点から、ライフセービング資格を有する一般社団法人沖縄ライフセービング協会の会員を「機動救難所」と位置づける新たな取り組みを行うことと承知しております。
  県としては、水難事故防止に向けて、これら関係機関と連携して、適切に対処してまいります。

【文化観光スポーツ部】
1 海の安全確保に向けた取組について、知事部局及び県警において意見交換を行っているところであり、県内における水難事故の防止に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため設置されている沖縄県水難事故防止推進協議会の活用を含め、県警、関係団体等との連携のあり方について、今後議論してまいります。
2 観光部局としては、これまでに観光客が安全に海水浴やマリンレジャーを行えるよう、観光客 へ向けた注意喚起や情報発信等を行ってきたところであります。
  「マリンレジャー事故防止調査対策事業」において、過去の事故情報を収集し、自然海岸を中心に現地調査を行った上で、ハザードマップや安全対策に関する動画等を制作するとともに、ポータルサイトなどを通して、観光客等へ海の危険性やマリンレジャーを安全に楽しむ際の正しい 知識を発信しております。
  また、ライフセーバーによる遊泳者向けの「海の安全講習会」を実施し、水難事故未然防止と海の危険性及びマリンレジャーを行う際の正しい知識を周知しました。
  同事業による取組を含め、自然海岸等の海の安全確保に向け、関係部局においてそれぞれの役割を踏まえ、関係機関とも連携しながら効果的な対策について検討を行うなど、観光客の安全・安心の確保に取り組んでいきたいと考えております。

【土木建築部】
1 海岸法に規定される海岸管理者の役割は、津波や高潮等の被害から海岸を防護するとともに、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を図ることにより、国土の保全に資することとなっております。
  海岸における安全の確保につきましては、海岸管理者としても、その重要性を認識しているところであります。
  県では、水難事故に係る情報の整理、効果的な施策の検討及び発生防止策を実施することで、水難事故を未然に防ぐための施策を推進することを目的として、「沖縄県水難事故防止に係る検 討会議」を令和4年10月に設置しております。
  引き続き、海岸管理者としての役割を踏まえ、関係部局と連携を図りながら、海岸利用者の安全・安心の確保に取り組んでまいります。
2 沖縄ライフセービング協会が水難事故の防止のため、ボランティアで海岸のパトロールを実施していることは承知しております。
  県では、海岸保全施設の損傷状況等を把握するために海岸巡視を実施しているところであります。
  海岸管理者としましては、沖縄県水難事故防止推進協議会の構成員である関係部局と連携し、効果的な対策を検討しているところであり、引き続き海岸利用者に対する注意喚起に取り組んでまいります。