陳情文書表

受理番号第20号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和6年2月1日 付託年月日令和6年2月14日
件名 辺野古新基地埋立ては生物多様性国家戦略に反することを根拠として、再度の埋立承認撤回を県知事に要請するよう求める陳情
提出者辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会
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要旨


 大浦湾の軟弱地盤改良工事設計変更の承認に関する代執行訴訟において、福岡高裁那覇支部が、中身について一切審議しないまま、令和5年12月20日、県知事が承認しないのは違反としたことには怒りを禁じ得ない。国が代執行により変更申請の承認を行い、令和6年1月10日から大浦湾側での工事を強行しているが、投入されている石材が全く洗浄されていないなど、環境保全図書の記載事項、埋立承認の際の留意事項に違反している。沖縄県民の民意を受け、地方自治を全うし、生物多様性が極めて豊かな大浦湾を守るためには、沖縄県が再度埋立承認を撤回することが必要である。
 生物多様性をめぐり、日本政府が新たに閣議決定した「生物多様性国家戦略2023-2030」は「陸域・海域の30%以上を保護区にして守る」という高い目標を掲げている。
 埋立対象海域は、ジュゴンやアオウミガメの生息に深く関わり、多様なサンゴが生息し、日本初のホープ・スポット(希望の海)に認定され、国際的にも貴重な生物多様性を残している。環境省が生物多様性の観点から重要度の高い海域の一つとして抽出した「沖縄島中北部沿岸」(重要海域番号14802)の一部を構成する辺野古・大浦湾は、海洋保護区としてそのままの姿で後世に残すべきである。これは、新国家戦略を推進しなければならない日本政府の義務でもある。
 ついては、知事が再度の埋立承認撤回に踏み切るよう、下記事項につき配慮してもらいたい。
                  

1 生物多様性基本法第12条第2項に依拠し、生物多様性国家戦略に照らした大浦湾埋立ての整合性に関する沖縄県としての公開質問状を日本政府に提出するなど、市民に見える形で辺野古新基地埋立てと生物多様性保全の整合性に係る論争をつくり出すこと。
2 「生物多様性の観点から重要度の高い海域」の視点から、大浦湾・辺野古沖を含む沖縄島中北部沿岸を海洋保護区に指定する旨政府に求めること。
3 生物多様性おきなわ戦略の新生物多様性国家戦略に沿った改訂作業を急ぎ、おきなわ戦略に照らして辺野古新基地埋立ての不当性を浮き彫りにすること。
4 翁長前知事がつくった埋立承認手続に関する第三者委員会の検証結果報告書が、新基地埋立ては法律に基づく計画に違背する点で「生物多様性国家戦略2012-2020」及び「生物多様性おきなわ戦略」に違反する可能性が高く法的に瑕疵があるとしたことを改めて思い起こし、世界的に生物多様性の保護・回復する取組が盛り上がっている中で、再度の埋立承認撤回を打ち出す根拠になることを検討すること。
5 生物多様性国家戦略に照らした不当性を含め、新たな方針として再度の埋立承認撤回に向け、第三者委員会を設置するなどして総合的に検討すること。