陳情文書表

受理番号第155号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和4年11月11日 付託年月日令和4年11月30日
件名 酪農・畜産支援生産基盤強化対策に関する陳情
提出者沖縄県酪農農業協同組合
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要旨


 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言等による小中学校の臨時休校等により、学校給食用牛乳に仕向けられるはずの生乳に多量の余剰乳が発生し、酪農家の収入は大きく減少した。これに加え、ロシアのウクライナ侵攻や為替の影響により、穀物を主体とする配合飼料や輸入乾牧草が高騰を続けており、酪農家が生産した肉用子牛相場も暴落し、ホルスタイン種の雄子牛は値段がつかない状況である。全国的に牛乳引取価格が令和4年11月から1キログラム当たり10円値上がりしたが、それでも生産コストとの差は大きく、酪農家も努力を重ねているものの増加コストの吸収は困難である。今年に入り、県内他地域では経営難を理由に廃業が続いており、生乳生産基盤維持に取り組まなければ、廃業の連鎖による生産減少が懸念される。継続した安定的な生乳生産の維持・拡大、食料自給率向上及び安全・安心な県産牛乳の供給には、酪農支援対策が必要不可欠である。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                  

1 酪農経営を継続していくための支援を行うこと。
2 世界情勢に影響を受けない沖縄の酪農生産基盤強化及び自給率向上に取り組むため、自給飼料作物を作付・刈取りする機械を整備すること。
3 県内の乳牛から生産された生乳の製造、加工及び販売が一貫してできるプラントを整備すること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
1 県では、酪農経営継続の支援として乳用後継牛の確保を図るため、沖縄県家畜改良センターにおいて、酪農家から乳用子牛を受け入れ、育成後に初妊牛として引き渡しを行う「優良乳用牛育成供給事業」や酪農家の自家育成牛、受精卵移植に係る経費に対して補助を行う「乳用牛改良推進事業」及び各種施設整備事業を実施しており、令和5年度からは、遺伝的に優れた雌子牛の選定および保留に対して補助を行う「乳用牛長命連産化改良事業」を実施することとしております。
  また、酪農家に対する飼料高騰対策緊急支援として、県外乳用牛の導入に伴う更新費用や粗飼料購入費、並びに配合飼料価格安定制度の生産者積立金の一部補助を行っております。
  さらに、配合飼料購入費の一部を補助するため、令和4年11月補正予算により追加で措置したところであります。
  県としましては、酪農経営の安定を図るため、酪農支援対策を継続して取り組んでまいります。

2 飼料作物を作付け・刈取する自給飼料生産機械等の整備については、畜産・酪農収益力強化整備等特別対事業(畜産クラスター事業)において、畜産クラスター協議会が主体となり、酪農家へ機械導入を実施しております。
  飼料作物を生産するための草地造成等については、畜産担い手育成総合整備事業があり、各市町村において草地開発を実施しております。
  県としましては、今後とも関係機関と連携しながら、自給飼料の生産基盤強化に取り組んでまいります。
3 県内における生乳の製造及び加工等については、乳業メーカーや事業者等が施設を所有し、運営を行っております。新たに牛乳の製造・加工施設を整備し、安定的な運用を継続するためには、生乳生産量の確保や整備箇所の選定、費用対効果等を含めた事業収支計画、並びに資金計画等の検証が重要であると考えております。
  また、国事業の活用を検討する場合は、他施設を含めた合理化や協業化が要件となることから、県としましては、現状の把握に努めるとともに、関係機関等と意見交換してまいります。