陳情文書表

受理番号第40号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和6年3月6日 付託年月日令和6年3月14日
件名 最高裁の辺野古・代執行訴訟の上告不受理を受け、埋立承認の再撤回を求める陳情
提出者沖縄平和市民連絡会
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要旨


 辺野古新基地建設をめぐり、国が知事に代わって防衛局の設計変更申請を承認する代執行のための訴訟で、最高裁第1小法廷は県の上告を受理しないと決定し、県の敗訴が確定した。この最高裁の上告不受理は、地方自治の本旨や民意を顧みず、国の強権的な手法を追認したもので、司法の役割を自ら放棄した不当なものである。既に国は設計変更申請を代執行で承認し、大浦湾での工事が始まっている。今回の最高裁の上告不受理により、防衛局は工事をさらに加速して強行するものと思われる。
 私たちは昨年、県議会に「辺野古・埋立承認の再撤回を検討するために、第三者委員会の設置を求める陳情」を提出したが、県の処理方針では埋立承認の再撤回についての判断は示していない。最高裁が代執行訴訟で県の上告を不受理とした今、知事は埋立承認の再撤回に踏み切るべきである。埋立承認再撤回の事由となる埋立承認後の事情の変化として、次の各項目がある。
 ① 辺野古新基地の耐震設計は中小地震を対象とした「レベル1」で設計されているが、令和4年3月、政府の地震調査委員会が「南西諸島でマグニチュード8級の巨大地震のおそれ」という長期評価を公表したため、「レベル2」での耐震設計に見直すことが必要となっている。また、県の津波浸水想定(平成27年)では、津波の最大遡上高が辺野古崎で11.7メートルと想定されており、辺野古新基地の外周護岸の標高は8.1メートルであることから津波の際に新基地は全て破壊されてしまう。
 ② 沖縄防衛局は、設計変更申請の耐震設計は平成30年に改正された港湾施設基準に準拠したと説明したが、実際には平成19年の旧基準を使用していることが明らかになった。新基準に基づいて設計すれば最大加速度が約1.5倍となり、護岸の安定性が確保できないおそれがあるために旧基準を使ったと思われる。
 ③ 防衛局は平成19年の土質調査で「軟弱な沖積層が広く、厚く分布している。追加のボーリング調査が必要」と報告されていたにもかかわらず、埋立承認申請ではその事実を隠蔽し「N値11の砂層。軟弱な粘性土層は確認されていない」としていたことが明らかになった。
 ④ 防衛局は、辺野古側の埋立工事が完了したにもかかわらず、設計変更申請の内容である大浦湾の埋立てのための土砂の搬送を続け、沖縄県の照会に対して「埋立用土砂は搬送していない」と虚偽の回答を繰り返してきた。このような違法工事や、留意事項違反が相次ぎ、40回以上の知事の行政指導にも従ってこなかった。
 ⑤ 令和5年3月に閣議決定された「陸域及び海域の30%以上を保護地域にする」という生物多様性国家戦略2023-2030に反している。
 ⑥ 陸上自衛隊と米海兵隊が辺野古新基地に陸上自衛隊の離島防衛部隊である水陸機動団を常駐させる等、共同使用することで合意していることが明らかになった。また、米海兵隊もEABO(遠征前方基地作戦)構想等で再編された。辺野古新基地のような大きな基地が、ミサイルの時代に有効に機能するのか等の再検討が必要である。
 ⑦ 令和5年11月6日、在沖米軍幹部が「軍事的に言えば、普天間から辺野古に移った場合は機能が低下する」「辺野古が完成した後も普天間の維持を希望する」と発言している。普天間飛行場の改修・強化工事も続いており、辺野古新基地が完成しても普天間飛行場が返還されないおそれがある。
 ⑧ 3回の知事選や県民投票で、辺野古新基地には反対という県民の民意が明確に示されてきた。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 最高裁が辺野古・代執行訴訟で県の上告を不受理とした今、県に、埋立承認の再撤回に踏み切るよう要請すること。
2 上記①から⑧までの各事項について、県は、埋立承認再撤回の理由となるか県としての見解を示すこと。