陳情文書表

受理番号第14号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和6年1月23日 付託年月日令和6年2月14日
件名 沖縄県動物の愛護及び管理に関する条例(案)に関する陳情
提出者一般社団法人 SCB CatsWalk
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要旨

 私たちは、地域の猫の問題に対して広範な視点からの解決策を提案し、設立以来プロジェクトを展開してきたが、現場に携わる者として沖縄県動物の愛護及び管理に関する条例(案)に懸念がある。
 初めに、県内には多くの猫が存在し、地域猫として管理する体制構築が必要であるが、現場の市町村が独自の管理体制を確立する段階には至っていない。北部での猫の駆除、マイクロチップの装着などのための予算に対し、他の地域で日々行われている地域猫活動に対して全く予算がないことは、あまりにもバランスを欠いており、県民の無料奉仕によって支えられていることは大きな問題である。多頭飼育のための条例を制定する前に、繁殖制限のための予算を各市町村が確保し、救済策を提示するべきである。地域猫活動は、一部の地域がモデルとなっただけで、他の地域は県の援助を受けることがない状態であるにもかかわらず、罰則を伴う条例制定はあまりにもむちゃな政策としか思えない。
 次に、条例の制定に関しては、関係各課・団体も含めた広範な委員会を設立し、県民に見える化した組織体制の構築が必要だが、その組織が確立せず、また市町村と県との連携がなされていない段階での条例制定は、県民の意思を反映しない内容となることが大きく懸念される。特に条例(案)第13条については特に慎重に検討されるべきで、地域猫に関する準備が整っていない状態での条例制定は、混乱を起こす可能性が大きく、多くの問題が発生する可能性がある。
 さらに、県内の猫に関する問題は、高齢者や貧困家庭などの社会問題とも深く関連している。孤独で収入が限られている高齢者に対し救済策を提示しない中での条例制定は、地域で孤立化している弱者をただ悪者とする結果となる。また、県の動物愛護センターが学校への啓発という果たすべき役割を確立していない状態で条例が制定された場合、愛護センターが社会的弱者に対して、条例によって指摘するだけの機関となる危険性は大きい。
 繁殖制限により野良猫の数を徐々に減らし一定数に保つことは、自然環境上望ましいことだが、唐突な条例や政策によって結果が分からないままにその数を急激に減らすことは、自然環境上保持されているバランスを急激に崩すこととなる。
 ついては、同条例(案)第13条の撤廃、猫と自然環境保全上の問題を関連づけた表現の削除などについて検討し、制定組織の構築、適切なガイドラインの策定、地域猫管理体制の強化、社会福祉問題への支援、及び動物愛護教育を推進するため、下記事項につき配慮してもらいたい。
                  

1 現時点での条例の必要性について、県の管理体制が整備されておらず、市町村との連携もできていない段階での条例制定に疑問を抱くことから、県民に参加の機会を提供し、その体制が整った後、幅広い知識を持つ関係者によって作成されるべきであり、その時期を検討すること。
2 地域猫の管理体制を強化するため、予算も含め市町村を通じて県民が県のサポートを受ける仕組みを整備すること。
3 誰一人取り残さない社会の実現のために、高齢者や貧困家庭と猫の問題を協議し、解決策を見いだす機会を提供し、県が予算を含め、救済策を提示できる体制を整えること。
4 子供たちへの動物愛護教育を促進するため、愛護センターなどの機関がその役割を果たすための基盤をつくり、よりよい教育体制を確立すること。