陳情文書表

受理番号第15号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和4年1月26日 付託年月日令和4年2月15日
件名 コロナ禍における観光産業の再興に向けた支援等に関する陳情
提出者沖縄ツーリズム産業団体協議会
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要旨


 コロナ禍における経済の影響度についてOCVB及びりゅうぎん総合研究所が先日行った合同発表によると、今年度の入域観光客数は320万人、観光収入は2019年度比で65%減の2464億円とこの2年間で約1兆円の損失になると推計した。
 沖縄観光は、昨年の緊急事態宣言解除後、回復の兆しが見えてきたが、いまだ十分な支援が行き届いておらず、このたびのオミクロン株による感染急拡大及びまん延防止等重点措置の延長に伴い、県内の観光産業は再び大打撃を受けている。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 「新型コロナウイルス感染症の影響を受けている観光産業の再興に関する条例」に基づく経営支援について、沖縄県観光産業の経営実態を早期に調査し、データに基づき、経営規模及び損失額に応じた明確な支援を検討すること。また、現在支援を受けている飲食業以外の事業者に対しても、事業規模(雇用者数など)に応じた経営支援を検討するとともに、国に対しても支援を求めること。
2 おきなわ彩発見キャンペーン事業の一時停止により、キャンセル料の補塡だけでは補えない多大な損害を被っていることから、取消し料対象期間外も含めた取扱数に応じた事務経費及び修学旅行や団体旅行のキャンセルによる損失も補塡すること。
3 将来の観光需要の回復に向けて、観光業界に対する事業継続のための固定費支援、人材育成・確保及び安全・安心の受入れ体制強化に関する令和4年度予算措置を検討すること。
4 まん延防止等重点措置の延長に伴いオミクロン株のリスク特性に応じた対応として、同居家族や一定の人数制限等感染対策を講じた上で、県内旅行需要喚起策であるおきなわ彩発見キャンペーン事業を再開する等方針を緩和すること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
1 令和3年度は、緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う外出自粛等による影響により、対前年同月比などで50%以上売上げが減少した事業者を支援する国の「月次支援金」を受給した県内事業者に対し、個人事業者に最大10万円、法人は売上規模に応じて最大30万円を2月分支給する「観光関連事業者等応援プロジェクト」を実施しました。
  また、令和4年度における新たな取組として、新型コロナウイルス感染症の影響により、対前年同月比などで売上が30%以上または50%以上減少し、国の事業復活支援金を受給した県内事業者に対し、個人事業者に最大10万円、法人は売上規模に応じて最大50万円を支給する「おきなわ事業者復活支援金」により支援を実施しました。
  さらに、コロナ禍における原油価格・物価高騰に伴い、経営に大きな影響を受けている観光事業者を支援するため、「観光事業者事業継続・経営改善サポート事業」を実施しております。
  同事業においては、赤字企業であって、かつ、事業計画を策定した事業者に対して、従業員規模に応じて最大600万円を補助することとしており、関係機関と連携のうえ、観光事業者へ周知を図ってまいります。
  また、沖縄観光は回復傾向にあるものの、コロナ前と比較し、観光事業者の受入体制が整っていないことから、令和4年11月補正(追加提案)において、受入体制の再構築を支援する「観光事業者受入体制再構築等緊急支援事業」を計上しました。
  赤字企業、黒字企業を問わず、受入体制の再構築に必要な経費であって、令和4年10月以降に要した人材の確保、バリアフリー等受入に必要な施設改修や今後の観光需要に対応する前向き投資等に要する経費に対し、最大500万円を補助する事業を実施しております。
  「観光事業者事業継続・経営改善サポート事業」及び「観光事業者受入体制再構築等緊急支援事業」については、令和5年度へ予算を繰り越し、引き続き、支援を実施してまいります。
  令和5年6月議会においては、「観光事業者受入体制再構築等緊急支援事業」の支援対象者を拡充するため、補正予算を計上して、支援を実施しております。

2 令和3年11月15日から利用開始した旅行需要喚起策である「おきなわ彩発見キャンペーン第4 弾」は、まん延防止等重点措置区域の指定により、1月9日から一時停止となりましたが、これに伴い発生したキャンセル料については、キャンセルポリシーに基づき旅行者の負担が発生する場合には、事業費で補填したところです。
  キャンセル手続に伴う事務経費や、団体旅行等のキャンセルによる損失については、国の交付要綱において、直接経費の対象とされていないことから、地域の実情に応じた弾力的な運用を認めるよう、これまで国へ要望を行っております。

3 県では、「観光事業者事業継続・経営改善サポート事業」において、業務回復に必要な人材の育成・確保に係る経費を含め、事業継続・経営改善に取り組む赤字の観光事業者に最大600万円を支援しており、令和5年度へ予算を繰り越し、引き続き、支援を実施してまいります。
  「沖縄観光貢献度可視化事業」においては、観光が「沖縄県経済」や「住民生活」へもたらす貢献度の説明や、観光業界の現場で働いている方々の声を紹介するとともに、商工労働部や沖縄労働局で実施する合同説明会や雇用助成に関する事業等を幅広く、新聞紙面やSNS等を通じて、県民や事業者等へ周知しました。
  これらの取り組みにより、県民の観光に対する理解促進、観光業界における職場イメージの向上、人材確保に繋げていくこととしております。
  また、観光関連産業従事者向けの階層別集合型研修やオンラインセミナーの配信等を実施し観 光人材の育成に取り組むとともに、雇用のミスマッチによる離職防止を目的としたインターンシップ受入支援や、観光業界での自身の将来像をイメージできるようなキャリアデザインに関する 研修を実施し、観光人材の定着に取り組んでいるところです。
  併せて、県内宿泊施設において県内外の学生等に対し職場訓練や座学研修を実施し、宿泊施設で働く魅力ややりがいを感じてもらうことで、宿泊施設の人材確保に繋げる「ホテル人材緊急確保事業」を実施したほか、観光事業者の受入体制として人材確保に要する経費などを支援する「観光事業者受入体制再構築等緊急支援事業」を実施し、観光人材確保に取り組んでいるところです。

4 令和4年2月21日のまん延防止等重点措置の解除、同24日のコロナ対策本部会議に警戒レベルが2へ移行したところですが、感染再拡大を抑制しながら社会経済活動を段階的に再開していく必要があることから、依然として新規陽性者数の高止まりが続いている現状や専門家の意見を踏まえ、業界団体への同意を得た上で、当面の間は、原則4人以下の利用、かつ、PCR等検査陰性 の結果の提示を求めるなど、一部要件を強化した上で、3月1日から新規予約、同3日からの利 用を再開しておりましたが、コロナ感染拡大警報が終了した6月10日以降はこれを撤廃し、国の制度と同様の要件に緩和しております。
  令和4年9月26日付けで、全国を対象とした新たな観光需要喚起策「全国旅行支援」を10月11日より、開始すると国が発表したことを受け、県としては、同日付けで「おきなわ彩発見キャンペーンNEXT」を開始しております。
  県としましても、国の観光施策と連携し、安全・安心な旅行環境を提供しながら、沖縄観光の回復に向け、引き続き取組んでまいります。