要旨
那覇空港南側船揚場の施設整備については、国、県及び那覇市と私たち那覇地区漁業協同組合(以下「当漁協」という。)が数々の調整を経て瀬長島に近い那覇市域の沿岸地域に船揚場を整備することで合意し、那覇市が事業主体となり、取組が進められている。しかし、国、県及び那覇市が平成25年6月24日に文書で施設整備を確約してから既に7年が経過しているものの、いまだ施設整備に向けた手続が進んでおらず、このままでは確約がほごになるのではないかと危惧している。
そもそも本件施設整備は旧日本軍の飛行場用地接収に起因し、大嶺地先の漁業者が強制的に移転させられ漁をすることを余儀なくされたことが発端であり、大嶺地先から瀬長島北側の海岸に拠点を移した漁業者が同海岸を小型船等で占有する課題が指摘されて、新たな場所を確保しなければならなくなった。そこで当漁協が昭和54年から代替施設の整備を要請し続けてきて、上記の確約に至ったものである。
また、去る那覇市議会11月定例会で執行部から答弁があったとおり、本事業について、那覇市は、関係する漁協の組合長らで構成される那覇市水産業振興協議会において報告するなどして情報提供しており、今回協議を求めている那覇市沿岸漁協(以下「沿岸漁協」という。)からは特段、意見や要望はなく、これまでに本事案に関し施設整備等の要請や意見も出されておらず、市として十分に理解が得られたものと考えている、としている。それにもかかわらず、沿岸漁協からは、「以前に互いの組合長で船揚場の使用について約束していた」との発言があった。しかし、去る9月16日に沿岸漁協組合長と当漁協代表理事組合長との話合いで「船揚場建設が具体的になってから施設利用条件を言ってきたのではないか」との問いに、沿岸漁協組合長は「そうだ」と回答しており、さきの発言の根拠もない。
当漁協は、今時点での事業計画の見直しや条件協議などの要請は既に時期を逸しており、単に施設の竣工を殊さら遅らせることにしかならないと考えている。本事業は慰謝事業であることから、当該船揚場は特定地域漁業者が優先して使用できる施設であるが、水産業を支える地域の船揚場施設としての漁業施設となる。同じ漁業を営む仲間として、地域漁業者である沿岸漁協は公有水面埋立てによる漁業権消滅に対し、生産者の立場で理解し、同意を受け入れなければならない。
ついては、当漁協小禄支部の歴史的経緯を理解した上で、本事業が慰謝事業であることに鑑み、小禄支部組合員の悲願である船揚場整備について、国、沖縄県、那覇市、関係機関及び関係各位に対して、取組を強化するよう働きかけ早期整備に配慮してもらいたい。 |